170
モバP「雪美さんは基本的に対外には清楚系路線で売っている訳だが」
モバP「プライベートでは結構意表を突くような多彩な変化をする」
雪美「……P……?」
モバP「見惚れていた。伊達メガネにスタジアムジャンパー、デニムのミニスカートに(倒置法)」
雪美「……もっとよく……見る……?」キラキラ
モバP「見過ぎると良識が弛緩しそうなので、参りましょうか」
雪美「……参る」
モバP「デニムのミニスカートは裾がフレア状になっているのも良いが、やっぱりスクエア型は破壊力があるな」
モバP「シンプルでアクティブに見えてコケティッシュ。雪美が一般人であっても目を惹くよ」
雪美「……みんな……私とは……思わない……はず」
雪美「……でも……これもたぶん……あなたのせい……。……喜んで……くれるから……」
モバP「何だか、ごめんねぇ……そういう方向性を目覚めさせちゃって」
通りすがりの美嘉「アタシは逆に肌を隠す方向にするのもアリ……?」
336: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/03/16(土) 18:54:20 ID:diGaG1SM
171
文香「……」パタン
モバP「読み終わったみたいだな」
文香「……はい」
モバP「どうだ? 俺のおススメは面白かっただろう」
文香「大どろぼうホッツェンプロッツ……何故またこの本なのでしょうか?」
モバP「たまには童心に戻って児童文学をじっくり読み直してみるのはいいぞ」
モバP「意外と幼少時には読み取れなかった新しい発見があったりする」
文香「……プロデューサーさんらしいですね」クスッ
――
モバP「話は変わるが、今日の文香はオフショルダーか。いつか着たことがあったな」
文香「はい。……自分で言うのも何ですが、大胆ですね」
モバP「そういう服を着てみるのは、ちょっとしたスリルがあったりするものか?」
文香「……どうでしょうか」
文香「……しかしプロデューサーさんは、絶妙な露出具合が好きだと、小耳に挟んだものですから」
モバP「俺に見せるのが目的とは……アイドルの君たちも、さりげないアピール好きだよねえ」
モバP「そういう所は俺も好きだが」
文香「……それはプロポーズの言葉として受け取っても?」
モバP「面白いことを言いなさる」
モバP「あ、俺はワンショルダーもオシャレだなと思う。あとは片方だけ肩紐を掛けてみたり」
モバP「オフショルダーならタートルネックくらいのノースリーブと合わせるとこれも変則的で良い」
文香「……ほうほう、その手が……プロデューサーさんのフェティシズムは深いですね」
モバP「何か突然キャラ変わった?」
文香「いえ、全然……」
雪美「……こんにちは……あっ……! P……文香と……逢引?」
モバP「逢引や逢瀬とは違うよ。読書タイムが終わって息抜きの最中だ」
モバP「雪美も読む? マチルダは小さな大天才、という本だが」 ヨンダコトアル ナニッ!?
文香「……読書も良いですが、プロデューサーさんの観察も面白いですね」
172
モバP「雪美のランドセルは何故赤い~」
モバP「それは緑じゃないからさ~」
ちひろ「何言ってんだこいつは」
雪美「……P……来た……、今日も……よろしく……」
モバP「ほい、ではランドセルを下ろしてもらいまして」
ポスン
雪美「……雪美……着艦」
ちひろ「雪美ちゃんは艦載機だったのか……」
モバP「つまりわたくしは空母ということですわね」
ちひろ「やめろ気色悪い」
雪美「……航空機は……燃料ないと……飛べない……。だから……いっぱい……補給、して……?」
モバP「はいよ。今日も寿命が長く保つように80%の満タンで良いな?」 ウン
ちひろ「バッテリー式なのかよ!」
173
モバP「日常とは異なる一風景」
モバP「山奥のバス停の待合所に座っている雪美さん」
雪美「……バスは……二時間に……一本……、そんな……秘境……」
雪美「……団長の……気持ちに……なるですよ……」
ニャー
雪美「あっ……猫……、……ふふっ……一緒に……待つ……?」
地猫・雪美「………………」
ブロロロ
雪美「? ……きた……!」
プシュー ガシャ
雪美「……○○……一緒に……帰ろう……?」
ちひろ「このPV、動画サイトに上げたら再生数が凄いことになっていますね」
174
雪美「……プロデューサー、さん……」
モバP「佐城さん、これが今日のスケジュールです」
雪美「……」
モバP「……雪美と敬語で呼び合うのはどうもしっくりこないな」
雪美「……」コク
モバP「フォーマルシーンや単純に仕事の場でタメ口を使っていると咎められても仕方がない」
モバP「だから使い分けるのだが、ついつい素が出てしまったりするな」
雪美「……難しい……」
モバP「でも、親しい年下の子が常に敬語で話してくるのはそれはそれでロマンはある」
モバP「言葉だけ敬語で態度は対等、もしくは少し上から目線なんてなかなか強烈よね」
雪美「……そうですね。はぁ……全くこの人は……、……こんな感じ……?」
モバP「雪美は理解が早いなあ」ナデナデ
ちひろ「ロマンとは」
175
モバP「年度末、卒業シーズンだなあ」
ちひろ「もう大方はその段階を過ぎて春休みに入っていますけどね」
モバP「この時期になると人の環境は常に新しく変化していく無常なものだと思い知る」
モバP「憂鬱ですよ……本当に」
雪美「……P……何か……あるの……?」
モバP「……実はな、俺……」
雪美「……」
ちひろ「まさか退職するとか異動するとか担当外れるとか言いませんよね?」
雪美「……えっ……」ジワッ
モバP「そんな安いドッキリはしませんって。雪美、悲しい顔をするのやめて心が痛い」
雪美「……いなくなるの……許さない……」ギュッ
ちひろ「罪作りな男ですね」
モバP「ちひろさんが不穏なことを言うからです」
ちひろ「まあ会社が絶対に辞めさせませんから要らぬ心配ですよね」
モバP「なにそれこわい」
ちひろ「あなたが会社の主柱になってしまっているということです。人柱ですね」
モバP「同僚を人柱呼ばわりする人がいますか」
ちひろ「でも責任感の強いプロデューサーさんは、そういう扱いも悪くないと思っている」
モバP「……///」ポッ
雪美「……P……やめたくても……やめられないの……?」
モバP「みんなと仕事や交流が出来て楽しいから辞めたいと思わない。役得ですもん」
ちひろ「下心満載じゃないですか」
モバP「というかそもそも辞める気なら年度末にいきなり言うのは社会人にあるまじき様ですよ」
モバP「遅くとも一ヶ月前には報告して充分な引き継ぎをしておかないと迷惑がかかります」
ちひろ「そこは真面目なのか」
雪美「……良かった……。Pが楽しいなら……みんなも……うれしい……」
モバP「……雪美」
雪美「……P……」
ダキッ
モバP「プロデューサー楽しい……ヤバい……へへ……」
ちひろ「利害が一致しているのは結構ですけど、ところで一体何に憂鬱だったんですか?」
モバP「おう、それそれ。実は昔から行きつけだった駄菓子屋さんがあるんですが」
モバP「そこが三月限りで辞めるそうで。おばあちゃん高齢だったし仕方ないのかなあ」
ちひろ「個人的な事過ぎませんかねそれは」
モバP「古いゲーム台とかもたくさん置いてあって今でもたまにアイドルたちと行っていたんですよ?」
雪美「……あそこ……無くなるの……? ……悲しい……」
モバP「冗談でしょうが、おばあちゃんから”お店継ぐならあげるよ?”って言われた時は心が揺らぎました」
ちひろ「……割とプロデューサーさん離脱の危機だったんですね」
モバP「雪美。最後にもう一回、遊びに行くか!」 ウン
176
モバP「雪美はプロデューサー業には興味ある?」
雪美「…………えっ」ポカーン
ちひろ「相手は何歳だと思っているんですか」
モバP「まだ早いのは承知で、雪美は俺の良き理解者だ」
モバP「俺の仕事をよく(膝上で)サポートしてくれるし、体力があって気が利いて度胸もある」
モバP「勿論、アイドルとして昇り詰めてくれるのが本望だが、もしも同じ道を志したいと思うのなら」
モバP「いつか一緒にプロデューサーをやってみたいものだな。見果てぬ夢だ」
ちひろ「修羅の道に誘うのはやめなさい」
雪美「……先のことは……分からない……けど……今はまだ……アイドルで……いたい……」
雪美「……でも……プロデューサーだったら……Pと…………ん、……何でも……ない……」
モバP「夫婦プロデューサーとかカッコいいよな」
雪美「……はっきり……言うの……ダメ……」コツン
ちひろ「こういうムードの時は正直席を外したいんですけど仕事があるし……」
177
杏「プロデューサーってさ」
モバP「ん、何だ?」
杏「雪美ちゃんと同衾したことはあるの?」
モバP「……アルヨ」
杏「声を上ずらせるならそこはせめて”ナイヨ”でしょ」
モバP「シンプルに同じ布団を被って休むくらいは、多少はね?」
杏「人畜無害だねえ。そこが良い所でもあるんだろうけどさ」
モバP「同衾(意味深)について聞きたいのであれば、分かりきったことじゃないですか」
モバP「それやっちゃうと犯罪。豚ボックスに入ることになるよ」
杏「モダンな言葉を使っちゃって……そっかぁ、思ったよりもまともだね」
モバP「まとものハードルが地面すれすれレベルに低くないですか?」
杏「そんなプロデューサーに当たって良かったと思うよ」
雪美「……P……レッスン……終わった……」
モバP「おかえり雪美。ちょっとやる気が欠乏しているんでハグさせてくれないか?」
雪美「……めっ」
杏「冷静に見ると最後の一線は越えていなくてもこういうのは結構アウトだよね」
モバP「ジョークで軽口叩き合っているようなものだと思ってもらえれば」
杏「思えないよ」
モバP「あっはい」
雪美「……杏と……Pは……息が、合っている……」
杏「友人だからね。その割には仕事では手心を加えてくれないのが不満かな」
モバP「君にはこれでも最大限好きにさせてあげているつもりだよ」
杏「杏だけ好きに出来てもプロデューサーが付き合ってくれないとなー。例えば同衾とかね」
モバP「そろそろ杏ちゃんには口を閉じていただきましょうかねえ」ハイアメ
杏「貰える物は貰っておく」パクッ
雪美「……どうきん……?」
178
「「「ごちそうさまでした」」」
モバP「ロケの帰りに寄ってみた食事処だが、川のせせらぎが聞こえるのが実に落ち着くな」
モバP「水が絶えず流れる音を聞きながら寝たり休まると何か心が安らぐ気がするよ」
小梅「でも水辺は……良からぬものを……引き寄せるよ」
モバP「そんな話も聞くが、実際多いものなのか?」
小梅「うん。でも、プロデューサーさんは大丈夫……だと思うよ?」
小梅「見えない人は……あっちもそんなに、干渉できないから」
モバP「霊感ないんだよなあ。信じていない訳じゃないが心の底では信じきれていないのか」
小梅「ただ、見える人と一緒にいれば……つられて見えるようになるかも……えへへ」
モバP「OH……。って、雪美はさっきから大人しいがどこを見ているのかな」
雪美「…………」
雪美「! ……? ……私……今……何を……」
小梅「雪美ちゃんは……うん。何か強い力で守られているよね」
179
雪美「……P……」
モバP「……?」
雪美「聞いた……。喋り過ぎて……のど……痛いの……?」
モバP「……」コク
雪美「分かった……。……今日は代わりに……私がいっぱい……喋る……」
モバP「……?」
雪美「……? ……大丈夫……私も……やる時はやる……」フンス
モバP「…………」
雪美「……ふふっ……喋らなくても……何となく……分かる……? ……遠慮しないで」
雪美「…………えと……あ……最近は……花粉が……多い? けど……大丈夫……?」
雪美「…………やっぱり……こういうのは少し……苦手……」 ナデナデ
雪美「ん……ありがとう……じゃあ……Pに……甘える」スリスリ
ちひろ「何か起きそうで何も起きないいつもの展開でした」
180
モバP「桜が咲いているねえ。早いもんだ」
雪美「……きれい」
モバP「桜は散るのが早く、見頃はすぐに過ぎてしまう」
モバP「そんな儚さに美意識を見出すのが和の心と言えるのかな」
雪美「……」ジッ
モバP「ちなみに今の私の心は君のそのジャンパースカート姿にかき乱されているが」
雪美「…………Pは……儚くは……見えない……」キラキラ
モバP「言ってくれるなあ」
モバP「良いさ。俺は少し捻くれていてね、美化してもらえなくても長く咲き続けたいんだ」
雪美「……でも……その方が……安心……できる……」ギュッ
モバP「参った、雪美さんに手を繋がれると弱いんだよ」
雪美「……ふふ……これからも……ずっと……」
ちひろ「エンディングNo.180 『桜と共に』」
181
モバP「おはよう雪美」
雪美「……P……! おはよう……」
雪美「これから……お仕事……行くの……? 私も……学校……」
雪美「場所はちがっても……いっしょだね……。途中まで……二人で……行こう……」
モバP「おお、良いねえ」
テクテク
モバP「……雪美は最近、感情表現が豊かになってきたなあ。よく喋るようにもなったし」
雪美「……そんなこと……ない……」
モバP「無表情クール系ヒロインはそのままでも良いが、それが心を開くとよりグッとくる」
雪美「……?」
モバP「だが人を属性・記号で見ている訳ではないぞ? 雪美は雪美だから好きなのだ」
雪美「……Pは……好きなものに……正直……だね……」
雪美「私も……もっと正直に……なる……」ダキッ
182
モバP「日常の一風景」
モバP「首を傾げる雪美さん」
雪美「……」キョトン
モバP「あざとい」
雪美「……」クイッ
モバP「あっ、元に戻った」
雪美「……」
モバP「でも艶やかで滑らかなその髪が重力に沿って傾き垂れるのはたまらないものがあります」
雪美「…………」キョトン
モバP「あっ、また……。雪美の髪は量も多いせいか結構ダイナミックに動くねえ」
雪美「……」クイッ
ちひろ「雪美ちゃんは結構素で猫のような挙動をしますよね」
183
ガチャ
ちひろ「こんにちは。新しいアイドルの子ですね?」
雪美「……うん」
ちひろ「担当になってもらうプロデューサーを早速、呼び出しますから少し待っていてくださいね」
雪美「……」
ちひろ「千川です。……はい。……ええ、そうです。来てもらえますか?」
ガチャ
モバP「来たぞ」
ちひろ「お早いですね。佐城雪美ちゃん、こちらがプロデューサーさんです」
雪美「……」ポカーン
モバP「私がプロデューサーのモバPだ。君のような年頃の子は初めてだが、これからよろしく」スッ
雪美(……丸太、みたいな……腕……、手も……大きい……)
雪美「……」ブルブル
ちひろ「あら、怖がらせちゃダメですよ? プロデューサーさんったら」フフフ
モバP「こんな外見だ。所属アイドルからは熊男と呼ばれているが、まあ最初は仕方あるまい」
雪美(……浅黒い肌……髭……鋭い目……)
モバP「まずはその天中殺か暗剣殺といった顔は私に全部預けて、笑顔の練習から始めようか」ギラッ
ちひろ「プロデューサーさんの笑顔、素敵です……」
雪美(……笑顔が……邪悪……すぎる……)クラッ
雪美(つっこみ……不在の……恐怖)
雪美(……たすけて)
――
ちひろ「こうならなくて済んだ今の世界は、絶妙なバランスで成り立っているのかもしれませんね」
モバP「雪美ならこれはこれで何とか適応していきそうだがな?」
雪美「……私を……買い被らないで……」
ちひろ「ところでプロデューサーさんはキャラ変えとかなさらないんですか?」 ナイデス
184
モバP「たまに自分でも意外なくらい仕事に集中・没頭できて高揚感を感じる時はないか?」
凛「あるよ。言うなら、ゾーンに入る、って感じだね」フッ
モバP「あれは気持ちが良いよな。作業も捗るし」
凛「だね」
ちひろ「それを狙って発揮できるようになれたら良いんですけどね」
モバP「人間のやる気スイッチに通じるものがありますね。なかなか見つからないが」
ちひろ「第一あなたは普段から雑念が多すぎるんですよ。そりゃ見つからない訳です」
モバP「男は敷居を跨げば七人の敵ありとはよく言ったもんでござい」
凛「プロデューサーの敵は……内にありそうだね」
モバP「俺の中には傲慢・嫉妬・憤怒・怠惰・強欲・暴食・色欲の七人の侍が」
ちひろ「それは七つの大罪だ」
凛「敵だらけ……それでも私たちは戦わないといけないんだ、現実と」
モバP「とりあえずゾーンに入っている最中は作業の手は区切りがつくまで休めない方が良い」
モバP「何かの拍子に接触が切れてしまうと、それまでの勢いが忽然と止まってしまう」
ちひろ「ただし止まろうがやる気が削がれようが、仕事は待ってくれませんけどね」
モバP「で、結局モチベーションが戻らないまま手を付けることもしばしば。乗りきれないのです」
凛「相当にマイペースだなぁ。……あっ、雪美だ」
雪美「……こんにちは」
雪美「……P……乗せて……?」ピョンピョン
モバP「……」
モバP「……いいぞ~。こいこい」ニヘラ
ヒョイ ポスン
雪美「……」ムフー
凛「ぴょんぴょんは反則だよ……」
モバP「はぁー……何か雪美が乗ると余計な思考は全部吹っ飛ぶね」
ちひろ「なおその後のインプットが」
185
雪美「最近……学校で……よく声を……かけられる……」
モバP「知名度的にはもう、ちょっとした有名人さんではあるだろうからな」
雪美「……少し……うれしい……」
モバP「良かったなあ。雪美は見てくれも良いから隙が無い」
雪美「……良くしたのは……P……」
モバP「せやろか? まあ芸能活動を始めて垢抜ける子は多いから間違いでもないか」
モバP「プロデューサーはシンデレラに魔法をかける魔女のようだとか誰か言っていたな」
雪美「Pが……魔女……」ジッ
雪美「……ふふっ」
モバP「笑うな」
雪美「……でも……Pは……王子様……の方が……合ってる……」
モバP「王子様、か」
モバP「俺は裏方側の人だから王子様役としてはどうなんだかな」
雪美「シンデレラが……がんばるのは……王子様の……ため……」
雪美「……私も……Pのためなら……がんばれる……」
モバP「雪美……」ジーン
モバP「ただそれだと魔女がちょっと立場がないから……魔女と王子様は実は繋がっているということで良いかな?」
ちひろ「何だその新解釈」
モバP「で、そんなシンデレラの体現とも言える雪美さんは現在上下ともジャージで膝の上な訳ですね」
雪美「……たまには……がんばらない……シンデレラ……」キラキラ
モバP「頑張らないのにこんなにキラキラできるとは……やはり天才か」
モバP「それにしても学校生活は上手くやれているようで何よりだ」
モバP「俺からすると有名故に高嶺の花として周りから距離を置かれたり遠慮されたりしないのかと思うが」
雪美「……みんな……エリート……だから……浮いてない……」
モバP「個性が特別にならない良い環境にいるんだなあ」
ちひろ「やさしい世界……なのか?」
186
モバP「俺の膝の上は特に誰の物とかではなく、いわば無料で一般開放しているようなものだ」
モバP「しているようなものなんだが」
輝子「どうした……?」ギシギシ
モバP「そうバウンドしないでくださらない? スタイル良い子がミニスカートで無防備ですよ?」
輝子「フフ……良いじゃないか、親友……。はしゃぎたくなるんだ」グリグリ
モバP「おい尻……君はどうしてそうなってしまったんだ星くん」
輝子「さあ、どうしてでしょう……?」クスッ
モバP「!」ドキッ
輝子「フーッハッハァァ!! このまま組んず解れつで――!」
雪美「……」ジーッ
輝子「レスリングでもしようかー」
雪美「わーい……」
ちひろ「事務所で何やってんだあんたらは」
187
ちひろ「今日のおやつは桜餅ですよ」
雪美「……」モグモグ
雪美「……少し……塩気……あって……おいしい……」
モバP「”今日のおやつ”が事務所で振舞われるのが何かもう生活感に満ちていますよね」
ちひろ「職場でもぐもぐタイムは賛否両論と聞きますけど、ここではもう定着していますから」
雪美「でも……桜もち……二種類……ある……」
ちひろ「関東の長命寺と関西の道明寺ですね。これは皮で巻いた前者ですけど」
モバP「西日本育ちの雪美はこっちの桜餅はあまり馴染みがない方かな?」
雪美「ん……でも……そういうの……他にも……たくさん……」
モバP「あるな。例えば雑煮とか、餅に餡子が入っていたり具や出汁が違ったり、地域で様々だ」
雪美「……ラーメン……うどんも……」
モバP「仕事で各地を回ったりするからメシもいろいろ知れて楽しいよな」
ちひろ「……結構庶民派なんでしょうか? 私たちって」
188
モバP「雪美さんのちょっと色気のある瞬間」
モバP「結んだ髪を解く時」
雪美「……」パサッ
モバP「……桃源郷はここにあったか」
雪美「……」フルフル
モバP「髪にボリュームがあって羨ましいなあ。俺も伸ばそうかな」
雪美「……それは……やめた方が……」アッハイ
モバP「それにしても、髪を下ろす時、よりガツンとくるのは普段から常に髪を結んでいる子だと思う」
雪美「……結んでいる……方が……良い……?」
モバP「雪美に、特にベッドとかでそれをされるとオーバーキルだから、今のままで」
雪美「……分かった。……大切に……してね……?」
モバP「ああ、大切にするよ」
ちひろ「な、何の話だったの?」
189
モバP「主に夏、傘を持たず外を歩いていたら、すごい通り雨に遭う――」
モバP「そんなことは油断の多い小学生の頃はよくあった」
雪美「……」
モバP「大体はどこか適当な建物に入って雨宿りをして止むか弱まるタイミングを待つものだが」
モバP「たまに開き直ってそのまま雨ざらしになったりもしたな」
雪美「……風邪……ひきそう」
モバP「本当にね。水を吸った服をそのまま着ているのは普通に心地も良くない」
雪美「……うん」
モバP「家に帰ったら勿論すぐ風呂場行きで着替えさせられたよ」
モバP「……雪美の濡れた髪をバスタオルで拭いてあげたりしたいがなぁ、俺もな~」
雪美「……///」
ちひろ「普通の会話から突然豹変するのはやめようね」
190
雪美「……」シュルシュル ファサッ
モバP「……?」
雪美「……! ……P……これ……どうしたの……?」
モバP「あきらに噛まれたんだ。ちょっと興が乗りすぎてね」
雪美「……キスマーク……?」
ちひろ「どれどれ見せなさい」
ちひろ「って、何だ……これはキスマークではなく歯形ですよ」
ちひろ「というか事務所で首元を肌蹴させないでください。変態ですか」
モバP「雪美が脱がせてきたんです。……”雪美が脱がせてきた”、何か響きがえっちぃですね」
ちひろ「だまらっしゃい」
ちひろ「第一、首筋を噛まれるってどんなムーディーな遊びをしているんですか」
モバP「あきらあかりりあむの三人と親睦を深める為に王様ゲームを」
ちひろ「はいぃ?」
モバP「ソフトな感じにやるから! と、りあむからの提案で参加したんですが」
モバP「最終的にあきらが吸血鬼の真似をすることになり、こうガブッと」
ちひろ「ガブッとじゃないですよ。そこはきちんと監督してください」
雪美「……」ムー
モバP「ゆ、雪美さん?」
ガバッ
雪美「……私も……Pに……印……付ける……」
カプッ
モバP「うっ……!」
雪美「…………ん……できた……ふふ」
モバP「」
ちひろ「」
雪美「……♪」
191
紗南「聞いてよPえも~ん!」
モバP「どないしたんや」
紗南「雪美ちゃんにまた負けたの~!」
モバP「ゲームでか? 紗南が雪美にゲームで負けるたあ天変地異の前触れかい」
雪美「……失礼な……」
モバP「だがジャンルにも寄るな。アクション、格闘、落ち物パズル等いろいろあるが」
紗南「桃太郎電鉄」
モバP「ボードゲームの引き運はね……」
雪美「……今日は……絶好調の……日だった……」
紗南「雪美ちゃんさくま並に強いんだよ?」
まゆ「呼びました?」ヒョコッ
紗南「うわあっ!? びっくりした!」
モバP「紗南。ウチにはこずえとか芳乃とか人知を超えた存在がいるだろう」
紗南「その二人も勝負事とかはやたら強いんだよね」
モバP「雪美だったらそんなことはないはずと油断してかかったのではないか?」
紗南「うう……まさかそんな」
モバP「もっと技術の要るゲームなら勝てるだろうに」
紗南「そこはほら、ゲストと経験で差が出るもので対決するのは何だかなって思うじゃん」
モバP「人には得意分野があるからな。クイズゲームでもノンセクションより特定ジャンルが正答率高いとか」
まゆ「まゆはプロデューサーさんに関するクイズなら負けませんよ」
雪美「……Pの、ひざのことなら……」
モバP「俺の膝に関するクイズの出題とは何ぞや」
モバP「しかし雪美は将棋とかも出来るから、ただ運だけで勝ってくる訳じゃないぞ」
紗南「Pさんが特訓してたりはしないの?」
モバP「してるわ」 オイコラ
紗南「というかPさんも一緒にやろうよ! まゆちゃんも!」 イイデスヨ
モバP「いやあ、桃鉄とか人生ゲームとかは最悪リアルファイトになるでしょ」
まゆ「プロデューサーさんとリアルファイト……」
雪美「Pと……」
紗南「……」
三人「……///」
モバP「何故照れる」
紗南「でも、やっぱりこういうのは四人プレイでやるのが一番面白いよね!」
モバP「普段ソロプレイのぼっちを舐めんなよ」
紗南「あっ……ごめん」
モバP「いや、気を遣われると逆に申し訳ない」
雪美「準備……できた……。……始めよう……」ポスン
紗南・まゆ「対戦でも膝に乗るのか……」
192
モバP「」
菲菲「出端から硬直してるネ。プロデューサーさん、ふぇいふぇいダヨー」
雪美「……雪美だよー……」
モバP「はっ……!? 君たちチャイナドレスではないか!」
雪美「……」キラキラ
モバP「一般的なサイドスリットのワンピースだけでなく、スカートと合わせているんだな」
菲菲「春麗みたいに露出するのはネー、ちょっと勇気が要るヨ」
雪美「……きたえぬかれた……太もも……」
モバP「あれはさすがにね……股圧でリンゴ潰せるんじゃないかみたいな」
菲菲「発想が斬新ダヨ……それはそうと! プロデューサーさんに桃まんを作ってきたヨ!」ハイ
雪美「私が……調理補助……した」エッヘン
モバP「わお! これは美味しそうだ。食べよう食べよう」
――
モバP「いや、実に中華情緒のある味がしたよ。ごちそうさまでした」
菲菲「お粗末様でした」
モバP「菲菲と雪美二人でよく作ったな。手作りはさすがだ」
菲菲「もっと褒めても良いんダヨ? 遠慮いらない」
モバP「それにしても何故桃まんなんだね?」
菲菲「プロデューサーさんは桃が似合っているから……仙人みたいだもんネ」
雪美「……」コク
モバP「俗世から離れているというか浮世離れしているとは言われることもあるが」
菲菲「普段は隠しているだけで空を飛んだりできそう」
モバP「ないよ。そんな便利が力があったら出社する時に使うわ」
雪美「……本当かな……?」
モバP「……そういや雪美が菲菲みたいにシニヨンを二つ作っているのは珍しいな」
雪美「……髪型の……練習中……」
モバP「ほう。……まあ、雪美娘々はいろいろと変化してくれる方が俺は嬉しい」
雪美「……にゃんにゃん?」
菲菲「娘々とは……かくかくしかじか……ダヨ」
雪美「……にゃ~ん……」
モバP「まあ日本ではあまりニャンニャンは使わないか。変な意味に取られかねないし」
雪美「……?」
菲菲「日本のニャンニャンってどういう意味ネ?」
モバP「30年以上前でもう完全に死語と化しているかもしれないが、何々とか××とか」
モバP「人前で言葉に出すのが憚られることだ、うん」
菲菲・雪美「……?」
ちひろ「理解できる自分が少し悲しい」
193
紗南「レッドスクリーンってびっくりしない?」
モバP「どうした。何をしたらそんなものを拝むことになる」
紗南「exeゲームをやっていたら脅かしでやられちゃってさ」
モバP「なるほど。ああいうのは悪意が露骨だからな。レッドは目にくるし勘弁してほしいね」
モバP「全画面攻撃はブルースクリーンでもブラックバックに白字でも怖いのに」
紗南「そんなに詳しいということは、Pさんもホラーゲームやるんだね」
モバP「いや、どちらかと言うとPCやゲーム機本体のエラーだ」
紗南「えぇ……。Pさんこそ何をしたらそんなものを拝むことに」
モバP「紗南、突然理不尽に訪れる現実ほど怖いホラーは無いんだ。バックアップはしっかり取っておけ」
モバP「でないとこうなる」
雪美「brinGmeBAckthereIaMaLivehereIwilLneverletYouforgetabOutme」
紗南「ひいっ!?」
――
紗南「……あ……ゆ、夢かあ……」
194
モバP「俺は常日頃甘かった。生チョコ&ミルクの欲張りダブルホーン並に甘かった」
モバP「雪美め、何をしても俺ならやり返さないと侮りおって。許さん! お仕置きじゃあ!」ガバッ
雪美「……きゃー」
モバP「今回の罰は、おお何と恐ろしい! くすぐりの刑だ!」コチョコチョコチョ
雪美「……ふふっ、……あはははっ!」
モバP「どうだどうだ~! 足の裏は!」コチョコチョコチョ
雪美「や、やめて……あはははははっ……ひーっ」
モバP「まだまだぁ! 容赦せんぞぉ!」コチョコチョコチョ
雪美「……っ! ……っ!!」バンバン
モバP「とどめは脇だ、くらえ!」
パシッ
モバP「誰だ、邪魔をするんじゃな……あ!」
巴「楽しそうじゃのう? うちも混ぜてくれんか?」ゴゴゴゴゴ
195
モバP「仕事に没頭していたらエイプリルフールをすっかり忘れていた」
ちひろ「今日はなんにもないすばらしい一日だったまる」
モバP「ぼくなつはやめて」
ちひろ「何かとっておきの嘘でも吐いてみる計画だったんですか?」
モバP「今日はエイプリルフールじゃないぞ? という嘘を」
ちひろ「すぐバレる嘘を吐くな、と言われたことありませんか?」
モバP「ありますあります」
雪美「……P……」
モバP「お、どうしました雪美さん」
雪美「今日は……一体……何日……?」
モバP「そりゃあお前……四月一日だろう。わたぬきさんですよ」
雪美「……じゃあ……昨日は……?」 ン? アレ?
ちひろ「こいつらいつも無限ループにはまってんな」
196
雪美「……P……あそぼ」
雪美「……P……元気……ない……? 私が……元気に……してあげる……」
雪美「……P……もっと……私に……頼って……」
雪美「……もう……くすぐったい……ふふっ」
雪美「……いけないおてては……この子……?」
雪美「……あっ……そこ……気持ちいい……もっと……ほしい……」
雪美「……P……温かい……」
雪美「……いつまでも……どこまでも……深く、繋がって……いよう」
――
ちひろ「お前はなんちゅう犯罪的なボイスを録っているんだ」
モバP「普段のやり取りを録ってみただけなんですがね」
モバP「まあ改めて聴き直すと何とも微笑ましく……はなく千枝ちゃん並には危ないなこれ」
ちひろ「物分かりが宜しいようで」
197
モバP「日常かどうかは知らない一風景」
モバP「暗闇で目を光らせる雪美さん」
雪美「……」キラッ
モバP(やだ……物陰からこっち見てる……)
雪美「……」ジリジリ
モバP「…………」ソワソワ
雪美「…………」ジーッ
モバP「……今だ逃げるっ!」ダッ
雪美「待てっ!」バッ
ガバッ
雪美「P……もう……どこにも……逃がさない……」
モバP「たはは……参ったなあ」チラッチラ
ちひろ「よぉし、その男はおまえにくれてやる。好きにしろッ!」 ヤッタゼ
198
モバP「お父さん、お母さん、お元気ですか。私もペロもとても元気です」
モバP「仕事の方も何とか軌道に乗って少し自信がついたみたい」
モバP「(中略)落ち込むこともあるけれど、私、雪美の長い髪が好きです」
雪美「お、おう……」
ちひろ「お前は一体誰目線で独白をしているんだ」
モバP「でも雪美がおかっぱだったとしたらそれもそれで全然アリだと思います」
ちひろ「同意します」
雪美「……短く……してほしい……の?」
モバP「長いままでいてほしいし短い君を見たくもあるという二律背反だよ」
雪美「もう……わがまま……」
ちひろ「ですけど芸能の仕事をしていると例えばドラマに出演するなら、髪型指定されたりしますよね」
モバP「ショートボブでオファーが来たら雪美はどうする?」
雪美「…………」ウーン
モバP「髪は伸びるものとは言っても、元が長いと一朝一夕で元通りとはならないから悩んで当然か」
雪美「……とりあえず……今は……このままで……」
雪美「……でも……小学校……過ぎたら……少し短く……する、かも」
モバP「そうか。まあ、小学生くらいなら良いけど中高であまり長い髪の子はそういないよな」
ちひろ「その辺は校則とかありますからね。結ぶか、肩までにしろなんて言われたり」
モバP「もし、雪美が阿良々木月火みたいにばっさり短くしたら……ああ」
雪美「……短く……したら……?」
モバP「いや、やめよう。想像するだけで平静を保てなくなりそう。仕事なんか手に付きやしないだろうね」
ちひろ「はた迷惑な大人だなあ」
モバP「突然髪を切ってきましたとか言って目の前に現れたら卒倒も辞さない」
雪美「それは……びっくりする……でも……面白そう……!」
モバP「面白がるな。しかし乙女の脅かしは許せちゃうのが悔しい」
ちひろ「プロデューサーさんは実に守備範囲の広い面食いですよね。でないと務まらないでしょうけど」
199
モバP「じゃあ逆に雪美にさせてはいけない格好を考えてみませんか」
ちひろ「突然何が”じゃあ”なんやら」
モバP「ツインエンジェルBREAKのエンジェルサファイアとか」
ちひろ「はあ」
モバP「魔法騎士レイアースの龍咲海(魔神モード)とか」
ちひろ「はあ」
モバP「ファンタシースターオンラインの青フォニュエールとか」
ちひろ「どうしてあなたはそう同系統の物を羅列するんですか」
モバP「青基調の涼やかなトップスに、黒のレオタード風ボトムス。半分水着みたいでセクシーです」
ちひろ「如月すみれや龍咲海みたいな中学生でもアレなのに小学生に着せたら犯罪臭MAXですね」
ちひろ「……いけなくなかったら着せたいつもりじゃないですよね」
モバP「ソンナコトナイヨー」
ちひろ「こいつすげぇ変態だぜ?」
雪美「……楽しそうに……話、している……ね」
ポスン
雪美「……Pの温度は……今日も……快適……」
ちひろ「本当、膝乗りに飽きませんねえ」
雪美「それが自慢……」ニコ
ちひろ「はう……こんな無垢な良い子に私欲で破廉恥な格好をさせるのはダメです」
モバP「分かってますって」
ちひろ「本当ですかね」
モバP「良いこと悪いことの線引きも大事ですが、ちひろさんは冗談を冗談と分かった上で乗ってくれますから」
モバP「そういうところ、嫌いじゃないですよ」
ちひろ「……あなたも、本当に悪いことする時は黙って実行するでしょうからね」ハァ
モバP「そうそう、ここで話をしている限りは安全です――って、しませんよ」
ちひろ「まあ、雪美ちゃんが乗っている限りはそう悪さも出来ないのは確かですね」
雪美「……ふふふ」
200
モバP「春も酣。過ごしやすい朝だね、雪美さん」
雪美「ええ、Pさん……」
モバP「雪美さんと一緒になってもう四十年か」
モバP「楽しいこと、喜ぶこと、驚くこと、辛いこと、悲しいこと――いろいろあったな」
雪美「……それでも……早いものです……」
モバP「ああ。俺も今じゃすっかり老けてしまって……」
モバP「雪美さんのおかげで歳の割には若く格好良くはいられているが」
雪美「……あなたはいつまでも……私の一番です」
モバP「うん……そうなんだがな」
雪美「……?」
モバP「雪美さんは四十年……どころか下手すると出会った頃から本当に変わらないな」
雪美「まあ……お世辞は結構ですよ」
モバP「いや、冗談抜きに雪美さん、全く歳を取りませんよね」
雪美「……」キラキラ
モバP「こうして着物が似合う、物腰はすっかり落ち着いた上品な女性なんだがな」
雪美「……猫だって……見かけはほとんど……老けないでしょう……?」
雪美「こう見えても……昔のような激しい運動は……もう、できませんよ」
モバP「何てことだ、雪美さんは猫だったのか。もしくはエルフか?」
雪美「エルフは……晩年に外見も一気に老いて死ぬ……なんて言いますね」
雪美「もし私が……先に、逝くようなことがあれば……その前に姿を消したい……」
雪美「ペロも……衰弱した自分の死に際は見られたくないと……旅立ってしまった……」
モバP「そんなこともあったな……だが、子どもたちや孫たちはどうする」
雪美「……冗談ですよ。……でも……あの時のように、綺麗なまま引退するのも……悪くない……」
モバP「アイドル活動か……まだ未練があるか?」
雪美「いいえ……あなたと一つになれて、これだけ幸せに恵まれたんですもの……」
ピンポーン ハイハイ ガチャ
こずえ「雪美さんとPさんに、ご挨拶に来たよー。元気そうだねー」キラキラ
芳乃「おや、懇ろな一時をお邪魔してしまいましてー?」キラキラ
雪美「あっ……こずえさんに芳乃さん……ふふふ……こんにちは」
雪美「まあ上がって……お茶でも入れますよ」
モバP「……外見が変わらない子が多すぎやしませんかね?」
――
モバP「……」パチリ
モバP「――はぁー」
晶葉「おはようP。未来の今日を体験できる装置はどうだったかな?」
モバP「う~ん……俺の心象風景が映し出されたのかなあ。あれが未来だとちょっと怖いわ」
晶葉「……未来とは人の希望でもある。つまりはそういうことでは?」 エッナニソレハ
201
紗南「このおっさんはどうしてこう攻撃を外すのかなー」
モバP「おや、実況収録中……ではなさそうだな」
紗南「あっPさん。残念だけどこのゲームは一人用なんだ」
モバP「良いってことよ。誰かのプレイをただ見つめるのも好きだ」
モバP「ついでに言うと酒とつまみでも横に置いてまったり観戦だね」
紗南「プレイするより動画見るのが好きなタイプかな? でもこのゲームは長丁場だよ~」
ピロリ ザザッ ピロリ
紗南「ああ~何連続で外すんだ! あっという間にピンチじゃないか!」
モバP「トルネコのおっさんやシレンのおにいちゃんはそれが様式美だから仕方ない」
紗南「目の前で寝ている相手に対しても攻撃外した時はさすがに絶句だよ」
モバP「試行回数が多いゲームだから割と奇跡的な屑運に遭遇することも多少はね」
モバP「ローグライクは奥深い。底なし沼かもしれないがそれが良い」
雪美「……ローグライク……?」
モバP「おう雪美。そういうゲームのジャンルだよ」
紗南「雪美ちゃん! あたしに引き運ちょうだいな~」
雪美「やってみる……。……むむむ……む~ん」
紗南「あ、サイキックパルプンテはたまに事故るからやめとこ?」
モバP「前科あるのか……怖や怖や」
雪美「……何が、起こるか……分からないのが……人生……」キリッ
アハハハ
紗南「他愛ない話だけどさ」
モバP「何だい」
紗南「ローグライクにアイドルがモンスターとして出てきたらって妄想しない?」
モバP「しますねえ。いろいろアイデアが膨らみますですよ」
モバP「もっとも、本家もびっくりなくらい種類が多すぎて全員は出せないだろうがな」
雪美「……」
モバP「雪美さんは何となくこっちを沈黙状態にしてきそう」
紗南「メルモンかな?」
モバP「というか雪美さんに口を塞がれて沈黙状態にされたいですね」
雪美「……」ムギュッ
モバP「……!」
雪美「……大人しく……なったね……」
紗南「雪美ちゃんに大人しくさせられちゃうとか、良いなあ」
雪美「……たまに……口で……塞いだりも……する」
紗南「Pさん……いくら仲良いからって乳繰り合うのも程々にね」
モバP(そこはさすがに誇張表現だよ)
紗南(はっきり否定はしないのか……というか脳内に直接来ないで)
ちひろ「不埒な意識を感知したのでプロデューサーさんを捕まえに来ました」ガチャッ
202
モバP「んー、んまい」モグモグ
ちひろ「プロデューサーさんのお昼ごはんはたこ焼きなんですね」
モバP「笑美が差し入れてくれました。かつお節がたっぷり乗っていてボリュームありますよ」
ちひろ「へー」
モバP「お一ついかがです? はい、あーん」
ちひろ「勢いで何をやろうとしているんですか。結構です」
モバP「残念。しかし容器がまた発泡で無地の折蓋で、昔ながらのファストフード感があって良いですよね」
ちひろ「シンプルイズベスト、ですか。今はたこ焼きだと木舟のようなオシャレなものもありますからね」
雪美「……」アーン
モバP「……ん? ……はい」 パクッ
雪美「……ん……これは……いいダシを使ってる……」
モバP「雪美さんは意外にも食通やね」
ちひろ「たこ焼きや焼きそばは青のりが歯に付きやすいんで、食べたらしっかり歯磨きしましょうね」
203
モバP「雪美はカレーライスは好きかい?」
雪美「……すき」
モバP「基本的に外れがないよな、カレーって」
雪美「……辛いのは……少し苦手……」
モバP「まあ意図的にやたら辛くしてあるのはね。ただ基本は誰でも好きな定番中の定番メニューだ」
雪美「……うん」
モバP「ただ家で作ろうとすると、野菜と肉を切って火を通して水を入れてルーを溶かして、と手間だ」
モバP「どうしても一度にそれなりの量を作ることになりがちで、独身だと持て余す」
雪美「……誰かと一緒に……食べるのが……おいしい……」
モバP「そういうことだな。……俺、久々に家カレーを作りたいんだ」
雪美「……いいよ」
モバP「やった!」
ちひろ「炊飯器のスイッチを押し忘れないようにしましょうね(経験者)」
204
モバP「日常ではない一風景」
モバP「絶海の孤島を旅する雪美さん」
NO DATA
ちひろ「シチュエーションないのか。まあ、あったら驚きますけど」
モバP「南大東島や青ヶ島あたりに行って、本土から隔絶された場所で一人きり」
モバP「世界から取り残されたような気分に浸って軽く絶望を感じちゃったり?」
ちひろ「島民の方に失礼だぞ」
雪美「……遠い……帰りにくい所に行くのは……こわい……」
雪美「でも……一緒にいてくれる……仲間がいれば……」
モバP「もしそんな仕事が来たなら俺がスタッフになって同伴するよ」
雪美「……心強い……約束……ね」
モバP「まあそういう私も結構離島恐怖症ではありまして、オアフ島規模でも不安になるくらい」
ちひろ「それただのホームシックでは」
205
モバP「このところはすっかり暖かくなり日中20℃は軽く超すようになってきたな」
雪美「……うん」
モバP「雪美は元気そうだな」
雪美「私も……ペロも……元気……」
モバP「良いことだ。寒いと身を寄せ合って暖を取るというのが動物的で情緒があるが」
チョコン
雪美「……?」
モバP「暖かくてもこうして膝の上に乗って接してくるのは雪美的だな」
雪美「……私的……? ……変なの……」
モバP「晩春から夏、初秋あたりまではここに乗ってくれる子は減るんだ。ぬくいからね」
雪美「……」
モバP「その点、雪美は物好きだと言えるかもしれないな」
雪美「……別に……物好きじゃ……ない……」
モバP「そうか? ちなみに、こうしても暑苦しくはないか?」ギュッ
雪美「……うん……大丈夫……」
モバP「例え暑くても寄り添えるのはよほど相手を気に入ってでもいないとできないことだ」
モバP「気に入ってもらえているのなら素直に嬉しいが」
雪美「……どんな時でも……これが……Pとの……共鳴……」
モバP「じゃあさ、俺が風邪に罹ったとしても、雪美はお構いなしに膝に乗るかい?」
雪美「……乗っていたら……うつる……かも……」
雪美「……でも……一蓮……托生……」
雪美「Pと、私……二人で……溶け合う……」
モバP「……病気には罹らないようにしなくちゃなあ」
ちひろ「ベタベタし過ぎて脱水症状とか起こさないでくださいよ?」
206
モバP「疲れたぜ」
奈緒「どうしたんだぜ?」
モバP「ちょっと間違った霧雨魔理沙みたいに言うのね。……不覚にもときめいた」
奈緒「ば、ばかっ! つい韻を踏んじゃっただけだ!」
奈緒「……Pさんは東方も知っているんだな」
モバP「奈緒こそ。まあ、本家のシューティングゲームはやったことがないんですがね」
モバP「サブカルに触れていると独り歩きした音楽やキャラが知らず知らずの内に侵食してくるジャンルだよ」
奈緒「あたしもそんなに詳しい訳じゃないけど、気づいたら知ってたな」
モバP「まずシューティングって精密動作を要求されるから苦手で、パロディウス以来触っていないね」
奈緒「パロディウスはネタを理解するのが難しい気がする……」
奈緒「脱線から話を戻してさ、Pさんはどうして疲れているんだ?」
モバP「よくぞ聞いてくれました。事の始まりは一週間前のことなんですがね――」
奈緒「あっこれ面倒臭いやつだ」
――
モバP「という訳で、ペロとその友だち五匹とかくれんぼをしていましたらくたびれまして」
奈緒「一週間前の前置きは結局関係ないのかよ……」
雪美「……Pは……ペロたちに……とても、気に入られている……」
奈緒「しかも話の合間に雪美が設置されてるし」
雪美「……ぶい」v
奈緒「…………ぶい? ……へへっ」v
モバP「この世の天国かな?」ジーッ
奈緒「まじまじと見つめるな!」
奈緒「……はぁ……だいたい猫とかくれんぼって、仕事しなくて良いのか?」
モバP「それをちょっと本気を出して片づけたところで今に至るんですよ」
奈緒「それで片づけられるのも凄いよ……あっ、書類ここ間違ってないか?」
モバP「ん、どれどれ…………」
モバP「……奈緒、天才」b ヤメロヨ
207
ダダダダッ
肇「あ、Pさんだ。……Pさん!」
モバP「はっ? ……や、やぁ肇」ゼェゼェ
肇「器はあっても心ここにあらずという様子ですね」
モバP「そういや心を丸洗いしてベランダに干しているままだった」ハァハァ
肇「ふふふ、ユニークな冗談。なんだいつもの調子のPさんでした」
モバP「今、追われているのよ。意識がそっちに向いてしまっている」フゥ
肇「それは大変! 誰に?」
バサバサバサ
モバP「ひいっ!? お、お助け~!」バッ
肇「大量の形代……というか人形? ちょっ、Pさん抱き着かないで///」
??「むぅ……肇さんを盾にするとは~」
肇「この声……」
??「そ~な~た~」 バサバサバサ
肇「人形が寄り集まっていく……!?」
芳乃「……此度はー、わたくしのおせんべいを勝手に齧ってー、不敬でしてー、出ませいー」
肇「……芳乃ちゃんが顕現した……」
モバP「悪気はなかったんだ! 許してくれ、この通りだ!」
芳乃「……では、何故逃げるのでしてー?」
モバP「芳乃が追いかけてくるからだよ!」
肇「追いかけられると逃げたくなる……人間心理ですか」
芳乃「ふむ……では少し落ち着いて話をしませー」
モバP「ああ。……いやあ、何かから逃げるってのはスリル満点で生きてる実感がするね本当」
芳乃「楽しそうですねー。ではもっと楽しみましょうかー?」 バサバサバサ
モバP「わーっ!? やっぱり今の無しでお願えしますだーっ!」ダダダッ
肇「あっ……Pさん、もっと構ってほしかったです……」プクー
雪美「…………すごいものをみた」
208
モバP「働けど働けど猶我が生活楽にならざりじっと手を見る俺モバP」
ちひろ「余分な物が四字ほどくっついていますね」
モバP「オーバーな引用をしましたが、我々の給料って適正なんでしょうかね?」
ちひろ「個人的には不満はありません。強いて言えばあなたがドリンクなどを買ってくれたら私は潤います」
モバP「そこは隠しませんね。まあ、食欲がない時にぐいっと一本飲むと効きますから重宝はしていますよ」
ちひろ「待て、私のドリンクは胃腸薬じゃない」
雪美「P……貧乏……?」
モバP「いんや。豪勢な暮らしとは無縁だが貯金は作れているからな」
モバP「要求するとしたら自分の賃上げよりアイドルの待遇向上になるだろうね」
ちひろ「まあご立派だこと」
雪美「……埋蔵金……探しに……行く……?」
モバP「社会の授業で出てきたのかな? 最近”埋蔵金”なんてロマン単語は聞かなくなったなあ」
ちひろ「昔はテレビでよくやっていたらしいですけどね」
むつみ「埋蔵金……金色の響きがしますね!」
モバP「おうむつみよ、息災であったか。息子がお前の帰りを待ちわびておるぞ」
むつみ「世界中を飛び回って滅多に家に帰ってこない冒険家の父親みたいな扱いですか?」
モバP「ああ良いっすねえ」
ちひろ「埋蔵金探しが流行らなくなったのは、今の時代、科学が発展したからなんでしょうかね」
モバP「地中に大判小判ざっくざくあったりしたら探知できそうではありますね。つまり、ない……」
雪美「昔話では……大判小判……よくあるのに……」
むつみ「でも、石油や温泉を掘り当てるとかよりは、やっぱり金銀財宝ですかね! 光り物は強し!」
ちひろ「私は石油や温泉でも充分です」
モバP「何にしても、地道に財を築くことに専念するより、たまには一獲千金を夢見るのも人間らしさだな」
むつみ「その通りです! という訳で取り出しましたるは謎の宝の地図」 オォー
モバP「何か物件拝見トレジャーバトルで見たようなそれだが、出所は?」
むつみ「麗奈ちゃんですね」
モバP「……ここは釣られようか」
209
モバP「今朝は変な夢を見たんだよ」
雪美「……ほー」
モバP「UFOに蘭子ダイブ姿の蘭子が何十人もキャトられているのを呆然と見ている夢だ」
雪美「……宇宙人……蘭子を集めて……何をする……」
モバP「さあな。後で闇に飲まれてブラックホールになったりして」
雪美「……こわい」
モバP「ただ、逆再生の夢を見ていた可能性もあるな。たまにそういうことあるんよ」
モバP「つまりUFOから何十人という蘭子が降り立ってくる侵略」
雪美「……それもこわい……」
モバP「怖いだろう? 怖いねぇ。怖いから、俺、寝る」
雪美「……また寝るの……? ……次元大介……みたいに……言って……」
アハハハ フフフ
ちひろ「頭の中身が前衛的過ぎませんかねこの人」
210
モバP「雪美さん……変わり果てた姿に……」
雪美「……?」
モバP「それは杏の”働いたら負け”Tシャツじゃないか」
雪美「ユニフォームとして……もらった……似合う……?」キラキラ
モバP「何のユニフォームだよ。似合うがさ。いや、似合っちゃいけないんだよ」
雪美「プリントシャツは……いろいろ……ある……」
モバP「結構ロクでもない類の標語とかキャラクターとか書かれた物も巷には多いな」
雪美「……これで……バンダナ巻いたら……ラーメン屋さん……」
モバP「さすがにこれ着て営業しているラーメン屋さんはないよ!?」
雪美「Pも……着たい……? 待って……」
モバP「待て待て脱ぐんじゃない。さすがにサイズが合わないから」
雪美「じゃあ……もう一つ、手に入れて……ペアルック……しよう……」
モバP「不健全なペアルックだなあ……」
ちひろ「違う意味でも不健全に見えますけどね」
211
モバP「ただいま戻りました。すっかり夏ですね」
ちひろ「あらプロデューサーさん。ついこの前は春とか言っていたのに」
モバP「春と思えば夏が来て夏と思えば夏のまま、ですよ」
ちひろ「それは嫌だなあ……おや、顔に汗が」
モバP「日差しが強かったものですから」フゥ
雪美「……おつかれさま……」フキフキ
モバP「ありがとう雪美さん」
雪美「……P……暑がり……?」
モバP「ああ。体温調節力が人並以上って訳じゃないから気を付けないと自律神経失調症が怖い」
雪美「……暑がりなら……同じ……だね……」ニコ
モバP「じゃあ、一緒にシャワーでも浴びてきますか?」
雪美「賛成……」
ちひろ「流れるようにアウト」
212
モバP「日常の一風景」
モバP「モロッコヨーグルを食べる雪美さん」
雪美「……」アム
雪美「……ん」
雪美「…………んんん」ニマ
モバP「雪美さんは駄菓子も意外といけますよね」
雪美「……Pにも……はい」
モバP「……ん、良い味だな。ついでに間接キスをありがとう」
雪美「……?」
モバP「……そういうことはあまり気にしないのか。いや、何でもないよ」
雪美「そう……。……」アム
雪美「……次は……またPに……」ハイ
ちひろ「一口ずつ交互にとかナカガイイナー」
213
モバP「いよいよ元号が変わる……感慨深いですね」
ちひろ「そして世の中は十連休だそうで」
モバP「もっとも十連休を取得できる人が世にどれだけいるかは分かりませんがね」
ちひろ「我々はいつも通りですね」
モバP「長期休暇前に銀行から生活費を下ろしたり引き落とし分の入金は万全ですか?」
ちひろ「聞き飽きるほど聞いた注意喚起をしないでくださいよ」
ちひろ「というかもう連休に突入しているんですけど今更確認してもですねえ」
モバP「自分はちょっと必要な分のお金を下ろすのを忘れていました」
ちひろ「どうするんです?」
モバP「ちひろさん。コレ、少し貸していただけませんか? なんつって」
ちひろ「十日で十割で良ければ」
モバP「トジュウとは暴利を貪りますなあ」
モバP「まあそう来るとは分かっていましたよ。借りずにコツコツ日雇いのバイトでもします」
ちひろ「副業禁止ですよ」
モバP「なぬ!?」
ちひろ「なぬじゃないです」
モバP「いや、それも社会人ですから知っていますが……まあ、手数料払って普通に下ろせば済みますよね」
ちひろ「口座凍結していたら面白いのに」
モバP「とりあえず生活費は足りているんですよ。無いのはずばり遊ぶ金ですね」
ちひろ「プロデューサーさんの遊ぶ金は家族サービス的な意味ですからねえ」
モバP「のんびり競馬でも見に行ってみようかと思うんですよ」
ちひろ「ギャンブルですか。あなたにしては意外ですね」
モバP「この前の皐月賞で見たサートゥルナーリアの太い首が格好良いなーと」
ちひろ「首フェチ!?」
雪美「……P……たまに、首を触るのは……そういう……?」
214
モバP「夢ネタしつこいかもしれませんが」
朋「何?」
モバP「泥吐いたり虫吐いたり、最近何かを吐く夢をよく見る気がするんですよ」
朋「虫はデトックス、でも泥は隠し事をバラされてみんなから嫌われるメタファーね」
モバP「やだ怖い……やめてください……」
朋「Pの思想として悪い物を排出して身軽になりたいという意識があるのよ、きっと」
モバP「千と千尋の神隠しが思想形成に影響していそうだ。オクサレ様とか泥団子とか」
朋「そんなPの本日のラッキーアイテムは……雪美ちゃん!」
モバP「具体的すぎない? 星座占いの一つにラッキーアイテムが特定の人物とか」
朋「星座占いとは言ってない。P占いだから」
朋「さあ、幸運を味方につけて、今日も一日頑張っていくわよ!」
モバP「アイアイサー!」
自宅の雪美「……今日の占い……年上の異性と……相性良い……ふふ」
215
モバP「レイナ様」
麗奈「はいはいレイナサマよ。何かしらP?」
――
モバP「時子様」
時子「あら豚、殊勝にも躾けてほしいようね?」
――
モバP「雪美さま」
雪美「……」
雪美「……P……おすわり」
モバP「……くぅーん」
凛「……猫じゃなくて犬扱い!?」
奈緒「なんて三段オチだよ」
加蓮「あれで結構ノリノリという」
216
モバP「雪美よ」
雪美「……?」
モバP「その格好は一体何だね? おいちゃんに説明してみなさい」
ちひろ「おいちゃんって誰や」
雪美「……」キョトン
モバP「言わぬなら自分から言うぞ」
モバP「ポニーテールに大きなリボン、カットソー、キュロットがとても愛くるしい」
モバP「由詑かなみかな? 羨ましいぞ」
ちひろ「何が」
モバP「そんな服を着られて、しかも似合うことがだ!」
ちひろ「自分も着たかったのか……」
雪美「Pも……女の子に……なれば……」
モバP「まあ俺が自然の摂理を捻じ曲げてTS出来たとしても、年齢と身長肉体的に……」
ちひろ「ついでに若返らないとですね」
モバP「若いってええなあ……」
雪美「……私は……Pみたいに……大きく……なりたい……」
モバP「おっと話が逸れてすまない。雪美のその格好は誰が?」
ちひろ「久しぶりの私です」
モバP「GJ……結構そっち系の趣味がおありだったりするんですか?」
ちひろ「そっち系って何だよ」
モバP「でも良いですね。雪美がかなみなら自分はクーガーになりたいです」
ちひろ「カズマじゃないんかい」
モバP「では、せっかくなんで千秋に見せびらかしに行くか!」
雪美「……おー」
千秋「……クッ! この悪寒は……?」ゾクッ
217
モバP「雑誌を見ていたら”姉にしたいし妹にしたいアイドルランキング”というのが載っていました」
ちひろ「姉妹どっちの役も親近感あっていけるって貴重かもしれませんね」
雪美「……私だと……姉には……なれない……」
モバP「二十代向けのやつだからな。俺は雪美が姉でも一向に構わんが」
モバP「家族構成次第では年上の妹や年下の姉ができることだってあるしな(雪美がそうだとは言ってない)」
雪美「……年下なのに……姉……? ???」
ちひろ「例えばの話、プロデューサーさんが成人した莉嘉ちゃんと結婚したら、美嘉ちゃんは年下の義姉になります」
雪美「……」 ←分かったような分からないような
モバP「ちなみにランキングの1位はな……なんと……驚きの……」
雪美「……?」
ちひろ「誰ですか?」
モバP「高垣楓さんでした」
ちひろ「……あー……わかるわ」
218
モバP「雪美の変な写真を親御さんから預かって参りました」 エー
ちひろ「何の為に持ち出したんですか」
雪美「……そうだそうだ」
モバP「選挙のアピール材料にできないかとね。雪美には内緒ですまない」
雪美「……それで……何の……写真……?」
モバP「これですな」ピラッ
雪美「………………」
雪美「」プシュー
ちひろ「えっ、ちょっとどんな恥ずかしい写真ですか私にも見せてください」
モバP「食いつき良いですね……はい。布団で簀巻きになっている雪美さんのエレガントなお写真ですよ」
ちひろ「ああ~」
ちひろ「藤和エリオみたいですね。でも顔が隠れているので支援に使うには微妙ですねえ」
雪美「……返して……これは……だめ……///」 アッハイ
219
モバP「日常の一風景」
モバP「マットで前転する雪美さん」
ピー
雪美「……いきます……」
ゴロンゴロンゴロン
雪美「はいっ……!」バッ
モバP「フィニッシュポーズが決まっていますね」パチパチパチ
雪美「……」キラキラ×2
モバP「半袖とハーフパンツの体操服も麗しい」
モバP「でも、さすがに髪はしっかりまとめて結んでいるか」
雪美「……体育で……長いと……大変……」
モバP「じゃあ次はこの跳び箱なんてどうです?」
ちひろ「その体育用具はどこから持ってきたんですかね?」
220
雪美「……P」ヒシッ
モバP「……雪美」ヨシヨシ
ちひろ「人目を憚らずイチャつきおって」
モバP「しばらく会えないのでこうして。忙しい身はなかなか辛いものですよ」
雪美「……」
モバP「そうだ、俺がいない時の身代わりにこれをあげよう。チューインガムだ」
ちひろ「これまたテキトーな身代わりですね」
モバP「ところがどっこい、このチューインガムは特別でな。そのまま持っていても結構だが」
モバP「緑色になるまで噛んでから土に埋めると、なんとガムの木が生るんだ」
雪美「……ふふっ……もう……嘘ばかり……」
ちひろ「エルマーのぼうけんかな?」
モバP「晴にも一発で看破されたよ」
雪美「P……いないと……さみしい……」
モバP「暫しの別れだが悲観せずとも良い。良い子で待っていろ」
雪美「……待ってる……だから……必ず……戻ってきて……」
モバP「ああ……約束するよ」
雪美「約束……重ねて……私とP……もっと……近く……」
モバP「幾重にも絡みついた糸の中にいるように、段々と離れられなくなっていくな」
ちひろ「……」イライラ
モバP「なお、あまり一つに依存しないように多角的に物事を見ることも大事ですね」
ちひろ「ですね」
雪美「……行ってらっしゃい……。おみやげ……忘れずに……」
モバP「行ってくるよ。グンマーとサイタマでの仕事にな」
ちひろ「そんなに遠くないじゃないですか。何を今生の別れみたいな寸劇やってるんですか」
雪美「……楽しいから……ねー?」 ネー?
