1: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/10/08(月) 21:50:15.258 ID:vqmnWsyU0.net
―病院―
医者「先日の血液検査の結果――」
男「……」ゴクッ
医者「ほとんどの数値に異常は見られませんでした」
男「……」ホッ
医者「ただし――」
男「ただし?」
医者「決闘値が高めですね」
男「決闘値?」
6: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/10/08(月) 21:54:08.179 ID:vqmnWsyU0.net
医者「あなた、決闘はお好きですか?」
男「そうですね、剣の使い手でして……しょっちゅう家族や同僚と決闘してます」
医者「人は戦うと、ある種の興奮物質が血中に増えていきます。これを“決闘値”と呼びます」
男「はぁ……」
医者「これがあまりに溜まると、人体に悪影響を及ぼすのです」
男「どうにかならないんですか?」
医者「決闘値を減らす薬はありませんし、今のところ決闘を控えて決闘値を下げるしか方法はありません」
医者「ですので、しばらく決闘は控えて下さい。一ヶ月後に再検査しましょう」
男「分かりました……」
―家―
男「ただいまー」
妻「結果はどうだった?」
男「ほとんど問題なかったよ。ただ……決闘値が高いって」
妻「まぁっ……」
男「だから、しばらくお前と決闘することはできない」
妻「そうなの、残念ねえ……。せっかくナギナタで新しい技覚えたのに……」
男「俺もだよ」
少年「パパー、決闘しよー! 決闘ーっ!」ブンブン
男「ああ、すまない……パパはしばらく決闘できないんだ」
少年「ちぇー、あたらしい技覚えたのに!」ブンブン
妻「コラ、ワガママいわないの!」
男「ごめんな……」
男(なんとしても決闘値を下げて、また決闘できる体にしないとな……)
―会社―
同僚「おーい、決闘しようぜ!」ジャキッ
男「いや、やめとく……」
同僚「え、どうして?」
男「医者から決闘値が高めだっていわれちゃってさ……」
同僚「あらら。まあ、あんだけ決闘してりゃなぁ……」
同僚「新人ちゃんはどう? 健康診断あったでしょ?」
新人女「私は決闘値低くて、基準値を下回ってしまいました……」
同僚「だろうなぁ、いつも大人しくて戦うような感じじゃないもん」
男「羨ましい……」
新人女「……」
課長「男君、決闘せんかね?」
男「すみません、しばらく決闘は控えようと思ってまして……」
課長「もしかして、決闘値が高かったのかね?」
男「ええ、まあ」
課長「ハハハ、決闘値は高いぐらいがちょうどいいのさ」
課長「血糖値やコレステロール、中性脂肪だって低すぎるとよくないっていうだろ?」
課長「それに決闘を控えて、ストレスが溜まるのもよくないよ」
男(……たしかに)
男「じゃあ、ちょっとだけ……」
男「いざ!」ジャキッ
課長「いざ!」ジャキッ
ガキィンッ! キィンッ! ギンッ!
課長「む、やるな!」
男「課長こそ!」
男(剣と剣で斬り結ぶこの感覚……やっぱり決闘って面白い!)
男「どりゃあっ!」ビュアオッ
ザシュッ!
課長「ぐはぁっ……!」ドサッ…
男「き、気持ちいい……! この肉と骨を断つ感触がたまらない!」
男「おい同僚、決闘しよう!」
同僚「え、でもお前、決闘値は……?」
男「大丈夫! 明日から節制するから!」
一ヶ月後――
―病院―
医者「……あの」
男「……はい」
医者「前よりだいぶ決闘値が上がってるんですが、ちゃんと決闘控えてました?」
男「……すみません」
医者「いいですか。決闘値が高くなりすぎると、本当に大変なことになりますよ」
男「大変なこととは?」
医者「あまりに決闘値が上がると、人は“狂戦士”になるんです」
男「え……」
男「もし狂戦士になってしまうと、どうなるんです?」
医者「知能や理性を失い、がむしゃらに戦いを追い求めるようになります」
医者「そうなってしまうと、元に戻ることはまず不可能です」
男「そ、そんな……!」
医者「まだ、まだ間に合います。決闘はお控え下さい! 一度もやっちゃダメですよ!」
男「わ、分かりました! 今度こそ!」
―家―
妻「あなた、テレビで決闘値の特集をやってるわよ」
男「どれどれ……」
司会『本日の“めざせ健康”では、決闘好きの皆さんの悩みの種、決闘値について特集します』
司会『よろしくお願いします』
学者『お願いします』
司会『決闘値が高まりすぎて狂戦士になってしまった患者さんたちのVTRをご覧ください』
患者A『グオオーッ! グオオーッ!』
患者B『ガアアアアアアアアアアアッ!』
患者C『コロス……コロスゥゥゥゥゥゥッ!』
学者『こうなると、元に戻ることはまずなく……』
男「ひええ……! 戦士というより、もはや猛獣かなにかじゃないか……!」
妻「あなた、こんな風になっちゃイヤよ!」
男「分かってる……俺はもう決闘なんかやらない!」
―会社―
課長「やぁ、お久しぶり」
男「課長、退院できたんですか」
課長「まぁね。三十針も縫ってしまったよ。さあ、リベンジマッチといこう!」
男「いえ、もう決闘はやりません」
課長「まだ決闘値を気にしてるのかね? 大丈夫だって……」
男「医者から止められてましてね……失礼します!」
男(あ~……決闘したい!)
