1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/01(火) 19:44:30.79 ID:CmX0DxHi0

衣「ん? お前は……」

誠子「ん?」

衣(どこかで見たな……あ、白糸台の副将だ)

誠子「はじめまして」

衣「衣はお前のことを大会で見かけたぞ。亦野せーこだな?」

誠子「大会……?」

誠子(衣……? あれ、誰だっけ。見た覚え無いな……なんの大会だろう)

衣「大会では大層目立っていたぞ(戦犯的な意味で)」

誠子「私が目立ってた大会……?」



誠子(あ、この前の釣り大会の選手か)



2: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/01(火) 19:48:29.79 ID:CmX0DxHi0

誠子(時間内に釣った魚を100点満点で評価して点数を競う大会だったな。
私は82点でベスト3に入ったやつだ)

誠子「衣ちゃんは全国出たの?」

衣「いや、衣たちは全国に行けなかった。他校の選手に僅差で破れてしまってな」

誠子「そっか……何点差くらいだったの?」

衣「たしか1500点差くらいだった」

誠子「――いやそれ大分離されてるよ! 1500!? まず相手がすごいよそれ」

衣「そんなことない。僅差じゃないか」

誠子「いや1500点差はかなりすごいよ。私とか2位と5点差だったし」

衣「5点? なんだその5点って。どこから出てきたんだそんな数字」

誠子「まあ一位には及ばなかったけどね。一位の選手がなんと100点の大物出しちゃってさ」

衣「いや100点は全然大物ではないぞ」



7: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/01(火) 19:56:16.99 ID:CmX0DxHi0

誠子「まあ運の要素も強い勝負だからね。初心者にすごい大物がきたりするんだよね」

衣「うむ。だが衣は運に頼ったことなどないぞ」

誠子「まあね。やっぱ大物は自分で引き当てないとね」

誠子「私は結構河とか好きなんだけど、こう、じーっと河を見れば
どこになにがいるかなんとなく分かるんだよね」

衣「衣はどちらかと言うと河よりも山を見るぞ」

誠子「え、山!? 山を見るの?」

衣「うむ。山を眺めているとどこになにがあるか分かるんだ」

誠子「へー、山……。山……? んー……?」

衣「山が小さくなっていくにつれて衣の勝利も近づいていくんだ」

誠子「え、山が小さくなる!? 試合中に山が小さくなっていくの?」

衣「当然だろう」

誠子「なにそれ怖い……なんか大災害起こってるよそれ」



9: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/01(火) 20:03:47.69 ID:CmX0DxHi0

衣「もっとも、昼では本調子は出ないがな。衣は夜に強くなるんだ」

誠子「夜かー。夜もいいよね」

衣「うむ。夜になるほどに衣の海も深まるからな」

誠子(夜の海釣りか。ちょっと危ないな)

衣「対戦者をその海の底へ引きずり込むのが衣の戦い方だ」

誠子「危ない! なんてことするんだよ! そんな直接的な方法つかっちゃだめだよ」

衣「やはり危険か。衣と戦った者は皆世界の終焉を見るような顔をする」

誠子「当たり前だよ! 夜の海に引きずり込まれたらそりゃ絶望するよ」



10: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/01(火) 20:13:40.57 ID:CmX0DxHi0

誠子「でも夜の海ってのもオツだよね。なんか見えなくてもいるって気配が伝わるんだよね」

衣「確かに。衣はいつも海の底にあるのを狙うんだ」

誠子「海底……? そんな深いの狙うの? すごいね」

衣「海の底に眠る最後の一つをこの手で掴んだときは勝利を確信するぞ」

誠子「え、手づかみ!? 手でつかむの!?」

衣「? 無論だ」

誠子「え、海底にいるのを手でつかむの? そんなことできるの?」

衣「やはり驚くか。衣と戦った者たちも皆同じように驚いていた」

誠子「いや当たり前だよ。すごい荒業だよそれ。普通は違うとり方すると思うよ」



14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/01(火) 20:29:39.51 ID:CmX0DxHi0

衣「ほう、ではせーこはどうやって取るのだ?」

誠子「私は結構正統派かな。普通に獲物がかかるまで待つよ。長い時は1時間くらい」

衣「え、1時間!? 1時間も待つのか!?」

誠子「うん。ボーっと」

衣「え、その待ってる間ほかの選手は何をしているんだ?」

誠子「いやー、そういう時に限って他の選手が私を差し置いてバンバン
取っちゃったりしてるんだよね」

衣「滅茶苦茶じゃないか! もうルールが崩壊しているぞそれは!」

誠子「だから私も負けじと必死に河から取ろうとするんだよね」

衣「いや河はダメだろう! 河にあるものに手をつけるな。取るなら山から取れ」

誠子「山から取ってどうするの。河だよ」

誠子「でもそうやって皆で河を狙ってると、さっきまで河にいたはずのがいつのまにか
消えちゃってたりするんだよね」

衣「イカサマじゃないか! イカサマをされているぞそれは! 審判はなにをしているんだ」



16: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/01(火) 20:40:27.70 ID:CmX0DxHi0

