SS速報VIP:古賀「冥加ちゃん!! 殺人事件だよ!!」冥加「おちついてください、いたみさん」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1330288281/



1: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/02/27(月) 05:31:21.76 ID:HLAfi35AO

冥加「……ゆえにあなたいがいにはんにんはありえません」

犯人「い、いいがかりだっ!! 証拠はあるのか?」

冥加「おなじせりふでもあのひととあなたじゃこうまで違う……」

犯人「な、無いんだろうっ!? 証拠なんてあるものか!!」

冥加「いいえ、ありますよ。あなたのしもんがこべりついたーーきょうきが」

犯人「ふざけるな!! いいぜ、お前が確かに凶器を見つけたというのなら そんな幻想ぶち[ピーーー]!!」

殴りかかってくる犯人を私は見つめる。

古賀「私立探偵助手、古賀いたみは改造人間である! 冥加ちゃんの活躍の為に犯罪者達と戦うのだ! とーうっ!」

ライダーキックと言うにはお粗末ないたみさんのドロップキックが犯人の脇に決まる。

犯人「そげぶっ!!」

冥加「これにていっけんらくちゃくゥですか?」

古賀「だね!!」

これは私立探偵、雲仙冥加のお話ーー

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1330288281(SS-Wikiでのこのスレの編集者を募集中!)




2: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/02/27(月) 05:32:49.93 ID:HLAfi35AO

前作

球磨川『…………』-SS速報VIP(SS・ノベル・やる夫等々)
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1329065011/
の続きです。

全然、需要ないミステリー風味かもだけど頑張ります。



4: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/02/27(月) 05:46:19.16 ID:HLAfi35AO

【五年前・箱庭学園体育館】

冥加「いいんですか? いかなくて」

立ち去っていく彼の背中を見ながら私は隣に立つ古賀いたみに訪ねる。

古賀「にゃはは。正直ね。球磨川先輩、マジかっけー!! って思ったけどさ。あたしは冥加ちゃんの心意気に惚れちゃった」

冥加「こころいき?」

古賀「あたしがさ……もし、ついていったらそれこそ何の面白みもないただの普通な女子高生の一人になっちゃう」

冥加「……」

古賀「けどさ……それじゃ駄目なんだよ。あたしは普通だったから夭歌ちゃんを守れなかった。普通だから夭歌ちゃんを殺したような相手ですらついていきそうになった」

冥加「……」

古賀「だからこそ今度はアブノーマルな私になって誰かを守りたい。まぁ、正直、冥加ちゃんがいなかったらついていってたあたしが何を今更みたいな、にゃはは」

冥加「……いたみさん」

古賀「んみゅ?」

冥加「あぶのーまるとかえっちぃです」

古賀「そこは突っ込んじゃ駄目ぇぇっ!!」



5: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/02/27(月) 06:00:24.97 ID:HLAfi35AO

【現在・雲仙探偵事務所】

冥加「このごねん、いろいろありました」ハフゥ

古賀「冥加ちゃんがお茶を飲みながら遠い目をしてる!!」

冥加「かずかずのなんじけんをときあかし、しゃーろっくほぅむずのさいらいとまでいわれ」

古賀「言われてないよ!! 事件にも遭遇してないよ!! 盛ってるよ!!」ズビシッ

冥加「む、それはしょうがないでしょう。きょうあくはんざいがあのかたのせいでふえたとはいえそれでもそうぐうするなんてなかなかきかいはないのですから」

古賀「しょうがなくないよっ!! なんで名探偵になろうとしたの!? そこで盛る必要なかったじゃん!!」

冥加「いたみさんはわがままですね」フゥ

古賀「あぁぁぁぁっ!! 大学で現役で弁護士バッジを取って、ミスコンも優勝したあの日の天使のような冥加ちゃんはもういないっ!!」ウワン

冥加「しつれいですね。げんえきてんしですよ。すこしおばかなごきんじょさんにこびをうるていどには」フフン

古賀「ふふんじゃないよ!! 何で得意気なの!? 言ってることわりかしサイテーだよ!? はっ、まさか」

いたみさんは事務所内を漁る。

古賀「まさか食器用洗剤から生活品は貢がせたのっ!?」

冥加「まさか、ごじょうだんを」

古賀「だ、だよね。流石にそこまでしないよね」フゥー

冥加「かってにもってきただけです」フンス

古賀「あたしの冥加ちゃんを返せーっ!!」ウワーン



6: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/02/27(月) 06:23:57.43 ID:HLAfi35AO

ドア「」コンコン

古賀「おっ、お客さんかな? はいはーい!!」

???「あの人捜しをしてもらいたいんですが……何件も断られてここを進められたので……」

冥加「えぇ、おはなしをうかがいましょう。おかけになってください」

???「いやぁ、でも本当でしたね。美人すぎる探偵と探偵助手がいる探偵事務所だなんて」

冥加「……クズガ」ペッ

女を顔でしか判断出来ない依頼主を見る。安物そうなジーパンにどこにでもありそうなシャツ。

???「えっ?」

古賀「あ、あはは!! 葛餅が食べたいんだよね、冥加ちゃん。うん、あたしも食べたいなー。おやつは葛餅にしようか!!」ギロリ

いたみさんに睨まれたので悪態をつくのはやめる。

冥加「それでどのようなくだんなのですか」

ツンツン頭の大学生風の男に訪ねる。

???「あぁ、はい。俺は上条当麻って言うんですがーー」






冥加「なるほど、かのじょさんが。それはおきのどくに」

古賀「死んでない!! 死んでないよ!? 冥加ちゃん!!」

上条「あ、あはは」

冥加「さて、ないようはわかりました。しかし、あなたのようながくせいがなぜとうじむしょに?」

空気が凍る。ただしくは凍らせた。

冥加「わたしにはりかいできないのです」

上条「な、なにがでせうか?」

冥加「ふつうたんていじむしょならそれなりのみなりでくるかたがおおいのですがあなたのかっこうはまるでばちがいです」

上条「あ、いや、あの。俺はスーツ持ってなくて。ただ、こいつを探し出してもらったらちゃんと金も払いますし!!」

冥加「……」

古賀「ち、ちょっと待ってくださいよ!! それじゃ、前金も何も無いってことですか!? 他の事務所とかにもそれで断られたんじゃ……」

上条「うっ……」

冥加「わかりました。おひきうけいたしましょう」

古賀「冥加ちゃん!?」



7: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/02/27(月) 06:31:48.92 ID:HLAfi35AO

古賀「なんであんな依頼を受けたのさー」

冥加「ここらでこのたんていじむしょのちからをみせつけるのもよいでしょう」

古賀「そりゃ、新参者のあたし達は疎ましく思われてるけどさー。何もボランティアじゃないんだよ?」ハァ

冥加「それにわたしはこのじけんがただのしっそうじけんではないようなよかんがするのです」

古賀「その心は?」

冥加「かんです」キリッ

古賀「キリッじゃないよ!?」

冥加「おんなのかんです」キリリッ

古賀「グレードを上げたからって納得しないよ!?」





9: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/02/27(月) 08:42:39.24 ID:HLAfi35AO

冥加「みさかみことですか」

古賀「うーん、言っちゃ悪いんだろうけど釣り合ってないよね」

冥加「ふむ」

古賀「まぁ、何にしても聞き込まなければ始まんないよ」

冥加「そうですね。それではかれがかようだいがくにあしをはこびましょうか」






【とある大学校門前】

古賀「あのー、お話を伺っていいですか?」

通行人A「なンなンですかァ? 逆ナンかよォ。愉快にケツをふりやがッて。いいねェ、いいねェ。最ッ高だねェ」

古賀「あ、あはは。違います。少しお伺いしたいことがあるんです」

A「ンだァ? 逆ナンじゃねェのかよ。 で、聞きてェことって何だァ? アドレスかァ?」

古賀「あのこの二人について知りませんか」ピラッ

A「なンの写真だァ? 三下とオリジナルじゃねェか」

古賀「知ってるんですか?」

A「知ってるも何もこの大学じゃァ、一番有名なカップルだぜェ」

古賀「お話を聞いても?」

A「あァ、構わねェ」



10: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/02/27(月) 09:05:19.97 ID:HLAfi35AO

【雲仙探偵事務所】

古賀「結構、有名なカップルみたいだね。冴えないかと思ってたら意外にモテモテらしいよ」

冥加「そうですか」ズズーッ

古賀「それで御坂美琴なんだけど。それなりにお嬢様みたい。彼女が失踪したのが今年の四月。だからもうひと月くらい。警察の方にも失踪届は出したみたい」

冥加「ふむ、かれらのひょうばんはどうです?」

古賀「仲睦まじいカップルみたいね。御坂美琴もストーカーがいるくらい人気で上条当麻も上条派と呼ばれるくらい人気のある生徒だからお似合いらしいよ」

冥加「なるほど」

古賀「御坂美琴は医学部一年、上条当麻は社会人間学部三年。医学部と社会人間学部じゃ偏差値にも天と地程差があるんだけど二人は同じサークルに所属」

冥加「サークルですか……」

古賀「何でも超心理学研究会らしいよ。部員は総勢八名。内、話を聞けたのはヒトカタミチユキ……一方通行って生徒だけ」

冥加「なんかろりこんっぽいなまえですね」ズズーッ

古賀「他にも海原、麦野、外国人留学生のインデックス、御坂美琴の双子の妹、御坂10032号じゃなくて御坂美砂と五和。あとは依頼主とターゲットの計八名」

冥加「ふたご?」

古賀「うん、双子。まぁ、似てるけど区別つかないって程じゃないらしいよ。姉に比べて無表情らしいから」

冥加「ふむ」ズズーッ
古賀「んーと、サークルの内容は何でも魔術や超能力の研究をしているみたい。中でも御坂美琴は超能力派の筆頭。インデックスと呼ばれる女子は魔術派筆頭で派閥もあるみたい」

冥加「よくそんなないぶまでしらべれましたね」

古賀「探偵の基礎は聞き込みにある」ドヤァ

冥加「あ、どやがおやめてください」

古賀「ひどっ!!」ガビーン



11: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/02/27(月) 09:17:27.91 ID:HLAfi35AO

冥加「……」ズズーッ

古賀「どしたの?」ズズズ

冥加「いえ、きになるてんがあるのですがじょうほうとのさいがなにをあらわしているのかわかりません」コトッ

古賀「んー。それじゃあ、次は彼が行ってたバイト先にでも聞き込みに言ってくるね」

冥加「ばいとですか?」

古賀「うん、苦学生みたいだね。幾つも掛け持ちしていたんだって」








【ロイホ・とある大学支店】

店員T「かみやんかにゃー? うーん、あのフラグメーカーめ。こんな綺麗なお姉さんにまで毒牙にかけるなんて許せないにゃー!!」

古賀「あ、あはは。上条さんってモテるんですか?」

T「あれはモテるなんてレベルじゃないにゃー!! オカ研も上やんハーレムだにゃー!! 許せんぜよ」

古賀「後でそこらの話も聞かせて頂けますか?」

T「どうせ暇だし、いまでも構わないぜーー」



12: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/02/27(月) 09:36:12.16 ID:HLAfi35AO

【雲仙探偵事務所】

古賀「……つかれたー」グテー

冥加「おかえりなさい。なにかのみます?」

古賀「アイスココアー」

冥加「はい、すこしまってくださいね」コポコポ

古賀「聞くだけでげんなりしたよ」ハァ

冥加「たいへんでしたね」チャポンチャポン

古賀「うん、まさかここまでモテる人類がいるとは思わなかった」ハァ

冥加「ふむ……」ドウゾ

古賀「アリガトー。んで話すね」

冥加「はい」

古賀「えっと行く先々で彼のモテっぷりを聞いただけでした。以上」

冥加「……それで?」ハァ?

古賀「終わりだけど?」ニャ?

冥加「なぐりますよ?」

古賀「うそうそ!! だけど彼に思いを寄せてた人物は数十人。大学も含めると凄い数になるよ? 更に高校からの連れって子にも聞いたんだけど高校時代にも彼を慕っていた人間はいるんだって」

冥加「……なるほど、なるほど」

古賀「どしたの?」

冥加「いえ。なにも」

古賀「じゃあ、あたしは今日あがるねー」

冥加「あ、はい。いたみさん」

古賀「んにゃ? なに?」

冥加「かごめ、かごめ。かごのなかのとりは」

古賀「いついつでやるー?」

冥加「よあけのばーんに」

古賀「つーるとかめがすーべったー」

冥加「うしろのしょーめんだーれ?

おきをつけておかえりください」

古賀「おっけー、冥加ちゃんもね」



13: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/02/27(月) 09:58:23.49 ID:HLAfi35AO

【古賀いたみ】

冥加ちゃんと一緒に生きはじめて早五年。

彼女は探偵事務所を開業し、あたしはそこで働いている。

毎日がそれなりに楽しい生活だった。

大学時代もそれなりに波乱で、彼女と共にそれを乗り越えてきた。

あの時のあの選択は間違いじゃなかった。今じゃ胸を張ってそう言える。

雲仙冥加という言葉があるなら多分、対義語が球磨川禊。

そこに反論の余地はないし、反論は認めない。

そしてあたしは何だろうか。考えてみる。けど多分、あたしはまだそんなに重要な役割を担っていない。

だけどいつか。そう、いつか……だ。

雲仙冥加の類義語にあたしの名前が加わるようには努力したい。

だからーー

古賀「悪いけどさぁ、あんたらみたいなチンピラの三下なんかに構ってる暇も負けてる暇なんかないの」

あたしをつけてた三人の男を見る。

古賀「雑だよ。人をつける時は足元を見なきゃ、そんなんじゃ何百年経っても探偵にはなれないよ?」

あたしは肩を慣らしながらステップをふむ。

古賀「見覚えないなー? けど一人、二十秒、一分あれば大丈夫だよね?」

古賀いたみは私立探偵助手である。

今日も冥加ちゃんを守る為によくわかんない奴らと戦い続けるのだーー









古賀「と、こんなものか」

あたしは携帯していたロープで男達の手を結びあげる。

古賀「行っとくけどあたしは善良な市民だから君たちに暴力は振らないの?」

まぁ、手に持ったナイフやらは無効化させて貰う為に関節は決めさせて貰ったが。

携帯でさっさと警察に連絡をいれて現在、向かっているらしい。

「……なんだよ、このゴリラ……」

鼻にピアスをした男の子が何か言ったが気にしない。

手を縛られて公道で座った状態のピアスくんは唾をはく。

「はっ……しかし、ザマーミロ。もう一人のおねーちゃんはきっとレイプされてるぜ」

ニヤニヤどゲスらしい笑みを浮かべていた。

古賀「うっわ、マジで?」

あたしは顔をしかめる。

「今更、後悔してんのかよ、ゴリラ」

古賀「うっさいわねー。あたしは同情してるの君達の仲間に」

「へ?」

古賀「ただの不法侵入ならまだ救いようあるけど君達みたいに武装しての不法侵入だったら手加減する必要ないじゃん」

あたしは見知らぬ誰かに南無南無と祈った。



14: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/02/27(月) 10:21:34.49 ID:HLAfi35AO

刑事「んっふっふー。お久しぶりですね、雲仙さん。いかがお過ごしですか?」

冥加「おひさしぶりです」

刑事「さて、あなた方を襲撃した集団はこの町の『ただ』の不良です」

冥加「そうでしょうね」

刑事「なので傷害未遂となりますがぁ、和解の方向で話を進めますかぁ?」

冥加「そうしてください」

刑事「では別部屋でリーダーらしき人間を待機をさせていますので是非、お話し合いで解決してもらいたいものです」

冥加「そのほうがおしごとがすくなくてすみますからね」

刑事「わっはっは、これは手厳しい」








冥加「はじめまして。うんぜんです」

不良H「……」

冥加「ぜんとあるきみたちのしょうらいをかんがえてーー」

H「回りくでぇんだよ!! 何が言いたい!?」

冥加「わかりました。わたしはこのけんはわかいでおうじたいとかんがえてます」

H「はぁ!? 和解!? 誰が金を払うかよ」

冥加「いいえ、おかねなどいりません。こうみえてもおかねもちですから」フンス

H「ちっ、自慢かよ」

冥加「わたしがほしいのはかみじょうとうまからなにをいらいされたのか、そしてみさかみことはどこにいるのか。いじょうにてんです」

H「!?」

冥加「なにか?」

H「て、てめぇ、なにもんだ」

ドア「」バーン

古賀「なんだかんだと聞かれたら!!」ドドーン

冥加「かえってください」

古賀「酷いっ!!」ガビーン

H「……」ポカーン

冥加「あのひとはちょっとあれですからきにしないでください。それではなせませんか?」

H「……わぁったよ。クソが」



17: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/02/27(月) 13:20:20.93 ID:HLAfi35AO

古賀「サービス残業とか……うちって時々、労基法ってナニ? みたいな話になるよね」ハァ

冥加「ろうきほうってなんです?」キョトン

古賀「うぉぉいっ!! 仮にも弁護士って設定を思い出してよ」ビシッ

冥加「すいません、いたみさん。ほんらいならひとりですべきことなんでしょうけど」シュン

古賀「いいってことよー。あのクソガキには世間を舐めた……と、ここも保存っと」ピコーン

冥加「さすがですね」

古賀「さてと、あたしたちを舐めた支払いしてもらいますか」カタカタ

冥加「えぇ……せけんのきびしさをおしえてあげましょう」










【翌日】

ドア「」コンコン

冥加「どうぞ」

上条「失礼します」ソワソワ

冥加「おうかがいしたいことがありますので」

上条「はぁ……」

冥加「まず、さいしょにまっちぽんぷおつかれさまでした」

上条「いえいえ……は?」

冥加「まっちぽんぷ、じさくじえんと言えばいいんですかね」

上条「え……」タラタラ

冥加「なにがまっちぽんぷでなにがじさくじえんなのかおはなしをしましょうかかみじょうとうまさん」ニタァ

古賀(冥加ちゃんが悪い顔してるっ!!)



18: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/02/27(月) 13:41:00.72 ID:HLAfi35AO

冥加「かみじょうとうまさん、あなたはいようにもてますよね」

上条「あ、い……」アセダラダラ

冥加「われわれがしらべたけっかによりますとあるじきをさかいにあなたはきゅうげきにもてはじめた」

上条「た、たまたまもてきだったわけじゃないんでせうか……」ダラダラ

古賀(焦って謙遜すらなくなってる)ズズーッ

冥加「ここにさくばん、てつやしてつくったしりょうがあります。あなたのこうこうにねんせいからのうらけいじばんのじょうほうです」

上条「が、学校の裏掲示板?」

冥加「あなたはうらではひぃろぉとよばれてたみたいですね」

上条「……へ、べつに悪い噂なんて無かったはずだろ?」フゥ

冥加「えぇ、ありませんでした」

上条「だったらなんなんだよ!!」

古賀(優勢とみるや強気な態度に出たーっ!!)ジッキョウ

上条「俺は助けた人に好意をもたれてるのは知ってる!! けどな!! 助けた奴らを一度たりとも助けなければよかったなんて思ったことはねぇ!! いいか、あんたらがそんなことで俺をマッチポンプ扱いするならそんな幻想をぶち[ピーーー]」キリッ

古賀(キメ顔なのかなぁ、これ?)

冥加「あ、はい。すわってください」

上条「え? あ、は、はい」

冥加「われわれがちゃくもくしたのはじけんのおおさです」

上条「多さ? 最近は「カフカ」って犯罪集団を祭り上げる奴らもいるんだ。変じゃないだろ」

冥加「えぇ、けれどもあなたがかかわったじけんがいちどもけいさつざたになったことはない。これはいじょうです」

上条「はぁ?」



19: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/02/27(月) 14:04:17.40 ID:HLAfi35AO

冥加「つまりわたしがいいたいのはなぜあなたのたすけたじけんがおもてざたにならなかったのか」

上条「な、なんだよ? 理由でもあったのかよ」

冥加「ありました。これはなまえはふせさせてもらいますがいくにんかのかいいんせいえすえぬえすのにっきをこぴぃしたものです」

『みんなはろろーん!!、今日は素敵な出会いがあっちゃった。

なんと!!

このむぎにゃんに!!

春がおとずれましたー←誉めて

今日ね、すっごい素敵な男の子と会ってね!! あぶないところをたすけて貰ったの!! 恥ずかしいっ!!

それでその男の子は言ったの。

あいつらにも未来があるんだ。もしあいつらを許せないって言うんだったら俺を殴ってくれ。だってさ

超やっさCー!!

あ、名前を挙げたらバレるかもだからイニシャルにしておくねTKよ!!

あー、明日もあえると胸がキュンキュン(以下略』

古賀(正直、これを調べるときが一番辛かった)ホロリ

冥加「ほかにもありますがみます?」

上条「か、勘弁してください」

冥加「そうですか。いまさらごまかせるとはおもいませんがあなたのことですよね」

上条「お、おそらく」

冥加「けっこう。それをぜんていでおはなしをすすめさせていただきます。あなたはなぜ、うったえをとめるようにいったわけですか?」

上条「か、書いてある通りだよ。み、見知らぬ相手の人生なんだ。簡単に潰すなんてひでぇよ」

冥加「みしらぬあいてなんですね」

上条「あ、あぁ」

冥加「きのう、けしかけたしょうねんたちも」

上条「え……?」

冥加「おや? ふしぎそうなかおをしていますね。なにがふしぎなんですか? りぃくされたことが? ばれていることが? それともみさかみことがげんざい、あなたのいえにねとまりしていることをわれわれがしっていることがですか?」



20: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/02/27(月) 14:23:58.41 ID:HLAfi35AO

冥加「





あまいですよ






上条「う……あ……」ゾクッ

冥加「あなたのいらいであるみさかみことははっけんしました。が、これとはべつにあらたなじけんがおもてざたになりました」

古賀(ま、表沙汰になったからって言って相手側が訴訟をしなければ意味無いんだけどねー)

冥加「どうします? まだつづけますか? あなたがはんろんをよういするのならわれわれはそれをつぶすだけです」ズズーッ

上条「……あ、あぁぁっ……」

冥加「あなたがじょせいをくいものにしてえつらくにひたるというのならーー

まずは
そんな
げんそうを
ぶちころす」キリッ

古賀(あ、気に入ってたんだ、それ)ガビーン






古賀「に、してもさぁ。結局、あいつは何をしたかったんだろうね」

冥加「これです」クルリ

古賀「とある大学の掲示板? なになに? 美人すぎる探偵事務所?」

冥加「みたいですね」キョウミナシ

古賀「いやぁ、照れちゃうなぁ」テレッテレ

冥加「中身は見ない方がいいですよ」

古賀「なんで?」クリック



228:VIPにかわりましてとある大学生がお送りします[sage]
20XX/05/27(月) 14:04:17.40 ID:korliec35

やべェ、今日、美人すぎる探偵事務所の人に話を聞かれたんだがハズレの方だったェ……

229:VIPにかわりましてとある大学生がお送りします[sage]
2012/02/27(月) 14:04:20.80 ID:HLAfi35AO
>>119
涙拭けよwww

230:VIPにかわりましてとある大学生がお送りします[sage]
2012/02/27(月) 14:04:25.22 ID:AG0JA35Ag

探偵さんペロペロ


231:VIPにかわりましてとある大学生がお送りします[sage]
2012/02/27(月) 17:04:17.40 ID:AG0JA35Ag

どうやら聞き込みはハズレさんみたいだにゃー





古賀「う、うぅっ」グスッ

冥加「なみだふけよ……ですね」ハフゥ



21: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/02/27(月) 14:27:58.10 ID:HLAfi35AO

サブタイトル

【とある大学生のマッチポンプ】

は以上で終了です。

ギャグパートでごめんぬ。

次回は

【とある大学生の幻想遊戯】

をお送りします。





25: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/02/27(月) 15:36:13.78 ID:HLAfi35AO

【古賀いたみの逆襲
エピソードⅠ】

古賀「フフフフッ、これでどうだぁー!!」ポチッ



485:VIPにかわりましてとある大学生がお送りします[sage]
2012/06/01(月) 14:03:52.41 ID:AGJ000pjT

最近、探偵事務所の助手さんが可愛くなってね?

486:VIPにかわりましてとある大学生がお送りします[sage]
2012/06/01(月) 14:04:15.99 ID:AGJ000pjT

俺も思ったwwwというかwww探偵さんが可愛いって言ってた奴なんなの? どうみても助手さん一択だろksg

487:VIPにかわりましてとある大学生がお送りします[sage]
2012/06/01(月) 14:05:32.40 ID:AGJ000pjT

俺、みんながアンチだったから言えなかったけど、助手さんのこと可愛いと思ってた。

助手さんのあのボンボンにかおをもふもふしたい

488:VIPにかわりましてとある大学生がお送りします[sage]
2012/06/01(月) 14:07:17.40 ID:AGJ000pjT

助手さん!助手さん!助手さん!助手さんぅぅうううわぁああああああああああああああああああああああん!!!
あぁああああ…ああ…あっあっー!あぁああああああ!!!助手さん助手さん助手さんぅううぁわぁああああ!!!
あぁクンカクンカ!クンカクンカ!スーハースーハー!スーハースーハー!いい匂いだなぁ…くんくん
んはぁっ!探偵事務所の助手たんのお団子ぼんぼんの髪をクンカクンカしたいお!クンカクンカ!あぁあ!!
間違えた!モフモフしたいお!モフモフ!モフモフ!髪髪モフモフ!カリカリモフモフ…きゅんきゅんきゅい!!
聞き込んでいる助手たんかわいかったよぅ!!あぁぁああ…あああ…あっあぁああああ!!ふぁぁあああんんっ!!
ミスコン第二位良かったね助手たん!あぁあああああ!かわいい!助手たん!かわいい!あっああぁああ!
お姿をみれて嬉し…いやぁああああああ!!!にゃああああああああん!!ぎゃああああああああ!!
ぐあああああああああああ!!!付き合えるなんて現実じゃない!!!!あ…彼氏もセフレもよく考えたらいるかも…



27: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/02/27(月) 15:45:38.51 ID:HLAfi35AO

助 手 ち ゃ ん は ね ら え な い?にゃあああああああああああああん!!うぁああああああああああ!!
そんなぁああああああ!!いやぁぁぁあああああああああ!!はぁああああああん!!探偵事務所ぁああああ!!
この!ちきしょー!やめてやる!!現実なんかやめ…て…え!?見…てる?探偵事務所の助手ちゃんが僕を見てる?
探偵事務所の助手ちゃんが僕を見てるぞ!助手ちゃんが僕を見てるぞ!セフレなんかいない助手ちゃんが僕を見てるぞ!!
彼氏のいない天使な助手ちゃんが僕に話しかけてるぞ!!!よかった…世の中まだまだ捨てたモンじゃないんだねっ!
いやっほぉおおおおおおお!!!僕には助手ちゃんがいる!!やったよ探偵さん!!ひとりでできるもん!!!
あ、助手ちゃああああああああああああああん!!いやぁあああああああああああああああ!!!!
あっあんああっああんあ探偵様ぁあ!!イ、インナントカー!!ミサカミサカぁああああああ!!!ムギニャァァァぁあああ!!
ううっうぅうう!!俺の想いよ助手さんへ届け!!探偵事務所の助手へ届け!





古賀「かんぺきね」フー

冥加(あわれなのでつっこみはひかえましょう)ズズーッ

古賀「ふ、ふふふっ、これであたしの時代が再来よ」

冥加(しむらー、あいでぃー、あいでぃー)コポコポ

古賀「あ、冥加ちゃん、珈琲あたしも」

冥加「はい」コポコポ

古賀「ふふっ、これで彼氏いない歴イコール年齢に終止符っ!!」

冥加「どうぞ」コトッ

古賀「あははははーっ!! あたしの時代到来で第三部、完っ!! ってね」ニャフフ

冥加(ふびん……)ホロリ



28: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/02/27(月) 16:05:39.42 ID:HLAfi35AO

489:VIPにかわりましてとある大学生がお送りします[sage]
2012/06/01(月) 14:08:22.00 ID:PJTM55TWP

超うわぁ……

490:VIPにかわりましてとある大学生がお送りします[sage]
2012/06/01(月) 14:08:32.40 ID:GJAGJA02G

こいつまじかァ……
491:VIPにかわりましてとある大学生がお送りします[sage]
2012/06/01(月) 14:09:13.40 ID:NY06pj02P

ひどすぎるにゃー

492:VIPにかわりましてとある大学生がお送りします[sage]
2012/06/01(月) 14:09:55.48 ID:ADKOMTJ8G

ぼく、あおがみでピアスつけてるくらいちゃらおなんやけどこれは無理

493:VIPにかわりましてとある大学生がお送りします[sage]
2012/06/01(月) 14:10:35.88 ID:KK868KKpj

今北産業なのである
494:VIPにかわりましてとある大学生がお送りします[sage]
2012/06/01(月) 14:11:20.40 ID:GJAGJA02G

探偵事務所の助手さんがァ
いきおくれすぎてェ
必死すぎィ

495:VIPにかわりましてとある大学生がお送りします[sage]
2012/06/01(月) 14:11:41.44 ID:PJTM55TWP

女として
こうはなりたくないと
超思いました

496:VIPにかわりましてとある大学生がお送りします[sage]
2012/06/01(月) 14:12:01.40 ID:BBABBAat2
>>495
ただの感想wwwだけどwww正論www





古賀「な、なによ、これ……」カタカタ



29: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/02/27(月) 16:13:53.30 ID:HLAfi35AO

497:VIPにかわりましてとある大学生がお送りします[sage]
2012/06/01(月) 14:13:52.40 ID:AGJ000pjT

なんか、よくわかんないけどアンチが湧いてでた?

498:VIPにかわりましてとある大学生がお送りします[sage]
2012/06/01(月) 14:14:00:40 ID:AGJ000pjT

みたいだねー。荒らし氏ねよwww

499:VIPにかわりましてとある大学生がお送りします[sage]
2012/06/01(月) 14:14:30.40 ID:AGJ000pjT

助手は可愛い←これ正論

500:VIPにかわりましてとある大学生がお送りします[sage]
2012/06/01(月) 14:14:55.40 ID:PJTM55TWP

IDって超知ってます?

501:VIPにかわりましてとある大学生がお送りします[sage]
2012/06/01(月) 14:05:32.40 ID:GJAGJA02G

助手さン、仕事で疲れてンだよ。そっとしてやれよ……




古賀「あ、あいでぃー?」

冥加(……あしたからそとをあるきにくくなるでしょうね)ホロリ



30: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/02/27(月) 16:20:09.52 ID:HLAfi35AO

古賀ちゃんはパソコン使ってやったお仕事はSNSを回ってキーワードを探すだけの簡単なお仕事でした。

古賀いたみ先生の次回のお話にご期待ください!!



40: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/02/28(火) 00:00:32.68 ID:a9ofK0UAO

球磨川『冥加ちゃん』キラーン

冥加「ゃっ……だめです……みそぎさん」

球磨川『いいじゃないか、冥加ちゃん。嫌がってても体は正直だぜ?』

冥加「……ぃじわる」

球磨川『あはっ、あんまりにも冥加ちゃんが可愛いから』

冥加「しらない」プイッ

球磨川『機嫌直してよ』チュッ

冥加「そんなんじゃ、ごまかされてあげませんから」フニャ

球磨川『うーん、弱ったなぁ』

冥加「もっと、ほしい……です」チュッ

球磨川『冥加ちゃんは可愛いなぁ!!』

冥加「もう、みそぎさんったら」イチャイチャ


イチャイチャ

イチャイチ

イチャイ

イチャ

イチ



……












冥加「ゆ、ゆめ?」ハッ

冥加「……」カァァァァッ

冥加「~~~~っ!!」マクラモフモフジタバタ




古賀(冥加ちゃんを迎えにきたら、なんか可愛いことしてたっ!!)ガビーン



41: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/02/28(火) 00:03:36.72 ID:a9ofK0UAO






【とある大学生の幻想遊戯】








42: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/02/28(火) 00:17:45.12 ID:a9ofK0UAO

古賀「むっつり助平」ニヤリ

冥加「……」

古賀「淫乱探偵」ニヨニヨ

冥加「……」イラッ

古賀「『私、みそぎさんがす・き』」ニュフ

冥加「……」ピシッ

古賀「ニャフフ朝から……ひいっ」

冥加「どうしたんです? いたみさん」ゴゴゴゴゴッ

古賀「ひ、卑怯だよ!! 暴力反対!! 早く武器をしまってよ」ガクガク

冥加「もしかしてことばぜめのほうがすきなのですか?」ゴゴゴゴゴッ

古賀「ち、違うよ。悪乗りしたのは認めるけど……」ブルブル

冥加「どちらにしましょうか。あててください」ゴゴゴゴゴッ

古賀「ひ、ひとおもいに折檻して?」ブルブル

冥加「のーのーのーのーのー」

古賀「言葉責めですかぁぁぁっ?」ヒィィィ

冥加「のーのーのーのーのー」

古賀「も、もしかして両方ですかぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」ガクガクブルブル

冥加「いえすいえすいえすいえすいえすいえす」

ドア「」コンコン

古賀(た、助かった!!)フゥ

冥加「……あとでおぼえておいてくださいね」ニコッ

古賀(助かってなかったー!!)ガビーン



43: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/02/28(火) 00:40:00.20 ID:a9ofK0UAO

【雲仙探偵事務所・雲仙冥加】

冥加「かきねていとくさんですか」

垣根「あ、いま。提督って考えただろうけど提ではなくて帝だからな!!」

彼は見えない何かに突っ込む。いや、それは……

古賀「いや、書類みればわかりますが」

私は契約書を見る。

冥加「まえきんでごまんえん、とおかごとにじゅうまんえん。せいこうほうしゅうがさんじゅうまんえん。いってはなんですがたんていをやとうとはどこもそれなりにひようがかかるというのはごぞんじですか?」

垣根「無論だ」

冥加「そうですか」

鼻で笑われて多少いらっとした。

垣根「なんならお姉さんたちが相手してくれるなら十倍だしてもいいぜ」

冥加「けっこうです」

垣根「え? マジで? 俺、結構イケメンだし金持ちだぜ?」

冥加「……じょうだんはおいといて」

垣根「……」

あからさまに落ち込んでいたが気にしない。

冥加「それではおきかせください」

垣根「あぁ、わかったーー」









古賀「それにしてもシンデレラねぇ……」

冥加「ふむ」

古賀「人捜しって言っても童話の世界のじゃないっつーの。まぁ、お金貰えるからやるけど」

冥加「……」

古賀「幾らなんでもこりゃないよ」

冥加「そうですね」

私はマグカップにココアを注ぐ。

古賀「なにせ、靴と記憶を頼りに人を探して欲しいだなんて」

冥加「とてもめるひぇんです」

ココアに口をつける。甘い。



45: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/02/28(火) 00:56:23.91 ID:a9ofK0UAO

冥加「しかしだいがくせいがきゃばくらとは」

古賀「嘆かわしいねぇ。あたしなんて男と遊んでる暇なんてないのに!!」

それは暇が無いのか出逢いが無いのか。深い所を聞けば傷つけるだけなのでスルーしておこう。

古賀「しっかしPLEASERのクリスタルシリーズなんて現実で履く子なんているの?」

冥加「知ってるのですか」

古賀「アメリカのブランド。まぁ、そこまで詳しいわけじゃないけどさぁ。けどなぁ」

引っかかることがあるみたいです。

古賀「そもそも無色透明なんて靴、キャバ嬢とは言え履きたがる?」

冥加「いったことはありませんがいめぇじでははでにつきます」

古賀「一発芸では受けるかもしんないけどね」

冥加「でもきれいですよ」

古賀「冥加ちゃんは少しファッションに疎いからわかんないだろうけど……」

冥加「さ、さりげにひどいですね」

古賀「ファッションってのはトータルコーディネートな訳。靴に合わせるっていってもこれはちょっと」

冥加「そんなにですか?」

古賀「うん、日本人映えは絶対しない」

冥加「さすがですね。しかし、そうなると……」

古賀「うん、垣根さんは何か隠してるね」

冥加「こまりましたね。べつにかくしごとをされるのはかまいませんがこのけんにかんしてはししょうをきたしそうですね」

古賀「ま、実際な話を思いだしてみるとーー」



46: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/02/28(火) 01:07:33.68 ID:a9ofK0UAO

【雲仙探偵事務所・一時間前・垣根帝督の証言】

垣根「いや、あの日は……うん、雨だった」

垣根「ほら、雨って雨も滴せるいい……あ、そういうのはいいって? はい、すいません」

垣根「待ち合わせの場所に行ったんだよ」

垣根「けどな、その子はいなくてさ」

垣根「すっぽかされたかと思ったんだけどな、近くに落ちていたんだよ。靴が」

垣根「とても綺麗な靴だぜ。目が奪われた」

垣根「けど、同時に事件の匂いを感じた訳だ」

垣根「誘拐や拉致の可能性があるってね」

垣根「だからあんたらの力を借りたい。他の探偵事務所や警察は大学生の悪ふざけみたいな感じでまともにとりあっちゃくれねぇ」

垣根「これは凶悪犯罪だと思う。え? その心は? 強いて言うなら

メルヘンの勘かな」



【証言終了】



47: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/02/28(火) 01:28:42.77 ID:a9ofK0UAO

冥加「もんだいはたたありますね」

古賀「そうだね。警察も他の探偵事務所も断られた理由があるだろうしね」

冥加「さて、こんかいはわたしもききこみにまいりましょう」

古賀「オッケー、分担は?」

冥加「わたしはかきねさんのおたくにもういちどれんらくをいれておはなしをうかがいたいとおもいます」

古賀「んじゃ、あたしは警察と同業者に聞いてまわるよ」

冥加「それではまいりましょう」







【垣根宅】

電車で揺られ二十分。歩いて徒歩五分。

高級マンション、学生が大学に通う為だけ借りているにしてはあまりにも高すぎる。

彼が金持ち(正確には彼の親だが)は嘘では無いだろう。

上条「げっ……」

冥加「こんにちは」

上条「こ、こんにちは」

彼はあの事件の後、我々と和解金と慰謝料で話し合いを進めた。

しかし、貧乏学生である彼が何故ここに?

