1: 名無しで叶える物語 2020/11/25(水) 21:43:36.52 ID:s2XH9BU5.net

あなた「失礼します」ガラガラ

ランジュ「あら、また来たのね。どう、同好会の子たちの説得は上手くいってるかしら?」

あなた「そもそも説得することを同意した覚えはないんだけど、そうじゃなくて……」

あなた「今日はミアちゃんに会いに来たの」

ランジュ「ミアに?」



2: 名無しで叶える物語 2020/11/25(水) 21:44:50.66 ID:s2XH9BU5.net

ミア「はぁ、ボク忙しいんだけど……」

ランジュ「まあそう言わないで。作曲したことがある人間なら少しでもミアと近付きたいと思うものでしょ」

ミア「Bothersome……」

あなた「ちょっと違うけど、でもまあ大体そんな感じかな。もう一度ミアちゃんの曲を聴きたいなと思って」

ミア「勝手にしてよ。そこに昨日作った曲がいくつかあるから」

あなた「ありがとう」

あなた(うわぁ、相変わらずのセンス……14歳で英語混じりの喋り方にこの才能、おまけに飛び級……属性の盛りかたがすごいや。ジャーキーとか好きそう)

あなた(だけど……だけどこれなら……)

ランジュ「どう?認めたくないかもしれないけど、認めざるを得ないでしょ?同好会の子たちもこんな素晴らしい曲でパフォーマンスできるのよ」

ランジュ「これでアタシの部に入らないなんて言わないわよね」

あなた「……いや、逆にはっきりしたよ。スクールアイドル部には、入らないって」



3: 名無しで叶える物語 2020/11/25(水) 21:46:02.91 ID:s2XH9BU5.net

ランジュ「相変わらず理解ができないわ。これほどの楽曲を聞いて、プロの力に頼らない選択肢なんてないと思うけど」

あなた「確かに、ミアちゃんの曲はスゴい。あんな魅力的なフレーズやメロディ、私じゃ全然思いつかないよ」

ランジュ「当然でしょ、ミアは音楽の流行の中心なんだから」

ミア「……なんでランジュが誇らしげなのさ」

あなた「だけど、これは多くの人を見て作った曲だよね。大衆にうけるかどうかが計算されたような曲……」

あなた「ビジネス的にはこれで正解なんだろうけど、スクールアイドルの曲としては、私はふさわしいと思わない」

ミア「意味がわからない。スクールアイドルって多くの人が聴きに来るわけでしょ。そのaudienceのことを見て曲を作ることのなにがおかしいわけ?」

あなた「それがわからないと、この先苦労すると思うよ。はっきりいってミアちゃんの曲は、真姫ちゃんや梨子ちゃんの作る曲に届かない」

ミア「……それで?現時点でボクの曲はランジュのperformanceを通して観客を集められている。この間たまたま同じタイミングでライブをした時のこと、忘れたわけじゃないでしょ」

あなた「……」



5: 名無しで叶える物語 2020/11/25(水) 21:48:21.85 ID:s2XH9BU5.net

ランジュ「きっとミアに嫉妬してめちゃくちゃなことを言ってしまっているの。気にしちゃだめよ」

ミア「はあ?気になんてしてないけど」

ランジュ「そう。それであなたはまだ何か用事はあるの?」

あなた「……いや、ミアちゃんの曲が聴きたかっただけだから。これで失礼します」

ランジュ「あなたの気持ちはわかるわ。もし同好会の子たちをみんな連れてきてくれたら、あなたにも相応の立ち位置を用意してもかまわないの。だからよろしくね」

あなた「……今はそれでいいよ。じゃあね」

あなた(今は負け犬の遠吠えにしか聞こえないかもしれない。だけど、いつか私の言うことが正しいと証明してみせる!)

あなた(それにしても、さっきのミアちゃんの発言……どこか引っかかるな……)



7: 名無しで叶える物語 2020/11/25(水) 21:49:41.96 ID:s2XH9BU5.net

あなた「戻ったよ……あれ、みんなどうしたの」

歩夢「あっ、えっとね。屋上に来たら何かが置いてあるから何かなって思って」

あなた「何かって……手紙だね。誰かの忘れ物かな?」

『先輩へ』

あなた「差出人は……」ピラッ

『プリンスより』

あなた「プリンス?ってあれ、この字……」

かすみ「……しず子のだと思います」

せつ菜「昨日ああいう形で別れてしまったために、手紙を残したんだと思うんです」

彼方「今日ここで練習することは、昨日まで一緒にいたしずくちゃんくらいしか知らないだろうしね~」

璃奈「でも、プリンセスでもなくてプリンスなのは、ちょっと謎」

エマ「きっとあなたにあてられたものだから、まだ読まないほうがいいかなって……」

あなた「そうなんだね、読んでみるよ」



9: 名無しで叶える物語 2020/11/25(水) 21:51:57.42 ID:s2XH9BU5.net

────

無礼な私をお許しください

留守の間は同好会をよろしくお願いします

すぐに戻れるかはわかりませんが、

素敵になって帰ってくることをお約束します

願わくばみなさんのライブが成功しますように

行ってきます

────

かすみ「えぇっ、これだけですか?」

エマ「どうして向こうに行っちゃったのかとか、そういうのが書いてあるのかと思ったんだけどなぁ」

彼方「別に手紙にしないでも伝えてくれたらよかったのに……」

あなた「しずくちゃんなりのケジメだったんじゃないかな。もっともここにあるように、ずっと向こうにいるつもりはないみたいだけど……」

あなた(だけど何か釈然としない……なんだろう?)



10: 名無しで叶える物語 2020/11/25(水) 21:53:11.58 ID:s2XH9BU5.net

せつ菜「それで、部のほうの様子はどうでしたか?」

かすみ「そうですよ!偵察に行ってきたんですよね?」

あなた「偵察っていうほどでもないんだけど……部には行ってきたよ」

璃奈「みんなの様子、どう?」

あなた「ああ、えっと、果林さんたちに会いにいったんじゃなくてね、ミアちゃんの曲をもう一度聴きたくて」

エマ「曲を……?」

あなた「うん。聞いて何かがつかめるかもしれないと思って」

かすみ「だ、大丈夫だったんですか?前に曲を聴いた時は、先輩自信がなくなっちゃったって……」

あなた「あの時はちょっとこたえたけどね……でももう大丈夫だよ。それに確信したんだ。私たちでも、スクールアイドル部に勝てるんだって」



12: 名無しで叶える物語 2020/11/25(水) 21:54:50.65 ID:s2XH9BU5.net

歩夢「本当!?」

彼方「流石は同好会の部長さんだね~、ミアちゃんをうちまかしちゃうような曲が作れちゃうんだ~」

あなた「もちろんミアちゃんの曲自体は本当にすごいよ。独創的なメロディもハッとさせられるようなフレーズも、私じゃ到底出てこない」

あなた「だけど……スクールアイドルという土俵の上でなら、勝負になると思ってるよ」

エマ「どういうこと?」

あなた「その説明をする前に『透明な傑作理論』を理解する必要があるんだ。少し長くなるよ」

璃奈「透明な傑作……?」

せつ菜「確か、全ての人を満足させる傑作は、個性が全くない透明のような作品であるべきだという理論のことですよね」

あなた「うん。個性=クセであり、クセのある作品は多かれ少なかれ人を選ぶ。だから万人に好かれるためには個性を殺した作品を作る必要があるというものだよ」

あなた「ミアちゃんの曲を聴いて、この透明な傑作に近い感じを受けたんだ。メロディや言い回しのレベルはすごい高いけど、テーマ自体は普遍的で、多くの人が共感しやすい作りになってる」

あなた「だけど、私はこの理論は間違ってると思うんだ」



13: 名無しで叶える物語 2020/11/25(水) 21:57:02.36 ID:s2XH9BU5.net

あなた「何十億っていう人がいて、その1人1人は環境から条件から何もかもが違う。その全てを満足させる曲なんて、当然できっこないんだよ」

あなた「だから、百万人のために歌われたラブソングなんかに簡単に想いを重ねられない人だっているし、どんなヒットソングにも救えない命がある」

あなた「だけど逆に言えば、私たちのようなアマが作った曲に強く感銘を受けることだってあるってことなんだ。私がμ'sとAqoursのみんなの曲に惹かれたように、エマさんが哀温ノ詩に焦がれたように」

あなた「きっとそこには、歌に込められた想いの差があると思うんだ。μ'sやAqoursの曲は、真姫ちゃんや梨子ちゃんがみんなのことを考えながら作ったんだろうってことが端々から伝わってくる」

あなた「哀温ノ詩も、大事な曲として歌い繋いできた歴史みたいな重さが垣間見えると思うんだ」

エマ「そうだね。あの歌からは、すっごい感情が伝わってきたんだ」

あなた「逆にミアちゃんの曲は、ランジュさんに似合う曲ではあるけれど、ランジュさんを想ったり届けたい熱意のようなものが、どこか伝わってこない」

あなた「だからこそ、私がみんなのことをしっかりと理解して、それをみんながしっかりと届けることができれば……」

あなた「そういうオーダーメイドな作り方をするスクールアイドルだからこそ、ランジュさんのパフォーマンスを超えられるかもしれないと思うんだ」



14: 名無しで叶える物語 2020/11/25(水) 21:58:21.61 ID:s2XH9BU5.net

歩夢「じゃあ、私たちはいつも通り練習をすればいいんだね」

彼方「そうだね~、あなたなら彼方ちゃんたちのこと、たくさんたくさ~ん知ってくれているもんね~」

せつ菜「今までの曲も、あなたがいてくれたからこそできた曲です。それを昨日のゲリラライブのように披露し続けていれば、いつか観客のみなさんも振り向いてくれるはずです!」

璃奈「でも、いつも通り練習するには……」

あなた「そうだね。そのためにはまず、監視委員会をどうにかしなきゃいけない」

かすみ「監視委員会って、生徒会の書記の人たちなんですよね?」

せつ菜「そうですね。私が生徒会長だった時から役員だったのですが、事務作業に長けていて、あらゆる作業や指示に対して懸命に取り組むのが印象的でした」

せつ菜「生徒会の会議か何かで決定された以上、その指示に従わざるを得ないのだと思います」

エマ「ちょっとまって、それじゃああの2人はイヤイヤながら監視委員会をやっているってこと?」

せつ菜「……確証があるわけではありません。しかし、あの2人の能力の高さを考えれば、私たちはもっと監視委員会に見つかっているはずなんです」

せつ菜「いくらこの学校が広く、毎日活動場所を変えているとはいえ、スクールアイドルの練習ができるスペースはいくつかに絞られます。それなのに、夕方まで見つからない日だってあります」

せつ菜「なので、不本意ながら手伝っている可能性は否めないと思います」



15: 名無しで叶える物語 2020/11/25(水) 21:59:15.23 ID:s2XH9BU5.net

かすみ「でもでも、もう監視委員会のことなんて気にしなくてもいいんじゃないですか?だって練習場所はもう確保できたんですし」

璃奈「μ'sのみんなと、一緒に練習できる」

あなた「うん。だけど毎日毎日音ノ木坂のお世話になるわけにもいかないし、現状生徒会の公認をもらえてない私たちの校外活動そのものを禁止にしてくる可能性だってある」

歩夢「そうだよね……」

あなた「だから向こうが何か手を打ってくる前に、こっちが先手先手で対策をしていかないとね。やられっぱなしで終われないよ!」

せつ菜「ですが、一体どういう手を……?」

あなた「あっちがコネを使ってくるんだ、私たちもできることなら何だってやらないとダメだし、使えるものや人は使っていかなきゃ」

エマ「どういうこと……?」

あなた「それは私のほうでなんとかしてみるよ。それじゃあ今日のレッスンを始めよう!まずは柔軟から──」



16: 名無しで叶える物語 2020/11/25(水) 22:01:35.65 ID:s2XH9BU5.net

──数日後──

あなた「揃ったね。それじゃあ行こうか」

かすみ「は~い♡」

左月「お待ちください!」

右月「同好会活動は禁止されています、即刻解散してください!」

彼方「あちゃあ~……」

あなた「わかってるよ。今日はこのまま帰るからさ。それとも一緒に帰ることさえ許してもらえないの?」

左月「先日、皆さんが下校途中に音ノ木坂学院に入っていく姿が確認されています。同日、音ノ木坂学院のスクールアイドルの方々と一緒に出てきているところも目撃されています」

右月「その情報によれば、入ってから出てくるまで2時間あまりが経過していたそうです。これは音ノ木坂学院で同好会の活動をしていたということではないのですか?」

エマ「そんなところまで……」

あなた(タレコミ……?音ノ木坂付近に虹ヶ咲の生徒がいた……?距離的に無理ではないけど若干不自然な気もするな……)

あなた(だけど丁度いい機会だよね、ちょっと揺さぶってみるか)



17: 名無しで叶える物語 2020/11/25(水) 22:03:31.25 ID:s2XH9BU5.net

あなた「確かにこの間は音ノ木坂に寄っていたよ。μ'sのみんなと一緒にいたことも事実だ。だけどこれは理事長の許可があってのことなんだよ」

左月「理事長の許可……?そんなはずはありません。嘘をついても──」

あなた「嘘じゃないよ。幸い音ノ木坂の理事長さんとはちょっとした繋がりがあってね。向こうでの練習を快く許可してくれたよ」

右月「あっ……音ノ木坂の……理事長……」

歩夢(この間言ってたコネって、このことだったんだね……)

あなた「納得ができないようだったら音ノ木坂に連絡してみるといいよ。だけどその時にどう説明する?」

あなた「確かに私たちは生徒会の許可を受けていない。だけどそれに至る経緯を向こうの理事長さんに聞かれたら?」

あなた「正直に言えるのかな。部長の不在をいいことに無理やり新しい部活を立ち上げて元いたメンバーの活動を不当に禁止しているって」

あなた「それを聞いて向こうの理事長さんはどう思うかな?そんな理由で活動を禁止している学校に不信感を抱いて、教育委員会に相談したり、東京の行政に問い合わせたりするかもしれないよね」

あなた「そうしたら?『自由な校風』が売りの虹ヶ咲の実情がスキャンダラスに報道されちゃったり、挙げ句の果てに入学者数がガクッと減ったりするかもしれないよね」

あなた「この学校の生徒会として、それはものすごい痛手なんじゃないのかな?」

右月「うう……」

あなた(まあ、よその学園の理事長の訴えでどこまでできるかなんて知らないけどね……)



19: 名無しで叶える物語 2020/11/25(水) 22:06:56.99 ID:s2XH9BU5.net

左月「それは……脅しですか……?」

あなた「まさか。私たちはむしろ2人のことを心配してるんだよ」

あなた「どんなふうに監視委員会が設立に至ったのかはわからないけれど、正式に認められた同好会の活動の一切を急に禁止してさ」

あなた「その上でゲシュタポみたいな取り締まりをしている2人が、将来どういう風に評価されるのか考えたら恐ろしくて」

あなた「それも、その同好会の部長の不在の隙を狙ってね」

かすみ(もしかして先輩、留学中にこの件の連絡がなかったことをすっごく気にしてるんじゃ……)

せつ菜「あ、あまり強く問い詰めすぎないでくださいね……」

あなた「問い詰めているつもりもないんだ。ただ、どうしてこういうことをしているのかなって思っているだけで。栞子ちゃんの命令なのかな?それとも──」

右月「……っ!会長は!関係ありません!」

左月「右月!」

あなた(……)

左月「今日のところは、ただ帰宅するということで了承します……右月、行こう」



20: 名無しで叶える物語 2020/11/25(水) 22:08:54.36 ID:s2XH9BU5.net

歩夢「はぁぁ~、一触即発だったね……」

彼方「すっごかったよ~、ドラマの探偵役みたいだったよ。だけど、あんまりやりすぎないでね。彼方ちゃんたち心配になっちゃうから……」

あなた「ごめんごめん。だけど頑張ったぶん収穫はあったよ」

エマ「収穫?」

あなた「うん。まず第一に、監視委員会を動かしているのは栞子ちゃんじゃないってこと。さっきの2人のリアクションからして、むしろ栞子ちゃんは監視委員会に否定的のような気がする」

あなた「第二に、あの2人はうちの学校の理事長と繋がりがあるということ。私が『理事長の許可』の話をしたとき、すぐに否定してきたよね」

せつ菜「そうですね……事情を聞いてきたりする訳でもなく、そんなはずはないと断定していました」

あなた「それって、理事長が許可を出すはずがないと確信してるからだよね。じゃあなぜ確信できるのか?それは理事長と話したりしたことがあるからじゃないかなって」

あなた「そしてこの2つを繋げると見えてくる線──理事長が監視委員会を動かしているんじゃないかってこと」

璃奈「だけど、それって当たり前のような……」

あなた「ランジュさんの言をうけて理事長が監視委員会の組織を許可したことと、理事長そのものが監視委員会を管理していることは、似ているようで全然違うんだよ」

あなた「前者ならランジュさんを説得できればそれで済むんだけど、後者の場合は理事長そのものをなんとかしなきゃいけない」



21: 名無しで叶える物語 2020/11/25(水) 22:15:35.51 ID:s2XH9BU5.net

かすみ「それじゃあその理事長さんに直談判すればいいんじゃないですか?」

あなた「それは難しいと思うよ。どういう事情かはっきりしている訳じゃないとしても、娘のためにここまでのことをしてくるんだ、直談判して解決するようなレベルの問題じゃないと思う」

エマ「それじゃあどうしようもないってこと……?」

あなた「現状、私たちにある道筋は2つだと思うんだ」

あなた「1つはランジュさんを介して理事長を説得する方法。事情はわからないけど、おそらく理事長の行動はランジュさんのためだろうから、ランジュさんの言うことなら聞くと思うんだ」

あなた「もう1つは、私たちがランジュさんをスクールアイドルとして上回って、理事長自らに諦めさせる方法。この場合は、私たちはランジュさん、ミアちゃんという高い壁を超えないといけない」

