1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/07/16(金) 22:16:39.25 ID:sHK99U8O0
純「そう、シューティングスター澪様っていうんだけど、梓も入らない?」
憂「梓ちゃん、澪先輩に憧れてたから、どうかなって思ったんだけど」
梓「あー」
私は窓を見つめながら考えてみた。
澪先輩のファンクラブか。
ちょっといいかも。
梓「考えさせてくれない?」
純「おうさっ、SSSMはいつでも参加者募集中だよ!」
梓「SSSM? SSMSじゃなくて?」
純「リーダーがMSより、SMのほーがいいって言うんだよね」
梓「なんだかよくわからないね」
3: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/07/16(金) 22:19:26.09 ID:sHK99U8O0
澪先輩にファンクラブがあるのは知っていたけど、
どんな活動があるのかまではあまり知らなかった。
ただ、純に聞くところによると、
放課後に集まってお茶を飲んだりお菓子を食べたりするらしい。
私たちとやってることと変わらないじゃないか、というと。
純「でも、私たちがやってるのは会合だから」
梓「……」
純「べ、別に馬鹿にしているわけじゃないよ?」
梓「やっぱり練習厳しくしたほうがいいのかなあ」
憂「梓ちゃん厳しいってお姉ちゃん言ってるよ?」
梓「本当に厳しかったら着いてこれないよ」
純「それはあるかもね」
憂「あんまり、お姉ちゃんいじめちゃやだよ?」
梓「部活動だってば……」
憂の心配性は相変わらず重症みたい。
二言目にはお姉ちゃん、お姉ちゃん。
憂はお姉ちゃん村の住人かなんかだと思う。
純「あんまり練習してない風でも、あんだけライブで弾けるんだからいいじゃん」
梓「そうやって純まで甘やかす」
純「いやあ、軽音部楽しそうだなあ、って傍から見てるとそう思うんだよ」
梓「楽しいだけが部活じゃないってば」
私が練習をして欲しいと訴えても、唯先輩と……もう一人。
部長である律先輩は、何かと言い訳付けて練習しようとしない。
それを諌める立場の澪先輩は、律先輩で精一杯。
ムギ先輩は……よく分からない。
憂「でも、お姉ちゃん、あずさちゃんが来てから本当に楽しそうになった」
梓「今までは楽しくなかったの?」
憂「楽しさ増量って感じかな」
梓「なんかよくわかる気がする」
たまに考える。
唯先輩はたとえ私以外の女の子が入部しても嬉しかったのだろうか。
私だからこそ嬉しかったのではないかと。
どちらかといえば、憂と一緒に唯先輩ファンクラブにでも入ったほうがいいのかも知れない。
純「憧れの人と一緒のことしてるってのは、けっこー楽しいよ?」
梓「憧れの人ねえ……」
純「え? 梓は澪先輩に憧れてたりしないの」
梓「今はどちらかっていうと、部活の先輩かな?」
純「格下げだね」
梓「あんまりそういう気はしないけど、そう見えるかな?」
憂「うーん、どうだろ?」
チャイムが鳴った。
食べ終わったお弁当箱を片付けながら、また物思いに耽る。
私がもしも、唯先輩のファンクラブに入ったとして、
自分自身が他の女の子を許せるだろうか、と。
純みたいに、他の女の子を仲間と認識出来るのかなと。
昼食のあとの数学の授業は相変わらず拷問だ。
私は一体何の罰を受けているのだろうと果てしないことを考える。
雪の降る札幌で普通に暮らしていたら、マレーシアのブンブンに拉致されるのとは違うけど。
この苦行はいつまで続くんだろう、なんて。
唯先輩はちゃんと授業を受けているかな。
唯先輩のことだからきっと、昼休みのちょっと前から寝てて授業もスルーしてるかな?
それとも面倒見のいい律先輩やムギ先輩がフォローしてるかな?
先生「中野ー、ここの問題を解いてみろ」
梓「にゃ!?」
先生「おいおい、ここは軽音部じゃないぞー、猫耳なんて付けてないだろうー」
からかわれてしまった。
というか、私の猫耳はそんなに有名なんだろうか。
もうちょっと軽音部での活動内容を頭を捻って考えるべきじゃないかと、
ちょっと思った。
放課後がやってきた。
私はギターケースを肩にかけて立ち上がる
純「梓、さっきみたいに、ニャっていってよ」
梓「アレは不意を付かれただけ、別に故意で言ったわけじゃないもん」
純「またまたぁ、普段から言ってなきゃあんなに出ないって」
梓「私はどんな人間なのよ……」
憂「でも、可愛かったと思うよ」
梓「憂まで……からかわないでよ」
私は恥ずかしくなってクラスから抜けだした。
じゃーねー、という純の声と、
また明日っていう憂の声が後ろから追いかけてきて、
私をサッと抜かしていったのだった。
放課後の部室。
私がついたのは二番目だった。
梓「ムギ先輩だけですか?」
紬「ええ、いま、お茶入れるわね」
梓「ありがとうございます」
先輩にお茶を入れてもらうなんて、と最初の頃に思って、
一度、ムギ先輩に代わり勝手にお茶を入れたところ、
大石内蔵助のコスプレをしてスタジオに乗り込んだら結局騙されたのは自分だったみたいな心境になったと、
ムギ先輩に言われてしまって以来、されるがままになってしまっている。
紬「りっちゃんと、唯ちゃんは掃除当番なの」
どことなく落ち着かない気分になり、音楽室を見回している。
それにしても、音楽室には関係ないものばかりだな、なんて、
我に帰ったように思うことがある。
紬「澪ちゃんはきっと、HRね」
梓「なんで分かるんですか?」
紬「なんとなく、ね」
そういえばこんな話があったと、
私が口にしようとしたときにドアが開いて澪先輩が顔を出した。
澪「あれ、律と唯は?」
私がいないときに、梓は? って聞いてくれるかなと考えた。
紬「掃除当番よー、いま、お茶入れるね」
澪「ありがとう」
梓「あの、澪先輩?」
ムギ先輩の方を見ていた澪先輩が振り返る。
長い黒髪がさらっと揺れる。
なんだか、不思議といい匂いがした気がした。
これならファンクラブがあるのも頷ける。
梓「澪先輩にファンクラブがあるのはご存じですか?」
澪「……ファン、クラブ? 私に?」
梓「そうです、シューティングスター澪さまっていうんですけど」
澪「知らないなあ」
澪「でも、別に大した人数がいるわけ無いだろ?」
紬「はい、お茶よー」
学校の生徒の大半が、と言おうとしたところでムギ先輩が唇に中指を寄せた。
その件はいっちゃだめ、ってことかな?
