1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/09/18(日) 17:28:27.15 ID:XaomKWk/0
杏子「さやかもくうかい?」ガリボリ
さやか「……また盗んできたわけ?だったらあたしは……。」
杏子「バカ野郎!」ガシッ
さやか「ぐッ」
杏子「ぽたぽた焼のおばあちゃんはな……涙をぽたぽた流しながらも生活のため、必死におせんべい作ってるんだぞ……そんなぽたぽた焼、盗んで食べれるわけねーだろ……!」ポタポタ
さやか「(えぇー……!?)」
6: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/09/18(日) 17:33:28.50 ID:XaomKWk/0
杏子「悪い、熱くなりすぎた……。」パッ
さやか「は、はぁ……はぁ」
杏子「とにかく、あたしはそんなおばあちゃんの真心は裏切れない。だから『ぽたぽた焼』だけは盗んだりしないよ」
さやか「……あの、色々言いたいことはあるんだけどさ」
杏子「なんだよ?」
さやか「『ぽたぽた焼』の『ぽたぽた』は涙の音じゃなくて砂糖じょうゆを塗る音なんだけど……。」
杏子「はあ?でたらめ言ってんじゃねーよ!『ぺとっ』て感じじゃねーか!」
さやか「あたしはでたらめ言ってない!亀田製菓がパッケージの裏に書いてるんだよ!」
杏子「な……!」ガサッ
さやか「ほら、ね?」
杏子「確かに書いてあるけどよ……じゃあこの亀田製菓ってヤローは一体なんなんだよ!こいつらがおばあちゃんをこき使ってんのか!?」
さやか「おばあちゃんはマスコットキャラクター!フィクションの存在なんだよ!」
杏子「う……嘘だ!おばあちゃんは温かくてやさしい味を提供してくれるし、ちえ袋も教えてくれるし……干しシイタケのおいしい戻し方だって、おばあちゃんから知ったんだぞ!」
さやか「あんたそれいつ使うのさ!」
杏子「い、いや他にも山芋の皮を上手にむくコツとか、魚を煮る時のコツとか……。」
さやか「なんで『お料理編』ばっかりなのさ!あんた料理しないから使わないでしょーが!」
杏子「う、うるせー!食べ物のことは覚えちまうんだよ!」
さやか「まったく……とにかく、おばあちゃんは架空の存在なんだよ!いい加減認めな!」
杏子「信じられるかよ!」
さやか「だいたい涙の『ぽたぽた』ってミスフルのネタでしょ!?そんなティアドロップ音があってたまるか!」
杏子「なんだよミスフルって!知らねーよ!」
さやか「……もういい、これ以上あんたと喋ってたら堂々巡りになる」ガシ
杏子「お、おい!何すんだよ!」
さやか「あたしの家に来なさい!おばあちゃんが架空の存在だってわからせてあげる!」グイ
杏子「ひ、引っ張るなって!自分で歩くっての!」
──さやかの家
杏子「へえ、結構綺麗な部屋だな」キョロキョロ
さやか「あんまり見ないでよ、恥ずかしいから……ほれ」バッ
杏子「ん、なんだこれ……パソコン?」
『亀田製菓 ホームページ』
杏子「おぉ、なんだこれ……『ぽたぽた焼』もあるじゃん」
さやか「『おばあちゃんのぽたぽた焼』の特設ページがあるね……飛ぶよ」カチッ
杏子「ぽたぽた焼の歴史、おばあちゃんのちえ袋……これを見て、なにが分かるんだよ?」
さやか「よく見て……『ぽたぽた焼リニューアル開発秘話っていうのを』」カチ
杏子「なんだこれ……誰だよ、桜川って、村山って……!おばあちゃんは?おばあちゃんはどこだよ!」
さやか「……見て、わかったでしょ。インタビューを受けているのは亀田製菓の代表。そしてインタビューの中に、おばあちゃんのことは一言もない」
杏子「……嘘」
さやか「しかもね、『ぽたぽた焼の歴史』を見ると」カチ
さやか「過去に『おばあちゃんのしゃりしゃり焼 なつかししょうが糖』なんて商品も出てるの。涙の『ぽたぽた』なんて、ないんだよ」
杏子「嘘だろ……。」
さやか「それだけじゃない。2002年には『おばあちゃん家のおせんべ』なんて商品も出てる。もう『ぽたぽた』の面影もないよ。もしぽたぽたが涙だったとしたらこの時期のおばあちゃんに何があったのさ?」
杏子「じ、じゃあ……『ぽたぽた』ってなんの音なんだよ!」
さやか「だから砂糖じょうゆをぽたぽた塗る音だって……。」
杏子「ぅ……。」シュン
さやか「……まぁ、あんたが『ぽたぽた』を涙だって信じるのもわからなくはないんだよね」
杏子「え!?」
さやか「ちょっと待ってね……あったあった、はいこれ」スッ
杏子「なにこれ、漫画?『Mr.Fullswing』?」
さやか「うん、まあちょっと見てみな」パラパラ
杏子「ん?これ……ぽたぽた焼のおばあちゃん!『ぽたぽたは涙のぽたぽただったのです』って……!」
さやか「ちっちゃい頃にこれを見たか誰かが言ってたかして、信じちゃったんじゃない?」
杏子「ま、まさかそんなことが……。」
杏子「そっか……ぽたぽた泣きながらせんべいを作ってるおばあちゃんはいないんだな」
さやか「なんとか信じてもらったわね、……。」
杏子「……。」
さやか「……。」
杏子「……やることなくなったな」
さやか「せっかくだから家で遊んでく?」
杏子「お、おう!マリオカート64やろうぜ!」
さやか「あたしキノピオね」フー ガチャ
杏子「ふざけろよ」
完
終わりです
ぽたぽた焼きが食べたくなったので書きました
──番外編
マリオ『ヤッハー!』ドシュウウウウ
杏子「……キムコってあるじゃん?脱臭剤の」カチャカチャ
さやか「あるね」カチカチ
杏子「キノコ取って思いついたんだけど、もし『スーパーキムコ』ってのがあったら……って考えちゃってさ」
