1: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2016/06/26(日) 00:11:38.94 ID:eTV40u5e.net
――昼休み――
絵里「μ’sに入ってから少し経ったけど…やっぱり気まずいというか」
絵里「ちょっと距離がある感じよね…」
絵里「警戒されてるって言った方がいいのかしら」
絵里「私が悪いと言えばそうなんだけど…」
絵里「でも、このままじゃいけないわよね…」
絵里「矢澤さんと仲良くなるためには…」
2: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2016/06/26(日) 00:12:49.93 ID:eTV40u5e.net
絵里「あら?ちょうど一人でいるみたいだし話しかけに行きましょうか」
絵里「こんにちは、矢澤さん」
にこ「…何か用かしら」
にこ「私、これから部室に行くんだけど」
絵里「じゃあ、私も行くわ」
にこ「そ、勝手にすれば」
絵里「う…うん」
絵里(ああ…これは…)
絵里(完全に警戒されてるというか、そもそも眼中にないというか…)
絵里(で…でも、こんな事でくじけちゃダメよ私!)
絵里(このギクシャクした関係が続けば、希や後輩たちにも迷惑かかるし…)
にこ「なにしてるのよ」
絵里「あっ…ごめんなさい」
にこ「それで、部室に何か用なの?」
絵里「え?いや…」
にこ「?」
にこ「私、雑誌読んでるから」
絵里「わ…分かったわ…」
絵里(私…矢澤さんと何話せばいいのかしら…)
絵里(先走ってどうやって仲良くなればいいのか全く考えてなかったわ…)
絵里(やっぱり、アイドルの話?)
絵里(たまに、亜里沙と一緒にテレビ見るぐらいで…あまり詳しくないし…)
絵里(今読んでる雑誌もアイドル雑誌みたいだけど、表紙のアイドルが誰かも分からないわ…)
絵里(となれば、学校の話なんだけど)
絵里(矢澤さんはあまり勉強が得意じゃないって希が言ってたからやめておいた方がいいわね)
絵里(生徒会の話は…あまりしたくないし…)
絵里(あっ!希!)
絵里(矢澤さんも希と仲がいいみたいだし、希の話でもすればいいんじゃないかしら!)
絵里(決まりね!)
絵里「ねえ、矢澤さん」
にこ「なによ…あっ」
絵里「希の事なんだけど」
にこ「!?」
絵里「昨日ね、希ったらすごくかわいかったのよ」
にこ「ふ…ふ~ん」
絵里「生徒会室でね」
希「ウチが生徒会室でどうしたん?」
絵里「寝言で…って」
希「ウチが寝言で何言ってたんかなぁ」
にこ「に…にこは何も知らないわよ!」
絵里「希…いつの間に…」
希「さっきからいたんよ」
希「えりちはうつむいて何か考えてるし、にこっちは雑誌読んでてウチに気が付いてなかっただけやない?」
絵里「そ…そう…」
希「それで?お話し続けてもいいんよ?」
絵里「希…?その手は…?」
絵里「い…いやあああああああ!!!」
にこ「…かわいそうに」
絵里「はぁ…はぁ…」
希「それで、二人はなにしてたん?」
にこ「にこは雑誌読んでただけよ」
希「ふ~ん」
希「そういえばお昼は食べたん?」
にこ「お弁当持ってきてるからこれから食べる予定よ」
希「じゃあ、ウチもここで食べようかな」
絵里(あんまり気にする事じゃないかもしれないけど)
絵里(矢澤さん、希の前だと自分の事『にこ』って言うのね…)
絵里(私の前だとそんな言い方しないのに…)
絵里(それに…私の事名前で呼んでくれてないし…)
絵里(やっぱり、距離があるというか…なんというか…)
絵里(寂しいわ…)
希「えりちはお昼どうしたん?」
絵里「私はお弁当あるから…教室に」
希「あらら」
絵里「今持ってくるからここで食べてもいいかしら?」
希「ウチはいいけど…にこっちは?」
にこ「…勝手にすれば」
絵里「あ…ありがとう、じゃあ行ってくるから」
希「いってらっしゃい」
希「にこっち…やっぱりまだえりちと話せへんの?」
にこ「…うるさいわよ」
希「にこっち言ってたやん、えりちとどう接したらいいのかよくわからないって」
にこ「忘れなさいよ…そんな事…」
