1: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/11/18(火) 08:38:33.34 ID:0Py/011K0.net
私が初めてさやかちゃんに会ったのは、小学五年生の時でした
私は転校してきたばっかりで、しかもこんな性格だからクラスにもなかなか馴染めなくて、その日も一人で通学路を歩いていました
その時私は道に躓いて転んでしまって、そして鞄のランドセルの中身が外に散らばってしまいました
他の子供たちもたくさんいたけれど、私を見ても助け起こしてくれるわけじゃなくて……
擦りむいた膝が痛いのと、パパが作ってくれたお弁当を台無しにしちゃったのが悲しいのとで、私は泣きだしそうになりました
そんなとき
さやか「大丈夫?」
さやかちゃんが声をかけてくれました
さやかちゃんだけが私を助けてくれました
そして私は、そんなさやかちゃんのことを、かっこいい王子様みたいって思ったんです
4: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/11/18(火) 08:40:48.60 ID:0Py/011K0.net
さやか「まーどか!」ガバッ
まどか「きゃっ!?」ビクッ
さやか「きゃっ!?っだって。相変わらずまどかったらかわいいなあ」
まどか「もう、急にびっくりするよ」
さやか「ボーっとしてたまどかが悪い!」
まどか(私も悪いかもしれないけど、でもさやかちゃん絶対びっくりさせようとしてたよね)
さやか「何考えてたの?」
まどか「ううん、なんでもないの。それより重いよさやかちゃん」
さやか「な!?女の子に向かって重いだなんて失礼な奴め。そんなこと言うやつにはこうだ!」コチョコチョ
まどか「さ、さやかちゃん!やめ、きゃ、きゃははは」
仁美「お二人は相変わらず仲がよろしくてうらやましいですわ」ワカメ
さやか「まあね。まどかはあたしの嫁だから」
まどか「もう、さやかちゃんはまたそんなことばっかり言って」
まどか(……)
呆れたような私の口調も気にせず、さやかちゃんは笑います
さやかちゃんはよくこういう事を言います
その度に、私はとてもドキドキしてしまいます
さやかちゃんにとっては冗談だということは分かってるけど
だけど私は、さやかちゃんのその言葉がとても嬉しくて
そして、本当にさやかちゃんのお嫁さんになれればいいのにと、叶わない夢を見てしまうのです
ーーー教室
まどか「おはよう、ほむらちゃん」
ほむら「おはよう」
まどか「ほむらちゃん、そろそろ学校には慣れた?」
ほむら「ええ、まあ」
まどか「よかった。でも、困ったことがあったら何でも言ってね?」
ほむら「ありがとう。でも大丈夫よ」
まどか「そ、そっか……」
さやか「ちょっと転校生!」バンッ
さやか「せっかくまどかが話しかけてあげてるのになんなのあんたのその態 度!」
まどか「さ、さやかちゃん」
ほむら「私は別に話しかけてほしいだなんて頼んだ覚えはないけれど」
さやか「はあ!?ホントムカつくやつ。あんたなんかそうやってずっと一人でいればいいよ!行こ、二人とも」スタスタ…
まどか「さ、さやかちゃん!あっ、またね、ほむらちゃん」
ほむら「……」
さやか「あームカつく!まどか、もうあいつに話しかけるのやめなよ」
まどか「でも……やっぱりほむらちゃんとも仲良くなりたいな」
仁美「まどかさんは優しいですね」
まどか「そんなんじゃないよ。私がほむらちゃんと友達になりたいだけなの」
さやか「でも聞いたでしょ。転校生自身がああ言ってるだもん。どうしようもないでしょ」
まどか「うん、そうなんだけど……」ショボン…
ーーー放課後
さやか「よっしゃー終わった!」
仁美「あらあら、授業中は机に突っ伏して寝ていた方と同じとは思えませんわ」クス
さやか「もー!うるさいなー仁美はー!」プンスカ
さやか「今日もいつものとこ寄って行くでしょ?」
まどか「うん」
仁美「お供しますわ」
私たちはたまに帰りに寄り道をしていきます
そこは見滝原中の生徒の行きつけのお店で、安くておいしいって大人気です
それでもお小遣いが限られてるから頻繁にいけるわけではないんだけど
そこで二人とおしゃべりをする時間が私は大好きです
私たちは、今日もそのお店に寄って行きました
私がジュースを飲んでいるときにさやかちゃんが笑わせてこようとするのをこらえるのが大変でした
私はさやかちゃんに怒るけど、さやかちゃんは笑っていて全然反省の色が見えません
でも私は、そんなさやかちゃんの笑顔が大好きで、怒るに怒れなくなってしまうのです
まどか「もー!やめてよさやかちゃん!」
さやか「へっへー、そんなこと言ってまんざらでもないんでしょー?」ニヤニヤ
まどか「も、もー!」
ピピピピ……
さやか「ん?仁美。携帯のアラーム鳴ってるよ」
仁美「あら、もうそんな時間……。お先に失礼しますね。お稽古事があるので……」
さやか「今日は何のお稽古?」
仁美「今日は華道ですわ」
まどか「またね、仁美ちゃん」
仁美ちゃんが帰ってからも、私たちはおしゃべりを続けていました
でもしばらくして、さやかちゃんが言いました
さやか「さてと、今日はそろそろ帰ろうか」
まどか「……うん、そうだね」
いつもなら、まだ帰る時間ではありません
でも、わたしには分かっていました
さやかちゃんが早くに帰る時は、決まって行くところがあるんです
まどか「……今日も上条君の所?」
さやか「へへっ、まあね」
上条君
上条恭介君
それがさやかちゃんの好きな人の名前
上条君はさやかちゃんの子供のころからの幼馴染です
私なんかよりもさやかちゃんとの付き合いが長くて、顔立ちも整ってて、そして男の子で
さやかちゃんが上条君の事を好きになるのは当然の事なんだと思います
まどか「上条君、もうすぐ退院なんだよね」
さやか「うん、恭介のやつすっごい喜んでた」
さやか「……最近あいつ前みたいに笑うようになったんだ」
まどか「よかったね、さやかちゃん」
さやか「……うん、よかった」
だから私は、さやかちゃんが上条君の為に願いを使った時も、驚きませんでした
ああやっぱりって、そう思いました
