SS速報VIP:唯「けいおん転生!」 憂「もしも?」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1308847594/1: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/24(金) 01:46:34.35 ID:kCnbqKqEo
昨日VIPに投下したんだが落ちたし
書き溜め不足&長くなりそう
ってことで修正を加えつつこっちに最初から投下し直すことにした
マターリ投下してくんでよろすく頼む
※注意
このSSはけいおん×真・女神転生ifのクロス
原作にまったく忠実じゃありません
けいおんのキャライメージを損なう恐れがあります。
厨二全開表現多々
それでも読んでくれる方がいたらありがたい。
2: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/24(金) 01:48:00.31 ID:kCnbqKqEo
平穏な日常… 平穏な毎日… 青春という名の時間は
無常にも流れていく…。
もしも…そんな平和な時間が壊されたとしたら…?
もしも…あなたの通っている学校が
別の世界に投げ込まれたとしたら…?
これは学校が突然魔界に迷い込み
現実の世界に戻るために戦った、とある少女達の物語…。
憂「お姉ちゃーん!お姉ちゃん!」
唯「ん~あと5分~」
憂「外を見てよお姉ちゃん!雪が降ってるよ~!
今年はホワイトクリスマスだね!」
唯(そっか、今日はクリスマス……)
唯「うわぁ本当だ~!積もるかなぁ憂~?」
憂「この降り方だとけっこう積もるんじゃないかなぁ…
あっお姉ちゃん早くご飯食べて学校行かないと!
遅刻しちゃうよー!」
…
……
唯「あわわ……憂マフラーどこだっけ!?ん~……あった!」」
憂「お姉ちゃんそれストッキング!もう、落ち着いて!」
唯「憂、行こっ!」
憂「お姉ちゃんそんな走ったら転b」
唯「うわぁ~いっぱい降ってるよ憂~!」
唯(雪…か……)
……ホー
ヒー……ホー………
唯「え?」
憂「え?どうしたの?お姉ちゃん?」
唯「……ううん、なんでもないよ~ほいっ」 ファサッ
憂「お姉ちゃん……?マフラー……」
唯「えへへ、あったかあったかだよ憂♪」
唯(………ありがとうね………)
二か月前の放課後―――
「…い……」
「……い!」
姫子「唯!」
唯「…ほえっ……?」
姫子「もう放課後だよ。部活……行かないの?」
唯「おおっ!そうだ!ありがとう姫子ちゃん!」
姫子「あんた最後の授業からHRまでぶっ通しで寝てたよね……
その集中力……尊敬するよ」
唯「いやぁ~そんなぁ照れるよ~」
姫子「褒めてないし……じゃあ私帰るね。」
唯「うん!ばいばーい!」
唯達HTTは最後の学園祭を終え、残り少ない高校生活……
そう、放課後の時間を大切に過ごそうと決めていた
唯「あっそうだ、今日は私以外のみんなは
受け持ち区域の掃除当番なんだっけ…」
唯「うふふ…律ちゃんにイタズラしに行こうかなぁ」
唯「よし!行こう……あれ?」
カタ……カタカタ……
唯「……地震?」
……ゴゴゴゴゴゴゴゴ
キャー
唯「うわっ大きい!机!机の下に隠れなきゃ!」
ゴゴ……ゴ…
唯「……収まった?」
唯(今のはどれくらいの震度だったんだろう)
唯(暗い?……停電?)
唯(違う……外が暗い!?)
女子A「キャー!何コレ!?外が…」
唯「え……」
唯は窓越しに外を見る。
いや、正確には「外」があるはずの空間を…
唯「外が……無い……」
いつもなら校庭が一望できる唯達の教室の窓の外には景色が無かった。
そこには真っ黒に歪んだ空間しか……
唯「はっ!そうだ!みんな……!」
ガラッ
律「唯!」
澪「大丈夫か!?」
唯「律ちゃん!澪ちゃん!」
律「その調子だと大丈夫そうだな……」
唯「ムギちゃんは!?」
澪「ムギは梓と憂ちゃんを探しに行ったよ」
唯「あ・あたしもいk」
ガラッ
紬「みんな!梓ちゃんと憂ちゃんは無事だったわ!」
憂「お姉ちゃん!」
唯「憂~!!」
唯「良かった~…あっ!あずにゃ~ん!!」
梓「せ・先輩…苦しいです……!」
梓「もう!っこんな非常時に抱きつかないでください!」
澪「そうだな…学校……どうしちゃったんだろうな」
律「なんで外が無いんだよ澪!」
澪「わ・私に聞くな!!」
―――ふふっ揃ったようね―――
全員「え!?」
梓「今、誰かの声が……」
紬「ええ、聞こえたというか……」
澪「頭の中で直接聞こえた感じだ……」
唯「……和ちゃん??」
―――ご名答、唯―――
―――あなた達、そしてこの学校は私が預かったわ―――
律「な!?預かったってどういう事だ!?」
―――この学校は今、異次元空間にあるわ―――
澪「い・異次元……??」
―――正確には現実世界と魔界の間って所ね――
梓「魔界!?」
律「和!どういうことだ!?」
―――気安く名前を呼ばないで欲しいわね……私は新しい力を
手に入れたの……そう、悪魔と契約してね―――
―――魔界の人々はこう呼ぶわ……「魔神皇」と―――
唯「嘘だよ…和ちゃん……」
律「そうだよ!お前頭おかしくなったんじゃないのか!?」
梓「でも、この頭に直接響いてくる声は……」
―――百聞は一見にしかずよ。
まず自分達の目で確かめてくるといいわ―――
―――フフフ……―――
唯「和ちゃん…どうして……うっうっ」
憂「お姉ちゃん……」
澪「が・学校の中を確かめてみないか??」
紬「そうよ!もしかしたら外に出れるかもしれないわ!」
律「よーし!学校探検してみるか!」
…
……
………
梓「この非常口も開かないです……」
澪「ここもダメか……」
律「あー!!もう!!一体何が何だか……」
唯「ねえねえ、体育館はまだ行ってないよねぇ?」
澪「体育館か!確か奥に非常口があったな!」
律「行くだけ無駄じゃないのかぁ~?」
憂「ダメ元で行ってみましょう!ねっお姉ちゃん!」
唯「うん!行ってみよう~」
―――渡り廊下
律「おい…ここから外見てみろよ……」
澪「学校が…浮いてる……?」
学校は歪んだ闇の中に浮いていた……
唯「どこまで続いてるんだろ~?」
唯「おーーーい!」
唯「アーーイーースー―!!」
梓「先輩何やってるんですか……」
唯「いやぁやまびこが返ってくるかと思って~」
澪「………」
唯「澪ちゃん??」
澪「何…あれ……」
梓「ひっ」
グルルル……
全員が体育館の入り口を見て凍りついた
そこに立っていたのは
人間ではなかった……
鉄の棍棒を持ったオオカミに似た
異形の者だった
憂「お・お姉ちゃん…怖いよ……!」
唯「わ・わわわたしもだよ」
紬「と・とりあえず逃げませんか?」
梓「賛成です!」
澪「……」
律「よし!まだこっちには気付いてないみたいだ…」
澪「……」
律「一旦校舎へ戻るぞ!澪!……澪?」
澪「はっ」
律「気絶してる場合か!ほら!行くぞ!」
―――校舎
律「ふい~……」
澪「あ・あれは何だったんだ?」
律「あ・あたしに聞くな!」
梓「人間じゃ…ないですよね……」
紬「そうよ!」
唯「どうしたのムギちゃん?」
紬「お茶にしましょう!」
律「ハハ…この状況でお茶かよ……」
紬「みんな一旦落ち着きましょ!お茶飲んだら
何かいい考えが浮かぶかも!」
澪「そういえばまだ音楽室に行ってなかったな……」
唯「お茶~♪お菓子~♪♪」
憂「私もお手伝いします!」
梓「昼休みに練習して楽器も置きっぱなしですもんね」
唯「はっ!そうだった!ギー太~!」
唯「ギー太が音楽室に!!」ダダダダ
律「ちょっ!唯ー!」
憂「お姉ちゃん一人で行ったら危ないよ~!!」ダダダダ
澪「憂ちゃんまで……」
梓「行きましょう!」
―――音楽室前
唯「はぁ…はぁ…ギー太…」
ガチャッ
憂「お姉ちゃん危ないっ!」
唯「え?」
澪「唯!憂ちゃん!!」
律「なんじゃこりゃ……」
梓「はぁ…はぁ…音楽室が……!」
紬「はぁ…はぁ…嘘……」
そこにギー太は無かった
ドアの向こうにあるはずの見慣れた風景は
真っ黒な闇に変わっていた。
唯「音楽室が無くなってる!?」
律「マジかよ……」
唯「うぅ…ギー太…ギー太ぁ~!!」
唯の声は闇の中へ虚しく消えていった……
梓「あれ……?」
紬「梓ちゃん?どうしたの?」
梓「あんな所の部屋なんてありましたっけ?」
澪「どこだ?」
梓「ほら…あそこです……」
梓は階段の下を指差した
階段の脇に扉があった
律「おっかしーなぁ、階段しか無かったような気がしたけど」
唯「行ってみよう!」
澪「やだ…怖いよ……」
律「よし!行ってみるか!」
澪「おい!律……!私も行く!」
コンコン
返事はない……
唯「失礼つかまつりたてまつる~!」
律「いつの時代の人間だよ……っつか日本語おかしいぞ」
ガチャ…
?「待ってたよ諸君……」
全員「!?」
?「さあ、入りなさい」
部屋には特に異常は無かった
車椅子の男がいたという事以外を除いては……
唯「あのー……おじさんは??」
?「君は平沢唯君だね?」
唯「え!?なんで私の名前を……」
?「私は、そうだな……STEVEN、とでも呼んでもらおうか」
唯「すてぃー?」
梓「まつぴt?」
律「いや、梓、それ言えなすぎだろ……」
車椅子の男「大変なことになったようだね
すでに悪魔にも遭遇したようだが」
澪「悪魔!?」
車椅子の男「おや?体育館前にコボルトがいなかったかい?」
律「おっさん……何者だ?」
車椅子の男「今、この学校に次元の裂け目から悪魔が侵入している。
校舎の中に入ってくるのも時間の問題だろう」
車椅子の男「残念だが君達には悪魔に対抗する力も備えてないようだ」
紬「そんな……」
車椅子の男「私には悪魔を倒す力は与えてやることはできないが……
悪魔と交渉する力は与えてやれる」
梓「悪魔と交渉……」
車椅子の男「私が開発した悪魔召喚プログラムだ
しかしハンドヘルドコンピューターが無くてね……
この前犬を連れた少年にあげたので最後だったんだ」
車椅子の男「そうだ、君達携帯電話は持ってるね?」
唯「あるよ~!ほらっ」
澪「おい、唯…見ず知らずの人に携帯渡すなよ……」
唯「え~でもこのおじさん悪い人じゃなさそうだし」
車椅子の男「このプログラムをアプリに変換してンストールすれば
問題無いだろう…」
車椅子の男「…よし…(アプリ名…っと……)」
車椅子の男「完了だ。携帯のこのアプリを起動すれば悪魔を召喚、交渉
することも可能だろう」
唯「ありがとう~!えっと…魔クシィ??」
唯「あれ、メールが届いてる……」
件名:すてぃっちさんから招待状が届いています
------------------------------------------------------------
本文
やっほー唯ちゃん!このマクシィって悪魔ともコミュニケーション
とれてマジで便利だから登録よろしく!
登録したら私ともマイマk
唯「………」
車椅子の男「残念だがこのプログラムは一回しかインストールできないんだ。
悪魔と交渉する時は唯君の携帯を通してするといいだろう」
律「え~なんだよケチ~」
車椅子の男「その変わりといっちゃなんだが他のみんなにはこれをインストール
してあげよう」
…
……
梓「魔法デバイス……?」
律「なんのこっちゃ」
車椅子の男「君達魔法の存在は知ってるかい?」
澪「まあ……はい、言葉だけは」
車椅子の男「魔法デバイスは魔力をデータ化して具現化できる物なんだ
(って言っても使ったこと無いけど)」
車椅子の男「きっと後で役に立つはずだ」
律「ふーん、ありがとなおっさん!」
車椅子の男「では、頑張りたまえ…もうあまり時間が無いはずだ」
唯「じゃあね~」
バタン
澪「う、うさんくさい人だったな……」
律「唯~悪魔召喚プログラムってヤツ見せてくれよ!」
唯「いいよ~」
律「な・マクシィ?なんだこりゃw」
澪「魔法陣の背景…か…いいなぁ」
梓「え??そこですか!」
律「はぁ…こんなもんだと思ったよ…おい!オッサ……」
憂「あれ…扉が……」
唯「無くなってる~!」
梓「あのおじさんもう時間が無いとか言ってましたね」
紬「悪魔が侵入とか……」
澪「はっ!そうだ!悪魔が…やだ……」
梓「あの、なにか武器になりそうな物を探しに行きませんか?」
澪「え?」
梓「いや、ほら、もし悪魔に襲われたら丸腰よりは何か持ってた方が
安心するじゃないですか!」
律「そうだな!何か武器を探しに部室巡りでもするか!唯隊員!」
唯「了解です!律隊員!♪」
澪「なんでお前らは楽しそうなんだよ……」
―――野球部部室
律「くっさ!この汗臭さ……おえっ」
澪「女子の匂いの限界を超えてるな」
唯「お~い!バットとヘルメット発見!」
梓「2セットしかありませんね」
律「うーん、よし!バットは梓が使えよ!」
梓「いいんですか?」
憂「梓ちゃん似合ってるよ~!かっこいい!
純ちゃんと3人でバッティングセンター行った時を
思い出すね!」
梓「そ、そうかな(あの時は憂がいきなりホームランぶちかましたんだっけ)」
―――数十分後
律「使えそうなのはこれくらいか!」
澪「バット2本、ハンマー1本、包丁1本、スコップ1本に……」
紬「チェーンソー1本~♪」
梓「どこから持ってきたんですかムギ先輩……」
唯「あとは~ホッケー部から拝借した防具がいくつかとホッケーマスク
人数分だね!」
律「これで無いよりはマシになったな!」
紬「じゃあ早速防具を付けましょう!」
唯「暑いよ~」ガサゴソ
澪「う、き…きついな……なぁ、これ腰のあたりがきつくないか?」ガサゴソ
唯「そうかなぁ?あたしは胸のあたりがきついや~」
澪「……」
律「よーし!みんな防具は付けたかー?」
紬「はい~完了~!」
澪「ひっ!ムギ……怖いよ」
梓「ホッケーマスクとチェーンソーがハマりすぎですね」
律「ま、まぁこんな重いの振り回せるのはムギくらいだろ」
憂「お姉ちゃんかっこいい!」
唯「でしょでしょ~!ふんす!」
結局それぞれが手にしたのは
律と梓が金属バット、澪がハンマー、憂は包丁、紬がチェーンソー
唯はスコップという形になった
唯「なんで私だけスコップなの!?」
憂「だってお姉ちゃんに包丁なんて危なっかしいでしょ!」
梓「チェーンソー持ったまま抱きつかれても怖いですし」
唯「そんなぁ~」
その時だった
唯達の頭の中に和、いや、魔神皇の声が響きわたる
―――準備は整ったようね―――
唯「和ちゃん!ねぇ……嘘でしょ?こんなの……」
―――その名前で私を呼ぶな!―――
唯「ひっ!」
澪「和…お前……」
―――私は魔神皇、今までの真鍋和はもういない―――
―――今まで、私をコケにした奴らを……―――
律「誰がいつ和をコケにしたんだよっ?」
―――うるさい…そうだ、体育館に行くといいわ―――
―――丁度私の手下を召喚したところよ。その手下に魔界に通じる鍵を
預けておいた……私の手下を倒せたら元の世界に戻る手がかりが
見つかるかもしれないわね―――
澪「魔界の鍵?手がかりだと?」
律「ふざけやがって!」
梓「やってやるです!」
―――せいぜい私を楽しませてちょうだい…フフフ……―――
不気味な笑い声を残して魔神皇の声は消えた
唯「和ちゃん…おかしいよこんなの……うん!きっとそうだ!
和ちゃんちょっと変になっちゃっただけだよね!?」
律「唯……残念だけど私はそうは思わないな」
唯「律ちゃん……ぐすっ」
澪「唯、気持ちはわかるがこの状況をなんとかしないとな」
憂「そうだよお姉ちゃん!みんなで元の世界に帰ろ?和さんも一緒に!ね?」
紬「そうよ!学校も元に戻さないと!私たちの音楽室!」
唯「みんな……うん!そうだね!みんなで帰ろう!昨日残しておいたアイス
まだ食べてないよ!」
梓「唯先輩の原動力は一体……」
―――体育館前渡り廊下
憂「そういえば……さっきの化け物まだいるんでしょうか?」
澪「あ(そうだった!やだよ……いや!ダメダメ!怖くない怖くない
怖くない怖くない)」
梓「い、いますね……」
紬「これで骨までみじん切りにしてやるわ!うふふふ……」ブルルルルン~!
