1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/05(月) 03:03:11.57 ID:OjgWiPh4O
「あっ!は、春香!」
…
どんがらがっしゃーん!
って音が聞こえてきそうだったの
机に頭ぶつけちゃったの?
大丈夫?痛くない?
「み、美希…?」
2: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/05(月) 03:05:38.95 ID:OjgWiPh4O
うーん
やっぱり、いきなり声かけたのはよくなかったかなぁ
「ごめんなさいなの。えっとね…ミキ、死んじゃったの」
「わ、分かるように説明してほしいな…」
えー、めんどくさいの
でも仕方ないかぁ
「いまから3時間くらい前かなぁ」
「う、うん」
「ミキ、死んじゃったの」
「だ、だからぁ…」
「ビルの6階くらいの高さから、ミキ、自分の身体を見下ろしてたの」
「…」
説明難しいけど頑張るの!
「何が何だかわからずにボーっとしてたら、後ろから肩を叩かれたの」
「誰に?」
「天使ちゃん」
「て、天使…ちゃん?」
天使様の方がよかったかなぁ?
でも、ミキより年下ぽかったもん
「だから天使ちゃんなの」
「輪っかは?」
「無かったの。翼も」
あー
まだ疑ってるの
時間ないのに…
「それでね、残念ながらアナタは亡くなりました。いまから12時間あげるから、大切な人たちにお別れを済ませて下さい、って」
「そ、そうなんだ」
「家族にはちゃんとお別れしてきたの」
「その次が私?」
「うん。だって春香の家遠いんだもん。先に済ませなきゃ」
「ご、ごめんね」
「平気なの。30分くらいで来れたんだよ、ビューン!って」
「飛んできたの!?」
「だってお化けだもん」
「そ、そうだよね。死んでるんだもんね」
「死んでるって言わないでほしいの…」
「あ…ごめん」
「ううん、平気なの。じゃあ春香、バイバイなの」
「えっ?もう行っちゃうの?」
「死んじゃったから、いろいろ忙しいの。ごめんなさいなの」
「そ、そうだよね。気にしないで」
「それじゃ、バイバーイ」
ミキの言ったこと、春香に伝わったかなぁ?
次は千早さんなの
どんな顔するかなぁ?
泣いちゃったりしないでほしいな
ミキ、そういうの苦手なの
なるべく明るく声かけてみよっと
「千早さーん、こんばんはなのー」
「…美希?どうやって入ってきたの?」
あっ
ノックするの忘れてたの
ま、いっか
お化けだもん
「実はね、ミキ、死んじゃったの。それでね、お別れの挨拶なの」
「私、そういう冗談大嫌いだから」
えー
ミキ、そんなに信用ないのかなぁ?
ちゃんと死んでるのに
「ホントなの!」
「じゃあ、証拠みせて」
もー、めんどくさいなぁ
ホントはあんまり見せたくないけど、仕方ないの
「じゃーん!これを見てほしいの」
「…」
「あ!ち、千早さん!」
困ったの
千早さん、気絶しちゃったの
だから見せたくなかったのに…
やっぱりショック大きいよね
バタンと仰向けに倒れて…
あれ?こっち背中?
…時間ないからメモを残しておくの
千早さんへ
胸おっきくても寝るとき苦しいだけなの
それじゃ、バイバイ
っと
よし、次はやよいなの
やよいは弟クンたちと同じ部屋だよね?
とっても入りづらいの
あっ、お風呂入ってる!
いまがチャンスなの!
「やよいー」
「えっ?」
「やーよーいー」
「み、美希さんですかぁ?」
ハズレー
正解は
「ミキのお化けさん、なの」
「え…あの…いまお風呂に……」
それくらい知ってるの
「ミキね、死んじゃったの。だからこれでバイバイなの」
「バイバイ…なんですかぁ?」
「うん、バイバイ。やよい、もっとご飯食べなきゃおっきくなれないの」
「ちゃ、ちゃんと食べてます!」
胸隠しちゃったの
胸のことじゃないんだけどなぁ
みんな気にしすぎなの
「じゃあミキ行くね。ハイ、ターッチ!」
「え、は、ハイ、ターッチ!」
「イェイ、なの」
次は…
律子…さんなの
やっぱり行かなきゃダメだよね?
後回しにしよっかなぁ
うーん…
手短に終わらせるの
「律子…さん、こんばんはなの」
「…はぁ?」
すごく怖い顔してるの
ミキ、何も悪いことしてないのに
「ちょっと、人の部屋に勝手に入ってくるなんてどういうつも」
「ごめんなさいなの、ミキ死んじゃったの、だからお別れの挨拶なの、いままでお世話になりましたサヨウナラなの!」
「あっ!ちょっと待ちなさい美希!!」
イヤなのー
ふぅ
お化けなのにすごく疲れたの
あっ、響発見なの
キョロキョロしてるけど、どうしたのかな?
「響、何してるの?」
「あ、ミキ!イヌ美が逃げ出しちゃったんだ!」
そっかぁ
一緒に捜してあげたいけど、時間がないの
「えっとね響」
「あぁ!イヌ美!こんな所にいたのか!」
「あ、ちょっと響」
「ごめんよ、自分、もうイヌ美の餌食べたりしないさー」
…食べたんだ
「美希、自分に何か用だったの?」
「あ、うん…ま、いっかぁ」
「?」
「バイバイ響。美希のこと忘れないでほしいの」
「え?よく意味がわからないぞ」
「気にしなくていいの。じゃあね」
「え、そっか。じゃあね…って、またイヌ美が逃げちゃったぞ!」
ワンちゃん、ミキのこと怖がってたの
お化けだってわかったのかなぁ
ちょっとショックなの…
「順調ですか?」
「あ!天使ちゃん」
「天使ではないのですが…」
「めんどくさいから天使ちゃんでいいの」
「そうですか。現在6時間が経過しました。残り半分です」
えぇ!もう半分なの?
ペース上げなきゃなの
「では、6時間後にお迎えに上がりますので」
よーし、真君のところに急ぐの!
「大好きハーニィー イチゴみたーいにー」
それ、ミキの曲なの
しかもすごく甘えんぼな声で歌ってる
真君、意外と女の子ちゃんなの?
