1: 以下、名無しが深夜にお送りします 2020/01/02(木) 00:38:52 ID:860mf/2Q

ぼっちキャラを集めてみるとどうなるか

一里ぼっち/『ひとりぼっちの○○生活』
中学生で極度の人見知り。だが行動は割と激しい。
小学時代の唯一の友達に卒業と同時に絶交され、仲直りの条件として提示された中学卒業までにクラス全員と友達になることが目標

羽瀬川小鷹/『僕は友達が少ない』
高校生。髪の色でヤンキーと誤解され、周囲から浮きがち。料理が得意で喧嘩も強い。
表向き常識人で、ツッコミ担当だったが……

黒木智子/『私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!』 
女子高生。当初はリア充を見下す真性ぼっちゲロインだったが、徐々に成長し自分も周囲も変わっていく。
基本ゲスな性格、ロクでもない妄想もするが頭は悪くない

比企谷八幡/『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている』
高校生。ぼっちという境遇にむしろ開き直っている。
常に斜に構えて物事を偏見的に見る陰キャだが、面倒見はいい



2: 以下、名無しが深夜にお送りします 2020/01/02(木) 00:39:30 ID:860mf/2Q

【公園の屋根付きベンチ】


ザ――――ッ


ぼっち(一里ぼっちです。今日はみんな用事があって一人で下校していました。そうしたら……)

小鷹(あーったく、凄い雨だな。天気予報で雨降るって言ってたか? 洗濯物が心配だな……)

智子(下校中に傘ないのに雨に降られて他校の生徒と雨宿りっていつ以来だよ……うわ、嫌な思い出しかねーわ)

八幡(よりによって自転車が壊れて徒歩で帰ろうとしたところで雨に降られるとか何なの……)



3: 以下、名無しが深夜にお送りします 2020/01/02(木) 00:40:22 ID:860mf/2Q

ドザザザザ――――ッ

ぼっち(もう雨宿り始めてから10分くらい経つけど……全然やまない。携帯電話は家に忘れてきたから誰にも連絡できないし)

小鷹(小鳩は下校時間によるけどもう帰ってるかな。連絡するか。かばんの中に携帯が……ッ……充電切れてる。あんまり使ってないから気付かなかった)

智子(は、携帯がない? ウソだろ! 学校に置き忘れたか……。クソ、弟呼び出すこともできないじゃねーか)

八幡(おいおい雨脚むしろ強くなってない? 夕立ちじゃねぇのかよ。何で今日に限って携帯家に忘れたんだよ。不幸だ……)


ズドサザ゙ザザザ――――ッ

ぼっち(うう……もっと雨が強くなってる……どうしよう、ガンバル妖精さん。こ、こうなったら)

小鷹(これもう埒が明かないな。全員よその制服だけど、周りに携帯貸してくれって頼むか。けどな)

智子(こっちの配色ミスっぽいプリン頭はどうみてもヤンキーだし目つき悪いな。声かけたら普通に喧嘩売ってると思われそう。こいつに話しかけるのは無いわ)

八幡(正直、よその生徒と関わるとかマジで億劫なんだが、この状況なら仕方ねぇな。誰に声かけるか)



4: 以下、名無しが深夜にお送りします 2020/01/02(木) 00:41:47 ID:860mf/2Q

ぼっち(SOSです。誰かに助けを求めるしかありません。で、でも……何て声を掛けたらいいんでしょう? まず、こんにちは? でも、もう夕方だからこんばんは?)

小鷹(俺、初対面だと絶対見た目で怖がられるからな。声かけただけで逃げられること多いし。他の3人全員無言だし、俺と目を合わせようともしないし)

智子(こっちの腐った魚のような目をしてるのは陰キャっぽいし、どっちかというと話しかけやすそうだが……。陰キャ同士ろくに会話にならなくてかえって話進まないかもな)

八幡(サイドテールに花飾りの娘は小町より背低いし、たぶん中学生か。プリン頭の半グレっぽいのは高校生だろう。黒髪ロングは、まあ低いけど高校生か。スカート丈長いな)


ぼっち(そうだ、自己紹介! まずは自己紹介をすれば……きっとうまくいくはず。でも、自己紹介苦手だし。うう……がんばれ、私)

小鷹(逆に相手から話しかけてもらえば、自然に話ができるんじゃないか? いや、でもどうする。この沈黙を誰かが破ってくれないと。くそ、もう気にせず俺から言うか?)

