1: 名無しで叶える物語(えびふりゃー) 2020/03/17(火) 22:46:59 ID:++I2qhot.net

海に面したその村は、一夜にして炎に包まれた

原因はただ一つ、一匹の火竜だった。
「ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!」




「吠えた……炎が来るぞ!!」

「下がれ!全員火竜から距離を取るんだ!!」

「おい!ハンター以外と子供は白き竜の祠のある島まで避難させろ!!」


人里に迷い込んだ竜は、その場を破壊し、灰塵と化す“災害”となった





「お父さん、お母さん……どこ……?」

呻くように呟く少女の周りでは業火が立ち上っていた。

海風で湿った木造の建物は白い煙を上げて燃え盛り、戦火は逃げ遅れた齢そこそこの少女を容赦なく包み込む。

「ぜんぶ、ぜんぶ…燃えちゃった」

「うぅ、みんな……どこへ行ったの…?」





「おねえちゃん……」



2: 名無しで叶える物語(えびふりゃー) 2020/03/17(火) 22:47:43 ID:++I2qhot.net

「ルビィ!!」

「おねえちゃん……うわあああああん!怖かったよ!!」

「よしよし……怖かったですわね、もう大丈夫ですわ」

「ダイヤ、悪いけど早く逃げないと……アレはいつこっちに飛んでくるか分からないって大人たちが言ってる」

「善子ちゃんと鞠莉さんは大人たちの応援にいってるみたいだけど……それももう逃げた方がいいかもしれないって……」

「二人はほら、ガンナーだし腕もいいから遠巻きに狙うって言ってたけど」

「とにかく、船着き場まで逃げよう!向こうの島まで行けば安全なはずだよ!」

「殿は私と果南さんで努めます、みなさん落ち着いて、絶対にはぐれない様に!」




「ゴアアアアアアアアアアアア!!!!!!」





「チッ!アイツ、飛び回ってると翼で頭が狙えない!鞠莉、そっちは!?」

「……ダメね、悟られない程度に何発か撃ってるけど、空中での移動速度が速すぎるわ」

「バレたら終わりよ、吠える度に鼓膜割れそうになるし、あの火炎弾を人に向かって飛ばされたら一発で丸焦げよ」

「……逃げましょう、善子」

「鞠莉、ホンキ?」

「こんなに村をめちゃめちゃにされて、ハンターとして勝てずに逃げるのが悔しいのは痛いほどわかるわ」ギリッ

「でも、あそこに倒れてるのは果南のお父さん、向こうは花丸のお母さん……大人はみんな、殆どやられたわ……ここで隠れて撃ってる事も、多分薄々感づいてる」

「…………」

「もう、なにもかもがお終いなのかもしれないわね」

「鞠莉……」


「アレはきっと……私達の適う相手じゃないのよ」


「ねえ、アイツ……こっち見てない?」


「……走るわよ!善子!!」



3: 名無しで叶える物語(えびふりゃー) 2020/03/17(火) 22:54:11 ID:++I2qhot.net

「曜、千歌、ダイヤ、ルビィ、花丸、全員乗ってる?」

「えっと…千歌ちゃんがまだ外に」

「……千歌呼んでくる」








6人の少女達は孤島で大人達の帰りを待った


誰かが帰ってくるだろう、きっとまたやり直せるだろう。そう信じて待ち続けた。


1日待って島へと戻って来たのは、髪が焼け焦げ、傷つき、ボロボロになった2人の少女だけだった


鞠莉「……ダメね、生き残ったのは私達だけ」

善子「…………」

千歌「そんな……」

花丸「ううっ……ひぐっ……」

ルビィ「…………おかあさん…おとうさん…」

曜「私達だけしか…もういないんだよね」

ダイヤ「……生きていくしかありませんわ」

鞠莉「ダイヤの言う通りよ、今日は小屋で寝ましょう……火竜も、わざわざ海を渡ってこっちまで来ることはきっと無いわ」

曜「……うん」



4: 名無しで叶える物語(えびふりゃー) 2020/03/17(火) 22:56:04 ID:++I2qhot.net

曜「んむ……むにゃ……」

ダイヤ「……zzz」

ルビィ「……えぐっ……くすん……」

果南「……ぅん…?」


果南「あれ、千歌……?……いない……?」



5: 名無しで叶える物語(えびふりゃー) 2020/03/17(火) 22:57:25 ID:++I2qhot.net

果南「あ、いた……千歌、寝ないの?」


千歌「もっと……」

果南「……千歌?」

千歌「もっと、私達が強ければ、こうはならなかったのかな」

千歌「もっと早く生まれてて、大きかったら……あんな化け物も退治できたのかな」

果南「千歌……」

千歌「果南ちゃん、一番強いしもうボルボロスも一人で狩れるって…だからもうちょっと強くなればあの火竜だって……」

果南「千歌、それを言っていてもどうしようもないよ……今日は寝よう」

千歌「……うん、わかった。果南ちゃん」





それぞれの想いを胸に、夜を過ごした

少女達は、こうして外の世界へと放り出された



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6: 名無しで叶える物語 2020/03/17(火) 22:58:23.94 ID:++I2qhot.net

【五年後】


千歌「(ジャギィの気配が草むらの中……左に二体、右に一体……)」

千歌「(果南ちゃんが言ってた、ソロなら囲まれる事だけは避けないといけない。複数体のモンスターに遭遇したら、危険な敵を見極めてそれ以外を倒す)」

千歌「(ここは……右に突っ込んで倒して、後ろを素早くカバーする…かな)」



千歌「てりゃああ!!!」



岩陰から飛び出した千歌が真っ直ぐ突っ込んでいく

得物は片手剣、剣と盾を備えた攻防一体の装備。鞣した革が張られた盾とよく鍛えられた刃は作り手の熟練度が伺える。

敵の反撃を受けない間合いから剣の切っ先で斬りつけ、相手が隙を晒した瞬間盾で頭を殴りつける!!!


「グギャア!!」


首先を斬りつけ、怯んだ所を頭を殴りつける。流れる様な連撃に小型鳥竜種、ジャギィは昏倒した



9: 名無しで叶える物語 2020/03/17(火) 23:01:06.54 ID:++I2qhot.net

しかし、それに呼応して脇に居た二体のジャギィは興奮を露わにした

野生動物の本能、“怒り”を剝き出しにして千歌に飛び掛かろうとする



「フーーッ!!!」


「ガァッ!!!!!」



正面からの突撃。単純な飛び掛かりも複数体から繰り出されることにより対処困難な物になる。

獲物を切り裂く鋭い牙を突き立て、真っ直ぐに千歌に襲い掛かる!!!



千歌「(ジャギィは放っておくと仲間を呼びつけるから、手早く全滅させる……だっけ)」


剣と盾を構え直した千歌は再度、二匹のジャギィへ向かい合う

深呼吸を一回。落ち着いて、隙を晒さない事に神経を尖らせる。

手に握った剣を逆手に持ち替え、突撃しながら弱点である頭部へと鋭く斬撃を加える!!!



10: 名無しで叶える物語 2020/03/17(火) 23:04:49.09 ID:++I2qhot.net

「ギァッ!!!」

その隙をついた横からの攻撃を盾で弾く、怒りと共に立てられた牙が丸みを帯びた盾で流される。
体重を乗せた一撃に腕が痺れそうになる,

が、力を振り絞って衝撃ごと横へと受け流す!残る獲物は一匹、数の優位さえ潰してしまえば怖い相手ではない。


千歌「くっ……重い……でも!!はぁっ!!!!」


盾によって攻撃をいなされ、ジャギィの下がった頭をそのまま盾で殴りつける。頭部への衝撃は当然隙を晒す事となり……



千歌「てやああああああ!!!!!」


「ガァッ!!!」


よろめいたところをそのまま、斬りつける。目の前へ晒した無防備な弱点へと、全力の刃が襲い掛かる!!!!

剣撃によって出来る隙を盾で打ち消す、基本に忠実ながら流れるような連撃だった








千歌「ふう……今回はうまく出来たかな!」



13: 名無しで叶える物語 2020/03/17(火) 23:44:33.42 ID:++I2qhot.net

【同時刻 森の外れ】

「ガァッ!!!ゴガァッ!!!!」


青熊獣・アオアシラの爪撃が辺り一帯を薙ぎ払う。

通り過ぎた先の草木は刈り取られ、掠った生木には深く、痛々しい傷跡が刻まれた

闇雲な攻撃と言えど、大きな図体を活かしここまで広範囲に及ぶと脅威となる。ただ当たっただけでも、人間なら致命傷は免れない。



果南「おっと!当たらないよ!」


しかし、その攻撃を果南は大剣を盾にして難なく防いで見せる

武器ごと体を弾き飛ばされ、大きく仰け反るが肝心の本人には傷一つ付いていない



15: 名無しで叶える物語 2020/03/17(火) 23:45:25.14 ID:++I2qhot.net

そして、大きく腕を薙ぎ払うことで出来た隙を、彼女は見逃さなかった

体の前に構えていた剣を持ち上げ、後ろ手で捻り、力を込める

果南「(持ち上げるところまでは緩やかに、繊細に……振り下ろす時は力強く、豪快に!)」

自らの体を軸にした回転で大剣を持ち上げ、アオアシラの体目掛けて渾身の力で振り下ろす!!!



果南「だラァァァッ!!!!!!!」


「!!!」



森に、肉と骨を砕く重く、鈍い音が響き渡った



16: 名無しで叶える物語 2020/03/17(火) 23:46:43.57 ID:++I2qhot.net

果南「ふう、割と手こずったなあ……ちょっと腕鈍ったかも」

果南は得物を背中に仕舞い、一息つく

果南「(怪我してから数日振り、久々の狩りとはいえこれじゃあ……もっと腕磨かないと」



果南「……」チラッ

アオアシラ「……ァ……ァ…」



今一度、仕留めた獲物を果南は一瞥する。まだ少し息があるものの、傷は浅くない。じきに息絶えるだろう。





果南「(ちょっと大物かな、一週間は困らなさそう)」

果南「さて、と……このサイズの解体は自分じゃ無理かな……さっさと帰って傷む前に花丸にやってもらおっと」



17: 名無しで叶える物語 2020/03/18(水) 00:02:54.98 ID:1EoGc4OY.net

【更に同時刻 森の外れ】


「ブルル……」


ダイヤ「……」


森の中でダイヤが相対していたのは猪突猛進を地で行く大猪・ドスファンゴだった


人の背を優に超える巨体、生半可な弾丸を通さない厚い脂肪、顔以上の大きさを持つ剛牙、かなりの大物だ


普段は茸を掘り出すために使われるこの牙も、戦闘時においては人を貫かんとする恐ろしい武器となる


「ブモオオオオオオ!!!!!」


怒り狂った咆哮を上げ、ドスファンゴが地を駆ける

ファンゴの攻撃方法は、主に突進だ。速度の早い体当たりを、真っ直ぐに行ってくる。

加えて、彼らは無尽蔵のスタミナを持つ。当たるまで、延々とタックルを繰り返してくる。かつて判断を誤りスタミナが切れたハンターが回避も逃走も出来なくなり命を落とす事も多々あると言う。



ダイヤ「来る……!」


ファンゴの攻撃は直線的な物が多い。しかし、その迫力に気圧され、判断が遅れればあっという間に吹き飛ばされる

狙いは真っ直ぐ、ダイヤへ。その体を叩き潰さんと全質量を乗せたタックルを繰り出す!!!



18: 名無しで叶える物語 2020/03/18(水) 00:03:48.32 ID:1EoGc4OY.net

「グガアッ!」


ダイヤ「くっ……!!」


しかし、大猪の突進をダイヤは正面から大盾で受け止める


ダイヤの装備は、金属槍と盾の組み合わせ……正式名称をランスと言う物だった


ドスファンゴの全力の突進を一歩も動くことなく、正面から勢いを殺して見せた




「!」


ダイヤ「……ふふっ、上手く行きましたわね」





ドスファンゴが全てに気付いた時、ダイヤは不敵に笑った

ダイヤを突き飛ばすべく、ドスファンゴが踏み入れたその足は浅く掘られた落とし穴に埋まり。その先には蔦のロープが絡まっていた



19: 名無しで叶える物語 2020/03/18(水) 00:04:52.87 ID:1EoGc4OY.net

「グギャアアア!!!!!」


ドスファンゴはその場で暴れた。筋肉の塊である体を必死に振り、罠から抜け出そうとした


しかし、再度突進で脱出を試みても、その縄の伸縮性がドスファンゴの足を捕えて逃さない。ただ悪戯にスタミナを消費していくだけだった




ダイヤ「今です!」

梨子「了解!!」

善子「まかせなさい!!!」




ダイヤは号令を掛けると同時に、守りを解き、後ろに下がった


バックステップと前転を駆使し、二人の射線上から軽やかに外れる!


そしてその場には、突進で力を使い果たし蔦で縛られ隙を晒したドスファンゴが残される



梨子「ハァッ!!」


善子「食らいなさい、デカブツ!!!!」


「!」



矢と銃弾の雨が、その場に貼り付けにされ動けないドスファンゴの元へと降り注ぐ

三本束ねた矢による連撃、鋭い鉛玉による銃撃、それぞれが大猪の頭部に、脚に、躰に容赦なく突き刺さる!!