私は頷いた。
澪「私にファンクラブなんて、恥ずかしいしおこがましいよ」
梓「そんな事ないです、澪先輩はベースも上手ですし、歌だって」
澪「スポットライトを浴びるのは唯に任せるよ、私は後ろでいいよ」
そもそも後ろには律先輩がドデンと座っているから、どこにも行き様がないのでは?
と、口に出すほど愚かではないのでした。
梓「私は、軽音部のこともっと、知られて欲しいですねー」
澪「梓は有名になりたいのか?」
梓「自分の奏でる音楽を知ってもらいたい、ですかね……ちょっと台詞にすると恥ずかしいんですが」
本当に恥ずかしい。
自分がまず、聴いて頂けるほどの腕前を持っているかどうかも分からないのに。
でもいいよね、夢はおっきく目標がでっかくっていうし。
澪「梓なら、できるんじゃないか?」
梓「へ?」
澪「私はこの通りこんな性格だし、ムギは……ムギは、どうなんだ?」
紬「そうねえ……自分一人で奏でるよりも、軽音部にいたほうが良いかな?」
梓「あ、私もです!」
澪「そっか、じゃあ、私も同じ気持ちということで」
ここで一旦話題が停止した。
しばらくして、どたどたという忙しない足音が聞こえてきて。
ずだんというドアを開ける音と一緒に律先輩が文字通り転がってきた。
律「ふぉぉぉぉぉ!」
澪「な、なんだ!?」
律「へへ、受身の練習だよ、澪に突っ込まれた時のためにな」
澪「私はどんだけ馬鹿力なんだよ!」
べしっと、とてもいい音がした。
唯先輩の姿が見当たらない。
てっきり律先輩と一緒に来るものだと思っていたから、少し落ち着かない。
どうしよう、何か事故にでもあったのかな?
なんとなく、唯先輩抜けてるから、校内とは言え油断はできない。
梓「あ、あの、唯……先輩は?」
唯「なになにー、あずにゃん呼んだー?」
その言葉と共に、颯爽なんて言葉がまるで似合わないゆっくりとした足取りで、
音楽室に顔を出したのは正しく唯先輩その人だった。
梓「なんでもないです、どっかですっ転んで泣いてたらおかしいなって思っただけです」
唯「私は転んでも泣かないよー」
梓「どうだか」
唯「あ、あずにゃんが果てしなく冷たいよ!? どうしよりっちゃん!」
律「ここで私に振るのかよ」
澪「さて、全員そろったし練習するか」
唯「へー、まだお菓子食べてないー」
梓「私たちも食べてません! さ、準備しますよ!」
私の勢いに圧倒されたのか、
今日は珍しくお菓子を食べる前に練習が開始された。
相変わらず律先輩のドラムは走り気味だし、
唯先輩のギターはたまに間違ってるし、
澪先輩はそんな二人をフォローしようとして一際苦労をして、
ムギ先輩は相変わらず顔に沢庵をくっつけている。
紬「……」
すっと、目を細めたムギ先輩と目があってしまった。
考えていることを見通されたかのようだった。
なんておっかない。
練習が終わり、こんどこそティータイム。
私も甘いモノは好きだし、何かをしたあとの気分転換は最高だ。
唯「練習したあとのムギちゃんのお菓子は美味しいね!」
律「まったくだなー」
澪「これで二人も練習に身が入るといいんだけどな」
唯「明日は明日の風が吹くのでそれは分かりません!」
まったく、唯先輩らしい。
私みたいに毎日同じように過ごさないと何となく不安になる人間にはよく分からない理論だ。
下校時間だ。
家の用事があるムギ先輩はものすごく長い車でさっそうと帰宅し、
弟さんの土産を買うという律先輩と別れ、
学校に作詞メモを忘れたという澪先輩を見送り、
夕日の中二人きりでの帰り道の途中で、公園のブランコが揺れてるのが目に入った。
唯「ぶらんこ乗りたいの?」
梓「まさか、唯先輩じゃあるまいし」
唯「えへへー、バレちゃったねー」
そういって、とてとてとブランコに向かって走り、
スカートだというのに立ちこぎを始める先輩を眺めて
おぱんちゅは白なんだな、ということを知った。
唯「あずにゃんも乗ろうよー」
梓「私はそんな恥ずかしい真似はできません」
そうです、公然におぱんちゅ晒しちゃうような痴女は唯先輩だけで十分です。
そして、それを見るのは私だけで十分です。
もしも誰か通りかかろうものなら、目を潰します。
唯「あ、人だ」
梓「クンッ!」
???「ギャアアアア! 目がァ! 目がぁ!」
見知らぬサングラスのおじさんはふらふらと何処かに去って行きました。
あれならきっと、唯先輩の純白を目に入れたとしても忘れるに違いありません。
唯「……あずにゃん、あんまりヒドイことしちゃだめだよ?」
梓「何がですか?」
唯「何がって、あのサングラスのおじさんに何か投げてたでしょ? 見えなかったけど」
梓「そんなことしてません、きっと、どこかの少年少女がバルスって言ったんですよ」
唯「そうかなあ?」
唯先輩はちょっと気にしているふうだったけど、
次にブランコを漕ぐときにはもう頭から抜け落ちているみたいだった。
それにしても、綺麗なおぱんちゅですね。
真っ白で、どこか盛り上がっていて、もう少し漕いでくれると梓とても嬉しいです。
唯「とう!」
ここでジャンプ!?
