SS速報VIP:純「おぉ!スミーレ」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1308845720/1: 1 2011/06/24(金) 01:15:20.87 ID:3ODe6yhf0
部室!
菫「1、2、3、4……今日は奥田さんが来れないからコレで良しっと」
バタン!
純「おぉ!スミーレ!」バッ
菫「あ、おはようございます」
純「君の美しさはまるで月の夜湖に浮かぶ白鳥の様!」
菫「……はい?」
________
純→菫 半コメディ半シリアスです。
書き溜めを確認・修正しながらの書き込みとなります。
部室の構成はアニメ版に準拠しております。
温かい目で見ていただければありがたいです。
2: 1 2011/06/24(金) 01:17:25.40 ID:3ODe6yhf0
梓「菫、おはよー」
菫「お、おはようございます」
梓「ふぅ」ストン
菫「お茶お淹れしますね」
梓「うん。ありがと」
純「そう!その姿に僕は!って二人して無視!?」ガーン
梓「あ、純居たんだ」
純「教室からここまで一緒に来たじゃん!スルーの仕方が斜め上過ぎるよ!?」
菫「あはは……純先輩もどうぞ」カチャカチャ
純「ありがと。折角スミーレに愛の告白をしようとしたのにスルーだもんなぁ」ズズー
菫「あ、愛!?」
梓「菫も純の冗談に付き合わなくて良いよ。面倒臭いでしょ」フーフー
純「何だとー!そんな事ないよね?スミーレ」
菫「はい!えぇーと、ありがとうございます?」
純「スミーレってば可愛いなぁもう!」ナデナデ
菫「そ、そんな事ないですよ」テレテレ
梓「は~いはい」フーフー
菫「あ、そういえば憂先輩は?」
純「そうだった言うの忘れてた。今日は来れないんだ」
梓「唯先輩と用事が有るんだって」
菫「そうなんですか……」
梓「もしかして、憂の分も用意しちゃった?」
菫「はい。でも」
純「じゃあ憂の分も私も~らい」
菫「そんな、無理していただかなくても」
純「お茶の一杯位なんて事ないよ」
梓「どうせ飲むなって言ったって何杯もおかわりするんだから、純は」フーフー
純「それに私、スミーレのお茶なら何ガロンでもイケるよ?」ゴクゴク
菫「あ、ありがとうございます」
梓「いや、ガロン単位でお茶しないでよ」
純「え~良いじゃん。スミーレおかわり!」
菫「はい、ただいま」
梓「早っ」
純「私はあずにゃんと違って猫舌じゃにゃいからにゃ~」
梓「なっ!私だって飲めるもん!」ゴクゴク
純「あぁもう、そんな飲み方したら」
梓「熱っ!?」ガタン
純「ほら言わんこっちゃない」ヤレヤレ
菫「大丈夫ですか?」
純「だ~いじょぶだいじょぶ」
梓「う~」フーフー
純「我が愛しのスミーレが折角淹れてくれてるんだから、もっと味わって飲んでよ」ズズー
梓「がぶ飲みしてる奴に言われたくない」ズズー
菫「あの、良ければクッキーもどうぞ」スッ
純「おっ、気が利くねぇ。流石私の嫁、偉い!」
梓「遂に嫁扱いしちゃってるよ……」
菫「そんな、恐縮です。お口に合えば良いのですが……」
梓「菫も否定しなよ。純が調子に乗っちゃうから」
純「こんな可愛い子に薦められたモノが美味しくない訳がない。よーし、それじゃあ」
梓「『憂の分もも~らい』とか言って二枚取りしたりしないでよ」ヒョイパク
純「ちっ、バレてたか。ならば仕方ない!……普通に取ろう」ヒョイパク
梓「そうしなよ。ん、美味しいよコレ」モグモグ
純「ホントだ、美味しい美味しい」モグモグ
菫「良かった……」ホッ
梓「そんなに?こんなに美味しいのに」モグモグ
菫「はい。まぁ……」
純「いやいや、全然美味しいよコレ。何てお店の?」ヒョイパク
菫「いえ、それは私が」
純「え?」
梓「もしかして、菫の手作り?」モグモグ
菫「……はい」オズオズ
純「マジで!?」ガタン
菫「は、はい……」
純「へ~、は~、ほ~、ふ~ん……」マジマジ
梓「そうなんだ」マジマジ
菫「あの……お気に召しませんでしたか?」
梓「いやいや、違うよ。ねぇ?」
純「うん。正直こんなに美味しいクッキーが手作りだったとは思わなくて」ヒョイパク
梓「そ。素直に驚いちゃった」
菫「え~っと……ありがとうございます」テレテレ
純「照れちゃってか~わい~」ツンツン
菫「やっ、やめて下さいよ~」
純「よ~し、じゃじゃじゃじゃじゃあ!」
梓「じゃあが多いって」
純「そんなスミーレ嬢に感謝を込めて、……お茶を淹れよう」
菫「へ?いや、先輩のお手を煩わせる訳には」
純「まぁまぁ座って座って」ズズイ
菫「はぁ」ストン
純「えっと、コレでいいんだよね?」
菫「はい。そうですけど……」
純「で、ミルクがこれで……これが……これはなんだ?」カチャカチャ
菫「あの、やっぱり自分で」
純「い~の!スミーレはゆっくりしてて」カチャカチャ
菫「はい。……大丈夫でしょうか?」
梓「菫がお茶淹れるの良く見てるし、大丈夫だよ」
菫「だと良いんですが……」
梓「……多分」
菫「多分!?」
純「こら!私の嫁を不安がらせないの!」
梓「純がそんな事し出すから不安なんだよ」
純「お待たせ致しました菫お嬢様」カチャカチャ
菫「お嬢様……そう呼ばれるのって何だか新鮮です」
純「こちら、ダージリンのオータムナルで御座います」スッ
梓「何それ?」
純「さぁ?」
梓「さぁ?って……」
菫「今日はアッサムのファーストフラッシュですよ?」
純「へぇ、そうなんだ。じゃあソレでございます」カチャカチャ
梓「適当過ぎでしょ」ハァ
純「自分でも言ってて訳分かんないもん」
菫「あはは……専門用語なんてそんなモノですよね」
純「そうそう。『オータムナルって……何?』って思いながら読んでた」
梓「また漫画?」
純「え?あぁうん。執事喫茶の」
菫「執事喫茶?」
純「メイド喫茶の男性版のお店」
菫「はぁ~、そんなの有るんですか」
純「なんかお店によっちゃ完全予約制とかも有るらしいよ?行った事無いけど」
菫「へぇ~」
梓「ドラマの題材にもなったりしてたからそれなりに有名なんじゃないかな?」
菫「ほぉ~」
純「まぁそんな所行く位ならココでスミーレにメイド服着せてお茶入れて貰った方が良いしね」
梓「いや、部室なんだから練習しに来てよ」ハァ
純「手にそんな物持ちながら言われても~」ニヤニヤ
梓「にゃっ!?……ティータイムも大事だから良いの!メリハリつけようって話!」
純「は~いはい。取り敢えずスミーレ、飲んでみてよ」ズィ
菫「はい!」カチャカチャ
梓「横に菫が淹れたのも置いとくね」ズィ
純「なんでよ」
梓「口直しが必要だろうし」
純「なにをー!絶対美味しいって!絶対何処の紅茶より美味しいと思うもん」
梓「何その自信」
菫「まぁまぁ……、ではいただきます」カチャカチャ
純「グイッと行っちゃって!」
菫「ん、……美味しい」
梓「え?ホントに?」
純「ほら!ほら!どうよ梓!」
梓「菫もズバッと言っちゃって良いんだよ?」
菫「いえ、お世辞とかじゃなくて本当に」
純「見たか私の実力!」
梓「信じられないなぁ」
純「むぅ。そこまで言うなら梓にも淹れてあげるよ」カチャカチャ
梓「え~、まぁじゃあ」
純「よ~し見てろ~、目にもの見せてやる」カチャカチャ
梓「なんか怖いな」
菫「美味しいですから、そんな不安がらずに。……あ、出来たみたいですよ」
純「……あずにゃんですね?」
梓「……まぁそうですけど」
純「おめぇはただのお湯」
スパーン!
純「……ちょっとした冗談じゃない」ヒリヒリ
梓「ホントにお湯じゃん」
純「こうやって一回カップを温めてるの。冷たいカップに淹れると温度差で風味が飛んじゃうんだから」ザー
梓「へ~、そうなんだ」
純「まぁ今思い付いた事言ってみただけなんだけど」カチャカチャ
梓「口からデマカセか!」
純「……あずにゃんですね?」
梓「いや、その下りはもう良いから」
純「ちぇ~。はいどうぞ」カチャカチャ
梓「はいどうも……菫震えてるよ?」
純「どしたの?」
菫「いえ……、お二人が突然漫才を始めたものですから……」プルプル
梓「純が勝手にやってるだけだよ」フーフー
純「梓だって乗ってるくせに」
梓「乗ってない」フーフー
純「寂しいねぇ~。ままま、グィッと」
梓「まだ熱いよ……」チビチビ
純「どうよ?」
梓「ホントだ。普通に美味しい」
純「おいしい?うまい?」
梓「うん、うまい」
純「うまい!テーレッテレー!」
スパーン!
純「え?なんで叩かれたの?」ヒリヒリ
梓「なんか言わされたのがムカつく」フーフー
純「何それ理不尽」
菫「クフフ……」プルプル
梓「あぁもう必死でこらえてるよ」フーフー
純「普通に笑ってくれて良いのにねぇ」
梓「別に笑わせるためにやってるんじゃないから」チビチビ
菫「フフフ……ふぅ」
純「あずにゃんですね?」キリッ
菫「ウフッ!……」プルプル
梓「止めたげなって」ベシ
純「もう何でも笑ってくれそうだね」ヒョイパク
菫「はぁ~……」
梓「あずにゃんですね?」キリッ
純「ブフッ!」
菫「もう駄目……アハハハハハハ!」
純「自分で言うなよ!アハハハハハハ!」バタバタ
梓「言っといて何だけどちょっと恥ずかしい」ズズー
純「あ~アハハ……もう良いや。満足」フゥ
菫「お腹痛い……」ハァハァ
梓「っていうか何?今の」
純「梓まだ見てないの?伝説のローカル番組だよ。今新作やっててさ、再びマイブームなのよ」
梓「あぁ~、前に純が薦めてきた奴」
純「そうそう。本当はお湯じゃ無くて氷なんだけど」
梓「何だっけ?『天パが面白いから見てみて』とか言ってたっけ」
純「違う!いや合ってるけど違う!」
梓「まぁ天パだもんね」
純「よ~し、今アンタは全国二千万人の天パの人々を敵に回した」
梓「冗談だって。そんなに怒らないでよ、ゴメンって」
菫「二千万……そんなに居るんですか?」
純「いや、そこは勢いで出した数字なんだけど」
梓「そういえばムギ先輩も『雨の日は大変』って言ってたなぁ」
純「あの人のはくせっ毛でしょ?私の髪とじゃ比べ物にならないよ」
菫「でも私は純先輩の髪型も好きですよ?先輩らしくて」
純「うぇ……?」カァ
梓「何赤くなってんの」
純「ちょっとちょっとお聞きになりました奥さん!私の事好きですってよ!」ヒソヒソ
梓「誰が奥さんよ」
純「いやだってそんな、まだ心の準備が」ヒソヒソ
梓「あぁもう……。ねぇ菫、純の髪型可愛い?」
菫「え?はい、可愛らしいと思いますよ」
梓「だってさ」
純「そんな可愛いだなんて、スミーレには負けるよもう!」バンバン
梓「だから髪だって、ちょっ、痛い痛い!せめて机を叩いてよ」
純「机叩いたりしたらスミーレのお茶とクッキーが危ないでしょ」ヤレヤレ
梓「え?私クッキー以下?」
菫「そんな事無いですよ」
純「先輩のフォローも欠かさないスミーレマジ素敵」
菫「純先輩も素敵ですよ?」ニコ
純「ちょっ……ちょっと奥さん何なのあの子!?私を萌え殺す気!?」ヒソヒソバンバン
梓「だから誰が奥さんよ、って痛いって!」
純「いやもう何だろ、変な汗出て来た」フゥ
梓「はいはい。もうさっさと付き合っちゃいなよ面倒臭い」
純「はぁ!?ななな何言ってんのアンタ!」カァァ
梓「ねぇ菫」
菫「はい、何でしょう」
梓「純の事好き?」
菫「はい。いつも冗談で楽しませてくれますし、一緒にいて楽しいですよ」
純「ちょっと梓!菫も本人の前でそんな事言わない!」カァァ
菫「は、はい!」
梓「純?」ガシっ
純「なによ?」
梓「この際でしょ?聞いとこうよ」ヒソヒソ
純「何の話!?っていうか何も今聞く事ないじゃん!」ヒソヒソ
梓「じゃあ純が居ないタイミングで勝手に聞かれるのと今聞くのどっちが良い?」ヒソヒソ
純「何で梓が聞く前提なのよ!」ヒソヒソ
梓「話の流れで丁度良いじゃん。……知りたくないの?」ヒソヒソ
純「う……あ~……知りたい」
梓「よし!」
菫「あの、先輩?」
梓「あぁ、ゴメンね?純って褒められたりするの苦手だからさ」
菫「はぁ、そうなんですか」
純「うん、まぁ」カァァ
梓「折角だし、馴れるためにも色々言ってあげてよ」
菫「はい、わかりました」
梓「えと、何の話だったっけ?そうだ、純の事好きって話だったよね?」
純「え!?」
梓「なに?」
純「あ、あぁ……そうだったね。勘違いしちゃった」
梓「緊張しすぎだよ純。まぁ良いや、一緒にいて楽しい、だったよね?」
菫「そうですね。今日も嫁とか言われて驚きましたけど、いつもの冗談だし楽しもうって思って」
梓「え?」
純「へ?」
菫「え?今日は私が純先輩のお嫁さんっていう流れなんですよね?」
純「いや、その、えぇ~……」
梓「あぁ、そうゆう流れ……流れね……」
菫「でも、こんな冗談ばっかり言ってたら人によっては勘違いしちゃいますよ?」
梓「そうだね。……菫は勘違いしなかった?」
菫「だって、最初に梓先輩が冗談だって……」
梓「え?……あ、私言った」
純「あぁずさぁー!」ガァ
梓「ひぃ!」
菫「え?え?」
純「何それ!私ただのバカじゃん!何してくれちゃってんの!?」
梓「いや、だってまさか、ねぇ?」アセアセ
菫「え?どうゆう事ですか?」
純「だから私がスミーレをっていや何でもない!」
菫「はい?」キョトン
純「え、いや、あの、ね?」アセアセ
菫「私何かしちゃいましたか?」
純「違うの、ただね、あの……」カァァ
梓「純、もう言っちゃおうよ改めてさ」
純「……改めてなんて言えるかー!」ダッ
梓「ちょっと!」
ダダダダダ ガチャ バタン!
梓「待ちなって純!あぁもう!」
菫「あの、話が読めないんですけど……」
梓「あぁゴメン。菫は気にしなくて良いから」
菫「そう言われましても……」
梓「ちょっと追いかけるね。菫も今日は帰っちゃって良いから。ほんとゴメンね」イソイソ
菫「は、はぁ……」
梓「じゃね。お茶ありがと。また明日ね!」
菫「はい、お疲れさまでした」
タタタ ガチャ バタン
菫「一体何なんだろ……」
ガチャ
菫「あ、おかえりなさい」
さわ子「ただいま~って私達は夫婦か!」
菫「あ、先生でしたか」
さわ子「こんにちは菫ちゃん。他の子は?」
菫「え~っと、皆さん帰っちゃいました」
さわ子「え?もう?」
菫「あ、元々純先輩と梓先輩のお二人だったんですけど……えっと……」
さわ子「ん?どうしたの?」
菫「……先生、さっきの夫婦って、冗談ですよね?」
さわ子「当たり前じゃないの。なに?それとも本気にしたいの?」
菫「いえ、そういう事では無いです」
さわ子「即否定も辛いわね……」
菫「あ!先生が嫌いって事じゃ無いですよ!ただ……」
さわ子「ありがと。ただ?」
菫「純先輩もさっき『スミーレは私の嫁だ!』って言ってまして」
さわ子「へぇ。遂に?」
菫「遂に?」
さわ子「へ?あ。あぁ、何でもない」
菫「で、ですね」
さわ子「菫ちゃん、話長くなる?」
菫「え?どうでしょう……私にもよく分からなくて」
さわ子「取り敢えず立ち話もなんだから、座ってゆっくり落ち着いて話しましょ?」
菫「あ、そうですね。すみません気が回らず……」
さわ子「良いのよ。お茶淹れて貰って良い?」
菫「はい、ただいま」
さわ子「クッキー貰うわね」ヒョイパク
菫「どうぞ」カチャカチャ
さわ子「うん、美味しいわねコレ」モグモグ
菫「ありがとうございます」カチャカチャ
さわ子「ありがとうございますって、もしかして手作り?」ヒョイパク
菫「はい。お気に召していただけたなら光栄です」カチャカチャ
さわ子「ふ~ん。こりゃ純ちゃんも嫁に欲しがるわけだ」モグモグ
ガチャン!
さわ子「ちょっと、大丈夫!?」
菫「あ、え~っと、はい。大丈夫でした」カチャカチャ
さわ子「そう?いやソッチじゃなくて貴方がよ……」
さわ子(中々重傷そうねぇ)
菫「はぁ……」カチャカチャ
菫(先生に聞けば、何で純先輩が怒ったのか分かるかな?)カチャカチャ
菫(……嫌われちゃったかなぁ)コポポポ
菫「どうぞ……」スッ
さわ子「ありがと。まぁ座って座って」
菫「はい……」ストン
さわ子「ん~今日のお茶も……うぇ」
菫「どうかしましたか?」
さわ子「ううん、何でもないわ。それでどうしたの?」ズズー
菫「え~っとですね……」
かくかくしかじか
菫「……っていう事なんです」
さわ子「……なるほどね」ズズー
さわ子(純ちゃんのアピールが全部冗談だと思ってた訳か、にしても……)
さわ子「逃げるなんて、らしくないわねぇ」ヒョイパク
菫「冗談って分かってたのなら、乗らない方が良かったんでしょうか?」
さわ子「う~ん……そこじゃあないかな」
菫「え?先生は純先輩が怒った理由分かったんですか?」
さわ子「まぁね。でも悪いのはあの子だから気にしなくて良いわ」
菫「梓先輩もそう言って下さいましたけど、やっぱりそう思えないといいますか……」
さわ子「まぁそうよね。……菫ちゃんさ、純ちゃんのこと好き?」
菫「はい。好きですよ?」
さわ子「じゃあ純ちゃんに好きって言われたらどう?」
菫「それは嬉しいですよ勿論」
さわ子(やっぱりここの違いか。純ちゃんに同じ質問したら動揺するんだろなぁ)
菫「でも、もう嫌われちゃいましたよね……」ウルウル
さわ子「無い無い。あの子が菫ちゃんを嫌うなんて無いわ」ヤレヤレ
菫「え?それはどういう」
さわ子「多分、今頃自分の事嫌いになってるんじゃない?」ズズー
菫「どういう事ですか?」
さわ子「そうゆう事よ」
菫「分かりません。教えて下さい先生」
さわ子「駄目よ」
菫「何でですか?」
さわ子「私が言える事じゃ無いもの」ヒョイパク
菫「お願いします!」バッ
さわ子「う、う~ん、でもぉ」モグモグ
菫「何で先輩に嫌われたか分からないと、私もうココに来れません!」
さわ子「それは困る!」
菫「それじゃあお願いします!」
さわ子「うぅ……じゃあ、ヒントだけね?」
菫「えぇ!?」
さわ子「私だって『そうだと思う』っていうだけなのよ?鵜呑みにされたら困るもの」
菫「そうですか……」
さわ子(まぁ、ほぼ100%そうだろうけど)
さわ子「じゃあねぇ……菫ちゃんは純ちゃんの事好き?」
菫「その話、先程しませんでしたか?」
さわ子「良いから。好き?」
菫「はい、好きです」
さわ子「純ちゃんに好きって言われたらどう?」
菫「ですから、嬉しいですよ勿論」
さわ子「じゃあ純ちゃんが今日あなたに言った事、全部冗談じゃないとしたら嬉しい?」
菫「え……?それって……え!?」カァァ
さわ子「その考えに至らないのは、経験がないからかしらね」ズズー
菫「え?じゃあ純先輩は……でも女同士ですよ?」アタフタ
さわ子「そうね。でもまぁ良いんじゃない?」
菫「へ?」
さわ子「今大事なのは純ちゃんが怒った原因でしょ?」
菫「いや、そうですけど、でも」
さわ子「まぁそこまで分かれば後も簡単でしょ?」ズズー
菫「えと、え~っと、え~っと」アセアセ
さわ子「でもそれも私の予想だからね?もしかしたら本当に嫌いになったのかも」ニヤリ
菫「あ、そうですよね……」シュン
さわ子「う、嘘よ嘘!」アセアセ
菫「そうですか?」パァァ
さわ子「うんうん!菫ちゃんを嫌いになる訳ないじゃない!」
さわ子(ヤダこの子可愛い。純ちゃんの気持ちも分かるわ~)
菫「良かった……」ホッ
さわ子「ま、明日にでもちゃんと話しなさいな」
菫「えぇ!?急すぎます!」
さわ子「なに?ヤキモキしたいの?」
菫「いえ、そういう訳じゃないですけど心の準備が……」
さわ子「何よそんな冗談言っちゃって」
菫「冗談じゃなくてですね!」
さわ子「そうよね、冗談とか言われたら傷つくわよね。本気なのに」
菫「それはそうですよ。……あ」
さわ子「じゃあ早い事、明日にでも謝らないとね?」
菫「……そうですね」
さわ子「あ~あ、結局ヒントどころか全部言っちゃった気がする」
菫「ありがとうございます」
さわ子「まぁ私も早く美味しいお茶が飲みたいし、さっさとスッキリしちゃうのよ」
菫「はい!……はい?」
さわ子「じゃあ今日はもう帰りなさい。まだ悩むんなら、そうねぇ……ムギちゃんに相談しなさい」
菫「紬お嬢様に!?そんな畏れ多い!」
さわ子「良いのよ、私から手ぇ回しとくから。それにあの子も喜ぶだろうし」
菫「はぁ……喜ぶ」
さわ子「そりゃもう。もしかしたら押し掛けて来ちゃうかも」
菫「それ程の事ですか?はい、分かりました」
さわ子「まぁ、純ちゃんに嫌われたってだけでこうなっちゃうんだから、答えは分かってる様なものだけど」ズズー
菫「え?」
さわ子「それじゃ私、仕事しに戻るわ。御馳走様」ガタっ
菫「はい。ありがとうございました」
さわ子「じゃあね」
ガチャ バタン
菫「う~ん、どうすれば」
菫「取り敢えず、お茶飲んで片付けて帰ろう」ズズー
菫「う!……何コレ、美味しくない」ウェ
『まぁ私も早く美味しいお茶が飲みたいし、さっさとスッキリしちゃうのよ』
菫「先生が言ってたの、こういう事だったんだ……」
菫「先生にも申し訳ない事しちゃった……」
菫「でも、どうしたらいいんだろ……」
* * *
少し戻って通学路!
梓「ちょっと純!待ってよ!」タッタッタ
純「……何よ」スタスタ
梓「戻らなくて良いの?」
純「良いよもう。梓だって分かったでしょ」
梓「何が?そもそも菫はまだ分かってないよ」
純「自分で言ってたじゃん!冗談だって!」
梓「それは、私が悪かったけど……でも」
純「違うよ梓。そっちじゃないの」
梓「え?じゃあ何?」
純「スミーレだって、冗談に付き合ってただけなんだよ」
梓「は?」
純「だから!私の髪を褒めてくれたのも!可愛いって言ってくれたのも!全部私の冗談に付き合っただけなんだって!」
梓「そんなの分かんないじゃん!」
純「冗談って分かってる事に本気で付き合う訳ないでしょ!」
梓「そ……それこそ冗談みたいなノリで言った純が悪いよ!」
純「冗談じゃないよ!本気で言ってんのよ!」
梓「知ってるよ!でも私に今言ってもしょうがないじゃん」
純「っ……!ていうか何で知ってんのよ!誰にも言ってないのに!」
梓「見てれば分かるよ」
純「いつから!?」
梓「初めっから」
純「だからいつ!」
梓「だから初めからだって」
純「はぁ?初めっていつよ」
梓「『ねぇねぇ、斎藤さんってさ、何かスミーレって感じだよね?』って純が言った時から」
純「えぇ~、そこから~?ホントに最初じゃん」
梓「そうでしょ?」
純「まぁ……多分」
梓「知らないのは1年生の子達だけだよ?」
純「え!?じゃあ憂もさわ子先生も」
梓「先生が『二人の話なんだから、私達は静かに見守ってあげましょ』って」
純「え、えぇ~……」ガクリ
梓「思い当たる節有るでしょ?」
純「……言われてみれば大いに」
梓「皆応援してるんだしさ、もうちょっと頑張ろうよ」
純「でも……」
梓「らしくないなぁ。菫に嫌われるよ?」
純「やだ!」
梓「じゃあ何とかしないと」
純「うん……」
梓「後ね、菫は多分純に嫌われたと思ってるよ」
純「何でさ!」
梓「純が逃げるからじゃないの。フォローはしたけどさ」
純「うぅぅ、面目ない」
梓「まぁ、フォローはするからさ。何とかしなさいよ」
純「フォローって……?」
梓「それはまぁ……追い追いよ。兎に角明日には謝る事!」
純「えぇ!?明日!?」
梓「早くしないと菫が部室に来なくなっちゃうでしょ!」
純「やだ!」
梓「じゃぁ何とかしなよ!」
純「うぅぅ~。分かったよやるよやりますよ!しっかり仲直りしてやりますよ!」
梓「うん、その方が純らしいよ」
純「……ありがと」
梓「どう致しまして」
純「うん。……ていうかそもそも梓の所為じゃん!」
梓「な!なんで話蒸し返すかな!だから純が真面目に言わないからでしょ!」
純「あ~、憂まで知ってるとか恥ずかしい~!それも梓が言ったんじゃないでしょうね?」
梓「そんな訳無いじゃん!純が分かりやす過ぎるだけだって!」
純「そんな事無いよ!だって一年の二人は知らないんでしょ?」
梓「あの二人はそうゆう経験が無いからじゃないの?」
純「何か失礼じゃないソレ?」
梓「うっ……まぁでも純は分かりやすい!」
純「何をー!」
ギャーギャー ワーワー
* * *
琴吹家!
菫(紬お嬢様に相談……先生はしていいと言ってたけど……)
菫「はぁ……ただ今帰りました」
紬「あら菫ちゃん、おかえり~」
菫「お!お嬢様!?おかえりなさいませ!」バッ
紬「もぉ、そんなに畏まらなくて良いのに」ヤレヤレ
菫「今日はいかがなさいましたか?」
紬「菫ちゃんが悩んでるってさわ子先生から連絡が有ってね」
菫「え?まさか本当にそのような事で?」
菫(本当に先生の言った通りに……)
紬「だって大事な事じゃない」
菫「そんな!私如きにその様に気を使っていただかなくても」
紬「良いのよ。私がしたいんだもの」
菫「はぁ、左様でございますか」
紬「むぅ。もっと普通に喋ってくれていいのよ?」
菫「いえ、その様な事」
紬「何だったら昔みたいに『つむぎおねえちゃん』って呼んでくれたって良いのに」
菫「無理を言わないで下さい……私は琴吹家に仕える身ですから」
紬「そぉ?残念。あ、だったらそう『指示』すれば良いの?主人として」
菫「え?」
紬「菫ちゃんは私の事を紬お姉ちゃんと呼ぶ事!」
菫「えぇ!お嬢様それは……」
紬「お・ね・え・ちゃ・ん」
菫「紬お姉ちゃん、勘弁して下さい……」
紬「たまには良いじゃない」
菫「父に見つかったら怒られてしまいます」
紬「だったら私が叱りつけるわ」
菫「……変わりましたね、紬お嬢様も」
紬「お・ね・え・ちゃ・ん、でしょ」
菫「そうでした。……高校に入ってから、素直になりましたね」
紬「そう?」
菫「昔は私がお姉ちゃんと呼ぶと父が怒るのを見て、我慢して下さったでしょう?」
紬「そうね。でもワガママは言っても良いものなのよ。たまにはね」
菫「そうでしょうか」
紬「えぇ。軽音部の皆に教えてもらった事の一つ。『我慢ばっかりしてても苦しいだけだろ?』って」
菫「はぁ……」
紬「あ、今日は私の話じゃ無かったわね」
菫「え?」
紬「さっ!私の部屋に行きましょ」ガシッ
菫「あの、お嬢様?」
紬「うふふふふふふ」ズルズル
菫「お、お姉ちゃん?」ズルズル
紬「今日はたっぷりお話しましょうね~」ズルズル
菫「え、え~……」ズルズル
紬の私室!
紬「はい、菫ちゃんどうぞ」スッ
菫「すみません、お手数をおかけして」
紬「良いのよ~。可愛い菫ちゃんの為だもの」
菫「可愛い……ですか」
紬「えぇ。純ちゃんだってそう言ってたんでしょう?」
菫「っ!」ボン
紬「うふふふふふふ」キラキラ
菫「先生からお聞きに?」
紬「えぇ、ちょっとだけ」
菫「そうですか……」
紬「……どう?」
菫「どう?とは」
紬「うふふふふふふふ」キラキラ
菫「お姉ちゃん、何か怖いです」
紬「はぅ……やっぱり良いわねぇ、お姉ちゃんって呼ばれるの」ウットリ
菫「そうですか?私も一人っ子なので分かりかねますが」
紬「まぁ、その話は今は良いわ。それより菫ちゃんの事だもの」
菫「うぅ……逃げられない……」
紬「気付いてなかったの?」
菫「そういう意識すら、有りませんでしたね……」
紬「そうなの」
菫「先輩方も、先生も、私の事を好いてくれてるとは思ってましたが……」
紬「そんな風に想われてるなんて思いもしなかった?」
菫「はい……」
紬「嫌?」
菫「嫌……という訳では。ただ考えても無かったものですから。女同士ですし……」
紬「そう。じゃあ考えるのはこれからでも良いんじゃない?」
菫「へ?」
紬「純ちゃんの事、嫌いになった?」
菫「いえ、そんな事は……」
紬「じゃぁ、付き合える?」
菫「付き……合えるか判断出来る程、純先輩の事を知らないんです」
紬「なら今はそれでも良いじゃない。無理に今結果を出す必要は無いわよ」
菫「そうですか?」
紬「そうよ。そうそう、『お友達から始めましょう』っていう事よ」
菫「お友達から……」
紬「まずは仲良くなるのが大事じゃない?」
菫「そう……ですね」
紬「お互いもっと知りあわないとね」
菫「はい。ありがとうございました」
紬「どう致しまして」
菫「うん、明日頑張ってみます」
紬「後ね、一つ大事な事」
菫「はい?何でしょうか」
紬「『女同士』が良いんじゃなくて『貴方と』が良いのよ。そこは覚えててあげて」
菫「え?どういう事ですか?」
紬「貴方『で』良い、じゃなくて貴方『が』良いのよ」
菫「……」カァァ
紬「さて……新しい菫ちゃんの誕生ね!ハッピーバースディ!!」
菫「」ポカーン
紬「おめでとう!!」
菫「え~っと……何でしょうそれは」
紬「最近りっちゃん達がよくやってるから、私も一度言ってみたかったの~」
菫「はぁ……そうですか」
紬「……違った?」テヘ
菫「はい、多分」アハハ
* * *
次の日の部室!
純「何だよ梓、『フォローするから!』とか言っといて先行っとけって……」トントントン
純「憂も居ないし、スミーレと二人きりになっちゃうじゃん……」ソー
純「やっぱり、先に来てる。でも来てくれてて良かった……」ホッ
純「さ~て、どうしたもんかなぁ」ウロチョロ
純「う~、ん~、あ~、も~」ウロチョロ
純「うん!勢いに任せよう!」ガチャ
バタン!
純「おぉスミーレ!君の笑顔は太陽よりも」ビシッ
菫「昨日は申し訳有りませんでした!」バッ
純「明るい貴方が最後まで言わせてくれない……」
菫「あ、あのですね純先輩?」
純「はい何でしょう」
菫「昨日のお話なんですけど……ね?」モジモジ
純「あぁ、良いの良いの。昨日のは全部冗談だからさ。いきなり帰っちゃってゴメンネ?」
菫「え?」
純(何言ってんの私!)
純「勝手に嫁だ~とか変な事言っちゃって、気悪くしちゃったかな?」
菫「え、いや、そんな事は」
純「バカみたいだよね、あんな冗談で盛り上がっちゃってさ」
菫「あの、純先輩?」
純「スミーレもさ、面倒だったら直ぐに止めてくれて良いよ?」
菫「待って下さい!」
純「え?」
菫「本当に……冗談だったんですか?全部」
純「……うん」
菫「本当ですか?」
純「……」
菫「昨日先輩が帰った後に、先生が来たんです」
純「そう、なんだ」
菫「誰も居ないの?って聞かれて昨日の事説明したんです」
菫「何で純先輩が帰ってしまったのか、分からなくて、嫌われたのかと思って、相談したんです」
純「へぇ~。で、なんて?」
菫「『純ちゃんが今日あなたに言った事、全部冗談じゃないとしたら嬉しい?』と言われました」
純「ブフゥッ!」
純(直球じゃないの!何言っちゃってんのあの人!)
菫「先生は、私の話を聞いてそういう結論に至ったそうです」
純「そう、なんだ……」
菫「でも今、先輩は冗談だって言ってるじゃないですか」
純「う……うん」
菫「どちらが正しいんですか?」
純「それは勿論……」
菫「勿論?」
純「……わ……私。じゃなくて、さわ子先生が正しいよ」
菫「本当ですか?」
純「そうだね、嘘吐いてゴメン」
菫「いえ、こちらこそ気がつかずスミマセンでした」
純「いやいや、スミーレは悪くないよ。こっちが勝手に好きになっただけなんだもん」
菫「はぇ!?」ボン
純「あ!……言っちゃった」
純(こんなタイミングで言ってどうすんの私!)
菫「えぇ~っと……」カァァ
純(もう駄目だ~!)
