前作



276: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 10:04:42 ID:gdc9acus

善子「ある夏の日の夕暮れ時、私とルビィはあの時の路地が気になりふと足を止めた」

善子「夕立の後の蒸し暑い湿気の中、あの時と同じように奥から詰めたい風が吹き抜けていた」

善子「そしてルビィはまた吸い込まれるように、この薄暗いさびれた路地に入って行ってしまった」

善子「私も後を追う形でその路地へと入って行った」



277: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 10:05:52 ID:gdc9acus

─路地─

善子「どうしたのよルビィ……ここはあのときの路地じゃない」

ルビィ「うん……」

善子「あんた、また近づかないでおいたほうがいいんじゃない?」

ルビィ「そうだね……」


ルビィは路地を気にしている。

さびれた住宅街にある細い道だ。

路地は薄暗く建物の合間を縫って夕陽が差し込んでいた。

エアコンの室外機から生暖かい風が吹いている。

あの時とまったく同じ……悪夢への入り口……



278: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 10:06:44 ID:gdc9acus

善子「ルビィ、大丈夫だとはいえ、念のためここには近づかない約束でしょ? 帰るわよ」

ルビィ「善子ちゃん、ちょっと奥まで行ってみない?」

善子「ヨハネよ」

ルビィ「善子ちゃんもついてきて!」

善子「あんたねぇ、また大変なことになっても知らないわよ!」


私とルビィは以前、この路地に入り

バケモノが徘徊する夕暮れの日本屋敷のような迷宮をさまようことになったのだ。

そして命がけで脱出した。

ルビィだって、あの時の恐怖を忘れているはずがない。

これはおかしい……まるで誘い込まれているようだ。

まだあの時の出来事は終わっていなかったの?



279: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 10:08:05 ID:gdc9acus

ルビィ「やっぱり夕暮れの街ってなんかいいね」

善子「ノスタルジックっていうのかしら、前もこんな話しながら入っていったわね」

ルビィ「あれ? エアコンの室外機の上に新聞が置いてあるよ?」

善子「新聞? 何かしら?」

ルビィ「読んでみようよ」

善子「今日のかしら……まだ新しいわね」



280: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 10:08:52 ID:gdc9acus

善子・ルビィ「……」

善子「ふむふむ、どうやら100年以上前の神隠し事件の記事ね」

ルビィ「神隠し事件?」

善子「ええ、そしてたくさんの人がいなくなったみたい」

善子「そしてみんなは、バケモノのしわざだ……と口をそろえて言ったみたいね」

ルビィ「神隠し事件……怖いね……でもルビィたちもこの前、神隠しみたいなことあったよね」

善子「ええ、思い出したくもないわ」



281: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 10:09:31 ID:gdc9acus

ルビィ「とにかく先に進もう、善子ちゃん!」

善子「ヨハネ」


シャリン……


足元で鈴の音がした。

見ると黒い猫が私たちの前を横切っていた。


ルビィ「あ、猫しゃん!」

善子「黒猫ね」

ルビィ「追いかけようよ!」

善子「ルビィ、気をつけて」

ルビィ「あれ? 猫しゃんいなくなっちゃった」

善子「あら? さっきまでそこにいたのに」

ルビィ「でもあっちに行ったよね! 行ってみようよ!」


あっち……まさか……



282: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 10:10:21 ID:gdc9acus

薄暗い路地の先には細長く狭いトンネルがあった。

例のトンネルだ。

黒猫は待っているかのように私たちのほうを向いて座っていた。

そしてその猫はトンネルの中へと入っていった。


ルビィ「ここって……」

善子「ええ、あのトンネルよ」


古びた小さなトンネルで中には明かりがない。


善子「相変わらず暗いわね」

善子「中の様子がやっぱり分からないわ」

ルビィ「このライターを使おうよ」

善子「ええ、火の扱いには気をつけるのよ」



283: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 10:11:12 ID:gdc9acus

善子「これで明るくなったわね」

ルビィ「中に入って行こうよ」

善子(たしかに花丸はもう大丈夫だと言っていた……)

善子(疑うわけではないけど、本当に大丈夫かしら……)

ルビィ「善子ちゃん、花丸ちゃんも大丈夫って言ってたから大丈夫だよ!」

善子「そうね、花丸の言うことを信じましょう」


私とルビィはトンネルの奥へと入っていった。



284: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 10:12:07 ID:gdc9acus

善子「さすがに奥までは照らせないわね」

善子「手元や足元が見える程度ね」


コツン……コツン……


善子「足音が反響してちょっと怖いわね」

ルビィ「うん……」

善子「このトンネル、レンガでできてるのかしら」

ルビィ「……」



285: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 10:12:52 ID:gdc9acus

善子「以前はここで鈴の音がしたのよね……」

善子「それで気がついたらあの変な世界にいた……」


シャン……


善子「そう、あの時とまったく同じ……」

善子「まったく同じ……?」

ルビィ「善子ちゃん……」

善子「まさか……ルビィ、奥はどうなってる!?」

ルビィ「行き止まりだよ」

善子「戻るわよ!」

ルビィ「うん!」


私とルビィは引き返してトンネルを出た。



286: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 10:13:23 ID:gdc9acus

善子「出口に来たわ……でも」

ルビィ「あの時と同じだ」

善子「出口が……」


善子「さっきと違う……」

ルビィ「善子ちゃん……」

善子「ルビィ、私たちはまたこの世界に来てしまったのかもしれないわね」


トンネルから出ると先ほどの住宅街ではなかった。

森の中だ。

あの時と同じように地面にはたくさんの彼岸花が咲いている。



287: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 10:13:57 ID:gdc9acus

ふと見ると黒猫が地面に横たわっていた。


ルビィ「あ、猫しゃん!」


私とルビィが黒猫に近づこうとしたその時だった……


頭の中に何かの映像が流れた。



288: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 10:14:29 ID:gdc9acus

氾濫する川……


怒号する人々……


手をつなぐ二人の少女……


来ちゃダメ……叫び声……


そして森の中で何かが……



289: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 10:15:03 ID:gdc9acus

善子「……何、今のは」

ルビィ「善子ちゃん……いまの何なの?」

善子「分からないわ……」

ルビィ「あれ? 猫しゃんがいない」

善子「あっちを探してみましょう」


私とルビィは森の奥へと進んでいく。



290: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 10:15:51 ID:gdc9acus

奥へと進むと丘の上に神社のような建物があった。

彼岸花が咲き乱れ、地面を赤く彩っている。

夕陽はオレンジで建物から地面に影を落としている。

そして赤い大きな鳥居があった。


善子「あのときと同じね」

ルビィ「うん……」


ギィィィィ……


神社の扉は私たちを誘導するようにひとりでに開いた。


善子「入るわよ、ルビィ」

ルビィ「怖いよ、善子ちゃん」


赤い大きな鳥居をくぐり、彼岸花の中を進み、神社の中へと入る。


中にはやはり台座の上に鏡が置いてあった。



291: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 10:16:30 ID:gdc9acus

善子「いくわよ」

ルビィ「またあんなところに……」

善子「ルビィ……」


鏡は光り出し、まわりの景色が変わった……


─影廊─


そこは先ほどの路地でも神社でもなく古びた回廊であった。

あの時と同じだ。

その暗闇の回廊はどこまでも続いていた……



292: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 10:17:50 ID:gdc9acus

善子「真っ暗で何も見えないわね」

善子「ルビィ、ライターで明かりをつけて」

ルビィ「うん」ボッ

善子「これでまわりが少しだけ見えるわね」

ルビィ「真っ暗だよ……」


サッ……サッ……

善子「畳を歩く音すらもやっぱり怖いわね……」

ルビィ「うん……」

善子「襖があるわね、開けるわよ」


サァァ…………

善子「音を聞くだけで怖いわ」

ルビィ「はぁ……はぁ……怖い……」

善子「あっちは木でできた廊下ね」

善子「壁はやっぱり土壁かしら」



293: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 10:18:23 ID:gdc9acus

ドタドタドタ……


善子「足音……ルビィ! あいつが来る!」

ルビィ「隠れなきゃ!」


ドタドタドタドタ


善子「こっちに近づいて来てるわよ!」


あたりを見ると行李(竹で編まれたカゴ、つづら箱)があった。


善子「その中に入るわよ!」

ルビィ「またこの中に隠れるんだね!」

善子「早く入って! ライターの火も消して!」



294: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 10:18:59 ID:gdc9acus

ドタドタドタドタドタドタドタドタドタドタドタ


善子(すごく大きな足音よね……おそらくあのバケモノが走ってるんだわ)

ルビィ(怖いよ……)

善子(ルビィ、我慢して)

ルビィ(ちょっとだけ外が見えるね……それが逆に怖いよ)


隠れながら外を見ると

能面をつけ、手や足がいくつも生えている巨大な化け物が猛スピードで走りまわっていた。


ルビィ「ぴ、ぴぎゃぁぁぁ、んんんんっ……」

善子(大きな声を出さないでルビィ! 見つかったら○されるわよ!)


ドタドタドタドタドタドタドタドタドタドタドタ



295: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 10:20:03 ID:gdc9acus

ドタドタドタドタドタドタドタドタドタドタドタ


善子(はあ……ッ はあ……ッ)

ルビィ(はあ…はあ…はあ…)


ドタドタドタドタドタドタ…………


善子「通りすぎたわね……」

ルビィ「はあ……はあ……怖いよぉ……」

善子「ルビィ、よく我慢したわね……」

ルビィ「うん……」

善子(本当は私だって怖いわ……でも私が冷静でいなきゃ……ルビィまでパニックになっちゃう……)



296: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 10:20:35 ID:gdc9acus

善子「ルビィ、花丸から連絡ない?」

ルビィ「うん、ないみたい」

善子「前はあったのに……」

ルビィ「やっぱり圏外になってる……誰かに連絡するのは無理そうだよ」



297: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 10:21:05 ID:gdc9acus

善子「いい? ルビィ、覚えているわね?」

ルビィ「この世界、影廊のことだよね」

善子「ええ、前回と同じならやることは同じ」

善子「まずこの永遠に続く暗闇の迷宮を探索する」

善子「あのバケモノに捕まったら○されてしまう」

善子「私たちは身を隠しながらこの迷宮のどこかにある勾玉を5つ探し出して出口にある祭壇の台座に納める」

ルビィ「またこの暗闇の中を……」

善子「ええ……」



298: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 10:21:43 ID:gdc9acus

ギィィ……タッ……タッ……


善子「木の廊下だから音がするわね」

ルビィ「うぅ……」

善子「相変わらずどこまでも廊下が続いてる……」

善子「部屋もたくさんあるわ」

善子「この部屋に入ってみましょう」


サァァァァ…………サッ……サッ……


善子「廊下から畳の部屋に入って足音が変わるのすら嫌ね」



299: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 10:22:15 ID:gdc9acus

善子「徘徊者は視覚や聴覚を使って私たちを探しているわ」

善子「なるべく足音に気をつけましょう」

善子「大きな声も出さないようにね」

ルビィ「うん……」

善子「私たちが知っている徘徊者はあの3種類……ともう1種類」

ルビィ「前に会ったよね……」

善子「ええ……」



300: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 10:23:09 ID:gdc9acus

善子「まずは廊下のあちこちにある燭台に火を灯しましょう」

善子「このろうそくの火は道しるべになるし、徘徊者が近づいてくると点滅して消える」

善子「だからなるべく点けてまわりましょう」

ルビィ「うん、さっそく火をつけていくね」

善子「ええ……」


ボッ……


ルビィ「少し明るくなったね」

善子「ルビィ……この広い回廊を進むわよ」

善子「……」

ルビィ「善子ちゃん……」

善子「大丈夫よ、私たちならできるわ」

ルビィ「……うん」



301: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 10:23:45 ID:gdc9acus

シャン……シャン……シャン……シャン……


善子「来たわね」

ルビィ「鈴の音だね」

善子「神楽鈴の徘徊者ね」

善子「おそらく索敵方法は視覚と聴覚」

善子「以前、拾った爆竹の音に反応していたもの」

ルビィ「近づいてくると廊下の明かりが点滅してる、ライターの火も」

善子「隠れるわよ、その台の裏に隠れましょう」

ルビィ「うん……」



302: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 10:25:35 ID:gdc9acus

シャン……シャン……シャン……シャン……

善子「こっちに来てるわね」

ルビィ「ライターの火を消すよ」

善子「ええ、明かりが点いていたらバレてしまうわ」


シャン……シャン……シャン……シャン……

暗がりで身をひそめながら見ると

能面をつけ着物を着た徘徊者が神楽鈴を鳴らしながら歩いていた。

善子(神楽鈴の徘徊者……扉を蹴破るほどの力があることが分かっているわ)

善子(もし見つかれば、ただでは済まないはずよ)

ルビィ(善子ちゃん、あれ見て)

ルビィが指差すほうを見ると、燭台の火が消えていた

善子(やっぱり徘徊者が近づくと火が消えるみたいね)

善子(とにかくやり過ごしましょう)

善子(見つかったら襲い掛かってくるわ)

ルビィ(うん……)



303: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 10:26:21 ID:gdc9acus

善子(はあ……はあ……)ドクン……ドクン……

ルビィ(はあ……はあ……)ドクン……ドクン……


シャン……シャン……シャン……シャン……


シャン……シャン……シャン……シャン……


…………


善子「どこかに行ったわね」

ルビィ「またろうそくの火がついたね」

善子「やっぱり近づいてくると火が消えるわね」



304: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 10:27:00 ID:gdc9acus

善子「いまみたいにやり過ごしながら勾玉を5つ探すわよ」

ルビィ「うん……」


サッ……サッ……


私たちが歩いていると壁に貼り紙があるのを見つけた。


善子「何かしら? これ」

ルビィ「前はこんなの見なかったよね」



305: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 10:27:43 ID:gdc9acus

貼り紙にはこう書かれていた。


あなたたちの身に何が起こったか理解できず混乱しているかもしれないけれど

どうか私の言うことを信じてちょうだい。

奴らに見つかる前に、すぐにそこから移動してほしいの。

もし見つかってしまえば、きっとあなたたちの命はないわ。

ここから脱出するためには、勾玉を集めて祭壇に納める必要があるわ。

勾玉は鍵の掛かった部屋や、泣き声の主の近くに置いてある可能性が高いわ。

そして、コンパスを探すのよ。

コンバスの針が指す方向に祭壇があるわ。


私はこの回廊の奥で、あなたたちを待っているわ。

私たちがこの世界から出るためにも、あなたたちの協力が必要なの。

あなたたちと生きて会えることを願っているわ。


─ K



306: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 10:28:29 ID:gdc9acus

善子「私たち以外にもこの迷宮に迷いこんだ人がいるみたいね」

ルビィ「うん……それにヒントもくれたね」

善子「前回はそうなんじゃないかと考えながら進んでいたけど、これではっきりしたわね」

善子「勾玉とコンパスを探すわよ」

ルビィ「うん」


私たちは迷宮を進んでいくことにした。



307: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 10:29:50 ID:gdc9acus

ドタドタドタドタドタドタドタ……

善子「また走ってるやつがいるわね」

ルビィ「相変わらず怖いよ」

善子「足音のバケモノ……足が速いから見つかったら終わりよ」

ドタドタドタドタドタドタドタドタ

善子「足音がするだけね」

善子「壁の向こう側の廊下を走っているのかしら?」

ルビィ「でもこっちに来てるよね」

善子「隠れましょう」

ルビィ「うん」

ドタドタドタドタドタドタドタドタ

バァァァァンンン!!!!

善子(!?)

ルビィ「うっ……」

善子(ルビィ、我慢して!!)



308: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 10:30:27 ID:gdc9acus

ドタドタドタドタドタドタドタドタドタドタドタドタドタドタドタドタ


バァァァァンンン!!!!


バァァァァンンン!!!!


ドタドタドタドタドタドタドタドタドタドタドタドタドタドタドタドタ



善子(お願い……早くどこかに行って……)

ルビィ「ハアッ……ハアッ……」


ドタドタドタドタドタドタドタドタドタドタドタドタ…………


…………



309: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 10:30:58 ID:gdc9acus

善子「……どこかに行ったわね」

ルビィ「はあッ……はあッ……」


善子「どこかの襖や扉を蹴破って走っているようね」

善子「やっぱり見つかれば命はないわ」

ルビィ「うう……」


善子(本当は私だって怖いわ……)

善子(ここから脱出するには……私がしっかりしなきゃ……)

善子(私がルビィを守らなきゃ……)



310: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 10:31:36 ID:gdc9acus

善子「とにかく、タンスや棚を調べながら進みましょう」

ルビィ「うん……」

善子「タンスを開けるわよ」


サァ……


善子「これは……ひかり石ね」

ルビィ「前に使ったよね。 敵しゃんにはこの石の光が見えないんだよね」

善子「ええ、これは道しるべや目印、緊急時の光源として使えるわ」

ルビィ「うゆ、でも数に限りがあるよ」

善子「ええ、とりあえず通った場所で隠れられそうな場所に置いていきましょう」



311: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 10:32:12 ID:gdc9acus

善子「次はこっちの棚ね……これは……手鏡ね」

ルビィ「これも前にも使ったよね。 どういうわけか他の場所に飛べるんだよね」

善子「ええ、他の部屋にワープできる……」

ルビィ「今回も使えるかな?」

善子「分からないわ……とにかく緊急時のために取っておきましょう」

ルビィ「こっちには爆竹があるよ」

善子「それも敵の気を引くためのものね。 取っておきましょう」



312: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 10:32:45 ID:gdc9acus

善子「見てあれ」

ルビィ「また火が揺らめいてるね」

善子「あっちに何かいるみたいね」

ルビィ「それなら別の道を通ろうよ」

善子「そうね、他の道を探していきましょう」

善子「方角も現在地も分からないこの迷宮ではコンパスが必要よ、コンパスを探して勾玉を集めましょう」

ルビィ「うゆ」



313: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 10:33:17 ID:gdc9acus

善子「広い部屋に出たわね」


グス……グス……


ルビィ(善子ちゃん!)

善子(ええ、分かってる……女の子の泣き声がするわ)

ルビィ(泣き声の主って子だね)

善子(ええ、近くに勾玉があるかもしれないわ)

善子(でも気をつけて、前に分かったことだけど、泣き声の主は耳が良いみたい)

ルビィ(うゆ、歩いて近づくと居場所がバレちゃうんだよね)

善子(ええ、慎重に近づくわよ)


グスン……グスン……


ルビィ(怖いよ、善子ちゃん)

善子(……)



314: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 10:34:04 ID:gdc9acus

ルビィ(そぉっと……そぉっと近づいて……)


サッ……


ドコニイルノ……


ルビィ(ぴぎぃ!? 気づかれちゃった!?)

善子(ルビィ落ち着いて! 大丈夫よ)

ルビィ(う、うゆ……)

善子(勾玉はどこかしら……あった、あれね)


見ると泣き声の主の目の前の台座に緑色に光る勾玉が置いてあるのが見えた



315: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 10:34:50 ID:gdc9acus

善子(いい? 爆竹で誘導するのよ)

善子(泣き声の主は音がするほうを見にいくわ)

ルビィ(うゆ……怖いよ……)

善子(もし別の徘徊者が来た時、隠れられるようにしましょう)

善子(近くに隠れられそうなところは……あの後ろね)

ルビィ(うゆ……)

善子(火を点けて……爆竹を投げて音が鳴りはじめたら、慎重に移動して勾玉を取るわよ)

ルビィ(うん……)



316: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 10:35:33 ID:gdc9acus

善子(投げるわよ……)ヒョイ



……


パチパチパチパチパチ……


グスン……グスン……


グス……グス……


善子(あっちに誘導できてるわ、今のうちに勾玉を取ってここから離れましょう)

ルビィ(うん……)


私とルビィは勾玉を取ると、この場から立ち去った……



317: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 10:36:12 ID:gdc9acus

ルビィ「ぴぎぃ……怖かったよぉ……」

善子「これで勾玉1つゲットね」

ルビィ「あと4つ必要だね」

善子「ええ、この勾玉を祭壇に納めて脱出よ」

ルビィ「うゆ」


私たちは暗闇の廊下を歩いていく……



318: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 10:36:58 ID:gdc9acus

善子「ここの棚には……鍵が置いてあるわね」

ルビィ「善子ちゃん、こっちの扉は鍵がかかってて進めないよ」

善子「じゃあ、この鍵を使いましょう」


ガチャ


鍵は1回しか使えない……使うとボロボロになって使えなくなってしまう……


善子「1回しか使えないのが不便よね……」

善子「それより、この部屋には勾玉がある可能性があるわ」

ルビィ「善子ちゃん、あったよ」

善子「これで2個目ね。 今のところ順調よ」



319: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 10:37:32 ID:gdc9acus

カナカナカナカナ……


善子「……窓から夕陽が差し込んでる」

善子「ヒグラシの声も聞こえてくるわね」

ルビィ「っていうことは迷宮の隅っこに来たってことだね」

善子「ええ、そういうことになるわね」

善子「ここのろうそくにも火を点けて……あら?」

ルビィ「どうしての善子ちゃん?」

善子「……階段がある」

ルビィ「え?」

善子「上に行けるようになってるわね」

ルビィ「何だろう? 今までなかったよね?」

善子「ええ……」

ルビィ「どうするの善子ちゃん……」

善子「行ってみましょう」

ルビィ「ええっ!? もし敵しゃんがいたらどうするの!?」



320: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 10:38:10 ID:gdc9acus

善子「たしかに……いま襲われたら手鏡以外に頼れるものがないわ……」

善子「でも上が気になるのもたしかね……」

ルビィ「善子ちゃん……」

善子「行くわよ……」

ルビィ「そんな……」


私とルビィはおそるおそる上がっていく……


善子「特に広くない、何もないわね……あら?」

ルビィ「何かあったの?」

善子「あれを見て?」

ルビィ「祭壇……?」



321: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 10:38:54 ID:gdc9acus

ルビィ「じゃあここが出口ってこと?」

善子「いえ、何か違うわね」

善子「この前見たときと違う……何かしら……何かが置いてあるわね」

ルビィ「怖いよ善子ちゃん……壁に鬼のような顔の面が飾ってある……」

善子「ルビィ、その下を見て……何かがあるわ」

ルビィ「善子ちゃん、近づくの? 危ないよ!」


私とルビィは慎重に面が飾られている祭壇に近づく……



322: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 10:39:35 ID:gdc9acus

善子「これは……勾玉?」

ルビィ「え……? でもルビィたちが集めてる勾玉とは何か違うね」

善子「ええ……大きさは私たちの集めている勾玉より大きいし、色も緑じゃなくて茶色ね……」

ルビィ「なんだろうね、これ……ルビィたちが脱出するのに何か関係があるのかな?」

善子「分からないわ……持っていきましょう」

ルビィ「大丈夫かな……取った瞬間、お化けしゃんとか出てこない?」

善子「……取るわよ」

ルビィ「……」

善子「……」

善子「何も起きないわね」

ルビィ「よかった……」

善子「この大きな勾玉も持っていくわよ」

ルビィ「うゆ」


私たちは祭壇から出て階段を下り、再び迷宮を探索する。



323: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 10:40:12 ID:gdc9acus

現状、2人が分かっている徘徊者の情報

・神楽鈴の徘徊者
鈴の音を鳴らしながら歩き回る着物を着た徘徊者
顔に能面をつけている
探知方法は視覚と聴覚

・走り廻る徘徊者
手や足のたくさん生えた異形の姿をした徘徊者
顔に能面をつけている
大きな足音を立てながら走りまわっている
足が速いため、もし追いかけられれば逃げ切るのは困難だろう
探知方法は視覚と聴覚(主に視覚)

・泣き声の主
すすり泣きながら暗闇にひそんでいる少女の姿の徘徊者
顔に能面をつけている
探知方法は聴覚(かなり敏感に音に反応する)
爆竹で気を引くのが有効

・憎悪を振りまく影
着物を着た女性の姿をし、おぞましい叫び声を上げながら迫ってくる敵
顔に能面をつけていない
見ると呪いの力で命を削り取られる
探知方法は不明
撒く方法も不明
以前は花丸ちゃんのおかげで助かったが……



324: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 10:40:50 ID:gdc9acus

善子「この棚には……これは……あったわ! コンパスよ!」

ルビィ「やったね!」

善子「それにしても変わった形のコンパスよね」

ルビィ「それで、どっちに祭壇があるの?」

善子「あっちね、ここからは祭壇を目指しながら勾玉を集めましょう」

善子「それが一番効率がいいわ」

善子「もし祭壇に辿り着いても勾玉がなかったら引き返せばいいだけだもの」

ルビィ「うゆ、先に祭壇を見つけても近くで勾玉を拾えばいいもんね」

善子「それに……あいつが出てくるかもしれないからね……」

ルビィ「……まさか」



325: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 10:41:38 ID:gdc9acus

善子「あのおぞましい○気を放つあのバケモノよ」

ルビィ「ひぃ……」

善子「あのバケモノは他の徘徊者とは何かが違うわ」

善子「そして撒くことはできない……前回は花丸のおかげで助かったけど……今回はどうなるか分からないわ」

ルビィ「ど、どうしよう善子ちゃん……ルビィたち……」

善子「この前は5つ目の勾玉を取ったら出てきたわ」

善子「それを考えると、祭壇すぐ近くで5つ目の勾玉を取る必要があるわ」

ルビィ「ひぃぃ……無理だよ……こんな広い迷宮で……」



326: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 10:42:13 ID:gdc9acus

善子「念のため古いカメラも探しておきましょう」

ルビィ「フラッシュバルブ式のカメラだよね」

善子「ええ、電球の入れ替えに時間がかかるけど……強い光で目眩ましできるわ」

善子「作戦はこうよ」

善子「あいつが出てきたらコンパスを頼りに祭壇に向かって走る」

善子「すぐ近くに祭壇があることを想定しているわ」

善子「そして出くわしたらカメラのフラッシュで目眩ましよ」

善子「そして祭壇に辿り着いたらすぐに勾玉を納めて祭壇の奥の鏡から脱出よ」

ルビィ「うゆ……怖いよ善子ちゃん……」

善子「大丈夫よルビィ……私たち2人ならできるわ」


善子(本当は私だって怖いわ……でも私がしっかりしなきゃ……ルビィはどうなるの……)

善子(一緒に脱出する……強い気持ちを持つのよ……)



327: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 10:42:49 ID:gdc9acus

ルビィ「善子ちゃん、ここにも勾玉が置いてあるよ」

善子「ええ、これで3つ目ね」

ルビィ「カメラも見つけたよ」

善子「ええ、持っていきましょう」

善子「コンパスはあっちね」

ルビィ「うゆ……怖いよ……勾玉を集める度に、あのお化けしゃんが来るかもって……」

善子「……」



328: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 10:43:21 ID:gdc9acus

善子「鍵のかかった部屋ね……」

ルビィ「ここにも勾玉あるかな?」

善子「ここから部屋の中を覗けるわ……勾玉あるわね」

ルビィ「うゆ、でも鍵がないよ」


シャン……シャン……シャン……シャン……


善子「ちょうど来たわね」

ルビィ「まさか善子ちゃん……」

善子「ええ、今回もやるわよ」

善子「ルビィ、隠れられる場所はある?」

ルビィ「この台の裏かな?」

善子「分かったわ、爆竹を部屋に投げるわよ」


シャン……シャン……シャン……シャン……



329: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 10:44:06 ID:gdc9acus

善子「……えい!」ヒョイ


……


パチパチパチパチパチ……


シャンシャン……シャン……シャン……


善子(隠れるわよ!)

