1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/25(土) 00:04:05.09 ID:6reG0fQs0

閣下「全宇宙を統べるため、日夜ロボットを操り活動を続ける、我ら<<黒い月>>は」

閣下「銀河最後の砦、地球に対しての侵略活動を展開中なんだけど」

閣下「キサラギという予想外の抵抗力により、進捗状況は順調とはいえない状態でいる」

マコト「……」

タカネ「……」

ヤヨイ「……うぅ」

イオリ「……ちっ」

閣下「……そこで考えたんだけど、私たちの日常風景を撮影して、地球に公開する、というのはどう?」

マコト「……はい?」

タカネ「……何と」

ヤヨイ「……? ……?」

イオリ「はぁ!?」



2: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/25(土) 00:06:58.71 ID:DJTZczxL0

ヤヨイ「うっうー! まるで意味が分かりませんー!」バッサバサ

閣下「いや、聞くところによると、地球人には私たちのファンもひそかにいるらしくって……」

閣下「そういうの利用してイメージアップできれば、支配もしやすくなるかなって」

マコト「……閣下、あなたは疲れているようです」

タカネ「はぁ……久方ぶりの幹部召集……何事かと思えば」

イオリ「ただのジョークを言うためにとか……とうとうパンクしちゃったのかしら?」ヤレヤレ

閣下「ちょっと! ジョークなんかじゃないし、仮にも私、総統なんだよ!? トップなんだよ!?」

ヤヨイ「もうちょっと分かりやすく説明してほしいかなーって」

イオリ「ヤヨイ、聞くことなんて何もないわ」

マコト「閣下は近頃、地球の文化・文明に侵されすぎな気もします。それも相当アングラな」

閣下「そんなんじゃないから! ていうかまず話聞いてよ!」



3: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/25(土) 00:09:15.21 ID:DJTZczxL0

閣下「いい? 今回のイメージアップ作戦は、あくまで私たちの活動に大いにプラスになることなんだよ!」

閣下「キサラギの操縦士の双子が使う『希煌石(キラジェム)』のパワー源は『心の力』と推測されている」

閣下「それはあの地球上の人間たちの心の力が、キサラギのパワーに強く影響するということを意味するんだよ」

タカネ「……確かに戦闘風景が映像として放送された時、キサラギの強さは計り知れないことになっていましたね」

イオリ「あいつらが『アイドルヒーロー』なんて呼ばれるのも、それが所以ね」

閣下「じゃあ、私たちに対する敵意を削いじゃえば、キサラギ攻略は非常に容易になるんじゃないのって話!」

ヤヨイ「いまいちピンときません~……」

マコト「地球人全体の戦闘意志を奪えば、アミマミの力量に関わらずキサラギの力は落ちる可能性が高い、と」

閣下「その通り! そのために地球人に『あ、こいつらそんなに悪い奴らじゃなくね~』って思わせるんだよ!」

マコト「……閣下、やはり地球のアニメは一日3本までに……」

閣下「え、ちょ! それは無理!



5: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/25(土) 00:11:27.06 ID:DJTZczxL0

イオリ「……はぁ」

ヤヨイ「イオリちゃん、分かった?」

イオリ「目的はね……でも、方法に納得がいかないわ」

ヤヨイ「にちじょうふうけいって、いつも通りってことだよね?」

イオリ「そうよ。でも、それがイメージアップなんかにつながるとは、やっぱり……」

閣下「イオリ、やっぱりイオリは研究が足りてないよ」ズイ

イオリ「……どういう意味よ?」

タカネ「私にも説明を」

閣下「タ、タカネまで……うん、わかった」



6: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/25(土) 00:13:58.27 ID:DJTZczxL0

閣下「……いい? これはもしかしたら、知りたくなかったことかもしれない」

閣下「けれど、やっぱりこれは向き合わなくちゃいけない現実……」

イオリ「もったいぶってないで早く言いなさい」

閣下「……後悔しない?」

イオリ「ハルシュタイン、私を舐めないで」

閣下「……分かった。じゃあ心して聞きなさい。地球人はね……」

イオリ「……ゴクリ」

閣下「地球人は……っ」

閣下「……たいてい変態、なんだよっ……」

イオリ「……はい?」

タカネ「―――っ!」ブワッ

マコト「タカネ、気持ちは分かるけど、どうかこらえて」



8: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/25(土) 00:16:11.24 ID:DJTZczxL0

閣下「もっと直接的に言うと、地球人は全体的に、私たちのことを性的な目で」

イオリ「ストーーーップ!! え、じゃあ何!? だから!?」

閣下「だから、私たちの日常風景を撮影して」

イオリ「おかしい! ノンステップでそこに行けるのがおかしい!!」

マコト「閣下、やはり地球の娯楽禁止令の方は実施という方向で」

閣下「無理! それは絶対認められないよ!」

閣下「ていうかおかしいでしょ! 敵のことを知るという大事な作業なんだよ!?」

マコト「尾を引きそうなので」

閣下「」

イオリ「納得できないわ……」

閣下「イオリ、悪いけどこれ、決定なのよね」

タカネ「まだ見ぬあなた様……」ポロポロ

イオリ「……超最悪……」ズーン



9: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/25(土) 00:18:25.67 ID:DJTZczxL0

―――翌日

閣下「というわけで撮影開始よ。ごきげんよう、ちっぽけな地球人たち」

閣下「私がハルシュタイン。宇宙征服を目標に活動する組織の総統ですよ、総統!」

閣下「今日は、のちにあなたたちの完全支配者になる私たち<<黒い月>>の日常風景を紹介します!」

閣下「私が創った圧倒的な支配構造! 口先だけの自由に踊らされる愚民どもに、新たな世界を見せてやるわっほい!」

閣下「きっとこの圧倒的なシステムにたちまち、反抗する気力は奪われることになるよね」

閣下「最後まで視聴することは義務だよ。まぁ、心して見なさい!」


閣下「というわけでやってきました! ここは私の側近、マコトの部屋の前です」

閣下「マコトはその凛々しい外見と物静かな雰囲気とは裏腹に」

閣下「非常に強い情熱と愛嬌を兼ね備えた、とても優秀なエージェント。組織内のファンクラブも盛んだね」

閣下「まぁ前置きはほどほどにして、早速入るよ」

閣下「マコト! マコト~!」ウィン



10: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/25(土) 00:20:17.35 ID:DJTZczxL0

閣下「あれ、寝てる。マコト、起きなさい。撮影はもう始まってるよ」ペチペチ

マコト「う…うぅ~ん……」

閣下「……珍しいね、マコトが寝坊するなんて」

閣下「ほらマコト! これ、一応地球人に見せるんだからね」

マコト「えぇ~?…うぅ~ん…地球じ…………あぁっ!!」ガバァ

閣下「やっと起きた~! あ、ピンクのフリフリパジャマだ!」

マコト「か、閣下!? 何で部屋の中に…うわあああ!!」ジタバタ

閣下「落ち着いてマコト、今なお撮影機器【アイ・ウォント-映像-】はあなたを見てるのだから」

マコト「その浮いてる円盤、カメラだったんですか!? ちょ、ちょっと、一旦撮影止めてください!」

閣下「それはできませ~ん!」ケラケラ

マコト「うあぁ~もう、ボクのキャラがー!!」タッタッタ

閣下(これは…ファンクラブにもまわしておくべきだよね!)



11: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/25(土) 00:22:55.75 ID:DJTZczxL0

閣下「ちょっとは落ち着いたかな、マコト?」

マコト「えぇ、おかげさまで」キリッ

閣下「ふふ、よろしい。けど、さっきの状態でも私個人としてはアリだと思ってるよ?」

マコト「……一刻も早く忘れてください」

閣下「アニメ制限を解いてくれたら検討しようかな~」

マコト「…一日7本」

閣下「25本!」

マコト「…13本」

閣下「…13…1クールか…………まぁ、了解かな」

マコト「感謝します」

閣下「じゃあ、忘れるように努力するからね!」

マコト「いやもう、無意識でいてください!」



13: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/25(土) 00:28:21.56 ID:DJTZczxL0

閣下「マコトの一日もまた、朝食から始まる。メニューは何かなー?」

マコト「最近は地球環境での行動も考慮して、食生活から変えています」

マコト「今日のこれは『牛丼』という料理なのだそうです。」

マコト「アミ・マミのいる島国の、ポピュラーで安価な料理らしいですよ」

閣下「ふぅん……朝から、というのは少し重そうだけど大丈夫?」

マコト「これぐらいじゃないとエネルギーは補えませんよ」

閣下「……ま、パフォーマンスに影響が出なければ何だっていいんだけどね」ジィー

マコト「……あの、閣下」

閣下「ん?どうしたの?」

マコト「……一口だけ、食べてみます?」

閣下「え、いいの!?」パァー

マコト「あはは、そんなに見つめられたらさすがに分かりますよ」

閣下「のヮの;」



14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/25(土) 00:30:19.81 ID:DJTZczxL0

マコト「朝食の後はフィジカルトレーニングです」

閣下「そういえば、通しでマコトのトレーニングを見るのってずいぶん久しぶりじゃない?」

マコト「そうでしたね、最後に披露したのは、まだボクの髪が短いころでしたから」

閣下「……ちょっと久しぶりに競い合ってみる?」

マコト「え、閣下!? さすがにボクのメニューは無茶ですよ!」

閣下「大丈夫! 一操縦士として、これでも鍛錬は欠かしていないし」

マコト「……あくまでボクはいつも通りで行かせてもらいますよ」

閣下「へぇ、自信満々だね! 今に見てなさい、その顔を汗で醜く光らせて、直立さえ不可能なほどに疲弊させて跪かせて、その頭を足で踏んづけて……」

―――1時間後

閣下「」チーン

マコト「ふぅ…ふぅ…だから、言ったじゃ、ないですか」

閣下「はぁっはぁ……くそ~…やっぱり体力落ちてるか~……」ムクリ

マコト(……意識があるだけ充分ですよ)



