1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/15(日) 19:30:07.99 ID:unctWdZX0
ほむら(まどかは、消えた。 消えた……そう、どこにでも居るとは言っていたけれど
私たちの前からは、世界からは消えた……)
まどか「ウェヒヒヒ……来ちゃった」
ほむら(……私のSGはまだ……余裕がある。 何年も持ちそうなぐらい。
それなのにまどかが、来るなんてありえない。 これは夏の暑さが創りだした幻覚、幻聴……)
まどか「ほむらちゃん?」
ほむら(というか、なんでこのまどか成長してるの……?
胸も、背も大きくなって……。 私溜まってるのかしら……)
まどか「ねぇーほむらちゃんってばー」
ほむら(あ、当たってる! まどかのそこはかとなく成長したお胸がっ!)
まどか「ほむらちゃん! 暁美さーん? ねぇー」
ほむら「ふ、ふぉぉ……」
4: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/15(日) 19:34:27.82 ID:unctWdZX0
ほむら「……で、まどか。 どうして突然…?」
まどか「うーん、わたしもよく分からないんだけどね……」
ほむら「分からないって……」
(そりゃそうよね。 私の幻覚なんだもの。 私が何をしたいか、何をして欲しいかが分からないと
……)
まどか「でも、なにか叶えて欲しい願いがあるんだ」
ほむら「願い…ね…。 QB呼ぶ?」
まどか「そ、それは酷いよぉ……」
ほむら「願いって少しでもいいから、何かわからないの?」
まどか「うーん……。 あ、そうだね、皆が居ないとダメみたいな気はする」
ほむら「皆……プレイアデス聖団のこと?」
まどか「ち、違うよぉ…。 ほむらちゃん、ボケが成長したねウェヒヒヒ」
ほむら「…………マミ達を集めるのは、難しいわね」
まどか「えっ、どうして?」
ほむら「……分からない……?」
まどか「全然わからないよティヒヒ……」
ほむら「貴女は円環の理ではないの?」
まどか「そうでもあるし、違うとも言える、ね」
ほむら(……私も、どうかしてるわね。 私は一体まどかの幻覚に何を望んでいるの……?
そりゃ……まぁ、皆に会いたくはあるけど……けど……)
まどか「ほむらちゃん?」
ほむら「……まどか、貴女が消えてからもう4年も経ったの……。
時間の概念がない貴女には分からないかも知れないけど、4年は……結構長いのよ。
それに、私も忙しいのよ。 学校があるし……高三だから受験も……」
まどか「でも、学校行ってないよね、ほむらちゃん」
ほむら「っ! ……み、皆を集めたって、まどかの事覚えてるのは、私だけじゃない。
集めたところで、誰もまどかの事なんて知らないんだもの……」
まどか「……でも、わたしは皆を集めてほしいの」
ほむら「……」
ピンポーン
まどか「……お客さんだよ?」
ほむら「……」
まどか「でないの?」
ほむら「……出るわ……」
ほむら「……はい」
マミ「こんにちは、暁美さん」
まどか「マ、マミさん……胸が全然成長してない……」
ほむら(当時でもう成長限界に達してたのよ……)ボソボソ
マミ「ん? 何か言ったかしら?」
ほむら「な、なんでもないわ。 何の用かしら?」
まどか「マミさーん。 相変わらずのツインドリルですねぇ……」
マミ「特に用事という用事はないんだけど……。 その、元気にしてるかなって」
ほむら「元気……よ。 心配しないで」チラッ
まどか「マミさん……マミマミ……」
マミ「そう、だったら、良いのだけれど……」
ほむら「貴女こそ友達はできたの? 大学でも便所飯じゃない? 大丈夫?」
マミ「だ、ぢあじうぶよ! ばかにしないでくれるっ!?」
マミ「ま、まぁ……元気ならそれでいいの……うん……」
ほむら「えぇ……」
マミ「えっと、その、ぁー……」
ほむら「……様子見に来てくれてありがとうマミ」
マミ「いや、気にしなくていいのよ……。 それじゃ」
ほむら「えぇ、また……」
――
まどか「……マミさんだったね」
ほむら「そうね」
まどか「……マミさん居るのに、どうして?」
ほむら「……あの頃とは、違うのよ」
――
マミ(……ぐすっ、ぼっちじゃないもん……。
それにしても暁美さん……私のこのパワーアップしたドリルに気付かないなんて……。
いえ、問題はそこじゃなくて……)
ほむら(……マミが心配してくれているのはわかる。 優しい先輩……。 けど……行きたくない。
授業の内容も、受験も、追いつけない訳ではない。 私が行きたくないのは学校じゃなくて……)
まどか「ほむらちゃほむほむ♪ わたしのラーメンはかき玉でお願いしたい…なー…」
ほむら(まどかの居ない世界で生きて居たくない……? まどかだけあそこに残して先に進みたくな
い……?
そんな私を責めるために、まどかが来たの? それとも……)
まどか「えっ……わたしのラーメン作ってくれないの……?」
ほむら(違う。 このまどかは私の幻覚、幻聴、妄想……。
ということは、私はまどかの幻を創りだすほど、まどかと生きていきたいの……?)
まどか「ほむらちゃんだけずるいと思うなぁ」
ほむら(それなら、どうして皆を集めてなんて話すの? やっぱり、私は先に進みたいの……?
停滞している自分を責めて、まどかに引け目を感じているの……? いえ……私は……)
まどか「ティヒッ、横からいただきまーす」
ほむら(私は……って、か、顔が近いわまどかぁぁぁっ!)
ほむら「……ねぇ、まどか」
まどか「どうしたの? ほむらちゃん」
ほむら「……魔獣を倒しに行かないといけないんだけど……」
まどか「魔獣?」
ほむら「貴女が再編した世界での、魔女みたいなものよ」
まどか「そんなのが居るんだね……」
ほむら「それで……」
まどか「わたしも、連れてってくれる?」
ほむら「……だめといっても、付いてきそうね」
まどか「ウェヒヒヒ……」
ほむら(まぁ、幻覚なら……)
――
魔獣「6lbi……」
まどか「あれが、魔獣……」
ほむら「まどかは、危ないからここに居て。 すぐに倒して戻ってくるから」
まどか「うん。 頑張ってね、ほむらちゃん」
ほむら「えぇ……」
(高三にもなって魔法少女とか恥ずかしい気持ちもあるけれど……)
魔獣「x7teue……」
ほむら(まどかが守ったこの世界、守らなきゃ。
本当にまどかが見てるってのもなんだか不思議ね……)
ほむら「ふぅ……。 これで終わりかしら……」
まどか「ほむらちゃん凄い……!」
ほむら「さて、帰りましょっ、まど――」
魔獣「JS@t……」
まどか「えっ?」
――――――
まどか「ほむらちゃん凄い……!」
ほむら「……ありが……まどか!」
魔女「ひ魏ギギ」
まどか「えっ? あっ……」
――グシャッ
――――――
ほむら「まどかぁぁぁぁ!!!」
???「はぁぁっ!」
魔獣「――!!」
ほむら「あっ……」
まどか「あ……さやかちゃん!」
さやか「ほむら、何してんの? 一人で叫んで転んで」
ほむら「べ、別に何も……」
まどか「わー、さやかちゃん……背伸びたねぇ……」
さやか「ふーん……。 あんたまだ、まどかまどかって言ってるわけ?」
ほむら「……」
さやか「前の世界だかなんだかわかんないけど、何時までも縛られてどうすんの」
ほむら「……」
まどか「ぁ……」
さやか「あたしにだって、まどかで何か引っかかることはあるけどさぁ……。
まどかがそれでいいって言ってるなら良いって割りきらないと」
ほむら「分かってるわよ! けど……けど! っ!」
まどか「!? ちょっと、ほむらちゃん! 待って!」
さやか「……ふぅ。 あいつ、GSも拾わずに……。 ……………まどか、か……」
まどか「待って! ほむらちゃん!」
ほむら「はぁ……はぁ……、私は……!」
まどか「ほむらちゃん……ごめんね。
やっぱり、わたしがほむらちゃんを過去に縛り付けてるんだね……」
ほむら「……! まどか、違う! 違うのよ……!」
まどか「……ほむらちゃんは、やっぱり、わたしのこと忘れるべきなの……!
全部忘れて、この世界に合わせてちゃんと、生きていかないと……」
ほむら「何を言って……」
まどか「……ごめんね……。 さよなら!」
ほむら「待って、まどか!? どこに行くの!? まどかっ! 待って……」
――
ほむら(まどか、どこに……! 違う、私はまどかに縛られてなんか居ない……!
私が、私を縛ってるだけ。 そうよ、まどかを忘れるのが怖いから、先に進めない。
まどかのことを、覚えていたいから……。 日常に紛れて忘れてしまうのが怖いから……。
ううん、今は、今はそんな事どうでもいい……!
また、まどかを失うのは嫌……! まどか、どこに行ったの……!?)
――
ほむら「はぁ、はぁ……うちには、居ない……。
学校……? それとも……公園……? まどかぁ……」
――
まどか「……ただいまー……なんて……」
知久「ん? こらタツヤ、ドアはちゃんと閉めなさい」
タツヤ「えーっ、ちゃんとしめたよー!」
まどか「たっくん、大きくなってる……ってあたりまえだよねウェヒヒ……」
詢子「ただいまーぅ……」
知久「おかえり。 また随分酔ってるね……」
タツヤ「酔っ払いー」
まどか「あはは……ママとパパは全然変わってないなぁ……」
まどか「……やっぱ、わたしの部屋、無いや……。 あはは……そうだよね……。
あるわけないよね。 だって、わたしこの世界に居ないんだもんね……。
居ない……居ないんだよわたし。 わたしは、覚えてるのに、皆覚えてないんだよ……。
帰る場所も……ひっく……何も……無い……んだ……。
どうしてわたしは、覚えてるの……? 全部、忘れたら良かったのに……。
……嘘、忘れるのは、怖い。 やだよ……。 全部覚えてたいよ……。
もう一度この世界に生まれたいよ……! わたしが居る世界が欲しいよ……。
でも、それは…………っ! うぅぅぅ……」
――
ほむら「はぁ、はぁ……まどか……!」
魔獣「PZUE……PZUE……」
ほむら「こんな時に……!」
(まどか……まさか、魔獣に……!?)
魔獣「TUDE……TU…D…E……」
ほむら「このっ……! まどか! ここに居るの!? まどかー!」
??「おい! 待て!」
ほむら「うるさい、急いでるの!」
杏子「待てって、お前、GSも拾わずにどこ行くんだよ。 馬鹿が極まったのか? それにまどかって
……」
ほむら「あ、杏……子……」
杏子「ん?」
杏子「にしても久しぶりだなぁ。 4年ぶりか?」
ゆま「ホムラ久しぶりぃ!」
ほむら「え、えぇ、そうね。 大きくなったわねゆま」
ゆま「えへへ。 いろんな所行ってきたんだよー」
杏子「……で、まどかってどうしたんだ?」
ほむら「……」
――
杏子「へぇ、ほむらにも遂にお迎えが来たのか」
ほむら「……そういう意味じゃないわ」
杏子「はは、分かってるよ。 ぁー、それにしてもまどかかぁ……」
ほむら「貴女とは、あまり親しくはなかったような気がするのだけれど……」
杏子「んん? そうだっけか? でもなぁ、ここ4年ずっとまどかってのが引っかかってんだよなぁ」
ほむら「……」
杏子「ピンクのショートツインテだろ? 街で見かけるとつい目で追っちまうっていうかさ」
ほむら「そう……」
杏子「……願い事ね。 暫く見滝原に居るつもりだし、協力するよ」
ほむら「し、信じてくれるの……?」
杏子「4年前は興味無いって言ってここ離れたのに、今更ってのは虫のいい話だけどなー。
ほむらがそれでもいいなら、あたしは協力するよ」
ほむら「……わたしの、幻覚かもしれないのに?」
杏子「もしそうだったら、協力する相手がまどかからほむらにかわるだけさぁ」
ほむら「貴女は、変わらないのね」
ゆま「変わらないねー。 胸とか!」
杏子「ゆま、お前……」
ほむら「ゆまには毒が増えたわね……」
――
ほむら「……やっぱり、帰ってきてないか」
―――
まどか「ほむらちゃん! 起きて! 朝だよっ!」
ほむら「んん……」
まどか「起きろーっ!」
ほむら「はっ、まどか!?」
まどか「ウェヒヒヒ……おはよう」
ほむら「……よかった……まどかっ!」
まどか「うわわ……ウェヒヒヒ……」
まどか「学校は……?」
ほむら「夏休みよ」
まどか「嘘だッ!」
ほむら「……まぁ、良いじゃない……」
まどか「ほむらちゃんが学校に行くのが私のお願い、かも……」
ほむら(……やっぱり、私に先にすすめって言ってるの……?