ルビィ(うゆ!)


善子(これで音が鳴っている部屋の中を探すはずよ)

善子(鍵のかかった扉を蹴破ってもらうわ)



330: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 10:44:38 ID:gdc9acus

シャン……シャン……シャン……シャン……


ドン……ドンドンドン……バァァァァァァァンンンン!!!!


ルビィ(ぴぎぃ!?)

善子(ルビィ! 我慢して! それにしてもすごい力ね……扉が木っ端みじんよ……)

ルビィ(はあ……はあ……)


シャン……シャン……シャン……シャン……


シャン……シャン……シャン……シャン……



331: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 10:45:21 ID:gdc9acus

ルビィ「どこか行ったね」

善子「ええ、この方法なら鍵を使わずに扉を開けられるわね」

ルビィ「ルビィは怖いからあまりやりたくないよ……」

善子「これで勾玉は4つ……」

善子「次は祭壇を探すわよ、そのあと5つ目の勾玉よ」

ルビィ「うゆ……」



332: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 10:45:55 ID:gdc9acus

ルビィ「はあ……ッ はあ……ッ」

善子「ルビィ、大丈夫? 息が荒いけど……」

ルビィ「大丈夫だよ……」


善子(ルビィは無理してる……私もきついけど……)

善子(広い暗闇の迷宮……命の危機と隣り合わせ……疲労困ぱいなんだわ……)



333: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 10:46:33 ID:gdc9acus

善子「あった! 祭壇よ! あとは戻って近くで勾玉を拾うだけ!」

ルビィ「うゆ! やったね!」

善子「5つ目の勾玉を探すわよ!」


────

──


ルビィ「見て善子ちゃん! ここにあるよ!」

善子「あった! ……でも気をつけて、あいつが来るかもしれない」

ルビィ「うゆ……」

善子「取るわよ……」


……


善子「……」

ルビィ「……」



334: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 10:47:08 ID:gdc9acus

善子「あれ? 来ない?」

ルビィ「よかった……」

善子「来ないならそれでいいわ……よかった……」

ルビィ「祭壇の位置も分かってるし、戻ろう!」

善子「ええ、これで脱出よ」


善子「……」


善子「あの貼り紙……」


善子「……Kって誰だったのかしら」


ルビィ「善子ちゃん! はやく!」

善子「ええ、いま行くわ」



335: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 10:48:00 ID:gdc9acus

ルビィ「祭壇に着いたよ」

善子「勾玉を納めるわよ」

ルビィ「うゆ」

ギィィィ……

目の前の扉が開いた

善子「あそこにある鏡に触れれば脱出よ!」

ルビィ「やった! 行こう善子ちゃん!」

善子「ええ!」

次の瞬間だった……

シャン!!

私とルビィは落とし穴に落ちた……

下は川になっていて流されていく……

怪我はしなかったけど……

このままどこまで行くのかしら……

────
──



336: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 10:49:56 ID:gdc9acus

川が氾濫し、すべてのものが流される……

そんな光景が見えた……


────

──


目が覚めると、知らない場所にいた。

ルビィも一緒にいる……私たち助かったのね……

どうやら流されてここに来たみたい……


目の前にあの時の黒猫がいる。


善子「もしかして……あなたが助けてくれたの……?」

善子「……そんなわけないか」



337: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 10:50:34 ID:gdc9acus

よく見ると鍵をくわえている……

猫はその鍵を地面に置いた。


善子「くれるの……?」


シャリン……


猫は鈴を鳴らしてどこかへと歩いて行ってしまった……



338: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 10:51:10 ID:gdc9acus

善子「何だったのかしら……」

善子「そうだ……ルビィ、起きて」

ルビィ「うゆぅ……まだ眠いよ、おねいちゃぁ……」

善子「起きなさい」

ルビィ「……あれ? 善子ちゃん……」

善子「ルビィ、まだ脱出できていないわよ」

ルビィ「そんな……」



339: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 10:51:43 ID:gdc9acus

見渡すとそこは洞窟のような場所だった。

川が流れ、地面はぬかるんでいる。

よく見ると川の端は何か白いもので埋め尽くされている。


ルビィ「なんだろうこれ……」

善子「これって……」


善子「骨……」

ルビィ「ピギィ!?」

善子「大量の骨が水に流されてきているんだわ」

ルビィ「善子ちゃん……何ここ……」

善子「分からないわ……とにかくここから出る方法を探すしかないわね」



340: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 10:52:13 ID:gdc9acus

─???─

善子「とにかく歩いていくわよ……こんなところに鉄格子の扉がある……」

ルビィ「あっちで鍵拾ったよ」

善子「鍵は2個ね……開けていきましょう」

ルビィ「うゆ……」


ガチャ


小さな川になっている道を進んでいく……足元はびしょびしょだ……


善子「さっきみたいに何か使えるものがないか探しながら進みましょう」

ルビィ「うゆ……あ、善子ちゃん! あっちに何かあるよ」

善子「地面ね……こっちの川は深くて進めないわ……そっちに行くしかなさそうね」



341: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 10:53:04 ID:gdc9acus

善子「ここは何かしら……」

ルビィ「うゆ……善子ちゃん、レバーがあるよ?」

善子「引いてみましょう」


ザァァァァ……


善子「何の音かしら……」

ルビィ「善子ちゃん! 水が流れる音じゃない?」

善子「水……あっちに行ってみましょう」



342: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 10:53:37 ID:gdc9acus

善子「川の水がなくなってる……」

善子「あっちで水をせき止めていたのね」

ルビィ「あのレバーを引けば水がなくなるんだね」

善子「ええ、これで前に進めるわ」

ルビィ「これどこに向かってるんだろう」

善子「分からないわ、とにかく進んでこの世界から脱出する方法を考えるしかないわね」

ルビィ「うゆ……」



343: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 10:54:09 ID:gdc9acus

善子「こっちに棚があるわ……カメラもあるわね」

ルビィ「懐中電灯もあるよ」

善子「らせん階段ね……地の底まで続いているみたい……」

ルビィ「怖いよ……」

善子「こっちで鍵が使えそうよ」

ルビィ「ここを開けて……」



344: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 10:54:46 ID:gdc9acus

善子「うわ……」

ルビィ「床から下が見えるね……」

善子「足を踏み外して落ちないように気をつけましょう」

ルビィ「下がどうなってるか見えないね……」


善子「あそこに鍵が2つぶら下がってるわ」

ルビィ「こっちの扉は鍵がかかってるよ」

善子「あの鍵を取って進まなきゃ……」


善子「あっ……」


チャリン……

鍵は暗闇の中に消えていった……



345: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 10:55:18 ID:gdc9acus

善子「1個落としちゃった……」

ルビィ「善子ちゃん……」


善子(気が張ってて分からなかったけど、私もかなり疲れてるみたいね……鍵を落とすなんて……)

ルビィ「だ、大丈夫だよ、1個残ってるし」

善子「え、えぇ……持っていきましょう」



346: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 10:56:12 ID:gdc9acus

善子「ここは……この板が橋になっているのね」

ルビィ「こんな細い板を渡るの!?」

善子「それしかないわ……」

ルビィ「おねいちゃぁ……」


板の下は真っ暗闇……落ちればただでは済まない……


善子「ここを渡って……」

ルビィ「はぁ……はぁ……」

善子「ルビィ、大丈夫?」

ルビィ「うゆ……」



347: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 10:56:42 ID:gdc9acus

私たちは道を進んでいく……

すると、突如、後ろで扉を蹴破る音がした!


バァァァァァァァンンンン!!!!


シャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャン


善子「ってちょっと!? 急に鈴の徘徊者が出てきたじゃない!?」

ルビィ「善子ちゃん! 逃げなきゃ! 捕まっちゃうよ!」


シャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャン



348: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 10:57:15 ID:gdc9acus

シャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャン


善子「あの部屋! 鏡があるわ!」

ルビィ「出口かな!?」

善子「中に入るわよ!」


ガチャガチャ……


善子「扉に鍵がかかってる!?」

ルビィ「ええ!?」


シャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャン


善子「このままじゃ追いつかれる!!」

ルビィ「やだぁ!!」



349: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 10:57:51 ID:gdc9acus

シャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャン


善子「この部屋以外逃げる場所がない、他に道も部屋もない」

善子「私が鍵を落としたからだわ……」

ルビィ「善子ちゃんのせいじゃないよ!」

善子「でもルビィ……ごめんなさい!!」


シャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャン



350: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 10:58:22 ID:gdc9acus

シャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャン


善子「ああ!! ○ぬ……」

ルビィ「もうダメ!!!!」


チャリン……


善子「えっ……鍵……」


さきほどの黒猫だ。

どうやら鍵を拾ってくれたようだ。


善子「ありがとう猫ちゃん!! ルビィ! 扉を開けるわよ!!」

ルビィ「ピギィ!? 猫しゃんも逃げて!!」



351: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 10:59:05 ID:gdc9acus

善子「ああぁ!! 手が震えて鍵がハマらない!!」

ルビィ「善子ちゃん!!」


シャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャン


善子「お願いはやく!!」


シャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャン


ガチャ


善子「開いた!! 飛び込むわよ!!」

ルビィ「うゆ!!」


私たちは部屋に入ると鏡に触れた。

一瞬で景色が別の場所に変わる。

どこかへと移動できたようだ。



352: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 10:59:39 ID:gdc9acus

善子「はあ……はあ……」

ルビィ「はあ……はあ……」

善子「……」

ルビィ「猫しゃんありがとう……」

善子(正直、もう終わったと思っていたわ……でもなんとかなった……)


善子「問題は……」


善子「まだこの世界から脱出できていないということね」


ルビィ「ぴぎぃ……」



353: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 11:00:09 ID:gdc9acus

私たちは懐中電灯で前を照らしながら先を進む……


すると……


オオオオオオオオオオオオァァァァァァァァァ!!!!


どこからともなくあのおぞましい叫び声が聞こえてくる……


善子「嘘でしょ……この状況で……あの○気が……」

ルビィ「もうやだぁ……」



354: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 11:00:47 ID:gdc9acus

善子「とにかく先に進むしかないわ……」

ルビィ「うゆ……」

善子「あら? ここは開けてる場所ね……」

ルビィ「うゆ……あの岩の上に鍵があるよ」

善子「気をつけてルビィ……」


ルビィが鍵を取ったその瞬間……


オオオオオオオオオオオオァァァァァァァァァ!!!!


ルビィ「ピギィ!? 出たぁぁぁぁ!!!!」

善子「逃げるわよルビィ!!!!」



355: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 11:01:25 ID:gdc9acus

それは突然現れた!!

能面をつけていない、着物を着た女性の姿のバケモノが甲高い叫び声をあげながら近づいてくる!!


ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ああああああ゛ッ!!!!

あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あああああああああぁぁぁぁぁぁ!!!!!


おぞましい○気が近づいてくる!!



356: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 11:01:57 ID:gdc9acus

善子「はあッ……!! はあッ……!!」

ルビィ「はあッ……!! はあッ……!!」


善子「走って!! とにかく逃げるのよ!!」

ルビィ「ぴぎゃあぁあああああ!!!!」


ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ああああああ゛ッ!!!!

あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あああああああああぁぁぁぁぁぁ!!!!!



357: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 11:02:34 ID:gdc9acus

ルビィ「ピギィ!! 怖いよお!!」


ルビィは恐怖のあまり後ろを振り向いてしまう。


ルビィ「はあ……ッ はあ……ッ!!」


善子「見ちゃダメよルビィ!! 目を合わせれば呪いの力で命を削り取られるわ!」

ルビィ「うう……!!」


ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ああああああ゛ッ!!!!

あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あああああああああぁぁぁぁぁぁ!!!!!



358: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 11:03:09 ID:gdc9acus

善子「そのカメラのフラッシュで目眩ましをするのよ!!」

ルビィ「カメラ!!」

善子「いい? 1回使うごとに電球を取り替えなきゃいけないわ!」

善子「連続でカメラは使えないの!」

ルビィ「うん!」

善子「つまり、後ろを見ずに走って、あいつが近づいてきたのを察知したら、すかさず振り向いてシャッターを切るのよ!」

善子「そうしなければ電球を切り替える前に追いつかれるわ!」

ルビィ「ぴぎぃ!!」


ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ああああああ゛ッ!!!!

あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あああああああああぁぁぁぁぁぁ!!!!!



359: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 11:03:49 ID:gdc9acus

ルビィ「いやああああ!! 怖いよおおおお!!」


パシャ


オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛ア゛ア゛アアアアアアアァァァァァァ!!!!!!!


凄まじい光が放たれるとバケモノは叫び声をあげた!!

目が眩んでいるようだ!

動きが止まっている今のうちに逃げられるかもしれない。



360: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 11:04:21 ID:gdc9acus

善子「ルビィ!! 逃げるわよ!!」

ルビィ「もう無理!! 走れない!!」

善子「走らなきゃ生きて帰れないわ!!」


ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ああああああ゛ッ!!!!

あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あああああああああぁぁぁぁぁぁ!!!!!


バケモノはまた動き出す……


善子「はあッ……!! はあッ……!!」

ルビィ「はあッ……!! はあッ……!!」



361: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 11:05:07 ID:gdc9acus

ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ああああああ゛ッ!!!!

あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あああああああああぁぁぁぁぁぁ!!!!!


ガチャガチャ……


ルビィ「善子ちゃん、この扉、鍵がかかってるよ!!」

善子「開けてルビィ!!」

ルビィ「あわわわ……手が震えて開けられない……!!」

善子「はやく!! 追いつかれるわよ!!」


ガチャ


ルビィ「開いたよ!!」

善子「入って!! 走り続けて!!」



362: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 11:05:42 ID:gdc9acus

善子「はあッ……!! はあッ……!!」

ルビィ「はあッ……!! はあッ……!!」


ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ああああああ゛ッ!!!!

あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あああああああああぁぁぁぁぁぁ!!!!!


善子「近づいてきたわ!! ルビィ!! カメラの用意よ!!」

ルビィ「うゆ!!」


パシャ


オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛ア゛ア゛アアアアアアアァァァァァァ!!!!!!!


善子「すごい叫び声……ッ!!」

ルビィ「ぴぎぃ……もう無理だよ!!」



363: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 11:06:23 ID:gdc9acus

ルビィ「善子ちゃん!!」

善子「細い板でできた橋……これを渡るの!? こんなところじゃ走れないわよ!!」

ルビィ「ぴぎぃ……!!」

善子「ルビィ、カメラを私に渡して」

ルビィ「善子ちゃんは……?」

善子「あんたが先に行きなさい」

ルビィ「そんな……ッ!!」

善子「はやく!!」


ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ああああああ゛ッ!!!!

あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あああああああああぁぁぁぁぁぁ!!!!!



364: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 11:07:05 ID:gdc9acus

バケモノは地面を這いながら迫ってくる!!


ルビィ「ぴぎゃぁぁぁぁ!!!!」

善子「ルビィ、先に行って!!」


善子「十分に引きつけて……」


パシャ


オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛ア゛ア゛アアアアアアアァァァァァァ!!!!!!!


ルビィ「はあ……ッ!! はあ……ッ!!」

善子「はあッ……!! はあッ……!!」



365: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 11:07:38 ID:gdc9acus

善子「渡ったわ!! もっと先に走って!! まだ追ってくるわ!!」

ルビィ「はあッ……!! はあッ……!! もう無理だよ!!」

善子「走ってルビィ!!」


ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ああああああ゛ッ!!!!

あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あああああああああぁぁぁぁぁぁ!!!!!



366: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 11:08:15 ID:gdc9acus

ルビィ「ぴぎゃぁぁぁぁぁ!!!!!」

善子「どうしたのルビィ!!」

ルビィ「行き止まりだよ!! 善子ちゃん!!」

善子「えっ!!」


私とルビィが走っていくとその先は行き止まりだった……

他に逃げられそうな場所もない……



367: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 11:08:47 ID:gdc9acus

善子「嘘でしょ!?」

ルビィ「もうダメ!!」


善子(今度こそおしまい……ごめんねルビィ!)

善子(前は花丸が助けてくれたけど……)


善子(みんなごめん……)



ドォォォォォンンンン!!!!


────

──



368: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 11:09:18 ID:gdc9acus

善子「あれ……?」

ルビィ「時が……止まってる?」

善子「もしかして……花丸?」

ルビィ「花丸ちゃぁ……」


カンッ!!


上からはしごが……


???「あんたたち!! 大丈夫!? こっちに来なさい!!」


善子「ルビィ!! はしごをのぼるわよ!!」

ルビィ「うゆ!!」


私とルビィははしごをのぼっていった……


────

──



369: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 11:09:50 ID:gdc9acus

???「そして時は動き出す」


おぞましい○気はどこかへと消え去った……


???「はあッ……はあッ……」


そこには1人の少女がいた。

背を向けて、息を切らしている。

あの少女が助けてくれたようだ。


善子「た、助けてくれてありが……」


???「それ以上近づかないで!!」


ルビィ「ぴぎぃ!?」



370: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 11:10:28 ID:gdc9acus

???「最初に言っておくわ……あなたたちと馴れ合うつもりはないわ」


善子「あなたが……あの回廊に貼り紙をした K ね?」

ルビィ「この人が Kしゃん?」

K「ええ、そうよ……」


Kはそう言いながら振り向く。


善子「っ!? あなた、その顔の面……」


Kは徘徊者たちと同じ能面をつけていた。



371: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 11:11:11 ID:gdc9acus

K「この面ね、呪いのようなものよ……彼女に会えば、あなたたちもすぐに分かるわ」


ルビィ「彼女……?」


K「この世界から出る方法を知るとしたら、彼女だけでしょうね」


善子「その彼女って子に会えば出られるのね?」


K「ええ、普段は道が閉ざされていて会うことはできないけれど……」

K「あなたたちなら話は違うわ」

K「ついてきて」



372: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 11:11:47 ID:gdc9acus

Kについていくと、遠くに不思議な建物が見える場所に来た。

建物のまわりは水で囲まれている。

その建物には鳥居があり、まるで大きな神社のようだった。


K「そこで止まりなさい」

K「あそこよ」


どうやらあの建物に彼女とやらがいるらしい。


K「最奥の部屋で、彼女があなたたちを待っているわ」

K「直接出口を聞きに行くというのなら、止めはしないわ」



373: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 11:12:21 ID:gdc9acus

K「だけどね、1つ忠告しておくわ。あの子の口車には絶対に乗ってはダメよ」


善子「口車……?」

ルビィ「うゆ……」


K「あと、そこにある水晶玉も持って行きなさい」

K「私の力を閉じ込めてあるわ」


善子「力を閉じ込めてある……?」


K「危なくなったら使いなさい。水晶玉が割れると十数秒、時が止まるわ」

K「それとこれはさっき拾った大勾玉よ」

善子「大勾玉……回廊の2階で拾った何かが違う勾玉ね……これはいったい」

K「さあ、私にも分からないわ」

善子「K、あなたって一体……」



374: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 11:13:11 ID:gdc9acus

そのときだった……


オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛ア゛ア゛アアアアアアアァァァァァァ!!!!!!!


