1: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2017/12/22(金) 01:26:09.677 ID:JgZ1lc9k0.net
マラソン大会――
ザッザッザッ…
男「……」タッタッタ…
実況『早い早い! どんどん順位を上げていく! ゴボウ抜きだァ!』
解説『ほう、ゴボウ抜きマラソンランナーですか……たいしたものですね』
5: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2017/12/22(金) 01:29:08.998 ID:JgZ1lc9k0.net
タッタッタ…
男「……」グッ
実況『ゴール直前で最後の一人を抜き、ガッツポーズとともに一着でゴールだァ!』
解説『超人的な逆転劇というほかはない』
パシャッ パシャシャッ パシャッ
記者「おめでとうございます!」
男「ありがとうございます」
記者「素晴らしいレースでしたね。絶対一位になるという気迫を感じました」
男「ええ、最後は気力だけで走り抜きました」
記者「これで、世界大会の切符をぐっと引き寄せられたんじゃないですか?」
男「世界大会を意識すると固くなるので、あくまで自分のレースをするよう心がけますよ」
男(嘘だ。メチャクチャ意識しまくってる)
男(そしてこのゴボウ抜きにも、もちろん秘密がある)
男(それは――)
――
――――
男「はぁ、はぁ、はぁ」
男(タイムは……?)
男「ダメだダメだダメだ! こんなタイムじゃとても世界大会には出られない!」
男(今度のマラソン世界大会、枠はほぼ埋まっていて、残る枠はたった一つ)
男(だが、今のところそれにもっとも近いのが俺のライバルだ)
男(一方の俺は、このところレースでは微妙な順位が続いてるし……)
男(残るあとわずかの選考レース、全部優勝するつもりで走らないと……)
おっさん「おめえ、TVで見た顔だなぁ~」
男「え?」
おっさん「あ、思い出した! おめえ有名なマラソン選手だべ!」
男「ど、どうも……」
おっさん「今度の世界大会にももちろん出るんだろ? 頑張ってくれよ!」
男「アハハ……」
おっさん「あ、そうだ! よかったら、野菜食っていかねえか?」
男「いえ、走ったばかりなんで……」
おっさん「絶対うまいから! 食ってみてくれ!」グイッ
男「うまい!」ガツガツ
男「こんなうまい野菜は初めてだ!」ボリボリ
おっさん「そりゃあ肥料が違うからなぁ」
男「肥料ひとつでこんな変わるもんなんですか?」
おっさん「マラソンだって一緒だろ? ドリンクやシューズひとつで結果が変わるでねえか」
男「たしかに……」
おっさん「ところで、おめえさん……」
おっさん「なんか悩みがあるんじゃねえか?」
男「!」ドキッ
おっさん「当ててやろうか……」
おっさん「さては世界大会のことだべな?」
男「!!」ドキドキッ
おっさん「当たったみてえだな」
男(なんだこのおっさん、とぼけた見かけによらずメチャクチャ鋭いぞ)
おっさん「ほうほう、ライバルに負けたくねえってわけか」
男「はい……」
おっさん「だったら意地でも勝つしかねえべ」
おっさん「まだチャンスはあるんだ。諦めちゃなんねえ」
男「しかし、最近はあいつに負けっぱなしですし、このままでは敗北は見えてます」
男「それに実績も足りない。残る選考レース、全部一着になるぐらいでないと……」
男「だけど、そんなのできっこない……!」
おっさん「……」
おっさん「ふ~む、ここで会ったのもなんかの縁だべ」
おっさん「だったらこれやるだよ」
男「なんですかこれ? ゴボウ……ですよね」
おっさん「こいつは“ゴボウ抜きゴボウ”だべ」
男「ゴボウ抜きゴボウ……?」
おっさん「これをかじればそのレースは絶対にゴボウ抜きできる」
男「ハハ、まさか」
おっさん「あ、信じてねえな?」
男「そりゃそうでしょう。ゴボウかじって勝てたら苦労しませんよ」
おっさん「なら騙されたと思って、次のレース、それの欠片をこっそり食ってみるといいべ」
男「……気が向いたらやってみますよ」
おっさん「ま、実力で勝てるなら、それに越したことねえしな! アッハッハ!」
男「……」
次のレース――
男「……」タッタッタ
男(ダメだ……勝てない! 完全にスランプに陥ってる!)
