前作
金剛「Hey！テイトクー！今日は何の日か分かりマスカー？」
提督「今日？ 何かあったか？」
金剛「冬の季節と言えばーっ！！」
加賀「クリスマスよ。提督」
提督「クリスマス……だと……！」
金剛「イエース！メリークリスマス！」
金剛「勿論、私へのPresentsは用意してるよネー？」
2: ◆1nspp/W0HA 2020/12/25(金) 00:55:26 ID:Ajo7pPio
提督（ す っ か り 忘 れ て た ）
提督（やけに食堂で飾り付けがされていると思えば……そうか、今日はクリスマスか！）
提督（しまった……！予定なんか無いと思って何も用意してないぞ）
提督（手元には手慰みに紙で作った折り失敗ペンギン位しかない……）
提督（プレゼント……何か渡せるものはないか……？）
金剛「どうしたノー？勿体振らせないで早く出すのデース！」
加賀「もしや……プレゼントを忘れたとか……？」
提督「は、はははっ！そんな筈が無いだろう」
提督（その通りだよ！実は何も用意してませんでしたっ！！）
提督（俺の馬鹿野郎……！こんなところで見栄を張ってどうするんだ……）
提督（くっ……何と誤魔化そうか……）
提督「……急にケーキが食べたくなってきたなー（棒）」ｶﾞﾀｯ
加賀「あら？確か甘いものはあまりお好きでは無いと仰っていた筈では……」
提督「疲れてきたからか、糖分が欲しくなったんだ」
提督「という訳で、この話はまた後で話そう！！」ﾀﾞｯ
金剛「あっ、逃げたデース！Presentsを貰うまでは何処までも追い掛けてやるデース！」
～廊下～
「テートクー！！何処ですカー？」
提督「はぁはぁ……撒いたか……？」
提督（クリスマスの日だってのに俺は何をしているんだか……）ｾﾞｪｾﾞｪ
川内「提督ー！メリークリスマース！」
提督「お、おお……川内か。今日はやけにご機嫌だな」
川内「いやー、鎮守府中がクリスマスムードだからか、私も何だか釣られて浮かれてるのかもね」
川内「うちの姉妹もすっかりクリスマス気分でさー。神通なんか張り切ってケーキを作るんだーって意気込んでたよ」
川内「まあ、那珂はいつも通り歌ってたけど……」
提督「ははは、那珂は相変わらず歌が好きなんだな」
川内「だよねー。まあ、今日位は歌も悪くないけどさ」
川内「それでさ……。クリスマスって言ったら……アレがあるじゃん？」
提督「アレって？」
川内「もー！勿体ぶらせるなぁ……」
川内「プ・レ・ゼ・ン・ト♪」
提督「なっ……！川内……お前までもか！？」
川内「え？ もしかして他の人にも言われてたりしてる？」
提督（プレゼントが無いなんて知られてはマズイ！！）
提督「悪いがその話はまた今度で！！」ﾀﾞｯ
川内「あっ！？ ちょっ、何で逃げるのさ！？」
提督「はぁ……はぁ……逃げ切れたみたいだな」
提督「まさか川内までプレゼントを欲しがるとは……」
提督（この様子だと他の娘達もプレゼントをねだってくるかもしれん……）
提督（こうなったら見付からずにこっそり抜け出して買ってくる他ないな）
提督「そうと決まれば早速ドンキ辺りで……」
利根「おお！提督ではないか」
提督「利根と……」
島風「島風も居まーす！」
提督（今日はやけに人と会うな……）
提督「珍しい組み合わせだな。何かあったのか？」
利根「丁度そこで会ってな。食後の腹ごなしに相手をしておったんじゃ」
提督「ほぉ……駆逐艦の遊び相手をしていたのか」
提督「利根はお姉さんだもんな。偉いぞー」
利根「うむっ！幼子と遊んでやるのも年上としての役目なのじゃ！」
提督（子供の中に紛れるとただのガキ大将にも見えるが……それは言わぬが華だな）
利根「ところで提督よ。今日はくりすます、とかいう奴だそうだな」
提督「お、おお……そうだな」ﾋﾟｸｯ
提督（利根っ！まさか年長者のお前からその話を切り出してくるのかっ！？）
島風「今、食堂でおっきぃツリーとか飾っててね！」
島風「夜にはチキンとかケーキが出るんだって！」
島風「提督も後で一緒に行こうよ！間宮さんが作るケーキは凄く美味しいんだって天津風が言ってたんだよ！」
提督「へぇー、それは楽しみだな」
