1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/02(日) 20:35:06.92 ID:h++ZpCnS0
インターミドル個人戦決勝
ワアアアアアアアア!
高遠原中学、原村和選手、ついに二条泉選手を抜き去り、1位に浮上しました!
白糸台スカウト「どうだい、大星君。日本のインターミドルは。」
淡「んー、正直私の敵じゃないねっ。なにせ私の実力は高校100年生級だからね!」
スカウト「ははっ、頼もしいね。それで、どうかな…?白糸台に入ってくれるかい?」
淡「ちょっと考えさせてほしいかな。」
スカウト「わかった。入る気になったらいつでも連絡してくれ。私は君が白糸台に入ってくれるのを心待ちにしているよ。」
淡「りょーかい!それじゃあバイバーイ。」
ワアアアアアアアアアアアアアア!
決まったあああああああああああああああ!
高遠原中学、原村和選手インターミドル個人戦優勝決定です!
4: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/02(日) 20:38:56.55 ID:h++ZpCnS0
淡「どうしようかなぁ。」
白糸台のスカウトから誘いを受けて、白糸台の練習には何度か参加させてもらった。
日本の高校生のレベルを舐めていた私は、そこで出会ったテルという高校生に負けて衝撃を受けた。
テルがいるなら部活は楽しめそう。
それにテルが言うには、1つ下の学年には(私にとっては1つ上)手強いと感じた相手が3人もいるみたい。
「でもな~。さっきのインターミドル見る限りじゃ同じ学年の相手は期待できないよね……。」
日本のアニメや漫画に強い影響を受けていた私は、スポーツものでよくある同い年のライバルというものに憧れていた。
だから、スカウトの人にお願いしてインターミドルの試合を見に来たんだけど……結果はがっかりだった。
淡「あんな実力で優勝できちゃうなんてなぁ。これならイギリスで続けた方がマシかも。」
イギリスでも同い年で私と互角な相手はいなかったけど、さっきの優勝者よりははるかに強かった。
淡「よーし、決めた。やっぱりイギリスで続けようっと!ってあれ?」
ここ……どこだろう。
考え事をしながら歩いていた私はいつのまにか知らない道を歩いていた。少し戻って辺りを見渡してみるけど
淡「まったくもってわからない!」
ズビシッ!
と片手を腰に当て、指を前に突出し、無駄にポーズを取って宣言してみたりした。
こうなったら誰か捕まえて道を聞くしかないね。
辺りを見渡してみる。
えっと、あの人は……やめとこう。
私は英語ができるから外国人に話しかけることに抵抗はないけど
街中でカップラーメンを食べながら、ラーメンはムゲンとかなんとかブツブツいってる人に話しかけるのはさすがに抵抗がある。
もう1人近くに同い年ぐらいに見える黒髪のおとなしそうな女の子がいるしこっちの子に聞いてみよう。
淡「へい、そこのおじょうさん!」
?「な、なんですか?」
なんだかビクッとされてしまった。
淡「ちょっと迷っちゃって、道を聞きたいんだけどいいかな?」
?「あ、はいどうぞ。」
淡「ホテルレジェンド東京に行きたいんだけどわかる?」
?「あっ、私そこに泊まってるんです。」
淡「ホントにっ!じゃあよかったら案内してくれないかな。」
?「わかりました。任せてください。」
よかったぁ。これで万事解決だねっ。
歩くこと30分経過
あまり喋るのが得意じゃない女の子なのか、最初は私が一方的に話すだけだったけど、話すうちに何とか打ち解けてきた。
これでもコミュニケーション能力には自信があるのですっ。
聞き出したところによると、彼女は私と同い年で、名前は咲というらしい。
名前に続けて名字を言おうとしてたみたいだけど
ファーストネームを聞いたところで「わかった。じゃあサキーって呼ぶね」って抱き着いたら
ビックリしたみたいで話を打ち切らせてしまった。反省反省。
でも、改めて名字を聞くのもあれだし、私はいつもファーストネームで相手を呼ぶからまあいいかな。
彼女は東京に住んでるんじゃなくて、家は長野に住んでるんだって。
東京へはお姉ちゃんに会いに来たらしい。
お姉ちゃん思いのいい子だね、うんうん。
さらに歩くこと30分経過
淡「それでさ、サキー。」
咲「う、うん……。」
淡「ここどこ……?本当にホテルに向かってる?」
咲「そのはずだったんだけど……どこだろうねここ……。」
私たちが泊まっているホテルはインターミドルの会場から20分ぐらい歩いたところだったし、もうとっくについてないとおかしい。
それにこの景色は……
淡「どうみても海だよね……」
咲「海だね……」
淡「私たちが泊まってるホテルの近くに海なんてあったっけ?」
咲「ない……かな。」
淡「だよね……。」
これは……迷ったね。
うん、もう完璧なまでに迷ったね。
まあ、私もサキもこの辺の土地勘がないからしょうがないね。
別に私たちが方向音痴なわけじゃない。
淡「もうタクシー捕まえよっか?」
咲「うん、そうしよう。」
同意を得たところでタクシーを探していたけど
ゴロゴロゴロゴロ
なんだか雲行きが怪しくなってきた。
淡「天気の神様お願い、頼むからまだ降らせないでねっ!」
天に向かって手を合わせてお祈りしてみるけど
ザアアアアアアアアアアアッ!
