1: ◆tc6/59leHM 2017/07/14(金) 00:53:20.302 ID:ndD4+fIv0.net
サターニャ『もしもしガヴリール? あんた今暇?』
ガヴリール「なんだよサターニャ、私は今ネトゲで忙しいんだ」
サターニャ『あんた休日だからって家に引きこもってばかりいると体にキノコが生えるわよ』
ガヴリール「切るぞ」
サターニャ『待ちなさいよ!』
2: ◆tc6/59leHM 2017/07/14(金) 00:54:21.725 ID:ndD4+fIv0.net
ガヴリール「なんだよ。用件を言えよ」
サターニャ『よくぞ聞いたわね! 今夜、肝試しをするわよ!』
ガヴリール「肝試し?」
サターニャ『そうよ。だからちょっと来なさいよ!』
ガヴリール「はぁ? 突然すぎるだろ」
サターニャ『いいじゃない、どうせ暇なんでしょ?夏の風物詩が待ってるわよ!』
ガヴリール「なんだそれ。嫌だぞ面倒くさい。これからネトゲのイベントがあるんだ。行くならお前一人で行けよ」
サターニャ『一人じゃないわよ。実はみんなも誘ったの。あとはあんただけよガヴリール!』
ガヴリール「みんな来るのか?」
サターニャ『そうよ』
ガヴリール「ヴィーネも?」
サターニャ『ガヴリールが来るって言ったら渋々OKしたわ』
ガヴリール「はぁ……分かったよ。で? どこに行けばいいんだ?」
サターニャ『決まりね。じゃあ夜9時に……』
ー学校 裏門ー
サターニャ「ククク……よくきたわね。逃げ出さなかったことは褒めてあげるわ!」
ガヴリール「よし、帰るか」
サターニャ「待ちなさいよ!」
ヴィーネ「はぁ……帰りたい」
ラフィエル「面白そうじゃないですか~」
タプリス「うぅ、どうして私まで……」ビクビク
ガヴリール「てか学校とか忍び込んで大丈夫なのか? 鍵かかってるだろうし」
サターニャ「ふふ、安心しなさい。この校舎裏の廊下の窓の鍵を壊しておいたわ」
ヴィーネ「それ犯罪だから!」
タプリス「とんでもない悪魔ですっ!」
ラフィエル「さすがサターニャさん!」
サターニャ「とりあえず、スタート地点に行くわよ」
ヴィーネ「スタート地点?」
サターニャ「そうよ。今夜の肝試しを最高に楽しむためのプランを練ってきたの」
ガヴリール「お前、暇なんだな」
サターニャ「あんたに言われたくないわよ! さあ、正面玄関を目指すわよ!」
ー正面玄関ー
サターニャ「着いたわ。みんな上履きに履き替えなさい」
ラフィエル「靴下のままだと廊下は冷たいですからね」
ガヴリール「意外とちゃんと考えてるんだなサターニャ」
サターニャ「当たり前でしょ? 私はいずれ地獄の支配者になる者よ!」
タプリス「何を言ってるんですかこの人は?」
ヴィーネ「気にしたら負けよタプちゃん」
サターニャ「それじゃルールを説明するわね。目的地は化学室。そこからこのサタニキア特製メダルを取ってきてもらうわ!」
ガヴリール「なんだそのゴミ」
サターニャ「失礼ね! この価値が分からないなんて、どんな感性してるの?」
ヴィーネ「化学室って、ここからだと結構遠いわね……」
ラフィエル「しかもこの暗闇の中ですからね……」
タプリス(場所忘れました……)
サターニャ「それと、行くときはもちろん一人ずつよ」
ヴィーネ「嘘でしょ!? この真っ暗な廊下を一人で!? 無理無理、絶対に無理!」
サターニャ「大丈夫よ。懐中電灯もあるし」
ヴィーネ「そういう問題じゃなくて!!」
ラフィエル「ヴィーネさんは悪魔なのに怖がりさんなんですねぇ♪」
タプリス(月乃瀬先輩かわいいです……)
サターニャ「一人ずつじゃないと雰囲気でないじゃない。夏の風物詩をちゃんと堪能しないと」
ガヴリール「風物詩って言いたいだけだろお前」
ラフィエル「まあ行き帰りで10分程ですから、大丈夫ですよヴィーネさん」
ヴィーネ「ラフィまで……うぅ……」
タプリス「あの……私、化学室の場所覚えてなくて。ですので月乃瀬先輩、一緒に行ってもらっていいですか?」
ヴィーネ「ほんと!? ありがとうタプちゃん! 一緒に行きましょう!」
サターニャ「まったく、しょうがないわね」
サターニャ「じゃあ、まず最初に私が行って、メダルを人数分置いてくるわ」
ガヴリール「そんじゃサターニャが行ったら、みんなで先帰るか」
サターニャ「ちょっと! そんな超ド級悪魔行為はやめなさいよ!!」
ガヴリール「冗談に決まってるだろ。ほら、早く行けよ」
サターニャ「絶対に帰っちゃダメよ!」
タプリス(私の尊敬する天真先輩はどこにいってしまったのでしょうか?)