「キュンキュンってーゆーのー これってうわぁ!!!」
「なぁに?」
「み、美希!いつからそこに!?」
「えっとね、曲の最初からなの」
「ぼ、ボクはその…あの…」
そんなにアタフタしたらお膝の上のヌイグルミちゃんが落ちちゃうの
「な、なんで美希がボクの部屋に!?」
「あ、そうだぁ。ミキ、死んじゃったの」
「え?え?え?」
あ、ヌイグルミ落ちちゃった
クマさんかわいそうなの
「し、死んじゃったって、えっと…つまり…」
「もう生きてない?」
「そっかぁ…って、いやいやいや!」
なんだかとっても面白いの
もう少し遊びたいけど、時間が無いの…
うーん、残念なの
「ミキね、ホントに死んじゃったの。だからこれでお別れなの」
「…」
もう
みんな同じ顔してるの
「ごめんなさいなの。時間ないからもう行くね」
「あ…うん」
「真君、すごく可愛いの。だからきっと大丈夫なの」
「へ?あ、ありがと」
「それじゃ、バイバイなの」
次は雪歩なの
怖がりだから心配だなぁ
えーっと
どこにいるのかなぁ?
あっ
自分用スタジオでダンスの練習してるの
「あうぅ…またここで失敗しちゃった…やっぱり私には向いてないのかなぁ…」
「そんなことないの」
「えっ?美希ちゃん?」
「雪歩はいっぱい頑張ってるの。だから絶対上手くなるの」
「美希ちゃん…」
あと4時間くらいかなぁ?
うーん…
ま、いっかぁ
「雪歩、いまの部分の振り付け教えてほしいの」
「う、うん。いいけど…」
…
……
………
「す、すごい美希ちゃん!一回で覚えちゃった!それに引きかえ私は…」
「比べちゃダメなの。結果的に上手くなれば覚えるスピードは関係ないの!」
「は、はい!」
「もう一回やるから、ミキの動き見てて」
「はい!」
「できましたぁ!」
「おめでとうなの!」
「ありがとう美希ちゃん!」
「気にしなくていいの」
…1時間くらい使っちゃったかな…
でも
「私でもやればできるんだぁ…」
ま、いっかぁ
「そういえば美希ちゃん、どうして私の家に?」
「えっとねぇ…雪歩が困ってそうだったから」
「え?」
「ごめんね雪歩。ミキ、もう教えてあげられないの」
「美希ちゃん?」
「もう行かなきゃなの。一緒に踊れて楽しかったの」
「う、うん。私も」
「じゃあ雪歩、おやすみなさいなの」
「…おやすみなさい美希ちゃん」
イヤだなぁ…
お化けでも涙が出そうになるんだぁ…
最後のダンス楽しかったなぁ…
時間無いのに、動きたくなくなっちゃった…
ここで海を見ながら、天使ちゃんを待ってようかな…
「美希?美希ではありませんか?」
「…貴音?」
ヤダ…
泣きそうな顔見られたくないの
「美希、あなたは…」
「な、何?」
「…亡くなったのですね?」
「えっ!?」
「悲しいことです」
「な、なんでわかるの?」
「人には、一つや百個の秘密があるものです」
「…そっか」
「あとどれほどですか?」
「何が?」
「時間です」
「3時間くらいなの」
「皆へのお別れは済ませたのですか?」
「まだ途中なの…でもなんだか疲れちゃったの。お化けなのにね…」
「行かなくては駄目です。きっと後悔しますよ?」
「うん…わかってるの…」
「…わたくしはもう行きます。らぁめん屋が閉まってしまいますから」
「え?ミキよりラーメンなの?」
「暗い顔で下を向いている美希は、美希ではありませんから。それでは」
…笑っちゃうくらい貴音らしいの
そうだよね
ミキは最後までミキらしくしてなきゃダメなの!
「貴音!ありがと!バイバイなの!!」
「フフ…さようなら、美希。またいつの日か」
気合いを入れ直して、でこちゃんのところに向かうの!
でもあのお屋敷とっても広いから、見つからないかも…
あっ、夜なのに眩しいの!
何かに光が反射して…
でこちゃんみっけ!!
「だ、誰がおでこよ!」
まだ何も言ってないの
「勝手に人の敷地内に入り込んでどういうつもり!?」
うーん
やりにくいの
「まったく非常識にも程があるわ!」
「でこ…伊織、ミキね」
「何?用があるならさっさとおっしゃい」
「伊織が好きなの」
「は、はぁ!?」
ホントだよ?
負けず嫌いなとことか
でも甘えんぼなとことか
でもでも素直になれないとことか
「ホントに好きなの」
「いや、ちょ…そ、そんなこといきなり言われても…その…」
「でもね、伊織」
「こ、今度はなによ?」
「ミキ、もう行かなきゃなの」
「ど、どこに行くつもり?」
「ミキにもよくわからないところ。たぶん、いいところだと思うの」
でも、みんなはいないの…
「帰って…来るんでしょ?」
「たぶん、無理なの…」
「ふ、ふざけないでよ!いきなりそんなこと言われても…そうだわ、水瀬グループの力を使えば何とでも」
「それでも無理だと思うの。それに」
「何よ?」
「ミキのために、おウチに頼ってほしくないの」
「…美希」
「でも、ありがとなの。ミキ、嬉しかったな」
「…バカ」
「もう行かなきゃなの」
「絶対…絶対また会いに来なさいよね!」
「うん」
「私も…その…アンタのこと嫌いじゃないんだから!」
「…ありがとなの。それじゃ、バイバイ、でこちゃん」
「またね、美希…」
でこちゃん泣いてたの
ミキが泣いてたのもバレちゃったかなぁ?
とっても恥ずかしいの…
でも頑張らなきゃ
次は社長なの
社長はまだ会社にいたの
ひょっとしたら、ミキが死んだこともう知ってるかなぁ?
「社長、こんばんはなの」
「美希君!?」
この反応は…
やっぱり知ってるみたい
「ごめんなさい社長。ミキ…ミキ死んじゃったの…」
あーあ
とうとう泣いちゃったの…
「美希君…先ほどお父さまから連絡があってね」
「…はい」
「君が亡くなったと」
「…はい」
「会いにきてくれたんだね?」
「…はい。みんなに…大切なみんなに…」
「うん…ありがとう…本当にありがとう」
「社長?どうかなさいました…」
「…小鳥君。美希君がきてくれたよ」
「…美希…ちゃん…美希ちゃん!」
「小鳥…ごめんなさいなの…」
「美希ちゃん…美希ちゃん…」
小鳥、そんなに泣いたらメイク落ちちゃうの
でも…
でも、ミキのために泣いてくれてありがとなの
ミキ、幸せ者なのかもしれないね
「社長、小鳥…ミキ、まだ行かなきゃいけないの」
「あぁ、遠慮せずに行きたまえ」
「美希ちゃん…どうか安らかに」
「いままでありがとう…いえ…本当にありがとうございました」
もう泣かないの!
