SS速報VIP:杏子「あなた、誰だっけ」さやか「えっ!?」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1312557824/1: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県) 2011/08/06(土) 00:23:45.26 ID:gGtRFReW0
――もう、いやだよ……
あたしの想いは、あの子に伝えられない、絶対に叶わない……
どうにもならない。 こんなに苦しいのなら、もう
いっそ……忘れて……
―――シュウウウウウウウ
----------------------
~散歩道~
さやか「あ、杏子だ。おーい」
杏子 フラフラ
さやか「どしたの杏子? なんか顔色悪いよ。さてはまた道に落ちてるもん食ったね?」
杏子「あ……どうも。 あなた、あたしの知り合いなの?」
さやか「くっ、ツッコミなしですか。 そしてギャグをかぶせてきただと?」
杏子「あのー、あなた、誰だっけ」
さやか「えっ!?」
2: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県) 2011/08/06(土) 00:25:06.58 ID:gGtRFReW0
さやか「あーはいはい、そういう遊びねー。凝ってるねえ、なんか口調まで変えちゃって」
杏子「え、あ……あたしの口調って、こういう感じじゃなかったの?」
さやか「おーい、いつまで続けんのよ~。さすがのさやかちゃんも面倒くさくなってきたよ?」
杏子「さやか……ちゃん?」
さやか「ちょっと」
杏子「あなた、さやかちゃんって言うんだ。お願い、教えて」
杏子「あたし、一体どうなってるの?」
杏子の真剣な瞳に、お調子こいていたさやかの顔色がサッと失せた。
さやか「まさか……あんた、マジで?」
さやか「き、記憶がないなんて言わないでよ?」
杏子「そうみたい、なの」
~マミハウス~
さやか「ってわけなんですマミさん! 演技とも思えないし、杏子はそんなことする性格じゃないし」
さやか「どうしたらいいんでしょう、これってやっぱ記憶失くしたってことでしょうか、あのあの」
さやか「杏子が私のこと忘れちゃうなんてそんな、信じられないけど事実みたいで、その」
マミ「落ち着いて、美樹さん。いま分析するわ」
さやか「は、はい」
マミ「…………話を総合すると」
マミ「これは記憶喪失というものね!」ドヤァ
さやか「……いや、それは知ってます」
杏子「あたしも知ってます」
マミ(体が軽い……こんなにスベったの初めて)
マミ「……コホン。 問題は、どこで何があってそうなったか……」
マミ「佐倉さん、いつからの記憶がないのか、わかる?」
杏子「わかりません……なんか、おぼろげで」
杏子「あ、自分が魔法少女だってことは、なんとなく覚えてます」
杏子「昔の家族のことも覚えてますけど。 あと、あなたは……巴マミさんですよね?」
マミ「(ぞわっ)佐倉さんに『さん』付けで呼ばれるの、初めてかも」
さやか「マミさんのことは覚えてるの? なのに、なんで私は覚えてないのよ」
さやか「見た目のインパクトか? おっぱいか、おっぱいなのかぁ?」
杏子「だから、あの、断片的に……ううっ!」
マミ「どうしたの!」
杏子「うう、ああああっ! 痛い、頭が」ハァハァ
さやか「大丈夫、杏子!?」
マミ「フラッシュバックかも。佐倉さん無理しないで、今は横になって」
さやか「どこかで頭打ったのかも……そうだ」
さやか「頭を打ってるなら、私の魔法で治癒できるはずじゃん!」
杏子「う、ううっ」ハァハァ
さやか「手をかざして……治癒魔法!」パアアアア!
マミ「どう?佐倉さん」
杏子「……ありがと、さやかちゃん。頭痛はおさまったみたい」
マミ「治ったのかしら? 最初から試せば良かったわね」
さやか「……いや」
さやか「治ったんなら、私のこと『さやかちゃん』なんて呼びませんよ」
さやか「あと、魔法でわかったんですけど、外傷はないですよ。頭を打った形跡もない」
マミ「原因不明、突発的なものかしら。精神的なショックなどでも起こるというし」
杏子「医者に行っても、無理でしょうか……もっとも、保険証もないんですけど」
マミ「美樹さんの治癒魔法は、医者なんてはるかに凌駕するレベルよ」
マミ「それでも戻らないとなると……」
杏子 ショボン…
さやか「じゃあさ、こうしよう」
さやか「とりあえず何か思い出すまで、杏子うちで預かります」
杏子「え、迷惑じゃないかな」ウルウル
さやか「(ぞわっ)杏子のそんな態度、初めて見たよ」
さやか(しかしなんか……ちょっと可愛いな、コンチクショウ)
~ミキハウス~
杏子「すみません、お邪魔します」
さやか「んな固くならずに、くつろいでいいよ。親にはOKもらったからさ、何日でも」
杏子「これがさやかちゃんの部屋……」
さやか「あとさあ、それやめてくんないかな」
杏子「え」
さやか「さやか、ちゃん、っての」
杏子「あ、すいません、さやかさん」
さやか「(ぞわっっ)うわあ、いやえーとね、違って」
杏子「……?」
さやか(こ、小首をかしげてる。リスみたいで妙に可愛い……けど)
さやか「コホン。さやかでいいの! 以前のあんたは私をそう呼んでたから」
杏子「なんか、気恥ずかしくて」
さやか「あんたにちゃんとかさんとか呼ばれる方が、私が恥ずかしいんだっつーの」
杏子「さやか……?」
さやか「うむ、よろしい。 言葉ももっと砕けていいよ」
杏子「うん……あの、以前のあたしって、さやかと仲良しだったの?」
さやか「ぜんぜん」
杏子「ええっ!? じゃあなんで、あたしにこんなに親切にしてくれるの」
さやか「病人につらく当たるわけにいかないじゃん。 とりあえず以前は……」
さやか「顔を合わせればケンカばっかでした。私のこと、殴ってもわからないバカとか言ってました」
杏子「す、すいません!!」ドゲザアーーー!