ー30分後ー
ガヴリール「サターニャ、遅くね?」
ラフィエル「そうですね……もう30分も経ってますし」
ガヴリール「メダル置くのにそんな時間かかるか? どっかで迷子になってるんじゃないか」
ヴィーネ「そうね。ちょっと電話してみるわ」
…………
ヴィーネ「……ダメだわ。繋がらない」
ラフィエル「困りましたね」
ガヴリール「あのバカなにやってんだ?」
タプリス「胡桃沢先輩……心配です」
ガヴリール「様子を見に行くしかないな」
ヴィーネ「そうだけど……懐中電灯はサターニャが持ってる一本だけよ。この真っ暗な中を行くなんて」
ラフィエル「では、私が行きましょう。だいぶ暗闇に目が慣れてきましたから」
タプリス「白羽先輩……一人で大丈夫ですか?」
ラフィエル「大丈夫ですよタプちゃん。迷子になってベソをかいてるサターニャさんを拝めるチャンスですからね♪」
ガヴリール「目的はともかく……頼んだぞラフィエル」
ーさらに30分後ー
ガヴリール「……いくらなんでも遅すぎる」
ヴィーネ「やっぱり何かあったのよ! ど、どうしようガヴ!?」ガクガク
タプリス「あわわ……きっとお化けに食べられてしまったんです!!」ブルブル
ガヴリール「お、落ち着け二人とも。お化けなんているわけないだろ?」
ガヴリール(天使と悪魔はいるけど……)
ガヴリール「仕方ない、私たちも様子を見に行こう」
ヴィーネ「い、嫌よ! 行きたくないわ!」
タプリス「そうですよ! 私たちは残ります!」
ガヴリール「別にいいけどさ、もし私も戻ってこなかったらどうするつもりだ?」
ヴィーネ「それは……外に出て助けを求めるわよ」
ガヴリール「それはまずいだろ。夜中に学校に忍び込んだことがバレれば、大目玉を食うぞ」
ヴィーネ「それは……そうだけど」
ガヴリール「きっとラフィもサターニャを探してる最中なんだろう。みんなで探せば早く見つかるよ」
タプリス「天真先輩がそこまで言うなら……」
ヴィーネ「分かったわ。二人を見つけてさっさと帰りましょう!」
ー化学室前 廊下ー
ガヴリール「着いたな」
タプリス「来る途中では先輩方と会いませんでしたね……」
ヴィーネ「やっぱりこの中にいるのかな?」
ガヴリール「ガラス越しに中が見えるな。うん? ……机の上に誰か寝てるぞ?」
ヴィーネ「誰かって?」
ガヴリール「暗くて見えん……。よし、中を見てこいタプリス」
タプリス「ぴゃっ!? 私ですかっ!?」ドキィ
ヴィーネ「ちょっとガヴっ!?」
ガヴリール「冗談だよ。お前らビビりすぎ」
タプリス(優しい天真先輩はどこへ……)
ー化学室ー
ガラガラッ
ガヴリール「おーい、サターニャか? ラフィ?」
コツン
ガヴリール「ん? 足元に懐中電灯が落ちてる」
カチッ
ガヴリール「おーい、サター……!?」
ヴィーネ「……あ……あぁ……サターニャ……」
タプリス「ひゃあああああああああ!!!」
ガヴリール(あそこにいるのは間違いなくサターニャ……全身血まみれの!)
ヴィーネ「どういうことなのよっ!?なんで血が……!」
タプリス「あわわわわわわわっ」
ガタンッ
ガヴリール「ロッカーが!? 誰だ!?」
バァーン!