あなた「だけど、ランジュさんを介して説得するには同好会のことを認めてもらう必要があるから、どっちを選択するにしても私たちのやることは変わらない。とにかく練習に励むこと」

あなた「そうしてお客さんに、ファンのみんなに、部よりも同好会のライブが見たい!って思ってもらうこと、これに尽きるんだ」

あなた「そして第三に……私たちが音ノ木坂で練習していることを、悪意をもって密告した人がいるってこと」

歩夢「えっ……ええ!?」



22: 名無しで叶える物語 2020/11/25(水) 22:20:17.42 ID:s2XH9BU5.net

せつ菜「密告……ですか?」

あなた「さっきの発言によれば、私たちが音ノ木坂に入るところと、出るところを見た人がいるっていう話だったよね」

あなた「確かにあの付近には秋葉原があったり、有名な神社があったり、虹ヶ咲の生徒が立ち寄る理由はあると思う。だけどわざわざμ'sのお膝下にいる人が私たちを見かけたとして、それを報告するに至るかな?」

璃奈「それじゃあ一体どんな人が……?」

あなた「目撃情報があったわけでもなく、私たちが音ノ木坂で活動していることを知り得る人物はそう多くない」

あなた「それにあのゲリラライブもそう。場所や時間が違う噂をいくつか流したのに、あの瞬間にライブをかぶせられた。偶然にしてはあまりに出来すぎていると思うんだ」

あなた「だからあくまで可能性の話として、この中にランジュさんたちに情報をリークしている内通者がいることも考えられるんだ」

エマ「そ、そんな……」

かすみ「……それって、1人しかいないじゃないですか」

彼方「ええっ……?」

かすみ「かすみんたちが音ノ木坂で練習していたことを知っていて、部に行っちゃった人が1人……」

歩夢「まさか……」

かすみ「……しず子ですよ」



23: 名無しで叶える物語 2020/11/25(水) 22:22:27.44 ID:s2XH9BU5.net

かすみ「だってそうじゃないですか!」

かすみ「しず子は一緒に音ノ木坂に練習したからそのことを知ってるわけですし!」

かすみ「ゲリラライブの日だってあの直後に部のほうに行っちゃったんですから……!」

あなた「しずくちゃんは……内通者とは違うと思う」

かすみ「でも……」

あなた「しずくちゃんが向こうにいった大きい要因は、あのゲリラライブ中にうまれたんだ。だけどゲリラライブに被せてライブ出来たってことは、内通者はゲリラライブ前から活動してることになる」

あなた「時系列的にしずくちゃんじゃないと思うよ」

かすみ「……そ、そうなんですかね~、しず子のことだから演技かもしれませんよ!」

あなた(そう言いつつ、かすみちゃんの表情はちょっとだけ明るくなったかな)

あなた(今もしず子って呼んでるし、嫌いになりきれないんだろうな)



24: 名無しで叶える物語 2020/11/25(水) 22:23:19.73 ID:s2XH9BU5.net

彼方「だとすると、一体誰なんだろう?」

璃奈「もしかしたら、この中にも……?」

歩夢「ど、どうしよう……!?」

あなた「落ち着いて。それは現段階ではわからないよ。この中にいるかもしれないし、そうじゃないかもしれない。だからこの話は今日はこれで終わりにしよう」

せつ菜「では何故そのようなことを?」

あなた「あくまで共通認識として、その可能性もあるからみんな気をつけてねっていう話だよ」

あなた(それに現段階でこの話題を出せば、万が一誰かが内通者だったとしても牽制になるはず)

あなた「それよりも早く音ノ木坂に行こう。絵里さんたちが待ってるはずだよ。ほら、いつもやってるランニングみたいに走って!」

かすみ「かすみんランニング飽きました~」

彼方「ずぅっと腕立てするよりましだと思うな~」

あなた「ほらほら、はやくいくよー」

6人「はーい!!」



25: 名無しで叶える物語 2020/11/25(水) 22:27:09.67 ID:s2XH9BU5.net

──数日後──

あなた「みんなおまたせ!新曲できあがったよ!」

歩夢「お疲れさま!出来たんだね」

あなた「うん。結構時間がかかったけど、これなら部のほうともまともに戦えると思う!」

あなた「みんな一曲ずつあるから、しばらくはこの練習をして、来週以降にライブをしていこうと思ってるんだ」

エマ「またゲリラライブで披露するんだね」

璃奈「でも、またライブをかぶせられちゃうかも……」

かすみ「そうですよ!もしかしたら内通者がいるかもしれないんですよ?」

あなた「そこは大丈夫。前回と同じ轍は踏まないよ」

せつ菜「今度はどういう噂を流すのですか?」

あなた「今回は噂は流さない。誰からどんな風にもれるかわからないからね。そのかわり、来週からみんなには……」

あなた「毎日ゲリラライブをしてもらうよ!」



28: 名無しで叶える物語 2020/11/25(水) 22:34:00.82 ID:s2XH9BU5.net

彼方「毎日ゲリラライブ……?」

あなた「うん。とは言っても、みんながみんなするわけではないんだけどね」

かすみ「どういうことですか?」

あなた「前回のライブはその日のためにたくさん準備をしてきたよね。だからここぞのタイミングを被せられてお客さんをとられちゃった」

あなた「だから今度はここぞのタイミングを増やしていけばいいんだよ」

あなた「向こうには専属のプロトレーナーがいるでしょ。そういう人たちがスケジュール管理をしているなら、毎日ライブを開催するような日程は組まないはず」

あなた「こっちはソロ中心のグループであることを活かして、毎日1人ずつローテーションでゲリラライブを敢行するんだ。そうすれば私たちが毎日どこかでライブをするっていう噂が自発的に流れ始める」

エマ「こっちから噂を流すんじゃなくて、噂のほうをつくるってことなんだね」

あなた「そう。この『どこかで』っていうのもシークレット感を煽れるし、『探す』っていうオリエンテーリング的な楽しさもアピールポイントになる」

あなた「最初のほうはなかなか人が集まらないかもしれない。だけど毎日継続すれば、徐々にお客さんは増えてくれるはず!そして聞く人が増えれば、同好会ならではの魅力をわかってもらえるはず!」

あなた「こうして民意を得てしまえば、ランジュさんや理事長も同好会の活動を認めてくれると思うんだ」



31: 名無しで叶える物語 2020/11/25(水) 22:35:28.55 ID:s2XH9BU5.net

せつ菜「ですが毎日活動してしまうと、流石に監視委員会が動いてくるのは避けられないかと思いますが……」

璃奈「今はなんだかおとなしいけど、これからどうなるかはわからない」

あなた「確かに、この前の一件から妨害されることは減ってきたとはいえ、まだ警戒しなきゃいけない相手ではあるね。だけどそこも作戦は考えてる」

歩夢「作戦?」

あなた「監視委員会は理事長が直接管理している可能性が高いとはいえ、名目上では生徒会の中の機関ってことになる。ということはつまり、生徒会が忙しければ監視委員会もまともに行動できないよね」

かすみ「たしかにそうかもしれませんけど……毎日忙しいわけでもないと思います」

せつ菜「そうですね……施設に不備が発見されたり、部活や同好会で何か問題ごとが起きた場合に緊急会議をすることはありますが、それ以外の活動のスケジュールは年単位で定められています」

せつ菜「大きい行事もしばらくはありませんから、定例会議がない日は特別忙しいわけではありませんね」

あなた「大丈夫。私たちがゲリラライブを始める頃には、生徒会は間違いなく忙しくなるから」

彼方「ええ~、どうして?」

あなた「言ったでしょ、使えるものは使うって。以前親しくなった部活や同好会の部長たちにまた協力してもらおうと思ってるんだ」



33: 名無しで叶える物語 2020/11/25(水) 22:41:44.27 ID:s2XH9BU5.net

エマ「協力って?」

あなた「最近各部の人たちに、どんな些細なことでもいいから何か不満に思ってることはないかって聞いてたんだ」

あなた「それを毎日少しずつ生徒会に持ちかけるようにお願いしたんだよ」

あなた「以前栞子ちゃんは反発をあびて、校内での立ち位置が揺らいだことがあったよね」

せつ菜「学校説明会の件ですね」

あなた「あのとき上手くいかなくて各部の部長さんたちに迷惑をかけたこと、すごく気にしてると思うんだ。そんな中でその人たちから相談を持ちかけられたら──」

あなた「栞子ちゃんの元々の性格も相まって、真摯に対応しようとするんじゃないかな」

あなた「だから昼休み、2人か3人くらいの部や同好会の代表がそれぞれの小さな不満や悩みなんかを相談してもらうんだ」

あなた「こういう器具を導入して欲しいとか、顧問を変えて欲しいとか、栞子ちゃん一人で解決しにくいようなものをね」

歩夢「そっか!そうすればさっきせつ菜ちゃんが言ったみたいに、各部の問題を話し合う緊急会議を開いてもらえるんだね」

あなた「監視委員会の2人は生徒会書記の担当みたいだし、会議には必ず出席する。私たちはその間にライブをしちゃえばいいんだ」

あなた「既存曲2曲と今回の新曲の計3曲として、MCの時間を考えても30分あれば終わるよね。だからライブの間妨害は受けないってわけ」

あなた「おまけにこの学校は多種多様な部活や同好会があるからね。今回は運動部やもちろん文化部や同好会、果てはバニー部から流しそうめん同好会に至るまで、いろんなとこに協力してもらうよ」

あなた「後半私たちの活動の噂が広まってくれば監視委員会が無理やり止めに来るかもしれないけど、その頃には栞子ちゃんが私の意図を汲んでくれると思うから、時間は稼いでもらえるかな」



34: 名無しで叶える物語 2020/11/25(水) 22:43:14.95 ID:s2XH9BU5.net

あなた「そうしてライブを継続していって、同好会ならではの良さを知ってもらって、少しずつファンを増やしていくんだ」

あなた「そして最終的にはランジュさんたちのライブに、今度はみんなでやるライブをぶつけて、お客さんたちを奪っちゃう」

彼方「やられたらやり返す、だね~」

あなた「そこまですれば、ランジュさんたちも同好会のことを認めてくれるんじゃないかな。もちろんここまでちゃんと上手くいくかなんてわからないけど、やってみない?」

かすみ「かすみんは賛成です!部室とファンのみんなを奪われたうらみ、はらしてみせます!」

せつ菜「私も異議なしです。逆境をのりこえスクールアイドルとして真剣勝負をする──熱くなります!!」

彼方「彼方ちゃんも、遥ちゃんと一緒に夢をみるために、がんばるよ~」

エマ「……私は、勝負とかはともかく、私が憧れるスクールアイドルを目指してライブがやりたいな」

歩夢「そうだね。私も勝負というよりは、前のライブが反省でいっぱいだから、そこを改善できるように努力するよ」

璃奈「みんなと繋がれるなら、やる。璃奈ちゃんボード《ファイトオー》!」

あなた「みんな、ありがとう!」



35: 名無しで叶える物語 2020/11/25(水) 22:45:25.91 ID:s2XH9BU5.net

あなた「まずはオーダーの発表だね。順番を決めてライブを毎日ローテーションする。当番の人以外はステージのサポート、ライブ終了後は基礎トレして翌日の当番の人のリハーサルだよ」

あなた「まずトップバッターはかすみちゃん。たぶん初日はお客さんが全然……というか1人も集まらないと思う。その中でも実績としてライブは完走したいんだ」

あなた「前回のゲリラライブでも、お客さんが少なくなった中でかすみちゃんはみんなにバトンを繋いだからね。その強いメンタルに期待してる」

かすみ「まかせてください♡」

あなた「2番目はエマさん。歌唱力は同好会でもトップクラスだし、のびのびした曲としっとり力強い曲の二面性はお客さんの受けがいいと思う」

あなた「かすみちゃんである程度評判を作った上で、多くの人に知っていってもらうには、エマさんの歌がぴったりだと考えたんだ」

エマ「うん、頑張るね!」

あなた「3番目は璃奈ちゃん。璃奈ちゃんはコンセプトがはっきりしていてわかりやすいし、ライブの独創性はスクールアイドル全体で見ても非常に高いよね」

あなた「さらに幅広い層に向けてアピールしていくには璃奈ちゃんのライブが必須なんだ」

璃奈「わかった。璃奈ちゃんボード《むん!》」

あなた「そして次がせつ菜ちゃん。ライブパフォーマンスの盛り上がりは相当なものだし、スクールアイドル歴の長さでいえばうちで1番の実力者だもん」

あなた「3人が集めた評判を使って一気に引き込みたいんだ。4日目は1つの勝負日にしたい。大丈夫かな?」

せつ菜「はい!是非やらせてください!!」



36: 名無しで叶える物語 2020/11/25(水) 22:46:53.27 ID:s2XH9BU5.net

あなた「5番目は彼方さん。せつ菜ちゃんのライブと違ってゆったりしたタイプだから緩急がつくよね」

あなた「色んなバリエーションを知ってもらうにはちょうどいいタイミングだと思うんだ」

彼方「彼方ちゃんにおまかせあれ~」

あなた「そして6番目が歩夢ちゃん。最初は週跨ぎになっちゃうからある程度集客数が心配なところだけど、だからこそこの間の配信で知名度の高い歩夢ちゃんをぶつけたい」

あなた「ライブも非常にスクールアイドルらしい王道のものだし、ここまでに多くのお客さんにアピールしたいところだけど……どうかな?」

歩夢「あなたの言うことだもん。私にできることはどんなことだってやるよ!」

あなた「それ以降はまた順番通りかすみちゃんから1日ずつやるような感じで。順番は最初の週を特に気にしてはいるけど全体のバランスもいい感じだと思ってる」

あなた「まずは譜面を覚えてもらうのに何日かかけるけど、そのあとは何か変化があるまでずっとライブだよ!」

せつ菜「変化……ですか?」

あなた「プラスの面でいけば、ランジュさんないし理事長が私たちのことを認めてくれるようになるってこと。そしてマイナス面でいけば、内通者が何かしてこないかってこと」

あなた「現状対策が取れるのは、存在を知っている監視委員会だけだからね。誰か……もっと言うと個人なのか団体なのかもわからない存在が妨害行為をしてこないとも限らない」

あなた「まあそうなったらそうなったで候補者を炙り出せるならそれでもいいかなとは思ってるけど」

かすみ「ああっ、そういえば……」



37: 名無しで叶える物語 2020/11/25(水) 22:48:18.39 ID:s2XH9BU5.net

歩夢「どうしたの?かすみちゃん」

かすみ「関係あるかは分からないですけど、この間たまたましず子と話した時に──」


しずく【あっ、かすみさん】

かすみ【……しず子、どうしたの?】

しずく【音ノ木坂で練習していたことが監視委員会の人に気づかれたって聞いたけど、大丈夫?】

かすみ【そうなんだよ~!!ほんっとうにしつこいよね!だけどその時は先輩が機転をきかせてくれたんだけど】

しずく【そうなんだ。ならよかった。ちなみにそれっていつ頃の話?】

かすみ【ええっと一昨日だけど……って、もうしず子にはかんけーない話でしょ!ふんっ!】

しすく【あっ、かすみさん……!】


かすみ「──ってことがあったんです」

あなた「しずくちゃんが……?」



38: 名無しで叶える物語 2020/11/25(水) 22:49:14.74 ID:s2XH9BU5.net

あなた「誰かしずくちゃんにそのことを話した人いる?」

せつ菜「いえ……」

彼方「広い学校だし、学年も学科も違うから、あんまり話す機会がないんだあ」

璃奈「なら、誰から聞いたんだろう?」

エマ「栞子ちゃんじゃないかなあ?監視委員会の2人から報告を聞いたのかも」

あなた「そうだね、その線はあると思う。ただ、だとすると愛ちゃんや果林さんもこの話を知ってそうではあるけど、誰か2人からそのことを聞かれたりした?」

璃奈「愛さんとはたまにお昼食べたり一緒に帰ったりするけど、別に」

エマ「果林ちゃんの方からも特に……でもそういえば……」

あなた「そういえば?」

エマ「時々、お勉強をしているところを見るかも」

あなた「!!!???」



39: 名無しで叶える物語 2020/11/25(水) 22:50:43.03 ID:s2XH9BU5.net

かすみ「ええ~~~!?あの果林先輩がですかぁ~~!?」

彼方「どうかしちゃったのかなぁ~?」

エマ「熱心にノートに書き込みしたり、ノートを読み返したりしているところを見るんだ」

エマ「何してるのって聞いたら、勉強しないといけないんだって言ってて」

せつ菜「もしかしたら、ランジュさんに成績のことを咎められたりしたのかも知れません」

あなた「だとしてもあの果林さんが自発的に勉強するようになるとは……ランジュさんのカリスマすごいなぁ」

あなた「でも安心した。璃奈ちゃんやエマさんは、まだ愛ちゃんや果林さんと交流があるんだね」

璃奈「うん。愛さんとは、仲良し」

エマ「私も。けんかしたわけじゃないんだもん」

あなた(その割にエマさんかなりガチトーンだったような……)

あなた「ただ、そうなるとしずくちゃんは果たしてどこから情報を……」



41: 名無しで叶える物語 2020/11/25(水) 22:51:37.27 ID:s2XH9BU5.net

あなた(しずくちゃんが向こうに行ったのは、彼女の言葉を信じるなら、ゲリラライブの時のかすみちゃんの影響を受けたから)

あなた(そのゲリラライブが部のライブと被されたのはほぼ間違いなく、内通者の妨害行為によるもの)

あなた(そう考えないと、プロのトレーナーたちが予定のないライブを認めるとは思わない。事前にその日にライブがあることを知っていたんだ)

あなた(このことから、しずくちゃんが内通者だと、時系列的に矛盾するからなしだと考えた)

あなた(だけどしずくちゃんは愛ちゃんや果林さんがおそらく知らない情報を持っていたってことだよね。それはどうしてだろう……?)