さやか「……お徳用ってことじゃないの?それ」
杏子「いや、そうじゃなくてもっとスーパーな……。」
さやか「……あんま有り難みないなぁ」
杏子「『ねるねるねるね』ってあるじゃん?」
さやか「あるね」
杏子「あれ昔『練れば練るほどうまい』って言ってたじゃん?」
さやか「CMだね、懐かしい」
杏子「でさ、あたし一時間くらいずっと混ぜたらどんだけウマくなるんだろうって思ってさ」
さやか「試したんだ?」
杏子「散々だったけどね。子供だったからあれ練ってると周りに飛び散って量どんどん減ってくし、味の違いなんてわかんないし」
さやか「混ぜても色しか変わらないもんねアレ」
杏子「……そうなのか!?」
杏子「『ホワイトロリータ』ってあるじゃん?」
さやか「あるね」
杏子「……すごい名前だよな」
さやか「そうだね」
杏子「初めて見たときはビックリしたよ」
さやか「もしかして名前目当てで何度か食べてたクチ?」
杏子「うっ……!」
さやか「あたしもわかるわーそれ。んで結局同じメーカーの『ル・マンド』に落ち着くんだよね」
杏子「あれウマいよな、ボロボロこぼれるけど」
杏子「『ビスコ』ってあるじゃん?」
さやか「あるね」
杏子「あれの『おいしくてつよくなる』ってのを信じてた時期があってさ……。」
さやか「あんたって……。」
杏子「『ひとつぶ300メートル』も信じてた時期が……。」
さやか「……ぷぷっ」
杏子「な!笑うんじゃねえ!ガキの頃の話だよ!」
さやか「えー?ついさっきまで『ぽたぽた焼』のおばあちゃん信じてたくせにー!」
杏子「う……うるせー!」
マリオ「ウワァー!」ドボーン ヒュインヒュインヒュイン
杏子「……。」
キノピオ「アー!」ドボーン ヒュインヒュインヒュイン
さやか「……。」
杏子「……なぁ」
さやか「……なに?」
杏子「『ヒュードロいけ』はもうよさねー……?」
さやか「……うん」
杏子「……『ビスコ』のマスコットキャラクターいるじゃん」
さやか「『ビスコぼうや』のこと?あんた好きだねビスコ」
杏子「あれ何かに似てるってずっと思ってさ、最近思い出したんだ……。」
さやか「なに?」
杏子「デスタムーア最終形態」
さやか「……なるほど」
杏子「子供のころカービィやっててさ」
さやか「うん」
杏子「『ああ、カービィは吸っても吐いてばっかりでかわいそうだな、おなか一杯にしてあげたいな』っておもってザコ敵を吸っては飲み込んでた時期があった」
さやか「……あんた、ところどころ可愛いよね」
杏子「ど、どこがだよ!」
さやか「そういうとこが」
杏子「『さけるチーズ』ってあるじゃん」
さやか「あるね」
杏子「あれってわざわざ裂ける意味あるの?あたしいつも裂かないで食べちゃうからわかんないんだけど」
さやか「……料理に使ったり、出来るんじゃない?」
杏子「お、おぉう……。」
杏子「『ヤッタ~めん』ってあるじゃん」
さやか「あるね」
杏子「駄菓子屋に行くたびにあれ買って所持金の何倍ものお菓子を買おうと試みるんだけどさ、結局全部外れて後悔するよね」
さやか「それはあんただけだ……。」
杏子「マジかよ……『ああ、10円ヨーグルトとかうんまい棒とか、フィリックスガムとか買いたかったのに!』って後悔しながらヤッタ~めん流しこんだ経験は一度くらいあるでしょ?」
さやか「ないよ……ていうかなんで単価が安いお菓子ばっかなのさ」
杏子「『チョコモナカジャンボ』ってあるじゃん」
さやか「あるね」
杏子「コンビニ寄ってどのアイス食べようか迷ってるときってさ……ボリュームと歩きながら食べてゴミの心配がないってところでだいたいこれ選んじゃうんだよね」
さやか「ガリガリ君は?」
杏子「当たりがあるのはいいけど棒の処理がな……。」
杏子「『ダイドードリンコ』ってあるじゃん」
さやか「あるね」
杏子「なんで『ドリンコ』なんだ?『ドリンク』じゃダメなのかよ?」
さやか「あれは『大道 ドリン子』って人が会社を牛耳ってるからだよ、ドリン子さんのワンマン体制を象徴した企業名がダイドードリンコってわけ」
杏子「ま、マジか!?すげー所だな……ダイドードリンコ」
さやか「信じるんかい」
杏子「ふ……ふぁ……。」ムズムズ
さやか「?」
杏子「ぶぇっくしょぉいくしゃみー!」ブシッ
さやか「!?」
杏子「悪いさやか、ティッシュ貰うよ」ズルッ
さやか「……なんでくしゃみするとき『くしゃみー!』って言ったの?」
杏子「え?知らねー、言ったか?」
さやか「(オッサンかよ……。)」
杏子「フィリックスガムってあるじゃん」
さやか「あるね」
杏子「あれって値段の割に意外と大きいし膨らむんだよね」
さやか「そうだね」
杏子「それで試しに5、6個口に含んで噛んでみたら口の中一杯になっちゃってさ……ハムスターみたいになっちまった」
さやか「……ぷっ」
杏子「な、なんだよ」
さやか「そ、想像すると……ぷぷっ!」クスクス
杏子「や、やめろよ!笑うなって!」
杏子「『カードキャプターさくら』って昔流行ったじゃん?」
さやか「流行ったね」
杏子「あたしの名字って『佐倉』じゃん?だからあの頃は友達とかにからかわれてさ……。」
さやか「……杏子、あんたは……。」
杏子「ん?」
さやか「そんなにからかうネタを提供しちゃってー!そんなにさやかちゃんにいじってほしいのか?ん~?」コチョコチョコチョ
杏子「ば、ばか、ちがっ、ははははは!離せー!」ジタバタ
杏子「はぁ……はぁ……やりすぎだバカ」
さやか「いやははは、ごめんごめん」
杏子「(誠意が感じられねー……。)」
さやか「……それにしても、すっかり暗くなっちゃったね」
杏子「そうだな……じゃあたし、そろそろ」スク
さやか「あ、待って」
杏子「ん?」
