SS速報VIP:【まどマギ】覇王樹の涙【まどほむ】
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1: ◆2DegdJBwqI 2012/12/15(土) 20:26:14.57 ID:kNTihWgt0

仙人掌の花言葉はグーグルで調べると

燃える心、秘めた熱意、内気な乙女、枯れない愛だという事で、

ほむらにぴったりだと思って書きました

ただ自分で言うのもなんですが、

まどかの心情描写不足の為まどかがほむらに尽くす理由が無くて、

無理やり恋愛物にしたような不自然さがあります

それでも初めてまともに書いたほむら一人称で思い入れもありますし、

中々まどかが主人公してる王道物が書けたような気がしたので、

小ネタスレに投稿するには長いのでここに自分でスレ立てて供養させて頂きます

御自由に妄想やらSSやらの肥やしにしてください

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1355570774




2: ◆2DegdJBwqI 2012/12/15(土) 20:30:14.49 ID:kNTihWgt0

______

また長い夜が明ける。

太陽に照らされ徐々に輝きを取り戻す大地はどこを見回しても砂ばかり。

日差しは私の体液を限界まで干上がらせる。

例え血を全て失っても私は屈しはない。

あなたと生きる為なら私は何物をも寄せ付けぬ棘すら着込もう。




3: ◆2DegdJBwqI 2012/12/15(土) 20:30:40.96 ID:kNTihWgt0

例え涙が枯れ果てようとも私は泣くのを止めない。

あなたを偲び続ける事しか私にはできないのだから。

また長い夜が来る。

貴女の輝きの届かぬ夜が来る。

貴女を偲ぶ深い闇の中、私はきちんと泣けているだろうか?



4: ◆2DegdJBwqI 2012/12/15(土) 20:31:45.08 ID:kNTihWgt0

~☆

今度こそ。

今度こそ。

この言葉を胸で唱え続けて何度この変わり映えのしない時間を過ごしてきただろう。

また駄目だった。

視界がぼやけている。

私は泣いているのだろうか?




5: ◆2DegdJBwqI 2012/12/15(土) 20:32:45.66 ID:kNTihWgt0

いや、視力を魔力で矯正していないだけだ。

…私が辛くても悲しくても涙を流せなくなったのはいつの頃からか。

まどかの言ったように私はカッコ良くなれただろうか?