ルビィ「ぴぎぃ!?」

善子「この声は……さっきの……」


K「あの面なしの怪物はあなたたちを追っているわ」

K「他の徘徊者とは一線を画している得体のしれない奴よ」

K「命が惜しいのなら、早く行きなさい」


善子「ありがとう、行くわよルビィ!!」

ルビィ「うゆ、Kしゃんありがとう!」

────
──



375: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 11:13:54 ID:gdc9acus

私とルビィはあの不思議な建物を目指して歩き出す。


善子「水がすごいわね」バシャバシャ

ルビィ「うゆ……」バチャバチャ


そして、赤い巨大な鳥居の前

つまり建物の前へと辿り着いた。


善子「おそらく中はまた迷宮になっているわ」

善子「ルビィ、あきらめないで行くわよ」

ルビィ「うゆ……」



376: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 11:14:46 ID:gdc9acus

Kは一体何者なのだろうか……

そして、「彼女」とは……


「出口を知るとしたら彼女だけだ」


良い予感などしなかったが、私とルビィはその言葉だけを頼りに

暗黒の回廊へと足を踏み入れた……



377: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 11:15:17 ID:gdc9acus

─???─


善子「またあの鈴の徘徊者とかがいるのかしら……」

ルビィ「うゆ……」

善子「中はまた広いわね……壁や床は木でできているのかしら……朱色に塗られているみたいだけど」


ギシ……ギシ……


善子「足音も鳴るわね……どんな徘徊者がいるか分からない以上、慎重に行きましょう」

ルビィ「うぅ……」



378: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 11:16:00 ID:gdc9acus

善子「おそらく今回も勾玉を5つ集めて祭壇に納めればいいはずよ」

善子「そして奥にいる彼女とかいう子に出口を聞けばいいんだわ」

ルビィ「善子ちゃん……」

善子「どうしたの……ルビィ」

ルビィ「ライターの火が……」

善子「えっ……揺らめいてる……」

ルビィ「うゆ……」

善子「燃料切れかしら……いや違うわね……」

ルビィ「徘徊者しゃん?」

善子「おそらく……近くにいるわ……」



379: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 11:16:33 ID:gdc9acus

善子「でもおかしいわね……足音も鈴の音もしないわ」

ルビィ「よ、善子ちゃん……!!」

善子「ルビィ、大丈夫よ、落ち着いて隠れれば……」


ルビィ「後ろ……」

善子「ッ!?」


振り向くとそこには足音を立てずにゆっくりと歩きまわる異形の姿をした徘徊者がいた。

顔とおぼしき場所には他の徘徊者と同じように能面がついている。

足が数本生えており、まるで蜘蛛のようだ。



380: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 11:17:40 ID:gdc9acus

善子「あんなところを歩いていたのね……」

ルビィ「怖いよ……」

善子「大丈夫、まだ気づかれていないわ」

善子「足音を立てずにそっちの台の裏に隠れましょう」

ルビィ「うゆ……」


徘徊者はゆっくりとゆっくりと私たちの目の前を通る……



381: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 11:18:15 ID:gdc9acus

善子「……」ドクン……ドクン……

ルビィ「……」ドクン……ドクン……


善子(……すごく遅いわね)

ルビィ(あれならもし追いかけられても大丈夫だね)

善子(違うわ……まずアレの接近に気づかずに近寄られたらおしまいよ)

善子(廊下や角でバッタリ出会うわけにはいかないから接近に気がついたら隠れるしかないわ)

善子(さらにあいつの足が遅いことで、私たちは隠れなきゃいけない時間が長くなる)

善子(そうなればジリ貧よ)

ルビィ(ぴぎぃ……そっか……他の徘徊者しゃんもいるんだもんね……)

善子(ええ、しかも追いかけられたら、他の徘徊者と出くわすリスクもあるわ……)

ルビィ(怖いよ……ずっと隠れてなきゃいけないなんて……)



382: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 11:18:50 ID:gdc9acus

善子「……」ドクン……ドクン……

ルビィ「……」ドクン……ドクン……


善子(足音がしないから近くにいるのか、遠くにいるのか分からないわ)

善子(確認するために顔を出せば見つかる可能性もある……)

ルビィ(はあッ……はあッ……)

善子(ルビィ、我慢して……)


ドクン……ドクン……



383: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 11:19:24 ID:gdc9acus

善子「……」

ルビィ「……」


善子(どこかに行ったかしら……それさえも分からないわ)

ルビィ(うゆ……あ、ろうそくの火がつきはじめてるよ)

善子(ということはどこかに行ってるみたいね……)


善子「もう大丈夫……とはいえないわね」

ルビィ「なんで?」

善子「移動速度が遅いということは、私たちがいそいで探索すればまた出くわす可能性があるということよ」

善子「ジリ貧の状況で、焦ったりすることも許されないのよ」

ルビィ「ひぃぃ……」



384: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 11:19:54 ID:gdc9acus

善子「とにかく先に進むわよ……」

ルビィ「うゆ……」

善子「コンパスはこっちを指しているわね」

ルビィ「さっきの徘徊者しゃんがどっちに行ったか分からないから、進むの怖いなあ……」

善子「そうね……あの徘徊者がいるだけでもプレッシャーね……」


善子「ここの棚も調べて……そっちのタンスには何かある?」

ルビィ「ううん……特にはないよ」



385: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 11:20:33 ID:gdc9acus

ルビィ「あ、見て善子ちゃん! あそこに勾玉があるよ!」

善子「本当ね……でも取らないほうがいいかもしれないわね」

ルビィ「え?」

善子「前にもあったでしょ、あれはおそらく罠よ」

ルビィ「ぴぎぃ!?」

善子「そう、あの勾玉を取ろうとして部屋に入ったら奥から何かが飛び出してくるわ」

善子「そうでなければあんなところに勾玉を置いたりしないわ」

善子「前と同じなら奥から鈴の徘徊者が出てくるはずよ」

ルビィ「そんなぁ……」

善子「もしやり過ごしても、この迷宮の中に鈴の徘徊者が1体追加されることになるわ」

ルビィ「うゆ……」



386: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 11:21:09 ID:gdc9acus

善子「ここの勾玉を取るなら隠れる場所を探さなきゃならないわね……」

ルビィ「でも徘徊者しゃん増えちゃうんだよね……」

善子「ええ、その分、脱出が難しくなるわ」

ルビィ「ひぃぃ……」

ルビィ「まだ勾玉1個も取ってないから、やめとこうよ」

善子「……そうね、後回しでもいいわね」

ルビィ「追いかけられずに済むよ……」

善子「あとで来るかもしれないけど」

ルビィ「ピギィ!?」



387: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 11:21:40 ID:gdc9acus

善子「ほかの勾玉を取りにいきましょう」

善子「これだけ広い回廊よ、他にも勾玉があるはずだわ」

ルビィ「うゆ……」

善子「コンパスはこっちを指してるから……」


ドコ……ドコニイルノ……ドコニイルノ?


ルビィ「ぴぎぃ!?」

善子「ルビィ、静かにして」

善子「泣き声の主よ……耳がいいから気をつけて」


ドコニイルノ……ドコニイルノ……



388: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 11:22:12 ID:gdc9acus

善子「泣き声の主はろうそくの火が揺らめかないからどこにいるか分かりにくいわね」

ルビィ「うゆ……どこにいるんだろう?」


ドコ……ドコニイルノ……


ドコニイルノ?


善子「!? しまった!! 目の前にいるわ!! 廊下を歩いていたんだわ!!」

ルビィ「ぴぎゃぁ!? なんで普通に廊下を歩いてるの!?」

善子「暗くて見えなかった!! まさかここまで接近されているなんて!!」


ドコニイルノ!!



389: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 11:22:52 ID:gdc9acus

善子「見つかった!! 逃げるわよルビィ!!」

ルビィ「うゆ!!」


ドコニイルノ!!


善子「追ってくるわ!! すごく足が速いわね!!」

ルビィ「ぴぎゃぁぁぁぁ!!」

善子「ルビィ!! そこの扉閉めて!!」

ルビィ「分かったよ!!」



390: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 11:23:27 ID:gdc9acus

ドコニイルノ!!


ダンッ!! ダンダンダンッ!! バァァァァァァァンンンン!!!!


善子「扉を蹴破ってきた!!」

ルビィ「ぴぎゃぁぁぁぁ!! すごい力だよ!!」


善子「しかも待って!! 向こうに何かいる……あれは!!」

ルビィ「足音が鳴らない徘徊者しゃんだよ!!」

善子「まずい!! はさみうちされてしまうわ!!」


ドコニイルノ!!



391: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 11:24:00 ID:gdc9acus

善子「このままだとあの忍び寄る徘徊者にもバレるわ!!」


バレた────ッ!?


アヒャヒャヒャヒャヒャ!!


その異形の化け物は飛び跳ねながら追いかけてきた!!


ルビィ「ぴぎゃぁぁぁぁ!!!! あっちの徘徊者しゃんは笑いながら追いかけてくるよ!!」

善子「もうダメ!!」


そのとき私は Kから渡された水晶玉を無造作に投げた!

無駄だと分かっていても抵抗するつもりで振った手だった。

水晶玉は手から投げ出され、床に落ちて割れた!


パリィィィィィンンンン!!!!


キュキュキュキュキュキュ……



392: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 11:24:37 ID:gdc9acus

善子「はあ……はあ……時間が……止まった……!?」


見ると徘徊者たちは動かなくなっていた。


ルビィ「善子ちゃん!! 今のうちに逃げよう!!」

善子「そ、そうね! 今のうちに逃げるわよ!!」


私とルビィはその場から走り去った……


そして時は動き出す……



393: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 11:25:07 ID:gdc9acus

善子「はあ……はあ……」

ルビィ「はあッ……はあッ……」

善子「なんとか撒いたわね」

ルビィ「うゆ……もうダメかと思ったよ……」

善子「Kのおかげで助かったわ……」

ルビィ「怖かったよ……」

善子「ここは前の回廊と違って接近に気づきにくい敵が多そうね……気をつけましょう」


私とルビィは再び廊下を進んでいく……



394: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 11:25:38 ID:gdc9acus

現状、2人が分かっている徘徊者の情報

・忍び寄る徘徊者
音もなく回廊をゆっくりと歩きまわる異形の姿をした徘徊者
顔とおぼしき場所には能面をつけている
接近に気づくのは難しく、どこにいるのか分かりにくい
探知方法は視覚と聴覚
2人の走る足音にも反応するようだ



395: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 11:26:10 ID:gdc9acus

ドタドタドタドタドタドタ……


善子「あいつもいるのね……走り廻る徘徊者……」

ルビィ「うゆぅ……」

善子「やり過ごして先に進みましょう」


ドタドタドタドタドタドタ……


善子「どこかに行ったわね……」

善子「こっちのタンスも探して……」

ルビィ「善子ちゃん、鍵も見つけたよ」

善子「ええ、ありがとうルビィ」

ルビィ「鍵のかかった部屋には勾玉があるかもしれないもんね」

善子「そうね、まだ勾玉が1つも集まっていないものね」



396: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 11:26:42 ID:gdc9acus

ガチャガチャ……


善子「ここが鍵がかかった部屋ね……」

ルビィ「鍵で開けるよ」

善子「ええ、頼むわね」


ガチャ……


ザァァァァ……


善子「あった、勾玉ゲットね」

ルビィ「やっと1つ手に入ったよ……」



397: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 11:27:14 ID:gdc9acus

善子「コンパスはこっちを指してる……だけど行き止まりだから引き返してあっちの道を……」

ルビィ「善子ちゃん、あそこにも勾玉があるよ」

善子「本当ね、取りにいきましょう」


ザァァァァ……


扉を開けたその瞬間だった!


バァァァァァァァンンンン!!!!


シャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャン

 
奥の扉から神楽鈴の徘徊者が飛び出してきた!

 
善子「嘘でしょ!?」

ルビィ「ピギィ!!」

善子「罠部屋だったの!?」


シャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャン



398: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 11:28:35 ID:gdc9acus

善子(まずい!! 逃げ遅れた!! 目の前まで来てる!!)

ルビィ「ぴぎぃ!!」


ルビィは咄嗟に手鏡を使った!


景色が別の場所へと変わる。


私たち2人は別の場所へと移動したようだ。


善子「ワープしたみたいね……ここがどこか分からないけど……助かったわ、ルビィ」

ルビィ「ぴぎぃ……」

善子「……迂闊だったわ、罠だと気づけなかった」

ルビィ「ごめんね、善子ちゃん……ルビィのせいで大事な手鏡を使っちゃって、それに徘徊者しゃんも増えちゃった……」

善子「ルビィ……大丈夫よ、ルビィは悪くないわ……あのままだったら2人とも○されていたかもしれないわ。私だって罠だと気づけなかったし、水晶玉のことだって使ってしまったのは私だし」

ルビィ「……うぇぇぇぇんんんんごめんなさい……うぅ……」グスン

善子「泣かないで、大丈夫よ」

ルビィ「うぅ……」グスン



399: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 11:29:18 ID:gdc9acus

善子(ルビィも疲れているのね……)


善子(でもまずい状況になったのは事実……)

善子(いま身を守るものが何もなくなってしまった……)

善子(時を止める水晶玉、ワープできる手鏡、徘徊者を一時的に怯ませられるカメラ……)

善子(どれも使ってしまった……いま襲われれば助からないわ)

善子(さらに徘徊者が追加されてしまった)

善子(この状況で身を守るものを探しつつ、勾玉を探す……あと4つも)

善子(状況としてはかなりきびしいわね……)



400: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 11:29:51 ID:gdc9acus

ルビィ「善子ちゃぁ……」グスン

善子「大丈夫よ、ルビィ……私たちは今までだってAqoursとしてきびしい練習をしてきた、どんな問題だって乗り越えてきたわ」

善子「それに比べればたいしたことない、きっと無事に帰ってまたみんなに会えるわ」

ルビィ「善子ちゃん……」

善子「だから泣かないで、先に進むわよ」

ルビィ「うん!」


私たちは暗闇の中を進んでいく……



401: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 11:30:22 ID:gdc9acus

善子「次は……ここも鍵のかかった部屋ね……」

ルビィ「ここは開けられないね」

善子「徘徊者に開けてもらう方法もあるけど……」


そこまで言いかけてやめる。

身を守るものがないから襲われたらひとたまりもない、徘徊者に開けてもらうのはやめましょう……

そんなことを言えば、優しいルビィはきっと傷つくわ……自分のせいでこうなったんだって……

誰も悪くない……こんな状況でも絶対あきらめない……


善子「……」

ルビィ「……善子ちゃん?」

善子「……鍵がかかってるなら鍵を探さなきゃダメね」

ルビィ「うん……?」


ルビィだってつらいはずよ……私がしっかりしなきゃ……



402: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 11:31:00 ID:gdc9acus

善子「……はあッ……はあッ」

ルビィ「善子ちゃん……」

善子「大丈夫よ、ちょっと疲れただけ」

ルビィ「うゆ……」

善子「鍵はどこかしら……」

ルビィ「ここの棚は……あっ、あったよ」

善子「ありがとうルビィ、戻って勾玉を探しましょう」

ルビィ「うゆ!」



403: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 11:31:30 ID:gdc9acus

善子「あった! 勾玉よ! これで2つ……」

ルビィ「ひかり石もあったよ」

善子「これも何かに使えそうね」


善子「コンパスはあっちを指してるわ……あっちに行ってみましょう」

ルビィ「うゆ!」


グスン……グスン……


善子「今度は泣き声の主ね……あそこの広い部屋にいるのかしら」

ルビィ「そうだね……今度は廊下を歩いていないよね」

善子「気をつけて確認しましょう……大丈夫そうね」

ルビィ「じゃあ、あそこに勾玉が……」

善子「あるかもしれないわね……気をつけて取るわよ」



404: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 11:32:07 ID:gdc9acus

善子「隠れる場所はある?」

ルビィ「あそこの裏とか……」

善子「大丈夫そうね……爆竹で誘導するわよ、えいっ」ヒョイ


……


パチパチパチパチパチ……


ドコ……ドコニイルノ……ドコニイルノ……


善子「気を引くことができてるわね、勾玉を取って……これで3つ」

ルビィ「次に行こう、善子ちゃん」

善子「ええ、脱出するわよ、ルビィ」



405: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 11:32:38 ID:gdc9acus

善子「ここの廊下をまっすぐ行って……」

善子「ここは一本道なのかしら?」

ルビィ「……」


ガラガラガッシャーン!!!!


ルビィ「ピギィ!?」

善子「何!?」


振り返るといままで歩いていた道が塞がれていた

建物が崩れて、天井から木や土、棚が降ってきて道を塞いでしまったのだ


善子「これじゃ後ろに戻れないじゃない……」

ルビィ「うゆ……怖かった……巻き込まれなくてよかったね……」

善子「本当ね……建物が古いからところどころ崩れたりするみたいね」


私たちは先を進む。



406: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 11:33:26 ID:gdc9acus

善子「今度はこっちを行って……あら? 綺麗な場所に出たわね」

ルビィ「水が引いてあるね、灯籠も浮かんでるよ」

善子「ここの廊下をまっすぐ行って……」


善子「え……行き止まり?」

ルビィ「えっ?」


善子「待って、ここまで一本道……後ろは道が塞がっている……」

ルビィ「出られないってこと……?」

善子「嘘でしょ……」

ルビィ「うゆ……」


善子(この世界から出る前に、閉じ込められてこの場所から出られないなんて……)



407: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 11:33:59 ID:gdc9acus

ルビィ「あ、あそこに勾玉があるよ!」

善子「取りましょう……これで4つ……でも閉じ込められたから、祭壇まで行く方法がない……」

ルビィ「うゆ…………うゆ? 善子ちゃん!」

善子「どうしたのルビィ」

ルビィ「ここに手鏡が置いてあるよ!」

善子「!? 本当だわ……これでこの場所から脱出できる!!」

ルビィ「うゆ!」

善子「飛ぶわよ!!」


手鏡に触れると一瞬で景色が変わる。

どうやら別の部屋に移動できたようだ。



408: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 11:34:34 ID:gdc9acus

善子「ここは……ここって……」

ルビィ「罠部屋の前だよ! あとで来るかもって言って、取らなかった勾玉がある!」

善子「ここなのね……そしてまだ罠が残ってる……中には鈴の徘徊者がいる……」

ルビィ「うゆ……」

善子「……ルビィ、あれをやるわよ」

ルビィ「まさか……」

善子「前やったでしょ、ひかり石で道を作るのよ」

ルビィ「ぴぎぃ! また走るの!?」

善子「ええ、やるわよ、隠れる場所を探して」


私たちはひかり石を廊下に置いていき、隠れるための行李まで道しるべを作った。



409: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 11:35:15 ID:gdc9acus

善子「これでよし、徘徊者に追いかけられている間は明かりが消えてしまうわ」

善子「でもこの石の光は消えることがない」

善子「だから暗闇の中にひかり石で道を作ることで迷わず走ることができるわ」

ルビィ「うゆ……追いかけられるの怖いよ」

善子「大丈夫よ、ここで勾玉を取れば5つ揃うわ、そうしたらコンパスが指すほうに歩くだけだもの」

ルビィ「うゆ……頑張るよ……」


善子「部屋に入るわよ……」


バァァァァァァァンンンン!!!!

 
シャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャン


予想通り奥から神楽鈴の徘徊者が出てきた!

善子「来たわよ! ルビィ、走って!!」

ルビィ「ピギィ!!」

 
シャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャン



410: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 11:35:46 ID:gdc9acus

シャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャン


善子「はあッ……はあッ……」

ルビィ「はあッ……はあッ……」


私たちは暗闇の中に光る道を走っていく!


善子「あった! つづら箱よ!! 中に隠れるわよ!!」

ルビィ「うゆ!!」


私たちは2人で箱の中に隠れた!


シャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャン

シャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャン



411: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 11:36:17 ID:gdc9acus

シャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャン


シャン……


シャン……シャン……シャン……シャン……


シャン……シャン……シャン……シャン……


善子「……」

ルビィ「……」


善子「……見失ってくれたみたいね」

ルビィ「ぴぎぃ……」

善子「しばらく待ってあの鈴の徘徊者がいなくなったら勾玉を取るわよ」

ルビィ「うゆ……」

────
──



412: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 11:36:49 ID:gdc9acus

善子「あった、勾玉よ」

ルビィ「うん、これで5つだね」


善子「……あら? 奥に部屋があるわ……」

善子「祭壇……そして鬼の面……」

ルビィ「前の回廊であった、大勾玉の祭壇と同じだね」

善子「ええ、これも持って行きましょう……これで大勾玉は3つよ」



善子「勾玉が5つそろった、あとは祭壇に行って勾玉を納めればいいだけ」

ルビィ「コンパスはあっちを指してるよ」

善子「そっちね、行きましょう」

────
──



413: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 11:37:21 ID:gdc9acus

私たちはなんとか祭壇に到着した。

その場所はまわりを湖に覆われていた。

そして湖には大きな赤い鳥居がある。


善子「地下に大きな湖があるなんてね」

ルビィ「うゆ、善子ちゃん、勾玉を納めようよ」

善子「ええ、そうね」


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……


私たちが勾玉を納めると湖の水が割れていき、その中から橋が出てきた!


ルビィ「わあ、すごい!」

善子「この橋を渡れってことね」



414: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 11:38:19 ID:gdc9acus

私とルビィは橋を渡る……


ルビィ「見て善子ちゃん、橋を渡った先、あそこに鏡があるよ」

善子「これで脱出できるのかしら……」

善子「だとしたら Kの言っていた 彼女って誰なのかしら」


橋を渡った先で鏡に触れた。

すると景色が一瞬で変わった。

どこかへと移動したようだ。



415: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 11:38:50 ID:gdc9acus

ルビィ「ここは、どこ?」

善子「ここは……部屋? 廊下?」


シャン……シャン……シャン……シャン……


そこには神楽鈴の徘徊者がいた。

襲いかかってくる様子はない。


ルビィ「徘徊者しゃんだ……怖いよ……」

善子「襲いかかってこない……まるで私たちを待っているみたいだわ」


善子「……近づいてみましょう」

ルビィ「うゆ…………え? ……ええッ!?」



416: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 11:39:20 ID:gdc9acus

ルビィ「善子ちゃん! 危ないよ!」

善子「……」


私が近づくと神楽鈴の徘徊者は振り向いて廊下をまっすぐと歩きはじめる。


シャン……シャン……


善子「ついていくわよルビィ……彼女って子に会いに、ね」

ルビィ「ぴぎぃ……こわいよ……」


シャン……シャン……


善子「長い廊下ね……」

ルビィ「この奥にその子がいるのかな……」



417: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 11:39:50 ID:gdc9acus

シャン……シャン……


廊下の先にたどり着くと、徘徊者はそこで止まった。

そこには扉があった。


善子「この先ね……」

ルビィ「うゆ……」


私たちは扉をくぐる……扉は後ろでバタンっと閉まった。


ルビィ「ぴぎぃ!!」

善子「……ここが最奥ね」



418: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 11:40:20 ID:gdc9acus

水が滝のようになって下に流れ落ちている。

橋の先……そこには宙に浮かぶ巨大な結晶があった……


ルビィ「何ここ……それにあのクリスタルは……」

善子「私もゲームとかでしか見たことないわね……こんなもの」


善子「何かしら……これ」


???「やっぱりあなたたち、とても良い魂を持っているのね」


後ろから声がした。

振り向くと、そこには黒い着物を着た、黒髪の少女がいた。



419: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 11:40:59 ID:gdc9acus

ルビィ「ぴぎゃぁぁ!!」

善子「…………あなたが、彼女ね……」


ルビィ「びっくりしたよ……」


謎の少女「みんな私を化け物と呼ぶけど……あなたもそう呼びたいなら好きにするといい」

謎の少女「実際、今の私は化け物みたいなものだし」


謎の少女「でも私に言わせれば、人間の方がよっぽど質が悪いわね」


善子「私たちはこの世界から出る方法を探しているの……何か知っていたら教えてちょうだい」



420: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 11:41:43 ID:gdc9acus

謎の少女「出口を探しているならあきらめなさい。私のような力ある者にしか開けないし、あなたたちをここから出すつもりもない」

ルビィ「そんな!!」

善子「……」

謎の少女「でも、良い話があるの」


少女が手をかざすと能面が現れた。徘徊者たちが被っているものと同じものだろうか。


謎の少女「永遠の命……いつの世も人間が渇望した力。あなたたちはその力にふさわしい魂を持っている」

謎の少女「この面を被れば、あなたたちはどんな病にも害されない。どんな猛獣でもねじ伏せることができるようになる」


善子「……」

ルビィ「……善子ちゃん?」


善子「……そんな口車には乗らないわよ」


ルビィ「えっ、口車……? あ、Kしゃんが言ってた!」



421: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 11:42:14 ID:gdc9acus

謎の少女「そう……」

謎の少女「じゃあ、言い方を変えましょう」


謎の少女「あなたの魂に用があるの。 細工をさせてもらうから、大人しくしていなさい」


善子「……ッ!?」

ルビィ「どういうこと!?」


シャン!!


謎の少女が手をかざすと能面が私たちのほうにとんでくる……


ルビィ「ピギィ!! このままじゃあの面を被らされちゃうよ!!」

善子「……ッ!!」



422: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 11:42:44 ID:gdc9acus

その時だった……


カランコロン……


どこからともなく勾玉が床に落下する。


バシュン……


突然、あたりは光に包まれた!

能面は消え去り、光の中から Kが現れた!!


善子「……K!! 助かったわ!!」

ルビィ「ぴぎぃ……怖かったよぉ……」



423: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 11:43:40 ID:gdc9acus

K「ギリギリだったわね。あなたたちのおかげで上手く忍び込めたわ」

謎の少女「ああ、あなた……」

K「ようやく会えたわね、ずっとこの時を待っていたわ」

K「あんたはここにずっと引きこもっている、そこの物体、クリスタルがあるここにね」

K「思うに、あんたにとってそのクリスタル、さぞかし大事な物なんでしょう? ……違わないわよね」


シャン……

謎の少女は Kに向かって手をかざす。


K「うわぁぁぁぁぁぁあああああああ!!!!」

Kは苦しみだし、地面に膝をついてしまう……


ルビィ「ピギィ!? 大丈夫!?」

善子「K!! しっかりして!!」

謎の少女「その面、自分から被ったんでしょ。 自業自得ね。 そこで大人しくしていなさい」



424: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 11:44:12 ID:gdc9acus

謎の少女は私たちのほうに近づいてくる。


ルビィ「ぴぎぃ!!」

善子「くっ!! このままじゃ……」 


K「はあッ……はあッ……」


Kは息を切らしながらよろよろと立ち上がる……

そして私たち2人を必死に守ろうとする……


謎の少女「あなた、それ以上無理すると、人ではいられないわよ。 どうしてそこまで……」

K「ふふっ……さあ、どうしてかしらね……」



425: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 11:44:43 ID:gdc9acus

善子「K!!」

ルビィ「Kしゃん!!」


K「あんたたち、私から離れていなさい……」

K「いままでギリギリで保ってきたけど……もう限界みたいね……私の意識が保っているうちに、早く逃げなさい!!」


K「うわぁぁぁぁぁぁあああああああ!!!!」


Kは苦しみ再び地に膝をついてしまう……


K「最後の悪あがきよ……あんたにもらったこの力……利用させてもらうわよ……ッ!!」



426: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 11:46:52 ID:gdc9acus

K「うわぁぁぁぁぁぁあああああああ!!!!」


Kの体は光だし、異形の化け物へと姿を変えた!!


