1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/13(水) 20:19:43.02 ID:ZOc9PMem0

体温計の表示を見て、ため息をつく

魔法少女でも、風邪を引いたり熱を出したりすることは全くない、ということは無いらしい



3: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/13(水) 20:22:31.67 ID:ZOc9PMem0

昔、そのことについて彼――キュゥべえに尋ねると、延々と長い話をされて、途中で寝てしまったことを思い出した

彼の話は少しばかり、私には難解なことが多い


「……」


ベッドの横に置かれた、猫用のソファーに目を向ける
今は空っぽのそれは、この寝室での寝床だ



5: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/13(水) 20:26:30.47 ID:ZOc9PMem0

昔は彼を布団の中に引っ張り込み、抱き枕のようにして寝ていた

何となくそれが気恥ずかしくなって、彼専用の寝床を用意したという経緯がある


(……こんな日くらい、一緒にいてくれてもいいのに)


暁美さんか、鹿目さんのところにでもいるだろう彼を恨めしく思う

と言っても、こうなったのは私のせいなのだけど

『傍に付いている方がいいかな?』という彼の問いに、強がってその必要はない、と答えたのだから



6: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/13(水) 20:30:39.52 ID:ZOc9PMem0

「それでも、本当に行っちゃうなんて……」


それなりに長い付き合いなのだから、私がどうして欲しい分かって欲しいと思う気もある

もっとも、だからこそ彼が額面通りにしか言葉を受け取らないことも知っているのだけれど


「せめてもう何回か聞き直すとか、それくらいしてくれたっていいのに」


寝込んでいる同居人を放って他の子のところに行くなんて

そこまで考えて、何か的外れなことを思っている気がしたので、そこで留める



9: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/13(水) 20:35:40.78 ID:ZOc9PMem0

「はあ……」


寂しさを紛らわすように、布団を被る

少し安静にしていればすぐ治る、彼の言葉なのだから、それは真実なのだろう
彼は嘘をつかないのだから


「……治るまでが大変なのに」


本日何度目かわからない恨み言を呟き、ゆっくりと眠りに落ちて行く


―――
――




11: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/13(水) 20:40:35.70 ID:ZOc9PMem0

「……ん」


どれくらい眠っていたのだろうか
目を覚ますと、大分熱が引いているのを感じた


「あら?」


額に何やら冷たい感触
手を当てると、熱を冷ますためのシートが貼られていた



12: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/13(水) 20:45:40.95 ID:ZOc9PMem0

「こんなもの、いつの間に……」


自分で貼った記憶は無い
とはいえ、鍵がかかっていて家には誰も入れないはずだ


「……気まぐれな妖精さんね」


思わず顔が綻ぶ



14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/13(水) 20:50:18.90 ID:ZOc9PMem0

汗を流しに、シャワーを浴びる
そのしばらく後に、例の四人がここを訪ねて来た

どうやら、彼から話を聞いて来たらしい


―――
――




15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/13(水) 20:55:44.21 ID:ZOc9PMem0

「やあ、マミ。 体調はどうだい?」


夜になり、帰宅した彼が私に尋ねる


「すっかり良くなったわ」

「そうか、なら良かった」

「ええ、お陰様でね」


その言葉に、『わけがわからない』とでも言いたそうな表情で答える


「これ、あなたが貼ってくれたのよね?」


先ほどのシートを手に、彼に聞く



16: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/13(水) 21:01:06.25 ID:ZOc9PMem0

「さあ、どうだろうね」


はぐらかそうとする彼に、思わず吹き出しそうになる

いつもなら、違うなら違う、とはっきり言うのだから
わざわざ答えをぼかすということは、自分で答えを言っているも同然なのに


「ありがとう、キュゥべえ」

「……はいはい」

「珍しいな、こういうのって。 何か理由があったのかしら?」


無愛想な返事をする彼に、意地悪な質問をぶつける


「ああ、それは――


◆◆◇



19: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/13(水) 21:10:55.16 ID:ZOc9PMem0

◇◇◆


――君がいないと、色々と不都合があるからね」


マミが魔法少女として活動できないと、どれだけの不利益があるか

そのことを分かりやすく説明することで、彼女の質問への答えとする

話すうちにマミの表情が険しくなっていき、最後には不機嫌そうにそっぽを向いてしまった


「分かってくれたかい?」

「……」

「……怒ってるのかい?」

「怒ってないもん」

(確かに、拗ねてるといったほうが正しいかもしれないな……)



21: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/13(水) 21:15:23.07 ID:ZOc9PMem0

「まあ、でも」


立ち上がり、部屋から出て行こうとするマミの背中に声をかける


「君のことが心配だったのは事実だよ」


しばし足を止め、何やら考え込んでいる様子だったが、結局そのまま行ってしまった


(はあ……これはしばらくあのままかな……)



23: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/13(水) 21:20:04.65 ID:ZOc9PMem0

どうしようか、と考えているとマミがひょっこりと顔を出し


「ねえ、キュゥべえ」

「なんだい?」

「今日は久しぶりに、一緒に寝てもいいわよ?」


先程とはうってかわって、満面の笑みを浮かべている
悪戯っぽさを含んだ、それでいて無邪気な少女の笑み


「……やれやれ」


断れば、また面倒なことになるのだろう

そういうところは昔から変わっていないな、と思う





元スレ
マミ 「38度7分……」