あなた(しずくちゃんといえば、この前置いてあった手紙。内容はほとんどなくてどこか釈然としなかったけど、あれには何の意味があったんだろう)

あなた(それに差し出し人のプリンスってのもよく……ん?まてよ、もしあれも本文の一部だとしたら……)

あなた(そうか、そういうことだったんだ!!だからしずくちゃんは──)

あなた(──音ノ木坂での練習のことを、リークしたんだ……!!)



42: 名無しで叶える物語 2020/11/25(水) 22:52:26.28 ID:s2XH9BU5.net

かすみ「先輩?どうしたんですか?」

あなた「あ、ごめん。ちょっと考え事をしちゃって……」

歩夢「内通者のこと?」

あなた「うーんと、いや、それは大丈夫。内通者のことはこれ以上話しても栓のないこと。とにかく今は毎日開催のライブに向けて準備を進めていこう」

あなた「音源はこれで、ライブの振り付け案はこっち。ただ振り付けはみんなの意見を聞きつつ仕上げていきたいと思ってるんだ」

あなた「衣装に関してはまだ作り途中なんだけど、今度ことりちゃんが手伝ってくれるって言ってくれたから、一瞬で終わると思う」

あなた「まずみんなは楽曲をしっかりと頭に入れてもらって、お客さんを呼び戻せるようなライブパフォーマンスができるように練習していこう!いいね?」

6人「はい!」

あなた「それじゃあスクールアイドル同好会、反撃開始といこうか」

全員「おー!!!」



73: 名無しで叶える物語 2020/11/26(木) 12:30:04.12 ID:I2r158RS.net

──十数日後──

かすみ「ふぅーーー」

歩夢「かすみちゃん、緊張してる?」

かすみ「き、緊張なんてしてませんけど!」

エマ「1人で誰が聞いてくれるかもわからないステージに立つんだもん。緊張したっていいんだよ~」

かすみ「ううっ、そ、その、ちょっとは……」

彼方「場所も場所だもんね~」

せつ菜「部室棟の廊下、ですか……」

あなた「うん。今回の目的は多くの人に認知してもらうこと。うちの部室棟はかなり大きいから多少場所をとっても問題ないし、往来自体は多いからね」

あなた「そのうちの何割が立ち止まって聞いてくれるかは現段階では未知数だけど、仮に誰も聞いてくれなかったとしても、印象づけることはできると思うんだ」

あなた「それにここで部活している子たちは活発な子が多いし、インフルエンサーになってくれるだけで価値があるよ」

かすみ「も~!なんで誰も聞かない前提なんですかっ!かすみんの魅力でみ~んなメロメロにしちゃいますからね!!」

あなた「そうだよね。頑張ってね、かすみちゃん!」



74: 名無しで叶える物語 2020/11/26(木) 12:30:45.25 ID:I2r158RS.net

かすみ「はいは~い、注目で~す!これから~、かすみんのオンステージが始まりますよ~!!」

ガヤガヤ

あなた(人通りは多いけど、その分かすみちゃんに注目が集まってない。普通ならこんな状況でライブなんかできないよ。だけど……)

かすみ「今日も~、かすみんのステージでみ~んな笑顔にしちゃいますからね~!聞いてください!『ダイヤモンド』!!」

あなた(流石かすみちゃん。この状況でなおスクールアイドルであり続けるなんて……やっぱりトップバッターを任せてよかった)

あなた(反響は……チラっと見る人は多いけど立ち止まってくれる人はいないか。まぁ部室棟にいる人なんだから何かしら用事がある人なんだろうけど)

あなた(だけど今はこれでいいはず。そのうち徐々にお客さんが集まってくれるようになれば、何か変化があるはず)

あなた(あとは、私のオーダーメイド式の曲が、流行の最先端をいくミアちゃんにどこまで肉薄できるかが勝負かな……)



75: 名無しで叶える物語 2020/11/26(木) 12:31:17.41 ID:I2r158RS.net

かすみ「今日はありがとうございました!」

かすみ「また明日も、スクールアイドル同好会がどこかでライブしちゃいますぅ、楽しみにしててくださいね♡それではー!」

パチ…パチ…

あなた(途中から立ち止まって聞いてくれたのが3人、初日にしてはかなり上々の滑り出しだね。流石かすみちゃんだ)

あなた(新曲もしっかりとパフォーマンス出来ていたし、お客さんの受けもそれなりに良好だったと思う。最初のハードルはクリアかな)

あなた「お疲れ様、かすみちゃん。とってもよかったよ!!」

かすみ「ありがとうございます先輩♡」

歩夢「すごかったよ~、トップバッターが私だったら、途中でやめちゃってたかもしれないよ……」

璃奈「途中から聞いてくれてた人もいた。璃奈ちゃんボード《はっぴー!》」

エマ「今日のライブ……参考にさせてもらうね、かすみちゃん」

かすみ「くふふふ、もっとほめてもいいんですよ~♡♡」

彼方「よしよ~し、えらいぞ~」

かすみ「えへへへ♡♡♡」



76: 名無しで叶える物語 2020/11/26(木) 12:32:04.63 ID:I2r158RS.net

あなた「本当に今日の環境の中で最後まで歌ってくれてありがとう!ライブ後にしっかりと明日の宣伝もしてくれたしバッチリだよ!」

エマ「明日はどこでやるの?」

あなた「明日は中庭の予定だよ。エマさんのよく通る声が活かせる場所かなあと思って」

彼方「でもさ、こういうライブも新鮮で楽しいけど、やっぱりステージでライブがしたいな~」

せつ菜「それが出来ればいいのですが……講堂を使用するには前日までに生徒会から許可をもらう必要があるのですが、今の状況で許可が得られるとは思えませんから」

あなた「ステージでのライブを目標に、今は地道に頑張っていくしかないね」

あなた(まあなんでスクールアイドルフェスティバルを成功させた私たちがこんな憂き目にあわなきゃいけないのか意味わかんないけどね)

あなた「とにかく、次のハードルは、来週の金曜日。部のほうのライブの予定日だよ」



80: 名無しで叶える物語 2020/11/26(木) 21:23:23.30 ID:5CzHJeZn.net

──翌週 金曜日──

あなた「さあ、最初の真っ向勝負の日だ」

あなた(今日まではまずまずの進行具合だったかな。週明けでお客さんの興味がどこまで薄れるか少し不安だったけど、歩夢ちゃんをぶつけられたからか杞憂ですんだみたい)

あなた(みんなの意識の中にも、私たち同好会が毎日どこかでライブをしているっていうのが植え付けられたと思う。後は、ランジュさんたちからお客さんを奪えるに至れるかどうか)

あなた(今日はその試金石だ。だからこそ、ライブパフォーマンスが1番激しくて1番客受けがいいせつ菜ちゃんをあてられるように日程を組んだ)

あなた「せつ菜ちゃん、大丈夫?」

せつ菜「はい!1回目のライブである程度新曲の感覚も掴めましたし、今日は全力のライブをしたいと思います!!」

あなた「せつ菜ちゃんの声の圧が届くように会場は屋上にしたんだ。ここからせつ菜ちゃんの大好きを届けて欲しい!」

エマ「みてみて!ライブの前なのにお客さん入ってるよ!」

かすみ「ぐぐぐ……流石せつ菜先輩……」

歩夢「私たちの活動が、みんなに知られてきたんだね!」

璃奈「この調子なら、きっと──」

ザワザワ

あなた(ん?なんだろう?)



81: 名無しで叶える物語 2020/11/26(木) 21:24:29.86 ID:5CzHJeZn.net

「ねえねえ!スクールアイドル部のライブ、新曲やるんだって!!」

「本当!?新曲すっごい久しぶりじゃん!」

「行こう行こう!私、早く支配されたい!!」

ドタドタ…

せつ菜「……!!」

エマ「そんなっ……!」

彼方「お客さんが……」

あなた(くっ……向こうにも隠し球があったんだ!私たちの頑張りも、話題さえあればすぐあっちに有利になってしまう……あの支配の悪魔め!!)

あなた(それにしてもこの状況、まるっきりこの間のゲリラライブと一緒だ。残った人もほんとにわずかだし、縁起が悪いな……屋上なのがさらに仇になったかも……)

あなた(人がいない状態でライブをするのと、直前までいた人がいなくなった上でライブをするのとでは、似てるようでまるで違う。こんな状況じゃいくらせつ菜ちゃんでも──)

あなた「せつ……」

せつ菜「────ふふっ」

あなた(笑った……?)



82: 名無しで叶える物語 2020/11/26(木) 21:29:58.97 ID:5CzHJeZn.net

せつ菜「……私、大好きなスクールアイドルは沢山いるんですが、こうなりたいと思うスクールアイドルって実はあまりいないんです」

せつ菜「ですが最近、そう思う人ができました。その人は、どんな逆境であっても、どんな状況でも、自分のペースでライブをしてしまう」

せつ菜「お客さんを楽しませること、そして自分が精一杯楽しむこと。そんな意識が垣間見える素敵なパフォーマンスをする、そんなスクールアイドルが」

かすみ「せつ菜……先輩……?」

せつ菜「ですが私も負けません。私だって逆風を跳ね除けられるんだと、先輩らしい姿を見せてあげたいと思うんです。だからこの状況は、今の私にぴったりのステージなんです」

せつ菜「その人みたいなスクールアイドルと肩を並べられる為に……ここが夢の出発点です!」

せつ菜「────」スゥッ

せつ菜「みんなーーー!!!!!会いたかったよーーー!!!!!!!」ドォン!

あなた「……!!??」ビリビリ

せつ菜「私の大好きを──聞いてください!!!!!『CHASE!』!!!!!」

ズオオッ!



83: 名無しで叶える物語 2020/11/26(木) 21:33:34.96 ID:5CzHJeZn.net

あなた(なんだ……なんだこれは……!?せつ菜ちゃんの熱い想いが、炎のイメージとして伝わってくる……!!)

あなた(声の圧もさることながら、一挙手一投足から滲み出るパッションが、私の中を駆け巡る……!まるで蓋棺鉄囲山だよ……!)

あなた(せつ菜ちゃんはいつだって全力だった。ライブで流したりするようなタイプじゃない。だけど、この間際で彼女の真のポテンシャルが覚醒したんだ!)

あなた(これが、幻のスクールアイドル、優木せつ菜……!!)

かすみ「……すごい」

彼方「さすがの彼方ちゃんもおめめぱっちりだよ~」

璃奈「……!見て!」

ワーッ

あなた(地上のあちこちから歓声……!外でのライブとはいえかなり距離があるのにたくさんのお客さんが聞いてくれている……!)

あなた(ランジュさんたちにとられたぶんにはまだまだ届かないかもしれない。でも、間違いなく私たちの存在は主張できているんだ……!)

「せつ菜ちゃんのパフォーマンス、すごいよね!」

「そうだよね!ランジュちゃんのパフォーマンスも上手くて綺麗だけど、こっちは熱い気持ちがぐわーって伝わってくるよ!」

「歌詞もなんだかせつ菜ちゃんにぴったりって感じがするよね。もっともっと聞きたいな~」

あなた(この卑の意志の民ばりの手の平返し……これは……いけるかもしれない!)



85: 名無しで叶える物語 2020/11/26(木) 21:37:59.77 ID:5CzHJeZn.net

──十数日後──

ランジュ「さて、準備はいいかしら?」

果林「私たちは問題ないわ」

ミア「……問題はないけど、急に新曲やりたがるのやめてよね。それでこっちがどれだけ振り回されるか考えてよ」

ランジュ「ミアならすぐに曲を作ってくれるじゃない。この間のライブもそれで成功だったでしょ。今回もしない理由がないわ」

ランジュ「観客だってこんなに入ってるのよ。最高のパフォーマンスをするべきだわ」

ガヤガヤ…

愛「……けどさ、なんか前よりお客さんの入り減ってない?」

栞子「……そう言われるとそうかもしれませんね」

ランジュ「無問題ラ。すぐに支配してあげるわ。それじゃあステージに──」

しすく「待ってください、何かお客さんの様子が……」



88: 名無しで叶える物語 2020/11/26(木) 21:42:46.26 ID:5CzHJeZn.net

「ねえねえ聞いた?中庭でライブがあるらしいよ!」

「それも今日は6人全員出てくるんだって!」

「うそ!この間のライブでせつ菜ちゃんのファンになっちゃったんだ~!そっち行かなきゃ!」

「毎日やってるみたいだし今日はいいかなって思ったけど、他の子たちも出てくるなら見ておきたいな!」

「私も私も!みんなそれぞれ個性があって、すごいっていうより楽しい!って感じがするよね」

ダッダッ…

愛「うそっ……お客さんが……」

栞子「7割ほど減ってしまいました……」

果林「ランジュ、どうするの?」

ランジュ「仕方ないわ。今日はライブ中止ね。明日にしましょう」

しずく「えっ……!?」



89: 名無しで叶える物語 2020/11/26(木) 21:46:31.48 ID:5CzHJeZn.net

しずく「確かにお客さんはこんなに減ってしまいました。ですが残ってくれている人もいるんですよ。それなのに……」

ランジュ「ここにいるのはもうアタシのファンな訳でしょ。だったらいつやったって来てくれるわ。それに入場料を貰ったわけでもないのよ。中止にして何かデメリットがあるとは思えないわ」

ランジュ「それにこのランジュが最高の舞台でパフォーマンスをするの。それをこの観客の中でやるのはナンセンス。時間の無駄でしょ」

ランジュ「……ああわかったわ!アタシがいないステージなら、あなたたちはセンターにたてるものね。いいわ、今日はそういうステージにしましょうか」

しずく「そうですか……ランジュさんは、そういう人なんですね……」

しずく(かすみさんとは、まるで違う──)

ランジュ「だけど変ね。ママに同好会を解散してもらったと聞いていたけれど……まぁいいわ、後は好きにしてちょうだい。それじゃあ」

ミア「はぁ……ほんと勝手なんだから……」

ミア「で、どうするの?音響や照明に関しては好きに使ってもらって構わないけど、このままライブやる気?」

果林「私、ランジュが譲ったようなステージでライブすることに興味なんてないわ」

しずく「果林さん……」

果林「……でもね、せっかく集まってくれたお客さんをそのまま帰しちゃうほど腐った覚えもないの」

愛「そうだね!やろっか、ライブ!!」



90: 名無しで叶える物語 2020/11/26(木) 21:48:54.86 ID:5CzHJeZn.net

ミア「そ……別にいいけど、何やるの?『Queendom』?」

果林「心配には及ばないわ。使う音源はここにあるから」スッ

ミア「この曲……」

果林「ランジュよりパフォーマンスで劣ってる状態であなたの曲を踊るわけにはいかないもの。ただ、この曲に関しては、私と愛が1番完璧にできる」

果林「『SUPER NOVA』なら、ランジュにだって負けない」

ミア「あっそ……まあ後は音響と打ち合わせといて。ボクも行くとこあるから……じゃあ」

しずく「あっ……行ってしまいましたね……」

栞子「しかし、ソロ曲ならまだしもユニット曲ですよね?パフォーマンスはおろか最近練習だってできていないのに、合わせることなんて……」

愛「ま~見ててって!」

果林「最近は情けない姿を見せてしまっているかもしれないけどね、たまには先輩らしい姿を見てもらいたいの」

愛「2人が私たちに続くかどうかはさ、そのあと考えてよ。それじゃカリン、行こっか!」



92: 名無しで叶える物語 2020/11/26(木) 21:52:51.35 ID:5CzHJeZn.net

愛果林「「DiverDivaです!!」」

「あれ?今日はランジュちゃん出ないの?」

「あの人たちいつも後ろで踊ってる人だよね」

「どうする?やっぱり中庭行く?」

ザワザワ…

栞子「会場がざわついてます……」

しずく「無理もないよ。ここにいるお客さんは、ランジュさんのパフォーマンスを見るために残ったんだよ。なのにそれも見れないなんて……」

しずく(状況としてはこの間のゲリラライブよりもまずいかもしれない……)

しずく(だけど、不思議と果林さんと愛さんの表情は暗くない。こんな冷え切った空気なのに、どうして……?)

愛「──ってわけで、今日は私たちのライブを楽しんでいってね!それじゃあいくぞー!」

~♪~~♬♫

しずく「……っ!!」

栞子「これはっ……!!」



93: 名無しで叶える物語 2020/11/26(木) 21:59:47.96 ID:5CzHJeZn.net

しずく「すごく……息ぴったりだね」

栞子「そうですね。お2人のこんな素晴らしいパフォーマンスを見るのは初めてです」

しずく(部に入ってからは個別の練習メニューが課されるから愛さんと合同で何かをする時間はない。にも関わらずこれほど息ぴったりのダンス……)

しずく(それに果林さんは、SUPER NOVAの音源を持っていた。これが意味するのは──)

しずく「果林さんと愛さんは部に入ってからも、DiverDiveとしての練習も続けていたんだ……」

栞子「部の練習メニューは決して軽いものではありませんし、遅い時間までかかることもあります。あのお2人はさらにその後も練習をしていたことになりますね」

しずく「それだけじゃないよ。以前のSUPER NOVAよりも動きのキレがあがってるし、新しいダンスの振り付けも加わってるね。以前よりもずっとパワーアップしてるんだ」

栞子「それに……なんだか楽しそうです。ここ最近であんな表情をするところを見たのは初めてです」

しずく「……」スッ…

栞子「しずくさん……?」

しずく「愛さんが言っていたもんね。続くかどうかは私たち次第だって……私も、ステージに立つよ」

しずく「こういう状況で立つことが、きっと私にとって必要なことだから」



94: 名無しで叶える物語 2020/11/26(木) 22:00:53.01 ID:5CzHJeZn.net

栞子「そうですか……」

しずく「栞子さんはどうする?」

栞子「……しずくさんは少し前まで同好会にいたのですから、何かパフォーマンスができるものもあるでしょう。ですが私は──」

しずく「ねえ、さっき栞子さん言ってたでしょう。『ソロ曲ならまだしも』って……」

しずく「それって栞子さんも、ソロ曲ならできてもおかしくないって意味だよね。なら、栞子さんも、自主練習をしてたのかなって思ったんだ」

栞子「……してるに、決まっているではありませんか……!」

栞子「私をステージに上げてくれたあの人が、私のために初めて作っていただいた曲なのですから……!」

栞子「だけど、怖いんです。まだあまり舞台上に慣れていない中で、私のパフォーマンスを認めてくださる方がどれだけいるのか……」

栞子「未熟者なんです、私は……」

しずく「怖いよ。私だってそう……だけど、それを超えたステージがすっごく楽しいものなんだって、教えてくれた人がいるんだ。だから栞子さんも、頑張ってみない?」

栞子「……っ!」

ギュッ!

