SS速報VIP:【咲-saki-】 淡「風評被害?」 照「うん」
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1: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2012/09/03(月) 02:52:54.53 ID:C/2olm430

「はっ、はっ、はっ」

 息が切れる。
 酸素が足りていない。脇腹も痛み始めてきた。
 先ほどから全速力に近い速度で走り続けている。
 いい加減足を止めて休みたいと思わずにはいられない。
 だが、状況はそれを許してくれないということを
 彼女自身が誰よりも分かっていた。

(捕まれば、命はない……)

 だから、苦しくても走る。
 いや、逃げると言ったほうが現状に即しているだろう。
 ここは西東京、白糸台高校の敷地内。
 臨海女子麻雀部レギュラー、メガン・ダヴァンは逃走劇の真っ只中にいた。

(なんで私が、こんな辺境の地でこんな目に遭わなければならないんだ)

 己の境遇を呪いながら、ダヴァンはこのような状況に陥ったきっかけを思い返す。
 そう、確かあれは――


 * * * * *

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1346608374




2: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2012/09/03(月) 02:55:42.51 ID:C/2olm430


 事の発端を手繰れば、それは去年にまで遡る。
 インターハイ決勝、副将戦。
 ダヴァンは二位に大差をつけての一位で対局を終えた。
 この場に彼女の相手になる者は存在しなかった。それは去年の優勝校である白糸台にしても同様。

(去年の優勝校といっても所詮は辺境の島国。この程度か)

 これならば準決勝であたった竜門淵の方がよほど手強かったと、ダヴァンは心中で呟く。
 準決勝の副将戦。この試合については非難の声が少なからず上げられている。
 ダヴァンは竜門淵高校の副将が厄介と見ると、3位の学校に差し込むことで2位に繰り上げさせた上で、最下位の合浦女子を狙い撃って飛ばした。
 周囲の人間はこれが気に食わなかったらしい。
 曰く、難敵であろうとも正面から立ち向かうべし。
 チームに同伴する通訳から世間ではこのような論調で語られていると聞いた時、ダヴァンは失笑せずにはいられなかった。
 なんてずれたことを言っているのだろう、と。
 臨海女子の選手は皆、海外から集められた傭兵だ。求められているのは勝利のみ。
 名勝負など興じる必要はない。
 麻雀は一対一の決闘ではなく、四人で対局するものだ。対局者の中に一人手強い者がいたのならば、別の組し易い者から点棒を毟り取ればいい。
 弱肉強食。それがダヴァンの育ってきた、ストリートの麻雀の鉄則だ。

(この国の人間は合理性を理解できない人間が多すぎる。これではいつまで経っても麻雀後進国と言われ続けるわけだ)



3: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2012/09/03(月) 02:57:09.95 ID:C/2olm430

 席を立つ。そろそろ大将戦に出場する選手たちが入場してくる時分となっていた。

(確か、白糸台の大将は去年の個人戦チャンピオンだったか……)

 だが、個人戦には彼女の様な海外の選手は出場できないという規則があるので、その称号を額面通りに受け取る訳にはいかない。

(牌譜を見た限り、この国の人間にしては中々の打ち手のようだが)

 これだけの点差をつけたのだ。自分たちの勝利は揺るがないだろう。
 ダヴァンは己の中でそう決着をつけ、

 次の瞬間、それが誤りであることを悟った。




4: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2012/09/03(月) 02:58:40.38 ID:C/2olm430


 何かがあったというわけではない。
 ただ、出入口で一人の少女とすれ違っただけだ。
 その少女の名は宮永照。昨年のインターハイチャンピオン。
 すれ違う際に、宮永照は軽く会釈した。
 同性であるダヴァンでさえ思わず見蕩れてしまうような、可憐な笑顔を浮かべて。
 それは天使のような、と形容するのが相応しかっただろう。
 だが、ダヴァンが受けた印象は全く別物。

(天使? ふざけろ。あれは……悪魔だ)

 ダヴァンが才能溢れる選手なのは間違いない。恐らくは高校麻雀界において五指に入る打ち手だ。
 しかし、才能があるからこそ戦うことなしに感じとってしまったのだった。
 宮永照の、圧倒的なまでの才気を――





5: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2012/09/03(月) 02:59:40.41 ID:C/2olm430

 言いようのない怖気を感じながら、ダヴァンは控え室に戻った。
 そこには既に対局を終えたチームメイトがいたが、彼女たちの間に会話はない。
 チームメイトと仲良くするなんてことは、彼女たちの仕事内容に含まれていないからだ。
 故に、基本的に現在の対局を観戦することもないのだが、
 ダヴァンはTVをつけ、食い入るようにモニタを凝視した。
 無視することができなかったのだ。己が覚えた感覚の正体が何であったのか。

 結果からいうなれば、彼女のその行動はどうしようもなく誤っていた。
 彼女が目にしたものは、絶望。
 たとえその一生を費やしたところで到達することが叶わぬであろう高みを、むざむざと見せ付けられることになった。

(なんの冗談だ? これは)





6: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2012/09/03(月) 03:01:13.17 ID:C/2olm430

 画面に映っているのは対局などではなく、蹂躙の場面。
 宮永照の連続和了が止まらない。
 局面は東三局――五本場。親は宮永照。
 臨海女子と白糸台との間にあった六万もの点差は現在では残り僅か――否、

『ツモ。六五○○オール』

 いとも容易くひっくり返された。
 そして、その後も宮永照の連続和了は止まることなく、
 南場を迎えることなく白糸台高校の優勝が決まった。

 こうして、ダヴァンの胸には消えることのない瑕が刻まれることになる。宮永照に対するどうしようもない恐怖の念が。
 ――それが、彼女のその後の運命を決定付けることとなるのだった。




7: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2012/09/03(月) 03:03:51.58 ID:C/2olm430


 インターハイでの優勝を逃したことで、臨海女子は早くも来年に向けてチームの再編成が行われることとなった。
 現三年の引退は当然として、成績の振るわなかった者も容赦なく切り捨てられる。
 そこに情状酌量の余地はない。
 特に優勝を逃す原因となった大将の処遇は徹底しており、特待生としての援助は打ち切られ、本国へ送還されることとなった。宮永照に惨敗したことで牌を握ることすらできなくなっていた彼女に、もはや存在価値はないと判断されたのだ。
 その後の彼女の行く末は誰も知らない。麻雀しかなかった少女がそれを失ったのだ。碌でもない人生を送ることになったのだろう。一山いくらの娼婦に身をやつしその後の人生を磨り減らしていく、なんてそんな悲惨な末路。

 そして、それはダヴァンにとっても決して他人事などではない。
 準決勝での働きを評価され今年のメンバーでただ一人、一軍として残留することが許された。だが、それも彼女が敗れたその時には――
 想像するだけで怖かった。
 だから、絶対に負けるわけにはいかない。
 たとえ、どのような手段を用いたとしても。
 宮永照と直接やりあうことがなかったダヴァンの心は、辛うじて折れることはなかった。
 折れずに、曲がった。
 酷く歪な形に。




8: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2012/09/03(月) 03:06:07.11 ID:C/2olm430


 それからはひたすらに研鑽の日々。
 今度こそは宮永照を擁する白糸台高校を退け優勝しなければ、ダヴァンの人生の先行きはないも同然。
 なれば努力するのは必然。
 しかし、歪んでしまったダヴァンは、宮永照を越えるという方向へは進まなかった。
 モデルケースとなったのは準決勝での一幕。
 それは彼女のいう“合理性”。
 強者に立ち向かうのではなく、弱者を標的にし、その弱点を的確に見抜き、一方的に蹂躙する。そのようなスタイルに傾倒していったのだった。

 学園側としても海外留学生を掻き集めておきながら二年連続で優勝を逃したことで、なりふり構わずに戦力の補強を行った。
 国際大会の上位入賞者、果ては世界ランカーまで招聘したというのだからもはや冗談としか思えない。




9: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2012/09/03(月) 03:07:04.71 ID:C/2olm430


 だが、流石にやりすぎたのだろう。
 臨海女子にとって不利となる規定が、高麻連(公益法人・日本高等学校麻雀連盟)より通達された。

『先鋒に留学生の起用を禁ずる』

 選手全員が海外留学生で固めていた臨海女子を狙い撃ったのであろう規定。
 これにより臨海女子はチームの再編成を余儀なくされた。
 とはいえ、戦力の層は他を圧倒する臨海女子は、先鋒に去年の個人戦三位、辻垣内智葉を据え、危なげなく東東京予選を勝ち抜いた。

 だから、臨海女子にとって真に誤算だったのはこちらだろう。
 西東京地区予選。
 大方の予想通り、勝ち抜いたのは一昨年、昨年と連覇を成し遂げた白糸台高校。
 だが、前年までと大きく違う点が一つ。
 今まで大将として起用されていた宮永照が、今年は先鋒と務めていたということ。




10: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2012/09/03(月) 03:07:58.09 ID:C/2olm430


 その事実に最も動揺したのはダヴァンであった。
 ダヴァンは、宮永照に回る前に他校を飛ばすことに勝機を見出していた。
 いや、それ以外に勝ち目がない。宮永照に恐怖を植えつけられたダヴァンは、そのようにしか考えられなかった。
 だから、宮永照が先鋒――つまり一人目として出てくることで、勝利のヴィジョンがまったく見えなくなってしまう。
 しかもルールの改定により、こちらの先鋒は十全な人材を起用できたとはいえない。
 確かに辻垣内智葉は去年の個人戦で三位という成績を収めてはいるが、それは留学生が出場していないからであり、事実去年の団体戦で彼女はレギュラー落ちしている。戦力は落ちているのだ。
 去年の大将がなす術もなく宮永照に破壊された事実を鑑みれば、とてもではないが抑えられるとは考えられない。




11: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2012/09/03(月) 03:10:49.54 ID:C/2olm430


(だが、どうすればいい?)

 打開策は思い浮かばない。
 この国に、あの怪物を止められる者がいるとは思えない。

(諦めろとでも言うのか?)