さやか「良かったらさ、うちに泊まってく?明日は土曜日だし」
杏子「え!?で、でも親御さんとかにはなんて……!」
さやか「大丈夫だよ、まどかとかもたまに泊まりにくるから友達だって説明すれば」
杏子「そ、そうか……。」
さやか「それに、さやかちゃんと別れるのが寂しいんじゃないの~?」ニヤニヤ
杏子「な、なに言ってんだよお前は!ほんとはお前が寂しいんじゃねーのかよ!」
さやか「え!?あ……。」モジモジ
杏子「はは、やっぱりそーかよ。分かったよ、泊まってくよ」ニヤニヤ
さやか「くくーっ……一本取られた!」
杏子「なんか随分アッサリOKもらったな」
さやか「まあ、あたしの親はそういうの結構オープンだから……あたしが夜に外出しても何も言わないし」
杏子「いいのか?それ……。」
さやか「まぁ、今はそれで助かってるけど……。」
杏子「まぁ都合がいいからな……それよりなんかやらない?」
さやか「スマブラでいい?」
杏子「64版とか……いい趣味してるよ」
杏子「そりゃ!」
マリオ『ヤッ!』ベシッ
さやか「ああ!くのっ!」ティロッ
ルイージ『フッ!』ズガン!ズガン!
杏子「ああ!レイガン拾いやがって!きたねーぞ!」
さやか「きれいも汚いもない!勝てばいいのだー!」
杏子「ちくしょー!銃なんて捨ててかかってこいよベネット!」
杏子「もう夜も遅いな」
さやか「そうだね、お風呂入ろうか!」
杏子「うぇ!?」
さやか「ん?もしかして……一緒に入るなんて想像した?順番に入るんだよ?」
杏子「ち、してねーよ!」
さやか「ふふふ正直に言いたまえよー!」ワキワキ
杏子「してねーって!くすぐるのはやめろー!」
杏子「はあぁ……。」カポーン
杏子「身体が伸ばせる風呂だ……。」フヨフヨ
さやか「杏子ー、ちょっといい?」ガラガラ
杏子「う、うひゃあああ!?」バシャアア
さやか「着替えここに置いとくから……ってどうしたのさ」
杏子「な、なんでも!?」
さやか「まさか『杏子……一緒にお風呂、入っていいかな……?』なんて言って来ると思った?残念!さやかちゃんでした!」
杏子「ちがう!ちがうー!」バチャバチャ
杏子「ふぃー……。」ホカホカ
さやか「あ、上がった?じゃああたし入ってくるね」
杏子「おう」
杏子「……やることないな」
杏子「……パジャマ、さやかの匂いする……。」クンクン
杏子「……マンガでも読も」
さやか「あースッキリした」ホカホカ
杏子「ミギーが……ミギーが……!」グスッ
さやか「あんた『寄生獣』読破しちゃったの!?」
杏子「いい話だった……。」
さやか「読むの速いね……。」
さやか「ご飯作ってもらったよー」カチャカチャ
杏子「あ、悪いな持ってきてもらっちゃって」
さやか「いやいや」
杏子「いっただきまーす!」パチッ
さやか「いただきます」
杏子「はむ、もぐ……んまい!こんなまともな飯食べたのは久しぶりだ!」
さやか「お母さんは料理上手だからねー」パクパク
杏子「まさに旨味のビッグバン!うはあっ!うまい!」ガツガツ
さやか「ちゃんと噛まないと喉に詰まるよ?」
杏子「んぐっ……!」
さやか「言わんこっちゃない……はい水」
杏子「ふう……ごっそーさん」ゲフー
さやか「はいよ、片付けてくるね」ガタッ
杏子「ふぅ……おなか一杯だ」ポンポン
杏子「……マンガでも読むか」ペラペラ
さやか「ただいまー」
杏子「……さやか、ジョジョってラグビー漫画だったか?」
さやか「それっきりだから安心して……ていうか読むの早くない?」
杏子「……。」ペラペラ
さやか「……。」ペラペラ
杏子「JOJO……生きてたんだ……よかった!」
さやか「……もう遅いね、そろそろ寝ようか」
杏子「ん、ああ」ストン
さやか「電気消すよ」ガチャ ガチャ
杏子「ちょっと待てよ、一緒のベッドで寝るのか?」
さやか「うん、いきなりだったから布団用意できなくって……いやかな?」
杏子「……いーけどよ」
杏子「……狭いな」
さやか「……うん」
杏子「……近いな」
さやか「……あのさ」
杏子「ん?」
さやか「布団が用意できないっていうの……あれ嘘なんだ」
杏子「え?」
さやか「出そうと思えば出せたんだ。でもなんか、さ……離れちゃうじゃん、ベッドと布団で……寂しいじゃん」ボソボソ
杏子「なんだよ……可愛いとこあるじゃん」ワシワシ
さやか「わ!」
杏子「いいよ、一緒に寝てやるよ」
さやか「……嬉しいくせに!」
杏子「ち、ちがう!あたしはただ……!」
さやか「ふふふ、照れ隠しするでなーい!」ギュー
杏子「そ、それはこっちのセリフだー!」
杏子「はぁ、まったく……さやか?」
さやか「……。」
杏子「さやか?寝ちゃったか……。」
ブプスゥ~ッ
杏子「ぶっ!!!」
さやか「びっくりした?口に二の腕を当てて音出したんだよ!こうやって」ブブゥ~ッ
杏子「小学生かお前は!」
さやか「……。」
杏子「……。」
さやか「……むかしむかし、あるところに、おじいさんと」
杏子「(昔話……?)」
さやか「おじいさんと、おじいさんと、おじいさんと、おじいさんと、おじいさんが住んでいました」
杏子「おじいさんだらけじゃねえか!近いうちに滅びるぞ!」
さやか「えー?これからおじいさんの集団がありったけの夢をかき集めて宝物を探す話をしようと思ったのに……。」
杏子「嫌だわ!だいたいこんなことしてたからいつまでたっても寝れないじゃねーか!」
さやか「……杏子、お願い、寝ないで……」ギュ
杏子「ど、どうしたんだよさやか……。」
さやか「あたし、怖いんだよ……ひとりになると、自分が消えちゃいそうで」
杏子「さやか……。」
さやか「魔法少女は死体も残らずに消滅しちゃうんでしょ?それを知ってから、夜になるたびにあたし……あたし!」ギュ……!
