1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/11(月) 01:45:20.98 ID:Bo//hsFw0
律「んー……」
梓「どうしました? 難しそうな顔して」
唯「りっちゃん?」
澪「珍しいな律が悩むなんて。お前そういうキャラじゃないだろ」
律「うるせーほっとけ! んなことよりさ。なんか違和感感じねー?」
3: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/11(月) 01:46:47.20 ID:Bo//hsFw0
澪「は? 何に?」
唯「! りっちゃんのおでこ広くなった!」
律「嘘!? え、え…うわぁ」
梓「変わりないですよ」
律「だ、だよな。 唯のアホっ。真面目に心配しちまったろ!」
唯「ぶー」
澪「で、結局何なんだよ?」
紬「あのー、みんなちょっといい?」
唯「ムギちゃん?」
紬「その…眉毛少しだけ剃ってみたの」
唯「あれ!? ホントだ」
澪「急にどうしたんだ?」
紬「実は前から気になってはいて…だから」
律「思いきって剃ってみたわけか。いいんじゃねー? 悪くないよ」
梓「はい、似合ってますよムギ先輩」
紬「ふふ、ありがとう」
梓「もしかしてムギ先輩の眉毛が違和感のもとですか?」
律「んー、たぶんな。元々特徴あった眉毛が変わったわけだから、それでムギの雰囲気も変わって私が変に感じてたのかな」
紬「前の方が良かったかしら…」
律「いやいや! 別に悪いとは言ってないよ。ていうかむしろ前より可愛く見える…かも」
紬「ホントに!?」
澪「元も良かったんだし、人気出るんじゃないか?」
唯「ムギちゃん可愛いよぉ」
梓「でもまだ何か慣れませんね」
澪「すぐに慣れるだろ。大丈夫だよ」
紬「かわいい…ふふ、うふふっ」
さわ子「おいーっす。さぁ今日のお菓子は何かしら~♪」
唯「あ、さわちゃん」
梓「それ、一応の顧問としてはどうかと思う発言です…」
律「それ言うのも今更なんだけどな。あ、さわちゃん! 今日の軽音部、何かいつもと違う感じがしたりしない?」
紬「り、りっちゃん」
律「いいから、いいから」
さわ子「違う感じ?」
さわ子「それって部屋の感じが変わったとか?」
律「ノンノン。もっと…あー、ほら! 雰囲気とかさ! 部屋に限らずに」
澪「ずいぶんと回りくどいな」
さわ子「雰囲気? 何、あんた達のことを言ってるのかしら? …んー、香水撒いた!」
唯「私達からいい匂いしたの?」
さわ子「いや、特には」
律「当てずっぽうは無し!」
梓「はぁ…先生。ムギ先輩の顔をよく見て下さい」
律「あぁっ! すぐに言うかフツー!?」
さわ子「ムギちゃん? …確かにいつもと違うわねぇ」
紬「…/////」
唯「マユゲ~マユゲ~」
さわ子「まゆ…ああっ! 眉毛細い! えー、どうしちゃったのよコレ!」
紬「その、実は―――」
さわ子「…ふーん、成る程ねぇ。まぁ、いいんじゃない? 悪くないわよこういうムギちゃんも」
澪「だってよ、ムギ。もっと自信持っていいんだからな」
梓「です」
紬「あ、うん!」
律「一応女子高生なんだしさ、イメチェンとか試みても不思議じゃないとは思うぜ?」
唯「あ、じゃあじゃあ! この際りっちゃんもカチューシャ取って前髪おろしてみたらどうかなぁ」
律「何で私!? つーか私はこのままが一番なの。それに髪おろしたらおろしたで鬱陶しいし…それに」
唯「それに?」
律「…お、おかしいし」
澪「そうか?」
梓「若干唯先輩とイメージ被りそうですね」
唯「あ! じゃあお揃いだねっ」
紬「うふふ」
律「だ、だからしないって言ってんだろ。 はいはい! 今日の部活動はしゅ~りょ~!」
梓「練習は!?」
律「却下!」
澪「おい!!」
さわ子「終了って、それじゃあ私なんの為にここに来たのよ」
律「ティータイムはまた明日にな、さわちゃん」
梓「ホントなんの為の部活ですか」
澪「全くだよ」
紬「まぁまぁまぁまぁまぁまぁ」
唯「6回だね」
帰り道!
律「ん~今日はどこ行こっか」
澪「遊び前提の早上がりかよ!?」
紬「確かに時間有り余ってるわねぇ」
唯「ウチに帰ってもまだ憂帰って来てないと思うし」
律「な?」
澪「じゃあ練習してればよかったろ」
律「気分って大事じゃね?」
澪「お前はいつ気が向くんだよ!」
梓「グダグダすぎです」
唯「とりあえずファミレスに来てみました!」
梓「先輩誰に話してるんですか?」
唯「さぁ?」
律「さてと、ここですることと言ったら決まってるだろ」
紬「ドリンクバーを頼んで長々とお喋り~」
澪「じゃあいつものティータイムと変わらないな」
律「気分って…」
澪「はいはい」
数時間後!
唯「でねぇ、お父さんが」
律「マジかよ~」
澪「そういえばこの前聡と久しぶりに会ったんだけど」
梓「…皆さんよく話しますね。澪先輩も何だかんだで混じってるし」
紬「梓ちゃん、飽きてきちゃった?」
梓「いや、そういうわけじゃないですけど」
紬「あ、コップ空ね。良かったら一緒に新しいの取ってこない?」
梓「ええ、行きましょう」
律「……」
律「行ったか」
唯「へ?」
澪「どうした急に?」
律「いや、な。今更だけどさ…ムギの眉毛って本当にアレで良かったのかなって」
澪「おいおい、良いって言ったばかりじゃないか」
唯「そーだよ! 可愛いよ!」
律「別に悪く言おうだなんて気はねーよ。たださ、よく考えてみろよ。ムギのあの太い眉毛はあいつにとっての魅力の一つだろ」
澪「まぁ…最初見たときは結構インパクト大きかったしな」
唯「たくあん」
律「ぶっ!?」
澪「わあっ!? 噴き出すなよ!」
律「ごほっ、わ、悪い…。てか今のは唯が全面的に悪い!」
唯「えぇっ、何で!?」
律「何でも! とにかく話戻すぞ。やっぱみんなそれぞれでアレには印象抱いてるだろ?」
澪「そうだけど、本人がしたくてやったことなんだから私達がどうのこうの言うのは違うだろ」
律「…まぁな。ごめん、変な話ふって」
唯「でも今のムギちゃんに話しかけるときってちょっぴり緊張しちゃうかなぁ。雰囲気ちょっと変わったからかな」
澪「唯、その話はもう終わり」
唯「う、ごめんなさいっ……あれ?あれ!?二人ともあっち見て!」
澪・律「? うおお!?」
律「ムギが男に声かけられてる!」
澪「帰りが遅いと思ったら…あ、あれってナンパかな。だよな?」
律「なんだよこのタイミングの良さは!? やっぱ、眉毛の影響…」
唯「かなぁ? …あ、でもムギちゃんって男の人より女の人が好きって感じがする」
澪「憶測でそんなこと言っちゃ駄目だろ! あ、ほら、戻ってくるぞ」
紬「お待たせー」
律「お帰りムギ! お前さっきのアレって」
梓「…お察しの通りだと思いますよ」
律「やっぱりそうなのか。って、梓は何拗ねてるんだ?」
梓「す、拗ねてませんよ! 変なこと言わないでくださいっ」
澪「梓にはふれなかったみたいだな」
梓「 」
唯「でもムギちゃん凄いね~♪」
紬「そうかな? でもお誘いはお断りしてきたわ」
律「さすがにお嬢様はガードが固いか」
紬「そういうわけじゃなくて、もともと男の人に興味って湧かなくて」
唯「あ、ほらねー!」
澪「ば、ばか!」
紬「?」
律「さーて、今日はこの辺でお開きとしますかー」
唯「ん~飲んだねぇ! りっちゃん課長」
律「うぃー…ひぐ、明日は二日酔いに悩ませられるなぁ」
梓「何言ってるんですか?」
澪「ほっとけ」
紬「それじゃあ私こっちだから」
唯「また明日ねームギちゃん♪」
澪「私達もだ。ほら課長行くぞ」
律「それなんか言われて嬉しくねーな」
梓「唯先輩。それじゃあです」
唯「りっちゃん、澪ちゃん! あずにゃんもバイバイ~」
平沢家!
憂「お帰り~お姉ちゃん。今日はグラタンだよ」
唯「グラタン!やったぁ~」
憂「今日は遅かったね。部活?」
唯「ううん、ファミレス。あ、でもドリンクバーだけだよ」
憂「そ、そうだったんだ。じゃあ夕飯作ってて正解だったかな」
唯「うん~。いただきまーす♪ …ん!これとっても美味しいよぉ~憂」
憂「本当? 良かったぁ」
唯「うまうま…あ、そういえばねー憂聞いてよぉ」
憂「何かあったの?」
唯「実はムギちゃんが―――」
琴吹家!
斉藤「お帰りなさいませ。紬お嬢様」
紬「ただいま。斉藤…どうしたの斉藤? 目が泳いでいるわよ」
斉藤「お嬢様、失礼と存じて言わせていただきますが…眉を」
紬「ええ、剃ったわ。朝のうちから気づいてはいたでしょう? 言い出せなかったのかしら? 言っておくけどこれからもこの形のままでいかせてもらうから」
斉藤「そ、それは少々困ります。あの太く、凛々しい眉毛はもはや琴吹家の家紋同然。あの眉なくしてお嬢様は―――」
紬「そういうのはうんざりなの! 斉藤、私知ってるの。私の太かった眉毛が裏で馬鹿にされていたことを。色々聞いてきたわ、心が痛むほどに」
斉藤「何と!? …で、ですが」
紬「……分らず屋っ!」
斉藤「お、お嬢様っ」
斉藤「部屋に閉じ篭もられてしまったか」
メイド「困りましたね。ですが、お嬢様の言うことも分からなくもありません」
斉藤「うむ…しかし、あの眉は必要なものなのだ」
斉藤「説得してこれからも今まで通りにしていただくしか…」
メイド「あの様子だと言ったところで通じていただけるか難しいかと」
斉藤「…困った。 そもそもあの眉毛を馬鹿にする輩がどうかしているのだ。あのキュートなチャームポイントに」
メイド「独特ですから。流りになってみたりすれば少しは見方が変わるのでしょうかね」
斉藤「だから家紋同様だと言っておるだろうに……いや、待てよ。これは…良いかもしれん」
メイド「何か良いアイディアが?」
斉藤「ああ、ただし…琴吹家ご自身の力をお借りすることにはなるが。旦那様に相談してみよう。至急連絡を―――」
数週間後!
