1: 名無しで叶える物語 2020/12/29(火) 15:50:30.14 ID:RYUwlkmZ.net
~コタツ~
曜「梨子ちゃーん」
梨子「……」ポチポチ
曜「梨子ちゃんってばー」
梨子「……」スッスッ
曜「ねえ聞いてるー?梨子ちゃーん」ユサユサ
梨子「はいはい、聞いてるわよ。どうかしたの?」
曜「梨子ちゃーん」ユサユサ
梨子「だからなあに?」
曜「さーむーいー。寒いのー」
梨子「コタツがあるじゃない。曜ちゃんが言うからわざわざ千歌ちゃん家から借りてきたのよ?」
曜「でもー、寒いものは寒いんだもーん」
梨子「……」
2: 名無しで叶える物語 2020/12/29(火) 15:52:49.33 ID:RYUwlkmZ.net
曜「ほら、腰から上はコタツから出てるわけだしさー、上半身がまだ寒いのー」
梨子「……」
曜「ねーえー、だからー、私のこともっとちゃんとあっためてよー」
梨子「はぁ……」
曜「梨子ちゃーん!お願いだよーっ!曜だけにっ!」スリスリ
梨子「わかった!わかったからひっつかないでよねっ!!」
曜「えへへ~……♡」
曜「で、梨子ちゃんは私に何をしてくれるのー?」
梨子「もう既に曜ちゃんのこと温めてあげてるじゃない。私がヤダって言っても曜ちゃんくっついてくるし」
曜「嫌なの?」
梨子「率直に言ってうっとおしいわね」
曜「えー、じゃあ梨子ちゃんがちゃんと温めてくれたら離れてあげるっ、ほわぁ~……♡」ピトッ
梨子「……」
曜「それでー、梨子ちゃん、さっき私のことあっためてくれるって約束してくれたよねー?」
梨子「はぁ……」
曜「むふふっ、なんか色々期待しちゃうでありますなぁ……♡」
梨子「そうね、えっと……じゃあちょっとだけ心があったまりそうなお話とかどう?」
曜「え、お話?」
梨子「うん」
曜「おぉ~、結構大胆なところから攻めてきたね~」
梨子「へっ!?あ、いや、そういうわけじゃ……//」
曜「自信あるの?」
梨子「あっ、いや、えっとね………たいしたお話じゃないからハードル上げないでよ?」
曜「そっか、自信あるんだー」
梨子「話聞いてた?」
曜「でも曜ちゃん審査員の目は厳しいでありますよ~、なんてったって今は身も心も凍えそうなくらい寒いからね」ピトッ♡
梨子「だから離れてって言ってるじゃない、もうっ」
曜「ちゃんとあったまる話してくれたらねー」
梨子「おわったら解放してくれるのよね?」
曜「それは聞いてから私が決める」
梨子「そんなのズルいじゃない。後から決めれるなんて」
曜「じゃあ梨子ちゃんと私は一生このままだねー」
梨子「……」
曜「でもそれもいいかもねー、梨子ちゃんと一緒に冬眠しちゃうっていうのも……ふわぁ~……」
梨子「……」
曜「ねー、梨子ちゃーん?」
梨子「はぁ、ほんと曜ちゃんってばズルいんだから……」
梨子「……あのね」
曜「うん」
梨子「この前のクリスマス前の話なんだけどね」
曜「うん」
梨子「沼津に遊びに行った時にたまたまルビィちゃんに会ったの」
曜「ふーん」
梨子「私はデパートに洋服見に来てたんだけど」
曜「うんうん」
梨子「でね、ルビィちゃんに何してるの?って聞いたら、ルビィちゃんはおつかいでクリスマスケーキ買いに来てたんだって」
曜「うん」
梨子「で、大きなホールケーキが入った箱をぶら下げてたんだけどね、それとは他にもう一つケーキ屋さんの箱をルビィちゃんが持ってて」
曜「うんうん」
