3: 名無しで叶える物語 2020/06/01(月) 23:58:14.94 ID:9Y6YQMcY.net

千歌「散歩、行こうよ」

美渡「なんだよ。今日の散歩当番、私じゃないだろ?」

千歌「良いから! ねっ? 姉妹水入らずってヤツ?」

美渡「……アヤシイ」

千歌「んもぉー! 早く着替えてよ~!」

美渡「分かった! 分かったから!」

千歌「はーやーくーっ!!」

美渡「ガキかお前はァ!!」

………



4: 名無しで叶える物語 2020/06/01(月) 23:58:45.82 ID:9Y6YQMcY.net

美渡「マジで散歩かよ…」

千歌「だから言ったじゃん。姉妹水入らずだって」

美渡「なんか怒ってる?」

千歌「別にぃ~」

美渡「つか、どこに向かってんだ?」

千歌「最終目的地は決めてあるけど…」

美渡「最終? なんだ、いくつか候補があんの?」

千歌「候補って言うか、んぅ~…」

美渡「……帰っていい?」

千歌「むぅ!」

美渡「……調子狂うなぁ」



5: 名無しで叶える物語 2020/06/01(月) 23:59:24.22 ID:9Y6YQMcY.net

千歌「なんか飲み物買おうよ、あそこで」

美渡「ん? 自販か?」

千歌「違う! あそこ!」

美渡「あそこ…?」

千歌「むぅー!」

美渡「だからさっきからなんなんだよ…」

千歌「行くよ、ほらっ!」

美渡「うわっ! いきなり引っ張るなバカっ!!」

千歌「美渡姉の方がバカだもんっ!」

美渡「んだとぉ!?」

千歌「今日はとことん付き合って貰うからね! 約束したもん!!」

美渡「約束? そんなのした覚え…」

千歌「……着いた」

美渡「着いたって…」

美渡「駄菓子屋…?」



6: 名無しで叶える物語 2020/06/01(月) 23:59:58.16 ID:9Y6YQMcY.net

千歌「おばちゃーん!」

おばちゃん「ん~? どちらさんかね??」

千歌「久しぶり、おばちゃん! わたしだよっ!」

おばちゃん「はて…?」

千歌「ほら! 十千万旅館の…」

おばちゃん「十千万さん? んー…」

美渡「まだやってたんだ…」

おばちゃん「おや? 嬢ちゃんは見覚えがあるような…」

千歌「なんでさ! 千歌! 高海千歌だよ!」

おばちゃん「……ああ! 思い出した。おや、まあ。べっぴんさんになっちゃってぇ…」

千歌「えっへへぇ~! そうかな?」

おばちゃん「となると、あなたは美渡ちゃんかな?」

美渡「あ、どうも…」



7: 名無しで叶える物語 2020/06/02(火) 00:00:30.84 ID:lukHuNLh.net

おばちゃん「しばらく見ないうちに二人とも立派になって…。歳を取ったもんだねぇ…」

千歌「おばちゃんも元気そうで良かった」

おばちゃん「もうよぼよぼだけどねぇ」

美渡「懐かしい。あの頃と変わってない」

千歌「ほんとだー! あっ、このつまようじで食べるやつなつかしーっ!」

美渡「そういえばお前これ大好きだったよな。上の方に置かれてるから、私が取ってたんだっけか」

千歌「そうそう。毎回100円玉握りしめてさ」

美渡「うわ。ビッグカツ」

千歌「美渡姉はそれ好きだったよね!」

美渡「懐かしいな、本当」

千歌「でしょ?」



8: 名無しで叶える物語 2020/06/02(火) 00:01:01.47 ID:lukHuNLh.net

美渡「飲み物ついでに買うか」

千歌「じゃあ、わたしはこれ」

美渡「相変わらずだな。んじゃ、おばちゃんこれとこれ」

おばちゃん「はいよ」

美渡「飲み物は…」

千歌「問題です!」

美渡「はあ? いきなりなんだよ?」

