1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/16(火) 18:17:38.28 ID:K31iFO7oO
マミ「だから、悪いんだけど家から出て行ってもらえないかしら?」
キュゥべえ「……え」
マミ「ごめんなさいね、急に」
キュゥべえ「待ってよマミ!訳がわからないよ」
マミ「それにマンションはペット禁止なの」
バタン
12: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/16(火) 18:28:47.19 ID:K31iFO7oO
キュゥべえ「理由を教えてよ!悪い所があれば直すからさ」ドンドン
マミ「だって、しょっちゅうカーペットに毛玉を吐くでしょ?」
キュゥべえ「仕方ないよ、毛繕いしたとき飲み込んじゃうもの!」
マミ「フローリングの床だってガリガリ傷つけるし」
キュゥべえ「爪を研がないと落ち着かないんだよ」
マミ「それにね。良く見ると耳の辺りとか気持ち悪いのよ」
キュゥべえ「どうしてさ!?ワッカとかプリティーじゃない」
ガチャリ
キュゥべえ「あ!カギ掛けないでよ」
さやか「へー、マミさんと喧嘩したんだ?」
キュゥべえ「違うよ、一方的な虐待だよ!いきなり追い出すなんて」
まどか「可哀相だね、キュゥべえ」
キュゥべえ「そうだよね!僕はこんなに可愛いのにさ」
さやか「…………え?」
キュゥべえ「ん?どうしたの」
さやか「いや…、別に何でも」
キュゥべえ「だから、キミ達の家に住まわせてもらえないかな?」
さやか「嫌だよ、何言ってんのよキュゥべえ」
キュゥべえ「え…?待ってよ何で即答なの!」
さやか「だって気持ち悪いじゃん。ねぇまどか?」
まどか「うーん。そうかな?私は別にそこまでは」
キュゥべえ「だよね。だって可愛いんだもんボクって!」
さやか「キュゥべえに騙されちゃいけない。良く考えてみなよ。毎日世話しなきゃならないんだよ」
まどか「え?毎日…」
さやか「家のカーテンとかぶら下がってボロボロにしたり、死んだスズメとか咥えてくるんだよ!」
まどか「うわぁ…。それは嫌だね…。キュゥべえそんな事してるの?」
キュゥべえ「どうして!?戦利品を持って帰って来ただけじゃないか、キミ達で言う所のグリーフシードだよ!」
さやか「全然違うよ、グリーフシードは腐らないし。何より私達の役に立つんだよ?」
キュゥべえ「で、でも…スズメとかネズミも美味しいから…」
さやか「いい?良く聞いてよ。キュゥべえと住むって事は、まどかにとって何の得にもならないんだよ」
まどか「それは、そうだけど…」
さやか「毎日世話して、病気になったら動物病院に連れて行って。…それをどれだけ頑張っても、誰も褒めてくれないんだよ?」
まどか「そう考えたら大変なんだね、キュゥべえと住むのって…」
さやか「うん。可愛いからとか皆が飼ってるからとか、そんな軽い気持ちじゃ…、相手も悲惨だよ」
キュゥべえ「さやか…、それじゃあキミは僕の為を思って…」
さやか「か、勘違いしないでよね!別にアンタの為じゃないわよ。まどかが心配だから」
まどか「もう。素直じゃないなぁ、さやかちゃんは」
さやか「…でも、キュゥべえはどうしようか?」
キュゥべえ「僕なら大丈夫だよ。こうなったら野良でやって行くから!」
まどか「え!?キュゥべえ野良やった事あるの?」
キュゥべえ「ううん。無いけど狩りには自信があるから」
さやか「うーん…だったらいいんだけどね」
キュゥべえ「平気平気、何とかなるよ」
杏子「で、私の所に来たのかい?」
キュゥべえ「うん。同じ野良同士、仲良くしてよ!」
杏子「仕方ねぇな、群れるのは嫌いなんだけど…」
キュゥべえ「掃除とか洗濯とか、何か用事があったら言ってね!」
杏子「そんなもん野良に必要無いって。やる事が無いなら、寝てればいいの」
