1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/17(土) 02:41:35.78 ID:OjgzkZJg0
貴音「……ふむ、今宵も月が綺麗ですね」
貴音「……あれは、もしや」
貴音「何をしているのですか、星井美希」
美希「あ、貴音」
貴音「珍しいですね。あなたがこのように夜に出歩いているなど」
美希「うん、ミキもそう思うな」
2: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/17(土) 02:42:06.67 ID:OjgzkZJg0
貴音「あなたはここで何をしているのですか」
美希「んー、何もしてないの。ただ、ぼーっと花を見てただけなの」
貴音「花を、ですか」
美希「そうなの。見て、この向日葵」
貴音「夜の向日葵、ですか。確かにある意味では風情があるというもの」
美希「風情とか、ミキはそういうのわかんないよ」
貴音「では何故に夜に向日葵などを」
美希「意味なんてないの。ただ、夜にも向日葵はあるんだなぁーって、それだけ」
貴音「それはどういう意味でしょうか」
美希「だから意味なんてないよ? ミキ、なんにも考えてないの」
貴音「そうですか。では、月を見上げてみてはいかがでしょうか?」
美希「んー、興味ないの」
貴音「そうですか」
美希「貴音はどうして月を見るの?」
貴音「やはりそれは、綺麗で優雅であり、また懐かしいからですよ」
美希「懐かしい? どうして?」
貴音「故郷を思い出すから、とでも言っておきましょうか」
美希「そうなんだ。ふるさとって良い響きなの」
貴音「ええ。今はまだ帰られぬ身、いずれとっぷあいどるとして成就した暁には」
美希「すごいね。ミキだったらすぐに家に帰ってると思うもん」
貴音「あの、まだ話は途中で」
美希「……あ、すごいの」
貴音「あの、もし?……まぁ、よいでしょう。ところで何がすごいのでしょうか」
美希「見て、月が綺麗なの」
貴音「ですから、それは先ほど私が」
美希「綺麗だけど……とっても寂しいって、ミキ的には思うな」
貴音「……寂しいと?」
美希「だって、あんなに暗いお空に一つだけなんだよ?」
貴音「言われてみると、確かにそう思えなくともないですね」
美希「貴音もそう思う?」
貴音「いいえ、わたくしはそうは思いません」
美希「どうして?」
貴音「月はわたくし達の近くにあるからですよ」
美希「そんなことないの。月はお空の上でずっと遠いところに位置してるよ?」
貴音「ふふ。星井美希、空が、月が遠すぎるのはわたくし達がそう思っているからですよ」
貴音「でなければすべては遠いのです。絶対に手が届かない存在に過ぎなくなるのです」
美希「ミキ、貴音が何を言いたいのかわからないの」
貴音「簡単に説明するならば、遠いと思うから遠いのです。全てはそういうことなのですよ」
美希「それなら分かる気がするの」
貴音「言葉とは非常に難しいものですね。わたくしの言葉があなたにどれだけ伝わっているのかわかりません
」
美希「そうかも。ミキも誰かに何かを伝えるのがすごく苦手なの」
貴音「それでも、わたくし達は言葉を唄に乗せていく。考えるほど、おかしなお話とは思いませんか」
美希「そうなのかな? ミキよくわかんないの、難しいことって」
貴音「そうですか」
美希「というか、むしろミキは言葉を使わないの」
貴音「言葉を使わずして何をどう伝えるのですか?」
美希「ミキ的には、ミキが笑顔だったら幸せなの。ミキ、こーんなにも幸せだよ、ってみんなに伝えられるの」
貴音「……なるほど、そういうことなのですか」
美希「言葉よりも、こっちの方が早く伝わるって思うな」
貴音「ふふ、伝わりましたよあなたが言いたいこと」
美希「それだったらうれしいの!」
貴音「ええ、ですがこれもわたくしなりの解釈になるのでしょうね」
美希「解釈?」
貴音「ええ。言葉よりも速く伝わるものがある。言葉よりも正しく伝わるものもある」
貴音「笑顔とは短し時間。ですが、それでも意味を持ち、意義を持つ」
貴音「……などと、わたくしの言葉はあなたには伝わったのでしょうか」
美希「えーっと……」
貴音「いえ、それでいいのです。さすがはびじゅあるが優れているだけありますね」