唯「新月面が描く放物線は! 栄光への架け橋だー!」
くるくるくる……とん!
唯「うおぅ、テレビで見ただけだったけどできたね!」
梓「唯先輩、オリンピック目指しませんか?」
そんな危ないことをしたらダメだと一通り注意したあと、
唯先輩は新しい遊具を目につけたようです。
梓「そんなのより、ジャングルジムに登りませんか?」
唯「えー、ホワイトベース……じゃなくて、木馬がいいよぉ」
梓「ジムですよ、ジム、時代はイデオンです」
唯「それはジムじゃないと思うな」
といいつつ、ジャングルジムに登る唯先輩。
私はそんな先輩を下から眺めるだけ。
絶景かな絶景かな。
唯「あずにゃんも登ろうよー」
梓「私高いところ苦手なんですー」
唯「そっかー、じゃあ仕方ないねー」
唯先輩は遊びに夢中で、私がおぱんちゅまんこ覗いていることも、
そもそもジャングルジムに誘ったのが私だということも忘れているみたいだった。
唯「梓ちゃん、鼻血大丈夫?」
梓「何も問題ないです、むしろ絶好調です」
唯「そう? じゃあ、今度はあれに入ろ?」
と、唯先輩が指さすのは、中が空洞になってる山の形をしたアレです。
夜に来るとサカってるカップルが使っているとかいないトカ&ゲー。
梓「中に入るんですか」
唯「うん、嫌かな?」
梓「私どっちかって言うと、入れられるより、入れるほうが好きなので問題ないです」
唯「梓ちゃんがどこか遠い人間のように感じてきたよ」
子供のときはもっと大きいような気がしたけど、
身体が成長すると中も狭く感じる。
どこか、ギチギチあんあんです。
唯「この中で声を出すと、あーって、揺れるんだよねー」
梓「もう一声ー」
唯「あー! あーっ! あー!」
グッジョブです唯先輩、もう絶好調すぎて鼻血が出そうです。
ええと、ティッシュティッシュ。
唯「うう、耳が痛いよ」
梓「そうですね、この痛みも幸せな気分になってきます」
唯「よくわからないよ……」
私たちは公園を抜け夕日の中の帰り道、そういえばときりだしてみた。
梓「澪先輩には、ファンクラブがあるそうですね」
唯「ああ、シューティングスター澪さまだね」
梓「唯先輩知ってたんですか?」
唯「知らないのは澪ちゃんくらいだと思うよ」
秘密にしているとかじゃないですよね?
バラしたらしめられるとかそういう規則はないですよね?
唯「梓ちゃんは……入ってるの?」
梓「いいえ、特に興味もないですし」
唯「へ? 興味ないの?」
梓「……? ええ、ファンクラブとかそういうのよく分からないですし、活動内容もたいしたことないですし」
唯「活動内容はすごいよー」
梓「へ? だって、お菓子を食べたりするだけだって聞きましたよ」
唯「ああ、あずにゃんは知らないんだね」
梓「むー」
唯「むくれてるあずにゃんも可愛い」
梓「からかわないでください」
唯「澪ちゃんファンクラブには、そういう表の活動する一派と、裏の活動をする一派に分かれてるの」
梓「裏?」
唯「澪ちゃんの同人誌発売」
梓「へ?」
唯「ブロマイドとか、そういうのでお金を取るのが裏の一派」
梓「それ、いいんですか?」
唯「でね、一番人気があるのが、カップリング小説なんだ」
梓「カップリング……」
唯「一番人気なのが、律×澪だね」
梓「りつみお!?」
唯「で、ちょっと前まで二番目が澪×唯」
梓「みおゆい!?」
あとでその同人誌ください。
唯「でも最近、一部の勢力がすごい力をつけてきたんだ、律×澪に迫る勢いなの」
梓「へー、そんなのがあるんですねー」
唯「ひとごとだねー」
梓「ええ、だって、私に創作なんてできないですし」
唯「でも、そんな事ないんだなー、だって、最近の人気は澪×梓だから」
梓「なん……だと……?」
唯「りっちゃんのカチューシャと、あずにゃんのツインテールがなければ、私が一番だったんだろうけどねー」
梓「え、私のツインテールそんなに人気なんですか!?」
唯「あずにゃんがツインテじゃなかったら、あずにゃんじゃないよ」
梓「そこまで!?」
唯「髪を解くのは、悪魔に魂を売る所業だから絶対にやめてね……」
梓「は、はあ……出来る限り頑張りますけど……」
唯「でね、もちろんツインテールだからあずにゃん人気があるんだけど、それだけじゃなくてね」
梓「すごいこと言いませんでした?」
唯「澪×梓は公式なんじゃないかと、ファンクラブの間で話題になってるみたいなんだ」
梓「公式……」
唯「ねえ、あずにゃん、あずにゃんは、澪ちゃんの事好き?」
梓「私は……」
私は澪先輩より唯先輩のほうが好きです。
唯先輩のきらきらとした瞳も、
先輩のぷっくりとした唇も、
思わず突っつきたくなる頬も、
華奢な肩も、
ささやかだけど大きくなり始めてる胸も、
しなやかな腕も、
意外とオトナっぽいくびれも、
細長のおへそも、
意外と筋力がある脚も、
小さな足も、
おぱんちゅの奥に潜む大事なところも
綺麗な色をした乳首も、
隠れてみた性器も、
抱きつくときに使う手のひらも、
全部全部好きですよ。
梓「……ゆ、唯先輩が!」
唯「へ?」
梓「唯先輩が澪先輩より立派になったら考えてやるです!」
唯「ほへ」
梓「もっとしゃっきりしてください! ってことです!