千歌「わたしが飲みたいものはなんでしょうか!」

美渡「そんなのオレンジジュースだろ?」

千歌「違うしっ! あと、みかぁん! だからっ!」

美渡「同じじゃん…」

千歌「とにかくみかんジュースじゃないの」



9: 名無しで叶える物語 2020/06/02(火) 00:01:30.63 ID:lukHuNLh.net

美渡「んー? コーラとかサイダーとか?」

千歌「おお。惜しい」

美渡「惜しい? みかんサイダー?」

千歌「ぶっぶー」

美渡「えぇ…」

千歌「むぅ!」

美渡「だから今日のそれなんなんだよ…」

おばちゃん「はい、270円ね」

美渡「え? まだ飲み物決めてない…」

おばちゃん「なんだか懐かしくなって色々思い出してね。嬢ちゃんたちって言ったらこれだろう?」

カランっ…

千歌「ああ! おばちゃんダメじゃん、答え出しちゃ~!」

おばちゃん「ありゃ、ダメだったかねぇ~」

千歌「もーうっ」

美渡「ラムネ…」

千歌「はい、300円!」

おばちゃん「ありがとね」

美渡「いやそれくらい私が…」



10: 名無しで叶える物語 2020/06/02(火) 00:02:05.97 ID:lukHuNLh.net

千歌「……思い出した?」

美渡「何を?」

千歌「おばちゃん、お釣り~」

おばちゃん「はい、30円ね」

美渡「ちょっと千歌!」

千歌「おばちゃん、また来るね!」

おばちゃん「はいよ。また元気な顔見せておくれ」

千歌「はーい! 行くよ、美渡姉!」

美渡「なんなんだよ、いったい…」



11: 名無しで叶える物語 2020/06/02(火) 00:02:37.58 ID:lukHuNLh.net

おばちゃん「美渡ちゃんや」

美渡「あ、はい…」

おばちゃん「千歌ちゃん、立派になったねぇ」

美渡「まあ、昔よりかは…」

おばちゃん「美渡ちゃんはどうだい?」

美渡「私は、どうでしょうかね。自分ではなんとも」

おばちゃん「ふふふっ。色々あったのかねぇ」

美渡「あはは…」

「美渡姉ぇー!」

おばちゃん「ほら、お行き」

美渡「お騒がせしてすみません」

おばちゃん「うんうん。ありがとねぇ」

ガララッ…

「遅いよ!」

「んだよ、今日のお前変だぞ?」

「次、海行くよ、海!」

「はあ? ちょっと待て…千歌ってば!」

おばちゃん「……」

おばちゃん「ほっほっほっ。懐かしいねぇ…」



12: 名無しで叶える物語 2020/06/02(火) 00:03:07.41 ID:lukHuNLh.net

千歌「ちいさなビー玉ごぉしに~♪」

美渡「また懐かしい歌を…。てか、お前好きだったか?」

千歌「作詞やり始めてからたくさん歌聴いたもん。美渡姉からもCD借りたじゃん」

美渡「そうだっけか」

千歌「てか、ビー玉覗きながら美渡姉口ずさんでたし」

美渡「ああ。そんな記憶もあるような…」

千歌「じゃあ、思い出した?」

美渡「だから何を?」

千歌「むぅ! むぅー!」

美渡「約束ってなんなんだよ」

千歌「……ヒント」

美渡「ヒント?」

千歌「ビー玉、貝殻、クローバー」

美渡「はあ?」

千歌「という訳で、今から綺麗な貝殻を探します」

美渡「なんでそんなガキみたいな事…」

千歌「思い出さない美渡姉が悪い」

美渡「言われてもなぁ…」



13: 名無しで叶える物語 2020/06/02(火) 00:03:36.99 ID:lukHuNLh.net

千歌「……本当に思い出せない?」

美渡「うっ」

美渡「(やめろよ! 私、お前のその困ったような笑顔に弱いんだからさ…)」

千歌「……無理に付き合わせてるよね、わたし」

美渡「いや。そんな事は…」

