1: 名無しで叶える物語(しまむら)@\(^o^)/ 2015/07/11(土) 22:04:35.82 ID:6hzplCh2.net
ほのか「私たちずーっとともだちだよ!」
うみ「はい!」
ことり「うん!」
ほのか「いつまでもこの公園で一緒に遊べるようなともだち!」
ことり「すてき~」
うみ「わ、わたしも一緒にいたいです!」
ほのか「うん。ずーっといっしょ!」
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2: 名無しで叶える物語(しまむら)@\(^o^)/ 2015/07/11(土) 22:07:53.83 ID:6hzplCh2.net
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私、高坂穂乃果!音ノ木坂学院に通う高校二年生!
海未「こらーっ!穂乃果!」
なんて言ってる場合じゃないよ!
穂乃果「うわ~ん、ごめんてっば~」
海未「今日という今日は許しません、もう我慢の限界です!」
穂乃果「ほんとに反省してるから許して~」
絶賛怒られ中
まあ、自分が悪いことは分かってるんだけど……
海未「ならばなぜ私はいつもいつも同じことを言わなければならないんですか!」
穂乃果「そ、それは……」
海未「毎日のように寝坊していつも時間ぎりぎりなんですから」
海未「生活のリズムがしっかりしていないからこのようなことになるんです!」
海未「いいですか、早寝早起きというのは一番の基本で……」
これは長くなる奴だ……
穂乃果「た、助けて、ことりちゃん」
ことり「え!?」
海未「こら穂乃果!人の話を聞きなさい!そうやってすぐにことりに助けを求めるのもやめなさい!」
これが私たちの日常
いつも怒られてばっかりだけど海未ちゃんは穂乃果のことを思って言ってくれてるって分かってる
穂乃果「海未ちゃ~ん」ウルウル
ことり「海未ちゃん今日はそれくらいにしとこう?」
海未「いいえ、そうはいきません」
ことり「でもほら、この後練習とかもあるし今から体力使っちゃったら疲れちゃうよ?」
海未「……ふむ。それもそうですね。分かりました、もういいです」
穂乃果「う、海未ちゃん?」
海未「穂乃果だって怒られるのは嫌でしょう?それに私だって怒るのも嫌ですからその方がお互いにとって得じゃないですか?」
マズイ、これはかなり怒ってるみたい
穂乃果「と、とにかくごめんなさい。海未ちゃんは穂乃果のために言ってくれてるって分かってるからさ」
海未「でも一向に改善されているようには思えませんが?」
穂乃果「それは……うぅ」ポロ
あれ、つい涙がこぼれてきちゃった
何でだろう?
いくらなんでも泣くほどのことじゃないよね
全部穂乃果が悪いんだし
海未「な、何も泣くほどのことじゃ……」
穂乃果「ごめん、海未ちゃんに見放されちゃうって思ったら……」
ことり「穂乃果ちゃん私のせいで……余計なこと言っちゃってごめんね?」
穂乃果「ことりちゃんは何も悪くないよ!だから気にしないで?」
ことり「う、うん……」
穂乃果「え~っと、それと……」
穂乃果「海未ちゃん、いつもごめんなさい」ペコリ
海未「いえ、私も少し言い過ぎました。すいません」
穂乃果「ううん、穂乃果が悪いから」
穂乃果「海未ちゃんとことりちゃんについ甘えちゃって」
穂乃果「まぁ、まさか泣いちゃうなんて自分でも思わなかったけど」
海未「はいはい、もういいですから」ナデナデ
穂乃果「うん///」
海未ちゃんに撫でられちゃった、エヘヘ♡
子供のころはむしろ海未ちゃんの方がよく泣いてて穂乃果やことりちゃんが慰めてあげてたのに
今じゃ立場が逆になっちゃったみたい
一体いつからだろう
もう、ズルいよ海未ちゃん
ことり「ほらほら早く学校に行かなきゃ。時間無いよ?」
海未「そうでしたね」スッ
穂乃果「あっ……」
もっと撫でてほしかったなぁ
なんだか海未ちゃんの手が離れる瞬間すごく寂しくなっちゃった
何でかなぁ?
海未「どうかしました?」
穂乃果「ううん、何でもないよ。ごめんね、今日も穂乃果のせいで遅くなっちゃって」
海未「いえ、こっちも勝手にいつまでも待ってましたから」
穂乃果「先に行っててもいいのに」
ことり「海未ちゃんって本当に優しいよね」
穂乃果「ほんとだよね。でもいつもごめんなさい、いつも二人の優しさに甘えちゃって」
海未「もう慣れましたよ」
ことり「ことりは嬉しいよ?」
穂乃果「二人ともありがとう」ギュー
海未「歩きながら抱き着いてこないでください、歩きにくいです」
ことり「でも嬉しそうだけど?」
海未「こ、ことり!」
ことり「なぁに?」ニヤニヤ
海未「と、とにかく早くしますよ!」
穂乃果「はーい!」
今日も朝から海未ちゃん成分とことりちゃん成分の補給が出来たし一日がんばれそう!
よーし、今日も一日がんばるぞ~!
─放課後
今日は海未ちゃんの作詞のお手伝い!
ことりちゃんは衣装の材料をにこちゃんと一緒に買いに行くんだって
とりあえず邪魔はしないようにしなくちゃね
……でも海未ちゃんと一緒に居られてうれしいなぁ
それになんだかドキドキする
穂乃果「ええと、穂乃果は何をすれば?」
海未「とりあえず私が色々書いてみるので意見があったらお願いします」
穂乃果「うん、分かった。でも穂乃果なんかでいいのかな?」
海未「いいんですよ。それに今回は穂乃果を参考にしたいんです」
穂乃果「穂乃果を?」
海未「今回のテーマは聞いた人が笑顔になれるような曲を作りたいと思いまして」
穂乃果「聞いてる人が笑顔に、か……」
海未「では……」
それだけ言って集中する海未ちゃん
普段も弓道や剣道をやっていてこういう姿がほんとにぴったり
そういうところも海未ちゃんの魅力だよね
海未「笑顔、笑顔……太陽?」ムムム
真剣な表情につい見入っちゃう
それにしても
海未ちゃんって本当にカッコいいなぁ
今は穂乃果しか見ることが出来ない表情
横から覗いていても分かるおとなな横顔
それを見てるだけでなんだかドキドキしちゃう
あれ?
何だろう、この気持ち
なんでドキドキしてるんだろう?
海未ちゃんのくせに!
なんでこんなに穂乃果の心を揺さぶるの?
─高坂家
穂乃果「う~、疲れた~」
帰ってくるなりベッドにダーイブ!
少しヒンヤリしていて気持ちいい
今日も楽しかったなー
穂乃果「朝から海未ちゃんに怒られちゃったけど…」
でも今日は海未ちゃんと二人きりで海未ちゃんのお手伝いが出来たし嬉しかったなぁ
いつもあんなことやってくれてたなんてほんとに感謝だよね
それにしても海未ちゃんの横顔かっこよかったなー♡
……ってなんで海未ちゃんのことばっかり考えてるんだろう
確かに今日はずっと海未ちゃんと居たけどさ
それになんだか海未ちゃんのことを考えてるとドキドキする
何だろうこの気持ち
朝に頭を撫でられた時とかにも感じた……
穂乃果「///」
今になってなんだかすごく恥ずかしい
嬉しかったけどそれと同時に胸が苦しくなって
そしてそれは今も……
穂乃果「うぅ///」
枕に顔をうずめる
顔が、全身が熱い
今穂乃果の顔真っ赤になってるんだろうなぁなんて頭の片隅で考えてる自分がいる
穂乃果「うわぁ~///」アシバタバタ
雪穂「お姉ちゃーん、漫画を……って何してるの?」
穂乃果「ゆゆゆ、雪穂!?」ビクッ
雪穂「お姉ちゃん?」
穂乃果「ノックぐらいしてよ!」
雪穂「したよ!?」
穂乃果「そ、そうだった?」
雪穂「もう、どうしたの?」
穂乃果「何でもないよ!」アセアセ
雪穂「はぁ、とりあえず制服皺になっちゃうから着替えなよ」
穂乃果「またそうやって海未ちゃんみたいなこと言って」
穂乃果「分かったから早く出てってよ!」
雪穂「ちょっと、漫画……」
穂乃果「もう、ほら持ってっていいから!」グイッ
雪穂「ちょ、お姉ちゃん!?」
バタン!
穂乃果「うわぁ~ん」ボフッ
見られた?
顔絶対に赤かったよね?
恥ずかしいよ~
穂乃果「どうやってごまかそうか……」
これも全部海未ちゃんのせいだよ!
…でもなんでこんなに恥ずかしいんだろう
こういう気持ちってもしかして……
いやいや、そんなはずないよ
だって
だって、私と海未ちゃんは友だち、だよね?
でもなんでこんなにドキドキするんだろう
へんだよ
この気持ちは……
私たち幼なじみなんだよ?
─数日後
今日はみんなそれぞれのことをするみたい
海未ちゃんと真姫ちゃんは新曲の打ち合わせ
ことりちゃんは衣装づくり
にこちゃんはそのお手伝い
花陽ちゃんは凛ちゃん付き添いで体力づくりに走りに
絵里ちゃんと希ちゃんは生徒会のお仕事
私はどうしよっかなー、なんて考えながらぶらぶらと校内を歩く
そうして私が辿り着いた場所は音楽室だった
何も考えずに歩いてたつもりなのに気が付いたら自然とここに足が向かっていた
ここには海未ちゃんと真姫ちゃんが居るはず
なんだかそれだけで心がウキウキする
はやる気持ちを抑えて私は音楽室のドアを開ける
すると、そこにはやはり海未ちゃんがいて
穂乃果「ふふ、海未ちゃんみーつけた」
なんだかそれだけで嬉しくなった私は
穂乃果「う~みちゃん」
ポン、と背中を叩いてみる
海未「ああ、穂乃果ですか」
私の呼びかけに振り返ってくれた
けど……
海未「その、今は少し集中したいので急用でもないなら少し待っててもらえますか?」
穂乃果「え?あぁ、うん。そっか、そうだよね……」
穂乃果「い、忙しいのにごめんね?」
海未「いえ」
穂乃果「……」
真姫「ちょっと海未、そんな言い方しなくてもいいんじゃない?」
海未「ですが今は……」
穂乃果「ううん、いいの。ごめんね、邪魔しちゃったよね?」
そうだよね
考えてみればここにきても私には何もできない
力になってあげられない
迷惑、だったかな?
何だか海未ちゃんがすごく大きく見える
少し前までは穂乃果と一緒に色んなことして遊んでたのに今は海未ちゃんだけが大人になっちゃったみたい
というよりも穂乃果がいつまでも子供なのかもしれないけど
でもやっぱり寂しい
穂乃果「じゃ、じゃあ穂乃果、別のところに行ってくるから二人とも頑張ってね」
真姫「穂乃果……」
なんだかここに居づらくなって足早に音楽室を出ていく
今度こそ本当に行く場所がなくてなんとなく屋上へ立ち寄る
穂乃果「はぁ~」
心にぽっかり穴が開いた気分
どうしてこんな気持ちになるの?
海未ちゃんに冷たくされたから?
でもそれだけで……?
なんて考えていると後ろのドアが開く音がした
真姫「穂乃果、ここにいたのね」
振り返るとそこには真姫ちゃんがいて
穂乃果「ど、どうしたの真姫ちゃん」
真姫「穂乃果……大丈夫?」
穂乃果「え?な、なにが?」
真姫「その……さっきの海未の態度、ちょっと冷たかったし……」
穂乃果「そ、それくらいのこと、大丈夫に決まってるじゃん」
真姫「じゃあなんでそんなに悲しそうな顔してるの?」
穂乃果「えっ?」
嘘?そんな顔してた?
別にこれくらいそんなに大したことじゃないはず、なのに……
真姫「ほんとに分かりやすいわね、穂乃果は」
穂乃果「そうかな?」
真姫「よく言えば嘘をつけないってところかしら」
穂乃果「う~ん……」
真姫「はぁ~」
真姫「まったく、それにしても海未も不器用よね」
穂乃果「?」
何のことだろう
それに海未ちゃん”も”って
真姫「実はね、さっき作ってた曲は穂乃果の曲なの」
穂乃果「穂乃果の?」ドキッ
真姫「そう。海未ったらすごい張り切ってて」
穂乃果「海未ちゃんが?」
なんだろう、すごくドキドキする
でもとってもうれしい
真姫「あの海未が、よ。でもそれだけ大事な曲にしたかったんじゃないかしら」
真姫「だからってそれで穂乃果のことを傷つけちゃ本末転倒よね」
穂乃果「傷つけるってそこまでじゃ……」
真姫「あんな顔してたのに?」
穂乃果「それは……」
真姫「まあいいわ。これ本当は秘密だから海未には私が教えたって絶対に内緒よ」
穂乃果「うん、分かった」
真姫「曲の方、もう少しでできるから楽しみにしててね。海未のためにも」
穂乃果「うん、ありがとう真姫ちゃん」
じゃあまたあとで、と言って真姫ちゃんは屋上を後にする
真姫「ほんと、不器用でメンドクサイ人たちなんだから」ボソッ
穂乃果「?」
去り際に何か言ったような気がするけどよく聞こえなかった
でもおかげで少し元気出たかも
う~ん、でもやっぱり自分でもよく分からないや
なんでこんなに傷ついたのか
ちょっとのことでこんなに一喜一憂してるのか
─高坂家
穂乃果「ただいま~」
自分の部屋に入ってからそんなこと言っても当然誰も返事はしない
とりあえずカバンを置いてからベットに転がり込む
穂乃果「は~やっぱりここは癒されるね~、穂乃果のオアシスだよ~」
雪穂「はぁ~、やっぱり。帰ってきたらベットに寝転がる前に着替えてって言ってるじゃん」
穂乃果「もーわかってるよー」ブゥー
穂乃果「っていうかなんで帰ってきたって分かったの?誰もいなかったからただいまとも言ってないのに。まさかエスパー!?」
雪穂「そりゃあ分かるよ。うるさいんだもん」
穂乃果「そんな~」ガーン
雪穂「それにただいまって言ってたじゃん。誰もいるはずのない自分の部屋に入ってから」クスクス
穂乃果「聞こえてたの!?あ、あれはなんとなくだよ」
雪穂「はいはい、分かったから早く着替えちゃいなよ。制服、皺になっちゃうよ」
穂乃果「も~、また海未ちゃんみたいなこと言って」
雪穂「ふふっ」
穂乃果「どうしたの?」
雪穂「いや、また海未ちゃんって言ったなーって思って」
穂乃果「え?」
雪穂「いっつも二言目には海未ちゃん海未ちゃんって」
穂乃果「そ、そんなこと……」
雪穂「今のだって普通はお母さんみたいって言うでしょ。まあお姉ちゃんにとっては海未さんもお母さんみたいなものかもしれないけど」
雪穂「っていうか友だちや妹からお母さんみたいなこと言われるってすごくない?」クスクス
穂乃果「うぐっ……。も、もう!うるさいなー、着替えるから出てってよ!」
雪穂「はいはい」
穂乃果「う~ん、そんなに海未ちゃんのことばっかり言ってるかなぁ」
着替えながら考えてみる
でも確かによくよく考えてみればそうかもしれない
現に昨日だって気付いたら海未ちゃんのことを考えてたし
それでなんだかドキドキしてきちゃって
やっぱり変
何で海未ちゃんのことを考えてるとドキドキするの?
ちょっと冷たくされただけであんなに悲しくなっちゃったの?
海未ちゃんが私のために曲を作ってくれてるって聞いてあんなにうれしくなったの?
何で気づいたら海未ちゃんのことを考えてるの?
なんで?どうして?
う~、分からないよ~
─翌日・朝
今日は海未ちゃんは弓道部に行かなくちゃいけないらしい
だから今はことりちゃんと二人
ことり「穂乃果ちゃんはい、あ~ん」
穂乃果「あ~ん」パクッ
穂乃果「ん~おいしい~」
ことり「ありがとう、穂乃果ちゃん」
海未ちゃんが弓道部に行くときの密かな楽しみ
朝から海未ちゃんに会えないのは残念だけど、ことりちゃんがお菓子を作ってきてくれるんだ♪
海未ちゃんがいたら怒られちゃうからこういうときにだけ持ってきてくれる
いいのかな?とは思うけどことりちゃんの作ってくれるお菓子を食べたいし、こっそりとね
二人だけの秘密ってやつ?
ガララ
穂乃果「!」
穂乃果「海未ちゃんおかえり!」
海未ちゃんが帰ってきたみたい
……あっ、お菓子隠さなきゃ
いや、もう間に合わないよ!
また海未ちゃんを怒らせちゃうかも……
ことり「海未ちゃんお疲れ様」
海未「ありがとうございます……」
穂乃果「海未ちゃん?」
ことり「どうかしたの?」
海未「いえ何でもないです……」
海未「あっ、そのお菓子私も食べていいですか?」
ことり「え?う、うん。いいけど……」
海未「ありがとうございます……」パクッ
海未「おいしいです……」
あの海未ちゃんがこんな時間にお菓子を?
いつもなら食べてる穂乃果たちのこと怒るのに今日はどうしたんだろう?