しずく(髪飾りを、強く……)

栞子「はい、私も参りましょう!」



95: 名無しで叶える物語 2020/11/26(木) 22:02:14.77 ID:5CzHJeZn.net

ミア「……」スタスタ

あなた【これは多くの人を見て作った曲だよね。大衆にうけるかどうかが計算されたような曲……】

あなた【ビジネス的にはこれで正解なんだろうけど、スクールアイドルの曲としては、私はふさわしいと思わない】

あなた【それがわからないと、この先苦労すると思うよ】

ミア「……Shit!」

ミア(ボクの曲が、ランジュのパフォーマンスが、あんな冴えない女が作ったものに負けた?そんなはず、そんなはずはない)

ミア(スクールアイドルの曲としてふさわしくないだと?愛によれば、今年からスクールアイドルに携わっているそうじゃないか、そんな奴が知ったような口を……!)

ミア【それで?現時点でボクの曲はランジュのperformanceを通して観客を集められている】

ミア(そのはずだった、なのに観客が奪われた……あんな素人に負けた?このテイラーの血を継ぐボクが?)

ミア(いったい……何が……)

ミア「確かめないと……」



122: 名無しで叶える物語 2020/11/27(金) 21:55:39.05 ID:gL5Flush.net

あなた「すごい、すごいよ!」

エマ「そうだね!こんなにお客さんが来てくれるなんて!!」

彼方「彼方ちゃん、とっても楽しかったな~」

あなた「次、せつ菜ちゃんだよ!楽しんできてね!」

せつ菜「はい!それでは──」

左月「これはなんの騒ぎですか!?」

かすみ「ぐうう!これからって時じゃん!」

歩夢「今日も会議をしてるはずだよね?」

あなた「うん。栞子ちゃんが部の活動に行ってるから尚更あの2人は出席せざるを得ないと思ったんだけど、ちょっと騒ぎが大きすぎたのかも」

あなた「部活や同好会が持ち込んだ小さな問題よりも、現在発生している騒ぎを止めるほうが優先されちゃったんだろうね」

あなた(なかなかうまくいかないな……だけど、ここが正念場だ)

璃奈「どうしよう……?」

あなた「……ライブはやるよ、説得する!」



123: 名無しで叶える物語 2020/11/27(金) 21:56:29.51 ID:gL5Flush.net

右月「何をしているのですか?活動は即刻中止してください!」

あなた「ちょっと待ってよ、今活動を止めたら、今以上に混乱すると思うよ」

あなた「監視委員会として私たちの活動を止めなきゃいけない立場なのはわかるけど、それ以前に生徒会としては、事態を穏便に解決するのが先決じゃない?」

左月「現行犯を見逃せと言いたいのですか?」

あなた「少なくとも一曲だけ待ってほしい。今日のライブの最大の盛り上がりどころだから、ここだけは」

右月「そんなこと、認められるはずが──」

せつ菜「私からも、お願いします、右月さん、左月さん」

右月「──えっ?」

左月「あなたは……?」

せつ菜「スクールアイドル同好会の優木せつ菜です。あなたたちがどういう状況なのか、私にはわかりかねます。ですが、せっかく来ていただいたのですから、一曲だけお付き合いください」

せつ菜「そのあとであれば、あなたたちの指示には従いますから、お願いします」

左月「……一曲だけです、それ以上は許しません」

せつ菜「ありがとうございます!!」

右月「あの、もしかして以前……」

せつ菜「では、行ってきます!」タッ



124: 名無しで叶える物語 2020/11/27(金) 21:57:47.32 ID:gL5Flush.net

彼方「どうにかなったみたいだね。だけど結局せつ菜ちゃんのライブで終わりなんだよね」

エマ「まだ璃奈ちゃんと歩夢ちゃんがパフォーマンスできていないのに……」

あなた「そこは、せつ菜ちゃんを信じよう」

歩夢「せつ菜ちゃんを、信じる?」

あなた「せつ菜ちゃんの曲を作る時、優木せつ菜だけじゃなくて、中川菜々としての側面にもアプローチする必要があるんだ」

あなた「せつ菜ちゃんのことは私たちはよく知っているけど、中川菜々としての一面は、もしかしたら私たちより彼女たちのほうが詳しいかもしれない」

あなた「今回作った新曲も、せつ菜ちゃんと菜々ちゃんの両方のいいところがふんだんに現れるような作りにしたつもりだよ」

あなた「だからせつ菜ちゃんのステージは、菜々ちゃんを知る彼女たちにとって他の誰よりも強く響くはず。2人が監視委員会に後ろめたい気持ちがあるのなら、打開するライブができると思うんだ。理論上はね」

せつ菜「──見ていてください!!!!!」

ズオオッ!

左月右月「……!!」



125: 名無しで叶える物語 2020/11/27(金) 22:00:11.68 ID:gL5Flush.net

せつ菜「はぁ……はぁ……ありがとうございました!!!!」

パチパチパチパチ!!

あなた(圧巻のライブだった!この間の屋上ライブよりももっと!!)

あなた(それに、せつ菜ちゃんと、菜々ちゃんの熱い気持ちが伝わってくる素晴らしいライブだった!だからこそ、菜々ちゃんのことをよく知る2人にとっては……)

左月右月「……」ウルウル

あなた(こうかは ばつぐんだ!)

左月「……わかってはいるんです。あなたたちが元々正当に認められた同好会だということは」

左月「ですが、私たちはもう引き返せないところに来てしまっているんです。たった一度、甘言に乗せられてしまったばかりに」

あなた「……甘言?」

右月「私たちはもう、どうしようもできません。だから恥を承知で頼みます……会長を……会長を助けてあげてください」

あなた「……!?」



126: 名無しで叶える物語 2020/11/27(金) 22:01:47.23 ID:gL5Flush.net

あなた「どういうこと?会長って栞子ちゃんのことだよね、栞子ちゃんを助けるって……?」

左月「…… そろそろ報告に行かなければなりません。同好会活動を止めたら混乱で危険だと判断し中止に至れなかったと」

あなた「待ってよ!栞子ちゃんはどういう状態なの?報告って理事長だよね?2人が後戻りできないっていうのはどうして?栞子ちゃんも理事長に何か言われてるの?ねえ!!」

あなた(せっかく監視委員会の2人と和解できると思ったのに、ますます遠ざかったような気もする……2人は何か弱みでも握られている?栞子ちゃんは今どういうポジションに──)

彼方「お~い、みんな次のライブ期待してるよ~」

あなた「はっ、そ、そうか、2人はもう帰っちゃったから、ライブが続行できるんだ……」

エマ「心配な気持ちはわかるよ。だけど今はこのライブを成功させよう。ね?」

あなた(そうだ、せっかく掴んだ流れだ、このまま離すわけにはいかないよ!)

あなた「ごめん、そうだね!次、璃奈ちゃんの出番だよ、行って!」

璃奈「璃奈ちゃんボード《ラジャー》」



ミア「……」



127: 名無しで叶える物語 2020/11/27(金) 22:05:12.10 ID:gL5Flush.net

ミア(中庭……人が多い。騒ぎの中心は……あそこか)

ミア(動員はこの間の突発ライブの時のほうが多かった。だけどさっきのライブと比較すれば、圧倒的にこっちの負け……)

ミア(何が……この同好会にはいったいどんなカラクリが……)

璃奈「聞いてください──」

ミア(丁度performanceが始まるところか。しかしあんな奇抜な衣装……許されるのは超一流のパフォーマーだけだ。あんなのがやってもただ寒いだけ)

ミア(歌詞だってcheapだ。それに主観的すぎて共感を得るのも難しい。完全にnonsense)

璃奈「~♪~~♬♫」

ミア(なのに……なのにどうして……)

ミア(ボクの胸に、こみ上げるものがある……!?)



128: 名無しで叶える物語 2020/11/27(金) 22:18:03.94 ID:gL5Flush.net

ミア(あの女……確か愛がりなりーと言ってた女……彼女のことは全く知らない)

ミア(なのに彼女の曲を聴いていると、弾む空気感の中にやや暗い感情が見え隠れするような、ここに至るまでの彼女の苦悩が垣間見えるような──)

ミア(歌詞だけでは本来伝わりようがない感情が、届いてくるような印象を受ける)

ミア(そんな非科学的なこと、信じるつもりはないけど、事実としてそれを今感じている)

ミア(……そういえば、自分の作った音楽で多くのaudienceを魅了しても、自分自身で納得したことがあっただろうか)

ミア【ふーん……まあ、こんなもんか】

ミア(それはなぜ……?それは……ボクがランジュを完璧に表現しきれていないから……?)

ミア(……ランジュと出会ったのは何年前だったか、ともかくボクが周囲の人間に絶望していた頃)

ミア(寄ってくる人間はボクの才能にあやかろうとする奴か、嫉妬で理不尽なことを言ってくる奴の2種類。そのどちらも心底軽蔑していた)

ミア(だから学校は嫌いだった。一刻も早く抜け出したくて、飛び級できるまで勉強に励んでいた、そんな時だった──)



129: 名無しで叶える物語 2020/11/27(金) 22:19:25.38 ID:gL5Flush.net

ランジュ【あなたがミア・テイラーね】

ミア【……誰?】

ランジュ【アタシは鐘嵐珠。あなたの曲、聴いたわ】

ミア【あっそ……(どうせコイツもボクの能力のおこぼれを貰おうとするんだろ……)】

ランジュ【素晴らしいわ!アタシと同じような才能を持つ同世代の子に初めて会えてよかった!】

ミア【……はぁ?】

ランジュ【ねぇ、アタシについてきてよ!一緒に世界を揺るがしましょう】

ミア(そう言ってランジュは強引にボクをあちこち連れ回した)

ミア(悪気なく無茶苦茶なことを言うし、人の神経を逆撫でしてしょっちゅうtroubleを起こすし、ろくでもない人だったけど)

ミア(ボクと同じくらいの才能があって、ボクにはないカリスマみたいなものがあった)

ミア(ランジュといると、自分の居心地がよくなったような錯覚をおぼえた)



130: 名無しで叶える物語 2020/11/27(金) 22:20:25.28 ID:gL5Flush.net

ミア(そうだ、ランジュは、鐘嵐珠は……こんな女子高生に負けるような人間じゃない)

ミア(だけどその才能を、ボクの音楽が殺してしまっていたんだ……)

ミア(誰が聴いても、誰が歌っても感動できるような曲作り……そんなんじゃ届かない!)

ミア(そういう激情を曲に込める──今までやったことのないような取り組みだ。だけど今、久しぶりに仕事じゃなくて純粋に曲をかいてみたくなった)

ミア(そんな曲がどういう反応をうけるのか?評価されるのか?今はそんなことは二の次だ)

ミア(鐘嵐珠を精一杯アピールするような曲を作るんだ!)

ミア(ああ……そうか、この私の中にあるものが……)



131: 名無しで叶える物語 2020/11/27(金) 22:20:45.45 ID:gL5Flush.net

 
 
 
 
 


 
 
 
 
 



134: 名無しで叶える物語 2020/11/27(金) 22:28:27.13 ID:gL5Flush.net

歩夢「ありがとうございました~!」

ワーッ

エマ「歩夢ちゃん、お疲れさま」

彼方「大盛況だったね~!」

あなた「みんな本当にお疲れ様!そして今日まで本当にありがとう!向こうのライブの状況はわからないけど、きっとこのお客さんの入りを見れば、大大大成功だよ!この調子で──」

コンコン!

ミア「……邪魔するよ」

かすみ「げえ!?」

あなた「ミアちゃん……?」

せつ菜「今日は部のライブがあったはずでは……」

ミア「中止になったよ。客がいなくなったからね」

かすみ「えっ!?ってことはもしかして……!」

あなた「すごい!私たちのライブが認められたんだね!!」



135: 名無しで叶える物語 2020/11/27(金) 22:41:13.91 ID:gL5Flush.net

彼方「それでミアちゃんはどうしてここに?」

ミア「この間、そこの女に大層なことを言われたから、ボクの曲とどう違うのか確かめにきたんだ。聞けたのはそこの小さいのの曲から」

璃奈「私の歌、どうだった?」

ミア「performanceに関しては専門外だから置いておくけど、曲に関しては改善点がざっと80くらいは指摘できる」

あなた「は、はちじゅう……」

エマ「そんなことをわざわざ言いにきたの」

ミア「……いいや、そんなのは些細なことだった。歌詞もメロディも大したことのないあんたの曲が、その子を通して表現されることで、どうしてかボクの胸にも響いてきたんだ」

璃奈「ほんと……!?璃奈ボード《わーい》」

ミア「わからないけど、なんとなくあんたの言ったことがわかったよ。あんたがその子のことを真に理解して曲を作ったから、その子もまたあんたのことを信頼していたから」

ミア「だからその曲に想いのようなものが乗って伝わったんじゃないかって……」

あなた「ミアちゃん……」



137: 名無しで叶える物語 2020/11/27(金) 23:00:32.36 ID:gL5Flush.net

ミア「だけど、だからこそ確信した。ボクが激情をこめてランジュが表現すれば、あんたたちにはもう負けるわけがない」

ミア「2週間後、また定期ライブの予定がある。そこのステージで白黒つけようじゃない。あんたたちとボクたちとで」

あなた「それって、部と同好会の対バンライブってこと?」

ミア「言うなればそう。そっちからも1人選んでよ。1人ずつステージに立って、どっちが真にスクールアイドルらしい表現ができるのか勝負といこう」

あなた「その勝負に勝てば、私たちの活動を、同好会のことを正式に認めてくれるってことだよね?」

ミア「ああ。理事長さんが解散させたっていう同好会をちゃんと復活させてもらうようにするよ」

あなた(解散……復活……?)

ミア「ただし、ボクらが勝てば全員部に入ってもらう。ランジュの言う原石たちだ。これ以上ないほどの環境で磨かせてもらう。もちろん曲を作れるあんたもこみでね」

あなた「……!!」

ミア「返事はすぐじゃなくていい、ただあんたたちとしても受けない理由がないだろう。いい答えを待ってるよ、じゃあ……」

あなた「待って、一つ聞きたいんだけど、監視委員会はどうするの?」

ミア「What?……なんの話?」

あなた「いや……やっぱりいいよ」

あなた(もしかして……)



138: 名無しで叶える物語 2020/11/27(金) 23:05:59.39 ID:gL5Flush.net

璃奈「帰っちゃった……」

せつ菜「まさか……向こうのほうから宣戦布告されるとは思いませんでした」

かすみ「でもでも!かすみんたちの努力が実ったってことですよ!だって部のライブからお客さんを奪い返しちゃったってことですもんね!」

歩夢「ここまではうまくいったね……だけど、認めてもらうにはもうひと頑張りしないと」

あなた「……」

エマ「あれ、どうしたの?」

あなた「……ここに残ってくれたみんなはさ、部よりも同好会がいいからここにいるんだよね」

彼方「そうだよ~」

あなた「だけどここでの勝負に負けてしまえば、そんなみんなも部に入らないといけなくなっちゃう……」

あなた「この勝敗はさ、私の作る曲が大きなポイントになる。だからもし負けてしまった場合、私のせいでみんなを部に入ってもらわなくちゃいけなくなっちゃうんだよ」

あなた「ミアちゃんは本物の天才だよ。彼女がもし私のような曲の作り方をできるとすれば、勝算はあまりないんだ……」

あなた「そんな状態でみんなを巻き込んでしまっても……いいのかなって……」

かすみ「……何あまっちょろいこと言ってるんですかああぁぁ!!」

あなた「……!!!」



139: 名無しで叶える物語 2020/11/27(金) 23:14:34.33 ID:gL5Flush.net

かすみ「先輩が帰ってきてから、やっとこんなにうまくいったんですよ!そりゃあしず子が向こうに行っちゃったのも先輩が来てからですけど……えっと、そうじゃなくて!」

かすみ「とにかく!先輩のおかげでここまで来れたんですから、誰も先輩のこと責めたりなんてしませんよ!!」

あなた「かすみちゃん……」

エマ「わたしもかすみちゃんと同じ意見だよ。ここまで連れてきてくれたあなたに感謝してるんだ」

彼方「それにね、彼方ちゃんたち、あなたのこと信じてるんだ~」

せつ菜「あなたの作る曲、スクールアイドルが大好きなことがすごく伝わってきます。その曲はきっと、なによりもスクールアイドルらしい曲といえるのではないでしょうか」

璃奈「きっと、きっと大丈夫。璃奈ボード《えいえいおー!》」

歩夢「私たちが、あなたの曲の良さを1番わかってるよ。だから……やろうよ!」

あなた「みんな……」

あなた「ありがとう!それじゃあ何としてでもミアちゃんたちに勝とう!勝って同好会を取り戻そう!!」



140: 名無しで叶える物語 2020/11/27(金) 23:28:20.97 ID:gL5Flush.net

あなた「あとは、ランジュさんとステージで対決する人を選ばないといけない」

あなた「ウエイトは私のほうが大きいとはいえ、やっぱりステージに立つ人も勝敗に関わってくるよね」

あなた「ランジュさんと真っ向から対決する闘志と、プレッシャーを跳ね除ける精神力が必要なんだ」

あなた「それに、同好会と部の最終決戦だからね。同好会という場所に特別強い想いを持っている人がいいんだ」

あなた「そのうえで、スクールアイドルとしての強い矜持をもっている人」

あなた「その条件をクリアできるような人に任せたいと思ってる」

せつ菜「では、議論の余地もないですね」

彼方「そうだね~、彼方ちゃんもせつ菜ちゃんとおんなじこと考えてる~」

あなた「お願いできるかな──かすみちゃん!」



152: 名無しで叶える物語 2020/11/29(日) 09:14:26.69 ID:paX5qsrr.net

あなた「思えばかすみちゃんが、うちの同好会の1番の古株だもんね」

あなた「みんな同好会から離れちゃった時──厳密にはエマさんだけ事情が違うんだけど──部室を守り続けてくれた」

あなた「そんなかすみちゃんなら、同好会の命運を任せられるんだ」

かすみ「はい!かすみんにおまかせあれ♡魅力た~っぷりのかすみんが、会場中の視線を集めちゃいますよ~♡♡」

あなた「ありがとう!」

あなた「それと、2週間の短い間で今以上のとびっきりの曲を作らなきゃいけない。だから毎日ライブは明日で終わりにしよう。それからはかすみちゃんと2人で曲を作っていきたい」

あなた「かすみちゃんのことをもっともっとよく知るために、いろいろなお話をできればいいなと思ってるんだ。大丈夫?」

かすみ「先輩と……?全然大丈夫です!!」

歩夢「わ、私もお手伝いするよ!!」

せつ菜「そうですね、ここの全員でサポートしましょう!!」



153: 名無しで叶える物語 2020/11/29(日) 09:16:26.18 ID:paX5qsrr.net

あなた「それからさっきのミアちゃんの言動から考えると、どうやら私たちがいつかは戦うべき相手が見えてきたね」

彼方「いつかは戦うべき相手?」

エマ(君の理性かな?)