梨子「私はずっとルビィちゃんが自分へのご褒美に自分だけのケーキ買ったんだな~、って思ってたんだけど、ほんとはダイヤさんにプレゼントしてあげるためだったんだって」
曜「ふーん」
梨子「ほら、ダイヤさんのお誕生日ってお正月じゃない?毎年お祝いはクリスマスとかお正月とかと一緒にされることも多いみたいで」
梨子「高校生になったからお姉ちゃんのことちゃんと自分からお祝いしてあげるんだぁ~って、毎月お小遣い貯めてたらしいのよ」
曜「へぇ~」
梨子「……どう、感動しない?」
曜「うん、した。すっごく。ほほえま~って思った」
梨子「ほっ……」
曜「それでそれで?オチとかないの?」
梨子「ないわよそんなもの。ただの世間話の一つだし」
曜「えー?」
梨子「はい、これで私の話はおしまい。というわけでひっつくのやめてよね」
曜「いいオチがなかったから減点。だからだーめ」
梨子「そんなの聞いてないわよ。だから放して」
曜「いーやっ、冬の間は梨子ちゃんの隣なの~♪」
梨子「むぅ……」
曜「だってー、やっぱり梨子ちゃんにひっついてるのが一番あったまるんだもーん♡」
梨子「もうっ……そう言ったら許されるってわけじゃないんだからね、曜ちゃん」
曜「でも確かに心がポカポカするお話だったねー」
梨子「でしょ?私もね、ルビィちゃんみたいな可愛い妹欲しいな~って思っちゃった」
曜「むむむ………」
梨子「どう?やっぱり解放してくれるつもりになった?」
曜「いや、そうじゃなくて……あったかい話をしてあったまろう!って方向は間違ってないんだなーって」
梨子「……もしかして私にまだ何かお話させようとしてる?」
曜「だめ?」
梨子「イヤよ。そんなにポンポン浮かんでくるものでもないし、曜ちゃん全然褒めてくれないし」
曜「えー?いいじゃんいいじゃーん」
梨子「それに何も思いつかないんだもん。出来ないものは出来ません」
曜「むぅ、じゃあ……しょうがない、しりとりで我慢する」
梨子「えっ、しりとり?」
曜「暖かいもの縛りねー、じゃあ私から!ん~とね……焼き芋!」
梨子「えぇ~……?ほんとにやるの?」
曜「はやくはやくー!梨子ちゃんの番だよー」
梨子「はぁ、じゃあ……毛布」
曜「ふ……フットウォーマー!」
梨子「ま……マフラー」
曜「ら、ら………えっと…………ラクトアイス」
梨子「それ全然あったかくないじゃない。むしろ冷たいわよ」
曜「私はいいの、寒がりだから」
梨子「……」
曜「ほらほら、梨子ちゃんは言葉の力で私のことあっためてね~♡」ハグッ!
梨子「はぁ、ホントに曜ちゃんってば……」
曜「ほら梨子ちゃーん、『す』だよ?」
梨子「……スープ」
曜「ぷ、かぁ………『ふ』でもいいよね?ふきのとう!」
梨子「う……梅昆布茶?」
曜「や?……焼きリンゴ!」
梨子「ご?『こ』でもいいのよね?コーンポタージュ」
曜「あー……ゆ…………」
梨子「……曜ちゃん?」
曜「むむむ……パス」
梨子「へ?」
曜「はい、次梨子ちゃんの番」
梨子「パスなんてアリなの?」
曜「私はいいの。思いつかないから」
梨子「えぇ~……?」
曜「というわけで梨子ちゃんさん、解答をどーぞっ!」
梨子「えっと、ゆ……『ゆ』から始まるあったかいもの……」
曜「ちくたくちくたく♪」
梨子「んーっと………あっ、雪」
曜「え?ダメだよ梨子ちゃん、ちゃんと私がポカポカ~ってなれるような
梨子「ううん、そうじゃなくて……ほら、見て」
シンシン…
梨子「雪、いつの間にか降ってる……」
曜「ホントに!!?」
テテテッ!!
梨子「あっ……」
曜「ていっ!」
ビュォーッ!!
