1: 名無しで叶える物語(らっかせい) 2020/05/07(Thu) 22:07:40 ID:B7YDCzBT.net
理亞「内浦に旅行に来たけど皆とはぐれちゃった...」
理亞「姉さま...ぱぱ...まま...」ポロポロ
??「あ、あの、どうしたの?」
理亞「!」ビクッ
理亞「あ、あなたは...誰?ここの人...?」
ルビィ(6歳)「うん、ルビィっていうの。この近くに住んでるんだ」
理亞「...」
ルビィ「どうしてこんなところで泣いてるの?」
2: 名無しで叶える物語(らっかせい) 2020/05/07(Thu) 22:08:18 ID:B7YDCzBT.net
理亞「それは...」
ルビィ「あ、分かった!」
理亞「!」
ルビィ「お腹がすいてるんだね!ルビィも今そうなの!」
理亞「え...」
ルビィ「せっかくだから一緒にどっか食べに行こうよ!」
理亞「いや、私は別に...」
ルビィ「あっ、でもルビィ今かくれんぼ中だし...、それにお金も...」
ルビィ「...そうだ!ルビィのうちに来なよ!たくさん御馳走するよ!」
理亞「あの...」
ルビィ「おいしいアジ料理があるんだ!」
理亞「あ、あじ...?」
ルビィ「それじゃあ帰ろう!」
理亞「ちょ、ちょっと待って!」
ルビィ「どうしたの?」
理亞「私別にお腹なんかすいてないし!料理なんていらないわよ!」
ルビィ「それじゃあ何で泣いてたの?」
理亞「そ、それは...」
ルビィ「恥ずかしがらなくてもいいんだよ?」
理亞「恥ずかしがってなんかないわよ!その...道に迷っただけ!」
ルビィ「迷子ってこと?」
理亞「違う!そんな情けない状況じゃないわよ!」
ルビィ「でもお母さんたちのところに帰れないんでしょ?」
理亞「うっ...」
ルビィ「じゃあとりあえずルビィの家に...」
理亞「し、知らない人について行っちゃ駄目って姉さまとママに言われてるの!」
ルビィ「でもこのままじゃ迷ってるだけだよ?」
理亞「...このあたりに交番とかは?」
ルビィ「あるけどすっごく遠いよ?歩いて一時間くらいだよ?」
理亞「そ、そんなに...?」
ルビィ「あなたの住んでるところはもっと近いの?」
理亞「それはもちろん...」
理亞「......」
理亞「家から二時間くらい...」
ルビィ「じゃあ私の家の方が近いよ」
理亞「そういう問題じゃないでしょ!」
ルビィ「ルビィの家も警察みたいなものだし!」
理亞「えっ?」
ルビィ「昔はこのあたりを取り仕切っていたの!」
理亞「それってヤク...」
ルビィ「さあ帰ろう!」
理亞「ちょ、ちょっと!」
*******************************
聖良(8歳)「理亞!理亞―――!」
聖良「どこいったのかしらあの子...」
聖良「あの子には私がついていないといけないのに...」
聖良「困った子ね...ねぇお母さん...」
聖良「...あれ?」
聖良「お母さん、どこ...?お父さんも...」
聖良「......」
聖良「もしかして私も...」ジワァ
聖良「うわぁーーーん!!お父さーーん!お母さーーん!どこーーー!?」
??「どうしました!?こんな道端でなにをしていますの!?」
聖良「ひっ!だ、誰!?」
ダイヤ(8歳)「誰とは失礼ですわね!私は黒澤ダイヤという名前があるんですのよ!?」
聖良「いや、そんなの今初めて知ったし...」
??「おーい、ダイヤー!」
??「急に走って行ってどうしたの?」
ダイヤ「あぁ、果南さんに鞠莉さん」
ダイヤ「叫び声が聴こえたので、走ってきたのですがこの子が泣いていたんですの」
果南(8歳)「このあたりでは見ない子だね」
鞠莉(8歳)「最近引っ越してきた子かしら?」
聖良「いえ、私は旅行でここらへんに来ていて迷ってしまったんです...」
鞠莉「迷子?そういえば親もいないわね」
聖良「街を歩いていたところに妹はいなくなって、お母さんたちと探していたんですが私も知らないうちに...」
果南「迷っちゃったんだね」
聖良「はい...」
鞠莉「OK!それじゃあ私たちで妹さんと親御さんを探してあげるわ!」
ダイヤ「はぁ!?鞠莉さんあなたいきなり何言って...」
果南「いいね!行くところも無いし、とりあえず誰かの家に行こうよ」
ダイヤ「果南さんも...」
鞠莉「誰の家にする?」
果南「鞠莉のホテルは?」
鞠莉「え、嫌よ」
果南「何で!?」
鞠莉「だって果南もついてくるんでしょ?だったらそのビショビショの体をどうにかしてよ!」
ダイヤ「ちょっと果南さんあなたまた体を濡らしましたの!?」
果南「だってこの方が落ち着くし...」
鞠莉「この前だって体を濡らしたままホテルに入ってお父さまにカンカンに怒られたのよ!?」
果南「あー、そうなんだ」
鞠莉「そのせいで私が果南とダイヤと付き合うのを反対されてるのよ?体を濡らしてさえいなければ良い友達なんだが、ってお父さまに言われて私何も返事が出来なかったわ!」
果南「ご、ごめん」
ダイヤ「この調子ですと鞠莉さんのところは無理そうですわね」
鞠莉「果南の家はどうなの?」
果南「私の家は...ダイビングのお客さんも来るしちょっと難しいかも」
鞠莉「そうなるとダイヤの家しかないわね」
ダイヤ「ちょっと!私だって濡れ濡れの果南さんが家に入り込むのは嫌ですわ!」
果南「いやぁ、外の庭にいるから今回は許して?」
ダイヤ「あなたが着替えてくればすむ話でしょう!?」
果南「着替えがまだ乾いてないんだよね」
ダイヤ「ああああああああああぁぁぁぁもおおおおおおおぉぉぉぉ!!」
聖良「...」
聖良(この人たちについて行って大丈夫なのかな...)
花丸(6歳)「迷子?」
ルビィ「そうなの。お姉ちゃんたちとはぐれちゃったみたいなんだ。だからとりあえずルビィの家に戻ろうと思って...」
花丸「未来ずら~」
理亞(何が...?)