途端に雨が降ってきた。
咲「きゃあああああああ!」
淡「うわーん、神様のバカァァァァァァ!」
日頃いい子にしてるはずなのに!
咲「淡ちゃん、どこか建物に避難しようよ!」
淡「そうだねっ。あっ、あそこに雀荘がある。あそこに入ろう!」
咲「え……雀荘」
淡「なにしてるのサキッ。早く行くよ!」
咲「う、うん。」
私はなぜだか戸惑っているような咲の手をつかんで引っ張っていく。
淡「ふぅ、近くに雀荘があって助かったね!」
咲「う、うん、そうだね。」
まだ、何か戸惑ってるみたい。
あっ、そうか。普通、女子中学生は雀荘なんて入ったことないよね。
だから戸惑ってるんだ。
勝手に自己解決してうんうんと頷く。
淡「サキー。せっかく雀荘に入ったんだし雨があがるまでの暇つぶしに麻雀やろ!」
咲「え……でも。」
淡「だーいじょうぶ!ルールなら私が手取り足取り教えてあげるからさっ。」
ドンッと胸を叩いたけど、胸が揺れないのが悲しい。
でも、中学生だしまだまだこれからだよね。それに揉んでみた感じだとサキやテルよりは私の方があるみたいだし。
咲「えっと、ルールは知ってるんだ……」
淡「そうなの?じゃあ早速やろうよ。すみませーん、メンバーに入れてくださーい!」
咲「うぅ、麻雀は好きじゃないのに……。」
淡「えっ、何か言った?」
咲「ううん、なんでもないよ」
淡「よーし、じゃあよろしくねサキッ!」
咲「うん、よろしくね淡ちゃん。」
……これはなに……?
咲「カン、もいっこカン、もいっこカン!ツモ!」
花?そう、花が咲き乱れてる。
咲「嶺上開花・断幺・対々、三暗刻・三槓子、8000オールです。」
私が負けた……?
ゾクッ
面白い!
咲「えっと、淡ちゃん……?」
淡「サキッ、もう1回やろう、もう1回!」
咲「う、うん。」
咲「これは……宇宙……?」
淡「へぇ、やっぱり咲にもそう見えるんだ。」
イギリスのプロの人もテルも、私と麻雀をすると宇宙が見えるって言ってたっけ。
私は昔から配牌の前に私が完成させたい役を思い浮かべると
その役を完成させるのに必要な牌が、引き寄せられるかのように集まってきた。
そう、まるで私自身がブラックホールになったかのように。
まあ、さすがに高い役になるとそんなに簡単にはいかないんだけどね。
淡「ロン。三暗刻・ドラ1、6400。今度は私の勝ちだね。」
咲「うん。」
淡「よーし、もう1回やろうよ。」
淡「これで5勝5敗。」
咲「淡ちゃん……?」
サキがさっきから下を向いてブルブルと肩を小刻みに振るわせてる私を見て怪訝に思ってるみたい。
それはそうだよね、これじゃあ誰がどう見ても不審者だ。
でも、しょうがないじゃん。
咲「あの、もしかし気分悪くさせちゃった……?」
淡「ううん、そんなわけないよ。」
そう、そんなわけがない。
ようやく見つけた私のライバル……!
アハ、あなたは最高だよっ、サキ!!
