1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/14(木) 20:59:10.47 ID:sDxIGX/t0
「えっと……シロ? どうしたの?」
放課後の部室。
部活が終わり、皆がそれぞれ帰宅した後。
私の下で横たわる豊音はこれを冗談と思っているのだろうか。
確かに女子高生のじゃれあいと取れなくもないけれど。
「シロ? どいてくれないと掃除が終わらないよー?」
豊音はやさしい。
彼女が本気を出したら私なんて軽々とどかされる事だろう。
ただ、豊音がそうしないのは私に怪我をさせることを案じているから。
私はそれを分かって、それを利用する。
豊音は優しいから。
これから私が何をしても、決して力づくの抵抗なんてしないはず。
4: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/14(木) 21:02:15.07 ID:sDxIGX/t0
「シーロー? 聞いてるの?」
「豊音ってさ」
私は豊音の言葉を無視する。
…………少し、違うか。正確には豊音の意思を無視するのだ。
「身長高くて、スタイルも良くて。モデルみたいだよね」
「えー、何いきなり。そんなに褒められると照れちゃうよー」
言葉通り照れ笑いをする豊音。
彼女のそんな表情を見ることが出来るのもこれが最後かもしれないと思うと、少しだけ胸が痛んだ。
いや、違う。
豊音は誰かにはまたこんな表情を見せることはあるだろう。
でも。私に笑顔を見せてくれることはなくなるだろう。
いくら優しい豊音と言えども。
それでも私は、もう、後戻りするつもりもない。
豊音に嫌われても。それでも。
「転校してくる前とか、誰か付き合ってた相手がいたりして」
「いないよそんな人ー。こんなデカくてトロいのなんてもてないもん」
「……そんなこと、ないと思うけど」
「あはは、シロがお世辞言うなんて珍しいね」
「…………ま、そんなことはどうでもいいんだけど」
「へ?」
豊音の腕を押さえつけ、その両手に隠し持っていた手錠をはめる。
おもちゃの手錠だし簡単にはずせるけれど、一人で外すのはなかなか大変なものである。
手錠に繋いであるロープを適当なところに結び付ければ、もう豊音は自由には動けない。
「シロ? ちょっと冗談は」
「冗談だと思う?」
がちゃがちゃと手錠を外そうとする豊音。
その顔からはもう先ほどの照れ笑いは消え、戸惑いの表情が浮かんでいる。
いきなり友人に両手を拘束されれば誰だってそうだろう。
そんな豊音に猿轡を噛ませる。
こんな時間だし、どうせ校内には誰も残っていないだろうけれど。
それでも万が一ということはあり得るし、それこそ正にあり得ないだろうが豊音に噛みつかれなどしないように。
「ん!? んー!?」
足をばたつかせてももう遅い。
いわゆるマウントポジションにいる私には蹴りも届かないし、いくら体をひねっても腕が拘束されている以上私を振り落とすことも出来ない。
それに。
やはり豊音は優しいのだ。
こんな事をしている私が怪我をしないように無茶な抵抗をしない。
そんな豊音の優しさを私は裏切るのだけれど。
豊音の上着をずらし、下着を外す。
既に日も落ち薄暗い部室の中ではよく見えないのが残念だ。
「んー!!」
「豊音って胸も大きいよね……ん?」
胸の先端に指を這わせてみる。
やはり。この時期だし、部室が寒いからというのもあるだろう。だけど今はこう言うべきだろう。
「どうしたの豊音。乳首こんなになってるけど……まさか興奮してる?」
豊音は顔を真っ赤にして横に振る。
――――――――可愛い。もっと。
もっと豊音の色んな表情を見たい。
乳首をつまんでいる指に力を入れ、そのまま引っ張ってみる。
軽くひっかいてみたり、こりこりと転がしてみたり。
豊音はそのたびに軽く体を震わせる。
もう、我慢なんて出来ない。
豊音の胸に舌を這わせる。何度も何度も。
下から上へ。何度も。
時折軽く乳首をあまがみすると、ビクンと体が震える。
もういいだろうか。
下の方へ手を伸ばす。しかし豊音はふとももをしっかりと閉じている。
だが、無理やり手をねじ込んでしまえばそんなことも関係はない。
別に完全に足を開かせることが目的ではないのだから。