ちひろ「……雪美ちゃんは可愛いから許す」
221
モバP「♪♪♪」
ちひろ「おやまあえらく上機嫌ですね」
モバP「雪美が俺にお弁当を作ってきてくれまして♪」
ちひろ「いよいよもって内縁の妻か何かですか」
モバP「それだけで事実婚になるんだったら今頃何重婚ですか」
ちひろ「そういえば他のアイドルにも時々手作り弁当貰ってますね。爆ぜろ」
モバP「このお昼ごはんの時間が楽しみで楽しみで仕事が手につかないのなんの!」
ちひろ「道理でハッピー状態なんですね。爆ぜろ」
モバP「という訳で開けてみましょう玉手箱」パカッ
モバP「おおおお」
ちひろ「ご飯の上に鮭フレークでハートマークですか」
ちひろ「敢えて桜でんぶで来ない所が個性ですかね? この幸せ者め」
モバP「……自分で自分の弁当を作る時はこういう凝り方しないですから、新鮮ですよね」
モバP「しかもハート。雪美の愛情が伝わってきますね。嬉しい、実に嬉しい」
ちひろ「良かったですね。爆ぜろ」
モバP「それに、鮭フレーク大好きなんですよ」
モバP「昔から好きなご飯のおかずベスト3は辛子明太子・鶏そぼろ・鮭フレークですからね」
ちひろ「男の子してますね」
ちひろ「ほう……野菜も肉も簡単ではありながら彩り豊か。そして玉子焼き」
モバP「玉子焼きは定番ですね。これ一品でランチタイムの満足感が一気に上がりますよ」
モバP「果たして雪美は甘い派でしょうか甘くない派でしょうか。これは楽しみな一番です」
ちひろ「そして別の容器にデザートまで。ああ妬ましい」
モバP「イチゴですね。一から十まで手を抜かない構成、グッドです」
モバP「じゃ、ワシは食べます。悪く思わんでください!」
ちひろ「では私は外でヘビーなロブスターでも食べてきてやりますよ」
モバP「豪勢だなあ。いただきます」パチ
――
モバP「雪美」
雪美「……?」
モバP「お弁当、ごちそうさま。とても美味しかったよ」
雪美「……良かった……」クス
モバP「また、時間がある時で良いから雪美の手作りが食べたいな」
雪美「今度は……二人で……出かけた時に……」
モバP「お弁当を作ってピクニックか……良いな。行楽にはちょうど今くらいが良いし」
雪美「……花嫁修業……にもなる……」ボソリ
モバP「え? なんだって?」
雪美「……何でも……ない」
モバP「まあ聞こえているんですがね」
雪美「……もう……ふふっ」
222
モバP「がさつで当たりが強い関西弁の少女って良いと思いませんか。猿柿ひよ里みたいな」
ちひろ「ストライクな属性のデパートですかあなたは」
雪美「……」
ちひろ「しかもそれを雪美ちゃんを膝に乗せた上で平然と言っちゃうんですから」
モバP「それだけ信頼しているしされているということです。手は今ちょっとニギニギされていますが」
雪美「……」ボー
ちひろ「はいはいごちそうさま」
ちひろ「所属アイドルにはいないタイプですね。関西弁でなければ……失礼ですけど、巴ちゃんとか?」
モバP「巴とか晴とか、分かるんですがやっぱり何かクールなんですよね、基本」
ちひろ「何ですか、そういうツンな子を自分色に染めたい的な願望でもおありで?」
モバP「いや、染めずにそのまま戯れたいですね。罵声貰ったり噛みつかれたりしながら」
ちひろ「好き者ですね全く」
雪美「……P……なでて……ほしい……」 ハイヨ
223
モバP「事務所に爆弾が仕掛けられるなんて、こんなことってあるかよ」
雪美「……」
モバP「それも俺と雪美だけ取り残されて……晶葉の電話指示で解除は進めてきたが」
カチ カチ カチ
モバP「……最後に青い導線と赤い導線が残ってしまった。これは晶葉に聞いても分からない」
モバP「残り時間は3分46秒……もう悩んでいる時間はないが」
雪美「……P……」
モバP「赤にするか……」
雪美「……Pと……繋がっている……赤い糸……切る……の?」
モバP「……ううむ」
モバP「ヒントとして犯人らしき人物の置手紙があるが、”青を切れ”――これは罠かもしれない」
朋『Pの今日のラッキーカラーは赤ね!』
モバP「今朝、朋はそう言っていた。ラッキーカラーを切るのが正解か切らないのが正解か」
カチ カチ カチ
モバP「ダメだ……運の二択に失敗は再送じゃ済まん。どうしたら……」
モバP「……雪美」
雪美「……?」
モバP「雪美の好きな色は何色だ?」
雪美「…………ピンク……」
モバP「探してもピンクはどこにも無いんだ、すまない」
モバP「青と赤ならどちらの方が好きだ?」
雪美「青と赤……両方好き……選ぶことなんて……できない……」
モバP「……」
雪美「……」
カチ カチ カチ
モバP「……分かった」
雪美「……?」
モバP「どちらも切らない」
雪美「でも……それだと……爆発……する……」
モバP「俺も蒼と紅、どちらも好きだからな。これが凛とまゆだとしたら、どちらも切れん」
雪美「……P……」
モバP「優柔不断でごめんな。でも俺は第三の選択をしてみることにするよ」
雪美「……分かった……最後まで……付いて行く……」ギュッ
カチ カチ カチ ピー!
――
晶葉「バーチャルテスト終了だ。お疲れ様、P」
モバP「それで、バーチャルとは言っても結局正解は何だったんだ?」
晶葉「そんなものはないぞ。あの時限爆弾は偽物、という設定だからな」
モバP「なんだ……まあ爆発オチなんてサイテーだからね」 ソウイウコトダ
224
雪美「……」プクプク
モバP「雪美さんがシャボン玉を吹いている」
プカプカ
モバP「辺り一面シャボン玉――ティーンや大人ではまず見かけない微笑ましい光景よ」
雪美「……」プクーッ
モバP「おお、大きい」
モバP「ファンタジーの世界なら大きなシャボン玉に包まれた人が空に浮かんだりするが」
ポテン
コロコロコロ
モバP「浮かばないし割れなかった」
雪美「……? ……P…………見た……?」
モバP「えっ、見ちゃいけないものだった?」
雪美「……バルーン……触ってみる……?」 エッ サワッテイイノ?
225
モバP「出会った頃の雪美は大変でしたよ」
ちひろ「どんな所が?」
モバP「異性に抱き着かれるとね、猫になっちゃうんですよ」
ちひろ「フルーツバスケットの物の怪憑きかな?」
モバP「契りを交わしたおかげで呪いは解けて今のように膝に乗せても平気になりましたがね」
雪美「……」(*゜-゜*)
ちひろ「つくならもうちょっとまともな嘘をつきましょうね」
モバP「今でもたまにこうやって耳生えたりしますが」サッ
Λ....Λ
雪美「……」(*゜-゜*)
ちひろ「咄嗟に猫耳カチューシャ被せて言いなさんな」
モバP「いやいや、耳だけでなく尻尾も――」パシッ
ちひろ「雪美ちゃんのどこに触ろうとしてるんですか」
226
雪美「……すー、すー」
モバP「晩春のお昼寝、か。実に幸せそうな寝顔をしておる」
雪美「……」コロン
モバP「おっと、こっちに寝返りを打ってきた」
雪美「……」バフッ
モバP「そんなに密着して大丈夫か? 息苦しくならないか?」
雪美「……」ダキッ
モバP「抱き枕に全身埋めているようなものかね? 俺なんてそんなに柔らかくないのにな」
雪美「……」スリスリ
モバP「起きてるな貴様」
雪美「……残念……ばれたか……」
ちひろ「春眠暁を覚えず」
227
モバP「日常の一風景」
モバP「割烹着を着た雪美さん」
雪美「……」キラキラ
モバP「雪美さんは結構和装のお仕事が多いが、やっぱり似合うんですねぇ」
雪美「……そうだとしたら……うれしい……」
モバP「ハハハ、自信を持って良いぞ! 雪美はどこに出しても恥ずかしくないアイドルだ」
雪美「……うん……!」
モバP「それにしても割烹着は昭和のお母さん的なイメージが乗る。雪美も少し大人びて見えるな」
雪美「……これで……ひざに乗ったら……少し……変……?」
モバP「お母さんを膝の上に乗せると考えると……」
雪美「……?」
モバP「少し新鮮だな!」
ちひろ「やだアブノーマル」
228
モバP「思えば、杏はよく俺の相談に乗ってくれるよなあ」
杏「感謝したまえ」
モバP「気分が悪ければ休みなさい、横になってなさいと言ってくれるし」
杏「働き過ぎは良くないからね」
モバP「ちょっとした心のケアもしてくれるし」
杏「話を聞くだけだけどねー」
杏「って杏は保健室の先生じゃないぞ」
モバP「でも他のアイドルからもそういう所、割と頼られているでしょ?」
杏「……そういえばそうかなぁ」
モバP「自覚がないということはごく自然にやっているということか」
杏「プロデューサーの話は割と聞き流しているよ」
杏「杏は自分のことで手一杯なのさ。親身に付き合うなんてないない」
モバP「とか言いつつこうして二人でキャンディブレークしてるがな」
杏「プロデューサーの飴チョイスが絶妙だからついつい釣られるんだよねー」
杏「何だかいつも見たことない知らない飴をくれるよね。どこで見つけてくるのさ?」
モバP「コーヒーと輸入食材の店とかだな。海外のお菓子がズラッと並んでいて楽しいぞ」
モバP「暇な時はそういう場所によくいるのが俺だからな」
杏「えー、良いなー」
モバP「ちなみに玩具売り場のレゴブロックのコーナーなんかもそこだけ欧米の空気感があって好きよ」
杏「でも積極的に海外に行きたい訳じゃないんだね」
モバP「一庶民としてぼんやりと憧れているくらいが一番楽しい気がするんよ」
杏「……賛成しかねるようなちょっと分かるような」
雪美「……P……ちひろさんが……呼んでいる……」
モバP「おっと、休憩も終わりか。ほいじゃ、お互いもうひと頑張りと行きましょうか」
杏「いや、杏は頑張らないけど」
雪美「……」
杏「まあ少しは頑張るよ、うん」
229
モバP「GW明けたし働くぞ働くぞ働くぞ」
ちひろ「ワーカホリックかな」
モバP「世の中には仕事してないと落ち着かない、休むと不安になるって人もいるようですね」
ちひろ「並行世界のあなたのことかもしれませんよ」
モバP「何を仰います、仕事人間になりきれない従順な社畜とは私のことですよ?」
ちひろ「収まりが悪い社畜ですね……まあ休日も有って無かったようなものですしね」
モバP「業界人はその分、ちょっと遅めのGWとか休暇を取られる方もいますね」
ちひろ「アナウンサーとか一週間ほど普段と違う人が入ったりしますね」
モバP「自分も一週間くらい代理立てても良いですかね」
ちひろ「一週間経って帰って来たらすっかり立場乗っ取られていたりして」
モバP「こわやこわや」
ちひろ「で、あなたの代理とは? Y内さんとかT内さんみたいな名字ですか?」
モバP「いえ、池袋博士が作ったロボットですね。人工知能搭載ですがベースは自分と同じくらいです」
ちひろ「さすが21世紀だなあ」
モバP「今は研究室でメンテナンス中なのでお見せできませんが、ちなみに雪美型もいますよ」ハイ
ヤァ
ちひろ「何ですかこの茶筒に目と手と足が生えたメカ沢くんみたいな何かは」
モバP「雪美の影武者です」
ちひろ「それは無理があるやろ。手乗りサイズですし」
ワタシ……ココニイル…… キコキコ
モバP「ほら、実に雪美でしょう?」
ちひろ「それを雪美ちゃんと言い張るのはやめましょう」
雪美「……」ジーッ
モバP「おっ! 雪美サンテレビ」
ちひろ「何じゃそりゃ」
……
雪美「……」
ワタシジャナイ!
雪美「……私の……そっくりさん……」
ちひろ「いやおかしいですから! 既に雪美ちゃんが言わないようなこと喋ってますし!」
モバP「感動的な邂逅だな」ウンウン
ちひろ「分かったように頷くな」
カタカタカタカタ カタッ
雪美「……? P……、止まった……」
モバP「この子はゼンマイ式だから背中のネジを回してあげればまた動くぞ」 ワカッタ
ちひろ「くそぅ、二人して私をからかってる気がする……!」
230
モバP「にゃんみくってさ、かつお節は大丈夫なんでしょ?」
みく「ニャンポコみたいに言わないの」
みく「そりゃあ、お好み焼きやたこ焼きにだって入っているもん」
モバP「最近ね、高菜チャーハンにかつお節をかけて食べると美味しいことが分かったんだ」
みく「Pチャンはシンプルなご飯が好きだにゃあ」
モバP「で、今度みくにひとつ、かつお節を使った料理を作ってほしいと思いまして」
みく「良いけど……でも何でまたかつお節にゃ?」
モバP「乾物は長持ちするからか贈答品や仕送りで結構貰う割に、俺こんななんで余らせていまして」
みく「なるほど」
モバP「で、かつお節と言えばねこまんま、ねこまんまと言えば一緒にねこまんま食べたいアイドルのみくを誘おうと」
みく「変なものにノミネートしないでよ」
モバP「ちなみに雪美は一緒にツナマヨトーストを齧りたいアイドルです」
雪美「……わたしです」エッヘン
みく「嫁さんにも変なことを吹き込みまくるのはやめようね!」
モバP「そういやみく、元々はご飯奢るって話だったのがいつのまにかご飯作るにすり替わっているな」
みく「Pチャンにご飯奢るのは何か違うと思ったの」
モバP「未成年年下にご飯を奢られるのもなかなか格好つかないものではあるからな」
みく「アイドルをまとめるプロデューサーだからね」
モバP「まあご飯を作って胃袋から掌握するやら餌付けするやらってのもされる側の格好がつくかは別の話」
みく「でもそういう姉さん女房はいるにゃ」
モバP「雪美もある意味では心の姉さん女房みたいなものでもあるんだよね」
雪美「……そうなの?」
モバP「そうです」
みく「それはどうかと思うよ?」
231
モバP「……」
雪美「……」
モバP「雪美、今日こそどちらが立場が上かはっきりさせようじゃないか」
雪美「……のぞむところ」
モバP「いざ、勝負!」
――
ポスン
雪美「……これで……34勝……6敗……」
モバP「……俺の勝率1割5分か……雪美さんには敵わないなあ」
ちひろ「また負けたのか」
ちひろ「まあ、大の大人が本気出す訳にもいかないでしょうけど」
モバP「分かっていても男には勝負しないといけない時があるんですよ」
ちひろ「でもちょっと男の勝負を安売りしすぎじゃないですか?」
232
モバP「ほれほれ」フリフリ
ペロ「ウニャッ!」ガバッ
モバP「おあっ! ……まただ、おかしいなあ」
雪美「P……どうしたの?」
モバP「いや、ペロの前で猫じゃらしを振ってみるんだがな」
モバP「このようにじゃれてくれずに俺の腕に巻きついてしまうんだ」
ペロ「ニャー」
雪美「…………」
雪美「……P……変な……暗示をかけてる……」
モバP「そんなことは意図していないぞ? ただこうやって普通に振ってさ」フリフリ
雪美「……P……!」ガバッ
モバP「って、雪美までどうした抱き着いてきて」 スリスリ
ちひろ「偶然暗示をかけてしまうって危ないですねこれ」
233
モバP「おう雪美さん、いないと思ったらこんな所に」
雪美「……P……また……見つけてくれた……」
モバP「だが、探してもらう為に隠れていた訳じゃないんだろう?」
雪美「……」コクン
モバP「隣に失礼しますよっと……狭くてごめんね」
雪美「……かましまへん……」
モバP「……」ホー
モバP「なるほど。雪美さんは暑いと涼しい場所を、寒いと温かい場所を見つけるのが上手いな」
雪美「……私の……得意技……」
モバP「まるで猫みたいだ」
雪美「猫だ……にゃー」
ちひろ「若干一名、たむろしてタバコ吸ってるヤンキーみたいな座り方してますね」
234
モバP「仕事する」
雪美「……一休みする」
モバP「そして仕事する」
雪美「……遊ぶ」
モバP「更に頑張って仕事を片づける」
雪美「……デート、する」
モバP「うん、実に健全な日々だ」
ちひろ「結構コンプライアンスがクライシスだと思いますけど」
モバP「逆に考えればメリハリをつけることでこれ以上爛れなくて済んでいるのでは」
雪美「ただれると……どうなるの……?」
モバP「二人の世界に閉じこもって他を顧みなくなったりするかもな」
ちひろ「今でも結構一心同体でしょうあなたたち」
235
モバP(普段通る道が工事で通行止めときた)
モバP(急いではいないんでちょっと遠回りして行くか……ん?)
モバP(おや、ここの壁にぎりぎり通れそうな穴が……)
モバP(って、通る訳ないだろ。こんな分かりやすいトラップあるか。閊えるのがオチだ)
――
モバP(ほう……こっちの通りはあまり通らなかったが……良いな)
モバP(小さな店が出来ている……ケーキ屋さんかな? 外観はなかなか良い雰囲気だ)
モバP「へぇ~」
モバP(おっ、フェラーリが停まっているな。くぅ~、憧れるなあ)
モバP(運転したいかどうかは別として、見た目がやっぱり心を掴んでくるね)
モバP(あの丸いテールランプ……)
モバP(怪しい人みたいになるのでジロジロ見たりはしないが)
モバP(おや、女の子が立っている)
モバP(雪美に何となく雰囲気が似ているな。……雪美と触れ合いすぎて認識までジャックされている?)
モバP(変なことを考えていないで行くか)
少女「……あの」
モバP「……はい?」
少女「……が、いつも……お世話になっています」
モバP「……??」
少女「……今度は……私とも……遊びましょう……?」
――
モバP「……事務所に来る前のあれは何だったんだろう? 人違いって雰囲気ではなかったが」
ペロ「ウニャー」スリスリ
モバP「おっ、ペロ。どうした? いつになく甘えてきて」
雪美「……好きな人を……褒められて……うれしい……って……」
236
ガチャ
ちひろ「プロデューサーさん、休むだなんて一体どうしたんですか? 様子を見に来ま――」
グニャア
ちひろ「あっ、SUN値とヒューム値がピンチだ」
モバP「テケリ・リ」
ちひろ「ああ、なんてこと。黒ずんだスライム化してるじゃないですか。目も口もどれがどれやら」
雪美「……」
ちひろ「雪美ちゃんも一緒ですか。これは、どういうことです?」
雪美「闇に飲まれて……いる……」
ちひろ「これ以上ない説明をありがとうございます」
ちひろ「冷静を装っている私が言うのも何ですけど……この状態で平然として見える雪美ちゃんが怖い」
モバP「テケリ・リ、テケリ・リ」
雪美「……P……ちょっと……頑張り過ぎた……だけ……」
雪美「……だから……大丈夫……」
ヌチャ
ちひろ「……!」
雪美「……元に戻るまで……私が……そばにいる……」ダキッ
モバP「……」フシュルルル
ちひろ「ああ……これが……無償の愛、ですか……」
ちひろ「触手が雪美ちゃんを包み込んで……っっ」ゾクゾク
――
ちひろ「雪美ちゃんは、プロデューサーさんがどんな姿になっても、拒絶しないでしょうか?」
モバP「どんな姿とは?」
ちひろ「それはもう冒涜的な」
モバP「……変な夢でも見たんですか?」 ゴメイトウデス
237
モバP「ピクルスを使ってハンバーガーを作るのに最近ハマっていましてねえ」
ちひろ「美味しいですよね、ピクルス」
モバP「あの酸味が良いですね。最初食べた時は外国原産の食材かと思いましたが、キュウリでした」
ちひろ「でもピクルスって酢漬け野菜という意味みたいですね。キュウリのイメージが強いですけど」
モバP「その点は浅漬けと似ているかもしれませんね。大根やニンジンを使ったりもして」
ちひろ「で、他には何を挟むんです?」
モバP「シンプルにパティ、レタス、トマトですか。PLTサンドです。ピクルス入れたらPPLT」
ちひろ「PPAPじゃないんですから」
雪美「Pの、ハンバーガー……おいしかった……」
モバP「材料費と人件費他を考えたらこれ一個いくらで売れるかな? なんて話をしながら家で作ったな」
雪美「……300円……くらい……?」
ちひろ「小学生とする話にしては現実的過ぎる」
238
モバP「ここにドクロマークの描かれた青い液体の入ったフラスコが置いてあるのは何ですか?」
ちひろ「他人からの好感度をゼロにする薬です――と言ったらどうします?」
モバP「物騒ですね」
ちひろ「まあゼロなんで嫌いになる訳ではなく、初対面状態にリセットされるだけですけど」
モバP「いずれにせよ飲みませんよ。そんな都合の塊みたいな薬を飲んだら頭が正常作用しなくなりそうです」
ちひろ「信じていないんですね。信じられるなら、飲みますか?」
モバP「メリットが無いです……でも、周りが仮に好感度マイナスな人だらけなら良いのか」
モバP「そもそも好感度なんてものが共通で数値化できるものなのか」
ちひろ「人間が想像できることは、人間が必ず実現できる――ジュール・ヴェルヌ」
モバP「で、本当は何の薬品ですか?」
ちひろ「新しいエナジードリンクの試作品です。志希ちゃん共同開発で」
モバP「それでこの見た目は遊び心あるなあ」
ちひろ「で、飲んでみます? 勿論毒じゃありませんけど、強制はしませんよ」
モバP「それならば飲んでみます」
ゴクゴク
モバP「んー……いつものよりは甘酸っぱくて良い感じですね……ん?」クラッ
バタン
――
雪美「……P……起きて……」
モバP「……ん……おう……ああ、いつの間にかすっかり寝てしまっていたようだ」
モバP「んん~……雪美が起こしてくれたおかげで最高の寝起きさ。体も軽い」
雪美「……」
モバP「どうした?」
雪美「……別に……。……早く……行こう……」
モバP「お、何か意味深だな――って、待ってくれよ~」
ちひろ「プロデューサーさんは、一人じゃないですからね」
239
雪美「……」
モバP「……」
雪美「……P……起きて……」
モバP「……」
雪美「……」
雪美「……目を……覚まして……」
モバP「……」
雪美「…………」
雪美「…………好き、だから……大好きだから……約束……したのに……こんなの……いや……」ギュッ
モバP「そこまで言われたら起きるぜ」
雪美「! ……はぁ……そこで起きたら……練習に……ならない……」メッ
ちひろ「現金な奴だ」
240
モバP(今日は雪美は両親と水入らずの時間を過ごしている)
モバP(俺は夜からは会社に戻らないといけないが、今は家で一人で夕飯の支度だ)
モバP「……エビフライ」
ジュワジュワジュワ
七海「タルタルソース~」
シャカシャカ
茜「キャベツの千切り!」
トントントントントントントントン
モバP(今は家で一人で夕飯の支度だ――ったはずなのに気づいたらアイドルが来ている)
モバP「何か、ありがてえなあ」
七海「どうかしたんれすか~? はい、レモンとトマトも切っておきました!」キラキラ
茜「今夜はエビフライだと聞いて黙っていられずに来ました! お腹が空きませんか? 空腹は最高の調味料ですねっ!」ドバーン!
モバP「でも君たちエビフライってキャラだっけ?」 ウミノサチレスカラ セヤナー
241
雪美「……」ボー
モバP「……」ポケー
ちひろ「選挙が終わり雪美ちゃん大躍進というのに、燃え尽きですか?」
モバP「五月病です」
ちひろ「そうですか」
ちひろ「……くたびれたマリオ的な?」
モバP「懐かしいですね。あんなに絵が上手になりたいものです」
ちひろ「私たち、ただでさえ仕事をしているシーンがあまりなく雑談ばかりしている風に見えますし、もう少しやる気を出せませんか?」
モバP「メタなこと言わないでくださいよ」
雪美「……やる気……出す……」
ビシッ! クタッ ビシッ! クタッ
モバP「雪美さんが膝の上でストレッチを始めましたね」
ちひろ「とりあえずお二人は分離する所から始めませんかね?」
242
雪美「P……」コッチコッチ
モバP「おや、何かな雪美さん」
雪美「耳……貸して……」
モバP「内緒話かな?」スッ
雪美「……」コショコショコショ
モバP「……っっ!」ゾクゾクッ
雪美「……!?」
モバP「おおう、驚かせてすまない。雪美の声があまりに透き通っていて身震いした」
雪美「……話は……聞いていた……?」
モバP「すまん、もう一回言ってくれ」
雪美「……」コショコショコショ
モバP「……っっ!」ゾクゾクッ
ちひろ「いつから君らはコントをするようになったのかなあ」
243
モバP「ちひろさんちひろさん」
ちひろ「その話しかけ方は若干気になりますけど何ですか」
モバP「5月23日ってキスの日なんですね。奏に教えてもらうまで忘れていました」
ちひろ「覚えていたらプロデューサーさん、アイドルにちょっかいをかけていたでしょうから良かったです」
モバP「いや、さすがに”なのでフリーキスしましょう”なんてことはやりませんよ」
ちひろ「あなたはこのドリンクの飲み口とキスをしていてくださいな。フリーではありませんけどね」
モバP「ちひろさんは厳しいや。いただきます」
ちひろ「どうぞ」
キュリッ ゴクゴクゴク
モバP「うん、おいしい!」
ちひろ「暑くなってくると喉が渇きますからね」
雪美「……P……私のも……ふた……開けて……」
モバP「雪美も一本飲むのかな? と思ったら違うようで」
モバP「ジャムの蓋か。待ってろ、こんなのはちょちょいと……ぬぐぐぐぐ」
ちひろ「何で事務所でジャムの蓋を開けるようなことになっているんでしょう?」
モバP「しょうがない、滑り止めにハンカチを使うか」
カポッ
モバP「開いたぞ」
雪美「……ありがとう……」
雪美「これは……お礼……」チュッ
モバP「」
ちひろ「」
雪美「……また……ね……」
モバP「…………相手から頂いたのでこれはセーフですねえ」
ちひろ「私は何も見ていない」
244
モバP「ファイナルファンタジーのイベントで未央がⅧのガーデン制服を着ることになった」
モバP「……学校が採用している制服としてはミニスカ過ぎねえか?」
未央「私は慣れている方だけど、これはなかなか……鉄壁スカート技術が要りますなあ」
モバP「あれは技術なのか……まあスカートで踊るアイドルなんかは不必要に捲れないような動き方ってのはあるよな」
未央「そこはプロとしてね」グッ
モバP「よっ、本田プロ」
未央「何か女子ゴルフみたいな響きだなあ」
モバP「まあモデルとなっているセルフィは私服もミニな訳で、何ともね」
モバP「だが未央とはイメージカラーも髪型も若干近い所があるね」
未央「うん! だからしっかりセルフィやるよ~! ヌンチャクだってこの通り!」クルクル
雪美「……おおお……!」
モバP「そして美波はSeeD服か。こっちは少しスカートの丈が長いんだよね」
美波「うふふ、似合います?」
モバP「ああ。でも何かシュウ先輩っぽい雰囲気が出ているな」
美波「先輩、かぁ……良い響きですね」
美波「でも、なれるのであれば、人並に弱さも見せられる先生も良いものですね」
モバP「分かるぞ。キスティスか……美波が先生なんてその生徒が羨ましいが」
美波「もしプロデューサーさんも生徒なら私に、壁にでも話してろよ、とは言わないでしょうね?」
モバP「俺が壁だ」ドン!
美波「あら、良い壁♪」
雪美「カッコいい……!」
モバP「雪美もいつかは制服やこのスーツのような服がフィットするようになる時が来るのかしら」
美波「作中では年少の子は制服を着ていないようですからね」
雪美「……今でも……ガールスカウト……くらいなら……似合う……」フンス
モバP「そしてアーニャは風神か。クールの塊ですね」
アナスタシア「хорошо……そうですか?」
モバP「見ているこっちはСпасибоだがな」
アナスタシア「そういうもの……ですかね」
モバP「眼帯は気にならない?」
アナスタシア「Да……でも、蘭子は、目を輝かせていました」
モバP「邪王心眼的な何かかと思ったのかな?」
モバP「しかし、こういう本来非攻略対象のサブヒロインやライバルヒロインが味を出してる作品は良いな」
モバP「例えばアマガミの塚原響やポケモンのムサシに根強いファンがいるように」
美波「一方、プロデューサーさんは私たちの攻略対象ですけど、ね」スッ
アナスタシア「Я согласна」ギュッ
未央「輝く星になるまで、私のことも見ていてくれないとダメだよー? えへへっ」ダキッ
モバP「しまった、囲まれた!」
雪美「……にげる」ササーッ アッマッテユキミサーン
245
モバP「瓶ピクルスを見ていると、皮を剥いたキュウリがぎっしり漬けてあるじゃないですか」
ちひろ「パッと見はワーム的な生物のホルマリン漬け感はありますよね」
モバP「それがよくよく考えると何か言い知れぬ恐怖を感じます」
ちひろ「プロデューサーさんには懐かしい光景なんじゃないですか?」
モバP「ああ、僕は培養槽生まれのクローンですからね――って違うわ!」
モバP「何か動き出したりしそうじゃありませんか?」
ちひろ「結構妄想力逞しいですね。教室で授業受けていたらテロリストがとか考えていませんでした?」
モバP「あり得ないような活躍でテロリストをとっ捕まえてヒーローになりたい願望でしょう?」
モバP「現実的には淫らな行為や銃乱射の被害者という凄惨なことにしかならない気がします」
モバP「で、同級生が犠牲になるのを間近で見たPTSDで、何も出来なかった自分の無力感に打ちのめされて――」
ちひろ「暗い! 今日はやけにネガティブじゃないですか?」
モバP「元々はそういう性格でしたよ。雪美に出会って変わりましたがね」
ちひろ「一体どこに変わる要素を見出したんだろう……?」
246
モバP「運動会とか体育祭のシーズンですね。アイドルからそんな話をよく聞きます」
ちひろ「最近は気温が高いですから大変でしょうね」
モバP「自分の時はまだ秋開催でしたが、日中は結構日差しも強いですからね」
雪美「……」チョコン
ちひろ「雪美ちゃんも膝の上でややお疲れ気味ですか」
モバP「当時は暑くて自分たちばかり苦労したような気でしたが、今思えば」
モバP「当日のテントや連続旗や入場門の設営をしてくれる方々がいたことに感謝です」
ちひろ「アイチャレ大運動会等のイベントにも言えるかもしれませんね」
モバP「ですが、運動会モードの雪美も見てみたいですね。頭にハチマキしてね、クルーネックのシャツとブルマで」
雪美「……?」
ちひろ「小学生の雪美ちゃんにブルマなんてこのプロデューサー筋金入りである」
モバP「短パンでも良いです(震え声)」
雪美「……学校のは……ハーフパンツ……」 デスヨネー
247
モバP「人も物も外見をちょっと飾るとあら不思議、一気に高級感がってのはよくある話でして」
芳乃「でしてー?」
モバP「本日はお仕事を頑張ったご褒美として、みなさまのためにぃ~、こんなお菓子をご用意しました」
モバP「瓶プリンです」
雪美「……びん……!」
こずえ「びん……?」
芳乃「これはまことに高級品ですねー。そのようなものをそなたから頂いてもよろしいのでー?」
モバP「笑顔と引き替えならお釣りが来るぜ。遠慮しないでどうぞ」
こずえ「いただきまーす」アム
こずえ「んん~……おいしいよぉー、ぷろでゅーさー」ニコ
雪美「……いつもと……違う……ふしぎ……」ニコニコ
モバP「良い笑顔いただきましたー!」
芳乃「では、わたくしもー」パクッ
芳乃「……!」
ゴクン
芳乃「……瓶……恐るべし……なのでしてー」トロン
モバP「良かった、限定品でこれだけしか買えなかったんだ。みんなには内緒な?」
こずえ・雪美「……はーい」
芳乃「なんとー、そなたの分も無いではありませぬかー」
モバP「俺は別にいいんだ。ほら、さっさと食っちまいな」タハハ
芳乃「わたくしの分を一口あげますゆえー、そなたも笑ってくださいませー」
雪美「私のも……あげる……。苦笑いは……ダメ……」
こずえ「こずえもー。ぷろでゅーさーは……さいごにわらわなきゃ、いけないんだよー?」
モバP「芳乃、雪美、こずえ……お前ら何て優しいんだ」ホロリ
ハイ、アーン キャッキャ
ちひろ「でも私の分はしっかり確保してくれているのがずるいなあ。……おいしい」
おまけ3
モバP「ところでSUN値って何です? SAN値なら知ってますが」
ちひろ「ぷよぷよSUNのゲージでしょ(適当)」
モバP「太陽ぷよを消すんですね。紗南とレトロゲームを漁っている時に見ました」
モバP「ドラコケンタウロスみたいなスポーティーなハイネックビキニが似合う娘いないかなあ」
ちひろ「どうせ私は似合いませんけどね」
モバP「んなこたー言っとらんです」
おまけ4
雪美「……」クンクン
プイッ
モバP「雪美はスタドリエナドリ系には興味を示しませんね」
ちひろ「味や匂いの若干のケミカルさはどうしても隠せませんからねえ」
モバP「……普通の人に飲ませちゃいけないものなんじゃないですよね?」 マサカー
248
モバP「雪美さんワンシーン」
サラサラサラ
雪美「……」ジーッ
サラサラサラ
雪美「……」ジーッ
サラッ
雪美「……」
雪美「……」チラッ
モバP「砂時計の砂が落ちきって何か訴えかけるように俺に視線を向ける雪美さん」
モバP「そういう何気ない仕草が好きなんです」
雪美「……」ツンツン
ちひろ「雪美ちゃんの気持ち、ちゃんと伝わっていますか?」
249
雪美「Pの……ワンシーン……」
モバP「あっ、くしゃみ出そう」
モバP「は……は……は……っ」
モバP「……」
モバP「……はー」
モバP「うう、出そうで出ないと何か気持ち悪い」
モバP「…………」
モバP「………………」
モバP「ふぇっくしゅっ!!」
ビクッ ガタッ フニャッ!?
雪美「……びっくりした……でも……かわいい」
ちひろ「プロデューサーさんの気持ちは分からんなあ」 フェックシュ!
250
モバP「雪美はお手玉が上手だな。実に器用だ」
雪美「……ん」ポンッ ポンッ ポンッ
モバP「自分はどうも上手くできない。特に高さ調整?」
雪美「……?」ポンッ ポンッ ポンッ
モバP「球技もあまり得意じゃないんだよな。テニスのサーブが長らく上手く出来なかった」
雪美「……あっ」ポトッ ポトッ ポトッ
モバP「空間認識能力とかも関係しているのかなあ。それにしても実に良いテンポを刻んでいて見惚れるな」
雪美「……もう……止めてる……」
モバP「おっと、残像が見えていたぜ」
雪美「……お手玉は……芳乃に……教えてもらった……」
モバP「芳乃は伝承遊びはお手の物のようだからな」
モバP「何事も練習によってある程度は上達するものだと思うが、上手い人にはそう敵わない」
モバP「昔の遊びとは違うが、意外にフラフープが上手い人っているよな」
雪美「……法子……?」
モバP「意外、は失礼か。法子の場合はリング状の物に愛されているというか愛しているというか」
雪美「……ドーナツの……ちからって……すごい……」
モバP「それでフラフープもな、上手くできないんだ。回らずにすぐ落ちてしまう」
モバP「まず男性がフラフープで腰を振っているのをあまり見ないな。元が女性向きなのかな?」
モバP「……」
雪美「……」
モバP「ちひろさんはフラフープとか出来ます? シャンティみたいにセクシーに」
ちひろ「シャンティみたいな腰振りじゃフラフープ回らない気がするんですけど」
ちひろ「私ですか? 以前やった時は出来ませんでしたね」
ちひろ「逆にプロデューサーさんは何だったら得意なんですか?」
モバP「んー……因数分解?」 ナンジャソリャ
251
晶葉「できたぞ、ドリームキャスト(仮)だ」
モバP「おおー! これ、どうやって使うんだ?」
晶葉「この装置が起動中、自分が他人の夢の中に登場すると、一回につき500円」
晶葉「何とギャラが振り込まれるんだ!」
ちひろ「なにそれすごい」
モバP「相変わらず池袋博士の技術は凄いなぁ」
晶葉「そうか? もっと褒めてくれても良いんだぞ? ん? ん?」
モバP「褒めてやるさ。いくらでもな」
モバP「ただしその前に、雪美が分身できるようになったのは君の仕業?」
「……P」 「……ふふふ」 「……っ」 「……ねむい」 「……うう」 「……!」 「……♪」
ちひろ「うわあ……」
晶葉「正直すまなかった」
252
モバP「晶葉の発明した才能開花マシンとやらで雪美が遊んだ結果」
あやめ「結果――?」
モバP「雪美が分身できるようになっちまった!」
雪美「……影分身の……術」 「……ふしぎ」 「……うん」 「……変な顔」
「……Pも分身……しよ」 「……それいい……!」 「……え……できない……?」
モバP「ごめん。面白いけど収集つかないから収納してもらって良いかな?」
雪美「……マーモリー……シューノー……」スッ
雪美「……できた」
モバP「タンスかな?」
あやめ「羨ましいです! P殿、あやめもリアル分身しとうございます!」ユサユサ
モバP「そうは言っても晶葉いわく、想定外のことらしいぞ? 謎の適性があったとしか」
モバP「代わりにあやめはほら、隠れ身の術が使えるじゃないか。電柱とかに」
モバP「これで”殿中でござる”とでも言えば流行語間違いなしだぞ」 ウルサイデス!
253
モバP「雪美の良さの一つは”いじらしさ”だとファンは言う」
雪美×7「……」ジーッ
モバP「それに反して素の雪美は自己主張が激しくなってきた気がする」
――
清良『P教授の総回診です』
雪美
雪美 モバP 雪美 ザッザッザッザッ
雪美
奈緒『あれがインペリアルクロスか』
加蓮『斬新な並びだね』
――
モバP「この前もこんなことがあったしなあ」
ちひろ「どんなシチュエーションだ」
254
雪美「すぅ……すぅ……」
朝目が覚めると、雪美が俺の布団の中に潜り込んでいた。
何故か全裸でな。俺が寝てから入ってきたんだろうが、まあギョッとしたね。
とりあえず俺は寝巻の上を脱いで雪美に着せ、朝食を作りに台所に出た。
別の雪美「……起きたのね……ふん」
モバP「おう……おはようさん」
雪美は最大で六人、自分の分身を作ることができる。
人懐こいキュート、元気なパッション、賢いクール、ツンデレなホワイト、臆病なロスト、危険なアウト。
今、目の前に居るのは、銀髪のホワイトだ。
ホワイト雪美「……今……あなたの好きな……玉子焼き……作ったところ……」
モバP「どれどれ?」パクッ
ホワイト「こら……! つまみ食い……ダメっ」ピシッ
モバP「切れ端だったから良いかなと……悪かった。そう怖い顔をするな」
ホワイト「……ふん」
今は実験的に雪美の分身の内、例外側の三人を自宅で預かって様子を見ているところだ。
分身を元に戻す時には情報の集合処理が行われる。
フィードバックの誤差が大きいほどオリジナルが混乱するので、気を付けないといけない。
ちなみにキュートはちひろさんに、パッションは芳乃に、クールは千秋に預かってもらっている。
モバP?「君は……素直じゃ……ない……ふふっ」
ホワイト「……何?」
俺の口を勝手に動かして、雪美の一人が喋る。
彼女はアウト。某ネメシスや忍野忍のように人の体に憑依ができる。
アウト雪美(……あなたも……”私”に……手を出さない、から……)
モバP(手を出しちゃいかんでしょ)
今は思考も共有状態なので俺の考えていることが筒抜けになる。
一方、アウトが深い所で何を考えているのか、俺には読み取ることができない。
アウト(……起こしに……行かない……の? もう一人の……かわいそうな……私を……)
モバP「あ、最後のお寝坊さんも起こしてくるよ」
ホワイト「そう……」
しかし身近なだけでも雪美が三人も同時に存在しているとか天国である。
本物の嫁艦隊デッキを拝めるなんて夢のようだ。
モバP「雪美、起きろ。朝ごはんだぞー」
ロスト雪美「ん……? うあ……P……?」
モバP「そうだ。あなたのPさんですよ」
ロスト「……だっこ」(つ゚-゚)つ
ロストは他の雪美より甘えんぼうだ。
神経質で内向的な割には物理的な距離が近く、よく俺に抱き着く。
思えばそれぞれの雪美が元の雪美の成分を少しずつ受け継いでいるのかもしれない。
モバP「どーら、どっこいしょ! っと」
ロスト「……わーい……」
ホワイト「……どっこいしょは……おじさんくさい……」
アウト(……どっこいしょは……おじさんくさい……)
モバP「何だよ! あ、何でもないよ雪美」
ロスト「……うん……」ダキッ
彼女たちには如何わしいことはしていない。敢えて言うなら番号確認だ。
オリジナル以外の雪美の体にはそれぞれ番号が振ってある。
右の肩口に1ならクール、臍の左に2ならキュート、左胸に3ならパッション。
ロスト「……Pの温度……快適……」スリスリ
俺の上着に隠れた背中の右肩甲骨に4ならロスト。
アウト(……いやらしいこと……考えてる……?)
右の太腿にXならアウト。
ホワイト「……少しは……手伝いなさい……ばか……」
ホワイトには番号がないが、彼女は銀髪なので見分けられる。
――
モバP「そんな雪美さんに囲まれた生活がしてみたい」
ちひろ「できたとしてもさせねえよ」
雪美「P……分身に……そこまでは……できない……」
ちひろ「まあ分身できるだけでもおかしいですけど」
255
モバP「六月は学校のプール掃除の季節ですね」
ちひろ「何ですかそのとても限定的な季節感は」
雪美「……一年に……一回だけ……」
モバP「そうなんだよ。毎夏プールの授業はたくさんあるが、まとまった掃除は一度しかない!」
モバP「教室・校舎なんかは毎日掃除するから印象に残りにくいが、特別行事は数が少ないからぼんやりとでも残るものだ」
雪美「……Pの……思い出は……どんなの……?」
モバP「それこそぼんやりとだが、みんなで水着の上に体操服・シャツなど着まして」
モバP「水を張っていないプールに下りてびしょ濡れになりながらブラシでチャンバラしたり滑ったり」
ちひろ「そこは真面目に掃除しろ」
雪美「……楽しそう」
モバP「そして女子たちの水着姿が印象的だったなあ。うちの学校では授業だと男女別だったから」
雪美「……P……プール……行こう……。……その印象は……上書き……する」
ちひろ「さて、仕事しますか(現実逃避)」
256
モバP「アイドルにはいろいろなユニット活動がある」
モバP「一人がある時はA、ある時はBを掛け持つなんてことも珍しくない」
雪美「……みんなと……いっしょ……楽しい……」
モバP「合同イベント以上に他の子と交流もできて、良い経験になっているだろうな」
モバP「でも複数のグループに籍を置いていると混乱したりしないかい?」
雪美「……そんなことは……ない……」
モバP「平気そうだな。俺は考えすぎなのか、よくこんがらがる」
モバP「学校で部活動(クラブ活動)、委員会、選択授業、掃除当番、給食当番、日直などいろいろな役割を当てられ、それが時に都合まで絡み合う」
雪美「ん……よく考えると……多い……」
モバP「当時の自分はこんなのをよくやり過ごしていたなと」
雪美「……そのおかげで……今のPが……あるのかも……」 ナルホドナァ!
ちひろ「やり過ごしたらいかんのでは」
257
J( 'ー`)し「タカシ(仮称)、今日の昼ごはんは冷麦だよ」
モバP「カーチャン、また素麺? 夏の昼飯は何か冷やし中華とか素麺多くない?」
J( 'ー`)し「そんなことないよ? 素麺は在庫がいっぱいあるけどね」
モバP「お米とお肉が食べたいなあ」
J( 'ー`)し「しょうがない子だねえ。夕飯を楽しみにしときなさい」 ワーイ
――
雪美「P……、今日は……そうめん……食べよう……」
モバP「……素麺、か」
モバP「……あっ……」ホロリ
雪美「! P……そうめん……いやだった……?」オロオロ
モバP「嫌なもんですか。何か、元気な頃のカーチャンを思い出しただけさ」ナデナデ
ちひろ「ふとしたフレーズと条件一致がノスタルジーを呼び起こすこと、ありますね」
258
モバP「やあ雪美」
雪美「……P」
ヒョイ ポスン
雪美「やっぱり……ここが……好き……」
モバP「出会って三秒で合体とは正にこのこと」
ちひろ「いかがわしい慣用句を用いるな」
モバP「しかし色白美人さんな雪美さん」
雪美「……///」グリグリ
モバP「こらこら、頭でぐりぐりは反則ですよ。何ですかこの尊い小動物は」
ちひろ「私はプロデューサーさんの頭をぐりぐりしたくなってきたなあ。げんこつで」
モバP「規制があまり厳しくなかった頃のみさえですか」
モバP「それはそうと、そんな雪美さんもこんがり日焼けとかしてみたいと思ったりするのかな」
雪美「……私は……似合わないと……思う……」
モバP「そんなことはない。普段整った黒髪ロングのお淑やかな子が大胆に変身していると男子は気になるぞ」
モバP「短髪で活発な子が日焼けしているのも夏の風物詩感はあるが、ギャップが大きいと更に目を惹く」
雪美「……Pも……気になる……?」
モバP「ああ。雪美の仕事の性質とかを考えると肌管理は必要だから、敢えて焼くことは望まないが」
モバP「日焼けしてちょっと開放的な服を着た雪美と一緒にいたら……テンションが上がり過ぎると思う」
ちひろ「日焼けした薄着の少女って魔力ありますからね。服にもよりますけど」
モバP「小中学校は一夏休み越えた九月の始業式に小麦色になって学校に来る同級生も多いことだろう」
雪美「……うん……多い」
モバP「アウトドア派なら海に行ったりプールに行ったりそれでなくても野外活動が多くなりがちだからな」
雪美「……私も……Pと、いっしょなら……海……プールは……行きたい……にゃー」
モバP「なんと! 雪美に誘われたなら行くしかないっしょ! よし行こう!」 ウン ヤクソク
ちひろ「うっかり焼けて帰ってきそう」
259
ニャー
モバP「おう、最近よく黒猫と出くわすなぁ。どれどれ、観察してやりますか」
ミャミャ
雪美「……あなたが……P? ……私は……豆助……って言ってる……」
モバP「名付け親さんはこの子が風呂敷巻いた柴犬に見えたのかな?」
ナーウ
雪美「……あなたは……黒猫の……素質……あるって」
雪美「P……評判……みたい……」クス
モバP「黒猫のネットワークで今話題の人になってるなんてにわかには信じがたいな」
ニャン
雪美「…………! ……分かった……」
モバP「えっ何」
雪美「……秘密」
260
ソナター
モバP「んっ、どこからか芳乃の声g」
芳乃「そなた、捕まえたのでしてー」ギリッ
モバP「うげげ、やめて芳乃、チョークスリーパーはやめて」タップタップ
芳乃「仕方ありませぬー。では」ストッ
モバP「ふひー、いきなり何しやがるんですか」
芳乃「わたくし、そなたを召し捕えに参ったのでしてー」キラキラ
モバP「くっ……ミニスカくノ一衣装とはやりおるな。誰の差し金じゃ」
芳乃「はてー? ところでそなたー、この服は似合いますー?」
モバP「破廉恥です。似合っています。というか何で清楚な子に限ってそんな恰好で攻めてくるのか」
芳乃「知れ渡っておりますよー。そなたの弱点はー」ワキワキ
モバP「おのれ邪鬼王!(錯乱)」
雪美「……」ジーッ
モバP「ぐぬぬ、こうなったら逃げるしかない」
芳乃「おっとそちらはー」
モバP「!」
雪美「あっ……!」キラキラ
モバP「って、雪美までミニスカくノ一だとぉ?」
雪美「///」カァッ
モバP「……!」ボシュー
BOMB!!
バタン
芳乃「おやおやー、やはり溜まっておられましたかー」
雪美「……P……猫に……なった……」
芳乃「雪美さんを普段から抱かれていて、それゆえの望みでもありましょうー」
――
モバP(……うう、何てこった。いくら何でも急に気を失うなんて)
モバP(ん?)
雪美「……?」ナデナデ
モバP(何か気持ち良いと思ったら撫でられてるし、俺が座ってるのって……)
ニャア!!
雪美「……P、気がついた……の?」
モバP(うわ、雪美の生膝の上だよ。そして俺の体は真っ黒だ)
雪美「…………」ナデナデ
モバP(……慈愛にあふれた雪美の手が気持ちいい)
雪美「……P……ようやく……私に……座って……もらえた……」
雪美「いつも……ありがとう……」ナデナデ
モバP(ああ)
モバP(こっちこそ)ニャ
261
ゴクゴク
モバP「ふぅ……スタドリエナドリ掴み取りも良いが、たまにはこれも良かろう」
雪美「P……ジュース……飲んでいる……の?」
モバP「おや雪美はん。……これは甘酒だよ」
雪美「……お酒……?」
モバP「特殊なお酒、かな」
モバP「物によってアルコール分が強いのもあるから要確認だが、未成年でも飲んでも良い”お酒じゃない甘酒”も多い」
モバP「これはノンアルコールな甘酒。まあそれでも飲むと酔った風になったり顔が赤らむ人もいる」
雪美「……」スッ
モバP「……?」ハイ
雪美「……」ソーッ
クンクン
雪美「……」
ブンブン
モバP「ダメそうか。まあちょっと微妙な感じだよな」
雪美「……Pは……これが……好き……?」
モバP「特にそういう訳でもないけど自分の舌には合っている方かな。甘さと酸味が」
雪美「……お返し……する……」ハイ
モバP「どうも。で、飲む点滴などと言われ熱中症や夏バテ対策に良いらしい」
雪美「……外は……暑くなって……きたから……」
モバP「ああ。だからこれ飲んで元気出していきますよっと」グビッ
モバP「……んー、今日の雪美さん、いつもより色気……というかフェロモンが出ていません?」
雪美「……P……酔ってる……の……?」
ちひろ「世の中にはジュースやお茶で酔っ払う人もいますからね」
262
モバP「水着を買いに行こう!(提案)」
ちひろ「念の為お伺いしますけど誰と行くんですか」
モバP「雪美と千枝とこずえとナターリアと芳乃と唯と裕子と……あと予定では」
ちひろ「もういいです。役得そうで良いですねプロデューサーさん」
モバP「女性の服選びにかける時間を甘く見ちゃいけませんよ?」
モバP「アイドルと連れ立ってショッピング、しかも試着なんて見れたりして羨ま血涙、なんてのは幻想です」
ちひろ「はいはい。で、どんな水着をお買いになるんですか?」
モバP「普通のボクサー型にしようかと」
ちひろ「ボクサー型!? あ、自分のも買われるんですね」
モバP「まあアイドルたちの意見も頂戴しますから、最終的にどんな水着になるやら知れませんが」
ちひろ「変なテンションでギャグに走ってワンショルダーとか買うのはやめてくださいよ? 多分捕まりますよ」
モバP「際どいのはさすがに自重しますから」
モバP「というかブーメラン程度なら分かりますが、ワンショルダーとか何でそんなに詳しいんですか」
ちひろ「えっ」
モバP「えっ」
ちひろ「ああ水着のことでしたら仕事柄そういう話題も先方としたりするでしょう」
モバP「なにそれこわい」
ちひろ「で、雪美ちゃんにはどんな水着を選んで差し上げるおつもりで?」
モバP「そうですね……んー、283の八宮めぐるちゃんが着ていたようなタイプを探したいですね」
ちひろ「満場一致でアウトでしょそれ」
モバP「いや、それそのものって訳ではなく、要するにビキニをと」
ちひろ「大ざっぱかい! それならクーリッシュスタイルがあるのでダメとは言いませんけど」
モバP(よし、楽しく話せたな)
ちひろ(でもそのオチはダメです)
雪美「……Pの水着……選ぶの……楽しみ……♪」
おまけ5
ちひろ「プロデューサーさんは最近やらかしたことってあります?」
モバP「”収拾をつける”を収集と変換しちゃった問題に収拾をつけたいです」
ちひろ「……まあ、良いことありますよきっと」
雪美「……」テクテク
モバP「あ、雪美がミニスカートだ。良いことありましたね」
ちひろ「それでいいのか」
おまけ6
モバP「最近ナターリアのスキンシップが激しくて嬉しいです。こちらも健全な男子なもので」
ちひろ「建前だけでもそこは嬉しむんじゃなくて困っときましょうよ」
モバP「日焼けとか褐色系にも実は弱いってバレたんでしょうかねえ」
ちひろ「あなたは何にでも弱いでしょ」
263
雪美「……」テクテク
モバP「雪美ぃ!」
雪美「えっ……P……?」
モバP「……はぁ、はぁ……雪美……やっと見つけた……はぁ」
雪美「どうしたの……? そんなに……息を切らせて……」
モバP「俺は、どうしてもお前に、伝えなきゃいけないことがあるんだ」
雪美「……落ち着いて……はい……深呼吸……」
スゥー ハァー
雪美「それで……私に……伝えること……って……?」
ガシッ
モバP「雪美の作ってくれたフルーツサンド……美味かった。天にも昇るほどにな……」ガクッ
雪美「……ふふふ……ありがとう。……それだけのために……探してくれたの……ね」
事務所のちひろ「一切れ食べるなり飛び出していきましたけど何だったのかなー?」モグモグ
264
モバP「天才の私がふと気づいたことがありまして、草食動物の肉は実質野菜ですよね?」
ちひろ「んな訳ないでしょう。ピザは野菜だとかカロリーゼロ理論並のガバガバですよ」
雪美「ピザは……野菜……? 赤、黄色、緑……バランスは……良い……?」
キャシー「ピザは一部野菜だねー! おっと、ならば割合的にハンバーガーも野菜か♪」
加蓮「ポテトは野菜。これは疑う余地もないね」
ナターリア「スシは野菜カナ? ネギトロのネギ、タコワサグンカンのワサビ!」
モバP「たこわさ軍艦って通やなナターリア」
ちひろ「……皆さん、普段の食事でしっかり野菜を取ってますか? 結構心配です」
モバP「まあ、あまり食生活が乱れるようならウチで自炊合宿させますから」
ちひろ「一番心配なのはあなたですよ」
モバP「いやね、これでも健康志向の一環で自家菜園でも始めてみようかなあとは思っているんですよ。あまり世話をする時間がないですが」
キャシー「朝摘みキュウリやトマトを齧りながらいなせに会社に来るPさんは見てみたいね!」
ちひろ「これ以上この人の個性を増やすつもりですか」
265
雪美「……こんな所に……帽子……? P……これは……?」
モバP「よくぞ聞いてくれた。これはな、晶葉が作ってくれた組分け帽子だ」
雪美「組分け……帽子……?」
モバP「何と、被った人をキュート・クール・パッション・それ以外のどれかに判定してくれるんだ」
ちひろ「ホグワーツ魔法魔術学校かな?」
モバP「被ってみるか?」
雪美「……」コクコクッ
モバP「はい、どうぞ」
スポッ
帽子「……」
帽子「……レイブンクロー!」 ビクッ
ちひろ「どれだよ」
モバP「えーっと……レイブンクローはクールですね。取扱説明書にそう書いてあります」パラパラ
雪美「……ドキドキ……した……」
モバP「ちなみにキュートはグリフィンドール、パッションはハッフルパフとなっております」
ちひろ「何か一つ欠けていませんか」
モバP「それは我々が被ってみれば分かります」ハイ
ちひろ「……」スポッ
帽子「こいつぁスリザリンだな! 純度100%のスリザリン!」ケラケラケラ
ちひろ「誰が狡猾で野心家やねん!」ペシッ
帽子「いてえなオバハン!」 ダレガオバハンジャ!
モバP「……それ以外はスリザリンになります」
雪美「これ……誰がかぶっても……元のタイプに……なるの?」
モバP「それが意外とそうでもなさそうで……李衣菜とかどうなるか」
オフの李衣菜「へっぷちっ!」 ダリー、カゼカ?
266
ピカッ!
雪美「!」
ドシャーン!! ゴロゴロゴロ
雪美「!!!????」
モバP「わー、結構近くに雷が落ちたなあ」
雪美「P……こわい……」ギュー
モバP「大丈夫だぞ、と言いたいところだが落ちるときは落ちるもんだ」
モバP「とりあえず直撃の可能性を考えたら、屋内でも壁際、蛇口、コンセントからは1m離れてようか」
雪美「……ここに……落ちる……の……?」
ピカッ!
雪美「!!」
ズーン! ゴゴゴゴゴゴ
雪美「……」ヒシッ
ちひろ「ふぅ……雷は嫌ですねえ」
モバP「大きな音がするのでそれだけでも面食らいますね」
ちひろ「音だけなら良いですよ。身の危険もありますし、停電が起きれば厄介です。夏場は冷蔵庫の中身が……」
モバP「後は雷サージでPCがやられたら死活問題ですね。うちは可能な範囲での対策はしていますが」
雪美「……早く……遠ざかって……ほしい……」
モバP「そうだな。まあ雪美に限らず、雷は皆苦手だろう。得意な人なんていたら特異ですよ」
ピカッ
モバP「あふんっ」
「……」
ゴロゴロゴロ
ちひろ「一度大きいのが通るとしばらく稲光だけでも過剰に反応してしまいますね」
雪美「……あふん……って……ふふふ……」
モバP「べ、別に怖くなんてねーし?」
ちひろ「それにしても、急な落雷とか通り雨が来ると夏なんだなって気がします」
モバP「ですね。自分が学生の時、初夏でしたか……学校に雷が直撃したことがあります」
モバP「その時は周りが黒雲に覆われて昼間なのに夜並の暗さになって皆と騒いでいました」
ちひろ「仲間が多いと異常事態で謎にテンション上がるのは分かります」
ちひろ「ところで」
雪美「行った……かな……? 手は……まだ……離さないで……」ギュッ
輝子「プロデューサーのおしりが、こんな近くに……」サワサワ ヤメーヤ
幸子「ボクがカワイイばっかりに雷さんもはりきってしまいましたかね」ブルブル
小梅「えへへ……みんなでこうしていると、楽しい」グイグイ
乃々「雷はイヤなんですけど、ここにいるのも何か暑いんですけど……」ヒシッ
美玲「そろそろ離れるぞ……ってコラッ、どこ触ってんだ、この手はプロデューサーかっ!」ガウッ
まゆ「年長のまゆがしっかりしないと……! でもプロデューサーさんと対面で密着……///」ポーッ
ライラ「あっ、おしくらまんじゅうですねー。ライラさんも混ざりますですよー」ピトッ
ちひろ「これはヒナをハドリングするコウテイペンギンの群れか何かですか?」 ゴランノアリサマデス
267
モバP「創作で記憶喪失もののストーリーはよくあるが、実際になったらどうしようと思うことがある」
雪美「……私のこと……忘れる……?」
モバP「俺が雪美のことを忘れるはずがない! と言いたいが人間何があるか分からんからな」
モバP「特に怖いのは、元と違う新しい記憶で上書きされて本来あるべき記憶が取り戻せなくなることだ」
ちひろ「タイムトラベルもので時間軸・世界線が分岐するアレみたいな?」
雪美「Pが……Pじゃなくなるのは……イヤ……」
モバP「俺もだ。ただ、どうしようもなくなった時の最後の手段で雪美に託している物があります」
雪美「……これ」つ◎
ちひろ「これは?」
雪美「……リカバリー、ディスク……」
ちひろ「プロデューサーさんはOSか何かなんですか」
モバP「これをPヘッドの後部にあるドライブに差し込むと、初期化をすることができます」 ヘースゴイナー
ごしゅじんさまの、もってる、えむいーのディすく、すてないでください。
あたしが、はいっています。いまのあたしじゃ、ないけど、あたしです。
ときどきみたり、さわったり。、してくれるとうれしいです。
モバP「このディスクはこういうことです。しかし泣けてくるコピペですね。物を大切にしようという気になります」
ちひろ「何の話や」
雪美「Pがもし……消えてしまったら……、これが……形見で……Pの……心の……かけら……」ギュッ
モバP「俺なのに俺じゃないものがあるって何か変な感じね」
モバP「まあ、ヒトは大切な物が壊れても頑張って作り直す逞しい生き物だ。何かあった時は俺を――頼んでおくよ」
雪美「……P……」
ちひろ「何かヘビーな話題になってきたなあ」
モバP「それは1985年型のスラングですか?」
ちひろ「私はマーティ・マクフライじゃありませんよ」
雪美「……デロリアン……好き……」
ちひろ「あのガルウィングが斬新ですよね……って雪美ちゃんよく知っていますね?」
モバP「仕事の合間、移動中に映画とか見せていまして。タイムトラベルものの定番ですね」
ちひろ「ところでプロデューサーさんってイラストでよく見かけるデフォルメのようなPヘッドだったんですか?」
ちひろ「どこをどう見ても普通の人の顔ですけど?」
モバP「ホムンクルスのフラスコやタワー型デスクトップPCみたいなものでPヘッド(本体中枢)は独立しています」
ちひろ「理解が追いつきませんよ」
雪美「P……未来の……サイボーグ……、顔は……やわらかい……」グニグニ
モバP「一体何者なんでしょう?」
ちひろ「こっちが聞きたいですよ」
モバP「まあそれらは全部冗談としてですね」 オイ
モバP「記憶喪失と言ってもいろいろですが、地味に困るのがPCの復帰パスワードを忘れることです」
ちひろ「急に現実的な話になったな……確かに困りますけど」
モバP「ふとしたことでも度忘れすることがあるくらいですからね。かと言って書き置きは防犯意識欠如ですし」
ちひろ「心配しなくてもプロデューサーさんのPCを覗こうなんて人が………………」
ちひろ「やっぱり何でもないです」 エッ チョッ
268
楓「プロデューサー」
モバP「楓さん。温泉ロケ、お疲れ様でした」
楓「撮影も早く終わって、ゆっくり浸かれて疲れが取れました……ふふっ」
モバP「ご機嫌も良さそうで何より」
楓「余は非常に満足であるぞー」
楓「そういえば、貴方が欲しいと言っていたアレはどうなりました?」
モバP「アレですか? まだ手に入っていないんですよ」
楓「あれあれ……」
モバP「まあ、突発的に欲しくなっただけで、無くて困る物じゃないので」
モバP「自分にもし家内がいたなら、また変な物買ってきて! どこに置くのよ! とか言われそうです」
楓「貴方の奥さんになる人はそんなこと言いませんよ、きっと♪」
雪美「……P……何か……欲しい物……あるの……?」
モバP「聞かれたか。いや、大したことじゃない。温泉に置いてあるアレが欲しいだけだ」
雪美「……あれ?」
楓「足つぼボードですよ」
雪美「……?」 ←ピンとこない
モバP「今度買ったら見せてあげるよ。いつになるか分からないが」
楓「美優さんとか早苗さんとか菜々ちゃんとか、プロデューサーがそれを欲しいのは知っていて」
楓「見かけたら買ってプレゼントしてあげようかな、なんて言いながらお互いに遠慮して踏み出せず」
雪美「恋の……ライバル……!」キラリ
楓「ではなく、多分もう誰かが買ってあげてるか、自分で買っているだろうから要らないかなという」
モバP「えぇ……、傍観者効果ですか」
モバP「ただ、プレゼントって何気に渡したのが被っていると凄く悔しいですからね」
楓「そんなわけで、私たちには期待しないで、自分で買うのが一番早いと思います♪」 ゴモットモデス
269
乃々「プロデューサーさん、あの……今日のお仕事について話があるんですけど……」
モバP「おっ? ずいぶんと積極的だな。良いぞ、聞こうじゃないか」
乃々「それで……ここはこうで……はい……はい……そこは……がんばります……」キラキラ
モバP「……」
乃々「……」
モバP「乃々、大丈夫? おっぱい揉む?」
乃々「私は愛海さんじゃないんですけど……」
乃々「その代わり……親愛度? が100になったら指輪が欲しいんですけど」
モバP「ウチにケッコンカッコカリ制度はないぞ」
乃々「……!? もりくぼのレベルキャップ解放、隠された底力的なものはないんですか……!?」
モバP「欲しいのはそっちか。いや、パワーリストを外して体が軽くなる的な展開には期待しないで地道に……」
乃々「じゃあ帰ります……やっぱりアイドルむーりぃー……」 オイィ!