???「ゔぁあああああ!!」
シャキーン シャキーン
ガヴリール(!? なんだアイツ!? 巨大なハサミを持って……)
タプリス「わああああああああああ!」ダダダダ
ヴィーネ「待って! タプちゃああああん!」ダダダダ
ガヴリール「あ、おい! 二人とも! 置いてくなよ!」
ガヴリール(やばいやばいやばい! サターニャを殺したのはアイツか!?)
ガヴリール(あの巨大なハサミで体をズタズタに!)
ガヴリール(逃げないと逃げないと逃げないと!)
シャキーン シャキーン
ガヴリール「うわあああ! こっちに来るなああああ!」
ブンッ
ガキィン
ガヴリール(思わず懐中電灯を投げてしまった! くそ、ハサミで防がれた!)
シャキーン シャキーン
ガヴリール「みんな待ってくれええええ!」ダダダダ
ヴィーネ「はぁ……はぁ……タプちゃんを見失っちゃった……」
ヴィーネ「あれは間違いなくサターニャだった……」
ヴィーネ「うぅ……サターニャ……。あんなの酷い……」
ヴィーネ「とにかく早く外に出て警察と救急車を呼ばないと!」
ヴィーネ「この角を曲がれば私たちが入ってきた窓が……」
???「ゔぉおおおおお」
シャキーン シャキーン
ヴィーネ「!? そんな!? どうしてここに!?」
シャキーン シャキーン
ヴィーネ「あわわ……もうダメだわ…………」ガクッ
シャキーン!
ガヴリール「ヒィヒィ……フゥフゥ……いきなり走ったから脇腹が……」
ガヴリール「ん? ここは美術室か。無我夢中で逃げたからこんな所に」
ガヴリール「とりあえず中に入って休もう……」
ガラガラ ピシャッ
ガヴリール「ふぅ。アイツは一体何なんだ? なんでサターニャを殺したんだ?」
ガヴリール「もしかしてラフィも殺されちゃったのか? うぅ……」
ガタン
ガヴリール「ひっ!?」
ガヴリール(隣の準備室から物音が!?)
ガヴリール(もしかしてヴィーネとタプリスかな?)
ガヴリール(行ってみよう……)
ガチャ
ガヴリール「おーい、ヴィーネ? タプリス?」
ガヴリール「ひゃ! 人影が!?……て、よく見たらデッサンに使う石像か」
ガヴリール「驚いた……。ほかにもあるな。あれ? この石像、ハサミを持ってる……」
???「ゔぉおおおお」
シャキーン!
ガヴリール「ぎゃああああああああ!!」
シャキーン シャキーン
ガヴリール「くそ! こうなったら戦うしかない!」
ガヴリール(巨大なハサミにはビビったけど、アイツよく見たら体は小さいぞ!)
ガヴリール「サターニャの仇だ! 聖なる矢を喰らえ!」
キュイイイン
ガヴリール「悔い改めろっ!!!」
ズドオオオン
???「ゔぉおおおお」
ジャキイイイーン!
ガヴリール「なっ!? 私の必殺技も防がれた!? チートすぎんだろアイツ!」
シャキーン シャキーン
ガヴリール(に、逃げないと!)ダダダダ
ガチャ
???「ケケケケケケケ!」
ガヴリール「ひぃ! 鎌を持った死神!? アイツの仲間か!?」
???「クビ ヲ ヨコセ~」
ガヴリール「ぎゃあああ! お母さあああああんっ!!」
???「……ふふふ、あはは、なーっはっはっは!」
ガヴリール「……ふえっ?」
???「私よガヴリール。ふふふ、いい怖がりっぷりだったわ!」
ガヴリール「サターニャ!? お前死んだはずじゃ!?」
サターニャ「この通りピンピンしてるわよ。あれは死んだふりよ」
ガヴリール「し、死んだふりって? それじゃあ、あのハサミ男は!?」
パサッ
???「初めまして。いつも姉がお世話になっております」
サターニャ「私の弟よ」
ガヴリール「弟おおお!?」
ー帰り道ー
サターニャ「肝試しは大成功だったわ! さすが私!」
ヴィーネ「あの時はホントにもうダメかと思ったわ」
ラフィエル「ヴィーネさん気を失ってしまうほどでしたからね~♪」
弟「ホントすみません。僕のせいで」
ガヴリール「悪趣味すぎるだろ! なんだあの巨大なハサミ!」
サターニャ「魔界のホームセンターに普通に売ってるわよ」
ガヴリール「てか何でラフィはそっち側なんだよ? 最初からグルだったのか?」