「ねえ、豊音。濡れてるけど……これはどうしたのかな」
これは生理現象。
自分の体を守るためのこと。
仕方の無い事。
そう、心の中で言い聞かせているのかもしれない。
それでも私は豊音に言う。
「こんなに無理やり犯されてるのに感じるんだ?」
「豊音は……いやらしいんだね」
この言葉で限界を迎えてしまったのだろう。
豊音は泣きだしてしまった。
……よく考えればあの泣き虫な豊音のことだ。
ここまで耐えてよく泣かなかったものである。
だがもう限界だったのだろう。体から力は抜け、抵抗しようとする気力が無くなったようだ。
私は豊音のふとももにキスをする。
キンクリ
――――――――――――――――――――
――――――――――――――――
――――――――――
――――
豊音の拘束を解き、猿轡を外す。
豊音はぐったりとしている。……少しやりすぎてしまったかもしれない。
「どうして……」
目に光の無くなった豊音が呟く。
「どうして、こんなこと……」
私はそれに答えず部室を後にした。
「トヨネ、ドウシタノ?」
「ふえ? エ、エイスリンさん? な、なんでも無いよー?」
「本当? なんだか落ち込んでるように見えたけど」
「塞? 本当になんでもないって」
「ならいいんだけど……何かあったら相談してよ?」
「ワタシニモ!」
「ありがとう二人とも! でも本当になんでもないから、大丈夫だよ」
豊音はあれから無理に明るくふるまっている。
私とは目を合わせようとしない。
当然だろう。あんなことをされたのだから。
だがあの事は誰にも言っていないようだ。
そうでなければ今頃私がこうしてのんびりしているはずがない。
「ほらシロ、起きて!」
「ダルい……」
「あ、ちょ、ちょっと飲み物買ってくるね!」
私が起きあがると豊音が逃げるように部室を出て行った。
周りからの視線が突き刺さる。
仕方ない。あれだけ明らかに豊音の様子がおかしいのだから。
「ねえシロ、豊音と何かあった?」
「……何も。どうしたんだろうね」
塞には明らかにごまかしだとばれているかもしれない。
――――――ばれても、それはそれでいいかもしれないと思ってしまうあたり、私は少しおかしくなってしまったのだろうか。
.
「ねえ、シロ……この間のあれは……」
下校中。私に用があるから、と豊音は家まで付いてきた。
あんな事をされて、それでも私の部屋に来るというのはどうなのだろう。
どこか抜けているのか、それとも今回は力づくで抵抗するというのか。
「シロ……? ねえってば」
それでもいい。豊音が本気で抵抗するなら。
私の事を拒むというなら。それはそれでかまわない。
「豊音はさ」
前回と同様、私は豊音の言葉に答えない。
「どうしてここに来たの? この間と同じ事されるかもとか考えなかった?」
「だって……この前のは何かの間違いでしょ……? シロがあんな事するなんておかしいもん」
「ふぅん……まあ、別にいいけど」
私は豊音をベッドに押し倒す。
やっぱり豊音は抵抗しない。ただ、体を震わせるだけ。
その瞳には涙を浮かべて。
「泣いても、やめるつもりはないから」
キンクリ
.
「小瀬川さーん。今日は」
「ああ……うん。ダルいからまた……」
「はーい」
いつものやり取りを終え、さて昼食を食べようかとした時。
後ろの席に座っているはずのエイスリンが私の目の前にいた。
「ん……どしたの」
「ア……エット……」
本当にどうしたのだろう。
いつものエイスリンなら胡桃と一緒になって私を引っ張って食堂に行くだろうに。
そう言えば今日は胡桃がいない。
風邪でもひいたのだろうか。
「コレ……バレンタインノ……」
エイスリンが渡してきたのは綺麗にラッピングされた小箱。
ああ、なるほど。だから胡桃は今いないのか。
エイスリンが私にチョコを渡すから。
きっと胡桃のことだ。昨日なんかはエイスリンにチョコの作り方でも教えていたんだろう。
エイスリンの気持ちは嬉しい。でも、私は……。
「ありがとうエイスリン。でも……ごめん」
そう言って、私はカバンを持って教室を出る。
教室のドアの所には案の定胡桃がいた。なんとも言えない顔をして私を見ると、すぐにエイスリンのもとに行く。
エイスリンは胡桃に任せておこう。
私は……。
.