男(決闘したい、決闘したい、決闘したい!)イライラ…
新人女「ハーブ茶です、落ち着きますよ」
男「……ありがとう」
男「君はいつも穏やかだね。君みたいな決闘とは無縁な人生を送るべきだったよ」
新人女「禁闘、頑張って下さい!」
男「……ああ!」
禁闘から一ヶ月――
スタスタ…
男(なんとか禁闘は続いている……)
男(この調子でいけば、どうにかなりそうだ)
男(お、コンビニがある。子供におやつでも買っていこうかな……)
男(≪ポックリマンチョコ≫が欲しいとかいってたしな……)
―コンビニ―
強盗「金を出せ!」ジャキッ
店員「ひ、ひいい……!」
男(強盗!? 武器は……ロングソードか!)
男(俺が戦えば撃退はできそうだが、今は決闘を控えてるし……)
男(ここは黙って店を出るしか……)
強盗「金はもらったが……剣の切れ味を試させてもらおうかァ!」
店員「そんなぁ!」
男(いや、やはり見過ごすわけにはいかん!)
男「強盗ッ!」
強盗「ん?」
男「丸腰の相手を斬ってもつまらんだろう……勝負だ!」ジャキッ
強盗「決闘ってわけか、おもしれえ! ――いくぜっ!」
ガキンッ! キンッ! シュバッ!
男(やっぱり……決闘っておんもしれえええええええ!!!)
男(このスリル! この非日常感! ヤミツキになるぅぅぅぅぅぅぅぅぅっ!!!)
ズバシュッ!
強盗「ぐ、はぁ……」ドサッ…
男「ふぅ……」
店員「あっ……ありがとうございました!」
男「ふぅ、ふぅ……」
店員「ぜひお礼を……」
男「ふぅ、ふぅ、ふぅ……! ふぅふぅふぅふぅふぅ……!」
店員「……?」
男「フゥ……フシュゥゥゥゥゥ……」
男「オ、オレツヨイ……オレ、モットタタカウ……!」
店員「!?」
男「グ、グゴゴゴゴ……! グガガガガガ……!」
店員「ひええええ!?」
男「グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!!!」
男「ガァァァァァッ!!!」ブンブンブン
男「グオオオオオオオッ!!!」ブンブンブン
男「ガウアァァァァァァァァッ!!!」ブンブンブン
妻「あなた、私よ! 私!」
少年「パパーッ!」
課長「目を覚ましたまえ!」
同僚「決闘しちまって、狂戦士になっちまったのか……!」
妻「どうすれば……!」
警部「ああなったらもう……元には戻れないといわれています」
警部「ただいま、狙撃班を組織させています」
妻「狙撃ってそんな……!」
警部「やむをえないのです。あのまま放っておけば、ご主人は大災害になってしまう!」
狙撃手「いいか! 頭部を狙え! もし狙いを外したら、死ぬのは自分と思え!」
「はいっ!」 「はいっ!」 「はいっ!」
新人女「待って下さい」
狙撃手「む?」
新人女「狙撃は……私がダメだったらにして下さい」
狙撃手「なにをいっている!?」
新人女「……」スタスタ
狙撃手「お、おいっ! 危険だ、待ちなさい!」
狙撃手(しかし、相手は狂戦士化した男性だというのに、なんだあの落ち着きようは……)
狙撃手(まるで朝の散歩にでも出かけるような……)
男「……ガググ」
新人女「……」スチャッ
男「グググ……ガアァァァァァッ!!!」ダッ
新人女「……」
新人女「 キ エ エ エ エ エ エ エ ッ ! ! ! ! ! 」
男「!!?」ビクッ
男「……」ガタガタ…
男「あ、あわわ……」ドサッ
妻「あなた!」
課長「おおっ、元に戻った!?」
同僚「狂戦士化は元に戻らないはずなのに!」
警部「信じられん、奇跡だ!」
新人女「では、私はこれで……」スタスタ…
…………
……
―病院―
医者「調子はいかがですか?」
男「はい、安定しています」
医者「決闘値も正常になりました。狂戦士になる危険はとりあえずないでしょう」
男「ええ……元に戻れてよかった……」
医者「狂戦士化のごく初期の段階であれば、凄まじい殺気を浴びせれば」
医者「闘争への怯えや恐れが生まれ、狂戦士化から戻れることもあるんです」
医者「ただし理論上は可能、といった程度のことでまさか本当に起こるとは……」
男「あの子……あれほどの殺気を出せるなら、おそらく百戦錬磨のはず」
男「なのに、なぜあんなに穏やかで、決闘値も低いんでしょうか?」