提督（危なかった……こんな人通りの多い廊下でプレゼントについて言及されてたら一貫の終わりだったぞ）
利根「そう言えばクリスマスというのは、何やら贈り物をするのが習わしだそうじゃな」
提督（なにいいいぃっ！？）
島風「えっ！？ プレゼント！？」
ｻﾞﾜｻﾞﾜ
「プレゼント！？」
「ご主人様から貰えるの！？キタコレ！」
「ハラショー。こいつは力を感じる」
「れ、レディーはプレゼントなんかねだらないんだから！」
提督（今の発言で周囲の駆逐艦が反応してしまった……！）
利根「クリスマスとやらには我輩もサンタ役でー」
提督「す、すまんっ！急用が思い出した！」
提督「続きはまた後で話そう！」ﾀﾞｯ
利根「む？そうか。またのー」
島風「あっ！逃げた！！島風からは逃げられませんよ！」
「提督を捕まえたらプレゼントが貰えるんだって！」
「へぇー！何か面白そうじゃない！」
「これは何かの催しでしょうか……？ でしたらこの由良も全力で参りましょう！」
ｻﾞﾜｻﾞﾜ…
提督「はぁ……はぁ……大変な事になってしまった……！」
提督（他の娘達もプレゼントを求めて探し回り始めてしまったぞ）
提督（俺がプレゼントを用意していないと知ったらがっかりさせてしまうだろう……）
提督「悲しむ顔をさせる訳にはいかん。これは何としてでも鎮守府を抜け出さねば！」ｽｸｯ
提督「……よし、この廊下に艦娘は居ないな」ｷｮﾛｷｮﾛ
提督「なるべく見付からずに……」ﾋｮｺﾋｮｺ
叢雲「何こそこそしてんのよ」
提督「ぬぉおおおおっ！？」ﾋﾞｸｯ
叢雲「怪しい……アンタまさかまた何かやらかそうとでもしてるんじゃないでしょうね」
提督「む、叢雲……」
提督「俺は別に疑われる事なんかは……」
叢雲「いいえ！何処をどう見ても怪しいわ」
叢雲「何を隠してるのか言わないと、今すぐここで叫ぶわよ」
提督（今、そんな事されたら……！！）
叢雲「3…2……」
提督「わ、分かった！！言うから待ってくれ！」
提督「実は……」
叢雲「……ええ！？プレゼントを買い忘れたぁ！？」
提督「しーっ！！声がデカイ……！」
叢雲「それでみんなが走り回ってたのね……」
提督「今からこっそり抜け出して買いに行くところだったんだよ……」
叢雲「アンタねぇ……いつも言ってるけど、前もって準備しておかないからこうなるのよ」
提督「面目無い……」
叢雲「ま、聞いちゃったからには私も協力するわ」
提督「本当か！？」
叢雲「その代わり、私へのプレゼントはウンと豪華にして貰うから」
叢雲「その辺、覚悟しておきなさいよね」
提督「ぐぬぬ……背に腹はかえられないか……」
叢雲「それで、アンタ財布とか持ってきてるの？」
提督「それが全部執務室に置いてきてしまったんだ」
叢雲「仕方ないわね……それじゃあ、ここから取りに戻るしか無さそうね」
提督「もう一度あんな危険な道を通る事になるのか……」
「あ”ーーーーっ！！」
瑞鶴「提督さん見付けたぁーっ！」
提督「瑞鶴っ！？」
瑞鶴「提督さん捕まえたらプレゼント貰えるって話だよね！……だったら」ｷﾞﾘｯ
叢雲「……ねえ、瑞鶴さんが弓を構えだしたんだけど」
提督「あいつ、まさか……っ！！」
瑞鶴「艦載機、発艦始め！！」ﾊﾟｼｭｯ
艦載機「」ﾌﾞｰﾝ
叢雲「ひいぃっ！？」
提督「三十六計逃げるにしかず！行くぞ、叢雲っ！」ｶﾞｼｯ
叢雲「え？」
瑞鶴「あっ！こらーっ！！待てえぇ！」ﾊﾟｼｭｯ
艦載機「」ﾌﾞｰﾝ
ﾎﾞｶﾝ！ﾎﾞｶｰﾝ！ ﾊﾞﾊﾞﾊﾞﾊﾞﾊﾞﾊﾞ！
叢雲「どうして私までえええええぇ！？」
提督「はははっ！こいつはまるでスタントマンになった気分だな！」
叢雲「何で私まで追いかけられなきゃいけないのよ！」
提督「何を言う！爆撃される時も一蓮托生の身と誓ったじゃないか！！」
叢雲「そんなもの誓った覚え無いわよっ！！」
長門「」ｽﾞﾝ…ｽﾞﾝ…
叢雲「ああぁ……っ！！」
叢雲「ほら前っ！前見なさいってば！！」
提督「へ？」
長門「可愛い駆逐艦の為、その首頂戴する！！」ｶﾞｼｬﾝ！
提督「よ、46cm砲！？」
提督「それは人に向けて良い物じゃないだろ！！」
長門「問答無用ーっ！！」ｽﾞﾄﾞﾝｯ
ﾋｭｳｩｩﾝｯ!