私はさやかちゃんが好きです
だから私は、さやかちゃんの恋を応援しています
本当はちょっとだけ悔しいけど、それでも私はさやかちゃんには幸せになってほしいんです
……そう、自分に言い聞かせているんです
ーーーある日の放課後
まどか(今日はさやかちゃんも仁美ちゃんも用事があって一緒に帰れない)
まどか(さやかちゃんと帰れないのは寂しいけど、仕方ないよね)
まどか(今日はさやかちゃんにとってすごく大事な日だから……)
まどか「……あれ?あそこに歩いてるのって、ほむらちゃん?」
まどか「ほむらちゃーん」トテトテ
ほむら「……何かしら」
まどか「ほむらちゃんも帰るところ?その、一緒に帰ってもいいかな?」
ほむら「……別にかまわないわ」
まどか「うん!」
ほむら「……ところで、今日は美樹さやかは一緒じゃないのね」
まどか「うん……。今日はね、さやかちゃんとっても大事な用があるから」
ほむら「ああ、そういえば今日は確か上条恭介の退院の日だったわね」
まどか「あれ?ほむらちゃん上条君の事知ってるの?」
ほむら「……噂で聞いたわ。美樹さやかの友達の男の子が入院してるって」
まどか「あ、そうなんだ。うん、そうなの。さやかちゃんったら今日は朝からずっとそわそわしてたんだよ」
ほむら「そう」
まどか「でも、さやかちゃん嬉しそうだった。ホントに良かったよ」
ほむら「そのわりには、あなたは少し元気がないように見えたけど」
まどか「え?」
まどか「そ、そんな事ないよ?どうして?」
ほむら「勘違いならごめんなさい」
ほむら「でも今日のあなた、たまに暗い顔をしてい るような気がしたから」
予想外の言葉に私はびっくりしてしまいました
そんなに暗い顔してたのかな、私
そんなつもり、なかったんだけどな
そんな顔、絶対にしたらいけないのに
さやかちゃんの事、笑って応援してあげなくちゃいけないのに……
ーーー
ーーー
仁美「私、上条恭介君の事をお慕いしてましたの」
さやかちゃんに大事な話があるという仁美ちゃんに誘われて、いつものお店に行きました
私は行かない方がいいんじゃないかって思ったんだけど、私にも聞いてほしいという仁美ちゃんの目はとても真剣そうで、それを断ることなんて私には出来ませんでした
さやか「へ、へー。仁美がねー。あいつも隅に置けないなー」タハハ…
まどか「……」
仁美「私は明日、上条君に告白します。あなたはどうしますか?」
さやか「あ、あたしは……」
仁美「どうか後悔なさらないようお願いします」スクッ
さやか「あたし、どうしたらいいのかな……?」ボソリ
まどか「……」
さやか「仁美は可愛いし、すっごいいい子だし。正直さ、あたしなんかより よっぽど恭介の事を幸せにしてくれんじゃないかなって思うんだ」
まどか「さやかちゃん……」
さやか「だからさ、私はこのまま身を引いた方がいいのかな、なんて思った り……」
まどか(……もし、仁美ちゃんが上条君と付き合うことになったら、さやかちゃんはどうするんだろ)
まどか(さやかちゃんは、ちゃんと上条君を諦めることができるのかな)
まどか(そしたら、もしかしたら私にも……)
まどか(って……何考えてるの私……!)ブンブン
まどか「さやかちゃんはそれでいいの?」
まどか(さやかちゃんが幸せになってくれることが、私の幸せ……だから)
まどか「仁美ちゃんに恭介君をとられても、さやかちゃんは後悔しない?」
さやか「それは……」
まどか「私はさやかちゃんに後悔してほしくない。それにね、さやかちゃん だって仁美ちゃんに負けないくらい素敵な女の子だもん」
まどか「私は、上条君とさやかちゃんはお似合いのカップルだって思うな」
さやか「まどか……」
さやか「……うん、ありがとう、まどか」ニコッ
さやか「まどかのおかげで決心がついたよ。私も、恭介にちゃんと告白してくる」
まどか「……うん!」
大丈夫だったかな……
私の声、震えたりしてなかったかな……
私はちゃんと、さやかちゃんを後押しする事が、出来てたかな……
さやか「よーし、やるぞー」
まどか「頑張ってさやかちゃん」
さやか「おう!まどかも応援しててね!」
まどか「もちろんだよ!」
これでいいんです
こうするしかないんです
私は女の子で
さやかちゃんも女の子で
さやかちゃんは上条君が好きで
まどか「私はさやかちゃんの事、応援するから!」
そして私は、嘘つきだから
それが、昨日の出来事でした
智久「おかえり、まどか」
ほむらちゃんと別れて、家についた私をパパが出迎えてくれました
智久「ちょっとクッキーを焼いてみたんだけど、食べるかい?」
まどか「……ごめんパパ、今はいらない」
パパの作ってくれるお菓子はとても美味しくて大好きです
でも今は、どうしてもそんな気分になれませんでした
いつもとは違う様子の私にパパは心配そうな顔を向けてくれます
そんなパパの目から逃げるように私はすぐに自分の部屋に行き、そして制服も脱がずにベッドに倒れ込みました
まどか「さやかちゃん……」
今頃さやかちゃんはどうしてるかな
もう上条君に告白したのかな
返事はどうだったのかな
そんな事ばかりが頭の中をぐるぐるとまわっています
どれくらいの時間がたったのかわかりません
いつの間にか、窓の外は暗くなっていて
そして私の携帯電話から、着信を知らせる明るい歌が流れはじめました
画面を見なくてもわかります
この着信音はさやかちゃんです
ちょっと前に、さやかちゃんが好きだと教えてくれたラブソング
私は携帯を手に取ります
自分の心臓が、とてもうるさく感じられます
もし、さやかちゃんの告白が成功していたら
その時は、笑っておめでとうを言おう
そして、この恋をちゃんと終わりにしよう
終わりにしなくちゃ、いけないんです
でも、もし……
もし、さやかちゃんの告白が失敗していたら
その時は、私は……
私は震える指を必死に抑えて、携帯の通話ボタンを押しました
まどか「おはよう、パパ」
智久「おはよう、まどか」
智久「悪いんだけどママのこと起こしてきてくれるかい?」
まどか「はーい」
タツヤ「ママー、起きてー」トーントーン
まどか「起きろー!」ユサユサユサユサ!!
絢子「うわあああ!」ユサユサユサユサ!!
