SS速報VIP:狙撃手「あれ……ターゲットってどんな奴でしたっけ」観測手「……えーと」
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1: ◆hCMplRvBEY 2012/08/26(日) 16:26:50.58 ID:YGdVBMYso

観測手「どうだったっけな……」

狙撃手「覚えてないんですか?」

観測手「覚えてなくはねーよ。ただちょっとうろ覚えなだけで」

狙撃手「わかりました。つまり覚えてないってことですね……困りました」

観測手「え? 何? お前忘れたの?」

狙撃手「いえ、忘れたというかうろ覚えというか……」

観測手「……ヤバいな」

狙撃手「そうですね。果てしなくヤバいです」

観測手「標的の顔を忘れるとは……俺の今までの人生で5本の指に入るほどの大失態だ」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1345966010




2: ◆hCMplRvBEY 2012/08/26(日) 16:29:01.76 ID:YGdVBMYso

観測手「どうすんの? 今日はやめる?」

狙撃手「そういうわけにはいきません。今日ここでやれという依頼ですから」

観測手「だよな」

狙撃手「なあに、標的が出てくるまでに顔を思い出せばいいだけです」

観測手「17時にあの建物から出てくるって聞いたけど、17時っつったらあと十分くらいしかねーぞ」

狙撃手「わかってます。しかし焦りは禁物、クールに行きましょう」

観測手「けっこう危機的状況だってのに冷静だな」

狙撃手「焦ってもいいことなんてありません。心のブレは照準のブレです」

観測手「なんでちょっと名言っぽいこと言おうとしてんの? 標的の顔忘れたマヌケが言ってもかっこよくないぞ?」

狙撃手「なんですって!? 忘れたのはあなたも同じでしょうが!」

観測手「おいおい熱くなんなよ、クールにいこうぜ?」

狙撃手「なんだこいつ腹立つ」



3: ◆hCMplRvBEY 2012/08/26(日) 16:38:46.37 ID:YGdVBMYso

狙撃手「……まあでも、今ここで私達が喧嘩したってどうしようもないのは事実ですね」

観測手「だろ? 今はクールにいこうぜ」

狙撃手「そのフレーズ気に入ったんですか」

観測手「気に入ったんだぜ」

狙撃手「そうですか。ではまず標的の特徴を思い出すことから始めましょうか」

観測手「クールに流されたんだぜ」

狙撃手「確か私の記憶ではメガネをかけていたような気がします」

観測手「あ、いきなりそこいっちゃう? もっと根本的なところ整理してみない?」

狙撃手「根本的なところというとどこです」

観測手「性別とか」

狙撃手「さすがにそれは間違えません。男です」

観測手「そうだよな、俺もそう思う」

狙撃手「そんな間違えようがないこと訊く必要あるんですか?」

観測手「ばっかお前、こういう基本中の基本みたいなことこそ意外と忘れちまうんだって。とりあえずメモっとくか、男……と」



7: ◆hCMplRvBEY 2012/08/26(日) 22:52:48.32 ID:YGdVBMYso

観測手「よし、出だしはいいぞ。この調子で特徴を思いだしていこうぜ」

狙撃手「まだ性別しかわかってないじゃないですか……」

観測手「性別がわかれば世界人口70億のうち半数に絞ることができるんだぞ。35億も一気に対象から除外できるって考えるとデカイだろ」

狙撃手「なにそのトンデモ理論」

観測手「トンデモでもなんでもいいから今は標的の顔を思い出すことに全力を絞ろうぜ」

狙撃手「わかりましたよ……あ、ほら、さっき言ったあれ。メガネかけてましたよね、これも特徴でしょう?」

観測手「えっ? メガネなんかかけてたか?」

狙撃手「順調なのは出だしだけだったようですね」

観測手「ちょっと意見が食い違っただけでそれはないだろ」

狙撃手「ここには二人しかいないんですから食い違った時点で泥沼でしょうが」



8: ◆hCMplRvBEY 2012/08/26(日) 23:02:30.61 ID:YGdVBMYso

観測手「ちょっと待て、ちょっと待てよ。今思い出してるから……」

狙撃手「私はいくらでも待ちますけど時間は待ってくれませんよ」

観測手「うーん。やっぱメガネなんかかけてなかったような気がするぞ」

狙撃手「しかもこれ最悪のパターンだ」

観測手「いや、お前も思い出してみろって! 絶対メガネなんかかけてなかったから!」

狙撃手「そんなことありません! 絶対かけてました!」

観測手「絶対かけてねえって……なんか勘違いしてんじゃねえの? 前のターゲットと間違えてるとか」

狙撃手「今までに撃った人間の顔なんかいちいち覚えてられるわけないでしょう。電話帳を端から端まで覚えるほうがよっぽどラクです」

観測手「人撃ちすぎだろお前。さらっと怖いこと言うなや」



9: ◆hCMplRvBEY 2012/08/26(日) 23:21:37.71 ID:YGdVBMYso

観測手「まああれだ、お互い落ち着こうぜ? 冷静に……そう、冷静。クールだ、クールに行こう」

狙撃手「はいはいクールですねクール」

観測手「そう投げやりになるなよ」

狙撃手「クールになっても私の意見は変わりませんよ。標的はメガネをかけていました」

観測手「いや絶対かけてなかった……これじゃ堂々巡りだな」

狙撃手「そうですね」

観測手「ここはひとつ新意見を出してみるってのはどうだ?」

狙撃手「なるほど、メガネ問題を保留にすることによって時間の有効活用をしようということですか」

観測手「ああ、クールだろ?」

狙撃手「はいはいクールですね」



10: ◆hCMplRvBEY 2012/08/26(日) 23:28:12.24 ID:YGdVBMYso

観測手「じゃあ身長とかからいってみようか」

狙撃手「171です。ボスはそう言っていました」

観測手「体重は?」

狙撃手「体重は知りませんけど体型は中肉中背らしいです」

観測手「ふむ。そこは俺と同じだな」

狙撃手「お互い言われたことは覚えているようですね」

観測手「それじゃいよいよもってわからんのは顔だけってことか」

狙撃手「一人で出てくればいいんですけど大勢集まって出てこられたら誰だかわかりませんね」

観測手「だから困ってるんだろ。標的は何人か付き人を従えてるらしいからな」

狙撃手「付き人が全員骨と皮だけみたいな奴かものすごいデブならわかりやすいんですけどねえ」

観測手「そういうありえない展開に期待するのはやめろ」



11: ◆hCMplRvBEY 2012/08/26(日) 23:41:11.45 ID:YGdVBMYso

狙撃手「ありえないってことはないでしょう。奇跡が起きたらありえるかもしれないわけで」

観測手「奇跡が起きなきゃダメなのかよ」

狙撃手「それはそうとあと5分程度しかありませんよ」

観測手「うおっ、マジか。早く思い出せ俺、クールだクールになれ」

狙撃手「いくらクールになっても思い出せないもんは思い出せませんよ」

観測手「なんで人ごとなの? なんで一歩引いたところから物事を見つめてるの? お前当事者だよ?」

狙撃手「いや……どうせあと5分じゃ思い出せないだろうしもういいかなーって」

観測手「全然良くねえよ! 依頼はどうすんだ!」

狙撃手「時間になって出てきた奴全員撃っちゃえば問題ないと思うんだけどどう?」

観測手「どう? じゃねえだろ! 問題しかねーよそれ最悪の手段だよ! クールになれよクールに!」



12: ◆hCMplRvBEY 2012/08/27(月) 00:10:06.19 ID:sUdFu6kMo

狙撃手「冗談ですよ。さすがに私だって罪のない人を撃つのは気が引けます」

観測手「冗談言ってる場合かよ……このままだと標的に逃げられちまうぞ」

狙撃手「もっと身体的な特徴ありませんでしたっけ?」

観測手「そんなパッと思い出すわけ……思い出した!!」

狙撃手「マジですか!?」

観測手「マジです!! 思い出したんだよ!! 泣きぼくろがあったはずだ!」

狙撃手「泣きぼく……あ! あった! そういえばあった!」

観測手「だろ!? あったろ!? 俺マジ天才だな! さすが俺!」

狙撃手「さすがです! 泣きぼくろのやつを撃てばいいんですね」

観測手「ふーやれやれ、時間には間に合ったか……まったくいらん冷や汗かいちまったぜ」

狙撃手「まったくです。ですがもう問題は解決したので汗をかく必要もありませんね」

観測手「そうだな……いや、間に合ってよかった。ほれ、もうそろそろ出てくるかもしれねーぞ? 準備しとけ」

狙撃手「アイアイサー」



13: ◆hCMplRvBEY 2012/08/27(月) 00:17:30.68 ID:sUdFu6kMo

狙撃手「準備完了です。いつでも撃てますよ」

観測手「そうかい、そいつはよかった。どうやらやっこさんも準備ができたらしいぜ」

狙撃手「あの集団ですか、どれどれ……んっ!? ちょっと! あれ見てください! すごい!」

観測手「あん? どうした?」

狙撃手「ほら! 6人もいるのにそのうち4人がすごいデブ!」

観測手「え!? うわっホントだ! 暑苦しっ!」

狙撃手「どうです! 全員じゃありませんでしたがほとんどデブでしたよ! 奇跡起きましたよ!」

観測手「奇跡って案外簡単に起きるもんなんだな。俺びっくりだよ」

狙撃手「いやあ、幸先いいですねえ。これは標的も簡単に仕留められそうですよ」

観測手(幸先いいのか? これ……)