善子(6歳)「名前はなんていうの?」
ルビィ「あっ、そういえば聞いてなかった...」
理亞「...理亞よ」
ルビィ「りあ?」
花丸「かわいい名前ずら!」
善子「どこから来たのよ?」
理亞「函館よ」
ルビィ「...どこ?」
善子「北海道よ」
花丸「田舎ずら~」
理亞「あんたたちが言える事じゃないでしょ!!」
善子「まあいいわ。かくれんぼもそろそろ飽きてきたし私もついてくわ」
花丸「まるも行くずら」
理亞「私はまだついて行くって決めたわけじゃ...」
善子「別に何も悪い事なんてしないわよ。ルビィの家から警察に電話すればそのうち迎えに来てくれるはずだから安心しなさい」
理亞「うぅ...」
ルビィ「美味しいアジが食べられるから、ね?」
理亞「そのアジ推しは何なのよ...」
花丸「まるはかくれんぼで喉が渇いたずら」
ルビィ「それじゃあ家にお姉ちゃんのアイスがあるからみんなで食べようよ!」
善子「それ大丈夫なの...?」
花丸「いつもの事ずら」
ルビィ「理亞ちゃんってお姉ちゃんがいるんだよね」
理亞「えぇ、ふたつ年上の...」
ルビィ「そうなの!?ルビィも二つ上のお姉ちゃんがいるんだ!」
理亞「あ、あなたもなの?」
善子「いつもお姉ちゃんお姉ちゃんってべったりなのよ」
花丸「捗るずら~」
ルビィ「凄いんだよ!勉強とか運動だっていっつも学校でトップだし、ルビィに出来ないことも簡単にやっちゃうし、アイスを食べた犯人だって見つけちゃうんだ!」
ルビィ「それにルビィの事だってなんだかんだ言ってちゃんと考えてくれるし、優しいんだ!」
理亞「ぐ...そ、そうなの...」
ルビィ「理亞ちゃんのお姉ちゃんってどんな人なの?」
理亞「姉さまは...」
ルビィ「......」ワクワク
理亞「私の姉さまだって凄いんだから!」
ルビィ「そうなの?」
理亞「え、ええ、姉さまは運動も出来るし、勉強だって教えてくれるし、私にだって優しくしてくれるのよ」
ルビィ「へぇー、ルビィのお姉ちゃんと同じだね!」
理亞「あ、あなたのお姉さんなんかよりも尊敬できるんだから」
ルビィ「そうなの?」
花丸「どこがルビィのお姉ちゃんよりも凄いずら?」
理亞「そ、それは...」
善子「どうなのよ?」
理亞「そうね...姉さまは他にも芸術肌の一面もあるわ。ダンスだって上手いしバク転だって出来るのよ!」
ルビィ「すごーい!」
理亞「ふ、ふんっ」
善子「芸術...?」
理亞「あ、あと詞だって書けるし作曲だって出来るのよ!」
花丸「あやしいずら」
善子「小学生でバク転なんて雑技団じゃあるまいし」
理亞「本当よ!なんなら姉さまに会ったら見せてあげる!」
ルビィ「楽しみ~」
**********************
果南「へー、聖良ちゃんっていうんだ」
鞠莉「函館なんて随分遠い所から来たのね」
果南「北海道でダイビングしてみたいなぁ」
鞠莉「寒くないの...?」
ダイヤ「果南さんでしたら大丈夫でしょ」
聖良「静かで落ち着いたところでしたのでまさか迷子になるなんて...」
果南「特にこの辺りは建物が少なくて同じ景色だからねぇ」
ダイヤ「ですが幸運でしたね。地元に住んでいる私達に出会えたんですから」
聖良「はい、助けてくれてありがとうございます」
果南「せっかくだからダイヤの家でゆっくりしていきなよ」
ダイヤ「あなたの言うセリフではないでしょう...」
鞠莉「私ダイヤの家好きなのよねぇ。古き良き日本家屋って感じで」
ダイヤ「鞠莉さんはホテルに住んでいますものね」
聖良「ほ、ホテル...?」
鞠莉「えぇ、そうなの!オテルオハラっていう大きいホテルに住んでるの!」
聖良「あれ?それって確か今日私達が泊まるホテルがそんな名前だったような...」
果南「そうなの?」
ダイヤ「それでしたら私の家の電話からホテルに連絡すれば親御さん方に伝えてくれるかもしれませんわ」
聖良「よかった...」
聖良「でも理亞の方は大丈夫かしら...」
鞠莉「理亞?」
聖良「妹の名前です」
果南「あれ?妹なんていたんだ」
ダイヤ「先程いると言っていたでしょう...」
聖良「理亞も迷子だから、あの子も誰か地元の人に助けてもらってれば良いんですけど...」
鞠莉「大丈夫よ!沼津の人はみーんなはーとふるな人が多いから!」
果南「少しおかしな人も多いけどね」
ダイヤ「あなたが言える事ではないでしょう!」
果南「妹さんはどんな見た目してるの?」
聖良「ええと、特徴的なところというと、顔ははツリ目で髪形はツインテールでしたね」
鞠莉「あら、ルビィと同じじゃない。ダイヤにも妹がいてね、かわいいツインテールをしてるのよ」
ダイヤ「え?」
果南「え?」
聖良「同じ?」
鞠莉「そうなの。ダイヤとは髪の長さとか色が全然違くてね、まるで腹違いの姉ま...」
ダイヤ「はぁ!!」ドゴォ!!
鞠莉「ぶぇ!?」
ダイヤ「申し訳ありません。鞠莉さんのみぞおちに蛆虫が見えたもので」
果南「ルビィちゃんの髪はまだ長いままだよ?」
鞠莉「ぐぅ...う...。やばい...出そう...」
果南「大丈夫?」
鞠莉「おっぱい揉む!」
果南「元気じゃん」
聖良(本当について行って大丈夫なのかな...)