そこにあったその姿は、能面をつけ、その下に大きな口を開く、宙へと浮かぶ巨大な化け物であった。


その異形は謎の少女に飛びかかる!!

少女は光に包まれ、どこかへと消え去った。

どうやら回避したようだ。


化け物となったKはクリスタルへと向かって飛んでいく!!


K「うわぁぁぁぁぁぁあああああああ!!!!」


パリィィィィィィイイイイイインンンンンン!!!!!!


Kはクリスタルへと体当たりし、クリスタルを破壊する!!



427: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 11:47:23 ID:gdc9acus

善子「きゃぁぁぁぁぁ!!!!」

ルビィ「ぴぎぃぃぃぃぃぃ!!!!」


その衝撃で地面は崩壊し、私たちは滝の下へと落ちていった……

────
──



428: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 12:10:24 ID:gdc9acus

私とルビィは水の中へと落ちた……


善子「はあッ……はあッ……ルビィ! 大丈夫!?」

ルビィ「うゆ……!!」


水から上がる……私もルビィも怪我はしていない……


ルビィ「ここは……」

善子「水路……かしら?」


この道には水が張り巡らされている……


しかし……


善子「……!?」

善子「ルビィ!! 上から来るわよ!! 気をつけて!!」


上からは異形の怪物と化した Kが降ってきていた!!

水路に落ち、バシャァァァァンンンン と水しぶきを立てる!!



429: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 12:11:29 ID:gdc9acus

善子「K!!」

ルビィ「Kしゃん!!」


あ゛あ゛あ゛あ゛あああああああ!!!!


自我を失っているのだろうか。

化け物となったKは叫び声をあげながら、私たちのほうに迫ってくる!!


ルビィ「ピギィ!? Kしゃんが!! ルビィたちを守ってくれたKしゃんが!!」

善子「逃げるわよルビィ!! このままだと危険だわ!! 走って!!」


あ゛あ゛あ゛あ゛あああああああ!!!!


叫び声をあげながら迫ってくるK……

私たちは水をバシャバシャとかき分けながら走る!!



430: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 12:12:03 ID:gdc9acus

ルビィ「ぴぎぃぃ!! 走りにくいよ!!」

善子「走るのよルビィ!!」


ルビィ「Kしゃん!! Kしゃん、しっかりして!!」

善子「K!! 私たちのことが分からないの!?」


あ゛あ゛あ゛あ゛あああああああ!!!!


善子「ダメよルビィ!! なんとかして逃げ切るのよ!!」

ルビィ「ふええええええんんんん!!!!」


目の前を見ると水門があった。

巨大な木の板が上から落下して、水を止める仕掛けになっているようだ。



431: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 12:12:34 ID:gdc9acus

善子「あの水門まで逃げるわよルビィ!!」

善子「あの下にレバーがあるわ!! きっと水門のスイッチよ!!」

善子「あれを使って通せんぼするわ!!」

ルビィ「うゆ!! わかったよ!!」


私たちはなんとか水門の内側に逃げ込んだ!


善子「ルビィ!! レバーを引いて!!」

ルビィ「うゆ!!」


巨大な板はザバァァァァンンンン と水しぶきを立てて下に落ち、道を塞いだ!!


善子「これでこっちまで追って来られないはずよ!」

ルビィ「はあッ……はあッ……助かったの……?」


あ゛あ゛あ゛あ゛あああああああ!!!!



432: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 12:13:04 ID:gdc9acus

あ゛あ゛あ゛あ゛あああああああ!!!!


ダァンッ!!


次の瞬間、凄まじい音が鳴り響く!

どうやら化け物となったKが水門を破壊しようと体当たりしているみたいだ!


善子「ちょ、ちょっと……嘘でしょ……? まさか、壊れたりしないわよね……?」

ルビィ「うゆ……」



433: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 12:14:20 ID:gdc9acus

あ゛あ゛あ゛あ゛あああああああ!!!!


ダァン!! ダァン!! ダァン!! ダァン!!


バァァァァァァァンンンン!!!!


水門は木っ端みじんになってしまう!!

そしてKはその巨大な体でこちらに迫ってくる!


ルビィ「ぴぎゃぁぁぁぁ!! 突き破ってきたぁぁ!!」

善子「逃げるわよルビィ!! 水路の奥へ!!」


私とルビィは走って奥へと逃げ込む。



434: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 12:14:57 ID:gdc9acus

あ゛あ゛あ゛あ゛あああああああ!!!!


善子「はあッ……はあッ……」

ルビィ「はあッ……はあッ……」


あ゛あ゛あ゛あ゛あああああああ!!!!


善子「あった!! 水門よ!! 逃げ込みましょう!!」

ルビィ「ぴぎゃぁぁぁぁ!!!! それで足止めするしか方法ないよね!?」


私は水門のレバーを引く!

巨大な板はザバァァァァンンンン と水しぶきを立てて下に落ち、道を塞いだ!


ルビィ「はあッ……はあッ……でも突き破ってくるよね!?」

善子「ええ、ちょっとの間しか足止めできないわ」

善子「でもね、足止めしてるこの時間に、次にどうするか考えるのよ」

ルビィ「ピギィ!? 追いかけられてるんだよ!! 考えてられないよ!!」

善子「次の水門まで走って!! 考えるわよ!!」



435: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 12:15:41 ID:gdc9acus

あ゛あ゛あ゛あ゛あああああああ!!!!

ダァンッ!!

ダァン!! ダァン!! ダァン!! ダァン!!


バァァァァァァァンンンン!!!!


水門は木っ端みじんになる!


ルビィ「ぴぎゃぁぁぁぁ!! 無理だよぉぉ!!」

善子「あきらめないでルビィ!!」



善子「ッ!? 見て!! あそこに鏡があるわ!!」

ルビィ「え!! 本当だ!! 台の上に鏡が置いてある!!」


善子「あの鏡に触れるわよ!!」



436: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 12:16:11 ID:gdc9acus

鏡に近づいたその時だった……


シャン……


ふふふっ……ふふふ……


鈴の音と少女の笑い声が聞こえる……

次の瞬間、鏡は消えてしまった……


それどころか行き止まりだったはずの場所が道に変わっていた。


善子「なんでよ!!」

ルビィ「もしかしてあの女の子が地形を操っているの!?」

善子「そうかもしれないわね!! だとするとまずいわ!! どこに逃げても無駄かもしれないわ」

ルビィ「ピギィ!? 無理だよそんなの!!」

善子「それでも逃げるのよ!!」


私とルビィは必死になって走る……



437: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 12:16:42 ID:gdc9acus

善子「次の水門……あった!! ってもう板が降りてるじゃない!!」

ルビィ「善子ちゃん!! このレバー引くよ!!」


水門の水を止める板はゆっくりと上にあがっていく……


あ゛あ゛あ゛あ゛あああああああ!!!!


善子「はやく……追いつかれてしまうわ!」

ルビィ「ぴぎゃぁぁぁぁ!!!! もうすぐそこにいるよ!!」


善子「お願い!! はやくして!!」

ルビィ「ぴぎぃぃぃぃ……」


善子「くぐって!! 反対側にレバーがあるわ!!」

ルビィ「うゆ!!」



438: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 12:18:48 ID:gdc9acus

私とルビィは水門の内側に入り、再びレバーを引く。

巨大な板は再び下に落ち、道を塞いだ。


あ゛あ゛あ゛あ゛あああああああ!!!!


ダァンッ!!


善子「まだ来るわね……」

ルビィ「はあッ……はあッ……」

善子「走るわよルビィ!!」

ルビィ「うゆぅ!!」



439: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 12:19:32 ID:gdc9acus

私たちが走っていると鈴の音とあの少女の笑い声が聞こえた。


シャン……


ふふふっ……ふふふ……


地形が反転している!!


善子「こうなったってことはまさか……」

ルビィ「ぴぎぃ!! Kしゃんが正面が来るよ!!」

善子「嘘でしょ!?」


後ろにいたはずのKが私たち2人の正面から迫ってくる!!



440: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 12:20:15 ID:gdc9acus

ルビィ「ぴぎゃぁぁぁぁ!!!!」


ふふふっ……ふふふ……


善子「ふふふ、じゃないわよ!!」


私とルビィは急いで引き返して逃げる!


善子「走ってルビィ!!」

ルビィ「ぴぎぃ!! 善子ちゃん!! こっちは真っ暗だよ!!」

善子「嘘でしょ!? 真っ暗だと水門の位置もレバーの場所も分からないわ!!」

ルビィ「ぴぎゃぁぁぁぁ!!!! もうダメぇぇぇぇ!!!!」



441: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 12:20:48 ID:gdc9acus

シャリン……


ルビィ「あ、あの猫しゃんの鈴の音……」

善子「猫の鈴の音……?」


見ると、光の球が 道の真ん中にふわふわと浮かんでいた。

その光はまるで道案内でもしているかのように次の水門の場所まで移動し、明るくレバーを照らしていた。


シャラララランキラリラリン……



442: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 12:21:56 ID:gdc9acus

ルビィ「善子ちゃん、あれはなんだろう? 猫しゃんの鈴の音がしたけど」

善子「分からないわ! でもついていくしかないわ!」

ルビィ「うゆ、信じるよ! 猫しゃん!!」

 
シャラララランキラリラリン……

 
私たちはその光の球についていくことにした。

照らされたレバーを引き、水門を閉じる。



443: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 12:22:31 ID:gdc9acus

あ゛あ゛あ゛あ゛あああああああ!!!!


ダァンッ!!

ダァン!! ダァン!! ダァン!! ダァン!!


バァァァァァァァンンンン!!!!


水門を破壊しながら、凄まじい勢いで Kはこちらに迫っている!!


善子「はあッ……はあッ……」

ルビィ「はあッ……はあッ……」



444: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 12:23:02 ID:gdc9acus

あ゛あ゛あ゛あ゛あああああああ!!!!


善子「何がなんでもあの光についていくのよ!」

ルビィ「うゆ!!」


光についていくと鏡があった!


善子「あそこよ!! ようやく逃げ切れるわ!!」

ルビィ「今度こそだね!」


シャン……

ふふふっ……


またあの少女のしわざだろうか……鏡は消え去ってしまう。


善子「だから、ふふふ、じゃないわよ!」

ルビィ「ピギィ!! まだ逃げるの!?」


私たちは奥へと向かって走っていく……



445: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 12:23:33 ID:gdc9acus

ルビィ「!? 善子ちゃん!! 前が!!」

善子「!? 滝!?」


なんと目の前は滝になっていた。

これ以上、先へと逃げることはできない。


あ゛あ゛あ゛あ゛あああああああ!!!!


後ろから Kが迫ってきている!


ルビィ「もう逃げられないよ!!」

善子「まだよ!! まだあきらめないで!!」


善子(そうは言っても、もう逃げ切れないわ……今度こそおしまいかもしれない……そんな……)



446: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 12:24:05 ID:gdc9acus

あ゛あ゛あ゛あ゛あああああああ!!!!


シャラララランキラリラリン……


光の球は、迫ってくるKに向かって飛んでいき、強い光を放つ!


Kは怯んでよろよろと壁に激突する!!


ルビィ「やったの……?」

善子「ルビィ!! 気をつけて!!」


Kが壁に激突した衝撃で天井が崩れ落ちてきていた!

このままだと私たちは崩落した天井の下敷きになってしまう!!


ルビィ「ぴぎゃぁぁぁぁ!!!!」

善子「くっ!!!!」



447: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 12:25:24 ID:gdc9acus

すると、Kは私たちに覆い被さった……


ガラガラガッシャーン!!


────

──


そこには身を呈して私たちを守るKの姿があった……


善子「K……私たちを助けてくれたの……?」

ルビィ「Kしゃん……」



448: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 12:25:56 ID:gdc9acus

Kは苦しそうに話し出す。


K「あんたたち……無事かしら……」

善子「あなたが守ってくれたから2人とも怪我ひとつしてないわ」

ルビィ「Kしゃん……」

K「あんたたちを○そうだなんて……ごめんなさいね……」

ルビィ「Kしゃん……どうしてそこまでしてルビィたちを助けてくれるの……?」

K「そうね……あなたたち、スクールアイドルでしょ……? 見れば分かるわ」

ルビィ「えっ……ルビィたちはたしかにスクールアイドルだよ……」

K「やっぱりね……そんな気がしていたのよ……」


K「私もね……スクールアイドルなのよ……」

ルビィ「えっ……」



449: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 12:26:28 ID:gdc9acus

K「少し長い話になるわ……私はここに迷い込んだ時、病気でね……先が長くなかったの……」

K「それでも、向こうの世界に置いてきたみんなとまた一緒に、歌いたい、踊りたい、その一心で出口を探したの……」

善子「……」


K「そして、あの女の子と出会ったわ……」

K「彼女は永遠の命をくれると言った」

K「私は永遠の命などいらなかったけれど、もう一度みんなに会いたいと、藁にもすがる思いでこの面を被ったのよ」

ルビィ「Kしゃん……」


K「だけどね、その代償は大きかったわ……」

K「面を被った瞬間、とてつもなく大きな力が体の奥から湧いてきて、意識をぐちゃぐちゃにかきまわされた」

K「そして気がついたら……まわりのありとあらゆるものを破壊していたわ……」

K「それから私は、たった一人で機会をうかがっていたの……」

K「湧き上がる力を押さえつけながら……自我を失って、もしかしたら誰かを傷つけるのではないかと怯えていたの……」

K「でも、やっと……あの子に一矢報いてやることができたわ……あなたたちのおかげよ……」



450: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 12:27:21 ID:gdc9acus

善子「同じスクールアイドルだから……私たちを助けてくれたの……?」

K「違うわ……でもね、あなたたちに向こうの世界においてきたみんなの面影を見たの……」

K「スクールアイドルの先輩として、後輩の盾となるのは当然よ……若い芽は摘ませない……」

K「きっと、あなたたちの先輩も、私と同じことを言うわ……」

K「私は……あなたたちが歩む未来を信じる……」

K「あなたたちは……これからの未来を切り開いていく……希望の光なんだから……」

ルビィ「Kしゃん……」



451: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 12:27:54 ID:gdc9acus

K「そろそろ限界みたいね……今度自我を失えば、もう二度と自分を取り戻すことは出来ないでしょうね……」

K「あなたたちに会えてよかった……この面も悪いことばかりじゃなかったわね……」

K「絶対に生きてこの世界から出なさい……もう一度、みんなの元に戻るのよ……」


善子「K……」

ルビィ「Kしゃん……」


K「どんな困難が訪れようと、希望を捨てないで……」


K「次は……助けてあげられないから、ね……」


そう言い残すと Kは滝の底へと落ちていった……

────
──



452: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 12:28:30 ID:gdc9acus

ルビィ「……Kしゃん」グスン

善子「K……」


ルビィ「どうしたらいいの……どうしたらルビィたちは……Kしゃんの分まで……」

善子「ルビィ……生きてここから出ましょう……そしてKが出来なかった分まで、ちゃんとスクールアイドルをやるのよ……」

善子「それが、私たちの未来を信じてくれた Kに対して、私たちができる精一杯のことよ……」

ルビィ「……うん」


私とルビィは先に進むために道を探した……

どうやらすぐ近くに別の場所へと続く廊下があるようだ……

私たちはそこへ向かって歩き出した……



453: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 12:29:00 ID:gdc9acus

廊下を歩いていくと台の上にあの黒猫がいた……

口には鍵をくわえている。


ルビィ「猫しゃん……」

善子「……鍵を持ってるわね」


シャリン……


猫は鍵を置くと、どこかへと行ってしまった……


ルビィ「……」

善子「ルビィ、あの猫についていくわよ」

ルビィ「うゆ……」



454: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 12:29:51 ID:gdc9acus

猫についていくと船着き場のような場所に到着した。


善子「奥に扉があるわね……鍵がかかってるわ」ガチャガチャ

ルビィ「猫しゃんからもらった鍵で開けよう」

善子「そうね」カチャ


善子「鬼の面の祭壇……大勾玉ね……これで4つ」

ルビィ「大勾玉ってなんだろうね」

善子「分からないわ……あら? 猫ちゃんは?」


黒猫はとまっている舟の先頭……船首に乗るとそこに座った。


善子「舟に乗れってことかしら……」

ルビィ「うゆ……乗ろう善子ちゃん」

善子「ええ……」


私たちは舟に乗る。

すると誰も動かしていないのに舟はひとりでに動きはじめた……



455: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 12:31:12 ID:gdc9acus

ルビィ「舟はどこまで行くのかな……」

善子「分からないわね……またどこかへ誘導しているのかもしれないわね」


舟は大きな赤い鳥居をくぐり、地下の湖をゆったりと静かに進んでいく……

湖には灯籠も浮かんでいる……


善子「ちょっと疲れが……」

────
──



456: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 12:31:46 ID:gdc9acus

少しうたた寝していたのかもしれない……

気がつくと舟は地下の湖のどこかを進んでいた。


善子「寝てたのかしら……あ、ルビィ」


ルビィは私の肩に寄りかかって眠っていた……


善子「ルビィもだいぶ疲れているみたいね……少し休ませてあげましょう……」


静かな時間が流れる……

────
──



457: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/07(水) 12:32:22 ID:gdc9acus

Kは命が尽きるまで、何度も私たちを守ってくれた

彼女に応えるためにも、私たちは絶対に元の世界に帰らなければならない


状況は悪くなる一方だが

そう決意すると勇気が湧いてきた


船は自分の行くべき場所を知っていたかのように

ひとりでに船着き場に流れ着き

いつの間にか猫は姿を消していた


そこには、今までとは明らかに違う異様な雰囲気が漂っていた……



461: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/09(金) 04:06:59 ID:0q8CGXTE

─???─


善子「ルビィ、起きて」

ルビィ「うゆ……」

善子「着いたわよ」

ルビィ「うゆ? ……ここは?」

善子「分からないわ……船着き場に着いたみたい……それと……」


善子「……また回廊への入り口があるわ」

ルビィ「ぴぎぃ!?」

善子「しかも前の回廊より異様な雰囲気よ……なんていうか……不気味だわ」

ルビィ「うゆ…………あれ? 猫しゃんは?」

善子「分からないわ……船着き場に着いたらどこかに行っちゃったみたい……」



462: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/09(金) 04:07:49 ID:0q8CGXTE

善子「今度の回廊も気を引き締めていくわよ、ルビィ」

ルビィ「うゆ……」


私たちは回廊へと入っていく……


ピチャ……ピチャ……


善子「中は……気味が悪いわね……歩くと水の音がピチャピチャと鳴るわね」

ルビィ「うう……ここ怖いよ……」

善子「ええ、不気味さは前の回廊の比ではないわ……」



463: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/09(金) 04:08:19 ID:0q8CGXTE

善子「え……これって……」

ルビィ「善子ちゃん……」

善子「下の階がある……この回廊、上の階と下の階に分かれて複雑な構造になっているわ」

ルビィ「え……ということは……」

善子「今まで以上にきびしい探索になりそうね」

ルビィ「うゆ……」

善子「やることは同じはずよ……勾玉を5つ集めて祭壇に納める……」

ルビィ「うん……でも前の回廊よりも難しいよね……」

善子「……」



464: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/09(金) 04:09:07 ID:0q8CGXTE

ルビィ「上と下、どっちに行くの?」

善子「下を見てみましょう……」


下の階を見るために階段を降りる……


善子「下の階には水が張っているわ……おそらく腰まで浸かるくらいの深さ……」

善子「これは歩くのも大変だわ……水が張っていて速く走れないから、下の階で徘徊者に襲われればまず逃げ切れないでしょうね……」

ルビィ「ぴぎぃ……」

善子「しかも奥まで複雑に回廊が続いている……ここを長時間探索するのは得策ではないわ……」

ルビィ「うゆ……」

善子「念のため水が張っていない上の階から調べていきましょう」

ルビィ「そうだね、そのほうが安全だよね」


私とルビィは上の階から調べることにした。



465: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/09(金) 04:09:38 ID:0q8CGXTE

善子「とはいえ……上の階も複雑な構造をしているわね……」

ルビィ「うゆ……」

善子「タンスや棚を調べていきましょう」

善子「こっちには……カメラ、爆竹……」

ルビィ「こっちも調べるよ……ひかり石、それから……」

善子「鍵を見つけたわ」

ルビィ「うゆ、鍵があれば勾玉が取れるね」

善子「ええ、あと手鏡とかがあれば欲しいわね」



466: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/09(金) 04:10:50 ID:0q8CGXTE

善子「こっちにはレバーがあるわ」

ルビィ「うゆ……何のレバーだろう?」

善子「引いてみるわね」ガチャ


ザッパァァァァァンンンン


その瞬間、下で水の音が鳴った。

どうやら水門の板が下に落ちた音のようだ。


善子「これでここが通れるようになるけど、下は通れなくなったわけね」

ルビィ「ということは……下を通りたい場合、上のレバーを引かなきゃいけないから……」

善子「かなり複雑な構造の上に、この仕掛けはきびしいわね」

善子「これまで以上に気を引き締めていくわよ」

ルビィ「うゆ……」



467: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/09(金) 04:11:38 ID:0q8CGXTE

善子「それからこっちを通って……」


善子「えっ?」


ルビィ「どうしたの善子ちゃん?」


善子「……もう1つ上の階がある」

ルビィ「え……」

善子「嘘でしょ……ここに来て複雑になりすぎじゃない……?」

ルビィ「うゆぅ……」



468: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/09(金) 04:12:21 ID:0q8CGXTE

善子「しかも見て……階段が……」

ルビィ「うゆ? 階段……?」

善子「例えばあそこの階に上るにはあっちからまわっていって……階段を上ったあとそっちにある階段を……」

ルビィ「ええ……これじゃあどこにいるか分からなくなっちゃうよ」

善子「そうね、どっちに進んでいるのかも分からないわね……」

ルビィ「でもコンパスがあれば大丈夫でしょ?」

善子「そうだけど……あっちに行くには……」


そこまで言いかけて気がついた。


廊下の奥から何かが来ている!



469: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/09(金) 04:12:53 ID:0q8CGXTE

善子「ルビィ、隠れるわよ……何かいる!」

ルビィ「うゆ!」


私とルビィは障子を閉めて小部屋に隠れた。

外の様子はところどころ破れた障子や格子窓から見える。


善子「何かしら? あれ……」


見ると、人の顔をした霊魂のようなものが浮遊している。

何かぶつぶつと囁いているのも聞こえてくる。



470: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/09(金) 04:13:41 ID:0q8CGXTE

善子「徘徊者かしら? でも能面を被っていないし……燭台のろうそくの反応もない……」

善子「でもここに隠れていれば大丈夫なはず……ルビィ、コンパスで方向を確認しましょう」

ルビィ「善子ちゃん、それが……」

善子「……どうしたの?」


ルビィ「コンパスの針がくるくるまわってて、祭壇がどっちなのか分からないよ」


善子「嘘でしょ……?」


そうしている間にも霊魂のような何かは浮遊しながら私たちの横を通っていった。



471: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/09(金) 04:14:33 ID:0q8CGXTE

善子「とにかくアレに見つからずに済んだわ」

善子「もし見つかればどうなるか分からないもの」

ルビィ「うゆ……あれ?」

善子「どうしたのルビィ?」

ルビィ「あのお化けしゃんが通りすぎた後、コンパスのくるくるが止まったよ」

善子「え? ということは祭壇の方角を指しているのね」

ルビィ「うゆ」

善子「……なるほど、あのお化けが近くにいるとコンパスが狂ってしまうというわけね」

ルビィ「お化けしゃんが近くにいるとコンパスがおかしくなる……」

善子「ええ、いつ使い物にならなくなるか分からないからこまめに確認しましょう」

ルビィ「うゆ……」


私たちは先を進んでいく……



472: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/09(金) 04:15:16 ID:0q8CGXTE

グスン……グスン……


善子「どこかに泣き声の主がいるわね……」

ルビィ「うゆ、下の階にいるみたいだね」

善子「勾玉があるってことね」

ルビィ「上と真ん中と下があるからどこに徘徊者しゃんがいるか分かりにくいね」

善子「階段があるわ、これで下に降りて勾玉を取りにいきましょう」

ルビィ「うゆ」


グスン……グスン……


善子「いたわ、勾玉が置かれた台の横にいる……爆竹で誘導して勾玉を取るわよ」

ルビィ「隠れられそうな場所は……」

善子「このあたりはなさそうね、もし襲われたらそっちに逃げましょう」



473: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/09(金) 04:15:54 ID:0q8CGXTE

善子「爆竹を……えいっ」ヒョイ


……


パチパチパチパチパチ……


グスン……グスン……


善子「移動し始めたわ、誘導できているうちに慎重に勾玉を取るわよ」

ルビィ「うゆ」


私たちは台の上から勾玉を取ると、その場から立ち去った。



474: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/09(金) 04:17:03 ID:0q8CGXTE

善子「なんとか1個目ゲットね」

ルビィ「うゆ、頑張ろう善子ちゃん」

善子「ええ、脱出するわよルビィ」


ドコニイルノ……


善子「待って、歩いてる泣き声の主もいるわ」

ルビィ「うゆ……」

善子「離れるまで慎重に移動するわよ」


ドコ……ドコニイルノ…………ドコニイルノ……


私とルビィは静かに移動する。



475: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/09(金) 04:17:44 ID:0q8CGXTE

善子「ふう、これで大丈夫ね。 びっくりしたわ……」

ルビィ「うゆ……これだけ離れれば大丈夫だね」


そのときだった……


リーン……


どこからか鐘の音が聞こえてくる。


ルビィ「ぴぎぃ!? 何の音!?」

善子「落ち着いてルビィ……新しい徘徊者かしら……」

ルビィ「怖いよ善子ちゃん……」


鐘の音……それともただどこかで音がしただけ……?