 それもありえない。
 敗北の後に待っているのは避けえぬ破滅。
 文字通り、自身の人生がかかっているのだ。

(だが――)

 そこで堂々巡り。
 詰んだとしか思えぬ状況だが、簡単に諦められるはずもなく。
 苦悩は続く。延々と。
 思考は空回る。くるくると。狂(ク)ル狂(ク)ルと。
 ――やがて、彼女は狂気に至る。




12: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2012/09/03(月) 03:11:49.84 ID:C/2olm430


(ああ、そうか……)

 塞ぎこんでいたダヴァンは顔を上げた。
 昏く澱んだ瞳。しかしその奥底には狂的な光が垣間見える。
 コートのポケットから折り畳みナイフを取り出した。
 合衆国の貧民街でその日の糧を麻雀で得ていた時分、護身用として身につけていたものだ。
 ズシリと重いが、手によく馴染んだ感触。刃を抜き出す。刀身が鈍く輝いた。

(何もまともに相手をする必要なんてないじゃないか)

 ダヴァンは嗤う。
 疾うに正常な思考など失っていた。

(邪魔なら、殺してしまえばいい)

 寮を抜け出し、ダヴァンは夜の街を駆けた。
 己の人生を破綻せしめようとする魔物を狩る為に――






13: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2012/09/03(月) 03:12:31.48 ID:C/2olm430

 * * * * *

 そして現在。
 ダヴァンは逃げている。
 その顔に浮かぶのは狂気よりも、焦燥。

(クソっ。何の冗談だ)

 白糸台高校への侵入に失敗したわけではない。
 侵入事態はわりと容易く成功した。
 裏ルートより宮永照の部屋番号を入手していたダヴァンは、
 寮に忍び込み、目的を遂行すべく部屋に押し入ろうとしたところで、
 ソレに見つかった。
 ダヴァンは実際にその相手を視認したわけではない。
 ただ、ストリートで磨き上げられたダヴァンの勘が告げたのだ。

        これの相手にするな、と。

 次の瞬間、ダヴァンは遁走していた。
 今まで己の命を永らえさせてきた感覚を信じて。
 ダヴァンは感じたのだった。
 其処にいた何者かが、宮永照とはまた違った意味での怪物であるということを。




14: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2012/09/03(月) 03:13:33.24 ID:C/2olm430


 そして、逃げる。逃げる。逃げる。
 呼吸が苦しくても。脇腹が痛んでも。足が震えてきても。
 ただひたすらに。一心不乱に。走り続ける。
 そうしなければ命はないと本能が告げる。
 己の境遇を呪いながらも、
 都内の学校の敷地としては広大といえる庭園を走り続けた。
 そして、漸く内と外を隔てる鉄柵が見えてきたところで、
 ダヴァンはその足を止めた。
 そして、目の前の茂みの奥に向かって声をかけた。

「隠れているのはわかっテル。出てきたらどうダ?」

「ほう。まさか気が付くとはな」





15: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2012/09/03(月) 03:14:21.19 ID:C/2olm430

 ダヴァンの呼びかけに、闇の中から返事が返ってくる。
 感情を消した、平坦な声だった。
 そして、ガサリと茂みの奥より声の主が姿を現した。
 先ほどまで、ダヴァンを追いかけていたはずの追跡者が。
 現れたのは年の頃はダヴァンとさほど変わらぬであろう女性。
 だが、一見しただけで彼女が只者でないことが容易に知れる。
 格好はタンクトップにスパッツ。そこから覗く腕や脚は極限まで鍛え上げられた筋肉に覆われている。誇示する為に無駄に膨らませたものではなく、実用性に特化した、しなやかな筋肉。
 そして何よりも、彼女が他と隔絶しているのはその目付きにあった。
 それは一切の感情を排した、冷たい……兵士の眼。

「白糸台高校二年、亦野誠子だ。そちらは?」





16: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2012/09/03(月) 03:15:09.40 ID:C/2olm430

 無感情な声音で問いかけてくる。
 だが、ダヴァンの立場は侵入者だ。律儀に答えるはずもない。

「黙秘か。まあ、いいだろう。こちらとしても鼠の素性など、さして興味もない」

 一歩、前に出る。ただそれだけで凄まじいプレッシャー。
 もはや逃げ場はない。あとはこのまま大人しく捕まるか、それとも一縷の望みをかけて抵抗するか。
 ダヴァンが選んだのは、後者だった。




18: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2012/09/03(月) 03:16:23.13 ID:C/2olm430

 そうと決めてからの彼女の行動は早い。即断即決。それもまたストリートの鉄則。
 亦野の歩み出しに合わせて、ダヴァンは飛び出した。それは獲物を狩る肉食獣の動き。黄色人種では持ちえぬ、瞬発力。
 懐からナイフを抜き、勢いのままに振り下ろす。銀色の輝きが弧を描いた。
 虚をつかれた形となった亦野だったが、体を横に逸らすことで紙一重でその斬撃を躱す。
 しかし、ダヴァンの攻撃はそれだけでは止まらない。返す刀で横薙ぎの一閃。亦野これを屈んで回避。刃が掠めた髪が数本、風に舞う。




19: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2012/09/03(月) 03:17:11.31 ID:C/2olm430

 避ける為に無理な体勢を取る事となった亦野は反撃できず、尚もダヴァンの攻勢は続く。
 だが、

(バケモノだとは分かっていたが、それにしてもなんて奴だ……)

 避ける。躱す。逸らす。ダヴァンの猛攻は一度も亦野の体に届かない。
 ダヴァンの動きが野生のそれなら、亦野の動きは技術の粋。研鑽の果てに辿りつく技巧の極み。相手の動きを見極め、最適な行動を選択し続けているのだ。

(だが、それでも有利なのはこの私だ。刃物を相手に、素手ではどうしようもないだろう?)





20: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2012/09/03(月) 03:17:53.89 ID:C/2olm430

 刃物と素手との争いで、刃物が圧倒的に有利なのは言うまでもない。
 得物によるリーチの差も勿論あるが、それ以上に刃物による攻撃は防御するわけにはいかないというのが大きい。切られれば当然怪我をするし、下手をすればそのまま致命傷となりかねない。防刃素材の衣服でも身につけていればまた別なのだが、亦野の格好は腕も脚も完全に露出しており、効果は期待できない。
 だから躱すしかない訳だが、その時点で行動の選択肢は大幅に狭められてしまっている。
 行動選択範囲の絶対的アドバンテージ。それを覆すのは容易ではない。





21: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2012/09/03(月) 03:19:01.80 ID:C/2olm430

(その曲芸染みた芸当、いったいいつまで続けられる?)

 ダヴァン、勝利を確信し口元を歪める。勿論手を緩めるような愚行は犯さない。
 刺す。斬る。薙ぐ。様々な手法を織り交ぜつつ、己の最速の攻撃を繰り出し続ける。
 そして、ついに――

 ぐしゃり、と鈍い音が辺りに響いた。





23: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2012/09/03(月) 03:19:40.82 ID:C/2olm430

 それから少し遅れて、カツンという金属質な音。
 ダヴァンははじめは何の音だか分からなかった。
 何が起こったのかわからぬまま、相手に突き出していた右手を見る。

「は?」

 手に持っていたはずのナイフはそこにはなく、
 代わりに視界に入ったのは、それぞれがあらぬ方向を向いた己の五指。
 認識した瞬間、耐え難い激痛がダヴァンを襲った。

「――――っ!?」

 声にならない悲鳴をあげ、その場にうずくまるダヴァン。
 痛い。痛い痛い。怖い。怖い怖い。
 自分の身に何が起きたのか分からない。
 それは何よりも深い恐怖だった。




24: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2012/09/03(月) 03:21:36.66 ID:C/2olm430


 ダヴァンの身に何が起こったのか。それは言葉で説明してしまえばなんてことはない。
 ダヴァンの繰り出したナイフによる刺突を亦野は軽く横にステップすることで躱し、
 伸びきったダヴァンの右手を、横から殴りつけたのだ。
 本人は高揚していて気がついていなかったが、直前まで全力で走り続けていたダヴァンは既に体力の限界であり、ナイフを振るう度にその速度、鋭さは衰えていった。
 亦野は膨大な戦闘経験よりそれを的確に見抜き、回避に専念。
 ダヴァンの速度が衰え、攻撃が大振りとなったところを――狙い打った。
 事象としてはただそれだけのこと。
 だが、ナイフを持ち、恐るべき速度でもって襲い掛かってくる相手にこうも冷静に対処し、それを遂行するということ。そして、素手の一撃で相手の五指を完全に粉砕する破壊力。
 これらが如何に異常であるかは説明するまでもないだろう。




25: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2012/09/03(月) 03:22:56.63 ID:C/2olm430


 なお、ダヴァンが折られたのは右手の指だけではない。
 これまでのダヴァンの人生は麻雀と共にあった。麻雀の腕のみを頼りに、過酷な環境を生き延びてきた。その手で牌を握り、栄光を掴んできたのだ。
 そんな彼女の利き腕が、彼女の全てであったそれが、完全に破壊されていた。
 それは即ち、ダヴァンの心の支えが壊されたことを意味する。

「がっ、あっ、あっ、ぁあああっ」

 もはや言語としての意味を成さぬ呻き声をあげることしか出来ない。
 そんなダヴァンに、

「ケダモノというのはどうしてこうも痛がりなんだろうな。まだ片手が潰されただけだろうに」

 頭上から冷たい声がかけられた。




26: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2012/09/03(月) 03:23:35.58 ID:C/2olm430

 顔を上げるとそこには死神の姿。
 逃げなければならない。
 だが、今のダヴァンにはそれだけの力は残されていなかった。
 それは体力という意味でも、気力という意味でも。
 確実に迫りくる死を、ただ緩慢に待ち続けるしかない。
 嗚呼、自分はいったいどこで間違えてしまったのだろう?





27: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2012/09/03(月) 03:24:08.38 ID:C/2olm430

「チンピラ風情が、プロのソルジャーに敵うとでも思ったのか?」

 このバケモノに立ち向かってしまったことか。
 麻雀では敵わないと、宮永照を殺そうと考えたことか。
 強者に立ち向かうのを避けたことか。
 それとも――




28: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2012/09/03(月) 03:24:50.95 ID:C/2olm430

 答えは出ないままに、
 ダヴァンの身に、
 無慈悲な死が、
 振り下ろされた。


      End.



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29: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2012/09/03(月) 03:26:26.86 ID:C/2olm430


白糸台高校 麻雀部 一軍用部室


誠子「……って、なんですかこれ!?」

尭深「?」

淡「セイコ、急に大きな声出してどうしたのー?」

誠子「いや、ほら、これ見てよ。なんでこんな――」

菫「亦野」ギロッ

誠子「は、はいっ」ビクッ

菫「今、私たちは対局中だ。静かにしてもらえないか?」

誠子「あ、すみません……」シュン

照「そんなに謝らなくてもいい。これが終わってから話は聞くから」

誠子「宮永先輩……ありがとうございます」

照「うん。大丈夫、すぐに終わらせるから」ギギギー

菫・尭深・淡「「「あ……」」」




30: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2012/09/03(月) 03:27:34.73 ID:C/2olm430


 ・
 ・
 ・

尭深「……飛ばされちゃった」グスッ

淡「テルー、いきなりあのギギギーってやつは酷いよ」ムー

菫「くっ、また照を射抜けなかったか」ブツブツ

照「それで、亦野。話って?」

誠子「あ、はい」(相変わらず反則染みた強さだな、宮永先輩……)

誠子「えっと、みんなが対局中で私一人だけあぶれちゃったんで、ネット麻雀でもしようかなって思ったんですけど」

淡「ふむふむ~」




31: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2012/09/03(月) 03:28:06.14 ID:C/2olm430


誠子「こうして白糸台のレギュラーになれたことですし、もしかして私って有名になってたりするのかなーって、自分の名前を検索してみたんですよ」

照「……」ビクッ

淡「あれ? テルー、なんか今びくってしなかった?」

照「な、なんでもない。それで、話の続きは?」

誠子「それで、自分の名前を検索してみたら、こんなページが出てきて……」カチカチ

菫「ふむ、どれどれ」ノゾキコミ




32: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2012/09/03(月) 03:28:35.37 ID:C/2olm430