だとしたら、このまどかは、やっぱり私が自分を責めるために……?)
まどか「ほむらちゃん?」
ほむら「……行くわ、学校」
まどか「え……お、おぉー!」
ほむら「その、着替えたいんだけど……」
まどか「ウェヒヒヒ……ほむらちゃんの生着替え……」
ほむら(……溜まってるのかしら私……)
まどか「ウェヒヒヒ、行ってらっしゃーい」
ほむら「行ってきます……」
ほむら(……あっつ……)
――
まどか「ほむらちゃんが学校にいくのが私のお願いかも……」
――
ほむら(……そうなのかしら……でも……)
マミ「あ、暁美さん!」
ほむら「……マミ」
マミ「制服ってことは……もしかして学校に?」
ほむら「えぇ。 マミは、大学はいいの?」
マミ「ぁー、あはは……。 きょ、今日は1コマ目無いのよー」
ほむら「そう。 それにしても暑いわ……」
マミ「ね、学校終わったらどこか行きましょうか」
ほむら「……そうね。 またメールでもするわ」
マミ「あ、う、うん。 それじゃ、学校行ってらっしゃい」
ほむら「……マミ?」
マミ「えっ、その、私のお誘いに乗ってくれるの久々だなって」
ほむら「……少し、話したいこともあるから…」
マミ「そう……。 じゃ、じゃあまた後でね!」
ほむら「また……」
――
マミ「ごめんなさい、待った?」
ほむら「えぇ、待ったわ」
マミ「ちょっと講義伸びちゃって……」
ほむら「気にしていないから大丈夫よ」
マミ「そ、そう……。 じゃあ、あの喫茶店にでも……」
ほむら「えぇ……」
マミ(暁美さんとはいつもこうなっちゃうわね……)
ほむら(マミとはいつも会話が続かないわ……)
マミ「えっと、その、何か悩んでる?」
ほむら「……開口一番それなの?」
マミ「えっ、あっ、今日はいい天気ねー」
ほむら「……別に私はマミの事嫌ってないから大丈夫よ。
何度も言っているけど」
マミ「う、うふふ……」
ほむら「……実は――
マミ「鹿目さんが?」
ほむら「願いを叶えて欲しいって……」
マミ「それで悩んでたのね……学校にまで行かなくなって……」
ほむら「学校のことは、関係ないわ」
マミ「そ、そうよね、鹿目さんが現れたの最近ですものね!」
ほむら「それで……」
マミ「も、もちろん協力させていただくわ!」
ほむら「……どうしてそんなに動揺してるの?」
マミ「そんなことないわ。 平常運転よ?」
ほむら(手が凄い震えてる……)
マミ「……」
(鹿目さんが、居るなんて……。 ま、まさかね。 でも暁美さんが幻覚まで見てるなんて……)
ほむら「大丈夫よ。 私たちのSGに別に変なところはないし。 お迎えではないわ」
マミ「そ、そう。 それならいいんだけど……!」
ほむら(……これが怖いんじゃないのかしら)
ほむら「……そろそろ移動しましょうか」
マミ「そ、そうね! コーヒー一杯で居座るのはだめよね」
ほむら「……もちろんマミ先輩のおごりですよね?」
マミ「ぉ、ぉお、任せて……!」
ほむら(……まったく、この人は……)
マミ「さて、どうしましょう……」
キリカ「おー? 恩人ーっ!」
マミ「呉さん!?」
ほむら(本当に友達いたんだ……でも恩人……?)
マミ「ご、ごめんなさいね暁美さん」
キリカ「恩人ーはやくしろー!」
ほむら「気にしないで。 それじゃ、またね」
マミ「えぇ、また。 もう、もう少し静かにしてくれる?」
キリカ「あ、あぁ、うん、はいはい」
ほむら(……ヘンな子)
ほむら「ただいま」
(……本当に私が学校にいくのが願いなら、もうまどかは……)
まどか「おかえりーっ」
ほむら「……まどか」
まどか「ぇへへ、お願い、違ったみたいだね」
ほむら「……はぁ」
まどか「その、学校、どうだった?」
ほむら「いつもどおりだったわ」
まどか「そっかー……」
ほむら「……着替えたいんだけど」
まどか「生着替え!」
ほむら(……まどかがまだ居て、安心してる私は……)
――
ピンポーン
ほむら「はい、どちら様で……」
杏子「よーっす」
ほむら「……」
杏子「ちょ、なんで閉めるんだよ!」
――
ほむら「何の用かしら」
杏子「まどかの願いって奴についてさ、考えたんだよねあたしなりに」
まどか「さすが、安心の杏子ちゃん!」
ほむら「……」
杏子「やっぱさー、思い出して欲しいんじゃないかなって。
あたしも、ずっと引っかかってるし、思い出してすっきりしたいんだよね」
まどか「ぁ…………」
ほむら「そうだとして、どうやったらいいの? 本当に覚えてるのは私だけだし……。
一応皆に話したから、こうやってまどかの話を共有できてるけど……」
(まどか……?)
杏子「それが問題だよなぁ……。 別世界なんてファンタジーじゃ、きっかけもなにも作りようがないし……」
ほむら「……」
杏子「まーとりあえずさ、一回皆で集まろうよ」
ほむら「集まるって……」
杏子「今晩8時にあたしの家な!」
ほむら「杏子の家って、あの教会?」
杏子「そうそう。 ついでにバーベキューでもしよう! 肉よろしくな!」
ほむら「え、ちょっと、バーベキューって」
杏子「そうと決まれば善は急げだなー。 ちょっと皆集めてくるわ」
ほむら「ちょ、ちょっと! 杏子! 待ちなさい!」
杏子「また後でなー!」
ほむら「……行っちゃった……」
ゆま「……ぐすっ」
ほむら「な、泣かないでゆま……ほら、カントリーマアムあげるから……」
ゆま「……バイエルン?」
ほむら「これしかなかったから……」
ゆま「バイエルンもおいしいと思うよ!」
まどか「ゆまちゃんはかわいいなぁ。 さすが杏子ちゃんの娘!」
ほむら(ちょ、まどか、娘じゃないわよ)ボソボソ
杏子「お、来た来た。 ってゆま、どこ行ってたんだよ。 心配したんだぞ」
ゆま「……キョーコひどい」
ほむら「……はぁ。 こんばんは、マミ」
マミ「えぇ、さっきぶりだけれど。
佐倉さんったら、久々に会ったと思ったらいきなりバーベキューだなんて……」
杏子「で、何持ってきてくれたんだ?」
ほむら「はい、バイエルン」
杏子「……。 マミは?」
マミ「えっ、その……花火……」
杏子「……」
ほむら「……」
マミ「……。 ば、バイエルン切ろうかしらうふふふ……」
杏子「あ、あぁ、頼む……」
ほむら(なんて事……)
まどか「ウェヒヒヒ……ちょっと寂しいバーベキューだね」
ゆま「へー、こうやって切ると蟹になるんだー」
マミ「そうよ。 たぶん。 こうだった気がするの……」
まどか(あぁ、そこきっちゃダメ……)
杏子「しかしバイエルンだけとか……」
ほむら「主催者様の杏子は何を用意してたのかしら?」
杏子「リンゴ」
ほむら「……。 ところで、さやかの姿が見えないけど……」
杏子「誘ったからくるとおもうんだけどなー。 まどかのお願いかなえちゃおうの会やるぞーって」
ほむら「……そんな事言ったの?」
杏子「おう!」
ほむら「来ないかも知れないわね……」
マミ「いいえ、きっとくるわよ。 美樹さん」
ほむら「……?」
さやか「やふー。 遅れてごめんねー」
杏子「おぉ、さやか! さやかは何持ってきてくれたんだ? 凄い期待してる!」
さやか「あははは、ごめんね、バイエルンしかなくて」
杏子「……」チラッ
マミ「……」チラッ
ゆま「……」チラッ
さやか「……なにこれ、バイエルンしかないじゃん……」
杏子「さ、さやかぁぁぁぁ!!!」
マミ「美樹さんの株が急落だわ……」
さやか「んな理不尽な」
まどか「あははは……。 やっぱり皆がいると楽しいね」
ほむら(そうね……。 楽しい……わね……)ボソボソ
さやか「そうだ、ここに来る途中でまどか見たよ」
杏子「なんだって!?」
まどか「えぇっ!」
さやか「森の中走ってったけど」
杏子「なんで追いかけなかったんだよ! ちょっと見てくる!」
ゆま「わたしもー!」
マミ「ゆまちゃんは危ないわよ! って、ちょっと、もう!」
ほむら「……」
さやか「行かないの? ……見えてるの、ほむらだけじゃないみたいだね」
まどか(……)
杏子「見つかんねーな」
マミ「そろそろ戻りましょう? バイエルン焦げちゃうわ」
ゆま「食べ物を粗末にすんじゃねー!」
杏子「おっと、そうだな。 まどか見れなかったのは残念だけど」
マミ「見れなかったって、鹿目さんは珍獣じゃないんだから……」
杏子「そうだな、ちょっと言い方悪かったな……」
マミ(相変わらず素直な子ね……)
さやか「おかえり。 あたしの分のバイエルンも焼けてきたよ」
杏子「はぁ、まどか居なかったよ……」
ほむら「そう……」
ゆま「……蟹……?」
マミ「蟹……」
まどか「それはもうムカデだよぉ……」
杏子「そりゃ、蟹には見えんな……」
さやか「しょうがないなぁ、あたしが作ってあげるよ……」
ゆま「……クラゲ……?」
マミ「クラゲ……」
まどか「も、もう見てらんない……」
杏子「酷いもんができたな……」
ほむら「……」
さやか「……ね、あたしまどかの事で考えたんだけどさ……」
まどか「さやかちゃん……?」
さやか「まどかはさ、もう自分のこと忘れて欲しいんじゃないかなって。
それで、前を向いて欲しいって……」
ほむら(さやか……!)
まどか「……」
杏子「そう、なのかなぁ。 確かに、魔女っつーのを消して
魔法少女のあたしらに希望くれて……。
それなのにずっとまどかの事考え続けて後ろ向きってのは、気に食わないのかもな」
ほむら「そんな……」
マミ「……前を見なきゃ、かぁ……」
まどか「……わたしは、今皆がこうやって、集まってるの、すごく嬉しいよ……!」
ほむら「っ……! 忘れるなんて、そんなのできないわ!」
さやか「……まどかが忘れてくれっていっても?」
ほむら「そんなこと、まどかは言ってない!」
まどか(ぁ……ほむらちゃん……)
さやか「……そう。 でも、あたしら巻き込まないでくれる?
