1: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/07/30(月) 22:00:08.653 ID:u9+09c3D0.net
ザバッ
男「ふぅー、さっぱりした」ビショッ…
男(髪をドライヤーで乾かすか……)
男「……」チラッ
男「……」
男(え、俺ってイケメンじゃね?)
男(ヤバイ……風呂上がりの俺ってイケメンすぎる……)
3: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/07/30(月) 22:03:22.919 ID:u9+09c3D0.net
男「あのさ、最近気づいたんだけど」
友人「なんだよ?」
男「風呂上がりの俺って、超絶イケメンなんだよ」
友人「は? どういうこと?」
男「風呂から上がって、髪がまだ濡れた状態の俺って、すげえイケメンなんだよ」
友人「んなわけねえだろ」
友人「せいぜいフツメン程度のお前が、なんで風呂入っただけでイケメンになるんだよ」
男「じゃあ、ちょっと風呂入ってくるから待ってろ!」
男「……どうだ?」ビショッ…
友人「……!」ドキッ
友人(これはたしかに……!)
友人(まるで、どこかのビジュアル系バンドのような色っぽさ……)
友人(それでいてワイルドな男らしさも醸し出してる……)
友人(知らなかった……。こいつがこんなにイケメンだったとは……!)ゴクリ…
男「お、おい……目つきがおかしいぞ」
友人「……」ハッ
友人「あ、あぶねえ……危うく襲いそうになっちまった……」
男「勘弁してくれよ……」
友人「――そうだ」
友人「試しにその状態で町を歩いてみたらどうだ?」
男「あー……そういやすぐ髪乾かしちゃうから、やってみたことなかったな」
友人「きっと町のみんながお前に振り返ると思うぞ!」
男「さすがにそれはないと思うけど……」
男「……」スタスタ
通行女A「ねえ、あの人ステキじゃない?」
通行女B「ホント! タレントかしら?」
通行女C「あんなイケメン見たことないわ!」
男(おおっ、すごい!)
ワイワイ…
「あの~、握手して下さい!」
「ずる~い、私も!」
「俺、男だけどいいですか?」
男「わわっ、いっぱい集まってきた!」
友人「芸能人並み……いや、芸能人以上の集客力だ!」
ところが――
「……ん? んんん?」
「よく見たらさほどイケメンじゃないや」
「帰ろ帰ろ」
ゾロゾロ…
男「あ、あれ?」
友人「“風呂上がり”の効果が切れたんだな……俺もなにも感じなくなった」
友人「もって10分ってところか」
男「たった10分かよ、面白くないな……」
友人「今の季節、10分もあればだいぶ髪乾いちゃうからな」
男「よーし、あそこにある洗面所でちょっと髪濡らしてくる! イケメンチャージだ!」タタタッ
男「……どうだ?」ビッショリ…
友人「うーん……」
友人「なんも感じないわ」
男「え」
友人「やっぱり風呂上がりと、髪を濡らしただけってのはなんか違うんだよなぁ~」
男「これじゃダメなのか……」
友人「ま、一日10分だけのイケメンタイムってロマンあるじゃん!」
友人「シンデレラみたいでさ!」
男(いや……なんとかしてこのイケメンタイムを持続させたい!)
男「――というわけで」
男「ずっと小さな浴槽を持ち歩くことにしたわ」チャプ…
友人「浴槽を!?」
男「色々試したけど、洗面器やバケツじゃやっぱり効果がなかったんでな」
友人「だからって浴槽持ち歩くか、普通……」
男「こうすればいつでもどこでも――」ザブ…
男「風呂上がりのイケメンになれるって寸法よ!」ビショ…
友人(うわっ、イケメン!)ドキッ
キャーキャーッ!
「あの人イケメンだわ~!」 「かっこいい~!」 「ジャニーズの人みたい!」
男「……おっと、そろそろ10分か」
男「風呂に入りなおそう」ザブ…
男「やぁ」ビショ…
キャーキャーッ!
友人(馬鹿だ……)
友人(だけどイケメンすぎてなにもいえねえわ……!)