美希「関係あるのそれ?」
貴音「はい。びじゅあるとは、美しさと思っておりました」
貴音「ですが、あなたを見ているともっと深い意味があると知ることができました」
貴音「もし、言葉にならぬ言葉があるのであれば、その夜の向日葵もまた何かを伝えようとしているのでしょうか」
美希「そんなことミキにはわかんないの」
貴音「……そうですね。それは全てわたくしの身勝手な解釈で終わってしまうのでしょうね」
美希「あ、でもミキにも一つだけ分かることがあるよ? ん、貴音的にはこれも身勝手な解釈なのかな」
貴音「それでもいいと思います。して、それは如何様な」
美希「えーっと。この夜の向日葵たちは、明日をずっと待ってるの。だから、お日様が昇る方をじっと見つめているの!」
貴音「……なるほど」
貴音「あなたは慧眼なのですね」
美希「けい……なんなのそれ?」
貴音「……いえ。星井美希……あなただからこそ、お一つお聞きしてもよろしいですか?」
美希「ん? いいよ。貴音のためだし、ちょっと真面目になるの」
貴音「有難うございます。では……、死、についてどのように思いますか」
美希「わかんないの」
貴音「即答なのですね」
美希「だって当たり前なの。死んだ人に、死んだ気持ちって聞けないの」
美希「それなのに、死んだことを知っている人がいるって、心霊モノのテレビは変だといつも思ってるの」
美希「でもミキ、死にたくないよ?」
美希「だって、ミキはこんなに幸せだもん」
美希「いつか死ぬなら、それまで幸せでいたいって思う」
美希「こんなに綺麗な夜空、見れないで死ぬのは嫌なの。夜の向日葵を知らないまま死ねないの」
美希「それにもーっと美味しいおにぎりだって食べたいし、お洒落もしたいな」
美希「だからミキはもっと輝いて、ミキの笑顔でもっともっと皆が幸せになればいい」
美希「そのために、ミキは唄うし踊るよ?」
美希「だから、ミキは死ぬなんてことよりも、死ぬまでどう生きるかを考えたいと思う」
美希「きっとこの向日葵も、明日の太陽の光を浴びたいって思ってるの」
美希「だから夜でも枯れないで必死に咲いてると思う」
美希「ミキも、向日葵も、そうやって素晴らしい日々を過ごしていくの」
美希「……ふぅ。こんなのでいい?」
貴音「……ええ」
美希「……貴音?」
貴音「ですが、それでもわたくしは死が怖い」
貴音「いつか終わるこの生涯を閉じることが怖くて堪りません」
貴音「わたくしはミキのように夜の向日葵にはなれそうにありません」
貴音「……死を思う、それだけでわたくしは泣きそうになります」
貴音「それでも夢のために歩かねばならない」
貴音「この足が恐怖に震え、いつか歩が止まるときがくるやもしれない」
貴音「一歩先は奈落かもしれない」
貴音「……わたくしは、恐ろしい」
貴音「何も信じられなくなるかもしれないのです」
美希「驚いたの、まさか貴音がそんなこと思ってるなんて知らなかったの」
貴音「……ええ。誰にも話たことなどありません」
美希「でもね、大丈夫だよ。ミキも、貴音も、きっと大丈夫」
貴音「それはどうしてでしょうか」
美希「死は怖くないの。死ぬまでに、生き抜いたって思えたらそれでいいの」
美希「後悔が残るのは、当たり前だよ。でも、それでも精一杯生き抜けばそれだけでいいの!」
貴音「……美希、あなたは真に強いのですね」
美希「え? ミキ、か弱い女の子だよ?」
貴音「ふふ、そうですね」
貴音「死を受け入れるのではなく、死ぬまでを生き抜く、ですか」
美希「ミキには難しいことなんてわかんないよ。でも、ミキはそうやって生きてるの」
貴音「夢の途中で終わっても、ですか?」
美希「ミキの夢は終わらないの。終わるときこそ、死んだときだけなの」
貴音「なんと」
美希「ずっと死ぬまでキラキラし続けるのがミキの夢だもん」
貴音「それはなんとも素晴らしき夢ですね」
美希「うん!」
貴音「……もう夜もふけて参りましたね」
美希「そうだね。遠い向こうにお日様が見え始めたの」
貴音「夜の向日葵も、綺麗な月夜ももうすぐ終わりです」
美希「そうだね。じゃあそろそろミキは帰るね? 流石に眠たいの……あふぅ」
貴音「ええ。わたくしはもう少しだけここに残ります」
美希「じゃあ向こうで会おうね」
貴音「はい、そうしましょう。では、おやすみなさい。そしておはようございます」