ラフィエル「いえいえ、私も最初血まみれのサターニャさんを見た時は驚きましたよ」
サターニャ「こいついきなり私に駆け寄ってきて体をブンブン揺さぶるもんだから、思わず起きちゃって」
ラフィエル「そのとき濃厚なトマトの香りがしたので、死んだふりだって気付いたんです♪」
弟「これです。『人間の生き血風トマトジュース』。家に箱買いしたのがあって。あ、今回使ったのは賞味期限が切れたやつなんで安心してください」
ヴィーネ「どこに配慮してるのよ……」
ラフィエル「それでサターニャさんの計画に乗って、千里眼でみんなの居場所を教えてあげて」
弟「それを聞いて転移魔法陣で先回りしてたんです」
ガヴリール「鬼かお前らっ!?」
サターニャ「うぷぷ、お母さーん! だって。とっても可愛かったわよガヴリール!」
ガヴリール「くっ、お前覚えてろよ……」
ヴィーネ(ガヴの悲鳴聞きたかったな……)
ガヴリール「てか、弟。お前強いんだな。私の矢を弾き返すなんて」
弟「いえ、それほどでもないです。今回はあらかじめお父さんに防御魔法をかけてもらってたんです」
ガヴリール「マジか。お前ら家族ぐるみで計画立ててたのかよ。とんでもない家族だな」
サターニャ「ククク、我が胡桃沢一族は大悪魔の家系。人間どもを恐怖のどん底に突き落すことを生業としているのよ!」
弟「ただのケーキ屋です」
弟「みなさん、お詫びと言ってはなんですが、これウチで作ってるケーキです。召し上がってください」
ラフィエル「あら~ありがとうございます♪」
ヴィーネ「ご丁寧にどうも」
サターニャ「感謝するがいいわ!」
ガヴリール「お前は許さんぞサターニャ」
サターニャ「何よ!肝試しなんだから怖がらせてナンボじゃない!」
ガヴリール「……お前が死んだと思って……本当に悲しかったんだぞ……バカ」
ヴィーネ「ガヴ……」
ラフィエル「そうですよサターニャさん。私もあの時本当に気が動転してしまって、サターニャさんに抱きついたんですから」
サターニャ「あんたたち、そこまで私のことを……」
ラフィエル「自分の大切なオモチャ……ではなく友達があんな風になってたら誰だって悲しいですよ♪」
サターニャ「あんた今変なこと言わなかった!?」
イッテナイデスヨー イッタジャナイ ウフフ アハハ……
ー学校ー
タプリス「ここどこですかあああああああ!?」
タプリス「うええええええええええええん!!」
タプリス「天真せんぱあああああああああああああい!」
ガヴリールドロップアウト
『切れない絆と可愛い忘れ物』
ー完ー
終わりです。読んでくださってありがとうございました。
ホラーっぽくしてみましたが、動きのある描写は難しいですね。
最初からタプリスはオチで使う予定でした。好きな人はごめんなさい。
自分もタプリス好きなので、いつか報われる話を書きたいです。
元スレ
ガヴリール「なんだよ。用件を言えよ」
サターニャ『よくぞ聞いたわね! 今夜、肝試しをするわよ!』
ガヴリール「肝試し?」
サターニャ『そうよ。だからちょっと来なさいよ!』
ガヴリール「はぁ? 突然すぎるだろ」
サターニャ『いいじゃない、どうせ暇なんでしょ?夏の風物詩が待ってるわよ!』
ガヴリール「なんだそれ。嫌だぞ面倒くさい。これからネトゲのイベントがあるんだ。行くならお前一人で行けよ」
サターニャ『一人じゃないわよ。実はみんなも誘ったの。あとはあんただけよガヴリール!』
3: ◆tc6/59leHM 2017/07/14(金) 00:56:03.900 ID:ndD4+fIv0.net
ガヴリール「みんな来るのか?」
サターニャ『そうよ』
ガヴリール「ヴィーネも?」
サターニャ『ガヴリールが来るって言ったら渋々OKしたわ』
ガヴリール「はぁ……分かったよ。で? どこに行けばいいんだ?」
サターニャ『決まりね。じゃあ夜9時に……』
4: ◆tc6/59leHM 2017/07/14(金) 00:58:14.955 ID:ndD4+fIv0.net
ー学校 裏門ー