*********************
黒澤家
果南・鞠莉「おじゃましまーす」
聖良「お、お邪魔します...」
ルビィ「あ、お姉ちゃんおかえりなさい!果南お姉ちゃんと鞠莉お姉ちゃんも!」
ダイヤ「ただいま、ルビィ。それに善子さん花丸さんも来ているんですね」
善子「こんにちは、おじゃましています」
花丸「おじゃましてるずら」
聖良「こんにちは、初めまして」
ルビィ「あ、あれ?この人は?」
ダイヤ「このあたりに旅行に来た方です。道に迷っていらしたので、とりあえず私達の家につれて来ましたの」
聖良「聖良といいます」
ルビィ「聖良さん?それって...」
理亞「あ!姉さま!」
聖良「理亞!?」
果南「あれ?理亞って聖良ちゃんの妹の名前だったよね」
鞠莉「まぁ!偶然ね!でも無事みたいだし良かったじゃない!」
聖良「はい、本当に...」
鞠莉「この子が理亞ちゃんね。初めまして、鞠莉よ!」
理亞「は、初めまして...」
果南「聖良ちゃんに雰囲気が似ててかわいいね」ギュッ
理亞「は...?かわ...いい?///」
鞠莉「ちょっと!なに抱き着いてるのよ果南!」
果南「え、だって初めて会った人には挨拶として...」
鞠莉「そうなの!?初めて会ったときにハグするのって私だけじゃなかったの?」
果南「うん」
鞠莉「そんな...」
聖良「私は抱き締めてもらっていないのですが...」ボソッ
花丸「抱き締めてもらったところで服が濡れるだけずら」
善子「理亞の服が...」
ダイヤ「...着替えを用意しますわ」ピクピク
**************
花丸「わぁ!かわいいずら!」
ルビィ「ルビィの服を着せてみたんだ!」
善子「相変わらずピンクが多いわね」
鞠莉「なかなか似合うわね」
理亞「ど、どうも...」
聖良「......」
理亞「ね、姉さま...?」
聖良「か、かわいい...!」
理亞「えっ...?」
聖良「抱き締めていい?」
理亞「え、ちょ...」
ギュッ
理亞「ちょっと姉さま...みんなが見てて恥ずかしい...」
聖良「しょうがないじゃない!だってあなたいつも暗めの色の服しか着ないんだもの!こーんな可愛い服なんて初めて着たんじゃないの?」
理亞「だ、だってこんなきゃぴきゃぴした服なんて似合わないもん...」
聖良「そんな事ないわ!理亞はきっと何でも似合うはずよ!暗い色も明るい色の服もパジャマもノ-スリーブも制服も体操服もナース服もスク水もパンツ姿も裸ワイシャツもボンテージもベビー服もみんな似合うはずだわ!」
理亞「そ、そんなこと言われたら照れる...///」
果南(照れるかなぁ)
ダイヤ「みなさん」
ルビィ「あ、お姉ちゃん」
ダイヤ「いま鞠莉さんのホテルと警察の方に電話をしてきましたわ。じきに迎えが来ると思います」
聖良「ありがとうございます」
理亞「よかった...」
ダイヤ「ルビィ、困っている人を助けるだなんてあなたも成長しましたわね」
理亞「え?」
ルビィ「お姉ちゃん、そっちは理亞ちゃんだよ」
ダイヤ「あら!いけません、間違えてしまいましたわ!」
ルビィ「ルビィの服を着てるから見間違えちゃったんだね」
ダイヤ「すみません、髪形も似ていたもので...」
花丸「眼科脳外科精神科全部行ってきた方がいいずら」
ルビィ「まぁまぁ花丸ちゃん、アイスでも食べて落ち着きなよ」
花丸「ずら」
ダイヤ「あら?そのアイスは...」
ルビィ「冷凍庫に入ってたやつだよ。私の食べかけだけどごめんね」
ダイヤ「それ、私のやつなんですが」
ルビィ「名前書いてあったからね」
ダイヤ「......」
ダイヤ「まぁ良いです」
果南「あれ?ダイヤが怒らないなんて珍しい」
ダイヤ「実はルビィが食べたアイスは私が用意したフェイクです」
果南「へ?」
ダイヤ「実を言いますと冷凍庫の裏の方に本命のハーゲンダッツを隠しておいたのです」
理亞「あっ...」
ダイヤ「ルビィ、あなたが私から横取りして食べたものは所詮、安物のスーパーカップ。あなたは私に騙された哀れな子羊なのです」
善子(裏に隠してあるのにフェイクを用意する意味あるのかしら...)
ダイヤ「さて、それでは待ちに待った久しぶりのアイ...ってあああああああああああぁぁぁぁぁあぁあああ!?」
ダイヤ「私のハーゲンが消えていますわ!どこに!?」
ダイヤ「ルビィ!あなたまさか...」
ルビィ「ルビィ食べてないよ?」
ダイヤ「そうなると誰が...」
理亞「あ、あの...」
ダイヤ「!」
理亞「ごめんなさい、多分私です...。冷凍庫のアイスなら何でも食べて良いって言われたから...」
ダイヤ「そんな...」
果南「よく見つけられたね」
鞠莉「裏に隠したってどこの裏に隠したのよ?」
ダイヤ「スーパーカップの裏です...」
果南「は?」
善子「えぇ...」
花丸「スーパーカップの上にもういっちょハーゲンッダッツも食べて下さいって言ってるようなものずら」
ダイヤ「私のハーゲンを返しなさい!」
理亞「で、でももう全部食べちゃったから...」
ダイヤ「なら口移ししてでも全部吸い取りますわ!」
果南「意味分かんないから!ちょっと少し落ち着きなって」
ルビィ「あ!冷凍庫にアジのフライが入ってる!」
ルビィ「お姉ちゃん、理亞ちゃんたちにアジフライ御馳走してあげようよ!」
ダイヤ「あーーもう、アジアジアジアジアジアジアジアジ、あなた最近いっつもアジ料理のことばかり言ってますわね!前世に大量のアジの踊り食いでもして呪われてるんじゃありませんの!?」
果南「冷凍フライよりも私が今から海で取ってきてあげるよ」ビチャビチャ
ダイヤ「あー!果南さん!だから濡れたまま茶の間に入ってこないで下さい!!」
花丸「やっぱりスーパーカップもなんだかんだで美味いずら」
ダイヤ「私のハーゲンには劣りますわ!」
善子「ダイヤのじゃないでしょ」
花丸「聖良さんもプリンでも食べるずら」
聖良「あ、どうも」
ダイヤ「ああっ!それも私のプリンですわ!」
花丸「名前書いてなかったずら」
ダイヤ「名前以前に人の家の冷蔵庫の中身を勝手にあさらないで下さい!」
ルビィ「えへへ、ルビィが良いって言ったんだ」
ダイヤ「えへへじゃありません!」
ルビィ「でも聖良ちゃんにはこれからバク転してもらうんだから元気を溜めてもらわないと!」
聖良「え?」
ダイヤ「ほう、バク転ですか」
ルビィ「ルビィ、バク転を実際に見るの初めてだから楽しみなんだ!」
聖良「ちょっと待って下さい。バク転って何の話ですか?」
ルビィ「聖良ちゃんがバク転できるって理亞ちゃんが言ってたから、見せてもらおうと思って」
花丸「作曲とか作詞とかも出来るって言ってたずら」
聖良「は、はぁ!?」
聖良「理亞、あなた...」
理亞「ね、姉さまならできますよね...!」
聖良「そんなのできるわけ...」
理亞「えっ、そんな...」ウルッ
聖良「っ...!」
聖良(かわいい!この子の期待を裏切るわけには...)
聖良「...見ててください」
理亞「!」パァァ
ルビィ「さすが理亞ちゃんのお姉ちゃん!」
ダイヤ「同じ姉として誇りに思いますわ!」
善子(絶対強がってるだけよね、あれ)
**************
聖良「......」
聖良(大丈夫です)
聖良(こないだテレビで見た雑技団のドキュメンタリーを思い出すんです)
聖良(あの要領でやれば出来るはずです...!)