男(今日のレースはライバルがいないのに、優勝どころか三着以内にも入れない……)
男(……ダメもとでこれを食ってみるか)
ポリッ
男「うおおっ!?」ギュンッ
男(な、なんだこりゃ!?)
男(すごいすごい!)
男(みるみるうちに前を走ってる奴を追い抜いていく!)
タッタッタッタッタ…
男「これが……これが“ゴボウ抜きゴボウ”かぁっ!!!」
実況『ゴボウ抜きの末、一着でゴールだァッ!』
男「やった!」
ワァァァァ……!
男(世界大会への道が首の皮一枚でつながった!)
男(いや、この“ゴボウ抜きゴボウ”さえあれば、確実に出場できる!)
男(それどころか、世界大会でも優勝できる! そうなりゃ俺は国民的ヒーローだ!)
――――
――
男(――というわけだ)
男(今日のレースでもゴボウ抜きできたのは、全てこの“ゴボウ抜きゴボウ”のおかげ)
記者「……もしもし?」
男「は、はいっ?」
記者「ゴボウ抜きでの勝利を続けてますが、なにか秘密がおありなんですか?」
男「秘密? そんなものありはしませんよ」
男「今まで地道に積み重ねた努力が、ここにきて実ったということなんでしょう!」
その後も――
男「よぉっし、また勝てた!」
ワァァァ…
男「ゴボウ抜きで一位だぁっ!」
ワァァァァ…
男(残るレースはあと一つ。最終選考レースでライバルと直接対決だ!)
――――
――
男(世界大会最終選考レース……枠が決まってる奴らはもう出場しないから)
男(俺とライバルの一騎打ちになるのは間違いない)
記者「今度のレースに向けて意気込みをお願いします!」
ライバル「世界大会に出ることが全てです! 命をかけて走ります!」
男(命をかける? 笑わせるな、たかがマラソンで)
男(それにお前はどうせ負けるんだ。俺の“ゴボウ抜きゴボウ”によってな)
記者「意気込みをお願いします!」
男「もちろん……命をかけるつもりですよ」
レース当日――
パァンッ!
ワァァァァァ…
男「……」タッタッタ
ライバル「……」タッタッタ
実況『始まりました! 世界大会最終選考レース!』
実況『とはいえ、実質はあの二人の一騎打ち! さぁ、どちらが切符を手にするのか!?』
男「ぐ……!」
ライバル「……」タッタッタ
男(やはり素の力では奴の方が上か! とても敵わない! どんどん引き離される!)
男(もう使うか? いや、最後のレースだしどうせなら劇的に勝ちたい)
男(もっと引き離されてからでも遅くはないだろ)
男(だいぶ離された……よし、この辺でいいだろう)
男(ここでゴボウ抜きゴボウを食う!)ポリッ
ギュンッ!
男「お、お、お、速い速い速い! あいつをゴボウ抜きしてやるぅ!」
タッタッタッタッタ…
ライバル(速い! みるみる追いついてくる! やはりこいつの実力は本物だったか!)
ライバル(俺は間違いなく追い抜かれて、世界大会を逃すだろう……だったら!)
ライバル「……」タッタッタ
男「!?」
男(あいつどこ行くんだ!? コースを外れやがった!)
男(諦めてレースを捨てたか……まあ、命をかけるとまでいったんだ)
男(俺に抜かれるのは耐えられなかったんだろう)
男(だったら、遠慮なく俺が一位をもらうぜ!)ダッ
ギュンッ!
男「!?」
男(あ、あれ……!?)
男(俺の体がライバルについてってしまう! コースを外れて暴走したライバルに!)
男(これは……ゴボウ抜きゴボウのせいなのか!?)
男(ダメだ……体で逆らっても、スピードが落ちるだけで止まらない……!)ググッ…
ライバル「……」タッタッタ…
タッタッタ…
ライバル「……」タッタッタ…
男(こいつ、どこ行くんだ!?)
男(どこまで行くんだよぉぉぉぉぉ!)
男(ゴボウを吐き出せば……ダ、ダメだ! 走りながらじゃ吐き出せない!)オエッ
タッタッタ…
ライバル(ガードレールのない、いい峠道だ)
ライバル(世界大会に出られないぐらいなら、あいつに負けるぐらいなら……)
ライバル(ここから身を投げて死のう……)ピタッ
ライバル「――ん?」
タッタッタッ
男「わっ、わっ、わっ! 今あいつを抜いたらっ! 抜いたらぁぁぁっ!」
男「止まらないぃぃぃぃっ! 止めてくれぇぇぇぇっ!」
男「うわああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」
タッタッタッタッタ…
ヒュルルルルル…
グチャッ
ライバル(あいつ、何やってんだ……!?)