杏子「うん……うん」
さやか「やだ……ひとりぼっちで、消えちゃいたくないよ……!」
杏子「大丈夫だ、あたしが側にいてやる。ひとりぼっちじゃないよ……。」ナデナデ
さやか「ありがと、杏子……。」スゥ……スゥ……。
杏子「寝たか……あたしも、さやかがいなくなったら寂しいもんな」
──翌朝
杏子「ん……!」
さやか「おはよ、杏子。朝ごはん持ってきたよ」
杏子「ああ……いただきます」
さやか「いただきます」
杏子「今日は土曜日だけど、どうすんだよ?」
さやか「うーん、あたしは特に予定ないかな……ねぇ、あんた暇かな?」
杏子「ん?別に予定はねーけど……。」パクパク
さやか「よかった……じゃあ、一緒に遊びに行かない?」
杏子「お、いいじゃん!そうと決まればさっさと食っちまおーぜ!」ガツガツ
さやか「あ、杏子!そんなにかっ込んだら……!」
杏子「うっ、喉に……!」ドンドン
さやか「言わんこっちゃない……はい水」
杏子「お、おじゃましました!ごちそうさまでした!」カチコチ
さやか母「いーのいーの気にしないで!またいつでも来てね!」
杏子「は、はい!」
さやか「それじゃ、行ってきまーす!」ガチャ
さやか「ね、オープンな人だって言ったでしょ?そんな緊張しなくても」
杏子「お、おう」
さやか「さて、まずはゲーセンでも行く?」ギュ
杏子「ああ……ところで、この手はなんだよ」
さやか「側にいてくれるんでしょ?」
杏子「……おう!」ギュッ
あたし達は、繋いだ手を固く握った。
ぜったいに、絶対に離れることがないように。
さやか「さ、行こう!」
完
番外編終わりです
支援ありがとうございました
ぽたぽた焼きが関係なくなったので番外編という形をとりましたが本編より明らかに長いですね
わあぁ
元スレ
杏子「悪い、熱くなりすぎた……。」パッ
さやか「は、はぁ……はぁ」
杏子「とにかく、あたしはそんなおばあちゃんの真心は裏切れない。だから『ぽたぽた焼』だけは盗んだりしないよ」
さやか「……あの、色々言いたいことはあるんだけどさ」
杏子「なんだよ?」
さやか「『ぽたぽた焼』の『ぽたぽた』は涙の音じゃなくて砂糖じょうゆを塗る音なんだけど……。」
杏子「はあ?でたらめ言ってんじゃねーよ!『ぺとっ』て感じじゃねーか!」
さやか「あたしはでたらめ言ってない!亀田製菓がパッケージの裏に書いてるんだよ!」
9: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/09/18(日) 17:38:09.37 ID:XaomKWk/0
杏子「な……!」ガサッ
さやか「ほら、ね?」
杏子「確かに書いてあるけどよ……じゃあこの亀田製菓ってヤローは一体なんなんだよ!こいつらがおばあちゃんをこき使ってんのか!?」
さやか「おばあちゃんはマスコットキャラクター!フィクションの存在なんだよ!」
杏子「う……嘘だ!おばあちゃんは温かくてやさしい味を提供してくれるし、ちえ袋も教えてくれるし……干しシイタケのおいしい戻し方だって、おばあちゃんから知ったんだぞ!」
さやか「あんたそれいつ使うのさ!」
15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/09/18(日) 17:45:13.70 ID:XaomKWk/0
杏子「い、いや他にも山芋の皮を上手にむくコツとか、魚を煮る時のコツとか……。」
さやか「なんで『お料理編』ばっかりなのさ!あんた料理しないから使わないでしょーが!」
杏子「う、うるせー!食べ物のことは覚えちまうんだよ!」
さやか「まったく……とにかく、おばあちゃんは架空の存在なんだよ!いい加減認めな!」
杏子「信じられるかよ!」
さやか「だいたい涙の『ぽたぽた』ってミスフルのネタでしょ!?そんなティアドロップ音があってたまるか!」
杏子「なんだよミスフルって!知らねーよ!」
16: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/09/18(日) 17:52:42.95 ID:XaomKWk/0
さやか「……もういい、これ以上あんたと喋ってたら堂々巡りになる」ガシ
杏子「お、おい!何すんだよ!」
さやか「あたしの家に来なさい!おばあちゃんが架空の存在だってわからせてあげる!」グイ
杏子「ひ、引っ張るなって!自分で歩くっての!」
──さやかの家
杏子「へえ、結構綺麗な部屋だな」キョロキョロ
さやか「あんまり見ないでよ、恥ずかしいから……ほれ」バッ
杏子「ん、なんだこれ……パソコン?」
『亀田製菓 ホームページ』
21: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/09/18(日) 18:01:26.93 ID:XaomKWk/0
杏子「おぉ、なんだこれ……『ぽたぽた焼』もあるじゃん」
さやか「『おばあちゃんのぽたぽた焼』の特設ページがあるね……飛ぶよ」カチッ
杏子「ぽたぽた焼の歴史、おばあちゃんのちえ袋……これを見て、なにが分かるんだよ?」
さやか「よく見て……『ぽたぽた焼リニューアル開発秘話っていうのを』」カチ
杏子「なんだこれ……誰だよ、桜川って、村山って……!おばあちゃんは?おばあちゃんはどこだよ!」
さやか「……見て、わかったでしょ。インタビューを受けているのは亀田製菓の代表。そしてインタビューの中に、おばあちゃんのことは一言もない」
杏子「……嘘」
さやか「しかもね、『ぽたぽた焼の歴史』を見ると」カチ