菫「あ、ありがとうございます……」テレテレ
純「その後は『ゴメンナサイ』ですよね?」ショボン
菫「え?何でですか?」
純「へ?だってスミーレは私の事好きじゃないんでしょ?」
菫「そんな事無いですよ!」
純「うぇ!?」カァァ
菫「あ!いえ!そういう事じゃ無くてですね!」アセアセ
純「あ、やっぱしそうだよね……」シュン
菫「あああの違います!純先輩の事は好きですよ!」アタフタ
純「マジで!?」キラキラ
菫「え!?いやいやそういう事じゃ無くて!」アウアウ
純「じゃぁやっぱり……」シュン
菫「ですから、あの、お友達から始めさせていただく、というのはいかがでしょうか。……あれ?先輩?」
純「……私達ってまだ友達ですら無かったんだ……そっか~……」ズーン
菫「いえ!これは言葉のあやでして!」アタフタ
純「良いよ良いよ、慰めてくれなくても……」ズズーン
菫「あぁ!純先輩がどんどん沈んでしまっている!」
純「奥さ~ん、知ってるでしょ~、鈴木純で~ございます」ズーン
菫「奥さんって誰ですか!?と、とにかくですね!」
純「うぃ?」
菫「その、そういう関係になれる程、純先輩の事知らない……んですよ」
純「そぉ?」
菫「だって……二人で遊んだ事とかも無いですし」
純「そういえばそうだね」
菫「でも、純先輩の事をもっと知りたいと思うんです」
純「ほんと!?」
菫「はい。私の事ももっと知ってほしいと思ってます」
純「うんうん!もっと知りたい!」キラキラ
菫「先程のはそういう意味でですね……え~っと」
純「……そっか、そうだよね。スミーレさ」
菫「は、はい!」
純「ドーナツ好き?」
菫「はい、まぁ」
純「じゃあ今から食べに行こう」
菫「え?」
純「一緒にドーナツ食べながらさ、お喋りしようよ」
菫「はぁ」
純「ほら、行こ行こ!」ギュッ
菫(手!?)「え、でも部活は?」
純「良いの、たまには。サボっちゃおうよ」
菫「良いんですか?」
純「真面目だなぁ。じゃあ梓には連絡しとくよ」パカッカチカチ
純「『可愛いスミーレは私が戴いた!今日は帰ります。スミーレがケーキ用意してるから食べてね』……良し」
菫「戴いたって……」カァァ
純「さぁ行くよスミーレ!まずは私の好きなドーナツを知ってもらうんだから!」
菫「あ、はい!」
ガチャ バタン
タッタッタ……
……ガチャ
梓「……行ったね」
憂「そうだね」
梓「マナーモードにしておいて良かった」
さわ子「ちょっと、どうするのよ」
梓「良かったじゃないですか」
さわ子「違うわよ。今日のお茶はどうするのよって」ブーブー
梓「生徒の仲を良くするのも大事でしょ……」ヤレヤレ
憂「まぁまぁ。私が淹れますから」
さわ子「わ~い!憂ちゃん大好き!」キャルン
梓「先生、可愛くないですよ」
さわ子「なっ!貴方達ってホント私に失礼よね!」プンプン
梓「いえ、それ程でも」
さわ子「なんで謙遜するのよ」
憂「はいどうぞ~。スミーレちゃんのケーキも一緒ですよ~」カチャカチャ
さわ子「ありがと。……うん、憂ちゃんのお茶もグッドよ!」ビシッ
憂「ありがとうございます。はい、梓ちゃんも」スッ
梓「うん、ありがと。……はぁ」
憂「ん?どうしたの?」
梓「いや、今日も練習できないな~って思って」
憂「あぁ、そうだねぇ」
さわ子「二人の仲の方が大事なんでしょ?良かったじゃないの」モグモグ
梓「まぁそうですけどぉ……」フーフー
さわ子「まぁ、お友達からでも十分じゃない。仲良き事は美しきかなってね」
梓「はぁ」
さわ子「……じゃあ折角だし私達も仲良くなりましょうか?」ニヤリ
梓「はい?」
さわ子「ほら、可愛い梓ちゃんともっと仲良くなりたいじゃない」
梓「ななな何ですかその流れは!?」
さわ子「やっぱりそろそろね、ネコミミ推しだけじゃ苦しいと思うの」
梓「そっち!?っていうかネコミミも推してないです!」
さわ子「憂ちゃん。アレ出して」
憂「は~い」ガラガラ
梓「アレ?って何よソレー!?」
さわ子「いや~、こないだ憂ちゃんと衣装の話で盛り上がっちゃって」
憂「次のライブの衣装とか、どんなのが良いかなって」ガラガラ
さわ子「取り敢えずゴスロリからパンクから、10着ほど作ってみました!」イエイ
憂「ちなみにこちらは全部梓ちゃんサイズです!」イエイ
梓「10着!?っていうか何で憂まで乗り気なの?」
憂「私も作るの手伝ったから思い入れが出来ちゃって」
さわ子「憂ちゃんのお陰で捗る捗る。ホントありがとうね」
憂「いえ、私も楽しかったですし」
さわ子「ホント良い子だわ。さ、梓ちゃん逃げちゃ駄目よ?」ガシッ
梓「いやー!助けてー!」ジタバタ
さわ子「何よ、全部新作なのよ?唯ちゃん達は見た事もない衣装よ?何が不服なのよ」
梓「そんなの着せられる事自体が不服ですよ!」
憂「そんな……梓ちゃんの為に一生懸命作ったのになぁ……」ヨヨヨ
さわ子「私達も、軽音部の為に!頑張ったんだけどなぁ……」ウルウル
梓「うぐっ……」
憂「な~」チラリ
さわ子「な~」チラリ
梓「う~ん、え~?」
憂「梓ちゃん着てみるだけでも、駄目かな?」ウルウル
梓「う……憂がそこまで言うなら」
憂「本当!?」
さわ子「よし来た!先ずはコレね!」
憂「はい先生!梓ちゃんどうぞ」
梓「……う~、どう?」
さわ子「いやん可愛い!憂ちゃん、カメラと照明!」
憂「バッチリです!」
梓「カメラって何!?」
さわ子「さ!ガンガン行くわよ~!梓ちゃん先ずはその場でクルっと一回転してみようか!」
梓「やっぱりい~や~!」
* * *
?「部室に来てみたら部長がファッションショーしてた。どうも奥田です」
?「自分でも何言ってるか分からないけど、取り敢えず帰ろうかな」
?「名前が発表前だからって?だし。扱えないからって休みって事にされちゃたまったもんじゃないよ」
?「きっと来月には奥田×梓とか、奥田×菫とか出ちゃうくらいバキっとやるから」
?「乞うご期待!」ビシッ
梓「見てないで助けてー!」ニ゛ャー
さわ子「あっ、ちょうど良かった!はいコレ!レフ板持って!」
?「はい、了解です」
梓「手伝うなー!」
END
これにて本編終了でございます。
スミーレの発音はアモーレとかアンドレとかと同じ発音じゃないかな?
と考えて、そのまま話を書いたら何かこんな結果に。
多分純×菫は高校生編で一番無さそうな組み合わせな気もしますが……。
菫に関してはもうオリジナルキャラ状態です。これ最初に書くべきでしたね。
まぁ何が言いたいかっていうと
純は可愛いし、菫も可愛いし、奥田ちゃんも将来性に期待!って事です。
それでは、ここまで目を通してくださった方がおられるのならば、お付き合いありがとうございました。
純×菫なかよし編とか、より一層需要なさそうですね。
ご期待いただき恐縮です。
何となく続きが出来てきたのでのんびりと書かせていただきます。
ただオチまで行ってないのでゆっくりとですが、お付き合いいただければ光栄です。
菫(何だかんだでドーナツショップに来ました)
純「でさ、やっぱり種類が豊富なんだから色々食べたいじゃん」サク サク
菫(初めて来た私に『オススメを教えてあげる』と、純先輩が六種類のドーナツを持ってきて下さいました)
純「でも晩ご飯前の微妙な時間だし、そんなに一杯食べられないよね?」サク サク
菫(各々三つずつドーナツを食べるのかと思いきや、純先輩はナイフとフォークを借りてきてどんどんと二等分しています)
純「だけどこうやって半分こしてトレードしたらさ、同じ値段と量で二倍の味が楽しめる訳」サク サク
菫「まぁ、そうですね」
純「梓が怒るんだ~、『そんな食べ方行儀悪いよ!』って。ナイスアイデアだと思わない?」サク サク
菫「あはは……確かに行儀は良くないかも」
純「え~、スミーレも梓の肩持つの?」ブー
菫「いえ、純先輩のアイデアはナイスだと思いますよ」
純「でしょでしょ!ふふ~ん、アリガト」サク サク
菫「ど、どういたしまして?」
純「よし!出来た~。スミーレはこのお店初めてなんだよね?」
菫「はい。作ったり、お土産で戴いたりはあるんですが、こういうお店で~というのは初めてです」
純「お土産にドーナツ……何だか高級そうな感じが」
菫「いずれにしてもこのお店に有るのよりはシンプルなものばかりですね」
純「まぁココはバラエティが売りだからね」
菫「どれも美味しそうです……」
純「じゃっ、食べようか」カチャカチャ
菫「はい。あれ?先輩フォーク使うんですか?」
純「折角だしね。あ、スミーレの分貰うの忘れてたな」プスッ
菫「いえ、別にそのまま取りますから」
純「じゃあはい、アーン」スッ
菫「へ?」
純「コレ今一番のオススメなの。美味しいよ~」
菫「いや、そういう事じゃなくてですね」
純「まぁ食べてみてよ」
菫「あの、自分で取りますから……」カァァ
純「ん?……あぁそっかゴメンゴメン。なんかノリでやっちゃってたや」パク
菫「あはは……」パク
純「どう?美味しくない?」モグモグ
菫「美味しいです。チョコのトッピングと中のクリームがまた」モグモグ
純「でしょ?で、こっちのは面白いよ」モグモグ
菫「面白い?」パク
純「多分その食感のドーナツは知らないんじゃないかな?」ヒョイパク
菫「……そうですね。モチモチしてます」モグモグ
純「これは最近出た新商品で、焼いてるんだって」
菫「コレもまた、何だか違った食感ですね。メープルシロップが甘い」モグモグ
純「で、コレがさっきのモチモチの別バージョン。個人的にはこっちの方が好き」モグモグ
菫「ん……コーティングしてるものが違うんですね」モグモグ
純「黒糖なんだって」ヒョイパク
菫「へぇ~。……これは?」ヒョイ
純「それはね、一番普通のドーナツ」
菫「なるほど。……あ、でもコレも美味しい」モグモグ
純「でしょ?」モグモグ
菫「シンプルなのも悪くないですね……」ゴックン
純「後は、コレだね。チョコドーナツ」プスリ
菫「周りの黄色いのは何でしょう?」
純「何か良く分かんないんだけど美味しいよ?はい、アーン」スッ
菫「ちょっ、またですか?」
純「あ、ゴメン。またやっちゃった」アチャー
菫「もう……じゃあいただきます」アーン パク
純「え?」キョトン
菫「うん、確かに美味しいです。どれも甲乙付け難いですね」モグモグ
純「ちょっとスミーレスミーレ」プスリ
菫「はい?」
純「……もう一口」スッ
菫「アーン」パク
純「く~!可愛い~!この子ったら可愛い~!」
菫「ちょっと!そんな大声出さないで下さい!」アセアセ
純「あぁゴメン。いや、でも、だって、ねぇ?」
菫「先輩のノリに応えるのも良いかなと思っただけですよ」
純「いや~、何だろう。ときめいて死にそう」
菫「大袈裟ですって、もう」
純「……私も食べさせてほしいな」チラ
菫「はい!?」カァァ
純「良いじゃん良いじゃん!ノリでしょノリ!」
菫「いや、でもそれは流石に恥ずかしいですって」モジモジ
純「え~!?お願い!この通り!」パシン
菫「う~……じゃあ一回だけですよ?」
純「わ~い!じゃあはいっ!」
菫「え~っと、どれが良いですか?」
純「スミーレが選んだのが良い!」アーン
菫「そうですか……じゃあこれで」プスリ
純「あ~ん」
菫「どうぞ……」スッ
純「はむっ!」パク
菫(……何だか可愛い)カァァ
純「お~ぉいし~ぃい!」モグモグ
菫「ちょっと純先輩!お店の中ですから!」アセアセ
純「店員さん!このドーナツ最高です!」
<どうもありがとうございま~す
純「いや~、スミーレが食べさせてくれたとなるといつもの二倍は美味しいね」モグモグ
菫「私はさっきの二倍は恥ずかしいです……」モジモジ
純「あ~ん」
菫「へ?あ~……じゃあどうぞ」スッ
純「あむっ!」パク
菫「続けてどうぞ」プス スッ
純「んむっ!」パク
菫(どうしよう……楽しくなってきちゃった)
純「モフモフ。何だかんだでスミーレも乗り気じゃないの」モグモグ
菫「純先輩が可愛らしくてつい……」
純「んう!」ビクン
菫「そんなに顔真っ赤にしないで下さいよ、私も恥ずかしいんですから……って、純先輩?」
純「……!!」ドンドン
菫「もしかして、喉に詰まりました?」
純「!!……!」コクコク
菫「大丈夫ですか!?水飲んで!」
純「……!……!」ゴクゴク
菫「え~っと、後は」ハラハラ
純「ん……!……ぷはぁ!」ハー
菫「あ、良かったぁ~」フゥ
純「ホントにときめいて死ぬ所だった……」ハァハァ
菫「すみません、私の所為で……」
純「いやいや、ちょっといきなり過ぎてビックリしただけだから。大丈夫大丈夫」
菫「いえ、でも」
純「そんなに私可愛かった~?」テレテレ
菫「え、はい。何ていうか小動物の様な」
純「小動物?」キョトン
菫「そうですね、え~っと、う~ん……はいどうぞ」スッ
純「あむっ」パク
菫「はぅ……」
純「もぐもぐ……可愛い?」
菫「何といいますか、頭をなでたくなる可愛さですね。どうぞ」スッ
純「ん~?どうなのそれって。まぁ良いか。あんむっ!」パク
菫「あはは……」パク
純「ふみーへっへは」モグモグ
菫「はい?」
純「ゴクン……スミーレってさ。中学の時とか遊んでなかったの?」
菫「え?どうしてですか?」
純「いや、私は中学の時から友達とファーストフードとか当たり前だったからさ」
菫「まぁ……そうですね。中学の頃は学校とお家の往復でした」
純「やっぱりその、メイドとしての修行的な?」
菫「はい。礼儀作法の勉強や使用人としての修行に手伝いにと、生活の主がそれでしたね」
純「学校と仕事で埋まる中学生活とか……私じゃ耐えられない」
菫「父が執事をしておりますし、それに居候の身として私自身が望んでしている事でしたから」
純「そうなんだ……凄いね。尊敬しちゃう」
菫「そんな事ないですよ……」テレテレ
純「え?じゃあさ、今は大丈夫なの?そんな事何も知らずに軽音部に入れちゃったけど」
菫「それはですね」
純「まさか、帰ったら怒られたりしてる?」アセアセ
菫「いえ、大丈夫ですよ。紬お嬢様のお計らいでして」
純「ん?どうゆう事」
菫「え~っとですね……」
* * *
紬「菫ちゃん、桜高合格おめでとう」
菫「ありがとうございますお嬢様」フカブカ
紬「でね、早速なんだけど合格のお祝いがあるの~」
菫「そんな!お祝いの言葉だけでも十分ですよ」アセアセ
紬「いいの。私がしたい事なんだから」
菫「そうですか……。では謹んでお受けいたします」
紬「……私ね、この三年間の高校生活が凄く凄く楽しかったの」
菫「はい、良く聞かせていただきました」
紬「軽音部に入って、色んな新しい事を知ったわ。アルバイトもしたし、バンドのライブもしたし、何より一生大事にしたい友達が出来た」
菫「素晴らしい事ですね」
紬「えぇ、素晴らしい事よ。だからね?菫ちゃんにもそういう高校生活を送ってほしいの」
菫「と、言いますと?」
紬「菫ちゃんはこの三年、使用人としての成長が素晴らしかったわ。もう何処に出しても恥ずかしくないくらい」
菫「恐縮です」
紬「頑張ってたものね、色々お手伝いしてくれて。でもね、中学での生活はそればっかりだったでしょう?」
菫「それは……私が望んでしてる事ですから」
紬「……良い子ね、菫ちゃん」ナデナデ
菫「あ、ありがとうございます」テレテレ
紬「でも、それじゃ駄目」
菫「はい?」
紬「貴方には高校生活を過ごす間、只の居候として暮らしてもらいます」
菫「え、どういう事ですか?」
紬「家の仕事は一切しなくて良い様にしておくわ。まぁ、たまにお手伝いのお願いはするかもしれないけど」
菫「えぇ!?」
紬「もう両親や斎藤には伝えてるから大丈夫。貴方は普通の高校生として暮らしなさい」
菫「え、あの、突然そう言われましても……」
紬「大丈夫。高校生活は掛け替えのない大切な思い出になるから。きっと菫ちゃんにもウチの仕事より大事なものが見つかるわよ」
菫「そうでしょうか……」
紬「……不安かしら?」
菫「はい……」
紬「ん~、そうねぇ。じゃあ早速、高校に行くついでに一つお願いしても良い?」パン
菫「はい!何なりと」
紬「実はね、軽音部の部室で使っていたティーセットを置いたままにしちゃってるの」
菫「はい」
紬「それを片づけてもらっても良いかしら?」
菫「軽音部のティーセットを片づける……」
紬「新学期が始まる前に速やかに片づけてね」
菫「はい!」
* * *
菫「……と、いう訳でして」
純「へぇ~」
菫「高校の三年間は、普通の高校生として過ごす様に言われたんです」
純「なるほど」
菫「ですので、部活や交遊に関しては割かし自由にさせていただいてまして」
純「そっか~。ムギ先輩に感謝だね」
菫「えぇ、本当に紬お嬢様には良くして戴きまして」
純「私も感謝しないと」
菫「へ?」
純「だってムギ先輩がそうやってくれたから、こうやってスミーレと出会えて仲良くなれたんじゃん?」
菫「そ、そうですね……」カァァ
純「ムギ先輩もぽわぽわしてる様で、色々考えてくれてるんだよね」モグモグ
菫「どういった意味でですか?」
純「スミーレを軽音部に向かわせれば確保されるって思ってたんでしょ?多分」
菫「そうですね。『やっぱり確保されちゃった?良かったわね』と言われました」
純「その上、ティーセットは使って構わないって」
菫「はい、そうです」
純「ホント、スミーレにティーセットに、感謝してもしきれないよ」
菫「私もです。高校生活が毎日楽しいです」
純「私と居れて?」ニヤニヤ
菫「それは……それも有りますけど」カァァ
純「ホントに?嬉しいなぁ。はい、ア~ン」
菫「んむ」モグモグ
純「でもスミーレにも勿論感謝してるよ?」
菫「え?」モグモグ
純「毎日お茶淹れてくれてさ。何だかんだで日課になっちゃってるし」
菫「それは私がしたくてしてる事ですから。私も楽しいですし」
純「そういってくれると嬉しいな。んあ」アーン
菫「はい、どうぞ」スッ
純「はむ。にしてもあれだね」モグモグ
菫「何でしょう?」
純「スミーレってホント良く流されるよね。はい、ア~ン」
菫「んむ。そうですか?」モグモグ
純「だって、もう平気で食べてるじゃん」ニヤニヤ
菫「……はっ!」カァァ
純「折角だし、写メ撮っちゃおうか?」パカッ
菫「やっ止めてください!」アセアセ
純「え~、良いじゃん面白いし」
菫「恥ずかしいだけじゃないですか」アタフタ
純「そんな事無いって~。ん?憂からメール?……ブッ」
菫「憂先輩からですか?」
純「なんかスゴイのが来た」スッ
菫「コレ……梓先輩ですか?」マジマジ
純「『梓部長のファッションショー開催中です』だってさ」プププ
菫「はぁ~、可愛いですねこの服」
純「さわ子先生の手作りじゃないかな?」
菫「スゴイですねぇ」
純「でも、ココに来てて良かったね」
菫「そうですか?あちらも楽しそうですけど」
純「先生の事だからスミーレ用の衣装も作ってるよ多分、いや絶対」
菫「……ファッションショーするのは嫌ですね」
純「でしょ?まぁ私にはあんまりインスピレーションが刺激されないらしいけど」
菫「そうなんですか?純先輩ならハロウィンの魔女みたいな恰好とか似合いそうですけど。三角帽子の」
純「そぉ?マント羽織って?」
菫「はい。可愛いですよきっと」
純「んむぅ……。でもそうゆうの先生には言わないでね。衣装作られても困るし」テレテレ
菫「あはは……確かに」
純「あ、もう一通来た。……今度はゴスロリ」
菫「あれ?奥田さんも一緒だ」
純「あの子こういうの好きなんだね。ノリノリじゃん」
菫「そうですね、知りませんでした」
純「憂も先生の手伝いしてるって言ってたし、梓は逃げ場無いね」ケラケラ
菫「ご愁傷様です」
純「よ~し、じゃあ私達もへんしんしよう!」
菫「返信ですか?」
純「トランスフォームしよう!」
菫「いや、出来ませんよ」
純「簡単簡単。ドーナツ頬張って~、ハムスターみたい!とか」
菫「え~っと……」
純「はい頬張って~」ヒョイヒョイ
菫「はぁ……ほうでふは?」モグモグ
純「やば……持って帰りたい」ウズウズ
菫「はやふひまひょうよ」モフモフ
純「そうだね。じゃあ先ず一枚」カシャ
菫「え!?なんでわたひだへ?」
純「ん?あぁ、これは私用だから」モグモグ
菫「いやいや」モフモフ
純「よ~ひ、じゃあよっへよっへ……じゃあほるよ~」モフモフ
菫「はい」モフモフ
純「はい、ひーふ!」カシャ
* * *
純「っていう感じでさ、今日は楽しかったよ!スミーレは可愛かったしスミーレはプリティだったしスミーレは最高だったし」
梓『そ。良かったね』
純「日曜日に遊びに行く約束も出来たしね!ホントありがとうね梓!」
梓『どういたしまして。それに対して私は散々だったよ……一対三だもん』
純「やっぱり逃げ場無かったんだ。まぁあんなに可愛い衣装着れたんだから良いじゃん」
梓『へ!?何で純が知ってんのよ!』
純「憂から写メが送られてきたから」
梓『憂ぃ!?あの子いつの間に!どれ見たの!?』
純「最終的に8通、来たかな」
梓『殆どじゃない!』
純「結局何着着たの?」
梓『覚えて無いよ……先生達は10着って言ってたけどそれ以上あった気がする』
純「ふ~ん、じゃあ残りは明日先生に見せてもらおっと」
梓『止めてよ恥ずかしい』
純「でもその中のどれかを学際のライブで着るんでしょ?」
梓『着ないよ。良いじゃん制服で』
純「え~、折角先生が作ってくれたのに~?」
梓『誰も頼んでない』
純「でもあんなの着て舞台立ってごらん?あずにゃんファンクラブも夢じゃないよ?」
梓『願い下げです~。何?純は着たいの?ああゆうの』
純「ん~。スミーレとペアルックなら何だって着るけど」
梓『ホント、ゾッコンだね』
純「ゾッコンラブだよ。……ゾッコンって死語じゃない?」
梓『そぉ?でも、さわ子先生じゃないけどスミーレに着せたいのはちょっと分かる』
純「でしょ?だってあんなに可愛いんだもん」
梓『はいはい』
純「っていうかさ、ふと思ったんだけど」
梓『何?パイは食べないよ』
純「誰も『おいパイ食わねぇか?』なんて聞いて無いでしょ」
梓『昨日の夜テレビでやってたから初めて見たけど、面白いねあの番組』
純「でしょでしょ?ついに梓もどうバカの一歩を踏み出したか」
梓『あのマスコットも可愛いし。何で蹴ったりするの?あの天パ』
純「アレが良いんじゃん。……また天パを敵視したな!」
梓『だって、あんなに可愛いのにかわいそうだよ』
純「まぁ、見てたらアレも味になるから」
梓『わかんないなぁ』
純「んでね?話戻すんだけど」
梓『はいはい』
純「私達って『放課後ティータイム』なの?」
梓『へ?違うでしょ。何言ってんの』
純「だよね。じゃあバンド名どうするのさ?」
梓『……あぁ、そっか』
純「確かHTT決める時もそうなったんでしょ?早めに決めておかないと」
梓『そうだね。じゃあ明日辺りに皆で考えようか。何か考えといて』
純「まぁ、無くは無いけど」
梓『例えば?』
純「シエスタとかどう?」
梓『しえすた?』
純「聞いたことない?」
梓『無い。何それ』
純「ん~、確かスペイン語で『お昼』って言葉なんだけど~何か良くない?」
梓『お昼……かぁ。でも確かに響きは良いね』
純「でしょ?まぁほら、放課後つながりで考えるのもなんだし」
梓『うん、とりあえず覚えとくよ』
純「まぁ明日皆で考えよう」
梓『そうだね。じゃあ今日はそろそろお風呂入って寝るよ』
純「りょ~かい。おやすみ~」
梓『おやすみ~』
ガチャ ツーツーツー
純「……本当の意味は『昼寝』だ、なんて言ったら却下するかな~」パカッ
純「『それじゃ放課後ティータイムと変わんないじゃない!にゃ~』とか言いそう。にゃ~は言わないけど」ピッピッ
純「……スミーレのこの写メ、待ち受けにしたら怒るかなぁ?怒るよねぇ。……電話受信時表示設定、と」ピッピッ
純母「純~?お風呂早く入っちゃいなさいよ~」
純「は~い!うわ、もう11時」
純母「夜更かししちゃ駄目よ~、宿題と部屋の片づけして早く寝なさいよ~?」
純「だからソレ無茶だってお母さん!」
END
これにて初日放課後編終了でございます。
少しでもお気に召していただければ幸いに思います。
次の日の部室!
ガチャ
純「おぉ!スミーレ!……あれ?居ない」キョロキョロ
純「一番乗りかぁ……ん?鞄が置いてるって事は」ストン
ガチャ
菫「あ、おはようございます純先輩」
純「やっぱり着替え中だった。アモーレ!」ビシッ
菫「あ、アモーレ~?」ヒラヒラ
純「いや、挨拶じゃ無いんだけどまぁ良いや。てゆうかスミーレその衣装……チャイナって」
菫「昨日はああ言いましたけど、あの梓先輩に触発されまして」
純「あ~」
菫「先生が折角用意して下さってるんだし、たまにはメイド服以外も良いかな~と」
純「何だかんだで嫌いじゃないんじゃん」ニヤニヤ
菫「そうですね。……どうですか?」オズオズ
純「え?抱きつきたい」
菫「はい?」
純「膝に置いて抱き締めて頬擦りしたい」
菫「駄目です!」
純「え~、ちょっとくらい良いじゃん」ブー
菫「誰か来たらどうするんですか」
純「え?誰も来ないなら良いの?」タタタ
菫「そういう事じゃなくてですね。だから鍵かけないで下さい!」アセアセ
純「ちぇ~、残念」ガチャガチャ
ガチャ
さわ子「あら、何してるの純ちゃん。私に抱き付いたら高価いわよ?」
純「あ、先生アモーレ」
さわ子「やめてよ、愛してるとか気持ち悪い」
菫「アモーレってそういう言葉だったんですか?」カァァ
純「うん。ていうか思っても生徒に言う言葉じゃないでしょ先生……」ズーン
さわ子「あら菫ちゃん、今日はチャイナ着てくれたの」
菫「え?あ、はい。どうでしょうか?」
さわ子「グッジョブ私!」
菫「え?」
さわ子「素晴らしいわ菫ちゃん。特にそのスリットから覗く生足の艶めかしさったら」マジマジ
菫「ちょちょちょっと!そんな所見ないで下さい!」アタフタ
純「先生、セクハラ!」
さわ子「なによ、褒めてるんじゃない」ブーブー
純「そうは見えないよ」ヤレヤレ
菫「恥ずかしいです……」モジモジ
さわ子「……純ちゃん、ちょっと落ち着いて考えてご覧なさいよ」ガシッ
純「何ですか?いきなり肩組んで」
さわ子「普段の制服やメイド服では分からないボディライン」ヒソヒソ
純「うぅ……」チラリ
さわ子「豊満な双丘、細い腰、くびれ」ヒソヒソ
純「おぉう……」ジー
さわ子「そしてその下に覗く脚線美」ヒソヒソ
純「……」ジュルリ
さわ子「どう?」
純「最高です先生!」キラキラ
さわ子「この美しき女神を眺めないなんて、それこそ罰が当たるでしょ?」グッ
純「はい!」グッ
菫「ちょっ、ちょっと純先輩!」アタフタ
さわ子「うふふふふふふふふふ」ギラギラ
純「うぇへへへへへへへへ」ギラギラ
菫「ひぃぃ!」ガクブル
ガチャ
梓「おはよ~って何してんの!」
ガツン!ガツン!
純「はっ!私は一体何を」プシュー
さわ子「教師に手ぇ出すなんて、成長したわね梓ちゃん」ヒリヒリ
梓「菫が怯えてるでしょ!」ガー
菫「梓せんぱ~い」ウエーン
梓「よしよし。もう大丈夫だからね」ナデナデ
純「え?あれ?あ!梓何してんの羨ましい!」
梓「うるさい!二人とも正座!」
さわ子「は~い」ヨイショ
純「何で?てゆうか梓いつ来たの?」ヨイショ
梓「二人が菫を襲ってる時よ」
純「全く気付かなかった」
梓「先生も先生ですよ!昨日私にアレだけやっといて今日は菫ですか?」
さわ子「な!?私はまだ何もしてないわよ!」
純「私だってまだ何もしてないのに!」
梓「今する所だったじゃない!」
菫「あの、梓先輩?」
梓「菫も、前にも行ったけど嫌な事は嫌って言って良いからね」ポン
菫「はい。でもコレは自分で選んだので……」
梓「え?そうなの?」
純「そうだぞ~。昨日の梓に触発されて自分で着たんだぞ~」ブーブー
さわ子「そうよそうよ。後輩の自主性を尊重してあげなさいよ~」ブーブー
梓「あ~そうなんだ。ゴメンね菫、その服も似合ってるよ」ナデナデ
菫「あ、ありがとうございます……」カァァ
純「梓ズルい~!私もスミーレ褒める!」
菫「え、もう結構です」
純「まぁまぁそう言わずに」ニジリニジリ
菫「え~っと、梓先輩?」チラリ
梓「純、何する気よ」
純「可愛い後輩に抱きつくだけだよ」キッパリ
菫「やっぱり!?」
梓「なんだ、それなら良いよ」
菫「いいんですか!?」
梓「え?だって可愛い後輩には抱きつくものでしょ?」
菫「えぇ!?ちょ、ちょっと……せ、先生?」チラリ
さわ子「ホント、良い具合に唯ちゃん達に毒されちゃってるわねぇ梓ちゃんも。菫ちゃんドンマイ!」ビシッ
菫「そんな「スミ~レ~!」ひゃあぁ!?」ビクッ
純「うりうりうりうりうり!」グリグリ
菫「うへぁやぁあ」グリグリ
さわ子「純ちゃんも容赦ないわね」
梓「でも、菫も満更でも無い様な……」
さわ子「唯ちゃんに抱きつかれた梓ちゃんもあんなだったわよ?」
梓「思い出させないで下さい、恥ずかしい……」テレテレ
さわ子「純ちゃんそろそろ離してあげなさい」
純「え~、もうちょっとスミーレのほっぺたを味あわせてよ~」ムニムニ
菫「ほへよひおひゃの準備させへふだはいよ~」ムニムニ
純「あぁ、それもそだね」パッ
菫「やっと解放された……」ハァ
純「じゃあ、お茶終わったら続きだね」
菫「まだやるんですか!?」
梓「ほら純、無理強いしないの」ポカッ
純「痛っ。は~い」
梓「もうすぐ憂と奥田さんも来るだろうし、いい加減バンドの話もしようよ」
純「お茶で一服してからね」
梓「絶対だよ!」
純「はいはい」
菫「取り敢えず、お茶のご用意いたしますね」
純「うん、ありがとスミーレ」
ガチャ
憂「おはようございま~す」
奥田「おはようございます……」ドヨーン
梓「さっきぶり~。奥田さんもおはよう……って奥田さんどうしたの?」
憂「部室前で沈んでたんだけど……」
奥田「いえ……『バキっとやるから』とか決めたのに、結局私は奥田のままなんだな~と」
梓「奥田のままって……そりゃそうでしょ?」
奥田「良いんです良いんです。所詮私なんて奥田なんですから」ズーン
純「何か良く分かんないエラい沈み様だね」
菫「ご用意出来ました~。あ、憂先輩おはようございます」
憂「おはようスミーレちゃん。ってチャイナドレス……」
奥田「おぉ、斎藤さん素晴らしい」
さわ子「でしょ?やっぱり奥田ちゃんは分かる子だわね」ウンウン
奥田「私も何か着ましょうか」
さわ子「良いわよ~。あ、そういえばちょっと奥田ちゃんにやりたい事が有るのよ」
奥田「はい?」
さわ子「ちょっとこっちいらっしゃい」
奥田「はい」
さわ子「少し奥田ちゃん借りてくわね~」
ガチャ
梓「何だろう、激しく嫌な予感がする」
純「まぁまぁ、梓は自身が巻き込まれなかった事を喜ばないと」
梓「そ、そうだね」
菫「どうぞ先輩方。今日はカップケーキです」
憂「美味しそ~」
菫「ありがとうございます」
純「これもスミーレお手製?」
菫「はい。お口に合いますでしょうか?」
純「これは味わって食べないと。……ん~美味しい!デリシャス!」モグモグ
梓「美味し……。やっぱり流石だね菫」モグモグ
菫「お褒め戴き光栄です」フカブカ
憂「うん、美味しい。スミーレちゃんってお菓子作り上手なんだね」モグモグ
菫「そんな、憂先輩程では……」テレテレ
憂「美味しいよ~。私も頑張らないとな~」
菫「私もまだまだですから」
憂「ん~、そうだ!今度一緒にお菓子作らない?」
菫「いいんですか?」
純「はいはい!じゃあ私試食係で!」ガタン
梓「邪魔しに行く気満々じゃん」
純「邪魔なんかしないもん!」
憂「アハハ……じゃあ皆で作ろうよ」
純「やった!いつにする?」
梓「気が早いって……。まぁ明後日の日曜日とか?」
純「日曜日は駄目!」ビシッ
梓「え?あぁそっか、そういやそうだったね」
憂「じゃあその次の土日かな?」
純「了解!」
菫「分かりました。では」
ガチャ
さわ子「おっまたせ~!」
純「大体想像つくけど、先生何してたの?」
さわ子「ほら、一番衣装映えしそうな菫ちゃんは今の所ドラムじゃない?」
菫「はぁ」
さわ子「で、奥田ちゃんをセンターに立たせるならそれなりにキメないと駄目かなと思って、ちょっとやってみました!」
梓「え?真面目に部活の話?」
さわ子「当たり前じゃない、顧問としての責任が有るしね。じゃあ張り切ってどうぞ~!」ヒラヒラ
ガチャ ガン!