???「当麻ぁー!!」

上条「あ、どうしたんだ、美琴」

追いかけてきた栗毛色のショートの女性は写真で見た御坂美琴。

御坂「いつものアレやってないよっ!! ……って誰? この女?」

値踏みするような視線を受け流す。

御坂「あなたは一体誰? あたし「の」当麻に何かよう?」

上条さんと向かいあって固まった状態(向こうのみ)を彼女はどう捉えたかは知らないが少なくとも歓迎はされていないようだ。

冥加「もうしおくれました。わたしはこういうものです」

名刺を出して、御坂美琴に渡す。

御坂「どうも……」

そして名刺をみた瞬間に顔が真っ青になる。

冥加「?」

御坂「あ、あははっ」

挙動不審な彼女を私はじっくり値踏みするように見つめる。

そして合点がいく。

和解金と慰謝料はとてもじゃないが学生が簡単に出せる金額じゃない。

つまりは出所は御坂美琴だろう。そして説明もなしに渡せる金額ではない事を考えれば説明がつく。

けれども更に違和感が湧くがこの際、今は関係ないことだ。

冥加「ひとをまたせてますので」

ぺこりと頭を下げて立ち去る。二人は何かを話していたが気にする必要はまだなさそうだ。



50: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/02/28(火) 01:51:28.07 ID:a9ofK0UAO

冥加「あ、すこしお聞きしたいのですが……」

上条「ん?」

冥加「いっしゅうかんまえのてんきおぼえてますか?」

上条「一週間前。雨だったぜ。」

美琴「晴れだったわよ。部屋でゴロゴロしてたからあんたわかんないでしょ!?」

上条「うーん、そうだっけか?」

冥加「ありがとうございました」





【垣根宅・部屋】

垣根「イケメンの入れた珈琲とイケメンの入れた紅茶、どっちがいい?」

冥加「あ、けっこうです。ごごてぃを持ち歩いていますので」

垣根「し、庶民舌だな」

その言葉に私は最高の微笑みを浮かべて。

冥加「あぁ!? ごごてぃのどこがしょみんだ!? てきとういうとぶちころすぞ!?」

垣根「ご、ごめんなさい」

冥加「……さて、おはなしをうかがいにきたのですがまずひとつ」

垣根「はぁ……」

冥加「われわれはたんていです。どういうりゆうであれあなたがくつのじんぶつをさがしてほしいのならぜんりょくをつくす。ただ、それだけです」

垣根「……」

冥加「それをふまえたうえでわたしはあなたにききます。いいですね」

垣根「わかった」






【雲仙冥加vs垣根帝督】














51: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/02/28(火) 02:05:39.59 ID:a9ofK0UAO

冥加「さて、まずはおきかせねがいたい」

垣根「なんだ?」

冥加「まちあわせのにちじです」

垣根「一週間前の六月十五日、午後六時に大学講道横だ」

冥加「ふむ、そうですか。てんきは?」

垣根「雨だったと思うぜ。うん、雨だった」

冥加「おまちください」

垣根「へ?」

冥加「ふつうおぼえていませんか? あなたがそれだけこがれたでぇとのてんきくらいは?」

垣根「っ!! あ、あれだ。雨だった。雨に違いなかった」

冥加「ふむ、そうですか。じつはあのひ、とあるだいがくではあめはふっていないのです」

垣根「は? んなわけねーだろ!! あめはふっていた!! 何せ、傘をさしていた俺が言うんだから間違いねぇ」

冥加「えぇ、ふってはいましたよ」

垣根「ほらみろよ」

冥加「ただしくかくでいうならばとあるだいがくをのぞいた○○けんのさんじゅうぱーせんとのちいきで」

垣根「は?」

冥加「たしかにふっていましたよ。このまんしょんのまわりは。しかしながらとあるだいがくではふっていなかったのです」

垣根「あ……」

冥加「おそらくでしょうがあなたはかさをもってでかけていたがとあるだいがくにいったときあめはふっていなかった」

垣根「……」

冥加「それがなにをしめしているのかかんたんです。あなたはばれるのをおそれた。なにを? かんたんです。じつにかんけつでかんいです。あなたがとあるだいがくではあめがふっていたとよそくしなければならなかった。なぜなら、


でぇとにちこくしたからです!!」

垣根「ば、ばれたぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」




54: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/02/28(火) 02:25:59.65 ID:a9ofK0UAO

冥加「ついでにいうならばあなたのあたまはめるひぇんなんてかわいらしいものではなくただのやりたいさかりのくさったどうていくそやろうです!!」

垣根「うっ……うわぁぁぁぁ、ちげーんだよー」

大学生を泣かしたが一切、罪悪感がわかない。というか、みっともない。


【垣根帝督・真証言】

垣根「ど、ドキドキして前日、眠れなかったんだよ」

垣根「だから昼頃から講義さぼって寝たわけでさ。気がつけば六時丁度、慌てて家をでた」

垣根「電車で揺られて二十分ってことは待ち時間を含めて三十分、大学まで徒歩十分、走ったから三十五分くらいだな」

垣根「まぁ、雨は上がってたっていうかあまりに焦ってたから地面を見るとか余裕なかった。考えてみれば走って水が跳ねなかったんだから雨がふってねぇなんてわかるよな……けど、そんなの確認する暇もなく走った」

垣根「そして、たどり着いたら誰もいなかった。後悔はしたさ……」

垣根「けど時間はまき戻らない。とかっこつけてたら階段の近くに靴が落ちてたんだ」

垣根「実際、講道横なんて道を待ち合わせする奴は俺以外いない。隠れた待ち合わせスポットを探すメルヘン活動の最高のプレイスだから」

垣根「だから多分、相手の女性の靴なんだと俺は直感した。メルヘン勘だ」

垣根「綺麗だったさ。一切、汚れてなかった。俺の待ち合わせ相手もこれくらい汚れのない相手だと思った」

垣根「だから謝りてぇ!! 謝って、誤解を解いて、お付き合いしてぇ!! だから頼む、探偵様!! 運命の相手を探しだしてくれ!!」









冥加「ごかいじゃないです。くそめるへん」

垣根「ぐっ、ううっ!!」

冥加「だけど、そのあまさは、きらいじゃあ、ないです」

垣根「た、探偵さん!!」

冥加「われわれのしごとはたんていです。あなたがせいいをもっておはなししてくれたのならわれわれもこたえる。それだけです」

垣根「ありがてぇ……ありがてぇ……」

ハンカチをさりげなく渡したが思いっきり鼻をかまれた……



55: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/02/28(火) 02:42:05.00 ID:a9ofK0UAO

【コマーシャル】

「あー、疲れた。


そんな時はメルヘン製薬のメランコリックD!!

タウリン100000mg配合!!

滋養強壮、今まで反応してくれなかったおじいちゃんのジョンですらメルヘンに!!

数々の愛用者続出!!

『あァ、俺ァ、最初ロリコンのつもりだったが今じゃ違うぜェ。穴さえあれば何でもいい。それもこのメランコリックDのおかげですゥ』

『義妹を完堕ちアヘ顔だぶるぴーすさせることができたのはメランコリックDのおかげだにゃー』

『僕、青髪でピアスなんやけどメランコリックDのおかげで彼女ができたんよ!!』

『むぎnじゃなくてとあるババアに飲ませたら今まで患っていたヘルニアが超回復しました!!』

『筋肉がムキムキなのはメランコリックDのおかげなのである』

この効果は本物!!

今すぐお電話を!!

メルヘン製薬!!』





後編に続くよ!!



59: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/02/28(火) 03:20:40.08 ID:a9ofK0UAO

【雲仙探偵事務所】

冥加「ただいまもどりました」

古賀「おっかえりー。と、その顔じゃどうして警察や他の探偵事務所で断られたかわかってるみたいだねー」

冥加「まぁ、いたみさんもきづいてたとおもいますが」

古賀「そうだね。自業自得だよねー。あとさ、なんか知らないけど栄養ドリンクをたくさんもらった」

冥加「だれからです」

古賀「とある大学の子達。なんか目の前にあるから親近感わくよねー」

冥加「えぇ」

古賀「『お仕事超頑張ってください』とか『人生楽しいこともあるからよォ。ヤケになんかなるンじャねェぞ』って励まされちゃった!! 実際は楽しい仕事なのにねー、にゃはは」

涙がこぼれそうになった。

冥加「が、がくせいへのききこみにはわたしがいきますね……」

古賀「ん? いいの? 垣根さんの家って遠かったし疲れてない?」

冥加「いえ、だいじょうぶです。おるすばんをおねがいします」

古賀「まっかせなさーい!! 冥加ちゃんの帰る家はあたしが守るよ」



61: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/02/28(火) 03:34:40.88 ID:a9ofK0UAO

【大学講道館横】

あっさりと入館に許可が下りたのはいいが昨今の犯罪事情を考えてみればお世辞にもセキュリティーが良いとは言えない。

冥加「この……へんですね」

周りを見渡すと確かにこんな何もない薄暗い路地で待ち合わせをするなど彼以外いないだろう。

冥加「ん?」

周りを見ると人影があった。

冥加「あなたは?」

???「……ふぅん」

値踏みされる視線を受ける。今日で二度目というか、大学の頃からそうだったがこのエプロンドレス調のスーツはもしや似合ってないのだろうか。

???「あなたが帝督の家にいた女ね。私はコードネーム、メジャーハート。よろしく」

冥加「こぉどねぇむ?」

心理「えぇ、私は実は世界の名だたる資産家から雇われたスパイなの」

冥加「はぁ……」

心理「ふふっ、あなたのことは調べはついてるわ……探偵さん!!」

自信満々に指を指されたので私は、

冥加「な、なんだってー」

棒読みで返した。

心理「ふふふっ、甘いわね。私の手にかかればあなたが探偵だなんて一目瞭然よ!!」

冥加「な、なんてやつだー」

心理「ふ、ふふっ、ふふふふふっ!! まぁ、私程の腕前になると仕方ないと思うわ」

冥加「なるほどー。ならばそんなすごうですぱいさんにききたいことがあるのです」



62: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/02/28(火) 03:47:48.92 ID:a9ofK0UAO

【心理定規・証言】

「帝督との関係……ふふっ、秘密よ」

「どこのスパイ……ふふっ、秘密よ」

「昼間は学生……夜はそう蝶のように諜報活動をしているの」

「どんな活動か……ふふっ、秘密よ」

「ガラスの靴……あの人が好きそうなものね」

「帝督との関係……だから秘密だって!!」

「……まぁ、でも強いて言うなら私は落ちた蝶と彼は羽ばたく鳥」

「叶わない夢と知りながらも追いかける私……カッコいいわ!!」

「ふふっ……あなたに私のカッコよさが理解できて?」














冥加「……ありがとうございました」

心理「ふふっ、あなたも探偵として精進なさい」

冥加「はぁ……」

心理「それではまたあいましょう!! うふふふふっ!!」

ものすごい機嫌がいいのか高笑いしながら去っていった。



64: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/02/28(火) 04:05:07.16 ID:a9ofK0UAO

【雲仙探偵事務所】

冥加「ただいまもどりました」

古賀「おっかえりー、窓から見えたからココア入れてるよー」

冥加「ありがとうございます」

古賀「でさー。集まった? 彼の情報? あたしもそれなりに回ったんだけどあまりなかったんだよね」

冥加「えぇ、わたしのほうもにたようなかんじです」

古賀「だよねぇ、ただ経歴は出たよ、法学部四年らしいよ。頭はいいみたい」

冥加「めるへんですがね」

古賀「家はあのメルヘン製薬の御曹司。婚約者もたくさんいるみたい。んで経歴なんだけど、サークル活動は超心理学研究会、テニスサークル、童話同好会って色々、入ってたみたいだけどすぐにやめてくらしいよ。まぁ、そのことで批判はされてた。交友関係は不明で大学ではいつも一人みたいだね。まぁ、今はほとんど年下ばっかだし誰も気にしてないみたい」

冥加「なるほど」

古賀「つまりは典型的なぼっちタイプって訳」

冥加「はい」

私はココアを一口ふくむ。糖分が頭の髄まで染み渡る。

冥加「……あとひとおしですね」

古賀「んにゃ!? 聞いてた? だから交友関係は無いんだって」

冥加「しかし、かのじょのしょうげんはそういういみに……」

古賀「ねぇ、聞いてる?」

冥加「いたみさん」

古賀「んー?」

冥加「きゃばくらにいきましょう」

古賀「」



65: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/02/28(火) 04:17:11.46 ID:a9ofK0UAO

【キャバクラ・DREAM CLUB】

受付「いらっしゃいませ」

冥加「しめいってできますよね?」

受付「はい、可能ですが……お客様はお二人とも女性でございますよね」

冥加「……あいにせいべつはない。と、かのじょはいってました」

古賀「あ、あたし!?」

受付さんがいたみさんを見つめる。

受付「なるほど、失礼致しました。確かに愛に性別はございません」

いたみさんをまっすぐ見つめている。

古賀「え、あ……そうだよねっ!! 愛に性別なんて関係ないよ!!」

受付「ふふっ、それでは誰を指名いたしますか?」










冥加「心理定規さんで」














66: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/02/28(火) 04:30:20.11 ID:a9ofK0UAO

古賀「メジャーハート?」

冥加「えぇ、めじゃあはぁとさんです」

心理「指名ありがとうござ……」

冥加「こんにちは……めじゃあはぁとさん」

心理「……バレてたのね」

冥加「まぁ、すべてわかっているというわけじゃありませんが」

心理「……堅苦しい話の前にどうする? ノンアルコールドリンクもあるけど」

冥加「わたしはどりぃむかくてるまぐまを」

古賀「あたしはドリームカクテルヘル!!」

心理「え、本当に?」

冥加「え?」

心理「知らないわよ……」

冥加「だいじょうぶです。ざるですから」







【雲仙冥加vs心理定規】










心理定規さんは普通のモスコミュールに口をつけている。

冥加「さて、めじゃあはぁとさん。お聞きしたいことがあります」

心理「……」

冥加「あのガラスのヒールをおとしたのはあなたですね」

心理「一応、否定しておくわ」

冥加「ふむ、それではせめかたをかえさせていただきましょう」

心理「……」

冥加「あなたのおとくいさまにかきねていとくというかたがいますね」

心理「知らないわ」

冥加「おや、おかしいですね。かきねていとくほんにんからきいたのですが」

心理「……未元物質って名乗る変な客ならいるけど」

冥加「だぁくまたぁですか」



67: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/02/28(火) 04:47:42.83 ID:a9ofK0UAO

心理「えぇ、そんなお客様ならいるわ」

冥加「けっこう、ならばだぁくまたぁてのあなたのかんけいせいをおしえてください」

心理「客とキャバ嬢。それだけよ」

冥加「だうとです」

心理「……」

冥加「あなたとかれはつながりがあった」

心理「知らないわ」

冥加「メルヘンせいやくのおんぞうし。そしてそのいいなずけ」

心理「しらないっ!!」

冥加「だからあなたはたとえたんじゃないんですか? とべなくなったちょうと」

心理「……」

冥加「そしてあなたはしっていたあのがらすのくつはかきねていとくのしょくしをそそると……いえ、もしかしたらあなたがかれからもらったぷれぜんとなのかもしれない」

心理「いまさら……今更、関係ないわよ……」

冥加「かなわないゆめ。それはーー」

心理「言わないで……」

冥加「それはかきねていとくとむすばれることちがいますか?」




古賀「かくてうぅおかわりぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!」

冥加「いたみさん、すこしおもてにでましょうか?」







冥加「……すいません。じょしゅがじゃまして」

心理「……いいえ、」

古賀「」

冥加「さて、ここからはしんそうかもあやふやなよそくでありよそうです。しょうこはありませんし、ひつようありません」

心理「……」

冥加「なぜならわたしのことばがあなたにとどけばいい。それだけだからです」

心理「わかった、聞くわ」

冥加「かきねていとくはおせじにもひとづきあいがじょうずではありません」

心理「……」

冥加「かれはぜんじつどきどきしてねむれなかったといった。たぶん、そのひもここでおはなししててあさまでのんだくれていたんじゃないのですか」

心理「そうね。飲んでいたわ」

冥加「かれはうれしそうにはなした。だからあなたはしっていた。かれのよくじつのこうどうを」



68: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/02/28(火) 05:07:31.69 ID:a9ofK0UAO

冥加「あなたはそのげんばをみにいった。あきらめるためか、じゃまをするためかはわかりませんが」

心理「……」

冥加「しかし、かれのまちびとは『はじめ』からこなかった。ちがいますか」

心理「……っ」

冥加「うわさがないというのは、かれにたいしだれもきょうみがないとどうぎです。しかし、かれにはこういをよせられるりゆうはなかったがいやがらせをされるりゆうはあった」

心理「そうでしょうね。彼はもともと好かれるような人間ではないから。わかる人にしかわからないのよ、あの人の良さは……」

冥加「あなたはかれのよさをよくしっているようで、だからこそまがさした。がらすのはいひーるをおとして」

心理「……」

冥加「あなたはかれがきづいてきずつかないようにとこんせきのこすたてまえとあなたはかれにおいかけてほしかったというほんねをそのばにのこした。これがこのじけんのぜんぼうです」

心理「……だけど意味無いのよ」

冥加「いみがない?」

心理「私が否定すれば終わり、十二時の鐘は私が鳴らせる。そうすればシンデレラの魔法は解けるの」

冥加「いいえ、あなたのかねじゃかれにかかったまほうはとけませんよ」

心理「え?」

冥加「めるひぇんとはじゅうどのなんびょうなのです。おもいこめばどこまでもふくらむ」

心理「……」

冥加「あなたがあきらめてもかれはきっとしんじこむでしょうね。うんめいとかめるひぇんとか」

心理「なんだか、すこし悔しいわ。あなたの方が彼のことをわかってるなんて……」

冥加「ごじょうだんを。あなたほどかれをすきなにんげんもまたいませんよ」



69: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/02/28(火) 05:30:02.33 ID:a9ofK0UAO

【雲仙探偵事務所】

垣根「探偵さん。ありがとうございました!! 探偵さんのおかげて彼女も出来て、童貞も卒業できました!!」

テーブルにこすりつける勢いで垣根さんは頭を下げる。

冥加「ふむ、よかったです」

垣根「よく考えたらあいつの家が没落して会えなくなって、運命の再会。まるでメルヘンですね!!」

冥加「めるひぇんめるひぇんうるさいです」

垣根「しかし、探偵さん。なんで俺がキャバクラなんかに行ってるとわかったんだ?」

冥加「あぁ、べつにたいしたことじゃないです。まさかいらいないようをきゃばくらのかぁどのうらにかいていらいしょをていしゅつされたばかはあなたくらいですから」

垣根「ふっ、俺に常識は通用しないんですよ」

冥加「まぁ、なんにせよ。あなたがうんめいだとかんじためるひぇんはあながちまちがいじゃなかったのかもしれませんね」

垣根「はいっ!!」

彼は最高の笑顔でそう答えた。







けれど私はそんな幻想は抱かない。

彼と私の出逢いは余りにも遅過ぎたから。


古賀「やばいよー、冥加ちゃん!!」

冥加「なにがです?」


980:VIPにかわりましてとある大学生がお送りします[sage]
2012/06/18(月) 14:32:32.40 ID:AgapajT
垣根帝督に彼女ができたった。しかもかなり可愛い。

ソースは↓

yyyPAPAPMJPAPJAPA.co.jpg

981:VIPにかわりましてとある大学生がお送りします[sage]
2012/06/18(月) 14:33:35.40 ID:GLPKADJQ

はいはい自演乙ゥ

なんだとェ……

982:VIPにかわりましてとある大学生がお送りします[sage]
2012/06/18(月) 14:35:22.48 ID:MLML572hen

なんか俺が乗ってるwww

みんなも探偵事務所利用しろよwww探偵さんまじ天使www

あ、キューピットって意味なwww

>>1000ならみんなにも春がくる

983:VIPにかわりましてとある大学生がお送りします[sage]
2012/06/01(月) 14:35:32.40 ID:HPAPA572g

>>982
超ふざけんな。狙う気ねぇ





ドア「」バーン

???「私も彼女が欲しいのである」

冥加「おひきとりください」



70: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/02/28(火) 05:31:14.41 ID:a9ofK0UAO






【とある大学生のシンデレラゲーム】








71: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/02/28(火) 05:34:38.01 ID:a9ofK0UAO

以上、第二話でした。

みんなにも、めるひぇん!!



75: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/02/28(火) 15:21:18.66 ID:a9ofK0UAO

【旧箱庭学園・現在・廃校】

安心院「やれやれ、僕が自爆霊になるとは何という因果だろうね。

本編とは全く無縁だからスキルも魔術も超能力も使っていい?

死人に口なし。幽霊の行動すらも意味がないんだよ。

つまりは幾ら僕が一京近いスキルを持っていようが、球磨川くんに復讐をすることなんて叶わないし、物語の舞台には立てない。


それならばここで塾を開くのもいいかもね。

生徒?

ははっ、それならば困らないよ。だってここには大量の死体があったわけだしさ。

そうだね。題目はーー

【美人すぎる幽霊の解説塾】

とでもしようか」



76: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/02/28(火) 15:50:11.66 ID:a9ofK0UAO

【とある大学生のマッチポンプ】と【とある大学生の幻想遊戯】のよくわかる解説


安心院「さて記念すべき第一回目の生徒はーー」ドゾー

???「俺だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

安心院「なんて不憫な。というか、君もある意味、本物の自爆霊だけどさ」

???「まぁ、苛めでやり返されたら自業自得だよな。自縛霊ってのは廻栖野あたりを指すんだろーよ」

安心院「まぁ、いいか。さて解説に」

???「まぁ、待てよ。安心院さん。俺の紹介を」チラッチラッ

安心院「解説にいくよー!!」

???「俺の名は○○○○○!! っておい!! ふざけんな!! なんだよこの丸!!」

安心院「おいおい【よい子にはお教えできないよ】くん、少しはしゃぎすぎじゃないかい?」

???「一度、ギャグキャラで通すとシリアスに入れなくなる。存在じたいがギャグ……つまり誰も認識できないってことかよ……」

安心院「まぁ、サクサクいこうか。さて【とある大学生のマッチポンプ】なんだけども……」

???「これはミステリーというより完全にサスペンスに近ぇな」

安心院「おい、下らねーカスが何で僕より先に答えを言ってんだよ」

???「ひぃっ」

安心院「……まぁ、そうだね。あくまで導入部としてのお話だ。ミステリーの要素なんて欠けらもない。だからトリックなんてないのさ。

上条は異様にモテる
何故モテるのか
モテるには理由があった
そうするとモテる理由に対して問題が発生する
発生した問題は何を意味していたのか
昨夜、襲われた理由を鑑みる

という一連の流れだね。

まぁ、強いて当てはめるなら上条当麻が始めに言った、

「本当に美人すぎる探偵と探偵助手」

くらいが物語の真相を表すだけなんだけどそんなの些細な問題さ。

まぁ、結局、上条当麻が作りだしていたのは

自分がモテるという現状を作る為の自作自演だね。

全く、たくさんの女性にモテて何がしたいのやら」

???「わかるぜ……ハーレムやらチヤホヤされるのは男のロマンだからな……」

安心院「…………頭おかしいんじゃねーのお前」



77: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/02/28(火) 16:16:59.34 ID:a9ofK0UAO

安心院「さて【とある大学生の幻想遊戯】ってのは文字通り」

???「幻想に一喜一憂していたていとくんの……ひぃっ」

安心院「少し、黙ろうか。

さて、これはまず

>>45に着目して欲しい。

冥加ちゃん達は何故、ていとくんがキャバクラに行ったことをしっていたのか……が重要ではなく。

ていとくんがキャバクラに行っていた。ここが肝なわけだ。
そして>>46のていとくんの証言。

これは冥加ちゃんの言った通り、忘れるわけがない。尚更、事件として考えてるなら忘れるなんてありえない。それにも関わらず天気に関しては曖昧な表現だ。

そして>>50の上条くんと御坂ちゃんの証言である。

降っていたと降っていないの矛盾。

降っていたと証言したのは部屋にいたらしい上条当麻。まぁ、誰の部屋かと聞くのは野暮だろうね。

降っていないと答えたのは部屋にいなかった御坂美琴の証言。

つまりはここがていとくんの嘘を暴く証言だったのさ。

まぁ、記憶違いかもしれないと言われたらそれまでだけど、
ていとくんが余りにもあやふやな証言をする為に彼女もまた調べていたのさ。

その結論こそが>>51となるわけだよ。




そして新しい証言。>>54

彼は前日、どきどきして眠れなかったらしいね。まぁ、だからといって後に語られるようキャバクラに通うのはどうかと思うが。

まぁ、これはさておき。冥加ちゃんが注目したのは

『汚れが一切ついてなかった』

という点だね。

これはまず履いてきたのならまず有り得ない。なぜなら以前、古賀ちゃんが言っていた通り無色透明なんだよ? 汚れや傷は歩いただけでつくものさ。普通、無色透明など室内履きやパーティーくらいしか見かけないからね。

なのにそれが一切ない。

つまりは履いて来たというよりは持っていたが、正しいと言えるね」



79: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/02/28(火) 16:42:51.61 ID:a9ofK0UAO

安心院「さて次は心理ちゃんについてだね。

>>62の証言ではていとくんとの関係性は言えないのにどこか真実を見抜いてほしいと思って言葉の端々に思いを隠した。

だからこそ蝶と鳥で例えたんだろうね。

さて>>64はていとくんの私生活を表している。

ここで覚えておいてほしいのはていとくんは少なくとも好意を抱かれている人間では無いってことだ。

さてここで結論にっていく>>67 >>68

冥加ちゃんも>>67ではガラスの靴に汚れが無かったという事実についてさりげなく答えを言っているしね

が入るわけだよ。


まとめると

前日、キャバクラで朝まで飲んでいた(ていとくんだとドキドキが止まらなかったかららしい)ていとくんは心理ちゃんに明日の事を話す。

ドキドキが止まらないということは彼の人生において珍しいことである。

しかしそもそも誰からも好印象のないていとくんにとってデートとはイタズラであった(まぁ、実際に探してほしいと依頼するくらいの見知らぬ相手)

心理ちゃんはどういう理由かでこの現場を見にきていた。

しかし待ち人はこなかった。と、同時にていとくんもこなかった。

しかし心理ちゃんは前日、キャバクラにていとくんがきていたのでくることを確信していた。だから、痕跡を残した。

汚れの無いことからその靴は彼女にとってジンクスや御守りの類だったのじゃないのかな。


以上が僕の結論だね。はぁ、僕も生前はこんな恋がしてみたかったぜ」

???「ちwwwーwwwっwwwすwwwびっちさん。寝言お疲れさまでーすwww」

ドカバキグシャグショ

安心院「ふぅ……まぁ、わからない点があれば次回にでも僕が補足するよ。それじゃあ」

???「」チーン



80: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/02/28(火) 20:19:01.99 ID:a9ofK0UAO






【とある大学の殺人輪廻】








81: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/02/28(火) 20:49:07.04 ID:a9ofK0UAO

冥加「暑いです……」

空梅雨のおかげで結構な水不足が問題となっている今日この頃。

私はとある大学のサークル活動の懇親会に参加していた。

片手には発泡酒。片手にはバーベキューの取り皿。

河川の周りではしゃいでいる大学生達を片目に少し早いバカンス……という訳ではなくもちろん依頼でこの避暑地に遊び……もとい依頼をこなしにきた。


【三日前・雲仙探偵事務所】

冥加「わたしたちにごえいですか?」

古賀「ちょっとそれは仕事外だよ……」

垣根さんは再び事務所を訪れて頭を下げていた。

垣根「頼みます!! 実はこういう手紙が届いたんす!!」

差し出されたのは一枚の封筒。

宛名は【過負荷】

冥加「~~っ!?」

古賀「ちょ!?」

私は目を疑った。

垣根「これ、マジでおっかないこと書いてあるんすよ」

彼は中身を取り出し見せてくる。

【あなた方の旅行はきっと楽しい物になるでしょう。血で体を洗い流し、肉を貪り合い、そして最後には誰も生き残ることは叶わない。何故なら私かいるから。どうか楽しんでください。我々はあなた方の旅を最高の旅へと仕上げましょう。『一年マイナス十三組の魔女より』】

古賀「……どうみる?」

冥加「……ほんものです」

垣根「な!! 脅しにしてはこえーだろ!! なんか不気味つーか。なんて読むんだ、これは? こふか? かふか? すごふか?」

古賀「ねぇ、待って。君、一応、法学生だよね。ニュースも見ないの?」

垣根「ふふっ!! 脳は使わないと劣化するんだぜ!!」

古賀「……あっそう」

冥加「いたみさん、このじけんおうけしましょう」

垣根「まじか!! 旅費も依頼費も奮発するぜ!! ただし心理定規には内緒にしててくれよ……ほら、怖いとか……情けねぇじゃねぇか」

冥加「……いたみさん」

古賀「オッケー、あたしはこっちでバックアップをする。もし携帯が圏外になったら一日遅れで入るから」

冥加「よろしくお願いします。あとかきねさん、このてがみはほかにだれかしっていますか?」

垣根「知らない筈だぜ。だってびびってるとかバレたら馬鹿にされるだろうがよ」

冥加「よろしい。このてがみはおあずかりしても」

垣根「いいぜ!!」



82: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/02/28(火) 21:13:38.37 ID:a9ofK0UAO

冥加「それにしてもかきねさんはなんのさぁくるにはいったのですか?」

垣根「超心理学研究会、オカケンだ!!」

冥加「……なるほど」

垣根「まぁ、なにやら一方の奴が土下座して彼女が欲しいと言っていたから俺は仲良くなってやったんだぜ」

冥加「だいがくはつのおともだちですか」

垣根「いや、人生初だ」

古賀「なんて不憫」

いたみさんはハンカチで目許を拭っていた。

垣根「まぁ、そんな感じで仲良くなったからよ。一応、心理定規の知り合いも連れて、あとはオカケンもついでに合宿が重なったから行こうぜェって誘われたんだが」

冥加「……なるほど」

垣根「出鼻をくじくようにこの手紙が来たってわけだ」

冥加「ふむ……」

垣根「ってな具合だが……」

冥加「ありがとうこざいます」



【回想終了】



あー、昼間からビールが飲めるとは平和です。

冥加「あら、あなたは?」

一方「は、はははははじめましてェ、たンていさン!!」

真っ白な肌はみるみるうちに紅潮していった。瞳は赤……これはアルビノとよばれる病気でしょうか?