キュゥべえ「え?まだ昼間なのに寝ていいんだ!」
杏子「当たり前じゃん。野良なんだから自由にすれば?」
キュゥべえ「昼間からゴロゴロしてもマミに小煩い事も言われない…、野良って良いかもね」
杏子「ほら、そろそろ起きな、キュゥべえ」
キュゥべえ「うーん…、なんだか身体が痒いよ」ポリポリ
杏子「なんだ、ダニに噛まれたくらいで情けねーな」
キュゥべえ「えぇ!?ダニなのコレ。…ちゃんと掃除しないと」
杏子「段ボールの家に何言ってんだ。焼け石に水だって。慣れれば大丈夫だよ」
キュゥべえ「うぅー…。ダニコロリないの?首輪タイプのヤツ」
杏子「んなもんある訳ないだろ?いいから早く付いて来な」
キュゥべえ「…どこにいくの?」
杏子「晩飯を狩りに行くんだよ。アンタにも協力してもらうぜ」
キュゥべえ「任せてよ!狩りは得意だからさ」
キュゥべえ「…あれ?何処いくの。こんなビル街じゃスズメは居ないよ」
杏子「何言ってんのさ?アタシがそんなもん食べる訳ないっしょ」
キュゥべえ「…それじゃネズミかな?この路地裏なら居そうだけど」
杏子「あのなぁ。アンタ私を何だと思ってんのさ?…あれだよ、コンビニの裏口」
キュゥべえ「…うん?店員さんがゴミを捨ててるね」
杏子「よし!行くぜキュゥべえ。あれを回収すんのが私達の任務だ」
キュゥべえ「えー…。ゴミなんか気持ち悪いなぁ」
杏子「四の五の言わずに付いてきやがれ!」
杏子「ほら、誰か来ねーかしっかり見張っておくんだぞ!」
キュゥべえ「わ、分かったよ!任しといて」キョロキョロ
杏子「お!牛丼弁当か…、久し振りだな。後はデザートにヨーグルトと…」ゴソゴソ
キュゥべえ「あ!さっきの店員さんがまた戻って来たよ」
杏子「ちっ、早ぇな!袋を結んで元の場所に置かねぇと」ゴソゴソ
キュゥべえ「そんな事してないで早く逃げようよ!」
杏子「ダメに決まってんじゃん。一回切りならともかく、毎回世話になるんだから荒らした跡があると警戒されるだろ」
キュゥべえ「そうなんだ…、狩りって難しいんだね!」
杏子「ふぅ。何とかバレずに逃げ切れたな」
キュゥべえ「凄いスリルだね!野良じゃなきゃこんな事味わえないよ」
杏子「だね。アンタも分かって来たじゃねーか」
キュゥべえ「じゃあ、早速食べようよ。僕お腹ペコペコだよ」
杏子「おう。今日は牛丼弁当だぜ!賞味期限は切れてるけど、食い物を粗末にしちゃいけねーからな」
キュゥべえ「わぁ!牛丼弁当なんて食べるの初めてだよ!」
杏子「なんだよ、牛丼も喰った事ないのかい」
キュゥべえ「いつもマミは、キャットフードしか食べさせてくれないからね!」
杏子「へー。アイツ案外ケチなんだな」
キュゥべえ「うーん、凄く美味しいよ!牛肉と玉葱が口の中で豊潤なハーモニーを醸し出しているよ!」
杏子「アタシは口に入りゃ細かい事は気にしないけどな。何にしても肉は旨いね」
キュゥべえ「美味しい物を好きな時に好きなだけ食べて、好きな時にゴロゴロできる…、野良って最高じゃない」
杏子「そうだぜ。野良ってのは誰にも邪魔されず、自由で静かなんだよ」
キュゥべえ「ゲップ…!お腹が膨れたらなんだか眠くなってきたよ」
杏子「よし、それじゃ今日はもう寝るか?ロウソク勿体ねーしな」
キュゥべえ「うぅーん…うーん…」ゴロゴロ
杏子「何よ?さっきから」
キュゥべえ「なんだろう…、何か身体の調子がオカシイような…」
杏子「大方、食当たりじゃねーの?アタシもたまになるけど、寝てれば治るって」
キュゥべえ「お腹じゃなくて、何だが頭がクラクラして…」
杏子「ふーん。ま、こういうのは寝てれば何とかなるからさ」
キュゥべえ「待ってよ杏子!ちょっと病院連れてってくれないかな…」
杏子「病院…?何言ってんのさ」
キュゥべえ「…え?」
杏子「私達野良がそんな金持ってる訳ないじゃん」
キュゥべえ「え!?だったら病気になったらどうするのさ!」