今日の朝ご飯は目玉焼きと野菜サラダでした
パパの作ってくれるご飯は美味しいんだけど、そのせいでついつい食べ過ぎ ちゃうのが少し悩みだったりします
まどか「いってきまーす」
智久「いってらっしゃーい、車には気をつけるんだよー」
まどか「はーい!」タッタッタッ
まどか「……あ!」
さやか「おーいまどかー!」ブンブン
まどか「さやかちゃーん」
さやか「おはよう、まどか!」
さやかちゃんは照れくさそうに笑っていました
私はそんなさやかちゃんに駆け寄ります
まどか「おはよう。それと」
そして私は、出来る限り満面の笑顔で、こう言いました
まどか「おめでとう、さやかちゃん」ニコッ
さやか「ありがとう、まどか。って、このやりとり昨日電話でもしたような」
まどか「そうだけど、でもやっぱり直接言いたかったから」
さやか「アハハ。な、なんていうか照れるね、やっぱ」
まどか「でも、良かったの?上条君と登校しなくて」
さやか「いいの。あたしはまどか達のことも大事だもん」
さやか「彼氏が出来た途端に友達をないがしろにするようなさやかちゃんじゃあないよ!」エヘン
まどか「えー、ホントかなあ?」クス
さやか「ホントだってば!」
仁美「お二人共、おはようございます」ヒョコッ
まどか「おはよう、仁美ちゃん」
さやか「お、おはよう」
仁美「それでは行きましょうか」
さやか「あ、あのさ、仁美。あたし……」
仁美「……さやかさん」
仁美「もしかして、謝ろうなんて思ってるわけじゃありませんよね?」
さやか「え!?いや、だって……」
仁美「馬鹿にしないでくださいますか。私はあなたに負けた、ただそれだけです。さやかさんは堂々としていればいいんです」
まどか「仁美ちゃん……」
仁美「それとも私たちの友情は、このくらいで揺らいでしまう程度のものだったのでしょうか?」
さやか「……分かった。仁美の言うとおりだね。あたしは謝らないよ」
仁美「それでいいんです。言っておきますけど、私はまだ完全に諦めたわけではありませんので!」コンブ!
さやか「いいよ。仁美に恭介は渡さないから!」フンス!
良かった
今回の件で、私たちの関係がギクシャクしてしまうんじゃないかって心配してたけど、どうやら大丈夫だったみたいです
すごいと思いました
さやかちゃんも仁美ちゃんも、とても強くて
二人とも、私の自慢の友達です
ーーー教室
和子「今日は皆さんに重大なお話があります。心して聞くように」
和子「味噌汁の具は、大根ですか?それともお豆腐ですか?はい、中沢君!」
中沢「え!?えーと、どっちでもいいかと……」
和子「その通り!どっちでもよろしい!」
和子「いいですか!男は味噌汁の具材どうこうで~~」ウンヌンカンヌン
さやか「……ありゃ、またダメだったみたいだね」ボソボソ
まどか「ホントだね」ボソボソ
和子「そこ!無駄話しない!!」
和子「はい、それともう一つ。今日は嬉しいニュースがあります。入ってき て」
ガラッ
恭介「上条恭介です。昨日病院を退院して、今日からまた学校に通えることになりました」
恭介「みんな、またどうかよろしくお願いします」
その途端教室から歓声があがりました
口笛を吹いて迎える男の子や、おかえりと声をかける女の子
クラス中のみんなが、上条君の退院をお祝いしていました
私はさやかちゃんの方をちらりと見ます
さやかちゃんは目に涙を湛えながら、それでも笑顔で上条君を見つめていました
ーーー放課後
まどか「ごめん、さやかちゃん。私ちょっと先生に用事があるから、今日は先に帰っててくれるかな?」
さやか「そうなの?いいよ、待ってるから」
まどか「でも、どのくらい時間かかるかわからないから。それより、せっかくなんだから今日は上条君と一緒に帰りなよ」
さやか「ええ!?い、いいってそんな」ワタワタ
仁美「あら、いいじゃありませんか。今日くらい二人きりで帰ったらどうです?」
まどか「上条くーん!」
さやか「ちょ、まどか!?」アセアセ
恭介「なんだい、鹿目さん?」
まどか「私と仁美ちゃん、今日はさやかちゃんと一緒に帰れなくて。上条君、さやかちゃんをお家まで送っていってあげてくれないかな?」
恭介「もちろんいいよ。それじゃ帰ろうか、さやか」
さやか「えっ、でも……」
まどか「私たちの事は気にしなくていいから。ね?」
さやか「……わかった。じゃあたし達先に帰るから。帰ろ、恭介」スタスタ…
恭介「うん。じゃあまた明日、鹿目さん、志筑さん」スタスタ…
そう言って、二人は並んで教室から出ていきました
私たちは二人のことを手を振って見送ります
仁美「それでは私たちも帰りましょうか、まどかさん」
まどか「ごめん、仁美ちゃん。今日は先に帰ってもらってもいい?」
仁美「あら、もしかして本当に先生に用事があるのですか?てっきりさやかさん達を帰らせる口実かと思っていました」
まどか「アハハ、ごめんね」
仁美ちゃんも帰った後、私は一人で教室を出ました
行き先は職員室、ではありません
私は階段を上って、屋上のドアを開きます
思った通り、ここには誰もいません
私はフェンスに背中を預けて、なにをするでもなくボーッと空を見上げます
別に、屋上に用があったわけではありません
ただ、どこでもいいから、一人になれる場所に来たかったんです
空を見上げてひと呼吸した、その瞬間
私の心の中にあった檻が、音をたてて崩れていくような気がしました
それまで必死に閉じこめていたものが、次から次へと溢れ出しきて
そしてそれは涙になって、私の頬を流れ落ちていきます
まどか「ぅ……ぁ……」
さやかちゃんが幸せになってくれるなら、それでいい
私は今まで、ずっとそう思ってきました
ううん、そう思いこもうとしてきました
だけど、気づいてしまいました
まどか「ぁ……ぁぁぁぁ……」
私は、さやかちゃんの告白が失敗してほしいと願っていました
さやかちゃんと上条君に恋人同士になってほしくありませんでした
さやかちゃんが上条君の事を口にする度に、私は上条君がいなければいいのにと思いました
さやかちゃんの好きな人が、私だったらいいのにと思っていました
さやかちゃんが幸せになった時、その隣にいるのが私であってほしいと、そう思わずにはいられませんでした
まどか「ぁあ……ぁああああ!」
涙が止まりません
さやか『まどかをいじめるなー!』
さやか『大丈夫、まどか?』
さやか『安心して。まどかはあたしが守ってあげるから』
さやか『だからまどかも、絶対あたしの側から離れちゃ駄目だよ』
小学生の時
クラスメイトにからかわれていた私を、さやかちゃんが助けてくれたことがありました
きっとさやかちゃんはもう覚えてないだろうけど、それでも私はさやかちゃんのその言葉がとても嬉しかった
そしてその言葉の通り、さやかちゃんはずっと私を守ってくれました
ねえ、さやかちゃん
私はやっぱり、あなたの事が大好きです
きっと、すぐに忘れることは出来ないと思います
でも、このままじゃいけないから
さやかちゃんのことを、もう自由にさせてあげなくちゃいけないから
今まで私の事を守ってくれて、本当にありがとう
あなたを好きでいられて、私はとても幸せでした
ーーーー
まどか神「……っていうのを書いてみたんだけどどうかなさやかちゃん!!」
さやか「え、あ、うん……どうかなって言われても反応に困ると言うか何と言うか……」ウーン…
まどか神「かなわぬ恋に破れ1人屋上で咽び泣く……そして恋した人に『ありがとう』と伝える……」
まどか神「これはもう乙女のハートグッと掴んで離さないはずだよ!!」バーン!