あなた「ミアちゃん、さっき言ってたよね」

ミア【理事長さんが解散させたっていう同好会をちゃんと復活させてもらうようにするよ】

ミア【What?……なんの話?】

あなた「この言い方、ミアちゃんは『私たちが活動できないこと』は知っていても『どういう手段によって活動できなくなっているか』については認識していないように感じるんだ」

あなた「ここからは私の想像だけど、きっとランジュさんが理事長に頼んだのは、同好会の解体だけだと思うんだ」

あなた「それはきっとランジュさんなりの善意というか、部のほうが環境的にいいと考えての行動なんだと思うんだ。だからこそ面倒でもあるんだけど……」

あなた「だけどそれを受けた理事長が、ランジュさんの女王の王国を築くために私たちの活動全般を取り締まりだしたんだ」

あなた「監視委員会の子たちが言っていた『甘言』っていうのは、おそらく理事長側から何か提示されたんだと思う。例えば内申がどうのとか、進学に有利になるような話をね」



154: 名無しで叶える物語 2020/11/29(日) 09:18:12.06 ID:paX5qsrr.net

あなた「それからもう一点。ちょっと前にミアちゃんの曲を聴きに行った時のことなんだけど、ミアちゃん言ってたんだ」

ミア【この間たまたま同じタイミングでライブをした時のこと、忘れたわけじゃないでしょ】

あなた「この言い方、ゲリラライブを被せにいった人の発言とは思えないよね」

璃奈「それじゃあ、本当に偶然重なっただけ?」

あなた「ところがそれも違うんだ。あの時、部のほうのライブの会場がどこだったか覚えてる?」

歩夢「そういえば屋上で誰かが言ってたよね、えっと……」

女生徒A【ねえ!講堂でスクールアイドル部が緊急ライブするんだって!】※

せつ菜「講堂……!」

あなた「そう。そのうえで前にせつ菜ちゃんが言ってたことを思い出して欲しいんだ」

せつ菜【それが出来ればいいのですが……講堂を使用するには前日までに生徒会から許可をもらう必要があるのです】

あなた「うちは多くの部活や同好会がある学校だからね。放課後に講堂を使いたがるところも多いでしょ。だから基本的には講堂の使用許可は前日までに申請する決まりになってる」

あなた「だけどあの日のライブは緊急ライブで元々部の予定にはなかった。なのに講堂が使える状態にあったってことなんだ」

>>20章9話内における女生徒Aのセリフ



155: 名無しで叶える物語 2020/11/29(日) 09:19:25.19 ID:paX5qsrr.net

かすみ「それじゃあゲリラライブの前日には、部がライブするために講堂の使用許可をとっていたってことですか?」

あなた「そう。では誰が許可を申請したのか?ミアちゃんは関与してなさそうだし、ランジュさんでもないと思うんだ」

エマ「どうして?」

あなた「その日のお昼、たまたまランジュさんと会ったんだけど、お昼ご飯を食べないかって誘われているんだよ」

あなた「放課後にライブをするならお昼休みの時間を使って打ち合わせなりするはずでしょ?なのに部外者の、それも部と対立構造にある同好会の部長である私をその場に誘うわけがないよね」

あなた「もっと考えれば、ランジュさんやプロトレーナーがいるんだ、リハーサルくらいするはずだと思う。だけどあの時そんな様子は微塵もなかった……」

あなた「思うにランジュさんは、あの日のお昼の場で初めて知らされたと思うんだよ。緊急ライブを開催するってことを」

あなた「ランジュさんも当日に知らされたライブに使う講堂はどうやって許可されたのか?できるとすれば、その権限がある生徒会、またはそれより上位の存在──」

あなた「つまり、内通者ないし監視委員会を使って、理事長が手はずを整えたんじゃないかと思うんだ」



156: 名無しで叶える物語 2020/11/29(日) 09:20:31.07 ID:paX5qsrr.net

歩夢「どうしてそんなことを……?」

あなた「そこまではわからない。単に行き過ぎた親の愛なのか、それとも何か目的があるのか……」

あなた「とにかくランジュさんたちとの勝負の先、理事長をどうにかするフェイズが必要になるね」

せつ菜「監視委員会の2人はあの様子ですし、内通者の存在がわかれば情報を引き出したいところですが……」

あなた「そこについてはちょっとアテがあるんだ」

彼方「おお~、見当がついてるの?」

あなた「とにかくそこはもうちょっと待って欲しい。とにかく今は、ランジュさんたちに勝る最高のライブパフォーマンスを仕上げよう!」

あなた「明日のライブで、毎日ライブ終了の話と次のライブの宣伝をお客さんにして、それからみっちり練習アンド曲作りやろうね!」

6人「はい!!」



157: 名無しで叶える物語 2020/11/29(日) 09:22:20.37 ID:paX5qsrr.net

──翌日──

あなた「……さて、それじゃあ曲作りをしていこう」

かすみ「かすみんはどうすればいいんですか?」

あなた「いや、なにか特別なことをしようっていうんじゃないんだけどね。たくさんかすみちゃんとお話をしてかすみちゃんのことをもっとよく知りたいんだ」

あなた「あとはかすみちゃんの好きなところに一緒に行ったり、食べたり……そうやってシンクロできればいいなって」

歩夢「シンクロ……」

せつ菜「『瞬間、心、重ねて』ですね!」

あなた「うん。それでさ、ちょっと前から気になってたこと聞いてもいいかな?」

かすみ「はい♡今日はかすみんの秘密を特別に教えちゃいますよ~♡」

あなた「えっと、それじゃあ……愛ちゃんとか果林さんたちが同好会を離れた時ってどんな感じだったのかなって」

かすみ「ええっ、かすみんのこと聞くんじゃないんですか!?」

あなた「いや、それももちろん聞きたいんだけどね。今回どうしてこうなっちゃったかちゃんと知っておいた方が、よりかすみちゃんの今の気持ちに近づけるかと思って」



158: 名無しで叶える物語 2020/11/29(日) 09:23:23.77 ID:paX5qsrr.net

かすみ「でも、前話した通りですよ。最初は同好会のメンバーとして、しお子があの2人を連れてきたんです」

かすみ「でもしばらくしたらあの2人がプロのトレーナーを連れてきたり、新しい部室を作っちゃって、それで同好会を捨てるように言ってきたんです」

かすみ「それでしお子を連れて新しい部室に行っちゃって、同好会の部室を追い出されたんです」

あなた「じゃあ栞子ちゃんは最初から部に入ったんんだね」

歩夢「ランジュさんを止めるには自分が近くにいないとって栞子ちゃん言ってたんだ」

せつ菜「ですけど、状況的に理事長さんに言いくるめられてしまったのだと思います。私が生徒会長の時に何度か話したことがありますが、理事長さんはかなり弁のたつ方でしたから……」

かすみ「せっかく仲間になれたのにって、かすみんはぷんぷんなんですよ!なんですけど……幼馴染みたいですし、そこはちょっとしょうがないのかもって思うようになりました」

かすみ「そうしてしばらく外で練習したりしてたんですけど、そのうち監視委員会がかすみんたちの活動を止めにくるようになったんです」



159: 名無しで叶える物語 2020/11/29(日) 09:24:59.28 ID:paX5qsrr.net

かすみ「それで練習も全然できなくなっちゃって、しお子も生徒会と部のほうで忙しいみたいで全然話せなくて……」

璃奈「その頃から愛さん、ちょっと考え事をするようになってた」

エマ「そうだね……果林ちゃんもそうだったかな」

彼方「というよりも、やっぱりあの時期はみんな練習ができなくて落ち込んじゃってたもんね」

あなた(なのに誰も私に相談の1つもないなんて……人望ないのかな……)

かすみ「そしたらある日のお昼、9人でご飯を食べてる時に愛先輩が言い出したんです。部に行こうと思うって……」

かすみ「それ聞いてかすみんちょっとショックで、どうしてか~ってみんなして聞いたんです。そしたら相手のことを知らないで否定したくないって愛先輩言ってました」

かすみ「それで愛先輩に色々聞いてたら、静かだった果林先輩も、部に行くのもありだって言い出して」

かすみ「それで……2人は部に入っちゃったんです」

あなた「なるほど、そうなんだね」

あなた(もしかしたら果林さんは……)



160: 名無しで叶える物語 2020/11/29(日) 09:26:44.06 ID:paX5qsrr.net

ミア「……」カキカキ

ミア(いや、ダメだこれじゃ……ランジュの魅力を引き出す曲には至らない!)グシャグシャ

ミア「はぁ……」

ミア(メロディも歌詞も、ここまで苦労したことはない。clientの希望を聞いてすぐ何パターンか用意することもたやすかった。なのに……)

ガチャッ

愛「ねえねえ、今からクレープ食べに行かないって話になったんだけど、どうする?」

ミア「……悪いけど集中したいから」

愛「そっか。あんまり無理してカタツムリみたいに籠んないでよね、それじゃ!」

バタン

ミア(ランジュの魅力を最大限伝えられるのはこのボクだけだ。曲だけじゃダメ……衣装も演出も全てボクが作り上げるんだ。あの女がそうしているように……!)

ミア「……もっと潜らないと」



161: 名無しで叶える物語 2020/11/29(日) 09:27:24.56 ID:paX5qsrr.net

あなた(よし、だいぶ曲も形になってきた。あとはみんなの意見も聞きながら微調整をして……)

コンコン!

ことり「こんにちは~」

真姫「進捗はどう?」

あなた「ことりちゃん、真姫ちゃん!」

真姫「かすみは今屋上で海未とエリーにしぼられてるわ」

あなた「そっか。頑張ってるんだね、かすみちゃん」

ことり「うわ~♡すっごく素敵な衣装デザインだね♡」

あなた「うん。ちょっと複雑なモチーフがあって……この間のライブ衣装も作ってもらったのに申し訳ないんだけど、またことりちゃんに手伝いをお願いできないかな?」

ことり「もちろん!かすみちゃんに似合う衣装だもん。ことりがお手伝いしちゃいます♡」

あなた「真姫ちゃんにも、私の曲の出来栄えを確認してもらえればと思ってるんだけど、お願いできる?」

真姫「ええ、かまわないわよ」

あなた「2人とも、ありがとう!」



162: 名無しで叶える物語 2020/11/29(日) 09:27:55.35 ID:paX5qsrr.net

あなた「よいしょ、よいしょ……」ヌイ…ヌイ…

ことり「それそれ~♡」ヌイヌイヌイヌイヌイヌイヌイヌイ!!

あなた(相変わらずめちゃくちゃ速い……!これもう何かの能力者じゃない?)

あなた(針と糸を使う能力者がヒロインとの運命の赤い糸を結びつけるために悪どい大人たちと戦う漫画とかあったらめちゃくちゃ面白そうだよね)

ことり「ここの部分はこんな感じでいいかな♡」

あなた「すごい!想像以上だよ、ありがとうことりちゃん!」

真姫「……なるほどね」

あなた「あっ、真姫ちゃん聴き終わったかな?」

真姫「いいと思うわ。かすみらしい明るさや力強いところが伝わってくる曲調ね」

真姫「そうね……私がアレンジするとしたら──」



163: 名無しで叶える物語 2020/11/29(日) 09:28:38.83 ID:paX5qsrr.net

ミア「ねぇ」

ランジュ「ミア!久しぶりね。曲の調子はどうかしら?」

ミア「できたよ、これ……」

ランジュ「これね……あら、1つ……?」

ミア「ボクも驚いたよ。一晩で5曲仕上げるなんてどうってことなかったってのに、これ一曲仕上げるのに5日もかかるなんて」

ミア「だけど渾身の曲ができた。これならもうボクたちは誰にも負けない」

ランジュ「……ずいぶんミアらしくない曲ね」

ミア「悪かったね」

ランジュ「だけど……今までの曲で1番心に響いたわ。この曲なら、確かに誰にも負けないわね」

ミア「ランジュ……」

ランジュ「さ、さらにこれを渾身の曲にしましょう。さっそく練習してくるわ」



164: 名無しで叶える物語 2020/11/29(日) 09:29:22.04 ID:paX5qsrr.net

あなた「できたよかすみちゃん!」

かすみ「はひゅ~、はひゅ~……」

あなた「あれ、かすみちゃん?」

せつ菜「もう少し待ってあげてください。最近はμ'sやAqoursのみなさん直伝のトレーニングで体力アップに努めていたので」

あなた「そっか。お疲れ様、かすみちゃん」

エマ「どんな曲になったのかな?」

あなた「メロディのほうは真姫ちゃんと梨子ちゃんに聴いてもらって仕上げたんだ。歌詞は極力自分で作ったけど、海未ちゃんと千歌ちゃんに細かいところを指摘してもらったりして完成したよ」

あなた「それで衣装がこれ!かすみちゃんにピッタリの超かわいい仕上がりになったと思うんだけど……」

かすみ「ああっ、超かわいいです~~~♡♡♡」

彼方「おっ、復活だね~」

璃奈「流石、かわいいものに目がない……」

あなた「あと1週間でかすみちゃんにはこの曲を完璧にしてもらうよ。みんなで練習に協力するからね」

かすみ「は~い、かすみんがんばりますぅ♡」

あなた(かすみちゃんをしっかり理解をして、みんなで作った結晶……これなら……!!)



174: 名無しで叶える物語 2020/11/30(月) 09:31:40.99 ID:qveWK3TH.net

──ライブ当日──

あなた「いよいよだねっ……!」

歩夢「かすみちゃん、かわいいよ」

かすみ「えへへ、ありがとうございます♡」

あなた「もう少し緊張するかと思ってほぐす方法とか色々調べたりしたんだけど、かすみちゃんには必要なさそうみたいだね」

かすみ「今日までソロライブたくさんしましたからね!緊張にはだいぶ強くなったんですよ」

せつ菜「すごいです、かすみさんは……」

かすみ「今日はかすみんのステージで、お客さんみ~んなかすみんのファンに……」

コツコツ…

ランジュ「随分と久しぶりね」

あなた「ランジュさん……」



175: 名無しで叶える物語 2020/11/30(月) 09:32:36.10 ID:qveWK3TH.net

あなた(衣装……前まではもっと派手なものだったと思うけど、今回はかなりシックな感じがする。それに手作業では実現しにくい驚きの流線型!おそらく3Dプリンターとかその類で作ってるんだ)

あなた(しかし立ち振る舞いから感じる圧力というかオーラというか……ミアちゃんだけがすごいんじゃない。ランジュさんも紛れもない才能の持ち主)

あなた(本来みんなを、かすみちゃんを元気づけないといけない立場の私がここまで圧倒されちゃうなんて。情けないなぁ……情けないけど……)

あなた「今回も、負けないから!」

あなた(大丈夫、大丈夫……。渾身の曲ができた、渾身のパフォーマンスができた、みんなで作ったステージだ、負けて、負けてたまるか!)

ランジュ「ふぅん、そっちはその子がでるのね」

かすみ「か、かすみんにビビってヘマしちゃうかもしれませんよっ!!」

ランジュ「……無問題ラ。特別に見せてあげるわ。アタシとミアの、最高の表現をね」

ミア「……そろそろ時間、行ってきて」

ランジュ「ええ……じゃあね」

コツコツ…



176: 名無しで叶える物語 2020/11/30(月) 09:33:18.19 ID:qveWK3TH.net

ワーッ!

あなた(すごい、圧倒的な歓声……このムードを維持されてしまえば完全アウェー状態でかすみちゃんがパフォーマンスすることになる……)

ランジュ「この中にランジュのこと嫌いな人いるかしら?」

シン…

あなた(ひとたびランジュさんが口を開けばこの静寂……いつもの口上がことさら映える。もうこの時点で会場の空気はランジュさんが支配したんだ)

ランジュ「無問題ラ。すぐにアタシのファンになってるわ。それじゃあ──」

グオォォォ…!

せつ菜「……!!」

あなた(これは、イメージの圧……!せつ菜ちゃんと同等……いや、それ以上かも!!)

あなた(曲調は意外にもしっとりとしたバラード系の曲……それをランジュさんが訴えかけるように力強く歌うことで、ここまでの音楽になるのか……!)