絶対絶対泣かないの!!
亜美と真美ならきっと笑顔でいられるよね?
よーし!
双子のところへゴーなの!
「あ!ミキミキだよ、真美!」
「こんな時間にどしたの、ミキミキ?」
良かった、まだ起きてたの
「えっとね、ミキ、お別れを言いにきたの」
「なんで?」
「まぁまぁ亜美。最後まで話を聞こうじゃないか」
「それもそうですな、真美」
逆にやりにくいの
「えっとね…ミキ、死んじゃったの」
「…真美?」
「…亜美?」
「どうしよっか?」
「困りましたな」
ミキも困ったの
「と、とにかく、もうお別れなの」
「それで、次はいつ会えるの?」
「もう会えないの、真美」
「またまたぁ」
「亜美、ホントなの!」
うーん
最後の手段なの!
「二人とも、これを見てほしいの!」
「え!み、ミキミキ…それ…」
「ど、どうしよう亜美…」
「信じてくれた?ミキ、ホントに死んじゃったの」
「じ、じゃあ真美たちの目の前にいるのは」
「お化けなの」
「い、いやだよ!ホントにもう会えないってこと!?」
「うん。ごめんね亜美」
またしんみりしそうな空気なの…
年下の前では泣きたくないなぁ
「そうだ!ミキミキ、成仏しなきゃいいじゃん!そしたらまた会えるよ!」
「さっすが真美!天才ですな!」
そんなのイヤなの
「ごめんね2人とも。ミキ、もう行かなきゃ」
「イヤだよぅ!真美寂しいよ!」
「亜美だってイヤだよ!」
「2人とも、最後にミキが言うことをよく聞いてほしいの」
「…わかった」
「…亜美もちゃんと聞く」
「ミキね、死んじゃったからよくわかるの。どんなに大切に思ってても、ずっと一緒にはいられないの」
「…真美たちも?」
「うん…だからね…だから…」
まだ泣いちゃダメなの
最後までちゃんと伝えなきゃ
ミキ、お姉さんなんだから
「本当に大好きな相手がいたら、何をしてあげられるかを考えなきゃダメなの」
ミキはずっと貰いっぱなしだったから
「それでね、いつもその相手に対して『ありがとう』って気持ちを忘れないでいてほしいの」
ミキは気付くのが遅かったけど
「わかった、真美、ミキミキの言ったこと忘れないよ!」
「亜美も絶対忘れない!」
2人ともいい子なの
ミキ、ホントの妹みたいに思ってたんだよ?
「2人とも泣かないで。亜美と真美にはいつも笑っていてほしいの」
「ミキミキだって泣いてるじゃん…」
「亜美、それは言わなくていいの」
「…ミキ…ねえちゃん」
「…どうしたの、真美」
「…いっぱいありがとう」
「ミキの方こそ…いっぱいいっぱいありがとうなの」
2人がおっきくなって
それぞれが素敵なハニーを見つけて
お嫁さんになって子供が産まれて
その子供がいまの2人くらいの年になって
ミキのこと忘れちゃっても…
「バイバイ亜美、バイバイ真美、ずっとずっと大好きなの」
ミキ、2人に会えてよかったって、そう思えるの
やっぱり泣いちゃったの
もう
こんなのミキじゃないよ
あずさはどんな顔するかなぁ?
あらあら美希ちゃん、死んじゃったの~?
みたいな感じかなぁ?
それはそれでイヤなの
「あら~?おかしいわね~。あそこを右だったはずなんだけど…」
…迷子になってるの
ジョギングしてたのかなぁ?
しかもジャージのサイズが小さくて胸のあたりがキツキツなの
ひょっとしてワザと?
「あずさ、そっちはたぶん逆方向なの!」
「あら~美希ちゃん。こんばんは」
「こんばんはなの」
「…よかった」
「?」
「みんな生きてた」
「え?」
「さっき占いでね、『あなたの近しい人が亡くなります』って出たの…だから思いつく人みんなに電話をかけんてみたんだけど…」
「ミキだけ出なかった?」
「そうなの~。だから心配で心配で…ジョギングしてたら美希ちゃんにバッタリ会えるかな~って」
「ホントに会えたの」
「うふふ。運命かしらねぇ?」
「あずさ。ミキ、言わなきゃいけないことがあるの」
「何かしら?」
「うん…さっきの占いね…当たっちゃったの」
「え…?」
「ミキ、死んじゃったの…ホントなの」
「美希…ちゃん?」
「お別れを言うためにみんなのところを回ってるの」
「…うそ…よね?」
ホントにウソだったら良いのにな…
ミキ、いろんなことをもっと頑張れるのに
「…」
「あずさ…ごめんなさいなの…」
「美希ちゃんは…悪くないと思う…」
「うん…」
「どうして…亡くなったの?」
「車にひかれたみたいなの…あんまり覚えてないけど…」
「…痛かったでしょう?…かわいそうに…」
死んじゃってからの方がいろいろ痛いかなぁ
大切な人たちの泣いた顔を見なきゃいけないから…
「美希ちゃん…ゆっくり休んでくださいね」
「はい。あずさ、ありがとうなの」
「お盆にはちゃんと帰ってきてね?」
そういうシステムなのかなぁ?
死んだばっかりだからよくわからないの
「もう行かなきゃ…あずさ、いままでありがとうなの」
「私の方こそ。いままでありがとう、美希ちゃん」
…抱きしめられちゃったの
なんだか照れちゃうなぁ
ジャージ濡らしちゃってごめんなさいなの
でも、ちょっと泣いただけだからね?