さやか「そ、ソウナンダ。スゴイナー……」
まどか「もー!さやかちゃん反応薄ーい!!」プンプン!!
さやか「まどかアンタねぇ……自分の名前出されてる恋愛小説?読まされてマトモな反応なんか出来るわけないでしょ!!」
まどか神「えー、ひどいよさやかちゃん」
さやか「ひどいのはどっちだ!!」
まどか神「だって暇なんだもん」ブーブー
さやか「円環のダ女神(ダメ神)」ボソッ
まどか神「さやかちゃん!円環の理は暇な方がいいんだよ!私たちが商売繁盛しちゃったら只事じゃないんだから!!」
さやか「円環の理って商売だったんだ……」
まどか神「こ、言葉のあやだよー!!」
さやか「でさ、いくら暇だからってなんでこんなもん書いたの?」ペラペラ
まどか神「えーっと……それはー……」シドロモドロ
さやか「んー?なによそんなにあたふたしちゃって?」
まどか神「あっ、あたふたなんてしてないよ!」アタフタ
さやか「効果音アタフタに変わってるぞー?」
まどか神「はっ!しまった……」アセアセ
さやか「で、結局なんなのさ?なんか目的とかあったんでしょ?」
まどか神「それは……その……」モジモジ
さやか「ん?」
まどか神「最近……さやかちゃんが……相手してくれないから……」ボソボソ…
さやか「……なぁにそれ?聞いて呆れちゃったわ……」ハァ
まどか神「だ、だってだってぇ!!」
さやか「口でいえばいいでしょーよ口でー!」グニグニグニ!
まどか神「い、いひゃいいひゃい!!ひゃめてひゃやかひゃん!!!!」グニグニグニ!
まどか神「ほっぺた伸びちゃうかと思った……」ヒリヒリ
さやか「……はぁ」
さやか「まどか」スッ
まどか神「ふぇっ?」
チュッ
まどか神「」
さやか「……これで満足?」
まどか神「あ、い、今のって……?」カァァ……
さやか「出血大サービス。さやかちゃんのチッスよチッス~」ニカッ
まどか神「うぇ、うぇひひ……」
さやか「まどか?」
まどか神「さやかちゃんのキス……」
まどか神「さやかちゃんのキスさやかちゃんのキスさやかちゃんのキスさやかちゃんのキスさやかちゃんのキスさやかちゃんのキスさやかちゃんの…」ブツブツブツ
さやか「ま、まどか!?ちょ、どうしたの!?」
まどか神「うぇ……」
さやか「うぇ?」
まどか神「うぇひー///!」バターンッ!!
さやか「うわぁぁぁぉ!?!?!?」ビクゥッ!!
さやか「大変だー!!まどかが倒れたー!!」
なぎさ「えらいこっちゃなのです!!」ヌッ
さやか「うわ!急に現れないでよ!」ビクゥッ!
なぎさ「これは一大事なのです!!円環の理が鼻血を吹いてぶっ倒れてしまったのです!!」
なぎさ「円環ワールドのみんなに教えなければならないのですー!」ピュー!!
さやか「ちょっ……!なぎさぁー!!やめなさいって!!まてーー!!!」ダダダダダダ!!