やってしまった……。」
唯「やってしまった?」
梓「はっ!? い、今のは違います! ツンデレなんかじゃありません!」
唯「えへへ、あずにゃんツンデレなんだー」
梓「ち、違います! いつ私がデレたんですか!」
顔が熱い。
火が出そうなくらい。
触られたらきっと気持ちだってバレバレだ。
唯「あずにゃんかわいい!」
梓「ひ、ひっつかないでください!」
唯「はーい、いい子いい子ー」
今確実にぷしゅって感じた。
たぶん、もう無残なことになってるパンツを想像しながら、
まあ、唯先輩に抱きつかれるのも役どころと我慢した。
あー、ぐっしょり濡れて気持ち悪い。
唯「そっかー、あずにゃんは澪ちゃんより、私の方が好きなんだね?」
梓「そうです! もういいです! そうなんですから!」
唯「あずにゃんは怒ると語彙が少なくなるねえー」
梓「うがー!」
唯「私もだよ」
梓「う……え?」
唯「私もあずにゃんの事好きだよ」
梓「そ、それは、澪先輩ファンクラブの女の子たちみたいな気持ちで……?」
唯「あずにゃんは、一人の女の子として好き、恋人にしたいな」
梓「……」
倒れそう。
てか、倒れる。
唯先輩にこんなイケメンな台詞を吐かれるとは予想して無かった。
唯「あずにゃんの返事、聞かせて欲しいんだけど」
梓「……へ?」
唯「告白したんだよ、お答え欲しいな?」
梓「あ、ああ。ぼーっとしてました」
唯「……変かな? そうだよね、女の子同士なんて」
梓「変じゃないですよ!」
唯「変かも知れないよ?」
梓「だったら変でもいいです! 唯先輩と付き合えるなら!」
唯「じゃあ、今から恋人同士でいい?」
梓「はい、いまから、こいびとどうしですることぜんぶしましょう!」
唯「へへ、あずにゃんってばー」
後日談。
澪先輩ファンクラブが、澪先輩にバレました。
私がきっかけではありません。
秘密の会合をしているところを、たまたまノートを取りに来た澪先輩に見つかってしまったのです。
なんでも、作詞ノートをオークションしていたらしく、十万の値がついたとかつかなかったとか。
金銭のやりとりはまずいと色々問題になったようですが、
リーダーの「メグ」副リーダーの「メガ」サブリーダーの「タク」がファンクラブを解散することを選択し、
問題は有耶無耶になったようです。
表の一派は時々、活動しているようですが詳細はよくわかりません。
それと、一番人気の澪×律が達成されたようです。
一日中イチャイチャしてます。
一日中というのは語弊がありますね、部活中イチャイチャしてます。
練習しろという澪先輩はどこに消えてしまったのか、
今ではティータイムを楽しむことに重点が置かれています。
私も唯先輩とデートしているみたいでいいんですけどね。
そして二年生の夏合宿。
ムギ先輩が用意したという別荘で、ついに梓は唯先輩によって女性にさせられました。
二人で乗り越えた痛みは永遠の思い出ということにしておきましょう。
同じ夜、澪先輩と律先輩も同じように乗り越えられたみたいですが……
そのことは私はよく分かりません。
そして、文化祭当日。
お互いの絆が深まったおかげか、ライブも大成功。
ファンクラブの何名かが倒れて病院に搬送されるというハプニングがあったものの、
その他滞り無く、デートもすることができました。
クリスマス、バレンタイン、新しい春……
季節はめまぐるしく過ぎていき……
そして、また新しい春。
先輩たちを見送った私はというと。
梓「ほら、唯、新入生歓迎会の準備するよ!」
唯「うわぁぁん、もうちょっとまってよぉ! 梓早過ぎるってばぁ」
梓「何言ってるの、ぎりぎりまでムギ先輩のお菓子かじってたのはどこの誰ですか、緊張感の欠片もない!」
唯「くぅー、さすが最高学年の梓だよぉ、立派になったねぇ!」
梓「その最高学年で留年した唯は私と同級生なんだけど?」
唯「今年は梓と修学旅行に行けるよぉ」
梓「ほら! 今はギター二人なんだから、チャッチャと走る!」
唯「ねえ、梓」
梓「なに?」
唯「思い出いっぱい作ろうね!」
梓「そんなこと、あたりまえです!」
憂「ふふ、お姉ちゃんに引っ張られるお姉ちゃん可愛い」
純「……」
憂「あ、お姉ちゃんが転んだ!」
純「……」
憂「お姉ちゃんが慰めてるねえ、お姉ちゃんは意外と涙もろいもんねえ」
純「前から言おうと思ってたんだけどさ」
憂「なあに?」
純「私ね、梓のために留年する唯先輩もどうかなって思ったんだけどさ」
憂「愛の力だよね」
純「なんで、憂は梓までお姉ちゃんって呼ぶの? もう、どっちがどっちだか」
憂「だって、将来は私のお姉ちゃんになるんだからお姉ちゃんでいいんだよ」
純「至極当然みたいに言われた!?」
梓「えー新入生の皆さん、ゆい×あずです!」
今は二人しかいませんが、とてもやる気のあるいい部活です。
新入生の皆さんに是非来て頂けるように、これから演奏します。
唯「梓、私たちの部活の名前いってないよ!」
梓「あ……」
唯「もう、梓は緊張してばっかなんだからー、はい、ちゅー」
梓「ん、ちゅー」
あ。
ごめんなさい、諸先輩方。今年で軽音部は廃部になりそうです……。
おわり。
元スレ
澪先輩にファンクラブがあるのは知っていたけど、
どんな活動があるのかまではあまり知らなかった。
ただ、純に聞くところによると、
放課後に集まってお茶を飲んだりお菓子を食べたりするらしい。
私たちとやってることと変わらないじゃないか、というと。
純「でも、私たちがやってるのは会合だから」
梓「……」
純「べ、別に馬鹿にしているわけじゃないよ?」
梓「やっぱり練習厳しくしたほうがいいのかなあ」
憂「梓ちゃん厳しいってお姉ちゃん言ってるよ?」
梓「本当に厳しかったら着いてこれないよ」
純「それはあるかもね」
憂「あんまり、お姉ちゃんいじめちゃやだよ?」
梓「部活動だってば……」
4: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/07/16(金) 22:24:13.57 ID:sHK99U8O0
憂の心配性は相変わらず重症みたい。
二言目にはお姉ちゃん、お姉ちゃん。
憂はお姉ちゃん村の住人かなんかだと思う。
純「あんまり練習してない風でも、あんだけライブで弾けるんだからいいじゃん」