一方「ひ、ひとかたみちゆきでェす!! 生まれた時から好きでしたァ!! 付き合ッてくださいィィ!!」

冥加「ごめんなさい、おもいびとがいますので」

一方「お、俺ですかァ!?」

冥加「ちがいます。かけらもかすりません」

一方「ウワァァァァァン!!」

走って垣根さんの所へ戻っていった。

しかし、一見して見れば女性の割合が多いですね。

特に上条当麻の周りにはたくさんの……ハァ。無知とは怖い。これはある意味真理ですね。

御坂「こんにちは、探偵さん」

冥加「こんにちは」

御坂「わたしのものを眺めてたようですけど手を出さないで欲しいですね」

冥加「そんなつもりはありませんよ」

御坂「ふぅん、どうだか」

彼女は何故か私に対していい印象を持っていないようです。

一体、上条当麻は何を言って御坂美琴からお金を貰ったのか。

少しばかり肩がこります。



86: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/02/28(火) 22:42:27.16 ID:a9ofK0UAO

冥加「これはまたきとくなべっそうですね」

???「人の別荘になにいちゃもんつけてんのよ」

冥加「これはもうしわけございません……あなたは?」

麦野「麦野沈利、まぁ、いちおー、会長をやらせて貰ってるわ」

冥加「かいちょうさんでしたか」

麦野「ま、でも分かるわー。中央のゲストルームを囲む形で五メートル間隔で客間があるなんて推理小説さながらだしにゃーん」

冥加「なんというかまるでそういうもくてきでつくられたみたいです」

麦野「あっ、わかっちゃう? ここって昔、殺人事件があって迷宮入りした場所をあたしが買い取ったの」

冥加「へぇ」

麦野「一部では有名な事件なんだけどねー。輪廻館って」

冥加「りんねかん……」

麦野「そ、連続殺人事件。まぁ、殺人事件というよりは不可能犯罪。誰も生き残れなかった呪いの館」

冥加「そうですか……」

麦野「あなたも幽霊に取り殺されないようにねー」

手を振りながら去っていく。

冥加「……うぅん、りんねかん……けいたいはけんがいですか……」

外を見上げると雲行きが怪しい。事前に調べた情報では空梅雨の被害を物ともしない雨雲が近づいている。

本来なら中止になってもおかしくはないのだが大学生の行動力は少し怖いものだ。

冥加「……なにもおこらない……わけないですよね」

それは確信。来る前には全員に「じけんがおこるよかんがします、きをつけてください」と伝えたが、それ以上は水を差しそうな上、イニシアチブを持っていた上条当麻に注意をされた為に発言権を失った。

冥加「ゆうしょくのときにもういちど、うながしますか」



87: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/02/28(火) 23:23:24.39 ID:a9ofK0UAO

【輪廻館・中央の間】

食事のテーブルにシステムキッチン。少し離れた所にソファーと絨毯。絨毯の上にテーブル。

垣根「探偵さん!! ポーカーしようぜ!!」

浮かれた調子の六人を見つめる。

垣根さんに一方さん、心理さんに御坂さん、後は見覚えはないが外国人の彼女はインデックスと呼ばれる少女であろう。しかし小柄なその体躯は中学生と比べてもまだ小さい。

冥加「あなたは?」

???「結標淡希、心理の商売仲間よ」

冥加「むすめじさんですか」

結標「そ、よろしくね」

冥加「しかしとらんぷがひとくみしかないようですが」

垣根「ふっふっふ、俺に常識は通用しねぇ!!」

ポーチから大量のトランプを出した。

一方「さすがていとくんだぜェ……まぁ、俺も抜かりはねェ!!」

そういうと彼もトランプケースを大量に取り出した。

垣根「一方通行ぇ……やるな……」

一方「おまえもなァ」

ガッシリと握手をする二人。

しかしーー

心理「四つくらいで良かったんじゃないの?」

結標「荷物かさばるだけじゃないのよ……」

冥加「しごくもっともです」





見られている。

インデックスと呼ばれる少女と御坂美琴に。

冥加「……わたしはしょうぶにでましょう」

金銭を掛けているわけではないただのお遊びだが最初に配られた手持ちの百点がなくなったら一位が出るまで参加出来ない為、それなりの遊戯性はある。

禁書「……クスクス」

一人で三五〇枚近い数を持つインデックスさんは笑みをこぼしている。

御坂「あたしは降りるわ」

これで御坂さんの手持ちが消えて実質的に一対一となる。

冥加「ふむ、これで二百対四百ですか」

配られた手札は悪くない。初手ツーペアならばセオリー通りに一枚チェンジのフルハウス狙いの固めでいくのも悪くない。

禁書「……クスクス」

気になる笑い声である。彼女が笑っている時は「必ず」彼女が勝っていた。

冥加「べっどは?」

禁書「いくつでもいいんだよ……クスクス」

ならばーー

冥加「ぜんぶかけましょう」

禁書「クスクス……いいんだよ……」

スタートベッドは三十から二百になる。そして手札からあえて三枚チェンジした。



89: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/02/28(火) 23:49:37.89 ID:a9ofK0UAO

笑みが消えたのはその瞬間だった。

禁書「……」

冥加「きんぐのふぉうかぁどです」

三枚引いてきた順を表すならA、K、K。

禁書「ジャックのフォーカードなんだよ」

冥加「なるほど……」

禁書「……いいんだよ別に。クスクス」

余程、自身があるらしい。

垣根「お、おぉ、すげぇ戦いだぜ……」

一方「探偵さンが超キャンブラーだ……かッけェ……」

御坂「けどインデックスに勝つのは無理でしょ。あの子はアレなんだから」

一方「まァ、だがよォ……俺は探偵さンを応援するぜェ」

まぁ、ここら辺で痛い目を見せてあげるのも吝かではありません。

【一分後】

禁書「……え? なんでKが?」

冥加「まぁ、これでおたがいにおーるいんだったためにわたしのかちですね」

禁書「あ、ありえないんだよ!!」

私は山札を指差す。

インデックスさんは裏を見たまま山札を探る。

禁書「やられた……んだよ……」

裏側を向いたままの一枚のカードそれはJ。

冥加「いかさまというほどではありませんが、あなたはあまりぽぉかぁにはむいていませんね」

禁書「……いつから気づいてたの?」

冥加「ぎりぎりです。あなたはひょうじょうゆたかでしたから」

禁書「なるほどなんだよ」

垣根「え、何がどういうこと?」

冥加「いんでっくすさんはすこぶるきおくりょくがいいってことです。しんぴんのかぁどのきずをおぼえるていどには」

結標「うっそ……マジだ。ジャックとキング『まったく』同じ場所に傷がある」

心理「……そっちの方が神業なんじゃないの?」

冥加「まったくいっしょではないですよ。いんでっくすさんはたしょうみけんをゆがめたていどにずれはあるはずですから」

垣根さんがインデックスさんに近づく。

禁書「ひっ……ご、ごめんなさいなんだよ!!」

垣根「すげぇ……お前天才じゃねぇか!!」

禁書「え?」

垣根「だってそうだろ? 神経衰弱とか最強じゃねぇか」

冥加「えぇ、それならばかてませんね」

禁書「お、おこらないの?」

垣根「はぁ? なんでだよ? 怒るわけねぇだろ?」

一方「俺ァ、知ってるしなァ」

心理「ま、珍しいものが見れたからあたしは満足よ」

結標「同感」



90: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/02/29(水) 00:06:52.59 ID:p9UFOwUAO

御坂「くっさ……」

垣根「あぁ?」

御坂「なに、お涙頂戴のほのぼのやってんのよ。気持ち悪っ。インデックス、あんた『それ』のせいで苛められてたんじゃないの」

禁書「あ、うぅ……」

御坂「なのに今更、誉められたくらいて何、靡いてんの? 馬鹿じゃない?」

禁書「靡いてなんかないんだよ……」

御坂「あんた居場所、また無くす? 魔術派とか『オカルト』未だに信じてるの?」

禁書「ま、魔法はあるんだよ!!」

御坂「ばっかみたい。ある訳ないじゃん。あるのはESPだけよ」

禁書「……」

御坂「あんたみたいな愚図は当麻当麻言って」

垣根「い、言い過ぎじゃねぇのか」

腰が引けながらも垣根さんは割って入った。

冥加「そうですね。それにあなたのいっているぴぃえすあいもおかるとですよ。しょうめいふかのりょういきです」

御坂「……まぁ、いいわ。さて、当麻の部屋に遊びに行くけどインデックス、あんたはどうする?」

禁書「わ、わたしは……」

垣根さん達と御坂さんを見比べて、

禁書「わ、わたしも当麻の部屋に行くんだよ」

そう言って二人は広間から出て行った。

垣根「なんだよ、あいつ」

一方「最近の一年は怖ェよな」

二人はそんなことを言っていた。それだけ御坂美琴の口調は攻撃的だった。



91: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/02/29(水) 00:26:08.86 ID:p9UFOwUAO

【午後六時】

冥加「さてゆうしょくのじゅんびでもしましょうか」

結標「さんせー」

垣根「来ました!! 女の子の手料理タイム!!」

一方「俺ァ、感謝してる。素人童貞がこンなリア充イベントに巡り会えるなんてよォ」

結標「あら? 筆おろししてあげようか?」

一方「ま、まままままマジかァ!? お願いしますゥ」

結標「あ、あの冗談のつもりだったんだけど……」

一方「生まれた時から好きでしたァ!!」

結標「……はぁ」

冥加「さっきわたしにもいいましたよね?」

一方「はっ!! 俺ァ、なんて悪党なンだ……二人の心を盗むなんてよォ……」

心理「はいはい、あたしは女子に声をかけてくるから」









心理「ただいま」

冥加「おかえりなさい。したごしらえはできましたけど」

麦野「めんごめんご……あれ御坂達は?」

心理「部屋で盛っていたから放っておいたわ」

一方「上条ェ……」

垣根「さんぴーって現実にあるんだな」

心理「あら、浮気?」

垣根「ちげーよ。ただ上条って奴とは考え方が違いすぎんなって思って。俺は彼女一人を守れればいいからな」

心理「ち、ちょっと!! 恥ずかしいじゃない!!」

冥加「ごちそうさまです」

一方「ていとくン、マジいけめン」

麦野「……はぁ」

結標「何だか憂鬱そうね?」

麦野「まぁ、あたしは上条レースからは脱落したけどね……やっぱあの子は特別なんだなって疎外感」

冥加「あのこ?」

麦野「御坂よ、御坂」

冥加「なぜです?」

麦野「この旅行中、上条に引っ付いても正妻の余裕なのか歯牙にもかけてもらえないのよ」

一方「それは麦野さンがばば……」

麦野「何かいったかにゃーん?」

一方「ひぃぃぃぃぃぃっ」

垣根「通行はいい奴だったよ……」

冥加「おしいかたをなくしたものです」



92: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/02/29(水) 00:54:51.91 ID:p9UFOwUAO

禁書「遅れてごめんなんだよ」

心理「気持ちよかった?」

禁書「あ、うぅっ……」

結標「こらこらからかわない」

御坂「ごめんね、何かやろうか」

冥加「すべておわりましたよ?」

御坂「へぇ、あなた料理も出来るんだ。現役で司法試験も合格して、才色兼備の良妻賢母。まさに女性の鏡ね」

一方「なンで、いきなり喧嘩ごしなンだよォ」











冥加「……みょうですね? かみじょうさんは?」

禁書「当麻なら海原を起こしに行くって言ってたんだよ」

すると中央の間に現れたのは上条当麻一人。

一方「海原の奴はどうしたンだよ」

上条「それが変なんだよ。いくらドアを叩いても起きない」

麦野「はぁ? そんなの予定にないでしょ?」

上条「なんならもう一度いくけど……」

冥加「……ほかにもいませんね」

垣根「ん? あ、そーいえば五和って子とあんたの妹、神崎って奴もいねぇぞ」

御坂「起こしに行けばいいじゃない」

冥加「……いやなよかんがします!! みなさん、けしてはなれないでください!!」

麦野「ちょ、探偵さん。早いよ。動くのは少し待って」

冥加「いっこくをあらそうかのうせいがあります」

垣根「……探偵さんの言うとおりかもしれねぇぜ!! メルヘン勘が」

心理「ちょっと、黙って」

冥加「さんてにわかれましょう。わたしはかみじょうさんとむぎのさんにうなばらさんのへやへあんないしてもらいます。ひとかたさんとむすめじさんといんでっくすさんはいつわさんのへやへ。かきねさんとしんりさん、みさかさんはかんざきさんのへやへ。それでいちどぜんいんもどったらみさかみささんのへやへいきましょう」



93: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/02/29(水) 01:07:51.72 ID:p9UFOwUAO

【海原光貴の客間前】

上条「おいっ!! うなばら!! おいっ!!」

かなり強いノックをするが返事はない。

冥加「鍵は開いてませんね」

ノブを回しても鍵が掛かっているらしく開かない。

上条「いいぜ、海原。お前がこの扉をあけないというのならまずはそんな幻想ーー」

冥加「どいてください」

スーツの下に隠した鎖分銅を垂らす。

上条「へ?」

右手の鎖分銅を木製の扉に勢いよく投げつける。

冥加「だいにしゃ」

左手の鎖分銅を穴が空いた近くの部分にまた穴をあける。

そこから伸びる鎖を縦に下ろし扉を裂く。

裂けた部分から鍵を開ける。

中に入り込んで周りを見る。

布団が膨らんでいる。

上条「し、死んでる……」

後ろをついてきていた上条さんが指差すと麦野さんが連鎖的に

麦野「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!! 嘘でしょっ!!」

布団をめくると首元から血を流していた男性の死体があった。

麦野「ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

冥加「……」

細い穴が首を貫通している。頭によぎったのはボウガン。

周りを見渡すと。

冥加「さわらないでっ!!」

上条当麻が血の付いたアイスピックの柄を握っていた。

上条「す、すまねぇ」

冥加「……いいです。おいてください」

上条「あ、あぁ」

その場にアイスピックを置いた。

麦野「う、うそ。こんなの台本に無かった……」

冥加「くわしいおはなしをおききしましょうか」



94: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/02/29(水) 01:26:42.07 ID:p9UFOwUAO

【中央の間】

一方「おェッ……」

垣根「……」

男性二人はまだマシであり、意識を持っていた。

結標さんと心理さんは気絶している。

垣根「……最悪だぜ」

冥加「けいさつにれんらくはいれました、がこのてんこうでどしゃがくずれています。まともにうごけないそうです」

少なくとも男性陣には危機感を持ってもらう為に現状を伝える。

冥加「さて、どういたしましょうか」

垣根「…………」

一方「…………」

御坂「あんた何の職業よ?」

冥加「たんていですが?」

御坂「ならあんたが解決しなさいよ。少なくとも犯人を見つけださなければあたしたちが殺される可能性もあるのよ?」

冥加「……みなさんがよろしいのならそうしますが?」

周りを見ると異論は無いようだ。

冥加「さて、ききたいのですがむぎのさん」

麦野「なによ……」

冥加「あなたのいっていた、だいほんについておはなししてください」

麦野「……わかったわ」



95: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/02/29(水) 01:48:46.99 ID:p9UFOwUAO

【麦野の台本】

「もともとこれはドッキリ企画だったのよ」

「垣根や垣根の連れ以外が全員死んだふりをするっていうね」

「最初の被害者予定は神崎と五和」

「知っていたのは垣根と一方以外。一方は垣根と仲が良すぎるから後でネタバラシする予定だったの」

「一応、特殊メイクを使う予定だったけど間に合わなかったんで首を吊ったふりで最初は合わせるつもりだった」

「ほら、首じゃなくて顎で乗っかかる感じね」

「危険性は確かにあったけど。大学生なんだし、羽目を外したいときがあるじゃない?」

「あと輪廻館の話はでっち上げね。もともとここはこういう作りで昔は修道院だったらしいわ。真ん中に教会があって。だからここの入り口も玄関方面に一つしかないでしょ? ここに入るには抜け道はなくてあそこしか無いわ。一応、換気扇はあるけど人間が通れる作りじゃないわよ。だから一番、遠い向かい側には回って行く必要があるわ」

「詳しいのはドッキリで使う為にここをわざわざ調べたからよ。なんなら確認していいわ」

「超心理学というよりミステリーサークルみたいな内容? そうね。言うとおりだわ。ただ……発案者がね……」



96: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/02/29(水) 02:01:14.48 ID:p9UFOwUAO

冥加「はつあんしゃはだれなのです?」

麦野「…………」

冥加「ふむ、そういうことですか。かくしているとのちのためになりませんよ」

麦野「……っ」

上条「俺だよ」

冥加「そうですか。ならばあなたにもしょうげんをききたい」

上条「あぁ、かまわねぇぜ。あんたが俺のことを疑うっていうのなら

まずは

そんな

幻想を

ぶち[ピーーー]!!」

冥加「……はぁ、どうぞ」




【上条当麻のドッキリ】

「確かに考えたのは俺だ」

「けどな、完全犯罪ってのが出来たらどうなる?」

「答えは簡単だ。超能力の仕業に違いねぇ!! サイコキネシスってやつだ!! もしくは魔術師な」

「つまりはこれはオカルト研究会のつもりだったんだよ。けど結局、生きてるってばらしたらただのミステリーだ。そこに気づいたのは台本が完成してからだった。おのれ、魔術師!!」

「だけど、ただじゃ終わらすのはもったいねぇ気がしたんだよ」

「だから完全犯罪に見せかけたドッキリをやりたくなった!! 垣根を巻き込んでな。それにあんたにも借りがある。それを返すための舞台が必要だった!!」

「あんたは案の定、ノコノコやってきた。朝っぱらから心配していたのは傑作だったぜ? 何せ、誰も死なないのに慌ててるんだからよ!!

だけどこうなるのは予想外だったぜ。俺はあくまでドッキリをするだけだったんだよ。嘘じゃねぇ。密室トリックだなんて味な真似するじゃねぇか」

「おのれ、魔術師!!」



97: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/02/29(水) 02:27:54.51 ID:p9UFOwUAO

冥加「…………」

盛大に溜め息をつきたくなる。

冥加「まずけつろんからいいますとあなたをようぎしゃからはずすことはできません」

上条「は? なんでだよ」

冥加「何故なら鍵が見つかってないからです。確かに全ての部屋、全ての扉に窓の鍵はかかっていましたが。要のドアの鍵がありません」

上条「ふぅん」

何故かにやけている上条さん。

上条「ま、そんな幻想もぶちころしてやるよ、その内」

冥加「さて、ひとかたさんとかきねさんはだいじょうぶですか?」

一方「俺ァ、ていとくンの後でいいかァ……ちょっと、まだ無理だぜェ……」

垣根「俺は大丈夫だ。大丈夫、大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫」

大丈夫そうじゃないが話を聞かなければ……





【神崎の部屋の様子】

「ドアに鍵は掛かっていた間違いねぇ……ガチャガチャやってると御坂の奴がドアノブを押したり引いたりしていた。まぁ、俺もやったが確かに部屋に鍵は掛かっていた」

「それでも開かねぇからよ。寝起きのメルヘンを歌った。それで起きてこなかったからやべぇなって思った」

「え? ふざけてねぇよ。あきれないで、探偵さん!! で扉をぶち破ったんだよ。二人掛かりで。心理定規の蹴りは世界を狙えるって一瞬思ったぜ」

「まぁ、結局開かなかったんで今度はタックルをかましたんだよ。俺が。三回くらいでぶち破って、中に入った」

「そんで見てみると布団が膨らんでいた。捲ったのはやらしい気持ちは一切なかった。うん。なかった」

「けどよ、女の子の顔はやすらかだったぜ。多分、目を閉じてた。だから揺さぶって起こしてやろうかと思ったが、捲れきっていない布団を更に捲ったら腹に穴が空いてた。だから叫んだら後の二人が入ってきた。凶器……なかった……いや、待てよ?」

「あぁ、探偵さんの言うとおりアイスピックおちてたわ!! あれが凶器か!! そうか……気が動転して気がつかなかった。言われてみれば血がついてたかもしんねぇ……悪い、そこまで見てねぇや」



99: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/02/29(水) 02:59:29.02 ID:p9UFOwUAO

冥加「いえ、じゅうぶんさんこうになりました」

垣根「そうか? んじゃ、心理の奴の側にいてやろうと思う。俺は何でも協力するぜ、探偵さん」

そう言って彼はソファーで寝ている心理さんの横に行った。

一方「俺ァいつでもいいぜェ……」




【五和の部屋の様子】

「一応、声をかけても出てこねェし、鍵もぶち破ることにしたンだよ」

「けどほら、俺ァ、もやしだから……破れなかったンだァ」

「インデックスの奴も体格ちっせェからよォ、無理だったんだわ」

「まァ、結構やったぜェ? 蹴ったり体当たりしたりなァ」

「んでェ、諦めてたらよォ、結標の奴がドアをペタペタ触り始めたんだ、んでドアを一撃で破ったんだ」

「正直、しょんべンちびりそうだったなァ」

「なンで触ってたか俺ァ、聞いたんだよ、そしたら木目で破りやすいところを探してたらしいぜェ?」

「けど、ありゃァ三下クラスの右手だったなァ。世界は狙える、そんな予感がしたぜェ」

「ンで、中に入って見ると寝てたンだよ布団膨らんでたしな」

「空けてみると目を閉じてた……脈を計ったらなかったンでやべェと思ったわけだ」

「その時、インデックスも結標も叫んだ訳だ。俺も叫びたかったが声がでなかッたぜ」

「けど不覚にもあンだけ腕っ節の強い結標が叫ンで倒れたのを見たらドキッとしちまった。ギャップ萌えに吊り橋効果なんだろうなァ……」

「凶器? 悪い、わかんねェ。脈を計って、穴が空いてるって時点でもう無理だって思って、結標背負って、インデックスを読ンでここに戻ってきたンだ」



100: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/02/29(水) 03:15:05.18 ID:p9UFOwUAO

冥加「あなとはどのぶいでした」

一方「胸だったなァ……心臓の真上だと思う」

冥加「……わかりました。ぐあいのわるいところすいません」

一方「すまねェ、探偵さん。協力してやりてェが……」

冥加「えぇ、しかたありませんよ。いがくぶとはいえしたいをみなれてるなんておもいませんから」

一方「すまねェ……」

冥加「さて、いまからみさかみささんのへやにいきたいとおもいますが……うごけるかたはいますか? むりはなさらないでください」

御坂「あたしはいけるわよ?」

上条「俺は腹が減ったしカレー食ってるよ」

ここで態度に差が出始めてきた。

まず結論から言おう。上条当麻はほぼ黒である。

しかし、まだ完全に決まったわけではない。

御坂「行くの? 行かないの?」

冥加「まいりましょう。しかしふたりきりでのこうどうはだめです。かきねさん、へやのまえまででいいですのでたいりょくはあまっていませんか?」

垣根「あぁ、いいぜ」






【御坂美沙の部屋】

冥加「……ほぅ」

垣根「うっ……」

御坂「……」

御坂美佐は部屋の中央の椅子に座り、首元にアイスピックをぶらさげたまま座っていた。

そして首には鍵束をネックレスのようにしてーー



101: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/02/29(水) 03:26:15.51 ID:p9UFOwUAO

【コマーシャル】

「空気がシリアスすぎて困っちゃう。


そんな時はこれメルヘン製薬のメランコリックDスペシャル!!

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『この商品のおかげで告白して振られた夜も空が飛べそうでしたァ』

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一日目夜に続くよ!!



104: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/02/29(水) 03:48:15.53 ID:p9UFOwUAO

【御坂美沙の部屋内部】

冥加「かぎですか……」

この状態を携帯で取る。姉の御坂美琴に比べてやや華奢な体つきである。

垣根「ォェェェェッ」

御坂「ちょっとこんなとこで吐かないでよ」

冥加「すみません、かきねさん。むりしてついてきてもらったのに」

垣根「ぁ、あぁ、大丈夫だ……」

冥加「もどりましょう。こんなちゃばんはすぐさまおわらせてやりますよ」

御坂「……へぇ? 大した自信ね」

冥加「こんなもの、こんなことゆるせるはずがない」








【中央の間】

上条「よぉ、探偵さん。どうだった?」

ニヤニヤと笑みを浮かべている上条当麻。

冥加「えぇ、じつにかんたんなはなしでした」

私は指を指す必要もなく。右手の鎖分銅を垂らす。

そして上条当麻の座るテーブルの目の前に穴を開けてーー

冥加「はんにんはあな」








古賀「嵐の中、いたみちゃんがやってきましたぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」








冥加「……はんにんはあなたです、かみじょうとうま」

上条「お、おう……」




105: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/02/29(水) 03:52:31.38 ID:p9UFOwUAO

冥加「……さて、このしゃしんをみてもらえますか?」

麦野「これ、部屋のマスターじゃない!?」

冥加「これいがいにかぎは?」

麦野「準備してないわよ」

冥加「けっこう。ならばはじめましょう」

古賀「」







【雲仙冥加vs上条当麻】










106: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/02/29(水) 04:09:55.22 ID:p9UFOwUAO

上条「鍵は閉まってたんだろ? なら無理じゃねぇか、はい、論破」

冥加「……」

上条「それともあれか? 俺が超能力を使えるってか?」

冥加「……」

上条「ばぁぁっかじゃねぇの? 超能力があったとしても俺は使えねぇ、あんたが俺を犯人にしたいというならこの幻想殺しがあんたの
まずは

その

理論を

ぶち」

冥加「さて、かぎはみさかみささんがもっていてみさかみささんじしんのへやにはかぎはかかっていました」

上条「おい、ちょっと、まて」

冥加「このけつろんからいえばみさかみささんのじけんのはんにんはみさかみささんしかありえません」

垣根「な、なるほど!! つまりはこういうメルヘン解釈すればいいわけだな。妹が殺されたと思ったら殺されたのは姉で……あれ?」

冥加「ちがいます。このさいみさかみさであろうがだれであろうがかまいません。みさかみさのへやでころされたみさかみさをころせたじんぶつはみさかみさいがいありえない」

一方「みさがたくさンでてきやがったぜェ……」

冥加「つまりはみさかみさがかぎをすべてもっていたこれがかんようなのです」

一方「……あァ、そういうことかァ」

垣根「どういうことだよ」

一方「鍵束が全部あれば他の密室が全部、意味がなくなるわけだァ」

冥加「そのとおりです。 つまりはさいごにころされたのはみさかみささんであるとするならばすべてのへやにかぎがかかっていてもふしぎではありません」

上条「待てよ、だったら御坂妹がやったに決まってんだろ!! 俺は関係ねぇ!!」

冥加「それがそうはいかないのです。りゆうはわかりませんがみさかみささんではふかのうなことがあります」

上条「なんだよ?」

冥加「きずのふかさです。すくなくともうなばらさんのくびはかんつうしていた」

一方「首を貫通?」

上条「……」

冥加「かんつうさせるにはそうおうのきんりょくがひつようになります。そしてみさかみささんにそのきんりょくがあるかどうかはこうゆうかんけいのあなたたちがしってるのでは?」



108: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/02/29(水) 04:18:06.23 ID:p9UFOwUAO

一方「無理……だろうなァ……簡単じゃねェよ。それとも何度か穿っていたなら別だが」

冥加「……ゆえにあなたいがいにはんにんはありえません」

上条「い、いいがかりだっ!! 証拠はあるのか?」

冥加「おなじせりふでもあのひととあなたじゃこうまで違う……」

上条「な、無いんだろうっ!? 証拠なんてあるものか!!」

冥加「いいえ、ありますよ。あなたのしもんがこべりついたーーきょうきが」

上条「ふざけるな!! いいぜ、お前が確かに凶器を見つけたというのなら そんな幻想ぶち[ピーーー]!!」

殴りかかってくる犯人を私は見つめる。

古賀「私立探偵助手、古賀いたみは改造人間である! 冥加ちゃんの活躍の為に犯罪者達と戦うのだ! とーうっ!」

ライダーキックと言うにはお粗末ないたみさんのドロップキックが上条さんの脇に決まる。

上条「そげぶっ!!」

冥加「これにていっけんらくちゃくゥですか?」

古賀「だね!!」


上条「ま、待てよ……確かに指紋はあるだろうさ、けどそれはあんたも知ってる通り間違って触ったんだよ。麦野さんも見たよな!!」

麦野「あ、うん、確かに触ったけど……」

上条「見ろよ!! つまりは俺の指紋が出ても問題ねぇんだよ!!」



109: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/02/29(水) 04:28:56.03 ID:p9UFOwUAO

一方「おいおいおい、そりゃいくら何でもねェだろォが」

上条「はぁ? 悪ぃかよ!! 俺は間違っちゃったんだよ!!」

冥加「まさか……」

上条「あぁ、まさかこんなことになるなんてな。あんたでも予測できな」

冥加「まさか……まだわかってないんですか?」

上条「はぁ?」

冥加「……はぁ、かきねさん、とらんぷをかしてください」

垣根「え? おうよ」

私は一枚、手にとり机に置く。

上条「なにやってんだよ、馬鹿女」

冥加「さて、かみじょうさん。わたしがもういちどこのじょうたいでさきほどとおなじようにとらんぷをもつことができるとおもいますか?」

上条「あぁ? 簡単だろ……手でとりゃあいいだけだろ」

冥加「しもんすらおなじいちで?」

上条「あ……ああっ!?」

冥加「いたみさん、ろぉぷはおもちですか?」

古賀「もち、いや~山登り用のザックとかもあるよ」

冥加「きけんですのでこういうときはたいきでだいじょうぶです」

古賀「はーい、次はそうするね」

いたみさんが上条当麻の手と足を縄抜けできないように頑丈に絞める。

これにて一件落着ゥと行きたい所ですが……









謎はまだ幾つも残っています。



110: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/02/29(水) 04:39:11.72 ID:p9UFOwUAO

【二日目・朝七時】

冥加「いたみさん、おはようございます。なにかおかわりは?」

古賀「ないよ、みんな寝てるしね」

冥加「……あれ? めじゃあはぁとさんは?」

古賀「垣根さんと散歩だってさ。インデックスちゃんもそれについていくって」

冥加「……っ!!」

古賀「どうしたの?」

冥加「ゆだんしました。いんでっくすさんをさがしてください!! しきゅうに!! ぜんいんをたたきおこしたうえで!!」










【前庭】

心理「ぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

禁書「ごめんね、ごめんね、なんだよ……」

垣根「インデックス!! お前、何の恨みが!!」

冥加「とまりなさい!!」

鎖分銅を垂らし出す。

心理定規さんの太ももにはアイスピックが刺さっていた。

禁書「犯人は私なんだよ、探偵さん」

彼女は泣きながらそう告げた。



111: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/02/29(水) 04:48:40.54 ID:p9UFOwUAO

【次回予告】

球磨川『週間ジャンプは面白いなぁ』

めだか「禊様、洗濯物をおいておきます」

球磨川『うーん、やっぱゴンさんだよな……でもハンタ限界きてるよ』

めだか「禊様、服を洗濯物に出しますのでばんざいをしてください」

球磨川『うん、ニセコイは男の娘テコイレしてきたよねぇ』

めだか「禊様、お風呂沸かしました」

球磨川『うーん、ワンピースなんか飽きちゃったなぁ。ボーボボの二部みたいにすぐ終わるなんてことはないだろうけどさぁ』

めだか「禊様、タオル置いておきますね……あ、パンツ……み、みそぎさまー、じゃんぷよんでますー?」

球磨川『うーん、銀魂はまたこういう展開かぁ……』

めだか「つ、ついでにTシャツも……」

球磨川『おっ、次回予告?』

めだか「よし、部屋に戻ってさっそく」

球磨川『うん、次回はね……んーと、結局、冥加ちゃんのヒロインっぷりは格が違った!! みんなでみてね。

あれ、パンツはめだかちゃんが洗濯にだしたのかな?』



113: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/02/29(水) 06:43:31.26 ID:p9UFOwUAO

【中央の間】

一方「一命は取りとめましたァ」

垣根「アリガトォォォェォ、一方通行様々ぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

古賀「まぁ、命に関わるような傷じゃなかったしね」

冥加「……みずをさしたらだめです」

古賀「……それにしても」

冥加「やられましたね」

広間を見れば上条当麻の姿は無い。

古賀「ま、でも時間の問題だと思うよ? 上条が逃げ出したとしても警察が土砂をのけおわるのは昼過ぎくらいだって言ってたし」

冥加「けいじさんにはあたまがあがりませんね」

古賀「ま、こっちは税金納めてるだし。土砂崩れの現状をリークしてもらうくらいいいでしょ」

冥加「……しかし困りました」

一人の少女を見つめる。

冥加「これでかんぜんにしもんはあらいながされましたね」

彼女が握っていたアイスピックはびしょびしょ濡れていた。

冥加「やっかいです。きづくべきでしたかみじょうとうまにおもいをよせているにんげんがおおいということを」

古賀「だいたい、あの子はなんで上条に入れ込むだろうねぇ」

冥加「……そのへんもくわしくきくひつようがありそうです」

古賀「でもいいの? 縛らなくて」

冥加「かのじょはここでつかまることをのぞんでいます。だからこそこうそくするよりもじゆうにしておいてこころをひらいてもらうひつようがあります」

古賀「冤罪か……冥加ちゃん、大丈夫?」

冥加「あのころよりかはせいちょうはしてるつもりです」



114: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/02/29(水) 07:05:37.78 ID:p9UFOwUAO

【好意の始まり】

「この事件の真犯人は私なんだよ」

「当麻なんか全然、好きじゃないんだよ」

「これ以上、話すことなんてないんだよ」









冥加「まいりました」

古賀「とりつくしまも無いって所だね」

冥加「かみじょうとうまといんでっくすさんをつなぐもの……」

一方「どうしたンだァ?」

麦野「上条が逃げたとはいえ大人数な上に探偵さん二人いれば大船に乗った気持ちでいられるけど、お二人がそんな顔してたらあたしたちまで暗くなっちゃうよ」

冥加「いえ、おふたりはかみじょうとうまといんでっくすさんのつながりをごぞんじですか?」

一方「知らねェな」

麦野「わかんないよね……御坂とインデックスくらい対立してるのも珍しいけど」

冥加「たいりつ?」

麦野「うん、魔術派と超能力派」

一方「だなァ……」

麦野「あたしや一方はどっちでもいいというか」

一方「面白ければいいンですゥ」

麦野「みたいな立ち位置だけど」

一方「他の奴らはそうじゃねェみてェだ」

麦野「魔術派と呼ばれてるのはインデックスに神崎、五和ね」

一方「ンで、超能力派は海原、上条、御坂だ」

麦野「けど魔術派の三人が三人共、上条にべたボレな訳でしょ?」

一方「麦野さンがそれ言うのかよ……」

麦野「う、うっさい。だからね、パワーバランスが超能力よりな訳」

一方「ま、だからなンだって話なンだがよォ」

冥加「なるほどだからぴぃえすあいについてきのうみさかさんはあんなにしんけんになっていたのですね」

すると麦野さんと一方さんは気まずそうに目を反らす。

冥加「どうしたのです?」

一方「あ、あのよォ」

麦野「ぴぃえすあいじゃなくて普通はサイっていうのよ……」

冥加「……あ、そうなんですか」

一方「まぁ、専門用語だしよォ」

麦野「そうね」

冥加「す、すこしおはずかしいですね」

頬が熱い。

一方「て、てれた探偵さんが可愛すぎて生きるの」

古賀「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ冥加ちゃん可愛い!! ペロペロしたい!! クンカクンカしたい!! いたみさんが超能力について教えてあげる。ペロペロペロペロペロペロ」



116: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/02/29(水) 07:22:26.74 ID:p9UFOwUAO

【いたみさんのサイキック講座】

「あのね、サイキックには二種類あるの。ESPとPKっていうやつ」

「ちなみにぴーえすあいだと意味が全く違うからちゃんとサイって読みましょう!!」

「んじゃ、簡単に言うならPKはスプーン曲げとかね。まぁ、更に分類するならテレキネシスとサイコキネシスに分かれるの。テレキネシスなら自分を中心に働かせる念力、サイコキネシスだと自分以外の物体への念力」

「んでESPは予知とか知覚を超えた知覚と呼ばれる分類な訳!! つまりは冥加ちゃんがえっちぃなことを考えてもいたみさんにはわかっ……あ、ごめん。おふざけはいらなかったね」

「んで、このESPとPKを総称してPSIっていうの。何度も言うけどサイだからね」









冥加「さすがです」

古賀「へへん、中学時代にアブノーマルを目指してたいたみさんに死角は無いのだ」

冥加「しかしいたみさん、そのじょうほうはいきていくうえでやくにたちました?」

古賀「あーっ!! そんなこと言うんだっ!! 今、教えてあげたのにー!!」

冥加「うそです。たいへんさんこうになりました」

一方「もしかしたら俺より詳しいかもなァ」

麦野「だってあたし達二人はニワカじゃない……」

一方「だよなァ。なンとなく入ってムーとか読んでるだけだしなァ」

麦野「あんたはマシよ。あたしなんか先代の論文を厨二認定してるだけじゃないの……」

一方「なンで会長なンかやってんだよォ」

麦野「あんたが嫌がったからでしょ!?」



117: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/02/29(水) 07:37:30.70 ID:p9UFOwUAO

冥加「……」

少し緩んだ空気にまた緊張が張り詰める。

上条「へ、へへっ!!」

アイスピックを持った上条当麻が立っていた。

禁書「も、もうやめるんだよ!! 当麻はもう」

上条「うるっっっっせぇぇぇぇぇぇぇ!!」

アイスピックを『自分』の首筋に突きつける。

上条「お、俺はもう終わりだ……せめて、てめぇらの目の前でショッキングな映像をみせてやるよ」

禁書「だ、駄目だよ、当麻」

そんな必死な彼の様子に笑いがこみ上げる。なんて滑稽。

冥加「……ふふっ」

そして同時に怒りもこみ上げる。なんて醜悪。

上条「な、なにがおかしいっ!!」

冥加「なるほど、それでそれで……」

上条「な、なにをわらってやがんだ!!」

冥加「あなたはじつにかわいそうなひとです」

上条「はぁ!?」

冥加「ようやくすべてがとけました……なるほど……じゅうぶんです」

上条「な、なにをいってんだよ!?」

実に愚かしい、実に嘆かわしい。

冥加「けっちゃくをつけましょうか。







まじょさん。




さつじんのりんねがはじまらないように」






古賀「こ、今回は華麗に台詞回しを決めてキターーーー!!」









【雲仙冥加vsマイナス一年十三組『魔女』】












118: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/02/29(水) 07:54:40.18 ID:p9UFOwUAO