あなた(……この人、強い!!)



177: 名無しで叶える物語 2020/11/30(月) 09:34:22.52 ID:qveWK3TH.net

ランジュ「─♪──♫♩」

ミア(こんなもんかとはもう言わない、これが、ボクの、そしてランジュの全力!)

ミア(見ろ、聴け、味わえ!ミア・テイラーはすごい!鐘嵐珠はもっとすごい!!)

ミア(天才、カリスマ、スター性……ランジュのオーラに支配されろ!!)

ミア(これほどまで時間をかけて、ランジュを最大限アピールできるようにしたんだ。その想いというのが、観客に届かないはずがない)

ワーッ!!!

ミア(もらった……!)



178: 名無しで叶える物語 2020/11/30(月) 09:35:10.75 ID:qveWK3TH.net

パチパチパチパチ!!

あなた(これほどの歓声……ここまで圧巻のパフォーマンスをみせられるなんて……!!)

あなた(少し前に感じた物足りなさはもうない。ミアちゃんの想いにランジュさんがこたえるような形で、実にスクールアイドルらしいステージだった)

あなた(この手の勝負って基本印象に残りやすい後攻のほうが有利だと思うけど、この雰囲気の中ベストパフォーマンスができるかどうか……)

あなた(……でも知ってるよ)

かすみ「では、かすみん行ってきます!」

あなた(今日までに重ねた時間で、より深くかすみちゃんのことを理解したと思うから。かすみちゃんはここで臆するようなスクールアイドルじゃないって)

かすみ「は~い、つづいては~、かすみんのとびっきりのステージを楽しんでくださいね~♡♡♡」

あなた(いく、いける!音楽スタート)

ポワワワワア



179: 名無しで叶える物語 2020/11/30(月) 09:36:22.79 ID:qveWK3TH.net

かすみ「~♬~~♫♪」

あなた(かすみちゃんの魅力の骨格は『かわいい』ってところ。だけどそこだけアピールするんでは真のかすみちゃんの魅力は伝わらない)

あなた(芯が強いところ、敵対心や負けず嫌いなところはあっても人を憎めるようなタイプじゃないとこ、そして、スクールアイドルが大好きなとこ!)

あなた(それら全てが伝わるような旋律、言い回しを必死で模索した。ミアさんみたいに万人が歌って受けるようなすごい曲は作れない、でも……!)

あなた(かすみちゃんのオンリーワンなら、私には、私たちには作れるんだ……!)

あなた(そうじゃなきゃ、かすみちゃん──)

ワーッ!!!

かすみ「~♬~~♫♪」スマイルスマイル

あなた(──あんな楽しそうな表情、しないよね)



180: 名無しで叶える物語 2020/11/30(月) 09:37:27.20 ID:qveWK3TH.net

ミア(ランジュのステージが終わった瞬間は、勝利を確信した……)

ミア(なのにどうだ、あの中須かすみのステージが始まってからの、この空間を包む柔らかなイメージは……!)

ミア(昔なら全く意に介さなかったような演出、だけどスクールアイドルの深淵を覗いた今ならわかる、想いが溢れるようなステージ……)

ミア(間違いなくランジュのステージも抜群だった。だけど甲乙がつけがたい。もはや心象の差でしかない。果たして、どちらのほうが真にスクールアイドルの舞台だったのか……)

かすみ「今日はありがとうございました~、かすみんでした、ばいばいで~す♡♡♡」

ワーッ!!! パチパチパチパチ!!

あなた「お疲れさま、かすみちゃん!」

かすみ「せんぱ~い、楽しかったです~~!!」

ミア「2人のライブが終わったね、それじゃあ投票にうつる。観客はランジュと中須かすみのどちらがよかったか、ボールで投票する。そしてより重さがあったほうが勝者になる」

あなた(まさかのキロバトル方式!?絶対愛ちゃんが提唱したでしょ……)

ミア「それじゃあ投票を──」

…ンコール

ミア「……!?」



181: 名無しで叶える物語 2020/11/30(月) 09:38:53.84 ID:qveWK3TH.net

アンコール! アンコール! アンコール! アンコール!

ミア「これ……」

アンコール!

エマ「かすみちゃんを……」

アンコール!

あなた「呼んでる声だよ!!」

アンコール!!!

かすみ「……えへへ、み~んなかすみんの、虜になっちゃったみたいですね♡それじゃあまた行ってきます!」

あなた「あっ、ちょっとかすみちゃん……行っちゃった」

あなた(だけど、知ってるよ。今かすみちゃんがやりたい曲を)

ミア(まさか、投票するまでもなく、ボクとランジュが……!?)

かすみ「みなさ~ん♡」

ワーッ!!! パチパチパチパチ!!

かすみ「ありがとうございますぅ♡♡」

あなた(この空間はもう、女王の王国じゃない!)

かすみ「それじゃあ、もう一曲聞いてくださいね」

あなた(今この瞬間は、かすみちゃんの──)

かすみ「『☆ワンダーランド☆』!!!」



192: 名無しで叶える物語 2020/12/01(火) 23:48:57.90 ID:kuMFqqye.net

ミア「……まいったよ」

あなた「ミアちゃん……」

ミア「中須かすみのステージ、本当に見事だった。彼女とあんたの想いが伝わってきた」

ミア「だけどランジュのステージだって、現状できる最高のステージだったと今でも思ってる。何が違ったんだろう……」

あなた「ランジュさんの衣装さ、ミアちゃんが作ったのかな」

ミア「そうだけど。専門外の分野ではあってもランジュが1番映えるようなものを作った。裁縫ができなくても今は機械で作れるからね」

あなた「たぶん、わずかな差の正体は、それだと思う」

ミア「What!?」



193: 名無しで叶える物語 2020/12/01(火) 23:50:10.94 ID:kuMFqqye.net

あなた「ちょっと前までの私がそうだったんだよ。あれこれなんでも自分でやらなきゃって背負い込んじゃった時があってね」

あなた「私としてはみんなのための行動だったんだけど、結果的にはみんなに心配と迷惑をかけただけだったんだ」

あなた「それからはみんなのこと、もっと頼るようになったんだよ。今回のライブに関しても、衣装から作詞から作曲から、骨格を作ったのは私だけど、色んな人に見てもらって、改善を加えて完成したの」

あなた「だからそこにみんなの想いものせることができたんじゃないかなって」

ミア「みんなの、想い……」

あなた「もちろんその人のことを想う強い激情は間違いなく重要な要素で、その部分で言えば2人のステージは完璧だった」

あなた「あの当時の私だったら、あるいはミアちゃんが栞子ちゃんや愛ちゃんたちと合同で作っていたら……結果は逆だったかもしれない」

あなた「だけどそこにみんなの想いが重なることで、本当にスクールアイドルらしい曲に、ステージになると私は思うんだ」



194: 名無しで叶える物語 2020/12/01(火) 23:51:09.08 ID:kuMFqqye.net

ミア「案外難しいもんだね」

あなた「そうじゃなかったら、スクールアイドルはどこかで完成してる。でもこうしてまだ終焉を迎えてないんだ。だからそうやって模索していくしかないんだよ」

あなた「でも、楽しかったんじゃない?そうやってがむしゃらに何かを追いかけるってさ、たぶん今しかできないことだと思うから……」

ミア「向こうじゃそうはいかないって。常に最新のバズる曲を出して評価を得ないと生きていけない」

ミア「ただ……こうやって何かに没頭するのも、悪くなかった」

あなた「私思うんだ。ミアちゃんもさ、きっとスクールアイドルをやってみたらいいんだよ」

ミア「ボクが?No way!」

あなた「絶対それがいいと思うんだ!声も綺麗だしビジュアルも相当スクールアイドル向きだと思う!同好会に入ってくれれば歓迎するよ!」

ミア「はぁ……あんたも筋金入りだね」

ミア「でも、まぁ……考えておくよ」

あなた「ミアちゃん……!」

ミア「そろそろ行くよ。今後の方針とか考えないといけないから。理事長さんには、ランジュとそれとなく説明しておくから。それじゃ……」



195: 名無しで叶える物語 2020/12/01(火) 23:52:07.29 ID:kuMFqqye.net

かすみ「みなさん、グラスは持ちましたか~?」

かすみ「え~、というわけでぇ、かすみんの頑張りで部室を取り返したことを記念して……」

「「「「「「「かんぱ~い!!!」」」」」」」

エマ「やっと帰ってこられたね」

せつ菜「やはり……ここが一番落ち着きます!」

かすみ「いやせつ菜先輩も一度手放しましたよね、かすみん忘れてませんからね!」

せつ菜「その節は本当に……すみませんでした……」

彼方「おお~彼方ちゃん愛用のソファ、ここにまだあったんだ~」

歩夢「どこかの部活に明け渡されちゃってないか心配だったんだけど、そうじゃなくてよかったよ」

あなた「そうだね。拠点は取り返したし、活動を認めてくれるように理事長にミアちゃんたちが話してくれるみたいだし、これでほとんどの問題は解決だね」

あなた「あとは、部のほうに行ったみんなのこと。このまま帰ってきたとして、なるべく禍根を残したくはないからさ。もし現段階で納得できなかったり、不満があるなら言って欲しい」



196: 名無しで叶える物語 2020/12/01(火) 23:59:02.37 ID:kuMFqqye.net

璃奈「私は、また愛さんと練習したい」

彼方「彼方ちゃんも、みんなと仲良く練習したいな~。みんなの膝枕気持ち良いもんね」

せつ菜「私は、どうこう言える立場にありませんよ。先程かすみさんに指摘されたように、私も一度同好会をバラバラにしてしまったのですから……」

エマ「私は……ちゃんと話がしたいな。別にその返答次第で戻ってくることを否定するわけじゃないけど……だけどしっかり話し合いがしてみたいの」

歩夢「そうだね。向こうでの話も聞いてみたいし、こっちであった話も聞いてほしいな」

かすみ「かすみんは……せっかくかすみんたちが頑張ってやっとここまで来たのに、負けたからってこっちに帰ってくるのは、やっぱりちょっと納得いかないです……」

あなた「……そうだよね。まぁかく言う私も言いたいことがないわけじゃないからね」

あなた「こうなると思って、実はサプライズを用意してました!さぁ、入って~」

ガラガラ

栞子「……」

愛「……」

果林「……」

しずく「……」



203: 名無しで叶える物語 2020/12/03(木) 12:27:05.50 ID:JAM9rmgb.net

あなた「まずはしずくちゃんからにしようか。お互い色々言いたいことがあると思うんだけど、一旦私からいいかな」

あなた「ええっと、まずしずくちゃんに関しては、ある意図があって部のほうに行ったんだってことをわかってほしいんだ」

歩夢「意図……?」

あなた「ヒントは前にもらった手紙にあったんだ。これ、中身はこの前読んだ通りなんだけど、便箋の表にある宛名と裏にある差出人も本文として捉えるとこうなるよね」

────

先輩へ

無礼な私をお許しください

留守の間は同好会をよろしくお願いします

すぐに戻れるかはわかりませんが、

素敵になって帰ってくることをお約束します

願わくばみなさんのライブが成功しますように

行ってきます

プリンスより

────

せつ菜「あっ、もしかして……!!」



204: 名無しで叶える物語 2020/12/03(木) 12:27:30.36 ID:JAM9rmgb.net

【注意】次のレスにはとある作品の根幹に関わるネタバレが絡む描写があります。『プリンス』でピンとこない方はスルー推奨です。



205: 名無しで叶える物語 2020/12/03(木) 12:28:18.85 ID:JAM9rmgb.net

あなた「結構メジャーな暗号だけどね、文頭の一文字目をとっていって繋げるんだ。俗に言う縦読みってやつだね」

あなた「本文だけじゃなくて、宛名と差出人の部分もあわせるっていうのがちょっと特殊だけど、そうするとある人物というか、キャラクターの名称が出てくるようになるんだ」

あなた「二次元界隈ではオレオの人並みに有名な二重スパイのことでね、自分の信用を得るために味方の情報を売るんだけど、一方で味方側が完全に不利にならないように立ち振る舞うんだ」

あなた「それを仕込んだってことは、しずくちゃんも同様に、こっちに有利になるようにあえて同好会から部に移ったってことがわかるようになってるんだ」

あなた「そうだよね、しずくちゃん?」

しずく「おっしゃる通りです。先輩になら、伝わると思っていました……!」



206: 名無しで叶える物語 2020/12/03(木) 12:33:39.30 ID:JAM9rmgb.net

彼方「しずくちゃんが同好会のために向こうにいったことはわかったけど、どうして手紙にしたの~?」

歩夢「そうだよね。この子は部のことを帰ってくるまで知らなかったんだから、内通者の可能性は低そうだもんね」

エマ「メールや電話でもいいんじゃないかなって思うけど……」

しずく「それは……」

せつ菜「そのほうがカッコいいじゃないですか!暗合ですよ!?」

彼方「まあまあ落ち着いて~」

あなた「それはさ、たぶん璃奈ちゃんのことを警戒したからじゃないかな?

しずく「……その通りです。情報処理学科だし、パソコンとかが得意みたいだから、璃奈さんが内通者ならメールや電話は傍受される可能性があるかもしれないと」

璃奈「そんな酷いこと、しない。璃奈ちゃんボード《しゅーん》」

しずく「ご、ごめんね璃奈さん……」



208: 名無しで叶える物語 2020/12/03(木) 12:39:18.23 ID:JAM9rmgb.net

かすみ「でもでも!なんでわざわざあのタイミングだったの?みんなで頑張っていこう!って時だったじゃん!」

しずく「ゲリラライブが被されたことが、内通者がいるんじゃないかって思った原因だったんだよ。それならそれを誰かが探らないと、また邪魔されちゃうかもしれないと思ったから」

あなた「しずくちゃんはしずくちゃんなりに私たちのことを考えていてくれたんだ。ありがとうね」

あなた「だけどタイミングに関してはもうちょっとどうにかできたんじゃないかと私も思うな」

あなた「例えばだよ、スクールアイドルフェスティバルの後の打ち上げでさ、祝賀ムードの中私が突然『留学することになりました、出発は明日です』とか言い出したらどう思う?」

あなた「よりによって今?ってなるよね。彼方さんがせっかく用意してくれた料理とか食べてる余裕なくなっちゃうよね」

あなた「そこはしずくちゃんの反省点だと思うな」

しずく「そうですね……かすみさんに感化されたのと、内通者の疑いでどうにも焦ってしまいました」

あなた「まぁそれもさ、みんなに言えばまだよかったのに、あの言い方は誤解をうむよ」

かすみ「ほんとだよ!どれだけしず子はかすみんのこと不安にさせたのか反省してよね!!」

しずく「本当にその件は、すみませんでした……」



209: 名無しで叶える物語 2020/12/03(木) 12:40:45.95 ID:JAM9rmgb.net

せつ菜「まあまあ、そこまでにしましょう。かすみさんの気持ちも分かりますが、しずくさんも苦渋の決断だったと思いますから」

エマ「それよりもその、内通者っていうのかな。その人は結局誰だったの?」

あなた「そこは私も是非しずくちゃんから聞かせてもらいたいんだ。向こうに行ってどういうことがあったのか」

しずく「初めは、同好会の誰かだと思っていました。ゲリラライブの本当の開催日をランジュさんに伝えた人がいるのだと」

しずく「だから私はそれを教えてもらうために、『同好会は音ノ木坂で練習を続けている』という情報でランジュさんの信用を得ようと考えたんです」

しずく「ところが部に入ってすぐ、ランジュさんは全く監視委員会に関与していないことがわかりました。それどころか彼女はそんな委員会が組織されていることすら知らないようでした」

愛「ゲリラライブがあった日の部のライブさ、愛さんたちも当日に知らされたんだよね」

栞子「講堂はいつのまにか使用許可の申請がおりていたので、そのまま続行できたのですが少し不思議でした」

しずく「だからランジュさんではなく理事長さんと繋がっている人がいるのではないかと考えたんです」



210: 名無しで叶える物語 2020/12/03(木) 12:43:14.68 ID:JAM9rmgb.net

しずく「そこで次の作戦に移りました。先ほどの情報を各部の部長さんたちにそれとなく伝えたんです」

しずく「あの日のゲリラライブの本当の日程を知りえたのは、同好会のみなさんを除けば協力を要請した各部の部長さんたちです。本当の日程を知ったうえで偽りの日程の噂を流してもらったのですから」

しずく「それを理事長さんにリークした人がいるのだと考えました。なので少しずつ情報を流す相手を増やして、いつ同好会のほうに監視委員会が接触に行くのかを見たかったのです」

かすみ「それじゃあかすみんに質問をしたのって……」

しずく「そうだよ。監視委員会が例の情報を知って同好会に会いにいったタイミングから逆算して、誰が報告したと考えるのが妥当なのか計算したんだ」

しずく「それから何人かに目星をつけて、時折理事長室の前で張り込みをしたりしました。そうしてやっと、内通者の存在にたどり着くことができました──」

??【へぇ、まさかそんなことまでやっていたなんてね】

しずく【そう言うってことは、認めるんですね、あなたがゲリラライブの情報を理事長さんにリークしたんだと】

しずく【……部長】



211: 名無しで叶える物語 2020/12/03(木) 12:44:39.82 ID:JAM9rmgb.net

部長【そう言いつつ、最初から私のことを疑っていたでしょう、しずく】

しずく【ゲリラライブがあった曜日は、もともと演劇部がステージ練習をするために毎週講堂を抑えていましたよね】

しずく【それがあのゲリラライブの少し前に違う曜日に切り替わったじゃないですか】

しずく【だからあの日講堂が使える状態にあったのは、演劇部のせいなんです】

しずく【なので初めから容疑者の最たる候補は部長だったんです。とはいえ、いざ部長が理事長室に入っていくところを見た時はショックでしたが……】

しずく【どうしてなんですか!?部長はスクールアイドルと演劇部の兼部を応援してくださったじゃないですか、なのにどうして……!】

部長【色々あったけどさ、簡単に言うなら私欲のためだよ】

しずく【どういうことですか?】

部長【うちの大切なしずくを奪っていった同好会がさ、許し難かったってこと】

しずく【そんな……理由で……?】



213: 名無しで叶える物語 2020/12/03(木) 12:45:56.69 ID:JAM9rmgb.net

部長【そんな理由なものか。しずくは演劇部に現れたスターだよ。あそこまで演技にのめり込み、古い作品を熟知した生徒はそうそういない】

部長【スクールアイドル同好会から離れたときは歓喜したよ。この1年、どれだけ素晴らしい舞台ができるのかと……】

部長【ところが、突然現れた女のせいでしずくは再び向こうに行ってしまった……こんな裏切りがあっていいのか?】

部長【だから同好会が分解しそうな好機を逃すまいと思ったよ、しずくを失った恨みを晴らすべき機会だとね】

部長【強いて言えばしずくのせいだよ。しずくがあちこち行ったり来たりするようなことをしなければ、スクールアイドル同好会があんな悲惨なライブをする必要はなかったんだから】