梓「そうやって純まで甘やかす」
純「いやあ、軽音部楽しそうだなあ、って傍から見てるとそう思うんだよ」
梓「楽しいだけが部活じゃないってば」
私が練習をして欲しいと訴えても、唯先輩と……もう一人。
部長である律先輩は、何かと言い訳付けて練習しようとしない。
それを諌める立場の澪先輩は、律先輩で精一杯。
ムギ先輩は……よく分からない。
憂「でも、お姉ちゃん、あずさちゃんが来てから本当に楽しそうになった」
梓「今までは楽しくなかったの?」
憂「楽しさ増量って感じかな」
梓「なんかよくわかる気がする」
5: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/07/16(金) 22:27:02.99 ID:sHK99U8O0
たまに考える。
唯先輩はたとえ私以外の女の子が入部しても嬉しかったのだろうか。
私だからこそ嬉しかったのではないかと。
どちらかといえば、憂と一緒に唯先輩ファンクラブにでも入ったほうがいいのかも知れない。
純「憧れの人と一緒のことしてるってのは、けっこー楽しいよ?」
梓「憧れの人ねえ……」
純「え? 梓は澪先輩に憧れてたりしないの」
梓「今はどちらかっていうと、部活の先輩かな?」
純「格下げだね」
梓「あんまりそういう気はしないけど、そう見えるかな?」
憂「うーん、どうだろ?」
6: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/07/16(金) 22:32:21.42 ID:sHK99U8O0
チャイムが鳴った。
食べ終わったお弁当箱を片付けながら、また物思いに耽る。
私がもしも、唯先輩のファンクラブに入ったとして、
自分自身が他の女の子を許せるだろうか、と。
純みたいに、他の女の子を仲間と認識出来るのかなと。
昼食のあとの数学の授業は相変わらず拷問だ。
私は一体何の罰を受けているのだろうと果てしないことを考える。
雪の降る札幌で普通に暮らしていたら、マレーシアのブンブンに拉致されるのとは違うけど。
この苦行はいつまで続くんだろう、なんて。
唯先輩はちゃんと授業を受けているかな。
唯先輩のことだからきっと、昼休みのちょっと前から寝てて授業もスルーしてるかな?
それとも面倒見のいい律先輩やムギ先輩がフォローしてるかな?
先生「中野ー、ここの問題を解いてみろ」
梓「にゃ!?」
先生「おいおい、ここは軽音部じゃないぞー、猫耳なんて付けてないだろうー」
からかわれてしまった。
というか、私の猫耳はそんなに有名なんだろうか。
もうちょっと軽音部での活動内容を頭を捻って考えるべきじゃないかと、
ちょっと思った。
7: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/07/16(金) 22:35:32.20 ID:sHK99U8O0
放課後がやってきた。
私はギターケースを肩にかけて立ち上がる
純「梓、さっきみたいに、ニャっていってよ」
梓「アレは不意を付かれただけ、別に故意で言ったわけじゃないもん」
純「またまたぁ、普段から言ってなきゃあんなに出ないって」
梓「私はどんな人間なのよ……」
憂「でも、可愛かったと思うよ」
梓「憂まで……からかわないでよ」
私は恥ずかしくなってクラスから抜けだした。
じゃーねー、という純の声と、
また明日っていう憂の声が後ろから追いかけてきて、
私をサッと抜かしていったのだった。
8: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/07/16(金) 22:41:23.90 ID:sHK99U8O0
放課後の部室。
私がついたのは二番目だった。
梓「ムギ先輩だけですか?」
紬「ええ、いま、お茶入れるわね」
梓「ありがとうございます」
先輩にお茶を入れてもらうなんて、と最初の頃に思って、
一度、ムギ先輩に代わり勝手にお茶を入れたところ、
大石内蔵助のコスプレをしてスタジオに乗り込んだら結局騙されたのは自分だったみたいな心境になったと、
ムギ先輩に言われてしまって以来、されるがままになってしまっている。
紬「りっちゃんと、唯ちゃんは掃除当番なの」
どことなく落ち着かない気分になり、音楽室を見回している。
それにしても、音楽室には関係ないものばかりだな、なんて、
我に帰ったように思うことがある。
紬「澪ちゃんはきっと、HRね」
梓「なんで分かるんですか?」
紬「なんとなく、ね」
9: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/07/16(金) 22:45:10.65 ID:sHK99U8O0
そういえばこんな話があったと、
私が口にしようとしたときにドアが開いて澪先輩が顔を出した。
澪「あれ、律と唯は?」
私がいないときに、梓は? って聞いてくれるかなと考えた。
紬「掃除当番よー、いま、お茶入れるね」
澪「ありがとう」
梓「あの、澪先輩?」
ムギ先輩の方を見ていた澪先輩が振り返る。
長い黒髪がさらっと揺れる。
なんだか、不思議といい匂いがした気がした。
これならファンクラブがあるのも頷ける。
梓「澪先輩にファンクラブがあるのはご存じですか?」
澪「……ファン、クラブ? 私に?」
梓「そうです、シューティングスター澪さまっていうんですけど」
澪「知らないなあ」
11: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/07/16(金) 22:50:32.28 ID:sHK99U8O0
澪「でも、別に大した人数がいるわけ無いだろ?」
紬「はい、お茶よー」
学校の生徒の大半が、と言おうとしたところでムギ先輩が唇に中指を寄せた。
その件はいっちゃだめ、ってことかな?
私は頷いた。
澪「私にファンクラブなんて、恥ずかしいしおこがましいよ」
梓「そんな事ないです、澪先輩はベースも上手ですし、歌だって」
澪「スポットライトを浴びるのは唯に任せるよ、私は後ろでいいよ」
そもそも後ろには律先輩がドデンと座っているから、どこにも行き様がないのでは?
