1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/16(月) 20:07:58.12 ID:RQpyPNtf0
梓(海の日なのでムギ先輩を誘って海釣りに来ました)
梓(けれども……)
梓「そろそろ機嫌を直してください、ムギにゃん」
紬「……ぷんぷん」
梓(ムギ先輩はご機嫌ななめです)
紬「……ムギにゃんって呼ぶのはふたりきりの時だけって言ったのに……」
紬「電車の中でムギにゃんムギにゃん連呼するなんて……」
梓「それはもう謝ったじゃないですか」
紬「でも、恥ずかしかったんだもん」
2: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/16(月) 20:11:35.30 ID:RQpyPNtf0
梓「私だって唯先輩に所構わずあずにゃんあずにゃん呼ばれてるんですから……」
紬「……ぷんぷん」
梓(このムギ先輩もかわいいけど、そろそろ機嫌を直してもらわないと……! そうだ!)
梓「わかりました。焼きそばをおごってあげます。それで許してください」
紬「……やきそば?」
梓「はい。焼きそばです」
梓「今日行く釣り場の近くに海水浴場があります。毎年焼きそばのお店も来るんですよ」
紬「行きましょう、梓ちゃん!」
梓「はい!」
梓(……なんとか機嫌を直してくれました)
紬「それで、どこで釣るの?」
梓「あの防波堤です」
紬「ふぅん。あそこにお魚がいるんだ」
梓「はい。結構釣れるポイントなので、坊主ってことはないかと」
紬「坊主?」
梓「魚が一匹も釣れないことですよ、ムギにゃん」
紬「じゃあ、そうならないように頑張らなくっちゃ!」
梓「はいです」
紬「おっさかな~」
梓(ムギ先輩ごきげんだなぁ……誘ってよかった)
梓「これがムギ先輩の竿です」
紬「この針に餌をつければいいのね」
梓「はい。餌はこのアオイソメなんですが……」
紬「ミミズ?」
梓「みたいなものです。気持ち悪かったら私がつけますが……」
紬「……私っ、やります!」
梓(手が震えてる……本当は怖いんだ)
紬「うっ……黄緑色の液体が出てきた」
梓「ただの体液です」
紬「できたっ!」
梓「上手にできてますよ、ムギにゃん」
紬「そう? うふふ」
梓「じゃあ私も餌をつけて」グサ
梓「こうやって投げてください。それっ!」ヒュン シュー シュー トン
紬「凄い! 凄いわ、梓ちゃん。すっごく遠くまで飛んでっちゃった」
梓「はい。三角天秤はかなりの飛距離が稼げるんです。ムギにゃんも思いっきり飛ばしてください」
紬「思いっきり?」
梓「思いっきりです」
紬「えいっ!!!」ビュン シュー シュー シュー シュー シュー シュー シュー トン
梓「凄い勢いで飛んでいく……………………あっ、リールの糸を使い切ってしまいました」
紬「見て見て梓ちゃん! すっごい飛んだよ!!」
梓「は、はぁ……」
梓(本当は1/3ぐらいの距離でいいけど、ムギ先輩が楽しそうだからいいかな)
梓「流石ムギにゃん、凄い飛びましたね。船に当てないように気をつけてください」
紬「お船に当てなければいいのね?」
梓「はい」
紬「えーっと、このまま待てばいいんだよね」
梓「糸がピンとした状態を保ちながら待ってください」
紬「どうして?」
梓「アタリがわかるようにするためです。糸が緩んでたら魚が食い付いた振動が手に伝わってこないんです」
紬「なんでも知ってるんだね、梓先生は」
梓「なんでもは知りません。知ってるのは釣りのことと、ムギにゃんのことぐらいです」
紬「なんでも知られちゃってるんだ、私」
梓「……///」
紬「……」ジー
梓「ごめんなさい。なんでもは知りません」
紬「正直でよろしい」
梓「今日は日除け対策もばっちりですから、じっくり行きましょう」
紬「ええ、この麦わら…」ブルッ
紬「あっ、引いてる」ブルルッ
梓「……引いてますね。リールを巻いて下さい」
紬「こう?」