14: ◆hCMplRvBEY 2012/08/27(月) 00:29:38.88 ID:sUdFu6kMo

観測手「まあいいや。その奇跡に乗っかってこのままの勢いで標的もズダーンとやっちゃってくれ」

狙撃手「アイヨー」

観測手「標的の顔はお前が見ろ。俺は周囲から歩行者だの車だのこないか見てるから」

狙撃手「オッケー」

観測手「あ、そうだ。殺すなよ? 依頼主は『彼が死なないように丁重に扱ってくれたまえ』と言っていたそうだからな」

狙撃手「はあ? なんですかそれ……まあクライアントの注文なら聞かないわけにはいきませんけど」

観測手「気をつけろよ。もし殺しちまったら次は俺達がボスに殺されちまうかもしれないんだからな」

狙撃手「そんなへましませんよ、失礼ですね。きっちり半殺しにしますから安心していてください」

観測手「わかったわかった。じゃあ早くやっちゃってくれ」



16: ◆hCMplRvBEY 2012/08/28(火) 04:37:58.94 ID:ryN8/Jnao

狙撃手「うーん、奴らなかなかこっち向きませんねえ。泣きぼくろがあるかどうか確認したいのに」

観測手「まあまあそう焦るなって。奴らはそのうち迎えの車に乗ってどこかへ向かうらしいからさ」

狙撃手「なるほど、奴らは車を待っているんですか。なら車道を確認しようと振り向いた時がチャンスですね」

観測手「ああ。どうせすぐ振り向くだろうしそんなに待つことにはならないと思うぜ」

狙撃手「分かりました、待ちましょう」

観測手「……」

狙撃手「……」

観測手「……」

狙撃手「あ、こうやって声を押し殺して獲物を待ってるとなんだかスナイパーみたいですね!」

観測手「みたい、じゃなくてそのものずばりスナイパーだよお前? 大丈夫か?」



17: ◆hCMplRvBEY 2012/08/28(火) 04:45:51.53 ID:ryN8/Jnao

狙撃手「……」

観測手「……」

狙撃手「だるまさんがころんだ」ボソッ

観測手「……」

狙撃手「だるまさんがころんだ」ボソッ

観測手「……なに呟いてんの?」

狙撃手「なんとなく振り向く気がして」

観測手「さっきも思ったんだけどお前バカだよな。そんな都合のいいことが起こると思ってんの?」

狙撃手「バカとは失礼ですね。奇跡がみたび起こるかもしれないでしょうが」

観測手「奇跡ってのは起こらないから奇跡っていうだって偉い人が言ってたぞ」

狙撃手「あ、振り向いた。奇跡起きましたよ」

観測手「二度あることは三度あるとも言ってたっけか」



18: ◆hCMplRvBEY 2012/08/28(火) 04:53:49.82 ID:ryN8/Jnao

観測手「まあいいや。さっさと泣きぼくろがあるやつをばきゅーんと撃ってぱぱっととんずらしようぜ」

狙撃手「……」

観測手「わかってるだろうけど殺すなよー」

狙撃手「……ハァー……ハァー」ブルブル

観測手「ん? なんだどうした、すごい汗だな」

狙撃手「こ、こ、こんなことが……」ガタガタ

観測手「おい、めちゃくちゃ震えてるけど大丈夫か?」

狙撃手「大変です大変です大変なんですうあああああ」ガタガタ

観測手「取り乱しすぎだろお前。何があった」

狙撃手「泣きぼくろが『二人』いるんです!」

観測手「なん……だと……?」



19: ◆hCMplRvBEY 2012/08/28(火) 05:02:31.84 ID:ryN8/Jnao

観測手「……マジだ、泣きぼくろ二人いる……しかも体型もそっくりだしなんなんだ……」

狙撃手「どっ、どっちでしょうか!? 標的は一体どっちなんでしょうかっ!?」

観測手「そんなこと言われてもわからねーよ! 全然覚えてねーんだもんよ!」

狙撃手「ひいい! このままだと標的を逃してしまいます! ボスに殺されるぅ」ブルブル

観測手「……お、おち、おちつけ。こういうときこそ冷静にクールにまずは一服」ガタガタ

狙撃手「お前も震えてんのかい。落ち着いてくださいタバコ逆さですよ」

観測手「落ち着いていられるかぁああああ! 何がクールだバーカバーカ! 愚かしすぎてむしろフールだわバーカ!」

狙撃手「ひい、こいつ壊れた」



20: ◆hCMplRvBEY 2012/08/28(火) 05:15:22.11 ID:ryN8/Jnao

狙撃手「頼むから落ち着いて。一服するなりガム噛むなり素数数えるなりなんでもして」

観測手「落ち着く……? そうだ、俺はクールだ……クールなんだ。落ち着け俺」

狙撃手「直った? もとい治った?」

観測手「ああ、いつもの冷静沈着な俺様ここに見参だ。さっきは予定外のことがあってちょっとどうかしちまったんだぜ」

狙撃手「どうしましょう、標的がどっちなのか検討もつきません」

観測手「またも流されたんだぜ」

狙撃手「すいません今はかまってる暇ないんですよ。どうやって標的を絞ればいいのか知恵を絞ってる最中なんで」

観測手「……メガネ、メガネはどうした?」

狙撃手「メガネ? 私は裸眼で2.0ありますのでかけてませんけど……」

観測手「お前のことじゃねえ! やっぱ馬鹿だろお前! 俺が言ってんのは標的の話!」

狙撃手「一度ならず二度までも馬鹿にしましたね!」

観測手「二度で済むわけねえだろ四六時中馬鹿だと思ってるわ」

狙撃手「標的の前ににお前撃ってもいいかな」



28: ◆hCMplRvBEY 2012/09/01(土) 03:12:25.39 ID:ag2S+AYWo

観測手「待て、俺を撃ったら後悔するぞ。ここは大人になって怒りを抑えて俺の話を聞くべきだ」

狙撃手「後悔? するわけないでしょう。公開処刑とかならしたいんですが」

観測手「まあ待てって。あの泣きぼくろどものどっちが標的なのかを見極める方法を発見したんだ」

狙撃手「なんですって? タバコの煙を吸うと鼻に血管が浮き出たりするんですか?」

観測手「なんだそれは……そうじゃなくてメガネだよメガネ」

狙撃手「メガネ……! そういえばそんな話題もありましたね! 一旦置いといてそのままでしたけど」

