1: 名無しで叶える物語 2020/05/25(月) 21:38:09.38 ID:bPHiLqvK.net

真姫「花の女子高生なのに、ラーメン屋さんに行ったことがない……」

真姫「問題ね」

梨子「問題なの?」

真姫「大問題よ!わたしたち、女子高生なのよ?それで、ラーメン屋さんよ!?」

真姫「週に一回は行くでしょ、フツウ」

梨子「ええ?……週一回は多いと思うな」

真姫「いやいや、多くないから。むしろ少ないくらいよ」

真姫「凛も言ってたわ。イマドキオトメは週三でラーメン!って」

梨子「ええぇ……」



3: 名無しで叶える物語 2020/05/25(月) 21:40:07.95 ID:bPHiLqvK.net

真姫「それで、さっきの話だと来週に行くのよね?ラーメン屋さん」

梨子「うん。千歌ちゃんと果南ちゃんが、沼津に新しくできた店に一緒に行きたいって」

真姫「二人は、ラーメン屋さんにはよく行くの?」

梨子「うーん……聞いたことないけど、行ったことはあるんじゃないかな」

真姫「なるほど。それはまずいわね」

梨子「まずいの?」

真姫「ええ。ラーメン屋さんのシステムは複雑怪奇――」

真姫「一人だけそれを知らないで行くと、痛い目に合うわ……」



6: 名無しで叶える物語 2020/05/25(月) 21:41:54.14 ID:bPHiLqvK.net

真姫「………………」

真姫「よし、あらかじめラーメン屋さんを練習するしかないわね」

梨子「えっ、練習?」

真姫「怖がらなくても大丈夫よ」

真姫「このラーメン屋さんマイスターの真姫ちゃんが、直々にエスコートしてあげるわ!」

真姫「ということで、今週末予定空けといて」

梨子「ええぇ……」

梨子(というか、なんでラーメン屋に必ず『さん』付けするんだろう……)