あとはプロデューサーさんなの…
会いたくないなぁ
行きたくない、って、大声で泣いちゃいそうだもん
でも会いたいなぁ…
「星井さん…星井美希さん」
どうしよっかなぁ…
「あのー…星井美希さん」
「えっ?あ…天使ちゃん…」
「12時間が過ぎました」
「えー!まだ20分くらい残ってるはずなの!」
「いえ、残っていません」
「…ミキはこれからどうなるの?」
「私と一緒に入り口まで参ります」
「入り口?」
「はい。そこから天国へ行くか地獄へ…これはあなた方の世界での呼称ですが…とにかく、どちらへ進むのかは私ではわかりかねます」
「もう一人だけお別れを言いたい人がいるの!一番大切な人なの!」
「それならなぜ、一番最初にお別れを済まさなかったのですか?」
「それは…その…女の子はとっても複雑なの!」
「困りましたね」
「ミキの方が困ってるの!」
「ではこうしましょう。入り口へ着くまでの時間…およそ2分ほどでしょうか…あなたの言葉をその相手に飛ばしましょう」
「飛ばす?テレパシー?」
「俗な呼び方であまり好きではありませんが、まぁそうです。ただし」
「ただし?」
「一方通行です。つまり、相手の言葉はあなたには届きません」
「気持ちを伝えるだけなの?」
「そうです。では参りましょう」
「え!も、もう行くの?」
「当然です。あなたは死んでいるのですから」
「…わかったの。もう伝えても大丈夫なの?」
「えぇ、どうぞ」
…ゆっくりと身体が浮かび上がって、地面が遠くなっていく
そしてミキは、ハニーへ語りかけ始めたの
天使ちゃんに聞こえてるのもお構いなしで
プロデューサーさん…
いいえ、ハニー
聞こえてますか?
ミキです
ハニーはもう知ってるかもしれないけど、ミキ、死んじゃったの
それでね、みんなにお別れをしたんだけど、時間が足りなくてハニーのところへは行けなかったの
えっと…それでね…それで…
困ったなぁ…いっぱい伝えたいことあるのに…ちっとも頭が働かないの…
ミキね…ミキはね…
ハニーが…
ハニーが幸せになってくれることを祈ってます!
これはミキの本心なの!
素敵な女の子と出会って、2人でいっぱい幸せになってほしいの!
ミキのことは…
年に一回くらいは思い出して泣いてほしいの!
絶対忘れちゃダメだよ?
忘れたらお化けになって出てやるんだから!
ずっといい子じゃなくてごめんなさい
ミキ、子供だったから、ハニーにいっぱい迷惑かけちゃったよね?
ホントにごめんなさい
いまだって一人で変なこと言ってまたこまらせてるよね?
最後なのにごめんなさい
ミキは…ミキはね…
ハニーといるときが一番幸せでした!
怖いよハニー…
ミキ、行きたくないよ…
もっともっとみんなと一緒にいたかったよ…
ごめんね…みんなごめんね…ハニー、ごめんね…
ミキ、みんなのこと見守ってるね…
ずっとずっと幸せでいられるように、ずっとずっと見守ってるね
大好きみんな!大好きハニー!
ミキは…
とっても幸せだったの!
…
……
………
「さぁ、着きました。そしていってらっしゃい」
「うん。ありがとうなの」
「女の子は複雑なのですね」
「やっぱり聞いてたんだ」
「すみません」
「ううん、平気なの」
天使ちゃん嘘つきだね
ハニーの声、ちゃんと聞こえたよ?
「ありがとう、天使ちゃん」
「何のことでしょう?」
「フフ…何でもないの」
最後にもう一度だけ、大きな声で叫んでみたの
みんな、いっぱいありがとうなの!
って
ミキの声、ちゃんと届いたかなぁ?
ミキの大切な人たちに
それは星になったミキから、大好きなみんなへ贈った声なの
お し ま い
終わり→
貴音以降は書き溜め無しだったから、えらく時間かかってしまった
最後までお付き合いいただき感謝なの
元スレ
うーん
やっぱり、いきなり声かけたのはよくなかったかなぁ
「ごめんなさいなの。えっとね…ミキ、死んじゃったの」
「わ、分かるように説明してほしいな…」
えー、めんどくさいの
でも仕方ないかぁ
4: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/05(月) 03:08:35.89 ID:OjgWiPh4O
「いまから3時間くらい前かなぁ」
「う、うん」
「ミキ、死んじゃったの」
「だ、だからぁ…」
「ビルの6階くらいの高さから、ミキ、自分の身体を見下ろしてたの」
「…」
説明難しいけど頑張るの!
5: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/05(月) 03:11:46.02 ID:OjgWiPh4O
「何が何だかわからずにボーっとしてたら、後ろから肩を叩かれたの」
「誰に?」
「天使ちゃん」
「て、天使…ちゃん?」
天使様の方がよかったかなぁ?
でも、ミキより年下ぽかったもん
「だから天使ちゃんなの」
「輪っかは?」
「無かったの。翼も」
6: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/05(月) 03:14:13.69 ID:OjgWiPh4O
あー
まだ疑ってるの
時間ないのに…
「それでね、残念ながらアナタは亡くなりました。いまから12時間あげるから、大切な人たちにお別れを済ませて下さい、って」
「そ、そうなんだ」
「家族にはちゃんとお別れしてきたの」
7: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/05(月) 03:16:50.79 ID:OjgWiPh4O
「その次が私?」
「うん。だって春香の家遠いんだもん。先に済ませなきゃ」
「ご、ごめんね」
「平気なの。30分くらいで来れたんだよ、ビューン!って」
「飛んできたの!?」
「だってお化けだもん」
8: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/05(月) 03:20:55.77 ID:OjgWiPh4O
「そ、そうだよね。死んでるんだもんね」
「死んでるって言わないでほしいの…」
「あ…ごめん」
「ううん、平気なの。じゃあ春香、バイバイなの」
「えっ?もう行っちゃうの?」
「死んじゃったから、いろいろ忙しいの。ごめんなさいなの」
「そ、そうだよね。気にしないで」
「それじゃ、バイバーイ」
ミキの言ったこと、春香に伝わったかなぁ?
9: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/05(月) 03:24:37.12 ID:OjgWiPh4O
次は千早さんなの
どんな顔するかなぁ?
泣いちゃったりしないでほしいな
ミキ、そういうの苦手なの
なるべく明るく声かけてみよっと
「千早さーん、こんばんはなのー」
10: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/05(月) 03:30:05.39 ID:OjgWiPh4O
「…美希?どうやって入ってきたの?」
あっ
ノックするの忘れてたの
ま、いっか
お化けだもん
「実はね、ミキ、死んじゃったの。それでね、お別れの挨拶なの」
11: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/05(月) 03:32:24.16 ID:OjgWiPh4O
「私、そういう冗談大嫌いだから」
えー
ミキ、そんなに信用ないのかなぁ?