さやか「過去に『おばあちゃんのしゃりしゃり焼 なつかししょうが糖』なんて商品も出てるの。涙の『ぽたぽた』なんて、ないんだよ」
杏子「嘘だろ……。」
25: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/09/18(日) 18:06:01.79 ID:XaomKWk/0
さやか「それだけじゃない。2002年には『おばあちゃん家のおせんべ』なんて商品も出てる。もう『ぽたぽた』の面影もないよ。もしぽたぽたが涙だったとしたらこの時期のおばあちゃんに何があったのさ?」
杏子「じ、じゃあ……『ぽたぽた』ってなんの音なんだよ!」
さやか「だから砂糖じょうゆをぽたぽた塗る音だって……。」
27: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/09/18(日) 18:15:05.44 ID:XaomKWk/0
杏子「ぅ……。」シュン
さやか「……まぁ、あんたが『ぽたぽた』を涙だって信じるのもわからなくはないんだよね」
杏子「え!?」
さやか「ちょっと待ってね……あったあった、はいこれ」スッ
杏子「なにこれ、漫画?『Mr.Fullswing』?」
さやか「うん、まあちょっと見てみな」パラパラ
杏子「ん?これ……ぽたぽた焼のおばあちゃん!『ぽたぽたは涙のぽたぽただったのです』って……!」
さやか「ちっちゃい頃にこれを見たか誰かが言ってたかして、信じちゃったんじゃない?」
杏子「ま、まさかそんなことが……。」
29: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/09/18(日) 18:22:19.70 ID:XaomKWk/0
杏子「そっか……ぽたぽた泣きながらせんべいを作ってるおばあちゃんはいないんだな」
さやか「なんとか信じてもらったわね、……。」
杏子「……。」
さやか「……。」
杏子「……やることなくなったな」
さやか「せっかくだから家で遊んでく?」
杏子「お、おう!マリオカート64やろうぜ!」
さやか「あたしキノピオね」フー ガチャ
杏子「ふざけろよ」
完
30: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/09/18(日) 18:23:51.53 ID:XaomKWk/0
終わりです
ぽたぽた焼きが食べたくなったので書きました
35: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/09/18(日) 18:43:50.07 ID:XaomKWk/0
──番外編
マリオ『ヤッハー!』ドシュウウウウ
杏子「……キムコってあるじゃん?脱臭剤の」カチャカチャ
さやか「あるね」カチカチ
杏子「キノコ取って思いついたんだけど、もし『スーパーキムコ』ってのがあったら……って考えちゃってさ」
さやか「……お徳用ってことじゃないの?それ」
杏子「いや、そうじゃなくてもっとスーパーな……。」
さやか「……あんま有り難みないなぁ」
36: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/09/18(日) 18:49:41.39 ID:XaomKWk/0
杏子「『ねるねるねるね』ってあるじゃん?」
さやか「あるね」
杏子「あれ昔『練れば練るほどうまい』って言ってたじゃん?」
さやか「CMだね、懐かしい」
杏子「でさ、あたし一時間くらいずっと混ぜたらどんだけウマくなるんだろうって思ってさ」
さやか「試したんだ?」
杏子「散々だったけどね。子供だったからあれ練ってると周りに飛び散って量どんどん減ってくし、味の違いなんてわかんないし」
さやか「混ぜても色しか変わらないもんねアレ」
杏子「……そうなのか!?」
37: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/09/18(日) 18:54:14.37 ID:XaomKWk/0
杏子「『ホワイトロリータ』ってあるじゃん?」
さやか「あるね」
杏子「……すごい名前だよな」
さやか「そうだね」
杏子「初めて見たときはビックリしたよ」
さやか「もしかして名前目当てで何度か食べてたクチ?」
杏子「うっ……!」
さやか「あたしもわかるわーそれ。んで結局同じメーカーの『ル・マンド』に落ち着くんだよね」
杏子「あれウマいよな、ボロボロこぼれるけど」
39: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/09/18(日) 19:00:36.00 ID:XaomKWk/0
杏子「『ビスコ』ってあるじゃん?」
さやか「あるね」
杏子「あれの『おいしくてつよくなる』ってのを信じてた時期があってさ……。」
さやか「あんたって……。」
杏子「『ひとつぶ300メートル』も信じてた時期が……。」
さやか「……ぷぷっ」
杏子「な!笑うんじゃねえ!ガキの頃の話だよ!」
さやか「えー?ついさっきまで『ぽたぽた焼』のおばあちゃん信じてたくせにー!」
杏子「う……うるせー!」
41: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/09/18(日) 19:05:12.49 ID:XaomKWk/0
マリオ「ウワァー!」ドボーン ヒュインヒュインヒュイン
杏子「……。」
キノピオ「アー!」ドボーン ヒュインヒュインヒュイン
さやか「……。」
杏子「……なぁ」
さやか「……なに?」
杏子「『ヒュードロいけ』はもうよさねー……?」