唯「ムギちゃんおはよー」
紬「おはよう唯ちゃん。あら、りっちゃんはまだなの?」
唯「そーなの。もうすぐホームルーム始まっちゃうのに」
紬「どうしたのかしら…あ、噂をすれば!」
唯「りっちゃーん! 遅かったね…って、あれ?りっちゃんでよかったよね?」
律「…あ、ああ。ちょっとカチューシャどっかにやっちゃったみたいでさ」
唯「へ~。…あ、ホントはちょっとイメージ変えてみたかったからじゃないのー?」
紬「やっぱり前髪をおろしていると女の子っぽく見えるわぁ」
律「それっていつもは男らしいってことかよ!?」
唯「えー、うん」
律「ばっさりだな…まぁ、いい。とにかくこれは仕方がなくやってんだからな、仕方がなく!」
紬「ずいぶんと念押しするのね」
梓「憂、純って今日お休み?」
憂「うん、そうみたいだよ。風邪かな?」
梓「理由聞いてないの?」
憂「メールで簡単に知らせてきたから」
梓「そっか、心配だね」
放課後!
澪「今日はお前のせいで遅刻しかけたんだからな」
律「根に持つなぁ…朝謝ったじゃねーか、仕方がないだろ」
唯「カチューシャのこと?」
澪「ああ、迎いに来てみたらまだごちゃごちゃやってたんだよ。まったく」
梓「ホント前髪おろしていると誰なのか見分けつけにくいですね」
紬「ちょっとね」
律「仕方がねーんだもん…」
梓「…何だか今日の律先輩は不調です」
唯「りっちゃんの元気の源はおでこなんだよ! おでこで日の光を浴びてりっちゃんパワーを取り込んで」
律「やめろ。それマジでやめてくれ」
澪(たしかに萎びてる)
紬「この調子なら今日も練習は無しかしら?」
梓「今日どころかここ最近ずっとですけどね」
澪「これじゃあ腕が落ちていく一方だぞ」
唯「まだ大丈夫だよ~」
澪「さぁ? どうだか」
唯「う、何だか心配になってきた…」
唯「それじゃあ今日ぐらいは練習やろっか!」
律「決定権は部長の私だろ」
澪「無理矢理でもなきゃやらないだろ? 多数決! はい、練習したい人ー」
梓「勿論です!」
紬「そろそろキーボードにも触れておきたいし」
唯「はーい」
澪「律、お前除いて全員は練習派だぞ?」
律「…わかったよ」
澪「それじゃあ一度全員で簡単に通してみるか」
唯・紬・梓「はーい!」
律「…んじゃあいくぞ。1・2・3」
―演奏終了!―
澪「おい律。リズムがでたらめだったぞ? 真面目にしろよな」
律「ごめん…」
澪「? 妙に素直だな」
梓「ていうか放心気味ですね」
唯「やっぱりおでこが出てないのが原因かもよっ。よーし! 前髪あげてみましょー」
律「え? ちょっ!? や、やめろ唯っ……あぁっ!」
澪・梓「なっ!?」
紬「!!!」
律「……見たな?」
梓「一体どうしたんです!? その眉毛は!」
澪「もしかして描いたのか?」
律「誰が好んでこんなになりたがんだよっ!」
唯「わぁ……あ、何だか前のムギちゃんの眉毛にソックリだね」
律・澪・紬・梓「!」
澪「言われてみれば」
梓「ですね。でも休日前のときは変わりなかったじゃないですか」
律「…昨日の朝鏡覗いたときにはもうこんなだった」
唯「剃って整えてくればよかったのに」
律「やったよっ。確かにやったんだ! 1時間も時間かけて…なのに、朝起きてみたらこのありさま。だから剃ってくる時間もなかったから今日は前髪おろして来たんだ」
澪「そんなばかな」
律「今日遅れてたのが証拠だ!」
梓「数日でそんなに伸びるものですかね? 本当はからかってるんじゃないですか?」
律「マジだ!」
唯「りっちゃん! ビックリ人間大賞に出られるよ!」
律「うるせぇっ! アホ!」
紬「……まさか、ね」
梓「先輩?」
平沢家
唯「憂~ただいま~。あれ?憂ー」
憂「お、お帰りお姉ちゃん」
唯「ただいまぁ。あ、憂も今帰ってきたんだね。おかえり~」
憂「うん。夕ご飯の材料買いに行ってたの」
唯「へー。ところでどうして急に帽子なんかかぶってるの?」
憂「あ、うん。ちょっとね」
唯「とんないの?」
憂「……笑わないでね?お姉ちゃん」
唯「…あ」
唯「やっぱり」
憂「え、知ってたの? この眉毛のこと」
唯「もしかしてそうなのかなぁって。実はりっちゃんも昨日から今の憂と同じ眉毛になってたらしいの」
憂「律さんも!? そんな……友達の純ちゃん、知ってるでしょ?」
憂「その純ちゃんがね、今日学校をお休みしたから放課後お見舞いに行ってみたの。そしたら…」
唯「純ちゃんの眉毛が?」
憂「…うん。理由を聞いてみたら純ちゃん、分からないって。ただ寝て起きたらこうなってたんだって。…それに剃っても剃っても暫くしたらまた生え揃っちゃうみたい」
唯「りっちゃんと同じだ! でも、それがどうして急に憂にも?」
憂「純ちゃんのお家から帰ってきて鏡を見たら……もう」
唯「憂…とにかく様子見てみよう? 変に触っておかしくなったら大変だし」
唯「それから憂、私は憂がどんなになったって笑ったりなんか絶対しないから。大丈夫だよ」
憂「お姉ちゃん…」
唯「でもそれはそれで結構可愛いよ!」
憂「お、お姉ちゃん…」
次の日!
澪「で、今日も変わらずか?」
律「あいかわらずゲジゲジしてますよー。…はぁ、なんだかな」
梓「でも律先輩ばっかりってわけでもないみたいですよ。私の学年で何人か眉毛がおかしくなったって人が出てきてます。それに」
唯「……」
紬「…憂ちゃんね」
梓「唯先輩、一人で考えたっていい案は浮かびませんよ?」
唯「…え!? あ、うん。ごめんねぇ」
律「ていうか、なんで眉毛ごときでこんなに悩まされなきゃいけないんだよ! だんだんアホらしく思えてきたぞ」
澪(最初にシリアスな雰囲気漂わせたのは誰だったよ?)
梓「結局この騒ぎって一体何なんでしょうね。ウイルス…なんてものとかじゃないとは思いますけど」
紬「りっちゃん。最近変わったこととかしたかな?」
律「変わったことって…いや、特にないと思うけど」
紬「よく思い出してみて。食べ物とか肌に塗るものとかでもいいから」
律「えー…うーん、あ……商店街で配ってたゼリー食ったりとかは?」
澪「ゼリー?」
律「ああ、何でも今度から新商品として売り出す予定の美肌を保つゼリーだとか言ってた」
澪「お、お前が美肌とか…ビックリしたぞ」
律「悪かったな! とりあえずタダなら貰っておこうと思って、帰りがてら食った。一口サイズだったからな」
唯「いいなぁ、まだ貰えたりするのかな?」
澪「唯はまず黙っていてくれ。で、それっていつの話だ?」
律「眉毛がこうなってから数えると…3日ぐらい前だな」
紬「わかったわ。ありがとうりっちゃん」
唯「でもゼリーが原因かはまだ分からないよね。……あずにゃん?」
梓「…唯先輩。実は、私もそのゼリー貰いました」
唯「えっ、もしかして」
梓「……美味しかったです」
澪「ばか。でもこれで梓にも同じことが起きたとしたら…」
紬「少なからずは確証は持つことができるわね」
梓「それって何だか私実験動物みたいじゃないですか!」
律「でもそれが原因だったとしてどうすりゃいいんだよ? 配ってた奴ら探し出して、さっさと直しやがれってか?」
澪「まぁ、ほっとけばいつのまに生えてこなくなるかもしれないしな。この際諦めて待ってたら――」
紬「ダメよそんなの!!」
唯「ムギちゃん?」
紬「ダメでもともと解決策を探してみた方がいいじゃない! そんな眉毛でずっと過ごすなんて御免でしょ!?」
律「お、落ち着けムギ。何もそこまで熱くならなくていいだろ…」
紬「あ……ごめんなさい。少し、頭冷やしてくるね…」
梓「ムギ先輩…」
澪「…最近様子がおかしかったな」
律「ああ」
唯「まさかムギちゃんのこと疑ってるの!?」
澪「違う、違う。そうじゃなくて、どうもムギのやつこの一件に何か思ってるみたいなんだ」
梓「問題の眉毛がムギ先輩の前のものとよく似ているからですか? そんな、ただの偶然です」
律「まぁな。でもあの言いようだと裏が見えなくもないだろ?」
唯「ムギちゃんが怒鳴るなんてあんまりないもんね…」
梓「だからって……ん?」
澪「どうしたあず……これでゼリーが怪しくなってきたな」
梓「な、何でです!? さっきトイレで見たときは普通だったんですよ!? それが今少し眉毛の辺りに違和感があると思ったら…」
律「まさか、いきなり生えてくるのか? あ、ありえねーだろ」
唯「おぉ…おおー!」
澪「こうなると他の眉毛被害者にも話を聞いてみるといいんじゃないか?」
律「だな。やっぱりムギの言うとおり解決策を探してみようぜ」
唯「りっちゃん、あずにゃん! それに、憂の為にもだねっ」
梓「あう…」
律「よっしゃあ! 放課後ティータイム探偵団ってとこだな!」
唯「わぁ…探偵かぁ!」
梓「何ですかこのノリは」
律「で、まずは手始めに憂ちゃんに聞き込みといこうか」
唯「そんなこともあろうかと呼び出しておきました!」
律「おぉ! いい働きだ唯くん!」
唯「いえいえ、りっちゃん先生!」
澪「そんな茶番はまず置いといてだ。さっそく来たみたいだぞ」
憂「失礼します。皆さんこんにちは」
梓「憂、眉毛隠さなくてホントに大丈夫なの?」
憂「うん、少し恥ずかしいのを我慢すればいいだけだから。ってあれ、梓ちゃん!?」
唯「ついさっきこうなっちゃったんだよ」
梓「…こんちくしょーです」
憂「えー…な、なんだか心配になってきちゃった…」
律「とりあえずてきとうに座ってくれ」
憂「あ、はい(…この人、律さんでいいんだよね?)」
澪「じゃあさっそく話を聞こうか。憂ちゃんは昨日から?」
憂「はい、家に帰ったときにはすでに」
唯「あのね憂! 憂は商店街で配ってた美味しい美肌ゼリー食べた!?」
憂「え?」
澪「落ち着け唯。憂ちゃん、最近商店街の方で無料でゼリーを配布しているらしいんだ。肌にいいとかって、憂ちゃんはそれを受け取らなかったかな?」
憂「ゼリー……あ、貰いました。 スーパーで」
律「スーパー? いろんな場所で配ってんのかよ。で、食べたのか?」
憂「ええ」
唯「え! 私に内緒でズルイよぉ」
憂「ああっ、ごめんねお姉ちゃん!お詫びに今日美味しいアイス買ってくるからねっ」
澪「で、食べたのは生えた日から数えると何日前かな?(…相変わらずのシスコンっぷり)」
憂「えっと…詳しくは覚えていないですけど、たぶん2、3日前」
律「私と時期が近いな。そういや梓はどうなんだ?」
梓「昨日です」
律「早くね!?」
梓「だから驚いてるんですよっ」
唯「いまのとこはゼリー食べてるのはみんな共通だね」
律「だな。この調子で他にもあたっていくか」
澪「でも確定だとはまだ言い切れないな。もしかすれば原因が他にも見つかるかもしれないし」
律「それ全部探ってくと埒があかねーって。とりあえず今分かってることで何とか調べてみようぜ」
唯「それじゃあ聞き込み開始だね!」
澪「ああ。……そういえばムギ遅いな」
数時間後!