誠子「でもさ、大会中だってのにマナー悪い人もいるんだよね」

衣「確かに。衣の県にもマナーの悪い選手がいたぞ」

誠子「やっぱどこにでもいるんだね。うちの県にもさ、大会中に河にいらないものとか
捨てていく選手がいてさー」

衣「いやそれは当たり前だろう」

誠子「え?」

衣「河にはいらないものを捨てるに決まっているだろう」

誠子「当たり前じゃないよ。何いってんの」

誠子「だからさ、私は選手が河に捨てたものを全部ちゃんと拾ったんだ」

衣「だから河にあるものに手をつけるなと言っているだろう!」

誠子「ええ!?」

衣「他校の選手が河に捨てたものを勝手に拾うのはルール違反ではないか!」

誠子「ルール違反じゃないよ。立派だよ」

衣「拾うときはちゃんと拾う宣言をしなくてはならないんだぞ」

誠子「いるわけないでしょ!」



21: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/01(火) 20:58:02.41 ID:CmX0DxHi0

誠子「でもまあ、なかなか大物と巡り合わないんだよね」

衣「うむ。衣が全力を出せるような強者はなかなかいない」

衣「だが県予選で加治木たちと戦ったときはとても楽しかったぞ」

誠子「旗魚!? 旗魚と戦ったの!? すごい大物だね」

衣「うむ。衣の支配を、巧みに鳴いて回避していた」

誠子「え、鳴いたの? 旗魚が?」

衣「うむ。なかなか見事な鳴きだった」

誠子「へー、そんな場面見たことないな」

衣「だから衣も鳴き返して応戦したんだ」

誠子「――いや意味ないよそれ。旗魚相手に鳴き返したってどうにもならないでしょ」

衣「そんなことはない。衣が鳴くと加治木は観念したように大人しくなった」

誠子「え、なんで!? すごい効果だね。今度私もやってみようかな」



25: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/01(火) 21:15:38.48 ID:CmX0DxHi0

衣「それと猫みたいなのとも戦ったぞ」

誠子(猫? どんな魚だろう。ネコザメ?)

衣「急にニャーと咆号しだした」

誠子「それ完全に猫じゃん! 海で溺れてるんだよ!」

衣「うむ。一時は瀕死だったのだが、そこから急に活力が蘇った。
だから衣は今度こそトドメを刺そうとしたんだ」

誠子「なんでだよ! 助けてあげなよ!」

衣「もう一歩というところで他校の選手が助けてな。あれはすごかった。自分の点数を減らしてまで他者を助けるとは」

誠子「え、点数減ったの?」

誠子(そっか。猫を助けるために海に入っちゃったりしてペナルティくらったのかな)

衣「うむ。助けた代償として16900点も減ることになった」

誠子「ペナルティ大きすぎでしょ! なんでそんなに減らされるの! 
もう負け確定じゃん!」

衣「いや、その後逆転勝利した」

誠子「どんなすごいのゲットしたの! そっちのほうがビックリだよ!」



28: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/01(火) 21:23:21.78 ID:CmX0DxHi0

衣「せーこはどんな戦い方をするのだ?」

誠子「私? 私はねえ、とにかくじっと待つ。獲物が食いつくまでじっと我慢だね」

衣「わかるぞ。衣も、ここで待つと決めたらじっと待つ。そして最後の最後にそれを手に入れる」

誠子「そうそう。獲物がかかったときは嬉しいよね」

衣「うむ。それが成功すると、みな死んだ魚のような目をする」

誠子「まあそりゃね。当たり前だね」

誠子「私とか嬉しくて、思わずかかった獲物の口を押さえて、おもいっきり持ち上げて
「獲ったどー!」ってやっちゃうよ」

衣「いやそれはやりすぎだろ。マナー違反どころの話じゃないぞ」

誠子「え、そうかなあ?」

衣「かかった獲物の口を押さえて持ち上げるのか?」

誠子「うん。片手でこう持って」

衣「片手!? 片手で持ち上げるのか!? 見かけによらず怪力なんだな……」

誠子「うん。記念に写真も獲ったよ」

衣「え、写真!? かかった獲物と写真を獲ったのか?」

誠子「うん。まあちょっとだけ注意されたりするけどね」



33: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/01(火) 21:37:54.55 ID:CmX0DxHi0