梓「そうです」
梓(通常の三倍のスピードで巻いてる……凄い)
紬「あっ、見えてきた」
梓「これは……キスですね」
紬「キスだなんて、梓ちゃん大胆///」
梓「そのキスじゃありません。魚のシロギスです」
紬「へぇ~」
梓「17cmってところでしょうか。まぁまぁのサイズです」
紬「そうなんだ」
梓「ムギにゃん、釣りするの初めてなんですよね?」
紬「ええ、これで初めてなくしちゃった」
梓「ムギにゃんの初めて…///」
紬「梓ちゃん?」
梓「ハッ! なんでもないです。せっかくなので記念撮影しましょう」
梓「カメラ……あったあった」
梓「いちたすいちは?」
紬「ちょっと待って!!」
梓「どうしました?」
紬「どうせなら梓ちゃんも一緒に映りましょう」
梓「そうすると写真を撮る人が…」
紬「すいませーん」
釣り人「なんでしょうか?」
紬「写真をとっていただきたいのですが」
釣り人「構いませんよ」
釣り人「いきますよー。よんかけるにぶんのいちは?」
梓「えっと、あっと」
紬「にー」ニコッ
パシャ
梓「……私、ひどい顔してたような」
紬「気にしなーい気にしなーい」
釣り人「はいっ、カメラ」
紬「あっ、ありがとうございました!」
釣り人「それにしても貴方達、随分な格好してるのね」
紬「そうですか?」
釣り人「麦わら帽子にジャージだなんて…。まぁ、引き続き釣りを頑張ってね」
紬「はい」
梓「じゃあ血抜きをしましょうか」
紬「殺しちゃうんだね」
梓「はい。今回は氷の入ったクーラーボックスしかもってきてないので、釣る度に血抜きをします」
紬「じゃあ、はい」シュッ ピュー
梓「一瞬で血を抜いた……」
紬「お料理は得意だから」
梓(息を吸うように魚を殺すムギ先輩……ちょっといいかも)ゾクッ
紬「じゃあ餌を新しくつけて、えいっ!」ビュン シュー シュー シュー シュー シュー トン
梓「相変わらず凄い飛距離」
___
___
___
紬「釣れないね」
梓「魚釣りってこんなものです。待つのが醍醐味みたいなものですし」
紬「ふぅん。まぁ私は楽しいからいいんだけど」
梓「……?」
紬「こうやって梓ちゃんと沢山お話できるんだもの」
梓「ムギにゃん……///」
紬「梓ちゃん……///」
梓(あれっ……なんだかいい雰囲気)
梓(二人の顔が近づいて……)
紬「……」グゥ
梓(ぐぅ?)
紬「///」
梓(……ムギ先輩のお腹の音!!)
梓「…そろそろお昼ごはんにしましょうか」
紬「……そうだね」
梓「確かここら辺に…」
紬「焼きそば!」
梓「……ない」
紬「えっ」
梓「……ごめんなさいムギにゃん。今日は焼きそばのお店来てないみたいです」
紬「そっかぁ。じゃあそこのお店で箸巻きとたこ焼きでも買いましょうか」
梓「えっ、いいんですか」
梓(もっと落ち込むものだと)
紬「いいのいいの。梓ちゃんと食べればなんだって美味しんだから」
梓「ムギ先輩……いえ、ムギにゃん。ありがとうございます」
紬「もうっ、気にしなくていいの。早く買って食べましょう」
___
___
___
梓「あっ、このたこ焼き美味しいですね」
紬「ええ、蛸がぷりぷりしてて。海のそばだからかな」
梓「それはどうでしょうか。流石にここで採れたものを使っては……」
紬「でもあそこに『地産地消』って書いてあるよ」モグモグ
梓「へぇ~、じゃあ採れたてかもしれませんね」モグモグ
紬「ふーっ、美味しかったね」
梓「ええ、じゃあ釣りに戻りましょうか」
紬「えいっ」ビュン シュー シュー シュー シュー シュー シュー シュー トン
梓「やあっ」ヒュー シュー シュー トン
梓(それから四時間……)
梓(ムギ先輩はキス3匹とカレイ2匹を釣り上げました)
梓(カレイは小さかったので2匹とも逃がしてあげました)
梓(私の方は……まだ1匹も釣れていません)
紬「梓ちゃんはなかなか釣れないね…」
梓「ええ。でもこんな日もあります」
紬「私はビギナーズラックで沢山釣れちゃったみたいだけど…」