千歌「あはは。そりゃそうだよね。約束自体は10年くらいも前だし…」

美渡「10年前…」

千歌「じゃあ、こうする」

美渡「は?」

千歌「わたし、先に目的地に行ってるからさ。美渡姉も思い出せたらたどり着けると思うからさ」

美渡「いや、そんな事言われても…」

千歌「美渡姉」

千歌「わたし、美渡姉みたいに強くなれたかな?」

美渡「え…」

千歌「待ってるから」

美渡「千歌っ! おいっ!」

カツンっ

美渡「ん?」



14: 名無しで叶える物語 2020/06/02(火) 00:04:19.85 ID:lukHuNLh.net

美渡「あいつなんか落として…」

美渡「……」

美渡「ビー玉、貝殻」

美渡「『クローバー』…」

『……弱い。けど…』

美渡「なんか今…」

美渡「と、とりあえず貝殻探しながら…!」

美渡「十年前…」

『………みとねえ……つよくなれたら…………いい?』

美渡「約束…」

『…無理だろうけど………』

美渡「…………はぁ」

『やくそく! ぜったいだよ!!』

美渡「……バカは私だったかなぁ」

美渡「貝殻はこんなんで良いや。問題はクローバー…」

美渡「待ってろ、千歌。『約束』、守るからな…!」



15: 名無しで叶える物語 2020/06/02(火) 00:04:49.85 ID:lukHuNLh.net

千歌「……美渡姉のばか」

千歌「忘れないでいてくれるって言ったのに…」

千歌「むぅぅぅ………!!」

千歌「美渡姉のバカああああああああああ!!!」

「近所迷惑だ、バカ千歌っ!!」

千歌「ほぇ?」

美渡「すっかり夕方じゃん…。疲れたぁ…」

千歌「美渡姉…」

美渡「ったく、20歳過ぎて草むらとにらめっこする羽目になるとは思わなかったわ」

千歌「……えへへ」

千歌「自分が言い出した事なのに、よく言うよ」

美渡「……だな」

千歌「……」

千歌「思い出した?」

美渡「……これだろ?」

千歌「えへへ、合格っ」



16: 名無しで叶える物語 2020/06/02(火) 00:05:14.63 ID:lukHuNLh.net

美渡「はあ…。つか、これわざと落としたのか?」

千歌「えっ?」

千歌「あれ? いつの間に!?」

美渡「たまたまかよ…。ほらよ」

千歌「ありがと」

美渡「えーっと。埋めたのは確かっと…」

千歌「にししっ」

美渡「スコップって。最初から掘り返す気満々じゃん」

千歌「信じてたもん」

美渡「へ?」

千歌「今も昔も。美渡姉の事。志満姉の事。お母さん、お父さんも…」

千歌「ずーーーっと! 大好きな家族だもんっ!!」

千歌「信じてるに決まってるよ!」

美渡「うっ//」

千歌「ほぇ? どしたの美渡姉?」

美渡「(ドキッとするから。本当。冗談抜きで)」



17: 名無しで叶える物語 2020/06/02(火) 00:05:40.36 ID:lukHuNLh.net

美渡「お前さ。こんなとこで本領発揮すんなよ」

千歌「ほんりょーはっきって?」

美渡「もういい…」

千歌「それより早く堀り出そっ!」

千歌「タイムカプセルっ!」

美渡「まあ、ただの缶カン箱だけどな」

千歌「タイムカプセルっ!!」

美渡「はいはい、わーったから」

千歌「はやくはやくっ」

美渡「今日は地面とにらめっこが多い日だこと…」

美渡「(私も、なんで忘れてたかな…)」



18: 名無しで叶える物語 2020/06/02(火) 00:06:03.97 ID:lukHuNLh.net

*───*───*

よう『よーちゃんはこれ! ビー玉!』

かなん『わたしはかいがら…かな。チカは?』

ちか『チカは…』

美渡『まだかー?』

よう『みとねえはいれないの?』