提督「うおおおぉっ！？」ｻｯ
ﾋｭｳｩｩﾝ…
瑞鶴「嘘ぉっ！？こっちに来たあぁ！！！」
ﾎﾞｶﾞｱｱｧﾝ！！
提督「あっ……」
叢雲「瑞鶴さんに直撃したわね」
暁「やっと追い詰めたわ！司令官！」
艦娘s「」ｽﾞﾗｧ…
叢雲「見事に囲まれたわね……」
提督「くっ……」
叢雲「四方八方の通路を完全に塞いでる辺り、アンタを逃がすつもりは一切無いみたいよ」
提督「これでは執務室に戻れない……っ！」
漣「さあ、観念して下さい。ご主人様」
漣「逃げ場なんて何処にもありません。プレゼントを漣達に渡して貰いますよ！」
叢雲「どうするの……？」ﾋｿﾋｿ
叢雲「アンタ、プレゼントは用意してないって言ってたし……」
提督「それはそうだが……」
叢雲「こうなったらここで正直に白状するしかないわ」
叢雲「ちゃんと誠意を見せれば、きっと許してくれる筈よ」
提督「……」ｷﾘｯ
叢雲「覚悟は出来たみたいね」
提督「……聞いてくれ」
提督「みんなへ渡す筈だったプレゼントはー」
提督「実は深海棲艦が奪い去って行ったんだ！」
叢雲「は？」
ｻﾞﾜｻﾞﾜ
「あいつらっ！こんなクリスマスの日に……！」
「大切なプレゼントを盗むなんて酷いわ！！」
ｻﾞﾜｻﾞﾜ
叢雲「アンタいきなり何を言い出して……」
提督「俺達は大切な贈り物を盗まれたとの情報を掴み、奴らを追っていたんだ！」
叢雲（そんな冗談が通じる訳無いでしょうが……）
ｿｳﾀﾞｯﾀﾉｶ…
叢雲（……通じてるし）
ﾀｯﾀｯﾀｯ
赤城「大変です！提督！！」
赤城「海岸に深海棲艦が現れたみたいなんですっ！！」
叢雲（ウソぉ……）
赤城「今、武蔵さん達が応戦してくれていて……」
提督「憎き深海棲艦はクリスマスを滅茶苦茶にするつもりだ！
提督「奴らを止めねば我らに聖夜は無い！！」
提督「そうだよなっ！？叢雲！」
叢雲「えっ？ あー、……そう！そうよ！」
提督「これは奴らからの宣戦布告に違いない！」
提督「皆でプレゼントを……俺達のクリスマスを取り返すんだっ！！！」
ﾜｱｱｱｱｧ
長門「敵は海岸にアリ！！」
長門「聖夜を我らの手に取り返すんだっ！！行くぞぉ！！」
ｳｵｵｵｵｵｵｵｫ！
赤城「あ、あらっ？あらっ？」
ドドドﾄﾞﾄﾞﾄﾞﾄﾞ…
赤城「これは一体、何が起こって……？」
提督「よし、これで時間が稼げた」
提督「今のうちに執務室に戻って支度をするぞ」
叢雲「え、ええ……」
叢雲（これで良かったのかしら……）
～執務室前～
提督「殆どの艦娘が海岸に向かってくれたお陰でスムーズに辿り着けたな」
提督「ここまで苦難苦節の連続だった……」
叢雲「全部アンタが蒔いた種でしょうが」
提督「うぐっ……！それを言われると痛い」
提督「だが、これで漸くプレゼントを買え……」
金剛「バアァァァニング……」ｽﾞﾄﾞﾄﾞﾄﾞﾄﾞ
提督「へ？」
金剛「ラアアァァァァァブッ！！！」ﾋﾟｮﾝ
提督「ごはぁっ！！」ﾄﾞｺﾞｯ
叢雲「えっ、ちょっ、何で私まで……がはっ！！」ｺﾞﾝｯ
ﾄﾞｼｬｧー！！
提督「」
叢雲「」
金剛「あ、アチャー……Hugのつもりだったのデスガー……」
加賀「綺麗なラリアットでした。お見事です」
…………………
…………
…
～執務室～
金剛「ええ！？PresentsがNothing！？」
加賀「やっぱり忘れていたんですね」
提督「すまん！！」
金剛「……ま、何となくそうだろうとは思ってたヨ」
提督「金剛……初めから分かっていたのか」
金剛「だって今日のテイトク、何かワタシ達を避けてる感じがシマシタから」
金剛「いつもなら私の熱いハートを受け止めてくれるのに……」
提督「そんなハートは一度も受け止めた覚えが無いが」
提督「お前達に悲しい顔をさせたくないとはいえ、嘘を付いていた。許してくれ……！」ﾄﾞｹﾞｻﾞ
加賀「提督……」
提督「詫びといっては何だが……この書類で折った失敗ペンギンで勘弁してはくれないか？」
金剛「それはNo Thank Youデース」
加賀「要らないわ」
提督「い、要らない……！」
提督（結構自信作だったんだがなぁ……）
