1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/26(水) 15:45:03.42 ID:4kOldd2U0

恭子「Zzz」

「あなたから~メリクリスマ~ス わたしっからメリクリスマス サンタクロースィズカーミントゥタ~ン」トントン

恭子「ん……ぐう…」Zzz

「あわてんぼうのサンタクロース~ クリスマスまえーにやってきた~ いそいでリンリンリン いそいでリンリンリン ならしておくれよ鐘を~」トントントン

恭子「……んあ…?」ウトウト

「ジンゴゥベ~ゥ ジンゴゥベ~ゥ ジンゴゥオ~ザウェ~ きょうは~たのしいクリスマスのよ~る~」トントントントン

恭子「……んー……だれや、あさっぱらから……ゆかいな歌ごえにのせて窓をたたいとんのは……」窓アケ

郁乃「あ、やっと起きたな末原ちゃ~ん、メリ~クリスマ~ス」

恭子「……アハッピニューイヤー」窓トジ

「あ、ひどい!ひどいで末原ちゃん!こんな気合いれてサンタコスまでしとんのに~」ドンドン

恭子「クリスマスはもう終わりましたよ、また来年どうぞ」

「姫松のサンタは遅れてやってくるんやで~」

恭子「へえ…ていうか、ここ2階なんですけど……サンタって空中浮遊もできるんですか?スゴイナー」

「ふふ~、ニンジャの国ニッポンにはカギ爪っちゅーもんがあってやな~」

恭子「あんた人んちの壁にカギ爪立てとんの!?」



4: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/26(水) 15:53:18.73 ID:4kOldd2U0

郁乃「おじゃましま~す」

恭子「あーあ……もう、しっかり傷ついとるやないですか……おかあさんに怒られる……」

郁乃「煙突があったらこんなことにはならんかったんやけどな~」

恭子「……へえ、煙突があったらどうなってたんですか?」

郁乃「そら煙突まではソリで行って入ってきてたで~」

恭子「できれば窓までもソリで来てほしかったですね」

郁乃「あはは!あははははははは!ふひひひひひはは!ひー…ひー…!あかん、笑い死ぬ…笑い死んでまう~!ひゃはははははははははははははは!!!」

郁乃「けどそらできんな」

恭子「なんやねんもう…」

郁乃「だいたい末原ちゃん!なんやおかあさんって!おかあさんってなんやねん!」

恭子「…別にええやないですか、子どものころからそう呼んでるんですよ」

郁乃「ちゃうねん、うちが言いたいのはそんなことやなくてやな~」

恭子「…?」

郁乃「おかあさんにビビッててサンタが務まりますか、ってことや」

恭子「……は?」



7: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/26(水) 16:01:08.62 ID:4kOldd2U0

恭子「あの……意味がようわからんのですけど……」

郁乃「言うたやろ、姫松のサンタは遅れてやってくる……末原ちゃんがサンタになって大阪じゅうにプレゼントを届けるんや!」

恭子「だ、代行がサンタなんやないんですか…?」

郁乃「うちは末原ちゃんだけのサンタさんやで!」

恭子「……プレゼントもらってませんけど」

郁乃「じゃあこのサンタさんの衣装あげよな~」ヌギヌギ

恭子「ちょっ!?ななな、なに脱いどんですかこんなと…――あ」

郁乃「ふふ~下はちゃんと普通の服着とるで~なに想像したん~?末原ちゃんのエッチ~」

恭子「あー……あーもう嫌や…もう嫌やわー…」

郁乃「怒っちゃダ~メ」

恭子「…怒ってませんよ」

郁乃「わかったわかった、お詫びにトナカイさんも用意したるわ ちょっとケータイ貸して~」

恭子「あ、ちょっと!」

Prrrrr

郁乃「あ、もしもし漫ちゃん~?うちうち、恭子やけど~」



8: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/26(水) 16:10:35.86 ID:4kOldd2U0

漫「騙すなんてひどいですよ!」(縄でグルグル巻きにされてる)

郁乃「大義のためやからなあ…心が痛んだわ~…」

恭子「なにが大義ですか…ウッキウキやったやないか」

郁乃「やるからにはウキウキせんと!なにかを嫌々やるくらいならやらなええねん!」

恭子「あ、ちょっといい方向に話が行きそうですね」

漫「せんぱーい……たすけてくださいよー……」

恭子「……」

恭子(なんやろ…あれで騙されるような漫ちゃんを助けるんはちょっと…嫌っちゅーか…)