16: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/25(土) 00:32:19.34 ID:DJTZczxL0

マコト「シャワー上がりました。サッパリしました」

閣下「こっちもバッチリ撮りました」

マコト「……閣下?」

閣下「冗談だよ。だからそのメタモった顔はやめて」

マコト「……お戯れも程々に。ところで閣下は、汗を流さないのですか?」

閣下「必要ないよ~! この服は万能だから」

マコト「まぁ、よいのであれば無理強いはしませんが」

閣下「それに私の汗は、生物であれば特上の芳香として認識されるらしいし~」

マコト「? そんなの初耳ですけど」

閣下「え? イオリがそう言ってくれたんだけど……」

マコト「……ふふっ」

閣下「え、ちょっと、何今の笑い?」

マコト「いえ、イオリがそう言うなら、それで間違いありませんよ。閣下の汗は芳香を発しています」ニヤニヤ

閣下「うーん……ちょっと引っかかるけど、まぁいいや」



17: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/25(土) 00:35:40.82 ID:DJTZczxL0

マコト「FTの次はコーチングです」

閣下「下々の教育だよね。私もちょくちょく見回ってるけど、最近何か変わったことは?」

マコト「最近は……やはり地球文明のことを学習したことで、今までにない」

マコト「例えば閣下と同様、アニメやゲームが流行ったりしています」

閣下「わお、それはいい傾向だよ!」

マコト「どこがですか……最近は会話についていくことさえ苦労してるんですから」

マコト「出会いがしらに『闇に飲まれよ!』と言われる気持ちが分かりますか? どう聞いても挑発でしょう、上司に向かって!」

閣下「あぁ、それはただのあいさつだから」

マコト「それはすでに知識として頭に入れました! 問題なのはそのような……」ガミガミ

閣下「え、ちょっと待って」

マコト「待ちません! この際ですから、いつも以上に詳細な近況を報告させてもらいます!」

閣下「そ、そんなー!」



18: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/25(土) 00:38:28.60 ID:DJTZczxL0

―――30分後

閣下「……」ズーン

マコト「要するに、我らが支配者として君臨するには……おや、どうされました? 閣下」

閣下「…………フン!」プイッ

マコト「……閣下?」

閣下「…………マコト…………嫌い」ツーン

マコト「!?」ガーン

閣下「私だって私なりに苦労してるのにさ、問題ばっかり口うるさく言ってきて……」イジイジ

マコト「あ、あの……閣下? お気を確かに……」

閣下「いいよ、下々の事はマコトの方がよ~っぽど把握してるんだし?」

閣下「そりゃあ報告義務だってあるしさ、こうなるのも……仕方ないのは、分かってるけどさ」

閣下「やっぱりさ? ……ちょっとは私もさ? ……文句以外も……聞きたいっていうかさ……?」ジワッ

マコト「……閣下……」

閣下「……グスッ……マコトはやっぱり……ちょっと私のこと……」

マコト「……」



20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/25(土) 00:41:00.84 ID:DJTZczxL0

マコト「……閣下、大丈夫ですよ」ギュッ

閣下「……」

マコト「ボクは確かに、小言を言うことが殆どです」

マコト「ですがそれは、すべてボクが閣下を信頼しているからに他ならないのですよ」

閣下「……」

マコト「……冷たいと感じたなら謝ります。辛いと感じたなら助けます」

マコト「だけどボクがあなたのことを嫌っているのではと感じたなら、それは間違いなので、閣下はボクに謝ってください」

閣下「マコト……」ウルッ

マコト「安心してください。ボクはいつだって、あなたの味方ですから」ギュウ…

閣下「うぅ……マコトォ…ぐすっ…ごめんね……」ポロ…ポロ…

マコト「よしよし……」ナデナデ


マコト「ところで、まだアイ・ウォント回ってますけど、いいんですか?」

閣下「え?」



22: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/25(土) 00:43:59.53 ID:DJTZczxL0

閣下「さて、気を取り直してどんどんいきまっしょい!」

マコト「えぇ、そうしましょう」

マコト(あのあと閣下は速攻でカメラをオフにして、今度は恥ずかしさで泣きついてきた)

マコト(およそ10分程度、閣下はボクの胸で泣いていたけれど、それが映像としては残らない)

マコト(結局、閣下の泣いたシーンはものの10数秒しか撮影できなかった)

マコト「……」

マコト(これはなおさら、情報管理課には無編集でお届けするように根回ししておかなきゃ!)ニヤリ

閣下「? 何をニヤニヤしてるの?」

マコト「いえ何でも。ところでボク、そろそろコーチングに向かわないといけないのですが」

閣下「あ、あぁ!そういえばそんな話だったよね!」

閣下「それじゃ、さっさと行こうよ!」

マコト「……ふふ……はい、行きましょうか」



23: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/25(土) 00:46:56.00 ID:DJTZczxL0

マコト「ボクが教えるのは、主に格闘術ですね。ロボット操縦に直結もします」

マコト「地球には武道というジャンルの中から、さらに流派という枝分かれがありますけど……」

マコト「ボクが扱うのは、その中でも『空手』と呼ばれるものに近いです」

閣下「アミ・マミのいる島国のどこかで生まれたやつだよね。かわらわりとか知ってるよ」

マコト「えぇ、それは演武という方向で発達したものですけれど」

マコト「ボクたちがやってるのは、もっと戦闘の技術として……」ペラペラ


閣下(……なんか眠たくなってきた)ウトウト

マコト「……で……というものもあり……」

閣下(マコトはすっかりアイ・ウォントに向かって話始めてるし……いいかな?)

閣下(今日はちょっと気合い入れて早く起きすぎちゃったし……部屋の隅でいいや)ユラァリ

閣下「おやすみ……」コテン



24: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/25(土) 00:49:01.09 ID:DJTZczxL0

マコト「ふぅ……それじゃあ、今日の練習は終了!」

生徒たち「ありがとうございましたー!」

マコト「お疲れ様。さて、すっかり放置しちゃってた閣下は―――と」

閣下「スゥ…スゥ…」

マコト「あはは、すっかりおやすみだ。……アイ・ウォント、しっかり撮っちゃってよ?」

マコト「……これは、ファンクラブにもまわさなきゃね」

生徒「睡眠中の総統閣下……これは…いいものだ」

マコト「コラ、閣下にそのような卑しい感情を向けることは許さないよ」

生徒「も、申し訳ございません!」

マコト「……どうせなら、もっと清らかで、晴れやかなことを思いなよ」

生徒「清らかで、晴れやか……申し訳ございません、それはどのような……?」

マコト「……例えば尊敬。例えば忠誠。あとは……愛情、とか?」

生徒「愛情、ですか……」

マコト「もちろん、変な意味じゃなくてだよ?」



26: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/25(土) 00:51:59.95 ID:DJTZczxL0

生徒「……マコト様は、本当に閣下のことを大事に思っていらっしゃるのですね」

マコト「……そうだね。きっと、命だってかけられるよ。本人に言うと怒られちゃうけど」

生徒「もちろんです。総統閣下の方針は『仲間第一』と聞き及んでいます」

生徒「その総統閣下が、その中で最も信頼しているあなたの命をないがしろにするような言葉を」

生徒「たとえそれがマコト様本人の口からでたものであっても、許すはずがありません」

マコト「……そうだね」

生徒「少しでも犠牲を減らすために……このような、回りくどい作戦も実行中なのですよね」

マコト「……ふふ、本当に……手のかかるお方だよ」

生徒「その割には、随分嬉しそうですね?」

マコト「そりゃそうだよ……ていうかキミ、ちょっと調子に乗りすぎだよー」ブー

生徒「あはは、これは失礼しました。……それでは、自分はこれで。失礼します」

マコト「うん、お疲れ……」

マコト「……嬉しそう、か……」

マコト「……」



27: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/25(土) 00:54:25.65 ID:DJTZczxL0

―――

マコト「閣下、そろそろ起きてください」

閣下「むぅ~ん…ヴぁー…」

マコト「はい、寝ぼけてないで! 撮影中ということを忘れているのではないですか?」

閣下「……日常風景の撮影がコンセプトだし~……」

マコト「これではさすがに、逆に地球人の士気を上げることになりそうですよ? 弱そうだって」

閣下「……それは困る」ムクリ

マコト「それでよろしい。コーチングは終了しました。さぁ、帰りましょう」

閣下「すぅ、ヴぁ~~~~ぃ……ふぅ、ちょっと寝違えたかもしれない」

マコト「固い床でしたからね。しかたないですね」

閣下「うぅ~ん……やっぱり睡眠って必要! 無理な早起きは禁物ってことだよね?」トテトテ

マコト「そういうことですね」スタスタ



28: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/25(土) 00:56:17.50 ID:DJTZczxL0

閣下「そういえば、そろそろ夕食の時間だよね」

マコト「えぇ、そうです。そろそろ準備もできてるころでしょうし、早く特別食堂に……」

閣下「……マコトはどうするつもり?」

マコト「…ボクは、中級食堂ででも済まそうかと」

閣下「じゃあ私もそうする!」

マコト「なりません」

閣下「どうしてさ!」

マコト「総統閣下としての威厳や、その他には報告事項が溜まっているとの報告がありました、などの理由で」

閣下「うえ~……」

マコト「ご辛抱ください。ボクも食事が終わり次第応援に向かって……」

閣下「それじゃあ、一緒に特別食堂で食べようよ! どうせ合流するんだし、問題ないでしょ?」

マコト「……それは……」

閣下「……今日は、なんだか一人で食べたくない……」



29: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/25(土) 00:58:40.11 ID:DJTZczxL0