律「見かけと迫力は最凶だなムギ……」
唯「待って!私が行く!」
憂「お姉ちゃんダメだよ危ないよ!殺されちゃうよ!」
唯「話せばわかってくれるかもしれないよ~?」
澪「話すってどうやって……」
唯「じゃーん!これこれ!」
律「悪魔召喚プログラムか!」
唯「うん!さっきアプリのマニュアル読んだらね、
悪魔と交渉するだけじゃなくて悪魔語の自動翻訳に
悪魔との契約や召喚の儀式を完全にサポートって書いてあった!」
律「ホントかよ……」
唯「えへへ、難しくてわかんないけど……お困りになった時はカスタマーセンター
までって書いてあるよ~」
澪「不気味なほど親切だな」
唯「とりあえず行ってみる!」
唯「えっと…アプリをあらかじめ起動して……イヤホンマイク付けてっと」
唯「あの、すいませ~ん」
「ガルァ!?」
…
……
コボルト「はぁ……ダリぃなぁもう。なんで俺がこんなとこで見張りしなくちゃ
いけねぇんだよ……」
コボルト「ここにいたらマグネタイトどんどん減ってくし……
せっかく今度の連休彼女と人間界旅行しようと思って貯めた魔貨が……」
コボルト「それもこれもあの魔神皇とやらのせいだぜ!見かけは人間のクセに
気に入らねえ……そもそも日雇いの募集が出てて楽そうだし応募したら
時給821魔貨って……休憩無いし」
コボルト「ここ俺より強そうな悪魔いっぱいいるしこえーよ……」
「あの、すいませ~ん」
コボルト「ああん!?」
コボルト「ってあれ?人間!?」
唯「はい、人間です!」
コボルト「そんなバカな!言葉が通じてるじゃないか!」
唯「はい!このプログラムを通して話してます!」
コボルト「なんだそりゃ……(あっ!マクシィじゃん!俺マイマク少ないから
最近ほとんど開いてなかったな)」
コボルト「(しかし人間でマクシィって……げ!この魔法陣マーク!
噂でしか聞いたこと無いが…こいつはまさか……)」
コボルト「デ ビ ル バ ス ター」
コボルト「\(^o^)/」
唯「あの、なんで泣いてるんですか?」
コボルト「くくく、来るな!いや、殺さないでくださいいいいい」
唯「殺す?殺したりなんかしないよ~」
コボルト「じゃあ何が目当てだ!?魔貨か!?MAGか!?」
唯「ほえ?」
唯「何だかよくわからないけど違うよ。あのね……」
………
澪「だ・大丈夫か唯は」
梓「なんか話してるみたいです」
律「なんか悪魔が泣いてるようにみえるんだが……」
紬「あ!?唯ちゃんが悪魔の肩を!?」
憂「慰めてる……」
律「握手したああああああ」
澪「き・消えた!?」
唯「おーい!」
律「唯!大丈夫か!?」
憂「お姉ちゃんケガはない!?」
唯「うん!なんかね、リストラされて貯金が底つきそうで日雇いのバイトが
時給821円で彼女と別れそうなんだって!」
全員「え?」
梓「それなんて最低賃金」
梓「それで、さっきの悪魔は?」
唯「あーコボちゃん?なんかね、私たち魔神皇に会って元の世界に帰る!って言ったら
お前らに付いて行けば俺の人生変わるかもって……」
澪「(コ・コボちゃん……)仲間になっただと!?」
唯「うん!マクシィ通して連絡くれればすぐ行くわ!って」
梓「か・軽いですね」
紬「とりあえず体育館へ向かいましょう!」ブイィィィ
澪「ムギ、いい加減チェーンソーのエンジン切ってくれ……」
―――体育館
梓「誰もいない……ですね」
律「おい、なんだあれ……」
唯「魔法陣?」
澪「これ、まさか和が言ってた」
その時だった
魔法陣が不気味な光を放つ…
シュウウウウウ
律「なんだこいつは……」
澪「で・でかい!」
目の前には唯達の背丈の軽く倍はあるであろう赤いツノを2本生やした化け物が
立っていた
我が名はフォーン……魔神皇様の命により貴様らを抹殺する」
澪「は・はわわ……」
律「や・やるしかないのか?」
唯「あーもう!こんな時にコボちゃん繋がらないよう!」
梓「みんなで一気に行けば……」
紬「やってみましょう!」ブイイィィン
律「よーし!行くぞみんな!おりゃああああああ」
唯「あっ!待ってよみんな置いてかな……」
ブン!
ザク! グチャ! ドン! ザン! ブシュウゥゥ……
唯「あ…あああ……」
唯より先に立ち向かって行った5人は
フォーンの一撃にあっけなく散った
文字通りバラバラに……
唯の目の前に憂の首が転がる……
唯「憂……?憂!ういいいいいいい!」
フォーン「脆い……所詮人間はこんなものか」
唯「憂!みんな……いやあああああ!!」
グチャっ グチャッ
肉の塊と成り果てたほかの5人をを踏み潰しフォーンが近づいてくる
唯「うっうっ……ういいい」
フォーン「最期だ」
ドンッ
唯(……地面?……憂…目が霞んでよく見えないや……
あれ?スコップ持ってるあの体は……)
そこで唯の意識は途絶えた
唯「憂!律ちゃん!それにみんなも!……なんで?」
梓「どうやらみんな死んじゃったみたいですね」
唯「ええ!?そっか……あれは現実だったんだね」
澪「ほら、あそこ見てみてみろよ」
唯は澪が指差した方向を見た
唯「川……お花畑!!」
律「あれが三途の川ってヤツだな」
紬「私三途の川って初めてなの~」
澪「経験済みの方が怖いわ!」
梓「とりあえず行ってみませんか?」
律「そうだな」
…
……
澪「おい、あそこに誰かいないか?」
梓「ホントだ……おじいさん?」
律「よくわかんないけどとりあえず行ってみようぜー!」
律「おーい!そこのじいさん!」
?「若いのがまた来おったか……ん?ほほぅ……」
?「お前らどこに行くつもりじゃ」
唯「わかりませ~ん!」
律「だからじいさんに聞こうと思って!」
?「わしの名はカロン。この三途の川で渡し守をやっておる」
澪「やっぱり私達死んだのか……」
カロン「だがな、不思議とお前さん達からまだ生命力を感じる
まだ、死ぬ時ではないと」
律「いや、もう殺されちゃったしな」
カロン「悪魔にか?ふふ、なら今度は悪魔の力を借りてみんか?」
唯「悪魔の……力?」
カロン「お前たちはまだ死ぬ時ではないと言ったはずだ。
きっとまだやるべきことが残っておるのじゃろう。
本来なら許されるべきことじゃないが……
肉体を元に戻しガーディアンを授けよう」
全員「がーでぃあん?」
カロン「そう、どうやらお前たちは悪魔と戦う運命にあるらしいのでな……
お前たちを守ってくれる守護霊を授けよう
ちょっと待っておれ」
カロン「あれ、どこにやったかの……ガーディアンなんて随分前に軽子坂高校
の生徒に授けた以来……おっ!あったあった」
カロン「っこらせっと!」ドシッ!
カロン「さあ、やりなさい」
律「やりなさいって……」
梓「何ですかこのガシャポン」
カロン「このカプセルの中にお前たちを守ってくれるガーディアンが
眠っておる。まぁ憑くのはもう決まってるがね」
全員(ガシャポンにした意味は!?)
カロン「さあ、ここに長くいる必要はない。やりなさい」
…
……
カロン「全員終わったようじゃな。よし、覚悟はよいか?
先ほど命が尽きた場所まで戻してやろう」
律「よーし!あの化け物に復讐してやろうぜ!」
紬「そうよ!今度こそ負けないわ!」
カロン「その前にここでカプセルを開けていきなさい」
唯「は~い(あれ、よく見たら私のカプセルだけ真っ白……)」
全員「パカッ」
カロン「ではさらばだ。もうしばらくここへは来るなよ」
律「うわ!眩し!」
唯「おじいちゃんありがと~!」
唯「律ちゃんおでkが眩s」
律「え?なんだっt……」
―――体育館
フォーン「……はい、全員始末致しました」
―――そう、ご苦労。でも油断すろのはまだ早いわよフォーン…―――
フォーン「魔神皇様?それはどういう……!?」
体育館に一筋の光が現れる
律「ぷはぁー!!」
唯「目がまだチカチカするでごじゃる……」
フォーン「まさか……」
律「帰ってきたぞこらぁー!覚悟しやがれ!」
澪「倍返し……だな」
フォーン「面白い。何がどうなったのか知らんが何度でも叩き潰してやる」
ブンッ
梓「律先輩危ない!」
律「おわわっ」
ガキィ!!
律「死んだあああ!……あれ?」
律の背中から槍が伸びてフォーンの一撃を食い止めた
……我が名はクーフーリン……
……我の力……そなたに貸そう……
律「こ・これが……」
全員「ガーディアン!」
目をこらすと6人の背後にはかすかだが何かが寄り添って立っている
……安心しろ……お前達は私達が守る……
……背後から援護する……さあ!……
唯「よし!みんな~!」
全員「いっけええええええ」
唯達は知る由も無かった
これから待ち受けている運命のことを
自分が選ばなければいけない道があることを
第1章 学校!? 完
唯「はぁ…はぁ……」
律「やった!」
梓「体中痛いです……」
唯達6人はガーディアンの力を借りてフォーンを倒し
精も根も尽き果てていた……
憂「あれ?お姉ちゃん!あれなんだろう?」
唯「指輪……かな?」
澪「そういや和が手下に魔界への鍵を預けたとか何とか」
紬「もしかしてこの指輪がそうなんじゃないかしら!」
律「でもこれをどう使うんだぁ~?」
唯「とりあえず拾っておこう~」
その時、また魔神皇の声が唯達の頭に響く……
第2章 ~梓の場合~
―――どうやらフォーンを退けたようね―――
―――へぇ、ガーディアンを憑依…か……やるじゃない―――
澪「まど・魔神皇……お前一体何のつもりだ!」
律「澪……」
―――学校を異次元に移転させた今、
学校とあなた達は私の手の中にあるわ―――
―――わかる?ひざまづいて命乞いでもしたら考えてあげなく
律「ふざけるな!」
唯「和ちゃん……もうやめよ?こんなの」
憂「和さん!目を覚ましてください!」
―――ホントあなた達はしょうがないわね……音楽室―――
―――指輪をはめて音楽室の扉を開けてみなさい―――
―――運が良ければ……いずれ私の元へ来れるかも―――
―――生きていれば、の話だけどね……フフフ―――
―――教室
律「もお~だめだ!ちょっと休もうぜ!」
紬「そうね……あんなに動いたのは何年ぶりかしら」
唯「ア~イ~ス~」
唯は教室の床に大の字に寝転がる
5人もそれに続く
憂「もう……お姉ちゃんしっかりしてよ~」
ヒヤッ
唯の頬を心地よい冷気が触れる
唯「憂~アイス持ってたんなら早く言っt」
唯「ゆゆゆゆゆ雪ダルマーーーー!?」
全員「はぁ!?」
?「ひどいなぁ、さっき君を守って一緒に戦ったんだホー」
唯(そっか!この雪ダルマが私の……)
唯「ごめんね!いきなり出てきたからびっくりしてつい……
あの、君のお名前は?」
?「名前?そんなこと考えたことなかったホー
あっ!でもカロンのじいちゃんは僕のこと
[ヒーホー]ってたまに呼ぶホー!」
唯「ヒーホー君かぁ!なんか可愛いね!」
梓(弱そうだなぁ……唯先輩のガーディアン)
梓(私のは剣も持ってるし…えと……)
……スサノオだ……
……我の名はスナノオ…覚えておくがいい……
梓「は、はい!スサノオさん!」
律「おっ!梓のガーディアンはスサノオ!っていうのかあ~」
梓「き・聞いてたんですか……」
律「梓のガーディアンは頼り甲斐ありそうだなぁ!」
梓「私のガーディアンですから当然です!」
律「おっ言うねぇ~」
澪「わ・私のヴァルキリーだって!」
憂「わあ~澪さんのガーディアンは女の人なんですね~!私もです!」
紬「私もなの~」
律「ムギのガーディアンはじょ、上品そうだな」
律「ええ、キクリヒメさん!なんでも良家の生まれらしくて」
律「る・類は友を呼ぶ……」
澪「憂ちゃんのは…天使!……凄い」
憂「ウリエルさんって言うらしいです!」
律「もお~憂ちゃんはずるいなぁいいとこばっかり~」
憂「そそ、そんなことないです!ほら!お姉ちゃんのだって……」
唯「アハハハすごいすご~い!ねーねーヒーホー君もっと雪出してよ~」
ヒーホー「つ・疲れたホ~……」
唯「そんな疲れた体には!はい!コレをあげよう!」
ヒーホー君「?」
唯「飴ちゃん!一緒に食べよ~?」パクッ
ヒーホー君「初めて食べるホ~」パクッ
唯&ヒーホー「う・うまい!」
憂「……」
律「ハハ……唯らしいや」
澪「だな」
梓(バカみたい…私の方がカッコ良くて強そうなのに)
憂「梓ちゃん?」
梓「ハっ!ゴ・ゴメン、ボーっとしてた!」
憂(梓ちゃんの顔、一瞬怖かった……?)
澪「よし!そろそろ行くか!」
律「どこにぃー?」
澪「もうっ!忘れたのか?[音楽室]!」
律「おぉ~そうでしたそうでした~!」
律「よし!みんな音楽室へ行こうぜぃ!」
―――音楽室前
紬「指輪を持って扉を開けるのよね?」
ガサゴソ
澪「あぁ、確かそう言ってたな」
ガサゴソ
憂「お姉ちゃん、さっき拾ったゆ……」
………
全員「失くしたぁぁぁ!?」
紬「唯ちゃん!思い出して!さっき教室で寝転がって……」
唯「うぅ~絶対失くしちゃいけないと思ってぇ~……」
唯「えーっと……」くしゃっ
頭を抱える唯
律「おい……唯」
澪「唯……その右手の人差し指に付けてるのは何だ?」
唯「え?……あっ!!え、えへへ~」
全員「………」
唯「ま・まことに申し訳ございませんでした~!」
唯「あ・開けるよ!?ギー太……きっとどこかにいるよね!?」
梓(日頃練習どころかメンテナンスもろくにしてないくせに)
梓(私の方がいっぱい練習して……唯先輩より上手い自信あるのに)
梓(あ、あれ?なんで私こんなこと…)
梓(さっきからなんかおかしい……まるで自分の考えじゃないみたいに)
……本心だよ……
梓(え?)
梓(今、何か聞こえたような……)キョロキョロ
憂「……」
唯「行くよ!せーの!」ガチャッ
唯「うわ!?わわわわ」
律「唯!危ない!!」
澪「落ち…ちょっ律!引っ張るn」
紬「す・吸い込まれる!」
全員「うわああああああああああ」
……
………
梓「…う……」
梓「はっ!皆さん大丈…」
梓(私一人……)
―――魔界へようこそ―――
梓「魔神皇!?」
梓「みんなはどこです!?」
―――この魔界はいくつかの階層に分かれてるわ―――
―――他の者たちには私がふさわしいと思った場所に堕ちてもらった―――
―――みんなに会いたいのなら、奥に進むことね―――
―――せいぜい私を楽しませて頂戴……フフフ―――
梓「待って下さい!」
梓(一人で……?や、やってやるです!)
―――傲慢界
…
……
梓(はぁ…はぁ……あ、悪魔が段違いに強い!)
梓(いや、唯先輩達がいないから悪魔が強く感じるのかな……)
……唯先輩より私の方が強いじゃん……
梓(え?そ、そうだよね!)
梓(……ここが最深部の扉……)
梓(よし!行くぞ!)
ギイイィィィ・・・
律「お~梓!遅かったじゃないか~!」
唯「あずにゃーん!早くこっちにおいでよ~!」
梓「り・律先輩!?唯先輩!?みなさんも!!
それにここは……音楽室!!」
梓「みなさん魔界に堕ちたんじゃ……」
澪「魔界??」
律「おい~梓寝ぼけてんのかぁ~?」
澪「らしくないな梓」
唯「まぁまぁあずにゃんこっちに座りなよ~」
梓「あ、はい……」
紬「みなさんお茶入れたわよ~♪」
梓(ゆ・夢……??)
梓(いや、でも確かに今まで悪魔と戦って……)
唯「あずにゃん食べないの~?このケーキ美味しいよ~!」
梓「は、はい……頂きます」
梓(きっと夢だったんだ……)
梓「美味しいです!」
澪「さて!お茶も飲んだことだし練習するぞ!」
…
……
律「いやぁ~やっぱ梓のギターは上手いな!」
澪「リズムキープのセンスも抜群だしな」
梓「そ・そうですか?あ・ありがとうございます!」
律「もうリードギターは梓でいいんじゃないか?」
紬「そうね!私もそう思うわ!」
梓「私がリードギター!?それじゃ唯先輩が……」
唯「あずにゃん!ギターソロは頼んだよ~!」
梓(私がギターソロ!いいのかな……でも私は唯先輩より
上手い……よね)
梓(私の音楽センスを表現するチャンスだし!)
梓「はい!わかりました!じゃあ私がリードギターやります!」
澪「よーし!梓をリードギターにしてさっきの曲をもう一回やろう!」
梓「はい!」
ジャジャッジャジャッジャーーン
梓(なんか違う……)
唯「あずにゃん完璧~!もう私のギターなんて必要ない位だねぇ~」
梓「唯先輩!?」
梓(違う!こんなの唯先輩じゃない!!)
……あずにゃん……
……い…よ……
梓「唯先輩の声!?」
梓(やっぱりちがう!こんなのわたしがいたい
放課後ティータイムじゃない!)