善子「とにかくここから離れるわよ」

ルビィ「うん」



476: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/09(金) 04:18:31 ID:0q8CGXTE

善子「ここまで来れば大丈夫かしら」

ルビィ「ねえ善子ちゃん」

善子「どうしたの?」

ルビィ「向こうから水たまりがすごいスピードで近づいてくるよ?」

善子「どういうこと?」


ピチャピチャ……


善子「本当ね……水たまりがこっちに来てる……そして私たちの足元で止まった」


チャポポポポポ……


ルビィ「水たまりの中からお年寄りの人が出てきたよ……」

善子「本当ね……じゃないわよ! 徘徊者じゃない!?」

ルビィ「ピギィ!?」


なんと水たまりの中から提灯と鐘を持つ老人の姿をした徘徊者が出てきた!

他の徘徊者と同様に顔には能面をつけている。



477: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/09(金) 04:19:35 ID:0q8CGXTE

善子「逃げるわよルビィ! 完全に姿を現す前に!!」

ルビィ「うゆ!!」

私たちはその場から離れる!


善子「かなり距離を離したわ、これでなんとか……」


リンリンリンリン!!


ルビィ「見つかっちゃったよ!!」


老人の姿をした徘徊者は鐘を鳴らしながらゆっくりとこちらに向かってくる。


善子「鐘を鳴らしてるわね、足はそんなに速くないわ」

ルビィ「これなら逃げられるね」


善子「いえ、違うわ!! 走って!!」

ルビィ「違うってどういうこと!?」


私とルビィはそのまま走り続ける!



478: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/09(金) 04:20:29 ID:0q8CGXTE

善子「いい? あの徘徊者は鐘の音を鳴らしながら追ってくるわ!」

善子「そして近くには泣き声の主がいる! あの子はすごく耳がいいわ!」

ルビィ「まさか……」


ドコニイルノ!!


予想通り泣き声の主が物凄い速さでこちらに走ってきていた!


善子「あの子は足が速い!! 振り切れないわ!!」

ルビィ「ぴぎゃぁぁぁぁ!!!!」


ドコニイルノ!!



479: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/09(金) 04:21:23 ID:0q8CGXTE

善子「走って!!」

ルビィ「もうダメぇ!! 追いつかれちゃう!!」


そのときだった!


ガラガラガッシャーン!!


天井が崩落して徘徊者と私たちの間の道が塞がれた!

廊下には棚や木材が落ちてきていて、徘徊者がこちらに来ることはできない。


善子「はあッ……はあッ……」

ルビィ「はあッ……はあッ……」


善子「助かった……」

ルビィ「ぴぎぃ……」

善子「あの老人の姿の徘徊者はまわりの徘徊者を呼び寄せるみたいね……」

ルビィ「怖いよ……」



480: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/09(金) 04:22:11 ID:0q8CGXTE

善子「はあ……はあ……さあ、先に進みましょう」


一歩踏み出したその時だった!


バァァァァァァァンンンン!!!!


シャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャン


目の前の扉から神楽鈴の徘徊者が飛び出してくる!!


善子「嘘でしょ!? ここ罠部屋なの!?」

ルビィ「ぴぎゃぁぁぁぁ!!!!」

善子「後ろには逃げられない!! 横の部屋に入るわよ!!」

ルビィ「ぴぎぃ!!」


私とルビィはすぐ横の部屋に入る!


シャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャン



481: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/09(金) 04:23:02 ID:0q8CGXTE

ルビィ「ぴぎぃ!? この部屋行き止まりだよ!!」

善子「嘘でしょ!?」


シャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャン


善子「待って!! あの台を見て!! 勾玉があるわ!!」

ルビィ「手鏡もあるよ!!」


シャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャン


善子「飛ぶわよ!! ルビィ!!」

ルビィ「うゆ!!」


私たちは2個目の勾玉を取るとすぐ横に置いてあった手鏡でワープした……

一瞬で景色が変わる。

どうやら上手く他の部屋に移動したみたいだ……



482: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/09(金) 04:23:40 ID:0q8CGXTE

善子「はあ……はあ……」

ルビィ「はあ……はあ……」


善子「何なのよ……本当に……」

ルビィ「うゆ……」


善子「今までの回廊の比ではないわ……複雑さだけでなく徘徊者も……」

ルビィ「ルビィ怖くなってきたよ……」


私たちは少し休んでから探索を続けることにした。



483: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/09(金) 04:24:18 ID:0q8CGXTE

善子「台の上に何かの記事があるわ」

ルビィ「記事?」

善子「ちょっと読んでみるわね」


善子「……」

ルビィ「……」


善子「ふむふむ……」

ルビィ「どんな内容だったの?」

善子「向こうの世界で新聞を読んだじゃない?」

ルビィ「うゆ……神隠し事件の記事だったよね」

善子「これもその話みたい」

ルビィ「うゆ?」



484: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/09(金) 04:24:48 ID:0q8CGXTE

善子「化け物が神隠し事件を起こした、と。 その詳細が載ってるわね」

ルビィ「うゆ……」

善子「要約するわよ。 千里眼の能力を持つ不思議な力を持った母親とその子供が村から離れた神社に住んでいたんだって」

ルビィ「千里眼……未来とか見えるんだよね」

善子「ええ、それで千里眼の能力を忌み嫌った村人はこの家族から距離を置いていたらしいの。 母親には冷たく接していたみたい」

ルビィ「…………」

善子「村人たちは、その子供もいつか本性を現し、母親をないがしろにした自分たちに復讐するのではないかと恐れていたらしいわ」

ルビィ「うゆ……」



485: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/09(金) 04:25:21 ID:0q8CGXTE

善子「そして、そのときが来た……その子供が川に鉄砲水を起こして、その結果、村の子供たちは流されてしまったみたいね……」

ルビィ「そんな……」

善子「村人たちは村の子供たちが○されたと怒って、その母親と子供を○そうとしたらしいの」

ルビィ「ぴぎぃ……」

善子「そのとき、その子供が光り輝いて、その光が森を飲み込んだ……まわりのものすべてが、はじめから何もなかったかのように消えていた」

善子「神社も人々も夕暮れのヒグラシの声も……という話らしいわ。 その昔、当事者の誰かにインタビューして、その人が答えたことをまとめた記事みたいね」

ルビィ「うゆ……千里眼……鉄砲水……神隠し事件……」

善子「でもなんでこんな記事がこの回廊にあるのかしら……」

ルビィ「うゆ……」


私とルビィは回廊の探索を続ける……



486: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/09(金) 04:26:34 ID:0q8CGXTE

ルビィ「今度は開けた場所に出たね」

善子「ええ、真ん中にレバーと床は……」


見ると床は木でできており、格子状になっている。


ルビィ「まるで落とし穴だね……レバーを引いたら床が落ちたりして」

善子「そうね、これは落とし穴……だからレバーは引いちゃダメよ」」

ルビィ「うゆ、やっぱり落とし穴だよね……」

善子「そのレバーを引くとここの木の床が落ちるようになっているわね……」

ルビィ「なんでこんな分かりやすい罠があるのかな……」

善子「分からないわ……下が見えるわね……そんなに高くはない……おそらく落ちても怪我はしない……」

善子「あれは……?」

ルビィ「どうしたの善子ちゃん?」


善子「部屋があるわ……」



487: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/09(金) 04:27:09 ID:0q8CGXTE

ルビィ「部屋……?」

善子「ええ、落とし穴のすぐ下の壁、穴があるわ」

ルビィ「穴……本当だ、部屋かな? 行ってみる?」

善子「いえ、後にしましょう……祭壇と勾玉が優先よ」

ルビィ「うゆ、そうだね……」


私たちは落とし穴の部屋を後にする……



488: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/09(金) 04:27:45 ID:0q8CGXTE

善子「とにかく複雑な構造ね……」

ルビィ「うゆ……ここはどこだろう……うゆ……? なんだろうこれ?」


見ると変わった模様の鈴が置いてあった。


善子「猫がつけてる鈴って感じね」

ルビィ「あの猫しゃんの鈴に似てるね……」

善子「これも何かに使えるかしら……? 分からないわ……」

ルビィ「かわいいから持っていっていい?」

善子「いいけど……他の使えるものが優先よ、カメラとか爆竹とか」

ルビィ「うゆ」

善子「それにしてもさっきの記事といい、なんでこんなものが置いてあるのかしら……」


私たちは先を進んでいく……



489: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/09(金) 04:28:21 ID:0q8CGXTE

善子「下に勾玉があるわね」

ルビィ「でもあそこってどうやって行くんだろう?」

善子「分からないわ……」

善子「鍵を開けただけでは手に入らないようになっているわね」

善子「今までの回廊とまるで違うわ……」


ドタドタドタドタドタドタ……


善子「隠れなきゃ」

ルビィ「うゆ」


シャン……シャン……シャン……シャン……



490: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/09(金) 04:28:54 ID:0q8CGXTE

善子「ここに隠れて……」


シャン……シャン……シャン……シャン……

ドタドタドタドタドタドタ……

ドコ……ドコニイルノ……ドコニイルノ……

リーン

シャン……シャン……シャン……シャン……


善子「すごい数ね……鈴の徘徊者なんて近くに2体もいるわ」

ルビィ「これじゃあ全然動けないね……」



491: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/09(金) 04:29:44 ID:0q8CGXTE

ルビィ「ここに隠れて何分くらい経つんだろう」

善子「そもそもこの世界に時間の概念があるとは思えないけど……」


善子(複雑すぎる回廊……数が多すぎる徘徊者……祭壇の位置はコンパスがくるくるまわって分からない……)

善子(まるで地獄絵図だわ……身動き一つ取れないし……徘徊者が通るたびにプレッシャーがかかる……)

善子(見つかれば○される……どうすればいいのかしら……)


善子「はあ……はあ……」

ルビィ「善子ちゃん……?」

善子「大丈夫、ちょっと疲れただけよ」

ルビィ「善子ちゃん……」ギュッ


ルビィは私を抱きしめてくれた。


善子「ルビィ……大丈夫よ」

ルビィ「無理しないで……ルビィも頑張るから」

善子「ええ、ありがとう……ルビィのおかげで落ち着いたわ。 一緒に脱出しましょう」



492: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/09(金) 04:30:20 ID:0q8CGXTE

現状、2人が分かっている徘徊者の情報

・警鐘の徘徊者
提灯と鐘を持つ老人の姿をした徘徊者。
顔には能面をつけている。
水たまり状態で索敵し、高速で接近してくる。
実体化すると鐘を鳴らしてまわりの徘徊者を呼び寄せる。



493: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/09(金) 04:31:25 ID:0q8CGXTE

善子「ここは鍵がかかってるわね」

ルビィ「鍵を開けるよ」ガチャ

善子「……何もない部屋ね」

ルビィ「レバーがあるよ」

善子「このレバーを引くと……」ガチャ

カラカラカラカラ……


善子「下の水門が開いたわね……」

ルビィ「あそこに勾玉があるよ」

善子「これであそこにある勾玉が取れるってわけね……やっぱり鍵を使うだけじゃ勾玉を入手できないようになっているわね……」

ルビィ「うゆ、あっちに行って勾玉を取ろうよ」

善子「ええ……」


私たちは下の階で3つ目の勾玉を入手した。



494: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/09(金) 04:32:41 ID:0q8CGXTE

善子「ずいぶん近いところに4つ目の勾玉があるわね」

ルビィ「うゆ、真ん中においてあるね」

善子「それじゃあ取りにいくわよ」

ルビィ「うゆ」


バァァァァァァァンンンン!!!!


シャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャン


善子「嘘でしょ!? ここも罠部屋なの!?」

ルビィ「善子ちゃん!!」

ルビィは咄嗟にカメラのフラッシュを焚く!!


パシャ!!


凄まじい光で神楽鈴の徘徊者は怯んだ!

ルビィ「善子ちゃん、勾玉を取って逃げよう!」

善子「ありがとうルビィ! 助かったわ!!」



495: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/09(金) 04:33:13 ID:0q8CGXTE

シャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャン


善子「まだ追ってくるわよ!」

ルビィ「うゆ!」

善子「ここの扉を閉めて時間稼ぎするわ! 扉を蹴破ってる間に走って逃げて物陰に隠れるわよ!」


ガラガラ……


私は扉を閉めた!


シャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャン


ダン! ダン!ダン!ダン! ダァァァァンン!!


バァァァァァァァンンンン!!!!


シャンシャン!! ……シャン……シャン……シャン……シャン……



496: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/09(金) 04:33:46 ID:0q8CGXTE

善子「はあ……ッ はあ……ッ」

ルビィ「はあ……ッ はあ……ッ」

善子「どうやら逃げ切ったみたいね……見失ったみたい」

ルビィ「うゆ……」

善子「でもこれで勾玉4つ……あと1つで脱出できるわ」

ルビィ「うん!」


私とルビィは暗闇の中を進む……



497: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/09(金) 04:34:30 ID:0q8CGXTE

善子「それにしても暗いわね……下へ降りる階段がある……」

ルビィ「下は水が張り巡らされてるね……」

善子「ええ、襲われればひとたまりもないわ」

ルビィ「ここを通るしかないよね」

善子「ええ……」


善子「……」バシャバシャ

ルビィ「……」バシャバシャ


善子(かなり疲れてきている……)

善子(ここで襲われれば逃げ切れない……)

善子(はやく上に上がる階段を見つけなきゃ……)


ドタドタドタドタドタドタ……



498: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/09(金) 04:35:08 ID:0q8CGXTE

ドタドタドタドタドタドタ……


ルビィ「善子ちゃん……」

善子「大丈夫よ、上の階だわ……」

ルビィ「分かりにくいね……」

善子「ええ、下に降りてこないといいわね」

ルビィ「ぴぎぃ……」


霊魂のような存在も何かをつぶやきながら近くを通っているようだ……

ボソボソという声が移動しているのが聞こえてくる……


善子「コンパスが狂うわね……勾玉が4つあるから、5つ目は祭壇の近くで取りたいわ」

ルビィ「祭壇に向かいたいのにコンパスが使えないと移動しにくいね……」



499: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/09(金) 04:35:48 ID:0q8CGXTE

善子「上にのぼる階段……ようやくね」

ルビィ「うゆ……」


私とルビィは階段をのぼり、先に進む……


ルビィ「善子ちゃん、あの開けたところに勾玉があるよ!」

善子「また罠かしら……慎重に近づくわよ……」


私とルビィは勾玉を取りに近づく……


善子「……」

ルビィ「……」


善子「何も起こらないわね……」

ルビィ「うゆ……」



500: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/09(金) 04:36:20 ID:0q8CGXTE

善子「じゃあ5つ目の勾玉を取るわよ、祭壇に向かいましょう」

ルビィ「うゆ!」


勾玉を取ったその時だった!


オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛ア゛ア゛アアアアアアアァァァァァァ!!!!!!!


どこからかあの化け物の叫び声が聞こえてくる!!

憎悪を振りまく影がいる!


ルビィ「善子ちゃん……ッ!!」

善子「嘘でしょ……」


おぞましい○気が近づいてくる……



501: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/09(金) 04:36:53 ID:0q8CGXTE

ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ああああああ゛ッ!!!!

あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あああああああああぁぁぁぁぁぁ!!!!!


その叫び声はこちらに向かってきている!


善子「あの時……前の回廊でも5つ目の勾玉を取ったときあの化け物は現れたわ」

善子「今回も現れるなんて……」

ルビィ「善子ちゃん……!!」


善子(完全に油断していた……あれだけ注意を払ったつもりだったのに……)

善子(しかも今回はまずい……まだ祭壇の位置を把握していない……コンパスも使い物にならない……)

善子(祭壇に向かえばいいはずだけど……どっちに逃げればいいのか分からないわ……)


ルビィ「善子ちゃん……ッ!!」

善子「ルビィ! カメラの用意をして!」


ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ああああああ゛ッ!!!!

あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あああああああああぁぁぁぁぁぁ!!!!!



502: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/09(金) 04:37:24 ID:0q8CGXTE

善子「カメラはあと何回使える!?」

ルビィ「あと1回だよ!」

善子「1回……そのうちに祭壇を見つけるの……ッ!?」


ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ああああああ゛ッ!!!!

あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あああああああああぁぁぁぁぁぁ!!!!!


ルビィ「ぴぎぃ!! 善子ちゃん!! もう来てるよ!!」

善子「ルビィ、走って!!」


ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ああああああ゛ッ!!!!

あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あああああああああぁぁぁぁぁぁ!!!!!



503: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/09(金) 04:37:57 ID:0q8CGXTE

善子「はあ……ッ はあ……ッ」

ルビィ「はあ……ッ はあ……ッ」


ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ああああああ゛ッ!!!!

あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あああああああああぁぁぁぁぁぁ!!!!!


ルビィ「もう追いつかれちゃうよ!!」

善子「待って!! あの棚に手鏡がある!! あれでワープするわよ!!」

ルビィ「うゆ!!」


私たちは手鏡を拾うとすぐにワープする!!

一瞬で景色がどこかの部屋へと変わる。

どうやら別の場所に移動できたようだ。



504: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/09(金) 04:38:44 ID:0q8CGXTE

善子「はあ……ッ はあ……ッ」

ルビィ「はあ……はあ……これで大丈夫?」

善子「いいえ、あいつはどこまでも追いかけてくる……ここに来るのも時間の問題よ!」

ルビィ「ぴぎぃ!! どうするの!!」

善子「コンパスはまだ使えない?」

ルビィ「うゆ、まだダメだよ」


善子「身を守れるものは……あとカメラ1回だけ……そしてコンパスは使えない……これで祭壇まで行く……」

ルビィ「無理だよそんなの!!」

善子「やるしかないのよルビィ! やらなければ……」

ルビィ「はあッ……はあッ……」



505: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/09(金) 04:39:56 ID:0q8CGXTE

ルビィは持っていた猫の鈴を握りしめ、祈るように言う……

ルビィ「お願い、猫しゃん……ルビィたちを助けて……」

善子「ルビィ……」

そのときだった……


シャリン……


私たちの目の前に光の球が現れた!

善子「これは……あの時の光……私たちを助けてくれたあの光だわ」

ルビィ「猫しゃん……」

宙に浮かぶ光の球はどこかへと移動しはじめる……

善子「私たちを導いてくれるの……?」

ルビィ「ついて行こう善子ちゃん!!」

善子「ええ、今はそれしかないわ!」


私とルビィはその光についていく……



506: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/09(金) 04:40:27 ID:0q8CGXTE

ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ああああああ゛ッ!!!!

あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あああああああああぁぁぁぁぁぁ!!!!!


善子「来てるわね」

ルビィ「うゆ……」

善子「カメラを用意して!」

ルビィ「できてるよ!」


ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ああああああ゛ッ!!!!

あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あああああああああぁぁぁぁぁぁ!!!!!



507: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/09(金) 04:41:23 ID:0q8CGXTE

善子「来たわ!! カメラを使って!! 今よ!!」

ルビィ「えい!!」


パシャ!!


オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛ア゛ア゛アアアアアアアァァァァァァ!!!!!!!


凄まじい光に化け物は叫び声を上げて怯んだ!


善子「今のうちにあの光の球についていくわ!」

ルビィ「うゆ!!」



508: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/09(金) 04:42:04 ID:0q8CGXTE

光は暗闇を照らしながら進む……


すると祭壇のような場所へと辿り着いて消えた……


ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ああああああ゛ッ!!!!

あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あああああああああぁぁぁぁぁぁ!!!!!


善子「着いたわ!! あいつが来てる!! はやく勾玉を納めるわよ!!」

ルビィ「うゆ!!」


私たちは集めた5つの勾玉を祭壇に納めた!


おぞましい○気はどこかへと消え去った……


そして目の前の扉が開いた……



509: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/09(金) 04:42:36 ID:0q8CGXTE

善子「とにかく中に入りましょう」

ルビィ「うゆ!」


私とルビィは走って奥へ行く。

すると……


バタン!!


後ろで扉が閉まった……それと同時に!


バァァァァァァァンンンン!!!!


シャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャン


目の前の扉を蹴破って神楽鈴の徘徊者が飛び出してきた!!



510: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/09(金) 04:44:26 ID:0q8CGXTE

善子「嘘でしょ!? 後ろの扉は閉まってるし逃げられる場所なんてないわよ!?」

ルビィ「ぴぎゃぁぁぁぁ!!!!」


シュィィィィィンン


突然、神楽鈴の徘徊者は謎の光に包まれる!

そして神楽鈴の徘徊者は倒れて動かなくなった……


善子「はあ……はあ……」

ルビィ「はあ……はあ……怖かった……」


善子「何が起きているのかしら……」


私たちは奥へと進んでいく……



511: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/09(金) 04:45:03 ID:0q8CGXTE

奥へ行くと祭壇のような場所に出た……

そしてそこには畳と布団があり、誰かが布団に横になっている……


ルビィ「誰だろう……」

善子「眠っているのかしら……?」


そのとき、後ろから声が聞こえた。


???「私のお母さんよ」


振り向くとそこにはあのときの謎の少女がいた……



512: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/09(金) 04:45:38 ID:0q8CGXTE

善子「あなた……」

ルビィ「この人、あなたのお母さんなんだね」

謎の少女「もうずっと長い間眠ったまま。その魂は体を離れ、底知れぬ憎悪に苛まれながら、今もこの世界を彷徨い続けている」

謎の少女「何とか体は維持していたけど……あの子が器を壊してしまった」

善子「Kのことね……」

謎の少女「もう時間がない、今すぐ生き返らせなければ……」

善子「どういうこと……?」

謎の少女「魂と体を一体化させるためには、途方もない力が必要なの。あの器で普通の魂を集めても、お母さんの体を維持するのでやっと」

謎の少女「だから、これを被せた」


少女が手をかざすとあの能面が現れた。


謎の少女「この面を被れば、魂の力が何倍にも増幅される。元となる魂が強ければ強いほどね」

謎の少女「その力の大きさゆえに大抵は自我を失い、人ならざる者へと変異する。でも、そういう者達は普通の魂を集めるのに役に立った」

謎の少女「あの子は素晴らしい魂を持っていた。あんなに自我を保っていられるなんて、正直驚いたわ」

ルビィ「Kしゃん……」



513: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/09(金) 04:46:12 ID:0q8CGXTE

謎の少女「本当は、増幅した魂を収穫したかったけど……分かるでしょ、もう時間がないの」

謎の少女「あなたたちには、今○んでもらうわ……」

善子「……ッ!?」

ルビィ「ぴぎぃ!?」


謎の少女はそう言って手をかざす……


ルビィ「ぴぎゃぁぁぁぁ!!」

善子「ここまでなの……ッ!!」


しかし何を思ったのか、少女はその手を下ろした……


謎の少女「……」

善子「……?」

謎の少女「……まあいいわ……素の魂なんて、足しにもならない」

ルビィ「……え? 助かったの……?」

謎の少女「そこで見てるといい」



514: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/09(金) 04:46:57 ID:0q8CGXTE

善子「何をするつもり……」


少女は横たわる彼女の母親の前に進み、力を使う……

緑色のエネルギーのような光が母親に注がれていく……


母親を蘇らせようというのだろうか……


しかし……


オ゛オ゛オ゛オ゛オオオオオオォォォォォォォ!!!!!!


その光の中から異形の姿をした怪物が飛び出してきた!