さやか「おいおい、やめてってばぁ」
杏子「あたしがそんなひどいこと言ってたなんて、ほんとごめんなさい!」
さやか「謝るな! いや、いつか謝らせてやろうとは思ってたけどさー!」
さやか「あんた今日、すいませんとか、ごめんなさいとかばっかり言ってるじゃん」
杏子「すいません……あ」
さやか「だめだこりゃ」
さやか(まいったなぁ。他人行儀っていう言葉の意味を知った気がする)
さやか(そうだよね……今の杏子にとって私は)
さやか(今日、知り合ったばかりの他人なんだ……)
杏子「あ、プリクラのシールだ」
さやか「そういうのは覚えてるんだね。生活そのものは問題ないのかな」
さやか(でもフラッシュバックもあるし、こんな状態で家がないのも危険だし)
杏子「えへへっ」
さやか「ん? ……あ、それは見るなぁーー!!」
杏子「やっぱり仲良しだったじゃん」
さやか(以前、二人で撮ったやつ……置きっぱなしだった!////)
杏子「でもなんかこの写真、あたしちょっと不機嫌な顔してる?」
さやか「あー。私がダブルピースしながら光速で割り込んだからなあ」
杏子「やっぱり仲、悪かったのかな」
さやか「……ど、どうだろね////」
杏子(でも少し、わかった)
杏子(仲悪かったらこんなの残してない……よね)ニヘ
さやか「杏子、ベッド使っていいからね、私は布団で寝るから」
杏子「あのさ」
さやか「ん?」
杏子「さやかちゃ……さやかって、優しいんだね」
さやか「べ、別にッ! あんた病気なんだから、早く寝なさいな」
杏子「なんか眠れそうになくて……あたし、これからどうなるのかなって」
杏子「記憶あやふやで、こんなんで魔女と戦っていけるのかなって」
杏子「……不安で」
さやか「杏子……」
さやか(ひょっとして性格がスレる前の杏子って、こんな感じだったのかな)
さやか(こんな弱気なとこ見るの、初めてだよ……)
杏子「ぐすっ……」
さやか「げ、元気出しなよ」
さやか「魔法少女の戦いに関する記憶もあいまいなんでしょ? 今、戦うのは危険だよ」
さやか「魔女のことなんて気にしない! 私やマミさん、ほむらに任せておきなって」
杏子「……うん、ありがと」
さやか「(素直だ!)……調子狂うなあ」
さやか「あのさ、杏子」
杏子「スースー……」
さやか「誰が眠れないって?」
~数日後、学校~
さやか『で、ですね。あれから杏子は元気は取り戻してきてるんですが』テレパシー
さやか『記憶は……やっぱり戻ってないです』
マミ『そっか。気の長い話になるかもしれないわね』
まどか『マミさん!さやかちゃん!』
さやマミ『まどか、どうしたの慌てて?』
まどか『ほむらちゃんが、ほむらちゃんが大変なの!すぐ来て!』
さやマミ『魔女と戦ってるの!? わかった、変身してすぐ向かう……』
まどか『そ、そうじゃないんだけど。とにかく屋上に来て!』
さやマミ『?』
まどか「ほむらちゃん、大丈夫!? さやかちゃん達が来てくれたよ!」
マミ「暁美さん!」
ほむら「ううっ、頭が……痛い……」
まどか「ほむらちゃんが……」グスングスン
ほむら「巴さんに、美樹さん……?」ハァハァ
ほむら「教えてください。私は一体、どうなっているの」
さやか「え、まさかこれって」
まどか「ほむらちゃん!マミさんとさやかちゃんのこと、わかるんだね!」
まどか「記憶が戻ったんだね!!」
ほむら「……ごめんなさい、あなたのことは思い出せなくて」
まどか「」
まどか「さやかちゃん、早く、ほむらちゃんを治療してあげて!」
さやか「うん。でも、頭痛はいったん治まると思うけど」パアアア
ほむら「ありがとう……楽になりました」
マミ「残酷だけれど、おそらく記憶は戻っていないわね。経験則で」
まどか「そ、そんな!」
さやか「あんなにまどまど言ってたほむらが、まどかのことを忘れるなんて……」
マミ「これだけは想像できなかった図ね」
まどか「うそだよね、ほむらちゃん!」
ほむら「あの、私、この人と仲良かったんですか?」
まどか「そんなぁ……ほむらちゃぁん……」ポロポロ
マミ(良かったなんてものじゃないわ。換気扇の油のごとくベッタベタだったのに)
さやか「どう思います?マミさん」
マミ「佐倉さん一人ならともかく、さすがにこれは偶然じゃないでしょうね」
マミ「情報を集めてみるわ。この町で最近、突然の記憶喪失が多く出ていないか」
マミ「もし出ていなければ、魔法少女だけがこうなっている。 となると十中八九……」
さやか「ねえまどか。ほむらの昨日から今日までの行動、ある程度わかる?」
まどか「えっと、昨夜はふだんと変わりなく、私にメールくれたりしてたよ」
まどか「で、深夜に魔女の気配がするからパトロールに行くって」
さやか「マミさんの予感、ビンゴだ」
マミ「ネットで調べた結果も、この町の一般人には今のところ類似した病例は無さそう」
マミ「つまり魔女の結界に近づきやすい魔法少女だけが、こうなったんでしょうね」
さやか「今度の相手は記憶を奪う魔女、ってことか……」
マミ『キュゥべえ、ちょっと来てくれる?』テレパシー
QB「やあマミ。面倒なことになっているようだね」ピョン
マミ「あなた記憶を奪う魔女のこと、なにか知っている?」
QB「いや、僕もそんなのは知らないね」
マミ「本当でしょうね?」
QB「疑り深いなあ。 なんなら、鹿目まどかが契約すれば願い事で万事解決……」
さやか「お前ホンットに卑怯だな! ほむらの弱ってるトコに付け込むんじゃないわよ」
QB「卑怯ってのは理解できないけど……まあいいや。 僕は僕で調査してみるよ」
マミ「お願いね、キュゥべえ」
ほむら「ごめんなさい、鹿目さん!!」
まどか「鹿目さんだなんて…… まどかって呼んでよ」アセアセ
ほむら「以前あなたのパンツ見たり、盗んだりしてたなんて、ごめんなさい!!」
まどか「声が大きいよほむらちゃん!////」アワアワ
さやか「ほむらは記憶なくなっても安定してんなあ……安定のほむほむ」
マミ(美樹さんに言われる日が来ようとはね)
マミ「問題は、その魔女がどんな魔女で、どんな攻撃を受けるとそうなるのかが」
マミ「二人とも記憶がなくて、知ることができない。 うかつに私達が接触して」
さやか「もしマミさんと私まで記憶を奪われたら、この魔女の存在は」
マミ「ええ、完全に闇に紛れてしまうわね……キュゥべえを一応の布石にはしておいたけど」
さやか「やっかいなヤツだなぁ」
マミ「それにおそらく、これから一般人の被害も増えるはず。 急がないと」
さやか「まあ今までも、魔女の事前情報なんてほぼ無しで戦ってきたわけだし」
さやか「打って出るしかない、ってやつか」
さやか(杏子……絶対、元に戻してあげるから)
マミ(でも……どうして二人は一部の記憶を失くしながらも、生還しているのかしら?)