奥田「痛っ!……先生、メガネしてないと良く見えないんですけど……」ウー
純「うわっ、髪伸びてる。メガネしてない奥田ちゃんも良いね」
菫「ウィッグですね。長い髪も似合うし可愛い」
奥田「そ、そう?」
さわ子「次、憂ちゃん」
憂「は、はい!」
さわ子「はい、このウィッグ被って~」
憂「はい。……こうですか?」
梓「憂が髪長いのって何か違和感」
憂「私も経験無いな……くすぐったい」
さわ子「で、憂ちゃんの髪型をっと……」
奥田「私、どうなってるの?鏡も見えなくって」
純「ん?ロングでサイドテール。バッチリ似合ってるよ。ねぇスミーレ」
菫「はい」
奥田「はぁ。そうなんだ」
さわ子「よし。これで、と。奥田ちゃんおいで」
奥田「はいはい」
さわ子「こっち、立って。憂ちゃんこっち」
純「あ~、左右にサイドテールでバランス良いね」
さわ子「でしょ?奥田ちゃんボーカルで憂ちゃんがコーラス&ギターならこうやって二人正面に立たせて、左右に純ちゃん梓ちゃん、後ろに菫ちゃん」
梓「確かに、見栄え良いかも。ちょっとアイドルっぽい」
さわ子「二人でボーカルでもこの並びで良いだろうし、憂ちゃんキーボードに回すなら梓ちゃんコーラスだから二人でツインテールとか」
奥田「ツインテール……」イジイジ
純「お、それも可愛い。奥田ちゃん顔が良いから」
菫「ですねぇ」
純「コンタクトにしないの?」
奥田「アレは怖くて……」
梓「別にそこまで拘らなくても良いと思うんですけど」
さわ子「唯ちゃん達の時は既にポジションとか決まっちゃってたからここまで出来なかったのよね~」
梓「あの、だから先生?」
さわ子?「ん~、衣装はどうしようかしら……メイン二人の衣装は統一して……でも……」ブツブツ
梓「あぁ、もう自分の世界に入っちゃった」
憂「アハハ……。プロデュースする気満々だね。私のパートも早く決めた方が良いかな?」
梓「まぁ、ギターもキーボードもどっちも出来るんだし、憂の好きな方で良いんじゃない?」
憂「う~ん……」
純「いやいや、そんな適当じゃ無くてバランスとか考えなきゃ。部長がハッキリしなさいよ」
梓「え~。じゃあギターは私がやるし、キーボードかなぁ」
純「だったら梓がコーラスだよ?」
梓「う……コーラスは純がやってよ」
純「えぇ!?私が!?」ガタン
梓「いや、そんなに驚く事?」
純「そんな……恥ずかしい~」クネクネ
梓「何その動き気持ち悪い」
純「また気持ち悪いとか言われた……」ズーン
さわ子「やっぱりセクシーよりキュートな路線で攻めた方が良いわよね……露出は……」カキカキ
奥田「取り敢えず、私がボーカルなんでしょうか」
梓「今の流れならね。まぁ他の楽器も触りながら模索していこうよ」
純「一先ず歌ってみようか?奥田ちゃんの歌聴いた事無いし」
奥田「はい。……と言ってもまだ曲も何も無いですよね」
純「何か知ってる歌で良いよ。取り敢えず触り程度で」
奥田「はい……では」スッ
梓「そういえば、菫にもだけど音楽の趣味の話とかしてなかったね」
純「そういやそうだね。どんなの聴いてるんだろ」
奥田「みんな死んでしまった~」
純「ストップストップ!」ブンブン
奥田「え?」
梓「ちょっと、今何て?」
純「え?それ何?誰の?」
奥田「ムックです」
憂「ムック?ポンキッキーズの?」
純「それじゃあの赤色が怖くなっちゃうよ。アレだよ、ヴィジュアル系ってやつ」
梓「あ~、なるほど」
奥田「他の歌の方が良いですか?」
梓「そうだね。出来ればヴィジュアル系以外で」
純「うん、明らかに選曲がおかしい」
奥田「そうですか?では……水割りをくださ~い~」
さわ子「古っ!」ズルッ
奥田「あ、これも駄目ですか?」
純「え?何今の歌」
梓「知らない」
菫「父が聴いていた様な……」
純「まぁ先生が古っ!ていうんだから確実に私達が生まれる何十年前よね?」
さわ子「何ですって!」ガァ
純「ひっ!いや、だって、ねぇ?」
梓「わっ、私に振られても困るよ」
さわ子「あ、でもそうか。……私が生まれる前の曲だったかな?」
憂「そんなに昔なんですか?」
純「先生が、え~っと……何歳でしたっけ?」
さわ子「純ちゃん、女性の歳は詮索しちゃ駄目よ?」ニコリ
純「はい!」ガクブル
奥田「どうでしょう?」
梓「え~っと、もうちょっと最近の曲でお願いできるかな?」
純「そうそう、私達でも知ってそうなのでお願い」
奥田「はぁ……。では……」
* * *
純「いや~、にしても奥田ちゃんのレパートリーにはビックリだね」
菫「そうですね、驚きました」カチャカチャ
純「結局分かる曲の方が少なかったけど……。でも上手だったね~」
菫「はい。アレならボーカルでお願い出来ますね」ザー
純「後は……作詞作曲?」
菫「曲はオリジナルで行くんですか?」キュッキュッ
純「まぁ放課後ティータイムがそうだったから、梓はそのつもりだと思うよ?」
菫「なるほど。あ、お待たせいたしました」フキフキ
純「片づけ終わった?」
菫「はい。帰りましょうか」
純「あいよ~。にしても、こんな時間までいつも後片付けしてたの?」
菫「まぁ大体この位の時間ですね、はい」
純「……明日からはもっと手伝うよ」
菫「そんな、大丈夫ですよ」アセアセ
純「いや~、悪いよ流石に。だって皆より30分も帰るの遅いじゃん」
菫「自発的にしている事ですから」
純「じゃぁ私も自発的にスミーレの手伝いする!」フンス
菫「はぁ……そうですか」
純「甘えてばっかりじゃ先輩としての威厳が無いもんね」
菫「そんな事無いですよ」
純「そう?威厳有る?」
菫「有ります有ります」コクコク
純「例えば?」
菫「例えば?……う~ん……」
純「う~ん……」
菫「……」ウーン
純「……無いんだね……」ズーン
菫「あ!先ほど私との予定を優先してくれました!」アセアセ
純「何か違う気するけど……まぁそうだね」
菫「嬉しかったです」テレテレ
純「そりゃ愛しのスミーレとの約束だもの!親が倒れたってソッチを優先するよ!」
菫「それは親御さんを看てあげて下さいよ」
純「冗談冗談。でもまぁ、一番大事だもの」
菫「はい」
純「はい?今はいって言った?同感してくれた?」
菫「え……あ」カァァ
純「いや~、う~れしい~!スミーレも私との約束を大事に思ってくれてるな・ん・て!」キャッ
菫「あうあう」プシュー
純「じゃあ当日はバキっと楽しまないとね~」
菫「そうですね……」モジモジ
純「まぁ、何処に行くかも決まってないんだけど」
菫「あ、そういえばそうでしたね」
純「行きたい所とか、有る?」
菫「特に思いつくのも無いんですが……」
純「ですが?」
菫「いえ、昨日のドーナツショップみたいに純先輩のオススメを教えてほしいかなぁ、と」テレテレ
純「ふむぅ。そっか」
菫「どうでしょうか」
純「よし!じゃあ任せちゃって!私がスミーレを一日楽しませてあげる!」ビシッ
菫「ありがとうございます」
純「楽しみにしててよ」
菫「はい!……ではこの辺りで」
純「うん!じゃあ日曜日の事はメールするね」
菫「はい。待ってます」
純「じゃあまたね~」フリフリ
菫「はい、また」フリフリ
* * *
純「っていう訳なんだけど、どうしようか」
梓『私に聞かれても……アンタのオススメを教えるんでしょ?』
純「そうだけどさ~、スミーレが楽しんでくれる場所が良いじゃん」
梓『まぁその気持ちも分からなくは無いけど……』
純「でしょ?ガッカリさせたくないし~」
梓『でもさ』
純「なに?」
梓『そうゆうのって何処に行くかより誰と行くかだと思うけど』
純「……」
梓『純?』
純「あ、うん。ありがと。確かにそうだよね。いや、目から鱗だわ」
梓『でしょ?』
純「うん、何か歌詞に出来そうな言葉だよね」
梓『止めて恥ずかしいから』
純「何処でも良いの、隣に貴方が居れば~みたいな?」
梓『だから止めてって!もう……』
純「でもほら、HTTの流れでいえばオリジナルで行くんでしょ?」
梓『そりゃあそのつもりだけど』
純「じゃあ歌詞作りもしないと」
梓『そうだね』
純「結局バンド名の話も忘れてたし。パートも私達以外は確定してないし」
梓『あぁ、そういえばそうだった』
純「しっかりしなよ?部長~」
梓『月曜日にはね!色々決めてこう!期末テスト前には学祭に向けて決めとかないとね!』
純「はいはい。まぁそれより今の私は日曜日の方が重要でね」
梓『それは自分で頑張りなって』
純「うん。さっきの梓の言葉で目が覚めたから大丈夫」
梓『そ。じゃあ楽しんでおいで』
純「言われなくても!じゃぁそろそろ寝るよ」
梓『は~い。じゃあおやすみ』
純「おやすみ~」
ガチャ ツーツー
純「さて、明後日は一日遊び倒すんだし宿題は全部やっとかないとなぁ」ポリポリ
純「でも眠いし……」
純「よし!もういいや!明後日の事も宿題も明日の私に任せて、今日は寝ちゃおう寝ちゃおう寝ちゃおう!」
* * *
という訳で本筋からちょっとそれたお話でした。
今月号を見て浮かんだ流れでそのまま作ってみましたがいかがでしょうか?
奥田ちゃんは変な子扱いしてますが、なかなか面白キャラなので敢えて突っ走らせました。
かなりの捏造が入ってますが、ご了承ください。
この後本編日曜日とその後の話を書くか書かないかで終了の予定です。
少しでも楽しんでいただければ光栄です。
日曜日!
純「ふぁあ~……あむ。早起きしすぎたかな……」テクテク
純「気合い入れて準備した割には結局いつもの恰好に落ち着いちゃった訳だけど、おかしくないよね?」キョロキョロ
純「さて、と……待ち合わせ30分前には間に合ったね」テクテク
純「やっぱアレだよね。デートの醍醐味ったら『待った?』『ううん、今来たトコ』だよね~」テクテク
純「是非とも私は『ううん、今来たトコ』って言いたいので、頑張って30分前に来たって訳で」テクテク
純「一人佇む私、向こうから走ってくるスミーレ、軽やかにスカートを靡かせながら……そういえばスミーレの私服見るの初めてだ」テクテク
純「どんなのかな~楽しみだな~」テクテク
純「な~んて独り言が多いな私は……って、……スミーレもう居るし」ガックリ
純「あれ?……うん、まだ10時半だよね?待ち合わせ30分前だよね?」
菫「あ!純先輩おはようございます」タタタタ
純「おはようスミーレ。待った?」
菫「いえ、今来たところですので」
純「くぅ~!やっぱ良いよね!」
菫「え?何がですか?」
純「あぁコッチの話。でもまだ三十分前だよ?」
菫「遅れてはいけないと思いまして少し早めに。そういう純先輩こそ」
純「まぁやりたい事が有ってね」
菫「そうなんですか?では先ずそれからにしましょうか」
純「いやいや、それはもう出来たから良いの」
菫「はい?」
純「にしてもアレだね、スミーレ今日も可愛い。私服って大体そんな感じ?」
菫「そうですね。あぁでもこれは昨日紬お姉ちゃんが」
純「お姉ちゃん?」
菫「あ、いえ!お嬢様がですね!折角だからと色々用意して下さいまして」
純「へぇ~」マジマジ
菫「そんなに見ないで下さい」モジモジ
純「え~良いじゃん。うん、イメージ通りって感じ」マジマジ
菫「もう……今そんなに見なくても、今日一日隣に居ますから」
純「……」
菫「あの、純先輩?」
純「今の言葉グッと来た」
菫「へ?」
純「スミーレー!」ガバッ
菫「ひゃぁあ!?」ブン
スパーン!
純「おぉう……良い音したなぁ、今の」ヒリヒリ
菫「すみません純先輩!大丈夫ですか!?」アワワワ
純「うん、ゴメン。暴走しちゃった」アハハ
菫「いえ、こちらこそ失礼な真似を」アセアセ
純「良いの良いの。ちょっと嬉しいし」
菫「嬉しい?」
純「って言っても変な意味じゃ無いよ?手を出し合えるのも仲の良い証拠じゃない」
菫「はぁ、そうなんでしょうか」
純「遠慮し合ってちゃ仲良くなれないしね。じゃあそろそろ、出発しようか」
菫「は、はい。で、今日はどちらに?」
純「ん?それは着いてのお楽しみ。先ずは電車乗るよ~。行こう行こう」
* * *
菫「はぁ~、大きいですねぇ」キョロキョロ
純「このモールなら大体揃ってるし、ちょうど良いかなと思って」
菫「なるほど……。あ、入口でパンフレット戴きましたので一枚どうぞ」
純「おっ、流石スミーレ気が効く~。一回梓達と来た事有るんだけどちゃんと把握してないんだよね~」
菫「かなりの広さですものね。全部回るとなると一日かかりそうですね」
純「電気屋さんとかスーパーも入ってるしその辺省くけど、それでも大分広いんだよね」
菫「それで、先ずはどちらから?」
純「ん~……スミーレお腹減ってる?」
菫「いえ、まだそれ程」
純「じゃあ先ずはウィンドウショッピングしよう。色んなブランドのお店が有るから見てるだけでも楽しいよ、多分」
菫「でしたら……ウエストエリアの二階からですね」
純「西ったらあっちか」
菫「そうですね」
純「じゃあ行こう行こう」テクテク
菫「はい」テクテク
純「にしてもスミーレは良いよね」テクテク
菫「え?」テクテク
純「そうゆう女の子!って感じの服が似合うのって羨ましいよ」テクテク
菫「そ、そうでしょうか?」テクテク
純「私が着てもな~って」テクテク
菫「そんな事ありませんよ」テクテク
純「そんなにオシャレにも気ぃ使ってないし、な~……っと」ジー
菫「あ、このお店入りますか?」
純「ん、こうゆう可愛いのも好きなんだけど……」マジマジ
菫「だけど?」
純「私が着ても似合わないからいいや」プイッ
菫「そうでしょうか?純先輩なら……コチラとかどうでしょう?」スッ
純「え?」
菫「フリルが多いのよりはシンプル目な方が似合うと思いますけど」
純「そう?」
菫「上から合わせてみましょうよ」
純「う~ん……どう?」
菫「似合います似合います!」
純「そう、かな」テレテレ
菫「はい!」
純「スミーレがそんなに言うなら、買っちゃおうかな~……あ、うん……」カチャ
菫「あれ?戻すんですか?」
純「見た目は可愛いけど値段が可愛くない」ムー
菫「……あ~」
純「ま、まぁ色々見て回ろうか」
菫「他のお店も見てみますか?」
純「そうだね。お店の人に声かけられる前に次に行こう」ソソクサ
菫「はい」ソソクサ
純「……さて」テクテク
菫「はい」テクテク
純「あ、コレ良いな」
菫「こちらは、先ほどのお店よりお手頃ですね」
純「そうだね」
菫「……え~っと、い、いんぐに?」
純「あぁ、『イング』だよ」
菫「『イング』ですか……後のNIは」
純「敢えて読まないっていうのもファッションなんじゃない?」
菫「あ~、そういう事ですか」ポン
純「まぁ、分かんないけど」
菫「……」ジトー
純「スミーレのジト目ってのも新鮮だね。あ、これスミーレ似合うんじゃない?」
菫「……どうですか?」
純「うん、バッチリ。次こっち」
菫「こちらはどうでしょう?」
純「うん。こうゆう大人っぽいのも似合うね」
菫「そんな……」テレテレ
純「でも逆にこうゆうのも良いよね」パッ
菫「そうですか?」
純「うん、似合う似合う。羨ましいなぁ」
菫「これでしたら、下にこんなスカートで……」
純「おぉ、良いねぇ」
菫「こういうファッションも良いですね……今日は買いませんけど」カチャカチャ
純「そう?じゃあそろそろ次ぃ行ってみよ~」テクテク
菫「はい!」テクテク
純「ここは~……フリフリしてるなぁ」
菫「そうですねぇ……」マジマジ
純「……見てく?」
菫「少しだけ良いですか?」
純「良いよ良いよ。そんな遠慮なんか要らないって」
菫「ありがとうございます」テクテク
純「でも私には似合わないなぁこのお店のは」テクテク
菫「こういうのはお持ちでないんですか?」
純「そうだね、ゴスとはいわないまでもここまでフリフリのは流石に……スミーレは?」
菫「余り着る事は有りませんが……」
純「そっか。……あ、これとかどう?」
菫「はい?……どうですか?」
純「何だろう、可愛過ぎて訴えるぞ!って感じ」
菫「……それは、お褒めの言葉として受け取って良いんでしょうか?」
純「うん。服もスミーレも可愛いともうたまんないね!」
菫「そ、そうですか……」カァァ
純「ん?どしたのそんなに赤くなって」
菫「その、あんまり大声で言わないで下さい。他の人の目線が……」モジモジ
純「あぁ、なるほど。でもホントの事だからなぁ」
菫「ありがとうございます……」テレテレ
店員「お客様、良ければご試着なさいますか?」
純「え?じゃあ」
菫「いえ結構です!行きましょう先輩!」ガシッ スタスタ
純「うぇ?ちょと、スミーレ?」ズルズル
菫「次のお店行きましょう!」スタスタ
純「う…うん」テクテク
菫「次はどちらにしましょうか?」スタスタ
純「うん、あのさ、スミーレ?」テクテク
菫「はい、何でしょう?」スタスタ
純「ごめんね?」テクテク
菫「いえ、そんな……恥ずかしかったですけど」
純「だよね……でもさ」
菫「はい?」
純「手繋いだままなのは平気なの?」
菫「え?……あぁ!」バッ
純「あぅ、言うんじゃなかったかな」
菫「すみません!おこがましい真似を!」
純「おこ……何?まぁ私としてはずっと繋いでても良いんだけど」
菫「いや、それは……」カァァ
純「いつでも握ってくれていいからね?」ニギニギ
菫「いえ、その、大丈夫ですから……」
純「そぉ?残念だな~。あっ、次あそこ寄って良い?」
菫「あちらは……何のお店ですか?」
純「雑貨屋さん、かな。海外直輸入!とかあんまり見かけない様なのが一杯置いてるんだよ」
菫「確かに、雑貨といいますか雑多といいますか」
純「まぁそうだね。ゴチャゴチャして狭いけど面白いよ?例えばほら、こんなカメラとか」
菫「コレ、オモチャじゃないんですか?」
純「トイカメラっていって、こんなんでもしっかり写真が撮れるらしいよ?」
菫「コレとか、レンズ部分が顔ですけど」
純「これアルバムか。ほら、こんな写真が撮れるんだってさ」パラパラ
菫「へ~。しっかり撮れるんですねぇ」シゲシゲ
純「あ、この犬可愛い。スミーレって犬派?猫派?」
菫「どちらかといえば猫派でしょうか」
純「ふ~ん」パカッ カチカチ
純「……この猫どう?」
菫「可愛いですねぇ」
純「ウチの子なの。可愛いでしょ~ウチの2号」
菫「猫飼ってらっしゃるんですか……2号?」
純「いや、ホントは違う名前なんだけどね?前に梓に預けてからさ、気付いたらあずにゃん2号になっちゃってて」
菫「なるほど……今度見に行っても良いですか?」
純「良いよ良いよ!スミーレならいつだってウエルカムだよ!」
菫「ありがとうございます」
純「こちらこそ~。……アリガトウすみーれ!」パクパク
菫「そちらは、腹話術のぬいぐるみですか。可愛らしいカエルですね」
純「うん。でもこれ実は鍋つかみなんだ」パクパク
菫「え?あぁ、ココはキッチン用品なんですね」
純「ウシとかも有るよ?」パクパク
菫「遊び心ですね」
純「だね。後はねぇ」キョロキョロ
菫「でもお家には置けないかな……」
純「ほら、コレとか。ハンバーガー」ヒョイ
菫「クッションですか……あれ?チャックついてる」ジジジ
純「に見せかけたCDケースなの」
菫「はぁ~……面白い」
純「部屋に置いてたら間違えて踏んじゃいそうだけどね」
菫「あはは……。ココは、料理本ですね」
純「ホントだ。うわっ!コレ美味しそ~」
菫「『世界のスイーツセレクション』……洋菓子の本ですか」
純「見て見てスミーレ、ブッシュ・ド・ノエル!」バッ
菫「スゴイ……綺麗なデコレーションですね」
純「だよね~。美味しそうだな~、食べてみたいなぁ」ペラペラ
菫「でしたら作りましょうか?」
純「え!?スミーレ今の作れんの!?」
菫「そちらの本みたく凝ったのは無理ですけど、もっとシンプルなので良ければ」
純「マジで!?スミーレ大好き!」ダキッ
菫「ちょっ、ちょっと純先輩!?」カァァ
純「じゃあこの本買っちゃう?あ、でもこの本写真だけで作り方載ってないや」ブー
菫「そうなんですか?というかそれよりもですね」アセアセ
純「だったらそっちのお菓子レシピの方が良いかな?ん~、届かない」
菫「くっついたまま取ろうとしないで!先ず離れてください!」
純「は~い」スッ
菫「周りのお客さんが居るって言ってるじゃないですか……」モジモジ
純「ゴメンゴメン、嬉しくってつい」ポリポリ
菫「そんな事するんでしたらもう作りませんよ?」
純「え~、スミーレの意地悪~」プー
菫「膨れても駄目です」プイッ
純「むぅ~」
菫「……レシピはお家に有るので大丈夫ですよ」
純「そっか!楽しみにしてます!」
菫「もぉ……純先輩って現金ですよね」
純「うん!元気が取り柄だからね!」フンス
菫「元気じゃなくて……まぁいいか」
純「スミーレ~、コレ凄くない?」
菫「ギターの……なんですか?」
純「ギター型スピーカーだって。むったんに似てない?」
菫「むったんというと梓先輩のギターですよね……確かに似てますね」
純「梓の誕生日にプレゼントしたら喜ぶかな?でも梓の家はしっかりした音響設備有るしなぁ……」ムムム
菫「梓先輩の誕生日ってもうすぐなんですか?」
純「ん?いや、誕生日は十一月なんだけど。こうゆうのって早くから考えてても損は無いでしょ?」
菫「備え有れば憂い無しと言いますしね」
純「そうそう。憂にはさっきの鍋つかみとかも良さそうだよね」
菫「料理も得意なんですものね。憂先輩は何月生まれなんですか?」
純「あの子は二月だね」
菫「まだまだ先ですね……純先輩は?」
純「私はもう過ぎちゃったよ」
菫「え?そうなんですか?」
純「牡羊座ですから。1学期始まったらもう誕生日なんだよね私」
菫「そうですか……」
純「まぁ今買ってもしょうがないよね。近くなったら又考えよう」テクテク
菫「そうですね」テクテク
純「あ、ネコミミ」ヒョイ
菫「色んな動物の耳ですね」
純「でもネコミミは梓の専売特許だから~、犬とかどうかな?」スチャ
菫「わぁ、お似合いですよ」
純「そぉ?スミーレは何かっていうと……狐とかどうかな」ヒョイ
菫「狐ですか?……どうでしょう?」スチャ
純「うん、持って帰りたい。後はあのモフモフしてる尻尾が有れば完璧なんだけど……」キョロキョロ
菫「尻尾は流石に置いてないみたいですね」スッ
純「だねぇ。ってスミーレが人間に戻ってる!」ガーン
菫「いや、最初から人間ですよ」
純「似合ってたのに~」ブー
菫「こんなの付けて外歩けませんよ……」
純「それもそっか」スッ
菫「良かった、素直に分かっていただけて」ホッ
純「じゃあ買ってこ」ヒョイ
菫「え?何で?」
純「部室で着けてよ。メイド服のほら、何だっけ?頭に付けるヤツ」
菫「ホワイトブリムですね」
純「そうそうそれそれ。それの替わりにさ」
菫「替わりにって……」
純「尻尾はさわ子先生に作ってもらうか……。折角だし憂と奥田ちゃんにも買っていこう」キョロキョロ
菫「梓先輩の分は良いんですか?」
純「梓はネコミミが有るから大丈夫。憂は……兎かな?」
菫「兎ですか?何かイメージと違うような……」
純「ほら、憂は寂しがり屋だから~」
菫「そうなんですか?」
純「唯先輩が修学旅行で二、三日家空けるってなった時泣きそうだったしね」
菫「そんなに……」
純「奥田ちゃんはなんだろっかな~。犬……猫……これは、ウシ?」
菫「コレとか、どうですか?」スッ
純「狸?……良いね。じゃあこの三つで」
菫「純先輩の分はよろしいんですか?」
純「私は良いよ~、さっき着けたし」
菫「でも、そうなりますと全員で着けた時に純先輩だけ何もなしになりますよ?」
純「……あぁそっか。仲間外れは嫌だな。じゃぁ自分の分も買っとこう」スッ
菫「その方がよろしいかと」
純「スミーレ選んでよ」
菫「わ、私がですか?」
純「うん。立ってる耳と垂れてる耳とどっちがいいかな?」
菫「う~ん……でしたら、コチラの垂れてる茶色の」
純「オッケー。じゃあちょっと買ってくるよ!」タタタタ
菫「はい、分かりました。……にしても、本当に色々有るなぁ」テクテク
菫「あ、この時計可愛い。あれは……溶けてる?あぁ、こうゆうデザインなんだ」
菫「板チョコ……のクリップ。こっちはマグネット」
菫「ん?この箱なんだろ?」パカッ
ビヨーン!
菫「ひゃぁあ!?」ビクッ
アヒャヒャヒャヒャヒャヒャ!
菫「ひっ!……あぁ、こうゆう玩具なんだ。あ~ビックリした」ギュム
アヒャヒャヒャヒャ……パタン
菫「思わず叫んじゃったけど……周りに見られてないかな?」キョロキョロ
純「じぃ~」ニヤニヤ
菫「じゅっ純先輩!?……見てました?」
純「バッチリ!」グッ
菫「あ~……恥ずかしい」カァァ
純「にしても最近のケータイって高性能だよね~」カチカチ
菫「え?ちょっと、何したんですか?」
純「ん~?べっつに~」ニヤニヤ
菫「もしかして……撮りました?」
純「……バッチリ!」グッ
菫「消して下さい!」
純「ナイスショットだったよ?」
菫「撮れ方が問題なんじゃないです!」ガバッ
純「良いじゃん良いじゃん」ヒョイ タタタ
菫「良くないです!」タタタタ
店員「すみませんお客様。店内ではお静かにお願いできますか?」
菫「ハッ、ハイ!すみません!」
純「怒られちゃった」テヘ
菫「う~。お願いしますよ先輩」
純「ゴメンゴメン。写メは消しとくって」カチカチ
菫「はぁ……ん?何ですかコレ」
純「あぁ、ココはインテリア置き場だね。モーションランプだってさ」
菫「綺麗……」ポー
純「どうなってんだろコレ?上がったり下がったり」ムムム
菫「素敵ですねぇ……」
純「こっちはグラデーションだって。こうゆうのが似合う家っていいよね」
菫「そうですねぇ……」
純「……買っちゃう?」
菫「え?いえ、こういうのを置くのは……」
純「あ、これも可愛くない?」
菫「卵型ですね。あれ?コレ空気清浄機ですって」
純「ホントだ。『お部屋に一台、いかがですか?風邪対策に』だって。これなら家に置いても良いんじゃない?」
菫「う~ん、どうでしょう?」
純「すいよ……やめとこ。でも今買っちゃうと荷物になっちゃうね」
菫「そうですね。又の機会にしましょう」
純「うんうん。そろそろ出ようか」
菫「はい。……あ」
純「さて、そろそろお腹減ったなぁ……、スミーレ?」
菫「あぁすみません……ちょっと」
純「何か有った?」
菫「先に出ててもらってよろしいですか?直ぐ追いかけますので」
純「ん?うん」テクテク
菫「少々、失礼します」ソソクサ
純「は~い」テクテク
純「何だろ?気になるなぁ」ソォー
純「何か小箱持ってる……アクセサリーかな?」
純「レジ行って……ん?何かもう一個取ったな。ストラップかな?あれは」
純「あ、お会計済ます前に戻らないと」タタタ
純「ふぅ……」ストン
菫「すみません、お待たせしました」タタタ
純「良いよ良いよ。何か良いもの有った?」
菫「はい!」
純「そりゃ良かった。……プレゼント?」
菫「へ?あぁはい。紬お嬢様への誕生日プレゼントです」
純「え?ムギ先輩の誕生日ってもうすぐなの?」
菫「はい。プレゼントは用意してたんですけど、近頃お世話になってますのでその分も込めてもう一つ」
純「なるほど。私も何か準備しようかな?軽音部関係で色々援助してもらってるし」
菫「当日はお屋敷でパーティですので、直接渡すのは難しいかと思いますけど……」
純「流石お嬢様。じゃあ何か準備したらスミーレにお願いするよ」
菫「分かりました」
純「さて、お腹減った~」
菫「そうですね」
純「スミーレ何食べたい?」
菫「あの、お弁当作ってきたんですけど……」ヒョイ
純「え?マジで?」
菫「はい。サンドイッチを」
純「いや~良いね良いね。じゃあ折角だし外の広場で食べよう」
菫「分かりました」
純「よし!行こう行こう」
* * *
午前の部終了です。
午後もこのままただただイチャイチャする予定。
後々投下してまいります。
菫「お好きなのをどうぞ、純先輩」スッ
純「サンキュ。うわ、美味しそ」
菫「お口に合えば良いのですが」
純「いただきます!」パクリ
菫「いただきます」パクリ
純「ん~!美味しい!」モグモグ
菫「ありがとうございます」
純「ん!こっちも美味しい!流石スミーレ!」モグモグ
菫「あ、お茶もどうぞ」
純「さんきゅ~」ゴクゴク
菫「ゆっくり召し上がってください」
純「いや~、最高。あ、スミーレも食べてよ?」モグモグ
菫「はい、いただいてます」モグモグ
純「ん~!いやもう、ホントどれも美味しい。こんなの毎日食べれたら幸せだろうな」モグモグ
菫「ま、またそんな事言って……」カァァ
純「あはは……ま~たつい口から出ちゃった」
菫「……純先輩は」
純「ん?」
菫「私の何処を、その……好きになってくださったんですか?」
純「へ?」
菫「ほら、梓先輩や憂先輩の様に長い付き合いが有る訳でもないですし」
純「うん」
菫「歳も違いますし、それこそ部室で会うのが主じゃないですか」
純「まぁ、そうだね」
菫「まだ会って二ヶ月少しの私に、そこまで気に入っていただける要素が有るのかな?と思いまして……」
純「う~ん、そりゃ有るんだけど……言わせる?ソレ」ゴクゴク
菫「あ……いえ、無理して言っていただかなくても良いんですけど」
純「あ、お茶おかわり貰って良い?」
菫「はい、ただいま」コポポポ
純「ん~……初めはね」パク
菫「はい?あ、どうぞ」
純「あひはほ。ひほめぼれはっはんだへほへ」モグモグ
菫「何ですか?」
純「んく。まぁ最初は可愛い子だな~って思って」
菫「はぁ……」
純「気付いたら見惚れてた」
菫「……」
純「梓も憂も、そりゃ奥田ちゃんも可愛いんだけど、な~んか違うの」ヒョイパク
菫「違う?」モグモグ
純「うん。なんていうかね、グッと来た?」グッ
菫「グッと……」
純「いうなれば……運命?」キリッ
菫「運命!?」
純「カッコよく言うとね。まぁ簡単に言えば一目惚れだったんだろうな~って」
菫「一目惚れ……ですか」カァァ
純「ていうかさ、この話すればする程お互い恥ずかしいだけと思うんだけど……続ける?」パク
菫「……う~ん……折角ですし」
純「物好きだねぇスミーレも。でもアレだよ?外面が好きなだけじゃないよ?」
菫「え?」
純「気配り上手だし、色々尽くしてくれるし、お茶淹れるの上手だし、しっかり者だけど何処か抜けてるし、優しいし、柔らかいし」
菫「……柔らかい?」
純「良い匂いするし、髪ツヤサラフワだし、何着ても似合うし、礼儀正しいし、可愛いし、皆の事考えてくれてるし、可愛いし」
菫「じゅ、純先輩!その辺で!」アタフタ
純「え~、まだまだ有るよ?良いリアクションするし、可愛いし、私の事受け入れてくれたし、可愛いし、気が効くし、可愛いし、頑張りやさんだし」
菫「いえ、もう、十分ですっていうか途中から可愛いばっかりじゃないですか」アセアセ
純「ホントの事だもん。まぁそうゆう色々ひっくるめて『可愛いスミーレが好き』なの」
菫「あぅ、ありがとうございます……」モジモジ
純「今日だけでももっと好きになったね。色々な顔見れたし?」
菫「あはは……」
純「何だっけ?『私もう死んでもいいわ!』みたいな?」
菫「はい?」
純「まだ習ってないか。じゃあ『月が綺麗ですね』とか」
菫「へ?まだお昼……あ……」カァァ
純「そっちは知ってた?どっちも同じ意味なんだよね~」ケラケラ
菫「純先輩ってそういうの詳しいですよね。その、『アモーレ』とか」
純「そりゃまぁ純情抱く乙女ですから!」フンス
菫「はぁ」
純「純だけにね!」ドヤ
菫「あぁ、なるほど」ポン
純「……普通に返されると困る……」ズーン
菫「え、えぇ?」
* * *
純「いや~、食べた食べた。ごちそうさまでした」パン
菫「お粗末さまでした。お茶どうぞ」
純「ありがと。……ふぅ~、じゃぁ次何処行こっか」パラパラ
菫「そうですね……」パラパラ
純「ブティックは目ぇ通したしね~」パラパラ
菫「……でしたら、映画とか?」
純「う~ん、見たいの有る?」
菫「今何が上映されてるのかも分かりませんが」
純「ん~……行ってから考えても良いんだけど、映画見始めちゃうと一~二時間スミーレとお喋り出来なくなっちゃうからなぁ」
菫「まぁ、そうですねぇ……」
純「うん、取り敢えずゲーセン行こう!」
菫「ゲーセンですか?」
純「行こう行こう!」
菫「はい、行きましょう」
純「って訳で着いたんだけどね」
菫「ゲームセンター……初めて来ました」キョロキョロ
純「やっぱり。だと思ったよ」
菫「以前お嬢様がご友人と行ったそうで、大変楽しかったと」
純「おぉ、それはプレッシャーだね」
菫「……コレは何ですか?」
純「レーズゲームだね。車で競争するの」
菫「こちらは?」
純「音ゲーっていって、音楽に合わせてボタン押してくゲーム」
菫「では、あれは?」
純「ホッケーっていう対戦ゲームだよ」
菫「あちらの大きいのは?」
純「コインゲームだね」
菫「あれもゲームなんですか?インテリアじゃなくて?」
純「最近のゲームは色々ド派手だから。この辺はUFOキャッチャーだね」
菫「はぁ~……」キラキラ
純「子供みたいにはしゃいじゃって……ホント可愛いなぁもう」
菫「純先輩!純先輩!これはどうすれば戴けるんですか?」
純「ん?コレ欲しいの?」
菫「はい!この子が可愛いです」
純「じゃぁ取るか、え~っと……店員さ~ん!」
店員「はい、どうしました?」
純「この子が欲しいんですけど~、もうちょっと取れやすくならないかな~って思って~」クネクネ
店員「はいはい。……ん~……あ~……こんなもんで?」
純「ありがとうございま~す!」
菫「あ、ありがとうございます」
店員「何か有ったらすぐ呼んでくださいね~」スタスタ
純「よし!じゃあちょっと見てて」チャリンチャリンチャリンチャリンチャリン
菫「はい」ワクワク
純「こうゆうタイプはね、持ち上がらないの」
菫「ほぉ」
純「だから、さっき店員さんが確認してたみたいにバランスを崩して落とすんだ……よ……っと」
菫「あ!……落ちませんね」
純「一回じゃ落ちないね、まず。今度は……ここだ!」
菫「わ!……あ、あぁ、まだ落ちない」
純「ここまでくればもう一回で……よし!ゲット!」
菫「わぁ!凄いです先輩!」
純「褒めて褒めて~。はい、スミーレ」スッ
菫「あ、でも戴いて良いんですか?純先輩が取ったんですし」
純「そりゃスミーレの為にゲットしたんだもの。貰って貰って」
菫「ありがとうございます」フカブカ
純「スミーレもやってみる?」
菫「はい。どれがいいでしょう?」キョロキョロ
純「こうゆうのは取れやすいよ?一回百円だし」
菫「あ、この子と同じ。キーホルダーですね」
純「うん、丁度良いね。じゃあいってみようか」
菫「はい!百円入れて、と……」
純「横行って~、次のボタンで縦行って~」
菫「しっかり掴んで……あ、一個引っかかって穴に落ちちゃいましたけど」
純「結果オーライ、それもゲットです!」
菫「掴んだのも含めて、二つ取れました!」
純「凄い!ダブルだよスミーレ!ダブルは行進出来るよ!」
菫「行進?え?何処にですか?」
純「はい!ズッタカターズッタカター……あ、コレ二個とも同じのだね」
菫「あ、そうですね。では一つは純先輩に」スッ
純「え?良いの?」
菫「はい、この子のお返し……には小さいですけど、お揃いですよ」
純「スミーレってば……もう家帰ったら直ぐ鞄に付けるよ!」
菫「私もそうします」
純「やった!やった!スミーレとおそろ!さっ、次何しよっか。好きなの選んで」
菫「そうですね……アレって、ドラムですか?」
純「うん?あぁ、ドラムとギターの音ゲーだね。やってみる?」
菫「はい。セッション出来るんですね、じゃあ純先輩も」
純「よ~し、私のギター捌きを見せてやる!」
菫「よっと……部室のと違うな……」
純「まぁ、ゲームだからねぇ。ギターの弾き方も全然違うし」
菫「みたいですね」
純「よし!じゃあ華麗にセッションだ!オー!」グッ
菫「お、おー」グッ
* * *
STAGE FAILED!