「ゴオァァァァァァァァ!!!!!」





断末魔のみを残して、大猪はその場に崩れる様に倒れた



20: 名無しで叶える物語 2020/03/18(水) 00:05:25.72 ID:1EoGc4OY.net

「ブ……ァ………」


ダイヤ「ふう……何とかなりましたわね」

善子「この程度の相手に三人掛かりで来てるんだから、当然でしょ…こんなに必要だった?」

ダイヤ「果南さんが暫く狩猟で出られなかった分、蓄えが不足しているんです。私達だけでも戦果を持ち帰らないとまずいですから」

善子「それは分かっているけど……」

梨子「まあまあ、成功したからなんでもいいじゃない、ね?」

ダイヤ「そうですね、さあ…早い所解体してしまいましょう、三人でやれば早く終わるはずです」

善子「ええ、そうね」




梨子「……千歌ちゃん、上手く出来てるかなあ」

ダイヤ「……きっと大丈夫ですよ、彼女は筋がいいですから」



21: 名無しで叶える物語 2020/03/18(水) 00:07:28.97 ID:1EoGc4OY.net

【同日 夕方】

千歌「ただいま!帰ったよ!」

曜「あ、千歌ちゃん! よかった、ちゃんと帰って来た……」

善子「だから言ったであるしょ曜、ジャギィ数匹狩るくらいで大げさなのよ」

曜「でも……うちは防具だって満足に揃えられて無いし」

千歌「もー!それはみんな同じでしょ? それに、曜ちゃんがいつもピカピカに武器を仕上げてくれるから私達は戦えるんだよ」

曜「千歌ちゃん…!」

善子「ちょっと前まで小型のモンスターも狩れなかったのに、千歌ったら良い事言うじゃない」

千歌「うへえ……善子ちゃん厳しい」



22: 名無しで叶える物語 2020/03/18(水) 00:08:12.48 ID:1EoGc4OY.net

千歌「あれ、果南ちゃんは? 確か今日久々に狩りに行ったはずだよね?」

ルビィ「果南ちゃんは先に帰って来たんだけど、モンスターの解体する為花丸ちゃんを連れてまた出て行ったよ」

千歌「そっか、花丸ちゃんそういうの上手だもんね……モンスターについて一番詳しいし」

ダイヤ「そろそろ戻ってくる頃ですから、先に夕食の準備をしてしまいましょう、今日の当番は……」

梨子「……その、花丸ちゃんね」

善子「アイツ、自分の番だって完全に忘れてるわね……」



23: 名無しで叶える物語 2020/03/18(水) 00:08:45.35 ID:1EoGc4OY.net

ルビィ「じ、じゃあ、ルビィが代わりにやるね! みんなは狩りに行って疲れてるだろうし」

ダイヤ「ルビィ、しかし……」

ルビィ「今度花丸ちゃんに当番代わって貰うから、ね?」

曜「私も今日は体力有り余ってるから手伝うよー!」

ダイヤ「まあ、夕食が遅くなってしまいそうですし……そうしましょうか」

梨子「ルビィちゃん、今日の成果はもう炊事場に置いてあるから、おいしいご飯お願いね?」

ルビィ「うん、任せて下さい!」



24: 名無しで叶える物語 2020/03/18(水) 00:10:40.13 ID:1EoGc4OY.net

【同日夜 島の集会所】

花丸「誠に申し訳ありませんでした……」

千歌「まあまあ、花丸ちゃんも遊んでた訳じゃないし」

果南「そうそう、なんなら連れまわした私が悪いわけだし」

梨子「なんで果南さんはちょっと得意気なの……」

ルビィ「まあまあ花丸ちゃん……今度やってくれればそれでいいから」

花丸「でもオラ、ルビィちゃんと曜ちゃんに迷惑を……」

善子「もー!いいじゃない、元はと言えば果南が持ち帰れないくらいの獲物を仕留めたのが原因だし、私達にとって良い事なんだからそれでいいじゃない」

ダイヤ「そうですよ花丸さん、私達は九人で生きてきたのですから、助け合うのが当然でしょう?」

曜「ねえねえ、早く食べよう! 料理番ってご飯が目の前で行き来するからもうお腹空いて限界で……」

千歌「私ももうお腹ペコペコ……いただきます!!」



25: 名無しで叶える物語 2020/03/18(水) 00:12:31.23 ID:1EoGc4OY.net

梨子「このハム、おいしい……」

ルビィ「ホント?前に塩漬けにしておいたお肉を出してみたんだけど、よかった」

果南「うんうん、特に私だけ大盛りな所が気が利いてていいね」

曜「えへへ……」

善子「それは単に自分の分が多くて嬉しいだけでしょ! はむっ……あ、おいしい…!」

ダイヤ「もうちょっと静かに食べなさいな……」

ルビィ「あはは……」









千歌「あ、そういえば、鞠莉ちゃんっていつ帰ってくるの?」

ダイヤ「そうですね……向こうまでの道のりを考えたらそろそろ帰って来てもおかしくない頃ですが」

善子「どうせ鞠莉のことだから道草でもしてるんでしょ『都には楽しそうな物が有ってついエキサイティングしちゃったわ!』なんて言って」

曜「絶望的にモノマネ似て無いね、善子ちゃん」

善子「う、うるさい!」

梨子「何にせよ、無事に帰って来てくれるのが一番だけど……」

果南「……どうせ鞠莉のことだし、向こうのギルドと話を付けて、ちゃっかり遊んで帰って来るよ」

ダイヤ「…そうだといいのですが」



26: 名無しで叶える物語 2020/03/18(水) 00:14:02.34 ID:1EoGc4OY.net

【数日後】

鞠莉「ただいま!!!」

千歌「お帰り鞠莉ちゃん! お土産ある!?」

鞠莉「あるわよ~はい!都名物、角王剣アーティラートのキーホールダー!」

千歌「……これ、割とどこでも売ってるやつだよね」

鞠莉「あら、そう?」

千歌「でも、かっこいい!!」

鞠莉「オーケー! 気に入ってくれたみたいで何よりよ!」

ダイヤ「何やってるんですか……」



27: 名無しで叶える物語 2020/03/18(水) 00:15:07.36 ID:1EoGc4OY.net

鞠莉「あら、ダイヤ……と、ルビィ!」

ルビィ「おかえりなさい、鞠莉ちゃん」

鞠莉「ただいま~ルビィ、しばらく空けてたけど相変わらず、キュートね! そーれよしよしよしよし!!」

ルビィ「わわっ、鞠莉ちゃんくすぐったいよ……」

千歌「あ、ずるい! わたしも!」

ルビィ「うひゃっ、千歌ちゃんまで……」

ダイヤ「二人共!人の妹に勝手に要らないちょっかいかけないで下さい!」

鞠莉「もーダイヤのケチ……」

千歌「けちんぼ……」

ダイヤ「全く……ここしばらく貴方が居ないから静かだと思っていたのに、帰って来た途端これですか」

鞠莉「まあまあ、いいじゃない……あ、そうだダイヤ」











鞠莉「みんなを集めて頂戴、話があるわ」

ダイヤ「……わかりました」

千歌「……」

ルビィ「……」



28: 名無しで叶える物語 2020/03/18(水) 00:16:26.06 ID:1EoGc4OY.net

【島の集会所】


鞠莉「皆集まったわね、話を始めるわ」

善子「帰って来て早々に全員集めて、何の話よ」

鞠莉「私が都に行って来た理由、皆は知ってるわよね?」

梨子「え、ええ……」

花丸「最近オラ達の島まで行商人の人が来てくれなくなったから、不足した資材の買い付けと……」

果南「それと『火竜』の話でしょ」

鞠莉「ええ、そうよ」






鞠莉「このあたり一帯で『火竜』、リオレウスが度々現れている、現に梨子、善子、花丸は見たそうだし、果南に至っては一度交戦してる」



29: 名無しで叶える物語 2020/03/18(水) 00:17:13.54 ID:1EoGc4OY.net

果南「ありゃあ相当老成した奴だね……追い払うのが精一杯だった」

千歌「果南ちゃん、それで怪我したんだっけ」

果南「うん、ちょっと引き際ミスっちゃってね」

花丸「オラは島に居る時、海岸に居るのを見たずら……もし島まで飛んで来たら」

鞠莉「『火竜』が居る以上、私達は安心して暮らせない、そもそも行商人が減ったのも、この『火竜』が徘徊しているって情報が流れた所為だし……」

善子「どうにかするしかない、って訳よね」

ルビィ「でも、鞠莉ちゃんは都で頼んできてくれたんだよね? リオレウスを討伐してくれるように、っておっきなギルドに!」



30: 名無しで叶える物語 2020/03/18(水) 00:19:10.35 ID:1EoGc4OY.net

鞠莉「ごめんなさい、それは断られちゃったわ……数回モンスターを見た、なんて小娘の話を聞くほど、ハンターは暇じゃないってね」

曜「そんな……!」

梨子「リオレウス程の危険度なら、ある程度の大きさのギルドが動いてもおかしくない……なのに」

善子「だったら、今度はみんなで乗り込んで!!」

ダイヤ「おやめなさい……小娘が九人来ても、とまた追い返されるのが関の山ですわ」

鞠莉「結局、なんとかの沙汰も金次第って事なのよ。報酬金も払えないような人はお呼びでは無いって事」

花丸「実際、リオレウスの討伐優先度は低いずら。色々な地域を渡り歩くから、一地域に留まって被害を出す事は少ないから……って」

梨子「でも……実際問題、交易に頼ってる私達の生活は人が来ないと、もう……どうしたら」







鞠莉「最初から準備してたように、やるしかないのよ……私達で」



31: 名無しで叶える物語 2020/03/18(水) 00:20:12.15 ID:1EoGc4OY.net

曜「リオレウスを……狩る?」

善子「そんな! 果南でさえ勝てなかったのに!」

梨子「でも、じゃないと私達は……」

ダイヤ「……やはり、そうなってしまいますか」

鞠莉「このままだと、私達の生活は壊れていくばかり……私達の命は私達で守らなきゃ、そうでしょう?」

千歌「……!」



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果南『……千歌?』

千歌『もっと、私達が強ければ、こうはならなかったのかな』

千歌『もっと早く生まれてて、大きかったら……あんな化け物も退治できたのかな』

果南『千歌……』



32: 名無しで叶える物語 2020/03/18(水) 00:23:03.42 ID:1EoGc4OY.net

千歌「うん……うん! そうだよね!鞠莉ちゃん!やろう!私達で!」

鞠莉「幸い、リオレウスの素材は高値で取引されているわ……ある程度の資材ならつぎ込んでも大丈夫よ」

千歌「うんうん、この先の生活も考えないとね」

鞠莉「それに、今のままでは勝てないわハンターとしての熟練度も、アイテムも、私達には何一つ足りて無いわ」

千歌「あーなるほど、やっぱり準備が必要かあ……」









鞠莉「だから、ちかっち! あなたに頑張ってもらうわ!」

千歌「うんうん……え? ええええええええええ!?!?」



42: 名無しで叶える物語 2020/03/18(水) 19:45:26.93 ID:1EoGc4OY.net

【後日 島】

梨子「はあっ! せいっ! やあっ!!」

果南「腰の入れ方が甘いよ~! もっと腰入れて、引き絞って撃たないと。ちょっと怪我させた位じゃモンスターは死なないんだから」

梨子「……もう、限界……」

梨子「……ぱたり」

果南「だらしないなあ……」














鞠莉「梨子、どう? 練習の方は……って倒れてる」

梨子「あ、鞠莉さん……聞いて下さい!果南さんがスパルタなんです!まずは千回空撃ちやれって!」

鞠莉「まあ! 果南ったら鬼ね!」

果南「鞠莉が言ったんでしょ! 『皆を戦力として数えられるようにする』って」

鞠莉「まあ、それは……そうだけど」

ダイヤ「皆のスキルアップをして、来るべき『火竜』退治に備える、その為には多少の無茶は仕方がありません」

果南「あ、ダイヤ。練習は終わり?」

ダイヤ「しばし休憩、ですわ」

梨子「そういえば、なんでこの前の会議で急に千歌ちゃんを育てよう、って話になったんですか?」

鞠莉「ああ……それはね、少し前から決めていた事なの」



43: 名無しで叶える物語 2020/03/18(水) 19:46:13.02 ID:1EoGc4OY.net

鞠莉「この村でハンターをやっているのは、果南、ダイヤ、梨子、善子、そして時々私……それと、千歌っちね」

果南「で、リオレウス程の大物を狩る時、私とダイヤじゃ前衛が足りないの」

梨子「……」

鞠莉「私達の財政上、防具は殆ど用意出来ない。武器だって、曜が自前で何とかしてくれてるから高性能なのが使えているだけで……本当にカツカツなの」

果南「そんな状態で大型モンスター相手に薄い装備、さらに人数の薄くてターゲットになりやすい前衛が前に出たら……って話」

梨子「だから千歌ちゃんに前衛になれ、って事?」

鞠莉「YES!」



44: 名無しで叶える物語 2020/03/18(水) 19:52:37.70 ID:1EoGc4OY.net

梨子「話は分かりましたけど、千歌ちゃんハンター始めてそんな経って無いですし……」

鞠莉「もちろん、そのまま行けなんて言う程私達も鬼じゃないわ、いくらか鍛錬を重ねての話よ。実際、今日も狩りに行っているわ」

果南「むしろ、私達の準備も必要だしね」

梨子「……? 果南さん達は十分強いんじゃ……」

果南「いやいや、火竜と向き合うとなるとぜんぜん足りないよ……あれそういえば、今日花丸達の姿を島で見ないけど……」

鞠莉「花丸には、島の裏で素材を取って来て貰っているわ、ネンチャク草やら雷光虫ね。ルビィと曜は……わかんないけど」

梨子「それって……」

鞠莉「ええ……罠だったり、閃光玉の素材よ」



45: 名無しで叶える物語 2020/03/18(水) 19:56:20.07 ID:1EoGc4OY.net

鞠莉「私はね、一人も死んでほしくないの。絶対に誰も欠けずに火竜を倒して、また平和に九人で暮らしたいの」

鞠莉「みんな、自分の出来る事をやって、使えるべきものは全部使って、私達は絶対に勝つのよ」

梨子「……そうですね、私もがんばらないと」
梨子「……? 岸の向こうに誰かいませんか?」

鞠莉「あら……ああ!行商人のお婆さんね! ちょっと私、船で迎えに行ってくるわね!」

梨子「あ、はい……行ってらっしゃい」

果南「船、ひっくり返さないでよ。拾うの大変なんだから」

鞠莉「わかってるわよ!」



46: 名無しで叶える物語 2020/03/18(水) 19:59:42.52 ID:1EoGc4OY.net

梨子「果南さん、行商人の人って来て貰えなくなったんじゃなかったんですか?」

果南「ほとんど、ね。でもあのお婆さんだけは毎回欠かさずこっちを通って来てくれるみたい」

梨子「へえー……よく来てくれるお婆さんだと思ってたけど、そうだったんですね」

果南「もうずっと、来てくれてるからね。それこそあの人がいなかったら私達本当に野垂れ死ぬ所まで行ってもおかしくない、ってくらいお世話になってるよ」











鞠莉「……毎度来て頂き、ありがとう御座います」

行商人「やだねえ鞠莉ちゃん、そんな堅苦しい言葉遣いなんて……そっちがお客さんなのに」

鞠莉「でも『火竜』が出る様になってこの辺りは危険だって事、きっと貴方だって知ってる筈……」

行商人「なあに、競争相手が居ない方が、商売は儲かるもんさ……さて、どんなのがある? 仕入れてからまだそんなに回って無いから現金でも物々交換でも予算はそこそこあるよ?」

鞠莉「……ありがとうございます」



47: 名無しで叶える物語 2020/03/18(水) 19:59:57.97 ID:1EoGc4OY.net

鞠莉「はい、ではこれが……今回の作品です!」

行商人「このモンスターの皮で作った小物、作ってくれてるの、ルビィちゃん、だったっけ? あのちっちゃい子。この小物が向こうでは良く売れてね」

鞠莉「ふふっ……あの子が聞いたらきっと顔を真っ赤にして喜びますよ」

行商人「そうかい? こりゃあ綺麗に作ってあるし、皮の模様もしっかりしている……これは、解体する時に処理が上手にしてあるんだろうね」

鞠莉「お気に召しました?」

行商人「ああ、全部しっかりと、この私が買い取らせて貰うよ」



48: 名無しで叶える物語 2020/03/18(水) 20:00:33.01 ID:1EoGc4OY.net

行商人「武器マニアのお姉ちゃん様に武器用の素材をいくつか仕入れといたよ。それと、ボウガンの子が使うだろうと思って、弾を少し多めに。なんだっけ……あのだ、だて……」

鞠莉「ふふっ、堕天使ヨハネ、です」

行商人「うーん、最近の言葉は良くわかんなくてねえ……いい子だって事は仕草から分かるんだけど……こないだなんか私の腰まで揉んでくれたし」

鞠莉「そうでしょう?……あ、それじゃあ、火炎弾と雷撃弾下さいな」

行商人「あら、属性弾なんて……大物でも狩るのかい」

鞠莉「ええ……狩るんです、リオレウス」



49: 名無しで叶える物語 2020/03/18(水) 20:01:06.38 ID:1EoGc4OY.net

行商人「まあ……そんな、危なくないのかい?」

鞠莉「危険です……でも、生活の為にやらないと。それに……」チラッ

行商人「……?」

鞠莉「お婆さんに、もっと安全に来て欲しいですから」

行商人「まあ……あらあら!」

鞠莉「ふふっ……その為に私達、頑張っちゃいます!」



50: 名無しで叶える物語 2020/03/18(水) 20:01:44.96 ID:1EoGc4OY.net

行商人「でも本当に、気を付けなくちゃダメよ? 命あっての物種、なんだから」

鞠莉「ええ、その為に皆で準備しています」

行商人「そう……貴方みたいなしっかりした子が纏めているんだから、きっと大丈夫なんだろうけど……本当に、気を付けるのよ?」

鞠莉「お婆さんも……この先の道、お気をつけて」

行商人「ああ、ありがとうね。また沢山仕入れたらここに寄るからね」

鞠莉「ありがとうございます、また買わせて頂きます」



52: 名無しで叶える物語 2020/03/18(水) 21:53:15.68 ID:1EoGc4OY.net

鞠莉「ルビィの作品はバッチリ買い取って貰えたわ!、これで暫くは困らなさそうね」

梨子「素材に弾がいっぱい……」

果南「これ、曜のとこに持っていくよ。ずっと武器弄ってるようなヤツだから、きっと喜ぶよ」

鞠莉「ああ、うん。お願いね」

梨子「そういえば、千歌ちゃんは一人で狩りへ? しばらく帰って来てないけど……」

鞠莉「千歌っちは、善子と一緒に狩りに行って貰ってるわ。とにかく、時間が無いから実践経験を積まないと。大型モンスターへの対処と、他のハンターとの連携を覚えて貰わないと」

梨子「大丈夫かなあ、千歌ちゃんもだけど、善子ちゃんも危なっかしい所あるし……」

鞠莉「きっと大丈夫よ。なんだかんだ言ってあの子は……果南の次に強いから」



53: 名無しで叶える物語 2020/03/18(水) 21:53:49.02 ID:1EoGc4OY.net

ダイヤ「そういえば、思い出したのですが。ルビィはさっき島の頂上、白き竜の祠に行きましたわ」

鞠莉「またー!?あそこまで行くの結構大変なのに、よく行くわね」

ダイヤ「つい先程ルビィと曜さんが一緒にどっか行くの見ました。たぶん一緒に登ったのでしょう」

梨子「またって……ルビィちゃん、よく島の頂上に行くんですか?」

鞠莉「あー……いつも狩りに行ってる梨子達は知らないか」






ダイヤ「ルビィは貴方たちが狩りに出掛ける度、その都度毎回島の頂上までお祈りに行ってるのですわ」



54: 名無しで叶える物語 2020/03/18(水) 21:54:58.59 ID:1EoGc4OY.net

【島 山頂】

曜「ふう…やっとついた!」

ルビィ「す、すごいね曜ちゃん、ルビィ毎日登ってても結構疲れるのに、息も切れてない……」

曜「武器を弄るのって結構体力勝負な所あるしね~」

ルビィ「それでもすごいよ、ルビィなんか最初の頃なんて半分も登れなくて……泣いちゃったりしたんだ」

曜「あはは、でも……そんなに大変だったのにどうしてここまで登るようになったの?」

ルビィ「うーん……外で頑張ってるハンターのみんなの役に立ちたかったから、かな」

曜「ハンターのみんな?」

ルビィ「うん……私達島に残る組みはハンターのみんなのお手伝いは出来るけど……外から無事に帰って来てくれるかは、祈るしかないから……」

ルビィ「だから、少しでも力になれる様に、って白き竜神さまにお祈りしてるんだ」

曜「そっか、そうだったんだね」



55: 名無しで叶える物語 2020/03/18(水) 21:59:33.73 ID:1EoGc4OY.net

曜「ここが、白き竜の祠……」

ルビィ「この祠自体はずっと昔からあるらしくて……ほら、ルビィ達元々は陸地の方で暮らしてたでしょ?」

曜「うん、村が燃えちゃうまでね……」

ルビィ「離れ島にあるこの祠にはあんまり人が訪れなかったみたいで……ルビィが初めて登ったころは結構草や苔で覆われてたんだ」

曜「ってことは、このあたりルビィちゃんが全部丁寧に整えたの?大変じゃない!?」

ルビィ「……うん、でも折角ルビィ達の住む島に神様が居てくれるんだからって思ったらなんだか綺麗にしたくなっちゃって」

曜「そっか、偉いねルビィちゃんは!」

ルビィ「そんな…ルビィが出来る事なんて、みんなに比べたら全然……」

曜「いやいや、ルビィちゃんがモンスターの皮から作ってくれる小物とかの収入なかったら私達とっくに食いっぱぐれてるって!自信もちなよ!」

ルビィ「そう……かな、ありがとう、曜ちゃん」



56: 名無しで叶える物語 2020/03/18(水) 22:00:04.66 ID:1EoGc4OY.net

ルビィ「曜ちゃんは、今日なんで一緒に来てくれたの?」

曜「それは……」

ルビィ「それは?」

曜「最近、自分で言うのも何だけど、私達料理に慣れてきて、前より美味しい物食べられるようになってきたじゃん?」

ルビィ「うんうん」

曜「それでね、いっぱい食べすぎて……少々お腹の方が……」

ルビィ「だから、ダイエットになるかなって?」

曜「不純な動機でごめんなさい!」

ルビィ「う、ううん!ルビィも最初の方はダイエットになるかなって思ったし!」








曜「でも、その生活が出来るのも、外で頑張ってくれてる果南ちゃん達がいるからなんだよね」

ルビィ「……お祈り、しよっか?」

曜「うん、そうだね!」



57: 名無しで叶える物語 2020/03/18(水) 22:10:24.48 ID:1EoGc4OY.net

【同刻 森の中】


善子「おりゃおりゃおりゃ!!!!!!!」


「ゴギャッ!!!」

「ガギャッ!!!!」




狙いを定めない乱雑な、しかし薙ぎ払う様な連射が小竜達を蹴散らしていく


善子が放っていたのは『散弾』火薬の爆発によって弾頭を破壊し、その破片を広範囲にばら撒く掃討様の銃弾だ。



善子「ははっ……!!この堕天使ヨハネの魔眼に捉えられたこと、あの世で後悔するがいいわ!!!」



銃の引き金に指を押し込むたび、銃口から火が噴き出す度、数匹のジャギィ達が炸裂した弾丸を受け吹き飛んで宙を舞う


善子の持つ軽量のボウガン、ド級弩・アルデバランから銃弾を撃てば、飛ぶ。撃てば、飛ぶ。まさにその様子はまさしく「狩り」だった。


アルデバランは、渓流に住む超大型モンスター、ドボルベルクの角を利用して作られたボウガンだ。角による銃口の締め付け、銃弾の衝撃に耐えられるだけの尾槌竜の皮。その全てが散弾に特化して作られている事も、その威力に拍車をかけていた



善子「散れ!……灰と化せ!魔の軍勢よ!!!!」











そんな中弾丸の雨の中でも怯まず、怒り狂って突進する巨影が一つ、あった


「グガラァァァァァァァ!!!!!!!!」



58: 名無しで叶える物語 2020/03/18(水) 22:11:44.90 ID:1EoGc4OY.net

善子「千歌、ドスジャギイ来たわ! 周りはあらかた片付いたから後は任せた!」

千歌「う、うん! 分かった!」


善子はバックアップでドスジャギィのタックルを避けると、ドスジャギィの射程外ギリギリへと入った


善子「(被弾しないこと、誤射しないこと、弾を正確に選ぶ事、弾を当てること。それが私の四か条。この順番に必ず守れば、いつだって大丈夫……)」


善子「にしても……」










千歌「たりゃあ!てりゃ!!」


「ゴァッ!! ガアァァァッ!!!!!」


千歌「うわっ…!あぶねっ!!」









善子「なんで私が子守り役なのよーーー!!」



59: 名無しで叶える物語 2020/03/18(水) 22:12:52.10 ID:1EoGc4OY.net

千歌「善子ちゃんひどい! 千歌それなりに大人だからね! それに善子ちゃんより年上だし!」

善子「いいから! あんたよそ見してられる程楽勝じゃないでしょ!」

千歌「おっと……そうだった」





千歌は向き直り、目の前の獲物に集中する

狗竜、ドスジャギィ。ジャギィ達群れのボスであり人の体躯を優に超える大型モンスターだ

その攻撃の威力は、ジャギィの物とは文字通り格が違う。鞭の如き尻尾の一撃が直撃すれば、大の大人の首の骨程度なら簡単に吹き飛ばすだろう。




「グルル…………」



千歌「怒ってるなぁ……ちょっと怖いかも」



群れのジャギィを殺され、ドスジャギィは殺気立っていた。群れの長の証たる巨大なエリマキを逆立て、一撃が届く間合いを入念に計っている


千歌「(でも、やらなくちゃ……強くならないといけないから、鞠莉ちゃんと約束したんだ!)」



60: 名無しで叶える物語 2020/03/18(水) 22:14:42.90 ID:1EoGc4OY.net

千歌「いくぞ……せやぁ!!!!!」


先に動いたのは、千歌だった

盾を構えながら飛びのき、左前に向けて前転しながら接近する



千歌が左へ進んだ理由は、二つあった


一つは正面を空けることで、後方の善子の射線と被らない様にする為


そして二つ目は、ドスジャギィ自身の特性を利用しての事だった



「グガァ!!!」



飛び出した千歌を見て、ドスジャギィも牽制の一撃を放つ。尻尾による薙ぎ払いは空を切り、風切り音をあげて千歌へと襲い掛かる!!



61: 名無しで叶える物語 2020/03/18(水) 22:19:23.57 ID:1EoGc4OY.net

しかし、その攻撃は千歌に届かない。


千歌「へへん!その攻撃はもう読めてるよ!」


千歌は攻撃を読み切っていた、それは何故か


人間のみならず、自然界の生きる獣にも利き手、利き足が存在する。遺伝子に組み込まれた、癖が野生の獣にも存在するのだ



そして、このドスジャギィにも尻尾を武器にする際、高確率で時計回りに旋回しながら振り回すという特性がある事を千歌は知っていた



千歌「(まあ、昨日花丸ちゃんに教えて貰ったんだけどね)」


「ゴアァ……!!」


危険な一撃も、軌道が読めてしまえば恐れるに足らない


千歌の一手は確実に不意を突いた。尻尾の薙ぎ払いを繰り出していたドスジャギィに、一瞬の隙が生まれた


尻尾のリーチの関係上、鞭の様にしなるその一撃は時計回りに旋回すると自身の正面までにしか届かない


僅かな隙、しかし千歌はその隙を生かすことが出来る間合いへともう既に入っている!!!







千歌「はぁっ、チカの…一撃を食らえッ!!!」

「ゴギャッ……!!!!」



62: 名無しで叶える物語 2020/03/18(水) 22:20:58.62 ID:1EoGc4OY.net

千歌「当てたらすぐ、逃げる!」



片手剣の一撃がドスジャギィの首元に入った。薄い得物とはいえ、生物の急所である場所に突き立てられた刃のダメージは、計り知れない。


「ゴ……ガァッ!!!!」


千歌「おっと……危ない!!!」



千歌の一撃は回避に意識を向けていた所為で、骨まで届くことの無い浅い一撃だった。浅い傷に狼狽える事無くドスジャギィはすぐさま攻勢に転じた


赤い血を毛皮に滴らせたまま、半狂乱の形相で牙を振るう。群れの王者と呼ばれるだけの威力が、繰り出されるその一撃一撃に込められている





ドスジャギィ「ガアッ!!! グガァッ!!!!」


千歌「ちょっ……こんな追われた時の対処法聞いてない……善子ちゃん助けて、うわあ!!!」



63: 名無しで叶える物語 2020/03/18(水) 22:21:38.19 ID:1EoGc4OY.net

数秒まで千歌が居た場所に、圧倒的な質量が鋭い暴力となって襲い掛かる


牙での一撃、直ぐに体を捻って全身を使ってのタックル。まだまだ新米ハンターの千歌にとって、回避するのが精一杯の重い一撃が休むことなく繰り出される!!