ライバル(昨日現れたおっさんのいうとおりにしたら、あいつが落ちてしまった……)
おっさん『もしも次の最終選考マラソンで、あの男に抜かれる、もう敵わない、と思ったら』
おっさん『どこでもいい。高い崖みたいな場所から身投げしようとしてくれ』
おっさん『そしたら、もしかしたらあんたにとっていいことが起こるかもしれねえだ』
おっさん『本当に命かける気ならそれぐらいできるべ?』
ライバル(何者だったんだ、あのおっさんは……)
おっさん「おお~、グチャグチャだべ。ひでえもんだ」
おっさん「ま、これもズルして勝とうとした罰ってことだべなぁ」
おっさん「あのライバルはこのレースは放棄しちまったけど、他にいい選手いねえし」
おっさん「命はあるんだから残る一枠には入れてもらえるにちげえねえべ」
おっさん「オレもこうして新鮮で良質な肥料が手に入ったし、めでたしめでたし、だべ」
― 終 ―
元スレ
タッタッタ…
男「……」グッ
実況『ゴール直前で最後の一人を抜き、ガッツポーズとともに一着でゴールだァ!』
解説『超人的な逆転劇というほかはない』
6: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2017/12/22(金) 01:32:05.708 ID:JgZ1lc9k0.net
パシャッ パシャシャッ パシャッ
記者「おめでとうございます!」
男「ありがとうございます」
記者「素晴らしいレースでしたね。絶対一位になるという気迫を感じました」
男「ええ、最後は気力だけで走り抜きました」
記者「これで、世界大会の切符をぐっと引き寄せられたんじゃないですか?」
男「世界大会を意識すると固くなるので、あくまで自分のレースをするよう心がけますよ」
男(嘘だ。メチャクチャ意識しまくってる)
男(そしてこのゴボウ抜きにも、もちろん秘密がある)
男(それは――)
8: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2017/12/22(金) 01:35:05.458 ID:JgZ1lc9k0.net
――
――――
男「はぁ、はぁ、はぁ」
男(タイムは……?)
男「ダメだダメだダメだ! こんなタイムじゃとても世界大会には出られない!」
11: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2017/12/22(金) 01:37:17.153 ID:JgZ1lc9k0.net
男(今度のマラソン世界大会、枠はほぼ埋まっていて、残る枠はたった一つ)
男(だが、今のところそれにもっとも近いのが俺のライバルだ)
男(一方の俺は、このところレースでは微妙な順位が続いてるし……)
男(残るあとわずかの選考レース、全部優勝するつもりで走らないと……)
13: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2017/12/22(金) 01:40:27.354 ID:JgZ1lc9k0.net
おっさん「おめえ、TVで見た顔だなぁ~」
男「え?」
おっさん「あ、思い出した! おめえ有名なマラソン選手だべ!」
男「ど、どうも……」
おっさん「今度の世界大会にももちろん出るんだろ? 頑張ってくれよ!」
男「アハハ……」
おっさん「あ、そうだ! よかったら、野菜食っていかねえか?」
男「いえ、走ったばかりなんで……」
おっさん「絶対うまいから! 食ってみてくれ!」グイッ
14: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2017/12/22(金) 01:43:21.075 ID:JgZ1lc9k0.net
男「うまい!」ガツガツ
男「こんなうまい野菜は初めてだ!」ボリボリ
おっさん「そりゃあ肥料が違うからなぁ」
男「肥料ひとつでこんな変わるもんなんですか?」
おっさん「マラソンだって一緒だろ? ドリンクやシューズひとつで結果が変わるでねえか」
男「たしかに……」
おっさん「ところで、おめえさん……」
16: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2017/12/22(金) 01:46:54.597 ID:JgZ1lc9k0.net
おっさん「なんか悩みがあるんじゃねえか?」
男「!」ドキッ
おっさん「当ててやろうか……」
おっさん「さては世界大会のことだべな?」
男「!!」ドキドキッ
おっさん「当たったみてえだな」
男(なんだこのおっさん、とぼけた見かけによらずメチャクチャ鋭いぞ)
18: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2017/12/22(金) 01:50:57.350 ID:JgZ1lc9k0.net
おっさん「ほうほう、ライバルに負けたくねえってわけか」
男「はい……」
おっさん「だったら意地でも勝つしかねえべ」
おっさん「まだチャンスはあるんだ。諦めちゃなんねえ」