澪「やっぱりゼリーが怪しいな」
梓「聞いた人ほぼ全員が当てはまりましたね」
律「ゼリーの容器、捨ててないやつらから念の為貰ってきてみたんだけど」
唯「こんにゃくゼリーぐらいの大きさだね」
澪「どこかにゼリーに含む成分とか書いてないのか?」
律「書いてあるにはあるんだけどさぁ…誰か虫メガネとかもってね?」
梓「妙に細かくて読みずらいですね。でも読めたところで私達に何か分かります?」
澪「確かめておくだけでも違うだろ」
唯「食べるだけで眉毛がのびてくるなんてよく考えると凄いねー…」
律「これ配った奴はもっと別のところの毛が生えるものを作った方がいいよな絶対」
唯「頭の上が寂しい人達に大ヒット! わぉ!」
澪「それはまずいいから」
梓「で、どうするんです? 実際に配ってる人達を探して聞いてみます?」
律「最近眉毛が数日で異常に太くなってしまいました。さらに剃っても剃っても生えてきます。思い当たるフシがもらったゼリーなのですがってか?」
澪「本当の原因が分からないんだし、いきなり食って掛かるわけにもいかないからな。そう聞くしかないとは思う」
梓「でもこのゼリーが本当に眉毛を太くする効力を持っていたとしたらなんで無差別に配っていたりしていたんでしょうね?それとも効果が分かっていないで配ったんでしょうか?」
澪「どっちの場合でも色々とまずいけどな。後者だとしたら酷いな…ある意味人体実験……ひぃ」
律「そう考えると眉毛だけですんだことは喜んでいいのやら…」
梓「なんとも言えないですね」
唯「じゃあそのままでも」
律・梓「よくない」
律「とりあえず商店街に来てみたのはいいけど」
唯「それらしい人、見当たらないね」
律「いま澪達が他の場所を探してるけど……お、戻ってきた」
梓「そっちはどうでした?」
唯「ううん。ってことはそっちも?」
澪「ああ、いなかった」
律「ここら辺りに限らずに配ってたりしてるんじゃねーか?」
澪「さぁ…でも手探りで探していても見つかるかどうか…」
唯「そうだねぇ…あれ? あそこで誰かと話してるのってムギちゃんだよね?」
梓「みたいですね。誰と話してるんですかね?」
澪「あの人…あの人の足元にあるダンボールの中身って」
律「ゼリー!」
唯「それじゃあさっそく聞きにいこっ!」
律「待った。ここはいったん隠れて向こうの話に聞き耳立ててみようぜ」
澪「盗み聞きはあんまり好きじゃないけども…」
梓「ムギ先輩少し怒ってるように見えますね
紬「言いなさい。誰の命令で動いているの」
女「……いくらお嬢様から訊かれようとも話すわけには…」
紬「いい? これは質問ではないの。命令よ。勘違いしないで頂戴」
女「う…で、ですが」
紬「ああっ! じれったいわね! 既に琴吹家が絡んでいることは分かっているのよ。なんのつもりでこんな馬鹿げたことをしたのかはさっぱりだけど…。…貴女、上から私へは口止めを命じられているのね?」
女「……」
紬「…それなら貴女を私が買うまでね」
女「!? ば、買収する気ですかっ」
律「…おいおい、なんだか物騒な言葉が聞こえたぞ」
梓「何者ですかあの人っ」
唯「なんかカッコいいね~」
澪「ていうかムギの家が絡んでいるのか? どうりで様子が…」
梓「最初から知ってたんですかね?」
澪「どうだろうな」
律「そろそろ出て行ってみるか」
唯「わくわく! わくわく!」
梓「先輩…」
紬「さぁ、どうされたいのかしら?」
女「うぅ…」
唯「ムーギーちゃん!」
紬「え、ゆ、唯ちゃん!? それにみんなも」
律「よー!何の話してたんだ?」
紬「…あ、その……」
女「……っ!!」
唯「あ、逃げちゃったよ!」
紬「え!? ま、待ちなさ……まぁ、いいわ…」
澪「話、聞かせてもらえるかムギ?」
紬「…実は―――」
梓「ってことはある程度最初から自分の家を疑っていたんですね?」
紬「もしかして、ってね。でも今問い詰めたことで確信を持つことはできたわ」
澪「ムギって結構行動力あるよな」
律「唯、ちょっと分けてもらえよ」
唯「ぶー! 練習しようとしないりっちゃんから言われたくないよぉ」
梓「どっちもどっちです」
澪「でもまぁ、まさかムギの家が絡んでいたとはな」
紬「本当にごめんなさい…謝っても謝りきれないわ」
律「大丈夫だよ。ムギは悪くねーんだしさ!」
唯「ムギちゃん」
紬「え?」
唯「ダメだよ一人で何とかしようだなんて思っちゃ。困ったときはみんなで一緒になんだからね! 私達みんなで放課後ティータイムなんだから」
梓「です」
澪「その通り」
律「わかったかムギ? わかったならもっと私達に頼れよな!」
紬「みんな……うん!ありがとうっ」
律「さーて、これからどうしようか?」
澪「戻してくださいと言って素直に聞き入れてくれるかどうかだな」
梓「ていうかこんなことして何を企んでるんでしょうか…」
唯「はっ、まさか世界征服を!?」
律「世界規模で広げるのかこれ」
紬「理由はまだ分からないわ。でもうちの家はそんな物騒なことはしない…と願いたいのだけれど」
澪「いきなりそんな変なことをし始めるってのもあれだしな」
紬「私の予想だとこれ以上は被害が広がることはないとは思う」
律「もともと小規模で終わらせる気だったってことか?」
紬「おそらくね」
澪「ホントなんだってこんなことを」
唯「いやがらせって感じでもなさそうだよねぇ。太い眉毛を色んな人に広めようとしたー…とか?」
梓「それ新しい宗教か何かですか」
紬「……みんな、私の家に行きましょう。直接問い詰めた方がきっと早いわ」
律「大丈夫なのか? さっきの様子だとムギに対して口止めされてるんだろ?」
紬「どんなことをしてでも吐かせるわ。こんな馬鹿なことしていたんですもの」
澪(…勇ましい)
琴吹家!