善子「もう!!そんなちょこまか動かれたら当たるものも当たらないわよ!!!」


千歌「そんなこと言ったって追いかけて来るだもん、善子ちゃん!」






善子「目つぶしでも何でもして、とにかく距離を離して一度正面から向き直りなさい!」


千歌「正面!? 何言ってるの善子ちゃん!?」


善子「いいから! 背中を晒す方が危ないわよ!!」


千歌「でも……そんな……」


善子「いいから!!私を信じて!!!」


千歌「……!」



64: 名無しで叶える物語 2020/03/18(水) 22:29:51.80 ID:1EoGc4OY.net

千歌「くっ、せやッ!!!!」

走る最中姿勢を落として足元の土を攫い、拾い狗竜の顔に向けて投げつける

目くらましの様に投げられた土塊はドスジャギィの視界を一瞬の間、遮る



「ガッ……!」

千歌「今だ! うおおおおおおおおおお!!!!!」



視界が奪われ、ドスジャギィが晒した一瞬の隙に千歌は全力疾走で距離を取る


足を回し、地面を蹴る。草木を踏みしめ、前を見たまま全力で速度を上げていく!!!




十メートル程の距離を取った後、くるりと振り向きドスジャギィと向き直る


怒り狂った狗竜は追撃の速度そのままにその巨大な躰を叩きつけようと速度を上げ、森に響き渡る咆哮を挙げる


「グアォォォォォォォ!!!!!」

千歌「ひぃっ!!!」


盾を構え、足を踏み込む。左足に力を込め、いつでも飛退けるように態勢を固める


千歌「(善子ちゃんはああ言ってたけど、避けれる様にしないと怖い!!)」




「ゴアォォォォ!!!!」

千歌「ッ……!!」




眼前に迫るモンスターの迫力に千歌は一瞬、目を逸らした。初めて相対する大型モンスターの迫力に、丸腰になってしまっていた。

何度も訓練はした、どのサイズのモンスターと戦うのか花丸からレクチャーも何度も受けた。行動のクセ、パターンを耳がタコになる程聞いた

しかし、目の前に存在する“個”としての迫力に、千歌は圧倒されていた。極度の緊張が、恐れが、体を泥の様に固めてしまっていた


千歌「(あ……やば…死……)」

捕食者の一撃が、恐怖に立ちすくんでしまった千歌へと真っ直ぐに襲い掛かる!!!



65: 名無しで叶える物語 2020/03/18(水) 22:30:15.00 ID:1EoGc4OY.net

「ァ……ガ…ッ…」



千歌「……?」


逸らした目線を正面に戻すと、ドスジャギィの脳天に銀弾が撃ち込まれていた。肉を裂き、骨に食い込み埋め込まれた鋼の銃弾が日の光を浴びて照る様に光っている


その鉛玉が、今、巨大な炸裂音を立てて爆発する!!!!


「ゴァァァ!! ォ……ァ……」


巨大な破裂音、脳を揺さぶる爆発の衝撃。ドスジャギィはその場に立ち尽くしたまま、一歩も動けなくなっていた。



徹甲榴弾



弾丸の内部に炸薬を詰め込み、モンスターの頭部に当てることで行動を阻害、昏倒などを引き起こす小型の時限爆弾の様な弾丸だ



66: 名無しで叶える物語 2020/03/18(水) 22:32:08.57 ID:1EoGc4OY.net

善子「何ボサっとしてるのよ! 動き止めたんだから首でも腹でもいいから止め刺しなさいよ!!」

千歌「あ……う、うん! 」




片手剣の切っ先を首に向け、真っ直ぐに突き刺す



千歌「せりゃああああああ!!!!」

頭に強い衝撃を受け動きの止まったドスジャギィはその攻撃に抵抗することは出来ず、首の骨までをその刃で貫かれる



「ゴォッ…!…ホォッ……ゴッ……」



「……ォォ…………」




ドサッ



そのまま、砂煙を大きく巻き上げながら巨体を投げ出し、ドスジャギィは大地へと伏した



67: 名無しで叶える物語 2020/03/18(水) 22:32:50.72 ID:1EoGc4OY.net

千歌「はぁっ……はぁっ……」

善子「お疲れ、まあ初見にしては上出来よ」

千歌「……ありがと」

善子「どう?初めて大型モンスターを狩った感想は?」

千歌「どうって……私、ほとんど善子ちゃんに助けてもらったし……」

善子「バカね、それがガンナーの役割よ。遠距離だから出来る動きの把握、牽制が私の役割、で、最前線で突っ張るのが近接の役割よ」

善子「特に私達なんて防具がほぼ無いんだから……近接が居なかったら、ガンナーはおちおちスコープも覗けない、全く使い物にならないわ」

千歌「……」

善子「だから、最初の内はおんぶにだっこでいいのよ。私達が介護出来るくらい、攻撃を引き付けられて……る……」

千歌「……善子ちゃん?」




善子「千歌!!下がって!!!」



68: 名無しで叶える物語 2020/03/18(水) 22:34:39.53 ID:1EoGc4OY.net

二人が居る地に、立っているのが困難な程の暴風が巻きあがる


砂塵が舞い、木々が軋み、折れ曲がる。平地のど真ん中に、突如竜巻が発生したかの様な突発的な荒風だった。


飛び交う砂や石で、瞼を開くことすらできない。「何か、強大な物がそこに飛来している」事しか分からない

巨影が大地を覆った。



体は赤熱色の甲殻に覆われていた。翼には鋭利な爪が生えており、翼膜には燃え盛る炎の様な紋様が浮かび上がっていた


「グルル………」


来訪者は狗竜の上に降り立った。上に乗っただけで、その鋭い足の爪が狗竜の体を貫き、肉を裂いた






それは、竜だった。体を弓なりにして息を吸い込み、雄叫びを上げる。

体の中から迸る炎が、口から絶えず、吹き出している


「ガァァァァァァァァ!!!!!!!!!!!」





空の王者が、天空より舞い降りた



69: 名無しで叶える物語 2020/03/18(水) 22:35:09.88 ID:1EoGc4OY.net

千歌「……ぁ」

善子「火竜……チッ……こんな時に」




「グルル…………」







善子「いい、千歌?そのまま、振り返らずに聞きなさい」

千歌「……うん」

善子「あいつは正面に火球を飛ばしてくる。だから、正面に立ったり、背中を向けちゃダメ、必ず角度をずらして、少しずつ後ろに下がりなさい」

千歌「……分かった」

善子「距離が取れたら私が合図して残りの徹甲榴弾撃つから、その合図で全力で逃げなさい良いわね!?」

千歌「……善子ちゃんは?」

善子「今は自分の身だけ心配しなさい!全滅したいの!?」



70: 名無しで叶える物語 2020/03/18(水) 22:36:10.15 ID:1EoGc4OY.net

「グ……ルル………」


火竜の双眸が二人を捕えた。敵対者か値踏みする様に、鱗に覆われた瞼の奥の瞳で射抜く。

善子「(残りの徹甲榴弾で昏倒されられるか、分からない……正真正銘、一発も無駄に出来ない)」





善子「行くわよ……3……2……」

千歌「…………」




善子「………1……」

善子「(ええい!!ままよ!!!!!)」










「ゴアアアアァァァァァァァァァ!!!!!!!」



71: 名無しで叶える物語 2020/03/18(水) 22:38:40.39 ID:1EoGc4OY.net

空の王者の巨大な咆哮に、大地が揺れる。空気が振るえ、肌にビリビリとした感触が伝わる。鼓膜が割れんばかりの衝撃が体の中を貫いた

善子は、腕利きのガンナーだ。視認できる範囲なら、その銃弾の殆どを外すこと無い優秀なスナイパーだった。

特に、頭部など小さい範囲に当てる技術は群を抜いていた



しかし、生態系の頂点たる竜の「圧」に善子は、自らの銃のトリガーから指を離してしまう。


善子「……ッ!」

千歌「ヒッ……!!」



「グルル…………ガアッッ…!!!!!!!」





次の瞬間リオレウスは巨大な咆哮と共に狗竜の体に巨大な爪をめり込ませた。

骨が砕け、肉が裂けたドスジャギィの躰に、大鎌の様な爪が突き刺さる!!



72: 名無しで叶える物語 2020/03/18(水) 22:39:24.62 ID:1EoGc4OY.net

次の瞬間、半分肉塊と化したドスジャギイを掴んだリオレウスは、叫び声と共に空へ飛び立った。


自らの胴体程の大きさの狗竜も物ともせず、軽々と大空へと持ち上げ、その巨体を空に浮かばせ、森の奥へと消え去って行った。




千歌「はぁっ……はあっ……」



善子「…………」




開けた森の一角には、火竜の羽ばたきが残した強風と言葉を失った二人が取り残された



77: 名無しで叶える物語 2020/03/19(木) 19:24:55.12 ID:VKlNPuFE.net

【その日の夜】

パタン

善子「……はぁ」

鞠莉「どうだった?千歌の様子は」

善子「結構参ってるみたい……あんな大きい怪物といきなり対峙したからね」

ダイヤ「モンスター狩り始めて、ちょっとずつ慣れて行こうって時にこれですものね……」

善子「ドスジャギィを可能な限り弱らせて、千歌に倒させて自信つけようって話だったけどそれがをかっさらわれるなんて……完全に裏目に出たわね」

善子「私が手早く撃てれば良かったんだけど、咆哮に負けてトリガーを、離した……私のせいね……」

鞠莉「(……こっちもそれなりに堪えてるみたいね……)」



78: 名無しで叶える物語 2020/03/19(木) 19:25:28.96 ID:VKlNPuFE.net

鞠莉「でも!とにかく良かったわよ、二人共怪我無く帰って来れて!」

果南「そうそう!善子がちゃんと居て指示出したから二人共無事で帰ってこれたんだよ」

ダイヤ「とりあえず、今は千歌さんはそっとしておきましょう、無理に励ましたりするのは逆効果ですわ」

善子「……そうかもね」

鞠莉「よーし!なら、そろそろご飯の時間だから炊事場に行きましょう、今日の当番は確か梨子よね!私、梨子の料理都風なのが多くて好きなのよ!」



79: 名無しで叶える物語 2020/03/19(木) 19:26:50.16 ID:VKlNPuFE.net

【その日 深夜】

コンコン

鞠莉「ん?……はーい、入っていいわよ」


千歌「あ……鞠莉ちゃん、本読んでたんだ……邪魔しちゃった?」

鞠莉「ううん、まだ開いたところよ。どうちかっち、元気出た?」

千歌「うん……ちょっとだけね」

鞠莉「座ってお話しましょうか、よいしょっと……」

千歌「……?なにしてるの、鞠莉ちゃん?」

鞠莉「夜更かしして本読むとお腹が空くから梨子が作ったポトフ、ちょっと拝借してきちゃったの……今お皿に盛るから、これでちかっちも共犯よ?」

千歌「……もう、鞠莉ちゃんったら」



80: 名無しで叶える物語 2020/03/19(木) 19:27:14.53 ID:VKlNPuFE.net

千歌「……おいし」

鞠莉「ちかっち、あんまり食べてなかったでしょ。お肉もいらないからって曜にあげてたし」

千歌「あはは、鞠莉ちゃんにはなんでもお見通しだね」

鞠莉「もちろん!なんてったって村長ですから!」

千歌「ふふっ、そっか……鞠莉ちゃんは私達が大きくなる前から村長さんだもんね」

鞠莉「そうね、と言っても、らしい事が出来てるのはここ最近だけどね」

千歌「そういえば、ちゃんと聞いたこと無かったかも鞠莉ちゃんが村長になった……私達がこっちの島に移り住んだ頃の事」

千歌「ほら、あのころ私達はみんな、泣いて引きこもってばっかりだったから、あんま覚えて無くて……思えばいつもダイヤさんや果南ちゃん、鞠莉ちゃんに助けられてた」

鞠莉「そうね、でも面白い話じゃないわよ?……今のちかっちには、特に」

千歌「……聞きたいな、その頃の話。鞠莉ちゃんが村長になった頃の話」

鞠莉「……わかったわ」



81: 名無しで叶える物語 2020/03/19(木) 19:27:37.35 ID:VKlNPuFE.net

鞠莉「私達の元居た村がリオレウスに襲われて焼けたってのは……知ってるわよね?」

千歌「うん……」

鞠莉「本来リオレウスはこの辺りに居ないモンスターなの。それが、突如現れた……それも人里に突然だから大パニックよ」

鞠莉「結果、村の大人は殆ど亡くなったわ……僅かながら生き残った大人も恐ろしさからか行方を暗ました」

千歌「……」

鞠莉「結果、その時残ったのは当時の子供だけ、私とダイヤ、果南、曜、善子、ルビィ、花丸……そして、あなたよ」



82: 名無しで叶える物語 2020/03/19(木) 19:28:28.76 ID:VKlNPuFE.net

鞠莉「年長者の私達は必死で考えたわ、なんせ皆を食べさせなきゃいけない。でも、そんな余裕も資源も食料もどこにもない」

鞠莉「果南は『島からいちいち狩りするのに漕がなきゃいけないのめんどくさい!』って言いながらも……毎日、みんなの分の食糧を得る為狩りに行って……あ、そのころは私とダイヤも時々出て三人でハンターやってたのよ?」

千歌「え、鞠莉ちゃんってハンターだったの!?」

鞠莉「ええ、あそこの窓辺に銃あるでしょ?その時使ってた木製のボウガンよ、それは二代目だけど」

千歌「あ、ほんとだ……置物だと思ってた……」

鞠莉「まあ、ほぼインテリアみたいな物ね。余った素材で出来てる簡素な銃だからね!作ったの私だし」

千歌「……鞠莉ちゃんって何でもできるんだね」

鞠莉「ううん、そんなこと無いわ……出来ることだけ、よ」



83: 名無しで叶える物語 2020/03/19(木) 19:29:06.31 ID:VKlNPuFE.net

鞠莉「それで二年、三年経った頃かしら。都の方から訪ねて来る人が居て、それが梨子よ」

千歌「ああ、それくらいだっけ……梨子ちゃんって、元々都の方でギルドのハンターやってたんだよね?」

鞠莉「ええ、そうよ……でも、どうしても怖くなって、書置きだけおいて出てきたみたい」

鞠莉「しばらく道中のモンスターを狩ったりして野宿の旅を繰り返してたみたいだけど……流石に限界、ってところで私達の村に辿り着いたみたい」

千歌「意外と……ワイルドなんだね、梨子ちゃん」



84: 名無しで叶える物語 2020/03/19(木) 19:30:13.90 ID:VKlNPuFE.net

鞠莉「行商人のお婆さんが来てくれる様になったのは、私達三人が狩りをして少し経った頃かしら。私達が小さい頃、遠出できない私達に代わってモンスターの上質な素材を仕入れてきてくれて……何とか私達の手が届く金額までおまけしてくれて……」

鞠莉「その頃は、曜が武器作成の勉強をしてまだちょっと経ったくらいの頃だったから……貴重な素材を端から端まで使おうって躍起になっててね」

鞠莉「ちかっちもおかしいと思ったこと無い?果南のアーティラート、ダイヤのバゼルミニアド、梨子のファーレンフリード……それぞれ素材はディアブロス、バゼルギウス、ベリオロス亜種……いくらなんでも砂漠地帯のモンスター素材のが多すぎない?」

千歌「確かに……言われてみれば!」

鞠莉「その時お婆さんが行ってきたのが砂漠でね、何とかして買い付けてくれたのよ」

鞠莉「個人的なおつかいも頼まれたりしてくれて……花丸のモンスター図鑑やら、ルビィのハンドメイドの本やらも都で仕入れてきて貰った物よ」

鞠莉「で、そんなこんなで皆大きくしっかり育ってくれて……家事やらなんやら分けられるようになって、今の暮らしがある、って話よ」

千歌「……鞠莉ちゃん達は、ずっと私達を守ってくれていたんだね。私と一つしか違わないのに」

鞠莉「“私達”は一番お姉さんだから、一番頑張らないといけないの……それだけよ!」

千歌「でも、すごいや」



85: 名無しで叶える物語 2020/03/19(木) 19:34:13.39 ID:VKlNPuFE.net

鞠莉「ねえ、ちかっち……これはね、今まで言ってなかった事なんだけど」

千歌「……なあに?」

鞠莉「最近この辺りを飛び回ってる火竜、ちかっち達が出会った奴……それと、昔、私達の村を滅ぼした火竜はおそらく……同一個体だわ」

千歌「……!」

鞠莉「私とダイヤはね、逃げる事も考えたわ。怪我しないように貯えをして凌ぐことも私達は考えたの」

鞠莉「でもね、そうしたらあいつはまたきっと、十年後やってくる。野生のモンスターは、同じスパンで現れることが良くあるの。それが大型の飛竜なら、何年ってスパンでもおかしくない」

鞠莉「だから、ここで倒さなくちゃいけない……じゃないとまた十年後この村は危険に晒される」

鞠莉「でもね、それじゃだめなの。私はこの島でずっと生きていたい。もしかしたらこれから出て行ったり旅に行ったりする子が居るかもしれない、でも、そんな子に『おかえり』っていってあげられる場所はこの場所と私達しかいないの。だから、守らないと」

鞠莉「でもまだ、私達の力だけじゃ守ってあげられない。まだまだ、私達の力は足りないから、あなたの力を貸して欲しい。ちかっちだけじゃない、曜も、梨子も、ルビィも、善子も、花丸も、みんなの出来る事で力を貸して欲しいの」

千歌「鞠莉ちゃん……もちろんだよ」



86: 名無しで叶える物語 2020/03/19(木) 19:35:05.23 ID:VKlNPuFE.net

千歌「これが…鞠莉ちゃんが使ってたライトボウガン、だっけ?なんて言うの?」

鞠莉「ユクモ霊弩、って呼んでるわ」

千歌「ユクモ…?ユクモってあの温泉地のユクモ?」

鞠莉「ええ。それはね、家を作るときに余った木を使って作ったのよ。知ってる? ここの家の木、結構いい素材で出来てるのよ。あのお婆さんが『潮風が吹くんだから建物はしっかりした素材で作らなきゃ』って言って、まけてくれたの」

千歌「へぇー、木製の銃なんて初めて見た……」

鞠莉「一応定期的に磨いたり手入れはしてるから撃てると思うけど……そうだ、ちかっちにあげようか?」

千歌「うえっ!?い、いいよ……私にライトボウガンなんて扱えないよ」

鞠莉「ふふっ……そうね、まずは片手剣から覚えないとね」

鞠莉「片手剣は、初心者が最初に握らされる武器。守りと回避のバランスが取れている『生き残る』のにはうってつけだからね」

鞠莉「でも、味方を『生き残らせる』となると……考えることは無数に増えるの。善子があなたにしてくれた以上の事を、あなたが皆にしなくちゃいけないの」

千歌「わたしが……みんなに?」



87: 名無しで叶える物語 2020/03/19(木) 19:35:32.20 ID:VKlNPuFE.net

鞠莉「次の狩りはね、あなたの武器の素材集めをしようと思っているの」

千歌「私の……武器?」

鞠莉「ええ、金属だけの刃じゃ、リオレウスにはちょっと力不足だわ。

鞠莉「でも、武器を作って、狩りの練習をして……って時間はもうないの。火竜は、もうすぐそこまで迫っている。だから、ちかっちには……これからの戦闘、火竜との戦闘準備の中、実戦経験を養って貰いたいんだけど……」

千歌「私……やるよ、鞠莉ちゃんやダイヤさん、果南ちゃんがしてくれたみたいに、私だって力になりたい」

鞠莉「……ふふっ、大変よ?」



ギュッ



88: 名無しで叶える物語 2020/03/19(木) 19:35:53.26 ID:VKlNPuFE.net

千歌「わっ……鞠莉ちゃん!?」

鞠莉「ちかっちは良い子ね、きっとみんなを守れる強い子になれるわ」

千歌「うん……私、がんばるね」

鞠莉「さ、もうそろそろ寝ましょう?ポトフでお腹も温まったでしょう?」

千歌「うん、そうするね」




千歌「おやすみ、鞠莉ちゃん」

鞠莉「おやすみなさい、ちかっち」



89: 名無しで叶える物語 2020/03/19(木) 20:42:17.13 ID:VKlNPuFE.net

【後日】

花丸「これが、次の討伐目標のデータ……を、あらかじめ纏めておいた物ずら」

千歌「おおー!流石花丸ちゃん頼りになる!」

善子「水獣、ロアルドロス……どうしてこいつなの?リオレウスに向けて千歌の武器の素材を集めるんじゃないの?」

梨子「リオレウスの弱点の雷属性のモンスター、この辺に住んでないのよね……ましてや竜属性の武器なんて滅多に拝めるもんじゃないし」

果南「という訳で、次に弱点の水属性。それも手頃な獲物って訳でロアルドロスって事らしいよ」

ダイヤ「手頃、と言っても普段狩ってる中型モンスターやドスジャギイとは、比べ物にならない戦闘力を持ってますから、気を抜かない様に」

花丸「一番の弱点は横のタテガミ、次いでお腹、尻尾、頭……割と全身弱点ずら。それと、群れのボスだけあって大量のルドロスを引き連れてる可能性が高いずら」

花丸「それと、腕の力は強靭。爪の引っ掻きはもちろん、横に居ると巨体を転がして押し潰して来るからとても危険、かな……必ず、前か後ろ、横から狙うとしても十分な距離を取る事……こんなところずら」