梓(私が間違ってた……)
梓「先輩達……誰ですか?」
唯「どうしたのあずにゃん~?」
澪「さっきからなんかおかしいぞ?」
梓「おかしいのは先輩達です!先輩達は私の知ってるみなさんじゃない!」
……そうだ、梓…惑わされるな!……
梓「スサノオさん!?じゃあ、やっぱり……」
唯「ちっもう少しだったのに……」
梓「!?」
唯「邪念を刷り込みガーディアンを引き離したつもりだったんだがな」
唯「永久に幻の中で生き続ければいいものを……破られては仕方あるまい」
音楽室の景色は消え去り
湿った岩肌の部屋が目の前に広がる
「我が名はヴィネ、貴様にはここで死んでもらおう」
梓(唯先輩!みなさん!待ってて下さいね!カムバック……私!)
……
………
梓「はぁ……はぁ……」
……よくやった…梓……
梓「はぁ……はぁ…スサノオさんのおかげです……!」
……助けてやれなくてすまなかった……
……悪しき心を持つ者には憑依できぬのだ……
……謙虚さを……忘れてはならぬぞ……
梓「謙虚さ……か」
梓「あれ?奥に何かある……」
梓「こ……これって!!」
梓(みなさん……今、行きます!)
第二章 ~梓の場合~ 完
第3章 ~紬の場合~
……
………
ポタッ
紬の頬を雫が濡らす
紬「う…ん……」
紬「ここは……」
紬はここが魔界であると理解するのに多少の時間を要した
そこは床から天井までの大半が
木のツルに覆われていたからである
―――飽食界
紬(私だけはぐれてしまったのね……)
―――魔界へようこそ―――
紬「!!……お邪魔致しますわ」
紬「みんなはどこなの!?」
―――この魔界はいくつかの階層に分かれてるわ―――
―――他の者たちには私がふさわしいと思った場所に堕ちてもらった―――
―――みんなに会いたいのなら、奥に進むことね―――
―――せいぜい私を楽しませて頂戴……フフフ―――
紬「和ちゃん……」
……
………
紬(ジメジメしてるわね……さすがにこの暑さで冬服だと……
おまけに木のツルだらけで歩きにくいわ……)
紬(そうだ!)
紬は上着を脱いで腰に巻き、ブラウスを第二ボタンまではずす
紬(こうすると何だか律ちゃんになったみたい……)
紬(みんな……無事でいて……)キュルルルゥゥ
紬(お腹が空いたわ……今何時なのかしら)
紬(喉も乾いた……こんな時に斉藤がいたら……
電話してすぐ食べ物を届けさせるのに)
紬(食べたい食べたい食べたい食べたい食べたい食べたい)
紬(はっ!やだ……私ったら)
紬(きっとみんなもお腹空かせてるはず!)
紬(行かなきゃ……)
…
……
紬(はぁ…はぁ……悪魔が強いわ……)
紬(お腹が減って力が出ないとはこの事ね……)
紬(あそこが最深部の扉ね)
紬(私…頑張るわ!)
ギイイィィィ
澪「遅いぞ!ムギ!」
唯「もうお腹と背中がくっついちゃったよ~」
律「嘘つけー!」
紬「澪ちゃん!?唯ちゃん……みんな……」
紬「ここは……音楽室!?なんでなの!?」
律「なんで音楽室って……」
唯「昨日約束したじゃ~ん!」
紬「約束?」
澪「忘れたのか?今日の昼ご飯はムギの執事さんに全員分届けさせるから
音楽室で食べましょうって言ったのはムギだぞ?」
紬「あら?そ、そうだったかしら」
唯「まさかムギしゃん!わずれだんじゃああ……
今日楽しみで朝ご飯ちょっとしか食べt」
律「唯隊員~!気をしっかり持てーーい!」
唯「わ、私はもう……だめでごわす……」ガクっ
紬「クスっ……ごめんなさいね、今すぐ届けさせるから
もうちょっとだけ我慢して!」
紬(きっと悪い夢でも見てたのね……)
trrrrr trrrrr
斉藤「はいお嬢様、何でございましょう」
紬「斉藤、大至急[琴吹家特製弁当]を4人前、いや8人前
届けてくれるかしら?」
斉藤「は、8人前!?でございますか」
紬「私、お腹ぺこぺこよ……」
斉藤「はっ!すぐにお持ち致します!」
…
……
唯「うほぉーっすごぉーーーい!」
律「こりゃ食べごたえありそうだな!」
紬(さすがに8人前はやりすぎたかしら……)
紬(でもまぁ余ったらみんなに持って帰ってもらえば)
キュルルルルゥ
紬(ああ、もう限界!!)
……食べるのよ……
紬「!?……さあ、頂きましょうか!」
全員「いっただっきまーーす!」
紬(美味しい!お腹が空いた時のご飯は格別ね!)
紬(みんなも凄い勢いで食べてる……
ふふ、よっぽどお腹空いてたのね)
……
………
紬(どうしよう……止まらないわ……)
紬(もうお腹いっぱいのはずなのに……)
律「はー食った食ったぁー」
澪「かなり残っちゃったな」
律「じゃあさじゃあさ~」
紬「空き箱があるからみんな持ってk
唯「捨 て ちゃ お う!」
紬(え!?)
澪「そうだな、もういらないし」
律「食後と言えば~」
律&唯「デザートですわよねーーっ」
律「ムギも食べるだろー?」
紬「え、ええ」
紬「それなら食器棚に……!?」
澪「今日は私がケーキ持ってきたんだー」
澪「よいしょっと!」ドン!
律「でっかー!」
唯「たっかーい!」
律「澪~これから結婚披露宴でもやるつもりかぁ~?」
澪「うるさい!切るの大変だからそのままかぶりつこうか」
唯「うはぁ~一回やってみたかったんだぁ~!!」
律「ムギもやろうぜぃ!」
紬「私こういう食べ方初めてだわぁ」
紬「でも、これみんなじゃ食べきれないわ」
律「モグモグ……なーに言ってんだよムギ!余ったら捨てりゃいいだろ!」
唯「モグモグ、そうだよ~世界には食べ物が溢れてるんだから!」
紬(え!?違う……違うよ……)
紬「間違ってる!」
澪「ムギ……何がだ?」
紬「こんなのみんなのやることじゃないよ!」
紬「いつものお菓子だって、合宿で食べたご飯だって
学校帰りに買ったアイスのひと口でさえみんなで
分け合って食べてたじゃない!」
……さよう、その洋菓子に手を付けてはならぬ……
紬「キクリヒメさん!?じゃあこれはやっぱり……」
澪「これさえ口にすればお前は俺のモノだったのにな」
辺りの景色が木のツタに変わる
紬「なんですって!?」
紬「どこにいるの!?でてらっしゃい!!」
足元を見ると虫のようなものが……
瞬く間に巨大化し紬の前に立ちはだかる
「俺の名はパラサイト……あのケーキさえ食べれば
お前の体内に寄生し一生俺の操り人形だったんだがな」
「見破ってしまってはしょうがない、[ピーーー]」
紬「こんなとこで死にたくはないわね!」
……
………
紬「はぁ…はぁ……」
……ご苦労であった…紬……
紬「キクリヒメさん!ありがとう~!」
……我が生きていた太古の昔、民は飢えに苦しんでいた
時代であった……食糧は無駄にするでないぞよ……
……粗食の精神を忘れるでない……
紬「粗食……そうね、世の中には満足に食べられない人も
いるもの…」
ムギュウウゥゥゥ
紬「でも……もうダメ……お腹が空きすぎて……」バタッ
……ムギちゃん……
……い…よ………
紬(唯ちゃんの……声?)
紬「唯ちゃん……!みんな………!!」ムクッ
紬「あら?あそこにあるのは……!!!」
紬「唯ちゃん!みんな!!……待ってて!」
第三章 ~紬の場合~ 完
……
………
律「……いっててて」
律「澪…!おい、澪!!」
澪「うーん……」
澪「はっ!みんな!!」
律「ここには私と澪しかいないみたいだよ……
それよりお前……」
澪「私なら大丈夫だ!さぁ、先を急ごう!」
律「あ、いや……さっきからパンツ丸出しなんだけど……」
澪「え……いやあああああああくぁwせdrftgyふじこlp」
第四章 ~律と澪の場合~
澪「ここ……魔界なんだよな?」
律「多分……」
澪「悪魔とか……いるのかな?」
律「まぁ魔界っていうくらいだからな……」
―――魔界へようこそ―――
律「ま、魔神皇!お前みんなをどこにやったんだよっ!」
澪「パンツ!……私のパンツ!……見たのか?」
―――え?機関車トーマスの下着のことかしら?―――
澪「見られてたああああああああ」
律「……ぼふっっ」
澪「笑うなああああああああああ」
―――この魔界はいくつかの階層に分かれてるわ―――
―――他の者たちには私がふさわしいと思った場所に堕ちてもらった―――
―――みんなに会いたいのなら、奥に進むことね―――
―――せいぜい私を楽しませて頂戴……フフフ―――
律「このぉ~待ってろよ魔神皇!」
澪「パンツ……パンツ……私の……」
律「しっかりしろっ!!」
バシッ!
―――嫉妬界
……
………
澪「なんかここ……視界が悪いな……」
律「あぁ……なんかモヤがかかってるみたいだ」
澪「おい!前が見えなくなってきた!」
澪「あれ?律?律!」
澪(どうしよう……律とはぐれちゃった……)
……
………
澪(あっモヤがだんだん晴れてきたぞ)
澪(律……あっ向こうに人影!律!)
澪「おい律!いなくなったかと思って心配……」
澪「……その隣の男の人……誰?」
律「ああ、澪…さっき出会ってな」
律「なんか澪といるより頼りになるし……安心するっていうか……
私この人と一緒に行くな!」
澪「一緒に行くって……みんなはどうするんだよ!」
律「あ~……もうどっかでのたれ死んでるんじゃないか?」
澪「お前!ふざけるのもいい加減に……」
律「うっとおしいんだよねそういうの」
澪「!!………律のバカ!!」ダダダダ
律「…………ニヤリ」
……
………
律「あぁ……なんかモヤがかかってるみたいだ」
律「もう!全然前見えなくて歩け……」ゴチッ
律「あいたーー!……ててて…壁だったんかい!」
律「澪~鼻とおでこぶつけたあぁぁ~」
律「……あれ?澪?」
律(まずい、はぐれた)
律(壁に頭ぶつけて失神しちゃったとか……)
律(ないないない、まさかな)
……
………
律(お?モヤが晴れて……あっいた!)
律「おい澪~壁に頭ぶつけて失神したのかと……」
律「……なんだその隣の男」
澪「あぁ……さっき悪魔に襲われたところを助けてもらってな」
律「そうなんだ!いや~ウチの澪がお世話になったみたいで~」
澪「私、この人と一緒に行こうかと思うんだ」
律「な……」
澪「やっぱり男の人といる方が安心するし……
この人ならいいパートナーとしてやってけ……」
律「聞きたくない!澪のバカやろう!!」ダダダダ
澪「………たやすい」
……
………
澪(バカ…バカ……バカ律!!)
澪(なんであんな男と……)
澪(そりゃ頼りないかもしれないけど)
澪(私が一番律のこと……)
澪(あっあそこが最深部か?)
澪「扉が……左右に二つ……」
澪(どっちだ……どっちに行けば……)
澪(えーっと、えーっと)
澪(左利きだから左だ!)
ギイイイイィ
唯「澪ちゃん待ってたよ~!」
澪「唯!?ここ……音楽室!」
唯「どうしたの澪ちゃん?」
澪「どうしたも何も…無事だったのか!」
唯「無事……?」
澪「魔界に堕ちて!魔神皇が!」
唯「魔界?魔神皇??澪ちゃんそれ新しい歌詞~?
なんかかっこいい!さわちゃんのバンドみたいだよ~」
澪(夢……だったのか?)
唯「それよりそれより!今日はどこに遊びに行こっか!」
澪「え?」
唯「あーひどーい!今日の放課後二人で遊びに行こうねって
約束したのにいいいグスっ」
澪「あ?ああ~そうだったそうだった!ど、どこに行こうか!」
唯「忘れてたんでしょ!」
澪「……ご、ゴメン」
唯「もういいよ!澪ちゃんキライ!」
澪「ああああゴメンゴメン!謝るから!ねっ?」
唯「じゃあさ、私のお願い一つだ聞いてくれる?」
澪「な、何?」
唯「えへへ~あのね?私、澪ちゃんが欲しいの」
澪「な、んあななな!?」カァァァ
唯「私、澪ちゃんのことが前からずっと……」
澪「やめろ唯!は、恥ずかしいよ!」
唯「澪ちゃんは私のこと……キライ?」
澪「そんあわけあるか!でも……律が聞いたら何て言うか……」
唯「律ちゃんは澪ちゃんのこと何とも思っちゃいないんだって!」
澪「!!………そ、そっか……」
……澪ちゃん……
……い…よ………
澪「唯の声!?」
………
…………
律(あーイライラする!)
律(もう澪なんて知らん!)
律(どんだけ私が心配したか!)
律(お?……あそこが最深部だな)
律「扉が……二つ!?」
律(どっちだどっちだ……)
律(あー!めんどくさい!)
律「ど・ち・ら・に・し・よ・う・か・な!」
律「右だ!」
ギイイイィィ
………
…………
唯「律ちゃんは私のこと……キライ?」
律「んなわけあるかーい!でもな、なんていうか……
その……澪が、な……」
唯「澪ちゃんは律ちゃんのこと何とも思っちゃいないんだって!」
律「なんdttttttt!!!」
……律ちゃん……
……い…よ………
律「唯の声……!?」
……そなたは大切な者を信じぬのか?……
律「クーフーリン!」
律「……てめぇ唯の姿に成りすまして……」
澪&律「よくも騙したな!!!」
澪&律「え?」
「ふん、たやすく騙せたと思えば……」
「あたしはリリス……あたしのお願いを快く受け入れていれば
一生奴隷として可愛がってあげたのに……」
「残念ね……ここで二人とも死になっ!」
………
…………
律「ゼーゼー……女のくせにえげつない力だったな」
澪「律も十分えげつなかったけどな」
律「なんだとーーーぅ!?」
律「ぷっ……」
澪「クス……」
律&澪「あはははははっ」
澪「ずっと隣にいたんだな……」
律「一緒に騙されてたってワケか……」
澪「近すぎて見失ってた……」
律「え?」
澪「一番大切な人はいつも隣にいたんだ……
当たり前すぎて……忘れてた……」
律「澪………」
律「どうリアクション取ったらいいかわからんだろがーーぃっ!!」
ゴスっ!
澪「いったああああああい!」
第四章 ~律と澪の場合~ 完
……
………
憂「お姉ちゃん!お姉ちゃん!!」
唯「ふふ……お花畑……」
憂「お姉ちゃん!?」
唯「おばあちゃ~んうふふふふ~」
憂「ああああああダメダメそっち逝っちゃダメー!!
帰ってきてーーーー!」
ヒーホー君「僕に任せるホー!!」
憂「ヒーホー君!!」
ヒーホー君「唯ちゃーん起きるホ~!あんがっ」パクっ
憂(お姉ちゃんの頭食べたああああwwwwwwっうえwwwww)
ヒーホー君「モガガガガ……」
唯「!!~~~~~!!~~~~~!!ほうわちゃぁ!!」ぽんっ
憂「お姉ちゃん!!大丈夫!?」
唯「ああ憂……おばあちゃんが氷河になって全力の
オーロラエクスキューション食らった夢を見たよ」
憂「何それお姉ちゃん……」
憂「それよりお姉ちゃん……ここって……」
唯「はて……ええええ!?」
最終章 私達の学校!~唯と憂の場合~
唯「学校だぁ!!」
憂「そう……学校。でも見てお姉ちゃん」
唯「???」
憂「私たちの学校って三階建てだよね?
でも、私達がいるここは……」
唯「あれ!!音楽室が階段の下に見えるよ憂!!
憂「ここ……四階……」
憂「ここ……ホントに私達の学校?」
唯「でもいつもの学校の匂いだよ~」くんかくんか
ヒーホー君「見かけに騙されちゃいけないホー!!」
ヒーホー君「昔邪神の像の使いどころがわからなくて詰んだ経験のある
僕が言うんだから間違いないホー!!」
唯「なんか……違う気がするけどわかったよヒーホー君!!」
………
…………
―――学校! 5F
唯&ヒーホー「つ~か~れ~た~(ホ~)」
憂「お姉ちゃんもヒーホー君も頑張って!もう少しで最上階だから!」
唯「ホントにぃ~?」
唯「ちょっと休もう?お願~い憂~」
憂(そんな顔で見つめられると……)
憂(お姉ちゃん可愛いよ~)
憂「んもう!ちょっとだけだよお姉ちゃん!」
………
…………
唯「もーいーかーーーーい!」
ヒーホー君「もーーいーーホーーー!」
唯「どこだ~~??」
唯「むむむ……私には感じる」
唯「そこだぁーーー!!」
ヒーホー君「な、なんで分かったホ!?姿消してたハズなのに!」
唯「ヒーホー君は姿が見えなくても隠れてる場所のまわりが冷たいから
すぐ分かるのでしたぁ~~ふんす!」
憂(や・休むんじゃなかったのお姉ちゃん……)
……
………
ヒーホー君「ガッコウって……楽しそうだホー……」
唯「うん!とってもとーーっても楽しいよ!!」
唯「学校も楽しいけどね~、何より部活が楽しいんだぁ!」
ヒーホー君「ブカツ?それは美味しいモノかホ?」
唯「あはははっ食べ物じゃないよぉ~![けいおん]って言って
みんなで音楽をやるの!」
ヒーホー君「音楽……みんなで?」
唯「うん!みんなそれぞれ違う音を出すんだけどね!