雪美「分身すれば……いいと思う……」 ソレヲイウナ
270
モバP「日曜朝、家族とまったりアニメを見る幸せ」
奈緒「ああ、平和だな。何に急かされるでもなくのんびりと、朝食でも取りながら」
モバP「ただ女の子向け枠はそんなに見たいものじゃなかった。男子としては何となく恥ずかしいしな」
モバP「姉や妹がいたから俺も、多分親も、付き合って仕方なしに一緒に見ていたりして」
モバP「……あの時間も今となっては良い思い出だ」
奈緒「Pさんって姉妹いたんだな。アイドルは一人っ子も少なくないからなあ」
雪美「……」ハラハラ
仁奈「……」ドキドキ
薫「……」ワクワク
光「……意外と面白いなこれ」 ←普段特撮だけ見ている
モバP「今みんなとこうして、隔たりなしにアニメを鑑賞しているのもいつか追憶する日が来るのだろう」
奈緒「でもこの構成だと、Pさんがお父さんであたしがお母さんみたいだな……な、なんだよ? ニヤニヤすんな!」
ちひろ「プロデューサーさんの姉妹って全国に200人くらいいそう」
271
雪美「……」
雪美「……ほっ」
カコン
雪美「……」キラキラ
モバP「雪美さんはけん玉もお上手ですことね」パチパチ
雪美「……///」テレテレ
モバP「自分が雪美くらいの時はとめけんも出来なかったよ」
ちひろ「それは根気が足りなかったのでは」
モバP「皿に乗せるのは出来たんだがなあ」
雪美「……もし、もし、かめ、よ……かめ、さん、よ……」コン コン コン
モバP「おお……この子、コツを掴むとあっという間に上達していくのねえ」
ちひろ「アイドルの成長を見ている時が一番嬉しそうですね?」
272
スッ
グルン
シュタッ
雪美「……できた」
モバP「雪美さんは鉄棒もお茶の子さいさいなんですのね」パチパチ
雪美「……そうでもない……」ドヤッ
モバP「自分が雪美くらいの時は逆上がりが苦手でねえ。出来るようにはなったが」
モバP「でもアイドルやる子はみんなそれなりに運動神経良いよなあ。時々羨ましいくらい」
雪美「アイドルは……ダンス、やっている……から……」
モバP「ダンス万能説か」
モバP「しかしこうなると運動神経にはそれなりに自信あったこのモバP、男の闘争心に火がつくな」
モバP「次は俺にやらせてくれ」
ちひろ「小学生と張り合うのはどうなんですかね」
273
モバP「足つぼボードは手に入っていないんだが、代わりに面白い物を買った」
雪美「……おもしろい……もの……?」
モバP「健康サンダルです」
雪美「おお……でこぼこ……」
モバP「今日はこれを履いて仕事してみようかな」
ちひろ「どんな自由すぎる職場ですか。何か言われても知りませんよ?」
モバP「冗談ですって。でも、せっかくなんで少しだけ」
――
モバP「靴下まで脱いでから履いてみましたが、気持ち良いですねこれ」
雪美「P……はだし……なかなか見ない……」
モバP「雪美も黒タイツ脱いじゃえーしてみる?」
雪美「……それは……恥ずかしい……///」
ちひろ「何で脱ぐ必要があるんですか?」
ちひろ「しかしスーツにサンダルっておかしな姿ですよねえ。間が抜けていると言いますか」
モバP「これが何か革命でも起きて当たり前になればそうは思わなくなるんでしょうがね」
ちひろ「そうでしょうか?」
雪美「……P……、サンダル……もう一つ……ある……」
モバP「ああこれはな、すごく痛い健康サンダルといってね。ツボを押す石が尖ってるでしょ?」
モバP「今履いている方を中辛カレーとするならこっちは激辛、ビターチョコだとするとカカオ86%くらい痛いのです、たぶん」
ちひろ「ややこしいな」
雪美「…………はいてみて?」
モバP「……分かった」
スッ
モバP「つっ! 痛たたたた!! 痛い痛い! 何これになこれ!」
ちひろ「じゃあ、それ履いてぶら~り近所に買い物にでも行ってきてくださいな」
モバP「行けるかあ!」
雪美「私は……そんなに痛く……なかったのに……」 エッ
274
ソヨソヨソヨ
雪美「……♪」
モバP「ちょっと暑い時には良いですな、扇風機」
雪美「すずしくて……きもち……いい……」
モバP「そりゃ良かった。俺も俺で眼福なのですよ」
雪美「……?」
モバP「等間隔に雪美さんの長い髪がね、いかにも柔らかそうに靡くものだから」
雪美「……変なの」
雪美「……」
雪美「…………」スッ
モバP「おっと、今意識して髪を押さえてみましたね?」
雪美「……あまり……見られると……こまる……」
モバP「でも雪美さん、普段はよく俺のことをじぃっと見てくるじゃないですか」
雪美「……」プイ
モバP「やっぱり気になる人っていうのはついつい見ちゃうものなんでしょうな」
雪美「……Pは……私が……気になる……?」
モバP「気になるよ」
雪美「……そう」
モバP「好きだからね」
雪美「…………」
モバP「あら、つれないのね」
雪美「……そういうこと……さらっと……言わないで……」
モバP「こりゃ失礼。もっとねっとり言ってみましょうか?」
雪美「もう……ふふっ」
ちひろ「隙だらけですね」
275
モバP「やぁ、雪美」
雪美「! ……P……美玲……みたい……」
モバP「はっはっはっ、オシャレ眼帯だ。どうだ良いだろう?」
雪美「……」ポーッ
モバP「雪美も着けてみるか? こういう時の為にいくつか数があるぞ」
雪美「……」コク
モバP「では俺がクラブ柄だから、雪美はダイヤにしとく?」
雪美「……」コク
少女装着中……
雪美「……」キラキラ
モバP「ん、よく似合うぞー。ではせっかくだから仲間集めに行くか」
雪美「……仲間……?」
モバP「眼帯はあと二種類ある。スペードとハートだ。これの持ち主に値する子を探しに北へ!」
雪美「……いざゆかん」
ちひろ「……何か、着けたらビジュアルが大人びて剣士になりそうですね」
モバP「十兵衛ちゃんみたいな成長変身ヒロインは男子の性癖を少なからず歪めそうですが」
モバP「雪美さんが大人化する眼帯なんてあればごはん三杯は食べられてお話が一本書けますよ」
雪美「……晶葉なら……作れそう……こなみかん……」
ちひろ「いやあなた小学生ですから」
モバP「ところで、眼帯ですが」
雪美「……ちひろさんも……着ける……?」
ちひろ「いえ、遠慮しておきますよ」
ちひろ「というかプロデューサーさんが眼帯をしているとオシャレというかものもらいに見えます」
モバP「私だって中二病でオシャレしたいんです!」
雪美「……Pは……大人だから……ね」
ちひろ「それはそうと、トランプの柄って職業を現しているとも言いますね」
モバP「ダイヤが商人、クラブは農民、スペードは騎士、ハートは僧侶――でしたっけ」
雪美「私は……商人……?」
モバP「俺は農民か。でも、勇者パーティの職業でなりたいものを考えるのも良いものですな」
雪美「……武道家」
モバP「あの中華風コスチュームが雪美に……ぐはっ!」
雪美「……戦士」
モバP「あのビキニアーマーが雪美に……ぐはっ!」
雪美「……遊び人」
モバP「あのバニースーツが雪美に……ぐはっ!」
雪美「……賢者」
モバP「あのさとりのワンピースが雪美に……ぐはっ!」
雪美「……P……しっかりー……」 チーン
ちひろ「パリピですねえ」
276
ちひろ「プロデューサーさんはこの前、やけにプレゼントを貰っていましたけど誕生日か何かだったんですか?」
モバP「自分は可変誕生日なんで違います」
ちひろ「可変? 2月29日生まれ的なやつですか」
モバP「四年に一回しか歳を取らないって良いですよね」
ちひろ「そんなことある訳ないでしょう。で、何があったんですか?」
モバP「父の日ですね」
ちひろ「え」
モバP「事務所の中で紅一点ならぬ黒一点的な存在だからか、父性を感じてしまうアイドルも多いようで」
ちひろ「……プロデューサーさんに父性か……ぷぷ……あっ、笑っちゃいけませんね」
モバP「いえ、割と自分でも意外ですよ。マネージャー的な役割で慕われやすいのもあるんですかね?」
ちひろ「さあ、どうでしょうね……雪美ちゃんからも何か貰ったんですか?」
モバP「はい、下着を頂きました」 シタギ!?
雪美「……サイズ……合ってた……?」
277
モバP「雪美さんって箱入り娘というか、親御さんから大切に育てられているんだなと見て取れる」
雪美「……うん。……パパと……ママ……やさしい……」
雪美「今は……少し……忙しい……だけ」
モバP「なるべく寂しくはさせないよ」
雪美「……ありがとう……Pに……心……通じてる……」
モバP「でも、良い所のお嬢様なんかは正直、どう接したものかと思うことがある」
モバP「例えば、NHKしか見たことがない、なんて純粋培養な子が来たら話が合うのか心配だ」
雪美「……NHKも……楽しい……」
モバP「確かに教養・ドキュメンタリー系の番組をぼんやり見るのは何か満たされますが」
雪美「……大丈夫……こまったときは……いっしょ……。二人で……悩もう……」
モバP「そうだな。二人で……ん?」 ポスン
雪美「ここなら……もっと深く……分かり合える……ね」ニコ
ちひろ「三人寄れば文殊の知恵、私も混ぜてくださいよ~」
278
モバP「小腹が空いたのでチーズトーストでも食べよう」
雪美「……うん」
ジリリリリリ チーン
モバP「焼けたのでいただきます」
雪美「……いただきます」
ハムッ
ミョーン
モバP「チーズが伸びるなあ」
雪美「……ん。……P……食べずに……私を見て……どこか、変……?」
モバP「いや、食べるのも好きだけど人の食べっぷりを眺めるのも好きなだけさ」
雪美「あまり……見られると……食べづらい……」
モバP「おうすまない。じゃあ俺も食べるとするか」
ちひろ「ナチュラルに朝食も一緒とはプロセスどこ行った……チーズだけに」
279
モバP「競泳水着の奈緒、ブルマの美玲……こういう仕事をやっていると常々思いますが」
モバP「頭沸騰しそうです」
ちひろ「許容量オーバーしている感じですか? 私がコスプレしても平気そうなのに」
モバP「大人がそういう格好をするのは切り離して見ることができますからね」
モバP「瑞樹さんの水着マフラーも至って冷静にグッドを出しました。しかし高校生以下は何かいけないことをしているような」
ちひろ「良心の呵責がありますか。意外と常識的な所もありますねプロデューサーさん」
ちひろ「冗談で露出を促すようなことは言うのにいざ脱がれると臆しちゃうなんて」
雪美「……」キラキラ
ちひろ「ただ、薄着の雪美ちゃん抱えながら言われても説得力が吹き飛ぶんですよねえ」
モバP「……自制心と耐性をつけるべく修行中です。雪美の誘惑に打ち勝つんだ!」
雪美「……というか……いっしょに……いたいだけ……」
ちひろ「常識と非常識、いや真面目と不真面目が同居してますね」
280
雪美「昨日は……仁奈と……お泊まり……した……」
仁奈「楽しかったでごぜーます!」
モバP「おお、良かったじゃないか。道理で今日は二人の距離が近いと思ったよ」
仁奈「えへへ……みんなと過ごすのも良いですけど、二人きりも新鮮でやがります!」
雪美「今度は……三人で……」キラキラ
モバP「考えておくよ」
ちひろ「考えておくな」
仁奈「そして雪美ちゃんに分身の仕方を教えてもらったので、これでひとりでもさびしくねーです!」
モバP「あれは教えられるものだったのか」
仁奈「でも、もし分身を愛してしまったらどうなるのでやがりましょうか?」
ちひろ「ナルキッソスかな?」
モバP「可視化できるようになったとはいえ自分は自分だ。それを他人のように隔てて依存すると分身が可哀想だぞ」
仁奈「自分は自分、ですか……」
モバP「まあ自分の世界にこもるようではいけないが、セルフトークはメンタルトレーニングとも捉えられる」
モバP「自分を好きになる、自己肯定は過ぎなければ悪いことではないと思う」
仁奈「やっぱり自分だけじゃ生きていけねーんですね。Pやみんながいて良かったですよ」
雪美「Pは……いいお兄ちゃん……」
モバP「お兄ちゃん気取るにはちょっと歳が離れているがな」
仁奈「アニキと呼ばせてくだせー!」
モバP「うむ、良かろう」
ちひろ「良いのかい」
モバP「そういや自分が小さい時には近所によく遊んでくれる兄ちゃんがいたな」
ちひろ「男女で少し感じ方も変わるでしょうけど、そういうのは良いですね」
モバP「自分には兄も従兄もいなかったから、身近な兄貴分を知る良い機会になった」
仁奈「仁奈は昨日、雪美ちゃんがお姉ちゃんみたいに感じましたですよ!」
雪美「……仁奈ったら……ふふっ」
ちひろ「人間、無いものを求めてしまうものですね」
281
ちひろ「”MISSION”惰眠を貪るプロデューサーさんを起動せよ」
雪美「……らじゃー」(゜-゜)ゞ
トコトコ ガチャッ
雪美「P……まだねてる……?」
モバP「……」スヤスヤ
雪美「……起きて」ユサユサ
モバP「……」スヤスヤ
雪美「……P……どうすれば……。…………あっ……!」ピコーン
雪美「……分身のじゅちゅ!」 アッカンダ
ボンッ!
雪美×7「……起きないなら……こうする……! とつげきー」 ワアアアー!
雪美雪美雪美
雪美モバP雪美 ドン!
雪美雪美
ちひろ「スズメバチを撃退するミツバチかな?」
282
ナターリア「ムウ、Que lastima……今日はエレベーター、使えないみたいダ」
モバP「点検中だな。安全の為だ仕方ない、階段で行くか」
ライラ「ライラさんは階段を使う人、頑張り屋さんだと思いますですよー」
モバP「ライラに頑張り屋さんと褒めてもらえるなら喜んで階段使うよ」
ナターリア「じゃあワタシたちモ、がんばってPについてくゾ!」
モバP「でも超高層ビルなんかはエレベーターが使えないと大変な苦労だろうな」
ライラ「ブルジュ・ハリファのエレベーターが止まったら大変でございますですよ」
モバP「見てきたかのような口ぶりだが、そこは敢えて突っ込まないでおこう」
モバP「だが、160階建てビルを階段で登ろうとか気が遠くなるのは間違いない」
ナターリア「上に取り残されても大変だナ! スライダーでもあれば良いケド!」
モバP「高さ828mの滑り台ってどんな絶叫アトラクションより怖いわ。お尻も痛いじゃ済まない」
ライラ「この前、大きな公園で初体験したローラースライダーもお尻が痛くなりましたですねー」
モバP「貴重なシーンを見逃した気がする」
ナターリア「ウォータースライダーならオシリも痛くならないのにナ!」
モバP「これからの季節、良いですな。人間流し素麺のように無心になって流されて」
ライラ「一人よりはボートでみんなで流れるのが好きかもしれませんですねー」
ナターリア「いいナ! ヨシ、やりたいことリストに付け加えておくゾ!」
モバP「仕事以外でナターリアとライラを連れてプールに行ったら嫌でも目立ちそうだ」
モバP「話はエレベーターに戻るが、じゃあもし俺たちがエレベーターに閉じ込められたら?」
ライラ「それは助けを待ちますですよ」
ナターリア「助けがいつ来るカ、分からないとこわいナ」
モバP「あの空間で何時間も、となるとな」
ナターリア「こわいからPに元気をもらうんダ!」ギュッ
モバP「ナターリアと極限状態に置かれたら一線超えてしまいそうだ」
ライラ「ライラさんもー」ギュッ
モバP「そんな形でライラと一線超えたら後で罪悪感で鬱になりそうだ」
モバP「……しかしこの346プロは広いな」
ナターリア「何でもアル! アイビキ部屋だってネ!」
ライラ「あらびき部屋? とは何でございますですか? ソーセージが食べられるのですか?」
ナターリア「……///」
モバP「ナターリア、耳年増でもそれで変なものを連想したらいかんぞ」
ライラ「???」
モバP「後でバナナアイスパフェを食べに連れて行ってあげるから、この話はやめよう」
ナターリア「エ? いいのカ? ワーイ!」コロッ
ライラ「豪華なアイス……! プロデューサー殿は太っ腹でございますですねー」キラキラ
モバP「よし、じゃあ行きますか……って……うん?」 シュコー
雪美「……」トコトコ
ライラ「……作業服のユキミさんが、点検中のエレベーターから出てきましたねー」
モバP「雪美さんは神出鬼没だなあ」
283
モバP「夢を打ち砕くような話を敢えてするのならば」
モバP「みんなの願いは同時には叶わないように世の中は出来ているのだと思う」
モバP「調和、バランスというものがあるからな」
モバP「極端な話が、Aが不老不死になりたいと願い、BがAに死んでほしいと願う」
モバP「一方の願いを叶えれば一方の願いが反故になる」
飛鳥「……ジレンマに塗れたセカイ、か」
飛鳥「それでもボクは、進める処まで進みたい。その先が袋小路だったとしても……」
グウウウウゥゥウ
「「「……」」」
雪美「……今のは……P……」
モバP「……すまん、俺はどうやらハラペコのようだ」
飛鳥「……フフッ。そんなに自己主張されちゃ、続きは後日にお預けだね」
ちひろ「今すごい腹時計が聞こえたなあ」
284
モバP「雨の季節は手持ちがかさばるな。徒歩なら傘が要るし、自転車に乗るならレインコートが要る」
雪美「……ながぐつ……も」
モバP「長靴か……歳を重ねるに連れ、全然履くことがなくなったな」
雪美「Pが……魚屋さん……とかなら……」
モバP「それなら履くかもな。ただサラリーマン的な仕事では使わないし」
モバP「プライベートでも女性ならブーツの感覚で履けるかもしれないが、男はねえ」
雪美「……そういう……もの……?」
モバP「ちなみに先日のキッズモデルの仕事で洒落乙なレインコートと長靴を着ていた雪美さんは素晴らしかった」
雪美「……本当……?」
モバP「ああ。ただレインコートは着ても外出先で結局脱ぐことになるのが勿体無いな。濡れているから置き場にも困るし」
雪美「うん……。……それは……ある」
ちひろ「何よりこの時期レインコートを服の上に着て自転車移動って結構暑いんですよね」
モバP「レインコートの下に下着だけって訳にはいかんですものね」 ソレハヘンタイデスネ
285
モバP「……」イイコイイコ
雪美「……♪」ムフー
ちひろ「おや、また雪美ちゃんを撫でてあげているんですね」
モバP「気持ち良さそうにしているでしょう? 雪美鳥は警戒心が強い分、慣れるとよく懐くのが特徴です」
ちひろ「何を仰っていますやら」
ちひろ「……雪美ちゃんはそんなに撫でられるの、好き?」
雪美「……うん……やさしい、手……。……それに……大きくて……形も……」
ちひろ「まさかの手フェチ!? まあ分からなくもないですね……この血管の浮き方やゴツゴツとした甲が」スッ
モバP「ちひろさんも男の手には一家言ありますねえ」
雪美「指を絡めて……手をつなぐと……ドキドキ……する……。ちひろさんも……やる……?」
ちひろ「やりませんよ。でも、良い手ですね」
モバP「ちひろ様はこの手を好きだと言うてくれる、働き者のきれいな手だと言うてくれましたわい」
ちひろ「そこまでは言ってません」
286
ガタンゴトン ガタンゴトン
雪美「……」スヤスヤ
モバP「俺にもたれかかり、眠る雪美さん」
モバP「ここは海辺の単線を走るローカル線」
モバP「座席はロングシート型で通路が広いが、二両編成で乗客はほとんどいない」
雪美「……」スヤスヤ
モバP「……静かだ」
雪美「…………ん……? ……P……?」
モバP「お、瞼が少しは軽くなったかい?」
雪美「……私を……置いて……行かないで……」ギュッ
モバP「安心おし。行き先が例え沼の底駅でもお前さんを一人にはしないさ」ナデナデ
モバP「しかし、海原電鉄を思い出すくらいだ。何かとても遠くへと行く感じがするね」
天の声ちひろ「プロデューサーさんがちょうどカオナシのポジションですね」
287
モバP(雪美さんは肝が据わっている、いや、場数を踏んで据わってきたと言えようか)
雪美「……」
モバP(だが今日は規模の大きな会場で、重要なイベント。さすがに気圧されているか……?)
雪美「……」
モバP(自分の弱みをあまり周りには見せたがらない所はあるので、一見はそんな雰囲気も出さない)
雪美「……」
モバP(集中力を高めているのかもしれないし、緊張を解そうと話しかけては却って良くないか)
雪美「……」ジーッ
モバP(でもこの子、目の前で俺のことを観察しているんだよなあ)
雪美「……Pと……私は……鏡……。Pが……不安だと……私も……不安……」
モバP「! ……心配させてごめんな。俺が思い詰めた顔をしていたらダメだな」
雪美「……うん……いい顔……」ニコ
288
モバP「アイドルは恋愛禁止なんて昔から言いますが」
雪美「……」チョコン
ちひろ「………………そうですね」
モバP「その長い間は何ですか」
ちひろ「別に」
モバP「気を取り直して、ここって自分以外は基本男っ気がないじゃないですか」
雪美「……P……ハーレム……だね……」
モバP「どこでそんな言葉を覚えたんだ……それでみんな異性と接点を持つのはなかなか大変だろうなと」
ちひろ「出会いは無いですね。もっとも同性で話は結構合いますから良いですけど」
モバP「そこです。自分だけは逆に異性としか接点がないんです。男子トークが出来る人がいないんです」
モバP「同性同僚の親友ポジション的な人が欲しいです」
ちひろ「いろいろと諦めてください」
モバP「(´・ω・`)」
ちひろ「私が思うに、プロデューサーさんが仮に315プロの人だったら、もっと周りに女子が欲しいとか言ってますよ」
モバP「……言いそう」
ちひろ「ヒトとは無い物ほど欲しくなり、美味しい物に恵まれてもそればかり食べていると飽きてしまう因果な生き物です」
モバP「で、水嶋咲ちゃんに癒しを求めたりしてしまう訳ですか」
雪美「……満更でも……なさそう……」
モバP「でもこの仕事に就いてから普段周りは女の子ばかりで、自分まで女子に染まりつつある感じがするんです」
ちひろ「あまり変に拗らせてプロデューサーさんがオネエみたいになってしまったら困りますねえ」
雪美「大丈夫……、Pは……頼もしい……男性……」
雪美「それに……他の男性が、入ると……たぶん……嫉妬する……」
ちひろ「あらあら」
モバP「妹や弟が生まれて構ってもらえなくなったお兄ちゃんじゃあるまいし……まあ嫉妬はするが」
ちひろ「するのかよ」
ちひろ「……プロデューサーさんって実は独占欲強くてめんどくさい系?」 ギクッ
289
モバP「多くの音を聞きながら過ごしていると、時に静けさが恋しくなる」
モバP「車の走る音、工事の音、民放番組のBGM、賑やかな人々の会話……それらから離れて、例えば丘の上」
雪美「……」
モバP「雪美と二人で、その声と息遣いまでよく聞こえる場所で、座って景色を眺める」
雪美「……」
モバP「……いいねぇ」
雪美「……少しは……賑やかな方が……楽しいのも……ある」
モバP「それもそうか」コロッ
雪美「でも……Pと……二人きりも……好き……」
モバP「せやろせやろ」コロッ
モバP「まあ、何しに来たかと言うと写真集の撮影なんですがね。そろそろ次行こうか」
雪美「……うん」
――
雪美「……たくさん……階段……上ったね……」
モバP「そうだな」
ソヨソヨ
雪美「ん……涼しい……」
モバP「そびえ立つ、ではオーバーかもしれないが見上げるほどの階段の先にある、木造のお堂」
モバP「高い木々に周りを囲まれて鬱蒼としてさえある場所にポツンと目立たずに在る」
モバP「過去、確か幼稚園の頃に似たような場所に遠足に行った記憶があるが、ここ自体は来たことのない場所だ」
モバP「にも関わらず、懐かしさを感じるな」
雪美「……ふしぎ」
モバP「雪美はこういうロケーションにも綺麗に溶け込むなあ」
モバP「さあ、良い写真を撮ろうか」
雪美「……うん」
事務所のちひろ「スタッフ無しの個人撮影とかこれもうデートでしょ」
290
プクプクプク
モバP「……」
ツン
モバP「?」
七海「よっ」
モバP「おう七海か。今日もマーメイドのような瑞々しさだな」
七海「七海はいつも新鮮ピチピチれすよ~。こんな所で何をやってるんれすか?」
モバP「たまたま入った店にアクアリウムがあったものだからつい眺めていました」
七海「そうれすかそうれすか~、プロデューサーも分かってきましたね~♪」
七海「水槽を見ていると癒されるんれすよね~。そこに小さな世界があります」
モバP「水族館のスケールと比べると小さいが、こだわりが出るよな」
七海「オブジェの配置一つにもセンスが……いえ、主役はお魚れすけど!」
――
ゴクゴク
モバP「ふう……暑い日差しが照りつける夏は、涼しい所でアイスコーヒーを一杯」
モバP「たまらんですな」
七海「プロデューサーはコーヒー豆を買いに来ていたんれすね~」
モバP「ああ。志保にコーヒーミルを貰ったから最近は家でも淹れるんだ」
モバP「コーヒー豆のレーダーチャートは見ていて飽きない。……これ見る? チラシだが」ハイ
七海「ふんふむ……イラストや図にすると分かりやすいれすね。で、プロデューサーの好みは?」
モバP「酸味のあるモカが好きだな。まあいろいろ飲み比べてフードペアリングを考えるのも楽しい」
七海「すっかり影響されていますね~。……プロデューサー、海釣りに興味は?」
モバP「今の所は……しかし七海は髪のボリュームがすごくて目立つな。見惚れちまうぜ」
七海「羨ましいれすか? ウェーブしていてしかも長いれすからね~、えへ♪」
七海「って、魚じゃなくて七海を釣る気れすかっ!?」
雪美「……Pに釣られた……アイドル……数知れず……」
291
モバP「食堂で食べるカレーライスと納豆は何故あんなに美味しいのだろうか」
ちひろ「どこの食堂ですか」
モバP「一般開放されている近くの社員食堂ですね。しかも安い」
ちひろ「プロデューサーさんはどこにでも出没するんですね」
モバP「想像してみてください。シンプルな内装に折り畳みテーブルとイス」
ちひろ「はい」
モバP「具がゴロゴロとしていないサラッとしたカレーライスに鮮やかな赤い福神漬け、コップの水」
ちひろ「(赤い福神漬けは着色料的にどうなのかな)はい」
モバP「陶器の小鉢に控えめに盛ってある納豆に、刻みネギ」
ちひろ「(今時の社食って納豆を器で出すんですかね?)はい」
モバP「いやあ、侘び寂びの風情がありますね。でも家で食べるより何故か美味しいんです」
ちひろ「そもそも食堂に行くなら定食とか食べましょうよ」
雪美「……学校の、給食のカレーも……とてもおいしい……」
292
雪美「……」ジーッ
モバP「雪美さんに対面で膝の上に座られていると不覚にも鼓動が高まりますね」
雪美「……」スッ
サワサワ
モバP「んふっ……」
ちひろ「!」
モバP「あぁっ……何か、変な、感じがする、から……そこは、やめっ」
ちひろ「雪美ちゃん、プロデューサーさんの一体どこを触っているんですか?」
雪美「……のどぼとけ……大人の……男性にだけ……ある……ふしぎ……」サワサワ
モバP「ああぁぁぁ」
ちひろ「私がもし男性ならそこ(喉仏)はあまり触られたくないと思いますよ?」
雪美「……本当……? P……」
モバP「……いや、意外と気持ち良いですこれ」 エェ…
293
モバP「七夕も無事に終わったな。イベントというのは来るまでは今か今かだが過ぎればあっという間だ」
雪美「……うん……。……織姫と……彦星が……一年に一日だけ……会える日……」
雪美「……今年は……会えた……?」
モバP「会えたことだろうよ。年一ルールなのに中止ありとかやってられん。俺なら天女連盟に異議を申し立てる」
雪美「ふふ……。一年も……会えないと……話したいこと……いっぱい、あるはず……」
モバP「ああ。俺なんて雪美と一日会わないだけでも話したいネタがどんどん湧いてしまうのに」
雪美「それに……二人……黙って、繋がっているだけでも……幸せ……」
ちひろ「しかし障害は恋する二人の思いを熱くすれば良いですけど、逆に冷ましてしまうかもしれません」
モバP「遠距離恋愛で自然消滅はきつい……お互いに吹っ切れるなら良いんでしょうが」
モバP「願い事を書いた短冊を吊るした笹の葉も七夕過ぎれば撤去ですから、この世は無常でもありますね」
雪美「……使った笹の葉は……どこに行く……?」
モバP「公園に持ち寄って供養するように焼くんだろうか?」
ちひろ「どんど焼きのしめ縄じゃないんですから」
294
雪美「……」
ムニムニ
ペタペタ
モバP「雪美さん、俺の顔に何か好奇心をそそられるような発見でも?」
雪美「P……おひげ……ない……」
モバP「ああ、しっかり剃ってケアしているからな。ご要望であればオシャレに髭を蓄えてみるが」
ちひろ「貫禄は出そうですよね」
雪美「……いい。……このままで……気持ちいい……から」
サワサワ
雪美「……♪」
モバP「最近他の子も何かこの顎を頻りに撫でてくるが、別に御利益なんて無いんだぞ?」
ちひろ「ビリケンさんの足の裏みたいな扱いですかね」
295
モバP「麦わら帽子に白いワンピースの女の子と言えば何をイメージしますか?」
ちひろ「夏の田舎の田園風景ですね。気が付けばこう刷り込まれていました」
モバP「ほぼ同じです。理想の美少女の一つの形なんでしょうかね」
モバP「さて、今日はそんな格好を雪美さんにしてもらいました!」
雪美「……どう……?」キラキラ
ちひろ「あらかわいい」
モバP「パーフェクトだ、ウォルター。よく似合ってるな。つまり雪美は理想の美少女。Q.E.D.」
雪美「……///」クイッ
モバP「麦わら帽子のつばで顔を隠そうとする恥じらいが初々しい」
ちひろ「ちなみにこれはどこで」
モバP「ワンピースは今日の仕事に使った衣装を借りてきました。麦わら帽子は……ホームセンターで購入」
モバP「という訳で帽子の方は雪美にそのままプレゼントだ。日差しが強い時に被ると良い」
雪美「……ありがとう……。大事に……する……」
ちひろ「何故にホームセンター」
モバP「ちょっと工作用に板を探しに行ったところ、見かけてティンときたものですからね」
モバP「この帽子は何か他とは違う。雪美にぴったり合うんじゃないか? と」
ちひろ「その発想力を別の方面に活かせないものですか?」
雪美「Pは……自由人……だね……」
モバP「せやで。で、ワンピースはミニ丈の物もあったのですが、このゆったりした長さのを選びました」
モバP「肌の露出控えめなイメージの雪美が薄めの白ワンピにノースリーブでミニスカートだとオーバーキルですからね」
ちひろ「プロデューサーさんのHP、頻繁にマイナスになってませんかね?」
雪美「……Pは……自由人で……むっつり……」
モバP「はい、むっつりはん」のヮの
ちひろ「その顔やめい」
雪美「……ちょっと……たくしあげて……みる……」ソーッ
モバP「雪美さんが魔性の女に……でも感じちゃう」 カンジルナ
296
モバP「……」
こずえ「……」チョコン
ちひろ「ありそうであまりない膝ペアですね」
モバP「そんなことはないでしょう? 本日は雪美さんはオフでいませんからね」
ちひろ「プロデューサーさんの膝占有率は雪美ちゃん八割で他二割という印象ですよ」
こずえ「こずえ、あんず、になもー……よくのるよー?」
ちひろ「サイズが小さい子ばかりですねえ」
モバP「大きい子は恥ずかしがると言いますか、作業中とかは邪魔になるから遠慮する感じですね」
ちひろ「頭で視界が遮られたら仕事は出来ませんしね」
モバP「我々大人の懐に収まる子なんて、普通は幼稚園児くらいまでです」
こずえ「ぷろでゅーさー、おっきいからねえー」
モバP「膝の上と言いつつ股の間に座らせるならもう少し身長あっても大丈夫ですね」
ちひろ「アイドルの子を乗せない、という選択肢はそもそも無いのか」
こずえ「ぷろでゅーさー……もっと、ぎゅーってしてー……しろー」
モバP「はいよ」ギューッ
こずえ「ふわぁ……」
ちひろ「うわぁ……」
ちひろ「……雪美ちゃんと抱き心地はやっぱり違うものですか?」
モバP「はい。感触とか匂いとかで目を閉じていても誰だか分かりますよ」
ちひろ「ある意味ソムリエですね。ワインとかと違って利用方法が無さそうですけど」
こずえ「……こずえもぷろでゅーさーに……ていすてぃんぐされるのー?」
モバP「何かやらしい」
ちひろ「こずえちゃんをテイスティングなんてとんだ変態ソムリエもあったものです」
こずえ「ぷろでゅーさーなら……なにしても……いいよー?」
モバP「そーかい。そんな天然で際どいことを言う子はこうしたるわー」ワシャワシャ
こずえ「えへへー……」
ちひろ「雪美ちゃんも最近は垢抜けてきましたけど、こずえちゃんは結構アプローチが大胆ですよね」
こずえ「そうかなー?」
モバP「あざとい。でも憎めない。目に入れても痛くない」
ちひろ「そういえば紅葉温泉の時、浴衣が少し着崩れ、というかはだけたのが映っていましたね」
モバP「あれは後で直してあげたんですが、何故か直す前のが使われていましたねえ」
ちひろ「プロデューサーさんが直したんですか?」
モバP「はい。普段から服を着せてとか言われますし、その時はスタイリストになりきります」
こずえ「いつもありがとうー……えらいぞー」
モバP「わーい、こずえは優しいなあ」
ちひろ「……」
ちひろ「……ところでプロデューサーさんって雪美ちゃん以外にはさん付け混ぜたりしませんよね」
雪美(そこは……私の……絶対特権……)
ちひろ「何かテレパシーが飛んできたなあ」
297
柚「Pサンって巴チャンと相性良いよね?」
モバP「良き友人とは思っているが、どうしてそう思うんだい?」
柚「だっていちごパスタをうめーうめーって食べるでしょー?」
モバP「ああ。……そのくらいで相性良かったら人類皆家族だよ。ワッハッハ」
モバP「いや、癖はあるかもしれないが常識に囚われなければ美味しいと思うよ」
柚「いつか髪がイチゴ色になりそうだよね」
モバP「オラのPちゃんが不良になっちまっただ! って親から言われそうだ」
柚「Pサンのお母さまはチチだったのかあ……ってそんな訳あるかいっ!」
モバP「でも、家族は顔が似るっていうのが食べ物によるそれだとしたらさ」
モバP「例えば俺が柚と同じものをずっと食べていたら、俺の髪が柚みたいな色になっていく可能性も……?」
柚「……もしそうなったら、髪型もおそろでいきたいねっ♪」
モバP「男のぱっつんはちょっと憧れるが、平子真子みたいにそれなりに美形でないとなあ」
雪美「……Pは……きれい系よりは……かわいい系……」 エッ
298
モバP「今年は梅雨入りも明けも遅いですね。雪美さんの髪も湿気でやや跳ねてます」
雪美「……」チョコン
ちひろ「それでも膝の上には乗るんですね」
ちひろ「梅雨は、偏西風が蛇行しているせいで季節進行が遅いんでしょうかね? 知りませんけど」
モバP「梅雨の花と言えば紫陽花。しようか、と書いてアジサイです」
モバP「雪美……しようか」
雪美「……うん。……して……」
ちひろ「何をおっぱじめるんですかね」
モバP「男女が密着してすることと言えば決まっているでしょう」
モバP「髪を梳かすんですよ」
ちひろ「あっはい」
モバP「今日の雪美には、そうだなあ……三番櫛を使おうか」
ちひろ「ここは3番アイアンで打とうかみたいに言うんですね」
モバP「髪は繊細ですからね。状況・状態に合わせて歯数やヘアブラシを使い分けています」
――
サラサラ
雪美「……♪」
ちひろ「気持ち良さそう」
モバP「凛に聞きましたが、紫陽花の花言葉は”家族の結びつき”や”移り気”とかあるそうで」
モバP「色によっても変わるらしいですが、とにかく良くも悪くも様々です」
ちひろ「プロデューサーさんは変な所で知識が豊富ですね」
モバP「アイドルに教えてもらうことはいろいろとありますが、頭に残りやすいものとそうでないものはあります」
モバP「紫陽花は、ポガティブな曲を聴くのと似ているかもしれません。何か好きなんですよね」
雪美「……私も……好き……」
299
モバP「エレベーターで異世界に行く方法なるものがあるらしいな」
小梅「そういうのはね……それに興味を持った時点で、引き込まれやすくなるんだよ……」
モバP「やだこわい」
モバP「まあ一人でエレベーターで遊ぶなんていい大人失格なので、やりませんがね」
小梅「今、私たち……三人だから、ね……」
モバP「もう一人はどの辺にいるのかな?」
小梅「ここ、だよ」
モバP「あ、どうも。こんちゃっす」
小梅「……ふふ……こんにちは、だって」
モバP「でもこういう狭い空間で下を押しているのにどんどん上がっていったり、行けない階に行ってしまうのは怖い」
小梅「う、後ろの張り紙が、書き変わっていたり……三階までしかないのに、四階に行ったり……?」
モバP「ライトを消すだけの高時給な宿直かな?」
チーン ゴカイデス プシュー
雪美「……」テクテク
モバP「お、雪美が乗ってきたな」
小梅「……?」
シュー ガタン
モバP「さあ、このまま一階まで止まらずに行けるかどうか……って、あれ? 何か上昇し始めてない?」
小梅「惨劇の、予感……」ドキドキ
チーン &%$カイデス プシュー
モバP「……!!」 …ン?
モバP「これは……丸くて青い、地球……なんてことだこれは軌道エレベーターだったのか!」
晶葉『あー、すまない。雪美だけだと思って誤ってM8階への停止許可を出してしまった』
モバP「晶葉か? これ……マルチディスプレイか」
晶葉『そうだ。そこはちょうど良い空間があるので私の実験に使わせてもらっている』
雪美「……私も……お手伝い……してる……」
300
モバP「最近ズボンを履き忘れる夢をよく見るんですよ」
雪美「……夢じゃなくても……ある……?」
モバP「そこまでうっかりはしない。昔草履で小学校まで行って気づいたことはある」
ちひろ「いや充分うっかりでしょうそれ」
モバP「で、その道の専門家にお尋ねしたところ」
朋『自分を見失っているんじゃないの?』
モバP「と言われました」
ちひろ「朋ちゃんは夢占いの専門家だったのか……」
雪美「服……着てなかったら……すぐに……気づく……」
モバP「やっぱりそんなもんなのかな?」
モバP「夢では何か、家から遠くまで来てしまって、取り返しのつかない段階で気づくんだよね」
ちひろ「で、衆目に晒される訳ですね」 ハイ
雪美「…………P……そういうことが……したいの……?」
モバP「したくないよ。さすがの俺もある程度の恥の概念は持っているからな」
モバP「でも潜在的な露出願望があるとすれば洒落にならないから不安だな」
雪美「……良かった……。……ならたぶん……大丈夫……」
ちひろ「人に見られたい願望くらいはあるかもしれませんね?」
雪美「……だったら……いっしょに……アイドル……やればいい……!」
モバP「プロデューサーであるだけで精一杯だよ。やりたいとほんの少しも思わない訳じゃないがさ」
ちひろ「ほんの少しはやりたいのか……」
モバP「女性の場合は、スカート忘れても気づかないことってあるものですか?」
ちひろ「下にレギンスやショートパンツを穿く用のミニスカートをそのまま素で穿いてしまうことはあるかもですね」
モバP「アンダースコートを忘れてスコートしたり、サポーターを忘れて水着着たり、裸エプロンするようなものですかね」
ちひろ「最後の! ……とにかくスカート部分が全く無いのに気づかないことは普通は無いと思いますけど」
雪美「……裸エプロンは……忘れただけで……本当は、上に……何か……着る……?」
ちひろ「それ普通のエプロンとしての役目ですね」
301
モバP「床屋で髪を切ってもらった。すっきりしたよ」
雪美「……つるつるには……しないの……?」
モバP「そこまで全力でボケる気はない。俺は普通オブ普通の社会人だ」
雪美「……」ジーッ
モバP「言っとくが薄毛で悩んだりはしていないぞ? 特別剛毛って訳でもないが」
雪美「ふふっ……分かってる……」
モバP「でもな、散髪した後って何故かいつも体の調子がほんの少し崩れてしまうんだよ」
モバP「髪も体の一部なのだろうな。養分を一方的に吸うだけではなく、共有しているというか」
ちひろ「頭が軽くなって一時的に平衡感覚が崩れているんじゃないですか?」
モバP「髪の量が雪美さん並ならそうなるかもしれませんが、切ったのはほんの少しですし」
雪美「Pも……ウィッグ……着けてみたら……髪の重さ……分かるかも……」
モバP「腰まで届くロングヘアーにしたらどれだけ頭の感覚が変わるのかはちょっと興味あるな」
モバP「……ところでたまにはサイド三つ編み以外のちひろさんも見てみたいです」
ちひろ「指名料取るぞ?」
302
モバP「夏と言えば、でアイドルには水着仕事は定番だ」
モバP「種類は様々あるが、未成年がよく着せられがちなのがスクール水着」
雪美「……着てると……思った……? 残念……いつもそう……甘くない……」
モバP「そんなガードが固い雪美さんもいい女やで」
雪美「……そう……?」
ちひろ「本当にガードが固かったら膝の上に座ってないと思うんですよ」
ちひろ「でもスク水って、こう言っちゃなんですけど、当時ダサいというか野暮ったく思ったものです」
モバP「地味で均一的で……でも学校アイテムは青春補正で素朴でも輝いて見えますよ、多分」
雪美「……青春……すごい……」
モバP「まあ今の学校指定水着ってスパッツ型セパレートタイプが多くて何か窮屈、というか運動着感が強いな」
雪美「スカートの方が……かわいく……見える……」
モバP「スカートはスカートで水泳するのに邪魔にならないか? と思わなくもないが」
モバP「雪美のはスパッツ型だからなあ。着てみたいのは分かるぞ」 ウン
ちひろ「どうして知っているんですかねえ」
303
雪美「……」ジッ
モバP「雪美さんが物陰から顔だけ出してこちらをじっと見つめている」
モバP「保護したい」
モバP「無視できないから俺も雪美さんの方をじっと見てしまって仕事が手につかない」
ちひろ「これは雪美ちゃん依存症を起こしていますね」
ササッ
モバP「あ、隠れてしまった」
モバP「……よし、仕事するか」
雪美「……」ヒョコッ
モバP「と思ったらまた……」
雪美「……」ニコッ
モバP「……」ムラッ
ちひろ「おい待て何でそこで興奮する」
モバP「誘っているんだろうが俺はここから動かんぞ」
雪美「……?」
モバP「雪美からこっちに来なければ俺の膝には座れない。さあどうする」
雪美「……」
モバP「さあさあ」
雪美「……P」
モバP「ん?」
雪美「一体いつから……ひざの上にいないと……錯覚していた……?」
モバP「……何っ!?」
雪美「……気づいて……私は……ここ……」チョコン
モバP「……??? どうして俺の膝の上に雪美がいる……? ではあそこにいる雪美は……いない!?」
モバP「……ウチの雪美さんの人間離れが半端ない」ナデナデ
雪美「……これが愛の……なせる業……♪」
ちひろ「幻影を見るようにまでなったか……まあ私も見えましたけど」
304
仁奈「がおー! お姫さまは渡さねーでごぜーますよ!」
モバP「ぬぬぬ、現れたな強そうなドラゴンめ」
仁奈「これでも喰らいやがれくださいですよ! うがー!」ボバアアア
モバP「熱っ! くっ、こんなん貰ってたら薬草がいくらあっても足りねえぜ」
モバP「こうなりゃ短期決戦だ、覚悟っ!」シャキン
モバP「でやああああっ!!」
テレレレレーン
仁奈「きゅ~……」
モバP「はぁはぁ……やっと静かになったか。こっちが美味しく焼き上がっちまうところだった」プスプス
モバP「さて……ローラ姫様、遅くなりました。今助けに参りましたぞ」
雪美「……おお……勇者さま……」
モバP「!?」
雪美「!?」ビクッ
モバP「……いやぁ、何か思ったよりも幼いお姫様ですね」
雪美「……勇者さまは……思ったよりも……大きい……」
モバP「ハハハ、言うね。大きいのと小さいのとで案外釣り合っているかもしれないな」
雪美「……うん」
モバP「さて、こんな辛気臭い洞窟とはおさらばしやしょうぜ」
雪美「……」(つ゚-゚)つ
モバP「……モンスターが出たら降ろすぞ?」
雪美「……」コク
ザッザッザ ギュイーンギュイーン(キメラ)
モバP「そんなことがあってやっとドラゴンの手からローラ姫を救い出した」
モバP「しかしラダトームに着いたのは夜だったので、仕方なく町の宿屋に泊まることとなった」
テレレレテテテーン
葵「おはようございます。ゆうべはおたのしみでしたね」
モバP「!?」
雪美「!?」ビクッ
葵「ふふふ、照れんでも良いっちゃ良いっちゃ」ニヤニヤ
雪美「……///」
モバP「今何となくその場の流れに乗ったな?」
葵「で、どこまでやったんよ?」
モバP「言えるかそんなの。王様に引き渡さねばならんのに」
雪美「……勇者さま……夜も……勇者さま……」
モバP「ベタな下ネタやめんか。ほら、行きますよローラ姫」
雪美「朝ごはん……まだ……」
葵「用意しとるけん☆」
モバP「……まあ、これまで幽閉されていて食事もロクに取れなかっただろうから仕方ないか」
雪美「……よく……種や木の実……もらった……。……ドラゴンさんに」
モバP「あ、貰っていたのか」
雪美「おかげで……スプーンより……重いものも……持てる……」フンス
モバP「力の種投与されまくったかあ……」
【食事後】
葵「でも勇者さん、隅に置けないっちゃ。町娘さんとも何度も泊まったけんね?」
雪美「……」ジト
モバP「だって後ろに着いてくるんだもん。いろいろ試すだろう?」
モバP「どうにかして旅に連れて行けないかと思ってねえ。勇者ロトは三人連れだったらしいのに俺は一人旅だし」
雪美「……このローラも……つれていって……くださいますね……?」
モバP「そんなひどい」
雪美「それ……私の……セリフ……」
モバP「連れて行きたいのは山々なんですがまだ竜王を倒していないから……」
葵「ほうほう……倒したら責任取ると?」
モバP「……責任取る前に言質を取られそう」
仁奈「もういっそ竜王もみんなで倒せば良いんでごぜーますよ」
モバP「!?」
雪美「!?」ビクッ
仁奈「!?」ガタッ
雪美「ドラゴンさん……ついてきた……の……?」
仁奈「負けたからお仕事なくなりやがりました。がんばったのに……」
モバP「俺がやったこととは言え、何か気の毒になってきた」
雪美「勇者さま……」
モバP「ドラゴンよ、昨日の敵は今日の何とやらだ。共に行くか?」
仁奈「良いんでごぜーますか? ルールとか、その……」
種バ種「ルール? なぁに大丈夫だ、戦闘に参加せずともちょいと種を集めてきてもらえりゃ……」
葵「目が種になっとるっちゃ」
――
モバP「これが我々の前世または別次元の出会いだったんじゃ……。続く」
雪美「……そうだったのかー……」
ペロ「ニャー」
ハナコ「ワン?」
ぴにゃこら太「ぴにゃー……」
ちひろ「動物その他にもいいかげんな話をするな」
305
モバP「雪美と一緒にドラえもんを見ていたんですが」
ちひろ「本当、何でも見ますねえ……」
モバP「宿題をやってもらうのに二時間後と四時間後と六時間後と八時間後の自分を呼び出すって斬新ですよね」
ちひろ「そんな回ありましたね。ただ斬新と言っても初出は半世紀近く前とかだと思うんですけど」
雪美「……半世紀……五十年……?」
モバP「情報が無いと五十年前なんて想像がつかないよな」
雪美「私が……生まれる前から……世界がある……ふしぎ……」
ちひろ「とりあえず、使えるひみつ道具はありそうなのにあの選択をしちゃうドラちゃんはちょっとポンコツだと思います」
モバP「そうかな? 自分も未来から自分を何人か借りてきてみたいものですがね」
ちひろ「やろうぶっころしてやるされるかもしれませんよ?」
モバP「大丈夫。未来の自分は未来に返さずに借りパクしますから」
ちひろ「未来こわれる」
雪美「……未来を……盗んだ男……P……」
306
モバP「夏場の印象的な格好の一つに裾結びというのがある」
モバP「グラビアではシャツを使ってビキニやショートパンツと組み合わせることが多いな」
雪美「……着てると……思った……? ……着てる……」キラキラ
モバP「突発的に大胆になる雪美さんがまた好きです」
雪美「……そう……///」
ちひろ「ガードが固いのはどうした」
モバP「裾結びはへそ出しでなくてもいろいろオシャレにアレンジができるから良いぞ」
モバP「まあ今の雪美さんはばっちりへそ出しだが」
雪美「……変じゃ……ない……?」
モバP「ああ。煽情的もとい健康的で大変なことにいや大変よろしい」
雪美「……」ホッ
モバP「へそ出しに慣れたら今度はベリーダンスの衣装とか着てみないかい?」
ちひろ「この大人は……」
307
雪美「……こんにちは……」
ちひろ「あら、雪美ちゃん。ごめんなさい、今プロデューサーさんは不在です」
雪美「……いない……? ……残念……」
ちひろ「もう少ししたら戻ってくるかもしれませんから、待っていますか?」
雪美「……うん」
テクテク
雪美「……」ジッ
ちひろ(……プロデューサーさんの席にまっすぐ向かって行きましたね)
雪美「……よ……っと」
雪美「……Pの……イス……、今は……私の……」チョコン
ちひろ(微笑ましい)
ちひろ(……私も社長がいない間に社長室の立派なイスに座ってみたいと思うことはありますけど、それとは違うなあ)
雪美「……P……まだかな……♪」
308
心「やっほ、プロデューサー」
モバP「あれ、ちひろさんじゃない。ちひろさんどこ?」
心「お姉ちゃんとはぐれた少年みたいだなおい☆」
心「ちひろちゃんはお休み。はぁとが代役だぞ♪」
モバP「わぁいはぁとちゃん、Pはぁとちゃんだいすき。カシューナッツみたいなツインテール」
心「カシューナッツ言うな。これ結構作るの時間かかるんだぞ」
モバP「アイドルが事務員の代役してて良いんですかね……?」
心「急に素に戻らないのっ。はぁとが直々に手伝ってあげるよ♪ 嬉しいだろ? ハイって言え☆」
モバP「はい、よろしくお願いしますね」
雪美「心……Pも……こんにちは……」
モバP「おお雪美。Ich liebe dich!」
雪美「……Danke」
心「甘ぁ~い! はぁとよりスウィーティーだし何故かドイツ語だし?」
309
モバP「天然パーマで羽が生えていて金属を齧ったり分裂したりする妖精アイドルが欲しいです」
心「プロデューサーったら、ガッちゃんなんかアイドルにして何をする気だ☆」
モバP「世界征服はできそうですよね。ゴム以外何でも食べるようだとアイドル事務所は廃業になりそうですが」
心「可愛い顔で『クピプー』じゃすまないな♪ 変なこと言ってないで仕事しろよ☆」
モバP「分かってますって。それはそうとモノマネ上手いっすね」
心「はぁとのこと惚れ直した? んもう、もっと素直に褒めてくれても良いんだぞ?」
モバP「じゃあもう一回お願いします。次はしっかり録音もするので」 ヤメロヨ☆
雪美「ゴムは……かじれない……斬鉄剣も……こんにゃくは……切れない……」
モバP「下手に硬い物より柔らかい物の方が苦手、とはコミュニケーションにも通ずるものがあるな」
心「フワフワぽよぽよしてる子ほど何考えてるか分からないってのはあるかも?」
モバP「カービィかな? まあ、人の考えていることなんてそう分かるものじゃありませんがね」
雪美「……Pは……私のこと……分かってくれる……のに……?」
心「プロデューサーと雪美ちゃんは人並以上の関係ってことか♪ 砂糖吐くぜ☆」 サトウダケニ? オイコラ☆
310
モバP「外暑いっすね心先輩」
心「はぁとって呼んで♪ てか心さんまでは良いとして先輩って何だよ☆ はぁとはそんなにパイセンか?」
モバP「はぁと」
心「うん、なぁに?」
モバP「あなたは休憩時間にお茶じゃなくてタピオカジュースを持ってくるんですね」
心「良いじゃんタピオカ☆ スウィーティーでトロピカルだぞ」
モバP「まあ良いでしょう。それにしても空調効いた事務所から出るとムワりますよ。参っちゃう」
心「プロデューサーは飛び回るのが仕事だから大変だわな~」
モバP「そして戻ってきてみれば何故か目の前には事務員服のしゅがーはぁとですよ。新鮮!」
心「うふふー、もーっとはぁとを見てくれても良いんだよ♪」キラキラ
雪美「……便乗……」キラキラ
モバP「ミニ事務員服の雪美さんまで……! 剥き身のエビをぶら下げられているに等しいな」
心「プロデューサーに喜んでもらえるから着てるんだもん♪ それっ、昂れ昂れ~☆」
モバP「」シュウウウウウ
心「ヤバい、プロデューサーから煙が出てるっ!」
雪美「P……もどっておいで……」
モバP「呼び戻されました」
心「便利な構造してるんだな☆ ……アイドルが全員サキュバスになっても良いようにはしとけよ?」
モバP「この世の終わりかな?」
雪美「……でも……この服……スカートの……スリット……大胆……///」
モバP「改めて言われると意識して見てしまうんだが」
心「意識しなくても清純派雪美ちゃんの腰つきをチラチラ見てただろ? はぁとも見ろよ☆」
モバP「……」ジッ
心「きゃっ、そんな熱い視線を注がれたら~……おい、目を細めすぎだぞ。そんなに眩しいか☆」
モバP「こんなミニのタイトスカートが正装になっているちひろさんや音無小鳥さん、七草はづきさんといった世の中の事務員さんは凄いですね」
雪美「……いなくて分かる……ちひろさんの……すごさ……」
心「本人はそういう所で分かってほしくはなかったと思うけどな☆ まっ良いか♪」
311
モバP「雪美さんは夏場でも相変わらず体を寄せることを厭わない」
雪美「……寄らば……大樹の……陰……」
モバP「それが落ち着くと言うのなら良いが、汗とかニオイとか、こうしてほしいというのがあれば遠慮なく言ってくれよ?」
雪美「……ん」コク
モバP「……思えば、以前はもう少しプラトニックな距離感だった気がするな。いつからこうなったか」
雪美「……Pと……私が……けんかした……日……」
モバP「ああ、そんなこともあったな。あれだけ強く衝突したのは初めてだった」
モバP「雪美が泣いたんだった……。表情を変えず、声も出さず、ただ涙だけが溢れ出すように流れていって」
モバP「それを見た時、俺はとんでもない喪失感に苛まれて、年甲斐もなく一緒に泣いてしまった」
雪美「……Pに……初めて……強く……抱き締められた……」
雪美「たくさん……謝られた……。……それから……ずっと……抱き合って……後は……よく、覚えて……ない……」
モバP「それからだろうか、何だか共依存みたいな状態が始まってしまったのは」
雪美「……」
モバP「喧嘩の理由など肝心なことが思い出せないし、あれはただ変な夢を見ていただけなのかもしれない」
モバP「それにしては共通してリアルな出来事として記憶に残っているのが不可解だ」
雪美「……」
モバP「もうこの話はやめようか。……そういえば、雪美を背負うことはあまりなくなったな」
雪美「……えっ? ……そう……?」
モバP「膝に座らせたり抱える方が頻繁なせいか、最近は背中が寂しいね」
雪美「……じゃあ……今度は……おんぶ……して……?」
モバP「任せろ!」
雪美「……でも……あなたの……背中……、いつ見ても……大きい……」
雪美「……頼りがい……あって……少し……うらやましい……」
モバP「俺は雪美に頼られることに幸せを感じるから問題ない」
雪美「……ずるい……私だって……Pに……頼られたい……」
イチャイチャ
心「やっぱりはぁとも喋らせろよ☆」
312
雪美「……」チョコン
モバP「……心先輩も膝に乗ってみます?」
心「じっとしてるのは性に合わないから乗らないぞ☆」
雪美「……でも……本当は……?」
心「はぁともあすなろ抱きしろよお兄ちゃん☆」
モバP「……ん? お兄ちゃん?」
心「痛い姉を見るような視線と歳を示唆する反応はやめろ☆ はぁとが妹だったって良いだろ?」
モバP「現実ではお姉ちゃんだから、妹になってみたい願望は分かります」
雪美「心は……妹……いる……」
心「ラブリーマイシスターよっちゃんが実家にね♪」
モバP「よっちゃんさんとはこの前会いましたが……心先輩が溺愛するのも頷けます」
心「何勝手に会ってんだよおい☆ ってマジ?」
モバP「お姉ちゃんトークで盛り上がりましたよ。先輩愛されてますね」
心「後で詳しく聞かせてもらうからな☆」
モバP「それはそうと、創作世界では姉より妹の方が優秀にされがちな風潮ありますね」
心「人のコンプレックスをあまり抉るなよ☆」
モバP「まあ序列と逆転してるから目立つだけで実際統計的にそうなのかは怪しいもんです」
モバP「個人的には長女長男としての立場の苦悩とかは理解できるので、そういう時はお姉ちゃんを応援したいです」
美嘉「プロデューサーがアタシを応援してくれると聞いて」
モバP「おお美嘉。美嘉は例えばお姉ちゃんなりの妹へのジェラシーとかある?」
美嘉「あるよ。莉嘉、人と仲良くなるのがめっちゃ上手いんだよね。ほんと太陽みたいな子っていうか」
美嘉「アタシはプロデューサーの前だから素に戻って言うけど、結構根暗だし、莉嘉とは正反対かも」
モバP「それでも理想のカリスマギャルになるべく、強気で努力しているんだよな」
美嘉「姉としてギャルとして尊敬されてるから頑張らないとって思うし、やっぱり莉嘉が可愛い」
心「莉嘉ちゃんは周りを引っ張る力があって、誰にでも好かれたり慕われるタイプだな♪ 姉でなくともそう勝てる子はいないっしょ☆」
美嘉「そうやって莉嘉のこと褒められると何かアタシまで嬉しくなるんだよねー……ヘヘ★」
モバP「ふむ、姉妹は仲良しが一番だな。これ以上の平和があろうか、いやない」
美嘉「……ところでプロデューサーの膝に乗る雪美ちゃん、いつ見ても良いなあ」
雪美「ここが……私の……特等席……」
313
モバP「時間があったので社内ジムのフィットネスバイクを使用させてもらっている訳だが」
雪美「……」
モバP「これでもかとペダルを漕いでいる所を雪美さんに見つめられているのは恥ずかしいな」
モバP「しかもスポーティーな半袖とショートパンツ姿でいられたらこちらも見ない訳にはいかない」
モバP「っと、坂道モードで重くなった……」
雪美「……」
モバP「雪美は何もしないのか?」
雪美「……Pを……見ていたい……」
モバP「そっかー」
――
モバP「ふう、このくらいにしとこかー」
雪美「……おつかれさま……堪能できた……」ツヤツヤ
モバP「何か潤ってる」
モバP「それにしても、ジムのこういうのを見るたびにこれで発電できたらな、と思う」
雪美「……発電……?」
モバP「ああ。例えば自転車の前輪に付いている発電ライトだ」
モバP「自力で漕げば漕いだ分だけ光る――自給自足で夜道もより安全だ」
雪美「……」コク
モバP「これがジムなら運動して鍛える為にペダルを漕ぐだけで、副産物で電気まで作れる」
モバP「作れるのに発電装置が無いとその漕いだエネルギーが利用できないのが勿体無く思ってしまう」
モバP「……まあ、一人が発電できる量は頑張って漕いでも僅からしいがな」
雪美「みんなでやれば……大きな力に……ならない……?」
モバP「アイドルはみんなで大きな力になるが、自転車発電は実際は費用対効果が見合わないのかもしれん」
モバP「SFではよく見かけるんだがな。奴隷や囚人なんかが自転車漕いで電気を作ってそれを売って生活」
晶葉「科学がより進歩すれば、発電効率が上がって夢じゃなくなるかもな」
雪美「……晶葉。……晶葉も……運動……?」
晶葉「籠ってばかりいても良くないからな。このランニングマシーンで、発電してる気になってリフレッシュだ」
モバP「つもり貯金みたいだな」
314
モバP「百貨店デパートなどに行くと、化粧品売り場を通ることがある」
モバP「そこ、すごい甘い、甘ったるい匂いがするんだよ」
雪美「……私は……平気……」
モバP「そうか? クラクラしないか?」
雪美「……大丈夫」
モバP「大丈夫か。でも、カーチャンの化粧品もあんな匂いだったな」
モバP「男だから慣れないのかなあ」
雪美「……」
モバP「……」スンスン
モバP「こうして膝の上にいる雪美さんの匂いには、もうすっかり慣れたがな。安心する匂いだ」
雪美「……におい……かがれると……はずかしい……」
モバP「ちょっと調子に乗った。すまない」
雪美「……いい……でも、最近……Pのにおいが……薄くなってる……。……もっと……包んで」
心「これではぁと、じゃなくて心が折れないちひろちゃんは凄いなーって☆」
315
ザザーン
モバP「ウェミダー!」
雪美「……何語……?」
モバP「わぁ、これが346プロ所有のプライベートビーチですかー」
モバP「洞窟からしか入ってこられない入り江に砂浜……秘境だな」
雪美「……ロマンチック」
モバP「ただ、立地的に来づらくて不便なのであまり利用されていません」
モバP「という訳で、我々が現状視察に来ました」
芳乃「調査員一号でしてー」
七海「調査員二号れすよ~」
風香「ちょ……調査員三号です……」
雪美「……調査員……四号……」キリッ
モバP「……どう見ても遊びに来たようなメンバーだなあ」
モバP「じゃあプロデューサースキルで手早く周辺調査してくるんで」
シートシキーノパラソルタテーノニモツオキーノ
モバP「君たちはこのあたりで砂の感触や水の冷たさ、水着の着心地などを調査していてくれたまえ」
「「「「はーい」」」」
――
モバP「ふーむ……この辺りは危険な野生動物がいる訳ではないし、そもそも手入れはしっかりされている」
モバP「景観を考えると人工物は入れない方が良いのだろうが、どうも物寂しい。小屋とか置けないかな」
モバP「いろいろと浮かぶアイデアを報告書にぶち込みまして……こんなもんか」
モバP「ただいまー」
風香「あっ……おかえりなさい」
モバP「風香一人か。みんなは……って」 スクッ
風香「Pさん! えっとですね、えっと……こ、この水着、どうですか?」バッ
モバP「……目の前でラッシュガード脱いで見せつけてくるとは驚いた気合いの入り方だ。無論とても良い」b
風香「ご、ごめんなさい……じゃなくて、ありがとうございます///」
――
モバP「いかん、あのボディーで胸の開いたビキニは下半身に悪い……芳乃はこの辺にいるんだったか?」
芳乃「あっ、そなたー」
モバP「芳乃も水着に着替えていたんだな。芳乃は市松模様や縦縞横縞がよく似合うな」
芳乃「そなたが好きだと言いますのでー、紐のような物の方は諦めましてー」
モバP「紐なんて着られたらこっちの理性がポップコーンのように弾け飛んでしまうわい」
芳乃「失せ物探しはお手の物ですー。そなたの理性も拾い上げて見せましょうー」
モバP「言いおるわ」
モバP「それでどうした、その大きな貝は。拾ったにしては大きいな?」
芳乃「ふふふー、実はー、そなたを待ち伏せしていたのでー。ぶおおー♪ ぶおおー♪」
――
モバP「あれー? おかぴーぞー? 一瞬で岩場に移動したなあ」
モバP「お、七海じゃないか」
七海「プロデューサー! 七海はこうして釣りをしているのれすよ~」
モバP「君らは相変わらず自由に行動し過ぎだよなあ」
七海「プロデューサーと海に来るのは久しぶりれすね」
モバP「ああ」
七海「……あっ///」
モバP「?」
七海「何かあの時の記憶が甦ってきたれす。あわわわわ……釣りは平静釣りは平静」
モバP「ハハハ、でも七海はこうして見るとやっぱり海が似合う。釣りをする姿も様になっているよ」
七海「もう……プロデューサーは女たらしれす!」 クイクイ
モバP「おい、引いてるぞ」
七海「わっ!? ちょっ!」
――
モバP「さて、俺も少し泳いでみるとするか……って何だこの水着布地少なっ」
モバP「誰がこんなハイビスカスブーメランとすり替えたのか……あっボイスレコーダーだ」
麗奈『アンタもたまには恥ずかしい目に遭うといいわ! アーッハッハッ……ゲホゲホ』
モバP「………………まあすぐ着替えるから我慢しよう」
【着替えタイム】
モバP「……はぁ、サポーターだけ穿かされてる気分だ」
モバP「どれ、準備体操はしっかりとやっておきましてっと……そういやあいつら準備体操したのか? 日焼け止めは?」
オイッチニ オイッチニ
モバP「合流したら聞くか。さあ入ろう」
チャプ
モバP「……おお、やっぱり海水は海水でなかなか冷たいな。少しすれば慣れるか」
モバP「少し深いところまで行ってみようか……」
ザバザバザバ ザバッ!