ダイヤ「大型モンスターなので人数多めで、私、梨子さん、善子さん、千歌さん、それと……」

鞠莉「ハーイ!私が参戦するわ!」

千歌「鞠莉ちゃん!?」

鞠莉「ちかっちと話してたら懐かしくなっちゃってね、どちらにしろ人手は足りてないから私が出てきたって訳!」



101: 名無しで叶える物語 2020/03/21(土) 01:49:00.43 ID:bw87Hh2x.net

千歌「鞠莉ちゃんの武器、部屋に置いてあった銃じゃないんだね」

鞠莉「ええ、あれはもうインテリアみたいなものだからね。こっちのはちょっとしたものよ~!」

果南「あれっ、というか私は?」

ダイヤ「あなたは別の仕事がありますから、そこに行って貰います」

果南「……ふーん、まあいいけど」

ダイヤ「私と梨子さんで、しばらくの間ルドロスの素材集めも兼ねて狩りをしてきました、おそらく逃げ出した数匹の伝令が伝わって、ボスが出る頃合いかと」

鞠莉「後は狩るだけって訳ね!早速行きましょう!!」



102: 名無しで叶える物語 2020/03/21(土) 01:50:10.50 ID:bw87Hh2x.net

【島から南西に進んだ地 海辺】

ダイヤ「居ましたわね……」

善子「ルドロスの五倍……下手したら十倍のサイズね」




「クキュルル………」



千歌「……怒ってる?」

鞠莉「群れが荒らされて、気が立ってるみたいね……みんな、気を付けて」

梨子「ロアルドロスの中でも、あれはかなり大きいわね……相当大きい群れの主かも」

ダイヤ「みなさん、行きますわよ!」



103: 名無しで叶える物語 2020/03/21(土) 01:51:01.88 ID:bw87Hh2x.net

水獣・ロアルドロス。大型化したルドロスの雄個体であり、何十匹にも及ぶ群れの長である

その特徴として目に入って来るのは、ルドロスと比べてあまりにも巨大な躰と、頭から後ろ足まで続いている黄色の鬣(たてがみ)。

実はこの鬣は既に死んだ細胞で出来ており、枯れた細胞膜のみとなった繊維状の構造が水を吸い取り、ロアルドロスの長時間の陸上での行動を可能としている。


ダイヤ「それぞれ、所定の位置に!」


ダイヤの号令と共に、ロアルドロスの前へと進み各々の配置に着く。

一番前に千歌、一歩後ろに下がってダイヤ、その後ろに梨子、善子、鞠莉。一見するとアンバランスな配置だがこれにはダイヤの考えが有った。



104: 名無しで叶える物語 2020/03/21(土) 01:55:05.46 ID:bw87Hh2x.net

千歌「せやっ!!!!」


小刀で一撃。弱点である鬣を切り落とす様に攻撃する。

頭の横にある鬣は狙いやすく、攻撃した後引きさがりやすい。

また、鬣を切り落とすことはロアルドロスの陸上での行動力を鈍らせることに繋がる。総じて、ヒットアンドアウェイを行うには都合の良い部位だった

もちろん、身を刻まれて、モンスターは黙ってはいない。生物としての本能である痛みが、闘争心という名の炎に薪を焼る!


「キキャアアアアアアアアアアア!!!!!!!!」


辺り一帯に鋭く、甲高い音でロアルドロスは吠えた。



体を横向きにし、細長い体を転がすように攻撃を繰り出す。自らの重量を活かした、ボディプレスのような重い一撃だ

圧倒的質量、圧倒的迫力!!辺りを呑み込むような蹂躙が千歌を押し潰さんと襲い掛かる!!!


千歌「ひっ…!」



105: 名無しで叶える物語 2020/03/21(土) 01:56:00.15 ID:bw87Hh2x.net

ダイヤ「させませんわ!!!!」


ガキン!

その突進を見て、ダイヤは前に出た。


自分の背丈の何倍もある巨体を、金属の盾一枚を地面に突き刺し、攻撃を防ぎきって見せる。タックルの勢いが、ロアルドロスの質量が、そのまま襲い掛かって来る。
金属の盾が、革の手袋越しでも食い込んでくる。指が軋み、体を刺すような痛みが全身を貫く


それでも、この手を離すわけにはいかない


ダイヤ「うぐっ……千歌さん、手筈通り下がって次の準備を」

千歌「了解!、ダイヤさん!」



106: 名無しで叶える物語 2020/03/21(土) 01:56:34.82 ID:bw87Hh2x.net

ここで、水辺に不穏な空気が漂う

ロアルドロスは水生生物であり、陸上で音を出すことに長けてはいない。なので、咆哮自体にそれほどの音圧は無く、人間にそれほど影響は無い……が




「……………」

「……………」





梨子「やっぱり、花丸ちゃんが言った通りまだ潜んでいたわね、ルドロスが。さっきの咆哮で招集かけられたみたい」

鞠莉「おーし、二人共、行くわよ!」

善子「言われなくても!千歌、ダイヤ、下がってなさい!」



107: 名無しで叶える物語 2020/03/21(土) 02:01:45.49 ID:bw87Hh2x.net

一瞬の隙を突いて前衛から、千歌とダイヤが退く



善子「せいやぁぁッ!!!!」

こと掃討に置いて、善子の持つアルデバランは最強の威力を誇る。

放つ散弾が、ルドロスの皮に傷を付け、肉を切り裂き、動きを鈍らせる!


善子「ふふっ……我が魔銃の前にしては、いかなる魔物も塵芥の様に消し飛ぶ他無いわ!!」


そして止まった的と化したルドロスを、梨子がひとつひとつ、潰す様に的確に仕留めていく

梨子の得物、ファーレンンフリードは矢を定点に当てることに特化した武器だ。引き絞り、放たれた矢がルドロスの腹を、頭を、胴を、一体一体的確に捉え、射抜いていく!!



梨子「喋ってないで弾撃ちなさい!そんなに余裕ないでしょう!」

善子「わ、わかってるわよ!!」



108: 名無しで叶える物語 2020/03/21(土) 02:12:44.41 ID:bw87Hh2x.net

鞠莉「おー、二人共調子いいわね!じゃあマリーも行くわよ~」


鞠莉の持つ武器は「神ヶ島」と呼ばれる軽弩だ。

外見は原始的な銃の構造をしていて、かつての火縄銃の様な外見をしている

これは、火山から出土した錆びた塊を安値で買い取り、曜に小遣いを渡して磨き上げさせた物だ。それ故、この村に在る武器の中で、最も安価な物となっている

だが、この安価な銃が、実は高い性能を秘めている。


その最大の特徴は、ある弾を撃てること

鞠莉「悪いけど……消し飛びなさい!!!」





鞠莉によって宙へと放たれた弾丸は勢いを失い、地面へと落下する……が

その刹那、辺りを焼き尽くす様な爆発が着地点から吹きあがる!!!!!



109: 名無しで叶える物語 2020/03/21(土) 02:13:16.29 ID:bw87Hh2x.net

拡散弾

弾丸の雛形に、火薬を限界まで詰めて作られた、小型爆弾の様な弾だ。威力は絶大、だがそのとり回しの悪さに、使いこなせるハンターは数多くは居ない。



その放たれた弾丸が数多ものパーツに分解され、その全てが破片という名の刃となって辺り一面に襲い掛かる!!!!



「ギィィィィィィィ!!!!!!」

「ギャッ!!」



放つ!放つ!放つ!

鞠莉「ファイヤー!!!」

ブランクを感じさせない、流れる様な動きで鞠莉は弾を込め、すぐさま放つ。

肉を裂き、地面を焼く。圧倒的威力だった。

ルドロスは、水辺にすむ生物故、熱に強くない。よってこの攻撃は致命傷となる

破片により切り裂かれて生き残った僅かな個体も、その全てを焼き尽くす熱量に怯え、逃げ帰って行った



110: 名無しで叶える物語 2020/03/21(土) 02:14:05.64 ID:bw87Hh2x.net

拡散弾は、言うなれば小型の手榴弾の様な物で現代技術で作成されるボウガンでは扱えるものは少ない。
しかし、半ばオーパーツのような鞠莉の銃でなら使うことが可能だった

神ヶ島。
圧倒的火力と広範囲の掃討力を持った、まさに古代兵器の様な代物だった


「コキュ……ルルルル………」







鞠莉「うーん、クリティカルヒットって感じね!間違いなく!」

梨子「ええ、爆破の中心のロアルドロスにはかなり効いてるみたいですし」

善子「群れも概ね散ったし………うん、楽勝ね!」

ダイヤ「油断しない事!手負いの獣こそ何をするか分からない、一番恐ろしいですわ」

千歌「……うん、気を引き締めて行こう」






ダイヤ「各自、次の配置へ!!これより、止めを差しに行きますわ!!!」


「「「「了解!!!」」」」



113: 名無しで叶える物語 2020/03/22(日) 01:12:49.36 ID:LpzyvgPx.net

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【島の対岸付近の森】


ルビィ「うんしょ、うんしょ……曜ちゃん、カラの実はこれくらいかな?」

曜「そうだねえ……これでも十分だと思うけど、鞠莉ちゃんも使うとなると予備用としてもう少し必要かな」

花丸「ふう、いくらでもあるといえ何百個と集めるのは疲れるずら……ルビィちゃん、ずっと休憩無しですごいずら」

ルビィ「ふふっ……ルビィはお姉ちゃん達みたいに戦えないし、こういうことしか力になれないから」

果南「そんなことないんじゃない?ルビィが作るモンスター皮で作ってくれるポーチやらブローチやら、ウチの結構な稼ぎ頭だよ」

ルビィ「それは…果南ちゃん達がモンスターを狩って来てくれるからだよ」

果南「じゃあ、私達もルビィは立派に加工してくれるから初めてお金に出来る、からってことで」

ルビィ「もう……ふふっ」

果南「もちろん、花丸も助かってるよ?私だけじゃ中型モンスターは解体できないし」

花丸「むー……なんだかついでに褒められた感じずら」



114: 名無しで叶える物語 2020/03/22(日) 01:13:38.06 ID:LpzyvgPx.net

曜「そういえば、なんで果南ちゃんこっちの採取組なの?珍しいね」

果南「あー……一応護衛って事らしいよ」

ルビィ「護衛?」

果南「いつもはこの三人で行って、なんかあったら元ハンターの曜が守るって感じじゃん?でも、ダイヤが言うには、もうそうもいかないらしいんだよね」

花丸「…………火竜が、何時出てもおかしくないって事?」

果南「そうそう、この前千歌と善子が襲われたみたいに、何時どこで火竜が襲ってくるか分からない」

ルビィ「…………」

果南「ま、来たら私が何とかするけどね!その為に私居る訳だし」



115: 名無しで叶える物語 2020/03/22(日) 01:14:42.65 ID:LpzyvgPx.net

ルビィ「果南ちゃんは、リオレウスと戦ったことあるんだよね……つい最近」

曜「火竜ってそんな強いの?」

果南「強い強い、『空の王者』は伊達じゃないよ。正直、この前軽症で済んだのは、奇跡って位」

ルビィ「でも……そんな相手、やっぱり危ないよ」

花丸「……ルビィちゃん?」

ルビィ「やっぱり…戦わずに、火竜が居る間だけ食料を貯めて、島に籠るのって出来ないのかな」



116: 名無しで叶える物語 2020/03/22(日) 01:17:08.37 ID:LpzyvgPx.net

果南以外の三人はハンターではない。自分で、戦う術を持ち合わせない。そのことが恐怖をより加速させる。

自分が知ってる中で、一番強い果南ですら、勝つどころか逃げるのが精一杯の怪物。そんな怪物が目の前の森に居るかもしれない。

自らが手出しできない物への脅威への恐怖はひとしおだ。

ルビィ「……戦ってないルビィが言うのは無責任かもしれないけど……やっぱりみんなが心配だよ」

曜「ルビィちゃん……」

花丸「…………」


四人の間に重い沈黙が流れる。沈み込んだ気持ちは、簡単には浮かび上がってこない。黒く、煤で淀んだ空気に全身纏わりつかれている様だ



117: 名無しで叶える物語 2020/03/22(日) 01:17:51.33 ID:LpzyvgPx.net

そんな空気を割ったのは果南だった

果南「ちょっと、違う話しよっか……三人は、古龍って知ってる?」

ルビィ「こりゅう……?」

花丸「通常のモンスターの規格を逸脱した能力を持つモンスターで、ずっとずっと昔から生きていて『天災』とも呼ばれる程の力を持っているずら」

果南「そう、それこそ並大抵の人数じゃ手出しできないほどの力を持った、ね。存在するだけで、辺りに被害を及ぼすクラスの化け物、それが古龍……」

花丸「モンスター図鑑にも、最後に少しだけ載ってるだけずら」

曜「そんな強いのに、少しだけなの?」

花丸「古龍が……人間が戦う物じゃないからずら」



118: 名無しで叶える物語 2020/03/22(日) 01:19:28.98 ID:LpzyvgPx.net

花丸「歩くだけで火山が噴火する、泳ぐだけで渦潮が起こる……普通に、生物として生きているだけで辺りに破滅を齎す『天災』ずら」

果南「島の頂上にある『白き竜の祠』……これは知ってるでしょ?と、いうかルビィなんかはよく登ってるわけだし。実はあれも古龍を祀った物らしいよ」

曜「私もこの前登ったよー!」

果南「あ、やっぱりあの時曜も一緒に行ってたんだ」

花丸「頂上までの道程……思い出しただけで足が震えるずら……」

ルビィ「あはは……」

果南「で、それなんだけど……私見たことあるんだよね、その白き竜ってやつ」

ルビィ「え!?ほ、ほんとなの!」

花丸「でも、それって……」

果南「うん、今まで誰にも言ってないんだけどね」



119: 名無しで叶える物語 2020/03/22(日) 01:19:57.41 ID:LpzyvgPx.net

果南「かなり昔……まだ善子がハンター本格的にはやってない頃かな?あの頃は、ちょうどダイヤと鞠莉が村のことにかかりっきりの頃で、私が八人分の獲物を集めなくちゃいけなかったんだけど……」

花丸「今聞くと果南ちゃん大変ずら……」

果南「あはは、まあ大人の手が無かったからね。で、その頃島の近くでもの凄い勢いの嵐が続いてね、家が吹き飛ぶどころか……島の土砂が全部落ちて来るんじゃないかって位の土砂降りだったんだ」

果南「当然そんな様子だから狩りも出来ない、でも当時は貯えなんて無いからお腹がすいて……泣いちゃったりした子もいたかな」

果南「そんな様子だけど、鞠莉やダイヤは『果南が怪我したらこの島で食料を取れる人がいなくなる』って言って狩りをさせてくれなくてね……きっと、ダイヤ達が正しい判断なんだろうけど」

曜「果南ちゃん……」

果南「でも泣いてるみんな見たら……なんか我慢できなくて、北の方にある山へ、夜中こっそり抜け出して狩りに出かけたんだ」


果南「そこで見たんだ……『白き竜』をね」



120: 名無しで叶える物語 2020/03/22(日) 01:22:38.94 ID:LpzyvgPx.net

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果南「(何この風!?肌が切れる!!痛い!)」

果南「(ここまで体力使って収穫ゼロは流石に……しんどいかも…。ダイヤの言う通り大人しくしておけばよかったかなあ……)」

果南「ん……山頂に、何か……いる?」










「…………………………………………」



121: 名無しで叶える物語 2020/03/22(日) 01:23:22.74 ID:LpzyvgPx.net

果南「(デカい……なのに、なにもせずに浮いてるし、この嵐も物ともしていない……」」

果南「いや、そうじゃない……風を物ともしていないんじゃなくて……もしかして……」



果南「(“あの龍から嵐が出ている!?”」」









「……………………………ォォ」








果南「…………ヤバ、見つかった……かも」



122: 名無しで叶える物語 2020/03/22(日) 01:24:00.81 ID:LpzyvgPx.net

曜「それで、その後どうなったの!?」

果南「まあその後結局、心臓バクバクで走って逃げきれたんだけど……今思うとアレ、古龍の類だなーって思ってね」

花丸「確かに、嵐を起こせるなんて……古龍レベルずら……」

果南「と、まあ、話は長くなったど……要するに言いたいことは」



123: 名無しで叶える物語 2020/03/22(日) 01:24:45.04 ID:LpzyvgPx.net

果南が、ルビィの頭をくしゃりと撫でる。

横結びで整えられた髪が、少し乱暴な果南の手の動きでかき乱される


ルビィ「わわっ……果南ちゃん、くすぐったいよ」

果南「確かにリオレウスは強い、でも古龍ほどでは無い。神様みたいにどうしようもないヤツらと違って違ってしっかり力を合わせればきっと勝てる……!」

果南「だから、お姉さん達に任せておきなさいな」

ルビィ「果南ちゃん……」

曜「おっ、流石果南お姉ちゃん、頼もしいでありますな!」

果南「まったく、からかうんじゃないよ、曜」



124: 名無しで叶える物語 2020/03/22(日) 01:31:43.21 ID:LpzyvgPx.net

花丸「待って!……みんな、そこに何か……」


ガサガサ……ガサガサ……

うず高く繁茂する草木を揺らす音が、次第に大きく、近くなって来る。

無秩序に茂り、張り巡らされた枝を折り、走り抜ける音が辺りに通る。大地を踏み荒らす粗暴な主が近づいてくる気配が、どんどん色濃くなっていく



そして、音の主は姿を現した




「キイィ……キイィ……!!」






花丸「あれは…ドスランポスずら!」



125: 名無しで叶える物語 2020/03/22(日) 01:33:02.77 ID:LpzyvgPx.net

果南「それぞれ、目線を反らさずに右後ろに下がって離れて!私が左に引き付ける!曜は二人を守って!」

曜「了解であります!」

ルビィ「果南ちゃん……!」


不安そうな目で果南の背を見つめるルビィ。

しかし、それに素っ気なく果南は振り返って答える。



果南「言ったでしょ?お姉さんに任せておけって、それにこれくらいの相手に負けたりはしないって」

ルビィ「果南ちゃん…気を付けてね」

果南「もちろん、傷一つなく帰って来るよ」

花丸「ルビィちゃん、行くずらよ!!」

ルビィ「……うん」



126: 名無しで叶える物語 2020/03/22(日) 01:37:18.09 ID:LpzyvgPx.net

果南「さて……と」

果南は、脇に立てかけておいた自らの得物に手をかける

『角王剣・アーティラート』黒と白。捻じ曲がる二種の角竜の角を織り交ぜた、長大な大剣。

重量、威力、リーチ。村においてどころか、都まで出向いたとしてもこれほどの一品には出会えないほどの名品だ。

高価な素材である角竜の角を、曜が丹念に削り、剣の域まで創り上げたまたとない一刀だった。



「キィ……!クルル……」



果南「キミ、食べるとこ少ないんだよねえ……たぶん帰れば群れの家族も居るみたいだし、いつもなら適当に流して見逃すんだけど……」



127: 名無しで叶える物語 2020/03/22(日) 01:45:21.90 ID:LpzyvgPx.net

身の丈以上の長さの有る長剣を、果南は両の手だけで悠々と支える。

村で最も出来の良い剣を任されている果南は、最も強い。

天性の運動センス、戦闘における判断力、勘。全てにおいて高い水準で身に付いていた。


果南「でも、さ」


ドスランポスの周りには、普段なら居るはず子分はおらず、果南と彼の間には、森の喧騒と潮風だけが流れていた。

果南は上段に構え、足を一歩前に進めた。足で強く大地を踏みしめ、肩を支点に全体重を使って剣を支える。

これこそが、アーティラートの力を最大限に引き出す構えであり、果南が最も得意とするスタイルだ。

この剣の間合いに入った時点で叩き潰すという、意思の表れ。

守りを捨て、攻撃にのみ特化した一撃必殺の捨て身の構え!





果南「ウチのかわいいかわいい末っ子たちが怯えてるんだ。悪いけど、その命頂くよ」



134: 名無しで叶える物語(えびふりゃー) 2020/03/23(月) 13:28:44 ID:rh3lLL5G.net

千歌「はぁっ!!!!せやっ!!」

「ギァッ…!!」



ロアルドロスの取り巻きを掃討した後、千歌は再びモンスターへと肉薄した。

攻撃が当たる距離まで近づき、攻撃が当たれば即座に離脱する。深くまで踏み込んでしまった場合は焦らず、簡易的な盾でその場を凌ぎ、落ち着いてその場を切り抜ける。

剣士としての基本的戦法。繰り返されるヒット&アウェイ戦法により、ロアルドロスの鬣はその中に湛えていた水の大半を失った。

群れの長としての格を示す立派な姿は、今や見る影もない。頭部を覆う鬣の体積は元の十分の一以下になり、本来の機能を殆ど果たすことが出来ていない。



135: 名無しで叶える物語(えびふりゃー) 2020/03/23(月) 13:31:41 ID:rh3lLL5G.net

ダイヤ「この状態のロアルドロスは水弾が撃てないはずです、ガンナーの三人は容赦なくやって下さい!」




鞠莉「オッケー!じゃんじゃん撃つわよー!」

善子「的が大きいと助かるわね~。こうも連射するとなると疲れるけど……」



ダイヤの指令により、後衛による一斉射撃が行われた

今のロアルドロスは遠距離攻撃が出来ない、こうなれば鞠莉達にとってはただの的に過ぎない。

目標は生物共通の弱点である、頭。強く引き絞られた弓が、高速で射出された弾丸が、疲労を滲ませるロアルドロスへと容赦なく襲い掛かる!