希「ウチはいいと思うよ」
希「えりちが会長になってから二人には本当に色々あったし…気持ちの整理がつかないのもわかる」
にこ「…希」
希「だけど、この前ウチに相談してきたやん」
希「本当はにこっちも今のままでいいなんて思ってないんやろ?」
にこ「……別にそんな事言われなくても」
希「じゃあ、無理にとは言わないけどもう少し愛想よくしてもいいんやない?」
にこ「……善処するわ」
希「えりちは少しずつ歩み寄ってくるよ、これから」
にこ「…」
希「えりちは生徒会長として」
希「にこっちはアイドル研究部の部長として、やらなきゃいけない事があっただけやし」
希「どっちが悪いとは言わんよ」
希「だけど、今は…ね」
にこ「…」
にこ「希は…お人よしというか…おせっかいなんだから…」
希「だって、にこっちもえりちもウチの大事な友達やもん」
にこ「よくもそんな恥ずかしい事を言えるわね…」
希「あら、戻ってきたみたいやね」
絵里「ただいま、待っててくれたの?」
絵里「先に食べててもよかったのに」
希「ウチは先に食べようとしたんやけど、にこっちがえりちの事を待ってからにしよって」ニヤニヤ
にこ「なっ!?」
絵里「そうだったの…ありがとう」
にこ「ま…まあ気にしないでいいわ」
希「にこっちのお弁当おいしそうやん」
にこ「ま…まあね、自分で作ってきてるし」
絵里(確かに美味しそうなお弁当…料理上手なのね)
希「あ、ウチ宿題やるの忘れてたし教室戻るわ」
にこ「えっ…」
絵里「そう…わかったわ」
希「じゃあね」
希(後は、二人で頑張るんよ)
絵里(希といれば会話が増えると思ったけど…)
絵里(いや…これは二人っきりになれたしチャンスよ!)
絵里「や…矢澤さん、おかず交換しない?」
絵里「お弁当、とても美味しそうだから」
にこ「…分かったわ」
絵里「じゃあ、卵焼き貰ってもいいかしら?」
にこ「いいわよ」
絵里「これ…とても美味しいわ!」
にこ「…っ」
にこ(コイツもこんな顔できるのね…)
にこ(冷たい目で私の事を見てる事が多かったけど…本当は普通の女の子みたいに…)
絵里「ねえ、これってどうやって作るの?」
絵里「私が作るとパサパサになって冷めると美味しくないのよ」
絵里(…はっ!?つい一人で話し込んじゃったけど…矢澤さん怒ってないかしら…)
にこ「…」
絵里(やっぱり…ダメね…)
絵里(一人で盛り上がって…バカみたい…)
にこ「…よ」
絵里「え?」
にこ「強火で一気に焼く方が柔らかくて美味しい卵焼きができるわ」
絵里「…」
にこ「な…なによ…」
にこ「教えてあげたんだから…なにか言いなさいよ」
絵里「あ…ありがとう…」
にこ「他にも…美味しく焼けるポイントがあるから…」
にこ「な…なんなら…その…」
にこ「今度…作り方教えてあげてもいいわ…」
絵里「本当…?」
絵里「お…お願いしても…いい?」
にこ「アンタの家でなら…いいわ」
絵里「ほ…本当にいいの?」
にこ「いいわ…」
絵里「よ…よろしくお願いします」
にこ「こちらこそ…」
絵里「ついでになんだけど…」
絵里「私の家に来てくれるなら妹にも教えてもらっていい?」
絵里「最近、料理に興味があるみたいで」
にこ「いいけど…アンタにも妹がいるのね」
絵里「矢澤さんにも妹が?」
にこ「ええ、まだ小さいけど」
絵里「そうなのね」
絵里「私の妹は中学3年生で来年はここに入学したいって言ってるの」
にこ「そう…それなら余計頑張らないといけないわね…」
絵里「ええ、本当に…」
絵里「だから…矢澤さん…」
絵里「改めて、スクールアイドルの…μ’sの一員として…よろしくお願いします」
にこ「…」
にこ「……にこでいいわ」
絵里「…にこさん」
にこ「さんもいらないわよ…同級生なんだし」
絵里「…にこ」
絵里「わ…私も…絵里って呼んでほしい…」
にこ「…絵里」
にこ「こっちこそ…よろしく…お願いします」
絵里「にこ…」
絵里「これからよろしくね!」
絵里(まだ…完全に距離は縮まったわけじゃないけど…きっと…もっと仲良くなれる気がするの…)
絵里(だから…これからよろしくね…にこ…)
おわり
おまけ
――翌日@朝――