杏子「そんときはそんときさ。アタシたち野良ってそういう存在だろ」
キュゥべえ「待ってよ…!聞いて無いよ、そんな事」
杏子「だって聞かれなかったからな」
キュゥべえ「騙したんだね!杏子、酷いじゃないか」
杏子「それは、言い掛かりだっての。アタシが居なきゃ何の野良知識も無いアンタは野たれ死んでたろ?」
キュゥべえ「そ、それはそうだけど…」
杏子「飼われるのを放棄した時点で、アンタには野良のリスクが乗っかっちまってたのさ」
キュゥべえ「野良の…リスク…」
杏子「それがイヤなら、今からでも飼い主んトコに戻るんだね」
キュゥべえ「無理だよ…僕は捨てられたんだもの…。帰る場所なんて無いんだよ」
杏子「それじゃアタシは行くから。後のことは自分で何とかするんだね」
キュゥべえ「げほっ!げほっ…。目がかすれてきたよ…」
「ティロ・フィナーレ!!」
ドーーァァン!!
杏子「な、なんだぁ!アタシの段ボールハウスが!?」
マミ「やっと見つけたわよ……」
杏子「巴マミ!?どうしてアンタがここに!まさかグリーフシードを狙って」
マミ「退きなさい佐倉さん。私の戦場は此所じゃないもの」
杏子「はぁ?だったら何しに来たんだよ」
キュゥべえ「マ、マミ……」ピクピク
マミ「この空き容器は…、牛肉弁当?」ゴソゴソ
杏子「あぁ、それは昨日の晩飯だぜ。デザートにヨーグルトも付いてたぜ」
マミ「ふぅ、こんな事だろうと思っていたわ」
キュゥべえ「ど、どういう事だい…マミ…」
マミ「牛肉に入っていたタマネギよ。玉葱には硫黄酸化物や二酸化物を含んでいるから、赤血球を壊して貧血を引き起こす可能性があるのよ」
杏子「へー、インキュベーターって不便なんだなぁ。玉葱食えないのかよ」
マミ「それだけじゃないわよ、他にもイカとかパンとか沢山あるのよ」
キュゥべえ「それじゃ、いつもキャットフードだったのは…」
マミ「貴方の身体を想ってに決まってるでしょ。他になにがあるのよ!」
キュゥべえ「うぅ…ゴメンよマミ…!」
マミ「いいえ、謝るのは私の方よ。ゴメンなさいね、いきなり貴方を追い出して…」
キュゥべえ「気にして無いよ…、僕が悪いんだから」
マミ「違うわよ。私きっと、どうかしてたのよ。…フカフカの毛並みにつぶらな瞳。キュゥべえってこんなに可愛いのに」
キュゥべえ「や、止めてよマミ、照れるじゃないか」
マミ「また家に戻って来てくれるかしら?」
キュゥべえ「当たり前だよ!僕の方からお願いしたいよ」
マミ「それじゃ、早く掛かり付けのお医者様の所に行きましょうか」
杏子「くっそー、アイツら人の家バラバラにしていきやがって」
ほむら「…お疲れ様ね、佐倉杏子」
杏子「なんだ、居たのかよアンタ?」
ほむら「えぇ、全て見させて貰っていたから」
杏子「はぁ?なんでさ、アンタには関係ないっしょ」
ほむら「まぁね。それじゃコレ、家の修理費にでも回して頂戴」
杏子「せ、千円じゃねーか!いいのかよ」
ほむら「構わないわ。貴方は駒として良く働いてくれたから」
杏子「駒って何の事だよ」
ほむら「いえ…忘れて頂戴」
まどか「それじゃ、マミさんとキュゥべえ仲直り出来たんだ?」
さやか「キュゥべえも災難だったね」
キュゥべえ「とんでもないよ、逆にマミの気持ちに気付けて感謝してるんだから!」
さやか「ふーん、そういうものなのかな」
キュゥべえ「それじゃ僕は、そろそろマミとペット美容院行かないといけないから」
まどか「うん。またねキュゥべえ!」
さやか「ふーむ。…何かオカシイね」
まどか「ん?どうしたのさやかちゃん」
さやか「そもそも、なんでマミさんはキュゥべえ追い出したんだろうね」
まどか「そうだね。あんなに仲良しなのに。…なんだかまるで…」
ほむら「…魔法みたい?」ボソ
まどか「うわ!?ビックリした。居たのほむらちゃん!」
さやか「いきなり出てこないでよ!」