梨子「こんなの、地獄の千回空撃ちに比べたらなんてことないわよ……せやぁっ!」


「ギァォァァァァ……!!!」


強く引き絞り、思い切り、放つ。風牙竜の腕棘で作られた梨子の弓、ファーレンフリードにより放たれた矢はその一矢一矢が重く、鋭い。

三人は文字通り、ロアルドロスに向け蜂の巣になる程の弾丸の雨を途切れることなく浴びせ続ける!



136: 名無しで叶える物語(えびふりゃー) 2020/03/23(月) 13:34:34 ID:rh3lLL5G.net

─────だが、ロアルドロスもただ無防備で的になる筈も無かった



「キャアァァァァァァァァァ!!!!!!!!」


ダイヤ「……! 来ますわよ!」


ロアルドロスは最後の力を振り絞り、後衛に向け猛攻を仕掛ける!

慣性により自らの体を転がし、そのまま突進を放つ。自らの長大な体を活かした、リーチ、威力共に絶大な技。

海岸沿いに生える低木をなぎ倒し、辺り一面を蹂躙する。その迫力は、水辺の生態系の上位に位置する者の意地だった。


周囲の地面を抉り取る様な破壊力を纏い、三人へ向かって襲い掛かる!!!



137: 名無しで叶える物語(えびふりゃー) 2020/03/23(月) 13:35:36 ID:rh3lLL5G.net

しかし、それもダイヤの読みの範囲内だった。


鞠莉達とロアルドロスを結ぶ直線状、その中間地点には初めに一度戦線を離脱した千歌が仕掛けた罠が仕込まれていた

そして突進中のロアルドロスは、皮肉にもその威力を支える重量により、地面に埋め込まれた“あるもの”を深く、押してしまう!



「キュァァ……ァ…!!!」



電撃が走ったかの様な鈍痛が、体を絡め取るようにして、拘束する。千歌により仕込まれた罠はロアルドロスの体中の筋肉を、一時的とは言え完全に機能停止にまで追い込んだ!



千歌「へへん!チカの罠にかかったね!全員総攻撃!!」



138: 名無しで叶える物語(えびふりゃー) 2020/03/23(月) 13:39:24 ID:rh3lLL5G.net

鞠莉「チャンスよ!撃って撃って撃ちまくるわよ!」

善子「言われなくても!」

梨子「ここで仕留め切りましょう!!」


シビレ罠
使い捨ての工具の中に生きたままの雷光虫を詰め、それにより増幅した高電圧の電撃でモンスターを拘束する対大型モンスター用拘束罠だ
動力源が虫とはいえ、その威力は巨大なモンスターでさえ全く抵抗出来ないほどの威力を誇る

ダイヤ「せやッァァァ!!!!」


ガンナーの邪魔にならない横からダイヤはランスにより胴体を狙う

ダイヤの得物は、爆鱗槍バゼルミニアド。金属の槍に爆鱗竜バゼルギウスの力を込めた、長槍だ

そのリーチ抜群な一撃が拘束を受けたロアルドロスの無防備な足へ、腹へと容赦なく突き刺さる

その一撃、一撃に埋め込まれた爆鱗竜の爆裂の力が上乗せされ、多大なる破壊力となる!



139: 名無しで叶える物語(えびふりゃー) 2020/03/23(月) 13:39:58 ID:rh3lLL5G.net

千歌「これで、トドメだぁ!!!」




同じく胴体に向けて、千歌は突進した

金属刀による再び、胴への一撃。盾を投げ捨て、両の手で握った剣を深くロアルドロスの体へと突き立てる

無防備な相手に対してのみ可能な、限界まで肉薄しての体重を乗せた深く、鋭い刺突!!


「キァァァァァ!!!!!!!」


拘束からの前面からの集中砲火、側面から腹への斬撃に成す術も無く、ロアルドロスはその身を地面へと横たえた。



140: 名無しで叶える物語(えびふりゃー) 2020/03/23(月) 13:40:32 ID:rh3lLL5G.net

鞠莉「うん、パーフェクトゲームって感じ、完全勝利ね!」

ダイヤ「ええ、今回は予定通り連携が取れていました。皆さん、お疲れ様です」

梨子「はぁっはぁっ……撃ちっぱなしで、流石に……疲れたかも」

千歌「早く帰ろう!私、お腹空いちゃった」

鞠莉「まだよ、流石にこのサイズの得物はそのまま持って帰れないから……ここで解体しないと」

善子「えー今から?」

鞠莉「そんなこと言ったって、ここに一端置いておくわけにはいかないし…今やらないと」

善子「はぁ……わかったわ」

ダイヤ「では、まず尾と胴と頭に分けましょう。梨子さんは体力的に厳しいのでしたら……運搬用の船を島から持って来るのと、もう帰って来ていたら、花丸さんを呼んできて貰えますか?」

梨子「分かりました、ちょっと行ってきます」

ダイヤ「ゆっくりでいいですよ、どうせ解体には時間がかかりますし」



141: 名無しで叶える物語(えびふりゃー) 2020/03/23(月) 13:40:54 ID:rh3lLL5G.net

鞠莉「ねえねえ、ちかっち」

千歌「なあに? 鞠莉ちゃん」

鞠莉「今日のあなた、とてもいい動きだったわ。この調子で……みんなを導いて欲しい」

千歌「導くなんてそんな…でも、ありがと」

鞠莉「……さ、解体早く終わらせちゃいましょう。私、久しぶりに狩りに出たからお腹空いちゃった!」

千歌「うん、そうだね! 」

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142: 名無しで叶える物語(えびふりゃー) 2020/03/23(月) 13:41:38 ID:rh3lLL5G.net

【島の対岸付近の森】


「……」


果南「ふう……」

胴体と首が真っ二つに切り離された獲物の横で、一仕事終えた果南はその場に腰を下す。

鳥竜から流れ落ちる血液は、既に潮風で乾き、固められていた。


果南「さてと、花丸達呼んで来ないと……と、言ってもそんな経ってないから遠くには行ってないだろうけど」





果南「(にしても……妙だね)」



143: 名無しで叶える物語(えびふりゃー) 2020/03/23(月) 13:42:41 ID:rh3lLL5G.net

ランポスやジャギィらの鳥竜種は本能として群れを作るものだ。それを、群れからはぐれたランポスならまだしも、よりにもよってその群れの長であるドスランポスが一匹で襲ってくる事は、本来あり得ない事だ。



果南「(このドスランポス、ずいぶんと興奮してた……私らサイズの侵入者を見つけて追い払おうとするにしては……少し過剰すぎる)」

果南「(よっぽどエサが無いのか、何かに追われて来たのか…)」


果南「(それとも、その両方か……」」







果南「なんにせよ、もうあんまり時間無いのかもなあ……」



144: 名無しで叶える物語(えびふりゃー) 2020/03/23(月) 13:50:52 ID:rh3lLL5G.net

【後日】

善子「どうしたのよ、また急に全員集めて」

鞠莉「今日集まって貰ったのは、また皆に話があるからなの」

梨子「話って……まさか、火竜の……?」

鞠莉「ええ、単刀直入に言うわ。私達はこれから『火竜』狩りを遂に実行するわ」

千歌「……!」



145: 名無しで叶える物語(えびふりゃー) 2020/03/23(月) 13:51:12 ID:rh3lLL5G.net

曜「待って!千歌ちゃんの剣もついさっき完成したばっかで、まだ馴染んでるとは言えないし……それに……」

鞠莉「今すぐにという訳じゃないわ。でも、いつになるかは分からない。……勿論、曜の言いたいことは分かる。私達の準備は不十分と言わざるを得ない。突貫に突貫を重ねた準備をを積み上げているだけ……」

曜「なら!もう少し待って、万全な状態で行かないと!」

鞠莉「でもね、そうも言ってられなくなったのよ」

果南「この前、花丸とルビィと曜と四人でいたとき、ドスランポスが襲って来たでしょ?」

花丸「……みんなで、カラの実を拾っていたときだね」



146: 名無しで叶える物語(えびふりゃー) 2020/03/23(月) 13:51:48 ID:rh3lLL5G.net

果南「あのドスランポスが単独で行動していた事、かなり興奮していたこと。それらを考慮すると……きっと、リオレウスに追われて来たんじゃないかって思うんだ」

果南「どちらにせよ、あんなことが度々あるなら、正真正銘私達は島に缶詰めになる。それに、ここまで来ると火竜が下手したら島まで飛んでくる可能性だって無い訳じゃない」

ダイヤ「リスクと可能性を天秤にかけて、今回の決断をしました。現段階の戦力を固めて、ぶつければ、おそらくリオレウスも倒すことが出来ると……私は考えています」

鞠莉「パーティは果南、ダイヤ、梨子、善子、ちかっち、そして私。村のハンター全員、総力戦よ」

鞠莉「出立は『火竜』を発見次第、メンバーを集めて戦闘行動へと移るから作戦開始はいつになるか分からないわ。今回もアイテムを使うけど……それはまた、出立する時説明するわ」






鞠莉「……以上、各自、来たる時までに気持ちと武器の準備をしておくように」



153: 名無しで叶える物語(えびふりゃー) 2020/03/24(火) 17:03:12 ID:5o6RUzvN.net

【島 裏側】


千歌「はぁっ!!!!せやっ!!」

花丸「あ、千歌ちゃん」

千歌「花丸ちゃん? どうして島のこっち側へ?」

花丸「ちょっと調べたい事があってね……千歌ちゃんは剣の練習?」

千歌「うん、新しい剣も貰って、早く体に馴染ませないといけないからね!」

花丸「でも、どうして島の裏側に?今の時間なら鞠莉ちゃんもダイヤさんも見てくれると思うけど……」

千歌「鞠莉ちゃんも、ダイヤさんも……リオレウス討伐の計画に忙しそうだし、それに……」

花丸「それに?」

千歌「頑張ってるの、見られるのって……恥ずかしくない?」

花丸「……ふふっ」

千歌「あー!今笑った!!!」



154: 名無しで叶える物語(えびふりゃー) 2020/03/24(火) 17:04:47 ID:5o6RUzvN.net

花丸「でも、しっかり頑張る千歌ちゃんは偉いと思うずら」

千歌「ありがとう、でもね……これはきっと、普通の事なんだよ」

花丸「普通……ずら?」

千歌「私達がまだ戦えない頃、果南ちゃんが獲物も狩ってくれてくれて、私達が食べさせてくれた」

千歌「果南ちゃんだけじゃない。鞠莉ちゃんが外の村や商人さんとの交渉、ダイヤさんが村全体の指揮をしてくれてた、全然生きていけないような私達を、歳があんまり違わないのに必死に生かしてくれた」

千歌「鞠莉ちゃんにそのことを言ったらさ、『普通』なんだって言われちゃった。それぞれが出来る事をしてみんなで生きていくのが、村なんだって」

千歌「だからさ、私もまだまだ果南ちゃんや善子ちゃんには遠く及ばないけど……出来る事をして必死に足掻くのが、生きるって事なのかなって思ったんだ」

花丸「千歌ちゃん……」



155: 名無しで叶える物語(えびふりゃー) 2020/03/24(火) 17:05:37 ID:5o6RUzvN.net

千歌「もちろん、花丸ちゃんのモンスターの知識にもすごい助けられてる!それが無かったら、私達そもそもどこに住んでるか分からないから、モンスター見つけられないし!」

花丸「ふふっ……オラの知識は曜ちゃんと同じで趣味の延長線上だよ。でもみんなの助けになってるなら、嬉しいずら」

花丸「オラは外で狩りをしたりしないから、ハンターやってくれるみんなに悪いなって……きっと心の奥底で思ってたんだと思う……おらの知らない間、みんなが怪我したりしたら、どんなに怖いだろうと、思ったりもした」

千歌「……」

花丸「でも、千歌ちゃんの話を聞いてちょっとだけ元気出たずら。おらも、おらに出来る精一杯の方法でみんなをサポートするずら!」

千歌「そっか、なら良かった!」






千歌「そういえば、花丸ちゃんの調べものって何なの?」

花丸「あ、そうずら、大きいカラ骨なんか流れ着いてなかったずら?」

千歌「カラ骨かあ……見た限りだと海には木の葉くらいしか浮いてなかったけど……」

花丸「そっかあ……じゃあ、また商人さんが来てくれてたら聞いてみるずら」



156: 名無しで叶える物語(えびふりゃー) 2020/03/24(火) 17:06:16 ID:5o6RUzvN.net

花丸「ロアルドスクロウ、だっけ?剣、ピカピカずらね」

千歌「もちろん、曜ちゃんが仕立ててくれた新品だもん」

花丸「曜ちゃんだけじゃないずら、おらもサイズに合う様に皮や水袋をカットしたずら、体の内側の大水袋を取り出すの大変だったんだよ?」

千歌「あー……そっか、ごめんね、花丸ちゃん」

花丸「ふふっ……いいよ、マルは出来る事をやっただけずら」

花丸「だから……マル達の分も、とは言わないけど、ピカピカに仕上げたその剣で立派に仕事を果して欲しいずら」

千歌「花丸ちゃん……うん、チカ頑張ってくるね!」



157: 名無しで叶える物語(えびふりゃー) 2020/03/24(火) 17:07:03 ID:5o6RUzvN.net

【島の対岸】

鞠莉「通常弾とトラップツール、後素材玉をあるだけ下さいな」

善子「あ、あと……確か砥石も在庫が怪しかった気がするわ、千歌の武器は急ごしらえだから切れ味が落ちやすいって曜も言ってたし」

行商人「そんなに派手な買い物をするってことは、ついに狩りに出るのかい?」

鞠莉「ええ、ここ一帯の安全はもう無いに等しい、そう考えたので討伐に踏み切ることにしました」

行商人「そうかい……なんだか、勇ましく思う気持ち半分、心配なのが半分だよ……」



158: 名無しで叶える物語(えびふりゃー) 2020/03/24(火) 17:07:46 ID:5o6RUzvN.net

鞠莉「今もここまで来るのは危険な事は重々承知のはず……それなのに来てくださって、ほんとうに感謝してます」

行商人「なに、あんたたちの事は勝手に孫の様に思っておったからのお……」

鞠莉「ふふっ、そうですか……嬉しいです」

行商人「今まで話した事は無かったけど……わたしの息子もハンターでね、ギルドお抱えで親としても鼻高々でねえ……」

善子「ギルドのハンターって……それ、超エリートじゃ!?」

行商人「若いうちから家を出て都で働いていたんだけどねえ……今日に実家に帰って来て『命があるかわからない任務に行く』って残して……それっきりじゃ」

行商人「砂を泳ぐ巨竜だったか、なんだったか……とにかく、それっきり息子は帰らぬ人になった」



159: 名無しで叶える物語(えびふりゃー) 2020/03/24(火) 17:08:53 ID:5o6RUzvN.net

行商人「おっと、これから狩りに行くって人に年寄りの辛気臭い話をしてすまないねえ」

鞠莉「いえ…そんなことないです」

善子「……お婆さん!」

善子「私達は死なないから!絶対火竜を倒して、また安心して来てもらえるようにするから!」

鞠莉「善子の言う通りです、そもそも、また来てもらって火竜の素材を買い取って貰えないと買ったとしてもウチの村の財政は火の車デース!」

行商人「あらあら……ふふっ、これはまた来ないとねえ……」



160: 名無しで叶える物語(えびふりゃー) 2020/03/24(火) 17:10:03 ID:5o6RUzvN.net

行商人「そうだ、年寄りのつまらない話につきあわせたお詫びにこれをあげようかねえ」

善子「これは……実?」

行商人「龍殺しの実。使いどころが限られるし、物騒な名前だから安値の物なんだけど……今のお前さん達には縁起物になるじゃろ」

鞠莉「ふふっ……そうですね、ありがとうございます」

行商人「さて……この実は九つあげるからお守り代わりにするといい、なんでもある街では茶にするなんても聞いたことあるねえ」

善子「えっ……これをお茶に?」

行商人「ええ、作り方は忘れてしまったがなあ……まあ、またそれも調べて来るからそれまで持っといてくれ」

鞠莉「ええ、皆にわたしておきます」

行商人「それじゃあ、そろそろ行くかのお……」

鞠莉「わかりまして、道中、くれぐれもお気をつけて」

行商人「茶の作り方、仕入れておかないとねえ…また来たら教えるわい」

鞠莉「ふふっ……ええ!それまでしっかり持っておきます」



161: 名無しで叶える物語(えびふりゃー) 2020/03/24(火) 17:19:46 ID:5o6RUzvN.net

【森 深部】

果南「……梨子、何か聞こえる?」

梨子「ううん……今のところ、火竜の声とか、羽ばたきらしきものは何も……」

果南「そっか、荒れてるモンスターの出具合からしてこの辺りに火竜が縄張り張ってるのは間違いないとは思うけど……」

梨子「ええ、もうちょっと探してみましょう」

果南「そうだね、もうちょっと北の方も探してみようか」



162: 名無しで叶える物語(えびふりゃー) 2020/03/24(火) 17:20:11 ID:5o6RUzvN.net

梨子「…………」

果南「梨子って、耳良いんだよね、声だけじゃなくて羽ばたきまで聞き分けられるくらいだから」

梨子「ええ、以前楽器やってたので……それで少し」

果南「楽器…? それってピアノとか?」

梨子「そうですね、後ビオラなんかも少々。小さいころから家に先生が来て習ってて」

果南「ふーん……でもさ、ハンターになったんだよね? それも都のギルドなんて超一流の」

梨子「やめて下さいよ、私はギルドから逃げ出してきた身なんです。一流だなんて全然です」

果南「そういえばさ、梨子ギルドから来たってのは知ってるけど……その辺の話、詳しくは聞いてないかも」

梨子「……面白い話じゃ、無いですよ」



163: 名無しで叶える物語(えびふりゃー) 2020/03/24(火) 17:21:15 ID:5o6RUzvN.net

梨子「私の家は割と裕福で、楽器然り習い事は何でもさせてくれたんです、私が『やりたい!』って言ったら、なんでも」

梨子「私の父はハンターで、それに憧れて私もやってみたい、って言ったんです。それで、ハンターの養成所の試験を受けに行ったんです、ある程度特訓はしたとは言え、殆どお試し感覚でした」

梨子「そこで、思いの外いい成績が出ちゃったんです、楽器を弾くときの感覚が、弓に役立ったみたいで」

果南「楽器と……弓?それってなんの関係が?」

梨子「ピアニストって、ピアノを弾くとき、いちいち鍵盤は見ないんです、指の感覚だけで力加減と諸々の微調整をする能力が、私には備わってたみたいなんです」

梨子「目測で撃って的が当たる感覚がどうにも気持ちよくて、私は弓にのめり込みました。最初の方は力不足で弦が引けなくて速度が足りなかったけど、それも訓練して直しました」

梨子「そして養成所に通い、めでたくギルドお抱えのハンターになった訳なんですが、そこで、ちょっと外でのクエストを受けただけで命を張るのが怖くなって……それで逃げてきたって訳です。情けない話でしょう?」





果南「そんなもんだよ、みんな。怖くないハンターなんて、一人も居ないよ」

果南「私だって、何回も死にかけた。ダイヤと鞠莉には内緒にしてたけど、最初の頃なんて数えきれないくらい命の危機があった……」

果南「でもそんな恐怖を、私も梨子も乗り越えて頑張ってる。だって実際梨子は今私の隣に居て、ハンターとして外に出てるから……でしょ?」

梨子「果南さん……」



164: 名無しで叶える物語(えびふりゃー) 2020/03/24(火) 17:21:39 ID:5o6RUzvN.net

梨子「ごめんなさい、私の昔話なんて聞かせて、更に慰めて貰っちゃって」

果南「ううん、梨子の昔を知れたから、面白かったよ」

梨子「もう、次は果南さんの昔話の番です!私だけ話す羽目になるなんてずるいです!」

果南「うーん……そうは言っても殆ど昔の事なんて話しちゃってるからなあ、千歌たちとずっと暮らしてきた訳だし」

果南「あ、そうだ、これはとびっきりの話なんだけど……」

梨子「……ストップです、果南さん」

果南「え、そんな昔話聞きたくなかった!?正直この話そこそこ自信あったんだけど……」




梨子「違います果南さん、向こうに“ヤツ”がいます」

果南「……!」



165: 名無しで叶える物語(えびふりゃー) 2020/03/24(火) 17:23:47 ID:5o6RUzvN.net

「クルル……………………」


グチャ、グチャ。

鋭く生えそろった牙が、肉と骨を食いちぎる音が遠巻きに聞こえて来る

大型の草食モンスター、アプトノスの頭を足で押さえ、腹の中身を捌き、喉の中へと流し込んでいく。

食物連鎖。食う者と食われる者の姿がこの場面でありありと浮き彫りになっている。

絶対的捕食者、リオレウスがそこには佇んでいた。









果南「あれは、食事中?」

梨子「やっぱり、この辺を縄張りにしてるみたいですね」

果南「そうだね……あっ!飛んでいく」

梨子「……獲物を置いて行きましたね、一応調査しに行きましょうか」



166: 名無しで叶える物語(えびふりゃー) 2020/03/24(火) 17:24:30 ID:5o6RUzvN.net

梨子「うっ……」

果南「やっぱ、モンスターが食べると潰れ方がグロいね……大丈夫?」

梨子「いえ……大丈夫です、続けましょう」





果南「たぶんだけど、リオレウスはまたこの獲物を食べる気だと思う」

梨子「え? なんでそんなことわかるんですか?」

果南「まだこの肉が結構残っているってのもあるんだけど……ほらここ、アプトノスの肝臓が残ってるんだよ」



167: 名無しで叶える物語(えびふりゃー) 2020/03/24(火) 17:25:27 ID:5o6RUzvN.net

果南「肝臓……まあ、モンスターのキモは肉食のリオレウスにとって貴重な栄養源なんだけど……。だけどこれはそれをまだ食べてない。それが単に取ってあるのか、子供が居てその為に残してるのかは分からないけど、捨てるって事は無いと思う」