曜「……」
梨子「……」
曜「……なーんだ、積もんないやつじゃん」
梨子「うん。けど、キレイ……」
曜「……」
梨子「……」
シンシン…
曜「……」
ブルッ!
曜「ううっ、さむっ……」
モゾモゾ
曜「うう~っ、梨子ちゃんのせいで体冷えちゃったじゃん……」
梨子「曜ちゃんが窓思いっきり開けたからじゃなくて?」
曜「梨子ちゃんが雪降ってるって言うからだもん。あーあ、積もる雪だったら楽しく遊べたのになー」
梨子「そうね。けど太平洋側はもともと雪降りにくいんだし、仕方ないんじゃない?」
曜「えー、積もんない雪なんて寒いだけじゃーん。寒すぎるよー、梨子ちゃーん、なんとかしてよー」モソモソ
梨子「はいはい。今日だけなんだからね?」
曜「うんっ!じゃあ……」
ピトッ♡
曜「えへへ~……やっぱり梨子ちゃんの隣が一番あったかいであります……♡」
梨子「もう、曜ちゃんってば」
ブーッ!ブーッ!
梨子「あっ……」
曜「ん、どしたの梨子ちゃん?」
梨子「年、明けちゃった……」
曜「あー、もうそんな時間だった?」
梨子「うん、みたいね……」
プルプルッ♪
梨子「あっ、えっと……」スッスッ
曜「Line?誰から?」
梨子「善子ちゃん。あけましておめでとうだって」
曜「ふーん……」
梨子「曜ちゃんのとこにも来てるんじゃない?」
曜「あー……そうかも」
梨子「返信しとかなくていいの?」
曜「梨子ちゃん代わりにやっといてー」ゴロン♪
梨子「え~?」
曜「いいじゃんいいじゃーん。どうせ誰が送ったかなんてわかんないし」
梨子「……」
曜「それにー、せっかく梨子ちゃんの指紋私のスマホに登録してるんだしー、有効活用しないともったいないよー」
梨子「はぁ……ほんと、曜ちゃんってばどうしようもないんだから……」
スクッ!
曜「えへへ~、ありがと梨子ちゃん♡」
梨子「……」
パシャッ!
曜「……へ?」
梨子「はい。曜ちゃんが新年早々だらしなくて困ってますって送っといたわよ」
曜「あ、いや……って困るっ!!今完っ全にオフモードだったのにっ!!//」
梨子「油断する方が悪いんですっ!善子ちゃんにはもう送っちゃったからね」
曜「そんなぁ……って私のスマホ返してよっ!!」
梨子「ん~?じゃあもうちょっとだけ遊ばせてもらっちゃおっかな~?」
曜「んなっ!!?梨子ちゃ~ん!!?待ってっ!!」
ワチャワチャ
梨子「ちょっと曜ちゃんっ!!きゃっ//」
ピシャッ!
千歌「二人ともーっ!初詣いこーっ!!」
曜「あ、千歌ちゃん。あけおめ」
千歌「おめでとっ!曜ちゃん、梨子ちゃん!!というわけで新年だし、初詣に行くからねーっ!」
曜「へっ!?まだ外真っ暗だけど」
千歌「じゃあ着替えて私の家の前集合っ!!遅れたら二人の分のお年玉も全部もらっちゃうよ~!」
ピューッ!
曜「あっ……」
梨子「……」
曜「……」
梨子「……だって。ほら、私たちも行くよ?」
曜「梨子ちゃんも行くの?」
梨子「うん。近くの神社、千歌ちゃんが案内してくれるみたい」
曜「ふーん……」
梨子「曜ちゃんは行かないの?」
曜「ん~?どうしよっかな~?暗いのも寒いのもあんま好きじゃないんだけど、梨子ちゃんがどーしてもって言うなら」
梨子「じゃあ曜ちゃんはお留守番ね。私ちょっと行ってくるから」
曜「……へ?」
梨子「んーっと、厚手のコートとマフラーと……」
曜「……」
梨子「カイロ、まだ残りが少しあったわよね……?」
曜「梨子ちゃん……?」
梨子「なあに曜ちゃん?」
曜「……」
梨子「よいしょっ……」ササッ
曜「……」
ピトッ!