まどか神「うぇ、うぇひひ///」ドクドク…
まどか神「円環ワールドは……今日も賑やかです///」ドクドク…
おわれ
元スレ
さやか「まーどか!」ガバッ
まどか「きゃっ!?」ビクッ
さやか「きゃっ!?っだって。相変わらずまどかったらかわいいなあ」
まどか「もう、急にびっくりするよ」
さやか「ボーっとしてたまどかが悪い!」
まどか(私も悪いかもしれないけど、でもさやかちゃん絶対びっくりさせようとしてたよね)
さやか「何考えてたの?」
まどか「ううん、なんでもないの。それより重いよさやかちゃん」
6: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/11/18(火) 08:42:43.73 ID:0Py/011K0.net
さやか「な!?女の子に向かって重いだなんて失礼な奴め。そんなこと言うやつにはこうだ!」コチョコチョ
まどか「さ、さやかちゃん!やめ、きゃ、きゃははは」
仁美「お二人は相変わらず仲がよろしくてうらやましいですわ」ワカメ
さやか「まあね。まどかはあたしの嫁だから」
まどか「もう、さやかちゃんはまたそんなことばっかり言って」
まどか(……)
8: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/11/18(火) 08:43:44.53 ID:0Py/011K0.net
呆れたような私の口調も気にせず、さやかちゃんは笑います
さやかちゃんはよくこういう事を言います
その度に、私はとてもドキドキしてしまいます
さやかちゃんにとっては冗談だということは分かってるけど
だけど私は、さやかちゃんのその言葉がとても嬉しくて
そして、本当にさやかちゃんのお嫁さんになれればいいのにと、叶わない夢を見てしまうのです
10: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/11/18(火) 08:45:24.04 ID:0Py/011K0.net
ーーー教室
まどか「おはよう、ほむらちゃん」
ほむら「おはよう」
まどか「ほむらちゃん、そろそろ学校には慣れた?」
ほむら「ええ、まあ」
まどか「よかった。でも、困ったことがあったら何でも言ってね?」
ほむら「ありがとう。でも大丈夫よ」
まどか「そ、そっか……」
11: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/11/18(火) 08:46:50.60 ID:0Py/011K0.net
さやか「ちょっと転校生!」バンッ
さやか「せっかくまどかが話しかけてあげてるのになんなのあんたのその態 度!」
まどか「さ、さやかちゃん」
ほむら「私は別に話しかけてほしいだなんて頼んだ覚えはないけれど」
さやか「はあ!?ホントムカつくやつ。あんたなんかそうやってずっと一人でいればいいよ!行こ、二人とも」スタスタ…
まどか「さ、さやかちゃん!あっ、またね、ほむらちゃん」
ほむら「……」
13: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/11/18(火) 08:48:46.14 ID:0Py/011K0.net
さやか「あームカつく!まどか、もうあいつに話しかけるのやめなよ」
まどか「でも……やっぱりほむらちゃんとも仲良くなりたいな」
仁美「まどかさんは優しいですね」
まどか「そんなんじゃないよ。私がほむらちゃんと友達になりたいだけなの」
さやか「でも聞いたでしょ。転校生自身がああ言ってるだもん。どうしようもないでしょ」
まどか「うん、そうなんだけど……」ショボン…
15: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/11/18(火) 08:53:11.23 ID:0Py/011K0.net
ーーー放課後
さやか「よっしゃー終わった!」
仁美「あらあら、授業中は机に突っ伏して寝ていた方と同じとは思えませんわ」クス
さやか「もー!うるさいなー仁美はー!」プンスカ
さやか「今日もいつものとこ寄って行くでしょ?」
まどか「うん」
仁美「お供しますわ」
16: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/11/18(火) 08:54:40.78 ID:0Py/011K0.net
私たちはたまに帰りに寄り道をしていきます
そこは見滝原中の生徒の行きつけのお店で、安くておいしいって大人気です
それでもお小遣いが限られてるから頻繁にいけるわけではないんだけど
そこで二人とおしゃべりをする時間が私は大好きです
私たちは、今日もそのお店に寄って行きました
私がジュースを飲んでいるときにさやかちゃんが笑わせてこようとするのをこらえるのが大変でした
私はさやかちゃんに怒るけど、さやかちゃんは笑っていて全然反省の色が見えません
でも私は、そんなさやかちゃんの笑顔が大好きで、怒るに怒れなくなってしまうのです
18: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/11/18(火) 08:58:05.49 ID:0Py/011K0.net
まどか「もー!やめてよさやかちゃん!」
さやか「へっへー、そんなこと言ってまんざらでもないんでしょー?」ニヤニヤ
まどか「も、もー!」
ピピピピ……
さやか「ん?仁美。携帯のアラーム鳴ってるよ」
仁美「あら、もうそんな時間……。お先に失礼しますね。お稽古事があるので……」
さやか「今日は何のお稽古?」
仁美「今日は華道ですわ」
まどか「またね、仁美ちゃん」
21: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/11/18(火) 08:59:13.17 ID:0Py/011K0.net
仁美ちゃんが帰ってからも、私たちはおしゃべりを続けていました
でもしばらくして、さやかちゃんが言いました
さやか「さてと、今日はそろそろ帰ろうか」
まどか「……うん、そうだね」
いつもなら、まだ帰る時間ではありません
でも、わたしには分かっていました
さやかちゃんが早くに帰る時は、決まって行くところがあるんです
まどか「……今日も上条君の所?」
さやか「へへっ、まあね」
23: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/11/18(火) 09:00:30.57 ID:0Py/011K0.net
上条君
上条恭介君
それがさやかちゃんの好きな人の名前
上条君はさやかちゃんの子供のころからの幼馴染です
私なんかよりもさやかちゃんとの付き合いが長くて、顔立ちも整ってて、そして男の子で
さやかちゃんが上条君の事を好きになるのは当然の事なんだと思います
25: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/11/18(火) 09:02:20.68 ID:0Py/011K0.net
まどか「上条君、もうすぐ退院なんだよね」
さやか「うん、恭介のやつすっごい喜んでた」
さやか「……最近あいつ前みたいに笑うようになったんだ」
まどか「よかったね、さやかちゃん」
さやか「……うん、よかった」
だから私は、さやかちゃんが上条君の為に願いを使った時も、驚きませんでした
ああやっぱりって、そう思いました
28: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/11/18(火) 09:04:27.61 ID:0Py/011K0.net
私はさやかちゃんが好きです
だから私は、さやかちゃんの恋を応援しています
本当はちょっとだけ悔しいけど、それでも私はさやかちゃんには幸せになってほしいんです
……そう、自分に言い聞かせているんです
30: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/11/18(火) 09:08:50.65 ID:0Py/011K0.net
ーーーある日の放課後
まどか(今日はさやかちゃんも仁美ちゃんも用事があって一緒に帰れない)
まどか(さやかちゃんと帰れないのは寂しいけど、仕方ないよね)
まどか(今日はさやかちゃんにとってすごく大事な日だから……)
まどか「……あれ?あそこに歩いてるのって、ほむらちゃん?」
まどか「ほむらちゃーん」トテトテ
ほむら「……何かしら」