あたし達には、まどかなんて子の記憶ないんだから。
分かってるのは、本当かもわからないほむらが教えてくれた内容だけだし。
ほむらに合わせてあげてるのよ?」
ほむら「……」
さやか「ま、時間も時間だし、あたしは帰るね」
杏子「お、おいさやか……」
さやか「あまったバイエルンはあげるから、ゆまちゃんとでも食べてよ」
マミ「……私も、明日早いから……」
杏子「マミまで……。 はぁ……。 悪いなほむら」
ほむら「いいえ、杏子は気にしなくていいのよ……」
まどか(……)
――
ほむら(……昨日帰ってからまどかは何も言わなかった。
願いって……というか、やっぱり幻覚……? でもさやかは……)
ほむら「ただいま」
まどか「おかえりー。 学校、どうだった?」
ほむら「いつもどおりつまらないわね……」
まどか「あはは……。 ねぇ、さやかちゃんとは学校一緒じゃないの……?」
ほむら「えぇ。 貴女達は6年制だったでしょ? 私は編入だから……。
……それに制服が違うじゃない」
まどか「あ、それもそっか……ティヒヒ。 女子高生なほむらちゃんに見とれてたから……」
ピンポーン
マミ「こんにちは」
ほむら「い、いらっしゃい……」
マミ「連日押しかけて、それと昨日は、ごめんなさいね……。 その……美樹さんにあってみない?」
ほむら「え……?」
マミ「美樹さんね、前はよく私に相談してたのよ。 鹿目さんについて……。
でも私もほら、覚えてないんだから、何にも言えなくて……」
ほむら「そうだったの……」
まどか「さやかちゃん……」
マミ「最近はもう全然、話にも出さなかったんだけど……。
でもね、昨日の夜みたいなこと言うのって、変だなって思って」
ほむら「……行ってみるわ」
マミ「暁美さん……!」
――
さやか「何? あたしこれから、仁美と恭介と出かけるんだけど」
ほむら「……。 まどかは、忘れてほしくないって言ってるわよ?」
さやか「それ昨日の夜も言ったよね。 それで巻き込まないでっていったじゃん」
ほむら「貴女は、まどかの親友だったのよ? 酷いと思わないの?」
さやか「それは前の世界の話だし、そもそも、誰も覚えてないなら、ほむらの妄言かもしれないじゃん
ううん、妄言なんじゃないの? 自分で証拠はないって言ってたじゃん」
まどか「……」
ほむら「それは……っ!」
さやか「……。 話はそれだけ? じゃ、あたし行くわ」
ほむら「……」
――
さやか(そうよ。 あたしには、仁美と恭介って友達がいるんだもの……。
そんな、訳の分からない前の世界の親友だとか言われても、そんなの知らないよ……!
知らないんだから、さがすも、協力も何も無いよ……!
まどか……! あぁ……もう!)
――
杏子「また集まってもらったのはほかでもない。 まどかのことだ」
ほむら「……」
マミ「……」
杏子「あたしさ、やっぱりまどかが忘れてくれって願い事しに来てるとは思えないんだよね」
まどか「杏子、ちゃん……」
杏子「だからさ、ほむら。 まどかの願いがんばって聞き出してくれよ」
ほむら「善処するわ」
マミ「鹿目さんも、寂しいのかしらね……」
まどか「……」
ほむら(前を向いて欲しい。 これがきっと、まどかの願い……。
でも、それだけじゃない気がする……)
杏子「んー、ちょっとトイレ」
マミ「え、こんな廃教会にトイレあるの?」
杏子「……」
マミ「……」
杏子「行ってくる」
ゆま「ゆまもー」
マミ「ゆまちゃんの教育に悪いかも……」
ほむら「全くね……」
杏子「う、うぉぉぉぉ!」
ゆま「わぁぁぁぁ」
マミ「何? 騒がしいわね。 ちゃんと手洗った?」
杏子「ま、まどかが居た!」
ほむら「ええ!?」
杏子「こっちだ、早く!」
マミ「そんな、本当に?」
ほむら「まどかが……!?」
まどか「まどかが居るなんて……」
ほむら(何とぼけてるのよまどか……)ボソボソ
杏子「さっきここで見たんだよ」
マミ「やっぱりトイレないじゃない」
杏子「う、うるせー」
ほむら「……本当に見たの?」
ゆま「ゆまだって見たんだからっ!」
杏子「そうだ、ちゃんとピンクショートツインテの赤リボンだったよな」
まどか「ほむらちゃん!」
ほむら「え? あっ!」
杏子「あぁっ! ってほむら、一人じゃ危ないぞ!」
ほむら「はぁ、はぁ……」
(確かにまどかにみえた……。 でも、そうだとしたらここにいるまどかは?)
杏子「おーい、ほむらーどうだー?」
ほむら「見失ったわ……。 近くにいるとおもうんだけど……」
マミ「……はぁ。 私も姿も何も覚えてないけど! 鹿目さんは、そんなに背も高くないし!
胸も大きくないし、夜の森を全力疾走出来るような子じゃないと思うわ!
……美樹さん!」
まどか(そ、その通りだけどちょっと悲しいよマミさん!)
ほむら「えっ?」
さやか「っ!」
まどか「ほむらちゃん! あっち!」
ほむら「くっ!」
さやか「はぁ、はぁ、はぁ……う、うわっ、きゃぁぁぁ」
ほむら「はぁ、はぁ………はぁ……」
杏子「ほむら、追いついた……けど、どういうことだよ……」
マミ「……はぁ」
まどか「さやかちゃん……」
ほむら「さやか……」
さやか「くっ……」
ほむら「さやか……その、どうして……大丈夫?」
(まどかの……服……?)
さやか「……大丈夫に見える……? 大丈夫にみえるの? これが!!」
ほむら「さやか……」
さやか「ねぇ、よく見てよ! まどかに、まどかに見える!?」
ほむら「……っ!」
さやか「まどか、ほむらには見えてるんでしょ!? どう、見えるの? どうなのよ!」
ほむら「さやかっ……!」
さやか「あたしは、まどかの親友だったんでしょ? そう言ってたじゃないほむら!
私は……親友だったのに、何一つまどかのことを覚えてない!
何も、何も覚えてないんだよ! 声も、姿も……!
こんな、こんな酷い親友がどこにいるってのよ!」
ほむら「さやか……あなた……」
さやか「だからっ……あんたがいってた……ピンクで、ショートで……!
あたしの隣、いつも空いてるって感じるんだよ……。
何か、誰か足りないんだよ……。 それが、きっとまどかなんだ。 そうでしょ?
でもね、そこに仁美が入ると、心地いいんだよ! こんな……こんな酷い……!
まどかは、消えちゃったのに、あたしだけ、仁美や、恭介と……!
楽しく友達やって、笑って……!」
まどか「……」
さやか「……だから、あんがの言うことがホントでも、あたしのところには絶対、まどかは来ないんだろうね。
恨み言の一つでも言いに来たら良いのに。 顔もみたくないって感じよね。
だからもう、あたしは集まんないよ……。 まどかに合わせる顔がないんだもん……」
まどか「さやかちゃん……わたし、そんなこと思ってない……!」
ほむら「……今、さやかの目の前に居るわよ。 まどか」
さやか「……さぞ不愉快な顔してるんでしょうね」
ほむら「泣いてるわよ。 あなたを思って。 あなたのために」
さやか「っ……そんなわけ……!」
まどか「……さやかちゃん!」
さやか「――えっ」
――
さやか「まどかはあたしの嫁になるのだー」
まどか「ティヒヒヒ、やめてよーさやかちゃん」
――
さやか「初めてにしちゃ、うまくやったでしょ? あたし」
まどか「さやか……ちゃん……」
――
さやか「一緒に行こ、まどかがいたら凄い心強いよ」
まどか「ありがとさやかちゃん……」
――
まどか「さやかちゃんに一人ぼっちになってほしくなくて……」
さやか「なんであんたはそんなに優しいかなぁ……」
――
まどか「さやかちゃんの為にならないよ……」
さやか「あたしの為って何よ!」
――
さやか「ついてこないで!!!」
――
まどか「こんなこと守るために魔法少女になったんじゃないでしょ……?
お願い、元のさやかちゃんにもどって――」
――
――
さやか「まど……か……?」
まどか「違うよ、さやかちゃん。 わたしは、何も恨んでないよ。
それでいいんだよ。 仁美ちゃんや、上条くんと……。
大切なのは今の世界なんだよ……! だから……」
さやか「まどか……。 まどかぁぁぁ」
ほむら「え、さやか、まどかが見えるの!?」
さやか「ごめん、ごめんね。 あたし、思い出したよ、まどか……うわあああぁぁぁ…」
杏子「どうなってんだ……。 おい、マミ見えるか?」
マミ「い、いえ、見えないわ……。 でも、暁美さんの幻覚でも、妄想でもなかったのね……」
――
杏子「……マミはしってたのか?」
マミ「知ってたわけじゃないけど。 もしかしたらってね……。
美樹さん、私に相談しに来なくなった頃から、
よく可愛いアクセサリーのお店で見かけてたから……」
杏子「マミが行くような店とは、さやかは縁なさそうだもんなぁ」
マミ「それに、いつも決まってリボンのコーナーだったもの」
杏子「……」
マミ「……まぁでも……」
ゆま「キョーコ、眠い」
杏子「あぁ、そうだな……。 もう遅いしな」
マミ「……帰るわね。 おやすみ、ゆまちゃん」
ゆま「おやすみー」
――
マミ「……朝早くからごめんなさいね」
ほむら「別に、いいわよ。 昼間で寝てたりなんかしないから」
マミ「……鹿目さんは、そこに居るの?」
まどか「ふぇ? わたし……?」
ほむら「居るわ。 突然で驚いてる」
マミ「そう……。 私ね、二人に謝りたいと思ってきたの……」
ほむら「謝る?」
マミ「……暁美さんの話って、ほとんど作り話だと思ってたの。
だから、鹿目さんの話になったときの暁美さんがすごく怖かった。
だってそうでしょう? 見えないものを信じこんでる人って、恐ろしいもの」
ほむら「……」
マミ「でも、同じ魔法少女だし、その、友達、でしょ?
だから心配もしてたけど、やっぱり距離も置いてた。
ごめんなさい」
ほむら「……」
マミ「それで、昨日、本当に暁美さんが言っていた世界があったって分かったでしょ?
だったら、ねぇ。
そもそも暁美さんや、鹿目さんが魔法少女になってのって、私のせいじゃない。
私が調子に乗って、本当の事も知らずに鹿目さんを魔法少女に引き込んだのが、
全ての発端だから…………ごめんなさい……本当に……」
ほむら「……それは……」
マミ「だって、私が一人で魔法少女続けてたら
鹿目さんが魔法少女になることもなかったし、
暁美さんが辛いループを始め無くても良かったし……。
美樹さんだって、上条さんの腕は治らなかったかもしれないけど、
きっと魔法少女になんてならなかったでしょ?」
ほむら「……じゃあ、私が貴女に話さなければよかった。 が先じゃない?」
マミ「え?」
ほむら「だって、前の世界なんていうものがあったなんて、知らなかったらそんな事考えないでしょう?
普通に魔法少女として魔獣を倒しているだけのはずよ。
そう考えたら、悪いのはマミじゃなくて、私。
マミ以外にも、さやかも杏子も、今回の件、全部ね。
私が一方的に負担をかけさせたことになる。 だから、ごめんなさい」
マミ「そんな……。 それは……違……」
ほむら「……マミ、今貴女が思ってることが、私の思ってることよ。
私だって、皆に話してしまったこと後悔していたわ。
特に昨晩なんかはね。
だから……自分だけを責めないで。 まどかも……」
まどか(うん……)
ほむら「まどかも、マミさんが謝ることじゃないって。
私たちだって、自分で、契約するのを決めたのだから……。
マミが全部の責任を背負いこむ理由なんてない。
……もう、戻れないんだから……。 先に進むしかないの」
マミ「暁美さん……鹿目さん……ありがとう……」
――
ほむら(先に進むしかない……か……)
まどか「……」
ほむら「やっぱり、まどかの願いは、私たちに前を向いて欲しいってことなの?」
まどか「ぇへへ……なんだかそんな気がするね」
ほむら「じゃあ、後は杏子……? でも杏子って……」
ピンポーン
杏子「おーい、ほむらー」
ほむら「噂をすればなんとやらね」
杏子「やっぱり、思い出して気持ちを整理して先に進んでくれってのが願いか」
ほむら「たぶん、ね」
杏子「さっきマミがきたってことはー、マミと、さやかがクリアか」
ほむら「マミの事知ってたの?」
杏子「あぁ。 実を言うと、見滝原は結構来てんだよ。
まー、マミの奴は正直、さやかよりも厄介だと思ってたよ……」
ほむら「……で、杏子はどうなの?」
杏子「あたしなぁ……。 まどかが笑ってりゃそれでいいかなぁ」
まどか「えっ……?」
杏子「あたしってほら、何もできなかったんだろ?
