4: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/11(月) 19:49:54.59 ID:hce25DtT0
今夜は風が強い。ガタガタと鳴る窓の音で目を覚ました私は、水でも飲もうと
ベッドを出た。もうすぐ秋で、真夜中となるとさすがに肌寒い。近くにあった
カーディガンを羽織ると、私は携帯を持って部屋を出ようとした。
出ようとした瞬間、携帯がぶるぶると震えて私は澪ではないけど思わず小さな悲鳴を
上げてしまった。
誰だよ、こんな時間に。もしかして澪からの「風が怖いよ律ぅ」って電話じゃないだろうな。
私は欠伸をかみ殺し携帯を開けた。表示されていた名前は案の定のものだった。
「ったく……。何だよ澪?明日休みだからいいけど私も寝たいから出来るだけ手早く……」
『り、り、りつ……!』
「え、なに?」
澪の声は震えていた。よっぽど風が怖いのか?
『み、見ちゃった……』
「何を?お化けを?」
私が冗談交じりに言うと悲鳴に近い声で「違う!」と言われてしまった。
「じゃあ何を」
『……お、親が、……してるとこ」
え?
7: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/11(月) 20:12:26.86 ID:hce25DtT0
――――― ――
「……、それで」
私は澪に先を促した。
次の日の朝、動揺している澪を何とか落ち着かせ、明日の朝家に来ていいからと
言って電話を切らせた。
けど澪の(支離滅裂ではあるけど)話を聞いた後じゃ、眠れるものじゃない。
結局一睡も出来ずに今に至る。澪も私と同じく眠れなかったのか、赤い目をして
私のベッドに座っていた。
「昨日の夜、風が強かっただろ?それで目が覚めたんだけど……。ちょうどトイレに
も行きたくなって、部屋を出たら一階の電気が点いてるの見えて、一階に行ってみたんだ」
「……そうしたら、見ちゃった、と?」
澪が泣きそうな顔で頷いた。
「今朝も、ママとパパの顔まともに見れなくて……」
まあ、そりゃそうだよな。もちろん私はそんなこと経験したこともないし見たことも
ないけど、自分の親が……その、セックス、してるとこなんて見たくない。
澪がショックを受けるのはよくわかる。
おまけに怖がりだから風の音でもう何がなんだかよくわからなくなって私に電話
してきたんだろう。
「律ぅ、これからどうしよう」
澪がベッドから下りてきて私に抱きついてきた。今日はやけに甘えん坊だな、澪は。
家に入ってくるなり抱きついてきたし。
私は澪のさらさらの髪を優しく撫でてやりながら、「どうしようって言われてもなあ」って
溜息を吐いた。
どうするもこうするも、忘れるしかないんじゃ。
ま、そんなこと到底無理か。
「……、思い出しちゃうんだ……」
澪は私に縋りつきながら、小さな声で言った。
「何を?」
「ま、ママの……喘ぎ声、とか……」
「生生しいなぁおい」
「う、うるさいっ!見ちゃったんだから仕方ないだろ!」
赤くなってぽかぽかと私を殴る澪。わかったわかった。痛いから。
そんな大きな手で殴られちゃ無い胸がよけいぺっしゃんこになっちゃうから。
「……うぅ、今日の夜、どうしよう」
澪は涙混じりに言った。そんな言い方は卑怯だぞ、澪しゃん。泊めてくださいって
言ってるようなもんじゃん。私は溜息を吐くと、「仕方ないなあ」って言った。
澪の瞳がきらきらと輝く。
「泊めてくれるのか!?」
「まあ、ほとんどここ、澪ん家のようなもんだしな」
「その代わり私の家も律ん家みたいなものだろ」
澪はそう言うと、安心したように私のベッドに横になった。
「まったくもう……」
私もそんな澪を見て色々な意味で安堵の息を漏らすと、澪の横に寝転がった。
澪が「律」と私に抱きついてきた。
よくわからないけど、本当にどうしたんだ、澪。いつもならこんなふうになんて
してこないのに。
「なんだよ澪ー?」」
「ううん……、ただ、今はまだちょっと変な気分だから。律に抱きついてたら落ち着くし」
「それって褒めてるの、けなしてるの?」
「さあ」
澪はそう言って笑った。そして、ふいに呟いた。
「あんなことして……。気持ちいい、のかな」
私は「うーん」と唸ると、冗談交じりに言った。
「気になるなら、試してみる?」
「え……?な、何言って……!」
澪の顔が真っ赤になった。そしてばっと私から離れる。
おいおい澪しゃん、そこまで拒否反応起こさなくても。
「じょ、冗談だよな!?」
「当たり前だろー。でも私たち女同士だし、別にヤってみても大丈夫なんじゃねーの?」
「そ、そうなのか?」
さあ。よくわかんないけど。
「じゃあ……」
突然、澪が何が「じゃあ」なのか知らないけど私に圧し掛かってきた。
そのまま後ろに倒される。
え、何この状態?
