1: 名無しで叶える物語 2020/02/01(土) 17:48:59.82 ID:ncMRw0Of.net

昼休み 部室

せつ菜「それはよかった‼今日は初めて酢豚を作りました、我ながら自信作です!!」

あなた「酢豚なのに鶏肉を使ってるなんて斬新‼味も全然酸っぱくなくてすごく甘ったるい‼」パクパク

せつ菜「常識に囚われない新しい料理を目指してみました、挑戦する時はいつもドキドキしますね」

あなた「この鶏肉、生焼けだ‼レアのステーキみたい‼」モグモグ

せつ菜「おっと、焼きが甘かったですかね。しかし結果的においしいのなら問題ないでしょう」

あなた「一緒に入っているドリアンの匂いがキツい‼でもなんだかクセになるよ!!」ガツガツ

せつ菜「パイナップルよりもドリアンの方が強いのでいいですよね‼果物の王様ですよ」

あなた「人参が皮ごとのままだ‼これは歯応えあるなぁ‼」バリボリ

せつ菜「素材の味を活かす為にあえて皮を残してみました、食材の無駄がなくなりますよね」

あなた「おいしい‼おいしいなぁ‼」ポロポロ

せつ菜「涙を流す程喜んでくれなるなんて……私も苦労して作った甲斐がありました」ホロリ

あなた「おいしい‼オイシイ‼」

あなた「あははハハハははハっ‼!!!!」

あなた「ーハッ!?」バッターン

せつ菜「おや、お腹いっぱいになったから眠くなったんですか?」

あなた「もう……食べられないよぉ……」

せつ菜「ふふ、定番の寝言頂きました。おやすみなさい」

せつ菜「私は生徒会室に行きますね、それじゃ」

ガチャ……バタン



ガサッ……スッ……







歩夢「………………」ジーッ



5: 名無しで叶える物語 2020/02/01(土) 17:59:47.56 ID:ncMRw0Of.net

あなた「う……うぅん……」

あなた「……あれ?私……どうして……?」

歩夢「気がついた?」

あなた「歩夢ちゃん?どうしてここに?」

歩夢「あなたと一緒にお弁当食べようかと思ったんだけど」

歩夢「せつ菜ちゃんの方が先に声をかけて二人で行っちゃったから……」

歩夢「ほら、せつ菜ちゃんってその……独創的な料理のセンスしてるじゃない?」

歩夢「私、心配になってこっそりついて来ちゃった」

あなた「え、でも歩夢ちゃんいたの全然気付かなかったなぁ」

歩夢「か、隠れていたんだよ‼」

あなた「そっか、なんか気を使わせてごめんね」

歩夢「いいんだよ、あなたの為なら」ニコッ

歩夢「よかったら、私のお弁当でお口直ししない?」

あなた「あはは……それじゃお言葉に甘えようかな」

歩夢「ふふ、あなたと一緒の時間が出来てよかった」



6: 名無しで叶える物語 2020/02/01(土) 18:12:28.23 ID:ncMRw0Of.net

歩夢「はい、あ~ん」

あなた「あ~ん」パクッ

あなた「うぅ~んおいしい~」

あなた「やっぱり歩夢ちゃんの卵焼きはおいしいなぁ」

歩夢「まだあるからいっぱい食べてね」

あなた「私歩夢ちゃんの卵焼き大好き!!」

歩夢「うふふ、あなたは本当においしそうに食べてくれるね」

歩夢「………」

歩夢「………ねぇ」

あなた「ん?なに?」モグモグ

歩夢「せつ菜ちゃんのお弁当……あれもおいしかったの?」

あなた「……おいしかったよ」

歩夢「……嘘、だよね?わかるよ」

歩夢「私の時とせつ菜ちゃんの時と反応が全く違うんだもの」

あなた「そんな事」

あなた「……」

あなた「歩夢ちゃんには、嘘つけないなぁ」

あなた「……まぁ、わかるよ……ね」

歩夢「どうして……あんな事を……」



7: 名無しで叶える物語 2020/02/01(土) 18:26:57.94 ID:ncMRw0Of.net

あなた「せつ菜ちゃんってさ、何事にも一生懸命なんだよね」

あなた「生徒会の仕事もしながら内緒でスクールアイドルもやってて」

あなた「料理も頑張って私の為にお弁当作ってくれてさ」