魔女ってーのになったさやかを救いたい、協力してくれ! なんて言っておいて。
おまけにさやかの死体を下手に残して、現実的な迷惑までかけちまった。
だから、もし本当にこっちの世界にまどかが来てんなら、力になりたかったんだ」
ほむら「杏子は本当に変わらないわね」
まどか「ほんとだね。 いつもすごく優しくて真っ直ぐで……」
杏子「で、どうなんだ? 笑ってんのか? コレでよかったのか?」
ほむら「感動して号泣してるわ。 残念ね」
杏子「えぇー……」
ほむら「ふふふっ」
まどか「あはは」
杏子「おっ、今笑い声が聞こえた気がする。 でも姿は見えん。
これがさやかとあたしの好感度格差か……」
まどか「ウェヒヒヒ、そういうわけじゃないんだけど」
杏子「あとは、ほむらだけってことだな」
ほむら「……そうね。 偉そうなこといってるけど、私はまだ……」
杏子「ま、暫くは見滝原いるからさ。 適当に頼ってくれよ」
ほむら「……ありがとう」
杏子「てか、たまに来てくれよ。 ゆまも喜ぶしさ」
ほむら「ふふふ、本当にお母さんみたいね」
杏子「ははっ、だとしても、だめだめな母親さね。 じゃーまたな」
ほむら「えぇ、また」
――
ほむら「今日は、大変そうね……」
まどか「魔獣退治?」
ほむら「えぇ、今日は瘴気が濃いように感じるのだけど……」
まどか「瘴気……?」
ほむら「魔獣が出そうな雰囲気って感じかしら」
まどか「なるほどー。 今日も、ついてっていいかな?」
ほむら「……えぇ」
――
ほむら「……多いわね」
さやか「そうだね。 ってかまどかまで連れてきてどうすんのよ」
ほむら「まどかが来たいっていうから……」
さやか「あっ、もしかしてあの時、あたしまどか守っちゃったわけ?」
まどか「うん! かっこよかったよ!」
さやか「わははー照れますなぁ」
ほむら「なんだか、やりとりが懐かしくて涙が出そうだわ……」
まどか「ほむらちゃん……」
さやか「ま、そこそこにしておいて、いっちょやりますか」
ほむら「えぇ、右のほうは任せたわ」
さやか「おっけー!」
ほむら「片付いたわね」
さやか「大漁大漁」
まどか「ふたりともお疲れー」
ほむら「……? まって、何かおかしいわ」
さやか「ちょっと、あれ! あれ魔女じゃない!?」
魔女「3E…3]…/YJ……!」
ほむら「なっ、どうして!? この世界に魔女が!?」
さやか「どうする!? 倒す?」
ほむら「え、えぇ、魔女は倒さないと……」
マミ「ティロ・フィナーレ!」
杏子「だりゃぁあっぁっ!」
魔女「/YJ……K=…3E]……8G3Z……」
ほむら「! 二人とも……」
マミ「どういう事なの? 今のは魔獣に見えないし……」
杏子「それになんだよこの変な空間」
さやか「魔女の結界よ……」
マミ「えっ、じゃあ今のが魔女で……」
杏子「でも魔女はまどかが全部消したんじゃねーのかよ!」
QB「やぁ、皆揃ってるね。 集める手間が省けたよ」
ほむら「……あなたにはここに魔女が居た理由が分かってるの?」
QB「あぁ、ついさっき分かったことだけどね。
その前に、ねぇまどか、居るなら姿見せてくれないかな?」
まどか「……」
杏子「あ、あんたがまどか……って、なんだ? 記憶が……」
――
杏子「佐倉杏子だ、よろしくな」
――
マミ「もう何も怖くない、だってもう独りじゃないもの……!」
――
マミ「鹿目さん……」
ほむら「……まどか、あなたやっぱり円環の理なのね?」
まどか「そうだけど、そうじゃないんだ……ぇへへ」
QB「暁美ほむら。 君が言っていた世界が分かったよ。
そして、この世界は、その世界、旧世界とでも呼ぼうか。
今、この世界は、その旧世界にもどりつつあるんだ」
ほむら「なっ……どうして?!」
QB「鹿目まどかが、円環の理という概念になって旧世界を、今の世界、現世界に書換えた。
でも、暁美ほむら、君が鹿目まどかのことを覚えていた。
そして同時に、鹿目まどかも君らのことを覚えていた。
これは、僕達インキュベーターでいう感情のバグに似ているんだけれど……」
まどか「……」
QB「概念になった、円環の理は、概念であり続けないといけない。
概念というのは、そこに存在するだけ、そして存在していて当然のものだ。 感情も何も無い。
でも、鹿目まどかは違った。 君らを覚えていることで、寂しさを覚え始めた」
マミ「……」
QB「そして、その寂しいという感情からバランスが崩れ始めた。
結果、円環の理は、暁美ほむらをはじめとする5人、
そして自分に、記憶の消去をかけることにした。
その役目を持ったのが、今そこにいる鹿目まどかだ」
ほむら「……そう、なの……?」
まどか「QBの言ったとおりだよ。 わたしの願い事は、皆に前を向いて欲しいなんかじゃない。
わたしの本当の願い事は……"わたしを忘れて"。
でも、嫌だった。 忘れてなんかほしくない。 覚えてて欲しい……。
だって、これでいい、こうしないとダメって分かってても、怖いんだよ……!
わたしのこと誰も覚えてない、わたしなんて存在してないのが当たり前な世界が……!」
杏子「……っ……」
QB「……こうして、鹿目まどかは逆に記憶の除去をするはずの5人に逆に記憶の再編をしてしまった。
この結果、円環の理が持つ悲しみと寂しさは、大幅に増すだろう。
それは、重大な、いや、あまりにも重大すぎるバグだ。
このバグが生じ続ければ、概念という存在の形が崩れ、今の世界は無かった事になる。
それも、かなり近いうちにね」
ほむら「……もし、前の世界に戻ったら、まどかは存在することになるの?」
まどか「……たぶん、ならない。 だから、わたしは消えるよ。
どっちの世界にも存在できないなら、今の世界を、わたしは残したい。
ううん、残さなきゃいけない。
ほむらちゃん、皆、ちょっとの間だけど、すごく……すごく楽しかったよ……ありがとう……」
ほむら「そんな……嫌よ……また、まどかを失うなんて……!
しかも、今度は完全に、そんなの絶対に嫌!」
まどか「ティヒヒ……ほむらちゃんが、そう言ってくれるのは嬉しいよ。
でも、でもね、わたしがこうやってほむらちゃんに姿見せて、お願いだなんていって
皆集めて……こういう展開になってほしいって……。
全部わたしが仕向けてたんだよ……。 汚いよねわたしって……最低だよ……」
杏子「……っ! んなもんかんけーねぇ! どうでもいい!
思い出したからには、あたしも、ほむらも、さやかもマミも、まどかにいて欲しいんだよ!
この世界に! もっかい、まどか、お前と友達としてやっていきたいんだよ!
どうにかなんねーのかよ……っ!」
さやか「……キュゥべえ、契約できないの? そこにいるまどかと」
ほむら「! さやか! それは……そんなのはだめよ!」
さやか「あたしだって、まどかに契約しろなんていいたくない!
けど、可能性があるとしたら、ここじゃない! キュゥべえしか……」
QB「難しいね。 こんな事例は初めてだ。 難しい、いや、無理と言い切ってもいいだろうね。
何が起こるか分からない。 下手をすれば概念が溶け、世界の理が溶ける。 リスキーすぎるよ」
まどか「……良いんだよ。 わたしが消える。 それで収まるんだもん。
4年前、ちゃんと心に決めたのに、わたしが弱かったのが……悪いの。
今更、こんな、皆を傷つけるだけのことして……」
ほむら「っ……。 まどか……」
ほむら「……」
さやか「……」
マミ「……」
杏子「……」
まどか「えへへ……こんどこそ、本当にお別れだね……。
大丈夫、わたしの記憶は、皆消えちゃうから……。
悲しみも、虚無感も、後悔も、無力感も、何も生まれないよ……」
ほむら「……ダメよ! やっぱり、まどかが消えるなんてダメ!」
まどか「でも! わたしがきえないと、皆の世界が……ほむらちゃんの、がんばりが……」
ほむら「まどかの記憶を消すなんて、絶対にさせない! ……インキュベーター! 私と、契約しなさい!」
QB「暁美ほむら、君は何を言って……。
あぁ、そうか、そういえばそうだね。 君は、旧世界で契約してはいるけれど
現世界の僕らとは契約していないのか。 でも、この事例も初めてだね。
君に世界境界の齟齬が発生して、消滅するかもしれない。
まぁでも、鹿目まどかを契約させるよりは、安全策だ。 といっても、多少、程度だけどね。
それでもやるのかい?」
まどか「ほむらちゃん! そんな危ないことやめて!」
ほむら「……やるわ。 さぁ、願いを叶えなさいインキュベーター!」
まどか「ほむらちゃん!!」
――――
―――
――
―
ほむら「まどか、ちゃんと聴講登録はだした?」
まどか「だしたよー。 もー、さやかちゃんじゃないんだから……」
さやか「む、今のは聞き捨てならないなぁ!」
杏子「よぉ、この後どっかいこうぜ、なぁ」
さやか「杏子は自由でいいねぇ」
杏子「な、あたしも結構大変なんだぞ!」
マミ「ふふふ……元気な後輩たちね……」
ほむら「ふふ、ずっとあの二人は賑やかね」
まどか「あはは、そうだねー。 でも、超平和だよ」
ほむら「そうね。 超平和ね」
おわり
元スレ
ほむら「……で、まどか。 どうして突然…?」
まどか「うーん、わたしもよく分からないんだけどね……」
ほむら「分からないって……」
(そりゃそうよね。 私の幻覚なんだもの。 私が何をしたいか、何をして欲しいかが分からないと
……)
まどか「でも、なにか叶えて欲しい願いがあるんだ」
ほむら「願い…ね…。 QB呼ぶ?」
まどか「そ、それは酷いよぉ……」
ほむら「願いって少しでもいいから、何かわからないの?」
まどか「うーん……。 あ、そうだね、皆が居ないとダメみたいな気はする」
ほむら「皆……プレイアデス聖団のこと?」
まどか「ち、違うよぉ…。 ほむらちゃん、ボケが成長したねウェヒヒヒ」
5: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/15(日) 19:36:47.07 ID:unctWdZX0
ほむら「…………マミ達を集めるのは、難しいわね」
まどか「えっ、どうして?」
ほむら「……分からない……?」
まどか「全然わからないよティヒヒ……」
ほむら「貴女は円環の理ではないの?」
まどか「そうでもあるし、違うとも言える、ね」
ほむら(……私も、どうかしてるわね。 私は一体まどかの幻覚に何を望んでいるの……?