観測手「ああ、メガネをかけていたかいなかったかで小競り合いになったわけだが……もう一度奴らを見てみろ」

狙撃手「はっ、泣きぼくろの片方がメガネをかけている!!」

観測手「そうなんだよ。そしてもう片方は裸眼……これは決定的違いになりうる!」

狙撃手「なるほど、二人の差別化はできましたね」

観測手「問題は俺達が未だに標的がメガネをかけていたかいなかったか思い出せないってことだ」



29: ◆hCMplRvBEY 2012/09/01(土) 03:24:26.49 ID:ag2S+AYWo

狙撃手「思い出せていないのはあなただけですよ。絶対かけてました」

観測手「お前そうやって初っ端から喧嘩腰で挑むのやめない? また口論になるじゃん」

狙撃手「あなたが間違ったことを言ったら例えあなたに嫌われようともそれを正すのがパートナーたる私の役目です」

観測手「うん。すごくいい事言ってると思うし俺としてもちょっと嬉しかったんだけど間違ってるのはお前じゃね?」

狙撃手「私のどこが間違ってると言うんですか!」

観測手「まず記憶違いだよね。標的はメガネかけてなかったし」

狙撃手「だからそれはなにか別の人と間違えてますって!」

観測手「いや絶対あってるって。あの二人見比べてもメガネかけてない奴の顔のほうがしっくりくるし」

狙撃手「しっくりくるかどうかで決めるような話じゃないでしょう! あなたにはがっかりですよ!」

観測手「んなこと言ったって顔うろ覚えなんだからしっくりくるかどうかで決めるしかねえだろ! わかんねー奴だな!」

狙撃手「そんなこと言ったら私はメガネかけてる奴のほうがしっくりきますよ! ほらまた平行線ですよ!」

観測手「平行線ですよ、じゃねえだろ! このままじゃ狙撃もクソもあったもんじゃねえだろ!」

狙撃手「そう思うんならあなたが折れればいいでしょうが!」



30: ◆hCMplRvBEY 2012/09/01(土) 04:18:20.89 ID:ag2S+AYWo

観測手「ちっ……頑固野郎め」

狙撃手「けっ……どっちが」

観測手「もういい、勝手にしろ!」

狙撃手「ふん、やっと間違いに気が付きましたか」

観測手「そのかわり俺は手伝わねーからな! 距離も風も温度も何も教えねー」

狙撃手「え」

観測手「もちろんリードも修正量も自分で測れ」

狙撃手「そんなひどい! ちょっと大人げなさすぎやあしませんか!」

観測手「いやー、手伝って上げてもいいんだけど俺は間違ってるからなー。違う情報教えちゃったら大事件だしなー」

狙撃手「このクズ野郎……」

観測手「俺は寝てるから終わったら教えて」

狙撃手「くそう……永遠の眠りにつかせてやりたい」



37: ◆hCMplRvBEY 2012/09/05(水) 16:07:05.19 ID:kU+Veg+ao

狙撃手「……ふん、いいですよ別に。このくらい一人でやれますから」

観測手「おー、そうかそうか。そいつはよかった」

狙撃手「くそ……いちいち腹立ちますね」

観測手「いいから早くやっちゃってよ」

狙撃手「わかってます! 余計な口出しはしないでください!」

観測手「ひえー、こわいこわい」

狙撃手「ええと、気温23……風は……北東から毎秒1.7メートル……」

観測手「なんだかおぼつかねえなあ」

狙撃手「……」ギロリ

観測手「はいはい黙りますよ、黙ってりゃいいんだろ」

狙撃手「……距離380……ん、370? ああ、違う380で合ってた……」

観測手(煽り抜きにおぼつかねえな)



38: ◆hCMplRvBEY 2012/09/05(水) 16:16:35.32 ID:kU+Veg+ao

狙撃手(よし……これで当てれられる)

観測手「あー……これは俺のひとりごとなんだが……」

狙撃手(また何か喋り始めたよ……)

観測手「写真に写ってる標的がメガネをかけていたとしても、実際に狙撃する時にはかけていないってこともあるよな?」

狙撃手「……」ピク

観測手「視力を矯正するならコンタクトレンズでもいいし、コンタクトをしてるならメガネはかけていないよなあ」

狙撃手(た……確かに)

観測手「だいたい奴の視力が弱いっていう確証はねえ。だからだてメガネをかけてる可能性も捨てきれねえ」

観測手「そうなったらますます外していたって不思議じゃねえよなあ。だてメガネなんてただのファッションなんだからよー」

狙撃手(こ……こいつ……『標的はメガネをかけていない』という言い分が通らなかったから……)

狙撃手(『標的はメガネをかけている』という私の言い分を内包した『標的は今現在メガネをかけていない可能性がある』という新たな説を……!)

狙撃手(そこまでしてメガネじゃないほうを狙撃させたいのか……! どうやら奴も本気で標的はメガネをかけていなかったと思っているようですね……)



39: ◆hCMplRvBEY 2012/09/05(水) 16:29:14.12 ID:kU+Veg+ao

観測手「うーん、わからねえなあ。どうなんだろうなあ?」チラッ

狙撃手(確実に私の反応をうかがっている……!)

観測手「もしかしたらメガネをかけていなかったのかもしれないなー」

狙撃手(落ち着け……奴は私の動揺を誘って決断を撤回させようとしているだけ……惑わされてはいけません、私……)

観測手「あー、普段はコンタクトレンズで過ごしているやつがたまたまメガネをかけていただけって可能性もあったか」

狙撃手(!!)

観測手「そういうやつ多いもんなあ」ニヤリ

狙撃手(た、たしかに私の友人でも車を運転する時や本を読む時だけメガネをかける人がいるし……ありえなくはない……)

観測手「もしそうだとしたらあいつは標的じゃないってことになるんだなあ」

狙撃手「やかましいっ! 余計な口を挟むなと言ったでしょうっ!」

観測手「おっと、すまんすまん」ニヤニヤ

狙撃手(分からなくなってしまった……一体どっちが標的なのか……さっきまであった『確固たる自信』が消し飛んでしまった……)

狙撃手(……引き金が『重い』ッ! 迷えば迷うほど撃てなくなる……奴の思うつぼじゃあないか……!)