=====================================

    そして何よりも、彼女が他と隔絶しているのはその目付きにあった。
    それは一切の感情を排した、冷たい……兵士の眼。

   「白糸台高校二年、亦野誠子だ。そちらは?」

=====================================




33: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2012/09/03(月) 03:29:04.33 ID:C/2olm430


照「一切の感情を排した」

菫「冷たい」

尭深「……」ズズズ

淡「兵士の眼?」

誠子「ううう……」ナミダメ

照「亦野、兵士(ソルジャー)だったの?」

誠子「違いますよっ!」




34: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2012/09/03(月) 03:30:05.91 ID:C/2olm430


誠子「なんかよくわからないんですけど、ネット上を色々みてみたところ、私が歴戦の戦士だったっていうのが定説みたいになってて……」

誠子「この小説(?)なんて描写が完全に男になってますし」

淡「男というよりバケモノだよねー」

照「こら、淡」メッ

淡「あう、ごめんね。セイコ」

誠子「あ、うん、大丈夫。それにしても、どうしてこんなことになってるんでしょう……」

照「……風評被害」




35: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2012/09/03(月) 03:30:59.23 ID:C/2olm430


淡「風評被害?」

照「うん」

照「うちの高校はインハイで2連覇してるし、いい意味でも悪い意味でも注目されてる。
有名税って言葉は好きじゃないけれど、人目を集めるっていうのは、それだけ知らない人に好き勝手に言われてしまう危険性があるもの」

照「そういった噂の中でも妙に信憑性が強かったり、話題としてのインパクトが強かったりすると、それが定着してしまって、広く広まってしまうこともある」

誠子「それが風評被害、ですか」

照「うん、そう」




36: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2012/09/03(月) 03:31:39.96 ID:C/2olm430


菫「別段、不思議な話じゃないだろ。うちの学校で誰が一番有名かを考えたら、
団体戦だけでなく個人戦でも2連覇の絶対王者、宮永照その人を置いて他をないわけだし」

照「……」ムー

菫「それこそ亦野の比じゃない位に色々言われてるぞ。あまりにも酷い言われように、照の奴ったら涙目になりながら『もうネットは絶対に見ない』とか言い出してな」ククク

照「ちょっと、菫。それは言わない約束…」
淡「え、何それ。私も涙目のテル見たかったっ」


照「……え?」アワアワミル
淡「ナンデモナイデスヨー」メヲソラス




37: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2012/09/03(月) 03:34:23.82 ID:C/2olm430

※ すみません、文章が漏れていました……36の書き込みは正しくはこちらになります。



菫「流石、経験者は語るってところかな」

誠子「えっ」

菫「別段、不思議な話じゃないだろ。うちの学校で誰が一番有名かを考えたら、
団体戦だけでなく個人戦でも2連覇の絶対王者、宮永照その人を置いて他をないわけだし」

照「……」ムー

菫「それこそ亦野の比じゃない位に色々言われてるぞ。あまりにも酷い言われように、照の奴ったら涙目になりながら『もうネットは絶対に見ない』とか言い出してな」ククク

照「ちょっと、菫。それは言わない約束…」
淡「え、何それ。私も涙目のテル見たかったっ」


照「……え?」アワアワミル
淡「ナンデモナイデスヨー」メヲソラス





38: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2012/09/03(月) 03:35:37.28 ID:C/2olm430


菫「まあ、そんなに気にすることはないんじゃないか? ネット上でなんと言われたところで実害があるわけでもなし。どうしても嫌だというなら、照みたいに見ないようにすればいいわけだから」

誠子「それはそうですけど……」

菫「それに、だ。亦野の状況はそう酷いものではないと思うぞ。叩かれてるってわけでもないし。それに表現方法があくまで創作物だからな」

誠子「創作……ですか?」

菫「ああ。亦野がさっき見ていたのなんて小説だっただろ? これを書こうとしたら結構大変なんじゃないか。単純な悪意だけでそうそう割ける労力じゃない。これを書いた人間は、亦野に好意を持って、それを表現したくて書いたんじゃないかな。……まあ、多少は歪んだ形ではあるが」

誠子「弘世先輩……」




39: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2012/09/03(月) 03:36:40.06 ID:C/2olm430


菫「それにこういう風に書かれるってことは、さっき照も言ったように名が売れたっていう証拠だしね。小鍛治プロとか三尋木プロとかはこういう方面でも大人気らしいし。そういった人種の仲間入りをしたんだと、深く考えずに喜んでおけばいいんじゃないか?」

誠子「宮永先輩も、弘世先輩もありがとうございます。そう考えると少し気が楽になりました」

菫「それはよかった。それに亦野のキャラ付けにしたって、一時期変態キャラが定着しかけていた照に比べればどうってことは――」

照「だから、菫。そうやってすぐ私を比較対象として持ち出すのやめて」





40: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2012/09/03(月) 03:37:52.94 ID:C/2olm430

誠子「あはは」

淡「うん、セイコはやっぱり笑ってる方が可愛いと思うよ」

誠子「なっ、大星なにいって」///

照「私もそう思う」

誠子「宮永先輩までっ」

菫「ほら、やっぱり大人気じゃないか。亦野」ニヤニヤ

誠子「あー、もうっ///」

尭深「……」カタカタ

誠子「あ、尭深。助けて。みんなが寄ってたかって私をからかってくるんだ」

尭深「ん……見つけた」ズイ

誠子「え、何? ノートパソコン?」

尭深「さっきの小説について調べてみた」

誠子「えっ、本当?」

菫「ほう」 照「渋谷、さすがだね」 淡「どれどれー」




41: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2012/09/03(月) 03:38:25.58 ID:C/2olm430


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 SS作品まとめWiki
 護衛者・亦野シリーズ⑤「メガン・ダヴァン」編
 かつて聖人マタイの名を冠した暗殺者が、己の命を救ってくれた宮永照を守護する為に、亦野誠子と名を改め、新たな道を歩んでいくというシリーズの5作目。
 今度の刺客は臨海女子の副将であるメガン・ダヴァン。
 従来のシリーズは暗殺者であった亦野がこのような平和な日常を生きている価値があるのだろうかといった内面の葛藤を主題にして描いた作品であったが、
 この作品では刺客であるダヴァンにフォーカスを当て、亦野の内面は一切描写されないという毛色の違う作品となっている。
 後のコメントにおいて筆者は「自分の中でも新しい作風を模索して書いてみたのはいいのですが、途中で何を書いているのだか自分でもわからなくなって、無理矢理に終わらせることになってしまった」と語っており、本人としては悔いの残る作品のようである。このシリーズのファンの中にも当作品を認めていない者も多い。(※要出典)
 余談ではあるが筆者は「ダヴァンさんの場面で『傭兵』という表現を多用していたのは、『亦野さんは本当の傭兵じゃないか』と突っ込んで欲しかったからなんですけど、誰も突っ込んでくれなくて寂しかったです」と語っている。

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42: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2012/09/03(月) 03:41:03.83 ID:C/2olm430

照・菫・淡・誠子((((シリーズ化してた!?))))

誠子「え、5作目って……」ドンビキ

菫「に、人気者みたいでよかったじゃないか」

照「菫、フォローになってない」

尭深「……」ズズズ

淡「シリーズ自体の概要もあるみたいですよー」カチカチ

菫(大星、場の空気を読めー!?)




43: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2012/09/03(月) 03:42:03.35 ID:C/2olm430


淡「あ、なんかでてきた。えっと、『このシリーズはネット上で広まったとあるコラ画像が元ネタとなっている』だって。画像もあった……ぷっ、え、何コレ、あははははっ」

照「淡? どうしたの、そんなに笑って」

淡「あはは、だって、テルー、これ見てよ」

照「見ろって、これ? ……くっ、くくっ」

菫「照まで、そんな必死に笑うのを堪えてどうした……って、これは」

誠子「弘世先輩まで!? いったい何が」ノーパソノゾキコミ


【タンクトップにスパッツで両手の握力を鍛えてる亦野さんの例のコラ画像】
http://pc.gban.jp/?p=45998.jpg

誠子「なんぞこれぇええええええええええええ!?」






44: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2012/09/03(月) 03:43:07.51 ID:C/2olm430


 * * * * *

 数時間後。

――照自室――


照(亦野には悪いことしちゃったけど、あれは不可抗力だと思う)

照(それにしても……実力はあるとはいえ、レギュラーとして定着したのは今年からの亦野があれだけネタにされてる以上、私はもっと……だよね)

照(私が以前にネットで見たときは、本当に酷い有様だった。私は、あんな破廉恥じゃない……)カァアア

照(それに、周囲の人を巻き込んでネタにしてる人もいた。もし、私に妹がいると知られたら、咲も被害に遭うかもしれない)

照(うん……咲のことで嘘をつくのは辛いけど、やっぱり私に妹はいないってことにしておかなきゃ)





45: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2012/09/03(月) 03:44:11.59 ID:C/2olm430


 * * * * *

――菫自室――


菫(今日は思わぬ方向に話が転がったな)

菫(まさか、亦野のネタがあそこまで盛り上がっているとは……最近はあまり他の部員の情報をネット上で集めていなかったからな)

菫(それにしても、ネットの話題になったときの照のあの怯えた表情……また新しい照のネタが増えたな。ふふふ)

菫(しかし、やっぱり照はまだあの時のことを気にしてるんだな。間接的にとはいえ、私があの件の遠因となっていたと知ったら、あいつはどう思うんだろうな)

菫(麻雀以外は抜けているところがあるあいつの一面を思い切り誇張したポンコツ照シリーズ)

菫(私は純粋にあいつの魅力を広く知ってもらいたいと思っていただけなんだが、まさかそこから変態的な性格に発展させるものがいるとは……)

菫(なんとか照のキャラクター性の風潮を誘導することで、今はそういう作品は少なくなったが、罪滅ぼしにもならないな)

菫(それはそれとして、最近のネット上の照界隈での動きは看過できないものがあるな)

菫(照淡SSの急増。一年からインハイ王者となった照。そして、一年にして優勝校でのレギュラーの座を射止めた大星。話題性としてはわからなくもない)

菫(わからなくもないが……まったく、カップリング厨は始末に終えない。照は単独(ソロ)でこそ輝くというのに。主役はあくまで照。他の人間はサポートにまわっていればいい。そんなこともわからないのか、素人どもめ)





46: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2012/09/03(月) 03:46:00.52 ID:C/2olm430


 * * * * *

――淡自室――


淡(『今日は、彼女の恋が、ただの恋ではなくなる日となった。』っと)カタカタカタ

淡(よし、今日の執筆は完了っと、今日はテルの色んな表情が見れたし、筆が面白いぐらいに進んだなー)

淡(うふふ、それにしても今日のセイコのアレは傑作だったなー。誰があんな画像作ったんだろう)

淡(でも、テルはネットは見ないのかぁ。私の作品がテルに見られることがないっていうのは助かったような、少し残念なような)

淡(うん、ちょっと残念っていう気持ちのほうが強いかも。恥ずかしいっていうのもあるけどね)

淡(テルを傷つけたという悪評の原因。ネットに流れた情報を完全に消し去るというのは不可能に近い)

淡(でも、話題としての母数を増やすことで、目立たなくすることはできるよね)

淡(それは単なる自己満足でしかないかもしれないけれど、私の行動が少しでもテルの為になってると思えたら、もっと頑張れるような気がする)

淡(ネット上に蔓延してるテルがポンコツという風潮。ないない。そんなの)

淡(テルはかっこいいし、それ以上にちょーかわいいんだよ)

淡(私がそれを証明してみせる)

淡(照淡SSの第一人者として――!)