それが一つになると何だか……うまく言えないけど
心があったかになってすっごく楽しいの!」
唯「あずにゃんはね、すっごくギターが上手くて!ムギちゃんは
いっつもお菓子を持って来てくれて……」
ヒーホー君「……うらやましいホー……」
唯「ヒーホー……君?」
ヒーホー君「僕もガッコウに行って美味しいお菓子食べて
ブカツやってみたいホー!!!」
ヒーホー君「僕もトモダチが……欲しい……ホー……」
ヒーホー君「僕気付いた時にはアクマで!オカアサンもオトウサンも
知らなくて!!ずっと一人ぼっちだったホ!」
ヒーホー君「だから!唯ちゃんには家族もいいトモダチもいっぱいで
うらやましいホ!!僕もニンゲンに………」
ぎゅうっ
ヒーホー君「唯……ちゃん?」
唯「私とヒーホー君はもう友達だよ?一緒に飴ちゃん食べてかくれんぼ
したよ?だから、寂しいこと言わないで……」
唯「ずーっとそばにいて……私を守って?」
ヒーホー君「唯ちゃん!」
唯「えへへ~あったかあったかだよっ♪」
ヒーホー君「アッタカイ……これが…
なんか胸がジーンってするホー……」
ヒーホー君「でも唯ちゃん……このままだと僕溶けて無くなっちゃうホー」
唯「はわわわ!ヒーホー君ゴメン!」バっ
唯「憂!憂!!魔法!凍らす魔法って無い!?」
憂「私のデバイスには入ってないよお姉ちゃん」
唯「えええええええ」
―――学校! 5F
憂「お姉ちゃん下がって!!」
唯「は、はいいいい!」
ヒーホー君「アクマだああ!ひー!!怖いホー!!」カタカタ
唯「え…っと…ヒーホー君何から突っ込めばいいのかな?」
バシュウウゥゥゥ……ン
唯「憂つよ~い!!いつの間にそんなに強くなったの!?」
唯(心なしか憂の背中に見え隠れする羽が6枚に見えるよ~)
唯(ほぇ!?6枚!?)ゴシゴシ ジ~っ
唯(気のせいかなぁ……?)
憂「そんなことないよお姉ちゃん!……ただ…たまに自分がホントに自分なのか
分からなくなるような気がするんだ……」
憂「なんだろ……これ……あれ……涙が……おかしいな、えへへっ」
唯「うーいっ」だきっ
唯「憂は憂だよ?どんなことがあったって憂は憂で世界で一人しかいない憂
なんだよ?だから私は憂の?」
憂「たった一人のお姉ちゃん!!」
唯「えへへっいーこいーこ」ナデナデ
唯「私は憂のお姉ちゃんなんだから!ずっとそばにいて憂を守るよ!!ふんす!」
憂「お姉ちゃん!!ありがとう……」
憂(でも…悪魔をやっつけたのはほとんど私なんだけどな……)
………
…………
唯「ここも行き止まり……」
憂「一旦戻ろうお姉ちゃん!!」
憂「あと行ってないのは……」
唯「ここの廊下だけ……」
憂「行こう!お姉ちゃん!和さんに会って……みんな元に……」
唯「そして……」
唯&憂「私たちの学校!!」
………
…………
憂「ここって……」
唯「……生徒会室??」
ドク……ン……
憂「はぐっ!?」
ドク……………ン
唯「憂!!どうしたの!?」
憂「な、何でもないよ…お姉ちゃん」
憂「それより……入ろう……」
唯「そうだね!うぬぬぬぬぬ~」
唯「失礼つかまつりたてまつる~!!」
唯「あっ!!!」
憂「お姉ちゃんどうしたの!?」
唯「入る前にノックするの忘れてたぁ~」コンコン
憂「………」
ガチャっ
和「フフフ…いらっしゃい」
唯「和ちゃん!!」
唯「どうしてこんなことするの!?和ちゃんは私の幼馴染だよね!?」
和「どいつもこいつも……」
唯「!?」
和「講堂の使用届けをいつまでも出さなかったのはどこの部活だったかしら?」
唯「はうっ」
和「冗談よ…私はね、認められたいの」
和「生徒会長をやったわ……けど誰も私の言う事をまともに聞かない…
山中先生まで……」
和「それどころかこの高校三年間友達と呼べるものは誰一人いなかった…」
和「あなた達軽音部が情けで付き合ってたことくらい私にもわかる」
唯「そんなこと……そんなことないよ和ちゃ…」
和「だまれええ!私は!現実世界が恨めしい!!だから!悪魔と契約して
学校を魔界に転送した!私はこれから!魔界と学校の王になるのよ!!」
唯「うっうっグスっ和ちゃんのばがあああぁぁ!!!」ダッ
和「おっと、止まった方がいいわね」
和「後ろを見てごらんなさい」
唯「!?」バッ
後ろを振り向くと鎧を纏った悪魔が唯の身の丈以上はあるであろう剣を
憂の首に当てがっていた
憂「お・お姉ちゃん…た・たすけ……」
憂はその言葉を最後にカクリと首を落とした
唯「憂!!!和ちゃんやめて!!!!」
和「ふふふ…動くと憂の首が[また]飛ぶわよ?」
唯「!!!……う…うう……」
和「ははははは!!いい顔ね…唯?」
―――茶番はそろそろ終わりだ―――
ド……ク………ン
和「があっ!?か・体が……!?」
和「なぜ……契約のハズじゃ……」
―――いつ契約などを交わした?―――
―――[茶番]と言ったはずだ……―――
和「そんな……約束が…ちが…サタ…ぎゃあああああああああ」
ドク……ドク……メキメキ……バキャっ
唯「あ……ああああ……」
和の体はどんどん肥大化していきもはや原型は留めていない……
その華奢だった体は緑色に変色し……
魔界の全ての生物が恐れをなす存在…サタンへと姿を変えた
―――まさか目的が向こうから歩み寄ってくるとはな―――
―――探す手間が省けたわ―――
唯「はひ……ひ……」
唯は極度の恐怖と緊張の為、言葉の意味はおろか指の一本さえ
動かせずにいた
―――ふん……―――
唯がサタンの目に止まる
ブンっ!
唯「きゃああああああああああ」
サタンの尻尾が容赦なく唯を襲おうとしたその時
「ヒーホーーーーー!!!!」
バアアアアァァ……ン…
唯「ヒーホーく……ん?」
―――下級悪魔が私に刃向かおうなど……―――
―――恥を知れ―――
雪でできたジャックフロストの体は
サタンの攻撃を受け止めることは
到底叶わず
無残にも砕け散った…
唯「ヒーホー君!!!やだ!!やだよおおお!!」
ヒーホー君「トモダチは……僕が…守る…だ…ホー…」
ヒーホー君「だから……唯ちゃん……は…生き…て…」
唯「やだ…やだやだ…」
唯の大粒の涙がヒーホー君の顔に落ちる……
ヒーホー君「しょっぱいホー……僕は…しょっぱいのより…アメチャンの
味が…好き……ホー…唯ちゃん……勇気を…」
唯「うん…うん!・・・うん!!……私……戦うよ!!」
唯「くっそおおおおおヒーホー君のカタキだああああ!」
運命は残酷とはこのことだろう
サタンの尻尾は的確に唯の小さな体を捉えた
ゴキャ……ブンっ ぐしゃァっ
唯の体はいとも簡単に吹き飛び
壁にめり込んだ
唯「うっっゴホっゴボっ!!」
唯の口から大量の鮮血が流れ出る
あまりの痛みと苦しさに自然と涙が出てくる
その時
唯の目に風景が浮かびあがった…
……いつまでも……いつまでも……放課後です…!
(あ…れ……文化祭……?)
…次はクリスマスパーティだよな…!
……その次はお正月ね!……
……初詣に行きましょう!……
……それから次の新歓ライブか~……
(みんな……そうだよ!私たちはいつまでも放課後だもん!)
……って次はないない!……
(そんな……律ちゃん……ずっと…みんなで……)
唯「あず……にゃん……」
「ム……ギ…ちゃん…」
「澪…ちゃん…………」
「律………ちゃん……」
―――ずっと……みんなで……一緒にいたいよ!―――
(憂……もらって……ばかりで……
何もしてあげられなくて……ゴメンね…)
唯(…………………)
……どおおおおおおりゃあああああああああっ……
バゴーーーン!!!
律「律ちゃん参上ーーーーっ!!」
澪「唯!!!憂ちゃん!!!」
澪「!!……憂ちゃんに汚い手で触れるな……散れ」
澪とヴァルキリーの一撃により鎧の悪魔は一瞬で消し飛ぶ
紬「お待たせ唯ちゃん!!」
梓「唯先輩!!遅くなってゴメンなさいです!!」
唯「み……みんな……どう…して……」
全員「唯の声が聞こえたんだ!!!」
律「そしたらカロンのじいちゃんが出てきてさ!」
澪「あの世の法律に触れるけど……」
紬「私たちをお舟に乗せて……!」
梓「学校まで送ってくれたんです!」
澪「凄いスピードでな……おえっ」
律「来る途中速度超過で捕まって
免停じゃあああ!って叫んでたな」
律「そうだ!それよりこれ!!!」
澪「そうそう!」
唯「……楽器……?」
紬「私たちが堕とあれた魔界の最深部に
置いてあったの!!!」
梓「なんででしょうね?でもむったんが見つかって良かった!」
律「そしてほら!!!」
唯「……ぎ、ギー太…!?」
澪「あまりに学校の中が変わってたもんで迷ってな」
律「偶然入った教室が私達の教室で、和の机に立て掛けて
あったんだ!!」
唯「そっか……よかった…(でも…なんで……?)」
梓「大丈夫ですか!?唯先輩!!っしょっと!!」
唯「へへへ……やられちゃった……いたっ!」
―――まとめて殺されにきたか―――
―――物好きな奴らだ―――
唯(でも…なんで和ちゃんの席に…?)
唯(和ちゃん……ギー太……)
……あなた達の演奏が聴けなくなるのは少し残念ね……
唯(!!!!)
唯「歌だ……」
梓「唯……先輩?」
唯「みんな、歌だよ!歌を歌おう!!」
律「お前…頭を……」
唯「和ちゃんはきっと、私達の歌が聴きたかったはず!」
唯「君が…そばに…いるだ~けで…」
澪「!!みんな…楽器だ!!早く!!!」
唯「いつも…勇気…もら~ってた~」
―――気でも触れたか……ぐ!?---
……いつまででも……一緒にいたい……
………この気持ちを伝えたいよ!……
―――体が……動かん!?―――
律「なんか…苦しんでる!?」
澪「今がチャンスだ!!」
その時だった
気絶していたはずの憂が
音もなく唯達の前に出た…
唯「う……い!?」
憂「お姉ちゃん……ゴメン……」
憂「私…思い出したの……」
唯「え?」
憂「みんな…一回死んだとき…」
憂「私だけ…生き返らなかった」
澪「い・生きてるじゃないか!!」
憂「ううん、そう、[生き返り方]がみんなと違った」
律「な……」
憂「元は天使だったって魔王に…」
憂「私かお姉ちゃんの体を貸せって…」
憂「断れば貴様らの魂を永久に葬るって」
憂「それで…私……お姉ちゃんの体渡したくなかったから……」
澪「何だって!?」
梓「だから……憂のガーディアンは……」
―――そう、私の僕だった者だ―――
ド……ク……ン
唯「!!!!」
―――ご苦労だった、人間よ―――
―――休息を許そう――――――
律「へ……」
澪「うわわわわわわ!」
憂の体から何かが抜け出てくる……
六枚の羽根を持った堕天使の王
―――我はルシファーなり―――
その瞬間憂の体は糸が切れた操り人形のように
その場に崩れた
―――感謝しよう…人間の子よ…―――
―――サタンと私はもともと表裏一体―――
―――サタンは私の中の悪で―――
―――私はサタンの中の善なのだ―――
―――私がサタンを下し取り込めば―――
―――秩序を保つ善なる神となり―――
―――もしその逆ならば―――
―――サタンは世を混沌に陥れる神となろう―――
唯「……ふざけるなあああああああ!!!」
澪「唯!?」
唯「神様だったら憂を助けて!!憂を返してえええええ!!」
唯「憂がいなきゃ……私何も……」
―――ぐっ…唯―――
ガバっ!!
―――サタン!!貴様……何を!!―――
身動きを封じられたサタン
……のはずが
その場にいた全員が目を疑った
サタンがルシファーを羽交い絞めにしているのだ
―――唯!…みんな!!―――
―――あそこにある剣を!!―――
―――サタンがルシファーにとどめを刺すはずだった物よ!!―――
―――あれで…ルシファーの心臓を!!―――
澪「それじゃ和も……」
唯「やだ!!!一緒に帰るんだよ!!和ちゃんも!!」
―――それじゃ何も変わらないわよ……唯―――
唯「和……ちゃん」
―――時に人は道を選ばなければいけないことがある―――
―――例えそれが正解でも……間違いでも…―――
―――道は続いてく…それが人間よ―――
―――唯、前を向いて!!!―――
―――私はもうこの姿じゃどのみち元の世界には帰れない―――
唯「う…う……和ちゃあああん」
―――さあ!早く!私が私でいれるうちに!!―――
唯「ぐすっ……わかった…」
唯「和ちゃん……じゃあ約束して?」
―――なに?―――
唯「生まれ変わっても……」
唯「何回生まれ変わってもずっとずーっと幼馴染でいよ~ね!」
―――……約束する―――
―――私はあなたが心配だから―――
―――来世でもきっと探しに行くわ―――
唯「うん!!……ありがとお!」
唯「みんな……」
律「ああ!」
澪「うん!」
紬「ええ!」
梓「はい!」
唯「和ちゃん!!!」
全員「ま た ね !!!」
唯「うわああああああああああああああ」
―――
――――
―――――
短いようで長い戦いを終えた唯達は
憂の遺体を囲むように座っていた…
唯「憂……終わったよ?」
唯「元の世界に……帰ろ?」
唯「お腹空いたよ憂!憂のハンバーグが食べたいよ!」
唯「お願いだから……目覚ましてっっっ」
律「ゆ……!」
澪「…………」
澪は無言で律に首を横に振る
唯「キミの~胸に~届く~かな~」
唯「今は~自信~ないけ~れど~」
律たちは胸がはち切れそうだった
唯の歌声は
今までで一番
透き通った
今までに聴いたことのない
悲しい…天使のような歌声だった……
笑わないで
どうか聴いて
思いを歌に込めたから
ありったけの「ありがとう」
歌に乗せて届けたい
この気持ちはずっとずっと忘れないよ
―――思いよ 届け!―――
ピク……
全員「!!!!!」
ピク……ピク……
澪「嘘……!」
梓「こんなことって!!」
憂「う………」
(いっつもいっつも私が言ってもらってばかりだから)
(今度は私の番なんだ)
憂「ん……お姉…ちゃん??私……?」
唯「うーーいっ!!」
唯「お か え り !」
…………
……………
あれから学校は元に戻った
何事もなかったかのように
ただ…和ちゃんの存在は
私達以外の人達から消えていた
最初から…存在していなかったように
でも……私達は、忘れない…
和ちゃんと…過ごした日々を
和ちゃんの…ぬくもりを
和ちゃんの…最後の優しさを
………
…………
カロン「なーんじゃ、またお前さんは人間界ばっかり覗いて……」
カロン「その池から人間界を覗くのは構わんが」
カロン「落ちても拾いに行ってやらんからな!!」
カロン「………あの娘じゃな?」
ヒーホー君「…………」
カロン「まさか人間なんぞに興味が湧いたんじゃなかろうな?」
ヒーホー君「ち・違うホー!!」
ヒーホー君「僕はもう立派な一人前の悪魔だホー!!」
カロン「じゃ、鬼ごっこするか!」
ヒーホー君「するホー!するホー!!わーい!!……あっ」
カロン「ほれ、まだ子供じゃないか」
ヒーホー君「………」
カロン「するのかしないのかどっちじゃ?」
ヒーホー君「するホー…でもじいちゃん仕事…」
カロン「わし免停中だから暇なんじゃよ……」
カロン「ほれ!行くぞ!!1・2・3・4」
ヒーホー君「あー!!ずるいホー!!」
ヒーホー君(唯ちゃん……さようなら……)
カロン「お前さん…泣い……」
ポチャっ!
カロン「あーーー!!人間界に涙落としたな!!」
カロン「今日の会議で天気は晴れって言ってたのに!」
カロン「わし知ーらない!!知ーーーらない!!」
ヒーホー君「ヒーホー!ヒーーーーホーーーー!!!」
………
…………・
唯「あわわ……憂マフラーどこだっけ!?ん~……あった!」」
憂「お姉ちゃんそれストッキング!もう、落ち着いて!」
唯「憂、行こっ!」
憂「お姉ちゃんそんな走ったら転b」
唯「うわぁ~いっぱい降ってるよ憂~!」
唯(雪…か……)
唯(和ちゃん……私ね……?)
唯(入学式の時、この道を走ったんだ
何かしなきゃって思いながら
何をすればいいんだろう?って思いながら。
このまま、大人になっちゃうのかなって思いながら。)
唯(ねぇ……和ちゃん……
心配しなくていいよ。
もう…迷わないで歩ける
例えその選択が間違っていたとしても
私に勇気を与えてくれる
信じる力を与えてくれる
大切な場所があるから!!
大切な、大切な、大切な場所が…!)
……ホー
ヒー……ホー………
唯「え?」
憂「え?どうしたの?お姉ちゃん?」
唯「……ううん、なんでもないよ~ほいっ」 ファサッ
憂「お姉ちゃん……?マフラー……」
唯「えへへ、あったかあったかだよ憂♪」
唯(………ありがとうね………)
平穏な日常… 平穏な毎日… 青春という名の時間は
無常にも流れていく…。
もしも…そんな平和な時間が壊されたとしたら…?