冥加「さてみなさんにおききしたい。あなたがたはちょうのうりょくがおありになるとおもいますか?」

麦野「え? あたし? どうかなー? 見たことないし」

結標「あたしも麦野さんに同感ね」

一方「俺はあってもいいンじゃねぇかって思うぜェ? 空飛びてェしよ」

垣根「あ、俺? 俺はメルヘンだからな存在自体が超な能力だろう?」

禁書「超能力なんて無いんだよ、あるのは魔法だけなんだよ」

上条「あ、あるに決まってるだろうがよ!! サイコキネシスとか有名じゃねぇか!!」

冥加「なるほど……あなたは?」

御坂「あるわ……ESPは。私、知ってるもの」

冥加「けっこう、これでじゅうぶんです。このじけんのすべてのいんが




それはみさかみこと



あなたです」

御坂「へぇ……面白いじゃない」





【雲仙冥加vs御坂美琴】





冥加「まずあなたにききたい。あなたはかみじょうとうまをあいしていますか?」

御坂「えぇ、愛しているわ。あなたにとられたくないくらいに」

冥加「ふむ……ならばしつもんをかえましょう。あなたはかみじょうとうまにしゅうちゃくはありますか?」

御坂「……あるわ」

冥加「だうと」

上条「て、てめぇ!! 美琴に!!」

冥加「ならばかみじょうとうまあなたはなぜ、しのうとしてるのですか」

上条「そりゃあてめぇらに人生を潰されたからだよ!! だからてめぇらの目の前で……」

冥加「ふむ、あなたはほんとうにうそつきですね」

上条「何がだよ!!」

冥加「あなたがしのうとしてるりゆう」

上条「ふざけんなっ!! てめぇなんかにわかるかよ!! 俺の愛が!!」

御坂「っ!?」

冥加「ほう……あいのためにしぬ」

御坂「だまりなさい!!」



119: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/02/29(水) 08:15:11.07 ID:p9UFOwUAO

冥加「いいえ、だまりません。かみじょうとうまあなたはあいのためにしぬといいましたが……なぜです?」

上条「ぁ……うるっせぇ!!」

冥加「くすっ……まぁ、いいでしょう。そもそもふしぎだったのです、なぜみさかみさがじさつなどしたのか」

上条「あ!?」

冥加「おしえてあげましょうか」

ちらりといたみさんと目が合う。

ジリジリと寄っていたいたみさんは必殺のタイミングで上条当麻に飛びかかる。
上条「あぁっ、くそっ」

アイスピックが転がる。

羽交い締めで上条当麻を取り押さえる。

冥加「さてつづけましょう。かのじょはしぬべきりゆうがあった……それはこのけつまつをむかえるために」

一方「この結末ゥ?」

冥加「インデックスさんがだれかをきずつけしんはんにんだとなのり、なおかつ、かみじょうとうまがじさつをする。だいほんどおりのりんね」

御坂「大した妄想ご苦労様。あなた、弁護士もやってるんでしょ? なら証拠はあるの?」

冥加「まことにざんねんながら」

御坂「ないんでしょ?」

冥加「おさきにたずねたい。かみじょうさん。あなたはかふかのいちいんですか」

上条「……あぁ、カフカだ。俺は」

冥加「ふむ、ならばお訊ねしたい。かふかとはなにがごけんです」

上条「はっ!! んなもんわかってんだよ!! 作家のカフカから来てんだよ。夢と現のシュールレア」

冥加「けっこう。もうよろしいですよ」

御坂「……だから?」

冥加「これで安心して証拠が出せます」

一枚の便箋を出す。

宛名は『過負荷』

上条「なんだよ、それ」

冥加「おや? まだ気づかない? これはあなたがわれわれをしょうたいするためにつくったものですよ?」

御坂「……迂闊だったわ」

冥加「かしこくてたすかります。これをひっせきかんていにまわせばあなたのなまえがでてくるはずです」



120: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/02/29(水) 08:35:28.80 ID:p9UFOwUAO

御坂「……だから前時代的な便箋形式は嫌なのよ」

冥加「それではみとめていただけますね?」

御坂「そっ。あたしがその一員。と、まぁ……バレてるだろうからあたしの妹も熱心な信者よ」

上条「な、なんでだよ!! まだ諦めんなよ!! お前らが諦めるっていうなら。いいぜ、美琴、お前が諦めるっていうならまずはそんなげんそう」

御坂「うっさいわね、駄屑」

上条「へ?」

御坂「聞かせて? 探偵さん。いつからあたしが怪しいと思ったの」

冥加「しょにちです。あやしいとまではいきませんでしたがいわかんはありました」

御坂「なんで?」

冥加「あなたはいぜんわたしとあったときに『わたしのとうまになんのよう』ときいてきました」

御坂「あら、可愛らしい彼女じゃない」

冥加「えぇ、かわいらしいしっとです。どうじにいわかんをかんじていたのですあなたはかれのおんなあそびにむとんちゃくだったのかと」

御坂「……知らなかっただけじゃない?」

冥加「えぇ、しかしじっさいにこのめんつでいってみればむぎのさん、いつわさん、かんざきさんはかれにそれなりにくっついておせわをしていました。にもかかわらず、あなたはかおいろひとつかえなかった。いぜんはまんしょんのしたであいさつをかわしたかもしれないていどのことにわってはいってきたにもかかわらず」

御坂「なーる」

冥加「そしてあなたはわたしにたいしてやけにこうせんてきだった」

御坂「まぁね、認めるわ」

冥加「すくなくともかみじょうとうまのけんではないとわたしはさっしました」

御坂「……」

冥加「そしてかくしんをえたのはさきほどのえすぱぁについてです。あなたはやけにえすぱぁとこたえたがる。そうしょうしてさいといえばいいのに、それはなぜかあなたはえすぱぁしかしんぼうしていなかったから」

御坂「正解よ」

冥加「そしてなぜえすぱぁなのかちかくをこえたちかく。それはあるいみせんのうやまいんどこんとろーるもそうとらえてもおかしくはない」

御坂「正解。特に入門証に関してはそういう領域よ。知覚外に働きかける超能力ってね」

冥加「いじょうのことがらによりぎりぎりまでしょうこをだすのをためらったわけです」

御坂「お見事」



121: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/02/29(水) 08:53:32.50 ID:p9UFOwUAO

上条「な、なぁ、美琴。お前は俺を愛してるんだよな?」

御坂「んなわけないでしょ。気持ち悪いっ。あんたみたいなヒーロー願望のマッチポンプ屑をなんであたしが愛さなきゃなんないのよ。あたしが愛してるのはあの方だけよ」

上条「う、うそだよな……だったら何の為にみんなを殺したんだよ。なんのためにインデックスをだましたんだよ」

御坂「そんなの決まってるでしょ。今日、この日をあたしの完勝で納めてあの人にこんな女なんかより素晴らしいって認めてもらう為よ」

禁書「だ……ました?」

御坂「まさか? あんたまだわかんないの? 大学でぼっちだったあんたに当麻に優しくする理由が? 簡単よ、あたしが言ったからなの。なんだかまほうまほううっさい餓鬼をひとりたぶらかせってね。あんたが時々、当麻を見てるから知ってたわ。知ってる、みんな? この子ったら自分の恋の魔法が未だに叶ったって思ってんのよ。あははははっ、そんな訳ないじゃない屑っ!! あんたみたいな成長障害なんて気持ち悪いロリコンぐらいしか……」

垣根「おいっ!! てめぇ!! ふざけんな!! 恋の魔法の何がはずいんだよ!! いいじゃねぇか!! 上等じゃねぇか!! 立派じゃねぇか!! そんな乙女心をてめぇが否定すんなクソが!!」

御坂「あんた、彼女が刺されたのに頭めでたすぎじゃない? それともぼっちだったから気持ちは分かるっていうの? きんもー。あんた[ピーーー]ば?」

心理「……人が寝てる時にピーチクパーチクうるさいわね。大体、誰が、いつ、誰に、刺されたの?」

御坂「はぁ? あんたがそこの屑に刺されただけでしょ?」

心理「あら? そんなことあったかしら?」

御坂「は?」

心理「何を妄想してるかわかんないんだけど私ってドジっ娘だからさ、間違って氷を割る際に太もも刺しちゃっただけよ」

御坂「なにそれ? なに? なにがしたいの? 意味わかんない? はぁ? お前ら頭、おかしいんじゃねーの?」



123: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/02/29(水) 09:03:18.79 ID:p9UFOwUAO

冥加「……はぁ」

御坂「なに? あんた? 勝ったつもり? こんなのあたしの実力じゃない。この駄屑が変に動くから悪いのよ。あたしは負けてない。過負荷でマイナス組に選ばれたあたしがあんたなんかに負けるものか?」

冥加「まけたもなにも。わたしはあなたのことなんてさいしょからあいてにもしてませんよ」

御坂「あぁぁぁぁぁっ!?」

彼女はスタンガンを取り出す。

御坂「鎖分銅捨てなさい、さもないと……こいつを焼くわよ?」

見える火花は明らかに違法改造がしてある。

大人しく鎖分銅を外す。

御坂「あんたはあたしがころしてやる!!」














古賀「あー、馬鹿だねー。鎖分銅なんて実践的な武器な訳ないじゃん」








迫りくる御坂美琴の懐に入り込み。手首の関節を決める。スタンガンを彼女は離す。









古賀「あんなもん、かっこつけの道具に決まってんじゃん。冥加ちゃんはーー」








私は別にこんなものがなくてもーー






古賀「充分」


強いっ!!










一方「あんな綺麗な一本背負い初めてみたぜェ……」



124: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/02/29(水) 09:13:22.77 ID:p9UFOwUAO

【コマーシャル!!】

「眠いけど眠れない。そんな時はメルヘン製薬のこれ。メルヘンタイム。


カフェイン99999999999999mg配合


これさえ飲めばお目目ぱっちり。

七十二時間、起きれます。


愛用者の声です!!

『寝させろォ!! 寝させてくれェ!! 目が冴えすぎるゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ』

『眠いのに超眠れない。超眠れない超眠れない超眠れない超超超超超超超超超超超超超超』

『ギャァァァァ、義妹の寝顔をずっと見ていたいとか言ったけど体が動かないにゃー!! 目だけ冴えすぎで辛すぎるにゃー!!』

『筋肉が血湧き肉踊るのである!!』



心臓の弱い方はお控えください。

生死の保証は致しかねます。

メルヘン製薬」



128: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/02/29(水) 16:26:01.51 ID:p9UFOwUAO

【後日談・雲仙探偵事務所】

TV『とある大学で起きた猟期的殺人事件は犯罪組織『カフカ』が関わっていることがーー』

ドア「」コンコン

冥加「どうぞ」

入ってきたのはあね事件の面々。

麦野「お礼が遅くなって悪かったわ」

冥加「いいえ、みなさんいそがしかったようですから」

一方「探偵さン、ありがとうございました」

古賀「あはは、君たちは何回お礼を言うのよ」

垣根「命を救われたんだ!! むしろいい足りねーくらいだぜ」

冥加「われわれはたんて」

古賀「私達は探偵として当然の事をしたまでよ」

冥加「いたみさん、ちょっとさいきん、かぶせすぎじゃないですか?」

古賀「」

冥加「…………まぁ、いいでしょう。みさかみことはさつじんおよびさつじんきょうさ、じさつほうじょなど、じょうじょうしゃくりょうのよちおよびそのてぐちのあくしつさからしけいはまのがれません」

垣根「……そうか」

一方「三下の奴ァどうなったんだァ?」

冥加「かれのばあいはせんのうやまいんどこんとろーるにおけるせいしんしっかんもたしょうはありましょうが、それでもすうじゅうねんはおもてにでてこれないでしょう」

心理「あの子、インデックスは?」

冥加「かのじょのばあいはじゅうどのいぞんじょうたいにあり、みさかみことにきょうさされげんばをあらしたことにかんしてはおとがめはないでしょう」

垣根「よかったぜ……」

一方「あァ。合法ロリが捕まるなンてあっちゃならねェ……」

垣根「結局、俺達は徹頭徹尾脇役だったな……」

冥加「なにをおっしゃるのですか? あなたやしんりさんがみさかみことにうちかったのですよ?」

垣根「は?」

冥加「なぜ、あのときみさかみことはさいごのさいごであばれたんだとおもいます?」

垣根「そりゃあ、往生際が悪いからじゃねぇのか」

冥加「いえ、かのじょはもくてきをたっしていたからわたしにたいしかちほこりましたし、あっさりとじきょうしたわけです」

垣根「はぁ……」

冥加「かのじょのもくてきはさつじんのりんねともうひとつありました。かみじょうとうまがひげきにうちひしがれ、かみじょうとうまからいんでっくすさんにひげきがうまれ、いんでっくすさんにたいするかきねさんのにくしみがまたりんねにつながるよていだったのです」



129: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/02/29(水) 16:45:14.59 ID:p9UFOwUAO

冥加「しかしあなたがおひとよしだったからこそ、りんねのじゅんかんはとまった。あなたはわれわれにいらいしてよかったというようにわれわれのいらいしゃがかきねさん、あなたでよかった」

垣根「……ははっ」

一方「なンだァ? 照れてンのかよ」

垣根「ば、ばっか!! ちげーし!!」

心理「でもさ、結標の奴、知らない? あれから連絡取れないのよ」

冥加「ふふっ……結標さんならばかんすにいってますよ、けいたいをかいかえていっしゅうかんぐあむに」

一方「あァ?」

古賀「つまりはあの場所に結標淡希なんていられやしなかったの。その頃、彼女は飛行機の中だしね」

麦野「え?」

冥加「ちょうしんりがくけんきゅうかいにまぎれこんだゆうれい。まさしくおかけんにはぴったりじゃないですか? ふふっ」


一方「ぎ、」




「「「「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」」」」








【二日目・夕方】

冥加「こんにちは」

結標「あら、探偵さん。事件解決、ありがとう。おかげで」

冥加「こしばいはよろしいですよ」

結標「あれ? 結構、演技できてたつもりなんだけど?」

冥加「だいのおとこがたいあたりでどあをあけれないのにこぶしひとつであけるなんてばかじゃないですか?」

???「えへへ、失敗、失敗。いやぁ、台本通り動いてあげようと思ったのが仇になったね」

冥加「まったくです。とくしゅめいくをつかってかずがまにあわなくしたのもあなたでしょう?」

???「あー。うん、ほら、かおをかえるのにひつようだろ?」

冥加「おひさしぶりです。ゆくはしさん。いごこちはいかがです?」

行橋「悪くはないね? どうする? 捕まえる」

冥加「できるならしていますよ。あなたはしめいてはいでもなければはんざいもおかしていない。ましてやこのけんにかんしてはぼうかんしゃにてっしていた」

行橋「だよねー。税金は納めてないけど。んじゃ、まぁ……なんというかまた明日とか?」

冥加「おことわりです。おとといきてください」



130: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/02/29(水) 17:00:33.27 ID:p9UFOwUAO

【留置場・面会室】

冥加「こんにちは、いんでっくすさん」

禁書「……」

冥加「さて、わたしがきたのはあなたにおはなしをおうかがいしたかったからです」

禁書「もう、いいんだよ……私なんて……」

冥加「お話をお伺いしましょうか」





【好意】

「好きだったのに、信じていたのに」

「優しくしてもらったあの日から」

「例え美琴がいても私を受け入れてくれるって言ったんだよ」

「美琴も当麻を好きなままでいいって言ってくれたんだよ」

「苛められてた私を受け入れてくれるって二人は言ったんだよ……なのに……酷いんだよ」

「私はもう何も信じないんだよ!! 魔法も!! 人も!!」

「みんな、他人を利用するばかりで、こんな腐った世の中なんか生きている意味なんてないんだよ!!」

「私はもう誰も好きになんかなれないんだよ!!」








冥加「……ふむ」

禁書「お話は終わりだよ。あなたもさっさとかえってほしいんだよ」

冥加「いんでっくすさん……あなたがどういうつもりかはわかりませんが、あなたがなにもしんじられないというのならわたしがしめしましょう」








【雲仙冥加vs禁書目録】











131: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/02/29(水) 17:22:31.93 ID:p9UFOwUAO

禁書「示す?」

冥加「あなたはひとをしんじられない」

禁書「そうだよ!! お母様にも愛されないで!! 友達もできなくて!! みんなに馬鹿にされて!!」


冥加「……」

禁書「テストでいい点をとっても!! 頭がよくても!! 誰もわたしを見てくれない!! 誰もわたしを誉めてくれない!! だって私は「完全記憶能力」って気持ち悪い能力を持ってて!! テストで点が取れるのもカンニングだって責められて!! だれもわたしを誉めてもくれないし、愛してもくれないんだよ!!」

冥加「はたして、そうでしたか?」

禁書「え?」

冥加「わたしはおぼえています。あなたののうりょくをけなさかったかたを。あなたののうりょくをほめてくれたかたを」

禁書「……でも、そんなの美琴がいうとおり、珍しいものみたさと、わたしを利用するための方便なんだよ!! 内心ではきっと馬鹿にしてるんだよ!!」

冥加「わたしはしってますよ。それがりようではないと。なぜならかれにはあなたをりようするいみはないから。かのじょもいて、ともだちもいて、しょうらいもある」

禁書「仮にそうだとしてもっ!! 今更なんだよ!! もう遅いんだよ!! 私が……私が全部、壊しちゃったから……」

冥加「かんぜんきおくのうりょく、あなたはつかいこなせていませんね」

禁書「っ!?」

冥加「かれらはさいごなんていいました? さしたあいてがだれだかわかんないうえに、なにをいってるかわかんない。どういういみだとおもいます」

禁書「……」

冥加「かれらはあなたをゆるした。なぜゆるしたとおもいますか? それはかれらにとってあなたはもうともだちだからですよ。おなじかまでめしをたべて、あそんだから」

禁書「……おひとよしすぎるんだよ」

冥加「えぇ、めるひぇんがあたまにまわってますね。けれどあなたのげんざいのざいじょうはただひとつしかありません。はんにんぞうとくおよびしょうこいんめつのつみのみです。なぜか、わかりますね?」

禁書「……許して貰えるのかなぁ?」

ポロポロと彼女は涙を零す。

冥加「ゆるしてもらえますよ。あなたがかれらをしんじれば」

禁書「……ごめん、ごめんなさいなんだよ。うぇぇぇぇぇん、うぇぇぇぇぇんうぇぇぇぇぇんうぇぇぇぇぇんうぇぇぇぇぇん」

周りをはばからず彼女は泣き始めた。



132: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/02/29(水) 17:45:28.64 ID:p9UFOwUAO

【七月七日】

拘留期間を迎え、釈放されたインデックスさんを含めたあの日の面子で花火と七夕パーティーをしていた。御相伴に預かったのでいたみさんと来ている。

結標「ねぇ、あんたなんでそんなに怯えてんのよ」

一方「ひ、ひィっ!? 麦野さン!?」

麦野「ち、ちょっと!! あたしお化けとか無理派なんだから」

垣根「うぎぃぁぁぁぁぁぁぁ、退散、悪霊退散!!」

心理「というか、あんた携帯を売るとか馬鹿じゃないの!?」

結標「ごめん、いや。二百万出されたし、しょうがないよね」テヘペロ

禁書「……よしっ」

小さくガッツポーズをインデックスさんを後ろから覗きこむ。

冥加「なるほど、『みんなとともだちでいられますように』ですか」

古賀「むっはー!! なんて可愛いことを短冊にお願いするの、この子は!?」

禁書「た、探偵さん達、見ないで欲しいんだよ」

拘留期間後、みんなに頭を下げて回ったインデックスさん。

何というか。メルヘンって感染していくんでしょうね。

心理『は? いいわよ。別に、悪いと思ってるなら今度、飯くらい奢りなさいよね』

垣根『俺は心理がいいって言ってんなら別にいいよ、ただもう刺したら駄目だぜ?』


麦野『あー、あたしは何も迷惑被っちゃいないわよ。ただ、あんた勘違いしてたから言うけどあんたの絶対記憶能力なんてあたしの色気にくらべた……一方ァァァ!? 今、なんつったこらァァァァァァァァァ!!』

一方『俺ァ、ロリコンです。合法ロリのやることは正義ですゥ、何で付き合ってくださィ!!』





垣根「うぉぉぉ、インデックス、なにメルヘン書いてんの!? 負けてらんねぇ!! 」

心理「ちょっと、恥ずかしがってんじゃないの!! やめてあげなさいよ!!」

麦野「くっそー!! あたしだけ春が遠すぎでしょうがぁぁぁぁ」

一方「ちょ、麦野さン、当たンじゃねェよ!! 不幸だァァァァァァ!!」

私も一枚、手に取り書き込んでいく。

古賀「今年こそあたしの時代が到来っと!!」

輪廻とは必ずしも負の意味だけではない。

幸福すらも回していく。

書き終えて、短冊を笹に結びつける。

古賀「今年こそぉぉぉぉぉぉぉ、あたしの時代が到来する筈ぅぅぅぅぅぅぅ!!」






冥加「おちついてください、いたみさん」









133: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/02/29(水) 18:11:37.53 ID:p9UFOwUAO

【???】

???「ふむ、実に貴様は惨めだな」

私は捕まっている一人の女性を見つめる。

御坂「あなたは!?」

???「しゃべる必要はない。魔女。貴様は一人で暴走した結果、一人で自滅し、一人でに犠牲を出した」

懐からアイスピックを取り出す。

御坂「それはあの方の命令なの? だったら嬉しいわ!! 私なんかの為にあなたに指令を下して、私を思ってくれている。私を覚えていてくれる。生きてて良かった、私はあの人の中で生きていた!! ただの大衆じゃない!! あの人の中で私は私として私個人でーー」







???「そんな訳ないだろう?」





御坂「へ?」

???「これは私の独断だ。そもそも禊様は貴様なんか「覚えてない」に決まってるだろう。そして貴様はおまけだ。我々が欲しかったの完全記憶能力保持者だけだ。貴様なんかはただの飾りだよ」

御坂「え? う、嘘よ!! あんな屑女の方が選ばれてるというの?」

???「貴様が余計なことをしたおかげてもはやあの方についていくことはなくなったがな」

御坂「ふざけんなっ!! あたしは御坂美琴よ!! あんたあたしに何をするつもりよ!?」

???「もういい。黙れ。貴様は禊様に覚えられることもなく、何の意味もなく、ただ死ぬ。別にいいだろう? 人生に目的などなく、世界には目標なんて無いのだから」

御坂「あ、あんた!! あたしを殺していいとでもーー」

アイスピックが眉間に刺さる。

???「何を不思議な事を言っているのだ? いいに決まってるであろう? 私は何をしてもいい。

それにこの結果は貴様が勝手にやって勝手に私を怒らせたからだ。だから貴様が死ぬのは当然だろう。だって私は何をしても、誰を終わらせてもいいんだから。








だから私は悪くない」




134: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/02/29(水) 18:13:11.37 ID:p9UFOwUAO







【とある大学の殺人輪廻】









139: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/02/29(水) 21:22:37.61 ID:p9UFOwUAO

【雲仙探偵事務所】

古賀「……ビデオレター?」

冥加「……げんみつにいえばでぃぶいでぃですが」

古賀「だよね、宛名は……冥加ちゃん、これはやばいよ」

冥加「?」

古賀「親玉さんが直で贈ってくるなんて予想外だよ」





【解答と招待状】


『あはっ? とれてる? 冥加ちゃん、久しぶりっ、僕だよ』

『冥加ちゃん、行橋くんに聞いたよ? 何でもつらい目に会ったんだってね。僕は君に同情するよ』

『さて、僕なりに話を聞かせてもらったけどさぁ……
輪廻が終わった?
僕に熱心な子が命を自ら絶った?
完全記憶能力保持者を守れた?




甘ぇよ




あはっ、輪廻はちゃんと繰り返したし、僕の為にわざわざ命を投げ出す娘なんかいなかったし、完全記憶能力保持者は僕の手中に入った』

『でもその甘さは嫌いじゃあないぜ?』

『実質、君は被害を最小限で留めた訳だし魔女ちゃんだっけ? あんま知らないというか全然知らないんだけど彼女との知恵比べは君の勝ちみたいだね。めだかちゃんが独断でお仕置きしたからニュースにもなってる筈だよ』

『だけどまぁ、満点とれなかった訳だし。次は満点を目指そう。だから君の為にディナーを用意した』

『あ!! でも勘違いしないで欲しいな!! これは僕が考えた訳じゃないんだよ? どうしても君の事が許せないって人間がいるからさ。話し合いで解決してもらおうって思ってね!! うーん、僕って本当に後輩思い!!

だからお相手してあげてね。

日付は八月十三日の夕方。ちなみに古賀さんは呼んでないから大人しくしておいてね。

君達のホストは

【マイナス二年十三組『風紀委員長』だからね】

だけどこれ、僕は本当に何も聞いてないんだ。だから何が起こったとしてもーー

僕は悪くない』

『以上、マイナス三年十三組球磨川禊でしたっ』




冥加「……ふぅ」

古賀「冥加ちゃん大丈夫?」

冥加「しょうじき、つらいですね。わたしはおごっていました。かしこくなったつもりでした。けれどーーまちがいでした。わたしはあのころからなにもかわらない、むちでおろかなしょうじょのままです」

古賀「冥加ちゃん……」

冥加「もういちどわたしはつみあげなければなりませんね」

古賀「うん、あいつに勝つまで何度だってやってやろうよ!! 冥加ちゃん!!」



140: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/02/29(水) 21:24:26.03 ID:p9UFOwUAO






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古賀「洋館で事件だよ!! 冥加ちゃん!!」冥加「いたみさんはおるすばんです」









145: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/02/29(水) 21:43:18.12 ID:p9UFOwUAO

【これで安心!! 安心院さんの解説講座!!】


???「ンだァ? ここはァ……」

安心院「おや、珍しい新入りだな」

一方「はァ? ってなんじャこりゃァァァァァァァァァァァァッ」カラダガフヨフヨスケスケ

安心院「うん、君は幽霊になっちゃったみたいだね。死因は……ちっ、そういうことかよ。[ピーーー]よ、カス」

一方「えッ?」

安心院「まぁ、いいさ。ここでは懇切丁寧に説明をするつもりさ。一方くん。私の名前は親しみをこめて安心院さんと呼びなさい」

一方「ンだと、ばばァ」

安心院「へぇ」ピキッ


ドガグシャバキッボコックジャクジャ

【よい子には見せられないので少し待ってね!!】





安心院「さて始めようか。


今回の謎は以下の通りだ。

密室トリック

輪廻について

御坂美琴と過負荷

過負荷の目的

行橋未造

くらいだね」

一方「」チーン



147: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/02/29(水) 22:07:27.08 ID:p9UFOwUAO

「さて密室トリックだね。

もうこれは実に簡単で簡潔で簡易だ。今更説明する必要はないと思うけど我慢して聞いてくれ。

全ての部屋が密室になっていた。密室ABCD。

鍵は密室Dに全てがあった。そしてそれ意外に鍵は無い。

以上の事柄が今回の密室定義だね。

そしてABCDにはそれぞれ死体があった。ABCDの間以外では全員中央の間にいた。

これは現場不在証明、ぞくに言う。アリバイだね。

つまりは

アリバイがある為に密室に隠れ潜むことは不可能であった。

という事が証明される。

ここからが上条当麻の結論。

だから犯行は不可能である。

けれどもこれを打ち崩したのが冥加ちゃんの説。

密室Dの殺人は自殺である。故にABCは密室ではない。

つまりどういうことかというと。

鍵を持った人間が生きていればABCは密室ではなくなる。

そしてそれが通らざるを得ない状況。何故ならそれ意外に密室Dを破る方法が無いからね。

だからこそ密室Dの御坂美沙のみがアイスピックを首もとに刺したままだったのさ。

他の密室では必ずアイスピックは落ちていた。

そして、この後は冥加ちゃんの言った通り。

まず、密室Aを海原と定義しよう。

密室Aは文字通り首が貫通していた。

冥加ちゃんの頭によぎったのはボウガンだね。けれど矢は見当たらない。探して見れば上条当麻がアイスピックを握っていた。

貫通というものは女子供じゃ難しい。だからこそ男を疑わざるを得なかった。

そしてアイスピックを触ったという行為に意味を考えた結果。

上条当麻は指紋をつけることで自分の犯行を消そうとしたんだね。

けれど、そうはいかないのがトランプを使った話。

同じ場所に同じように同じ形でアイスピックを握ることができるか。答えは否だ。

ましてや時間も経っている。そんなことは完全記憶能力を持っていたとしても出来やしない。

まぁ、余談になるけど実はこの方法はインデックスvs冥加ちゃんのトランプで一回説明していたんだけどみんなは気づいていてくれたかな?

よって指紋が二重、及び二回分、出るであろうことから上条当麻は言い逃れができないのさ。仮にここで今は指紋を調べれねぇだろ!! とか言っても現場を荒らした、そんな行動を取った彼が自由でいられるなんてありえないだろうね」



148: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/02/29(水) 22:19:31.45 ID:p9UFOwUAO

「さて輪廻についてだね。

これは三種類。

上条当麻の輪廻

御坂美琴の輪廻

球磨川禊の輪廻

の計三つだね。

輪廻とは循環って言う意味だよ。

さて上条当麻の輪廻
それは単に輪廻館密室を意味することであり、指紋をつけたことで彼は完成したと思っていたがまぁ、甘かったね。

さて御坂美琴の輪廻。ルビを振るなら雲仙冥加の推理だね。

これは上条当麻の密室に更にインデックスの上条の為に行動した傷害、更には上条当麻の自殺(まぁ、未遂だけども)を表していたんだね。
御坂美琴は過負荷である。そして妹も熱心な過負荷であり、上条当麻は騙されていた。

そして更に上条当麻が操られていたこと、インデックスが操られていたこと、インデックスが傷つけた心理ちゃんと負の連鎖も指していたわけだ。


以上が冥加ちゃんの輪廻理論。

次の球磨川禊の輪廻、ルビを振るなら真実なんだけどこれは一旦、横におこう」



150: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/02/29(水) 22:38:29.68 ID:p9UFOwUAO

安心院「さて御坂美琴自身は完全に心酔した過負荷だった。


さて、何故彼女が過負荷で上条当麻が偽物だってわかったのか。

もし考えて欲しい。めだかボックスと言う作品が存在しない時、過負荷ってどういう意味に聞こえるかい?

いや、言い方が意地悪だったかな。

かふか

ってどう捉える?

垣根くんはこの文字の読み方すら知らなかった。え? メルヘンなんかと一緒にするな? ごめんごめん。

でも普通ならかふかって聞いたらすぐさま電子回路の負荷が大き過ぎる現象を思いつくのは特定の職業や学部の人間じゃないかな?

特に僕なんかは文系だからね、普通は海辺のカフカや作家のカフカを思いつくんだよ。

そして犯罪集団なら尚更、強引にそっちへ結びつけたくならないかい?

人間とは愚かな生き物でね。何でも高尚に考えたがる。だからこそ一般的に「カフカ」が普通である。

しかし届いた手紙にはきちんと過負荷と書かれていた。つまりは「カフカ」とは別定義で差し出した人間な訳だ。

さて、御坂美琴の信仰にも理由がある。

超能力。総称してサイだね。

普通、超能力って言えばそっちに頭が行くんじゃないかい? 念力とかさぁ。上条当麻とかはサイコキネシス、サイコキネシスうるさかったけどね。

にも関わらず彼女は常にESPを口に出した。

何故か。それは彼女がESPのみを認めていてそれ以外を認めているからだよ。超能力があるかどうか聞かれたら普通、イエスノーで答えればいいのにわざわざESPとまで言い換える始末。救えないね、全く。

ちなみにESPの能力の中に洗脳があるから覚えておいてね。そもそも球磨川禊が何故、洗脳と簡潔するのか。それは前作で球磨川禊が作り出した入門証を思い出して欲しい。犯罪欲求のタガを外すなんて洗脳と言わずなんて呼ぶんだい?

まぁ、御坂美琴を捕まえる原因となった黒い便箋、過負荷とカフカ、御坂美琴。

以上により関連付けれたんじゃないかな? 強引? それはすまないね」



151: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/02/29(水) 22:41:54.55 ID:p9UFOwUAO

安心院「おっとすまないね。

なんだか変な形になっているが

御坂美琴が認めるのはESPのみ。

それじゃあ全部、認めてんじゃねぇかって突っ込みは甘んじて受けるけど上記が正しい意味だ。悪かったね」



152: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/02/29(水) 23:19:08.99 ID:p9UFOwUAO

安心院「さて、ここで球磨川禊の輪廻の話をしよう。

雲仙冥加との推理の差違。

それは御坂美沙は本当は誰に心酔していたのか。

結論から言おう。彼女は御坂美琴でもなく、球磨川禊でもない。

上条当麻に心酔していたからだよ。少なくともあなたのためなら[ピーーー]ると言わせる程度には。

さてここで思い出して欲しい。

雲仙冥加が何故、違和感を持ったのか。

それはマンションでの出会いと遊んでいる時にあまりにも違和感があったからだ。

しかし本当に思い出して欲しいのはマンションでこのカップルと会った際の事を。

この時の御坂美琴は何を上条当麻に求めていたのだろうかはわからない。そしてその後に嫉妬した。更にはそのあと雲仙冥加が名乗り顔を真っ青にした。

何かおかしくないかい?

そう。これならば上条当麻の事をここで愛している振りをする必要性がない。

何故なら雲仙冥加が名乗った後に顔色を真っ青にする。これは雲仙冥加を知らなかったことに対する反応ではないだろうか。

何故、このようなことが起きたのか。そもそも、これは誰なのか。

上条当麻はこの娘のことを美琴と呼んだ。ならば御坂美琴なのだろうか?

けど思い出して欲しい。彼は御坂美琴のマンションから出てきたのだ理由はどうであれ彼女を御坂美琴以外だと認めてしまえば彼にとって何らかの弱みにでもなると考えてもおかしくはない。

何故なら彼は一度、雲仙冥加に対して痛い目を見ている為、被害妄想をしてもおかしくは無いだろう? 弱みを見せたくないと思う程度には。何せ、魔術師魔術師うるさいし、彼女の為に[ピーーー]ると思う程度には妄想も持てるのだから。


そして雲仙冥加は写真で見ただけであり、この会話も対して記憶に無かった印象程度にしか覚えてなかっただろう。だから彼女が嫉妬していたことくらいしか覚えていなかった。
うん? ならばこの女は誰か?

彼女こそ御坂美沙本人じゃないのかな? 死人に口はないし、今更確認する術はないんだけどね。

すると球磨川禊の輪廻はこうなる。

球磨川
御坂美琴
上条当麻
インデックス・御坂美沙
心理定規

とね。まぁ、些細な差違さ」



153: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/02/29(水) 23:41:03.64 ID:p9UFOwUAO

安心院「最後に行橋くんなんだけども。

彼、いや彼女かな? まぁ、この際、性別なんて関係無いのさ。

まぁ、正直これに関しては行橋くん自身のミスだね。

拳一つでぶち破れるような扉ではないことは垣根くんも一方くんも証言済みだ。

なので変に思って心理ちゃんに聞いたわけだよ。彼女は力が強いのかと。

誰だって怪しむよね、扉をそげぶするような人間は。

まぁ、正直。ここで書きたかったのは再開ってことと球磨川くんに報告するした後の展開の為の繋ぎみたいなものだよ。

最悪、勘が良かったで済む問題だしね。

さて、そろそろお別れみたいだね」

一方「お、おァ、更に透けてきやがったァ!?」

安心院「一方くん。

もう女の子を泣かせちゃ駄目だよーー」

一方「いやァァァァ成仏するゥゥヴ!?」











一方「はっ!? ここはァ!!」

麦野「よ、良かった!! 目が覚めたぁぁぁぁ、うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁんうわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁんうわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん」

一方「ンだよ、麦野さン」

麦野「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん、うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん」

一方「お、おィ、泣き止めよォ」

禁書「一方が悪いんだよ?」

麦野「覚えてない? 赤道路で渡ってたあたしをあんたが押して助けたのを?」グスグス

一方「いや、あァ。あったなァ、ンなこと」

禁書「麦野ったらずっとつきっきりだったんだよ?」

麦野「や、やめてよ、インデックス……」

禁書「まったく、罪な男なんだよ!!」

一方「はァ? ンだよ、それは」

垣根(言えない。低速軽自動車で意識不明になるもやしだなんて。絶対言えない)







安心院「やれやれ、生き霊がやってくるなんてね。

さて、インデックスは生きている。

そして球磨川くんが手に入れたというのは嘘だったのか?

まぁ、それは球磨川のディナーの導入部で明らかになるんじゃないかな?

