1: 以下、VIPがお送りします 2018/11/02(金) 23:37:48.40 ID:CYVqn0cJ2
気がつくと、私は学校の校舎にいた。
長く、人1人の気配もない廊下に、1人立っている。
明かりがついているはずなのに薄暗く、空気の流れすら感じない。
私は、わけもなく、その終わりの見えない廊下を、進み始める。
2: 以下、VIPがお送りします 2018/11/02(金) 23:38:53.04 ID:CYVqn0cJ2
数歩進んだところで、私はなんとなく、不快感を覚えた。
お腹の方から何か、圧迫されるような……
……
…………
………………トイレに行きたい。
内側からせり上がってくる緊張感の正体は、おそらく、いや、確実に、
「尿意」だ。
私はトイレを求めて、無限に続いていると思われる廊下を、ひたすら歩く。
けれどもさっぱりトイレはなくて、増幅する腹部の不快感とシンクロするように、1歩1歩の速さを早めていく。
廊下の脇には、教室、授業で書かれた絵、教室、啓発ポスター、教室、別の廊下の入口……
トイレは全く、現れない。
ガタンッ
「!」
突然、後ろから、何かの気配がした。
きっとそれは、真っ暗で、巨大て、あるはずなのに何もない、でもとてつもなく恐ろしい、何かだ。
それは今、無限の廊下の向こうから、こっちにやって来ている。
逃げなきゃ。
絶対にそれに追いつかれてはならないような気がして、私は走った。
永久に続く長い廊下を、全速力で走る。
けれども「それ」からは、全く逃れられない。
すぐ後ろまで近づいてきている気がする。
私は、縋るように、すぐそこにあった教室に飛び込む。
どれくらいの時間が経ったかわからない。
「それ」の気配は消えていた。
再び、誰もいない校舎に取り残された。
ほっと胸を撫で下ろして……とはいかず、代わって、先程までの腹部の不快感が強力になってやってきた。
教室を駆け出し、再びトイレを探して流浪する。
歩いても、走っても、目的地は見えない。
ぐるぐると渦巻く焦燥感と、一刻も早く出してしまいたいという欲求に心を支配され、この場に膝をついて力を抜いてしまいたくなる。
けれども、長い廊下に一抹の希望を抱いて、歩き続ける。
そして、見つけた。
左側の、ドアのない部屋に飛び込む。
ピンク色のタイルの床に、個室が並んでいるのが見えて、少し安堵する。
トイレは酷く煤けていて、しかもすべて和式であったが、もうそんなことを気にしている余裕もない。
両脚を擦り合わせながら、一番手前の個室に駆け込む。
私は白いそれを跨ぎ、慌ててズボンとパンツを下ろす。それとほぼ同時に……
しょおおおおおおおお
音を立てて、私の緊張感の根源が、流れ落ちる。
極限の緊張からの突然の解放は、絶大な快感となって、身体の全てを支配する。
私は、しばしその快感に身を委ね、放心していた。
快感のあまり、身体を支える脚が震える。
脚の間から流れる水のアーチは、とどまるところを知らない。
不意に、下半身が温かいものに包まれる感覚を覚え、困惑する。
その時、私の意識は、どこか遠くの方に吸い込まれた。
……
…………
………………
眼を開くと、見知った木製の天井がじんわりと見えてくる。
私は、いつの間に眠って……いや……
少しずつ、記憶が戻ってくる。
私は、昨日から、千咲の家に泊まっている。
私は床の上に敷いた布団の上に眠っていて、左を向くと、ベッドの上で千咲が眠っていた。
そこで、私は気づいてしまう。
下半身全体が、温かく湿っていることに。
嫌な予感がして、布団をめくろうとする。
むわっ……と、温まった空気とともに、それ特有の臭いが鼻をついた。
私はそれ以上、布団を捲るのをやめた。
…………やってしまった。
実は、昨日の夜からそういう感じはしていた。
夜中に起きた時、トイレに行こうとした。
が、行けなかった。
トイレまでの道程が、なんとなく前に見た、薄暗い夢に似ていて。
1人では絶対に行きたくないと感じた。
だから、千咲を起こすことにした。
「千咲、千咲、起きて」
私は悪いと思いながらも、寝ている千咲の身体を揺さぶった。
「千咲、ねえ」
千咲の方はだいぶ熟睡していたようで、喫茶店だとかパソコンだとか呟いて、また寝息を立て始めた。
一度は諦めた。
諦めて、1人でトイレに行こうとした。
暗い、何も見えない、鏡がある、こわい。
やっぱりだめだった。だめだったよ千咲。ねえ。
「千咲ーーーー」
また千咲を揺さぶる。
千咲は息を吸い込み、僅かに目を開ける。
「千咲、トイレについてきて」
千咲は数秒ほどこっちを見てから、ぷいっと向こうを向いてしまった。
「白羽先輩……」