もしも…あなたの通っている学校が
別の世界に投げ込まれたとしたら…?
これは学校が突然魔界に迷い込み
現実の世界に戻るために戦った、とある少女達の物語…。
唯「けいおん転生!」憂「もしも?」 完
元スレ
平穏な日常… 平穏な毎日… 青春という名の時間は
無常にも流れていく…。
もしも…そんな平和な時間が壊されたとしたら…?
もしも…あなたの通っている学校が
別の世界に投げ込まれたとしたら…?
これは学校が突然魔界に迷い込み
現実の世界に戻るために戦った、とある少女達の物語…。
3: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/24(金) 01:48:53.38 ID:kCnbqKqEo
憂「お姉ちゃーん!お姉ちゃん!」
唯「ん~あと5分~」
憂「外を見てよお姉ちゃん!雪が降ってるよ~!
今年はホワイトクリスマスだね!」
唯(そっか、今日はクリスマス……)
唯「うわぁ本当だ~!積もるかなぁ憂~?」
憂「この降り方だとけっこう積もるんじゃないかなぁ…
あっお姉ちゃん早くご飯食べて学校行かないと!
遅刻しちゃうよー!」
4: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/24(金) 01:49:51.10 ID:kCnbqKqEo
…
……
唯「あわわ……憂マフラーどこだっけ!?ん~……あった!」」
憂「お姉ちゃんそれストッキング!もう、落ち着いて!」
唯「憂、行こっ!」
憂「お姉ちゃんそんな走ったら転b」
唯「うわぁ~いっぱい降ってるよ憂~!」
唯(雪…か……)
……ホー
ヒー……ホー………
唯「え?」
憂「え?どうしたの?お姉ちゃん?」
唯「……ううん、なんでもないよ~ほいっ」 ファサッ
憂「お姉ちゃん……?マフラー……」
唯「えへへ、あったかあったかだよ憂♪」
唯(………ありがとうね………)
5: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/24(金) 01:50:54.92 ID:kCnbqKqEo
二か月前の放課後―――
「…い……」
「……い!」
姫子「唯!」
唯「…ほえっ……?」
姫子「もう放課後だよ。部活……行かないの?」
唯「おおっ!そうだ!ありがとう姫子ちゃん!」
姫子「あんた最後の授業からHRまでぶっ通しで寝てたよね……
その集中力……尊敬するよ」
唯「いやぁ~そんなぁ照れるよ~」
姫子「褒めてないし……じゃあ私帰るね。」
唯「うん!ばいばーい!」
6: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/24(金) 01:52:02.41 ID:kCnbqKqEo
唯達HTTは最後の学園祭を終え、残り少ない高校生活……
そう、放課後の時間を大切に過ごそうと決めていた
唯「あっそうだ、今日は私以外のみんなは
受け持ち区域の掃除当番なんだっけ…」
唯「うふふ…律ちゃんにイタズラしに行こうかなぁ」
唯「よし!行こう……あれ?」
カタ……カタカタ……
唯「……地震?」
……ゴゴゴゴゴゴゴゴ
キャー
7: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/24(金) 01:53:00.21 ID:kCnbqKqEo
唯「うわっ大きい!机!机の下に隠れなきゃ!」
ゴゴ……ゴ…
唯「……収まった?」
唯(今のはどれくらいの震度だったんだろう)
唯(暗い?……停電?)
唯(違う……外が暗い!?)
女子A「キャー!何コレ!?外が…」
唯「え……」
唯は窓越しに外を見る。
いや、正確には「外」があるはずの空間を…
唯「外が……無い……」
いつもなら校庭が一望できる唯達の教室の窓の外には景色が無かった。
そこには真っ黒に歪んだ空間しか……
8: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/24(金) 01:53:41.55 ID:kCnbqKqEo
唯「はっ!そうだ!みんな……!」
ガラッ
律「唯!」
澪「大丈夫か!?」
唯「律ちゃん!澪ちゃん!」
律「その調子だと大丈夫そうだな……」
唯「ムギちゃんは!?」
澪「ムギは梓と憂ちゃんを探しに行ったよ」
唯「あ・あたしもいk」
ガラッ
紬「みんな!梓ちゃんと憂ちゃんは無事だったわ!」
憂「お姉ちゃん!」
唯「憂~!!」
唯「良かった~…あっ!あずにゃ~ん!!」
梓「せ・先輩…苦しいです……!」
梓「もう!っこんな非常時に抱きつかないでください!」
澪「そうだな…学校……どうしちゃったんだろうな」
律「なんで外が無いんだよ澪!」
澪「わ・私に聞くな!!」
9: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/24(金) 01:55:06.68 ID:kCnbqKqEo
―――ふふっ揃ったようね―――
全員「え!?」
梓「今、誰かの声が……」
紬「ええ、聞こえたというか……」
澪「頭の中で直接聞こえた感じだ……」
唯「……和ちゃん??」
―――ご名答、唯―――
―――あなた達、そしてこの学校は私が預かったわ―――
律「な!?預かったってどういう事だ!?」
―――この学校は今、異次元空間にあるわ―――
澪「い・異次元……??」
―――正確には現実世界と魔界の間って所ね――
10: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/24(金) 01:55:51.33 ID:kCnbqKqEo
梓「魔界!?」
律「和!どういうことだ!?」
―――気安く名前を呼ばないで欲しいわね……私は新しい力を
手に入れたの……そう、悪魔と契約してね―――
―――魔界の人々はこう呼ぶわ……「魔神皇」と―――
唯「嘘だよ…和ちゃん……」
律「そうだよ!お前頭おかしくなったんじゃないのか!?」
梓「でも、この頭に直接響いてくる声は……」
―――百聞は一見にしかずよ。
まず自分達の目で確かめてくるといいわ―――
―――フフフ……―――
11: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/24(金) 01:58:49.35 ID:kCnbqKqEo
唯「和ちゃん…どうして……うっうっ」
憂「お姉ちゃん……」
澪「が・学校の中を確かめてみないか??」
紬「そうよ!もしかしたら外に出れるかもしれないわ!」
律「よーし!学校探検してみるか!」
12: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/24(金) 01:59:36.78 ID:kCnbqKqEo
…
……
………
梓「この非常口も開かないです……」
澪「ここもダメか……」
律「あー!!もう!!一体何が何だか……」
唯「ねえねえ、体育館はまだ行ってないよねぇ?」
澪「体育館か!確か奥に非常口があったな!」
律「行くだけ無駄じゃないのかぁ~?」
憂「ダメ元で行ってみましょう!ねっお姉ちゃん!」
唯「うん!行ってみよう~」
13: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/24(金) 02:02:22.58 ID:kCnbqKqEo
―――渡り廊下
律「おい…ここから外見てみろよ……」
澪「学校が…浮いてる……?」
学校は歪んだ闇の中に浮いていた……
唯「どこまで続いてるんだろ~?」
唯「おーーーい!」
唯「アーーイーースー―!!」
梓「先輩何やってるんですか……」
唯「いやぁやまびこが返ってくるかと思って~」
14: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/24(金) 02:03:41.06 ID:kCnbqKqEo
澪「………」
唯「澪ちゃん??」
澪「何…あれ……」
梓「ひっ」
グルルル……
全員が体育館の入り口を見て凍りついた
そこに立っていたのは
人間ではなかった……
鉄の棍棒を持ったオオカミに似た
異形の者だった
憂「お・お姉ちゃん…怖いよ……!」
唯「わ・わわわたしもだよ」
紬「と・とりあえず逃げませんか?」
梓「賛成です!」
澪「……」
律「よし!まだこっちには気付いてないみたいだ…」
澪「……」
律「一旦校舎へ戻るぞ!澪!……澪?」
澪「はっ」
律「気絶してる場合か!ほら!行くぞ!」
15: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/24(金) 02:05:37.18 ID:kCnbqKqEo
―――校舎
律「ふい~……」
澪「あ・あれは何だったんだ?」
律「あ・あたしに聞くな!」
梓「人間じゃ…ないですよね……」
紬「そうよ!」
唯「どうしたのムギちゃん?」
紬「お茶にしましょう!」
律「ハハ…この状況でお茶かよ……」
紬「みんな一旦落ち着きましょ!お茶飲んだら
何かいい考えが浮かぶかも!」
澪「そういえばまだ音楽室に行ってなかったな……」
唯「お茶~♪お菓子~♪♪」
憂「私もお手伝いします!」
梓「昼休みに練習して楽器も置きっぱなしですもんね」
唯「はっ!そうだった!ギー太~!」
唯「ギー太が音楽室に!!」ダダダダ
律「ちょっ!唯ー!」
憂「お姉ちゃん一人で行ったら危ないよ~!!」ダダダダ
澪「憂ちゃんまで……」
梓「行きましょう!」
16: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/24(金) 02:07:06.68 ID:kCnbqKqEo
―――音楽室前
唯「はぁ…はぁ…ギー太…」
ガチャッ
憂「お姉ちゃん危ないっ!」
唯「え?」
澪「唯!憂ちゃん!!」
律「なんじゃこりゃ……」
梓「はぁ…はぁ…音楽室が……!」
紬「はぁ…はぁ…嘘……」
17: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/24(金) 02:08:39.60 ID:kCnbqKqEo
そこにギー太は無かった
ドアの向こうにあるはずの見慣れた風景は
真っ黒な闇に変わっていた。
唯「音楽室が無くなってる!?」
律「マジかよ……」
唯「うぅ…ギー太…ギー太ぁ~!!」
唯の声は闇の中へ虚しく消えていった……
18: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/24(金) 02:09:26.75 ID:kCnbqKqEo
梓「あれ……?」
紬「梓ちゃん?どうしたの?」
梓「あんな所の部屋なんてありましたっけ?」
澪「どこだ?」
梓「ほら…あそこです……」
梓は階段の下を指差した
階段の脇に扉があった
律「おっかしーなぁ、階段しか無かったような気がしたけど」
唯「行ってみよう!」
澪「やだ…怖いよ……」
律「よし!行ってみるか!」
澪「おい!律……!私も行く!」
19: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/24(金) 02:10:22.19 ID:kCnbqKqEo
コンコン
返事はない……
唯「失礼つかまつりたてまつる~!」
律「いつの時代の人間だよ……っつか日本語おかしいぞ」
ガチャ…
?「待ってたよ諸君……」
全員「!?」
?「さあ、入りなさい」
部屋には特に異常は無かった
車椅子の男がいたという事以外を除いては……
20: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/24(金) 02:11:44.15 ID:kCnbqKqEo
唯「あのー……おじさんは??」
?「君は平沢唯君だね?」
唯「え!?なんで私の名前を……」
?「私は、そうだな……STEVEN、とでも呼んでもらおうか」
唯「すてぃー?」
梓「まつぴt?」
律「いや、梓、それ言えなすぎだろ……」
車椅子の男「大変なことになったようだね
すでに悪魔にも遭遇したようだが」
澪「悪魔!?」
車椅子の男「おや?体育館前にコボルトがいなかったかい?」
律「おっさん……何者だ?」
21: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/24(金) 02:13:14.02 ID:kCnbqKqEo
車椅子の男「今、この学校に次元の裂け目から悪魔が侵入している。
校舎の中に入ってくるのも時間の問題だろう」
車椅子の男「残念だが君達には悪魔に対抗する力も備えてないようだ」
紬「そんな……」
車椅子の男「私には悪魔を倒す力は与えてやることはできないが……
悪魔と交渉する力は与えてやれる」
梓「悪魔と交渉……」
車椅子の男「私が開発した悪魔召喚プログラムだ
しかしハンドヘルドコンピューターが無くてね……
この前犬を連れた少年にあげたので最後だったんだ」
22: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/24(金) 02:15:38.79 ID:kCnbqKqEo
車椅子の男「そうだ、君達携帯電話は持ってるね?」
唯「あるよ~!ほらっ」
澪「おい、唯…見ず知らずの人に携帯渡すなよ……」
唯「え~でもこのおじさん悪い人じゃなさそうだし」
車椅子の男「このプログラムをアプリに変換してンストールすれば
問題無いだろう…」
車椅子の男「…よし…(アプリ名…っと……)」
車椅子の男「完了だ。携帯のこのアプリを起動すれば悪魔を召喚、交渉
することも可能だろう」
唯「ありがとう~!えっと…魔クシィ??」
唯「あれ、メールが届いてる……」
23: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/24(金) 02:17:00.36 ID:kCnbqKqEo
件名:すてぃっちさんから招待状が届いています
------------------------------------------------------------
本文
やっほー唯ちゃん!このマクシィって悪魔ともコミュニケーション
とれてマジで便利だから登録よろしく!
登録したら私ともマイマk
24: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/24(金) 02:19:45.85 ID:kCnbqKqEo
唯「………」
車椅子の男「残念だがこのプログラムは一回しかインストールできないんだ。
悪魔と交渉する時は唯君の携帯を通してするといいだろう」
律「え~なんだよケチ~」
車椅子の男「その変わりといっちゃなんだが他のみんなにはこれをインストール
してあげよう」
25: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/24(金) 02:21:38.33 ID:kCnbqKqEo
…
……
梓「魔法デバイス……?」
律「なんのこっちゃ」
車椅子の男「君達魔法の存在は知ってるかい?」
澪「まあ……はい、言葉だけは」
車椅子の男「魔法デバイスは魔力をデータ化して具現化できる物なんだ
(って言っても使ったこと無いけど)」
車椅子の男「きっと後で役に立つはずだ」
律「ふーん、ありがとなおっさん!」
車椅子の男「では、頑張りたまえ…もうあまり時間が無いはずだ」
唯「じゃあね~」
26: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/24(金) 02:22:40.12 ID:kCnbqKqEo
バタン
澪「う、うさんくさい人だったな……」
律「唯~悪魔召喚プログラムってヤツ見せてくれよ!」
唯「いいよ~」
律「な・マクシィ?なんだこりゃw」
澪「魔法陣の背景…か…いいなぁ」
梓「え??そこですか!」
律「はぁ…こんなもんだと思ったよ…おい!オッサ……」
憂「あれ…扉が……」
唯「無くなってる~!」
27: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/24(金) 02:24:22.54 ID:kCnbqKqEo
梓「あのおじさんもう時間が無いとか言ってましたね」
紬「悪魔が侵入とか……」
澪「はっ!そうだ!悪魔が…やだ……」
梓「あの、なにか武器になりそうな物を探しに行きませんか?」
澪「え?」
梓「いや、ほら、もし悪魔に襲われたら丸腰よりは何か持ってた方が
安心するじゃないですか!」
律「そうだな!何か武器を探しに部室巡りでもするか!唯隊員!」
唯「了解です!律隊員!♪」
澪「なんでお前らは楽しそうなんだよ……」
28: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/24(金) 02:27:00.77 ID:kCnbqKqEo
―――野球部部室
律「くっさ!この汗臭さ……おえっ」
澪「女子の匂いの限界を超えてるな」
唯「お~い!バットとヘルメット発見!」
梓「2セットしかありませんね」
律「うーん、よし!バットは梓が使えよ!」
梓「いいんですか?」
憂「梓ちゃん似合ってるよ~!かっこいい!
純ちゃんと3人でバッティングセンター行った時を
思い出すね!」
梓「そ、そうかな(あの時は憂がいきなりホームランぶちかましたんだっけ)」
29: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/24(金) 02:28:21.18 ID:kCnbqKqEo
―――数十分後
律「使えそうなのはこれくらいか!」
澪「バット2本、ハンマー1本、包丁1本、スコップ1本に……」
紬「チェーンソー1本~♪」
梓「どこから持ってきたんですかムギ先輩……」
唯「あとは~ホッケー部から拝借した防具がいくつかとホッケーマスク
人数分だね!」
律「これで無いよりはマシになったな!」
紬「じゃあ早速防具を付けましょう!」
唯「暑いよ~」ガサゴソ
澪「う、き…きついな……なぁ、これ腰のあたりがきつくないか?」ガサゴソ
唯「そうかなぁ?あたしは胸のあたりがきついや~」
澪「……」
30: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/24(金) 02:32:03.77 ID:kCnbqKqEo
律「よーし!みんな防具は付けたかー?」
紬「はい~完了~!」
澪「ひっ!ムギ……怖いよ」
梓「ホッケーマスクとチェーンソーがハマりすぎですね」
律「ま、まぁこんな重いの振り回せるのはムギくらいだろ」
憂「お姉ちゃんかっこいい!」
唯「でしょでしょ~!ふんす!」
結局それぞれが手にしたのは
律と梓が金属バット、澪がハンマー、憂は包丁、紬がチェーンソー
唯はスコップという形になった
唯「なんで私だけスコップなの!?」
憂「だってお姉ちゃんに包丁なんて危なっかしいでしょ!」
梓「チェーンソー持ったまま抱きつかれても怖いですし」
唯「そんなぁ~」
31: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/24(金) 02:34:46.51 ID:kCnbqKqEo
その時だった
唯達の頭の中に和、いや、魔神皇の声が響きわたる
―――準備は整ったようね―――
唯「和ちゃん!ねぇ……嘘でしょ?こんなの……」
―――その名前で私を呼ぶな!―――
唯「ひっ!」
澪「和…お前……」
32: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/24(金) 02:37:03.58 ID:kCnbqKqEo
―――私は魔神皇、今までの真鍋和はもういない―――
―――今まで、私をコケにした奴らを……―――
律「誰がいつ和をコケにしたんだよっ?」
―――うるさい…そうだ、体育館に行くといいわ―――
―――丁度私の手下を召喚したところよ。その手下に魔界に通じる鍵を
預けておいた……私の手下を倒せたら元の世界に戻る手がかりが
見つかるかもしれないわね―――
澪「魔界の鍵?手がかりだと?」
律「ふざけやがって!」
梓「やってやるです!」
―――せいぜい私を楽しませてちょうだい…フフフ……―――
不気味な笑い声を残して魔神皇の声は消えた
33: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/24(金) 02:38:10.57 ID:kCnbqKqEo
唯「和ちゃん…おかしいよこんなの……うん!きっとそうだ!