48: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2012/09/03(月) 03:47:39.05 ID:C/2olm430


 * * * * *

――尭深自室――


尭深(今日はなかなか愉快だった)ズズ

尭深(みんな、特に弘世先輩と大星さんが知らなかったのは意外だったけど)

尭深(二人とも、ネット上でSSを書いてるのに情報収集が足りてないよね)

尭深(まあ、あの二人は宮永先輩のことしか見えてないからなんだろうけど)

尭深(ネット上の宮永照SS界隈で二大勢力となりつつあるポンコツ照シリーズと、
照淡カプSS。その騒動の中心人物がうちの部に揃っているなんて、なんたる偶然)

尭深(思い切り内輪のネタなんだから必然といってもいいのかもだけど)

尭深(何はともあれ、これからもウォッチ対象として外せないよね)ズズズ

尭深(まだ場を荒らすのは勿体無いし、静観しておいて……今は関係ない掲示板でも荒らしておこう)

尭深(今日はここにしようかな)


【忍び寄る】三尋木プロ速報スレ・144【怒涛の火力】

  235 :名無しさんの提供でお送りします
   三尋木プロ、今日も圧倒的火力で快勝してたな!

  236 :名無しさんの提供でお送りします
   しかもまず振り込まないし強すぎwwww
   今年も首位打点とゴールデンハンドの二冠狙えそう


尭深(ここで、掲示板上での禁句を投下、っと)カタカタカタ

  237 :名無しさんの提供でお送りします
   まあ、それでも小鍛治プロには遠く及ばないんだけどなwww
   未だにMVPが「該当なし」なのがその証拠w
   悔しかったら三尋木厨は反論してみろよwwwww

尭深(そして、IDを偽装してもう一度投下)カタタタッ

  241 :名無しさんの提供でお送りします
   は? 寝言は寝てから言えよ。
   小鍛治信者は本当老害ばかりだな。
   今まで一度も直接対決がなされてない以上、
   比較すること自体が馬鹿らしい。
   それでも敢えて比較するなら、
   現役で、日本代表の三尋木プロの方が上に決まってる。

尭深(あ、あっという間に100レス増えた。やっぱりこの話題はよく燃える)

尭深(もう燃料の投下は必要ないかな。あとはたかみの見物と洒落込もう)

尭深(……宮永先輩がプロに入ったら、やっぱりこんな風に語られるんだろうな)

尭深(その時、私はどうするんだろう?)

尭深(……たぶん、必死になって宮永先輩を擁護するんだろうなぁ)

尭深(これからは、こういうことは少し控えよう……かな)





49: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2012/09/03(月) 03:49:09.18 ID:C/2olm430



 * * * * *

――誠子自室――

誠子(うう……今日は酷い目にあった)

誠子(もしかして有名になってたりして、なんて浮かれちゃった私もあれだけどさ)

誠子(まさかあんなことになってるなんて思わないって……)

誠子(……そういえば弘世先輩言ってたっけ。名前が売れると結構な確率でこういう被害に遭うって)

誠子(それで中には、有名人同士をカップリングとして、その絡みを描いてる作品もあるって。なんか苦々しい顔してたけど、弘世先輩。もしかして被害にあったのかな? その場合の相手は……宮永先輩、かな?)

誠子(色々な趣味嗜好の人がいるから、カップリングの種類も星の数ほどあるらしいけど……もしかしたら)カタカタカタ


 大沼プロ「南浦くん、これがワシの鬼門じゃ」
 南浦プロ「や、やめてください。大沼さん……」
 大沼プロ「抵抗しても無駄じゃよ。裏鬼門も既にワシの手の内にある」
 南浦プロ「くっ、私の南が、大事なナンが……」
 大沼プロ「素直に鳴いておればよかったのにのう。ほれ、上がるぞ」
 南浦プロ「うああっ、大四喜―――っ!」


誠子「……いい」ニヘラ

誠子(まさか大沼プロ×南浦プロの同好の士がこんなにもいて、しかも作品を提供してくれていただなんて)

誠子(自分がネタにされてるのを見つけたときは、もうネットはやらない方がいいんじゃないかとも思ったけど……)

誠子(こんなのがあるんじゃ、やめられないよね。さて、次の作品を探そうかなーっと)



こうして白糸台の夜は更けていくのだった。



カン!




52: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2012/09/03(月) 04:10:05.75 ID:C/2olm430

いろいろな方のすばらな咲SSを見ているうちに自分も書きたくなって、
更に友人も投稿しているという話を聞いて、
それじゃあ自分も書いてみよう! と勢いだけで書き始めてしまいました。
このような拙い作品ではありますが、読んでくださった方、投下途中で支援してくださった方々、どうもありがとうございます。

それと、勘違いされてしまいそうなものを書いてしまいましたが、
この作品では特定のキャラをdisるような意図は一切ございません。

特にダヴァンさん好きの方には大変申し訳なく。決してダヴァンさんが嫌いというわけではありません。
むしろ、登場8コマ中2コマで涙目のダヴァンさんのヘタレ可愛さには大いに期待しています。
早く出番来ないかなー

あとはタカミー。そんなつもりはなかったのですが、すっごい性格悪い感じになってしまいました。
煽りキャラという設定をしたのが最大の失敗でしたね……こちらも申し訳ございません。

亦野さんは……あのコラ画像の出来が良すぎるのが悪い(断言
そもそもこれのネタを思いついたのも、あのコラ画像を見たから……というのはバレバレですよね。
その固定観念を覆そうと、あえて亦野さんに乙女なキャラ付けをしてみたら、
いきすぎてオチがあんなことになってしまいました。


単発ネタとして考えたものではありますが、
SSを書くということは思いのほか面白かったので、
また何かしらのネタを思いついたら投下させていただきたいと思ってます。
……上で言ってる友人に「こういう話を書きたいんだー」と話していたら、
「そこはSS作家あわあわをメインに据えるべき」とダメ出しされたというのもありますしw

もし投稿した際には、また読んでいただけましたら幸いです。

蛇足な長文、失礼致しました。



55: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2012/09/03(月) 04:40:50.13 ID:C/2olm430

間違えて上げてしまったお詫びも兼ねて即興ではありますがおまけを……



臨海女子・学生寮
 辻垣内智葉&メガン・ダヴァンの部屋


メガン「トモハ、さっきカラ難しい顔しなガラ画面を睨んデ、どうしたんでスカ?」

智葉「ああ、なんでもない。気にするな」

メガン「ソウデスカ。ワタシに何かできることがあったら、いつでも相談してクダサイ」

智葉「ああ、そうするよ」


智葉(といっても、これを相談するわけにはいかないよな)

 智葉はメガンに見えぬよう、素早く画面を切り替える。
 そこに映ったタイトルは「護衛者・亦野~メガン・ダヴァン編」

智葉(なんとなくメガンの名前でネット検索してみたはいいが、こんなものが世の中に出回っていたとは)

智葉(メガンのやつはあれでナイーブなところがあるからな。ショックを受けかねない)

 智葉の脳裏に浮かぶのは、その目に涙を浮かべるメガンの姿。
 その容姿に似合わず、彼女はひどく涙もろいのだ。
 それは親しい間柄の者しか知らないこと。
 智葉も自分と仲間だけがメガンの本当の姿を知っていればいいと、そう思っていたのだが。

智葉(こうして誹謗中傷されるのは、気に食わないな)

智葉(なら、私はどうするべきだ?)

 数瞬悩み、すぐに答えは出た。

智葉「世の中に、知らしめてやる必要があるか」

 やり方は、先のあれが教えてくれた。なるほど、ペンは剣より強しとはよく言ったものだ。

メガン「トモハ、何かいいことがありマシタ?」

 智葉のことを見て、メガンは不思議そうに問う。

智葉「……? いや、別に何もないが。どうかしたのか?」

メガン「イエ、トモハが楽しそうに笑ってイタノデ」

 メガンの言葉に虚をつかれた智葉は自分の顔を指でなぞる。
 確かにその表情は笑みを形作っていた。

智葉「ふふ、そうだな。確かに、今私は楽しみで仕方ないみたいだ」

 智葉は笑う。普段は鹿爪らしい表情をしているのが常だが、
 今の彼女は年相応の少女のそれだ。

メガン「ソウデスカ。トモハが楽しいのナラ、ワタシも嬉しいデス」

智葉「ありがとう、メガン。それじゃあ、そろそろ寝ようか。明日の練習も早い」

メガン「ワカリマシタ。では、オヤスミナサイ。トモハ」

智葉「うん、おやすみ。メガン」

 私の、一番の友達。
 その言葉は口には出さず、智葉はゆっくりと目を閉じた。
 さあ、明日から早速作業にとりかかろうか。



もいっこカン!




74: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2012/09/09(日) 21:16:07.72 ID:8Orks3qK0

【ガイトさん、ごめんなさい小ネタ】


メガン「この国では親しくなってカラ、ファミリーネームで呼ぶという慣習があるとききます」

智葉「ああ、確かにそういった面はあるな」

メガン「だから、これからはツジガイトのことも、ファーストネームで呼んでイイデスカ?」

メガン「この国でできた、ワタシの初めてのトモダチですカラ」

智葉「ダヴァン・・・いや、メガン。勿論だ」ウルッ

メガン「ソレデハ、トモハ、これからもヨロシクオネガイシマス」

智葉「ああ・・・って、え?」

メガン「トモハの名前呼ぶために、ガンバッテ、漢字、勉強シマシタ」

メガン「そしたらこの『智葉』という字はトモハと読むって」

智葉「あ、ああ・・・確かにそう読むな・・・」

メガン「名前、聞き間違えトカあったら、失礼デスシ、今更聞きなおすのも更に、ですから」

メガン「ちゃんとトモハの名前を呼ぼうって、がんばったデス」ドヤァ

智葉「うん、漢字は難しいのに、よく頑張ったな・・・」

智葉(言えない。本当はサトハと読むだなんて、こんな笑顔のメガン相手に言えるわけないっ)




78: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2012/09/20(木) 00:05:41.91 ID:JXT5q6Vg0

どうもお久しぶりです。
できるだけ早いうちに次の作品を、と思っていたのですが中々思うように時間がとれず、
二週間も経ってしまっていました。申し訳ありません。

短い上にヤマなしオチなしイミなしの三重苦な拙い作品ではありますが、少しでも楽しんでいただければ幸いです。
それでは、タイトル

 はやり「てる・みー☆」 照「え?」

始めたいと思います。



79: はやり「てる・みー☆」 照「え?」 2012/09/20(木) 00:06:56.45 ID:JXT5q6Vg0

 カチッという音がして、液晶画面に光が灯る。
 リモコンでチャンネルを切り替えると、
 ちょうど目当ての番組が始まるところだった。

  ・
  ・
  ・



80: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2012/09/20(木) 00:08:39.32 ID:JXT5q6Vg0