衣「せーこは強いのか? 聞いていると熟練の猛者に聞こえるが」

誠子「ぼちぼちだねー。あ、でも大会ではそこそこのが食いついてきたよ。点数もいっぱいもらっちゃった」

衣「ほう、いくらだ?」

誠子「たしか80点くらいだったかな」

衣「低っ! え、80!? どうやればそんな点数になるんだ?」

誠子「低くないよ。十分高得点なんだから。そういう衣ちゃんは何点くらいのとったことあるの?」

衣「衣は最低でも12000点はとるぞ」

誠子「12000!? え、なにそのバラエティ番組の最後の得点みたいな点数。そんな点数出ちゃうの? 絶対勝てるじゃん」

衣「加治木も「馬鹿な!?」と驚いていた」

誠子「え、旗魚が喋ったの?」

衣「無論だ。加治木もしゃべるくらいするだろう」

誠子「えー聞いたことないな……」



34: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/01(火) 21:44:52.25 ID:CmX0DxHi0

衣「そうだ、せーこも今度衣と遊ぼう!」

誠子「お、もちろんいいよ。衣ちゃんは普段どこでやってるの?」

衣「衣は家の中でとーか達とするぞ」

誠子「家!? 家にそんなことできる場所があるの!?」

衣「なにを驚いている。とりわけ稀有というわけでもないだろう」

誠子「いやなかなかないと思うけど……」

衣「では誠子はいつもどこで遊んでいるんだ?」

誠子「私は普通に外でするよ」

衣(雀荘か。たまにはそれも悪くないな)

衣「近くにあるのか?」

誠子(衣ちゃんは海釣りがメインって言ってたな。私の知ってる限りだと……)

誠子「まあ新幹線で1時間くらいのところにあるよ」

衣「遠いな! え、いちいちそんなに遠出をするのか? 近場にありそうなものだが」

誠子「いやー、なかなかね。やっぱ東京にはできる場所少ないから」

衣「そうなのか……今時めずらしいな」



37: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/01(火) 21:54:07.69 ID:CmX0DxHi0

誠子(そういえば海釣りも最近は全然してないな)

誠子「夜にするのもなかなかいいんだよね。こう、月が海に映り込んで綺麗でさ」

衣「うむ。それはまさに衣の最も得意とするものだ」

誠子「別に大物が来なくても、ヨットの上でじっとしてるだけでも楽しいんだよね」

衣「ヨット!? ヨットの上でするのか!?」

誠子「え、衣ちゃんはヨット使わない?」

衣「使うはずがないだろう。なぜわざわざ……ヨットに道具を持ち込むのか?」

誠子「そりゃそうでしょ」

衣「えー……揺れたら大変そうだな」

誠子「まあ冬とかちょっと寒いけどね」

衣「冬はコタツに入ってすると暖かいぞ!」

誠子「え、コタツに入ってするの!? どうやって?」

衣「まあ流石に全自動は無理だから、全て手でするんだ。それもまた楽しいんだ!」

誠子「あ、そこも手づかみなんだ。えー……コタツ入りながら手づかみか……ダルシムでも
ちょっとキツそうだね」



39: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/01(火) 22:00:37.83 ID:CmX0DxHi0

衣「あ、衣そろそろ帰らないと」

誠子「お、こんな時間か。じゃあまたね」

衣「誠子はこのあとどうするんだ?」

誠子「私はこの後も一人でしばらくやっていくよ」

衣「え、一人で? 一人でするのか?」

誠子「? うん。私は基本的に一人ですることが多いかな」

衣「一人か……衣も長らく孤独だったが、さすがに一人ではしなかったぞ」

誠子「そう? 案外楽しいよ?」

衣「一人でどうやってするんだ?」

誠子「何って、普通に獲物がかかるのを待つだけだよ」

衣「かかるわけないだろう! なぜ一人でやって獲物がかかるんだ」

誠子「かかるよ。来ないかなー、って待ってたら、お、キタ! って」

衣「それはもう自作自演ではないか!」



40: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/01(火) 22:01:35.48 ID:CmX0DxHi0

帰り道

誠子「いやー、今日はすごい子と会っちゃったな。まさか100点満点の大会で
12000点の大物を出す子がいるなんて。私もがんばらなきゃ」

誠子「せっかくだしここで何か釣って帰るか」

誠子「そりゃ」ヒュッ  ポチャン

誠子「――お、キタキタ! これは大きい!」

ザバァッ!

泉「最強の一年やでー!」ばばーん

誠子「……」

誠子「しまった。これは魚じゃない」



誠子「井の中の蛙だ」

泉「やかましいわ」




カン



47: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/01(火) 22:09:50.84 ID:CmX0DxHi0

支援ありがとうございました。書いてて初めて芸人ってすごいと思った


元スレ
衣「ショートコント!」誠子「釣りと麻雀!」