聖良「そ、それではいきます...」
鞠莉「頑張って!」
ダイヤ「姉の勇姿を見せてあげてください!」
聖良「はぁ!!」
一同「おお!」
鹿角聖良は一つの誤算を犯していた。
バク転はまず始めに椅子に腰掛けるイメージでしゃがみ込み後ろに重心をかける。
その後、後ろに向かって飛び込むことで空中でブリッジの体勢を作るのだがここで一つの問題が起きる。
バク転に慣れていない人間は、この背を反らして後ろ向きにジャンプをする事ができない。
ジャンプが出来ないと一体どうなるか。
ただのブリッジの体勢になるのである。
理亞「......」
ルビィ「......」
ダイヤ「......」
果南「......」
鞠莉「......」
善子「......」
花丸「アジフライ美味しいずら」
聖良「......」
聖良「違うんです」
ルビィ「何が?」
聖良「この部屋が狭すぎるのがいけないんです」
ダイヤ「それならば庭の方を使って下さい。そこなら広さに関しては問題ありませんわ」
聖良「違うんです」
ダイヤ「何が?」
聖良「今のブリッジで手首を痛めたようです」
果南「手首を痛めてる割にはいつまでもブリッジしてるんだね」
聖良「そうですね、早く解いた方が良いですね」
聖良「残念でしたね。手首が万全の状態でしたらもう一度広い場所でやって見せましたのに」
ダイヤ「そうですね。ほんっとうに残念ですわね」
聖良「出来なくはないんですよ?普段なら特に問題なく出来るんですよ?」
鞠莉「ええ、分かってるわ」
聖良「それならよかったです」
ピンポーン
聖良「おや、迎えが来たようですね」
聖良「なんだかバタバタしてしまいましたね。今日は本当にありがとうございました。」
聖良「ほら、理亞もお礼を言いなさい」
理亞「ありがとうございました」
聖良「それではお邪魔しました」
ダイヤ「行ってしまいましたわね」
ルビィ「お姉ちゃんってバク転できる?」
ダイヤ「いいえ」
ルビィ「そうだよね。普通そうだよね」
鞠莉「果南ならできそうね」
果南「うーん、さすがに半日くらい練習が必要かな?」
善子「いや、たった半日でできるようになるって相当凄いわよ」
花丸「良いアイスの肴だったずら」
--車内--
聖良「......」
理亞「......」
聖良「理亞」
理亞「はい」
聖良「作詞作曲は私が勉強するからバク転の方はあなたが練習しなさい」
理亞「...はい」
**************
---9年後 神田明神---
聖良「Aqoursの皆さん、明日のイベント楽しみにしています」
理亞「......」
聖良「理亞?」
理亞「......」ダッ
クルンッ
果南「おお...!」
花丸「綺麗なバク転ずら~」
聖良「ではまた」
聖良「ねぇ理亞」
理亞「何ですか姉さま?」
聖良「どうしてさっきバク転をしたの?」
理亞「...分からないです」
聖良「分からない?」
理亞「はい、でも...あの人たちの前でバク転を決めたことで、積年の恨みを晴らせたような...そんな清々しい思いがしたんです。それに...」
理亞「何故か初めて会ったような気がしないんです。昔、どこかで知り合ったことがあるような...」
理亞「何故か初めて会ったような気がしないんです。昔、どこかで知り合ったことがあるような...」
聖良「そうね...私もそう感じていたの。そして惨めな別れ方をしたような気がする...」
理亞「思い出せない...」
聖良「きっと良い思い出じゃないから思い出さなくても大丈夫だわ」
理亞「そうですね」
聖良「それよりも明日、私達は大勢の前で踊らなければいけない。道産子盆踊りとか言われないように気を引き締めるのよ」
理亞「はい、姉さま。緊張を良い感じにセルフコントロールですね」
終わりです
昔他の所で書いたものですが楽しんで頂けたら幸いです
元スレ
理亞「それは...」
ルビィ「あ、分かった!」
理亞「!」
ルビィ「お腹がすいてるんだね!ルビィも今そうなの!」
理亞「え...」
ルビィ「せっかくだから一緒にどっか食べに行こうよ!」
理亞「いや、私は別に...」
3: 名無しで叶える物語(らっかせい) 2020/05/07(Thu) 22:08:42 ID:B7YDCzBT.net
ルビィ「あっ、でもルビィ今かくれんぼ中だし...、それにお金も...」
ルビィ「...そうだ!ルビィのうちに来なよ!たくさん御馳走するよ!」
理亞「あの...」
ルビィ「おいしいアジ料理があるんだ!」
理亞「あ、あじ...?」
4: 名無しで叶える物語(らっかせい) 2020/05/07(Thu) 22:09:58 ID:B7YDCzBT.net
ルビィ「それじゃあ帰ろう!」
理亞「ちょ、ちょっと待って!」
ルビィ「どうしたの?」
理亞「私別にお腹なんかすいてないし!料理なんていらないわよ!」
ルビィ「それじゃあ何で泣いてたの?」
理亞「そ、それは...」
5: 名無しで叶える物語(らっかせい) 2020/05/07(Thu) 22:10:26 ID:B7YDCzBT.net
ルビィ「恥ずかしがらなくてもいいんだよ?」
理亞「恥ずかしがってなんかないわよ!その...道に迷っただけ!」
ルビィ「迷子ってこと?」
理亞「違う!そんな情けない状況じゃないわよ!」
ルビィ「でもお母さんたちのところに帰れないんでしょ?」
理亞「うっ...」
6: 名無しで叶える物語(らっかせい) 2020/05/07(Thu) 22:10:56 ID:B7YDCzBT.net
ルビィ「じゃあとりあえずルビィの家に...」
理亞「し、知らない人について行っちゃ駄目って姉さまとママに言われてるの!」
ルビィ「でもこのままじゃ迷ってるだけだよ?」
理亞「...このあたりに交番とかは?」
ルビィ「あるけどすっごく遠いよ?歩いて一時間くらいだよ?」
理亞「そ、そんなに...?」
7: 名無しで叶える物語(らっかせい) 2020/05/07(Thu) 22:11:24 ID:B7YDCzBT.net
ルビィ「あなたの住んでるところはもっと近いの?」
理亞「それはもちろん...」
理亞「......」