咲「あっ、淡ちゃん、雨止んだみたいだよ!」
そっか。天気の神様も私を祝福してくれてるんだね。
サキと麻雀を打つ機会を与えてくれありがとう神様。
淡「じゃあ、サキ。最後にもう1回だけ打ってから帰ろうか。」
咲「うん、そうしよっか。」
よーし、絶対サキに勝ち越してやる。なんて思ってると
?「咲、帰りが遅いから迎えにきたぞ。ホテルに帰ろう」
知らないおじさんが話しかけてきた。
咲「え、お父さん!?」
あ、サキのお父さんだったんだ。
咲父「しかし、いったいなんでこんなところにいるんだ?」
咲「ちょっと道に迷ってるうちに雨が降ってきちゃって雨宿り……。」
咲父「また、迷っていたのか……。GPSをつけておいてよかったよ。毎度のことだけど筋金入りの方向音痴だなおまえは。」
咲「そ、そんなことないよ……たぶん。」
うーん、どうやら私は道案内を頼む相手を完全に間違えてたみたいだね。
サキってば方向音痴なんだ。
テルみたいだね。
咲父「ところで、そちらのお嬢さんはお知り合いかな?」
咲「あ、淡ちゃんていうの。街中で知り合って仲良くなったんだ。」
淡「はじめまして。大星淡といいます。」
咲父「娘が世話になったようだね。」
淡「いえいえ、こちらこそサキさんにはお世話になりました。」
咲「えっと、淡ちゃんそんなキャラだったっけ?」
サキが若干不気味なものをみるような目で見てきてるけど、まったく失礼な。
私だって年上の人に対する礼儀ぐらいわきまえてるんだよ!
咲父「咲、外にタクシーを待たせてるからそろそろ行こうか。」
咲「あ、うん。淡ちゃん悪いんだけど勝負は……。」
うーん、残念だけど、タクシーやサキのお父さんを待たせるわけにはいかないよね。
淡「しょうがない、じゃあ勝負は引き分けだね。」
咲「うん、じゃあ、淡ちゃんも一緒にタクシーで帰ろう。」
淡「えっ、いいの?」
咲「お父さん、いいよね?」
咲父「もちろんだとも。」
淡「ありがとうございます!」
ブロロロロロロ、キィ、バタン
淡「やっとホテルに戻ってこれた~!」
咲「もうクタクタだよね。淡ちゃん、今日は楽しかったよ、ありがとう。」
淡「どーいたしまして。こちらこそ楽しかったよ、サキー。」
咲「それじゃあ、ばいばい淡ちゃん」
淡「ばいばーいサキー。」
あ、そういえば連絡先聞かなきゃ。
淡「サキー、ってもういない。」
うーん、疲れちゃったし、まあ明日でいっか。
淡「私も部屋に戻ろっと。」
ガチャ
淡「たぁーっ!」
ドアを開けて部屋に入りベッドにダイブ。
ちょっとはしたないけど誰も見てないしいいよね。
淡「あは、あははははっ!」
寝転がっているとライバルに巡り合えた興奮が蘇ってくる。
今日はほんと最高の1日になったね。
興奮を抑えきれず、枕を抱いてゴロゴロとベッドの上を転がる私。
次にサキと麻雀を打つ機会が楽しみでしょうがない。
淡「あっ、そうだ。パパとママにメールで報告しようっと。」
淡「送信っと、これでよし」
チュンチュン
淡「ふぁ~、もう朝かぁ。」
昨日は興奮してなかなか寝付けなかったから、まだ、ちょっと眠いけど……
サキの連絡先聞きにいかないとね。
でも、どうやって探そう。
フロントの人に聞けばいいかな。
メデューサのように荒ぶっていた寝癖を直して早速フロントに向かってみる。
淡「すみませーん、サキっていう女の子どの部屋に泊まってるかわかりますか?」
フロント「申し訳ありませんが、下の名前だけではわかりかねます。名字も教えていただけますか?」
ああ、サキの名字ね、サキの名字。
はて……サキの名字?
………………。
そういえば結局聞いてないままだよ!聞いとけばよかったなぁ。
まさかこんなところで必要になるなんてあの時は思わなかったし……。
うわーん、どうしよー!