8: 名無しで叶える物語 2020/05/25(月) 21:45:32.09 ID:bPHiLqvK.net

――――――――
――――――

梨子「あの……内浦のこんなところに、ラーメン屋はないと思んだけど」

真姫「あるわよ。わたしの調べだと……このあたりに――あった!」

真姫「ほら、ここよ」

『――――らーめん 本店』

梨子「…………あるんだ」



梨子「……いやいや、待って待って!ここ、ついこの間までコンビニの駐車場だったよ?」

梨子「こんな、みとしーから歩いて数分みたいなところに、ラーメン屋なんてなかったよ!?」

真姫「そんなこと言われても、あるものはあるのよ」

真姫「ほら、入るわよ」

梨子「う、うん……」



9: 名無しで叶える物語 2020/05/25(月) 21:47:37.80 ID:bPHiLqvK.net

鞠莉「―― へいらっしゃい!」

梨子「…………へ?」

鞠莉「へいらっしゃい!!」

梨子「いやいや、へいらっしゃいじゃなくって!マリちゃん、なにやってるの?」

鞠莉「なにって、この店のてんちょーやってるんだよ?」

梨子「店長……?」

鞠莉「ほら、外にだしてあるお店の名前、よく見てきてよ」

梨子「えっ?」



「内浦一うまい! おはらーめん 本店」



10: 名無しで叶える物語 2020/05/25(月) 21:49:46.16 ID:bPHiLqvK.net

梨子「見てきたけど……おはらーめんって――この店一体、なんなんですか?」

鞠莉「この店?いいでしょう?ステキでしょ?」

真姫「そうね。なかなかいい、床のべたつき具合ね」

梨子「そこは褒めるところじゃないと思う……」

梨子「――じゃなくて。この店、マリちゃんのなの?」

鞠莉「うん。作っちゃった☆」

梨子「作っちゃったって……」

鞠莉「いやーちょっと前から作ってみたいなぁ――って思ってたんだよねー」

鞠莉「ラーメン屋!」

梨子「そんな、ちょっとマカロンでも作るかみたいなノリで、店作らないでください」



12: 名無しで叶える物語 2020/05/25(月) 21:51:36.40 ID:bPHiLqvK.net

鞠莉「まあとりあえず、座って座って?」

梨子「う、うん…………」

真姫「待った!まったく、騙されちゃダメじゃない」

梨子「え?」

真姫「ふふっ、いい?ラーメン屋さんではね――まず、食券を買うのよ!」

梨子「あ、この店、食券があるんだね」

真姫「そう、食券は忘れちゃダメ。食券を買わず店員に注文なんてしてみなさい?」

真姫「あの時は――凛には笑われ、希にはからかわれ…………それはそれは大変だったんだから!」



13: 名無しで叶える物語 2020/05/25(月) 21:53:50.32 ID:bPHiLqvK.net

梨子「食券機は……こっちだね」

真姫「そうそう、食券を買うときは注意点があるの」

梨子「注意点?」

真姫「ええ。知ってた?食券機はね」

真姫「なんと――カードが使えないのよ!」フフン

梨子「え……あ……うん……」

真姫「そうよね、そうよね。初めてだと戸惑うわよね?」

真姫「わかるわかる。わたしも最初は、カードで買おうとしたわ」

梨子「ええっ……」



15: 名無しで叶える物語 2020/05/25(月) 21:57:14.37 ID:bPHiLqvK.net

梨子「……………」

真姫「安心しなさい?この真姫ちゃんが、食券の買い方をていねいに教えてあげる」

梨子「あ、ありがとう」

真姫「いい?まずは、ここにお札を入れるの」

真姫「あ、特別に教えてあげるけど、小切手は使えないわよ?」フフン

梨子「へ、へぇ……そうなんだ……」

梨子(なんでこの子、さっきからこんなに得意げなんだろう……)



17: 名無しで叶える物語 2020/05/25(月) 22:01:10.75 ID:bPHiLqvK.net

真姫「見てて。お札を――」

―ウィーン

真姫「ね?お札が入ったでしょ?」

梨子「そうだね」

……ヴェー

真姫「あ、あれ……お札が戻ってきた……」

梨子「あっ……そのお札――」



19: 名無しで叶える物語 2020/05/25(月) 22:04:01.95 ID:bPHiLqvK.net

真姫「もう一回!」

―ウィーン

真姫「…………」

……ヴェー

真姫「ちょっと、どうなってるのよ!?」

梨子「あのね?だから、そのお札――」



21: 名無しで叶える物語 2020/05/25(月) 22:07:57.00 ID:bPHiLqvK.net

鞠莉「お客様、どうなさいました?」

真姫「どうもこうも……入れたお札が戻ってくるんだけど!?」

鞠莉「ええ?さっきマリーが確認したときは、ちゃんと入ったけど」

真姫「とにかく試してみて。ゼッタイに戻ってきちゃうんだから!」

鞠莉「どれどれ……」

―ウィーン……ヴェー

鞠莉「あれ?ホントだ」



23: 名無しで叶える物語 2020/05/25(月) 22:12:17.19 ID:bPHiLqvK.net

真姫「ほら、わたしの言った通りじゃない。壊れてるのよ、これ」

鞠莉「待って。きっと、向きが逆なのよ。こっち向きで――」

―ウィーン……ヴェー

真姫「ダメじゃない」

鞠莉「待って、入れる角度にコツが……」

―ウィーン……ヴェー

真姫「ダメじゃない」



24: 名無しで叶える物語 2020/05/25(月) 22:15:14.43 ID:bPHiLqvK.net

真姫「ゼッタイに不良品よ、不良品!」

鞠莉「うーん……どうやら、そうみたい」

真姫「まったく、とんでもないもの売りつける会社があるのね」

鞠莉「安心して!マリーが会社ごと買い取って、ちゃんとしたもの送ってもらうから!」

梨子「――あ、あのー……」

真姫「なに?」

梨子「えっとね……そのお札、一万円札だよね?」

真姫「ええ。あ、ほら見て。ピン札よ?」

梨子「あの、ピン札とかは関係なくて……この機械は一万円札、使えないんじゃない?」



25: 名無しで叶える物語 2020/05/25(月) 22:16:15.47 ID:bPHiLqvK.net

――――――――
――――――

真姫「――えー……いいかしら。場所によっては一万円札が使えない」

真姫「そういうことだから。気を付けなさい?」

梨子「う、うん。気を付けるね」



梨子「ふぅ…………」

梨子(なんとか、食券は買えた……)

梨子(やっと席に座れる…………)