ほむら「理由はどうあれ…雨降って地固まるというでしょ。傷心の相手に対してのフォローは効果が絶大なのよ」
さやか「口説くタイミングは、相手が酔ってる時か泣いてる時っていうしね」
まどか「へー、そうなんだ!さやかちゃん物知りだね」
ほむら「(…さて、予行練習も終わったし。これからが本番ね。まどかに向かって魔法を使って…)」ホムホミ
まどか「ん?どうしたのほむらちゃん」
ほむら「いえ、別に。それよりも、美樹さやか、少しまどかの顔を見て貰えないかしら」
さやか「まどかの顔を?」クルッ
ほむら「……どう思うかしら」
まどか「や、やだなぁ。そんな見られると恥かしいよ!」
さやか「あのさぁ、まどか……」
まどか「…うん?」
さやか「まどかって良く見たらあんまり可愛くないよね」
まどか「………え」
ほむら「……………」ニヤリ
おわり
元スレ
キュゥべえ「理由を教えてよ!悪い所があれば直すからさ」ドンドン
マミ「だって、しょっちゅうカーペットに毛玉を吐くでしょ?」
キュゥべえ「仕方ないよ、毛繕いしたとき飲み込んじゃうもの!」
マミ「フローリングの床だってガリガリ傷つけるし」
キュゥべえ「爪を研がないと落ち着かないんだよ」
マミ「それにね。良く見ると耳の辺りとか気持ち悪いのよ」
キュゥべえ「どうしてさ!?ワッカとかプリティーじゃない」
ガチャリ
キュゥべえ「あ!カギ掛けないでよ」
19: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/16(火) 18:37:21.45 ID:K31iFO7oO
さやか「へー、マミさんと喧嘩したんだ?」
キュゥべえ「違うよ、一方的な虐待だよ!いきなり追い出すなんて」
まどか「可哀相だね、キュゥべえ」
キュゥべえ「そうだよね!僕はこんなに可愛いのにさ」
さやか「…………え?」
キュゥべえ「ん?どうしたの」
さやか「いや…、別に何でも」
キュゥべえ「だから、キミ達の家に住まわせてもらえないかな?」
さやか「嫌だよ、何言ってんのよキュゥべえ」
キュゥべえ「え…?待ってよ何で即答なの!」
27: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/16(火) 18:49:02.41 ID:K31iFO7oO
さやか「だって気持ち悪いじゃん。ねぇまどか?」
まどか「うーん。そうかな?私は別にそこまでは」
キュゥべえ「だよね。だって可愛いんだもんボクって!」
さやか「キュゥべえに騙されちゃいけない。良く考えてみなよ。毎日世話しなきゃならないんだよ」
まどか「え?毎日…」
さやか「家のカーテンとかぶら下がってボロボロにしたり、死んだスズメとか咥えてくるんだよ!」
まどか「うわぁ…。それは嫌だね…。キュゥべえそんな事してるの?」
キュゥべえ「どうして!?戦利品を持って帰って来ただけじゃないか、キミ達で言う所のグリーフシードだよ!」
36: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/16(火) 19:13:05.23 ID:K31iFO7oO
さやか「全然違うよ、グリーフシードは腐らないし。何より私達の役に立つんだよ?」
キュゥべえ「で、でも…スズメとかネズミも美味しいから…」
さやか「いい?良く聞いてよ。キュゥべえと住むって事は、まどかにとって何の得にもならないんだよ」
まどか「それは、そうだけど…」
さやか「毎日世話して、病気になったら動物病院に連れて行って。…それをどれだけ頑張っても、誰も褒めてくれないんだよ?」
まどか「そう考えたら大変なんだね、キュゥべえと住むのって…」
さやか「うん。可愛いからとか皆が飼ってるからとか、そんな軽い気持ちじゃ…、相手も悲惨だよ」