美希「ばいばい、なの」
貴音「……」
貴音「世界のすべてが愛で満ちていること・・・それは祈り
自分が見上げたこの夜空が、祝福されていること・・・それは祈り
世界は祝福で満ちている
だから人は永遠の相に生きることが出来る」
貴音「……わたくしは今までの会話をこのように解釈致します」
貴音「ああ、美希。ありがとうございます」
貴音「これで、わたくしもようやく戻ることができます」
貴音「では、綺麗な月夜、夜の向日葵とともにここを去ることにしましょう」
貴音「さようなら、そしてまた」
終わり
原作
”素晴らしき日々 ~不連続存在~”より”夜の向日葵”
元スレ
貴音「あなたはここで何をしているのですか」
美希「んー、何もしてないの。ただ、ぼーっと花を見てただけなの」
貴音「花を、ですか」
美希「そうなの。見て、この向日葵」
貴音「夜の向日葵、ですか。確かにある意味では風情があるというもの」
美希「風情とか、ミキはそういうのわかんないよ」
貴音「では何故に夜に向日葵などを」
美希「意味なんてないの。ただ、夜にも向日葵はあるんだなぁーって、それだけ」
3: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/17(土) 02:43:13.35 ID:OjgzkZJg0
貴音「それはどういう意味でしょうか」
美希「だから意味なんてないよ? ミキ、なんにも考えてないの」
貴音「そうですか。では、月を見上げてみてはいかがでしょうか?」
美希「んー、興味ないの」
貴音「そうですか」
美希「貴音はどうして月を見るの?」
貴音「やはりそれは、綺麗で優雅であり、また懐かしいからですよ」
4: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/17(土) 02:46:23.40 ID:OjgzkZJg0
美希「懐かしい? どうして?」
貴音「故郷を思い出すから、とでも言っておきましょうか」
美希「そうなんだ。ふるさとって良い響きなの」
貴音「ええ。今はまだ帰られぬ身、いずれとっぷあいどるとして成就した暁には」
美希「すごいね。ミキだったらすぐに家に帰ってると思うもん」
貴音「あの、まだ話は途中で」
美希「……あ、すごいの」
貴音「あの、もし?……まぁ、よいでしょう。ところで何がすごいのでしょうか」
6: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/17(土) 02:49:16.27 ID:OjgzkZJg0
美希「見て、月が綺麗なの」
貴音「ですから、それは先ほど私が」
美希「綺麗だけど……とっても寂しいって、ミキ的には思うな」
貴音「……寂しいと?」
美希「だって、あんなに暗いお空に一つだけなんだよ?」
貴音「言われてみると、確かにそう思えなくともないですね」
美希「貴音もそう思う?」
7: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/17(土) 02:51:31.81 ID:OjgzkZJg0
貴音「いいえ、わたくしはそうは思いません」
美希「どうして?」
貴音「月はわたくし達の近くにあるからですよ」
美希「そんなことないの。月はお空の上でずっと遠いところに位置してるよ?」
貴音「ふふ。星井美希、空が、月が遠すぎるのはわたくし達がそう思っているからですよ」
貴音「でなければすべては遠いのです。絶対に手が届かない存在に過ぎなくなるのです」
美希「ミキ、貴音が何を言いたいのかわからないの」
8: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/17(土) 02:54:55.33 ID:OjgzkZJg0
貴音「簡単に説明するならば、遠いと思うから遠いのです。全てはそういうことなのですよ」
美希「それなら分かる気がするの」
貴音「言葉とは非常に難しいものですね。わたくしの言葉があなたにどれだけ伝わっているのかわかりません
」
美希「そうかも。ミキも誰かに何かを伝えるのがすごく苦手なの」
貴音「それでも、わたくし達は言葉を唄に乗せていく。考えるほど、おかしなお話とは思いませんか」