加賀「提督、顔を上げて下さい」
提督「だが……それではお前達に何の贈り物も出来ないままクリスマスが終わってしまう……」
金剛「No problem！何も Gift はGoodsだけじゃないんだヨー？」
加賀「形は無くとも、心さえ込もっていれば、思い出も大切な贈り物になるんです」
加賀「皆でクリスマスの夜を過ごす……それだけでも最高のプレゼントですよ。提督」
提督「加賀……金剛……」ｳﾙｳﾙ
叢雲「……感動してるところ、悪いけど」
叢雲「プレゼント欲しさにアンタを探し回ってた連中にはどう説明するつもりなの？」
提督「あっ」
叢雲「思い出が贈り物だーなんて綺麗事が通用する奴らじゃないわよ」
金剛「Oh……特に駆逐艦の娘達が知ったら悲しみマース」
叢雲「仮に通用したとしても、全員を相手してたら時間が幾つあっても足りないでしょうね」
金剛「テイトクー……どうするネー？」
提督「」ｽｸｯ
ｽﾀｽﾀ
加賀「どちらへ行かれるおつもりで？」
提督「……ドンキ行ってきます」
………………
…………
…
提督「へっくし！」
提督「うぅ…寒っ……」
ｼｬﾝｼｬﾝｼｬﾝ…
提督「綺麗なイルミネーションだな……」
提督（プレゼントを買いに街まで出たはいいものの……）
提督（まさか財布を置いてきてしまうとはなぁ……）
提督（戻ったら怒られるだろうし……）
提督「はぁ～……どうしたものか……」
「何、湿気た顔して突っ立ってんのよ」
提督「叢雲！？どうしてここに！？」
叢雲「はい、これ」
提督「これは俺の財布……？」
叢雲「どうせそんな事だろうと思って、財布を届けに来てやったのよ」
提督「おぉー！助かった！」
提督「これでプレゼントを買って帰れるよ」
叢雲「さ、行くわよ」
提督「へ？」
叢雲「なにボサッとしてんのよ」
叢雲「私へのプレゼント、豪華なものにして貰うって約束。忘れたの？」
叢雲「今日はクリスマスなんだから、しっかりエスコートしてよね。司令官？」
おわり
金剛のクリスマスボイス聞いてたら生まれたネタです。
それにしてもクリスマスなのに予定が白紙になってるバグ、どうにか直りませんかね。
ありがとうございました。
元スレ
提督（ す っ か り 忘 れ て た ）
提督（やけに食堂で飾り付けがされていると思えば……そうか、今日はクリスマスか！）
提督（しまった……！予定なんか無いと思って何も用意してないぞ）
提督（手元には手慰みに紙で作った折り失敗ペンギン位しかない……）
提督（プレゼント……何か渡せるものはないか……？）
金剛「どうしたノー？勿体振らせないで早く出すのデース！」
加賀「もしや……プレゼントを忘れたとか……？」
提督「は、はははっ！そんな筈が無いだろう」
3: ◆1nspp/W0HA 2020/12/25(金) 00:56:25 ID:Ajo7pPio
提督（その通りだよ！実は何も用意してませんでしたっ！！）
提督（俺の馬鹿野郎……！こんなところで見栄を張ってどうするんだ……）
提督（くっ……何と誤魔化そうか……）
提督「……急にケーキが食べたくなってきたなー（棒）」ｶﾞﾀｯ
加賀「あら？確か甘いものはあまりお好きでは無いと仰っていた筈では……」
提督「疲れてきたからか、糖分が欲しくなったんだ」
提督「という訳で、この話はまた後で話そう！！」ﾀﾞｯ
金剛「あっ、逃げたデース！Presentsを貰うまでは何処までも追い掛けてやるデース！」
4: ◆1nspp/W0HA 2020/12/25(金) 00:57:34 ID:Ajo7pPio
～廊下～
「テートクー！！何処ですカー？」
提督「はぁはぁ……撒いたか……？」
提督（クリスマスの日だってのに俺は何をしているんだか……）ｾﾞｪｾﾞｪ
川内「提督ー！メリークリスマース！」
提督「お、おお……川内か。今日はやけにご機嫌だな」
川内「いやー、鎮守府中がクリスマスムードだからか、私も何だか釣られて浮かれてるのかもね」
