1: 以下、名無しが深夜にお送りします 2020/05/05(火) 12:36:50 ID:HmH3b9Pc

勇者「魔王倒して以来、久方ぶりに王様に呼ばれたと思ったらいきなりなんですか?」

王様「うん…あのさ…自分の胸に手を当ててみて考えな…」

勇者「甲冑が邪魔で胸の声が聞こえません」

王様「ああ、もういいや、昨日の夕方頃さ、チューバン村にいたよね?」

勇者「はい、健康食品の販売イベントに呼ばれたので」

王様「全盛期終わったタレントみたいな仕事してんのね、じゃなくてさ
歩きタバコしてるおっさんにあった?」

勇者「そうなんですよ!子供とかも歩いてる街中でタバコ吸ってるうつけが居たんですよ!
ああいう危険なヤカラは取り締まって下さいよ!」



2: 以下、名無しが深夜にお送りします 2020/05/05(火) 12:38:04 ID:HmH3b9Pc

王様「全治10年」

勇者「ん?」

王様「ん?じゃねえよ!Lv99のヤカラがLv1のヤカラを殴るんじゃねえよ!」

勇者「失礼な、私のレベルは150ですよ」

王様「あ、そうごめんね…じゃねえんだよね!何限界突破してんだよ!」



3: 以下、名無しが深夜にお送りします 2020/05/05(火) 12:38:39 ID:HmH3b9Pc

王様「それだけじゃなくてさ…この羊皮紙みろよ」

勇者「山のように羊皮紙が積まれてますね、これじゃ山羊皮紙だ」

王様「うるせえなあ、声のボリュームじゃなくて言ってることのクオリティがうるせえなあ」

王様「まず…これでいいやペンネーム匿名希望」

勇者「なんか昔のラジオみたいですね、ええ本名はフネモラーウ村のビリーさんか」

王様「千里眼のスキル使うんじゃないよ!匿名希望って書いてあるだろ!」



4: 以下、名無しが深夜にお送りします 2020/05/05(火) 12:39:12 ID:HmH3b9Pc

王様「赤信号を無視して渡っていた子供が勇者様とおぼしき男に金縛り魔法をかけられていました。
とても怖かったです」

勇者「それなら覚えてる、僕も怖かったです、車は来ていませんでしたがルール違反が日常化するって
怖いと思って、ちょっと懲らしめてあげたんです」

王様「うーん…そこじゃないんだよな、次、私ではなく父がパチンコ店の開店前の行列で横入りした所
勇者様に目くらましの呪文を掛けられてしまいました。半年経った今も父は視力がもどっていません」

勇者「悪いことしたら罰せられる、年配の方でもそれは変わらないと知ってもらいたかったんですよ」

王様「……あとでまとめて言うけど、とりあえず開店前のパチンコ屋に並んでるのね、お前」



5: 以下、名無しが深夜にお送りします 2020/05/05(火) 12:40:09 ID:HmH3b9Pc

王様「先日勇者様一行がとう居酒屋にご来店下さりましたが、お通しを出そうとした店員が
両腕の骨を粉砕されました」

勇者「頼んでもいないキャベツの塩かけたやつに一人400Gなんてまぎれもない巨悪です!成敗してやりました」

王様「お前だよ!!なにお通し出しただけで粉砕骨折食らわせてんだよ!」

王様「他にも、無断で勇者の写メとろうとしたら…」

勇者「勇者の写メ!勇写メですね」

王様「黙ってきけ!黙って写メとろうとしたらスマホねじきられたとか、子犬いじめてたら両足切断されたとか、
自粛期間中に店あけてたら「ヤメロ」って張り紙張られてたとか」

勇者「最後の私じゃないですね、というかこの世界のことじゃないですね」



6: 以下、名無しが深夜にお送りします 2020/05/05(火) 12:41:04 ID:HmH3b9Pc

王様「この羊皮紙全部お前への苦情だからな!」

勇者「うーん、ですが私は正義の為に」

王様「重いの!罪に対して罰がめっちゃ重いの!」

王様「あとこれは個人的な意見だけどさ、変なイベント呼ばれたり朝のパチンコ屋並んだり、
居酒屋でハイパーヤカラかましたり、どっちかというとお前もそっちよりだからね!」