~ミキハウス~
杏子「おかえり、さやか」
さやか「ただいまー。お風呂わいてる?」
杏子「わいてるよー。一緒に入らない?」
さやか「うん。 ……え」
ザパーー
さやか「う……////」
杏子「さやかの体って、引き締まってるんだねー」セナカ ナガシ
さやか「(恥ずい……)なんでこんなことに」
杏子「うわ、胸大きい」フニョーン
さやか「や、ちょ、やめなさい! これなんてエロゲ!?」
杏子「こういうのは定番イベントかなって思って」フンス
さやか「しょーもない記憶は残ってるんだなオイ!」
さやか(うう、杏子、スレンダーで髪も綺麗だなぁ……って何考えてんの私!)
杏子「あのさ。あたしも魔女退治、連れてってよ」
さやか「何いってんの。今来たって、足手まといになるだけ……」
杏子「ギュッ」ダキツキ
さやか「うわひゃ!?」(ちょ、裸で……)
杏子「わかってる……わかってるけど」
杏子「友達が戦ってるのに、私は何もできないなんて、イヤなんだよ」
さやか「……////」ドキドキ
杏子「友達、なんだよね? あたしたち。 だったら役に立ちたいよ……」
さやか(杏子……そういや言ってたっけ)
さやか(最初は本当に純粋に、魔法少女として人の役に立ちたかったって……)
さやか ブンブン「だめだめ!治ってからにしなさい!それに」
さやか「魔女の呪いみたいのでこうなったんなら、きっと倒せば元に戻れるから」
さやか「おとなしく待っててよ。 強ーいさやかちゃんは、絶対負けないからさ」
杏子「ほんとだね?」ウルウル
さやか「大ー丈夫だって!」
杏子「無事に帰ってきたら、美味しいもの作って待ってるから!」
さやか「え、うん……」
杏子「さやかは何が好きかなー、りんごが好きなら超でっかいアップルパイとか」
さやか「もういいもういい。それ以上はあたしの死亡フラグになる……」
~ 次の日、夜 ~
QB「わかったよ! 例の魔女の結界の位置が」タッタッタッ
マミ「偉いわキュゥべえ。どんな魔女かも分かった?」タッタッタッ
さやか「走りながらでいい、説明して!」タッタッタッ
QB「この魔女はもともとはこの地域に住んでいた、失恋した少女のようだね」
QB「おそらく魔女としての性質は『忘却』。 具体的な攻撃方法は不明だ」
さやか「一番知りたいとこがわかんないのかあー」
QB「仕方ないよ、接触した者はこの魔女についての記憶も消される。これが彼女の自衛手段」
QB「不可解なのは、過去に一般人男性が2人ほど結界に迷い込んだようなんだけど」
QB「魔女の記憶だけを消されて、まったくの無傷で生還していることだ」
さやか「はあ? 気まぐれな魔女だなあ」
マミ「着いたわよ。ここね」
~ 魔女結界内 ~
魔女「ウオオオオオオ……!」
マミ「もうこっちに気付いているわ。 どうする?」
さやか「散開した方がいいですね。 まず私が囮になって、ヤツの注意を引きますから」
さやか「マミさんはそこを一撃、ティロフィナってください」
マミ「気をつけてよ、もしあなたまで記憶を失ったら」
さやか「頼みましたよ、マミさん!」ダッ!
マミ「ちょっと、美樹さん!!」
さやか「おーい魔女! こっちだ!!」ダダダダ
魔女「タ……スケ……テ」
さやか「えっ!」
マミ「魔女が、助けてって言った!? 攻撃もせずに」
さやか「まさか言葉が通じるの? こっちの話、聞いたりできるの?」
魔女「タス……ケテ……」
さやか「もし話が通じるなら、呼びかけに応えるかも」
マミ「美樹さん危険よ、トラップかもしれない」
さやか「ちょっと魔女の人ー! 人の記憶を奪ったりしないで! 私達の話を聞いて……」
魔女「タ……ス……ケテ……」
魔女「 ア ゲ ル 」グオオオッ!!
さやか「うわ、いきなり来たー!?」
マミ「やっぱり!美樹さん危ない!」ドンドンドンッ
魔女「 グォバァァアア 」
マミ「か、固い! あの魔女の表皮、マスケット銃が効かない!?」
さやか「何、これ……」
魔女の体の中心が開き、目玉のような核が浮き出る。
そこから青白い光条が漏れ出し、今にもさやかを包み込もうとしていた。
「危ないッ!!!」シュンッ!