はやり「牌のおねえさん、瑞原はやりだよ。みなさん、こんにちは☆」

 画面に年若い女性の姿が映る。
 そしてテロップ。

テロップ『牌のおねえさん 瑞原はやり(28)』

(だからなんで毎回年齢を出す?)←視聴者の心の声

はやり「夏のインターハイもいよいよ間近に迫ってきましたねー。そこで今日はみなさんお待ちかねの、あの学校を紹介しちゃいますよ☆」




81: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2012/09/20(木) 00:09:25.79 ID:JXT5q6Vg0


はやり「二軍でも県代表レベル、一軍に至ってはインハイ史上最強なのではないかとの呼び声も高いです。一昨年、昨年とインターハイ二連覇を達成。今年で三連覇達成なるかと注目を集めている――」

はやり「白糸台高校ですっ☆」

 カメラ引き気味の映像に。
 画面に映るのは高校麻雀通の間では有名な、白糸台高校の校舎。
 そしてすぐに画面戻る。
 いつの間にか瑞原プロの隣には、白い制服に身を包んだ一人の少女が立っている。





82: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2012/09/20(木) 00:10:32.93 ID:JXT5q6Vg0

はやり「そして、今日はやりとお話してくれるのは、ご存知! インターハイと言えば彼女のこと! 絶対王者、宮永照ちゃんです。ぱちぱちぱち」

照「どうもはじめまして。ご紹介に与りました、宮永照です。よろしくお願いします」ペッコリン

はやり「はい、よろしくおねがいしますっ☆」ペコッ

はやり「いやー、それにしても」照をしげしげと眺める。

照「?」首をかしげる。

はやり「すごい落ち着いてますねー。カメラを前にすると緊張してぎこちなくなっちゃう子が多いんですけど、なんて自然な笑顔☆ やはり、二冠達成のチャンピオンともなると取材慣れしてるんでしょうか?」

照「いえいえ、とんでもないです」頬を染め、手をぶんぶんと振って否定する照。

はやり「ぉゃぁ?」




83: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2012/09/20(木) 00:12:06.70 ID:JXT5q6Vg0


照「私って、どうも感情が表に出にくいって言われるんですけれど、これでも緊張で心臓がドキドキしてるんです」

はやり「ふむふむー」

照「特に今日は、相手が瑞原プロですから尚更に」

はやり「はやり相手だと緊張、ですか? もしかして、怖い人と思われてたり? だとすると、はやりショックです」

 目が >< こんな感じになる瑞原プロ。

照「まさか! 私、小さい頃から牌のおねえさんのファンだったので。その本人が目の前にいるんですから、緊張するなという方が無理な話ですよ」

はやり「わー、そういうことだったんですかぁ。ありがとうございますっ☆」

はやり「あ、でも」

照「?」

はやり「……小さい頃って言うのが具体的にいつなのかってのは言わなくても――」

テロップ『牌のおねえさん(28)』

はやり「うるさい、そこ!」




85: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2012/09/20(木) 00:13:52.61 ID:JXT5q6Vg0

はやり「――って、あっ」やっちゃったーという表情のはやりん。

照「くすっ」

照「やっぱり、牌のおねえさんは面白いです。あとでこっそりサインください」

はやり「全然こっそりしてないじゃないですかー。うん。サインについては勿論OKですよっ☆」

はやり「って、時間もあまりないのに、全然話が進んでませんっ」




86: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2012/09/20(木) 00:15:33.36 ID:JXT5q6Vg0


はやり「では、本題に入らせてもらいますね。宮永ちゃん、ずばり今年の目標は?」

照「もちろん、団体戦での全国制覇です」

はやり「成し遂げれば、前人未到の三連覇ですねー」

照「はい。インターハイの三連覇は私たちの悲願ですから」

はやり「大言壮語となっていないところが凄いですねー」

はやり「でもでも、白糸台高校は、去年までのメンバーから大幅に変わるという話ですけど、そのあたりはどうなんです?」

照「確かに去年からのメンバーは私と、同じく三年の弘世だけになりますね」

照「ですが、それは決して今年のメンバーが去年よりも弱いということではありません」

照「今年レギュラーに昇格した二年の亦野に渋谷は去年からレギュラーに準ずる実力はありましたし、この一年で更に成長しました。もちろん、三年である私も弘世も研鑽を怠ってはいません。そして――」

はやり「今年、一年にしてレギュラーに抜擢された大星淡ちゃんですね」

照「はい」ニッコリ




87: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2012/09/20(木) 00:16:36.96 ID:JXT5q6Vg0


はやり「はやりもずっと気になってたんですよー。白糸台高校で一年でレギュラーとなったのは、宮永ちゃんに続いて二人目の快挙ということですし。ずばり、どんな打ち手なんですか?」

照「秘密です」←営業スマイル全開

はやり「ぇー」ブーブー

照「うちが不利になるような情報を流すなって、すみ……部員に怒られてしまうので」

照「実際に目にするまでのお楽しみに、ということにしておいてください」




88: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2012/09/20(木) 00:17:33.34 ID:JXT5q6Vg0


はやり「うーん、それじゃあ、残念ですけど仕方ないですねー」

はやり「では、ちょっと方向性をかえて、大星淡ちゃんをはじめとして、宮永ちゃんのチームメイトってどんな子たちなんですか?」

照「はい、そうですね……」

 宮永照、一度言葉を切って、思案した様子。
 そこに――

淡「テルーっ」
照「えっ?」




89: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2012/09/20(木) 00:18:24.17 ID:JXT5q6Vg0


 一人の少女が走り寄ってきて、宮永照に飛びついた。
 宮永照、よろめきつつも飛び込んできた少女を抱きとめる。

淡「ねえ、テル。部活終わったら一緒にドーナツ食べに行こうよ」
照「えっ、ちょっと、淡?」

 ゆるくウェーブのかかった、淡い金髪の少女。
 宮永照に抱きついたまま、話しかける。

淡「あと少しでポイントが貯まるから、おっきなぬいぐるみもらえるよ」

 頬がくっつきそうなほどに顔を近づけている。
 その表情は、天真爛漫と評すに相応しい笑顔。

照「わかったから。今はちょっと離れて」
淡「えー、このまま一緒に部室いこうよー」

はやり「仲がいいですねっ☆ この子が大星淡ちゃんですか?」

淡「えっ?」
照「……」←無言で天を仰ぐ。




90: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2012/09/20(木) 00:19:20.24 ID:JXT5q6Vg0


淡「あれっ? なんではやりんがこんなところに?」
はやり「うふふ、なんででしょう」

淡「えっと、あれって、カメラ……だよね」

淡「はやりんがいて、カメラがあって……もしかしなくても、撮影中?」
照・はやり「……」コクコク

淡「あわわ……」

 大星淡、大慌てで宮永照の背中に隠れる。




91: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2012/09/20(木) 00:20:11.87 ID:JXT5q6Vg0


淡「うぅー」

 一目でわかるほどに赤面して、恥ずかしがっている。
 先輩の背中に隠れながらもやはり気になるのか、
 少しだけ顔を出してちらちらと様子を窺うその姿は、小動物を連想とさせた。

はやり「うわあ、なんていうか、可愛いという感想しかでてきませんねー」
照「……はぁ」

 宮永照、一度溜息をつくも、すぐに微笑んで、口を開く。




92: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2012/09/20(木) 00:20:58.55 ID:JXT5q6Vg0


照「この通り、ちょっと人見知りなところがあるんですけれど」

 背中から顔を出して覗き見ている大星淡の頭を、優しく撫でる。

照「麻雀では見違えるぐらいに頼りになる、自慢の後輩なんですよ」

 とっておきの宝物を紹介するように、誇らしげに宮永照は言った。

照「先ほどは、大星に関して実際に目にするまで楽しみにしていてくださいと言いましたが、実は私もその時を楽しみにしているんです。大星のこともそうですけれど、私の自慢の仲間を披露できる日が来るのを」

淡「テル……」ジーン




93: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2012/09/20(木) 00:21:58.01 ID:JXT5q6Vg0


照「今年のインターハイも全国から強い高校が集まってくるのでしょう。ですが、私たちこそが最高のチームであることを、三連覇を達成することで証明してみせたいと思っています」

はやり「おー、実に気合の入った言葉をいただきましたっ☆」

はやり「おっと、そろそろ時間となりましたね。今日、お話を聞かせてくれたのは白糸台高校の宮永照ちゃんでした。どうもありがとうございますっ☆」

照「こちらこそ、どうもありがとうございます。憧れのプロに会えて、嬉しかったです」

はやり「大星ちゃんも、ありがとうね」

淡「……うん」コクリ

はやり「それでは、また来週~☆」

 ぶんぶんと手を振る瑞原プロ。
 カメラ、段々と遠ざかって、フェードアウト。




94: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2012/09/20(木) 00:22:28.97 ID:JXT5q6Vg0



  ・
  ・
  ・


 プツン、と画面が消える。
 テレビの前、リモコンを手にした少女は、
 魂の抜けたような顔をして呟いた。

菫「……なんだこれ?」



 カン




100: てる・みー☆ おまけ 2012/09/22(土) 03:56:49.07 ID:c51LjLGZ0

【おまけ】

菫「照、もう来てたのか。ずいぶんと早いな」

照「今日は何も用がなかったから」ペラッ

 静かな室内に紙をめくる音が響く。
 弘世菫が部室に来たとき、室内には宮永照以外の部員は誰も居らず、
 彼女は一人、二人掛け用の白いソファーに座って本を読んでいた。
 本の表紙にはカバーがかけられており、その内容はわからない。

