1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/21(土) 22:58:29.38 ID:nsGR5ToB0


 それは、ほむらちゃんの何気ない一言から始まった、とても壮大で、
どうしようもなくくだらないある日の出来事でした。

 窓から透ける午前中の太陽に包まれながら、私はほむらちゃんと私の部屋でくつろいでいました。
 ワルプルギスの夜を倒し、以前よりは頑張る量が減ったほむらちゃんは、少し気が抜けてしまったのでしょう。
クールさというか、かっこよさというか、そういうものが薄れて……
なんて言ったらいいのかな。

うん、まるで猫のようないじらしさを感じるゆるやかな雰囲気になっていました。
 その証拠に、今も私のベッドに、だらんと伸びきった状態で寝転んでいます。
このままだと、バターみたいに溶けていってしまいそうで、私はなんだか不安に感じていました。




3: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/21(土) 23:00:09.64 ID:nsGR5ToB0


「ほむらちゃん、ほむらちゃん」

 私は二度ほむらちゃんの名前を呼び、その華奢な身体をゆさゆさと揺らしました。
その振動につられて、サラサラな髪がすべるようにお布団に広がります。

「うーん……」

うつ伏せの状態のまま、ほむらちゃんが唸りました。

「ほむらちゃん、ほむらちゃん。せっかく遊びにきてくれたのに、何もしないで眠っちゃうの?」

私のその問いかけに、ほむらちゃんがピクリと反応して、

「私の横は空いているわよ」

と、姿勢には似つかわしくない整った顔で言いました。
ポンポンと叩かれる布団から、埃が舞い上がります。

「もーう、早く起きないと私さやかちゃんと遊びに行くからね!」

言い終わるか否かの内に、すでにほむらちゃんは立ち上がっていました。
本当に、猫みたい。素早い。





5: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/21(土) 23:01:36.36 ID:nsGR5ToB0


 少しシワになった服を、ほむらちゃんが両手で伸ばしています。
私はほんの少しだけ呆れながら、その様子を眺めていました。

 すると、突然ほむらちゃんに異変が起き始めたのです。
ワナワナと震える肩、必死な顔、流れる汗。
一体何が起こったのか。
私は慌てながらも、懸命にその原因を目で探りました。

すると、ある一つの事実が浮かび上がってきたのです。
そして、その私の疑惑は、次のほむらちゃんの一言により、確かなものに変わったのでした。

「おっぱいが……ない……」

ゆっくりと顔をあげながら、ほむらちゃんが静かに呟きました。

窓の外からは穏やかな小鳥の鳴き声、そして響く子供達の遊ぶ音。
時刻は午前11時を回ったところでした。





7: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/21(土) 23:02:44.26 ID:nsGR5ToB0


 両胸に両手を重ねたまま、ほむらちゃんが言いました。

「まどか……大変なことが起こったわ。落ち着いて聞いてちょうだい」

そのただならぬ雰囲気に、私はゴクリと喉を鳴らしました。
ほむらちゃんの目は不安そうに見開き、今にも泣き出しそうなのです。

「う、うん……どうしたの? 何があったの?」

私のその問いかけに、ほむらちゃんが鬼気迫る勢いで答えます。

「何もないのよ!」

呆気にとられました。
ほむらちゃんには何もなかったのです。
何かがあったことにより、その胸に何も無くなってしまったのです。
驚いたなぁ、と思いました。




9: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/21(土) 23:04:22.25 ID:nsGR5ToB0



「ほ、ほんと、なの? 間違いじゃ……なくて?」

「ええ……確かめてみる?」

「えっ!?」

思わず声が出てしまいました。
急に、首筋にひやっとしたものが走るのがわかります。

「だ、だって……それって」

ドクドクと心臓が高鳴ります。
皮膚の表面に、薄い汗がにじんできました。

 そんな中で、私がオドオドとほむらちゃんを見つめると、ほむらちゃんは何かを決心したように、
コクリと一度だけ頷きました。

まるで、「こちらの準備は整ったから」とでも言うように。



10: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/21(土) 23:05:49.50 ID:nsGR5ToB0



「む、無理、無理無理! 無理だよ!」

必死に叫びました。

だって、そうだよね?
ほむらちゃんのおっぱいが無くなったことを確かめるってことは、
それはつまりほむらちゃんのおっぱいを揉んでその感触を確かめるってことであって……。
あ、でもほむらちゃんには今おっぱいが無いんだから、その感触を確かめることにはならなくて……。
ってあれ? だったらいいのかな?
……いやいや! そこには昔確かにおっぱいがあったんだから!
つまり実際には揉まなくてもなんだか雰囲気はそんな感じになっちゃう訳であって……。
ということはほむらちゃんのバーチャルおっぱいを揉みながら変な空気になる可能性も十分あるわけであって……。
それは個人的には避けたいし……でもほむらちゃんは困ってるし、一体私はどうしたら……。
と、私が悩みに悩んでいると、ほむらちゃんが見兼ねたのか、その重い口を開きました。