男「お、重い……!」ヨロヨロ
男「あたたた……! 腰痛めた……!」
友人「あーあ、やると思った」
友人「ずっと風呂上がり状態を維持するなんて、やっぱ無茶なんだよ」
男「ぐ……!」
友人「どうしても維持したいなら、化粧品メーカーがそういう化粧水かなんかを開発するのを待つんだな」
友人「お風呂上がりのオーラを持続、みたいなさ」
男「……!」
男(そうか、その手があったか!)
男「失礼いたします」ビショ…
面接官(うわっ、履歴書の写真とは比べ物にならないイケメン!)
面接官「し、志望動機は?」ドキドキ…
男「御社の化粧品が昔から大好きだったので……」
面接官「――採用ッ!」
男(よし、風呂上がり効果で、一流化粧品メーカーに入社できた!)
男(あとは――)
研究員「我々研究員は会社のために新商品を開発する役目を担ってるわけだけど」
研究員「君はいつも自分の研究のために、研究室の予算を使ってるねえ」
男「なにか問題でも?」ビショ…
研究員「問題なんかないよ! 君はイケメンなんだから!」
男「なら黙ってて下さい」ビショ…
研究員「はいっ!」
男(ああでもない、こうでもない……)
男(――できた!)
男(ついに風呂上がり効果を完璧に生み出す化粧水が完成した!)
男(これを頭からかぶれば、俺はいつでもイケメンになれる!)
男(もちろん、商品化なんかしないし、他の奴に使わせるつもりもない)
男(風呂上がりイケメンになるのは俺だけで十分だからな!)
男(化粧水をふりかけてから……)ビショ…
男「すみません」
店員「いらっしゃいませ~! ――え」ドキッ
男「これが欲しいんですけど……ちょっと安くしてもらえませんか?」
店員「も、もちろんです! なんならタダでも結構です!」
男「ありがとう」ニコッ
男(あの怖そうな奴にいきなりビンタを喰らわせてみよう)ビショ…
男「えいっ!」ベチッ
DQN「いってぇ! なにしやがる! 殺されてえのか!」
男「誰を殺すって?」
DQN「え……」ドキッ
DQN「も、もっと殴って下さい! お願いします!」
ラーメン屋店員「順番にお並び下さーい!」
ズラーッ…
男(このラーメン屋、すごい行列だな)ビショ…
男(横から入っちゃえ)スッ
客「おい、なに堂々と割り込んでるんだよ! ちゃんと一番後ろから並べよ!」
男「ん?」
客「あっ……どうぞどうぞ!」
ラーメン屋店員「あなたならすぐさま店内にご案内しますよ!」
男(ものすごい効果だ……!)
男(この化粧水のおかげで、俺のイケメンタイムに時間制限はなくなった!)
男(いつでもイケメンの恩恵にあずかれるってわけだ!)
男(いや、それどころか――)
男(もし、もっと化粧水をふりかければ、もっとすごいこともできるんじゃないか?)
男(たとえば、あんなことやこんなことも……むふふ)
男「よし決めた!」
ドバドバドバッ
男「これでよし」ビショビショ…
男(これで俺は歴史上最強のイケメンになったはず……!)
男(アラブの石油王もビックリのハーレムを実現してやるぜ……!)
男「……」スタスタ…
キャーキャーッ! キャーキャーッ!
「あんなところをすごいイケメンが歩いてるわ!」
「なにあれ!? 天使が降臨したのかしら! お名前はイケメンエル!?」
「ステキィィィィィッ!」
男(きたきたきた!)
キャァァァァァッ! キャァァァァァッ!
男「……ん?」
「あの人は私のものよ!」 「あたしのよ!」 「いいや、俺のだ!」 「僕のだよ!」
「キスしたい!」 「抱き締めたい!」 「サバ折りしたい!」 「ぜひとも家に飾りたい……!」
男「ちょ、ちょっと待って……」
男(やばい、効果の強さが予想をはるかに上回ってる!)