美渡『いーよ。ガキっぽいし』

かなん『じょーきゅーせぇだから?』

美渡『そ。お前らと違ってわたしはオトナなの』

ようかな『おおー!』

美渡『ふふん。つか、バカ千歌はいつまで悩んでんだよ』

ちか『うぅ…』



19: 名無しで叶える物語 2020/06/02(火) 00:06:27.50 ID:lukHuNLh.net

よう『ちかちゃんはなにをいれるの?』

ちか『く、クローバー…』

かなん『いーじゃん。はやくいれなよ』

ちか『でもこれ、みつばだからかっこわるい』

美渡『……』

よう『よーはみつばのクローバーも好きだよ!』

ちか『でもみつばはふつーだもんっ!』

かなん『よつばはなかなかみつからないもんねぇ…』

ちか『がんばってさがしたのに…』

美渡『…………はぁ』



20: 名無しで叶える物語 2020/06/02(火) 00:06:50.76 ID:lukHuNLh.net

ちか『うぅ…』

美渡『バカ千歌』

ちか『うぅ! ばかっていうな!』

美渡『ちょっと待ってろ』

ちか『……ふぇ?』

美渡『とりあえずまだ埋めるな。遊んどけ』

かなん『うん…』

よう『どこいくの?』

美渡『用事だ、用事』

かなん『んー。わかんないけど、わかった!』

よう『いってらっしゃ~い!』

ちか『みとねぇ…』

………



21: 名無しで叶える物語 2020/06/02(火) 00:07:12.40 ID:lukHuNLh.net

美渡『はぁ、疲れた…』

かなん『あっ、みとねぇかえってきた』

よう『おかえり!』

ちか『なにしてたの?』

美渡『……ほらよ』

ちか『あっ! よつばのクローバー!』

かなん『すごい! はじめてみた!』

よう『みえないよぉ~! よーにもみせて!』

よう『……あれ?』

美渡『ぎくっ』

よう『ちかちゃん、それなんかへんじゃない?』

ちか『ふぇ?』



22: 名無しで叶える物語 2020/06/02(火) 00:07:37.82 ID:lukHuNLh.net

かなん『へん? ん~~………………あっ』

かなん『セロハンでくっつけてる…』

ちか『……』

美渡『しょ、しょうがねぇだろ! 必死に探したけど見つかんなかったんだからさ!』

よう『みとねぇ、かっこわるいよぉ』

かなん『あはは…』

美渡『ぐぬぬ…』

ちか『これでいい』

美渡『千歌?』

ちか『みとねぇががんばってさがしてみつからないんだもん。チカじゃみつけっこないもん』

美渡『……』

ちか『それでもみとねぇがもってきてくれたから。これでいい!』

よう『ちかちゃん…』

かなん『ほんとうにそれでいいの?』

ちか『だってチカみたいだもん、これ』

ちか『よわそうで、いくじなしなチカみたいな…』

美渡『あっ…』

美渡『(また私は千歌にこんな顔を…)』



23: 名無しで叶える物語 2020/06/02(火) 00:08:01.47 ID:lukHuNLh.net

美渡『……よしっ』

美渡『はっ! そうだな。弱そうで中途半端な千歌みたいだし、お似合いだな!』

ちか『うぅ…』

よう『もってきたのみとねぇなの………に』

かなん『……みとねぇ?』

よう『(かなんちゃん、めちゃめちゃおこってるよぉ!)』

美渡『……今は、な』

ちか『ふぇ?』

美渡『お前はまだ確かに弱い。すっごく弱い』

美渡『けど、弱いって事は強くなれるって事だろ?』

ちか『つよくなれる?』

美渡『そう。難しい事言っても分かんないだろうし、簡単に言うと…』

美渡『そうだな。私みたいに強くなれ!』

ちか『みとねぇみたいにつよくなれたら、どーなるの?』

美渡『えーっと。どうなるかな?』