絵里「おはよう……に…にこ」
にこ「お…おはよう……え…絵里」
絵里「そ…その…昨日の料理の事なんだけど…」
にこ「なにかしら…」
絵里「明日、練習も学校も休みだし…どう?」
絵里「妹は模試があるみたいでいないんだけど…料理は私が教えてあげればいいから…その…よかったら…」
にこ「私は…構わないわ…」
絵里「本当!?」
にこ「ええ…いいわよ…」
絵里「じゃあ、10時に私の家でいいかしら」
にこ「…わかったわ」
絵里「じゃあ、また後でね」
にこ「ええ」
絵里「~~♪」
希「随分ごきげんやね」
絵里「そう?あのね、明日なんだけど」
絵里「に…にこが私の家で料理を教えてくれることになったの」
希「ふ~ん、楽しそうやね」プイ
絵里「ど…どうしたのよ、希」
希「ウチは誘ってくれないんやなって」
絵里「あ…ご…ごめんなさい」
絵里「良かったら希も来る?にこもいいって言うと思うけど…」
希「いつの間にか名前で呼んでるし」
希「ど~せ、ウチはもうお払い箱なんや…」プイ
絵里「の…希…」
希「…」
絵里「そ…そのね…希を仲間外れにしたわけじゃなくて…ね」
絵里「ただ…その…なんというか…」
希「…ふふっ」
希「冗談にきまってるやん♪」
絵里「希…」
希「せっかくやし、にこっちと二人で遊んで来たらいいやん」
絵里「で…でも…」
希「ウチは明日神社でお仕事やし行けないんよ」
絵里「そ…そうだったのね…」
絵里「じゃあ、今度三人で出かけましょうか」
希「そうやね」
――昼休み――
にこ「希、ちょっといいかしら」
希「にこっち、なしたん?」
にこ「その…絵里の事なんだけど」
希「ん?誰の事?」
にこ「だ…だから…」
にこ「え…絵里…」
希「ん~?聞こえへん」
にこ「…アンタに話そうと思った私が馬鹿だったわ」
希「冗談やって~」
にこ「全く…」
希「それで、えりちがどうしたん?」
にこ「明日、絵里の家で料理教える事になって」
にこ「良かったら希も来てくれないかしら」
にこ「きっと絵里も問題ないって言うと思うし」
にこ「それに…一応、お世話になったわけだから」
希「ん~どうしよっかなぁ」
にこ「まあ、無理にとは言わないわ」
希「二人っきりの空間を邪魔するわけにもいかんし」
にこ「別にそんな…」
希「ウチがいない間にあんな事やこんな事が…」
にこ「ばっ…そんなことするわけないでしょ!!」
希「そんな事ってどんな事なん?」ニヤニヤ
にこ「はあ…本当にアンタには敵わないわ…」
にこ「それで、明日はどうするの?」
希「明日は神社でお仕事だから厳しいかな?」
にこ「そう、頑張りなさいよ」
希「もっと寂しがってもええんよ?」
にこ「はいはい」
希「にこっちのいけず…」ブー
――翌日@絵里宅――
絵里「い…いらっしゃい…にこ」
にこ「お…お邪魔します…」
絵里「私しか家にいないから気を使わないでいいわ…」
にこ「そ…そう…わかったわ…」
絵里「…」
にこ「…」
にこ「じゃ…じゃあ作りましょうか!」
絵里「そ…そうね!」
にこ「ま…まあそんな教える事もないんだけど…」
絵里「で…でも、にこの卵焼き美味しかったし…」
にこ「…ありがと」
絵里「じゃあ、お願いしてもいい?」
にこ「え…ええ、いいわよ」
にこ「じゃあ、普段通りに作ってもらえるかしら?」
絵里「分かったわ、にこ…先生」
にこ「せ…先生って…」
絵里「いやだったかしら…」
にこ「ふ…普通でいいわよ…」
絵里「…どうかしら?」
にこ「味付けは好みもあるから好きでいいと思うけど」
にこ「問題は焼き方ね」
絵里「そうだったのね…」
にこ「一番の問題は焼きすぎってところかしら」
にこ「火を通し過ぎると卵が固くなってパサパサになりやすいのよ」
にこ「だから、強火で一気に焼くのがポイントね」
絵里「確かに…私、弱火でじっくり火を通してたわ…」
にこ「だから、卵の数を一つ増やして熱を分散させたり」
にこ「少し出汁を増やすなんていうのもポイントね」
絵里「ハラショー…知らなかったわ」
にこ「は…はら?」
絵里「ご…ごめんなさい…昔、ロシアに住んでたからつい言葉が…」
にこ「そんな気にしなくてもいいわよ…」