カバンを持って校内を歩いていると、見なれた後姿をみつけた。
あの身長。長い黒髪。見間違えるはずもない。
ただ、すぐに声をかけられなかったのはそこにもう一人いたから。
赤い髪。お団子頭。
塞が豊音にチョコを渡していた。
豊音は、私にはもう見せてくれることも無くなった、眩しい笑顔で塞のチョコを受け取っている。
私はそのまま踵を返す。
わかっていたことだ。どうせ私がこんなもの用意しても豊音が受け取ってくれるはずもないだろう。
私なんかよりも塞の方が、豊音にとってずっといい。
カバンの中から小箱を取り出し乱暴にゴミ箱に投げ入れる。
一体何を考えていたんだろう。
私は豊音に酷い事をしたのだから。
こんなものを渡して、それで許してもらおうとでも思っていたのか。
あわよくば……など、そんな夢でも見ていたのか。
「……ダルいなぁ」
誰に聞かれることもなく。呟きは二月の寒空に消えて行った。
おわり
以下まったく何にも関係ないおまけ
エイスリン「ハッシャクサマ?」
留学先は日本とはいえ、大分田舎の部類である。
まあ慣れてしまえばそんな雰囲気も好きになるわけで、原付に乗ってよく友人の家に遊びに行った。
友人たちも「よく来てくれた」と喜んで迎えてくれたしね。
胡桃「エイちゃんいらっしゃい!」
塞「原付はこっちに置いてくれればいいから」
エイスリン「ソウイエバ、サッキヤタラデカイオンナノヒトミタ」
胡桃「まさか……エイちゃん! その人、何か頭にかぶってたりした!?」
エイスリン「オサレナhatカブッテタ」
塞「アカン……アレだわ……」
塞はそういうとどこかに電話し始めた。
胡桃「エイちゃん……大丈夫だからね……」
エイスリン「ナニガナニヤラ」
塞「エイスリン、今日は家に泊っていって……というより帰せなくなったの」
エイスリン「ハ?」
胡桃「エイちゃんは”八尺様”に魅入られちゃったの」
エイスリン「ダレダヨ」
塞「八尺様って言うのはね……」
(中略)
塞「ってことなんだけど」
エイスリン「ソンナノワタシノマグナfiftyデブッチギッテヤンヨ」
胡桃「トシさん来たよー」
トシ「大変なことになったねえ。ほら、お守り持ってこっちの部屋に入りな」
エイスリン「Oh……Japanese is crazy……」
午前一時頃
胡桃?「おーいエイちゃーん。大丈夫ー?」
胡桃?「こわかったらこっちに来てもいいんだよー」
エイスリン「Hey Jap! イマナンジダトオモッテイヤガル! ネカセロ! ウッタエルゾ!」
???「外人さんちょーこわいよー」
朝
エイスリン「ヨクネタワー」
エイスリン「クルミ! サエ! Good morning!」
胡桃「エイちゃん!」
塞「とりあえずは無事だったか……ほら、エイスリン。この人達があなたを助けに来てくれたよ」
智美「ワハハー災難だったなあ」
衣「でも衣達が来たからには安心だぞ!」
白望「……ダルいなぁ」
そして私はワーゲンバスに自慢の原付を積み込み、胡桃の家を後にした。
エイスリン「マタネー」
帰る途中、なんだかぽぽぽとうるさかったけど、口がかまぼこみたいな人の運転が荒すぎてそんなのを気にする暇もなかった。
.