梨子「わっ!」
曜「……」
梨子「もう、どうしたの?曜ちゃん?」
曜「……ヤダ」
梨子「……?」
曜「私も、一緒に行く」
梨子「いいの?お外かなり寒いわよ?」
曜「だいじょーぶ、多分」
梨子「さっき行かないって言いかけてなかった?」
曜「梨子ちゃんの反応が可愛いくてからかいたくなっただけ。最初から行くつもりだったもん」
梨子「ふーん……」ニマッ♪
曜「……え、その顔何?」
梨子「べっつにー、今年の曜ちゃんも可愛いなーって思っただけ」
曜「んなっ!!?……//」プルプル
梨子「ほら、そういうとことか♪」
曜「……っ!!//いいのっ!!私のことは別にいいのっ!!からかわなくていのっ!!//」ポカポカ!!
梨子「はいはい、わかったわかった~」
曜「うう~っ!!!///」
千歌『二人とも―っ!!いちゃいちゃしてないで早く出てこーいっ!!』
美渡『うっさいバカチカ!!深夜に大声出すなぁっ!!』
梨子「……だって」クスッ
曜「……///」カァァッ!!
梨子「はい、マフラーと耳当て。これで寒くないでしょ?」
曜「梨子ちゃんと引っ付いてれば大丈夫だもん」
梨子「それはもうわかったわよ。じゃあ曜ちゃん、行こっ?」
曜「あ、待って梨子ちゃん!コタツの電気消して……」
テテテッ!
梨子「はぁ~っ、やっぱりお部屋の外だと寒いわね……」
曜「うぅ~っ、梨子ちゃんが今すぐ春にしてくれたらいいのに」
梨子「それは神社で神様に頼んでくださいっ!私じゃどうにもできないわよ」
曜「そんなぁ~……はぁ~っ、はぁ~っ…………」
梨子(内浦で過ごす初めての冬。心なしかこっちの方が東京よりもあったかいって思えてきちゃうのは……きっと隣に曜ちゃんや千歌ちゃんたちがいてくれてるからなのかな?)
曜「うう~っ……」プルプル
梨子(曜ちゃんは寒いのは苦手みたいだけど、私は……寒かったり少し寂しくなっちゃっちゃったりっていうのも含めて冬なんだなぁって。そんな冬のさみしさが、ちょっとだけ好きだったりします)
梨子(でも……曜ちゃんがいいって言ってくれるなら、二人となりどうし、肩を寄せ合って春を待って……そうやって温め合ってるっていうのも——ちょっと悪くはないのかも♡)
梨子「……ふふっ♪」
曜「え、どしたの梨子ちゃん?」
梨子「ううん、なんでもないよっ♪」
梨子(大好きな曜ちゃん!新年、あけましておめでとう!こんなふつつかな私だけど、今年もよろしくお願いします!)