絵里「…」
にこ「…」
絵里「じゃ…じゃあもう一回やってみてもいい?」
にこ「そ…そうね!」
絵里「まずは、強火でフライパンを温めて…」
絵里「一気に卵液を入れるっと」
にこ「いい感じね」
にこ「大体形整えたら、残りの卵液を入れて巻き始めていいわよ」
絵里「も…もういいの?」
にこ「早くしないとまた固くなっちゃうわよ!」
絵里「は…はい!」
絵里「で…できた…」
にこ「いい感じでできたじゃない」
絵里「それにふわふわで美味しい…」
にこ「そうでしょ?」
絵里「あ…ありがとう!」
にこ「べ…別に…いいわよ…///」
絵里・にこ「そ…それで…!」
にこ「え…絵里からでいいわ…」
絵里「そ…そう?」
絵里「私ね…考えてたことがあって……」
にこ「私も…あるんだけど……」
希「あ~あ、今頃二人は何してるんかなぁ」
希「ウチも行きたかったわ……」
絵里「の~ぞみ♪」
希「え…えりち!?」
にこ「随分暇そうね」
希「にこっちまでなしたん?」
絵里「最近希、パンとかばっかり食べてるし」
にこ「この前、手料理が恋しいって言ってたじゃない」
絵里「だから、二人でこれ、作ってきてあげたから」
希「お弁当?」
にこ「ま…まあ、希には色々お世話になってるからね」
希「ふ…二人とも…こんなんずるいわ…」
希「じゃ…じゃあ…休憩時間に頂くわ…」
希「あ…ありがとう…」
にこ「気にしなくていいわよ」
絵里「それで、お仕事は何時に終わるのかしら」
希「夕方前には終わると思うけど…」
絵里「じゃあ、仕事終わったら3人で遊びに行くわよ」
希「えっ!?」
希「う…うん」
にこ「希も素直じゃないんだから遊びたいって素直に言えば良いのに」
希「全く…二人には敵わへんわ…」
希「じゃあ、お弁当食べて午後のお仕事頑張るで!」
絵里「ええ」
にこ「頑張りなさいよ…待ってるから」
おわり
元スレ
絵里「あら?ちょうど一人でいるみたいだし話しかけに行きましょうか」
絵里「こんにちは、矢澤さん」
にこ「…何か用かしら」
にこ「私、これから部室に行くんだけど」
絵里「じゃあ、私も行くわ」
にこ「そ、勝手にすれば」
絵里「う…うん」
3: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2016/06/26(日) 00:13:27.56 ID:eTV40u5e.net
絵里(ああ…これは…)
絵里(完全に警戒されてるというか、そもそも眼中にないというか…)
絵里(で…でも、こんな事でくじけちゃダメよ私!)
絵里(このギクシャクした関係が続けば、希や後輩たちにも迷惑かかるし…)
4: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2016/06/26(日) 00:14:15.96 ID:eTV40u5e.net
にこ「なにしてるのよ」
絵里「あっ…ごめんなさい」
にこ「それで、部室に何か用なの?」
絵里「え?いや…」
にこ「?」
にこ「私、雑誌読んでるから」
絵里「わ…分かったわ…」
5: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2016/06/26(日) 00:14:54.10 ID:eTV40u5e.net
絵里(私…矢澤さんと何話せばいいのかしら…)
絵里(先走ってどうやって仲良くなればいいのか全く考えてなかったわ…)
絵里(やっぱり、アイドルの話?)
絵里(たまに、亜里沙と一緒にテレビ見るぐらいで…あまり詳しくないし…)
絵里(今読んでる雑誌もアイドル雑誌みたいだけど、表紙のアイドルが誰かも分からないわ…)
絵里(となれば、学校の話なんだけど)
絵里(矢澤さんはあまり勉強が得意じゃないって希が言ってたからやめておいた方がいいわね)
6: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2016/06/26(日) 00:15:46.93 ID:eTV40u5e.net
絵里(生徒会の話は…あまりしたくないし…)
絵里(あっ!希!)