梓「そんなに気にしないでください」
梓「次来る時は逆かもしれませんから」
紬「…! そうだね。絶対また一緒に来ようね」
梓「はい! じゃあそろそろ帰りましょうか」
紬「じゃあリールを……って」グイッ
梓「またかかりましたね」
紬「…この魚、さっきまでとは比べ物にならないぐらい強いわ」グイッグイッ
梓「あっ、竿が折れちゃいそう」
紬「どうすればいいかな?」
梓「あんまり強くリールを巻かないでください! 魚が糸を緩めたときに一気に引っ張るんです!」
紬「こう!!?」
梓「あぁ、もう、違います。ちょっと貸してください……つぅ…強すぎて回らない」グイッグイッ
紬「梓ちゃん…」
梓「ムギにゃん、私の手に手を重ねてください」
紬「こう?」
梓「はい。そして私の合図で一緒にリールを回してください」
紬「わかったわ!」
梓「今です」
紬「ええ」シューシュー
梓「ストップ」
紬「……」ピタ
梓「……」
紬「……」
梓「ここです」
紬「了解!!」シューシュー
梓「ストップ」
>これを繰り返すこと約50回……
梓「……やっと見えてきた」
紬「死闘だったね……」
梓「……あれは……シマアジ!!!!?」
紬「シマアジ?」
梓「ムギにゃん、慎重に、慎重に、引き上げてください」
___
紬「ふぅ……やっとあがったわね」
梓「全長40越えの超大物です!!!! 2キロはありますよ!」
紬「変わった形の魚なね」
梓「凄過ぎますムギにゃん。シマアジと言ったら釣り人の憧れの魚ですよ」
紬「そうなの?」
梓「はい。引き良し、味良しの高級魚です。バレなかったのは相当運が良かったです」
紬「美味しいんだね」
梓「防波堤からはほとんど釣れないんですが……ムギにゃんの遠投だからこそ釣れたんだと思います」
紬「でも梓ちゃんの協力があったからこそ釣れたのよ」
梓「そんな……私なんて」
紬「謙遜しなくていいの。梓ちゃん」チュ
梓「ほっぺに///」
紬「じゃあさっそく血抜きしましょう」
梓(この光景も慣れてきたかな……何の感慨もなくナイフを突き刺すムギ先輩)ゾク ゾクッ
梓「じゃあ、こんどこそ本当に帰りましょうか」
紬「そうだね」
梓「私の竿も回収して……えっ、何かかかってる」グィ
紬「黒光りする長いのがかかってるね」
梓「ちょっとエロイです、ムギにゃん」
紬「あがってきた……これはウナギかなぁ?」
梓「穴子ですね、コレ」
紬「へぇ~、穴子も釣れるんだ」
梓「滅多に釣れるものじゃないんですけど…」
紬「流石梓ちゃんね」
梓「ええ、坊主にならなくてよかったです」
紬「じゃあ、さっそく血抜きしなきゃ」
梓「今夜は蒲焼を食べて精をつけましょう」
>琴吹宅-夕食後
梓「ムギにゃんの料理の腕はいつ見てもほれぼれします」
紬「そう?」
梓「そうです。まさかシマアジを一人で捌いてしまうなんて」
紬「慣れれば簡単よ」
梓「使用人の人たちもすっごく喜んでましたよ、ムギ先輩が作ったお刺身」
紬「いつもみんなにはお世話になっているから、たまには恩返ししないとね」
梓「斎藤さんが料理してくれた穴子の蒲焼とキスの天婦羅も美味しかったですね」
紬「やっぱり自分で釣ったものを食べるのは格別ね」
梓「いつか料理を教えてください、ムギにゃん」
紬「どんとこいです」
梓「じゃあ精をつけたことですし、合体といきましょうか」
紬「合体? なんのこと」
梓「あれっ、釣りバカ日誌読んでないんですか?」
紬「うん…」
梓「ムギにゃん……釣り人たるもの、釣りバカ日誌ぐらい読んでおかなきゃ駄目です」
紬「はぁい……」シュン
梓「まぁいいでしょう。今日は私が『合体』というものを体に教えこんでやるです」
紬「わくわく」
梓「それっ」ガバッ
紬「ひゃん///」
合体!
おいまいっ!
元スレ
梓「私だって唯先輩に所構わずあずにゃんあずにゃん呼ばれてるんですから……」
紬「……ぷんぷん」
梓(このムギ先輩もかわいいけど、そろそろ機嫌を直してもらわないと……! そうだ!)