漫「せんぱーい……」

郁乃「むだやで!漫ちゃんはトナカイさんになって末原ちゃんと一緒にプレゼント配りに行くんや!」

漫「なんですかそれ!?」

郁乃「まず鼻を赤く塗って~」ペタペタ

漫「やー!やめてください!せんぱい!なぜみてるんです!」

郁乃「トナカイさんの服も着せたるで~」

漫「いやー!!」



10: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/26(水) 16:22:43.05 ID:4kOldd2U0

郁乃「ツノをつけたらできあがり~」

漫「なんやこれ……なんやこれ!」

恭子(…ちょっと、かわいいな)

郁乃「ささ、そしたら末原ちゃんもサンタに着替えて~」

恭子「ほんまにやるんですか…?」

郁乃「あったりまえやろ~もうトナカイもおるんやで~」

恭子「…はあ、わかりましたよ」

漫「せんぱい!ほんまにやるんですか!?」

恭子「なんかもういろいろ諦めたで…」

漫「せんぱい……」

郁乃「ええ覚悟や…さすがは……ええと……ん~…あ、三年生!三年生さんってとこやな!」

恭子「そんな無理してほめられるとなんや凹みますね…」

郁乃「メゲちゃう?末原ちゃんメゲちゃう~?」

恭子「怒りますよ」

郁乃「やんやん」



12: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/26(水) 16:32:20.08 ID:4kOldd2U0

恭子「ふう……着替え終わりました」

漫「!!」

郁乃「あら~お似合いやな~」

漫(かわいい!なんやあれ、反則やわ!)

恭子「ちゅーか、なんでサンタがスカートなんですか…あほちゃうか…」

郁乃「あほだらけやからな~、この国」

恭子「わたしらも大概やと思いますけどね…クリスマス終わったのにこんなかっこして…」

郁乃「うちはもうしてへんけどな」

恭子「あー…あーなるほどなー……」

郁乃「ふふ~、はい、じゃあこれプレゼントの袋」

漫「おお、おっきい…」

恭子「こんなんどこに隠しとったんですか…?」

郁乃「ひみつ~」

郁乃(ほんまはなかみ全部ふうせんで、こっそりふくらましただけなんやけどな~)

郁乃「さあ!こいつをしっかり届けてきてや~!」ポンッ



14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/26(水) 16:42:51.48 ID:4kOldd2U0

――まち

恭子「さむっ…」

漫「せんぱーい…もう帰りましょうよー…」

恭子「そうは言うてもなー…わたしの家は代行に乗っ取られてもうたからな…」

漫「あ…わたしも服とられたまんまや…」

恭子「……はあ」

子ども「あー!ママー、サンタさんだじぇー!」

母親「そんなオカルトありえません」

子ども「ええー!でもほんとにー!」

母親「もう、クリスマスが終わったのにサンタなんて、冗談はヨセフですよ」

子ども「ほんとなのにー…」

恭子「…」カアァ

漫「…」カアァ

恭子「はよ終わらせて帰ろか…」

漫「はい…」



15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/26(水) 16:52:35.95 ID:4kOldd2U0

??「あ、あれ……サンタさんか…?」

恭子&漫「!?」

洋榎「やっぱりそうや!おーい、サンタさーん!」フリフリ

恭子(しゅ、主将…!?)

恭子(うわあ、最悪や…こんなことしとんの知りあいにバレたら恥ずかしすぎるで…!)

漫(走ってきますよ…!どないするんですか…!?)

恭子(……しゃーない、まかせとき)

漫(! せんぱい、なにかええ案が?)

恭子(……)コクン

洋榎「おーい、サンタさんでっしゃろー?」フリフリ

恭子「ふぉっ…ふぉっふぉっふぉっ、そうじゃが?」

漫「!!?」

洋榎「やっぱり!けったいな格好しとるんですぐに分かりましたわ!」

恭子「ふぉっふぉっふぉっ」

漫(くるしい!くるしいで!ひげで顔隠してもこれはくるしい!!)



17: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/26(水) 17:01:11.88 ID:4kOldd2U0

洋榎「あれ…せやけど、もうクリスマスは…」

恭子「ふぉふぉっ!?」

洋榎「……終わったはずやけど」ジーッ

恭子「え……えーっと……」

洋榎「…」ジーッ

漫「……じ、じつはっ!」

恭子「!?」

漫「ぼ、ぼくが足を怪我しちゃって遅れたんだ…トナ」

恭子(トナ!?)