まどか「ほむらちゃんも帰るところ?その、一緒に帰ってもいいかな?」
31: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/11/18(火) 09:11:41.79 ID:0Py/011K0.net
ほむら「……別にかまわないわ」
まどか「うん!」
ほむら「……ところで、今日は美樹さやかは一緒じゃないのね」
まどか「うん……。今日はね、さやかちゃんとっても大事な用があるから」
ほむら「ああ、そういえば今日は確か上条恭介の退院の日だったわね」
まどか「あれ?ほむらちゃん上条君の事知ってるの?」
ほむら「……噂で聞いたわ。美樹さやかの友達の男の子が入院してるって」
33: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/11/18(火) 09:13:57.28 ID:0Py/011K0.net
まどか「あ、そうなんだ。うん、そうなの。さやかちゃんったら今日は朝からずっとそわそわしてたんだよ」
ほむら「そう」
まどか「でも、さやかちゃん嬉しそうだった。ホントに良かったよ」
ほむら「そのわりには、あなたは少し元気がないように見えたけど」
まどか「え?」
まどか「そ、そんな事ないよ?どうして?」
ほむら「勘違いならごめんなさい」
ほむら「でも今日のあなた、たまに暗い顔をしてい るような気がしたから」
34: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/11/18(火) 09:15:27.19 ID:0Py/011K0.net
予想外の言葉に私はびっくりしてしまいました
そんなに暗い顔してたのかな、私
そんなつもり、なかったんだけどな
そんな顔、絶対にしたらいけないのに
さやかちゃんの事、笑って応援してあげなくちゃいけないのに……
ーーー
35: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/11/18(火) 09:18:59.28 ID:0Py/011K0.net
ーーー
仁美「私、上条恭介君の事をお慕いしてましたの」
さやかちゃんに大事な話があるという仁美ちゃんに誘われて、いつものお店に行きました
私は行かない方がいいんじゃないかって思ったんだけど、私にも聞いてほしいという仁美ちゃんの目はとても真剣そうで、それを断ることなんて私には出来ませんでした
さやか「へ、へー。仁美がねー。あいつも隅に置けないなー」タハハ…
まどか「……」
仁美「私は明日、上条君に告白します。あなたはどうしますか?」
さやか「あ、あたしは……」
仁美「どうか後悔なさらないようお願いします」スクッ
36: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/11/18(火) 09:20:52.12 ID:0Py/011K0.net
さやか「あたし、どうしたらいいのかな……?」ボソリ
まどか「……」
さやか「仁美は可愛いし、すっごいいい子だし。正直さ、あたしなんかより よっぽど恭介の事を幸せにしてくれんじゃないかなって思うんだ」
まどか「さやかちゃん……」
さやか「だからさ、私はこのまま身を引いた方がいいのかな、なんて思った り……」
39: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/11/18(火) 09:25:51.98 ID:0Py/011K0.net
まどか(……もし、仁美ちゃんが上条君と付き合うことになったら、さやかちゃんはどうするんだろ)
まどか(さやかちゃんは、ちゃんと上条君を諦めることができるのかな)
まどか(そしたら、もしかしたら私にも……)
まどか(って……何考えてるの私……!)ブンブン
まどか「さやかちゃんはそれでいいの?」
まどか(さやかちゃんが幸せになってくれることが、私の幸せ……だから)
まどか「仁美ちゃんに恭介君をとられても、さやかちゃんは後悔しない?」
40: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/11/18(火) 09:27:53.07 ID:0Py/011K0.net
さやか「それは……」
まどか「私はさやかちゃんに後悔してほしくない。それにね、さやかちゃん だって仁美ちゃんに負けないくらい素敵な女の子だもん」
まどか「私は、上条君とさやかちゃんはお似合いのカップルだって思うな」
さやか「まどか……」
さやか「……うん、ありがとう、まどか」ニコッ
さやか「まどかのおかげで決心がついたよ。私も、恭介にちゃんと告白してくる」
まどか「……うん!」
41: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/11/18(火) 09:29:12.29 ID:0Py/011K0.net
大丈夫だったかな……
私の声、震えたりしてなかったかな……
私はちゃんと、さやかちゃんを後押しする事が、出来てたかな……
さやか「よーし、やるぞー」
まどか「頑張ってさやかちゃん」
さやか「おう!まどかも応援しててね!」
まどか「もちろんだよ!」
42: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/11/18(火) 09:30:24.80 ID:0Py/011K0.net
これでいいんです
こうするしかないんです
私は女の子で
さやかちゃんも女の子で
さやかちゃんは上条君が好きで
まどか「私はさやかちゃんの事、応援するから!」
そして私は、嘘つきだから
43: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/11/18(火) 09:33:18.09 ID:0Py/011K0.net
それが、昨日の出来事でした
智久「おかえり、まどか」
ほむらちゃんと別れて、家についた私をパパが出迎えてくれました
智久「ちょっとクッキーを焼いてみたんだけど、食べるかい?」
まどか「……ごめんパパ、今はいらない」
パパの作ってくれるお菓子はとても美味しくて大好きです
でも今は、どうしてもそんな気分になれませんでした
44: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/11/18(火) 09:34:57.87 ID:0Py/011K0.net
いつもとは違う様子の私にパパは心配そうな顔を向けてくれます
そんなパパの目から逃げるように私はすぐに自分の部屋に行き、そして制服も脱がずにベッドに倒れ込みました
まどか「さやかちゃん……」
今頃さやかちゃんはどうしてるかな
もう上条君に告白したのかな
返事はどうだったのかな
そんな事ばかりが頭の中をぐるぐるとまわっています
45: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/11/18(火) 09:36:33.09 ID:0Py/011K0.net
どれくらいの時間がたったのかわかりません
いつの間にか、窓の外は暗くなっていて
そして私の携帯電話から、着信を知らせる明るい歌が流れはじめました
画面を見なくてもわかります
この着信音はさやかちゃんです
ちょっと前に、さやかちゃんが好きだと教えてくれたラブソング
私は携帯を手に取ります
自分の心臓が、とてもうるさく感じられます
46: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/11/18(火) 09:39:23.19 ID:0Py/011K0.net
もし、さやかちゃんの告白が成功していたら
その時は、笑っておめでとうを言おう
そして、この恋をちゃんと終わりにしよう
終わりにしなくちゃ、いけないんです
でも、もし……
もし、さやかちゃんの告白が失敗していたら
その時は、私は……
私は震える指を必死に抑えて、携帯の通話ボタンを押しました
47: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/11/18(火) 09:41:47.63 ID:0Py/011K0.net
まどか「おはよう、パパ」
智久「おはよう、まどか」
智久「悪いんだけどママのこと起こしてきてくれるかい?」
まどか「はーい」
タツヤ「ママー、起きてー」トーントーン
まどか「起きろー!」ユサユサユサユサ!!
絢子「うわあああ!」ユサユサユサユサ!!