ことり「海未ちゃん本当に大丈夫?疲れてるんじゃ……」
海未「大丈夫ですよ」
穂乃果「いやいや、海未ちゃん様子が変だよ?」
海未「そんなこと……」
穂乃果「普段なら絶対こんな時間にお菓子なんて食べないでしょ」
穂乃果「そもそもこっそり食べてた穂乃果たちに何も言わないなんていつもの海未ちゃんじゃないよ」
海未「……」ウツムキ
穂乃果「何かあったなら言ってよ。どんな相談にでも乗るからさ」
ことり「そうだよ海未ちゃん」
海未「あまり話したくはないのですが……分かりました、話を聞いてくれますか?」
穂乃果「もちろんだよ」
ことり「話してみて?」
海未「実は……」
なんだか緊張する
それに嫌な予感も
海未「実はまたこのようなものを貰ってしまって……」
そう言って海未ちゃんが机の上に出してきたものはとってもかわいらしいハートがたくさん描かれた便箋だった
これって……
ことり「……海未ちゃんまたなの?」
それを見てことりちゃんが声を発する
海未「はい……」
また、みたい
また後輩の子からラブレターを貰ったんだ……
まぁ、しょうがないよね
だって海未ちゃん、優しくて面倒見がいいし、頼りになって、かっこよくてその上こんなに可愛いんだもん
海未「私はその気はないのですがせっかくの気持ちを無碍にはできなくて……」
海未「なのでどうしたものかといつも迷ってしまって……」
ことり「もう、海未ちゃんは優しすぎるんだよ。相手を傷つけないようにって中途半端な断り方するから」
ことり「自分にその気がないならきっぱり断る!厳しい言い方かもしれないけどそうしないと来年からはもっと大変かもよ?」
海未「来年から、ですか?」
ことり「来年になれば新入生も入ってくるし今海未ちゃんに負けないぐらい人気の絵里ちゃんだって卒業しちゃうんだよ?」
ことり「そうなったら後輩からの支持が全部海未ちゃんに集中しちゃうんじゃないかな?」
海未「でも……」
ことり「……もう、鈍感なんだから」
海未「?」
ことり「あのね、一番いいのは特定の相手を見つけることだよ」
海未「特定の相手って……」
ことり「うん。海未ちゃんが誰かと交際してますってみんなに伝わればそういうのは減ると思うよ」
ことり「海未ちゃんが選んだ相手なら、ってみんな認めて諦めてくれるよ」
海未「そそそ、そんな相手は私にはいないですって!///」
ことり「ふ~ん」ジー
海未「な、何ですか」
ことり「いや、そうだよね~って思って」
海未「本当ですか?」
ことり「ほんとだよ~」
穂乃果「……」ムスゥー
海未「ん?穂乃果?どうかしましたか?」
穂乃果「何でもないよ」プイッ
海未「そうは思えないのですが……」
ことり「も~、海未ちゃんのせいだよ」タメイキ
海未「え!?私何かしてしまったんでしょうか?」アセアセ
ことり「海未ちゃん、それは自分で考えてください」
海未「そ、そんなぁ」
穂乃果「もう朝のホームルーム始まるから席に戻るね」
海未「穂乃果、私何かしてしまったんでしょうか。謝りますから教えてくださいってば」
穂乃果「知らない!」
海未「穂乃果~」
つかつかと自分の席に戻る
海未ちゃんのバカ!
そんなことを思う……あれ?
何で私こんなに怒ってるんだろう?
なんだかムカムカしてすごく嫌な気持ちだったけど私が怒るようなことじゃなかったような……
うぅ、自分の気持ちが分からないよ
穂乃果「うぅ~」
小さく唸って頭を机に伏せる
海未ちゃんがラブレターを貰ったことに怒ってるの?
しっかり断らないことに怒ってるの?
何に怒ってたんだろう?
なんにせよ私に怒る筋合いはないはずだよね
だってそんなのは本人の自由なんだから
─放課後
自分の気持ちが分からないまま放課後になり部室へ向かう
あれから海未ちゃんとは気まずくて話してない
海未ちゃんは何か言おうとするんだけど自分から逃げてしまう
ちゃんと話そうって思ってもいざ海未ちゃんを見るとまたあの時と同じムカムカした嫌な気持ちになっちゃう
分からない
なんでなんだろう?
すごくモヤモヤする
いつまでもこれじゃあ駄目だと気持ちを切り替えて部室の扉を開く
凛「穂乃果ちゃんだ!」
真姫「穂乃果が一人で来るなんて珍しいわね」
花陽「海未ちゃんとことりちゃんは?」
穂乃果「ああ、ええっと……」
言葉に詰まる
海未ちゃんと同じ教室に居づらくて終礼が終わるとすぐに教室を出てきてしまった
でもそんなこと言いにくいし……
真姫「まあいいじゃない。すぐに来るでしょう?」
穂乃果「ああ、う、うん」
凛「穂乃果ちゃん、なんか変だにゃ」
穂乃果「そ、そんなことないって」アセアセ
穂乃果「ほら、今日はミーティングだけで体を動かせないから残念だなーって」
慌てて取り繕う
凛ちゃんはたまに鋭いからドキリとする
花陽「穂乃果ちゃんらしいね」
凛「そっかー、凛もその気持ちよーく分かるよ」
凛「そうだ!よかったらみんなが揃うまで少し体を動かさない?」
穂乃果「え?」
凛「絵里ちゃんと希ちゃんは少し遅くなるって言ってたしちょっとぐらい大丈夫だよ」
凛ちゃんからの提案
楽しそうかも
穂乃果「う~ん、そうだね。付き合うよ!」
凛「やったにゃー!」
真姫「ちょっと、いいの?」
穂乃果「大丈夫だよ、ちょっとだけだから」
凛「そうそう。かよちん、海未ちゃんたちにはうまくごまかしておいて?」
花陽「わ、わたし!?」
凛「じゃあ行ってきまーす!」
穂乃果「すぐ戻るから!」
そう言って屋上へ向かう
体を動かせば気分も晴れるかな?
なんて考えながら凛ちゃんに腕を引っ張られるままに廊下を走る
凛「穂乃果ちゃん、何かあったの?」
屋上について一息ついていると凛ちゃんが尋ねてくる
穂乃果「え?」
凛「穂乃果ちゃん変だったよ?元気がないって言うか陰があるっていうか」
穂乃果「そ、そうかな?」
凛「海未ちゃんと何かあったとか?」
穂乃果「そ、それは……」
図星だ
やっぱり凛ちゃんは鋭い
まさか凛ちゃんにこんなこと言われるなんて思わなかった
凛「まあ何であれ早く仲直りした方がいいよ?何かあったら凛はもちろん、かよちんや真姫ちゃんだって相談に乗るから」
穂乃果「うん……」
凛「じゃあ体を動かしてリフレッシュするにゃ!悩んでる時は体を動かすのが凛には一番だから穂乃果ちゃんも一緒に!」
穂乃果「ありがとう、凛ちゃん」
凛「当たり前だよ」
凛ちゃんはそれ以上深くは聞いてこなかった
凛ちゃんなりの気遣いかな?
そうして二人で軽く体操をしてからステップの確認をする
制服のままだからあんまり激しくは動けないけど踊ってる間は何も考えずにいられた
少し体を動かしてから私たちは部室に戻る
海未「やっと帰ってきましたか。二人してどこへ行っていたんですか?」
帰ってくるなり海未ちゃんが声をかけてくる
その声には少し怒気がこもっている
穂乃果「ごめ~ん、ちょーっとね」
海未ちゃんとちゃんと話せてる
凛ちゃんのおかげかな?
憂鬱な気持ちも少し晴れた気がする
海未「それでは説明になっていませんが」
絵里「もうみんな揃ってるわ。体を動かしたいって言うのも分かるけど約束の時間は守ってもらえるかしら?」
凛「にゃにゃっ、何でわかったの!?」
希「そりゃあそんな風に汗かいてたら誰でもわかるよ?」
凛「しまった!」
少しのつもりだったけど気付いたら結構な時間が経っていたみたい
海未「まったく、二人は本当に自由なんですから」
絵里「海未、今はそれくらいにしておきなさい。」
絵里「二人ともとりあえず座って。ミーティング、始めるわよ」
凛「はーい」
穂乃果「ごめんなさい」
希「まあまあ、次からは気い付けてな?」
穂乃果「うん」
そう言って空いていたにこちゃんの横に座る
やっぱり海未ちゃんの横はまだちょっと気まずいかなぁって思って
でも後でちゃんと謝らなくちゃね
にこ「私の横なんて珍しいわね。海未とことりの横じゃなくていいの?」
穂乃果「ああ、うん。なんとなくだよ」
にこ「そう?」
小声で話す
考えてみればいつも海未ちゃんとことりちゃんの横にいたかもしれない
凛「ことりちゃんってお菓子みたいな甘~い匂いがして横にいるとなんだかおなかが空いてきちゃうにゃ~」
ことり「そうかなぁ?そうだ、よかったらこれ食べる?クッキー焼いてきたんだ」
凛「食べる食べる!ことりちゃんありがとう!」
絵里「凛、始めたいんだけどいいかしら?」
凛「ごめんなさーい」
絵里「まったく、それじゃあさっそく始めるわよ」
絵里「まずは次のライブの予定から……」
ミーティング中チラチラと海未ちゃんの方を見てみる
絵里ちゃん達の話にしっかりと耳を傾けて真剣に聞いている
海未ちゃんらしいなぁ
それに海未ちゃんの真剣な表情ってやっぱりかっこいい♡
なんだかまたドキドキしてきちゃった
本当になんでこんな気持ちになるんだろう
穂乃果「!」
海未ちゃんと目が合った
その瞬間私の心臓が一際大きくドキリと鳴った、気がした
海未「穂乃果、ちゃんと話を聞いていましたか?」
穂乃果「も、もちろんだよ」アセアセ
海未「では次のライブで一番最初に歌う曲は?」
穂乃果「えぇっと~……」
海未「はぁ……歌う曲まではまだ決めていません。しっかり話を聞いていてください」
穂乃果「ごめんなさい」
また怒られちゃった、てへへ
あ、もちろん反省はしてるよ
ただ海未ちゃんのことがちょーっと気になっちゃって
でも海未ちゃんに怒られるのを予知しちゃったのかな?
目があった瞬間にドキリとしたし、きっとそういうことだよね。うんうん、そうだよ
もうずっと一緒にいるから何を考えてるのか目を見ただけでわかっちゃうみたい
以心伝心ってやつ?
そんなこんなでミーティングも終わり帰る支度をしているときに
ふと海未ちゃんの方を見ると
凛「海未ちゃん海未ちゃん!」
海未「どうかしましたか凛?」
凛「ちょっと両手をだしてほしいにゃ」
海未「こうですか?」スッ
凛「今にゃ!」グルグル
海未「ちょっと凛!?」
何やってるんだろう?
凛ちゃんが海未ちゃんの両手をタオルで縛りあげて……
凛「希隊長、今がチャンスにゃ!」
希「よくやった凛二等兵!」
希「海未ちゃん、覚悟はええ?」
海未「な、何をする気ですか」
希「ふっふっふっ、それはもちろん……」
希「ワシワシMAX!、と見せかけてほっぺたプニプニMAX!~」ツンツン
海未「ちょ、何ですかそれ」プニプニ
希「やはり思った通り、海未ちゃんのほっぺたはすっごいプニプニや!」ツンツン
凛「凛も触るにゃ!」ツンツン
海未「凛まで……こ、ことり、助けて下さい~」プニプニ
ことり「希ちゃん!」
ことり「そこに気付くとはさすがだね!」
希「ウチを侮ってもらっちゃあ困るよ?」ツンツン
海未「ことり~」プニプニ
にこ「面白そうなことしてるじゃない」
希「にこっちも触ってみる?」ツンツン
にこ「それよりもにこは海未の髪に用がある!」
海未「か、髪の毛ですか?」プニプニ
にこ「ええ、にこにも負けないぐらいのそのきれいな髪の秘密を探ってやるわ!」
にこ「丁度やってみたいヘアアレンジもあるし海未みたいなまっすぐで長い髪の毛はいい実験台ね!」
海未「にこまでそんなことを……」
海未「え、絵里、真姫!希たちを止めてください」プニプニ
絵里「あら、楽しそうだしいいじゃない。私も触らせてもらおうかしら?」
真姫「まあ、頑張って。絵里までそんなこと言いだしたらもう私の手には負えないわ」
花陽「いいのかな~?」
真姫「いいのよ、だってもう止められそうにないし」
海未「そ、そんな~。……も、もう!本当にやめてください///」プニプニ
海未「穂乃果、助けて下さい~」プニプニ
海未ちゃん、顔真っ赤にして照れてる
かわいい♡
でもそれと同時にすっごく楽しそう
みんなに囲まれて笑っている
なのに、それなのになんで私の心はこんなに沈んでるの?
海未ちゃんが笑ってるのに……
みんなずるい、海未ちゃんは私の……
……私の、何だろう
幼なじみ?親友?
それとももっと深い何か?
分からない、分からないよ、この気持ちが
だって私と海未ちゃんは……
なんだか黒いモヤモヤした感情が込み上げてくる
友だちなのに
こんなにモヤモヤするなんてへんだ
幼なじみだからって私だけが特別な訳じゃないのに
穂乃果「ごめん、穂乃果先に帰るね」
海未「穂乃果?」
ことり「どうかしたの?」
穂乃果「えーっと、お店のお手伝いがあって……」
ことり「そっか」
絵里「家の手伝いなんて偉いじゃない。よかったらまた今度寄らせてもらうわね」
穂乃果「うん、ありがとう」
穂乃果「じゃあねみんな、また明日!」
挨拶も早々に逃げるように部室を出る
今心の奥から込み上げてきたこの想いが溢れる前に何とかその場を立ち去りたかった
このままじゃ私……変になっちゃいそうで
─高坂家
今日も今日とて制服のままベッドに転がり込む
今は雪穂もいないみたいだし誰にも邪魔はされない
少し寝ようと思ってそのままゆっくり目を閉じる
今は何も考えたくない
さっきのことを考えるとまたあの黒い感情が湧いてきちゃいそうだったから
疲れていたのかだんだんと眠気がやってくる
これなら何か考える前に眠れそう
そうして私は意識を手放した
───
なんだかお菓子のような甘い匂いがする
気になって目を開けると
「あっ、穂乃果ちゃん起きた?」
そんなお菓子よりも甘い声
まだ覚醒しきっていない頭でもこの声の主はすぐに分かる
何年もずっと一緒だったんだから間違えるはずがない
穂乃果「ことりちゃん、どうしてここに?」
ことり「急にお邪魔しちゃってごめんね。寝てたのに起こしちゃったかな?」
ことり「おばさんが上がってていいって言うから部屋に上がらせてもらっちゃったけど」
穂乃果「ううん、いいのいいの。ことりちゃんならいつでも大丈夫だよ」
穂乃果「それよりどうしたの?」
床の座布団に座って尋ねる
ことり「うん、ちょっと穂乃果ちゃんのことが心配で……」
穂乃果「心配って?」
ことり「今日ずっと元気なかったから……」
穂乃果「そ、そうだったかな?穂乃果は大丈夫だよ?」
ちょっとドキリとしたが平常心を保つ
ことりちゃんは何かを言おうとしているけど言うかどうか迷ってるのかな?
穂乃果「どうしたの?」
そう聞くとことりちゃんは意を決したのか口を開く
ことり「穂乃果ちゃん、いつまで自分の気持ちに嘘をついてるの?」
穂乃果「えっ?」
ことり「本当は分かってるんでしょ、海未ちゃんに対する気持ちがなんなのかって」
穂乃果「海未ちゃんは大切な幼なじみで大親友だけど……」
ことり「そういうことじゃなくて!」
穂乃果「ことりちゃん?」
急に大きな声を出すことりちゃんにびっくりする
ことりちゃんが声を荒げるなんて珍しい
でも、ことりちゃんの言っていることが分からない
ことり「今日海未ちゃんが後輩の子からラブレター貰ったって聞いてどう思った?」
ことり「放課後に海未ちゃんがみんなと楽しそうにしてるのを見てどう思った?」
ことり「そしてなんでそう思ったの?本当は分かってるんでしょ?」
穂乃果「そんな、そんなの分かんないよ」
ことり「分からないんじゃなくて受け入れられないだけなんだよ」
今日のことりちゃん、どうしちゃったんだろう
穂乃果「ことりちゃん、なんか怖いよ?」
ことり「穂乃果ちゃんがいつまでもうだうだしてるからです!ことりも心を鬼にして穂乃果ちゃんを叱ってるんです」
ことり「ほら、よく考えてみて?海未ちゃんが誰かに取られちゃったとしたらどう思う?」
穂乃果「誰かに……」
ことり「誰でもいいから、男の人でもμ'sのみんなでも誰でも」
穂乃果「……」
海未ちゃんの浮いた話なんかは一切聞いたことがない
ずっと一緒だったしそういうのがあれば分かるだろうけど
それに海未ちゃん恥ずかしがり屋さんだし
だからなかなか想像しにくいけど
今日みんなに囲まれて楽しそうにしている海未ちゃんを見ていたら……
すごくモヤモヤした
この気持ちは……
海未ちゃん……
寂しかったよ
ことり「どう?」
穂乃果「うん。さっきね部室で海未ちゃんがみんなと楽しそうにしてるのを見て穂乃果いけないこと思っちゃった」
穂乃果「みんなずるいって、別に海未ちゃんは私だけのためにいてくれてるわけじゃないのに……」
穂乃果「それなのにみんなに嫉妬、しちゃった」
穂乃果「みんな大切な仲間なのにそれなのに私、みんなに対して真っ黒な感情を抱いちゃった」
穂乃果「だから逃げてきちゃったんだ。みんなに顔向けできないって、申し訳なくて……」
穂乃果「あの感情が溢れないうちにって」
ことり「うんうん」
ことりちゃんはうなずきながら私の話を聞いてくれる
こんな私の話を
自分勝手でことりちゃんにまであの感情を抱いてしまったのに
穂乃果「それに朝だって海未ちゃんがラブレターを貰ったって聞いてすごく嫌だった。それなのに海未ちゃんもきっぱりと断ろうとしないし……」
穂乃果「それに海未ちゃんが好きな人はいないって聞いてホッとしたと同時に胸が締め付けられるように苦しくなった」
穂乃果「それで私が一方的に怒っちゃって、なんだか謝りにくくて……」
ことり「うん、そっか。じゃあそれで自分の気持ちは整理できた?」
穂乃果「よく分かんないや」
ことり「じゃあ今度は海未ちゃんのことを考えてみて?」
ことり「いつでもそばにいてくれる海未ちゃん、隣で笑っていてくれる海未ちゃん」
ことり「自分の一番”好き”な海未ちゃんのことを」
穂乃果「穂乃果の一番好きな海未ちゃん……」
海未ちゃんのことを考えると胸がドキドキする
体中熱くなって自分でも顔が真っ赤になってるって分かるぐらいに
海未ちゃんとちょっと目があっただけでもすごくうれしいし
海未ちゃんが笑ってくれるだけで心が暖かくなる
その笑顔が何よりも大好きで、考えるだけでドキドキするし、こっちまで笑顔になる
海未ちゃんに冷たくされてすごく傷ついた
気分がどこまでも沈んだ
でも私のために曲を作ってくれてたって聞いた時はすごくうれしかった
海未ちゃんのことだから恥ずかしかったんだろうなって分かったから
私はそんな海未ちゃんが大好き
そして海未ちゃんは幼なじみで友だちで
なのに、それなのに
なんで友だちなのにこんなにモヤモヤするんだろう
ヤキモキする
へんだよ
だって私たちは幼なじみ、だよ?