菫「そういえば、昨日放送していた、あれ。観たぞ」

照「……そう」

菫「相変わらず酷すぎるぞ、お前。営業スマイルもそうだが、瑞原プロとのやりとりとか、白々しすぎる」

 菫は呆れた顔をして、辛辣な言葉を向ける。
 それに対し、照は心外――という顔は別にせず、無表情なまま反論した。

照「別に嘘は言ってない。私がはやりんのファンだというのも本当のこと」

菫「瑞原プロ……か」

 菫は少し遠い目をして、

菫「正直、あのプロきつい」

 ――呟いた。禁断の一言を。




101: てる・みー☆ おまけ 2012/09/22(土) 03:57:32.86 ID:c51LjLGZ0


照「……」ギロリ

菫「……悪かった。だから、DVD8巻表紙みたいな目付きで睨むな」

 あの表情はどういうことなんでしょうね?
 それはそれとして淡照菫、ではなく慌てる菫。話題の方向転換を図る。

菫「そ、そういえば、サインはちゃんともらえたのか?」

照「うん。こっそり書いてもらった」

菫「いや、全国ネットで宣言してたけどな」

照「一緒にいた淡の分も書いてくれた。やっぱり牌のおねえさんは優しい」

菫「そうだ。大星。随分と都合のいいタイミングで現れたが、あれは脚本があったのか?」

照「違う。淡があそこに来たのは本当に偶然。だから、撮影中だと気づいた時はあんなになった」

菫「それもそうか。本当、不測の事態に陥った際にあわあわなる癖はなんとかしてもらわないとな。大会中にああなられても困る」

照「大丈夫だと思う。対局中は本当に落ち着いてるし、淡の予想を超える打ち手なんてそうそういない」

菫「対局中のあいつは落ち着いてるというか……私たちのことはともかく、敵対する相手を見下してる感じすらするけどな。あれもなんとかしないと……」

照「別に淡はあのままでもいいと思うけど……可愛いし」

菫「ったく、おまえは大星を甘やかしすぎる」

照「菫も人のこと言えないと思う。きちんと敬語を使えとか、厳しく注意すると思ってた」

 軽くにらみ合う両者。
 なんだかんだで二人とも後輩のことが大好きなのであった。
 ちょっとした口論が続いて、数分後に終戦。




102: てる・みー☆ おまけ 2012/09/22(土) 03:58:20.17 ID:c51LjLGZ0


菫「――それはそれとして、大星とは対照的に、おまえは終始落ち着いて対応していたな。やっぱり慣れ、なのか?」

照「そんなことはない。今回ははやりんが相手だったし、緊張で喋れなくなったりしないように、事前に話の内容を想定して練習した」

菫「練習って、一人でか……」

照「うん、一人で」

菫「うん、まあ、頑張ってたんじゃないか?」

照「うん、頑張った」

 親しい者にしか分からない差ではあるが、少し自慢げな照。
 一方の菫は可哀想な子を見るような目をしている。
 ああ、やっぱりこいつポンコツだ……と。








菫「ところで、BD-Rってどうしてあんなに高いんだろうな?」

照「……? さあ?」


カン




114: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2012/10/02(火) 00:35:31.42 ID:uRKzyT2r0

はやり「注意事項ですっ☆」

はやり「このSSはこのスレッドの79~94に掲載されている
『はやり「てる・みー☆」照「え?」』
 を前提として構成されています」

はやり「もし未視聴の方がいらっしゃいましたら、弘世菫ちゃんに言えばブルーレイを貸してくれると思うので、聞いてみてくださいねっ☆」

はやり「それでは、大星淡ちゃんSS――

『淡「テル hour!」 照(淡、どうしたんだろう?)』

 ――始まります」






115: 淡「テル hour!」 照(淡、どうしたんだろう?) 2012/10/02(火) 00:36:24.34 ID:uRKzyT2r0



 初夏のある日、全国局でとある番組が放映された。
 牌のおねえさんとも呼ばれる麻雀プロ、瑞原はやりの麻雀教育番組の、
 今年のインターハイの注目校を紹介するというコーナー。
 今回、取り上げられたのは前回王者の白糸台高校だった。
 瑞原プロの相手として選ばれたのは、高校生の頂点とも称される宮永照。
 インタビューは順調に進み、無難な受け答えに終始して、番組は終了するかと思われた。
 そこに、白糸台の一年生レギュラー、大星淡が乱入するまでは。




116: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2012/10/02(火) 00:37:55.62 ID:uRKzyT2r0


 ――照淡SS業界に激震走る。
 大星淡、敬語後輩キャラではなかった。
 その事実は多くの照淡SS作家を動揺させた。





117: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2012/10/02(火) 00:38:30.23 ID:uRKzyT2r0

 キャラ崩壊。
 その言葉を恐れないSS作家はいないだろう。
 中には敢えてキャラを崩し、それを持ち味とする作家も存在するが、
 それでも「受け入れられなかったらどうしよう」という思いは捨てきれない。
 今回の件は、その気はなくとも多くのSS作家にキャラ崩壊という現実を突きつけることとなった。

 また、大星淡を敬語の後輩キャラだと思っていたからこそ支持していたという層は、少なからず存在する。
 だからこそ、

  183 :名無しさんの提供でお送りします
   大星淡さんが先輩相手に敬語も使えないゆとりだって本当ですか?
   幻滅しました。照菫派になります。

 このようなことも、決して珍しい出来事ではなかった。




118: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2012/10/02(火) 00:39:13.84 ID:uRKzyT2r0

 しかし、その一方で事実発覚によって新規のファンも獲得していた。
 今までは露出がほとんどなく、一部のファンの想像(あるいは妄想)のみが先行していた両者の絡みが、具体的な形で掲示されたのだ。
 大星淡の天真爛漫なキャラに惹かれたという者もいれば、彼女が宮永照に抱きついた姿を見て、『これは既に公式!』とばかりに想像を掻き立てられた者もいる。
 照淡は衰退しました――ということにはならなかった。
 ならなかった……が、それは住民の入れ替わりという形に近かったかもしれない。
 むしろ、照淡ではなく、淡照にシフトしていったとも。

 勿論、以前からの照淡作家が全て消えたというわけではない。
 それでも宮永照、大星淡というカップリングを愛し、書き続けている者もいる。
 ある作家はキャラが違うと知りつつも、今までの自分の作風を貫き、
 ある作家は現実に準拠したキャラ付けでもって、新しい作風を模索していた。
 ――だが、そこに天才と称された照淡SS作家の姿はなかった。




119: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2012/10/02(火) 00:40:31.50 ID:uRKzyT2r0


 宮永照と大星淡というカップリングの黎明期から、照淡SSで圧倒的な存在感を放つ作家がいた。
 質、量、そして何よりも対象に対する愛において他の作家の追随を許さない。固定のハンドルネームを持たず、また作品以外ではほとんど発言することはないので、謎に包まれた存在ではあるが、作品を読めば皆それが誰の作品であるか悟ったという。
 実力、また人気のあるSS作家は、その代表作のタイトルからとって『○○の人』と呼ばれることが往々にしてある。
 件の作家は、ただシンプルに、そして最大の敬意を込めて読者からこう呼ばれていた。
『てるあわの人』と。

 しかし、最近はてるあわの人の作品が、ぱったりと見られなくなってしまっていたのだった。
 今回の騒動で、書くのをやめたのではないか。そう心配する声もある。
 以前はほぼ毎日のように投稿されていたのだから、無理もない。
 だが、ファンはそれでも次の作品が投稿されるのを待っていた。
 番組の放送直後、氏が投下したとされるSSの、最後の書き込みを信じて。


  894 :名無しさんの提供でお送りします
   今回のはやりんの番組でのことは、私もかなり動揺しています。
   ですが、私が照淡SSから離れるということはありえません。
   今までと同じ内容で、とはいかないとは思いますが、
   それでも書き続けていくことでしょう。
   それでは、また次の作品でお会いしましょう。






120: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2012/10/02(火) 00:41:35.83 ID:uRKzyT2r0

 ・
 ・
 ・

 そして、てるあわの人と呼ばれている当人は……

淡「うーん、これからどうしよう……」

 パソコンを前にして、頭を抱えていた。
 というか、大星淡本人だった。




121: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2012/10/02(火) 00:42:55.38 ID:uRKzyT2r0

 ディスプレイに映るのは、文字の羅列。彼女は正に、SSを執筆中だった。
 だが、

淡「うぅ……今日こそは書けると思ってたのに」

 一向に筆(?)が進まない。
 かつてはあれほど軽快に、ある種の演奏にすら聞こえた打鍵音は陰もなく。
 今では、思い出したようにカタカタという音を立てるばかり。
 それで書き進められるのは僅か数行の文章。物語の完成には程遠い。
 SS作家大星淡、絶賛スランプ中であった。

淡「駄目。これ以上悩んでいても、進めそうもないよ」

 背もたれに身を預け、天井を仰ぐ。

淡「読んでくれてる人には申し訳ないけど……今日は中断しちゃおう」





122: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2012/10/02(火) 00:43:50.82 ID:uRKzyT2r0

 ため息をつくと、淡は再びディスプレイに向き合い、キーボードを叩き始める。
 皮肉なことに、先ほどとは打って変わって、すらすらと文章が綴られていく。
 ほんの数秒で文章を書き終えて、投稿。
 ディスプレイには今打ったばかりの文章が表示される。

  75 :名無しさんの提供でお送りします
   まだ途中ではありますが、明日も朝が早いのでここまでとさせていただきます。
   続きは明日の20時頃から再開したいと思います。
   それまで保守していただけましたら幸いです。
   もしスレッドが落ちていましたら、改めてスレ建てします。

 それから、少しだけ間をあけて、F5キーを押下して画面を更新。すると、

  76 :名無しさんの提供でお送りします
   乙乙。
   続き楽しみにしてるから、それまで保守しとくわ。

 別の閲覧者からの書き込み。
 ありがたい、と思うと同時に胸が痛んだ。
 今の自分では、期待してもらっているものを返せないと思ったから。
 いや、最悪の場合、続きを書くことすらもできないかもしれない。
 淡は罪悪感に苛まれながら、ウィンドウを閉じた。そして、そのままパソコンもシャットダウンする。




123: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2012/10/02(火) 00:44:32.51 ID:uRKzyT2r0


 明日の朝が早いというのは嘘ではない。
 部活が終わってから、夕食などを済ませて、自室に戻ってくるのが20時頃になるというのも妥当な見積もりだろう。
 だが、話の途中で切り上げたのは、ただ展開に行き詰って、続きが書けないからと逃げたに過ぎない。

淡「どうして、こうなっちゃったのかな?」

 ひとりごちて、淡はそのままベッドに倒れこんだ。
 自問してみたものの、原因はわかりきっている。

淡「……はやりんの番組で、私がどんな人間かばれちゃったからだよね」





124: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2012/10/02(火) 00:45:16.56 ID:uRKzyT2r0

 SSを書くとき、淡は『大星淡』という人物をいわゆる敬語キャラとして描いていた。
 本来は全然違う人物であるということは、他の誰よりも彼女自身が知っている。
 だが、それでも彼女は、己自身とは違った自分を描いた。
 それどころか、率先してそういったイメージを広めたといってもいいかもしれない。
 その方が、彼女にとっては都合がよかったから。
 いや、それも少し違う。それは、彼女自身の思い描く理想の関係だったのだ。
 自分自身を変えることは難しいけれど、創作の中ならどんな自分にもなれたから。

淡「現実には起こりえない。けれど、こうあって欲しいと私が望む空想。それをそのまま形にしたのが私の作品……だったのに」





125: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2012/10/02(火) 00:45:59.44 ID:uRKzyT2r0

 しかし、大星淡という人間は多くの人に認識されてしまった。
 仮初の大星淡を作り出して語ることは、もうできない。

淡「理想が、現実に侵されちゃった」

 素の自分をベースとして話を考えると、どうしてもうまく想像できなくなる。
 彼女自身が、誰よりも大星淡という人間のことを知っているから。
 どうしても常識の枠内に囚われてしまうのだった。
 そうして出来上がるのは、誰の心にも残らない、薄っぺらなSS。





126: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2012/10/02(火) 00:47:06.76 ID:uRKzyT2r0