梓「わかりました。焼きそばをおごってあげます。それで許してください」
紬「……やきそば?」
梓「はい。焼きそばです」
梓「今日行く釣り場の近くに海水浴場があります。毎年焼きそばのお店も来るんですよ」
紬「行きましょう、梓ちゃん!」
梓「はい!」
梓(……なんとか機嫌を直してくれました)
5: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/16(月) 20:15:39.47 ID:RQpyPNtf0
紬「それで、どこで釣るの?」
梓「あの防波堤です」
紬「ふぅん。あそこにお魚がいるんだ」
梓「はい。結構釣れるポイントなので、坊主ってことはないかと」
紬「坊主?」
梓「魚が一匹も釣れないことですよ、ムギにゃん」
紬「じゃあ、そうならないように頑張らなくっちゃ!」
梓「はいです」
8: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/16(月) 20:19:03.19 ID:RQpyPNtf0
紬「おっさかな~」
梓(ムギ先輩ごきげんだなぁ……誘ってよかった)
梓「これがムギ先輩の竿です」
紬「この針に餌をつければいいのね」
梓「はい。餌はこのアオイソメなんですが……」
紬「ミミズ?」
梓「みたいなものです。気持ち悪かったら私がつけますが……」
紬「……私っ、やります!」
梓(手が震えてる……本当は怖いんだ)
紬「うっ……黄緑色の液体が出てきた」
梓「ただの体液です」
紬「できたっ!」
梓「上手にできてますよ、ムギにゃん」
紬「そう? うふふ」
11: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/16(月) 20:25:36.89 ID:RQpyPNtf0
梓「じゃあ私も餌をつけて」グサ
梓「こうやって投げてください。それっ!」ヒュン シュー シュー トン
紬「凄い! 凄いわ、梓ちゃん。すっごく遠くまで飛んでっちゃった」
梓「はい。三角天秤はかなりの飛距離が稼げるんです。ムギにゃんも思いっきり飛ばしてください」
紬「思いっきり?」
梓「思いっきりです」
紬「えいっ!!!」ビュン シュー シュー シュー シュー シュー シュー シュー トン
梓「凄い勢いで飛んでいく……………………あっ、リールの糸を使い切ってしまいました」
紬「見て見て梓ちゃん! すっごい飛んだよ!!」
梓「は、はぁ……」
梓(本当は1/3ぐらいの距離でいいけど、ムギ先輩が楽しそうだからいいかな)
梓「流石ムギにゃん、凄い飛びましたね。船に当てないように気をつけてください」
紬「お船に当てなければいいのね?」
梓「はい」
14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/16(月) 20:28:56.72 ID:RQpyPNtf0
紬「えーっと、このまま待てばいいんだよね」
梓「糸がピンとした状態を保ちながら待ってください」
紬「どうして?」
梓「アタリがわかるようにするためです。糸が緩んでたら魚が食い付いた振動が手に伝わってこないんです」
紬「なんでも知ってるんだね、梓先生は」
梓「なんでもは知りません。知ってるのは釣りのことと、ムギにゃんのことぐらいです」
紬「なんでも知られちゃってるんだ、私」
梓「……///」
紬「……」ジー
梓「ごめんなさい。なんでもは知りません」
紬「正直でよろしい」
16: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/16(月) 20:30:55.38 ID:RQpyPNtf0
梓「今日は日除け対策もばっちりですから、じっくり行きましょう」
紬「ええ、この麦わら…」ブルッ
紬「あっ、引いてる」ブルルッ
梓「……引いてますね。リールを巻いて下さい」
紬「こう?」
梓「そうです」
梓(通常の三倍のスピードで巻いてる……凄い)
紬「あっ、見えてきた」
梓「これは……キスですね」
紬「キスだなんて、梓ちゃん大胆///」
梓「そのキスじゃありません。魚のシロギスです」
紬「へぇ~」
19: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/16(月) 20:33:09.25 ID:RQpyPNtf0
梓「17cmってところでしょうか。まぁまぁのサイズです」
紬「そうなんだ」
梓「ムギにゃん、釣りするの初めてなんですよね?」
紬「ええ、これで初めてなくしちゃった」
梓「ムギにゃんの初めて…///」
紬「梓ちゃん?」
梓「ハッ! なんでもないです。せっかくなので記念撮影しましょう」
梓「カメラ……あったあった」
梓「いちたすいちは?」