…少し疲れてしまった。

どうせこんな精神状態ではまどかを救うことなんてまた失敗するに決まってる。

いっその事この時間軸は一休みする事にしよう。

そう思うと何だか今までずっと凄く重たく感じていたものが内から滑り落ちて行った気がした。



6: ◆2DegdJBwqI 2012/12/15(土) 20:34:54.87 ID:kNTihWgt0

~☆

「暁美ほむらです。よろしくお願いします」

私がこの時間でまともにするのはQBとまどかの接触を妨げる事だけ。

他は武器やグリーフシードを集めるのも程々にまどかと仲良くするために使おう。

もしかしたらまたあの温もりに触れる資格なんて私にはもうないのかもしれない。




7: ◆2DegdJBwqI 2012/12/15(土) 20:35:35.34 ID:kNTihWgt0

…それでも私にはもう耐えきれないよ。

ただ一人救いたいと願い続ける人からも敵意の目で見られ続け、

孤独に終わりの見えない徒労の旅を続ける日々。

貴女は私が守るには重すぎて、大切すぎて、儚すぎて…。



8: ◆2DegdJBwqI 2012/12/15(土) 20:36:44.54 ID:kNTihWgt0

~☆

「ほむらちゃーん。こっちこっちー!」

「ま、待って、まど、か」

「ちょっとまどか、さすがにはしゃぎ過ぎでしょ」

「ご、ごめんねほむらちゃん」

「ゴホッ、ゴホッ…。だ、大丈夫だから」




9: ◆2DegdJBwqI 2012/12/15(土) 20:37:33.95 ID:kNTihWgt0

急に走ったせいで胸がきりきりと痛む。

目の前が少し暗くなる。

懐かしい感覚だ。

昔捨てた私の弱さ達。

今はそれが愛おしい。

おそらくそれは私が人間であった頃を思い出させてくれるからだと思う。



10: ◆2DegdJBwqI 2012/12/15(土) 20:42:36.11 ID:kNTihWgt0

目を閉じればあの鹿目さんとの大切な日々がじわりじわりと脳裏にまた浮かび上がってくる。

私の原点。

そして私の終点。

「ほむらちゃん眼鏡ずれてるよ」

「ほ、本当だ。ありがとねまどか」

「そんなことにも気付かないなんてほむらはほんとドジっ子だなー」




11: ◆2DegdJBwqI 2012/12/15(土) 20:44:10.57 ID:kNTihWgt0

さやかが私に向かって失礼な事を言う。

この時間軸で私はこの体を魔力でいつものように治癒させなかった。

視力は悪いし、心臓病もそのまま。

身体能力も何ら補強していない。

契約して初めての時間軸ですら心臓病は治していたはずだし、

おそらくはこれが初めての経験だろう。

私という一人格がドジなのではない。

この体がポンコツなだけなのだ。



12: ◆2DegdJBwqI 2012/12/15(土) 20:48:42.56 ID:kNTihWgt0

「ほむらちゃんちょっとそこで休もう?大丈夫?自力で歩ける?」

「うん、心配してくれてありがとうまどか。私は大丈夫だよ」

「れ、礼には及ばないよ!私がやりたくてやってるんだからね!」

「本当にほむらその調子で大丈夫なの?何か飲み物でも買ってこようか?」

「…急に走ったからちょっと喉が乾いちゃったかもしれないです。

申し訳ないけどお願いしちゃおうかな。はい、これ私の分のお金です」

「いやいや別にいいって。それくらいおごるよ」




13: ◆2DegdJBwqI 2012/12/15(土) 20:50:12.14 ID:kNTihWgt0

「じゃあ私のもついでにお願い。…ほむらちゃんはいつも通りコーヒーだよね?」

「うん」

「私はピーチのジュースが飲みたいかな。さやかちゃんよろしくね」

「いや、まどかからはきちんと料金徴収しますけど?」

「えぇ…!?」




14: ◆2DegdJBwqI 2012/12/15(土) 20:51:19.30 ID:kNTihWgt0

この時間軸ではさやかとも良好な関係を築けている。

どうも心の中をすべてさらけ出しているのが良かったらしい。

後基本的に面倒見の良い性格だから病弱な私を放っておけない所もあるのだろう。

どうしてさやかが今までの時間軸であれほど私に対して懐疑的だったのか今ならわかる。



15: ◆2DegdJBwqI 2012/12/15(土) 20:52:01.94 ID:kNTihWgt0

私の全てが虚構だったからだ。

私が刺々しい態度をとったからだ。

…しかしまどかを救うと言う一点に置いて他の皆への過度な親愛は邪魔にしかならない。

それは失敗のリスクを高める危険なものだ。

このジレンマを解決する術を私はいまだ見つけ出せずに居る。




16: ◆2DegdJBwqI 2012/12/15(土) 20:54:15.64 ID:kNTihWgt0

「ほむらちゃん、これで二人っきりだね…」

「うん、そうだね」

「ほ、ほむらちゃんよしよし…良い子良い子」

「まどかぁ…」

「ああ…すっごいほむらちゃんの髪さらさらだよう…。

…もうナデナデだけじゃ我慢できない。ぎゅってしていい?ぎゅってしていいよね?」

「どうぞ思う存分ぎゅってして頂戴、まどか」

「ほむらちゃん可愛いよ…ほむらちゃん…」

「て、照れるわまどか」




17: ◆2DegdJBwqI 2012/12/15(土) 20:55:15.70 ID:kNTihWgt0

この時間軸の私は弱い私。そう決めて実際それはほとんど予想通りに進んでいる。

ただ予想外だったのは人に甘える事がこれほど甘美だとは思わなかった事だ。

所詮虚構でしかない私の強さ。

何一つ本当の物はなくてそれでも必死で生き抜いてきた。

心の奥底では助けて!誰か私を見て!私を褒めて!と汚い期待に胸を膨らませながら。

その強さを一度でも捨て去ってしまった今、

私はまたあの辛く苦しい日常に戻る勇気を出せるだろうか?




18: ◆2DegdJBwqI 2012/12/15(土) 20:57:11.23 ID:kNTihWgt0

「あんたら公衆の面前で何いちゃいちゃしてんのよ」

「あっ!…っと、その、し、しゃかちゃんずいぶん速かったんだね!」

「何だそのどこぞの仏陀みたいな呼び方」

「釈迦は本来釈迦牟尼の略で釈迦族の聖人という意味なんだよ」

「へーほむらちゃんは物知りだね」

「いや、そんなの知らんし。私しゃかちゃんじゃないし。天下の美少女さやかちゃんだし」




19: ◆2DegdJBwqI 2012/12/15(土) 20:58:50.18 ID:kNTihWgt0

「ああはいはい、天下の微少女さやかちゃんね、

本物の美少女はほむらちゃんみたいな人の事を言うんだよ」

「いますっごい『びしょうじょ』さやかちゃんの所に悪意を感じたんだけど」

「ふふ、ふふふふ」

「あっ、ほむらちゃんが笑ってる!」

「おーこれはレアですなまどかさん」

「ああ、やっぱり楽しいわね、こういう日々って…」

「ほむらちゃん…?」




20: ◆2DegdJBwqI 2012/12/15(土) 20:59:46.77 ID:kNTihWgt0

神様…どうか罪深き私をお許しください。

あの時全てを捨ててでもまどかを救うと願ったはずなのに、

いまだ自分の幸せを願わずにはいられない愚かな私をお許しください。



21: ◆2DegdJBwqI 2012/12/15(土) 21:01:08.77 ID:kNTihWgt0

~☆

「いったいど、どうなってるの!?さ、さやかちゃん!」

「わ、私にわかるわけないじゃん!とりあえずまどか、ほむら私から離れないで!」

私にとってそこは余りに見慣れた光景。

病を抱えたままで闘うのは確かに苦労してきた。

現に今私は生きて行くのに最低限のグリーフシードしか集めて居ない。

ぎりぎりグリーフシードを落とす弱い奴。

それを狙って倒してどうにか生き伸びている。



22: ◆2DegdJBwqI 2012/12/15(土) 21:02:29.86 ID:kNTihWgt0

この時間軸私はいつも以上に苦労していたともいえる。

しかしこの時間軸ではまどかとさやかはQBと接触していない。

私がマミとQBの仲を妨害したりと思いつく限りの事を陰でしているからだ。

それなのに…どうして…こんな…こんなのってあんまりよ…。

どうして私は事前に結界が発生するのに気付く事が出来なかったのか?