洋榎「あ…なんや、そうなんですか」

恭子「ふぉ…ふぉふぉっ、そうじゃ」

洋榎「ほー、そらたいへんでしたなー…足はもうだいじょうぶなんか?」

漫「だ、だいじょうぶトナ…ありがとうトナ…」

洋榎「そらよかったよかったや!」

恭子「ふぉ、ふぉふぉふぉ!」



18: >>17訂正しますわ 2012/12/26(水) 17:07:59.66 ID:4kOldd2U0

洋榎「あれ…せやけど、もうクリスマスは…」

恭子「ふぉふぉっ!?」

洋榎「……終わったはずやけど」ジーッ

恭子「え……えーっと……」

洋榎「…」ジーッ

漫「……じ、じつはっ!」

恭子「!?」

漫「ぼ、ぼくが足を怪我しちゃって遅れたんだ…トナ」

恭子(トナ!?)

洋榎「あ…なんや、そうなんですか」

恭子「ふぉ…ふぉふぉっ、そうじゃ」

洋榎「ほー、そらたいへんでしたなー…足はもうだいじょうぶなんか?」

漫「だ、だいじょうぶトナ…ありがトナ…」

洋榎「そらよかったよかったや!」

恭子「ふぉ、ふぉふぉふぉ!」



19: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/26(水) 17:14:25.17 ID:4kOldd2U0

洋榎「ん?サンタさんってことはもしかして…」

恭子「…ふぉ?」

洋榎「あ、あの……プレゼント、くれるん……?」

恭子「!」

漫(きたっ!)

恭子「そ、そやな、あげますで!」

洋榎「やったーっ!」

恭子「なにが、ええですか?」

洋榎「たこ焼き!」

恭子「お、オッケーや、まかしとき!」

洋榎「おおきに!サンタさん!」

恭子「ちょっと待ってくれるかの、いま用意するからの」

洋榎「うんっ!」

漫(ちょっと、たこ焼きなんか入っとるんですか…?)

恭子(こんだけ大きいんや、たこ焼きくらい入っとるや……ろ…――!!?)



22: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/26(水) 17:24:30.99 ID:4kOldd2U0

漫(…? どないしたんですか?パパが豆鉄砲やったみたいな顔して…)

恭子(…なんやそれ)

漫(イッツァアメリケンジョーク!ピッツァ!)

恭子(次はぶっとばすで)

漫(すいません…舞い上がっちゃいましたわ…)

恭子「…」ハァ

恭子(これ、見てみ…漫ちゃん)袋ペラッ

漫(? …!? なんやこれ!!?)

恭子(……ふうせんや)

漫(ふうせん!?)

恭子「……ふ、ふふふふふふっ」

漫「……せんぱい?」

恭子「あはははははははははははははは!!!ふうせんや!!!!!こらふうせんやっ!!!!!!!」

恭子「ふうせんやないかっっっ!!!!!!!!!!」パァン!

漫「せんぱい落ち着いてっ!」



24: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/26(水) 17:33:29.86 ID:4kOldd2U0

洋榎「な、なんや、どないしたんですか!?」

漫「な、なんでもないトナよ!」

洋榎「なんでもないことないやろ、すごい音したで?」

漫「ほ、ほんとになんでもないトナ!ねえ、サンタさん?」

恭子「……」

洋榎「あれ…それ、プレゼントの袋……」

恭子「……」

洋榎「ペチャンコやけど…」

漫「あ、あの…これは…」

洋榎「…」

漫「じ……じつは……」

洋榎「…うん」

漫「ぼ、ぼくの足の怪我をなおすのに…ク、クスリ…が必要で……」

漫「売れるものはぜんぶ売っぱらってクスリにしちゃったんです!!」

漫「ほんまにすんませんっ!!」ペコンッ!



26: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/26(水) 17:42:35.49 ID:4kOldd2U0

洋榎「な…そうやったんか…」

漫「……」

洋榎「そうか……そら本当につらかったやろ……」

洋榎「そうまでして傷をなおして日本に来て……やのに、なにしに来たん?ってなってもうて……」

洋榎「うちには想像つかんほどの苦しみ…葛藤がありましたやろ……」

漫「……ハイ」

漫「ツラカッタ、デス…」

洋榎「…」ブワッ

洋榎「わかった!もうわかったで!」ポロポロ

洋榎「あんたらふたりとも!うちにきたらええ!」ポロポロ

漫「……え」

恭子「……おうちに、ですか…?」

漫(あ、復活した)