川内「うちの姉妹もすっかりクリスマス気分でさー。神通なんか張り切ってケーキを作るんだーって意気込んでたよ」
川内「まあ、那珂はいつも通り歌ってたけど……」
5: ◆1nspp/W0HA 2020/12/25(金) 00:58:28 ID:Ajo7pPio
提督「ははは、那珂は相変わらず歌が好きなんだな」
川内「だよねー。まあ、今日位は歌も悪くないけどさ」
川内「それでさ……。クリスマスって言ったら……アレがあるじゃん？」
提督「アレって？」
川内「もー！勿体ぶらせるなぁ……」
川内「プ・レ・ゼ・ン・ト♪」
提督「なっ……！川内……お前までもか！？」
川内「え？ もしかして他の人にも言われてたりしてる？」
提督（プレゼントが無いなんて知られてはマズイ！！）
提督「悪いがその話はまた今度で！！」ﾀﾞｯ
川内「あっ！？ ちょっ、何で逃げるのさ！？」
6: ◆1nspp/W0HA 2020/12/25(金) 00:59:10 ID:Ajo7pPio
提督「はぁ……はぁ……逃げ切れたみたいだな」
提督「まさか川内までプレゼントを欲しがるとは……」
提督（この様子だと他の娘達もプレゼントをねだってくるかもしれん……）
提督（こうなったら見付からずにこっそり抜け出して買ってくる他ないな）
提督「そうと決まれば早速ドンキ辺りで……」
利根「おお！提督ではないか」
提督「利根と……」
島風「島風も居まーす！」
7: ◆1nspp/W0HA 2020/12/25(金) 00:59:45 ID:Ajo7pPio
提督（今日はやけに人と会うな……）
提督「珍しい組み合わせだな。何かあったのか？」
利根「丁度そこで会ってな。食後の腹ごなしに相手をしておったんじゃ」
提督「ほぉ……駆逐艦の遊び相手をしていたのか」
提督「利根はお姉さんだもんな。偉いぞー」
利根「うむっ！幼子と遊んでやるのも年上としての役目なのじゃ！」
提督（子供の中に紛れるとただのガキ大将にも見えるが……それは言わぬが華だな）
8: ◆1nspp/W0HA 2020/12/25(金) 01:00:23 ID:Ajo7pPio
利根「ところで提督よ。今日はくりすます、とかいう奴だそうだな」
提督「お、おお……そうだな」ﾋﾟｸｯ
提督（利根っ！まさか年長者のお前からその話を切り出してくるのかっ！？）
島風「今、食堂でおっきぃツリーとか飾っててね！」
島風「夜にはチキンとかケーキが出るんだって！」
島風「提督も後で一緒に行こうよ！間宮さんが作るケーキは凄く美味しいんだって天津風が言ってたんだよ！」
提督「へぇー、それは楽しみだな」
提督（危なかった……こんな人通りの多い廊下でプレゼントについて言及されてたら一貫の終わりだったぞ）
9: ◆1nspp/W0HA 2020/12/25(金) 01:01:03 ID:Ajo7pPio
利根「そう言えばクリスマスというのは、何やら贈り物をするのが習わしだそうじゃな」
提督（なにいいいぃっ！？）
島風「えっ！？ プレゼント！？」
10: ◆1nspp/W0HA 2020/12/25(金) 01:02:00 ID:Ajo7pPio
ｻﾞﾜｻﾞﾜ
「プレゼント！？」
「ご主人様から貰えるの！？キタコレ！」
「ハラショー。こいつは力を感じる」
「れ、レディーはプレゼントなんかねだらないんだから！」
提督（今の発言で周囲の駆逐艦が反応してしまった……！）
利根「クリスマスとやらには我輩もサンタ役でー」
提督「す、すまんっ！急用が思い出した！」
提督「続きはまた後で話そう！」ﾀﾞｯ
利根「む？そうか。またのー」
島風「あっ！逃げた！！島風からは逃げられませんよ！」
11: ◆1nspp/W0HA 2020/12/25(金) 01:02:43 ID:Ajo7pPio
「提督を捕まえたらプレゼントが貰えるんだって！」
「へぇー！何か面白そうじゃない！」
「これは何かの催しでしょうか……？ でしたらこの由良も全力で参りましょう！」
ｻﾞﾜｻﾞﾜ…
提督「はぁ……はぁ……大変な事になってしまった……！」