絵里(矢澤さんも希と仲がいいみたいだし、希の話でもすればいいんじゃないかしら!)
絵里(決まりね!)
7: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2016/06/26(日) 00:16:34.69 ID:eTV40u5e.net
絵里「ねえ、矢澤さん」
にこ「なによ…あっ」
絵里「希の事なんだけど」
にこ「!?」
絵里「昨日ね、希ったらすごくかわいかったのよ」
9: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2016/06/26(日) 00:17:21.63 ID:eTV40u5e.net
にこ「ふ…ふ~ん」
絵里「生徒会室でね」
希「ウチが生徒会室でどうしたん?」
絵里「寝言で…って」
希「ウチが寝言で何言ってたんかなぁ」
にこ「に…にこは何も知らないわよ!」
10: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2016/06/26(日) 00:18:06.94 ID:eTV40u5e.net
絵里「希…いつの間に…」
希「さっきからいたんよ」
希「えりちはうつむいて何か考えてるし、にこっちは雑誌読んでてウチに気が付いてなかっただけやない?」
絵里「そ…そう…」
希「それで?お話し続けてもいいんよ?」
絵里「希…?その手は…?」
絵里「い…いやあああああああ!!!」
にこ「…かわいそうに」
11: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2016/06/26(日) 00:18:51.90 ID:eTV40u5e.net
絵里「はぁ…はぁ…」
希「それで、二人はなにしてたん?」
にこ「にこは雑誌読んでただけよ」
希「ふ~ん」
希「そういえばお昼は食べたん?」
にこ「お弁当持ってきてるからこれから食べる予定よ」
希「じゃあ、ウチもここで食べようかな」
12: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2016/06/26(日) 00:19:32.97 ID:eTV40u5e.net
絵里(あんまり気にする事じゃないかもしれないけど)
絵里(矢澤さん、希の前だと自分の事『にこ』って言うのね…)
絵里(私の前だとそんな言い方しないのに…)
絵里(それに…私の事名前で呼んでくれてないし…)
絵里(やっぱり、距離があるというか…なんというか…)
絵里(寂しいわ…)
13: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2016/06/26(日) 00:20:15.20 ID:eTV40u5e.net
希「えりちはお昼どうしたん?」
絵里「私はお弁当あるから…教室に」
希「あらら」
絵里「今持ってくるからここで食べてもいいかしら?」
希「ウチはいいけど…にこっちは?」
にこ「…勝手にすれば」
絵里「あ…ありがとう、じゃあ行ってくるから」
希「いってらっしゃい」
14: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2016/06/26(日) 00:21:16.18 ID:eTV40u5e.net
希「にこっち…やっぱりまだえりちと話せへんの?」
にこ「…うるさいわよ」
希「にこっち言ってたやん、えりちとどう接したらいいのかよくわからないって」
にこ「忘れなさいよ…そんな事…」
希「ウチはいいと思うよ」
希「えりちが会長になってから二人には本当に色々あったし…気持ちの整理がつかないのもわかる」
にこ「…希」
15: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2016/06/26(日) 00:21:51.90 ID:eTV40u5e.net
希「だけど、この前ウチに相談してきたやん」
希「本当はにこっちも今のままでいいなんて思ってないんやろ?」
にこ「……別にそんな事言われなくても」
希「じゃあ、無理にとは言わないけどもう少し愛想よくしてもいいんやない?」
にこ「……善処するわ」
希「えりちは少しずつ歩み寄ってくるよ、これから」
にこ「…」
17: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2016/06/26(日) 00:22:41.79 ID:eTV40u5e.net
希「えりちは生徒会長として」
希「にこっちはアイドル研究部の部長として、やらなきゃいけない事があっただけやし」
希「どっちが悪いとは言わんよ」
希「だけど、今は…ね」
にこ「…」
にこ「希は…お人よしというか…おせっかいなんだから…」
希「だって、にこっちもえりちもウチの大事な友達やもん」
にこ「よくもそんな恥ずかしい事を言えるわね…」
希「あら、戻ってきたみたいやね」
19: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2016/06/26(日) 00:23:36.44 ID:eTV40u5e.net
絵里「ただいま、待っててくれたの?」
絵里「先に食べててもよかったのに」
希「ウチは先に食べようとしたんやけど、にこっちがえりちの事を待ってからにしよって」ニヤニヤ
にこ「なっ!?」
絵里「そうだったの…ありがとう」
にこ「ま…まあ気にしないでいいわ」
21: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2016/06/26(日) 00:24:09.18 ID:eTV40u5e.net
希「にこっちのお弁当おいしそうやん」
にこ「ま…まあね、自分で作ってきてるし」
絵里(確かに美味しそうなお弁当…料理上手なのね)
希「あ、ウチ宿題やるの忘れてたし教室戻るわ」
にこ「えっ…」
絵里「そう…わかったわ」
希「じゃあね」
希(後は、二人で頑張るんよ)
22: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2016/06/26(日) 00:25:39.30 ID:eTV40u5e.net
絵里(希といれば会話が増えると思ったけど…)
絵里(いや…これは二人っきりになれたしチャンスよ!)