「まどか、落ち着いて。申し訳なかったわね、突然こんなことを言って」







11: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/21(土) 23:06:45.82 ID:nsGR5ToB0



ほむらちゃんのその言葉に、私は必死に両手を振りました。

「う、ううん! だ、だって、ほむらちゃんが困ってるんだし……」

「……そうね」

ほむらちゃんが俯いて言います。

「できれば揉んでくれると助かるわ」

と同時に、ファサッと髪をかきあげました。

 今になって考えてみると、ほむらちゃんすごいこと言ってるなぁと思います。
このタイミングは普通引き下がるとこだよねと。よく追い打ちかけたねと。
でもこの時は、本当に気が動転しちゃって、何がなんだか分からなくて、
私は思わず頷いてしまうのでした。

時刻は11時半。
遊んでいた子供達が一度帰宅して、ご飯を食べる時間です。





13: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/21(土) 23:07:48.30 ID:nsGR5ToB0



 午後の太陽にほんのり当てられながら、私とほむらちゃんが向き合っています。
ほむらちゃんは手を後ろに組み、少し恥ずかしそうに絨毯を見つめています。
私はどうしたらいいのか分からずに、ただ手を出したり引っ込めたり、
戸惑うばかり。

 太陽が雲に隠れ、部屋が徐々に徐々に薄暗くなっていきます。
そうして、ちょうど部屋の光が吸収されたタイミングで、ほむらちゃんがささやきました。

「……きて」

私はほむらちゃんをしっかりと見据えながら、ゆっくりと手を伸ばしました。

「触るね……ほむらちゃん」





14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/21(土) 23:08:32.62 ID:nsGR5ToB0



 ほむらちゃんの右側の胸に、私の右手が重なります。
その感触はまだ分からないけれど、なんだかとても暖かくて、
その下にあるほむらちゃんの心臓も静かに揺れていて、
私の心はひどく落ち着きました。

その心境の変化が、私を次のステップへと誘ってくれました。

「これはほむらちゃんのためなんだよね」と、冷静に考えることができたからです。

「ほむらちゃん……いい?」

私のその言葉に、ほむらちゃんはゆっくりと頷きました。






17: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/21(土) 23:10:47.60 ID:nsGR5ToB0



ふにっ。

「あ……柔らかい」

私の右手の親指から小指に伝わるその感触は、紛れも無くおっぱいでした。
バーチャルでもなんでもなく、リアルなおっぱいでした。
バーチャルリアリティっぱいです。
略してチャリティです。

 そう、これは慈善活動なんだとそう思い込みました。
ほむらちゃんのイタズラに、私はただ付き合ってあげただけなんだと。
おっぱいが無くなったなんて言って、私を騙そうとするほむらちゃんに、
私はただ騙されてあげただけなのだと。
そう思うことにしたのです。
というか、そう思わざるを得なかったのです。

 今のこの私の醜態を、まんまとほむらちゃんに騙されたこの私を、
ほむらちゃんは一体どんな顔で見ているのだろう。
そう思って、私はその顔を確かめました。






18: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/21(土) 23:11:49.56 ID:nsGR5ToB0


まるで聖母のようでした。
さっきまで雲に隠れていた恥ずかしがり屋の太陽さんも、ほむらちゃんを照らす為に顔を出して、
そのできる限りのエネルギーで、ほむらちゃんを神々しく輝かせていました。

「これが私たちの遊びよ……まどか」

そして、ほむらちゃんは暖かい微笑みを浮かべ、その両手で私を優しく包もうとしました。

が、私はその両手を払いのけ、光の速さでさやかちゃんに電話をして、矢の如くその部屋を後にしました。
その日、さやかちゃんとは一緒にランチを食べて、
ウィンドウショッピングのつもりがついつい衝動買いしちゃったりして、とても楽しく有意義な時間を過ごしました。
 後日、ほむらちゃんがおいおい泣きながら私に手紙を渡してきたのは言うまでもありません。

終わり。




19: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/21(土) 23:12:36.65 ID:nsGR5ToB0

はぁ楽しかった。
ありがとうございました


元スレ
ほむら「誰か私のおっぱい知らない?」