紬「ちょっと待って!!」
梓「どうしました?」
紬「どうせなら梓ちゃんも一緒に映りましょう」
梓「そうすると写真を撮る人が…」
紬「すいませーん」
釣り人「なんでしょうか?」
21: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/16(月) 20:36:11.80 ID:RQpyPNtf0
紬「写真をとっていただきたいのですが」
釣り人「構いませんよ」
釣り人「いきますよー。よんかけるにぶんのいちは?」
梓「えっと、あっと」
紬「にー」ニコッ
パシャ
梓「……私、ひどい顔してたような」
紬「気にしなーい気にしなーい」
釣り人「はいっ、カメラ」
紬「あっ、ありがとうございました!」
釣り人「それにしても貴方達、随分な格好してるのね」
紬「そうですか?」
釣り人「麦わら帽子にジャージだなんて…。まぁ、引き続き釣りを頑張ってね」
紬「はい」
26: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/16(月) 20:38:34.04 ID:RQpyPNtf0
梓「じゃあ血抜きをしましょうか」
紬「殺しちゃうんだね」
梓「はい。今回は氷の入ったクーラーボックスしかもってきてないので、釣る度に血抜きをします」
紬「じゃあ、はい」シュッ ピュー
梓「一瞬で血を抜いた……」
紬「お料理は得意だから」
梓(息を吸うように魚を殺すムギ先輩……ちょっといいかも)ゾクッ
紬「じゃあ餌を新しくつけて、えいっ!」ビュン シュー シュー シュー シュー シュー トン
梓「相変わらず凄い飛距離」
___
___
___
28: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/16(月) 20:41:12.39 ID:RQpyPNtf0
紬「釣れないね」
梓「魚釣りってこんなものです。待つのが醍醐味みたいなものですし」
紬「ふぅん。まぁ私は楽しいからいいんだけど」
梓「……?」
紬「こうやって梓ちゃんと沢山お話できるんだもの」
梓「ムギにゃん……///」
紬「梓ちゃん……///」
梓(あれっ……なんだかいい雰囲気)
梓(二人の顔が近づいて……)
紬「……」グゥ
梓(ぐぅ?)
紬「///」
梓(……ムギ先輩のお腹の音!!)
梓「…そろそろお昼ごはんにしましょうか」
紬「……そうだね」
30: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/16(月) 20:44:03.69 ID:RQpyPNtf0
梓「確かここら辺に…」
紬「焼きそば!」
梓「……ない」
紬「えっ」
梓「……ごめんなさいムギにゃん。今日は焼きそばのお店来てないみたいです」
紬「そっかぁ。じゃあそこのお店で箸巻きとたこ焼きでも買いましょうか」
梓「えっ、いいんですか」
梓(もっと落ち込むものだと)
紬「いいのいいの。梓ちゃんと食べればなんだって美味しんだから」
梓「ムギ先輩……いえ、ムギにゃん。ありがとうございます」
紬「もうっ、気にしなくていいの。早く買って食べましょう」
___
___
___
33: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/16(月) 20:46:43.86 ID:RQpyPNtf0
梓「あっ、このたこ焼き美味しいですね」
紬「ええ、蛸がぷりぷりしてて。海のそばだからかな」
梓「それはどうでしょうか。流石にここで採れたものを使っては……」
紬「でもあそこに『地産地消』って書いてあるよ」モグモグ
梓「へぇ~、じゃあ採れたてかもしれませんね」モグモグ
紬「ふーっ、美味しかったね」
梓「ええ、じゃあ釣りに戻りましょうか」
紬「えいっ」ビュン シュー シュー シュー シュー シュー シュー シュー トン
梓「やあっ」ヒュー シュー シュー トン
34: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/16(月) 20:48:34.59 ID:RQpyPNtf0
梓(それから四時間……)
梓(ムギ先輩はキス3匹とカレイ2匹を釣り上げました)
梓(カレイは小さかったので2匹とも逃がしてあげました)
梓(私の方は……まだ1匹も釣れていません)
紬「梓ちゃんはなかなか釣れないね…」
梓「ええ。でもこんな日もあります」
紬「私はビギナーズラックで沢山釣れちゃったみたいだけど…」
梓「そんなに気にしないでください」
梓「次来る時は逆かもしれませんから」
紬「…! そうだね。絶対また一緒に来ようね」
梓「はい! じゃあそろそろ帰りましょうか」
紬「じゃあリールを……って」グイッ