と、口に出すほど愚かではないのでした。
梓「私は、軽音部のこともっと、知られて欲しいですねー」
澪「梓は有名になりたいのか?」
梓「自分の奏でる音楽を知ってもらいたい、ですかね……ちょっと台詞にすると恥ずかしいんですが」
本当に恥ずかしい。
自分がまず、聴いて頂けるほどの腕前を持っているかどうかも分からないのに。
でもいいよね、夢はおっきく目標がでっかくっていうし。
13: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/07/16(金) 22:54:47.91 ID:sHK99U8O0
澪「梓なら、できるんじゃないか?」
梓「へ?」
澪「私はこの通りこんな性格だし、ムギは……ムギは、どうなんだ?」
紬「そうねえ……自分一人で奏でるよりも、軽音部にいたほうが良いかな?」
梓「あ、私もです!」
澪「そっか、じゃあ、私も同じ気持ちということで」
ここで一旦話題が停止した。
しばらくして、どたどたという忙しない足音が聞こえてきて。
ずだんというドアを開ける音と一緒に律先輩が文字通り転がってきた。
律「ふぉぉぉぉぉ!」
澪「な、なんだ!?」
律「へへ、受身の練習だよ、澪に突っ込まれた時のためにな」
澪「私はどんだけ馬鹿力なんだよ!」
べしっと、とてもいい音がした。
14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/07/16(金) 22:58:41.94 ID:sHK99U8O0
唯先輩の姿が見当たらない。
てっきり律先輩と一緒に来るものだと思っていたから、少し落ち着かない。
どうしよう、何か事故にでもあったのかな?
なんとなく、唯先輩抜けてるから、校内とは言え油断はできない。
梓「あ、あの、唯……先輩は?」
唯「なになにー、あずにゃん呼んだー?」
その言葉と共に、颯爽なんて言葉がまるで似合わないゆっくりとした足取りで、
音楽室に顔を出したのは正しく唯先輩その人だった。
梓「なんでもないです、どっかですっ転んで泣いてたらおかしいなって思っただけです」
唯「私は転んでも泣かないよー」
梓「どうだか」
唯「あ、あずにゃんが果てしなく冷たいよ!? どうしよりっちゃん!」
律「ここで私に振るのかよ」
澪「さて、全員そろったし練習するか」
唯「へー、まだお菓子食べてないー」
梓「私たちも食べてません! さ、準備しますよ!」
16: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/07/16(金) 23:03:02.93 ID:sHK99U8O0
私の勢いに圧倒されたのか、
今日は珍しくお菓子を食べる前に練習が開始された。
相変わらず律先輩のドラムは走り気味だし、
唯先輩のギターはたまに間違ってるし、
澪先輩はそんな二人をフォローしようとして一際苦労をして、
ムギ先輩は相変わらず顔に沢庵をくっつけている。
紬「……」
すっと、目を細めたムギ先輩と目があってしまった。
考えていることを見通されたかのようだった。
なんておっかない。
練習が終わり、こんどこそティータイム。
私も甘いモノは好きだし、何かをしたあとの気分転換は最高だ。
唯「練習したあとのムギちゃんのお菓子は美味しいね!」
律「まったくだなー」
澪「これで二人も練習に身が入るといいんだけどな」
唯「明日は明日の風が吹くのでそれは分かりません!」
まったく、唯先輩らしい。
私みたいに毎日同じように過ごさないと何となく不安になる人間にはよく分からない理論だ。
17: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/07/16(金) 23:08:07.64 ID:sHK99U8O0
下校時間だ。
家の用事があるムギ先輩はものすごく長い車でさっそうと帰宅し、
弟さんの土産を買うという律先輩と別れ、
学校に作詞メモを忘れたという澪先輩を見送り、
夕日の中二人きりでの帰り道の途中で、公園のブランコが揺れてるのが目に入った。
唯「ぶらんこ乗りたいの?」
梓「まさか、唯先輩じゃあるまいし」
唯「えへへー、バレちゃったねー」
そういって、とてとてとブランコに向かって走り、
スカートだというのに立ちこぎを始める先輩を眺めて
おぱんちゅは白なんだな、ということを知った。
唯「あずにゃんも乗ろうよー」
梓「私はそんな恥ずかしい真似はできません」
そうです、公然におぱんちゅ晒しちゃうような痴女は唯先輩だけで十分です。
そして、それを見るのは私だけで十分です。
もしも誰か通りかかろうものなら、目を潰します。
唯「あ、人だ」
梓「クンッ!」
???「ギャアアアア! 目がァ! 目がぁ!」
18: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/07/16(金) 23:12:28.04 ID:sHK99U8O0
見知らぬサングラスのおじさんはふらふらと何処かに去って行きました。
あれならきっと、唯先輩の純白を目に入れたとしても忘れるに違いありません。
唯「……あずにゃん、あんまりヒドイことしちゃだめだよ?」
梓「何がですか?」
唯「何がって、あのサングラスのおじさんに何か投げてたでしょ? 見えなかったけど」
梓「そんなことしてません、きっと、どこかの少年少女がバルスって言ったんですよ」
唯「そうかなあ?」
唯先輩はちょっと気にしているふうだったけど、
次にブランコを漕ぐときにはもう頭から抜け落ちているみたいだった。
それにしても、綺麗なおぱんちゅですね。
真っ白で、どこか盛り上がっていて、もう少し漕いでくれると梓とても嬉しいです。
唯「とう!」
ここでジャンプ!?
唯「新月面が描く放物線は! 栄光への架け橋だー!」
くるくるくる……とん!