「ひんむいてやる!」 「脱がせ脱がせ!」 「手に入らないのならいっそ……!」
男「ちょっ、やめっ!」
ドタンバタン! ドタンバタン!
ビリビリッ ベリリッ
男「た、助けっ……!」ボロッ…
男(逃げなきゃっ! 全裸で剥製にされちまう!)タタタタタッ
「待ぁてえええええええええっ!!!」ドドドドドッ
男「――あっ」
友人「よぉ、久しぶり」
男「頼む、助けてくれ!」
友人「何があったんだ?」
男「風呂上がり効果を強くしすぎて、みんなに追われてるんだ! かくまってくれ!」
友人「いいよ。俺たち友達じゃないか!」
男「ありがとう!」
友人「ただし……ヤらせてくれたらなァ!」ジュルリ…
男「ダメだこいつ!」
バシャバシャ…
男(……ダメだ。鏡に映った俺が、まだイケメンに見える!)
男(少し水で洗ったぐらいじゃ、かけすぎたせいかちっとも効果が落ちない!)
男(かといって、がっつり洗う余裕なんてとても――)
「捕まえろーっ!」 「麻酔で眠らせてやるゥ!」 「顔は傷つけるなよ!」
ドドドドド…
男(化粧水を落とす前に奴らの餌食になるのが関の山だ!)
男「はぁ、はぁ、はぁ……どうしよう……!」
女「わっ、ビックリした」
男「……!」
男(やばい、見つかっちゃった!)
女「雨も降ってないのにずぶ濡れだけど、どうしたの?」
男(……あれ? この人、俺をイケメンだと思ってない?)
男「あの、俺追われてるんだ! 頼む、かくまってくれ!」
男「決して悪人なんかじゃないんだ! お願いします!」
女「……いいわよ」
男「あ、ありがとう!」
男「――ありがとう、シャワーまで使わせてもらって」
女「いいわよ、困った時はお互い様」
男(おかげで化粧水を全部洗い流すことができた……)
男「だけど、一つだけ伺いたいんだけど」
女「なに?」
男「俺は風呂上がりには特にイケメンになる体質で、風呂上がり状態になれる化粧水を」
男「大量にかけてたんだけど、どうして君は俺に何も感じなかったんだ?」
女「え、だって――」
女「私の実家、銭湯だったから」
男「あっ……」
女「毎日のように仕事手伝わされてたし、風呂上がりの人には慣れっこなのよね~」
男「そういうことだったのか……!」
女「それに私、髪が濡れたままの人より、ちゃんと髪を乾かす人の方が好みだし」
男「俺も次からはそうするよ……」
男(化粧水も破棄しよう……もう二度とあんなことはゴメンだ)
男「あのーよかったら」
女「ん?」
男「実家の銭湯に連れていってくれない? 久しぶりに銭湯行きたくなっちゃった」
女「いいよー、大歓迎!」
男(こうして俺は、二度と風呂上がり効果に頼らないことに決めた)
男(でも決して、風呂上がり効果のことが嫌になったわけじゃない)
男(だって、おかげで生涯の伴侶となる女性と出会うことができたんだから……)
~END~
元スレ
男「あのさ、最近気づいたんだけど」
友人「なんだよ?」
男「風呂上がりの俺って、超絶イケメンなんだよ」
友人「は? どういうこと?」
男「風呂から上がって、髪がまだ濡れた状態の俺って、すげえイケメンなんだよ」
友人「んなわけねえだろ」
友人「せいぜいフツメン程度のお前が、なんで風呂入っただけでイケメンになるんだよ」
男「じゃあ、ちょっと風呂入ってくるから待ってろ!」
4: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/07/30(月) 22:04:42.083 ID:u9+09c3D0.net
男「……どうだ?」ビショッ…
友人「……!」ドキッ
5: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/07/30(月) 22:07:27.361 ID:u9+09c3D0.net
友人(これはたしかに……!)