マコト「……はぁ……仕方ないですね。今日だけですよ?」

閣下「本当!? やったー!!」

マコト「……まったく、本当に手のかかる……」

閣下「ん?何か言った?」

マコト「いえ、何も。さぁ、早く行って、仕事をすませましょう」

閣下「そうだね~♪」スキップ~

マコト(そういえばこうして、一日中一緒にいることって、本当に久しぶりだな~……)

マコト(……たまには、こんな日もいいね)

閣下「マコト! 早く行くよ!」

マコト「……」

閣下「……マコト?」

マコト「……はい、ただ今!」タッタッタ



30: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/25(土) 01:00:44.46 ID:DJTZczxL0

―――総統閣下の寝室

マコト「……閣下……起きていますか」

閣下「スゥー…スゥー…」

マコト「……寝てしまいましたか」

マコト「……」

マコト「……今日は、ありがとうございました」ペコリ

マコト「まるで昔のように、階級差に縛られずに行動できた気がした一日でした」ナデナデ

マコト「昔のように食事をして、昔のように笑い合って」

マコト「……閣下が泣いたところなんて、本当に久しぶりで……とても懐かしかったです」

閣下「スゥー…スゥー…」

マコト「……」

マコト「会食終了と同時にアイ・ウォントを切ってくれて本当に良かった」

マコト「こんなトップシークレット……情報管理課にだって任せられやしないですから」



32: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/25(土) 01:03:11.47 ID:DJTZczxL0

閣下「ヴぁ……ヴぁ……」

マコト「……閣下? 起きているのですか?」

閣下「…スゥー…ぅぅん…」

マコト「……」

マコト「……はぁ……もうあなたは眠っているというのに、敬語というのも変…だよね」スク

マコト「……ハルシュタイン……ううん……」スタスタ…ピタリ

マコト(……突き進むしかない。迷いを捨てて。もう戻れないのは分かってる)

マコト「……ハルカ」クルッ

マコト(でも今日くらいは、また昔のように、こう呼びたい)

マコト「……へへ……おやすみ、ハルカ」…ウィン

閣下「……スゥー…スゥー…」

マコト(……さて、明日も頑張ろう!)スタスタ

                          ―――マコト編終わり―――



35: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/25(土) 01:06:31.61 ID:DJTZczxL0

―――翌日

閣下「ふあ~…ふぅ…。取るに足らない地球人の皆、ごきげんよう」

閣下「宇宙最強の集団<<黒い月>>の総統、ハルシュタインとは私のこと!」

閣下「昨日は私の右腕であるマコトとの一日を撮影したよね。いやぁ、楽しかった」

閣下「この調子で他の幹部たちも、一日一緒に行動していこうと思うんだよ」

閣下「おそらくこれが2ファイル目とかに別けられるはずだけど」

閣下「どうせ全部見るつもりでしょ? まぁ細かいことは考えずに、今日も頑張っていくわ!」


閣下「というわけでここは幹部、ヤヨイの部屋の前だよ!」

閣下「ヤヨイは幹部の中でも異質の存在でね、基礎能力は皆無に等しいんだけど」

閣下「それを補って余りある特徴でもって、私の側近にまで上り詰めた子なんです」

閣下「結論、かわいいということで、早速入ってみようかな!」

閣下「ヤヨイ! ヤヨイ~!」ウィン



36: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/25(土) 01:08:52.73 ID:DJTZczxL0

閣下「ヤヨイ! 起きてれぅ~?」

ヤヨイ「はい、起きてますよー!」

閣下「お、優秀! マコトは昨日、ものの見事にお寝坊さんだったからね」

ヤヨイ「でもマコトさん、一昨日は夜遅くまで働いてたの知ってます!」

閣下「当然私も知ってるよん! だから茶化すだけにしておいたんだよ」

ヤヨイ「うぅー? いじめはめっですよー?」

閣下「分かってるってば」

ヤヨイ「だったらいいです! それじゃあ、いつものアレ、いっときましょう!」

閣下「お、これも久しいね。はい、いいよ」

ヤヨイ「うっうー! 行きますよぉ~? はい、たーっち!」

閣下「タッチ!」パン

ヤヨ閣下「いぇい!」



38: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/25(土) 01:10:35.94 ID:DJTZczxL0

閣下「ところでヤヨイ、今日の朝食なんだけど」

ヤヨイ「朝食? どうしたんですか?」

閣下「うん、なんだか地球の食べ物でね、ビビっと来たものがあって……」

閣下「はい、コレあげる」つ『もやし』

ヤヨイ「……」

閣下「とっても安価な、庶民の友らしいよ!」

閣下「もちろんヤヨイがそうだって言うわけじゃないけど……これを見た瞬間、」

閣下「ほんとに、言葉では説明できない閃きのようなものがあったんだよ!」

ヤヨイ「……ありがとうございます」

閣下「あ、あれ? あんまりうれしくない?」

ヤヨイ「……はい、正直あんまり……」

閣下「そ、そうなんだ……あはは、それはごめんね」

ヤヨイ「い、いえ! ハルシュタインさんが謝る必要はありません!」

ヤヨイ「ただ……ちょっと昔を思い出しちゃっただけで……」



39: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/25(土) 01:12:43.59 ID:DJTZczxL0

閣下「そっかー……ヤヨイにもいろいろあるんだね」

ヤヨイ「あ、でもそれで、ハルシュタインさんが遠慮する必要はありませんから、」

ヤヨイ「いつも通りディアーンッと構えていてください!」

閣下「ディ……? ……うん、分かったよ。ありがとね、ヤヨイ」ナデナデ

ヤヨイ「えへへ……」

閣下「それじゃあ、朝食にしよっか! あ、別に無理してもやしは使わなくていいよ」

ヤヨイ「そうですか? それなら、下級食堂に行きましょー!」バッサバッサ

閣下「下級食堂? え、ヤヨイは幹部でしょう?」

ヤヨイ「はい! あの……別に、お金に困ってるわけじゃないんですけど、何となく落ち着くので!」ペカー

閣下「へ~、そうなんだ」

ヤヨイ「きっとハルシュタインさんも病みつきになりますよ! おいしくって安いです!」

閣下「おぉ、楽しみだね~」



40: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/25(土) 01:14:36.11 ID:DJTZczxL0

―――下級食堂

閣下「わぁ、何気にここで食事するのは初めてかも」

ヤヨイ「それはいけません! 最近は地球の食べ物もメニューに入ってきてて」

ヤヨイ「すっごくじゅうじつしてるんですから! 来なきゃ損ですよ!」

閣下「わ、分かったよヤヨイ……ちょっと怖いよ」

ヤヨイ「あっ…ごめんなさい」

閣下「ううん、いいよ。それで、おすすめとかはある?」

ヤヨイ「おすすめですか? それならやっぱり最近追加された地球産の……」

ヤヨイ「アレです! 塩パスタ!」バァーン

閣下「塩パスタ……それはどんなものなの?」

ヤヨイ「ももぎきはいちげんにごとかず、です!」

閣下「何それ? 呪詛?」

ヤヨイ「違います! 見たら分かるっていう意味の……こ…ことわざ? です!」

閣下(百聞は一見に如かず、のことかな。百=ももってところからぶっ飛んでるね)



41: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/25(土) 01:16:07.76 ID:DJTZczxL0

閣下「モグモグ……」

ヤヨイ「どうですか、ハルシュタインさん! おいしいでしょ!?」バッサバッサ

閣下「……ウン、オイシイヨ」

ヤヨイ「良かったですー! この素朴な味が病みつきになります!」ペカー

閣下(……正直言ってまずい。味しないし…けど、ヤヨイが笑顔になるならいいかな)

下っ端A「お、おい見ろよ! 総統閣下とヤヨイ様がこのようなところに!」

下っ端B「ヤヨイ様はともかくとして、総統閣下が……! 偵察の一環であろうか?」

閣下「ううん、密着取材みたいなものだよ。幹部だけの、ね!」

下っ端C「へぇ、今回はまたどういった風の吹き回しで?」

閣下「あれ、聞き及んでない? 地球人の戦意喪失のためのプロジェクトだよ」

下っ端D「そういえば掲示板に張ってありましたね。では今日はヤヨイ様の番ですか」

閣下「うん。あ、でも私はしっかりとあなた達も見てるからね。手を抜いたらダメだよ?」

下っ端E「これは光栄なことだ。では今日もいつも通り、しっかり仕事するとしましょう」

閣下「よろしい。しっかり頑張るんだよ!」



44: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/25(土) 01:18:36.33 ID:DJTZczxL0

ヤヨイ「朝ごはんが済んだら、次は子供たちのお世話をしに行きます!」

閣下「子供たちの世話、か……それは、何をするの?」

ヤヨイ「えっと、歌を歌ったり、一緒に踊ったり、遊んだりします」

閣下「何だかすっごくヤヨイらしいね! それはお仕事?」

ヤヨイ「そうですけど、でも私的には、なんだかそんな感じはしないです」

閣下「極端な話、遊んでるんだもんね」

ヤヨイ「はい! みんなの成長を見るのって、やっぱり楽しいですよ」

閣下「そっかぁ……そうだね、私も今日は頑張ってみよう」

ヤヨイ「あ、でも~、子供たちはまだハルシュタインさんのこと知らない子も多いので」

ヤヨイ「やっちゃダメなことしたら、すぐに私に言ってくださいね!」

閣下「うん、頼りにしてるよ」グッ

ヤヨイ「任せてください」ペカー



46: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/25(土) 01:20:37.29 ID:DJTZczxL0