淡「えーと、それが名字は知らなくて……。でもでもっ!私と同い年で黒髪で大人しそうな女の子なんですけど。」
淡「それとお父さんと二人で泊まってるって言ってました。」
淡「あっ、あと髪の右端が角みたいになってます!」
身振り手振りで必死に説明してみる。
フロント「そう言われましても……。」
うーん、わからないか。
困った、どうしよう。
こうなったらホテルの入り口をずっと見張っとくしかないかなぁ。
ホテルマン「あのー。その女の子でしたら、今朝早くチェックアウトしてホテルを出ていくのを見ましたよ。」
え……。
淡「えええええええええええええええええええ!」
うそぉ、だってまだ朝の7時だよ?出ていくのがちょっと早すぎるんじゃない!?
朝食食べて、のんびりして、それからチェックアウトするものじゃないの、普通。
それに、私に挨拶もなしにチェックアウトするなんて……
サキの薄情者ぉーーーーーー!
淡「はぁ……。」
しばらく、放心状態になっていた私だけど、いつまでも落ち込んではいられないよね。
私と咲はライバルなんだから、時が来れば運命の導きでまた巡り合えるはず。
漫画やアニメでは必ずそうなってた。
そうとなれば準備を整えないと。
淡「えーと、もらった名刺はどこにやったっけ……あったあった。」
プルルルル、プルルルル……
?「はい。」
淡「あっ、スカウトさん?大星淡です。」
スカウト「大星君!?電話をくれたということはもしかして……。」
淡「うん、私、白糸台に入学する。」
スカウト「っありがとう!君が入ってくれれば百人力、いや千人力だよ!」
淡「あはは、期待に応えられるよう頑張るよ。じゃあねー。」
ピッ
淡「よーし、待ってろよぉ、サキー!」
握り拳を天に突き上げ、大声で叫ぶ。
隣の部屋から壁がドンと叩かれた気がするけどきっと気のせいだね、うん。
翌年インターハイ6日目
ワァァァァァァ!
副将戦終了―!トップは依然姫松高校!
菫「しかし、淡はインターハイにきてから毎日他の試合を見ているな。」
淡「うん、まあね。」
菫「研究熱心なのはいいことだが、普段のおまえを見ていると意外に感じるな。」
淡「あはは、ちょっと探し人がいてね。」
菫「探し人?」
淡「うん。」
サキは絶対にこのインターハイに出てきてるはず……。
1回戦では見つからなかったから2回戦から登場するシード校にいるのかも。
ワアアアアアアア!
ベスト8をかけた戦いもいよいよ大詰め!大将戦が始まろうとしています!
長野県代表の清澄高校、大将は1年生の宮永咲が務めます。
ッ!!
淡「見つけた……」
菫「何?」
サキッ!やっぱりいた……!
菫「これがおまえの探し人なのか?しかし、宮永?」
えっ、今なんて?……宮永?もしかして……。
菫「どことなく雰囲気も似てるような……。もしかしておまえの妹か、照?」
照「……私に妹なんていない。」
テルはそう言ったけど、一瞬表情が強張るのを私は見逃さなかった。
間違いない、サキはテルの妹だ。
アハッ。
私の尊敬する先輩がサキの姉だなんて偶然なんだろう。
いや……違う。これは運命だ。やっぱり私とサキは運命のライバルなんだ。
菫「淡。探し人が見つかったからって気を抜くなよ。」
淡「大丈夫。わかってるよ、菫先輩。」
気を抜くなんてとんでもない。
せっかくサキとまた戦えるっていうのに。
こないだの勝負は引き分けだった。
さあ、決着をつけようサキ。
だから、絶対に途中で負けたりなんかしないでね。
決勝で待ってるよ、サキ!
カンッ!