狙撃手(くそ……狙撃の時はいつもなら冷静なのに……味方の後押しがないというのがこんなにも大きい不安要素になるなんて……)ブルブル

観測手(なんか予想以上に効いてるな。豆腐メンタルかよ)



44: ◆hCMplRvBEY 2012/09/11(火) 01:46:30.47 ID:nRsRV5Jjo

狙撃手「く……」カチャ

観測手「…………」

狙撃手(深呼吸、深呼吸だ……)

観測手「……あ、標的が普段はコンタクトで、標的じゃないほうが普段からメガネかけてたとしたら写真と実際の関係は逆になるのかー」

狙撃手「…………」

観測手「もしそうだったらそもそもメガネで判別すること自体が間違ってるってわけなんだなー」

狙撃手「ああああああああ!! だったらどうしろって言うんですか!! 」

観測手「メガネでないほうを撃て。それで全て解決だ」

狙撃手「あなた今メガネで判別するのは間違ってるって脅してきたじゃないですか!!」

観測手「それはそうだが……」

狙撃手「つまり現段階で標的を絞る方法はないってことでしょう!? 八方ふさがりじゃないですか!」

観測手「狙撃できないだけに発砲ふさがり、なんちゃって」

狙撃手「7.62ミリの鉛の雨を浴びたいんですか? 私はいつでも撃てますけど」

観測手「なんだよ、緊張をほぐしてやろうとしただけだろ?」

狙撃手「プレッシャーを与えたのはあなたじゃないですか!!」



45: ◆hCMplRvBEY 2012/09/11(火) 01:53:23.32 ID:nRsRV5Jjo

観測手「プレッシャー与えたくもなるさ。標的を逃したらマズいからな……メガネのやつは標的じゃない」

狙撃手「……裸眼のほうが標的だと思う理由はなんですか?」

観測手「メガネかけてないから」

狙撃手「あなたの理論で行くとメガネの有無では標的を判別できないんですよ!」

観測手「じゃあどうしろっていうんだよ。二人まとめて撃つのか?」

狙撃手「どうしろですって? そんなの私が聞きたいです! だいたいあなたが黙っていれば……」

観測手「?」

狙撃手「……ん? 二人まとめて……?」

観測手「どうした?」

狙撃手「……それ! それですよ! 二人まとめて撃っちゃえばいいんですよ!」

観測手「は?」



46: ◆hCMplRvBEY 2012/09/11(火) 02:07:40.91 ID:nRsRV5Jjo

観測手「落ち着け、冷静になれ……お前大丈夫か? 頭とか」

狙撃手「至って冷静です! この状況を打破するには泣きぼくろの二人をまとめて撃つしかありません!」

観測手「ちょっと待て……オーケー、ちょっと待て。なんでそうなるの?」

狙撃手「どっちが標的かわからないうえに、お互い標的はこいつだと譲る気が無い。ここまではわかりますか?」

観測手「ああ」

狙撃手「ならお互いにこいつこそ標的だと思うやつを撃てばいいんです」

観測手「そういうことなの? おかしくね? 二人撃つってことは一人は確実に標的じゃないんだぞ?」

狙撃手「それはつまり裏を返せば確実に標的を撃てるということでもあります。巻き添えになるもう片方には運が悪かったと思ってもらいましょう」

観測手「それマジで言ってんのお前?」

狙撃手「ええ。それにウチのボスが依頼を受けるってことは少なくとも標的は手に負えないレベルのクズってことでしょう」

観測手「まあな。あの人は超ド級の糞野郎に対する依頼しか受けないし」

狙撃手「そんな超絶クズの取り巻きが真人間なわけありますか? ないでしょう? 朱に交われば赤くなるんですから」

観測手「ま、まあそうかもしれないけどさあ……」

狙撃手「なら平気ですよ。今回に限っては死ぬわけじゃないんですし……もっとも、死んだところで喜ぶ人のほうが多そうですけどね」

観測手(こいつたまにすごく冷酷になるから怖い)