理亞「家から二時間くらい...」
ルビィ「じゃあ私の家の方が近いよ」
理亞「そういう問題じゃないでしょ!」
8: 名無しで叶える物語(らっかせい) 2020/05/07(Thu) 22:11:42 ID:B7YDCzBT.net
ルビィ「ルビィの家も警察みたいなものだし!」
理亞「えっ?」
ルビィ「昔はこのあたりを取り仕切っていたの!」
理亞「それってヤク...」
ルビィ「さあ帰ろう!」
理亞「ちょ、ちょっと!」
10: 名無しで叶える物語(らっかせい) 2020/05/07(Thu) 22:12:28 ID:B7YDCzBT.net
*******************************
聖良(8歳)「理亞!理亞―――!」
聖良「どこいったのかしらあの子...」
聖良「あの子には私がついていないといけないのに...」
聖良「困った子ね...ねぇお母さん...」
聖良「...あれ?」
聖良「お母さん、どこ...?お父さんも...」
12: 名無しで叶える物語(らっかせい) 2020/05/07(Thu) 22:12:54 ID:B7YDCzBT.net
聖良「......」
聖良「もしかして私も...」ジワァ
聖良「うわぁーーーん!!お父さーーん!お母さーーん!どこーーー!?」
??「どうしました!?こんな道端でなにをしていますの!?」
聖良「ひっ!だ、誰!?」
13: 名無しで叶える物語(らっかせい) 2020/05/07(Thu) 22:13:56 ID:B7YDCzBT.net
ダイヤ(8歳)「誰とは失礼ですわね!私は黒澤ダイヤという名前があるんですのよ!?」
聖良「いや、そんなの今初めて知ったし...」
??「おーい、ダイヤー!」
??「急に走って行ってどうしたの?」
ダイヤ「あぁ、果南さんに鞠莉さん」
ダイヤ「叫び声が聴こえたので、走ってきたのですがこの子が泣いていたんですの」
15: 名無しで叶える物語(らっかせい) 2020/05/07(Thu) 22:14:29 ID:B7YDCzBT.net
果南(8歳)「このあたりでは見ない子だね」
鞠莉(8歳)「最近引っ越してきた子かしら?」
聖良「いえ、私は旅行でここらへんに来ていて迷ってしまったんです...」
鞠莉「迷子?そういえば親もいないわね」
聖良「街を歩いていたところに妹はいなくなって、お母さんたちと探していたんですが私も知らないうちに...」
果南「迷っちゃったんだね」
聖良「はい...」
16: 名無しで叶える物語(らっかせい) 2020/05/07(Thu) 22:15:05 ID:B7YDCzBT.net
鞠莉「OK!それじゃあ私たちで妹さんと親御さんを探してあげるわ!」
ダイヤ「はぁ!?鞠莉さんあなたいきなり何言って...」
果南「いいね!行くところも無いし、とりあえず誰かの家に行こうよ」
ダイヤ「果南さんも...」
鞠莉「誰の家にする?」
果南「鞠莉のホテルは?」
鞠莉「え、嫌よ」
果南「何で!?」
17: 名無しで叶える物語(らっかせい) 2020/05/07(Thu) 22:15:57 ID:B7YDCzBT.net
鞠莉「だって果南もついてくるんでしょ?だったらそのビショビショの体をどうにかしてよ!」
ダイヤ「ちょっと果南さんあなたまた体を濡らしましたの!?」
果南「だってこの方が落ち着くし...」
鞠莉「この前だって体を濡らしたままホテルに入ってお父さまにカンカンに怒られたのよ!?」
果南「あー、そうなんだ」
鞠莉「そのせいで私が果南とダイヤと付き合うのを反対されてるのよ?体を濡らしてさえいなければ良い友達なんだが、ってお父さまに言われて私何も返事が出来なかったわ!」
果南「ご、ごめん」
18: 名無しで叶える物語(らっかせい) 2020/05/07(Thu) 22:16:34 ID:B7YDCzBT.net
ダイヤ「この調子ですと鞠莉さんのところは無理そうですわね」
鞠莉「果南の家はどうなの?」
果南「私の家は...ダイビングのお客さんも来るしちょっと難しいかも」
鞠莉「そうなるとダイヤの家しかないわね」
ダイヤ「ちょっと!私だって濡れ濡れの果南さんが家に入り込むのは嫌ですわ!」
19: 名無しで叶える物語(らっかせい) 2020/05/07(Thu) 22:17:11 ID:B7YDCzBT.net
果南「いやぁ、外の庭にいるから今回は許して?」
ダイヤ「あなたが着替えてくればすむ話でしょう!?」
果南「着替えがまだ乾いてないんだよね」
ダイヤ「ああああああああああぁぁぁぁもおおおおおおおぉぉぉぉ!!」
聖良「...」
聖良(この人たちについて行って大丈夫なのかな...)
20: 名無しで叶える物語(らっかせい) 2020/05/07(Thu) 22:17:39 ID:B7YDCzBT.net
花丸(6歳)「迷子?」
ルビィ「そうなの。お姉ちゃんたちとはぐれちゃったみたいなんだ。だからとりあえずルビィの家に戻ろうと思って...」
花丸「未来ずら~」
理亞(何が...?)
善子(6歳)「名前はなんていうの?」
ルビィ「あっ、そういえば聞いてなかった...」
理亞「...理亞よ」
ルビィ「りあ?」
21: 名無しで叶える物語(らっかせい) 2020/05/07(Thu) 22:18:10 ID:B7YDCzBT.net
花丸「かわいい名前ずら!」
善子「どこから来たのよ?」
理亞「函館よ」
ルビィ「...どこ?」
善子「北海道よ」
花丸「田舎ずら~」
理亞「あんたたちが言える事じゃないでしょ!!」
23: 名無しで叶える物語(らっかせい) 2020/05/07(Thu) 22:18:44 ID:B7YDCzBT.net
善子「まあいいわ。かくれんぼもそろそろ飽きてきたし私もついてくわ」
花丸「まるも行くずら」
理亞「私はまだついて行くって決めたわけじゃ...」
善子「別に何も悪い事なんてしないわよ。ルビィの家から警察に電話すればそのうち迎えに来てくれるはずだから安心しなさい」
理亞「うぅ...」
ルビィ「美味しいアジが食べられるから、ね?」
