1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/27(木) 21:14:48.08 ID:e9QHgOqu0
唯「うい~、あいちゅ」
憂「はいはい、ご飯食べてからねー」 トントン
プルルル… プルルル…
憂「おねーちゃーん、手が離せないから電話お願いー」
唯「はーい」 ガチャ
唯「もしもし、平沢ですー」
男「おれおれ」
唯「だれ?」
3: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/27(木) 21:17:14.63 ID:e9QHgOqu0
男「おれだよおれ」
唯「おとうさん?」
男「そそそ、お父さんだよ」
唯「わあー、今どこにいるの?」
男「会社だよ」
唯「えっ、今お母さんと一緒にフランスだよね」
男「えっ」
男「あ…ああ。いや、その。なんだ。父さんの知り合いの会社がこっちにあってだな。」
唯「なんだー。そうだったのかー。」
男「はっはっはっ」
唯「あはははは」
男「それでー、だな。うん。」
憂「ふう、できたー。お姉ちゃん、電話誰からだったー?」
憂「おねえちゃーん?あれ?どうしたのおねえちゃん、お父さんの通帳出して」
唯「あのねぇ、それで暗証番号がね、19…」
憂「ぅおわッしゃああああああああああっ!?」
バッ シュバッ ガチャン
唯「きゃあっ!なにするの憂」
憂「こっちのセリフだよおおおおおおおおっ!!」
憂「ガミ!ガミ!ガミ!」
唯「ごめんなざぃ…」 ズビズビ
憂「大体、そんな大事な話なら家の電話じゃなくて直接私の携帯に来るよ」
唯「うん……あっ!そうだ、お父さんの携帯にかけて確認すればいいんだ!」
憂「確認って…何を?」
唯「だって本当にお父さんがヨーロッパの地下秘密組織の秘密を知った秘密探偵の任務に巻き込まれてさらわれて解像手術を受けたお母さんと悲劇の再開をして死闘のすえに二人の愛の力で正気を取り戻したお母さんの体を直すためのお金を必要としていたら大変だよ」
憂「……電話してみるといいよ。」
唯「うん!」
ピ ポ パ
父「ガミ!ガミ!ガミ!」
唯「ごぇんなざぁぁぁぁぁいぃぃい」 ズビズビ
翌朝 通学路
唯「…ってことがあったんだよー。」
律「…憂ちゃんも大変だなあ。」
唯「えー?みんなから怒られて大変だったのは私なんだよ?」
澪「ああ…うん。まあ…」
律「しっかし、親の声を忘れるとは唯も親不孝なやつだなぁ」
唯「りっちゃんひどい!電話だと顔見えないからわかんないんだよ?」
澪「でも声でわかるだろ?」
唯「うーん。ちょっと違った気もするけど、でもお父さんだよって言われたから信じちゃった」
澪「おいおい……」
律「………ほう。」
律「~♪」
キュ キュ
唯「……!」
律「……。」
律「~♪」
唯「あれ?りっちゃんは?」
澪「ん?……ああ、後ろだ。」
唯「音楽聴いてるみたいだね。」
澪「聞くのはいいけど、遅れるなよー!」
律「お~ぅ♪」
唯「それでね!憂がさ…」
律(これぐらい離れりゃいいかねー)
ピ ポ パ
ピロリロリン♪
唯「あ、電話だ」
澪「誰から?」
唯「非通知だよ」
ピ
唯「もしもしー?」
律「ああ、わたしわたし」
唯「だれ?」
律「……」
律「………澪だよ」
唯「え?澪ちゃん!?」
澪「うん?」
唯「澪ちゃんは私の目の前にいるけど…」
澪「なんだ、私にか?かわるか?」
律「かわっちゃダメ!この電話はテレパシーで伝えているの!」
唯「そうなの?すごい!!」
律(…信じたよこいつ)
澪(…なんか唯がやたらキラキラした目で私を見ている)
律「それでね、こんなことをしたのは、どうしても唯に聞いてほしかったことがあって」
唯「なになに?なんでもいっていいよ!」