私の勘は幸せに浸りすぎてすっかり錆びついていた。



23: ◆2DegdJBwqI 2012/12/15(土) 21:02:58.03 ID:kNTihWgt0

後悔してもしきれない。

抑えきれない悲しみが押し寄せてくる。

視界が久方ぶりの涙でぼやける。

  「こ、怖いよ…。だ、誰か助けてよぅ…」

  「こ、こっちくんな!くんなったら!」




24: ◆2DegdJBwqI 2012/12/15(土) 21:03:49.45 ID:kNTihWgt0

二人が使い魔によってじりじりと後退を余儀なくさせられている姿に、

私は強烈な既視感を覚えた。

私が契約を決意したあの地獄の一時。

巴さんは死に、鹿目さんも死んでいった。

私は何もできなかった。

大切なものを失うというその瞬間何もできなかった。

ただ無力に震えているしかできなかった。




25: ◆2DegdJBwqI 2012/12/15(土) 21:04:30.66 ID:kNTihWgt0

「ほ、ほむらちゃん…」

まどかの声が私を甦らせる。

私の中でまた、火が灯る。

それはあの時私が願った気持と同じ。

まどかを守りたい。そして今はさやかも。




26: ◆2DegdJBwqI 2012/12/15(土) 21:05:09.71 ID:kNTihWgt0

眼鏡をはずしソウルジェムを眉間に押し付け魔力を込める。

視力が回復したのを確かめると眼鏡を地に捨て足ですり潰す。

これはもう私には必要ない。

胸にソウルジェムを当て魔力を込める。

身体機能を高める魔法を自らにかける。




27: ◆2DegdJBwqI 2012/12/15(土) 21:06:07.60 ID:kNTihWgt0

ああ、さようなら私の弱さ達。

私はやはり強く在らねばならぬ定めのようだ。

「ほ、ほむら眼鏡が…」

「二人とも私から離れないで」

変身を手短に済ませる。

慣れ親しんだ私が帰ってきた。




28: ◆2DegdJBwqI 2012/12/15(土) 21:07:47.21 ID:kNTihWgt0

「ほ、ほむらちゃんその格好は…」

「説明は後、まずはこの事態に対処するわ」

二人を遠くにやってから魔女を倒すか。

この魔女は武器を惜しまなければ速攻で決められるはず。

だったら二人に説明するのを急ぐ方がいいか。




29: ◆2DegdJBwqI 2012/12/15(土) 21:08:58.28 ID:kNTihWgt0

その判断を決めあぐねていると私の目の前にこの町のもう一人の魔法少女が現れた。

巴マミ、彼女が来てくれたというのはこの状況下ではかなり心強い。

「あら、暁美さんお久しぶり。…ずいぶんと前とは様子が違うようだけど」

「ちょうど良い所に来たわね巴さん。私はこの二人を守らなくてはならない。

魔女の方はお任せするわ」

「…ええ、わかったわ。速攻で倒してくるから後でお話ししましょう」



30: ◆2DegdJBwqI 2012/12/15(土) 21:10:07.84 ID:kNTihWgt0

巴マミが今まで私をある程度放置してくれて居たのは、

私が余りにか弱すぎ彼女に危険視されていなかったからだ。

これからはそうもいかないだろう。

後々の問題がまた一つ増えた。

思わずため息がこぼれる。




31: ◆2DegdJBwqI 2012/12/15(土) 21:11:57.02 ID:kNTihWgt0

「ほむらちゃん…?」

「大丈夫よまどか。私に任せて」

心配そうにこちらを見るまどかの手を優しく両手で包む。

それが少しでも彼女が安心するための助けになる事を願いながら。



66: ◆2DegdJBwqI 2012/12/16(日) 11:08:25.75 ID:F+Hzd4Ye0

~☆

「…ほむらはいつもあんなのと戦ってるんだね…」

「ええ、そうよ」

私の家で一通り二人への説明を終える。

マミからも誘いがあったが二人の方を優先したいと今日の所は断っておいた。

やれやれ、明日を迎えるのが憂鬱で仕方がない。

もっとも今この状況も負けず劣らず憂鬱であるのは変わりがないのだけれど。

先ほどからまどかが何も言葉を発して居ないのだ。



38: ◆2DegdJBwqI 2012/12/16(日) 10:25:35.79 ID:F+Hzd4Ye0

「まあ何にせよほむらのおかげで命拾いしたよ。

ありがとね。

今のところ命を賭けてまで叶えたい願いってのも見つからないし、

ほむらもやめとけって言ってる。

私としてはこのまま三人いつも通り仲良くやっていくつもりだよ」

「ありがとう…ありがとうさやか」




39: ◆2DegdJBwqI 2012/12/16(日) 10:26:47.44 ID:F+Hzd4Ye0

思わず眼が潤んでしまう。

一度休んだだけだというのにこれだ。

今まで涙が出なくて悩んでいたのが嘘のように、

私はまたあの頃のように泣き虫になってしまったようだ。



40: ◆2DegdJBwqI 2012/12/16(日) 10:27:17.21 ID:F+Hzd4Ye0

「ほむらちゃんはさ…」

まどかの方を見るとなにやら深刻な顔をして俯いている。

こういう時になんて声をかけたら良いのかわからない。

ああ、やっぱり私って駄目な子なんだ。



41: ◆2DegdJBwqI 2012/12/16(日) 10:30:17.08 ID:F+Hzd4Ye0

「本当はそんなカッコいい子だったんだね。

でもだったらどうして私達にはあんなおどおどした態度をとっていたの?

ほむらちゃんと私達との今までは全部ウソだったの?」

「こら!!!まどか!!!」

「だ、だって!こんなの絶対おかしいよ!