24: 名無しで叶える物語 2020/06/02(火) 00:08:28.19 ID:lukHuNLh.net

ちか『じゃあ、チカのおねがいきいて!』

美渡『お、おう。なんだ?』

ちか『ほんとのよつばのクローバーみつけて!』

美渡『……普通、自分で見つけてこそじゃない?』

ちか『じぶんでみつけたらつよくなったしょーめいにならないじゃん! みとねぇがチカをみとめたらクローバーをあげるの!』

美渡『表彰状みたいな感じか…』

ちか『そう! ひょーしょーじょー!』

美渡『ふーん…』

ちか『だから、きょうはこれをタイムカプセルに入れて、つよくなったらとりかえっこするの!』

美渡『本当の四つ葉のクローバーとか?』

ちか『うんっ!』

美渡『よしっ、そうするか』

ちか『じゃあ、みとねぇ? チカがつよくなれたらクローバーをあげる、いい?』

美渡『おう。まあ、無理だろうけど』

美渡『期待しててやるよ』

ちかみと『やくそく!』

ちか『ぜったいだよ!』

美渡『はいはい』



25: 名無しで叶える物語 2020/06/02(火) 00:09:01.59 ID:lukHuNLh.net

ちか『じゃあよーちゃん、かなんちゃん、埋めよ!』

よう『あ、えーっと。うん…』

かなん『…………はぁ』

かなん『みとねぇのいじわる』

美渡『ごめんって、な?』

かなん『チカのこと、バカにしすぎないようにね』

美渡『お、おう…』

美渡『(年下とは思えねえ!)』

よう『よ、よーそろ…』

ちか『どこにうめよっか~?』

*───*───*



26: 名無しで叶える物語 2020/06/02(火) 00:09:36.50 ID:lukHuNLh.net

美渡「(んな感じだったっけ…)」

千歌「あ! 見えた!」

美渡「なんかワクワクするもんだな」

千歌「にししっ」

美渡「ほら、取り出すぞ」

千歌「あんまり長く開けちゃダメだよ? よーちゃんと果南ちゃんには内緒で開けるんだから…!」

美渡「開けてる時間でなんか変わんのか?」

千歌「ほら。玉手箱的な…」

美渡「どういうことだよ…」

千歌「と、とにかく! サッと取って、サッと変えよ! 10年前の空気が漏れないように…! こう、なんて言うか…」

美渡「……」

美渡「(昔から本当に私は…)」

美渡「いや。待て待て待て」

美渡「(私は、この子には勝てないなぁ…)」

千歌「ほぇ?」



27: 名無しで叶える物語 2020/06/02(火) 00:09:59.80 ID:lukHuNLh.net

美渡「四つ葉は確かに持って来た。だが、渡すとは言ってない」

千歌「んなっ…!」

美渡「だってそうだろ? お前が私より強くなってるかが条件だったろ?」

千歌「いやいやいや! 美渡姉よりじゃなくて、美渡姉みたいにだから!」

美渡「たいして変わらん変わらん。さてと、判定は…」

千歌「ど、どうしよぉ…。美渡姉より強くなったかはしょーじきわかんないよぉ…」

美渡「顔、上げてみ」

千歌「んぅ…?」



28: 名無しで叶える物語 2020/06/02(火) 00:10:22.18 ID:lukHuNLh.net

美渡「(ああ、ダメだな…)」

千歌「……美渡姉?」

美渡「(いっぱい喧嘩して。姉ちゃんぶって。困らせて、困らせられて、また喧嘩して…)」

美渡「なんだかなぁ…」

千歌「な、なんで泣いてるの? 怒らせちゃった…?」

美渡「なんでだろうね? 分かんないよ…」

千歌「美渡姉…」

美渡「(酷いこともたくさん言った。もしかしたら、私のせいで諦めたモノもあるかもしれない。それでもこの子は、めげなかった…)」

美渡「千歌?」

千歌「ん?」