律「実は私…唯のことが好きなんだあああああっ!!」
唯「ええええええええええええっ!?」
律「始めてみたときからずっと好きだったの!愛してるの!」
唯「えええええっ、そんな、そんな急に言われても」
律「結婚しよう!!」
唯「けっ…!」 ブシュー
律「返事は今じゃなくていいから!じゃあね!」 ピッ プーッ プーッ プーッ
唯「………」
澪(…唯がなんか命を狙われた小動物のような目で私を見ている)
澪「ゆ…唯?誰からだったんだ?」
唯「澪ちゃん…」
澪「ほら、なんか…私の話も出てたみたいだったけど」
唯「ごめんなさい!」
澪「えっ?」
唯「気持ちは嬉しいけど、私やっぱり女同士っていうのは…ごめん!」 ダダッ
澪「あっ、おい、唯!」
澪「…なんなんだ?いったい」
律(……おもろい)
キーング コーン グー
教師「今日はここまで。」
律「ふいー、一時間目おわりー。どしたー、唯?ぼーっとしちゃってー。」
唯「ふぇ!?なんでもないよ?なんでもない!」
紬「大丈夫?体の調子良くないの?」
唯「そういうんじゃないよ!大丈夫!」
紬「本当に?辛かったら無理しないで先生に…」
唯「本当に大丈夫だから!ほらうーんたん!うーんたん!」
紬「あらあら」
律(…おもろい)
ビーオ ラーン テー
教師「では今日はここまで」
律「ちょっとあたしうんこ」 ガタ
紬「あらあら♪」
唯「りっちゃんげひーん」
律「わたくしちょっとお排便のためにお便所に参上つかまつりますわ♪」
唯「あはははは!!」
紬「……」 ←なんかムカついた
律「ふいー。どっこいしょ、っと。」
律「さてさて…」
ピ ポ パ
ピロリロリン
唯「あ、でんわだ」
ピ
唯「もしもーし」
律「わたしわたし」
唯「だれ?」
律「梓です」
唯「あずにゃん!」
律「…本当はわたし、唯先輩に抱きつかれるのが大好きなんです!」
唯「わあ、そうだったんだ!」
律「いつも嫌がってたのは、恥ずかしかったから…」
唯「ンモー、あずにゃんはかわいいなあ」
律「だから先輩、今日の部活ではいつもよりもっとギューってしてくださいね!」
唯「うん、わかった!まかせてよあずにゃん!」
ガラガラ
律「爆撃完了ー。地表の被害は甚大なりー」
唯「おかえり、りっちゃん♪」
律「お?なんか急に機嫌よくなったなー?」
唯「えへへー♪放課後が待ち遠しいな~♪」
紬「何かいいことがあったみたいね♪」
唯「えへへ~♪♪」
放課後
梓「ちょっ、せんぱ!」 トタパタ
唯「よいではないかー、よいではないかー」 バタバタ
梓「しつこい!いつも以上にしつこい!」 トタトタ
唯「ギューってさせてー!ギュ~♪って!」 バタバタ
紬「あらあら♪唯ちゃんったら」
律「二人はいつも仲いいなぁ♪」 ニヤニヤ
梓「むー」
唯「よしよし♪」
梓「……」 ホワーン
澪「今日の鬼ごっこは一段と激しかったなぁ」
律「そういう年頃なんじゃなーい?」
紬「お茶とクッキーが入ったわよー」
唯「わーい!」 パッ
梓(……えっ、おわり?)
唯「クッキー、クッキー」
サクッ
唯「!!!おいしい!このクッキーすごくおいしい!」
澪「ほんとだ!甘さもひかえめ…いや、控えめというか、やわらかくて…」
梓「サクッとしっかりした歯ごたえがあるのに、口の中に入るとホロホロとほぐれます!」
律「ごめんムギ!わたしクッキーって聞いたときは正直今日はハズレかなぁとか思ってたのに!」
紬「あらあら♪喜んでもらえて何よりだわ」
唯「おいしぃー♪」
サクサク
澪「初めて食べたなぁ、こういうクッキーは」
梓「クッキーさまさまです!」
律(ピキーン!)
ガタン
紬「あら、律ちゃん、どこいくの?」
律「えーと、ほら、あれだ。お花を摘みに」
唯「おしっこ?いってらっしゃい!」
律「…ぉぅ」
梓(だいなしだー!)