提督（他の娘達もプレゼントを求めて探し回り始めてしまったぞ）
提督（俺がプレゼントを用意していないと知ったらがっかりさせてしまうだろう……）
提督「悲しむ顔をさせる訳にはいかん。これは何としてでも鎮守府を抜け出さねば！」ｽｸｯ
12: ◆1nspp/W0HA 2020/12/25(金) 01:05:15 ID:Ajo7pPio
提督「……よし、この廊下に艦娘は居ないな」ｷｮﾛｷｮﾛ
提督「なるべく見付からずに……」ﾋｮｺﾋｮｺ
叢雲「何こそこそしてんのよ」
提督「ぬぉおおおおっ！？」ﾋﾞｸｯ
叢雲「怪しい……アンタまさかまた何かやらかそうとでもしてるんじゃないでしょうね」
提督「む、叢雲……」
提督「俺は別に疑われる事なんかは……」
叢雲「いいえ！何処をどう見ても怪しいわ」
13: ◆1nspp/W0HA 2020/12/25(金) 01:06:08 ID:Ajo7pPio
叢雲「何を隠してるのか言わないと、今すぐここで叫ぶわよ」
提督（今、そんな事されたら……！！）
叢雲「3…2……」
提督「わ、分かった！！言うから待ってくれ！」
提督「実は……」
14: ◆1nspp/W0HA 2020/12/25(金) 01:10:30 ID:Ajo7pPio
叢雲「……ええ！？プレゼントを買い忘れたぁ！？」
提督「しーっ！！声がデカイ……！」
叢雲「それでみんなが走り回ってたのね……」
提督「今からこっそり抜け出して買いに行くところだったんだよ……」
叢雲「アンタねぇ……いつも言ってるけど、前もって準備しておかないからこうなるのよ」
提督「面目無い……」
15: ◆1nspp/W0HA 2020/12/25(金) 01:12:00 ID:Ajo7pPio
叢雲「ま、聞いちゃったからには私も協力するわ」
提督「本当か！？」
叢雲「その代わり、私へのプレゼントはウンと豪華にして貰うから」
叢雲「その辺、覚悟しておきなさいよね」
提督「ぐぬぬ……背に腹はかえられないか……」
叢雲「それで、アンタ財布とか持ってきてるの？」
提督「それが全部執務室に置いてきてしまったんだ」
叢雲「仕方ないわね……それじゃあ、ここから取りに戻るしか無さそうね」
16: ◆1nspp/W0HA 2020/12/25(金) 01:15:59 ID:Ajo7pPio
提督「もう一度あんな危険な道を通る事になるのか……」
「あ”ーーーーっ！！」
瑞鶴「提督さん見付けたぁーっ！」
17: ◆1nspp/W0HA 2020/12/25(金) 01:16:49 ID:Ajo7pPio
提督「瑞鶴っ！？」
瑞鶴「提督さん捕まえたらプレゼント貰えるって話だよね！……だったら」ｷﾞﾘｯ
叢雲「……ねえ、瑞鶴さんが弓を構えだしたんだけど」
提督「あいつ、まさか……っ！！」
瑞鶴「艦載機、発艦始め！！」ﾊﾟｼｭｯ
艦載機「」ﾌﾞｰﾝ
叢雲「ひいぃっ！？」
提督「三十六計逃げるにしかず！行くぞ、叢雲っ！」ｶﾞｼｯ
叢雲「え？」
18: ◆1nspp/W0HA 2020/12/25(金) 01:17:33 ID:Ajo7pPio
瑞鶴「あっ！こらーっ！！待てえぇ！」ﾊﾟｼｭｯ
艦載機「」ﾌﾞｰﾝ
ﾎﾞｶﾝ！ﾎﾞｶｰﾝ！ ﾊﾞﾊﾞﾊﾞﾊﾞﾊﾞﾊﾞ！
叢雲「どうして私までえええええぇ！？」
提督「はははっ！こいつはまるでスタントマンになった気分だな！」
叢雲「何で私まで追いかけられなきゃいけないのよ！」
提督「何を言う！爆撃される時も一蓮托生の身と誓ったじゃないか！！」
叢雲「そんなもの誓った覚え無いわよっ！！」
19: ◆1nspp/W0HA 2020/12/25(金) 01:19:03 ID:Ajo7pPio
長門「」ｽﾞﾝ…ｽﾞﾝ…
叢雲「ああぁ……っ！！」
叢雲「ほら前っ！前見なさいってば！！」
提督「へ？」
長門「可愛い駆逐艦の為、その首頂戴する！！」ｶﾞｼｬﾝ！
提督「よ、46cm砲！？」
提督「それは人に向けて良い物じゃないだろ！！」
長門「問答無用ーっ！！」ｽﾞﾄﾞﾝｯ
ﾋｭｳｩｩﾝｯ!