洋榎「せや!そんでたこ焼きつくってくれたらええ!そしたらあんたらは、誰にも文句言えへん、立派なサンタ&トナカイなんやから!!」

恭子&漫「…!!」



27: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/26(水) 17:52:11.68 ID:4kOldd2U0

――愛宕家

恭子「…」ジュージュー

漫「…」ジュージュー

洋榎「そうそう、上手ですやんか!外国のひとやのに…!」

恭子「ふぉっ!?ふぉふぉ、フィ、フィンランドの郷土料理に、似たものがあってのう」

洋榎「へええ、なんて料理なんですか?」

恭子「えっ……えーと…なんと言ったかなあ、トナ吉」

漫「……」

恭子「…トナ吉?」

漫「!!」

漫(トナ吉ってうちか!)

漫「え、えーっと……あれは、えーと……」

洋榎「うんうん」

漫「……キ、キシュリトゥールです、トナ…」

洋榎「へええ、こんどうちでもつくってみますわ」



30: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/26(水) 18:04:38.73 ID:4kOldd2U0

恭子「で、できた!」

漫「たしかソース派でしたよね」チュー

恭子「あ、あほっ!」

漫「え? ……あ!」

洋榎「ええと……ソース派であっとるけど、なんで知っとるん?」

漫「あ……ええと、その……」

恭子「サ、サンタブックに書いてあるんじゃ」

洋榎「…? へえ、すごいなあ」

??「ふあー…なんや、おいしそうなにおいやなあ…」ウトウト

恭子&漫「!?」

絹恵「ややっ!?サンタさんや!」

洋榎「絹!プレゼント頼んだらくれるんやで!」

絹恵「たこ焼き!」

洋榎「たこ焼きならうちのを分けたるわ、あーん」

絹恵「ぱくっ! ふむっ…!あつつっ!」



32: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/26(水) 18:15:52.14 ID:4kOldd2U0

絹恵「これ、ほんまに上手やなあ」

洋榎「せやろー、さすがやろー」

絹恵「ふふ、にしても、サンタさんってほんまにいるんやなあ」

恭子「ふぉ…ふぉふぉふぉ…」

絹恵「でも……なんで今日なん?たこ焼きもうちでつくっとったみたいやけど…」

漫「え…えーと…」

洋榎「絹…それにはのっぴきならない事情があるんや、それ以上踏み込んだらあかん」

絹恵「そうやったんか…ええと、ごめんなさい」ペコッ

恭子「ふぉ、ふぉふぉ、いいんじゃよ、ぜんぜん」

漫(主将…ありがたいですけど…騙してるみたいでちょっぴり心が痛みますわ…)

絹恵「ええと、わたしもなにか頼んでええんやろか…?」

洋榎「おお、そうせえそうせえ!この人たちは、そのために一生懸命日本に来てくれたんやから!」

恭子「そ、そうじゃよ」ピース

絹恵「ほんま?じゃあ、えーと……小説を」

恭子「……え?」



34: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/26(水) 18:25:48.92 ID:4kOldd2U0

恭子「しょ…しょうせつ、ですじゃか…?」

漫(せんぱい、しゃべりかた変になってますよ!)

絹恵「う、うん…最近、はまってもうて…」

洋榎「あー、そういえばなんや読んどったなあ、あれ小説やったんか」

絹恵「う、うん…」カァ

恭子「え…えーと…」

恭子(よ、予想外なのがきたで…てっきりサッカーボールとか頼んでくると思っとったのに…)

漫(ま、まあでも、小説なら買ってくればええわけですから…)

恭子(! そう、やな…そうやな!なんや、なんならサッカーボールより安く済むかもしれへん!)

漫(そうですそうです!むしろラッキーですよ!)

恭子「しょ、小説いうんは、どんなんがいいんじゃろか?」

絹恵「え、えーと、そやなあ……せっかくサンタさんに頼むんやし……」

絹恵「恋愛メインで、SFも軽く入りつつ、スポーティーで、それでいて哲学的な問いを孕んでもいる……そんな」

絹恵「誰も読んだことがないような小説がええですわ!」

恭子「…………パソコン借りれますじゃか…?」



37: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/26(水) 18:38:47.47 ID:4kOldd2U0