智子(年下の中学生っぽい子に携帯貸してって言うのも何だかな……。いや、そんなこと言ってる場合じゃないか。さっさと帰りたいし。つか、学校に携帯探しに行くのが先か?)

八幡(ちょっと待て、そういえばこいつら、さっきから誰も自分の携帯を触ってない。この世代の連中が暇を持て余しているときに携帯を触らないだと。そんなことあろうはずもない!)



5: 以下、名無しが深夜にお送りします 2020/01/02(木) 00:43:17 ID:860mf/2Q

ぼっち(がんばれ、がんばれ。言うんだ、言わなきゃ! 自分から話しかけないと何も変わらないんだ。そうだよね、かいちゃん)

小鷹(「ごめん、ちょっと俺に携帯貸してくれないかな(暗黒微笑)」……いやダメだろ。普通にカツアゲだと思われて通報される)

智子(いや、待てよ。こいつらも私と同じ立場なら誰かに連絡取るなりするよな。誰も携帯出さないって、どういうことだ。まさか、こいつらも携帯持ってない?)

八幡(おそらく、全員携帯を持っていないか、たまたま手元にないかしているんだろう。だからこそのこの膠着状態。どうする? そうなると誰かに携帯を借りようとしても無駄だ)


ぼっち(なこちゃんは最初に私が声を掛けて、それで、なこちゃんが答えてくれて。えっと、アルちゃんのときは、なこちゃんを怒らせちゃったときにアルちゃんが声を掛けてくれて)

小鷹(まあ、そういう点を考えたら女子に声を掛けるのはNGだな。となると、こっちの冴えない感じの男に掛けるしかないが……。根暗な雰囲気だし、逃げられるか?)

智子(はあ~、使えねぇ。今どき携帯を常に携帯してかないとかどこの原始人だよ。そういや、前こういうシチュのときは結局どうやって帰ったんだっけ)

八幡(こうなったら多少濡れること覚悟でダッシュで帰るか。言っても駅までの距離だ。つか、何なのさっきからこの長い沈黙……こいつら心理戦し過ぎだろ)



6: 以下、名無しが深夜にお送りします 2020/01/02(木) 00:44:10 ID:860mf/2Q

ゴバババドザザザザザザ――――ッ

ぼっち「…………」

小鷹「…………」

智子「…………」

八幡「…………」



7: 以下、名無しが深夜にお送りします 2020/01/02(木) 00:44:54 ID:860mf/2Q

ぼっち(うぅ……考えてる間に雨がもっと強くなっちゃった。考えちゃダメだ、行動しなきゃ!)

小鷹(これは傘を差してても濡れそうなレベルだろ。いや、でも傘はあったほうがいいよな……。こうなったら!)

智子(やべぇなこれ……ゲリラ豪雨のくせに居座り過ぎだろ。つか、さっきから誰も近くを通りかからないし。ダッシュで行くのはきついわ……)

八幡(これ、おじいちゃんが田んぼの様子を見に行ったら帰って来れないパターンじゃね。……一番近くのコンビニはどこだっけな)



ぼっち「一里ぼっ小鷹「俺が傘智子「あ、あの八幡「とりあえず」



8: 以下、名無しが深夜にお送りします 2020/01/02(木) 00:46:17 ID:860mf/2Q

ぼっち「…………」

小鷹「…………」

智子「…………」

八幡「…………」

ぼっち「あ、あ……」

小鷹「あ、えっと、どうぞ」

智子「あ、いや……」

八幡(何この完全沈黙から唐突の全員発言で気まずい感じ……。会話苦手部かよ)