美希「そうなのかな? ミキよくわかんないの、難しいことって」
貴音「そうですか」
美希「というか、むしろミキは言葉を使わないの」
9: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/17(土) 02:58:09.08 ID:OjgzkZJg0
貴音「言葉を使わずして何をどう伝えるのですか?」
美希「ミキ的には、ミキが笑顔だったら幸せなの。ミキ、こーんなにも幸せだよ、ってみんなに伝えられるの」
貴音「……なるほど、そういうことなのですか」
美希「言葉よりも、こっちの方が早く伝わるって思うな」
貴音「ふふ、伝わりましたよあなたが言いたいこと」
美希「それだったらうれしいの!」
貴音「ええ、ですがこれもわたくしなりの解釈になるのでしょうね」
10: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/17(土) 03:01:07.25 ID:OjgzkZJg0
美希「解釈?」
貴音「ええ。言葉よりも速く伝わるものがある。言葉よりも正しく伝わるものもある」
貴音「笑顔とは短し時間。ですが、それでも意味を持ち、意義を持つ」
貴音「……などと、わたくしの言葉はあなたには伝わったのでしょうか」
美希「えーっと……」
貴音「いえ、それでいいのです。さすがはびじゅあるが優れているだけありますね」
美希「関係あるのそれ?」
貴音「はい。びじゅあるとは、美しさと思っておりました」
貴音「ですが、あなたを見ているともっと深い意味があると知ることができました」
13: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/17(土) 03:04:45.90 ID:OjgzkZJg0
貴音「もし、言葉にならぬ言葉があるのであれば、その夜の向日葵もまた何かを伝えようとしているのでしょうか」
美希「そんなことミキにはわかんないの」
貴音「……そうですね。それは全てわたくしの身勝手な解釈で終わってしまうのでしょうね」
美希「あ、でもミキにも一つだけ分かることがあるよ? ん、貴音的にはこれも身勝手な解釈なのかな」
貴音「それでもいいと思います。して、それは如何様な」
美希「えーっと。この夜の向日葵たちは、明日をずっと待ってるの。だから、お日様が昇る方をじっと見つめているの!」
貴音「……なるほど」
14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/17(土) 03:07:59.93 ID:OjgzkZJg0
貴音「あなたは慧眼なのですね」
美希「けい……なんなのそれ?」
貴音「……いえ。星井美希……あなただからこそ、お一つお聞きしてもよろしいですか?」
美希「ん? いいよ。貴音のためだし、ちょっと真面目になるの」
貴音「有難うございます。では……、死、についてどのように思いますか」
美希「わかんないの」
貴音「即答なのですね」
美希「だって当たり前なの。死んだ人に、死んだ気持ちって聞けないの」
美希「それなのに、死んだことを知っている人がいるって、心霊モノのテレビは変だといつも思ってるの」
15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/17(土) 03:10:28.29 ID:OjgzkZJg0
美希「でもミキ、死にたくないよ?」
美希「だって、ミキはこんなに幸せだもん」
美希「いつか死ぬなら、それまで幸せでいたいって思う」
美希「こんなに綺麗な夜空、見れないで死ぬのは嫌なの。夜の向日葵を知らないまま死ねないの」
美希「それにもーっと美味しいおにぎりだって食べたいし、お洒落もしたいな」
美希「だからミキはもっと輝いて、ミキの笑顔でもっともっと皆が幸せになればいい」
美希「そのために、ミキは唄うし踊るよ?」
美希「だから、ミキは死ぬなんてことよりも、死ぬまでどう生きるかを考えたいと思う」
16: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/17(土) 03:12:41.91 ID:OjgzkZJg0