善子「なに……ッ!?」

ルビィ「ぴぎぃ……」


謎の少女「なんで……!? こんなはずじゃない!! 待って、お母さん!!」



515: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/09(金) 04:47:41 ID:0q8CGXTE

善子「なんだったの……」


見ると目の前から少女と母親はいなくなっていた……

あたりは崩壊し、岩が落ち、ところどころ炎が上がっている……


???「遅かった……」


振り返ると、そこにはあの黒猫がいた。

首には勾玉の首飾りをつけている。


ルビィ「猫しゃん、あなたが話したの……?」

猫「やっと私の声が届きましたね」

善子「猫がしゃべってる……」

猫「事態は一刻を争うので、手短に話します。私のことは、ひとまず置いておいてください」

猫「彼女は、復活に不足していた力をこの世界を構成する力で補填したようです」

猫「お陰で私の声が届くようになりましたが……この世界はまもなく崩壊するでしょう」



516: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/09(金) 04:48:20 ID:0q8CGXTE

猫「復活のために集められた魂はどれも苦痛や憎悪によって歪んでいた」

猫「それがあの人を変えてしまいました」

猫「今のあの人は、もはや人ではありません。底なしの憎しみに呑み込まれた怪物。憎悪そのものです」

ルビィ「そんな……」

猫「あの怪物は、やがてあなたの世界に現れることになります。人の魂を食らい、さらにその力を増し、とてつもない災厄になる……」

善子「なんですって……」

猫「まだ力が弱いうちに、こちらの世界で対処しなければなりません」

ルビィ「どうやって?」

猫「この世界の礎となった27の人柱、その魂が燻っている場所があります。今なら、私でもその封印を解けるでしょう」

猫「27の人柱は膨大な力を蓄えている。とても制御はできませんが、真っ先にあの怪物に向かっていくはずです」

猫「あとは、彼らが足止めしてくれます。時間が稼げれば、あの怪物もこの世界と共に消え去るでしょう」

猫「あなたたちは、その場所まで怪物を誘導してください。道中は、私が力を貸します」



517: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/09(金) 04:48:50 ID:0q8CGXTE

猫「上手くいけば、あなたたちを元の世界に返しましょう。 それでいいですね?」

善子「……」

猫「この首飾りを持って行ってください。あなたの身を守ってくれます。封印を解くためにも必要ですので、くれぐれも無くさないように」


そう言って猫は勾玉の首飾りを私たちの足元に置いた。


猫「私は先回りしています。また後で会いましょう」


そう言い残して猫はどこかへと行ってしまった。


ルビィ「……大変なことになっちゃったね」

善子「……ええ」



518: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/09(金) 04:49:20 ID:0q8CGXTE

善子「話をまとめましょう……あの子のお母さんは怪物へと姿を変えた……」

ルビィ「そのお母さんはルビィたちの世界にやって来ちゃうんだよね」

善子「そうならないためにも今ここで足止めをする……」


善子「……ええ…………」

ルビィ「うゆ……ルビィたちに出来るかな……」

善子「やらなければならないわ……絶対に……」

ルビィ「うゆ……」


私たちは歩みを進める……


祭壇の奥にあった鏡から別の場所へと移動した……

────
──



519: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/09(金) 04:49:50 ID:0q8CGXTE

復活した少女の母は

少女が望んでいた、かつての母の姿ではなかった


強大な力を得て肥大化した憎悪は

今、全ての命を食らい尽くさんとしている


いずれこの世界は消滅する

私たちが生き残るためにも

あの怪物を止めなければならない



521: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/10(土) 04:22:15 ID:1///zhAs

─???─

善子「ここは……」

ルビィ「綺麗なところ……」


荒廃した世界は夕陽に照らされ橙色に染まっていた。

建物は崩壊し、岩や鳥居は宙を浮いている。

広い荒野の地面が続いている……


善子「歩いていきましょう……」

ルビィ「うゆ……」


私たちはこの荒廃した美しい世界を進んでいく……



522: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/10(土) 04:23:04 ID:1///zhAs

橋を渡っていくと、崖の前にあの謎の少女がいる……


善子「近づいてみましょう」

ルビィ「うゆ」


謎の少女「私は昔……人間として生きようとした」

謎の少女「でも……大切なものは全て人間が奪っていった」

謎の少女「私は、人間であることを捨て、心を捨てた。そして、数えきれない人間を殺した」

謎の少女「全ては、もう一度お母さんに会うため……そのためだけに……」

謎の少女「これで終わらせない……もう、あの時の私とは違う……」

謎の少女「今度こそ……絶対にお母さんを助ける……!」


少女の手は震えていた……そしてその震える手を握りしめる……


善子「……」

ルビィ「……」



523: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/10(土) 04:23:49 ID:1///zhAs

オ゛オ゛オ゛オ゛オオオオオオォォォォォォォ!!!!!!


肥大化した憎悪がその姿を現した!

少女の母は醜い化け物へと姿を変えていた。

その姿は、浮遊する巨大な金魚のようであった……

おぞましい叫び声、魚のような外見、するどく巨大な牙……

激しい憎悪によって歪んでしまったその姿は、あの猫の言う通り、まさしく憎悪そのものだった。


善子「あれが……あの子のお母さん……」

ルビィ「そんな……こんなひどいことが……」



524: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/10(土) 04:24:26 ID:1///zhAs

憎悪の化け物は少女に向けて金魚型の追尾弾を発射する!

ゆらゆらと揺れながら少女めがけて飛んでいく金魚型の追尾弾……


シャン!!


少女は手をかざす。

金魚たちは少女の目の前で爆発する。

着弾する前に打ち落としたようだ。


少女は鳥居の上に瞬間移動する! 彼岸花のような光が飛び散る。


しかし……


オ゛オ゛オ゛オ゛オオオオオオォォォォォォォ!!!!!!


憎悪の化け物は鳥居ごと食い散らかし、すべてを破壊する!!

少女はたまらず崖の下へと落下していった……



525: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/10(土) 04:25:24 ID:1///zhAs

ルビィ「ああ!! あの子が!!」

善子「ルビィ! 私たちも行くわよ!! 人柱が封印されている場所へ、アレを誘導するの!!」

ルビィ「うゆ……ッ!!」


後ろから巨大な金魚の化け物が私たちを追いかけてくる。 私とルビィは走り出した!

化け物は、地面も建物も、何もかもを食らい尽くしながら迫ってくる!!


善子「はあッ……はあッ……」

ルビィ「はあッ……はあッ……」


オ゛オ゛オ゛オ゛オオオオオオォォォォォォォ!!!!!!


ガラガラガッシャーン!!


善子「とんでもなくやばいわね! 追いつかれたらそれこそ終わりよ!!」

ルビィ「ぴぎぃ!!」


オ゛オ゛オ゛オ゛オオオオオオォォォォォォォ!!!!!!



526: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/10(土) 04:26:08 ID:1///zhAs

善子「はあ……はあ……廊下みたいなところに来たわね!」

ルビィ「うゆ……嫌な予感がするよ……」


すると、私たちの足元から影ような黒い手が無数に生えてきた!!


ルビィ「ぴぎゃぁぁぁぁ!!!! 下から手がたくさん出てくる!!」

善子「捕まったら終わりよ!! 走って!!」


空間を切り裂くように無数の手が地面から出てくる……

私たちはそれを避けながら走る……


善子「はあ……はあ……」

ルビィ「はあ……はあ……」


オ゛オ゛オ゛オ゛オオオオオオォォォォォォォ!!!!!!



527: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/10(土) 04:26:56 ID:1///zhAs

善子「はあ……はあ……」

ルビィ「はあ……はあ……今度は開けた場所に来たよ」


憎悪は自分の体から金魚型の追尾弾を無数に発射する!!


善子「あれは……ルビィ!! あの岩の裏に隠れるわよ!!」

ルビィ「うゆ!!」


私たちは岩の裏に隠れて様子をうかがう……


金魚型の追尾弾は着弾すると爆発して消えるようだ……


善子「あれを食らうとやばいわね……ルビィ、隠れてやり過ごしながら走るわよ!」

ルビィ「ぴぎゃぁぁぁぁぁ無理ぃぃぃぃ!!!!」

善子「やらなければ帰れないわ!!」


オ゛オ゛オ゛オ゛オオオオオオォォォォォォォ!!!!!!



528: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/10(土) 04:27:43 ID:1///zhAs

善子「はあ……はあ……」

ルビィ「はあ……はあ……」


金魚たちは私たちを追うようにゆらゆらと揺らめきながら飛んでくる……


善子「まだ走って!! あそこまで行くのよ!!」

ルビィ「うゆ!!」


善子「今度は建物の中……障子がいっぱいあるわね」


バァァァァァァァァンンンン!!!!


金魚たちは障子に着弾すると障子が木っ端みじんになって飛び散る!!


オ゛オ゛オ゛オ゛オオオオオオォォォォォォォ!!!!!!



529: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/10(土) 04:28:25 ID:1///zhAs

善子「タイミングを見計らって走るわよ!!」

ルビィ「うゆ!!」


バァァァァァァァァンンンン!!!!


善子「はあッ……はあッ……」

ルビィ「はあッ……はあッ……」


バァァァァァァァァンンンン!!!!


善子「あの物陰に隠れるわ!!」

ルビィ「うゆ!!」


オ゛オ゛オ゛オ゛オオオオオオォォォォォォォ!!!!!!



530: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/10(土) 04:29:06 ID:1///zhAs

善子「はあ……はあ……」


あの巨大な化け物は私たちの真横まで接近する……


ルビィ「ぴぎゃぁぁぁぁ!!!!」


キィィィィィィン


すると化け物の目が光り出す!!


善子「はあ……はあ……」

ルビィ「はあ……はあ……」


善子「神通力で攻撃してきてるみたいね!! この辺り一帯を焼き尽くす光の攻撃……物陰に身を潜めてやり過ごすわよ!!」

ルビィ「うゆ!!」

善子「あのおぞましい○気よりやばいわ……あれは目を合わせると呪いの力で命を削り取られたけど、こっちは光に当たるだけで体力を持っていかれる!!」

善子「物陰に隠れていれば大丈夫みたいね」



531: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/10(土) 04:29:48 ID:1///zhAs

キィィィィィィン


善子「いい? 光が消えた瞬間に向こうの物陰まで走るわよ!!」

ルビィ「うゆ!!」

善子「今よ!! 走って!!」

ルビィ「はあ……はあ……」


キィィィィィィン


善子「隠れて!!」

ルビィ「うゆ!!」


善子「はあ……はあ……」

ルビィ「はあ……はあ……」



532: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/10(土) 04:30:41 ID:1///zhAs

憎悪の化け物からの攻撃は苛烈を極める……

私とルビィはなんとかやり過ごしながら目的地へと走る!


オ゛オ゛オ゛オ゛オオオオオオォォォォォォォ!!!!!!


善子「はあッ……はあッ……」

ルビィ「はあッ……はあッ……」


善子「今度は建物の中ね……」

ルビィ「暗くてよく見えないよ」


シャリン……


あの光の球が現れた!


ルビィ「猫しゃん!!」

善子「あの光についていくわよ!!」



533: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/10(土) 04:31:17 ID:1///zhAs

私たちが光の球についていくと下から影のような黒い手がまた無数に出現する!


善子「また来たわね! 走るわよルビィ!!」

ルビィ「うゆ!!」


オ゛オ゛オ゛オ゛オオオオオオォォォォォォォ!!!!!!


私たちは走って光の後をついていく!


外へと出ると光の球は消えた……


善子「はあ……はあ……」

ルビィ「はあ……はあ……」



534: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/10(土) 04:31:59 ID:1///zhAs

善子「ここは……開けた場所ね」

ルビィ「彼岸花がいっぱい咲いてるね」


赤い巨大な鳥居が立てられ、地面は石畳になっている。

彼岸花が辺り一面に咲いている。


そして、奥に高台が見える!!

あそこが目的地だ!!


善子「あそこまで行くわよ!」

ルビィ「うゆ!!」


彼岸花が咲き乱れる地を走って進んでいく!


善子「はあッ……はあッ……」

ルビィ「はあッ……はあッ……」



535: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/10(土) 04:32:32 ID:1///zhAs

高台に到着するとあの化け物が浮遊していた……

どうやら上手く誘導できたようだ!


そして勾玉の首飾りが光り出した!


化け物の下の大地に紋様が浮かび上がり、光り出す!


オ゛オ゛オ゛オ゛オオオオオオォォォォォォォ!!!!!!


地の底から無数の巨大な手が伸びてきた!


無数の手は肥大化した憎悪を捕まえると地の底へと引っ張っていく!


謎の少女が化け物に向かって走りながら叫ぶ!!


謎の少女「お母さん!」


あの黒猫がその後ろから少女を追いかける。


猫「いっちゃだめ!」



536: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/10(土) 04:33:19 ID:1///zhAs

少女は高台から飛び降り、化け物が引きずり込まれた地の底へと落ちていった……


善子「そんな……」

ルビィ「あの子が……」


猫「……」


猫「こうするしか方法がなかったの……ごめんなさい……ヒバナ……」


ルビィ「あの子、ヒバナちゃんっていうんだ……」

善子「ヒバナ……」


猫は少女が落ちていった地の底を見つめている……



537: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/10(土) 04:34:01 ID:1///zhAs

猫「……」


猫「彼女はこの世界で、あまりにも多くの人の命を奪ってきました」

猫「ですが、母に会うために彼女はそうするしかなかったんです」

善子「……」

ルビィ「かわいそう……」


猫「彼女は人としての心を捨て、母のために化け物として生きた」

猫「その苦悩は想像を絶します。 彼女は、とても優しい人でしたから……」

猫「ですが……もうこれ以上、彼女が苦しむこともありません」

善子「……そうね」



538: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/10(土) 04:34:34 ID:1///zhAs

猫「この世界も間もなく消え去り、誰かが迷い込むことも無くなります」

猫「あなたたちのお陰です」

ルビィ「……」

猫「あなたたちには、話しておきたいことが沢山ありましたが……」

猫「残念ながら、もう時間がありませんね」

善子「話しておきたいこと……」

猫「約束通り、あなたを元の世界へと送りましょう」

ルビィ「猫しゃんも一緒に脱出しないの……?」

猫「私は、この世界に残ります」

猫「この世界は、彼女の心そのもの。彼女が創ったこの世界の終わりを、見届けてあげたいんです……」

猫「あなたたちが来てくれてよかった」

善子「……」



539: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/10(土) 04:35:13 ID:1///zhAs

猫「ありがとう……ございました……」

 
  
   
     
善子「…………ごめんなさい」

 
  
   
私たちは元の世界へと帰ったのだった……



540: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/10(土) 04:35:51 ID:1///zhAs

─元の世界─


気がつけばあのトンネルにいた……

外からは光が差し込んでいる……


善子「……」

ルビィ「……」


ルビィ「……かわいそうだったね」

善子「……ええ」


???「ルビィちゃん! 善子ちゃん!」



541: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/10(土) 04:36:36 ID:1///zhAs

ルビィ「……花丸ちゃん……花丸ちゃぁ!!」ギュ

花丸「ルビィちゃん!!」ギュ

善子「……帰ってきたのね、私たち」

花丸「よかったずら……本当に無事でよかったずら……」グスン

ルビィ「花丸ちゃぁ……」グスン



542: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/10(土) 04:37:09 ID:1///zhAs

化け物と恐れられた少女は母と共に奈落へと消え

その悲願を遂げることは叶わなかった

それは、彼女が背負った業なのだろう


「もう一度母に会いたい」という少女の願いは

化け物と呼ばれるには、あまりにも人間らしく純粋なものだった……



543: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/10(土) 04:37:40 ID:1///zhAs

善子「……ごめんなさい」

ルビィ「……善子ちゃん?」

善子「……ごめんね」グスン

ルビィ「善子ちゃん……」

花丸「……善子ちゃん…………」ギュ

善子「ずら丸……」

花丸「……マルには何があったか分からないけれど、善子ちゃんのせいじゃないずらよ」

善子「そう……だけど……」



544: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/10(土) 04:38:12 ID:1///zhAs

善子「私には……私には、あの子が悪いだなんて、そう簡単に切り捨てることはできない……」

善子「失った命を蘇らせるなんて…………あの子のやったことは決して正しいと言えることではない」

善子「でもね、あの暗闇の迷宮はあの子の心……あの子がどれほど悲しい思いをしてきたか、すごく分かるの」

花丸「善子ちゃんは優しいから……」

善子「やっと分かったの……私、この前、あの世界から戻ってきてからずっと心の底に引っかかりを感じてた」

善子「心がなんかもやもやして……ずっと……でもようやく分かった……あの迷宮はあの子の悲しみ……きっとあのときの私はそれを感じ取ったのよ」

ルビィ「善子ちゃん……」

善子「もしかしたら私はあの子を助けられたかもしれない……そう思うの」

善子「そう考えたら……悲しくて……私がもっとちゃんとしていたら……」

花丸「善子ちゃん……」

花丸「残酷な時の流れを巻いて戻す術なんてないずら……」

花丸「善子ちゃんの心の傷を治す術も……マルには……」

花丸「……」



545: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/10(土) 04:39:06 ID:1///zhAs

花丸「善子ちゃん……もう一度やり直せるとしたら、善子ちゃんはまた前を向いてくれる?」

善子「ええ……でも時を戻すことなんてできない……いくらあんたでも……」

花丸「マルにはそんな力ないずら……でも……」


花丸「これがあるずら」


花丸は珍しい和柄の懐中時計を握っていた……


善子「それは……」

花丸「これは……時をほんのわずかに戻すことができる時計ずら……」

花丸「マルのお寺にあった時計……書物にも書いてあった……」

花丸「1回だけしか使えない……本当は見せるつもりもなかった……」

花丸「でも……マルはこんなに悲しむ善子ちゃんを見たくないの……」



546: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/10(土) 04:39:39 ID:1///zhAs

善子「それを使えば、あの子を助けられるの……?」

花丸「分からない……崩壊して消え去った世界まで戻るかどうかも……」

花丸「でも賭けてみる価値はある……」

善子「……」

花丸「使ってみる……?」

善子「……ええ」

ルビィ「そんな……善子ちゃん! あの世界に戻るなんて!」

花丸「オラも本当は行って欲しくないずら……」

花丸「大事な友達が危険な目にあうなんて……もしものことがあったら……オラの心は耐えられないずら……」グスン

善子「ずら丸……」



547: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/10(土) 04:40:26 ID:1///zhAs

善子「でも私、やっぱりあの子を助けたいの! お願い! 力を貸して!」

花丸「……そう……でも約束して……必ず生きて帰ってくるって」

善子「ええ……」

ルビィ「善子ちゃん!!」

善子「ルビィ、あんたは残りなさい……一緒に来る必要なんてないわ」

ルビィ「ううん、ルビィも行くよ……ルビィもあの子を助けたいもん!」

善子「ルビィ……」

花丸「決まりずらね……オラも一緒に行くずら」

善子「でもあんたは戻った時の先にいないわよ……」

花丸「すぐに追いかけて行くから先に行っててほしいずら」

善子「……分かったわ」

花丸「……与えられた猶予を大事にしてね」

善子「ええ……きっとやり遂げる」



548: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/10(土) 04:41:05 ID:1///zhAs

私たち3人は手をつないだ。


善子「一緒に行くわよ!」

ルビィ「あの子を助けて、みんなで生きて帰るよ!」

花丸「マルも協力するずら!」


私たち3人は時を戻す懐中時計を使った……


あの子を助けるために……再びあの世界へと戻る……


キュキュキュキュキュキュ……

────
──



549: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/10(土) 04:41:44 ID:1///zhAs

─???─

善子「ここは……船の上……Kとの別れて、そのあと船でうとうとしていた時ね……」

善子「いま私たちは時を巻き戻してここまで戻ってきた……」

善子「花丸はいないわよね……別行動を取るつもりみたいね……ルビィ! ルビィ起きて!」

ルビィ「うゆ……ここは……」

善子「どうやらあの世界へと戻って来たみたいよ」

ルビィ「本当だ……戻って来てる……」

善子「ルビィ……やるわよ……」

ルビィ「うゆ!」



550: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/10(土) 04:42:20 ID:1///zhAs

ルビィ「善子ちゃん、具体的には何をするの?」

善子「ここまで戻ってきたということは何か意味があるはず」

善子「でも、さっきと同じことをやったのでは最悪の未来は避けられないわ」


善子「今まで祭壇の扉を開くためには勾玉を5つ集めてきたわよね」

ルビィ「うん」

善子「じゃあ大勾玉は今いくつある?」

ルビィ「ええっと、4つあるよ」

善子「そう、4つ……あと1つあるってことよ」

ルビィ「どういうこと?」

善子「大勾玉は何かを守っている……大事な何かをね」

善子「賭けてみるのはそれよ! この先のあの不気味な回廊で大勾玉を取るわ」

善子「そして、その大勾玉でもう一つの未来をつかみ取るわ!」

ルビィ「うん……ルビィは善子ちゃんを信じるよ」

善子「私を信じてくれてありがとう、ルビィ」



551: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/10(土) 04:43:37 ID:1///zhAs

善子「そしてあなたのことも助けるわ、猫ちゃん」

私は船首に座る猫に言う。


船はあの不気味な回廊の船着き場へと着いた……

あの猫はどこかへといなくなってしまった……


善子「いくわよ……」

ルビィ「うゆ……」


善子「いい? 今回はいつも取っている勾玉は取らないわ」

善子「大勾玉だけ取ることを考えましょう」

ルビィ「うゆ」


私たちは大勾玉を取るため前へと進む……



552: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/10(土) 04:44:20 ID:1///zhAs

善子「本当に不気味な回廊ね……」

ルビィ「うゆ……」

善子「おそらく大勾玉は鍵のかかった部屋にあるわ」

善子「そして、特別な部屋にも鍵がかかっているはず」

ルビィ「特別な部屋……?」

善子「ええ、落とし穴の部屋を覚えてる?」

ルビィ「うん」

善子「あそこに特別な部屋があるわ」

ルビィ「そうなの?」

善子「おそらく…………あと戻りできない場所に大勾玉を置くとは考えにくいわ」

善子「そうなると大勾玉は別の場所にあって、あそこは特別な部屋ということになるわ」

ルビィ「……その落とし穴の下の部屋に鏡があれば戻れるんじゃない?」

善子「ちょっと! 急に不安になってきたじゃない!」



553: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/10(土) 04:45:00 ID:1///zhAs

善子「でもやることは一緒よ、大勾玉を探して、見つけたら落とし穴の部屋から下に降りる」

善子「仮に見つけられなくても下に降りてみる」

善子「これでもし落とし穴の下の部屋が大勾玉の祭壇だったとしても大丈夫よ」

善子「念のため手鏡も持って行きましょう」

善子「下の部屋から帰れなくなると困るから」

ルビィ「うゆ! 分かったよ!」


私たちは暗闇の中を彷徨い続ける……


あの徘徊者たちをやり過ごして先へと進んでいく……


そしてついに大勾玉の祭壇を見つけることができた……


鬼の面が飾ってある祭壇だ……私たちは大勾玉を取った。



554: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/10(土) 04:48:21 ID:1///zhAs

善子「これで大勾玉5つゲットよ!」

ルビィ「うゆ! 落とし穴の部屋に行こう!」


私とルビィは落とし穴の部屋に行った……

────
──

善子「落とし穴の部屋を見つけた……さあ、やるわよ……レバーを引いて下に落ちる……あそこの穴、つまり部屋に飛び移るわよ」

善子「高さはさほど高くないから落ちても大丈夫よ」

ルビィ「うゆ!」

善子「いくわよ……穴に向かって走って!!」

ルビィ「うゆ!!」


私とルビィは走りながら下へと落ちていく……

そして部屋のある穴に飛び移ることに成功した!