絵里「や…矢澤さん、おかず交換しない?」
絵里「お弁当、とても美味しそうだから」
にこ「…分かったわ」
絵里「じゃあ、卵焼き貰ってもいいかしら?」
にこ「いいわよ」
24: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2016/06/26(日) 00:26:19.02 ID:eTV40u5e.net
絵里「これ…とても美味しいわ!」
にこ「…っ」
にこ(コイツもこんな顔できるのね…)
にこ(冷たい目で私の事を見てる事が多かったけど…本当は普通の女の子みたいに…)
絵里「ねえ、これってどうやって作るの?」
絵里「私が作るとパサパサになって冷めると美味しくないのよ」
絵里(…はっ!?つい一人で話し込んじゃったけど…矢澤さん怒ってないかしら…)
26: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2016/06/26(日) 00:27:28.41 ID:eTV40u5e.net
にこ「…」
絵里(やっぱり…ダメね…)
絵里(一人で盛り上がって…バカみたい…)
にこ「…よ」
絵里「え?」
にこ「強火で一気に焼く方が柔らかくて美味しい卵焼きができるわ」
絵里「…」
にこ「な…なによ…」
にこ「教えてあげたんだから…なにか言いなさいよ」
27: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2016/06/26(日) 00:28:11.75 ID:eTV40u5e.net
絵里「あ…ありがとう…」
にこ「他にも…美味しく焼けるポイントがあるから…」
にこ「な…なんなら…その…」
にこ「今度…作り方教えてあげてもいいわ…」
絵里「本当…?」
絵里「お…お願いしても…いい?」
28: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2016/06/26(日) 00:29:37.22 ID:eTV40u5e.net
にこ「アンタの家でなら…いいわ」
絵里「ほ…本当にいいの?」
にこ「いいわ…」
絵里「よ…よろしくお願いします」
にこ「こちらこそ…」
30: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2016/06/26(日) 00:30:32.34 ID:eTV40u5e.net
絵里「ついでになんだけど…」
絵里「私の家に来てくれるなら妹にも教えてもらっていい?」
絵里「最近、料理に興味があるみたいで」
にこ「いいけど…アンタにも妹がいるのね」
絵里「矢澤さんにも妹が?」
にこ「ええ、まだ小さいけど」
絵里「そうなのね」
絵里「私の妹は中学3年生で来年はここに入学したいって言ってるの」
31: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2016/06/26(日) 00:31:10.04 ID:eTV40u5e.net
にこ「そう…それなら余計頑張らないといけないわね…」
絵里「ええ、本当に…」
絵里「だから…矢澤さん…」
絵里「改めて、スクールアイドルの…μ’sの一員として…よろしくお願いします」
にこ「…」
にこ「……にこでいいわ」
32: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2016/06/26(日) 00:31:52.51 ID:eTV40u5e.net
絵里「…にこさん」
にこ「さんもいらないわよ…同級生なんだし」
絵里「…にこ」
絵里「わ…私も…絵里って呼んでほしい…」
にこ「…絵里」
にこ「こっちこそ…よろしく…お願いします」
絵里「にこ…」
絵里「これからよろしくね!」
絵里(まだ…完全に距離は縮まったわけじゃないけど…きっと…もっと仲良くなれる気がするの…)
絵里(だから…これからよろしくね…にこ…)
おわり
55: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2016/06/26(日) 23:24:17.73 ID:eTV40u5e.net
おまけ
――翌日@朝――
絵里「おはよう……に…にこ」
にこ「お…おはよう……え…絵里」
絵里「そ…その…昨日の料理の事なんだけど…」
にこ「なにかしら…」
56: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2016/06/26(日) 23:25:15.02 ID:eTV40u5e.net
絵里「明日、練習も学校も休みだし…どう?」
絵里「妹は模試があるみたいでいないんだけど…料理は私が教えてあげればいいから…その…よかったら…」
にこ「私は…構わないわ…」
絵里「本当!?」
にこ「ええ…いいわよ…」
絵里「じゃあ、10時に私の家でいいかしら」
にこ「…わかったわ」
絵里「じゃあ、また後でね」
にこ「ええ」