私だって今までのほむらちゃんが嘘だったなんて思いたくないけど、

これじゃまるで別人だもん!私はそこをうやむやになんてしたくない!」



42: ◆2DegdJBwqI 2012/12/16(日) 10:31:28.87 ID:F+Hzd4Ye0

「だって…。だって…」

嘘。

まどかのその言葉に私の涙腺はついに決壊してしまった。

まどかの言うとおり私は全部嘘っぱちだ。

本当はただの役立たずなのだ。




43: ◆2DegdJBwqI 2012/12/16(日) 10:35:46.70 ID:F+Hzd4Ye0

何度あなた達に心の中で謝罪の言葉を述べたかわからない。

しかし今私はそれをひた隠しにしてあなた達の優しさに甘えている。

私は本当に汚い人間なのだ。

「生きていくためには…。生きていくためには…。

嘘でも強い振りをしなくてはならなかった…。

私は本当は強くなんてない。カッコ良くなんてない…。

うう…グスッ。誰かこんな私を助けてよ…。私を褒めてよ…。私を…」




44: ◆2DegdJBwqI 2012/12/16(日) 10:37:08.56 ID:F+Hzd4Ye0

突然ふわっと誰かに包まれるような感触がする。

私の大好きな匂いがする…。

私の大好きな…。

「…ほむらちゃん、辛い時は泣いていいんだよ。

悲しい時は泣いていいんだよ。

私は胸を貸してあげるくらいしかできないけど。

…ごめんね考えなしに変なこと聞いちゃって」




45: ◆2DegdJBwqI 2012/12/16(日) 10:38:44.22 ID:F+Hzd4Ye0

「まったくまどかは…。

罰としてほむらが泣き止むまで見て居てあげる事。

私は空気読んで帰るけどちゃんとやるんだぞ」

「うん、ありがとうさやかちゃん。またね」




46: ◆2DegdJBwqI 2012/12/16(日) 10:39:50.52 ID:F+Hzd4Ye0

バタンと玄関から扉の閉まる音がする。

しばらくまどかの胸の中で大声をあげて泣き叫んだ私は、

自分でもびっくりするぐらい疲れ果ててしまった。

そしてそのまままどかに寄り添われ、

不覚にも記憶にないくらい安らかな眠りに就いてしまったのだった。



47: ◆2DegdJBwqI 2012/12/16(日) 10:40:54.37 ID:F+Hzd4Ye0

~☆

「まどか…」

「あ、ほむらちゃんさっきぶりだね。こんばんわ。今日も魔女を倒してきたの?」

「ええ、そうよ。大変だったけど頑張ったわ」

「そんな所に居て人に見られたら大変だよ。さあはやく入って入って」




48: ◆2DegdJBwqI 2012/12/16(日) 10:42:11.66 ID:F+Hzd4Ye0

私は夜もだいぶ更けていく中、

今まどかの部屋に窓から入れて貰っている。

罪悪感は凄いがこれから貰えるご褒美が欲しくて、

困ったことについ気を抜くと私はまどかの部屋の窓をノックして居るのだ。




49: ◆2DegdJBwqI 2012/12/16(日) 10:43:21.98 ID:F+Hzd4Ye0

※今更だけど微エロ注意

ここだけだから完全に注意し忘れてた



50: ◆2DegdJBwqI 2012/12/16(日) 10:44:14.30 ID:F+Hzd4Ye0

「そっかじゃあご褒美をあげないとね」

そう言ってまどかはパジャマの上を脱いでその豊満…とはお世辞にもいえそうにない、

とにかく可愛らしい二つの小山を外界に露出させた。

「まどか…。まどか…」




51: ◆2DegdJBwqI 2012/12/16(日) 10:44:59.25 ID:F+Hzd4Ye0

その山の頭頂部にある突起にそっと口をつけてまるで赤ん坊みたいに吸う。

体をまどかに優しく居抱かれながら、私自身は体をだらんと投げ出している。

恥ずかしながらこれが私へ魔女を倒すたびに与えられる御褒美だ。

最初はまどかに甘えられる権利だったはずなのに、

どうしてこうなったのかは私にも今となってはよくわからない。



52: ◆2DegdJBwqI 2012/12/16(日) 10:45:44.78 ID:F+Hzd4Ye0

「毎回私をこんなに求めてくれて私も本当に嬉しいんだけど一つ疑問があるんだ。

…あっ答えは後で聞くからいつも通り吸っていいからね」

  「まどか…。まどか…」

大丈夫よまどか。

私もこの件に関しては疑問が山ほどあるから。

あなただけじゃない。



53: ◆2DegdJBwqI 2012/12/16(日) 10:47:18.10 ID:F+Hzd4Ye0

「おっぱいを吸うならマミさんの方が適任じゃないかなあって思うんだよね。

ほら、私って幼児体型だしさ。」

巴マミとも今回はきちんと親交を深められた。

さやかやまどかが間を仲介してくれたのが大きい。

ただ私も昔と同じ失敗はしたくない。

仲良くなっても魔法少女の真実については誰にも知らせて居ない。

それが良い事なのか悪い事なのかはまだわからないけど。




54: ◆2DegdJBwqI 2012/12/16(日) 10:48:50.56 ID:F+Hzd4Ye0

「いいえ、それは違うわまどか。

私はただおっぱいが吸いたいから、

あなたにこうしてお願いして吸わせて貰っているわけじゃない。

確かにおっぱいが目的なら巴さん以上に適任な人はいないと私も思うわ。

そうじゃなくて私はあなたのおっぱいだからこうやって吸いたいと思ったの」




55: ◆2DegdJBwqI 2012/12/16(日) 10:49:58.15 ID:F+Hzd4Ye0

赤ん坊のように心の中の全てを曝け出してまどかの前に立てる喜び。

おそらくまどかにそう言った心情を深く説明しても、

マニアックすぎて理解してもらえないだろう。

だから軽い説明だけに留めておく。




56: ◆2DegdJBwqI 2012/12/16(日) 10:51:14.25 ID:F+Hzd4Ye0

「そ、それは毎日私の作った味噌汁が飲みたい的な意味で受け取っていいのかな?」

「?」

「あ、うん、ごめん。なんでもないから。

ちょっと先走っちゃっただけだから気にしないで」




57: ◆2DegdJBwqI 2012/12/16(日) 10:52:53.17 ID:F+Hzd4Ye0

…まったくもって訳がわからないわ。

そろそろ私も満足してきた。

現在時刻もだいぶ遅い。

まどかはもう寝る時間だ。




58: ◆2DegdJBwqI 2012/12/16(日) 10:54:12.67 ID:F+Hzd4Ye0

「…今日もありがとうまどか。これで明日も戦えるわ。また明日」

「…じゃあねほむらちゃんまた明日」

『夜』が日に日に近づいている。

今度こそ超えるのだ。

今度こそ。



59: ◆2DegdJBwqI 2012/12/16(日) 10:56:11.94 ID:F+Hzd4Ye0

~☆

「もうすぐワルプルギスの夜が来るんだねほむらちゃん」

「その通りよまどか」

「…ほむらちゃん怖い?」

「ええ、怖いわ。これから待ち受けている何もかもが怖い」

「私も怖いよ。でも私は負けない。か弱いほむらちゃんを守るって決めたからね」




60: ◆2DegdJBwqI 2012/12/16(日) 10:57:31.79 ID:F+Hzd4Ye0

「ごめんなさいまどか。違うの、ちょっと昔の事を思い出していたのよ。

ただの思い出し笑いだから。」

「…昔かぁ…。」

「…えぇ…。」

「風や雨の音がうるさいね。」

「あいつが近づいて来る音よ。私強い雨風の音は正直普段でもちょっと怖いわ。」