美希「きっとこの向日葵も、明日の太陽の光を浴びたいって思ってるの」
美希「だから夜でも枯れないで必死に咲いてると思う」
美希「ミキも、向日葵も、そうやって素晴らしい日々を過ごしていくの」
美希「……ふぅ。こんなのでいい?」
貴音「……ええ」
美希「……貴音?」
貴音「ですが、それでもわたくしは死が怖い」
貴音「いつか終わるこの生涯を閉じることが怖くて堪りません」
17: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/17(土) 03:15:53.81 ID:OjgzkZJg0
貴音「わたくしはミキのように夜の向日葵にはなれそうにありません」
貴音「……死を思う、それだけでわたくしは泣きそうになります」
貴音「それでも夢のために歩かねばならない」
貴音「この足が恐怖に震え、いつか歩が止まるときがくるやもしれない」
貴音「一歩先は奈落かもしれない」
貴音「……わたくしは、恐ろしい」
貴音「何も信じられなくなるかもしれないのです」
18: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/17(土) 03:19:14.00 ID:OjgzkZJg0
美希「驚いたの、まさか貴音がそんなこと思ってるなんて知らなかったの」
貴音「……ええ。誰にも話たことなどありません」
美希「でもね、大丈夫だよ。ミキも、貴音も、きっと大丈夫」
貴音「それはどうしてでしょうか」
美希「死は怖くないの。死ぬまでに、生き抜いたって思えたらそれでいいの」
美希「後悔が残るのは、当たり前だよ。でも、それでも精一杯生き抜けばそれだけでいいの!」
貴音「……美希、あなたは真に強いのですね」
美希「え? ミキ、か弱い女の子だよ?」
貴音「ふふ、そうですね」
19: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/17(土) 03:21:48.34 ID:OjgzkZJg0
貴音「死を受け入れるのではなく、死ぬまでを生き抜く、ですか」
美希「ミキには難しいことなんてわかんないよ。でも、ミキはそうやって生きてるの」
貴音「夢の途中で終わっても、ですか?」
美希「ミキの夢は終わらないの。終わるときこそ、死んだときだけなの」
貴音「なんと」
美希「ずっと死ぬまでキラキラし続けるのがミキの夢だもん」
貴音「それはなんとも素晴らしき夢ですね」
美希「うん!」
20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/17(土) 03:24:21.96 ID:OjgzkZJg0
貴音「……もう夜もふけて参りましたね」
美希「そうだね。遠い向こうにお日様が見え始めたの」
貴音「夜の向日葵も、綺麗な月夜ももうすぐ終わりです」
美希「そうだね。じゃあそろそろミキは帰るね? 流石に眠たいの……あふぅ」
貴音「ええ。わたくしはもう少しだけここに残ります」
美希「じゃあ向こうで会おうね」
貴音「はい、そうしましょう。では、おやすみなさい。そしておはようございます」
美希「ばいばい、なの」
21: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/17(土) 03:25:37.21 ID:OjgzkZJg0
貴音「……」
23: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/17(土) 03:27:54.74 ID:OjgzkZJg0
貴音「世界のすべてが愛で満ちていること・・・それは祈り
自分が見上げたこの夜空が、祝福されていること・・・それは祈り
世界は祝福で満ちている
だから人は永遠の相に生きることが出来る」
貴音「……わたくしは今までの会話をこのように解釈致します」
貴音「ああ、美希。ありがとうございます」
貴音「これで、わたくしもようやく戻ることができます」
貴音「では、綺麗な月夜、夜の向日葵とともにここを去ることにしましょう」
貴音「さようなら、そしてまた」
終わり
原作
”素晴らしき日々 ~不連続存在~”より”夜の向日葵”
貴音「夜の向日葵、ですか」