唯「うおぅ、テレビで見ただけだったけどできたね!」
梓「唯先輩、オリンピック目指しませんか?」
19: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/07/16(金) 23:16:10.77 ID:sHK99U8O0
そんな危ないことをしたらダメだと一通り注意したあと、
唯先輩は新しい遊具を目につけたようです。
梓「そんなのより、ジャングルジムに登りませんか?」
唯「えー、ホワイトベース……じゃなくて、木馬がいいよぉ」
梓「ジムですよ、ジム、時代はイデオンです」
唯「それはジムじゃないと思うな」
といいつつ、ジャングルジムに登る唯先輩。
私はそんな先輩を下から眺めるだけ。
絶景かな絶景かな。
唯「あずにゃんも登ろうよー」
梓「私高いところ苦手なんですー」
唯「そっかー、じゃあ仕方ないねー」
唯先輩は遊びに夢中で、私がおぱんちゅまんこ覗いていることも、
そもそもジャングルジムに誘ったのが私だということも忘れているみたいだった。
20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/07/16(金) 23:20:57.56 ID:sHK99U8O0
唯「梓ちゃん、鼻血大丈夫?」
梓「何も問題ないです、むしろ絶好調です」
唯「そう? じゃあ、今度はあれに入ろ?」
と、唯先輩が指さすのは、中が空洞になってる山の形をしたアレです。
夜に来るとサカってるカップルが使っているとかいないトカ&ゲー。
梓「中に入るんですか」
唯「うん、嫌かな?」
梓「私どっちかって言うと、入れられるより、入れるほうが好きなので問題ないです」
唯「梓ちゃんがどこか遠い人間のように感じてきたよ」
子供のときはもっと大きいような気がしたけど、
身体が成長すると中も狭く感じる。
どこか、ギチギチあんあんです。
唯「この中で声を出すと、あーって、揺れるんだよねー」
梓「もう一声ー」
唯「あー! あーっ! あー!」
グッジョブです唯先輩、もう絶好調すぎて鼻血が出そうです。
ええと、ティッシュティッシュ。
21: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/07/16(金) 23:25:13.82 ID:sHK99U8O0
唯「うう、耳が痛いよ」
梓「そうですね、この痛みも幸せな気分になってきます」
唯「よくわからないよ……」
私たちは公園を抜け夕日の中の帰り道、そういえばときりだしてみた。
梓「澪先輩には、ファンクラブがあるそうですね」
唯「ああ、シューティングスター澪さまだね」
梓「唯先輩知ってたんですか?」
唯「知らないのは澪ちゃんくらいだと思うよ」
秘密にしているとかじゃないですよね?
バラしたらしめられるとかそういう規則はないですよね?
唯「梓ちゃんは……入ってるの?」
梓「いいえ、特に興味もないですし」
唯「へ? 興味ないの?」
梓「……? ええ、ファンクラブとかそういうのよく分からないですし、活動内容もたいしたことないですし」
22: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/07/16(金) 23:28:17.78 ID:sHK99U8O0
唯「活動内容はすごいよー」
梓「へ? だって、お菓子を食べたりするだけだって聞きましたよ」
唯「ああ、あずにゃんは知らないんだね」
梓「むー」
唯「むくれてるあずにゃんも可愛い」
梓「からかわないでください」
唯「澪ちゃんファンクラブには、そういう表の活動する一派と、裏の活動をする一派に分かれてるの」
梓「裏?」
唯「澪ちゃんの同人誌発売」
梓「へ?」
唯「ブロマイドとか、そういうのでお金を取るのが裏の一派」
梓「それ、いいんですか?」
唯「でね、一番人気があるのが、カップリング小説なんだ」
梓「カップリング……」
23: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/07/16(金) 23:31:00.86 ID:sHK99U8O0
唯「一番人気なのが、律×澪だね」
梓「りつみお!?」
唯「で、ちょっと前まで二番目が澪×唯」
梓「みおゆい!?」
あとでその同人誌ください。
唯「でも最近、一部の勢力がすごい力をつけてきたんだ、律×澪に迫る勢いなの」
梓「へー、そんなのがあるんですねー」
唯「ひとごとだねー」
梓「ええ、だって、私に創作なんてできないですし」
唯「でも、そんな事ないんだなー、だって、最近の人気は澪×梓だから」
梓「なん……だと……?」
24: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/07/16(金) 23:34:14.02 ID:sHK99U8O0
唯「りっちゃんのカチューシャと、あずにゃんのツインテールがなければ、私が一番だったんだろうけどねー」
梓「え、私のツインテールそんなに人気なんですか!?」
唯「あずにゃんがツインテじゃなかったら、あずにゃんじゃないよ」
梓「そこまで!?」
唯「髪を解くのは、悪魔に魂を売る所業だから絶対にやめてね……」
梓「は、はあ……出来る限り頑張りますけど……」
唯「でね、もちろんツインテールだからあずにゃん人気があるんだけど、それだけじゃなくてね」
梓「すごいこと言いませんでした?」
唯「澪×梓は公式なんじゃないかと、ファンクラブの間で話題になってるみたいなんだ」
梓「公式……」
唯「ねえ、あずにゃん、あずにゃんは、澪ちゃんの事好き?」
27: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/07/16(金) 23:39:08.59 ID:sHK99U8O0
梓「私は……」
私は澪先輩より唯先輩のほうが好きです。
唯先輩のきらきらとした瞳も、
先輩のぷっくりとした唇も、
思わず突っつきたくなる頬も、
華奢な肩も、
ささやかだけど大きくなり始めてる胸も、
しなやかな腕も、
意外とオトナっぽいくびれも、
細長のおへそも、
意外と筋力がある脚も、
小さな足も、
おぱんちゅの奥に潜む大事なところも
綺麗な色をした乳首も、
隠れてみた性器も、
抱きつくときに使う手のひらも、
全部全部好きですよ。
梓「……ゆ、唯先輩が!」
唯「へ?」
梓「唯先輩が澪先輩より立派になったら考えてやるです!」
唯「ほへ」
梓「もっとしゃっきりしてください! ってことです!