29: 名無しで叶える物語 2020/06/02(火) 00:10:51.68 ID:lukHuNLh.net

美渡「辛くなかったか…?」

千歌「……ううん」

美渡「悲しくなかったか?」

千歌「…ううん」

美渡「私の事、嫌いにならなかったか?」

千歌「ううん。嫌いになんかなるもんか」

千歌「大好きだもん、美渡姉の事」

千歌「…………チカの事、一番に考えてくれてる」

千歌「最高のお姉ちゃんだよ…」

美渡「本当に、ずるい子に育ったな…。お前はさ……」

千歌「えへへ。美渡姉のぎゅーって、ひさしぶり」

美渡「なら久々ついでにもうちょい」

千歌「うん、もうちょっとだけ…」

………



30: 名無しで叶える物語 2020/06/02(火) 00:11:13.89 ID:lukHuNLh.net

美渡「あーあ。ズボン汚れちゃったなぁ…」

千歌「わたしは素足なんだけど」

美渡「じゃあ、いーや」

千歌「良かないやい!」

美渡「いーんだよ、バカ千歌らしいし」

千歌「うがーっ! やっぱ美渡姉ナマイキだー!」

美渡「うっせぇ!」

千歌「にゃにを~!」

ちかみと「……」

ちかみと「…………ぷっ」

ちかみと「あっはっはっはっはっ…!!」

………



31: 名無しで叶える物語 2020/06/02(火) 00:11:36.71 ID:lukHuNLh.net

千歌「……よし。じゃあ、みんな待たせてるし行ってくるね」

美渡「千歌、ちょい待ち」

千歌「なんだよ、美渡姉…」

美渡「良いもんやる。こっち来い」

千歌「えー? おつかい任せるとか勘弁してよ?」

美渡「それもありか…」

千歌「むぅ!」

美渡「冗談だって! ほら、早く!」

千歌「……なーに? バスの時間もあるし急いでるんだけど…」

美渡「これ」

千歌「ほぇ?」

美渡「強くなったな、千歌…」



32: 名無しで叶える物語 2020/06/02(火) 00:12:04.19 ID:lukHuNLh.net

千歌「美渡、ねぇ…!」

千歌「美渡姉ぇ!!」

美渡「んがーっ! 暑苦しい! とっとと行けよバカ千……歌!」

千歌「あだっ!? いったぁ~~~い…」

美渡「約束はちゃんと守ったからな」

千歌「うん。大切にする!」

パチッ

千歌「似合う?」

美渡「あんま変わんねえや」

千歌「ひどっ!」

「千歌ちゃーん!」

「バス行っちゃうよ~!!」

千歌「今行く~!!」

千歌「じゃ、行ってくるね!」

美渡「おう。いってきな」



33: 名無しで叶える物語 2020/06/02(火) 00:12:34.88 ID:lukHuNLh.net

「おっまたせー!」

「遅いよ~! あれ? 千歌ちゃん、そのヘアピン…」

「ふふん。パワーアップしたのだ!」

「四つ葉かぁ~! 縁起良いじゃん!」


美渡「……」


掘り返したタイムカプセルから取り出した三つ葉のクローバーは、色褪せていた。今の私みたいに。私のヘアピンもそんな色してるし、なんか笑っちゃった。

私はまだ、自分を認められない色褪せた三つ葉のクローバーだけど。

いつか、あの子と同じ色の『強さ』を身に付けられますように。


美渡「さてと、明日からの仕事も気合い入れてくかな」



34: 名無しで叶える物語 2020/06/02(火) 00:12:52.24 ID:lukHuNLh.net





35: 名無しで叶える物語 2020/06/02(火) 00:13:50.13 ID:lukHuNLh.net

前作

美渡「襖越の背中合わせ」

またちかみと姉妹です。
好きなんだよなぁ…


元スレ
千歌 「欠けた四つ葉」 美渡 「褪せた三つ葉」