「ちょ、澪……?」
「律はいいんだろ?」
「な、なにが?」
ヤってみても。
澪は口には出さず、キスでそう伝えてきた。
突然唇を塞がれ、苦しくて空いた隙間から澪の舌が進入してきて私の口内を
舐めまわす。
「んっ……」
押し返そうとしても力が出ずに、私は澪のされるがままになる。
澪は唇を離すと、潤んだ瞳で私を見て再度、「いいよね」と訊ねてきた。
私は頷いていた。
澪の舌が私の首筋を這っていく。
「……やっ……ぁ」
「律の喘ぎ声、可愛いね」
澪がそう言いながら、私の着ていたものを全部剥がせ、膨らみの無い胸に触れると
舐めてきた。思わず出た声を慌てて塞ごうとすると、その一瞬前に澪の唇がそれを塞いでいた。
澪の愛撫が続いていく。私は声を出さずにいるのが精一杯で、もう何がなんだか
わからなかった。
――――― ――
気が付くと私はベッドで寝転んでいて、その横で澪がぐっすりと眠っていた。
一体、何があったんだっけ。
ぼーっとした頭で考える。そして自分の格好を見て赤面した。とりあえず、服を着なくちゃ。
私は近くに投げ捨てられた服を急いで着ると、その場にへたり込んだ。
殆ど記憶になんて残ってないけど、確かに私と澪は“肉体関係”と呼ばれるものを
持ってしまった。それだけは確かで。
「……、嘘だろ」
思い出せない、思い出したくない。けど、乱れたベッドや汚れた部屋がそれを
許してくれない。
呆然としていると、澪が目を覚ました。
「ん……、律……?」
寝ぼけているのか、澪が私を見て「おはよう」と言った。
それからすぐに何があったのかを思い出したらしく、私を見て顔を真っ赤にさせた。
「……あ、律……、私」
「何も言うな」
私は澪の言葉を遮った。今は何も聞きたくなかった。元はと言えば私が変なこと
言ったのが悪いんだ。それに私だって同意した。
だけど今澪に何か言われると澪に何を言っちゃうかわからない。
だから私はとりあえず、「出て行って」と言った。
澪は泣きそうな顔で頷くと、乱れた服装を直して私の部屋を言われたとおりに
出て行った。
部屋の中がしーんと静かになる。私の心も部屋と同じようにただ静か。
混乱してるのかな、なんて自分で冷静に考えちゃうくらい。
なんだかもう……。
私はただ、笑うしかなかった。
笑って笑って、全部忘れようとした。
けど忘れられなかった。
一度刻み込まれた記憶はそう簡単には消えてくれない。
それにセックスは麻薬や煙草のようなものだって聞いたことがある。
私はその夜から、澪の身体が忘れられなくて何度も何度も自慰行為を繰り返した。
そんな自分が嫌で自己嫌悪に陥り、またそれを繰り返す。
.
そして二日が過ぎた。
月曜日。
私は重い身体を起こして制服を着た。まだ澪には会いたくなかった。だけど
休むわけにはいかない。私は「いってきます」と言うと家を出た。
家の前には澪がいた。
「澪……」
「り、律!その……おはよう」
私は「おう」って返すと、歩き出した。澪が私の後を着いてくる。
いつもみたいに横には並ばない。澪もあのことを気にしてるんだ。
「律、あのさ」
「別にいいよ、あのことは」
「……うん」
私が先回りすると、澪が頷いて、俯いたのがわかった。
「……ただの事故だって思えばいいし。あんときは澪が親のヤってるとこ見て
あぁなっちゃったわけで……」
私は何が言いたいんだ。だけど、澪を励まそうと言葉を続けた。
「だからもう、気にしなくていいし」
本当は多分私が澪より気にしてる。
だけど私は無理に笑顔を作ると澪を振り向いた。
澪は「わかった」と言った。そしてすぐに目を逸らした。
何を考えているのか、すぐにわかってしまった。
私も同じことを考えていたから。
麻薬や煙草と一緒、か。
本当にそうかも知れないな。
私は自嘲気味に笑うと、「澪」と名前を呼んだ。
理性も我慢も、限界に近かった。
「帰り、家に寄って行かないか?」
澪が息を呑み、そして頷いた。
.