サターニャ「ククク……よくきたわね。逃げ出さなかったことは褒めてあげるわ!」
ガヴリール「よし、帰るか」
サターニャ「待ちなさいよ!」
ヴィーネ「はぁ……帰りたい」
ラフィエル「面白そうじゃないですか~」
タプリス「うぅ、どうして私まで……」ビクビク
5: ◆tc6/59leHM 2017/07/14(金) 01:00:25.620 ID:ndD4+fIv0.net
ガヴリール「てか学校とか忍び込んで大丈夫なのか? 鍵かかってるだろうし」
サターニャ「ふふ、安心しなさい。この校舎裏の廊下の窓の鍵を壊しておいたわ」
ヴィーネ「それ犯罪だから!」
タプリス「とんでもない悪魔ですっ!」
ラフィエル「さすがサターニャさん!」
6: ◆tc6/59leHM 2017/07/14(金) 01:02:45.263 ID:ndD4+fIv0.net
サターニャ「とりあえず、スタート地点に行くわよ」
ヴィーネ「スタート地点?」
サターニャ「そうよ。今夜の肝試しを最高に楽しむためのプランを練ってきたの」
ガヴリール「お前、暇なんだな」
サターニャ「あんたに言われたくないわよ! さあ、正面玄関を目指すわよ!」
7: ◆tc6/59leHM 2017/07/14(金) 01:04:53.282 ID:ndD4+fIv0.net
ー正面玄関ー
サターニャ「着いたわ。みんな上履きに履き替えなさい」
ラフィエル「靴下のままだと廊下は冷たいですからね」
ガヴリール「意外とちゃんと考えてるんだなサターニャ」
サターニャ「当たり前でしょ? 私はいずれ地獄の支配者になる者よ!」
タプリス「何を言ってるんですかこの人は?」
ヴィーネ「気にしたら負けよタプちゃん」
9: ◆tc6/59leHM 2017/07/14(金) 01:07:05.840 ID:ndD4+fIv0.net
サターニャ「それじゃルールを説明するわね。目的地は化学室。そこからこのサタニキア特製メダルを取ってきてもらうわ!」
ガヴリール「なんだそのゴミ」
サターニャ「失礼ね! この価値が分からないなんて、どんな感性してるの?」
ヴィーネ「化学室って、ここからだと結構遠いわね……」
ラフィエル「しかもこの暗闇の中ですからね……」
タプリス(場所忘れました……)
10: ◆tc6/59leHM 2017/07/14(金) 01:09:06.754 ID:ndD4+fIv0.net
サターニャ「それと、行くときはもちろん一人ずつよ」
ヴィーネ「嘘でしょ!? この真っ暗な廊下を一人で!? 無理無理、絶対に無理!」
サターニャ「大丈夫よ。懐中電灯もあるし」
ヴィーネ「そういう問題じゃなくて!!」
ラフィエル「ヴィーネさんは悪魔なのに怖がりさんなんですねぇ♪」
タプリス(月乃瀬先輩かわいいです……)
11: ◆tc6/59leHM 2017/07/14(金) 01:11:11.560 ID:ndD4+fIv0.net
サターニャ「一人ずつじゃないと雰囲気でないじゃない。夏の風物詩をちゃんと堪能しないと」
ガヴリール「風物詩って言いたいだけだろお前」
ラフィエル「まあ行き帰りで10分程ですから、大丈夫ですよヴィーネさん」
ヴィーネ「ラフィまで……うぅ……」
タプリス「あの……私、化学室の場所覚えてなくて。ですので月乃瀬先輩、一緒に行ってもらっていいですか?」
ヴィーネ「ほんと!? ありがとうタプちゃん! 一緒に行きましょう!」
サターニャ「まったく、しょうがないわね」
12: ◆tc6/59leHM 2017/07/14(金) 01:13:38.423 ID:ndD4+fIv0.net
サターニャ「じゃあ、まず最初に私が行って、メダルを人数分置いてくるわ」
ガヴリール「そんじゃサターニャが行ったら、みんなで先帰るか」
サターニャ「ちょっと! そんな超ド級悪魔行為はやめなさいよ!!」
ガヴリール「冗談に決まってるだろ。ほら、早く行けよ」
サターニャ「絶対に帰っちゃダメよ!」
タプリス(私の尊敬する天真先輩はどこにいってしまったのでしょうか?)