モバP「うわっちょ!?」
雪美「……P……おそい……」ダキッ
モバP「雪美さん……何してたんすか」
雪美「ゴーグルして……海の中……見ていた……」
――
モバP「ふう。不意打ちするから何か未確認生物に襲われたかと思った。でも良かった、雪美で」
雪美「……私になら……おそわれても……良い……?」
モバP「雪美さんは鮫のように齧ってきたりはしないだろうからな」
雪美「……」
モバP「ふう……しかしやっぱり波打ち際に座る程度が良いや。深い所は何か嫌な感じがする」
モバP「昔溺れかけたことがあるせいかな。プールじゃ平気なのにな、ハハハ」
雪美「……ごめんなさい……」
モバP「気にするな。それより水着、スカート付きのビキニか。うーん、いつまでも見ていたい姿だな」
雪美「……じゃあ……もっと近くで……見て……」
ポスン
モバP「雪美さんは遠慮が無いなあ」
雪美「それは……Pの……せい……。たぶん……」
雪美「……P」
モバP「……雪美」
風香・芳乃・七海「……」ジーッ
モバP「……お前らもいつの間にか近いな」
雪美「……」キョトン
芳乃「皆で平等にー、そなたとの時間を求めたゆえー」
七海「でもそこまでいくとずるいれす~」
風香「……」ドキドキ
モバP「分かった。この辺で個別面談は終わりとして、後はみんなで遊ぼうじゃないか」
雪美「……ざんねん……もうちょっと……だったのに……」
風香「ところでPさん、そ、その水着……」 エ?
「「「!?」」」
「へ、変態れす///!」「そ、そなた……///」「……すごい///」
雪美「……あっ」
雪美「……///」カーッ
モバP「……自分なりの釈明はしたいが聞き入れてもらえるかなあ、これ」
――
ブロロロ
モバP「やれやれ系もびっくりなやれやれだ。結局がっつり海で遊んだよ」
モバP「幸い曇っていたし日焼け止めはしっかり塗っていたからみんな今後の活動に支障は出まい」
モバP「俺の立場的な支障は知らんが、この子たちは物分かりが良い方だから大丈夫なはずだ」
雪美「……」スゥスゥ
芳乃「……」スゥスゥ
七海「……」スピー スピー
モバP「みんな車ではよう眠っとるわ。疲れたかな」
風香「Pさん」
モバP「あ、一人は起きてるパターンでしたか。何だい風香」
風香「その、今日はありがとうございます。また少し、自分を変えられた気がします」
モバP「それは良かった」
風香「あと、常識も少し変わりました」 ダメダッタ
316
モバP「言うまでもないことだが雪美さんはクールだ」
モバP「無愛想とまではいかないが表情や感情の起伏は大きくなく、ちょっとやそっとでは動じない」
モバP「だから天然で思わぬボケを披露したり、不意にドキッとさせる言動をしたり、良い意味でこちらのペースを乱される」
雪美「……」ウツラウツラ
雪美「……っ!」
雪美「……」キョロキョロ
雪美「……P……どこ……? さっきまで……いたのに……いない……」
モバP「後ろだ」
雪美「……そこに……いたの……」ホッ
雪美「…………私の……そばに……いて」
モバP「……!」ズキューン
モバP「……不覚にもその言葉に堕ちた。――雪美も離れるな。俺のそばにいろ」
雪美「……」ドキドキドキ
317
モバP「はぁ……」
雪美「P……どうしたの……?」
モバP「俺がピアノ経験者ということがどこからかバレてしまって、一曲弾いてよ、とアイドルたちにせがまれてさ」
モバP「謙遜しながら仕方なく満を持して披露したら、何か思ったよりも下手になっていた」
雪美「……がっかり……された……?」
モバP「致命的な下手じゃないが上手くもない、ネタにもならない微妙なムードというか……うん」
モバP「こういうのは続けていないと腕が鈍ってしまうんだなと思い知ることになった」
雪美「……Pの……そんな、かっこわるい所も……Pらしさ……」
雪美「でも……ピアノ……弾けるの……すごい……」
モバP「女子にモテたくて一時猛練習していたからな。おかげで指使いは研ぎ澄まされ」
モバP「こう見えても学生時代はゴールドフィンガーと呼ばれていた」ワキワキ
雪美「……そう……私は……Pの……ゴールドフィンガーに……いつも……弄ばれて……」
モバP「……下ネタだなあ。ごめん」
318
モバP「雪美よ、アイスでも食べるか」
雪美「……」コク
モバP「よし分かった。こういう時の為に冷凍庫に入れてあるものがある」
ガチャ パタン
モバP「これよこれ。チューブアイスだ」
雪美「……すき」
モバP「では半分に割るぞ」
雪美「……」コク
モバP「……集中」
カッ
モバP「せいやっ!」
パキッ
雪美「……割れた……」
――
シャリシャリ
雪美「……冷たくて……おいしい……」
モバP「夏は普通のアイスクリームやかき氷のような氷菓も良いが、何かやっぱりこれが好き」
雪美「……二人で……分けられるの……良い……」
モバP「お一人様ならただ冷やしてから取っ手をねじってそこから中のシロップを吸う食べ方もあるようだが、喉にくるんだよな」
モバP「だからよくこうして誰かと分けて食べていた」
雪美「……割るの……手……汚れなかった……?」
モバP「コツを掴めば、きれいに分かれなかったり飛び散ったりせずに割れる」
雪美「本当……?」
モバP「まあ良い子は真似せずにハサミとかで割るのが良いのかな?」
モバP「柔いと割るのに失敗しやすいが、半冷凍くらいのが美味いのが悩ましい」
雪美「……P……少年の目……してる」クスッ
319
モバP「たまに雪美から感じられる猫っぽさを挙げようと思う」
雪美「……?」
モバP「暑い時はそうでもないが、一眠りする際に体を丸める時がある」
モバP「膝を曲げて横向きに寝る雪美さんを見ると、鍋に丸まって寝る猫を連想する」
雪美「…………無意識」
モバP「いや実は俺も結構そうなっていることがある。狭い所好きな性質が寝相に出てしまうのか知らないがな」
ンナア
雪美「……ペロが……いっしょに……おひるね……しようって……言ってる……」
モバP「ペロからお誘いか……猫の睡眠時間は一日で平均十四時間。薄明薄暮性で朝と夕が主な活動時間」
モバP「夏は特に日中が暑いからな。気温の下がってきた夕方あたりが動きやすい……と言っても都会の夏は夕方でも暑いが」
雪美「……おひるね……しないの……?」
――
モバP・雪美・ペロ「Zzz……」
320
モバP「日本のお菓子にしては良い形をしているな、と思うものに鈴カステラがある」
雪美「……」モクモク
モバP「この鈴のようでいてウキや栗のような目を惹く上下二色」
雪美「……」ハムハム
モバP「……雪美は何をしていても、食べ方一つ取っても絵になるなあ」
雪美「……」ゴクン
雪美「Pは……これ……何で……知った……?」
モバP「ローゼンメイデンの翠星石が美味しそうに食べてるイラストを見かけたのがきっかけで」
雪美「……ほー」
モバP「俺はアニメやゲームで美味しそうな食事シーンを見ると、同じ料理を食べたくなる病なんだ」
雪美「……私も……。例えば……トムとジェリーの……ゼリー……とか」
ガシッ
モバP「雪美ってば本当、気が合うな!」
雪美「……Pったら……大胆……///」
321
モバP「雪美、卓球しようぜ」
雪美「……?」
モバP「今度の仕事で卓球やるかもしれないだろ? ちょうど遊戯室に卓球台が入ったんで練習しとこう」
雪美「……良いの?」
モバP「周りが慣れているのに自分だけずぶの初心者だと疎外感が出たりするからな」
モバP「というか旅館で風呂上がりに浴衣をはためかせて卓球する雪美さんが見たい」
雪美「……それは……ともかく……、うん……やる……」
モバP「よし。そのやる気がまずは何よりの強みだ」
――
カコッ カコッ カコッ
キュィィィィン コンッ
雪美「……やった」グッ
モバP「ボールが物凄い変化したぞ今。というか初心者じゃない?」 …ウン
322
モバP「雪美は暑さが苦手である」
モバP「またそれを我慢しがちな性格のため、体調には気をかけてやりたい」
雪美「……夏祭りや……プールは……好き……」
モバP「雪美は喋るのがあまり得意でない」
モバP「ただし意思表示を嫌う訳ではなく、彼女なりのペースで伝えようとしてくる」
雪美「……」ジーッ
モバP「雪美は大きな音を好まない」
モバP「怯えてしまうのと、小さな声で伝えたい言葉をかき消されてしまうのを怖れる」
雪美「……聞こえなかったら……悲しい……」
モバP「そんな雪美だが、なかなか充実した生活を送っていると言える」
雪美「……みんなが……そしてあなたが……優しくしてくれる……から……」
モバP「たまには静けさの中で彼女の息遣いに耳を澄ませてみるのも良いだろう」
雪美「……それでは……また……あした……」
323
雪美「……」テクテク
雪美「……!」ササッ
モバP「……」スタスタ
雪美「……」ジーッ
モバP「……??」
モバP「……」スタスタ
雪美「……」テクテク
スタスタ テクテク
モバP「……?」
クルッ
雪美「……あっ……気づかれた」
モバP「何か御用かな? それともスニーキングミッション?」
雪美「……P……見つけると……うれしくて……尾行……したく……なる……」 ホドホドニナー
324
モバP「夏休みといえばキャンプよな」
モバP「大自然の中でテントを張ってカレーライスを作ったり夜に天の川を見たり」
雪美「……だれと……行くの……?」
モバP「家族と、ということもあれば小中学生対象のサマーキャンプに親から派遣されることもある」
モバP「夏休みだからって家でダラダラすんな、修行してこいって感じで」
雪美「……そんなこと……あるの……?」
モバP「ああ。当然ダルいとか言って行きたがらない子もいる。不便な非日常の環境に置かれる訳だから」
モバP「だが終わってみれば友達も作れて楽しい良い思い出になるものさ」
雪美「……キャンプ……」
雪美「……Pと……私と……みんなで……行きたい……ね」
モバP「アイドルをやっていると却ってそういう機会が巡って来にくいだろうからなあ」
紗南「行くならやっぱり連れにキャンプガチ勢がいると良いよね」
モバP「だな。俺はアウトドア用品を見るのは好きなんだが、大抵はそれで満足しちゃう頭でっかちだ」
紗南「Pさん、PCで登山グッズとかよく検索してるもんね」 ア、ミタナ?
325
モバP「暑い夏――アイドルたちの疲労も溜まってきている」
モバP「屋外では容赦のない日差しと高温。屋内でも舞台に立てば、照明に熱を浴びせられる」
雪美「……」クタッ
モバP「おつかれさま、雪美」ナデナデ
雪美「……ん」
比奈「ソファーでプロデューサーの膝枕にうつ伏せしてる子は初めて見たっス」
モバP「比奈も疲れたろう。無理してないか? 俺が少しでも肩代わりできたら良いんだがな」
比奈「してないっスよ。プロデューサーと一緒でスね」
モバP「おや、俺が無理していないとは心外……いや否定はしないが。では、割と余裕?」
比奈「手を抜いている訳じゃないっス。ただ、倒れたり怪我したりして迷惑かけたくないでスからね」
比奈「無理して原稿を落としては元も子もないのと同じでスよ」
モバP「さすが眼鏡を外すと覚醒する美人だ。考え方が立派」
比奈「マンガのそういうキャラ好きっスけど……描く側の私がそれに当てはめられると何か恥ずかしいっスね」
モバP「ところで、お疲れならマッサージなどしませんか?」
比奈「男のプロデューサーが女のアイドルにマッサージってそれなんて」
モバP「変なもんじゃありませんよ。通信教育で習った本場のテクニックをご堪能あれ」
比奈「それって本場と言えるんスかね……?」
モバP「ちなみに、雪美さんには既に施術済です」ポン
ピクンッ
雪美「あっ……! ふぅ……」
比奈「……小学生相手にいろいろと何してるんスか」
雪美「これ……とても……よく……きく……。……おすすめ……」クタッ
モバP「どうです~? やりませんか~? ぐひひひひ」
比奈「怪しすぎるっスよ! ここは私が止めなきゃいけないんスよね!?」
亜季「P殿のマッサージでありますか! 是非とも受けてみたいものですな!」
比奈「」
――
比奈「あ……肩が軽くなった……」 ワタシモデアリマス!
326
モバP「むむむむむ……」
雪美「……P……何してる……の?」
モバP「ああ、スマホに液晶保護フィルムを、ズレたり気泡ができたりしないように貼ろうとしているところだ」
モバP「――よし、できた」
雪美「……P……結構……器用……?」
モバP「几帳面なだけで不器用な方さ。まあこんなもんだろう」ポチポチ
雪美「……見えない」
モバP「覗き見防止タイプのだからな。昔集めていたレンチキュラーのシールやカードみたいだ」
雪美「じゃあ……こうする……」
ムニッ
モバP「頬っぺた同士をくっつけるのってかなりの恋人ムーブじゃないですかね」
雪美「……こ、恋人じゃ……ねーし……」テレッ
凛「恋人というか……正妻ムーブ?」
327
モバP「雪美さんは座っている時は何かイス状の物に腰掛けていることが多い」
モバP「では畳や芝生といった段差のない所ではどうだろう」
雪美「……」チョコン
モバP「体育座りです」
モバP「しかもスカート……ふおおおお」
雪美「……?」キラキラ
モバP「今日はあなた、長いのじゃなくてミニ気味のフリルワンピースなのよ?」
雪美「……ふぅ……これ……涼しい……」
モバP「それで体育座りって、何とは言わないが見えちゃうでしょ? 脛で絶妙に隠せてはいるものの」
雪美「……」ジト
モバP「でも見えそうで見えない――これが良い。この角度が一番魅力的だ」
モバP「顔はもう少し物憂げに、視線は逸らして……うん、完璧ね!」
雪美「……P……欲求を……隠さなく……なってる……?」
モバP「夏の雪美さんの肌色に堪え兼ねてポンコツ化してるなと我ながら」
328
雪美「P……それは……時計……?」
モバP「これは懐中時計だな。成人祝いに祖父から貰ったアンティークだ」
雪美「……おおー」キラキラ
モバP「小さい頃に見せてもらってからずっと欲しいと思っていた物だから、それはもう嬉しかった」
雪美「……すてき……」
モバP「元々鎖がないから吊るすことはできないが、俺のとても大切な宝物だな」
雪美「……それなら、いつか……Pに……鎖を……プレゼント……したい……」
モバP「他の誰でもない雪美に、鎖を補ってもらえるならこれ以上の幸せはないな」
モバP「だが、鎖を買う為に黙ってその長い髪を切って売ってしまったりはしないでくれよ?」
モバP「俺は俺で雪美に、とびきり良い櫛をプレゼントしたいと思っているからな」
雪美「でも……そんな行き違いも……きっと……しあわせ……かも……」
雪美「”賢者の贈り物”……知ってる……」
モバP「良い話だよな、あれは」
モバP「それはそうと、以前は懐中時計って海中でも使える防水時計だと勘違いしていたなあ」 チガウノ?
329
モバP「おやおや、こんな所にカラフルな海苔巻きかな?」
メアリー「ダーリン、それはカリフォルニアロール、ヨ。アタシが作ったのだから間違わないでほしいワ」
モバP「何と……すまんなあ。おっちゃん流行り物には疎くて。パッと見た感じだと色的にソイシートかと思ったよ」
雪美「……ソイシートも……はやりもの……だぞ……」 ソウカ?
モバP「で、これメアリーが作ったのか? へぇ、本格的だなあ……いや、本格的カリフォルニアロールは見たことないが、雰囲気がね」
メアリー「レディーなら母国の料理も作れて当然ダワ♪ さ、食べて?」
モバP「はむ……んん……おお! アメリカ料理にしてはなかなかエスニックだな。美味い!」
メアリー「本当? 嬉しいワ、ダーリン。ウフフ」
モバP「じゃあ俺はメアリーにジャパニーズ海苔巻きを御馳走しよう。ポークたまごおにぎりだ!」ジャン
メアリー「何コレ! おっきなスパムと玉子焼きが……ワイルドダワ!」
雪美「それ……日本というか……沖縄……」 マアヒトクチドウゾ
――
雪美・メアリー「おいしかった」ニパッ
330
モバP「……ちょっくら休憩するか」
ボスン
モバP「事務所のソファーの座り心地はいつでも快適だな」
ガチャ
雪美「……」
モバP「?」
テクテク
雪美「……」
ポスッ
雪美「……ちょっと……休憩しに……来た……」
モバP「奇遇。俺と同じだな」
雪美「Pも……? …………同じで……良かった……」ポテッ
モバP「膝の上じゃなく隣に座って寄りかかってくるのはいつもと違うな」
雪美「……今日は……ひかえめ……。……でも……これも……いい……」
おまけ7
ちひろ「プロデューサーさん、私は事務員じゃなくてアシスタントですからね」
モバP「失礼致しました。訂正してお詫びを申し上げます」
ちひろ「まあやっていることはアシスタントの域を超えているとは思いますけどね」
モバP「……」
ちひろ「……」
モバP「……私のアシさん、かぁ」
ちひろ「アシさんはやめて」
おまけ8
モバP「ニッポンの夏はいつからこんなってくらい暑いなぁ。雪美は大丈夫か?」
雪美「……」
雪美「……私は……兵器……」オメメグルグル
モバP(……アカン)
331
モバP「ひと夏の思い出”かき氷”」
モバP「ぬおおおお」ガリガリガリガリ
雪美「がんばれ……がんばれ……」クルクル
モバP「おおおおお」ガリガリガリガリ
雪美「もう少し……」クルクル
モバP「お、お、お」ガリガリガリ
雪美「ん……きれいに……お皿に……山になった……」
モバP「よし! ではかき氷シロップをかけて食べよう!」
雪美「イチゴ……メロン……ブルーハワイ……どれが……いい……?」
モバP「一説によると基本どれも同じ味らしいが、イチゴにするか! 練乳もかけて……っとこんなもんか」
モバP「では……はい、あーん」
パクッ
雪美「……ん……甘い……。……二口目は……Pに……あーん?」 アーン
凪「事務所に不自然な手回しかき氷機、Pの私物でしたか。草生えますね」シャリシャリ
332
モバP「……」スヤスヤ
ガチャ
雪美「……P……? ……あっ……お休み中……?」
モバP「……ゆきみぃ……いいぞぉ……」ムニャムニャ
雪美「……ふふ……やっぱり……私がいないと……ダメ……ね」ゴソゴソ ダキッ
雪美「……」
雪美「……しまった……ねむくない……」
雪美「…………!」ピコーン
カシャ カシャカシャッ カシャッ
雪美「……送信」
――
モバP「何か最近自分の寝顔写真が出回っているらしいですが心当たりとかないですか?」
ちひろ「いえ、全然?(雪美ちゃん、私にまで送ってくるんですよねえ……ふふっ)」
333
モバP「ひと夏の思い出”スイカ割り”」
凪「suicaを割り勘するのですか? 天才のピー氏はやはり考えることが一味違いますね」
モバP「そうじゃなくてほら、雪美を見てみろ」
雪美「……」 ←目隠し・水着・棒装備
モバP「そのままではまっすぐこちらに来れてしまうので、十回くらい体をスピンさせようか!」
雪美「……分かった……」クルクルクル
モバP「そしてスイカがこちらになります」ドスッ
凪「ばっちぇ冷えてますね。冷えてないスイカは生まれてこの方食べたことがありません」
颯「準備おっけーだよ! なー、Pちゃん!」
モバP「よし、では青春のスイカ割り開始だ!」
雪美「……」ヨロヨロ
颯「あっ、雪美ちゃん雪美ちゃんそっちは海だよ」
雪美「……わかった……」クルッ
雪美「……P……どこ……?」
モバP「俺はこっちだぞー! 雪美ー!」
雪美「……? ……!」
雪美「……」フラフラ
凪「わーお、あっという間に近づいてきました。Pのラブコールは効果抜群ですね」
モバP「よし、そこでストップ――って、こらストップストップ! こっちじゃない!」
雪美「……P……ここに……いた……」ダキッ
――
凪「結局巻きで次のPが割ってくれまして、凪たちは冷たい内のスイカにありつけたのでした、まる」シャクシャク
颯「はーたちもスイカ割りやってみたかったなー。でも、スイカおいしいね♪ なー?」シャクシャク
モバP「君たちも水着差分ができたらやらせてあげよう」シャクシャク
雪美「差分……?」シャクシャク
凪「なるほど。つまり、はーちゃんの悩殺水着姿はよ、と催促しているのですね? 凪も見たいですが」
颯「もう、そんなこと言ってー! 可愛い水着は着たいけど、って早くしないとシーズン終わるよね?」
334
友紀「ふんふーん♪」
モバP「あっ、キャッツが勝ったんやな」
友紀「理解が早いねプロデューサー。そうだよ! 良い所で岡本がホームラン打ってさ!」
モバP「良い勝ち方したり連勝中は楽しいよな。夜のスポーツニュース梯子なんてしてな」
友紀「そうそう♪ それにビールが美味しい!」
友紀「ところでプロデューサーはどこの球団のファンなのか、そろそろ教えてよー?」
モバP「俺も一応キャッツだがさ、最近は何だか負けが怖くなってしまって試合結果を見るのも恐る恐るでな」
友紀「そこはもうちょっと頑張ろうよ」
モバP「友紀でもたまには贔屓無しの試合を落ち着いて楽しみたい時はないか? 今なら高校野球とか」
友紀「キャッツの試合がない日や時間はそれもそれで良いよね。純粋に野球を楽しむっていうか」
モバP「それが行き過ぎて、いつの間にかシーズンよりもドラフト会議の方が楽しみになっていたりするんだ」
友紀「おいおい。まあ、それはそれで一大イベントだよね。アイドルの総選挙みたいなものでさ」
雪美「……P……また……サクセスモードで……私を……作ってる……」
335
モバP「最近仕事が捗らないな。こう、天啓が降りてこないと言いますか」
ちひろ「それは一体何日ぶり何度目のことですかね」
雪美「……P……スランプ……?」
モバP「アイデアが断片化しているんだ。これが上手くまとまれば一気に勢いに乗れるんだが」
ちひろ「そういう時はじたばたしてみるしかないでしょう。仕事して、仕事して、仕事しまくる」
モバP「でもやっぱり出来なかったら?」
ちひろ「仕事するのをやめる。散歩をしたり、景色をみたり、昼寝をしたり、何もしない」
モバP「……」ポカーン
ちひろ「何ですか?」
モバP「ちひろさんが何もしなくて良いなんて言ってくれるとは……惚れそうです」
ちひろ「何もしなくて良い(何もしなくて良いとは言ってない)」
モバP「うーんこの」
ちひろ「こほん……そのうち急に仕事がしたくな~る、したくな~る……ダメ?」
モバP「なるかしら」
ちひろ「ならなきゃクビですからね」
モバP「現実を見せられた」
ちひろ「まあ普段から気分転換にテレビを見てたり漫画を読んだり寝転がってみたり電話をかけたりギターを弾いたりぶら下がってみたりくらいはしてるでしょうし」
ちひろ「悪いなりにでもノルマはしっかりこなしましょうね」
モバP「雪美さん助けて」
雪美「……救い料346億万円……ローンも可……」
モバP「救いのヒーローか、それとも八百屋の冗談かな?」
モバP「それはそうとちひろさん、お休み中に夏は満喫できましたか?」
ちひろ「おかげさまで」
雪美「……私も……夏……楽しい……」ベッタリ
モバP「猛暑続きでなかなかきついですが、お盆も過ぎたことですし頑張りませんとね」ナデナデ
ちひろ「事務所でも目の保養地が欲しいんですけどね」
336
ちひろ「プロデューサーさんはFGOで好きな女の子キャラは誰ですか?」
モバP「まず酒呑ちゃんですね。それからふーやー、エレナ、ジャック、アビゲイル、ニトクリスとかですか」
ちひろ「露出度の高い小さい子だらけですね」
モバP「ニトクリスは小さくないです。アビゲイルは……まあ水着がね……」
モバP「ソシャゲの女の子の痴女衣装率が高いのはこれはもう仕方のないことです」
ちひろ「それにしても何故真っ先に酒呑童子」
モバP「京言葉が妖艶で良いんですよね。雪美さんにも旦那はんと呼ばれてみたいです」
雪美「……旦那はん?」
モバP「」
雪美「……どう……?」
モバP「……よろしおすなぁ。何か雪美が酒呑童子のように見えてきたよ。格好まで」
雪美「……///」ペシ イテッ
ちひろ「自分の目を騙し始めましたよこの人」
337
モバP「ひと夏の思い出”お祭りと花火大会”」
こずえ「おまつり……すきー……」
雪美「……花火も……好き……」
モバP「白浴衣と黒浴衣のコンビネーションが抜群だなあ」
こずえ「……えへへー」キラキラ
雪美「……でも……短いのが……少し……恥ずかしい……」キラキラ
モバP「まあ、たまにはこういうのもな? 俺も甚平で膝下出ているし」
雪美「Pの……じんべい……癖になる……」スリスリ
モバP「いやん、すりすりはやめて」
こずえ「ぷろでゅーさー……はやくいこーよー」
モバP「そうだな。屋台巡りと洒落込むか。人が多いから、しっかり手は繋いでような」
こずえ・雪美「はーい」
――
モバP「お面どうでしょう」
雪美「……こーん」
こずえ「こんこん」
モバP「ふーむ、浴衣にキツネの面は何か幽玄の雰囲気を作り出すな」
雪美「Pは……悪いキツネに……化かされる……こんこん」
こずえ「こずえたちがー……きつねだよー……」
――
モバP「射的どうでしょう」
パーン
雪美「わっ……! びっくりした……、反動……強い……」
バキューン
こずえ「あれー? 当たったよぉー?」
店主「やるねぇキツネのお嬢ちゃんたち。はい、これは戦利品だ」
こずえ「おおー……おんなのこのぬいぐるみー……ぷろでゅーさーに……あげるー」
モバP「ありがとう。ほう、こいつぁ良い浦風だ。また来るぜオヤジ」
――
モバP「ヨーヨー釣りどうでしょう」
こずえ「……むむむむー」
雪美「……あっ……釣れた……P……釣れた釣れた……ほら……」
モバP「雪美さんってば無邪気だなあ。……ん、中に何か入ってるな」
店主「玩具が入ってるんですよ。チョコエッグみたいに二度美味しいでしょ」
雪美「透かしたら……猫の顔……みたい……」
――
モバP「景品くじどうでしょう」
モバP「昔一等を当てたことがある強運の右手が唸るぜ……これだ!」
バッ
店主「はい。末等は光るスポンジスティックだね。お連れさんに一本おまけしよう」
雪美「……おお……きれい」キラキラ
こずえ「わあ……おにいさんありがとー……」キラキラ
モバP「こんなはずでは」
――
モバP「いやあ、時間を忘れて回ったな」
雪美「りんご飴……Pも……なめる……?」
こずえ「ちょこばななもー……おいしいよー?」
モバP「この焼きトウモロコシもな、焦がし醤油が食欲をそそる――って、こうしている場合じゃない急ぐぞ雪こず!」
モバP「もうすぐ花火の時間だ、見やすい場所に行こう」
――
モバP「……着いた」
加蓮「やっほー、場所取りばっちりだよ」モグモグ
奈緒「加蓮はトルネードポテト好きだなあ」
モバP「そっちも撮影が終わったか。お疲れさん」
凛「やっと来たね、プロデューサー。花火終わったら今度は私たちとも付き合ってよ?」
モバP「分かっているとも。約束していたからな」
雪美「……凛……Pのじんべい……いいにおい……する……」
凛「えっ? ……ふーん……あ、本当だ……まあ、悪くないかな……」
――
ヒュー ドーン パラパラパラ
ヒュルルルルルル ドーン パラパラパラ
雪美「……」
こずえ「……」
モバP「二人とも熱心に眺めているな……しかしきれいだ」
凛「えっ? 私のことかな?」
奈緒「花火のことだよ」
モバP「俺の地元でも以前は毎年打ち上げ花火をやっていたんだが、ある時火事が起きてから無くなった」
加蓮「そういうこともあるよね」
加蓮「……私は一度だけ、入院中に部屋割りが良くて窓から花火が見えるタイミングがあったな~」
モバP「花火は、その場の言葉が無くても、誰か一緒に見てくれる人が欲しいな」
加蓮「うん。病室に私一人、花火を独占できても寂しかった。こうしてみんなと見る方が好き」
ヒュー ドーン パラパラパラ
モバP「良い条件がいくつも重なって、最高の花火は見られるんだな」
加蓮「パッと光って咲いたー、はーなびを見ーていたー♪」
奈緒「くくく……セルフBGMかよ」
モバP「でも、直に夏は終わっていくんだなあ」
凛「今過ごしているこの夏は、一生に一度しか来ないからね。今日ここに、私たちの足跡は残せたかな?」
モバP「少なくとも俺の記憶には残ったさ。……はしまき食べる?」スイッ
凛「もう、デリカシーに欠けるなあ。……ふふふっ」
凛「っていうか色んな物持ち過ぎだってプロデューサー。ヨーヨーにトウモロコシに浦風に光る棒に、はしまき?」 ホカニモアルゾ? エェ…
雪美「P……一番……はしゃいでたね……?」
こずえ「はしゃいでたねー……えへー……よかったねー……。ふわぁ……」
モバP「アイドルを差し置いて同行のプロデューサーが一番楽しんでるってどうなのよ(自問自答)」
凛「まあ、良いんじゃないかな? プロデューサーだし」 アハハハ
雪美「……P」
モバP「ん?」
雪美「……楽しかった……。また……来ようね……? 来年も……その先も……」
モバP「そう言って雪美は照れ隠しにお面を被るのでした。かーっ! 惚れるねい」 Pサンウルサイ!
338
雪美「……P……何を……背負っている……の?」
モバP「これは多腕ロボットアームだ」ウィーン
モバP「最近は薫やこずえや仁奈や小春が一度に来ることが多いから、それぞれに遊んであげられるように、な」
モバP「晶葉が発明したこの通称”千手観音”は俺の思考を読み取り、それぞれ独立して動かせる」
雪美「……」ホー
モバP「まるで自分に新しい腕が生えたような感覚だ」クネクネ
雪美「動き……なめらか……。……さわっても……いい……?」
モバP「良いぞー?」
雪美「……やわらかい……ふふふ……」ムニムニ
モバP「逆にこっちからも雪美を撫でてあげよう」ナデナデ サスサス
雪美「……んっ……Pの手……いっぱい……」
ちひろ「でもそれ、昆虫みたいでちょっと気持ち悪いです」
モバP「」ガーン!
339
カンカン カンカン カンカン
ガタンゴトン ガタンゴトン
モバP(駅前の踏切は開かずの、とまでは言わないが結構待たされることがある)
モバP(上りが行って下りが来てまた上りを待つとか、遮断機が上がったと思ったら数秒してまたカンカン鳴り出すとか)
カンカン カンカン カンカン
モバP(踏切は冷静に考えると結構怖い。単調な音が不気味だし、赤色灯の点滅も電車が近づくと急に動き出すから心臓に悪い)
モバP(ただ、本数が少ない時間や路線でその鳴り出しを待つのが、子どもの頃のちょっとした楽しみだったりした)
カンカン カンカン カンカン
ガタンゴトン ガタンゴトン
カンカン カンカン グゥーン
モバP(お、開いたな。行くとするか……ん?)ザワッ
雪美「……あっ……P……!」フリフリ
モバP(今の楽しみは、こうしてふとした場所で、雪美と出会うことかもしれない)
340
モバP「……サンドイッチって良いよな」
雪美「……うん」
モバP「どこぞの伯爵がトランプゲームをしながら気軽に食べられるものを、ということで考案されたと聞くが」
モバP「具のバリエーションが豊かで、玉子、キュウリ、ハム、チーズといろんな物が合う」
雪美「おにぎり以上……かも……」
モバP「お米と違って甘い物も幅広く合うからな。雪美の作るフルーツサンドは絶品だ」
雪美「……また……作る……」
モバP「是非お願いします。週三くらいのペースで食べたい」
ちひろ「無茶言うな」
モバP「何せどこの名店のレシピかと思うほど美味しくて、自分じゃ再現できないんだ」
雪美「……調理実習の……プリントを見て……作っただけ……」
モバP「最近の調理実習はレベルが高いんだなあ……」
モバP「サンドイッチ……欠点らしい欠点があるとすれば、食パンの耳が除かれるところか」
雪美「……そういえば……端っこの……耳は……切る……」
モバP「雪美はパンの耳は苦手な方? そういう子は割といるが」
雪美「……普通。……分かれていたら……気にならない……」
モバP「嫌いじゃないが食べる時にちょっと違和感というか気になるというか、は誰しもありそうだな」
モバP「パン耳のラスクなんかは安くて重宝するし、意外と分かれていた方が存在感があったりして」
雪美「ラスク……あまり……食べたこと……ない……。…………あっ……!」ピコーン
雪美「……私が……白い部分で……フルーツサンドを、作る……」
雪美「……Pが……耳の部分で……ラスクを、作る……」
雪美「……食パンを……余すことなく、使えて……役割分担……できる……」
モバP「ナイスアイデアだな。今度やってみるとするか!」
ちひろ「サンドイッチの話題で盛り上がっていますけど」
ちひろ「そうして雪美ちゃんにサンドイッチされていることについてはツッコミ待ちですか?」
雪美・モバP・雪美「?」
341
モバP「盆に実家の物置を漁っていたら面白い物が見つかりましてね」
ちひろ「ほう」
モバP「携帯ゲーム機です。それもキーホルダーサイズ」
ちひろ「うわ小っちゃ!」
菜々「あっ、懐かしいですね! テトリスとかスネークゲームとかレースゲームとかブロック崩しが入っていて……」
モバP「いろいろな亜種があるようですが、これが流行ったのは22、3年は前のようですね」
菜々「クラスの子が持ってて羨ましくて……あ、菜々は17歳なのでこれは前世の記憶です」
モバP「そうはならんやろ」
ポピーピピー♪ ポピーピピー♪
雪美「……あ……動いた……」
モバP「ボタン電池は新しいのに変えたが、まだ動くことに驚きだ」
菜々・雪美「おおー……」ピッピッピ
ちひろ「菜々さん少なくとも三十代までは行ってないはずなんだけどなあ……」
342
モバP「巨大な346プロには使われていない未知の部屋がいくつかある」
モバP「中には開けてはいけない危険な扉も――」
雪美「……」
ちひろ「それで、プロデューサーさんは一体何をしているんですか」
モバP「何故か座敷牢のある部屋があったんでちょっと自主的に囚われてみました」
ちひろ「自分からお縄につくとは殊勝な心掛けですね」
モバP「僕何もしていませんが」
雪美「……P……悪いこと……したの……? 怒らないから……言ってみて……」
モバP「本当に何もしていない。ちなみにそう言う人は実際に白状したら怒るんだよなあ」
モバP「痛かったら手を挙げてくださいね、と言われたから手を挙げたのに治療をストップしない歯医者に類するものがある」
ちひろ「何をごちゃごちゃと。で、じゃあ謹慎のつもりか、でなければ誰かから隠れてでもいるんですか?」
モバP「いえ。ただ軟禁される気分はどんなものかと思いまして」
モバP「ほら、よくヤンデレが好きな人にする愛情表現の定番です」
ちひろ「そんな愛情表現は真っ平御免です」
ちひろ「でも監禁とか軟禁とか……いつか本当にそういう目に遭いそうですよね」
モバP「冗談きついっす」
雪美「……好きでも……人を……閉じ込めて……自由を奪うの……ダメ……」キィ パタン
モバP「お、雪美も入ってくるのか」
雪美「……P……一人じゃ……心細い……でしょ……?」
雪美「……! ……ここ……意外にも……おちつく……」
モバP「不思議と居心地は悪くないよな」
ちひろ「好奇心でこういう曰く有り気な所に頭を突っ込まない方が良いと思いますよー。呪われたりしそうです」
モバP「ではどうしてそういう部屋があるんでしょうかね?」
モバP「部屋に限らず、女子寮にも夜に外を出歩くと魔女に連れて行かれたりする、なんて話がありますし」
雪美「……魔女……いるの……?」ブルブル
ちひろ「一体346プロを何だと思っているんですかねえ」
343
愛海「お山の大きさに貴賎は無いって言うでしょ?」
モバP「ああ」
愛海「でもあたし、男と女では正直に言って別物だと思うんだ」
モバP「何が言いたいのかね?」
愛海「プロデューサーのパイスラは、あまり嬉しくないよ……」
モバP「……?」
モバP「ああ、このネックストラップな。長いからこう、ショルダーバッグのように斜めがけしてみたりして」クイッ
愛海「あー……でも……もうプロデューサーでもいっか!」ワキワキ
モバP「ちょっと待て。俺でも良いかとは何やねん」
愛海「うひひひ……そんな風に見せつけて誘惑するのが悪いんだ」ガバッ
モバP「ひいっ!?」
雪美「待って……。私が……何でもするから……Pには……手を、出さないで……」
モバP・愛海「ん? 今何でもするって」
ちひろ「何でプロデューサーさんまで一緒になって言ってるんですかねえ」
344
モバP「雪美たちが手伝ってくれたおかげで今日の夕食のおかずは鶏の唐揚げだ」
モバP「いやあ、ボリュームあるねえ。それも揚げたて! ご飯がさぞ美味かろう」
凪「唐揚げにレモンかけておきました! しても良いですか?」
モバP「待て待てストップ。それ嫌がる人もいるからな? 事後報告でなくて事前に聞くその姿勢は良し」
あきら「じゃあ、抹茶塩かけても良い?」
モバP「既に味が付いているから。そもそも抹茶塩をかけるのは鶏の天ぷらだ」
モバP「やるなら十把一唐揚げにしないで、自分の取り皿に取ってから。ね?」
凪「おけまるー」
あきら「おけまるー」
雪美「…………え、私も……?」
雪美「……おけまるー」
あきら「♯今日の雪美サン いただきデス」
凪「P、ニヤついていますね。わかりみです、凪もニヨニヨです」
モバP「お前ら仲良さそうで良いが、唐突におけまるーはズルいわ」
345
モバP「雪美……そ、それは……!?」
雪美「……某小学校の……制服」キラキラ
モバP「ブラウス、吊りスカートに、制服小学生特有の帽子……これは思いがけぬ僥倖」
雪美「……P……似合う……?」ドキドキ
モバP「いいところの子って感じが引き立つねえ。うん、とても似合っているぞ」
雪美「ありがとう……」テレッ
雪美「でも……Pは……いいところの子……じゃなかった……の?」
ちひろ「プロデューサーさんのご実家、割とお金持ち説がありますからね」
モバP「まさか。でも、制服のある小学生って都会でないと見かけないイメージがあります」
モバP「自分はとある地方の町出身ですが、当時は私服登校でしたし他学区でも私服の子しか見かけませんでした」
雪美「幼稚園と……中学生からは……制服なのに……、小学校だけ……私服……なんでだろう……?」
モバP「んー、何でかな? 個人的には雪美の私服がたくさん見れるから、それはそれで嬉しいが」
ちひろ「逆に私とプロデューサーさんはお互いに私服をあまり見ないですよねえ」 デスネ
346
モバP「346プロの七不思議って知ってるかい?」
雪美「……?」
モバP「いや、俺も知らないんだがねー」
紗枝「フレデリカはんみたいなこと言わはりますなぁ」
モバP「噂じゃそういうものがあるらしい。そもそもここは不思議が多すぎて七つじゃ収まらないか」
紗枝「でも、大抵はプロデューサーはんのことですやろ?」
雪美「……」コクコク
モバP「いや、俺はただのプロデューサーだ。不思議なことなんてそう起こせはしない」
モバP「君たち一人一人が凄いんだよ。俺に想像を超えた不思議を見せてくれるのはいつも君たちだ」
紗枝「まあお上手。けどうちかて、ただのプロデューサーはんの力ではここまで大きくなれまへんでしたえ?」
雪美「……!」コクコクコクッ
モバP「俺ってもしかして凄いのかな……とりあえず、雪美を撫でようか」ナデナデ
紗枝「さっきからほんまかいらしいわぁ」ナデナデ
雪美「……」ムフー ←気持ち良さそう
347
モバP「本日の馴染み過ぎた関係」
モバP「人の家のベッドでうつ伏せ姿勢で漫画を読む雪美さん」
雪美「……♪」パタパタ
モバP「しかもスカートで、足を曲げたり伸ばしたりしている」
モバP「自室のようにリラックスし過ぎではないか? もはや自室なのか?」
雪美「……」パタン
モバP「お、読み終わったらしい」
雪美「……んん……」ノビー
雪美「……」
雪美「……」ゴロンゴロン
バフッ
雪美「……」ムフー ←枕ふかふか
モバP「もしや自分の前世は徳を積みまくった聖人なのだろうか? 感謝しかないな」
348
モバP「今年のサマーも終わりか。早いなあ」
雪美「……」コク
ちひろ「まだまだ暑いですけどね」
モバP「でも盆過ぎから結構冷え込んだり冷え込まなかったりで、涼しくなっていますよ」
モバP「おかげで寝不足が解消されつつあります」
ちひろ「プロデューサーさんは暑いと寝られないタイプですか」
モバP「寝入ることは出来るんですが、眠りが浅くなって二、三時間で起きてしまいノンレム不足です」
ちひろ「夢を見ている浅い眠りの状態がレム睡眠、頭が完全に休まる深い眠りの状態がノンレム睡眠でしたっけ」
雪美「P……寝不足……だったの……?」
モバP「まあいろいろ工夫したり謎のドリンクを飲んだりしたから問題は無かった」
ちひろ「謎のドリンクっておい」
モバP「でも自然にぐっすり眠れるのは良いもんです」
ちひろ「まだしばらくは油断すると暑さの揺り戻しが来そうですけどね。季節の移ろいはそんなものかと」
モバP「とりあえず今は暑い夏を乗りきった充実感で漲っています。ウェルカム秋の夜長」
雪美「P……夏は……楽しかった……?」
モバP「ああ。意外でもなく忙しかったが、雪美たちと充実した日々を送れたと思うよ」
モバP「きついこともあったが、良い夏だった」
雪美「……良かった……。……私も……楽しかった……」
モバP・雪美「……へへへ」
ちひろ「お二人は本当、和気藹々ですねえ」
雪美「P……今日は……どこに……連れて行って……くれるの……?」
モバP「夜、少し街はずれにでも行ってみようか」
モバP「先日通ったら、鈴虫が鳴いていてな。秋の訪れを感じに行こう」
雪美「……楽しみ」
ちひろ「静かな中であたり一面の鈴虫の鳴き声……良いですね」
モバP「今こうしている間も何だかあの鈴虫の声が聞こえてくるようでして」
ちひろ「それは耳鳴りとかじゃないですよね?」
349
モバP「屋外の流れるプールで見かけるフロートは目を惹くな」テクテク
雪美「……」プカプカ
モバP「流れる雪美さん、つい追いかけたくなる……しかしそれに乗れるって良いなあ」
雪美「……Pも……乗る……?」
モバP「いや、普通の浮き輪やバナナボートとかならともかく、この歳で黒猫のフロートに乗るのはね?」
雪美「……これ……好き……」ダキッ
モバP「自分の歳が一桁くらいだったらそのお誘いは受けていただろう」
モバP「それに、撮影後で貸し切りとは言ってもアイドルの中に男の俺が一人飛び入りして一緒に遊ぶわけにはいかんのだ」
雪美「そんなこと言って……P……アロハシャツ……サングラス……」
モバP「気分だけでもみんなと一緒にな――」
法子「油断大敵! クールスプラーッシュ!」ピューッ
あやめ「わたくしも! 水遁・水鉄砲の術!」バシャー
雪美「あっ……」
モバP「……まあこういうことも想定してだな」ビショビショ
モバP「それにしてもお前ら、水のある所でこれほどの水遁を……」
輝子「ヒャッハー! P、捕まえたぁーッ! 新鮮なマッシュルームをゲットだぜー!!」ガバッ
小梅「ナイス、輝子ちゃん……そのまま、こちらの世界に……引きずり込んじゃえ」
モバP「っとっとっと、不意を突かれたと言っても輝子、お前だけで俺を動かせるかな?」
拓海「よぉP、遊ぼうぜ? 年少組が元気でアタシらだけじゃ手が足りなくてさ」
雫「こっちもですよー。Pさんも一緒に楽しみましょー!」
茜「……!」ウズウズ
モバP「あ、これ力負けいや圧力負けしそう」
――
モバP「そして俺は気づいたらプールの中にいた」
モバP「自分だけは安全圏からちひろさんに水鉄砲当てながら過ごしたかったのに……」
ちひろ「残念ですけど私ももう水着になっちゃってるんですよねー」キラキラ
モバP「あっちひろさん。……いやあ、しゃがんだちひろさんに見下ろされるとは壮観。水着、お似合いで」
ちひろ「ありがとうございます。でも私は水鉄砲の的じゃありませんからね」
モバP「ちひろさんシューティングまたやりましょうよ? すっごい避けるし透けるし濡れるし最高です」
ちひろ「そんなに私を撃ってぐしょ濡れにして遊ぶのが愉快でしたか……ほーん」
モバP「いつもの服であんなことを許してくれるちひろさんは、本当サービス精神に溢れていますよ」
ちひろ「はぁ……だったら、普段からもっとそのサービスに報いてくださいね?」ニコ
幸子「ちひろさんは笑顔が反則ですね。ボクも一目置くカワイさですよ」 ダナ
志希「アイドルじゃないのが勿体無いくらいだねー♪」 マッタクダ
愛海「お山登りたい」 ソレハチョットナ
ちひろ「おーおー好き勝手言いなさる。たまには私からやり返しても良いですかね?」
早苗「ちひろさん、見ーつけた!」ピューッ
ちひろ「冷たっ! ちょっと早苗さん!」 ワーニゲロー
モバP「こっちにも良い武器がございますぜ(スプラスコープ)」
ちひろ「いつの間にこんな物を配って……もはややりたい放題ですね」
モバP「ここらで一つ、プロデューサーとアシスタントの怖さをみんなに再教育してやるとしませんか?」
ちひろ「手を組む訳ですか。……良いでしょう、こうなりゃヤケです」
楓「おや、我々とやり合うおつもりで?」
ちひろ「こちらも伊達にスーパー裏方やってませんからね」
ザバッ
モバP「助っ人も呼んでおきましたよ」
雪美×7「……私たちは……Pと……ちひろさんの……味方……」
拓海「面白くなってきやがった」スチャッ
亜季「こういうサバゲーもたまりませんな!」チャキッ
ちひろ「覚悟は良いですか? 全主砲斉射、てーっ!」
――
――
雪美「……大丈夫……?」
モバP「ああ。しかし負けたぜ……数の暴力には勝てねえ」プカプカ
ちひろ「良い慰労にはなりましたけどね」プカプカ
雪美「……二人とも……いい笑顔……」クス
350
モバP「夏はアイドルたちの水着姿をたくさん見ることができたなあ」
みく「Pチャンはそういうとこ、隠さないにゃあ」
モバP「自慢のアイドルの晴れ姿に胸が躍らない訳がない」
モバP「プロデューサーであると同時に、俺が一番のファンでもあるつもりだしな」
みく「何言ってんだか。でもPチャンに見られてもイヤな感じはしないのは確かだにゃ」
雪美「……不思議」
みく「……Pチャンってたまに出す男の子臭さを除くと中性的だよね。実は女の子じゃないよね?」
モバP「男だからな? でも何かそう言われると自分は本当に男なのか自信が無くなってくるな」
雪美「……P……まかせて……、私が……自信を……取り戻させる……」
モバP「雪美……あっ、ちょ……ダメだって……そこは……」
――
モバP「……ふぅ。やっぱり俺は男だった(健全)」
みく「さすがのみくも自分を曲げそうになるよ?」
351
モバP「ふと思ったんだが」
杏「そうだ、今日はいい天気だし仕事は休みにしよう!(声真似)」
モバP「どれだけ気ままな自営業だよ。ちゃうちゃう」
杏「プロデューサーがそういう振り方する時はどうせロクなことじゃない」
モバP「そうか? では敢えて口を閉じておこうか。この出かかった賢者のアイデアを」
杏「まあ、一応聞いといてあげるよ」
モバP「牛乳にきな粉混ぜたら実質豆乳じゃね?」
杏「違います(即答)」
モバP「……はぁ……いや本題はね? 最近の小中高生ってさあ、宿題をきちんとやるんだなって」
杏「誰もギリギリになって宿題終わってないから手伝ってと言って来なくて寂しいの? 良いことじゃん」
モバP「まあな。アイドル同士で勉強会とか開いて協力し合っているようだし……俺は溜め込んで必死にやったりしていたのに」
杏「だってプロデューサーと缶詰で宿題するよりは、終わらせて一緒に遊ぶ時間を増やした方が良いし」
雪美「……だからPも……お仕事……早く片付けよう……?」 ハイ
352
モバP「語尾が伸びる女性ってちょっと良いですよね。特に関西弁の」
モバP「口調から作り出されるどことなく天然そうでおっとりした雰囲気……癒されそうです」
ちひろ「あずまんがの春日歩ちゃんみたいな? ……ただし可愛い女の子に限る」
モバP「悲しいなあ……まあ、例えばチャラ男系が語尾を伸ばした喋り方をしていたら確かにキツいですが」
雪美「……P……こっち向いてー……向けー」
モバP「こずえかな?」
雪美「……語尾を伸ばすって……こういう……こと……? ……難しい……ね」
モバP「違和感があるなら意識して変えてみなくても良いさ」
ちひろ「自分がこの方が喋りやすい、と思ってその口調にしていく訳ですからね」
ちひろ「プロデューサーさんも雪美ちゃん向きと私向きとでは口調を使い分けていますけど、未だに何だかぎこちないですし」
モバP「それはちひろさんが年上ゴホンゴホン、お互い節度ある大人の距離感として、この方が自然かなと判断してですね」
ちひろ「何故そこで咳き込んだよ」
雪美「……二人は……何歳……なんだろう……」
353
雪美「……あっ」
モバP「左右に扉がある」
モバP「……俺の勘がここは右に行った方が良いぞと告げている」
雪美「……左に……行きたい……」
モバP・雪美「……むむむむむ」
モバP「……こういう意見が分かれた時の為にガイドラインを設定しておかねばなるまい」
モバP「よし、コイントスで決めるとするか。表なら俺の意見を、裏なら雪美の意見を採用する」
雪美「……依存なし」
キンッ クルクルクルクル パシッ
モバP「……裏、か。よし、左に行こう」
雪美「……あっ……でも右から……良いにおいが……する……」
モバP「右に行くか」コロッ
ちひろ「コインに託しておいて即翻すとは適当極まりますね」
354
モバP「はぁ……雪美さん……」
雪美「……?」
モバP「今日の格好も格別だね」
モバP「麦わら帽子に三つ編み、オーバーオールが決まっている。見惚れるよ」
雪美「Pが……見とれて……くれる……」キラキラ
モバP「雪美さんが人の心を鷲掴みにするものだから……恋煩いのようだ!」
雪美「……ふふっ……そのまま、私から……目を……離さないで……」
モバP「……こんな姿もあんな姿も、宣材写真にしないと勿体無く思えてくるぜ」
モバP「それにしてもオーバーオールに三つ編みってカントリー感八割増くらいあるよな」
雪美「……そんなに?」
モバP「そんなに。だから、連鎖的にカントリーマアムをそっと隣に置いてみてもあら自然」
雪美「……自然……?」
モバP「自然さ。何せ餡子も入っているしな(謎)」
355
モバP「雪美さんが時々とても大人に見える時がある」
雪美「……?」
モバP「穏やかで品があって、俺が無茶やっても暖かく見守ってくれる感じがですね」
ちひろ「呆れて生暖かい目で見ているのではないですか?」
モバP「そんなことはないだろう?」
雪美「……あまり……無茶は……しないで……ほしい……」
モバP「はーい」
ちひろ「どちらが保護者格か分かりませんね」
モバP「でも、老成しているというか知識豊富で頼りになる感じがしませんか?」
ちひろ「それは分身でフィードバックしているからじゃないですか?」
モバP「ファンタジーですね」
ちひろ「今更」
雪美「P……こっち……おいで……」
モバP「何? 雪美さん」
雪美「おこづかい……あげようね……。みんなには……ないしょ……」
モバP「わぁい」
ちひろ「おばあちゃんかな?」
モバP「ロリータなおばあちゃん、浮世離れで人間離れした万能感が味方にいると心強い」
雪美「……そのかわり……妾を……乗せるのじゃ……」
ちひろ「まさかののじゃロリ?」
モバP「どうぞどうぞ、こんな粗末な席で宜しいのならいくらでも」
雪美「……」ポスン
雪美「……なでなで……してくれない……の……?」
モバP「でもやっぱり雪美は年相応な面も見せてくれるのが好きだね」ナデナデ
雪美「……んっ……もっと……なでて……」トロン
ちひろ「年相応ならこんなことはしてないと思いますけど」
356
パクッ
雪美「……キャラメル……」ウットリ
モバP「雪美と食べるおやつのホーキーポーキーは美味い」
ちひろ「容器の大きな業務用アイスですね。こんなのどこで買って来るんですか」
モバP「ニュージーランドから買い付けています」
ちひろ「……プロデューサーさんって結構計り知れないですね」
モバP「この仕事をさせてもらっているおかげですよ」
モバP「話は変わりますが、秋と言ったら肝試しですよね」
ちひろ「いえ夏です」
モバP「あっそうか夏か」
モバP「……あれー? 何で秋だと思ったんだろう」
ちひろ「しっかりしてくださいよ? まあ春とかでもあるにはありますけど」
モバP「今年はアイドルたちと肝試し大会をやりたかったのにすっかり忘れていました」
ちひろ「肝試し大会とは古風ですね」
モバP「娯楽の制限される部活合宿とかオリエンテーションでの定番の息抜きイベントですよ?」
ちひろ「ですかね? 学校の時は班行動で雑談しながら夜道を歩いただけで終わってつまらなかったです」
モバP「それは仕掛け側の段取りが悪かったんでしょう」
モバP「もしくは、実は大変な目に遭ったりしたのに、そこだけぽっかりと抜け落ちて忘れているだけかもしれない」
ちひろ「小さい頃の記憶って結構曖昧ですからね。しかしそれは無い」
雪美「P……きもだめし……したいの……? ……こわがり……大丈夫……?」
ちひろ「え、そうなんですか?」
モバP「雪美と遊園地を回った時におばけ屋敷で半泣きになってやりましたよ!」
ちひろ「自信満々に言うことじゃない」
モバP「でも、一度は肝試しのような形のドッキリのターゲットにされてみたい気はします」
モバP「”プロデューサーを驚かせたら金一封!”なんてね」
ちひろ「アイドルじゃなくてプロデューサーさんがされる側ですか……」
171
文香「……」パタン
モバP「読み終わったみたいだな」
文香「……はい」
モバP「どうだ? 俺のおススメは面白かっただろう」
文香「大どろぼうホッツェンプロッツ……何故またこの本なのでしょうか?」
モバP「たまには童心に戻って児童文学をじっくり読み直してみるのはいいぞ」
モバP「意外と幼少時には読み取れなかった新しい発見があったりする」
文香「……プロデューサーさんらしいですね」クスッ
――
モバP「話は変わるが、今日の文香はオフショルダーか。いつか着たことがあったな」
文香「はい。……自分で言うのも何ですが、大胆ですね」
モバP「そういう服を着てみるのは、ちょっとしたスリルがあったりするものか?」
文香「……どうでしょうか」
337: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/03/16(土) 19:01:01 ID:diGaG1SM
文香「……しかしプロデューサーさんは、絶妙な露出具合が好きだと、小耳に挟んだものですから」
モバP「俺に見せるのが目的とは……アイドルの君たちも、さりげないアピール好きだよねえ」
モバP「そういう所は俺も好きだが」
文香「……それはプロポーズの言葉として受け取っても?」
モバP「面白いことを言いなさる」
モバP「あ、俺はワンショルダーもオシャレだなと思う。あとは片方だけ肩紐を掛けてみたり」
モバP「オフショルダーならタートルネックくらいのノースリーブと合わせるとこれも変則的で良い」
文香「……ほうほう、その手が……プロデューサーさんのフェティシズムは深いですね」
モバP「何か突然キャラ変わった?」
文香「いえ、全然……」
雪美「……こんにちは……あっ……! P……文香と……逢引?」
モバP「逢引や逢瀬とは違うよ。読書タイムが終わって息抜きの最中だ」
モバP「雪美も読む? マチルダは小さな大天才、という本だが」 ヨンダコトアル ナニッ!?