あなた「キラキラの笑顔で『どうですか?』って言われたら」

あなた「おいしくないって……言えないよ」

歩夢「そう、なんだ……」

歩夢「あなたは優しいものね、言えないよね」

歩夢「でも、無理して食べてお世辞を言うのは」

歩夢「それはせつ菜ちゃんの為になるのかな?」

あなた「………ならない、だろうねぇ」

歩夢「そうだよね、どうせならあなたも心からおいしいと思える料理をせつ菜ちゃんに作って欲しいよね」

あなた「うん……」

あなた「私ってダメな女の子だな……正直な気持ちを伝える事が出来ないんだから」

歩夢「そんな事ないよ‼私だって正面からせつ菜ちゃんにハッキリなんて言えない」

歩夢「あなたは悪くないよ」

あなた「歩夢ちゃん……ありがとう」

あなた「でも、困ったな……ははは」



10: 名無しで叶える物語 2020/02/01(土) 18:43:35.74 ID:ncMRw0Of.net

歩夢の家

歩夢(せつ菜ちゃんの料理、やっぱりあの子もおいしくないって思ってたんだ)

歩夢(せつ菜ちゃん、自覚がないから質が悪いんだよね)

歩夢(でも、あの子が無理する姿はこれ以上見たくない)

歩夢(なにか、私に出来る事は……)

歩夢(本人にせつ菜ちゃんの料理おいしくないよって言うのは簡単だけど)

歩夢(そんな事言ったらせつ菜ちゃん傷付いて2度と料理なんてやらなくなるかもしれないし……)

歩夢(あの子にはあぁ言ったけど、難しい問題だなぁこれは……)タメイキ

歩夢(なにか、せつ菜ちゃんが自分で気付くきっかけでもあれば私が教えてあげられるんだけど)

歩夢「……うーん」

歩夢「なにも考えが浮かばないなぁ」

歩夢「……今日はもう寝よう」

歩夢(とりあえず、なるべくせつ菜ちゃんの料理をあの子が食べないように私が見ていないと)



12: 名無しで叶える物語 2020/02/01(土) 18:58:14.66 ID:ncMRw0Of.net

次の日 昼休み

せつ菜「さぁ、今日も一緒にお弁当を食べましょう‼」

せつ菜「今日はせつ菜オリジナルパスタです‼」パカッ

あなた「わぁ、おいし」

歩夢「ちょ、ちょっと待って‼」

あなた「歩夢ちゃん?」

せつ菜「歩夢さん、どうしたんですか急に?」

歩夢「えっと、その、ね……?」

歩夢「せつ菜ちゃん、今日は私と一緒に食べよう」

歩夢「私も、せつ菜ちゃんのお弁当食べて……みたいなぁ」

せつ菜「本当ですか!?光栄です‼」

せつ菜「それじゃ早速部室へ行きましょう!!」

歩夢「うん、ーあなたは、私の作ったお弁当食べてね」

あなた「あ、歩夢ちゃん……?」

歩夢「……」コクリ

あなた「……あ」コクリコクリ

歩夢「それじゃ、また後でね」

歩夢(そう、これでいい)

歩夢(あの子の辛い顔は見たくないから)

歩夢(その為なら私は……)

歩夢(せつ菜ちゃんのお弁当だって、食べてみせる‼)



14: 名無しで叶える物語 2020/02/01(土) 19:12:34.10 ID:ncMRw0Of.net

歩夢(……と、思っていたけど)

歩夢「ねぇ、せつ菜ちゃん……」

歩夢「これは、なに……?」

せつ菜「パスタですよパスタ、見てわかりませんか?」

歩夢「見てわからないから聞いているんだけど」

歩夢「だってこれ、麺じゃないよね?なんか丸とか四角とか三角とか固まりになっている……お団子みたいな」

せつ菜「歩夢さん、パスタの定義を知らないんですか?」

歩夢「定義?」

せつ菜「なにも麺じゃなくても小麦粉で作ればパスタになるんですよ」

歩夢「えぇ……?なにそれ、初めて聞いたよ……」

せつ菜「マカロニだってあんな形してますけどちゃんとパスタとして扱われています」

せつ菜「ならば、色々な形があれば面白いんじゃないかと思って今回作ってみました」

歩夢「一応小麦粉は使っているんだね……」ジーッ

歩夢(なんでせつ菜ちゃんって普通に作らないんだろう、私にはこんな発想出来ないよ)