知識不足のため実際の麻雀の対局は書くの断念しました。
描ける人を尊敬しますわ。
元スレ
淡「どうしようかなぁ。」
白糸台のスカウトから誘いを受けて、白糸台の練習には何度か参加させてもらった。
日本の高校生のレベルを舐めていた私は、そこで出会ったテルという高校生に負けて衝撃を受けた。
テルがいるなら部活は楽しめそう。
それにテルが言うには、1つ下の学年には(私にとっては1つ上)手強いと感じた相手が3人もいるみたい。
「でもな~。さっきのインターミドル見る限りじゃ同じ学年の相手は期待できないよね……。」
日本のアニメや漫画に強い影響を受けていた私は、スポーツものでよくある同い年のライバルというものに憧れていた。
だから、スカウトの人にお願いしてインターミドルの試合を見に来たんだけど……結果はがっかりだった。
6: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/02(日) 20:43:35.37 ID:h++ZpCnS0
淡「あんな実力で優勝できちゃうなんてなぁ。これならイギリスで続けた方がマシかも。」
イギリスでも同い年で私と互角な相手はいなかったけど、さっきの優勝者よりははるかに強かった。
淡「よーし、決めた。やっぱりイギリスで続けようっと!ってあれ?」
ここ……どこだろう。
考え事をしながら歩いていた私はいつのまにか知らない道を歩いていた。少し戻って辺りを見渡してみるけど
淡「まったくもってわからない!」
ズビシッ!
と片手を腰に当て、指を前に突出し、無駄にポーズを取って宣言してみたりした。
8: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/02(日) 20:48:24.36 ID:h++ZpCnS0
こうなったら誰か捕まえて道を聞くしかないね。
辺りを見渡してみる。
えっと、あの人は……やめとこう。
私は英語ができるから外国人に話しかけることに抵抗はないけど
街中でカップラーメンを食べながら、ラーメンはムゲンとかなんとかブツブツいってる人に話しかけるのはさすがに抵抗がある。
もう1人近くに同い年ぐらいに見える黒髪のおとなしそうな女の子がいるしこっちの子に聞いてみよう。
10: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/02(日) 20:54:40.08 ID:h++ZpCnS0
淡「へい、そこのおじょうさん!」
?「な、なんですか?」
なんだかビクッとされてしまった。
淡「ちょっと迷っちゃって、道を聞きたいんだけどいいかな?」
?「あ、はいどうぞ。」
淡「ホテルレジェンド東京に行きたいんだけどわかる?」
?「あっ、私そこに泊まってるんです。」
淡「ホントにっ!じゃあよかったら案内してくれないかな。」
?「わかりました。任せてください。」
よかったぁ。これで万事解決だねっ。
11: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/02(日) 20:58:53.52 ID:h++ZpCnS0
歩くこと30分経過
あまり喋るのが得意じゃない女の子なのか、最初は私が一方的に話すだけだったけど、話すうちに何とか打ち解けてきた。
これでもコミュニケーション能力には自信があるのですっ。
聞き出したところによると、彼女は私と同い年で、名前は咲というらしい。
名前に続けて名字を言おうとしてたみたいだけど
ファーストネームを聞いたところで「わかった。じゃあサキーって呼ぶね」って抱き着いたら
ビックリしたみたいで話を打ち切らせてしまった。反省反省。
でも、改めて名字を聞くのもあれだし、私はいつもファーストネームで相手を呼ぶからまあいいかな。
彼女は東京に住んでるんじゃなくて、家は長野に住んでるんだって。
東京へはお姉ちゃんに会いに来たらしい。
お姉ちゃん思いのいい子だね、うんうん。
12: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/02(日) 21:02:41.56 ID:h++ZpCnS0
さらに歩くこと30分経過
淡「それでさ、サキー。」
咲「う、うん……。」
淡「ここどこ……?本当にホテルに向かってる?」
咲「そのはずだったんだけど……どこだろうねここ……。」
私たちが泊まっているホテルはインターミドルの会場から20分ぐらい歩いたところだったし、もうとっくについてないとおかしい。
それにこの景色は……
13: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/02(日) 21:07:30.94 ID:h++ZpCnS0
淡「どうみても海だよね……」
咲「海だね……」
淡「私たちが泊まってるホテルの近くに海なんてあったっけ?」
咲「ない……かな。」
淡「だよね……。」
これは……迷ったね。
うん、もう完璧なまでに迷ったね。
まあ、私もサキもこの辺の土地勘がないからしょうがないね。
別に私たちが方向音痴なわけじゃない。
14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/02(日) 21:12:06.92 ID:h++ZpCnS0
淡「もうタクシー捕まえよっか?」
咲「うん、そうしよう。」
同意を得たところでタクシーを探していたけど
ゴロゴロゴロゴロ
なんだか雲行きが怪しくなってきた。
淡「天気の神様お願い、頼むからまだ降らせないでねっ!」
天に向かって手を合わせてお祈りしてみるけど
ザアアアアアアアアアアアッ!