終わりです。お粗末様でした
来年もよろしくお願いいたします
元スレ
曜「ほら、腰から上はコタツから出てるわけだしさー、上半身がまだ寒いのー」
梨子「……」
曜「ねーえー、だからー、私のこともっとちゃんとあっためてよー」
梨子「はぁ……」
曜「梨子ちゃーん!お願いだよーっ!曜だけにっ!」スリスリ
梨子「わかった!わかったからひっつかないでよねっ!!」
曜「えへへ~……♡」
4: 名無しで叶える物語 2020/12/29(火) 15:53:52.40 ID:/fVTZxRQ.net
曜「で、梨子ちゃんは私に何をしてくれるのー?」
梨子「もう既に曜ちゃんのこと温めてあげてるじゃない。私がヤダって言っても曜ちゃんくっついてくるし」
曜「嫌なの?」
梨子「率直に言ってうっとおしいわね」
曜「えー、じゃあ梨子ちゃんがちゃんと温めてくれたら離れてあげるっ、ほわぁ~……♡」ピトッ
梨子「……」
曜「それでー、梨子ちゃん、さっき私のことあっためてくれるって約束してくれたよねー?」
梨子「はぁ……」
曜「むふふっ、なんか色々期待しちゃうでありますなぁ……♡」
梨子「そうね、えっと……じゃあちょっとだけ心があったまりそうなお話とかどう?」
5: 名無しで叶える物語 2020/12/29(火) 15:55:18.57 ID:/fVTZxRQ.net
曜「え、お話?」
梨子「うん」
曜「おぉ~、結構大胆なところから攻めてきたね~」
梨子「へっ!?あ、いや、そういうわけじゃ……//」
曜「自信あるの?」
梨子「あっ、いや、えっとね………たいしたお話じゃないからハードル上げないでよ?」
曜「そっか、自信あるんだー」
梨子「話聞いてた?」
曜「でも曜ちゃん審査員の目は厳しいでありますよ~、なんてったって今は身も心も凍えそうなくらい寒いからね」ピトッ♡
梨子「だから離れてって言ってるじゃない、もうっ」
6: 名無しで叶える物語 2020/12/29(火) 15:56:38.21 ID:/fVTZxRQ.net
曜「ちゃんとあったまる話してくれたらねー」
梨子「おわったら解放してくれるのよね?」
曜「それは聞いてから私が決める」
梨子「そんなのズルいじゃない。後から決めれるなんて」
曜「じゃあ梨子ちゃんと私は一生このままだねー」
梨子「……」
曜「でもそれもいいかもねー、梨子ちゃんと一緒に冬眠しちゃうっていうのも……ふわぁ~……」
梨子「……」
曜「ねー、梨子ちゃーん?」
梨子「はぁ、ほんと曜ちゃんってばズルいんだから……」
7: 名無しで叶える物語 2020/12/29(火) 15:57:41.71 ID:/fVTZxRQ.net
梨子「……あのね」
曜「うん」
梨子「この前のクリスマス前の話なんだけどね」
曜「うん」
梨子「沼津に遊びに行った時にたまたまルビィちゃんに会ったの」
曜「ふーん」
梨子「私はデパートに洋服見に来てたんだけど」
曜「うんうん」
梨子「でね、ルビィちゃんに何してるの?って聞いたら、ルビィちゃんはおつかいでクリスマスケーキ買いに来てたんだって」
曜「うん」
梨子「で、大きなホールケーキが入った箱をぶら下げてたんだけどね、それとは他にもう一つケーキ屋さんの箱をルビィちゃんが持ってて」
曜「うんうん」
8: 名無しで叶える物語 2020/12/29(火) 15:59:49.38 ID:/fVTZxRQ.net
梨子「私はずっとルビィちゃんが自分へのご褒美に自分だけのケーキ買ったんだな~、って思ってたんだけど、ほんとはダイヤさんにプレゼントしてあげるためだったんだって」
曜「ふーん」
梨子「ほら、ダイヤさんのお誕生日ってお正月じゃない?毎年お祝いはクリスマスとかお正月とかと一緒にされることも多いみたいで」
梨子「高校生になったからお姉ちゃんのことちゃんと自分からお祝いしてあげるんだぁ~って、毎月お小遣い貯めてたらしいのよ」
曜「へぇ~」
梨子「……どう、感動しない?」
曜「うん、した。すっごく。ほほえま~って思った」
梨子「ほっ……」