26: 名無しで叶える物語 2020/05/25(月) 22:18:19.66 ID:bPHiLqvK.net

真姫「ところで、ラーメン屋さんではどこに座るか知ってるかしら?」

梨子「座る場所が、あらかじめ決まってるの?」

真姫「当然よ。いい?座るのは、あのまんまるだから」

梨子「まんまる?」

真姫「そう、カウンター席って言うのよ?」

梨子「ああ……まんまるってカウンター席のことかぁ……」

真姫「ふふ、驚いた?まあ驚くのもムリはないわね。まさか、横一列に――」

真姫「しかも背もたれもない、あの、まんまるに座るなんて!」

真姫「わたしだって、初めて来たときは、荷物置きと思ったわ」

梨子「ええっ…………というか、どこに座るかって、そういう意味なの?」



27: 名無しで叶える物語 2020/05/25(月) 22:21:05.95 ID:bPHiLqvK.net

真姫「座ったら、カウンターに食券を出すの」

梨子「うん」

真姫「あとは食券を見た店員さんが、ラーメンを作っ――」

鞠莉「お客さん。おこのみは?」

真姫「うぇ!?おこのみ?」

鞠莉「おこのみ」

真姫「おこのみ…………」



28: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2020/05/25(月) 22:24:20 ID:bPHiLqvK.net

真姫「……あ、ちがうちがう!」

真姫「わからないんじゃなくて、考えてるだけ」

梨子「うん」

真姫「そうね…………トマトかしら」

鞠莉「…………トマト?」

真姫「わたしの好物よ」

鞠莉「麺の硬さ、味の濃さ、油の量などなど……おこのみあれば」

真姫「あー!そっちね!?わかってた、わかってたんだから!フツウよ、フツウ!」



30: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2020/05/25(月) 22:27:24 ID:bPHiLqvK.net

真姫「…………」

真姫「いいかしら。よく聞いて?」

梨子「…………うん」

真姫「食券を出すと、おこのみを聞かれることもあるわ」

真姫「麺の硬さとか、味の濃さをあらかじめ決めとかないとダメなのよ?」フフン

梨子「はい……」

梨子(なんでこの子、こんなに自信満々なんだろう……)



31: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2020/05/25(月) 22:29:46 ID:bPHiLqvK.net

鞠莉「そちらの方、おこのみは?」

梨子「ええと、全部フツウでお願いします」

鞠莉「かしこまりました!ラーメンいっちょー!」

花陽「――ごいっしょに、ごはんはいかがですか?」スッ

梨子「……へ?」

花陽「ごいっしょに、ごはんはいかがですか?今なら炊き立てです!」

梨子「ええっと……」



33: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2020/05/25(月) 22:32:23 ID:bPHiLqvK.net

花陽「ごめんなさい。花陽の声、小っちゃかったですよね……」

梨子「あの、そうじゃなくて、なんで花陽ちゃんが―――」

花陽「ごいっしょに!ごはん!!いかがですか!!?」

梨子「聞こえてます!聞こえてます!」

梨子「ええと……」

真姫「頼みなさい。ラーメンとごはんは合うわ」

真姫「わかりやすく言うと、イチジクとフォアグラと同じくらい合うんだから」

梨子「う、うん……?」



34: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2020/05/25(月) 22:35:04 ID:bPHiLqvK.net

梨子「それじゃあ、ごはんいただこうかな」

花陽「ありがとうございます!オーダーごはんはいります!」

梨子「それで、花陽ちゃんは何でここに?」

花陽「ごいっしょに、チャーハンはいかがですか?」

梨子「はい?」

花陽「チャーハンです」



35: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2020/05/25(月) 22:37:15 ID:bPHiLqvK.net

梨子「チャーハンはいいかな」

花陽「ぱらぱらだよ?」

梨子「ぱらぱらでも、量が多くて食べきらないから……」

梨子「今日はパスかな、ごめんね」

花陽「そうですか…………それなら天津飯でどうでしょうか?」

梨子「あの、だから、おなかに入らないんだけど……」

花陽「それなら、チャーシュー丼はどうですか?」

梨子「花陽ちゃん、お願いだから話を聞いてください」

梨子「というか……この店、食券制だよね?」



36: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2020/05/25(月) 22:39:17 ID:bPHiLqvK.net