医者「それはですね……」
医者「世の中には、ごくまれに戦いを“特別なこと”と感じない人もいるんです」
男「というと?」
医者「ようするに、決闘というものに対する意識が日常の仕草に対するそれとなんら変わらないのです」
医者「まるで食事や散歩をするように、決闘を行える」
医者「そういった人たちはいくら戦っても一切興奮することはないので決闘値は上がらないんです」
男「そんな人が……」ゴクッ
医者「私も彼女に会いましたが、彼女の戦歴はきっと何百、いえ何千戦と考えられます」
男「ううむ、真の狂戦士とは彼女のことをいうのかもしれませんね……」
― 終 ―
元スレ
医者「あなた、決闘はお好きですか?」
男「そうですね、剣の使い手でして……しょっちゅう家族や同僚と決闘してます」
医者「人は戦うと、ある種の興奮物質が血中に増えていきます。これを“決闘値”と呼びます」
男「はぁ……」
医者「これがあまりに溜まると、人体に悪影響を及ぼすのです」
男「どうにかならないんですか?」
医者「決闘値を減らす薬はありませんし、今のところ決闘を控えて決闘値を下げるしか方法はありません」
医者「ですので、しばらく決闘は控えて下さい。一ヶ月後に再検査しましょう」
男「分かりました……」
8: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/10/08(月) 21:56:51.867 ID:vqmnWsyU0.net
―家―
男「ただいまー」
妻「結果はどうだった?」
男「ほとんど問題なかったよ。ただ……決闘値が高いって」
妻「まぁっ……」
男「だから、しばらくお前と決闘することはできない」
妻「そうなの、残念ねえ……。せっかくナギナタで新しい技覚えたのに……」
男「俺もだよ」
10: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/10/08(月) 22:00:16.227 ID:vqmnWsyU0.net
少年「パパー、決闘しよー! 決闘ーっ!」ブンブン
男「ああ、すまない……パパはしばらく決闘できないんだ」
少年「ちぇー、あたらしい技覚えたのに!」ブンブン
妻「コラ、ワガママいわないの!」
男「ごめんな……」
男(なんとしても決闘値を下げて、また決闘できる体にしないとな……)
12: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/10/08(月) 22:03:40.563 ID:vqmnWsyU0.net
―会社―
同僚「おーい、決闘しようぜ!」ジャキッ
男「いや、やめとく……」
同僚「え、どうして?」
男「医者から決闘値が高めだっていわれちゃってさ……」
同僚「あらら。まあ、あんだけ決闘してりゃなぁ……」
同僚「新人ちゃんはどう? 健康診断あったでしょ?」
新人女「私は決闘値低くて、基準値を下回ってしまいました……」
同僚「だろうなぁ、いつも大人しくて戦うような感じじゃないもん」
男「羨ましい……」
新人女「……」
13: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/10/08(月) 22:06:08.521 ID:vqmnWsyU0.net
課長「男君、決闘せんかね?」
男「すみません、しばらく決闘は控えようと思ってまして……」
課長「もしかして、決闘値が高かったのかね?」
男「ええ、まあ」
課長「ハハハ、決闘値は高いぐらいがちょうどいいのさ」
課長「血糖値やコレステロール、中性脂肪だって低すぎるとよくないっていうだろ?」
課長「それに決闘を控えて、ストレスが溜まるのもよくないよ」
男(……たしかに)
男「じゃあ、ちょっとだけ……」
14: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/10/08(月) 22:08:14.778 ID:vqmnWsyU0.net
男「いざ!」ジャキッ
課長「いざ!」ジャキッ
ガキィンッ! キィンッ! ギンッ!
課長「む、やるな!」
男「課長こそ!」
男(剣と剣で斬り結ぶこの感覚……やっぱり決闘って面白い!)