曜「それでそれで?オチとかないの?」
9: 名無しで叶える物語 2020/12/29(火) 16:01:55.73 ID:/fVTZxRQ.net
梨子「ないわよそんなもの。ただの世間話の一つだし」
曜「えー?」
梨子「はい、これで私の話はおしまい。というわけでひっつくのやめてよね」
曜「いいオチがなかったから減点。だからだーめ」
梨子「そんなの聞いてないわよ。だから放して」
曜「いーやっ、冬の間は梨子ちゃんの隣なの~♪」
梨子「むぅ……」
曜「だってー、やっぱり梨子ちゃんにひっついてるのが一番あったまるんだもーん♡」
梨子「もうっ……そう言ったら許されるってわけじゃないんだからね、曜ちゃん」
10: 名無しで叶える物語 2020/12/29(火) 16:03:59.55 ID:/fVTZxRQ.net
曜「でも確かに心がポカポカするお話だったねー」
梨子「でしょ?私もね、ルビィちゃんみたいな可愛い妹欲しいな~って思っちゃった」
曜「むむむ………」
梨子「どう?やっぱり解放してくれるつもりになった?」
曜「いや、そうじゃなくて……あったかい話をしてあったまろう!って方向は間違ってないんだなーって」
梨子「……もしかして私にまだ何かお話させようとしてる?」
曜「だめ?」
梨子「イヤよ。そんなにポンポン浮かんでくるものでもないし、曜ちゃん全然褒めてくれないし」
曜「えー?いいじゃんいいじゃーん」
梨子「それに何も思いつかないんだもん。出来ないものは出来ません」
曜「むぅ、じゃあ……しょうがない、しりとりで我慢する」
梨子「えっ、しりとり?」
曜「暖かいもの縛りねー、じゃあ私から!ん~とね……焼き芋!」
12: 名無しで叶える物語 2020/12/29(火) 16:06:18.80 ID:/fVTZxRQ.net
梨子「えぇ~……?ほんとにやるの?」
曜「はやくはやくー!梨子ちゃんの番だよー」
梨子「はぁ、じゃあ……毛布」
曜「ふ……フットウォーマー!」
梨子「ま……マフラー」
曜「ら、ら………えっと…………ラクトアイス」
梨子「それ全然あったかくないじゃない。むしろ冷たいわよ」
曜「私はいいの、寒がりだから」
梨子「……」
曜「ほらほら、梨子ちゃんは言葉の力で私のことあっためてね~♡」ハグッ!
梨子「はぁ、ホントに曜ちゃんってば……」
13: 名無しで叶える物語 2020/12/29(火) 16:08:29.14 ID:/fVTZxRQ.net
曜「ほら梨子ちゃーん、『す』だよ?」
梨子「……スープ」
曜「ぷ、かぁ………『ふ』でもいいよね?ふきのとう!」
梨子「う……梅昆布茶?」
曜「や?……焼きリンゴ!」
梨子「ご?『こ』でもいいのよね?コーンポタージュ」
曜「あー……ゆ…………」
梨子「……曜ちゃん?」
曜「むむむ……パス」
梨子「へ?」
曜「はい、次梨子ちゃんの番」
梨子「パスなんてアリなの?」
曜「私はいいの。思いつかないから」
梨子「えぇ~……?」
14: 名無しで叶える物語 2020/12/29(火) 16:10:33.88 ID:/fVTZxRQ.net
曜「というわけで梨子ちゃんさん、解答をどーぞっ!」
梨子「えっと、ゆ……『ゆ』から始まるあったかいもの……」
曜「ちくたくちくたく♪」
梨子「んーっと………あっ、雪」
曜「え?ダメだよ梨子ちゃん、ちゃんと私がポカポカ~ってなれるような
梨子「ううん、そうじゃなくて……ほら、見て」
シンシン…
梨子「雪、いつの間にか降ってる……」
15: 名無しで叶える物語 2020/12/29(火) 16:12:53.98 ID:/fVTZxRQ.net
曜「ホントに!!?」
テテテッ!!
梨子「あっ……」
曜「ていっ!」
ビュォーッ!!
曜「……」
梨子「……」
曜「……なーんだ、積もんないやつじゃん」
梨子「うん。けど、キレイ……」
17: 名無しで叶える物語 2020/12/29(火) 16:14:59.67 ID:/fVTZxRQ.net
曜「……」
梨子「……」
シンシン…
曜「……」
ブルッ!