しずく【……っ!!】

部長【さて、あとは好きにするといいよ。同好会に事実を伝えるなり、このことを大々的に告発するなりすればいいさ……もっとも理事長は認めないだろうけどね】

しずく【同好会の皆さんには話します。知る権利がありますから。ですが……】

しずく【部長の行為は告発しませんよ。私の不甲斐なさが招いた事態なのは確かですから】

しずく【それに演劇部も辞めません。そこまで部長に言ってもらえるなら期待に応えたいですから】

部長【しずく……】



214: 名無しで叶える物語 2020/12/03(木) 12:46:53.58 ID:JAM9rmgb.net

部長【……少し驚いたなあ。もう虹ヶ咲にいられなくてもおかしくないだろうと思っていたよ】

部長【ここまでのことをされた相手を、許してしまえるんだね】

しずく【確かに部長の行為に賛同することはできません。ですが今回の混乱は私を少しでも成長させてくれたと思いますから】

部長【そうか……優しすぎるな、しずくは】

部長【それじゃあそんなしずくに……戦利品っ】ヒュッ

しずく【あわわ、ああ……】ポロッ

しずく【すみません、球技は苦手なもので……】

部長【USBメモリを投げ渡すのっていうほど球技かな?】

しずく【えっと、それで、これは……?】

部長【保険だよ。今の私が持っているよりも、しずくが持っている方が役に立つよ】

部長【それじゃあ、私はもう行くよ】

しずく【あの……ありがとうございました!】

部長【ふふっ、変な子だ。しずくは】

バタン



215: 名無しで叶える物語 2020/12/03(木) 12:47:34.61 ID:JAM9rmgb.net

部長【(これでよかったんだ。しずくはこれで、また女優として成長できる)】

部長【(しずくの死に場所はアイドルじゃない。女優だよ。その才能は間違い無いのだから)】

部長【(スクールアイドルとしての経験だって女優にはきっと大切だろう。だけど一番大事なのは怒りや失望、絶望のような感情をたくさん経験することだと私は思う)】

部長【(そのために同好会を巻き込んでしまったことは申し訳ないけど、私がかき乱すことでしずくがさまざまな感情を学んで成長できたのなら本望だ)】

部長【(今は子役からずっと演劇の世界に身を投じているプロが数多くいる。その中でしずくが将来開花するには、多少の荒療治も必要だろう)】

部長【(私が嫌われ役をかってでてそれができるのなら、それでよかったんだ)】

部長【(……いや、少し違うか)】

部長【(きっと同好会の部長に嫉妬していたのは本当だったんだろうな、私は……)】

部長【あとは任せたよ。しずく、部長さん】



216: 名無しで叶える物語 2020/12/03(木) 12:48:29.98 ID:JAM9rmgb.net

しずく「──と、いうようなことがありました」

あなた「演劇部の部長さん……そうだったんだ」

エマ「ちょっとビックリしちゃったなぁ。だけど、同好会の誰かが内通者じゃなくってよかった!」

かすみ「しず子、なんで相談してくれなかったの……?」

しずく「ごめんね、そんな訳ないと思ってはいても、かすみさんが内通者じゃないとも限らなかったから……」

かすみ「だけど!そんな危ないことしてしず子が危険な目にあったらどうするの!!次!そういうことがあったら、ちゃんとかすみんたちに相談してよね!!!」

璃奈「私もしずくちゃんの、力になりたい」

しずく「ありがとう……ございます……」

あなた「そういえば、その戦利品って……?」

しずく「それが、何か音声データのようなものがあったのですが、ノイズ塗れで全くなんなのか理解できないんです」

あなた「そうなんだ……それはじゃあ後で考えるとして、次は愛ちゃんの番ね」



221: 名無しで叶える物語 2020/12/03(木) 22:33:36.93 ID:JAM9rmgb.net

あなた「栞子ちゃんは別として、愛ちゃんは一番最初に部への転向を提案したんだよね。それはどうして?」

愛「……愛さんさ、しおってぃーの時のこと、ちょっと反省してるんだよね」

栞子「私のこと……ですか?」

愛「前にさ、しおってぃーがせっつーと色々あった時、愛さん誰かの評判を間に受けてしおってぃーのことひどいな~って思っちゃって」

愛「それでその評判をみんなに話して、同好会のみんなもそれに同調するような形でさ」

愛「もしぶちょーが機転をきかせてしおってぃーが同好会の練習に参加するようなことがなければ、きっと愛さん、しおってぃーのことをろくに知らずに否定したまんまだったのかなって」

愛「だから今回は最初から思い込みで否定することはしたくなかったんだ」

愛「今回はぶちょーもいなかったし、日に日にランジュに対する不満がたまってきてるのがわかってさ、だったら愛さんが向こうに飛び込んで、架け橋みたいになれればいいかなって」



222: 名無しで叶える物語 2020/12/03(木) 22:39:39.00 ID:JAM9rmgb.net

愛「だけど日に日に部に対する不信感が募ってたからさ、言い出したらみんなとの仲はどうなっちゃうのかすっごい不安だったよ」

璃奈「だから愛さん、考えごとをするような顔をするようになったんだ……」

愛「それでも愛さんがなんとかしてやるんだって思って、みんなに提案してさ、やっぱりすごい反対にあって、それでうまくいかないままカリンと向こうにうつることになったんだよね」

愛「会ってみてランジュは、確かに無神経なこと言ったりもするけど、全然いい子なんだなって気がつけたんだよ。ミアも時々そっけないけど、楽曲への情熱はすごいなぁって思ったし」

愛「本当はぶちょーが戻ってくる前になんとか同好会を元どおりにしたかったんだけど……なかなかうまくいかなかったんだ」

愛「だから愛さんも焦っちゃってさ、みんなのことをちょっと強引に部に入るように話をしちゃったりして、ますますうまくいかなくって、そうこうするうちにぶちょーが帰ってきたってわけ」

あなた「そうだったんだね……」



223: 名無しで叶える物語 2020/12/03(木) 22:47:05.62 ID:JAM9rmgb.net

あなた「愛ちゃんも愛ちゃんなりに、みんなとランジュさんたちのことを想っての行動だったんだね」

あなた「……だけどさ、大事なことをなんの相談もなく勝手に決めちゃうの、愛ちゃんのよくない癖だよ。この間ファッションショーイベントに参加した時もそうだったってダイヤさんとかから聞いたよ」

あなた「それでみんながどれだけ心配したか、私がどれだけ不安だったか……もうちょっと考えてほしかった」

あなた「同好会よりも向こうのほうが楽しくて居心地がいいんだろうなって思ったらさ、やっぱり悲しくなったから……」

愛「そう……だよね……本当にごめん……」

璃奈「でも、私はそっちの愛さんも好き」

愛「りなりー……?」

璃奈「そうやって誰かと仲良くなるために距離を縮めちゃうところ、愛さんのいいところだと思う」

璃奈「私はそうして、救われたよ」

愛「そう言ってくれてありがとう……だけどやっぱり愛さん悪かったよ。そんなりなりーたちのこと、不安にさせちゃったんだから」

愛「ごめんなさい……」

璃奈「私は平気だよ、愛さん」

愛「りなりー……」ウッウッ



224: 名無しで叶える物語 2020/12/03(木) 22:51:40.98 ID:JAM9rmgb.net

あなた「そしたら次は果林さんだね」

果林「……私は前に説明した通りよ。向こうのレベルの高いレッスンに興味があったの」

果林「……私がここに来たのも、これを渡そうと思ってね」スッ

あなた「ノート……」

果林「私は向こうを選んだの。今更ここに戻ることなんてできないわ、それじゃあ……」

あなた「待ってよ果林さん!果林さんだって向こうに行ったのは理由があるでしょ!」

果林「……理由って、さっき説明したでしょう。もういいかしら、私──」

エマ「カッコつけないでよ!!!」

果林「エマ……!?」



225: 名無しで叶える物語 2020/12/03(木) 22:56:21.41 ID:JAM9rmgb.net

エマ「果林ちゃん、いっつもそう!!せっかくみんなのために行動したり提案したりしてくれるのに、キャラを守って意地張って!!」

エマ「それがカッコいいと思っているなら、果林ちゃんは間違ってるよ!!」

エマ「今回だってそうでしょ!みんなから誤解されても部に移ったのは──」

果林「エマ、もういいでしょ、これ以上は……!」

エマ「──愛ちゃんのため、でしょ」

愛「……えっ、愛さんの……?」

あなた「この前かすみちゃんから、愛ちゃんと果林さんが部に行った時の経緯を聞いたときに私もそうじゃないかって思ったんだ」

あなた「愛ちゃんが移籍の話をした時、他のみんなが色々聞いたって。その様子がどうだったかまではわからないけど、きっと質問攻めになってる愛さんにヘイトが集まってるように見えたんじゃないかな」

あなた「それを見た果林さんはスケープゴートをかってでたんだよ。愛ちゃんだけにヘイトが集まるのを避けるために、適当な言い訳をつけてね」

果林(すけーぷ……?)



227: 名無しで叶える物語 2020/12/03(木) 23:02:08.86 ID:JAM9rmgb.net

あなた「それにこのノートもそうだよね」

せつ菜「そういえば、最近果林さんが勉強をしていると聞きましたが……」

あなた「中なんか見なくったってわかるよ。これは勉強ノートなんかじゃない。これは部での練習方法や計画なんかがメモされた練習ノートだよ」

あなた「それも果林さんが自分で使うんじゃない。これはスクールアイドルの練習その他を管理するもの。つまり、私が一番必要なもの」

果林「……キミには何でもお見通しなのね。エマにも気づかれているなんて思わなかったけど」

エマ「どうして?どうして相談してくれなかったの……?一緒に乗り越えていけばよかったでしょ……?」

果林「これでも愛とは同じユニットなの。愛が日に日に増していく部との対立構造を快く思っていない様子なのはわかったわ」

果林「案の定、部に移りたいことを言ってきたでしょう。みんなには予想外だったかもしれないけれど、私には大体予想がついていたの」

果林「愛は反対された。だけど、愛の決意も固かったみたいだからね……私が行くしかないじゃない」

果林「相談なんてできないわよ。愛のために、なんてそんな恩着せがましいことを言うなんて格好悪い──」

エマ「そんなことない!!!」



230: 名無しで叶える物語 2020/12/03(木) 23:07:32.25 ID:JAM9rmgb.net

エマ「愛ちゃんのことを守るためなんて、格好いいよ!果林ちゃんのこと、尊敬する……だけど、相談もしないで部に行って!知らない人のバックダンサーなんて、そっちの方が格好悪い!!」

果林「……私だって、好き好んでバックダンサーをしていた訳じゃない!自分で選んだ道なんだからその中で精一杯やろうって思ってたのよ!」

エマ「でもそういう理由だったなら、普通に戻ってくればいいでしょ!なんで言い訳して逃げようとするの!!」

果林「逃げる……!?私がどんか思いかも知らないで……!!」

エマ「知るわけない!だって果林ちゃん話してくれないんだもん!!」

果林「私だって、みんなが練習できない中上質の環境で練習をしていたことに後ろめたさがあったのよ!だけどランジュは本当に何も知らないの……!」

果林「自分の母親がどれだけ同好会のことを攻撃しているか、娘のランジュに伝えるなんてできなかった……!例えそれで同好会のみんなが辛い目にあっているか知っていても……!!」

果林「そんな弱い私が……今更どんな顔して同好会に戻りたいだなんて……私の本音を伝えるなんて……!!」

彼方「でも、今できてるよ~」

果林「……っ!!」



232: 名無しで叶える物語 2020/12/03(木) 23:18:55.76 ID:JAM9rmgb.net

彼方「果林ちゃんだって、本音で語り合うことできるじゃん」

エマ「そうやって言ってくたらそれでよかったの!私が果林ちゃんの気持ちを知ってるだけじゃみんなわかってくくれないかもしれない。だけど……」

エマ「今ならみんな、わかってくれるよ」

かすみ「かすみん、果林先輩のこと誤解したままひどいこと言っちゃったかもしれないです、すみませんでした……」

歩夢「果林さん、とっても格好いいと思います!でも、やっぱり次は相談してほしいです。私たち、ライバルだけど仲間なんですから!」

あなた「このノート、本当によくできてるよ。私が欲しかった向こうでの、プロのやり方が伝わってくる。素敵なプレゼントありがとう、果林さん!」

しずく「あの時冷え切った空気の中でも『SUPER NOVA』を踊れたのは、そういう引け目があったから……同好会のほうがもっと辛いはずだとわかっていたからなんですね。本当に素敵でした」

愛「アタシのこと、守ろうとしてくれてありがとう、カリン……!!」

果林「みんな……」

エマ「おかえりなさい……果林ちゃん♪」ポロポロ

果林「私……私……間違ってたわ……ありがとう、エマッ!!」ギュッ



234: 名無しで叶える物語 2020/12/03(木) 23:30:52.08 ID:JAM9rmgb.net

あなた「それじゃあ最後。栞子ちゃんだね」

あなた「普通のアニメとかの展開ならさ、少し前に敵対していた栞子ちゃんとは共闘するような展開になるはずだけど、向こう行っちゃうんだもん。びっくりだよ」

あなた「だけど、きっとそれにも訳があるよね」

せつ菜「監視委員会の2人は、栞子さんを助けてほしいと言っていました。それも、ただごとではない物言いだったんです」

せつ菜「今までの流れから何となく理事長さんが絡んでいるのだと思うのですが……話していただけませんか?」

栞子「あの人は……理事長先生は、ランジュのことを溺愛しているんです。ランジュが輝けるためなら、彼女のことを厭わずどんなことでもするような人なんです」

栞子「手塩にかけて育てていたランジュが、不意に海外に立った時は途方もない絶望だったそうです。それから理事長先生はランジュを日本に呼び戻すために、様々な策を巡らせました」

栞子「そして私はその理事長先生に、いいように使われてしまったんです……」



235: 名無しで叶える物語 2020/12/03(木) 23:46:33.05 ID:JAM9rmgb.net

栞子「私は入学してしばらくして、当時の生徒会への不満を募らせました。それがどのように悟られたのかはわかりませんが、理事長先生は私のその不満に気づいてもちかけてきました──」

栞子【お話とはなんですか、理事長先生】

理事長【ねぇ、栞子ちゃん。あなた、今の学園をどう思う?】

栞子【どう、ですか……?】

理事長【この学園、自由な校風を売りにしてはいるんだけど、それがいきすぎてしまえば、せっかくの才能を無駄にしてしまうことも起こりうるとは思わないかしら?】

栞子【それは……私もそう思っていたのです!】

栞子【この学校には、せっかく適正があることを放置して、好き勝手なことをしている人が多すぎます!】

栞子【活動で培ったことを将来に活かすのであれば、適正にあったものを磨くべきです!そのほうが確実にその生徒のためになるはずです。もし私が生徒会長になればその適性を──】

理事長【そう。栞子ちゃんがそこまで私の学園のことを考えてくれているなんて嬉しいわ。そしたらこうしましょうか。栞子ちゃんが生徒会長になるチャンスを与えましょう】

栞子【本当ですか?そんなことが……?】

理事長【『再選挙』っていうのはどうかしら?】



236: 名無しで叶える物語 2020/12/03(木) 23:50:26.74 ID:JAM9rmgb.net

栞子「──今思えば、理事長先生は自分の手駒になりそうな人間を学生のトップにおきたかったのだと思います」

あなた「まさか……あの再選挙を提案したのが理事長だったなんて……!」

栞子「理事長先生は知っていたんです。中川菜々さんの性格的に、再選挙の提案をのむだろうと。そしてその結果、私が生徒会長に就任するだろうと」

せつ菜「……」

栞子「そうこうするうちにスクールアイドルフェスティバルが開催され、それを知ったランジュが海外から日本に帰ってきました」

栞子「どこまで理事長先生の計画だったのかはわかりませんが、ランジュが帰国するなりあっという間に部の新設準備を整えてしまいました」

栞子「ランジュは、良くも悪くも純粋なので、同好会の活動を禁止してもらうように理事長先生にお願いしたと聞いています」

栞子「ランジュにしてみれば、理事長先生が禁止と言えば活動できないだろう、というような随分軽い気持ちで言ったのだと思います」

栞子「ですが、前述したように理事長先生はランジュ第一主義なんです。彼女がステージで1番になれるために同好会を排除すべく、監視委員会の組織を思いつきました」

栞子「そして、理事長先生はランジュのそばにいるように、つまりは部に移るようにと私に話をしてきました──」



237: 名無しで叶える物語 2020/12/03(木) 23:55:35.64 ID:JAM9rmgb.net

栞子【部に……ですか!?】

理事長【ええ。ランジュと一緒にステージに立てるの。素敵なことよ】

栞子【それは現状の同好会でもできるはずです。何も妨害行為のためだけの組織を作る必要など……】

理事長【私が同好会を部に格上げしたの。それに従わずに勝手なことをするなら私にも監督責任が生じるのよ。それを阻止するためのもので、みんなが部に移ればそれで済む話でしょう】