今日の朝ご飯は目玉焼きと野菜サラダでした
パパの作ってくれるご飯は美味しいんだけど、そのせいでついつい食べ過ぎ ちゃうのが少し悩みだったりします
48: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/11/18(火) 09:44:49.40 ID:0Py/011K0.net
まどか「いってきまーす」
智久「いってらっしゃーい、車には気をつけるんだよー」
まどか「はーい!」タッタッタッ
まどか「……あ!」
さやか「おーいまどかー!」ブンブン
まどか「さやかちゃーん」
さやか「おはよう、まどか!」
49: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/11/18(火) 09:46:04.71 ID:0Py/011K0.net
さやかちゃんは照れくさそうに笑っていました
私はそんなさやかちゃんに駆け寄ります
まどか「おはよう。それと」
そして私は、出来る限り満面の笑顔で、こう言いました
まどか「おめでとう、さやかちゃん」ニコッ
52: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/11/18(火) 09:49:17.84 ID:0Py/011K0.net
さやか「ありがとう、まどか。って、このやりとり昨日電話でもしたような」
まどか「そうだけど、でもやっぱり直接言いたかったから」
さやか「アハハ。な、なんていうか照れるね、やっぱ」
まどか「でも、良かったの?上条君と登校しなくて」
さやか「いいの。あたしはまどか達のことも大事だもん」
さやか「彼氏が出来た途端に友達をないがしろにするようなさやかちゃんじゃあないよ!」エヘン
まどか「えー、ホントかなあ?」クス
さやか「ホントだってば!」
53: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/11/18(火) 09:51:34.81 ID:0Py/011K0.net
仁美「お二人共、おはようございます」ヒョコッ
まどか「おはよう、仁美ちゃん」
さやか「お、おはよう」
仁美「それでは行きましょうか」
さやか「あ、あのさ、仁美。あたし……」
仁美「……さやかさん」
仁美「もしかして、謝ろうなんて思ってるわけじゃありませんよね?」
さやか「え!?いや、だって……」
54: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/11/18(火) 09:52:54.31 ID:0Py/011K0.net
仁美「馬鹿にしないでくださいますか。私はあなたに負けた、ただそれだけです。さやかさんは堂々としていればいいんです」
まどか「仁美ちゃん……」
仁美「それとも私たちの友情は、このくらいで揺らいでしまう程度のものだったのでしょうか?」
さやか「……分かった。仁美の言うとおりだね。あたしは謝らないよ」
仁美「それでいいんです。言っておきますけど、私はまだ完全に諦めたわけではありませんので!」コンブ!
さやか「いいよ。仁美に恭介は渡さないから!」フンス!
55: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/11/18(火) 09:53:51.50 ID:0Py/011K0.net
良かった
今回の件で、私たちの関係がギクシャクしてしまうんじゃないかって心配してたけど、どうやら大丈夫だったみたいです
すごいと思いました
さやかちゃんも仁美ちゃんも、とても強くて
二人とも、私の自慢の友達です
57: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/11/18(火) 09:59:35.85 ID:0Py/011K0.net
ーーー教室
和子「今日は皆さんに重大なお話があります。心して聞くように」
和子「味噌汁の具は、大根ですか?それともお豆腐ですか?はい、中沢君!」
中沢「え!?えーと、どっちでもいいかと……」
和子「その通り!どっちでもよろしい!」
和子「いいですか!男は味噌汁の具材どうこうで~~」ウンヌンカンヌン
さやか「……ありゃ、またダメだったみたいだね」ボソボソ
まどか「ホントだね」ボソボソ
和子「そこ!無駄話しない!!」
58: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/11/18(火) 10:01:38.79 ID:0Py/011K0.net
和子「はい、それともう一つ。今日は嬉しいニュースがあります。入ってき て」
ガラッ
恭介「上条恭介です。昨日病院を退院して、今日からまた学校に通えることになりました」
恭介「みんな、またどうかよろしくお願いします」
その途端教室から歓声があがりました
口笛を吹いて迎える男の子や、おかえりと声をかける女の子
クラス中のみんなが、上条君の退院をお祝いしていました
私はさやかちゃんの方をちらりと見ます
さやかちゃんは目に涙を湛えながら、それでも笑顔で上条君を見つめていました
60: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/11/18(火) 10:03:13.59 ID:0Py/011K0.net
ーーー放課後
まどか「ごめん、さやかちゃん。私ちょっと先生に用事があるから、今日は先に帰っててくれるかな?」
さやか「そうなの?いいよ、待ってるから」
まどか「でも、どのくらい時間かかるかわからないから。それより、せっかくなんだから今日は上条君と一緒に帰りなよ」
さやか「ええ!?い、いいってそんな」ワタワタ
仁美「あら、いいじゃありませんか。今日くらい二人きりで帰ったらどうです?」
まどか「上条くーん!」
さやか「ちょ、まどか!?」アセアセ
61: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/11/18(火) 10:04:45.72 ID:0Py/011K0.net
恭介「なんだい、鹿目さん?」
まどか「私と仁美ちゃん、今日はさやかちゃんと一緒に帰れなくて。上条君、さやかちゃんをお家まで送っていってあげてくれないかな?」
恭介「もちろんいいよ。それじゃ帰ろうか、さやか」
さやか「えっ、でも……」
まどか「私たちの事は気にしなくていいから。ね?」
さやか「……わかった。じゃあたし達先に帰るから。帰ろ、恭介」スタスタ…
恭介「うん。じゃあまた明日、鹿目さん、志筑さん」スタスタ…
62: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/11/18(火) 10:05:34.28 ID:0Py/011K0.net
そう言って、二人は並んで教室から出ていきました
私たちは二人のことを手を振って見送ります
仁美「それでは私たちも帰りましょうか、まどかさん」
まどか「ごめん、仁美ちゃん。今日は先に帰ってもらってもいい?」
仁美「あら、もしかして本当に先生に用事があるのですか?てっきりさやかさん達を帰らせる口実かと思っていました」
まどか「アハハ、ごめんね」
63: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/11/18(火) 10:06:32.72 ID:0Py/011K0.net
仁美ちゃんも帰った後、私は一人で教室を出ました
行き先は職員室、ではありません
私は階段を上って、屋上のドアを開きます
思った通り、ここには誰もいません
私はフェンスに背中を預けて、なにをするでもなくボーッと空を見上げます
別に、屋上に用があったわけではありません