王様「まあ、お前には魔王倒してもらったからあんまりでかい事いいたくないんだよ、本当は」

勇者「はあ」



7: 以下、名無しが深夜にお送りします 2020/05/05(火) 12:41:48 ID:HmH3b9Pc

王様「でもさ、このままじゃ、この国が死んじゃうのよ、せっかく魔王いなくなったってのに」

勇者「……私の正義がそんなに」

王様「……まだ正義だと思えるのね、お前のいう正義というよりそれが生んだ副産物だよ」

王様「まず第一に、私刑がすごい増えてるの、お前そんなんだけどさシンパすごい多いじゃん」

王様「今月暴行で捕まった奴の7割以上がお前のいう正義をかましたような連中で、罪の意識も全くないの」

勇者「……私の正義が逮捕者を生んでいる?」



8: 以下、名無しが深夜にお送りします 2020/05/05(火) 12:43:13 ID:HmH3b9Pc

王様「お前のやってることも完全に暴行だけどね」

王様「ただ、それだけならさ、魔王の居なくなった世界の移行に伴う軋轢だとか言えるのよ」

王様「本題はこっから、チンピラ以上のやつらもお前の影響受けだしてるのよ」

勇者「どういう…意味でしょうか?」

王様「お前の模倣のような制裁的犯罪、それ以外の悪事が減ってるの」

勇者「え?良い事ではないのですか?」



9: 以下、名無しが深夜にお送りします 2020/05/05(火) 12:44:05 ID:HmH3b9Pc

王様「そう、いいことなのだけどさ、世の中きれいごとじゃ回らないの」

王様「例えば市場、最近活気ないんだけどさ」

勇者「そうですね、人も商品も減っていると感じました」

王様「あれな担当大臣のせいなの」

王様「今までは王都に入ってくる商品の検品とか関所通過の審査とかある程度なあなあ
意地悪な言い方をするとある程度の不正は目を瞑ってんだよ」

王様「だけど、大臣がお前の正義にあてられてさ、荷物の中に腐った豆一粒でもあったり、書類が
一字間違ってたりするだけでつっぱねるようになったの」

勇者「そんな……たしかに正しい行いだけど、いきすぎだ」



10: 以下、名無しが深夜にお送りします 2020/05/05(火) 12:44:44 ID:HmH3b9Pc

王様「お前が言うなって言いたいけど……そう、いきすぎだ」

王様「大臣みたいな正義中毒の人間が王都中枢、大商人、はては総協会の上の方にも出てきている」

勇者「もしかして列車の本数が減ったのも」

王様「バカだけど頭は回るんだな、そうだ車両点検や線路の保持を完璧にするために…だそうな」

王様「人身事故、それに殺人や詐欺が減ってるのは素晴らしい、だけどこのままでは経済が止まるんだ」

勇者「……確かに認めたくないですが、正義のせいで経済が止まったら…悪人に殺される人間より飢えて死ぬ人間の方が増える」



11: 以下、名無しが深夜にお送りします 2020/05/05(火) 12:45:20 ID:HmH3b9Pc

王様「そういうことだ、これ以上長々と理由を言うつもりはない」

王様「金は出す。しばらく姿をくらましてくれ勇者よ」

勇者「……」

王様「お前の正義が伝染すると国が死ぬ。わしからの最後の頼みだ」



12: 以下、名無しが深夜にお送りします 2020/05/05(火) 12:46:03 ID:HmH3b9Pc

5年後 

勇者「お久しぶりです陛下」

王様「長い間ごくろうであった、喜べ国は元通りになった」

勇者「と、いいますと」

王様「経済は活気を取り戻し、王宮は不正に塗れ、総教会は腐敗し
毎日のように殺人・暴行・窃盗・詐欺・強姦が報告される平和な我が国が戻ってきたぞ」

勇者「それはまた、平和な国ですね」

勇者「すてきなせいぎですね」

おわり


元スレ
SS深夜VIP:王様「お前正義中毒なの?」