梨子「ホントだ……よくそんな事知ってますね、内臓の事なんて」

果南「私の獲物は花丸がよく解体してくれるからね。花丸、待ってる間私が暇してるのを気遣っていろんな話してくれるんだ」

梨子「とりあえず、この場から離れて島へ戻りましょうか、このまま居たらリオレウスが返って来ないとも限らないですし」

果南「そうだね……急いで帰って、ダイヤ達に伝えないと」









果南「……狩りの時間だ、って」



171: 名無しで叶える物語 2020/03/25(水) 20:10:09.76 ID:B4FQqSgx.net

【島 集会所】

ダイヤ「今から半刻前、果南さんと梨子さんからリオレウスを見つけた、との報告がありました」

ダイヤ「また、火竜は獲物の大部分をその場に置いて去っており、今後戻ってくる可能性が高いと思われます」

鞠莉「私とダイヤで相談した結果、前準備が十分出来る条件だと判断したから……これより、リオレウス討伐作戦を開始するわ」

千歌「火竜、討伐……」

善子「いよいよ、って感じね」



172: 名無しで叶える物語 2020/03/25(水) 20:11:45.96 ID:B4FQqSgx.net

ダイヤ「戦法は予定通り、果南さんと私が前衛、千歌さんと梨子さんが遊撃部隊、善子さんと鞠莉さんが弾幕による後方支援、ですわ」

梨子「……リオレウスはアプトノスの肉の大部分を食べ残してました、戻って来るのにそれほど時間は無いかもしれません、向かうなら、今すぐ向かうべきかと」

ダイヤ「……だ、そうですので質問等、無ければそのまま出発しますが……皆さんどうですか?」

果南「今回の相手は被弾したら洒落にならないから、とにかく身を守るのを徹底する、懐に入りすぎない……それが一番大事かな」

果南「あと、正面には絶対立たない事。火球が当たったりしたら、それこそ大変な事だからね」

千歌「……」

鞠莉「よし、じゃあ行きましょう…気を付けなければならない相手だけど、位置が分かってるこの機を逃す手は無いわ」







ダイヤ「それでは、皆さん気を引き締めて。これを、この村の最終決戦と心得るように!!」


「「「「オー!!!!」」」」



173: 名無しで叶える物語 2020/03/25(水) 20:12:33.08 ID:B4FQqSgx.net

島の対岸から森の中を歩く事十数分。果南と梨子の先導で辿り着いた場所には、空の王者がその場に鎮座していた。



ダイヤ「静かに…居ますわ」


辺りに、バラバラになったアプトノスから昇る血の匂いが漂っている。これだけの血の匂いを流しても肉食の獣が現れないのは、そこに生態系の頂点が居るからだ

その場に舞い戻っていた火竜は、辺りを警戒しながら食事の続きを行っている。自分の体長近くある大型のアプトノスの肉を、まるごと食べつくす勢いで貪りつくす



「グルル……」



174: 名無しで叶える物語 2020/03/25(水) 20:13:18.47 ID:B4FQqSgx.net

ダイヤ「いきますわよ、各自準備を」




ダイヤ「(5……4、3……)」

ダイヤが片手を挙げて合図をすると、各々が首を静かに縦に振った

広げた五本の手の指を一本ずつ折りたたんでいく。それこそが、突撃へのカウントダウン。

誰もが、息を飲んだ。正真正銘、これが火竜との決着となるだろう。


ダイヤ「(2……1……)」


これまで、様々な準備を行ってきた。万全とは言えなくとも、可能な限りの備えをしてきた。

その成果が、今この一瞬に掛けられている。


ダイヤ「ゼロッ……!!!!」


その指がすべて折りたたまれた時、彼女たちの姿は藪の中から飛び出していた!



175: 名無しで叶える物語 2020/03/25(水) 20:16:49.02 ID:B4FQqSgx.net

ダイヤ「各々所定の配置に!果南さん、前に出過ぎないように気を付けて!」

果南[言われなくても分かってる!!!」

果南は素早く走って近づき、持ち上げた重剣を振り下ろす!!先手必勝、出会い頭の隙にかけた渾身の一撃を今放つ!!



果南「せああっ!!!!」


「ガアァッ……!」


が、鋭い一撃は空を掠めた。その一撃が頭に触れるより先にリオレウスは空へと飛び立ったのだ。
その大きな体を、悠々と翼で浮かし、天空を自由に舞う。それこそ、まさに空の王者の姿だった

果南「ああ!もう!!!」

ダイヤ「果南さん、イラつかない!」

果南「分かってるってば!」



野に住む獣の感覚は鋭い、少しの殺気を感じ取り素早く危機を回避する。

それが、何十年と生きている竜なら尚更の事だった。



176: 名無しで叶える物語 2020/03/25(水) 20:20:56.79 ID:B4FQqSgx.net

果南とダイヤが最前。少し後ろに千歌、更に少し離れて善子、鞠莉、そして最後に梨子。

先に決めた通りの陣形に全員が並び立つ



ダイヤ「まったく……ガンナーの三人、お願いします!!」

善子「任せなさい!」


善子、鞠莉の弾丸、梨子の矢が空を飛ぶリオレウスに向けて放たれる

重力に逆らって放たれた弾丸は本来の威力を発揮出来てはいないものの、傷を与えるには十分な精度だ

火薬で爆発的加速を付けられた弾が、リオレウスの翼膜の一部に風穴を開ける!!!

「ガッ……ガアアアアアアアアアアア!!!!!!」



鞠莉「これでもくらいなサーイ!!」

鞠莉が放つのは、雷撃弾。雷光虫の力を込めた火竜リオレウスが忌み嫌う属性の弾だ。

距離が離れている事により勢いが殺され、弾本体が火竜の体に通らなくとも、込められた雷撃の力が的確にダメージを蓄積させていく!!



177: 名無しで叶える物語 2020/03/25(水) 20:23:43.32 ID:B4FQqSgx.net

ダイヤ「効いています、そのまま!」

梨子「……わかりました!」


戦いの最中、梨子が一瞬目を瞑る。指の感覚を鋭敏にし、強く弦を張り構える。


狙うは上空、リオレウスより更に上。自らの頭上をはるかに超える天へと向けて、梨子は矢を放つ。

曲射

複数の矢を上空に放ち自然落下で獲物へと突き刺す事でダメージを与える高難易度の技だ


放物線を描きながらぐんぐんと上へと向かう矢は、ある一点でその動きの向きを変える。今まで自らの動きを鈍らせていた重力を味方に付け速度を増して下へ下へと高速で向かっていく。

矢の真下に在るのは、空を舞う火竜の姿。落下の速度そのままに、その鋭い矢が、守る物の無い無防備な背中に襲い掛かる!!!!


「ガァッ!!!!」



千歌「当たった!」

梨子「やった…!」

梨子が放った矢の塊は、まるで飛ぶ鳥を射止めるように、リオレウスの背中を正確無比に捉えた



178: 名無しで叶える物語 2020/03/25(水) 20:25:33.15 ID:B4FQqSgx.net

「グルル……!!」



果南「あれは……!」

ダイヤ「……! マズイ、皆さん!構えて!」

火竜が空中で背を反り、息を吸い込んだ。口には腹から登って来た赤の光がチラチラと零れる。
それこそが、この火竜リオレウス最大の武器を使用する序章だ。

体内に存在する火炎袋に空気という名の薪を加えて放つ、絶対必殺の一撃。

その姿は、辺り一面を焼き付き尽くす、地獄の業火。その威力は、太陽の如き圧倒的火力。
驚異的な速さで再生するとはいえ、自らの喉を焼いてしまうほどの驚異的な熱量を持つ。

火竜の双眸が地に立つ千歌達を捉える。火竜は食事を邪魔され、気が立っていた。彼女達は文字通り、竜の逆鱗に触れたのだった。


リオレウスは地上に向けて、腹の底から火炎弾を放った。小さな流星の如き熱球は地面にて炸裂し、辺り一帯、全てを完全に焼き尽くす!!!



ダイヤ「くっ……ああああああああああ!!!!!!」



179: 名無しで叶える物語 2020/03/25(水) 20:27:12.78 ID:B4FQqSgx.net

ダイヤは最前線に立った。

巨大な盾を前に地面に力いっぱい突き出し、火竜から放たれる巨大な火炎を自ら受け止める。

爆風で手が痺れる、少しでも手を緩めれば盾諸共、全てが吹き飛ばされてしまうだろう。それほどの威力が盾越しでも感じられた。

しかし、ダイヤは決して手を緩めない。後ろに立つ皆を守る為、この狩りに勝つため、そして何より生き残るために!!!!


熱で盾が歪んでいる。盾の握り手からは全面から伝わって来た熱が握りしめた手を焼く。それでも、逃げるわけにはいかない。逃げたら、後ろの皆が無事では済まないから。

果南「ダイヤ!」

千歌「ダイヤさん!!」

ダイヤ「だ、いじょうぶ……私にまかせておきなさい……」

自分が弾き飛ばされれば、後ろに居る果南と千歌に真っ先に被害が及ぶ。
最大戦力である果南、この作戦の要である千歌、火竜の討伐においてこの二人を失うことは絶対に有ってはならない。

そして何よりも……仲間を失うことは絶対に嫌だ。


ダイヤ「いっ……ああああああああああ!!!!!」



180: 名無しで叶える物語 2020/03/25(水) 20:27:54.47 ID:B4FQqSgx.net

ダイヤ「はぁっ……はぁっ……」


炎が過ぎ去っても、ダイヤは立っていた。息も絶え絶えで、体のあちこちがあまりの熱に焼けてしまっていても、そこに立っていた。

まだ、もう一仕事ある。この村の司令塔として、号令を掛けなければ。

息を大きく吸って声を張る。





ダイヤ「今です、千歌さん!!」



181: 名無しで叶える物語 2020/03/25(水) 20:28:39.39 ID:B4FQqSgx.net

千歌「まかせて!!!ダイヤさん!!」

その言葉を言い終わる前に、千歌は盾の内側から飛び出す

大火炎を放った火竜は首を振り、硬直していた。火炎を放ち、焼けた喉の部位の再生を待っているのだろう

千歌「これでも……くらえっ!!!!!!!」

ポケットから取り出した、光り輝く球体をリオレウスの眼前に向けて投げつける。


閃光玉。強烈な光を浴びせて、対象の視界を奪う道具だ。



182: 名無しで叶える物語 2020/03/25(水) 20:31:08.33 ID:B4FQqSgx.net

閃光玉を使用する際には幾つかリスクが存在する。

まず、そもそもの話、眼前にぶつけなければ、目つぶしにはならない。視界に入れられなければ雷光虫を利用した強烈な光源もただの光に過ぎない。

それに、激しい光はハンターの視界をも遮ってしまう。背を向ければ光を回避できるが、それは即ちモンスターにも背を向ける事となり大変危険だ。

さらに、視界を奪われたモンスターは、大きく暴れる事もある。目が見えない状態で荒れ狂った獣の近くに居ることは間違いなく死を意味する。

しかし、今、この扱いの難しい閃光玉を使う条件は整っていた。



リオレウスは炎を出したことにより硬直している。火炎で狙っていた地に向け、頭を大きく落としている。

ガンナーの三人は、予め距離を取っており閃光玉の範囲内に居ない。そして前衛の二人もダイヤの盾の後ろに隠れられる範囲内に在る。

即ち、今が好機!



千歌「いっけえええええええええ!!!」



炸裂した閃光玉から、辺り一帯を染め上げるほどの光が迸る。

空の王者。時には太陽とも同一視される気高き竜の目の前に一つの輝きが炸裂した!!!



183: 名無しで叶える物語 2020/03/25(水) 20:33:34.37 ID:B4FQqSgx.net

「ガァァァァァ……!!!!!!」



呻き声をあげて、火竜は地へと落ちていく。視力を失い、地鳴りを響かせて地へと叩きつけられた。


ダイヤ「全員、総攻撃です!!!!!」


果南「地に落としちゃえば……こっちのもんだもんね!!」

槍の一刺し、剣の一振りが頭部に集中する。火竜最大の弱点、最も衝撃に弱い部位に斬撃を集中させる


善子「そこで……倒れてなさい!!!」

予め横に回った善子はスコープを覗き、地面に投げ出した脚に狙いをつける。的確に、弾を放ちダメージを蓄積させていく。

リオレウス程の大型モンスターにもなると自らの体重を支える為に足にかなりの負担が掛かっている。足を狙撃していれば、簡単に立ち上がることは出来ない。

梨子「はぁっ……!!!」

大空を見上げた梨子は再度上空へ矢を放つ。前衛を巻き込まない翼へと狙いを定め、矢を空へ。

大きな放物線を描き、加速しきった弾丸が上空で分裂し、空の王者の翼を文字通りもぎ取っていく!!!




さらに、上空にはもうひとつの影。

千歌「これでおわりだあああああああああああ!!!!!!!!」


最後の一撃、飛び上がった千歌の獲物のよる鋭い一撃は、全生命の弱点である頭蓋を正確に捉えた!!!



184: 名無しで叶える物語 2020/03/25(水) 20:39:38.75 ID:B4FQqSgx.net

千歌「はぁっ……はぁっ……!」


「…………………ガ………ッ………!」


果南「やった……!?」

梨子「いや……まだ、みたい」

梨子の言葉通り、攻撃を中断して離れたハンターの面々の前で、火竜はゆっくりと立ち上がった


「グォォ………ガァッ……!!!」


鞠莉「流石に…しぶといわね……」

善子「でも、もうこいつボロボロよ、翼も使い物にならなさそうだし」

ダイヤ「……気を付けなさい、言ったでしょう?手負いの獣が一番恐ろしいですわ」

千歌は火竜を見つめたままポケットを弄り、もう一度の閃光玉を取り出す。ルビィ達が材料を大量に調達してくれていたおかげで、十分な余裕が有る

千歌「ここはもう一回閃光玉を……」



投げようとした……その時、ぐらり、と千歌達の足元が揺らぐ



185: 名無しで叶える物語 2020/03/25(水) 20:42:32.15 ID:B4FQqSgx.net

千歌「わわっ!……何この揺れ!?」

果南「……みんな、揺れに気を取られず前に集中して、いつ襲ってくるかわからないから」

ダイヤ「これは……地震……ですかね?」

善子「いや…にしてはこの揺れは……近すぎる……というか、どんどん近づいて来てるわ!?」






次の瞬間火竜の立っている大地を、あたりを包み込むほどの巨大な影が覆った

みるみるうちにその影は大きくなり、地割れの如き轟音と共に火竜の体を叩き潰した

“それ”は上空からその巨体を現した。しかし、この怪物に翼は無かった

その巨体は、火竜より遥かに大きい。
ぬらぬらとした黒光りする緑色の鱗を隆起した筋肉で作られた体に纏っていた。

胴体まで裂けたかの様な巨大な口。したたり落ちる唾液は強酸性なのだろう、地面に転がっているボウガンの弾が、いとも簡単に酸で溶けだしていた。


一言で形容するなら”悪魔”だった。


その在り方の異様さ、そして生命としての強靭さは、たった一度の跳躍で押し潰された火竜の姿を見れば、ありありと伝わっていた。



186: 名無しで叶える物語 2020/03/25(水) 20:43:26.99 ID:B4FQqSgx.net

梨子「火竜を潰してくれてラッキー……とは言ってられる場合では、なさそうね」

果南「……あれは…!」

千歌「……果南ちゃん?知ってるの…?」




果南「凶暴竜、イビルジョー。別名を健啖の悪魔。獲物は……生きるもの全て」





梨子「あれは相手にしちゃダメな類のヤツよ…!」

千歌「でも、もうこんなに目の前まで来られたら…逃げられないよ!」

善子「私が遠巻きに散弾を撃つから、その隙に逃げなさい!散弾なら狙い付けなくても逃げながら当てられる!」

果南「いや、そんなものじゃアイツはたぶんビクともしない。ヤワな攻撃なら、するだけ無駄だよ」

善子「だったら…どうすればいいのよ!」






果南「……………私達が、ここに残って相手する」



187: 名無しで叶える物語 2020/03/25(水) 20:44:50.58 ID:B4FQqSgx.net

梨子「へ……?」

千歌「私達……って?」

ダイヤ「私と鞠莉さん、ですわ。そうでしょう、果南さん?」

果南「うん、本当は私一人でなんとか出来ればいいんだけど…流石にちょっとキツいから盾と後衛は一人欲しいかな」

鞠莉「非常時にはね、私達が殿を務めるって決めてたの。みんなには内緒だったけどね」

果南「リオレウスが私達に襲い掛かるのは、私達が縄張りに立ち入る“侵入者”だから、追い立てるの」

果南「でも、イビルジョーは違う。私達の事はただの小さな生き物で“食物”なんだよ。このままだと、みんな食べられちゃう」

千歌「でも…!いくら二人が強くても、危険な事は変わりないよ!そんなことしたら、果南ちゃんとダイヤさんが!」


果南「もうこれしか方法が無いんだよ!!」

千歌「…………ッ!」



188: 名無しで叶える物語 2020/03/25(水) 20:48:08.47 ID:B4FQqSgx.net

千歌「かな…ん…ちゃん…?」

果南「いい?三人は帰って、今の状況と場所を残ってる三人に伝えて」

鞠莉「私にも、こいつをどうすればいいか分からない。でも、あなた達みんなで考えれば道が開けるかもしれない。もし、絶対に敵わないと判断したのなら、逃げるだけでも構わない」

鞠莉「とにかく、自分達で考えて、自分達で未来を決めるの。そうすれば、例え後悔しても前に進めるから」

千歌「……鞠莉ちゃん」




鞠莉「だからとにかく逃げて、ちかっち。そして生きるの。生きれば、未来があるはずだから」



189: 名無しで叶える物語 2020/03/25(水) 20:49:00.11 ID:B4FQqSgx.net

善子「……行くわよ、千歌、梨子。ここに立っているだけで、状況は悪化していく一方だわ」

梨子「……ええ、そうね。でも……」


不意に森の中に爆音が響き渡った。鈍く、不快な音だった。


「ガァァァァァァァァ!!!!!!!!!」

こちらを観察するように凝視していたイビルジョーが突如、吠えた

頭を大きく持ち上げ、己の存在を遠くまで知らしめる強大な咆哮だった。


果南「何時までも睨み合っていてくれない、か」

千歌「……果南ちゃん!」

果南「千歌!早く行きな!」





千歌「絶対、絶対助けに来るから!」ダッ



190: 名無しで叶える物語 2020/03/25(水) 20:49:38.46 ID:B4FQqSgx.net

果南「……全く、往生際が悪いんだから」

ダイヤ「それはお互い様でしょう?この期に及んでこんな怪物と戦おうとしてるんですから」

果南「……まあね。でも、死ぬつもりで残ってくれた訳じゃないよね?」

鞠莉「もちろんデース!ま、こんな大物と相対するとは思わなかったけどね」

ダイヤ「あの島にはやることは山の様にあるんですから……ここで倒れてなんかいられないですわ」

果南「そうだね……それじゃあ」

ダイヤ「……ええ」





果南「行くよ!ダイヤ!鞠莉!」

ダイヤ「私が指示します!お二人はそれに合わせて!」

鞠莉「OK!背中は任せて!」



191: 名無しで叶える物語 2020/03/25(水) 20:50:36.06 ID:B4FQqSgx.net

「グオオオオオオオオオオオオオ!!!!!」

凶暴竜の突進が三人へと襲い掛かる。体を横にして、辺り一面を薙ぎ払う様にタックルを繰り出す。


ダイヤ「ハァッ!!」


ダイヤは盾を前に出し、正面から構える。そこに、金属製の盾にイビルジョーの太く、奇形の様に肥大化した尻尾が盾を掠める。
その衝撃だけでダイヤは遠くへと投げ飛ばされる程大きく仰け反った。


