前作
【モバマス】ほたると菜々のふたりぐらし
【モバマス】ほたると菜々のふたりぐらし後編
白菊ほたるのコミュ2に日野茜が乱入してきた話
【モバマス】ほたるのひかりが眩しくて
【モバマス】安部菜々「ほたるちゃんの」日野茜「初仕事です!!」
【モバマス】悪魔とほたる
【モバマス】白菊ほたる「私は、黒猫が苦手です」
【モバマス】ありがちな終末
【モバマス】安部菜々と24人の千川ちひろ
白菊ほたる「黄昏に迷い道」
【モバマス】面接官「ところで白菊さん。貴女、凄くエロいですね」白菊ほたる「え」
岡崎泰葉「ヴォカリーズ」
【モバマス】あの子の知らない物語
【モバマス】ほたると菜々のふたりぐらし
【モバマス】ほたると菜々のふたりぐらし後編
白菊ほたるのコミュ2に日野茜が乱入してきた話
【モバマス】ほたるのひかりが眩しくて
【モバマス】安部菜々「ほたるちゃんの」日野茜「初仕事です!!」
【モバマス】悪魔とほたる
【モバマス】白菊ほたる「私は、黒猫が苦手です」
【モバマス】ありがちな終末
【モバマス】安部菜々と24人の千川ちひろ
白菊ほたる「黄昏に迷い道」
【モバマス】面接官「ところで白菊さん。貴女、凄くエロいですね」白菊ほたる「え」
岡崎泰葉「ヴォカリーズ」
【モバマス】あの子の知らない物語
白菊ほたると不思議体験その2
【モバマス】響子「混ぜる」ほたる「混ざる」
1: ◆cgcCmk1QIM 20/01/03(金)20:26:15 ID:0kI
・事務所が潰れて路頭に迷ったほたると地下アイドル時代の菜々さんが同居しています
・白菊ほたる、安部菜々のコミュ1以前の話として書いています
2: ◆cgcCmk1QIM 20/01/03(金)20:26:44 ID:0kI
【ふりそで】
菜々「知り合いの写真スタジオが、チラシに晴れ着の女の子を載せたいって言ってるんですが、ほたるちゃんやってみませんか」
ほたる「えっ、いいんですか」
菜々「ほたるちゃんは中学生だから正式なお仕事にはできないけど、お小遣いぐらいは出ますよ」
ほたる「嬉しいけど、菜々さんの方が撮られ慣れてるだろうし、先方も喜ばれるのでは……」
菜々「あはは、そうしたいんですが」
ほたる「?」
菜々「ほら、ナナって背が低いじゃないですか。着物ってスリムで首が長くないと似合わないから」
ほたる「菜々さん……」
菜々「あと、胸やお尻が大きいと衿が決まらないしすぐ着崩れしちゃうし」
ほたる「なんでしょう、ふつふつと負けん気が沸いてきました」
【おしうりそのいち】
ほたる「菜々さん、おとなりから回覧板です」
菜々「ありがとうございます……あら、このごろ御近所に、押し売り紛いの強引なセールスマンが来てるらしいですよ」
ほたる「怖いですね」
菜々「年末を狙ってるんですかねえ……まあ、ナナには必殺技がありますから」
ほたる「必殺技?」
○ある日
セールスマン(以後押し売り)「突然お邪魔いたします。今日は大変貴重な味噌をご紹介に」
菜々「今、お父さんもお母さんもいないので! ナナ子供だからそういうのには答えられません!!」
押し売り「子供」
菜々「ナナはまだ、17歳なんですもの!!」
◇◇◆
菜々「無事に撃退しました!」
ほたる「鬼気迫る感じでした」
菜々「これが通らないようじゃ、ナナ17歳の看板をおろさなくてはなりませんからね……」
ほたる「セールスマンってそんな悲壮な覚悟で対応するものでしたっけ」
菜々「必殺技の発動にはリスクがあるものなんですよ。キャハッ☆」
【ふこうのあじ】
ほたる「商店街の福引きですごく高いお米を当ててしまいました……!!」
菜々「わあっ、ほたるちゃんラッキーでしたね!」
ほたる「おかしいです、私が福引きでこんないい結果を出すなんて。どこかに、どこかに不幸の種が隠れているのでは(ガクブル)」
菜々「考えすぎだと思いますが……あっ、でも不幸といえば不幸かも」
ほたる「えっ」
菜々「お母さんがよく言ってました。米とか味噌とかお茶とか、基本的なもので贅沢を覚えると後が大変ですよ、って……」
ほたる「ひいい」
○そのよる
ほたる「うわあほんとにおいひい(もきゅもきゅ)」