だめだ、寝ぼけている。
千咲を起こすのはどうやら無理みたいだ。
さて、どうしようか。
『千咲が起きるまで待つか』
『1人でトイレに行くか』
私は、トイレに行くのを諦めて、布団に入った。
――というのが、昨夜の出来事。
カーテンからは朝日が漏れだし、時計は6時を指している。
私は絶望のどん底にいるというのに、千咲はまだ寝息を立てて寝ている。
こうなったのは千咲のせいなのだ。
布団からできるだけ身体を動かさず、寝ている千咲の顔をのぞき込む。
むっと頬を膨らませてみたが、千咲の表情は変わらない。
ついでに千咲のおでこに指を近づけて……
ペチッ
「ぅひ……!?」
デコピンした。
何をされても起きないと思っていた千咲は、むくりと身体を起こした。
それにびっくりして、慌てて湿った布団に戻る。
「朝ですか、黒奈さんおはようございます」
寝起き特有のいつもより低めの声で、千咲が伸びをする。
「おはよう」
「黒奈さん……勘違いだったら申し訳ないんですけど、寝ている時何かしませんでしたか?」
「してない」
「そうですか、夢でしたか」
「そう、夢」
千咲が起き上がってくる。
私は起き上がらない。
いや、起き上がれない。
「???黒奈さん、起きて朝ごはん食べますよ」
「…………」
「黒奈さん?…………ん?」
くんくん、と、千咲が鼻を動かす。
まずい。
「…………」
「……黒奈さん、布団めくってもらってもいいですか?」
「……やだ」
「なんでですか」
「それも千咲の夢」
「一応確認したいことがあるんです」
「だめ」
「…………」
千咲が、ばっと私の布団を引っぺがした。
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「……黒奈さん?これは?」
「…………」
「黒奈さん?」
「……千咲のせいだもん」
「えっ」
「千咲が起きなかったから……」
「どうして起こすんですか!?」
「だって怖いから……」
「トイレすぐそこじゃないですか、私ここにいますし…」
「千咲がいなくなるかもしれない」
「いなくなりませんよ」
「でもこわい」
「こわくないですっ」
「こわい」
「ええ…………」
「はぁ……しょうがないですね、布団乾かしてそれも洗っちゃいましょう、脱いでください。あとシャワー浴びて来てください」
「……うん」
浴室の扉を閉じて、びしょびしょのズボンとパンツを脱ぐ。
人の家で衣類を全て脱ぐという体験がなかったので、なんだか急に恥ずかしくなった。
千咲は着替えも準備してくれたし、シャワーを浴びて出てくると、もう布団が干してあった。
「千咲」
「なんですか?」
「ごめん」
「どうして謝るんですか……?」
「なんかいろいろ」
「ところで、千咲」
「はい」
「どうしてそんなに手馴れてるの?」
「…………!!!それは!」
「秘密ですっ」
「…………?」
おわりです
オチが思いつきませんでした
元スレ
数歩進んだところで、私はなんとなく、不快感を覚えた。
お腹の方から何か、圧迫されるような……
……
…………
………………トイレに行きたい。
内側からせり上がってくる緊張感の正体は、おそらく、いや、確実に、
「尿意」だ。
3: 以下、VIPがお送りします 2018/11/02(金) 23:40:10.87 ID:CYVqn0cJ2
私はトイレを求めて、無限に続いていると思われる廊下を、ひたすら歩く。
けれどもさっぱりトイレはなくて、増幅する腹部の不快感とシンクロするように、1歩1歩の速さを早めていく。
廊下の脇には、教室、授業で書かれた絵、教室、啓発ポスター、教室、別の廊下の入口……
トイレは全く、現れない。
4: 以下、VIPがお送りします 2018/11/02(金) 23:40:47.81 ID:CYVqn0cJ2
ガタンッ
「!」
突然、後ろから、何かの気配がした。
きっとそれは、真っ暗で、巨大て、あるはずなのに何もない、でもとてつもなく恐ろしい、何かだ。
それは今、無限の廊下の向こうから、こっちにやって来ている。
逃げなきゃ。
絶対にそれに追いつかれてはならないような気がして、私は走った。
5: 以下、VIPがお送りします 2018/11/02(金) 23:41:39.68 ID:CYVqn0cJ2
永久に続く長い廊下を、全速力で走る。
けれども「それ」からは、全く逃れられない。
すぐ後ろまで近づいてきている気がする。
私は、縋るように、すぐそこにあった教室に飛び込む。
6: 以下、VIPがお送りします 2018/11/02(金) 23:42:22.65 ID:CYVqn0cJ2
どれくらいの時間が経ったかわからない。