途端に雨が降ってきた。
16: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/02(日) 21:16:53.95 ID:h++ZpCnS0
咲「きゃあああああああ!」
淡「うわーん、神様のバカァァァァァァ!」
日頃いい子にしてるはずなのに!
咲「淡ちゃん、どこか建物に避難しようよ!」
淡「そうだねっ。あっ、あそこに雀荘がある。あそこに入ろう!」
咲「え……雀荘」
淡「なにしてるのサキッ。早く行くよ!」
咲「う、うん。」
私はなぜだか戸惑っているような咲の手をつかんで引っ張っていく。
17: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/02(日) 21:21:28.00 ID:h++ZpCnS0
淡「ふぅ、近くに雀荘があって助かったね!」
咲「う、うん、そうだね。」
まだ、何か戸惑ってるみたい。
あっ、そうか。普通、女子中学生は雀荘なんて入ったことないよね。
だから戸惑ってるんだ。
勝手に自己解決してうんうんと頷く。
淡「サキー。せっかく雀荘に入ったんだし雨があがるまでの暇つぶしに麻雀やろ!」
咲「え……でも。」
淡「だーいじょうぶ!ルールなら私が手取り足取り教えてあげるからさっ。」
ドンッと胸を叩いたけど、胸が揺れないのが悲しい。
でも、中学生だしまだまだこれからだよね。それに揉んでみた感じだとサキやテルよりは私の方があるみたいだし。
20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/02(日) 21:27:56.48 ID:h++ZpCnS0
咲「えっと、ルールは知ってるんだ……」
淡「そうなの?じゃあ早速やろうよ。すみませーん、メンバーに入れてくださーい!」
咲「うぅ、麻雀は好きじゃないのに……。」
淡「えっ、何か言った?」
咲「ううん、なんでもないよ」
淡「よーし、じゃあよろしくねサキッ!」
咲「うん、よろしくね淡ちゃん。」
22: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/02(日) 21:32:27.64 ID:h++ZpCnS0
……これはなに……?
咲「カン、もいっこカン、もいっこカン!ツモ!」
花?そう、花が咲き乱れてる。
咲「嶺上開花・断幺・対々、三暗刻・三槓子、8000オールです。」
私が負けた……?
ゾクッ
面白い!
咲「えっと、淡ちゃん……?」
淡「サキッ、もう1回やろう、もう1回!」
咲「う、うん。」
26: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/02(日) 21:40:10.60 ID:h++ZpCnS0
咲「これは……宇宙……?」
淡「へぇ、やっぱり咲にもそう見えるんだ。」
イギリスのプロの人もテルも、私と麻雀をすると宇宙が見えるって言ってたっけ。
私は昔から配牌の前に私が完成させたい役を思い浮かべると
その役を完成させるのに必要な牌が、引き寄せられるかのように集まってきた。
そう、まるで私自身がブラックホールになったかのように。
まあ、さすがに高い役になるとそんなに簡単にはいかないんだけどね。
淡「ロン。三暗刻・ドラ1、6400。今度は私の勝ちだね。」
咲「うん。」
淡「よーし、もう1回やろうよ。」
27: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/02(日) 21:45:43.92 ID:h++ZpCnS0
淡「これで5勝5敗。」
咲「淡ちゃん……?」
サキがさっきから下を向いてブルブルと肩を小刻みに振るわせてる私を見て怪訝に思ってるみたい。
それはそうだよね、これじゃあ誰がどう見ても不審者だ。
でも、しょうがないじゃん。
咲「あの、もしかし気分悪くさせちゃった……?」
淡「ううん、そんなわけないよ。」
そう、そんなわけがない。
ようやく見つけた私のライバル……!
アハ、あなたは最高だよっ、サキ!!