淡「……てるあわの人の作品を最近見ない、かぁ」

 淡は誰かが掲示板に書き込んだ言葉を思い返した。
 てるあわの人の新作を見なくなって久しい、と多くの人は言う。

淡「わたし、書いてるよ?」

 淡本人は以前よりもペースが落ちたとはいえ、作品の投稿自体は続けていた。
 ただ、その作品を彼女が書いたのだと、誰も気がつかないだけ。
 今の彼女の作品は、天才SS作家、てるあわの人の作品だと認められていないのだ。




127: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2012/10/02(火) 00:48:41.31 ID:uRKzyT2r0


淡「あぁ、悔しいなぁ……」

 別に天才と呼ばれていい気になっていたわけではない。
 ただ自分の書きたいものを書いて、それを多くの人が認めてくれたのが嬉しかっただけ。
 そして、自分でも納得のいかない作品しか書けず、楽しみに待ってくれている人の期待に応えることもできないでいる今の状況が悔しくて、そして、

淡「それ以上に、自分が情けないよ、テル……」

 思わず泣きそうになる。が、なんとか堪えた。

淡「でも、こうして悩んでても仕方ないよね。うん、気持ちを切り替えるためにも今日はもう寝よう」

 宣言すると、蛍光灯を消し、そのまま布団をかぶる。
 明日こそはうまく書けますように。
 そう祈りながら、淡は眠りについたのだった。





128: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2012/10/02(火) 00:49:23.39 ID:uRKzyT2r0



淡(でも、あれだよね。先延ばしにしたことって、大抵うまくいかないんだよね)

 日を跨いだところで、事態は好転してくれなかった。
 朝からずっと書きかけの小説について考え続けているが、いいアイディアは思い浮かばない。
 そんな状態だから、もちろん授業にも集中なんてできるはずもなく。危うく廊下に立たされるなんて古典的なイベントを発生させてしまうところだった。

淡(……さすがに反省。でも、これで授業は終わり。次は部活だし、頭を切り替えないとだね)





129: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2012/10/02(火) 00:50:26.53 ID:uRKzyT2r0

 部室に向かう。
 淡は名門白糸台高校で一年生にしてレギュラーに抜擢された。しかも、大将を任されている。それは先輩である宮永照に続く快挙であり、周囲からの期待の程が窺えた。

淡(今の私の存在価値は麻雀にしかない――とまで卑下するつもりはないけど、大部分を占めているのは確かだよね)

 それが間違っていると彼女は思わない。前人未到の全国三連覇を目指している以上、そうであるべきとも考えているし、自分には期待に応えるだけの力があると自負している。
 そして淡にとって麻雀とは、敬愛する宮永照と自身との繋がりそのものでもあった。
 麻雀がなければ、きっと彼女は照のことを知ることはなく、
 淡に麻雀の才能がなければ、彼女は照と出会うことはなかっただろう。
 だから、淡にとって麻雀は不可分のものであり、己の誇りそのものだといえた。
 が――




130: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2012/10/02(火) 00:51:16.79 ID:uRKzyT2r0


菫「ロン」
淡「は?」

 淡がオーラスでトップの弘世菫に振り込んでしまい、対局が終了する。
 順位は、普段通りの直撃狙いで荒稼ぎをした弘世菫が一位、堅実な打ち回しに徹していた亦野誠子が二位、オーラスでのハーベストタイムが不発に終わった渋谷尭深が三位。
……淡は四位だった。

菫「おつかれ」
誠子「お疲れ様です」
尭深「お疲れ様でした」
淡「おつかれさま……でした……」

 呆然とする。淡が四位に沈むというのは久しぶりのことだった。
 ショックだった。麻雀は運の要素が大きく左右する競技ではあるものの、今回の失点はそういう問題ではない。




131: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2012/10/02(火) 00:52:09.17 ID:uRKzyT2r0


菫「どうしたんだ、大星。全然集中できていなかったようだが?」
淡「うん……ごめんなさい」

 言い訳のしようがない。そう、結局のところ彼女は麻雀に集中しきることができなかったのだ。その結果、菫の直撃狙いに悉く引っかかって大量失点を喫してしまった。

尭深「最近調子悪いみたい……大丈夫?」
誠子「もし何かあったなら、いつでも相談してくれていいんだからね?」
淡「うん、ありがとう」

 無様。そう思わずにはいられない。
 不調の原因はこの上なく身勝手なものに過ぎないから。
 みんなが自分を心配してくれるのが、申し訳なくて堪らなかった。





132: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2012/10/02(火) 00:54:40.68 ID:uRKzyT2r0

照「時間も遅くなってきたし、今日はここまでにする」

 面子から抜けて、一人ソファーで本を読んでいた照が言った。
 皆、席を立って照を見る。

照「片付けは私がやっておくからそのままでいい。それじゃあ、お疲れ様」
菫・誠子・尭深・誠子「「「「おつかれさまでした」」」」

 最後の挨拶。これで今日の部活は終了となる。

淡(結局、今日はひとつもいいとこなかったな……)

 誰にも気づかれぬよう、ひっそりとため息をつく。

淡(帰ってから、ご飯を食べて、お風呂に入って、それから……SSを書かないと)

 それから、この後の予定をつらつらと考える。
 昨日、中断してしまった書きかけのSS。今日はずっと続きを考えていたのだが、

淡(全然、書ける気がしないよ)

 結局考えはまとまらないままで、悩みを部活にまで持ち込んでしまった。
 落ち込みながら、退室しようとしたところで、

照「ちょっと待って。淡は残って」
淡「ふぇ?」

 照に声をかけられた。淡にとっては不意打ちに近かったのか、妙な声が漏れてしまっている。
 他の部員は照の意図を理解したのか、得心したように頷くと、みな部室を出て行った。パタン、と扉が閉じられる。室内には照と淡の二人だけになった。




133: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2012/10/02(火) 00:56:05.79 ID:uRKzyT2r0

 照は先ほどまで腰掛けていた二人掛けのソファーに、再び座っている。

照「淡も座って」

 自身が座っているソファーの隣を指し、着席を促す。
 淡は頷くと、そのまま照の隣に座った。

照「……」
淡「……」

 二人ともしばしの間、無言。
 しかし、淡は内心大混乱だった。

淡(私だけ残れって、やっぱり今日の部活でのことだよね? うう、やっぱりテル怒ってるのかな? それとも呆れられちゃった? 大将にしたのは間違いだったとか、失望されちゃった? 確かにそう思われちゃっても仕方ない、無様な打ち方しちゃったよね……)

 まさにあわあわ状態。
 落ち込んでいたこともあって、ネガティブ方面に思考が盛大に空回りしていた。

照「ねえ、淡」
淡「は、はい!」

 照の呼びかけに、背筋をぴんと伸ばして返事する淡。
 その様は上官に声をかけられた新兵のよう。

照「そんな緊張しないでいい。別に怒るとか、そういうことじゃないから」

 そんな淡の様子を見て、照はいつも通りの表情、声色で語りかける。
 淡、首をかしげる。それでは何で呼ばれたのか、分からない。

照「みんなも心配してたけど、最近の淡は調子が悪いみたいだったから」

 淡々と語りかける照。
 しかし、彼女のことをよく知る人ならば、それが心から心配しての言葉だということがわかる。無論、淡にも。




134: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2012/10/02(火) 00:56:51.65 ID:uRKzyT2r0


照「何か悩んでいることがあるの?」
淡「大丈夫ですよ。ちょっと調子が悪いってだけで、悩みとかはないです」

淡(言えない。私とテルを題材にしたSSが上手く書けなくなっちゃたから悩んでるなんて、言えるわけないよ)

 淡にとってSSを書いているということは誰にも知られてはいけない秘密だった。
 しかもその内容が、彼女自身と目の前にいる照本人のカップリングを題材とした小説だというのだから、尚更である。
 ばれたら終わる。二人の関係とか、淡の学内での立場とか、いろいろなものが。
 故に必死に誤魔化そうとする淡。

照「私の気のせいじゃなければ、テレビの撮影に淡も一緒に出た頃から、だよね?」
淡「……それは」

 しかし、そんな誤魔化しは通じないとばかりに、確信に迫る照の一言。
 彼女はそのまま言葉を続ける。

照「あの時に私が言ったことが、淡の負担になってる?」
淡「そ、そんなことないよ! 期待してもらってることは、素直に嬉しいからっ」

 だが、照の予想はピントがずれていた。
 まさか後輩の悩みが自分たちを題材としたSSの執筆でスランプに陥っていること、などと予想できようはずもないので無理からぬことではあるが。




135: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2012/10/02(火) 00:57:56.64 ID:uRKzyT2r0


淡「確かに今はちょっと調子落としちゃってるけど、すぐに戻して、期待には応えるから」

 だから安心して欲しい、と淡は訴える。
 彼女の悩みは言ってみれば自業自得で。それで他の皆に、誰よりも照に心配なんてかけたくなかったから。
 悩んでることなんてないですよ、と伝える為に笑う。

照「……淡」
淡「あっ」

 柔らかな衝撃。
 気がついたときには、淡は照に抱きかかえられていた。





136: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2012/10/02(火) 00:59:04.53 ID:uRKzyT2r0

照「無理なんて、しなくていい。不安に感じることは恥ずかしいことなんかじゃないよ」
淡「えっと、テ、テル?」

 自分から抱きつくことはよくあるが、抱きつかれたことなどなかったので軽くパニックになる。
 だが、

照「私も、一年でレギュラーを任されたときは緊張した。上手くできなかったら、自分のせいで負けちゃったらどうしようって」
淡「テル……」

 照の言葉を聞いて、淡は落ち着きを取り戻した。今、照は大事なことを言ってくれていると気づいたから。

照「でもね、淡はそんなこと気にする必要はないんだよ。悩んだり、心配したり、苦労したりするのは、先輩である私や菫の役目だから。淡はただ、いつも通りに打てば、それでいいの」

 優しく、諭すように、照は言う。
 淡は黙って、彼女の言葉を聞いていた。

照「私も、先輩たちにそう言ってもらって、それで大丈夫だったから。私にできたんだから、淡だって大丈夫だよ」
淡「……うん」

 何も言えなくて。ただ頷いた。
 恥ずかしくて、たまらない。
 抱きしめられていることも、今の自分が優しい言葉をかけてもらっているという状況も。




137: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2012/10/02(火) 01:00:00.59 ID:uRKzyT2r0


照「そうだ」

 何かを思いついたのか、照は抱きしめていた淡の体を離す。
 淡は少し残念だな、なんて場違いなことを思っていると、

照「淡、おいで」

 と言って、ぽんぽんと自身の膝を叩く照に、今日何度目かの思考停止状態に陥った。

淡「え? え?」

 何を言われたのか俄かには理解できない。

照「だから、淡は寝転んで。ここに」

 と膝を指差す。
 俗に言う膝枕をしてあげましょう、とインハイチャンピオンは仰ったのだった。
 淡は何がなんだかわからないままに、照の言葉の通りにソファーに寝転がる。
 頭は照の膝の上に。決して硬くはなく、かといって柔らかすぎもしない適度な弾力。
 もし膝枕ソムリエなんてものがいたとしても思わず唸らずにはいられないであろう、極上の膝枕だった。





138: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2012/10/02(火) 01:00:58.77 ID:uRKzyT2r0