ま、でもわざわざ隠す必要性もない。

完全記憶能力保持者は何も一人じゃないってことさ」



154: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/02/29(水) 23:42:53.16 ID:p9UFOwUAO

以上、安心院さんの解説でした。

洋館のキャラがバレてるかもしんないけど、それでも楽しめるように頑張ります



158: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/03/01(木) 07:34:06.24 ID:voj65hPAO

『才能? そんな者は世の中を生きる意味では不必要だよ。何故ならどんなに才能があったって世界からの理不尽からは逃げようがないのだから。世界はいつだって気紛れだからね。だから覚えておくといいよ。



この世界では才能なんて何の意味ももたない』





「つよさですか? わたしもあいきどうにじっせんからて、じゅうどうにこぶじゅつ。あとはとうてきじゅつですかね。それなりのかたよりつよいつもりですよ。ただ、そんなつよさをものともしないりふじんなことはせかいじゅうにうじゃうじゃあります。だからおぼえておいてください。



このせかいではつよさだけだなんてなんのいみももたない」





『優しい言葉。愛の囁き? ははっ、なにそれ? ちゃんちゃらおかしくて何だか笑っちゃうね。そんなものはただの記号の羅列でしかないよ。組み合わせしだいでどうにでも騙せるし、どうにでも堕ちる。またひとつ教えてあげるよ。



この世界では言葉なんてなんの意味も持たないぜ?』





「わたしのせっていはあいするひとがせんぱいでふつうのおんなのこでむちでおろかでとっしゅつしたさいのうやとくちょうはないけれどもあいしてすかれてとなりにいようとするけなげなおんなのこってかんじでした。

けれどあいしすぎたゆえにすきになったがゆえにかれとのみちはぜったいまじわることはなくなった。すこしかしこくてすこしけんじゃだったのならわたしはかれにしんすいできたかもしれないのに。だからわたしのじんせい、これからさき、どんなにがんばってもどんなにどりょくをしてもむすばれることはないじつにがんばりがいのないじんせいになってしまいました。さいしょはそのことにきづきのろいましたよ。わたしのじんせいはすべてはんてんしてしまったのだって。じぶんでけいけんしてわかりました。どんなかただって、どんなじんせいであろうとりふじんなせかいではそんなものはいともかんたんにひっくりかえります。わかりますか?



このせかいではせっていなどなんのいみももたないんです」






『この世界で一番大切なもの? それはーー』

「こころです」

『それこそがこのせかいで』

「いちばんたいせつないみをもつのです」



159: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/03/01(木) 07:35:18.13 ID:voj65hPAO






古賀「洋館で事件だよ!! 冥加ちゃん!!」冥加「いたみさんはおるすばんです」









160: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/03/01(木) 08:11:08.83 ID:voj65hPAO

【七月二十九日】

古賀「んに~、クーラーが壊れるだなんてありえないよ」グテー

冥加「しんとうめっきゃくすればひもまたすずし、しょうじんがたりませんね。いたみさん」シャリシャリ

古賀「かき氷を食べまくってる、冥加ちゃんに言われたくないよ!!」ウガァ

冥加「てれびでもつけましょう」シャリシャリ

古賀「あからさまに話を反らした!?」



キャスター『本日、薬物取締法にて視覚における催眠作用を持つドラッグの存在を認められました』



古賀「タイムリーな話題だね」

冥加「えぇ、まさかまんばけんがでるとは……」グヌヌ

古賀「競馬もしたことないくせに悔しがらないでよ!?」

冥加「すいません。えっとしかくにおけるさいみんさようおよびいぞんせいのおはなしですか?」

古賀「あ、いや。あたしは別に聞きたい訳じゃないのよ? 頭がこんがらがるし」

冥加「……」ハァ

古賀「み、冥加ちゃんが冷めた目で見てくる!! で、でも負けない!! 睨み返……無理、冷たっ……なんでそんなに冷たい目が出きるの? うわーん」

冥加「ふっ、じゃすといっぷんです。いいゆめはみれましたか」フフーン







ドア「」バーン

禁書「依頼人なんだよ!!」

???「ほ、本当にここで大丈夫なんですの?」

禁書「探偵さんと言えばここなんだよ!!」

???「わ、わかりましたわ」

禁書「んふー」マンゾクゲ



161: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/03/01(木) 08:43:10.26 ID:voj65hPAO

【唐突ですがよくわかるキャラ紹介】


【メインキャラ】

雲仙冥加

職業・天使

言わずもしれた探偵さん。高校時代の天使時代を経て、現在はややSキャラに転身。平仮名口調はご愛嬌。時々、漢字が混じるのもご愛嬌。武器は鎖分銅なんだけど、実際は徒手空拳の方が強い。なぜ使うかって? かっこいいからに決まってるんだよ!! 冥加ちゃんペロペロ冥加ちゃんペロペロ冥加ちゃんペロペロペロペロペロペロ。球磨川禊が大好きすぎて生きるのが辛い……


古賀いたみ

職業・残念系美女

言わずもしれた残念な子。一応、探偵助手。シリアスブレイカーの異名を持つ。いいよ、あんたらが真面目にシリアスを作ろうとするのならーーまずは!! その!! 真面目な!! 空気を!! ぶち壊す!! 絶賛彼氏募集中!! だけど彼氏は出来ない? 何故かって? 残念だから!! でもやれば出きる子!! 聞き込みも上手だし身体能力も高い。時々、変な知識もある。ただ有り余って救えない残念が玉に瑕!!



球磨川禊

職業・ひm……じゃなくて何かでっかい組織の親玉!!


『紐? ヒモなわけないだろ? 仕事は全部みんながしてくれてるけど、炊事洗濯掃除組織の運営はめだがちゃんがやってくれてるけど!! あとついでにジャンプは行橋くんが買ってきてくれてるけども!! やってること? そりゃあたくさんあるよ!! 例えば僕の考えた最強の能力をチラシの裏に書いたり、冥加ちゃんのアイコラ作ったり!! 暇な訳ないじゃないか!! 悪の組織を舐めるなよ!!』


黒神めだか

職業・禊様のお嫁さん(願望)もしくは妾でも可。


悪の組織のナンバーツー。なのに夢は禊様のお嫁さん。こう書くことによってさりげなく冥加ちゃんのヒロインの座を狙ってるという噂もしばしば。何でもできるし何でもしていいと思ってる超傍若無人っぷり。天動説? 地動説? はっ、禊様動説に決まってるいるであろう!!


安心院なじみ

職業・美人すぎる幽霊

前作でクマーにあっさり殺されちゃった子!! ややビッチ属性。今は球磨川にのらなかった事を後悔してるけど幽霊生活も悪くないかなって思っている今日この頃。


行橋未造

職業・悪の組織幹部

えっ? ボクだけじゃないか!! 真面目に自己紹介してるの文字制限がヤバい? ちょっt



162: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/03/01(木) 09:10:56.26 ID:voj65hPAO

【とある大学の子】

垣根帝督

職業・漢検五級

メルヘン星出身のメルヘン野郎。だけど時々、男前になる。けど基本メルヘン!!
 メルヘンの神髄はメルヘンにある。わかるよな。つまりはメルヘンってことだ。しかしていとくんがうりだすメルヘン製薬のメルヘンシリーズはヤバいくらい大ヒットする。メランコリックD、メランコリックDスペシャル、メルヘンタイム。みんな買ってくれよな!!


心理定規

職業・許嫁

実は既に婚約を決めたちゃっかりさん。元お嬢様だけあって社交性、マナー共々完璧。そして没落して独力で生きている為に家事全般完璧。ただしていとくんといっしょに居すぎて頭の中にメルヘン菌が回ってる。


一方通行

職業・医学部四年主席

いいねェいいねェランドセルゥさいッこうッだねェ。スモック? アァァァァァ、ちびッちまいそうだぜェ、くまさンぱんつゥ? くかかきかきくけかきくかかけくきくけこ……げえっ、麦野さン!? このカメラちげーンだよ!! う、うわァァァァァァ、壊さないでくれェェェェェェェェ


麦野沈利

職業・超心理学研究会会長

う、うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ、あたしが一方の野郎を好きだなんてありえないっ!! ないったらないっ!! これは違うのよっ!! 錯覚!! 錯覚なんだからっ!! 勘違いっ!! ってあんの野郎、またインデックスにちょっかい出して!! ぶ・ち・こ・ろ・し・確定ね!! うらぁぁぁぁぁ出てこい、一方ァァァァァァ!!


禁書目録

職業・完全記憶能力保持者

ふぅ、しずりも素直じゃないんだよ。ちゃんと素直になれば通行の方だって素直になるのに……よしっ、ここは私の出番なんだよ!! 私は一時、恋は無理だろうけど友達の恋は応援するんだよ!!


【掲示板によく現れる面々】

ァィゥェォの人
噂によると一方さんらしい。

超の人
『麦野に春が来た!? う、うそでしょ、フレンダ!? 超嘘に決まってますよね? 私より早く春が来るなんて超嘘に決まっています!!』

猫の人
『にゃー。義妹がたくさん見えるにゃー。メランコリックDスペシャルは凄いにゃー。妹に彼氏が出来たなんて辛い現実を見なくて済むにゃー』

あるの人
『筋肉なのである!!』

自演の人
事情により情報が制限されました。



163: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/03/01(木) 10:20:59.36 ID:voj65hPAO

冥加「しょせきどらっぐですか?」

???「はい」

冥加「ふむ、じつようかされてるとはおもえないのですが……」

???「けれど、その子はそれをつかっているとしかおもえませんの」

冥加「ふむ、いまはまだほうりつがせこうされていませんからげんみつにはいほうとはよべません」

???「ですが!! あのような物を放っておくなんて!!」

冥加「ふむ、なるほど……わかりました。わたしがあなたからうけるいらいはーーしんゆうがどらっぐをつかっているからちょうさしてほしいーーでよろしいですか」

???「はぁ……最初からそう申しておりますの」

古賀「あはは、そうじゃないよ。冥加ちゃんが言っているのはあなたの友人が違法ドラッグに手を出している可能性があるって言ってるのよ」

???「え?」

冥加「ちまたでさわがれているしかくによるいぞんせいのあるやくぶつはじつはそんざいしません」

???「し、しかし!! 実際にあるとわたくしは聞いたことがありますの!! 球磨川禊の入門証って言うものが存在するって!! お父さまはその研究に携わっていましたの!!」

冥加「なるほど、あなたがしんじこむのもむりはない。ただ、そのそんざいはどがいししていただきたい。まずそれはげんじゅうにほかんされています。そしてこぴーではしきさいがたしょうへんかするためにまったくおなじものをつくるのはふかのうといわれています」

???「ならば、わたくしの親友は何故、そのようなものをお持ちになって……」

冥加「だからこそわたくしはかんがえます。あなたのごゆうじんはなんらかべつのどらっぐをつかっているかのうせいがひじょうにたかいと」

???「……わかりましたわ。ぜひ、調査をお願い致したいです。しかし!! 万が一、違法な事だったとしたならば警察に届け出るのは待っていただきたいですの!!」

古賀「ちょ、ちょっと待って? それって見逃せって言ってんの?」

???「そう聞こえても仕方ありませんの」

冥加「……わかりました。けいさつにとどけでるかはしらいくろこさん、あなたにいちにんいたします」



167: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/03/01(木) 15:01:45.78 ID:voj65hPAO

古賀「さってと、聞き込みに参りますか」

冥加「えぇ、まいりましょうか」

CM『おっす、おらメルヘン。今日はみんなにお話があるんだCMはCM、メルヘンはメルヘン、現実は現実。メルヘン的に言えばそんなことだ。滅茶苦茶、盛ってるCMとかいい例だよな!! ちなみにカフェインの致死量を圧倒的に超えたメルヘンな飲み物は飲んじゃ駄目だぜ!! メルヘンとのやくそーー』ブツッ


冥加「さて、準備できましたね?」

古賀「おっしゃー、聞き込んでくるぞー!!」






【旧箱庭学園・真昼間】

安心院「あ、それリーチ」

???「う………じゃあ、これだっ!!」

安心院「ローン、ぴんふたんやおいっぱつ、どらどら……裏どら乗って跳満だね」

???「二人で麻雀って……楽しくねぇ……」

安心院「おや? いいのかい? 君が勝ったら一枚ずつ脱いであげようと思ってるんだけど」

???「いいだろう踊ってやるよ、安心院!! そんなこと言われちゃあがんばるしかないもんなあ~~!!」

安心院「!? え? なんでそんなにやる気に……!? でも運も強さもなしでづうやってこの僕に、この【美人すぎる幽霊】に勝つって言うんだい!?」マケフラグピコーン

???「はっ、いらねーよ。運も強さも!! そんな幸運はいつだっていらなかったぜ!! 何故なら童貞はいつだって!! 幸運でもなくラッキースケベでもなく! 煩悩一つで戦ってきたんだ!!」

安心院「!! なっ、ダブリー!?」

???「これならあんたでも逃げ切れない筈だ。たとえこの順を逃れようと次はまた回ってくる。あんたは確かに麻雀は上手い。だけどこれは脱衣麻雀だぜ?」

安心院「き、きみ、まさか一枚脱がす為だけに童貞を守ってきたっていうのかい!!」

???「一枚? ははっ、あんたじゃないんだ。狙うかよ、そんなもん。あんたもいい加減、童貞って奴がわかってねーなぁ。ま、その辺はおいおいわかりあっていこうや」

安心院「え!? 僕はただ今回の視点は古賀ちゃんだってことを伝えたかったかっただけーーと、通ってくれ!!」

???「がっ……駄目っ……通さないっ……祈って放った牌はっ……通さずっ……願望じゃないっ……麻雀はっ……奇跡じゃないっ……ロンっ……ロンっ……!! ローンっ!!」ザワザワ

安心院「」グニャァァァァ



168: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/03/01(木) 16:34:08.37 ID:voj65hPAO

【路地裏・探偵事務所前】

古賀「やっぱ、門前払いかぁ」

後ろ手に立つ探偵事務所を見て溜め息をつく。

過負荷という組織が立ち上がった際、その人脈、能力を惜しみなく発揮し、警察から唯一、拳銃を持つことが許された唯一の探偵事務所。

いや正式には探偵学園。

『団探偵学園』

の正統後継の事務所、連城探偵事務所。

冥王星という組織を壊滅させた団探偵学園の将来は明るいものだった。

と思われた矢先に起こった連続探偵殺人。

この事件により幾人の探偵が命を奪われた。

そこで白羽の矢が立ったのがこの連城探偵事務所である。

そして余りにも事が大きくなりすぎたこの事件はテレビの生中継で事件の謎を解き明かした。


探偵殺人の容疑者となった人物は殺された探偵の恋人によって刺殺。

そしてテレビ局に送り込まれたビデオレター。

宛名不明。そしてテレビ局はニュースの時間帯にこれを流した。最高視聴率は六二、九パーセント。

内容は探偵殺人における真実。 容疑者の冤罪であることの証明。そして犯罪者自らが計画の全貌を話す。

ビデオレターに映っていたのは球磨川禊。

努力をあざ笑うような悪魔的計画。

全てを打ち砕いた一通のビデオレターは探偵、警察の敗北を映し出していた。




古賀「ま、あんなことされたら普通は心が折れるけどね。まだ、経営してるだけの執念はあるっていうのかな」

まぁ、それ意外にも意味はありそうだけど。

古賀「あの件があったから探偵の数が激減して、あたしたちの食い扶持に困らないんだけど」

無論、需要も減ったがそれ以上に供給が減った為、あたしたちの事務所はそれなりに仕事がある。

けれどーー

古賀「あの事件のせいで日本が誇る四大探偵が全滅じゃあ、負け犬って言われても仕方ないよね」

三年という月日は短くない。

探偵がブームとなっていたように、犯罪ブームが訪れるなんて考えただけでぞっとする。

けれどそれは既に予感でも予知でも予兆でもなく姿を見せている。

一日一件。

これは最近の迷宮入り殺人事件数だ。

古賀「とてもじゃないけど笑ってる場合じゃないけどね。にゃはは」

古賀いたみは冥加ちゃんの助手である。冥加ちゃんの平和の為に今日も戦うのだ!!



169: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/03/01(木) 17:03:09.85 ID:voj65hPAO

【喫茶店】

古賀「毛利探偵事務所も門前払い、全く嫌になるよね……」

まぁ、それだけこの業界では嫌われている。

同業者からすればあの球磨川禊に一矢報いたことのある冥加ちゃんは仇と思われてるくらい嫌われている。

古賀「けど、危機感あそこまであからさまだとどん引きになるよ」

こんな美女の帰った後に塩を撒くなんて酷すぎ。

古賀「……これ以上、刑事さんに話を聞くのもなぁ」

唯一、良くしてもらっている刑事さんに連絡を取ろうか迷うが止めた。

ただでさえあの『球磨川禊の百人殺し』に関わって干されているというのに、これ以上干されたら本当に可哀想である。

古賀「うっし!! いたみさん流探偵の心得、その一。迷った時はココアを飲め!!」

追加のココアを注文することにより、糖分を摂取する。

糖分を摂取すれば賢くなる。

賢くなったら事件解決。

無茶苦茶な三段論法だけれど馬鹿には出来ない。

なにせ、冥加ちゃんですら「……え? それほんきでいってます?」と驚愕させたくらい画期的な方法なのだ。決して呆れられてる訳じゃない!!

すると一組の男女が入ってくる。

あたしは何となくそれを目で追う。

古賀「あれは江戸川って子?」

何て偶然だろうか。四大探偵の内、三人目に遭遇した。

一時期、天才小学生探偵と呼ばれていた。

あの人は今!! とかで取り上げられそうだなぁとか考える。

古賀「……今日日の小学生は進んでるね」

あの一組の男女の距離感はカップルのそれだった。

古賀「おっ、目が合った……あからさまに嫌な顔をされたし」

やれやれ、冥加ちゃん探偵助手をするのも楽じゃないね。

会計を済ませて、喫茶店を出る。

古賀「……ほんと、珍しい」

喫茶店に入っていった一人の青年を見つめる。

かねだいちいちじゃなくて金田一 一。

古賀「探偵ファンがいたら卒倒ものだよね、だけどどう考えても協力してくれなさそうだし、あたしはあたしで仕事しますかね」

冥加ちゃんの予想では大規模な麻薬グループの可能性があるらしい。

けれど彼らにはもはや関係がない。

まったく、探偵や警察はほんとに平和を守らず復讐に燃えて、嫌になっちゃうよ。



172: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/03/01(木) 18:05:06.83 ID:voj65hPAO

【マック・とある大学支店】

古賀「あ!! そうだ!! 蛇の道は蛇じゃんって思って君を探していた訳」

青年H「そ、それで俺なのかよ……せっかく真面目に働きだして彼女も出来たのに……」

古賀「へいへい、少年よ。真面目に働けるのも、あたしたちのおかげでしょ? だったらサクサク協力する。マックのコーヒー、奢ったんだからさ」

H「け、ケチくせぇ……まぁ、いいけどよ」

古賀「君はドラッグは詳しい方?」

H「いや、まぁ……裏で不良やってたからそれなりの知識はあるけどよ。俺、自身は手を出していねぇ……なにせ、出所が悪ぃ……」

古賀「悪い?」

H「あぁ……売人はそれこそ不良なんだがよ、出所は辿りつけない」

古賀「そりゃ、そりゃ隠すでしょ、ふつー」

H「ちげぇんだよ、最近のドラッグは出所が辿りついちゃなんねぇんだよ。俺のダチが何人も殺された……」

カタカタと小刻みに震えていた。

古賀「……そりゃあ……厄介ね……君達の反応を見ると今まの出所とは段違いでヤバいって事だね。よっし、わかった。聞くのはここら辺でおしまい!!」

H「え?」

古賀「あったりまえでしょ? こっちは君に死なれたら後味悪いし、それを言ったら死ぬかもしれないんでしょ? だから聞かない」

H「お、俺なんか社会の屑なんだぜ? 死んだ所で……」

古賀「ばっっっかじゃないの? 死んでいい人間なんているもんか。誰一人だってそうよ。あんたには恋人もいるし、仕事もあるんでしょ? 友達もいるんなら大切にしてやんなさいよ。あんたの命はあんたの物だけどあんたが価値を勝手に決めんな。彼女に今と同じセリフを言ってみなさい。ひっぱたかれるわよ?」

H「……ゴリラさん」ジーン

古賀「よし、貴様の因果、ここで断つ!!」






H「いってぇ……」

古賀「はん、ビンタ一発で済んだんだから優しさに感謝してよ。それに……出てきたら?」

???「……ばれてた」

古賀「ばれるも何もそんな真剣に睨まれたら気づくよ。あなた、ちゃんとあたしの代わりに説教しといて」

???「うん、ありがとう、たんていさん」

古賀「ちっちっちっ。あたしは探偵助手よ。お嬢ちゃん」



173: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/03/01(木) 18:20:33.93 ID:voj65hPAO

【雲仙探偵事務所・調査三日目】

冥加「おかえりなさい、いたみさん」

古賀「おっ、早かったね。冥加ちゃんは出所が何かわかった?」

冥加「いいえ。でどころにかんしましてはなにもわかりませんでした」

古賀「あたしもいつも通りあんまり深く追ったらヤバいとしか聞かなかったよ。それ以外は『何も』わからなかった」

冥加「なるほど、いよいよこれはきなくさくなってきましたね」

古賀「どっちだと思う? 過負荷? それともーー」

冥加「わたしはーーそのりょうほうだとかんがえます。かたほうだけではいんとくしにくい、ゆえにりょうほうをうたがっています」

古賀「なるほどなー。それでブツは掴めた?」

冥加「いいえ、ですがおもしろいことをしらいさんからききました」

古賀「ん?」

冥加「なんでもめをこらしてかおをちかづけるくらいしゅうちゅうしてよむらしいですよ?」

古賀「なーる」

こんな簡単な問題は冥加ちゃんが出る幕もないよ!!

冥加「ではゆきましょうか、いたみさん」

古賀「合点さー!!」



174: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/03/01(木) 18:36:11.77 ID:voj65hPAO

【白井黒子の家】

冥加「さて、このみっかかんしらべさせていただきました」

冥加ちゃんがまるで御伽噺でも語る口調で話し始める。

あたしはこの微妙にシリアスな空気に未だ慣れない。多分、それは間違いなんかじゃない。

だってこんな空気が世の中に蔓延るなんて駄目だ。

だからーー

冥加「結論からもうしあげーー」







古賀「犯人はあなた、佐天涙子ちゃんだっ!!」



冥加「すいません、すこししつけてきます」






私の心はいつだって冥加ちゃんからのお仕置き(いたみ)と共にある!!



175: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/03/01(木) 18:56:40.39 ID:voj65hPAO

冥加「けつろんからいいましょう。さてんさてんさん。あなたのもっているどらっぐはやくぶつほういはんにひっかかります」

佐天「な、なんでですか!? まだ固形ドラッグは脱法ドラッグの類ですよ!!」

冥加「さて、あなたはそのどらっぐをかうためにからだをうり、おかねをつくってかっていましたね?」

佐天「そうですけど……あんたたち何なのよ!! あたしが何をしようと!! 白井さんも何で!?」

冥加「あなたはげんざいしゃっきんがありますね?」

佐天「あ、うっ……そうだけど。たかだか二十万ですよ!! ウリをすれば直ぐにでも……」

冥加「わかりました。では」

古賀「ちょーっと待った!! 意義あり、意義あり、意義ありぃぃ!!」

冥加「……いたみさんにおまかせしましょうか、ここは」









【古賀いたみvs佐天涙子】










176: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/03/01(木) 19:15:06.62 ID:voj65hPAO

【脱法ドラッグ】

「そりゃあ、良いこととは思いませんよ」

「けど、誰だって辛い時はあるじゃないですかっ!!」

「だからわたしは違法じゃない視覚に作用する脱法ドラッグに手を出した」

「脱法ドラッグを使っているあたしに何か文句でも? 大体、あなた達の言う違法ドラッグって何の事ですか? ちゃんと法律を勉強したらどうです? あたしは悪いことはしていない!!」

「そ、そりゃあ、白井さんに二十万も借りたのは悪いと思ってますよ。だからすぐに返すって言ってんでしょ!! 白井さんも泣いてないで何か言ってよ!! あたしは悪くないって!!」










古賀「ジャッジメント!! 貴様の罪は私が裁くっ!!」

冥加「なんですか……それ」

冥加ちゃんがあきれてる。よく見たら、白井さんも泣きやんで、佐天さんも怒りの余り顔を真っ赤にしてる。

古賀「これ? 今、話しを聞いてる時に考えてたの!! 決めゼリフを!! もっかい言おうか?

ジャッジメント!! 貴様の罪はあたしがさば」

佐天「っざけんなぁぁぁぁぁぁぁ!! なに、あんた? 馬鹿にしてんの? はぁ!! 意味わかんないのよ!! 頭に蛆でも湧いてるんじゃないの!?」


古賀「ふざける? あはは……あんたこそーー







フザケンナ











佐天「ひぃっ」

怒りから一変する。

古賀「まず断っておくけどあたしは冥加ちゃんみたいに優しくないし甘くない」

佐天「だ、だから何よ!! あなた達が言っていることは根拠も何もない言いがかりじゃない!!」



177: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/03/01(木) 19:31:25.15 ID:voj65hPAO

古賀「あー、まずは言わせて貰うよ。あなたのそれは違法ドラッグだよ」

佐天「だ、だから、違法じゃないって」

古賀「うん、だから先に言わせて貰うけど何であんたはお金を払い続けてる訳?」

佐天「そりゃあ、商品を買うためにお金は払うのは普通じゃないですか!!」

古賀「うん、普通。ノーマル。ぜんっぜん、おかしくない」

佐天「だったらこんなこと聞かないでくださいよ!!」

古賀「おかしくないからおかしいの。気づかない? 何で商品を買い続けるのか」

佐天「だって効果が無くなったら買うのが普通でしょ!!」

古賀「うん普通だね。そして、そこがアブノーマルだよ」

佐天「えっ?」

古賀「視覚に作用するのに効果が無くなるってどういう意味?」

佐天「わ、わかんないですよ!! だってぜんっぜん、効かなくなるんですから!!」

古賀「そう効かなくなるってのが有り得ない? 何でだと思う?」

佐天「だからわかんないですよ!!」

古賀「あんたは目はいい方?」

佐天「何ですか、さっきから話しが変わってます!!」

古賀「いい方?」

佐天「いい方ですけど何か!?」

古賀「そうだったらーー顔を近づけて読む必要性は無いよね」

佐天「!?」

古賀「何であんたが顔近づけて読んでるか私にはわかるよ」

佐天「え?」

古賀「あんたが信じている新規ドラッグの書籍って言うのは単純に現存する違法ドラッグがまぶされた只の本だからよ」

佐天「えっ……嘘……」

古賀「嘘をつく必要性があると思う? なら、確認してみようか?」

佐天「だ、駄目……」

鞄を守るように佐天涙子は見つめてくる。

古賀「でさぁ、あんた……何でそんなもんに逃げてんのよ」

佐天「だ、誰だって辛いことあるじゃない!!」



178: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/03/01(木) 19:56:46.20 ID:voj65hPAO

古賀「だから逃げた訳?」

佐天「そうよっ!! 悪いの!!」

古賀「ううん、悪くないよ。たださ……そんなに辛かったなら何でそこで泣いてるお友達に相談してあげなかったのよ。何を悩んでたか知らないけどさ、そこの友達は自腹切って、わざわざあたしたちにあんたが心配だからって依頼して、もしあんたが例え違法な事をしててもあたしたちを口止めして!! あんたの事を思って!! あんたの為に今、泣いて!! あんたの為に考えて!! あんたを助けようとしてんのよっ!! たかだか二十万? 甘ったれんな、小娘っ!! あんたが知らない所で二十万を稼ぐ為に何十日も働いてる人間もいるんだよ!! 二十万ってそんだけ重いんだよ!! それを友達のあんたに貸すって事は、あんたに返されなくても別にいいって思ってなくちゃ出来ないよっ!! 普通なら!! そんな大切にされてるあんたが大切にされてることに気づかないで何してんのよっ!! 辛かったなら言えば良かったじゃない!! あんたの辛かった事ってそこの友達を失うよりも辛かったことなのっ!? 言って見ろよっ!! 小娘!!」

佐天「……だって、だって……」

古賀「ふざっけんな!! あんた!! この後に及んでまだ甘ったれなーー」

白井「も、もう止めてくださいっ!!」

古賀「……」

白井「わたくしが聞いてあげれなかったから悪いんですの……」

古賀「……はぁ、あんた。こんだけ良い友達を失っていいんならいつまでもやり続けなさい。あたしはもう知らない」

冥加「……ではかえりましょうか」

古賀「……うん」








【帰路・車内】

古賀「はっずかしー、大学生相手にハッスルしすぎちゃった」

助手席に座る冥加ちゃんを横目に見る。

さっきのあれは明らかに昔の自分を重ねすぎた。

友達を守れなかった、何も知らなかったあたし自身を重ねて。

冥加「かっこよかったですよ。いたみさん」

古賀「や、やめてよー。ハンドル捌きが狂っちゃう」

冥加「いたみさんのことばはきっととどきますよ。だってかのじょたちはだいしんゆうですから」

古賀「うん……だといいな」

冥加「わたしたちとおなじです」

赤信号が青になったのに気付かす茫然とした。

古賀「やっ、にゃはは。今更、照れるぜ」

冥加「なにをいまさら」

あたしと冥加ちゃんは大親友である。今日も二人で戦い続けるのだーー



180: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/03/01(木) 20:16:27.90 ID:voj65hPAO

【八月三日・雲仙探偵事務所後日談】

白井「ありがとうございました」

冥加「わたしはなにもしていません。おれいならいたみさんにおねがいします」

白井「わかりましたの。いたみさん」

古賀「ん?」

白井「ありがとうございました。おかげで佐天さん……いえ涙子さんは再び普通の生活を送れていますの」

古賀「なんの、なんの? 依存症は?」

白井「極めて軽微でしたので依存をほとんどしていないらしいですの。今日で最後の通院ですの」

古賀「良かった。白井さんが親友の異変にすぐ気づいたからこんな結末になったんだよ。胸を張って!!」

白井「いたみさんのおかげでわたくしも一歩進めました。そして佐天さんも受け入れてくれましたの。これほど幸福な事は他に無いですの」

佐天「し、しつれーしまーす」

白井「さ、佐天さん!!」

佐天「む、黒子……涙子って読んでよ」

白井「は、恥ずかしいですの……」

佐天「む、じゃあ今日は別々に寝ようかなー」

白井「そ、それは困りますの!!」

ん?


んんんっ?


んんんんんんっ?


何これ? ねぇ、何これ、何これ?

白井「あ、あのそれでいたみさんにわたくしと涙子さんはお願いがあってきましたの」

古賀「も、もーれつに嫌な予感が……」

白井「よ、よろしかったら!!」

古賀「いや、ねぇ、ちょっと聞いて……」

佐天「あ、あたしたちの!!」

佐天・白井「お姉様になってください」

古賀「oh…………」





古賀「呼ぶだけならという理由で帰ってくれた……」グテー

冥加「あいのかたちはさまざまですね」ズズーッ

古賀「そういやぁ、車ん中でさあたしたちと一緒って冥加ちゃん言って無かったっけ」

冥加「やめてください、ちかづかないでください、みないでください。けがれます」サササッ

古賀「ひどっ!?」ガーン

まぁ、こんなやり取りもあたしたちが大親友である証拠なのだ。




【雲仙探偵事務所前】

禁書「た、たいへんなんだよ!? 助手さんはレズビアンだったんだよ!!」ケイジバンニカキカキ



181: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/03/01(木) 20:35:43.67 ID:voj65hPAO






【Drug】








183: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/03/01(木) 20:48:48.62 ID:voj65hPAO

【今更ながら注意書】

・このお話は多重クロスですがクロスさせる意味無いんじゃねって感じのお話です。

・この世界にスキルも超能力も魔術もございません

・唯一、現在の科学で解けないものは『球磨川禊』の入門証のみとなっています。



ご都合主義が無いように頑張ります。





184: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/03/01(木) 23:06:01.35 ID:voj65hPAO

【旧箱庭学園】

???「俺は男としてよ、人知れず覗きをしていたことを誇りに思っていた。誰にも気づかれず、誰にも理解されず、それでも戦い続ける自分のことが好きだった。


だけど やっぱいいもんだな
女の子が手ブラをして悔しそうに睨んでくるって」

安心院「くっそ、カスのくせに!! カスのくせにっ!!」カァァァァァ

???「さぁ、始めようぜ、安心院さんよぉ」

安心院「ぱ、パンツも脱げっていうのかい!?」

???「ステルスの強さを教えてやるよ!!


っと、ここで次回予告か。




舞台は孤島の洋館。招待状が届き、雲仙冥加は何を思うのか。

そして集められていたのは嘗て、名声と地位を手に入れていた面々。

渦巻く悪意!!

終わらない悲しみ!!

響く慟哭!!

そして洋館から生き残ることができるのか!!

そして洋館の中で何が起こったのか!!

次回【正義と愚者】

みんな、楽しみに待っててくれよな!!






悪いな、黙テンだ」

安心院「う、うわぁぁぁぁぁん!! うわぁぁぁぁぁん、パンツ一枚だなんて勘弁してくれよぉぉぉぉぉぉぉ」

???「はぁ……男が女を泣かせるなんて失格だな」

安心院「えっ」キュン

???「安心院さん。もう脱げとは言わねーよ」

安心院「ほ、本当かい?」キュンキュンキュ

???「あぁ!! だから俺が脱がす!! それが俺のジャスティス!!」

安心院「」



193: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/03/02(金) 09:21:39.55 ID:3cX65NlAO

【八月十三日午前・墓地】

冥加「…………」

手を合わせて目を閉じる。明日、明後日は恐らく島で過ごすことになるであろう未来を脳裏で描く。

冥加「もしかしたら……ことしがさいごかもしれません」

それは厳密に言えば『今回』がということである。

誘われた孤島で生き残れる程、能力が高いかと聞かれれば私は首を傾げなければならない。

万能では無い。力など力だけなどそんなものはこの世界において無意味で無価値である。

事実、私の設定は私の存在は吹けば消えるようにちっぽけなものだ。

何故、生きていられるか。それは彼が私に興味を抱いているから。嬉しくもあり、同時に悔しくもある。

五年経った事で生まれた絶対的、力の差は余りにも途方で余りに遠い。

冥加「…………」

それでも私は彼を捕まえなければならない。

何の為に?

誰の為に?

冥加「っ!?」

その理由が分からなくなっていた。私は何の為に彼を追っているのだろうか。

五年とは余りにも長い。妄執のような何かに動かされ辿り着いた今は何を持って意味するのだろうか。

冥加「…………いってきます」

このような心理状態で私は今日、生き残ることが出きるのだろうか。

実に頑張りがいの無い人生。意味の無い設定。

私は何を目的にして何を目標として生きているのだろうか。

彼を捕まえた後、私は何をすればいいのだろうか。

持ってはならなかった矛盾が心の奥底でくすぶる。

せめてーー弟の為にと言えたのなら良い姉でいられたのだろうか? しかし、そんな事が微塵も無いと気づいている私はどこか何かが壊れているのかもしれない。

私は自分の為に彼を追って、自分の為だけに生きてきた。

そんな醜悪な心を押し隠し、隠滅して、幻滅されないよう、幻想の私を作り上げた。

もしーーもしもだ。

彼についていったのならばーー私は幸せになれたのだろうか?