子供A「パッと舞って!」

子供B「ガッとやって!」

子供C「ちゅっと吸って?」

ヤヨイ「ζ*'ヮ')ζ<はーん」

閣下「今の本当に噛んでたら権力使ってたかも」

ヤヨイ「えへへ、きちんとボーダーラインは教えてありますよ!」

閣下「はぁ……心臓に悪い」

子供D「おねーちゃんも遊んでくれるの?」

閣下「ん? 私? 私は~……」チラッ

ヤヨイ「はい、ほどほどなら大丈夫ですよ!」

閣下「うん、お許しが出たから遊ぼうか!」

子供E「わーい!」



47: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/25(土) 01:23:03.76 ID:DJTZczxL0

閣下「―――そうじゃないわ。もっとこう……自分が上だって意識しながら……」

閣下「『そ こ に 跪 い て !』」バーン

子供たち「ウッドワーッ!!!!!!」ズザァ

子供たち「カッコーイッァ!!」ズイーン

閣下「っていう感じで!」

ヤヨイ「ちょっとハルシュタインさん! 何教えちゃってるんですか!」バサバサ

閣下「え? ダメだったかな?」

ヤヨイ「ダメですよ! 子供たちがみんな王様になっちゃったらどうするんですか!」

閣下「え~? ないない!」

ヤヨイ「あるんですよ! ハルシュタインさん、自分の影響力をもうちょっと分かってください!」

子供F「そこにひざまずいてー!」

閣下「……あ~、そんなに、かな……あはは……ごめんなさい」

ヤヨイ「……もう、子供たちとのお遊びは終了の時間です。そろそろ出ることにしましょう!」



48: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/25(土) 01:28:03.67 ID:DJTZczxL0

ヤヨイ「はい、今日のやらなきゃいけないことは終了しました!」

閣下「あ、そうなんだ? それじゃあ、次はどうするの?」

ヤヨイ「えっと、次にやるのは、実はまだ決まってません!」

閣下「え、それじゃあ、いつもは何をしてるの?」

ヤヨイ「いつもはステーション内をブラブラしてみて、困ってる人がいたら手伝うってことをしてるんです!」

閣下「へぇ~……」

ヤヨイ「だけど、今日はハルシュタインさんも一緒だから、それは無しです」

閣下「あれ、どうして?」

ヤヨイ「あうー……実は私、手伝おうとしても、力不足でやっぱりできない~ってなることが多いんです」

ヤヨイ「力はないし、技術だってありません。知識も、ほとんどないし、頭もよくないです」

ヤヨイ「そんな私がなんでそれを続けてるかって言うと……」

ヤヨイ「私が行ったことで、みんなが笑顔になってくれるからなんです」

ヤヨイ「結局はみんな、何も知らない私が来たことで手間が増えたはずなのに、それでも楽しそうに笑ってくれるからなんです」

閣下「……」



49: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/25(土) 01:30:30.88 ID:DJTZczxL0

ヤヨイ「ていうことは、きっと私のお仕事って、みんなを笑顔にすることなんじゃないかなーって思うんです」

ヤヨイ「……多分なんですけど、私は今日、ハルシュタインさんから離れちゃいけないんです」

閣下「?」

ヤヨイ「それは、やっぱりお仕事しているみなさんの視察もしたいかもしれないですけど」

ヤヨイ「でも今日の私は、もうハルシュタインさんのお手伝いで手一杯ですから」

閣下「ヤヨイィ……」

ヤヨイ「だから今日は、ハルシュタインさんと一緒にいて、ハルシュタインさんを笑顔にしようと思います!」

閣下「ヤヨイひいいいい!!」ダキッ

ヤヨイ「はわっ!? 」

閣下「ヤヨイはかわいいなぁ!! ヤヨイはいい子だなぁ!!」スリスリ

ヤヨイ「ちょ、ちょっとくすぐったいです……」

閣下「もう十分スマイル分けてもらってるよー! 素晴らしいよー!」

ヤヨイ「えへへ、なんだかハルシュタインさん、さっきの子供たちより子供ですー!」ナデナデ

閣下「たまには……たまにはいいでしょ~……」

ヤヨイ「もちろんです! カメラの前ですけど、バッチリ甘えてくだ」



50: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/25(土) 01:33:32.06 ID:DJTZczxL0

閣下「さぁ、そろそろ夕食だね」

ヤヨイ「そうですねー!」

ヤヨイ(あのあとハルシュタインさんは、すぐにカメラの電源を切って、泣いちゃいました)

ヤヨイ(『まただー』って言ってましたけど、昨日も同じようなことやっちゃったのかな?)

ヤヨイ「……」

ヤヨイ(えへへ、でも一瞬でも撮れてたはずなので、それで良しとしますー!)ペカー

閣下「何ニヤニヤしてるの? ほら、早くヤヨイの部屋に!」

ヤヨイ「ふぇ? どうしてですか?」

閣下「ふふん、今日は私、ヤヨイと食べたいな~って」

ヤヨイ「えぇ!? 大丈夫なんですか?」

閣下「うん! 食品管理課には今日の私のは作らなくていいって言ってあるから」

ヤヨイ「そうなんですかー」



52: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/25(土) 01:35:50.72 ID:DJTZczxL0

ヤヨイ「……それじゃ、今日はアレを作ってみることにします!」

閣下「アレ?」

ヤヨイ「はい! ちょうど今朝、ハルシュタインさんが持ってきてくれたのもありますし……」

閣下「?」

ヤヨイ「とっても久しぶりに、もやし祭りを開催しようと思いますー!」

閣下「お、おぉ! なんだか凄そう!」

ヤヨイ「えへへ、とはいっても、大量のもやしを特製ソースで炒めて食べるだけなんですけど、とってもおいしいんですよー!」

ヤヨイ「! あ~……えっと……本当はもやしじゃない、また別の食材を使ってたんですけど」

ヤヨイ「びっくりするぐらい似てるので、もうもやしのままいっちゃえーってことにしました!」

閣下「はぁ~、楽しみだな~」

ヤヨイ「それじゃあ、レッツゴー!」バッサバッサ



53: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/25(土) 01:37:52.74 ID:DJTZczxL0

―――ヤヨイの部屋

閣下「お~い、ヤヨイ? もしかして寝ちゃった?」

ヤヨイ「ぅっぅー……ぅっぅー……」

閣下「あはは、おかしな寝息……あ、そうだ。アイ・ウォント、パワーオフ」

ウォント『ビウー………ン』

閣下「……」

閣下「……ヤヨイは、かわいいなぁ……」

閣下「みんなを笑顔にするのが役目、かぁ……真似できないよね」

閣下「まぁ、だからこそ基礎能力を度外視してまで、幹部にしたんだけどね」

閣下「ヤヨイはそのまま、そのまま頑張ってね」ナデナデ

閣下「……そろそろ、帰ろうかな」

閣下「おやすみ、ヤヨイ! もやし、おいしかったよ!」ウィン

ヤヨイ「スゥー…スゥー…」

                  ―――ヤヨイ編終わり―――



1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/25(土) 07:52:15.37 ID:9v6rElOF0

―――翌日

閣下「グーテンモルゲーン! よわっちい地球人のみなさん、いかがお過ごし?」

閣下「<<黒い月>>総統の、あのハルシュタインですよ!」

閣下「一昨日、昨日とマコト、ヤヨイの順で日常を撮影してきたけれど」

閣下「そろそろ分かってきたころかな? 支配された方がよっぽどいいと!」

閣下「残念ながらまだ、この企画は続いています。もう戦闘意志は風前の灯というものでしょうね!」

閣下「追い打ちをかけるように、今日も行くよ~!」


閣下「というわけで、ここは幹部の一人、イオリの部屋の前だよ」

閣下「その輝かしいおでこと、残虐非道な性格……昨日までとは打って変わって」

閣下「萎縮というアプローチでもって、あなた方の戦闘意志を削ろうというところかな」

閣下「とまぁ紹介はさておき、早速入ろう! イオリ、イオリ~!」

閣下「……イオリ! 開けて~? あれ~? イオリ~?」

閣下「……あれ?」



3: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/25(土) 08:02:02.23 ID:9v6rElOF0

イオリ「うるさい! 部屋の前でそんなに騒がないでよ!」ウィン

閣下「あーひっどい! 朝最初に会った時の挨拶がそれ?」

イオリ「あぁ、アンタめんどくさい!……けど、仕方ないわね」

イオリ「……すぅ、ごきげんよう、ハルシュタイン! 調子はいかが?」キラリン

閣下「さんを付けろよデコ助野郎ォ!」クワッ

イオリ「……」

閣下「……ハルシュタインです。ヨロシク!」

イオリ「……」

閣下「……」

イオリ「……」

閣下「……ごめんなさい」

イオリ「よろしい」



4: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/25(土) 08:06:26.26 ID:9v6rElOF0

イオリ「ていうかアンタ、いちいちテンション高すぎるのよ」

閣下「しょうがないでしょ、イオリと一緒の一日なんて初めてなんだから」

イオリ「?……まったく、悪の天才科学者が聞いてあきれるわ」

閣下「まぁそう言わずにさ」

イオリ「分かってるわよ。これも作戦(笑)なんでしょ」

閣下「うん……そうだけど……笑わなくてもいいじゃん……」シュン

イオリ「それより、私そろそろ朝食にしたいんだけど」

閣下「あ、いいね! 私も抜いてきてるから腹ペコなんだー。何食べるの?」

イオリ「何っていうか……とりあえず上級食堂に行かなきゃ」

閣下「お、幹部らしい! 最近行ってないんだよね、何か変化はあった?」

イオリ「来れば分かるわよ」スタスタ

閣下「あ、待ってよ~」タッタッタ



5: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/25(土) 08:09:43.32 ID:9v6rElOF0