ダイヤ「ッ…!……図体通りの威力という訳ですね…」


イビルジョーの一撃で、ダイヤの盾は歪んだ。

多くの大型モンスターの攻撃をものともしなかった盾を、凶暴竜の一撃はいとも簡単に変形せしめた。


果南「よっと……危なかった…!」

果南はタックルの瞬間、地に転がり、イビルジョーの脚の下の隙間をすり抜ける



192: 名無しで叶える物語 2020/03/25(水) 20:51:37.19 ID:B4FQqSgx.net

果南「ダイヤ…!大丈夫!?」

ダイヤ「だ…いじょう…ぶですわ……でも、あまり受け続けていると、盾が握れなくなるかもしれません」

果南「……分かった。なるべく私が引き付けて回避するようにする」

鞠莉「私も出来るだけ頭を撃って援護するわ!!」

ダイヤ「……了解です」






「グルルル………」


凶暴竜が再度こちらに狙いを付ける。その目は獲物を狙う野生の獣の目だった。

再度三人は、自分の背丈を優に超える巨大な生物に向けて臆することなく武器を構える。



「ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!」



大地の主、イビルジョーは吠えた。

その地を震わせる爆音こそが、この大自然における“狩り”の新たなる狼煙だった。



199: 名無しで叶える物語 2020/03/27(金) 16:48:21.82 ID:NduGYvXW.net

【島】

花丸「リオレウスは追い詰めた。けど乱入者が現れて、鞠莉ちゃん達が殿になって三人を逃がしてくれた……と」

善子「ええ……そうね」

ルビィ「……おねえちゃん……」

千歌「……ごめん」

ルビィ「……ううん、千歌ちゃん達は悪くないよ」

曜「ねえ、そのイビルジョーってやつ何なの? リオレウスを仕留めるなんて、どれだけ強いの?」

梨子「………まともに戦って、勝てる相手だとは到底思えないわ」








千歌「花丸ちゃん、イビルジョーについて、知ってる事を教えて欲しい」

花丸「まさか…!千歌ちゃん、倒そうと!?」

千歌「……私は鞠莉ちゃんから、自分達で考えて、行動しろって言われた。倒すにしても、逃げるにしても、まず知るとこから始めないと」

花丸「…………わかったずら」



200: 名無しで叶える物語 2020/03/27(金) 17:47:45.61 ID:NduGYvXW.net

花丸「恐暴竜イビルジョー。弱点属性は龍、雷」

花丸「ギルドから発行されている資料なんかだと『食物連鎖の頂点』だとか書かれていている事が多いけど……マルは少し違うと思うずら」

花丸「イビルジョーは全身の殆どを筋肉で覆われているずら。当然、筋肉が多いって事は体の燃費は悪いんだけど、その圧倒的力と体躯で全ての生き物をねじ伏せて、捕食することでその体を維持してる。」

花丸「普通なら、何でも食べなきゃ維持できないほど燃費が悪い体を持つ生物なんて絶滅するはずずら。全ての獲物を餌になんてしていたら食物連鎖の理をモロに受けてあっという間に滅ぶはずずら」

千歌「でも、実際に……」

花丸「うん、イビルジョーは極寒の雪山にも灼熱の火山でも、ありとあらゆる場所に移動して、全てを喰らいつくして生きながらえているずら。






花丸「地球上全ての場所において、イビルジョーは食物連鎖から逸脱した怪物だと、マルは思うずら」



201: 名無しで叶える物語 2020/03/27(金) 17:48:10.65 ID:NduGYvXW.net

花丸「餌は、生物全て。このままじゃあの森は生物がまともに住める森じゃなくなるずら」

ルビィ「で、でも、今までだってイビルジョーが出た場所があるんだよね。まさかそういうところから生きものが居なくなったって訳じゃない……よね?」

花丸「イビルジョーが出た場所は、言うなれば砂漠のような更地になるずら。餌が無くなってイビルジョーが去った後、僅かに残った生きものたちが何年もの歳月をかけて少しずつ再生していくことで元の形へと戻って行くずら」

花丸「森自体はその再生の時をじっと待てばいいんだけど……それには長いスパンが必要ずら、その期間はオラ達が蓄えて耐え凌げる期間かと言われると……」

曜「まともに生物が住めなくて、その危険度となると行商人の人どころか人自体寄り付かなさそう…となると」

花丸「正直どちらにせよ……マル達の生活は八方塞がりずら」







千歌「……倒そう、私達で。それしかないよ」



202: 名無しで叶える物語 2020/03/27(金) 17:52:56.32 ID:NduGYvXW.net

善子「何言ってるの千歌!?まともに戦って勝てる相手じゃないっていうの、アンタだって見たでしょ!!」

千歌「でも、でも!!」

善子「あのリオレウスだって、この村の力を結集して、ようやく押し戻せるくらいなのよ!そんな相手をペシャンコに押し潰す相手なんて勝てるわけないでしょ!!」

梨子「ちょ、ちょっと……善子ちゃん…」

善子「それに、有効な攻撃手段だって無いわ。雷撃弾は全部鞠莉が持ってるし、リーチ的に攻撃が届きそうな果南だって居ない……」

善子「わたしだって…イヤよ…逃げるのなんて…でも、ここで私達が食べられたりしたら、鞠莉達がもっと浮かばれない……」

ルビィ「……善子ちゃん」



千歌「……鞠莉ちゃんが言ってたの『この島で私はずっと生きていたい』って。私達の元々住んでた村は燃えちゃったけど、新しくおかえりって言ってあげられる場所がここだから、守らないとって」

千歌「私は、この島でみんなと一緒に平和に楽しく過ごしたい。また皆でゆったりと、落ち着いた生活が出来るならそれでいい」







千歌「でも…!!そこには、鞠莉ちゃんと、ダイヤさんと、果南ちゃんが居ないと意味が無いの!!!」





パサリ



203: 名無しで叶える物語 2020/03/27(金) 17:54:41.40 ID:NduGYvXW.net

曜「……千歌ちゃん、なんか落ちたよ」

善子「行商人のお婆さんがくれたお守りね、中身は龍殺しの実だって」

千歌「(龍殺しの実……って確か)」




千歌「ねえ!!花丸ちゃん、イビルジョーって龍属性が弱点って言ってたよね!!」

花丸「え、う、うん……そうだけど……千歌ちゃん、もしかして!?」

千歌「龍殺しの実って滅龍弾になるよね!? それも、とびきり特大の威力の!!」



204: 名無しで叶える物語 2020/03/27(金) 17:56:21.73 ID:NduGYvXW.net

滅龍弾

文字通り龍殺しの力を秘めた、属性弾

その性能は他の属性弾と一線を画す。

当たれば、その龍封の力絶大であり。有効に使えば古龍級の生物にすら深い傷を与えることが出来る。

高威力、高貫通性能、高反動。ハイリスクハイリターンを地で行く弾丸だ。




ただし、そんな威力の代物は、何の考えも無しに扱えるものではない。


善子「ちょ、ちょっと待ちなさい!滅龍弾なんて、扱えるボウガンこの村に無いわよ!実際に私のアルデバランも撃てないし」

曜「いくらなんでも、今から滅龍弾が装填できるボウガンなんて……ちょっと作れないよ」

花丸「あれは……古代技術で作られた物をを復元したりした、特別なボウガンしか使えない弾ずら……鞠莉ちゃんが持ってたやつなら撃てたかもかもだけど……」

千歌「………鞠莉ちゃん、の…ボウガン…?」








千歌「ちょっと…待ってて!すぐ戻って来る!!」ダッ

ルビィ「あっ…千歌ちゃん!!」



205: 名無しで叶える物語 2020/03/27(金) 17:57:50.45 ID:NduGYvXW.net

戻ってきた千歌の手に有ったのは、一丁の木製のボウガンだった



千歌「はぁ……はぁ……どう?これなら撃てる?」

曜「ええと……うん、これなら撃てると思うけど……」

梨子「……曜ちゃんも知らないようなボウガン、どっから持って来たのよ」

千歌「これはユクモ霊弩……鞠莉ちゃんが、昔自分で作ったって教えてくれたの…!」

花丸「……確かにこれで、手元にある龍殺しの実で作れる滅龍弾を当てさえすれば、倒しきれなくても有効打にはなるかもしれない」

善子「滅龍弾ってものすごく曲がるのよ!!動き回る相手に撃ったってまともに当たる代物じゃないわ!!」

花丸「それは……確かにそうずら」




千歌「鞠莉ちゃんは、このボウガン私にくれるって言ってた。だから、私が撃つ。」

善子「はぁ!?千歌、アンタ何言って…!」

千歌「……私の作戦を聞いて欲しい」



206: 名無しで叶える物語 2020/03/27(金) 17:58:24.54 ID:NduGYvXW.net

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善子「……本気?それって、あなたが一番危険な目に会うのよ?」

千歌「本気も本気だよ、こうでもしれないとあの怪物に勝てない」

梨子「でも、大丈夫なの…?その作戦には、ハンターの私達だけじゃなくて、そうじゃない三人も巻き込むことになるけど……」

曜「何言ってるの梨子ちゃん、私達だってこの島の人間なんだから。もうとっくに関係者だよ」

ルビィ「ルビィも、頑張って……少しでも役に立つよ!」

花丸「……正直、この作戦が成功するかどうかは分からない。成功したとして、倒せたり、撃退が出来るかも分からないずら」

千歌「…………」

花丸「でも、マルはこれでいいと思う。この作戦にかけてみる価値が、マルは有ると思うずら」

花丸「何より、鞠莉ちゃん達を置いてこれからずっと逃げて生きるよりは、何倍もマシずら」

千歌「花丸ちゃん……」



207: 名無しで叶える物語 2020/03/27(金) 18:04:55.36 ID:NduGYvXW.net

千歌「早速準備しよう!少しの時間だって無駄には出来ない!花丸ちゃんは弾の調合、曜ちゃんはこのボウガンの調整をお願い!」

千歌「梨子ちゃんと善子ちゃん、二人は疲れているだろうし休んでて!それと、ルビィちゃんはちょっと来て!」

ルビィ「え、わ、分かった!」

梨子「あ、ちょっと!千歌ちゃんはどうするのよ!」

善子「そうよ、千歌も疲れているでしょう!」

千歌「私ちょっと行くところあるから!それじゃ!」ダッ

花丸「あ、行っちゃったずら」

曜「ああなったら千歌ちゃんは聞かないよ……さて、大急ぎで準備しないと…なんて言ってもこの鞠莉ちゃんのボウガンと、久々に自分の銃も出してこないといけないしね!」

善子「大丈夫なの曜?いくら元ハンターとはいえ……いきなりボウガン持って実戦だなんて」

曜「まあ、自信があると言ったら嘘になるけど……でも、やるしかないから!じゃあ私鍛冶場に行ってくる!」





梨子「すごいね、あんなに暗い空気だったのに、すぐにみんなが出来る事を見つけて前に進んでる」

花丸「それが、千歌ちゃんの凄い所ずら」

善子「……そうね、本当に思うわ」

花丸「さて、と……マルも滅龍弾を作らないと。なにせ、一発も無駄に出来ないずら」



208: 名無しで叶える物語 2020/03/27(金) 18:05:56.81 ID:NduGYvXW.net

【島 山頂】

ルビィ「ホントに登るの…?休んでおいたほうがいいんじゃ……」

千歌「時間的に休憩は出来るし……それに、この作戦、最後は神頼みだと思うから。お願いはしておこうかなって」

ルビィ「……分かった、頂上までじゃあ案内するね!」

千歌「ありがとう、ルビィちゃん!」








千歌「はっ……ほっ……」

ルビィ「すごいね千歌ちゃん、よく登ってるルビィでも少ししんどいのに……」

千歌「えへへ……ハンター本格的にやるってなった時、果南ちゃんに散々扱かれたからね。モンスターと相対するには、まずはモンスターが倒れるまで立って、武器を振り回せないといけないって」

ルビィ「モンスターと……これから、ルビィ達も立ち向かうんだよね、モンスターの、それもとびっきり強いのと」

千歌「普段ハンターじゃない曜ちゃんにハンターをして貰うだけじゃない、花丸ちゃんとルビィちゃんにも援護を頼む事になる……そうでもしないと、チカの作戦は成り立たない」

千歌「ごめんね、普段ハンター達じゃないルビィちゃん達も出て貰う事になって」

ルビィ「ううん……やるよ。それが、千歌ちゃんが見つけた道なんでしょ?」

千歌「ルビィちゃん……」



209: 名無しで叶える物語 2020/03/27(金) 18:07:23.80 ID:NduGYvXW.net

ルビィ「さ、着いたよ、千歌ちゃん」

千歌「白き竜の祠……ここまで登ったの、久しぶりかも」

ルビィ「お祈りしよっか」

千歌「……うん」












よく手入れされた祠は、昔と変わることなくそこに有った

手を合わせ、二人は頭を垂れる。願うは、再びの安寧。それと、仲間の無事。


ポツ……ポツ……ポツ……


ルビィ「ひゃっ!……水…?」


二人が下山しようとした時、空を黒雲が覆った。上を見上げると、額の上に大粒の滴が勢いよく降りて来る。



千歌「…………雨だ」


濁った色になった天から、雨が降り注いだ

降り注ぐ雨の勢いは次第に大きくなり、吹き下ろす様な勢いの風も鳴り始める






それが天運を齎す慈雨となるか、厄災を運ぶ荒嵐となるか

この時はまだ、誰にも分かっていなかったのだった



214: 名無しで叶える物語 2020/03/28(土) 23:12:42.51 ID:Hh+4pL/y.net

【島 対岸の森】

千歌「天気が悪いけど……行こう」

善子「……そうね、こればかりは待ってられないわ」

梨子「それに、雨はイビルジョーの体温を下げるから、悪い事ばかりでは無いわ……」

曜「うっわ、緊張する……試し打ち以外でボウガン撃つの何年振りだろ……」

花丸「リオレウスと交戦したのがここから北なら、イビルジョーはなるべくそこから離れたがらないはずずら」

ルビィ「どうして…?」

花丸「イビルジョーは大喰らいずら。リオレウスほど大きな獲物、それも体温が下がりやすい雨の中、何としてでも逃す手はないはず……」







千歌「よし、行こう……!!戦って、未来を掴むんだ!!」


「「「「「オー!!!」」」」」



215: 名無しで叶える物語 2020/03/28(土) 23:13:50.84 ID:Hh+4pL/y.net

数刻前に火竜と交戦した場所から北へ数百メートル行った先、森の中程に聳え立つ山の麓に、“それ”はいた




「グルルルルルルル………」




足元には、火竜の死体が転がされている。両の翼はもぎ取られ、体はズタズタに引き裂かれ見るも無残な姿に変わり果てていた

おそらく、火竜を仕留めた場所からここまで引き摺って来たのだろう、その事からもこの恐暴竜の凄まじい膂力が伺える



ルビィ「お姉ちゃん達が…いない…?」

梨子「上手く撒いた……と、思いましょう」

千歌「この作戦は先手必勝……気付かれる前に突撃しよう」

曜「気を付けてね、一番危険なのは千歌ちゃんだから」

千歌「……分かってる」

花丸「…………」ブルブル

善子「ずら丸、震えてるわよ……」

花丸「……大丈夫、オラだってやれるずら。今まで倒れているとこしか殆ど見た事無かったけど、モンスターの生態は頭に入っているはず……だから、やれるずら」

梨子「花丸ちゃん……」








千歌「よし、行くよ」



216: 名無しで叶える物語 2020/03/28(土) 23:15:45.57 ID:Hh+4pL/y.net

千歌「私が前に出る!!曜ちゃん梨子ちゃん善子ちゃんは射撃の準備、ルビィちゃんと花丸ちゃんはアイテム構えて待機!!」




「ゴァオオオ………!!」





千歌は、盾を捨てていた。片手剣の利点である攻防一体という特徴をかなぐり捨て、腰に小刀一本を仕込むだけとしていた。

そして、右の手で抱えるのは、木製のボウガン


千歌「曜ちゃん、お願い!!」

曜「了解!!!」


曜の手に抱えられた得物は、クリムゾンシーカー。雪山に住むギギネブラの亜種、電怪竜ギギネブラの力が込められた軽弩だ。



217: 名無しで叶える物語 2020/03/28(土) 23:16:48.11 ID:Hh+4pL/y.net

このライトボウガンにはある特徴がある。


まずリロード速度、反動が共に劣悪だ。弾を撃つ時も、弾を込める時も、共にモンスターに対して大きな隙を晒す事となる。
また、その繰り出される弾の威力も高く無く、一人で狩りに出ようものならまともに戦うことが出来ないだろう。


曜「当たって!!!お願い!!」



曜が引き金を引く。雨粒を払い除け、銃口から弾が打ち出される。


何故、このボウガンを曜が作ったのか。何故このボウガンを、一世一代のこの場において担ぐ事にしたのか。

それは、このクリムゾンシーカー唯一にして最大の特徴。





発射された弾は、一発じゃない。連続して、途切れる事無く銃口から飛び出すのは麻痺毒の込められた特殊弾!!!


麻痺弾速射

機構段階で弾に合う様に構造を整える事により、凄まじい速さでの連射を可能とする。
人による細やかなカスタムが可能な軽弩にのみ許された射撃技術!
モンスターを縛ることに特化した、パーティプレイに特化した拘束手段!



218: 名無しで叶える物語 2020/03/28(土) 23:20:25.64 ID:Hh+4pL/y.net

「グ……オ………」


曜「当たった!」


とめどなく連射された弾は麻痺毒をイビルジョーの体へと流し込み、体の自由を奪った。外傷に強いイビルジョーといえども、体の内部に注入される毒には成す術がない



千歌「ありがとう曜ちゃん!」




着弾を確認すると同時に、千歌は前へ出る

千歌が立てた作戦は、至極単純な物だった


撃てばその威力故に、強く曲がってしまう滅龍弾。無計画に撃てばまともに当たることなく、先に材料である龍殺しの実が切れてしまう。



千歌「(前、ドスジャギイと戦った時は、目を瞑っちゃった……けど、今ならみんなに背中を任せられる。その勇気が、私にはある!!)」



なら、曲がる前に当てればいい。“曲がるだけの距離”弾が進む前にイビルジョーへと当ててしまえばいい


之即ち、零距離!

イビルジョーの懐まで潜り込み、片の手で支えていたボウガンの引き金を今、引き絞る!!


放つのは、一撃必殺の龍封の力!!すべてを滅する、魔の弾丸!!!


千歌「これでも……食らえぇぇ!!!」



219: 名無しで叶える物語 2020/03/28(土) 23:30:34.50 ID:Hh+4pL/y.net

千歌「(当たって、お願い!)」

千歌は、その弾丸が進むのが、まるでスローモーションの様に見えた。

それは、まさしく窮鼠の一撃。小さな生物である人間が、時に神と同一視される龍へと向けた、意趣返しの痛烈な一撃!!




「ゴオォォォォォォォ!!!!!!!」




放たれた弾丸は、恐暴竜の皮膚を貫通し、肉を裂いた。込められた龍封の力を、その巨大な体躯を揺るがす程に叩き込んだ!!!



善子「やった……!」

梨子「よし、だいぶ効いてるわ!」





「ガアァァァァ……!!!!」

しかし、貪食の恐王はそれだけで仕留められるほど、やわな生物ではない。

龍封の力に怯み、仰け反ったイビルジョーは、そのままの勢いで自らの体を捻じ伏せ、突撃を行ってくる。自らの膂力を活かし、猛然と突撃を繰り出してくる


目標は、千歌。場所は目と鼻の先、イビルジョーが数歩進めば、小さな人間など跡形も無く吹き飛ばされてしまう


そして捨て身の特効を行った千歌は、その攻撃範囲から抜け出すことが出来ない


千歌「……ッ!」


自らの何倍もの体躯を誇る巨大な龍の突進が、今一人の少女へと襲い掛かる!!!



220: 名無しで叶える物語 2020/03/28(土) 23:44:02.18 ID:Hh+4pL/y.net

ルビィ「そうはさせないよ!!」




突進が直撃する、ほんの数秒前。イビルジョーと千歌の間で、一筋の閃光が炸裂した

リオレウスを狩る際に、余らせた閃光玉だ。それが今、ルビィの手から離れ、地に着く前に破裂し、視界を埋め尽くす程の光を放つ。



花丸「そいやっ!!!」


間髪を入れず、花丸も閃光玉を投げる。

武器を扱う事の出来ない二人は投擲物を適切なタイミングで投げる為に待機していた。

連続して炸裂する閃光玉。その光は、懐へと潜り込んだ千歌が、態勢を立て直すのに十分な時間を稼いだ。



「ガァァァァァ!!!!!!」



視界を潰され、攻撃の目測を外され、イビルジョーは怒りを表にする


ハンターとしての基本戦略、ヒット&アウェイ。その回避の部分を仲間に託し、自らはひたすら特攻する事こそが、千歌の秘策だった。



221: 名無しで叶える物語 2020/03/28(土) 23:47:58.52 ID:Hh+4pL/y.net

千歌「よし!さらにもういっちょ!!!」


花丸「千歌ちゃん!イビルジョーの右脇腹、他の古傷に比べて新しい!きっと、果南ちゃん達が付けた傷だと思う、だから、そこを狙って!!!」


千歌「分かった、ありがとう花丸ちゃん!!」


至近距離で閃光が炸裂したからか、目がチカチカする。少しでも距離感を、間違えれば、少しでも足止めが遅れれば、千歌の体はあっという間に吹き飛ばされてしまうだろう

それでも、再び前に進まなければならない、全ては勝利の為に!