律「唯のやろー、せっかく人が雰囲気を壊さないようにガラにもなく気を使ったってのにー」
ピ ポ パ
律「許せん!」
ピロリロリン
唯「あ、電話だ」
唯「はい、もしもーし」
律「わたしわたし」
唯「だれ?」
律「……」
唯「…だれ?」
律「……」
唯「もしもーし?」
律「……だよ」
唯「…え?」
律「わたしは……お前の目の前にある、クッキーだよ!!」
唯「えええええええええっ!?」
梓「ど、どうしたんですか先輩?」
澪「何かあったのか?」
唯「あ、あのね、私の電話にクッ」
律『まちな!わたしの正体をばらしたらどうなるか…』
唯「(ビクッ) な、なんでもないの、みんな…ごめんね」
紬「唯ちゃん…?」
律『さて……あんた、私の仲間をずいぶんむさぼり食ってくれたねえ』
唯「ごめんなさい…ごめんなさい…」
律『あんたが最後に食ったのは…私の旦那なんだよ…』
唯「ヒィィ!」
律『今までずっと連れ添って生きてきたのに…まさかこんなところで死に別れるなんて…』
唯「ごめんなさい!ごめんなさい!」
律「その前に食ったのはあたしの兄さん…その前のは私の母さん…」
唯『うう、うう…』 ヒックヒック
律「そしてその前が…!」
「わたし、クッキーさん」
律「へっ?」
紬「いまあなたのうしろにいるの!!」
律「ぎゃああああああああああっ!!!」
紬「もう、こういうことだったのね。」
律「あちゃー、バレちったか。」
律「しょうがない、唯には種明かししてあやま…」 ガシッ
紬「……」 キラキラ
律「……えーと」
紬「私にもやらせて?」 キラキラ
律「…そうきたかー。」
律「でもさっきのでビックリして切っちゃったよ、ほら」
紬「あらぁ…。」
唯「クッキーさん!?どうしたのクッキーさん!」
唯「クッキーさん!返事してクッキーさん!!」
梓「どうしたんですか?先輩」 モグモグ
唯「…………」
梓「先輩?」 モグモグ
唯「……ぁ…」
唯「ぁ……ぁぁ………!」
唯「あずにゃんがクッキーさん食べちゃったんだああああああああああっ!!!!」
梓「え、ええっ!?」
澪「えっ、なんだなんだ?」
唯「びえーん!びえーん!」
梓「いや、あの…え?…いや、ごめんなさい……え?」
澪「ほら唯、クッキーならまだいっぱいあるから」
唯「ちがうのーっ!ちがうのーっ!びえーん!」
律「うわぁ……」
紬「あらあら…大変なことになってるわ」
律「どう収拾つけるんだよ…これ」
紬「電話で始まったことは電話で解決するのが一番よ」
ピ ポ パ
ピロパロポン ピ
唯「ヒック…ズビ………もしもじ」
紬「わたしわたし」
唯「ズビ…だれ?」
紬「クッキーの妹です」
唯「クッキーちゃん!?」
澪「……」
唯「ごめんなさい!私…私…お姉さんに…」
紬『悲しまないで、唯さん……姉は本懐を果たしたのです』
唯「ほんかい?ってなに?」
紬『………』
紬『…私たちは人に食べられるために生まれてきました』
紬『人に食べられることこそが私たちの喜びなのです』
唯「でも…でも、食べられたらもう家族と会えなくなるんだよ!」
紬『唯さん…』
唯「私も…憂と会えなくなったら…寂しいもん……」
唯「本当は…お父さんとお母さんと離れて暮らすのだって……寂しいもん…」 グス…
紬『………』
律「ムギ、鼻血出てる」
紬『なら…食べてください』
唯「えっ?」
紬『人に食べられたクッキーの魂は、クッキーの天国、クッキーマウンテンへ行くのです』
唯「クッキー……マウンテン…」
紬『残さず食べて…私たち家族を再会させて…』
唯「うん…うん…!」
紬『お姉ちゃんに会わせて!』
唯「うんっ!!」
律「ええはなしやー。はいティッシュ丸めといたよ」 グイグイ
紬「ふがふが」
紬『ふいはん……ゴホン。唯さん、慌てて食べては駄目ですよ。喉につまったとあっては、クッキーの恥です』
唯「うん、わかった!」
紬『よく味わって食べてくださいね。それこそ私たちの喜び…』
唯「おいしいよ!クッキーちゃんおいしいよ!」 サクサク
紬『では唯さん…ごきげんよう』 プツリ
律「ふー、なんとか一件落着だな。」
紬「楽しかった♪クセになりそうね、これ!」
律「にししし、唯がかわいそうだからほどほどにしとけよー?」
紬「あらぁ、律ちゃんがそれを言う?」
律「あははは」
紬「うふふふ」
プルルルル
紬「あ、律ちゃん電話よ」
律「おう」ピ
律「あい、もしもし?」
『わたし、クッキーちゃん』
律「え?」
澪「今おまえらのうしろにいるぞおおおおおおおっ!!」