友人(まるで、どこかのビジュアル系バンドのような色っぽさ……)
友人(それでいてワイルドな男らしさも醸し出してる……)
友人(知らなかった……。こいつがこんなにイケメンだったとは……!)ゴクリ…
男「お、おい……目つきがおかしいぞ」
友人「……」ハッ
友人「あ、あぶねえ……危うく襲いそうになっちまった……」
男「勘弁してくれよ……」
6: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/07/30(月) 22:10:19.344 ID:u9+09c3D0.net
友人「――そうだ」
友人「試しにその状態で町を歩いてみたらどうだ?」
男「あー……そういやすぐ髪乾かしちゃうから、やってみたことなかったな」
友人「きっと町のみんながお前に振り返ると思うぞ!」
男「さすがにそれはないと思うけど……」
8: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/07/30(月) 22:13:41.711 ID:u9+09c3D0.net
男「……」スタスタ
通行女A「ねえ、あの人ステキじゃない?」
通行女B「ホント! タレントかしら?」
通行女C「あんなイケメン見たことないわ!」
男(おおっ、すごい!)
9: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/07/30(月) 22:16:08.075 ID:u9+09c3D0.net
ワイワイ…
「あの~、握手して下さい!」
「ずる~い、私も!」
「俺、男だけどいいですか?」
男「わわっ、いっぱい集まってきた!」
友人「芸能人並み……いや、芸能人以上の集客力だ!」
10: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/07/30(月) 22:19:09.770 ID:u9+09c3D0.net
ところが――
「……ん? んんん?」
「よく見たらさほどイケメンじゃないや」
「帰ろ帰ろ」
ゾロゾロ…
男「あ、あれ?」
友人「“風呂上がり”の効果が切れたんだな……俺もなにも感じなくなった」
友人「もって10分ってところか」
12: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/07/30(月) 22:22:38.563 ID:u9+09c3D0.net
男「たった10分かよ、面白くないな……」
友人「今の季節、10分もあればだいぶ髪乾いちゃうからな」
男「よーし、あそこにある洗面所でちょっと髪濡らしてくる! イケメンチャージだ!」タタタッ
男「……どうだ?」ビッショリ…
友人「うーん……」
16: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/07/30(月) 22:26:43.683 ID:u9+09c3D0.net
友人「なんも感じないわ」
男「え」
友人「やっぱり風呂上がりと、髪を濡らしただけってのはなんか違うんだよなぁ~」
男「これじゃダメなのか……」
友人「ま、一日10分だけのイケメンタイムってロマンあるじゃん!」
友人「シンデレラみたいでさ!」
男(いや……なんとかしてこのイケメンタイムを持続させたい!)
18: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/07/30(月) 22:30:41.627 ID:u9+09c3D0.net
男「――というわけで」
男「ずっと小さな浴槽を持ち歩くことにしたわ」チャプ…
友人「浴槽を!?」
男「色々試したけど、洗面器やバケツじゃやっぱり効果がなかったんでな」
友人「だからって浴槽持ち歩くか、普通……」
男「こうすればいつでもどこでも――」ザブ…
男「風呂上がりのイケメンになれるって寸法よ!」ビショ…
友人(うわっ、イケメン!)ドキッ
20: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/07/30(月) 22:33:21.143 ID:u9+09c3D0.net
キャーキャーッ!
「あの人イケメンだわ~!」 「かっこいい~!」 「ジャニーズの人みたい!」
男「……おっと、そろそろ10分か」
男「風呂に入りなおそう」ザブ…
男「やぁ」ビショ…
キャーキャーッ!
友人(馬鹿だ……)
友人(だけどイケメンすぎてなにもいえねえわ……!)
22: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/07/30(月) 22:36:37.667 ID:u9+09c3D0.net
男「お、重い……!」ヨロヨロ
男「あたたた……! 腰痛めた……!」
友人「あーあ、やると思った」
友人「ずっと風呂上がり状態を維持するなんて、やっぱ無茶なんだよ」
男「ぐ……!」
友人「どうしても維持したいなら、化粧品メーカーがそういう化粧水かなんかを開発するのを待つんだな」
友人「お風呂上がりのオーラを持続、みたいなさ」
男「……!」
男(そうか、その手があったか!)