47: ◆hCMplRvBEY 2012/09/11(火) 02:19:43.58 ID:nRsRV5Jjo

観測手「……まあいい、お前がやるってんなら俺は止めない」

狙撃手「話がわかる人が相方で良かったです。あと、手伝ってほしいことがあるんですがそれも聞いてくれますか?」

観測手「なんだよ」

狙撃手「あなたがバラして持ってきたライフルがあるでしょう? それを組み上げてくれると助かるのですが」

観測手「俺の銃? SR9のことか? お前のM700じゃダメなの?」

狙撃手「ええ、SR9TCのことです。それとこれはM700じゃなくてM24だって言ってるでしょう」

観測手「かーっ、どうでもいいじゃねえかそんなん。どうせマイナーチェンジだろ?」

狙撃手「細かいところは重要ですよ! 本当はM40A1が良かったんですがボスに簡単には手に入らないって言われたからM24をですね……」

観測手「はいはいわかったわかった。ミリオタ様のありがたいお話は帰ってからいくらでも聞いてやるからさ」

狙撃手「ミリオタとは失礼な。こういった職業に従事するものとしての最低限のたしなみです」

観測手「はいはい、そーね」



48: ◆hCMplRvBEY 2012/09/11(火) 02:25:05.95 ID:nRsRV5Jjo

観測手「よし一丁あがりっと」

狙撃手「できましたか」

観測手「ああ、できたぜ。はい」

狙撃手「……はい、とは?」

観測手「え? これ使うんじゃないのか?」

狙撃手「使いますよ」

観測手「だろ? だから、はい。お前に渡すぜ」

狙撃手「ああそういうことか……それはあなたが使うんです」

観測手「オレェ? なんで? 話が見えないんだけど……」

狙撃手「ですから、私とあなたが同時にメガネと裸眼をそれぞれ狙撃するんですよ」

観測手「えっ」



49: ◆hCMplRvBEY 2012/09/11(火) 02:31:13.54 ID:nRsRV5Jjo

観測手「待て待て待て! おかしい! それだけは絶対におかしい!」

狙撃手「何がおかしいんですか! 二つの標的に二人の狙撃手、数は合っているでしょう!」

観測手「そういうことを言ってるんじゃないの俺は! 二人共撃つっつったのはお前だろ!? なんで俺も加担する風に事が進んでんの!?」

狙撃手「一人で二人撃つとなると確実に二人目に逃げられますから。それにこの銃ボルトアクションですから連射は苦手なんですよね」

観測手「じゃあ俺の使えよ! セミオートだから! こっからあそこまで距離400も無いんだからお前ならいけるだろ!」

狙撃手「嫌ですよボルトアクションじゃない狙撃銃なんて……精度が違いますから、やっぱり。それに同時狙撃のほうが成功率は高いですし」

観測手「……お前そうは言ってるけど実際はあれだろ。標的以外の奴を撃つことに対する責任を俺とお前で半々にしようって魂胆だろ」

狙撃手「……おや、風向きが変わりましたかね?」

観測手「聞けよ」

狙撃手「うーん、東から2メートルってところでしょうか」

観測手「聞けよ」

狙撃手「そうなるとちょっと狙い方が変わってきますかねえ」

観測手「……わかった、俺もやるよ」

狙撃手「ホントですか!? やった! あなたが相方で本当によかったです!」

観測手「聞いてたんじゃねえかクソが! ああもうどうにでもなれ!」



54: ◆hCMplRvBEY 2012/09/14(金) 21:04:31.80 ID:sQh8CR7+o

観測手「ちっくしょー、なんで俺まで……後で覚えとけよ!」

狙撃手「いいじゃないですか。どうせ私達は二人一組、一蓮托生なんですから。あなたとは風呂に入る時と寝る時以外は地獄の果てまで一緒ですよ」

観測手「うれしくねえ……というかお前の尻拭いさせられてるだけじゃねえかよ」

狙撃手「標的の顔を忘れたのはあなたも私もおんなじなんですから尻拭いもくそもありません」

観測手「尻拭いだけにくそって言いたかったのか?」

狙撃手「汚いからやめてくださいよ……前々から思っていましたが下品すぎます、あなたは」

観測手「元はといえばお前が言った言葉だよ」

狙撃手「あっ! 奴らの迎えの車が来てます! 早くやらなきゃ逃げられますよ!」

観測手「えっ! うそっ、マジかよ!? どこどこ!?」

狙撃手「あっちです、左手! 手前から数えて二つ目の信号で止まってる黒塗りのロールスロイス二台組!」

観測手「どれだよ……あれか。うへえ、スモークガラスかよ……いかにもって感じがプンプンするぜ」

狙撃手「早くカタをつけましょう! それとも車に乗り込むときを狙いますか?」

観測手「いや、やれるときにやっちまおう。バスとかトラックに射線を封じられないとも限らないしな」

狙撃手「確かに。殺れるときに殺っちゃうほうがいいですもんね」

観測手「なんかニュアンスが違って伝わった気がするんだけど気のせい? 念のため言うけど殺しちゃ駄目だからな?」

狙撃手「ああ、そうでしたそうでした」

観測手「不安だ」



55: ◆hCMplRvBEY 2012/09/14(金) 21:12:19.45 ID:sQh8CR7+o

狙撃手「準備はいいですか?」

観測手「いつでもいけるぜ」

狙撃手「私はメガネをやります」

観測手「で、俺は裸眼をやる」

狙撃手「オーケー、じゃあ撃っちゃってください。私はあなたが撃ったあとにすぐ続けて狙撃します」

観測手「え? いや、お前が先にやれよ。そっちの発砲音聞いたら引き金引くからさ」

狙撃手「いえ、あなたが先にお願いします」

観測手「いや、お前が先にやってくれ」

狙撃手「なんでですか? 別にあとでも先でも変わらないでしょう? むしろ先のほうが自分のペースで撃てて楽だと思いますが」

観測手「そう思うんならお前がやりな。レディファーストともいうしな」

狙撃手「こういう時だけ唐突に女性扱いするのはやめてくれませんかね」

観測手「あーもう、こんなことでぐだぐだ言ってたってしょうがねえだろ。時間もないしさっさと先にやってくれよ」

狙撃手「わかったわかった、わかりました。ならこうしましょう……3、2、1、0と数えますからゼロで同時に撃つ。どうですか?」

観測手「ほー、それいいな。じゃあそれでいこう……カウントはお前がしてくれ」



56: ◆hCMplRvBEY 2012/09/14(金) 21:21:42.68 ID:sQh8CR7+o

狙撃手「じゃあ数えますよ」

観測手「おう」

狙撃手「3、2、1……」

観測手「…………」

狙撃手「…………」

観測手「お前なんで撃たねえの!? 撃てよ臆病者!」

狙撃手「そっちこそ撃ってくださいよ!!」

観測手「何? お前この期に及んで責任逃れしようとしてんの? 俺が勝手に先走ったので残りを撃ちました的な言い訳しようって考えか!?」

狙撃手「そそそそそそんなことは」

観測手「動揺しすぎだろ!! かーっ! 何が『地獄の底まで一緒ですよ』だ! 完全に俺だけ地獄に突き落とす気まんまんだったんじゃねえか!」

狙撃手「それは、その……だっ、だったらあなたはどうなんですか! 結局撃たないで私に二人ともやらせるつもりだったんじゃないんですか!?」

観測手「は? あああああありえないし」

狙撃手「動揺してんじゃないですか!! どこまでもついていくなんて言ったのが間違いでした! 一人で勝手に地獄なんなり行っててください!」

観測手「なんだとてめえこのやろう!」

狙撃手「あ! 車が! 信号変わりました! 来ます、来ちゃいますよ!」

観測手「あーっ!! どうすんだよ時間ねえぞ!!」



57: ◆hCMplRvBEY 2012/09/14(金) 21:27:59.89 ID:sQh8CR7+o

狙撃手「わかりました!! これです、こうしましょう!!」

観測手「何がわかったんだよ! さっきから何度か言ってるけど何もわかってなくねえか!?」