咲「あっ、淡ちゃん、雨止んだみたいだよ!」
そっか。天気の神様も私を祝福してくれてるんだね。
サキと麻雀を打つ機会を与えてくれありがとう神様。
30: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/02(日) 21:49:48.55 ID:h++ZpCnS0
淡「じゃあ、サキ。最後にもう1回だけ打ってから帰ろうか。」
咲「うん、そうしよっか。」
よーし、絶対サキに勝ち越してやる。なんて思ってると
?「咲、帰りが遅いから迎えにきたぞ。ホテルに帰ろう」
知らないおじさんが話しかけてきた。
咲「え、お父さん!?」
あ、サキのお父さんだったんだ。
32: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/02(日) 21:55:53.71 ID:h++ZpCnS0
咲父「しかし、いったいなんでこんなところにいるんだ?」
咲「ちょっと道に迷ってるうちに雨が降ってきちゃって雨宿り……。」
咲父「また、迷っていたのか……。GPSをつけておいてよかったよ。毎度のことだけど筋金入りの方向音痴だなおまえは。」
咲「そ、そんなことないよ……たぶん。」
うーん、どうやら私は道案内を頼む相手を完全に間違えてたみたいだね。
サキってば方向音痴なんだ。
テルみたいだね。
33: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/02(日) 22:00:44.79 ID:h++ZpCnS0
咲父「ところで、そちらのお嬢さんはお知り合いかな?」
咲「あ、淡ちゃんていうの。街中で知り合って仲良くなったんだ。」
淡「はじめまして。大星淡といいます。」
咲父「娘が世話になったようだね。」
淡「いえいえ、こちらこそサキさんにはお世話になりました。」
咲「えっと、淡ちゃんそんなキャラだったっけ?」
サキが若干不気味なものをみるような目で見てきてるけど、まったく失礼な。
私だって年上の人に対する礼儀ぐらいわきまえてるんだよ!
36: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/02(日) 22:06:01.19 ID:h++ZpCnS0
咲父「咲、外にタクシーを待たせてるからそろそろ行こうか。」
咲「あ、うん。淡ちゃん悪いんだけど勝負は……。」
うーん、残念だけど、タクシーやサキのお父さんを待たせるわけにはいかないよね。
淡「しょうがない、じゃあ勝負は引き分けだね。」
咲「うん、じゃあ、淡ちゃんも一緒にタクシーで帰ろう。」
淡「えっ、いいの?」
咲「お父さん、いいよね?」
咲父「もちろんだとも。」
淡「ありがとうございます!」
38: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/02(日) 22:11:32.42 ID:h++ZpCnS0
ブロロロロロロ、キィ、バタン
淡「やっとホテルに戻ってこれた~!」
咲「もうクタクタだよね。淡ちゃん、今日は楽しかったよ、ありがとう。」
淡「どーいたしまして。こちらこそ楽しかったよ、サキー。」
咲「それじゃあ、ばいばい淡ちゃん」
淡「ばいばーいサキー。」
あ、そういえば連絡先聞かなきゃ。
淡「サキー、ってもういない。」
うーん、疲れちゃったし、まあ明日でいっか。
淡「私も部屋に戻ろっと。」
39: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/02(日) 22:17:22.12 ID:h++ZpCnS0
ガチャ
淡「たぁーっ!」
ドアを開けて部屋に入りベッドにダイブ。
ちょっとはしたないけど誰も見てないしいいよね。
淡「あは、あははははっ!」
寝転がっているとライバルに巡り合えた興奮が蘇ってくる。
今日はほんと最高の1日になったね。
興奮を抑えきれず、枕を抱いてゴロゴロとベッドの上を転がる私。
次にサキと麻雀を打つ機会が楽しみでしょうがない。
淡「あっ、そうだ。パパとママにメールで報告しようっと。」
淡「送信っと、これでよし」
43: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/02(日) 22:25:25.05 ID:h++ZpCnS0
チュンチュン
淡「ふぁ~、もう朝かぁ。」
昨日は興奮してなかなか寝付けなかったから、まだ、ちょっと眠いけど……
サキの連絡先聞きにいかないとね。
でも、どうやって探そう。
フロントの人に聞けばいいかな。
メデューサのように荒ぶっていた寝癖を直して早速フロントに向かってみる。
淡「すみませーん、サキっていう女の子どの部屋に泊まってるかわかりますか?」
フロント「申し訳ありませんが、下の名前だけではわかりかねます。名字も教えていただけますか?」
45: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/02(日) 22:31:37.37 ID:h++ZpCnS0
ああ、サキの名字ね、サキの名字。
はて……サキの名字?
………………。
そういえば結局聞いてないままだよ!聞いとけばよかったなぁ。
まさかこんなところで必要になるなんてあの時は思わなかったし……。
うわーん、どうしよー!