提督「うおおおぉっ！？」ｻｯ
20: ◆1nspp/W0HA 2020/12/25(金) 01:20:38 ID:Ajo7pPio
ﾋｭｳｩｩﾝ…
瑞鶴「嘘ぉっ！？こっちに来たあぁ！！！」
ﾎﾞｶﾞｱｱｧﾝ！！
提督「あっ……」
叢雲「瑞鶴さんに直撃したわね」
21: ◆1nspp/W0HA 2020/12/25(金) 01:27:41 ID:Ajo7pPio
暁「やっと追い詰めたわ！司令官！」
艦娘s「」ｽﾞﾗｧ…
叢雲「見事に囲まれたわね……」
提督「くっ……」
叢雲「四方八方の通路を完全に塞いでる辺り、アンタを逃がすつもりは一切無いみたいよ」
提督「これでは執務室に戻れない……っ！」
22: ◆1nspp/W0HA 2020/12/25(金) 01:35:11 ID:Ajo7pPio
漣「さあ、観念して下さい。ご主人様」
漣「逃げ場なんて何処にもありません。プレゼントを漣達に渡して貰いますよ！」
叢雲「どうするの……？」ﾋｿﾋｿ
叢雲「アンタ、プレゼントは用意してないって言ってたし……」
提督「それはそうだが……」
叢雲「こうなったらここで正直に白状するしかないわ」
叢雲「ちゃんと誠意を見せれば、きっと許してくれる筈よ」
23: ◆1nspp/W0HA 2020/12/25(金) 01:35:53 ID:Ajo7pPio
提督「……」ｷﾘｯ
叢雲「覚悟は出来たみたいね」
提督「……聞いてくれ」
提督「みんなへ渡す筈だったプレゼントはー」
24: ◆1nspp/W0HA 2020/12/25(金) 01:36:52 ID:Ajo7pPio
提督「実は深海棲艦が奪い去って行ったんだ！」
叢雲「は？」
ｻﾞﾜｻﾞﾜ
「あいつらっ！こんなクリスマスの日に……！」
「大切なプレゼントを盗むなんて酷いわ！！」
ｻﾞﾜｻﾞﾜ
叢雲「アンタいきなり何を言い出して……」
提督「俺達は大切な贈り物を盗まれたとの情報を掴み、奴らを追っていたんだ！」
叢雲（そんな冗談が通じる訳無いでしょうが……）
ｿｳﾀﾞｯﾀﾉｶ…
叢雲（……通じてるし）
25: ◆1nspp/W0HA 2020/12/25(金) 01:37:38 ID:Ajo7pPio
ﾀｯﾀｯﾀｯ
赤城「大変です！提督！！」
赤城「海岸に深海棲艦が現れたみたいなんですっ！！」
叢雲（ウソぉ……）
赤城「今、武蔵さん達が応戦してくれていて……」
提督「憎き深海棲艦はクリスマスを滅茶苦茶にするつもりだ！
提督「奴らを止めねば我らに聖夜は無い！！」
提督「そうだよなっ！？叢雲！」
叢雲「えっ？ あー、……そう！そうよ！」
26: ◆1nspp/W0HA 2020/12/25(金) 01:39:05 ID:Ajo7pPio
提督「これは奴らからの宣戦布告に違いない！」
提督「皆でプレゼントを……俺達のクリスマスを取り返すんだっ！！！」
ﾜｱｱｱｱｧ
長門「敵は海岸にアリ！！」
長門「聖夜を我らの手に取り返すんだっ！！行くぞぉ！！」
ｳｵｵｵｵｵｵｵｫ！
赤城「あ、あらっ？あらっ？」
ドドドﾄﾞﾄﾞﾄﾞﾄﾞ…
赤城「これは一体、何が起こって……？」
提督「よし、これで時間が稼げた」
提督「今のうちに執務室に戻って支度をするぞ」
叢雲「え、ええ……」
叢雲（これで良かったのかしら……）
27: ◆1nspp/W0HA 2020/12/25(金) 01:40:07 ID:Ajo7pPio
～執務室前～
提督「殆どの艦娘が海岸に向かってくれたお陰でスムーズに辿り着けたな」
提督「ここまで苦難苦節の連続だった……」
叢雲「全部アンタが蒔いた種でしょうが」
提督「うぐっ……！それを言われると痛い」
提督「だが、これで漸くプレゼントを買え……」
28: ◆1nspp/W0HA 2020/12/25(金) 01:41:08 ID:Ajo7pPio
金剛「バアァァァニング……」ｽﾞﾄﾞﾄﾞﾄﾞﾄﾞ
提督「へ？」
金剛「ラアアァァァァァブッ！！！」ﾋﾟｮﾝ
提督「ごはぁっ！！」ﾄﾞｺﾞｯ
叢雲「えっ、ちょっ、何で私まで……がはっ！！」ｺﾞﾝｯ
29: ◆1nspp/W0HA 2020/12/25(金) 01:41:53 ID:Ajo7pPio
ﾄﾞｼｬｧー！！
提督「」
叢雲「」
金剛「あ、アチャー……Hugのつもりだったのデスガー……」
加賀「綺麗なラリアットでした。お見事です」