智美「ワハハー、今日もいい事したなあ」
衣「そうだなー、って智美! 前!」
智美「うわああ! あちゃーお地蔵様を轢いちゃったぞ」
衣「うわぁ……粉々だ……」
豊音「あのーすみません」
衣「む? なんだ?」
豊音「ちょっとあっちの方まで乗せて欲しいんだけどー」
智美「んー、まあ別に構わないぞー」
衣「情けは人の為ならずと言うしな」
豊音「うわー、ありがとねー」
ぽぽぽぽぽぽぽ
おわり
お疲れ様でした
支援ありがとうございました
ハッピーバレンタイン
今日チョコもらった連中みんなハゲろ
それじゃあまた
元スレ
「シーロー? 聞いてるの?」
「豊音ってさ」
私は豊音の言葉を無視する。
…………少し、違うか。正確には豊音の意思を無視するのだ。
「身長高くて、スタイルも良くて。モデルみたいだよね」
「えー、何いきなり。そんなに褒められると照れちゃうよー」
言葉通り照れ笑いをする豊音。
彼女のそんな表情を見ることが出来るのもこれが最後かもしれないと思うと、少しだけ胸が痛んだ。
いや、違う。
豊音は誰かにはまたこんな表情を見せることはあるだろう。
でも。私に笑顔を見せてくれることはなくなるだろう。
いくら優しい豊音と言えども。
それでも私は、もう、後戻りするつもりもない。
豊音に嫌われても。それでも。
5: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/14(木) 21:05:16.22 ID:sDxIGX/t0
「転校してくる前とか、誰か付き合ってた相手がいたりして」
「いないよそんな人ー。こんなデカくてトロいのなんてもてないもん」
「……そんなこと、ないと思うけど」
「あはは、シロがお世辞言うなんて珍しいね」
「…………ま、そんなことはどうでもいいんだけど」
「へ?」
豊音の腕を押さえつけ、その両手に隠し持っていた手錠をはめる。
おもちゃの手錠だし簡単にはずせるけれど、一人で外すのはなかなか大変なものである。
手錠に繋いであるロープを適当なところに結び付ければ、もう豊音は自由には動けない。
「シロ? ちょっと冗談は」
「冗談だと思う?」
6: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/14(木) 21:10:15.66 ID:sDxIGX/t0
がちゃがちゃと手錠を外そうとする豊音。
その顔からはもう先ほどの照れ笑いは消え、戸惑いの表情が浮かんでいる。
いきなり友人に両手を拘束されれば誰だってそうだろう。
そんな豊音に猿轡を噛ませる。
こんな時間だし、どうせ校内には誰も残っていないだろうけれど。
それでも万が一ということはあり得るし、それこそ正にあり得ないだろうが豊音に噛みつかれなどしないように。
「ん!? んー!?」
足をばたつかせてももう遅い。
いわゆるマウントポジションにいる私には蹴りも届かないし、いくら体をひねっても腕が拘束されている以上私を振り落とすことも出来ない。
それに。
やはり豊音は優しいのだ。
こんな事をしている私が怪我をしないように無茶な抵抗をしない。
そんな豊音の優しさを私は裏切るのだけれど。
8: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/14(木) 21:15:13.22 ID:sDxIGX/t0
豊音の上着をずらし、下着を外す。
既に日も落ち薄暗い部室の中ではよく見えないのが残念だ。
「んー!!」
「豊音って胸も大きいよね……ん?」
胸の先端に指を這わせてみる。
やはり。この時期だし、部室が寒いからというのもあるだろう。だけど今はこう言うべきだろう。
「どうしたの豊音。乳首こんなになってるけど……まさか興奮してる?」
豊音は顔を真っ赤にして横に振る。
9: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/14(木) 21:20:21.07 ID:sDxIGX/t0
――――――――可愛い。もっと。
もっと豊音の色んな表情を見たい。
乳首をつまんでいる指に力を入れ、そのまま引っ張ってみる。
軽くひっかいてみたり、こりこりと転がしてみたり。
豊音はそのたびに軽く体を震わせる。
もう、我慢なんて出来ない。
豊音の胸に舌を這わせる。何度も何度も。
下から上へ。何度も。
時折軽く乳首をあまがみすると、ビクンと体が震える。
もういいだろうか。
下の方へ手を伸ばす。しかし豊音はふとももをしっかりと閉じている。
だが、無理やり手をねじ込んでしまえばそんなことも関係はない。
別に完全に足を開かせることが目的ではないのだから。
11: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/14(木) 21:25:21.24 ID:sDxIGX/t0
「ねえ、豊音。濡れてるけど……これはどうしたのかな」
これは生理現象。
自分の体を守るためのこと。
仕方の無い事。
そう、心の中で言い聞かせているのかもしれない。
それでも私は豊音に言う。
「こんなに無理やり犯されてるのに感じるんだ?」
「豊音は……いやらしいんだね」
この言葉で限界を迎えてしまったのだろう。
豊音は泣きだしてしまった。
……よく考えればあの泣き虫な豊音のことだ。
ここまで耐えてよく泣かなかったものである。
だがもう限界だったのだろう。体から力は抜け、抵抗しようとする気力が無くなったようだ。
私は豊音のふとももにキスをする。
12: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/14(木) 21:30:20.33 ID:sDxIGX/t0
キンクリ