61: ◆2DegdJBwqI 2012/12/16(日) 10:59:58.76 ID:F+Hzd4Ye0

「へへっ、ほむらちゃんは怖いものばかりだね」

「ひどいわまどか、何も笑わなくてもいいじゃない」

「ごめんねほむらちゃん。違うんだよ、ちょっとほむらちゃんが可愛すぎたからなの。

ただのニヤケ笑いだから」

「…へへっ」

「…ふふっ」




62: ◆2DegdJBwqI 2012/12/16(日) 11:01:45.90 ID:F+Hzd4Ye0

※訂正>>60

「ふふっ、頼もしいわね。」

「ひどいよほむらちゃん!何も笑う事ないのに。」

「ごめんなさいまどか。違うの、ちょっと昔の事を思い出していたのよ。

ただの思い出し笑いだから。」

「…昔かぁ…。」

「…えぇ…。」

「風や雨の音がうるさいね。」

「あいつが近づいて来る音よ。私強い雨風の音は正直普段でもちょっと怖いわ。」




63: ◆2DegdJBwqI 2012/12/16(日) 11:03:26.67 ID:F+Hzd4Ye0

「…私ね、ほむらちゃんと出会えて本当に良かった。

たとえこれからほむらちゃんとずっとお別れすることになっても。

ほむらちゃんと出会えて私は初めて自分が生きている意味を知ったんだ。

…もちろん今までがつまらない人生だったってわけじゃないよ。

そうじゃなくて初めて一つの事の為に生きてみたいって思えたの。

この人の為なら自分の全てを捧げてもいいって感じたの。」

「私もあなたと出会えて本当によかったと思ってる。

…でも私にまどかの全てをかける価値なんてないわ。」  




64: ◆2DegdJBwqI 2012/12/16(日) 11:04:59.15 ID:F+Hzd4Ye0

「なら私がほむらちゃんの価値を決めてあげる。

私はほむらちゃんを守りたい。

私に愛する喜びを与えてくれた人に幸せを贈りたい。

これでお別れだとしても凄く怖がりなあなたが一人で歩いて行ける様にしてあげたい。

だから今は私があなたを守るよ。何があってもあなたの道を誰にも邪魔させない。」




65: ◆2DegdJBwqI 2012/12/16(日) 11:06:36.35 ID:F+Hzd4Ye0

「まどか、私にもあなたを守らせて。

私はここを離れても必ずどこかであなたを見守っているから。

…なんて言うのは虫がよすぎるかしらね」

私は何も答えようとしないまどかの指にはめられた指輪状のソウルジェムに、

ただそっと口付けをした。



75: ◆2DegdJBwqI 2012/12/16(日) 15:09:17.71 ID:F+Hzd4Ye0

~☆

「…勝ったねほむらちゃん」

「ええ、あなたが居たから楽勝だったわね」

結局まどかは『大切な人を守る力が欲しい』と魔法少女になってしまった。

それより早くにさやかも魔法少女になってしまっていた。

もっと早く…私が皆に真実を打ち明けていさえ居れば…だがそれももう遅い。

これは私の勇気のなさ、弱さが招いた事態だ。




76: ◆2DegdJBwqI 2012/12/16(日) 15:11:48.36 ID:F+Hzd4Ye0

「…もう行っちゃうんだね…」

「ええ」

「最後にキスして…くれるかな」

「わかったわ。皆がわざわざ最後に二人っきりにしてくれたんだもの。

とびっきり濃いのをあげるわ」




77: ◆2DegdJBwqI 2012/12/16(日) 15:13:02.82 ID:F+Hzd4Ye0

私はまどかを救う。

彼女を魔法少女になんてさせない

だからワルプルギスを倒したら行かなくてはならない。

私がワルプルギスの夜を倒したら遠くに行くといった時にはまどかと凄い喧嘩になった。

あんな怖いまどかはもう二度と見たくない。

まあ全て今となっては終わってしまったことだけど。



78: ◆2DegdJBwqI 2012/12/16(日) 15:14:49.34 ID:F+Hzd4Ye0

叶うことならこのまま時間が止まってくれたらいいのに。

まどかと長いキスをする。

まどかとこんな関係になったのはいったいいつからだったか…。

胸に吸いついたりしてた時点でこうなるのは必然だったのかもしれない。

二人の涙が混ざり合ってなんだかすごい事になっているわね。

ついそんなつまらない事を考えてしまう。



79: ◆2DegdJBwqI 2012/12/16(日) 15:15:28.21 ID:F+Hzd4Ye0

まどかが口を離す。

これでもうお別れ。

…怖い。

またあの終わりの見えない日々に戻るのが。

でも私が居た所でもうこのまどかの運命を変える事は出来ない。



80: ◆2DegdJBwqI 2012/12/16(日) 15:16:50.90 ID:F+Hzd4Ye0

  「まどか…。まどか…」

  「ほむらちゃん。最後くらい笑って別れようよ」

  「でも…。だって…」

  「もう私達が会えないわけじゃないんでしょ?」

  「それは…」



81: ◆2DegdJBwqI 2012/12/16(日) 15:17:25.85 ID:F+Hzd4Ye0

「…私ね、ほむらちゃんが未来から来た事知ってるんだ」

「…!」




82: ◆2DegdJBwqI 2012/12/16(日) 15:18:55.77 ID:F+Hzd4Ye0

「ほむらちゃんは私に、

周囲の時間を一時的に停止する事が私の魔法だって説明してくれたよね。

でもね、それだけだと私の居抱いてた色々な違和感が説明できないって思ったから、

QBに聞いてみたの」

QB…余計な事を…。

  



83: ◆2DegdJBwqI 2012/12/16(日) 15:20:29.39 ID:F+Hzd4Ye0

「それでそのQBのほむらちゃんが未来から来たっていう仮説に従って、

色々カマをかけてみたんだけど気付かなかった?」

全く気付かなかったわ…。

「…どうして行っちゃうのかは言わなくて良いよ。

きっと悲しくなっちゃうだろうから。

それでも最後に私の話を一つ聞いて欲しいの」




84: ◆2DegdJBwqI 2012/12/16(日) 15:21:47.00 ID:F+Hzd4Ye0

「まどかを救うためなの」

「え?」

「私がずっと時間を繰り返しているのはまどかの為。

私はあなたの為に契約したの。あなたを守れるような私になりたくて…。

貴女を救うって約束を守りたくて…」

まどかの表情の余りの悲痛さにたまらず本当の事を言ってしまう。

それを聞いてまどかがどう思うかなんてわからないのに。




85: ◆2DegdJBwqI 2012/12/16(日) 15:25:16.32 ID:F+Hzd4Ye0

また止まり掛けていた涙が頬を伝う。

駄目よ、笑わなくちゃ。

彼女を置いていくのだからせめて最後は彼女の言う通りにしたい。

そう思ってももう涙は止まる気配すら見せない。




86: ◆2DegdJBwqI 2012/12/16(日) 15:27:05.33 ID:F+Hzd4Ye0

「嬉しい…。ほむらちゃんはそんなにずっと前から私を思ってくれてたんだね…。」

まどかに抱き締められる。

困った。

そんな事を急にされたら涙の勢いがいよいよ取り返しのつかないレベルにまで増してしまう。




87: ◆2DegdJBwqI 2012/12/16(日) 15:28:27.71 ID:F+Hzd4Ye0

「でもほむらちゃんは辛くないの?」

「辛いよ…!辛いに決まってる!

まどかを救うなんていいながら結局私はまどかを置いていくんだもの…!