さやか「……うん」
43: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/09/18(日) 19:10:08.89 ID:XaomKWk/0
杏子「……『ビスコ』のマスコットキャラクターいるじゃん」
さやか「『ビスコぼうや』のこと?あんた好きだねビスコ」
杏子「あれ何かに似てるってずっと思ってさ、最近思い出したんだ……。」
さやか「なに?」
杏子「デスタムーア最終形態」
さやか「……なるほど」
44: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/09/18(日) 19:15:53.27 ID:XaomKWk/0
杏子「子供のころカービィやっててさ」
さやか「うん」
杏子「『ああ、カービィは吸っても吐いてばっかりでかわいそうだな、おなか一杯にしてあげたいな』っておもってザコ敵を吸っては飲み込んでた時期があった」
さやか「……あんた、ところどころ可愛いよね」
杏子「ど、どこがだよ!」
さやか「そういうとこが」
46: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/09/18(日) 19:20:57.41 ID:XaomKWk/0
杏子「『さけるチーズ』ってあるじゃん」
さやか「あるね」
杏子「あれってわざわざ裂ける意味あるの?あたしいつも裂かないで食べちゃうからわかんないんだけど」
さやか「……料理に使ったり、出来るんじゃない?」
杏子「お、おぉう……。」
49: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/09/18(日) 19:30:09.22 ID:XaomKWk/0
杏子「『ヤッタ~めん』ってあるじゃん」
さやか「あるね」
杏子「駄菓子屋に行くたびにあれ買って所持金の何倍ものお菓子を買おうと試みるんだけどさ、結局全部外れて後悔するよね」
さやか「それはあんただけだ……。」
杏子「マジかよ……『ああ、10円ヨーグルトとかうんまい棒とか、フィリックスガムとか買いたかったのに!』って後悔しながらヤッタ~めん流しこんだ経験は一度くらいあるでしょ?」
さやか「ないよ……ていうかなんで単価が安いお菓子ばっかなのさ」
51: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/09/18(日) 19:37:58.16 ID:XaomKWk/0
杏子「『チョコモナカジャンボ』ってあるじゃん」
さやか「あるね」
杏子「コンビニ寄ってどのアイス食べようか迷ってるときってさ……ボリュームと歩きながら食べてゴミの心配がないってところでだいたいこれ選んじゃうんだよね」
さやか「ガリガリ君は?」
杏子「当たりがあるのはいいけど棒の処理がな……。」
55: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/09/18(日) 19:46:38.00 ID:XaomKWk/0
杏子「『ダイドードリンコ』ってあるじゃん」
さやか「あるね」
杏子「なんで『ドリンコ』なんだ?『ドリンク』じゃダメなのかよ?」
さやか「あれは『大道 ドリン子』って人が会社を牛耳ってるからだよ、ドリン子さんのワンマン体制を象徴した企業名がダイドードリンコってわけ」
杏子「ま、マジか!?すげー所だな……ダイドードリンコ」
さやか「信じるんかい」
58: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/09/18(日) 19:52:30.64 ID:XaomKWk/0
杏子「ふ……ふぁ……。」ムズムズ
さやか「?」
杏子「ぶぇっくしょぉいくしゃみー!」ブシッ
さやか「!?」
杏子「悪いさやか、ティッシュ貰うよ」ズルッ
さやか「……なんでくしゃみするとき『くしゃみー!』って言ったの?」
杏子「え?知らねー、言ったか?」
さやか「(オッサンかよ……。)」
60: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/09/18(日) 20:00:08.83 ID:XaomKWk/0
杏子「フィリックスガムってあるじゃん」
さやか「あるね」
杏子「あれって値段の割に意外と大きいし膨らむんだよね」
さやか「そうだね」
杏子「それで試しに5、6個口に含んで噛んでみたら口の中一杯になっちゃってさ……ハムスターみたいになっちまった」
さやか「……ぷっ」
杏子「な、なんだよ」
さやか「そ、想像すると……ぷぷっ!」クスクス
杏子「や、やめろよ!笑うなって!」
61: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/09/18(日) 20:06:38.49 ID:XaomKWk/0
杏子「『カードキャプターさくら』って昔流行ったじゃん?」
さやか「流行ったね」
杏子「あたしの名字って『佐倉』じゃん?だからあの頃は友達とかにからかわれてさ……。」
さやか「……杏子、あんたは……。」
杏子「ん?」
さやか「そんなにからかうネタを提供しちゃってー!そんなにさやかちゃんにいじってほしいのか?ん~?」コチョコチョコチョ
杏子「ば、ばか、ちがっ、ははははは!離せー!」ジタバタ
67: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/09/18(日) 20:21:24.95 ID:XaomKWk/0