17: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/14(木) 21:35:08.62 ID:sDxIGX/t0
――――――――――――――――――――
――――――――――――――――
――――――――――
――――
豊音の拘束を解き、猿轡を外す。
豊音はぐったりとしている。……少しやりすぎてしまったかもしれない。
「どうして……」
目に光の無くなった豊音が呟く。
「どうして、こんなこと……」
私はそれに答えず部室を後にした。
18: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/14(木) 21:40:13.24 ID:sDxIGX/t0
「トヨネ、ドウシタノ?」
「ふえ? エ、エイスリンさん? な、なんでも無いよー?」
「本当? なんだか落ち込んでるように見えたけど」
「塞? 本当になんでもないって」
「ならいいんだけど……何かあったら相談してよ?」
「ワタシニモ!」
「ありがとう二人とも! でも本当になんでもないから、大丈夫だよ」
19: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/14(木) 21:45:24.86 ID:sDxIGX/t0
豊音はあれから無理に明るくふるまっている。
私とは目を合わせようとしない。
当然だろう。あんなことをされたのだから。
だがあの事は誰にも言っていないようだ。
そうでなければ今頃私がこうしてのんびりしているはずがない。
「ほらシロ、起きて!」
「ダルい……」
「あ、ちょ、ちょっと飲み物買ってくるね!」
私が起きあがると豊音が逃げるように部室を出て行った。
20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/14(木) 21:50:09.33 ID:sDxIGX/t0
周りからの視線が突き刺さる。
仕方ない。あれだけ明らかに豊音の様子がおかしいのだから。
「ねえシロ、豊音と何かあった?」
「……何も。どうしたんだろうね」
塞には明らかにごまかしだとばれているかもしれない。
――――――ばれても、それはそれでいいかもしれないと思ってしまうあたり、私は少しおかしくなってしまったのだろうか。
22: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/14(木) 21:55:19.31 ID:sDxIGX/t0
.
「ねえ、シロ……この間のあれは……」
下校中。私に用があるから、と豊音は家まで付いてきた。
あんな事をされて、それでも私の部屋に来るというのはどうなのだろう。
どこか抜けているのか、それとも今回は力づくで抵抗するというのか。
23: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/14(木) 22:00:32.63 ID:sDxIGX/t0
「シロ……? ねえってば」
それでもいい。豊音が本気で抵抗するなら。
私の事を拒むというなら。それはそれでかまわない。
「豊音はさ」
前回と同様、私は豊音の言葉に答えない。
「どうしてここに来たの? この間と同じ事されるかもとか考えなかった?」
「だって……この前のは何かの間違いでしょ……? シロがあんな事するなんておかしいもん」
「ふぅん……まあ、別にいいけど」
私は豊音をベッドに押し倒す。
やっぱり豊音は抵抗しない。ただ、体を震わせるだけ。
その瞳には涙を浮かべて。
「泣いても、やめるつもりはないから」
24: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/14(木) 22:05:11.39 ID:sDxIGX/t0
キンクリ
28: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/14(木) 22:10:12.37 ID:sDxIGX/t0
.
「小瀬川さーん。今日は」
「ああ……うん。ダルいからまた……」
「はーい」
いつものやり取りを終え、さて昼食を食べようかとした時。
後ろの席に座っているはずのエイスリンが私の目の前にいた。
30: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/14(木) 22:15:33.84 ID:sDxIGX/t0
「ん……どしたの」
「ア……エット……」
本当にどうしたのだろう。
いつものエイスリンなら胡桃と一緒になって私を引っ張って食堂に行くだろうに。
そう言えば今日は胡桃がいない。
風邪でもひいたのだろうか。
「コレ……バレンタインノ……」
エイスリンが渡してきたのは綺麗にラッピングされた小箱。
31: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/14(木) 22:20:13.52 ID:sDxIGX/t0
ああ、なるほど。だから胡桃は今いないのか。
エイスリンが私にチョコを渡すから。
きっと胡桃のことだ。昨日なんかはエイスリンにチョコの作り方でも教えていたんだろう。
エイスリンの気持ちは嬉しい。でも、私は……。
「ありがとうエイスリン。でも……ごめん」
そう言って、私はカバンを持って教室を出る。
教室のドアの所には案の定胡桃がいた。なんとも言えない顔をして私を見ると、すぐにエイスリンのもとに行く。
エイスリンは胡桃に任せておこう。
私は……。
34: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/14(木) 22:25:31.85 ID:sDxIGX/t0
.