和ちゃんちょっと変になっちゃっただけだよね!?」
律「唯……残念だけど私はそうは思わないな」
唯「律ちゃん……ぐすっ」
澪「唯、気持ちはわかるがこの状況をなんとかしないとな」
憂「そうだよお姉ちゃん!みんなで元の世界に帰ろ?和さんも一緒に!ね?」
紬「そうよ!学校も元に戻さないと!私たちの音楽室!」
唯「みんな……うん!そうだね!みんなで帰ろう!昨日残しておいたアイス
まだ食べてないよ!」
梓「唯先輩の原動力は一体……」
34: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/24(金) 02:39:09.45 ID:kCnbqKqEo
―――体育館前渡り廊下
憂「そういえば……さっきの化け物まだいるんでしょうか?」
澪「あ(そうだった!やだよ……いや!ダメダメ!怖くない怖くない
怖くない怖くない)」
梓「い、いますね……」
紬「これで骨までみじん切りにしてやるわ!うふふふ……」ブルルルルン~!
律「見かけと迫力は最凶だなムギ……」
唯「待って!私が行く!」
憂「お姉ちゃんダメだよ危ないよ!殺されちゃうよ!」
唯「話せばわかってくれるかもしれないよ~?」
澪「話すってどうやって……」
唯「じゃーん!これこれ!」
35: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/24(金) 02:40:11.55 ID:kCnbqKqEo
律「悪魔召喚プログラムか!」
唯「うん!さっきアプリのマニュアル読んだらね、
悪魔と交渉するだけじゃなくて悪魔語の自動翻訳に
悪魔との契約や召喚の儀式を完全にサポートって書いてあった!」
律「ホントかよ……」
唯「えへへ、難しくてわかんないけど……お困りになった時はカスタマーセンター
までって書いてあるよ~」
澪「不気味なほど親切だな」
唯「とりあえず行ってみる!」
唯「えっと…アプリをあらかじめ起動して……イヤホンマイク付けてっと」
唯「あの、すいませ~ん」
「ガルァ!?」
36: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/24(金) 02:42:56.16 ID:kCnbqKqEo
…
……
コボルト「はぁ……ダリぃなぁもう。なんで俺がこんなとこで見張りしなくちゃ
いけねぇんだよ……」
コボルト「ここにいたらマグネタイトどんどん減ってくし……
せっかく今度の連休彼女と人間界旅行しようと思って貯めた魔貨が……」
コボルト「それもこれもあの魔神皇とやらのせいだぜ!見かけは人間のクセに
気に入らねえ……そもそも日雇いの募集が出てて楽そうだし応募したら
時給821魔貨って……休憩無いし」
コボルト「ここ俺より強そうな悪魔いっぱいいるしこえーよ……」
37: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/24(金) 02:45:21.93 ID:kCnbqKqEo
「あの、すいませ~ん」
コボルト「ああん!?」
コボルト「ってあれ?人間!?」
唯「はい、人間です!」
コボルト「そんなバカな!言葉が通じてるじゃないか!」
唯「はい!このプログラムを通して話してます!」
コボルト「なんだそりゃ……(あっ!マクシィじゃん!俺マイマク少ないから
最近ほとんど開いてなかったな)」
38: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/24(金) 02:49:33.18 ID:kCnbqKqEo
コボルト「(しかし人間でマクシィって……げ!この魔法陣マーク!
噂でしか聞いたこと無いが…こいつはまさか……)」
コボルト「デ ビ ル バ ス ター」
コボルト「\(^o^)/」
唯「あの、なんで泣いてるんですか?」
コボルト「くくく、来るな!いや、殺さないでくださいいいいい」
唯「殺す?殺したりなんかしないよ~」
コボルト「じゃあ何が目当てだ!?魔貨か!?MAGか!?」
唯「ほえ?」
唯「何だかよくわからないけど違うよ。あのね……」
39: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/24(金) 02:50:52.12 ID:kCnbqKqEo
………
澪「だ・大丈夫か唯は」
梓「なんか話してるみたいです」
律「なんか悪魔が泣いてるようにみえるんだが……」
紬「あ!?唯ちゃんが悪魔の肩を!?」
憂「慰めてる……」
律「握手したああああああ」
澪「き・消えた!?」
40: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/24(金) 02:52:22.63 ID:kCnbqKqEo
唯「おーい!」
律「唯!大丈夫か!?」
憂「お姉ちゃんケガはない!?」
唯「うん!なんかね、リストラされて貯金が底つきそうで日雇いのバイトが
時給821円で彼女と別れそうなんだって!」
全員「え?」
梓「それなんて最低賃金」
梓「それで、さっきの悪魔は?」
唯「あーコボちゃん?なんかね、私たち魔神皇に会って元の世界に帰る!って言ったら
お前らに付いて行けば俺の人生変わるかもって……」
澪「(コ・コボちゃん……)仲間になっただと!?」
唯「うん!マクシィ通して連絡くれればすぐ行くわ!って」
梓「か・軽いですね」
紬「とりあえず体育館へ向かいましょう!」ブイィィィ
澪「ムギ、いい加減チェーンソーのエンジン切ってくれ……」
41: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/24(金) 02:53:02.89 ID:kCnbqKqEo
―――体育館
梓「誰もいない……ですね」
律「おい、なんだあれ……」
唯「魔法陣?」
澪「これ、まさか和が言ってた」
その時だった
魔法陣が不気味な光を放つ…
シュウウウウウ
律「なんだこいつは……」
澪「で・でかい!」
目の前には唯達の背丈の軽く倍はあるであろう赤いツノを2本生やした化け物が
立っていた
42: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/24(金) 02:54:09.46 ID:kCnbqKqEo
我が名はフォーン……魔神皇様の命により貴様らを抹殺する」
澪「は・はわわ……」
律「や・やるしかないのか?」
唯「あーもう!こんな時にコボちゃん繋がらないよう!」
梓「みんなで一気に行けば……」
紬「やってみましょう!」ブイイィィン
43: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/24(金) 02:56:28.80 ID:kCnbqKqEo
律「よーし!行くぞみんな!おりゃああああああ」
唯「あっ!待ってよみんな置いてかな……」
ブン!
ザク! グチャ! ドン! ザン! ブシュウゥゥ……
唯「あ…あああ……」
唯より先に立ち向かって行った5人は
フォーンの一撃にあっけなく散った
文字通りバラバラに……
唯の目の前に憂の首が転がる……
唯「憂……?憂!ういいいいいいい!」
フォーン「脆い……所詮人間はこんなものか」
唯「憂!みんな……いやあああああ!!」
44: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/24(金) 02:58:40.74 ID:kCnbqKqEo
グチャっ グチャッ
肉の塊と成り果てたほかの5人をを踏み潰しフォーンが近づいてくる
唯「うっうっ……ういいい」
フォーン「最期だ」
ドンッ
唯(……地面?……憂…目が霞んでよく見えないや……
あれ?スコップ持ってるあの体は……)
そこで唯の意識は途絶えた
45: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/24(金) 03:00:42.76 ID:kCnbqKqEo
唯「憂!律ちゃん!それにみんなも!……なんで?」
梓「どうやらみんな死んじゃったみたいですね」
唯「ええ!?そっか……あれは現実だったんだね」
澪「ほら、あそこ見てみてみろよ」
唯は澪が指差した方向を見た
唯「川……お花畑!!」
律「あれが三途の川ってヤツだな」
紬「私三途の川って初めてなの~」
澪「経験済みの方が怖いわ!」
梓「とりあえず行ってみませんか?」
律「そうだな」
46: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/24(金) 03:01:38.47 ID:kCnbqKqEo
…
……
澪「おい、あそこに誰かいないか?」
梓「ホントだ……おじいさん?」
律「よくわかんないけどとりあえず行ってみようぜー!」
律「おーい!そこのじいさん!」
?「若いのがまた来おったか……ん?ほほぅ……」
?「お前らどこに行くつもりじゃ」
唯「わかりませ~ん!」
律「だからじいさんに聞こうと思って!」
?「わしの名はカロン。この三途の川で渡し守をやっておる」
澪「やっぱり私達死んだのか……」
カロン「だがな、不思議とお前さん達からまだ生命力を感じる
まだ、死ぬ時ではないと」
律「いや、もう殺されちゃったしな」
カロン「悪魔にか?ふふ、なら今度は悪魔の力を借りてみんか?」
唯「悪魔の……力?」
47: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/24(金) 03:03:19.18 ID:kCnbqKqEo
カロン「お前たちはまだ死ぬ時ではないと言ったはずだ。
きっとまだやるべきことが残っておるのじゃろう。
本来なら許されるべきことじゃないが……
肉体を元に戻しガーディアンを授けよう」
全員「がーでぃあん?」
カロン「そう、どうやらお前たちは悪魔と戦う運命にあるらしいのでな……
お前たちを守ってくれる守護霊を授けよう
ちょっと待っておれ」
カロン「あれ、どこにやったかの……ガーディアンなんて随分前に軽子坂高校
の生徒に授けた以来……おっ!あったあった」
カロン「っこらせっと!」ドシッ!
カロン「さあ、やりなさい」
律「やりなさいって……」
梓「何ですかこのガシャポン」
カロン「このカプセルの中にお前たちを守ってくれるガーディアンが
眠っておる。まぁ憑くのはもう決まってるがね」
全員(ガシャポンにした意味は!?)
カロン「さあ、ここに長くいる必要はない。やりなさい」
48: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/24(金) 03:03:57.13 ID:kCnbqKqEo
…
……
カロン「全員終わったようじゃな。よし、覚悟はよいか?
先ほど命が尽きた場所まで戻してやろう」
律「よーし!あの化け物に復讐してやろうぜ!」
紬「そうよ!今度こそ負けないわ!」
カロン「その前にここでカプセルを開けていきなさい」
唯「は~い(あれ、よく見たら私のカプセルだけ真っ白……)」
全員「パカッ」
カロン「ではさらばだ。もうしばらくここへは来るなよ」
律「うわ!眩し!」
唯「おじいちゃんありがと~!」
唯「律ちゃんおでkが眩s」
律「え?なんだっt……」
49: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/24(金) 03:06:49.40 ID:kCnbqKqEo
―――体育館
フォーン「……はい、全員始末致しました」
―――そう、ご苦労。でも油断すろのはまだ早いわよフォーン…―――
フォーン「魔神皇様?それはどういう……!?」
体育館に一筋の光が現れる
律「ぷはぁー!!」
唯「目がまだチカチカするでごじゃる……」
フォーン「まさか……」
律「帰ってきたぞこらぁー!覚悟しやがれ!」
澪「倍返し……だな」
50: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/24(金) 03:07:42.94 ID:kCnbqKqEo
フォーン「面白い。何がどうなったのか知らんが何度でも叩き潰してやる」
ブンッ
梓「律先輩危ない!」
律「おわわっ」
ガキィ!!
律「死んだあああ!……あれ?」
律の背中から槍が伸びてフォーンの一撃を食い止めた
51: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/24(金) 03:08:35.31 ID:kCnbqKqEo
……我が名はクーフーリン……
……我の力……そなたに貸そう……
律「こ・これが……」
52: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/24(金) 03:09:12.32 ID:kCnbqKqEo
全員「ガーディアン!」
目をこらすと6人の背後にはかすかだが何かが寄り添って立っている
……安心しろ……お前達は私達が守る……
……背後から援護する……さあ!……
唯「よし!みんな~!」
全員「いっけええええええ」
53: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/24(金) 03:10:04.26 ID:kCnbqKqEo
唯達は知る由も無かった
これから待ち受けている運命のことを
自分が選ばなければいけない道があることを
第1章 学校!? 完
54: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/24(金) 03:11:39.29 ID:kCnbqKqEo
唯「はぁ…はぁ……」
律「やった!」
梓「体中痛いです……」
55: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/24(金) 03:12:41.99 ID:kCnbqKqEo
唯達6人はガーディアンの力を借りてフォーンを倒し
精も根も尽き果てていた……
憂「あれ?お姉ちゃん!あれなんだろう?」
唯「指輪……かな?」
澪「そういや和が手下に魔界への鍵を預けたとか何とか」
紬「もしかしてこの指輪がそうなんじゃないかしら!」
律「でもこれをどう使うんだぁ~?」
唯「とりあえず拾っておこう~」
その時、また魔神皇の声が唯達の頭に響く……
56: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/24(金) 03:13:21.78 ID:kCnbqKqEo
第2章 ~梓の場合~
57: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/24(金) 03:15:40.68 ID:kCnbqKqEo
―――どうやらフォーンを退けたようね―――
―――へぇ、ガーディアンを憑依…か……やるじゃない―――
澪「まど・魔神皇……お前一体何のつもりだ!」
律「澪……」
―――学校を異次元に移転させた今、
学校とあなた達は私の手の中にあるわ―――
―――わかる?ひざまづいて命乞いでもしたら考えてあげなく
律「ふざけるな!」
唯「和ちゃん……もうやめよ?こんなの」
憂「和さん!目を覚ましてください!」
―――ホントあなた達はしょうがないわね……音楽室―――
―――指輪をはめて音楽室の扉を開けてみなさい―――
―――運が良ければ……いずれ私の元へ来れるかも―――
―――生きていれば、の話だけどね……フフフ―――
58: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/24(金) 03:17:46.75 ID:kCnbqKqEo
―――教室
律「もお~だめだ!ちょっと休もうぜ!」
紬「そうね……あんなに動いたのは何年ぶりかしら」
唯「ア~イ~ス~」
唯は教室の床に大の字に寝転がる
5人もそれに続く
憂「もう……お姉ちゃんしっかりしてよ~」
59: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/24(金) 03:18:27.34 ID:kCnbqKqEo
ヒヤッ
唯の頬を心地よい冷気が触れる
唯「憂~アイス持ってたんなら早く言っt」
唯「ゆゆゆゆゆ雪ダルマーーーー!?」
全員「はぁ!?」
60: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/24(金) 03:21:23.06 ID:kCnbqKqEo
?「ひどいなぁ、さっき君を守って一緒に戦ったんだホー」
唯(そっか!この雪ダルマが私の……)
唯「ごめんね!いきなり出てきたからびっくりしてつい……
あの、君のお名前は?」
?「名前?そんなこと考えたことなかったホー
あっ!でもカロンのじいちゃんは僕のこと
[ヒーホー]ってたまに呼ぶホー!」
唯「ヒーホー君かぁ!なんか可愛いね!」
61: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/24(金) 03:24:12.45 ID:kCnbqKqEo
梓(弱そうだなぁ……唯先輩のガーディアン)
梓(私のは剣も持ってるし…えと……)
……スサノオだ……
……我の名はスナノオ…覚えておくがいい……
梓「は、はい!スサノオさん!」
律「おっ!梓のガーディアンはスサノオ!っていうのかあ~」
62: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/24(金) 03:25:45.10 ID:kCnbqKqEo
梓「き・聞いてたんですか……」
律「梓のガーディアンは頼り甲斐ありそうだなぁ!」
梓「私のガーディアンですから当然です!」
律「おっ言うねぇ~」
澪「わ・私のヴァルキリーだって!」
憂「わあ~澪さんのガーディアンは女の人なんですね~!私もです!」
紬「私もなの~」
律「ムギのガーディアンはじょ、上品そうだな」
律「ええ、キクリヒメさん!なんでも良家の生まれらしくて」
律「る・類は友を呼ぶ……」
澪「憂ちゃんのは…天使!……凄い」
憂「ウリエルさんって言うらしいです!」
律「もお~憂ちゃんはずるいなぁいいとこばっかり~」
憂「そそ、そんなことないです!ほら!お姉ちゃんのだって……」
63: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/24(金) 03:27:51.57 ID:kCnbqKqEo
唯「アハハハすごいすご~い!ねーねーヒーホー君もっと雪出してよ~」
ヒーホー「つ・疲れたホ~……」
唯「そんな疲れた体には!はい!コレをあげよう!」
ヒーホー君「?」
唯「飴ちゃん!一緒に食べよ~?」パクッ
ヒーホー君「初めて食べるホ~」パクッ
唯&ヒーホー「う・うまい!」
64: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/24(金) 03:28:45.43 ID:kCnbqKqEo
憂「……」
律「ハハ……唯らしいや」
澪「だな」
梓(バカみたい…私の方がカッコ良くて強そうなのに)
憂「梓ちゃん?」
梓「ハっ!ゴ・ゴメン、ボーっとしてた!」
憂(梓ちゃんの顔、一瞬怖かった……?)