17: 名無しで叶える物語 2020/02/01(土) 19:28:41.43 ID:ncMRw0Of.net

歩夢「パスタ(?)の上にかかっているのはソース?真っ黒だね、イカスミかな」

せつ菜「なにを言ってるんですか歩夢さん」

せつ菜「それはミートソースですよ」

歩夢「えっ!?これがミートソース!?」

歩夢「私の知ってるミートソースと違う……」

せつ菜「ソースももちろん、私の特製です‼」

歩夢「これがミートソースだとして、なにを使って作ったの?」

せつ菜「それを私の口から言ってはつまらないでしょう」

せつ菜「ぜひ食べて、当ててみてください」

歩夢「やっぱりそうなるよね……」スッ

歩夢(くんくん……なにこの匂い?すごくツーンとする刺激臭が)

歩夢(こ、怖い……でもせつ菜ちゃんがすごく期待した目で見てる、食べないと……)

歩夢「い、いただきます」パクッ

歩夢「!!!!!!」

歩夢「うおっ!?おあああぁぁぁ~!!」

せつ菜「歩夢さん!?一体どうしたんですか!?」

せつ菜「そんな吼える程においしいと……?」

せつ菜「うぅ~……せつ菜、感激です‼」

歩夢「ぐうおあああはぁぁ~!!」



19: 名無しで叶える物語 2020/02/01(土) 19:45:37.37 ID:ncMRw0Of.net

歩夢(な、なにこれなにこれなんなのこれぇ!!)

歩夢(辛味が強いけど、甘味、苦味、酸っぱ味……色々な味が口一杯に広がって)

歩夢(それがマズイ‼とにかくマズイ‼比類なきマズさ!!)

歩夢「~~~~!!」モンゼツ

せつ菜「大丈夫ですか?お茶でも飲みます?」スッ

歩夢「………‼」バッゴクゴク

歩夢「えぇぇいあぁぁ~!?」

歩夢(なにこれすっっっごく苦い‼あと粉っぽくて逆に水分持ってかれる‼)

歩夢「げほっげほっ‼ーはぁ……はぁ~」

せつ菜「ん?歩夢さんの苦手な味でしたかね」

歩夢「ちょ、ちょっとせつ菜ちゃん……」

歩夢「これは、一体……」

せつ菜「あれ?わかりませんでした?」

歩夢「わかる訳……ないよ」

せつ菜「あの人はよく理解してくれたのですが」

せつ菜「仕方ありません、秘密の答え合わせです」



20: 名無しで叶える物語 2020/02/01(土) 19:59:04.90 ID:ncMRw0Of.net

せつ菜「まずはミートソースからですが」

せつ菜「馬、熊、鹿、猪など獣肉を挽き肉にし」

せつ菜「唐辛子とにんにくを多目に家にあった全ての調味料を入れ」

せつ菜「じっくりコトコト煮込みました」

歩夢「獣肉……!?どこでそんな物を」

せつ菜「Amazonですよ、なんでも売ってますからネットは」

歩夢「お茶は?」

せつ菜「せんぶり茶と青汁をブレンドした超健康志向形飲料、その名もせつ菜っ茶です」

歩夢「せんぶり茶ってテレビの罰ゲームなんかで飲まされる……」

せつ菜「知ってましたか、わからないなんてとぼけちゃって」

歩夢「飲んだのは初めてだったんだよ」

歩夢(あの子はこんなせつ菜ちゃんのお弁当をパクパク食べて分析、感想まで言ってたっけ)

歩夢(すごいなぁ、私には真似出来ない)



28: 名無しで叶える物語 2020/02/01(土) 21:03:34.82 ID:ncMRw0Of.net

せつ菜「お味はいかがでしたか?」

歩夢「うぇっ?そ、そうだなぁ……」

歩夢「な、なかなかのお手前で……」

せつ菜「もう歩夢さんたら、それは茶道の言葉じゃないですか」

歩夢「あはは……こんな言葉しか浮かばなかったよ」

歩夢「ところで、気になった事を聞いてもいいかな」

せつ菜「どうぞどうぞ」

歩夢「料理を作ってる時、味見してる?」

せつ菜「してませんが」

歩夢「調味料の匙加減は?」

せつ菜「その時の気分で変わります」

歩夢「レシピ本を見たりなんかは?」

せつ菜「既存の行程に興味はありません」

せつ菜「アレンジしないと私の料理ではないのです」ドヤァ

歩夢「」

歩夢(こ、これは手強い……料理下手な人はレシピ通りに作らなかったり味見をしないで作るって聞いた事あるけどせつ菜ちゃんがまさにそれだ)