38: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/16(火) 19:20:20.60 ID:K31iFO7oO
キュゥべえ「さやか…、それじゃあキミは僕の為を思って…」
さやか「か、勘違いしないでよね!別にアンタの為じゃないわよ。まどかが心配だから」
まどか「もう。素直じゃないなぁ、さやかちゃんは」
さやか「…でも、キュゥべえはどうしようか?」
キュゥべえ「僕なら大丈夫だよ。こうなったら野良でやって行くから!」
まどか「え!?キュゥべえ野良やった事あるの?」
キュゥべえ「ううん。無いけど狩りには自信があるから」
さやか「うーん…だったらいいんだけどね」
キュゥべえ「平気平気、何とかなるよ」
40: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/16(火) 19:37:22.56 ID:K31iFO7oO
杏子「で、私の所に来たのかい?」
キュゥべえ「うん。同じ野良同士、仲良くしてよ!」
杏子「仕方ねぇな、群れるのは嫌いなんだけど…」
キュゥべえ「掃除とか洗濯とか、何か用事があったら言ってね!」
杏子「そんなもん野良に必要無いって。やる事が無いなら、寝てればいいの」
キュゥべえ「え?まだ昼間なのに寝ていいんだ!」
杏子「当たり前じゃん。野良なんだから自由にすれば?」
キュゥべえ「昼間からゴロゴロしてもマミに小煩い事も言われない…、野良って良いかもね」
42: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/16(火) 19:45:02.70 ID:K31iFO7oO
杏子「ほら、そろそろ起きな、キュゥべえ」
キュゥべえ「うーん…、なんだか身体が痒いよ」ポリポリ
杏子「なんだ、ダニに噛まれたくらいで情けねーな」
キュゥべえ「えぇ!?ダニなのコレ。…ちゃんと掃除しないと」
杏子「段ボールの家に何言ってんだ。焼け石に水だって。慣れれば大丈夫だよ」
キュゥべえ「うぅー…。ダニコロリないの?首輪タイプのヤツ」
杏子「んなもんある訳ないだろ?いいから早く付いて来な」
キュゥべえ「…どこにいくの?」
杏子「晩飯を狩りに行くんだよ。アンタにも協力してもらうぜ」
キュゥべえ「任せてよ!狩りは得意だからさ」
46: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/16(火) 19:52:17.04 ID:K31iFO7oO
キュゥべえ「…あれ?何処いくの。こんなビル街じゃスズメは居ないよ」
杏子「何言ってんのさ?アタシがそんなもん食べる訳ないっしょ」
キュゥべえ「…それじゃネズミかな?この路地裏なら居そうだけど」
杏子「あのなぁ。アンタ私を何だと思ってんのさ?…あれだよ、コンビニの裏口」
キュゥべえ「…うん?店員さんがゴミを捨ててるね」
杏子「よし!行くぜキュゥべえ。あれを回収すんのが私達の任務だ」
キュゥべえ「えー…。ゴミなんか気持ち悪いなぁ」
杏子「四の五の言わずに付いてきやがれ!」
52: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/16(火) 20:04:14.41 ID:K31iFO7oO
杏子「ほら、誰か来ねーかしっかり見張っておくんだぞ!」
キュゥべえ「わ、分かったよ!任しといて」キョロキョロ
杏子「お!牛丼弁当か…、久し振りだな。後はデザートにヨーグルトと…」ゴソゴソ
キュゥべえ「あ!さっきの店員さんがまた戻って来たよ」
杏子「ちっ、早ぇな!袋を結んで元の場所に置かねぇと」ゴソゴソ
キュゥべえ「そんな事してないで早く逃げようよ!」
杏子「ダメに決まってんじゃん。一回切りならともかく、毎回世話になるんだから荒らした跡があると警戒されるだろ」