でも…!それでも…!」

抑えきれない思いが強い口調となって溢れる。

まどかに言ってもしょうがないのに。

自己嫌悪に陥る私を見たからかまどかはいっそう私を抱きしめる力を強める。




88: ◆2DegdJBwqI 2012/12/16(日) 15:29:24.97 ID:F+Hzd4Ye0

「大丈夫だよ、ほむらちゃん。

私はもうほむらちゃんに大切なものを貰ったから。

ほむらちゃんが居なくなっても大丈夫。

絶対忘れられない物を貰ったから」

頭を撫でながら私の耳元でそうまどかが囁く。

これだけで私はもう落ち着いた気分になる。

ああ、私はなんて弱い人間なのだろう。




89: ◆2DegdJBwqI 2012/12/16(日) 15:30:02.02 ID:F+Hzd4Ye0

「でもほむらちゃんは違うよね。

いい?ほむらちゃん。

これから私の言う事をよく聞いてね。」

「わかったわまどか。」

まどかが私の頬を両手で挟み自分の方を向かせる。

そして私の目をじっと覗き込み一つ一つ染み込ませるように言葉を紡いでいく。



95: ◆2DegdJBwqI 2012/12/17(月) 07:30:39.89 ID:lR0uGTb50

「ほむらちゃんはどうしてそんな苦しい思いをしてまで時間を巻き戻すの?」

「…あなたを魔法少女にしないためよ」

「そっか…。じゃあ仕方ないね。私はこの選択を後悔してない。

あなたを守りたかったって気持ちは本物だから。それはほむらちゃんも一緒なんだよね?」

「ええ、そうよ」




96: ◆2DegdJBwqI 2012/12/17(月) 07:33:44.12 ID:lR0uGTb50

何度も投げ出したいと思ったり、自分の不甲斐なさを恨んだ事もあった。

でもそれでもあの時の選択だけは、願いだけは正しかったって胸を張って言える。

…だってまどかは私のただ一人の大事な友達なのだから。

「なら手段なんか選んでちゃ駄目だよ」

「ええ、その通りね」




97: ◆2DegdJBwqI 2012/12/17(月) 07:34:50.34 ID:lR0uGTb50

それは私がいつも思ってきた事。

しかしそれに続くまどかの言葉は私の予想とは全然異なるものだった。

「だからね、ほむらちゃんはもっと皆と仲良くしなくちゃ駄目」

「ど、どうして?」

全てを受け入れる気で居たのに思いもしなかった言葉に思わず反論してしまう。

まどかは出来の悪い生徒に諭す様に続けた。




98: ◆2DegdJBwqI 2012/12/17(月) 07:36:42.28 ID:lR0uGTb50

「いい?ほむらちゃん。もしだよ、ワルプルギスの夜との戦いで、

私が居なくて四人だったら、どうなってたと思う?」

「…多分大変だったとは思うけど勝てたと思うわ」

今回の時間軸は皆ソウルジェムの秘密に気づいて居ないし、

まどかがさやかを鎮め、マミと杏子の仲を調停してくれたため関係にしこりはなかった。

そのため抜群の連携がとれていた。




99: ◆2DegdJBwqI 2012/12/17(月) 07:38:08.96 ID:lR0uGTb50

これだったら死者を出す事もなく勝てる。

多分それは間違いない。

「そう、一人では確かに大変だとは思うけど四人なら勝てるんだよ。

私はそれが一番可能性が高い勝つための選択肢だと思うよ」

「でもみんなの仲が…。もし誠実に全て話してしまったら…」

「そうだね、わかってる。

ほむらちゃんは私達の事を思って自分の事を何も私達に教えてくれなかったんだよね」




100: ◆2DegdJBwqI 2012/12/17(月) 07:38:54.09 ID:lR0uGTb50

まどかの言葉にドキリとして顔を伏せてしまう。

しかしまどかはそれを許さずまた再び手で顔を自分の方に向かせた。

「だったらそれでいいんじゃないかな?」

「え?」

まどかの言う事にどうしても面喰ってしまう。

まどかは時々ずっと彼女を見てきた私ですら想像のつかない事を言い出す。




101: ◆2DegdJBwqI 2012/12/17(月) 07:40:43.14 ID:lR0uGTb50

「真実を伝えられないなら気持ちを伝えればいいんだよ。

隠し事の一つや二つ人間あるものだよ。」

「無理よそんなの…。

こうやって皆でワルプルギスの夜を迎えられたのが奇跡みたいなものなのよ。」

「そう、奇跡って事は起こるって事だよ」

「えっ、ええ?」

そんな無茶苦茶な…。それが私の素直な感想だった。

「どんなに可能性が低くても願い続けてさえ居たら叶うかもしれないんだよ」




102: ◆2DegdJBwqI 2012/12/17(月) 07:41:58.71 ID:lR0uGTb50

まどかが言う事は私には恐ろしすぎる事のように思われた。

だってそれはまたあの地獄の惨劇を見るかもしれないってことなのだから。

大切な人達が殺しあう姿。

私のせいで崩壊してゆく平穏。

「私には無理よ…。だって私はそんなに強くないもの…。まどかみたいに強くなれない…」



103: ◆2DegdJBwqI 2012/12/17(月) 07:42:49.04 ID:lR0uGTb50

  「弱さを曝け出したって良いんだよ。今はわからなくてもいい。

ただ一人で全てを抱え込もうとはしないで。ほむらちゃんが壊れちゃうから」

弱いからこそ、弱いからこそ私は一人で居なくてはならないんじゃないの?

皆に迷惑をかけちゃうんだよ。

まどかが私の両手を自分の両手で包みこんだ。




104: ◆2DegdJBwqI 2012/12/17(月) 07:44:07.18 ID:lR0uGTb50

「それに私だって強くないよ。

ううん、それどころか魔法少女になるような子は皆弱い人だったはずだよ。

だって起こるはずのない奇跡にすがって、

一度は必ず現実から目を背けたんだから」

真実がばれてしまったのではないかとひやっとする。




105: ◆2DegdJBwqI 2012/12/17(月) 07:44:40.69 ID:lR0uGTb50

しかし違うのだろう。

私の話を聞いて魔法少女が希望だけの存在ではないと気付いたのだ。

当然だ、私はまどかを魔法少女にしない為に頑張っているのだと自分で喋ったのだから。

元々おっとりしている様でまどかは聡い子だ。

もっと確信的な事にも気づいているかもしれない。




106: ◆2DegdJBwqI 2012/12/17(月) 07:45:40.10 ID:lR0uGTb50

「それでもね、ほむらちゃんは強い子になったと思うよ。

だってこんな辛くて苦しい事に長い間耐えてきたんだもん」

まどか、私変われたのかな?あなたの言ってたようにカッコ良くなれたのかな?