17: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/10/08(月) 22:12:15.476 ID:vqmnWsyU0.net
男「どりゃあっ!」ビュアオッ
ザシュッ!
課長「ぐはぁっ……!」ドサッ…
男「き、気持ちいい……! この肉と骨を断つ感触がたまらない!」
男「おい同僚、決闘しよう!」
同僚「え、でもお前、決闘値は……?」
男「大丈夫! 明日から節制するから!」
18: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/10/08(月) 22:15:10.872 ID:vqmnWsyU0.net
一ヶ月後――
―病院―
医者「……あの」
男「……はい」
医者「前よりだいぶ決闘値が上がってるんですが、ちゃんと決闘控えてました?」
男「……すみません」
医者「いいですか。決闘値が高くなりすぎると、本当に大変なことになりますよ」
男「大変なこととは?」
19: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/10/08(月) 22:18:15.006 ID:vqmnWsyU0.net
医者「あまりに決闘値が上がると、人は“狂戦士”になるんです」
男「え……」
男「もし狂戦士になってしまうと、どうなるんです?」
医者「知能や理性を失い、がむしゃらに戦いを追い求めるようになります」
医者「そうなってしまうと、元に戻ることはまず不可能です」
男「そ、そんな……!」
医者「まだ、まだ間に合います。決闘はお控え下さい! 一度もやっちゃダメですよ!」
男「わ、分かりました! 今度こそ!」
20: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/10/08(月) 22:21:59.920 ID:vqmnWsyU0.net
―家―
妻「あなた、テレビで決闘値の特集をやってるわよ」
男「どれどれ……」
司会『本日の“めざせ健康”では、決闘好きの皆さんの悩みの種、決闘値について特集します』
司会『よろしくお願いします』
学者『お願いします』
21: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/10/08(月) 22:25:18.699 ID:vqmnWsyU0.net
司会『決闘値が高まりすぎて狂戦士になってしまった患者さんたちのVTRをご覧ください』
患者A『グオオーッ! グオオーッ!』
患者B『ガアアアアアアアアアアアッ!』
患者C『コロス……コロスゥゥゥゥゥゥッ!』
学者『こうなると、元に戻ることはまずなく……』
男「ひええ……! 戦士というより、もはや猛獣かなにかじゃないか……!」
妻「あなた、こんな風になっちゃイヤよ!」
男「分かってる……俺はもう決闘なんかやらない!」
23: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/10/08(月) 22:30:26.193 ID:vqmnWsyU0.net
―会社―
課長「やぁ、お久しぶり」
男「課長、退院できたんですか」
課長「まぁね。三十針も縫ってしまったよ。さあ、リベンジマッチといこう!」
男「いえ、もう決闘はやりません」
課長「まだ決闘値を気にしてるのかね? 大丈夫だって……」
男「医者から止められてましてね……失礼します!」
24: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/10/08(月) 22:32:16.486 ID:vqmnWsyU0.net
男(あ~……決闘したい!)
男(決闘したい、決闘したい、決闘したい!)イライラ…
新人女「ハーブ茶です、落ち着きますよ」
男「……ありがとう」
男「君はいつも穏やかだね。君みたいな決闘とは無縁な人生を送るべきだったよ」
新人女「禁闘、頑張って下さい!」
男「……ああ!」
25: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/10/08(月) 22:35:43.736 ID:vqmnWsyU0.net
禁闘から一ヶ月――
スタスタ…
男(なんとか禁闘は続いている……)
男(この調子でいけば、どうにかなりそうだ)
男(お、コンビニがある。子供におやつでも買っていこうかな……)
男(≪ポックリマンチョコ≫が欲しいとかいってたしな……)
27: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/10/08(月) 22:39:19.752 ID:vqmnWsyU0.net
―コンビニ―
強盗「金を出せ!」ジャキッ
店員「ひ、ひいい……!」
男(強盗!? 武器は……ロングソードか!)
男(俺が戦えば撃退はできそうだが、今は決闘を控えてるし……)
男(ここは黙って店を出るしか……)
強盗「金はもらったが……剣の切れ味を試させてもらおうかァ!」
店員「そんなぁ!」
男(いや、やはり見過ごすわけにはいかん!)
29: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/10/08(月) 22:42:12.126 ID:vqmnWsyU0.net
男「強盗ッ!」
強盗「ん?」
男「丸腰の相手を斬ってもつまらんだろう……勝負だ!」ジャキッ
強盗「決闘ってわけか、おもしれえ! ――いくぜっ!」
ガキンッ! キンッ! シュバッ!
男(やっぱり……決闘っておんもしれえええええええ!!!)
男(このスリル! この非日常感! ヤミツキになるぅぅぅぅぅぅぅぅぅっ!!!)