ちゃんと死んでるのに
「ホントなの!」
「じゃあ、証拠みせて」
12: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/05(月) 03:35:05.44 ID:OjgWiPh4O
もー、めんどくさいなぁ
ホントはあんまり見せたくないけど、仕方ないの
「じゃーん!これを見てほしいの」
「…」
「あ!ち、千早さん!」
13: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/05(月) 03:36:58.15 ID:OjgWiPh4O
困ったの
千早さん、気絶しちゃったの
だから見せたくなかったのに…
やっぱりショック大きいよね
バタンと仰向けに倒れて…
あれ?こっち背中?
14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/05(月) 03:39:07.44 ID:OjgWiPh4O
…時間ないからメモを残しておくの
千早さんへ
胸おっきくても寝るとき苦しいだけなの
それじゃ、バイバイ
っと
よし、次はやよいなの
15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/05(月) 03:46:37.26 ID:OjgWiPh4O
やよいは弟クンたちと同じ部屋だよね?
とっても入りづらいの
あっ、お風呂入ってる!
いまがチャンスなの!
「やよいー」
「えっ?」
17: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/05(月) 03:52:54.72 ID:OjgWiPh4O
「やーよーいー」
「み、美希さんですかぁ?」
ハズレー
正解は
「ミキのお化けさん、なの」
「え…あの…いまお風呂に……」
それくらい知ってるの
18: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/05(月) 03:55:20.55 ID:OjgWiPh4O
「ミキね、死んじゃったの。だからこれでバイバイなの」
「バイバイ…なんですかぁ?」
「うん、バイバイ。やよい、もっとご飯食べなきゃおっきくなれないの」
「ちゃ、ちゃんと食べてます!」
胸隠しちゃったの
20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/05(月) 03:57:44.80 ID:OjgWiPh4O
胸のことじゃないんだけどなぁ
みんな気にしすぎなの
「じゃあミキ行くね。ハイ、ターッチ!」
「え、は、ハイ、ターッチ!」
「イェイ、なの」
21: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/05(月) 03:59:54.41 ID:OjgWiPh4O
次は…
律子…さんなの
やっぱり行かなきゃダメだよね?
後回しにしよっかなぁ
うーん…
手短に終わらせるの
22: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/05(月) 04:04:05.50 ID:OjgWiPh4O
「律子…さん、こんばんはなの」
「…はぁ?」
すごく怖い顔してるの
ミキ、何も悪いことしてないのに
「ちょっと、人の部屋に勝手に入ってくるなんてどういうつも」
「ごめんなさいなの、ミキ死んじゃったの、だからお別れの挨拶なの、いままでお世話になりましたサヨウナラなの!」
「あっ!ちょっと待ちなさい美希!!」
イヤなのー
24: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/05(月) 04:05:56.10 ID:OjgWiPh4O
ふぅ
お化けなのにすごく疲れたの
あっ、響発見なの
キョロキョロしてるけど、どうしたのかな?
「響、何してるの?」
26: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/05(月) 04:10:59.73 ID:OjgWiPh4O
「あ、ミキ!イヌ美が逃げ出しちゃったんだ!」
そっかぁ
一緒に捜してあげたいけど、時間がないの
「えっとね響」
「あぁ!イヌ美!こんな所にいたのか!」
「あ、ちょっと響」
「ごめんよ、自分、もうイヌ美の餌食べたりしないさー」
…食べたんだ
27: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/05(月) 04:14:41.42 ID:OjgWiPh4O
「美希、自分に何か用だったの?」
「あ、うん…ま、いっかぁ」
「?」
「バイバイ響。美希のこと忘れないでほしいの」
「え?よく意味がわからないぞ」
「気にしなくていいの。じゃあね」
「え、そっか。じゃあね…って、またイヌ美が逃げちゃったぞ!」
30: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/05(月) 04:16:21.33 ID:OjgWiPh4O
ワンちゃん、ミキのこと怖がってたの
お化けだってわかったのかなぁ
ちょっとショックなの…
「順調ですか?」
「あ!天使ちゃん」
31: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/05(月) 04:19:07.70 ID:OjgWiPh4O
「天使ではないのですが…」
「めんどくさいから天使ちゃんでいいの」
「そうですか。現在6時間が経過しました。残り半分です」
えぇ!もう半分なの?
ペース上げなきゃなの
「では、6時間後にお迎えに上がりますので」
よーし、真君のところに急ぐの!
32: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/05(月) 04:22:39.68 ID:OjgWiPh4O
「大好きハーニィー イチゴみたーいにー」
それ、ミキの曲なの
しかもすごく甘えんぼな声で歌ってる
真君、意外と女の子ちゃんなの?
「キュンキュンってーゆーのー これってうわぁ!!!」
33: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/05(月) 04:25:48.23 ID:OjgWiPh4O
「なぁに?」
「み、美希!いつからそこに!?」
「えっとね、曲の最初からなの」
「ぼ、ボクはその…あの…」
そんなにアタフタしたらお膝の上のヌイグルミちゃんが落ちちゃうの
「な、なんで美希がボクの部屋に!?」
「あ、そうだぁ。ミキ、死んじゃったの」
36: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/05(月) 04:28:30.73 ID:OjgWiPh4O
「え?え?え?」
あ、ヌイグルミ落ちちゃった
クマさんかわいそうなの
「し、死んじゃったって、えっと…つまり…」
「もう生きてない?」
「そっかぁ…って、いやいやいや!」
なんだかとっても面白いの
39: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/05(月) 04:31:20.04 ID:OjgWiPh4O
もう少し遊びたいけど、時間が無いの…
うーん、残念なの
「ミキね、ホントに死んじゃったの。だからこれでお別れなの」
「…」
もう
みんな同じ顔してるの
41: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/05(月) 04:33:34.35 ID:OjgWiPh4O
「ごめんなさいなの。時間ないからもう行くね」
「あ…うん」
「真君、すごく可愛いの。だからきっと大丈夫なの」
「へ?あ、ありがと」
「それじゃ、バイバイなの」
48: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/05(月) 05:02:26.73 ID:OjgWiPh4O
次は雪歩なの
怖がりだから心配だなぁ
えーっと
どこにいるのかなぁ?