24: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/07/30(月) 22:39:30.965 ID:u9+09c3D0.net
男「失礼いたします」ビショ…
面接官(うわっ、履歴書の写真とは比べ物にならないイケメン!)
面接官「し、志望動機は?」ドキドキ…
男「御社の化粧品が昔から大好きだったので……」
面接官「――採用ッ!」
男(よし、風呂上がり効果で、一流化粧品メーカーに入社できた!)
男(あとは――)
26: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/07/30(月) 22:42:36.996 ID:u9+09c3D0.net
研究員「我々研究員は会社のために新商品を開発する役目を担ってるわけだけど」
研究員「君はいつも自分の研究のために、研究室の予算を使ってるねえ」
男「なにか問題でも?」ビショ…
研究員「問題なんかないよ! 君はイケメンなんだから!」
男「なら黙ってて下さい」ビショ…
研究員「はいっ!」
男(ああでもない、こうでもない……)
27: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/07/30(月) 22:45:09.476 ID:u9+09c3D0.net
男(――できた!)
男(ついに風呂上がり効果を完璧に生み出す化粧水が完成した!)
男(これを頭からかぶれば、俺はいつでもイケメンになれる!)
男(もちろん、商品化なんかしないし、他の奴に使わせるつもりもない)
男(風呂上がりイケメンになるのは俺だけで十分だからな!)
28: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/07/30(月) 22:48:42.071 ID:u9+09c3D0.net
男(化粧水をふりかけてから……)ビショ…
男「すみません」
店員「いらっしゃいませ~! ――え」ドキッ
男「これが欲しいんですけど……ちょっと安くしてもらえませんか?」
店員「も、もちろんです! なんならタダでも結構です!」
男「ありがとう」ニコッ
29: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/07/30(月) 22:50:46.481 ID:u9+09c3D0.net
男(あの怖そうな奴にいきなりビンタを喰らわせてみよう)ビショ…
男「えいっ!」ベチッ
DQN「いってぇ! なにしやがる! 殺されてえのか!」
男「誰を殺すって?」
DQN「え……」ドキッ
DQN「も、もっと殴って下さい! お願いします!」
30: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/07/30(月) 22:53:49.338 ID:u9+09c3D0.net
ラーメン屋店員「順番にお並び下さーい!」
ズラーッ…
男(このラーメン屋、すごい行列だな)ビショ…
男(横から入っちゃえ)スッ
客「おい、なに堂々と割り込んでるんだよ! ちゃんと一番後ろから並べよ!」
男「ん?」
客「あっ……どうぞどうぞ!」
ラーメン屋店員「あなたならすぐさま店内にご案内しますよ!」
男(ものすごい効果だ……!)
31: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/07/30(月) 22:56:04.693 ID:u9+09c3D0.net
男(この化粧水のおかげで、俺のイケメンタイムに時間制限はなくなった!)
男(いつでもイケメンの恩恵にあずかれるってわけだ!)
男(いや、それどころか――)
男(もし、もっと化粧水をふりかければ、もっとすごいこともできるんじゃないか?)
男(たとえば、あんなことやこんなことも……むふふ)
34: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/07/30(月) 23:01:12.730 ID:u9+09c3D0.net
男「よし決めた!」
ドバドバドバッ
男「これでよし」ビショビショ…
男(これで俺は歴史上最強のイケメンになったはず……!)
男(アラブの石油王もビックリのハーレムを実現してやるぜ……!)
36: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/07/30(月) 23:04:05.633 ID:u9+09c3D0.net
男「……」スタスタ…
キャーキャーッ! キャーキャーッ!
「あんなところをすごいイケメンが歩いてるわ!」
「なにあれ!? 天使が降臨したのかしら! お名前はイケメンエル!?」
「ステキィィィィィッ!」
男(きたきたきた!)
38: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/07/30(月) 23:07:23.538 ID:u9+09c3D0.net
キャァァァァァッ! キャァァァァァッ!