紬律「きゃああああああああああっ!!!」
澪「…と、いうわけだそうだ。」
律紬「ごめんなさい……」
唯「ひどいよ!二人で私をだますなんて!」
律「ごめん唯…私もまさか本気にするとは思わなくて…」
梓「まぁ…それは確かに…」
律「一回やったら面白くなっちゃってさ…」
澪「まったく…どうせ朝の電話もお前だったんだろ?」
唯「え?あれは澪ちゃんからかかってきたんだよ」
澪「いや、私横にいただろ。どうやって電話するんだ」
唯「テレパシーで」
澪「……」
律「…なぁ、私の気持ち、少しはわかるだろ」
梓「確かに……あれは…」
紬「じゃあ休み時間にかかってきた梓ちゃんからの電話も?」
梓「え?かけてないですよ私は。」
唯「ええっ!じゃああれもりっちゃんだったの!?」
梓「…どんなこと言ってたんですか、律先輩は」
唯「えーとね、あずにゃんは私にギューされるのが大好きだからもっとしてして、って」
梓「……」 ツカツカツカツカ
律「ちょっと無言で追ってこないで怖い怖い怖い」 ツカツカツカツカ
澪「まったく…律は私のふりして何て言ってたんだ?」
唯「えっとね、その…わたしのこと………って」
澪「えっ?」
唯「だから、私のこと………好き、って」
澪「はあぁ!?」
唯「あ、愛してる……とか………結婚……して…とか…」
紬「まぁ!」
梓「捕まえましたよ先輩!」
澪「よし梓おさえとけ。絶対逃がすな」
律「ヒィィーッ!!」
律「もう…お嫁にいけない…」 オヨヨヨ
梓「そこまでひどいことはしてません!」
澪「まったく…そんなの全部うそっぱちだからな!?信じるなよ唯も!」
唯「そ、そうだよね!私びっくりしちゃって!」
紬「でも全部嘘ってことになると、澪ちゃんは唯ちゃんのこと嫌いってことに…」
唯「ええっ!?」 ガーン
澪「違う違う!全部ってわけじゃないから!唯のことは嫌いじゃないよ!」
梓「わ、私も別にイヤってわけじゃ……ない…けど……あんまり頻繁だと…」
唯「よかったあ!あずにゃん大好き!」 ギュー
梓「わあ!……うう、今回だけですからね…」 ギュ
澪「わ、私も好きか嫌いかでいえば…す、好き…ってことになるけど…そんな愛してるとか、そんなんじゃなくて…友達としての好きって言うか…」 ゴニョゴニョ
紬(ニヤニヤ)
キーン コーン
唯「じゃあ、みんなまたねー!」
梓「また明日です」
律「おれおれ詐欺には気をつけろよー!」
澪「お前が言うな!」 ゴチン
律「あいた!」
アハハハ…
ガチャ
唯「たっだいまー!」
唯「あれ、憂いないんだ。買い物かなー」
ピロリロリン
唯「むっ」 ピッ
唯「はい。もしもし。」
憂「あ、おねえちゃん?わたし。憂だよ。今スーパーにいるんだけど、何か食べたいもの…」
唯『もう、だまされないもん!』 ガチャン
プーッ プーッ プーッ
憂「………えっ」
fin
元スレ
男「おれだよおれ」
唯「おとうさん?」
男「そそそ、お父さんだよ」
唯「わあー、今どこにいるの?」
男「会社だよ」
唯「えっ、今お母さんと一緒にフランスだよね」
男「えっ」
4: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/27(木) 21:19:07.49 ID:e9QHgOqu0
男「あ…ああ。いや、その。なんだ。父さんの知り合いの会社がこっちにあってだな。」
唯「なんだー。そうだったのかー。」
男「はっはっはっ」
唯「あはははは」
男「それでー、だな。うん。」
6: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/27(木) 21:23:37.15 ID:e9QHgOqu0
憂「ふう、できたー。お姉ちゃん、電話誰からだったー?」
憂「おねえちゃーん?あれ?どうしたのおねえちゃん、お父さんの通帳出して」
唯「あのねぇ、それで暗証番号がね、19…」
憂「ぅおわッしゃああああああああああっ!?」
バッ シュバッ ガチャン
唯「きゃあっ!なにするの憂」
憂「こっちのセリフだよおおおおおおおおっ!!」
8: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/27(木) 21:30:10.59 ID:e9QHgOqu0
憂「ガミ!ガミ!ガミ!」
唯「ごめんなざぃ…」 ズビズビ
憂「大体、そんな大事な話なら家の電話じゃなくて直接私の携帯に来るよ」
唯「うん……あっ!そうだ、お父さんの携帯にかけて確認すればいいんだ!」