菫「駄目、でしたねぇ」
純「調子乗ってすみませんでしたー!」
菫「あはは……でもコレなら本物の方が楽しいです」
純「私もベースの方が良いや。明日の放課後は本物でセッションしよっか」
菫「はい!」
純「じゃぁ次は~っと……プリクラ撮ろっか」
菫「プリクラって、あの写真に絵を描いたり遊んだり出来るのですよね?」
純「お?スミーレも知ってる?」
菫「お嬢様とご友人の撮ったのを見せて戴きました」
純「なるほど。じゃあ早速?」
菫「是非!」
純「じゃぁ……う~ん……」キョロキョロ
菫「色々有るんですねぇ……」
純「折角スミーレが可愛い服着てるんだもの。全身も取れる方が良いし、コレにしよう」
菫「はぁ~……何というか、中は写真撮影みたいですね」キョロキョロ
純「みたいっていうか写真撮影なんだけど……」
菫「あ、背景をスクリーンで替えれるんですね」クルクル
モードを選んで下さい!
純「スミーレの好きなの選んどいて~」ピッピッ
それじゃあ、撮影を始めるよ!
菫「はい。ではコレで」
純「OK、じゃあ先ずは全身から~。スミーレ先ずは前のカメラだよ」
菫「は、はい」ドキドキ
前のカメラを見てね!3、2、1、
純「緊張しなくて良いよ。……スミーレ~、ぎゅっ!」ダキッ
菫「ひゃっ!?」
パシャ!
純「はい!じゃあこのまま上のカメラだよスミーレ」
菫「え、や、ちょっと先輩!?」
次は上のカメラだよ!3、2、1、
純「ほらスミーレ、上見て!スマイル!」
菫「は、はい!」
パシャ!
純「次はもっかい全身だね。スミーレ前で屈んで~」
菫「え?こうですか?」
前のカメラを見てね!3、2、1、
純「よし!前見て~はい、笑って笑って~」
パシャ!
純「じゃぁ次そのまま立ち上がって」
菫「思ったより、忙しいですね」
純「待ってくれないからね、このタイプは」
菫「みたいですね」
最後は上のカメラだよ!
純「今度は後ろから、ぎゅっ!」ダキッ
菫「まっ、また!?」
3、2、1、
純「はい!上見てニッコリ!」
菫「え、あ、はい!」
パシャ!
撮影が終了したよ!次は右の画面でラクガキしてね!
純「よ~し、撮影も終わったし次はラクガキだ~」テクテク
菫「疲れました……」テクテク
純「はい、スミーレもペン使って」
菫「は、はぁ。え~っと」
純「ペンの種類はココ、スタンプはココ。例えばスミーレの眉毛を、こうだ!」ピッ
菫「あ~、なるほど。じゃぁ……こうですね!」ピッ
純「私のウインクで星が飛んでる……やるなスミーレ」
菫「こうすればもっと可愛く出来ますね」ピッピッ
純「じゃあこっちの間にハート付けちゃお」
菫「いや~、それはちょっと……」
純「あ、忘れてた。今日の日付と、『すみれ』『じゅん』っと。これでいつ見ても思い出せるね」
菫「そうですね」
純「……よし、こんなもんで」
菫「……はい、OKです」
純「バッチリだね。この中で一番良いと思うの選んでタッチして」
菫「え?え~っと……コレでしょうか」ピッ
純「オッケ~」
菫「選んだ意味は?」
純「後で分かるよ。お、出た出た。ここで半分っと」チョキチョキ
菫「はぁ~……こうなるんですね」マジマジ
純「うん。はい、半分こ。何処かに貼る時は切って貼ってね」
菫「あ、ありがとうございます」
純「よ~し、じゃあ次はホッケーしよ!」
菫「は、はい!」
* * *
純「いや~、どうだった?初めてのゲーセンは」テクテク
菫「そうですね。楽しかったです」テクテク
純「そりゃ良かった。あ、ちょっとお茶する?」
菫「一休みしましょうか」
純「うん。このケーキ美味しそうだし」
菫「そこですか……あ、でもコレも美味しそう」
純「じゃあ一個ずつ買って食べ比べしようよ」
菫「そうですね」
純「バイキング形式でぇ、皆それぞれ好きな物を~」テクテク
菫「いえ、バイキングではないですよ?」テクテク
純「冗談冗談。うわっ、なんかしっかりしたお店だね」
菫「良い雰囲気のお店ですね、静かで」
純「すみませ~ん!」
店員「お待たせいたしました。こちらのお席へどうぞ。ご注文はお決まりですか?」
純「はい。ケーキセット二つ、このイチゴショートとチョコので、アイスティーと……スミーレ何にする?」
菫「あ、私もアイスティーでお願いします」
純「ん、じゃあアイスティー二つで」
店員「かしこまりました。それでは少々お待ち下さいませ」スタスタ
菫「ゲームセンターって面白い処ですね、色々有って」
純「でしょ?何だかんだで長い事居たもんね」
菫「ぬいぐるみも取れましたし、プリクラも撮りましたし」
純「良い絵が撮れたしね~」
菫「疲れましたけどね……また抱きつかれましたし」ハァ
純「二人きりだし良いかなって」テヘ
菫「まぁ、良いですけど……」
店員「お待たせいたしました……ごゆっくりどうぞ」
純「いただきま~す。……ん~美味しい!」モグモグ
菫「ん……こちらも美味しいです」モグモグ
純「そっちも美味しい?一口ちょうだい」アーン
菫「どうぞ」スッ
純「んむ……ん~美味しい!」モグモグ
菫「はっ!……またやってしまった……」カァァ
純「ん?どしたのスミーレ」
菫「いえ……」
純「あ、こっちのも食べる?はい、あ~ん」スッ
菫「あの、それはちょっと……」キョロキョロ
純「え?いいじゃんホレホレ、おいし~よ~」フリフリ
菫「……自分で取りますよ」
純「え~、もう出したんだから引っ込められない~」フリフリ
菫「う~……分かりました。……あーん」パク
純「美味しいでしょ?」
菫「モグモグ……はい、美味しいです」
純「だよね~」パク
菫「恥ずかしい……」パク
純「まぁまぁ、これもいつものノリって事でさ」モグモグ
菫「お店の雰囲気からして、もっと静かにですね」
純「あ、もう一口頂戴」アーン
菫「……はぁ、もう諦めます。どうぞ」スッ
純「ん~!おいしっ」モグモグ
菫「……まぁ、良しとしますか」
純「はい!スミーレももう一口、あ~ん」スッ
菫「いただきます」パク
純「素直でよろしい!」ナデナデ
菫「もう……」モグモグ
純「……」パク
菫「……」コクコク
純「ん~……」モグモグ
菫「……」パク モグモグ
純「……」ゴクゴク
菫「……あ、あの、純先輩?」
純「ん?なに?」
菫「いえ、え~っと、何でもないです」
純「そぉ?あ、期間限定スイーツなんかも有るんだ」
菫「ホントですね。これも美味しそう」
純「もう一個食べちゃう?」
菫「どうしましょう?この時間に食べ過ぎるのも」
純「ん~……じゃあ半分こしようよ」
菫「あ、はい。そうですね」
純「すみませ~ん!」
店員「お待たせいたしました。ご注文ですか?」
純「この限定スイーツなんですけど……あ、どれにしよっか」
菫「純先輩が選んで下さって構いませんよ」
純「そぉ?う~ん……コレってどんなのですか?」
店員「こちらはマンゴーのプリンをマンゴーのクリームでコーティングしたモンブラン風のものでございます」
純「……こっちは?」
店員「こちらは練乳のババロアと宇治抹茶のムースをチョコケーキの生地と層にしまして、上に小豆を乗せた宇治金時風のケーキですね」
純「なるほどなるほど……これは?」
店員「そちらは白桃のクリームと果肉をカステラで挟んだケーキになっております」
純「なるほどなるほど……どれも美味しそうだ~」ムー
菫「あはは……確かに」
純「スミーレ」
菫「はい?」
純「じゃ~んけ~ん」
菫「へ?え?」
純「ぽん」グー
菫「ぽん」チョキ
純「よし、じゃあ今日は白桃のケーキで」ビシッ
店員「かしこまりました。少々お待ち下さい」スタスタ
菫「……今のじゃんけんは何の意味が?」
純「勝者の特権って事でスミーレに選んでもらおうかと思ったんだけどさ、私が勝っちゃったから意味無し」
菫「なんですかそれ……」
純「まぁ気にしない気にしない」パク
菫「はぁ……」パク
純「ん~……美味し」モグモグ
菫「はい」モグモグ
純「……」パク
菫「……」モグモグ
純「……」プスリ
菫「……じゅ、純先輩?」
純「ん?あ、食べる?はい、あ~ん」スッ
菫「いえ、あの」
純「違う?まぁまぁとりあえずあ~ん」
菫「あむ……ありがとうございます」
純「どういたしまして。で、何?」
菫「……え~っと、何か考え事ですか?」
純「へ?」
菫「先ほどから静かになってましたので……」
純「あ~……うん、別に何もないんだけど。私ってそんなに喋ってるイメージ有る?」パク
菫「そう、ですね。いつも明るく楽しくといった感じですね」
純「ふ~ん」モグモグ
店員「お待たせいたしました。失礼いたします」
菫「あ、ありがとうございます」
純「ども~」
店員「ごゆっくりどうぞ」スタスタ
純「ん~、美味しそ。はいスミーレ、あ~ん」プス スッ
菫「あむ……はぁ~、桃ですねぇ」
純「そりゃ白桃のケーキだもん。私も食べたい」アーン
菫「はい、どうぞ」プス スッ
純「あむ……ん~!これは……うん……桃だねぇ~」
菫「そうですよ、白桃のケーキですから」パク
純「だね~、桃過ぎてそう言っちゃうね」
菫「でも上のカステラも美味しいですよ」プス スッ
純「はむ!……確かに」モグモグ
菫「今度作ってみようかな……」モグモグ
純「食べただけで作り方分かるの?」ゴクゴク
菫「まぁ大まかにですが」
純「凄いね、流石スミーレ。じゃあ期待してる」パク
菫「はい、楽しみにしててください」パク
純「ふぅ……余は満足じゃ」ポンポン
菫「御馳走様でした」
純「さ~て、食後の休憩が済んだら次は何処に行こうか」
菫「後回ってないのは……」パラパラ
純「ん~……一階はスーパーと電気屋さんだし、三階は大体メンズだもんね」パラパラ
菫「そうですね……ペットショップとかも有る様ですけど」
純「ペットショップか……だったらウチ来る?」
菫「……どこからそういう話に?」
純「ほら、さっきウチの2号見に来るっていったじゃん?」
菫「そういえば。それも良いですね」
純「じゃ、そうしよっか」
菫「はい、わかりました」
純「じゃあすいません!おあいそで!」
菫「いや、そういうお店じゃありませんよ」
* * *
純「ただいまー!」
菫「お邪魔致します」
純「ようこそ我が家へ!……あれ?お母さんも居ないか」
菫「折角なので御挨拶をと思ったのですが……」
純「挨拶?あ、まさか『娘さんをぉ~』」
菫「そういう事ではなくてですね」
純「おぉ、スミーレもツッコミが早くなってきたね」
菫「もう馴れてきましたよ。あ、猫さん」
純「お、出迎えごくろ~」ダキッ
2号「ニャー」フリフリ
菫「この子ですか」
純「とりあえず部屋に行こ」テクテク
菫「はい」
トントントン ガチャ
純「いらっしゃ~い」
菫「失礼します」
純「あ、ジュースとか取ってくるね」
菫「でしたらお手伝いを」
純「今日はスミーレはお客様なんだから、ゆっくりしてて」
2号「ニャー」スルリ
菫「は、はい」ストン
純「じゃ、2号と遊んでてね~」フリフリ
ガチャ バタン
菫「え~っと……」
2号「ニャア」
菫「こ、こんにちは~2号さん」
2号「ニャ」テクテク
菫「あ」ポスン
菫「膝に乗られちゃった。……か、かわいい……」
2号「ニャ~」ゴロゴロ
菫「撫でても、大丈夫かな?」ソー
2号「ニャァ」スリスリ
菫「……えへへ」ナデナデ
ガチャ
純「お待たせ~ってあー!」
菫「ふぇっ!?」ビクン
2号「ニ゛ャ!」バッ
純「私だってまだ膝枕してもらってないのに~」ブーブー
菫「そ、そこですか?」
2号「フー!」
菫「あぁ、ごめんなさい」アセアセ
純「すっぽり収まっちゃって~何てうらやましい」
菫「あはは……」
純「はい、どうぞ。粗茶ですが」スッ
菫「あ、ありがとうございます。ジュースですけど」
純「こちら、粗クッキーですが」スッ
菫「わざわざどうも」
純「あとコレとコレ、猫と遊ぶオモチャ」ポイ コロコロ
2号「ニャッ!」シパッ
純「コイツ……スミーレのお膝よりボールのが良いってか……」ワナワナ
菫「まぁまぁ」
2号「フニャ!ナー!」ビシバシ
純「はいスミーレ、猫じゃらし」スッ
菫「ありがとうございます」
純「アレに飽きた位に振ってごらん」
菫「はい、やってみます」
純「さて、じゃあ私はっと」
菫「……」ジー
純「……」パラ パラ
2号「ニャー!」ビシッタタタ
菫「……」ジー
純「あ、クッキー食べなよ?」ゴクゴク
菫「はい」ジー
純「……まぁいっか」ゴロン
菫「……2号さ~ん……」フリフリ
2号「ナー!」ベン
菫「見てもくれない……」ジー
2号「ニャー!」タタタ
純「……」パラ パラ
2号「……」コロコロ
菫「もうちょっと待ってみよう……」
2号「ニャ!」ベシッ コロコロ
菫「あ」
2号「ニャー」タタタタ
菫「あ、あの、純先輩?」
純「ん~?」パラ パラ
菫「2号さん、出て行っちゃいましたけど……」
純「あ、ドア閉めるの忘れてたっけ。まぁ気が向いたら戻ってくるよ」
菫「そうですか」
純「それまで漫画でも読む?」
菫「そうさせていただきましょうか」
純「はい、クッションも」ヒョイ
菫「ありがとうございます。羊のクッション……」モフモフ
純「それね、憂が誕生日にプレゼントしてくれたんだ~。良いでしょ?」
菫「柔らかい……あ、そういえばですね」ゴソゴソ
純「ん?どしたの?」
菫「その……遅蒔きながら、なんですが」スッ
純「へ?私に?」
菫「先ほどの雑貨屋さんのですね、レジ近くで見つけまして」
純「うん、開けて良いの?」
菫「はい。牡羊座だとお聞きしましたので、羊のストラップなんですけど」
純「へぇ~」
菫「その、遅ればせながらの誕生日プレゼントと、今日お誘いいただいたお礼といいますか……」モジモジ
純「貰って良いの?」
菫「折角ですので、受け取ってください」
純「ありがとスミーレ!あぁもう嬉しい!」ダキッ
菫「はっはい!どういたしまして」
純「良い子だね~スミーレは」ナデナデ
菫「喜んでいただけて光栄です……」テレテレ
純「じゃあ早速ケータイに付けるよ!あ、後さっきのぬいぐるみも鞄に付けなきゃ」ゴソゴソ
菫「ありがとうございます」
純「よし、オッケー!これは明日梓達に自慢しないとね」ニヨニヨ
菫「自慢になりますか?」
純「なるよ。っていうかするよ」
菫「するって……」
純「あ、そうだ」ヒョイ ピッ ピッ
と~んでい~っちゃえ!きみのもとへ~わた~しの
菫「これは……?」
純「放課後ティータイムの曲。梓に音源貰って聴いてる途中だったんだ。スミーレ聴いた事無いでしょ?」
菫「はい。まだ聴いた事は無かったです」
純「じゃあ、聴きながらのんびりしよ」ゴロン
なにげにくちづさ~んで~あ~る~こう
菫「はい」ポスン
純「……」パラ パラ
菫「……」パラ パラ
純「……あ、ケータイケータイ」ヒョイ ピッピッ
菫「?」パラ パラ
純「ん~……よし。それで……と」ピッピッ
菫「……」パラ パラ
純「そ~しん」ピッ
菫「はい?……あれ、ケータイ震えてる」ヒョイ パカ
純「ほら、さっき撮ったプリクラ」
菫「へ?……あ、はぁ~なるほど。こういった事も出来るんですか」
純「そ。さっき選んでもらったのを待ち受けに出来ます!」
菫「いえ、それは流石に……」
純「そぉ?残念だなぁ。私はするけど」ピッピッ
菫「余り人に見られない様にお願いしますよ……」
純「難しい事言うなぁ」ニヤニヤ
菫「……見せびらかさないで下さいね?お願いですから」ジトー
純「あい、善処します。あ、この漫画オススメだよ?」
菫「ではそちらを」
き~みが~い~な~い~と、な~に~も~できな~いよ
純「……」パラ パラ
菫「……」パラ パラ
純「……」ヒョイパク
菫「……フフ」パラ パラ
純「あ、笑った。面白いでしょ?」
菫「はい。……アハハ」パラ パラ
純「……ふわぁ……ねむ」パラ パラ
めをと~じ~れ~ば~、きみの~え~が~お~、かが~や~い~て~る~
菫「……良い唄ですね、この唄」
純「この唄は唯先輩が憂の事を唄った唄なんだってさ」
菫「そうなんですか。まだお会いした事は有りませんが、優しい方なんでしょうね」
純「良い人だよ。この唄もいつもそばに有る大切なものに感謝しようって唄、かな?」
菫「なるほど……」
純「凄いよね~、こんな歌詞書けて唄に出来て」パラ パラ
菫「作曲も作詞も、大変そうですものね」
純「ね~」パラ パラ
きみがそばにいるこ~とを、あたりまえにおもお~ってた~
純「……そうなんだよね~」
菫「はい?」
純「そばに居るのが当たり前だと思っちゃうんだよね」
菫「何の話ですか?」
純「ん~?私の話。スミーレちょっとココ座って」ポンポン
菫「え?ベッドの縁にですか?」
純「ままま、良いから良いから」ポンポン
菫「で、では失礼します」テクテク ストン
純「私も失礼しま~す」ゴロゴロ ポスン
菫「はい!?」
純「膝枕って良いね。2号が丸くなってたのも分かるよ」
菫「はぁ……そ、そうですか?」
純「うりうりうりうり!」グリグリ
菫「ちょっと!くすぐったいですよ!」
純「ふぅ……でね?私が喋るのって、私が喋りたい時なのよ」
菫「え?それはどういう……」
純「ちょっと音楽止める」ピッ
菫「は、はい」
純「スミーレさ、さっきの喫茶店で沈黙が重かったでしょ」
菫「……そういう訳では……」
純「良いの良いの。確かにいつも喋ってる人が黙り込んだらどうしたんだって思っちゃうよね」
菫「……ええ、まぁはい」
純「梓が自分でネコミミつけて『あずにゃんですにゃ!』とか言い出したら私だって不安になるもん」
菫「それは、何か違う様な……多分誰でも不安になりますよ」
純「そう?まぁイメージって有るよね。梓は真面目、憂は優しい、私はお喋り」
菫「はい。でもお喋りというよりは明るい方、だと」
純「ありがと。でも私だって静かなのも好きなんだよ?」
菫「はぁ」
純「あ、信じてない」ムー
菫「いえ、そんな事は無いんですけど」アセアセ
純「今みたいな時間も好きっていうか、スミーレと二人でのんびりするのもやっぱ良いなって」
菫「そ、そうですか?」
純「うん。スミーレはどう?」
菫「そうですね……はい、悪くは無い、です」
純「でしょ?二人でぼ~っと漫画読んだりさ、その場所の雰囲気をただ味わったりさ」
菫「良いですね、そういうのも」
純「そうゆう時は喋る必要も無い訳よ」
菫「ですね、はい」
純「……で、そこに一緒に居てくれてると思っちゃうんだよね、相手も同じ様に」
菫「え?」
純「だから思いついた時に喋っちゃうし、勝手に黙っちゃう」
菫「あぁ……」
純「お喋りして『はい、さよなら』って事じゃないじゃん?今もさっきも」
菫「まぁ、そうですけど」
純「いつも梓に『マイペース過ぎる』って怒られちゃうんだけどね」
菫「あはは……」
純「だからそこまで私の一挙手一投足を気に病まなくても良いよ?」
菫「わ、分かりました」
純「でも、そんな風に心配してくれるのも嬉しいな」
菫「それは」
純「スミーレの頭の中が私で一杯だなんて!私で溢れかえってるなんて!」クネクネ
菫「いえ、そこまでは無いです」
純「バッサリだ~」
菫「でも……」
純「ふぇ?」
菫「い、いえ、何でもないです」アセアセ
純「そぉ?」
菫「続き読みましょ、続き」
純「は~い」パラ パラ
菫「……」パラ パラ
純「よいしょ」ゴロ
菫「……純先輩、コッチ向いてどうやって漫画読むんですか?」
純「ん?漫画見るフリして可愛いスミーレの顔を見てようかなと思って」
菫「……反対向いてください」カァァ
純「は~い」ゴロン
菫「また直ぐそうやって可愛いとか言う」
純「だって可愛いんだもん……ふぁ」パラ パラ
菫「もう、何て返せばいいんでしょうか」ハァ
純「今日一日でも、色んな可愛い所見れたしね~……」パタン
菫「私としては、恥ずかしいばっかりでしたけどね……」
純「ん~……」
菫「でも、今日は雑貨屋さんも面白かったですし、ゲームセンターも楽しかったし……」
純「んー」
菫「純先輩のお陰で初めての経験が一杯出来ました。ありがとうございます」
純「んー」
菫「それでですね、純先輩さえ良ければ……」
純「んー」
菫「また二人で、何処か遊びに行きたいな、と……」
純「んー」
菫「……純先輩?」
純「んー……むにゃむにゃ……」ゴロン
菫「ね、寝てる……」ガーン
菫「勇気出して言ったのに……恥ずかしい」カァァ
2号「ニャー」テクテク
菫「あ、おかえりなさい」
2号「ニャ」ペタン
菫「2号さんもおやすみですか?おやすみなさい」
2号「くぁ……ニャ~」フリフリ
菫「ふふふ……」ソッ
純「ん、ん~……」ゴロン
菫「寝顔も可愛い……」ナデナデ
純「んむぅ……」
菫「本当にマイペースですよ……一応、す、好きな人と二人きりだって言うのに」
菫「でもそこまで信用してくれてる証拠なのかな?起きるまで居てくれる、とか」
純「んぅ……」
菫「大丈夫ですよ、ちゃんと居ますから」ナデナデ
菫「まぁ確かに純先輩の言う通り……こうやって二人でのんびりしてるのも良い、かな」
END
これにて一先ずは終了となります。
この流れのまま後日やっぱりプリクラを見せびらかす純とか、
とある夏休みの一日とか、次のデートとか、スミーレ→純編とか、
色々話を続けれなくもないのですが、
奥田ちゃんが「奥田ちゃん」のままでは書いてる途中かわいそうでかわいそうで……
奥田ちゃんの名前が発覚したりバンドの名前・パートが決まったりした後位に
思い出したように続きをやるかもしれません。
それでは、ご覧いただきありがとうございました。
少しでも楽しんでいただけたなら光栄です。
今更ですがスレタイの!が一つ抜けてる事にさっき気づきました。
後の祭りにも程がある。
元スレ
梓「菫、おはよー」
菫「お、おはようございます」
梓「ふぅ」ストン
菫「お茶お淹れしますね」
梓「うん。ありがと」
純「そう!その姿に僕は!って二人して無視!?」ガーン
梓「あ、純居たんだ」
純「教室からここまで一緒に来たじゃん!スルーの仕方が斜め上過ぎるよ!?」
菫「あはは……純先輩もどうぞ」カチャカチャ
純「ありがと。折角スミーレに愛の告白をしようとしたのにスルーだもんなぁ」ズズー
菫「あ、愛!?」
3: 1 2011/06/24(金) 01:18:22.00 ID:3ODe6yhf0
梓「菫も純の冗談に付き合わなくて良いよ。面倒臭いでしょ」フーフー
純「何だとー!そんな事ないよね?スミーレ」
菫「はい!えぇーと、ありがとうございます?」
純「スミーレってば可愛いなぁもう!」ナデナデ
菫「そ、そんな事ないですよ」テレテレ
梓「は~いはい」フーフー
菫「あ、そういえば憂先輩は?」
純「そうだった言うの忘れてた。今日は来れないんだ」
梓「唯先輩と用事が有るんだって」
菫「そうなんですか……」
梓「もしかして、憂の分も用意しちゃった?」
菫「はい。でも」
純「じゃあ憂の分も私も~らい」
菫「そんな、無理していただかなくても」
純「お茶の一杯位なんて事ないよ」
梓「どうせ飲むなって言ったって何杯もおかわりするんだから、純は」フーフー
純「それに私、スミーレのお茶なら何ガロンでもイケるよ?」ゴクゴク
4: 1 2011/06/24(金) 01:19:08.85 ID:3ODe6yhf0
菫「あ、ありがとうございます」
梓「いや、ガロン単位でお茶しないでよ」
純「え~良いじゃん。スミーレおかわり!」
菫「はい、ただいま」
梓「早っ」
純「私はあずにゃんと違って猫舌じゃにゃいからにゃ~」
梓「なっ!私だって飲めるもん!」ゴクゴク
純「あぁもう、そんな飲み方したら」
梓「熱っ!?」ガタン
純「ほら言わんこっちゃない」ヤレヤレ
菫「大丈夫ですか?」
純「だ~いじょぶだいじょぶ」
梓「う~」フーフー
純「我が愛しのスミーレが折角淹れてくれてるんだから、もっと味わって飲んでよ」ズズー
梓「がぶ飲みしてる奴に言われたくない」ズズー
菫「あの、良ければクッキーもどうぞ」スッ
純「おっ、気が利くねぇ。流石私の嫁、偉い!」
梓「遂に嫁扱いしちゃってるよ……」
5: 1 2011/06/24(金) 01:19:53.88 ID:3ODe6yhf0
菫「そんな、恐縮です。お口に合えば良いのですが……」
梓「菫も否定しなよ。純が調子に乗っちゃうから」
純「こんな可愛い子に薦められたモノが美味しくない訳がない。よーし、それじゃあ」
梓「『憂の分もも~らい』とか言って二枚取りしたりしないでよ」ヒョイパク
純「ちっ、バレてたか。ならば仕方ない!……普通に取ろう」ヒョイパク
梓「そうしなよ。ん、美味しいよコレ」モグモグ
純「ホントだ、美味しい美味しい」モグモグ
菫「良かった……」ホッ
梓「そんなに?こんなに美味しいのに」モグモグ
菫「はい。まぁ……」
純「いやいや、全然美味しいよコレ。何てお店の?」ヒョイパク
菫「いえ、それは私が」
純「え?」
梓「もしかして、菫の手作り?」モグモグ
菫「……はい」オズオズ
純「マジで!?」ガタン
菫「は、はい……」
純「へ~、は~、ほ~、ふ~ん……」マジマジ
6: 1 2011/06/24(金) 01:20:48.17 ID:3ODe6yhf0
梓「そうなんだ」マジマジ
菫「あの……お気に召しませんでしたか?」
梓「いやいや、違うよ。ねぇ?」
純「うん。正直こんなに美味しいクッキーが手作りだったとは思わなくて」ヒョイパク
梓「そ。素直に驚いちゃった」
菫「え~っと……ありがとうございます」テレテレ
純「照れちゃってか~わい~」ツンツン
菫「やっ、やめて下さいよ~」
純「よ~し、じゃじゃじゃじゃじゃあ!」
梓「じゃあが多いって」
純「そんなスミーレ嬢に感謝を込めて、……お茶を淹れよう」
菫「へ?いや、先輩のお手を煩わせる訳には」
純「まぁまぁ座って座って」ズズイ
菫「はぁ」ストン
純「えっと、コレでいいんだよね?」
菫「はい。そうですけど……」
純「で、ミルクがこれで……これが……これはなんだ?」カチャカチャ
菫「あの、やっぱり自分で」
7: 1 2011/06/24(金) 01:21:37.34 ID:3ODe6yhf0
純「い~の!スミーレはゆっくりしてて」カチャカチャ
菫「はい。……大丈夫でしょうか?」
梓「菫がお茶淹れるの良く見てるし、大丈夫だよ」
菫「だと良いんですが……」
梓「……多分」
菫「多分!?」
純「こら!私の嫁を不安がらせないの!」
梓「純がそんな事し出すから不安なんだよ」
純「お待たせ致しました菫お嬢様」カチャカチャ
菫「お嬢様……そう呼ばれるのって何だか新鮮です」
純「こちら、ダージリンのオータムナルで御座います」スッ
梓「何それ?」
純「さぁ?」
梓「さぁ?って……」
菫「今日はアッサムのファーストフラッシュですよ?」
純「へぇ、そうなんだ。じゃあソレでございます」カチャカチャ
梓「適当過ぎでしょ」ハァ
純「自分でも言ってて訳分かんないもん」
8: 1 2011/06/24(金) 01:22:07.34 ID:3ODe6yhf0
菫「あはは……専門用語なんてそんなモノですよね」
純「そうそう。『オータムナルって……何?』って思いながら読んでた」
梓「また漫画?」
純「え?あぁうん。執事喫茶の」
菫「執事喫茶?」
純「メイド喫茶の男性版のお店」
菫「はぁ~、そんなの有るんですか」
純「なんかお店によっちゃ完全予約制とかも有るらしいよ?行った事無いけど」
菫「へぇ~」
梓「ドラマの題材にもなったりしてたからそれなりに有名なんじゃないかな?」
菫「ほぉ~」
純「まぁそんな所行く位ならココでスミーレにメイド服着せてお茶入れて貰った方が良いしね」
梓「いや、部室なんだから練習しに来てよ」ハァ
純「手にそんな物持ちながら言われても~」ニヤニヤ
梓「にゃっ!?……ティータイムも大事だから良いの!メリハリつけようって話!」
純「は~いはい。取り敢えずスミーレ、飲んでみてよ」ズィ
菫「はい!」カチャカチャ
9: 1 2011/06/24(金) 01:22:46.94 ID:3ODe6yhf0
梓「横に菫が淹れたのも置いとくね」ズィ
純「なんでよ」
梓「口直しが必要だろうし」
純「なにをー!絶対美味しいって!絶対何処の紅茶より美味しいと思うもん」
梓「何その自信」
菫「まぁまぁ……、ではいただきます」カチャカチャ
純「グイッと行っちゃって!」
菫「ん、……美味しい」
梓「え?ホントに?」
純「ほら!ほら!どうよ梓!」
梓「菫もズバッと言っちゃって良いんだよ?」
菫「いえ、お世辞とかじゃなくて本当に」
純「見たか私の実力!」
梓「信じられないなぁ」
純「むぅ。そこまで言うなら梓にも淹れてあげるよ」カチャカチャ
梓「え~、まぁじゃあ」
純「よ~し見てろ~、目にもの見せてやる」カチャカチャ
梓「なんか怖いな」
10: 1 2011/06/24(金) 01:23:50.19 ID:3ODe6yhf0
菫「美味しいですから、そんな不安がらずに。……あ、出来たみたいですよ」
純「……あずにゃんですね?」
梓「……まぁそうですけど」
純「おめぇはただのお湯」
スパーン!