男「しかし、最近はあいつに負けっぱなしですし、このままでは敗北は見えてます」
男「それに実績も足りない。残る選考レース、全部一着になるぐらいでないと……」
男「だけど、そんなのできっこない……!」
おっさん「……」
19: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2017/12/22(金) 01:52:16.429 ID:JgZ1lc9k0.net
おっさん「ふ~む、ここで会ったのもなんかの縁だべ」
おっさん「だったらこれやるだよ」
男「なんですかこれ? ゴボウ……ですよね」
おっさん「こいつは“ゴボウ抜きゴボウ”だべ」
男「ゴボウ抜きゴボウ……?」
20: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2017/12/22(金) 01:55:46.477 ID:JgZ1lc9k0.net
おっさん「これをかじればそのレースは絶対にゴボウ抜きできる」
男「ハハ、まさか」
おっさん「あ、信じてねえな?」
男「そりゃそうでしょう。ゴボウかじって勝てたら苦労しませんよ」
おっさん「なら騙されたと思って、次のレース、それの欠片をこっそり食ってみるといいべ」
男「……気が向いたらやってみますよ」
おっさん「ま、実力で勝てるなら、それに越したことねえしな! アッハッハ!」
男「……」
22: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2017/12/22(金) 01:58:53.581 ID:JgZ1lc9k0.net
次のレース――
男「……」タッタッタ
男(ダメだ……勝てない! 完全にスランプに陥ってる!)
男(今日のレースはライバルがいないのに、優勝どころか三着以内にも入れない……)
男(……ダメもとでこれを食ってみるか)
ポリッ
男「うおおっ!?」ギュンッ
23: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2017/12/22(金) 02:01:09.202 ID:JgZ1lc9k0.net
男(な、なんだこりゃ!?)
男(すごいすごい!)
男(みるみるうちに前を走ってる奴を追い抜いていく!)
タッタッタッタッタ…
男「これが……これが“ゴボウ抜きゴボウ”かぁっ!!!」
25: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2017/12/22(金) 02:05:00.180 ID:JgZ1lc9k0.net
実況『ゴボウ抜きの末、一着でゴールだァッ!』
男「やった!」
ワァァァァ……!
男(世界大会への道が首の皮一枚でつながった!)
男(いや、この“ゴボウ抜きゴボウ”さえあれば、確実に出場できる!)
男(それどころか、世界大会でも優勝できる! そうなりゃ俺は国民的ヒーローだ!)
――――
――
26: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2017/12/22(金) 02:07:24.675 ID:JgZ1lc9k0.net
男(――というわけだ)
男(今日のレースでもゴボウ抜きできたのは、全てこの“ゴボウ抜きゴボウ”のおかげ)
記者「……もしもし?」
男「は、はいっ?」
記者「ゴボウ抜きでの勝利を続けてますが、なにか秘密がおありなんですか?」
男「秘密? そんなものありはしませんよ」
男「今まで地道に積み重ねた努力が、ここにきて実ったということなんでしょう!」
28: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2017/12/22(金) 02:10:48.267 ID:JgZ1lc9k0.net
その後も――
男「よぉっし、また勝てた!」
ワァァァ…
男「ゴボウ抜きで一位だぁっ!」
ワァァァァ…
男(残るレースはあと一つ。最終選考レースでライバルと直接対決だ!)
――――
――
29: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2017/12/22(金) 02:15:53.138 ID:JgZ1lc9k0.net
男(世界大会最終選考レース……枠が決まってる奴らはもう出場しないから)
男(俺とライバルの一騎打ちになるのは間違いない)
記者「今度のレースに向けて意気込みをお願いします!」
ライバル「世界大会に出ることが全てです! 命をかけて走ります!」
男(命をかける? 笑わせるな、たかがマラソンで)
男(それにお前はどうせ負けるんだ。俺の“ゴボウ抜きゴボウ”によってな)
記者「意気込みをお願いします!」
男「もちろん……命をかけるつもりですよ」
30: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2017/12/22(金) 02:18:16.448 ID:JgZ1lc9k0.net
レース当日――
パァンッ!