このままじゃ私……
どうしよう
この気持ちは……
ことり「……どう?本当の自分の気持ち、改めて考えてみて」
ことり「友だち、幼なじみ、それだけ?」
穂乃果「……違う。それだけじゃない、それ以外の感情がある」
穂乃果「でもそれは本来私が海未ちゃんに向けていい感情じゃない」
穂乃果「だからずっと心の奥底にしまって否定してた。でも……やっぱり自分の気持ちは本物みたい。改めて考えてみて分かった」
ことり「そうだね。それじゃあ穂乃果ちゃんはその気持ちをどうしたい?」
穂乃果「この気持ちを……?」
ことり「そう」
私は……
ことり「また仕舞い込んで自分のことを否定し続けるか、それともその気持ちを信じるか」
この気持ちを……
ことり「いつまでも逃げてちゃダメ。私にそう教えてくれたのは穂乃果ちゃんだったんだよ?」
逃げちゃダメ、か……
ことり「どういう形でもしっかりとした答えを出すべきだよ」
答え……自分の想いへの答え……
ことり「でもそれは穂乃果ちゃん自身が決めることだから私にできることはここまで。後は自分一人で決めなくちゃいけないよ」
自分一人で……
ことり「でも、話ならいつでも聞いてあげられるから。私でもμ'sのみんなでも」
ことり「待ってるからね」ギュッ
手を握ってくれた
暖かくて優しいその手に私は背中を押された気がした
穂乃果「私は……」
穂乃果「私は自分の気持ちに嘘をつきたくない!」
穂乃果「でも、この気持ちは伝えられない」
ことり「どうして?」
穂乃果「それが海未ちゃんのためだから」
胸が締め付けられるように苦しい
このままじゃ呼吸もままならないくらいに
でも私は言わなくちゃいけない
ここまでしてくれたことりちゃんに
私の決意を聞いてもらわなくちゃいけない
穂乃果「海未ちゃんには海未ちゃんの事情があるから」
穂乃果「今はアイドルだし将来は同じ道に進めるわけじゃないし。
海未ちゃんには家のこともあるだろうし私がいても邪魔なだけなんだよ。
それに私だってこの穂むらのこともあるしずっと一緒にはいられないから。
だから私たちはこれからも友だちのまま、海未ちゃんのことを考えるのならそれが一番なんだよ。
海未ちゃんならきっとすぐにいい人も見つかるだろうし……」
穂乃果「だから自分のこの気持ちは受け入れる。逃げたくはないから」
穂乃果「でもその気持ちを本人に伝えることはしない」
何とか言い切る
ことり「……それでいいの?」
穂乃果「うん、いいの。もう割り切るしかないから」
ことり「じゃあなんでそんなに辛そうなの?」
ことり「なんで泣いてるの?」
穂乃果「え?」ポロリ
泣いてる、私が
いつの間にか涙がこぼれてきてしまったみたい
自分でも気づかないうちに
でもこの涙はしょうがない、よね
ことり「やっぱりつらいもんね。自分の想いをあきらめなくちゃいけないって」
ことり「しかもその想いの人は今もこれからも近くにいるんだから」
ことり「でもね穂乃果ちゃん、ずっと一緒にはいられないなんてことはないんだよ?」
穂乃果「でも……」グスッ
そういうことりちゃんの目はどこまでもまっすぐで
飲み込まれてしまいそうなほどだった
ことり「確かに進む道は違うかもしれない、今ほど毎日一緒にはいられないかもしれない。
だけど一度できたつながりは簡単には切れないんだよ。そのつながりが強ければ強いほど。
穂乃果ちゃんのお家も海未ちゃんのお家もこの音ノ木坂に根付く立派なお家だけどそんなことなんて関係ない。
これからのことなんて後から考えればいい、一番大事なのは本人同士の気持ちなんだから」
ことり「このままじゃ結局逃げてるだけだと思うし」
ことり「それに海未ちゃんの気持ちは?確かめもせずに決めちゃっていいの?」
ことり「だって海未ちゃんなんだよ?穂乃果ちゃんの想いをきっと受け止めてくれるはずだよ?」
穂乃果「そう、かな?」
ことり「今までだってそうだった。いつでもどんな時でもまっすぐ誠実で私たちの想いを受け止めてくれた」
ことり「それが海未ちゃんなんだって穂乃果ちゃんが一番わかってるはずだよ」
ことり「それに、後のことなんて考えない、それがいつもの穂乃果ちゃんなんだから。急に変わっちゃったら私たちも寂しいの」
ことり「だから、ね?」
ことりちゃんに言われてハッとする
穂乃果「言わずに後悔するなら言って後悔する……そうだよね。それが私なんだから」
穂乃果「これからのことなんてその後でいいもんね。よし!もう自分の気持ちから逃げないよ。穂乃果は穂乃果らしく行くことにするね」
穂乃果「ありがとうことりちゃん。やっぱり私助けてもらってばっかりだよ」
穂乃果「私にできるのはここまでって言っておいて結局最後まで助けてくれた」
自分のことすらわからなくなってた
いつもの自分じゃない弱気な自分のせいで
ことり「それは穂乃果ちゃんが自分に嘘をついていたのが分かったからだよ。いつもまっすぐなのに時々そういうところあるよね」
ことり「それに穂乃果ちゃん分かりやすいから」
穂乃果「この前真姫ちゃんにも言われたよ、それ」
穂乃果「あはは、そんなにわかりやすいかな私」
ことり「ふふっ、とっても」
穂乃果「そっか」
そうして二人とも笑い出す
笑って笑って二人で一緒にたくさん笑って
弱気な自分を追い払う
明るく、笑顔で、私らしく
そうして自分の中にある想いを直接本人に伝えるために
───
穂乃果「ふー、笑った笑った!」
ことり「スッキリした?」
穂乃果「うん」
ことり「じゃこれからもっとスッキリさせちゃおう?」
穂乃果「これからもっと?」
どういうことだろうと疑問に思う
だけどその疑問も顔に出ていたのかことりちゃんは続ける
ことり「もうすぐ海未ちゃんもここに来るはずだから」
穂乃果「えっ!?そそ、そうなの!?」
つい声が大きくなってしまう
今からって……
ことり「穂乃果ちゃんが急に帰っちゃったからびっくりしてたよ?」
ことり「だから何か穂乃果ちゃんの喜びそうなものでも買ってからおいでって私だけ先に来ちゃった」
穂乃果「っていうことは……」
ことり「もう自分の気持ちから逃げたりしないんでしょ?頑張ってね」
穂乃果「い、いくらなんでも心の準備というか何というか……」
穂乃果「と、とにかくそういうものが必要かなーなんて思ったり思わなかったり……」
ことりちゃんに無言で見つめられてだんだんと声が小さくなる
ことりちゃんの行動力にはたまにびっくりさせられるよ
ことり「じゃあ私はそろそろ帰るね」
穂乃果「帰っちゃうの?」
ことり「お邪魔しちゃ悪いもん」
穂乃果「も、もうちょっとだけいてくれない?」
ことり「う~ん、じゃあ最後にことりからのアドバイス!」
穂乃果「あどばいす?」
ことり「変に気負い過ぎないこと!」
ことり「穂乃果ちゃんらしくまっすぐに、だよ?」
穂乃果「私らしく……」
ことり「海未ちゃんは鈍感だからね」
ことり「じゃあ今度こそお邪魔するね。穂乃果ちゃん、ファイト!」
穂乃果「う、うん。また明日ね」
ことり「うん。はぁ~、明日が楽しみだな~」
なぜかすごいウキウキしながら部屋を後にすることりちゃん
下でお母さんと少しやり取りをして帰っていった
そして帰り際にもう一度窓から私の方を見て”ファイト”
そう言ってくれた
それからことりちゃんに言われたことを考える間もなく入れ替わりのように海未ちゃんがやって来た
海未「お邪魔します……」
海未「ええっと、穂乃果?」
恐る恐るというように私の名前を呼ぶ
まあ今日は怒っちゃったりしたししょうがないか
ほんと、悪いことしちゃったな。別に海未ちゃんが悪いわけじゃなかったのに
穂乃果「海未ちゃん、来てくれてありがとう」
穂乃果「いいから座ってよ」
だから私はできる限りの笑顔で海未ちゃんを迎える
私にはこれしかないから
海未「……そ、そうだ、ことりは?ことりも来ているはずですが」
穂乃果「ことりちゃんなら丁度ついさっき帰ったところだよ。入れ違いになっちゃったね」
なるように帰ったんだろうけど
海未「そ、そうでしたか……」
沈黙が生まれる
いつまでもこのままは嫌だから私から
穂乃果「今日はごめん」
そう言って深々と頭を下げる
海未「そ、そんな!顔を上げてください」
穂乃果「でも海未ちゃんは何にも悪くないのに一人で勝手に怒ってへそ曲げちゃって」
穂乃果「心配や迷惑かけちゃったから」
穂乃果「だからこれが穂乃果からの精一杯の気持ち」
謝罪の気持ちを伝えるにはどうしたらいいのか
これしか思いつかなかった
海未「本当、そういうところが頑固なんですから」
海未「もう分かりましたから顔を上げてください。私は穂乃果とお話がしたいです」
やっぱり海未ちゃんは優しいね
そんな海未ちゃんだからこそこうしてずっと一緒に居られた
これからもずっと一緒にいたいって思える
そして、もっと好きになる
穂乃果「うん、穂乃果もだよ。ありがとう海未ちゃん」
そうしてすぐに仲直り
昔からそうだった
つまらないことで喧嘩して、もう口も聞くもんかって
でも気付いたらいつの間にか仲直りしててまた一緒に遊んで……って
でも今ではこうやって自分から謝れるようになったみたい
ことりちゃんに助けてもらってっていうのは変わらないみたいだけど
海未「よかったらほら、パピコ。買ってきたので一緒にどうですか?穂乃果の好きなチョコレート味ですよ」
穂乃果「ありがとう。でも穂乃果が好きなのはブドウ味だよ?」
海未「昔はチョコばかりだったじゃないですか」
穂乃果「そうだったっけ?」
海未「まったく、穂乃果らしいですよね」
穂乃果「え~、なになに?」
海未「秘密です。これも大切な思い出ですからね」
穂乃果「え~、いいじゃん教えてよ~」
海未「まったく、また今度にしましょう?」
海未「それよりもほら、溶けてしまいますよ?」
穂乃果「う~ん、じゃあさ、ちょっと外に出ない?」
海未ちゃんの秘密の思い出とやらは分からないけど
私にだって大切な思い出があるんだから
その思い出の場所に海未ちゃんを連れ出す
そしてそこで私は……
─公園
海未「ここですか」
穂乃果「うん。昔もよくここで一緒に遊んでアイス食べたりしたよね」
海未「そうでしたね、懐かしいです」
今みたいな夕焼け空になるまでいっぱい遊んだこの公園
私にとっての大切な思い出の一つ
穂乃果「またこうしてベンチに並んで座ってアイスを食べる日が来るなんてね」
海未「ええ。変わりませんね、昔も今も」
穂乃果「そうだね。でもね、私は変わりたいな、海未ちゃんとの関係」
海未「私との関係、ですか?」
穂乃果「うん」
そして私はこれから話すんだ
この気持ちを
穂乃果「昔さ、この公園でこれからもずっと友達でいようねって言ったこと覚えてる?」
海未「ええ、覚えてますよ。ことりも含めて三人でそんなことを言いましたね」
海未「ですが私との関係を変えたいとは?」
穂乃果「今は私たちって友だちで幼なじみで親友で、そんな関係でしょ」
海未「そうですね。親友と胸を張って言えるなんてとても幸せです」
穂乃果「私も。でも私ね、海未ちゃんと親友よりももっと大切な仲になりたいの」
海未「え?」
穂乃果「だから私の想い、聞いてほしい」
穂乃果「すー、はー」
大きく息を吸って、吐いて
深呼吸をして気持ちを落ち着けて……
そして……
穂乃果「私、高坂穂乃果は、海未ちゃんのことが、好きです!!」
海未「っ!」
穂乃果「いつも好きって言ってる気もするけどそういうのとは違くて、その……」
穂乃果「えぇっと、だから、わ、私と恋人になって欲しいです///」
穂乃果「そういう好き、なの///」
何とか言い切る
少し言葉に詰まっちゃったけどこれはこれで私らしいかも
でも今体中がすっごく熱い
全身の熱と心臓の鼓動で溶けてしまいそうなほど
すごく恥ずかしいけど海未ちゃんの方を見つめ続ける
覚悟を決めてもここまで恥ずかしいなんて
海未「はぁ~」
た、溜息?
少しドキッとする
海未「……穂乃果に先を越されてしまいましたね」
え?
ということはもしかして……
穂乃果「それって……」
海未「ええ、私園田海未も穂乃果のことが、その……」
海未「す、すす、好きです///」
穂乃果「プフッ」
海未ちゃんの告白を聞いて吹き出してしまう
これも安心感のおかげかな?
今すごく心が落ち着いてるもん
穂乃果「あ~あ、せっかくいい感じだったのに何でそこで恥ずかしがっちゃうの!」
海未「そ、そんなこと言われても///」
穂乃果「でもこれってつまり……」
穂乃果「そういうこと、だよね?」
海未「はい」
海未「私も穂乃果とその……もっと親密な仲になりたいです///」
海未ちゃん……
まさか海未ちゃんも私のこと……
っていうことは両想いだったってこと!?
海未ちゃんと両想い……
うぅ……
穂乃果「うわ~ん、ありがとう海未ちゃ~ん」ダキッ
海未「こちらこそですよ」ギュー
色んな想いが溢れてくる
言葉にするのが間に合わないほどに
だから海未ちゃんと抱きしめ合ってその気持ちを少しでも受け取って貰おうとする
海未「本当はこちらから言いたかったんですけどね」
穂乃果「え~、海未ちゃんが?」
海未「そうですよ。だから今も真姫と一緒に穂乃果のための曲を作っていて……」
海未「はっ!い、今のはやっぱり聞かなかったことにしてください///」
穂乃果「そんなこと言われても……」
ん?それって……
穂乃果「ふふ、というより知ってたんだ、それ」
海未「え?本当ですか?」
穂乃果「うん。真姫ちゃんから聞いちゃった」
海未「真姫ですか……。まあ真姫しか知らないはずですしそれしかありえませんか」
海未「言うなと言ったのに、あの真姫が約束を破るとは……」
あっ!真姫ちゃんに言わないでって言われてたんだった……
このままじゃ真姫ちゃんが海未ちゃんに怒られちゃう!
そして私が真姫ちゃんに怒られちゃう!
穂乃果「待って海未ちゃん!真姫ちゃんは悪くないの!」
何とか弁解を……
あれ?
でもよくよく考えてみると……
穂乃果「っていうより……そうだよ、海未ちゃんが悪いんじゃん!」
海未「私がですか?」
穂乃果「そうだよ!恥ずかしかったのは分かるけどさ、あの時あんなに冷たくされて穂乃果傷ついたんだからね!」
海未「す、すいません」
そうだ!いいこと思いついちゃった!
穂乃果「じゃ、じゃあさ、キスしてほしいな///」
海未「き、キスですか!?」
穂乃果「してくれなきゃ許してあげないよ!」
海未「そんなのズルいですよ!」
穂乃果「海未ちゃんが悪いんだからね!」
穂乃果「それにさ、せっかくその……こ、恋人になったんだから、さ?///」
海未「くっ……」キュン
海未「うぅ~、分かりました」
海未「い、いきますよ!///」
穂乃果「う、うん///」
海未ちゃんの腕が私の肩を掴む
その手は心なしか震えていてこっちにまで緊張が伝わってくる
そして海未ちゃんは目を閉じて顔をこちらに近づけてくる
本当にきれいな顔だなぁ……
あれ?これって自分も目瞑った方がいいのかな?
あれ、どど、どうしよう!?
心の準備が……
って、も、もう間に合わないよ!
こ、こうなったらもう行くしかない!こっちから誘ったんだから!
そうして私も目を閉じて……
───
穂乃果「初めてのキスはチョコレート味だったね」
とっても甘くておいしい、
一生忘れることはないだろう
海未「それはアイスを食べていたからですよ」
なんて夢のないことを言うけどただ恥ずかしいだけだよね
海未「そ、それよりその話はもうやめましょうよ///」
ほら、顔も真っ赤だ
穂乃果「ふふ、海未ちゃん顔真っ赤だよ?」
海未「そ、それは……ゆ、夕日のせいです!」
穂乃果「本当にそんなこと言う人初めて見たよ」
海未「うっ、そんなこと言う穂乃果だって顔が真っ赤ですよ!」
穂乃果「それはだって……ねぇ?」
海未「穂乃果はずるいです!」
穂乃果「変にごまかそうとするからだよ。恥ずかしいのなんて当たり前なんだから」
海未「うぅ」
ふふ、拗ねちゃったかな?
こんな海未ちゃんも可愛いけど♡
穂乃果「よしよ~し」ナデナデ
海未「ちょっと、ますます憐れです、やめてください」
なんて言って両手で顔を覆う
これじゃあ海未ちゃんのかわいい顔が見られないじゃん
穂乃果「もう、そんなことないって」
海未「も、もういいですから!ほら、もう帰りますよ!」
穂乃果「え~もう?」
海未「もう時間も時間です」
穂乃果「拗ねないでよ~」
海未「そんなのじゃないです!」フンッ
あ~あ、本格的に拗ねちゃってる
穂乃果「穂乃果はもっと海未ちゃんと一緒にいたいのに……」モギュー
海未「も、もう……」
海未「私ならいつでも、そしていつまでも穂乃果と一緒にいますから」ギュッ
穂乃果「海未ちゃん……」ドキドキ
こうやってたまにサラッとカッコいいこと言うんだから
本当にズルい
穂乃果「も、もう!海未ちゃんのくせにかっこつけちゃって!」ポカポカ
海未「くせにとはなんですか!」
穂乃果「ていうかなんで撫でたりそういうことはできるのにこれくらいで恥ずかしがってるのさ!」ポカポカ
海未「痛いです、止めてください」
穂乃果「自分から告白もできなかったヘタレのくせに!」
海未「っ!」
海未「ほ~の~か~!」
海未「そろそろ怒りますよ!」
穂乃果「うっ、ご、ごめ~ん」
こういう時って大体もう怒ってるよね?