さやか「え、あれ!?」
マミ「佐倉さん!暁美さん!」
杏子「危なかったね。ほむらが時間を止めてくれて、あたしがさやかを抱えて移動したの」
さやか「バカ! なんで来たのよ! 家に居ろって言ったじゃん!」
ほむら「ハァハァ……わ、私達だって少しくらい戦えます」
杏子「あたしは戦いのこととかも色々忘れてるし、バカって言われるのもわかってたけど」
杏子「それにさやかは……あたしにとっては出会ったばかりの人だけど」
杏子「でも、きっとさやかにとってはそうじゃないから!」
杏子「なに言いたいんだか自分でもわかんないけどさ……何か、したかったんだよ……」
さやか「杏子……」
さやか「あんがとね」
魔女「 アゲル……タスケテ アゲル…… 」
QB「どうやらあの光に触れると、記憶を奪われるようだね」
魔女「ウオオオオオン!!」ゴゴゴゴ
さやか「ちょっとお! なんで私ばっか狙うのーー!?」ダダダダ
さやか「いや確かに囮になるとは言ったけどさあー!」ダダダダ
マミ「これは……あの魔女、佐倉さんと暁美さんが目に入っていない?」
マミ「気まぐれ? いえ、そうじゃないとしたら……」
さやか「マミさん早くーーッ!!」ゼエゼエ
マミ「とはいっても、普通の射撃は通らないのよ」
マミ「でも、おかげで見えてきたわ。あれはどういう魔女なのか」
マミ「あの魔女が人間だった頃に、失恋した相手というのは……」
ほむら「ど、どういうことです?」
マミ「暁美さん、佐倉さん、私から離れて! 美樹さんも下がっていいわ」
さやか「え!?せっかく囮になってんのに?」ドタドタ
マミ「ねえ魔女さん聞いて! 私ね、今、恋をしているの!」バッ
さやほむ杏「え」
魔女「ピクッ」
マミ「でもそれは叶わない、叶ってはいけない恋……とても苦しいの」
マミ「だってそうでしょう? 私が恋してしまった相手は、女の子なんですもの!」
さやほむ杏「ええええーー!? 何の話ーー!?」
魔女「ウウウ……」クルリ
マミ「魔女さん。 こんな私を助けてくださる?」
魔女「……タスケテ……アゲル……!!!」ガバァァァ
マミ「そうよね――あなたはそうして、こっちを向いて本体の核を出すしかない」
マミ「男性も、すでに救済した者も、あなたの眼には映らない」
マミ「だってあなたはかつての自分と同じ、叶わぬ恋をする少女だけを」
マミ「その忘却の力によって、助けたくてたまらないんだものね」
―――ドドドドドオオオン!!!!
魔女「ウオ……オォォ……」
マミの背後に既に召還されていた、超巨大なティロ・フィナーレの連発が、業火を呼んだ。
それは、魔女の青白く光る核を正確に射抜いていた。
マミ「もうあの攻撃はできないわ。今よ、美樹さん!」
さやか「これで、トドメだあああ!!!」ザシュッ!
さやかの剣が、魔女の体を真っ二つに切り裂いた。
グリーフシード 「 カラン 」
マミ「ごめんね……」
忘却の魔女の消滅により呪いは消え、杏子とほむらの記憶は戻った。
さやか「やれやれ、今回走り回ってばっかしで疲れたぁ~」
杏子「けっ、あんなのに苦戦しやがって。ネタが割れりゃ、全然大したことなかったじゃんよ」
さやか「それに一度負けて、弱ヨワになってた知人がいましてねえ。ご存知ですかあなた?」
杏子「なーんーだとおー! やるか!!」
さや杏「ギャーギャー」
まどか「ホムラチャン!!!」
ほむら「マドカァーーー!!!」
マミ「平常運転っていう言葉の意味を知った気がするわね」
さやか「あと、マミさん! あのとき言ってたのって本当ですか?」
マミ「え?」
さやか「マミさんが、女の子に恋してるって話」
ほむら「ほむッ!?」
杏子「うお、ほむらが超反応」
マミ「あ、あれは違うのよ! ウソウソ、魔女を罠にはめるための演技よ!////」
ほむら「それにしては本当っぽかったような、いやワザとらしくもあったけれど」
ほむら「逆にワザとらしさがこの場合、実はカムフラージュのような」グルグル
まどか「ほむらちゃん目が怖いよ、考察が本気すぎるよ……」
マミ「ホ、ホントにウソなんだからね!?」
杏子「どっちなんだよ」
杏子「ていうかさ……さやか、あの魔女に狙われてたよな、執拗に」
さやか「へっ? あ、うん」
杏子「てことは、女の子に恋してるってことだよな」
さやか「//////」ボフーン!
さやか「な、いや、そんなことわわわわわ」
杏子「オイ誰なんだよ? 吐けよー」
さやか「その話には突っ込まないでよ、もう! あんた自爆したいの?」
杏子「え? 何のことだ」
ほむら「佐倉杏子が一番最初に狙われたのよね」
杏子「あ//////」
マミ「それに」
マミ「あの魔女は、苦しい恋を忘れさせることが救いになると思い込んでいた。だから」
マミ「一番好きな人の記憶を奪ってたってこと、気付いてないわけじゃないわよね?」
杏子「なっ!?//////」ボフーン!