栞子【ですが、部長さんに話を通さずにそんなことは決められません。私はあの人に恩義が……】

理事長【恩義?おかしいわね。それじゃあ私に対する恩義は持ち合わせていないのね】

理事長【あなたが学校の状況を憂いていた時に手を差し伸べたのは誰だったかしら?再選挙の手筈を整えたのは?生徒会長になってからあなたの出した提案に対してさらに予算を捻出したのは?】

栞子【それには……もちろん感謝していますが……】

理事長【再選挙だって簡単なことじゃないのよ。既に決まって広報していることを覆すのには、PTAの人たちを説得しないといけないの】

理事長【あなたにはそれができる?確かに栞子ちゃんは論理的な説明が得意でしょう。だけど人の親っていうのはね、感情論で理論をねじ伏せてくるような連中なのよ】

理事長【もしも私に恩義があるのならば、それを肩代わりした私のお願いくらい多少は聞いてくれるでしょう。それとも今度の会議であなたがPTAの前で説明責任を果たしてくれるの?】

栞子【……っ!】



238: 名無しで叶える物語 2020/12/04(金) 00:00:34.11 ID:gnszbs0P.net

あなた「そんなの……そんなの脅しじゃん!」

せつ菜「栞子さんに説明責任の義務など生じる訳がありません!」

栞子「きっとそうなのでしょう。しかし、私は理事長先生に逆らうことができませんでした……中川菜々さんを生徒会長から無意味に引きづり下ろしたのは、ほかでもない私なのですから」

せつ菜「栞子さん……」

かすみ「告発しようよ!警察とか教育委員会?とかさ!」

栞子「証拠は私の証言だけなんです。立証なんて不可能ですよ」

栞子「ただそのせいでみなさんにご心配とご迷惑をかけてしまったのは事実です。なんとお詫びをしていいのやら……」

あなた「栞子ちゃんは悪くないよ……本当に悪くない。悪いのは娘のために暴走した理事長だけだよ。それに栞子ちゃんは私たちに密かに協力してくれたでしょう」

あなた「監視委員会の2人がなかなか私たちのことを捕まえられなかった日があったのも、栞子ちゃんが生徒会の仕事か何かで2人を足止めしてくれたからじゃないかな、違う?」

栞子「それくらいしか、私にはできることが……」

あなた「ありがとう、栞子ちゃん。だけどやっぱり何か一言もらえればまた違ったかもしれないのに……」

栞子「言えませんでした……私のわがままのせいで同好会が壊れかかっているだなんて……孤立しかけていた私を救ってくれたあなたに失望されたくなかったから……」

あなた「しないよ、そんなこと。私はみんなのサポートのためなら頑張れるんだよ。だから全部話してくれてありがとう、栞子ちゃん」

栞子「私は……愚かでした……本当に申し訳ありません、ありがとうございます……!!」



239: 名無しで叶える物語 2020/12/04(金) 00:06:34.64 ID:gnszbs0P.net

あなた「これで同好会は1つに戻れたね」

歩夢「でもよかった!これからまたみんなで活動できるんだね!」

あなた「それで提案なんだけどさ、ランジュさんは本当に悪気がなかったみたいだし、ミアちゃんのスクールアイドル姿も見てみたいし」

あなた「一度は同好会のメンバーとして迎えたんだよね。だから愛ちゃんの望みでもあるんだし、もう1度2人を同好会に招くっていうのはどうかな?」

せつ菜「異論ありません!元々構造的に対立関係にあっただけで、敵対してなどいなかったのですから!」

エマ「私も。今なら素直に2人とお話しできそうな気がするんだ」

かすみ「かすみんも大丈夫ですよ!なんせ1度勝っちゃってますからね!ランジュなんて脅威じゃないですぅ!」

あなた「そうだよね、それじゃあ2人にそのことを……」

ガラガラ

ランジュ「邪魔するわね」

あなた「ランジュさん、ミアちゃん!いいところに!2人にまた同好会に入ってもらえないかなって思ってるんだけど、どうかな?」

ミア「……せっかくのお誘いだけど、パス」



240: 名無しで叶える物語 2020/12/04(金) 00:12:57.15 ID:gnszbs0P.net

あなた「ちょっと考えてみてよ!そりゃあミアちゃんは作曲のほうが専門なんだろうけど、ミアちゃんのスペックならスクールアイドルとして十分……」

ミア「そうじゃないよ。ボクだって暇じゃないんだ。もうすぐ次の仕事にいかないと……」

璃奈「次の仕事……?」

ミア「ニューヨークに戻ることになった。向こうの事務所に山ほど依頼が溜まっているみたいで」

あなた「そんな、急に……?いつから?」

ミア「今週末にはここを経つよ。もうすでに学校側にボクの転校は受理されてる」

栞子「どうしてそんなに早く……戻る予定があっただなんて聞いていませんでした」

あなた「それってさ、理事長から?」

ミア「そう。理事長さんがニューヨークに戻るようにね。まぁ、事実上の更迭だろうね」

かすみ「鋼鉄?」

しずく「たぶん字が違うよ」

あなた「……はは、それじゃあ何?ミアちゃんはあれだけの曲を提供したにもかかわらず、ランジュさんが負けたからクビになったってこと?」

ランジュ「負けていないわよ、次は絶対にランジュが勝つわ」

ミア「理事長さんからしたら面白くなかったんでしょ。まあいいけどさ。せっかく新しいボクに気がついたんだ。これがどう作曲に活かせるのか気になるところではあるよ」

ランジュ(無視された?ランジュが?)

あなた「そんなの……納得できない!やっぱり結局こうするしかないんだ」

歩夢「こうするって……?」

あなた「理事長先生と、話をつけるよ!!」



241: 名無しで叶える物語 2020/12/04(金) 00:15:58.19 ID:gnszbs0P.net

──翌日──

あなた「失礼します」

理事長「あなたが、スクールアイドル同好会の部長さんね」

あなた「この機会を設けていただいて、ありがとうございます」

理事長「まあ、かたいことはいいじゃない。それよりも要件は何?私も決して暇な訳じゃないの」

あなた「単刀直入に言います。あなたが迷惑をかけた全てのことに関しての謝罪と、以後栞子ちゃんやランジュさんを含めて生徒のやることに対して過度な干渉をしないように誓ってください」

理事長「謝罪……過干渉?さて、なんのことかしらね」

あなた「とぼけても無駄です。栞子ちゃんをけしかけて、本来あるはずのない任期前の生徒会再選挙を敢行したこと」

あなた「進路の話をチラつかせて監視委員会を生徒にやらせ、不利になれば人権を無視した行為に加担したと嘯き無理やり監視を続けさせたこと」

あなた「一般の生徒を密偵に使い情報を得て生徒の行動を束縛したこと、全て証言があります」

あなた「理事長という立場を最大限に利用して自分の娘を贔屓するための施設や人材に多くの予算を使用したこと、それら全て、理事長として相応しくない行動なはずです」

あなた「然るべきところに訴えればあなたの地位は失脚せざるを得ないでしょう。だけどランジュさんのためにも、そこまではしません。ですがそれでは溜飲が下がりません」

あなた「だからこそ、先ほどの要求をのんでいただきたいのです」



242: 名無しで叶える物語 2020/12/04(金) 00:19:51.33 ID:gnszbs0P.net

理事長「私が生徒たちをいいように利用して私利私欲の限りを尽くしたと言いたいのね」

理事長「だけどその根拠は証言だけ?」

あなた「……っ!」

理事長「私はそんな酷いことした覚えがないの。それに対して生徒側が何人か私がそういうことをしたと証言した……」

理事長「果たして世間はどちらの言うことを支持するのかしらね?」

あなた「証拠がないと思ったら大間違いですよ」スッ

理事長「USBメモリ?」

あなた「ここにはとある音源が記録されていました。再生します」

ザザザザザザ

理事長「音源とはこのことかしら?私にはノイズにしか聞こえないのだけど?」

あなた「ええそうですね。私にも今はノイズにしか聞こえません。まさか録音されることを恐れて理事長室にジャミングを仕掛けているとは、その用心深さ、恐れ入ります」

理事長「……さて、なんのことかしら」

あなた「ところが、です。あいにくうちにはこのくらいのジャミングをなんとかしてしまう天才がいるんですよ」

理事長「……!?」

あなた「その子曰く、『これは会話の上に妨害電波を流しているだけ。それさえ取り除ければ、その下の会話はちゃんと掘り出せる』って」

あなた「その結果掘り出したのが、次のデータです」



243: 名無しで叶える物語 2020/12/04(金) 00:23:38.16 ID:gnszbs0P.net

『しかし理事長先生もほとほと人が悪いですね』

『ふふっ、言ってくれるわね』

『聞きましたよ。生徒会書記の2人を有名な大学へ推薦すると言って監視委員会なんて組織して、彼女たちが反抗しそうになったら、そんな人権侵害紛いな行為をしたくせにと突き放したそうですね』

『まああの2人に期待していた訳じゃないの。どうせ止められないでしょうから。だけど同好会にプレッシャーを与えてくれるだけでよかったのよ。あとは勝手に空中分離するでしょうから』

『生徒会長の再選挙もあなたが唆して行ったみたいですね。会長を自分の言うことを聞きやすい知人にすり替えるために』

『栞子ちゃんはね、操作しやすいからね。ランジュを日本に戻すためにはあの子を傀儡にするのが都合よかったのよ』

『あげく一生徒の私から同好会の情報をリークしてもらっているだなんて』

『あら、それはあなたから提案したことでしょう』

『演劇部の予算向上のためですよ。そうそう、予算といえばスクールアイドル部の部室、そうとうお金かかっているみたいですけど大丈夫なんですか?』

『そのあたりも抜け目ないわ。そのあたりの誤魔化しなんて、どこの学校の理事もやっているのよ。どこかに指摘されるのは三流の学校なのよ』

『本当に人が悪いですね』

『あなたが言えたことかしら?』

『『ははははは……』』



244: 名無しで叶える物語 2020/12/04(金) 00:26:48.70 ID:gnszbs0P.net

理事長「……」

あなた「紛れもなくあなたの声ですよね」

理事長「……偽造したのでしょう?証拠の捏造だなんていけないわね」

あなた「さてどうでしょう。ただ声の波長やら話し方の癖やら、特定する方法は多数ありますよ」

理事長「くっ……」

あなた「この音声には丁度よくあなたの悪行が全て記録されています。もしもどこかに訴えかけるとしたら、かなり重要な証拠になるでしょう」

あなた(もしかしたら演劇部の部長さんはこれを手に入れるために、私たちの情報をリークしたのかもしれない。じゃなきゃ都合良すぎるデータだよね)

あなた(あの人もあの人なりに、しずくちゃんを助けようとしたのかもしれないな……)

あなた「さて、謝罪していただけますね?」

理事長「……仮にそれが事実だとして、私がそれを認めて謝罪したらランジュはどうなるかしら?」

理事長「昨今のSNSじゃ炎上は免れない。イジメにだってあうかもしれない。あの子をそんな目にあわせてあなたは満足できるというの」

あなた「それは……」

コンコン!

あなた「……?」



245: 名無しで叶える物語 2020/12/04(金) 00:28:00.00 ID:gnszbs0P.net

ミア「失礼します」

あなた「ミアちゃん……」

理事長「ああ、転入の件ね。ごめんなさい、すぐ話は終わるから少し外で待っていてくれるかしら」

あなた「ミアちゃんはどうしてニューヨークに戻るんですか?」

理事長「あなたに関係ないでしょう。彼女には彼女なりの事情があるのよ」

あなた「仕事だったら日本でもできますよね?クライアントからの要望を聞いてミアちゃんがこっちで曲を仕上げればいい!彼女にはそれをこなすだけの才能があります!」

あなた「そうせずに彼女が戻らざるを得ないのはあなたの憂さ晴らしにすぎないでしょう!じゃなきゃあんなに唐突に転入を決めるなんてできっこない!」

ミア「……もういいよ、決めたんだ。向こうでクライアントと直接話して曲を作りたいって」

ミア「そのほうがきっと会心の曲が作れる。あんたに教えてもらったことだよ」

あなた「ミアちゃん……」

理事長「彼女が決めたことなの。あなたに止められることじゃないでしょう」

ミア「その通り。だからこの転入の書類を書いて持ってきたんですよ。ただし……」

ミア「ランジュのぶんも含めてね」



246: 名無しで叶える物語 2020/12/04(金) 00:28:42.73 ID:gnszbs0P.net

理事長「な、なぜ……!?」

ミア「ランジュが言ったんですよ。スクールアイドルの素晴らしさを、もっと世界に広めるべきだって」

理事長「ランジュが……?」

ミア「あなたさっき言いましたよね。ボクが決めたことなら止められないって。同じですよね、ランジュが決めたことなら止められるはずがない」

理事長「よくも……よくも私のランジュを……!!!」

ミア「あんたの?Shut up!ランジュは誰のものでもない、ランジュ自身のものだ!」

ミア「あんたなんかに、ランジュのことを縛る権利はないんだよ。っていうかそんなんだからランジュに逃げられるんじゃないの?」

理事長「かえせ……かえせかえせかえせ!!!」

ミア「それともう一つ。ボクはこの人ほど甘くないからね、アメリカの優秀な弁護士を雇うよ」

あなた「弁護士……?」

ミア「訴訟大国のアメリカの中でもトップクラスの実力者だ。さっきの証拠があればあんたの悪事はあっという間に暴かれる」

ミア「その頃にはランジュはアメリカで活躍しているさ。日本で陰湿なイジメにあうなんてこともない。向こうは親族がどうのっていって評価が下げられることは少ないから」

理事長「あっ……ああっ……」



248: 名無しで叶える物語 2020/12/04(金) 00:29:25.10 ID:gnszbs0P.net

あなた「だ、だけど大丈夫なの?そんな弁護士雇うなんてお金が……」

ミア「ボクのこと舐めてない?多くの楽曲が動画サイトでバズってるんだよ、そんな金ならいくらでもあるよ」

ミア「それに、昨日愛がセッティングした食事会に西木野ってのと小原ってのがいたんだ。そいつらが合同で出資もしてくれるらしい」

あなた「真姫ちゃん、鞠莉さん……」

あなた(しずくちゃんが証拠を掴んでくれて、愛さんが架け橋になったおかげでこうしてミアちゃんの協力が得られたんだ。あとは果林さんが作ってくれたノートで練習をするだけ……)

あなた(みんなのおかげで、今が掴めているんだ!)

ミア「それじゃあそろそろ行くよ」

理事長「私の……私のランジュ……どうして……」

あなた「よく噛み締めてください。あなたがもっと早く謝罪を許容すれば、ここまでに至らなかったのかもしれないんですから」

理事長「あ……ああ……」

あなた「失礼します」

理事長「うあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!」



249: 名無しで叶える物語 2020/12/04(金) 00:30:00.60 ID:gnszbs0P.net

あなた「ありがとう、ミアちゃん」

ミア「いいよ、ボクたちのせいで迷惑かけたみたいだし」

あなた「元々の原因じゃなかったんだし……」

ランジュ「終わったのね」

あなた「ランジュさん……」

ランジュ「ママが迷惑をかけたみたいね……だけど元をたどればアタシがわがまま言ったのが悪かったのね」

ランジュ「みんなのためも、みんなのためじゃないことだってあるのね。ごめんなさい」

あなた「もういいんだよ。全部丸く収まったんだから」

ランジュ「だけどあなたには気づかされたの。スクールアイドルは本当に素晴らしいわ。だからこれをもっと世界に広めるために、アメリカで布教しようと思ってるの!」

ランジュ「親友のミアと一緒によ!最高じゃない?」



250: 名無しで叶える物語 2020/12/04(金) 00:30:50.41 ID:gnszbs0P.net

ミア「苦労するのは大概こっちなんだけどね……でも、ボクも悪くないと思ってる。それにアンタにはやられっぱなしだからね……」

ミア「1年以内に、アメリカで必ずスクールアイドルをバズらせてみせる。そうしてラブライブのニューヨーク大会を開催するのが目標なんだ」

あなた「ラブライブをニューヨークで!?」

ランジュ「中須かすみにリベンジを果たすのよ!1年後、ニューヨークで会いましょう」

あなた「そんなことが……でも、ランジュさん達ならきっと出来そうな気がするよ。楽しみにしてる!」

ランジュ「それまでのしばしのお別れよ。それじゃあまた……」

あなた「ねえ、ランジュさん!」

ランジュ「あら、まだ何か?」

あなた「もしよかったら、ずっと誘ってくれてたフレンチのランチ、みんなで一緒にご馳走してもらえないかな?こうして仲良くなれたんだからさ、2人の送別会をかねて!

ランジュ「ええ!いいわよ!」パアッ

ランジュ「これであなたも私の……」

あなた「親友、だね!!」



251: 名無しで叶える物語 2020/12/04(金) 00:35:49.91 ID:gnszbs0P.net

おわりです。たびたびの保守ありがとうございました

元々20章リメイクの方向で考えていたのですが、どうやってもエヴァパロに勝てそうになかったので20章の設定を全部利用した上でなるべく軟着陸できるような結末を考えてみました

ただ21章でしずくちゃんはランジュの元にかすみんとの比較のために行ったんじゃなくて普通にムクムクして迎合されにいったことが明らかになりました。悲しいですね。果林さんも後から入ったしずくちゃんに色々抜かれてもなんとも思っていないみたいで……

それでも、ここまでしてなお誰一人留学中のあなたちゃんに相談を持ちかけなかったところが解決できませんでしたが、それ以外はスクールアイドルたちの株をなるべく落とさずに一通りの理由づけが無理やりでも出来たかなと思っています

だらだら自分語り失礼しました、お付き合いいただきありがとうございました


元スレ
あなた「それじゃあスクールアイドル同好会、反撃開始といこうか」