ちょっと言い過ぎちゃったかな
私だってことりちゃんに助けてもらってやっと言えたんだからあんまり人のこと言えないのに
海未「私だって色々悩んでいたんですからね!」
穂乃果「ごめんなさ~い」
……でも、こんな時間も楽しい
すぐ隣に海未ちゃんがいてくれるから
私にはそれだけで十分だから
───
高坂家
穂乃果「うわ~、うわ~///」
冷静になってきたらまたドキドキしてきちゃった
だって海未ちゃんと、海未ちゃんと……
穂乃果「う~~///」
枕に顔をうずめる
こんなにうれしいドキドキは初めてかも
暗くなってきて危ないからってわざわざ家まで送ってくれたし
ほんと海未ちゃんってカッコよくて頼りになるなぁ
雪穂「お姉ちゃんそろそろご飯だけど……」
雪穂「今度は何してるの?」
穂乃果「あっ、雪穂~」ニヤニヤ
つい顔がにやけちゃう
前みたいな恥ずかしさはもうない
雪穂「何ニヤニヤしてるの。気持ち悪いよ?」
穂乃果「ひどい!これでもスクールアイドルなんだよ?そのスクールアイドルの笑顔が気持ち悪いだなんて……」
雪穂「そういうのは笑顔って言わないと思うけど……」
雪穂「何かいいことでもあったの?」
穂乃果「よくぞ聞いてくれました!」
穂乃果「実は……何と……!」
雪穂「いや、別にいいよ」
穂乃果「私……えっ!?」
雪穂「どうせ大したことじゃないでしょ」
穂乃果「そんなことないよっ!」ガシッ
雪穂「痛いってば。分かったから離してよ」
穂乃果「話して?もうしょうがないな~」
雪穂「……はぁ」
穂乃果「あのね、私海未ちゃんとお付き合いすることになったの」
雪穂「ふ~ん……えっ!?」
穂乃果「へへ~ん」
雪穂「いやいやいや、えっ!?」
穂乃果「ふふ~ん」
雪穂「ほ、ほんとに?」
穂乃果「当たり前じゃん!」
ふふっ、相当驚いてるみたい
雪穂「えっ、いや、前々から海未さんのこと大好きなんだな~って思ってはいたけどまさかそこまで行っちゃうとは……」
穂乃果「えっへん!」
雪穂「威張るようなことではないと思うけど……」
雪穂「まあその……おめでとう」
穂乃果「雪穂……」
雪穂「べっ、別にその……いろいろ大変だっただろうし……」
穂乃果「ありがとう。穂乃果は雪穂のことも大好きだよ~」ギュー
雪穂「///」
雪穂「そ、それよりこれからどうするの?」
穂乃果「これから?」
雪穂「だってお姉ちゃんアイドルなんでしょ?」
雪穂「それが同じグループで同性の幼なじみとっ、てどうなの?」
穂乃果「はっ!」
そうだ、すっかり忘れてた
後のことは後で考えればいいやなんて思ってたけどそれすらも忘れてたよ
穂乃果「そうだった!」
雪穂「何も考えてなかったの!?」
穂乃果「いや~、嬉しさのあまりそんなこと全部吹き飛んじゃって」
雪穂「ちゃんと話し合った方がいいよ?」
穂乃果「うん、分かってる。どんな覚悟だってできてるから」
穂乃果「ありがとう、雪穂」ニコッ
雪穂「と、とりあえずご飯食べよう!ほら!」
穂乃果「うん、そうだね」
今後のことしっかり話し合わなきゃね
自分のためにも、海未ちゃんのためにも、μ'sのためにも
そして、未来のためにも
あっ、あとことりちゃんには報告しておいた方がいいよね
ことりちゃんのおかげで前に進めたんだから
まあとりあえず、今はご飯だ!
穂乃果「もうお腹ペコペコだよ」
雪穂「そっか」
穂乃果「今日のご飯は何かな~」
─翌朝
ことり「あっ、二人ともおはよう」
海未「おはようございます、ことり」
穂乃果「おはよう、ことりちゃん」
希「おっ、やっと来たみたいやね」
穂乃果「希ちゃん、それにみんなも」
凛「おっはよー!」
花陽「おはよう、穂乃果ちゃん、海未ちゃん」
海未「み、みんなしてどうしたんですか?」
にこ「まあ、言いたいことがいくつかあってね」
海未「言いたいこと、ですか?」
凛「まずは穂乃果ちゃん、昨日はごめんね」
穂乃果「え?なんで?」
希「いや、穂乃果ちゃんがおるのに海未ちゃんに色々ちょっかい掛けてもうて」
穂乃果「だからってなんで?」
真姫「だって穂乃果、それでやきもち妬いちゃってたでしょ?」
絵里「好きな人がみんなに囲まれてってちょっと淋しいものね」
穂乃果「す、好きな人って」
にこ「言っとくけどみんな知ってたわよ」
穂乃果「え?」
真姫「傍から見たら分かるわよ。どう見ても相思相愛じゃない」
花陽「気付いてなかったのは本人同士ぐらいだったと思うよ?」
穂乃果「そ、そうだったの?」
穂乃果「だから昨日ことりちゃんもあんなこと言ったの?」
ことり「さあ、どうでしょう?」
穂乃果「ことりちゃ~ん」
絵里「ほらほら、それともう一つ」
ことり「二人ともおめでとう」
希「いつ言うかいつ言うかってずっと待ってたんよ?」
真姫「まあ海未は何やら準備はしてたみたいだけど、どうせ出来たところで結局言えずじまい、って言うオチが見え見えだったのよね」
海未「そ、そんなことないですよ!」
真姫「どうだったかしらね」
ことり「それよりなんで二人は手を繋いでないの?」
海未「えっ!?」
ことり「恋人なら当たり前じゃない?」
凛「そうにゃそうにゃ」
海未「そ、それは……」
ことり「昨日キスまでしたのに?」
穂乃果「///」カァァ
海未「なっ、何でことりが知っているんですか!///」
ことり「えっ、本当にしたの?」
海未「えっ?」
希「お熱いな~」
にこ「ほんと、バカップルって言うか何というか」
絵里「ま、まあまあ二人とも」
海未「カマをかけたんですか?」
ことり「う、海未ちゃん?ちょっと怖いよ?」
海未「少しお話をしましょうか」
ことり「ひぃっ!」
海未「あなたたちもご一緒にどうぞ」
にこ「えっ!?」
希「い、いや~それはちょっと」
真姫「わ、私も!?」
絵里「私は何も言ってないわよ?」
花陽「海未ちゃん怖いです……」ガタガタ
凛「かよちんが怖がってるにゃ!」
海未「いいから早く!」
穂乃果「……」ギュッ
海未「ほ、穂乃果?」
穂乃果「いいじゃん。少しくらい」
海未「わ、分かりましたよ……穂乃果が言うのなら」
にこ「た、助かった?」
希「みたいやね」
真姫「まったく、デレッデレじゃない」
絵里「あんまりイチャつき過ぎないのよ」
花陽「海未ちゃん怖い海未ちゃん怖い……」
凛「かよちん落ち着いて」
ことり「ふふっ」
穂乃果「海未ちゃん大好きっ!」ギュー
海未「私もですよ穂乃果」ギュー
凛「ほ、ほんとに大丈夫かにゃ?」
希「う、う~ん。どうやろうね?」
Fin
希「はい、カット~」
希「ほぉ~、今回もなかなか良かったんやない?」
ことり「うんうん、すっごくかわいかったよ~」
穂乃果「えへへ、そうかな~」
希「さっすがえりち、いい脚本だったやん」
絵里「だから、元の歌詞は海未が……」
真姫「海未……?」
海未「もう嫌です。もうだめです……うぅ」
花陽「う、海未ちゃん?」
海未「なんでまた私なんですか!」
希「そんなこと言うてもなぁ。主役の穂乃果ちゃんのご指名やったし」
海未「またそのパターンですか……」
凛「海未ちゃんモテモテにゃー」
海未「なぜ私ばっかりなんですか……」
希「ほ、ほら、今回は我らlily white の曲だったわけやし」
凛「そうにゃそうにゃ」
海未「じゃあ希や凛でもよかったじゃないですか!なんで主役が穂乃果でまた私が、あんな、あんな……///」
絵里「いや、幼なじみって歌詞に書いてあったしどうせなら本当の幼なじみの方がいいかと思って」
海未「なら凛と花陽でもよかったじゃないですか」
花陽「私はその、恥ずかしいし……」
海未「だからそれは私もですよ!」
にこ「もう、ごたごたうるさいわよ!」
真姫「何?出番が少なかったからって拗ねてるの?」
にこ「そ、そんなんじゃないわよ!」
真姫「図星みたいね」
にこ「違うわよ!」
絵里「そういえばふと思ったんだけどこの歌詞って当然海未が書いたのよね?」
海未「え?まあ、そうですが」
絵里「じゃあこの歌詞に出てくる幼なじみって穂乃果なの?ことりなの?」
海未「えっ!?」
穂乃果「そうなの!?」
ことり「海未ちゃん!」
希「いやいや、もしかしたら主人公が穂乃果ちゃんかことりちゃんで幼なじみ言うのが海未ちゃんの可能性もあるで?」
絵里「なるほど……」
海未「そ、そんなんじゃないです!」
凛「じゃあ誰なの?」
にこ「そういえばこの曲のセンターって凛だったわよね……」
穂乃果「ということは!?」
ことり「凛ちゃんと花陽ちゃん!?」
凛「えっ!?」
花陽「そ、そうなの海未ちゃん?」
海未「違います!そういうのじゃないですから!」
穂乃果「え~じゃあ何なの?」
海未「それはその……ま、漫画を見て……」
穂乃果「海未ちゃん漫画なんて読まないじゃん」
海未「た、たまたま見たんです!」
ことり「ほんとかな~」
希「う~ん。真実は謎のまま、か」
真姫「そう言われると気になるわね」
真姫「キミって一体誰なのか……」
希「何とかして口を割らせたいなぁ」
真姫「なんだか物騒ね」
穂乃果「ねえ海未ちゃーん」
ことり「教えてよー」
海未「だからそういうのじゃないんですってば!」
穂乃果「いいじゃーん」
ことり「そうだよー」
海未「何もないですってば!」
真姫「……これは手強そうだけど」
希「……そうやね」
STAFF CREDIT
─原作(作詞)
園田海未
─脚本
絢瀬絵里
─演出
東條希
─撮影
星空凛
東條希
─美術監督
南ことり
─美術補助
小泉花陽
矢澤にこ
─音楽監督
西木野真姫
─編集
矢澤にこ
─キャスト
高坂穂乃果
園田海未
南ことり
星空凛
東條希
西木野真姫
小泉花陽
絢瀬絵里
矢澤にこ
─撮影協力
音ノ木坂学院映画研究部
音ノ木坂学院生のみなさま
─製作
音ノ木坂学院アイドル研究部・映画研究部
楽曲ドラマ化プロジェクト
─監督
東條希
「キミのくせに!」
END
~~~~~~~~~~~~~~~
私、高坂穂乃果!音ノ木坂学院に通う高校二年生!
海未「こらーっ!穂乃果!」
なんて言ってる場合じゃないよ!
穂乃果「うわ~ん、ごめんてっば~」
海未「今日という今日は許しません、もう我慢の限界です!」
穂乃果「ほんとに反省してるから許して~」
絶賛怒られ中
まあ、自分が悪いことは分かってるんだけど……
3: 名無しで叶える物語(しまむら)@\(^o^)/ 2015/07/11(土) 22:10:23.31 ID:6hzplCh2.net
海未「ならばなぜ私はいつもいつも同じことを言わなければならないんですか!」
穂乃果「そ、それは……」
海未「毎日のように寝坊していつも時間ぎりぎりなんですから」
海未「生活のリズムがしっかりしていないからこのようなことになるんです!」
海未「いいですか、早寝早起きというのは一番の基本で……」
これは長くなる奴だ……
穂乃果「た、助けて、ことりちゃん」
ことり「え!?」
海未「こら穂乃果!人の話を聞きなさい!そうやってすぐにことりに助けを求めるのもやめなさい!」
4: 名無しで叶える物語(しまむら)@\(^o^)/ 2015/07/11(土) 22:13:38.53 ID:6hzplCh2.net
これが私たちの日常
いつも怒られてばっかりだけど海未ちゃんは穂乃果のことを思って言ってくれてるって分かってる
穂乃果「海未ちゃ~ん」ウルウル
ことり「海未ちゃん今日はそれくらいにしとこう?」
海未「いいえ、そうはいきません」
ことり「でもほら、この後練習とかもあるし今から体力使っちゃったら疲れちゃうよ?」
海未「……ふむ。それもそうですね。分かりました、もういいです」
穂乃果「う、海未ちゃん?」
海未「穂乃果だって怒られるのは嫌でしょう?それに私だって怒るのも嫌ですからその方がお互いにとって得じゃないですか?」
マズイ、これはかなり怒ってるみたい
5: 名無しで叶える物語(しまむら)@\(^o^)/ 2015/07/11(土) 22:16:54.79 ID:6hzplCh2.net
穂乃果「と、とにかくごめんなさい。海未ちゃんは穂乃果のために言ってくれてるって分かってるからさ」
海未「でも一向に改善されているようには思えませんが?」
穂乃果「それは……うぅ」ポロ
あれ、つい涙がこぼれてきちゃった
何でだろう?
いくらなんでも泣くほどのことじゃないよね
全部穂乃果が悪いんだし
6: 名無しで叶える物語(しまむら)@\(^o^)/ 2015/07/11(土) 22:20:15.63 ID:6hzplCh2.net
海未「な、何も泣くほどのことじゃ……」
穂乃果「ごめん、海未ちゃんに見放されちゃうって思ったら……」
ことり「穂乃果ちゃん私のせいで……余計なこと言っちゃってごめんね?」
穂乃果「ことりちゃんは何も悪くないよ!だから気にしないで?」
ことり「う、うん……」
穂乃果「え~っと、それと……」
穂乃果「海未ちゃん、いつもごめんなさい」ペコリ
海未「いえ、私も少し言い過ぎました。すいません」
穂乃果「ううん、穂乃果が悪いから」
穂乃果「海未ちゃんとことりちゃんについ甘えちゃって」
穂乃果「まぁ、まさか泣いちゃうなんて自分でも思わなかったけど」
海未「はいはい、もういいですから」ナデナデ
穂乃果「うん///」
8: 名無しで叶える物語(しまむら)@\(^o^)/ 2015/07/11(土) 22:22:10.11 ID:6hzplCh2.net
海未ちゃんに撫でられちゃった、エヘヘ♡
子供のころはむしろ海未ちゃんの方がよく泣いてて穂乃果やことりちゃんが慰めてあげてたのに
今じゃ立場が逆になっちゃったみたい
一体いつからだろう
もう、ズルいよ海未ちゃん
10: 名無しで叶える物語(しまむら)@\(^o^)/ 2015/07/11(土) 22:25:02.40 ID:6hzplCh2.net
ことり「ほらほら早く学校に行かなきゃ。時間無いよ?」
海未「そうでしたね」スッ
穂乃果「あっ……」
もっと撫でてほしかったなぁ
なんだか海未ちゃんの手が離れる瞬間すごく寂しくなっちゃった
何でかなぁ?
12: 名無しで叶える物語(しまむら)@\(^o^)/ 2015/07/11(土) 22:28:17.72 ID:6hzplCh2.net
海未「どうかしました?」
穂乃果「ううん、何でもないよ。ごめんね、今日も穂乃果のせいで遅くなっちゃって」
海未「いえ、こっちも勝手にいつまでも待ってましたから」
穂乃果「先に行っててもいいのに」
ことり「海未ちゃんって本当に優しいよね」
穂乃果「ほんとだよね。でもいつもごめんなさい、いつも二人の優しさに甘えちゃって」
海未「もう慣れましたよ」
ことり「ことりは嬉しいよ?」
穂乃果「二人ともありがとう」ギュー
海未「歩きながら抱き着いてこないでください、歩きにくいです」
ことり「でも嬉しそうだけど?」
海未「こ、ことり!」
ことり「なぁに?」ニヤニヤ
海未「と、とにかく早くしますよ!」
穂乃果「はーい!」
今日も朝から海未ちゃん成分とことりちゃん成分の補給が出来たし一日がんばれそう!
よーし、今日も一日がんばるぞ~!
13: 名無しで叶える物語(しまむら)@\(^o^)/ 2015/07/11(土) 22:31:07.54 ID:6hzplCh2.net
─放課後
今日は海未ちゃんの作詞のお手伝い!
ことりちゃんは衣装の材料をにこちゃんと一緒に買いに行くんだって
とりあえず邪魔はしないようにしなくちゃね
……でも海未ちゃんと一緒に居られてうれしいなぁ
それになんだかドキドキする
15: 名無しで叶える物語(しまむら)@\(^o^)/ 2015/07/11(土) 22:34:05.60 ID:6hzplCh2.net
穂乃果「ええと、穂乃果は何をすれば?」
海未「とりあえず私が色々書いてみるので意見があったらお願いします」
穂乃果「うん、分かった。でも穂乃果なんかでいいのかな?」
海未「いいんですよ。それに今回は穂乃果を参考にしたいんです」
穂乃果「穂乃果を?」
海未「今回のテーマは聞いた人が笑顔になれるような曲を作りたいと思いまして」
穂乃果「聞いてる人が笑顔に、か……」
海未「では……」
それだけ言って集中する海未ちゃん
普段も弓道や剣道をやっていてこういう姿がほんとにぴったり
そういうところも海未ちゃんの魅力だよね
16: 名無しで叶える物語(しまむら)@\(^o^)/ 2015/07/11(土) 22:37:47.97 ID:6hzplCh2.net
海未「笑顔、笑顔……太陽?」ムムム
真剣な表情につい見入っちゃう
それにしても
海未ちゃんって本当にカッコいいなぁ
今は穂乃果しか見ることが出来ない表情
横から覗いていても分かるおとなな横顔
それを見てるだけでなんだかドキドキしちゃう
あれ?
何だろう、この気持ち
なんでドキドキしてるんだろう?
海未ちゃんのくせに!
なんでこんなに穂乃果の心を揺さぶるの?
17: 名無しで叶える物語(しまむら)@\(^o^)/ 2015/07/11(土) 22:40:37.22 ID:6hzplCh2.net
─高坂家
穂乃果「う~、疲れた~」
帰ってくるなりベッドにダーイブ!