さやか「あーもう……バカ杏子//////」
ほむら「私はとっくに気付いていたわ、マドカァーーー!!!!」
まどか「なんかよくわかんないけど、ホムラチャーーーン!!!!」
~終わり~
元スレ
さやか「あーはいはい、そういう遊びねー。凝ってるねえ、なんか口調まで変えちゃって」
杏子「え、あ……あたしの口調って、こういう感じじゃなかったの?」
さやか「おーい、いつまで続けんのよ~。さすがのさやかちゃんも面倒くさくなってきたよ?」
杏子「さやか……ちゃん?」
さやか「ちょっと」
杏子「あなた、さやかちゃんって言うんだ。お願い、教えて」
杏子「あたし、一体どうなってるの?」
杏子の真剣な瞳に、お調子こいていたさやかの顔色がサッと失せた。
さやか「まさか……あんた、マジで?」
さやか「き、記憶がないなんて言わないでよ?」
杏子「そうみたい、なの」
3: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県) 2011/08/06(土) 00:25:39.03 ID:gGtRFReW0
~マミハウス~
さやか「ってわけなんですマミさん! 演技とも思えないし、杏子はそんなことする性格じゃないし」
さやか「どうしたらいいんでしょう、これってやっぱ記憶失くしたってことでしょうか、あのあの」
さやか「杏子が私のこと忘れちゃうなんてそんな、信じられないけど事実みたいで、その」
マミ「落ち着いて、美樹さん。いま分析するわ」
さやか「は、はい」
マミ「…………話を総合すると」
マミ「これは記憶喪失というものね!」ドヤァ
さやか「……いや、それは知ってます」
杏子「あたしも知ってます」
4: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県) 2011/08/06(土) 00:26:36.26 ID:gGtRFReW0
マミ(体が軽い……こんなにスベったの初めて)
マミ「……コホン。 問題は、どこで何があってそうなったか……」
マミ「佐倉さん、いつからの記憶がないのか、わかる?」
杏子「わかりません……なんか、おぼろげで」
杏子「あ、自分が魔法少女だってことは、なんとなく覚えてます」
杏子「昔の家族のことも覚えてますけど。 あと、あなたは……巴マミさんですよね?」
マミ「(ぞわっ)佐倉さんに『さん』付けで呼ばれるの、初めてかも」
5: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県) 2011/08/06(土) 00:27:09.24 ID:gGtRFReW0
さやか「マミさんのことは覚えてるの? なのに、なんで私は覚えてないのよ」
さやか「見た目のインパクトか? おっぱいか、おっぱいなのかぁ?」
杏子「だから、あの、断片的に……ううっ!」
マミ「どうしたの!」
杏子「うう、ああああっ! 痛い、頭が」ハァハァ
さやか「大丈夫、杏子!?」
マミ「フラッシュバックかも。佐倉さん無理しないで、今は横になって」
さやか「どこかで頭打ったのかも……そうだ」
6: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県) 2011/08/06(土) 00:27:53.08 ID:gGtRFReW0
さやか「頭を打ってるなら、私の魔法で治癒できるはずじゃん!」
杏子「う、ううっ」ハァハァ
さやか「手をかざして……治癒魔法!」パアアアア!
マミ「どう?佐倉さん」
杏子「……ありがと、さやかちゃん。頭痛はおさまったみたい」
マミ「治ったのかしら? 最初から試せば良かったわね」
さやか「……いや」
さやか「治ったんなら、私のこと『さやかちゃん』なんて呼びませんよ」
7: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県) 2011/08/06(土) 00:31:15.15 ID:gGtRFReW0
さやか「あと、魔法でわかったんですけど、外傷はないですよ。頭を打った形跡もない」
マミ「原因不明、突発的なものかしら。精神的なショックなどでも起こるというし」
杏子「医者に行っても、無理でしょうか……もっとも、保険証もないんですけど」
マミ「美樹さんの治癒魔法は、医者なんてはるかに凌駕するレベルよ」
マミ「それでも戻らないとなると……」
杏子 ショボン…
さやか「じゃあさ、こうしよう」
さやか「とりあえず何か思い出すまで、杏子うちで預かります」
杏子「え、迷惑じゃないかな」ウルウル
さやか「(ぞわっ)杏子のそんな態度、初めて見たよ」
さやか(しかしなんか……ちょっと可愛いな、コンチクショウ)
8: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県) 2011/08/06(土) 00:32:16.57 ID:gGtRFReW0
~ミキハウス~
杏子「すみません、お邪魔します」
さやか「んな固くならずに、くつろいでいいよ。親にはOKもらったからさ、何日でも」
杏子「これがさやかちゃんの部屋……」
さやか「あとさあ、それやめてくんないかな」
杏子「え」
さやか「さやか、ちゃん、っての」
杏子「あ、すいません、さやかさん」
さやか「(ぞわっっ)うわあ、いやえーとね、違って」
杏子「……?」
さやか(こ、小首をかしげてる。リスみたいで妙に可愛い……けど)
さやか「コホン。さやかでいいの! 以前のあんたは私をそう呼んでたから」
杏子「なんか、気恥ずかしくて」
さやか「あんたにちゃんとかさんとか呼ばれる方が、私が恥ずかしいんだっつーの」
9: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県) 2011/08/06(土) 00:33:23.73 ID:gGtRFReW0
杏子「さやか……?」
さやか「うむ、よろしい。 言葉ももっと砕けていいよ」
杏子「うん……あの、以前のあたしって、さやかと仲良しだったの?」
さやか「ぜんぜん」
杏子「ええっ!? じゃあなんで、あたしにこんなに親切にしてくれるの」
さやか「病人につらく当たるわけにいかないじゃん。 とりあえず以前は……」
さやか「顔を合わせればケンカばっかでした。私のこと、殴ってもわからないバカとか言ってました」
杏子「す、すいません!!」ドゲザアーーー!