57: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2016/06/26(日) 23:26:08.27 ID:eTV40u5e.net
絵里「~~♪」
希「随分ごきげんやね」
絵里「そう?あのね、明日なんだけど」
絵里「に…にこが私の家で料理を教えてくれることになったの」
希「ふ~ん、楽しそうやね」プイ
絵里「ど…どうしたのよ、希」
希「ウチは誘ってくれないんやなって」
58: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2016/06/26(日) 23:27:10.39 ID:eTV40u5e.net
絵里「あ…ご…ごめんなさい」
絵里「良かったら希も来る?にこもいいって言うと思うけど…」
希「いつの間にか名前で呼んでるし」
希「ど~せ、ウチはもうお払い箱なんや…」プイ
絵里「の…希…」
希「…」
絵里「そ…そのね…希を仲間外れにしたわけじゃなくて…ね」
絵里「ただ…その…なんというか…」
59: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2016/06/26(日) 23:27:50.09 ID:eTV40u5e.net
希「…ふふっ」
希「冗談にきまってるやん♪」
絵里「希…」
希「せっかくやし、にこっちと二人で遊んで来たらいいやん」
絵里「で…でも…」
希「ウチは明日神社でお仕事やし行けないんよ」
絵里「そ…そうだったのね…」
絵里「じゃあ、今度三人で出かけましょうか」
希「そうやね」
60: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2016/06/26(日) 23:29:00.75 ID:eTV40u5e.net
――昼休み――
にこ「希、ちょっといいかしら」
希「にこっち、なしたん?」
にこ「その…絵里の事なんだけど」
希「ん?誰の事?」
にこ「だ…だから…」
にこ「え…絵里…」
希「ん~?聞こえへん」
62: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2016/06/26(日) 23:30:12.95 ID:eTV40u5e.net
にこ「…アンタに話そうと思った私が馬鹿だったわ」
希「冗談やって~」
にこ「全く…」
希「それで、えりちがどうしたん?」
にこ「明日、絵里の家で料理教える事になって」
にこ「良かったら希も来てくれないかしら」
にこ「きっと絵里も問題ないって言うと思うし」
にこ「それに…一応、お世話になったわけだから」
63: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2016/06/26(日) 23:30:57.00 ID:eTV40u5e.net
希「ん~どうしよっかなぁ」
にこ「まあ、無理にとは言わないわ」
希「二人っきりの空間を邪魔するわけにもいかんし」
にこ「別にそんな…」
希「ウチがいない間にあんな事やこんな事が…」
にこ「ばっ…そんなことするわけないでしょ!!」
64: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2016/06/26(日) 23:31:30.77 ID:eTV40u5e.net
希「そんな事ってどんな事なん?」ニヤニヤ
にこ「はあ…本当にアンタには敵わないわ…」
にこ「それで、明日はどうするの?」
希「明日は神社でお仕事だから厳しいかな?」
にこ「そう、頑張りなさいよ」
希「もっと寂しがってもええんよ?」
にこ「はいはい」
希「にこっちのいけず…」ブー
65: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2016/06/26(日) 23:32:05.28 ID:eTV40u5e.net
――翌日@絵里宅――
絵里「い…いらっしゃい…にこ」
にこ「お…お邪魔します…」
絵里「私しか家にいないから気を使わないでいいわ…」
にこ「そ…そう…わかったわ…」
絵里「…」
にこ「…」
66: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2016/06/26(日) 23:32:43.42 ID:eTV40u5e.net
にこ「じゃ…じゃあ作りましょうか!」
絵里「そ…そうね!」
にこ「ま…まあそんな教える事もないんだけど…」
絵里「で…でも、にこの卵焼き美味しかったし…」
にこ「…ありがと」
67: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2016/06/26(日) 23:33:17.92 ID:eTV40u5e.net
絵里「じゃあ、お願いしてもいい?」
にこ「え…ええ、いいわよ」
にこ「じゃあ、普段通りに作ってもらえるかしら?」
絵里「分かったわ、にこ…先生」