純「……ちょっとした冗談じゃない」ヒリヒリ
梓「ホントにお湯じゃん」
純「こうやって一回カップを温めてるの。冷たいカップに淹れると温度差で風味が飛んじゃうんだから」ザー
梓「へ~、そうなんだ」
純「まぁ今思い付いた事言ってみただけなんだけど」カチャカチャ
梓「口からデマカセか!」
純「……あずにゃんですね?」
梓「いや、その下りはもう良いから」
純「ちぇ~。はいどうぞ」カチャカチャ
梓「はいどうも……菫震えてるよ?」
純「どしたの?」
菫「いえ……、お二人が突然漫才を始めたものですから……」プルプル
11: 1 2011/06/24(金) 01:24:56.64 ID:3ODe6yhf0
梓「純が勝手にやってるだけだよ」フーフー
純「梓だって乗ってるくせに」
梓「乗ってない」フーフー
純「寂しいねぇ~。ままま、グィッと」
梓「まだ熱いよ……」チビチビ
純「どうよ?」
梓「ホントだ。普通に美味しい」
純「おいしい?うまい?」
梓「うん、うまい」
純「うまい!テーレッテレー!」
スパーン!
純「え?なんで叩かれたの?」ヒリヒリ
梓「なんか言わされたのがムカつく」フーフー
純「何それ理不尽」
菫「クフフ……」プルプル
梓「あぁもう必死でこらえてるよ」フーフー
純「普通に笑ってくれて良いのにねぇ」
梓「別に笑わせるためにやってるんじゃないから」チビチビ
12: 1 2011/06/24(金) 01:25:54.61 ID:3ODe6yhf0
菫「フフフ……ふぅ」
純「あずにゃんですね?」キリッ
菫「ウフッ!……」プルプル
梓「止めたげなって」ベシ
純「もう何でも笑ってくれそうだね」ヒョイパク
菫「はぁ~……」
梓「あずにゃんですね?」キリッ
純「ブフッ!」
菫「もう駄目……アハハハハハハ!」
純「自分で言うなよ!アハハハハハハ!」バタバタ
梓「言っといて何だけどちょっと恥ずかしい」ズズー
純「あ~アハハ……もう良いや。満足」フゥ
菫「お腹痛い……」ハァハァ
梓「っていうか何?今の」
純「梓まだ見てないの?伝説のローカル番組だよ。今新作やっててさ、再びマイブームなのよ」
梓「あぁ~、前に純が薦めてきた奴」
純「そうそう。本当はお湯じゃ無くて氷なんだけど」
梓「何だっけ?『天パが面白いから見てみて』とか言ってたっけ」
13: 1 2011/06/24(金) 01:27:42.78 ID:3ODe6yhf0
純「違う!いや合ってるけど違う!」
梓「まぁ天パだもんね」
純「よ~し、今アンタは全国二千万人の天パの人々を敵に回した」
梓「冗談だって。そんなに怒らないでよ、ゴメンって」
菫「二千万……そんなに居るんですか?」
純「いや、そこは勢いで出した数字なんだけど」
梓「そういえばムギ先輩も『雨の日は大変』って言ってたなぁ」
純「あの人のはくせっ毛でしょ?私の髪とじゃ比べ物にならないよ」
菫「でも私は純先輩の髪型も好きですよ?先輩らしくて」
純「うぇ……?」カァ
梓「何赤くなってんの」
純「ちょっとちょっとお聞きになりました奥さん!私の事好きですってよ!」ヒソヒソ
梓「誰が奥さんよ」
純「いやだってそんな、まだ心の準備が」ヒソヒソ
梓「あぁもう……。ねぇ菫、純の髪型可愛い?」
菫「え?はい、可愛らしいと思いますよ」
梓「だってさ」
純「そんな可愛いだなんて、スミーレには負けるよもう!」バンバン
梓「だから髪だって、ちょっ、痛い痛い!せめて机を叩いてよ」
純「机叩いたりしたらスミーレのお茶とクッキーが危ないでしょ」ヤレヤレ
14: 1 2011/06/24(金) 01:28:37.65 ID:3ODe6yhf0
梓「え?私クッキー以下?」
菫「そんな事無いですよ」
純「先輩のフォローも欠かさないスミーレマジ素敵」
菫「純先輩も素敵ですよ?」ニコ
純「ちょっ……ちょっと奥さん何なのあの子!?私を萌え殺す気!?」ヒソヒソバンバン
梓「だから誰が奥さんよ、って痛いって!」
純「いやもう何だろ、変な汗出て来た」フゥ
梓「はいはい。もうさっさと付き合っちゃいなよ面倒臭い」
純「はぁ!?ななな何言ってんのアンタ!」カァァ
梓「ねぇ菫」
菫「はい、何でしょう」
梓「純の事好き?」
菫「はい。いつも冗談で楽しませてくれますし、一緒にいて楽しいですよ」
純「ちょっと梓!菫も本人の前でそんな事言わない!」カァァ
菫「は、はい!」
梓「純?」ガシっ
純「なによ?」
梓「この際でしょ?聞いとこうよ」ヒソヒソ
15: 1 2011/06/24(金) 01:29:11.61 ID:3ODe6yhf0
純「何の話!?っていうか何も今聞く事ないじゃん!」ヒソヒソ
梓「じゃあ純が居ないタイミングで勝手に聞かれるのと今聞くのどっちが良い?」ヒソヒソ
純「何で梓が聞く前提なのよ!」ヒソヒソ
梓「話の流れで丁度良いじゃん。……知りたくないの?」ヒソヒソ
純「う……あ~……知りたい」
梓「よし!」
菫「あの、先輩?」
梓「あぁ、ゴメンね?純って褒められたりするの苦手だからさ」
菫「はぁ、そうなんですか」
純「うん、まぁ」カァァ
梓「折角だし、馴れるためにも色々言ってあげてよ」
菫「はい、わかりました」
梓「えと、何の話だったっけ?そうだ、純の事好きって話だったよね?」
純「え!?」
梓「なに?」
純「あ、あぁ……そうだったね。勘違いしちゃった」
梓「緊張しすぎだよ純。まぁ良いや、一緒にいて楽しい、だったよね?」
16: 1 2011/06/24(金) 01:31:14.62 ID:3ODe6yhf0
菫「そうですね。今日も嫁とか言われて驚きましたけど、いつもの冗談だし楽しもうって思って」
梓「え?」
純「へ?」
菫「え?今日は私が純先輩のお嫁さんっていう流れなんですよね?」
純「いや、その、えぇ~……」
梓「あぁ、そうゆう流れ……流れね……」
菫「でも、こんな冗談ばっかり言ってたら人によっては勘違いしちゃいますよ?」
梓「そうだね。……菫は勘違いしなかった?」
菫「だって、最初に梓先輩が冗談だって……」
梓「え?……あ、私言った」
純「あぁずさぁー!」ガァ
梓「ひぃ!」
菫「え?え?」
純「何それ!私ただのバカじゃん!何してくれちゃってんの!?」
梓「いや、だってまさか、ねぇ?」アセアセ
菫「え?どうゆう事ですか?」
純「だから私がスミーレをっていや何でもない!」
17: 1 2011/06/24(金) 01:32:08.21 ID:3ODe6yhf0
菫「はい?」キョトン
純「え、いや、あの、ね?」アセアセ
菫「私何かしちゃいましたか?」
純「違うの、ただね、あの……」カァァ
梓「純、もう言っちゃおうよ改めてさ」
純「……改めてなんて言えるかー!」ダッ
梓「ちょっと!」
ダダダダダ ガチャ バタン!
梓「待ちなって純!あぁもう!」
菫「あの、話が読めないんですけど……」
梓「あぁゴメン。菫は気にしなくて良いから」
菫「そう言われましても……」
梓「ちょっと追いかけるね。菫も今日は帰っちゃって良いから。ほんとゴメンね」イソイソ
菫「は、はぁ……」
梓「じゃね。お茶ありがと。また明日ね!」
菫「はい、お疲れさまでした」
タタタ ガチャ バタン
18: 1 2011/06/24(金) 01:32:44.35 ID:3ODe6yhf0
菫「一体何なんだろ……」
ガチャ
菫「あ、おかえりなさい」
さわ子「ただいま~って私達は夫婦か!」
菫「あ、先生でしたか」
さわ子「こんにちは菫ちゃん。他の子は?」
菫「え~っと、皆さん帰っちゃいました」
さわ子「え?もう?」
菫「あ、元々純先輩と梓先輩のお二人だったんですけど……えっと……」
さわ子「ん?どうしたの?」
菫「……先生、さっきの夫婦って、冗談ですよね?」
さわ子「当たり前じゃないの。なに?それとも本気にしたいの?」
菫「いえ、そういう事では無いです」
さわ子「即否定も辛いわね……」
菫「あ!先生が嫌いって事じゃ無いですよ!ただ……」
さわ子「ありがと。ただ?」
菫「純先輩もさっき『スミーレは私の嫁だ!』って言ってまして」
さわ子「へぇ。遂に?」
19: 1 2011/06/24(金) 01:33:14.99 ID:3ODe6yhf0
菫「遂に?」
さわ子「へ?あ。あぁ、何でもない」
菫「で、ですね」
さわ子「菫ちゃん、話長くなる?」
菫「え?どうでしょう……私にもよく分からなくて」
さわ子「取り敢えず立ち話もなんだから、座ってゆっくり落ち着いて話しましょ?」
菫「あ、そうですね。すみません気が回らず……」
さわ子「良いのよ。お茶淹れて貰って良い?」
菫「はい、ただいま」
さわ子「クッキー貰うわね」ヒョイパク
菫「どうぞ」カチャカチャ
さわ子「うん、美味しいわねコレ」モグモグ
菫「ありがとうございます」カチャカチャ
さわ子「ありがとうございますって、もしかして手作り?」ヒョイパク
菫「はい。お気に召していただけたなら光栄です」カチャカチャ
さわ子「ふ~ん。こりゃ純ちゃんも嫁に欲しがるわけだ」モグモグ
ガチャン!
20: 1 2011/06/24(金) 01:33:58.18 ID:3ODe6yhf0
さわ子「ちょっと、大丈夫!?」
菫「あ、え~っと、はい。大丈夫でした」カチャカチャ
さわ子「そう?いやソッチじゃなくて貴方がよ……」
さわ子(中々重傷そうねぇ)
菫「はぁ……」カチャカチャ
菫(先生に聞けば、何で純先輩が怒ったのか分かるかな?)カチャカチャ
菫(……嫌われちゃったかなぁ)コポポポ
菫「どうぞ……」スッ
さわ子「ありがと。まぁ座って座って」
菫「はい……」ストン
さわ子「ん~今日のお茶も……うぇ」
菫「どうかしましたか?」
さわ子「ううん、何でもないわ。それでどうしたの?」ズズー
菫「え~っとですね……」
かくかくしかじか
菫「……っていう事なんです」
さわ子「……なるほどね」ズズー
21: 1 2011/06/24(金) 01:35:03.89 ID:3ODe6yhf0
さわ子(純ちゃんのアピールが全部冗談だと思ってた訳か、にしても……)
さわ子「逃げるなんて、らしくないわねぇ」ヒョイパク
菫「冗談って分かってたのなら、乗らない方が良かったんでしょうか?」
さわ子「う~ん……そこじゃあないかな」
菫「え?先生は純先輩が怒った理由分かったんですか?」
さわ子「まぁね。でも悪いのはあの子だから気にしなくて良いわ」
菫「梓先輩もそう言って下さいましたけど、やっぱりそう思えないといいますか……」
さわ子「まぁそうよね。……菫ちゃんさ、純ちゃんのこと好き?」
菫「はい。好きですよ?」
さわ子「じゃあ純ちゃんに好きって言われたらどう?」
菫「それは嬉しいですよ勿論」
さわ子(やっぱりここの違いか。純ちゃんに同じ質問したら動揺するんだろなぁ)
菫「でも、もう嫌われちゃいましたよね……」ウルウル
さわ子「無い無い。あの子が菫ちゃんを嫌うなんて無いわ」ヤレヤレ
菫「え?それはどういう」
さわ子「多分、今頃自分の事嫌いになってるんじゃない?」ズズー
菫「どういう事ですか?」
さわ子「そうゆう事よ」
22: 1 2011/06/24(金) 01:36:41.08 ID:3ODe6yhf0
菫「分かりません。教えて下さい先生」
さわ子「駄目よ」
菫「何でですか?」
さわ子「私が言える事じゃ無いもの」ヒョイパク
菫「お願いします!」バッ
さわ子「う、う~ん、でもぉ」モグモグ
菫「何で先輩に嫌われたか分からないと、私もうココに来れません!」
さわ子「それは困る!」
菫「それじゃあお願いします!」
さわ子「うぅ……じゃあ、ヒントだけね?」
菫「えぇ!?」
さわ子「私だって『そうだと思う』っていうだけなのよ?鵜呑みにされたら困るもの」
菫「そうですか……」
さわ子(まぁ、ほぼ100%そうだろうけど)
さわ子「じゃあねぇ……菫ちゃんは純ちゃんの事好き?」
菫「その話、先程しませんでしたか?」
さわ子「良いから。好き?」
23: 1 2011/06/24(金) 01:37:19.56 ID:3ODe6yhf0
菫「はい、好きです」
さわ子「純ちゃんに好きって言われたらどう?」
菫「ですから、嬉しいですよ勿論」
さわ子「じゃあ純ちゃんが今日あなたに言った事、全部冗談じゃないとしたら嬉しい?」
菫「え……?それって……え!?」カァァ
さわ子「その考えに至らないのは、経験がないからかしらね」ズズー
菫「え?じゃあ純先輩は……でも女同士ですよ?」アタフタ
さわ子「そうね。でもまぁ良いんじゃない?」
菫「へ?」
さわ子「今大事なのは純ちゃんが怒った原因でしょ?」
菫「いや、そうですけど、でも」
さわ子「まぁそこまで分かれば後も簡単でしょ?」ズズー
菫「えと、え~っと、え~っと」アセアセ
さわ子「でもそれも私の予想だからね?もしかしたら本当に嫌いになったのかも」ニヤリ
菫「あ、そうですよね……」シュン
さわ子「う、嘘よ嘘!」アセアセ
菫「そうですか?」パァァ
24: 1 2011/06/24(金) 01:38:16.14 ID:3ODe6yhf0
さわ子「うんうん!菫ちゃんを嫌いになる訳ないじゃない!」
さわ子(ヤダこの子可愛い。純ちゃんの気持ちも分かるわ~)
菫「良かった……」ホッ
さわ子「ま、明日にでもちゃんと話しなさいな」
菫「えぇ!?急すぎます!」
さわ子「なに?ヤキモキしたいの?」
菫「いえ、そういう訳じゃないですけど心の準備が……」
さわ子「何よそんな冗談言っちゃって」
菫「冗談じゃなくてですね!」
さわ子「そうよね、冗談とか言われたら傷つくわよね。本気なのに」
菫「それはそうですよ。……あ」
さわ子「じゃあ早い事、明日にでも謝らないとね?」
菫「……そうですね」
さわ子「あ~あ、結局ヒントどころか全部言っちゃった気がする」
菫「ありがとうございます」
さわ子「まぁ私も早く美味しいお茶が飲みたいし、さっさとスッキリしちゃうのよ」
菫「はい!……はい?」
25: 1 2011/06/24(金) 01:40:30.35 ID:3ODe6yhf0
さわ子「じゃあ今日はもう帰りなさい。まだ悩むんなら、そうねぇ……ムギちゃんに相談しなさい」
菫「紬お嬢様に!?そんな畏れ多い!」
さわ子「良いのよ、私から手ぇ回しとくから。それにあの子も喜ぶだろうし」
菫「はぁ……喜ぶ」
さわ子「そりゃもう。もしかしたら押し掛けて来ちゃうかも」
菫「それ程の事ですか?はい、分かりました」
さわ子「まぁ、純ちゃんに嫌われたってだけでこうなっちゃうんだから、答えは分かってる様なものだけど」ズズー
菫「え?」
さわ子「それじゃ私、仕事しに戻るわ。御馳走様」ガタっ
菫「はい。ありがとうございました」
さわ子「じゃあね」
ガチャ バタン
菫「う~ん、どうすれば」
菫「取り敢えず、お茶飲んで片付けて帰ろう」ズズー
菫「う!……何コレ、美味しくない」ウェ
『まぁ私も早く美味しいお茶が飲みたいし、さっさとスッキリしちゃうのよ』
菫「先生が言ってたの、こういう事だったんだ……」
26: 1 2011/06/24(金) 01:41:15.56 ID:3ODe6yhf0
菫「先生にも申し訳ない事しちゃった……」
菫「でも、どうしたらいいんだろ……」
* * *
少し戻って通学路!
梓「ちょっと純!待ってよ!」タッタッタ
純「……何よ」スタスタ
梓「戻らなくて良いの?」
純「良いよもう。梓だって分かったでしょ」
梓「何が?そもそも菫はまだ分かってないよ」
純「自分で言ってたじゃん!冗談だって!」
梓「それは、私が悪かったけど……でも」
純「違うよ梓。そっちじゃないの」
梓「え?じゃあ何?」
純「スミーレだって、冗談に付き合ってただけなんだよ」
梓「は?」
純「だから!私の髪を褒めてくれたのも!可愛いって言ってくれたのも!全部私の冗談に付き合っただけなんだって!」
梓「そんなの分かんないじゃん!」
27: 1 2011/06/24(金) 01:41:58.08 ID:3ODe6yhf0
純「冗談って分かってる事に本気で付き合う訳ないでしょ!」
梓「そ……それこそ冗談みたいなノリで言った純が悪いよ!」
純「冗談じゃないよ!本気で言ってんのよ!」
梓「知ってるよ!でも私に今言ってもしょうがないじゃん」
純「っ……!ていうか何で知ってんのよ!誰にも言ってないのに!」
梓「見てれば分かるよ」
純「いつから!?」
梓「初めっから」
純「だからいつ!」
梓「だから初めからだって」
純「はぁ?初めっていつよ」
梓「『ねぇねぇ、斎藤さんってさ、何かスミーレって感じだよね?』って純が言った時から」
28: 1 2011/06/24(金) 01:42:53.88 ID:3ODe6yhf0
純「えぇ~、そこから~?ホントに最初じゃん」
梓「そうでしょ?」
純「まぁ……多分」
梓「知らないのは1年生の子達だけだよ?」
純「え!?じゃあ憂もさわ子先生も」
梓「先生が『二人の話なんだから、私達は静かに見守ってあげましょ』って」
純「え、えぇ~……」ガクリ
梓「思い当たる節有るでしょ?」
純「……言われてみれば大いに」
梓「皆応援してるんだしさ、もうちょっと頑張ろうよ」
29: 1 2011/06/24(金) 01:43:23.36 ID:3ODe6yhf0
純「でも……」
梓「らしくないなぁ。菫に嫌われるよ?」
純「やだ!」
梓「じゃあ何とかしないと」
純「うん……」
梓「後ね、菫は多分純に嫌われたと思ってるよ」
純「何でさ!」
梓「純が逃げるからじゃないの。フォローはしたけどさ」
純「うぅぅ、面目ない」
梓「まぁ、フォローはするからさ。何とかしなさいよ」
純「フォローって……?」
30: 1 2011/06/24(金) 01:43:57.01 ID:3ODe6yhf0
梓「それはまぁ……追い追いよ。兎に角明日には謝る事!」
純「えぇ!?明日!?」
梓「早くしないと菫が部室に来なくなっちゃうでしょ!」
純「やだ!」
梓「じゃぁ何とかしなよ!」
純「うぅぅ~。分かったよやるよやりますよ!しっかり仲直りしてやりますよ!」
梓「うん、その方が純らしいよ」
純「……ありがと」
梓「どう致しまして」
純「うん。……ていうかそもそも梓の所為じゃん!」
31: 1 2011/06/24(金) 01:44:54.72 ID:3ODe6yhf0
梓「な!なんで話蒸し返すかな!だから純が真面目に言わないからでしょ!」
純「あ~、憂まで知ってるとか恥ずかしい~!それも梓が言ったんじゃないでしょうね?」
梓「そんな訳無いじゃん!純が分かりやす過ぎるだけだって!」
純「そんな事無いよ!だって一年の二人は知らないんでしょ?」
梓「あの二人はそうゆう経験が無いからじゃないの?」
純「何か失礼じゃないソレ?」
梓「うっ……まぁでも純は分かりやすい!」
純「何をー!」
ギャーギャー ワーワー
* * *
琴吹家!
菫(紬お嬢様に相談……先生はしていいと言ってたけど……)
32: 1 2011/06/24(金) 01:45:38.90 ID:3ODe6yhf0
菫「はぁ……ただ今帰りました」
紬「あら菫ちゃん、おかえり~」
菫「お!お嬢様!?おかえりなさいませ!」バッ
紬「もぉ、そんなに畏まらなくて良いのに」ヤレヤレ
菫「今日はいかがなさいましたか?」
紬「菫ちゃんが悩んでるってさわ子先生から連絡が有ってね」
菫「え?まさか本当にそのような事で?」
菫(本当に先生の言った通りに……)
紬「だって大事な事じゃない」
菫「そんな!私如きにその様に気を使っていただかなくても」
33: 1 2011/06/24(金) 01:46:34.65 ID:3ODe6yhf0
紬「良いのよ。私がしたいんだもの」
菫「はぁ、左様でございますか」
紬「むぅ。もっと普通に喋ってくれていいのよ?」
菫「いえ、その様な事」
紬「何だったら昔みたいに『つむぎおねえちゃん』って呼んでくれたって良いのに」
菫「無理を言わないで下さい……私は琴吹家に仕える身ですから」
紬「そぉ?残念。あ、だったらそう『指示』すれば良いの?主人として」
菫「え?」
紬「菫ちゃんは私の事を紬お姉ちゃんと呼ぶ事!」
菫「えぇ!お嬢様それは……」
34: 1 2011/06/24(金) 01:47:03.91 ID:3ODe6yhf0
紬「お・ね・え・ちゃ・ん」
菫「紬お姉ちゃん、勘弁して下さい……」
紬「たまには良いじゃない」
菫「父に見つかったら怒られてしまいます」
紬「だったら私が叱りつけるわ」
菫「……変わりましたね、紬お嬢様も」
紬「お・ね・え・ちゃ・ん、でしょ」
菫「そうでした。……高校に入ってから、素直になりましたね」
紬「そう?」
菫「昔は私がお姉ちゃんと呼ぶと父が怒るのを見て、我慢して下さったでしょう?」
35: 1 2011/06/24(金) 01:47:42.69 ID:3ODe6yhf0
紬「そうね。でもワガママは言っても良いものなのよ。たまにはね」
菫「そうでしょうか」
紬「えぇ。軽音部の皆に教えてもらった事の一つ。『我慢ばっかりしてても苦しいだけだろ?』って」
菫「はぁ……」
紬「あ、今日は私の話じゃ無かったわね」
菫「え?」
紬「さっ!私の部屋に行きましょ」ガシッ
菫「あの、お嬢様?」
紬「うふふふふふふ」ズルズル
菫「お、お姉ちゃん?」ズルズル
36: 1 2011/06/24(金) 01:48:11.64 ID:3ODe6yhf0
紬「今日はたっぷりお話しましょうね~」ズルズル
菫「え、え~……」ズルズル
紬の私室!
紬「はい、菫ちゃんどうぞ」スッ
菫「すみません、お手数をおかけして」
紬「良いのよ~。可愛い菫ちゃんの為だもの」
菫「可愛い……ですか」
紬「えぇ。純ちゃんだってそう言ってたんでしょう?」
菫「っ!」ボン
紬「うふふふふふふ」キラキラ
菫「先生からお聞きに?」
37: 1 2011/06/24(金) 01:49:07.05 ID:3ODe6yhf0
紬「えぇ、ちょっとだけ」
菫「そうですか……」
紬「……どう?」
菫「どう?とは」
紬「うふふふふふふふ」キラキラ
菫「お姉ちゃん、何か怖いです」
紬「はぅ……やっぱり良いわねぇ、お姉ちゃんって呼ばれるの」ウットリ
菫「そうですか?私も一人っ子なので分かりかねますが」
紬「まぁ、その話は今は良いわ。それより菫ちゃんの事だもの」
菫「うぅ……逃げられない……」
38: 1 2011/06/24(金) 01:49:42.07 ID:3ODe6yhf0
紬「気付いてなかったの?」
菫「そういう意識すら、有りませんでしたね……」
紬「そうなの」
菫「先輩方も、先生も、私の事を好いてくれてるとは思ってましたが……」
紬「そんな風に想われてるなんて思いもしなかった?」
菫「はい……」
紬「嫌?」
菫「嫌……という訳では。ただ考えても無かったものですから。女同士ですし……」
紬「そう。じゃあ考えるのはこれからでも良いんじゃない?」
菫「へ?」
39: 1 2011/06/24(金) 01:50:16.56 ID:3ODe6yhf0
紬「純ちゃんの事、嫌いになった?」
菫「いえ、そんな事は……」
紬「じゃぁ、付き合える?」
菫「付き……合えるか判断出来る程、純先輩の事を知らないんです」
紬「なら今はそれでも良いじゃない。無理に今結果を出す必要は無いわよ」
菫「そうですか?」
紬「そうよ。そうそう、『お友達から始めましょう』っていう事よ」
菫「お友達から……」
紬「まずは仲良くなるのが大事じゃない?」
菫「そう……ですね」
紬「お互いもっと知りあわないとね」
40: 1 2011/06/24(金) 01:51:14.74 ID:3ODe6yhf0
菫「はい。ありがとうございました」
紬「どう致しまして」
菫「うん、明日頑張ってみます」
紬「後ね、一つ大事な事」
菫「はい?何でしょうか」
紬「『女同士』が良いんじゃなくて『貴方と』が良いのよ。そこは覚えててあげて」
菫「え?どういう事ですか?」
紬「貴方『で』良い、じゃなくて貴方『が』良いのよ」
菫「……」カァァ
41: 1 2011/06/24(金) 01:51:57.52 ID:3ODe6yhf0
紬「さて……新しい菫ちゃんの誕生ね!ハッピーバースディ!!」
菫「」ポカーン
紬「おめでとう!!」
菫「え~っと……何でしょうそれは」
紬「最近りっちゃん達がよくやってるから、私も一度言ってみたかったの~」
菫「はぁ……そうですか」
紬「……違った?」テヘ
菫「はい、多分」アハハ
* * *
次の日の部室!
純「何だよ梓、『フォローするから!』とか言っといて先行っとけって……」トントントン
純「憂も居ないし、スミーレと二人きりになっちゃうじゃん……」ソー
純「やっぱり、先に来てる。でも来てくれてて良かった……」ホッ
純「さ~て、どうしたもんかなぁ」ウロチョロ
純「う~、ん~、あ~、も~」ウロチョロ
42: 1 2011/06/24(金) 01:52:24.68 ID:3ODe6yhf0
純「うん!勢いに任せよう!」ガチャ
バタン!
純「おぉスミーレ!君の笑顔は太陽よりも」ビシッ
菫「昨日は申し訳有りませんでした!」バッ
純「明るい貴方が最後まで言わせてくれない……」
菫「あ、あのですね純先輩?」
純「はい何でしょう」
菫「昨日のお話なんですけど……ね?」モジモジ
純「あぁ、良いの良いの。昨日のは全部冗談だからさ。いきなり帰っちゃってゴメンネ?」
菫「え?」
純(何言ってんの私!)
純「勝手に嫁だ~とか変な事言っちゃって、気悪くしちゃったかな?」
菫「え、いや、そんな事は」
純「バカみたいだよね、あんな冗談で盛り上がっちゃってさ」
菫「あの、純先輩?」
純「スミーレもさ、面倒だったら直ぐに止めてくれて良いよ?」
菫「待って下さい!」
純「え?」
43: 1 2011/06/24(金) 01:53:13.44 ID:3ODe6yhf0
菫「本当に……冗談だったんですか?全部」
純「……うん」
菫「本当ですか?」
純「……」
菫「昨日先輩が帰った後に、先生が来たんです」
純「そう、なんだ」
菫「誰も居ないの?って聞かれて昨日の事説明したんです」
菫「何で純先輩が帰ってしまったのか、分からなくて、嫌われたのかと思って、相談したんです」
純「へぇ~。で、なんて?」
菫「『純ちゃんが今日あなたに言った事、全部冗談じゃないとしたら嬉しい?』と言われました」
純「ブフゥッ!」
純(直球じゃないの!何言っちゃってんのあの人!)
菫「先生は、私の話を聞いてそういう結論に至ったそうです」
純「そう、なんだ……」
菫「でも今、先輩は冗談だって言ってるじゃないですか」
純「う……うん」
菫「どちらが正しいんですか?」
44: 1 2011/06/24(金) 01:53:39.31 ID:3ODe6yhf0
純「それは勿論……」
菫「勿論?」
純「……わ……私。じゃなくて、さわ子先生が正しいよ」
菫「本当ですか?」
純「そうだね、嘘吐いてゴメン」
菫「いえ、こちらこそ気がつかずスミマセンでした」
純「いやいや、スミーレは悪くないよ。こっちが勝手に好きになっただけなんだもん」
菫「はぇ!?」ボン
純「あ!……言っちゃった」
純(こんなタイミングで言ってどうすんの私!)
菫「えぇ~っと……」カァァ
純(もう駄目だ~!)
菫「あ、ありがとうございます……」テレテレ
純「その後は『ゴメンナサイ』ですよね?」ショボン
菫「え?何でですか?」
純「へ?だってスミーレは私の事好きじゃないんでしょ?」
菫「そんな事無いですよ!」
45: 1 2011/06/24(金) 01:54:59.57 ID:3ODe6yhf0
純「うぇ!?」カァァ
菫「あ!いえ!そういう事じゃ無くてですね!」アセアセ
純「あ、やっぱしそうだよね……」シュン
菫「あああの違います!純先輩の事は好きですよ!」アタフタ
純「マジで!?」キラキラ
菫「え!?いやいやそういう事じゃ無くて!」アウアウ
純「じゃぁやっぱり……」シュン
菫「ですから、あの、お友達から始めさせていただく、というのはいかがでしょうか。……あれ?先輩?」
純「……私達ってまだ友達ですら無かったんだ……そっか~……」ズーン
菫「いえ!これは言葉のあやでして!」アタフタ
純「良いよ良いよ、慰めてくれなくても……」ズズーン
菫「あぁ!純先輩がどんどん沈んでしまっている!」
純「奥さ~ん、知ってるでしょ~、鈴木純で~ございます」ズーン
菫「奥さんって誰ですか!?と、とにかくですね!」
純「うぃ?」
菫「その、そういう関係になれる程、純先輩の事知らない……んですよ」
純「そぉ?」
菫「だって……二人で遊んだ事とかも無いですし」
46: 1 2011/06/24(金) 01:55:48.14 ID:3ODe6yhf0
純「そういえばそうだね」
菫「でも、純先輩の事をもっと知りたいと思うんです」
純「ほんと!?」
菫「はい。私の事ももっと知ってほしいと思ってます」
純「うんうん!もっと知りたい!」キラキラ
菫「先程のはそういう意味でですね……え~っと」
純「……そっか、そうだよね。スミーレさ」
菫「は、はい!」
純「ドーナツ好き?」
菫「はい、まぁ」
純「じゃあ今から食べに行こう」
菫「え?」
純「一緒にドーナツ食べながらさ、お喋りしようよ」
菫「はぁ」
純「ほら、行こ行こ!」ギュッ
菫(手!?)「え、でも部活は?」
純「良いの、たまには。サボっちゃおうよ」
菫「良いんですか?」
47: 1 2011/06/24(金) 01:56:51.64 ID:3ODe6yhf0
純「真面目だなぁ。じゃあ梓には連絡しとくよ」パカッカチカチ
純「『可愛いスミーレは私が戴いた!今日は帰ります。スミーレがケーキ用意してるから食べてね』……良し」
菫「戴いたって……」カァァ
純「さぁ行くよスミーレ!まずは私の好きなドーナツを知ってもらうんだから!」
菫「あ、はい!」
ガチャ バタン
タッタッタ……
48: 1 2011/06/24(金) 01:58:31.59 ID:3ODe6yhf0
……ガチャ
梓「……行ったね」
憂「そうだね」
梓「マナーモードにしておいて良かった」
さわ子「ちょっと、どうするのよ」
梓「良かったじゃないですか」
さわ子「違うわよ。今日のお茶はどうするのよって」ブーブー
梓「生徒の仲を良くするのも大事でしょ……」ヤレヤレ
憂「まぁまぁ。私が淹れますから」
さわ子「わ~い!憂ちゃん大好き!」キャルン
49: 1 2011/06/24(金) 01:59:23.71 ID:3ODe6yhf0
梓「先生、可愛くないですよ」
さわ子「なっ!貴方達ってホント私に失礼よね!」プンプン
梓「いえ、それ程でも」
さわ子「なんで謙遜するのよ」
憂「はいどうぞ~。スミーレちゃんのケーキも一緒ですよ~」カチャカチャ
さわ子「ありがと。……うん、憂ちゃんのお茶もグッドよ!」ビシッ
憂「ありがとうございます。はい、梓ちゃんも」スッ
梓「うん、ありがと。……はぁ」
憂「ん?どうしたの?」
梓「いや、今日も練習できないな~って思って」
憂「あぁ、そうだねぇ」
さわ子「二人の仲の方が大事なんでしょ?良かったじゃないの」モグモグ
梓「まぁそうですけどぉ……」フーフー
さわ子「まぁ、お友達からでも十分じゃない。仲良き事は美しきかなってね」
梓「はぁ」
さわ子「……じゃあ折角だし私達も仲良くなりましょうか?」ニヤリ
梓「はい?」
さわ子「ほら、可愛い梓ちゃんともっと仲良くなりたいじゃない」
50: 1 2011/06/24(金) 01:59:53.60 ID:3ODe6yhf0
梓「ななな何ですかその流れは!?」
さわ子「やっぱりそろそろね、ネコミミ推しだけじゃ苦しいと思うの」
梓「そっち!?っていうかネコミミも推してないです!」
さわ子「憂ちゃん。アレ出して」
憂「は~い」ガラガラ
梓「アレ?って何よソレー!?」
さわ子「いや~、こないだ憂ちゃんと衣装の話で盛り上がっちゃって」
憂「次のライブの衣装とか、どんなのが良いかなって」ガラガラ
さわ子「取り敢えずゴスロリからパンクから、10着ほど作ってみました!」イエイ
憂「ちなみにこちらは全部梓ちゃんサイズです!」イエイ
梓「10着!?っていうか何で憂まで乗り気なの?」
憂「私も作るの手伝ったから思い入れが出来ちゃって」
さわ子「憂ちゃんのお陰で捗る捗る。ホントありがとうね」
憂「いえ、私も楽しかったですし」
さわ子「ホント良い子だわ。さ、梓ちゃん逃げちゃ駄目よ?」ガシッ
梓「いやー!助けてー!」ジタバタ
さわ子「何よ、全部新作なのよ?唯ちゃん達は見た事もない衣装よ?何が不服なのよ」
51: 1 2011/06/24(金) 02:02:21.83 ID:3ODe6yhf0
梓「そんなの着せられる事自体が不服ですよ!」
憂「そんな……梓ちゃんの為に一生懸命作ったのになぁ……」ヨヨヨ
さわ子「私達も、軽音部の為に!頑張ったんだけどなぁ……」ウルウル
梓「うぐっ……」
憂「な~」チラリ
さわ子「な~」チラリ
梓「う~ん、え~?」
憂「梓ちゃん着てみるだけでも、駄目かな?」ウルウル
梓「う……憂がそこまで言うなら」
憂「本当!?」
さわ子「よし来た!先ずはコレね!」
憂「はい先生!梓ちゃんどうぞ」
梓「……う~、どう?」
さわ子「いやん可愛い!憂ちゃん、カメラと照明!」
憂「バッチリです!」
梓「カメラって何!?」
さわ子「さ!ガンガン行くわよ~!梓ちゃん先ずはその場でクルっと一回転してみようか!」
梓「やっぱりい~や~!」
* * *
52: 1 2011/06/24(金) 02:04:04.52 ID:3ODe6yhf0
?「部室に来てみたら部長がファッションショーしてた。どうも奥田です」
?「自分でも何言ってるか分からないけど、取り敢えず帰ろうかな」
?「名前が発表前だからって?だし。扱えないからって休みって事にされちゃたまったもんじゃないよ」
?「きっと来月には奥田×梓とか、奥田×菫とか出ちゃうくらいバキっとやるから」
?「乞うご期待!」ビシッ
梓「見てないで助けてー!」ニ゛ャー
さわ子「あっ、ちょうど良かった!はいコレ!レフ板持って!」
?「はい、了解です」
梓「手伝うなー!」
END
53: 1 2011/06/24(金) 02:12:16.15 ID:3ODe6yhf0
これにて本編終了でございます。
スミーレの発音はアモーレとかアンドレとかと同じ発音じゃないかな?