いつも集中してない授業になんか当たり前だけど集中できなかった。
ただ頭に浮かぶのは澪のこと。
澪の――身体のこと。
最低だ。
わかってるのに、澪の身体を求めてしまう自分を止められない。
何をしたか覚えて無い筈なのに、あの快楽は、忘れられない。
最低だ。
何度も何度も心の中で自分を蔑む。そうするしか、今の自分を許せる方法は無かった。
学校にいる間は澪のほうを見ないようにした。
もっともっとおかしな感覚が身体の中から突き上げてくる。
そして学校なのに自慰行為をしなくちゃいけない状態になってしまう。
それだけは絶対嫌だし誰にも知られたくなかった。
.
帰り道、私たちは無言で歩いた。
家に着いて私の部屋に入ってすぐ、私たちはまるで獣のようにお互いを求め合った。
ずっと我慢してた分、前にしたときより激しかった。
「……、ごめんな、律」
事の最中、澪は確かにそう言った。だけど私は何も答えなかった。
答えられなかった。
.
「……、こんなこと、ずっと続けることになるのかな」
全てが済んだとき、私はぽつりと呟いた。
けど、多分そうなることはわかっていた。
この快楽を知ってしまった。やめられないことなんて、わかってる。
澪は「さあ」って言った。
私は「だよな」と言うと目を瞑り、快楽の余韻に身を鎮めた。
それから私たちは週位一ペースでそれを繰り返した。
どうしても我慢しきれないときは、澪の身体を思い出して自慰行為を繰り返す。
どうしてこんな生活になってしまったんだろう。
考えたって仕方ないことはわかってる。けど、虚しくなる。
この状況を抜け出す方法だってわからない。
だから私はただ、澪と一緒に快楽の海に溺れていく。
何度も何度も。
「依存、してるのかな」
ある日事が終わったとき、澪が呟くように言った。
澪はこういうことを「依存している」というんだと言った。
「依存」はまるで私たちのために生まれたような言葉だと思った。
それくらい、私たちはお互い依存し合っていた。
ただ、それは心じゃない。身体だ。
心まで澪に依存できたら、きっとこんなこと、すぐにやめられる。
だから私は、達する前に毎回澪に同じ言葉を囁くんだ。
「澪、愛してる」って。
終わり。
元スレ
――――― ――
「……、それで」
私は澪に先を促した。
次の日の朝、動揺している澪を何とか落ち着かせ、明日の朝家に来ていいからと
言って電話を切らせた。
けど澪の(支離滅裂ではあるけど)話を聞いた後じゃ、眠れるものじゃない。
結局一睡も出来ずに今に至る。澪も私と同じく眠れなかったのか、赤い目をして
私のベッドに座っていた。
「昨日の夜、風が強かっただろ?それで目が覚めたんだけど……。ちょうどトイレに
も行きたくなって、部屋を出たら一階の電気が点いてるの見えて、一階に行ってみたんだ」
「……そうしたら、見ちゃった、と?」
澪が泣きそうな顔で頷いた。
「今朝も、ママとパパの顔まともに見れなくて……」
9: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/11(月) 20:20:25.03 ID:hce25DtT0
まあ、そりゃそうだよな。もちろん私はそんなこと経験したこともないし見たことも
ないけど、自分の親が……その、セックス、してるとこなんて見たくない。
澪がショックを受けるのはよくわかる。
おまけに怖がりだから風の音でもう何がなんだかよくわからなくなって私に電話
してきたんだろう。
「律ぅ、これからどうしよう」
澪がベッドから下りてきて私に抱きついてきた。今日はやけに甘えん坊だな、澪は。
家に入ってくるなり抱きついてきたし。
私は澪のさらさらの髪を優しく撫でてやりながら、「どうしようって言われてもなあ」って
溜息を吐いた。
どうするもこうするも、忘れるしかないんじゃ。
ま、そんなこと到底無理か。
10: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/11(月) 20:27:56.32 ID:hce25DtT0
「……、思い出しちゃうんだ……」
澪は私に縋りつきながら、小さな声で言った。
「何を?」
「ま、ママの……喘ぎ声、とか……」
「生生しいなぁおい」
「う、うるさいっ!見ちゃったんだから仕方ないだろ!」
赤くなってぽかぽかと私を殴る澪。わかったわかった。痛いから。
そんな大きな手で殴られちゃ無い胸がよけいぺっしゃんこになっちゃうから。
「……うぅ、今日の夜、どうしよう」
澪は涙混じりに言った。そんな言い方は卑怯だぞ、澪しゃん。泊めてくださいって
言ってるようなもんじゃん。私は溜息を吐くと、「仕方ないなあ」って言った。
澪の瞳がきらきらと輝く。
「泊めてくれるのか!?」
「まあ、ほとんどここ、澪ん家のようなもんだしな」
「その代わり私の家も律ん家みたいなものだろ」
澪はそう言うと、安心したように私のベッドに横になった。