ワァァァァァ…
男「……」タッタッタ
ライバル「……」タッタッタ
実況『始まりました! 世界大会最終選考レース!』
実況『とはいえ、実質はあの二人の一騎打ち! さぁ、どちらが切符を手にするのか!?』
32: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2017/12/22(金) 02:22:52.682 ID:JgZ1lc9k0.net
男「ぐ……!」
ライバル「……」タッタッタ
男(やはり素の力では奴の方が上か! とても敵わない! どんどん引き離される!)
男(もう使うか? いや、最後のレースだしどうせなら劇的に勝ちたい)
男(もっと引き離されてからでも遅くはないだろ)
35: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2017/12/22(金) 02:26:20.429 ID:JgZ1lc9k0.net
男(だいぶ離された……よし、この辺でいいだろう)
男(ここでゴボウ抜きゴボウを食う!)ポリッ
ギュンッ!
男「お、お、お、速い速い速い! あいつをゴボウ抜きしてやるぅ!」
タッタッタッタッタ…
ライバル(速い! みるみる追いついてくる! やはりこいつの実力は本物だったか!)
ライバル(俺は間違いなく追い抜かれて、世界大会を逃すだろう……だったら!)
36: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2017/12/22(金) 02:29:26.153 ID:JgZ1lc9k0.net
ライバル「……」タッタッタ
男「!?」
男(あいつどこ行くんだ!? コースを外れやがった!)
男(諦めてレースを捨てたか……まあ、命をかけるとまでいったんだ)
男(俺に抜かれるのは耐えられなかったんだろう)
男(だったら、遠慮なく俺が一位をもらうぜ!)ダッ
37: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2017/12/22(金) 02:31:20.112 ID:JgZ1lc9k0.net
ギュンッ!
男「!?」
男(あ、あれ……!?)
男(俺の体がライバルについてってしまう! コースを外れて暴走したライバルに!)
男(これは……ゴボウ抜きゴボウのせいなのか!?)
男(ダメだ……体で逆らっても、スピードが落ちるだけで止まらない……!)ググッ…
ライバル「……」タッタッタ…
38: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2017/12/22(金) 02:34:07.263 ID:JgZ1lc9k0.net
タッタッタ…
ライバル「……」タッタッタ…
男(こいつ、どこ行くんだ!?)
男(どこまで行くんだよぉぉぉぉぉ!)
男(ゴボウを吐き出せば……ダ、ダメだ! 走りながらじゃ吐き出せない!)オエッ
タッタッタ…
39: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2017/12/22(金) 02:37:34.855 ID:JgZ1lc9k0.net
ライバル(ガードレールのない、いい峠道だ)
ライバル(世界大会に出られないぐらいなら、あいつに負けるぐらいなら……)
ライバル(ここから身を投げて死のう……)ピタッ
ライバル「――ん?」
タッタッタッ
男「わっ、わっ、わっ! 今あいつを抜いたらっ! 抜いたらぁぁぁっ!」
男「止まらないぃぃぃぃっ! 止めてくれぇぇぇぇっ!」
男「うわああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」
タッタッタッタッタ…
41: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2017/12/22(金) 02:39:32.456 ID:JgZ1lc9k0.net
ヒュルルルルル…
グチャッ
42: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2017/12/22(金) 02:42:51.376 ID:JgZ1lc9k0.net
ライバル(あいつ、何やってんだ……!?)
ライバル(昨日現れたおっさんのいうとおりにしたら、あいつが落ちてしまった……)
おっさん『もしも次の最終選考マラソンで、あの男に抜かれる、もう敵わない、と思ったら』
おっさん『どこでもいい。高い崖みたいな場所から身投げしようとしてくれ』
おっさん『そしたら、もしかしたらあんたにとっていいことが起こるかもしれねえだ』
おっさん『本当に命かける気ならそれぐらいできるべ?』
ライバル(何者だったんだ、あのおっさんは……)
43: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2017/12/22(金) 02:46:21.541 ID:JgZ1lc9k0.net
おっさん「おお~、グチャグチャだべ。ひでえもんだ」
おっさん「ま、これもズルして勝とうとした罰ってことだべなぁ」
おっさん「あのライバルはこのレースは放棄しちまったけど、他にいい選手いねえし」
おっさん「命はあるんだから残る一枠には入れてもらえるにちげえねえべ」
おっさん「オレもこうして新鮮で良質な肥料が手に入ったし、めでたしめでたし、だべ」
― 終 ―
実況「ゴボウ抜きだァ!」解説「ほう、ゴボウ抜きマラソンランナーですか……たいしたものですね」
相手はあの末堂先輩だぜ