194: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/03/02(金) 09:22:20.14 ID:3cX65NlAO






【正義と愚者】









195: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/03/02(金) 10:03:29.67 ID:3cX65NlAO

【孤島・船着場】

冥加「……ふむ、わたしのみですか」

送ってもらった船には他の客は一切、乗っていなかった。

何でも午前に団体さんが一組乗ってきたらしいが、それ以外、この数年間は誰一人としてこの孤島に近づこうとしなかったらしい。

団体の人数は二十名近くいたらしい。正確な人数は数えていないから覚えていないと船長さんに教えて頂いた。

冥加「さて、困りました」

案内が無ければ、帰ることさえままならない。

船長さんが迎えにくるのは海が時化で荒れていない状態の夕方五時に三十分、船着場で待つらしい。

つまりは今のうちに戻れば三十分も経っていないので帰れるかもしれない。

冥加「ふむふむ、こまりました」

???「雲仙冥加さん」

声を掛けられた方を振り向くと坂の上に一人の女性がいた。女子高生か女子大生かは覚えていないが彼女の名前と職業、そして経歴は知っていた。

冥加「こんにちは、みなみさん」

美南恵。職業、探偵。そして瞬間記憶能力者。言い方は違えどその意味は完全記憶能力と同義である。

美南「さて自己紹介はいらないでしょうから先に言っておきます。初めまして、過負荷の美南恵です」

冥加「……ふむ」

美南「それでは時間が無いですし行きましょうか」

まさかこういう形で事前に準備をしていた切り札を潰されるとは思わなかった。

秘密とは致命傷である。そして秘密を暴いた時にこそ、その傷は致命的なモノとなる。

そして美南恵はわざわざその傷を見せてきたのだ。

そして、それは絶対的な自信の表れ。

多分、先に行ったメンバーは誰も彼女の正体を知らないだろう。何故なら彼女は腐っても旧団探偵学園の探偵なのだ。

そしてそんな事を言えば今度は私自身が疑いの対象となる。何せ、今回、私の予想で集められた面々は必ず敵意を、悪意を少なからず私に持っている。

海の方を見てみれば船はもう出発をしていた。

いたみさんならやれやれだぜ……って呟く所なのでしょうね。



197: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/03/02(金) 11:21:22.06 ID:3cX65NlAO

鬱蒼と茂った森を歩く。

Tシャツにホットパンツとかなりラフな格好をした美南恵に案内され、森を進む。

情報を整理したいが頭が働かない。いや、正確には迷いがあって事件に対して関心が少ない。

美南「…………あなたは何故、あのお方に付いていかなかったんですか?」

冥加「…………いみがわかりません。ついていくことになんのとくがあるのです」

美南「得? 無いですよ。ただあなたもまたあのお方を愛して」

冥加「だまりなさい」

美南「……あれあれ? もしかして雲仙冥加さん。あなた今、迷ったり、悩んだりーー人生の目的を考えたり、世界の目標を考えたりしてます?」

冥加「……だまってください」

先ほどよりかは弱い反論。

美南「知ってますか? 世界に目標なんてなく、人生に目的なんて無いんですよ。だからあなたが探しているそれは無意味であり無価値ですよ。覚えておいてください。あなたのその行為はただの自傷です」

冥加「そんなことは……ありません」

美南「受け入れれば全てが幸せになるのに、受け入れればあなたは幸せでいられるのに」

冥加「……」

美南「迷いましたね?」

冥加「っ!?」

美南「いいんですよ。別に大いに迷うべきです。人生は迷いながら足掻きながら進んでいくべきだと思います」

あなたが……、あなた達がそんな台詞を吐かないで欲しい。

喉元まで出掛かるが寸で飲み込む。

美南「あなたをあのお方に捧げれば私はあのお方に気に入って貰える。『魔女』みたいに身の程知らずはいいません。私は三番手でいい。あなたが正妻、黒神さんが二番目、あたしが三番目。そこは年功序列でいいですよ」

冥加「…………けっこうです」

美南「断るまで間がありましたね? いいのかなー。そんな調子で。そんなんじゃ絶対にあなたじゃあ何もわからない」

くすくすと隣で笑う声に苛立ちが募る。

美南「そして……例え万全だったとしてもあなたじゃ絶対にわからない」



199: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/03/02(金) 12:04:11.48 ID:3cX65NlAO

【洋館の前】

美南「あ、みんなにはあたしの事、内緒にしていて下さいね!! 別にバレても困りませんけど、ほら、表面上では仲良くしときたいですから。ほら、あたし、こう見えても空気読める方ですから」

冥加「……そうですか」

美南「うーん、じゃあ、こうしましょう。今日の夕食の時に自分でいいますよ、それで不満ならあなたがばらせばいいじゃないですか」

まるで名案を思いついたが如く言ってくる。

冥加「わかりました……」

明らかな罠に対し私は乗ることにした、元々、私の発言は彼女の否定によって打ち消されるくらい弱いものである。

きっと予想に反しないであろう集団を思い浮かべて扉を開いた。

扉の先にいた一人の青年。こちらに気づくと駆け寄ってきた。

???「め、メグ!! た、大変だよ。工藤さんと毛利さん親娘が死んでる!!」

美南「う、うそ!? キュウ?」

流石、自称空気が読める子だ。演技も迫真である。

冥加「くわしいおはなしを……れんじょうきゅうさん」

連城「あんたは……とりあえず話は後に!!」

彼は急かすように私達の移動を促した。



205: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/03/02(金) 16:42:43.19 ID:3cX65NlAO

【工藤新一の部屋】

冥加「これは……」

私はその部屋の様子を見て吐き気を覚えた。

球磨川禊の百人殺し以降、あの事件で最後に燃えながら死に行く人々の絶叫を聞いて以来、大抵の死体を見慣れていた筈だった。

けれど工藤探偵の死に方は異常の一言。

恐怖に顔を歪ませ、部屋の壁にまですりよりそのまま死んでいる。

涙と鼻水を垂らしながら血を吐きだしていた。

冥加「まるで……」

美南「まるで何かから逃げている途中に殺された……そんな感じだね」

全く同じことを思った。

冥加「しいんは……どくさつですね……」

外傷は一切無い。病死を除けば殺害方法は一つしかない。

ならば速効性か遅効性か。

他の面々を見る。

???「速効性だと思われます」

冥加「あなたは?」

???「明智健吾と申します」

冥加「あけちさんですか……」

明智「えぇ、雲仙さんのお話は色々、お聞きしていますがまずは事件のお話を致しましょう」




(速効性の理由)

「さて、あくまでも思われるですから勘違いしないでいただきたい」

「我々は一緒のクルーザーでこの孤島に来た」

「目的は潜入捜査、あなたと同じように招待状をいただきましたから」

「その為、彼と会話をしています。彼は彼女の手作りの料理を食べ、今朝方、全く一緒の料理を彼女と食べている。彼女とはもちろん恋仲である毛利さんの娘さんです」

「そしてお昼は我々と共に街のレストランで食事した」

「その際、彼はカレーライスを食べていた」

「カレーライスを食べたのは彼を除いて四人」

「無論、この孤島は携帯は通じている為に連絡をしてレストランを抑えましたが毒物の類は発見されませんでした。そして念の為に毛利探偵事務所と毛利さんのお宅も家宅捜索を依頼しています」

「今、応援を要請していますが動くのは難しいそうです」

「何故なら向こうで雨が降り始めて海が時化ています。船を出すのは非常に難しいようです」

「話は脱線しましたが彼の口にしたもので毒物は発見されていない」

「まだ確定している訳ではないですが」

「私の職業ですか? すみません、申し遅れました警視庁刑事部捜査一課で警視を務めさせて頂いています」



206: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/03/02(金) 17:10:37.87 ID:3cX65NlAO

冥加「ありがとうございます」

明智「いえ」

連城「……雲仙探偵、あなたに聞きたいのですがあなたは何故、二時間も遅れて来たのですか?」

冥加「わたしはしていされたじかんにあわせてきました」

連城「…………」

冥加「ではもうひとつのげんばを……」

連城「メグは休んでいて。エントランスにみんないるから」

美南「う、うん、ありがとう」

口元を抑えて明智さんに背中をさすられながら美南恵は去っていった。

冥加「……ふむ」

連城「彼女は映像記憶を瞬間的に覚える能力に長けています」

長けているというレベルではないがわざわざ私に伝える程の事ではないと判断されたのだろう。

連城「こっちです。ついてきてください」

張られていることを無視しながら私は連城久探偵の後ろに付いていった。





【毛利小五郎の部屋】

冥加「…………ふむ」

先ほどまでの様子とは変わり、この部屋はまるで嵐があったのかと思われるほど悲惨だった。

工藤探偵自身以外は何もおかしな所が無かった部屋に対し、この部屋は被害者の身体以外が散らかっていた。

被害者である毛利小五郎と毛利蘭。事前の調査では彼女と彼は親娘関係である。そして娘である毛利蘭と工藤新一は恋人同士であり、同棲。工藤新一の従兄弟関係である江戸川コナンは毛利小五郎の家に居候している。

二人の死因は胸に刺されたナイフが証明している。

口にはタオルをくわえさせられて二人とも寝ているかのような顔だ。

だからこそ部屋の散らかり具合が異様に目立つ。

シーツは破れ、クローゼットは開けっ放しで中に入っていた替えのシーツも全て投げ出されていた。鞄の中身はそこら中に散らばり、毛利小五郎と毛利蘭は服を破かれている。

まるで二つの部屋を対比しているかのようだ。

冥加「…………もどりましょうか」

連城「何も調べなくていいんですか?」

冥加「あまりしたいをながめていたいというせいへきはございませんから」

連城「……」



207: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/03/02(金) 17:51:25.11 ID:3cX65NlAO

【コマーシャル!!】


古賀「みんな元気ぃー?」

古賀「ん? 駄目だね、声が出てないよ!! みんな元気ぃー? オッケー、オッケー。あたしは今、なんと豪華客船に乗っていまーす!! やっほーい!! 冥加ちゃんがちゃくちゃくと準備をしている間に当てた商店街のチケットで二泊三日の小旅行!! 夭歌ちゃんの墓参りもしたし、久々の連休だし。羽根を休めなきゃね!! うーっし、おいしーもん食べんぞー!! って、おぉ? ありゃあ白井達にインデックスちゃん達じゃん。かーっ、やだね!! お金持ちのお嬢さん達は!! なんか冥加ちゃん達の方は大変なことになってそうだけどまだ付いて間もないからそんなことないでしょ!! だいじょーぶ、だいじょーぶ!! あたしはおいしーもん食べんぞー!! きゃぁぁぁぁキャビアとかある!! フォアグラも!! おーい、インデックスちゃん達!! 気づいた、気づいた。ん、なんだろうこの紙……えっ、コマーシャル?



括弧についてはこれから以下の分類になるんだって。


「」……主に会話を表す。名前が前に付くことで通常会話。名前が前に付かない時は証言中を表す。

『』……会話以外の文章と球磨川くんの台詞。

【】……場所と視点を表す。タイトル、コマーシャル、アイキャッチなども含む

()……証言を表す。この括弧が使われている間は他の会話が挟まることはない。その為にこの間に矛盾が起こったとしても通常の括弧に戻るまではその矛盾を解決することは出来ない。



ってことらしいよ!! なにこれ? よくわかんないけどくしゃくしゃぽいしとこ!!

よぅし、食うぜ!! 超食ったるでー!! はふっはふっむしゃむしゃ

え、なに? 心理ちゃん。なになに、はふはふっ、事件?

むしゃむしゃごくん。


冥加ちゃん!! 事件だよーーっ!!」ハフッハフッムシャムシャ



208: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/03/02(金) 18:37:26.02 ID:3cX65NlAO

【中央エントランス】

冥加「……どうやらあまりかんげいされてないようですね」

???「それはそうだろ? 何せ、あんたがあの球磨川禊の恋人である可能性は少なくねーんだから」

冥加「きんだいちさん。そのようなじじつはございません」

長テーブルの椅子に座る全員を見つめる。アイドルの速水玲香、元DDSのエース天草流、そして天才小学生の江戸川コナン。他にも江戸川コナンが作ったと言われる探偵コミュニティの少年探偵団。そしてその他にも金田一探偵の幼なじみの少女。これが面々である。

冥加「なんとも……まぁ」

よくここまで集まったものだと思う。

やはり、いたみさんの見たというあの情報は強ち馬鹿に出来ない。

冥加「おくばせながらじこしょうかいをさせていただきます。うんぜんみょうがともうします」

金田一「過負荷の一員って付けなくていいのかよ」

七瀬「はじめちゃんっ!!」

金田一「……」

七瀬「ご、ごめんなさい。雲仙さん。私は七瀬美雪、えっと普通に女子大生やってます」

速水「普通に?」

七瀬「ま、まぁ、ミステリーサークルには所属しているけどみんなみたいに名探偵って訳じゃないし」

速水「それならあたしも一緒よ。アイドルやってるけどこの場だと場違い過ぎて萎縮しちゃう」

二人の服装は涼しげなロングTシャツに動きやすそうなデニム。孤島という気温が不安定な上に夜が冷え込むという意味合いでは理想的な服装なのかもしれない。

冥加「じけんかいけつにわたしもじんりょくをつくしますのでよろしくおねがいします」

頭を下げて見ても決して歓迎されなかった。





209: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/03/02(金) 20:03:20.28 ID:3cX65NlAO

冥加「おはなしをうかがいたいのですが……」

周りに問いかけて見ても一同、顔を見合わせる。

しかし、率先して情報を共有しようと人物は少ない。

???「なら、わたしが話そうかしら?」

江戸川「お、おい、灰原!?」

灰原「江戸川くん、あなたは今、盲目的に彼女に対して疑いを持っているわ。それは探偵としてあるまじき行為よ。例え、それが好きな人間、家族だったとしてもそれは駄目よ。そんなんじゃ……駄目になる」

???「な、何だか哀ちゃん難しい話をしてるね」

???「灰原さんは我々が小学四年生としても一人だけ精神年齢がかなり上ですからね」

???「うなじゅー」

灰原「あら、円谷くん。それはわたしが一人だけお婆ちゃんと言いたいのかしら?」

円谷「ち、違いますよ!! 灰原さん!! 元太くんも何か言ってください!!」

小嶋「うなじゅー」

円谷「元太くんっ!! 歩美ちゃんからも何か言ってくださいよ……」

吉田「うーん、あたしも哀ちゃんは大人っぽいと思うし」

灰原「あら? ありがと……さて探偵さん。江戸川くんが役に立たないからわたしが話すわ」

江戸川「お、俺は大丈夫だっ!!」

灰原「黙りなさい、江戸川くん。あなたは今、あなたが思ってる以上に冷静じゃないわ」

江戸川「……っ!!」

灰原「お待たせしてごめんなさい。探偵さん」

彼はエントランスから出て行こうとするのを彼らの友人が止める。

灰原「困ったものね。どうしてもこの年頃は背伸びしたがるの。あたしも彼も」

冥加「はぁ……ではごきょうりょくを」

灰原「それで何を話せばいいのかしら」

冥加「わたしがここにつくまえにおこったことをすべておねがいします」

灰原「えぇ、わかったわ」



210: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/03/02(金) 21:00:07.63 ID:3cX65NlAO

(殺人現場の様子)

「そうね、工藤くんを含めた全員がエントランスに集まっていたわ」

「最初に部屋に戻ったのは工藤くん。それに蘭さんがついて行ったわ。それに続いたのは毛利さん」

「そして、一時間くらい経ってから美南さんが気分転換に外に出て行ったわ。連城さんと幾つか言葉を交わしたのを覚えてる」

「雲仙さんが遅れてくることは実は知っていたわ。何故なら午後五時の便で来るお客さんがいるって船長さんが言っていたから」

「だから美南さんが迎えに行くのだろうってわかったわ。でも、彼女一人で行かせるなんて、と天草さんが連城さんに詰め寄ってたわ」

「そうね、美南さんが出ていってから二十分くらい経ってから工藤くんに電話したの。彼、部屋にいたから、寝てても携帯の電源は切らないから」

「電話を掛けた理由は一度、集まって打ち合わせをしたかったからよ」

「でも何回もコールしても起きなかったわ。その事を伝えたら金田一さんが嫌な予感がするって言ったわ。だから全員で工藤くんの部屋に行ったの。この頃、美南さんはあなたを迎えに行ってたから除くわ」

「扉は鍵が掛かっていた。だから金田一さんが激しくノックしたけど反応が無かったからドアを三人がかりで破った」

「中に入ると死んで……いたわ……っ……」

「ごめんなさい。取り乱して。こう見えて工藤くんには良くして貰ってたから感傷もそれなりにあるのよ」

「その後、明智さんと連城さん、江戸川くんを残して蘭さんの部屋に向かった。軽いノックをしたのは七瀬さん。起きてこなかったから金田一さんがノブに手を伸ばしたわ。鍵がかかっていなかった」

「中に入ると死んでいたわ。二人とも。その時、江戸川くんが入ってきた。泣き崩れていたのを覚えてる」

「連城さんが走っていくのを江戸川くんが入ってきて開きっぱなしの扉から見たわよ。多分、焦っていたんだと思う。美南さんを一人手に送り出したから」

「間もなく私たちはここのエントランスに戻ってきた……戻った時にいなかったのは美南さん、明智さん、連城さん。そしてあなた、探偵さん自身」

「それから少し経って、美南さんと明智さんが戻ってきた。そして最後に探偵さんと連城さんが二人で戻ってきた。以上よ」



211: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/03/02(金) 23:55:10.99 ID:3cX65NlAO

冥加「ありがとうございました」

灰原「いいえ、どういたしまして」

冥加「…………あの」

灰原「何かしら」

少し情報をまとめて見るが声が出ない。これじゃあ……まるで……

まるで……五年前のようだ。

冥加「…………ぃぇ」

灰原「?」

冥加「…………っ!!」

何を迷ってるのかははっきりしている。ビデオレターが届いてからーー

もう一度、禊さんを見てから私の心は強く揺さぶられた。

小嶋「うなじゅー」

円谷「確かにお腹が空きましたね。元太くん」

小嶋「うなじゅー!!」

吉田「うーん、けど料理なんてないみたいだし」

七瀬「わ、私が作りましょうか」

速水「よーっし、あたしも……」

七瀬「料理出来たっけ?」

速水「お嫁さん修行」

美南「ならあたしも手伝いますよ」

灰原「あら、なら私も手伝おうかしら」

女性陣はぞれぞろと移動していく。

冥加「さて……」

美南恵が毒を持っている可能性は高いと考える。

何せ、第一の事件である工藤探偵の殺害は毒物による殺害。

まぁ、確定ではないけれど。

第二の事件は毛利親娘の殺害。

ならば私も食堂の厨房に移動することにしよう。

金田一「おい、どこにいくんだよ」

冥加「…………しょくどうですが」

声はなんとか出せた。

金田一「あんたの作った料理なんか食べられるかよ」

冥加「……ふむ、まぁ、それもいいでしょう。それならあなたはわたしのつくったものにてをつけなければいい」

金田一「……」

冥加「あいにく、あぐらをかいてりょうりがでてくるなんてしあわせなかんがえをわたしはもっていませんから」

金田一「んだと!!」



212: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/03/03(土) 00:27:19.18 ID:6a3xyt6AO

【食堂・厨房】

七瀬「なるほど、それではじめちゃんや男性陣はみんな厨房でお手伝いしてるって訳ね」

冥加「はい」

だが、これには牽制の意味合いが強い。これだけ疑心暗鬼に陥っていれば厭でも周囲に敏感になる。例え私を集中的に監視しているとしても別の誰かにも自ずと視線がいく。

七瀬「それにしても雲仙さんは綺麗ですね。まるでお人形みたい」

冥加「ありがとうございます」

七瀬「あ、あはは、謙遜しないんですね」

冥加「けんそんしたほうがよろしかったですか?」

七瀬「あ、あはは……」










【食堂・長テーブル】

小嶋「うなじゅー!! うなじゅー!!」

円谷「元太くん、うなじゅーはないですよ」

シチューにカレー、豚の生姜焼きにチンジャオロースにグラタン。個々でそれぞれ準備した材料で作る。私自身もクーラーボックスに五日分の材料を用意していた。

大型の冷蔵庫には大量の材料があったが誰も手をつけていない。

材料に毒物が仕掛けられていたらという事を考慮して事前に準備をしてきたのだ。

本来なら自分で用意した材料以外に手をつけるべきでは無いのだろうが……

小嶋「うなじゅー!! うなじゅー!!」

食べ物に何のためらいもない子ども達は箸を既にすすめていた。

考えるのも、疑うのも馬鹿らしくなって食事に手をつける。

灰原「あら、探偵さん、いい腕しているわね。こんな美味しいグラタン初めて食べたわ」

グラタンに真っ先に口を付けた灰原さんが感想を口にした。

冥加「ありがとうございます」

私もグラタンを口にしながら自分の料理の出来映えを確認する。

小さな器に移した分は江戸川くんを除く子ども達が取った。

金田一「…………」

冥加「どうしましたか?」

金田一「い、いやっ……何でもない……」

私は睨まれるというか凝視する彼を無視する。

七瀬「はじめちゃん、食べたいのなら正直に言いなよ」

金田一「だ、誰があんなもの……」

尚も凝視する金田一さん。

金田一「な、なぁ……」

冥加「わけてあげませんよ? そんなにおおめにつくっていないので」

金田一「……」



213: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/03/03(土) 01:05:45.63 ID:6a3xyt6AO

【食堂・長テーブル・食事後】

冥加「……」

七瀬「探偵さん、考え事ですか?」

冥加「はい、部屋の鍵はあるのですか?」

本来ならば真っ先に聞く必要性のある鍵の有無を聞く。

七瀬「鍵? 鍵はーー」






(鍵)

「鍵はエントランスの鍵棚にありますよ」

「マスターキーの有無はわかりません」

「ですが鍵棚にある鍵は全部で一つずつ」

「今は五本無くなっています。工藤くんが一つ、毛利さん達が一つずつ。そして連城さんがエントランスの鍵を、さっきあたしが持っていた食堂の鍵ははじめちゃんがもっています」

「けれどもう使うことは無いと思いますよ」

「マスターキーの有無や合い鍵の有無がわからない限り、それぞれの部屋に宿泊するのは危険です」

「だから男性は食堂、女性はエントランスで寝ようと思っています」

「連城さんは美南さんと二人で一部屋に泊まりたかったようですが」

「それならあたしだってはじめちゃんと一緒に泊まりた……わぁーっ!! 今のは無しです!! 聞かなかったことにしてください!!」









速水「ちょっと聞き捨てならないのよ!!」

七瀬「えっ!!」

速水「金田一くん……いえ、この際、あたしもはじめちゃんって呼ぶわ!!」

冥加「……」

何だかいたみさんと同類のような臭いがしますね。

七瀬「はじめちゃん?」

擬音はおそらくドドドドかゴゴゴゴだろう。

しかし、彼女達がやせ我慢の空元気なのも見てわかる。

明らかな躁状態だ。

七瀬「全く!! どういうことよっ!!」

明智「いやはや、若いというのは何とももはや……あ、雲仙探偵、是非、明日は私にも何か作って頂きたい大変、美味しそうな料理だったのでね」

ウインクをさっと避け、

冥加「はぁ……わかりました」

そんな空返事をした。



214: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/03/03(土) 01:39:42.88 ID:6a3xyt6AO

連城「楽しんでいる所、すみませんが……」

天草「僕たちが考えた可能性を一つ、発表したいと思います」

連城「まずウチの美南恵、メグは瞬間記憶能力者です。一度見た映像景色は忘れません。そして彼女は言っています」

天草「雲仙冥加探偵、あなたが船着場ではなく、少し離れた浜辺を歩いていたことを」

冥加「…………っ!!」

そう……来ましたかっ!!

流石にこれは看過しては不味い流れだ。

私は思い出す。



『うーん、じゃあ、こうしましょう。今日の夕食の時に自分でいいますよ、それで不満ならあなたがばらせばいいじゃないですか』




不満なら『あなた』がばらせばいいと。




もし、もしも。ここで私が彼女の正体をばらせばどうなる?

根拠も無い、証拠もないーーただの言いがかり。

迂闊でした。

腑抜けた自分に叱咤する。

それでも……

それでも、いつものように冷静さが戻らないーー












【雲仙冥加vs旧DDSQクラス】













215: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/03/03(土) 02:25:26.98 ID:6a3xyt6AO

【船着場を離れた理由】

冥加「……はなれたりゆうですか」

連城「はい、あなたは本来ならもっと早くに来れたのではないですか?」

冥加「……」

言葉を選ぶ。冷静では無いことを理解しつつも私は私を見失ってはならない。

真実に辿り着く為に私はーー

『受け入れれば全てが幸せになるのに受け入れればあなたは幸せでいられるのに』

冥加「っ!?」

天草「何を驚いています? 我々が知らないとでも思いますか? あなたがーー」

美南「あなたが今朝方の早朝に出掛けた事を、あなたが過負荷の総帥と恋仲では無かったとしても近しい仲だったことを、四年前のあの日、あなたが旧箱庭学園で過負荷の創設の場にいたことを知らなかったとでも?










甘ぇよ






クスクスッ」




その迫力にこの場の全員が呑まれる。

冥加「その台詞っ!!」

怒りで、悔しさで涙が出そうだった。

天草「わ、我々はこの三年遊んでいた訳ではありません。過負荷の創設の情報を極秘裏で入手いたしました」

連城「球磨川禊が何故、四年前に箱庭学園にいたのかはわかりませんが旧箱庭学園に行った球磨川禊の目撃情報、いえ黒神めだかの目撃情報がありました」

天草「同日、あなたが旧箱庭学園の理事、不知火袴氏に箱庭学園の鍵を借りに行ったこともはっきりしています」

冥加「…………じょうきょうしょうこです」

天草「否定はなさらないんですか?」

冥加「ひていをしてうけいれられるのならば……ですが、それだけじょうきょうしょうこがあればうたがうよちはじゅうぶんにあります」

連城「そうです。ですからあなたが船着場を離れていたかどうか聞きたい」

冥加「……たしかにわたしはふなつきばではなくすこしあるいたさきにいました」

連城「今朝、早朝に出掛けたにも関わらず一番、最後にあなたがきた。そしてあなたは船着場ではなく船着場から少し離れた場所にいた。そして何より過負荷の一員である可能性が非常に高い」

冥加「……」

連城「はっきりとした証拠はありません……が、これだけの状況証拠。あなたを拘束するのには十分でしょう。異論はありますか?」

冥加「……いたしかたありません」



216: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/03/03(土) 03:01:16.70 ID:6a3xyt6AO

【与えられた部屋】

美南「全ての自由を奪う訳じゃないですよ。ただあたしが監視させて貰うだけ、もちろん、トイレもご自由にどうぞ」

鎖分銅も奪われ、手には手錠。

冥加「……たいしたじゆうです」

美南「うーん、でもなんだかなー。本当にあのお方のお気に入りなんですか?」

冥加「それはわたしにきくべきことではありません」

美南「あはっ、そうですよね」

冥加「……たんていであるあなたがどうして」

美南「そっちの業界じゃあたしの方が先輩ですし教えてあげますね」

冥加「……」

美南「わたしは三年前のあの日からずっと憧れていた。あの方は言ってくださったわ。冤罪をなすりつけた君たちは悪くないって。毎日毎日、気が狂いそうなくらい電話がきて。探偵なんか必要ないって、[ピーーー]って、何回言われた事か。DDSのAクラスの女の先輩は強姦までされて、Aクラスの他の女の子は過負荷信仰の宗教にすがりついて……今まで色んな人を助けて来たのに、色んな人を救ってきたのにそんなものをあっさり消して私達を責めるの」

安易に想像できる光景。団探偵学園の権威の失墜。

美南「毎日、毎日、毎日、毎日。キュウもリュウくんも仕事を放って、過負荷を調べて……でもね、そんなある日、あたしに一通のビデオレターが届いたの。あたしは宛名を見て、みんなに見せるか迷った。けど、ビデオを見たら何であたしがこうなったかわかった」

甘い毒を注ぎ込む。それが過負荷の常套手段。

美南「あたしが悪いんだって。何の力も無いあたしが。最初は詰られて、責められたわ。でもあのお方は言ったの。あたしのやった罪も。あたしの弱さも。全て、悪くないって。だってあたしは何をしてもいいんだよ? 当たり前だった。だって瞬間記憶能力を持ってるのにみんなに利用されるだけされて捨てられたんだから。あたしは何をしてもいいの。それだけの力があるしそれだけの能力がある。なのにあたしは責められてる。こんなの酷いって。あたしは悪くないのに。だからね、あたしは最初にやった事はあたしをこんな目に合わせたDDSを潰したの」

冥加「!?」

美南「簡単だった。禊様が力を貸してくれたの。あっさりと潰れた。力が無いってこんなに駄目なんだって再確認した。そしてこの世で一番は過負荷だからあたしは過負荷なの。あたしは禊様の力で禊様の為に生きている。冥王星の残党も皆殺してあげて、生意気だった同僚もちゃんと殺してあげた」



217: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/03/03(土) 03:21:16.50 ID:6a3xyt6AO

美南「それで殺したらキュウもリュウくんも自信満々で関係無い奴に罪をなすりつけるの。あぁ、傍から見たらこんなに滑稽なんだって。初めての時は本当に笑いを堪えるのが辛かった。キュウの奴なんか自信満々に『ヒントは三つ』とか言って、全然関係無い奴に罪をなすりつけてんの。本当に傑作、あの時、何でビデオに撮っておかなかったのかなって思った。本当に笑いたかった。笑い転げたかった。全然、違うよ、馬ぁぁぁぁ鹿って言ってやりたかった。面白かった!! 傑作だった!! 愚か者が正義を翳したらこんな事になっちゃうんだ!! って発見しちゃった!! 本当に本当に本当に本当に本当に傑作だったの!!」

冥加「……っ」

美南「それでね、探偵って職業の本質に気づいたの!! こんなの放っておいちゃいけない!! 是が非でも駆逐しなくちゃって!! だから今回、集まったみんなは死ななきゃいけない!! 何でかって? 馬鹿だから!! 頭が悪いから!! 愚かしいから!! なのに正義ぶって大変な事になるから!! あたしは世の中のごみ掃除をしようって思ったの!! ほら、ボランティア、助けあいの精神で!! 特に工藤っていう探偵は人一倍の屑だから殺しちゃった!! あいつの顔見たでしょ? 惨めで泣きまくって鼻水たらしまくって恐怖に怯えて死んじゃった!! あはっ、あははははははははははっあははははははははははははっひぃーっ、おっかしー。あいつら頭、悪すぎでしょっ!! あははははははっ。そして今頃、きっとーーたくさん死んでるの。馬鹿だからーっ!! あははははははっあははははははっあははははははははははははっひぃーっ、こっちが笑い死んじゃうっつーの。あははははははははははははっあははははははははははははっあははははははははははははっ」

冥加「…………っ」

心が折れそうになる。惨めで泣きそうになる。

美南「あははっ、だから……ね? 雲仙さんも来てくださいよ。禊様に求められるなんて光栄ですよ? この世で最高の出来事なんですよ。何よりーー 禊様はあなたを一番に考えている」

その言葉にーー

嬉しくて泣きそうで。五年前と同じように屈伏しそうでーー














そして何よりそんな自分が嫌だったーー



218: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/03/03(土) 03:23:44.48 ID:6a3xyt6AO






【正義と愚者・終】









219: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/03/03(土) 03:41:14.74 ID:6a3xyt6AO

【次・回・予・告】

古賀「フンフンフーンフフンフンフーン、ジャジャジャンジャンジャーン

豪華客船で起こった謎!!

渦巻くメルヘン!!

効かないメルヘン!!

怒られるメルヘン!!

泣くメルヘン!!

真実に辿り着いた時、メルヘンはどんな答えを出すのか!!

次回!! 美人探偵助手、古賀いたみ!!



【それでもみんなメルヘン!!】




唸れ轟けあたしの拳っ!! 犯人のハートを一撃粉砕っ!! 今宵のパンチは一味違うぜぃっ!!


















ってそっちじゃない?

あー、ごめんごめん。にゃはは。えっ? こっち?




愛、渦巻く心。

殺意、渦巻く館。

悲鳴が響きあう館。

悲しみが渦巻く人間関係。

それでも惨劇は止まらない。

救えし掌は無く、掬えし手は届かない。

絶望の中、灯る光。

次回【大親友】

『にゃはは、冥加ちゃん。あたしの名前を言ってみて?』









ねぇ、温度差激しすぎて今、あたし自身が引いてんだけど……」



224: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/03/03(土) 11:40:50.73 ID:6a3xyt6AO

【拘束されて二時間】

整理しなければならない情報がある。

指摘すべき矛盾がある。

聞かなければならない情報がある。

なのにーー

聞くことも尋ねることも億劫で、違う何かを自問自答する。

ひんやりとした手錠の感触を確かめながら自問自答をし続ける。




何をすればーー




何をすればーー








私は楽になれるのだろうか?










225: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/03/03(土) 11:57:00.57 ID:6a3xyt6AO






【大親友】








226: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/03/03(土) 12:21:58.48 ID:6a3xyt6AO

激しいノックの音で自問自答は中断された。

『メグ!! 開けろ!!』

尚も勢いよくノックは鳴り響く。

美南「ど、どうしたの? キュウ?」

連城「少年探偵団と七瀬さん、それに速水さんの姿が見えない!!」

美南「な、なんで!?」

連城「まずいなくなったのは灰原って子だ!! 江戸川くんやみんなが探しだすって置き手紙があったんだよ!!」

美南「他の人は?」

連城「明智さんは一人で探してもらってる。金田一とリュウは二人で今、探してる!!」

美南「じゃ、じゃあ、キュウかあたしは明智さんに合流しなくちゃ!! いくら刑事さんだからと言っても危ないわよ!!」

連城「そんなの……わかってるっ!!」

美南「ご、ごめん……」

連城「悪い、怒鳴るつもりは無かったんだ……」

美南「彼女はどうするの?」

連城「……彼女の手錠の鍵は明智さんから預かってる」

美南「それじゃあ……?」

連城「俺は雲仙冥加とツーマンセルで、メグは明智さんと合流してくれ!!」

美南「わ、わかったわ!!」

美南恵が走り去る。

連城「話は聞いてたんだろ? あんたにも協力してもらう」

冥加「…………」

手錠が外され、僅かな解放感に包まれる。

連城「おい、あんた!! 早くしてくれ!!」

私は何をしたら……いいのだろうか?



227: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/03/03(土) 13:07:52.83 ID:6a3xyt6AO

【エントランス西廊下】

連城「あくまで状況証拠でしかないって言ったのに、危機感が足りなさすぎるっ!!」

何かにあたるように彼は一人言を呟く。
冥加「?」

ノブを回して見れば鍵がかかっていることに気づく。

連城「どうした?」

冥加「かぎがかかってます」

連城「そこは……共用の個室トイレか……」

冥加「……」

連城「エントランスに鍵があった筈だ。取りにいこう」









【エントランス】

連城探偵がエントランスの扉の鍵を開ける。

連城「共用トイレ、共用トイレ……」

彼が鍵を探しているのを後ろから覗きこむ。

現在、鍵棚に無い鍵は五本だ。

連城「……これか」

天草「キュウっ!! 吉田さん達を発見した……」

連城「本当っ!?」

天草「……あぁ、だが」

その悲痛な顔は何があったのか表していた。

金田一「俺達が発見したのは吉田、小嶋。そして江戸川の奴の三人の遺体だ……」

連城「三人共か!?」

天草「あぁ、死んでいた……特に江戸川くんは頭の形が変形するくらい殴られていた」

連城「ひ、ひどいっ……!!」

そして再び、エントランスに集まったのは美南恵と明智さん。

美南「き、キュウ!! 速水さんと円谷くんを発見したわっ!!」

連城「……生きていた?」

美南恵は目元を押さえ、俯き首を振る。

明智「お二人共、間に合いませんでした……」



228: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/03/03(土) 13:39:51.74 ID:6a3xyt6AO

【エントランス西廊下】

連城探偵がトイレの鍵を開ける。

鍵が回る音がする。

連城「…………開けるよ」

ノブを引き扉を開く。




どさっ



最初はそんな物音だった。

視線を下に下ろすと。

冥加「!!」

美南「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」

血まみれの七瀬美雪が連城久の膝下に倒れ込んだ。

私は中を見る。

連城「お、おい!!」

変わった様子は無い。水は綺麗で、壁に血がついている様子も無い。

そして壁に血で何かを書いている。

『アクマ』

あくま?

悪魔?