13: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/11(月) 20:39:35.21 ID:hce25DtT0
「まったくもう……」
私もそんな澪を見て色々な意味で安堵の息を漏らすと、澪の横に寝転がった。
澪が「律」と私に抱きついてきた。
よくわからないけど、本当にどうしたんだ、澪。いつもならこんなふうになんて
してこないのに。
「なんだよ澪ー?」」
「ううん……、ただ、今はまだちょっと変な気分だから。律に抱きついてたら落ち着くし」
「それって褒めてるの、けなしてるの?」
「さあ」
澪はそう言って笑った。そして、ふいに呟いた。
「あんなことして……。気持ちいい、のかな」
16: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/11(月) 20:43:44.92 ID:hce25DtT0
私は「うーん」と唸ると、冗談交じりに言った。
「気になるなら、試してみる?」
「え……?な、何言って……!」
澪の顔が真っ赤になった。そしてばっと私から離れる。
おいおい澪しゃん、そこまで拒否反応起こさなくても。
「じょ、冗談だよな!?」
「当たり前だろー。でも私たち女同士だし、別にヤってみても大丈夫なんじゃねーの?」
「そ、そうなのか?」
さあ。よくわかんないけど。
「じゃあ……」
突然、澪が何が「じゃあ」なのか知らないけど私に圧し掛かってきた。
そのまま後ろに倒される。
え、何この状態?
20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/11(月) 20:55:23.97 ID:hce25DtT0
「ちょ、澪……?」
「律はいいんだろ?」
「な、なにが?」
ヤってみても。
澪は口には出さず、キスでそう伝えてきた。
突然唇を塞がれ、苦しくて空いた隙間から澪の舌が進入してきて私の口内を
舐めまわす。
「んっ……」
押し返そうとしても力が出ずに、私は澪のされるがままになる。
澪は唇を離すと、潤んだ瞳で私を見て再度、「いいよね」と訊ねてきた。
私は頷いていた。
澪の舌が私の首筋を這っていく。
「……やっ……ぁ」
「律の喘ぎ声、可愛いね」
澪がそう言いながら、私の着ていたものを全部剥がせ、膨らみの無い胸に触れると
舐めてきた。思わず出た声を慌てて塞ごうとすると、その一瞬前に澪の唇がそれを塞いでいた。
22: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/11(月) 21:00:21.24 ID:hce25DtT0
澪の愛撫が続いていく。私は声を出さずにいるのが精一杯で、もう何がなんだか
わからなかった。
――――― ――
気が付くと私はベッドで寝転んでいて、その横で澪がぐっすりと眠っていた。
一体、何があったんだっけ。
ぼーっとした頭で考える。そして自分の格好を見て赤面した。とりあえず、服を着なくちゃ。
私は近くに投げ捨てられた服を急いで着ると、その場にへたり込んだ。
殆ど記憶になんて残ってないけど、確かに私と澪は“肉体関係”と呼ばれるものを
持ってしまった。それだけは確かで。
「……、嘘だろ」
思い出せない、思い出したくない。けど、乱れたベッドや汚れた部屋がそれを
許してくれない。
23: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/11(月) 21:05:15.82 ID:hce25DtT0
呆然としていると、澪が目を覚ました。
「ん……、律……?」
寝ぼけているのか、澪が私を見て「おはよう」と言った。
それからすぐに何があったのかを思い出したらしく、私を見て顔を真っ赤にさせた。
「……あ、律……、私」
「何も言うな」
私は澪の言葉を遮った。今は何も聞きたくなかった。元はと言えば私が変なこと
言ったのが悪いんだ。それに私だって同意した。
だけど今澪に何か言われると澪に何を言っちゃうかわからない。
だから私はとりあえず、「出て行って」と言った。
澪は泣きそうな顔で頷くと、乱れた服装を直して私の部屋を言われたとおりに
出て行った。
29: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/11(月) 21:45:46.61 ID:hce25DtT0
部屋の中がしーんと静かになる。私の心も部屋と同じようにただ静か。
混乱してるのかな、なんて自分で冷静に考えちゃうくらい。
なんだかもう……。
私はただ、笑うしかなかった。
笑って笑って、全部忘れようとした。
けど忘れられなかった。
一度刻み込まれた記憶はそう簡単には消えてくれない。
それにセックスは麻薬や煙草のようなものだって聞いたことがある。
私はその夜から、澪の身体が忘れられなくて何度も何度も自慰行為を繰り返した。
そんな自分が嫌で自己嫌悪に陥り、またそれを繰り返す。
.