菜々「もう、標準米で満足していたあの頃には戻れないんですね……不幸です(ホロリ)」
ほたる「不幸だけどおいひい……菜々さんおかわりお願いします」
菜々「このさいです。鮭フレークもとっときの明太子も出して、ふたりでたっぷり不幸になりましょうね」
ほたる「鮭フレークにマヨ混ぜましょう」
菜々「それは体重的にも不幸! 是非やりましょう」
【さとがえり】
ほたる「……うん。うん、ごめんね。そういう事だから……うん。お母さんも体に気を付けてね(通話終了)」
菜々「ご実家にお電話だったんですか?」
ほたる「はい。お正月は帰れないって」
菜々「お正月ぐらい里帰りしてご家族と過ごしても良いと思いますけどね」
ほたる「私も、そうしたい気持ちはあるんですが」
菜々「……帰ると、気持ちがくじけるかもしれないから?」
ほたる「いえ、それもあるんですが、その」
菜々「?」
ほたる「年末年始や行楽シーズンに私が移動して、万が一いつもの調子で交通機関のトラブルとか発生させてしまったらと思うと、帰省や旅行を楽しみにしてる皆さんに申し訳なくて……!!」
菜々「どうしよう、否定しづらいです……!!」
【おしうりそのに】
押し売り「度々邪魔して申し訳ございません、今日はお父さんお母さんは」
ほたる「あ、あの(どうしよう、今日はナナさんも居ないのに)」
押し売り(この間の女子高生? と違って気弱そうだな。ここは強引に行くか)
ほたる「あの、今日は私しかいないので、その」
押し売り「そう言わずにね。お父さんたちが戻るまでの間、お話を聞いてくださいよ。この味噌はね……」
ほたる「こ、困ります。強引に玄関に」
押し売り「まあまあ。私も必死なんですよ。今年の夏まで勤めていた会社が倒産して、この味噌が売れなかったら家族の生活が」
ほたる「えっ、倒産?(ガタッ)」
押し売り「ええ、はい、倒産。なんでそんな前のめりなの」
ほたる「気持ち、解ります……」
押し売り「えっ解っちゃうの?」
ほたる「はい、実は……」
○そのよる
菜々「あらほたるちゃん、どうしたんですかこの味噌」
ほたる「はい、お昼に来たセールスマンさんとお話してたら、急に泣き出して『これあげるから頑張るんだよ』って」
菜々「すごい量。しばらく味噌には困りませんね」
ほたる「あの人も会社が倒産して大変だったはずなのに。いいんでしょうか」
菜々「……いいんですよ、きっとね」
【おねんが】
ほたる「うわああ、菜々さんあての年賀状がこんなに」
菜々「あはは、色々あって付き合いは広いですからね」
ほたる「凄いなあ、羨ましいなあ」
菜々「ほたるちゃん……」
ほたる「あ、いえ、違いますからね。私も鳥取にいたころは、ちゃんとお友達から年賀状を貰っていました」
菜々「よかった、一安心です」
ほたる「ただ、私宛の年賀状も友達宛の年賀状もたいてい行方不明になっちゃうから、お互い新学期に学校で手渡しすることにしてたんですが」
菜々「なにそれほほえましい」
【みち】
ほたる「うわあ、寒い……!」
菜々「まだ夜明け前ですからね」
ほたる「夏ぐらいは、この時間にはもう太陽がすっかり昇っていたのに」
菜々「ほたるちゃんはお正月の間ぐらい、朝のランニング休んでゆっくり寝ててもよかったのに」
ほたる「いえ、毎日続けなくちゃ意味のないことですから」
菜々「ナナ、ほたるちゃんのそういう真面目な所、大好きです」
ほたる(夜明けはまだ。お正月の街はしんと静かで、なんだかいつもより、冷たい感じがしました)
ほたる(自動車もほんのときどきしか通らなくて、いつものランニングコースに響くのは、私と菜々さんの足音、そして息づかいだけ)
ほたる「……なんだか少し、寂しいですね」
菜々「わざわざ人と違ったことをしてるんです。寂しいのは仕方ないですよ」
ほたる(たぶん、それはお正月だから。皆寝ているのだから。そんな意味の言葉でした)
ほたる(だけど私には、さらりと出てきたはずの言葉がなんだか違って聞こえるように思えてなりませんでした)
菜々「――あっ、ほたるちゃん、見てください」
ほたる(言葉の意味を聞く前に、菜々さんが明るく声を張りました)
ほたる(ビルの谷間から、朝日がさしました。真っ暗だった道がまぶしく照らされます)