紬「斉藤。今日はお友達を連れてきたの」
唯「うはー……すっごーい! もの凄い豪邸だよあずにゃんっ」
梓「こ、これほどとは」
律「梓がもっと小さく見えるな」
梓「にゃあーーーっ!!」
澪「こんなときでものん気だよなぁお前ら…」
斉藤『…すぐに門を開け、迎えの者を向かわせます』
紬「ええ、ありがとう」
律「い、いちいちインターホンで呼び出すのか」
メイド「お帰りなさいませお嬢様。皆様ようこそいらっしゃいました。さぁ、こちらへ」
唯「め、メイドさんだよ澪ちゃん! ほら、メイドさん!」
澪「なんで私にそんなにプッシュするんだよ!」
律「メイドっつったら澪だからな」
梓(ああ、似合いそう)
紬「……」
斉藤「ようこそいらっしゃいました。どうぞごゆっくりとおくつろぎ下さいませ」
律「いっ、いえいえ! どうぞお構いなく…」
澪「き、緊張してきた」
紬「硬くならなくていいわ澪ちゃん。それより斉藤、お茶とお菓子を運んできてくれた後でいいから少しあなたと私達でお話がしたいのだけれども」
斉藤「……ええ、構いません。少々お待ち下さいませ」
律「…行ったな。遂にか……斉藤さん、話してくれんのかな」
澪「少し…怖そうだな」
紬「不愛想なのは元々なの、仕方がないわ」
唯「執事? ねぇねぇ、あの人執事なのかなぁ!」
梓「唯先輩はもう少し緊張感持ちましょうよ…」
斉藤「お茶と菓子の方をお持ちに参りました」
紬「ありがとう」
澪・律「……」
唯「わぁー…わはぁ♪ 美味しそうだねぇっ」
梓「……はぁ」
紬「お茶の準備は終えたわね? さぁ、そこに掛けて。斉藤」
斉藤「では、失礼して……それで、お話の方とは?」
澪「あの、まずは見てもらいたいものがあるんですけど」
斉藤「これは…何かの容器でしょうか? 小さめの」
律「見覚えないですか?」
斉藤「はて、今日初めてお目にかかりました」
律「本当に、ですか」
斉藤「ええ」
紬「斉藤、この容器にはゼリーが入っていたの。お肌にとても良い効果をもたらすとか…。
いま商店街で無料で配布してるそうなのよ」
斉藤「左様ですか。では…お嬢様方はそのゼリーに興味をお持ちで?」
梓「興味というか」
紬「いい加減にして斉藤! 白々しい!」
唯「はぅっ!?」
一同「……」
紬「斉藤? 口では嘘をつけてもちょっとした挙動で私にはあなたが分かってしまうのよ。何年一緒にいたと思っているの?」
斉藤「ご冗談を」
唯「目」
澪「唯?」
唯「目がよく上を向いてたね。チラチラって」
斉藤「……」
紬「嘘を考えるときの癖よね、斉藤? 昔から変わりないのね」
紬「容器が出てきてからよく目が動いていたわねぇ」
律「じゃあ…」
紬「ええ、知らないはずがないわ。さっき商店街でゼリーをくばっていた女の人、私の家のメイドの一人ですもの…。それどころか配っていたのは殆どが斉藤の下の者達。知らないはずがないでしょう? それともあなたには内緒だったのかしら?」
斉藤「……弱りましたな」
澪・律・梓「!(…あ、あっさりだ)」
斉藤「これ以上隠していたところでいつかはお嬢様が力ずくで調べ上げますでしょう…。それにしても流石は紬お嬢様」
紬「そんなことはまずいいから、早くこんなことをした理由を教えなさい」
梓「それからこの眉毛をどうにかしてほしいですっ」
律「ああ」
斉藤「…理由ですか、簡単なこと。お嬢様、これはお嬢様の為に行なったことなのです」
紬「なんですって!? 私はこんなこと望んでいない!」
斉藤「…話を突然曲げるようで申し訳ありませんが、お嬢様。眉毛の方は元に戻す気になっていただけましたか?」
紬「っ…そうする気はないってこの前言ったわよね……」
斉藤「決心はお堅いようで。お嬢様は私にこのようなことを言われましたね。゛裏で私の太い眉毛を馬鹿にされている゛と…私はそのように影でこそこそと悪口を言う輩がいまだに理解できませんよ」
紬「あ……」
澪「ムギお前…。だから急に眉毛を…」
律「どうして相談してくれなかったんだよ! そんなこと分かってれば私がすぐにそんな腐った奴らをギッタンギッタンにしてやったのに!」
梓「某ガキ大将みたいですね」
唯「?」
紬「りっちゃん…」
斉藤「良きお友達がいらっしゃるようで…。話を戻すと、私はあることを思いつきました。皆が同じ様な眉毛ならば何か言われることはないのではないか、と」
澪「…結構思いっきった発想ですね」
梓「一本の木を隠すには森の中ってやつですね」
澪「いや、この場合違うだろそれ」
斉藤「……この案を考えつき、すぐに旦那様へ相談をいたしました」
紬「お父様が許したの?」
斉藤「琴吹家の者としてあの眉毛はなくてはならないもの。お前の好きにするが良い、と。すぐに私は知り合いの医大学教授、薬剤師達と共に例のゼリーの開発を極秘で計画し、何とか作り上げることに成功しました」
澪「…(地味に大掛かりだな)」
斉藤「その後は皆様の知っての通りでございます。食べてから効果が現れる速さは個人差らしいですが」
律「成る程。って勿論もとに戻す薬とか作ってますよね!?」
梓「そ、そうですっ」
唯「憂の為にもなんとかしてもらわなきゃ!」
斉藤「こんなこともあろうかと専用の脱毛クリームもございます」
律「それ眉毛が全部抜けるなんてオチじゃないよな…」
斉藤「心配はございません」
紬「…………斉藤。私のことを思ってやってくれたことは感謝するわ。でも、他の人へ迷惑をかけるのはよくない」
斉藤「……」
紬「でも……これは私の身勝手な我儘が全ての原因だったのね…」
斉藤「! いえっ、これは私が独断で行なったこと。お嬢様が責任を感じることは万に一つございません!」
紬「そんなことないわ!」
唯「両者一向に譲りません」
律「おい、ここは空気読んどけ」
唯「だ、だって…」
紬「…もうやめにしましょうか斉藤」
斉藤「紬お嬢様…」
紬「眉毛は元に戻すわ。今までどおり」
「!!」
澪「本当に!?」
律「無理して言ってるんじゃないだろうな?」
斉藤「…よろしいのですか?」
紬「ええ。それに実を言うと…眉毛を剃ってからここ最近男の人によく声をかけられるようになってしまって少しウンザリしてきていたの。それに」
梓(なにそれ)
紬「それに…何だか落ち着かなくて。いつもの私じゃなくなっていくようでちょっぴり不安だった」
紬「私にはやっぱりもとの眉毛が一番だったんじゃないかって、思えてきたの」
唯「ムギちゃん…」
斉藤「しかし、また陰で何か言われたりなどしたら…」
紬「大丈夫。もう一人で悩まないから。つらいときはこの軽音部のみんなに遠慮しないで助けてもらうわ。…って図々しいこと言っちゃったけど……」
律「図々しくねーよ。さっきも言ったろ? 頼っていいってさ」
唯「そーそー」
梓「はい」
澪「こういうときばっかりは良い事言うよなバカ律は」
律「わりぃかよ」
澪「あはは」
斉藤「…………」
唯「あれ、斉藤さん泣いてるの?」
斉藤「…いけませんな。歳を取るたびにどうも涙腺が緩まってきて…」
紬「斉藤…」
斉藤「紬お嬢様。この方々は本当に良きご友人達でいらっしゃる。羨ましい限りでございます」
律「いやーそれほどでも」
梓「こういう切り替えはいつも早いですよね」
斉藤「いつまでも、いつまでもご友人を大切になさってくださいませ。皆様も紬お嬢様のことを何とぞ…どうか宜しくお願いいたします」
紬「さ、斉藤! 恥ずかしいわっ、頭を上げて」
唯「あはっ、よかったねムギちゃん」
唯「とりあえずこれで一件落着ってことなのかなぁ?」
澪「大体はな。後は眉毛だけってところか」
律「長かったようで短かったような…」
梓「事件にしてもけっこうあっさり終わりましたしね」
澪「所詮大事になるようなことでもなかったわけだしな。いつものんびりしていた私達には丁度いい刺激になったんじゃないか?」
梓「こういう労力は練習につぎ込みましょうよ」
澪「まぁな」
紬「ふふふ」
その後!
律「いやー、やっぱ前髪あげるとスッキリだな」
梓「久々に見ました。そのおでこ」
唯「輝いてるねぇ~う、眩しい」
律「ぬはははぁーー! 田井中律フラッシュ!」
澪「バカ。 ところでムギ、斉藤さんはあれからどうしているんだ?」
紬「ええ、ゼリーを配った人達を探して謝罪と脱毛クリームを渡しているわ。配った人数が幸いにも多くなかったことが助かったわねぇ」
澪「そっか。これで本当に一件落着ってとこだな」
律「まーな。あれ、ムギお前の眉毛…」
梓「もう元通りですか!?」
紬「私、毛がのびるのが早めなのよー」
澪「いくらなんでも早すぎだろ!」
紬「うふふ、冗談よ。実はあのゼリーを食べたの。今日の朝には元通りだったわ」
律「あいかわらずの効果だなぁ…」
唯「ムギちゃん復活だね」
澪「何だかんだいってやっぱりこれが一番落ち着くな」
梓「妙な安心感があります」
紬「そーおー?」
唯「やっぱりいつものムギちゃんだぁ~! おかえりムギちゃん!」
紬「ふふ、ただいま♪」
おわり!
何とか終わらせたが、中盤から結構無理矢理話つくっちゃったよ…
とりあえず遅くまで見てくれてありがとうございました!
ムギかわいいよムギ
元スレ
澪「は? 何に?」
唯「! りっちゃんのおでこ広くなった!」
律「嘘!? え、え…うわぁ」
梓「変わりないですよ」
律「だ、だよな。 唯のアホっ。真面目に心配しちまったろ!」
唯「ぶー」
澪「で、結局何なんだよ?」
紬「あのー、みんなちょっといい?」
唯「ムギちゃん?」
5: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/11(月) 01:48:34.03 ID:Bo//hsFw0
紬「その…眉毛少しだけ剃ってみたの」
唯「あれ!? ホントだ」
澪「急にどうしたんだ?」
紬「実は前から気になってはいて…だから」
律「思いきって剃ってみたわけか。いいんじゃねー? 悪くないよ」
梓「はい、似合ってますよムギ先輩」
紬「ふふ、ありがとう」
6: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/11(月) 01:49:36.25 ID:Bo//hsFw0
梓「もしかしてムギ先輩の眉毛が違和感のもとですか?」
律「んー、たぶんな。元々特徴あった眉毛が変わったわけだから、それでムギの雰囲気も変わって私が変に感じてたのかな」
紬「前の方が良かったかしら…」
律「いやいや! 別に悪いとは言ってないよ。ていうかむしろ前より可愛く見える…かも」
紬「ホントに!?」
澪「元も良かったんだし、人気出るんじゃないか?」
唯「ムギちゃん可愛いよぉ」
梓「でもまだ何か慣れませんね」
澪「すぐに慣れるだろ。大丈夫だよ」
紬「かわいい…ふふ、うふふっ」
7: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/11(月) 01:50:41.44 ID:Bo//hsFw0
さわ子「おいーっす。さぁ今日のお菓子は何かしら~♪」
唯「あ、さわちゃん」
梓「それ、一応の顧問としてはどうかと思う発言です…」
律「それ言うのも今更なんだけどな。あ、さわちゃん! 今日の軽音部、何かいつもと違う感じがしたりしない?」
紬「り、りっちゃん」
律「いいから、いいから」
さわ子「違う感じ?」
8: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/11(月) 01:52:01.57 ID:Bo//hsFw0
さわ子「それって部屋の感じが変わったとか?」
律「ノンノン。もっと…あー、ほら! 雰囲気とかさ! 部屋に限らずに」
澪「ずいぶんと回りくどいな」
さわ子「雰囲気? 何、あんた達のことを言ってるのかしら? …んー、香水撒いた!」
唯「私達からいい匂いしたの?」
さわ子「いや、特には」
律「当てずっぽうは無し!」
9: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/11(月) 01:53:42.15 ID:Bo//hsFw0
梓「はぁ…先生。ムギ先輩の顔をよく見て下さい」
律「あぁっ! すぐに言うかフツー!?」
さわ子「ムギちゃん? …確かにいつもと違うわねぇ」
紬「…/////」
唯「マユゲ~マユゲ~」
さわ子「まゆ…ああっ! 眉毛細い! えー、どうしちゃったのよコレ!」
紬「その、実は―――」
11: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/11(月) 01:54:52.43 ID:Bo//hsFw0
さわ子「…ふーん、成る程ねぇ。まぁ、いいんじゃない? 悪くないわよこういうムギちゃんも」
澪「だってよ、ムギ。もっと自信持っていいんだからな」
梓「です」
紬「あ、うん!」
律「一応女子高生なんだしさ、イメチェンとか試みても不思議じゃないとは思うぜ?」
唯「あ、じゃあじゃあ! この際りっちゃんもカチューシャ取って前髪おろしてみたらどうかなぁ」
律「何で私!? つーか私はこのままが一番なの。それに髪おろしたらおろしたで鬱陶しいし…それに」
唯「それに?」
律「…お、おかしいし」
13: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/11(月) 01:56:48.44 ID:Bo//hsFw0
澪「そうか?」
梓「若干唯先輩とイメージ被りそうですね」
唯「あ! じゃあお揃いだねっ」
紬「うふふ」
律「だ、だからしないって言ってんだろ。 はいはい! 今日の部活動はしゅ~りょ~!」
梓「練習は!?」
律「却下!」
澪「おい!!」
14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/11(月) 01:57:51.59 ID:Bo//hsFw0
さわ子「終了って、それじゃあ私なんの為にここに来たのよ」
律「ティータイムはまた明日にな、さわちゃん」
梓「ホントなんの為の部活ですか」
澪「全くだよ」
紬「まぁまぁまぁまぁまぁまぁ」
唯「6回だね」
15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/11(月) 01:59:17.54 ID:Bo//hsFw0
帰り道!