――3日後

恭子「で、できた……」

恭子「時はプーティン歴507年……iPS細胞の驚異的発達によって、人体の交換が容易にできるようになった時代……」

恭子「結婚の約束を交わしたふたり――主人公キヌチャーと、恋人ピロエ――の間に、戦争が別れの影を落とす……」

恭子「ふたりは再び出逢うことを誓いあい、そのしるしとして心臓と左手の薬指を交換する……」

恭子「戦争はサッカー場で行われる……War On Soccer…通称ワオスである……」

恭子「お互いのゴールに縛りつけられた、兵士たちの心臓……これを撃ちぬく残酷なゲーム……」

恭子「キヌチャーはそれを観戦しにいく……ピロエの国…敵国の兵士の心臓が撃ちぬかれる…歓喜の声が上がる……」

恭子「そのとき…キヌチャーの胸に、刺すような痛みが走る……」

恭子「『なぜ……あのひとは兵士やないのに……!』やがて薬指も痛みだす……」

恭子「実は…ピロエは戦争に反対し、その心臓をトップリーダーのデコイ用に奪われていたのだが、それを知る由はキヌチャーにはない……」

恭子「ただただ胸が痛み、心臓が跳ねあがる…やがて交換した薬指の接続部分から赤い血が流れだし…婚約指輪のように光った」

恭子「さて…果たして、誰がなぜ死んだのか…?なんもかんも戦争が悪い……END」



42: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/26(水) 18:47:41.94 ID:4kOldd2U0

恭子「こ、これで、どうじゃろか……」

絹恵「わあっ、日本語なんですね!フィンランド人やのに!」

恭子(ふっ…そんな感想か…)

恭子(ふふふ……ふふふふふ……)

漫(せんぱい、おちついてください…!)

恭子(だいじょうぶ……だいじょうぶや……)

恭子(なんや、さわやかなきもちやねん……いまなら、なにか真理とかそういうもんが……掴めるような……)

漫(せんぱい、しっかりして!)

絹恵「えへへ、ありがとうございますっ!大切に読ませてもらいますわ」

恭子「…うん、サインとかいる?」

絹恵「いえ、けっこうですわ」ニコッ

恭子「…ふふっ」

漫「あー!そろそろ他の子どもたちのところにも行かないトナー!」

洋榎「そうなん?なんや、さみしいなあ」

絹恵「がんばってください!サンタさん!トナカイさん!」



44: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/26(水) 18:54:43.23 ID:4kOldd2U0

――まち

恭子「…」

漫「…」

恭子「クリスマスすぎたってレベルやなくなったな……」

漫「さらっと3日後ですからね……」

恭子「ええと、ちゅーことは…きょう何日や…?」

漫「12月29日ですわ」

恭子「……もうクリスマスより年明けのほうが近いやん」

漫「……そうですね」

恭子「…」

漫「…」

??「あれ、トナカイさんなのよー?」

恭子&漫「!?」

由子「え、赤いのは…もしかして……サンタさんなのよー?」

恭子「ハ…ハロー…」



47: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/26(水) 19:03:23.90 ID:4kOldd2U0

由子「わあーほんものなのよー?」ペタペタ

恭子「ふぉ、ふぉふぉふぉ、本物じゃよ?」

由子「すごいのよー!」ひげグイグイ

恭子「いっ、いたたたっ!ひげはノー!ひげはノーじゃよ!」

由子「ごめんなさいなのよー」

漫(取れんでよかったなあ…)ホッ

由子「あれ?なんでサンタさんが年末にいるのよー?」

恭子「そ、それは……」

漫「ふ、深い事情があって、その……」

由子「ふーん…?まあ、それなら訊かないのよー」

恭子「ふぉ……ふぉふぉふぉ……」

漫「た、たすかるトナ…」

由子「それじゃあサンタさん、プレゼントくださいなのよー」

恭子「う、うん、もちろんじゃ……なにがいいじゃろ?」

由子「オカリナがほしいのよー」



49: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/26(水) 19:13:47.04 ID:4kOldd2U0

恭子「……オカリナ?」

由子「あれ、もしかして知らないのよー…?あ、フィンランドには伝わってな…」

恭子「し、知っとるじゃよ!知っとるじゃけど……」

漫「オカリナってやっぱりあの、楽器の…?」

由子「そうなのよー」

由子「じつは……大切にしてたオカリナがあって、とってもいい音色を出す…最高のオカリナだったんやけど……」

恭子「……やけど?」

由子「落として壊れちゃったのよー」ケロリン

漫「……」

由子「いやー、やっぱり土じゃダメなのよー」テヘヘ

恭子「そ…そうなんや…あはは…」

由子「というわけで、プレゼントには木製のオカリナがほしいのよー」

漫「木製トナ…?」

由子「そう、木製かつ、前のに負けないほどいい音色を出すオカリナを……お願いできるのよー?」

恭子「ま……まかしとき…」ダブルピース



51: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/26(水) 19:22:46.16 ID:4kOldd2U0