ただ、どこでもいいから、一人になれる場所に来たかったんです
64: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/11/18(火) 10:07:53.25 ID:0Py/011K0.net
空を見上げてひと呼吸した、その瞬間
私の心の中にあった檻が、音をたてて崩れていくような気がしました
それまで必死に閉じこめていたものが、次から次へと溢れ出しきて
そしてそれは涙になって、私の頬を流れ落ちていきます
まどか「ぅ……ぁ……」
さやかちゃんが幸せになってくれるなら、それでいい
私は今まで、ずっとそう思ってきました
ううん、そう思いこもうとしてきました
だけど、気づいてしまいました
65: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/11/18(火) 10:08:37.09 ID:0Py/011K0.net
まどか「ぁ……ぁぁぁぁ……」
私は、さやかちゃんの告白が失敗してほしいと願っていました
さやかちゃんと上条君に恋人同士になってほしくありませんでした
さやかちゃんが上条君の事を口にする度に、私は上条君がいなければいいのにと思いました
さやかちゃんの好きな人が、私だったらいいのにと思っていました
さやかちゃんが幸せになった時、その隣にいるのが私であってほしいと、そう思わずにはいられませんでした
まどか「ぁあ……ぁああああ!」
涙が止まりません
66: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/11/18(火) 10:09:39.56 ID:0Py/011K0.net
さやか『まどかをいじめるなー!』
さやか『大丈夫、まどか?』
さやか『安心して。まどかはあたしが守ってあげるから』
さやか『だからまどかも、絶対あたしの側から離れちゃ駄目だよ』
小学生の時
クラスメイトにからかわれていた私を、さやかちゃんが助けてくれたことがありました
きっとさやかちゃんはもう覚えてないだろうけど、それでも私はさやかちゃんのその言葉がとても嬉しかった
そしてその言葉の通り、さやかちゃんはずっと私を守ってくれました
68: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/11/18(火) 10:10:36.33 ID:0Py/011K0.net
ねえ、さやかちゃん
私はやっぱり、あなたの事が大好きです
きっと、すぐに忘れることは出来ないと思います
でも、このままじゃいけないから
さやかちゃんのことを、もう自由にさせてあげなくちゃいけないから
今まで私の事を守ってくれて、本当にありがとう
あなたを好きでいられて、私はとても幸せでした
70: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/11/18(火) 10:17:45.09 ID:0Py/011K0.net
ーーーー
まどか神「……っていうのを書いてみたんだけどどうかなさやかちゃん!!」
さやか「え、あ、うん……どうかなって言われても反応に困ると言うか何と言うか……」ウーン…
まどか神「かなわぬ恋に破れ1人屋上で咽び泣く……そして恋した人に『ありがとう』と伝える……」
まどか神「これはもう乙女のハートグッと掴んで離さないはずだよ!!」バーン!
さやか「そ、ソウナンダ。スゴイナー……」
まどか「もー!さやかちゃん反応薄ーい!!」プンプン!!
71: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/11/18(火) 10:21:46.53 ID:0Py/011K0.net
さやか「まどかアンタねぇ……自分の名前出されてる恋愛小説?読まされてマトモな反応なんか出来るわけないでしょ!!」
まどか神「えー、ひどいよさやかちゃん」
さやか「ひどいのはどっちだ!!」
まどか神「だって暇なんだもん」ブーブー
さやか「円環のダ女神(ダメ神)」ボソッ
まどか神「さやかちゃん!円環の理は暇な方がいいんだよ!私たちが商売繁盛しちゃったら只事じゃないんだから!!」
さやか「円環の理って商売だったんだ……」
まどか神「こ、言葉のあやだよー!!」
72: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/11/18(火) 10:24:43.32 ID:0Py/011K0.net
さやか「でさ、いくら暇だからってなんでこんなもん書いたの?」ペラペラ
まどか神「えーっと……それはー……」シドロモドロ
さやか「んー?なによそんなにあたふたしちゃって?」
まどか神「あっ、あたふたなんてしてないよ!」アタフタ
さやか「効果音アタフタに変わってるぞー?」
まどか神「はっ!しまった……」アセアセ
さやか「で、結局なんなのさ?なんか目的とかあったんでしょ?」
73: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/11/18(火) 10:28:17.43 ID:0Py/011K0.net
まどか神「それは……その……」モジモジ
さやか「ん?」
まどか神「最近……さやかちゃんが……相手してくれないから……」ボソボソ…
さやか「……なぁにそれ?聞いて呆れちゃったわ……」ハァ
まどか神「だ、だってだってぇ!!」
さやか「口でいえばいいでしょーよ口でー!」グニグニグニ!
まどか神「い、いひゃいいひゃい!!ひゃめてひゃやかひゃん!!!!」グニグニグニ!
74: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/11/18(火) 10:33:24.22 ID:0Py/011K0.net
まどか神「ほっぺた伸びちゃうかと思った……」ヒリヒリ
さやか「……はぁ」
さやか「まどか」スッ
まどか神「ふぇっ?」
チュッ
まどか神「」
さやか「……これで満足?」
まどか神「あ、い、今のって……?」カァァ……
さやか「出血大サービス。さやかちゃんのチッスよチッス~」ニカッ
まどか神「うぇ、うぇひひ……」
75: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/11/18(火) 10:35:32.42 ID:0Py/011K0.net
さやか「まどか?」
まどか神「さやかちゃんのキス……」
まどか神「さやかちゃんのキスさやかちゃんのキスさやかちゃんのキスさやかちゃんのキスさやかちゃんのキスさやかちゃんのキスさやかちゃんの…」ブツブツブツ
さやか「ま、まどか!?ちょ、どうしたの!?」
まどか神「うぇ……」
さやか「うぇ?」
まどか神「うぇひー///!」バターンッ!!
さやか「うわぁぁぁぉ!?!?!?」ビクゥッ!!
76: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/11/18(火) 10:40:42.30 ID:0Py/011K0.net
さやか「大変だー!!まどかが倒れたー!!」
なぎさ「えらいこっちゃなのです!!」ヌッ
さやか「うわ!急に現れないでよ!」ビクゥッ!
なぎさ「これは一大事なのです!!円環の理が鼻血を吹いてぶっ倒れてしまったのです!!」
なぎさ「円環ワールドのみんなに教えなければならないのですー!」ピュー!!
さやか「ちょっ……!なぎさぁー!!やめなさいって!!まてーー!!!」ダダダダダダ!!
まどか神「うぇ、うぇひひ///」ドクドク…
まどか神「円環ワールドは……今日も賑やかです///」ドクドク…
おわれ
まどか「まどさや……そういうのもあるのか」さやか「なぬ?」