律「ん~今日はどこ行こっか」
澪「遊び前提の早上がりかよ!?」
紬「確かに時間有り余ってるわねぇ」
唯「ウチに帰ってもまだ憂帰って来てないと思うし」
律「な?」
澪「じゃあ練習してればよかったろ」
律「気分って大事じゃね?」
澪「お前はいつ気が向くんだよ!」
梓「グダグダすぎです」
16: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/11(月) 02:00:05.39 ID:Bo//hsFw0
唯「とりあえずファミレスに来てみました!」
梓「先輩誰に話してるんですか?」
唯「さぁ?」
律「さてと、ここですることと言ったら決まってるだろ」
紬「ドリンクバーを頼んで長々とお喋り~」
澪「じゃあいつものティータイムと変わらないな」
律「気分って…」
澪「はいはい」
17: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/11(月) 02:02:24.45 ID:Bo//hsFw0
数時間後!
唯「でねぇ、お父さんが」
律「マジかよ~」
澪「そういえばこの前聡と久しぶりに会ったんだけど」
梓「…皆さんよく話しますね。澪先輩も何だかんだで混じってるし」
紬「梓ちゃん、飽きてきちゃった?」
梓「いや、そういうわけじゃないですけど」
紬「あ、コップ空ね。良かったら一緒に新しいの取ってこない?」
梓「ええ、行きましょう」
律「……」
18: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/11(月) 02:03:57.45 ID:Bo//hsFw0
律「行ったか」
唯「へ?」
澪「どうした急に?」
律「いや、な。今更だけどさ…ムギの眉毛って本当にアレで良かったのかなって」
澪「おいおい、良いって言ったばかりじゃないか」
唯「そーだよ! 可愛いよ!」
律「別に悪く言おうだなんて気はねーよ。たださ、よく考えてみろよ。ムギのあの太い眉毛はあいつにとっての魅力の一つだろ」
澪「まぁ…最初見たときは結構インパクト大きかったしな」
唯「たくあん」
律「ぶっ!?」
19: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/11(月) 02:05:49.25 ID:Bo//hsFw0
澪「わあっ!? 噴き出すなよ!」
律「ごほっ、わ、悪い…。てか今のは唯が全面的に悪い!」
唯「えぇっ、何で!?」
律「何でも! とにかく話戻すぞ。やっぱみんなそれぞれでアレには印象抱いてるだろ?」
澪「そうだけど、本人がしたくてやったことなんだから私達がどうのこうの言うのは違うだろ」
律「…まぁな。ごめん、変な話ふって」
唯「でも今のムギちゃんに話しかけるときってちょっぴり緊張しちゃうかなぁ。雰囲気ちょっと変わったからかな」
澪「唯、その話はもう終わり」
唯「う、ごめんなさいっ……あれ?あれ!?二人ともあっち見て!」
澪・律「? うおお!?」
20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/11(月) 02:07:53.25 ID:Bo//hsFw0
律「ムギが男に声かけられてる!」
澪「帰りが遅いと思ったら…あ、あれってナンパかな。だよな?」
律「なんだよこのタイミングの良さは!? やっぱ、眉毛の影響…」
唯「かなぁ? …あ、でもムギちゃんって男の人より女の人が好きって感じがする」
澪「憶測でそんなこと言っちゃ駄目だろ! あ、ほら、戻ってくるぞ」
紬「お待たせー」
21: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/11(月) 02:09:25.95 ID:Bo//hsFw0
律「お帰りムギ! お前さっきのアレって」
梓「…お察しの通りだと思いますよ」
律「やっぱりそうなのか。って、梓は何拗ねてるんだ?」
梓「す、拗ねてませんよ! 変なこと言わないでくださいっ」
澪「梓にはふれなかったみたいだな」
梓「 」
22: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/11(月) 02:10:16.96 ID:Bo//hsFw0
唯「でもムギちゃん凄いね~♪」
紬「そうかな? でもお誘いはお断りしてきたわ」
律「さすがにお嬢様はガードが固いか」
紬「そういうわけじゃなくて、もともと男の人に興味って湧かなくて」
唯「あ、ほらねー!」
澪「ば、ばか!」
紬「?」
23: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/11(月) 02:12:38.73 ID:Bo//hsFw0
律「さーて、今日はこの辺でお開きとしますかー」
唯「ん~飲んだねぇ! りっちゃん課長」
律「うぃー…ひぐ、明日は二日酔いに悩ませられるなぁ」
梓「何言ってるんですか?」
澪「ほっとけ」
紬「それじゃあ私こっちだから」
唯「また明日ねームギちゃん♪」
澪「私達もだ。ほら課長行くぞ」
律「それなんか言われて嬉しくねーな」
梓「唯先輩。それじゃあです」
唯「りっちゃん、澪ちゃん! あずにゃんもバイバイ~」
26: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/11(月) 02:17:05.51 ID:Bo//hsFw0
平沢家!
憂「お帰り~お姉ちゃん。今日はグラタンだよ」
唯「グラタン!やったぁ~」
憂「今日は遅かったね。部活?」
唯「ううん、ファミレス。あ、でもドリンクバーだけだよ」
憂「そ、そうだったんだ。じゃあ夕飯作ってて正解だったかな」
唯「うん~。いただきまーす♪ …ん!これとっても美味しいよぉ~憂」
憂「本当? 良かったぁ」
唯「うまうま…あ、そういえばねー憂聞いてよぉ」
憂「何かあったの?」
唯「実はムギちゃんが―――」
27: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/11(月) 02:18:56.93 ID:Bo//hsFw0
琴吹家!
斉藤「お帰りなさいませ。紬お嬢様」
紬「ただいま。斉藤…どうしたの斉藤? 目が泳いでいるわよ」
斉藤「お嬢様、失礼と存じて言わせていただきますが…眉を」
紬「ええ、剃ったわ。朝のうちから気づいてはいたでしょう? 言い出せなかったのかしら? 言っておくけどこれからもこの形のままでいかせてもらうから」
斉藤「そ、それは少々困ります。あの太く、凛々しい眉毛はもはや琴吹家の家紋同然。あの眉なくしてお嬢様は―――」
紬「そういうのはうんざりなの! 斉藤、私知ってるの。私の太かった眉毛が裏で馬鹿にされていたことを。色々聞いてきたわ、心が痛むほどに」
斉藤「何と!? …で、ですが」
紬「……分らず屋っ!」
斉藤「お、お嬢様っ」
28: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/11(月) 02:21:14.82 ID:Bo//hsFw0
斉藤「部屋に閉じ篭もられてしまったか」
メイド「困りましたね。ですが、お嬢様の言うことも分からなくもありません」
斉藤「うむ…しかし、あの眉は必要なものなのだ」
斉藤「説得してこれからも今まで通りにしていただくしか…」
メイド「あの様子だと言ったところで通じていただけるか難しいかと」
斉藤「…困った。 そもそもあの眉毛を馬鹿にする輩がどうかしているのだ。あのキュートなチャームポイントに」
メイド「独特ですから。流りになってみたりすれば少しは見方が変わるのでしょうかね」
斉藤「だから家紋同様だと言っておるだろうに……いや、待てよ。これは…良いかもしれん」
メイド「何か良いアイディアが?」
斉藤「ああ、ただし…琴吹家ご自身の力をお借りすることにはなるが。旦那様に相談してみよう。至急連絡を―――」
29: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/11(月) 02:23:39.57 ID:Bo//hsFw0
数週間後!