淡「えーと、それが名字は知らなくて……。でもでもっ!私と同い年で黒髪で大人しそうな女の子なんですけど。」
淡「それとお父さんと二人で泊まってるって言ってました。」
淡「あっ、あと髪の右端が角みたいになってます!」
身振り手振りで必死に説明してみる。
フロント「そう言われましても……。」
47: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/02(日) 22:38:24.83 ID:h++ZpCnS0
うーん、わからないか。
困った、どうしよう。
こうなったらホテルの入り口をずっと見張っとくしかないかなぁ。
ホテルマン「あのー。その女の子でしたら、今朝早くチェックアウトしてホテルを出ていくのを見ましたよ。」
え……。
淡「えええええええええええええええええええ!」
うそぉ、だってまだ朝の7時だよ?出ていくのがちょっと早すぎるんじゃない!?
朝食食べて、のんびりして、それからチェックアウトするものじゃないの、普通。
それに、私に挨拶もなしにチェックアウトするなんて……
サキの薄情者ぉーーーーーー!
49: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/02(日) 22:43:30.24 ID:h++ZpCnS0
淡「はぁ……。」
しばらく、放心状態になっていた私だけど、いつまでも落ち込んではいられないよね。
私と咲はライバルなんだから、時が来れば運命の導きでまた巡り合えるはず。
漫画やアニメでは必ずそうなってた。
そうとなれば準備を整えないと。
淡「えーと、もらった名刺はどこにやったっけ……あったあった。」
51: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/02(日) 22:49:03.82 ID:h++ZpCnS0
プルルルル、プルルルル……
?「はい。」
淡「あっ、スカウトさん?大星淡です。」
スカウト「大星君!?電話をくれたということはもしかして……。」
淡「うん、私、白糸台に入学する。」
スカウト「っありがとう!君が入ってくれれば百人力、いや千人力だよ!」
淡「あはは、期待に応えられるよう頑張るよ。じゃあねー。」
ピッ
淡「よーし、待ってろよぉ、サキー!」
握り拳を天に突き上げ、大声で叫ぶ。
隣の部屋から壁がドンと叩かれた気がするけどきっと気のせいだね、うん。
53: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/02(日) 22:56:46.87 ID:h++ZpCnS0
翌年インターハイ6日目
ワァァァァァァ!
副将戦終了―!トップは依然姫松高校!
菫「しかし、淡はインターハイにきてから毎日他の試合を見ているな。」
淡「うん、まあね。」
菫「研究熱心なのはいいことだが、普段のおまえを見ていると意外に感じるな。」
淡「あはは、ちょっと探し人がいてね。」
菫「探し人?」
淡「うん。」
サキは絶対にこのインターハイに出てきてるはず……。
1回戦では見つからなかったから2回戦から登場するシード校にいるのかも。
56: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/02(日) 23:03:40.67 ID:h++ZpCnS0
ワアアアアアアア!
ベスト8をかけた戦いもいよいよ大詰め!大将戦が始まろうとしています!
長野県代表の清澄高校、大将は1年生の宮永咲が務めます。
ッ!!
淡「見つけた……」
菫「何?」
サキッ!やっぱりいた……!
菫「これがおまえの探し人なのか?しかし、宮永?」
えっ、今なんて?……宮永?もしかして……。
菫「どことなく雰囲気も似てるような……。もしかしておまえの妹か、照?」
照「……私に妹なんていない。」
テルはそう言ったけど、一瞬表情が強張るのを私は見逃さなかった。
間違いない、サキはテルの妹だ。
60: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/02(日) 23:12:11.14 ID:h++ZpCnS0
アハッ。
私の尊敬する先輩がサキの姉だなんて偶然なんだろう。
いや……違う。これは運命だ。やっぱり私とサキは運命のライバルなんだ。
菫「淡。探し人が見つかったからって気を抜くなよ。」
淡「大丈夫。わかってるよ、菫先輩。」
気を抜くなんてとんでもない。
せっかくサキとまた戦えるっていうのに。
こないだの勝負は引き分けだった。
さあ、決着をつけようサキ。
だから、絶対に途中で負けたりなんかしないでね。
決勝で待ってるよ、サキ!
カンッ!
知識不足のため実際の麻雀の対局は書くの断念しました。
描ける人を尊敬しますわ。
淡「見つけた……私のライバル。」