カバンを持って校内を歩いていると、見なれた後姿をみつけた。
あの身長。長い黒髪。見間違えるはずもない。
ただ、すぐに声をかけられなかったのはそこにもう一人いたから。
赤い髪。お団子頭。
塞が豊音にチョコを渡していた。
36: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/14(木) 22:30:08.15 ID:sDxIGX/t0
豊音は、私にはもう見せてくれることも無くなった、眩しい笑顔で塞のチョコを受け取っている。
私はそのまま踵を返す。
わかっていたことだ。どうせ私がこんなもの用意しても豊音が受け取ってくれるはずもないだろう。
私なんかよりも塞の方が、豊音にとってずっといい。
カバンの中から小箱を取り出し乱暴にゴミ箱に投げ入れる。
一体何を考えていたんだろう。
私は豊音に酷い事をしたのだから。
こんなものを渡して、それで許してもらおうとでも思っていたのか。
あわよくば……など、そんな夢でも見ていたのか。
「……ダルいなぁ」
誰に聞かれることもなく。呟きは二月の寒空に消えて行った。
おわり
40: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/14(木) 22:35:14.40 ID:sDxIGX/t0
以下まったく何にも関係ないおまけ
エイスリン「ハッシャクサマ?」
43: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/14(木) 22:39:35.61 ID:sDxIGX/t0
留学先は日本とはいえ、大分田舎の部類である。
まあ慣れてしまえばそんな雰囲気も好きになるわけで、原付に乗ってよく友人の家に遊びに行った。
友人たちも「よく来てくれた」と喜んで迎えてくれたしね。
胡桃「エイちゃんいらっしゃい!」
塞「原付はこっちに置いてくれればいいから」
エイスリン「ソウイエバ、サッキヤタラデカイオンナノヒトミタ」
胡桃「まさか……エイちゃん! その人、何か頭にかぶってたりした!?」
エイスリン「オサレナhatカブッテタ」
塞「アカン……アレだわ……」
46: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/14(木) 22:42:41.93 ID:sDxIGX/t0
塞はそういうとどこかに電話し始めた。
胡桃「エイちゃん……大丈夫だからね……」
エイスリン「ナニガナニヤラ」
塞「エイスリン、今日は家に泊っていって……というより帰せなくなったの」
エイスリン「ハ?」
胡桃「エイちゃんは”八尺様”に魅入られちゃったの」
エイスリン「ダレダヨ」
塞「八尺様って言うのはね……」
(中略)
塞「ってことなんだけど」
エイスリン「ソンナノワタシノマグナfiftyデブッチギッテヤンヨ」
胡桃「トシさん来たよー」
トシ「大変なことになったねえ。ほら、お守り持ってこっちの部屋に入りな」
エイスリン「Oh……Japanese is crazy……」
49: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/14(木) 22:44:33.66 ID:sDxIGX/t0
午前一時頃
胡桃?「おーいエイちゃーん。大丈夫ー?」
胡桃?「こわかったらこっちに来てもいいんだよー」
エイスリン「Hey Jap! イマナンジダトオモッテイヤガル! ネカセロ! ウッタエルゾ!」
???「外人さんちょーこわいよー」
50: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/14(木) 22:46:32.56 ID:sDxIGX/t0
朝
エイスリン「ヨクネタワー」
エイスリン「クルミ! サエ! Good morning!」
胡桃「エイちゃん!」
塞「とりあえずは無事だったか……ほら、エイスリン。この人達があなたを助けに来てくれたよ」
智美「ワハハー災難だったなあ」
衣「でも衣達が来たからには安心だぞ!」
白望「……ダルいなぁ」
そして私はワーゲンバスに自慢の原付を積み込み、胡桃の家を後にした。
エイスリン「マタネー」
帰る途中、なんだかぽぽぽとうるさかったけど、口がかまぼこみたいな人の運転が荒すぎてそんなのを気にする暇もなかった。
51: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/14(木) 22:48:27.56 ID:sDxIGX/t0
.
智美「ワハハー、今日もいい事したなあ」
衣「そうだなー、って智美! 前!」
智美「うわああ! あちゃーお地蔵様を轢いちゃったぞ」
衣「うわぁ……粉々だ……」
豊音「あのーすみません」
衣「む? なんだ?」
豊音「ちょっとあっちの方まで乗せて欲しいんだけどー」
智美「んー、まあ別に構わないぞー」
衣「情けは人の為ならずと言うしな」
豊音「うわー、ありがとねー」
ぽぽぽぽぽぽぽ
おわり
52: パイナポゥ 2013/02/14(木) 22:49:27.44 ID:sDxIGX/t0
お疲れ様でした
支援ありがとうございました
ハッピーバレンタイン
今日チョコもらった連中みんなハゲろ
それじゃあまた
白望「……ダルいなぁ」