狙撃手「今度こそです!! お互いぴったりくっついて狙いを定めて、せーので『相手のトリガー』を引きます! これなら抜け駆けはできません!」

観測手「俺の銃の発砲権をお前に握らせるわけか! 確かにそれなら自分が撃つのを渋っても引き金は相手が引くから逃げられねえ! それだ!」

狙撃手「はやくはやく! 時間がありません! くっついてください!」

観測手「だがどうやるんだ!? どうやってお互いのトリガーに手をかけるんだ!?」

狙撃手「あなたは普通にほふくの体制で狙いをつけてください! 私はあなたの上に乗って同じ体制で狙います!」

観測手「はあ!? なんだそりゃあ!? 横並びになるとかあるだろ!?」

狙撃手「横並びだとどちらかのトリガーを引く手が逆になります! 私達はどちらも右利きですからこれしかないんですよ! 少なくとも今考えつくのは!」

観測手「ちくしょおおお! もうどうにでもなれ! 乗れよ!」

狙撃手「失礼します!」

観測手「うっわ、重っ……! 顎を頭に乗せんな! いてえんだよ!」

狙撃手「重い!? ほんとに失礼な奴ですねあなたは!! 痛いのは我慢してください! どうせすぐ終わります!」

観測手「そのくせ胸はねえしよお! この体制でおっぱいの感触がないとかありえねえ! くそがっ! 相方がまな板なのをこれほど悔やんだ日はねえ!」

狙撃手「黙れ変態! お前これ終わったら殺してやるからな!」



62: ◆hCMplRvBEY 2012/09/15(土) 03:07:07.51 ID:0JMBhcgmo

観測手「くっそ、この体制キツイぞ! 手がブレる! てめーが俺に乗っかってるからだ!」

狙撃手「筋肉で支えようとするからですよ! ライフルは骨で支えてください!」

観測手「なんだその感覚全然わかんねえ!」

狙撃手「あー! 車がもうすぐそこまで来てる! 早く! いっちゃいますよ!」

観測手「がああ! もうやるしかねえ! カウントしろ!」

狙撃手「3! 2! 1!」

観測手「ゼロ!」

狙撃手「シュートヒム!」

観測手「……やったか!?」

狙撃手「なんでそういう失敗しそうな感じのこと言うんですか!!」

観測手「だってそれ以外に言うことねえだろ!? 当たったのかどうか確認しないことには終わらねえし!」

狙撃手「なら早く確認しましょう!」

観測手「その前に俺の上から降りてくんない? 重いだけで何の特もないからさ。胸があるなら話は別だが」

狙撃手「死にたくなきゃ黙ってろおっぱい星人」



63: ◆hCMplRvBEY 2012/09/15(土) 03:17:33.48 ID:0JMBhcgmo

観測手「どれ、ちゃんと当たったかな……おしっ! 裸眼には当たったみたいだ! 右脚か、狙い通りだ」

狙撃手「メガネにも当たったようですが……倒れてます。どこに当たったんでしょうか? まさか死んだ……?」

観測手「どれどれ……うわっ、すげえ血だな……どこぶち抜いたんだよ……あっ」

狙撃手「えっ?」

観測手「うわあ……お前……むごい」

狙撃手「どこに当たったのかわかったんですか?」

観測手「あれだよ、あれ……」

狙撃手「あれ? 一体どこなんですか?」

観測手「……股間だよ」

狙撃手「え? ……え?」

観測手「……ビューティフォー……」

狙撃手「そ、そんな目で見ないでくださいよ! 狙ってやったわけじゃないんです! あなたが胸がどうとか言うから動揺して!」

観測手「ありゃ死んだな……性的に。考えただけでもブルっちまう……まあ上出来だ、ずらかろうぜ」



64: ◆hCMplRvBEY 2012/09/15(土) 03:27:32.02 ID:0JMBhcgmo




狙撃手「そんなこんなで一応任務はこなしてきました」

観測手「トチるかと思って冷汗かいたぜ」

ボス「ご苦労だった……と言いたいところだが、お前らには山ほど説教がある」

観測手「何を説教するってんです? 確かに途中こそヤバかったがちゃんと標的はやってきたぜ? 終わりよければ全てよしとしてくださいよ」

ボス「終わりが良かったように見えたのか、お前には……撃つのは標的だけでよかったんだ。余計なことをするんじゃない」

狙撃手「余計なことなんかじゃありませんよ。あれは必要な犠牲でした」

観測手「そうそう、二人撃たなきゃ逃げられちまうところだったしな」

ボス「顔を覚えていけばいいだけの話だろう。というかお前達、なぜ写真を置いていった?」

狙撃手「私はこの人が持っていくんだと思ってたんです。スポッターですし」

観測手「いや、俺はてっきりコイツが持ってるもんだと思ってて」

ボス「お前達はいいコンビなのになんでそういうところでは連携が取れないんだ? 馬鹿か?」

狙撃手「いいコンビだなんてそんな……褒めても何もでませんよ?」

ボス「なぜそこだけピックアップした」

観測手「すいません、こいつアホなんで……おい、褒められてるのはお前じゃなくて俺だよ。ぬか喜びすんな」

ボス「人の振り見て我が振り直せということわざがあってだな」



65: ◆hCMplRvBEY 2012/09/15(土) 03:36:27.34 ID:0JMBhcgmo

ボス「……説教は後だ。今は標的を注文通りに撃てたかどうかを知る必要がある」

狙撃手「テレビ点けてみましょう。そろそろニュースの時間ですし取り上げられてると思いますよ」

観測手「俺ちょっと麦茶取ってくるわ」

狙撃手「私にも頼みます。氷いっぱい入れてください……さて、テレビテレビっと」

ボス「くつろぎすぎだろお前達」

TV『新情報です。先ほどお伝えした銃撃事件の被害者は株式会社マネー&ゴールド代表取締役の金田伊須木氏とみられており……』

ボス「こいつだ。こいつがお前たちの標的だった男だ……」

ボス「近年稀に見るクズでな。金のためなら本当になんだってやるんだ……他人の事なんか考えちゃいない。いずれここに依頼がくると思っていた」

ボス「しかし死なないように、と言われた時にはたまげたもんだ。こいつが生きてても世の中の特になんてなりゃしないのに一体どういうことなんだろうな」

観測手「ぷはーっ!! 一仕事終えたあとの麦茶は最っ高だなぁ!!」

狙撃手「ちょっと! 私にもくださいってば……くさっ! それビールじゃないですか!」

観測手「麦茶もビールも大して変わんねえよ。あーっ、うっめぇ」

ボス「聞けよ」



75: ◆hCMplRvBEY 2012/09/24(月) 23:49:49.99 ID:zuNtMZzKo

TV『もう一人は金田氏の側近である戸閥地理夫氏と見られており、こちらは意識不明の重体です……』

ボス「こいつがとばっちりを喰らった奴か……いかにも幸薄そうな顔をしているな。運が無いやつだ」

観測手「こいつどっちだ? どっちが撃った奴なんだ? おっ、顔写真が出たな……」

狙撃手「この顔は私が撃ったほうのメガネのようですが……ということはこっちは標的じゃなかった?」

ボス「そういうことになるな」

狙撃手「えっ、じゃあメガネは標的じゃなかったんですか!? そんな馬鹿な!!」

観測手「ほれ見ろ裸眼のほうが標的じゃねえか。メガネなんかハナからかけてなかったんだよ! メガネだけにかけるとしたら耳か、がはは」

狙撃手「そんな……そうなんですか? ボス……」

ボス「いや、送られてきた写真では標的はメガネをかけていたぞ。ほら、写真だ」

狙撃手「なんですって? ……ほんとだ、メガネかけてる! 私のほうがあってたんじゃないですか!」

観測手「あっれー? ちょっと待って。写真ではメガネをかけているってことはメガネの男が標的なんじゃ……? わかんなくなってきたぞオイ」

ボス「狙撃するときにはたまたまメガネをかけてなかっただけなんじゃあないのか?」

狙撃手「そうですよね、やっぱり。となるととばっちり食らった奴は元々普段からメガネをかけていたんでしょうね……」

観測手「なんかメガネって単語がゲシュタルト崩壊してきた……」



76: ◆hCMplRvBEY 2012/09/24(月) 23:57:33.65 ID:zuNtMZzKo