梓「またかかりましたね」
37: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/16(月) 20:53:42.77 ID:RQpyPNtf0
紬「…この魚、さっきまでとは比べ物にならないぐらい強いわ」グイッグイッ
梓「あっ、竿が折れちゃいそう」
紬「どうすればいいかな?」
梓「あんまり強くリールを巻かないでください! 魚が糸を緩めたときに一気に引っ張るんです!」
紬「こう!!?」
梓「あぁ、もう、違います。ちょっと貸してください……つぅ…強すぎて回らない」グイッグイッ
紬「梓ちゃん…」
梓「ムギにゃん、私の手に手を重ねてください」
紬「こう?」
梓「はい。そして私の合図で一緒にリールを回してください」
紬「わかったわ!」
40: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/16(月) 20:56:00.87 ID:RQpyPNtf0
梓「今です」
紬「ええ」シューシュー
梓「ストップ」
紬「……」ピタ
梓「……」
紬「……」
梓「ここです」
紬「了解!!」シューシュー
梓「ストップ」
>これを繰り返すこと約50回……
梓「……やっと見えてきた」
紬「死闘だったね……」
梓「……あれは……シマアジ!!!!?」
紬「シマアジ?」
梓「ムギにゃん、慎重に、慎重に、引き上げてください」
42: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/16(月) 20:58:42.26 ID:RQpyPNtf0
___
紬「ふぅ……やっとあがったわね」
梓「全長40越えの超大物です!!!! 2キロはありますよ!」
紬「変わった形の魚なね」
梓「凄過ぎますムギにゃん。シマアジと言ったら釣り人の憧れの魚ですよ」
紬「そうなの?」
梓「はい。引き良し、味良しの高級魚です。バレなかったのは相当運が良かったです」
紬「美味しいんだね」
梓「防波堤からはほとんど釣れないんですが……ムギにゃんの遠投だからこそ釣れたんだと思います」
紬「でも梓ちゃんの協力があったからこそ釣れたのよ」
梓「そんな……私なんて」
紬「謙遜しなくていいの。梓ちゃん」チュ
梓「ほっぺに///」
紬「じゃあさっそく血抜きしましょう」
梓(この光景も慣れてきたかな……何の感慨もなくナイフを突き刺すムギ先輩)ゾク ゾクッ
45: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/16(月) 21:01:24.64 ID:RQpyPNtf0
梓「じゃあ、こんどこそ本当に帰りましょうか」
紬「そうだね」
梓「私の竿も回収して……えっ、何かかかってる」グィ
紬「黒光りする長いのがかかってるね」
梓「ちょっとエロイです、ムギにゃん」
紬「あがってきた……これはウナギかなぁ?」
梓「穴子ですね、コレ」
紬「へぇ~、穴子も釣れるんだ」
梓「滅多に釣れるものじゃないんですけど…」
紬「流石梓ちゃんね」
梓「ええ、坊主にならなくてよかったです」
紬「じゃあ、さっそく血抜きしなきゃ」
梓「今夜は蒲焼を食べて精をつけましょう」
47: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/16(月) 21:04:47.72 ID:RQpyPNtf0
>琴吹宅-夕食後
梓「ムギにゃんの料理の腕はいつ見てもほれぼれします」
紬「そう?」
梓「そうです。まさかシマアジを一人で捌いてしまうなんて」
紬「慣れれば簡単よ」
梓「使用人の人たちもすっごく喜んでましたよ、ムギ先輩が作ったお刺身」
紬「いつもみんなにはお世話になっているから、たまには恩返ししないとね」
梓「斎藤さんが料理してくれた穴子の蒲焼とキスの天婦羅も美味しかったですね」
紬「やっぱり自分で釣ったものを食べるのは格別ね」
梓「いつか料理を教えてください、ムギにゃん」
紬「どんとこいです」
梓「じゃあ精をつけたことですし、合体といきましょうか」
49: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/16(月) 21:06:26.86 ID:RQpyPNtf0
紬「合体? なんのこと」
梓「あれっ、釣りバカ日誌読んでないんですか?」
紬「うん…」
梓「ムギにゃん……釣り人たるもの、釣りバカ日誌ぐらい読んでおかなきゃ駄目です」
紬「はぁい……」シュン
梓「まぁいいでしょう。今日は私が『合体』というものを体に教えこんでやるです」
紬「わくわく」
梓「それっ」ガバッ
紬「ひゃん///」
合体!
おいまいっ!
梓「ムギにゃんと釣りに行くです」