曜「ううっ、さむっ……」
モゾモゾ
曜「うう~っ、梨子ちゃんのせいで体冷えちゃったじゃん……」
梨子「曜ちゃんが窓思いっきり開けたからじゃなくて?」
曜「梨子ちゃんが雪降ってるって言うからだもん。あーあ、積もる雪だったら楽しく遊べたのになー」
梨子「そうね。けど太平洋側はもともと雪降りにくいんだし、仕方ないんじゃない?」
18: 名無しで叶える物語 2020/12/29(火) 16:18:00.89 ID:/fVTZxRQ.net
曜「えー、積もんない雪なんて寒いだけじゃーん。寒すぎるよー、梨子ちゃーん、なんとかしてよー」モソモソ
梨子「はいはい。今日だけなんだからね?」
曜「うんっ!じゃあ……」
ピトッ♡
曜「えへへ~……やっぱり梨子ちゃんの隣が一番あったかいであります……♡」
梨子「もう、曜ちゃんってば」
ブーッ!ブーッ!
梨子「あっ……」
曜「ん、どしたの梨子ちゃん?」
梨子「年、明けちゃった……」
19: 名無しで叶える物語 2020/12/29(火) 16:21:06.18 ID:/fVTZxRQ.net
曜「あー、もうそんな時間だった?」
梨子「うん、みたいね……」
プルプルッ♪
梨子「あっ、えっと……」スッスッ
曜「Line?誰から?」
梨子「善子ちゃん。あけましておめでとうだって」
曜「ふーん……」
梨子「曜ちゃんのとこにも来てるんじゃない?」
曜「あー……そうかも」
梨子「返信しとかなくていいの?」
曜「梨子ちゃん代わりにやっといてー」ゴロン♪
梨子「え~?」
曜「いいじゃんいいじゃーん。どうせ誰が送ったかなんてわかんないし」
梨子「……」
20: 名無しで叶える物語 2020/12/29(火) 16:24:08.65 ID:/fVTZxRQ.net
曜「それにー、せっかく梨子ちゃんの指紋私のスマホに登録してるんだしー、有効活用しないともったいないよー」
梨子「はぁ……ほんと、曜ちゃんってばどうしようもないんだから……」
スクッ!
曜「えへへ~、ありがと梨子ちゃん♡」
梨子「……」
パシャッ!
曜「……へ?」
梨子「はい。曜ちゃんが新年早々だらしなくて困ってますって送っといたわよ」
21: 名無しで叶える物語 2020/12/29(火) 16:27:15.37 ID:/fVTZxRQ.net
曜「あ、いや……って困るっ!!今完っ全にオフモードだったのにっ!!//」
梨子「油断する方が悪いんですっ!善子ちゃんにはもう送っちゃったからね」
曜「そんなぁ……って私のスマホ返してよっ!!」
梨子「ん~?じゃあもうちょっとだけ遊ばせてもらっちゃおっかな~?」
曜「んなっ!!?梨子ちゃ~ん!!?待ってっ!!」
ワチャワチャ
梨子「ちょっと曜ちゃんっ!!きゃっ//」
ピシャッ!
千歌「二人ともーっ!初詣いこーっ!!」
22: 名無しで叶える物語 2020/12/29(火) 16:30:24.63 ID:/fVTZxRQ.net
曜「あ、千歌ちゃん。あけおめ」
千歌「おめでとっ!曜ちゃん、梨子ちゃん!!というわけで新年だし、初詣に行くからねーっ!」
曜「へっ!?まだ外真っ暗だけど」
千歌「じゃあ着替えて私の家の前集合っ!!遅れたら二人の分のお年玉も全部もらっちゃうよ~!」
ピューッ!