そりゃ……まぁ、皆に会いたくはあるけど……けど……)
まどか「ほむらちゃん?」
ほむら「……まどか、貴女が消えてからもう4年も経ったの……。
時間の概念がない貴女には分からないかも知れないけど、4年は……結構長いのよ。
それに、私も忙しいのよ。 学校があるし……高三だから受験も……」
7: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/15(日) 19:39:23.70 ID:unctWdZX0
まどか「でも、学校行ってないよね、ほむらちゃん」
ほむら「っ! ……み、皆を集めたって、まどかの事覚えてるのは、私だけじゃない。
集めたところで、誰もまどかの事なんて知らないんだもの……」
まどか「……でも、わたしは皆を集めてほしいの」
ほむら「……」
ピンポーン
まどか「……お客さんだよ?」
ほむら「……」
まどか「でないの?」
ほむら「……出るわ……」
8: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/15(日) 19:43:08.86 ID:unctWdZX0
ほむら「……はい」
マミ「こんにちは、暁美さん」
まどか「マ、マミさん……胸が全然成長してない……」
ほむら(当時でもう成長限界に達してたのよ……)ボソボソ
マミ「ん? 何か言ったかしら?」
ほむら「な、なんでもないわ。 何の用かしら?」
まどか「マミさーん。 相変わらずのツインドリルですねぇ……」
マミ「特に用事という用事はないんだけど……。 その、元気にしてるかなって」
ほむら「元気……よ。 心配しないで」チラッ
まどか「マミさん……マミマミ……」
マミ「そう、だったら、良いのだけれど……」
ほむら「貴女こそ友達はできたの? 大学でも便所飯じゃない? 大丈夫?」
マミ「だ、ぢあじうぶよ! ばかにしないでくれるっ!?」
9: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/15(日) 19:46:24.89 ID:unctWdZX0
マミ「ま、まぁ……元気ならそれでいいの……うん……」
ほむら「えぇ……」
マミ「えっと、その、ぁー……」
ほむら「……様子見に来てくれてありがとうマミ」
マミ「いや、気にしなくていいのよ……。 それじゃ」
ほむら「えぇ、また……」
――
まどか「……マミさんだったね」
ほむら「そうね」
まどか「……マミさん居るのに、どうして?」
ほむら「……あの頃とは、違うのよ」
――
マミ(……ぐすっ、ぼっちじゃないもん……。
それにしても暁美さん……私のこのパワーアップしたドリルに気付かないなんて……。
いえ、問題はそこじゃなくて……)
10: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/15(日) 19:49:01.79 ID:unctWdZX0
ほむら(……マミが心配してくれているのはわかる。 優しい先輩……。 けど……行きたくない。
授業の内容も、受験も、追いつけない訳ではない。 私が行きたくないのは学校じゃなくて……)
まどか「ほむらちゃほむほむ♪ わたしのラーメンはかき玉でお願いしたい…なー…」
ほむら(まどかの居ない世界で生きて居たくない……? まどかだけあそこに残して先に進みたくな
い……?
そんな私を責めるために、まどかが来たの? それとも……)
まどか「えっ……わたしのラーメン作ってくれないの……?」
ほむら(違う。 このまどかは私の幻覚、幻聴、妄想……。
ということは、私はまどかの幻を創りだすほど、まどかと生きていきたいの……?)
まどか「ほむらちゃんだけずるいと思うなぁ」
ほむら(それなら、どうして皆を集めてなんて話すの? やっぱり、私は先に進みたいの……?
停滞している自分を責めて、まどかに引け目を感じているの……? いえ……私は……)
まどか「ティヒッ、横からいただきまーす」
ほむら(私は……って、か、顔が近いわまどかぁぁぁっ!)
12: 夕食、すこし間あきます 2011/05/15(日) 19:52:06.95 ID:unctWdZX0
ほむら「……ねぇ、まどか」
まどか「どうしたの? ほむらちゃん」
ほむら「……魔獣を倒しに行かないといけないんだけど……」
まどか「魔獣?」
ほむら「貴女が再編した世界での、魔女みたいなものよ」
まどか「そんなのが居るんだね……」
ほむら「それで……」
まどか「わたしも、連れてってくれる?」
ほむら「……だめといっても、付いてきそうね」
まどか「ウェヒヒヒ……」
ほむら(まぁ、幻覚なら……)
17: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/15(日) 20:01:28.93 ID:unctWdZX0
――
魔獣「6lbi……」
まどか「あれが、魔獣……」
ほむら「まどかは、危ないからここに居て。 すぐに倒して戻ってくるから」
まどか「うん。 頑張ってね、ほむらちゃん」
ほむら「えぇ……」
(高三にもなって魔法少女とか恥ずかしい気持ちもあるけれど……)
魔獣「x7teue……」
ほむら(まどかが守ったこの世界、守らなきゃ。
本当にまどかが見てるってのもなんだか不思議ね……)
19: >>16展開は決めたけど本文はまだ書いてる 2011/05/15(日) 20:06:07.18 ID:unctWdZX0
ほむら「ふぅ……。 これで終わりかしら……」
まどか「ほむらちゃん凄い……!」
ほむら「さて、帰りましょっ、まど――」
魔獣「JS@t……」
まどか「えっ?」
――――――
まどか「ほむらちゃん凄い……!」
ほむら「……ありが……まどか!」
魔女「ひ魏ギギ」
まどか「えっ? あっ……」
――グシャッ
――――――
ほむら「まどかぁぁぁぁ!!!」
20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/15(日) 20:10:09.82 ID:unctWdZX0
???「はぁぁっ!」
魔獣「――!!」
ほむら「あっ……」
まどか「あ……さやかちゃん!」
さやか「ほむら、何してんの? 一人で叫んで転んで」
ほむら「べ、別に何も……」
まどか「わー、さやかちゃん……背伸びたねぇ……」
さやか「ふーん……。 あんたまだ、まどかまどかって言ってるわけ?」
ほむら「……」
22: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/15(日) 20:16:35.62 ID:unctWdZX0
さやか「前の世界だかなんだかわかんないけど、何時までも縛られてどうすんの」
ほむら「……」
まどか「ぁ……」
さやか「あたしにだって、まどかで何か引っかかることはあるけどさぁ……。
まどかがそれでいいって言ってるなら良いって割りきらないと」
ほむら「分かってるわよ! けど……けど! っ!」
まどか「!? ちょっと、ほむらちゃん! 待って!」
さやか「……ふぅ。 あいつ、GSも拾わずに……。 ……………まどか、か……」
23: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/15(日) 20:20:03.19 ID:unctWdZX0
まどか「待って! ほむらちゃん!」
ほむら「はぁ……はぁ……、私は……!」
まどか「ほむらちゃん……ごめんね。
やっぱり、わたしがほむらちゃんを過去に縛り付けてるんだね……」
ほむら「……! まどか、違う! 違うのよ……!」
まどか「……ほむらちゃんは、やっぱり、わたしのこと忘れるべきなの……!
全部忘れて、この世界に合わせてちゃんと、生きていかないと……」
ほむら「何を言って……」
まどか「……ごめんね……。 さよなら!」
ほむら「待って、まどか!? どこに行くの!? まどかっ! 待って……」
25: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/15(日) 20:22:18.48 ID:unctWdZX0
――
ほむら(まどか、どこに……! 違う、私はまどかに縛られてなんか居ない……!
私が、私を縛ってるだけ。 そうよ、まどかを忘れるのが怖いから、先に進めない。
まどかのことを、覚えていたいから……。 日常に紛れて忘れてしまうのが怖いから……。
ううん、今は、今はそんな事どうでもいい……!
また、まどかを失うのは嫌……! まどか、どこに行ったの……!?)
――
ほむら「はぁ、はぁ……うちには、居ない……。
学校……? それとも……公園……? まどかぁ……」
26: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/15(日) 20:26:43.68 ID:unctWdZX0
――
まどか「……ただいまー……なんて……」
知久「ん? こらタツヤ、ドアはちゃんと閉めなさい」
タツヤ「えーっ、ちゃんとしめたよー!」
まどか「たっくん、大きくなってる……ってあたりまえだよねウェヒヒ……」
詢子「ただいまーぅ……」
知久「おかえり。 また随分酔ってるね……」
タツヤ「酔っ払いー」
まどか「あはは……ママとパパは全然変わってないなぁ……」
27: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/15(日) 20:31:33.26 ID:unctWdZX0
まどか「……やっぱ、わたしの部屋、無いや……。 あはは……そうだよね……。
あるわけないよね。 だって、わたしこの世界に居ないんだもんね……。
居ない……居ないんだよわたし。 わたしは、覚えてるのに、皆覚えてないんだよ……。
帰る場所も……ひっく……何も……無い……んだ……。
どうしてわたしは、覚えてるの……? 全部、忘れたら良かったのに……。
……嘘、忘れるのは、怖い。 やだよ……。 全部覚えてたいよ……。
もう一度この世界に生まれたいよ……! わたしが居る世界が欲しいよ……。
でも、それは…………っ! うぅぅぅ……」
28: ここまで前回分。この先スピード落ちます 2011/05/15(日) 20:34:30.78 ID:unctWdZX0
――
ほむら「はぁ、はぁ……まどか……!」
魔獣「PZUE……PZUE……」
ほむら「こんな時に……!」
(まどか……まさか、魔獣に……!?)
魔獣「TUDE……TU…D…E……」
ほむら「このっ……! まどか! ここに居るの!? まどかー!」
??「おい! 待て!」
ほむら「うるさい、急いでるの!」
杏子「待てって、お前、GSも拾わずにどこ行くんだよ。 馬鹿が極まったのか? それにまどかって
……」
ほむら「あ、杏……子……」
杏子「ん?」
31: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/15(日) 20:47:08.18 ID:unctWdZX0
杏子「にしても久しぶりだなぁ。 4年ぶりか?」
ゆま「ホムラ久しぶりぃ!」
ほむら「え、えぇ、そうね。 大きくなったわねゆま」
ゆま「えへへ。 いろんな所行ってきたんだよー」
杏子「……で、まどかってどうしたんだ?」
ほむら「……」
33: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/15(日) 20:50:21.49 ID:unctWdZX0
――
杏子「へぇ、ほむらにも遂にお迎えが来たのか」
ほむら「……そういう意味じゃないわ」
杏子「はは、分かってるよ。 ぁー、それにしてもまどかかぁ……」
ほむら「貴女とは、あまり親しくはなかったような気がするのだけれど……」
杏子「んん? そうだっけか? でもなぁ、ここ4年ずっとまどかってのが引っかかってんだよなぁ」
ほむら「……」
杏子「ピンクのショートツインテだろ? 街で見かけるとつい目で追っちまうっていうかさ」
ほむら「そう……」
38: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/15(日) 21:04:17.63 ID:unctWdZX0
杏子「……願い事ね。 暫く見滝原に居るつもりだし、協力するよ」
ほむら「し、信じてくれるの……?」
杏子「4年前は興味無いって言ってここ離れたのに、今更ってのは虫のいい話だけどなー。
ほむらがそれでもいいなら、あたしは協力するよ」
ほむら「……わたしの、幻覚かもしれないのに?」
杏子「もしそうだったら、協力する相手がまどかからほむらにかわるだけさぁ」
ほむら「貴女は、変わらないのね」
ゆま「変わらないねー。 胸とか!」
杏子「ゆま、お前……」
ほむら「ゆまには毒が増えたわね……」
――
ほむら「……やっぱり、帰ってきてないか」
41: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/15(日) 21:14:39.96 ID:unctWdZX0
―――
まどか「ほむらちゃん! 起きて! 朝だよっ!」
ほむら「んん……」
まどか「起きろーっ!」
ほむら「はっ、まどか!?」
まどか「ウェヒヒヒ……おはよう」
ほむら「……よかった……まどかっ!」
まどか「うわわ……ウェヒヒヒ……」
45: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/15(日) 21:28:00.22 ID:unctWdZX0
まどか「学校は……?」
ほむら「夏休みよ」
まどか「嘘だッ!」
ほむら「……まぁ、良いじゃない……」
まどか「ほむらちゃんが学校に行くのが私のお願い、かも……」
ほむら(……やっぱり、私に先にすすめって言ってるの……?
だとしたら、このまどかは、やっぱり私が自分を責めるために……?)