歩夢(きっと材料の切り方や火加減も適当なんだろうな)

歩夢「ねぇ、せつ菜ちゃんもこのお団子食べてみなよ」

せつ菜「お団子じゃなくてパスタです‼」

歩夢「ご、ごめんなさい。つい……」

せつ菜「まったく……あむ」モグモグ

歩夢「どう?自分で食べた感想は」

せつ菜「んん……自分で言うのもなんですが」

せつ菜「最高です‼辛味を際立たせる他の調味料と獣肉の絶妙なハーモニー‼」

せつ菜「とにかく最高‼おいしいです!!」

せつ菜「んぐ…んぐ…ぷはぁっ!!せつ菜っ茶の苦味もたまりません‼」

歩夢「あぁ……やっぱりね」

歩夢(せつ菜ちゃん、味音痴なんだ……)

歩夢(自分で食べておいしくないって気付いて欲しかったな……)



29: 名無しで叶える物語 2020/02/01(土) 21:45:42.91 ID:ncMRw0Of.net

放課後 部室

歩夢「ごめんね。私、せつ菜ちゃんになにも言えなかったよ」

あなた「ううん、歩夢ちゃんが無事でよかったよ」

歩夢「あなたみたいに平静を装う事は出来なかったけどね……」

歩夢「せつ菜ちゃんは味覚も独特みたい、自分のお弁当おいしいおいしいって食べてたよ」

あなた「独特じゃなきゃ人には勧めてこないだろうね」

歩夢「私達からは本当の事が言えない、せつ菜ちゃんも自分で気付かない」

歩夢「はぁ……これからどうすればいいのかな」

ガチャ

彼方「おっす~」

彼方「ん?浮かない顔してどうしたのお二人さん、夫婦喧嘩でもしたのかね」

歩夢「私達は喧嘩なんかしないよ」

彼方「そうだよねぇ~あなた達が喧嘩する訳ないもんね」

彼方「となると、別の理由が?」

あなた「いやぁ、大した事じゃないよ」

歩夢「なに言ってるの、大変な思いしてるのはあなたじゃない」

彼方「イチャつくならお邪魔虫は退散するけど」

歩夢「あぁ違うの、待って彼方さん」

歩夢「彼方さんに言っても、いいよね」

あなた「……しょうがないね」



30: 名無しで叶える物語 2020/02/01(土) 22:05:49.13 ID:ncMRw0Of.net

歩夢「ーと、言う訳で」

歩夢「このままだとこの子がずっと苦しい思いをする事になるの」

彼方「ふむふむ、せつ菜ちゃんのポイズンクッキングの噂は私も聞いた事があるよ」

彼方「許せないね」

あなた「え?」

歩夢「確かにひどいとは思うけど、そこまで?」

彼方「彼方ちゃんは料理に関してはちとうるさくなるよ」

彼方「せつ菜ちゃんの料理に対する姿勢は間違ってる」

彼方「まぁここで本人もいないのに二人に話したってしょうがないよね」

彼方「明日、あなた達も交えて私からせつ菜ちゃんに話してみるよ」

あなた「それは嬉しいけど、せつ菜ちゃんの事怒って泣かせたりしちゃ嫌だよ」

彼方「あなたは優しいねぇ」

彼方「でもね、その優しさがせつ菜ちゃんの可能性を閉ざしてしまうかもしれないんだよ」

彼方「優しくするだけが友達じゃない、本音をぶつけ合ってわかり合えるのが本当の友達だよ」

あなた「本音を……ぶつけ合って」

彼方「もしそれでせつ菜ちゃんが泣いたり怒ったりするようであれば」

彼方「せつ菜ちゃんはそれまでの子だったと思うしかないね」

あなた「彼方さん、厳しいね」

彼方「彼方ちゃんもたまには、シリアスになるのだよ」

彼方「ま、とりあえず任せておきなって」

歩夢「頼りにしてるね、彼方さん」



32: 名無しで叶える物語 2020/02/01(土) 22:23:24.34 ID:ncMRw0Of.net