――森林

恭子「…」シュコーシュコー(木を彫ってるおと)

漫「…トナトナトナトナ」

恭子「うるさいで、漫ちゃん」シュコーシュコー

漫「…すいません」

恭子「オカリナづくりいうんも、なかなか奥が深いもんやな……」シュコーシュコー

漫「……」

恭子「木を倒すんは大変やったけどなあ……あはは」シュコーシュコー

漫「…はは」

恭子「こうして、何百個と失敗を重ねていくうちに、なんや木のことがちょっとだけわかってきたような気になるんや……」シュコーシュコー

漫「せんぱい……」

恭子「木のこと……ひいては、それに命を与えている、森のこと……その、おおきな流れみたいなもんのことが……」シュコーシュコー

漫「……」

恭子「ここを…こう!」シュコッ!

恭子「……よし、滝に向かうで」



52: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/26(水) 19:29:46.24 ID:4kOldd2U0

――滝

漫「せんぱい…ほんまにこれでわかるんですか…?」

恭子「ああ…そのはずや…」

恭子「オカリナを滝のしたに浮かべて…そのみずを通す…その波紋をみるんや」

恭子「言うなれば、滝にオカリナを吹いてもらっとるわけやな」

漫「はあ…」

恭子「さあ、いくで」

漫「…」ゴクリ

ざあああああああああああああああああ

恭子「せいっ!」

ざあああああああああああああああああ

恭子「滝よ、その音色を教えてくれ!」

ざあああああああああああああああああ……ふわあああああああああああああああああああ

漫「!!」

恭子「……完成や、オカリナ」



53: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/26(水) 19:38:23.04 ID:4kOldd2U0

ぴーひゃら ぴーひゃら

恭子「ど、どうやろか……?」

由子「……うん」

漫「…」ドキドキ

由子「これは前のと同じくらい……いや、それ以上に、いいオカリナなのよー!」

恭子「!!」

漫「やりましたね、サンタさん!」

由子「ありがとうなのよー、サンタさん、トナカイさん」

恭子「え、えへへ、サンタとして、当然のことをしたまでやから…」テレレ

漫(照れとる照れとる…かわいいなあ、せんぱい)

由子「……お礼に一曲プレゼントするのよー あっちの、山のほうを見ててほしいのよー」

恭子「…?」クルン

ぴーひゃら ぴー

……ぱあああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ

由子「初日の出なのよー」



55: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/26(水) 19:44:11.43 ID:4kOldd2U0

――まち

恭子「…」

漫「…」

恭子「…なあ、漫ちゃん」

漫「…なんですか、せんぱい」

恭子「……年、明けてもうたんやな」

漫「……はい」

恭子「あけましておめでとう」

漫「おめでとうございます」

恭子「……ことよろ」

漫「…めんどくさがらないでくださいよ」

恭子「…ごめん」

??「あーもう、酔いすぎやで、ほんま」

??「あはは、甘酒でこんな酔ウトハナー」

??「酔ってへん酔ってへん、酔ってへんでうちはー!…………あ、サンタや」



57: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/26(水) 19:53:32.40 ID:4kOldd2U0

竜華「はー?またそんなこと言うて、しっかりせえ怜」

浩子「そうですよ、もう新年なんやで」

怜「ほんまやって、ほら!」

セーラ「あはははは、おもろいやっちゃなー!どれやねん!」

泉「……は?……あ、あの、ほんまにおりますよ…!?」

恭子&漫「……」

セーラ「はー?どれやね…――!?」

竜華「さ、サンタや!」

浩子「トナカイもおる!」

怜「ほらーやから言うたやん!うち酔ってへんもん!」

恭子&漫「……」

恭子(せ、千里山やないか……)

漫(これ、正体バレたらもう最悪ですよ……大阪じゅうに言いふらされてまう……)

怜「おーい、サンタさんたちー!」

恭子&漫「!」ビクッ



59: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/26(水) 20:02:52.70 ID:4kOldd2U0