文香「……読書も良いですが、プロデューサーさんの観察も面白いですね」
338: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/03/16(土) 19:04:02 ID:diGaG1SM
172
モバP「雪美のランドセルは何故赤い~」
モバP「それは緑じゃないからさ~」
ちひろ「何言ってんだこいつは」
雪美「……P……来た……、今日も……よろしく……」
モバP「ほい、ではランドセルを下ろしてもらいまして」
ポスン
雪美「……雪美……着艦」
ちひろ「雪美ちゃんは艦載機だったのか……」
モバP「つまりわたくしは空母ということですわね」
ちひろ「やめろ気色悪い」
雪美「……航空機は……燃料ないと……飛べない……。だから……いっぱい……補給、して……?」
モバP「はいよ。今日も寿命が長く保つように80%の満タンで良いな?」 ウン
ちひろ「バッテリー式なのかよ!」
340: ◆ORDERq/08U 2019/03/23(土) 20:45:23 ID:vg06hLcE
173
モバP「日常とは異なる一風景」
モバP「山奥のバス停の待合所に座っている雪美さん」
雪美「……バスは……二時間に……一本……、そんな……秘境……」
雪美「……団長の……気持ちに……なるですよ……」
ニャー
雪美「あっ……猫……、……ふふっ……一緒に……待つ……?」
地猫・雪美「………………」
ブロロロ
雪美「? ……きた……!」
プシュー ガシャ
雪美「……○○……一緒に……帰ろう……?」
ちひろ「このPV、動画サイトに上げたら再生数が凄いことになっていますね」
341: ◆ORDERq/08U 2019/03/23(土) 20:47:35 ID:vg06hLcE
174
雪美「……プロデューサー、さん……」
モバP「佐城さん、これが今日のスケジュールです」
雪美「……」
モバP「……雪美と敬語で呼び合うのはどうもしっくりこないな」
雪美「……」コク
モバP「フォーマルシーンや単純に仕事の場でタメ口を使っていると咎められても仕方がない」
モバP「だから使い分けるのだが、ついつい素が出てしまったりするな」
雪美「……難しい……」
モバP「でも、親しい年下の子が常に敬語で話してくるのはそれはそれでロマンはある」
モバP「言葉だけ敬語で態度は対等、もしくは少し上から目線なんてなかなか強烈よね」
雪美「……そうですね。はぁ……全くこの人は……、……こんな感じ……?」
モバP「雪美は理解が早いなあ」ナデナデ
ちひろ「ロマンとは」
342: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/03/23(土) 20:50:11 ID:vg06hLcE
175
モバP「年度末、卒業シーズンだなあ」
ちひろ「もう大方はその段階を過ぎて春休みに入っていますけどね」
モバP「この時期になると人の環境は常に新しく変化していく無常なものだと思い知る」
モバP「憂鬱ですよ……本当に」
雪美「……P……何か……あるの……?」
モバP「……実はな、俺……」
雪美「……」
ちひろ「まさか退職するとか異動するとか担当外れるとか言いませんよね?」
雪美「……えっ……」ジワッ
モバP「そんな安いドッキリはしませんって。雪美、悲しい顔をするのやめて心が痛い」
雪美「……いなくなるの……許さない……」ギュッ
ちひろ「罪作りな男ですね」
モバP「ちひろさんが不穏なことを言うからです」
343: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/03/23(土) 20:51:49 ID:vg06hLcE
ちひろ「まあ会社が絶対に辞めさせませんから要らぬ心配ですよね」
モバP「なにそれこわい」
ちひろ「あなたが会社の主柱になってしまっているということです。人柱ですね」
モバP「同僚を人柱呼ばわりする人がいますか」
ちひろ「でも責任感の強いプロデューサーさんは、そういう扱いも悪くないと思っている」
モバP「……///」ポッ
雪美「……P……やめたくても……やめられないの……?」
モバP「みんなと仕事や交流が出来て楽しいから辞めたいと思わない。役得ですもん」
ちひろ「下心満載じゃないですか」
モバP「というかそもそも辞める気なら年度末にいきなり言うのは社会人にあるまじき様ですよ」
モバP「遅くとも一ヶ月前には報告して充分な引き継ぎをしておかないと迷惑がかかります」
ちひろ「そこは真面目なのか」
雪美「……良かった……。Pが楽しいなら……みんなも……うれしい……」
344: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/03/23(土) 20:54:29 ID:vg06hLcE
モバP「……雪美」
雪美「……P……」
ダキッ
モバP「プロデューサー楽しい……ヤバい……へへ……」
ちひろ「利害が一致しているのは結構ですけど、ところで一体何に憂鬱だったんですか?」
モバP「おう、それそれ。実は昔から行きつけだった駄菓子屋さんがあるんですが」
モバP「そこが三月限りで辞めるそうで。おばあちゃん高齢だったし仕方ないのかなあ」
ちひろ「個人的な事過ぎませんかねそれは」
モバP「古いゲーム台とかもたくさん置いてあって今でもたまにアイドルたちと行っていたんですよ?」
雪美「……あそこ……無くなるの……? ……悲しい……」
モバP「冗談でしょうが、おばあちゃんから”お店継ぐならあげるよ?”って言われた時は心が揺らぎました」
ちひろ「……割とプロデューサーさん離脱の危機だったんですね」
モバP「雪美。最後にもう一回、遊びに行くか!」 ウン
345: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/03/23(土) 20:56:55 ID:vg06hLcE
176
モバP「雪美はプロデューサー業には興味ある?」
雪美「…………えっ」ポカーン
ちひろ「相手は何歳だと思っているんですか」
モバP「まだ早いのは承知で、雪美は俺の良き理解者だ」
モバP「俺の仕事をよく(膝上で)サポートしてくれるし、体力があって気が利いて度胸もある」
モバP「勿論、アイドルとして昇り詰めてくれるのが本望だが、もしも同じ道を志したいと思うのなら」
モバP「いつか一緒にプロデューサーをやってみたいものだな。見果てぬ夢だ」
ちひろ「修羅の道に誘うのはやめなさい」
雪美「……先のことは……分からない……けど……今はまだ……アイドルで……いたい……」
雪美「……でも……プロデューサーだったら……Pと…………ん、……何でも……ない……」
モバP「夫婦プロデューサーとかカッコいいよな」
雪美「……はっきり……言うの……ダメ……」コツン
ちひろ「こういうムードの時は正直席を外したいんですけど仕事があるし……」
346: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/03/23(土) 20:58:17 ID:vg06hLcE
177
杏「プロデューサーってさ」
モバP「ん、何だ?」
杏「雪美ちゃんと同衾したことはあるの?」
モバP「……アルヨ」
杏「声を上ずらせるならそこはせめて”ナイヨ”でしょ」
モバP「シンプルに同じ布団を被って休むくらいは、多少はね?」
杏「人畜無害だねえ。そこが良い所でもあるんだろうけどさ」
モバP「同衾(意味深)について聞きたいのであれば、分かりきったことじゃないですか」
モバP「それやっちゃうと犯罪。豚ボックスに入ることになるよ」
杏「モダンな言葉を使っちゃって……そっかぁ、思ったよりもまともだね」
モバP「まとものハードルが地面すれすれレベルに低くないですか?」
杏「そんなプロデューサーに当たって良かったと思うよ」
347: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/03/23(土) 20:59:30 ID:vg06hLcE
雪美「……P……レッスン……終わった……」
モバP「おかえり雪美。ちょっとやる気が欠乏しているんでハグさせてくれないか?」
雪美「……めっ」
杏「冷静に見ると最後の一線は越えていなくてもこういうのは結構アウトだよね」
モバP「ジョークで軽口叩き合っているようなものだと思ってもらえれば」
杏「思えないよ」
モバP「あっはい」
雪美「……杏と……Pは……息が、合っている……」
杏「友人だからね。その割には仕事では手心を加えてくれないのが不満かな」
モバP「君にはこれでも最大限好きにさせてあげているつもりだよ」
杏「杏だけ好きに出来てもプロデューサーが付き合ってくれないとなー。例えば同衾とかね」
モバP「そろそろ杏ちゃんには口を閉じていただきましょうかねえ」ハイアメ
杏「貰える物は貰っておく」パクッ
雪美「……どうきん……?」
348: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/03/23(土) 21:02:47 ID:vg06hLcE
178
「「「ごちそうさまでした」」」
モバP「ロケの帰りに寄ってみた食事処だが、川のせせらぎが聞こえるのが実に落ち着くな」
モバP「水が絶えず流れる音を聞きながら寝たり休まると何か心が安らぐ気がするよ」
小梅「でも水辺は……良からぬものを……引き寄せるよ」
モバP「そんな話も聞くが、実際多いものなのか?」
小梅「うん。でも、プロデューサーさんは大丈夫……だと思うよ?」
小梅「見えない人は……あっちもそんなに、干渉できないから」
モバP「霊感ないんだよなあ。信じていない訳じゃないが心の底では信じきれていないのか」
小梅「ただ、見える人と一緒にいれば……つられて見えるようになるかも……えへへ」
モバP「OH……。って、雪美はさっきから大人しいがどこを見ているのかな」
雪美「…………」
雪美「! ……? ……私……今……何を……」
小梅「雪美ちゃんは……うん。何か強い力で守られているよね」
349: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/03/23(土) 21:04:31 ID:vg06hLcE
179
雪美「……P……」
モバP「……?」
雪美「聞いた……。喋り過ぎて……のど……痛いの……?」
モバP「……」コク
雪美「分かった……。……今日は代わりに……私がいっぱい……喋る……」
モバP「……?」
雪美「……? ……大丈夫……私も……やる時はやる……」フンス
モバP「…………」
雪美「……ふふっ……喋らなくても……何となく……分かる……? ……遠慮しないで」
雪美「…………えと……あ……最近は……花粉が……多い? けど……大丈夫……?」
雪美「…………やっぱり……こういうのは少し……苦手……」 ナデナデ
雪美「ん……ありがとう……じゃあ……Pに……甘える」スリスリ
ちひろ「何か起きそうで何も起きないいつもの展開でした」
350: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/03/23(土) 21:29:42 ID:vg06hLcE
180
モバP「桜が咲いているねえ。早いもんだ」
雪美「……きれい」
モバP「桜は散るのが早く、見頃はすぐに過ぎてしまう」
モバP「そんな儚さに美意識を見出すのが和の心と言えるのかな」
雪美「……」ジッ
モバP「ちなみに今の私の心は君のそのジャンパースカート姿にかき乱されているが」
雪美「…………Pは……儚くは……見えない……」キラキラ
モバP「言ってくれるなあ」
モバP「良いさ。俺は少し捻くれていてね、美化してもらえなくても長く咲き続けたいんだ」
雪美「……でも……その方が……安心……できる……」ギュッ
モバP「参った、雪美さんに手を繋がれると弱いんだよ」
雪美「……ふふ……これからも……ずっと……」
ちひろ「エンディングNo.180 『桜と共に』」
353: ◆ORDERq/08U 2019/03/30(土) 20:12:39 ID:HFW/QGRU
181
モバP「おはよう雪美」
雪美「……P……! おはよう……」
雪美「これから……お仕事……行くの……? 私も……学校……」
雪美「場所はちがっても……いっしょだね……。途中まで……二人で……行こう……」
モバP「おお、良いねえ」
テクテク
モバP「……雪美は最近、感情表現が豊かになってきたなあ。よく喋るようにもなったし」
雪美「……そんなこと……ない……」
モバP「無表情クール系ヒロインはそのままでも良いが、それが心を開くとよりグッとくる」
雪美「……?」
モバP「だが人を属性・記号で見ている訳ではないぞ? 雪美は雪美だから好きなのだ」
雪美「……Pは……好きなものに……正直……だね……」
雪美「私も……もっと正直に……なる……」ダキッ
354: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/03/30(土) 20:16:22 ID:HFW/QGRU
182
モバP「日常の一風景」
モバP「首を傾げる雪美さん」
雪美「……」キョトン
モバP「あざとい」
雪美「……」クイッ
モバP「あっ、元に戻った」
雪美「……」
モバP「でも艶やかで滑らかなその髪が重力に沿って傾き垂れるのはたまらないものがあります」
雪美「…………」キョトン
モバP「あっ、また……。雪美の髪は量も多いせいか結構ダイナミックに動くねえ」
雪美「……」クイッ
ちひろ「雪美ちゃんは結構素で猫のような挙動をしますよね」
355: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/03/30(土) 20:18:11 ID:HFW/QGRU
183
ガチャ
ちひろ「こんにちは。新しいアイドルの子ですね?」
雪美「……うん」
ちひろ「担当になってもらうプロデューサーを早速、呼び出しますから少し待っていてくださいね」
雪美「……」
ちひろ「千川です。……はい。……ええ、そうです。来てもらえますか?」
ガチャ
モバP「来たぞ」
ちひろ「お早いですね。佐城雪美ちゃん、こちらがプロデューサーさんです」
雪美「……」ポカーン
モバP「私がプロデューサーのモバPだ。君のような年頃の子は初めてだが、これからよろしく」スッ
雪美(……丸太、みたいな……腕……、手も……大きい……)
雪美「……」ブルブル
356: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/03/30(土) 20:24:13 ID:HFW/QGRU
ちひろ「あら、怖がらせちゃダメですよ? プロデューサーさんったら」フフフ
モバP「こんな外見だ。所属アイドルからは熊男と呼ばれているが、まあ最初は仕方あるまい」
雪美(……浅黒い肌……髭……鋭い目……)
モバP「まずはその天中殺か暗剣殺といった顔は私に全部預けて、笑顔の練習から始めようか」ギラッ
ちひろ「プロデューサーさんの笑顔、素敵です……」
雪美(……笑顔が……邪悪……すぎる……)クラッ
雪美(つっこみ……不在の……恐怖)
雪美(……たすけて)
――
ちひろ「こうならなくて済んだ今の世界は、絶妙なバランスで成り立っているのかもしれませんね」
モバP「雪美ならこれはこれで何とか適応していきそうだがな?」
雪美「……私を……買い被らないで……」
ちひろ「ところでプロデューサーさんはキャラ変えとかなさらないんですか?」 ナイデス
357: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/03/30(土) 20:27:21 ID:HFW/QGRU
184
モバP「たまに自分でも意外なくらい仕事に集中・没頭できて高揚感を感じる時はないか?」
凛「あるよ。言うなら、ゾーンに入る、って感じだね」フッ
モバP「あれは気持ちが良いよな。作業も捗るし」
凛「だね」
ちひろ「それを狙って発揮できるようになれたら良いんですけどね」
モバP「人間のやる気スイッチに通じるものがありますね。なかなか見つからないが」
ちひろ「第一あなたは普段から雑念が多すぎるんですよ。そりゃ見つからない訳です」
モバP「男は敷居を跨げば七人の敵ありとはよく言ったもんでござい」
凛「プロデューサーの敵は……内にありそうだね」
モバP「俺の中には傲慢・嫉妬・憤怒・怠惰・強欲・暴食・色欲の七人の侍が」
ちひろ「それは七つの大罪だ」
凛「敵だらけ……それでも私たちは戦わないといけないんだ、現実と」
358: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/03/30(土) 20:31:03 ID:HFW/QGRU
モバP「とりあえずゾーンに入っている最中は作業の手は区切りがつくまで休めない方が良い」
モバP「何かの拍子に接触が切れてしまうと、それまでの勢いが忽然と止まってしまう」
ちひろ「ただし止まろうがやる気が削がれようが、仕事は待ってくれませんけどね」
モバP「で、結局モチベーションが戻らないまま手を付けることもしばしば。乗りきれないのです」
凛「相当にマイペースだなぁ。……あっ、雪美だ」
雪美「……こんにちは」
雪美「……P……乗せて……?」ピョンピョン
モバP「……」
モバP「……いいぞ~。こいこい」ニヘラ
ヒョイ ポスン
雪美「……」ムフー
凛「ぴょんぴょんは反則だよ……」
モバP「はぁー……何か雪美が乗ると余計な思考は全部吹っ飛ぶね」
ちひろ「なおその後のインプットが」
359: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/03/30(土) 20:33:05 ID:HFW/QGRU
185
雪美「最近……学校で……よく声を……かけられる……」
モバP「知名度的にはもう、ちょっとした有名人さんではあるだろうからな」
雪美「……少し……うれしい……」
モバP「良かったなあ。雪美は見てくれも良いから隙が無い」
雪美「……良くしたのは……P……」
モバP「せやろか? まあ芸能活動を始めて垢抜ける子は多いから間違いでもないか」
モバP「プロデューサーはシンデレラに魔法をかける魔女のようだとか誰か言っていたな」
雪美「Pが……魔女……」ジッ
雪美「……ふふっ」
モバP「笑うな」
雪美「……でも……Pは……王子様……の方が……合ってる……」
モバP「王子様、か」
モバP「俺は裏方側の人だから王子様役としてはどうなんだかな」
360: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/03/30(土) 20:34:21 ID:HFW/QGRU
雪美「シンデレラが……がんばるのは……王子様の……ため……」
雪美「……私も……Pのためなら……がんばれる……」
モバP「雪美……」ジーン
モバP「ただそれだと魔女がちょっと立場がないから……魔女と王子様は実は繋がっているということで良いかな?」
ちひろ「何だその新解釈」
モバP「で、そんなシンデレラの体現とも言える雪美さんは現在上下ともジャージで膝の上な訳ですね」
雪美「……たまには……がんばらない……シンデレラ……」キラキラ
モバP「頑張らないのにこんなにキラキラできるとは……やはり天才か」
モバP「それにしても学校生活は上手くやれているようで何よりだ」
モバP「俺からすると有名故に高嶺の花として周りから距離を置かれたり遠慮されたりしないのかと思うが」
雪美「……みんな……エリート……だから……浮いてない……」
モバP「個性が特別にならない良い環境にいるんだなあ」
ちひろ「やさしい世界……なのか?」
361: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/03/30(土) 20:36:45 ID:HFW/QGRU
186
モバP「俺の膝の上は特に誰の物とかではなく、いわば無料で一般開放しているようなものだ」
モバP「しているようなものなんだが」
輝子「どうした……?」ギシギシ
モバP「そうバウンドしないでくださらない? スタイル良い子がミニスカートで無防備ですよ?」
輝子「フフ……良いじゃないか、親友……。はしゃぎたくなるんだ」グリグリ
モバP「おい尻……君はどうしてそうなってしまったんだ星くん」
輝子「さあ、どうしてでしょう……?」クスッ
モバP「!」ドキッ
輝子「フーッハッハァァ!! このまま組んず解れつで――!」
雪美「……」ジーッ
輝子「レスリングでもしようかー」
雪美「わーい……」
ちひろ「事務所で何やってんだあんたらは」
362: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/03/30(土) 20:51:49 ID:HFW/QGRU
187
ちひろ「今日のおやつは桜餅ですよ」
雪美「……」モグモグ
雪美「……少し……塩気……あって……おいしい……」
モバP「”今日のおやつ”が事務所で振舞われるのが何かもう生活感に満ちていますよね」
ちひろ「職場でもぐもぐタイムは賛否両論と聞きますけど、ここではもう定着していますから」
雪美「でも……桜もち……二種類……ある……」
ちひろ「関東の長命寺と関西の道明寺ですね。これは皮で巻いた前者ですけど」
モバP「西日本育ちの雪美はこっちの桜餅はあまり馴染みがない方かな?」
雪美「ん……でも……そういうの……他にも……たくさん……」
モバP「あるな。例えば雑煮とか、餅に餡子が入っていたり具や出汁が違ったり、地域で様々だ」
雪美「……ラーメン……うどんも……」
モバP「仕事で各地を回ったりするからメシもいろいろ知れて楽しいよな」
ちひろ「……結構庶民派なんでしょうか? 私たちって」
364: ◆ORDERq/08U 2019/04/06(土) 20:40:55 ID:SyHDBtfo
188
モバP「雪美さんのちょっと色気のある瞬間」
モバP「結んだ髪を解く時」
雪美「……」パサッ
モバP「……桃源郷はここにあったか」
雪美「……」フルフル
モバP「髪にボリュームがあって羨ましいなあ。俺も伸ばそうかな」
雪美「……それは……やめた方が……」アッハイ
モバP「それにしても、髪を下ろす時、よりガツンとくるのは普段から常に髪を結んでいる子だと思う」
雪美「……結んでいる……方が……良い……?」
モバP「雪美に、特にベッドとかでそれをされるとオーバーキルだから、今のままで」
雪美「……分かった。……大切に……してね……?」
モバP「ああ、大切にするよ」
ちひろ「な、何の話だったの?」
365: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/06(土) 20:43:12 ID:SyHDBtfo
189
モバP「主に夏、傘を持たず外を歩いていたら、すごい通り雨に遭う――」
モバP「そんなことは油断の多い小学生の頃はよくあった」
雪美「……」
モバP「大体はどこか適当な建物に入って雨宿りをして止むか弱まるタイミングを待つものだが」
モバP「たまに開き直ってそのまま雨ざらしになったりもしたな」
雪美「……風邪……ひきそう」
モバP「本当にね。水を吸った服をそのまま着ているのは普通に心地も良くない」
雪美「……うん」
モバP「家に帰ったら勿論すぐ風呂場行きで着替えさせられたよ」
モバP「……雪美の濡れた髪をバスタオルで拭いてあげたりしたいがなぁ、俺もな~」
雪美「……///」
ちひろ「普通の会話から突然豹変するのはやめようね」
366: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/06(土) 20:49:30 ID:SyHDBtfo
190
雪美「……」シュルシュル ファサッ
モバP「……?」
雪美「……! ……P……これ……どうしたの……?」
モバP「あきらに噛まれたんだ。ちょっと興が乗りすぎてね」
雪美「……キスマーク……?」
ちひろ「どれどれ見せなさい」
ちひろ「って、何だ……これはキスマークではなく歯形ですよ」
ちひろ「というか事務所で首元を肌蹴させないでください。変態ですか」
モバP「雪美が脱がせてきたんです。……”雪美が脱がせてきた”、何か響きがえっちぃですね」
ちひろ「だまらっしゃい」
ちひろ「第一、首筋を噛まれるってどんなムーディーな遊びをしているんですか」
モバP「あきらあかりりあむの三人と親睦を深める為に王様ゲームを」
ちひろ「はいぃ?」
367: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/06(土) 20:51:12 ID:SyHDBtfo
モバP「ソフトな感じにやるから! と、りあむからの提案で参加したんですが」
モバP「最終的にあきらが吸血鬼の真似をすることになり、こうガブッと」
ちひろ「ガブッとじゃないですよ。そこはきちんと監督してください」
雪美「……」ムー
モバP「ゆ、雪美さん?」
ガバッ
雪美「……私も……Pに……印……付ける……」
カプッ
モバP「うっ……!」
雪美「…………ん……できた……ふふ」
モバP「」
ちひろ「」
雪美「……♪」
368: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/06(土) 20:53:23 ID:SyHDBtfo
191
紗南「聞いてよPえも~ん!」
モバP「どないしたんや」
紗南「雪美ちゃんにまた負けたの~!」
モバP「ゲームでか? 紗南が雪美にゲームで負けるたあ天変地異の前触れかい」
雪美「……失礼な……」
モバP「だがジャンルにも寄るな。アクション、格闘、落ち物パズル等いろいろあるが」
紗南「桃太郎電鉄」
モバP「ボードゲームの引き運はね……」
雪美「……今日は……絶好調の……日だった……」
紗南「雪美ちゃんさくま並に強いんだよ?」
まゆ「呼びました?」ヒョコッ
紗南「うわあっ!? びっくりした!」
369: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/06(土) 20:55:47 ID:SyHDBtfo
モバP「紗南。ウチにはこずえとか芳乃とか人知を超えた存在がいるだろう」
紗南「その二人も勝負事とかはやたら強いんだよね」
モバP「雪美だったらそんなことはないはずと油断してかかったのではないか?」
紗南「うう……まさかそんな」
モバP「もっと技術の要るゲームなら勝てるだろうに」
紗南「そこはほら、ゲストと経験で差が出るもので対決するのは何だかなって思うじゃん」
モバP「人には得意分野があるからな。クイズゲームでもノンセクションより特定ジャンルが正答率高いとか」
まゆ「まゆはプロデューサーさんに関するクイズなら負けませんよ」
雪美「……Pの、ひざのことなら……」
モバP「俺の膝に関するクイズの出題とは何ぞや」
モバP「しかし雪美は将棋とかも出来るから、ただ運だけで勝ってくる訳じゃないぞ」
紗南「Pさんが特訓してたりはしないの?」
モバP「してるわ」 オイコラ
370: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/06(土) 20:58:16 ID:SyHDBtfo
紗南「というかPさんも一緒にやろうよ! まゆちゃんも!」 イイデスヨ
モバP「いやあ、桃鉄とか人生ゲームとかは最悪リアルファイトになるでしょ」
まゆ「プロデューサーさんとリアルファイト……」
雪美「Pと……」
紗南「……」
三人「……///」
モバP「何故照れる」
紗南「でも、やっぱりこういうのは四人プレイでやるのが一番面白いよね!」
モバP「普段ソロプレイのぼっちを舐めんなよ」
紗南「あっ……ごめん」
モバP「いや、気を遣われると逆に申し訳ない」
雪美「準備……できた……。……始めよう……」ポスン
紗南・まゆ「対戦でも膝に乗るのか……」
371: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/06(土) 21:00:37 ID:SyHDBtfo
192
モバP「」
菲菲「出端から硬直してるネ。プロデューサーさん、ふぇいふぇいダヨー」
雪美「……雪美だよー……」
モバP「はっ……!? 君たちチャイナドレスではないか!」
雪美「……」キラキラ
モバP「一般的なサイドスリットのワンピースだけでなく、スカートと合わせているんだな」
菲菲「春麗みたいに露出するのはネー、ちょっと勇気が要るヨ」
雪美「……きたえぬかれた……太もも……」
モバP「あれはさすがにね……股圧でリンゴ潰せるんじゃないかみたいな」
菲菲「発想が斬新ダヨ……それはそうと! プロデューサーさんに桃まんを作ってきたヨ!」ハイ
雪美「私が……調理補助……した」エッヘン
モバP「わお! これは美味しそうだ。食べよう食べよう」
372: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/06(土) 21:02:20 ID:SyHDBtfo
――
モバP「いや、実に中華情緒のある味がしたよ。ごちそうさまでした」
菲菲「お粗末様でした」
モバP「菲菲と雪美二人でよく作ったな。手作りはさすがだ」
菲菲「もっと褒めても良いんダヨ? 遠慮いらない」
モバP「それにしても何故桃まんなんだね?」
菲菲「プロデューサーさんは桃が似合っているから……仙人みたいだもんネ」
雪美「……」コク
モバP「俗世から離れているというか浮世離れしているとは言われることもあるが」
菲菲「普段は隠しているだけで空を飛んだりできそう」
モバP「ないよ。そんな便利が力があったら出社する時に使うわ」
雪美「……本当かな……?」
373: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/06(土) 21:05:16 ID:SyHDBtfo
モバP「……そういや雪美が菲菲みたいにシニヨンを二つ作っているのは珍しいな」
雪美「……髪型の……練習中……」
モバP「ほう。……まあ、雪美娘々はいろいろと変化してくれる方が俺は嬉しい」
雪美「……にゃんにゃん?」
菲菲「娘々とは……かくかくしかじか……ダヨ」
雪美「……にゃ~ん……」
モバP「まあ日本ではあまりニャンニャンは使わないか。変な意味に取られかねないし」
雪美「……?」
菲菲「日本のニャンニャンってどういう意味ネ?」
モバP「30年以上前でもう完全に死語と化しているかもしれないが、何々とか××とか」
モバP「人前で言葉に出すのが憚られることだ、うん」
菲菲・雪美「……?」
ちひろ「理解できる自分が少し悲しい」
374: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/06(土) 21:07:30 ID:SyHDBtfo
193
紗南「レッドスクリーンってびっくりしない?」
モバP「どうした。何をしたらそんなものを拝むことになる」
紗南「exeゲームをやっていたら脅かしでやられちゃってさ」
モバP「なるほど。ああいうのは悪意が露骨だからな。レッドは目にくるし勘弁してほしいね」
モバP「全画面攻撃はブルースクリーンでもブラックバックに白字でも怖いのに」
紗南「そんなに詳しいということは、Pさんもホラーゲームやるんだね」
モバP「いや、どちらかと言うとPCやゲーム機本体のエラーだ」
紗南「えぇ……。Pさんこそ何をしたらそんなものを拝むことに」
モバP「紗南、突然理不尽に訪れる現実ほど怖いホラーは無いんだ。バックアップはしっかり取っておけ」
モバP「でないとこうなる」
雪美「brinGmeBAckthereIaMaLivehereIwilLneverletYouforgetabOutme」
紗南「ひいっ!?」
――
紗南「……あ……ゆ、夢かあ……」
375: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/06(土) 21:08:57 ID:SyHDBtfo
194
モバP「俺は常日頃甘かった。生チョコ&ミルクの欲張りダブルホーン並に甘かった」
モバP「雪美め、何をしても俺ならやり返さないと侮りおって。許さん! お仕置きじゃあ!」ガバッ
雪美「……きゃー」
モバP「今回の罰は、おお何と恐ろしい! くすぐりの刑だ!」コチョコチョコチョ
雪美「……ふふっ、……あはははっ!」
モバP「どうだどうだ~! 足の裏は!」コチョコチョコチョ
雪美「や、やめて……あはははははっ……ひーっ」
モバP「まだまだぁ! 容赦せんぞぉ!」コチョコチョコチョ
雪美「……っ! ……っ!!」バンバン
モバP「とどめは脇だ、くらえ!」
パシッ
モバP「誰だ、邪魔をするんじゃな……あ!」
巴「楽しそうじゃのう? うちも混ぜてくれんか?」ゴゴゴゴゴ
376: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/06(土) 21:12:16 ID:SyHDBtfo
195
モバP「仕事に没頭していたらエイプリルフールをすっかり忘れていた」
ちひろ「今日はなんにもないすばらしい一日だったまる」
モバP「ぼくなつはやめて」
ちひろ「何かとっておきの嘘でも吐いてみる計画だったんですか?」
モバP「今日はエイプリルフールじゃないぞ? という嘘を」
ちひろ「すぐバレる嘘を吐くな、と言われたことありませんか?」
モバP「ありますあります」
雪美「……P……」
モバP「お、どうしました雪美さん」
雪美「今日は……一体……何日……?」
モバP「そりゃあお前……四月一日だろう。わたぬきさんですよ」
雪美「……じゃあ……昨日は……?」 ン? アレ?
ちひろ「こいつらいつも無限ループにはまってんな」
379: ◆ORDERq/08U 2019/04/13(土) 21:34:47 ID:B3JbJDHM
196
雪美「……P……あそぼ」
雪美「……P……元気……ない……? 私が……元気に……してあげる……」
雪美「……P……もっと……私に……頼って……」
雪美「……もう……くすぐったい……ふふっ」
雪美「……いけないおてては……この子……?」
雪美「……あっ……そこ……気持ちいい……もっと……ほしい……」
雪美「……P……温かい……」
雪美「……いつまでも……どこまでも……深く、繋がって……いよう」
――
ちひろ「お前はなんちゅう犯罪的なボイスを録っているんだ」
モバP「普段のやり取りを録ってみただけなんですがね」
モバP「まあ改めて聴き直すと何とも微笑ましく……はなく千枝ちゃん並には危ないなこれ」
ちひろ「物分かりが宜しいようで」
380: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/13(土) 21:38:33 ID:B3JbJDHM
197
モバP「日常かどうかは知らない一風景」
モバP「暗闇で目を光らせる雪美さん」
雪美「……」キラッ
モバP(やだ……物陰からこっち見てる……)
雪美「……」ジリジリ
モバP「…………」ソワソワ
雪美「…………」ジーッ
モバP「……今だ逃げるっ!」ダッ
雪美「待てっ!」バッ
ガバッ
雪美「P……もう……どこにも……逃がさない……」
モバP「たはは……参ったなあ」チラッチラ
ちひろ「よぉし、その男はおまえにくれてやる。好きにしろッ!」 ヤッタゼ
381: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/13(土) 21:40:43 ID:B3JbJDHM
198
モバP「お父さん、お母さん、お元気ですか。私もペロもとても元気です」
モバP「仕事の方も何とか軌道に乗って少し自信がついたみたい」
モバP「(中略)落ち込むこともあるけれど、私、雪美の長い髪が好きです」
雪美「お、おう……」
ちひろ「お前は一体誰目線で独白をしているんだ」
モバP「でも雪美がおかっぱだったとしたらそれもそれで全然アリだと思います」
ちひろ「同意します」
雪美「……短く……してほしい……の?」
モバP「長いままでいてほしいし短い君を見たくもあるという二律背反だよ」
雪美「もう……わがまま……」
ちひろ「ですけど芸能の仕事をしていると例えばドラマに出演するなら、髪型指定されたりしますよね」
モバP「ショートボブでオファーが来たら雪美はどうする?」
382: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/13(土) 21:51:19 ID:B3JbJDHM
雪美「…………」ウーン
モバP「髪は伸びるものとは言っても、元が長いと一朝一夕で元通りとはならないから悩んで当然か」
雪美「……とりあえず……今は……このままで……」
雪美「……でも……小学校……過ぎたら……少し短く……する、かも」
モバP「そうか。まあ、小学生くらいなら良いけど中高であまり長い髪の子はそういないよな」
ちひろ「その辺は校則とかありますからね。結ぶか、肩までにしろなんて言われたり」
モバP「もし、雪美が阿良々木月火みたいにばっさり短くしたら……ああ」
雪美「……短く……したら……?」
モバP「いや、やめよう。想像するだけで平静を保てなくなりそう。仕事なんか手に付きやしないだろうね」
ちひろ「はた迷惑な大人だなあ」
モバP「突然髪を切ってきましたとか言って目の前に現れたら卒倒も辞さない」
雪美「それは……びっくりする……でも……面白そう……!」
モバP「面白がるな。しかし乙女の脅かしは許せちゃうのが悔しい」
ちひろ「プロデューサーさんは実に守備範囲の広い面食いですよね。でないと務まらないでしょうけど」
383: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/13(土) 21:56:51 ID:B3JbJDHM
199
モバP「じゃあ逆に雪美にさせてはいけない格好を考えてみませんか」
ちひろ「突然何が”じゃあ”なんやら」
モバP「ツインエンジェルBREAKのエンジェルサファイアとか」
ちひろ「はあ」
モバP「魔法騎士レイアースの龍咲海(魔神モード)とか」
ちひろ「はあ」
モバP「ファンタシースターオンラインの青フォニュエールとか」
ちひろ「どうしてあなたはそう同系統の物を羅列するんですか」
モバP「青基調の涼やかなトップスに、黒のレオタード風ボトムス。半分水着みたいでセクシーです」
ちひろ「如月すみれや龍咲海みたいな中学生でもアレなのに小学生に着せたら犯罪臭MAXですね」
ちひろ「……いけなくなかったら着せたいつもりじゃないですよね」
モバP「ソンナコトナイヨー」
ちひろ「こいつすげぇ変態だぜ?」
384: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/13(土) 21:58:39 ID:B3JbJDHM
雪美「……楽しそうに……話、している……ね」
ポスン
雪美「……Pの温度は……今日も……快適……」
ちひろ「本当、膝乗りに飽きませんねえ」
雪美「それが自慢……」ニコ
ちひろ「はう……こんな無垢な良い子に私欲で破廉恥な格好をさせるのはダメです」
モバP「分かってますって」
ちひろ「本当ですかね」
モバP「良いこと悪いことの線引きも大事ですが、ちひろさんは冗談を冗談と分かった上で乗ってくれますから」
モバP「そういうところ、嫌いじゃないですよ」
ちひろ「……あなたも、本当に悪いことする時は黙って実行するでしょうからね」ハァ
モバP「そうそう、ここで話をしている限りは安全です――って、しませんよ」
ちひろ「まあ、雪美ちゃんが乗っている限りはそう悪さも出来ないのは確かですね」
雪美「……ふふふ」
385: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/13(土) 22:02:26 ID:B3JbJDHM
200
モバP「春も酣。過ごしやすい朝だね、雪美さん」
雪美「ええ、Pさん……」
モバP「雪美さんと一緒になってもう四十年か」
モバP「楽しいこと、喜ぶこと、驚くこと、辛いこと、悲しいこと――いろいろあったな」
雪美「……それでも……早いものです……」
モバP「ああ。俺も今じゃすっかり老けてしまって……」
モバP「雪美さんのおかげで歳の割には若く格好良くはいられているが」
雪美「……あなたはいつまでも……私の一番です」
モバP「うん……そうなんだがな」
雪美「……?」
モバP「雪美さんは四十年……どころか下手すると出会った頃から本当に変わらないな」
雪美「まあ……お世辞は結構ですよ」
386: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/13(土) 22:05:55 ID:B3JbJDHM
モバP「いや、冗談抜きに雪美さん、全く歳を取りませんよね」
雪美「……」キラキラ
モバP「こうして着物が似合う、物腰はすっかり落ち着いた上品な女性なんだがな」
雪美「……猫だって……見かけはほとんど……老けないでしょう……?」
雪美「こう見えても……昔のような激しい運動は……もう、できませんよ」
モバP「何てことだ、雪美さんは猫だったのか。もしくはエルフか?」
雪美「エルフは……晩年に外見も一気に老いて死ぬ……なんて言いますね」
雪美「もし私が……先に、逝くようなことがあれば……その前に姿を消したい……」
雪美「ペロも……衰弱した自分の死に際は見られたくないと……旅立ってしまった……」
モバP「そんなこともあったな……だが、子どもたちや孫たちはどうする」
雪美「……冗談ですよ。……でも……あの時のように、綺麗なまま引退するのも……悪くない……」
モバP「アイドル活動か……まだ未練があるか?」
雪美「いいえ……あなたと一つになれて、これだけ幸せに恵まれたんですもの……」
387: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/13(土) 22:08:18 ID:B3JbJDHM
ピンポーン ハイハイ ガチャ
こずえ「雪美さんとPさんに、ご挨拶に来たよー。元気そうだねー」キラキラ
芳乃「おや、懇ろな一時をお邪魔してしまいましてー?」キラキラ
雪美「あっ……こずえさんに芳乃さん……ふふふ……こんにちは」
雪美「まあ上がって……お茶でも入れますよ」
モバP「……外見が変わらない子が多すぎやしませんかね?」
――
モバP「……」パチリ
モバP「――はぁー」
晶葉「おはようP。未来の今日を体験できる装置はどうだったかな?」
モバP「う~ん……俺の心象風景が映し出されたのかなあ。あれが未来だとちょっと怖いわ」
晶葉「……未来とは人の希望でもある。つまりはそういうことでは?」 エッナニソレハ
388: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/13(土) 22:11:46 ID:B3JbJDHM
201
紗南「このおっさんはどうしてこう攻撃を外すのかなー」
モバP「おや、実況収録中……ではなさそうだな」
紗南「あっPさん。残念だけどこのゲームは一人用なんだ」
モバP「良いってことよ。誰かのプレイをただ見つめるのも好きだ」
モバP「ついでに言うと酒とつまみでも横に置いてまったり観戦だね」
紗南「プレイするより動画見るのが好きなタイプかな? でもこのゲームは長丁場だよ~」
ピロリ ザザッ ピロリ
紗南「ああ~何連続で外すんだ! あっという間にピンチじゃないか!」
モバP「トルネコのおっさんやシレンのおにいちゃんはそれが様式美だから仕方ない」
紗南「目の前で寝ている相手に対しても攻撃外した時はさすがに絶句だよ」
モバP「試行回数が多いゲームだから割と奇跡的な屑運に遭遇することも多少はね」
モバP「ローグライクは奥深い。底なし沼かもしれないがそれが良い」
389: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/13(土) 22:13:16 ID:B3JbJDHM
雪美「……ローグライク……?」
モバP「おう雪美。そういうゲームのジャンルだよ」
紗南「雪美ちゃん! あたしに引き運ちょうだいな~」
雪美「やってみる……。……むむむ……む~ん」
紗南「あ、サイキックパルプンテはたまに事故るからやめとこ?」
モバP「前科あるのか……怖や怖や」
雪美「……何が、起こるか……分からないのが……人生……」キリッ
アハハハ
紗南「他愛ない話だけどさ」
モバP「何だい」
紗南「ローグライクにアイドルがモンスターとして出てきたらって妄想しない?」
モバP「しますねえ。いろいろアイデアが膨らみますですよ」
モバP「もっとも、本家もびっくりなくらい種類が多すぎて全員は出せないだろうがな」
390: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/13(土) 22:16:14 ID:B3JbJDHM
雪美「……」
モバP「雪美さんは何となくこっちを沈黙状態にしてきそう」
紗南「メルモンかな?」
モバP「というか雪美さんに口を塞がれて沈黙状態にされたいですね」
雪美「……」ムギュッ
モバP「……!」
雪美「……大人しく……なったね……」
紗南「雪美ちゃんに大人しくさせられちゃうとか、良いなあ」
雪美「……たまに……口で……塞いだりも……する」
紗南「Pさん……いくら仲良いからって乳繰り合うのも程々にね」
モバP(そこはさすがに誇張表現だよ)
紗南(はっきり否定はしないのか……というか脳内に直接来ないで)
ちひろ「不埒な意識を感知したのでプロデューサーさんを捕まえに来ました」ガチャッ
391: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/13(土) 22:19:01 ID:B3JbJDHM
202
モバP「んー、んまい」モグモグ
ちひろ「プロデューサーさんのお昼ごはんはたこ焼きなんですね」
モバP「笑美が差し入れてくれました。かつお節がたっぷり乗っていてボリュームありますよ」
ちひろ「へー」
モバP「お一ついかがです? はい、あーん」
ちひろ「勢いで何をやろうとしているんですか。結構です」
モバP「残念。しかし容器がまた発泡で無地の折蓋で、昔ながらのファストフード感があって良いですよね」
ちひろ「シンプルイズベスト、ですか。今はたこ焼きだと木舟のようなオシャレなものもありますからね」
雪美「……」アーン
モバP「……ん? ……はい」 パクッ
雪美「……ん……これは……いいダシを使ってる……」
モバP「雪美さんは意外にも食通やね」
ちひろ「たこ焼きや焼きそばは青のりが歯に付きやすいんで、食べたらしっかり歯磨きしましょうね」
394: ◆ORDERq/08U 2019/04/20(土) 20:10:03 ID:AQkdeQ8c
203
モバP「雪美はカレーライスは好きかい?」
雪美「……すき」
モバP「基本的に外れがないよな、カレーって」
雪美「……辛いのは……少し苦手……」
モバP「まあ意図的にやたら辛くしてあるのはね。ただ基本は誰でも好きな定番中の定番メニューだ」
雪美「……うん」
モバP「ただ家で作ろうとすると、野菜と肉を切って火を通して水を入れてルーを溶かして、と手間だ」
モバP「どうしても一度にそれなりの量を作ることになりがちで、独身だと持て余す」
雪美「……誰かと一緒に……食べるのが……おいしい……」
モバP「そういうことだな。……俺、久々に家カレーを作りたいんだ」
雪美「……いいよ」
モバP「やった!」
ちひろ「炊飯器のスイッチを押し忘れないようにしましょうね(経験者)」
395: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/20(土) 20:13:17 ID:AQkdeQ8c
204
モバP「日常ではない一風景」
モバP「絶海の孤島を旅する雪美さん」
NO DATA
ちひろ「シチュエーションないのか。まあ、あったら驚きますけど」
モバP「南大東島や青ヶ島あたりに行って、本土から隔絶された場所で一人きり」
モバP「世界から取り残されたような気分に浸って軽く絶望を感じちゃったり?」
ちひろ「島民の方に失礼だぞ」
雪美「……遠い……帰りにくい所に行くのは……こわい……」
雪美「でも……一緒にいてくれる……仲間がいれば……」
モバP「もしそんな仕事が来たなら俺がスタッフになって同伴するよ」
雪美「……心強い……約束……ね」
モバP「まあそういう私も結構離島恐怖症ではありまして、オアフ島規模でも不安になるくらい」
ちひろ「それただのホームシックでは」
396: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/20(土) 20:14:40 ID:AQkdeQ8c
205
モバP「このところはすっかり暖かくなり日中20℃は軽く超すようになってきたな」
雪美「……うん」
モバP「雪美は元気そうだな」
雪美「私も……ペロも……元気……」
モバP「良いことだ。寒いと身を寄せ合って暖を取るというのが動物的で情緒があるが」
チョコン
雪美「……?」
モバP「暖かくてもこうして膝の上に乗って接してくるのは雪美的だな」
雪美「……私的……? ……変なの……」
モバP「晩春から夏、初秋あたりまではここに乗ってくれる子は減るんだ。ぬくいからね」
雪美「……」
397: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/20(土) 20:18:23 ID:AQkdeQ8c
モバP「その点、雪美は物好きだと言えるかもしれないな」
雪美「……別に……物好きじゃ……ない……」
モバP「そうか? ちなみに、こうしても暑苦しくはないか?」ギュッ
雪美「……うん……大丈夫……」
モバP「例え暑くても寄り添えるのはよほど相手を気に入ってでもいないとできないことだ」
モバP「気に入ってもらえているのなら素直に嬉しいが」
雪美「……どんな時でも……これが……Pとの……共鳴……」
モバP「じゃあさ、俺が風邪に罹ったとしても、雪美はお構いなしに膝に乗るかい?」
雪美「……乗っていたら……うつる……かも……」
雪美「……でも……一蓮……托生……」
雪美「Pと、私……二人で……溶け合う……」
モバP「……病気には罹らないようにしなくちゃなあ」
ちひろ「ベタベタし過ぎて脱水症状とか起こさないでくださいよ?」
398: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/20(土) 20:25:02 ID:AQkdeQ8c
206
モバP「疲れたぜ」
奈緒「どうしたんだぜ?」
モバP「ちょっと間違った霧雨魔理沙みたいに言うのね。……不覚にもときめいた」
奈緒「ば、ばかっ! つい韻を踏んじゃっただけだ!」
奈緒「……Pさんは東方も知っているんだな」
モバP「奈緒こそ。まあ、本家のシューティングゲームはやったことがないんですがね」
モバP「サブカルに触れていると独り歩きした音楽やキャラが知らず知らずの内に侵食してくるジャンルだよ」
奈緒「あたしもそんなに詳しい訳じゃないけど、気づいたら知ってたな」
モバP「まずシューティングって精密動作を要求されるから苦手で、パロディウス以来触っていないね」
奈緒「パロディウスはネタを理解するのが難しい気がする……」
奈緒「脱線から話を戻してさ、Pさんはどうして疲れているんだ?」
モバP「よくぞ聞いてくれました。事の始まりは一週間前のことなんですがね――」
奈緒「あっこれ面倒臭いやつだ」
399: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/20(土) 20:27:27 ID:AQkdeQ8c
――
モバP「という訳で、ペロとその友だち五匹とかくれんぼをしていましたらくたびれまして」
奈緒「一週間前の前置きは結局関係ないのかよ……」
雪美「……Pは……ペロたちに……とても、気に入られている……」
奈緒「しかも話の合間に雪美が設置されてるし」
雪美「……ぶい」v
奈緒「…………ぶい? ……へへっ」v
モバP「この世の天国かな?」ジーッ
奈緒「まじまじと見つめるな!」
奈緒「……はぁ……だいたい猫とかくれんぼって、仕事しなくて良いのか?」
モバP「それをちょっと本気を出して片づけたところで今に至るんですよ」
奈緒「それで片づけられるのも凄いよ……あっ、書類ここ間違ってないか?」
モバP「ん、どれどれ…………」
モバP「……奈緒、天才」b ヤメロヨ
400: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/20(土) 20:34:38 ID:AQkdeQ8c
207
ダダダダッ
肇「あ、Pさんだ。……Pさん!」
モバP「はっ? ……や、やぁ肇」ゼェゼェ
肇「器はあっても心ここにあらずという様子ですね」
モバP「そういや心を丸洗いしてベランダに干しているままだった」ハァハァ
肇「ふふふ、ユニークな冗談。なんだいつもの調子のPさんでした」
モバP「今、追われているのよ。意識がそっちに向いてしまっている」フゥ
肇「それは大変! 誰に?」
バサバサバサ
モバP「ひいっ!? お、お助け~!」バッ
肇「大量の形代……というか人形? ちょっ、Pさん抱き着かないで///」
??「むぅ……肇さんを盾にするとは~」
肇「この声……」
401: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/20(土) 20:40:26 ID:AQkdeQ8c
??「そ~な~た~」 バサバサバサ
肇「人形が寄り集まっていく……!?」
芳乃「……此度はー、わたくしのおせんべいを勝手に齧ってー、不敬でしてー、出ませいー」
肇「……芳乃ちゃんが顕現した……」
モバP「悪気はなかったんだ! 許してくれ、この通りだ!」
芳乃「……では、何故逃げるのでしてー?」
モバP「芳乃が追いかけてくるからだよ!」
肇「追いかけられると逃げたくなる……人間心理ですか」
芳乃「ふむ……では少し落ち着いて話をしませー」
モバP「ああ。……いやあ、何かから逃げるってのはスリル満点で生きてる実感がするね本当」
芳乃「楽しそうですねー。ではもっと楽しみましょうかー?」 バサバサバサ
モバP「わーっ!? やっぱり今の無しでお願えしますだーっ!」ダダダッ
肇「あっ……Pさん、もっと構ってほしかったです……」プクー
雪美「…………すごいものをみた」
402: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/20(土) 20:47:53 ID:AQkdeQ8c
208
モバP「働けど働けど猶我が生活楽にならざりじっと手を見る俺モバP」
ちひろ「余分な物が四字ほどくっついていますね」
モバP「オーバーな引用をしましたが、我々の給料って適正なんでしょうかね?」
ちひろ「個人的には不満はありません。強いて言えばあなたがドリンクなどを買ってくれたら私は潤います」
モバP「そこは隠しませんね。まあ、食欲がない時にぐいっと一本飲むと効きますから重宝はしていますよ」
ちひろ「待て、私のドリンクは胃腸薬じゃない」
雪美「P……貧乏……?」
モバP「いんや。豪勢な暮らしとは無縁だが貯金は作れているからな」
モバP「要求するとしたら自分の賃上げよりアイドルの待遇向上になるだろうね」
ちひろ「まあご立派だこと」
雪美「……埋蔵金……探しに……行く……?」
モバP「社会の授業で出てきたのかな? 最近”埋蔵金”なんてロマン単語は聞かなくなったなあ」
ちひろ「昔はテレビでよくやっていたらしいですけどね」
403: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/20(土) 20:50:47 ID:AQkdeQ8c
むつみ「埋蔵金……金色の響きがしますね!」
モバP「おうむつみよ、息災であったか。息子がお前の帰りを待ちわびておるぞ」
むつみ「世界中を飛び回って滅多に家に帰ってこない冒険家の父親みたいな扱いですか?」
モバP「ああ良いっすねえ」
ちひろ「埋蔵金探しが流行らなくなったのは、今の時代、科学が発展したからなんでしょうかね」
モバP「地中に大判小判ざっくざくあったりしたら探知できそうではありますね。つまり、ない……」
雪美「昔話では……大判小判……よくあるのに……」
むつみ「でも、石油や温泉を掘り当てるとかよりは、やっぱり金銀財宝ですかね! 光り物は強し!」
ちひろ「私は石油や温泉でも充分です」
モバP「何にしても、地道に財を築くことに専念するより、たまには一獲千金を夢見るのも人間らしさだな」
むつみ「その通りです! という訳で取り出しましたるは謎の宝の地図」 オォー
モバP「何か物件拝見トレジャーバトルで見たようなそれだが、出所は?」
むつみ「麗奈ちゃんですね」
モバP「……ここは釣られようか」
404: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/20(土) 20:54:55 ID:AQkdeQ8c
209
モバP「今朝は変な夢を見たんだよ」
雪美「……ほー」
モバP「UFOに蘭子ダイブ姿の蘭子が何十人もキャトられているのを呆然と見ている夢だ」
雪美「……宇宙人……蘭子を集めて……何をする……」
モバP「さあな。後で闇に飲まれてブラックホールになったりして」
雪美「……こわい」
モバP「ただ、逆再生の夢を見ていた可能性もあるな。たまにそういうことあるんよ」
モバP「つまりUFOから何十人という蘭子が降り立ってくる侵略」
雪美「……それもこわい……」
モバP「怖いだろう? 怖いねぇ。怖いから、俺、寝る」
雪美「……また寝るの……? ……次元大介……みたいに……言って……」
アハハハ フフフ
ちひろ「頭の中身が前衛的過ぎませんかねこの人」
405: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/20(土) 20:58:09 ID:AQkdeQ8c
210
モバP「雪美さん……変わり果てた姿に……」
雪美「……?」
モバP「それは杏の”働いたら負け”Tシャツじゃないか」
雪美「ユニフォームとして……もらった……似合う……?」キラキラ
モバP「何のユニフォームだよ。似合うがさ。いや、似合っちゃいけないんだよ」
雪美「プリントシャツは……いろいろ……ある……」
モバP「結構ロクでもない類の標語とかキャラクターとか書かれた物も巷には多いな」
雪美「……これで……バンダナ巻いたら……ラーメン屋さん……」
モバP「さすがにこれ着て営業しているラーメン屋さんはないよ!?」
雪美「Pも……着たい……? 待って……」
モバP「待て待て脱ぐんじゃない。さすがにサイズが合わないから」
雪美「じゃあ……もう一つ、手に入れて……ペアルック……しよう……」
モバP「不健全なペアルックだなあ……」
ちひろ「違う意味でも不健全に見えますけどね」
407: ◆ORDERq/08U 2019/04/27(土) 23:07:55 ID:zKDApdpA
211
モバP「ただいま戻りました。すっかり夏ですね」
ちひろ「あらプロデューサーさん。ついこの前は春とか言っていたのに」
モバP「春と思えば夏が来て夏と思えば夏のまま、ですよ」
ちひろ「それは嫌だなあ……おや、顔に汗が」
モバP「日差しが強かったものですから」フゥ
雪美「……おつかれさま……」フキフキ
モバP「ありがとう雪美さん」
雪美「……P……暑がり……?」
モバP「ああ。体温調節力が人並以上って訳じゃないから気を付けないと自律神経失調症が怖い」
雪美「……暑がりなら……同じ……だね……」ニコ
モバP「じゃあ、一緒にシャワーでも浴びてきますか?」
雪美「賛成……」
ちひろ「流れるようにアウト」
408: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/27(土) 23:09:50 ID:zKDApdpA
212
モバP「日常の一風景」
モバP「モロッコヨーグルを食べる雪美さん」
雪美「……」アム
雪美「……ん」
雪美「…………んんん」ニマ
モバP「雪美さんは駄菓子も意外といけますよね」
雪美「……Pにも……はい」
モバP「……ん、良い味だな。ついでに間接キスをありがとう」
雪美「……?」
モバP「……そういうことはあまり気にしないのか。いや、何でもないよ」
雪美「そう……。……」アム
雪美「……次は……またPに……」ハイ
ちひろ「一口ずつ交互にとかナカガイイナー」
409: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/27(土) 23:11:10 ID:zKDApdpA
213
モバP「いよいよ元号が変わる……感慨深いですね」
ちひろ「そして世の中は十連休だそうで」
モバP「もっとも十連休を取得できる人が世にどれだけいるかは分かりませんがね」
ちひろ「我々はいつも通りですね」
モバP「長期休暇前に銀行から生活費を下ろしたり引き落とし分の入金は万全ですか?」
ちひろ「聞き飽きるほど聞いた注意喚起をしないでくださいよ」
ちひろ「というかもう連休に突入しているんですけど今更確認してもですねえ」
モバP「自分はちょっと必要な分のお金を下ろすのを忘れていました」
ちひろ「どうするんです?」
モバP「ちひろさん。コレ、少し貸していただけませんか? なんつって」
ちひろ「十日で十割で良ければ」
モバP「トジュウとは暴利を貪りますなあ」
410: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/27(土) 23:12:18 ID:zKDApdpA
モバP「まあそう来るとは分かっていましたよ。借りずにコツコツ日雇いのバイトでもします」
ちひろ「副業禁止ですよ」
モバP「なぬ!?」
ちひろ「なぬじゃないです」
モバP「いや、それも社会人ですから知っていますが……まあ、手数料払って普通に下ろせば済みますよね」
ちひろ「口座凍結していたら面白いのに」
モバP「とりあえず生活費は足りているんですよ。無いのはずばり遊ぶ金ですね」
ちひろ「プロデューサーさんの遊ぶ金は家族サービス的な意味ですからねえ」
モバP「のんびり競馬でも見に行ってみようかと思うんですよ」
ちひろ「ギャンブルですか。あなたにしては意外ですね」
モバP「この前の皐月賞で見たサートゥルナーリアの太い首が格好良いなーと」
ちひろ「首フェチ!?」
雪美「……P……たまに、首を触るのは……そういう……?」
411: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/27(土) 23:14:10 ID:zKDApdpA
214
モバP「夢ネタしつこいかもしれませんが」
朋「何?」
モバP「泥吐いたり虫吐いたり、最近何かを吐く夢をよく見る気がするんですよ」
朋「虫はデトックス、でも泥は隠し事をバラされてみんなから嫌われるメタファーね」
モバP「やだ怖い……やめてください……」
朋「Pの思想として悪い物を排出して身軽になりたいという意識があるのよ、きっと」
モバP「千と千尋の神隠しが思想形成に影響していそうだ。オクサレ様とか泥団子とか」
朋「そんなPの本日のラッキーアイテムは……雪美ちゃん!」
モバP「具体的すぎない? 星座占いの一つにラッキーアイテムが特定の人物とか」
朋「星座占いとは言ってない。P占いだから」
朋「さあ、幸運を味方につけて、今日も一日頑張っていくわよ!」
モバP「アイアイサー!」
自宅の雪美「……今日の占い……年上の異性と……相性良い……ふふ」
412: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/27(土) 23:15:56 ID:zKDApdpA
215
モバP「レイナ様」
麗奈「はいはいレイナサマよ。何かしらP?」
――
モバP「時子様」
時子「あら豚、殊勝にも躾けてほしいようね?」
――
モバP「雪美さま」
雪美「……」
雪美「……P……おすわり」
モバP「……くぅーん」
凛「……猫じゃなくて犬扱い!?」
奈緒「なんて三段オチだよ」
加蓮「あれで結構ノリノリという」
413: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/27(土) 23:17:11 ID:zKDApdpA
216
モバP「雪美よ」
雪美「……?」
モバP「その格好は一体何だね? おいちゃんに説明してみなさい」
ちひろ「おいちゃんって誰や」
雪美「……」キョトン
モバP「言わぬなら自分から言うぞ」
モバP「ポニーテールに大きなリボン、カットソー、キュロットがとても愛くるしい」
モバP「由詑かなみかな? 羨ましいぞ」
ちひろ「何が」
モバP「そんな服を着られて、しかも似合うことがだ!」
ちひろ「自分も着たかったのか……」
雪美「Pも……女の子に……なれば……」
414: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/27(土) 23:19:23 ID:zKDApdpA
モバP「まあ俺が自然の摂理を捻じ曲げてTS出来たとしても、年齢と身長肉体的に……」
ちひろ「ついでに若返らないとですね」
モバP「若いってええなあ……」
雪美「……私は……Pみたいに……大きく……なりたい……」
モバP「おっと話が逸れてすまない。雪美のその格好は誰が?」
ちひろ「久しぶりの私です」
モバP「GJ……結構そっち系の趣味がおありだったりするんですか?」
ちひろ「そっち系って何だよ」
モバP「でも良いですね。雪美がかなみなら自分はクーガーになりたいです」
ちひろ「カズマじゃないんかい」
モバP「では、せっかくなんで千秋に見せびらかしに行くか!」
雪美「……おー」
千秋「……クッ! この悪寒は……?」ゾクッ
415: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/27(土) 23:21:37 ID:zKDApdpA
217
モバP「雑誌を見ていたら”姉にしたいし妹にしたいアイドルランキング”というのが載っていました」
ちひろ「姉妹どっちの役も親近感あっていけるって貴重かもしれませんね」
雪美「……私だと……姉には……なれない……」
モバP「二十代向けのやつだからな。俺は雪美が姉でも一向に構わんが」
モバP「家族構成次第では年上の妹や年下の姉ができることだってあるしな(雪美がそうだとは言ってない)」
雪美「……年下なのに……姉……? ???」
ちひろ「例えばの話、プロデューサーさんが成人した莉嘉ちゃんと結婚したら、美嘉ちゃんは年下の義姉になります」
雪美「……」 ←分かったような分からないような
モバP「ちなみにランキングの1位はな……なんと……驚きの……」
雪美「……?」
ちひろ「誰ですか?」
モバP「高垣楓さんでした」
ちひろ「……あー……わかるわ」
417: ◆ORDERq/08U 2019/05/04(土) 18:53:28 ID:sd7B.CC2
218
モバP「雪美の変な写真を親御さんから預かって参りました」 エー
ちひろ「何の為に持ち出したんですか」
雪美「……そうだそうだ」
モバP「選挙のアピール材料にできないかとね。雪美には内緒ですまない」
雪美「……それで……何の……写真……?」
モバP「これですな」ピラッ
雪美「………………」
雪美「」プシュー
ちひろ「えっ、ちょっとどんな恥ずかしい写真ですか私にも見せてください」
モバP「食いつき良いですね……はい。布団で簀巻きになっている雪美さんのエレガントなお写真ですよ」
ちひろ「ああ~」
ちひろ「藤和エリオみたいですね。でも顔が隠れているので支援に使うには微妙ですねえ」
雪美「……返して……これは……だめ……///」 アッハイ
418: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/05/04(土) 18:55:26 ID:sd7B.CC2
219
モバP「日常の一風景」
モバP「マットで前転する雪美さん」
ピー
雪美「……いきます……」
ゴロンゴロンゴロン
雪美「はいっ……!」バッ
モバP「フィニッシュポーズが決まっていますね」パチパチパチ
雪美「……」キラキラ×2
モバP「半袖とハーフパンツの体操服も麗しい」
モバP「でも、さすがに髪はしっかりまとめて結んでいるか」
雪美「……体育で……長いと……大変……」
モバP「じゃあ次はこの跳び箱なんてどうです?」
ちひろ「その体育用具はどこから持ってきたんですかね?」
419: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/05/04(土) 18:59:29 ID:sd7B.CC2
220
雪美「……P」ヒシッ
モバP「……雪美」ヨシヨシ
ちひろ「人目を憚らずイチャつきおって」
モバP「しばらく会えないのでこうして。忙しい身はなかなか辛いものですよ」
雪美「……」
モバP「そうだ、俺がいない時の身代わりにこれをあげよう。チューインガムだ」
ちひろ「これまたテキトーな身代わりですね」
モバP「ところがどっこい、このチューインガムは特別でな。そのまま持っていても結構だが」
モバP「緑色になるまで噛んでから土に埋めると、なんとガムの木が生るんだ」
雪美「……ふふっ……もう……嘘ばかり……」
ちひろ「エルマーのぼうけんかな?」
モバP「晴にも一発で看破されたよ」
420: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/05/04(土) 19:06:44 ID:sd7B.CC2
雪美「P……いないと……さみしい……」
モバP「暫しの別れだが悲観せずとも良い。良い子で待っていろ」
雪美「……待ってる……だから……必ず……戻ってきて……」
モバP「ああ……約束するよ」
雪美「約束……重ねて……私とP……もっと……近く……」
モバP「幾重にも絡みついた糸の中にいるように、段々と離れられなくなっていくな」
ちひろ「……」イライラ
モバP「なお、あまり一つに依存しないように多角的に物事を見ることも大事ですね」
ちひろ「ですね」
雪美「……行ってらっしゃい……。おみやげ……忘れずに……」
モバP「行ってくるよ。グンマーとサイタマでの仕事にな」
ちひろ「そんなに遠くないじゃないですか。何を今生の別れみたいな寸劇やってるんですか」
雪美「……楽しいから……ねー?」 ネー?
ちひろ「……雪美ちゃんは可愛いから許す」
421: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/05/04(土) 19:10:53 ID:sd7B.CC2
221
モバP「♪♪♪」
ちひろ「おやまあえらく上機嫌ですね」
モバP「雪美が俺にお弁当を作ってきてくれまして♪」
ちひろ「いよいよもって内縁の妻か何かですか」
モバP「それだけで事実婚になるんだったら今頃何重婚ですか」
ちひろ「そういえば他のアイドルにも時々手作り弁当貰ってますね。爆ぜろ」
モバP「このお昼ごはんの時間が楽しみで楽しみで仕事が手につかないのなんの!」
ちひろ「道理でハッピー状態なんですね。爆ぜろ」
モバP「という訳で開けてみましょう玉手箱」パカッ
モバP「おおおお」
ちひろ「ご飯の上に鮭フレークでハートマークですか」
ちひろ「敢えて桜でんぶで来ない所が個性ですかね? この幸せ者め」
422: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/05/04(土) 19:12:58 ID:sd7B.CC2
モバP「……自分で自分の弁当を作る時はこういう凝り方しないですから、新鮮ですよね」
モバP「しかもハート。雪美の愛情が伝わってきますね。嬉しい、実に嬉しい」
ちひろ「良かったですね。爆ぜろ」
モバP「それに、鮭フレーク大好きなんですよ」
モバP「昔から好きなご飯のおかずベスト3は辛子明太子・鶏そぼろ・鮭フレークですからね」
ちひろ「男の子してますね」
ちひろ「ほう……野菜も肉も簡単ではありながら彩り豊か。そして玉子焼き」
モバP「玉子焼きは定番ですね。これ一品でランチタイムの満足感が一気に上がりますよ」
モバP「果たして雪美は甘い派でしょうか甘くない派でしょうか。これは楽しみな一番です」
ちひろ「そして別の容器にデザートまで。ああ妬ましい」
モバP「イチゴですね。一から十まで手を抜かない構成、グッドです」
モバP「じゃ、ワシは食べます。悪く思わんでください!」
ちひろ「では私は外でヘビーなロブスターでも食べてきてやりますよ」
モバP「豪勢だなあ。いただきます」パチ
423: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/05/04(土) 19:14:43 ID:sd7B.CC2
――
モバP「雪美」
雪美「……?」
モバP「お弁当、ごちそうさま。とても美味しかったよ」
雪美「……良かった……」クス
モバP「また、時間がある時で良いから雪美の手作りが食べたいな」
雪美「今度は……二人で……出かけた時に……」
モバP「お弁当を作ってピクニックか……良いな。行楽にはちょうど今くらいが良いし」
雪美「……花嫁修業……にもなる……」ボソリ
モバP「え? なんだって?」
雪美「……何でも……ない」
モバP「まあ聞こえているんですがね」
雪美「……もう……ふふっ」
424: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/05/04(土) 19:17:30 ID:sd7B.CC2
222
モバP「がさつで当たりが強い関西弁の少女って良いと思いませんか。猿柿ひよ里みたいな」
ちひろ「ストライクな属性のデパートですかあなたは」
雪美「……」
ちひろ「しかもそれを雪美ちゃんを膝に乗せた上で平然と言っちゃうんですから」
モバP「それだけ信頼しているしされているということです。手は今ちょっとニギニギされていますが」
雪美「……」ボー
ちひろ「はいはいごちそうさま」
ちひろ「所属アイドルにはいないタイプですね。関西弁でなければ……失礼ですけど、巴ちゃんとか?」
モバP「巴とか晴とか、分かるんですがやっぱり何かクールなんですよね、基本」
ちひろ「何ですか、そういうツンな子を自分色に染めたい的な願望でもおありで?」
モバP「いや、染めずにそのまま戯れたいですね。罵声貰ったり噛みつかれたりしながら」
ちひろ「好き者ですね全く」
雪美「……P……なでて……ほしい……」 ハイヨ
425: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/05/04(土) 19:21:10 ID:sd7B.CC2
223
モバP「事務所に爆弾が仕掛けられるなんて、こんなことってあるかよ」
雪美「……」
モバP「それも俺と雪美だけ取り残されて……晶葉の電話指示で解除は進めてきたが」
カチ カチ カチ
モバP「……最後に青い導線と赤い導線が残ってしまった。これは晶葉に聞いても分からない」
モバP「残り時間は3分46秒……もう悩んでいる時間はないが」
雪美「……P……」
モバP「赤にするか……」
雪美「……Pと……繋がっている……赤い糸……切る……の?」
モバP「……ううむ」
モバP「ヒントとして犯人らしき人物の置手紙があるが、”青を切れ”――これは罠かもしれない」
朋『Pの今日のラッキーカラーは赤ね!』
モバP「今朝、朋はそう言っていた。ラッキーカラーを切るのが正解か切らないのが正解か」
426: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/05/04(土) 19:23:17 ID:sd7B.CC2
カチ カチ カチ
モバP「ダメだ……運の二択に失敗は再送じゃ済まん。どうしたら……」
モバP「……雪美」
雪美「……?」
モバP「雪美の好きな色は何色だ?」
雪美「…………ピンク……」
モバP「探してもピンクはどこにも無いんだ、すまない」
モバP「青と赤ならどちらの方が好きだ?」
雪美「青と赤……両方好き……選ぶことなんて……できない……」
モバP「……」
雪美「……」
カチ カチ カチ
427: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/05/04(土) 19:25:43 ID:sd7B.CC2
モバP「……分かった」
雪美「……?」
モバP「どちらも切らない」
雪美「でも……それだと……爆発……する……」
モバP「俺も蒼と紅、どちらも好きだからな。これが凛とまゆだとしたら、どちらも切れん」
雪美「……P……」
モバP「優柔不断でごめんな。でも俺は第三の選択をしてみることにするよ」
雪美「……分かった……最後まで……付いて行く……」ギュッ
カチ カチ カチ ピー!
――
晶葉「バーチャルテスト終了だ。お疲れ様、P」
モバP「それで、バーチャルとは言っても結局正解は何だったんだ?」
晶葉「そんなものはないぞ。あの時限爆弾は偽物、という設定だからな」
モバP「なんだ……まあ爆発オチなんてサイテーだからね」 ソウイウコトダ
428: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/05/04(土) 19:27:00 ID:sd7B.CC2
224
雪美「……」プクプク
モバP「雪美さんがシャボン玉を吹いている」
プカプカ
モバP「辺り一面シャボン玉――ティーンや大人ではまず見かけない微笑ましい光景よ」
雪美「……」プクーッ
モバP「おお、大きい」
モバP「ファンタジーの世界なら大きなシャボン玉に包まれた人が空に浮かんだりするが」
ポテン
コロコロコロ
モバP「浮かばないし割れなかった」
雪美「……? ……P…………見た……?」
モバP「えっ、見ちゃいけないものだった?」
雪美「……バルーン……触ってみる……?」 エッ サワッテイイノ?