少しヒンヤリしていて気持ちいい
今日も楽しかったなー
穂乃果「朝から海未ちゃんに怒られちゃったけど…」
19: 名無しで叶える物語(しまむら)@\(^o^)/ 2015/07/11(土) 22:43:04.38 ID:6hzplCh2.net
でも今日は海未ちゃんと二人きりで海未ちゃんのお手伝いが出来たし嬉しかったなぁ
いつもあんなことやってくれてたなんてほんとに感謝だよね
それにしても海未ちゃんの横顔かっこよかったなー♡
……ってなんで海未ちゃんのことばっかり考えてるんだろう
確かに今日はずっと海未ちゃんと居たけどさ
それになんだか海未ちゃんのことを考えてるとドキドキする
何だろうこの気持ち
朝に頭を撫でられた時とかにも感じた……
22: 名無しで叶える物語(しまむら)@\(^o^)/ 2015/07/11(土) 22:46:01.12 ID:6hzplCh2.net
穂乃果「///」
今になってなんだかすごく恥ずかしい
嬉しかったけどそれと同時に胸が苦しくなって
そしてそれは今も……
穂乃果「うぅ///」
枕に顔をうずめる
顔が、全身が熱い
今穂乃果の顔真っ赤になってるんだろうなぁなんて頭の片隅で考えてる自分がいる
穂乃果「うわぁ~///」アシバタバタ
雪穂「お姉ちゃーん、漫画を……って何してるの?」
24: 名無しで叶える物語(しまむら)@\(^o^)/ 2015/07/11(土) 22:49:14.74 ID:6hzplCh2.net
穂乃果「ゆゆゆ、雪穂!?」ビクッ
雪穂「お姉ちゃん?」
穂乃果「ノックぐらいしてよ!」
雪穂「したよ!?」
穂乃果「そ、そうだった?」
雪穂「もう、どうしたの?」
穂乃果「何でもないよ!」アセアセ
雪穂「はぁ、とりあえず制服皺になっちゃうから着替えなよ」
穂乃果「またそうやって海未ちゃんみたいなこと言って」
穂乃果「分かったから早く出てってよ!」
雪穂「ちょっと、漫画……」
穂乃果「もう、ほら持ってっていいから!」グイッ
雪穂「ちょ、お姉ちゃん!?」
バタン!
26: 名無しで叶える物語(しまむら)@\(^o^)/ 2015/07/11(土) 22:52:49.54 ID:6hzplCh2.net
穂乃果「うわぁ~ん」ボフッ
見られた?
顔絶対に赤かったよね?
恥ずかしいよ~
穂乃果「どうやってごまかそうか……」
これも全部海未ちゃんのせいだよ!
…でもなんでこんなに恥ずかしいんだろう
こういう気持ちってもしかして……
いやいや、そんなはずないよ
だって
だって、私と海未ちゃんは友だち、だよね?
でもなんでこんなにドキドキするんだろう
へんだよ
この気持ちは……
私たち幼なじみなんだよ?
33: 名無しで叶える物語(しまむら)@\(^o^)/ 2015/07/12(日) 15:59:02.75 ID:/d9tXbYP.net
─数日後
今日はみんなそれぞれのことをするみたい
海未ちゃんと真姫ちゃんは新曲の打ち合わせ
ことりちゃんは衣装づくり
にこちゃんはそのお手伝い
花陽ちゃんは凛ちゃん付き添いで体力づくりに走りに
絵里ちゃんと希ちゃんは生徒会のお仕事
私はどうしよっかなー、なんて考えながらぶらぶらと校内を歩く
そうして私が辿り着いた場所は音楽室だった
何も考えずに歩いてたつもりなのに気が付いたら自然とここに足が向かっていた
ここには海未ちゃんと真姫ちゃんが居るはず
なんだかそれだけで心がウキウキする
はやる気持ちを抑えて私は音楽室のドアを開ける
34: 名無しで叶える物語(しまむら)@\(^o^)/ 2015/07/12(日) 16:04:27.65 ID:/d9tXbYP.net
すると、そこにはやはり海未ちゃんがいて
穂乃果「ふふ、海未ちゃんみーつけた」
なんだかそれだけで嬉しくなった私は
穂乃果「う~みちゃん」
ポン、と背中を叩いてみる
海未「ああ、穂乃果ですか」
私の呼びかけに振り返ってくれた
けど……
35: 名無しで叶える物語(しまむら)@\(^o^)/ 2015/07/12(日) 16:09:52.53 ID:/d9tXbYP.net
海未「その、今は少し集中したいので急用でもないなら少し待っててもらえますか?」
穂乃果「え?あぁ、うん。そっか、そうだよね……」
穂乃果「い、忙しいのにごめんね?」
海未「いえ」
穂乃果「……」
真姫「ちょっと海未、そんな言い方しなくてもいいんじゃない?」
海未「ですが今は……」
穂乃果「ううん、いいの。ごめんね、邪魔しちゃったよね?」
36: 名無しで叶える物語(しまむら)@\(^o^)/ 2015/07/12(日) 16:15:13.98 ID:/d9tXbYP.net
そうだよね
考えてみればここにきても私には何もできない
力になってあげられない
迷惑、だったかな?
何だか海未ちゃんがすごく大きく見える
少し前までは穂乃果と一緒に色んなことして遊んでたのに今は海未ちゃんだけが大人になっちゃったみたい
というよりも穂乃果がいつまでも子供なのかもしれないけど
でもやっぱり寂しい
穂乃果「じゃ、じゃあ穂乃果、別のところに行ってくるから二人とも頑張ってね」
真姫「穂乃果……」
なんだかここに居づらくなって足早に音楽室を出ていく
37: 名無しで叶える物語(しまむら)@\(^o^)/ 2015/07/12(日) 16:18:51.91 ID:/d9tXbYP.net
今度こそ本当に行く場所がなくてなんとなく屋上へ立ち寄る
穂乃果「はぁ~」
心にぽっかり穴が開いた気分
どうしてこんな気持ちになるの?
海未ちゃんに冷たくされたから?
でもそれだけで……?
なんて考えていると後ろのドアが開く音がした
38: 名無しで叶える物語(しまむら)@\(^o^)/ 2015/07/12(日) 16:24:10.48 ID:/d9tXbYP.net
真姫「穂乃果、ここにいたのね」
振り返るとそこには真姫ちゃんがいて
穂乃果「ど、どうしたの真姫ちゃん」
真姫「穂乃果……大丈夫?」
穂乃果「え?な、なにが?」
真姫「その……さっきの海未の態度、ちょっと冷たかったし……」
穂乃果「そ、それくらいのこと、大丈夫に決まってるじゃん」
真姫「じゃあなんでそんなに悲しそうな顔してるの?」
穂乃果「えっ?」
嘘?そんな顔してた?
別にこれくらいそんなに大したことじゃないはず、なのに……
39: 名無しで叶える物語(しまむら)@\(^o^)/ 2015/07/12(日) 16:27:33.78 ID:/d9tXbYP.net
真姫「ほんとに分かりやすいわね、穂乃果は」
穂乃果「そうかな?」
真姫「よく言えば嘘をつけないってところかしら」
穂乃果「う~ん……」
真姫「はぁ~」
真姫「まったく、それにしても海未も不器用よね」
穂乃果「?」
何のことだろう
それに海未ちゃん”も”って
40: 名無しで叶える物語(しまむら)@\(^o^)/ 2015/07/12(日) 16:30:02.10 ID:/d9tXbYP.net
真姫「実はね、さっき作ってた曲は穂乃果の曲なの」
穂乃果「穂乃果の?」ドキッ
真姫「そう。海未ったらすごい張り切ってて」
穂乃果「海未ちゃんが?」
なんだろう、すごくドキドキする
でもとってもうれしい
41: 名無しで叶える物語(しまむら)@\(^o^)/ 2015/07/12(日) 16:33:42.67 ID:/d9tXbYP.net
真姫「あの海未が、よ。でもそれだけ大事な曲にしたかったんじゃないかしら」
真姫「だからってそれで穂乃果のことを傷つけちゃ本末転倒よね」
穂乃果「傷つけるってそこまでじゃ……」
真姫「あんな顔してたのに?」
穂乃果「それは……」
真姫「まあいいわ。これ本当は秘密だから海未には私が教えたって絶対に内緒よ」
穂乃果「うん、分かった」
真姫「曲の方、もう少しでできるから楽しみにしててね。海未のためにも」
穂乃果「うん、ありがとう真姫ちゃん」
43: 名無しで叶える物語(しまむら)@\(^o^)/ 2015/07/12(日) 16:37:00.65 ID:/d9tXbYP.net
じゃあまたあとで、と言って真姫ちゃんは屋上を後にする
真姫「ほんと、不器用でメンドクサイ人たちなんだから」ボソッ
穂乃果「?」
去り際に何か言ったような気がするけどよく聞こえなかった
でもおかげで少し元気出たかも
う~ん、でもやっぱり自分でもよく分からないや
なんでこんなに傷ついたのか
ちょっとのことでこんなに一喜一憂してるのか
44: 名無しで叶える物語(しまむら)@\(^o^)/ 2015/07/12(日) 16:45:07.86 ID:/d9tXbYP.net
─高坂家
穂乃果「ただいま~」
自分の部屋に入ってからそんなこと言っても当然誰も返事はしない
とりあえずカバンを置いてからベットに転がり込む
穂乃果「は~やっぱりここは癒されるね~、穂乃果のオアシスだよ~」
雪穂「はぁ~、やっぱり。帰ってきたらベットに寝転がる前に着替えてって言ってるじゃん」
穂乃果「もーわかってるよー」ブゥー
穂乃果「っていうかなんで帰ってきたって分かったの?誰もいなかったからただいまとも言ってないのに。まさかエスパー!?」
雪穂「そりゃあ分かるよ。うるさいんだもん」
穂乃果「そんな~」ガーン
45: 名無しで叶える物語(しまむら)@\(^o^)/ 2015/07/12(日) 16:50:15.36 ID:/d9tXbYP.net
雪穂「それにただいまって言ってたじゃん。誰もいるはずのない自分の部屋に入ってから」クスクス
穂乃果「聞こえてたの!?あ、あれはなんとなくだよ」
雪穂「はいはい、分かったから早く着替えちゃいなよ。制服、皺になっちゃうよ」
穂乃果「も~、また海未ちゃんみたいなこと言って」
雪穂「ふふっ」
穂乃果「どうしたの?」
雪穂「いや、また海未ちゃんって言ったなーって思って」
穂乃果「え?」
雪穂「いっつも二言目には海未ちゃん海未ちゃんって」
穂乃果「そ、そんなこと……」
雪穂「今のだって普通はお母さんみたいって言うでしょ。まあお姉ちゃんにとっては海未さんもお母さんみたいなものかもしれないけど」
雪穂「っていうか友だちや妹からお母さんみたいなこと言われるってすごくない?」クスクス
穂乃果「うぐっ……。も、もう!うるさいなー、着替えるから出てってよ!」
雪穂「はいはい」
46: 名無しで叶える物語(しまむら)@\(^o^)/ 2015/07/12(日) 16:55:09.80 ID:/d9tXbYP.net
穂乃果「う~ん、そんなに海未ちゃんのことばっかり言ってるかなぁ」
着替えながら考えてみる
でも確かによくよく考えてみればそうかもしれない
現に昨日だって気付いたら海未ちゃんのことを考えてたし
それでなんだかドキドキしてきちゃって
やっぱり変
何で海未ちゃんのことを考えてるとドキドキするの?
ちょっと冷たくされただけであんなに悲しくなっちゃったの?
海未ちゃんが私のために曲を作ってくれてるって聞いてあんなにうれしくなったの?
何で気づいたら海未ちゃんのことを考えてるの?
なんで?どうして?
う~、分からないよ~
54: 名無しで叶える物語(しまむら)@\(^o^)/ 2015/07/12(日) 21:46:58.90 ID:/d9tXbYP.net
─翌日・朝
今日は海未ちゃんは弓道部に行かなくちゃいけないらしい
だから今はことりちゃんと二人
ことり「穂乃果ちゃんはい、あ~ん」
穂乃果「あ~ん」パクッ
穂乃果「ん~おいしい~」
ことり「ありがとう、穂乃果ちゃん」
海未ちゃんが弓道部に行くときの密かな楽しみ
朝から海未ちゃんに会えないのは残念だけど、ことりちゃんがお菓子を作ってきてくれるんだ♪
海未ちゃんがいたら怒られちゃうからこういうときにだけ持ってきてくれる
いいのかな?とは思うけどことりちゃんの作ってくれるお菓子を食べたいし、こっそりとね
二人だけの秘密ってやつ?
55: 名無しで叶える物語(しまむら)@\(^o^)/ 2015/07/12(日) 21:52:05.28 ID:/d9tXbYP.net
ガララ
穂乃果「!」
穂乃果「海未ちゃんおかえり!」
海未ちゃんが帰ってきたみたい
……あっ、お菓子隠さなきゃ
いや、もう間に合わないよ!
また海未ちゃんを怒らせちゃうかも……
ことり「海未ちゃんお疲れ様」
海未「ありがとうございます……」
穂乃果「海未ちゃん?」
ことり「どうかしたの?」
海未「いえ何でもないです……」
56: 名無しで叶える物語(しまむら)@\(^o^)/ 2015/07/12(日) 21:57:14.05 ID:/d9tXbYP.net
海未「あっ、そのお菓子私も食べていいですか?」
ことり「え?う、うん。いいけど……」
海未「ありがとうございます……」パクッ
海未「おいしいです……」
あの海未ちゃんがこんな時間にお菓子を?
いつもなら食べてる穂乃果たちのこと怒るのに今日はどうしたんだろう?
ことり「海未ちゃん本当に大丈夫?疲れてるんじゃ……」
海未「大丈夫ですよ」
57: 名無しで叶える物語(しまむら)@\(^o^)/ 2015/07/12(日) 22:02:19.16 ID:/d9tXbYP.net
穂乃果「いやいや、海未ちゃん様子が変だよ?」
海未「そんなこと……」
穂乃果「普段なら絶対こんな時間にお菓子なんて食べないでしょ」
穂乃果「そもそもこっそり食べてた穂乃果たちに何も言わないなんていつもの海未ちゃんじゃないよ」
海未「……」ウツムキ
穂乃果「何かあったなら言ってよ。どんな相談にでも乗るからさ」
ことり「そうだよ海未ちゃん」
海未「あまり話したくはないのですが……分かりました、話を聞いてくれますか?」
穂乃果「もちろんだよ」
ことり「話してみて?」
海未「実は……」
なんだか緊張する
それに嫌な予感も
58: 名無しで叶える物語(しまむら)@\(^o^)/ 2015/07/12(日) 22:06:52.17 ID:/d9tXbYP.net
海未「実はまたこのようなものを貰ってしまって……」
そう言って海未ちゃんが机の上に出してきたものはとってもかわいらしいハートがたくさん描かれた便箋だった
これって……
ことり「……海未ちゃんまたなの?」
それを見てことりちゃんが声を発する
海未「はい……」
また、みたい
また後輩の子からラブレターを貰ったんだ……
まぁ、しょうがないよね
だって海未ちゃん、優しくて面倒見がいいし、頼りになって、かっこよくてその上こんなに可愛いんだもん
59: 名無しで叶える物語(しまむら)@\(^o^)/ 2015/07/12(日) 22:12:40.45 ID:/d9tXbYP.net
海未「私はその気はないのですがせっかくの気持ちを無碍にはできなくて……」
海未「なのでどうしたものかといつも迷ってしまって……」
ことり「もう、海未ちゃんは優しすぎるんだよ。相手を傷つけないようにって中途半端な断り方するから」
ことり「自分にその気がないならきっぱり断る!厳しい言い方かもしれないけどそうしないと来年からはもっと大変かもよ?」
海未「来年から、ですか?」
ことり「来年になれば新入生も入ってくるし今海未ちゃんに負けないぐらい人気の絵里ちゃんだって卒業しちゃうんだよ?」
ことり「そうなったら後輩からの支持が全部海未ちゃんに集中しちゃうんじゃないかな?」
海未「でも……」
ことり「……もう、鈍感なんだから」
海未「?」
ことり「あのね、一番いいのは特定の相手を見つけることだよ」
海未「特定の相手って……」
ことり「うん。海未ちゃんが誰かと交際してますってみんなに伝わればそういうのは減ると思うよ」
ことり「海未ちゃんが選んだ相手なら、ってみんな認めて諦めてくれるよ」
60: 名無しで叶える物語(しまむら)@\(^o^)/ 2015/07/12(日) 22:18:05.68 ID:/d9tXbYP.net
海未「そそそ、そんな相手は私にはいないですって!///」
ことり「ふ~ん」ジー
海未「な、何ですか」
ことり「いや、そうだよね~って思って」
海未「本当ですか?」
ことり「ほんとだよ~」
穂乃果「……」ムスゥー
海未「ん?穂乃果?どうかしましたか?」
穂乃果「何でもないよ」プイッ
海未「そうは思えないのですが……」
ことり「も~、海未ちゃんのせいだよ」タメイキ
海未「え!?私何かしてしまったんでしょうか?」アセアセ
ことり「海未ちゃん、それは自分で考えてください」
海未「そ、そんなぁ」
穂乃果「もう朝のホームルーム始まるから席に戻るね」
海未「穂乃果、私何かしてしまったんでしょうか。謝りますから教えてくださいってば」
穂乃果「知らない!」
海未「穂乃果~」
61: 名無しで叶える物語(しまむら)@\(^o^)/ 2015/07/12(日) 22:24:08.91 ID:/d9tXbYP.net
つかつかと自分の席に戻る
海未ちゃんのバカ!
そんなことを思う……あれ?
何で私こんなに怒ってるんだろう?
なんだかムカムカしてすごく嫌な気持ちだったけど私が怒るようなことじゃなかったような……
うぅ、自分の気持ちが分からないよ
穂乃果「うぅ~」
小さく唸って頭を机に伏せる
海未ちゃんがラブレターを貰ったことに怒ってるの?
しっかり断らないことに怒ってるの?
何に怒ってたんだろう?
なんにせよ私に怒る筋合いはないはずだよね
だってそんなのは本人の自由なんだから
62: 名無しで叶える物語(しまむら)@\(^o^)/ 2015/07/12(日) 22:30:04.90 ID:/d9tXbYP.net
─放課後
自分の気持ちが分からないまま放課後になり部室へ向かう
あれから海未ちゃんとは気まずくて話してない
海未ちゃんは何か言おうとするんだけど自分から逃げてしまう
ちゃんと話そうって思ってもいざ海未ちゃんを見るとまたあの時と同じムカムカした嫌な気持ちになっちゃう
分からない
なんでなんだろう?