唯「ムギちゃんおはよー」
紬「おはよう唯ちゃん。あら、りっちゃんはまだなの?」
唯「そーなの。もうすぐホームルーム始まっちゃうのに」
紬「どうしたのかしら…あ、噂をすれば!」
唯「りっちゃーん! 遅かったね…って、あれ?りっちゃんでよかったよね?」
律「…あ、ああ。ちょっとカチューシャどっかにやっちゃったみたいでさ」
31: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/11(月) 02:26:06.96 ID:Bo//hsFw0
唯「へ~。…あ、ホントはちょっとイメージ変えてみたかったからじゃないのー?」
紬「やっぱり前髪をおろしていると女の子っぽく見えるわぁ」
律「それっていつもは男らしいってことかよ!?」
唯「えー、うん」
律「ばっさりだな…まぁ、いい。とにかくこれは仕方がなくやってんだからな、仕方がなく!」
紬「ずいぶんと念押しするのね」
32: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/11(月) 02:27:55.43 ID:Bo//hsFw0
梓「憂、純って今日お休み?」
憂「うん、そうみたいだよ。風邪かな?」
梓「理由聞いてないの?」
憂「メールで簡単に知らせてきたから」
梓「そっか、心配だね」
33: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/11(月) 02:29:42.67 ID:Bo//hsFw0
放課後!
澪「今日はお前のせいで遅刻しかけたんだからな」
律「根に持つなぁ…朝謝ったじゃねーか、仕方がないだろ」
唯「カチューシャのこと?」
澪「ああ、迎いに来てみたらまだごちゃごちゃやってたんだよ。まったく」
梓「ホント前髪おろしていると誰なのか見分けつけにくいですね」
紬「ちょっとね」
律「仕方がねーんだもん…」
34: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/11(月) 02:31:20.61 ID:Bo//hsFw0
梓「…何だか今日の律先輩は不調です」
唯「りっちゃんの元気の源はおでこなんだよ! おでこで日の光を浴びてりっちゃんパワーを取り込んで」
律「やめろ。それマジでやめてくれ」
澪(たしかに萎びてる)
紬「この調子なら今日も練習は無しかしら?」
梓「今日どころかここ最近ずっとですけどね」
35: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/11(月) 02:35:13.04 ID:Bo//hsFw0
澪「これじゃあ腕が落ちていく一方だぞ」
唯「まだ大丈夫だよ~」
澪「さぁ? どうだか」
唯「う、何だか心配になってきた…」
唯「それじゃあ今日ぐらいは練習やろっか!」
律「決定権は部長の私だろ」
澪「無理矢理でもなきゃやらないだろ? 多数決! はい、練習したい人ー」
梓「勿論です!」
紬「そろそろキーボードにも触れておきたいし」
唯「はーい」
澪「律、お前除いて全員は練習派だぞ?」
律「…わかったよ」
36: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/11(月) 02:37:58.83 ID:Bo//hsFw0
澪「それじゃあ一度全員で簡単に通してみるか」
唯・紬・梓「はーい!」
律「…んじゃあいくぞ。1・2・3」
―演奏終了!―
澪「おい律。リズムがでたらめだったぞ? 真面目にしろよな」
律「ごめん…」
澪「? 妙に素直だな」
梓「ていうか放心気味ですね」
唯「やっぱりおでこが出てないのが原因かもよっ。よーし! 前髪あげてみましょー」
律「え? ちょっ!? や、やめろ唯っ……あぁっ!」
澪・梓「なっ!?」
紬「!!!」
37: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/11(月) 02:40:41.84 ID:Bo//hsFw0
律「……見たな?」
梓「一体どうしたんです!? その眉毛は!」
澪「もしかして描いたのか?」
律「誰が好んでこんなになりたがんだよっ!」
唯「わぁ……あ、何だか前のムギちゃんの眉毛にソックリだね」
律・澪・紬・梓「!」
澪「言われてみれば」
梓「ですね。でも休日前のときは変わりなかったじゃないですか」
律「…昨日の朝鏡覗いたときにはもうこんなだった」
唯「剃って整えてくればよかったのに」
律「やったよっ。確かにやったんだ! 1時間も時間かけて…なのに、朝起きてみたらこのありさま。だから剃ってくる時間もなかったから今日は前髪おろして来たんだ」
39: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/11(月) 02:43:16.20 ID:Bo//hsFw0
澪「そんなばかな」
律「今日遅れてたのが証拠だ!」
梓「数日でそんなに伸びるものですかね? 本当はからかってるんじゃないですか?」
律「マジだ!」
唯「りっちゃん! ビックリ人間大賞に出られるよ!」
律「うるせぇっ! アホ!」
紬「……まさか、ね」
梓「先輩?」
41: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/11(月) 02:45:55.50 ID:Bo//hsFw0
平沢家
唯「憂~ただいま~。あれ?憂ー」
憂「お、お帰りお姉ちゃん」
唯「ただいまぁ。あ、憂も今帰ってきたんだね。おかえり~」
憂「うん。夕ご飯の材料買いに行ってたの」
唯「へー。ところでどうして急に帽子なんかかぶってるの?」
憂「あ、うん。ちょっとね」
唯「とんないの?」
憂「……笑わないでね?お姉ちゃん」
唯「…あ」
43: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/11(月) 02:49:47.00 ID:Bo//hsFw0
唯「やっぱり」
憂「え、知ってたの? この眉毛のこと」
唯「もしかしてそうなのかなぁって。実はりっちゃんも昨日から今の憂と同じ眉毛になってたらしいの」
憂「律さんも!? そんな……友達の純ちゃん、知ってるでしょ?」
憂「その純ちゃんがね、今日学校をお休みしたから放課後お見舞いに行ってみたの。そしたら…」
唯「純ちゃんの眉毛が?」
憂「…うん。理由を聞いてみたら純ちゃん、分からないって。ただ寝て起きたらこうなってたんだって。…それに剃っても剃っても暫くしたらまた生え揃っちゃうみたい」
唯「りっちゃんと同じだ! でも、それがどうして急に憂にも?」
憂「純ちゃんのお家から帰ってきて鏡を見たら……もう」
唯「憂…とにかく様子見てみよう? 変に触っておかしくなったら大変だし」
唯「それから憂、私は憂がどんなになったって笑ったりなんか絶対しないから。大丈夫だよ」
憂「お姉ちゃん…」
唯「でもそれはそれで結構可愛いよ!」
憂「お、お姉ちゃん…」
44: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/11(月) 02:52:03.63 ID:Bo//hsFw0
次の日!
澪「で、今日も変わらずか?」
律「あいかわらずゲジゲジしてますよー。…はぁ、なんだかな」
梓「でも律先輩ばっかりってわけでもないみたいですよ。私の学年で何人か眉毛がおかしくなったって人が出てきてます。それに」
唯「……」
紬「…憂ちゃんね」
梓「唯先輩、一人で考えたっていい案は浮かびませんよ?」
唯「…え!? あ、うん。ごめんねぇ」
45: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/11(月) 02:54:29.46 ID:Bo//hsFw0
律「ていうか、なんで眉毛ごときでこんなに悩まされなきゃいけないんだよ! だんだんアホらしく思えてきたぞ」
澪(最初にシリアスな雰囲気漂わせたのは誰だったよ?)
梓「結局この騒ぎって一体何なんでしょうね。ウイルス…なんてものとかじゃないとは思いますけど」
紬「りっちゃん。最近変わったこととかしたかな?」
律「変わったことって…いや、特にないと思うけど」
紬「よく思い出してみて。食べ物とか肌に塗るものとかでもいいから」
律「えー…うーん、あ……商店街で配ってたゼリー食ったりとかは?」
澪「ゼリー?」
46: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/11(月) 02:57:21.51 ID:Bo//hsFw0
律「ああ、何でも今度から新商品として売り出す予定の美肌を保つゼリーだとか言ってた」
澪「お、お前が美肌とか…ビックリしたぞ」
律「悪かったな! とりあえずタダなら貰っておこうと思って、帰りがてら食った。一口サイズだったからな」
唯「いいなぁ、まだ貰えたりするのかな?」
澪「唯はまず黙っていてくれ。で、それっていつの話だ?」
律「眉毛がこうなってから数えると…3日ぐらい前だな」
紬「わかったわ。ありがとうりっちゃん」
47: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/11(月) 03:02:17.73 ID:Bo//hsFw0
唯「でもゼリーが原因かはまだ分からないよね。……あずにゃん?」
梓「…唯先輩。実は、私もそのゼリー貰いました」
唯「えっ、もしかして」
梓「……美味しかったです」
澪「ばか。でもこれで梓にも同じことが起きたとしたら…」
紬「少なからずは確証は持つことができるわね」
梓「それって何だか私実験動物みたいじゃないですか!」
律「でもそれが原因だったとしてどうすりゃいいんだよ? 配ってた奴ら探し出して、さっさと直しやがれってか?」
澪「まぁ、ほっとけばいつのまに生えてこなくなるかもしれないしな。この際諦めて待ってたら――」
紬「ダメよそんなの!!」
唯「ムギちゃん?」
48: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/11(月) 03:06:04.32 ID:Bo//hsFw0
紬「ダメでもともと解決策を探してみた方がいいじゃない! そんな眉毛でずっと過ごすなんて御免でしょ!?」
律「お、落ち着けムギ。何もそこまで熱くならなくていいだろ…」
紬「あ……ごめんなさい。少し、頭冷やしてくるね…」
梓「ムギ先輩…」
澪「…最近様子がおかしかったな」
律「ああ」
唯「まさかムギちゃんのこと疑ってるの!?」
澪「違う、違う。そうじゃなくて、どうもムギのやつこの一件に何か思ってるみたいなんだ」
梓「問題の眉毛がムギ先輩の前のものとよく似ているからですか? そんな、ただの偶然です」
律「まぁな。でもあの言いようだと裏が見えなくもないだろ?」
唯「ムギちゃんが怒鳴るなんてあんまりないもんね…」
梓「だからって……ん?」
澪「どうしたあず……これでゼリーが怪しくなってきたな」
49: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/11(月) 03:07:56.45 ID:Bo//hsFw0
梓「な、何でです!? さっきトイレで見たときは普通だったんですよ!? それが今少し眉毛の辺りに違和感があると思ったら…」
律「まさか、いきなり生えてくるのか? あ、ありえねーだろ」
唯「おぉ…おおー!」
澪「こうなると他の眉毛被害者にも話を聞いてみるといいんじゃないか?」
律「だな。やっぱりムギの言うとおり解決策を探してみようぜ」
唯「りっちゃん、あずにゃん! それに、憂の為にもだねっ」
梓「あう…」
律「よっしゃあ! 放課後ティータイム探偵団ってとこだな!」
唯「わぁ…探偵かぁ!」
梓「何ですかこのノリは」
50: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/11(月) 03:09:52.95 ID:Bo//hsFw0
律「で、まずは手始めに憂ちゃんに聞き込みといこうか」
唯「そんなこともあろうかと呼び出しておきました!」
律「おぉ! いい働きだ唯くん!」
唯「いえいえ、りっちゃん先生!」
澪「そんな茶番はまず置いといてだ。さっそく来たみたいだぞ」
憂「失礼します。皆さんこんにちは」
梓「憂、眉毛隠さなくてホントに大丈夫なの?」
憂「うん、少し恥ずかしいのを我慢すればいいだけだから。ってあれ、梓ちゃん!?」
唯「ついさっきこうなっちゃったんだよ」
梓「…こんちくしょーです」
憂「えー…な、なんだか心配になってきちゃった…」
51: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/11(月) 03:13:09.97 ID:Bo//hsFw0
律「とりあえずてきとうに座ってくれ」
憂「あ、はい(…この人、律さんでいいんだよね?)」
澪「じゃあさっそく話を聞こうか。憂ちゃんは昨日から?」
憂「はい、家に帰ったときにはすでに」
唯「あのね憂! 憂は商店街で配ってた美味しい美肌ゼリー食べた!?」
憂「え?」
澪「落ち着け唯。憂ちゃん、最近商店街の方で無料でゼリーを配布しているらしいんだ。肌にいいとかって、憂ちゃんはそれを受け取らなかったかな?」
憂「ゼリー……あ、貰いました。 スーパーで」
律「スーパー? いろんな場所で配ってんのかよ。で、食べたのか?」
憂「ええ」
唯「え! 私に内緒でズルイよぉ」
憂「ああっ、ごめんねお姉ちゃん!お詫びに今日美味しいアイス買ってくるからねっ」
澪「で、食べたのは生えた日から数えると何日前かな?(…相変わらずのシスコンっぷり)」
52: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/11(月) 03:15:16.09 ID:Bo//hsFw0
憂「えっと…詳しくは覚えていないですけど、たぶん2、3日前」
律「私と時期が近いな。そういや梓はどうなんだ?」
梓「昨日です」
律「早くね!?」
梓「だから驚いてるんですよっ」
唯「いまのとこはゼリー食べてるのはみんな共通だね」
律「だな。この調子で他にもあたっていくか」
澪「でも確定だとはまだ言い切れないな。もしかすれば原因が他にも見つかるかもしれないし」
律「それ全部探ってくと埒があかねーって。とりあえず今分かってることで何とか調べてみようぜ」
唯「それじゃあ聞き込み開始だね!」
澪「ああ。……そういえばムギ遅いな」
53: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/11(月) 03:17:39.05 ID:Bo//hsFw0
数時間後!