429: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/05/04(土) 19:31:25 ID:sd7B.CC2
225
モバP「出会った頃の雪美は大変でしたよ」
ちひろ「どんな所が?」
モバP「異性に抱き着かれるとね、猫になっちゃうんですよ」
ちひろ「フルーツバスケットの物の怪憑きかな?」
モバP「契りを交わしたおかげで呪いは解けて今のように膝に乗せても平気になりましたがね」
雪美「……」(*゜-゜*)
ちひろ「つくならもうちょっとまともな嘘をつきましょうね」
モバP「今でもたまにこうやって耳生えたりしますが」サッ
Λ....Λ
雪美「……」(*゜-゜*)
ちひろ「咄嗟に猫耳カチューシャ被せて言いなさんな」
モバP「いやいや、耳だけでなく尻尾も――」パシッ
ちひろ「雪美ちゃんのどこに触ろうとしてるんですか」
432: ◆ORDERq/08U 2019/05/11(土) 23:23:32 ID:U88oW3Mo
226
雪美「……すー、すー」
モバP「晩春のお昼寝、か。実に幸せそうな寝顔をしておる」
雪美「……」コロン
モバP「おっと、こっちに寝返りを打ってきた」
雪美「……」バフッ
モバP「そんなに密着して大丈夫か? 息苦しくならないか?」
雪美「……」ダキッ
モバP「抱き枕に全身埋めているようなものかね? 俺なんてそんなに柔らかくないのにな」
雪美「……」スリスリ
モバP「起きてるな貴様」
雪美「……残念……ばれたか……」
ちひろ「春眠暁を覚えず」
433: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/05/11(土) 23:24:58 ID:U88oW3Mo
227
モバP「日常の一風景」
モバP「割烹着を着た雪美さん」
雪美「……」キラキラ
モバP「雪美さんは結構和装のお仕事が多いが、やっぱり似合うんですねぇ」
雪美「……そうだとしたら……うれしい……」
モバP「ハハハ、自信を持って良いぞ! 雪美はどこに出しても恥ずかしくないアイドルだ」
雪美「……うん……!」
モバP「それにしても割烹着は昭和のお母さん的なイメージが乗る。雪美も少し大人びて見えるな」
雪美「……これで……ひざに乗ったら……少し……変……?」
モバP「お母さんを膝の上に乗せると考えると……」
雪美「……?」
モバP「少し新鮮だな!」
ちひろ「やだアブノーマル」
434: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/05/11(土) 23:28:11 ID:U88oW3Mo
228
モバP「思えば、杏はよく俺の相談に乗ってくれるよなあ」
杏「感謝したまえ」
モバP「気分が悪ければ休みなさい、横になってなさいと言ってくれるし」
杏「働き過ぎは良くないからね」
モバP「ちょっとした心のケアもしてくれるし」
杏「話を聞くだけだけどねー」
杏「って杏は保健室の先生じゃないぞ」
モバP「でも他のアイドルからもそういう所、割と頼られているでしょ?」
杏「……そういえばそうかなぁ」
モバP「自覚がないということはごく自然にやっているということか」
杏「プロデューサーの話は割と聞き流しているよ」
杏「杏は自分のことで手一杯なのさ。親身に付き合うなんてないない」
モバP「とか言いつつこうして二人でキャンディブレークしてるがな」
435: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/05/11(土) 23:30:12 ID:U88oW3Mo
杏「プロデューサーの飴チョイスが絶妙だからついつい釣られるんだよねー」
杏「何だかいつも見たことない知らない飴をくれるよね。どこで見つけてくるのさ?」
モバP「コーヒーと輸入食材の店とかだな。海外のお菓子がズラッと並んでいて楽しいぞ」
モバP「暇な時はそういう場所によくいるのが俺だからな」
杏「えー、良いなー」
モバP「ちなみに玩具売り場のレゴブロックのコーナーなんかもそこだけ欧米の空気感があって好きよ」
杏「でも積極的に海外に行きたい訳じゃないんだね」
モバP「一庶民としてぼんやりと憧れているくらいが一番楽しい気がするんよ」
杏「……賛成しかねるようなちょっと分かるような」
雪美「……P……ちひろさんが……呼んでいる……」
モバP「おっと、休憩も終わりか。ほいじゃ、お互いもうひと頑張りと行きましょうか」
杏「いや、杏は頑張らないけど」
雪美「……」
杏「まあ少しは頑張るよ、うん」
436: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/05/11(土) 23:31:58 ID:U88oW3Mo
229
モバP「GW明けたし働くぞ働くぞ働くぞ」
ちひろ「ワーカホリックかな」
モバP「世の中には仕事してないと落ち着かない、休むと不安になるって人もいるようですね」
ちひろ「並行世界のあなたのことかもしれませんよ」
モバP「何を仰います、仕事人間になりきれない従順な社畜とは私のことですよ?」
ちひろ「収まりが悪い社畜ですね……まあ休日も有って無かったようなものですしね」
モバP「業界人はその分、ちょっと遅めのGWとか休暇を取られる方もいますね」
ちひろ「アナウンサーとか一週間ほど普段と違う人が入ったりしますね」
モバP「自分も一週間くらい代理立てても良いですかね」
ちひろ「一週間経って帰って来たらすっかり立場乗っ取られていたりして」
モバP「こわやこわや」
437: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/05/11(土) 23:34:31 ID:U88oW3Mo
ちひろ「で、あなたの代理とは? Y内さんとかT内さんみたいな名字ですか?」
モバP「いえ、池袋博士が作ったロボットですね。人工知能搭載ですがベースは自分と同じくらいです」
ちひろ「さすが21世紀だなあ」
モバP「今は研究室でメンテナンス中なのでお見せできませんが、ちなみに雪美型もいますよ」ハイ
ヤァ
ちひろ「何ですかこの茶筒に目と手と足が生えたメカ沢くんみたいな何かは」
モバP「雪美の影武者です」
ちひろ「それは無理があるやろ。手乗りサイズですし」
ワタシ……ココニイル…… キコキコ
モバP「ほら、実に雪美でしょう?」
ちひろ「それを雪美ちゃんと言い張るのはやめましょう」
雪美「……」ジーッ
438: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/05/11(土) 23:36:24 ID:U88oW3Mo
モバP「おっ! 雪美サンテレビ」
ちひろ「何じゃそりゃ」
……
雪美「……」
ワタシジャナイ!
雪美「……私の……そっくりさん……」
ちひろ「いやおかしいですから! 既に雪美ちゃんが言わないようなこと喋ってますし!」
モバP「感動的な邂逅だな」ウンウン
ちひろ「分かったように頷くな」
カタカタカタカタ カタッ
雪美「……? P……、止まった……」
モバP「この子はゼンマイ式だから背中のネジを回してあげればまた動くぞ」 ワカッタ
ちひろ「くそぅ、二人して私をからかってる気がする……!」
439: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/05/11(土) 23:38:04 ID:U88oW3Mo
230
モバP「にゃんみくってさ、かつお節は大丈夫なんでしょ?」
みく「ニャンポコみたいに言わないの」
みく「そりゃあ、お好み焼きやたこ焼きにだって入っているもん」
モバP「最近ね、高菜チャーハンにかつお節をかけて食べると美味しいことが分かったんだ」
みく「Pチャンはシンプルなご飯が好きだにゃあ」
モバP「で、今度みくにひとつ、かつお節を使った料理を作ってほしいと思いまして」
みく「良いけど……でも何でまたかつお節にゃ?」
モバP「乾物は長持ちするからか贈答品や仕送りで結構貰う割に、俺こんななんで余らせていまして」
みく「なるほど」
モバP「で、かつお節と言えばねこまんま、ねこまんまと言えば一緒にねこまんま食べたいアイドルのみくを誘おうと」
みく「変なものにノミネートしないでよ」
440: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/05/11(土) 23:39:33 ID:U88oW3Mo
モバP「ちなみに雪美は一緒にツナマヨトーストを齧りたいアイドルです」
雪美「……わたしです」エッヘン
みく「嫁さんにも変なことを吹き込みまくるのはやめようね!」
モバP「そういやみく、元々はご飯奢るって話だったのがいつのまにかご飯作るにすり替わっているな」
みく「Pチャンにご飯奢るのは何か違うと思ったの」
モバP「未成年年下にご飯を奢られるのもなかなか格好つかないものではあるからな」
みく「アイドルをまとめるプロデューサーだからね」
モバP「まあご飯を作って胃袋から掌握するやら餌付けするやらってのもされる側の格好がつくかは別の話」
みく「でもそういう姉さん女房はいるにゃ」
モバP「雪美もある意味では心の姉さん女房みたいなものでもあるんだよね」
雪美「……そうなの?」
モバP「そうです」
みく「それはどうかと思うよ?」
441: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/05/11(土) 23:40:51 ID:U88oW3Mo
231
モバP「……」
雪美「……」
モバP「雪美、今日こそどちらが立場が上かはっきりさせようじゃないか」
雪美「……のぞむところ」
モバP「いざ、勝負!」
――
ポスン
雪美「……これで……34勝……6敗……」
モバP「……俺の勝率1割5分か……雪美さんには敵わないなあ」
ちひろ「また負けたのか」
ちひろ「まあ、大の大人が本気出す訳にもいかないでしょうけど」
モバP「分かっていても男には勝負しないといけない時があるんですよ」
ちひろ「でもちょっと男の勝負を安売りしすぎじゃないですか?」
442: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/05/11(土) 23:43:30 ID:U88oW3Mo
232
モバP「ほれほれ」フリフリ
ペロ「ウニャッ!」ガバッ
モバP「おあっ! ……まただ、おかしいなあ」
雪美「P……どうしたの?」
モバP「いや、ペロの前で猫じゃらしを振ってみるんだがな」
モバP「このようにじゃれてくれずに俺の腕に巻きついてしまうんだ」
ペロ「ニャー」
雪美「…………」
雪美「……P……変な……暗示をかけてる……」
モバP「そんなことは意図していないぞ? ただこうやって普通に振ってさ」フリフリ
雪美「……P……!」ガバッ
モバP「って、雪美までどうした抱き着いてきて」 スリスリ
ちひろ「偶然暗示をかけてしまうって危ないですねこれ」
444: ◆ORDERq/08U 2019/05/18(土) 23:27:57 ID:TKRSzp4g
233
モバP「おう雪美さん、いないと思ったらこんな所に」
雪美「……P……また……見つけてくれた……」
モバP「だが、探してもらう為に隠れていた訳じゃないんだろう?」
雪美「……」コクン
モバP「隣に失礼しますよっと……狭くてごめんね」
雪美「……かましまへん……」
モバP「……」ホー
モバP「なるほど。雪美さんは暑いと涼しい場所を、寒いと温かい場所を見つけるのが上手いな」
雪美「……私の……得意技……」
モバP「まるで猫みたいだ」
雪美「猫だ……にゃー」
ちひろ「若干一名、たむろしてタバコ吸ってるヤンキーみたいな座り方してますね」
445: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/05/18(土) 23:28:46 ID:TKRSzp4g
234
モバP「仕事する」
雪美「……一休みする」
モバP「そして仕事する」
雪美「……遊ぶ」
モバP「更に頑張って仕事を片づける」
雪美「……デート、する」
モバP「うん、実に健全な日々だ」
ちひろ「結構コンプライアンスがクライシスだと思いますけど」
モバP「逆に考えればメリハリをつけることでこれ以上爛れなくて済んでいるのでは」
雪美「ただれると……どうなるの……?」
モバP「二人の世界に閉じこもって他を顧みなくなったりするかもな」
ちひろ「今でも結構一心同体でしょうあなたたち」
446: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/05/18(土) 23:29:33 ID:TKRSzp4g
235
モバP(普段通る道が工事で通行止めときた)
モバP(急いではいないんでちょっと遠回りして行くか……ん?)
モバP(おや、ここの壁にぎりぎり通れそうな穴が……)
モバP(って、通る訳ないだろ。こんな分かりやすいトラップあるか。閊えるのがオチだ)
――
モバP(ほう……こっちの通りはあまり通らなかったが……良いな)
モバP(小さな店が出来ている……ケーキ屋さんかな? 外観はなかなか良い雰囲気だ)
モバP「へぇ~」
モバP(おっ、フェラーリが停まっているな。くぅ~、憧れるなあ)
モバP(運転したいかどうかは別として、見た目がやっぱり心を掴んでくるね)
モバP(あの丸いテールランプ……)
モバP(怪しい人みたいになるのでジロジロ見たりはしないが)
447: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/05/18(土) 23:30:58 ID:TKRSzp4g
モバP(おや、女の子が立っている)
モバP(雪美に何となく雰囲気が似ているな。……雪美と触れ合いすぎて認識までジャックされている?)
モバP(変なことを考えていないで行くか)
少女「……あの」
モバP「……はい?」
少女「……が、いつも……お世話になっています」
モバP「……??」
少女「……今度は……私とも……遊びましょう……?」
――
モバP「……事務所に来る前のあれは何だったんだろう? 人違いって雰囲気ではなかったが」
ペロ「ウニャー」スリスリ
モバP「おっ、ペロ。どうした? いつになく甘えてきて」
雪美「……好きな人を……褒められて……うれしい……って……」
448: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/05/18(土) 23:31:44 ID:TKRSzp4g
236
ガチャ
ちひろ「プロデューサーさん、休むだなんて一体どうしたんですか? 様子を見に来ま――」
グニャア
ちひろ「あっ、SUN値とヒューム値がピンチだ」
モバP「テケリ・リ」
ちひろ「ああ、なんてこと。黒ずんだスライム化してるじゃないですか。目も口もどれがどれやら」
雪美「……」
ちひろ「雪美ちゃんも一緒ですか。これは、どういうことです?」
雪美「闇に飲まれて……いる……」
ちひろ「これ以上ない説明をありがとうございます」
ちひろ「冷静を装っている私が言うのも何ですけど……この状態で平然として見える雪美ちゃんが怖い」
モバP「テケリ・リ、テケリ・リ」
449: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/05/18(土) 23:32:30 ID:TKRSzp4g
雪美「……P……ちょっと……頑張り過ぎた……だけ……」
雪美「……だから……大丈夫……」
ヌチャ
ちひろ「……!」
雪美「……元に戻るまで……私が……そばにいる……」ダキッ
モバP「……」フシュルルル
ちひろ「ああ……これが……無償の愛、ですか……」
ちひろ「触手が雪美ちゃんを包み込んで……っっ」ゾクゾク
――
ちひろ「雪美ちゃんは、プロデューサーさんがどんな姿になっても、拒絶しないでしょうか?」
モバP「どんな姿とは?」
ちひろ「それはもう冒涜的な」
モバP「……変な夢でも見たんですか?」 ゴメイトウデス
450: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/05/18(土) 23:34:02 ID:TKRSzp4g
237
モバP「ピクルスを使ってハンバーガーを作るのに最近ハマっていましてねえ」
ちひろ「美味しいですよね、ピクルス」
モバP「あの酸味が良いですね。最初食べた時は外国原産の食材かと思いましたが、キュウリでした」
ちひろ「でもピクルスって酢漬け野菜という意味みたいですね。キュウリのイメージが強いですけど」
モバP「その点は浅漬けと似ているかもしれませんね。大根やニンジンを使ったりもして」
ちひろ「で、他には何を挟むんです?」
モバP「シンプルにパティ、レタス、トマトですか。PLTサンドです。ピクルス入れたらPPLT」
ちひろ「PPAPじゃないんですから」
雪美「Pの、ハンバーガー……おいしかった……」
モバP「材料費と人件費他を考えたらこれ一個いくらで売れるかな? なんて話をしながら家で作ったな」
雪美「……300円……くらい……?」
ちひろ「小学生とする話にしては現実的過ぎる」
451: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/05/18(土) 23:35:25 ID:TKRSzp4g
238
モバP「ここにドクロマークの描かれた青い液体の入ったフラスコが置いてあるのは何ですか?」
ちひろ「他人からの好感度をゼロにする薬です――と言ったらどうします?」
モバP「物騒ですね」
ちひろ「まあゼロなんで嫌いになる訳ではなく、初対面状態にリセットされるだけですけど」
モバP「いずれにせよ飲みませんよ。そんな都合の塊みたいな薬を飲んだら頭が正常作用しなくなりそうです」
ちひろ「信じていないんですね。信じられるなら、飲みますか?」
モバP「メリットが無いです……でも、周りが仮に好感度マイナスな人だらけなら良いのか」
モバP「そもそも好感度なんてものが共通で数値化できるものなのか」
ちひろ「人間が想像できることは、人間が必ず実現できる――ジュール・ヴェルヌ」
モバP「で、本当は何の薬品ですか?」
ちひろ「新しいエナジードリンクの試作品です。志希ちゃん共同開発で」
モバP「それでこの見た目は遊び心あるなあ」
452: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/05/18(土) 23:36:05 ID:TKRSzp4g
ちひろ「で、飲んでみます? 勿論毒じゃありませんけど、強制はしませんよ」
モバP「それならば飲んでみます」
ゴクゴク
モバP「んー……いつものよりは甘酸っぱくて良い感じですね……ん?」クラッ
バタン
――
雪美「……P……起きて……」
モバP「……ん……おう……ああ、いつの間にかすっかり寝てしまっていたようだ」
モバP「んん~……雪美が起こしてくれたおかげで最高の寝起きさ。体も軽い」
雪美「……」
モバP「どうした?」
雪美「……別に……。……早く……行こう……」
モバP「お、何か意味深だな――って、待ってくれよ~」
ちひろ「プロデューサーさんは、一人じゃないですからね」
453: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/05/18(土) 23:37:01 ID:TKRSzp4g
239
雪美「……」
モバP「……」
雪美「……P……起きて……」
モバP「……」
雪美「……」
雪美「……目を……覚まして……」
モバP「……」
雪美「…………」
雪美「…………好き、だから……大好きだから……約束……したのに……こんなの……いや……」ギュッ
モバP「そこまで言われたら起きるぜ」
雪美「! ……はぁ……そこで起きたら……練習に……ならない……」メッ
ちひろ「現金な奴だ」
454: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/05/18(土) 23:39:16 ID:TKRSzp4g
240
モバP(今日は雪美は両親と水入らずの時間を過ごしている)
モバP(俺は夜からは会社に戻らないといけないが、今は家で一人で夕飯の支度だ)
モバP「……エビフライ」
ジュワジュワジュワ
七海「タルタルソース~」
シャカシャカ
茜「キャベツの千切り!」
トントントントントントントントン
モバP(今は家で一人で夕飯の支度だ――ったはずなのに気づいたらアイドルが来ている)
モバP「何か、ありがてえなあ」
七海「どうかしたんれすか~? はい、レモンとトマトも切っておきました!」キラキラ
茜「今夜はエビフライだと聞いて黙っていられずに来ました! お腹が空きませんか? 空腹は最高の調味料ですねっ!」ドバーン!
モバP「でも君たちエビフライってキャラだっけ?」 ウミノサチレスカラ セヤナー
457: ◆ORDERq/08U 2019/05/25(土) 22:33:27 ID:YOTPOx1o
241
雪美「……」ボー
モバP「……」ポケー
ちひろ「選挙が終わり雪美ちゃん大躍進というのに、燃え尽きですか?」
モバP「五月病です」
ちひろ「そうですか」
ちひろ「……くたびれたマリオ的な?」
モバP「懐かしいですね。あんなに絵が上手になりたいものです」
ちひろ「私たち、ただでさえ仕事をしているシーンがあまりなく雑談ばかりしている風に見えますし、もう少しやる気を出せませんか?」
モバP「メタなこと言わないでくださいよ」
雪美「……やる気……出す……」
ビシッ! クタッ ビシッ! クタッ
モバP「雪美さんが膝の上でストレッチを始めましたね」
ちひろ「とりあえずお二人は分離する所から始めませんかね?」
458: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/05/25(土) 22:34:52 ID:YOTPOx1o
242
雪美「P……」コッチコッチ
モバP「おや、何かな雪美さん」
雪美「耳……貸して……」
モバP「内緒話かな?」スッ
雪美「……」コショコショコショ
モバP「……っっ!」ゾクゾクッ
雪美「……!?」
モバP「おおう、驚かせてすまない。雪美の声があまりに透き通っていて身震いした」
雪美「……話は……聞いていた……?」
モバP「すまん、もう一回言ってくれ」
雪美「……」コショコショコショ
モバP「……っっ!」ゾクゾクッ
ちひろ「いつから君らはコントをするようになったのかなあ」
459: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/05/25(土) 22:43:29 ID:YOTPOx1o
243
モバP「ちひろさんちひろさん」
ちひろ「その話しかけ方は若干気になりますけど何ですか」
モバP「5月23日ってキスの日なんですね。奏に教えてもらうまで忘れていました」
ちひろ「覚えていたらプロデューサーさん、アイドルにちょっかいをかけていたでしょうから良かったです」
モバP「いや、さすがに”なのでフリーキスしましょう”なんてことはやりませんよ」
ちひろ「あなたはこのドリンクの飲み口とキスをしていてくださいな。フリーではありませんけどね」
モバP「ちひろさんは厳しいや。いただきます」
ちひろ「どうぞ」
キュリッ ゴクゴクゴク
モバP「うん、おいしい!」
ちひろ「暑くなってくると喉が渇きますからね」
460: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/05/25(土) 22:44:48 ID:YOTPOx1o
雪美「……P……私のも……ふた……開けて……」
モバP「雪美も一本飲むのかな? と思ったら違うようで」
モバP「ジャムの蓋か。待ってろ、こんなのはちょちょいと……ぬぐぐぐぐ」
ちひろ「何で事務所でジャムの蓋を開けるようなことになっているんでしょう?」
モバP「しょうがない、滑り止めにハンカチを使うか」
カポッ
モバP「開いたぞ」
雪美「……ありがとう……」
雪美「これは……お礼……」チュッ
モバP「」
ちひろ「」
雪美「……また……ね……」
モバP「…………相手から頂いたのでこれはセーフですねえ」
ちひろ「私は何も見ていない」
461: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/05/25(土) 22:50:43 ID:YOTPOx1o
244
モバP「ファイナルファンタジーのイベントで未央がⅧのガーデン制服を着ることになった」
モバP「……学校が採用している制服としてはミニスカ過ぎねえか?」
未央「私は慣れている方だけど、これはなかなか……鉄壁スカート技術が要りますなあ」
モバP「あれは技術なのか……まあスカートで踊るアイドルなんかは不必要に捲れないような動き方ってのはあるよな」
未央「そこはプロとしてね」グッ
モバP「よっ、本田プロ」
未央「何か女子ゴルフみたいな響きだなあ」
モバP「まあモデルとなっているセルフィは私服もミニな訳で、何ともね」
モバP「だが未央とはイメージカラーも髪型も若干近い所があるね」
未央「うん! だからしっかりセルフィやるよ~! ヌンチャクだってこの通り!」クルクル
雪美「……おおお……!」
462: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/05/25(土) 22:53:19 ID:YOTPOx1o
モバP「そして美波はSeeD服か。こっちは少しスカートの丈が長いんだよね」
美波「うふふ、似合います?」
モバP「ああ。でも何かシュウ先輩っぽい雰囲気が出ているな」
美波「先輩、かぁ……良い響きですね」
美波「でも、なれるのであれば、人並に弱さも見せられる先生も良いものですね」
モバP「分かるぞ。キスティスか……美波が先生なんてその生徒が羨ましいが」
美波「もしプロデューサーさんも生徒なら私に、壁にでも話してろよ、とは言わないでしょうね?」
モバP「俺が壁だ」ドン!
美波「あら、良い壁♪」
雪美「カッコいい……!」
モバP「雪美もいつかは制服やこのスーツのような服がフィットするようになる時が来るのかしら」
美波「作中では年少の子は制服を着ていないようですからね」
雪美「……今でも……ガールスカウト……くらいなら……似合う……」フンス
463: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/05/25(土) 22:59:11 ID:YOTPOx1o
モバP「そしてアーニャは風神か。クールの塊ですね」
アナスタシア「хорошо……そうですか?」
モバP「見ているこっちはСпасибоだがな」
アナスタシア「そういうもの……ですかね」
モバP「眼帯は気にならない?」
アナスタシア「Да……でも、蘭子は、目を輝かせていました」
モバP「邪王心眼的な何かかと思ったのかな?」
モバP「しかし、こういう本来非攻略対象のサブヒロインやライバルヒロインが味を出してる作品は良いな」
モバP「例えばアマガミの塚原響やポケモンのムサシに根強いファンがいるように」
美波「一方、プロデューサーさんは私たちの攻略対象ですけど、ね」スッ
アナスタシア「Я согласна」ギュッ
未央「輝く星になるまで、私のことも見ていてくれないとダメだよー? えへへっ」ダキッ
モバP「しまった、囲まれた!」
雪美「……にげる」ササーッ アッマッテユキミサーン
464: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/05/25(土) 23:02:44 ID:YOTPOx1o
245
モバP「瓶ピクルスを見ていると、皮を剥いたキュウリがぎっしり漬けてあるじゃないですか」
ちひろ「パッと見はワーム的な生物のホルマリン漬け感はありますよね」
モバP「それがよくよく考えると何か言い知れぬ恐怖を感じます」
ちひろ「プロデューサーさんには懐かしい光景なんじゃないですか?」
モバP「ああ、僕は培養槽生まれのクローンですからね――って違うわ!」
モバP「何か動き出したりしそうじゃありませんか?」
ちひろ「結構妄想力逞しいですね。教室で授業受けていたらテロリストがとか考えていませんでした?」
モバP「あり得ないような活躍でテロリストをとっ捕まえてヒーローになりたい願望でしょう?」
モバP「現実的には淫らな行為や銃乱射の被害者という凄惨なことにしかならない気がします」
モバP「で、同級生が犠牲になるのを間近で見たPTSDで、何も出来なかった自分の無力感に打ちのめされて――」
ちひろ「暗い! 今日はやけにネガティブじゃないですか?」
モバP「元々はそういう性格でしたよ。雪美に出会って変わりましたがね」
ちひろ「一体どこに変わる要素を見出したんだろう……?」
465: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/05/25(土) 23:10:52 ID:YOTPOx1o
246
モバP「運動会とか体育祭のシーズンですね。アイドルからそんな話をよく聞きます」
ちひろ「最近は気温が高いですから大変でしょうね」
モバP「自分の時はまだ秋開催でしたが、日中は結構日差しも強いですからね」
雪美「……」チョコン
ちひろ「雪美ちゃんも膝の上でややお疲れ気味ですか」
モバP「当時は暑くて自分たちばかり苦労したような気でしたが、今思えば」
モバP「当日のテントや連続旗や入場門の設営をしてくれる方々がいたことに感謝です」
ちひろ「アイチャレ大運動会等のイベントにも言えるかもしれませんね」
モバP「ですが、運動会モードの雪美も見てみたいですね。頭にハチマキしてね、クルーネックのシャツとブルマで」
雪美「……?」
ちひろ「小学生の雪美ちゃんにブルマなんてこのプロデューサー筋金入りである」
モバP「短パンでも良いです(震え声)」
雪美「……学校のは……ハーフパンツ……」 デスヨネー
466: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/05/25(土) 23:17:22 ID:YOTPOx1o
247
モバP「人も物も外見をちょっと飾るとあら不思議、一気に高級感がってのはよくある話でして」
芳乃「でしてー?」
モバP「本日はお仕事を頑張ったご褒美として、みなさまのためにぃ~、こんなお菓子をご用意しました」
モバP「瓶プリンです」
雪美「……びん……!」
こずえ「びん……?」
芳乃「これはまことに高級品ですねー。そのようなものをそなたから頂いてもよろしいのでー?」
モバP「笑顔と引き替えならお釣りが来るぜ。遠慮しないでどうぞ」
こずえ「いただきまーす」アム
こずえ「んん~……おいしいよぉー、ぷろでゅーさー」ニコ
雪美「……いつもと……違う……ふしぎ……」ニコニコ
モバP「良い笑顔いただきましたー!」
467: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/05/25(土) 23:26:20 ID:YOTPOx1o
芳乃「では、わたくしもー」パクッ
芳乃「……!」
ゴクン
芳乃「……瓶……恐るべし……なのでしてー」トロン
モバP「良かった、限定品でこれだけしか買えなかったんだ。みんなには内緒な?」
こずえ・雪美「……はーい」
芳乃「なんとー、そなたの分も無いではありませぬかー」
モバP「俺は別にいいんだ。ほら、さっさと食っちまいな」タハハ
芳乃「わたくしの分を一口あげますゆえー、そなたも笑ってくださいませー」
雪美「私のも……あげる……。苦笑いは……ダメ……」
こずえ「こずえもー。ぷろでゅーさーは……さいごにわらわなきゃ、いけないんだよー?」
モバP「芳乃、雪美、こずえ……お前ら何て優しいんだ」ホロリ
ハイ、アーン キャッキャ
ちひろ「でも私の分はしっかり確保してくれているのがずるいなあ。……おいしい」
468: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/05/25(土) 23:27:15 ID:YOTPOx1o
おまけ3
モバP「ところでSUN値って何です? SAN値なら知ってますが」
ちひろ「ぷよぷよSUNのゲージでしょ(適当)」
モバP「太陽ぷよを消すんですね。紗南とレトロゲームを漁っている時に見ました」
モバP「ドラコケンタウロスみたいなスポーティーなハイネックビキニが似合う娘いないかなあ」
ちひろ「どうせ私は似合いませんけどね」
モバP「んなこたー言っとらんです」
おまけ4
雪美「……」クンクン
プイッ
モバP「雪美はスタドリエナドリ系には興味を示しませんね」
ちひろ「味や匂いの若干のケミカルさはどうしても隠せませんからねえ」
モバP「……普通の人に飲ませちゃいけないものなんじゃないですよね?」 マサカー
470: ◆ORDERq/08U 2019/06/01(土) 21:50:57 ID:BDWeJsEk
248
モバP「雪美さんワンシーン」
サラサラサラ
雪美「……」ジーッ
サラサラサラ
雪美「……」ジーッ
サラッ
雪美「……」
雪美「……」チラッ
モバP「砂時計の砂が落ちきって何か訴えかけるように俺に視線を向ける雪美さん」
モバP「そういう何気ない仕草が好きなんです」
雪美「……」ツンツン
ちひろ「雪美ちゃんの気持ち、ちゃんと伝わっていますか?」
471: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/06/01(土) 21:54:32 ID:BDWeJsEk
249
雪美「Pの……ワンシーン……」
モバP「あっ、くしゃみ出そう」
モバP「は……は……は……っ」
モバP「……」
モバP「……はー」
モバP「うう、出そうで出ないと何か気持ち悪い」
モバP「…………」
モバP「………………」
モバP「ふぇっくしゅっ!!」
ビクッ ガタッ フニャッ!?
雪美「……びっくりした……でも……かわいい」
ちひろ「プロデューサーさんの気持ちは分からんなあ」 フェックシュ!
472: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/06/01(土) 22:00:28 ID:BDWeJsEk
250
モバP「雪美はお手玉が上手だな。実に器用だ」
雪美「……ん」ポンッ ポンッ ポンッ
モバP「自分はどうも上手くできない。特に高さ調整?」
雪美「……?」ポンッ ポンッ ポンッ
モバP「球技もあまり得意じゃないんだよな。テニスのサーブが長らく上手く出来なかった」
雪美「……あっ」ポトッ ポトッ ポトッ
モバP「空間認識能力とかも関係しているのかなあ。それにしても実に良いテンポを刻んでいて見惚れるな」
雪美「……もう……止めてる……」
モバP「おっと、残像が見えていたぜ」
雪美「……お手玉は……芳乃に……教えてもらった……」
モバP「芳乃は伝承遊びはお手の物のようだからな」
モバP「何事も練習によってある程度は上達するものだと思うが、上手い人にはそう敵わない」
473: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/06/01(土) 22:04:50 ID:BDWeJsEk
モバP「昔の遊びとは違うが、意外にフラフープが上手い人っているよな」
雪美「……法子……?」
モバP「意外、は失礼か。法子の場合はリング状の物に愛されているというか愛しているというか」
雪美「……ドーナツの……ちからって……すごい……」
モバP「それでフラフープもな、上手くできないんだ。回らずにすぐ落ちてしまう」
モバP「まず男性がフラフープで腰を振っているのをあまり見ないな。元が女性向きなのかな?」
モバP「……」
雪美「……」
モバP「ちひろさんはフラフープとか出来ます? シャンティみたいにセクシーに」
ちひろ「シャンティみたいな腰振りじゃフラフープ回らない気がするんですけど」
ちひろ「私ですか? 以前やった時は出来ませんでしたね」
ちひろ「逆にプロデューサーさんは何だったら得意なんですか?」
モバP「んー……因数分解?」 ナンジャソリャ
474: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/06/01(土) 22:06:56 ID:BDWeJsEk
251
晶葉「できたぞ、ドリームキャスト(仮)だ」
モバP「おおー! これ、どうやって使うんだ?」
晶葉「この装置が起動中、自分が他人の夢の中に登場すると、一回につき500円」
晶葉「何とギャラが振り込まれるんだ!」
ちひろ「なにそれすごい」
モバP「相変わらず池袋博士の技術は凄いなぁ」
晶葉「そうか? もっと褒めてくれても良いんだぞ? ん? ん?」
モバP「褒めてやるさ。いくらでもな」
モバP「ただしその前に、雪美が分身できるようになったのは君の仕業?」
「……P」 「……ふふふ」 「……っ」 「……ねむい」 「……うう」 「……!」 「……♪」
ちひろ「うわあ……」
晶葉「正直すまなかった」
475: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/06/01(土) 22:10:07 ID:BDWeJsEk
252
モバP「晶葉の発明した才能開花マシンとやらで雪美が遊んだ結果」
あやめ「結果――?」
モバP「雪美が分身できるようになっちまった!」
雪美「……影分身の……術」 「……ふしぎ」 「……うん」 「……変な顔」
「……Pも分身……しよ」 「……それいい……!」 「……え……できない……?」
モバP「ごめん。面白いけど収集つかないから収納してもらって良いかな?」
雪美「……マーモリー……シューノー……」スッ
雪美「……できた」
モバP「タンスかな?」
あやめ「羨ましいです! P殿、あやめもリアル分身しとうございます!」ユサユサ
モバP「そうは言っても晶葉いわく、想定外のことらしいぞ? 謎の適性があったとしか」
モバP「代わりにあやめはほら、隠れ身の術が使えるじゃないか。電柱とかに」
モバP「これで”殿中でござる”とでも言えば流行語間違いなしだぞ」 ウルサイデス!
476: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/06/01(土) 22:12:47 ID:BDWeJsEk
253
モバP「雪美の良さの一つは”いじらしさ”だとファンは言う」
雪美×7「……」ジーッ
モバP「それに反して素の雪美は自己主張が激しくなってきた気がする」
――
清良『P教授の総回診です』
雪美
雪美 モバP 雪美 ザッザッザッザッ
雪美
奈緒『あれがインペリアルクロスか』
加蓮『斬新な並びだね』
――
モバP「この前もこんなことがあったしなあ」
ちひろ「どんなシチュエーションだ」
477: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/06/01(土) 22:14:08 ID:BDWeJsEk
254
雪美「すぅ……すぅ……」
朝目が覚めると、雪美が俺の布団の中に潜り込んでいた。
何故か全裸でな。俺が寝てから入ってきたんだろうが、まあギョッとしたね。
とりあえず俺は寝巻の上を脱いで雪美に着せ、朝食を作りに台所に出た。
別の雪美「……起きたのね……ふん」
モバP「おう……おはようさん」
雪美は最大で六人、自分の分身を作ることができる。
人懐こいキュート、元気なパッション、賢いクール、ツンデレなホワイト、臆病なロスト、危険なアウト。
今、目の前に居るのは、銀髪のホワイトだ。
ホワイト雪美「……今……あなたの好きな……玉子焼き……作ったところ……」
モバP「どれどれ?」パクッ
ホワイト「こら……! つまみ食い……ダメっ」ピシッ
モバP「切れ端だったから良いかなと……悪かった。そう怖い顔をするな」
ホワイト「……ふん」
478: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/06/01(土) 22:15:45 ID:BDWeJsEk
今は実験的に雪美の分身の内、例外側の三人を自宅で預かって様子を見ているところだ。
分身を元に戻す時には情報の集合処理が行われる。
フィードバックの誤差が大きいほどオリジナルが混乱するので、気を付けないといけない。
ちなみにキュートはちひろさんに、パッションは芳乃に、クールは千秋に預かってもらっている。
モバP?「君は……素直じゃ……ない……ふふっ」
ホワイト「……何?」
俺の口を勝手に動かして、雪美の一人が喋る。
彼女はアウト。某ネメシスや忍野忍のように人の体に憑依ができる。
アウト雪美(……あなたも……”私”に……手を出さない、から……)
モバP(手を出しちゃいかんでしょ)
今は思考も共有状態なので俺の考えていることが筒抜けになる。
一方、アウトが深い所で何を考えているのか、俺には読み取ることができない。
アウト(……起こしに……行かない……の? もう一人の……かわいそうな……私を……)
モバP「あ、最後のお寝坊さんも起こしてくるよ」
ホワイト「そう……」
しかし身近なだけでも雪美が三人も同時に存在しているとか天国である。
本物の嫁艦隊デッキを拝めるなんて夢のようだ。
479: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/06/01(土) 22:17:36 ID:BDWeJsEk
モバP「雪美、起きろ。朝ごはんだぞー」
ロスト雪美「ん……? うあ……P……?」
モバP「そうだ。あなたのPさんですよ」
ロスト「……だっこ」(つ゚-゚)つ
ロストは他の雪美より甘えんぼうだ。
神経質で内向的な割には物理的な距離が近く、よく俺に抱き着く。
思えばそれぞれの雪美が元の雪美の成分を少しずつ受け継いでいるのかもしれない。
モバP「どーら、どっこいしょ! っと」
ロスト「……わーい……」
ホワイト「……どっこいしょは……おじさんくさい……」
アウト(……どっこいしょは……おじさんくさい……)
モバP「何だよ! あ、何でもないよ雪美」
ロスト「……うん……」ダキッ
480: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/06/01(土) 22:18:57 ID:BDWeJsEk
彼女たちには如何わしいことはしていない。敢えて言うなら番号確認だ。
オリジナル以外の雪美の体にはそれぞれ番号が振ってある。
右の肩口に1ならクール、臍の左に2ならキュート、左胸に3ならパッション。
ロスト「……Pの温度……快適……」スリスリ
俺の上着に隠れた背中の右肩甲骨に4ならロスト。
アウト(……いやらしいこと……考えてる……?)
右の太腿にXならアウト。
ホワイト「……少しは……手伝いなさい……ばか……」
ホワイトには番号がないが、彼女は銀髪なので見分けられる。
――
モバP「そんな雪美さんに囲まれた生活がしてみたい」
ちひろ「できたとしてもさせねえよ」
雪美「P……分身に……そこまでは……できない……」
ちひろ「まあ分身できるだけでもおかしいですけど」
481: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/06/01(土) 22:20:24 ID:BDWeJsEk
255
モバP「六月は学校のプール掃除の季節ですね」
ちひろ「何ですかそのとても限定的な季節感は」
雪美「……一年に……一回だけ……」
モバP「そうなんだよ。毎夏プールの授業はたくさんあるが、まとまった掃除は一度しかない!」
モバP「教室・校舎なんかは毎日掃除するから印象に残りにくいが、特別行事は数が少ないからぼんやりとでも残るものだ」
雪美「……Pの……思い出は……どんなの……?」
モバP「それこそぼんやりとだが、みんなで水着の上に体操服・シャツなど着まして」
モバP「水を張っていないプールに下りてびしょ濡れになりながらブラシでチャンバラしたり滑ったり」
ちひろ「そこは真面目に掃除しろ」
雪美「……楽しそう」
モバP「そして女子たちの水着姿が印象的だったなあ。うちの学校では授業だと男女別だったから」
雪美「……P……プール……行こう……。……その印象は……上書き……する」
ちひろ「さて、仕事しますか(現実逃避)」
483: ◆ORDERq/08U 2019/06/08(土) 21:35:07 ID:Y1lTdHwI
256
モバP「アイドルにはいろいろなユニット活動がある」
モバP「一人がある時はA、ある時はBを掛け持つなんてことも珍しくない」
雪美「……みんなと……いっしょ……楽しい……」
モバP「合同イベント以上に他の子と交流もできて、良い経験になっているだろうな」
モバP「でも複数のグループに籍を置いていると混乱したりしないかい?」
雪美「……そんなことは……ない……」
モバP「平気そうだな。俺は考えすぎなのか、よくこんがらがる」
モバP「学校で部活動(クラブ活動)、委員会、選択授業、掃除当番、給食当番、日直などいろいろな役割を当てられ、それが時に都合まで絡み合う」
雪美「ん……よく考えると……多い……」
モバP「当時の自分はこんなのをよくやり過ごしていたなと」
雪美「……そのおかげで……今のPが……あるのかも……」 ナルホドナァ!
ちひろ「やり過ごしたらいかんのでは」
484: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/06/08(土) 21:36:54 ID:Y1lTdHwI
257
J( 'ー`)し「タカシ(仮称)、今日の昼ごはんは冷麦だよ」
モバP「カーチャン、また素麺? 夏の昼飯は何か冷やし中華とか素麺多くない?」
J( 'ー`)し「そんなことないよ? 素麺は在庫がいっぱいあるけどね」
モバP「お米とお肉が食べたいなあ」
J( 'ー`)し「しょうがない子だねえ。夕飯を楽しみにしときなさい」 ワーイ
――
雪美「P……、今日は……そうめん……食べよう……」
モバP「……素麺、か」
モバP「……あっ……」ホロリ
雪美「! P……そうめん……いやだった……?」オロオロ
モバP「嫌なもんですか。何か、元気な頃のカーチャンを思い出しただけさ」ナデナデ
ちひろ「ふとしたフレーズと条件一致がノスタルジーを呼び起こすこと、ありますね」
485: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/06/08(土) 21:38:05 ID:Y1lTdHwI
258
モバP「やあ雪美」
雪美「……P」
ヒョイ ポスン
雪美「やっぱり……ここが……好き……」
モバP「出会って三秒で合体とは正にこのこと」
ちひろ「いかがわしい慣用句を用いるな」
モバP「しかし色白美人さんな雪美さん」
雪美「……///」グリグリ
モバP「こらこら、頭でぐりぐりは反則ですよ。何ですかこの尊い小動物は」
ちひろ「私はプロデューサーさんの頭をぐりぐりしたくなってきたなあ。げんこつで」
モバP「規制があまり厳しくなかった頃のみさえですか」
486: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/06/08(土) 21:43:26 ID:Y1lTdHwI
モバP「それはそうと、そんな雪美さんもこんがり日焼けとかしてみたいと思ったりするのかな」
雪美「……私は……似合わないと……思う……」
モバP「そんなことはない。普段整った黒髪ロングのお淑やかな子が大胆に変身していると男子は気になるぞ」
モバP「短髪で活発な子が日焼けしているのも夏の風物詩感はあるが、ギャップが大きいと更に目を惹く」
雪美「……Pも……気になる……?」
モバP「ああ。雪美の仕事の性質とかを考えると肌管理は必要だから、敢えて焼くことは望まないが」
モバP「日焼けしてちょっと開放的な服を着た雪美と一緒にいたら……テンションが上がり過ぎると思う」
ちひろ「日焼けした薄着の少女って魔力ありますからね。服にもよりますけど」
モバP「小中学校は一夏休み越えた九月の始業式に小麦色になって学校に来る同級生も多いことだろう」
雪美「……うん……多い」
モバP「アウトドア派なら海に行ったりプールに行ったりそれでなくても野外活動が多くなりがちだからな」
雪美「……私も……Pと、いっしょなら……海……プールは……行きたい……にゃー」
モバP「なんと! 雪美に誘われたなら行くしかないっしょ! よし行こう!」 ウン ヤクソク
ちひろ「うっかり焼けて帰ってきそう」
487: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/06/08(土) 21:44:36 ID:Y1lTdHwI
259
ニャー
モバP「おう、最近よく黒猫と出くわすなぁ。どれどれ、観察してやりますか」
ミャミャ
雪美「……あなたが……P? ……私は……豆助……って言ってる……」
モバP「名付け親さんはこの子が風呂敷巻いた柴犬に見えたのかな?」
ナーウ
雪美「……あなたは……黒猫の……素質……あるって」
雪美「P……評判……みたい……」クス
モバP「黒猫のネットワークで今話題の人になってるなんてにわかには信じがたいな」
ニャン
雪美「…………! ……分かった……」
モバP「えっ何」
雪美「……秘密」
488: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/06/08(土) 21:52:07 ID:Y1lTdHwI
260
ソナター
モバP「んっ、どこからか芳乃の声g」
芳乃「そなた、捕まえたのでしてー」ギリッ
モバP「うげげ、やめて芳乃、チョークスリーパーはやめて」タップタップ
芳乃「仕方ありませぬー。では」ストッ
モバP「ふひー、いきなり何しやがるんですか」
芳乃「わたくし、そなたを召し捕えに参ったのでしてー」キラキラ
モバP「くっ……ミニスカくノ一衣装とはやりおるな。誰の差し金じゃ」
芳乃「はてー? ところでそなたー、この服は似合いますー?」
モバP「破廉恥です。似合っています。というか何で清楚な子に限ってそんな恰好で攻めてくるのか」
芳乃「知れ渡っておりますよー。そなたの弱点はー」ワキワキ
モバP「おのれ邪鬼王!(錯乱)」
雪美「……」ジーッ
489: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/06/08(土) 21:56:44 ID:Y1lTdHwI
モバP「ぐぬぬ、こうなったら逃げるしかない」
芳乃「おっとそちらはー」
モバP「!」
雪美「あっ……!」キラキラ
モバP「って、雪美までミニスカくノ一だとぉ?」
雪美「///」カァッ
モバP「……!」ボシュー
BOMB!!
バタン
芳乃「おやおやー、やはり溜まっておられましたかー」
雪美「……P……猫に……なった……」
芳乃「雪美さんを普段から抱かれていて、それゆえの望みでもありましょうー」
490: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/06/08(土) 21:58:02 ID:Y1lTdHwI
――
モバP(……うう、何てこった。いくら何でも急に気を失うなんて)
モバP(ん?)
雪美「……?」ナデナデ
モバP(何か気持ち良いと思ったら撫でられてるし、俺が座ってるのって……)
ニャア!!
雪美「……P、気がついた……の?」
モバP(うわ、雪美の生膝の上だよ。そして俺の体は真っ黒だ)
雪美「…………」ナデナデ
モバP(……慈愛にあふれた雪美の手が気持ちいい)
雪美「……P……ようやく……私に……座って……もらえた……」
雪美「いつも……ありがとう……」ナデナデ
モバP(ああ)
モバP(こっちこそ)ニャ
491: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/06/08(土) 21:59:11 ID:Y1lTdHwI
261
ゴクゴク
モバP「ふぅ……スタドリエナドリ掴み取りも良いが、たまにはこれも良かろう」
雪美「P……ジュース……飲んでいる……の?」
モバP「おや雪美はん。……これは甘酒だよ」
雪美「……お酒……?」
モバP「特殊なお酒、かな」
モバP「物によってアルコール分が強いのもあるから要確認だが、未成年でも飲んでも良い”お酒じゃない甘酒”も多い」
モバP「これはノンアルコールな甘酒。まあそれでも飲むと酔った風になったり顔が赤らむ人もいる」
雪美「……」スッ
モバP「……?」ハイ
雪美「……」ソーッ
492: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/06/08(土) 22:00:22 ID:Y1lTdHwI
クンクン
雪美「……」
ブンブン
モバP「ダメそうか。まあちょっと微妙な感じだよな」
雪美「……Pは……これが……好き……?」
モバP「特にそういう訳でもないけど自分の舌には合っている方かな。甘さと酸味が」
雪美「……お返し……する……」ハイ
モバP「どうも。で、飲む点滴などと言われ熱中症や夏バテ対策に良いらしい」
雪美「……外は……暑くなって……きたから……」
モバP「ああ。だからこれ飲んで元気出していきますよっと」グビッ
モバP「……んー、今日の雪美さん、いつもより色気……というかフェロモンが出ていません?」
雪美「……P……酔ってる……の……?」
ちひろ「世の中にはジュースやお茶で酔っ払う人もいますからね」
493: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/06/08(土) 22:02:33 ID:Y1lTdHwI
262
モバP「水着を買いに行こう!(提案)」
ちひろ「念の為お伺いしますけど誰と行くんですか」
モバP「雪美と千枝とこずえとナターリアと芳乃と唯と裕子と……あと予定では」
ちひろ「もういいです。役得そうで良いですねプロデューサーさん」
モバP「女性の服選びにかける時間を甘く見ちゃいけませんよ?」
モバP「アイドルと連れ立ってショッピング、しかも試着なんて見れたりして羨ま血涙、なんてのは幻想です」
ちひろ「はいはい。で、どんな水着をお買いになるんですか?」
モバP「普通のボクサー型にしようかと」
ちひろ「ボクサー型!? あ、自分のも買われるんですね」
モバP「まあアイドルたちの意見も頂戴しますから、最終的にどんな水着になるやら知れませんが」
ちひろ「変なテンションでギャグに走ってワンショルダーとか買うのはやめてくださいよ? 多分捕まりますよ」
モバP「際どいのはさすがに自重しますから」
494: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/06/08(土) 22:05:53 ID:Y1lTdHwI
モバP「というかブーメラン程度なら分かりますが、ワンショルダーとか何でそんなに詳しいんですか」
ちひろ「えっ」
モバP「えっ」
ちひろ「ああ水着のことでしたら仕事柄そういう話題も先方としたりするでしょう」
モバP「なにそれこわい」
ちひろ「で、雪美ちゃんにはどんな水着を選んで差し上げるおつもりで?」
モバP「そうですね……んー、283の八宮めぐるちゃんが着ていたようなタイプを探したいですね」
ちひろ「満場一致でアウトでしょそれ」
モバP「いや、それそのものって訳ではなく、要するにビキニをと」
ちひろ「大ざっぱかい! それならクーリッシュスタイルがあるのでダメとは言いませんけど」
モバP(よし、楽しく話せたな)
ちひろ(でもそのオチはダメです)
雪美「……Pの水着……選ぶの……楽しみ……♪」
495: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/06/08(土) 22:07:20 ID:Y1lTdHwI
おまけ5
ちひろ「プロデューサーさんは最近やらかしたことってあります?」
モバP「”収拾をつける”を収集と変換しちゃった問題に収拾をつけたいです」
ちひろ「……まあ、良いことありますよきっと」
雪美「……」テクテク
モバP「あ、雪美がミニスカートだ。良いことありましたね」
ちひろ「それでいいのか」
おまけ6
モバP「最近ナターリアのスキンシップが激しくて嬉しいです。こちらも健全な男子なもので」
ちひろ「建前だけでもそこは嬉しむんじゃなくて困っときましょうよ」
モバP「日焼けとか褐色系にも実は弱いってバレたんでしょうかねえ」
ちひろ「あなたは何にでも弱いでしょ」
498: ◆ORDERq/08U 2019/06/15(土) 22:00:12 ID:dkdNrJVA
263
雪美「……」テクテク
モバP「雪美ぃ!」
雪美「えっ……P……?」
モバP「……はぁ、はぁ……雪美……やっと見つけた……はぁ」
雪美「どうしたの……? そんなに……息を切らせて……」
モバP「俺は、どうしてもお前に、伝えなきゃいけないことがあるんだ」
雪美「……落ち着いて……はい……深呼吸……」
スゥー ハァー
雪美「それで……私に……伝えること……って……?」
ガシッ
モバP「雪美の作ってくれたフルーツサンド……美味かった。天にも昇るほどにな……」ガクッ
雪美「……ふふふ……ありがとう。……それだけのために……探してくれたの……ね」
事務所のちひろ「一切れ食べるなり飛び出していきましたけど何だったのかなー?」モグモグ
499: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/06/15(土) 22:08:05 ID:dkdNrJVA
264
モバP「天才の私がふと気づいたことがありまして、草食動物の肉は実質野菜ですよね?」
ちひろ「んな訳ないでしょう。ピザは野菜だとかカロリーゼロ理論並のガバガバですよ」
雪美「ピザは……野菜……? 赤、黄色、緑……バランスは……良い……?」
キャシー「ピザは一部野菜だねー! おっと、ならば割合的にハンバーガーも野菜か♪」
加蓮「ポテトは野菜。これは疑う余地もないね」
ナターリア「スシは野菜カナ? ネギトロのネギ、タコワサグンカンのワサビ!」
モバP「たこわさ軍艦って通やなナターリア」
ちひろ「……皆さん、普段の食事でしっかり野菜を取ってますか? 結構心配です」
モバP「まあ、あまり食生活が乱れるようならウチで自炊合宿させますから」
ちひろ「一番心配なのはあなたですよ」
モバP「いやね、これでも健康志向の一環で自家菜園でも始めてみようかなあとは思っているんですよ。あまり世話をする時間がないですが」
キャシー「朝摘みキュウリやトマトを齧りながらいなせに会社に来るPさんは見てみたいね!」
ちひろ「これ以上この人の個性を増やすつもりですか」
500: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/06/15(土) 22:11:05 ID:dkdNrJVA
265
雪美「……こんな所に……帽子……? P……これは……?」
モバP「よくぞ聞いてくれた。これはな、晶葉が作ってくれた組分け帽子だ」
雪美「組分け……帽子……?」
モバP「何と、被った人をキュート・クール・パッション・それ以外のどれかに判定してくれるんだ」
ちひろ「ホグワーツ魔法魔術学校かな?」
モバP「被ってみるか?」
雪美「……」コクコクッ
モバP「はい、どうぞ」
スポッ
帽子「……」
帽子「……レイブンクロー!」 ビクッ
ちひろ「どれだよ」
501: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/06/15(土) 22:14:52 ID:dkdNrJVA
モバP「えーっと……レイブンクローはクールですね。取扱説明書にそう書いてあります」パラパラ
雪美「……ドキドキ……した……」
モバP「ちなみにキュートはグリフィンドール、パッションはハッフルパフとなっております」
ちひろ「何か一つ欠けていませんか」
モバP「それは我々が被ってみれば分かります」ハイ
ちひろ「……」スポッ
帽子「こいつぁスリザリンだな! 純度100%のスリザリン!」ケラケラケラ
ちひろ「誰が狡猾で野心家やねん!」ペシッ
帽子「いてえなオバハン!」 ダレガオバハンジャ!
モバP「……それ以外はスリザリンになります」
雪美「これ……誰がかぶっても……元のタイプに……なるの?」
モバP「それが意外とそうでもなさそうで……李衣菜とかどうなるか」
オフの李衣菜「へっぷちっ!」 ダリー、カゼカ?
502: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/06/15(土) 22:16:13 ID:dkdNrJVA
266
ピカッ!
雪美「!」
ドシャーン!! ゴロゴロゴロ
雪美「!!!????」
モバP「わー、結構近くに雷が落ちたなあ」
雪美「P……こわい……」ギュー
モバP「大丈夫だぞ、と言いたいところだが落ちるときは落ちるもんだ」
モバP「とりあえず直撃の可能性を考えたら、屋内でも壁際、蛇口、コンセントからは1m離れてようか」
雪美「……ここに……落ちる……の……?」
ピカッ!
雪美「!!」
ズーン! ゴゴゴゴゴゴ
503: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/06/15(土) 22:17:52 ID:dkdNrJVA
雪美「……」ヒシッ
ちひろ「ふぅ……雷は嫌ですねえ」
モバP「大きな音がするのでそれだけでも面食らいますね」
ちひろ「音だけなら良いですよ。身の危険もありますし、停電が起きれば厄介です。夏場は冷蔵庫の中身が……」
モバP「後は雷サージでPCがやられたら死活問題ですね。うちは可能な範囲での対策はしていますが」
雪美「……早く……遠ざかって……ほしい……」
モバP「そうだな。まあ雪美に限らず、雷は皆苦手だろう。得意な人なんていたら特異ですよ」
ピカッ
モバP「あふんっ」
「……」
ゴロゴロゴロ
ちひろ「一度大きいのが通るとしばらく稲光だけでも過剰に反応してしまいますね」
雪美「……あふん……って……ふふふ……」
モバP「べ、別に怖くなんてねーし?」
504: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/06/15(土) 22:22:04 ID:dkdNrJVA
ちひろ「それにしても、急な落雷とか通り雨が来ると夏なんだなって気がします」
モバP「ですね。自分が学生の時、初夏でしたか……学校に雷が直撃したことがあります」
モバP「その時は周りが黒雲に覆われて昼間なのに夜並の暗さになって皆と騒いでいました」
ちひろ「仲間が多いと異常事態で謎にテンション上がるのは分かります」
ちひろ「ところで」
雪美「行った……かな……? 手は……まだ……離さないで……」ギュッ
輝子「プロデューサーのおしりが、こんな近くに……」サワサワ ヤメーヤ
幸子「ボクがカワイイばっかりに雷さんもはりきってしまいましたかね」ブルブル
小梅「えへへ……みんなでこうしていると、楽しい」グイグイ
乃々「雷はイヤなんですけど、ここにいるのも何か暑いんですけど……」ヒシッ
美玲「そろそろ離れるぞ……ってコラッ、どこ触ってんだ、この手はプロデューサーかっ!」ガウッ
まゆ「年長のまゆがしっかりしないと……! でもプロデューサーさんと対面で密着……///」ポーッ
ライラ「あっ、おしくらまんじゅうですねー。ライラさんも混ざりますですよー」ピトッ
ちひろ「これはヒナをハドリングするコウテイペンギンの群れか何かですか?」 ゴランノアリサマデス
505: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/06/15(土) 22:25:34 ID:dkdNrJVA
267
モバP「創作で記憶喪失もののストーリーはよくあるが、実際になったらどうしようと思うことがある」
雪美「……私のこと……忘れる……?」
モバP「俺が雪美のことを忘れるはずがない! と言いたいが人間何があるか分からんからな」
モバP「特に怖いのは、元と違う新しい記憶で上書きされて本来あるべき記憶が取り戻せなくなることだ」
ちひろ「タイムトラベルもので時間軸・世界線が分岐するアレみたいな?」
雪美「Pが……Pじゃなくなるのは……イヤ……」
モバP「俺もだ。ただ、どうしようもなくなった時の最後の手段で雪美に託している物があります」
雪美「……これ」つ◎
ちひろ「これは?」
雪美「……リカバリー、ディスク……」
ちひろ「プロデューサーさんはOSか何かなんですか」
モバP「これをPヘッドの後部にあるドライブに差し込むと、初期化をすることができます」 ヘースゴイナー
506: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/06/15(土) 22:26:56 ID:dkdNrJVA
ごしゅじんさまの、もってる、えむいーのディすく、すてないでください。
あたしが、はいっています。いまのあたしじゃ、ないけど、あたしです。
ときどきみたり、さわったり。、してくれるとうれしいです。
モバP「このディスクはこういうことです。しかし泣けてくるコピペですね。物を大切にしようという気になります」
ちひろ「何の話や」
雪美「Pがもし……消えてしまったら……、これが……形見で……Pの……心の……かけら……」ギュッ
モバP「俺なのに俺じゃないものがあるって何か変な感じね」
モバP「まあ、ヒトは大切な物が壊れても頑張って作り直す逞しい生き物だ。何かあった時は俺を――頼んでおくよ」
雪美「……P……」
ちひろ「何かヘビーな話題になってきたなあ」
モバP「それは1985年型のスラングですか?」
ちひろ「私はマーティ・マクフライじゃありませんよ」
雪美「……デロリアン……好き……」
ちひろ「あのガルウィングが斬新ですよね……って雪美ちゃんよく知っていますね?」
モバP「仕事の合間、移動中に映画とか見せていまして。タイムトラベルものの定番ですね」
507: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/06/15(土) 22:31:21 ID:dkdNrJVA
ちひろ「ところでプロデューサーさんってイラストでよく見かけるデフォルメのようなPヘッドだったんですか?」
ちひろ「どこをどう見ても普通の人の顔ですけど?」
モバP「ホムンクルスのフラスコやタワー型デスクトップPCみたいなものでPヘッド(本体中枢)は独立しています」
ちひろ「理解が追いつきませんよ」
雪美「P……未来の……サイボーグ……、顔は……やわらかい……」グニグニ
モバP「一体何者なんでしょう?」
ちひろ「こっちが聞きたいですよ」
モバP「まあそれらは全部冗談としてですね」 オイ
モバP「記憶喪失と言ってもいろいろですが、地味に困るのがPCの復帰パスワードを忘れることです」
ちひろ「急に現実的な話になったな……確かに困りますけど」
モバP「ふとしたことでも度忘れすることがあるくらいですからね。かと言って書き置きは防犯意識欠如ですし」
ちひろ「心配しなくてもプロデューサーさんのPCを覗こうなんて人が………………」
ちひろ「やっぱり何でもないです」 エッ チョッ
508: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/06/15(土) 22:33:58 ID:dkdNrJVA
268
楓「プロデューサー」
モバP「楓さん。温泉ロケ、お疲れ様でした」
楓「撮影も早く終わって、ゆっくり浸かれて疲れが取れました……ふふっ」
モバP「ご機嫌も良さそうで何より」
楓「余は非常に満足であるぞー」
楓「そういえば、貴方が欲しいと言っていたアレはどうなりました?」
モバP「アレですか? まだ手に入っていないんですよ」
楓「あれあれ……」
モバP「まあ、突発的に欲しくなっただけで、無くて困る物じゃないので」
モバP「自分にもし家内がいたなら、また変な物買ってきて! どこに置くのよ! とか言われそうです」
楓「貴方の奥さんになる人はそんなこと言いませんよ、きっと♪」
509: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/06/15(土) 22:37:35 ID:dkdNrJVA
雪美「……P……何か……欲しい物……あるの……?」
モバP「聞かれたか。いや、大したことじゃない。温泉に置いてあるアレが欲しいだけだ」
雪美「……あれ?」
楓「足つぼボードですよ」
雪美「……?」 ←ピンとこない
モバP「今度買ったら見せてあげるよ。いつになるか分からないが」
楓「美優さんとか早苗さんとか菜々ちゃんとか、プロデューサーがそれを欲しいのは知っていて」
楓「見かけたら買ってプレゼントしてあげようかな、なんて言いながらお互いに遠慮して踏み出せず」
雪美「恋の……ライバル……!」キラリ
楓「ではなく、多分もう誰かが買ってあげてるか、自分で買っているだろうから要らないかなという」
モバP「えぇ……、傍観者効果ですか」
モバP「ただ、プレゼントって何気に渡したのが被っていると凄く悔しいですからね」
楓「そんなわけで、私たちには期待しないで、自分で買うのが一番早いと思います♪」 ゴモットモデス
510: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/06/15(土) 22:41:49 ID:dkdNrJVA
269
乃々「プロデューサーさん、あの……今日のお仕事について話があるんですけど……」
モバP「おっ? ずいぶんと積極的だな。良いぞ、聞こうじゃないか」
乃々「それで……ここはこうで……はい……はい……そこは……がんばります……」キラキラ
モバP「……」
乃々「……」
モバP「乃々、大丈夫? おっぱい揉む?」
乃々「私は愛海さんじゃないんですけど……」
乃々「その代わり……親愛度? が100になったら指輪が欲しいんですけど」
モバP「ウチにケッコンカッコカリ制度はないぞ」
乃々「……!? もりくぼのレベルキャップ解放、隠された底力的なものはないんですか……!?」
モバP「欲しいのはそっちか。いや、パワーリストを外して体が軽くなる的な展開には期待しないで地道に……」
乃々「じゃあ帰ります……やっぱりアイドルむーりぃー……」 オイィ!