「だからもう一息だよ。ほむらちゃんにひどいことを求めてるのはわかってる。

でも奇跡はQBだけじゃなくて人の力でも起こせるって私に証明してみせてよ。

皆を…ほむらちゃん自身を救ってみせてよ。」




107: ◆2DegdJBwqI 2012/12/17(月) 07:47:21.98 ID:lR0uGTb50

「でも私がもし失敗してしまったら…。」

「少なくともほむらちゃんと出会って無い私はあなたと何も約束してないはずだよ。

ほむらちゃんも私も…そしてさやかちゃんだって、

誰だって自分の選択の責任は自分で背負わなくちゃいけない。

だから私はほむらちゃんが救われない未来なんて認めるつもりはないよ。

…もしそれでほむらちゃんが幸せになれるなら、

過去の私も今の私の事も全部見捨ててくれて構わないんだけどね。

ほむらちゃんは私と同じ気持ち、

…ううん、それよりずっと強い気持ちを抱いているはずだからそんな事無理だよね。」




108: ◆2DegdJBwqI 2012/12/17(月) 07:48:15.86 ID:lR0uGTb50

まどかの言葉に力強く頷く。

どうしてまどかはこんなにひどい事を私に言うのだろう。

たとえ仮定だとしてもあなたから自分の命を粗末にするような事は聞きたくなかった。

それに私が救われるためならなおさら…。

「やっぱり無理よ…」

「どうして?」



109: ◆2DegdJBwqI 2012/12/17(月) 07:49:35.60 ID:lR0uGTb50

「だって私は今のまどか、あなたと一緒に居たいって思ってるの。

このままあなたと生きたいと思ってしまってるの…」

「もう、突然嬉しいこと言ってくるんだからほむらちゃんったら。

私もそれが出来たらどれだけ幸せかって思うよ」

「だったら…」




110: ◆2DegdJBwqI 2012/12/17(月) 07:50:44.36 ID:lR0uGTb50

先ほどまでの決意はどこへやら私は時間逆行をしたくなかった。

だってそうしたら私はもうまどかに言われたとおりにするしかないだろうから。

私にはそれに耐える自信がなかった。

勇気がなかった。




111: ◆2DegdJBwqI 2012/12/17(月) 07:51:40.69 ID:lR0uGTb50

「じゃあ質問に一つ答えて。魔法少女は結局どうなるの?」

「…魔女になるの。

ソウルジェムが完全に絶望や魔力消費で黒く染まると魔女に私達は生まれ変わるの」

…まどかには私が現実から逃げようとしている事なんて全て見透かされていた。

ああ、本当に彼女には敵わない。




112: ◆2DegdJBwqI 2012/12/17(月) 07:52:52.09 ID:lR0uGTb50

 「そっか…それじゃやっぱり駄目だね。

ほむらちゃんは優しいから私が魔女になったらきっと後悔しちゃう。

あの時過去に戻ってさえいればって。

それにQBは私が歴史上類を見ない才能を魔法少女として持っているって言ってた。

ワルプルギスの夜ですらあんなに強かったのに、

…たとえ何があっても私がほむらちゃんを殺しちゃうかもなんて未来は私は絶対に嫌。

私はあなたを愛しているから。あなたが幸せになる為なら私は…。」




113: ◆2DegdJBwqI 2012/12/17(月) 07:53:47.09 ID:lR0uGTb50

…あなたは世界を破滅させる魔女になる。

私が以前「アレ」を目撃した時はQB曰く七日だった。

果たして今はどれほど早まっているか…。

思わず身震いしてしまう。

いったい何が恐ろしいのか、それは自分ではわからなかった。




114: ◆2DegdJBwqI 2012/12/17(月) 07:54:31.05 ID:lR0uGTb50

「ほむらちゃんは自分と闘うのが怖いんだね。

私もあなたの事をずっと守って居てあげたいよ。

でもここはあなたのいるべき場所じゃない。

あなたの戦場はここじゃない。

…ほむらちゃん空を見てて。私の覚悟を見せてあげるよ。

どんなに辛い時でも私があなたの希望になるから」




115: ◆2DegdJBwqI 2012/12/17(月) 07:55:25.34 ID:lR0uGTb50

まどかが突然弓を出現させ魔力を込め矢を形成する。

言われるがままに空を見上げると、

私の目の前を数えきれない程様々な色をした光の束が通過していった。

  「あっ…あっ…あぁっ…!」

それはまどかの弓から放たれた光の矢。

それは残酷に、そしてそれ以上に美しく、空をどんな自然や人工の光、

太陽すら霞む美しさで染め上げた。




116: ◆2DegdJBwqI 2012/12/17(月) 07:56:12.89 ID:lR0uGTb50

ほぼノーチャージで放たれたそれはおそらくまどかの全身全霊を込めた一射。

まどかの命が目に見える形でみるみる薄れて行く。

またいつもの空の色が徐々に戻ってくる。

余りに儚いその美しさは私の目を通じ、網膜を抜け、そして魂に焼きついた。

隣からドサッと言う音がした。

慌ててそちらを見遣るとまどかが仰向けに四肢を投げ出して倒れている。




117: ◆2DegdJBwqI 2012/12/17(月) 07:57:07.16 ID:lR0uGTb50

「…これでほむらちゃんはこの世界に留まれなくなっちゃったね。

拳銃を一丁貸してくれるかな?最後の始末は自分でつけたいから」

あれほどの魔力を放出してしまったならもうまどかは碌に手すら動かせないはずだ。

このままではまどかが魔女化してしまう。

「…それは私がやるわ」




118: ◆2DegdJBwqI 2012/12/17(月) 07:58:08.75 ID:lR0uGTb50

「駄目だよ、そんな事したらほむらちゃんは私の死に様を忘れられなくなっちゃう。

私はほむらちゃんに美しい所だけを見せて逝きたいの。…ほむらちゃんこれを受け取って」

力なく小刻みに揺れる手の内には彼女が普段から付けていたリボンがあった。

倒れる前に握っておいたのだろう。




119: ◆2DegdJBwqI 2012/12/17(月) 07:59:12.90 ID:lR0uGTb50

「これを見て思い出して…。私の命の輝きを…。希望を…。愛を…。

約束して…。どんなに怖くても…。自分の幸せから逃げないって…。

生きてる限り幸せになる事を諦めないって…」

  「約束…約束…」



120: ◆2DegdJBwqI 2012/12/17(月) 07:59:51.27 ID:lR0uGTb50

まどかの必死の形相に私は盾から愛用の拳銃を取り出しリボンの代わりに握らせてしまう。

もはや自分が何をしたいのか良くわからない。

はっきりしているのはまどかの言葉が、

あの輝く空の景色と共に私の中で火傷のように疼き続けている事だけだ。



121: ◆2DegdJBwqI 2012/12/17(月) 08:00:32.78 ID:lR0uGTb50

「さあ…。行って…。私の命はもう長くない…!

あなたとの最後をこうやって生きている人間として終わりたいから…!」

まどかの泣きながら絞り出すような声に言われるがまま私は盾をどこか上の空で回していた。

その時私の脳裏にあったのは幻想的に揺らめくあの空の景色だった。



128: ◆2DegdJBwqI 2012/12/17(月) 13:13:56.08 ID:lR0uGTb50

「まどか、テレパシーは届いているかい?

もう喋れないだろうから声は出さなくて良いよ。

ただボク達の後学の為に教えて欲しいのだけれどいったいどうしてあんな無意味な事をしたんだい?

自分が魔女になる事を知りながら居なくなる者の為にわざわざ残りの人生を棒に振るなんて訳が解らないよ。

まあボクとしてはエネルギーノルマが達成できるから喜ばしい限りだけれど」

「エネルギー?」




129: ◆2DegdJBwqI 2012/12/17(月) 13:15:33.30 ID:lR0uGTb50

「もちろん今までにそういう子の例が無い訳じゃない。

あらゆる生命の歴史は所詮絶えず繰り返される単調で高度な焼き直しに過ぎないからね。

最も君が魔女になることで産み出されるエネルギーは僕達QB…いや、

インキュベーターが知る限りでは宇宙開闢以来類を見ない物となるはずだ」

「QBは私達からエネルギーを得るために私達と契約して…魔女にしているの?」




130: ◆2DegdJBwqI 2012/12/17(月) 13:16:57.77 ID:lR0uGTb50

「うん、そうだよ。全ては宇宙を一秒でも長く存続させる為のエネルギーを得る為さ。

君は宇宙を救う英雄になるんだよまどか。

…ボクはこれまで君は例えば美樹さやかと同じようなタイプの心の持ち主で、

魔法少女は魔女になるとかそういう事実を聞けば絶望し、

自分を傷つけ自ら破滅してしまうタイプの人間だと考えていた。

まどか、どうして今君は絶望して居ないんだい?]