憂「確認って…何を?」
唯「だって本当にお父さんがヨーロッパの地下秘密組織の秘密を知った秘密探偵の任務に巻き込まれてさらわれて解像手術を受けたお母さんと悲劇の再開をして死闘のすえに二人の愛の力で正気を取り戻したお母さんの体を直すためのお金を必要としていたら大変だよ」
憂「……電話してみるといいよ。」
唯「うん!」
ピ ポ パ
父「ガミ!ガミ!ガミ!」
唯「ごぇんなざぁぁぁぁぁいぃぃい」 ズビズビ
10: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/27(木) 21:37:02.64 ID:e9QHgOqu0
翌朝 通学路
唯「…ってことがあったんだよー。」
律「…憂ちゃんも大変だなあ。」
唯「えー?みんなから怒られて大変だったのは私なんだよ?」
澪「ああ…うん。まあ…」
律「しっかし、親の声を忘れるとは唯も親不孝なやつだなぁ」
唯「りっちゃんひどい!電話だと顔見えないからわかんないんだよ?」
澪「でも声でわかるだろ?」
唯「うーん。ちょっと違った気もするけど、でもお父さんだよって言われたから信じちゃった」
澪「おいおい……」
律「………ほう。」
11: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/27(木) 21:40:58.30 ID:e9QHgOqu0
律「~♪」
キュ キュ
唯「……!」
律「……。」
律「~♪」
唯「あれ?りっちゃんは?」
澪「ん?……ああ、後ろだ。」
唯「音楽聴いてるみたいだね。」
澪「聞くのはいいけど、遅れるなよー!」
律「お~ぅ♪」
唯「それでね!憂がさ…」
13: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/27(木) 21:43:30.50 ID:e9QHgOqu0
律(これぐらい離れりゃいいかねー)
ピ ポ パ
ピロリロリン♪
唯「あ、電話だ」
澪「誰から?」
唯「非通知だよ」
ピ
唯「もしもしー?」
律「ああ、わたしわたし」
唯「だれ?」
律「……」
16: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/27(木) 21:47:27.77 ID:e9QHgOqu0
律「………澪だよ」
唯「え?澪ちゃん!?」
澪「うん?」
唯「澪ちゃんは私の目の前にいるけど…」
澪「なんだ、私にか?かわるか?」
律「かわっちゃダメ!この電話はテレパシーで伝えているの!」
唯「そうなの?すごい!!」
律(…信じたよこいつ)
17: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/27(木) 21:53:36.52 ID:e9QHgOqu0
澪(…なんか唯がやたらキラキラした目で私を見ている)
律「それでね、こんなことをしたのは、どうしても唯に聞いてほしかったことがあって」
唯「なになに?なんでもいっていいよ!」
律「実は私…唯のことが好きなんだあああああっ!!」
唯「ええええええええええええっ!?」
律「始めてみたときからずっと好きだったの!愛してるの!」
唯「えええええっ、そんな、そんな急に言われても」
律「結婚しよう!!」
唯「けっ…!」 ブシュー
律「返事は今じゃなくていいから!じゃあね!」 ピッ プーッ プーッ プーッ
唯「………」
澪(…唯がなんか命を狙われた小動物のような目で私を見ている)
20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/27(木) 21:56:59.95 ID:e9QHgOqu0
澪「ゆ…唯?誰からだったんだ?」
唯「澪ちゃん…」
澪「ほら、なんか…私の話も出てたみたいだったけど」
唯「ごめんなさい!」
澪「えっ?」
唯「気持ちは嬉しいけど、私やっぱり女同士っていうのは…ごめん!」 ダダッ
澪「あっ、おい、唯!」
澪「…なんなんだ?いったい」
律(……おもろい)
27: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/27(木) 22:02:55.98 ID:e9QHgOqu0
キーング コーン グー
教師「今日はここまで。」
律「ふいー、一時間目おわりー。どしたー、唯?ぼーっとしちゃってー。」