と考えて、そのまま話を書いたら何かこんな結果に。
多分純×菫は高校生編で一番無さそうな組み合わせな気もしますが……。
菫に関してはもうオリジナルキャラ状態です。これ最初に書くべきでしたね。
まぁ何が言いたいかっていうと
純は可愛いし、菫も可愛いし、奥田ちゃんも将来性に期待!って事です。
それでは、ここまで目を通してくださった方がおられるのならば、お付き合いありがとうございました。
純×菫なかよし編とか、より一層需要なさそうですね。
57: 1 2011/06/26(日) 00:54:46.83 ID:/2Q2IjNh0
ご期待いただき恐縮です。
何となく続きが出来てきたのでのんびりと書かせていただきます。
ただオチまで行ってないのでゆっくりとですが、お付き合いいただければ光栄です。
58: 1 2011/06/26(日) 03:31:21.60 ID:/2Q2IjNh0
菫(何だかんだでドーナツショップに来ました)
純「でさ、やっぱり種類が豊富なんだから色々食べたいじゃん」サク サク
菫(初めて来た私に『オススメを教えてあげる』と、純先輩が六種類のドーナツを持ってきて下さいました)
純「でも晩ご飯前の微妙な時間だし、そんなに一杯食べられないよね?」サク サク
菫(各々三つずつドーナツを食べるのかと思いきや、純先輩はナイフとフォークを借りてきてどんどんと二等分しています)
純「だけどこうやって半分こしてトレードしたらさ、同じ値段と量で二倍の味が楽しめる訳」サク サク
59: 1 2011/06/26(日) 03:32:24.06 ID:/2Q2IjNh0
菫「まぁ、そうですね」
純「梓が怒るんだ~、『そんな食べ方行儀悪いよ!』って。ナイスアイデアだと思わない?」サク サク
菫「あはは……確かに行儀は良くないかも」
純「え~、スミーレも梓の肩持つの?」ブー
菫「いえ、純先輩のアイデアはナイスだと思いますよ」
純「でしょでしょ!ふふ~ん、アリガト」サク サク
菫「ど、どういたしまして?」
純「よし!出来た~。スミーレはこのお店初めてなんだよね?」
菫「はい。作ったり、お土産で戴いたりはあるんですが、こういうお店で~というのは初めてです」
60: 1 2011/06/26(日) 03:33:07.84 ID:/2Q2IjNh0
純「お土産にドーナツ……何だか高級そうな感じが」
菫「いずれにしてもこのお店に有るのよりはシンプルなものばかりですね」
純「まぁココはバラエティが売りだからね」
菫「どれも美味しそうです……」
純「じゃっ、食べようか」カチャカチャ
菫「はい。あれ?先輩フォーク使うんですか?」
純「折角だしね。あ、スミーレの分貰うの忘れてたな」プスッ
菫「いえ、別にそのまま取りますから」
純「じゃあはい、アーン」スッ
菫「へ?」
純「コレ今一番のオススメなの。美味しいよ~」
菫「いや、そういう事じゃなくてですね」
純「まぁ食べてみてよ」
菫「あの、自分で取りますから……」カァァ
純「ん?……あぁそっかゴメンゴメン。なんかノリでやっちゃってたや」パク
菫「あはは……」パク
61: 1 2011/06/26(日) 03:33:39.23 ID:/2Q2IjNh0
純「どう?美味しくない?」モグモグ
菫「美味しいです。チョコのトッピングと中のクリームがまた」モグモグ
純「でしょ?で、こっちのは面白いよ」モグモグ
菫「面白い?」パク
純「多分その食感のドーナツは知らないんじゃないかな?」ヒョイパク
菫「……そうですね。モチモチしてます」モグモグ
純「これは最近出た新商品で、焼いてるんだって」
菫「コレもまた、何だか違った食感ですね。メープルシロップが甘い」モグモグ
62: 1 2011/06/26(日) 03:34:17.70 ID:/2Q2IjNh0
純「で、コレがさっきのモチモチの別バージョン。個人的にはこっちの方が好き」モグモグ
菫「ん……コーティングしてるものが違うんですね」モグモグ
純「黒糖なんだって」ヒョイパク
菫「へぇ~。……これは?」ヒョイ
純「それはね、一番普通のドーナツ」
菫「なるほど。……あ、でもコレも美味しい」モグモグ
純「でしょ?」モグモグ
菫「シンプルなのも悪くないですね……」ゴックン
純「後は、コレだね。チョコドーナツ」プスリ
63: 1 2011/06/26(日) 03:35:37.87 ID:/2Q2IjNh0
菫「周りの黄色いのは何でしょう?」
純「何か良く分かんないんだけど美味しいよ?はい、アーン」スッ
菫「ちょっ、またですか?」
純「あ、ゴメン。またやっちゃった」アチャー
菫「もう……じゃあいただきます」アーン パク
純「え?」キョトン
菫「うん、確かに美味しいです。どれも甲乙付け難いですね」モグモグ
純「ちょっとスミーレスミーレ」プスリ
菫「はい?」
64: 1 2011/06/26(日) 03:36:07.99 ID:/2Q2IjNh0
純「……もう一口」スッ
菫「アーン」パク
純「く~!可愛い~!この子ったら可愛い~!」
菫「ちょっと!そんな大声出さないで下さい!」アセアセ
純「あぁゴメン。いや、でも、だって、ねぇ?」
菫「先輩のノリに応えるのも良いかなと思っただけですよ」
純「いや~、何だろう。ときめいて死にそう」
菫「大袈裟ですって、もう」
純「……私も食べさせてほしいな」チラ
65: 1 2011/06/26(日) 03:36:38.50 ID:/2Q2IjNh0
菫「はい!?」カァァ
純「良いじゃん良いじゃん!ノリでしょノリ!」
菫「いや、でもそれは流石に恥ずかしいですって」モジモジ
純「え~!?お願い!この通り!」パシン
菫「う~……じゃあ一回だけですよ?」
純「わ~い!じゃあはいっ!」
菫「え~っと、どれが良いですか?」
純「スミーレが選んだのが良い!」アーン
菫「そうですか……じゃあこれで」プスリ
純「あ~ん」
菫「どうぞ……」スッ
純「はむっ!」パク
菫(……何だか可愛い)カァァ
純「お~ぉいし~ぃい!」モグモグ
66: 1 2011/06/26(日) 03:37:18.57 ID:/2Q2IjNh0
菫「ちょっと純先輩!お店の中ですから!」アセアセ
純「店員さん!このドーナツ最高です!」
<どうもありがとうございま~す
純「いや~、スミーレが食べさせてくれたとなるといつもの二倍は美味しいね」モグモグ
菫「私はさっきの二倍は恥ずかしいです……」モジモジ
純「あ~ん」
菫「へ?あ~……じゃあどうぞ」スッ
純「あむっ!」パク
菫「続けてどうぞ」プス スッ
純「んむっ!」パク
菫(どうしよう……楽しくなってきちゃった)
純「モフモフ。何だかんだでスミーレも乗り気じゃないの」モグモグ
菫「純先輩が可愛らしくてつい……」
67: 1 2011/06/26(日) 03:38:01.70 ID:/2Q2IjNh0
純「んう!」ビクン
菫「そんなに顔真っ赤にしないで下さいよ、私も恥ずかしいんですから……って、純先輩?」
純「……!!」ドンドン
菫「もしかして、喉に詰まりました?」
純「!!……!」コクコク
菫「大丈夫ですか!?水飲んで!」
純「……!……!」ゴクゴク
菫「え~っと、後は」ハラハラ
純「ん……!……ぷはぁ!」ハー
菫「あ、良かったぁ~」フゥ
純「ホントにときめいて死ぬ所だった……」ハァハァ
菫「すみません、私の所為で……」
純「いやいや、ちょっといきなり過ぎてビックリしただけだから。大丈夫大丈夫」
68: 1 2011/06/26(日) 03:39:57.32 ID:/2Q2IjNh0
菫「いえ、でも」
純「そんなに私可愛かった~?」テレテレ
菫「え、はい。何ていうか小動物の様な」
純「小動物?」キョトン
菫「そうですね、え~っと、う~ん……はいどうぞ」スッ
純「あむっ」パク
菫「はぅ……」
純「もぐもぐ……可愛い?」
菫「何といいますか、頭をなでたくなる可愛さですね。どうぞ」スッ
純「ん~?どうなのそれって。まぁ良いか。あんむっ!」パク
菫「あはは……」パク
純「ふみーへっへは」モグモグ
菫「はい?」
純「ゴクン……スミーレってさ。中学の時とか遊んでなかったの?」
菫「え?どうしてですか?」
純「いや、私は中学の時から友達とファーストフードとか当たり前だったからさ」
菫「まぁ……そうですね。中学の頃は学校とお家の往復でした」
69: 1 2011/06/26(日) 03:40:29.74 ID:/2Q2IjNh0
純「やっぱりその、メイドとしての修行的な?」
菫「はい。礼儀作法の勉強や使用人としての修行に手伝いにと、生活の主がそれでしたね」
純「学校と仕事で埋まる中学生活とか……私じゃ耐えられない」
菫「父が執事をしておりますし、それに居候の身として私自身が望んでしている事でしたから」
純「そうなんだ……凄いね。尊敬しちゃう」
菫「そんな事ないですよ……」テレテレ
純「え?じゃあさ、今は大丈夫なの?そんな事何も知らずに軽音部に入れちゃったけど」
菫「それはですね」
純「まさか、帰ったら怒られたりしてる?」アセアセ
菫「いえ、大丈夫ですよ。紬お嬢様のお計らいでして」
純「ん?どうゆう事」
菫「え~っとですね……」
* * *
70: 1 2011/06/26(日) 09:25:51.43 ID:/2Q2IjNh0
紬「菫ちゃん、桜高合格おめでとう」
菫「ありがとうございますお嬢様」フカブカ
紬「でね、早速なんだけど合格のお祝いがあるの~」
菫「そんな!お祝いの言葉だけでも十分ですよ」アセアセ
紬「いいの。私がしたい事なんだから」
菫「そうですか……。では謹んでお受けいたします」
紬「……私ね、この三年間の高校生活が凄く凄く楽しかったの」
菫「はい、良く聞かせていただきました」
紬「軽音部に入って、色んな新しい事を知ったわ。アルバイトもしたし、バンドのライブもしたし、何より一生大事にしたい友達が出来た」
71: 1 2011/06/26(日) 09:26:40.62 ID:/2Q2IjNh0
菫「素晴らしい事ですね」
紬「えぇ、素晴らしい事よ。だからね?菫ちゃんにもそういう高校生活を送ってほしいの」
菫「と、言いますと?」
紬「菫ちゃんはこの三年、使用人としての成長が素晴らしかったわ。もう何処に出しても恥ずかしくないくらい」
菫「恐縮です」
紬「頑張ってたものね、色々お手伝いしてくれて。でもね、中学での生活はそればっかりだったでしょう?」
菫「それは……私が望んでしてる事ですから」
紬「……良い子ね、菫ちゃん」ナデナデ
菫「あ、ありがとうございます」テレテレ
72: 1 2011/06/26(日) 09:27:36.44 ID:/2Q2IjNh0
紬「でも、それじゃ駄目」
菫「はい?」
紬「貴方には高校生活を過ごす間、只の居候として暮らしてもらいます」
菫「え、どういう事ですか?」
紬「家の仕事は一切しなくて良い様にしておくわ。まぁ、たまにお手伝いのお願いはするかもしれないけど」
菫「えぇ!?」
紬「もう両親や斎藤には伝えてるから大丈夫。貴方は普通の高校生として暮らしなさい」
菫「え、あの、突然そう言われましても……」
紬「大丈夫。高校生活は掛け替えのない大切な思い出になるから。きっと菫ちゃんにもウチの仕事より大事なものが見つかるわよ」
73: 1 2011/06/26(日) 09:28:18.56 ID:/2Q2IjNh0
菫「そうでしょうか……」
紬「……不安かしら?」
菫「はい……」
紬「ん~、そうねぇ。じゃあ早速、高校に行くついでに一つお願いしても良い?」パン
菫「はい!何なりと」
紬「実はね、軽音部の部室で使っていたティーセットを置いたままにしちゃってるの」
菫「はい」
紬「それを片づけてもらっても良いかしら?」
菫「軽音部のティーセットを片づける……」
紬「新学期が始まる前に速やかに片づけてね」
菫「はい!」
* * *
74: 1 2011/06/26(日) 09:32:03.50 ID:/2Q2IjNh0
菫「……と、いう訳でして」
純「へぇ~」
菫「高校の三年間は、普通の高校生として過ごす様に言われたんです」
純「なるほど」
菫「ですので、部活や交遊に関しては割かし自由にさせていただいてまして」
純「そっか~。ムギ先輩に感謝だね」
菫「えぇ、本当に紬お嬢様には良くして戴きまして」
純「私も感謝しないと」
菫「へ?」
純「だってムギ先輩がそうやってくれたから、こうやってスミーレと出会えて仲良くなれたんじゃん?」
75: 1 2011/06/26(日) 09:41:25.50 ID:/2Q2IjNh0
菫「そ、そうですね……」カァァ
純「ムギ先輩もぽわぽわしてる様で、色々考えてくれてるんだよね」モグモグ
菫「どういった意味でですか?」
純「スミーレを軽音部に向かわせれば確保されるって思ってたんでしょ?多分」
菫「そうですね。『やっぱり確保されちゃった?良かったわね』と言われました」
純「その上、ティーセットは使って構わないって」
菫「はい、そうです」
純「ホント、スミーレにティーセットに、感謝してもしきれないよ」
菫「私もです。高校生活が毎日楽しいです」
76: 1 2011/06/26(日) 09:42:32.97 ID:/2Q2IjNh0
純「私と居れて?」ニヤニヤ
菫「それは……それも有りますけど」カァァ
純「ホントに?嬉しいなぁ。はい、ア~ン」
菫「んむ」モグモグ
純「でもスミーレにも勿論感謝してるよ?」
菫「え?」モグモグ
純「毎日お茶淹れてくれてさ。何だかんだで日課になっちゃってるし」
菫「それは私がしたくてしてる事ですから。私も楽しいですし」
純「そういってくれると嬉しいな。んあ」アーン
菫「はい、どうぞ」スッ
純「はむ。にしてもあれだね」モグモグ
菫「何でしょう?」
77: 1 2011/06/26(日) 09:44:35.02 ID:/2Q2IjNh0
純「スミーレってホント良く流されるよね。はい、ア~ン」
菫「んむ。そうですか?」モグモグ
純「だって、もう平気で食べてるじゃん」ニヤニヤ
菫「……はっ!」カァァ
純「折角だし、写メ撮っちゃおうか?」パカッ
菫「やっ止めてください!」アセアセ
純「え~、良いじゃん面白いし」
菫「恥ずかしいだけじゃないですか」アタフタ
純「そんな事無いって~。ん?憂からメール?……ブッ」
菫「憂先輩からですか?」
純「なんかスゴイのが来た」スッ
菫「コレ……梓先輩ですか?」マジマジ
78: 1 2011/06/26(日) 09:45:51.15 ID:/2Q2IjNh0
純「『梓部長のファッションショー開催中です』だってさ」プププ
菫「はぁ~、可愛いですねこの服」
純「さわ子先生の手作りじゃないかな?」
菫「スゴイですねぇ」
純「でも、ココに来てて良かったね」
菫「そうですか?あちらも楽しそうですけど」
純「先生の事だからスミーレ用の衣装も作ってるよ多分、いや絶対」
菫「……ファッションショーするのは嫌ですね」
純「でしょ?まぁ私にはあんまりインスピレーションが刺激されないらしいけど」
菫「そうなんですか?純先輩ならハロウィンの魔女みたいな恰好とか似合いそうですけど。三角帽子の」
79: 1 2011/06/26(日) 09:48:18.17 ID:/2Q2IjNh0
純「そぉ?マント羽織って?」
菫「はい。可愛いですよきっと」
純「んむぅ……。でもそうゆうの先生には言わないでね。衣装作られても困るし」テレテレ
菫「あはは……確かに」
純「あ、もう一通来た。……今度はゴスロリ」
菫「あれ?奥田さんも一緒だ」
純「あの子こういうの好きなんだね。ノリノリじゃん」
菫「そうですね、知りませんでした」
純「憂も先生の手伝いしてるって言ってたし、梓は逃げ場無いね」ケラケラ
菫「ご愁傷様です」
80: 1 2011/06/26(日) 09:49:28.10 ID:/2Q2IjNh0
純「よ~し、じゃあ私達もへんしんしよう!」
菫「返信ですか?」
純「トランスフォームしよう!」
菫「いや、出来ませんよ」
純「簡単簡単。ドーナツ頬張って~、ハムスターみたい!とか」
菫「え~っと……」
純「はい頬張って~」ヒョイヒョイ
菫「はぁ……ほうでふは?」モグモグ
純「やば……持って帰りたい」ウズウズ
菫「はやふひまひょうよ」モフモフ
純「そうだね。じゃあ先ず一枚」カシャ
菫「え!?なんでわたひだへ?」
純「ん?あぁ、これは私用だから」モグモグ
81: 1 2011/06/26(日) 09:50:56.75 ID:/2Q2IjNh0
菫「いやいや」モフモフ
純「よ~ひ、じゃあよっへよっへ……じゃあほるよ~」モフモフ
菫「はい」モフモフ
純「はい、ひーふ!」カシャ
* * *
純「っていう感じでさ、今日は楽しかったよ!スミーレは可愛かったしスミーレはプリティだったしスミーレは最高だったし」
梓『そ。良かったね』
純「日曜日に遊びに行く約束も出来たしね!ホントありがとうね梓!」
梓『どういたしまして。それに対して私は散々だったよ……一対三だもん』
純「やっぱり逃げ場無かったんだ。まぁあんなに可愛い衣装着れたんだから良いじゃん」
82: 1 2011/06/26(日) 09:52:17.53 ID:/2Q2IjNh0
梓『へ!?何で純が知ってんのよ!』
純「憂から写メが送られてきたから」
梓『憂ぃ!?あの子いつの間に!どれ見たの!?』
純「最終的に8通、来たかな」
梓『殆どじゃない!』
純「結局何着着たの?」
梓『覚えて無いよ……先生達は10着って言ってたけどそれ以上あった気がする』
純「ふ~ん、じゃあ残りは明日先生に見せてもらおっと」
梓『止めてよ恥ずかしい』
純「でもその中のどれかを学際のライブで着るんでしょ?」
梓『着ないよ。良いじゃん制服で』
83: 1 2011/06/26(日) 09:55:04.87 ID:/2Q2IjNh0
純「え~、折角先生が作ってくれたのに~?」
梓『誰も頼んでない』
純「でもあんなの着て舞台立ってごらん?あずにゃんファンクラブも夢じゃないよ?」
梓『願い下げです~。何?純は着たいの?ああゆうの』
純「ん~。スミーレとペアルックなら何だって着るけど」
梓『ホント、ゾッコンだね』
純「ゾッコンラブだよ。……ゾッコンって死語じゃない?」
梓『そぉ?でも、さわ子先生じゃないけどスミーレに着せたいのはちょっと分かる』
純「でしょ?だってあんなに可愛いんだもん」
梓『はいはい』
純「っていうかさ、ふと思ったんだけど」
84: 1 2011/06/26(日) 09:56:04.25 ID:/2Q2IjNh0
梓『何?パイは食べないよ』
純「誰も『おいパイ食わねぇか?』なんて聞いて無いでしょ」
梓『昨日の夜テレビでやってたから初めて見たけど、面白いねあの番組』
純「でしょでしょ?ついに梓もどうバカの一歩を踏み出したか」
梓『あのマスコットも可愛いし。何で蹴ったりするの?あの天パ』
純「アレが良いんじゃん。……また天パを敵視したな!」
梓『だって、あんなに可愛いのにかわいそうだよ』
純「まぁ、見てたらアレも味になるから」
梓『わかんないなぁ』
純「んでね?話戻すんだけど」
梓『はいはい』
85: 1 2011/06/26(日) 09:58:05.70 ID:/2Q2IjNh0
純「私達って『放課後ティータイム』なの?」
梓『へ?違うでしょ。何言ってんの』
純「だよね。じゃあバンド名どうするのさ?」
梓『……あぁ、そっか』
純「確かHTT決める時もそうなったんでしょ?早めに決めておかないと」
梓『そうだね。じゃあ明日辺りに皆で考えようか。何か考えといて』
純「まぁ、無くは無いけど」
梓『例えば?』
純「シエスタとかどう?」
梓『しえすた?』
純「聞いたことない?」
梓『無い。何それ』
86: 1 2011/06/26(日) 09:59:02.18 ID:/2Q2IjNh0
純「ん~、確かスペイン語で『お昼』って言葉なんだけど~何か良くない?」
梓『お昼……かぁ。でも確かに響きは良いね』
純「でしょ?まぁほら、放課後つながりで考えるのもなんだし」
梓『うん、とりあえず覚えとくよ』
純「まぁ明日皆で考えよう」
梓『そうだね。じゃあ今日はそろそろお風呂入って寝るよ』
純「りょ~かい。おやすみ~」
梓『おやすみ~』
ガチャ ツーツーツー
純「……本当の意味は『昼寝』だ、なんて言ったら却下するかな~」パカッ
87: 1 2011/06/26(日) 10:00:13.95 ID:/2Q2IjNh0
純「『それじゃ放課後ティータイムと変わんないじゃない!にゃ~』とか言いそう。にゃ~は言わないけど」ピッピッ
純「……スミーレのこの写メ、待ち受けにしたら怒るかなぁ?怒るよねぇ。……電話受信時表示設定、と」ピッピッ
純母「純~?お風呂早く入っちゃいなさいよ~」
純「は~い!うわ、もう11時」
純母「夜更かししちゃ駄目よ~、宿題と部屋の片づけして早く寝なさいよ~?」
純「だからソレ無茶だってお母さん!」
END
88: 1 ◆nOI8gR3IKE 2011/06/26(日) 10:21:20.62 ID:/2Q2IjNh0
これにて初日放課後編終了でございます。
少しでもお気に召していただければ幸いに思います。
95: 1 ◆nOI8gR3IKE 2011/06/30(木) 01:16:49.89 ID:WLYA/xx90
次の日の部室!
ガチャ
純「おぉ!スミーレ!……あれ?居ない」キョロキョロ
純「一番乗りかぁ……ん?鞄が置いてるって事は」ストン
ガチャ
菫「あ、おはようございます純先輩」
純「やっぱり着替え中だった。アモーレ!」ビシッ
菫「あ、アモーレ~?」ヒラヒラ
純「いや、挨拶じゃ無いんだけどまぁ良いや。てゆうかスミーレその衣装……チャイナって」
菫「昨日はああ言いましたけど、あの梓先輩に触発されまして」
純「あ~」
菫「先生が折角用意して下さってるんだし、たまにはメイド服以外も良いかな~と」
純「何だかんだで嫌いじゃないんじゃん」ニヤニヤ
菫「そうですね。……どうですか?」オズオズ
96: 1 ◆nOI8gR3IKE 2011/06/30(木) 01:17:49.78 ID:WLYA/xx90
純「え?抱きつきたい」
菫「はい?」
純「膝に置いて抱き締めて頬擦りしたい」
菫「駄目です!」
純「え~、ちょっとくらい良いじゃん」ブー
菫「誰か来たらどうするんですか」
純「え?誰も来ないなら良いの?」タタタ
菫「そういう事じゃなくてですね。だから鍵かけないで下さい!」アセアセ
純「ちぇ~、残念」ガチャガチャ
ガチャ
さわ子「あら、何してるの純ちゃん。私に抱き付いたら高価いわよ?」
純「あ、先生アモーレ」
さわ子「やめてよ、愛してるとか気持ち悪い」
菫「アモーレってそういう言葉だったんですか?」カァァ
純「うん。ていうか思っても生徒に言う言葉じゃないでしょ先生……」ズーン
97: 1 ◆nOI8gR3IKE 2011/06/30(木) 01:19:05.94 ID:WLYA/xx90
さわ子「あら菫ちゃん、今日はチャイナ着てくれたの」
菫「え?あ、はい。どうでしょうか?」
さわ子「グッジョブ私!」
菫「え?」
さわ子「素晴らしいわ菫ちゃん。特にそのスリットから覗く生足の艶めかしさったら」マジマジ
菫「ちょちょちょっと!そんな所見ないで下さい!」アタフタ
純「先生、セクハラ!」
さわ子「なによ、褒めてるんじゃない」ブーブー
純「そうは見えないよ」ヤレヤレ
菫「恥ずかしいです……」モジモジ
さわ子「……純ちゃん、ちょっと落ち着いて考えてご覧なさいよ」ガシッ
純「何ですか?いきなり肩組んで」
98: 1 ◆nOI8gR3IKE 2011/06/30(木) 01:20:47.52 ID:WLYA/xx90
さわ子「普段の制服やメイド服では分からないボディライン」ヒソヒソ
純「うぅ……」チラリ
さわ子「豊満な双丘、細い腰、くびれ」ヒソヒソ
純「おぉう……」ジー
さわ子「そしてその下に覗く脚線美」ヒソヒソ
純「……」ジュルリ
さわ子「どう?」
純「最高です先生!」キラキラ
さわ子「この美しき女神を眺めないなんて、それこそ罰が当たるでしょ?」グッ
純「はい!」グッ
菫「ちょっ、ちょっと純先輩!」アタフタ
さわ子「うふふふふふふふふふ」ギラギラ
純「うぇへへへへへへへへ」ギラギラ
菫「ひぃぃ!」ガクブル
ガチャ
梓「おはよ~って何してんの!」
ガツン!ガツン!
99: 1 ◆nOI8gR3IKE 2011/06/30(木) 01:21:39.39 ID:WLYA/xx90
純「はっ!私は一体何を」プシュー
さわ子「教師に手ぇ出すなんて、成長したわね梓ちゃん」ヒリヒリ
梓「菫が怯えてるでしょ!」ガー
菫「梓せんぱ~い」ウエーン
梓「よしよし。もう大丈夫だからね」ナデナデ
純「え?あれ?あ!梓何してんの羨ましい!」
梓「うるさい!二人とも正座!」
さわ子「は~い」ヨイショ
純「何で?てゆうか梓いつ来たの?」ヨイショ
梓「二人が菫を襲ってる時よ」
純「全く気付かなかった」
梓「先生も先生ですよ!昨日私にアレだけやっといて今日は菫ですか?」
100: 1 ◆nOI8gR3IKE 2011/06/30(木) 01:23:18.79 ID:WLYA/xx90
さわ子「な!?私はまだ何もしてないわよ!」
純「私だってまだ何もしてないのに!」
梓「今する所だったじゃない!」
菫「あの、梓先輩?」
梓「菫も、前にも行ったけど嫌な事は嫌って言って良いからね」ポン
菫「はい。でもコレは自分で選んだので……」
梓「え?そうなの?」
純「そうだぞ~。昨日の梓に触発されて自分で着たんだぞ~」ブーブー
さわ子「そうよそうよ。後輩の自主性を尊重してあげなさいよ~」ブーブー
梓「あ~そうなんだ。ゴメンね菫、その服も似合ってるよ」ナデナデ
菫「あ、ありがとうございます……」カァァ
純「梓ズルい~!私もスミーレ褒める!」
101: 1 ◆nOI8gR3IKE 2011/06/30(木) 01:24:44.67 ID:WLYA/xx90
菫「え、もう結構です」
純「まぁまぁそう言わずに」ニジリニジリ
菫「え~っと、梓先輩?」チラリ
梓「純、何する気よ」
純「可愛い後輩に抱きつくだけだよ」キッパリ
菫「やっぱり!?」
梓「なんだ、それなら良いよ」
菫「いいんですか!?」
梓「え?だって可愛い後輩には抱きつくものでしょ?」
菫「えぇ!?ちょ、ちょっと……せ、先生?」チラリ
さわ子「ホント、良い具合に唯ちゃん達に毒されちゃってるわねぇ梓ちゃんも。菫ちゃんドンマイ!」ビシッ
菫「そんな「スミ~レ~!」ひゃあぁ!?」ビクッ
純「うりうりうりうりうり!」グリグリ
菫「うへぁやぁあ」グリグリ
さわ子「純ちゃんも容赦ないわね」
梓「でも、菫も満更でも無い様な……」
さわ子「唯ちゃんに抱きつかれた梓ちゃんもあんなだったわよ?」
梓「思い出させないで下さい、恥ずかしい……」テレテレ
102: 1 ◆nOI8gR3IKE 2011/06/30(木) 01:25:30.52 ID:WLYA/xx90
さわ子「純ちゃんそろそろ離してあげなさい」
純「え~、もうちょっとスミーレのほっぺたを味あわせてよ~」ムニムニ
菫「ほへよひおひゃの準備させへふだはいよ~」ムニムニ
純「あぁ、それもそだね」パッ
菫「やっと解放された……」ハァ
純「じゃあ、お茶終わったら続きだね」
菫「まだやるんですか!?」
梓「ほら純、無理強いしないの」ポカッ
純「痛っ。は~い」
梓「もうすぐ憂と奥田さんも来るだろうし、いい加減バンドの話もしようよ」
純「お茶で一服してからね」
梓「絶対だよ!」
純「はいはい」
菫「取り敢えず、お茶のご用意いたしますね」
純「うん、ありがとスミーレ」
ガチャ
103: 1 ◆nOI8gR3IKE 2011/06/30(木) 01:26:21.09 ID:WLYA/xx90
憂「おはようございま~す」
奥田「おはようございます……」ドヨーン
梓「さっきぶり~。奥田さんもおはよう……って奥田さんどうしたの?」
憂「部室前で沈んでたんだけど……」
奥田「いえ……『バキっとやるから』とか決めたのに、結局私は奥田のままなんだな~と」
梓「奥田のままって……そりゃそうでしょ?」
奥田「良いんです良いんです。所詮私なんて奥田なんですから」ズーン
純「何か良く分かんないエラい沈み様だね」
菫「ご用意出来ました~。あ、憂先輩おはようございます」
憂「おはようスミーレちゃん。ってチャイナドレス……」
奥田「おぉ、斎藤さん素晴らしい」
さわ子「でしょ?やっぱり奥田ちゃんは分かる子だわね」ウンウン
奥田「私も何か着ましょうか」
さわ子「良いわよ~。あ、そういえばちょっと奥田ちゃんにやりたい事が有るのよ」
104: 1 ◆nOI8gR3IKE 2011/06/30(木) 01:28:21.63 ID:WLYA/xx90
奥田「はい?」
さわ子「ちょっとこっちいらっしゃい」
奥田「はい」
さわ子「少し奥田ちゃん借りてくわね~」
ガチャ
梓「何だろう、激しく嫌な予感がする」
純「まぁまぁ、梓は自身が巻き込まれなかった事を喜ばないと」
梓「そ、そうだね」
菫「どうぞ先輩方。今日はカップケーキです」
憂「美味しそ~」
菫「ありがとうございます」
純「これもスミーレお手製?」
菫「はい。お口に合いますでしょうか?」
105: 1 ◆nOI8gR3IKE 2011/06/30(木) 01:29:37.37 ID:WLYA/xx90
純「これは味わって食べないと。……ん~美味しい!デリシャス!」モグモグ
梓「美味し……。やっぱり流石だね菫」モグモグ
菫「お褒め戴き光栄です」フカブカ
憂「うん、美味しい。スミーレちゃんってお菓子作り上手なんだね」モグモグ
菫「そんな、憂先輩程では……」テレテレ
憂「美味しいよ~。私も頑張らないとな~」
菫「私もまだまだですから」
憂「ん~、そうだ!今度一緒にお菓子作らない?」
菫「いいんですか?」
純「はいはい!じゃあ私試食係で!」ガタン
梓「邪魔しに行く気満々じゃん」
純「邪魔なんかしないもん!」
憂「アハハ……じゃあ皆で作ろうよ」
純「やった!いつにする?」
梓「気が早いって……。まぁ明後日の日曜日とか?」
純「日曜日は駄目!」ビシッ
梓「え?あぁそっか、そういやそうだったね」
106: 1 ◆nOI8gR3IKE 2011/06/30(木) 01:31:45.39 ID:WLYA/xx90
憂「じゃあその次の土日かな?」
純「了解!」
菫「分かりました。では」
ガチャ
さわ子「おっまたせ~!」
純「大体想像つくけど、先生何してたの?」
さわ子「ほら、一番衣装映えしそうな菫ちゃんは今の所ドラムじゃない?」
菫「はぁ」
さわ子「で、奥田ちゃんをセンターに立たせるならそれなりにキメないと駄目かなと思って、ちょっとやってみました!」
梓「え?真面目に部活の話?」
さわ子「当たり前じゃない、顧問としての責任が有るしね。じゃあ張り切ってどうぞ~!」ヒラヒラ
ガチャ ガン!