杏子「はぁ……はぁ……やりすぎだバカ」
さやか「いやははは、ごめんごめん」
杏子「(誠意が感じられねー……。)」
さやか「……それにしても、すっかり暗くなっちゃったね」
杏子「そうだな……じゃあたし、そろそろ」スク
さやか「あ、待って」
杏子「ん?」
さやか「良かったらさ、うちに泊まってく?明日は土曜日だし」
杏子「え!?で、でも親御さんとかにはなんて……!」
さやか「大丈夫だよ、まどかとかもたまに泊まりにくるから友達だって説明すれば」
杏子「そ、そうか……。」
さやか「それに、さやかちゃんと別れるのが寂しいんじゃないの~?」ニヤニヤ
杏子「な、なに言ってんだよお前は!ほんとはお前が寂しいんじゃねーのかよ!」
さやか「え!?あ……。」モジモジ
杏子「はは、やっぱりそーかよ。分かったよ、泊まってくよ」ニヤニヤ
さやか「くくーっ……一本取られた!」
71: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/09/18(日) 20:30:27.67 ID:XaomKWk/0
杏子「なんか随分アッサリOKもらったな」
さやか「まあ、あたしの親はそういうの結構オープンだから……あたしが夜に外出しても何も言わないし」
杏子「いいのか?それ……。」
さやか「まぁ、今はそれで助かってるけど……。」
杏子「まぁ都合がいいからな……それよりなんかやらない?」
さやか「スマブラでいい?」
杏子「64版とか……いい趣味してるよ」
74: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/09/18(日) 20:37:27.80 ID:XaomKWk/0
杏子「そりゃ!」
マリオ『ヤッ!』ベシッ
さやか「ああ!くのっ!」ティロッ
ルイージ『フッ!』ズガン!ズガン!
杏子「ああ!レイガン拾いやがって!きたねーぞ!」
さやか「きれいも汚いもない!勝てばいいのだー!」
杏子「ちくしょー!銃なんて捨ててかかってこいよベネット!」
81: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/09/18(日) 20:49:36.73 ID:XaomKWk/0
杏子「もう夜も遅いな」
さやか「そうだね、お風呂入ろうか!」
杏子「うぇ!?」
さやか「ん?もしかして……一緒に入るなんて想像した?順番に入るんだよ?」
杏子「ち、してねーよ!」
さやか「ふふふ正直に言いたまえよー!」ワキワキ
杏子「してねーって!くすぐるのはやめろー!」
85: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/09/18(日) 20:59:41.65 ID:XaomKWk/0
杏子「はあぁ……。」カポーン
杏子「身体が伸ばせる風呂だ……。」フヨフヨ
さやか「杏子ー、ちょっといい?」ガラガラ
杏子「う、うひゃあああ!?」バシャアア
さやか「着替えここに置いとくから……ってどうしたのさ」
杏子「な、なんでも!?」
さやか「まさか『杏子……一緒にお風呂、入っていいかな……?』なんて言って来ると思った?残念!さやかちゃんでした!」
杏子「ちがう!ちがうー!」バチャバチャ
89: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/09/18(日) 21:10:10.69 ID:XaomKWk/0
杏子「ふぃー……。」ホカホカ
さやか「あ、上がった?じゃああたし入ってくるね」
杏子「おう」
杏子「……やることないな」
杏子「……パジャマ、さやかの匂いする……。」クンクン
杏子「……マンガでも読も」
92: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/09/18(日) 21:18:19.76 ID:XaomKWk/0
さやか「あースッキリした」ホカホカ
杏子「ミギーが……ミギーが……!」グスッ
さやか「あんた『寄生獣』読破しちゃったの!?」
杏子「いい話だった……。」
さやか「読むの速いね……。」
97: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/09/18(日) 21:28:59.65 ID:XaomKWk/0
さやか「ご飯作ってもらったよー」カチャカチャ
杏子「あ、悪いな持ってきてもらっちゃって」
さやか「いやいや」
杏子「いっただきまーす!」パチッ
さやか「いただきます」
杏子「はむ、もぐ……んまい!こんなまともな飯食べたのは久しぶりだ!」
さやか「お母さんは料理上手だからねー」パクパク
杏子「まさに旨味のビッグバン!うはあっ!うまい!」ガツガツ
さやか「ちゃんと噛まないと喉に詰まるよ?」
杏子「んぐっ……!」
さやか「言わんこっちゃない……はい水」
101: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/09/18(日) 21:38:30.47 ID:XaomKWk/0
杏子「ふう……ごっそーさん」ゲフー
さやか「はいよ、片付けてくるね」ガタッ
杏子「ふぅ……おなか一杯だ」ポンポン
杏子「……マンガでも読むか」ペラペラ
さやか「ただいまー」
杏子「……さやか、ジョジョってラグビー漫画だったか?」
さやか「それっきりだから安心して……ていうか読むの早くない?」
106: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/09/18(日) 21:47:08.60 ID:XaomKWk/0