唯「ふぇ!?なんでもないよ?なんでもない!」
紬「大丈夫?体の調子良くないの?」
唯「そういうんじゃないよ!大丈夫!」
紬「本当に?辛かったら無理しないで先生に…」
唯「本当に大丈夫だから!ほらうーんたん!うーんたん!」
紬「あらあら」
律(…おもろい)
30: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/27(木) 22:09:50.93 ID:e9QHgOqu0
ビーオ ラーン テー
教師「では今日はここまで」
律「ちょっとあたしうんこ」 ガタ
紬「あらあら♪」
唯「りっちゃんげひーん」
律「わたくしちょっとお排便のためにお便所に参上つかまつりますわ♪」
唯「あはははは!!」
紬「……」 ←なんかムカついた
律「ふいー。どっこいしょ、っと。」
律「さてさて…」
ピ ポ パ
ピロリロリン
唯「あ、でんわだ」
32: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/27(木) 22:11:36.50 ID:e9QHgOqu0
ピ
唯「もしもーし」
律「わたしわたし」
唯「だれ?」
律「梓です」
唯「あずにゃん!」
34: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/27(木) 22:14:01.22 ID:e9QHgOqu0
律「…本当はわたし、唯先輩に抱きつかれるのが大好きなんです!」
唯「わあ、そうだったんだ!」
律「いつも嫌がってたのは、恥ずかしかったから…」
唯「ンモー、あずにゃんはかわいいなあ」
律「だから先輩、今日の部活ではいつもよりもっとギューってしてくださいね!」
唯「うん、わかった!まかせてよあずにゃん!」
35: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/27(木) 22:16:15.52 ID:e9QHgOqu0
ガラガラ
律「爆撃完了ー。地表の被害は甚大なりー」
唯「おかえり、りっちゃん♪」
律「お?なんか急に機嫌よくなったなー?」
唯「えへへー♪放課後が待ち遠しいな~♪」
紬「何かいいことがあったみたいね♪」
唯「えへへ~♪♪」
38: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/27(木) 22:20:04.42 ID:e9QHgOqu0
放課後
梓「ちょっ、せんぱ!」 トタパタ
唯「よいではないかー、よいではないかー」 バタバタ
梓「しつこい!いつも以上にしつこい!」 トタトタ
唯「ギューってさせてー!ギュ~♪って!」 バタバタ
紬「あらあら♪唯ちゃんったら」
律「二人はいつも仲いいなぁ♪」 ニヤニヤ
39: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/27(木) 22:24:27.17 ID:e9QHgOqu0
梓「むー」
唯「よしよし♪」
梓「……」 ホワーン
澪「今日の鬼ごっこは一段と激しかったなぁ」
律「そういう年頃なんじゃなーい?」
紬「お茶とクッキーが入ったわよー」
唯「わーい!」 パッ
梓(……えっ、おわり?)
40: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/27(木) 22:28:46.55 ID:e9QHgOqu0
唯「クッキー、クッキー」
サクッ
唯「!!!おいしい!このクッキーすごくおいしい!」
澪「ほんとだ!甘さもひかえめ…いや、控えめというか、やわらかくて…」
梓「サクッとしっかりした歯ごたえがあるのに、口の中に入るとホロホロとほぐれます!」
律「ごめんムギ!わたしクッキーって聞いたときは正直今日はハズレかなぁとか思ってたのに!」
紬「あらあら♪喜んでもらえて何よりだわ」
43: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/27(木) 22:35:27.35 ID:e9QHgOqu0
唯「おいしぃー♪」
サクサク
澪「初めて食べたなぁ、こういうクッキーは」
梓「クッキーさまさまです!」
律(ピキーン!)
ガタン
紬「あら、律ちゃん、どこいくの?」
律「えーと、ほら、あれだ。お花を摘みに」
唯「おしっこ?いってらっしゃい!」
律「…ぉぅ」
梓(だいなしだー!)