八幡「えっと、とりあえず右から順番に言えばいいんじゃないですか」

智子「あー……そうですね……順番、で」

小鷹「ああ、そうだな。じゃ、君から」

ぼっち「は、あ……ひ、ひ、一里ぼっちです!」

小鷹・智子・八幡「!」



9: 以下、名無しが深夜にお送りします 2020/01/02(木) 00:46:57 ID:860mf/2Q

小鷹「え、ああ……うん、分かるの? 確かに俺……基本独りぼっちだけどさ」

ぼっち「へ、あなたも一里ぼっちですか!?」

八幡「つーか、ぼっちと言ったら俺の二つ名みたいなもんだな」

ぼっち「あなたも一里ぼっちなんですか!?」

智子「あ、まあ……私ももともとぼっちだったかな。最近はちょっと変わったけど」

ぼっち「あなたまで!?」



10: 以下、名無しが深夜にお送りします 2020/01/02(木) 00:47:53 ID:860mf/2Q

小鷹「って名前かよ!」

ぼっち「は、はい……一里ぼっちです」

八幡(え、何それ……。悪魔ちゃん並みにアウトだろその命名……なんで役所通ったんだよ)

智子(これ絶対学校でいじられて孤立してぼっち化するパターンじゃねぇか……最近のDQNネームはやばいな)

小鷹「そうか……大変だな」

ぼっち「たいへん?」

小鷹「自分のせいじゃないのに、からかわれたりするだろ?」

ぼっち「からかわれたり?」

小鷹「俺もさ、この髪、地毛なんだけど……染めてると勘違いされてさ。よくヤンキー扱いされて敬遠されるんだよね」



11: 以下、名無しが深夜にお送りします 2020/01/02(木) 00:48:31 ID:860mf/2Q

八幡「地毛なんすか?」

小鷹「母親がイギリス人でハーフなんだよ。中途半端に遺伝してさ、こういう黄土色がかった金髪になってさ」

八幡「へぇ」

小鷹「やっぱ、周りと違うといろいろ言われるだろ。結局、見た目で判断されちゃうんだよね」

八幡「まあ、ありますよね。人は見た目が10割って言いますし」

小鷹「いやせめて9割にしてくれよ」

智子(どう見ても盗んだバイクで走り出してそうなのにな。意外とまともなやつか、こいつ?)

ぼっち「見た目で……なこちゃんみたい」

小鷹「なこちゃん?」



12: 以下、名無しが深夜にお送りします 2020/01/02(木) 00:49:25 ID:860mf/2Q

ぼっち「なこちゃんは、私の前の席の人で、動きたくない人で、スマホたぷたぷグループに入っていて、私の友達です」

小鷹「え、いるんだ。友達」

智子(は? 友達がいるのにぼっち名乗るとか人生舐めてるのかこの中坊)

八幡(スマホたぷたぷグループってなんだよ……)

ぼっち「はい。なこちゃんは、アルちゃんたちから意地悪って言われたりするし、最初はちょっと怖い人でした」

ぼっち「でも、本当はとても優しい人でした。いっぱいお話しして分かったんです」

小鷹「そっか。よかったな、その子も、君も」

八幡「まあ、仲良くて楽しいんならいいんじゃねぇの。……いい関係が長く続くかどうかは別としてな」

智子「はは……そうだね」

ぼっち(よかった……初めて話す人達で緊張したけど、ちゃんと自己紹介してお話できた。よかっ……た)ふらっ



13: 以下、名無しが深夜にお送りします 2020/01/02(木) 00:50:12 ID:860mf/2Q

ザ――――ッ

――――――
―――

ぼっち「うぅん……あ」パチ

智子「あ、気が付いた?」

ぼっち「あれ、私……?」

智子「いや、何か急に倒れたからさ……貧血とか?」

ぼっち「あ、あの……私よく気絶するんです……嬉しい時に」

智子「え、気絶……するんだ?」

ぼっち「するんです。ちゃんと、初対面の人に話せたから。自己紹介できたから……嬉しくて」

智子「へ、へぇ」



14: 以下、名無しが深夜にお送りします 2020/01/02(木) 00:50:59 ID:860mf/2Q

ぼっち「あ、私好きな食べ物は納豆ごはんです。ひきわり派です。大粒もいいです。からしは取っておくタイプです!」

智子「え、うん……(それ今言う必要あるか? きーちゃんとは別の意味でこの子もアレだな……)」

智子(まあ、友達ができたとはいえ、それまではこの子もぼっちだったんだろう)

智子(いろいろ経験して変わっていくんだよな)