まどか「ほむらちゃん?」
ほむら「……行くわ、学校」
まどか「え……お、おぉー!」
ほむら「その、着替えたいんだけど……」
まどか「ウェヒヒヒ……ほむらちゃんの生着替え……」
ほむら(……溜まってるのかしら私……)
46: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/15(日) 21:35:00.88 ID:unctWdZX0
まどか「ウェヒヒヒ、行ってらっしゃーい」
ほむら「行ってきます……」
ほむら(……あっつ……)
――
まどか「ほむらちゃんが学校にいくのが私のお願いかも……」
――
ほむら(……そうなのかしら……でも……)
マミ「あ、暁美さん!」
ほむら「……マミ」
47: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/15(日) 21:41:55.87 ID:unctWdZX0
マミ「制服ってことは……もしかして学校に?」
ほむら「えぇ。 マミは、大学はいいの?」
マミ「ぁー、あはは……。 きょ、今日は1コマ目無いのよー」
ほむら「そう。 それにしても暑いわ……」
マミ「ね、学校終わったらどこか行きましょうか」
ほむら「……そうね。 またメールでもするわ」
マミ「あ、う、うん。 それじゃ、学校行ってらっしゃい」
ほむら「……マミ?」
マミ「えっ、その、私のお誘いに乗ってくれるの久々だなって」
ほむら「……少し、話したいこともあるから…」
マミ「そう……。 じゃ、じゃあまた後でね!」
ほむら「また……」
48: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/15(日) 21:47:26.08 ID:unctWdZX0
――
マミ「ごめんなさい、待った?」
ほむら「えぇ、待ったわ」
マミ「ちょっと講義伸びちゃって……」
ほむら「気にしていないから大丈夫よ」
マミ「そ、そう……。 じゃあ、あの喫茶店にでも……」
ほむら「えぇ……」
マミ(暁美さんとはいつもこうなっちゃうわね……)
ほむら(マミとはいつも会話が続かないわ……)
49: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/15(日) 21:54:18.23 ID:unctWdZX0
マミ「えっと、その、何か悩んでる?」
ほむら「……開口一番それなの?」
マミ「えっ、あっ、今日はいい天気ねー」
ほむら「……別に私はマミの事嫌ってないから大丈夫よ。
何度も言っているけど」
マミ「う、うふふ……」
ほむら「……実は――
マミ「鹿目さんが?」
ほむら「願いを叶えて欲しいって……」
マミ「それで悩んでたのね……学校にまで行かなくなって……」
ほむら「学校のことは、関係ないわ」
マミ「そ、そうよね、鹿目さんが現れたの最近ですものね!」
ほむら「それで……」
マミ「も、もちろん協力させていただくわ!」
50: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/15(日) 22:00:31.21 ID:unctWdZX0
ほむら「……どうしてそんなに動揺してるの?」
マミ「そんなことないわ。 平常運転よ?」
ほむら(手が凄い震えてる……)
マミ「……」
(鹿目さんが、居るなんて……。 ま、まさかね。 でも暁美さんが幻覚まで見てるなんて……)
ほむら「大丈夫よ。 私たちのSGに別に変なところはないし。 お迎えではないわ」
マミ「そ、そう。 それならいいんだけど……!」
ほむら(……これが怖いんじゃないのかしら)
53: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/15(日) 22:12:30.77 ID:unctWdZX0
ほむら「……そろそろ移動しましょうか」
マミ「そ、そうね! コーヒー一杯で居座るのはだめよね」
ほむら「……もちろんマミ先輩のおごりですよね?」
マミ「ぉ、ぉお、任せて……!」
ほむら(……まったく、この人は……)
マミ「さて、どうしましょう……」
キリカ「おー? 恩人ーっ!」
マミ「呉さん!?」
ほむら(本当に友達いたんだ……でも恩人……?)
56: おりこキャラは主軸に絡まないので分からなくても大丈夫です 2011/05/15(日) 22:19:02.74 ID:unctWdZX0
マミ「ご、ごめんなさいね暁美さん」
キリカ「恩人ーはやくしろー!」
ほむら「気にしないで。 それじゃ、またね」
マミ「えぇ、また。 もう、もう少し静かにしてくれる?」
キリカ「あ、あぁ、うん、はいはい」
ほむら(……ヘンな子)
58: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/15(日) 22:27:13.08 ID:unctWdZX0
ほむら「ただいま」
(……本当に私が学校にいくのが願いなら、もうまどかは……)
まどか「おかえりーっ」
ほむら「……まどか」
まどか「ぇへへ、お願い、違ったみたいだね」
ほむら「……はぁ」
まどか「その、学校、どうだった?」
ほむら「いつもどおりだったわ」
まどか「そっかー……」
ほむら「……着替えたいんだけど」
まどか「生着替え!」
ほむら(……まどかがまだ居て、安心してる私は……)
59: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/15(日) 22:32:08.68 ID:unctWdZX0
――
ピンポーン
ほむら「はい、どちら様で……」
杏子「よーっす」
ほむら「……」
杏子「ちょ、なんで閉めるんだよ!」
60: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/15(日) 22:39:38.70 ID:unctWdZX0
――
ほむら「何の用かしら」
杏子「まどかの願いって奴についてさ、考えたんだよねあたしなりに」
まどか「さすが、安心の杏子ちゃん!」
ほむら「……」
杏子「やっぱさー、思い出して欲しいんじゃないかなって。
あたしも、ずっと引っかかってるし、思い出してすっきりしたいんだよね」
まどか「ぁ…………」
ほむら「そうだとして、どうやったらいいの? 本当に覚えてるのは私だけだし……。
一応皆に話したから、こうやってまどかの話を共有できてるけど……」
(まどか……?)
杏子「それが問題だよなぁ……。 別世界なんてファンタジーじゃ、きっかけもなにも作りようがないし……」
ほむら「……」
62: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/15(日) 22:48:59.45 ID:unctWdZX0
杏子「まーとりあえずさ、一回皆で集まろうよ」
ほむら「集まるって……」
杏子「今晩8時にあたしの家な!」
ほむら「杏子の家って、あの教会?」
杏子「そうそう。 ついでにバーベキューでもしよう! 肉よろしくな!」
ほむら「え、ちょっと、バーベキューって」
杏子「そうと決まれば善は急げだなー。 ちょっと皆集めてくるわ」
ほむら「ちょ、ちょっと! 杏子! 待ちなさい!」
杏子「また後でなー!」
ほむら「……行っちゃった……」
ゆま「……ぐすっ」
ほむら「な、泣かないでゆま……ほら、カントリーマアムあげるから……」
65: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/15(日) 22:59:14.80 ID:unctWdZX0
ゆま「……バイエルン?」
ほむら「これしかなかったから……」
ゆま「バイエルンもおいしいと思うよ!」
まどか「ゆまちゃんはかわいいなぁ。 さすが杏子ちゃんの娘!」
ほむら(ちょ、まどか、娘じゃないわよ)ボソボソ
杏子「お、来た来た。 ってゆま、どこ行ってたんだよ。 心配したんだぞ」
ゆま「……キョーコひどい」
ほむら「……はぁ。 こんばんは、マミ」
マミ「えぇ、さっきぶりだけれど。
佐倉さんったら、久々に会ったと思ったらいきなりバーベキューだなんて……」
66: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/15(日) 23:06:52.27 ID:unctWdZX0
杏子「で、何持ってきてくれたんだ?」
ほむら「はい、バイエルン」
杏子「……。 マミは?」
マミ「えっ、その……花火……」
杏子「……」
ほむら「……」
マミ「……。 ば、バイエルン切ろうかしらうふふふ……」
杏子「あ、あぁ、頼む……」
ほむら(なんて事……)
まどか「ウェヒヒヒ……ちょっと寂しいバーベキューだね」
67: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/15(日) 23:13:16.76 ID:unctWdZX0
ゆま「へー、こうやって切ると蟹になるんだー」
マミ「そうよ。 たぶん。 こうだった気がするの……」
まどか(あぁ、そこきっちゃダメ……)
杏子「しかしバイエルンだけとか……」
ほむら「主催者様の杏子は何を用意してたのかしら?」
杏子「リンゴ」
ほむら「……。 ところで、さやかの姿が見えないけど……」
杏子「誘ったからくるとおもうんだけどなー。 まどかのお願いかなえちゃおうの会やるぞーって」
ほむら「……そんな事言ったの?」
杏子「おう!」
ほむら「来ないかも知れないわね……」
マミ「いいえ、きっとくるわよ。 美樹さん」
ほむら「……?」
71: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/15(日) 23:24:53.79 ID:unctWdZX0
さやか「やふー。 遅れてごめんねー」
杏子「おぉ、さやか! さやかは何持ってきてくれたんだ? 凄い期待してる!」
さやか「あははは、ごめんね、バイエルンしかなくて」
杏子「……」チラッ
マミ「……」チラッ
ゆま「……」チラッ
さやか「……なにこれ、バイエルンしかないじゃん……」
杏子「さ、さやかぁぁぁぁ!!!」
マミ「美樹さんの株が急落だわ……」
さやか「んな理不尽な」
まどか「あははは……。 やっぱり皆がいると楽しいね」
ほむら(そうね……。 楽しい……わね……)ボソボソ
74: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/15(日) 23:34:29.26 ID:unctWdZX0
さやか「そうだ、ここに来る途中でまどか見たよ」
杏子「なんだって!?」
まどか「えぇっ!」
さやか「森の中走ってったけど」
杏子「なんで追いかけなかったんだよ! ちょっと見てくる!」
ゆま「わたしもー!」
マミ「ゆまちゃんは危ないわよ! って、ちょっと、もう!」
ほむら「……」
さやか「行かないの? ……見えてるの、ほむらだけじゃないみたいだね」
まどか(……)
84: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/16(月) 00:10:22.27 ID:K1FrRe2a0
杏子「見つかんねーな」
マミ「そろそろ戻りましょう? バイエルン焦げちゃうわ」
ゆま「食べ物を粗末にすんじゃねー!」
杏子「おっと、そうだな。 まどか見れなかったのは残念だけど」
マミ「見れなかったって、鹿目さんは珍獣じゃないんだから……」
杏子「そうだな、ちょっと言い方悪かったな……」
マミ(相変わらず素直な子ね……)
85: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/16(月) 00:16:33.69 ID:K1FrRe2a0
さやか「おかえり。 あたしの分のバイエルンも焼けてきたよ」
杏子「はぁ、まどか居なかったよ……」
ほむら「そう……」
ゆま「……蟹……?」
マミ「蟹……」
まどか「それはもうムカデだよぉ……」
杏子「そりゃ、蟹には見えんな……」
さやか「しょうがないなぁ、あたしが作ってあげるよ……」
87: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/16(月) 00:21:13.95 ID:K1FrRe2a0
ゆま「……クラゲ……?」
マミ「クラゲ……」
まどか「も、もう見てらんない……」
杏子「酷いもんができたな……」
ほむら「……」
さやか「……ね、あたしまどかの事で考えたんだけどさ……」
まどか「さやかちゃん……?」
さやか「まどかはさ、もう自分のこと忘れて欲しいんじゃないかなって。
それで、前を向いて欲しいって……」
88: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/16(月) 00:25:25.71 ID:K1FrRe2a0
ほむら(さやか……!)
まどか「……」
杏子「そう、なのかなぁ。 確かに、魔女っつーのを消して
魔法少女のあたしらに希望くれて……。
それなのにずっとまどかの事考え続けて後ろ向きってのは、気に食わないのかもな」
ほむら「そんな……」
マミ「……前を見なきゃ、かぁ……」
まどか「……わたしは、今皆がこうやって、集まってるの、すごく嬉しいよ……!」
ほむら「っ……! 忘れるなんて、そんなのできないわ!」
さやか「……まどかが忘れてくれっていっても?」
ほむら「そんなこと、まどかは言ってない!」
まどか(ぁ……ほむらちゃん……)
89: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/16(月) 00:30:51.99 ID:K1FrRe2a0
さやか「……そう。 でも、あたしら巻き込まないでくれる?