あっ
自分用スタジオでダンスの練習してるの
50: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/05(月) 05:04:42.39 ID:OjgWiPh4O
「あうぅ…またここで失敗しちゃった…やっぱり私には向いてないのかなぁ…」
「そんなことないの」
「えっ?美希ちゃん?」
「雪歩はいっぱい頑張ってるの。だから絶対上手くなるの」
「美希ちゃん…」
51: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/05(月) 05:06:36.97 ID:OjgWiPh4O
あと4時間くらいかなぁ?
うーん…
ま、いっかぁ
「雪歩、いまの部分の振り付け教えてほしいの」
「う、うん。いいけど…」
…
……
………
52: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/05(月) 05:09:40.21 ID:OjgWiPh4O
「す、すごい美希ちゃん!一回で覚えちゃった!それに引きかえ私は…」
「比べちゃダメなの。結果的に上手くなれば覚えるスピードは関係ないの!」
「は、はい!」
「もう一回やるから、ミキの動き見てて」
「はい!」
53: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/05(月) 05:12:20.58 ID:OjgWiPh4O
「できましたぁ!」
「おめでとうなの!」
「ありがとう美希ちゃん!」
「気にしなくていいの」
…1時間くらい使っちゃったかな…
でも
「私でもやればできるんだぁ…」
ま、いっかぁ
55: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/05(月) 05:16:03.80 ID:OjgWiPh4O
「そういえば美希ちゃん、どうして私の家に?」
「えっとねぇ…雪歩が困ってそうだったから」
「え?」
「ごめんね雪歩。ミキ、もう教えてあげられないの」
「美希ちゃん?」
「もう行かなきゃなの。一緒に踊れて楽しかったの」
「う、うん。私も」
「じゃあ雪歩、おやすみなさいなの」
「…おやすみなさい美希ちゃん」
56: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/05(月) 05:19:16.51 ID:OjgWiPh4O
イヤだなぁ…
お化けでも涙が出そうになるんだぁ…
最後のダンス楽しかったなぁ…
時間無いのに、動きたくなくなっちゃった…
ここで海を見ながら、天使ちゃんを待ってようかな…
「美希?美希ではありませんか?」
「…貴音?」
58: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/05(月) 05:21:09.75 ID:OjgWiPh4O
ヤダ…
泣きそうな顔見られたくないの
「美希、あなたは…」
「な、何?」
「…亡くなったのですね?」
「えっ!?」
61: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/05(月) 05:23:22.25 ID:OjgWiPh4O
「悲しいことです」
「な、なんでわかるの?」
「人には、一つや百個の秘密があるものです」
「…そっか」
「あとどれほどですか?」
「何が?」
「時間です」
63: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/05(月) 05:27:18.84 ID:OjgWiPh4O
「3時間くらいなの」
「皆へのお別れは済ませたのですか?」
「まだ途中なの…でもなんだか疲れちゃったの。お化けなのにね…」
「行かなくては駄目です。きっと後悔しますよ?」
「うん…わかってるの…」
「…わたくしはもう行きます。らぁめん屋が閉まってしまいますから」
「え?ミキよりラーメンなの?」
65: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/05(月) 05:30:53.03 ID:OjgWiPh4O
「暗い顔で下を向いている美希は、美希ではありませんから。それでは」
…笑っちゃうくらい貴音らしいの
そうだよね
ミキは最後までミキらしくしてなきゃダメなの!
「貴音!ありがと!バイバイなの!!」
「フフ…さようなら、美希。またいつの日か」
67: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/05(月) 05:35:39.27 ID:OjgWiPh4O
気合いを入れ直して、でこちゃんのところに向かうの!
でもあのお屋敷とっても広いから、見つからないかも…
あっ、夜なのに眩しいの!
何かに光が反射して…
でこちゃんみっけ!!
68: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/05(月) 05:40:37.50 ID:OjgWiPh4O
「だ、誰がおでこよ!」
まだ何も言ってないの
「勝手に人の敷地内に入り込んでどういうつもり!?」
うーん
やりにくいの
「まったく非常識にも程があるわ!」
「でこ…伊織、ミキね」
「何?用があるならさっさとおっしゃい」
「伊織が好きなの」
「は、はぁ!?」
69: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/05(月) 05:44:38.62 ID:OjgWiPh4O
ホントだよ?
負けず嫌いなとことか
でも甘えんぼなとことか
でもでも素直になれないとことか
「ホントに好きなの」
「いや、ちょ…そ、そんなこといきなり言われても…その…」
「でもね、伊織」
「こ、今度はなによ?」
「ミキ、もう行かなきゃなの」
70: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/05(月) 05:50:13.94 ID:OjgWiPh4O
「ど、どこに行くつもり?」
「ミキにもよくわからないところ。たぶん、いいところだと思うの」
でも、みんなはいないの…
「帰って…来るんでしょ?」
「たぶん、無理なの…」
「ふ、ふざけないでよ!いきなりそんなこと言われても…そうだわ、水瀬グループの力を使えば何とでも」
「それでも無理だと思うの。それに」
「何よ?」
73: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/05(月) 05:55:03.28 ID:OjgWiPh4O
「ミキのために、おウチに頼ってほしくないの」
「…美希」
「でも、ありがとなの。ミキ、嬉しかったな」
「…バカ」
「もう行かなきゃなの」
「絶対…絶対また会いに来なさいよね!」
「うん」
「私も…その…アンタのこと嫌いじゃないんだから!」
「…ありがとなの。それじゃ、バイバイ、でこちゃん」
「またね、美希…」
74: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/05(月) 05:58:15.17 ID:OjgWiPh4O
でこちゃん泣いてたの
ミキが泣いてたのもバレちゃったかなぁ?
とっても恥ずかしいの…
でも頑張らなきゃ
次は社長なの
78: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/05(月) 06:04:54.87 ID:OjgWiPh4O
社長はまだ会社にいたの
ひょっとしたら、ミキが死んだこともう知ってるかなぁ?