恭子「ふぉ、ふぉふぉっ…なんじゃろか…?」

漫「ト、トナトナトナー…」

竜華「ん?なんやほっそい声やな?」

恭子「!」ギクゥ

怜「ええやんええやん、かわいらしい、ほら、くるしゅうないで、ちこうよりたもれー」

恭子「は、はい…」

浩子「すんませんねサンタさん、先輩たちちょっと酔ってて」

恭子「は、ははっ……え?たち?」

セーラ「はっはっはー!うちのことかー!」ダキッ

恭子「ひゃうっ!」

セーラ「んー?なんや、あんまり筋肉ついてへんなあ…こんなんで配達業が務まるんか?」ペタペタ

恭子「ちょ、やめっ…」

泉「サンタを配達業扱いですか……」

怜「あはははははははは!貧弱!貧弱ゥ!」

竜華「ほーら、離れて離れて…サンタさんこまっとるでー」



61: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/26(水) 20:09:41.05 ID:4kOldd2U0

怜「そんで、ときにサンタさんよ……」

セーラ「怜だけにときにってか!あははあははっははははは!!」

怜「ふふん」ドヤァ

恭子&漫「……」

竜華「もう、なにしょーもないこと言っとんねん…」

怜「なぬっ!」

セーラ「ききずてならんでー!」

竜華「はいはい…」

怜「モウ、ナニショーモナイコトイットンネンー↑」

竜華「なっ!?」

セーラ「ハイ↓ハイ↑」

竜華「ちょっと!やめてや!!」

怜「ちょっとぉ~ん」

セーラ「やめてやぁ~ん」

恭子(こいつら……代行並にタチ悪ないか……?)



63: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/26(水) 20:17:41.19 ID:4kOldd2U0

漫「あ……あの……」

浩子「ん?」

恭子「うちらそろそろ、フィンランドに帰らなあかんので…」

泉「あ、おつかれさまでーす」

恭子「ほな…失礼しま…」

怜&セーラ「待ったッッッ!!!!!」

恭子&漫「!!」ビクゥッ!

怜「ちょっと……わすれもんがあるんやないか……?」

セーラ「そやなあ……おかしいで、うちらサンタにあったのに手ぶらやなんて……」

恭子「あ……えっと……」

怜「プレゼントやっ!プレゼントくれなきゃイヤや!イヤやイヤやイヤやイヤやイヤやイヤやイヤやイヤやイヤやイヤや!」

竜華「こら、怜ったら…」

セーラ「プレゼントください!後生やからっ!」ドゲザッ!

浩子「ちょ、先輩も…」

恭子「あ、あははは、あげるよ、あげますよ」



64: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/26(水) 20:25:02.54 ID:4kOldd2U0

怜「ほんま!?」

セーラ「おおきに!!」

竜華「すいませんほんま」

恭子「い、いやあ、そんな…サンタはプレゼントあげてなんぼやから…」

怜「せやな、で何くれるん?」

恭子「えっ…えーと」

セーラ「オラわくわくわくわくすっぞ!!!!」

恭子「ほ、ほしいもんとかは…?」

怜「???」

セーラ「そう訊かれると、これっちゅーんはないなあ……選ばせてや!」

恭子「え、そ…それは、その……」

怜「……なんや、できないんか?」

恭子「えっと…」

セーラ「あ!このサンタ、袋もってへんで!!」

恭子「!!」ギクゥッッ!!



65: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/26(水) 20:33:46.96 ID:4kOldd2U0

怜「なんやと……?」

セーラ「なあ……だましとったんか……?」

恭子「そ、そんなことは……」

漫(……なくはないな)

竜華「もう、ふたりともええかげんにしとき!!」

怜「ひっ!」

浩子「そやで!調子乗ってサンタいじめるとは何事や!!」

セーラ「ごめんなさいっ!」

泉「あの……ほんとすんません、これに懲りんと、今年のクリスマスも日本に来たってください……」ペコッ

恭子「……あ」

恭子(そうや……このひとたちは、ほんまにうちらのことサンタとトナカイやと思ってるんや……やのに…ええんか…?このまま、帰って…)

恭子「……プレゼントはないけど、そのぶん」

漫「…?」

恭子「なんかひとつ……いうこと聞きますよ」

漫「!!?」



68: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/26(水) 20:42:16.73 ID:4kOldd2U0

怜「まじで!?」

竜華「え、ええんですか…?」

恭子「ええんじゃよ、サンタやから」

泉「サンタさん……」

浩子「あんた……やっぱええひとなんやなあ……」

恭子「…えへへ」

セーラ「じゃあ、筋トレしてもらおか」

恭子「……え?」

怜「おー、ええなあ!」

恭子「えっと……え?筋トレ?」

セーラ「今年も来るんやろ!そんなよわっちい体じゃまだクリスマスに遅れてまうで!!」

セーラ「腹筋バッキバキに割れるまで筋トレや!!へい!!筋トレや!!!」

恭子「…」

怜「トナカイもやで!!へい!!トナカイもやで!!!」

漫「……ですよねー」



70: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/26(水) 20:48:53.55 ID:4kOldd2U0