14: ◆tc6/59leHM 2017/07/14(金) 01:16:09.269 ID:ndD4+fIv0.net
ー30分後ー
ガヴリール「サターニャ、遅くね?」
ラフィエル「そうですね……もう30分も経ってますし」
ガヴリール「メダル置くのにそんな時間かかるか? どっかで迷子になってるんじゃないか」
ヴィーネ「そうね。ちょっと電話してみるわ」
…………
ヴィーネ「……ダメだわ。繋がらない」
ラフィエル「困りましたね」
ガヴリール「あのバカなにやってんだ?」
タプリス「胡桃沢先輩……心配です」
16: ◆tc6/59leHM 2017/07/14(金) 01:18:25.571 ID:ndD4+fIv0.net
ガヴリール「様子を見に行くしかないな」
ヴィーネ「そうだけど……懐中電灯はサターニャが持ってる一本だけよ。この真っ暗な中を行くなんて」
ラフィエル「では、私が行きましょう。だいぶ暗闇に目が慣れてきましたから」
タプリス「白羽先輩……一人で大丈夫ですか?」
ラフィエル「大丈夫ですよタプちゃん。迷子になってベソをかいてるサターニャさんを拝めるチャンスですからね♪」
ガヴリール「目的はともかく……頼んだぞラフィエル」
17: ◆tc6/59leHM 2017/07/14(金) 01:21:04.567 ID:ndD4+fIv0.net
ーさらに30分後ー
ガヴリール「……いくらなんでも遅すぎる」
ヴィーネ「やっぱり何かあったのよ! ど、どうしようガヴ!?」ガクガク
タプリス「あわわ……きっとお化けに食べられてしまったんです!!」ブルブル
ガヴリール「お、落ち着け二人とも。お化けなんているわけないだろ?」
ガヴリール(天使と悪魔はいるけど……)
18: ◆tc6/59leHM 2017/07/14(金) 01:23:09.201 ID:ndD4+fIv0.net
ガヴリール「仕方ない、私たちも様子を見に行こう」
ヴィーネ「い、嫌よ! 行きたくないわ!」
タプリス「そうですよ! 私たちは残ります!」
ガヴリール「別にいいけどさ、もし私も戻ってこなかったらどうするつもりだ?」
ヴィーネ「それは……外に出て助けを求めるわよ」
ガヴリール「それはまずいだろ。夜中に学校に忍び込んだことがバレれば、大目玉を食うぞ」
ヴィーネ「それは……そうだけど」
ガヴリール「きっとラフィもサターニャを探してる最中なんだろう。みんなで探せば早く見つかるよ」
タプリス「天真先輩がそこまで言うなら……」
ヴィーネ「分かったわ。二人を見つけてさっさと帰りましょう!」
20: ◆tc6/59leHM 2017/07/14(金) 01:25:27.650 ID:ndD4+fIv0.net
ー化学室前 廊下ー
ガヴリール「着いたな」
タプリス「来る途中では先輩方と会いませんでしたね……」
ヴィーネ「やっぱりこの中にいるのかな?」
ガヴリール「ガラス越しに中が見えるな。うん? ……机の上に誰か寝てるぞ?」
ヴィーネ「誰かって?」
ガヴリール「暗くて見えん……。よし、中を見てこいタプリス」
タプリス「ぴゃっ!? 私ですかっ!?」ドキィ
ヴィーネ「ちょっとガヴっ!?」
ガヴリール「冗談だよ。お前らビビりすぎ」
タプリス(優しい天真先輩はどこへ……)
22: ◆tc6/59leHM 2017/07/14(金) 01:27:52.391 ID:ndD4+fIv0.net
ー化学室ー
ガラガラッ
ガヴリール「おーい、サターニャか? ラフィ?」
コツン
ガヴリール「ん? 足元に懐中電灯が落ちてる」
カチッ
ガヴリール「おーい、サター……!?」
ヴィーネ「……あ……あぁ……サターニャ……」
タプリス「ひゃあああああああああ!!!」
23: ◆tc6/59leHM 2017/07/14(金) 01:30:59.062 ID:ndD4+fIv0.net
ガヴリール(あそこにいるのは間違いなくサターニャ……全身血まみれの!)
ヴィーネ「どういうことなのよっ!?なんで血が……!」
タプリス「あわわわわわわわっ」
ガタンッ
ガヴリール「ロッカーが!? 誰だ!?」
バァーン!
???「ゔぁあああああ!!」
シャキーン シャキーン
ガヴリール(!? なんだアイツ!? 巨大なハサミを持って……)
タプリス「わああああああああああ!」ダダダダ
ヴィーネ「待って! タプちゃああああん!」ダダダダ
ガヴリール「あ、おい! 二人とも! 置いてくなよ!」
26: ◆tc6/59leHM 2017/07/14(金) 01:33:36.464 ID:ndD4+fIv0.net
ガヴリール(やばいやばいやばい! サターニャを殺したのはアイツか!?)