ボス「それにしても意識不明の重体とはな。殺すなという注文なんだぞ……死んだらどうする。一体どこを狙ったんだ?」

狙撃手「えっ……それは……」

観測手「ぶふっ! 気になりますかボス? 気になるでしょう!?」

ボス「うむ」

狙撃手「ストップ! この話はここで終わりにしましょう! ろくなことになりません!」

ボス「ちょっと待て、そうはいかない。私には何が起きたのかを詳しく知っている必要がある。クライアントに詳細を話さなければならないからな」

狙撃手「う、ううぅ……そうだった……」

観測手「ぶはは! それが聞いてくださいよ! こいつ急所を外すつもりで撃ったのに、『弾』は『タマ』に当たっちまったんですよ! だーっははは!」

狙撃手「笑うな! 狙ったわけじゃないんですから!」

観測手「なるほど『たまたま』ってか? がっはっはっは!!」

狙撃手「やかましいっ!」

ボス「……局部か。同じ男としては笑えないな……死んでてもおかしくはない……もっとも、生き残ったところで死んだも同然か」

狙撃手「すいません……狙ったわけじゃなかったんですが……」

ボス「狙ってたとしたらそっちのほうがたちが悪いぞ」



77: ◆hCMplRvBEY 2012/09/25(火) 00:07:27.05 ID:tH0/Kkwpo

観測手「しかし巻き添え出しちゃったんだなあ、今更ながら実感したわ。そんなわけですけど依頼には影響ないんですかね? ボス」

ボス「近い、お前顔近い。あと酒臭い……そうだな、契約不履行ということでクライアントからの報酬の支払いは無しになるかもしれん」

狙撃手「まあそうですよね……私達の給料が減るわけですね……」

ボス「そしてそうなったら組織のメンツを潰したお前達には然るべき報いを喰らわせねばならん」

観測手「えっ!? お前達!? 俺はなにもしてないじゃないですか! むしろ鮮やかに狙撃を決めましたけど?」

ボス「確かにお前は鮮やかに狙撃を決めた。だがそれは標的じゃない奴に対してだ」

観測手「そうでした。てへっ、わたしったらおちゃめさん!」

ボス「ぶん殴っていいか」

狙撃手「気色悪い……」

観測手「ひでえ言いようだなあ。お前の真似をしてみただけだろ?」

狙撃手「私がいつそんな真似をしたってんですか。酔ってるからってあんまりふざけたこと言ってるとその口に鉛玉詰め込みますよ」

観測手「お前俺が酔ってるからこんなこと言ってると思ってんの? シラフでも変わんねえよ?」

狙撃手「わかりました、今から弾丸取ってくるんで口を開けてそこを動かずに待っていてください」

ボス「お前らそんな調子で本当にコンビなのか」



78: ◆hCMplRvBEY 2012/09/25(火) 00:17:46.83 ID:tH0/Kkwpo

狙撃手「ところでボス、処罰ってもう決まってるんですか?」

ボス「いや、お前たちに処罰を貸すのはこの依頼がパーになった時に限る。だからまだ決めてはいない」

狙撃手「クライアントがこの結果で満足すれば処罰はなしということですか」

ボス「そうだ。とはいえ標的は注文通りに撃てているし問題ないと思うがな」

狙撃手「つまり処罰はされないと?」

ボス「まあ十中八九そうだろう。結果さえ出ていればその過程で何が起ころうとも気にしない、この業界はそういうものだ」

狙撃手「よかった……聞きました? 処罰は無しですって。私達助かりましたよ」

観測手「んごー、んごー」

ボス「酔っ払って寝てるんだが」

狙撃手「ボス、こいつにだけ別に処罰を課すことってできないんですか?」

ボス「残念だがそういうのはうちの規定には無くてな……」



84: ◆hCMplRvBEY 2012/10/15(月) 02:31:28.42 ID:ggjgbCs1o

ボス「しかし遅いな」

狙撃手「何がです?」

ボス「クライアントからの電話だ。指定した時間は過ぎているんだが……」

狙撃手「あっちからかかってくるんですか?」

ボス「電話で連絡をとる場合は基本的にはそうだ。そしてどこで落ち合うかを通話で取り決めてそこへ実際に出向き、報酬を受け取るわけだ」

狙撃手「クライアントからかけてくるんだ……そのうち踏み倒されそうですね」

ボス「そうなったらそのクライアントが次のターゲットになるだけだ。つまらない裏切りは後悔させてやらなければな……いい見せしめにもなる」

狙撃手「やだ、この人こわい」

ジリリリリリリリリン

狙撃手「あ、電話鳴ってますよ」

ボス「そのようだな」

ジリリリリリリ

狙撃手「……取らないんですか?」

ボス「電話で連絡を取る場合はコール音を二分以上鳴らし続けることになっている」

狙撃手「なんでまたそんな取決めを」ジリリリリリリリリ

ボス「ここに本当に用がある人間以外とはなるべく話さないようにしたいからな。大した用がないなら二分もコールし続けたりはしないだろう?」

狙撃手「へえ、なんだか面倒くさいですね」

ボス「そうやって私が頭をひねって考えだした連絡法にケチをつけるのはやめろ、泣きたくなる」ジリリリリリリリリリリーン



85: ◆hCMplRvBEY 2012/10/15(月) 02:38:55.51 ID:ggjgbCs1o

ボス「コーヒーでも淹れるか」

狙撃手「なんだかんだボスもくつろいでますね」

ボス「仕方がないだろう、しばらく待ってなければいけないんだ」ジリリリリリリリーン

狙撃手「依頼を受けるときも毎回こんなことやってるんですか?」

ボス「電話での依頼ならな。直接会って話すのならこんな回りくどいことをやらなくて済むんだが」

狙撃手「直接会うこともあるんですね」

ボス「ああ。現に今回のクライアントはこの事務所に直接出向いて依頼をしてきた」

観測手「ううーん……」

狙撃手「あ、この人起きそうですよ」

観測手「あと10分だけ……」ジリリリリリリリーン

狙撃手「なに寝ぼけてんですか、さっさと起きなさい」グリグリ

観測手「ぐあ……」

狙撃手「ほらほら、起きなきゃどんどん蹴りが強くなりますよー」ゲシゲシ

ボス「楽しそうだなお前」

狙撃手「この人が無防備なときに攻撃を加えないなんてそんな勿体無いことできるわけ無いでしょう? いつも馬鹿にされてますしこれでチャラってことで」ガッガッ

ボス「陰湿な奴め」ジリリリリリリリーン



86: ◆hCMplRvBEY 2012/10/15(月) 02:45:58.78 ID:ggjgbCs1o

狙撃手「そろそろ二分経ちますよ」

ボス「そうだな、じゃあ取るか……」ジリリリリリリリーン

観測手「があああああぁぁぁ! 誰ださっきから目覚まし鳴らし続けてるアホはぁぁぁ!!」

狙撃手「あ、起きた」

ボス「なにやってるんだお前たちは……電話にでるから静かにしていてくれ」ガチャ

電話『あっ、やっと繋がったか! このやろう! 居留守使いやがって!』

ボス「誰だ?」

電話『誰だだとお? お前らに仕事の依頼をした奴だよ! まったくお前らは……!』

観測手「何人たりとも俺の眠りを妨げる奴は許さん! 誰だ、やかましかったのは! お前か!」

狙撃手「違います! 私はちょっと足が出ただけで」

観測手「なるほど、さっきからずっと俺を蹴ってたのはお前なんだな? この野郎とっちめてやる!」

狙撃手「わっ、わっ! 待ってストップストップ! 蹴りはともかくうるさかったのはそっち、その電話!」

観測手「なんだと? ジリンジリンやかましかったのはそいつか! おい、電話の向こうの! 聞いてんのか!」

ボス「やかましい!! 静かにしろと言っているだろうっ!!」

電話『おめーら全員うるせーんだよォォォォォーッ!!!!』



87: ◆hCMplRvBEY 2012/10/15(月) 02:52:17.07 ID:ggjgbCs1o

ボス「……失礼した」

電話『ほんと失礼だよ! 何なんだお前らは!』

ボス「話を戻そう、今回の依頼主はあなたがで間違いないか?」