さやか「おいおい、やめてってばぁ」
杏子「あたしがそんなひどいこと言ってたなんて、ほんとごめんなさい!」
さやか「謝るな! いや、いつか謝らせてやろうとは思ってたけどさー!」
さやか「あんた今日、すいませんとか、ごめんなさいとかばっかり言ってるじゃん」
杏子「すいません……あ」
さやか「だめだこりゃ」
10: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県) 2011/08/06(土) 00:33:52.62 ID:gGtRFReW0
さやか(まいったなぁ。他人行儀っていう言葉の意味を知った気がする)
さやか(そうだよね……今の杏子にとって私は)
さやか(今日、知り合ったばかりの他人なんだ……)
杏子「あ、プリクラのシールだ」
さやか「そういうのは覚えてるんだね。生活そのものは問題ないのかな」
さやか(でもフラッシュバックもあるし、こんな状態で家がないのも危険だし)
杏子「えへへっ」
さやか「ん? ……あ、それは見るなぁーー!!」
杏子「やっぱり仲良しだったじゃん」
さやか(以前、二人で撮ったやつ……置きっぱなしだった!////)
11: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県) 2011/08/06(土) 00:34:40.23 ID:gGtRFReW0
杏子「でもなんかこの写真、あたしちょっと不機嫌な顔してる?」
さやか「あー。私がダブルピースしながら光速で割り込んだからなあ」
杏子「やっぱり仲、悪かったのかな」
さやか「……ど、どうだろね////」
杏子(でも少し、わかった)
杏子(仲悪かったらこんなの残してない……よね)ニヘ
12: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県) 2011/08/06(土) 00:35:17.02 ID:gGtRFReW0
さやか「杏子、ベッド使っていいからね、私は布団で寝るから」
杏子「あのさ」
さやか「ん?」
杏子「さやかちゃ……さやかって、優しいんだね」
さやか「べ、別にッ! あんた病気なんだから、早く寝なさいな」
杏子「なんか眠れそうになくて……あたし、これからどうなるのかなって」
杏子「記憶あやふやで、こんなんで魔女と戦っていけるのかなって」
杏子「……不安で」
さやか「杏子……」
さやか(ひょっとして性格がスレる前の杏子って、こんな感じだったのかな)
さやか(こんな弱気なとこ見るの、初めてだよ……)
13: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県) 2011/08/06(土) 00:35:41.79 ID:gGtRFReW0
杏子「ぐすっ……」
さやか「げ、元気出しなよ」
さやか「魔法少女の戦いに関する記憶もあいまいなんでしょ? 今、戦うのは危険だよ」
さやか「魔女のことなんて気にしない! 私やマミさん、ほむらに任せておきなって」
杏子「……うん、ありがと」
さやか「(素直だ!)……調子狂うなあ」
さやか「あのさ、杏子」
杏子「スースー……」
さやか「誰が眠れないって?」
14: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県) 2011/08/06(土) 00:36:12.36 ID:gGtRFReW0
~数日後、学校~
さやか『で、ですね。あれから杏子は元気は取り戻してきてるんですが』テレパシー
さやか『記憶は……やっぱり戻ってないです』
マミ『そっか。気の長い話になるかもしれないわね』
まどか『マミさん!さやかちゃん!』
さやマミ『まどか、どうしたの慌てて?』
まどか『ほむらちゃんが、ほむらちゃんが大変なの!すぐ来て!』
さやマミ『魔女と戦ってるの!? わかった、変身してすぐ向かう……』
まどか『そ、そうじゃないんだけど。とにかく屋上に来て!』
さやマミ『?』
15: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県) 2011/08/06(土) 00:36:38.42 ID:gGtRFReW0
まどか「ほむらちゃん、大丈夫!? さやかちゃん達が来てくれたよ!」
マミ「暁美さん!」
ほむら「ううっ、頭が……痛い……」
まどか「ほむらちゃんが……」グスングスン
ほむら「巴さんに、美樹さん……?」ハァハァ
ほむら「教えてください。私は一体、どうなっているの」
さやか「え、まさかこれって」
まどか「ほむらちゃん!マミさんとさやかちゃんのこと、わかるんだね!」
まどか「記憶が戻ったんだね!!」
ほむら「……ごめんなさい、あなたのことは思い出せなくて」
まどか「」
16: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県) 2011/08/06(土) 00:37:32.34 ID:gGtRFReW0
まどか「さやかちゃん、早く、ほむらちゃんを治療してあげて!」
さやか「うん。でも、頭痛はいったん治まると思うけど」パアアア
ほむら「ありがとう……楽になりました」
マミ「残酷だけれど、おそらく記憶は戻っていないわね。経験則で」
まどか「そ、そんな!」
さやか「あんなにまどまど言ってたほむらが、まどかのことを忘れるなんて……」
マミ「これだけは想像できなかった図ね」
まどか「うそだよね、ほむらちゃん!」
ほむら「あの、私、この人と仲良かったんですか?」
まどか「そんなぁ……ほむらちゃぁん……」ポロポロ
マミ(良かったなんてものじゃないわ。換気扇の油のごとくベッタベタだったのに)
17: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県) 2011/08/06(土) 00:38:42.21 ID:gGtRFReW0
さやか「どう思います?マミさん」
マミ「佐倉さん一人ならともかく、さすがにこれは偶然じゃないでしょうね」
マミ「情報を集めてみるわ。この町で最近、突然の記憶喪失が多く出ていないか」
マミ「もし出ていなければ、魔法少女だけがこうなっている。 となると十中八九……」
さやか「ねえまどか。ほむらの昨日から今日までの行動、ある程度わかる?」
まどか「えっと、昨夜はふだんと変わりなく、私にメールくれたりしてたよ」
まどか「で、深夜に魔女の気配がするからパトロールに行くって」
さやか「マミさんの予感、ビンゴだ」
18: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県) 2011/08/06(土) 00:39:53.10 ID:gGtRFReW0
マミ「ネットで調べた結果も、この町の一般人には今のところ類似した病例は無さそう」
マミ「つまり魔女の結界に近づきやすい魔法少女だけが、こうなったんでしょうね」
さやか「今度の相手は記憶を奪う魔女、ってことか……」
マミ『キュゥべえ、ちょっと来てくれる?』テレパシー
QB「やあマミ。面倒なことになっているようだね」ピョン
19: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県) 2011/08/06(土) 00:40:47.73 ID:gGtRFReW0
マミ「あなた記憶を奪う魔女のこと、なにか知っている?」
QB「いや、僕もそんなのは知らないね」
マミ「本当でしょうね?」
QB「疑り深いなあ。 なんなら、鹿目まどかが契約すれば願い事で万事解決……」
さやか「お前ホンットに卑怯だな! ほむらの弱ってるトコに付け込むんじゃないわよ」
QB「卑怯ってのは理解できないけど……まあいいや。 僕は僕で調査してみるよ」
マミ「お願いね、キュゥべえ」
20: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県) 2011/08/06(土) 00:41:42.06 ID:gGtRFReW0
ほむら「ごめんなさい、鹿目さん!!」
まどか「鹿目さんだなんて…… まどかって呼んでよ」アセアセ
ほむら「以前あなたのパンツ見たり、盗んだりしてたなんて、ごめんなさい!!」
まどか「声が大きいよほむらちゃん!////」アワアワ
さやか「ほむらは記憶なくなっても安定してんなあ……安定のほむほむ」
マミ(美樹さんに言われる日が来ようとはね)
22: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県) 2011/08/06(土) 00:42:26.45 ID:gGtRFReW0
マミ「問題は、その魔女がどんな魔女で、どんな攻撃を受けるとそうなるのかが」
マミ「二人とも記憶がなくて、知ることができない。 うかつに私達が接触して」
さやか「もしマミさんと私まで記憶を奪われたら、この魔女の存在は」
マミ「ええ、完全に闇に紛れてしまうわね……キュゥべえを一応の布石にはしておいたけど」
さやか「やっかいなヤツだなぁ」
マミ「それにおそらく、これから一般人の被害も増えるはず。 急がないと」
さやか「まあ今までも、魔女の事前情報なんてほぼ無しで戦ってきたわけだし」
さやか「打って出るしかない、ってやつか」
さやか(杏子……絶対、元に戻してあげるから)
マミ(でも……どうして二人は一部の記憶を失くしながらも、生還しているのかしら?)