…………彼女の表情を見てみる。歪んだように笑い泣いて……その表情は悲痛だった。

連城「外傷は見た感じないな……」

明智「ということはまた毒殺ですか」

天草「……そう考えるのが普通だろうね」

ここで一切、声を出さない人物がいた。

金田一「…………」

いや、正確には出せないのだろう。

そしてーー

金田一「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ美雪っ!? 美雪ぃぃっ!! うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!? 嘘だろっ!?」

洋館に慟哭が響く。



229: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/03/03(土) 14:17:05.57 ID:6a3xyt6AO

【コマーシャル!!】

古賀「ちょっと早いけど、コマーシャルっ!!

うーん、ちょっと、こっちはこっちで忙しいからねー。

あ、そんな時の為に作ってるのがあったんだった。








美人探偵助手・古賀いたみ!!

次回予告集



あれはなんだ!! 鳥か!? 飛行機か!? いや美人探偵助手、古賀いたみだっ!!

表れたのは妖怪、スココマシ星人!! 世界の女は俺のもの!!

いいぜ、お前が俺の妾になりたくないっていうのならまずはそんな幻想をぶちころ

いたみちゃんの背後に忍び寄る魔の手!!

いたみちゃんの運命は如何に!?

美人探偵助手、古賀いたみ!! 

第一話【IDって何?】

いいよ、あんたらがあたしに彼氏が出来ないって言うのならまずはーーそんな幻想をぶち[ピーーー]っ!!







【第二話】

メルヘン~メルヘン~メールメルヘ~ン!!

今回の依頼人はヘタレメルヘンの御曹司!!

運命の相手を探してあげる為、あたしは今日も聞き込み!!

『探偵さン、これ、どうぞォ……』

『探偵さん!! 超頑張ってください!! 負けないでください!!』

『探偵さんにはきっといつか素敵な人が現れると思うにゃー。諦めちゃ駄目にゃー。ネバーギブアップぜよ!!』

『素晴らしい筋肉なのである!! 触らせて欲しいので……NOOOOOOO!! そこは蹴ったら駄目なのである!!』

とうとうあたしの魅力が世界を浸食する!!

次回、美人探偵助手、古賀いたみ!!

第二話【美味しいお酒はいいお酒!!】

因果を超えてぇー!! 魔を断つ剣ぃー!! 無垢なる刃ァー!! 古賀いたみぃぃぃぃん!!



後編に続く!!』




233: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/03/03(土) 16:13:51.24 ID:6a3xyt6AO

【中央エントランス】

あの後、遺体を見て回った。

吉田歩美、円谷光彦、小嶋元太、速水玲香、江戸川コナン。そして七瀬美雪。

僅か二時間半の間に六人も死んでしまった。いや、死なせてしまったのかもしれない。

安易に罠に掛かり、救えたかもしれない
掬えたかもしれない命を私は見殺しにしたのだ。

油断、迂闊、敗北、堕落。

きっと私の味方でいてくれる親友がいたのなら慰めてくれるのだろう。

帰りたい。

そして、それが無理なのならばーー

最早、私は受け入れるべきでは無いのだろうか。

連城「おい、あんた……」

冥加「……」

連城「お、おいっ!? 聞いてんのか?」

天草「……ふぅ、僕は気になる事があるからね、灰原さんを探しに行くついでにそれも見てくるよ」

連城「あ、あぁ、わかった。リュウ。ただ、こうなってしまったらスリーマンセルで動こう」

天草「そうだね、それじゃあ、メグ……と後は明智さんかな……金田一さんは流石に動けないみたいだし」

明智「そうだね、流石に彼に今、動けというのは忍びない」

三人はエントランスから出て行く。

冥加「……」

私は間違っていたのだろうか。あの日、私はあの方について行くべきだったのでは無いだろうか。私は何でついていかなかったの?

彼と対等でありたいから? だから悪いことは悪いって教えてあげたかった?

それこそ傲慢じゃないのだろうか。悪いとは誰が決める?

この状況で私は悪くないのか?

何で、何で……。

私は悪くない、私は悪くない、私はーー




『冥加ちゃん!! 電話だお!! おいたんだえ?』




冥加「…………」

思考が全部吹っ飛んだ。

『冥加ちゃん!! 電話だお!! おいたんだえ?』

冥加「…………ふふふっ」

『冥加ちゃん!! 電話だお!! おいたんだえ!!』

連城「……な、なぁ、あんたの鞄から変な声が……」

冥加「そうですね、もう、ほんとおばかなんですから」



『冥加ちゃん、電話だお!! おいたんだえ?』







234: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/03/03(土) 16:35:53.73 ID:6a3xyt6AO

(古賀いたみ)

「おっ!! 冥加ちゃん、電話に出るの遅い!! 何、やってんの、もー!!」

「あれ? 元気ない? 何かあった?」

「わかるよー、そりゃ、親友だもの!!」

「長くなる? いいよ、あったこと、全部、あたしにいいなー!!」

「ふむふむ」

「ほうほう」

「なるほどなるほど」

「ふーむ……」

「よーっし、大体、わかった!!」

「まず、冥加ちゃん、慰めてとか思ってる?」

「だから先に言っておくけど




ふざっけんなっ!!!!!!」

「や、やばっ、自分でも耳キーンってなった」

「何が付いてよけば良かっただよ、何が幸せになりたかっただよ。何が私がやっていることは意味がないだよ!!


ふざけんな、ふざけんな、ふざけんなっ!!

いいっ!! 冥加ちゃん!!」

「あんたが今、言った台詞はただの逃げだよ!!」

「結ばれないことが辛い? 幸せを掴めるかも? 舐めんな!! あたしの知っている雲仙冥加はそんな弱い女じゃないよ!!」

「あなたが戦う目標が無いって言うのなら、あんだが戦う目的が無いのなら、冥加ちゃんが戦う意味も理由も根拠も意義も無いって言うんだったら!!」

「目標も目的も理由も根拠も意義も作りなさいよ!!」

「球磨川禊を受け入れる? はっ、冥加ちゃんも甘くなったもんだ!! 冥加ちゃんは冥加ちゃんだからこそ球磨川禊と愛し合ってるんでしょ!! 今の冥加ちゃんはただの娼婦と差は無いよ!! そんなちょっと賢くてちょっと強かな冥加ちゃんは冥加ちゃんじゃない!! 冥加ちゃんはどこまでも気高くて、冥加ちゃんはどこまでもかっけーんだよ!! あたしの大親友は凄くては強くてスゴくてスゴくてスゴくてスゴくて凄いんだよ!!」

「冥加ちゃんだからこそ、あんなクソッタレな球磨川禊を改心させるなんて言えるんだよ!! 人を[ピーーー]のは悪いことだって!! 人を騙すのは悪いことだって!!」

「そんな夢さえも忘れちゃったの!! 冥加ちゃん!! 対等な人間になるために対等な関係を作る為の夢を忘れちゃったの!!」














冥加「っ!?」

『いい? 冥加ちゃん!! 冥加ちゃんが忘れてもあたしが忘れない!! あたしが忘れてあげない!! 傷ついても迷っても悩んでも冥加ちゃんの隣にあたしがいることを忘れんなっ!!』

迷いが、孤独が霧散する。



235: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/03/03(土) 17:02:52.12 ID:6a3xyt6AO

冥加「……そう……でしたね……」

迷っていた自分に嫌気がさす。

悩んでいた自分に辟易する。

『冥加ちゃん、例え冥加ちゃんが球磨川に付いていったならあたしが冥加ちゃんを捕まえる。だって友達だから。大親友だから』

その言葉に胸が温かくなる。

冥加「……もしいたみさんがはんざいをおこしたらわたしがさばいてあげます」

『おうおう、じょうとーだよ!! 冥加ちゃん。それでこそあたしの冥加ちゃんだ』

冥加「いたみさんのではありません」

『うっわ、ここでツンデレ? いいんだよ、別にデレても? ん? ん?』

冥加「つんでれではありません」

『おっ、今、顔真っ赤になってるよね? ぐへへへへー』

冥加「ぶっとばしますよ?」

図星だ。確かにわたしは照れている。そして電話越しのいたみさんもそうなのだろう。

『あのさ、冥加ちゃん、もし辛くなったらさ、そんときはさーーそんときは』

冥加「はい」

『にゃはは、冥加ちゃん。あたしの名前を言ってみて?』

冥加「……まったく」

『あー、はっず!! はっず!! んじゃ、また直ぐにでも電話掛けてきていいんだよ。あたしは、ほら、なんか冥加ちゃんがピーンチって気がして電話したら実際にそうだったし!! け、決してこっちで事件があったから冥加ちゃんに教えを請おうとかそんな浅ましい行動じゃないよ!? か、勘違いしないでよねっ!! プンプン』

冥加「……まったく。どんなつんでれですか。それで聞きたいことは?」

『あー、なんだっけ? あ、そうそう冥加ちゃんって今、パンツ何、はいてん』

途中で電話を切った。それに本当にわからないのなら電話をかけ直してくるだろう。多分、自信が持てないから確認に電話を掛けてきたんだろう。

冥加「……じしんをもってください、いたみさん。あなたはもうりっぱなたんていです。そして、ありがとう」







『冥加ちゃん、メールだお!! ひなだお!!』

まったく、いつの間にこんな着信を登録されていたのだろう。

溜め息をつきながらメールを開く。

『なんか、今、冥加ちゃんがデレてた気がする。冥加ちゃんペロペロ冥加ちゃんペロペロ』

冥加「…………さて」

私もいたみさん成分を補充した事ですし、事件を解決しましょうか。



236: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/03/03(土) 17:38:25.72 ID:6a3xyt6AO

冥加「れんじょうさん」

連城「な、何か?」

冥加「わたしにははいばらさんのゆくえにこころあたりがあります」

連城「どういうことだ」

冥加「さきにいっておきましょう。わたしはかふかではない。そしてしんじていただかなくてけっこう。ですが、いきているかもしれないかのじょをひとりでほうっておくのはまずいとおもいます」

連城「……」

冥加「あなたやきんだいちさんがここにいつづけるのならいればいい。ただわたしはいまからこうどうさせていただきたい」

連城「……」

冥加「たすけられるいのちがあるのにわたしはそれをみすごすなんてできない」

連城「……俺は、俺はまだあなたを疑っている……」

冥加「いたしかたありません」

連城「だけど……何が正しいのか、何が正解なのか、何が真実なのか、今の俺じゃわからないっ……」

冥加「……」

連城「けど……あなたが命を救うと言うのなら俺はあなたを信じるべきだ。探偵として……人として……」

冥加「れんじょうさん……」

連城「いま、俺はあなたを疑わない。だから俺はあなたの推理を聞こう、あなたの探偵としての意見を聞きたい!! 何故、あなたは灰原哀の居場所に予想がつくのか」

冥加「わかりました……おはなししましょう。わたしのすいりを」












【雲仙冥加vs連城久】










237: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/03/03(土) 19:55:25.60 ID:6a3xyt6AO

【灰原哀の居場所】

冥加「さて、れんじょうさん。あなたははいばらさんのしょうげんをおぼえていますか?」

連城「話半分でしか……」

冥加「それでけっこうです。そもそもかのじょはわたしにたいしせつめいしたのですからきいていただいていただけでぎょうこうです」

連城「あ、あぁ……それで?」

冥加「かのじょがくどうしんいちのためにないていたのをおぼえていますか?」

連城「そうだな……覚えてる」

冥加「かのじょはくどうしんいちとこんいのなかであったことがうかがえます」

連城「……」

冥加「?」

連城「?」

冥加「どうかしましたか?」

連城「え? それ……だけ?」

冥加「……ふむ、けつろんはそうですね」

連城「ま、待ってくれ……頭がいたい」

冥加「そうせかさないでください。いまのはけつろんです」

連城「結論が工藤さんと灰原さんが仲が良かったからどこにいるかわかるってか?」

冥加「いえ、かくていではありませんがへやにもどったのではないとするならげんざいかのじょはくどうしんいちのへやにいるかのうせいがある」

連城「何故だ? いくら何でも遺体の傍にいるなんて正気じゃない」

冥加「それがなんのかんけいもなければ」

連城「関係? 彼女と工藤の関係性なんて友人の従兄で従弟の友人だろ?」

冥加「ふむ、そうおもいますか?」

連城「それ以上の関係性? 例えば灰原さんが工藤に憧れていたとか?」

冥加「もちろん、そのかのうせいもありますが、わたしはもっとふかいなかであったのではないかとかのじょのしょうげんからすいそくします」

連城「は? 待ってくれ。つまりは彼女のいる工藤新一と小学四年生の灰原哀は男と女の関係だったってあんたはいいたいのか?」

冥加「そのとおりです。おもいだしてくださいれんじょうさん。はいばらさんはけいたいでんわをかけるさいのしょうげんでなんといっていましたか?」

連城「彼、寝てても携帯の電源は入れっぱなし……!?」

冥加「はいばらさんはいまげんざい、えどかわさんとおつきあいをしています。そしてえどかわさんはもうりたんていじむしょでおせわになっています。しかし、くどうさんはかのじょとどうせいちゅうです。いつ、どこで、はいばらさんはかれがいつもねてるときはけいたいのでんげんをきらないとしったのでしょうか。そして、それがにちじょうさはんじであるようにいえたのでしょうか?」




238: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/03/03(土) 20:11:48.40 ID:6a3xyt6AO

【工藤新一の部屋前】

連城「……物音はしないが」

冥加「いえ……います……」

耳を澄ませる。

冥加「はいばらさん、われわれはあなたのてきではありません」

『っ!?』

どこからか息をのむ声が聞こえる。

冥加「わたしをうたがってもらってもけっこうです……が、ここにはれんじょうさんも、ろうかにはきんだいちさんもいます」

『……探偵さんは過負荷じゃないの?』

声は工藤新一の亡骸の近くから聞こえた。

冥加「えぇ、わたしはかふかではありません」

『探偵さん、助けて……工藤くんも殺されて、江戸川くんも殺されてて……怖いわ……きっと……このままあたしも……』

冥加「いいえ、あなたはわたしがまもります……しんじてください」

『信じていいの?』

その問いに私は救える掌を、掬える命の為に手を伸ばす。

冥加「えぇ、必ずや真相を暴いて見せましょう」

工藤新一の亡骸が動く。彼女は暗闇の中、亡骸の背後に隠れていた。

そして大人びていた今までの印象を全て、崩して……

灰原「お姉ちゃぁぁぁぁん、うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁんうわぁぁぁぁぁぁぁぁぁんうわぁぁぁぁぁぁぁぁぁんうわぁぁぁぁぁぁぁぁぁん」

大声を上げて泣き始めた。










私は迷っても足掻いても挫けそうになっても独りじゃないから大親友がいるから私は進んでいけるーー



239: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/03/03(土) 20:17:38.83 ID:6a3xyt6AO






【大親友・終】








243: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/03/03(土) 23:26:56.99 ID:6a3xyt6AO

今から次回予告→本編→次回予告の少し変な形で投下します。

昼寝とライアーゲームでいいモチベーションなんでいいペースで投下出来そうです。



244: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/03/03(土) 23:39:49.16 ID:6a3xyt6AO

【次回予告】



世界は続いている。

比喩ではなく物理的に。

だからあたしはあの人にもいつか会える。

だから私は強く気高くなくてはならない。

だから私は負けられない。

だからあたしは勝たなければならない。

だからここで全てを終わらせなければならない。

『いいですよ、聞いてあげます、あなたの推理とやら』

あたしは負けられない。

『いいでしょうわたしはわたしのすいりであなたのかんぜんをなかったことにします』

私は負けられない。

『禊様に会う為にーー』

あたしはーー


『禊さんに会う為にーー』

私はーー

『『あなたには負けない』』


次回【世界の目的、私の目標】





『ーーとでもいうとおもいましたか?』














古賀『あ、いま次回予告で冥加ちゃんが決めゼリフ言ってた気がする!!』キュピーン



245: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/03/03(土) 23:49:17.98 ID:6a3xyt6AO

冥加「こわかったですよね」

灰原さんの頭を私は撫でる。

外は未だに嵐は過ぎ去っていない。

灰原「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁんん、おねぇぇちゃんうわぁぁぁぁぁぁぁぁぁんうわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!」

連城さんにアイコンタクトを取り、私は部屋を出る。

彼は頷き席を外してくれた。

冥加「よくがまんできましたね」

灰原「うんっ……うんっ……」

彼女は手の甲で涙を拭きながら何度も頷く。

雨だれは鳴り止まない。それでも惨劇は続いているのだと教えるように。



246: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/03/03(土) 23:50:16.78 ID:6a3xyt6AO






【世界の目的、私の目標】









247: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/03/04(日) 00:08:08.27 ID:XX6YrARAO

【中央エントランス】

美南「あ、キュウ!?」

連城「あれ……? リュウは?」

美南「それがっ!! どこにもいないの!!」

連城「どういうこと?」

美南「明智さんとあたしとリュウの三人で行動してたんだけど……リュウが急に走り出して!!」

冥加「……」

明智「まるで…………あれは誰かを見つけたというような行動でしたね」

美南「もしかしたらーー」

金田一「ははっ……こいつぁ、傑作だぜ……」

今まで死んでいたかのように立ち尽くしていた金田一さんが鼻で笑う。

金田一「俺達はあんたを疑う余りに最も大切な事を忘れていた……」

陰鬱に笑う。

金田一「俺達以外の第三者、Xの存在だ」

冥加「……」

金田一「そうだよ……そう考えれば全て辻褄があう。俺達は誰にも犯行が不可能だった!! そうだろ!!」

冥加「きんだいちさん……」

金田一「…………そうだよ!! そうだ!! 有り得ない、まず、有り得ないんだよ!! 前提が間違ってた過負荷がこんな所に顔をだすかよっ!!」

連城「それは……そうかもしれない」

金田一「俺達がお互いを疑ってる間にXは笑いながら美雪や玲香ちゃんを殺しやがったんだよ!!」

冥加「きんだいちさん……なぜ、ふかのうなのですか?」

金田一「あぁ、教えてやるよ、この事件の真相を!! じっちゃんの名にかけて!!」



248: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/03/04(日) 00:38:22.66 ID:XX6YrARAO

(第三者の証明理由)

「まず第一の事件だ。工藤を殺害した事件、犯人は工藤を毒殺したこの方法はわからねぇ……が問題はそこじゃねぇ……」

「工藤と毛利さん親娘以外、全員が中央エントランスに集まっていたって事だ」

「工藤の部屋の鍵の存在、俺は発見したぜ?」

「ほらよ、鍵だ」

「どこにあったと思う? 簡単だよ、連城さんや江戸川、天草さん、明智さんは周知の事実だがーー」

「この鍵は毛利さん親娘の部屋にあった」

「ならば、どういうことか? 毛利さん達のどちらかが彼を殺した後、お互いを殺しあったのか? 違うな、タオルを猿轡代わりに噛ませられた状態だったのを覚えているよな?」

「ここに第三者Xがいたとしたなら全ての辻褄があう」

「実はここの部屋、全てに防音設備が張られている」

「さっき、灰原のやつが大泣きしていたのを、俺は扉が閉まった途端、聞こえなくなった」

「連城さん、あんたも聞いてるだろ? 完全防音設備がある」

「中で何があっても聞こえねーんだ」

「つまり、第三者Xが現れて叫んだとしても誰も聞こえねーんだよ」

「無論、この時点で雲仙さん、あんたが第三者Xである可能性は否定できない」

「けどな、第三の事件である無差別殺人においてあんたと美南さんは行動を制限された」

「これこそ第三者Xの証明になる」

「共犯者の可能性は無い。何故なら連城さんも明智さんも俺も天草さんも同じ部屋にいたからだ」

「だから女子供部屋で集まっていた奴、全員が殺されたんだ」

「置き手紙? そんなもんいくらでも書けるだろ」

「灰原がいなくなっただけで全員がばらけて行動なんておかしーと思わねーか? 普通、お互いに鍵を掛けたとはいえ男性の部屋にも呼びにくるだろ」

「灰原が生き残れた理由を考えてみると説明がつく。第三者Xは灰原の存在を知らないからだ」

「女の部屋に現れた第三者Xは無差別に殺しまくった」

「俺達は気付かなかったって事だ、みんなが逃げ回ってる時に食堂で雑談してた訳だ、呑気にな!!」

「呼びにいけなかった理由は一つ、エントランスは四方に出入り口があるが食堂は入り口しかねぇ。食堂の入り口側から入ったなら他三つの出入り口から出るしかねぇ」

「パニック状態で、殺人鬼がうろついてる状態で男性部屋まで行くか?」

「だから手短な場所に逃げ込んだんだよ。毒殺ってことは毒ガスの可能性もあるからな」



249: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/03/04(日) 01:04:45.93 ID:XX6YrARAO

連城「……一理あるかも」

明智「確かに不自然に灰原さんだけ生き残った状況を鑑みるとそうかもしれませんね」

金田一「……天草さんは諦めよう」

美南「はぁ!?」

金田一「いま、ここで動いてどうなる!? 人数割って危険に晒すのか? 暗闇の中、全員で一斉に行動すんのか? それに手遅れだよ!! 追いかけたんだろ!! もう死んでるに決まって……」

冥加「……わたしはあまくささんをさがしにいきます」

金田一「~~~~っ!! だから何度も言ってんだろ!!」

冥加「ろくにんよりもななにんのほうがこころづよい」

金田一「それで危険に飛び込んで死んだら元も子もねぇだろ!!」

冥加「…………わたしはそれなりにうでにじしんはあります」

金田一「あんたがどんだけ強いって言うんだよ!?」

明智「私も警察ですからそれなりに柔道、空手、フェッシング、自信はありますよ? あなたはそれを上回ると言うんですか?」

冥加「つよさですか? わたしもあいきどうにじっせんからて、じゅうどうにこぶじゅつ。あとはとうてきじゅつですかね。それなりのかたよりつよいつもりですよ。ただ、そんなつよさをものともしないりふじんなことはせかいじゅうにうじゃうじゃあります。だからおぼえておいてください。このせかいではつよさだけだなんてなんのいみももたない」

金田一「だったら!!」

冥加「それでも!! なにかをまもるためにつよくなったのです!! いみがなかろうが!! いみがあろうが!! すくえるいのちをすくわずしてなにがたんていですか!!」

金田一「っ!!」

連城「リュウは仲間だ……俺は助けにいく」

灰原「……わたしは……わたしは」

冥加「かならずまもります」

小さな手をギュッと握りしめる。

灰原「うん……探偵さんについていく……」

美南「あたしがここに残る意味はありません」

明智「やれやれ、私も命は惜しい。金田一くんと二人きりなんて自殺志願のようなものです」

金田一「~~っ!! どいつもこいつも!! 行くよ!! 行けばいいんだろ!!」

冥加「ふむ、こわいのならはいばらさんみたいにてをつないであげてもよろしいのですよ?」

金田一「っ!? んなもんいるかっ!!」

冥加「よろしい、ではあけちさん。とちゅうまでのるぅとのあんないをよろしくおねがいします」



250: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/03/04(日) 01:37:30.79 ID:XX6YrARAO

【一時間後、中央エントランス】

金田一「結局、犯人にも天草さんにも会わなかったな……」

冥加「そうですね。さすがにおそいじかんたいです。もうふをもってきてしょくどうでねましょう」

金田一「ごくり……」

冥加「…………あなた、かのじょやゆうじんがしんだというのになにかんちがいしてるんですか、ぶっとばしますよ」

金田一「ばっ、ちげー。違います!! ふざっけんな!! 全然、ちげー」

冥加「しかし、せいめいのききにおちいるとひとはしゅのほんのうとしてこづくりしたくなるそうです。だから、あなたがしょうじきにいえば……」

金田一「正直に……」

冥加「……」

金田一「お、おい、どうなんだよ!?」

冥加「しょうじきにいえば」

金田一「ごくり……」

冥加「りょうてをてじょうでしばってすまきにしてろうかにほうりだします」

金田一「ひ、ひいっ!? ぜ、ぜったいにしません!!」






【中央エントランス・夜中】

私の毛布の中に灰原さんが入りこんでいた。

男女三人一組で二時間ずつ仮眠を取る。

ちなみに寝る前返却してもらった鎖分銅の腕前を見せたら黙ったので貞操の心配は無いだろう。

灰原「あの……探偵さん……」

冥加「なんですか?」

灰原「あのね、箱庭学園の火事覚えてる?」

冥加「えぇ、おぼえてますよ」

灰原「あたしね、そこでお姉ちゃん、亡くなったの……」

冥加「……すみません……ちからぶそくで」

灰原「違うの!! でもね、お母さんとお父さんは生きてるのよ。ううん、お姉ちゃんが助けてくれた」

冥加「……」

灰原「あたしね、それからかな……凄い依存体質になっちゃって……工藤くんもそう。多分、年上の誰かに甘えたかったんだと思う……」

冥加「……」

灰原「だからかな……彼氏も作って、大人びた態度を取って、は、恥ずかしいからいえないけど工藤くんとも色々」

冥加「そうなのですか?」

灰原「うん」

私は知らないふりをする。

灰原「だけどね……事件を幾つか解決したのだってきっと大人として認められたかったから」

頭を優しく撫でる。

灰原「おね……じゃなくて探偵さんが甘えても泣いてもいいって言われて凄く楽になった。こんなに怖いのに悲しいのに背伸びなんて出来ないって、でもしなきゃって……」

冥加「えぇ、もういいですよ。ゆっくりおやすみなさい」

灰原「お休み、お姉ちゃん」



251: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/03/04(日) 02:06:41.47 ID:XX6YrARAO

【翌朝・食堂】

どんな惨劇の夜でも必ず明ける。

それが悪夢のような夜だったとしても必ず朝は来る。

けれどもこの事件の闇は晴れることはあるのだろうか。




窓は割れ、皿の破片は割れ、テーブルは倒れ、椅子は投げつけられ濡れたままで天草流は顔、腕、首、掌、足、肌が見える範囲で切創傷を作り死んでいた。






【中央エントランス】

最早、誰一人、会話をすることは無くなった。

冥加「…………おわらせる」

私は独り言のように呟く。聞こえたのは手を繋いでいた灰原さんだけ。

灰原「……どうするの?」

無垢な瞳で見つめられる。

冥加「……おしえてください。はいばらさん、あなたがなぜ、きのうくどうしんいちのへやにいたのかを」



252: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/03/04(日) 02:33:17.76 ID:XX6YrARAO

(工藤新一の部屋にいた灰原)

「工藤くんの部屋にいたのは特に他意は無いの」

「……本当に理由はないの」

「怖くなったから……せめて彼の傍にいたかった」

「けれど私は隠れたの」

「扉が開けっ放しだったから悲鳴が聞こえて」

「だから工藤くんの後ろに潜り込んだ」

「七瀬さんが探しにきてくれたわ」

「『灰原さーん、いたら返事して』って」

「多分、こっそり抜け出したから探しにきてくれたのね」

「けれどそこで速水さんが現れたの」

「『江戸川くんから見つけた』って」

「だから出ていくタイミングを見失ったわ」

「そして、次に現れたのはお姉ちゃん……じゃなくて探偵さん達」

「工藤くんに変わった様子?」

「……無かった……無かったわ」

「……工藤くんの日常? 別に普通の大学生……だった」

「ただ毛利さん親娘と最近、喧嘩してたんだって……理由は知らないわ」





冥加「わかりました」

灰原「……ごめんなさい……探偵さん」

冥加「……」

灰原「…………でも一つだけ」

冥加「?」

灰原「工藤くんの腕に包帯が巻かれてた」

冥加「ふむ」

灰原「あ、あとあと、関係ないかもしれないけど!! 金田一さんは毛利さんをナンパしてたわ!!」

彼女は一生懸命、私の役に立とうと思い出している。

灰原「ゆ、夕食後は明智さんが速水さんと七瀬さんをナンパしてたわ!!」

冥加「まぁ、わたしもあすのちょうしょくをつくってほしいっていわれましたしね」

灰原「あ、あと!! 小嶋くんはうなじゅーとしか言えない訳じゃないの!!」

冥加「ふむふむ」

灰原「あとはーー秘密なんだけど円谷くんは吉田さんの事が好きなのっ!!」

冥加「なんと!?」

灰原「うーっ、探偵さん……役に立った?」

うるうるとこちらを見つめる灰原さん。

冥加「えぇ、とても」

だから私はお世辞でも謙遜でもなく答える。

冥加「とてもやくにたちました」

全ての欠片を繋ぎ合わせるーー



253: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/03/04(日) 02:59:37.32 ID:XX6YrARAO

【コマーシャル】

安心院「さてみんな元気かな?

僕? 僕は……うん……うん元気だよ……

それはそうと物語ももう華僑。

みんなは謎が解けたかな?

まぁ、うん。難易度は低いと思うよ、>>1の力量的にね。

まず、言っておこう。

前回の魔女編もそうだったようにーー

現代の科学で不可能なトリックは使っていないつもりだ。

特に前回の最後、御坂妹が自殺した理由を催眠だなんて推理はちゃんちゃらおかしいね。

そんなものが通れば何だって出きるよ。

だから注意書をしたように球磨川禊の入門証のみが異端でアブノーマルなのさ。

さて、もうチープで飽き飽きしたよっていう読者には悪いがきっとまだわからない読者もいるだろうからね。

早い話が分かる人間と分からない人間の壁ははっきりとしている訳さ。

だからそんな君達にヒントを上げようとおも……」

???「安心院さんよぉ、いつからそんな偉そうな立場になったんだ?」

安心院「あ、あわわわわ」ガクガクブルブル
???「せめてこの雌豚が遺憾ながら進言したいくらいいえねーのか!!」テーマソングバチコーン

安心院「あひぃぃぃぃぃぃっ!!」

???「悪ぃな、ちゃんと躾っつーのを教え込んどくから待っててくれよ」

安心院「ぼ、僕がビッチキャラだからってこんな扱いは酷すぎる!! 大体、君は童貞だろ!?」

???「童貞様だろうが!! 様をつけやがれこのマイナス野郎!!」テーマソングバチコーンバチコーン

安心院「ひ、ひぎぃぃぃぃぃぃらめなのぉぉぉぉぉおれひゃう!! ゆうれいなのにぜんしんのほねおれひゃうぅぅぅぅぅ」

???「こんなもんか……ほら、いいやがれ」バチコーン

安心院「あひゃぁぁぁぁぁ、ありがとうございまひゅぅぅぅ、ひぎぃぃぃぃぃぃ 、みなしゃま、おまたしぇしました。この雌豚がお一つだけお教えしますなら


・速水玲香は毒殺である


でしゅぅぅぅぅ、らめなのぉぉぉぉぉ、しゅごいのきひゃぅのぉぉぉぉぉ」

???「……だかしかし、俺は未だに童貞である……チクショォォォ!!」バチコーンバチコーンバチコーン

安心院「ありがとうございましゅぅぅぅあへぇぇ」ダブルピース



254: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/03/04(日) 03:08:38.54 ID:XX6YrARAO

【コマーシャル2】

安心院「こほん、さっきは済まなかったね」キリッ

安心院「さて、今の所、犯人の可能性は以下のようになる。




・雲仙冥加
・美南恵
・金田一一
・連城久
・灰原哀
・明智健吾
・第三者X


そして提案なのだが犯人やトリックの予想はついていると思うがミステリーやサスペンスでのネタバレは御法度だ。

しかし、答えがわかってしまえば言いたくなるのもまた人の性。

そこで提案なのだが別スレで君達の解答用紙を用意したいと思う。

周りくどい?

これはすまない。

つまりはそこでネタバレをするのは自由だし推論を吐くのも自由だ。

どうだろうか?

ここでネタばらしされるよりも向こうでぶつけ合った方がストレス的にも少なくて済むと思うよ。

まぁ、最大の難点はそんなに読者がいないかもしれないって事実だろうけどね」



263: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/03/04(日) 14:55:24.71 ID:XX6YrARAO

【中央エントランス】

冥加「……」

私は考える。事件の一貫性を。

つまりはそういうことなのだ。

簡単に情報をまとめる。

第一の事件は工藤バーーーローー殺害。

この際、扉には鍵が掛かっていた。

死因は毒殺。毒殺の判断理由は口からの出血、体に外傷が無かった為であるらしい。

第二の事件。

毛利蘭、毛利小五郎の殺害。

二人の遺体にはタオルを猿轡代わりに噛ませられていた。死体の様子は穏やかで眠ったような表情である。

この間、私と美南恵以外は全員、広間にいた。

死因は胸に刺さったナイフによる刺殺と判断。

第三の事件。無差別殺人事件。

江戸川コナンは必要以上に殴られ頭が変形していた。

吉田歩美、円谷光彦、小嶋元太は撲殺。
速水玲香と七瀬美雪は毒殺である。

この時、七瀬美雪、西エントランスのトイレで鍵を掛けて籠もっていた。

速水玲香の死体は鍵の掛かってない部屋で。

江戸川コナンの死体は廊下で。

そして小嶋元太、吉田歩美の死体は一緒の部屋、円谷光彦の死体は別部屋で。何かから隠れるように死んでいた。

この時、美南恵、私は同部屋にいた。

そして天草流、連城久、金田一一、明智健吾は同部屋にいた。

灰原哀は工藤バーーーローーの部屋に隠れていた。

部屋の防音機能は完璧である。その為、部屋の音は外に漏れることはない。

最後に天草流の殺人。

死体は変死。全身に切創傷があった。

この時、食堂に鍵は掛かっており、鍵は金田一一が持っていた。

昨日の夜、スリーマンセルで行動した際、天草流が出て行った後に金田一一と天草流の接触はない。


冥加「……?」

気が付けばおかしい所がある。

冥加「そう……いえば……だいさんのじけん……」

連城「どうした?」

冥加「いえ……だいさんのむさべつさつじんなんですが、なぜ、あなたがたはじょしのへやにいこうと?」

連城「あー」

連城さんは罰が悪そうに目を反らす。

金田一「……溜まってたんだよ!!」

冥加「は?」

金田一「俺達も男だっ!! あんたが生命の危機云々のこと言ったんだろ?」

冥加「…………しねばいいのに」

金田一「ぼ、ぼそっと呟くな!! けどしょーがねぇだろ……明智の野郎が彼女にでもお願いしなさいって言うんだから」



264: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/03/04(日) 15:00:27.75 ID:XX6YrARAO

冥加「ですが……ほんとうにまことにいかんですが……」

金田一「?」

冥加「あなたのいまのはつげんがすべてのなぞをときあかしました」

美南「!?」

冥加「なにをおどろいているのです? みなみめぐみさん?」

美南「……」

冥加「そう犯人は









みなみめぐみ、あなたです





265: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/03/04(日) 15:04:02.89 ID:XX6YrARAO







ーーとでもいうとおもいましたか?





あけちけんごさん?」


明智「っ!?」



266: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/03/04(日) 15:36:26.12 ID:XX6YrARAO

【二時間前】

みんなが寝静まった頃、私と美南恵は会話をする。

美南「……雲仙さん。あたしと来ませんか?」

冥加「けっこうです」

美南「迷いがなくなりましたね? それは何でですか?」

冥加「わたしにはあってあなたにはないものがあります」

美南「……あたしは禊様の為に頑張っている。全ては禊様に会うためにーー」

冥加「わたしだってちがいはありませんよ。ただそのほうこうせいがちがうだけです。すべてはみそぎさんにあうために」

美南「あたしはあなたにまけられない。あなたにはまけない」

冥加「こちらのせりふです。あなたにはまけない」

美南「…………そんなんじゃあたしには勝てませんよ、あははっ」

冥加「……」

美南「まぁ、精々頑張ってください。分かったならーーいいですよ、聞いてあげます、あなたの推理とやら」

冥加「……」

美南「絶対にわかんないでしょうけど」

冥加「いいでしょうわたしはわたしのすいりであなたのかんぜんをなかったことにします」

美南「あはっ……楽しみにしてますよ、名探偵さん」

冥加「あなたはせかいにもくてきなんてないといった」

美南「?」

冥加「ないならじぶんでつくればいい。しめいとやらを」

美南「……」

冥加「あなたにもくひょうがないのをわたしにあてはめないでいただきたい。わたしにはもくひょうはあります。だいしんゆうとのやくそく、みそぎさんをつかまえるって」

美南「……」

冥加「だから、わたしはにげない」

美南「あー、やっぱ。あたし、あなたのこと嫌いですよ。何でそんなに愚かなのか……何であなたがそんなに真っ直ぐなのか。かっこよすぎて嫉妬します。あのお方に一番、近いのに、一番、遠い。だからあなたが嫌いです。探偵なんて仕事、本当に……」

冥加「そんなことはありません。わたしはーーいままでたんていをしてきてこうかいしたことはありません」

美南「っ!?」

冥加「……」

美南「……」

彼女と私は睨み合う。ソファーに座り小さいテーブルを挟んだまま睨み合う。

美南「……寝ます」

冥加「そうですか」

美南「…………あたしは……あたしは間違ってない」

冥加「……」

美南「もう、やり直せないんです」



267: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/03/04(日) 15:53:10.48 ID:XX6YrARAO

【次回予告】

球磨川『……ふーん。ま、いいけど。べっつにー』

黒神「禊様、いじけないでください」

球磨川『べっつにー、冥加ちゃんといちゃつけるなんて考えてなかったから平気だよ。べっつにー』

黒神「……」ギュッ

球磨川『ねぇ、ちょっと、めだかちゃん。おっぱい当たってる』

黒神「…………禊様には私がいます」

球磨川『…………大丈夫だよ、めだかちゃん。どうせーーこんな感傷すら無くなっちゃうんだから』

黒神「……」ギュゥゥゥゥ

球磨川『ちょ、いたい、いたい!?