「それ」の気配は消えていた。
再び、誰もいない校舎に取り残された。
ほっと胸を撫で下ろして……とはいかず、代わって、先程までの腹部の不快感が強力になってやってきた。
教室を駆け出し、再びトイレを探して流浪する。
7: 以下、VIPがお送りします 2018/11/02(金) 23:42:59.52 ID:CYVqn0cJ2
歩いても、走っても、目的地は見えない。
ぐるぐると渦巻く焦燥感と、一刻も早く出してしまいたいという欲求に心を支配され、この場に膝をついて力を抜いてしまいたくなる。
けれども、長い廊下に一抹の希望を抱いて、歩き続ける。
8: 以下、VIPがお送りします 2018/11/02(金) 23:43:54.67 ID:CYVqn0cJ2
そして、見つけた。
左側の、ドアのない部屋に飛び込む。
ピンク色のタイルの床に、個室が並んでいるのが見えて、少し安堵する。
トイレは酷く煤けていて、しかもすべて和式であったが、もうそんなことを気にしている余裕もない。
両脚を擦り合わせながら、一番手前の個室に駆け込む。
9: 以下、VIPがお送りします 2018/11/02(金) 23:44:37.73 ID:CYVqn0cJ2
私は白いそれを跨ぎ、慌ててズボンとパンツを下ろす。それとほぼ同時に……
しょおおおおおおおお
音を立てて、私の緊張感の根源が、流れ落ちる。
極限の緊張からの突然の解放は、絶大な快感となって、身体の全てを支配する。
私は、しばしその快感に身を委ね、放心していた。
10: 以下、VIPがお送りします 2018/11/02(金) 23:45:15.75 ID:CYVqn0cJ2
快感のあまり、身体を支える脚が震える。
脚の間から流れる水のアーチは、とどまるところを知らない。
不意に、下半身が温かいものに包まれる感覚を覚え、困惑する。
その時、私の意識は、どこか遠くの方に吸い込まれた。
11: 以下、VIPがお送りします 2018/11/02(金) 23:46:00.67 ID:CYVqn0cJ2
……
…………
………………
眼を開くと、見知った木製の天井がじんわりと見えてくる。
私は、いつの間に眠って……いや……
少しずつ、記憶が戻ってくる。
私は、昨日から、千咲の家に泊まっている。
私は床の上に敷いた布団の上に眠っていて、左を向くと、ベッドの上で千咲が眠っていた。
12: 以下、VIPがお送りします 2018/11/02(金) 23:46:27.19 ID:CYVqn0cJ2
そこで、私は気づいてしまう。
下半身全体が、温かく湿っていることに。
13: 以下、VIPがお送りします 2018/11/02(金) 23:47:00.46 ID:CYVqn0cJ2
嫌な予感がして、布団をめくろうとする。
むわっ……と、温まった空気とともに、それ特有の臭いが鼻をついた。
私はそれ以上、布団を捲るのをやめた。
…………やってしまった。
14: 以下、VIPがお送りします 2018/11/02(金) 23:47:29.00 ID:CYVqn0cJ2
実は、昨日の夜からそういう感じはしていた。
夜中に起きた時、トイレに行こうとした。
が、行けなかった。
トイレまでの道程が、なんとなく前に見た、薄暗い夢に似ていて。
1人では絶対に行きたくないと感じた。
だから、千咲を起こすことにした。
15: 以下、VIPがお送りします 2018/11/02(金) 23:47:59.73 ID:CYVqn0cJ2
「千咲、千咲、起きて」
私は悪いと思いながらも、寝ている千咲の身体を揺さぶった。
「千咲、ねえ」
千咲の方はだいぶ熟睡していたようで、喫茶店だとかパソコンだとか呟いて、また寝息を立て始めた。
16: 以下、VIPがお送りします 2018/11/02(金) 23:48:44.93 ID:CYVqn0cJ2
一度は諦めた。
諦めて、1人でトイレに行こうとした。
暗い、何も見えない、鏡がある、こわい。
やっぱりだめだった。だめだったよ千咲。ねえ。
17: 以下、VIPがお送りします 2018/11/02(金) 23:49:28.04 ID:CYVqn0cJ2
「千咲ーーーー」
また千咲を揺さぶる。
千咲は息を吸い込み、僅かに目を開ける。
「千咲、トイレについてきて」
千咲は数秒ほどこっちを見てから、ぷいっと向こうを向いてしまった。
「白羽先輩……」
だめだ、寝ぼけている。
千咲を起こすのはどうやら無理みたいだ。
さて、どうしようか。
18: 以下、VIPがお送りします 2018/11/02(金) 23:50:06.46 ID:CYVqn0cJ2