にこ「せ…先生って…」
絵里「いやだったかしら…」
にこ「ふ…普通でいいわよ…」
68: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2016/06/26(日) 23:35:25.44 ID:eTV40u5e.net
絵里「…どうかしら?」
にこ「味付けは好みもあるから好きでいいと思うけど」
にこ「問題は焼き方ね」
絵里「そうだったのね…」
にこ「一番の問題は焼きすぎってところかしら」
69: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2016/06/26(日) 23:35:57.82 ID:eTV40u5e.net
にこ「火を通し過ぎると卵が固くなってパサパサになりやすいのよ」
にこ「だから、強火で一気に焼くのがポイントね」
絵里「確かに…私、弱火でじっくり火を通してたわ…」
にこ「だから、卵の数を一つ増やして熱を分散させたり」
にこ「少し出汁を増やすなんていうのもポイントね」
絵里「ハラショー…知らなかったわ」
にこ「は…はら?」
70: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2016/06/26(日) 23:36:29.50 ID:eTV40u5e.net
絵里「ご…ごめんなさい…昔、ロシアに住んでたからつい言葉が…」
にこ「そんな気にしなくてもいいわよ…」
絵里「…」
にこ「…」
71: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2016/06/26(日) 23:37:02.13 ID:eTV40u5e.net
絵里「じゃ…じゃあもう一回やってみてもいい?」
にこ「そ…そうね!」
絵里「まずは、強火でフライパンを温めて…」
絵里「一気に卵液を入れるっと」
にこ「いい感じね」
にこ「大体形整えたら、残りの卵液を入れて巻き始めていいわよ」
絵里「も…もういいの?」
にこ「早くしないとまた固くなっちゃうわよ!」
絵里「は…はい!」
72: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2016/06/26(日) 23:37:33.84 ID:eTV40u5e.net
絵里「で…できた…」
にこ「いい感じでできたじゃない」
絵里「それにふわふわで美味しい…」
にこ「そうでしょ?」
絵里「あ…ありがとう!」
にこ「べ…別に…いいわよ…///」
73: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2016/06/26(日) 23:38:15.02 ID:eTV40u5e.net
絵里・にこ「そ…それで…!」
にこ「え…絵里からでいいわ…」
絵里「そ…そう?」
絵里「私ね…考えてたことがあって……」
にこ「私も…あるんだけど……」
74: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2016/06/26(日) 23:39:03.29 ID:eTV40u5e.net
希「あ~あ、今頃二人は何してるんかなぁ」
希「ウチも行きたかったわ……」
絵里「の~ぞみ♪」
希「え…えりち!?」
にこ「随分暇そうね」
希「にこっちまでなしたん?」
75: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2016/06/26(日) 23:39:50.71 ID:eTV40u5e.net
絵里「最近希、パンとかばっかり食べてるし」
にこ「この前、手料理が恋しいって言ってたじゃない」
絵里「だから、二人でこれ、作ってきてあげたから」
希「お弁当?」
にこ「ま…まあ、希には色々お世話になってるからね」
希「ふ…二人とも…こんなんずるいわ…」
76: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2016/06/26(日) 23:40:25.90 ID:eTV40u5e.net
希「じゃ…じゃあ…休憩時間に頂くわ…」
希「あ…ありがとう…」
にこ「気にしなくていいわよ」
絵里「それで、お仕事は何時に終わるのかしら」
希「夕方前には終わると思うけど…」
77: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2016/06/26(日) 23:40:52.07 ID:eTV40u5e.net
絵里「じゃあ、仕事終わったら3人で遊びに行くわよ」
希「えっ!?」
希「う…うん」
にこ「希も素直じゃないんだから遊びたいって素直に言えば良いのに」
希「全く…二人には敵わへんわ…」
希「じゃあ、お弁当食べて午後のお仕事頑張るで!」
絵里「ええ」
にこ「頑張りなさいよ…待ってるから」
おわり
絵里「矢澤さんと少し距離があるわ…どうすればいいのかしら…」