澪「やっぱりゼリーが怪しいな」
梓「聞いた人ほぼ全員が当てはまりましたね」
律「ゼリーの容器、捨ててないやつらから念の為貰ってきてみたんだけど」
唯「こんにゃくゼリーぐらいの大きさだね」
澪「どこかにゼリーに含む成分とか書いてないのか?」
律「書いてあるにはあるんだけどさぁ…誰か虫メガネとかもってね?」
梓「妙に細かくて読みずらいですね。でも読めたところで私達に何か分かります?」
澪「確かめておくだけでも違うだろ」
唯「食べるだけで眉毛がのびてくるなんてよく考えると凄いねー…」
律「これ配った奴はもっと別のところの毛が生えるものを作った方がいいよな絶対」
唯「頭の上が寂しい人達に大ヒット! わぉ!」
澪「それはまずいいから」
54: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/11(月) 03:20:08.99 ID:Bo//hsFw0
梓「で、どうするんです? 実際に配ってる人達を探して聞いてみます?」
律「最近眉毛が数日で異常に太くなってしまいました。さらに剃っても剃っても生えてきます。思い当たるフシがもらったゼリーなのですがってか?」
澪「本当の原因が分からないんだし、いきなり食って掛かるわけにもいかないからな。そう聞くしかないとは思う」
梓「でもこのゼリーが本当に眉毛を太くする効力を持っていたとしたらなんで無差別に配っていたりしていたんでしょうね?それとも効果が分かっていないで配ったんでしょうか?」
澪「どっちの場合でも色々とまずいけどな。後者だとしたら酷いな…ある意味人体実験……ひぃ」
律「そう考えると眉毛だけですんだことは喜んでいいのやら…」
梓「なんとも言えないですね」
唯「じゃあそのままでも」
律・梓「よくない」
55: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/11(月) 03:23:28.33 ID:Bo//hsFw0
律「とりあえず商店街に来てみたのはいいけど」
唯「それらしい人、見当たらないね」
律「いま澪達が他の場所を探してるけど……お、戻ってきた」
梓「そっちはどうでした?」
唯「ううん。ってことはそっちも?」
澪「ああ、いなかった」
律「ここら辺りに限らずに配ってたりしてるんじゃねーか?」
澪「さぁ…でも手探りで探していても見つかるかどうか…」
唯「そうだねぇ…あれ? あそこで誰かと話してるのってムギちゃんだよね?」
56: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/11(月) 03:24:46.43 ID:Bo//hsFw0
梓「みたいですね。誰と話してるんですかね?」
澪「あの人…あの人の足元にあるダンボールの中身って」
律「ゼリー!」
唯「それじゃあさっそく聞きにいこっ!」
律「待った。ここはいったん隠れて向こうの話に聞き耳立ててみようぜ」
澪「盗み聞きはあんまり好きじゃないけども…」
梓「ムギ先輩少し怒ってるように見えますね
57: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/11(月) 03:26:51.42 ID:Bo//hsFw0
紬「言いなさい。誰の命令で動いているの」
女「……いくらお嬢様から訊かれようとも話すわけには…」
紬「いい? これは質問ではないの。命令よ。勘違いしないで頂戴」
女「う…で、ですが」
紬「ああっ! じれったいわね! 既に琴吹家が絡んでいることは分かっているのよ。なんのつもりでこんな馬鹿げたことをしたのかはさっぱりだけど…。…貴女、上から私へは口止めを命じられているのね?」
女「……」
紬「…それなら貴女を私が買うまでね」
女「!? ば、買収する気ですかっ」
58: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/11(月) 03:28:22.27 ID:Bo//hsFw0
律「…おいおい、なんだか物騒な言葉が聞こえたぞ」
梓「何者ですかあの人っ」
唯「なんかカッコいいね~」
澪「ていうかムギの家が絡んでいるのか? どうりで様子が…」
梓「最初から知ってたんですかね?」
澪「どうだろうな」
律「そろそろ出て行ってみるか」
唯「わくわく! わくわく!」
梓「先輩…」
60: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/11(月) 03:32:40.79 ID:Bo//hsFw0
紬「さぁ、どうされたいのかしら?」
女「うぅ…」
唯「ムーギーちゃん!」
紬「え、ゆ、唯ちゃん!? それにみんなも」
律「よー!何の話してたんだ?」
紬「…あ、その……」
女「……っ!!」
唯「あ、逃げちゃったよ!」
紬「え!? ま、待ちなさ……まぁ、いいわ…」
澪「話、聞かせてもらえるかムギ?」
紬「…実は―――」
61: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/11(月) 03:35:33.68 ID:Bo//hsFw0
梓「ってことはある程度最初から自分の家を疑っていたんですね?」
紬「もしかして、ってね。でも今問い詰めたことで確信を持つことはできたわ」
澪「ムギって結構行動力あるよな」
律「唯、ちょっと分けてもらえよ」
唯「ぶー! 練習しようとしないりっちゃんから言われたくないよぉ」
梓「どっちもどっちです」
澪「でもまぁ、まさかムギの家が絡んでいたとはな」
紬「本当にごめんなさい…謝っても謝りきれないわ」
62: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/11(月) 03:37:10.93 ID:Bo//hsFw0
律「大丈夫だよ。ムギは悪くねーんだしさ!」
唯「ムギちゃん」
紬「え?」
唯「ダメだよ一人で何とかしようだなんて思っちゃ。困ったときはみんなで一緒になんだからね! 私達みんなで放課後ティータイムなんだから」
梓「です」
澪「その通り」
律「わかったかムギ? わかったならもっと私達に頼れよな!」
紬「みんな……うん!ありがとうっ」
64: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/11(月) 03:39:47.88 ID:Bo//hsFw0
律「さーて、これからどうしようか?」
澪「戻してくださいと言って素直に聞き入れてくれるかどうかだな」
梓「ていうかこんなことして何を企んでるんでしょうか…」
唯「はっ、まさか世界征服を!?」
律「世界規模で広げるのかこれ」
紬「理由はまだ分からないわ。でもうちの家はそんな物騒なことはしない…と願いたいのだけれど」
澪「いきなりそんな変なことをし始めるってのもあれだしな」
紬「私の予想だとこれ以上は被害が広がることはないとは思う」
律「もともと小規模で終わらせる気だったってことか?」
紬「おそらくね」
65: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/11(月) 03:41:54.47 ID:Bo//hsFw0
澪「ホントなんだってこんなことを」
唯「いやがらせって感じでもなさそうだよねぇ。太い眉毛を色んな人に広めようとしたー…とか?」
梓「それ新しい宗教か何かですか」
紬「……みんな、私の家に行きましょう。直接問い詰めた方がきっと早いわ」
律「大丈夫なのか? さっきの様子だとムギに対して口止めされてるんだろ?」
紬「どんなことをしてでも吐かせるわ。こんな馬鹿なことしていたんですもの」
澪(…勇ましい)
66: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/11(月) 03:44:20.88 ID:Bo//hsFw0
琴吹家!