次の日 調理室

あなた「せつ菜ちゃんを連れてきたよ」

歩夢「調理室で話って……」

せつ菜「彼方さん、私をこんな所に呼んでどうしましたか」

彼方「ちょっとせつ菜ちゃんにお話があってね」

彼方「せつ菜ちゃん、ご飯は炊けるかな?」

せつ菜「もちろん!!何度もやった事あります」

彼方「それは結構」

彼方「ここには炊飯器もあるから、お米を研いでご飯を炊いてこの子と歩夢ちゃんにおにぎりを作ってみて」

彼方「私も作るよ、どちらがおいしく作れるか勝負といこうじゃないか」

歩夢「えぇ?」

あなた「彼方さんとせつ菜ちゃんが勝負?」

せつ菜「特待生である彼方さんとの料理対決……いいですね、燃える展開です‼」

彼方「悪いけど手加減はしないよ」

せつ菜「望むところです‼私も精一杯頑張ります‼」

歩夢「まさかこんな事になるなんて」

あなた「どうなっちゃうんだろう……」



37: 名無しで叶える物語 2020/02/01(土) 22:47:56.05 ID:ncMRw0Of.net

彼方「せつ菜ちゃんの自由に、思うようにやってもらっていいからね」

せつ菜「はい、わかりました‼」

あなた・歩夢「「えっ!?」」ドキッ

彼方「おっと、二人は口出し無用だよ」

彼方「それじゃ、勝負開始」




せつ菜「まずはお米を研ぎます」

せつ菜「お米の量は……沢山食べて欲しいのでいっぱい入れましょう」ザァーッ

歩夢(あんなに入れるの……?)

せつ菜「水も沢山入れましょう」ジャージャー

あなた(いくらなんでも多すぎるよ……)

せつ菜「あとはよく研いで……」ドプンドプン

あなた(あれ、研いでるって言うのかな……?)

せつ菜「何度か水を捨てーおっと、お米をこぼしてしまいました。まぁまだ残っているので大丈夫ですよね」

歩夢(結構こぼしたなぁ、もったいない)

せつ菜「ーこんなものでしょうかね」

あなた(まだ白い水残ってるよ)

歩夢(研ぎ足りないと思うけど口出し禁止だし……)

せつ菜「あとは最初と同じくらい水を入れて炊飯器のスイッチ、オン!!」

あなた(うわぁ……)

歩夢(ちゃんと炊き上がるのかな……?)

彼方「……」



39: 名無しで叶える物語 2020/02/01(土) 23:07:00.56 ID:ncMRw0Of.net

あなた(せつ菜ちゃんの方にばかり目がいってたけど)

歩夢(彼方さん、すごく手際よくしかも丁寧にお米研いでる。キレイ……)

あなた(お米と水の量も完璧、料理番組の先生みたいだ)




ピーピー

せつ菜「お、炊き上がりましたね」パカッ

あなた(はは、すごいなこりゃ……)

歩夢(よく炊飯器壊れなかったね……)

せつ菜「まるでおかゆのようですね、いい感じに出来ました」

せつ菜「これを握って……」ベチャベチャ

歩夢(よくあんなご飯握ってるなぁ)

あなた(指の間からご飯落っこちてるよ)

せつ菜「うまく握れない……まぁ形になればいいでしょう」

せつ菜「次はいよいよ味付けです」

せつ菜「お塩をいっぱい付けて~」

あなた(せつ菜ちゃんが付けてるのって……)

歩夢(お塩じゃなくてお砂糖、しかもあんなに……)




あなた(彼方さんの炊いたご飯……すごい)

歩夢(粒立ってる‼ツヤツヤだよ)

あなた(握り方もなんだかふんわりしてて彼方さんらしいなぁ)

歩夢(お塩、あれしか付けないんだ。あ、味見してる)

あなた(彼方さん、すごく優しい顔して握ってる)

あなた「……」

あなた(なんだろう、もしかして彼方さんが言いたい事って……)