すごくモヤモヤする
いつまでもこれじゃあ駄目だと気持ちを切り替えて部室の扉を開く
63: 名無しで叶える物語(しまむら)@\(^o^)/ 2015/07/12(日) 22:34:58.81 ID:/d9tXbYP.net
凛「穂乃果ちゃんだ!」
真姫「穂乃果が一人で来るなんて珍しいわね」
花陽「海未ちゃんとことりちゃんは?」
穂乃果「ああ、ええっと……」
言葉に詰まる
海未ちゃんと同じ教室に居づらくて終礼が終わるとすぐに教室を出てきてしまった
でもそんなこと言いにくいし……
真姫「まあいいじゃない。すぐに来るでしょう?」
穂乃果「ああ、う、うん」
凛「穂乃果ちゃん、なんか変だにゃ」
穂乃果「そ、そんなことないって」アセアセ
穂乃果「ほら、今日はミーティングだけで体を動かせないから残念だなーって」
慌てて取り繕う
凛ちゃんはたまに鋭いからドキリとする
64: 名無しで叶える物語(しまむら)@\(^o^)/ 2015/07/12(日) 22:40:09.35 ID:/d9tXbYP.net
花陽「穂乃果ちゃんらしいね」
凛「そっかー、凛もその気持ちよーく分かるよ」
凛「そうだ!よかったらみんなが揃うまで少し体を動かさない?」
穂乃果「え?」
凛「絵里ちゃんと希ちゃんは少し遅くなるって言ってたしちょっとぐらい大丈夫だよ」
凛ちゃんからの提案
楽しそうかも
穂乃果「う~ん、そうだね。付き合うよ!」
凛「やったにゃー!」
真姫「ちょっと、いいの?」
穂乃果「大丈夫だよ、ちょっとだけだから」
凛「そうそう。かよちん、海未ちゃんたちにはうまくごまかしておいて?」
花陽「わ、わたし!?」
凛「じゃあ行ってきまーす!」
穂乃果「すぐ戻るから!」
そう言って屋上へ向かう
体を動かせば気分も晴れるかな?
なんて考えながら凛ちゃんに腕を引っ張られるままに廊下を走る
65: 名無しで叶える物語(しまむら)@\(^o^)/ 2015/07/12(日) 22:45:05.48 ID:/d9tXbYP.net
凛「穂乃果ちゃん、何かあったの?」
屋上について一息ついていると凛ちゃんが尋ねてくる
穂乃果「え?」
凛「穂乃果ちゃん変だったよ?元気がないって言うか陰があるっていうか」
穂乃果「そ、そうかな?」
凛「海未ちゃんと何かあったとか?」
穂乃果「そ、それは……」
図星だ
やっぱり凛ちゃんは鋭い
まさか凛ちゃんにこんなこと言われるなんて思わなかった
66: 名無しで叶える物語(しまむら)@\(^o^)/ 2015/07/12(日) 22:50:03.59 ID:/d9tXbYP.net
凛「まあ何であれ早く仲直りした方がいいよ?何かあったら凛はもちろん、かよちんや真姫ちゃんだって相談に乗るから」
穂乃果「うん……」
凛「じゃあ体を動かしてリフレッシュするにゃ!悩んでる時は体を動かすのが凛には一番だから穂乃果ちゃんも一緒に!」
穂乃果「ありがとう、凛ちゃん」
凛「当たり前だよ」
凛ちゃんはそれ以上深くは聞いてこなかった
凛ちゃんなりの気遣いかな?
そうして二人で軽く体操をしてからステップの確認をする
制服のままだからあんまり激しくは動けないけど踊ってる間は何も考えずにいられた
74: 名無しで叶える物語(しまむら)@\(^o^)/ 2015/07/13(月) 19:15:12.13 ID:D816yCAy.net
少し体を動かしてから私たちは部室に戻る
海未「やっと帰ってきましたか。二人してどこへ行っていたんですか?」
帰ってくるなり海未ちゃんが声をかけてくる
その声には少し怒気がこもっている
穂乃果「ごめ~ん、ちょーっとね」
海未ちゃんとちゃんと話せてる
凛ちゃんのおかげかな?
憂鬱な気持ちも少し晴れた気がする
75: 名無しで叶える物語(しまむら)@\(^o^)/ 2015/07/13(月) 19:20:14.44 ID:D816yCAy.net
海未「それでは説明になっていませんが」
絵里「もうみんな揃ってるわ。体を動かしたいって言うのも分かるけど約束の時間は守ってもらえるかしら?」
凛「にゃにゃっ、何でわかったの!?」
希「そりゃあそんな風に汗かいてたら誰でもわかるよ?」
凛「しまった!」
少しのつもりだったけど気付いたら結構な時間が経っていたみたい
海未「まったく、二人は本当に自由なんですから」
絵里「海未、今はそれくらいにしておきなさい。」
絵里「二人ともとりあえず座って。ミーティング、始めるわよ」
凛「はーい」
穂乃果「ごめんなさい」
希「まあまあ、次からは気い付けてな?」
穂乃果「うん」
76: 名無しで叶える物語(しまむら)@\(^o^)/ 2015/07/13(月) 19:25:11.85 ID:D816yCAy.net
そう言って空いていたにこちゃんの横に座る
やっぱり海未ちゃんの横はまだちょっと気まずいかなぁって思って
でも後でちゃんと謝らなくちゃね
にこ「私の横なんて珍しいわね。海未とことりの横じゃなくていいの?」
穂乃果「ああ、うん。なんとなくだよ」
にこ「そう?」
小声で話す
考えてみればいつも海未ちゃんとことりちゃんの横にいたかもしれない
凛「ことりちゃんってお菓子みたいな甘~い匂いがして横にいるとなんだかおなかが空いてきちゃうにゃ~」
ことり「そうかなぁ?そうだ、よかったらこれ食べる?クッキー焼いてきたんだ」
凛「食べる食べる!ことりちゃんありがとう!」
絵里「凛、始めたいんだけどいいかしら?」
凛「ごめんなさーい」
絵里「まったく、それじゃあさっそく始めるわよ」
絵里「まずは次のライブの予定から……」
77: 名無しで叶える物語(しまむら)@\(^o^)/ 2015/07/13(月) 19:28:45.28 ID:D816yCAy.net
ミーティング中チラチラと海未ちゃんの方を見てみる
絵里ちゃん達の話にしっかりと耳を傾けて真剣に聞いている
海未ちゃんらしいなぁ
それに海未ちゃんの真剣な表情ってやっぱりかっこいい♡
なんだかまたドキドキしてきちゃった
本当になんでこんな気持ちになるんだろう
穂乃果「!」
海未ちゃんと目が合った
その瞬間私の心臓が一際大きくドキリと鳴った、気がした
78: 名無しで叶える物語(しまむら)@\(^o^)/ 2015/07/13(月) 19:32:56.01 ID:D816yCAy.net
海未「穂乃果、ちゃんと話を聞いていましたか?」
穂乃果「も、もちろんだよ」アセアセ
海未「では次のライブで一番最初に歌う曲は?」
穂乃果「えぇっと~……」
海未「はぁ……歌う曲まではまだ決めていません。しっかり話を聞いていてください」
穂乃果「ごめんなさい」
また怒られちゃった、てへへ
あ、もちろん反省はしてるよ
ただ海未ちゃんのことがちょーっと気になっちゃって
でも海未ちゃんに怒られるのを予知しちゃったのかな?
目があった瞬間にドキリとしたし、きっとそういうことだよね。うんうん、そうだよ
もうずっと一緒にいるから何を考えてるのか目を見ただけでわかっちゃうみたい
以心伝心ってやつ?
79: 名無しで叶える物語(しまむら)@\(^o^)/ 2015/07/13(月) 19:37:35.39 ID:D816yCAy.net
そんなこんなでミーティングも終わり帰る支度をしているときに
ふと海未ちゃんの方を見ると
凛「海未ちゃん海未ちゃん!」
海未「どうかしましたか凛?」
凛「ちょっと両手をだしてほしいにゃ」
海未「こうですか?」スッ
凛「今にゃ!」グルグル
海未「ちょっと凛!?」
何やってるんだろう?
凛ちゃんが海未ちゃんの両手をタオルで縛りあげて……
83: 名無しで叶える物語(しまむら)@\(^o^)/ 2015/07/13(月) 23:26:57.91 ID:D816yCAy.net
凛「希隊長、今がチャンスにゃ!」
希「よくやった凛二等兵!」
希「海未ちゃん、覚悟はええ?」
海未「な、何をする気ですか」
希「ふっふっふっ、それはもちろん……」
希「ワシワシMAX!、と見せかけてほっぺたプニプニMAX!~」ツンツン
海未「ちょ、何ですかそれ」プニプニ
希「やはり思った通り、海未ちゃんのほっぺたはすっごいプニプニや!」ツンツン
凛「凛も触るにゃ!」ツンツン
海未「凛まで……こ、ことり、助けて下さい~」プニプニ
ことり「希ちゃん!」
84: 名無しで叶える物語(しまむら)@\(^o^)/ 2015/07/13(月) 23:32:19.12 ID:D816yCAy.net
ことり「そこに気付くとはさすがだね!」
希「ウチを侮ってもらっちゃあ困るよ?」ツンツン
海未「ことり~」プニプニ
にこ「面白そうなことしてるじゃない」
希「にこっちも触ってみる?」ツンツン
にこ「それよりもにこは海未の髪に用がある!」
海未「か、髪の毛ですか?」プニプニ
にこ「ええ、にこにも負けないぐらいのそのきれいな髪の秘密を探ってやるわ!」
にこ「丁度やってみたいヘアアレンジもあるし海未みたいなまっすぐで長い髪の毛はいい実験台ね!」
海未「にこまでそんなことを……」
海未「え、絵里、真姫!希たちを止めてください」プニプニ
絵里「あら、楽しそうだしいいじゃない。私も触らせてもらおうかしら?」
真姫「まあ、頑張って。絵里までそんなこと言いだしたらもう私の手には負えないわ」
花陽「いいのかな~?」
真姫「いいのよ、だってもう止められそうにないし」
85: 名無しで叶える物語(しまむら)@\(^o^)/ 2015/07/13(月) 23:37:27.76 ID:D816yCAy.net
海未「そ、そんな~。……も、もう!本当にやめてください///」プニプニ
海未「穂乃果、助けて下さい~」プニプニ
海未ちゃん、顔真っ赤にして照れてる
かわいい♡
でもそれと同時にすっごく楽しそう
みんなに囲まれて笑っている
なのに、それなのになんで私の心はこんなに沈んでるの?
海未ちゃんが笑ってるのに……
みんなずるい、海未ちゃんは私の……
86: 名無しで叶える物語(しまむら)@\(^o^)/ 2015/07/13(月) 23:40:54.05 ID:D816yCAy.net
……私の、何だろう
幼なじみ?親友?
それとももっと深い何か?
分からない、分からないよ、この気持ちが
だって私と海未ちゃんは……
なんだか黒いモヤモヤした感情が込み上げてくる
友だちなのに
こんなにモヤモヤするなんてへんだ
幼なじみだからって私だけが特別な訳じゃないのに
87: 名無しで叶える物語(しまむら)@\(^o^)/ 2015/07/13(月) 23:46:47.65 ID:D816yCAy.net
穂乃果「ごめん、穂乃果先に帰るね」
海未「穂乃果?」
ことり「どうかしたの?」
穂乃果「えーっと、お店のお手伝いがあって……」
ことり「そっか」
絵里「家の手伝いなんて偉いじゃない。よかったらまた今度寄らせてもらうわね」
穂乃果「うん、ありがとう」
穂乃果「じゃあねみんな、また明日!」
挨拶も早々に逃げるように部室を出る
今心の奥から込み上げてきたこの想いが溢れる前に何とかその場を立ち去りたかった
このままじゃ私……変になっちゃいそうで
88: 名無しで叶える物語(しまむら)@\(^o^)/ 2015/07/13(月) 23:51:26.19 ID:D816yCAy.net
─高坂家
今日も今日とて制服のままベッドに転がり込む
今は雪穂もいないみたいだし誰にも邪魔はされない
少し寝ようと思ってそのままゆっくり目を閉じる
今は何も考えたくない
さっきのことを考えるとまたあの黒い感情が湧いてきちゃいそうだったから
疲れていたのかだんだんと眠気がやってくる
これなら何か考える前に眠れそう
そうして私は意識を手放した
───
89: 名無しで叶える物語(しまむら)@\(^o^)/ 2015/07/13(月) 23:54:03.40 ID:D816yCAy.net
なんだかお菓子のような甘い匂いがする
気になって目を開けると
「あっ、穂乃果ちゃん起きた?」
そんなお菓子よりも甘い声
まだ覚醒しきっていない頭でもこの声の主はすぐに分かる
何年もずっと一緒だったんだから間違えるはずがない
穂乃果「ことりちゃん、どうしてここに?」
ことり「急にお邪魔しちゃってごめんね。寝てたのに起こしちゃったかな?」
ことり「おばさんが上がってていいって言うから部屋に上がらせてもらっちゃったけど」
穂乃果「ううん、いいのいいの。ことりちゃんならいつでも大丈夫だよ」
穂乃果「それよりどうしたの?」
床の座布団に座って尋ねる
90: 名無しで叶える物語(しまむら)@\(^o^)/ 2015/07/13(月) 23:58:20.97 ID:D816yCAy.net
ことり「うん、ちょっと穂乃果ちゃんのことが心配で……」
穂乃果「心配って?」
ことり「今日ずっと元気なかったから……」
穂乃果「そ、そうだったかな?穂乃果は大丈夫だよ?」
ちょっとドキリとしたが平常心を保つ
ことりちゃんは何かを言おうとしているけど言うかどうか迷ってるのかな?
穂乃果「どうしたの?」
そう聞くとことりちゃんは意を決したのか口を開く
91: 名無しで叶える物語(しまむら)@\(^o^)/ 2015/07/13(月) 23:59:53.54 ID:D816yCAy.net
ことり「穂乃果ちゃん、いつまで自分の気持ちに嘘をついてるの?」
穂乃果「えっ?」
ことり「本当は分かってるんでしょ、海未ちゃんに対する気持ちがなんなのかって」
穂乃果「海未ちゃんは大切な幼なじみで大親友だけど……」
ことり「そういうことじゃなくて!」
穂乃果「ことりちゃん?」
急に大きな声を出すことりちゃんにびっくりする
ことりちゃんが声を荒げるなんて珍しい
でも、ことりちゃんの言っていることが分からない
92: 名無しで叶える物語(しまむら)@\(^o^)/ 2015/07/14(火) 00:04:04.80 ID:TqQcOoXB.net
ことり「今日海未ちゃんが後輩の子からラブレター貰ったって聞いてどう思った?」
ことり「放課後に海未ちゃんがみんなと楽しそうにしてるのを見てどう思った?」
ことり「そしてなんでそう思ったの?本当は分かってるんでしょ?」
穂乃果「そんな、そんなの分かんないよ」
ことり「分からないんじゃなくて受け入れられないだけなんだよ」
今日のことりちゃん、どうしちゃったんだろう
穂乃果「ことりちゃん、なんか怖いよ?」
ことり「穂乃果ちゃんがいつまでもうだうだしてるからです!ことりも心を鬼にして穂乃果ちゃんを叱ってるんです」
ことり「ほら、よく考えてみて?海未ちゃんが誰かに取られちゃったとしたらどう思う?」
穂乃果「誰かに……」
ことり「誰でもいいから、男の人でもμ'sのみんなでも誰でも」
穂乃果「……」
93: 名無しで叶える物語(しまむら)@\(^o^)/ 2015/07/14(火) 00:07:40.74 ID:TqQcOoXB.net
海未ちゃんの浮いた話なんかは一切聞いたことがない
ずっと一緒だったしそういうのがあれば分かるだろうけど
それに海未ちゃん恥ずかしがり屋さんだし
だからなかなか想像しにくいけど
今日みんなに囲まれて楽しそうにしている海未ちゃんを見ていたら……
すごくモヤモヤした
この気持ちは……
海未ちゃん……
寂しかったよ
94: 名無しで叶える物語(しまむら)@\(^o^)/ 2015/07/14(火) 00:10:46.39 ID:TqQcOoXB.net
ことり「どう?」
穂乃果「うん。さっきね部室で海未ちゃんがみんなと楽しそうにしてるのを見て穂乃果いけないこと思っちゃった」
穂乃果「みんなずるいって、別に海未ちゃんは私だけのためにいてくれてるわけじゃないのに……」
穂乃果「それなのにみんなに嫉妬、しちゃった」
穂乃果「みんな大切な仲間なのにそれなのに私、みんなに対して真っ黒な感情を抱いちゃった」
穂乃果「だから逃げてきちゃったんだ。みんなに顔向けできないって、申し訳なくて……」
穂乃果「あの感情が溢れないうちにって」
ことり「うんうん」
ことりちゃんはうなずきながら私の話を聞いてくれる
こんな私の話を
自分勝手でことりちゃんにまであの感情を抱いてしまったのに
95: 名無しで叶える物語(しまむら)@\(^o^)/ 2015/07/14(火) 00:13:58.39 ID:TqQcOoXB.net
穂乃果「それに朝だって海未ちゃんがラブレターを貰ったって聞いてすごく嫌だった。それなのに海未ちゃんもきっぱりと断ろうとしないし……」
穂乃果「それに海未ちゃんが好きな人はいないって聞いてホッとしたと同時に胸が締め付けられるように苦しくなった」
穂乃果「それで私が一方的に怒っちゃって、なんだか謝りにくくて……」
ことり「うん、そっか。じゃあそれで自分の気持ちは整理できた?」
穂乃果「よく分かんないや」
ことり「じゃあ今度は海未ちゃんのことを考えてみて?」
ことり「いつでもそばにいてくれる海未ちゃん、隣で笑っていてくれる海未ちゃん」
ことり「自分の一番”好き”な海未ちゃんのことを」
穂乃果「穂乃果の一番好きな海未ちゃん……」
104: 名無しで叶える物語(しまむら)@\(^o^)/ 2015/07/14(火) 18:16:07.06 ID:TqQcOoXB.net
海未ちゃんのことを考えると胸がドキドキする
体中熱くなって自分でも顔が真っ赤になってるって分かるぐらいに
海未ちゃんとちょっと目があっただけでもすごくうれしいし
海未ちゃんが笑ってくれるだけで心が暖かくなる
その笑顔が何よりも大好きで、考えるだけでドキドキするし、こっちまで笑顔になる
海未ちゃんに冷たくされてすごく傷ついた
気分がどこまでも沈んだ
でも私のために曲を作ってくれてたって聞いた時はすごくうれしかった
海未ちゃんのことだから恥ずかしかったんだろうなって分かったから
私はそんな海未ちゃんが大好き
そして海未ちゃんは幼なじみで友だちで
なのに、それなのに
なんで友だちなのにこんなにモヤモヤするんだろう
ヤキモキする
へんだよ
だって私たちは幼なじみ、だよ?