555: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/10(土) 04:49:00 ID:1///zhAs

善子「はあ……はあ……」

ルビィ「はあ……はあ……」

善子「ルビィ、どこか怪我してない? 足とか痛くない?」

ルビィ「うゆ、大丈夫だよ」

善子「私も大丈夫よ……さあ、中に入りましょう」


私とルビィは鍵を開けて部屋の中へと入っていく……



556: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/10(土) 04:49:31 ID:1///zhAs

部屋の中には鏡があった……


善子「これでどこかへワープするのね」

ルビィ「うゆ、行こう」


私とルビィは鏡に触れた……一瞬で景色が変わり、どこかへと移動したことが分かる……


善子「ここは……どこかの部屋ね」

ルビィ「奥に扉があるよ!」

善子「行きましょう」


私とルビィは部屋の奥へと行く……



557: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/10(土) 04:50:27 ID:1///zhAs

善子「また綺麗な場所に出たわね」

ルビィ「うゆ」


扉を開けると中には大きな鳥居があった。

あちこちから滝のように水が流れ落ちている。

まわりには灯りのともった石灯籠があり、洞窟の中のような場所なのに明るい。

石畳の階段の上には何かの祭壇のようなものがあり、大勾玉を5つ納めることができそうだ。


善子「行きましょう、あそこよ」


私たちはゆっくりと階段をのぼっていく。



558: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/10(土) 04:51:20 ID:1///zhAs

善子「納めるわよ……」

ルビィ「うん!」


この世界のあちこちで手に入れた特別な勾玉……大勾玉を5つ納めると目の前の巨大な石の門が開いていく……


ゴゴゴゴゴゴゴ……


石の扉は大きな音を立てて開いた。


善子「開いたわ……」

ルビィ「すごいよ善子ちゃん! 大勾玉の秘密を解いちゃうなんて!」

善子「でもここからよ、ルビィ」


善子「あの子を助けるために、行くわよ」

ルビィ「うゆ!」



559: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/10(土) 04:51:55 ID:1///zhAs

巨大な石の門をくぐり、中へ行くとそこには彼岸花が咲き乱れる石畳の道があった。

洞窟の中のような場所だが、灯りのともった石灯籠があちこちにあり、明るかった。

彼岸花は赤く光り、その花びらは宙へと舞っていた。

彼岸花と石灯籠による光の道が続いていた。


善子「進むわよ」

ルビィ「綺麗な場所だね」


進んでいくと小さな赤い鳥居があった。

彼岸花に囲まれ、その中央には台座と鏡が置いてあった。


善子「行くわよ……」

ルビィ「うゆ……」


私とルビィは鏡へと触れた……一瞬で景色が変わる……どこかへと移動したようだ。



560: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/10(土) 04:52:25 ID:1///zhAs

まるで何かを守っているかのように

堅く閉ざされていた石の大扉が

重々しい音を立てて開いた


少女のこと……

不思議な猫のこと……

この世界のこと……


私たちは、隠された真実に迫ろうとしていた



563: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/10(土) 19:43:32 ID:1///zhAs

─???─

善子「ここは……また回廊かしら?」

ルビィ「え、ということはまた迷宮を彷徨うの……?」

善子「そうなるわね……でもやることは変わらない……勾玉を5つ集めて祭壇に納めればいいのよ」

ルビィ「うゆ……」


私とルビィは先へと進む……


善子「彼岸花が咲いてるわね……水も流れてるわ……綺麗なところ……」

ルビィ「うゆ……」

善子「さあ、入るわよ」


中に入ると暗闇の回廊が奥へと続いていた……



564: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/10(土) 19:44:16 ID:1///zhAs

善子「床は木材や畳……壁は土壁かしら? 白を貴重としていてとても綺麗な印象ね……」

ルビィ「うゆ……あの不気味な回廊よりは綺麗だね」

善子「燭台がないわね……ろうそくに火をともして明かりを確保したかったんだけど……」

ルビィ「あちこちに鉢植えがあるよ、彼岸花が植えてある」

善子「なんでこんなに彼岸花が置いてあるのかしら……まさか……」


私は彼岸花に灯りをともした……

ふわっと花びらが散り、彼岸花は赤く光り、あたりを照らしていた。


ルビィ「綺麗……」

善子「この彼岸花……光るのね……」

ルビィ「じゃあ、彼岸花で灯りをともせばいいんだね!」

善子「そういうことね……」



565: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/10(土) 19:45:04 ID:1///zhAs

善子「もっと探索していきましょう」

善子「こっちのタンスや棚を調べて……」

ルビィ「爆竹……ひかり石……それからカメラに手鏡、鍵もあるよ」

善子「これは……何かしら?」

ルビィ「何だろう? お皿の上に乗ってるね?」

善子「まさか……トカゲの尻尾?」

ルビィ「ぴぎぃ!? なんでこんなものが!?」

善子「……持って行きましょう」

ルビィ「嘘でしょ善子ちゃん!?」

善子「コンパスはこっちを指しているわ……行くわよ」

ルビィ「うゆ……」



566: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/10(土) 19:45:34 ID:1///zhAs

グスン……グスン……


善子「泣き声の主ね、爆竹で誘導してあそこにある勾玉を取るわよ」

ルビィ「うゆ、もし他の徘徊者しゃんが来たときのために逃げる場所も考えて……あっちとかどうかな?」

善子「ええ、大丈夫そうね……じゃあ、爆竹で気を引くわよ……えい」ヒョイ


……


パチパチパチパチ……


グスン……グスン……


善子「移動してるわね……慎重に勾玉を取るわよ」

ルビィ「うゆ」


私たちは1つ目の勾玉を入手すると、その場を立ち去った。



567: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/10(土) 19:46:10 ID:1///zhAs

善子「次いくわよ……あら? あんなところに勾玉があるわ」

ルビィ「本当だね、取ろうよ」

善子「ええ……」ガチャガチャ

善子「扉が開かないわね、鍵が閉まってるわけではないみたいだし」

ルビィ「こっちの部屋は鍵がかかってるよ」

善子「開けてみましょう」

ルビィ「中にはレバーがあるよ」

善子「引いてみましょう」ガチャ

カチッ

善子「あ、こっちの部屋の扉が開いた」

ルビィ「うゆ、じゃあ勾玉を取ろうよ」

善子「ええ、2つ目ゲットね」


私たちはさらに先に進んでいく……



568: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/10(土) 19:46:42 ID:1///zhAs

シャン……シャン……シャン……シャン……


善子「神楽鈴の徘徊者ね、隠れましょう」

ルビィ「うゆ」


シャン……シャン……シャン……シャン……


善子「あら?」

ルビィ「どうしたの善子ちゃん?」

善子「彼岸花の灯りが……点滅してない」

ルビィ「本当だ」


シャン……シャン……


善子「どこかに行ったわね」

ルビィ「うゆ……」



569: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/10(土) 19:47:15 ID:1///zhAs

ルビィ「この灯りは徘徊者しゃんが来ても消えないんだね、やったね!」

善子「逆よ、ルビィ」

ルビィ「え?」

善子「灯りが消えないということは、もし徘徊者が近づいてきてもどっちから来てるか分かりにくいということよ」

善子「今まではろうそくの火の揺らめきでなんとなく位置が分かっていたわ」

善子「でも灯りが消えないから自力で徘徊者を探さなくちゃいけないの……」

ルビィ「うゆ……そう考えるとたしかに怖いね……」



570: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/10(土) 19:47:52 ID:1///zhAs

善子「それにしても、おかしい……」

ルビィ「どうしたの善子ちゃん?」

善子「簡単すぎる……」

ルビィ「え……? 善子ちゃん? それはおかしいよ……だって命の危機だよ?」

善子「分かってるわ、そうじゃなくて……さっきの回廊に比べて簡単すぎるのよ……」

ルビィ「何か問題があるの?」

善子「これは何かおかしいわ……逆に不気味ね……これは何かあるわ」

ルビィ「うゆ……考えすぎじゃないかな……」



571: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/10(土) 19:48:22 ID:1///zhAs

ドタドタドタドタドタドタ……


善子「走り廻る徘徊者もいるのね」

ルビィ「うゆ」

善子「あっちに行きましょう」

ルビィ「うゆ……こっちは水路?」

善子「そうね、水路になっているわね」

ルビィ「それじゃあ、こっちに行ってみようよ」

善子「ええ、そうね」



572: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/10(土) 19:49:02 ID:1///zhAs

善子「ここも鍵を開けて……3つ目の勾玉をゲット」

ルビィ「順調だね!」

善子「ええ……もうここまで来たら残り2つは祭壇に向かいながら集めてもいいかもしれないわね」


そのときだった!


いあを~かひれあきおいおやうぃき~♪

う~さみりあみねまそおわづほ~♪

い~にあうぃおおぬたなののこのく~♪

いあを~かひれあきおいおやうぃき~♪


どこからともなく女性の歌声が聞こえてくる!!


善子「何!? この歌!?」

ルビィ「善子ちゃん!! なんか怖いよ!!」


歌声はこちらに近づいてきていた……



573: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/10(土) 19:49:50 ID:1///zhAs

ルビィ「よ、善子ちゃん……この歌声、どんどんこっちに来てるよ」

善子「落ち着いて……落ち着いて隠れましょう、あそこの部屋に入るわよ」

ルビィ「うゆ……そ、そうだね」


私たちは部屋に隠れた……


いあを~かひれあきおいおやうぃき~♪

う~さみりあみねまそおわづほ~♪

い~にあうぃおおぬたなののこのく~♪


ガラガラ……


何者かがこの部屋の扉を開けて入ってきた!!


ルビィ「ぴぎぃ!?」

善子「嘘でしょ!? なんでここにいるって分かったの!? ルビィ、カメラを用意して!!」



574: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/10(土) 19:50:25 ID:1///zhAs

見ると、そこには頭部が肥大化した人型の徘徊者の姿があった!

顔には他の徘徊者と同様に能面をつけている。

徘徊者はこちらに向かって近づいてくる!


ルビィ「ぴぎゃぁ!!」

善子「見つかった!! ルビィ!! シャッターを切って!!」

ルビィ「うゆ!!」


パシャ


凄まじい光が放たれ、その徘徊者は怯んだ。 今のうちなら逃げられるだろう……


善子「ルビィ!! 走るわよ!!」

ルビィ「うゆ!!」


私とルビィは走って部屋から出る!!



575: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/10(土) 19:50:55 ID:1///zhAs

善子「はあッ…… はあッ……」

ルビィ「はあッ…… はあッ……」

善子「ここまで走れば大丈夫ね……どうして私たちの居場所が分かったのかしら……隠れるところは見られてないはずだし、大きな物音も立ててないはずよ」

ルビィ「うゆ……偶然じゃないよね?」

善子「ええ、あの動きは確実に私たちのことを捕捉してたわ」


しかし……


いあを~かひれあきおいおやうぃき~♪

う~さみりあみねまそおわづほ~♪

い~にあうぃおおぬたなののこのく~♪


善子「またあの歌声が近づいてきてるわよ!?」

ルビィ「ぴぎぃ!! 怖いよ!!」



576: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/10(土) 19:51:42 ID:1///zhAs

善子「いえ、歌声が聞こえてきてるだけかもしれないわ……あそこに隠れましょう」

ルビィ「うゆ……」


私とルビィはもう一度隠れる……


善子「今のうちにカメラの電球を取り替えて、何かあった時のために準備しておいて……何か嫌な予感がするわ」

ルビィ「うゆ」


いあを~かひれあきおいおやうぃき~♪

う~さみりあみねまそおわづほ~♪

い~にあうぃおおぬたなののこのく~♪


善子「来る!!」


その徘徊者は私たちが隠れている場所に一直線で向かってくる!!



577: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/10(土) 19:52:21 ID:1///zhAs

善子「居場所がバレてる!! こっちに向かってきてるわ!! ルビィ!! シャッターを切って!!」

ルビィ「うゆ!!」


パシャ!!


またカメラのフラッシュで怯む徘徊者……


善子「走るわよ、ルビィ!!」

ルビィ「うゆ!!」


いあを~かひれあきおいおやうぃき~♪

う~さみりあみねまそおわづほ~♪

い~にあうぃおおぬたなののこのく~♪


不気味な歌声は後を追ってくる……



578: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/10(土) 19:52:52 ID:1///zhAs

善子「ダメ!! 振り切れないわ!!」

ルビィ「ぴぎぃ!!」


追いつかれたその瞬間、あたりの景色が一瞬で変わった!!

どうやら別の場所へとワープしたようだ。


善子「はあッ…… はあッ……」

ルビィ「はあッ…… はあッ……」


善子「どうして助かったのかしら……」

ルビィ「うゆ……」

善子「手鏡を使ったわけではないわよね……だったらなぜ……」

善子「あら……?」


善子「トカゲの尻尾がなくなってる……」



579: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/10(土) 19:53:29 ID:1///zhAs

善子「トカゲの尻尾……どこかで聞いたことがあるわ……おまじないとかでよく使われるって」

善子「きっと魔除けの力が込められた不思議なものだったのね……だから私たちに危機が迫ったときに効果があったのね」

善子「私たちが命の危機に陥ったからワープさせてくれたのよ」

ルビィ「はあ……そのおかげで助かったよ……」

善子「でも次はないわ……またあの徘徊者に出くわす前に何か考えておかないと……」

ルビィ「うゆ……何かヒントになりそうなものあるかな……?」


善子「こんなところに何かの書物が置いてあるわね」


善子「八尾の狐の昔話」


ルビィ「昔話……何かの役に立つかな?」


善子「分からないわ……でも先人たちはこういうお話の中に生きる知恵を残しておいたりしたのよ」

善子「もしかしたら何か分かるかも……?」

ルビィ「うゆ……」



580: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/10(土) 19:54:01 ID:1///zhAs

善子「……」

ルビィ「……」

善子「ふむふむ」

ルビィ「何か分かった?」

善子「いえ、分からないわ……でもお話はこうよ」

善子「昔々、人里離れたある山に、八つの尻尾を持つ化け狐がいた」

善子「尻尾の数は強い妖力の証で、その狐は長い年月の研さんを積んでようやく九尾の狐になるところだった」

善子「九尾の狐は天狐と呼ばれ、千里先のことを見通す力を持ち、妖狐たちを束ねる頭領となるという」

善子「深い慈愛と徳と威厳を称えたその八尾の狐は、他の妖狐からの信頼も厚く次の頭領となることを誰もが疑わなかった」

善子「でも狸がその狐をからかったの……八尾の狐はそこで力を使い、雨雲を呼び寄せた」

善子「大嵐となり、雷鳴がとどろき、雨は土を砕き岩を押し流した。その大雨による川の氾濫に多くの人が巻き込まれたの」

善子「八尾の狐は、嘆き悲しみ軽率な自分を責めた……そして人間たちの屍の中から一人の子供を見つけると、その子に命を分け与えた」

善子「八つあった尻尾は四つになってしまったそうよ」

善子「そして狐の頭領は四尾となった狐を強く叱責し、彼の次期頭領としての座を剥奪した。四尾の狐は、仲間たちから追放された」

善子「そして、再び川で人が命を落とすことが無いよう、川の守り神となった……」



581: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/10(土) 19:54:38 ID:1///zhAs

善子「というお話ね」

ルビィ「うゆ……きつねしゃんかわいそうだね……」

善子「そうね……でもいま私たちがこの状況を打開するための情報は特になかったわね」

ルビィ「九尾のきつねしゃんは千里先も見通す力があるっていったよね、あの徘徊者しゃんも遠くまで見えたりして……」

善子「まさかね……いえ…………まさか……ッ!?」

善子「あの徘徊者の能力……その正体は……」


善子「千里眼……」


善子「千里眼の徘徊者……ッ!!」


ルビィ「ぴぎぃ!? 千里眼の徘徊者しゃん!?」

善子「そうかもしれないわ……まだ分からないけど、そうでなければあんなに的確に私たちの居場所が分かるはずがないもの……」

ルビィ「うゆ……だとしたらここにいるのもバレてるのかな……」

善子「分からないわ……障害物があっても透けて見えるとしたら……どうすればいいのかしら……」



582: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/10(土) 19:55:10 ID:1///zhAs

ルビィ「ぴぎぃ……そんな徘徊者しゃんからどうやって逃げればいいの……」

善子「……ちょっと待って、きっと千里眼といってもその能力は完全ではないはずよ」

ルビィ「どういうこと?」

善子「この書物を読むと、千里眼はかなり特別な力とあるわ……そう簡単に操れるはずがない……」

ルビィ「よく夢が正夢になることを予知夢とかいうよね、あんな感じかな?」

善子「そうね、ちょっと違うけど、何か条件があるはず……」

ルビィ「あの徘徊者しゃんは歌を歌ってたよね? 何か関係あるのかな?」

善子「千里眼を使うのに歌が必要なのかしら? それとも歌声が聞こえる範囲に千里眼の効果があるとか……」

ルビィ「うゆ……分からないよ」

善子「ええ、分からないわ……でも確認できてることがある」

善子「まずカメラのフラッシュは効く、そしてワープしてもすぐには追ってこれない……回廊が広いからなのか、それともすごく遠くは分からないのか」

善子「つまり近づかれた場合はカメラと手鏡を駆使して逃げることができるはずよ」

ルビィ「うゆ……」

善子「そしてもう一つ……私たちが使えるものの中で考えるべきは、爆竹が効くかどうかね」



583: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/10(土) 19:55:44 ID:1///zhAs

ルビィ「爆竹……? 何に使うの……?」

善子「爆竹で注意をそらせないかどうかってことよ」

ルビィ「できるのかな?」

善子「やってみる価値はあるわね……」

ルビィ「仮に見えているとして、見えてるのに爆竹のほうに行ってくれるかな?」

善子「分からない……でも音が鳴っていれば気になるんじゃないかしら……」

ルビィ「泣き声の主しゃんたちみたいに注意が引けるといいね」

善子「ええ、やるだけやるわよ」

ルビィ「うゆ……怖いよ」


私たちは再び暗闇の回廊を歩きだす……



584: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/10(土) 19:56:16 ID:1///zhAs

善子「こっちで勾玉をゲット……これで4つね」

ルビィ「あと1つだね!」


そのときだった……


いあを~かひれあきおいおやうぃき~♪

う~さみりあみねまそおわづほ~♪

い~にあうぃおおぬたなののこのく~♪

いあを~かひれあきおいおやうぃき~♪


善子「……近づいてきたわね……千里眼の徘徊者……ッ!!」

ルビィ「うゆ……あの歌、不気味すぎるよ」

善子「いい? やることは変わらないわ。 爆竹で注意を引けるか試す、近づかれたらカメラと手鏡を使う」

ルビィ「うゆ……」



585: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/10(土) 19:56:47 ID:1///zhAs

いあを~かひれあきおいおやうぃき~♪

う~さみりあみねまそおわづほ~♪

い~にあうぃおおぬたなののこのく~♪


善子「来たわ! まずは爆竹で……えい」ヒョイ


……


パチパチパチパチ……


善子「今よ!! 走って!!」

ルビィ「うゆ!!」


私たちは暗闇の回廊を走って逃げる!!


善子「はあッ…… はあッ……」

ルビィ「はあッ…… はあッ……」



586: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/10(土) 19:57:18 ID:1///zhAs

そして気づいた、歌声が遠くなっている!!


善子「はあ……はあ……」

ルビィ「はあ……はあ……」


善子「どうやら爆竹で注意を引けるようね」

ルビィ「うゆ……」

善子「そして追いかけてこない……これは歌声の範囲にいなければ千里眼の効果はないということ」

善子「これでなんとかなりそうね……あとはコンパスが指すほうに行きながら勾玉を集めて祭壇へ行くわよ」

ルビィ「うゆ!」


────
──



587: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/10(土) 19:57:49 ID:1///zhAs

現状、2人が分かっている徘徊者の情報

・千里眼の徘徊者
肥大化した頭部を持つ人型の徘徊者
顔の部分には能面をつけている
歌を歌っていながら近づいてくる
歌の聞こえる範囲であれば、どこに隠れても見つかる、どこに逃げても追いかけてくる
逃げ切るには歌声が聞こえたら爆竹で注意をそらし、距離を取るのが有効
カメラのフラッシュで怯ませることもできる



588: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/10(土) 19:58:20 ID:1///zhAs

善子「こっちね……コンパスはこっちを指して……」


いあを~かひれあきおいおやうぃき~♪

う~さみりあみねまそおわづほ~♪

い~にあうぃおおぬたなののこのく~♪


善子「うーん、また追ってきてるわね」

ルビィ「ち、違うよ、善子ちゃん……」

ルビィ「千里眼の徘徊者しゃんは……2体いる……」

善子「え……?」


いあを~かひれあきおいおやうぃき~♪
  いあを~かひれあきおいおやうぃき~♪

う~さみりあみねまそおわづほ~♪
  う~さみりあみねまそおわづほ~♪

い~にあうぃおおぬたなののこのく~♪
  い~にあうぃおおぬたなののこのく~♪


歌が同時に違う方向から聞こえてくる!!



589: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/10(土) 20:00:29 ID:1///zhAs

善子「爆竹とカメラを準備して!!」

ルビィ「うゆ!!」

善子「爆竹を……えい!!」ヒョイ

……

パチパチパチパチ……

善子「いまのうちに走るわよ!!」

ルビィ「うゆ!! あ、目の前から千里眼の徘徊者しゃんが来てるよ!!」

善子「後ろから追って来てる千里眼の徘徊者とは違うやつね! カメラよ!!」

ルビィ「えい!!」


パシャ


凄まじい光に千里眼の徘徊者は怯んだ!


善子「今のうちに走るわよ!」

ルビィ「うゆ!」
────
──



590: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/10(土) 20:01:00 ID:1///zhAs

善子「はあ……はあ……」

ルビィ「はあ……はあ……」


善子「助かったわね……」

ルビィ「まさか2体いるなんて……」


善子「この場を離れましょう……コンパスはあっちを指してるわ……」

ルビィ「うゆ……」

────
──



591: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/10(土) 20:01:32 ID:1///zhAs

────
──

善子「勾玉を5つ入手したわ!」

善子「祭壇に納めるわよ!」

ルビィ「うゆ!」


私とルビィは祭壇へと向かう……


善子「罠部屋とかもあったけど、なんとかなったわね」

ルビィ「うゆ……」

善子「これであの子を助けることができるのかしら……いえ、できるわ」

ルビィ「うん!」


私とルビィは祭壇へと到着した。


善子「勾玉を納めるわよ」

ルビィ「うん!」



592: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/10(土) 20:02:07 ID:1///zhAs

目の前の扉が開き、奥へと行けるようになった。


善子「行くわよルビィ!」

善子「うゆ!」


リンリン……

奥へ進むと風鈴の音が聞こえてくる……

廊下に風鈴を飾っているようだ……

そして奥に部屋があるのを見つけた。

中は畳の部屋になっていて、その先には1人の少女がいた。



593: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/10(土) 20:02:39 ID:1///zhAs

???「やっと会えましたね」


その少女は振り返りながら言う。

白い着物を着ており、頭には鬼の面を斜めにつけている。


善子「あなたは……」

ルビィ「あの猫しゃんと同じ声だ」


少女「あなたたちのことをずっと待っていました」

少女「立ち話もなんですから、どうぞお掛け下さい」


畳には座布団が敷いてある。

私たちは座って話をすることにした。



594: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/10(土) 20:03:09 ID:1///zhAs

少女「私はヒガナ。 ヒバナは双子の姉です」

ルビィ「ヒガナちゃん……」

ヒガナ「ヒバナにはもう会いましたよね。 あの時は、危うく人で無くなるところでしたね」

善子「ええ、大変な目にあったわ」

ルビィ「どうしてルビィたちが来るのが分かってたの?」

善子「たしかにそうね、最初から座布団を用意してたし」

ヒガナ「私には、生まれつき千里眼という力が備わっています。 母から受け継いだ能力です」

善子「千里眼……さっきの徘徊者も使ってたような……」

ルビィ「八尾のきつねしゃんの昔話にも出てきたね」

ヒガナ「遠く離れたものを透視したり、稀にですが、未来に起こりうることも見えます」

善子「やっぱり……」



595: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/10(土) 20:03:39 ID:1///zhAs

ヒガナ「あなたたちのことは、遠い昔、夢で見ました」

ヒガナ「夢の中で、あなたたちは、バラバラになった私たち家族を再び一つに結びつけてくれた」

ヒガナ「そして、あなたたちがこの世界に迷い込んだ時、夢が予知夢であったことを確信しました」

ヒガナ「そこで私は、あなたたちを見守ることにしました。 あなたたちと一緒に迷い込んだ、あの猫を通して……」

ルビィ「やっぱりヒガナちゃんがあの猫しゃんだったんだね!」

ヒガナ「そうですよ、猫ちゃんです。 話を戻しますね」

ヒガナ「私の身動きを取れない今、状況を打開するには、あなたたちに賭けてみるほかありませんでしたから」

善子「身動きが取れない……? どういうこと?」

ヒガナ「長い話になります……」

────
──



596: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/10(土) 20:04:09 ID:1///zhAs