45: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/27(木) 22:38:28.23 ID:e9QHgOqu0
律「唯のやろー、せっかく人が雰囲気を壊さないようにガラにもなく気を使ったってのにー」
ピ ポ パ
律「許せん!」
ピロリロリン
唯「あ、電話だ」
唯「はい、もしもーし」
律「わたしわたし」
唯「だれ?」
律「……」
唯「…だれ?」
47: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/27(木) 22:42:49.38 ID:e9QHgOqu0
律「……」
唯「もしもーし?」
律「……だよ」
唯「…え?」
律「わたしは……お前の目の前にある、クッキーだよ!!」
唯「えええええええええっ!?」
48: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/27(木) 22:44:46.65 ID:e9QHgOqu0
梓「ど、どうしたんですか先輩?」
澪「何かあったのか?」
唯「あ、あのね、私の電話にクッ」
律『まちな!わたしの正体をばらしたらどうなるか…』
唯「(ビクッ) な、なんでもないの、みんな…ごめんね」
紬「唯ちゃん…?」
49: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/27(木) 22:46:51.44 ID:e9QHgOqu0
律『さて……あんた、私の仲間をずいぶんむさぼり食ってくれたねえ』
唯「ごめんなさい…ごめんなさい…」
律『あんたが最後に食ったのは…私の旦那なんだよ…』
唯「ヒィィ!」
律『今までずっと連れ添って生きてきたのに…まさかこんなところで死に別れるなんて…』
唯「ごめんなさい!ごめんなさい!」
51: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/27(木) 22:52:47.59 ID:e9QHgOqu0
律「その前に食ったのはあたしの兄さん…その前のは私の母さん…」
唯『うう、うう…』 ヒックヒック
律「そしてその前が…!」
「わたし、クッキーさん」
律「へっ?」
紬「いまあなたのうしろにいるの!!」
律「ぎゃああああああああああっ!!!」
53: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/27(木) 22:55:40.16 ID:e9QHgOqu0
紬「もう、こういうことだったのね。」
律「あちゃー、バレちったか。」
律「しょうがない、唯には種明かししてあやま…」 ガシッ
紬「……」 キラキラ
律「……えーと」
紬「私にもやらせて?」 キラキラ
律「…そうきたかー。」
54: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/27(木) 22:59:41.83 ID:e9QHgOqu0
律「でもさっきのでビックリして切っちゃったよ、ほら」
紬「あらぁ…。」
唯「クッキーさん!?どうしたのクッキーさん!」
唯「クッキーさん!返事してクッキーさん!!」
梓「どうしたんですか?先輩」 モグモグ
唯「…………」
梓「先輩?」 モグモグ
唯「……ぁ…」
唯「ぁ……ぁぁ………!」
唯「あずにゃんがクッキーさん食べちゃったんだああああああああああっ!!!!」
55: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/27(木) 23:03:00.69 ID:e9QHgOqu0
梓「え、ええっ!?」
澪「えっ、なんだなんだ?」
唯「びえーん!びえーん!」
梓「いや、あの…え?…いや、ごめんなさい……え?」
澪「ほら唯、クッキーならまだいっぱいあるから」
唯「ちがうのーっ!ちがうのーっ!びえーん!」
63: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/27(木) 23:07:47.88 ID:e9QHgOqu0
律「うわぁ……」
紬「あらあら…大変なことになってるわ」
律「どう収拾つけるんだよ…これ」
紬「電話で始まったことは電話で解決するのが一番よ」
ピ ポ パ
ピロパロポン ピ
唯「ヒック…ズビ………もしもじ」
紬「わたしわたし」
唯「ズビ…だれ?」
紬「クッキーの妹です」
唯「クッキーちゃん!?」
澪「……」
66: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/27(木) 23:15:50.67 ID:e9QHgOqu0
唯「ごめんなさい!私…私…お姉さんに…」
紬『悲しまないで、唯さん……姉は本懐を果たしたのです』
唯「ほんかい?ってなに?」
紬『………』
紬『…私たちは人に食べられるために生まれてきました』
紬『人に食べられることこそが私たちの喜びなのです』
唯「でも…でも、食べられたらもう家族と会えなくなるんだよ!」
紬『唯さん…』
唯「私も…憂と会えなくなったら…寂しいもん……」
唯「本当は…お父さんとお母さんと離れて暮らすのだって……寂しいもん…」 グス…
紬『………』
律「ムギ、鼻血出てる」
69: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/27(木) 23:21:35.27 ID:e9QHgOqu0
紬『なら…食べてください』
唯「えっ?」