23: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県) 2011/08/06(土) 00:43:32.20 ID:gGtRFReW0
~ミキハウス~
杏子「おかえり、さやか」
さやか「ただいまー。お風呂わいてる?」
杏子「わいてるよー。一緒に入らない?」
さやか「うん。 ……え」
ザパーー
24: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県) 2011/08/06(土) 00:44:36.39 ID:gGtRFReW0
さやか「う……////」
杏子「さやかの体って、引き締まってるんだねー」セナカ ナガシ
さやか「(恥ずい……)なんでこんなことに」
杏子「うわ、胸大きい」フニョーン
さやか「や、ちょ、やめなさい! これなんてエロゲ!?」
杏子「こういうのは定番イベントかなって思って」フンス
さやか「しょーもない記憶は残ってるんだなオイ!」
さやか(うう、杏子、スレンダーで髪も綺麗だなぁ……って何考えてんの私!)
25: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県) 2011/08/06(土) 00:45:37.47 ID:gGtRFReW0
杏子「あのさ。あたしも魔女退治、連れてってよ」
さやか「何いってんの。今来たって、足手まといになるだけ……」
杏子「ギュッ」ダキツキ
さやか「うわひゃ!?」(ちょ、裸で……)
杏子「わかってる……わかってるけど」
杏子「友達が戦ってるのに、私は何もできないなんて、イヤなんだよ」
さやか「……////」ドキドキ
杏子「友達、なんだよね? あたしたち。 だったら役に立ちたいよ……」
さやか(杏子……そういや言ってたっけ)
さやか(最初は本当に純粋に、魔法少女として人の役に立ちたかったって……)
26: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県) 2011/08/06(土) 00:46:19.65 ID:gGtRFReW0
さやか ブンブン「だめだめ!治ってからにしなさい!それに」
さやか「魔女の呪いみたいのでこうなったんなら、きっと倒せば元に戻れるから」
さやか「おとなしく待っててよ。 強ーいさやかちゃんは、絶対負けないからさ」
杏子「ほんとだね?」ウルウル
さやか「大ー丈夫だって!」
杏子「無事に帰ってきたら、美味しいもの作って待ってるから!」
さやか「え、うん……」
杏子「さやかは何が好きかなー、りんごが好きなら超でっかいアップルパイとか」
さやか「もういいもういい。それ以上はあたしの死亡フラグになる……」
27: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県) 2011/08/06(土) 00:47:23.28 ID:gGtRFReW0
~ 次の日、夜 ~
QB「わかったよ! 例の魔女の結界の位置が」タッタッタッ
マミ「偉いわキュゥべえ。どんな魔女かも分かった?」タッタッタッ
さやか「走りながらでいい、説明して!」タッタッタッ
QB「この魔女はもともとはこの地域に住んでいた、失恋した少女のようだね」
QB「おそらく魔女としての性質は『忘却』。 具体的な攻撃方法は不明だ」
さやか「一番知りたいとこがわかんないのかあー」
QB「仕方ないよ、接触した者はこの魔女についての記憶も消される。これが彼女の自衛手段」
QB「不可解なのは、過去に一般人男性が2人ほど結界に迷い込んだようなんだけど」
QB「魔女の記憶だけを消されて、まったくの無傷で生還していることだ」
さやか「はあ? 気まぐれな魔女だなあ」
マミ「着いたわよ。ここね」
28: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県) 2011/08/06(土) 00:48:02.19 ID:gGtRFReW0
~ 魔女結界内 ~
魔女「ウオオオオオオ……!」
マミ「もうこっちに気付いているわ。 どうする?」
さやか「散開した方がいいですね。 まず私が囮になって、ヤツの注意を引きますから」
さやか「マミさんはそこを一撃、ティロフィナってください」
マミ「気をつけてよ、もしあなたまで記憶を失ったら」
さやか「頼みましたよ、マミさん!」ダッ!
マミ「ちょっと、美樹さん!!」
さやか「おーい魔女! こっちだ!!」ダダダダ
魔女「タ……スケ……テ」
さやか「えっ!」
マミ「魔女が、助けてって言った!? 攻撃もせずに」
さやか「まさか言葉が通じるの? こっちの話、聞いたりできるの?」
魔女「タス……ケテ……」
29: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県) 2011/08/06(土) 00:48:47.09 ID:gGtRFReW0
さやか「もし話が通じるなら、呼びかけに応えるかも」
マミ「美樹さん危険よ、トラップかもしれない」
さやか「ちょっと魔女の人ー! 人の記憶を奪ったりしないで! 私達の話を聞いて……」
魔女「タ……ス……ケテ……」
魔女「 ア ゲ ル 」グオオオッ!!
さやか「うわ、いきなり来たー!?」
30: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県) 2011/08/06(土) 00:49:28.58 ID:gGtRFReW0
マミ「やっぱり!美樹さん危ない!」ドンドンドンッ
魔女「 グォバァァアア 」
マミ「か、固い! あの魔女の表皮、マスケット銃が効かない!?」
さやか「何、これ……」
魔女の体の中心が開き、目玉のような核が浮き出る。
そこから青白い光条が漏れ出し、今にもさやかを包み込もうとしていた。
31: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県) 2011/08/06(土) 00:50:11.42 ID:gGtRFReW0
「危ないッ!!!」シュンッ!