奥田「痛っ!……先生、メガネしてないと良く見えないんですけど……」ウー
純「うわっ、髪伸びてる。メガネしてない奥田ちゃんも良いね」
菫「ウィッグですね。長い髪も似合うし可愛い」
107: 1 ◆nOI8gR3IKE 2011/06/30(木) 01:32:34.68 ID:WLYA/xx90
奥田「そ、そう?」
さわ子「次、憂ちゃん」
憂「は、はい!」
さわ子「はい、このウィッグ被って~」
憂「はい。……こうですか?」
梓「憂が髪長いのって何か違和感」
憂「私も経験無いな……くすぐったい」
さわ子「で、憂ちゃんの髪型をっと……」
奥田「私、どうなってるの?鏡も見えなくって」
純「ん?ロングでサイドテール。バッチリ似合ってるよ。ねぇスミーレ」
菫「はい」
奥田「はぁ。そうなんだ」
さわ子「よし。これで、と。奥田ちゃんおいで」
奥田「はいはい」
さわ子「こっち、立って。憂ちゃんこっち」
純「あ~、左右にサイドテールでバランス良いね」
さわ子「でしょ?奥田ちゃんボーカルで憂ちゃんがコーラス&ギターならこうやって二人正面に立たせて、左右に純ちゃん梓ちゃん、後ろに菫ちゃん」
梓「確かに、見栄え良いかも。ちょっとアイドルっぽい」
108: 1 ◆nOI8gR3IKE 2011/06/30(木) 01:34:33.27 ID:WLYA/xx90
さわ子「二人でボーカルでもこの並びで良いだろうし、憂ちゃんキーボードに回すなら梓ちゃんコーラスだから二人でツインテールとか」
奥田「ツインテール……」イジイジ
純「お、それも可愛い。奥田ちゃん顔が良いから」
菫「ですねぇ」
純「コンタクトにしないの?」
奥田「アレは怖くて……」
梓「別にそこまで拘らなくても良いと思うんですけど」
さわ子「唯ちゃん達の時は既にポジションとか決まっちゃってたからここまで出来なかったのよね~」
梓「あの、だから先生?」
さわ子?「ん~、衣装はどうしようかしら……メイン二人の衣装は統一して……でも……」ブツブツ
梓「あぁ、もう自分の世界に入っちゃった」
憂「アハハ……。プロデュースする気満々だね。私のパートも早く決めた方が良いかな?」
梓「まぁ、ギターもキーボードもどっちも出来るんだし、憂の好きな方で良いんじゃない?」
憂「う~ん……」
純「いやいや、そんな適当じゃ無くてバランスとか考えなきゃ。部長がハッキリしなさいよ」
梓「え~。じゃあギターは私がやるし、キーボードかなぁ」
純「だったら梓がコーラスだよ?」
109: 1 ◆nOI8gR3IKE 2011/06/30(木) 01:35:33.00 ID:WLYA/xx90
梓「う……コーラスは純がやってよ」
純「えぇ!?私が!?」ガタン
梓「いや、そんなに驚く事?」
純「そんな……恥ずかしい~」クネクネ
梓「何その動き気持ち悪い」
純「また気持ち悪いとか言われた……」ズーン
さわ子「やっぱりセクシーよりキュートな路線で攻めた方が良いわよね……露出は……」カキカキ
奥田「取り敢えず、私がボーカルなんでしょうか」
梓「今の流れならね。まぁ他の楽器も触りながら模索していこうよ」
純「一先ず歌ってみようか?奥田ちゃんの歌聴いた事無いし」
奥田「はい。……と言ってもまだ曲も何も無いですよね」
純「何か知ってる歌で良いよ。取り敢えず触り程度で」
奥田「はい……では」スッ
梓「そういえば、菫にもだけど音楽の趣味の話とかしてなかったね」
純「そういやそうだね。どんなの聴いてるんだろ」
110: 1 ◆nOI8gR3IKE 2011/06/30(木) 01:38:25.31 ID:WLYA/xx90
奥田「みんな死んでしまった~」
純「ストップストップ!」ブンブン
奥田「え?」
梓「ちょっと、今何て?」
純「え?それ何?誰の?」
奥田「ムックです」
憂「ムック?ポンキッキーズの?」
純「それじゃあの赤色が怖くなっちゃうよ。アレだよ、ヴィジュアル系ってやつ」
梓「あ~、なるほど」
奥田「他の歌の方が良いですか?」
梓「そうだね。出来ればヴィジュアル系以外で」
純「うん、明らかに選曲がおかしい」
111: 1 ◆nOI8gR3IKE 2011/06/30(木) 01:40:06.96 ID:WLYA/xx90
奥田「そうですか?では……水割りをくださ~い~」
さわ子「古っ!」ズルッ
奥田「あ、これも駄目ですか?」
純「え?何今の歌」
梓「知らない」
菫「父が聴いていた様な……」
純「まぁ先生が古っ!ていうんだから確実に私達が生まれる何十年前よね?」
さわ子「何ですって!」ガァ
純「ひっ!いや、だって、ねぇ?」
梓「わっ、私に振られても困るよ」
さわ子「あ、でもそうか。……私が生まれる前の曲だったかな?」
憂「そんなに昔なんですか?」
純「先生が、え~っと……何歳でしたっけ?」
さわ子「純ちゃん、女性の歳は詮索しちゃ駄目よ?」ニコリ
純「はい!」ガクブル
奥田「どうでしょう?」
梓「え~っと、もうちょっと最近の曲でお願いできるかな?」
純「そうそう、私達でも知ってそうなのでお願い」
奥田「はぁ……。では……」
* * *
112: 1 ◆nOI8gR3IKE 2011/06/30(木) 01:41:50.45 ID:WLYA/xx90
純「いや~、にしても奥田ちゃんのレパートリーにはビックリだね」
菫「そうですね、驚きました」カチャカチャ
純「結局分かる曲の方が少なかったけど……。でも上手だったね~」
菫「はい。アレならボーカルでお願い出来ますね」ザー
純「後は……作詞作曲?」
菫「曲はオリジナルで行くんですか?」キュッキュッ
純「まぁ放課後ティータイムがそうだったから、梓はそのつもりだと思うよ?」
菫「なるほど。あ、お待たせいたしました」フキフキ
純「片づけ終わった?」
菫「はい。帰りましょうか」
純「あいよ~。にしても、こんな時間までいつも後片付けしてたの?」
菫「まぁ大体この位の時間ですね、はい」
純「……明日からはもっと手伝うよ」
菫「そんな、大丈夫ですよ」アセアセ
純「いや~、悪いよ流石に。だって皆より30分も帰るの遅いじゃん」
菫「自発的にしている事ですから」
純「じゃぁ私も自発的にスミーレの手伝いする!」フンス
菫「はぁ……そうですか」
113: 1 ◆nOI8gR3IKE 2011/06/30(木) 01:42:45.37 ID:WLYA/xx90
純「甘えてばっかりじゃ先輩としての威厳が無いもんね」
菫「そんな事無いですよ」
純「そう?威厳有る?」
菫「有ります有ります」コクコク
純「例えば?」
菫「例えば?……う~ん……」
純「う~ん……」
菫「……」ウーン
純「……無いんだね……」ズーン
菫「あ!先ほど私との予定を優先してくれました!」アセアセ
純「何か違う気するけど……まぁそうだね」
菫「嬉しかったです」テレテレ
純「そりゃ愛しのスミーレとの約束だもの!親が倒れたってソッチを優先するよ!」
菫「それは親御さんを看てあげて下さいよ」
純「冗談冗談。でもまぁ、一番大事だもの」
菫「はい」
114: 1 ◆nOI8gR3IKE 2011/06/30(木) 01:44:16.08 ID:WLYA/xx90
純「はい?今はいって言った?同感してくれた?」
菫「え……あ」カァァ
純「いや~、う~れしい~!スミーレも私との約束を大事に思ってくれてるな・ん・て!」キャッ
菫「あうあう」プシュー
純「じゃあ当日はバキっと楽しまないとね~」
菫「そうですね……」モジモジ
純「まぁ、何処に行くかも決まってないんだけど」
菫「あ、そういえばそうでしたね」
純「行きたい所とか、有る?」
菫「特に思いつくのも無いんですが……」
純「ですが?」
菫「いえ、昨日のドーナツショップみたいに純先輩のオススメを教えてほしいかなぁ、と」テレテレ
純「ふむぅ。そっか」
菫「どうでしょうか」
純「よし!じゃあ任せちゃって!私がスミーレを一日楽しませてあげる!」ビシッ
菫「ありがとうございます」
純「楽しみにしててよ」
菫「はい!……ではこの辺りで」
純「うん!じゃあ日曜日の事はメールするね」
菫「はい。待ってます」
純「じゃあまたね~」フリフリ
菫「はい、また」フリフリ
* * *
115: 1 ◆nOI8gR3IKE 2011/06/30(木) 01:45:20.35 ID:WLYA/xx90
純「っていう訳なんだけど、どうしようか」
梓『私に聞かれても……アンタのオススメを教えるんでしょ?』
純「そうだけどさ~、スミーレが楽しんでくれる場所が良いじゃん」
梓『まぁその気持ちも分からなくは無いけど……』
純「でしょ?ガッカリさせたくないし~」
梓『でもさ』
純「なに?」
梓『そうゆうのって何処に行くかより誰と行くかだと思うけど』
純「……」
梓『純?』
純「あ、うん。ありがと。確かにそうだよね。いや、目から鱗だわ」
梓『でしょ?』
116: 1 ◆nOI8gR3IKE 2011/06/30(木) 01:48:35.89 ID:WLYA/xx90
純「うん、何か歌詞に出来そうな言葉だよね」
梓『止めて恥ずかしいから』
純「何処でも良いの、隣に貴方が居れば~みたいな?」
梓『だから止めてって!もう……』
純「でもほら、HTTの流れでいえばオリジナルで行くんでしょ?」
梓『そりゃあそのつもりだけど』
純「じゃあ歌詞作りもしないと」
梓『そうだね』
117: 1 ◆nOI8gR3IKE 2011/06/30(木) 01:50:17.99 ID:WLYA/xx90
純「結局バンド名の話も忘れてたし。パートも私達以外は確定してないし」
梓『あぁ、そういえばそうだった』
純「しっかりしなよ?部長~」
梓『月曜日にはね!色々決めてこう!期末テスト前には学祭に向けて決めとかないとね!』
純「はいはい。まぁそれより今の私は日曜日の方が重要でね」
梓『それは自分で頑張りなって』
純「うん。さっきの梓の言葉で目が覚めたから大丈夫」
梓『そ。じゃあ楽しんでおいで』
純「言われなくても!じゃぁそろそろ寝るよ」
梓『は~い。じゃあおやすみ』
純「おやすみ~」
ガチャ ツーツー
純「さて、明後日は一日遊び倒すんだし宿題は全部やっとかないとなぁ」ポリポリ
純「でも眠いし……」
純「よし!もういいや!明後日の事も宿題も明日の私に任せて、今日は寝ちゃおう寝ちゃおう寝ちゃおう!」
* * *
118: 1 ◆nOI8gR3IKE 2011/06/30(木) 02:01:26.42 ID:WLYA/xx90
という訳で本筋からちょっとそれたお話でした。
今月号を見て浮かんだ流れでそのまま作ってみましたがいかがでしょうか?
奥田ちゃんは変な子扱いしてますが、なかなか面白キャラなので敢えて突っ走らせました。
かなりの捏造が入ってますが、ご了承ください。
この後本編日曜日とその後の話を書くか書かないかで終了の予定です。
少しでも楽しんでいただければ光栄です。
121: 1 ◆nOI8gR3IKE 2011/07/09(土) 21:11:45.03 ID:mnjk4J+U0
日曜日!
純「ふぁあ~……あむ。早起きしすぎたかな……」テクテク
純「気合い入れて準備した割には結局いつもの恰好に落ち着いちゃった訳だけど、おかしくないよね?」キョロキョロ
純「さて、と……待ち合わせ30分前には間に合ったね」テクテク
純「やっぱアレだよね。デートの醍醐味ったら『待った?』『ううん、今来たトコ』だよね~」テクテク
純「是非とも私は『ううん、今来たトコ』って言いたいので、頑張って30分前に来たって訳で」テクテク
純「一人佇む私、向こうから走ってくるスミーレ、軽やかにスカートを靡かせながら……そういえばスミーレの私服見るの初めてだ」テクテク
純「どんなのかな~楽しみだな~」テクテク
純「な~んて独り言が多いな私は……って、……スミーレもう居るし」ガックリ
純「あれ?……うん、まだ10時半だよね?待ち合わせ30分前だよね?」
菫「あ!純先輩おはようございます」タタタタ
純「おはようスミーレ。待った?」
菫「いえ、今来たところですので」
純「くぅ~!やっぱ良いよね!」
菫「え?何がですか?」
純「あぁコッチの話。でもまだ三十分前だよ?」
122: 1 ◆nOI8gR3IKE 2011/07/09(土) 21:12:21.03 ID:mnjk4J+U0
菫「遅れてはいけないと思いまして少し早めに。そういう純先輩こそ」
純「まぁやりたい事が有ってね」
菫「そうなんですか?では先ずそれからにしましょうか」
純「いやいや、それはもう出来たから良いの」
菫「はい?」
純「にしてもアレだね、スミーレ今日も可愛い。私服って大体そんな感じ?」
菫「そうですね。あぁでもこれは昨日紬お姉ちゃんが」
純「お姉ちゃん?」
菫「あ、いえ!お嬢様がですね!折角だからと色々用意して下さいまして」
純「へぇ~」マジマジ
菫「そんなに見ないで下さい」モジモジ
純「え~良いじゃん。うん、イメージ通りって感じ」マジマジ
菫「もう……今そんなに見なくても、今日一日隣に居ますから」
純「……」
菫「あの、純先輩?」
純「今の言葉グッと来た」
菫「へ?」
純「スミーレー!」ガバッ
123: 1 ◆nOI8gR3IKE 2011/07/09(土) 21:12:46.70 ID:mnjk4J+U0
菫「ひゃぁあ!?」ブン
スパーン!
純「おぉう……良い音したなぁ、今の」ヒリヒリ
菫「すみません純先輩!大丈夫ですか!?」アワワワ
純「うん、ゴメン。暴走しちゃった」アハハ
菫「いえ、こちらこそ失礼な真似を」アセアセ
純「良いの良いの。ちょっと嬉しいし」
菫「嬉しい?」
純「って言っても変な意味じゃ無いよ?手を出し合えるのも仲の良い証拠じゃない」
菫「はぁ、そうなんでしょうか」
純「遠慮し合ってちゃ仲良くなれないしね。じゃあそろそろ、出発しようか」
菫「は、はい。で、今日はどちらに?」
純「ん?それは着いてのお楽しみ。先ずは電車乗るよ~。行こう行こう」
* * *
菫「はぁ~、大きいですねぇ」キョロキョロ
純「このモールなら大体揃ってるし、ちょうど良いかなと思って」
菫「なるほど……。あ、入口でパンフレット戴きましたので一枚どうぞ」
124: 1 ◆nOI8gR3IKE 2011/07/09(土) 21:13:32.04 ID:mnjk4J+U0
純「おっ、流石スミーレ気が効く~。一回梓達と来た事有るんだけどちゃんと把握してないんだよね~」
菫「かなりの広さですものね。全部回るとなると一日かかりそうですね」
純「電気屋さんとかスーパーも入ってるしその辺省くけど、それでも大分広いんだよね」
菫「それで、先ずはどちらから?」
純「ん~……スミーレお腹減ってる?」
菫「いえ、まだそれ程」
純「じゃあ先ずはウィンドウショッピングしよう。色んなブランドのお店が有るから見てるだけでも楽しいよ、多分」
菫「でしたら……ウエストエリアの二階からですね」
純「西ったらあっちか」
菫「そうですね」
純「じゃあ行こう行こう」テクテク
菫「はい」テクテク
純「にしてもスミーレは良いよね」テクテク
菫「え?」テクテク
純「そうゆう女の子!って感じの服が似合うのって羨ましいよ」テクテク
菫「そ、そうでしょうか?」テクテク
純「私が着てもな~って」テクテク
菫「そんな事ありませんよ」テクテク
125: 1 ◆nOI8gR3IKE 2011/07/09(土) 21:14:24.79 ID:mnjk4J+U0
純「そんなにオシャレにも気ぃ使ってないし、な~……っと」ジー
菫「あ、このお店入りますか?」
純「ん、こうゆう可愛いのも好きなんだけど……」マジマジ
菫「だけど?」
純「私が着ても似合わないからいいや」プイッ
菫「そうでしょうか?純先輩なら……コチラとかどうでしょう?」スッ
純「え?」
菫「フリルが多いのよりはシンプル目な方が似合うと思いますけど」
純「そう?」
菫「上から合わせてみましょうよ」
純「う~ん……どう?」
菫「似合います似合います!」
純「そう、かな」テレテレ
菫「はい!」
純「スミーレがそんなに言うなら、買っちゃおうかな~……あ、うん……」カチャ
菫「あれ?戻すんですか?」
純「見た目は可愛いけど値段が可愛くない」ムー
菫「……あ~」
126: 1 ◆nOI8gR3IKE 2011/07/09(土) 21:15:54.65 ID:mnjk4J+U0
純「ま、まぁ色々見て回ろうか」
菫「他のお店も見てみますか?」
純「そうだね。お店の人に声かけられる前に次に行こう」ソソクサ
菫「はい」ソソクサ
純「……さて」テクテク
菫「はい」テクテク
純「あ、コレ良いな」
菫「こちらは、先ほどのお店よりお手頃ですね」
純「そうだね」
菫「……え~っと、い、いんぐに?」
純「あぁ、『イング』だよ」
菫「『イング』ですか……後のNIは」
純「敢えて読まないっていうのもファッションなんじゃない?」
菫「あ~、そういう事ですか」ポン
純「まぁ、分かんないけど」
菫「……」ジトー
純「スミーレのジト目ってのも新鮮だね。あ、これスミーレ似合うんじゃない?」
菫「……どうですか?」
127: 1 ◆nOI8gR3IKE 2011/07/09(土) 21:16:38.64 ID:mnjk4J+U0
純「うん、バッチリ。次こっち」
菫「こちらはどうでしょう?」
純「うん。こうゆう大人っぽいのも似合うね」
菫「そんな……」テレテレ
純「でも逆にこうゆうのも良いよね」パッ
菫「そうですか?」
純「うん、似合う似合う。羨ましいなぁ」
菫「これでしたら、下にこんなスカートで……」
純「おぉ、良いねぇ」
菫「こういうファッションも良いですね……今日は買いませんけど」カチャカチャ
純「そう?じゃあそろそろ次ぃ行ってみよ~」テクテク
菫「はい!」テクテク
純「ここは~……フリフリしてるなぁ」
菫「そうですねぇ……」マジマジ
純「……見てく?」
菫「少しだけ良いですか?」
純「良いよ良いよ。そんな遠慮なんか要らないって」
菫「ありがとうございます」テクテク
128: 1 ◆nOI8gR3IKE 2011/07/09(土) 21:17:40.45 ID:mnjk4J+U0
純「でも私には似合わないなぁこのお店のは」テクテク
菫「こういうのはお持ちでないんですか?」
純「そうだね、ゴスとはいわないまでもここまでフリフリのは流石に……スミーレは?」
菫「余り着る事は有りませんが……」
純「そっか。……あ、これとかどう?」
菫「はい?……どうですか?」
純「何だろう、可愛過ぎて訴えるぞ!って感じ」
菫「……それは、お褒めの言葉として受け取って良いんでしょうか?」
純「うん。服もスミーレも可愛いともうたまんないね!」
菫「そ、そうですか……」カァァ
純「ん?どしたのそんなに赤くなって」
菫「その、あんまり大声で言わないで下さい。他の人の目線が……」モジモジ
純「あぁ、なるほど。でもホントの事だからなぁ」
菫「ありがとうございます……」テレテレ
店員「お客様、良ければご試着なさいますか?」
純「え?じゃあ」
菫「いえ結構です!行きましょう先輩!」ガシッ スタスタ
純「うぇ?ちょと、スミーレ?」ズルズル
129: 1 ◆nOI8gR3IKE 2011/07/09(土) 21:18:19.02 ID:mnjk4J+U0
菫「次のお店行きましょう!」スタスタ
純「う…うん」テクテク
菫「次はどちらにしましょうか?」スタスタ
純「うん、あのさ、スミーレ?」テクテク
菫「はい、何でしょう?」スタスタ
純「ごめんね?」テクテク
菫「いえ、そんな……恥ずかしかったですけど」
純「だよね……でもさ」
菫「はい?」
純「手繋いだままなのは平気なの?」
菫「え?……あぁ!」バッ
純「あぅ、言うんじゃなかったかな」
菫「すみません!おこがましい真似を!」
純「おこ……何?まぁ私としてはずっと繋いでても良いんだけど」
菫「いや、それは……」カァァ
純「いつでも握ってくれていいからね?」ニギニギ
菫「いえ、その、大丈夫ですから……」
純「そぉ?残念だな~。あっ、次あそこ寄って良い?」
130: 1 ◆nOI8gR3IKE 2011/07/09(土) 21:19:37.14 ID:mnjk4J+U0
菫「あちらは……何のお店ですか?」
純「雑貨屋さん、かな。海外直輸入!とかあんまり見かけない様なのが一杯置いてるんだよ」
菫「確かに、雑貨といいますか雑多といいますか」
純「まぁそうだね。ゴチャゴチャして狭いけど面白いよ?例えばほら、こんなカメラとか」
菫「コレ、オモチャじゃないんですか?」
純「トイカメラっていって、こんなんでもしっかり写真が撮れるらしいよ?」
菫「コレとか、レンズ部分が顔ですけど」
純「これアルバムか。ほら、こんな写真が撮れるんだってさ」パラパラ
菫「へ~。しっかり撮れるんですねぇ」シゲシゲ
純「あ、この犬可愛い。スミーレって犬派?猫派?」
菫「どちらかといえば猫派でしょうか」
純「ふ~ん」パカッ カチカチ
純「……この猫どう?」
菫「可愛いですねぇ」
純「ウチの子なの。可愛いでしょ~ウチの2号」
菫「猫飼ってらっしゃるんですか……2号?」
純「いや、ホントは違う名前なんだけどね?前に梓に預けてからさ、気付いたらあずにゃん2号になっちゃってて」
131: 1 ◆nOI8gR3IKE 2011/07/09(土) 21:20:22.57 ID:mnjk4J+U0
菫「なるほど……今度見に行っても良いですか?」
純「良いよ良いよ!スミーレならいつだってウエルカムだよ!」
菫「ありがとうございます」
純「こちらこそ~。……アリガトウすみーれ!」パクパク
菫「そちらは、腹話術のぬいぐるみですか。可愛らしいカエルですね」
純「うん。でもこれ実は鍋つかみなんだ」パクパク
菫「え?あぁ、ココはキッチン用品なんですね」
純「ウシとかも有るよ?」パクパク
菫「遊び心ですね」
純「だね。後はねぇ」キョロキョロ
菫「でもお家には置けないかな……」
純「ほら、コレとか。ハンバーガー」ヒョイ
菫「クッションですか……あれ?チャックついてる」ジジジ
純「に見せかけたCDケースなの」
菫「はぁ~……面白い」
純「部屋に置いてたら間違えて踏んじゃいそうだけどね」
菫「あはは……。ココは、料理本ですね」
132: 1 ◆nOI8gR3IKE 2011/07/09(土) 21:21:37.01 ID:mnjk4J+U0
純「ホントだ。うわっ!コレ美味しそ~」
菫「『世界のスイーツセレクション』……洋菓子の本ですか」
純「見て見てスミーレ、ブッシュ・ド・ノエル!」バッ
菫「スゴイ……綺麗なデコレーションですね」
純「だよね~。美味しそうだな~、食べてみたいなぁ」ペラペラ
菫「でしたら作りましょうか?」
純「え!?スミーレ今の作れんの!?」
菫「そちらの本みたく凝ったのは無理ですけど、もっとシンプルなので良ければ」
純「マジで!?スミーレ大好き!」ダキッ
菫「ちょっ、ちょっと純先輩!?」カァァ
純「じゃあこの本買っちゃう?あ、でもこの本写真だけで作り方載ってないや」ブー
菫「そうなんですか?というかそれよりもですね」アセアセ
純「だったらそっちのお菓子レシピの方が良いかな?ん~、届かない」
菫「くっついたまま取ろうとしないで!先ず離れてください!」
純「は~い」スッ
菫「周りのお客さんが居るって言ってるじゃないですか……」モジモジ
純「ゴメンゴメン、嬉しくってつい」ポリポリ
菫「そんな事するんでしたらもう作りませんよ?」
純「え~、スミーレの意地悪~」プー
133: 1 ◆nOI8gR3IKE 2011/07/09(土) 21:23:06.11 ID:mnjk4J+U0
菫「膨れても駄目です」プイッ
純「むぅ~」
菫「……レシピはお家に有るので大丈夫ですよ」
純「そっか!楽しみにしてます!」
菫「もぉ……純先輩って現金ですよね」
純「うん!元気が取り柄だからね!」フンス
菫「元気じゃなくて……まぁいいか」
純「スミーレ~、コレ凄くない?」
菫「ギターの……なんですか?」
純「ギター型スピーカーだって。むったんに似てない?」
菫「むったんというと梓先輩のギターですよね……確かに似てますね」
純「梓の誕生日にプレゼントしたら喜ぶかな?でも梓の家はしっかりした音響設備有るしなぁ……」ムムム
菫「梓先輩の誕生日ってもうすぐなんですか?」
純「ん?いや、誕生日は十一月なんだけど。こうゆうのって早くから考えてても損は無いでしょ?」
菫「備え有れば憂い無しと言いますしね」
純「そうそう。憂にはさっきの鍋つかみとかも良さそうだよね」
菫「料理も得意なんですものね。憂先輩は何月生まれなんですか?」
134: 1 ◆nOI8gR3IKE 2011/07/09(土) 21:23:44.59 ID:mnjk4J+U0
純「あの子は二月だね」
菫「まだまだ先ですね……純先輩は?」
純「私はもう過ぎちゃったよ」
菫「え?そうなんですか?」
純「牡羊座ですから。1学期始まったらもう誕生日なんだよね私」
菫「そうですか……」
純「まぁ今買ってもしょうがないよね。近くなったら又考えよう」テクテク
菫「そうですね」テクテク
純「あ、ネコミミ」ヒョイ
菫「色んな動物の耳ですね」
純「でもネコミミは梓の専売特許だから~、犬とかどうかな?」スチャ
菫「わぁ、お似合いですよ」
純「そぉ?スミーレは何かっていうと……狐とかどうかな」ヒョイ
菫「狐ですか?……どうでしょう?」スチャ
純「うん、持って帰りたい。後はあのモフモフしてる尻尾が有れば完璧なんだけど……」キョロキョロ
菫「尻尾は流石に置いてないみたいですね」スッ
純「だねぇ。ってスミーレが人間に戻ってる!」ガーン
135: 1 ◆nOI8gR3IKE 2011/07/09(土) 21:25:15.43 ID:mnjk4J+U0
菫「いや、最初から人間ですよ」
純「似合ってたのに~」ブー
菫「こんなの付けて外歩けませんよ……」
純「それもそっか」スッ
菫「良かった、素直に分かっていただけて」ホッ
純「じゃあ買ってこ」ヒョイ
菫「え?何で?」
純「部室で着けてよ。メイド服のほら、何だっけ?頭に付けるヤツ」
菫「ホワイトブリムですね」
純「そうそうそれそれ。それの替わりにさ」
菫「替わりにって……」
純「尻尾はさわ子先生に作ってもらうか……。折角だし憂と奥田ちゃんにも買っていこう」キョロキョロ
菫「梓先輩の分は良いんですか?」
純「梓はネコミミが有るから大丈夫。憂は……兎かな?」
菫「兎ですか?何かイメージと違うような……」
純「ほら、憂は寂しがり屋だから~」
菫「そうなんですか?」
純「唯先輩が修学旅行で二、三日家空けるってなった時泣きそうだったしね」
136: 1 ◆nOI8gR3IKE 2011/07/09(土) 21:26:15.21 ID:mnjk4J+U0
菫「そんなに……」
純「奥田ちゃんはなんだろっかな~。犬……猫……これは、ウシ?」
菫「コレとか、どうですか?」スッ
純「狸?……良いね。じゃあこの三つで」
菫「純先輩の分はよろしいんですか?」
純「私は良いよ~、さっき着けたし」
菫「でも、そうなりますと全員で着けた時に純先輩だけ何もなしになりますよ?」
純「……あぁそっか。仲間外れは嫌だな。じゃぁ自分の分も買っとこう」スッ
菫「その方がよろしいかと」
純「スミーレ選んでよ」
菫「わ、私がですか?」
純「うん。立ってる耳と垂れてる耳とどっちがいいかな?」
菫「う~ん……でしたら、コチラの垂れてる茶色の」
純「オッケー。じゃあちょっと買ってくるよ!」タタタタ
137: 1 ◆nOI8gR3IKE 2011/07/09(土) 21:27:17.41 ID:mnjk4J+U0
菫「はい、分かりました。……にしても、本当に色々有るなぁ」テクテク
菫「あ、この時計可愛い。あれは……溶けてる?あぁ、こうゆうデザインなんだ」
菫「板チョコ……のクリップ。こっちはマグネット」
菫「ん?この箱なんだろ?」パカッ
ビヨーン!
菫「ひゃぁあ!?」ビクッ
アヒャヒャヒャヒャヒャヒャ!