ガヴリール(あの巨大なハサミで体をズタズタに!)
ガヴリール(逃げないと逃げないと逃げないと!)
シャキーン シャキーン
ガヴリール「うわあああ! こっちに来るなああああ!」
ブンッ
ガキィン
ガヴリール(思わず懐中電灯を投げてしまった! くそ、ハサミで防がれた!)
シャキーン シャキーン
ガヴリール「みんな待ってくれええええ!」ダダダダ
29: ◆tc6/59leHM 2017/07/14(金) 01:36:36.323 ID:ndD4+fIv0.net
ヴィーネ「はぁ……はぁ……タプちゃんを見失っちゃった……」
ヴィーネ「あれは間違いなくサターニャだった……」
ヴィーネ「うぅ……サターニャ……。あんなの酷い……」
ヴィーネ「とにかく早く外に出て警察と救急車を呼ばないと!」
ヴィーネ「この角を曲がれば私たちが入ってきた窓が……」
???「ゔぉおおおおお」
シャキーン シャキーン
ヴィーネ「!? そんな!? どうしてここに!?」
シャキーン シャキーン
ヴィーネ「あわわ……もうダメだわ…………」ガクッ
シャキーン!
30: ◆tc6/59leHM 2017/07/14(金) 01:39:17.144 ID:ndD4+fIv0.net
ガヴリール「ヒィヒィ……フゥフゥ……いきなり走ったから脇腹が……」
ガヴリール「ん? ここは美術室か。無我夢中で逃げたからこんな所に」
ガヴリール「とりあえず中に入って休もう……」
ガラガラ ピシャッ
ガヴリール「ふぅ。アイツは一体何なんだ? なんでサターニャを殺したんだ?」
ガヴリール「もしかしてラフィも殺されちゃったのか? うぅ……」
ガタン
ガヴリール「ひっ!?」
ガヴリール(隣の準備室から物音が!?)
32: ◆tc6/59leHM 2017/07/14(金) 01:41:45.068 ID:ndD4+fIv0.net
ガヴリール(もしかしてヴィーネとタプリスかな?)
ガヴリール(行ってみよう……)
ガチャ
ガヴリール「おーい、ヴィーネ? タプリス?」
ガヴリール「ひゃ! 人影が!?……て、よく見たらデッサンに使う石像か」
ガヴリール「驚いた……。ほかにもあるな。あれ? この石像、ハサミを持ってる……」
???「ゔぉおおおお」
シャキーン!
ガヴリール「ぎゃああああああああ!!」
36: ◆tc6/59leHM 2017/07/14(金) 01:44:40.454 ID:ndD4+fIv0.net
シャキーン シャキーン
ガヴリール「くそ! こうなったら戦うしかない!」
ガヴリール(巨大なハサミにはビビったけど、アイツよく見たら体は小さいぞ!)
ガヴリール「サターニャの仇だ! 聖なる矢を喰らえ!」
キュイイイン
ガヴリール「悔い改めろっ!!!」
ズドオオオン
???「ゔぉおおおお」
ジャキイイイーン!