イオリ「いつもの」

ウェイター「……外で一度食べたものは食べない派ではありませんでしたか?」

イオリ「言ってみただけよ。今日から地球の新メニューいくつか入るんでしょ? 軽めの適当にひとつ」

ウェイター「かしこまりました。総統閣下はいかがなさいますか?」

閣下「甘いものでおすすめある?」

ウェイター「地球の料理であれば、こちらのメニュー表に……」

閣下「……コレとコレで」

ウェイター「かしこまりました。っあオーダー入りぃぃぃいいやすっ!!!!」

閣下「うっるさ」

イオリ「元気のベクトルを間違ってるわね。ハルシュタイン、しっかり教育しておいてよ」

閣下「……はぁ、分かった。タカネに言っておく」



6: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/25(土) 08:12:21.38 ID:9v6rElOF0

閣下「イオリって、いつも食事はここなの?」

イオリ「ほぼね。たまにヤヨイと下級回ったりするけど」

閣下「あ~、昨日行ったよ。塩パスタをおすすめされたけど……ねぇ、なんであんなに味薄いのが食べられるの?」

イオリ「蓼食う虫も好き好きってね。何も下級食堂のメニューが全部そのレベルじゃないわよ」

閣下「それはそうだろうけどさ……じゃあ、イオリの御眼鏡にかなうのってあった?」

イオリ「……多分あった。けど、名前を忘れちゃったわ。その程度」

イオリ(本当はヤヨイと一緒なら全部おいしいと感じる……なんて言えないわ……)

閣下「ふぅ~ん……じゃあ、もうちょっと拡張した方がいいかな?」

イオリ「……そのあたりはタカネと慎重に相談しなさい。けど、下手すると下手するわよ~!」

閣下「どういうこと?」

イオリ「……それは自分で確かめなさーい!」

閣下「えーっ、イオリの意地悪!」

イオリ「どうせ明日はタカネと行動するんでしょ?丁度いい機会じゃない」

イオリ(絶対大変なことになるわね…にひひ♪)



7: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/25(土) 08:15:10.58 ID:9v6rElOF0

イオリ「ふぅ……なかなかだったわ」

閣下「……!? っんぐ! な、何でコーヒーがブラックなの!? 甘いのを頼んだはずなのに!」

イオリ「あら、食べ物が甘かったんだからちょうどいいじゃないの?」

閣下「ダメだよ! こういうのはバランスじゃなくてアベレージ! 甘いと言ったら甘いもの!」

閣下「あまみは貫き通さなくちゃならないんだよ!」

イオリ「……ふぅん」

イオリ「やっぱりちょっと理解できないわ。しつこいでしょ、だって」

閣下「ん~……まぁ、イオリは無駄に舌が肥えてるからね、無駄に」

イオリ「…………安心なさい、アンタも今に肥えるわよ」

閣下「……そりゃあ成長期だもん。主に胸とか」

イオリ「尻の間違いでしょ? まぁ膨らみすぎて奇乳なアンタも見てみたいけど」

閣下「あはは、イオリは膨らむことさえないからねー」

イオリ「そうね、羨ましい限りだわ。あ~あ、太りたい。ダイエットって試練を経験してみたいわ~」

閣下「あはははは」

イオリ「にひひひひ」



8: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/25(土) 08:20:01.15 ID:9v6rElOF0

閣下「イオリは確か、戦闘系を管轄していたよね」

イオリ「そうよ。戦闘の技術から心構えまで、何ということなくこなしてるわ」

閣下「じゃあ、日常勤務はコーチング?」

イオリ「そうね。でも今日は違うわ。アズサイズの点検っていうか、改造の日よ」

閣下「ええ、なんで!? 今日撮影だって言ったじゃん! 企業秘密だよ!」

イオリ「何あわててるのよ。別に最終兵器じゃないんだからいいじゃない」

閣下「そりゃそうだけど……」

イオリ「むしろ『コレより上があるなんてー、もう抵抗するだけムダだーん!』って感じになるわよ!」

閣下「あ、今のちょっと面白かったよイオリ」

イオリ「……///」

閣下「いやほめてないけど」

イオリ「ほめてないの!? ていうか今のはそういう赤面じゃない!」



10: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/25(土) 08:24:27.95 ID:9v6rElOF0

閣下「……正直、コレ以上進化させようがないと思うんだけど」

アズサイズ「……」ドォーン

イオリ「特に不安ってわけじゃないんだけどね、少し思いついたから」

イオリ「ほら、あの頭のアレ、武器にできないかなって思ったのよ」

閣下「アレを? ……うーん、確かに命を刈り取る形はしてるけど」

イオリ「どこがよ。でもまぁ、方向性としてはそんな感じ」

イオリ「どうせなら取り外し可能にして、鎌にしちゃおうかなって」

閣下「やっぱり命を刈り取る形じゃない!」

イオリ「もうそれやめてよ! 逆にカッコ悪く見えるでしょ!」

閣下「……んふふ」

イオリ「……何笑ってるのよ、気持ち悪い」

閣下「いや、じゃあなんでアズサイズって機体名だったのかなって……」

イオリ「え? ……語呂じゃ、だめだったのかしら……」ウーン



11: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/25(土) 08:27:35.68 ID:9v6rElOF0

イオリ「キサラギの戦闘データが欲しいんだけど」

閣下「あ~……今渡してるので全部だね」

イオリ「……この際、ダメもとで挑んでみようかしら」

閣下「あ、それは駄目。許可できないよ」

イオリ「どうして? てっとり早く勝利に近づくと思うんだけど」

閣下「う~ん……正直手近な勝利より、イオリの安全を優先したいんだよね」

イオリ「はぁ? 膠着状態とはいえ仮にも戦争なんだから、犠牲はつきものでしょ?」

閣下「そうなんだけどさ~……うぅ~ん」

閣下「とりあえず、この撮影企画が終わるまでは待ってくれないかな!? お願いだよ!」

イオリ「もちろんそのつもりよ。これ、被害減らす作戦なんでしょ? …………だけど、忘れないでね」

閣下「……」

イオリ「いずれにせよ、私たちは戦わなくちゃいけないんだから」

イオリ「拡散と反応を見次第、私は行くつもりだからね」

閣下「……」



12: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/25(土) 08:31:02.53 ID:9v6rElOF0

イオリ「さて、アズサイズの点検終わり」

閣下「……」

イオリ「……なぁに沈んだ顔してんのよ! 大丈夫よ、死なないから」

閣下「……分かってるよ……」

イオリ「もうほんっと……めんどくさいトップよねアンタ……あら、アレは……」

ヤヨイ「あ! イオリちゃんにハルシュタインさんだー!」バッサバッサ

閣下「ヤヨイ! どうしてここに?」

ヤヨイ「巡回です! こっちに笑顔が足りてない感じがしたので!」

閣下「わ、分かるものなんだソレ……」

イオリ「ふふん、ヤヨイを舐めないでね?」

ヤヨイ「私が感じたのはお二人だったんですね。何かあったんですかー?」

イオリ「ふん、コイツがいつまでも腑抜けた考えしててね」

閣下「なぁ!? トップとして、仲間を思いやるのは当然でしょ!? この鏡!」

イオリ「そんな甘っちょろい考えで宇宙征服!? 笑わせるわ、この糖!」

閣下・イオリ「言ったなこのォー!!」



13: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/25(土) 08:35:27.45 ID:9v6rElOF0

ヤヨイ「あ……あぅ……」オロオロ

閣下「仲間見捨てて勝利したって、その先には統治しなきゃならないでしょ! レジスタンスとかどうするのよ!」

イオリ「圧殺に決まってるわ! 問題がない集団なんてありえないのよ!」

ヤヨイ「ふ……二人とも……」キョロキョロ

閣下「それ絶対に再発するじゃん! 問題は根底から絶たない限りダメなんだよ!」

イオリ「それが不可能だから苦労してるんでしょ!? 妥協も必要だってことが、どうして分からないのかしら!!」

ヤヨイ「あぁ~~~……うぅ~~~……!」ワナワナ

ヤヨイ「ス、ストーーーーーーーーップ!!!」

閣下・イオリ「!!」ビクッ

ヤヨイ「二人ともストップ! どうしてケンカしちゃうんですか!? カメラだってまだ回ってるんですよ!」バッサバッサ

ウォント『ジーーー……』

閣下「それは……! ……その……」

イオリ「コイツの物分りが悪いからっ……」

ヤヨイ「それ以上はめっ! 次争いの種になるようなこと言ったら…………」



14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/25(土) 08:38:11.34 ID:9v6rElOF0

閣下「イオリさん、すいませんでした」

イオリ「こちらこそすいませんでした、ハルシュタイン様」

ヤヨイ「うっうー! 完全解決ですー!」バッサバッサ

イオリ(あの後、ハルシュタインにすぐアイ・ウォントを止めさせて)

イオリ(そのあとすぐ、ヤヨイのお説教が始まった。怖くはなかったけど)

イオリ「……」

イオリ(……でもよかった。これで地球人には、ヤヨイはかわいいマスコットとしてのみ認識されるでしょうね)ホッ

閣下「……うん、私もほっとしてるよ、イオリ」

イオリ「……あれは、他の誰にも見せられないわ」

閣下「うん……」

閣下「……かわいかったね」

イオリ「怒ったヤヨイ……麻薬よ、あれは。さすがにこれを放送するのは気が引けるわ。あ、鼻血出てきた」

閣下「私たちは何も、地球を滅ぼそうとしてるわけじゃないからね……」

ヤヨイ「? お二人とも、何の話をしてるんですかー?」キョトン



15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/25(土) 08:41:03.35 ID:9v6rElOF0