菜々「ふふ、この光景、ナナたち二人だけのものですね」
ほたる(菜々さんが、光の中に駆けていきます)
ほたる(私は、それを追いかけます)
ほたる(私たちふたりは眩しい光に向かって、どこまでもどこまでも走っていきました……)
おしまい。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
元スレ
【ふりそで】
菜々「知り合いの写真スタジオが、チラシに晴れ着の女の子を載せたいって言ってるんですが、ほたるちゃんやってみませんか」
ほたる「えっ、いいんですか」
菜々「ほたるちゃんは中学生だから正式なお仕事にはできないけど、お小遣いぐらいは出ますよ」
ほたる「嬉しいけど、菜々さんの方が撮られ慣れてるだろうし、先方も喜ばれるのでは……」
菜々「あはは、そうしたいんですが」
ほたる「?」
菜々「ほら、ナナって背が低いじゃないですか。着物ってスリムで首が長くないと似合わないから」
ほたる「菜々さん……」
菜々「あと、胸やお尻が大きいと衿が決まらないしすぐ着崩れしちゃうし」
ほたる「なんでしょう、ふつふつと負けん気が沸いてきました」
3: ◆cgcCmk1QIM 20/01/03(金)20:27:15 ID:0kI
【おしうりそのいち】
ほたる「菜々さん、おとなりから回覧板です」
菜々「ありがとうございます……あら、このごろ御近所に、押し売り紛いの強引なセールスマンが来てるらしいですよ」
ほたる「怖いですね」
菜々「年末を狙ってるんですかねえ……まあ、ナナには必殺技がありますから」
ほたる「必殺技?」
○ある日
セールスマン(以後押し売り)「突然お邪魔いたします。今日は大変貴重な味噌をご紹介に」
菜々「今、お父さんもお母さんもいないので! ナナ子供だからそういうのには答えられません!!」
押し売り「子供」
菜々「ナナはまだ、17歳なんですもの!!」
◇◇◆
菜々「無事に撃退しました!」
ほたる「鬼気迫る感じでした」
菜々「これが通らないようじゃ、ナナ17歳の看板をおろさなくてはなりませんからね……」
ほたる「セールスマンってそんな悲壮な覚悟で対応するものでしたっけ」
菜々「必殺技の発動にはリスクがあるものなんですよ。キャハッ☆」
4: ◆cgcCmk1QIM 20/01/03(金)20:27:34 ID:0kI
【ふこうのあじ】
ほたる「商店街の福引きですごく高いお米を当ててしまいました……!!」
菜々「わあっ、ほたるちゃんラッキーでしたね!」
ほたる「おかしいです、私が福引きでこんないい結果を出すなんて。どこかに、どこかに不幸の種が隠れているのでは(ガクブル)」
菜々「考えすぎだと思いますが……あっ、でも不幸といえば不幸かも」
ほたる「えっ」
菜々「お母さんがよく言ってました。米とか味噌とかお茶とか、基本的なもので贅沢を覚えると後が大変ですよ、って……」
ほたる「ひいい」
○そのよる
ほたる「うわあほんとにおいひい(もきゅもきゅ)」
菜々「もう、標準米で満足していたあの頃には戻れないんですね……不幸です(ホロリ)」
ほたる「不幸だけどおいひい……菜々さんおかわりお願いします」
菜々「このさいです。鮭フレークもとっときの明太子も出して、ふたりでたっぷり不幸になりましょうね」
ほたる「鮭フレークにマヨ混ぜましょう」
菜々「それは体重的にも不幸! 是非やりましょう」
5: ◆cgcCmk1QIM 20/01/03(金)20:27:49 ID:0kI
【さとがえり】
ほたる「……うん。うん、ごめんね。そういう事だから……うん。お母さんも体に気を付けてね(通話終了)」
菜々「ご実家にお電話だったんですか?」
ほたる「はい。お正月は帰れないって」
菜々「お正月ぐらい里帰りしてご家族と過ごしても良いと思いますけどね」
ほたる「私も、そうしたい気持ちはあるんですが」
菜々「……帰ると、気持ちがくじけるかもしれないから?」
ほたる「いえ、それもあるんですが、その」
菜々「?」
ほたる「年末年始や行楽シーズンに私が移動して、万が一いつもの調子で交通機関のトラブルとか発生させてしまったらと思うと、帰省や旅行を楽しみにしてる皆さんに申し訳なくて……!!」