このままじゃ私……
どうしよう
この気持ちは……
105: 名無しで叶える物語(しまむら)@\(^o^)/ 2015/07/14(火) 18:20:12.94 ID:TqQcOoXB.net
ことり「……どう?本当の自分の気持ち、改めて考えてみて」
ことり「友だち、幼なじみ、それだけ?」
穂乃果「……違う。それだけじゃない、それ以外の感情がある」
穂乃果「でもそれは本来私が海未ちゃんに向けていい感情じゃない」
穂乃果「だからずっと心の奥底にしまって否定してた。でも……やっぱり自分の気持ちは本物みたい。改めて考えてみて分かった」
ことり「そうだね。それじゃあ穂乃果ちゃんはその気持ちをどうしたい?」
穂乃果「この気持ちを……?」
ことり「そう」
106: 名無しで叶える物語(しまむら)@\(^o^)/ 2015/07/14(火) 18:25:16.80 ID:TqQcOoXB.net
私は……
ことり「また仕舞い込んで自分のことを否定し続けるか、それともその気持ちを信じるか」
この気持ちを……
ことり「いつまでも逃げてちゃダメ。私にそう教えてくれたのは穂乃果ちゃんだったんだよ?」
逃げちゃダメ、か……
ことり「どういう形でもしっかりとした答えを出すべきだよ」
答え……自分の想いへの答え……
ことり「でもそれは穂乃果ちゃん自身が決めることだから私にできることはここまで。後は自分一人で決めなくちゃいけないよ」
自分一人で……
ことり「でも、話ならいつでも聞いてあげられるから。私でもμ'sのみんなでも」
ことり「待ってるからね」ギュッ
手を握ってくれた
暖かくて優しいその手に私は背中を押された気がした
107: 名無しで叶える物語(しまむら)@\(^o^)/ 2015/07/14(火) 18:30:00.17 ID:TqQcOoXB.net
穂乃果「私は……」
穂乃果「私は自分の気持ちに嘘をつきたくない!」
穂乃果「でも、この気持ちは伝えられない」
ことり「どうして?」
穂乃果「それが海未ちゃんのためだから」
胸が締め付けられるように苦しい
このままじゃ呼吸もままならないくらいに
でも私は言わなくちゃいけない
ここまでしてくれたことりちゃんに
私の決意を聞いてもらわなくちゃいけない
108: 名無しで叶える物語(しまむら)@\(^o^)/ 2015/07/14(火) 18:33:42.97 ID:TqQcOoXB.net
穂乃果「海未ちゃんには海未ちゃんの事情があるから」
穂乃果「今はアイドルだし将来は同じ道に進めるわけじゃないし。
海未ちゃんには家のこともあるだろうし私がいても邪魔なだけなんだよ。
それに私だってこの穂むらのこともあるしずっと一緒にはいられないから。
だから私たちはこれからも友だちのまま、海未ちゃんのことを考えるのならそれが一番なんだよ。
海未ちゃんならきっとすぐにいい人も見つかるだろうし……」
穂乃果「だから自分のこの気持ちは受け入れる。逃げたくはないから」
穂乃果「でもその気持ちを本人に伝えることはしない」
何とか言い切る
109: 名無しで叶える物語(しまむら)@\(^o^)/ 2015/07/14(火) 18:39:04.63 ID:TqQcOoXB.net
ことり「……それでいいの?」
穂乃果「うん、いいの。もう割り切るしかないから」
ことり「じゃあなんでそんなに辛そうなの?」
ことり「なんで泣いてるの?」
穂乃果「え?」ポロリ
泣いてる、私が
いつの間にか涙がこぼれてきてしまったみたい
自分でも気づかないうちに
でもこの涙はしょうがない、よね
ことり「やっぱりつらいもんね。自分の想いをあきらめなくちゃいけないって」
ことり「しかもその想いの人は今もこれからも近くにいるんだから」
ことり「でもね穂乃果ちゃん、ずっと一緒にはいられないなんてことはないんだよ?」
穂乃果「でも……」グスッ
そういうことりちゃんの目はどこまでもまっすぐで
飲み込まれてしまいそうなほどだった
111: 名無しで叶える物語(しまむら)@\(^o^)/ 2015/07/14(火) 18:42:46.87 ID:TqQcOoXB.net
ことり「確かに進む道は違うかもしれない、今ほど毎日一緒にはいられないかもしれない。
だけど一度できたつながりは簡単には切れないんだよ。そのつながりが強ければ強いほど。
穂乃果ちゃんのお家も海未ちゃんのお家もこの音ノ木坂に根付く立派なお家だけどそんなことなんて関係ない。
これからのことなんて後から考えればいい、一番大事なのは本人同士の気持ちなんだから」
ことり「このままじゃ結局逃げてるだけだと思うし」
ことり「それに海未ちゃんの気持ちは?確かめもせずに決めちゃっていいの?」
ことり「だって海未ちゃんなんだよ?穂乃果ちゃんの想いをきっと受け止めてくれるはずだよ?」
穂乃果「そう、かな?」
ことり「今までだってそうだった。いつでもどんな時でもまっすぐ誠実で私たちの想いを受け止めてくれた」
ことり「それが海未ちゃんなんだって穂乃果ちゃんが一番わかってるはずだよ」
ことり「それに、後のことなんて考えない、それがいつもの穂乃果ちゃんなんだから。急に変わっちゃったら私たちも寂しいの」
ことり「だから、ね?」
112: 名無しで叶える物語(しまむら)@\(^o^)/ 2015/07/14(火) 18:46:32.65 ID:TqQcOoXB.net
ことりちゃんに言われてハッとする
穂乃果「言わずに後悔するなら言って後悔する……そうだよね。それが私なんだから」
穂乃果「これからのことなんてその後でいいもんね。よし!もう自分の気持ちから逃げないよ。穂乃果は穂乃果らしく行くことにするね」
穂乃果「ありがとうことりちゃん。やっぱり私助けてもらってばっかりだよ」
穂乃果「私にできるのはここまでって言っておいて結局最後まで助けてくれた」
自分のことすらわからなくなってた
いつもの自分じゃない弱気な自分のせいで
ことり「それは穂乃果ちゃんが自分に嘘をついていたのが分かったからだよ。いつもまっすぐなのに時々そういうところあるよね」
ことり「それに穂乃果ちゃん分かりやすいから」
113: 名無しで叶える物語(しまむら)@\(^o^)/ 2015/07/14(火) 18:49:55.93 ID:TqQcOoXB.net
穂乃果「この前真姫ちゃんにも言われたよ、それ」
穂乃果「あはは、そんなにわかりやすいかな私」
ことり「ふふっ、とっても」
穂乃果「そっか」
そうして二人とも笑い出す
笑って笑って二人で一緒にたくさん笑って
弱気な自分を追い払う
明るく、笑顔で、私らしく
そうして自分の中にある想いを直接本人に伝えるために
114: 名無しで叶える物語(しまむら)@\(^o^)/ 2015/07/14(火) 18:55:02.75 ID:TqQcOoXB.net
───
穂乃果「ふー、笑った笑った!」
ことり「スッキリした?」
穂乃果「うん」
ことり「じゃこれからもっとスッキリさせちゃおう?」
穂乃果「これからもっと?」
どういうことだろうと疑問に思う
だけどその疑問も顔に出ていたのかことりちゃんは続ける
ことり「もうすぐ海未ちゃんもここに来るはずだから」
穂乃果「えっ!?そそ、そうなの!?」
つい声が大きくなってしまう
今からって……
115: 名無しで叶える物語(しまむら)@\(^o^)/ 2015/07/14(火) 18:59:58.53 ID:TqQcOoXB.net
ことり「穂乃果ちゃんが急に帰っちゃったからびっくりしてたよ?」
ことり「だから何か穂乃果ちゃんの喜びそうなものでも買ってからおいでって私だけ先に来ちゃった」
穂乃果「っていうことは……」
ことり「もう自分の気持ちから逃げたりしないんでしょ?頑張ってね」
穂乃果「い、いくらなんでも心の準備というか何というか……」
穂乃果「と、とにかくそういうものが必要かなーなんて思ったり思わなかったり……」
ことりちゃんに無言で見つめられてだんだんと声が小さくなる
ことりちゃんの行動力にはたまにびっくりさせられるよ
ことり「じゃあ私はそろそろ帰るね」
穂乃果「帰っちゃうの?」
ことり「お邪魔しちゃ悪いもん」
穂乃果「も、もうちょっとだけいてくれない?」
ことり「う~ん、じゃあ最後にことりからのアドバイス!」
穂乃果「あどばいす?」
116: 名無しで叶える物語(しまむら)@\(^o^)/ 2015/07/14(火) 19:05:05.33 ID:TqQcOoXB.net
ことり「変に気負い過ぎないこと!」
ことり「穂乃果ちゃんらしくまっすぐに、だよ?」
穂乃果「私らしく……」
ことり「海未ちゃんは鈍感だからね」
ことり「じゃあ今度こそお邪魔するね。穂乃果ちゃん、ファイト!」
穂乃果「う、うん。また明日ね」
ことり「うん。はぁ~、明日が楽しみだな~」
なぜかすごいウキウキしながら部屋を後にすることりちゃん
下でお母さんと少しやり取りをして帰っていった
そして帰り際にもう一度窓から私の方を見て”ファイト”
そう言ってくれた
それからことりちゃんに言われたことを考える間もなく入れ替わりのように海未ちゃんがやって来た
122: 名無しで叶える物語(しまむら)@\(^o^)/ 2015/07/14(火) 23:19:57.07 ID:TqQcOoXB.net
海未「お邪魔します……」
海未「ええっと、穂乃果?」
恐る恐るというように私の名前を呼ぶ
まあ今日は怒っちゃったりしたししょうがないか
ほんと、悪いことしちゃったな。別に海未ちゃんが悪いわけじゃなかったのに
穂乃果「海未ちゃん、来てくれてありがとう」
穂乃果「いいから座ってよ」
だから私はできる限りの笑顔で海未ちゃんを迎える
私にはこれしかないから
123: 名無しで叶える物語(しまむら)@\(^o^)/ 2015/07/14(火) 23:23:06.50 ID:TqQcOoXB.net
海未「……そ、そうだ、ことりは?ことりも来ているはずですが」
穂乃果「ことりちゃんなら丁度ついさっき帰ったところだよ。入れ違いになっちゃったね」
なるように帰ったんだろうけど
海未「そ、そうでしたか……」
沈黙が生まれる
いつまでもこのままは嫌だから私から
穂乃果「今日はごめん」
そう言って深々と頭を下げる
124: 名無しで叶える物語(しまむら)@\(^o^)/ 2015/07/14(火) 23:26:02.13 ID:TqQcOoXB.net
海未「そ、そんな!顔を上げてください」
穂乃果「でも海未ちゃんは何にも悪くないのに一人で勝手に怒ってへそ曲げちゃって」
穂乃果「心配や迷惑かけちゃったから」
穂乃果「だからこれが穂乃果からの精一杯の気持ち」
謝罪の気持ちを伝えるにはどうしたらいいのか
これしか思いつかなかった
海未「本当、そういうところが頑固なんですから」
海未「もう分かりましたから顔を上げてください。私は穂乃果とお話がしたいです」
やっぱり海未ちゃんは優しいね
そんな海未ちゃんだからこそこうしてずっと一緒に居られた
これからもずっと一緒にいたいって思える
そして、もっと好きになる
125: 名無しで叶える物語(しまむら)@\(^o^)/ 2015/07/14(火) 23:29:09.61 ID:TqQcOoXB.net
穂乃果「うん、穂乃果もだよ。ありがとう海未ちゃん」
そうしてすぐに仲直り
昔からそうだった
つまらないことで喧嘩して、もう口も聞くもんかって
でも気付いたらいつの間にか仲直りしててまた一緒に遊んで……って
でも今ではこうやって自分から謝れるようになったみたい
ことりちゃんに助けてもらってっていうのは変わらないみたいだけど
海未「よかったらほら、パピコ。買ってきたので一緒にどうですか?穂乃果の好きなチョコレート味ですよ」
穂乃果「ありがとう。でも穂乃果が好きなのはブドウ味だよ?」
海未「昔はチョコばかりだったじゃないですか」
穂乃果「そうだったっけ?」
海未「まったく、穂乃果らしいですよね」
126: 名無しで叶える物語(しまむら)@\(^o^)/ 2015/07/14(火) 23:32:18.55 ID:TqQcOoXB.net
穂乃果「え~、なになに?」
海未「秘密です。これも大切な思い出ですからね」
穂乃果「え~、いいじゃん教えてよ~」
海未「まったく、また今度にしましょう?」
海未「それよりもほら、溶けてしまいますよ?」
穂乃果「う~ん、じゃあさ、ちょっと外に出ない?」
海未ちゃんの秘密の思い出とやらは分からないけど
私にだって大切な思い出があるんだから
その思い出の場所に海未ちゃんを連れ出す
そしてそこで私は……
127: 名無しで叶える物語(しまむら)@\(^o^)/ 2015/07/15(水) 00:03:39.21 ID:4F6c6BPE.net
─公園
海未「ここですか」
穂乃果「うん。昔もよくここで一緒に遊んでアイス食べたりしたよね」
海未「そうでしたね、懐かしいです」
今みたいな夕焼け空になるまでいっぱい遊んだこの公園
私にとっての大切な思い出の一つ
穂乃果「またこうしてベンチに並んで座ってアイスを食べる日が来るなんてね」
海未「ええ。変わりませんね、昔も今も」
128: 名無しで叶える物語(しまむら)@\(^o^)/ 2015/07/15(水) 00:08:38.26 ID:4F6c6BPE.net
穂乃果「そうだね。でもね、私は変わりたいな、海未ちゃんとの関係」
海未「私との関係、ですか?」
穂乃果「うん」
そして私はこれから話すんだ
この気持ちを
穂乃果「昔さ、この公園でこれからもずっと友達でいようねって言ったこと覚えてる?」
海未「ええ、覚えてますよ。ことりも含めて三人でそんなことを言いましたね」
129: 名無しで叶える物語(しまむら)@\(^o^)/ 2015/07/15(水) 00:11:57.95 ID:4F6c6BPE.net
海未「ですが私との関係を変えたいとは?」
穂乃果「今は私たちって友だちで幼なじみで親友で、そんな関係でしょ」
海未「そうですね。親友と胸を張って言えるなんてとても幸せです」
穂乃果「私も。でも私ね、海未ちゃんと親友よりももっと大切な仲になりたいの」
海未「え?」
穂乃果「だから私の想い、聞いてほしい」
穂乃果「すー、はー」
大きく息を吸って、吐いて
深呼吸をして気持ちを落ち着けて……
そして……
130: 名無しで叶える物語(しまむら)@\(^o^)/ 2015/07/15(水) 00:16:22.02 ID:4F6c6BPE.net
穂乃果「私、高坂穂乃果は、海未ちゃんのことが、好きです!!」
海未「っ!」
穂乃果「いつも好きって言ってる気もするけどそういうのとは違くて、その……」
穂乃果「えぇっと、だから、わ、私と恋人になって欲しいです///」
穂乃果「そういう好き、なの///」
何とか言い切る
少し言葉に詰まっちゃったけどこれはこれで私らしいかも
でも今体中がすっごく熱い
全身の熱と心臓の鼓動で溶けてしまいそうなほど
すごく恥ずかしいけど海未ちゃんの方を見つめ続ける
覚悟を決めてもここまで恥ずかしいなんて
131: 名無しで叶える物語(しまむら)@\(^o^)/ 2015/07/15(水) 00:20:24.67 ID:4F6c6BPE.net
海未「はぁ~」
た、溜息?
少しドキッとする
海未「……穂乃果に先を越されてしまいましたね」
え?
ということはもしかして……
132: 名無しで叶える物語(しまむら)@\(^o^)/ 2015/07/15(水) 00:23:37.18 ID:4F6c6BPE.net
穂乃果「それって……」
海未「ええ、私園田海未も穂乃果のことが、その……」
海未「す、すす、好きです///」
穂乃果「プフッ」
海未ちゃんの告白を聞いて吹き出してしまう
これも安心感のおかげかな?
今すごく心が落ち着いてるもん
穂乃果「あ~あ、せっかくいい感じだったのに何でそこで恥ずかしがっちゃうの!」
海未「そ、そんなこと言われても///」
穂乃果「でもこれってつまり……」
穂乃果「そういうこと、だよね?」
133: 名無しで叶える物語(しまむら)@\(^o^)/ 2015/07/15(水) 00:27:07.56 ID:4F6c6BPE.net
海未「はい」
海未「私も穂乃果とその……もっと親密な仲になりたいです///」
海未ちゃん……
まさか海未ちゃんも私のこと……
っていうことは両想いだったってこと!?
海未ちゃんと両想い……
うぅ……
穂乃果「うわ~ん、ありがとう海未ちゃ~ん」ダキッ
海未「こちらこそですよ」ギュー
色んな想いが溢れてくる
言葉にするのが間に合わないほどに
だから海未ちゃんと抱きしめ合ってその気持ちを少しでも受け取って貰おうとする
140: 名無しで叶える物語(しまむら)@\(^o^)/ 2015/07/15(水) 18:45:17.10 ID:4F6c6BPE.net
海未「本当はこちらから言いたかったんですけどね」
穂乃果「え~、海未ちゃんが?」
海未「そうですよ。だから今も真姫と一緒に穂乃果のための曲を作っていて……」
海未「はっ!い、今のはやっぱり聞かなかったことにしてください///」
穂乃果「そんなこと言われても……」
ん?それって……
穂乃果「ふふ、というより知ってたんだ、それ」
海未「え?本当ですか?」
穂乃果「うん。真姫ちゃんから聞いちゃった」
海未「真姫ですか……。まあ真姫しか知らないはずですしそれしかありえませんか」
海未「言うなと言ったのに、あの真姫が約束を破るとは……」
141: 名無しで叶える物語(しまむら)@\(^o^)/ 2015/07/15(水) 18:49:08.73 ID:4F6c6BPE.net
あっ!真姫ちゃんに言わないでって言われてたんだった……
このままじゃ真姫ちゃんが海未ちゃんに怒られちゃう!