さやか「え、あれ!?」
マミ「佐倉さん!暁美さん!」
杏子「危なかったね。ほむらが時間を止めてくれて、あたしがさやかを抱えて移動したの」
さやか「バカ! なんで来たのよ! 家に居ろって言ったじゃん!」
ほむら「ハァハァ……わ、私達だって少しくらい戦えます」
32: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県) 2011/08/06(土) 00:50:52.33 ID:gGtRFReW0
杏子「あたしは戦いのこととかも色々忘れてるし、バカって言われるのもわかってたけど」
杏子「それにさやかは……あたしにとっては出会ったばかりの人だけど」
杏子「でも、きっとさやかにとってはそうじゃないから!」
杏子「なに言いたいんだか自分でもわかんないけどさ……何か、したかったんだよ……」
さやか「杏子……」
さやか「あんがとね」
33: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県) 2011/08/06(土) 00:51:33.00 ID:gGtRFReW0
魔女「 アゲル……タスケテ アゲル…… 」
QB「どうやらあの光に触れると、記憶を奪われるようだね」
魔女「ウオオオオオン!!」ゴゴゴゴ
さやか「ちょっとお! なんで私ばっか狙うのーー!?」ダダダダ
さやか「いや確かに囮になるとは言ったけどさあー!」ダダダダ
マミ「これは……あの魔女、佐倉さんと暁美さんが目に入っていない?」
マミ「気まぐれ? いえ、そうじゃないとしたら……」
さやか「マミさん早くーーッ!!」ゼエゼエ
マミ「とはいっても、普通の射撃は通らないのよ」
34: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県) 2011/08/06(土) 00:52:03.27 ID:gGtRFReW0
マミ「でも、おかげで見えてきたわ。あれはどういう魔女なのか」
マミ「あの魔女が人間だった頃に、失恋した相手というのは……」
ほむら「ど、どういうことです?」
マミ「暁美さん、佐倉さん、私から離れて! 美樹さんも下がっていいわ」
さやか「え!?せっかく囮になってんのに?」ドタドタ
35: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県) 2011/08/06(土) 00:52:29.88 ID:gGtRFReW0
マミ「ねえ魔女さん聞いて! 私ね、今、恋をしているの!」バッ
さやほむ杏「え」
魔女「ピクッ」
マミ「でもそれは叶わない、叶ってはいけない恋……とても苦しいの」
マミ「だってそうでしょう? 私が恋してしまった相手は、女の子なんですもの!」
さやほむ杏「ええええーー!? 何の話ーー!?」
魔女「ウウウ……」クルリ
マミ「魔女さん。 こんな私を助けてくださる?」
36: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県) 2011/08/06(土) 00:53:16.57 ID:gGtRFReW0
魔女「……タスケテ……アゲル……!!!」ガバァァァ
マミ「そうよね――あなたはそうして、こっちを向いて本体の核を出すしかない」
マミ「男性も、すでに救済した者も、あなたの眼には映らない」
マミ「だってあなたはかつての自分と同じ、叶わぬ恋をする少女だけを」
マミ「その忘却の力によって、助けたくてたまらないんだものね」
37: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県) 2011/08/06(土) 00:54:11.42 ID:gGtRFReW0
―――ドドドドドオオオン!!!!
魔女「ウオ……オォォ……」
マミの背後に既に召還されていた、超巨大なティロ・フィナーレの連発が、業火を呼んだ。
それは、魔女の青白く光る核を正確に射抜いていた。
マミ「もうあの攻撃はできないわ。今よ、美樹さん!」
さやか「これで、トドメだあああ!!!」ザシュッ!
さやかの剣が、魔女の体を真っ二つに切り裂いた。
グリーフシード 「 カラン 」
マミ「ごめんね……」
38: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県) 2011/08/06(土) 00:54:59.90 ID:gGtRFReW0
忘却の魔女の消滅により呪いは消え、杏子とほむらの記憶は戻った。
さやか「やれやれ、今回走り回ってばっかしで疲れたぁ~」
杏子「けっ、あんなのに苦戦しやがって。ネタが割れりゃ、全然大したことなかったじゃんよ」
さやか「それに一度負けて、弱ヨワになってた知人がいましてねえ。ご存知ですかあなた?」
杏子「なーんーだとおー! やるか!!」
さや杏「ギャーギャー」
まどか「ホムラチャン!!!」
ほむら「マドカァーーー!!!」
マミ「平常運転っていう言葉の意味を知った気がするわね」
39: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県) 2011/08/06(土) 00:55:32.92 ID:gGtRFReW0
さやか「あと、マミさん! あのとき言ってたのって本当ですか?」
マミ「え?」
さやか「マミさんが、女の子に恋してるって話」
ほむら「ほむッ!?」
杏子「うお、ほむらが超反応」
マミ「あ、あれは違うのよ! ウソウソ、魔女を罠にはめるための演技よ!////」
ほむら「それにしては本当っぽかったような、いやワザとらしくもあったけれど」
ほむら「逆にワザとらしさがこの場合、実はカムフラージュのような」グルグル
まどか「ほむらちゃん目が怖いよ、考察が本気すぎるよ……」
マミ「ホ、ホントにウソなんだからね!?」
杏子「どっちなんだよ」
40: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県) 2011/08/06(土) 00:57:15.75 ID:gGtRFReW0
杏子「ていうかさ……さやか、あの魔女に狙われてたよな、執拗に」
さやか「へっ? あ、うん」
杏子「てことは、女の子に恋してるってことだよな」
さやか「//////」ボフーン!
さやか「な、いや、そんなことわわわわわ」
杏子「オイ誰なんだよ? 吐けよー」
さやか「その話には突っ込まないでよ、もう! あんた自爆したいの?」
杏子「え? 何のことだ」
ほむら「佐倉杏子が一番最初に狙われたのよね」
杏子「あ//////」
41: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県) 2011/08/06(土) 00:58:04.29 ID:gGtRFReW0
マミ「それに」
マミ「あの魔女は、苦しい恋を忘れさせることが救いになると思い込んでいた。だから」
マミ「一番好きな人の記憶を奪ってたってこと、気付いてないわけじゃないわよね?」
杏子「なっ!?//////」ボフーン!
さやか「あーもう……バカ杏子//////」
ほむら「私はとっくに気付いていたわ、マドカァーーー!!!!」
まどか「なんかよくわかんないけど、ホムラチャーーーン!!!!」
~終わり~
SS速報VIP:杏子「あなた、誰だっけ」さやか「えっ!?」