『千咲が起きるまで待つか』
『1人でトイレに行くか』
私は、トイレに行くのを諦めて、布団に入った。
19: 以下、VIPがお送りします 2018/11/02(金) 23:50:41.64 ID:CYVqn0cJ2
――というのが、昨夜の出来事。
カーテンからは朝日が漏れだし、時計は6時を指している。
私は絶望のどん底にいるというのに、千咲はまだ寝息を立てて寝ている。
20: 以下、VIPがお送りします 2018/11/02(金) 23:51:09.04 ID:CYVqn0cJ2
こうなったのは千咲のせいなのだ。
布団からできるだけ身体を動かさず、寝ている千咲の顔をのぞき込む。
むっと頬を膨らませてみたが、千咲の表情は変わらない。
ついでに千咲のおでこに指を近づけて……
ペチッ
「ぅひ……!?」
デコピンした。
21: 以下、VIPがお送りします 2018/11/02(金) 23:51:47.05 ID:CYVqn0cJ2
何をされても起きないと思っていた千咲は、むくりと身体を起こした。
それにびっくりして、慌てて湿った布団に戻る。
「朝ですか、黒奈さんおはようございます」
寝起き特有のいつもより低めの声で、千咲が伸びをする。
「おはよう」
22: 以下、VIPがお送りします 2018/11/02(金) 23:52:16.21 ID:CYVqn0cJ2
「黒奈さん……勘違いだったら申し訳ないんですけど、寝ている時何かしませんでしたか?」
「してない」
「そうですか、夢でしたか」
「そう、夢」
千咲が起き上がってくる。
私は起き上がらない。
いや、起き上がれない。
23: 以下、VIPがお送りします 2018/11/02(金) 23:52:49.23 ID:CYVqn0cJ2
「???黒奈さん、起きて朝ごはん食べますよ」
「…………」
「黒奈さん?…………ん?」
くんくん、と、千咲が鼻を動かす。
まずい。
「…………」
「……黒奈さん、布団めくってもらってもいいですか?」
24: 以下、VIPがお送りします 2018/11/02(金) 23:53:21.53 ID:CYVqn0cJ2
「……やだ」
「なんでですか」
「それも千咲の夢」
「一応確認したいことがあるんです」
「だめ」
「…………」
千咲が、ばっと私の布団を引っぺがした。
25: 以下、VIPがお送りします 2018/11/02(金) 23:53:57.96 ID:CYVqn0cJ2
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「……黒奈さん?これは?」
「…………」
「黒奈さん?」
「……千咲のせいだもん」
「えっ」
26: 以下、VIPがお送りします 2018/11/02(金) 23:54:28.98 ID:CYVqn0cJ2
「千咲が起きなかったから……」
「どうして起こすんですか!?」
「だって怖いから……」
「トイレすぐそこじゃないですか、私ここにいますし…」
「千咲がいなくなるかもしれない」
「いなくなりませんよ」
「でもこわい」
「こわくないですっ」
「こわい」
「ええ…………」
27: 以下、VIPがお送りします 2018/11/02(金) 23:55:01.42 ID:CYVqn0cJ2
「はぁ……しょうがないですね、布団乾かしてそれも洗っちゃいましょう、脱いでください。あとシャワー浴びて来てください」
「……うん」
浴室の扉を閉じて、びしょびしょのズボンとパンツを脱ぐ。
人の家で衣類を全て脱ぐという体験がなかったので、なんだか急に恥ずかしくなった。
28: 以下、VIPがお送りします 2018/11/02(金) 23:55:34.40 ID:CYVqn0cJ2
千咲は着替えも準備してくれたし、シャワーを浴びて出てくると、もう布団が干してあった。
「千咲」
「なんですか?」
「ごめん」
「どうして謝るんですか……?」
「なんかいろいろ」
29: 以下、VIPがお送りします 2018/11/02(金) 23:56:07.22 ID:CYVqn0cJ2
「ところで、千咲」
「はい」
「どうしてそんなに手馴れてるの?」
「…………!!!それは!」
「秘密ですっ」
「…………?」
30: 以下、VIPがお送りします 2018/11/02(金) 23:56:38.45 ID:CYVqn0cJ2
おわりです
オチが思いつきませんでした
黒奈「おねしょ」
サターニャ「んなっ!?あの後輩天使…そんな悪魔的行為を!?ガヴリールなんかよりよっぽど凶悪じゃない!」
ヴィーネ「え?…タプちゃんがそんな…?」