32: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/10/08(月) 22:46:04.359 ID:vqmnWsyU0.net
ズバシュッ!
強盗「ぐ、はぁ……」ドサッ…
男「ふぅ……」
店員「あっ……ありがとうございました!」
男「ふぅ、ふぅ……」
店員「ぜひお礼を……」
男「ふぅ、ふぅ、ふぅ……! ふぅふぅふぅふぅふぅ……!」
店員「……?」
33: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/10/08(月) 22:48:17.384 ID:vqmnWsyU0.net
男「フゥ……フシュゥゥゥゥゥ……」
男「オ、オレツヨイ……オレ、モットタタカウ……!」
店員「!?」
男「グ、グゴゴゴゴ……! グガガガガガ……!」
店員「ひええええ!?」
男「グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!!!」
35: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/10/08(月) 22:52:10.925 ID:vqmnWsyU0.net
男「ガァァァァァッ!!!」ブンブンブン
男「グオオオオオオオッ!!!」ブンブンブン
男「ガウアァァァァァァァァッ!!!」ブンブンブン
妻「あなた、私よ! 私!」
少年「パパーッ!」
課長「目を覚ましたまえ!」
同僚「決闘しちまって、狂戦士になっちまったのか……!」
36: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/10/08(月) 22:55:44.717 ID:vqmnWsyU0.net
妻「どうすれば……!」
警部「ああなったらもう……元には戻れないといわれています」
警部「ただいま、狙撃班を組織させています」
妻「狙撃ってそんな……!」
警部「やむをえないのです。あのまま放っておけば、ご主人は大災害になってしまう!」
狙撃手「いいか! 頭部を狙え! もし狙いを外したら、死ぬのは自分と思え!」
「はいっ!」 「はいっ!」 「はいっ!」
37: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/10/08(月) 22:59:03.242 ID:vqmnWsyU0.net
新人女「待って下さい」
狙撃手「む?」
新人女「狙撃は……私がダメだったらにして下さい」
狙撃手「なにをいっている!?」
新人女「……」スタスタ
狙撃手「お、おいっ! 危険だ、待ちなさい!」
狙撃手(しかし、相手は狂戦士化した男性だというのに、なんだあの落ち着きようは……)
狙撃手(まるで朝の散歩にでも出かけるような……)
39: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/10/08(月) 23:01:28.281 ID:vqmnWsyU0.net
男「……ガググ」
新人女「……」スチャッ
男「グググ……ガアァァァァァッ!!!」ダッ
新人女「……」
新人女「 キ エ エ エ エ エ エ エ ッ ! ! ! ! ! 」
男「!!?」ビクッ
43: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/10/08(月) 23:05:41.523 ID:vqmnWsyU0.net
男「……」ガタガタ…
男「あ、あわわ……」ドサッ
妻「あなた!」
課長「おおっ、元に戻った!?」
同僚「狂戦士化は元に戻らないはずなのに!」
警部「信じられん、奇跡だ!」
新人女「では、私はこれで……」スタスタ…
…………
……
44: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/10/08(月) 23:09:30.705 ID:vqmnWsyU0.net
―病院―
医者「調子はいかがですか?」
男「はい、安定しています」
医者「決闘値も正常になりました。狂戦士になる危険はとりあえずないでしょう」
男「ええ……元に戻れてよかった……」
医者「狂戦士化のごく初期の段階であれば、凄まじい殺気を浴びせれば」
医者「闘争への怯えや恐れが生まれ、狂戦士化から戻れることもあるんです」
医者「ただし理論上は可能、といった程度のことでまさか本当に起こるとは……」
男「あの子……あれほどの殺気を出せるなら、おそらく百戦錬磨のはず」
男「なのに、なぜあんなに穏やかで、決闘値も低いんでしょうか?」
医者「それはですね……」
45: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/10/08(月) 23:13:06.115 ID:vqmnWsyU0.net
医者「世の中には、ごくまれに戦いを“特別なこと”と感じない人もいるんです」
男「というと?」
医者「ようするに、決闘というものに対する意識が日常の仕草に対するそれとなんら変わらないのです」
医者「まるで食事や散歩をするように、決闘を行える」
医者「そういった人たちはいくら戦っても一切興奮することはないので決闘値は上がらないんです」
男「そんな人が……」ゴクッ
医者「私も彼女に会いましたが、彼女の戦歴はきっと何百、いえ何千戦と考えられます」
男「ううむ、真の狂戦士とは彼女のことをいうのかもしれませんね……」
― 終 ―
医者「血液検査の結果、決闘値が高めですね」男「はぁ……」