あたし達には、まどかなんて子の記憶ないんだから。
分かってるのは、本当かもわからないほむらが教えてくれた内容だけだし。
ほむらに合わせてあげてるのよ?」
ほむら「……」
さやか「ま、時間も時間だし、あたしは帰るね」
杏子「お、おいさやか……」
さやか「あまったバイエルンはあげるから、ゆまちゃんとでも食べてよ」
マミ「……私も、明日早いから……」
杏子「マミまで……。 はぁ……。 悪いなほむら」
ほむら「いいえ、杏子は気にしなくていいのよ……」
まどか(……)
91: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/16(月) 00:35:54.71 ID:K1FrRe2a0
――
ほむら(……昨日帰ってからまどかは何も言わなかった。
願いって……というか、やっぱり幻覚……? でもさやかは……)
ほむら「ただいま」
まどか「おかえりー。 学校、どうだった?」
ほむら「いつもどおりつまらないわね……」
まどか「あはは……。 ねぇ、さやかちゃんとは学校一緒じゃないの……?」
ほむら「えぇ。 貴女達は6年制だったでしょ? 私は編入だから……。
……それに制服が違うじゃない」
まどか「あ、それもそっか……ティヒヒ。 女子高生なほむらちゃんに見とれてたから……」
92: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/16(月) 00:40:42.68 ID:K1FrRe2a0
ピンポーン
マミ「こんにちは」
ほむら「い、いらっしゃい……」
マミ「連日押しかけて、それと昨日は、ごめんなさいね……。 その……美樹さんにあってみない?」
ほむら「え……?」
マミ「美樹さんね、前はよく私に相談してたのよ。 鹿目さんについて……。
でも私もほら、覚えてないんだから、何にも言えなくて……」
ほむら「そうだったの……」
まどか「さやかちゃん……」
マミ「最近はもう全然、話にも出さなかったんだけど……。
でもね、昨日の夜みたいなこと言うのって、変だなって思って」
ほむら「……行ってみるわ」
マミ「暁美さん……!」
93: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/16(月) 00:47:28.84 ID:K1FrRe2a0
――
さやか「何? あたしこれから、仁美と恭介と出かけるんだけど」
ほむら「……。 まどかは、忘れてほしくないって言ってるわよ?」
さやか「それ昨日の夜も言ったよね。 それで巻き込まないでっていったじゃん」
ほむら「貴女は、まどかの親友だったのよ? 酷いと思わないの?」
さやか「それは前の世界の話だし、そもそも、誰も覚えてないなら、ほむらの妄言かもしれないじゃん
ううん、妄言なんじゃないの? 自分で証拠はないって言ってたじゃん」
まどか「……」
ほむら「それは……っ!」
さやか「……。 話はそれだけ? じゃ、あたし行くわ」
ほむら「……」
94: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/16(月) 00:52:22.58 ID:K1FrRe2a0
――
さやか(そうよ。 あたしには、仁美と恭介って友達がいるんだもの……。
そんな、訳の分からない前の世界の親友だとか言われても、そんなの知らないよ……!
知らないんだから、さがすも、協力も何も無いよ……!
まどか……! あぁ……もう!)
――
95: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/16(月) 00:55:42.63 ID:K1FrRe2a0
杏子「また集まってもらったのはほかでもない。 まどかのことだ」
ほむら「……」
マミ「……」
杏子「あたしさ、やっぱりまどかが忘れてくれって願い事しに来てるとは思えないんだよね」
まどか「杏子、ちゃん……」
杏子「だからさ、ほむら。 まどかの願いがんばって聞き出してくれよ」
ほむら「善処するわ」
マミ「鹿目さんも、寂しいのかしらね……」
まどか「……」
ほむら(前を向いて欲しい。 これがきっと、まどかの願い……。
でも、それだけじゃない気がする……)
96: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/16(月) 01:00:07.85 ID:K1FrRe2a0
杏子「んー、ちょっとトイレ」
マミ「え、こんな廃教会にトイレあるの?」
杏子「……」
マミ「……」
杏子「行ってくる」
ゆま「ゆまもー」
マミ「ゆまちゃんの教育に悪いかも……」
ほむら「全くね……」
97: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/16(月) 01:05:09.63 ID:K1FrRe2a0
杏子「う、うぉぉぉぉ!」
ゆま「わぁぁぁぁ」
マミ「何? 騒がしいわね。 ちゃんと手洗った?」
杏子「ま、まどかが居た!」
ほむら「ええ!?」
杏子「こっちだ、早く!」
マミ「そんな、本当に?」
ほむら「まどかが……!?」
まどか「まどかが居るなんて……」
ほむら(何とぼけてるのよまどか……)ボソボソ
98: 書き終わったのでがんばります 2011/05/16(月) 01:10:26.66 ID:K1FrRe2a0
杏子「さっきここで見たんだよ」
マミ「やっぱりトイレないじゃない」
杏子「う、うるせー」
ほむら「……本当に見たの?」
ゆま「ゆまだって見たんだからっ!」
杏子「そうだ、ちゃんとピンクショートツインテの赤リボンだったよな」
まどか「ほむらちゃん!」
ほむら「え? あっ!」
杏子「あぁっ! ってほむら、一人じゃ危ないぞ!」
99: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/16(月) 01:15:30.46 ID:K1FrRe2a0
ほむら「はぁ、はぁ……」
(確かにまどかにみえた……。 でも、そうだとしたらここにいるまどかは?)
杏子「おーい、ほむらーどうだー?」
ほむら「見失ったわ……。 近くにいるとおもうんだけど……」
マミ「……はぁ。 私も姿も何も覚えてないけど! 鹿目さんは、そんなに背も高くないし!
胸も大きくないし、夜の森を全力疾走出来るような子じゃないと思うわ!
……美樹さん!」
まどか(そ、その通りだけどちょっと悲しいよマミさん!)
ほむら「えっ?」
さやか「っ!」
まどか「ほむらちゃん! あっち!」
ほむら「くっ!」
100: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/16(月) 01:17:38.14 ID:K1FrRe2a0
さやか「はぁ、はぁ、はぁ……う、うわっ、きゃぁぁぁ」
ほむら「はぁ、はぁ………はぁ……」
杏子「ほむら、追いついた……けど、どういうことだよ……」
マミ「……はぁ」
まどか「さやかちゃん……」
ほむら「さやか……」
さやか「くっ……」
106: 4話だった。でもずれてるよね… 2011/05/16(月) 01:35:26.00 ID:K1FrRe2a0
ほむら「さやか……その、どうして……大丈夫?」
(まどかの……服……?)
さやか「……大丈夫に見える……? 大丈夫にみえるの? これが!!」
ほむら「さやか……」
さやか「ねぇ、よく見てよ! まどかに、まどかに見える!?」
ほむら「……っ!」
さやか「まどか、ほむらには見えてるんでしょ!? どう、見えるの? どうなのよ!」
ほむら「さやかっ……!」
109: この先ほとんどオリジナル展開となります 2011/05/16(月) 01:40:58.39 ID:K1FrRe2a0
さやか「あたしは、まどかの親友だったんでしょ? そう言ってたじゃないほむら!
私は……親友だったのに、何一つまどかのことを覚えてない!
何も、何も覚えてないんだよ! 声も、姿も……!
こんな、こんな酷い親友がどこにいるってのよ!」
ほむら「さやか……あなた……」
さやか「だからっ……あんたがいってた……ピンクで、ショートで……!
あたしの隣、いつも空いてるって感じるんだよ……。
何か、誰か足りないんだよ……。 それが、きっとまどかなんだ。 そうでしょ?
でもね、そこに仁美が入ると、心地いいんだよ! こんな……こんな酷い……!
まどかは、消えちゃったのに、あたしだけ、仁美や、恭介と……!
楽しく友達やって、笑って……!」
まどか「……」
さやか「……だから、あんがの言うことがホントでも、あたしのところには絶対、まどかは来ないんだろうね。
恨み言の一つでも言いに来たら良いのに。 顔もみたくないって感じよね。
だからもう、あたしは集まんないよ……。 まどかに合わせる顔がないんだもん……」
111: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/16(月) 01:45:30.12 ID:K1FrRe2a0
まどか「さやかちゃん……わたし、そんなこと思ってない……!」
ほむら「……今、さやかの目の前に居るわよ。 まどか」
さやか「……さぞ不愉快な顔してるんでしょうね」
ほむら「泣いてるわよ。 あなたを思って。 あなたのために」
さやか「っ……そんなわけ……!」
まどか「……さやかちゃん!」
さやか「――えっ」
114: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/16(月) 01:48:03.66 ID:K1FrRe2a0
――
さやか「まどかはあたしの嫁になるのだー」
まどか「ティヒヒヒ、やめてよーさやかちゃん」
――
さやか「初めてにしちゃ、うまくやったでしょ? あたし」
まどか「さやか……ちゃん……」
――
さやか「一緒に行こ、まどかがいたら凄い心強いよ」
まどか「ありがとさやかちゃん……」
116: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/16(月) 01:50:20.46 ID:K1FrRe2a0
――
まどか「さやかちゃんに一人ぼっちになってほしくなくて……」
さやか「なんであんたはそんなに優しいかなぁ……」
――
まどか「さやかちゃんの為にならないよ……」
さやか「あたしの為って何よ!」
――
さやか「ついてこないで!!!」
――
まどか「こんなこと守るために魔法少女になったんじゃないでしょ……?
お願い、元のさやかちゃんにもどって――」
――
117: ×守る→◯する 2011/05/16(月) 01:53:04.26 ID:K1FrRe2a0
――
さやか「まど……か……?」
まどか「違うよ、さやかちゃん。 わたしは、何も恨んでないよ。
それでいいんだよ。 仁美ちゃんや、上条くんと……。
大切なのは今の世界なんだよ……! だから……」
さやか「まどか……。 まどかぁぁぁ」
ほむら「え、さやか、まどかが見えるの!?」
さやか「ごめん、ごめんね。 あたし、思い出したよ、まどか……うわあああぁぁぁ…」
杏子「どうなってんだ……。 おい、マミ見えるか?」
マミ「い、いえ、見えないわ……。 でも、暁美さんの幻覚でも、妄想でもなかったのね……」
122: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/16(月) 01:55:45.04 ID:K1FrRe2a0
――
杏子「……マミはしってたのか?」
マミ「知ってたわけじゃないけど。 もしかしたらってね……。
美樹さん、私に相談しに来なくなった頃から、
よく可愛いアクセサリーのお店で見かけてたから……」
杏子「マミが行くような店とは、さやかは縁なさそうだもんなぁ」
マミ「それに、いつも決まってリボンのコーナーだったもの」
杏子「……」
マミ「……まぁでも……」
ゆま「キョーコ、眠い」
杏子「あぁ、そうだな……。 もう遅いしな」
マミ「……帰るわね。 おやすみ、ゆまちゃん」
ゆま「おやすみー」
124: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/16(月) 02:00:10.91 ID:K1FrRe2a0
――
マミ「……朝早くからごめんなさいね」
ほむら「別に、いいわよ。 昼間で寝てたりなんかしないから」
マミ「……鹿目さんは、そこに居るの?」
まどか「ふぇ? わたし……?」
ほむら「居るわ。 突然で驚いてる」
マミ「そう……。 私ね、二人に謝りたいと思ってきたの……」
126: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/16(月) 02:03:23.39 ID:K1FrRe2a0
ほむら「謝る?」
マミ「……暁美さんの話って、ほとんど作り話だと思ってたの。
だから、鹿目さんの話になったときの暁美さんがすごく怖かった。
だってそうでしょう? 見えないものを信じこんでる人って、恐ろしいもの」
ほむら「……」
マミ「でも、同じ魔法少女だし、その、友達、でしょ?
だから心配もしてたけど、やっぱり距離も置いてた。
ごめんなさい」
ほむら「……」
130: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/16(月) 02:07:30.90 ID:K1FrRe2a0
マミ「それで、昨日、本当に暁美さんが言っていた世界があったって分かったでしょ?
だったら、ねぇ。
そもそも暁美さんや、鹿目さんが魔法少女になってのって、私のせいじゃない。
私が調子に乗って、本当の事も知らずに鹿目さんを魔法少女に引き込んだのが、
全ての発端だから…………ごめんなさい……本当に……」
ほむら「……それは……」
マミ「だって、私が一人で魔法少女続けてたら
鹿目さんが魔法少女になることもなかったし、
暁美さんが辛いループを始め無くても良かったし……。
美樹さんだって、上条さんの腕は治らなかったかもしれないけど、
きっと魔法少女になんてならなかったでしょ?」
ほむら「……じゃあ、私が貴女に話さなければよかった。 が先じゃない?」
マミ「え?」
131: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/16(月) 02:12:11.83 ID:K1FrRe2a0
ほむら「だって、前の世界なんていうものがあったなんて、知らなかったらそんな事考えないでしょう?