イオリ「もうそろそろ一日も終わりね。夕食にしましょう」

閣下「どこで食べるつもり?」

イオリ「……ヤヨイ、中級食堂行ける?」

ヤヨイ「はい、行けますよー!」

閣下「そっか、何もヤヨイはお金に困ってるわけじゃないんだったよね」

ヤヨイ「はいー! 下級食堂に行くのは、ただなんとなく落ち着くからです」

イオリ「困ったものよね、この傾向。身の丈にあった行動をって言葉は、なにも背伸びを抑制するためだけのものじゃないのよ」

閣下「猫背になったら、年齢よりおばちゃんに見えちゃうよね」

ヤヨイ「うぅー、何の話か分かりませんー」

イオリ「……まぁ、ヤヨイには関係ないかな」

閣下「まだまだかわいい盛りは続くんだしね」

ヤヨイ「?」

イオリ「何でもないわ。さぁ、行きましょう」



16: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/25(土) 08:44:27.31 ID:9v6rElOF0

イオリ「日替わりパスタひとつ。あんたたちは?」

閣下「このスウィートハンバーガーっていうのにする!」

イオリ(こいつどこまで甘いのが好きなのよ……)

閣下(ハンバーガーって何だろう? あぁ、楽しみ~!)キラキラ

ヤヨイ「あうぅ……どうしよ……私、イオリちゃんと同じのにします……」

イオリ「……日替わりパスタ2つと、スウィートハンバーガー。以上よ」

ウェイター「かしこまりました! ッェーイ、ゴチューォンハイリィィヤッ!!」 ウーーーーーーイ(ォライ、ォライ>

閣下「ここもここでうっさ」

イオリ「タカネには真剣に話付けときなさいよね。こいつらはマニュアル通りにやってるだけなんだから」

閣下「まともなのは下級食堂だけか……」

ヤヨイ「でもこの感じ、嫌いじゃないですー!」ペカー



17: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/25(土) 08:49:10.32 ID:9v6rElOF0

―――イオリの部屋の前

イオリ「撮影とやらはこれで終了の予定よね?」

閣下「そうなるね。昨日、一昨日からするとちょっと物足りなかったかな」

イオリ「普通、そういうのって本人の前で言う……?」

閣下「えへへ、もちろんウソだよ。今日も楽しかった、ご協力感謝してあげる!」

イオリ「無理に閣下要素出さなくてもいいってば……」

ヤヨイ「どっちかって言うと、いつものハルシュタインさんの方が好きかなーって」

閣下「そ、そう?」

ヤヨイ「はい! やっぱりやさしいのが似合ってます!」

イオリ「アンタは両極端なのよね。飴と鞭の使い分けができてないのよ」

閣下「あぅ……精進してます」

イオリ「……まぁ、だからこそ私たちが一丸となって、支えてやらなきゃって気持ちになってるのも、また事実だけどね」

閣下「……イオリィ……」

イオリ「……何よその気持ち悪い顔……」



18: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/25(土) 08:53:23.65 ID:9v6rElOF0

閣下「うん、イオリの気持ちはよく分かったよ!」

イオリ「はいはい、分かったらさっさと帰りなさい」シッシ

閣下「それも愛情の裏返しだってのもバレバレだね! それじゃあ今日はありがとう! おやすみ~!」ヒラヒラ

イオリ「……」

閣下「……」チラ

イオリ「だぁもう、おやすみ! これでいいでしょ?」

閣下「……」ニッコリ タッタッタ……

イオリ「まったく、騒々しい一日だったわ。もう二度とごめんだわ、こんな悪ふざけ」

ヤヨイ「……えへへ、そんな笑顔で言うことじゃないよ、イオリちゃん」

イオリ「……ヤヨイも、今日はもう帰りなさい」

ヤヨイ「うん! おやすみなさい、イオリちゃん! それじゃあねー!」バッサバッサ

イオリ「えぇ、おやすみ、ヤヨイ」ニコリ

イオリ「……ふぅ」

イオリ「……にひひ、本当に。騒がしい一日だったわ……」ニッコリ 

                        ―――イオリ編終わり―――



19: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/25(土) 08:56:23.82 ID:9v6rElOF0

―――翌日

閣下「うぃーっす。ハルシュタインだよー」ヒョッコリ

閣下「今日はなんと、この日常撮影企画の最終日なんだよね、残念ながら」

閣下「マコト、ヤヨイ、イオリとみてきて、いかに愚かな地球人といえども」

閣下「私たちへのイメージは、とっても良くなったんじゃないかな」

閣下「まぁ、とどめのつもりで、今日も張り切って行っちゃうよー!」


閣下「というわけで最後の幹部、タカネの部屋の前ですよ!」

閣下「幹部一のスタイルと、私に次ぐ総合力と、私をしのぐほどの安定感を誇るタカネは」

閣下「果たしてどんな面妖な日常を晒してくれるのでしょうか!」

閣下「早速入っちゃいましょう! タカネ、タカネ~!」ウィン



20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/25(土) 08:59:07.24 ID:9v6rElOF0

タカネ「おはようございます、ハルシュタイン殿」

閣下「おっはよう! 今日も砂時計を連想させるほどのナイスバデェだね!」

タカネ「ふふ、それは所謂【せくしゃら】にあたるのではないでしょうか」

閣下「私は上司だからね、特権だよ」

タカネ「おや、これはまんまといっぱい食わされてしまいましたね」

閣下「タカネもまだまだだね! 精進を怠るなかれ~!」

タカネ「えぇ、努忘れることなきよう尽力しましょう」

閣下「それでよい、あははは!」

タカネ「うふふふふ」

閣下(……あ、あれ……何の話だっけ?)

タカネ「まだ何も始まってはおりませんよ」

閣下「あれ? 今声に出して……あれ?」

タカネ「ふふ、実に面妖でしょう?」

閣下「……うん、面妖だね」



21: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/25(土) 09:03:07.73 ID:9v6rElOF0

閣下「タカネってあんまり食べ無さそうだけど、実はけっこう食べられる人って印象だなぁ」

タカネ「おや、私はいたって普通の量だと思っておりますが」

閣下「うん、まだ知らないから何とも言えないんだけどね。それで、朝食はどうするの?」

タカネ「はい、今日はその撮影機器もおりますが、あくまでいつも通りでよろしいのですね?」

閣下「うん、そうだよ」

タカネ「それでは、れすとらん街に参りましょう」

閣下「レストラン街? ていうと、最近地球から取り入れた、あの雑多としたシステマティックロードか」

閣下「うん、私もまだ歩いたことしかないから、エスコートよろしくね!」

タカネ「おや、それは勿体ない。ですがご心配なく」

タカネ「朝のみですがしっかり、ご紹介させていただきましょう」ニッコリ

閣下「よろしくねー!」



22: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/25(土) 09:06:34.20 ID:9v6rElOF0

タカネ「さすがに特産品とあって、中級食堂よりは値が張りますが」テクテク

タカネ「製法、素材は、私が自ら地球に足を運び、見積もって入手してきた」

タカネ「いわば本場の味に限りなく近いものばかりとなっております」

閣下「え、もう地球探索したんだ!」

タカネ「えぇ。ちなみに、今日も地球へは向かう予定ですよ」

閣下「おぉ……なんだか、気合い入ってるね、タカネ」

タカネ「そう見えますか? ならそうなのでしょう。さぁ、早くどこかに入りましょう」

タカネ「場所が場所なので地球産の食べ物しかありませんが、心得は?」

閣下「うぅ……こういうのはゼロって考えてもらっていいから、タカネのオススメでお願い!」

タカネ「分かりました。では、らぁっ……!」ピタッ

閣下「? タカネ、どうしたの?」

タカネ(いけませんっ……今日は地球でらぁめんの日でしたっ……! 一人ならまだしも……)

タカネ「……いえ、ここはやはりハルシュタイン殿の直感でお決めになってください」



23: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/25(土) 09:08:35.87 ID:9v6rElOF0

閣下「うぅ~……舌がヒリヒリする~……」レロレロ

タカネ「申し訳ありませんでした。止めるべきでしたね」

閣下「ほんとだよ~! うひぃ……これ絶対お尻から血が出るよね……」

タカネ「ハルシュタイン殿は、辛い物が苦手でしたか?」

閣下「うん、かなり。あんなの、暴力だよ」

タカネ「ふふ、それは残念ですね」

閣下「……もういい! タカネ、地球に行くんだったよね。さぁ、早く準備しよう!」

タカネ「おや……ふふ、分かりました。では、参りましょうか」

―――地球行き宇宙船内

タカネ「あとものの数分で、日本支部に着きます」

閣下「アミマミのいるところ? よくそんな大胆な場所に作ったよね」

タカネ「灯台下暗しというものです。さて、少し揺れますので、ご注意を」ガタガタガタガタ

閣下「……ちょっと改良が必要だねコレ」ガタガタガタガタガタガタガタガタガタガ



24: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/25(土) 09:10:38.16 ID:9v6rElOF0

―――日本支部

閣下「着いた~! のちに我らが領有する地に!」

タカネ「ふぅ……やはり山奥にして正解でした。空気が澄んでおります」

???「お~い、タカネ~!」

タカネ「? この声は……ヒビキ、ですか?」

ヒビキ「そうだぞ、久しぶり! あ、総統閣下もこんにちは! 技術開発課日本支部長のヒビキです!」

閣下「あ~、開発課の! 確か、自動戦闘AIを任せてたっけ」

ヒビキ「そう! まだ実戦投入は難しいけど、でも一応は、ホラ!」

ヒビキ「この星の動物たちを模した動物ロボットの開発は成功してるさ!」

閣下「あ、かわいいね~! うん、予想以上だよ」

ヒビキ「でしょ! いやぁ、地球は独自の生態系を持つって聞いてちょっと不安だったけど」

ヒビキ「見てみればなんてかわいい! イオリとかは、この星の兎って生き物を気に入ってるよね」

タカネ「えぇ、この頃は常に、あのドールを持ち歩くほどです」

ヒビキ「ホント!? いやぁ、照れちゃうなぁ~」ポーリィポーリィ

閣下(この子が創ったんだね。すっごく分かりやすいなぁ)