38: ◆tc6/59leHM 2017/07/14(金) 01:47:19.401 ID:ndD4+fIv0.net
ガヴリール「なっ!? 私の必殺技も防がれた!? チートすぎんだろアイツ!」
シャキーン シャキーン
ガヴリール(に、逃げないと!)ダダダダ
ガチャ
???「ケケケケケケケ!」
ガヴリール「ひぃ! 鎌を持った死神!? アイツの仲間か!?」
???「クビ ヲ ヨコセ~」
ガヴリール「ぎゃあああ! お母さあああああんっ!!」
40: ◆tc6/59leHM 2017/07/14(金) 01:49:56.651 ID:ndD4+fIv0.net
???「……ふふふ、あはは、なーっはっはっは!」
ガヴリール「……ふえっ?」
???「私よガヴリール。ふふふ、いい怖がりっぷりだったわ!」
ガヴリール「サターニャ!? お前死んだはずじゃ!?」
サターニャ「この通りピンピンしてるわよ。あれは死んだふりよ」
ガヴリール「し、死んだふりって? それじゃあ、あのハサミ男は!?」
パサッ
???「初めまして。いつも姉がお世話になっております」
サターニャ「私の弟よ」
ガヴリール「弟おおお!?」
42: ◆tc6/59leHM 2017/07/14(金) 01:52:12.242 ID:ndD4+fIv0.net
ー帰り道ー
サターニャ「肝試しは大成功だったわ! さすが私!」
ヴィーネ「あの時はホントにもうダメかと思ったわ」
ラフィエル「ヴィーネさん気を失ってしまうほどでしたからね~♪」
弟「ホントすみません。僕のせいで」
ガヴリール「悪趣味すぎるだろ! なんだあの巨大なハサミ!」
サターニャ「魔界のホームセンターに普通に売ってるわよ」
46: ◆tc6/59leHM 2017/07/14(金) 01:55:15.017 ID:ndD4+fIv0.net
ガヴリール「てか何でラフィはそっち側なんだよ? 最初からグルだったのか?」
ラフィエル「いえいえ、私も最初血まみれのサターニャさんを見た時は驚きましたよ」
サターニャ「こいついきなり私に駆け寄ってきて体をブンブン揺さぶるもんだから、思わず起きちゃって」
ラフィエル「そのとき濃厚なトマトの香りがしたので、死んだふりだって気付いたんです♪」
弟「これです。『人間の生き血風トマトジュース』。家に箱買いしたのがあって。あ、今回使ったのは賞味期限が切れたやつなんで安心してください」
ヴィーネ「どこに配慮してるのよ……」
ラフィエル「それでサターニャさんの計画に乗って、千里眼でみんなの居場所を教えてあげて」
弟「それを聞いて転移魔法陣で先回りしてたんです」
ガヴリール「鬼かお前らっ!?」
48: ◆tc6/59leHM 2017/07/14(金) 01:58:05.011 ID:ndD4+fIv0.net
サターニャ「うぷぷ、お母さーん! だって。とっても可愛かったわよガヴリール!」
ガヴリール「くっ、お前覚えてろよ……」
ヴィーネ(ガヴの悲鳴聞きたかったな……)
ガヴリール「てか、弟。お前強いんだな。私の矢を弾き返すなんて」
弟「いえ、それほどでもないです。今回はあらかじめお父さんに防御魔法をかけてもらってたんです」
ガヴリール「マジか。お前ら家族ぐるみで計画立ててたのかよ。とんでもない家族だな」
サターニャ「ククク、我が胡桃沢一族は大悪魔の家系。人間どもを恐怖のどん底に突き落すことを生業としているのよ!」
弟「ただのケーキ屋です」
60: ◆tc6/59leHM 2017/07/14(金) 02:07:38.438 ID:ndD4+fIv0.net
弟「みなさん、お詫びと言ってはなんですが、これウチで作ってるケーキです。召し上がってください」
ラフィエル「あら~ありがとうございます♪」
ヴィーネ「ご丁寧にどうも」
サターニャ「感謝するがいいわ!」
ガヴリール「お前は許さんぞサターニャ」
サターニャ「何よ!肝試しなんだから怖がらせてナンボじゃない!」
ガヴリール「……お前が死んだと思って……本当に悲しかったんだぞ……バカ」
ヴィーネ「ガヴ……」
ラフィエル「そうですよサターニャさん。私もあの時本当に気が動転してしまって、サターニャさんに抱きついたんですから」
サターニャ「あんたたち、そこまで私のことを……」
ラフィエル「自分の大切なオモチャ……ではなく友達があんな風になってたら誰だって悲しいですよ♪」
サターニャ「あんた今変なこと言わなかった!?」
イッテナイデスヨー イッタジャナイ ウフフ アハハ……
53: ◆tc6/59leHM 2017/07/14(金) 02:03:26.171 ID:ndD4+fIv0.net
ー学校ー
タプリス「ここどこですかあああああああ!?」
タプリス「うええええええええええええん!!」
タプリス「天真せんぱあああああああああああああい!」
ガヴリールドロップアウト
『切れない絆と可愛い忘れ物』
ー完ー
54: ◆tc6/59leHM 2017/07/14(金) 02:04:23.630 ID:ndD4+fIv0.net
終わりです。読んでくださってありがとうございました。
ホラーっぽくしてみましたが、動きのある描写は難しいですね。
最初からタプリスはオチで使う予定でした。好きな人はごめんなさい。
自分もタプリス好きなので、いつか報われる話を書きたいです。
【ガヴドロ】サターニャ『肝試しをするわよ!』