「社長、こんばんはなの」
「美希君!?」
この反応は…
やっぱり知ってるみたい
「ごめんなさい社長。ミキ…ミキ死んじゃったの…」
あーあ
とうとう泣いちゃったの…
79: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/05(月) 06:09:22.46 ID:OjgWiPh4O
「美希君…先ほどお父さまから連絡があってね」
「…はい」
「君が亡くなったと」
「…はい」
「会いにきてくれたんだね?」
「…はい。みんなに…大切なみんなに…」
「うん…ありがとう…本当にありがとう」
「社長?どうかなさいました…」
「…小鳥君。美希君がきてくれたよ」
「…美希…ちゃん…美希ちゃん!」
82: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/05(月) 06:15:16.27 ID:OjgWiPh4O
「小鳥…ごめんなさいなの…」
「美希ちゃん…美希ちゃん…」
小鳥、そんなに泣いたらメイク落ちちゃうの
でも…
でも、ミキのために泣いてくれてありがとなの
ミキ、幸せ者なのかもしれないね
「社長、小鳥…ミキ、まだ行かなきゃいけないの」
「あぁ、遠慮せずに行きたまえ」
「美希ちゃん…どうか安らかに」
「いままでありがとう…いえ…本当にありがとうございました」
84: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/05(月) 06:19:01.45 ID:OjgWiPh4O
もう泣かないの!
絶対絶対泣かないの!!
亜美と真美ならきっと笑顔でいられるよね?
よーし!
双子のところへゴーなの!
85: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/05(月) 06:22:48.77 ID:OjgWiPh4O
「あ!ミキミキだよ、真美!」
「こんな時間にどしたの、ミキミキ?」
良かった、まだ起きてたの
「えっとね、ミキ、お別れを言いにきたの」
「なんで?」
「まぁまぁ亜美。最後まで話を聞こうじゃないか」
「それもそうですな、真美」
逆にやりにくいの
86: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/05(月) 06:26:07.75 ID:OjgWiPh4O
「えっとね…ミキ、死んじゃったの」
「…真美?」
「…亜美?」
「どうしよっか?」
「困りましたな」
ミキも困ったの
88: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/05(月) 06:30:21.57 ID:OjgWiPh4O
「と、とにかく、もうお別れなの」
「それで、次はいつ会えるの?」
「もう会えないの、真美」
「またまたぁ」
「亜美、ホントなの!」
うーん
最後の手段なの!
「二人とも、これを見てほしいの!」
89: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/05(月) 06:33:44.78 ID:OjgWiPh4O
「え!み、ミキミキ…それ…」
「ど、どうしよう亜美…」
「信じてくれた?ミキ、ホントに死んじゃったの」
「じ、じゃあ真美たちの目の前にいるのは」
「お化けなの」
「い、いやだよ!ホントにもう会えないってこと!?」
「うん。ごめんね亜美」
91: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/05(月) 06:36:38.67 ID:OjgWiPh4O
またしんみりしそうな空気なの…
年下の前では泣きたくないなぁ
「そうだ!ミキミキ、成仏しなきゃいいじゃん!そしたらまた会えるよ!」
「さっすが真美!天才ですな!」
そんなのイヤなの
92: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/05(月) 06:40:50.64 ID:OjgWiPh4O
「ごめんね2人とも。ミキ、もう行かなきゃ」
「イヤだよぅ!真美寂しいよ!」
「亜美だってイヤだよ!」
「2人とも、最後にミキが言うことをよく聞いてほしいの」
「…わかった」
「…亜美もちゃんと聞く」
93: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/05(月) 06:44:36.82 ID:OjgWiPh4O
「ミキね、死んじゃったからよくわかるの。どんなに大切に思ってても、ずっと一緒にはいられないの」
「…真美たちも?」
「うん…だからね…だから…」
まだ泣いちゃダメなの
最後までちゃんと伝えなきゃ
ミキ、お姉さんなんだから
94: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/05(月) 06:52:19.95 ID:OjgWiPh4O
「本当に大好きな相手がいたら、何をしてあげられるかを考えなきゃダメなの」
ミキはずっと貰いっぱなしだったから
「それでね、いつもその相手に対して『ありがとう』って気持ちを忘れないでいてほしいの」
ミキは気付くのが遅かったけど
「わかった、真美、ミキミキの言ったこと忘れないよ!」
「亜美も絶対忘れない!」
2人ともいい子なの
ミキ、ホントの妹みたいに思ってたんだよ?
96: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/05(月) 06:56:52.66 ID:OjgWiPh4O
「2人とも泣かないで。亜美と真美にはいつも笑っていてほしいの」
「ミキミキだって泣いてるじゃん…」
「亜美、それは言わなくていいの」
「…ミキ…ねえちゃん」
「…どうしたの、真美」
「…いっぱいありがとう」
「ミキの方こそ…いっぱいいっぱいありがとうなの」
97: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/05(月) 07:02:01.52 ID:OjgWiPh4O
2人がおっきくなって
それぞれが素敵なハニーを見つけて
お嫁さんになって子供が産まれて
その子供がいまの2人くらいの年になって
ミキのこと忘れちゃっても…
「バイバイ亜美、バイバイ真美、ずっとずっと大好きなの」
ミキ、2人に会えてよかったって、そう思えるの
98: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/05(月) 07:04:58.03 ID:OjgWiPh4O
やっぱり泣いちゃったの
もう
こんなのミキじゃないよ
あずさはどんな顔するかなぁ?
あらあら美希ちゃん、死んじゃったの~?
みたいな感じかなぁ?
それはそれでイヤなの
100: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/05(月) 07:09:28.05 ID:OjgWiPh4O
「あら~?おかしいわね~。あそこを右だったはずなんだけど…」
…迷子になってるの
ジョギングしてたのかなぁ?
しかもジャージのサイズが小さくて胸のあたりがキツキツなの
ひょっとしてワザと?