電話『そうだよ! 今じゃ後悔してるけどな!』

ボス「後悔……?」

狙撃手「あわわわわ、やっぱり巻き添えを出したから……」

観測手「落ち着けよ。いまさら怯えたってどうにもならねーだろ」

狙撃手「あなたはなんで落ち着いてるんですか。さっきまで酔って寝てたっていうのに」

ボス「……すまないがなぜ後悔しているのか説明してくれないか?」

電話『言わなきゃわかんねーの!? いいか! まずてめーらは約束の時間に現れなかった!』

ボス「なんだと? 時間は完璧だったはず……おいお前達、なにかやらかしたのか?」

観測手「んなアホな……指定された時間にやるべきことをやったはずです。なあ?」

狙撃手「ええ、その通りです」

ボス「ふむ……こちらは指示通り17時に実行したと思ったが」

電話『あぁ? 17時だと?』

ボス「そうだ」

電話『ちげーよ! 「じゅうしち」じゃなくて「じゅういち」! こっちは11時って指定したんだよ!!』

ボス「えっ」

狙撃手「ボス……聞き間違えたんですか」

観測手「俺達は標的を勘違いしてたけど、ボスも時間を聞き間違えてたのか……どいつもこいつも間違えてやがるぜ」



88: ◆hCMplRvBEY 2012/10/15(月) 02:59:34.50 ID:ggjgbCs1o

電話『時間間違えるとかどういう了見してんだよおたくら! ありえねーよ!』

ボス「あー……いや、それは……」

狙撃手「ボスがおろおろしてますよ。貴重なシーンですね、あの人でも間違えることがあるなんて」ヒソヒソ

観測手「実は意外にこういうことはあるらしい。ボスもなんだかんだアホだ」ヒソヒソ

電話『おい、聞いてんのか!? どうなってんだって訊いてんだよ!!』

ボス「うむ……それに関しては……あれだ。そっちもそっちで責任があるのでは?」

電話『は?』

ボス「いや、『いち』と『しち』で聞き間違いが起こりやすいってことはわかりきっていることだし午前11時といえばよかったのでは?」

電話『んだとォ!?』

狙撃手「最悪だ! 最悪だあの人! 責任転嫁し始めた! クズですねえ」ヒソヒソ

観測手「やべーよこの組織、トップが相当バカだった。こりゃ俺達もバカになるわけだ」ヒソヒソ

狙撃手「俺達? 冗談よしてくださいよ、バカはあなただけでしょう? 私まで一緒くたにされちゃ困りますね」

観測手「何言ってやがんだ。俺とコンビ組んでる時点で同じ穴のムジナだろ」

狙撃手「同じ穴の……? それどういう意味なんです?」

観測手(やっぱバカだわこいつ)



99: ◆hCMplRvBEY 2012/11/17(土) 23:48:14.81 ID:BJD++ymdo

電話『てめーらのミスを俺のせいにするとはなかなか根性座ってんじゃあねーか……』

ボス「本気でそう思っているわけではないんだがな。どう考えてもこちらが悪い」

電話『そこまでわかってんのに詫びのひとつ言えねーのかおめーらはよォーッ!』

ボス「すまん」

狙撃手「ごめんで済むと思ってるんですか?」

観測手「なんでお前がそのセリフを言うんですか?」

電話『なんで俺を放置して漫才を始めるんですか?』

狙撃手「ごめん」

観測手「ごめん」

電話『お前らもごめんで済むと思ってんじゃねーか』

ボス「キレのある突っ込みだ。お前なかなか筋がいいな……ウチにこないか?」

電話『お前はなんなの? 馬鹿? もしくは馬鹿?』

ボス「私はこの組織のボスだ。それ以上でもそれ以下でもない……余計な詮索は身を滅ぼすぞ」

電話『いまさらカッコつけてもおせーよ馬鹿』



100: ◆hCMplRvBEY 2012/11/17(土) 23:55:59.44 ID:BJD++ymdo

電話『くそっ、話がそれちまってるじゃねーか! こんなふざけた奴に依頼なんかするんじゃなかった!』

観測手「でも依頼は一応完遂したはずなんだが……」

電話『二人も負傷者を出しておいてよくそんな事が言えるなおめーら!』

狙撃手「あわわ……やっぱり一人じゃなきゃ駄目だったんだ……」

電話『は? 何言ってんのお前? 一人でも駄目に決まってんだろ!』

ボス「……何?」

狙撃手「え?」

電話『怪我人が出てる時点でもうアウトなんだよ! ほんとつかえねー奴らだな!』

観測手「怪我人が出たら駄目? ……どういうことだ?」

狙撃手「殺せってことでしょうか? でもそれは依頼内容と違うしなあ」

ボス「待て、話が噛み合わない」

電話『噛み合わねーのはそっちだ! 一人なら大丈夫だったとかわけわからんことほざきやがって』

ボス「どうもわからんな」



101: ◆hCMplRvBEY 2012/11/17(土) 23:58:13.63 ID:BJD++ymdo

ボス「……依頼をしたのは間違いないんだろうな?」

電話『そうだ。依頼の時に話したのは俺じゃねーが、そいつは今隣に居るから間違いねえよ』

ボス「金田氏だったか? 彼が死ぬことがないように丁重に扱えと言っていたと思うんだが」

電話『ああ、そう言ってたはずだ』

ボス「ならば依頼は完了では?」

電話『おいおい! あれのどこが丁重だ! 死にこそしなかったが撃たれてんだぞ!』

ボス「……?」

狙撃手「撃たれてるのは当たり前では? ボス……」

観測手「こいつ、なんかおかしいな」

電話『おかしいのはお前らだろ! 人ひとり守れもしねーなら廃業しちまえ!』

ボス「は? 守る? 何を言っているんだ?」

狙撃手「私達とは縁がない言葉の一つですね」

電話『なんだと? 縁がないわけないだろ、それがお前らの仕事なんだから』

観測手「間接的に人の命を守ってはいるかもしれねーけど、直接的には……なあ?」

狙撃手「ええ」

電話『あ? なんだお前ら……なんか噛み合わねーな』

ボス「だからさっきからそう言っているだろう」



102: ◆hCMplRvBEY 2012/11/18(日) 00:01:11.06 ID:4KbzRM7Bo

電話『待てよ……ちょっと待て……』

ボス「どうした?」

電話『いや、しばらく気にしないでくれ……こっちの話を少しするから』

ボス「…………」

  『オイ! 番号はこれで合ってるんだろうな?』

  『……なんだと?』

狙撃手「ボス、今向こうはどうなってるんですか?」

ボス「なにやら立て込んでいるようだが……」

  『なに? イチ? ハチ?』

観測手「あー、なんか俺この後の展開分かっちゃった気がするわ」

狙撃手「本当ですか?」

観測手「まあ九分九厘あってると思う」

  『ふざけんな! だったら紙に書いとけや!』



103: ◆hCMplRvBEY 2012/11/18(日) 00:03:52.42 ID:4KbzRM7Bo

電話『……もしもし、まだ繋がってますか』

ボス「ああ」

電話『……すいません、そちら様は二津府総合警備様ですよね?』

ボス「は?」

電話『いや、企業警備だけでなく個人の護衛もやってるあの二津府さんですよね?』

ボス「……」

電話『もしもし?』

ボス「」ガチャン

狙撃手「…………」

観測手「…………」

ボス「……間違い電話だった。依頼のほうも多分そうだろう」

狙撃手「はあ!?」

観測手「おそらくはイチとハチを聞き間違えてプッシュしたんじゃねえかなあ……」

ボス「だからといって警備会社と間違えて暗殺組織に依頼するか? ……番号は変えたほうが良さそうだな」

狙撃手「標的を間違える狙撃班、時間を聞き間違える首領、間違い電話をかける依頼主……」

観測手「バカばっかり、ってか?」

狙撃手「やかましい!」


おわれ



105: ◆hCMplRvBEY 2012/11/18(日) 00:12:07.96 ID:4KbzRM7Bo

狙撃手と観測手の区別がつかなくて何度も間違えた
どいつもこいつも間違えまくりまさにバカばかり
HTML化依頼出してくる


元スレ
SS速報VIP:狙撃手「あれ……ターゲットってどんな奴でしたっけ」観測手「……えーと」