菫「ひっ!……あぁ、こうゆう玩具なんだ。あ~ビックリした」ギュム
アヒャヒャヒャヒャ……パタン
菫「思わず叫んじゃったけど……周りに見られてないかな?」キョロキョロ
純「じぃ~」ニヤニヤ
菫「じゅっ純先輩!?……見てました?」
純「バッチリ!」グッ
菫「あ~……恥ずかしい」カァァ
純「にしても最近のケータイって高性能だよね~」カチカチ
菫「え?ちょっと、何したんですか?」
純「ん~?べっつに~」ニヤニヤ
菫「もしかして……撮りました?」
純「……バッチリ!」グッ
138: 1 ◆nOI8gR3IKE 2011/07/09(土) 21:28:16.66 ID:mnjk4J+U0
菫「消して下さい!」
純「ナイスショットだったよ?」
菫「撮れ方が問題なんじゃないです!」ガバッ
純「良いじゃん良いじゃん」ヒョイ タタタ
菫「良くないです!」タタタタ
店員「すみませんお客様。店内ではお静かにお願いできますか?」
菫「ハッ、ハイ!すみません!」
純「怒られちゃった」テヘ
菫「う~。お願いしますよ先輩」
純「ゴメンゴメン。写メは消しとくって」カチカチ
菫「はぁ……ん?何ですかコレ」
純「あぁ、ココはインテリア置き場だね。モーションランプだってさ」
菫「綺麗……」ポー
純「どうなってんだろコレ?上がったり下がったり」ムムム
菫「素敵ですねぇ……」
純「こっちはグラデーションだって。こうゆうのが似合う家っていいよね」
菫「そうですねぇ……」
純「……買っちゃう?」
菫「え?いえ、こういうのを置くのは……」
純「あ、これも可愛くない?」
139: 1 ◆nOI8gR3IKE 2011/07/09(土) 21:28:47.94 ID:mnjk4J+U0
菫「卵型ですね。あれ?コレ空気清浄機ですって」
純「ホントだ。『お部屋に一台、いかがですか?風邪対策に』だって。これなら家に置いても良いんじゃない?」
菫「う~ん、どうでしょう?」
純「すいよ……やめとこ。でも今買っちゃうと荷物になっちゃうね」
菫「そうですね。又の機会にしましょう」
純「うんうん。そろそろ出ようか」
菫「はい。……あ」
純「さて、そろそろお腹減ったなぁ……、スミーレ?」
菫「あぁすみません……ちょっと」
純「何か有った?」
菫「先に出ててもらってよろしいですか?直ぐ追いかけますので」
純「ん?うん」テクテク
菫「少々、失礼します」ソソクサ
純「は~い」テクテク
純「何だろ?気になるなぁ」ソォー
純「何か小箱持ってる……アクセサリーかな?」
純「レジ行って……ん?何かもう一個取ったな。ストラップかな?あれは」
純「あ、お会計済ます前に戻らないと」タタタ
140: 1 ◆nOI8gR3IKE 2011/07/09(土) 21:30:03.04 ID:mnjk4J+U0
純「ふぅ……」ストン
菫「すみません、お待たせしました」タタタ
純「良いよ良いよ。何か良いもの有った?」
菫「はい!」
純「そりゃ良かった。……プレゼント?」
菫「へ?あぁはい。紬お嬢様への誕生日プレゼントです」
純「え?ムギ先輩の誕生日ってもうすぐなの?」
菫「はい。プレゼントは用意してたんですけど、近頃お世話になってますのでその分も込めてもう一つ」
純「なるほど。私も何か準備しようかな?軽音部関係で色々援助してもらってるし」
菫「当日はお屋敷でパーティですので、直接渡すのは難しいかと思いますけど……」
純「流石お嬢様。じゃあ何か準備したらスミーレにお願いするよ」
菫「分かりました」
純「さて、お腹減った~」
菫「そうですね」
純「スミーレ何食べたい?」
菫「あの、お弁当作ってきたんですけど……」ヒョイ
純「え?マジで?」
菫「はい。サンドイッチを」
純「いや~良いね良いね。じゃあ折角だし外の広場で食べよう」
菫「分かりました」
純「よし!行こう行こう」
* * *
141: 1 ◆nOI8gR3IKE 2011/07/09(土) 21:34:18.71 ID:mnjk4J+U0
午前の部終了です。
午後もこのままただただイチャイチャする予定。
後々投下してまいります。
143: 1 ◆nOI8gR3IKE 2011/07/12(火) 01:47:17.76 ID:OqYi5N470
菫「お好きなのをどうぞ、純先輩」スッ
純「サンキュ。うわ、美味しそ」
菫「お口に合えば良いのですが」
純「いただきます!」パクリ
菫「いただきます」パクリ
純「ん~!美味しい!」モグモグ
菫「ありがとうございます」
純「ん!こっちも美味しい!流石スミーレ!」モグモグ
菫「あ、お茶もどうぞ」
純「さんきゅ~」ゴクゴク
菫「ゆっくり召し上がってください」
純「いや~、最高。あ、スミーレも食べてよ?」モグモグ
菫「はい、いただいてます」モグモグ
純「ん~!いやもう、ホントどれも美味しい。こんなの毎日食べれたら幸せだろうな」モグモグ
144: 1 ◆nOI8gR3IKE 2011/07/12(火) 01:48:31.48 ID:OqYi5N470
菫「ま、またそんな事言って……」カァァ
純「あはは……ま~たつい口から出ちゃった」
菫「……純先輩は」
純「ん?」
菫「私の何処を、その……好きになってくださったんですか?」
純「へ?」
菫「ほら、梓先輩や憂先輩の様に長い付き合いが有る訳でもないですし」
純「うん」
菫「歳も違いますし、それこそ部室で会うのが主じゃないですか」
純「まぁ、そうだね」
菫「まだ会って二ヶ月少しの私に、そこまで気に入っていただける要素が有るのかな?と思いまして……」
純「う~ん、そりゃ有るんだけど……言わせる?ソレ」ゴクゴク
菫「あ……いえ、無理して言っていただかなくても良いんですけど」
純「あ、お茶おかわり貰って良い?」
菫「はい、ただいま」コポポポ
純「ん~……初めはね」パク
菫「はい?あ、どうぞ」
145: 1 ◆nOI8gR3IKE 2011/07/12(火) 01:49:36.24 ID:OqYi5N470
純「あひはほ。ひほめぼれはっはんだへほへ」モグモグ
菫「何ですか?」
純「んく。まぁ最初は可愛い子だな~って思って」
菫「はぁ……」
純「気付いたら見惚れてた」
菫「……」
純「梓も憂も、そりゃ奥田ちゃんも可愛いんだけど、な~んか違うの」ヒョイパク
菫「違う?」モグモグ
純「うん。なんていうかね、グッと来た?」グッ
菫「グッと……」
純「いうなれば……運命?」キリッ
菫「運命!?」
純「カッコよく言うとね。まぁ簡単に言えば一目惚れだったんだろうな~って」
菫「一目惚れ……ですか」カァァ
純「ていうかさ、この話すればする程お互い恥ずかしいだけと思うんだけど……続ける?」パク
菫「……う~ん……折角ですし」
純「物好きだねぇスミーレも。でもアレだよ?外面が好きなだけじゃないよ?」
菫「え?」
146: 1 ◆nOI8gR3IKE 2011/07/12(火) 01:52:36.89 ID:OqYi5N470
純「気配り上手だし、色々尽くしてくれるし、お茶淹れるの上手だし、しっかり者だけど何処か抜けてるし、優しいし、柔らかいし」
菫「……柔らかい?」
純「良い匂いするし、髪ツヤサラフワだし、何着ても似合うし、礼儀正しいし、可愛いし、皆の事考えてくれてるし、可愛いし」
菫「じゅ、純先輩!その辺で!」アタフタ
純「え~、まだまだ有るよ?良いリアクションするし、可愛いし、私の事受け入れてくれたし、可愛いし、気が効くし、可愛いし、頑張りやさんだし」
菫「いえ、もう、十分ですっていうか途中から可愛いばっかりじゃないですか」アセアセ
純「ホントの事だもん。まぁそうゆう色々ひっくるめて『可愛いスミーレが好き』なの」
菫「あぅ、ありがとうございます……」モジモジ
純「今日だけでももっと好きになったね。色々な顔見れたし?」
菫「あはは……」
純「何だっけ?『私もう死んでもいいわ!』みたいな?」
菫「はい?」
純「まだ習ってないか。じゃあ『月が綺麗ですね』とか」
菫「へ?まだお昼……あ……」カァァ
純「そっちは知ってた?どっちも同じ意味なんだよね~」ケラケラ
菫「純先輩ってそういうの詳しいですよね。その、『アモーレ』とか」
147: 1 ◆nOI8gR3IKE 2011/07/12(火) 01:53:30.05 ID:OqYi5N470
純「そりゃまぁ純情抱く乙女ですから!」フンス
菫「はぁ」
純「純だけにね!」ドヤ
菫「あぁ、なるほど」ポン
純「……普通に返されると困る……」ズーン
菫「え、えぇ?」
* * *
純「いや~、食べた食べた。ごちそうさまでした」パン
菫「お粗末さまでした。お茶どうぞ」
純「ありがと。……ふぅ~、じゃぁ次何処行こっか」パラパラ
菫「そうですね……」パラパラ
純「ブティックは目ぇ通したしね~」パラパラ
菫「……でしたら、映画とか?」
純「う~ん、見たいの有る?」
菫「今何が上映されてるのかも分かりませんが」
純「ん~……行ってから考えても良いんだけど、映画見始めちゃうと一~二時間スミーレとお喋り出来なくなっちゃうからなぁ」
菫「まぁ、そうですねぇ……」
純「うん、取り敢えずゲーセン行こう!」
148: 1 ◆nOI8gR3IKE 2011/07/12(火) 01:55:27.46 ID:OqYi5N470
菫「ゲーセンですか?」
純「行こう行こう!」
菫「はい、行きましょう」
純「って訳で着いたんだけどね」
菫「ゲームセンター……初めて来ました」キョロキョロ
純「やっぱり。だと思ったよ」
菫「以前お嬢様がご友人と行ったそうで、大変楽しかったと」
純「おぉ、それはプレッシャーだね」
菫「……コレは何ですか?」
純「レーズゲームだね。車で競争するの」
菫「こちらは?」
純「音ゲーっていって、音楽に合わせてボタン押してくゲーム」
菫「では、あれは?」
純「ホッケーっていう対戦ゲームだよ」
菫「あちらの大きいのは?」
純「コインゲームだね」
菫「あれもゲームなんですか?インテリアじゃなくて?」
純「最近のゲームは色々ド派手だから。この辺はUFOキャッチャーだね」
149: 1 ◆nOI8gR3IKE 2011/07/12(火) 01:56:10.53 ID:OqYi5N470
菫「はぁ~……」キラキラ
純「子供みたいにはしゃいじゃって……ホント可愛いなぁもう」
菫「純先輩!純先輩!これはどうすれば戴けるんですか?」
純「ん?コレ欲しいの?」
菫「はい!この子が可愛いです」
純「じゃぁ取るか、え~っと……店員さ~ん!」
店員「はい、どうしました?」
純「この子が欲しいんですけど~、もうちょっと取れやすくならないかな~って思って~」クネクネ
店員「はいはい。……ん~……あ~……こんなもんで?」
純「ありがとうございま~す!」
菫「あ、ありがとうございます」
店員「何か有ったらすぐ呼んでくださいね~」スタスタ
純「よし!じゃあちょっと見てて」チャリンチャリンチャリンチャリンチャリン
菫「はい」ワクワク
純「こうゆうタイプはね、持ち上がらないの」
菫「ほぉ」
純「だから、さっき店員さんが確認してたみたいにバランスを崩して落とすんだ……よ……っと」
150: 1 ◆nOI8gR3IKE 2011/07/12(火) 01:57:26.75 ID:OqYi5N470
菫「あ!……落ちませんね」
純「一回じゃ落ちないね、まず。今度は……ここだ!」
菫「わ!……あ、あぁ、まだ落ちない」
純「ここまでくればもう一回で……よし!ゲット!」
菫「わぁ!凄いです先輩!」
純「褒めて褒めて~。はい、スミーレ」スッ
菫「あ、でも戴いて良いんですか?純先輩が取ったんですし」
純「そりゃスミーレの為にゲットしたんだもの。貰って貰って」
菫「ありがとうございます」フカブカ
純「スミーレもやってみる?」
菫「はい。どれがいいでしょう?」キョロキョロ
純「こうゆうのは取れやすいよ?一回百円だし」
菫「あ、この子と同じ。キーホルダーですね」
純「うん、丁度良いね。じゃあいってみようか」
菫「はい!百円入れて、と……」
純「横行って~、次のボタンで縦行って~」
菫「しっかり掴んで……あ、一個引っかかって穴に落ちちゃいましたけど」
純「結果オーライ、それもゲットです!」
151: 1 ◆nOI8gR3IKE 2011/07/12(火) 02:00:05.76 ID:OqYi5N470
菫「掴んだのも含めて、二つ取れました!」
純「凄い!ダブルだよスミーレ!ダブルは行進出来るよ!」
菫「行進?え?何処にですか?」
純「はい!ズッタカターズッタカター……あ、コレ二個とも同じのだね」
菫「あ、そうですね。では一つは純先輩に」スッ
純「え?良いの?」
菫「はい、この子のお返し……には小さいですけど、お揃いですよ」
純「スミーレってば……もう家帰ったら直ぐ鞄に付けるよ!」
菫「私もそうします」
純「やった!やった!スミーレとおそろ!さっ、次何しよっか。好きなの選んで」
菫「そうですね……アレって、ドラムですか?」
純「うん?あぁ、ドラムとギターの音ゲーだね。やってみる?」
菫「はい。セッション出来るんですね、じゃあ純先輩も」
純「よ~し、私のギター捌きを見せてやる!」
菫「よっと……部室のと違うな……」
純「まぁ、ゲームだからねぇ。ギターの弾き方も全然違うし」
菫「みたいですね」
152: 1 ◆nOI8gR3IKE 2011/07/12(火) 02:01:11.35 ID:OqYi5N470
純「よし!じゃあ華麗にセッションだ!オー!」グッ
菫「お、おー」グッ
* * *
STAGE FAILED!
菫「駄目、でしたねぇ」
純「調子乗ってすみませんでしたー!」
菫「あはは……でもコレなら本物の方が楽しいです」
純「私もベースの方が良いや。明日の放課後は本物でセッションしよっか」
菫「はい!」
純「じゃぁ次は~っと……プリクラ撮ろっか」
菫「プリクラって、あの写真に絵を描いたり遊んだり出来るのですよね?」
純「お?スミーレも知ってる?」
菫「お嬢様とご友人の撮ったのを見せて戴きました」
純「なるほど。じゃあ早速?」
菫「是非!」
純「じゃぁ……う~ん……」キョロキョロ
菫「色々有るんですねぇ……」
純「折角スミーレが可愛い服着てるんだもの。全身も取れる方が良いし、コレにしよう」
菫「はぁ~……何というか、中は写真撮影みたいですね」キョロキョロ
153: 1 ◆nOI8gR3IKE 2011/07/12(火) 02:04:43.41 ID:OqYi5N470
純「みたいっていうか写真撮影なんだけど……」
菫「あ、背景をスクリーンで替えれるんですね」クルクル
モードを選んで下さい!
純「スミーレの好きなの選んどいて~」ピッピッ
それじゃあ、撮影を始めるよ!
菫「はい。ではコレで」
純「OK、じゃあ先ずは全身から~。スミーレ先ずは前のカメラだよ」
菫「は、はい」ドキドキ
前のカメラを見てね!3、2、1、
純「緊張しなくて良いよ。……スミーレ~、ぎゅっ!」ダキッ
菫「ひゃっ!?」
パシャ!
純「はい!じゃあこのまま上のカメラだよスミーレ」
菫「え、や、ちょっと先輩!?」
次は上のカメラだよ!3、2、1、
純「ほらスミーレ、上見て!スマイル!」
菫「は、はい!」
パシャ!
154: 1 ◆nOI8gR3IKE 2011/07/12(火) 02:05:38.75 ID:OqYi5N470
純「次はもっかい全身だね。スミーレ前で屈んで~」
菫「え?こうですか?」
前のカメラを見てね!3、2、1、
純「よし!前見て~はい、笑って笑って~」
パシャ!
純「じゃぁ次そのまま立ち上がって」
菫「思ったより、忙しいですね」
純「待ってくれないからね、このタイプは」
菫「みたいですね」
最後は上のカメラだよ!
純「今度は後ろから、ぎゅっ!」ダキッ
菫「まっ、また!?」
3、2、1、
純「はい!上見てニッコリ!」
菫「え、あ、はい!」
パシャ!
撮影が終了したよ!次は右の画面でラクガキしてね!
純「よ~し、撮影も終わったし次はラクガキだ~」テクテク
155: 1 ◆nOI8gR3IKE 2011/07/12(火) 02:07:56.44 ID:OqYi5N470
菫「疲れました……」テクテク
純「はい、スミーレもペン使って」
菫「は、はぁ。え~っと」
純「ペンの種類はココ、スタンプはココ。例えばスミーレの眉毛を、こうだ!」ピッ
菫「あ~、なるほど。じゃぁ……こうですね!」ピッ
純「私のウインクで星が飛んでる……やるなスミーレ」
菫「こうすればもっと可愛く出来ますね」ピッピッ
純「じゃあこっちの間にハート付けちゃお」
菫「いや~、それはちょっと……」
純「あ、忘れてた。今日の日付と、『すみれ』『じゅん』っと。これでいつ見ても思い出せるね」
菫「そうですね」
純「……よし、こんなもんで」
菫「……はい、OKです」
純「バッチリだね。この中で一番良いと思うの選んでタッチして」
菫「え?え~っと……コレでしょうか」ピッ
純「オッケ~」
菫「選んだ意味は?」
156: 1 ◆nOI8gR3IKE 2011/07/12(火) 02:09:36.98 ID:OqYi5N470
純「後で分かるよ。お、出た出た。ここで半分っと」チョキチョキ
菫「はぁ~……こうなるんですね」マジマジ
純「うん。はい、半分こ。何処かに貼る時は切って貼ってね」
菫「あ、ありがとうございます」
純「よ~し、じゃあ次はホッケーしよ!」
菫「は、はい!」
* * *
161: 1 ◆nOI8gR3IKE 2011/07/16(土) 02:59:22.16 ID:zVhy8LO70
純「いや~、どうだった?初めてのゲーセンは」テクテク
菫「そうですね。楽しかったです」テクテク
純「そりゃ良かった。あ、ちょっとお茶する?」
菫「一休みしましょうか」
純「うん。このケーキ美味しそうだし」
菫「そこですか……あ、でもコレも美味しそう」
純「じゃあ一個ずつ買って食べ比べしようよ」
菫「そうですね」
純「バイキング形式でぇ、皆それぞれ好きな物を~」テクテク
菫「いえ、バイキングではないですよ?」テクテク
純「冗談冗談。うわっ、なんかしっかりしたお店だね」
162: 1 ◆nOI8gR3IKE 2011/07/16(土) 03:00:00.58 ID:zVhy8LO70
菫「良い雰囲気のお店ですね、静かで」
純「すみませ~ん!」
店員「お待たせいたしました。こちらのお席へどうぞ。ご注文はお決まりですか?」
純「はい。ケーキセット二つ、このイチゴショートとチョコので、アイスティーと……スミーレ何にする?」
菫「あ、私もアイスティーでお願いします」
純「ん、じゃあアイスティー二つで」
店員「かしこまりました。それでは少々お待ち下さいませ」スタスタ
菫「ゲームセンターって面白い処ですね、色々有って」
純「でしょ?何だかんだで長い事居たもんね」
菫「ぬいぐるみも取れましたし、プリクラも撮りましたし」
純「良い絵が撮れたしね~」
菫「疲れましたけどね……また抱きつかれましたし」ハァ
純「二人きりだし良いかなって」テヘ
菫「まぁ、良いですけど……」
店員「お待たせいたしました……ごゆっくりどうぞ」
純「いただきま~す。……ん~美味しい!」モグモグ
菫「ん……こちらも美味しいです」モグモグ
163: 1 ◆nOI8gR3IKE 2011/07/16(土) 03:00:40.16 ID:zVhy8LO70
純「そっちも美味しい?一口ちょうだい」アーン
菫「どうぞ」スッ
純「んむ……ん~美味しい!」モグモグ
菫「はっ!……またやってしまった……」カァァ
純「ん?どしたのスミーレ」
菫「いえ……」
純「あ、こっちのも食べる?はい、あ~ん」スッ
菫「あの、それはちょっと……」キョロキョロ
純「え?いいじゃんホレホレ、おいし~よ~」フリフリ
菫「……自分で取りますよ」
純「え~、もう出したんだから引っ込められない~」フリフリ
菫「う~……分かりました。……あーん」パク
純「美味しいでしょ?」
菫「モグモグ……はい、美味しいです」
純「だよね~」パク
菫「恥ずかしい……」パク
純「まぁまぁ、これもいつものノリって事でさ」モグモグ
菫「お店の雰囲気からして、もっと静かにですね」
164: 1 ◆nOI8gR3IKE 2011/07/16(土) 03:01:37.07 ID:zVhy8LO70
純「あ、もう一口頂戴」アーン
菫「……はぁ、もう諦めます。どうぞ」スッ
純「ん~!おいしっ」モグモグ
菫「……まぁ、良しとしますか」
純「はい!スミーレももう一口、あ~ん」スッ
菫「いただきます」パク
純「素直でよろしい!」ナデナデ
菫「もう……」モグモグ
純「……」パク
菫「……」コクコク
純「ん~……」モグモグ
菫「……」パク モグモグ
純「……」ゴクゴク
菫「……あ、あの、純先輩?」
純「ん?なに?」
菫「いえ、え~っと、何でもないです」
純「そぉ?あ、期間限定スイーツなんかも有るんだ」
菫「ホントですね。これも美味しそう」
165: 1 ◆nOI8gR3IKE 2011/07/16(土) 03:02:21.67 ID:zVhy8LO70
純「もう一個食べちゃう?」
菫「どうしましょう?この時間に食べ過ぎるのも」
純「ん~……じゃあ半分こしようよ」
菫「あ、はい。そうですね」
純「すみませ~ん!」
店員「お待たせいたしました。ご注文ですか?」
純「この限定スイーツなんですけど……あ、どれにしよっか」
菫「純先輩が選んで下さって構いませんよ」
純「そぉ?う~ん……コレってどんなのですか?」
店員「こちらはマンゴーのプリンをマンゴーのクリームでコーティングしたモンブラン風のものでございます」
純「……こっちは?」
店員「こちらは練乳のババロアと宇治抹茶のムースをチョコケーキの生地と層にしまして、上に小豆を乗せた宇治金時風のケーキですね」
純「なるほどなるほど……これは?」
店員「そちらは白桃のクリームと果肉をカステラで挟んだケーキになっております」
純「なるほどなるほど……どれも美味しそうだ~」ムー
菫「あはは……確かに」
純「スミーレ」
166: 1 ◆nOI8gR3IKE 2011/07/16(土) 03:02:56.19 ID:zVhy8LO70
菫「はい?」
純「じゃ~んけ~ん」
菫「へ?え?」
純「ぽん」グー
菫「ぽん」チョキ
純「よし、じゃあ今日は白桃のケーキで」ビシッ
店員「かしこまりました。少々お待ち下さい」スタスタ
菫「……今のじゃんけんは何の意味が?」
純「勝者の特権って事でスミーレに選んでもらおうかと思ったんだけどさ、私が勝っちゃったから意味無し」
菫「なんですかそれ……」
純「まぁ気にしない気にしない」パク
菫「はぁ……」パク
純「ん~……美味し」モグモグ
菫「はい」モグモグ
純「……」パク
菫「……」モグモグ
純「……」プスリ
167: 1 ◆nOI8gR3IKE 2011/07/16(土) 03:03:55.00 ID:zVhy8LO70
菫「……じゅ、純先輩?」
純「ん?あ、食べる?はい、あ~ん」スッ
菫「いえ、あの」
純「違う?まぁまぁとりあえずあ~ん」
菫「あむ……ありがとうございます」
純「どういたしまして。で、何?」
菫「……え~っと、何か考え事ですか?」
純「へ?」
菫「先ほどから静かになってましたので……」
純「あ~……うん、別に何もないんだけど。私ってそんなに喋ってるイメージ有る?」パク
菫「そう、ですね。いつも明るく楽しくといった感じですね」
純「ふ~ん」モグモグ
店員「お待たせいたしました。失礼いたします」
菫「あ、ありがとうございます」
純「ども~」
店員「ごゆっくりどうぞ」スタスタ
純「ん~、美味しそ。はいスミーレ、あ~ん」プス スッ
菫「あむ……はぁ~、桃ですねぇ」
168: 1 ◆nOI8gR3IKE 2011/07/16(土) 03:04:55.86 ID:zVhy8LO70
純「そりゃ白桃のケーキだもん。私も食べたい」アーン
菫「はい、どうぞ」プス スッ
純「あむ……ん~!これは……うん……桃だねぇ~」
菫「そうですよ、白桃のケーキですから」パク
純「だね~、桃過ぎてそう言っちゃうね」
菫「でも上のカステラも美味しいですよ」プス スッ
純「はむ!……確かに」モグモグ
菫「今度作ってみようかな……」モグモグ
純「食べただけで作り方分かるの?」ゴクゴク
菫「まぁ大まかにですが」
純「凄いね、流石スミーレ。じゃあ期待してる」パク
菫「はい、楽しみにしててください」パク
純「ふぅ……余は満足じゃ」ポンポン
菫「御馳走様でした」
純「さ~て、食後の休憩が済んだら次は何処に行こうか」
菫「後回ってないのは……」パラパラ
純「ん~……一階はスーパーと電気屋さんだし、三階は大体メンズだもんね」パラパラ
169: 1 ◆nOI8gR3IKE 2011/07/16(土) 03:06:15.57 ID:zVhy8LO70
菫「そうですね……ペットショップとかも有る様ですけど」
純「ペットショップか……だったらウチ来る?」
菫「……どこからそういう話に?」
純「ほら、さっきウチの2号見に来るっていったじゃん?」
菫「そういえば。それも良いですね」
純「じゃ、そうしよっか」
菫「はい、わかりました」
純「じゃあすいません!おあいそで!」
菫「いや、そういうお店じゃありませんよ」
* * *
純「ただいまー!」
菫「お邪魔致します」
純「ようこそ我が家へ!……あれ?お母さんも居ないか」
菫「折角なので御挨拶をと思ったのですが……」
純「挨拶?あ、まさか『娘さんをぉ~』」
菫「そういう事ではなくてですね」
純「おぉ、スミーレもツッコミが早くなってきたね」
菫「もう馴れてきましたよ。あ、猫さん」
170: 1 ◆nOI8gR3IKE 2011/07/16(土) 03:07:05.20 ID:zVhy8LO70
純「お、出迎えごくろ~」ダキッ
2号「ニャー」フリフリ
菫「この子ですか」
純「とりあえず部屋に行こ」テクテク
菫「はい」
トントントン ガチャ
純「いらっしゃ~い」
菫「失礼します」
純「あ、ジュースとか取ってくるね」
菫「でしたらお手伝いを」
純「今日はスミーレはお客様なんだから、ゆっくりしてて」
2号「ニャー」スルリ
菫「は、はい」ストン
純「じゃ、2号と遊んでてね~」フリフリ
ガチャ バタン
菫「え~っと……」
2号「ニャア」
菫「こ、こんにちは~2号さん」
171: 1 ◆nOI8gR3IKE 2011/07/16(土) 03:07:44.39 ID:zVhy8LO70
2号「ニャ」テクテク
菫「あ」ポスン
菫「膝に乗られちゃった。……か、かわいい……」
2号「ニャ~」ゴロゴロ
菫「撫でても、大丈夫かな?」ソー
2号「ニャァ」スリスリ
菫「……えへへ」ナデナデ
ガチャ
純「お待たせ~ってあー!」
菫「ふぇっ!?」ビクン
2号「ニ゛ャ!」バッ
純「私だってまだ膝枕してもらってないのに~」ブーブー
菫「そ、そこですか?」
2号「フー!」
菫「あぁ、ごめんなさい」アセアセ
純「すっぽり収まっちゃって~何てうらやましい」
菫「あはは……」
純「はい、どうぞ。粗茶ですが」スッ
172: 1 ◆nOI8gR3IKE 2011/07/16(土) 03:10:08.83 ID:zVhy8LO70
菫「あ、ありがとうございます。ジュースですけど」
純「こちら、粗クッキーですが」スッ
菫「わざわざどうも」
純「あとコレとコレ、猫と遊ぶオモチャ」ポイ コロコロ
2号「ニャッ!」シパッ
純「コイツ……スミーレのお膝よりボールのが良いってか……」ワナワナ
菫「まぁまぁ」
2号「フニャ!ナー!」ビシバシ
純「はいスミーレ、猫じゃらし」スッ
菫「ありがとうございます」
純「アレに飽きた位に振ってごらん」
菫「はい、やってみます」
純「さて、じゃあ私はっと」
菫「……」ジー
純「……」パラ パラ
2号「ニャー!」ビシッタタタ
菫「……」ジー
純「あ、クッキー食べなよ?」ゴクゴク
173: 1 ◆nOI8gR3IKE 2011/07/16(土) 03:10:59.87 ID:zVhy8LO70
菫「はい」ジー
純「……まぁいっか」ゴロン
菫「……2号さ~ん……」フリフリ
2号「ナー!」ベン
菫「見てもくれない……」ジー
2号「ニャー!」タタタ
純「……」パラ パラ
2号「……」コロコロ
菫「もうちょっと待ってみよう……」
2号「ニャ!」ベシッ コロコロ
菫「あ」
2号「ニャー」タタタタ
菫「あ、あの、純先輩?」
純「ん~?」パラ パラ
菫「2号さん、出て行っちゃいましたけど……」
純「あ、ドア閉めるの忘れてたっけ。まぁ気が向いたら戻ってくるよ」
菫「そうですか」
純「それまで漫画でも読む?」
174: 1 ◆nOI8gR3IKE 2011/07/16(土) 03:12:28.04 ID:zVhy8LO70
菫「そうさせていただきましょうか」
純「はい、クッションも」ヒョイ
菫「ありがとうございます。羊のクッション……」モフモフ
純「それね、憂が誕生日にプレゼントしてくれたんだ~。良いでしょ?」
菫「柔らかい……あ、そういえばですね」ゴソゴソ
純「ん?どしたの?」
菫「その……遅蒔きながら、なんですが」スッ
純「へ?私に?」
菫「先ほどの雑貨屋さんのですね、レジ近くで見つけまして」
純「うん、開けて良いの?」
菫「はい。牡羊座だとお聞きしましたので、羊のストラップなんですけど」
純「へぇ~」
菫「その、遅ればせながらの誕生日プレゼントと、今日お誘いいただいたお礼といいますか……」モジモジ
純「貰って良いの?」
菫「折角ですので、受け取ってください」
純「ありがとスミーレ!あぁもう嬉しい!」ダキッ
菫「はっはい!どういたしまして」
純「良い子だね~スミーレは」ナデナデ
175: 1 ◆nOI8gR3IKE 2011/07/16(土) 03:12:54.59 ID:zVhy8LO70
菫「喜んでいただけて光栄です……」テレテレ
純「じゃあ早速ケータイに付けるよ!あ、後さっきのぬいぐるみも鞄に付けなきゃ」ゴソゴソ
菫「ありがとうございます」
純「よし、オッケー!これは明日梓達に自慢しないとね」ニヨニヨ
菫「自慢になりますか?」
純「なるよ。っていうかするよ」
菫「するって……」
純「あ、そうだ」ヒョイ ピッ ピッ
と~んでい~っちゃえ!きみのもとへ~わた~しの
菫「これは……?」
純「放課後ティータイムの曲。梓に音源貰って聴いてる途中だったんだ。スミーレ聴いた事無いでしょ?」
菫「はい。まだ聴いた事は無かったです」
純「じゃあ、聴きながらのんびりしよ」ゴロン
なにげにくちづさ~んで~あ~る~こう
菫「はい」ポスン
純「……」パラ パラ
菫「……」パラ パラ
176: 1 ◆nOI8gR3IKE 2011/07/16(土) 03:15:03.86 ID:zVhy8LO70
純「……あ、ケータイケータイ」ヒョイ ピッピッ
菫「?」パラ パラ
純「ん~……よし。それで……と」ピッピッ
菫「……」パラ パラ
純「そ~しん」ピッ
菫「はい?……あれ、ケータイ震えてる」ヒョイ パカ
純「ほら、さっき撮ったプリクラ」
菫「へ?……あ、はぁ~なるほど。こういった事も出来るんですか」
純「そ。さっき選んでもらったのを待ち受けに出来ます!」
菫「いえ、それは流石に……」
純「そぉ?残念だなぁ。私はするけど」ピッピッ
菫「余り人に見られない様にお願いしますよ……」
純「難しい事言うなぁ」ニヤニヤ
菫「……見せびらかさないで下さいね?お願いですから」ジトー
純「あい、善処します。あ、この漫画オススメだよ?」
菫「ではそちらを」
き~みが~い~な~い~と、な~に~も~できな~いよ
純「……」パラ パラ
177: 1 ◆nOI8gR3IKE 2011/07/16(土) 03:16:15.92 ID:zVhy8LO70
菫「……」パラ パラ
純「……」ヒョイパク
菫「……フフ」パラ パラ
純「あ、笑った。面白いでしょ?」
菫「はい。……アハハ」パラ パラ
純「……ふわぁ……ねむ」パラ パラ
めをと~じ~れ~ば~、きみの~え~が~お~、かが~や~い~て~る~
菫「……良い唄ですね、この唄」
純「この唄は唯先輩が憂の事を唄った唄なんだってさ」
菫「そうなんですか。まだお会いした事は有りませんが、優しい方なんでしょうね」
純「良い人だよ。この唄もいつもそばに有る大切なものに感謝しようって唄、かな?」
菫「なるほど……」
純「凄いよね~、こんな歌詞書けて唄に出来て」パラ パラ
菫「作曲も作詞も、大変そうですものね」
純「ね~」パラ パラ
きみがそばにいるこ~とを、あたりまえにおもお~ってた~
純「……そうなんだよね~」
178: 1 ◆nOI8gR3IKE 2011/07/16(土) 03:17:43.08 ID:zVhy8LO70
菫「はい?」
純「そばに居るのが当たり前だと思っちゃうんだよね」
菫「何の話ですか?」
純「ん~?私の話。スミーレちょっとココ座って」ポンポン
菫「え?ベッドの縁にですか?」
純「ままま、良いから良いから」ポンポン
菫「で、では失礼します」テクテク ストン
純「私も失礼しま~す」ゴロゴロ ポスン
菫「はい!?」
純「膝枕って良いね。2号が丸くなってたのも分かるよ」
菫「はぁ……そ、そうですか?」
純「うりうりうりうり!」グリグリ
菫「ちょっと!くすぐったいですよ!」
純「ふぅ……でね?私が喋るのって、私が喋りたい時なのよ」
菫「え?それはどういう……」
純「ちょっと音楽止める」ピッ
菫「は、はい」
純「スミーレさ、さっきの喫茶店で沈黙が重かったでしょ」
179: 1 ◆nOI8gR3IKE 2011/07/16(土) 03:18:48.36 ID:zVhy8LO70
菫「……そういう訳では……」
純「良いの良いの。確かにいつも喋ってる人が黙り込んだらどうしたんだって思っちゃうよね」
菫「……ええ、まぁはい」
純「梓が自分でネコミミつけて『あずにゃんですにゃ!』とか言い出したら私だって不安になるもん」
菫「それは、何か違う様な……多分誰でも不安になりますよ」
純「そう?まぁイメージって有るよね。梓は真面目、憂は優しい、私はお喋り」
菫「はい。でもお喋りというよりは明るい方、だと」
純「ありがと。でも私だって静かなのも好きなんだよ?」
菫「はぁ」
純「あ、信じてない」ムー
菫「いえ、そんな事は無いんですけど」アセアセ
純「今みたいな時間も好きっていうか、スミーレと二人でのんびりするのもやっぱ良いなって」
菫「そ、そうですか?」
純「うん。スミーレはどう?」
菫「そうですね……はい、悪くは無い、です」
純「でしょ?二人でぼ~っと漫画読んだりさ、その場所の雰囲気をただ味わったりさ」
180: 1 ◆nOI8gR3IKE 2011/07/16(土) 03:20:54.02 ID:zVhy8LO70
菫「良いですね、そういうのも」
純「そうゆう時は喋る必要も無い訳よ」
菫「ですね、はい」
純「……で、そこに一緒に居てくれてると思っちゃうんだよね、相手も同じ様に」
菫「え?」
純「だから思いついた時に喋っちゃうし、勝手に黙っちゃう」
菫「あぁ……」
純「お喋りして『はい、さよなら』って事じゃないじゃん?今もさっきも」
菫「まぁ、そうですけど」
純「いつも梓に『マイペース過ぎる』って怒られちゃうんだけどね」
菫「あはは……」
純「だからそこまで私の一挙手一投足を気に病まなくても良いよ?」
菫「わ、分かりました」
純「でも、そんな風に心配してくれるのも嬉しいな」
菫「それは」
純「スミーレの頭の中が私で一杯だなんて!私で溢れかえってるなんて!」クネクネ
菫「いえ、そこまでは無いです」
181: 1 ◆nOI8gR3IKE 2011/07/16(土) 03:21:24.67 ID:zVhy8LO70
純「バッサリだ~」
菫「でも……」
純「ふぇ?」
菫「い、いえ、何でもないです」アセアセ
純「そぉ?」
菫「続き読みましょ、続き」
純「は~い」パラ パラ
菫「……」パラ パラ
純「よいしょ」ゴロ
菫「……純先輩、コッチ向いてどうやって漫画読むんですか?」
純「ん?漫画見るフリして可愛いスミーレの顔を見てようかなと思って」
菫「……反対向いてください」カァァ
純「は~い」ゴロン
菫「また直ぐそうやって可愛いとか言う」
純「だって可愛いんだもん……ふぁ」パラ パラ
菫「もう、何て返せばいいんでしょうか」ハァ
純「今日一日でも、色んな可愛い所見れたしね~……」パタン
菫「私としては、恥ずかしいばっかりでしたけどね……」
182: 1 ◆nOI8gR3IKE 2011/07/16(土) 03:21:59.11 ID:zVhy8LO70
純「ん~……」
菫「でも、今日は雑貨屋さんも面白かったですし、ゲームセンターも楽しかったし……」
純「んー」
菫「純先輩のお陰で初めての経験が一杯出来ました。ありがとうございます」
純「んー」
菫「それでですね、純先輩さえ良ければ……」
純「んー」
菫「また二人で、何処か遊びに行きたいな、と……」
純「んー」
菫「……純先輩?」
純「んー……むにゃむにゃ……」ゴロン
菫「ね、寝てる……」ガーン
菫「勇気出して言ったのに……恥ずかしい」カァァ
2号「ニャー」テクテク
菫「あ、おかえりなさい」
2号「ニャ」ペタン
菫「2号さんもおやすみですか?おやすみなさい」
2号「くぁ……ニャ~」フリフリ
183: 1 ◆nOI8gR3IKE 2011/07/16(土) 03:23:07.59 ID:zVhy8LO70
菫「ふふふ……」ソッ
純「ん、ん~……」ゴロン
菫「寝顔も可愛い……」ナデナデ
純「んむぅ……」
菫「本当にマイペースですよ……一応、す、好きな人と二人きりだって言うのに」
菫「でもそこまで信用してくれてる証拠なのかな?起きるまで居てくれる、とか」
純「んぅ……」
菫「大丈夫ですよ、ちゃんと居ますから」ナデナデ
菫「まぁ確かに純先輩の言う通り……こうやって二人でのんびりしてるのも良い、かな」
END
184: 1 ◆nOI8gR3IKE 2011/07/16(土) 03:35:58.53 ID:zVhy8LO70
これにて一先ずは終了となります。
この流れのまま後日やっぱりプリクラを見せびらかす純とか、
とある夏休みの一日とか、次のデートとか、スミーレ→純編とか、
色々話を続けれなくもないのですが、
奥田ちゃんが「奥田ちゃん」のままでは書いてる途中かわいそうでかわいそうで……
奥田ちゃんの名前が発覚したりバンドの名前・パートが決まったりした後位に
思い出したように続きをやるかもしれません。
それでは、ご覧いただきありがとうございました。
少しでも楽しんでいただけたなら光栄です。
今更ですがスレタイの!が一つ抜けてる事にさっき気づきました。
後の祭りにも程がある。
SS速報VIP:純「おぉ!スミーレ」