101: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/05(月) 07:11:23.08 ID:OjgWiPh4O
「あずさ、そっちはたぶん逆方向なの!」
「あら~美希ちゃん。こんばんは」
「こんばんはなの」
「…よかった」
「?」
「みんな生きてた」
「え?」
102: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/05(月) 07:16:32.99 ID:OjgWiPh4O
「さっき占いでね、『あなたの近しい人が亡くなります』って出たの…だから思いつく人みんなに電話をかけんてみたんだけど…」
「ミキだけ出なかった?」
「そうなの~。だから心配で心配で…ジョギングしてたら美希ちゃんにバッタリ会えるかな~って」
「ホントに会えたの」
「うふふ。運命かしらねぇ?」
「あずさ。ミキ、言わなきゃいけないことがあるの」
103: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/05(月) 07:20:20.73 ID:OjgWiPh4O
「何かしら?」
「うん…さっきの占いね…当たっちゃったの」
「え…?」
「ミキ、死んじゃったの…ホントなの」
「美希…ちゃん?」
「お別れを言うためにみんなのところを回ってるの」
「…うそ…よね?」
ホントにウソだったら良いのにな…
ミキ、いろんなことをもっと頑張れるのに
105: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/05(月) 07:25:36.39 ID:OjgWiPh4O
「…」
「あずさ…ごめんなさいなの…」
「美希ちゃんは…悪くないと思う…」
「うん…」
「どうして…亡くなったの?」
「車にひかれたみたいなの…あんまり覚えてないけど…」
「…痛かったでしょう?…かわいそうに…」
死んじゃってからの方がいろいろ痛いかなぁ
大切な人たちの泣いた顔を見なきゃいけないから…
106: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/05(月) 07:31:56.93 ID:OjgWiPh4O
「美希ちゃん…ゆっくり休んでくださいね」
「はい。あずさ、ありがとうなの」
「お盆にはちゃんと帰ってきてね?」
そういうシステムなのかなぁ?
死んだばっかりだからよくわからないの
「もう行かなきゃ…あずさ、いままでありがとうなの」
「私の方こそ。いままでありがとう、美希ちゃん」
…抱きしめられちゃったの
なんだか照れちゃうなぁ
ジャージ濡らしちゃってごめんなさいなの
でも、ちょっと泣いただけだからね?
110: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/05(月) 07:37:03.66 ID:OjgWiPh4O
あとはプロデューサーさんなの…
会いたくないなぁ
行きたくない、って、大声で泣いちゃいそうだもん
でも会いたいなぁ…
「星井さん…星井美希さん」
どうしよっかなぁ…
「あのー…星井美希さん」
「えっ?あ…天使ちゃん…」
「12時間が過ぎました」
112: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/05(月) 07:43:00.92 ID:OjgWiPh4O
「えー!まだ20分くらい残ってるはずなの!」
「いえ、残っていません」
「…ミキはこれからどうなるの?」
「私と一緒に入り口まで参ります」
「入り口?」
「はい。そこから天国へ行くか地獄へ…これはあなた方の世界での呼称ですが…とにかく、どちらへ進むのかは私ではわかりかねます」
「もう一人だけお別れを言いたい人がいるの!一番大切な人なの!」
「それならなぜ、一番最初にお別れを済まさなかったのですか?」
「それは…その…女の子はとっても複雑なの!」
116: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/05(月) 07:47:31.18 ID:OjgWiPh4O
「困りましたね」
「ミキの方が困ってるの!」
「ではこうしましょう。入り口へ着くまでの時間…およそ2分ほどでしょうか…あなたの言葉をその相手に飛ばしましょう」
「飛ばす?テレパシー?」
「俗な呼び方であまり好きではありませんが、まぁそうです。ただし」
「ただし?」
「一方通行です。つまり、相手の言葉はあなたには届きません」
「気持ちを伝えるだけなの?」
「そうです。では参りましょう」
「え!も、もう行くの?」
118: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/05(月) 07:52:18.44 ID:OjgWiPh4O
「当然です。あなたは死んでいるのですから」
「…わかったの。もう伝えても大丈夫なの?」
「えぇ、どうぞ」
…ゆっくりと身体が浮かび上がって、地面が遠くなっていく
そしてミキは、ハニーへ語りかけ始めたの
天使ちゃんに聞こえてるのもお構いなしで
122: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/05(月) 08:02:22.41 ID:OjgWiPh4O
プロデューサーさん…
いいえ、ハニー
聞こえてますか?
ミキです
ハニーはもう知ってるかもしれないけど、ミキ、死んじゃったの
それでね、みんなにお別れをしたんだけど、時間が足りなくてハニーのところへは行けなかったの
えっと…それでね…それで…
困ったなぁ…いっぱい伝えたいことあるのに…ちっとも頭が働かないの…
ミキね…ミキはね…
ハニーが…
ハニーが幸せになってくれることを祈ってます!
これはミキの本心なの!
素敵な女の子と出会って、2人でいっぱい幸せになってほしいの!
ミキのことは…
年に一回くらいは思い出して泣いてほしいの!
絶対忘れちゃダメだよ?
忘れたらお化けになって出てやるんだから!
124: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/05(月) 08:09:42.77 ID:OjgWiPh4O
ずっといい子じゃなくてごめんなさい
ミキ、子供だったから、ハニーにいっぱい迷惑かけちゃったよね?
ホントにごめんなさい
いまだって一人で変なこと言ってまたこまらせてるよね?
最後なのにごめんなさい
ミキは…ミキはね…
ハニーといるときが一番幸せでした!
怖いよハニー…
ミキ、行きたくないよ…
もっともっとみんなと一緒にいたかったよ…
ごめんね…みんなごめんね…ハニー、ごめんね…
ミキ、みんなのこと見守ってるね…
ずっとずっと幸せでいられるように、ずっとずっと見守ってるね
126: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/05(月) 08:20:43.35 ID:OjgWiPh4O
大好きみんな!大好きハニー!
ミキは…
とっても幸せだったの!
…
……
………
128: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/05(月) 08:23:43.30 ID:OjgWiPh4O
「さぁ、着きました。そしていってらっしゃい」
「うん。ありがとうなの」
「女の子は複雑なのですね」
「やっぱり聞いてたんだ」
「すみません」
「ううん、平気なの」
天使ちゃん嘘つきだね
ハニーの声、ちゃんと聞こえたよ?
「ありがとう、天使ちゃん」
「何のことでしょう?」
「フフ…何でもないの」
133: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/05(月) 08:31:14.16 ID:OjgWiPh4O
最後にもう一度だけ、大きな声で叫んでみたの
みんな、いっぱいありがとうなの!
って
ミキの声、ちゃんと届いたかなぁ?
ミキの大切な人たちに
それは星になったミキから、大好きなみんなへ贈った声なの
お し ま い
135: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/05(月) 08:33:32.94 ID:OjgWiPh4O
終わり→
貴音以降は書き溜め無しだったから、えらく時間かかってしまった
最後までお付き合いいただき感謝なの
「ミキ、死んじゃったの」