ヒガナ「私とヒバナは、小さな村から少し外れた山奥の、廃墟となった社で生まれ育ちました」

ヒガナ「私は母から千里眼を受け継ぎましたが、ヒバナには何の力もなく、普通の女の子でした」

ヒガナ「母はその能力ゆえに村人から忌み嫌われていて、私の身を案じた母は、私に山を下りることを禁じていました」

ヒガナ「そんな私と母のことを、ヒバナはいつも一番に想ってくれました。 ヒバナは本当に優しかった」

ルビィ「ヒバナちゃん……」

善子「ヒバナ……」

ヒガナ「ある日、私は村の少年達が川で鉄砲水に流される事を予知しました」

ヒガナ「それを聞いたヒバナは、少年達を助けようと急いで川に向かった……」

善子「あれ……この話、どこかで……」

ヒガナ「でも、ヒバナの警告は聞き入れられなかった。 母の子であるというだけで、ヒバナも村人に嫌われていました」

ヒガナ「そして、少年達は鉄砲水に飲み込まれてしまったのです」

ヒガナ「ヒバナだけは奇跡的に難を逃れましたが……それが村人の誤解を生みました」

ヒガナ「村人には、ヒバナが不思議な力を使って鉄砲水を呼んだように見えたようです」



597: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/10(土) 20:04:47 ID:1///zhAs

ヒガナ「そして……その日の夕方には、大勢の大人がやって来ることが分かりました」

ヒガナ「お母さんは、その前に私たち2人を山奥に隠そうとしましたが……ヒバナはそれを断った……私とお母さんを守るんだと言って……」

ヒガナ「私の存在は村には知られていませんでしたから、ヒバナが残れば私は安全に山に隠れられます」

ヒガナ「母が説得するもヒバナの意志は強く、私1人で山奥に隠れることになりましたが……」

ヒガナ「2人のことが気がかりだった私はこっそりと林の奥から要すを伺うことにしました」

ヒガナ「村人たちは口々に叫びました……化け物の子が村の子供を◯した、化け物を出せ、仇を取ってやる……」

ヒガナ「母は社の中にヒバナを匿うと、表に立ち一歩も引きませんでした」

ヒガナ「優しい私の子が、人を◯すことなどあり得ない、何かの間違いだ……そう言い続けていました」

ヒガナ「でも、そんなやり取りはいつまでも続かず……しびれを切らした村人たちは、ついに大勢で母に襲い掛かりました」

ヒガナ「クワや鉈で打たれ、母が悲鳴を上げるとヒバナが飛び出してそれを庇った……」

ヒガナ「ヒバナの顔は恐怖で強張っていて……それでも必死に母の前に体を投げ出しました」

ヒガナ「でも、ただの少女だったヒバナは、大勢の大人の前に無力だった……きっと言葉にならない程の恐怖と悔しさだったでしょう……」

ルビィ「ヒバナちゃん……」



598: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/10(土) 20:05:18 ID:1///zhAs

ヒガナ「でもその時、ヒバナの中に眠っていた力が目覚めました」

ヒガナ「ヒバナの体が強烈に光り輝き、その光が辺りを飲み込んでいくと……辺り一帯の空間と時間をねじ曲げ、切り裂き、別の世界を形作った」

ヒガナ「それが、いま私たちがいるこの世界です」

ヒガナ「この世界は、家族を守るという、ヒバナの強い思いが創った世界……」

ヒガナ「その想いは無意識に、この封印された聖域を創り出し、私を閉じ込めました。もう家族が誰にも傷つけられないように」

善子「やっぱりそうだったのね……」

ヒガナ「そして、ヒバナは母を復活させるために、この世界に人を誘いこみ、◯し始めた」

ヒガナ「心優しいヒバナにとって、それがどれだけ耐えがたいことだったか……」

ヒガナ「閉じ込められた私にはなすすべがなく、ここから見ていることしかできませんでした」

ヒガナ「ヒバナが苦悩する様子は壮絶で……思い出したくもありません……」

ヒガナ「……すみません、少し話が長くなりました……ですが、あなたたちには真実を知っていて欲しかったんです」

善子「分かったわ……」

ルビィ「うゆ……」



599: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/10(土) 20:05:55 ID:1///zhAs

ヒガナ「母の復活は失敗します。今のうちに何とかしなければ、取り返しのつかないことに……」

ヒガナ「時間がない……一緒に来てください!」

善子「ええ、そのために私たちはここに来たのよ! 絶対にあなたたちを助けるわ!」

ルビィ「うゆ!!」


私たちはヒバナの元へと向かうことにした……

────
──



600: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/10(土) 20:06:37 ID:1///zhAs

この世界は、幾多の人を傷つけてまで

たった一人の大切な人を守るために存在していた


それはとても自分勝手で

しかし、純粋で真っすぐな少女の思いだった


ヒバナとヒガナ

二人の少女は長い時を経て邂逅を果たす


引き裂かれた家族を、再び一つにするために……



601: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/10(土) 20:07:09 ID:1///zhAs

またあの荒廃した世界へとやってきた。

どうやらヒバナとヒガナの母は復活したようだ……


崩壊した建物の廊下をまっすぐ進むとヒバナが立っているのが見えた。


ヒガナ「ヒバナ!」

ヒバナ「あなた……ヒガナ……? どうしてここに……」

ヒガナ「私もずっとこの世界にいて、この人たちが助けてくれたの。でも、詳しい話しはあとで」

ヒバナ「そう……」

ヒバナ「お母さんは今、とても苦しんでいる……私のせいで、お母さんはあんな姿に……」

ヒバナ「私がなんとかする……ヒガナは隠れていて……」

ヒガナ「私も手伝う」

ヒバナ「でも……あなたまで失ったら……私……」

ヒガナ「私たちのお母さんじゃない……二人で一緒に助けましょう」

善子「ちょっと、私たちもいるわよ」

ルビィ「うゆ!」



602: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/10(土) 20:07:42 ID:1///zhAs

ヒバナ「……ヒガナを助けてくれて、ありがとう……」

ヒバナ「どうかお願いします……あなたたちの力を貸してください……」

善子「もちろんよ、何をすればいいの」

ヒバナ「この面を被ってください……あなたの力を引き出します……」

ヒバナ「それだけ負荷は相当なものになります……ですが、その負荷は、私がすべて肩代わりします……」

ヒガナ「そんな……ヒバナの身が持たない! ◯んでもおかしくないよ!」

ルビィ「ぴぎぃ!?」

ヒバナ「分かってる……それでもお母さんを助けたいの……」


オ゛オ゛オ゛オ゛オオオオオオォォォォォォォ!!!!!!


凄まじい叫び声があたりに響き渡る!

あの肥大化した憎悪が再び私たちの前に姿を現した!



603: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/10(土) 20:08:34 ID:1///zhAs

ヒバナ「時間がありません、どうかお願いします……」

善子「……分かったわ、その面を貸しなさい」

ルビィ「善子ちゃん……」

善子「ルビィ、大丈夫よ……」

ヒバナ「……ありがとう」


私はヒバナが渡してくれた能面を被る!


ヒバナ「うぅぅぅあぁぁぁぁ!!!! はあッ……はあッ……」


ヒバナは力の負荷を肩代わりし、苦しみだす……



604: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/10(土) 20:09:05 ID:1///zhAs

ルビィ「ヒバナちゃん!!」

ヒバナ「お母さんを覆っている歪んだ魂のエネルギーを削り取ります。 障壁は私たちが何とかする……」

ヒバナ「あなたは隙をついて攻撃して下さい」


善子「どうすればいいの?」

ヒバナ「ここに勾玉が5つあります……障壁が消えたらこれを射出してください」

善子「分かったわ……ルビィ、ヒバナとヒガナを頼んだわよ」

ルビィ「うゆ!」



605: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/10(土) 20:10:36 ID:1///zhAs

善子「今度こそみんなを助ける!!」


宙を浮遊する巨大な金魚……

肥大化した憎悪に勾玉を撃ち込めばいい……


オ゛オ゛オ゛オ゛オオオオオオォォォォォォォ!!!!!!


善子「いくわよ!!」


私は肥大化した憎悪に向かって走り出す!

開けた場所に出た……夕陽が差し込み、彼岸花が咲き乱れ、あちこちに石灯籠が置いてある……


オ゛オ゛オ゛オ゛オオオオオオォォォォォォォ!!!!!!


肥大化した憎悪は自身の体から金魚型の追尾弾を飛ばしてくる。


善子「走ってあそこに隠れれば大丈夫ね!」


私は石灯籠の裏に隠れ、追尾弾を回避する!



606: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/10(土) 20:11:34 ID:1///zhAs

ヒバナ・ヒガナ「「今です!」」


雷が肥大化した憎悪に落ちる!


オ゛オ゛オ゛オ゛オオオオオオォォォォォォォ!!!!!!


肥大化した憎悪のまわりを覆う障壁が破れた!!

私は石灯籠の裏から出ると勾玉を手にして構える!!


善子「届いて!!」


ビュゥゥゥゥゥゥンンンン!!!!


勾玉が手から射出される! 緑色のエネルギー弾のようなビームとなり肥大化した憎悪に向かって飛んでいく!!



607: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/10(土) 20:12:06 ID:1///zhAs

しかし……!!


オ゛オ゛オ゛オ゛オオオオオオォォォォォォォ!!!!!!


憎悪は自身のまわりにすぐ障壁を張った!!

勾玉ビームは障壁の前にかき消されてしまう……ッ



608: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/10(土) 20:12:36 ID:1///zhAs

善子「防がれた……ッ 障壁の回復がはやい……ッ 本当にヒバナとヒガナの2人と息を合わせなければ勝てないわ……ッ」


オ゛オ゛オ゛オ゛オオオオオオォォォォォォォ!!!!!!


地面からまた無数の黒い手が出てくる!


善子「まずい!! 攻撃が飛んできてる!! 避けなきゃ!!」


私は走ってその攻撃を回避する。


キィィィィィィン


善子「今度は神通力攻撃……ッ 物陰に身を隠せば大丈夫ね……」

善子「はあッ……はあッ……」


苛烈な攻撃が続く……このままだと私だけでなく、負荷を肩代わりしているヒバナの身が持たない……



609: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/10(土) 20:13:08 ID:1///zhAs

善子「ルビィ!! そっちは大丈夫!?」

ルビィ「ヒバナちゃんがすごく苦しそうだよ!」

ヒバナ「はあッ……はあッ……うぅぅ……」

ヒガナ「ヒバナ……ッ」

ルビィ「ヒバナちゃん……」


ヒバナはうずくまり苦しそうにしている……


善子「なんとかしないと……息を合わせなきゃ……勾玉は残り4つ……その間に憎悪に撃ち込まなきゃ……」


オ゛オ゛オ゛オ゛オオオオオオォォォォォォォ!!!!!!


金魚型の追尾弾が時間差で飛んでくる!!



610: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/10(土) 20:13:45 ID:1///zhAs

善子「速い追尾弾と遅い追尾弾があるから、うかつに石灯籠から頭を出せないわ……攻撃が終わったと思って顔を出せば遅いほうの追尾弾を食らう可能性があるわ」

善子「さらに攻撃しようとして頭を出せば……」


キィィィィィィン


善子「この神通力攻撃を食らってしまう……きびしいわね」


ヒバナ・ヒガナ「「今です!!」」


雷が憎悪に落ち、障壁が剥がされる……


オ゛オ゛オ゛オ゛オオオオオオォォォォォォォ!!!!!!


だがその瞬間……


キィィィィィィン


善子「くっ……またこの神通力攻撃!! 勾玉を撃ち込めないわ!!」



611: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/10(土) 20:14:47 ID:1///zhAs

そうこうしているうちに再び障壁が回復してしまう……


善子「いったいどうすれば……」

ルビィ「善子ちゃん!! ルビィと息を合わせて!!」

善子「ルビィ!?」

ルビィ「ヒバナちゃん、ヒガナちゃん……善子ちゃんと息を合わせるよ!! ルビィに任せて!!」

ヒガナ「分かりました!」


善子「これで連携は取れる……なんとかなるかもしれないわ」

善子「攻撃の間の隙を見てルビィが合図してくれるはず……私はそのタイミングで攻撃を撃ち込むわ……」


下からまた無数の影の手が伸びてくる!!

走ってそれを回避する。



612: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/10(土) 20:15:19 ID:1///zhAs

攻撃が止まったその瞬間!!


ルビィ「今だよ!! 善子ちゃん!!」

ヒバナ・ヒガナ「「はああああああッ!!!!」」


ルビィの合図とともに雷が肥大化した憎悪に直撃する!!


オ゛オ゛オ゛オ゛オオオオオオォォォォォォォ!!!!!!


障壁は消え去った!! いまがチャンス!!


善子「当たって!!」


ビュゥゥゥゥゥゥンンンン!!!!


勾玉ビームは肥大化した憎悪に直撃する!!


オ゛オ゛オ゛オ゛オオオオオオォォォォォォォ!!!!!!



613: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/10(土) 20:15:54 ID:1///zhAs

肥大化した憎悪は光を放ち、爆発しながら地面に落下していく……


善子「やったわ……」

ルビィ「やったね!」


しかし……


ヒガナ「お母さん!」


空は暗闇に覆われ、空間にはヒビが入っていた。

彼岸花が咲き乱れる中、炎の中に消え去る憎悪……

その中から私に向かって火炎弾が飛んでくる!!


善子「まずい!!」


ヒバナ「危ない!」

ヒガナ「ヒバナ!」


ヒバナが私を守った!! 体を投げ出し、私の代わりに火炎弾を受けた!!



614: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/10(土) 20:16:30 ID:1///zhAs

ヒバナ「うっ!!」


善子「ヒバナ!!」

ルビィ「ヒバナちゃん!!」


力なく横たわるヒバナ……それでもヒバナは私に向かって必死に言う……


ヒバナ「お願い……します……お母さんを……助けて……」

善子「ヒバナ……ッ」


炎の中から1人の女性が出てきた……顔には狐の面をつけている……

そして……4つの光る尻尾を持っている!!


善子「あれが……ヒバナとヒガナの……」

ルビィ「2人のお母さん……」


善子「その昔、八尾の狐に助けられた少女……まさか……」



615: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/10(土) 20:17:22 ID:1///zhAs

2人の母は火炎弾をこちらに向かって発射してくる!!


ルビィ「ぴぎゃぁぁぁぁ!!!!」

善子「ルビィ!! 2人を守って!!」


私はヒバナとヒガナの母の注意を引くため走り出す!!

私が注意を引かなければ……ルビィたちが危ない!


善子「こっちよ!!」


無数の火炎弾が私に向かって飛んでくる。

私は石灯籠の裏に隠れてなんとかそれを回避する!


善子「はあッ……はあッ……」


ヒバナは火炎弾が直撃した上に、私の負荷を肩代わりしている……はやくしなければ助からない!



616: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/10(土) 20:17:52 ID:1///zhAs

善子「食らって!!」


ビュゥゥゥゥゥゥンンンン!!!!


私は勾玉ビームを2人の母に向かって射出する!!


しかし……


相手は宙に浮きながら高速移動して回避する……


善子「はやい!! こんなの当てられるの!?」


さらに


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……


複数の移動する炎の柱を呼び出し、あたり一帯を焼き尽くす!!


善子「くっ!! 走って逃げなきゃ!! 3人は大丈夫かしら……」



617: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/10(土) 20:18:25 ID:1///zhAs

ヒバナとヒガナの母は、彼岸花の花びらのような光を放ちながら、瞬間移動もしてきた!!

さらに瞬間移動しつつ炎の柱を大量に発生させる!!


善子「このままじゃ勾玉を当てられない!! どうすれば……」


私は走って回避できるが、3人は大丈夫だろうか……


キィィィィィィン


さらに頭上に球体を発生させ、あたり一帯に神通力攻撃を放ってくる!!


善子「みんなを怪我させるわけにはいかない……あれだけでも壊さないと!!」


ビュゥゥゥゥゥゥンンンン!!!!


私は勾玉ビームで頭上の球体を破壊する!!


善子「はあッ……はあッ……これで神通力攻撃はできないはず……」

善子「残りの勾玉は…………1つ!?」



618: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/10(土) 20:18:57 ID:1///zhAs

善子「勾玉ビームが撃てるのはあと1回だけってこと!?」

善子「必ず当てなきゃ……!!」


無数の火炎弾、無数の移動する炎の柱、高速移動と瞬間移動を繰り返す相手……


この状況で残り1発を必ず当てなければ……全員◯ぬ……


善子「くっ!! どうしたらいいの……!! どうしたら……ッ!!」


そんなときだった……


???「落ち着くずら、善子ちゃん」


見ると横には花丸がいた!! ルビィも私の横にいる。



619: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/10(土) 20:19:32 ID:1///zhAs

花丸「間に合ってよかったずら……善子ちゃん!! 必ず当てよう!!」

ルビィ「ルビィたちも一緒だから!!」


2人は私が勾玉を構える手を一緒に握ってくれた……


善子「2人とも……」

善子「なんだか安心してきたわ……必ず当てるわよ!!」


相手が攻撃の手を止めたその瞬間……ッ!!


花丸「今ずら!!」

善子「当たって!!」

ルビィ「お願い!!」


ビュゥゥゥゥゥゥンンンン!!!!


射出された勾玉ビームがヒバナとヒガナの母の顔……狐の面に直撃した!!



620: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/10(土) 20:20:02 ID:1///zhAs

カランカラン……


狐の面は地面に落ちると消え去った……


どさっ、と膝をつくヒバナとヒガナの母……


ヒバナとヒガナの母「ここは……」


善子「よかった……」

花丸「戻ったずら……」

ルビィ「ぴぎぃぃ……」


後ろからヒガナが走ってくる!


ヒガナ「お母さん! お母さん! ヒバナが大変なの!」



621: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/10(土) 20:20:37 ID:1///zhAs

力なく横たわるヒバナ……

ヒガナと母は、ヒバナの元に駆け寄る……


ヒバナとヒガナの母「ヒバナ! ヒバナぁ!」


2人の母は悲痛な声をあげながら娘の名前を呼ぶ……


善子「ヒバナ……」

ルビィ「ヒバナちゃん……」

花丸「……」


ヒガナ「ヒバナ! ねぇ、起きてよ……! お母さんに会うんでしょ!! そのためだけに、ずっと頑張ってきたんでしょう!!」

ヒガナ「ずっとずっと……1人で……頑張ってきたんでしょう……?」

ヒガナ「ここで……◯んじゃったら……今まで何のために頑張ってきたのか……分からないじゃない……」

ヒガナ「ねえ……ヒバナ……」


ルビィ「ヒバナちゃん……」

善子「そんな……また助けられないの……?」



622: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/10(土) 20:21:14 ID:1///zhAs

ヒバナとヒガナの母「私は幼い頃、あるお方に命を救われました」

ヒバナとヒガナの母「それ以来、私の中には人の血と、人ならざる者の血が流れている……そして、娘たちの中にも」

ヒバナとヒガナの母「あのお方に出来たのなら、私にも出来るかもしれません」

善子「八尾の狐の昔話……まさか……」


2人の母は輝く4つの尻尾を出す……

その尻尾は光を放ちながら2つになった……

ヒバナの体が優しい光に包まれる……


善子「……」

ルビィ「……ヒバナちゃん」


ヒバナとヒガナの母「ヒバナ……」

ヒバナ「おかあ……さん……? ……おかあさん!」

ヒバナは母親に抱きついた。



623: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/10(土) 20:22:15 ID:1///zhAs

ヒバナ「お母さん……私……」

ヒバナとヒガナの母「ヒバナ、ありがとう……私のために、いっぱい頑張ってくれたのね」

ヒバナ「お母さん……私……私は……もう、お母さんの知っている私じゃないの……」

ヒバナ「沢山の人を◯した……◯しても、◯しても……もう何も感じなくなっちゃったの……私、本当に……化け物になっちゃったの?」

ヒバナとヒガナの母「ヒバナ……ッ」


自分のために娘がこんなことになってしまった……母としてどれほど心が痛むことか……


ヒバナとヒガナの母「確かに、私たちの半分は人ではないわ。 でも、人間とか妖とか、そんなことはどうだっていいの……ヒバナはヒバナよ」

ヒバナとヒガナの母「とってもとっても優しい、私の自慢の娘よ」

ヒバナ「うぅぅぅ……」


善子「ヒバナ……」

ルビィ「ヒバナちゃん……」



624: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/10(土) 20:22:52 ID:1///zhAs

ヒバナとヒガナの母「娘たちを助けて頂いて、本当にありがとうございました。この御恩は、終生忘れません」

ヒバナとヒガナの母「私のために多くの命が失われた……そして私たちは、人の世で生きるには、もう取り返しのつかない領域まで踏み込んでしまいました」

ヒバナとヒガナの母「これはすべて、娘達を守ることができなかった私の責任です……償っても、償いきれることではありません」

善子「そんな……」

花丸「……これからどうするずら?」

ヒバナとヒガナの母「……この世界を立て直し、ここに留まることにします。 そしてここが、迷える魂や、私たちのような半端者の救いの場になれば……」

ヒバナとヒガナの母「そのために、出来るだけのことをしていこうと思います」

ヒバナとヒガナの母「ヒガナ、この方々を送り届けてくれますか?」

ヒガナ「うん」

花丸「あ、ちょっと待つずら……」


花丸が呼ぶと向こうから Kが出てきた。 化け物の姿ではなく、元の少女の姿をしている。


花丸「助けたずら」

善子「なんでよ!」

K「まさか助けてもらえるなんてね……」



625: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/10(土) 20:23:22 ID:1///zhAs

花丸「マルは善子ちゃんが笑顔になれる最善のことをしたかったずら」

善子「ちょ、ちょっと」

花丸「また泣かれても困るずら」

善子「泣いてないわよ!」


花丸「Kさんの怪我や病気は治ってるずらよ」

ルビィ「よかったね! Kしゃん!」

K「みんな……ありがとう…………あの子は……?」

善子「あとで詳しく話してあげるわよ」


ヒガナ「皆さん、帰りましょう」



626: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/10(土) 20:24:27 ID:1///zhAs

空間に光の球のような裂け目がある……

ヒガナ「あの門をくぐれば元の世界に帰ることができます」

ヒガナ「あなたたちを見届けたら、この世界への入り口を封鎖します。 もう二度と、誰かがこの世界へ迷い込むことは無いでしょう」

ヒガナ「本当にありがとうございました…………これでお別れですね……あなたたちが来てくれて、本当に良かったです」

ヒガナ「私たち家族は、こんなに近くにいたのに、ずっと離れ離れでした」

ヒガナ「でもこうしてまた会えた……あなたたちが家族を一つにしてくれました」

ルビィ「助けられてよかったよ」

善子「ええ……よかった」

ヒバナ「待って! 言わないといけないことがあるから……」

ヒバナ「……お母さんとヒガナを助けてくれてありがとう」

善子「ええ、いいのよ」

花丸「助けたいって泣いてたずらよ」

善子「う、うるさい!」ポカポカ

花丸「い、痛いずらよ、善子ちゃん」



627: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/10(土) 20:24:59 ID:1///zhAs

猫「にゃあ!」

ヒバナ「猫? なんでこの世界に?」

ヒガナ「ふふ、後で教えてあげる」

ヒガナ「そろそろ行かないと門が閉じてしまいます」

ヒガナ「さようなら」


善子「さようなら」

ルビィ「バイバイ!」


私とルビィと花丸、それからKと猫ちゃんは一緒に元の世界へと帰ったのだった……

────
──



628: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/10(土) 20:25:29 ID:1///zhAs

─元の世界─


私たちは無事に元の世界へと帰ってきた。

Kにはこれまでの話をちゃんとしてヒバナたちのことを理解してもらった。

猫ちゃんは無事に元の場所へと帰っていったようだ。


それから私たちは元の日常を送っている。



631: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/10(土) 21:13:49 ID:1///zhAs

─浦の星女学院─


果南「1、2、1、2……はい、ここまで!」

ダイヤ「皆さんお疲れ様でした」

千歌「はあ疲れた~」


善子「戻って来たのね……私たちの日常に」


花丸「ルビィちゃん、パソコンで何見てるずら?」

ルビィ「あ、見てよ花丸ちゃん! Kしゃんが踊ってるよ!」

善子「Kもスクールアイドルに戻れたのね、よかったわ」

ルビィ「ヒバナちゃんたちも元気かな」

善子「ええ、向こうの世界でもきっと元気にやってるわよ」



632: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/10(土) 21:15:49 ID:1///zhAs

私たちはこの世界を生きる。


晴れ渡る空、目の前に広がる海……


私の心のもやもやは、もうどこかにいっちゃったみたい。


私たちはみんなで、この先へと進んでいく……


何があってもみんなと一緒ならきっと大丈夫。

 

おわり



633: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/07/10(土) 21:17:09 ID:1///zhAs

以上で再び完結です。


シャドーコリドーに関するネタバレが色々とありましたが、大丈夫だったでしょうか。

そして、3日後(7月13日)はヨハネちゃんのお誕生日ですね。 おめでとうです!


皆様、ここまで読んでいただき本当にありがとうございました! コメントももらえて嬉しかったです!


おわり


元スレ
SS深夜VIP:善子「影廊」ルビィ「夕暮れの迷宮から脱出」