えっと、次回予告?








惨劇は終わる。

悲しみを残しながら。

それでも人生は続く。

果てなき旅路に意味は無い。

けれど旅路を歩き終わった際に意味を見つけることはできるのではないだろうか。

だから歩いている時に意味なんて無い。

ただ歩き続けて、歩み続ける。

『あぁ、あたしの人生に意味はあったんだ』

次回【ゴール】

世界に目標は無かったとしても人生には意味がある。










あー、それにしても冥加ちゃんこな……い、いたいいたい!! うそうそー!! めだかちゃんに抱きつかれて幸せだなぁ!! …………はぁ』



268: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/03/04(日) 16:19:16.04 ID:XX6YrARAO

【食堂】

冥加「わざわざ、あしをはこんでいただきもうしわけありません」

金田一「ど、どういう事だよ!!」






【雲仙冥加vs明智健吾】










269: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/03/04(日) 16:20:12.50 ID:XX6YrARAO






【ゴール】








270: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/03/04(日) 16:43:45.89 ID:XX6YrARAO

冥加「まず、おたずねしたい。どくさつといわれあなたがたはなにをそうぞうしますか」

金田一「想像?」

冥加「えぇ」

金田一「そりゃあ……食べ物に混ぜたり、ガスがばらまかれたり、あとは薬物か?」

冥加「いま、さいごなんとおっしゃいました?」

金田一「だから薬物だって!!」

冥加「なんと!? やくぶつとはぐたいてきにどのように?」

金田一「はぁ!? だから飲ませたり、嗅がせたり」

冥加「ふむふむ」

金田一「あとは打ち込んだり」

冥加「むむむっ!? うちこむとは?」

連城「まさかっ!?」

金田一「なんだよ……一体、だから注射で腕とか首にうちこむんだろ?」

冥加「なるほど」

連城「そんな……そんな訳があるかっ!!」

連城さんが怒鳴る。

冥加「ふむ、ひていされるこんきょは?」

連城「ぐ、くぅっっ!!」

冥加「よろしい。でははじめましょうか。まずこのじけんはおおきくまとめるよっつ……ではなくみっつにわかれます」

金田一「あ? 工藤と毛利さん達を合わせてんのか?」

冥加「えぇ」

金田一「また、何でだよ」

冥加「むろん、いみがあります。それはーー

もうりさんたちをころしたのはくどうさんだからです」

金田一「ば、」

灰原「……っ!!」

金田一「バーロー!? 理由がねぇだろ!!」

明智「……」

金田一「じゃあ、何だ? その後、工藤は自殺したって言うのかよ!!」

冥加「ふむ、じさつのていぎとはなんでしょう」

金田一「だから自分で自分を[ピーーー]んだよ!!」

冥加「ふむふむ、ならばちがいますね」

金田一「だろ!? だったら工藤は誰に殺されたんだよ。というか、第一、無理だろ!? 工藤が毛利さんたちを殺せば部屋が密室になるわけがねぇ!! それともあんたが別に鍵を見つけ出したのかよ」

冥加「いいえ」

金田一「見ろよ!!」

冥加「たしかにくどうさんはじさつなんてするつもりはなかったのでしょう」

金田一「は?」

冥加「けれどちょくせつてきないみあいではくどうさんはじぶんでじぶんをころしたのです」

金田一「んなわけ……」

冥加「なぜ、けんかしてたのかわかるかたがいらっしゃいます。おはなししていただけませんか? はいばらさん」

灰原「探偵さん……もし、話せば……あたしが話したら事件は解決するの?」



271: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/03/04(日) 17:11:28.05 ID:XX6YrARAO

冥加「えぇ、かいけつしてみせます」

灰原「……わかった」




(工藤新一と毛利蘭)

「島についてからかしら?」

「工藤くんは毛利さんに荷物を奪われてたわ」

「多分、喧嘩の理由はここ最近のと同じだと思う」

「私は彼と……その……体の関係があるのだけれど……」

「彼、その時、いつも注射を自分に打つの」

「……大体、わかると思うけど」

「麻薬よ」

「それもかなり重度」

「彼はそれで一回、毛利さんと体を重ねた時に倒れたことがあるって言ってた」

「その時は単なる失神だったらしいんだけど」

「それでもそれ以来喧嘩してるわ」

「多分、この旅行でも持ってきてたんでしょうね」






金田一「だ、だったら? まさか…………」

冥加「えぇ、くどうさんはやくぶつをじぶんでうったのです」

金田一「……うそだろ」

冥加「……つまりはだいいちのじけん、だいにのじけんはほんらいはぎゃくのじゅんじょでおこなわれていたのです」

金田一「ま、待てよ!! それなら美雪や玲香ちゃんもーー


自殺だなんて言うのか!?」

冥加「えぇ、そのとおりです」

金田一「だけど待てよ!! 美雪はトイレで密室で殺されたけども!! 注射器の類なんて無かったぜ!!」

冥加「……わたしはあのみっしつにおいてかくにんしたことがあります」

金田一「何だよ」

冥加「かのじょのかっこうとべんきのみずです」

金田一「は?」

冥加「へんではありませんか? 本来、べんきをつかうのならとびらをひらいてわれわれのほうこうにたおれこむはずがない」

金田一「あぁ……」

冥加「ならばべんきにしようもくてきがあったわけではない、もしくはべんきのしようもくてきとはちがうもくてきだったのでは?」

金田一「え?」

冥加「たとえば、じぶんでちゅうしゃをうつ。それをすてるさいてきなばしょがめのまえにある」

金田一「流せば……」

冥加「そう。ながせばよいのです」

金田一「…………もちろん、あんたは江戸川達を殺したのは」

冥加「はやみれいか、ななせみゆき、このふたりだとかんがえます」



272: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/03/04(日) 17:45:59.72 ID:XX6YrARAO

金田一「な、なら待てよ。天草さんはどうやって……」

冥加「このみっしつにはいったか? それこそなぞでもなんでもない。そもそも窓がわれているじてんでまずみっしつではない。かれのぬれたふくそうがしょうめいしています」

美南「まってください……理屈はわかりましたが麻薬で人を殺せるんですか?」

冥加「かのうです。そもそもまやくのいぞんというのはしょうりょうからはじまり、さいしゅうてきにはちしりょうぎりぎりまでなんてことはざらにあります」

金田一「そうなのか?」

冥加「えぇ、なんのもんだいもありませんが……ようはどうやってこれらをにゅうしゅしたのかですが……まえまえからしらべさせてもらいましたがいつもがぁどがかたくてたいへんこまっているのです」

明智「……っ!! まさかっ!! 貴様っ!!」

冥加「えぇ、あけちさん、じつにありがとうございます。あなたがこんかい、いちばんはじめにぶしょとしょくぎょうをなのっていただいたのでぷらいべぇとだいあるでれんらくがとれました」

明智「ふざっけるな!! 前々から私を調べていただと?」

冥加「ふふっ、これはけうなことをーーわたしはあなたではなくあなたがたけいさつをしらべていただけでーーあなたなんてみじんもきょうみない」

明智「……くそがぁぁぁぁぁぁっ!! いいか!! 例え俺が捕まったとしても最高刑は無期懲役だ!!」

冥加「いいえ、あなたはさつじんのようぎもかかる」

明智「何故だ!! あれはあいつらが勝手にやったんだろ!? 私に証拠は無いっ!!」

冥加「……じつにおうじょうぎわがわるい……そしてあさはか」

明智「なにぃ!?」

冥加「かんたんなはなしです。あなたのもちものけんさをさせていただきたい」

明智「な、何故だ!! 断るっ!!」

冥加「あなたはぎしんあんきすぎた。きょうきがのこってないということはまだどこかにきょうきがあるということです。さてさて、あなたがださないというのならこのへやをさがしてみましょうか? あまくささんがはしりだしてまでひとりになりたかったりゆうのものを?」

明智「…………た、助けてくれよ、美南」

美南「…………」

明智「助けろよ!! 私を!! 私はエリートなんだぞ!!」



273: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/03/04(日) 18:09:42.91 ID:XX6YrARAO

連城「め、メグは関係ないだろ?」

明智「関係ない? はははっ、おめでたい奴だ!! そいつが過負荷なのだぞ!! 過負荷の一員!! 今回、私が考えた計画に案を追加した!! 君たちみたいな無能が探偵が警察より偉そうにするから!! こんなことになったんだよ」

美南「……うっざ」

明智「は?」

美南「…………あんたが後生大事に証拠なんか残すからこうなったんですよ。あははっ」

連城「め、メグ?」

美南「キュウ。良いこと教えてあげる。ヒントは三つ。和馬達を殺した時、あたしは実はアリバイなんて無かった。DDSを潰したのは内部の者。あたしの大好きな禊様の正体は?

答えはひとつよーー

あたしが過負荷の一員のマイナス二年十三組【風紀委員長】

美南恵、みんな仲良くしてねっ」

連城「う、嘘だろ? なんでだよ!! まだ言い訳できたんじゃないのか? なんで言い逃れしてくれないんだよ!! 俺を騙しておいてくれないんだよ!!」

美南「あはは、あたしって態度わるくして勝って、負ける時は潔くって決めてるから」

連城「…………」

美南「何よ……何なのよ!! キュウ!! あんたの敵がいるのよ!! あたしをもっと恨みなさいよ!! 憎みなさいよ!!」

明智「助けろよぉ……私を」

美南「あーっ!! どいつもこいつもうるさいっ!! 何で……何で……」

明智「私はエリートだ……私はエリートエリートエリートエリートエリート」

私はその混沌とした状況を眺める。

冥加「…………みなみめぐみ、あなたはさつじんきょうさとしてくわしくじじょうをーーっ!! 連城さんっ!?」

呆けていた連城久に向けられる銃口。

響く発砲音。

私と金田一さんは明智さんに向かって走る。

金田一「明智ぃっ!! てめぇっ!!」

冥加「…………やめなさい。それいじょうはかじょうぼうえいです」

気絶して尚も数度殴り込んだ金田一さんを止める。

彼のスーツからは注射器と使用済みの注射針を数本入れた小袋。

冥加「…………」

私は連城久の方へ歩く。



274: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/03/04(日) 18:29:41.70 ID:XX6YrARAO

連城「………………」

冥加「…………」

血だらけの連城さんを私は見つめ、視線を美南恵に移す。

美南「あっは……禊様に逢う前に死んじゃうなんて……だっさいなぁ……」

連城「……どうして?」

美南「あー、なんでだろ。よくわかんない……気が付いたらかな……っ……」

激しく血を吐き出したのは美南恵。

連城「……っ…………っ」

美南「うっ……わ……だっさ……い。男の子が……泣いちゃ駄目だ……よ、キュウ」

連城「だって…………だってよぉ……」

美南「あー……なんか……あー……そっか……」

目を瞑り、彼女は何を考えるのだろうか。

美南「たんてー……さん……やっぱ、みそ……ぎ様……あげます」

冥加「いただいておきましょう」

美南「あはっ……いま……さら……ほんとにいま……さら……おそ……かったなぁ……」

冥加「……」

連城さんの慟哭が響く。

美南「たん……てーさん……じんせーにもくてき……あるよ……やっぱ……」

冥加「そうですか、それはいいことをききました」

美南「べ……つに……ゴホッ……かいし……したわけ……じゃ……ない……けど……さぁ……」

もう殆ど意識なんてないだろう。

美南「な……んか……いろいろ、だめに……なってるけど……それでも……あぁ……あ……たしの……人生に意……味はあっ……たんだ……うん……わる……く……ない……おわ……りよけれ……ば……すべ……て……よし……さいご……にまも……れ……て……よかっ……たよ……め……い……たんて」



































【豪華客船内】

古賀「な、なんだろ!! 物凄いうずうずする!! なんだっ!? この感じ!? シリアスがあたしを呼んでいるっぽい!!」



275: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/03/04(日) 18:40:46.47 ID:XX6YrARAO

【コマーシャル】

古賀「うっう~!! 何かすっげー!! ムズムズする!!

なんだこれ!! 冥加ちゃーん!!

おっ、そうだ、CMだった。




あなたのー 近くにー こがねっと、いたみぃー み・ん・な・の・欲・の友!!

さぁ、本日の目玉商品はこれ!!

「アブノーマルキット!!」

これをつかえばあーら不思議!! 電磁波を受信したり、電磁波を発信したり、自動反射がついたり、改造が得意になったり!!

よーっし、これで君も今日からアブノーマルだ!!

ただしお姉さんと約束して欲しい!!

お母さんにアブノーマルって何ー? とか聞いちゃ駄目だぞ!!

何故なら!! あたしが怒られるから!!


絶対に駄目だぞ!!

いい? 絶対に駄目だぞ!!


それじゃあみんなのお電話をお待ちしているよ!!」



276: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/03/04(日) 19:25:37.21 ID:XX6YrARAO

【後日談・雲仙探偵事務所】

古賀「冥加ちゃん冥加ちゃん冥加ちゃん冥加ちゃん冥加ちゃん冥加ちゃんクンクンクンクンクンクンクンクンクンクンペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロ」

冥加「たいがいにしないとほんきでおこりますよ」

お客さんの目の前で尚も変態的行動を取り続けるいたみさんにため息をつきたくなる。

灰原「あ、あの……」

冥加「あぁ、気にしないでください」

灰原「うん。それで……」

冥加「はい」

もじもじと何か言い難いのか切り出そうかどうか迷っている。

冥加「なんでもおっしゃってください」

灰原「あ、あの…………お姉ちゃんって読んでも……」

古賀「駄目ぇぇぇぇぇぇぇぇ!! 冥加ちゃんとユリユリするなんていたみさんが……ひいっ!?」ガクガクブルブル

冥加「……ぜっこうちょうですね、いたみさん?」ユビポキ

古賀「あっははー!! あたしは色んな所に聞き込んでくる!!」バタン

冥加「まったく」

灰原「…………駄目?」

上目使いで見られては断れない。もとより断るつもりも無かった。

冥加「いいですよ……あいちゃん」

灰原「!!」パァァァァッ

冥加「ぜひ、よんでください」ニコリ

灰原「うん、お姉ちゃん!!」











【とある大学前】

一方「た、探偵さンの事務所から天使が出てきやがったァ……」



277: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/03/04(日) 19:45:47.31 ID:XX6YrARAO

連城「本当に申し訳ありませんでした」

冥加「あたまをあげてください」

連城「いえ、俺は探偵の本質を見失っていました」

冥加「…………」

連城「メグを追い込んだのはきっと俺達のせいなんです。浮かれて、団先生の後継者だって天狗になって」

冥加「ふむ」

連城「それで冤罪を着せて、更には過負荷に復讐するという名目上で生きていた」

冥加「……」

連城「俺達がまずすべきことだったのはきっと探偵としてみんなの信頼を取り戻す事だったのに……失って、気づいて、もう何も無くなった」

冥加「かふかのどくはあまくてこうかつです。あなたはしらないうちにみなみめぐみのどくをといた。この世界で一番大切なもの。それはーーこころです。それこそがこのせかいでいちばんたいせつないみをもつのです。あなたとみなみめぐみのきずなはかふかのどくにうちかった」

連城「ですか……ね……わからないです……」

冥加「なによりしょうこがあるじゃないですか」

連城「証拠?」

冥加「あなたがいきている」

連城「…………」

冥加「なっとくしていただけましたか?」

連城「完璧には無理ですよ……けど雲仙探偵、あなたがおっしゃるのならそんな気がします」

冥加「ふむ、よかったです」

連城「俺はもう一度、一から勉強し直します」

冥加「……」

連城「DDS解体の事件も解決していない、探偵殺しも」

冥加「……」

連城「ありがとうございました。雲仙探偵。あなたのおかげで俺はもう一度、探偵を目指せます」

冥加「できるかぎりきょうりょくしますよ」














【とある大学前】

禁書「あいたーっ!! どこみて歩いて!! えっ? あ、大丈夫なんだよ!! こんな道端で抱えられたらはすがしいんだよーっ!!」



278: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/03/04(日) 20:02:41.18 ID:XX6YrARAO

金田一「探偵ならやめた、やーめた」

冥加「……はぁ」

金田一「大体、ほら探偵って金になんねーじゃん」

冥加「ま、まぁ、けしてあんていしたみちではないです」

金田一「だから、俺は安定した職種である公務員、警察を目指す」

冥加「……まったく……あなたは」

彼のピエロの振りは本当に優しい。きっと誰が聞いても意味が無いし、意味を為さないのだろう。

彼の決意はきっと固い。

金田一「まっ、あんたには世話になったからな。あんたが住みよい程度には街を守ってやるよ」

冥加「たよりになりませんね……」

金田一「んだと、こらァ!!」

冥加「まぁ……でもあなたならきっとできますよ」

彼がこの事件でライバルに浴びせた言葉は憎悪でもなく嫌悪でもなく誓い。

『立派だったあんたみてーな人がこんだけ堕落すんだ。俺が変えてきてやるよ、明智さん。あんたが正しかった頃に信じてた世界へ』

冥加「まったく……素直じゃないですね」

金田一「なんだと、こら……って、ヤベェ。今日、剣持のおっちゃんに呼ばれてんだった」

冥加「あ、きんだいちさん」

金田一「あ?」

冥加「がんばってください」

金田一「はん、あんたもな!!」
















【とある大学前】

白井「あいたーっ!! ですの!! はぁっ!! あなたが悪いんですの!! あなたみたいな野蛮人……!!」

佐天「かっこいい……」

白井「はっ!? ちょっと佐天さん!? 類人猿!! さっさと消えなさい!! 早く消えないとこの白井黒子が……むっきー!! パンダじゃないですの!! パンダじゃないですの!!」



279: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/03/04(日) 20:10:23.29 ID:XX6YrARAO

【雲仙探偵事務所】

古賀「大変だったみたいだね?」

冥加「えぇ……たいへんでした」

古賀「無事でよかったぜ!! 相棒っ!!」サムズアップ

冥加「まぁ……どちらかというとけいえしゃとやとわれがわってかんけいです」

古賀「冷たっ!! 確かに事実だけどっ!! 冥加ちゃん、冷たい!!」

冥加「あー、いたみさん」

古賀「んー?」









冥加「あのとき、でんわ、ありがとうございます」







古賀「あったりまえだぜー。あたしは冥加ちゃんの理解者だからね。って、照れてる!!」

冥加「うるさいです」

古賀「ねぇねぇ、冥加ちゃん。今、どんな気持ち、どんな気持ち?」

冥加「……」プルプル

古賀「冥加ちゃんのデレが入りましたーっ!! もう一回見たい!! 冥加ちゃんの? ちょっといいとこみてみた……い……あ、あわわわわわわわわわわわわわ」ガクガクブルブル

冥加「お話しましょうか?」

古賀「いぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃやぁぁぁぁぁぁぁぁ」ガクガクブルブル



280: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/03/04(日) 20:13:24.31 ID:XX6YrARAO





【世界の目的、私の目標・終】
【ゴール・終】








281: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/03/04(日) 20:21:27.31 ID:XX6YrARAO

以上、名探偵編でした。

チープなトリックでごめんね!!

わからない所はありましたか?

後半はかなり足早になってしまいましたので。

あと、キリがいいんでこのお話のこの章で中断したいと思います。

続きはいつか書きます。



287: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/03/05(月) 01:03:31.56 ID:Vx3D7nSAO

【マイナスのマイナスによるマイナスの為の解説】

蝶ヶ崎「ふむ……どうやら今回は我々が解説役ということですか」

志布志「みてーだな」

蝶ヶ崎「まぁ、我々は前作でもギャグキャラクターとは無縁でしたし、今回は解説のみのなんの面白みもない方向性でいかせていただきましょう」

志布志「……に、してもよぉ……」

蝶ヶ崎「どうしました?」

志布志「あいつらどうすんだ?」


アヒィィィィイヤシィブタメニゴホウビヲォォオオオオォォオ

バチコーンバチコーンバチコーンバチコーンバチコーン

蝶ヶ崎「…………さて、お嬢様」

志布志「は?」

蝶ヶ崎「如何なさいました、お嬢様?」

志布志「いやいや、確かにキャラ的にはぴったりかもしんねーけどよ……まぁ、いいや。ディナーの後なんかじゃなく、この食前酒にもならない謎を召し上がるとすっか」

蝶ヶ崎「さて、志布志さんが何やら訳のわからないことを言っている間に話を進めさせていただきますがーー」

志布志「!?」

蝶ヶ崎「謎は五つ程、残させて頂きました。

確かに雲仙冥加は解答を出しましたが全てにおいて、何故、どうしてが繋がっておりません」

志布志「ま、それが必要なくなったらあたし達は本当にお役御免だからな」


蝶ヶ崎「謎は以下の通りになります。


明智健吾の犯人証明

第一の事件の真相【工藤探偵、毛利探偵、毛利嬢の殺害】

第二の事件の真相【無差別殺人と思わせた誘導殺人】

第三の事件の真相【天草流の行動】

そして全てを覆すかも知れない

第三者Xの否定証明

まぁ、おまけといっては何ですが小咄を用意しております」

志布志「…………あー、なんだがーちゃんよー」

蝶ヶ崎「がーちゃん?」

志布志「いや、やっぱ何でもねぇ(それ以外は後で聞けばいいか)」



288: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/03/05(月) 01:26:03.28 ID:Vx3D7nSAO

以下ネタバレ




(明智健吾の犯人証明)

蝶ヶ崎「さて、まず明智健吾を見事、犯人だと見抜いた方、おめでとうございます。

何故、彼が犯人だったか。

それは前章の【Drug】でそことなく匂わせた、

今までに無い麻薬グループの元締めでございます。

ブローカーである人間は無論、今までの『普通』の麻薬の出所はどこかわかります」

志布志「普通?」

蝶ヶ崎「無論、違法な品ですからね。【普通】ならどこから流れてくるか、それは無論、個人的な犯罪者か犯罪組織です」

志布志「まぁ、麻薬を作ってるって時点でそうなるわな」

蝶ヶ崎「ですから異常である犯罪組織とは何なのか」

志布志「……本来なら犯罪すべきではない奴らって事か?」

蝶ヶ崎「単なる文字遊びですがそうなりますね。ですからーーこの時点ではまだ意味が無いのです」

志布志「…………」

蝶ヶ崎「次に彼は自白に近いことを口にしました。

工藤探偵とは会話をしているーーと。

それはいつなのかーー

無論、島につく前です。

さてここでお気づきの方はいると思いますが毛利嬢と工藤探偵は同棲をしています。

しかし、何故か彼は島についてから薬物を没収された。

つまりは家を出てから島につく間に誰かから薬物を受け取っていた。

何せ、薬物を持っていることに気づく毛利嬢です。彼の事を見張っていた可能性が非常に高い。ですが、それでも彼と会話を交わした方はたくさんいるでしょう」

志布志「阿吽ねぇ……」


蝶ヶ崎「しかし、ここで思い出して頂きたいのは灰原嬢の証言である「明智健吾は二人をナンパしていた」との情報を」

蝶ヶ崎「確か、言ってたな」

蝶ヶ崎「本当にナンパだったのでしょうか?」

蝶ヶ崎「そんなもん、わかんねーよ」

蝶ヶ崎「では話を進めましょう。そういえばどなたが女子供部屋に行こうと言ったのですか?」

蝶ヶ崎「そりゃあ……金田一だろ。あいつは確か……」

蝶ヶ崎「いいえ、結論を決めたのは彼でしょうが巧みに誘導した人物がいる筈です」



289: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/03/05(月) 01:50:49.04 ID:Vx3D7nSAO







志布志「そういやぁ、明智の奴が何か言ってたな」

蝶ヶ崎「そうですね。更に、天草流と行動していた人間は?」

志布志「美南恵と明智健吾」

蝶ヶ崎「そう故に最も怪しい人物が二人になるのです」

志布志「だけどよー。美南の奴は過負荷だぜ? 最有力候補じゃねぇか」

蝶ヶ崎「いいえ、彼女はありえません。今回の彼女はワトソン役のようなものです。つまりは探偵と共に大半の状態で疑われながら一緒にいた。居なかったのは全員が集まる工藤探偵殺害後の行動、そして、江戸川探偵死亡後、天草流捜索中のみです。着く前はわかりませんが薬物嫌いの毛利嬢がいる中でそんな女子のガールズトークなどできますか? つまりは彼女が一緒に居すぎた故に、アリバイがありすぎた故に最も怪しいながらもその疑惑性が払拭されてしまった」

志布志「なーる」

蝶ヶ崎「後は雲仙嬢が語ったように彼は自分で証拠品を握っていた。更に彼ならそれを出来る要素は多々とある」

志布志「は?」

蝶ヶ崎「毒殺されたメンバーは」

志布志「工藤、速水、七瀬、天草か」

蝶ヶ崎「その内、七瀬さんを除外して頂きたい」

志布志「何でだよ?」

志布志「何故なら彼女の証拠品は自分で消してしまったから」

志布志「?」

蝶ヶ崎「それでは工藤探偵の部屋で捜査していたの?」

志布志「連城に江戸川だろ? 明智」

蝶ヶ崎「しかし、この二人は途中で仕事を投げ出している。よっぽど焦っていたのでしょうね。明智健吾一人を残すとは」

志布志「……なーる」
蝶ヶ崎「ま、明智健吾は証拠隠滅可能とはいっても持ち出すだけで捨てる勇気など無かったようですが」

志布志「そうすると第二発見である速水は明智と美南……これはそもそも示唆犯との行動だから意味がない。それと同様に天草流も美南と明智」

蝶ヶ崎「そう、だからこそ証拠を持ち出すことは可能だった。そして、今まで述べた事で可能性が繋がった時に明智健吾の犯人説が成り立つのです。そして証拠は事実、彼が握っていた。これこそが明智健吾の犯人証明です」



291: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/03/05(月) 03:37:55.13 ID:Vx3D7nSAO

(第一の事件の真相)

蝶ヶ崎「さて、この部分はいやらしく何度もミスリードを引かせていただきましたが、流石に前回、使われたトリック。皆さんもきっと飽き飽きしていたところと思われます」

志布志「まぁ、あんだけ第一の事件と第二事件って言ってたらあからさま過ぎるしな」

蝶ヶ崎「その上、コマーシャルか何かを挟んだ際にこの世に催眠というオカルトも存在しないと言ってしまえば厭でも前回の密室トリックを思いついてしまう」

志布志「まー、そこら辺の言い訳はわかったから、次いけ、次」

蝶ヶ崎「わかりました。さて、簡単な話。工藤探偵が毛利嬢と毛利探偵を殺した。これにつきます」

志布志「だなぁ……恐らく薬品でも香がされたんだろ。やつらは眠るように死んでいたんだから」

蝶ヶ崎「御名答。そこは大事な所です。覚えておいてください」

志布志「?」

蝶ヶ崎「殺した理由は簡単です。それこそ彼は重度の薬物中毒者だった。薬物中毒者を邪魔する人間というのは中毒者にとって敵でしかありません。例え、それが恋人であろうが、家族であろうが」

志布志「麻薬駄目、絶対ってか?」

蝶ヶ崎「私はそうはいいません。ただ、使うなら地獄に行く覚悟が無ければ到底使えませんね。さて鍵を落としたのは工藤探偵自身。そして部屋に戻り、鍵を掛けて致死量以上の注射を打てばそれはもうお分かりですね。死ぬ前に、彼が何を見たのかも気になる所です。致死量以上の麻薬。薬物は何でもよかったのでしょう。ま、工藤探偵に好みはあるんでしょうが中身まではわからない。彼は死ぬ寸前まで何かを見ていたんでしょうね。これこそ第三者Xと言っても過言ではありません」

志布志「ややこしいこと、言わないでくれよ。第三者Xなんていないんだろ?」

蝶ヶ崎「えぇ、まぁ、そうなんですが。くくっ」



292: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/03/05(月) 04:04:27.85 ID:Vx3D7nSAO

(第二の事件の真相)

蝶ヶ崎「さて、ここが一番の肝であり要です」

志布志「何故、江戸川が薬物を持っていたのかだろ?」

蝶ヶ崎「その通りです。しかし、お忘れかもしれませんが明智健吾と七瀬嬢と速水嬢と会話をしていた。これを念頭にしておいてください。 まず、灰原哀が消えた理由は亡骸に沿いたいからだと思いますか?」

志布志「ちげーのか?」

蝶ヶ崎「半分正解、半分は隠す為ですよ。彼の腕を」

志布志「は?」

蝶ヶ崎「当たり前でしょう? 麻薬中毒者、連続殺人鬼、その称号は恋仲、いえ愛人の彼女には耐え難かったのでは?」

志布志「……」

蝶ヶ崎「だから彼女は彼の腕に包帯を巻いた。その証拠に彼女は包帯を巻いてあったと証言した後、まくし立てるように説明している。多分、隠そうとしていたのでしょうね。人は嘘を吐いた後にこそ言葉数が多くなる。そして工藤探偵自身に変わった様子は無いことを雲仙冥加自身はみています。ま、外傷は一切無いっと言ってると言っても全体をざっと見た感じであることを説明しなかったのは如何なものかと思いますが」

志布志「つまり灰原にはちゃんとした行動理由はあったってか?」

蝶ヶ崎「彼女は好きな相手の為なら証拠を隠匿する、覚えておいて損は無いと思います」

志布志「うーん、まぁ、それはいいとして何で江戸川が薬物を持っていたんだ?」

蝶ヶ崎「理由などどうにでも考えられますよ。誰かからの鞄からとったのか…………それとも知らないうちにポケットに忍び込まされていたか」

志布志「理由はどうにでもなる……ねぇ」

蝶ヶ崎「しかし、重要なのはただ一つ、「江戸川くんから見つかった」、これに限ります」

志布志「……はぁ」

蝶ヶ崎「一人だけ頭が変形してたのを覚えていますか?」

志布志「あ、あぁ……」

蝶ヶ崎「簡単な話です。彼は薬物を持っていたから殺された。何故、殺されたか。誰かに吹き込まれでもしたんじゃないんですかね? 「どの子かはわからないが悪戯で君達の分が盗まれた」とでも」

志布志「……あー、それで」

蝶ヶ崎「だからこそ江戸川探偵だけ仇のように何かで撲殺されたのでしょう。そして何か、私は心辺りがありますよ?」

志布志「は?」

蝶ヶ崎「作中に唯一でてた鈍器、何かわかりますか?」

志布志「ま、まさか……」

蝶ヶ崎「血は洗い流していたみたいですがね」

志布志「……雲仙も災難だな」



293: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/03/05(月) 04:15:50.45 ID:Vx3D7nSAO






蝶ヶ崎「おっと、忘れていましたが七瀬嬢が間違いなく誰かを殺したのは明白です。何故なら彼女だけ血だらけだったのですから」





(第三の事件の真相)

蝶ヶ崎「もはやこれは謎でもありませんね。密室ではない、何せ、窓が割られていた」

志布志「忍び込んだ訳か」

蝶ヶ崎「見つからない場所が良かったのでしょうね。そうすると食堂は確かに最適です、何せ、鍵を掛けてあるのですから」

志布志「自分が鍵を持ってるという理由の安心感か……」

蝶ヶ崎「さて、雲仙冥加自身が見た、毒殺現場には全て共通のことがあります」

志布志「?」

蝶ヶ崎「全て、何かに怯えていた。それこそが最大のヒントなのです」

志布志「……あー、薬物中毒者にありがちな幻覚ってことか?」

蝶ヶ崎「えぇ、ですから七瀬嬢はアクマとでも書いたんでしょうね。ま、少なくとも多幸感を覚えるものでは無かった。しかし、彼らには中身を知ることは出来なかった。故に自分から毒物を打った」

志布志「なるほどなー」



294: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/03/05(月) 04:35:05.59 ID:Vx3D7nSAO

(第三者Xの否定証明)


蝶ヶ崎「まぁ、これは早い話ができません」

志布志「は?」

蝶ヶ崎「当たり前でしょう? 第三者の否定証明などどうやってやるのです。孤島でしかも少人数で。そんなの不可能ですよ」

志布志「ま、まぁ、そう言っちゃなんだが……」

蝶ヶ崎「ただ……真に恐ろしいのは彼女、雲仙冥加自身です」

志布志「?」

蝶ヶ崎「限りなく明智健吾が犯人である可能性が高い。それに気づいた彼女は『冤罪でも構わない』というスタイルで挑みました」

志布志「は? はぁぁぁぁ?」

蝶ヶ崎「彼女は冤罪であった場合も『事件を解決する姿勢』を見せて美南恵を救済するつもりでした。美南恵の過去語りは何の意味も無かった訳じゃない。むしろ雲仙冥加を動かす最大の要因となったのです。それに明智健吾が証拠をもしゴミ箱に捨てていたり、美南恵に渡していたりすれば結末は変わってましたね。何せ、この時点で明智健吾を捕まえられないのだから」

志布志「こわっ……みんなのトラウマってレベルじゃねぇぞ……」

蝶ヶ崎「きっと彼女は間違っても諦めない、間違ってるなら正解を出すまで戦い続けるというスタンスであたかもーー『いいお話』を作り上げようとした」

志布志「うっわ……それじゃ……」

蝶ヶ崎「えぇ、今回の彼女は限りなく満点に近い所か負けが有り得ないお話を作り上げた。


だから彼女は言ったのです。


最も大切なのは心だと

騙される。誤魔化される。嘘を信じこませる。


彼女のやっていることは洗脳に対する解除ではなく更なる上書き。


球磨川さんを改悪する洗脳ならば、雲仙さんは改心させる洗脳。

だから彼女は球磨川さんの対比として主人公に選ばれたんでしょうね。



とんだクレイジーですよ。全く」

志布志「……うわぁ……あたし、早めに脱落して心底良かったって思う」

蝶ヶ崎「まったく同感です」



295: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/03/05(月) 04:41:11.14 ID:Vx3D7nSAO

以上、マイナス組による解説でした。

冥加ちゃん天使?

うんうん!! 天使ってさ!! 結局は良い人しか救わないだよねっ!! だから天使もさ、悪魔もさ。結局は自分の倫理を押し付けるクソッタレの称号でした!!

冥加ちゃんペロペロ!!



296: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) 2012/03/05(月) 04:47:35.38 ID:Vx3D7nSAO

とりあえずこのスレの本編はこれで終わりです。

もしこの続きを書くならば。

スレタイトルは未定。でも冥加ちゃんか球磨川さんを入れるから仲良くしてねっ!!

即興ミステリーは本当に疲れるんで、一時立てません。でも書けて楽しかった!!

ミステリーじゃねぇ? それはごめんぬ!! いつかパワーアップして帰ってくるから!! あーいるびーばっく!! 決勝で会おうぜ!!




眠いので変なテンションですが許してください。


元スレ
SS速報VIP:古賀「冥加ちゃん!! 殺人事件だよ!!」冥加「おちついてください、いたみさん」