智子(思えば私も結構成長したんじゃないか。高1の頃だったら、こういうシチュで会話とか、また死にそうなトラウマ抱える失敗してそうだし)

ぼっち「あ、あの……他のお二人は」

智子「ああ、さっき傘を買いにね」

ぼっち「え、雨の中をですか?」

智子「まあ、ちょっと小降りになってきたし」


小鷹「あ、目ー覚めた? 元気そうだな」ジャリ

八幡「顔色は悪くなかったし、救急車呼ばなくて正解だったな」ジャリ



15: 以下、名無しが深夜にお送りします 2020/01/02(木) 00:51:42 ID:860mf/2Q

ぼっち「は、はい。私は元気です!」

智子「あ、すいません……わざわざ……結構濡れたっしょ」

小鷹「あ、いやいいって、これくらい。誰か付き添ってたほうがよかったし」

八幡「だな。万一ってこともあるしな」

小鷹「あ。はいこれ、傘」

ぼっち「へ?」

小鷹「小降りになったけどやみそうじゃないし」

ぼっち「え、でも私……お金持ってない……」

小鷹「いいよ、これくらい」

ぼっち「でも」



16: 以下、名無しが深夜にお送りします 2020/01/02(木) 00:52:32 ID:860mf/2Q

八幡「あ、傘どうぞ」

智子「え、あ、どうも」

智子(あれ、中坊のほうはともかく、私はこれ払ったほうがいいよな? 財布持ってるしな……おごられる筋合いないし)

智子「えっと、お金いくらで……」

八幡「あーいや、別に高いもんじゃないんで」

智子「あ、そうですか……」

八幡「あ、まあ……」

八幡(向こうが無償で渡してるんならこっちも無償の方がバランス取れるだろ。今後会うこともないんだから変な貸しにもならないしな)

智子(こういう場合おごってもらうか払うかどっちが正解なんだよ。別に男にいつも奢ってもらいたい軽薄な女じゃないからな私は)



17: 以下、名無しが深夜にお送りします 2020/01/02(木) 00:53:49 ID:860mf/2Q

ぼっち「ありがとうございます……このご恩は一生忘れません」ペコ

小鷹「いやいや、オーバーな」

八幡「あ、じゃ。俺、そういや妹に夕飯の買い物頼まれてて」

小鷹「あ。俺も妹が家で待ってると思うから」

智子「あ、あー。私も弟の面倒見なきゃ(大嘘)」

ぼっち「お兄さんがた、お姉さん……本当にお世話になりました。失礼します」

小鷹「それじゃ」

八幡「おう」

智子「また」

ザッ



18: 以下、名無しが深夜にお送りします 2020/01/02(木) 00:54:25 ID:860mf/2Q




ぼっち「ふん、ふん、ふん♪」





小鷹(『まあ、仲良くて楽しいんならいいんじゃねぇの。……いい関係が長く続くかどうかは別としてな』)

小鷹(……ほんと、それだよな。結局、長くは続かないんだよな。俺は。まあ、これも青春だ)



19: 以下、名無しが深夜にお送りします 2020/01/02(木) 00:55:17 ID:860mf/2Q




智子(『また』と言ってもまた会うことはないだろうから『会おう』とはいえなかったな)

智子(世の中いろんな人間がいるけど、それぞれ事情があってぼっちなんだろう。深入りしたら碌なことがない)


智貴「こんなとこにいたのかよ」

智子「弟!?」

智貴「校内で部活やってたら、お前が携帯忘れてるから返してあげてくれって頼まれてな。まったく。……傘は持ってたんだな」

智子「弟……今日はお姉ちゃんがいっぱい面倒見てやるよ」

智貴「は?」



20: 以下、名無しが深夜にお送りします 2020/01/02(木) 00:56:48 ID:860mf/2Q





八幡(ぼっち同士は引かれ合う――とはいえそれは、ぼっち同士が仲良くなれることを意味しない。それぞれ、ぼっちたる所以、背景があまりに違い過ぎるからだ)

八幡(ぼっち諸君よ、因果の交叉路でまた遇おう――まあ、たぶんその時は会話も交わさずに文字通りすれ違うだけだろうけどな)



(終)


元スレ
SS深夜VIP:ぼっち・小鷹・智子・八幡(雨がやまない……)