菜々「どうしよう、否定しづらいです……!!」
6: ◆cgcCmk1QIM 20/01/03(金)20:28:03 ID:0kI
【おしうりそのに】
押し売り「度々邪魔して申し訳ございません、今日はお父さんお母さんは」
ほたる「あ、あの(どうしよう、今日はナナさんも居ないのに)」
押し売り(この間の女子高生? と違って気弱そうだな。ここは強引に行くか)
ほたる「あの、今日は私しかいないので、その」
押し売り「そう言わずにね。お父さんたちが戻るまでの間、お話を聞いてくださいよ。この味噌はね……」
ほたる「こ、困ります。強引に玄関に」
押し売り「まあまあ。私も必死なんですよ。今年の夏まで勤めていた会社が倒産して、この味噌が売れなかったら家族の生活が」
ほたる「えっ、倒産?(ガタッ)」
押し売り「ええ、はい、倒産。なんでそんな前のめりなの」
ほたる「気持ち、解ります……」
押し売り「えっ解っちゃうの?」
ほたる「はい、実は……」
7: ◆cgcCmk1QIM 20/01/03(金)20:28:18 ID:0kI
○そのよる
菜々「あらほたるちゃん、どうしたんですかこの味噌」
ほたる「はい、お昼に来たセールスマンさんとお話してたら、急に泣き出して『これあげるから頑張るんだよ』って」
菜々「すごい量。しばらく味噌には困りませんね」
ほたる「あの人も会社が倒産して大変だったはずなのに。いいんでしょうか」
菜々「……いいんですよ、きっとね」
8: ◆cgcCmk1QIM 20/01/03(金)20:28:34 ID:0kI
【おねんが】
ほたる「うわああ、菜々さんあての年賀状がこんなに」
菜々「あはは、色々あって付き合いは広いですからね」
ほたる「凄いなあ、羨ましいなあ」
菜々「ほたるちゃん……」
ほたる「あ、いえ、違いますからね。私も鳥取にいたころは、ちゃんとお友達から年賀状を貰っていました」
菜々「よかった、一安心です」
ほたる「ただ、私宛の年賀状も友達宛の年賀状もたいてい行方不明になっちゃうから、お互い新学期に学校で手渡しすることにしてたんですが」
菜々「なにそれほほえましい」
9: ◆cgcCmk1QIM 20/01/03(金)20:29:06 ID:0kI
【みち】
ほたる「うわあ、寒い……!」
菜々「まだ夜明け前ですからね」
ほたる「夏ぐらいは、この時間にはもう太陽がすっかり昇っていたのに」
菜々「ほたるちゃんはお正月の間ぐらい、朝のランニング休んでゆっくり寝ててもよかったのに」
ほたる「いえ、毎日続けなくちゃ意味のないことですから」
菜々「ナナ、ほたるちゃんのそういう真面目な所、大好きです」
ほたる(夜明けはまだ。お正月の街はしんと静かで、なんだかいつもより、冷たい感じがしました)
ほたる(自動車もほんのときどきしか通らなくて、いつものランニングコースに響くのは、私と菜々さんの足音、そして息づかいだけ)
ほたる「……なんだか少し、寂しいですね」
菜々「わざわざ人と違ったことをしてるんです。寂しいのは仕方ないですよ」
ほたる(たぶん、それはお正月だから。皆寝ているのだから。そんな意味の言葉でした)
ほたる(だけど私には、さらりと出てきたはずの言葉がなんだか違って聞こえるように思えてなりませんでした)
10: ◆cgcCmk1QIM 20/01/03(金)20:29:11 ID:0kI
菜々「――あっ、ほたるちゃん、見てください」
ほたる(言葉の意味を聞く前に、菜々さんが明るく声を張りました)
ほたる(ビルの谷間から、朝日がさしました。真っ暗だった道がまぶしく照らされます)
菜々「ふふ、この光景、ナナたち二人だけのものですね」
ほたる(菜々さんが、光の中に駆けていきます)
ほたる(私は、それを追いかけます)
ほたる(私たちふたりは眩しい光に向かって、どこまでもどこまでも走っていきました……)
11: ◆cgcCmk1QIM 20/01/03(金)20:29:36 ID:0kI
おしまい。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
ほたると菜々のふたりぐらし・あけくれ