キュゥべえ「そうなんだ…、狩りって難しいんだね!」
55: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/16(火) 20:12:45.09 ID:K31iFO7oO
杏子「ふぅ。何とかバレずに逃げ切れたな」
キュゥべえ「凄いスリルだね!野良じゃなきゃこんな事味わえないよ」
杏子「だね。アンタも分かって来たじゃねーか」
キュゥべえ「じゃあ、早速食べようよ。僕お腹ペコペコだよ」
杏子「おう。今日は牛丼弁当だぜ!賞味期限は切れてるけど、食い物を粗末にしちゃいけねーからな」
キュゥべえ「わぁ!牛丼弁当なんて食べるの初めてだよ!」
杏子「なんだよ、牛丼も喰った事ないのかい」
キュゥべえ「いつもマミは、キャットフードしか食べさせてくれないからね!」
杏子「へー。アイツ案外ケチなんだな」
58: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/16(火) 20:24:52.03 ID:K31iFO7oO
キュゥべえ「うーん、凄く美味しいよ!牛肉と玉葱が口の中で豊潤なハーモニーを醸し出しているよ!」
杏子「アタシは口に入りゃ細かい事は気にしないけどな。何にしても肉は旨いね」
キュゥべえ「美味しい物を好きな時に好きなだけ食べて、好きな時にゴロゴロできる…、野良って最高じゃない」
杏子「そうだぜ。野良ってのは誰にも邪魔されず、自由で静かなんだよ」
キュゥべえ「ゲップ…!お腹が膨れたらなんだか眠くなってきたよ」
杏子「よし、それじゃ今日はもう寝るか?ロウソク勿体ねーしな」
64: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/16(火) 20:36:36.60 ID:K31iFO7oO
キュゥべえ「うぅーん…うーん…」ゴロゴロ
杏子「何よ?さっきから」
キュゥべえ「なんだろう…、何か身体の調子がオカシイような…」
杏子「大方、食当たりじゃねーの?アタシもたまになるけど、寝てれば治るって」
キュゥべえ「お腹じゃなくて、何だが頭がクラクラして…」
杏子「ふーん。ま、こういうのは寝てれば何とかなるからさ」
キュゥべえ「待ってよ杏子!ちょっと病院連れてってくれないかな…」
杏子「病院…?何言ってんのさ」
キュゥべえ「…え?」
杏子「私達野良がそんな金持ってる訳ないじゃん」
キュゥべえ「え!?だったら病気になったらどうするのさ!」
杏子「そんときはそんときさ。アタシたち野良ってそういう存在だろ」
68: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/16(火) 20:46:41.27 ID:K31iFO7oO
キュゥべえ「待ってよ…!聞いて無いよ、そんな事」
杏子「だって聞かれなかったからな」
キュゥべえ「騙したんだね!杏子、酷いじゃないか」
杏子「それは、言い掛かりだっての。アタシが居なきゃ何の野良知識も無いアンタは野たれ死んでたろ?」
キュゥべえ「そ、それはそうだけど…」
杏子「飼われるのを放棄した時点で、アンタには野良のリスクが乗っかっちまってたのさ」
キュゥべえ「野良の…リスク…」
杏子「それがイヤなら、今からでも飼い主んトコに戻るんだね」
74: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/16(火) 21:01:56.89 ID:K31iFO7oO
キュゥべえ「無理だよ…僕は捨てられたんだもの…。帰る場所なんて無いんだよ」
杏子「それじゃアタシは行くから。後のことは自分で何とかするんだね」
キュゥべえ「げほっ!げほっ…。目がかすれてきたよ…」
「ティロ・フィナーレ!!」
ドーーァァン!!