  



131: ◆2DegdJBwqI 2012/12/17(月) 13:19:15.51 ID:lR0uGTb50

「それはね、私がまだ希望を捨てて居ないからだよ。

ほむらちゃんさえ生きていてくれたら私はまだ頑張っていける。

私は彼女に胸を張れるような勇敢な人間でなくてならないの」

「もうその相手はこの時間軸にはいないというのにね。

やれやれ、君達人間というのは実に驚くほど非効率的だよ。

今更ちょっと魔女になる未来を先延ばしにした所でいったい何になるというんだ。

苦しみがただ長引くだけじゃないか。」




132: ◆2DegdJBwqI 2012/12/17(月) 13:20:46.94 ID:lR0uGTb50

「まだ私が魔女になるかはわからないよQB。

もしかしたら腕だけでも動くようになってソウルジェムを撃ち抜けるかもしれない。」

「その様子を見る限り不可能だよまどか。

もっともソウルジェムがグリーフシードに形を変えてから、

それほど人としての姿を保って居られているのは素直に称賛に値するけどね。

たとえさやかやマミ達の誰かが今の君を見つけたとしても既に手遅れだ。

まああれほどの魔力を消費したのだから、

皆のグリーフシードを足した所で焼け石に水だっただろうけど。」




133: ◆2DegdJBwqI 2012/12/17(月) 13:21:34.01 ID:lR0uGTb50

「QBには風情ってものがないなぁ…。

まあいいや、最後にそんなQBに愛について教えてあげるよ」

「役に立つとは思えないけど、一応聞かせて貰おうかな」




134: ◆2DegdJBwqI 2012/12/17(月) 13:23:08.91 ID:lR0uGTb50

「私にとってほむらちゃんと仲良くなれたことは誇りなの。

あんなに素敵な人を愛して、愛してもらえたの。

それも私よりもよっぽど深く。信じられないくらい愛して貰えて居たの。

私はもう欲しい物はすべて手に入れちゃったから

…だから後はほむらちゃんに私が幸せになれた分だけでも幸せになって欲しいなって…。

彼女の事が本当に大好きだからただただそう思えるんだ。」




135: ◆2DegdJBwqI 2012/12/17(月) 13:33:02.27 ID:lR0uGTb50

「この期に及んで君は他人の幸せを願うんだね。何か後悔の一つくらいないのかい?」

「後悔…?ああ、まずはパパやママ、たっくんにそして皆、

もしかしたら人類の皆にだって迷惑をかけちゃうかもしれないのは凄く申し訳ないと思うよ。

それとさやかちゃん。

私がほむらちゃんにお願いした事は結果的にはさやかちゃんを魔法少女にするって事。

ほむらちゃんは優しいから自分からさやかちゃんを魔法少女にならせようとはしないとは思うけど。

…きっとさやかちゃんは契約しなかったら、

いつまでもその事を後悔しきれないくらい後悔しちゃう。

でもそれでも魔法少女になんてならなかったらいつかは幸せになれるはずだよね。」




136: ◆2DegdJBwqI 2012/12/17(月) 13:33:52.15 ID:lR0uGTb50

「ボクには人間の幸せについてはどうとも言えないよ。

ボク達はただ少女に魔法少女になってくれとお願いしているだけだからね」




137: ◆2DegdJBwqI 2012/12/17(月) 13:35:16.52 ID:lR0uGTb50

「ほむらちゃんには選択の責任は自分にあるなんて言っちゃったけど、

誰かの正しい道を知ってるのならそっちを教えてあげるのが人として当然だよ。

…だけどもほむらちゃんにさやかちゃんを助けてあげる余裕はない。

それにほむらちゃんが本当の事を言ったとしても多分さやかちゃんは止まらないだろうしね。

さやかちゃんには少なくともワルプルギスの夜が来るまでは、

楽しい夢を見てて貰わなくちゃならない。それがいつかは必ず覚める夢だったとしても。

…どんなにかけがえのないものでも犠牲にしなくちゃいけない。

今の私が本当に守りたいのはほむらちゃんだから。その為には手段なんて選んでられない。

大親友のさやかちゃんを見捨てるなんて私って本当に悪い子だよ…。これが私の後悔かな?」




138: ◆2DegdJBwqI 2012/12/17(月) 13:35:45.48 ID:lR0uGTb50

「それじゃあ暁美ほむらに対しては後悔はもう何もないのかい?」

「ほむらちゃん?…ああ、そう言えば…」

結局最後笑ってお別れ出来なかったな…。



139: ◆2DegdJBwqI 2012/12/17(月) 13:36:34.51 ID:lR0uGTb50

______

 ついに長い長い夜が訪れた。

周りは真っ暗で何も見えるものはない。

それでも私は何も怖くなどない。

だって私は貴女の愛を知っているから。

貴女から貰った希望があるから。



140: ◆2DegdJBwqI 2012/12/17(月) 13:37:15.38 ID:lR0uGTb50

どんなに寒くたってもう凍える事はない。

放っておいても内から貴女の輝きが、暖かさが自然と溢れてくる。

明けない夜はない。

そう信じて私は貴女への枯れない愛を居抱き続ける。

いつまでも…。

いつまでも…。

いつまでも…。






そうして夜は明けた。



141: ◆2DegdJBwqI 2012/12/17(月) 13:38:30.17 ID:lR0uGTb50

~☆

「もう、ほむらちゃんは甘えん坊さん何だから!」

「私は自身の欲望には忠実なのよ」

「初めて会った時はクールでかっこいい子だと思ったんだけどなぁ…」

「あら?カッコいいかは別としてそういう冷めた所があるのも私の本性の一つよ。

臆病なのも欲求に忠実なのももちろん私が過去を積み上げてきた成果よ」




142: ◆2DegdJBwqI 2012/12/17(月) 13:39:33.34 ID:lR0uGTb50

「ほむらちゃんの心の中はずいぶん複雑なんだね。

…それはそうとほむらちゃんの昔の話又聞きたいな。」

「どんな話が良いかしら?」

「うーん、じゃあその私とお揃いのリボンをくれた人の話が聞きたいかな。」

「そうね…。この話をまどかにするのは初めてね。

これは長い長い繰り返す時間を超える前のお話。私をひたむきに愛してくれて、

その愛故に送り出してくれた優しい貴女のお話よ。」



143: ◆2DegdJBwqI 2012/12/17(月) 13:42:15.07 ID:lR0uGTb50

本文投稿終わり

必要な所すら色々削ってこれだからまどか視点も含めて作りこんだら一つのスレ埋めるくらいにはなりそう

残念ながらそこまでする元気もアイデアもない

なんかの足しにしていただければ幸いです

明日になったらHTML化依頼してきます


元スレ
SS速報VIP:【まどマギ】覇王樹の涙【まどほむ】