30: ◆1nspp/W0HA 2020/12/25(金) 01:42:47 ID:Ajo7pPio
…………………
…………
…
～執務室～
金剛「ええ！？PresentsがNothing！？」
加賀「やっぱり忘れていたんですね」
提督「すまん！！」
31: ◆1nspp/W0HA 2020/12/25(金) 01:44:12 ID:Ajo7pPio
金剛「……ま、何となくそうだろうとは思ってたヨ」
提督「金剛……初めから分かっていたのか」
金剛「だって今日のテイトク、何かワタシ達を避けてる感じがシマシタから」
金剛「いつもなら私の熱いハートを受け止めてくれるのに……」
提督「そんなハートは一度も受け止めた覚えが無いが」
32: ◆1nspp/W0HA 2020/12/25(金) 01:45:00 ID:Ajo7pPio
提督「お前達に悲しい顔をさせたくないとはいえ、嘘を付いていた。許してくれ……！」ﾄﾞｹﾞｻﾞ
加賀「提督……」
提督「詫びといっては何だが……この書類で折った失敗ペンギンで勘弁してはくれないか？」
金剛「それはNo Thank Youデース」
加賀「要らないわ」
提督「い、要らない……！」
提督（結構自信作だったんだがなぁ……）
33: ◆1nspp/W0HA 2020/12/25(金) 01:46:08 ID:Ajo7pPio
加賀「提督、顔を上げて下さい」
提督「だが……それではお前達に何の贈り物も出来ないままクリスマスが終わってしまう……」
金剛「No problem！何も Gift はGoodsだけじゃないんだヨー？」
加賀「形は無くとも、心さえ込もっていれば、思い出も大切な贈り物になるんです」
加賀「皆でクリスマスの夜を過ごす……それだけでも最高のプレゼントですよ。提督」
提督「加賀……金剛……」ｳﾙｳﾙ
34: ◆1nspp/W0HA 2020/12/25(金) 01:47:00 ID:Ajo7pPio
叢雲「……感動してるところ、悪いけど」
叢雲「プレゼント欲しさにアンタを探し回ってた連中にはどう説明するつもりなの？」
提督「あっ」
35: ◆1nspp/W0HA 2020/12/25(金) 01:47:44 ID:Ajo7pPio
叢雲「思い出が贈り物だーなんて綺麗事が通用する奴らじゃないわよ」
金剛「Oh……特に駆逐艦の娘達が知ったら悲しみマース」
叢雲「仮に通用したとしても、全員を相手してたら時間が幾つあっても足りないでしょうね」
金剛「テイトクー……どうするネー？」
提督「」ｽｸｯ
ｽﾀｽﾀ
加賀「どちらへ行かれるおつもりで？」
36: ◆1nspp/W0HA 2020/12/25(金) 01:49:20 ID:Ajo7pPio
提督「……ドンキ行ってきます」
37: ◆1nspp/W0HA 2020/12/25(金) 01:50:25 ID:Ajo7pPio
………………
…………
…
提督「へっくし！」
提督「うぅ…寒っ……」
ｼｬﾝｼｬﾝｼｬﾝ…
提督「綺麗なイルミネーションだな……」
提督（プレゼントを買いに街まで出たはいいものの……）
提督（まさか財布を置いてきてしまうとはなぁ……）
提督（戻ったら怒られるだろうし……）
提督「はぁ～……どうしたものか……」
38: ◆1nspp/W0HA 2020/12/25(金) 01:51:06 ID:Ajo7pPio
「何、湿気た顔して突っ立ってんのよ」
提督「叢雲！？どうしてここに！？」
叢雲「はい、これ」
提督「これは俺の財布……？」
叢雲「どうせそんな事だろうと思って、財布を届けに来てやったのよ」
提督「おぉー！助かった！」
提督「これでプレゼントを買って帰れるよ」
39: ◆1nspp/W0HA 2020/12/25(金) 01:52:54 ID:Ajo7pPio
叢雲「さ、行くわよ」
提督「へ？」
叢雲「なにボサッとしてんのよ」
叢雲「私へのプレゼント、豪華なものにして貰うって約束。忘れたの？」
叢雲「今日はクリスマスなんだから、しっかりエスコートしてよね。司令官？」
おわり
40: ◆1nspp/W0HA 2020/12/25(金) 02:14:37 ID:Ajo7pPio
金剛のクリスマスボイス聞いてたら生まれたネタです。
それにしてもクリスマスなのに予定が白紙になってるバグ、どうにか直りませんかね。
ありがとうございました。
SS深夜VIP：提督「プレゼントを買い忘れた」