42: 名無しで叶える物語 2020/02/01(土) 23:44:32.89 ID:ncMRw0Of.net

せつ菜「出来ました‼せつ菜特製おにぎり、完成です!!」

彼方「私のおにぎりも完成したよ」

せつ菜「ではさっそくお二人に食べていただ」

彼方「その必要はないよ」

せつ菜「え?」

あなた「彼方、さん?」

歩夢「どういう事……?」

彼方「食べてもらうまでもなく私の勝ちだよ。せつ菜ちゃん、残念だったね」

せつ菜「なぜです?なぜそんな事が?」

彼方「わからない?だからせつ菜ちゃんの料理はおいしくないんだよ」

歩夢「なっ!?」

あなた「ちょっと、彼方さん‼」



46: 名無しで叶える物語 2020/02/01(土) 23:58:34.87 ID:ncMRw0Of.net

せつ菜「おいしく、ない……?私の料理が?」

彼方「料理ってのは好きに作ってもらっても構わないよ、でもね」

彼方「基本的な手順もろくに出来ないようじゃおいしい料理なんか作れる訳ないよ」

彼方「お米と水はちゃんと計らない、研ぐ時に透明になるまできっちり研がない。挙げ句の果てにはお米をこぼす」

彼方「お米を作るのって大変なんだよ。お米をこぼした時、なんとも思わなかった?」

せつ菜「うっ、そ、それは……」

彼方「そして味見もしない、握り方も投げ出す。そんな適当に作ったおにぎり、本当においしいと思ってるの?」

せつ菜「……」

彼方「料理はテクニックじゃない、心で作るんだよ」

彼方「食べてくれる相手を想って丁寧に丁寧に作る、これこそがおいしい料理を作る秘訣」

彼方「二人共、彼方ちゃんのおにぎり食べてみて」

あなた「……おいしい‼」

歩夢「本当……こんなおいしいおにぎり初めて食べた!!」

彼方「せつ菜ちゃん、見て」

彼方「私はね、あの笑顔がみたいと思って心を込めておにぎりを握っていたんだよ」

せつ菜「……二人共、とてもいい笑顔ですね」

彼方「せつ菜ちゃんも食べてごらん」

せつ菜「……いただきます」パクッ

せつ菜「お、おいしい……彼方さんの気持ちが伝わってくるような優しい塩加減」

彼方「でしょ~せつ菜ちゃんの事を想って握ったからねぇ」

せつ菜「彼方さん……」ジワァ

せつ菜「ありがとう……ございます。私、間違っていました」

彼方「ようやく気付いたか、よかったよかった」



49: 名無しで叶える物語 2020/02/02(日) 00:26:21.81 ID:7HxzhJuV.net

数日後 お昼休み 部室

せつ菜「私、あれから彼方さんに教わって料理の勉強をしました‼」

せつ菜「見てください、彼方さんから免許皆伝をいただいた自慢のおにぎりです‼」

あなた「おぉ~これはおいしそう」

歩夢「まるで彼方さんが握ったかのようなキレイなおにぎり……」

せつ菜「ぜひ食べてみてください」

あなた「いただきま~す」パクッ

あなた「うん、ほんのり甘いけど塩味もちょうどいい感じで……」

あなた「なによりもせつ菜ちゃんの心がこもってる」

あなた「せつ菜ちゃん、このおにぎりおいしい‼おいしいよ‼」

せつ菜「本当ですか!?あぁ~嬉しいです!!」

せつ菜「沢山作ってきたのでもっと食べてくださいね」ドサッ

あなた「はは……すごい数……」

歩夢「もう、あなたったら。私もいる事忘れないでね」

歩夢「今日の卵焼きも、あなたの事を想って作ってきたんだよ。食べて」ズイッ

あなた「あ~ん」パクッ

あなた「うん、歩夢ちゃんの気持ちがいっぱい詰まってておいしいよ‼」

歩夢「うふふ、よかった」

せつ菜「歩夢さん、私にもひと口」

歩夢「それじゃ、せつ菜ちゃんのおにぎりと交換」

せつ菜「ーおいしい‼歩夢さんの愛を感じます‼」

歩夢「ー私もトラウマが上書きされるおいしさでホッとしたぁ、とってもおいしいよせつ菜ちゃん」

せつ菜「トラウマだなんて大袈裟ですね歩夢さん」

歩夢「割りと本気でトラウマになったよ?」

あなた「それが今はこんなに上達してね、すごいよせつ菜ちゃん」

アハハハハッ



彼方「ーまるで娘を嫁に出した気分だねぇ~」

彼方「料理は心で作る物、忘れてはいかんぞせつ菜ちゃん」

彼方「今日は久しぶりに遥ちゃんの好きな物でも作ってあげようかね」



50: 名無しで叶える物語 2020/02/02(日) 00:29:22.69 ID:7HxzhJuV.net

時間がかかりましたがこれで終わりです。あなたちゃんの話が浮かんだので書いてみました。時間がかかってごめんなさい。支援、最後まで読んでいただき、ありがとうございました。


元スレ
せつ菜「私のお弁当、どうですか!?」あなた「おいしい‼おいしいよ‼」