そして二日が過ぎた。
月曜日。
私は重い身体を起こして制服を着た。まだ澪には会いたくなかった。だけど
休むわけにはいかない。私は「いってきます」と言うと家を出た。
家の前には澪がいた。
32: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/11(月) 21:58:38.19 ID:hce25DtT0
「澪……」
「り、律!その……おはよう」
私は「おう」って返すと、歩き出した。澪が私の後を着いてくる。
いつもみたいに横には並ばない。澪もあのことを気にしてるんだ。
「律、あのさ」
「別にいいよ、あのことは」
「……うん」
私が先回りすると、澪が頷いて、俯いたのがわかった。
「……ただの事故だって思えばいいし。あんときは澪が親のヤってるとこ見て
あぁなっちゃったわけで……」
私は何が言いたいんだ。だけど、澪を励まそうと言葉を続けた。
「だからもう、気にしなくていいし」
本当は多分私が澪より気にしてる。
だけど私は無理に笑顔を作ると澪を振り向いた。
34: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/11(月) 22:05:56.67 ID:hce25DtT0
澪は「わかった」と言った。そしてすぐに目を逸らした。
何を考えているのか、すぐにわかってしまった。
私も同じことを考えていたから。
麻薬や煙草と一緒、か。
本当にそうかも知れないな。
私は自嘲気味に笑うと、「澪」と名前を呼んだ。
理性も我慢も、限界に近かった。
「帰り、家に寄って行かないか?」
澪が息を呑み、そして頷いた。
37: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/11(月) 22:14:19.85 ID:hce25DtT0
.
いつも集中してない授業になんか当たり前だけど集中できなかった。
ただ頭に浮かぶのは澪のこと。
澪の――身体のこと。
最低だ。
わかってるのに、澪の身体を求めてしまう自分を止められない。
何をしたか覚えて無い筈なのに、あの快楽は、忘れられない。
最低だ。
何度も何度も心の中で自分を蔑む。そうするしか、今の自分を許せる方法は無かった。
学校にいる間は澪のほうを見ないようにした。
もっともっとおかしな感覚が身体の中から突き上げてくる。
そして学校なのに自慰行為をしなくちゃいけない状態になってしまう。
それだけは絶対嫌だし誰にも知られたくなかった。
.
帰り道、私たちは無言で歩いた。
40: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/11(月) 22:49:42.37 ID:tNYxYDwZ0
家に着いて私の部屋に入ってすぐ、私たちはまるで獣のようにお互いを求め合った。
ずっと我慢してた分、前にしたときより激しかった。
「……、ごめんな、律」
事の最中、澪は確かにそう言った。だけど私は何も答えなかった。
答えられなかった。
.
「……、こんなこと、ずっと続けることになるのかな」
全てが済んだとき、私はぽつりと呟いた。
けど、多分そうなることはわかっていた。
この快楽を知ってしまった。やめられないことなんて、わかってる。
澪は「さあ」って言った。
私は「だよな」と言うと目を瞑り、快楽の余韻に身を鎮めた。
41: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/11(月) 22:57:27.75 ID:tNYxYDwZ0
それから私たちは週位一ペースでそれを繰り返した。
どうしても我慢しきれないときは、澪の身体を思い出して自慰行為を繰り返す。
どうしてこんな生活になってしまったんだろう。
考えたって仕方ないことはわかってる。けど、虚しくなる。
この状況を抜け出す方法だってわからない。
だから私はただ、澪と一緒に快楽の海に溺れていく。
何度も何度も。
「依存、してるのかな」
ある日事が終わったとき、澪が呟くように言った。
澪はこういうことを「依存している」というんだと言った。
「依存」はまるで私たちのために生まれたような言葉だと思った。
それくらい、私たちはお互い依存し合っていた。
ただ、それは心じゃない。身体だ。
42: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/11(月) 22:59:20.51 ID:tNYxYDwZ0
心まで澪に依存できたら、きっとこんなこと、すぐにやめられる。
だから私は、達する前に毎回澪に同じ言葉を囁くんだ。
「澪、愛してる」って。
終わり。
澪「見ちゃった」