理亞「そのアジ推しは何なのよ...」
25: 名無しで叶える物語 2020/05/07(木) 22:19:24.48 ID:B7YDCzBT.net
花丸「まるはかくれんぼで喉が渇いたずら」
ルビィ「それじゃあ家にお姉ちゃんのアイスがあるからみんなで食べようよ!」
善子「それ大丈夫なの...?」
花丸「いつもの事ずら」
26: 名無しで叶える物語 2020/05/07(木) 22:20:04.43 ID:B7YDCzBT.net
ルビィ「理亞ちゃんってお姉ちゃんがいるんだよね」
理亞「えぇ、ふたつ年上の...」
ルビィ「そうなの!?ルビィも二つ上のお姉ちゃんがいるんだ!」
理亞「あ、あなたもなの?」
善子「いつもお姉ちゃんお姉ちゃんってべったりなのよ」
花丸「捗るずら~」
27: 名無しで叶える物語 2020/05/07(木) 22:20:37.53 ID:B7YDCzBT.net
ルビィ「凄いんだよ!勉強とか運動だっていっつも学校でトップだし、ルビィに出来ないことも簡単にやっちゃうし、アイスを食べた犯人だって見つけちゃうんだ!」
ルビィ「それにルビィの事だってなんだかんだ言ってちゃんと考えてくれるし、優しいんだ!」
理亞「ぐ...そ、そうなの...」
ルビィ「理亞ちゃんのお姉ちゃんってどんな人なの?」
理亞「姉さまは...」
ルビィ「......」ワクワク
28: 名無しで叶える物語 2020/05/07(木) 22:21:03.74 ID:B7YDCzBT.net
理亞「私の姉さまだって凄いんだから!」
ルビィ「そうなの?」
理亞「え、ええ、姉さまは運動も出来るし、勉強だって教えてくれるし、私にだって優しくしてくれるのよ」
ルビィ「へぇー、ルビィのお姉ちゃんと同じだね!」
理亞「あ、あなたのお姉さんなんかよりも尊敬できるんだから」
ルビィ「そうなの?」
花丸「どこがルビィのお姉ちゃんよりも凄いずら?」
理亞「そ、それは...」
29: 名無しで叶える物語 2020/05/07(木) 22:21:30.09 ID:B7YDCzBT.net
善子「どうなのよ?」
理亞「そうね...姉さまは他にも芸術肌の一面もあるわ。ダンスだって上手いしバク転だって出来るのよ!」
ルビィ「すごーい!」
理亞「ふ、ふんっ」
善子「芸術...?」
30: 名無しで叶える物語 2020/05/07(木) 22:22:17.19 ID:B7YDCzBT.net
理亞「あ、あと詞だって書けるし作曲だって出来るのよ!」
花丸「あやしいずら」
善子「小学生でバク転なんて雑技団じゃあるまいし」
理亞「本当よ!なんなら姉さまに会ったら見せてあげる!」
ルビィ「楽しみ~」
31: 名無しで叶える物語 2020/05/07(木) 22:22:39.87 ID:B7YDCzBT.net
**********************
果南「へー、聖良ちゃんっていうんだ」
鞠莉「函館なんて随分遠い所から来たのね」
果南「北海道でダイビングしてみたいなぁ」
鞠莉「寒くないの...?」
ダイヤ「果南さんでしたら大丈夫でしょ」
32: 名無しで叶える物語 2020/05/07(木) 22:23:03.92 ID:B7YDCzBT.net
聖良「静かで落ち着いたところでしたのでまさか迷子になるなんて...」
果南「特にこの辺りは建物が少なくて同じ景色だからねぇ」
ダイヤ「ですが幸運でしたね。地元に住んでいる私達に出会えたんですから」
聖良「はい、助けてくれてありがとうございます」
果南「せっかくだからダイヤの家でゆっくりしていきなよ」
ダイヤ「あなたの言うセリフではないでしょう...」
33: 名無しで叶える物語 2020/05/07(木) 22:23:50.40 ID:B7YDCzBT.net
鞠莉「私ダイヤの家好きなのよねぇ。古き良き日本家屋って感じで」
ダイヤ「鞠莉さんはホテルに住んでいますものね」
聖良「ほ、ホテル...?」
鞠莉「えぇ、そうなの!オテルオハラっていう大きいホテルに住んでるの!」
聖良「あれ?それって確か今日私達が泊まるホテルがそんな名前だったような...」
果南「そうなの?」
ダイヤ「それでしたら私の家の電話からホテルに連絡すれば親御さん方に伝えてくれるかもしれませんわ」
34: 名無しで叶える物語 2020/05/07(木) 22:25:00.87 ID:B7YDCzBT.net
聖良「よかった...」
聖良「でも理亞の方は大丈夫かしら...」
鞠莉「理亞?」
聖良「妹の名前です」
果南「あれ?妹なんていたんだ」
ダイヤ「先程いると言っていたでしょう...」
聖良「理亞も迷子だから、あの子も誰か地元の人に助けてもらってれば良いんですけど...」
35: 名無しで叶える物語 2020/05/07(木) 22:26:00.92 ID:B7YDCzBT.net
鞠莉「大丈夫よ!沼津の人はみーんなはーとふるな人が多いから!」
果南「少しおかしな人も多いけどね」
ダイヤ「あなたが言える事ではないでしょう!」
果南「妹さんはどんな見た目してるの?」
聖良「ええと、特徴的なところというと、顔ははツリ目で髪形はツインテールでしたね」
鞠莉「あら、ルビィと同じじゃない。ダイヤにも妹がいてね、かわいいツインテールをしてるのよ」
36: 名無しで叶える物語 2020/05/07(木) 22:29:47.39 ID:B7YDCzBT.net
ダイヤ「え?」
果南「え?」
聖良「同じ?」
鞠莉「そうなの。ダイヤとは髪の長さとか色が全然違くてね、まるで腹違いの姉ま...」
ダイヤ「はぁ!!」ドゴォ!!
鞠莉「ぶぇ!?」
37: 名無しで叶える物語 2020/05/07(木) 22:30:08.48 ID:B7YDCzBT.net
ダイヤ「申し訳ありません。鞠莉さんのみぞおちに蛆虫が見えたもので」
果南「ルビィちゃんの髪はまだ長いままだよ?」
鞠莉「ぐぅ...う...。やばい...出そう...」
果南「大丈夫?」
鞠莉「おっぱい揉む!」
果南「元気じゃん」
聖良(本当について行って大丈夫なのかな...)