雪美「分身すれば……いいと思う……」 ソレヲイウナ
511: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/06/15(土) 22:47:02 ID:dkdNrJVA
270
モバP「日曜朝、家族とまったりアニメを見る幸せ」
奈緒「ああ、平和だな。何に急かされるでもなくのんびりと、朝食でも取りながら」
モバP「ただ女の子向け枠はそんなに見たいものじゃなかった。男子としては何となく恥ずかしいしな」
モバP「姉や妹がいたから俺も、多分親も、付き合って仕方なしに一緒に見ていたりして」
モバP「……あの時間も今となっては良い思い出だ」
奈緒「Pさんって姉妹いたんだな。アイドルは一人っ子も少なくないからなあ」
雪美「……」ハラハラ
仁奈「……」ドキドキ
薫「……」ワクワク
光「……意外と面白いなこれ」 ←普段特撮だけ見ている
モバP「今みんなとこうして、隔たりなしにアニメを鑑賞しているのもいつか追憶する日が来るのだろう」
奈緒「でもこの構成だと、Pさんがお父さんであたしがお母さんみたいだな……な、なんだよ? ニヤニヤすんな!」
ちひろ「プロデューサーさんの姉妹って全国に200人くらいいそう」
514: ◆ORDERq/08U 2019/06/22(土) 19:48:20 ID:76AtLpUU
271
雪美「……」
雪美「……ほっ」
カコン
雪美「……」キラキラ
モバP「雪美さんはけん玉もお上手ですことね」パチパチ
雪美「……///」テレテレ
モバP「自分が雪美くらいの時はとめけんも出来なかったよ」
ちひろ「それは根気が足りなかったのでは」
モバP「皿に乗せるのは出来たんだがなあ」
雪美「……もし、もし、かめ、よ……かめ、さん、よ……」コン コン コン
モバP「おお……この子、コツを掴むとあっという間に上達していくのねえ」
ちひろ「アイドルの成長を見ている時が一番嬉しそうですね?」
515: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/06/22(土) 19:49:52 ID:76AtLpUU
272
スッ
グルン
シュタッ
雪美「……できた」
モバP「雪美さんは鉄棒もお茶の子さいさいなんですのね」パチパチ
雪美「……そうでもない……」ドヤッ
モバP「自分が雪美くらいの時は逆上がりが苦手でねえ。出来るようにはなったが」
モバP「でもアイドルやる子はみんなそれなりに運動神経良いよなあ。時々羨ましいくらい」
雪美「アイドルは……ダンス、やっている……から……」
モバP「ダンス万能説か」
モバP「しかしこうなると運動神経にはそれなりに自信あったこのモバP、男の闘争心に火がつくな」
モバP「次は俺にやらせてくれ」
ちひろ「小学生と張り合うのはどうなんですかね」
516: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/06/22(土) 19:52:32 ID:76AtLpUU
273
モバP「足つぼボードは手に入っていないんだが、代わりに面白い物を買った」
雪美「……おもしろい……もの……?」
モバP「健康サンダルです」
雪美「おお……でこぼこ……」
モバP「今日はこれを履いて仕事してみようかな」
ちひろ「どんな自由すぎる職場ですか。何か言われても知りませんよ?」
モバP「冗談ですって。でも、せっかくなんで少しだけ」
――
モバP「靴下まで脱いでから履いてみましたが、気持ち良いですねこれ」
雪美「P……はだし……なかなか見ない……」
モバP「雪美も黒タイツ脱いじゃえーしてみる?」
雪美「……それは……恥ずかしい……///」
ちひろ「何で脱ぐ必要があるんですか?」
517: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/06/22(土) 19:54:00 ID:76AtLpUU
ちひろ「しかしスーツにサンダルっておかしな姿ですよねえ。間が抜けていると言いますか」
モバP「これが何か革命でも起きて当たり前になればそうは思わなくなるんでしょうがね」
ちひろ「そうでしょうか?」
雪美「……P……、サンダル……もう一つ……ある……」
モバP「ああこれはな、すごく痛い健康サンダルといってね。ツボを押す石が尖ってるでしょ?」
モバP「今履いている方を中辛カレーとするならこっちは激辛、ビターチョコだとするとカカオ86%くらい痛いのです、たぶん」
ちひろ「ややこしいな」
雪美「…………はいてみて?」
モバP「……分かった」
スッ
モバP「つっ! 痛たたたた!! 痛い痛い! 何これになこれ!」
ちひろ「じゃあ、それ履いてぶら~り近所に買い物にでも行ってきてくださいな」
モバP「行けるかあ!」
雪美「私は……そんなに痛く……なかったのに……」 エッ
518: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/06/22(土) 19:55:41 ID:76AtLpUU
274
ソヨソヨソヨ
雪美「……♪」
モバP「ちょっと暑い時には良いですな、扇風機」
雪美「すずしくて……きもち……いい……」
モバP「そりゃ良かった。俺も俺で眼福なのですよ」
雪美「……?」
モバP「等間隔に雪美さんの長い髪がね、いかにも柔らかそうに靡くものだから」
雪美「……変なの」
雪美「……」
雪美「…………」スッ
モバP「おっと、今意識して髪を押さえてみましたね?」
雪美「……あまり……見られると……こまる……」
519: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/06/22(土) 19:58:41 ID:76AtLpUU
モバP「でも雪美さん、普段はよく俺のことをじぃっと見てくるじゃないですか」
雪美「……」プイ
モバP「やっぱり気になる人っていうのはついつい見ちゃうものなんでしょうな」
雪美「……Pは……私が……気になる……?」
モバP「気になるよ」
雪美「……そう」
モバP「好きだからね」
雪美「…………」
モバP「あら、つれないのね」
雪美「……そういうこと……さらっと……言わないで……」
モバP「こりゃ失礼。もっとねっとり言ってみましょうか?」
雪美「もう……ふふっ」
ちひろ「隙だらけですね」
520: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/06/22(土) 20:01:04 ID:76AtLpUU
275
モバP「やぁ、雪美」
雪美「! ……P……美玲……みたい……」
モバP「はっはっはっ、オシャレ眼帯だ。どうだ良いだろう?」
雪美「……」ポーッ
モバP「雪美も着けてみるか? こういう時の為にいくつか数があるぞ」
雪美「……」コク
モバP「では俺がクラブ柄だから、雪美はダイヤにしとく?」
雪美「……」コク
少女装着中……
雪美「……」キラキラ
モバP「ん、よく似合うぞー。ではせっかくだから仲間集めに行くか」
雪美「……仲間……?」
521: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/06/22(土) 20:03:45 ID:76AtLpUU
モバP「眼帯はあと二種類ある。スペードとハートだ。これの持ち主に値する子を探しに北へ!」
雪美「……いざゆかん」
ちひろ「……何か、着けたらビジュアルが大人びて剣士になりそうですね」
モバP「十兵衛ちゃんみたいな成長変身ヒロインは男子の性癖を少なからず歪めそうですが」
モバP「雪美さんが大人化する眼帯なんてあればごはん三杯は食べられてお話が一本書けますよ」
雪美「……晶葉なら……作れそう……こなみかん……」
ちひろ「いやあなた小学生ですから」
モバP「ところで、眼帯ですが」
雪美「……ちひろさんも……着ける……?」
ちひろ「いえ、遠慮しておきますよ」
ちひろ「というかプロデューサーさんが眼帯をしているとオシャレというかものもらいに見えます」
モバP「私だって中二病でオシャレしたいんです!」
雪美「……Pは……大人だから……ね」
522: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/06/22(土) 20:06:30 ID:76AtLpUU
ちひろ「それはそうと、トランプの柄って職業を現しているとも言いますね」
モバP「ダイヤが商人、クラブは農民、スペードは騎士、ハートは僧侶――でしたっけ」
雪美「私は……商人……?」
モバP「俺は農民か。でも、勇者パーティの職業でなりたいものを考えるのも良いものですな」
雪美「……武道家」
モバP「あの中華風コスチュームが雪美に……ぐはっ!」
雪美「……戦士」
モバP「あのビキニアーマーが雪美に……ぐはっ!」
雪美「……遊び人」
モバP「あのバニースーツが雪美に……ぐはっ!」
雪美「……賢者」
モバP「あのさとりのワンピースが雪美に……ぐはっ!」
雪美「……P……しっかりー……」 チーン
ちひろ「パリピですねえ」
523: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/06/22(土) 20:10:36 ID:76AtLpUU
276
ちひろ「プロデューサーさんはこの前、やけにプレゼントを貰っていましたけど誕生日か何かだったんですか?」
モバP「自分は可変誕生日なんで違います」
ちひろ「可変? 2月29日生まれ的なやつですか」
モバP「四年に一回しか歳を取らないって良いですよね」
ちひろ「そんなことある訳ないでしょう。で、何があったんですか?」
モバP「父の日ですね」
ちひろ「え」
モバP「事務所の中で紅一点ならぬ黒一点的な存在だからか、父性を感じてしまうアイドルも多いようで」
ちひろ「……プロデューサーさんに父性か……ぷぷ……あっ、笑っちゃいけませんね」
モバP「いえ、割と自分でも意外ですよ。マネージャー的な役割で慕われやすいのもあるんですかね?」
ちひろ「さあ、どうでしょうね……雪美ちゃんからも何か貰ったんですか?」
モバP「はい、下着を頂きました」 シタギ!?
雪美「……サイズ……合ってた……?」
524: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/06/22(土) 20:13:07 ID:76AtLpUU
277
モバP「雪美さんって箱入り娘というか、親御さんから大切に育てられているんだなと見て取れる」
雪美「……うん。……パパと……ママ……やさしい……」
雪美「今は……少し……忙しい……だけ」
モバP「なるべく寂しくはさせないよ」
雪美「……ありがとう……Pに……心……通じてる……」
モバP「でも、良い所のお嬢様なんかは正直、どう接したものかと思うことがある」
モバP「例えば、NHKしか見たことがない、なんて純粋培養な子が来たら話が合うのか心配だ」
雪美「……NHKも……楽しい……」
モバP「確かに教養・ドキュメンタリー系の番組をぼんやり見るのは何か満たされますが」
雪美「……大丈夫……こまったときは……いっしょ……。二人で……悩もう……」
モバP「そうだな。二人で……ん?」 ポスン
雪美「ここなら……もっと深く……分かり合える……ね」ニコ
ちひろ「三人寄れば文殊の知恵、私も混ぜてくださいよ~」
527: ◆ORDERq/08U 2019/06/29(土) 23:14:44 ID:f9jzPPCs
278
モバP「小腹が空いたのでチーズトーストでも食べよう」
雪美「……うん」
ジリリリリリ チーン
モバP「焼けたのでいただきます」
雪美「……いただきます」
ハムッ
ミョーン
モバP「チーズが伸びるなあ」
雪美「……ん。……P……食べずに……私を見て……どこか、変……?」
モバP「いや、食べるのも好きだけど人の食べっぷりを眺めるのも好きなだけさ」
雪美「あまり……見られると……食べづらい……」
モバP「おうすまない。じゃあ俺も食べるとするか」
ちひろ「ナチュラルに朝食も一緒とはプロセスどこ行った……チーズだけに」
528: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/06/29(土) 23:15:58 ID:f9jzPPCs
279
モバP「競泳水着の奈緒、ブルマの美玲……こういう仕事をやっていると常々思いますが」
モバP「頭沸騰しそうです」
ちひろ「許容量オーバーしている感じですか? 私がコスプレしても平気そうなのに」
モバP「大人がそういう格好をするのは切り離して見ることができますからね」
モバP「瑞樹さんの水着マフラーも至って冷静にグッドを出しました。しかし高校生以下は何かいけないことをしているような」
ちひろ「良心の呵責がありますか。意外と常識的な所もありますねプロデューサーさん」
ちひろ「冗談で露出を促すようなことは言うのにいざ脱がれると臆しちゃうなんて」
雪美「……」キラキラ
ちひろ「ただ、薄着の雪美ちゃん抱えながら言われても説得力が吹き飛ぶんですよねえ」
モバP「……自制心と耐性をつけるべく修行中です。雪美の誘惑に打ち勝つんだ!」
雪美「……というか……いっしょに……いたいだけ……」
ちひろ「常識と非常識、いや真面目と不真面目が同居してますね」
529: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/06/29(土) 23:17:20 ID:f9jzPPCs
280
雪美「昨日は……仁奈と……お泊まり……した……」
仁奈「楽しかったでごぜーます!」
モバP「おお、良かったじゃないか。道理で今日は二人の距離が近いと思ったよ」
仁奈「えへへ……みんなと過ごすのも良いですけど、二人きりも新鮮でやがります!」
雪美「今度は……三人で……」キラキラ
モバP「考えておくよ」
ちひろ「考えておくな」
仁奈「そして雪美ちゃんに分身の仕方を教えてもらったので、これでひとりでもさびしくねーです!」
モバP「あれは教えられるものだったのか」
仁奈「でも、もし分身を愛してしまったらどうなるのでやがりましょうか?」
ちひろ「ナルキッソスかな?」
モバP「可視化できるようになったとはいえ自分は自分だ。それを他人のように隔てて依存すると分身が可哀想だぞ」
仁奈「自分は自分、ですか……」
530: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/06/29(土) 23:23:22 ID:f9jzPPCs
モバP「まあ自分の世界にこもるようではいけないが、セルフトークはメンタルトレーニングとも捉えられる」
モバP「自分を好きになる、自己肯定は過ぎなければ悪いことではないと思う」
仁奈「やっぱり自分だけじゃ生きていけねーんですね。Pやみんながいて良かったですよ」
雪美「Pは……いいお兄ちゃん……」
モバP「お兄ちゃん気取るにはちょっと歳が離れているがな」
仁奈「アニキと呼ばせてくだせー!」
モバP「うむ、良かろう」
ちひろ「良いのかい」
モバP「そういや自分が小さい時には近所によく遊んでくれる兄ちゃんがいたな」
ちひろ「男女で少し感じ方も変わるでしょうけど、そういうのは良いですね」
モバP「自分には兄も従兄もいなかったから、身近な兄貴分を知る良い機会になった」
仁奈「仁奈は昨日、雪美ちゃんがお姉ちゃんみたいに感じましたですよ!」
雪美「……仁奈ったら……ふふっ」
ちひろ「人間、無いものを求めてしまうものですね」
531: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/06/29(土) 23:24:53 ID:f9jzPPCs
281
ちひろ「”MISSION”惰眠を貪るプロデューサーさんを起動せよ」
雪美「……らじゃー」(゜-゜)ゞ
トコトコ ガチャッ
雪美「P……まだねてる……?」
モバP「……」スヤスヤ
雪美「……起きて」ユサユサ
モバP「……」スヤスヤ
雪美「……P……どうすれば……。…………あっ……!」ピコーン
雪美「……分身のじゅちゅ!」 アッカンダ
ボンッ!
雪美×7「……起きないなら……こうする……! とつげきー」 ワアアアー!
雪美雪美雪美
雪美モバP雪美 ドン!
雪美雪美
ちひろ「スズメバチを撃退するミツバチかな?」
532: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/06/29(土) 23:26:43 ID:f9jzPPCs
282
ナターリア「ムウ、Que lastima……今日はエレベーター、使えないみたいダ」
モバP「点検中だな。安全の為だ仕方ない、階段で行くか」
ライラ「ライラさんは階段を使う人、頑張り屋さんだと思いますですよー」
モバP「ライラに頑張り屋さんと褒めてもらえるなら喜んで階段使うよ」
ナターリア「じゃあワタシたちモ、がんばってPについてくゾ!」
モバP「でも超高層ビルなんかはエレベーターが使えないと大変な苦労だろうな」
ライラ「ブルジュ・ハリファのエレベーターが止まったら大変でございますですよ」
モバP「見てきたかのような口ぶりだが、そこは敢えて突っ込まないでおこう」
モバP「だが、160階建てビルを階段で登ろうとか気が遠くなるのは間違いない」
ナターリア「上に取り残されても大変だナ! スライダーでもあれば良いケド!」
モバP「高さ828mの滑り台ってどんな絶叫アトラクションより怖いわ。お尻も痛いじゃ済まない」
ライラ「この前、大きな公園で初体験したローラースライダーもお尻が痛くなりましたですねー」
モバP「貴重なシーンを見逃した気がする」
533: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/06/29(土) 23:28:56 ID:f9jzPPCs
ナターリア「ウォータースライダーならオシリも痛くならないのにナ!」
モバP「これからの季節、良いですな。人間流し素麺のように無心になって流されて」
ライラ「一人よりはボートでみんなで流れるのが好きかもしれませんですねー」
ナターリア「いいナ! ヨシ、やりたいことリストに付け加えておくゾ!」
モバP「仕事以外でナターリアとライラを連れてプールに行ったら嫌でも目立ちそうだ」
モバP「話はエレベーターに戻るが、じゃあもし俺たちがエレベーターに閉じ込められたら?」
ライラ「それは助けを待ちますですよ」
ナターリア「助けがいつ来るカ、分からないとこわいナ」
モバP「あの空間で何時間も、となるとな」
ナターリア「こわいからPに元気をもらうんダ!」ギュッ
モバP「ナターリアと極限状態に置かれたら一線超えてしまいそうだ」
ライラ「ライラさんもー」ギュッ
モバP「そんな形でライラと一線超えたら後で罪悪感で鬱になりそうだ」
534: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/06/29(土) 23:31:06 ID:f9jzPPCs
モバP「……しかしこの346プロは広いな」
ナターリア「何でもアル! アイビキ部屋だってネ!」
ライラ「あらびき部屋? とは何でございますですか? ソーセージが食べられるのですか?」
ナターリア「……///」
モバP「ナターリア、耳年増でもそれで変なものを連想したらいかんぞ」
ライラ「???」
モバP「後でバナナアイスパフェを食べに連れて行ってあげるから、この話はやめよう」
ナターリア「エ? いいのカ? ワーイ!」コロッ
ライラ「豪華なアイス……! プロデューサー殿は太っ腹でございますですねー」キラキラ
モバP「よし、じゃあ行きますか……って……うん?」 シュコー
雪美「……」トコトコ
ライラ「……作業服のユキミさんが、点検中のエレベーターから出てきましたねー」
モバP「雪美さんは神出鬼没だなあ」
535: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/06/29(土) 23:33:15 ID:f9jzPPCs
283
モバP「夢を打ち砕くような話を敢えてするのならば」
モバP「みんなの願いは同時には叶わないように世の中は出来ているのだと思う」
モバP「調和、バランスというものがあるからな」
モバP「極端な話が、Aが不老不死になりたいと願い、BがAに死んでほしいと願う」
モバP「一方の願いを叶えれば一方の願いが反故になる」
飛鳥「……ジレンマに塗れたセカイ、か」
飛鳥「それでもボクは、進める処まで進みたい。その先が袋小路だったとしても……」
グウウウウゥゥウ
「「「……」」」
雪美「……今のは……P……」
モバP「……すまん、俺はどうやらハラペコのようだ」
飛鳥「……フフッ。そんなに自己主張されちゃ、続きは後日にお預けだね」
ちひろ「今すごい腹時計が聞こえたなあ」
536: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/06/29(土) 23:34:41 ID:f9jzPPCs
284
モバP「雨の季節は手持ちがかさばるな。徒歩なら傘が要るし、自転車に乗るならレインコートが要る」
雪美「……ながぐつ……も」
モバP「長靴か……歳を重ねるに連れ、全然履くことがなくなったな」
雪美「Pが……魚屋さん……とかなら……」
モバP「それなら履くかもな。ただサラリーマン的な仕事では使わないし」
モバP「プライベートでも女性ならブーツの感覚で履けるかもしれないが、男はねえ」
雪美「……そういう……もの……?」
モバP「ちなみに先日のキッズモデルの仕事で洒落乙なレインコートと長靴を着ていた雪美さんは素晴らしかった」
雪美「……本当……?」
モバP「ああ。ただレインコートは着ても外出先で結局脱ぐことになるのが勿体無いな。濡れているから置き場にも困るし」
雪美「うん……。……それは……ある」
ちひろ「何よりこの時期レインコートを服の上に着て自転車移動って結構暑いんですよね」
モバP「レインコートの下に下着だけって訳にはいかんですものね」 ソレハヘンタイデスネ
537: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/06/29(土) 23:36:16 ID:f9jzPPCs
285
モバP「……」イイコイイコ
雪美「……♪」ムフー
ちひろ「おや、また雪美ちゃんを撫でてあげているんですね」
モバP「気持ち良さそうにしているでしょう? 雪美鳥は警戒心が強い分、慣れるとよく懐くのが特徴です」
ちひろ「何を仰っていますやら」
ちひろ「……雪美ちゃんはそんなに撫でられるの、好き?」
雪美「……うん……やさしい、手……。……それに……大きくて……形も……」
ちひろ「まさかの手フェチ!? まあ分からなくもないですね……この血管の浮き方やゴツゴツとした甲が」スッ
モバP「ちひろさんも男の手には一家言ありますねえ」
雪美「指を絡めて……手をつなぐと……ドキドキ……する……。ちひろさんも……やる……?」
ちひろ「やりませんよ。でも、良い手ですね」
モバP「ちひろ様はこの手を好きだと言うてくれる、働き者のきれいな手だと言うてくれましたわい」
ちひろ「そこまでは言ってません」
540: ◆ORDERq/08U 2019/07/06(土) 22:24:22 ID:oB2ZBOao
286
ガタンゴトン ガタンゴトン
雪美「……」スヤスヤ
モバP「俺にもたれかかり、眠る雪美さん」
モバP「ここは海辺の単線を走るローカル線」
モバP「座席はロングシート型で通路が広いが、二両編成で乗客はほとんどいない」
雪美「……」スヤスヤ
モバP「……静かだ」
雪美「…………ん……? ……P……?」
モバP「お、瞼が少しは軽くなったかい?」
雪美「……私を……置いて……行かないで……」ギュッ
モバP「安心おし。行き先が例え沼の底駅でもお前さんを一人にはしないさ」ナデナデ
モバP「しかし、海原電鉄を思い出すくらいだ。何かとても遠くへと行く感じがするね」
天の声ちひろ「プロデューサーさんがちょうどカオナシのポジションですね」
541: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/07/06(土) 22:29:09 ID:oB2ZBOao
287
モバP(雪美さんは肝が据わっている、いや、場数を踏んで据わってきたと言えようか)
雪美「……」
モバP(だが今日は規模の大きな会場で、重要なイベント。さすがに気圧されているか……?)
雪美「……」
モバP(自分の弱みをあまり周りには見せたがらない所はあるので、一見はそんな雰囲気も出さない)
雪美「……」
モバP(集中力を高めているのかもしれないし、緊張を解そうと話しかけては却って良くないか)
雪美「……」ジーッ
モバP(でもこの子、目の前で俺のことを観察しているんだよなあ)
雪美「……Pと……私は……鏡……。Pが……不安だと……私も……不安……」
モバP「! ……心配させてごめんな。俺が思い詰めた顔をしていたらダメだな」
雪美「……うん……いい顔……」ニコ
542: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/07/06(土) 22:35:17 ID:oB2ZBOao
288
モバP「アイドルは恋愛禁止なんて昔から言いますが」
雪美「……」チョコン
ちひろ「………………そうですね」
モバP「その長い間は何ですか」
ちひろ「別に」
モバP「気を取り直して、ここって自分以外は基本男っ気がないじゃないですか」
雪美「……P……ハーレム……だね……」
モバP「どこでそんな言葉を覚えたんだ……それでみんな異性と接点を持つのはなかなか大変だろうなと」
ちひろ「出会いは無いですね。もっとも同性で話は結構合いますから良いですけど」
モバP「そこです。自分だけは逆に異性としか接点がないんです。男子トークが出来る人がいないんです」
モバP「同性同僚の親友ポジション的な人が欲しいです」
ちひろ「いろいろと諦めてください」
モバP「(´・ω・`)」
543: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/07/06(土) 22:39:46 ID:oB2ZBOao
ちひろ「私が思うに、プロデューサーさんが仮に315プロの人だったら、もっと周りに女子が欲しいとか言ってますよ」
モバP「……言いそう」
ちひろ「ヒトとは無い物ほど欲しくなり、美味しい物に恵まれてもそればかり食べていると飽きてしまう因果な生き物です」
モバP「で、水嶋咲ちゃんに癒しを求めたりしてしまう訳ですか」
雪美「……満更でも……なさそう……」
モバP「でもこの仕事に就いてから普段周りは女の子ばかりで、自分まで女子に染まりつつある感じがするんです」
ちひろ「あまり変に拗らせてプロデューサーさんがオネエみたいになってしまったら困りますねえ」
雪美「大丈夫……、Pは……頼もしい……男性……」
雪美「それに……他の男性が、入ると……たぶん……嫉妬する……」
ちひろ「あらあら」
モバP「妹や弟が生まれて構ってもらえなくなったお兄ちゃんじゃあるまいし……まあ嫉妬はするが」
ちひろ「するのかよ」
ちひろ「……プロデューサーさんって実は独占欲強くてめんどくさい系?」 ギクッ
544: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/07/06(土) 22:42:48 ID:oB2ZBOao
289
モバP「多くの音を聞きながら過ごしていると、時に静けさが恋しくなる」
モバP「車の走る音、工事の音、民放番組のBGM、賑やかな人々の会話……それらから離れて、例えば丘の上」
雪美「……」
モバP「雪美と二人で、その声と息遣いまでよく聞こえる場所で、座って景色を眺める」
雪美「……」
モバP「……いいねぇ」
雪美「……少しは……賑やかな方が……楽しいのも……ある」
モバP「それもそうか」コロッ
雪美「でも……Pと……二人きりも……好き……」
モバP「せやろせやろ」コロッ
モバP「まあ、何しに来たかと言うと写真集の撮影なんですがね。そろそろ次行こうか」
雪美「……うん」
545: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/07/06(土) 22:45:31 ID:oB2ZBOao
――
雪美「……たくさん……階段……上ったね……」
モバP「そうだな」
ソヨソヨ
雪美「ん……涼しい……」
モバP「そびえ立つ、ではオーバーかもしれないが見上げるほどの階段の先にある、木造のお堂」
モバP「高い木々に周りを囲まれて鬱蒼としてさえある場所にポツンと目立たずに在る」
モバP「過去、確か幼稚園の頃に似たような場所に遠足に行った記憶があるが、ここ自体は来たことのない場所だ」
モバP「にも関わらず、懐かしさを感じるな」
雪美「……ふしぎ」
モバP「雪美はこういうロケーションにも綺麗に溶け込むなあ」
モバP「さあ、良い写真を撮ろうか」
雪美「……うん」
事務所のちひろ「スタッフ無しの個人撮影とかこれもうデートでしょ」
546: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/07/06(土) 22:49:37 ID:oB2ZBOao
290
プクプクプク
モバP「……」
ツン
モバP「?」
七海「よっ」
モバP「おう七海か。今日もマーメイドのような瑞々しさだな」
七海「七海はいつも新鮮ピチピチれすよ~。こんな所で何をやってるんれすか?」
モバP「たまたま入った店にアクアリウムがあったものだからつい眺めていました」
七海「そうれすかそうれすか~、プロデューサーも分かってきましたね~♪」
七海「水槽を見ていると癒されるんれすよね~。そこに小さな世界があります」
モバP「水族館のスケールと比べると小さいが、こだわりが出るよな」
七海「オブジェの配置一つにもセンスが……いえ、主役はお魚れすけど!」
547: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/07/06(土) 22:52:24 ID:oB2ZBOao
――
ゴクゴク
モバP「ふう……暑い日差しが照りつける夏は、涼しい所でアイスコーヒーを一杯」
モバP「たまらんですな」
七海「プロデューサーはコーヒー豆を買いに来ていたんれすね~」
モバP「ああ。志保にコーヒーミルを貰ったから最近は家でも淹れるんだ」
モバP「コーヒー豆のレーダーチャートは見ていて飽きない。……これ見る? チラシだが」ハイ
七海「ふんふむ……イラストや図にすると分かりやすいれすね。で、プロデューサーの好みは?」
モバP「酸味のあるモカが好きだな。まあいろいろ飲み比べてフードペアリングを考えるのも楽しい」
七海「すっかり影響されていますね~。……プロデューサー、海釣りに興味は?」
モバP「今の所は……しかし七海は髪のボリュームがすごくて目立つな。見惚れちまうぜ」
七海「羨ましいれすか? ウェーブしていてしかも長いれすからね~、えへ♪」
七海「って、魚じゃなくて七海を釣る気れすかっ!?」
雪美「……Pに釣られた……アイドル……数知れず……」
548: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/07/06(土) 22:54:33 ID:oB2ZBOao
291
モバP「食堂で食べるカレーライスと納豆は何故あんなに美味しいのだろうか」
ちひろ「どこの食堂ですか」
モバP「一般開放されている近くの社員食堂ですね。しかも安い」
ちひろ「プロデューサーさんはどこにでも出没するんですね」
モバP「想像してみてください。シンプルな内装に折り畳みテーブルとイス」
ちひろ「はい」
モバP「具がゴロゴロとしていないサラッとしたカレーライスに鮮やかな赤い福神漬け、コップの水」
ちひろ「(赤い福神漬けは着色料的にどうなのかな)はい」
モバP「陶器の小鉢に控えめに盛ってある納豆に、刻みネギ」
ちひろ「(今時の社食って納豆を器で出すんですかね?)はい」
モバP「いやあ、侘び寂びの風情がありますね。でも家で食べるより何故か美味しいんです」
ちひろ「そもそも食堂に行くなら定食とか食べましょうよ」
雪美「……学校の、給食のカレーも……とてもおいしい……」
549: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/07/06(土) 22:56:11 ID:oB2ZBOao
292
雪美「……」ジーッ
モバP「雪美さんに対面で膝の上に座られていると不覚にも鼓動が高まりますね」
雪美「……」スッ
サワサワ
モバP「んふっ……」
ちひろ「!」
モバP「あぁっ……何か、変な、感じがする、から……そこは、やめっ」
ちひろ「雪美ちゃん、プロデューサーさんの一体どこを触っているんですか?」
雪美「……のどぼとけ……大人の……男性にだけ……ある……ふしぎ……」サワサワ
モバP「ああぁぁぁ」
ちひろ「私がもし男性ならそこ(喉仏)はあまり触られたくないと思いますよ?」
雪美「……本当……? P……」
モバP「……いや、意外と気持ち良いですこれ」 エェ…
552: ◆ORDERq/08U 2019/07/13(土) 22:14:05 ID:9rAg3Qkw
293
モバP「七夕も無事に終わったな。イベントというのは来るまでは今か今かだが過ぎればあっという間だ」
雪美「……うん……。……織姫と……彦星が……一年に一日だけ……会える日……」
雪美「……今年は……会えた……?」
モバP「会えたことだろうよ。年一ルールなのに中止ありとかやってられん。俺なら天女連盟に異議を申し立てる」
雪美「ふふ……。一年も……会えないと……話したいこと……いっぱい、あるはず……」
モバP「ああ。俺なんて雪美と一日会わないだけでも話したいネタがどんどん湧いてしまうのに」
雪美「それに……二人……黙って、繋がっているだけでも……幸せ……」
ちひろ「しかし障害は恋する二人の思いを熱くすれば良いですけど、逆に冷ましてしまうかもしれません」
モバP「遠距離恋愛で自然消滅はきつい……お互いに吹っ切れるなら良いんでしょうが」
モバP「願い事を書いた短冊を吊るした笹の葉も七夕過ぎれば撤去ですから、この世は無常でもありますね」
雪美「……使った笹の葉は……どこに行く……?」
モバP「公園に持ち寄って供養するように焼くんだろうか?」
ちひろ「どんど焼きのしめ縄じゃないんですから」
553: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/07/13(土) 22:20:02 ID:9rAg3Qkw
294
雪美「……」
ムニムニ
ペタペタ
モバP「雪美さん、俺の顔に何か好奇心をそそられるような発見でも?」
雪美「P……おひげ……ない……」
モバP「ああ、しっかり剃ってケアしているからな。ご要望であればオシャレに髭を蓄えてみるが」
ちひろ「貫禄は出そうですよね」
雪美「……いい。……このままで……気持ちいい……から」
サワサワ
雪美「……♪」
モバP「最近他の子も何かこの顎を頻りに撫でてくるが、別に御利益なんて無いんだぞ?」
ちひろ「ビリケンさんの足の裏みたいな扱いですかね」
554: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/07/13(土) 22:23:21 ID:9rAg3Qkw
295
モバP「麦わら帽子に白いワンピースの女の子と言えば何をイメージしますか?」
ちひろ「夏の田舎の田園風景ですね。気が付けばこう刷り込まれていました」
モバP「ほぼ同じです。理想の美少女の一つの形なんでしょうかね」
モバP「さて、今日はそんな格好を雪美さんにしてもらいました!」
雪美「……どう……?」キラキラ
ちひろ「あらかわいい」
モバP「パーフェクトだ、ウォルター。よく似合ってるな。つまり雪美は理想の美少女。Q.E.D.」
雪美「……///」クイッ
モバP「麦わら帽子のつばで顔を隠そうとする恥じらいが初々しい」
ちひろ「ちなみにこれはどこで」
モバP「ワンピースは今日の仕事に使った衣装を借りてきました。麦わら帽子は……ホームセンターで購入」
モバP「という訳で帽子の方は雪美にそのままプレゼントだ。日差しが強い時に被ると良い」
雪美「……ありがとう……。大事に……する……」
555: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/07/13(土) 22:26:59 ID:9rAg3Qkw
ちひろ「何故にホームセンター」
モバP「ちょっと工作用に板を探しに行ったところ、見かけてティンときたものですからね」
モバP「この帽子は何か他とは違う。雪美にぴったり合うんじゃないか? と」
ちひろ「その発想力を別の方面に活かせないものですか?」
雪美「Pは……自由人……だね……」
モバP「せやで。で、ワンピースはミニ丈の物もあったのですが、このゆったりした長さのを選びました」
モバP「肌の露出控えめなイメージの雪美が薄めの白ワンピにノースリーブでミニスカートだとオーバーキルですからね」
ちひろ「プロデューサーさんのHP、頻繁にマイナスになってませんかね?」
雪美「……Pは……自由人で……むっつり……」
モバP「はい、むっつりはん」のヮの
ちひろ「その顔やめい」
雪美「……ちょっと……たくしあげて……みる……」ソーッ
モバP「雪美さんが魔性の女に……でも感じちゃう」 カンジルナ
556: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/07/13(土) 22:37:32 ID:9rAg3Qkw
296
モバP「……」
こずえ「……」チョコン
ちひろ「ありそうであまりない膝ペアですね」
モバP「そんなことはないでしょう? 本日は雪美さんはオフでいませんからね」
ちひろ「プロデューサーさんの膝占有率は雪美ちゃん八割で他二割という印象ですよ」
こずえ「こずえ、あんず、になもー……よくのるよー?」
ちひろ「サイズが小さい子ばかりですねえ」
モバP「大きい子は恥ずかしがると言いますか、作業中とかは邪魔になるから遠慮する感じですね」
ちひろ「頭で視界が遮られたら仕事は出来ませんしね」
モバP「我々大人の懐に収まる子なんて、普通は幼稚園児くらいまでです」
こずえ「ぷろでゅーさー、おっきいからねえー」
モバP「膝の上と言いつつ股の間に座らせるならもう少し身長あっても大丈夫ですね」
ちひろ「アイドルの子を乗せない、という選択肢はそもそも無いのか」
557: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/07/13(土) 22:39:43 ID:9rAg3Qkw
こずえ「ぷろでゅーさー……もっと、ぎゅーってしてー……しろー」
モバP「はいよ」ギューッ
こずえ「ふわぁ……」
ちひろ「うわぁ……」
ちひろ「……雪美ちゃんと抱き心地はやっぱり違うものですか?」
モバP「はい。感触とか匂いとかで目を閉じていても誰だか分かりますよ」
ちひろ「ある意味ソムリエですね。ワインとかと違って利用方法が無さそうですけど」
こずえ「……こずえもぷろでゅーさーに……ていすてぃんぐされるのー?」
モバP「何かやらしい」
ちひろ「こずえちゃんをテイスティングなんてとんだ変態ソムリエもあったものです」
こずえ「ぷろでゅーさーなら……なにしても……いいよー?」
モバP「そーかい。そんな天然で際どいことを言う子はこうしたるわー」ワシャワシャ
こずえ「えへへー……」
558: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/07/13(土) 22:44:12 ID:9rAg3Qkw
ちひろ「雪美ちゃんも最近は垢抜けてきましたけど、こずえちゃんは結構アプローチが大胆ですよね」
こずえ「そうかなー?」
モバP「あざとい。でも憎めない。目に入れても痛くない」
ちひろ「そういえば紅葉温泉の時、浴衣が少し着崩れ、というかはだけたのが映っていましたね」
モバP「あれは後で直してあげたんですが、何故か直す前のが使われていましたねえ」
ちひろ「プロデューサーさんが直したんですか?」
モバP「はい。普段から服を着せてとか言われますし、その時はスタイリストになりきります」
こずえ「いつもありがとうー……えらいぞー」
モバP「わーい、こずえは優しいなあ」
ちひろ「……」
ちひろ「……ところでプロデューサーさんって雪美ちゃん以外にはさん付け混ぜたりしませんよね」
雪美(そこは……私の……絶対特権……)
ちひろ「何かテレパシーが飛んできたなあ」
559: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/07/13(土) 22:49:54 ID:9rAg3Qkw
297
柚「Pサンって巴チャンと相性良いよね?」
モバP「良き友人とは思っているが、どうしてそう思うんだい?」
柚「だっていちごパスタをうめーうめーって食べるでしょー?」
モバP「ああ。……そのくらいで相性良かったら人類皆家族だよ。ワッハッハ」
モバP「いや、癖はあるかもしれないが常識に囚われなければ美味しいと思うよ」
柚「いつか髪がイチゴ色になりそうだよね」
モバP「オラのPちゃんが不良になっちまっただ! って親から言われそうだ」
柚「Pサンのお母さまはチチだったのかあ……ってそんな訳あるかいっ!」
モバP「でも、家族は顔が似るっていうのが食べ物によるそれだとしたらさ」
モバP「例えば俺が柚と同じものをずっと食べていたら、俺の髪が柚みたいな色になっていく可能性も……?」
柚「……もしそうなったら、髪型もおそろでいきたいねっ♪」
モバP「男のぱっつんはちょっと憧れるが、平子真子みたいにそれなりに美形でないとなあ」
雪美「……Pは……きれい系よりは……かわいい系……」 エッ
560: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/07/13(土) 22:53:29 ID:9rAg3Qkw
298
モバP「今年は梅雨入りも明けも遅いですね。雪美さんの髪も湿気でやや跳ねてます」
雪美「……」チョコン
ちひろ「それでも膝の上には乗るんですね」
ちひろ「梅雨は、偏西風が蛇行しているせいで季節進行が遅いんでしょうかね? 知りませんけど」
モバP「梅雨の花と言えば紫陽花。しようか、と書いてアジサイです」
モバP「雪美……しようか」
雪美「……うん。……して……」
ちひろ「何をおっぱじめるんですかね」
モバP「男女が密着してすることと言えば決まっているでしょう」
モバP「髪を梳かすんですよ」
ちひろ「あっはい」
561: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/07/13(土) 22:56:17 ID:9rAg3Qkw
モバP「今日の雪美には、そうだなあ……三番櫛を使おうか」
ちひろ「ここは3番アイアンで打とうかみたいに言うんですね」
モバP「髪は繊細ですからね。状況・状態に合わせて歯数やヘアブラシを使い分けています」
――
サラサラ
雪美「……♪」
ちひろ「気持ち良さそう」
モバP「凛に聞きましたが、紫陽花の花言葉は”家族の結びつき”や”移り気”とかあるそうで」
モバP「色によっても変わるらしいですが、とにかく良くも悪くも様々です」
ちひろ「プロデューサーさんは変な所で知識が豊富ですね」
モバP「アイドルに教えてもらうことはいろいろとありますが、頭に残りやすいものとそうでないものはあります」
モバP「紫陽花は、ポガティブな曲を聴くのと似ているかもしれません。何か好きなんですよね」
雪美「……私も……好き……」
562: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/07/13(土) 22:58:18 ID:9rAg3Qkw
299
モバP「エレベーターで異世界に行く方法なるものがあるらしいな」
小梅「そういうのはね……それに興味を持った時点で、引き込まれやすくなるんだよ……」
モバP「やだこわい」
モバP「まあ一人でエレベーターで遊ぶなんていい大人失格なので、やりませんがね」
小梅「今、私たち……三人だから、ね……」
モバP「もう一人はどの辺にいるのかな?」
小梅「ここ、だよ」
モバP「あ、どうも。こんちゃっす」
小梅「……ふふ……こんにちは、だって」
モバP「でもこういう狭い空間で下を押しているのにどんどん上がっていったり、行けない階に行ってしまうのは怖い」
小梅「う、後ろの張り紙が、書き変わっていたり……三階までしかないのに、四階に行ったり……?」
モバP「ライトを消すだけの高時給な宿直かな?」
563: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/07/13(土) 23:01:51 ID:9rAg3Qkw
チーン ゴカイデス プシュー
雪美「……」テクテク
モバP「お、雪美が乗ってきたな」
小梅「……?」
シュー ガタン
モバP「さあ、このまま一階まで止まらずに行けるかどうか……って、あれ? 何か上昇し始めてない?」
小梅「惨劇の、予感……」ドキドキ
チーン &%$カイデス プシュー
モバP「……!!」 …ン?
モバP「これは……丸くて青い、地球……なんてことだこれは軌道エレベーターだったのか!」
晶葉『あー、すまない。雪美だけだと思って誤ってM8階への停止許可を出してしまった』
モバP「晶葉か? これ……マルチディスプレイか」
晶葉『そうだ。そこはちょうど良い空間があるので私の実験に使わせてもらっている』
雪美「……私も……お手伝い……してる……」
564: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/07/13(土) 23:03:41 ID:9rAg3Qkw
300
モバP「最近ズボンを履き忘れる夢をよく見るんですよ」
雪美「……夢じゃなくても……ある……?」
モバP「そこまでうっかりはしない。昔草履で小学校まで行って気づいたことはある」
ちひろ「いや充分うっかりでしょうそれ」
モバP「で、その道の専門家にお尋ねしたところ」
朋『自分を見失っているんじゃないの?』
モバP「と言われました」
ちひろ「朋ちゃんは夢占いの専門家だったのか……」
雪美「服……着てなかったら……すぐに……気づく……」
モバP「やっぱりそんなもんなのかな?」
モバP「夢では何か、家から遠くまで来てしまって、取り返しのつかない段階で気づくんだよね」
ちひろ「で、衆目に晒される訳ですね」 ハイ
565: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/07/13(土) 23:05:52 ID:9rAg3Qkw
雪美「…………P……そういうことが……したいの……?」
モバP「したくないよ。さすがの俺もある程度の恥の概念は持っているからな」
モバP「でも潜在的な露出願望があるとすれば洒落にならないから不安だな」
雪美「……良かった……。……ならたぶん……大丈夫……」
ちひろ「人に見られたい願望くらいはあるかもしれませんね?」
雪美「……だったら……いっしょに……アイドル……やればいい……!」
モバP「プロデューサーであるだけで精一杯だよ。やりたいとほんの少しも思わない訳じゃないがさ」
ちひろ「ほんの少しはやりたいのか……」
モバP「女性の場合は、スカート忘れても気づかないことってあるものですか?」
ちひろ「下にレギンスやショートパンツを穿く用のミニスカートをそのまま素で穿いてしまうことはあるかもですね」
モバP「アンダースコートを忘れてスコートしたり、サポーターを忘れて水着着たり、裸エプロンするようなものですかね」
ちひろ「最後の! ……とにかくスカート部分が全く無いのに気づかないことは普通は無いと思いますけど」
雪美「……裸エプロンは……忘れただけで……本当は、上に……何か……着る……?」
ちひろ「それ普通のエプロンとしての役目ですね」
568: ◆ORDERq/08U 2019/07/20(土) 22:18:51 ID:HQw3.uOA
301
モバP「床屋で髪を切ってもらった。すっきりしたよ」
雪美「……つるつるには……しないの……?」
モバP「そこまで全力でボケる気はない。俺は普通オブ普通の社会人だ」
雪美「……」ジーッ
モバP「言っとくが薄毛で悩んだりはしていないぞ? 特別剛毛って訳でもないが」
雪美「ふふっ……分かってる……」
モバP「でもな、散髪した後って何故かいつも体の調子がほんの少し崩れてしまうんだよ」
モバP「髪も体の一部なのだろうな。養分を一方的に吸うだけではなく、共有しているというか」
ちひろ「頭が軽くなって一時的に平衡感覚が崩れているんじゃないですか?」
モバP「髪の量が雪美さん並ならそうなるかもしれませんが、切ったのはほんの少しですし」
雪美「Pも……ウィッグ……着けてみたら……髪の重さ……分かるかも……」
モバP「腰まで届くロングヘアーにしたらどれだけ頭の感覚が変わるのかはちょっと興味あるな」
モバP「……ところでたまにはサイド三つ編み以外のちひろさんも見てみたいです」
ちひろ「指名料取るぞ?」
569: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/07/20(土) 22:22:39 ID:HQw3.uOA
302
モバP「夏と言えば、でアイドルには水着仕事は定番だ」
モバP「種類は様々あるが、未成年がよく着せられがちなのがスクール水着」
雪美「……着てると……思った……? 残念……いつもそう……甘くない……」
モバP「そんなガードが固い雪美さんもいい女やで」
雪美「……そう……?」
ちひろ「本当にガードが固かったら膝の上に座ってないと思うんですよ」
ちひろ「でもスク水って、こう言っちゃなんですけど、当時ダサいというか野暮ったく思ったものです」
モバP「地味で均一的で……でも学校アイテムは青春補正で素朴でも輝いて見えますよ、多分」
雪美「……青春……すごい……」
モバP「まあ今の学校指定水着ってスパッツ型セパレートタイプが多くて何か窮屈、というか運動着感が強いな」
雪美「スカートの方が……かわいく……見える……」
モバP「スカートはスカートで水泳するのに邪魔にならないか? と思わなくもないが」
モバP「雪美のはスパッツ型だからなあ。着てみたいのは分かるぞ」 ウン
ちひろ「どうして知っているんですかねえ」
570: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/07/20(土) 22:23:45 ID:HQw3.uOA
303
雪美「……」ジッ
モバP「雪美さんが物陰から顔だけ出してこちらをじっと見つめている」
モバP「保護したい」
モバP「無視できないから俺も雪美さんの方をじっと見てしまって仕事が手につかない」
ちひろ「これは雪美ちゃん依存症を起こしていますね」
ササッ
モバP「あ、隠れてしまった」
モバP「……よし、仕事するか」
雪美「……」ヒョコッ
モバP「と思ったらまた……」
雪美「……」ニコッ
モバP「……」ムラッ
ちひろ「おい待て何でそこで興奮する」
571: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/07/20(土) 22:25:24 ID:HQw3.uOA
モバP「誘っているんだろうが俺はここから動かんぞ」
雪美「……?」
モバP「雪美からこっちに来なければ俺の膝には座れない。さあどうする」
雪美「……」
モバP「さあさあ」
雪美「……P」
モバP「ん?」
雪美「一体いつから……ひざの上にいないと……錯覚していた……?」
モバP「……何っ!?」
雪美「……気づいて……私は……ここ……」チョコン
モバP「……??? どうして俺の膝の上に雪美がいる……? ではあそこにいる雪美は……いない!?」
モバP「……ウチの雪美さんの人間離れが半端ない」ナデナデ
雪美「……これが愛の……なせる業……♪」
ちひろ「幻影を見るようにまでなったか……まあ私も見えましたけど」
572: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/07/20(土) 22:26:55 ID:HQw3.uOA
304
仁奈「がおー! お姫さまは渡さねーでごぜーますよ!」
モバP「ぬぬぬ、現れたな強そうなドラゴンめ」
仁奈「これでも喰らいやがれくださいですよ! うがー!」ボバアアア
モバP「熱っ! くっ、こんなん貰ってたら薬草がいくらあっても足りねえぜ」
モバP「こうなりゃ短期決戦だ、覚悟っ!」シャキン
モバP「でやああああっ!!」
テレレレレーン
仁奈「きゅ~……」
モバP「はぁはぁ……やっと静かになったか。こっちが美味しく焼き上がっちまうところだった」プスプス
モバP「さて……ローラ姫様、遅くなりました。今助けに参りましたぞ」
雪美「……おお……勇者さま……」
モバP「!?」
雪美「!?」ビクッ
573: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/07/20(土) 22:28:38 ID:HQw3.uOA
モバP「……いやぁ、何か思ったよりも幼いお姫様ですね」
雪美「……勇者さまは……思ったよりも……大きい……」
モバP「ハハハ、言うね。大きいのと小さいのとで案外釣り合っているかもしれないな」
雪美「……うん」
モバP「さて、こんな辛気臭い洞窟とはおさらばしやしょうぜ」
雪美「……」(つ゚-゚)つ
モバP「……モンスターが出たら降ろすぞ?」
雪美「……」コク
ザッザッザ ギュイーンギュイーン(キメラ)
モバP「そんなことがあってやっとドラゴンの手からローラ姫を救い出した」
モバP「しかしラダトームに着いたのは夜だったので、仕方なく町の宿屋に泊まることとなった」
テレレレテテテーン
葵「おはようございます。ゆうべはおたのしみでしたね」
モバP「!?」
雪美「!?」ビクッ
574: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/07/20(土) 22:29:59 ID:HQw3.uOA
葵「ふふふ、照れんでも良いっちゃ良いっちゃ」ニヤニヤ
雪美「……///」
モバP「今何となくその場の流れに乗ったな?」
葵「で、どこまでやったんよ?」
モバP「言えるかそんなの。王様に引き渡さねばならんのに」
雪美「……勇者さま……夜も……勇者さま……」
モバP「ベタな下ネタやめんか。ほら、行きますよローラ姫」
雪美「朝ごはん……まだ……」
葵「用意しとるけん☆」
モバP「……まあ、これまで幽閉されていて食事もロクに取れなかっただろうから仕方ないか」
雪美「……よく……種や木の実……もらった……。……ドラゴンさんに」
モバP「あ、貰っていたのか」
雪美「おかげで……スプーンより……重いものも……持てる……」フンス
モバP「力の種投与されまくったかあ……」
575: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/07/20(土) 22:31:45 ID:HQw3.uOA
【食事後】
葵「でも勇者さん、隅に置けないっちゃ。町娘さんとも何度も泊まったけんね?」
雪美「……」ジト
モバP「だって後ろに着いてくるんだもん。いろいろ試すだろう?」
モバP「どうにかして旅に連れて行けないかと思ってねえ。勇者ロトは三人連れだったらしいのに俺は一人旅だし」
雪美「……このローラも……つれていって……くださいますね……?」
モバP「そんなひどい」
雪美「それ……私の……セリフ……」
モバP「連れて行きたいのは山々なんですがまだ竜王を倒していないから……」
葵「ほうほう……倒したら責任取ると?」
モバP「……責任取る前に言質を取られそう」
仁奈「もういっそ竜王もみんなで倒せば良いんでごぜーますよ」
モバP「!?」
雪美「!?」ビクッ
仁奈「!?」ガタッ
576: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/07/20(土) 22:33:55 ID:HQw3.uOA
雪美「ドラゴンさん……ついてきた……の……?」
仁奈「負けたからお仕事なくなりやがりました。がんばったのに……」
モバP「俺がやったこととは言え、何か気の毒になってきた」
雪美「勇者さま……」
モバP「ドラゴンよ、昨日の敵は今日の何とやらだ。共に行くか?」
仁奈「良いんでごぜーますか? ルールとか、その……」
種バ種「ルール? なぁに大丈夫だ、戦闘に参加せずともちょいと種を集めてきてもらえりゃ……」
葵「目が種になっとるっちゃ」
――
モバP「これが我々の前世または別次元の出会いだったんじゃ……。続く」
雪美「……そうだったのかー……」
ペロ「ニャー」
ハナコ「ワン?」
ぴにゃこら太「ぴにゃー……」
ちひろ「動物その他にもいいかげんな話をするな」
577: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/07/20(土) 22:36:01 ID:HQw3.uOA
305
モバP「雪美と一緒にドラえもんを見ていたんですが」
ちひろ「本当、何でも見ますねえ……」
モバP「宿題をやってもらうのに二時間後と四時間後と六時間後と八時間後の自分を呼び出すって斬新ですよね」
ちひろ「そんな回ありましたね。ただ斬新と言っても初出は半世紀近く前とかだと思うんですけど」
雪美「……半世紀……五十年……?」
モバP「情報が無いと五十年前なんて想像がつかないよな」
雪美「私が……生まれる前から……世界がある……ふしぎ……」
ちひろ「とりあえず、使えるひみつ道具はありそうなのにあの選択をしちゃうドラちゃんはちょっとポンコツだと思います」
モバP「そうかな? 自分も未来から自分を何人か借りてきてみたいものですがね」
ちひろ「やろうぶっころしてやるされるかもしれませんよ?」
モバP「大丈夫。未来の自分は未来に返さずに借りパクしますから」
ちひろ「未来こわれる」
雪美「……未来を……盗んだ男……P……」
578: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/07/20(土) 22:37:47 ID:HQw3.uOA
306
モバP「夏場の印象的な格好の一つに裾結びというのがある」
モバP「グラビアではシャツを使ってビキニやショートパンツと組み合わせることが多いな」
雪美「……着てると……思った……? ……着てる……」キラキラ
モバP「突発的に大胆になる雪美さんがまた好きです」
雪美「……そう……///」
ちひろ「ガードが固いのはどうした」
モバP「裾結びはへそ出しでなくてもいろいろオシャレにアレンジができるから良いぞ」
モバP「まあ今の雪美さんはばっちりへそ出しだが」
雪美「……変じゃ……ない……?」
モバP「ああ。煽情的もとい健康的で大変なことにいや大変よろしい」
雪美「……」ホッ
モバP「へそ出しに慣れたら今度はベリーダンスの衣装とか着てみないかい?」
ちひろ「この大人は……」
579: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/07/20(土) 22:38:56 ID:HQw3.uOA
307
雪美「……こんにちは……」
ちひろ「あら、雪美ちゃん。ごめんなさい、今プロデューサーさんは不在です」
雪美「……いない……? ……残念……」
ちひろ「もう少ししたら戻ってくるかもしれませんから、待っていますか?」
雪美「……うん」
テクテク
雪美「……」ジッ
ちひろ(……プロデューサーさんの席にまっすぐ向かって行きましたね)
雪美「……よ……っと」
雪美「……Pの……イス……、今は……私の……」チョコン
ちひろ(微笑ましい)
ちひろ(……私も社長がいない間に社長室の立派なイスに座ってみたいと思うことはありますけど、それとは違うなあ)
雪美「……P……まだかな……♪」
582: ◆ORDERq/08U 2019/07/27(土) 22:11:13 ID:Nj3qvC2U
308
心「やっほ、プロデューサー」
モバP「あれ、ちひろさんじゃない。ちひろさんどこ?」
心「お姉ちゃんとはぐれた少年みたいだなおい☆」
心「ちひろちゃんはお休み。はぁとが代役だぞ♪」
モバP「わぁいはぁとちゃん、Pはぁとちゃんだいすき。カシューナッツみたいなツインテール」
心「カシューナッツ言うな。これ結構作るの時間かかるんだぞ」
モバP「アイドルが事務員の代役してて良いんですかね……?」
心「急に素に戻らないのっ。はぁとが直々に手伝ってあげるよ♪ 嬉しいだろ? ハイって言え☆」
モバP「はい、よろしくお願いしますね」
雪美「心……Pも……こんにちは……」
モバP「おお雪美。Ich liebe dich!」
雪美「……Danke」
心「甘ぁ~い! はぁとよりスウィーティーだし何故かドイツ語だし?」
583: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/07/27(土) 22:13:11 ID:Nj3qvC2U
309
モバP「天然パーマで羽が生えていて金属を齧ったり分裂したりする妖精アイドルが欲しいです」
心「プロデューサーったら、ガッちゃんなんかアイドルにして何をする気だ☆」
モバP「世界征服はできそうですよね。ゴム以外何でも食べるようだとアイドル事務所は廃業になりそうですが」
心「可愛い顔で『クピプー』じゃすまないな♪ 変なこと言ってないで仕事しろよ☆」
モバP「分かってますって。それはそうとモノマネ上手いっすね」
心「はぁとのこと惚れ直した? んもう、もっと素直に褒めてくれても良いんだぞ?」
モバP「じゃあもう一回お願いします。次はしっかり録音もするので」 ヤメロヨ☆
雪美「ゴムは……かじれない……斬鉄剣も……こんにゃくは……切れない……」
モバP「下手に硬い物より柔らかい物の方が苦手、とはコミュニケーションにも通ずるものがあるな」
心「フワフワぽよぽよしてる子ほど何考えてるか分からないってのはあるかも?」
モバP「カービィかな? まあ、人の考えていることなんてそう分かるものじゃありませんがね」
雪美「……Pは……私のこと……分かってくれる……のに……?」
心「プロデューサーと雪美ちゃんは人並以上の関係ってことか♪ 砂糖吐くぜ☆」 サトウダケニ? オイコラ☆
584: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/07/27(土) 22:17:54 ID:Nj3qvC2U
310
モバP「外暑いっすね心先輩」
心「はぁとって呼んで♪ てか心さんまでは良いとして先輩って何だよ☆ はぁとはそんなにパイセンか?」
モバP「はぁと」
心「うん、なぁに?」
モバP「あなたは休憩時間にお茶じゃなくてタピオカジュースを持ってくるんですね」
心「良いじゃんタピオカ☆ スウィーティーでトロピカルだぞ」
モバP「まあ良いでしょう。それにしても空調効いた事務所から出るとムワりますよ。参っちゃう」
心「プロデューサーは飛び回るのが仕事だから大変だわな~」
モバP「そして戻ってきてみれば何故か目の前には事務員服のしゅがーはぁとですよ。新鮮!」
心「うふふー、もーっとはぁとを見てくれても良いんだよ♪」キラキラ
雪美「……便乗……」キラキラ
モバP「ミニ事務員服の雪美さんまで……! 剥き身のエビをぶら下げられているに等しいな」
心「プロデューサーに喜んでもらえるから着てるんだもん♪ それっ、昂れ昂れ~☆」
585: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/07/27(土) 22:20:23 ID:Nj3qvC2U
モバP「」シュウウウウウ
心「ヤバい、プロデューサーから煙が出てるっ!」
雪美「P……もどっておいで……」
モバP「呼び戻されました」
心「便利な構造してるんだな☆ ……アイドルが全員サキュバスになっても良いようにはしとけよ?」
モバP「この世の終わりかな?」
雪美「……でも……この服……スカートの……スリット……大胆……///」
モバP「改めて言われると意識して見てしまうんだが」
心「意識しなくても清純派雪美ちゃんの腰つきをチラチラ見てただろ? はぁとも見ろよ☆」
モバP「……」ジッ
心「きゃっ、そんな熱い視線を注がれたら~……おい、目を細めすぎだぞ。そんなに眩しいか☆」
モバP「こんなミニのタイトスカートが正装になっているちひろさんや音無小鳥さん、七草はづきさんといった世の中の事務員さんは凄いですね」
雪美「……いなくて分かる……ちひろさんの……すごさ……」
心「本人はそういう所で分かってほしくはなかったと思うけどな☆ まっ良いか♪」
586: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/07/27(土) 22:23:50 ID:Nj3qvC2U
311
モバP「雪美さんは夏場でも相変わらず体を寄せることを厭わない」
雪美「……寄らば……大樹の……陰……」
モバP「それが落ち着くと言うのなら良いが、汗とかニオイとか、こうしてほしいというのがあれば遠慮なく言ってくれよ?」
雪美「……ん」コク
モバP「……思えば、以前はもう少しプラトニックな距離感だった気がするな。いつからこうなったか」
雪美「……Pと……私が……けんかした……日……」
モバP「ああ、そんなこともあったな。あれだけ強く衝突したのは初めてだった」
モバP「雪美が泣いたんだった……。表情を変えず、声も出さず、ただ涙だけが溢れ出すように流れていって」
モバP「それを見た時、俺はとんでもない喪失感に苛まれて、年甲斐もなく一緒に泣いてしまった」
雪美「……Pに……初めて……強く……抱き締められた……」
雪美「たくさん……謝られた……。……それから……ずっと……抱き合って……後は……よく、覚えて……ない……」
モバP「それからだろうか、何だか共依存みたいな状態が始まってしまったのは」
雪美「……」
587: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/07/27(土) 22:25:06 ID:Nj3qvC2U
モバP「喧嘩の理由など肝心なことが思い出せないし、あれはただ変な夢を見ていただけなのかもしれない」
モバP「それにしては共通してリアルな出来事として記憶に残っているのが不可解だ」
雪美「……」
モバP「もうこの話はやめようか。……そういえば、雪美を背負うことはあまりなくなったな」
雪美「……えっ? ……そう……?」
モバP「膝に座らせたり抱える方が頻繁なせいか、最近は背中が寂しいね」
雪美「……じゃあ……今度は……おんぶ……して……?」
モバP「任せろ!」
雪美「……でも……あなたの……背中……、いつ見ても……大きい……」
雪美「……頼りがい……あって……少し……うらやましい……」
モバP「俺は雪美に頼られることに幸せを感じるから問題ない」
雪美「……ずるい……私だって……Pに……頼られたい……」
イチャイチャ
心「やっぱりはぁとも喋らせろよ☆」
588: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/07/27(土) 22:27:27 ID:Nj3qvC2U
312
雪美「……」チョコン
モバP「……心先輩も膝に乗ってみます?」
心「じっとしてるのは性に合わないから乗らないぞ☆」
雪美「……でも……本当は……?」
心「はぁともあすなろ抱きしろよお兄ちゃん☆」
モバP「……ん? お兄ちゃん?」
心「痛い姉を見るような視線と歳を示唆する反応はやめろ☆ はぁとが妹だったって良いだろ?」
モバP「現実ではお姉ちゃんだから、妹になってみたい願望は分かります」
雪美「心は……妹……いる……」
心「ラブリーマイシスターよっちゃんが実家にね♪」
モバP「よっちゃんさんとはこの前会いましたが……心先輩が溺愛するのも頷けます」
心「何勝手に会ってんだよおい☆ ってマジ?」
モバP「お姉ちゃんトークで盛り上がりましたよ。先輩愛されてますね」
心「後で詳しく聞かせてもらうからな☆」
589: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/07/27(土) 22:34:16 ID:Nj3qvC2U
モバP「それはそうと、創作世界では姉より妹の方が優秀にされがちな風潮ありますね」
心「人のコンプレックスをあまり抉るなよ☆」
モバP「まあ序列と逆転してるから目立つだけで実際統計的にそうなのかは怪しいもんです」
モバP「個人的には長女長男としての立場の苦悩とかは理解できるので、そういう時はお姉ちゃんを応援したいです」
美嘉「プロデューサーがアタシを応援してくれると聞いて」
モバP「おお美嘉。美嘉は例えばお姉ちゃんなりの妹へのジェラシーとかある?」
美嘉「あるよ。莉嘉、人と仲良くなるのがめっちゃ上手いんだよね。ほんと太陽みたいな子っていうか」
美嘉「アタシはプロデューサーの前だから素に戻って言うけど、結構根暗だし、莉嘉とは正反対かも」
モバP「それでも理想のカリスマギャルになるべく、強気で努力しているんだよな」
美嘉「姉としてギャルとして尊敬されてるから頑張らないとって思うし、やっぱり莉嘉が可愛い」
心「莉嘉ちゃんは周りを引っ張る力があって、誰にでも好かれたり慕われるタイプだな♪ 姉でなくともそう勝てる子はいないっしょ☆」
美嘉「そうやって莉嘉のこと褒められると何かアタシまで嬉しくなるんだよねー……ヘヘ★」
モバP「ふむ、姉妹は仲良しが一番だな。これ以上の平和があろうか、いやない」
美嘉「……ところでプロデューサーの膝に乗る雪美ちゃん、いつ見ても良いなあ」
雪美「ここが……私の……特等席……」
590: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/07/27(土) 22:38:19 ID:Nj3qvC2U
313
モバP「時間があったので社内ジムのフィットネスバイクを使用させてもらっている訳だが」
雪美「……」
モバP「これでもかとペダルを漕いでいる所を雪美さんに見つめられているのは恥ずかしいな」
モバP「しかもスポーティーな半袖とショートパンツ姿でいられたらこちらも見ない訳にはいかない」
モバP「っと、坂道モードで重くなった……」
雪美「……」
モバP「雪美は何もしないのか?」
雪美「……Pを……見ていたい……」
モバP「そっかー」
――
モバP「ふう、このくらいにしとこかー」
雪美「……おつかれさま……堪能できた……」ツヤツヤ
モバP「何か潤ってる」
591: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/07/27(土) 22:41:09 ID:Nj3qvC2U
モバP「それにしても、ジムのこういうのを見るたびにこれで発電できたらな、と思う」
雪美「……発電……?」
モバP「ああ。例えば自転車の前輪に付いている発電ライトだ」
モバP「自力で漕げば漕いだ分だけ光る――自給自足で夜道もより安全だ」
雪美「……」コク
モバP「これがジムなら運動して鍛える為にペダルを漕ぐだけで、副産物で電気まで作れる」
モバP「作れるのに発電装置が無いとその漕いだエネルギーが利用できないのが勿体無く思ってしまう」
モバP「……まあ、一人が発電できる量は頑張って漕いでも僅からしいがな」
雪美「みんなでやれば……大きな力に……ならない……?」
モバP「アイドルはみんなで大きな力になるが、自転車発電は実際は費用対効果が見合わないのかもしれん」
モバP「SFではよく見かけるんだがな。奴隷や囚人なんかが自転車漕いで電気を作ってそれを売って生活」
晶葉「科学がより進歩すれば、発電効率が上がって夢じゃなくなるかもな」
雪美「……晶葉。……晶葉も……運動……?」
晶葉「籠ってばかりいても良くないからな。このランニングマシーンで、発電してる気になってリフレッシュだ」
モバP「つもり貯金みたいだな」
592: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/07/27(土) 22:44:26 ID:Nj3qvC2U
314
モバP「百貨店デパートなどに行くと、化粧品売り場を通ることがある」
モバP「そこ、すごい甘い、甘ったるい匂いがするんだよ」
雪美「……私は……平気……」
モバP「そうか? クラクラしないか?」
雪美「……大丈夫」
モバP「大丈夫か。でも、カーチャンの化粧品もあんな匂いだったな」
モバP「男だから慣れないのかなあ」
雪美「……」
モバP「……」スンスン
モバP「こうして膝の上にいる雪美さんの匂いには、もうすっかり慣れたがな。安心する匂いだ」
雪美「……におい……かがれると……はずかしい……」
モバP「ちょっと調子に乗った。すまない」
雪美「……いい……でも、最近……Pのにおいが……薄くなってる……。……もっと……包んで」
心「これではぁと、じゃなくて心が折れないちひろちゃんは凄いなーって☆」
593: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/07/27(土) 22:48:12 ID:Nj3qvC2U
315
ザザーン
モバP「ウェミダー!」
雪美「……何語……?」
モバP「わぁ、これが346プロ所有のプライベートビーチですかー」
モバP「洞窟からしか入ってこられない入り江に砂浜……秘境だな」
雪美「……ロマンチック」
モバP「ただ、立地的に来づらくて不便なのであまり利用されていません」
モバP「という訳で、我々が現状視察に来ました」
芳乃「調査員一号でしてー」
七海「調査員二号れすよ~」
風香「ちょ……調査員三号です……」
雪美「……調査員……四号……」キリッ
モバP「……どう見ても遊びに来たようなメンバーだなあ」
594: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/07/27(土) 22:52:26 ID:Nj3qvC2U
モバP「じゃあプロデューサースキルで手早く周辺調査してくるんで」
シートシキーノパラソルタテーノニモツオキーノ
モバP「君たちはこのあたりで砂の感触や水の冷たさ、水着の着心地などを調査していてくれたまえ」
「「「「はーい」」」」
――
モバP「ふーむ……この辺りは危険な野生動物がいる訳ではないし、そもそも手入れはしっかりされている」
モバP「景観を考えると人工物は入れない方が良いのだろうが、どうも物寂しい。小屋とか置けないかな」
モバP「いろいろと浮かぶアイデアを報告書にぶち込みまして……こんなもんか」
モバP「ただいまー」
風香「あっ……おかえりなさい」
モバP「風香一人か。みんなは……って」 スクッ
風香「Pさん! えっとですね、えっと……こ、この水着、どうですか?」バッ
モバP「……目の前でラッシュガード脱いで見せつけてくるとは驚いた気合いの入り方だ。無論とても良い」b
風香「ご、ごめんなさい……じゃなくて、ありがとうございます///」
595: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/07/27(土) 22:56:48 ID:Nj3qvC2U
――
モバP「いかん、あのボディーで胸の開いたビキニは下半身に悪い……芳乃はこの辺にいるんだったか?」
芳乃「あっ、そなたー」
モバP「芳乃も水着に着替えていたんだな。芳乃は市松模様や縦縞横縞がよく似合うな」
芳乃「そなたが好きだと言いますのでー、紐のような物の方は諦めましてー」
モバP「紐なんて着られたらこっちの理性がポップコーンのように弾け飛んでしまうわい」
芳乃「失せ物探しはお手の物ですー。そなたの理性も拾い上げて見せましょうー」
モバP「言いおるわ」
モバP「それでどうした、その大きな貝は。拾ったにしては大きいな?」
芳乃「ふふふー、実はー、そなたを待ち伏せしていたのでー。ぶおおー♪ ぶおおー♪」
――
モバP「あれー? おかぴーぞー? 一瞬で岩場に移動したなあ」
モバP「お、七海じゃないか」
七海「プロデューサー! 七海はこうして釣りをしているのれすよ~」
モバP「君らは相変わらず自由に行動し過ぎだよなあ」
596: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/07/27(土) 23:05:30 ID:Nj3qvC2U
七海「プロデューサーと海に来るのは久しぶりれすね」
モバP「ああ」
七海「……あっ///」
モバP「?」
七海「何かあの時の記憶が甦ってきたれす。あわわわわ……釣りは平静釣りは平静」
モバP「ハハハ、でも七海はこうして見るとやっぱり海が似合う。釣りをする姿も様になっているよ」
七海「もう……プロデューサーは女たらしれす!」 クイクイ
モバP「おい、引いてるぞ」
七海「わっ!? ちょっ!」
――
モバP「さて、俺も少し泳いでみるとするか……って何だこの水着布地少なっ」
モバP「誰がこんなハイビスカスブーメランとすり替えたのか……あっボイスレコーダーだ」
麗奈『アンタもたまには恥ずかしい目に遭うといいわ! アーッハッハッ……ゲホゲホ』
モバP「………………まあすぐ着替えるから我慢しよう」
597: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/07/27(土) 23:07:48 ID:Nj3qvC2U
【着替えタイム】
モバP「……はぁ、サポーターだけ穿かされてる気分だ」
モバP「どれ、準備体操はしっかりとやっておきましてっと……そういやあいつら準備体操したのか? 日焼け止めは?」
オイッチニ オイッチニ
モバP「合流したら聞くか。さあ入ろう」
チャプ
モバP「……おお、やっぱり海水は海水でなかなか冷たいな。少しすれば慣れるか」
モバP「少し深いところまで行ってみようか……」
ザバザバザバ ザバッ!