65: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/24(金) 03:30:01.70 ID:kCnbqKqEo
澪「よし!そろそろ行くか!」
律「どこにぃー?」
澪「もうっ!忘れたのか?[音楽室]!」
律「おぉ~そうでしたそうでした~!」
律「よし!みんな音楽室へ行こうぜぃ!」
66: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/24(金) 03:32:08.36 ID:kCnbqKqEo
―――音楽室前
紬「指輪を持って扉を開けるのよね?」
ガサゴソ
澪「あぁ、確かそう言ってたな」
ガサゴソ
憂「お姉ちゃん、さっき拾ったゆ……」
67: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/24(金) 03:32:54.53 ID:kCnbqKqEo
………
全員「失くしたぁぁぁ!?」
紬「唯ちゃん!思い出して!さっき教室で寝転がって……」
唯「うぅ~絶対失くしちゃいけないと思ってぇ~……」
唯「えーっと……」くしゃっ
68: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/24(金) 03:33:37.12 ID:kCnbqKqEo
頭を抱える唯
律「おい……唯」
澪「唯……その右手の人差し指に付けてるのは何だ?」
唯「え?……あっ!!え、えへへ~」
全員「………」
唯「ま・まことに申し訳ございませんでした~!」
69: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/24(金) 03:34:41.07 ID:kCnbqKqEo
唯「あ・開けるよ!?ギー太……きっとどこかにいるよね!?」
梓(日頃練習どころかメンテナンスもろくにしてないくせに)
梓(私の方がいっぱい練習して……唯先輩より上手い自信あるのに)
梓(あ、あれ?なんで私こんなこと…)
梓(さっきからなんかおかしい……まるで自分の考えじゃないみたいに)
……本心だよ……
梓(え?)
梓(今、何か聞こえたような……)キョロキョロ
憂「……」
70: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/24(金) 03:36:51.08 ID:kCnbqKqEo
唯「行くよ!せーの!」ガチャッ
唯「うわ!?わわわわ」
律「唯!危ない!!」
澪「落ち…ちょっ律!引っ張るn」
紬「す・吸い込まれる!」
全員「うわああああああああああ」
71: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/24(金) 03:39:45.57 ID:kCnbqKqEo
……
………
梓「…う……」
梓「はっ!皆さん大丈…」
梓(私一人……)
―――魔界へようこそ―――
梓「魔神皇!?」
梓「みんなはどこです!?」
―――この魔界はいくつかの階層に分かれてるわ―――
―――他の者たちには私がふさわしいと思った場所に堕ちてもらった―――
―――みんなに会いたいのなら、奥に進むことね―――
―――せいぜい私を楽しませて頂戴……フフフ―――
梓「待って下さい!」
梓(一人で……?や、やってやるです!)
72: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/24(金) 03:42:31.52 ID:kCnbqKqEo
―――傲慢界
…
……
梓(はぁ…はぁ……あ、悪魔が段違いに強い!)
梓(いや、唯先輩達がいないから悪魔が強く感じるのかな……)
……唯先輩より私の方が強いじゃん……
梓(え?そ、そうだよね!)
梓(……ここが最深部の扉……)
梓(よし!行くぞ!)
73: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/24(金) 03:44:10.33 ID:kCnbqKqEo
ギイイィィィ・・・
律「お~梓!遅かったじゃないか~!」
唯「あずにゃーん!早くこっちにおいでよ~!」
梓「り・律先輩!?唯先輩!?みなさんも!!
それにここは……音楽室!!」
梓「みなさん魔界に堕ちたんじゃ……」
澪「魔界??」
律「おい~梓寝ぼけてんのかぁ~?」
澪「らしくないな梓」
唯「まぁまぁあずにゃんこっちに座りなよ~」
梓「あ、はい……」
74: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/24(金) 03:45:09.83 ID:kCnbqKqEo
紬「みなさんお茶入れたわよ~♪」
梓(ゆ・夢……??)
梓(いや、でも確かに今まで悪魔と戦って……)
唯「あずにゃん食べないの~?このケーキ美味しいよ~!」
梓「は、はい……頂きます」
梓(きっと夢だったんだ……)
梓「美味しいです!」
澪「さて!お茶も飲んだことだし練習するぞ!」
75: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/24(金) 03:46:57.62 ID:kCnbqKqEo
…
……
律「いやぁ~やっぱ梓のギターは上手いな!」
澪「リズムキープのセンスも抜群だしな」
梓「そ・そうですか?あ・ありがとうございます!」
律「もうリードギターは梓でいいんじゃないか?」
紬「そうね!私もそう思うわ!」
梓「私がリードギター!?それじゃ唯先輩が……」
唯「あずにゃん!ギターソロは頼んだよ~!」
梓(私がギターソロ!いいのかな……でも私は唯先輩より
上手い……よね)
梓(私の音楽センスを表現するチャンスだし!)
76: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/24(金) 03:48:27.57 ID:kCnbqKqEo
梓「はい!わかりました!じゃあ私がリードギターやります!」
澪「よーし!梓をリードギターにしてさっきの曲をもう一回やろう!」
梓「はい!」
ジャジャッジャジャッジャーーン
梓(なんか違う……)
唯「あずにゃん完璧~!もう私のギターなんて必要ない位だねぇ~」
梓「唯先輩!?」
77: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/24(金) 03:49:16.59 ID:kCnbqKqEo
梓(違う!こんなの唯先輩じゃない!!)
……あずにゃん……
……い…よ……
梓「唯先輩の声!?」
梓(やっぱりちがう!こんなのわたしがいたい
放課後ティータイムじゃない!)
梓(私が間違ってた……)
78: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/24(金) 03:52:39.60 ID:kCnbqKqEo
梓「先輩達……誰ですか?」
唯「どうしたのあずにゃん~?」
澪「さっきからなんかおかしいぞ?」
梓「おかしいのは先輩達です!先輩達は私の知ってるみなさんじゃない!」
……そうだ、梓…惑わされるな!……
梓「スサノオさん!?じゃあ、やっぱり……」
唯「ちっもう少しだったのに……」
梓「!?」
79: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/24(金) 03:54:44.20 ID:kCnbqKqEo
唯「邪念を刷り込みガーディアンを引き離したつもりだったんだがな」
唯「永久に幻の中で生き続ければいいものを……破られては仕方あるまい」
音楽室の景色は消え去り
湿った岩肌の部屋が目の前に広がる
「我が名はヴィネ、貴様にはここで死んでもらおう」
梓(唯先輩!みなさん!待ってて下さいね!カムバック……私!)
80: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/24(金) 03:57:48.32 ID:kCnbqKqEo
……
………
梓「はぁ……はぁ……」
……よくやった…梓……
梓「はぁ……はぁ…スサノオさんのおかげです……!」
……助けてやれなくてすまなかった……
……悪しき心を持つ者には憑依できぬのだ……
……謙虚さを……忘れてはならぬぞ……
81: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/24(金) 03:59:30.64 ID:kCnbqKqEo
梓「謙虚さ……か」
梓「あれ?奥に何かある……」
梓「こ……これって!!」
梓(みなさん……今、行きます!)
82: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/24(金) 04:00:55.57 ID:kCnbqKqEo
第二章 ~梓の場合~ 完
83: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/24(金) 06:21:50.38 ID:kCnbqKqEo
第3章 ~紬の場合~
……
………
ポタッ
紬の頬を雫が濡らす
紬「う…ん……」
紬「ここは……」
紬はここが魔界であると理解するのに多少の時間を要した
そこは床から天井までの大半が
木のツルに覆われていたからである
84: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/24(金) 06:22:46.34 ID:kCnbqKqEo
―――飽食界
紬(私だけはぐれてしまったのね……)
―――魔界へようこそ―――
紬「!!……お邪魔致しますわ」
紬「みんなはどこなの!?」
―――この魔界はいくつかの階層に分かれてるわ―――
―――他の者たちには私がふさわしいと思った場所に堕ちてもらった―――
―――みんなに会いたいのなら、奥に進むことね―――
―――せいぜい私を楽しませて頂戴……フフフ―――
紬「和ちゃん……」
85: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/24(金) 06:33:26.02 ID:kCnbqKqEo
……
………
紬(ジメジメしてるわね……さすがにこの暑さで冬服だと……
おまけに木のツルだらけで歩きにくいわ……)
紬(そうだ!)
紬は上着を脱いで腰に巻き、ブラウスを第二ボタンまではずす
紬(こうすると何だか律ちゃんになったみたい……)
紬(みんな……無事でいて……)キュルルルゥゥ
紬(お腹が空いたわ……今何時なのかしら)
紬(喉も乾いた……こんな時に斉藤がいたら……
電話してすぐ食べ物を届けさせるのに)
紬(食べたい食べたい食べたい食べたい食べたい食べたい)
紬(はっ!やだ……私ったら)
紬(きっとみんなもお腹空かせてるはず!)
紬(行かなきゃ……)
86: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/24(金) 08:29:06.12 ID:kCnbqKqEo
…
……
紬(はぁ…はぁ……悪魔が強いわ……)
紬(お腹が減って力が出ないとはこの事ね……)
紬(あそこが最深部の扉ね)
紬(私…頑張るわ!)
ギイイィィィ
87: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/24(金) 08:32:46.14 ID:kCnbqKqEo
澪「遅いぞ!ムギ!」
唯「もうお腹と背中がくっついちゃったよ~」
律「嘘つけー!」
紬「澪ちゃん!?唯ちゃん……みんな……」
紬「ここは……音楽室!?なんでなの!?」
律「なんで音楽室って……」
唯「昨日約束したじゃ~ん!」
88: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/24(金) 08:33:50.18 ID:kCnbqKqEo
紬「約束?」
澪「忘れたのか?今日の昼ご飯はムギの執事さんに全員分届けさせるから
音楽室で食べましょうって言ったのはムギだぞ?」
紬「あら?そ、そうだったかしら」
唯「まさかムギしゃん!わずれだんじゃああ……
今日楽しみで朝ご飯ちょっとしか食べt」
律「唯隊員~!気をしっかり持てーーい!」
唯「わ、私はもう……だめでごわす……」ガクっ
紬「クスっ……ごめんなさいね、今すぐ届けさせるから
もうちょっとだけ我慢して!」
紬(きっと悪い夢でも見てたのね……)
89: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/24(金) 08:34:38.14 ID:kCnbqKqEo
trrrrr trrrrr
斉藤「はいお嬢様、何でございましょう」
紬「斉藤、大至急[琴吹家特製弁当]を4人前、いや8人前
届けてくれるかしら?」
斉藤「は、8人前!?でございますか」
紬「私、お腹ぺこぺこよ……」
斉藤「はっ!すぐにお持ち致します!」
90: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/24(金) 08:36:24.38 ID:kCnbqKqEo
…
……
唯「うほぉーっすごぉーーーい!」
律「こりゃ食べごたえありそうだな!」
紬(さすがに8人前はやりすぎたかしら……)
紬(でもまぁ余ったらみんなに持って帰ってもらえば)
キュルルルルゥ
紬(ああ、もう限界!!)
……食べるのよ……
紬「!?……さあ、頂きましょうか!」
91: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/24(金) 08:37:27.38 ID:kCnbqKqEo
全員「いっただっきまーーす!」
紬(美味しい!お腹が空いた時のご飯は格別ね!)
紬(みんなも凄い勢いで食べてる……
ふふ、よっぽどお腹空いてたのね)
92: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/24(金) 08:38:33.00 ID:kCnbqKqEo
……
………
紬(どうしよう……止まらないわ……)
紬(もうお腹いっぱいのはずなのに……)
律「はー食った食ったぁー」
澪「かなり残っちゃったな」
律「じゃあさじゃあさ~」
紬「空き箱があるからみんな持ってk
唯「捨 て ちゃ お う!」
93: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/24(金) 08:40:17.69 ID:kCnbqKqEo
紬(え!?)
澪「そうだな、もういらないし」
律「食後と言えば~」
律&唯「デザートですわよねーーっ」
律「ムギも食べるだろー?」
紬「え、ええ」
紬「それなら食器棚に……!?」
澪「今日は私がケーキ持ってきたんだー」
澪「よいしょっと!」ドン!
94: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/24(金) 08:41:30.44 ID:kCnbqKqEo
律「でっかー!」
唯「たっかーい!」
律「澪~これから結婚披露宴でもやるつもりかぁ~?」
澪「うるさい!切るの大変だからそのままかぶりつこうか」
唯「うはぁ~一回やってみたかったんだぁ~!!」
律「ムギもやろうぜぃ!」
紬「私こういう食べ方初めてだわぁ」
95: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/24(金) 08:45:38.89 ID:kCnbqKqEo
紬「でも、これみんなじゃ食べきれないわ」
律「モグモグ……なーに言ってんだよムギ!余ったら捨てりゃいいだろ!」
唯「モグモグ、そうだよ~世界には食べ物が溢れてるんだから!」
紬(え!?違う……違うよ……)
紬「間違ってる!」
澪「ムギ……何がだ?」
96: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/24(金) 08:46:53.57 ID:kCnbqKqEo
紬「こんなのみんなのやることじゃないよ!」
紬「いつものお菓子だって、合宿で食べたご飯だって
学校帰りに買ったアイスのひと口でさえみんなで
分け合って食べてたじゃない!」
……さよう、その洋菓子に手を付けてはならぬ……
紬「キクリヒメさん!?じゃあこれはやっぱり……」
澪「これさえ口にすればお前は俺のモノだったのにな」
97: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/24(金) 08:48:38.27 ID:kCnbqKqEo
辺りの景色が木のツタに変わる
紬「なんですって!?」
紬「どこにいるの!?でてらっしゃい!!」
足元を見ると虫のようなものが……
瞬く間に巨大化し紬の前に立ちはだかる
「俺の名はパラサイト……あのケーキさえ食べれば
お前の体内に寄生し一生俺の操り人形だったんだがな」
「見破ってしまってはしょうがない、[ピーーー]」
紬「こんなとこで死にたくはないわね!」
98: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/24(金) 08:55:15.71 ID:kCnbqKqEo
……
………
紬「はぁ…はぁ……」
……ご苦労であった…紬……
紬「キクリヒメさん!ありがとう~!」
……我が生きていた太古の昔、民は飢えに苦しんでいた
時代であった……食糧は無駄にするでないぞよ……
……粗食の精神を忘れるでない……
紬「粗食……そうね、世の中には満足に食べられない人も
いるもの…」
99: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/24(金) 08:56:19.47 ID:kCnbqKqEo
ムギュウウゥゥゥ
紬「でも……もうダメ……お腹が空きすぎて……」バタッ
……ムギちゃん……
……い…よ………
紬(唯ちゃんの……声?)
紬「唯ちゃん……!みんな………!!」ムクッ
紬「あら?あそこにあるのは……!!!」
紬「唯ちゃん!みんな!!……待ってて!」
第三章 ~紬の場合~ 完
100: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/24(金) 10:02:32.53 ID:kCnbqKqEo
……
………
律「……いっててて」
律「澪…!おい、澪!!」
澪「うーん……」
澪「はっ!みんな!!」
律「ここには私と澪しかいないみたいだよ……
それよりお前……」
澪「私なら大丈夫だ!さぁ、先を急ごう!」
律「あ、いや……さっきからパンツ丸出しなんだけど……」
澪「え……いやあああああああくぁwせdrftgyふじこlp」
101: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/24(金) 10:04:26.98 ID:kCnbqKqEo
第四章 ~律と澪の場合~
澪「ここ……魔界なんだよな?」
律「多分……」
澪「悪魔とか……いるのかな?」
律「まぁ魔界っていうくらいだからな……」
―――魔界へようこそ―――
律「ま、魔神皇!お前みんなをどこにやったんだよっ!」
澪「パンツ!……私のパンツ!……見たのか?」
―――え?機関車トーマスの下着のことかしら?―――
澪「見られてたああああああああ」
律「……ぼふっっ」
澪「笑うなああああああああああ」
102: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/24(金) 10:07:04.04 ID:kCnbqKqEo
―――この魔界はいくつかの階層に分かれてるわ―――
―――他の者たちには私がふさわしいと思った場所に堕ちてもらった―――
―――みんなに会いたいのなら、奥に進むことね―――
―――せいぜい私を楽しませて頂戴……フフフ―――
律「このぉ~待ってろよ魔神皇!」
澪「パンツ……パンツ……私の……」
律「しっかりしろっ!!」
バシッ!
103: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/24(金) 10:08:32.14 ID:kCnbqKqEo
―――嫉妬界
……
………
澪「なんかここ……視界が悪いな……」
律「あぁ……なんかモヤがかかってるみたいだ」
澪「おい!前が見えなくなってきた!」
澪「あれ?律?律!」
澪(どうしよう……律とはぐれちゃった……)
104: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/24(金) 10:13:59.18 ID:kCnbqKqEo
……
………
澪(あっモヤがだんだん晴れてきたぞ)
澪(律……あっ向こうに人影!律!)
澪「おい律!いなくなったかと思って心配……」
澪「……その隣の男の人……誰?」
律「ああ、澪…さっき出会ってな」
律「なんか澪といるより頼りになるし……安心するっていうか……
私この人と一緒に行くな!」
澪「一緒に行くって……みんなはどうするんだよ!」
律「あ~……もうどっかでのたれ死んでるんじゃないか?」
澪「お前!ふざけるのもいい加減に……」
律「うっとおしいんだよねそういうの」
澪「!!………律のバカ!!」ダダダダ
律「…………ニヤリ」
105: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/24(金) 10:14:56.06 ID:kCnbqKqEo
……
………
律「あぁ……なんかモヤがかかってるみたいだ」
律「もう!全然前見えなくて歩け……」ゴチッ
律「あいたーー!……ててて…壁だったんかい!」
律「澪~鼻とおでこぶつけたあぁぁ~」
律「……あれ?澪?」
律(まずい、はぐれた)
律(壁に頭ぶつけて失神しちゃったとか……)
律(ないないない、まさかな)
106: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/24(金) 10:15:58.25 ID:kCnbqKqEo
……
………
律(お?モヤが晴れて……あっいた!)