38: 名無しで叶える物語 2020/05/07(木) 22:30:41.48 ID:B7YDCzBT.net
*********************
黒澤家
果南・鞠莉「おじゃましまーす」
聖良「お、お邪魔します...」
ルビィ「あ、お姉ちゃんおかえりなさい!果南お姉ちゃんと鞠莉お姉ちゃんも!」
39: 名無しで叶える物語 2020/05/07(木) 22:31:18.03 ID:B7YDCzBT.net
ダイヤ「ただいま、ルビィ。それに善子さん花丸さんも来ているんですね」
善子「こんにちは、おじゃましています」
花丸「おじゃましてるずら」
聖良「こんにちは、初めまして」
ルビィ「あ、あれ?この人は?」
ダイヤ「このあたりに旅行に来た方です。道に迷っていらしたので、とりあえず私達の家につれて来ましたの」
聖良「聖良といいます」
ルビィ「聖良さん?それって...」
40: 名無しで叶える物語 2020/05/07(木) 22:31:59.68 ID:B7YDCzBT.net
理亞「あ!姉さま!」
聖良「理亞!?」
果南「あれ?理亞って聖良ちゃんの妹の名前だったよね」
鞠莉「まぁ!偶然ね!でも無事みたいだし良かったじゃない!」
聖良「はい、本当に...」
鞠莉「この子が理亞ちゃんね。初めまして、鞠莉よ!」
41: 名無しで叶える物語 2020/05/07(木) 22:32:40.88 ID:B7YDCzBT.net
理亞「は、初めまして...」
果南「聖良ちゃんに雰囲気が似ててかわいいね」ギュッ
理亞「は...?かわ...いい?///」
鞠莉「ちょっと!なに抱き着いてるのよ果南!」
果南「え、だって初めて会った人には挨拶として...」
鞠莉「そうなの!?初めて会ったときにハグするのって私だけじゃなかったの?」
果南「うん」
鞠莉「そんな...」
42: 名無しで叶える物語 2020/05/07(木) 22:33:01.26 ID:B7YDCzBT.net
聖良「私は抱き締めてもらっていないのですが...」ボソッ
花丸「抱き締めてもらったところで服が濡れるだけずら」
善子「理亞の服が...」
ダイヤ「...着替えを用意しますわ」ピクピク
43: 名無しで叶える物語 2020/05/07(木) 22:33:31.78 ID:B7YDCzBT.net
**************
花丸「わぁ!かわいいずら!」
ルビィ「ルビィの服を着せてみたんだ!」
善子「相変わらずピンクが多いわね」
鞠莉「なかなか似合うわね」
理亞「ど、どうも...」
聖良「......」
理亞「ね、姉さま...?」
聖良「か、かわいい...!」
理亞「えっ...?」
44: 名無しで叶える物語 2020/05/07(木) 22:34:13.79 ID:B7YDCzBT.net
聖良「抱き締めていい?」
理亞「え、ちょ...」
ギュッ
理亞「ちょっと姉さま...みんなが見てて恥ずかしい...」
聖良「しょうがないじゃない!だってあなたいつも暗めの色の服しか着ないんだもの!こーんな可愛い服なんて初めて着たんじゃないの?」
理亞「だ、だってこんなきゃぴきゃぴした服なんて似合わないもん...」
聖良「そんな事ないわ!理亞はきっと何でも似合うはずよ!暗い色も明るい色の服もパジャマもノ-スリーブも制服も体操服もナース服もスク水もパンツ姿も裸ワイシャツもボンテージもベビー服もみんな似合うはずだわ!」
理亞「そ、そんなこと言われたら照れる...///」
果南(照れるかなぁ)
45: 名無しで叶える物語 2020/05/07(木) 22:34:49.36 ID:B7YDCzBT.net
ダイヤ「みなさん」
ルビィ「あ、お姉ちゃん」
ダイヤ「いま鞠莉さんのホテルと警察の方に電話をしてきましたわ。じきに迎えが来ると思います」
聖良「ありがとうございます」
理亞「よかった...」
46: 名無しで叶える物語 2020/05/07(木) 22:35:25.11 ID:B7YDCzBT.net
ダイヤ「ルビィ、困っている人を助けるだなんてあなたも成長しましたわね」
理亞「え?」
ルビィ「お姉ちゃん、そっちは理亞ちゃんだよ」
ダイヤ「あら!いけません、間違えてしまいましたわ!」
ルビィ「ルビィの服を着てるから見間違えちゃったんだね」
ダイヤ「すみません、髪形も似ていたもので...」
花丸「眼科脳外科精神科全部行ってきた方がいいずら」
47: 名無しで叶える物語 2020/05/07(木) 22:35:53.81 ID:B7YDCzBT.net
ルビィ「まぁまぁ花丸ちゃん、アイスでも食べて落ち着きなよ」
花丸「ずら」
ダイヤ「あら?そのアイスは...」
ルビィ「冷凍庫に入ってたやつだよ。私の食べかけだけどごめんね」
ダイヤ「それ、私のやつなんですが」
ルビィ「名前書いてあったからね」
ダイヤ「......」
ダイヤ「まぁ良いです」
果南「あれ?ダイヤが怒らないなんて珍しい」
48: 名無しで叶える物語 2020/05/07(木) 22:36:27.32 ID:B7YDCzBT.net
ダイヤ「実はルビィが食べたアイスは私が用意したフェイクです」
果南「へ?」
ダイヤ「実を言いますと冷凍庫の裏の方に本命のハーゲンダッツを隠しておいたのです」
理亞「あっ...」
ダイヤ「ルビィ、あなたが私から横取りして食べたものは所詮、安物のスーパーカップ。あなたは私に騙された哀れな子羊なのです」
善子(裏に隠してあるのにフェイクを用意する意味あるのかしら...)
ダイヤ「さて、それでは待ちに待った久しぶりのアイ...ってあああああああああああぁぁぁぁぁあぁあああ!?」
ダイヤ「私のハーゲンが消えていますわ!どこに!?」
49: 名無しで叶える物語 2020/05/07(木) 22:37:00.23 ID:B7YDCzBT.net
ダイヤ「ルビィ!あなたまさか...」
ルビィ「ルビィ食べてないよ?」
ダイヤ「そうなると誰が...」
理亞「あ、あの...」
ダイヤ「!」
理亞「ごめんなさい、多分私です...。冷凍庫のアイスなら何でも食べて良いって言われたから...」
ダイヤ「そんな...」
50: 名無しで叶える物語 2020/05/07(木) 22:38:32.21 ID:B7YDCzBT.net
果南「よく見つけられたね」
鞠莉「裏に隠したってどこの裏に隠したのよ?」
ダイヤ「スーパーカップの裏です...」
果南「は?」
善子「えぇ...」
花丸「スーパーカップの上にもういっちょハーゲンッダッツも食べて下さいって言ってるようなものずら」
51: 名無しで叶える物語 2020/05/07(木) 22:39:54.35 ID:B7YDCzBT.net
ダイヤ「私のハーゲンを返しなさい!」
理亞「で、でももう全部食べちゃったから...」
ダイヤ「なら口移ししてでも全部吸い取りますわ!」
果南「意味分かんないから!ちょっと少し落ち着きなって」
ルビィ「あ!冷凍庫にアジのフライが入ってる!」
ルビィ「お姉ちゃん、理亞ちゃんたちにアジフライ御馳走してあげようよ!」
ダイヤ「あーーもう、アジアジアジアジアジアジアジアジ、あなた最近いっつもアジ料理のことばかり言ってますわね!前世に大量のアジの踊り食いでもして呪われてるんじゃありませんの!?」
果南「冷凍フライよりも私が今から海で取ってきてあげるよ」ビチャビチャ
ダイヤ「あー!果南さん!だから濡れたまま茶の間に入ってこないで下さい!!」
花丸「やっぱりスーパーカップもなんだかんだで美味いずら」
ダイヤ「私のハーゲンには劣りますわ!」
善子「ダイヤのじゃないでしょ」
花丸「聖良さんもプリンでも食べるずら」
聖良「あ、どうも」
ダイヤ「ああっ!それも私のプリンですわ!」
花丸「名前書いてなかったずら」
ダイヤ「名前以前に人の家の冷蔵庫の中身を勝手にあさらないで下さい!」
ルビィ「えへへ、ルビィが良いって言ったんだ」
ダイヤ「えへへじゃありません!」
ルビィ「でも聖良ちゃんにはこれからバク転してもらうんだから元気を溜めてもらわないと!」
聖良「え?」
52: 名無しで叶える物語 2020/05/07(木) 22:41:03.81 ID:B7YDCzBT.net
ダイヤ「ほう、バク転ですか」
ルビィ「ルビィ、バク転を実際に見るの初めてだから楽しみなんだ!」
聖良「ちょっと待って下さい。バク転って何の話ですか?」
ルビィ「聖良ちゃんがバク転できるって理亞ちゃんが言ってたから、見せてもらおうと思って」
花丸「作曲とか作詞とかも出来るって言ってたずら」
聖良「は、はぁ!?」
聖良「理亞、あなた...」
理亞「ね、姉さまならできますよね...!」
聖良「そんなのできるわけ...」
53: 名無しで叶える物語 2020/05/07(木) 22:41:37.97 ID:B7YDCzBT.net
理亞「えっ、そんな...」ウルッ
聖良「っ...!」
聖良(かわいい!この子の期待を裏切るわけには...)