――まち

恭子「…ひどい目に遭ったな」

漫「うちは巻き添えでしたけどね…」

恭子「……そういうこというんか」

漫「……すいません」

恭子「…いや、わたしこそごめんな」

漫「いえ…せんぱいは間違ってなかったと思います」

恭子「……はは」

漫「せんぱい……」

恭子「あいつら……まさかユーチューブに動画あげおるとはなあ……」

漫「しかもタイトルも説明文も英語で……外国のひとのコメントたくさんもらってましたね……」

恭子「代行っぽいのも混じってたで……」

漫「……ほんまですか」

恭子「うん…」

憩「あらぁ?もしかして、サンタさんやない?」



71: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/26(水) 20:57:13.61 ID:4kOldd2U0

――末原家

郁乃「ふんふんふふふ~ん」

郁乃「いくのいくのんのシチューの秘密~それはブイヨンっ」

末原父「シチューたのしみだなあ、おまえ」

末原母「そうねえ、あなた」

郁乃「ぐるぐる~」

ぴんぽーん

郁乃「? は~い」ガチャ

郁乃「あら、末原ちゃん漫ちゃんおかえり~、どうしたん?」

恭子&漫「……」

郁乃「スッチーとポリスウーマンのコスプレなんかして~」

恭子「……ええ、ちょっと」

漫「最後のプレゼントとして、交換してきたんですわ……」

郁乃「??」

郁乃「まあええわ、入り、寒いやろ~?」



73: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/26(水) 21:04:17.51 ID:4kOldd2U0

恭子「これ……シチューですか?」

漫「わああ!おなか、すっごい空いてたんです!」

郁乃「やろうと思ったんや~」

漫「お、おかわりも…?」

郁乃「もちろんあるで~たっぷりな~」

漫「やったああああああああああああ!!!!」

恭子「……」ジーッ

郁乃「ん~?どしたん末原ちゃん、なんや疑っとるん~?」

恭子「…まあ、正直」

郁乃「ふふ~、そういうとこ、かわいいと思うで」

恭子「…」

郁乃「けどまあ、これは安心して食べてええよ」

恭子「…??」

郁乃「いくのんから頑張ったふたりへのクリスマスプレゼントやから~」

恭子「!!」



74: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/26(水) 21:10:42.98 ID:4kOldd2U0

漫「!」パクパクパクパク

恭子「…」パク

漫「おいしいいいい!!おいしいですね!!せんぱい!!!」

恭子「うん…おいしいな」

漫「しあわせやー!!」

恭子「…」パク

郁乃「たっぷりお食べ~」

漫「はいっ!!」

恭子「…」パクパク

郁乃「食べたらお風呂も沸かしてあるでな~」

漫「わああ!お風呂!ジャパニーズ!ノットシャワーバットお風呂!!」

恭子「…ふふ」

郁乃「おつかれさま、ふたりとも~」

漫「はいっ!!」

恭子「…はい」



76: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/26(水) 21:15:04.68 ID:4kOldd2U0

――お風呂

漫「ふああー…」

恭子「…ふう」

漫「…」

恭子「…」

漫「…せんぱい」

恭子「ん…?」

漫「がんばりましたね、うちら」

恭子「うん……ありがトナ」

漫「…えっ?」

恭子「……なんでもあらへん」

漫「…えへへ」

恭子「…」ブクブク

漫「どういたしまして」

恭子「…」カァ



78: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/26(水) 21:21:07.27 ID:4kOldd2U0

漫「ふうー…」

恭子「……漫ちゃん」

漫「なんですか?」

恭子「…」

漫「…?」

恭子「こ、こんど…」

漫「はい」

恭子「こんど……コーヒー、おごったる」

漫「…??」

恭子「ク…クリスマスプレゼントや!わ…わたしから漫ちゃんには…あげてへんかったからっ!!」

漫「!! せんぱい…」

恭子「…」ブクブクブクブク

漫「…はいっ、おねがいしますっ!」


カン!



80: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/26(水) 21:22:21.72 ID:4kOldd2U0

おわりっす
支援とかありがとうございました!


元スレ
郁乃「姫松のサンタは遅れてやってくるんやで~」恭子「へえ…」