紬「斉藤。今日はお友達を連れてきたの」
唯「うはー……すっごーい! もの凄い豪邸だよあずにゃんっ」
梓「こ、これほどとは」
律「梓がもっと小さく見えるな」
梓「にゃあーーーっ!!」
澪「こんなときでものん気だよなぁお前ら…」
斉藤『…すぐに門を開け、迎えの者を向かわせます』
紬「ええ、ありがとう」
律「い、いちいちインターホンで呼び出すのか」
メイド「お帰りなさいませお嬢様。皆様ようこそいらっしゃいました。さぁ、こちらへ」
唯「め、メイドさんだよ澪ちゃん! ほら、メイドさん!」
澪「なんで私にそんなにプッシュするんだよ!」
律「メイドっつったら澪だからな」
梓(ああ、似合いそう)
紬「……」
68: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/11(月) 03:46:24.37 ID:Bo//hsFw0
斉藤「ようこそいらっしゃいました。どうぞごゆっくりとおくつろぎ下さいませ」
律「いっ、いえいえ! どうぞお構いなく…」
澪「き、緊張してきた」
紬「硬くならなくていいわ澪ちゃん。それより斉藤、お茶とお菓子を運んできてくれた後でいいから少しあなたと私達でお話がしたいのだけれども」
斉藤「……ええ、構いません。少々お待ち下さいませ」
律「…行ったな。遂にか……斉藤さん、話してくれんのかな」
澪「少し…怖そうだな」
紬「不愛想なのは元々なの、仕方がないわ」
唯「執事? ねぇねぇ、あの人執事なのかなぁ!」
梓「唯先輩はもう少し緊張感持ちましょうよ…」
69: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/11(月) 03:49:19.50 ID:Bo//hsFw0
斉藤「お茶と菓子の方をお持ちに参りました」
紬「ありがとう」
澪・律「……」
唯「わぁー…わはぁ♪ 美味しそうだねぇっ」
梓「……はぁ」
紬「お茶の準備は終えたわね? さぁ、そこに掛けて。斉藤」
斉藤「では、失礼して……それで、お話の方とは?」
澪「あの、まずは見てもらいたいものがあるんですけど」
70: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/11(月) 03:51:52.42 ID:Bo//hsFw0
斉藤「これは…何かの容器でしょうか? 小さめの」
律「見覚えないですか?」
斉藤「はて、今日初めてお目にかかりました」
律「本当に、ですか」
斉藤「ええ」
紬「斉藤、この容器にはゼリーが入っていたの。お肌にとても良い効果をもたらすとか…。
いま商店街で無料で配布してるそうなのよ」
斉藤「左様ですか。では…お嬢様方はそのゼリーに興味をお持ちで?」
梓「興味というか」
紬「いい加減にして斉藤! 白々しい!」
唯「はぅっ!?」
72: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/11(月) 03:54:10.47 ID:Bo//hsFw0
一同「……」
紬「斉藤? 口では嘘をつけてもちょっとした挙動で私にはあなたが分かってしまうのよ。何年一緒にいたと思っているの?」
斉藤「ご冗談を」
唯「目」
澪「唯?」
唯「目がよく上を向いてたね。チラチラって」
斉藤「……」
紬「嘘を考えるときの癖よね、斉藤? 昔から変わりないのね」
紬「容器が出てきてからよく目が動いていたわねぇ」
律「じゃあ…」
紬「ええ、知らないはずがないわ。さっき商店街でゼリーをくばっていた女の人、私の家のメイドの一人ですもの…。それどころか配っていたのは殆どが斉藤の下の者達。知らないはずがないでしょう? それともあなたには内緒だったのかしら?」
斉藤「……弱りましたな」
澪・律・梓「!(…あ、あっさりだ)」
74: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/11(月) 03:58:03.42 ID:Bo//hsFw0
斉藤「これ以上隠していたところでいつかはお嬢様が力ずくで調べ上げますでしょう…。それにしても流石は紬お嬢様」
紬「そんなことはまずいいから、早くこんなことをした理由を教えなさい」
梓「それからこの眉毛をどうにかしてほしいですっ」
律「ああ」
斉藤「…理由ですか、簡単なこと。お嬢様、これはお嬢様の為に行なったことなのです」
紬「なんですって!? 私はこんなこと望んでいない!」
斉藤「…話を突然曲げるようで申し訳ありませんが、お嬢様。眉毛の方は元に戻す気になっていただけましたか?」
紬「っ…そうする気はないってこの前言ったわよね……」
77: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/11(月) 04:00:10.53 ID:Bo//hsFw0
斉藤「決心はお堅いようで。お嬢様は私にこのようなことを言われましたね。゛裏で私の太い眉毛を馬鹿にされている゛と…私はそのように影でこそこそと悪口を言う輩がいまだに理解できませんよ」
紬「あ……」
澪「ムギお前…。だから急に眉毛を…」
律「どうして相談してくれなかったんだよ! そんなこと分かってれば私がすぐにそんな腐った奴らをギッタンギッタンにしてやったのに!」
梓「某ガキ大将みたいですね」
唯「?」
紬「りっちゃん…」
斉藤「良きお友達がいらっしゃるようで…。話を戻すと、私はあることを思いつきました。皆が同じ様な眉毛ならば何か言われることはないのではないか、と」
澪「…結構思いっきった発想ですね」
78: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/11(月) 04:02:09.53 ID:Bo//hsFw0
梓「一本の木を隠すには森の中ってやつですね」
澪「いや、この場合違うだろそれ」
斉藤「……この案を考えつき、すぐに旦那様へ相談をいたしました」
紬「お父様が許したの?」
斉藤「琴吹家の者としてあの眉毛はなくてはならないもの。お前の好きにするが良い、と。すぐに私は知り合いの医大学教授、薬剤師達と共に例のゼリーの開発を極秘で計画し、何とか作り上げることに成功しました」
澪「…(地味に大掛かりだな)」
斉藤「その後は皆様の知っての通りでございます。食べてから効果が現れる速さは個人差らしいですが」
律「成る程。って勿論もとに戻す薬とか作ってますよね!?」
梓「そ、そうですっ」
唯「憂の為にもなんとかしてもらわなきゃ!」
斉藤「こんなこともあろうかと専用の脱毛クリームもございます」
律「それ眉毛が全部抜けるなんてオチじゃないよな…」
斉藤「心配はございません」
紬「…………斉藤。私のことを思ってやってくれたことは感謝するわ。でも、他の人へ迷惑をかけるのはよくない」
斉藤「……」
79: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/11(月) 04:04:29.75 ID:Bo//hsFw0
紬「でも……これは私の身勝手な我儘が全ての原因だったのね…」
斉藤「! いえっ、これは私が独断で行なったこと。お嬢様が責任を感じることは万に一つございません!」
紬「そんなことないわ!」
唯「両者一向に譲りません」
律「おい、ここは空気読んどけ」
唯「だ、だって…」
紬「…もうやめにしましょうか斉藤」
斉藤「紬お嬢様…」
紬「眉毛は元に戻すわ。今までどおり」
「!!」
80: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/11(月) 04:07:25.97 ID:Bo//hsFw0
澪「本当に!?」
律「無理して言ってるんじゃないだろうな?」
斉藤「…よろしいのですか?」
紬「ええ。それに実を言うと…眉毛を剃ってからここ最近男の人によく声をかけられるようになってしまって少しウンザリしてきていたの。それに」
梓(なにそれ)
紬「それに…何だか落ち着かなくて。いつもの私じゃなくなっていくようでちょっぴり不安だった」
紬「私にはやっぱりもとの眉毛が一番だったんじゃないかって、思えてきたの」
唯「ムギちゃん…」
斉藤「しかし、また陰で何か言われたりなどしたら…」
81: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/11(月) 04:08:28.26 ID:Bo//hsFw0
紬「大丈夫。もう一人で悩まないから。つらいときはこの軽音部のみんなに遠慮しないで助けてもらうわ。…って図々しいこと言っちゃったけど……」
律「図々しくねーよ。さっきも言ったろ? 頼っていいってさ」
唯「そーそー」
梓「はい」
澪「こういうときばっかりは良い事言うよなバカ律は」
律「わりぃかよ」
澪「あはは」
斉藤「…………」
84: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/11(月) 04:11:27.79 ID:Bo//hsFw0
唯「あれ、斉藤さん泣いてるの?」
斉藤「…いけませんな。歳を取るたびにどうも涙腺が緩まってきて…」
紬「斉藤…」
斉藤「紬お嬢様。この方々は本当に良きご友人達でいらっしゃる。羨ましい限りでございます」
律「いやーそれほどでも」
梓「こういう切り替えはいつも早いですよね」
斉藤「いつまでも、いつまでもご友人を大切になさってくださいませ。皆様も紬お嬢様のことを何とぞ…どうか宜しくお願いいたします」
紬「さ、斉藤! 恥ずかしいわっ、頭を上げて」
唯「あはっ、よかったねムギちゃん」
85: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/11(月) 04:13:19.96 ID:Bo//hsFw0
唯「とりあえずこれで一件落着ってことなのかなぁ?」
澪「大体はな。後は眉毛だけってところか」
律「長かったようで短かったような…」
梓「事件にしてもけっこうあっさり終わりましたしね」
澪「所詮大事になるようなことでもなかったわけだしな。いつものんびりしていた私達には丁度いい刺激になったんじゃないか?」
梓「こういう労力は練習につぎ込みましょうよ」
澪「まぁな」
紬「ふふふ」
86: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/11(月) 04:15:10.84 ID:Bo//hsFw0
その後!
律「いやー、やっぱ前髪あげるとスッキリだな」
梓「久々に見ました。そのおでこ」
唯「輝いてるねぇ~う、眩しい」
律「ぬはははぁーー! 田井中律フラッシュ!」
澪「バカ。 ところでムギ、斉藤さんはあれからどうしているんだ?」
紬「ええ、ゼリーを配った人達を探して謝罪と脱毛クリームを渡しているわ。配った人数が幸いにも多くなかったことが助かったわねぇ」
88: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/11(月) 04:17:12.99 ID:Bo//hsFw0
澪「そっか。これで本当に一件落着ってとこだな」
律「まーな。あれ、ムギお前の眉毛…」
梓「もう元通りですか!?」
紬「私、毛がのびるのが早めなのよー」
澪「いくらなんでも早すぎだろ!」
紬「うふふ、冗談よ。実はあのゼリーを食べたの。今日の朝には元通りだったわ」
律「あいかわらずの効果だなぁ…」
唯「ムギちゃん復活だね」
澪「何だかんだいってやっぱりこれが一番落ち着くな」
梓「妙な安心感があります」
紬「そーおー?」
唯「やっぱりいつものムギちゃんだぁ~! おかえりムギちゃん!」
紬「ふふ、ただいま♪」
おわり!
92: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/11(月) 04:23:57.66 ID:Bo//hsFw0
何とか終わらせたが、中盤から結構無理矢理話つくっちゃったよ…
とりあえず遅くまで見てくれてありがとうございました!
ムギかわいいよムギ
唯「まゆげ!」