梨子「せやっ!!」


善子「ほらっ!!!こっちにも居るの、忘れんじゃないわよ!!!」


善子の愛銃、アルデバランから複数の弾が同時に射出される

滅気弾速射。これも、アルデバランの秘めた能力の一つだ


滅気弾は、モンスターのスタミナを奪う弾で、普段の狩りでは滅多に使わない弾だ。
そこそこのサイズのモンスターなら、体力など気にすることなくアルデバランは散弾で蜂の巣に出来るからだ。


しかし、手元の滅龍弾を全て恐暴竜に叩き込むのが先か、それとも他の五人による弾幕が崩れるのが先か

この我慢比べのような持久戦において、疲れを誘発する滅気弾は無類の強さを誇る!!!



222: 名無しで叶える物語 2020/03/29(日) 00:05:48.63 ID:cOlxoKAl.net

「オォォォォォ…………!」

矢と銃弾の雨を頭に食らった恐暴竜は大きく態勢を崩した。

イビルジョーは元々、細い脚に太い胴体というアンバランスな体を自らの筋力で強引に支えている。

よって、梨子と善子による頭部への集中砲火に耐え切る事が出来ず、バランスを大きく崩してよろめいた。

さらに、足元が降りしきる雨でぬかるんでおりすぐに態勢を立て直す事が出来ずにいた。


善子「しめた!千歌、頭に当たったわ!今がチャンスよ!」





合図を受け、再び千歌はイビルジョーの懐へと潜り込む。狙うは、右脇腹。三人が作り出してくれた、巨竜という途方もない生物からこじ開けた、一点の綻び!

正真正銘、最後の一発。ラストバレット。龍を穿つ、必殺の一撃

それが今、木製のライトボウガンから放たれる!!!!!





千歌「これで、最後だぁぁ!!!!!!!!!!」





千歌が放った滅龍弾は、イビルジョーの脇腹を捉え、腹部を貫通し、その本体へと絶大なダメージを負わせた



223: 名無しで叶える物語 2020/03/29(日) 00:17:01.58 ID:cOlxoKAl.net

「ゴガァッ…!!!ガァァァ!!!!!!」




弾丸を急所へと食らったイビルジョーは大きく怯んだ。その巨大な躰で、立っているのが精一杯の様子だった。

体を雨で冷やされ、動きも鈍っていた。基礎体温が高いイビルジョーは熱を失えばまともに活動が出来ない。
善子が放った滅気弾も、その体内のエネルギーを奪うことに一役買っていた。



善子「あんだけ体に銃弾貫通しといて生きてるなんて……正真正銘のバケモノね」

花丸「口元から涎が落ちてる……スタミナ的にはあと一歩なんだろうけど」

千歌「はぁっ……はぁっ……」

曜「千歌ちゃん、滅龍弾は…?」

千歌「はぁっ……もう、これで……使い切っちゃった」

ルビィ「ルビィの閃光玉も、あと一個しかない……」





「ガァァァァァァァ!!!!!」」


その時、イビルジョーが吠えた。大地を踏みしめ、地が振るえる程の轟音で咆哮した。

しかし、次の恐暴竜の行動は攻撃では無く、向きの反転だった。

警戒して武器を構える少女達に尾を向け、先に続く坂道へと向かって走り出していく。

野に生きる獣として、生命の危機を察知しての逃亡だった。



224: 名無しで叶える物語 2020/03/29(日) 00:31:11.87 ID:cOlxoKAl.net

ルビィ「逃げたよ…!」

善子「どうする……引き分けにする?正直、もうこっちは持ってる駒全部出し切ったわよ、出て行ってくれるならそれでいいと思うわ」

花丸「ダメずら!」

善子「……どうしてよ」

花丸「あっちは山道に繋がってるずら!あっちに逃げたら、またいつかは森へ降りて来るずら!!!」

千歌「……行こう!今ならまだ何とかなるかもしれない!」







雨はその勢いを増していた。吹きすさぶ風は、嵐の如き突風となって吹き荒れた

遠くから、雪崩の如き音が聞こえてきた。おそらく山の反対側で土砂崩れでもあったのだろう。
先へ進むほど雨はその速度を増し、風はまるで体を切るかの如き速さで体へと襲い掛かって来た。

六人は流れ落ちる水でぬかるんだ道を、残された巨大な足跡を元に追いかけていった



225: 名無しで叶える物語 2020/03/29(日) 00:39:42.11 ID:cOlxoKAl.net

【山頂】


山の頂にて、恐暴竜はその様子を一変させていた。

体は、赤く変色し、筋肉の膨張により生々しい古傷が体表へとよりハッキリと浮かび上がっていた。
体の内側から裂けた血管から体液が染み出し、黒光りした体表へと流れ落ちる

口からは黒い煙を吐き出しており、内臓から、龍の力が溢れ出していた






梨子「あれは……?」

花丸「イビルジョーの怒り状態ずら!」

曜「怒り状態…?」

花丸「イビルジョーは生命の危機や外敵による侵略による脅威が迫ると、精神の興奮に同調して全身の筋肉を膨張させるずら!体に着いた古傷がそれにより更にイビルジョーの体に激痛を走らせて、誰にも手が付けられない暴走生命体となるずら!!」

善子「そんなの…ムチャクチャじゃない!」

ルビィ「あれでも、イビルジョー……あっち向いているよ?」

千歌「確かに……というか、なんかいる…?」



226: 名無しで叶える物語 2020/03/29(日) 01:06:03.81 ID:cOlxoKAl.net

イビルジョーが威嚇していたのは、千歌達に対してでは無く山頂の中心に対してだった。


そこには、竜が居た。


翼も使わず、羽ばたかず、ただその場にて浮遊する“白き竜”が居た


風が、その竜から吹き荒れていた。雨が、その頭上から降りてきていた。存在するだけで、世の理に触れる、圧倒的な存在がそこには居た。







千歌「あれは…?」

花丸「知らない…あんなの見たこと無いずら!何もしないで浮いてるとか、物理的にあり得ないずら!!」

曜「ねえ、ルビィちゃん……あれって果南ちゃんが前言ってた……」

ルビィ「うん……“白き竜”」

梨子「うそ…だとしたら……」

善子「少なくとも……只者では、ないわね」



227: 名無しで叶える物語 2020/03/29(日) 01:06:31.66 ID:cOlxoKAl.net

“白き竜”はその場に佇んでいる。体を蜷局の様に巻き、只その場に浮遊している。





「ガァァァァァァァァァ!!!!!!!!!!!」




その様子を見て、先に行動を起こしたのはイビルジョーだった。口元に登る黒煙を、勢いよく白き竜へと吐き出した。龍の力を秘めた、特大の一撃。


全ての物を怒りと共に破壊しつくす、恐暴竜としての渾身の一発


暴虐の限りを尽くした、イビルジョーから繰り出される最大にして最強の一撃!!!!



228: 名無しで叶える物語 2020/03/29(日) 01:09:04.58 ID:cOlxoKAl.net

しかし、白き竜はその場から動くことなく、その攻撃を受け止めた。

純白の体には傷一つなく、少したりとも身動ぎすることなくそこに在り続けた。


まるで“なにもなかった”かのようにその場にて優雅に佇んだ




「……………………コォォォォ……………」




白き竜へと、風が集まって来る。糸の如き風が束になり、全てを吹き飛ばす轟風となりて竜の体へと取り込まれる


“白き竜”が嵐の中心へと変化していく。体を折り曲げ、その場に在る全てを呑み込む厄災へと、その身を変貌させていく!!



その姿はまさしく、嵐の化身だった











ルビィ「ひゃあああああ!!!!」

善子「ちょっと!!!洒落になって無いわよ!!!!」

花丸「木に掴まって耐え凌ぐずら!!!」

曜「この風の勢い、木も抜けちゃいそうなんだけど!!!」

花丸「その時はその時ずら!!!」

梨子「いいから!早く掴まりなさい!みんなで固まるわよ!!!」







「ガァァァァァァァァ!!!!」

千歌「………!!!!」



229: 名無しで叶える物語 2020/03/29(日) 01:15:53.61 ID:cOlxoKAl.net

千歌「ごめん、ちょっと行ってくる!!」ダッ

善子「はぁ!?アンタ馬鹿なの!?死にたいの!?」

梨子「千歌ちゃん!!!戻りなさい!!!」

曜「千歌ちゃん!!!!」







千歌「(私達が狩りに出たのは、この村を、私達の島を守るため……その為に、倒さなくちゃいけない相手がいる)」

千歌「(ここで、逃げちゃいけない、臆しちゃいけない。鞠莉ちゃんに頼まれた、『みんなを導いて』って。だから、私がやらないと)」



大地を踏みしめ、白き竜から遠ざかる様に走り出した恐暴竜に向けて千歌は風を切り、一心不乱に走り出す。

剣を握り、地を駆ける。持てる全ての力で足を回し、全速力で接近する!



千歌「(あの暴風の中心にイビルジョーを叩き込めれば、今度こそ!)」





全ては、不意の一撃の為に!





千歌「これでも、くらええぇぇぇぇぇ!!!!!!!!」



230: 名無しで叶える物語 2020/03/29(日) 01:21:59.20 ID:cOlxoKAl.net

懐から取り出した小剣を、恐暴竜の足首へと突き立てる!!!


通常なら、掠り傷を負わせるほどの軽い一撃。しかし、不意を突かれた今の状況においてそれはイビルジョーにとって致命傷となった



「グガッ!!!!」



ただでさえバランスの悪い体、突風が吹いている中足元を狙い撃ちされたイビルジョーは均衡を崩し、嵐の中心へと吸い込まれていく。



崩れ去ったバランスを立て直す事も敵わず、イビルジョーは白き竜の元へとまるで吹き飛ばされる様に吸い込まれていく


「ギァァァァァァァァァ!!!!!!!!!!!!!!!」



吹きすさぶ風が、纏う嵐が、恐暴竜の頭を、腹を、八つ裂きにした。

凄まじい勢いの風が、山頂の大地ごと、その場に在った物全てを切り刻み、呑み込む。





千歌「(ごめん、みんな……私、やったよ」



嵐は、竜を、少女を、辺りにある全てを等しく呑み込んでいく。

残る力を一撃に叩き込んだ千歌は、力なくその場に倒れ伏した。



231: 名無しで叶える物語 2020/03/29(日) 01:39:08.21 ID:cOlxoKAl.net

「千歌!!!」

不意に、手が差し伸べられた。千歌の手のひらより一回り大きい、優しく温かい掌。

千歌の体を掴み“巨大な大剣を地面へと突き刺して”この轟風に耐えている






その手が今、地に伏した千歌を引き上げ、立ち上がらせる!


千歌「かなん……ちゃん……?」


果南「無茶しすぎだとか……とにかく説教は後にするから、今は少しでもいいから踏ん張りな!!」


千歌「………うん!!」


二人の少女は、身を寄せ合い、暴風に備えた。突き立てられた大剣にしがみつき、必死に吹き荒れる暴風に抗おうと地面へ食らいついた。








「コオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」





嵐を巻き起こし、大地を捲り上げ、白き竜は天へと舞った。その姿は、羽衣を纏って舞い踊る天女の様でもあり、その場に居るだけ悉くを破壊し尽くす厄災であった。



全てを捻じ伏せ、吹き飛ばし、薙ぎ払う天災を巻き起こし、やがてその姿を……天空へと暗ました。









ほんの少し前まで辺り一帯を吹き荒れていた風は止まり、延々と降っていた豪雨もピタリと止んだ。


雲が流れ、天から光が差した。七色の大きな虹が、地平線の端から、青く広がる大空へとかかっていた。



海と潮風の村に再び、太陽が顔を覗かせた瞬間だった。



236: 名無しで叶える物語 2020/03/31(火) 00:03:54.55 ID:RuWjGTpL.net

【数日後】

鞠莉「さあ、飲み物は行き渡った?」

曜「もう、お腹ペコペコだよー!食べていい?」

ダイヤ「あと音頭とるだけだから、もう一分くらい待ちなさいな」

果南「いやしかし、豪華な料理だねぇ」

花丸「サラダ、スープ、ごはんに、パンまで、それにおかずが山の様にあるずら」

ルビィ「こんなの…滅多に出た事ないのに……」

梨子「いいんじゃない……のかな、一応祝勝会な訳だし」

善子「そうよ!祝いの席なんだから、華やかじゃないと!」

千歌「鞠莉ちゃん!もうお腹が背中とくっついちゃうよー!」

鞠莉「オウ、ソーリー!では、改めまして……」
鞠莉「ちかっち達の輝かしい勝利と、この村の平和を祝して……乾杯!」


「「「「「「「「乾杯!」」」」」」」」



237: 名無しで叶える物語 2020/03/31(火) 00:21:47.15 ID:RuWjGTpL.net

曜「うん、このタンシチュー美味しい!」

鞠莉「しっかり食べておくのよー?なにせ、明日からおかず、二品は減るくらいは覚悟しとかないと」

果南「リオレウスの死体はイビルジョーが殆ど食べちゃって使えるとこが無い、イビルジョーの死体も嵐でバラバラに吹き飛んだと……ホント、得る物は一つも無かったねえ……」

ダイヤ「オマケに私と果南さんは体の具合からして当分狩りに出られないと……」

果南「まあー……ちょっと無理しすぎたよね」

千歌「千歌に無理すんなって言っておいて自分が一番ボロボロだったじゃん!」

果南「まあ、それはそれということで」

千歌「適当に流さないでよ!」

ダイヤ「まあまあ実際、果南さんが前に出てくれたおかげで、私と鞠莉さんはこの程度の怪我で済んでる訳ですし」

鞠莉「それはそうね……というか、モンスター素材が何も得られなかったお陰で、本当にうちの村の財政は本当に火の車デース!明日から超節制生活しないと」

梨子「その割には……今日のごはんは豪華ですね」

曜「ふぉんとひっぱいだね………うむっ……」

善子「飲み込んでから喋りなさいよ」




ダイヤ「それは……この村を危機から救った、千歌さんと、皆さんへの労い、ですわ」



238: 名無しで叶える物語 2020/03/31(火) 00:30:25.48 ID:RuWjGTpL.net

千歌「そんな……私何も……」

鞠莉「またまた~!まさか私の部屋に置いておいたボウガンが秘密兵器になるなんて、思いもしなかったわ!」

千歌「でも、私皆が居なかったら何もできなかったし……そもそもイビルジョーの前にも立てなかったと思う」

果南「そんな『みんな』を動かすの結構大事だと思うけどね。ほら、ダイヤみたいに」

ダイヤ「な……なんでそこで私を出すのですか!?」

果南「別にー? お、このスープ、濃い味ついてて美味しいね!何だろ……魚介味?」

花丸「あ、それ……ルビィちゃんが釣って来たお魚で取った出汁使ってるから……どうずら、 いい味でしょ?」

梨子「え……ルビィちゃんって釣り出来たの!?」

ルビィ「鞠莉ちゃんが……今後本当にご飯に困るかもって言ってたから曜ちゃんに習い始めたんだ」

善子「……明日から、マジで節制生活なのね」



239: 名無しで叶える物語 2020/03/31(火) 00:33:46.11 ID:RuWjGTpL.net

鞠莉「そんな訳で、明日から極貧生活だけど……でも何より、ここには九人そろってる!私はこれが、何よりの収穫だと思うの!」




ダイヤ「ええ、そうですね……」

果南「まあ、小物作りに釣りと、期待の稼ぎ頭も居ることだし何とかなるでしょ!」

ルビィ「ええ!?それってルビィの事!?」

梨子「ルビィちゃんにたかるのは……ちょっと人として……」

花丸「マ、マルも小物作り手伝うから…!」

曜「私も狩り出るよー!果南ちゃんとダイヤさんの武器の調整をしないとなると、時間が余りそうだしね!」



240: 名無しで叶える物語 2020/03/31(火) 00:46:24.03 ID:RuWjGTpL.net

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鞠莉「ねえねえ、ちかっち」

千歌「ん…?あ、鞠莉ちゃん。どうしたの、台所なんかに来て」

鞠莉「ちょっと、お水が欲しくてね……それより、ちかっち話があるの」

千歌「……何?鞠莉ちゃん」



241: 名無しで叶える物語 2020/03/31(火) 00:46:53.01 ID:RuWjGTpL.net

鞠莉「私、前に言ったじゃない。みんなを導いて欲しい。って」

千歌「……うん、覚えてる」

鞠莉「ちかっちは、立派にその役目を果たしてくれた。ルビィ達だけじゃなくて、私達の事もしっかりと手を引いてくれた」

鞠莉「私達がこうして、この島に居られるのもちかっちのお陰よ……だから、ありがとう」

千歌「鞠莉ちゃん……」

鞠莉「これから、こういう苦難だったり、危険な事が無いとは限らない。何が起こるか分からないのが人生だから」

鞠莉「もしかしたら、もっと大変な事が、もっと苦しい事があるかもしれない。生活だってどうなるか分からない」

鞠莉「そんなことになったら、私が何とかする。精一杯考えて、精一杯行動する。だから、そんなの時にはちかっちにも…みんなに、力を貸してほしいの」



千歌「そんなの、みんないい、って言うに決まってるよ」



242: 名無しで叶える物語 2020/03/31(火) 00:51:40.37 ID:RuWjGTpL.net

千歌「だって……曜ちゃんも、梨子ちゃんも、花丸ちゃんも、善子ちゃんも、ルビィちゃんも、ダイヤさんも、果南ちゃんも」

千歌「そして……私も!この村の事、大好きだもん!鞠莉ちゃんも、そうでしょ?」

鞠莉「ええ、もちろんよ!」

千歌「大好きな村で、みんなで一緒に暮らしたい、その為に今までも、これからも、頑張るよ!」

鞠莉「流石ちかっち、頼もしいわね!」






鞠莉「差し当たって……さっきも言ったけど、文字通りこの村はすっからかん!ちかっちにも明日からどんどん狩りに出てもらうわよ!」

千歌「………うん、任せて!私、強くなったから!」

鞠莉「ふふっ……ホント、頼もしいわね」



243: 名無しで叶える物語 2020/03/31(火) 00:52:25.16 ID:RuWjGTpL.net

鞠莉「じゃあ、戻りましょっか。早くしないとお肉のいい所持ってかれちゃう」

千歌「……そうだね、お腹いっぱい食べないと!」








「ちかちゃーん!タンシチュー無くなっちゃうよー!」

「あー!ずるい、今行く!!!」


肉の焦げた匂い、煮込まれ、溶けた野菜の芳醇な香りが辺りに広がる

昇る煙に、肉の脂の香りが染み付いている。

宴の明かりを残して、夜は更けていく。

何かに追われる事の無い、のんびりと、しかし騒がしい時間がそこには流れていた








これが小さな、九人の少女が暮らす海辺の村を襲った事件の顛末と


彼女たちの新たな未来の幕開けであった


おわり



246: それぞれの武器と参照したナンバリング 2020/03/31(火) 00:57:43.36 ID:RuWjGTpL.net

【ハンター】
千歌…駆け出しハンター。村が危機に直面し、戦力揃わない村の為自らが戦うことを決意する。
ハンターカリンガ→ロアルドスクロウ(3rd)
ユクモ霊弩【弾雨】(3rd)

果南…村一番のハンター、大剣の使い手。中型~大型のモンスターを一人で狩る技術を持つ。ただ、防具が殆ど揃わない中での狩猟は危険なので大型の狩猟は滅多に行わない。
角王剣アーティラート(2ndG)

善子…ライトボウガンの使い手。果南に次ぐ実力。1.被弾しない事2.誤射しない事3.使う弾を正確に判断すること4.当てる事。それらを心に、冷静を信条に戦っている。堕天使語録を呟くのはルーティーンとして冷静さを失わない為。
ド級弩アルデバラン(3rd)

梨子…弓の使い手。都のギルドのハンターだった。命を張ることが怖くなり、都からでて西へ西と旅を続けていた所をこの村へ流れ着いた。天性のセンスにより、類稀な弓のコントロール技術を持つが、体力が無い為長期戦に向かない。
ファーレンフリード(3rd)

ダイヤ…ランス、ガンランスの使い手。狩猟関係でのリーダーであり、狩りに関する計画を立てる。現地での指揮を執り、大型モンスターの狩猟においては盾役になる。元々ガンランス使いだったが、火薬を多く使い村の財政に響くので使用をやめた。
バゼルミニアド(MHW)

鞠莉…村長。財政管理や自給自足の指揮、仕事の割り振り、外部との交渉を一手に引き受ける。また、ある程度の戦闘もこなすことが出来る。
大神ヶ島【出雲】(3rd)


【非ハンター】
曜…武器職人。小さいころから武器マニアで、その知識を生かしてハンターから転向した。火事の際、巨大なギルド産の武器図鑑を持って逃げており、それを基に武器を自己流で作成している。
(クリムゾンシーカー(3rd))

ルビィ…手芸、モンスター素材の加工を主に行う、こうしてできたアクセサリーや装飾品等を交易で売り払い、村は財政を賄っている。また、炊事洗濯を花丸と共に中心になって行っている。

花丸…本で得たモンスター知識で狩りの助言を行う。また、時折ハンター達の狩りに付いてきて調査や解体を行う。ボウガンの弾や、戦闘中に使用するアイテムは基本的に花丸が加工したもの。


元スレ
千歌「モンスターハンター!」