やってしまった……。」
28: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/07/16(金) 23:42:26.59 ID:sHK99U8O0
唯「やってしまった?」
梓「はっ!? い、今のは違います! ツンデレなんかじゃありません!」
唯「えへへ、あずにゃんツンデレなんだー」
梓「ち、違います! いつ私がデレたんですか!」
顔が熱い。
火が出そうなくらい。
触られたらきっと気持ちだってバレバレだ。
唯「あずにゃんかわいい!」
梓「ひ、ひっつかないでください!」
唯「はーい、いい子いい子ー」
今確実にぷしゅって感じた。
たぶん、もう無残なことになってるパンツを想像しながら、
まあ、唯先輩に抱きつかれるのも役どころと我慢した。
あー、ぐっしょり濡れて気持ち悪い。
29: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/07/16(金) 23:45:43.93 ID:sHK99U8O0
唯「そっかー、あずにゃんは澪ちゃんより、私の方が好きなんだね?」
梓「そうです! もういいです! そうなんですから!」
唯「あずにゃんは怒ると語彙が少なくなるねえー」
梓「うがー!」
唯「私もだよ」
梓「う……え?」
唯「私もあずにゃんの事好きだよ」
梓「そ、それは、澪先輩ファンクラブの女の子たちみたいな気持ちで……?」
唯「あずにゃんは、一人の女の子として好き、恋人にしたいな」
梓「……」
倒れそう。
てか、倒れる。
唯先輩にこんなイケメンな台詞を吐かれるとは予想して無かった。
30: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/07/16(金) 23:49:29.59 ID:sHK99U8O0
唯「あずにゃんの返事、聞かせて欲しいんだけど」
梓「……へ?」
唯「告白したんだよ、お答え欲しいな?」
梓「あ、ああ。ぼーっとしてました」
唯「……変かな? そうだよね、女の子同士なんて」
梓「変じゃないですよ!」
唯「変かも知れないよ?」
梓「だったら変でもいいです! 唯先輩と付き合えるなら!」
唯「じゃあ、今から恋人同士でいい?」
梓「はい、いまから、こいびとどうしですることぜんぶしましょう!」
唯「へへ、あずにゃんってばー」
32: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/07/16(金) 23:53:47.71 ID:sHK99U8O0
後日談。
澪先輩ファンクラブが、澪先輩にバレました。
私がきっかけではありません。
秘密の会合をしているところを、たまたまノートを取りに来た澪先輩に見つかってしまったのです。
なんでも、作詞ノートをオークションしていたらしく、十万の値がついたとかつかなかったとか。
金銭のやりとりはまずいと色々問題になったようですが、
リーダーの「メグ」副リーダーの「メガ」サブリーダーの「タク」がファンクラブを解散することを選択し、
問題は有耶無耶になったようです。
表の一派は時々、活動しているようですが詳細はよくわかりません。
33: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/07/16(金) 23:56:08.81 ID:sHK99U8O0
それと、一番人気の澪×律が達成されたようです。
一日中イチャイチャしてます。
一日中というのは語弊がありますね、部活中イチャイチャしてます。
練習しろという澪先輩はどこに消えてしまったのか、
今ではティータイムを楽しむことに重点が置かれています。
私も唯先輩とデートしているみたいでいいんですけどね。
34: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/07/16(金) 23:57:50.33 ID:sHK99U8O0
そして二年生の夏合宿。
ムギ先輩が用意したという別荘で、ついに梓は唯先輩によって女性にさせられました。
二人で乗り越えた痛みは永遠の思い出ということにしておきましょう。
同じ夜、澪先輩と律先輩も同じように乗り越えられたみたいですが……
そのことは私はよく分かりません。
35: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/07/17(土) 00:00:24.60 ID:yX2SGF9p0
そして、文化祭当日。
お互いの絆が深まったおかげか、ライブも大成功。
ファンクラブの何名かが倒れて病院に搬送されるというハプニングがあったものの、
その他滞り無く、デートもすることができました。
クリスマス、バレンタイン、新しい春……
季節はめまぐるしく過ぎていき……
そして、また新しい春。
先輩たちを見送った私はというと。
36: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/07/17(土) 00:03:57.27 ID:yX2SGF9p0
梓「ほら、唯、新入生歓迎会の準備するよ!」
唯「うわぁぁん、もうちょっとまってよぉ! 梓早過ぎるってばぁ」
梓「何言ってるの、ぎりぎりまでムギ先輩のお菓子かじってたのはどこの誰ですか、緊張感の欠片もない!」
唯「くぅー、さすが最高学年の梓だよぉ、立派になったねぇ!」
梓「その最高学年で留年した唯は私と同級生なんだけど?」
唯「今年は梓と修学旅行に行けるよぉ」
梓「ほら! 今はギター二人なんだから、チャッチャと走る!」
唯「ねえ、梓」
梓「なに?」
唯「思い出いっぱい作ろうね!」
梓「そんなこと、あたりまえです!」
38: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/07/17(土) 00:06:48.67 ID:yX2SGF9p0
憂「ふふ、お姉ちゃんに引っ張られるお姉ちゃん可愛い」
純「……」
憂「あ、お姉ちゃんが転んだ!」
純「……」
憂「お姉ちゃんが慰めてるねえ、お姉ちゃんは意外と涙もろいもんねえ」
純「前から言おうと思ってたんだけどさ」
憂「なあに?」
純「私ね、梓のために留年する唯先輩もどうかなって思ったんだけどさ」
憂「愛の力だよね」
純「なんで、憂は梓までお姉ちゃんって呼ぶの? もう、どっちがどっちだか」
憂「だって、将来は私のお姉ちゃんになるんだからお姉ちゃんでいいんだよ」
純「至極当然みたいに言われた!?」
39: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/07/17(土) 00:10:18.24 ID:yX2SGF9p0
梓「えー新入生の皆さん、ゆい×あずです!」
今は二人しかいませんが、とてもやる気のあるいい部活です。
新入生の皆さんに是非来て頂けるように、これから演奏します。
唯「梓、私たちの部活の名前いってないよ!」
梓「あ……」
唯「もう、梓は緊張してばっかなんだからー、はい、ちゅー」
梓「ん、ちゅー」
あ。
ごめんなさい、諸先輩方。今年で軽音部は廃部になりそうです……。
おわり。
梓「澪先輩ファンクラブ?」