杏子「な、なんだぁ!アタシの段ボールハウスが!?」
マミ「やっと見つけたわよ……」
杏子「巴マミ!?どうしてアンタがここに!まさかグリーフシードを狙って」
マミ「退きなさい佐倉さん。私の戦場は此所じゃないもの」
杏子「はぁ?だったら何しに来たんだよ」
キュゥべえ「マ、マミ……」ピクピク
77: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/16(火) 21:13:26.88 ID:K31iFO7oO
マミ「この空き容器は…、牛肉弁当?」ゴソゴソ
杏子「あぁ、それは昨日の晩飯だぜ。デザートにヨーグルトも付いてたぜ」
マミ「ふぅ、こんな事だろうと思っていたわ」
キュゥべえ「ど、どういう事だい…マミ…」
マミ「牛肉に入っていたタマネギよ。玉葱には硫黄酸化物や二酸化物を含んでいるから、赤血球を壊して貧血を引き起こす可能性があるのよ」
杏子「へー、インキュベーターって不便なんだなぁ。玉葱食えないのかよ」
マミ「それだけじゃないわよ、他にもイカとかパンとか沢山あるのよ」
キュゥべえ「それじゃ、いつもキャットフードだったのは…」
マミ「貴方の身体を想ってに決まってるでしょ。他になにがあるのよ!」
キュゥべえ「うぅ…ゴメンよマミ…!」
79: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/16(火) 21:22:16.41 ID:K31iFO7oO
マミ「いいえ、謝るのは私の方よ。ゴメンなさいね、いきなり貴方を追い出して…」
キュゥべえ「気にして無いよ…、僕が悪いんだから」
マミ「違うわよ。私きっと、どうかしてたのよ。…フカフカの毛並みにつぶらな瞳。キュゥべえってこんなに可愛いのに」
キュゥべえ「や、止めてよマミ、照れるじゃないか」
マミ「また家に戻って来てくれるかしら?」
キュゥべえ「当たり前だよ!僕の方からお願いしたいよ」
マミ「それじゃ、早く掛かり付けのお医者様の所に行きましょうか」
92: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/16(火) 21:33:25.60 ID:K31iFO7oO
杏子「くっそー、アイツら人の家バラバラにしていきやがって」
ほむら「…お疲れ様ね、佐倉杏子」
杏子「なんだ、居たのかよアンタ?」
ほむら「えぇ、全て見させて貰っていたから」
杏子「はぁ?なんでさ、アンタには関係ないっしょ」
ほむら「まぁね。それじゃコレ、家の修理費にでも回して頂戴」
杏子「せ、千円じゃねーか!いいのかよ」
ほむら「構わないわ。貴方は駒として良く働いてくれたから」
杏子「駒って何の事だよ」
ほむら「いえ…忘れて頂戴」
94: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/16(火) 21:41:33.95 ID:K31iFO7oO
まどか「それじゃ、マミさんとキュゥべえ仲直り出来たんだ?」
さやか「キュゥべえも災難だったね」
キュゥべえ「とんでもないよ、逆にマミの気持ちに気付けて感謝してるんだから!」
さやか「ふーん、そういうものなのかな」
キュゥべえ「それじゃ僕は、そろそろマミとペット美容院行かないといけないから」
まどか「うん。またねキュゥべえ!」
さやか「ふーむ。…何かオカシイね」
まどか「ん?どうしたのさやかちゃん」
97: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/16(火) 21:53:26.05 ID:K31iFO7oO
さやか「そもそも、なんでマミさんはキュゥべえ追い出したんだろうね」
まどか「そうだね。あんなに仲良しなのに。…なんだかまるで…」
ほむら「…魔法みたい?」ボソ
まどか「うわ!?ビックリした。居たのほむらちゃん!」
さやか「いきなり出てこないでよ!」
ほむら「理由はどうあれ…雨降って地固まるというでしょ。傷心の相手に対してのフォローは効果が絶大なのよ」
さやか「口説くタイミングは、相手が酔ってる時か泣いてる時っていうしね」
まどか「へー、そうなんだ!さやかちゃん物知りだね」
100: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/16(火) 22:03:00.85 ID:K31iFO7oO
ほむら「(…さて、予行練習も終わったし。これからが本番ね。まどかに向かって魔法を使って…)」ホムホミ
まどか「ん?どうしたのほむらちゃん」
ほむら「いえ、別に。それよりも、美樹さやか、少しまどかの顔を見て貰えないかしら」
さやか「まどかの顔を?」クルッ
ほむら「……どう思うかしら」
まどか「や、やだなぁ。そんな見られると恥かしいよ!」
さやか「あのさぁ、まどか……」
まどか「…うん?」
さやか「まどかって良く見たらあんまり可愛くないよね」
まどか「………え」
ほむら「……………」ニヤリ
おわり
マミ「キュゥべえって良く見たら余り可愛いくないわね」