26: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/25(土) 09:12:54.57 ID:9v6rElOF0

タカネ「ヒビキ、実はかくかくしかじかで……」

ヒビキ「えぇ!? そ、そうなのか……もう、行っちゃうのかぁ……」シュン

閣下(本当に分かりやすいなぁ)

タカネ「……ふふ、ご安心ください。今日はここに留まりますので」

閣下「!?」

ヒビキ「え……ほ、本当か!? 嘘じゃないな!?」

タカネ「えぇ、ですからもうしばらく、お待ちください」ナデナデ

ヒビキ「え……えへへ……/// うん、自分、待ってるよっ!」

タカネ「……ハルシュタイン殿、急なことですが」

閣下「……はぁ……まぁ、爛れた関係じゃないならいいよ」

タカネ「ふふ、ご心配なく。ご厚意感謝します」

閣下「はいはい。ほら、話が済んだらさっさと行こうよ」

タカネ「えぇ。ではヒビキ、また今夜」

ヒビキ「うん! とびっきりの新作料理、たんとふるまってあげるからねー!」



27: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/25(土) 09:16:02.15 ID:9v6rElOF0

―――車内

タカネ「ヒビキとは、地球攻略作戦の開始時に知り合ったのです」

タカネ「当時は二人とも、まだ部署も決まっていない新人でした」

タカネ「互いに他者との付き合いを心得ておらぬ私たちがああして出会ったのは、やはり必然であったのでしょう」

タカネ「付き合いは長くありませんし、こうして空を隔てた場所を拠点とすることにもなってしまいましたけれど」

タカネ「それでも、今なお彼女が私の一番の友であると、少なくとも私は胸を張って言えます」

閣下「へぇ~……。なんか、ごめんね、そんな引き離すような形になっちゃって」

タカネ「ハルシュタイン殿が思い悩むことではございません」

タカネ「現にこうして、私は地球内での活動を自由にできる地位におりますし」

タカネ「それに、たまに会う仲だからこそ見える良さも、あるものだと知ることもできました」

タカネ「すべてはなるようにしてなり、私たちはその中で幸せを見つけるしかない。そういうものなのです」

閣下「……」

タカネ「……つまらない、お話でしたね。申し訳ありませんでした」ペコリ

閣下「……あ~……いや……」

閣下「……はぁ……そうだね。私にはさっぱり、ちんぷんかんぷんだったよ」



28: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/25(土) 09:19:53.08 ID:9v6rElOF0

タカネ「もう少しで到着しますよ。今日の活動予定地です」

閣下「……ずいぶん地球人が多いね。いつもこうなの?」

タカネ「えぇ。我ら『環境管理課』の最近の活動目的は『地球文化から学ぶ』です」

タカネ「そのためには、やはり人が集まるところでないと、と考えまして」

閣下「私たちの事、ばれたりしないかな?」

タカネ「見た目は地球人と、どう見ても一緒ですので、態度さえ目立たなければ」

閣下「うっ」

タカネ「……不安、でしょうか? 大丈夫ですよ」ニッコリ

タカネ「地球人、特にこの島国の地球人は、あまり非日常に対して特別な働きかけをすることは少ないようなので」

閣下「えぇ? それって大丈夫なの? 危機感がないってことだよね」

タカネ「……見てください。ここからでも、私たちの『すてぇしょん』が良く見えますが」

タカネ「誰一人として、足を止めて見上げようとはしておりません」

閣下「……マジか」

タカネ「……まじです」

閣下「……ちょっと本気、出しちゃおうかなー」ゴゴゴゴ



29: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/25(土) 09:22:52.31 ID:9v6rElOF0

タカネ「たのもう!」ガラッ

閣下(それが、地球のあいさつなんだね!)

閣下「……」ピシャ

閣下「タノモーーー!!」ガラッ!

閣下(扉を開けると同時に、タノモーという呪文を唱える! 完璧だね!)

店員「へいらっしゃい!(ん? 何だあの円盤……あ、今噂の宇宙人の人たちか)」

タカネ「豚骨らぁめんをふたつ」

閣下(ふたつ? これは……私の分も頼んでくれたってことなのかな? でも……)

閣下「……ふふふ、ごめんねタカネ。私、そういう施しは受けないつもりだから……」

タカネ「?」

閣下「……ウェイター、同じのを三つよ」

店員「!? へ、へい……あの、合計五つ、となりますが……本当によろしいので?」

タカネ「それは……」チラリ

閣下「無論GOよ。40秒で持ってきなさい」



30: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/25(土) 09:26:53.96 ID:9v6rElOF0

タカネ「ハルシュタイン殿……本当に事態を理解したうえで行動なさっておりますか?」

閣下「理解? 必要ない! 私はここであえてお残しをして、我ら<<黒い月>>の恐ろしさを」

タカネ「! お待ちを。あの……聞き間違いでなければ、今……」

閣下「……ふふ。そう、お残しをするつもりだよ。まさに極悪非道でしょ? これからはわるるんって呼んで」

タカネ「な、なりませんよ!!」ガタンッ!

閣下「えっ」

タカネ「事もあろうにらぁめんでお残し!? それも注文の時点で計画的に!?」

タカネ「私がそのようなことを、許すと思っているのでしょうか!!」ガシッ!

閣下「ヴぁあ!? タ、タカネ!?」

タカネ「良いですか、ハルシュタイン殿!! らぁめんとは―――」

―――約10分後

閣下「―――はい。はい。反省しています」

タカネ「……では、心して戴きましょう。食べられないならば私に回してくださってかまいませんので」

閣下「……お願いします」



31: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/25(土) 09:30:25.18 ID:9v6rElOF0

閣下「ズルズル……あ、おいしい」

タカネ「どうやら混雑が良いように働いたようですね。まだ出来たてといって差支えないようです」ガオンッ!

閣下「そういえばレストラン街にも、この料理専門店が……あー!」

タカネ「……ハルシュタイン殿、あまり大声は」

閣下「あ、ごめん。じゃなくて、最近食堂のウェイターの感じがおかしいんだよ! 妙にうるさいって言うか……あれ、タカネでしょ?」

タカネ「うるさい、とは……確かに地球の料理店での掛け声をまにゅあるに掲載しはしましたが」

閣下「ソレ! やっぱりタカネの仕業だったんだね! あれ、うるさいから前のに戻してほしいんだけど」

タカネ「おや、お気に召しませんでしたか? 職員たちには好評なのですが」

閣下「えぇー……いや、もうちょっとおしとやかっていうかさ」

閣下「流石に上級食堂までああする必要はないでしょ?」

タカネ「むぅ……そうでしょうか。ハルシュタイン殿はいけずです」

タカネ「ですが、分かりました。総統命令であれば、せめて上級食堂だけでも変えるよう、指示します」

閣下「お願いね。イオリも苦笑いしてたよ」

タカネ「……いけずです」シュン



32: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/25(土) 09:33:35.17 ID:9v6rElOF0

閣下「ふぅー、おいしかった! 結局4杯も任せることになっちゃってごめんね」

タカネ「良いのです。おかげで素晴らしいさんぷるが取れました」ゴソゴソ

閣下「……そういえば偵察だったよね」

タカネ「はい、これで新しいらぁめんが食堂に並ぶことになります」ニッコニコ

閣下「今までで一番の笑顔だ」

タカネ「それと、下級食堂にも新しく追加できそうです」ニコニコ

閣下「あ、もともと拡張する予定だったんだ?」

タカネ「はい、あとはマコトに予算の話を付けるだけです」

閣下「おぉ……うんうん、とってもいい感じだね! ステーションの拡張も順調に……」

閣下「……あれ? これもう……」

タカネ「どうされましたか?」

閣下「あ、いや……うん……なんでもない……」

閣下(うん……やっぱり最初の目標なわけだし、支配はしないといけないよね……)

タカネ「……なら良いのです。では、そろそろ戻るとしましょうか」



33: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/25(土) 09:37:08.01 ID:9v6rElOF0

―――日本支部

閣下「随分買ったね、おみやげ」

タカネ「えぇ。ヒビキと支部の者、それからすてぇしょんの部下たちへ」

タカネ「帰りはあなた様一人なので、支給依頼を頼まれてください」

閣下「はいはーい」

タカネ「それと最後に……ハルシュタイン殿、あなたへ、です」ニッコリ

閣下「え、わ、私に!? いつの間に買ったの?」

タカネ「先ほど寄った、道の駅でです。即席らぁめんというものです」

閣下「らぁめん……お湯を入れて3分で、さっきみたいなのが味わえちゃうの!?」

タカネ「つくづく感じます。この星の者は技術より娯楽を追及して発展してきたのだと」ニヤリ

閣下「……大したものだよね」ニタリ

タカネ「……ふふふっ」

閣下「あははは!」

タカネ「俄然、やる気が出てきませんか?」

閣下「そうだね。私、絶対に地球は支配するよ。みんなのためにも」



34: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/25(土) 09:41:13.63 ID:9v6rElOF0

タカネ「……あと、もうひとつ」

閣下「?」

タカネ「少し、外に出ましょう」

・・・。

閣下「うわぁ……綺麗……!」

タカネ「この星から見る夜の空。あの大きいのは月と言うそうです」

閣下「……こっちからだと、こんなふうに見えるんだ……」

タカネ「地球の、大気を通して見る宇宙。美しいでしょう?」

閣下「うん、すっごく!」

タカネ「……奪いたくない、ものです」

閣下「……」

タカネ「イオリには甘いと言われます。それ以上に傲慢であることも分かっております」

タカネ「私たちはあくまで侵略者。戦って、奪う悪の集団」

タカネ「それでも、この美しさだけは壊さぬように戦いたい。私はそう思うのです」



35: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/25(土) 09:44:50.30 ID:9v6rElOF0

閣下「それは、やっぱり聞けない相談だよ」

タカネ「良いのです。思い上がった、ただのわがままですから」

閣下「……まぁでも、善処はするよ。やっぱり私も……見ちゃったし。聞いちゃったし」

閣下「知っちゃったから。そして、思っちゃったから。地球は良いところだって」

タカネ「ハルシュタイン殿……!」


閣下「……えっへへ! さ、湿っぽい話はもう終わり! 私はもう帰るよ!」

閣下「タカネはあの小っちゃバカっぽい子とよろしくやるんだよね? 私からもよろしく言っといてねー!」

タカネ「な! ヒビキはバカではありません!」

閣下「あんな隠し事が苦手な子が、バカじゃないわけないじゃーん」スタコラサッサー

タカネ「あ、これ、待つのです!」

閣下「待ちません! アイ・ウォント、私を連れてけー!」ビューン!