モバP「うわっちょ!?」
雪美「……P……おそい……」ダキッ
モバP「雪美さん……何してたんすか」
雪美「ゴーグルして……海の中……見ていた……」
598: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/07/27(土) 23:12:11 ID:Nj3qvC2U
――
モバP「ふう。不意打ちするから何か未確認生物に襲われたかと思った。でも良かった、雪美で」
雪美「……私になら……おそわれても……良い……?」
モバP「雪美さんは鮫のように齧ってきたりはしないだろうからな」
雪美「……」
モバP「ふう……しかしやっぱり波打ち際に座る程度が良いや。深い所は何か嫌な感じがする」
モバP「昔溺れかけたことがあるせいかな。プールじゃ平気なのにな、ハハハ」
雪美「……ごめんなさい……」
モバP「気にするな。それより水着、スカート付きのビキニか。うーん、いつまでも見ていたい姿だな」
雪美「……じゃあ……もっと近くで……見て……」
ポスン
モバP「雪美さんは遠慮が無いなあ」
雪美「それは……Pの……せい……。たぶん……」
雪美「……P」
モバP「……雪美」
599: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/07/27(土) 23:13:29 ID:Nj3qvC2U
風香・芳乃・七海「……」ジーッ
モバP「……お前らもいつの間にか近いな」
雪美「……」キョトン
芳乃「皆で平等にー、そなたとの時間を求めたゆえー」
七海「でもそこまでいくとずるいれす~」
風香「……」ドキドキ
モバP「分かった。この辺で個別面談は終わりとして、後はみんなで遊ぼうじゃないか」
雪美「……ざんねん……もうちょっと……だったのに……」
風香「ところでPさん、そ、その水着……」 エ?
「「「!?」」」
「へ、変態れす///!」「そ、そなた……///」「……すごい///」
雪美「……あっ」
雪美「……///」カーッ
モバP「……自分なりの釈明はしたいが聞き入れてもらえるかなあ、これ」
600: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/07/27(土) 23:18:11 ID:Nj3qvC2U
――
ブロロロ
モバP「やれやれ系もびっくりなやれやれだ。結局がっつり海で遊んだよ」
モバP「幸い曇っていたし日焼け止めはしっかり塗っていたからみんな今後の活動に支障は出まい」
モバP「俺の立場的な支障は知らんが、この子たちは物分かりが良い方だから大丈夫なはずだ」
雪美「……」スゥスゥ
芳乃「……」スゥスゥ
七海「……」スピー スピー
モバP「みんな車ではよう眠っとるわ。疲れたかな」
風香「Pさん」
モバP「あ、一人は起きてるパターンでしたか。何だい風香」
風香「その、今日はありがとうございます。また少し、自分を変えられた気がします」
モバP「それは良かった」
風香「あと、常識も少し変わりました」 ダメダッタ
602: ◆ORDERq/08U 2019/08/03(土) 22:21:51 ID:gJZfIBXk
316
モバP「言うまでもないことだが雪美さんはクールだ」
モバP「無愛想とまではいかないが表情や感情の起伏は大きくなく、ちょっとやそっとでは動じない」
モバP「だから天然で思わぬボケを披露したり、不意にドキッとさせる言動をしたり、良い意味でこちらのペースを乱される」
雪美「……」ウツラウツラ
雪美「……っ!」
雪美「……」キョロキョロ
雪美「……P……どこ……? さっきまで……いたのに……いない……」
モバP「後ろだ」
雪美「……そこに……いたの……」ホッ
雪美「…………私の……そばに……いて」
モバP「……!」ズキューン
モバP「……不覚にもその言葉に堕ちた。――雪美も離れるな。俺のそばにいろ」
雪美「……」ドキドキドキ
603: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/08/03(土) 22:23:17 ID:gJZfIBXk
317
モバP「はぁ……」
雪美「P……どうしたの……?」
モバP「俺がピアノ経験者ということがどこからかバレてしまって、一曲弾いてよ、とアイドルたちにせがまれてさ」
モバP「謙遜しながら仕方なく満を持して披露したら、何か思ったよりも下手になっていた」
雪美「……がっかり……された……?」
モバP「致命的な下手じゃないが上手くもない、ネタにもならない微妙なムードというか……うん」
モバP「こういうのは続けていないと腕が鈍ってしまうんだなと思い知ることになった」
雪美「……Pの……そんな、かっこわるい所も……Pらしさ……」
雪美「でも……ピアノ……弾けるの……すごい……」
モバP「女子にモテたくて一時猛練習していたからな。おかげで指使いは研ぎ澄まされ」
モバP「こう見えても学生時代はゴールドフィンガーと呼ばれていた」ワキワキ
雪美「……そう……私は……Pの……ゴールドフィンガーに……いつも……弄ばれて……」
モバP「……下ネタだなあ。ごめん」
604: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/08/03(土) 22:24:39 ID:gJZfIBXk
318
モバP「雪美よ、アイスでも食べるか」
雪美「……」コク
モバP「よし分かった。こういう時の為に冷凍庫に入れてあるものがある」
ガチャ パタン
モバP「これよこれ。チューブアイスだ」
雪美「……すき」
モバP「では半分に割るぞ」
雪美「……」コク
モバP「……集中」
カッ
モバP「せいやっ!」
パキッ
雪美「……割れた……」
605: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/08/03(土) 22:29:51 ID:gJZfIBXk
――
シャリシャリ
雪美「……冷たくて……おいしい……」
モバP「夏は普通のアイスクリームやかき氷のような氷菓も良いが、何かやっぱりこれが好き」
雪美「……二人で……分けられるの……良い……」
モバP「お一人様ならただ冷やしてから取っ手をねじってそこから中のシロップを吸う食べ方もあるようだが、喉にくるんだよな」
モバP「だからよくこうして誰かと分けて食べていた」
雪美「……割るの……手……汚れなかった……?」
モバP「コツを掴めば、きれいに分かれなかったり飛び散ったりせずに割れる」
雪美「本当……?」
モバP「まあ良い子は真似せずにハサミとかで割るのが良いのかな?」
モバP「柔いと割るのに失敗しやすいが、半冷凍くらいのが美味いのが悩ましい」
雪美「……P……少年の目……してる」クスッ
606: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/08/03(土) 22:31:10 ID:gJZfIBXk
319
モバP「たまに雪美から感じられる猫っぽさを挙げようと思う」
雪美「……?」
モバP「暑い時はそうでもないが、一眠りする際に体を丸める時がある」
モバP「膝を曲げて横向きに寝る雪美さんを見ると、鍋に丸まって寝る猫を連想する」
雪美「…………無意識」
モバP「いや実は俺も結構そうなっていることがある。狭い所好きな性質が寝相に出てしまうのか知らないがな」
ンナア
雪美「……ペロが……いっしょに……おひるね……しようって……言ってる……」
モバP「ペロからお誘いか……猫の睡眠時間は一日で平均十四時間。薄明薄暮性で朝と夕が主な活動時間」
モバP「夏は特に日中が暑いからな。気温の下がってきた夕方あたりが動きやすい……と言っても都会の夏は夕方でも暑いが」
雪美「……おひるね……しないの……?」
――
モバP・雪美・ペロ「Zzz……」
607: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/08/03(土) 22:34:23 ID:gJZfIBXk
320
モバP「日本のお菓子にしては良い形をしているな、と思うものに鈴カステラがある」
雪美「……」モクモク
モバP「この鈴のようでいてウキや栗のような目を惹く上下二色」
雪美「……」ハムハム
モバP「……雪美は何をしていても、食べ方一つ取っても絵になるなあ」
雪美「……」ゴクン
雪美「Pは……これ……何で……知った……?」
モバP「ローゼンメイデンの翠星石が美味しそうに食べてるイラストを見かけたのがきっかけで」
雪美「……ほー」
モバP「俺はアニメやゲームで美味しそうな食事シーンを見ると、同じ料理を食べたくなる病なんだ」
雪美「……私も……。例えば……トムとジェリーの……ゼリー……とか」
ガシッ
モバP「雪美ってば本当、気が合うな!」
雪美「……Pったら……大胆……///」
608: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/08/03(土) 22:36:28 ID:gJZfIBXk
321
モバP「雪美、卓球しようぜ」
雪美「……?」
モバP「今度の仕事で卓球やるかもしれないだろ? ちょうど遊戯室に卓球台が入ったんで練習しとこう」
雪美「……良いの?」
モバP「周りが慣れているのに自分だけずぶの初心者だと疎外感が出たりするからな」
モバP「というか旅館で風呂上がりに浴衣をはためかせて卓球する雪美さんが見たい」
雪美「……それは……ともかく……、うん……やる……」
モバP「よし。そのやる気がまずは何よりの強みだ」
――
カコッ カコッ カコッ
キュィィィィン コンッ
雪美「……やった」グッ
モバP「ボールが物凄い変化したぞ今。というか初心者じゃない?」 …ウン
609: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/08/03(土) 22:38:04 ID:gJZfIBXk
322
モバP「雪美は暑さが苦手である」
モバP「またそれを我慢しがちな性格のため、体調には気をかけてやりたい」
雪美「……夏祭りや……プールは……好き……」
モバP「雪美は喋るのがあまり得意でない」
モバP「ただし意思表示を嫌う訳ではなく、彼女なりのペースで伝えようとしてくる」
雪美「……」ジーッ
モバP「雪美は大きな音を好まない」
モバP「怯えてしまうのと、小さな声で伝えたい言葉をかき消されてしまうのを怖れる」
雪美「……聞こえなかったら……悲しい……」
モバP「そんな雪美だが、なかなか充実した生活を送っていると言える」
雪美「……みんなが……そしてあなたが……優しくしてくれる……から……」
モバP「たまには静けさの中で彼女の息遣いに耳を澄ませてみるのも良いだろう」
雪美「……それでは……また……あした……」
611: ◆ORDERq/08U 2019/08/10(土) 22:28:32 ID:0S2KCAG6
323
雪美「……」テクテク
雪美「……!」ササッ
モバP「……」スタスタ
雪美「……」ジーッ
モバP「……??」
モバP「……」スタスタ
雪美「……」テクテク
スタスタ テクテク
モバP「……?」
クルッ
雪美「……あっ……気づかれた」
モバP「何か御用かな? それともスニーキングミッション?」
雪美「……P……見つけると……うれしくて……尾行……したく……なる……」 ホドホドニナー
612: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/08/10(土) 22:34:20 ID:0S2KCAG6
324
モバP「夏休みといえばキャンプよな」
モバP「大自然の中でテントを張ってカレーライスを作ったり夜に天の川を見たり」
雪美「……だれと……行くの……?」
モバP「家族と、ということもあれば小中学生対象のサマーキャンプに親から派遣されることもある」
モバP「夏休みだからって家でダラダラすんな、修行してこいって感じで」
雪美「……そんなこと……あるの……?」
モバP「ああ。当然ダルいとか言って行きたがらない子もいる。不便な非日常の環境に置かれる訳だから」
モバP「だが終わってみれば友達も作れて楽しい良い思い出になるものさ」
雪美「……キャンプ……」
雪美「……Pと……私と……みんなで……行きたい……ね」
モバP「アイドルをやっていると却ってそういう機会が巡って来にくいだろうからなあ」
紗南「行くならやっぱり連れにキャンプガチ勢がいると良いよね」
モバP「だな。俺はアウトドア用品を見るのは好きなんだが、大抵はそれで満足しちゃう頭でっかちだ」
紗南「Pさん、PCで登山グッズとかよく検索してるもんね」 ア、ミタナ?
613: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/08/10(土) 22:40:42 ID:0S2KCAG6
325
モバP「暑い夏――アイドルたちの疲労も溜まってきている」
モバP「屋外では容赦のない日差しと高温。屋内でも舞台に立てば、照明に熱を浴びせられる」
雪美「……」クタッ
モバP「おつかれさま、雪美」ナデナデ
雪美「……ん」
比奈「ソファーでプロデューサーの膝枕にうつ伏せしてる子は初めて見たっス」
モバP「比奈も疲れたろう。無理してないか? 俺が少しでも肩代わりできたら良いんだがな」
比奈「してないっスよ。プロデューサーと一緒でスね」
モバP「おや、俺が無理していないとは心外……いや否定はしないが。では、割と余裕?」
比奈「手を抜いている訳じゃないっス。ただ、倒れたり怪我したりして迷惑かけたくないでスからね」
比奈「無理して原稿を落としては元も子もないのと同じでスよ」
モバP「さすが眼鏡を外すと覚醒する美人だ。考え方が立派」
比奈「マンガのそういうキャラ好きっスけど……描く側の私がそれに当てはめられると何か恥ずかしいっスね」
614: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/08/10(土) 22:44:39 ID:0S2KCAG6
モバP「ところで、お疲れならマッサージなどしませんか?」
比奈「男のプロデューサーが女のアイドルにマッサージってそれなんて」
モバP「変なもんじゃありませんよ。通信教育で習った本場のテクニックをご堪能あれ」
比奈「それって本場と言えるんスかね……?」
モバP「ちなみに、雪美さんには既に施術済です」ポン
ピクンッ
雪美「あっ……! ふぅ……」
比奈「……小学生相手にいろいろと何してるんスか」
雪美「これ……とても……よく……きく……。……おすすめ……」クタッ
モバP「どうです~? やりませんか~? ぐひひひひ」
比奈「怪しすぎるっスよ! ここは私が止めなきゃいけないんスよね!?」
亜季「P殿のマッサージでありますか! 是非とも受けてみたいものですな!」
比奈「」
――
比奈「あ……肩が軽くなった……」 ワタシモデアリマス!
615: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/08/10(土) 22:47:52 ID:0S2KCAG6
326
モバP「むむむむむ……」
雪美「……P……何してる……の?」
モバP「ああ、スマホに液晶保護フィルムを、ズレたり気泡ができたりしないように貼ろうとしているところだ」
モバP「――よし、できた」
雪美「……P……結構……器用……?」
モバP「几帳面なだけで不器用な方さ。まあこんなもんだろう」ポチポチ
雪美「……見えない」
モバP「覗き見防止タイプのだからな。昔集めていたレンチキュラーのシールやカードみたいだ」
雪美「じゃあ……こうする……」
ムニッ
モバP「頬っぺた同士をくっつけるのってかなりの恋人ムーブじゃないですかね」
雪美「……こ、恋人じゃ……ねーし……」テレッ
凛「恋人というか……正妻ムーブ?」
616: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/08/10(土) 22:51:01 ID:0S2KCAG6
327
モバP「雪美さんは座っている時は何かイス状の物に腰掛けていることが多い」
モバP「では畳や芝生といった段差のない所ではどうだろう」
雪美「……」チョコン
モバP「体育座りです」
モバP「しかもスカート……ふおおおお」
雪美「……?」キラキラ
モバP「今日はあなた、長いのじゃなくてミニ気味のフリルワンピースなのよ?」
雪美「……ふぅ……これ……涼しい……」
モバP「それで体育座りって、何とは言わないが見えちゃうでしょ? 脛で絶妙に隠せてはいるものの」
雪美「……」ジト
モバP「でも見えそうで見えない――これが良い。この角度が一番魅力的だ」
モバP「顔はもう少し物憂げに、視線は逸らして……うん、完璧ね!」
雪美「……P……欲求を……隠さなく……なってる……?」
モバP「夏の雪美さんの肌色に堪え兼ねてポンコツ化してるなと我ながら」
617: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/08/10(土) 22:54:43 ID:0S2KCAG6
328
雪美「P……それは……時計……?」
モバP「これは懐中時計だな。成人祝いに祖父から貰ったアンティークだ」
雪美「……おおー」キラキラ
モバP「小さい頃に見せてもらってからずっと欲しいと思っていた物だから、それはもう嬉しかった」
雪美「……すてき……」
モバP「元々鎖がないから吊るすことはできないが、俺のとても大切な宝物だな」
雪美「……それなら、いつか……Pに……鎖を……プレゼント……したい……」
モバP「他の誰でもない雪美に、鎖を補ってもらえるならこれ以上の幸せはないな」
モバP「だが、鎖を買う為に黙ってその長い髪を切って売ってしまったりはしないでくれよ?」
モバP「俺は俺で雪美に、とびきり良い櫛をプレゼントしたいと思っているからな」
雪美「でも……そんな行き違いも……きっと……しあわせ……かも……」
雪美「”賢者の贈り物”……知ってる……」
モバP「良い話だよな、あれは」
モバP「それはそうと、以前は懐中時計って海中でも使える防水時計だと勘違いしていたなあ」 チガウノ?
618: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/08/10(土) 23:04:20 ID:0S2KCAG6
329
モバP「おやおや、こんな所にカラフルな海苔巻きかな?」
メアリー「ダーリン、それはカリフォルニアロール、ヨ。アタシが作ったのだから間違わないでほしいワ」
モバP「何と……すまんなあ。おっちゃん流行り物には疎くて。パッと見た感じだと色的にソイシートかと思ったよ」
雪美「……ソイシートも……はやりもの……だぞ……」 ソウカ?
モバP「で、これメアリーが作ったのか? へぇ、本格的だなあ……いや、本格的カリフォルニアロールは見たことないが、雰囲気がね」
メアリー「レディーなら母国の料理も作れて当然ダワ♪ さ、食べて?」
モバP「はむ……んん……おお! アメリカ料理にしてはなかなかエスニックだな。美味い!」
メアリー「本当? 嬉しいワ、ダーリン。ウフフ」
モバP「じゃあ俺はメアリーにジャパニーズ海苔巻きを御馳走しよう。ポークたまごおにぎりだ!」ジャン
メアリー「何コレ! おっきなスパムと玉子焼きが……ワイルドダワ!」
雪美「それ……日本というか……沖縄……」 マアヒトクチドウゾ
――
雪美・メアリー「おいしかった」ニパッ
619: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/08/10(土) 23:05:55 ID:0S2KCAG6
330
モバP「……ちょっくら休憩するか」
ボスン
モバP「事務所のソファーの座り心地はいつでも快適だな」
ガチャ
雪美「……」
モバP「?」
テクテク
雪美「……」
ポスッ
雪美「……ちょっと……休憩しに……来た……」
モバP「奇遇。俺と同じだな」
雪美「Pも……? …………同じで……良かった……」ポテッ
モバP「膝の上じゃなく隣に座って寄りかかってくるのはいつもと違うな」
雪美「……今日は……ひかえめ……。……でも……これも……いい……」
620: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/08/10(土) 23:06:42 ID:0S2KCAG6
おまけ7
ちひろ「プロデューサーさん、私は事務員じゃなくてアシスタントですからね」
モバP「失礼致しました。訂正してお詫びを申し上げます」
ちひろ「まあやっていることはアシスタントの域を超えているとは思いますけどね」
モバP「……」
ちひろ「……」
モバP「……私のアシさん、かぁ」
ちひろ「アシさんはやめて」
おまけ8
モバP「ニッポンの夏はいつからこんなってくらい暑いなぁ。雪美は大丈夫か?」
雪美「……」
雪美「……私は……兵器……」オメメグルグル
モバP(……アカン)
623: ◆ORDERq/08U 2019/08/17(土) 22:53:36 ID:JFUbPeWY
331
モバP「ひと夏の思い出”かき氷”」
モバP「ぬおおおお」ガリガリガリガリ
雪美「がんばれ……がんばれ……」クルクル
モバP「おおおおお」ガリガリガリガリ
雪美「もう少し……」クルクル
モバP「お、お、お」ガリガリガリ
雪美「ん……きれいに……お皿に……山になった……」
モバP「よし! ではかき氷シロップをかけて食べよう!」
雪美「イチゴ……メロン……ブルーハワイ……どれが……いい……?」
モバP「一説によると基本どれも同じ味らしいが、イチゴにするか! 練乳もかけて……っとこんなもんか」
モバP「では……はい、あーん」
パクッ
雪美「……ん……甘い……。……二口目は……Pに……あーん?」 アーン
凪「事務所に不自然な手回しかき氷機、Pの私物でしたか。草生えますね」シャリシャリ
624: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/08/17(土) 22:55:13 ID:JFUbPeWY
332
モバP「……」スヤスヤ
ガチャ
雪美「……P……? ……あっ……お休み中……?」
モバP「……ゆきみぃ……いいぞぉ……」ムニャムニャ
雪美「……ふふ……やっぱり……私がいないと……ダメ……ね」ゴソゴソ ダキッ
雪美「……」
雪美「……しまった……ねむくない……」
雪美「…………!」ピコーン
カシャ カシャカシャッ カシャッ
雪美「……送信」
――
モバP「何か最近自分の寝顔写真が出回っているらしいですが心当たりとかないですか?」
ちひろ「いえ、全然?(雪美ちゃん、私にまで送ってくるんですよねえ……ふふっ)」
625: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/08/17(土) 22:57:00 ID:JFUbPeWY
333
モバP「ひと夏の思い出”スイカ割り”」
凪「suicaを割り勘するのですか? 天才のピー氏はやはり考えることが一味違いますね」
モバP「そうじゃなくてほら、雪美を見てみろ」
雪美「……」 ←目隠し・水着・棒装備
モバP「そのままではまっすぐこちらに来れてしまうので、十回くらい体をスピンさせようか!」
雪美「……分かった……」クルクルクル
モバP「そしてスイカがこちらになります」ドスッ
凪「ばっちぇ冷えてますね。冷えてないスイカは生まれてこの方食べたことがありません」
颯「準備おっけーだよ! なー、Pちゃん!」
モバP「よし、では青春のスイカ割り開始だ!」
雪美「……」ヨロヨロ
颯「あっ、雪美ちゃん雪美ちゃんそっちは海だよ」
雪美「……わかった……」クルッ
626: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/08/17(土) 22:59:41 ID:JFUbPeWY
雪美「……P……どこ……?」
モバP「俺はこっちだぞー! 雪美ー!」
雪美「……? ……!」
雪美「……」フラフラ
凪「わーお、あっという間に近づいてきました。Pのラブコールは効果抜群ですね」
モバP「よし、そこでストップ――って、こらストップストップ! こっちじゃない!」
雪美「……P……ここに……いた……」ダキッ
――
凪「結局巻きで次のPが割ってくれまして、凪たちは冷たい内のスイカにありつけたのでした、まる」シャクシャク
颯「はーたちもスイカ割りやってみたかったなー。でも、スイカおいしいね♪ なー?」シャクシャク
モバP「君たちも水着差分ができたらやらせてあげよう」シャクシャク
雪美「差分……?」シャクシャク
凪「なるほど。つまり、はーちゃんの悩殺水着姿はよ、と催促しているのですね? 凪も見たいですが」
颯「もう、そんなこと言ってー! 可愛い水着は着たいけど、って早くしないとシーズン終わるよね?」
627: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/08/17(土) 23:02:48 ID:JFUbPeWY
334
友紀「ふんふーん♪」
モバP「あっ、キャッツが勝ったんやな」
友紀「理解が早いねプロデューサー。そうだよ! 良い所で岡本がホームラン打ってさ!」
モバP「良い勝ち方したり連勝中は楽しいよな。夜のスポーツニュース梯子なんてしてな」
友紀「そうそう♪ それにビールが美味しい!」
友紀「ところでプロデューサーはどこの球団のファンなのか、そろそろ教えてよー?」
モバP「俺も一応キャッツだがさ、最近は何だか負けが怖くなってしまって試合結果を見るのも恐る恐るでな」
友紀「そこはもうちょっと頑張ろうよ」
モバP「友紀でもたまには贔屓無しの試合を落ち着いて楽しみたい時はないか? 今なら高校野球とか」
友紀「キャッツの試合がない日や時間はそれもそれで良いよね。純粋に野球を楽しむっていうか」
モバP「それが行き過ぎて、いつの間にかシーズンよりもドラフト会議の方が楽しみになっていたりするんだ」
友紀「おいおい。まあ、それはそれで一大イベントだよね。アイドルの総選挙みたいなものでさ」
雪美「……P……また……サクセスモードで……私を……作ってる……」
628: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/08/17(土) 23:04:23 ID:JFUbPeWY
335
モバP「最近仕事が捗らないな。こう、天啓が降りてこないと言いますか」
ちひろ「それは一体何日ぶり何度目のことですかね」
雪美「……P……スランプ……?」
モバP「アイデアが断片化しているんだ。これが上手くまとまれば一気に勢いに乗れるんだが」
ちひろ「そういう時はじたばたしてみるしかないでしょう。仕事して、仕事して、仕事しまくる」
モバP「でもやっぱり出来なかったら?」
ちひろ「仕事するのをやめる。散歩をしたり、景色をみたり、昼寝をしたり、何もしない」
モバP「……」ポカーン
ちひろ「何ですか?」
モバP「ちひろさんが何もしなくて良いなんて言ってくれるとは……惚れそうです」
ちひろ「何もしなくて良い(何もしなくて良いとは言ってない)」
モバP「うーんこの」
629: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/08/17(土) 23:06:26 ID:JFUbPeWY
ちひろ「こほん……そのうち急に仕事がしたくな~る、したくな~る……ダメ?」
モバP「なるかしら」
ちひろ「ならなきゃクビですからね」
モバP「現実を見せられた」
ちひろ「まあ普段から気分転換にテレビを見てたり漫画を読んだり寝転がってみたり電話をかけたりギターを弾いたりぶら下がってみたりくらいはしてるでしょうし」
ちひろ「悪いなりにでもノルマはしっかりこなしましょうね」
モバP「雪美さん助けて」
雪美「……救い料346億万円……ローンも可……」
モバP「救いのヒーローか、それとも八百屋の冗談かな?」
モバP「それはそうとちひろさん、お休み中に夏は満喫できましたか?」
ちひろ「おかげさまで」
雪美「……私も……夏……楽しい……」ベッタリ
モバP「猛暑続きでなかなかきついですが、お盆も過ぎたことですし頑張りませんとね」ナデナデ
ちひろ「事務所でも目の保養地が欲しいんですけどね」
630: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/08/17(土) 23:08:03 ID:JFUbPeWY
336
ちひろ「プロデューサーさんはFGOで好きな女の子キャラは誰ですか?」
モバP「まず酒呑ちゃんですね。それからふーやー、エレナ、ジャック、アビゲイル、ニトクリスとかですか」
ちひろ「露出度の高い小さい子だらけですね」
モバP「ニトクリスは小さくないです。アビゲイルは……まあ水着がね……」
モバP「ソシャゲの女の子の痴女衣装率が高いのはこれはもう仕方のないことです」
ちひろ「それにしても何故真っ先に酒呑童子」
モバP「京言葉が妖艶で良いんですよね。雪美さんにも旦那はんと呼ばれてみたいです」
雪美「……旦那はん?」
モバP「」
雪美「……どう……?」
モバP「……よろしおすなぁ。何か雪美が酒呑童子のように見えてきたよ。格好まで」
雪美「……///」ペシ イテッ
ちひろ「自分の目を騙し始めましたよこの人」
631: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/08/17(土) 23:09:57 ID:JFUbPeWY
337
モバP「ひと夏の思い出”お祭りと花火大会”」
こずえ「おまつり……すきー……」
雪美「……花火も……好き……」
モバP「白浴衣と黒浴衣のコンビネーションが抜群だなあ」
こずえ「……えへへー」キラキラ
雪美「……でも……短いのが……少し……恥ずかしい……」キラキラ
モバP「まあ、たまにはこういうのもな? 俺も甚平で膝下出ているし」
雪美「Pの……じんべい……癖になる……」スリスリ
モバP「いやん、すりすりはやめて」
こずえ「ぷろでゅーさー……はやくいこーよー」
モバP「そうだな。屋台巡りと洒落込むか。人が多いから、しっかり手は繋いでような」
こずえ・雪美「はーい」
――
632: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/08/17(土) 23:12:35 ID:JFUbPeWY
モバP「お面どうでしょう」
雪美「……こーん」
こずえ「こんこん」
モバP「ふーむ、浴衣にキツネの面は何か幽玄の雰囲気を作り出すな」
雪美「Pは……悪いキツネに……化かされる……こんこん」
こずえ「こずえたちがー……きつねだよー……」
――
モバP「射的どうでしょう」
パーン
雪美「わっ……! びっくりした……、反動……強い……」
バキューン
こずえ「あれー? 当たったよぉー?」
店主「やるねぇキツネのお嬢ちゃんたち。はい、これは戦利品だ」
こずえ「おおー……おんなのこのぬいぐるみー……ぷろでゅーさーに……あげるー」
モバP「ありがとう。ほう、こいつぁ良い浦風だ。また来るぜオヤジ」
633: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/08/17(土) 23:15:54 ID:JFUbPeWY
――
モバP「ヨーヨー釣りどうでしょう」
こずえ「……むむむむー」
雪美「……あっ……釣れた……P……釣れた釣れた……ほら……」
モバP「雪美さんってば無邪気だなあ。……ん、中に何か入ってるな」
店主「玩具が入ってるんですよ。チョコエッグみたいに二度美味しいでしょ」
雪美「透かしたら……猫の顔……みたい……」
――
モバP「景品くじどうでしょう」
モバP「昔一等を当てたことがある強運の右手が唸るぜ……これだ!」
バッ
店主「はい。末等は光るスポンジスティックだね。お連れさんに一本おまけしよう」
雪美「……おお……きれい」キラキラ
こずえ「わあ……おにいさんありがとー……」キラキラ
モバP「こんなはずでは」
634: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/08/17(土) 23:20:57 ID:JFUbPeWY
――
モバP「いやあ、時間を忘れて回ったな」
雪美「りんご飴……Pも……なめる……?」
こずえ「ちょこばななもー……おいしいよー?」
モバP「この焼きトウモロコシもな、焦がし醤油が食欲をそそる――って、こうしている場合じゃない急ぐぞ雪こず!」
モバP「もうすぐ花火の時間だ、見やすい場所に行こう」
――
モバP「……着いた」
加蓮「やっほー、場所取りばっちりだよ」モグモグ
奈緒「加蓮はトルネードポテト好きだなあ」
モバP「そっちも撮影が終わったか。お疲れさん」
凛「やっと来たね、プロデューサー。花火終わったら今度は私たちとも付き合ってよ?」
モバP「分かっているとも。約束していたからな」
雪美「……凛……Pのじんべい……いいにおい……する……」
凛「えっ? ……ふーん……あ、本当だ……まあ、悪くないかな……」
635: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/08/17(土) 23:23:08 ID:JFUbPeWY
――
ヒュー ドーン パラパラパラ
ヒュルルルルルル ドーン パラパラパラ
雪美「……」
こずえ「……」
モバP「二人とも熱心に眺めているな……しかしきれいだ」
凛「えっ? 私のことかな?」
奈緒「花火のことだよ」
モバP「俺の地元でも以前は毎年打ち上げ花火をやっていたんだが、ある時火事が起きてから無くなった」
加蓮「そういうこともあるよね」
加蓮「……私は一度だけ、入院中に部屋割りが良くて窓から花火が見えるタイミングがあったな~」
モバP「花火は、その場の言葉が無くても、誰か一緒に見てくれる人が欲しいな」
加蓮「うん。病室に私一人、花火を独占できても寂しかった。こうしてみんなと見る方が好き」
ヒュー ドーン パラパラパラ
モバP「良い条件がいくつも重なって、最高の花火は見られるんだな」
636: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/08/17(土) 23:26:19 ID:JFUbPeWY
加蓮「パッと光って咲いたー、はーなびを見ーていたー♪」
奈緒「くくく……セルフBGMかよ」
モバP「でも、直に夏は終わっていくんだなあ」
凛「今過ごしているこの夏は、一生に一度しか来ないからね。今日ここに、私たちの足跡は残せたかな?」
モバP「少なくとも俺の記憶には残ったさ。……はしまき食べる?」スイッ
凛「もう、デリカシーに欠けるなあ。……ふふふっ」
凛「っていうか色んな物持ち過ぎだってプロデューサー。ヨーヨーにトウモロコシに浦風に光る棒に、はしまき?」 ホカニモアルゾ? エェ…
雪美「P……一番……はしゃいでたね……?」
こずえ「はしゃいでたねー……えへー……よかったねー……。ふわぁ……」
モバP「アイドルを差し置いて同行のプロデューサーが一番楽しんでるってどうなのよ(自問自答)」
凛「まあ、良いんじゃないかな? プロデューサーだし」 アハハハ
雪美「……P」
モバP「ん?」
雪美「……楽しかった……。また……来ようね……? 来年も……その先も……」
モバP「そう言って雪美は照れ隠しにお面を被るのでした。かーっ! 惚れるねい」 Pサンウルサイ!
638: ◆ORDERq/08U 2019/08/24(土) 22:07:38 ID:KQh4SjtY
338
雪美「……P……何を……背負っている……の?」
モバP「これは多腕ロボットアームだ」ウィーン
モバP「最近は薫やこずえや仁奈や小春が一度に来ることが多いから、それぞれに遊んであげられるように、な」
モバP「晶葉が発明したこの通称”千手観音”は俺の思考を読み取り、それぞれ独立して動かせる」
雪美「……」ホー
モバP「まるで自分に新しい腕が生えたような感覚だ」クネクネ
雪美「動き……なめらか……。……さわっても……いい……?」
モバP「良いぞー?」
雪美「……やわらかい……ふふふ……」ムニムニ
モバP「逆にこっちからも雪美を撫でてあげよう」ナデナデ サスサス
雪美「……んっ……Pの手……いっぱい……」
ちひろ「でもそれ、昆虫みたいでちょっと気持ち悪いです」
モバP「」ガーン!
639: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/08/24(土) 22:12:18 ID:KQh4SjtY
339
カンカン カンカン カンカン
ガタンゴトン ガタンゴトン
モバP(駅前の踏切は開かずの、とまでは言わないが結構待たされることがある)
モバP(上りが行って下りが来てまた上りを待つとか、遮断機が上がったと思ったら数秒してまたカンカン鳴り出すとか)
カンカン カンカン カンカン
モバP(踏切は冷静に考えると結構怖い。単調な音が不気味だし、赤色灯の点滅も電車が近づくと急に動き出すから心臓に悪い)
モバP(ただ、本数が少ない時間や路線でその鳴り出しを待つのが、子どもの頃のちょっとした楽しみだったりした)
カンカン カンカン カンカン
ガタンゴトン ガタンゴトン
カンカン カンカン グゥーン
モバP(お、開いたな。行くとするか……ん?)ザワッ
雪美「……あっ……P……!」フリフリ
モバP(今の楽しみは、こうしてふとした場所で、雪美と出会うことかもしれない)
640: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/08/24(土) 22:14:04 ID:KQh4SjtY
340
モバP「……サンドイッチって良いよな」
雪美「……うん」
モバP「どこぞの伯爵がトランプゲームをしながら気軽に食べられるものを、ということで考案されたと聞くが」
モバP「具のバリエーションが豊かで、玉子、キュウリ、ハム、チーズといろんな物が合う」
雪美「おにぎり以上……かも……」
モバP「お米と違って甘い物も幅広く合うからな。雪美の作るフルーツサンドは絶品だ」
雪美「……また……作る……」
モバP「是非お願いします。週三くらいのペースで食べたい」
ちひろ「無茶言うな」
モバP「何せどこの名店のレシピかと思うほど美味しくて、自分じゃ再現できないんだ」
雪美「……調理実習の……プリントを見て……作っただけ……」
モバP「最近の調理実習はレベルが高いんだなあ……」
641: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/08/24(土) 22:15:57 ID:KQh4SjtY
モバP「サンドイッチ……欠点らしい欠点があるとすれば、食パンの耳が除かれるところか」
雪美「……そういえば……端っこの……耳は……切る……」
モバP「雪美はパンの耳は苦手な方? そういう子は割といるが」
雪美「……普通。……分かれていたら……気にならない……」
モバP「嫌いじゃないが食べる時にちょっと違和感というか気になるというか、は誰しもありそうだな」
モバP「パン耳のラスクなんかは安くて重宝するし、意外と分かれていた方が存在感があったりして」
雪美「ラスク……あまり……食べたこと……ない……。…………あっ……!」ピコーン
雪美「……私が……白い部分で……フルーツサンドを、作る……」
雪美「……Pが……耳の部分で……ラスクを、作る……」
雪美「……食パンを……余すことなく、使えて……役割分担……できる……」
モバP「ナイスアイデアだな。今度やってみるとするか!」
ちひろ「サンドイッチの話題で盛り上がっていますけど」
ちひろ「そうして雪美ちゃんにサンドイッチされていることについてはツッコミ待ちですか?」
雪美・モバP・雪美「?」
642: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/08/24(土) 22:17:47 ID:KQh4SjtY
341
モバP「盆に実家の物置を漁っていたら面白い物が見つかりましてね」
ちひろ「ほう」
モバP「携帯ゲーム機です。それもキーホルダーサイズ」
ちひろ「うわ小っちゃ!」
菜々「あっ、懐かしいですね! テトリスとかスネークゲームとかレースゲームとかブロック崩しが入っていて……」
モバP「いろいろな亜種があるようですが、これが流行ったのは22、3年は前のようですね」
菜々「クラスの子が持ってて羨ましくて……あ、菜々は17歳なのでこれは前世の記憶です」
モバP「そうはならんやろ」
ポピーピピー♪ ポピーピピー♪
雪美「……あ……動いた……」
モバP「ボタン電池は新しいのに変えたが、まだ動くことに驚きだ」
菜々・雪美「おおー……」ピッピッピ
ちひろ「菜々さん少なくとも三十代までは行ってないはずなんだけどなあ……」
643: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/08/24(土) 22:20:50 ID:KQh4SjtY
342
モバP「巨大な346プロには使われていない未知の部屋がいくつかある」
モバP「中には開けてはいけない危険な扉も――」
雪美「……」
ちひろ「それで、プロデューサーさんは一体何をしているんですか」
モバP「何故か座敷牢のある部屋があったんでちょっと自主的に囚われてみました」
ちひろ「自分からお縄につくとは殊勝な心掛けですね」
モバP「僕何もしていませんが」
雪美「……P……悪いこと……したの……? 怒らないから……言ってみて……」
モバP「本当に何もしていない。ちなみにそう言う人は実際に白状したら怒るんだよなあ」
モバP「痛かったら手を挙げてくださいね、と言われたから手を挙げたのに治療をストップしない歯医者に類するものがある」
ちひろ「何をごちゃごちゃと。で、じゃあ謹慎のつもりか、でなければ誰かから隠れてでもいるんですか?」
モバP「いえ。ただ軟禁される気分はどんなものかと思いまして」
644: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/08/24(土) 22:22:57 ID:KQh4SjtY
モバP「ほら、よくヤンデレが好きな人にする愛情表現の定番です」
ちひろ「そんな愛情表現は真っ平御免です」
ちひろ「でも監禁とか軟禁とか……いつか本当にそういう目に遭いそうですよね」
モバP「冗談きついっす」
雪美「……好きでも……人を……閉じ込めて……自由を奪うの……ダメ……」キィ パタン
モバP「お、雪美も入ってくるのか」
雪美「……P……一人じゃ……心細い……でしょ……?」
雪美「……! ……ここ……意外にも……おちつく……」
モバP「不思議と居心地は悪くないよな」
ちひろ「好奇心でこういう曰く有り気な所に頭を突っ込まない方が良いと思いますよー。呪われたりしそうです」
モバP「ではどうしてそういう部屋があるんでしょうかね?」
モバP「部屋に限らず、女子寮にも夜に外を出歩くと魔女に連れて行かれたりする、なんて話がありますし」
雪美「……魔女……いるの……?」ブルブル
ちひろ「一体346プロを何だと思っているんですかねえ」
645: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/08/24(土) 22:29:30 ID:KQh4SjtY
343
愛海「お山の大きさに貴賎は無いって言うでしょ?」
モバP「ああ」
愛海「でもあたし、男と女では正直に言って別物だと思うんだ」
モバP「何が言いたいのかね?」
愛海「プロデューサーのパイスラは、あまり嬉しくないよ……」
モバP「……?」
モバP「ああ、このネックストラップな。長いからこう、ショルダーバッグのように斜めがけしてみたりして」クイッ
愛海「あー……でも……もうプロデューサーでもいっか!」ワキワキ
モバP「ちょっと待て。俺でも良いかとは何やねん」
愛海「うひひひ……そんな風に見せつけて誘惑するのが悪いんだ」ガバッ
モバP「ひいっ!?」
雪美「待って……。私が……何でもするから……Pには……手を、出さないで……」
モバP・愛海「ん? 今何でもするって」
ちひろ「何でプロデューサーさんまで一緒になって言ってるんですかねえ」
646: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/08/24(土) 22:34:24 ID:KQh4SjtY
344
モバP「雪美たちが手伝ってくれたおかげで今日の夕食のおかずは鶏の唐揚げだ」
モバP「いやあ、ボリュームあるねえ。それも揚げたて! ご飯がさぞ美味かろう」
凪「唐揚げにレモンかけておきました! しても良いですか?」
モバP「待て待てストップ。それ嫌がる人もいるからな? 事後報告でなくて事前に聞くその姿勢は良し」
あきら「じゃあ、抹茶塩かけても良い?」
モバP「既に味が付いているから。そもそも抹茶塩をかけるのは鶏の天ぷらだ」
モバP「やるなら十把一唐揚げにしないで、自分の取り皿に取ってから。ね?」
凪「おけまるー」
あきら「おけまるー」
雪美「…………え、私も……?」
雪美「……おけまるー」
あきら「♯今日の雪美サン いただきデス」
凪「P、ニヤついていますね。わかりみです、凪もニヨニヨです」
モバP「お前ら仲良さそうで良いが、唐突におけまるーはズルいわ」
647: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/08/24(土) 22:48:13 ID:KQh4SjtY
345
モバP「雪美……そ、それは……!?」
雪美「……某小学校の……制服」キラキラ
モバP「ブラウス、吊りスカートに、制服小学生特有の帽子……これは思いがけぬ僥倖」
雪美「……P……似合う……?」ドキドキ
モバP「いいところの子って感じが引き立つねえ。うん、とても似合っているぞ」
雪美「ありがとう……」テレッ
雪美「でも……Pは……いいところの子……じゃなかった……の?」
ちひろ「プロデューサーさんのご実家、割とお金持ち説がありますからね」
モバP「まさか。でも、制服のある小学生って都会でないと見かけないイメージがあります」
モバP「自分はとある地方の町出身ですが、当時は私服登校でしたし他学区でも私服の子しか見かけませんでした」
雪美「幼稚園と……中学生からは……制服なのに……、小学校だけ……私服……なんでだろう……?」
モバP「んー、何でかな? 個人的には雪美の私服がたくさん見れるから、それはそれで嬉しいが」
ちひろ「逆に私とプロデューサーさんはお互いに私服をあまり見ないですよねえ」 デスネ
649: ◆ORDERq/08U 2019/08/31(土) 19:49:04 ID:1ClTio6E
346
モバP「346プロの七不思議って知ってるかい?」
雪美「……?」
モバP「いや、俺も知らないんだがねー」
紗枝「フレデリカはんみたいなこと言わはりますなぁ」
モバP「噂じゃそういうものがあるらしい。そもそもここは不思議が多すぎて七つじゃ収まらないか」
紗枝「でも、大抵はプロデューサーはんのことですやろ?」
雪美「……」コクコク
モバP「いや、俺はただのプロデューサーだ。不思議なことなんてそう起こせはしない」
モバP「君たち一人一人が凄いんだよ。俺に想像を超えた不思議を見せてくれるのはいつも君たちだ」
紗枝「まあお上手。けどうちかて、ただのプロデューサーはんの力ではここまで大きくなれまへんでしたえ?」
雪美「……!」コクコクコクッ
モバP「俺ってもしかして凄いのかな……とりあえず、雪美を撫でようか」ナデナデ
紗枝「さっきからほんまかいらしいわぁ」ナデナデ
雪美「……」ムフー ←気持ち良さそう
650: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/08/31(土) 19:50:36 ID:1ClTio6E
347
モバP「本日の馴染み過ぎた関係」
モバP「人の家のベッドでうつ伏せ姿勢で漫画を読む雪美さん」
雪美「……♪」パタパタ
モバP「しかもスカートで、足を曲げたり伸ばしたりしている」
モバP「自室のようにリラックスし過ぎではないか? もはや自室なのか?」
雪美「……」パタン
モバP「お、読み終わったらしい」
雪美「……んん……」ノビー
雪美「……」
雪美「……」ゴロンゴロン
バフッ
雪美「……」ムフー ←枕ふかふか
モバP「もしや自分の前世は徳を積みまくった聖人なのだろうか? 感謝しかないな」
651: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/08/31(土) 19:52:18 ID:1ClTio6E
348
モバP「今年のサマーも終わりか。早いなあ」
雪美「……」コク
ちひろ「まだまだ暑いですけどね」
モバP「でも盆過ぎから結構冷え込んだり冷え込まなかったりで、涼しくなっていますよ」
モバP「おかげで寝不足が解消されつつあります」
ちひろ「プロデューサーさんは暑いと寝られないタイプですか」
モバP「寝入ることは出来るんですが、眠りが浅くなって二、三時間で起きてしまいノンレム不足です」
ちひろ「夢を見ている浅い眠りの状態がレム睡眠、頭が完全に休まる深い眠りの状態がノンレム睡眠でしたっけ」
雪美「P……寝不足……だったの……?」
モバP「まあいろいろ工夫したり謎のドリンクを飲んだりしたから問題は無かった」
ちひろ「謎のドリンクっておい」
モバP「でも自然にぐっすり眠れるのは良いもんです」
ちひろ「まだしばらくは油断すると暑さの揺り戻しが来そうですけどね。季節の移ろいはそんなものかと」
652: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/08/31(土) 19:53:55 ID:1ClTio6E
モバP「とりあえず今は暑い夏を乗りきった充実感で漲っています。ウェルカム秋の夜長」
雪美「P……夏は……楽しかった……?」
モバP「ああ。意外でもなく忙しかったが、雪美たちと充実した日々を送れたと思うよ」
モバP「きついこともあったが、良い夏だった」
雪美「……良かった……。……私も……楽しかった……」
モバP・雪美「……へへへ」
ちひろ「お二人は本当、和気藹々ですねえ」
雪美「P……今日は……どこに……連れて行って……くれるの……?」
モバP「夜、少し街はずれにでも行ってみようか」
モバP「先日通ったら、鈴虫が鳴いていてな。秋の訪れを感じに行こう」
雪美「……楽しみ」
ちひろ「静かな中であたり一面の鈴虫の鳴き声……良いですね」
モバP「今こうしている間も何だかあの鈴虫の声が聞こえてくるようでして」
ちひろ「それは耳鳴りとかじゃないですよね?」
653: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/08/31(土) 19:57:45 ID:1ClTio6E
349
モバP「屋外の流れるプールで見かけるフロートは目を惹くな」テクテク
雪美「……」プカプカ
モバP「流れる雪美さん、つい追いかけたくなる……しかしそれに乗れるって良いなあ」
雪美「……Pも……乗る……?」
モバP「いや、普通の浮き輪やバナナボートとかならともかく、この歳で黒猫のフロートに乗るのはね?」
雪美「……これ……好き……」ダキッ
モバP「自分の歳が一桁くらいだったらそのお誘いは受けていただろう」
モバP「それに、撮影後で貸し切りとは言ってもアイドルの中に男の俺が一人飛び入りして一緒に遊ぶわけにはいかんのだ」
雪美「そんなこと言って……P……アロハシャツ……サングラス……」
モバP「気分だけでもみんなと一緒にな――」
法子「油断大敵! クールスプラーッシュ!」ピューッ
あやめ「わたくしも! 水遁・水鉄砲の術!」バシャー
雪美「あっ……」
モバP「……まあこういうことも想定してだな」ビショビショ
654: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/08/31(土) 20:01:13 ID:1ClTio6E
モバP「それにしてもお前ら、水のある所でこれほどの水遁を……」
輝子「ヒャッハー! P、捕まえたぁーッ! 新鮮なマッシュルームをゲットだぜー!!」ガバッ
小梅「ナイス、輝子ちゃん……そのまま、こちらの世界に……引きずり込んじゃえ」
モバP「っとっとっと、不意を突かれたと言っても輝子、お前だけで俺を動かせるかな?」
拓海「よぉP、遊ぼうぜ? 年少組が元気でアタシらだけじゃ手が足りなくてさ」
雫「こっちもですよー。Pさんも一緒に楽しみましょー!」
茜「……!」ウズウズ
モバP「あ、これ力負けいや圧力負けしそう」
――
モバP「そして俺は気づいたらプールの中にいた」
モバP「自分だけは安全圏からちひろさんに水鉄砲当てながら過ごしたかったのに……」
ちひろ「残念ですけど私ももう水着になっちゃってるんですよねー」キラキラ
モバP「あっちひろさん。……いやあ、しゃがんだちひろさんに見下ろされるとは壮観。水着、お似合いで」
ちひろ「ありがとうございます。でも私は水鉄砲の的じゃありませんからね」
655: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/08/31(土) 20:03:32 ID:1ClTio6E
モバP「ちひろさんシューティングまたやりましょうよ? すっごい避けるし透けるし濡れるし最高です」
ちひろ「そんなに私を撃ってぐしょ濡れにして遊ぶのが愉快でしたか……ほーん」
モバP「いつもの服であんなことを許してくれるちひろさんは、本当サービス精神に溢れていますよ」
ちひろ「はぁ……だったら、普段からもっとそのサービスに報いてくださいね?」ニコ
幸子「ちひろさんは笑顔が反則ですね。ボクも一目置くカワイさですよ」 ダナ
志希「アイドルじゃないのが勿体無いくらいだねー♪」 マッタクダ
愛海「お山登りたい」 ソレハチョットナ
ちひろ「おーおー好き勝手言いなさる。たまには私からやり返しても良いですかね?」
早苗「ちひろさん、見ーつけた!」ピューッ
ちひろ「冷たっ! ちょっと早苗さん!」 ワーニゲロー
モバP「こっちにも良い武器がございますぜ(スプラスコープ)」
ちひろ「いつの間にこんな物を配って……もはややりたい放題ですね」
モバP「ここらで一つ、プロデューサーとアシスタントの怖さをみんなに再教育してやるとしませんか?」
ちひろ「手を組む訳ですか。……良いでしょう、こうなりゃヤケです」
656: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/08/31(土) 20:11:38 ID:1ClTio6E
楓「おや、我々とやり合うおつもりで?」
ちひろ「こちらも伊達にスーパー裏方やってませんからね」
ザバッ
モバP「助っ人も呼んでおきましたよ」
雪美×7「……私たちは……Pと……ちひろさんの……味方……」
拓海「面白くなってきやがった」スチャッ
亜季「こういうサバゲーもたまりませんな!」チャキッ
ちひろ「覚悟は良いですか? 全主砲斉射、てーっ!」
――
――
雪美「……大丈夫……?」
モバP「ああ。しかし負けたぜ……数の暴力には勝てねえ」プカプカ
ちひろ「良い慰労にはなりましたけどね」プカプカ
雪美「……二人とも……いい笑顔……」クス
657: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/08/31(土) 20:14:28 ID:1ClTio6E
350
モバP「夏はアイドルたちの水着姿をたくさん見ることができたなあ」
みく「Pチャンはそういうとこ、隠さないにゃあ」
モバP「自慢のアイドルの晴れ姿に胸が躍らない訳がない」
モバP「プロデューサーであると同時に、俺が一番のファンでもあるつもりだしな」
みく「何言ってんだか。でもPチャンに見られてもイヤな感じはしないのは確かだにゃ」
雪美「……不思議」
みく「……Pチャンってたまに出す男の子臭さを除くと中性的だよね。実は女の子じゃないよね?」
モバP「男だからな? でも何かそう言われると自分は本当に男なのか自信が無くなってくるな」
雪美「……P……まかせて……、私が……自信を……取り戻させる……」
モバP「雪美……あっ、ちょ……ダメだって……そこは……」
――
モバP「……ふぅ。やっぱり俺は男だった(健全)」
みく「さすがのみくも自分を曲げそうになるよ?」
658: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/08/31(土) 20:25:37 ID:1ClTio6E
351
モバP「ふと思ったんだが」
杏「そうだ、今日はいい天気だし仕事は休みにしよう!(声真似)」
モバP「どれだけ気ままな自営業だよ。ちゃうちゃう」
杏「プロデューサーがそういう振り方する時はどうせロクなことじゃない」
モバP「そうか? では敢えて口を閉じておこうか。この出かかった賢者のアイデアを」
杏「まあ、一応聞いといてあげるよ」
モバP「牛乳にきな粉混ぜたら実質豆乳じゃね?」
杏「違います(即答)」
モバP「……はぁ……いや本題はね? 最近の小中高生ってさあ、宿題をきちんとやるんだなって」
杏「誰もギリギリになって宿題終わってないから手伝ってと言って来なくて寂しいの? 良いことじゃん」
モバP「まあな。アイドル同士で勉強会とか開いて協力し合っているようだし……俺は溜め込んで必死にやったりしていたのに」
杏「だってプロデューサーと缶詰で宿題するよりは、終わらせて一緒に遊ぶ時間を増やした方が良いし」
雪美「……だからPも……お仕事……早く片付けよう……?」 ハイ
659: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/08/31(土) 20:55:27 ID:1ClTio6E
352
モバP「語尾が伸びる女性ってちょっと良いですよね。特に関西弁の」
モバP「口調から作り出されるどことなく天然そうでおっとりした雰囲気……癒されそうです」
ちひろ「あずまんがの春日歩ちゃんみたいな? ……ただし可愛い女の子に限る」
モバP「悲しいなあ……まあ、例えばチャラ男系が語尾を伸ばした喋り方をしていたら確かにキツいですが」
雪美「……P……こっち向いてー……向けー」
モバP「こずえかな?」
雪美「……語尾を伸ばすって……こういう……こと……? ……難しい……ね」
モバP「違和感があるなら意識して変えてみなくても良いさ」
ちひろ「自分がこの方が喋りやすい、と思ってその口調にしていく訳ですからね」
ちひろ「プロデューサーさんも雪美ちゃん向きと私向きとでは口調を使い分けていますけど、未だに何だかぎこちないですし」
モバP「それはちひろさんが年上ゴホンゴホン、お互い節度ある大人の距離感として、この方が自然かなと判断してですね」
ちひろ「何故そこで咳き込んだよ」
雪美「……二人は……何歳……なんだろう……」
661: ◆ORDERq/08U 2019/09/07(土) 23:10:33 ID:DXnW.eEw
353
雪美「……あっ」
モバP「左右に扉がある」
モバP「……俺の勘がここは右に行った方が良いぞと告げている」
雪美「……左に……行きたい……」
モバP・雪美「……むむむむむ」
モバP「……こういう意見が分かれた時の為にガイドラインを設定しておかねばなるまい」
モバP「よし、コイントスで決めるとするか。表なら俺の意見を、裏なら雪美の意見を採用する」
雪美「……依存なし」
キンッ クルクルクルクル パシッ
モバP「……裏、か。よし、左に行こう」
雪美「……あっ……でも右から……良いにおいが……する……」
モバP「右に行くか」コロッ
ちひろ「コインに託しておいて即翻すとは適当極まりますね」
662: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/09/07(土) 23:11:42 ID:DXnW.eEw
354
モバP「はぁ……雪美さん……」
雪美「……?」
モバP「今日の格好も格別だね」
モバP「麦わら帽子に三つ編み、オーバーオールが決まっている。見惚れるよ」
雪美「Pが……見とれて……くれる……」キラキラ
モバP「雪美さんが人の心を鷲掴みにするものだから……恋煩いのようだ!」
雪美「……ふふっ……そのまま、私から……目を……離さないで……」
モバP「……こんな姿もあんな姿も、宣材写真にしないと勿体無く思えてくるぜ」
モバP「それにしてもオーバーオールに三つ編みってカントリー感八割増くらいあるよな」
雪美「……そんなに?」
モバP「そんなに。だから、連鎖的にカントリーマアムをそっと隣に置いてみてもあら自然」
雪美「……自然……?」
モバP「自然さ。何せ餡子も入っているしな(謎)」
663: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/09/07(土) 23:13:29 ID:DXnW.eEw
355
モバP「雪美さんが時々とても大人に見える時がある」
雪美「……?」
モバP「穏やかで品があって、俺が無茶やっても暖かく見守ってくれる感じがですね」
ちひろ「呆れて生暖かい目で見ているのではないですか?」
モバP「そんなことはないだろう?」
雪美「……あまり……無茶は……しないで……ほしい……」
モバP「はーい」
ちひろ「どちらが保護者格か分かりませんね」
モバP「でも、老成しているというか知識豊富で頼りになる感じがしませんか?」
ちひろ「それは分身でフィードバックしているからじゃないですか?」
モバP「ファンタジーですね」
ちひろ「今更」
664: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/09/07(土) 23:14:46 ID:DXnW.eEw
雪美「P……こっち……おいで……」
モバP「何? 雪美さん」
雪美「おこづかい……あげようね……。みんなには……ないしょ……」
モバP「わぁい」
ちひろ「おばあちゃんかな?」
モバP「ロリータなおばあちゃん、浮世離れで人間離れした万能感が味方にいると心強い」
雪美「……そのかわり……妾を……乗せるのじゃ……」
ちひろ「まさかののじゃロリ?」
モバP「どうぞどうぞ、こんな粗末な席で宜しいのならいくらでも」
雪美「……」ポスン
雪美「……なでなで……してくれない……の……?」
モバP「でもやっぱり雪美は年相応な面も見せてくれるのが好きだね」ナデナデ
雪美「……んっ……もっと……なでて……」トロン
ちひろ「年相応ならこんなことはしてないと思いますけど」
665: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/09/07(土) 23:15:53 ID:DXnW.eEw
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パクッ
雪美「……キャラメル……」ウットリ
モバP「雪美と食べるおやつのホーキーポーキーは美味い」
ちひろ「容器の大きな業務用アイスですね。こんなのどこで買って来るんですか」
モバP「ニュージーランドから買い付けています」
ちひろ「……プロデューサーさんって結構計り知れないですね」
モバP「この仕事をさせてもらっているおかげですよ」
モバP「話は変わりますが、秋と言ったら肝試しですよね」
ちひろ「いえ夏です」
モバP「あっそうか夏か」
モバP「……あれー? 何で秋だと思ったんだろう」
ちひろ「しっかりしてくださいよ? まあ春とかでもあるにはありますけど」
666: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/09/07(土) 23:18:30 ID:DXnW.eEw
モバP「今年はアイドルたちと肝試し大会をやりたかったのにすっかり忘れていました」
ちひろ「肝試し大会とは古風ですね」
モバP「娯楽の制限される部活合宿とかオリエンテーションでの定番の息抜きイベントですよ?」
ちひろ「ですかね? 学校の時は班行動で雑談しながら夜道を歩いただけで終わってつまらなかったです」
モバP「それは仕掛け側の段取りが悪かったんでしょう」
モバP「もしくは、実は大変な目に遭ったりしたのに、そこだけぽっかりと抜け落ちて忘れているだけかもしれない」
ちひろ「小さい頃の記憶って結構曖昧ですからね。しかしそれは無い」
雪美「P……きもだめし……したいの……? ……こわがり……大丈夫……?」
ちひろ「え、そうなんですか?」
モバP「雪美と遊園地を回った時におばけ屋敷で半泣きになってやりましたよ!」
ちひろ「自信満々に言うことじゃない」
モバP「でも、一度は肝試しのような形のドッキリのターゲットにされてみたい気はします」
モバP「”プロデューサーを驚かせたら金一封!”なんてね」
ちひろ「アイドルじゃなくてプロデューサーさんがされる側ですか……」
元スレ
SS深夜VIP:モバP「雪美さんといっしょ」