曜「あっ……」
梨子「……」
曜「……」
梨子「……だって。ほら、私たちも行くよ?」
23: 名無しで叶える物語 2020/12/29(火) 16:34:31.99 ID:/fVTZxRQ.net
曜「梨子ちゃんも行くの?」
梨子「うん。近くの神社、千歌ちゃんが案内してくれるみたい」
曜「ふーん……」
梨子「曜ちゃんは行かないの?」
曜「ん~?どうしよっかな~?暗いのも寒いのもあんま好きじゃないんだけど、梨子ちゃんがどーしてもって言うなら」
梨子「じゃあ曜ちゃんはお留守番ね。私ちょっと行ってくるから」
曜「……へ?」
24: 名無しで叶える物語 2020/12/29(火) 16:37:34.66 ID:/fVTZxRQ.net
梨子「んーっと、厚手のコートとマフラーと……」
曜「……」
梨子「カイロ、まだ残りが少しあったわよね……?」
曜「梨子ちゃん……?」
梨子「なあに曜ちゃん?」
曜「……」
梨子「よいしょっ……」ササッ
曜「……」
ピトッ!
梨子「わっ!」
曜「……」
梨子「もう、どうしたの?曜ちゃん?」
曜「……ヤダ」
梨子「……?」
曜「私も、一緒に行く」
25: 名無しで叶える物語 2020/12/29(火) 16:40:35.46 ID:/fVTZxRQ.net
梨子「いいの?お外かなり寒いわよ?」
曜「だいじょーぶ、多分」
梨子「さっき行かないって言いかけてなかった?」
曜「梨子ちゃんの反応が可愛いくてからかいたくなっただけ。最初から行くつもりだったもん」
梨子「ふーん……」ニマッ♪
曜「……え、その顔何?」
梨子「べっつにー、今年の曜ちゃんも可愛いなーって思っただけ」
曜「んなっ!!?……//」プルプル
梨子「ほら、そういうとことか♪」
曜「……っ!!//いいのっ!!私のことは別にいいのっ!!からかわなくていのっ!!//」ポカポカ!!
梨子「はいはい、わかったわかった~」
曜「うう~っ!!!///」
千歌『二人とも―っ!!いちゃいちゃしてないで早く出てこーいっ!!』
美渡『うっさいバカチカ!!深夜に大声出すなぁっ!!』
梨子「……だって」クスッ
曜「……///」カァァッ!!
26: 名無しで叶える物語 2020/12/29(火) 16:43:37.16 ID:/fVTZxRQ.net
梨子「はい、マフラーと耳当て。これで寒くないでしょ?」
曜「梨子ちゃんと引っ付いてれば大丈夫だもん」
梨子「それはもうわかったわよ。じゃあ曜ちゃん、行こっ?」
曜「あ、待って梨子ちゃん!コタツの電気消して……」
テテテッ!
梨子「はぁ~っ、やっぱりお部屋の外だと寒いわね……」
曜「うぅ~っ、梨子ちゃんが今すぐ春にしてくれたらいいのに」
梨子「それは神社で神様に頼んでくださいっ!私じゃどうにもできないわよ」
曜「そんなぁ~……はぁ~っ、はぁ~っ…………」
梨子(内浦で過ごす初めての冬。心なしかこっちの方が東京よりもあったかいって思えてきちゃうのは……きっと隣に曜ちゃんや千歌ちゃんたちがいてくれてるからなのかな?)
27: 名無しで叶える物語 2020/12/29(火) 16:46:56.89 ID:/fVTZxRQ.net
曜「うう~っ……」プルプル
梨子(曜ちゃんは寒いのは苦手みたいだけど、私は……寒かったり少し寂しくなっちゃっちゃったりっていうのも含めて冬なんだなぁって。そんな冬のさみしさが、ちょっとだけ好きだったりします)
梨子(でも……曜ちゃんがいいって言ってくれるなら、二人となりどうし、肩を寄せ合って春を待って……そうやって温め合ってるっていうのも——ちょっと悪くはないのかも♡)
梨子「……ふふっ♪」
曜「え、どしたの梨子ちゃん?」
梨子「ううん、なんでもないよっ♪」
梨子(大好きな曜ちゃん!新年、あけましておめでとう!こんなふつつかな私だけど、今年もよろしくお願いします!)
28: 名無しで叶える物語 2020/12/29(火) 16:50:02.42 ID:/fVTZxRQ.net
終わりです。お粗末様でした
来年もよろしくお願いいたします
梨子「冬が来て」曜「コタツは人を、ダメにする」