タカネ「ぐらいだぁに変形!? め、面妖なっ……!」



36: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/25(土) 09:48:09.40 ID:9v6rElOF0

タカネ「はぁ……はぁ……早々に行ってしまわれました……」

ヒビキ「あ、タカネ! 戻ってきてたのか」

タカネ「……おやヒビキ、業務は終了したのですか?」

ヒビキ「うん、今から寮に帰るところ。タカネは今日こっちに泊まるんだよね?」

タカネ「えぇ、そのつもりです。お土産も用意してますよ」

ヒビキ「えへへ……それじゃあ、行こうか」

タカネ「……あ」

タカネ(ハルシュタイン殿……すてぇしょんへのお土産忘れております……)

ヒビキ「タカネ? あ……これ……向こうの人たちへの?」

タカネ「ええ、そのつもりだったのですが」

ヒビキ「あはは、総統閣下らしいよね」

タカネ「……あの方はどこでも、うっかり屋であるという認識で通っているのですね」

タカネ(……ふふ。イオリの言うとおりですね)

タカネ「ヒビキ。きっと、勝ちましょうね。私たち全員で」

ヒビキ「? うん、なんかよくわかんないけど、やる気があるって大事だよね!」



37: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/25(土) 09:51:44.84 ID:9v6rElOF0

―――ステーション

閣下「ごめんね、まさか忘れるなんて……あ、いや、本当に……ただのうっかりで……」


マコト「閣下はいったい何をしてるんだろうね」

イオリ「タカネがここの職員にって買った地球のお土産、向こうに忘れちゃったんだって」

マコト「それの通信か。相変わらずだね」

イオリ「まったくよ! 少しは成長の兆しでも見えればいいのに」ヤレヤレ

マコト「それがいいんじゃないか、支えがいがあって」

イオリ「アンタは過保護なのよ! そういう態度も、アイツの成長を妨げる遠因のひとつなんじゃないの?」

マコト「あはは、まっさか~」

イオリ「……ふん、まぁいいわ。とりあえずこの馬鹿みたいな作戦は終了したのよね?」

マコト「馬鹿は余計だよ。けどまぁ、そういうことらしいね」

イオリ「……吉と出るか、凶と出るか」

マコト「……」

イオリ「……準備はしておくわ。おやすみなさい」

マコト「……おやすみ」



38: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/25(土) 09:55:22.92 ID:9v6rElOF0

―――二週間後

アミ「マミー! キサラギの脚部点検終わった?」

マミ「バッチリさぁ! そっちは?」

アミ「当然! そろそろおやつにしよ→YO!」

マミ「賛成→!」

…。

マミ「さてと、そろそろアニメの時間かな」

アミ「もう始まっちゃうかも! というわけでポチっとな!」

テレビ『続いては、各地のそらもよ―――ザザ!』

アミ・マミ「!?」

テレビ『――ザ―…あ、あー…え、もう映ってる?』

アミ「こ、これは…!」

マミ「…ハ…ハ…」

アミ・マミ「ハルシュタイン!!」



39: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/25(土) 09:59:29.74 ID:9v6rElOF0

閣下『ゴホン! ……ごきげんよう、地球人の諸君』

閣下『私が<<黒い月>>の総統、ハルシュタインよ』

アミ「どういうことだいコレは!?」

マミ「まさか……電波ジャック!?」

閣下『本日はあなた方地球人に、あるお知らせがあってメディアを乗っ取ってる』

閣下『心配しなくとも攻撃開始の合図ではないわ。むしろその逆……』

閣下『全世界でこれを同時配信する、というお知らせよ。平和的でしょ?』

閣下『これ、というのは動画ファイルでね、私たち黒い月幹部連の【日常風景】を撮影したものよ』

閣下『……えっと……あれ? これって言っちゃダメなやつなんじゃ……』

閣下『え、ちょ! この原稿全然ダメじゃない!? しゃべりすぎだよ!』

マミ「……何やってんのこの人たち……」

閣下『……あ~~~~……とりあえず、インターネットのこのサイトから落とせるから、見てねってこと!』

閣下『それじゃあね、バイバイ!―――ブツン―――』



40: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/25(土) 10:04:42.47 ID:9v6rElOF0

ミキ「アミ、マミ! 今の見たよね!?」バタン!

アミ「ミキミキ! うん、見たよ!」

マミ「これは見るっきゃないよね! 研究所からは……うん、ウイルスはないって!」

ミキ「早速落とすの!」

マミ「おぉ……さすがに集中してて重いね……ヘヴィ!」

アミ「ていうかあの人ら、専用HP作ってたんだね……何さ、ステーションの案内って」

ミキ「幹部直筆の自己紹介文があるの……世界中の言語で」

マミ「ちょ! 活動予定はダメでしょ! そこは秘密にしといて欲しかったYO!」

ミキ「三日後にでこちゃんの操縦するアズサイズが東京に……馬鹿集団なの」

アミ「そこらじゅうに落とし穴仕掛けてやるYO!!」

マミ「お、DLできたみたいだYO! 早速見ちゃお……って、4時間×4本!?」

アミ「なっげー! 日が暮れちまうぜ!!」

ミキ「特典映像もしっかり2時間……アホ集団なの」



41: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/25(土) 10:05:31.24 ID:9v6rElOF0

―――二日後

アミ「……見終わった……」グッタリ

ミキ「長く……苦しい戦いだったの……」ウトウト

マミ「頭痛が痛いぜ……ミキミキ、痛いの痛いの飛んでけして~……」

ミキ「痛いの痛いの~……増(ま)せ~……」ポコン

マミ「……反撃する力も、ないんだなそれが」

アミ「とりあえず、ハルシュタイン達はそんなに悪い奴らじゃない……それは分かったけど」

アミ「でもじゃあ、なんでそれを教えたんだろう?」


3人はいくら考えても分からなかった。
単純に油断させるためだけに、あのハルシュタインがこのような大胆で回りくどいことをするわけがない。
他に何か大きな目的がある、それしか分からなかった。

しかし3人が分からないのは、それは当然のことだった。

ハルシュタインの目論見は大きく外れた。
というか、そもそも
推測の時点で間違っていたのだ。



42: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/25(土) 10:06:31.44 ID:9v6rElOF0

閣下「キサラギと地球人の精神は、関係がない―――!?」

紆余曲折あるも結局、オーバーマスター化して他のロボットを取り込んだキサラギに
ハルシュタインが操縦するハルカイザー号は、宇宙空間での一騎打ちの末敗北。
<<黒い月>>は志半ばに、崩壊したのだった。

それから数か月後―――


閣下「私たちは今、地球にいる」

閣下「私の敗北後、総員と重要機器を退避させたステーションが、オーバーキサラギに特攻するも」

閣下「やはり返り討ちに合い、そのまま太平洋に墜落したのだった」

閣下「私たちは降伏するも、キサラギ以外には勝る力を持つ私たちは、宇宙に帰る準備ができるまで限定で」

閣下「この星に留まることを、世界から許可されたのだった……まる」

アミ「はい、状況説明ご苦労!」

マミ「それじゃあ次は本音だ。言っちゃって、どうぞ!」

閣下「……準備できたからって帰るはずないでしょー! 絶対に支配してやるって思ってますよ、ええ!」

ミキ「……あはっ、まったく懲りてないの」



43: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/25(土) 10:07:26.70 ID:9v6rElOF0

マコト「閣下、その意気ですよ」

イオリ「ふん、当然だわ! 負けっぱなしなんて誰が納得できるものですか!」

タカネ「命はまだある……これは、頑張らずにはいられませんね」

ヤヨイ「いろいろ言ってますけどみんな、本当は仲良くしたいだけなんですよね!」

閣下「ヤヨイ、それ以上言わないで!」

マミ「ほっほーう、かわいいとこあるじゃないの」

アミ「スペースレベルのツンデレ……いや、ヤンデレかのう?」

ミキ「あふぅ……いい加減寝られるって思ったんだけどなー」

閣下「と、とにかく! 私たちの活動はまだ終了を迎えたわけではない!」

閣下「むしろ迎えたのは夜明け! 今度は地球上で、この星の侵略活動を続けていくつもりだからね!」

アミ「上等! アミたちの目が黒いうちは!」

マミ「きさんらに好き勝手はさせないぜYO!」

閣下「……だって私たちみんな!」

アミ・マミ・ミキ「……いや、仲間ではないよね!」

                      ―――終わり―――



44: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/25(土) 10:09:09.75 ID:9v6rElOF0

途中から自分でも何をしたかったか分からなくなった
でも一応書き終えたし、投下してみた次第です
読んでくれてありがとう


元スレ
ハルシュタイン閣下「私たちの日常を撮影する!」