紬『人に食べられたクッキーの魂は、クッキーの天国、クッキーマウンテンへ行くのです』
唯「クッキー……マウンテン…」
紬『残さず食べて…私たち家族を再会させて…』
唯「うん…うん…!」
紬『お姉ちゃんに会わせて!』
唯「うんっ!!」
律「ええはなしやー。はいティッシュ丸めといたよ」 グイグイ
紬「ふがふが」
75: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/27(木) 23:28:40.66 ID:e9QHgOqu0
紬『ふいはん……ゴホン。唯さん、慌てて食べては駄目ですよ。喉につまったとあっては、クッキーの恥です』
唯「うん、わかった!」
紬『よく味わって食べてくださいね。それこそ私たちの喜び…』
唯「おいしいよ!クッキーちゃんおいしいよ!」 サクサク
紬『では唯さん…ごきげんよう』 プツリ
76: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/27(木) 23:30:03.14 ID:e9QHgOqu0
律「ふー、なんとか一件落着だな。」
紬「楽しかった♪クセになりそうね、これ!」
律「にししし、唯がかわいそうだからほどほどにしとけよー?」
紬「あらぁ、律ちゃんがそれを言う?」
律「あははは」
紬「うふふふ」
プルルルル
紬「あ、律ちゃん電話よ」
律「おう」ピ
律「あい、もしもし?」
『わたし、クッキーちゃん』
律「え?」
澪「今おまえらのうしろにいるぞおおおおおおおっ!!」
紬律「きゃああああああああああっ!!!」
78: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/27(木) 23:37:01.57 ID:e9QHgOqu0
澪「…と、いうわけだそうだ。」
律紬「ごめんなさい……」
唯「ひどいよ!二人で私をだますなんて!」
律「ごめん唯…私もまさか本気にするとは思わなくて…」
梓「まぁ…それは確かに…」
律「一回やったら面白くなっちゃってさ…」
澪「まったく…どうせ朝の電話もお前だったんだろ?」
唯「え?あれは澪ちゃんからかかってきたんだよ」
澪「いや、私横にいただろ。どうやって電話するんだ」
唯「テレパシーで」
澪「……」
律「…なぁ、私の気持ち、少しはわかるだろ」
梓「確かに……あれは…」
79: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/27(木) 23:39:44.06 ID:e9QHgOqu0
紬「じゃあ休み時間にかかってきた梓ちゃんからの電話も?」
梓「え?かけてないですよ私は。」
唯「ええっ!じゃああれもりっちゃんだったの!?」
梓「…どんなこと言ってたんですか、律先輩は」
唯「えーとね、あずにゃんは私にギューされるのが大好きだからもっとしてして、って」
梓「……」 ツカツカツカツカ
律「ちょっと無言で追ってこないで怖い怖い怖い」 ツカツカツカツカ
81: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/27(木) 23:43:35.15 ID:e9QHgOqu0
澪「まったく…律は私のふりして何て言ってたんだ?」
唯「えっとね、その…わたしのこと………って」
澪「えっ?」
唯「だから、私のこと………好き、って」
澪「はあぁ!?」
唯「あ、愛してる……とか………結婚……して…とか…」
紬「まぁ!」
梓「捕まえましたよ先輩!」
澪「よし梓おさえとけ。絶対逃がすな」
律「ヒィィーッ!!」
84: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/27(木) 23:50:47.18 ID:e9QHgOqu0
律「もう…お嫁にいけない…」 オヨヨヨ
梓「そこまでひどいことはしてません!」
澪「まったく…そんなの全部うそっぱちだからな!?信じるなよ唯も!」
唯「そ、そうだよね!私びっくりしちゃって!」
紬「でも全部嘘ってことになると、澪ちゃんは唯ちゃんのこと嫌いってことに…」
唯「ええっ!?」 ガーン
澪「違う違う!全部ってわけじゃないから!唯のことは嫌いじゃないよ!」
梓「わ、私も別にイヤってわけじゃ……ない…けど……あんまり頻繁だと…」
唯「よかったあ!あずにゃん大好き!」 ギュー
梓「わあ!……うう、今回だけですからね…」 ギュ
澪「わ、私も好きか嫌いかでいえば…す、好き…ってことになるけど…そんな愛してるとか、そんなんじゃなくて…友達としての好きって言うか…」 ゴニョゴニョ
紬(ニヤニヤ)
86: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/27(木) 23:54:57.72 ID:e9QHgOqu0
キーン コーン
唯「じゃあ、みんなまたねー!」
梓「また明日です」
律「おれおれ詐欺には気をつけろよー!」
澪「お前が言うな!」 ゴチン
律「あいた!」
アハハハ…
89: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/27(木) 23:57:58.24 ID:e9QHgOqu0
ガチャ
唯「たっだいまー!」
唯「あれ、憂いないんだ。買い物かなー」
ピロリロリン
唯「むっ」 ピッ
唯「はい。もしもし。」
憂「あ、おねえちゃん?わたし。憂だよ。今スーパーにいるんだけど、何か食べたいもの…」
唯『もう、だまされないもん!』 ガチャン
プーッ プーッ プーッ
憂「………えっ」
fin
唯「おれおれ!」