聖良「...見ててください」
理亞「!」パァァ
ルビィ「さすが理亞ちゃんのお姉ちゃん!」
ダイヤ「同じ姉として誇りに思いますわ!」
善子(絶対強がってるだけよね、あれ)
57: 名無しで叶える物語 2020/05/07(木) 22:47:45.87 ID:B7YDCzBT.net
**************
聖良「......」
聖良(大丈夫です)
聖良(こないだテレビで見た雑技団のドキュメンタリーを思い出すんです)
聖良(あの要領でやれば出来るはずです...!)
聖良「そ、それではいきます...」
鞠莉「頑張って!」
ダイヤ「姉の勇姿を見せてあげてください!」
聖良「はぁ!!」
一同「おお!」
55: 名無しで叶える物語 2020/05/07(木) 22:45:31.12 ID:B7YDCzBT.net
鹿角聖良は一つの誤算を犯していた。
バク転はまず始めに椅子に腰掛けるイメージでしゃがみ込み後ろに重心をかける。
その後、後ろに向かって飛び込むことで空中でブリッジの体勢を作るのだがここで一つの問題が起きる。
バク転に慣れていない人間は、この背を反らして後ろ向きにジャンプをする事ができない。
ジャンプが出来ないと一体どうなるか。
ただのブリッジの体勢になるのである。
56: 名無しで叶える物語 2020/05/07(木) 22:45:50.00 ID:B7YDCzBT.net
理亞「......」
ルビィ「......」
ダイヤ「......」
果南「......」
鞠莉「......」
善子「......」
花丸「アジフライ美味しいずら」
58: 名無しで叶える物語 2020/05/07(木) 22:48:45.96 ID:B7YDCzBT.net
聖良「......」
聖良「違うんです」
ルビィ「何が?」
59: 名無しで叶える物語 2020/05/07(木) 22:49:08.32 ID:B7YDCzBT.net
聖良「この部屋が狭すぎるのがいけないんです」
ダイヤ「それならば庭の方を使って下さい。そこなら広さに関しては問題ありませんわ」
聖良「違うんです」
ダイヤ「何が?」
60: 名無しで叶える物語 2020/05/07(木) 22:49:29.26 ID:B7YDCzBT.net
聖良「今のブリッジで手首を痛めたようです」
果南「手首を痛めてる割にはいつまでもブリッジしてるんだね」
聖良「そうですね、早く解いた方が良いですね」
61: 名無しで叶える物語 2020/05/07(木) 22:50:03.56 ID:B7YDCzBT.net
聖良「残念でしたね。手首が万全の状態でしたらもう一度広い場所でやって見せましたのに」
ダイヤ「そうですね。ほんっとうに残念ですわね」
聖良「出来なくはないんですよ?普段なら特に問題なく出来るんですよ?」
鞠莉「ええ、分かってるわ」
聖良「それならよかったです」
ピンポーン
聖良「おや、迎えが来たようですね」
62: 名無しで叶える物語 2020/05/07(木) 22:50:28.55 ID:B7YDCzBT.net
聖良「なんだかバタバタしてしまいましたね。今日は本当にありがとうございました。」
聖良「ほら、理亞もお礼を言いなさい」
理亞「ありがとうございました」
聖良「それではお邪魔しました」
63: 名無しで叶える物語 2020/05/07(木) 22:50:55.97 ID:B7YDCzBT.net
ダイヤ「行ってしまいましたわね」
ルビィ「お姉ちゃんってバク転できる?」
ダイヤ「いいえ」
ルビィ「そうだよね。普通そうだよね」
鞠莉「果南ならできそうね」
果南「うーん、さすがに半日くらい練習が必要かな?」
善子「いや、たった半日でできるようになるって相当凄いわよ」
花丸「良いアイスの肴だったずら」
64: 名無しで叶える物語 2020/05/07(木) 22:52:00.48 ID:B7YDCzBT.net
--車内--
聖良「......」
理亞「......」
聖良「理亞」
理亞「はい」
聖良「作詞作曲は私が勉強するからバク転の方はあなたが練習しなさい」
理亞「...はい」
65: 名無しで叶える物語 2020/05/07(木) 22:52:31.45 ID:B7YDCzBT.net
**************
---9年後 神田明神---
聖良「Aqoursの皆さん、明日のイベント楽しみにしています」
理亞「......」
聖良「理亞?」
理亞「......」ダッ
クルンッ
果南「おお...!」
花丸「綺麗なバク転ずら~」
聖良「ではまた」
66: 名無しで叶える物語 2020/05/07(木) 22:53:03.47 ID:B7YDCzBT.net
聖良「ねぇ理亞」
理亞「何ですか姉さま?」
聖良「どうしてさっきバク転をしたの?」
理亞「...分からないです」
聖良「分からない?」
理亞「はい、でも...あの人たちの前でバク転を決めたことで、積年の恨みを晴らせたような...そんな清々しい思いがしたんです。それに...」
理亞「何故か初めて会ったような気がしないんです。昔、どこかで知り合ったことがあるような...」
67: 名無しで叶える物語 2020/05/07(木) 22:53:48.65 ID:B7YDCzBT.net
理亞「何故か初めて会ったような気がしないんです。昔、どこかで知り合ったことがあるような...」
聖良「そうね...私もそう感じていたの。そして惨めな別れ方をしたような気がする...」
理亞「思い出せない...」
聖良「きっと良い思い出じゃないから思い出さなくても大丈夫だわ」
理亞「そうですね」
聖良「それよりも明日、私達は大勢の前で踊らなければいけない。道産子盆踊りとか言われないように気を引き締めるのよ」
理亞「はい、姉さま。緊張を良い感じにセルフコントロールですね」
68: 名無しで叶える物語 2020/05/07(木) 22:55:32.94 ID:B7YDCzBT.net
終わりです
昔他の所で書いたものですが楽しんで頂けたら幸いです
理亞(6歳)「うえぇ...迷子になっちゃった...」