杏子「……。」ペラペラ
さやか「……。」ペラペラ
杏子「JOJO……生きてたんだ……よかった!」
さやか「……もう遅いね、そろそろ寝ようか」
杏子「ん、ああ」ストン
さやか「電気消すよ」ガチャ ガチャ
杏子「ちょっと待てよ、一緒のベッドで寝るのか?」
さやか「うん、いきなりだったから布団用意できなくって……いやかな?」
杏子「……いーけどよ」
111: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/09/18(日) 21:58:56.79 ID:XaomKWk/0
杏子「……狭いな」
さやか「……うん」
杏子「……近いな」
さやか「……あのさ」
杏子「ん?」
さやか「布団が用意できないっていうの……あれ嘘なんだ」
杏子「え?」
さやか「出そうと思えば出せたんだ。でもなんか、さ……離れちゃうじゃん、ベッドと布団で……寂しいじゃん」ボソボソ
杏子「なんだよ……可愛いとこあるじゃん」ワシワシ
さやか「わ!」
杏子「いいよ、一緒に寝てやるよ」
さやか「……嬉しいくせに!」
杏子「ち、ちがう!あたしはただ……!」
さやか「ふふふ、照れ隠しするでなーい!」ギュー
杏子「そ、それはこっちのセリフだー!」
114: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/09/18(日) 22:03:49.48 ID:XaomKWk/0
杏子「はぁ、まったく……さやか?」
さやか「……。」
杏子「さやか?寝ちゃったか……。」
ブプスゥ~ッ
杏子「ぶっ!!!」
さやか「びっくりした?口に二の腕を当てて音出したんだよ!こうやって」ブブゥ~ッ
杏子「小学生かお前は!」
119: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/09/18(日) 22:12:06.50 ID:XaomKWk/0
さやか「……。」
杏子「……。」
さやか「……むかしむかし、あるところに、おじいさんと」
杏子「(昔話……?)」
さやか「おじいさんと、おじいさんと、おじいさんと、おじいさんと、おじいさんが住んでいました」
杏子「おじいさんだらけじゃねえか!近いうちに滅びるぞ!」
さやか「えー?これからおじいさんの集団がありったけの夢をかき集めて宝物を探す話をしようと思ったのに……。」
杏子「嫌だわ!だいたいこんなことしてたからいつまでたっても寝れないじゃねーか!」
さやか「……杏子、お願い、寝ないで……」ギュ
杏子「ど、どうしたんだよさやか……。」
123: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/09/18(日) 22:19:17.74 ID:XaomKWk/0
さやか「あたし、怖いんだよ……ひとりになると、自分が消えちゃいそうで」
杏子「さやか……。」
さやか「魔法少女は死体も残らずに消滅しちゃうんでしょ?それを知ってから、夜になるたびにあたし……あたし!」ギュ……!
杏子「うん……うん」
さやか「やだ……ひとりぼっちで、消えちゃいたくないよ……!」
杏子「大丈夫だ、あたしが側にいてやる。ひとりぼっちじゃないよ……。」ナデナデ
さやか「ありがと、杏子……。」スゥ……スゥ……。
杏子「寝たか……あたしも、さやかがいなくなったら寂しいもんな」
127: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/09/18(日) 22:26:35.77 ID:XaomKWk/0
──翌朝
杏子「ん……!」
さやか「おはよ、杏子。朝ごはん持ってきたよ」
杏子「ああ……いただきます」
さやか「いただきます」
杏子「今日は土曜日だけど、どうすんだよ?」
さやか「うーん、あたしは特に予定ないかな……ねぇ、あんた暇かな?」
杏子「ん?別に予定はねーけど……。」パクパク
さやか「よかった……じゃあ、一緒に遊びに行かない?」
杏子「お、いいじゃん!そうと決まればさっさと食っちまおーぜ!」ガツガツ
さやか「あ、杏子!そんなにかっ込んだら……!」
杏子「うっ、喉に……!」ドンドン
さやか「言わんこっちゃない……はい水」
131: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/09/18(日) 22:38:49.52 ID:XaomKWk/0
杏子「お、おじゃましました!ごちそうさまでした!」カチコチ
さやか母「いーのいーの気にしないで!またいつでも来てね!」
杏子「は、はい!」
さやか「それじゃ、行ってきまーす!」ガチャ
さやか「ね、オープンな人だって言ったでしょ?そんな緊張しなくても」
杏子「お、おう」
さやか「さて、まずはゲーセンでも行く?」ギュ
杏子「ああ……ところで、この手はなんだよ」
さやか「側にいてくれるんでしょ?」
杏子「……おう!」ギュッ
あたし達は、繋いだ手を固く握った。
ぜったいに、絶対に離れることがないように。
さやか「さ、行こう!」
完
134: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/09/18(日) 22:40:58.09 ID:XaomKWk/0
番外編終わりです
支援ありがとうございました
ぽたぽた焼きが関係なくなったので番外編という形をとりましたが本編より明らかに長いですね
わあぁ
杏子「やっぱ『おばあちゃんのぽたぽた焼』はうまいな」