――――――――
――――――

鞠莉「ヘイ!ラーメンいっちょ!」コトン

梨子(はぁ……やっと食べられる……」



真姫「今出てきた大きい器のこれ。これがラーメンよ」

真姫「フィンガーボールじゃないから」

梨子「それはさすがに知ってるよ?」

真姫「スープの中に麺が入ってるの。ああ、麺って言うのは――」

梨子「それも知ってるけど……」

真姫「そうなの?それで――これがチャーシューっていうのよ!」

梨子「あの……一応、ラーメンは食べたことあるからね?」



37: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2020/05/25(月) 22:41:33 ID:bPHiLqvK.net

真姫「それじゃあ、伸びないうちに食べましょ?」

梨子「そうだね、いただきます」



真姫「…………」チュルチュルチュル!

梨子「…………」チュル…

真姫「…………」チュルチュルチュル!

梨子「ん…………」チュル…

真姫「…………」

真姫「あなた、その一口の小ささで、普段うどんとか食べれてるの?」

梨子「…………へ?」



40: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2020/05/25(月) 22:43:34 ID:bPHiLqvK.net

――――――――――
――――――――
――――――

梨子「ふぅ……ごちそうさまでした」

鞠莉「お!完食ね!」

鞠莉「どう?おいしかった?マリーのラーメン!」

梨子「うん!ラーメンもごはんもおいしかったよ」

真姫「なかなかね。今度は凛も連れて来るわ」

鞠莉「ふふっ、ありがとう!」

花陽「ごはん完食してくれて、嬉しいです。あ、今度は、ごはんものも注文してね?」



41: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2020/05/25(月) 22:46:29 ID:bPHiLqvK.net

真姫「――食べ終わった後、油断したところに忘れちゃいけない重要なことがあるわ」

梨子「最後に重要なこと……なんなの?」

真姫「それはね――お会計してくださいって言わないことよ」

真姫「なんでかわかる?」

梨子「ええと、それは――」

真姫「そう!食券を買う際にお金は払ってるのよ?」フフン

梨子「そうだね……少なくとも、したり顔で言うことじゃないと思う……」



42: 名無しで叶える物語 2020/05/25(月) 22:49:38.88 ID:bPHiLqvK.net

真姫「さて、一通りラーメン屋さんを経験したわけだけど――」

真姫「どう?感覚はつかめたかしら?」

梨子「大丈夫だよ。カウンター席とか、おこのみを聞かれることは分かったし――」

真姫「食券買うのよ?食券」

梨子「うん」

真姫「食券は忘れちゃだめ」

梨子「大丈夫だよ?」

真姫「入ったらまず、食券よ?」

梨子「わ、わかったから!食券買わなかった時のこと、そんなにトラウマになってるの?」

真姫「………………………」

真姫「…………ソンナワケナイジャナイ」

梨子(この子、何があたんだろう……)



45: 名無しで叶える物語 2020/05/25(月) 23:03:24.96 ID:bPHiLqvK.net

真姫「……ま、まあとにかく。あなたなら大丈夫ね。心配ないわ」

真姫「なんたって、このわたしが保証してあげるんだから」

真姫「どんなラーメン屋さんだって、大船に乗ったつもりで行きなさい!」

梨子「うん!」



緊張しいな私のこと。初めてのラーメン屋に少し不安があったのはホントです。

だけど、なんだかよくわからないけど自信たっぷりの真姫ちゃんから、

ちょっぴり勇気をもらえた気がします。

今の私なら、きっとどんなラーメン屋でも大丈夫――



46: 名無しで叶える物語 2020/05/25(月) 23:04:10.99 ID:bPHiLqvK.net

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――――――

果南「いやー楽しみだね!新しいラーメン屋さん!」

千歌「そうだねーどんな味のラーメンなんだろうね?」

果南「わかめラーメンとかあるかな?」

千歌「えー?それはないでしょ。ね、梨子ちゃん」

梨子「うーん……わかめのラーメンは、ないかなぁ」

果南「えー……いいと思うんだけどな――あっ、お店あったよ!」



『ラーメン 二郎 沼津店』

おわり


元スレ
梨子「ええとね、真姫ちゃん。ラーメン屋には本当に行ったことないの」