普通に魔法少女として魔獣を倒しているだけのはずよ。
そう考えたら、悪いのはマミじゃなくて、私。
マミ以外にも、さやかも杏子も、今回の件、全部ね。
私が一方的に負担をかけさせたことになる。 だから、ごめんなさい」
マミ「そんな……。 それは……違……」
ほむら「……マミ、今貴女が思ってることが、私の思ってることよ。
私だって、皆に話してしまったこと後悔していたわ。
特に昨晩なんかはね。
だから……自分だけを責めないで。 まどかも……」
まどか(うん……)
ほむら「まどかも、マミさんが謝ることじゃないって。
私たちだって、自分で、契約するのを決めたのだから……。
マミが全部の責任を背負いこむ理由なんてない。
……もう、戻れないんだから……。 先に進むしかないの」
マミ「暁美さん……鹿目さん……ありがとう……」
133: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/16(月) 02:18:01.57 ID:K1FrRe2a0
――
ほむら(先に進むしかない……か……)
まどか「……」
ほむら「やっぱり、まどかの願いは、私たちに前を向いて欲しいってことなの?」
まどか「ぇへへ……なんだかそんな気がするね」
ほむら「じゃあ、後は杏子……? でも杏子って……」
ピンポーン
杏子「おーい、ほむらー」
ほむら「噂をすればなんとやらね」
136: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/16(月) 02:22:40.47 ID:K1FrRe2a0
杏子「やっぱり、思い出して気持ちを整理して先に進んでくれってのが願いか」
ほむら「たぶん、ね」
杏子「さっきマミがきたってことはー、マミと、さやかがクリアか」
ほむら「マミの事知ってたの?」
杏子「あぁ。 実を言うと、見滝原は結構来てんだよ。
まー、マミの奴は正直、さやかよりも厄介だと思ってたよ……」
ほむら「……で、杏子はどうなの?」
杏子「あたしなぁ……。 まどかが笑ってりゃそれでいいかなぁ」
まどか「えっ……?」
137: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/16(月) 02:26:24.81 ID:K1FrRe2a0
杏子「あたしってほら、何もできなかったんだろ?
魔女ってーのになったさやかを救いたい、協力してくれ! なんて言っておいて。
おまけにさやかの死体を下手に残して、現実的な迷惑までかけちまった。
だから、もし本当にこっちの世界にまどかが来てんなら、力になりたかったんだ」
ほむら「杏子は本当に変わらないわね」
まどか「ほんとだね。 いつもすごく優しくて真っ直ぐで……」
杏子「で、どうなんだ? 笑ってんのか? コレでよかったのか?」
ほむら「感動して号泣してるわ。 残念ね」
杏子「えぇー……」
ほむら「ふふふっ」
まどか「あはは」
杏子「おっ、今笑い声が聞こえた気がする。 でも姿は見えん。
これがさやかとあたしの好感度格差か……」
まどか「ウェヒヒヒ、そういうわけじゃないんだけど」
138: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/16(月) 02:30:59.59 ID:K1FrRe2a0
杏子「あとは、ほむらだけってことだな」
ほむら「……そうね。 偉そうなこといってるけど、私はまだ……」
杏子「ま、暫くは見滝原いるからさ。 適当に頼ってくれよ」
ほむら「……ありがとう」
杏子「てか、たまに来てくれよ。 ゆまも喜ぶしさ」
ほむら「ふふふ、本当にお母さんみたいね」
杏子「ははっ、だとしても、だめだめな母親さね。 じゃーまたな」
ほむら「えぇ、また」
139: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/16(月) 02:35:37.69 ID:K1FrRe2a0
――
ほむら「今日は、大変そうね……」
まどか「魔獣退治?」
ほむら「えぇ、今日は瘴気が濃いように感じるのだけど……」
まどか「瘴気……?」
ほむら「魔獣が出そうな雰囲気って感じかしら」
まどか「なるほどー。 今日も、ついてっていいかな?」
ほむら「……えぇ」
140: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/16(月) 02:38:41.12 ID:K1FrRe2a0
――
ほむら「……多いわね」
さやか「そうだね。 ってかまどかまで連れてきてどうすんのよ」
ほむら「まどかが来たいっていうから……」
さやか「あっ、もしかしてあの時、あたしまどか守っちゃったわけ?」
まどか「うん! かっこよかったよ!」
さやか「わははー照れますなぁ」
ほむら「なんだか、やりとりが懐かしくて涙が出そうだわ……」
まどか「ほむらちゃん……」
さやか「ま、そこそこにしておいて、いっちょやりますか」
ほむら「えぇ、右のほうは任せたわ」
さやか「おっけー!」
148: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/16(月) 03:00:56.53 ID:K1FrRe2a0
ほむら「片付いたわね」
さやか「大漁大漁」
まどか「ふたりともお疲れー」
ほむら「……? まって、何かおかしいわ」
さやか「ちょっと、あれ! あれ魔女じゃない!?」
魔女「3E…3]…/YJ……!」
ほむら「なっ、どうして!? この世界に魔女が!?」
さやか「どうする!? 倒す?」
ほむら「え、えぇ、魔女は倒さないと……」
151: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/16(月) 03:06:20.84 ID:K1FrRe2a0
マミ「ティロ・フィナーレ!」
杏子「だりゃぁあっぁっ!」
魔女「/YJ……K=…3E]……8G3Z……」
ほむら「! 二人とも……」
マミ「どういう事なの? 今のは魔獣に見えないし……」
杏子「それになんだよこの変な空間」
さやか「魔女の結界よ……」
マミ「えっ、じゃあ今のが魔女で……」
杏子「でも魔女はまどかが全部消したんじゃねーのかよ!」
QB「やぁ、皆揃ってるね。 集める手間が省けたよ」
153: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/16(月) 03:14:31.86 ID:K1FrRe2a0
ほむら「……あなたにはここに魔女が居た理由が分かってるの?」
QB「あぁ、ついさっき分かったことだけどね。
その前に、ねぇまどか、居るなら姿見せてくれないかな?」
まどか「……」
杏子「あ、あんたがまどか……って、なんだ? 記憶が……」
――
杏子「佐倉杏子だ、よろしくな」
――
マミ「もう何も怖くない、だってもう独りじゃないもの……!」
――
マミ「鹿目さん……」
ほむら「……まどか、あなたやっぱり円環の理なのね?」
まどか「そうだけど、そうじゃないんだ……ぇへへ」
156: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/16(月) 03:21:16.49 ID:K1FrRe2a0
QB「暁美ほむら。 君が言っていた世界が分かったよ。
そして、この世界は、その世界、旧世界とでも呼ぼうか。
今、この世界は、その旧世界にもどりつつあるんだ」
ほむら「なっ……どうして?!」
QB「鹿目まどかが、円環の理という概念になって旧世界を、今の世界、現世界に書換えた。
でも、暁美ほむら、君が鹿目まどかのことを覚えていた。
そして同時に、鹿目まどかも君らのことを覚えていた。
これは、僕達インキュベーターでいう感情のバグに似ているんだけれど……」
まどか「……」
QB「概念になった、円環の理は、概念であり続けないといけない。
概念というのは、そこに存在するだけ、そして存在していて当然のものだ。 感情も何も無い。
でも、鹿目まどかは違った。 君らを覚えていることで、寂しさを覚え始めた」
マミ「……」
158: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/16(月) 03:29:33.19 ID:K1FrRe2a0
QB「そして、その寂しいという感情からバランスが崩れ始めた。
結果、円環の理は、暁美ほむらをはじめとする5人、
そして自分に、記憶の消去をかけることにした。
その役目を持ったのが、今そこにいる鹿目まどかだ」
ほむら「……そう、なの……?」
まどか「QBの言ったとおりだよ。 わたしの願い事は、皆に前を向いて欲しいなんかじゃない。
わたしの本当の願い事は……"わたしを忘れて"。
でも、嫌だった。 忘れてなんかほしくない。 覚えてて欲しい……。
だって、これでいい、こうしないとダメって分かってても、怖いんだよ……!
わたしのこと誰も覚えてない、わたしなんて存在してないのが当たり前な世界が……!」
杏子「……っ……」
QB「……こうして、鹿目まどかは逆に記憶の除去をするはずの5人に逆に記憶の再編をしてしまった。
この結果、円環の理が持つ悲しみと寂しさは、大幅に増すだろう。
それは、重大な、いや、あまりにも重大すぎるバグだ。
このバグが生じ続ければ、概念という存在の形が崩れ、今の世界は無かった事になる。
それも、かなり近いうちにね」
160: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/16(月) 03:36:20.29 ID:K1FrRe2a0
ほむら「……もし、前の世界に戻ったら、まどかは存在することになるの?」
まどか「……たぶん、ならない。 だから、わたしは消えるよ。
どっちの世界にも存在できないなら、今の世界を、わたしは残したい。
ううん、残さなきゃいけない。
ほむらちゃん、皆、ちょっとの間だけど、すごく……すごく楽しかったよ……ありがとう……」
ほむら「そんな……嫌よ……また、まどかを失うなんて……!
しかも、今度は完全に、そんなの絶対に嫌!」
まどか「ティヒヒ……ほむらちゃんが、そう言ってくれるのは嬉しいよ。
でも、でもね、わたしがこうやってほむらちゃんに姿見せて、お願いだなんていって
皆集めて……こういう展開になってほしいって……。
全部わたしが仕向けてたんだよ……。 汚いよねわたしって……最低だよ……」
杏子「……っ! んなもんかんけーねぇ! どうでもいい!
思い出したからには、あたしも、ほむらも、さやかもマミも、まどかにいて欲しいんだよ!
この世界に! もっかい、まどか、お前と友達としてやっていきたいんだよ!
どうにかなんねーのかよ……っ!」
161: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/16(月) 03:43:29.97 ID:K1FrRe2a0
さやか「……キュゥべえ、契約できないの? そこにいるまどかと」
ほむら「! さやか! それは……そんなのはだめよ!」
さやか「あたしだって、まどかに契約しろなんていいたくない!
けど、可能性があるとしたら、ここじゃない! キュゥべえしか……」
QB「難しいね。 こんな事例は初めてだ。 難しい、いや、無理と言い切ってもいいだろうね。
何が起こるか分からない。 下手をすれば概念が溶け、世界の理が溶ける。 リスキーすぎるよ」
まどか「……良いんだよ。 わたしが消える。 それで収まるんだもん。
4年前、ちゃんと心に決めたのに、わたしが弱かったのが……悪いの。
今更、こんな、皆を傷つけるだけのことして……」
ほむら「っ……。 まどか……」
162: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/16(月) 03:52:12.86 ID:K1FrRe2a0
ほむら「……」
さやか「……」
マミ「……」
杏子「……」
まどか「えへへ……こんどこそ、本当にお別れだね……。
大丈夫、わたしの記憶は、皆消えちゃうから……。
悲しみも、虚無感も、後悔も、無力感も、何も生まれないよ……」
ほむら「……ダメよ! やっぱり、まどかが消えるなんてダメ!」
まどか「でも! わたしがきえないと、皆の世界が……ほむらちゃんの、がんばりが……」
ほむら「まどかの記憶を消すなんて、絶対にさせない! ……インキュベーター! 私と、契約しなさい!」
164: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/16(月) 03:57:31.46 ID:K1FrRe2a0
QB「暁美ほむら、君は何を言って……。
あぁ、そうか、そういえばそうだね。 君は、旧世界で契約してはいるけれど
現世界の僕らとは契約していないのか。 でも、この事例も初めてだね。
君に世界境界の齟齬が発生して、消滅するかもしれない。
まぁでも、鹿目まどかを契約させるよりは、安全策だ。 といっても、多少、程度だけどね。
それでもやるのかい?」
まどか「ほむらちゃん! そんな危ないことやめて!」
ほむら「……やるわ。 さぁ、願いを叶えなさいインキュベーター!」
まどか「ほむらちゃん!!」
――――
―――
――
―
165: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/16(月) 04:04:22.07 ID:K1FrRe2a0
ほむら「まどか、ちゃんと聴講登録はだした?」
まどか「だしたよー。 もー、さやかちゃんじゃないんだから……」
さやか「む、今のは聞き捨てならないなぁ!」
杏子「よぉ、この後どっかいこうぜ、なぁ」
さやか「杏子は自由でいいねぇ」
杏子「な、あたしも結構大変なんだぞ!」
マミ「ふふふ……元気な後輩たちね……」
ほむら「ふふ、ずっとあの二人は賑やかね」
まどか「あはは、そうだねー。 でも、超平和だよ」
ほむら「そうね。 超平和ね」
おわり
さやか「私がまどかに見える?ほらよく見てよ!」