淡「えっと、テルー。これはいったい?」

 頭に疑問符を浮かべたままで淡は問いかける。

照「Weekly 麻雀 TODAYの取材で、とある名門高校でエースに抜擢された選手が言ってた」

照「『私は元々三軍の選手だったんやけど、チームメイトの膝枕のおかげでレギュラーになる力を手に入れたんや』って」

 真顔で言う照。
 淡いは一瞬呆気にとられて、

淡「あははは、何それテルー」

 思わず吹き出してしまった。

淡「テル、関西弁似合ってないよー」
照「え、そっち?」




139: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2012/10/02(火) 01:02:06.41 ID:uRKzyT2r0


 くすくすと笑い続ける。
 そのおかげか、緊張はすっかりほぐれていた。

照「淡、落ち着いた?」
淡「うん。ありがと」

 照は淡の頭に手をやり、優しく撫でる。ふわふわの髪が手に心地よい。
 撫でられている淡も、その表情は緩みに緩みきっている。
 ずっとこの時間が続いてくれればいいのに。心の底からそう思う。

照「落ち着くといえばね、淡は知ってる?」

 ふと、あることを思い出して、照は話題を変えた。




140: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2012/10/02(火) 01:04:05.14 ID:uRKzyT2r0


照「この部室のソファーや、麻雀卓の椅子って、全国大会の会場で使われているものと一緒なんだよ」
淡「え? そうなの?」

 淡は初耳だったのか、驚いている。

照「去年の暮れぐらいだったかな。菫が学校に掛け合って、新調させたの」
淡「……なんていうか、スミレがやらせたというと納得しちゃうね」

 本人に聞かれたらたぶん怒られるような事を言う淡。
 しかし、そんなことは気にせずに、

淡「でも、なんでわざわざそんなことをしたの?」

 疑問に思ったことをそのまま口にする。
 ソファーも、椅子も、全て新調するとなると相当の費用がかかる。
 わざわざそんなことをする理由がわからなかった。
 しかし、照は淡の反応を待っていましたとばかりに、どことなく自慢げな口調で答えを口にした。

照「後輩が、全国大会の空気に呑まれて緊張してしまわないように、だって」
淡「え?」

照「全国の舞台に立った時に、そこが普段から練習してきた部室と同じだったら、少しは緊張も薄れるはずだから」

照「それで菫は『いつも通りに打てるのなら、私たちは最強だ。そうだろう?』って。そう言ってた」

 そう、菫が言ったという言葉で締めくくる照。
 淡は何も言えない。





141: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2012/10/02(火) 01:05:04.82 ID:uRKzyT2r0

照「そして、私もそう思ってる。いつも通りに打てば、大丈夫だって。信じてる」

 さらり、と淡の髪を撫でる。大事なものを扱うような、穏やかな所作で。

照「だから、淡は変な風に気負わないで。そのままでいいんだよ」

照「常に上を目指す、ひたむきなまっすぐさ。私は淡のそんなところに惹かれたんだから」

 どきりとする。照が言っているのは麻雀のことだと分かっているけれど、それでも。

照「ねえ、淡は麻雀を好き?」

 問いかけ。淡はその問いに対して、真摯に向き合って、考える。
 答えはすぐに出た。

淡「うん。好きだよ、テル」





142: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2012/10/02(火) 01:05:53.61 ID:uRKzyT2r0

 かつて、淡は麻雀のことを嫌いになりかけていた。
 その隔絶した実力が故の孤独。誰にも理解されず、疎まれた。
 自分を受け入れてくれない人間を、世界を、そしてその原因となった麻雀を呪いそうになっていた。
 そんな淡を救ってくれたのは、宮永照という存在に他ならない。
 自分よりも強い人がいてくれる。それが彼女にとってどれだけ救いになったことか。

淡「大好きだよ。この気持ちは決して嘘じゃない」

 万感の思いを込めて、高らかに告げる。
 その言葉は麻雀だけに向けられたものではない。

淡「だって、楽しいもん」

 麻雀を打つのも、SSを書くのも、楽しいからこそやっていたことだったのに。
 そんな基本的なことを、忘れかけていた。
 期待に応えたいと思うこと。それ自体はきっと大事なことだと思う。
 けれど、それに縛られて、自分を見失ってしまっていた。
 大将として抜擢された淡の麻雀も、
 てるあわの人と命名された淡のSSも、
 他でもない、淡自身が楽しんでやっていたこと。
 そして、それをこそ他の人は認めてくれていたのだ。
 照の言葉が、それを気づかせてくれた。




143: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2012/10/02(火) 01:06:42.40 ID:uRKzyT2r0


照「うん。これでいつも通りの淡だね」

 微笑む照。
 営業用に見せる満面の笑みとは違う、身内しか目にした事のない控えめな笑み。
 淡が大好きな表情だった。

淡「ねえ、テル。お願いがあるんだけど」
照「何?」

 上目遣いで、お願いを口にする。

淡「もう少しだけ、このままでもいい?」

 ここまできたら、思う存分に甘えてしまおうと。
 淡は、ねだった。
 元来、淡は我が侭な性質なのだ。
 そんな淡に対して照は、

照「もう……しょうがないな、淡は」

 言葉とは裏腹に全然困った顔はせず、指で淡の髪を梳く。
 少しくすぐったくて、淡は身をよじる。それはどことなく子猫を思わせた。
 照はそんな後輩の仕種を穏やかに見守る。
 そんな風にして、ゆったりと、二人の時間は流れていくのだった。






144: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2012/10/02(火) 01:07:25.32 ID:uRKzyT2r0

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 それから暫しの時間が経って、淡は自室のパソコンの前に座っていた。
 時刻は夜の9時。約束の時間はとうに過ぎてしまっている。罵倒されても、文句は言えない。
 緊張はしている。けれど、手が震えるようなことはない。
 一度深呼吸。
 そして、覚悟を決めた。
 ブラウザを立ち上げ、昨日自分が立てたスレッドを探す。
 スレッドはまだ残っていた。
 名前も知らない誰かが、保守してくれた結果。
 ありがとう、と思わず口にしていた。相手に聞こえるはずはないが、言わずにはいられなかったのだ。




145: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2012/10/02(火) 01:08:22.72 ID:uRKzyT2r0

 キーボードを叩き、文章を書き込む。
 真面目に礼の言葉を述べようとしたが、思い直す。
 大星淡はそういうキャラではない。
 だから、

  321:名無しさんの提供でお送りします
   ごめん。
   照とイチャイチャしてたら、遅れちゃいました。
   それでは、今から続きを書かせてもらいますね。

 なんて、礼儀のなってないゆとり全開なことを書き込んだ。

  322:名無しさんの提供でお送りします
   妄想乙。
   そんなのはいいから、続きはよ

 即座にレスが返ってきた。
 思わずにやついてしまう。妄想じゃないと知ったら、相手はどう思うだろう、なんて。
 もちろん、暴露なんてするはずもないが。

淡(馬鹿なこと言ってないで、続きを書かなきゃね)





146: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2012/10/02(火) 01:09:15.03 ID:uRKzyT2r0

 続きが思いつかず中断してしまったSS。
 一日中悩んで、それでも結局思いつかなかった。
 そして、今もそれは同じで。先の展開なんて何も頭にはない。

淡(まあ、なんとかなるって)

 しかし、淡の表情は悩みとは無縁のものだった。

淡(私は書きたいことを、そのままに書くだけ)

 キーボードを打鍵する。昨日とは打って変わって、途切れることなく音は連なっていく。

淡「だって、私のSSって元々はそういうものだったんだから」

 そこにあるのは、溢れんばかりの宮永照への想い。
 …・・・室内に響くのはキーボードを叩く音だけ。
 軽快で、リズミカルな打鍵音。それはまるで音楽を奏でているかのよう。
 それはさしずめ、一人の少女に向けられたラヴソングだった。




カン





147: てるあわー おまけ 2012/10/02(火) 01:18:37.89 ID:uRKzyT2r0



【おまけ】

 その日、渋谷尭深はいつものようにネットを巡回していた。
 様々な話題の種をばらまき、それが十分に育ったところで収穫する。
 それが、彼女の趣味、ハーベストタイムである。なお、麻雀における能力も同一名ではあるが、一切の関係はない。
 今日も何か面白いネタはないかと探していて、そのスレッドに辿り着いた。
 それは一編の照淡SS。
 照淡SSで思い出すのは、一人の後輩の姿。てるあわの人と呼ばれる、天才SS作家。

尭深(大星さん……大丈夫かな)

 最近はSSにおいても、麻雀においても調子を崩している後輩のことを、尭深は純粋に心配していた。
 しかし、心配はしているが中々声をかけることはできなかった。
 尭深は、淡の不調の原因が先日のテレビの放送によってSSの執筆がスランプに陥り、麻雀にまで影響を与えてしまっていたのだということを知っていた。
 知っていたからこそ、話せない。

尭深(大星さんはSSを書いてることを隠しているから、気軽に聞くことなんてできないし)

 心配で、でも相談に乗ってあげることもできなくて、じれったくて仕方がなかった。

尭深(でも、宮永先輩が気づいてくれたみたいだし、平気だよね?)

 今日の部活、照は淡に部屋に残るように言った。間違いなく、淡のことを心配して話を聞こうとしていたのだろう。
 そして、宮永照が動いたのなら何の心配はいらない。
 尭深はそう信じていた。

尭深(明日、部活で大星さんに会うのが楽しみ)

 久しぶりに彼女の元気な姿を見れると思って。
 しかし、明日を待つ必要はなかった。

尭深(あ、これって……)

 はじめは凡庸な文章が綴られているだけのSSだった。
 しかし、一度中断し、再開してからのそれは、正に別の作品。
 躍動する文章。その場に実際に存在するかのように振舞うキャラ。
 そして、何よりも作品内に溢れている、強烈な想い。
 その話にはヤマも、オチも、イミも、何もない。
 宮永照と大星淡という二人が楽しそうに、幸せそうに話している。
 ただそれだけの作品。
 だというのに、何故こうも――

 尭深は一気にその作品を読み終えた。
 その瞳からは一筋の涙。
 感動したのではない。ただ、嬉しかったのだ。
 だから、その喜びを簡潔に言葉にする。
 自分の気持ちを正直そのままに書き込むだなんて、いつ振りだろうか?



  871:名無しさんの提供でお送りします
   おかえりなさい。てるあわの人。



もいっこカン!





149: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2012/10/02(火) 01:27:20.50 ID:uRKzyT2r0


以上になります。
一応釈明しておきますと、作中で語ってるSS観は私がこのSS内で独自に設定したものであり、
私自身の主張とかそういうわけではないことをご理解いただけると助かります。

それと書いてる途中、こんなの思いついたけれども挟めるはずもなくww

【NG集】

淡「テル、関西弁似合ってないよー」

照「嫌どす」

淡「なんで京都弁……」

照「え?」

淡「え?」



……ごめんなさい。照どす、大好きなのです(ぁ



155: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/10/08(月) 17:14:30.96 ID:up7PYm2r0

おつやでえ


元スレ
SS速報VIP:【咲-saki-】 淡「風評被害?」 照「うん」