男「……ん?」
「あの人は私のものよ!」 「あたしのよ!」 「いいや、俺のだ!」 「僕のだよ!」
「キスしたい!」 「抱き締めたい!」 「サバ折りしたい!」 「ぜひとも家に飾りたい……!」
男「ちょ、ちょっと待って……」
男(やばい、効果の強さが予想をはるかに上回ってる!)
40: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/07/30(月) 23:10:15.479 ID:u9+09c3D0.net
「ひんむいてやる!」 「脱がせ脱がせ!」 「手に入らないのならいっそ……!」
男「ちょっ、やめっ!」
ドタンバタン! ドタンバタン!
ビリビリッ ベリリッ
男「た、助けっ……!」ボロッ…
男(逃げなきゃっ! 全裸で剥製にされちまう!)タタタタタッ
「待ぁてえええええええええっ!!!」ドドドドドッ
42: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/07/30(月) 23:12:06.519 ID:u9+09c3D0.net
男「――あっ」
友人「よぉ、久しぶり」
男「頼む、助けてくれ!」
友人「何があったんだ?」
男「風呂上がり効果を強くしすぎて、みんなに追われてるんだ! かくまってくれ!」
友人「いいよ。俺たち友達じゃないか!」
男「ありがとう!」
友人「ただし……ヤらせてくれたらなァ!」ジュルリ…
男「ダメだこいつ!」
45: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/07/30(月) 23:17:45.011 ID:u9+09c3D0.net
バシャバシャ…
男(……ダメだ。鏡に映った俺が、まだイケメンに見える!)
男(少し水で洗ったぐらいじゃ、かけすぎたせいかちっとも効果が落ちない!)
男(かといって、がっつり洗う余裕なんてとても――)
「捕まえろーっ!」 「麻酔で眠らせてやるゥ!」 「顔は傷つけるなよ!」
ドドドドド…
男(化粧水を落とす前に奴らの餌食になるのが関の山だ!)
47: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/07/30(月) 23:20:05.881 ID:u9+09c3D0.net
男「はぁ、はぁ、はぁ……どうしよう……!」
女「わっ、ビックリした」
男「……!」
男(やばい、見つかっちゃった!)
女「雨も降ってないのにずぶ濡れだけど、どうしたの?」
男(……あれ? この人、俺をイケメンだと思ってない?)
男「あの、俺追われてるんだ! 頼む、かくまってくれ!」
男「決して悪人なんかじゃないんだ! お願いします!」
女「……いいわよ」
男「あ、ありがとう!」
48: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/07/30(月) 23:23:26.056 ID:u9+09c3D0.net
男「――ありがとう、シャワーまで使わせてもらって」
女「いいわよ、困った時はお互い様」
男(おかげで化粧水を全部洗い流すことができた……)
男「だけど、一つだけ伺いたいんだけど」
女「なに?」
男「俺は風呂上がりには特にイケメンになる体質で、風呂上がり状態になれる化粧水を」
男「大量にかけてたんだけど、どうして君は俺に何も感じなかったんだ?」
女「え、だって――」
50: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/07/30(月) 23:27:16.338 ID:u9+09c3D0.net
女「私の実家、銭湯だったから」
男「あっ……」
女「毎日のように仕事手伝わされてたし、風呂上がりの人には慣れっこなのよね~」
男「そういうことだったのか……!」
女「それに私、髪が濡れたままの人より、ちゃんと髪を乾かす人の方が好みだし」
男「俺も次からはそうするよ……」
男(化粧水も破棄しよう……もう二度とあんなことはゴメンだ)
51: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/07/30(月) 23:30:11.284 ID:u9+09c3D0.net
男「あのーよかったら」
女「ん?」
男「実家の銭湯に連れていってくれない? 久しぶりに銭湯行きたくなっちゃった」
女「いいよー、大歓迎!」
男(こうして俺は、二度と風呂上がり効果に頼らないことに決めた)
男(でも決して、風呂上がり効果のことが嫌になったわけじゃない)
男(だって、おかげで生涯の伴侶となる女性と出会うことができたんだから……)
~END~
男「ヤバイ……風呂上がりの俺ってイケメンすぎる……」