そして私が真姫ちゃんに怒られちゃう!
穂乃果「待って海未ちゃん!真姫ちゃんは悪くないの!」
何とか弁解を……
あれ?
でもよくよく考えてみると……
穂乃果「っていうより……そうだよ、海未ちゃんが悪いんじゃん!」
海未「私がですか?」
穂乃果「そうだよ!恥ずかしかったのは分かるけどさ、あの時あんなに冷たくされて穂乃果傷ついたんだからね!」
海未「す、すいません」
そうだ!いいこと思いついちゃった!
穂乃果「じゃ、じゃあさ、キスしてほしいな///」
142: 名無しで叶える物語(しまむら)@\(^o^)/ 2015/07/15(水) 18:52:25.89 ID:4F6c6BPE.net
海未「き、キスですか!?」
穂乃果「してくれなきゃ許してあげないよ!」
海未「そんなのズルいですよ!」
穂乃果「海未ちゃんが悪いんだからね!」
穂乃果「それにさ、せっかくその……こ、恋人になったんだから、さ?///」
海未「くっ……」キュン
海未「うぅ~、分かりました」
海未「い、いきますよ!///」
穂乃果「う、うん///」
143: 名無しで叶える物語(しまむら)@\(^o^)/ 2015/07/15(水) 18:56:03.58 ID:4F6c6BPE.net
海未ちゃんの腕が私の肩を掴む
その手は心なしか震えていてこっちにまで緊張が伝わってくる
そして海未ちゃんは目を閉じて顔をこちらに近づけてくる
本当にきれいな顔だなぁ……
あれ?これって自分も目瞑った方がいいのかな?
あれ、どど、どうしよう!?
心の準備が……
って、も、もう間に合わないよ!
こ、こうなったらもう行くしかない!こっちから誘ったんだから!
そうして私も目を閉じて……
144: 名無しで叶える物語(しまむら)@\(^o^)/ 2015/07/15(水) 19:01:26.25 ID:4F6c6BPE.net
───
穂乃果「初めてのキスはチョコレート味だったね」
とっても甘くておいしい、
一生忘れることはないだろう
海未「それはアイスを食べていたからですよ」
なんて夢のないことを言うけどただ恥ずかしいだけだよね
海未「そ、それよりその話はもうやめましょうよ///」
ほら、顔も真っ赤だ
145: 名無しで叶える物語(しまむら)@\(^o^)/ 2015/07/15(水) 19:04:35.88 ID:4F6c6BPE.net
穂乃果「ふふ、海未ちゃん顔真っ赤だよ?」
海未「そ、それは……ゆ、夕日のせいです!」
穂乃果「本当にそんなこと言う人初めて見たよ」
海未「うっ、そんなこと言う穂乃果だって顔が真っ赤ですよ!」
穂乃果「それはだって……ねぇ?」
海未「穂乃果はずるいです!」
穂乃果「変にごまかそうとするからだよ。恥ずかしいのなんて当たり前なんだから」
海未「うぅ」
ふふ、拗ねちゃったかな?
こんな海未ちゃんも可愛いけど♡
146: 名無しで叶える物語(しまむら)@\(^o^)/ 2015/07/15(水) 19:08:12.94 ID:4F6c6BPE.net
穂乃果「よしよ~し」ナデナデ
海未「ちょっと、ますます憐れです、やめてください」
なんて言って両手で顔を覆う
これじゃあ海未ちゃんのかわいい顔が見られないじゃん
穂乃果「もう、そんなことないって」
海未「も、もういいですから!ほら、もう帰りますよ!」
穂乃果「え~もう?」
海未「もう時間も時間です」
穂乃果「拗ねないでよ~」
海未「そんなのじゃないです!」フンッ
あ~あ、本格的に拗ねちゃってる
147: 名無しで叶える物語(しまむら)@\(^o^)/ 2015/07/15(水) 19:13:06.37 ID:4F6c6BPE.net
穂乃果「穂乃果はもっと海未ちゃんと一緒にいたいのに……」モギュー
海未「も、もう……」
海未「私ならいつでも、そしていつまでも穂乃果と一緒にいますから」ギュッ
穂乃果「海未ちゃん……」ドキドキ
こうやってたまにサラッとカッコいいこと言うんだから
本当にズルい
穂乃果「も、もう!海未ちゃんのくせにかっこつけちゃって!」ポカポカ
海未「くせにとはなんですか!」
穂乃果「ていうかなんで撫でたりそういうことはできるのにこれくらいで恥ずかしがってるのさ!」ポカポカ
海未「痛いです、止めてください」
穂乃果「自分から告白もできなかったヘタレのくせに!」
海未「っ!」
海未「ほ~の~か~!」
海未「そろそろ怒りますよ!」
穂乃果「うっ、ご、ごめ~ん」
149: 名無しで叶える物語(しまむら)@\(^o^)/ 2015/07/15(水) 19:16:18.10 ID:4F6c6BPE.net
こういう時って大体もう怒ってるよね?
ちょっと言い過ぎちゃったかな
私だってことりちゃんに助けてもらってやっと言えたんだからあんまり人のこと言えないのに
海未「私だって色々悩んでいたんですからね!」
穂乃果「ごめんなさ~い」
……でも、こんな時間も楽しい
すぐ隣に海未ちゃんがいてくれるから
私にはそれだけで十分だから
156: 名無しで叶える物語(しまむら)@\(^o^)/ 2015/07/15(水) 23:37:09.36 ID:4F6c6BPE.net
───
高坂家
穂乃果「うわ~、うわ~///」
冷静になってきたらまたドキドキしてきちゃった
だって海未ちゃんと、海未ちゃんと……
穂乃果「う~~///」
枕に顔をうずめる
こんなにうれしいドキドキは初めてかも
暗くなってきて危ないからってわざわざ家まで送ってくれたし
ほんと海未ちゃんってカッコよくて頼りになるなぁ
157: 名無しで叶える物語(しまむら)@\(^o^)/ 2015/07/15(水) 23:40:11.38 ID:4F6c6BPE.net
雪穂「お姉ちゃんそろそろご飯だけど……」
雪穂「今度は何してるの?」
穂乃果「あっ、雪穂~」ニヤニヤ
つい顔がにやけちゃう
前みたいな恥ずかしさはもうない
雪穂「何ニヤニヤしてるの。気持ち悪いよ?」
穂乃果「ひどい!これでもスクールアイドルなんだよ?そのスクールアイドルの笑顔が気持ち悪いだなんて……」
雪穂「そういうのは笑顔って言わないと思うけど……」
雪穂「何かいいことでもあったの?」
穂乃果「よくぞ聞いてくれました!」
穂乃果「実は……何と……!」
雪穂「いや、別にいいよ」
穂乃果「私……えっ!?」
雪穂「どうせ大したことじゃないでしょ」
穂乃果「そんなことないよっ!」ガシッ
158: 名無しで叶える物語(しまむら)@\(^o^)/ 2015/07/15(水) 23:43:40.18 ID:4F6c6BPE.net
雪穂「痛いってば。分かったから離してよ」
穂乃果「話して?もうしょうがないな~」
雪穂「……はぁ」
穂乃果「あのね、私海未ちゃんとお付き合いすることになったの」
雪穂「ふ~ん……えっ!?」
穂乃果「へへ~ん」
雪穂「いやいやいや、えっ!?」
穂乃果「ふふ~ん」
雪穂「ほ、ほんとに?」
穂乃果「当たり前じゃん!」
ふふっ、相当驚いてるみたい
雪穂「えっ、いや、前々から海未さんのこと大好きなんだな~って思ってはいたけどまさかそこまで行っちゃうとは……」
穂乃果「えっへん!」
雪穂「威張るようなことではないと思うけど……」
159: 名無しで叶える物語(しまむら)@\(^o^)/ 2015/07/15(水) 23:46:14.03 ID:4F6c6BPE.net
雪穂「まあその……おめでとう」
穂乃果「雪穂……」
雪穂「べっ、別にその……いろいろ大変だっただろうし……」
穂乃果「ありがとう。穂乃果は雪穂のことも大好きだよ~」ギュー
雪穂「///」
雪穂「そ、それよりこれからどうするの?」
穂乃果「これから?」
雪穂「だってお姉ちゃんアイドルなんでしょ?」
雪穂「それが同じグループで同性の幼なじみとっ、てどうなの?」
穂乃果「はっ!」
そうだ、すっかり忘れてた
後のことは後で考えればいいやなんて思ってたけどそれすらも忘れてたよ
160: 名無しで叶える物語(しまむら)@\(^o^)/ 2015/07/15(水) 23:49:21.41 ID:4F6c6BPE.net
穂乃果「そうだった!」
雪穂「何も考えてなかったの!?」
穂乃果「いや~、嬉しさのあまりそんなこと全部吹き飛んじゃって」
雪穂「ちゃんと話し合った方がいいよ?」
穂乃果「うん、分かってる。どんな覚悟だってできてるから」
穂乃果「ありがとう、雪穂」ニコッ
雪穂「と、とりあえずご飯食べよう!ほら!」
穂乃果「うん、そうだね」
今後のことしっかり話し合わなきゃね
自分のためにも、海未ちゃんのためにも、μ'sのためにも
そして、未来のためにも
あっ、あとことりちゃんには報告しておいた方がいいよね
ことりちゃんのおかげで前に進めたんだから
まあとりあえず、今はご飯だ!
穂乃果「もうお腹ペコペコだよ」
雪穂「そっか」
穂乃果「今日のご飯は何かな~」
161: 名無しで叶える物語(しまむら)@\(^o^)/ 2015/07/15(水) 23:53:56.96 ID:4F6c6BPE.net
─翌朝
ことり「あっ、二人ともおはよう」
海未「おはようございます、ことり」
穂乃果「おはよう、ことりちゃん」
希「おっ、やっと来たみたいやね」
穂乃果「希ちゃん、それにみんなも」
凛「おっはよー!」
花陽「おはよう、穂乃果ちゃん、海未ちゃん」
海未「み、みんなしてどうしたんですか?」
にこ「まあ、言いたいことがいくつかあってね」
海未「言いたいこと、ですか?」
162: 名無しで叶える物語(しまむら)@\(^o^)/ 2015/07/15(水) 23:58:41.82 ID:4F6c6BPE.net
凛「まずは穂乃果ちゃん、昨日はごめんね」
穂乃果「え?なんで?」
希「いや、穂乃果ちゃんがおるのに海未ちゃんに色々ちょっかい掛けてもうて」
穂乃果「だからってなんで?」
真姫「だって穂乃果、それでやきもち妬いちゃってたでしょ?」
絵里「好きな人がみんなに囲まれてってちょっと淋しいものね」
穂乃果「す、好きな人って」
にこ「言っとくけどみんな知ってたわよ」
穂乃果「え?」
真姫「傍から見たら分かるわよ。どう見ても相思相愛じゃない」
花陽「気付いてなかったのは本人同士ぐらいだったと思うよ?」
穂乃果「そ、そうだったの?」
穂乃果「だから昨日ことりちゃんもあんなこと言ったの?」
ことり「さあ、どうでしょう?」
穂乃果「ことりちゃ~ん」
163: 名無しで叶える物語(しまむら)@\(^o^)/ 2015/07/16(木) 00:01:32.86 ID:JVLnNw7z.net
絵里「ほらほら、それともう一つ」
ことり「二人ともおめでとう」
希「いつ言うかいつ言うかってずっと待ってたんよ?」
真姫「まあ海未は何やら準備はしてたみたいだけど、どうせ出来たところで結局言えずじまい、って言うオチが見え見えだったのよね」
海未「そ、そんなことないですよ!」
真姫「どうだったかしらね」
ことり「それよりなんで二人は手を繋いでないの?」
海未「えっ!?」
ことり「恋人なら当たり前じゃない?」
凛「そうにゃそうにゃ」
海未「そ、それは……」
ことり「昨日キスまでしたのに?」
穂乃果「///」カァァ
164: 名無しで叶える物語(しまむら)@\(^o^)/ 2015/07/16(木) 00:05:09.64 ID:JVLnNw7z.net
海未「なっ、何でことりが知っているんですか!///」
ことり「えっ、本当にしたの?」
海未「えっ?」
希「お熱いな~」
にこ「ほんと、バカップルって言うか何というか」
絵里「ま、まあまあ二人とも」
海未「カマをかけたんですか?」
ことり「う、海未ちゃん?ちょっと怖いよ?」
海未「少しお話をしましょうか」
ことり「ひぃっ!」
海未「あなたたちもご一緒にどうぞ」
にこ「えっ!?」
希「い、いや~それはちょっと」
真姫「わ、私も!?」
絵里「私は何も言ってないわよ?」
花陽「海未ちゃん怖いです……」ガタガタ
凛「かよちんが怖がってるにゃ!」
海未「いいから早く!」
穂乃果「……」ギュッ
海未「ほ、穂乃果?」
166: 名無しで叶える物語(しまむら)@\(^o^)/ 2015/07/16(木) 00:09:37.50 ID:JVLnNw7z.net
穂乃果「いいじゃん。少しくらい」
海未「わ、分かりましたよ……穂乃果が言うのなら」
にこ「た、助かった?」
希「みたいやね」
真姫「まったく、デレッデレじゃない」
絵里「あんまりイチャつき過ぎないのよ」
花陽「海未ちゃん怖い海未ちゃん怖い……」
凛「かよちん落ち着いて」
ことり「ふふっ」
穂乃果「海未ちゃん大好きっ!」ギュー
海未「私もですよ穂乃果」ギュー
凛「ほ、ほんとに大丈夫かにゃ?」
希「う、う~ん。どうやろうね?」
Fin
167: 名無しで叶える物語(しまむら)@\(^o^)/ 2015/07/16(木) 00:19:37.55 ID:JVLnNw7z.net
希「はい、カット~」
希「ほぉ~、今回もなかなか良かったんやない?」
ことり「うんうん、すっごくかわいかったよ~」
穂乃果「えへへ、そうかな~」
希「さっすがえりち、いい脚本だったやん」
絵里「だから、元の歌詞は海未が……」
真姫「海未……?」
海未「もう嫌です。もうだめです……うぅ」
花陽「う、海未ちゃん?」
海未「なんでまた私なんですか!」
希「そんなこと言うてもなぁ。主役の穂乃果ちゃんのご指名やったし」
海未「またそのパターンですか……」
凛「海未ちゃんモテモテにゃー」
170: 名無しで叶える物語(しまむら)@\(^o^)/ 2015/07/16(木) 00:22:48.11 ID:JVLnNw7z.net
海未「なぜ私ばっかりなんですか……」
希「ほ、ほら、今回は我らlily white の曲だったわけやし」
凛「そうにゃそうにゃ」
海未「じゃあ希や凛でもよかったじゃないですか!なんで主役が穂乃果でまた私が、あんな、あんな……///」
絵里「いや、幼なじみって歌詞に書いてあったしどうせなら本当の幼なじみの方がいいかと思って」
海未「なら凛と花陽でもよかったじゃないですか」
花陽「私はその、恥ずかしいし……」
海未「だからそれは私もですよ!」
にこ「もう、ごたごたうるさいわよ!」
真姫「何?出番が少なかったからって拗ねてるの?」
にこ「そ、そんなんじゃないわよ!」
真姫「図星みたいね」
にこ「違うわよ!」
172: 名無しで叶える物語(しまむら)@\(^o^)/ 2015/07/16(木) 00:25:56.52 ID:JVLnNw7z.net
絵里「そういえばふと思ったんだけどこの歌詞って当然海未が書いたのよね?」
海未「え?まあ、そうですが」
絵里「じゃあこの歌詞に出てくる幼なじみって穂乃果なの?ことりなの?」
海未「えっ!?」
穂乃果「そうなの!?」
ことり「海未ちゃん!」
希「いやいや、もしかしたら主人公が穂乃果ちゃんかことりちゃんで幼なじみ言うのが海未ちゃんの可能性もあるで?」
絵里「なるほど……」
海未「そ、そんなんじゃないです!」
凛「じゃあ誰なの?」
にこ「そういえばこの曲のセンターって凛だったわよね……」
穂乃果「ということは!?」
ことり「凛ちゃんと花陽ちゃん!?」
凛「えっ!?」
花陽「そ、そうなの海未ちゃん?」
海未「違います!そういうのじゃないですから!」
173: 名無しで叶える物語(しまむら)@\(^o^)/ 2015/07/16(木) 00:29:02.79 ID:JVLnNw7z.net
穂乃果「え~じゃあ何なの?」
海未「それはその……ま、漫画を見て……」
穂乃果「海未ちゃん漫画なんて読まないじゃん」
海未「た、たまたま見たんです!」
ことり「ほんとかな~」
希「う~ん。真実は謎のまま、か」
真姫「そう言われると気になるわね」
真姫「キミって一体誰なのか……」
希「何とかして口を割らせたいなぁ」
真姫「なんだか物騒ね」
穂乃果「ねえ海未ちゃーん」
ことり「教えてよー」
海未「だからそういうのじゃないんですってば!」
穂乃果「いいじゃーん」
ことり「そうだよー」
海未「何もないですってば!」
真姫「……これは手強そうだけど」
希「……そうやね」
174: 名無しで叶える物語(しまむら)@\(^o^)/ 2015/07/16(木) 00:30:19.96 ID:JVLnNw7z.net
STAFF CREDIT
─原作(作詞)
園田海未
─脚本
絢瀬絵里
─演出
東條希
─撮影
星空凛
東條希
─美術監督
南ことり
─美術補助
小泉花陽
矢澤にこ
─音楽監督
西木野真姫
─編集
矢澤にこ
─キャスト
高坂穂乃果
園田海未
南ことり
星空凛
東條希
西木野真姫
小泉花陽
絢瀬絵里
矢澤にこ
─撮影協力
音ノ木坂学院映画研究部
音ノ木坂学院生のみなさま
─製作
音ノ木坂学院アイドル研究部・映画研究部
楽曲ドラマ化プロジェクト
─監督
東條希
「キミのくせに!」
END
175: 名無しで叶える物語(しまむら)@\(^o^)/ 2015/07/16(木) 00:33:54.75 ID:JVLnNw7z.net
元スレ
穂乃果「キミのくせに!」