律「おい澪~壁に頭ぶつけて失神したのかと……」
律「……なんだその隣の男」
澪「あぁ……さっき悪魔に襲われたところを助けてもらってな」
律「そうなんだ!いや~ウチの澪がお世話になったみたいで~」
澪「私、この人と一緒に行こうかと思うんだ」
律「な……」
澪「やっぱり男の人といる方が安心するし……
この人ならいいパートナーとしてやってけ……」
律「聞きたくない!澪のバカやろう!!」ダダダダ
澪「………たやすい」
107: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/24(金) 10:19:40.96 ID:kCnbqKqEo
……
………
澪(バカ…バカ……バカ律!!)
澪(なんであんな男と……)
澪(そりゃ頼りないかもしれないけど)
澪(私が一番律のこと……)
澪(あっあそこが最深部か?)
澪「扉が……左右に二つ……」
澪(どっちだ……どっちに行けば……)
澪(えーっと、えーっと)
澪(左利きだから左だ!)
ギイイイイィ
108: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/24(金) 10:22:15.81 ID:kCnbqKqEo
唯「澪ちゃん待ってたよ~!」
澪「唯!?ここ……音楽室!」
唯「どうしたの澪ちゃん?」
澪「どうしたも何も…無事だったのか!」
唯「無事……?」
澪「魔界に堕ちて!魔神皇が!」
唯「魔界?魔神皇??澪ちゃんそれ新しい歌詞~?
なんかかっこいい!さわちゃんのバンドみたいだよ~」
澪(夢……だったのか?)
109: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/24(金) 10:25:21.02 ID:kCnbqKqEo
唯「それよりそれより!今日はどこに遊びに行こっか!」
澪「え?」
唯「あーひどーい!今日の放課後二人で遊びに行こうねって
約束したのにいいいグスっ」
澪「あ?ああ~そうだったそうだった!ど、どこに行こうか!」
唯「忘れてたんでしょ!」
澪「……ご、ゴメン」
唯「もういいよ!澪ちゃんキライ!」
澪「ああああゴメンゴメン!謝るから!ねっ?」
110: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/24(金) 10:30:11.69 ID:kCnbqKqEo
唯「じゃあさ、私のお願い一つだ聞いてくれる?」
澪「な、何?」
唯「えへへ~あのね?私、澪ちゃんが欲しいの」
澪「な、んあななな!?」カァァァ
唯「私、澪ちゃんのことが前からずっと……」
澪「やめろ唯!は、恥ずかしいよ!」
唯「澪ちゃんは私のこと……キライ?」
澪「そんあわけあるか!でも……律が聞いたら何て言うか……」
唯「律ちゃんは澪ちゃんのこと何とも思っちゃいないんだって!」
澪「!!………そ、そっか……」
……澪ちゃん……
……い…よ………
澪「唯の声!?」
111: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/24(金) 10:32:36.43 ID:kCnbqKqEo
………
…………
律(あーイライラする!)
律(もう澪なんて知らん!)
律(どんだけ私が心配したか!)
律(お?……あそこが最深部だな)
律「扉が……二つ!?」
律(どっちだどっちだ……)
律(あー!めんどくさい!)
律「ど・ち・ら・に・し・よ・う・か・な!」
律「右だ!」
ギイイイィィ
112: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/24(金) 10:36:16.21 ID:kCnbqKqEo
………
…………
唯「律ちゃんは私のこと……キライ?」
律「んなわけあるかーい!でもな、なんていうか……
その……澪が、な……」
唯「澪ちゃんは律ちゃんのこと何とも思っちゃいないんだって!」
律「なんdttttttt!!!」
……律ちゃん……
……い…よ………
113: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/24(金) 10:37:15.99 ID:kCnbqKqEo
律「唯の声……!?」
……そなたは大切な者を信じぬのか?……
律「クーフーリン!」
律「……てめぇ唯の姿に成りすまして……」
澪&律「よくも騙したな!!!」
澪&律「え?」
「ふん、たやすく騙せたと思えば……」
「あたしはリリス……あたしのお願いを快く受け入れていれば
一生奴隷として可愛がってあげたのに……」
「残念ね……ここで二人とも死になっ!」
114: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/24(金) 10:40:09.90 ID:kCnbqKqEo
………
…………
律「ゼーゼー……女のくせにえげつない力だったな」
澪「律も十分えげつなかったけどな」
律「なんだとーーーぅ!?」
律「ぷっ……」
澪「クス……」
律&澪「あはははははっ」
澪「ずっと隣にいたんだな……」
律「一緒に騙されてたってワケか……」
澪「近すぎて見失ってた……」
律「え?」
澪「一番大切な人はいつも隣にいたんだ……
当たり前すぎて……忘れてた……」
律「澪………」
律「どうリアクション取ったらいいかわからんだろがーーぃっ!!」
ゴスっ!
澪「いったああああああい!」
第四章 ~律と澪の場合~ 完
116: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/24(金) 15:25:53.77 ID:kCnbqKqEo
……
………
憂「お姉ちゃん!お姉ちゃん!!」
唯「ふふ……お花畑……」
憂「お姉ちゃん!?」
唯「おばあちゃ~んうふふふふ~」
憂「ああああああダメダメそっち逝っちゃダメー!!
帰ってきてーーーー!」
117: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/24(金) 15:27:13.22 ID:kCnbqKqEo
ヒーホー君「僕に任せるホー!!」
憂「ヒーホー君!!」
ヒーホー君「唯ちゃーん起きるホ~!あんがっ」パクっ
憂(お姉ちゃんの頭食べたああああwwwwwwっうえwwwww)
ヒーホー君「モガガガガ……」
唯「!!~~~~~!!~~~~~!!ほうわちゃぁ!!」ぽんっ
憂「お姉ちゃん!!大丈夫!?」
唯「ああ憂……おばあちゃんが氷河になって全力の
オーロラエクスキューション食らった夢を見たよ」
憂「何それお姉ちゃん……」
憂「それよりお姉ちゃん……ここって……」
唯「はて……ええええ!?」
118: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/24(金) 15:44:14.98 ID:kCnbqKqEo
最終章 私達の学校!~唯と憂の場合~
唯「学校だぁ!!」
憂「そう……学校。でも見てお姉ちゃん」
唯「???」
憂「私たちの学校って三階建てだよね?
でも、私達がいるここは……」
唯「あれ!!音楽室が階段の下に見えるよ憂!!
119: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/24(金) 15:47:56.76 ID:kCnbqKqEo
憂「ここ……四階……」
憂「ここ……ホントに私達の学校?」
唯「でもいつもの学校の匂いだよ~」くんかくんか
ヒーホー君「見かけに騙されちゃいけないホー!!」
ヒーホー君「昔邪神の像の使いどころがわからなくて詰んだ経験のある
僕が言うんだから間違いないホー!!」
唯「なんか……違う気がするけどわかったよヒーホー君!!」
120: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/24(金) 15:50:19.07 ID:kCnbqKqEo
………
…………
―――学校! 5F
唯&ヒーホー「つ~か~れ~た~(ホ~)」
憂「お姉ちゃんもヒーホー君も頑張って!もう少しで最上階だから!」
唯「ホントにぃ~?」
唯「ちょっと休もう?お願~い憂~」
憂(そんな顔で見つめられると……)
憂(お姉ちゃん可愛いよ~)
憂「んもう!ちょっとだけだよお姉ちゃん!」
121: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/24(金) 15:52:36.19 ID:kCnbqKqEo
………
…………
唯「もーいーかーーーーい!」
ヒーホー君「もーーいーーホーーー!」
唯「どこだ~~??」
唯「むむむ……私には感じる」
唯「そこだぁーーー!!」
ヒーホー君「な、なんで分かったホ!?姿消してたハズなのに!」
唯「ヒーホー君は姿が見えなくても隠れてる場所のまわりが冷たいから
すぐ分かるのでしたぁ~~ふんす!」
憂(や・休むんじゃなかったのお姉ちゃん……)
122: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/24(金) 15:59:19.27 ID:kCnbqKqEo
……
………
ヒーホー君「ガッコウって……楽しそうだホー……」
唯「うん!とってもとーーっても楽しいよ!!」
唯「学校も楽しいけどね~、何より部活が楽しいんだぁ!」
ヒーホー君「ブカツ?それは美味しいモノかホ?」
唯「あはははっ食べ物じゃないよぉ~![けいおん]って言って
みんなで音楽をやるの!」
ヒーホー君「音楽……みんなで?」
唯「うん!みんなそれぞれ違う音を出すんだけどね!
それが一つになると何だか……うまく言えないけど
心があったかになってすっごく楽しいの!」
唯「あずにゃんはね、すっごくギターが上手くて!ムギちゃんは
いっつもお菓子を持って来てくれて……」
123: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/24(金) 18:48:52.22 ID:kCnbqKqEo
ヒーホー君「……うらやましいホー……」
唯「ヒーホー……君?」
ヒーホー君「僕もガッコウに行って美味しいお菓子食べて
ブカツやってみたいホー!!!」
ヒーホー君「僕もトモダチが……欲しい……ホー……」
ヒーホー君「僕気付いた時にはアクマで!オカアサンもオトウサンも
知らなくて!!ずっと一人ぼっちだったホ!」
ヒーホー君「だから!唯ちゃんには家族もいいトモダチもいっぱいで
うらやましいホ!!僕もニンゲンに………」
124: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/24(金) 18:49:35.13 ID:kCnbqKqEo
ぎゅうっ
ヒーホー君「唯……ちゃん?」
唯「私とヒーホー君はもう友達だよ?一緒に飴ちゃん食べてかくれんぼ
したよ?だから、寂しいこと言わないで……」
唯「ずーっとそばにいて……私を守って?」
ヒーホー君「唯ちゃん!」
唯「えへへ~あったかあったかだよっ♪」
125: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/24(金) 18:50:39.30 ID:kCnbqKqEo
ヒーホー君「アッタカイ……これが…
なんか胸がジーンってするホー……」
ヒーホー君「でも唯ちゃん……このままだと僕溶けて無くなっちゃうホー」
唯「はわわわ!ヒーホー君ゴメン!」バっ
唯「憂!憂!!魔法!凍らす魔法って無い!?」
憂「私のデバイスには入ってないよお姉ちゃん」
唯「えええええええ」
126: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/24(金) 18:51:56.19 ID:kCnbqKqEo
―――学校! 5F
憂「お姉ちゃん下がって!!」
唯「は、はいいいい!」
ヒーホー君「アクマだああ!ひー!!怖いホー!!」カタカタ
唯「え…っと…ヒーホー君何から突っ込めばいいのかな?」
127: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/24(金) 18:52:58.06 ID:kCnbqKqEo
バシュウウゥゥゥ……ン
唯「憂つよ~い!!いつの間にそんなに強くなったの!?」
唯(心なしか憂の背中に見え隠れする羽が6枚に見えるよ~)
唯(ほぇ!?6枚!?)ゴシゴシ ジ~っ
唯(気のせいかなぁ……?)
憂「そんなことないよお姉ちゃん!……ただ…たまに自分がホントに自分なのか
分からなくなるような気がするんだ……」
128: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/24(金) 19:09:18.94 ID:kCnbqKqEo
憂「なんだろ……これ……あれ……涙が……おかしいな、えへへっ」
唯「うーいっ」だきっ
唯「憂は憂だよ?どんなことがあったって憂は憂で世界で一人しかいない憂
なんだよ?だから私は憂の?」
憂「たった一人のお姉ちゃん!!」
唯「えへへっいーこいーこ」ナデナデ
唯「私は憂のお姉ちゃんなんだから!ずっとそばにいて憂を守るよ!!ふんす!」
憂「お姉ちゃん!!ありがとう……」
憂(でも…悪魔をやっつけたのはほとんど私なんだけどな……)
129: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/24(金) 19:10:25.85 ID:kCnbqKqEo
………
…………
唯「ここも行き止まり……」
憂「一旦戻ろうお姉ちゃん!!」
憂「あと行ってないのは……」
唯「ここの廊下だけ……」
憂「行こう!お姉ちゃん!和さんに会って……みんな元に……」
唯「そして……」
唯&憂「私たちの学校!!」
130: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/24(金) 19:11:28.18 ID:kCnbqKqEo
………
…………
憂「ここって……」
唯「……生徒会室??」
ドク……ン……
憂「はぐっ!?」
ドク……………ン
唯「憂!!どうしたの!?」
憂「な、何でもないよ…お姉ちゃん」
憂「それより……入ろう……」
唯「そうだね!うぬぬぬぬぬ~」
唯「失礼つかまつりたてまつる~!!」
唯「あっ!!!」
憂「お姉ちゃんどうしたの!?」
唯「入る前にノックするの忘れてたぁ~」コンコン
憂「………」
ガチャっ
131: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/24(金) 19:14:08.24 ID:kCnbqKqEo
和「フフフ…いらっしゃい」
唯「和ちゃん!!」
唯「どうしてこんなことするの!?和ちゃんは私の幼馴染だよね!?」
和「どいつもこいつも……」
唯「!?」
和「講堂の使用届けをいつまでも出さなかったのはどこの部活だったかしら?」
唯「はうっ」
132: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/24(金) 19:15:26.78 ID:kCnbqKqEo
和「冗談よ…私はね、認められたいの」
和「生徒会長をやったわ……けど誰も私の言う事をまともに聞かない…
山中先生まで……」
和「それどころかこの高校三年間友達と呼べるものは誰一人いなかった…」
和「あなた達軽音部が情けで付き合ってたことくらい私にもわかる」
唯「そんなこと……そんなことないよ和ちゃ…」
和「だまれええ!私は!現実世界が恨めしい!!だから!悪魔と契約して
学校を魔界に転送した!私はこれから!魔界と学校の王になるのよ!!」
133: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/24(金) 19:17:49.63 ID:kCnbqKqEo
唯「うっうっグスっ和ちゃんのばがあああぁぁ!!!」ダッ
和「おっと、止まった方がいいわね」
和「後ろを見てごらんなさい」
唯「!?」バッ
134: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/24(金) 19:18:55.69 ID:kCnbqKqEo
後ろを振り向くと鎧を纏った悪魔が唯の身の丈以上はあるであろう剣を
憂の首に当てがっていた
憂「お・お姉ちゃん…た・たすけ……」
憂はその言葉を最後にカクリと首を落とした
唯「憂!!!和ちゃんやめて!!!!」
和「ふふふ…動くと憂の首が[また]飛ぶわよ?」
唯「!!!……う…うう……」
和「ははははは!!いい顔ね…唯?」
135: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/24(金) 19:20:56.93 ID:kCnbqKqEo
―――茶番はそろそろ終わりだ―――
ド……ク………ン
和「があっ!?か・体が……!?」
和「なぜ……契約のハズじゃ……」
136: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/24(金) 19:21:53.42 ID:kCnbqKqEo
―――いつ契約などを交わした?―――
―――[茶番]と言ったはずだ……―――
和「そんな……約束が…ちが…サタ…ぎゃあああああああああ」
ドク……ドク……メキメキ……バキャっ
唯「あ……ああああ……」
137: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/24(金) 19:23:42.92 ID:kCnbqKqEo
和の体はどんどん肥大化していきもはや原型は留めていない……
その華奢だった体は緑色に変色し……
魔界の全ての生物が恐れをなす存在…サタンへと姿を変えた
―――まさか目的が向こうから歩み寄ってくるとはな―――
―――探す手間が省けたわ―――
138: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/24(金) 19:26:05.05 ID:kCnbqKqEo
唯「はひ……ひ……」
唯は極度の恐怖と緊張の為、言葉の意味はおろか指の一本さえ
動かせずにいた
―――ふん……―――
唯がサタンの目に止まる
ブンっ!
唯「きゃああああああああああ」
サタンの尻尾が容赦なく唯を襲おうとしたその時
139: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/24(金) 19:28:10.21 ID:kCnbqKqEo
「ヒーホーーーーー!!!!」
バアアアアァァ……ン…
唯「ヒーホーく……ん?」
―――下級悪魔が私に刃向かおうなど……―――
―――恥を知れ―――
雪でできたジャックフロストの体は
サタンの攻撃を受け止めることは
到底叶わず
無残にも砕け散った…
140: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/24(金) 19:30:07.16 ID:kCnbqKqEo
唯「ヒーホー君!!!やだ!!やだよおおお!!」
ヒーホー君「トモダチは……僕が…守る…だ…ホー…」
ヒーホー君「だから……唯ちゃん……は…生き…て…」
唯「やだ…やだやだ…」
唯の大粒の涙がヒーホー君の顔に落ちる……
ヒーホー君「しょっぱいホー……僕は…しょっぱいのより…アメチャンの
味が…好き……ホー…唯ちゃん……勇気を…」
141: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/24(金) 19:31:28.64 ID:kCnbqKqEo
唯「うん…うん!・・・うん!!……私……戦うよ!!」
唯「くっそおおおおおヒーホー君のカタキだああああ!」
運命は残酷とはこのことだろう
サタンの尻尾は的確に唯の小さな体を捉えた
ゴキャ……ブンっ ぐしゃァっ
142: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/24(金) 19:32:32.96 ID:kCnbqKqEo
唯の体はいとも簡単に吹き飛び
壁にめり込んだ
唯「うっっゴホっゴボっ!!」
唯の口から大量の鮮血が流れ出る
あまりの痛みと苦しさに自然と涙が出てくる
その時
唯の目に風景が浮かびあがった…
……いつまでも……いつまでも……放課後です…!
(あ…れ……文化祭……?)
143: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/24(金) 19:33:59.99 ID:kCnbqKqEo
…次はクリスマスパーティだよな…!
……その次はお正月ね!……
……初詣に行きましょう!……
……それから次の新歓ライブか~……
(みんな……そうだよ!私たちはいつまでも放課後だもん!)
……って次はないない!……
(そんな……律ちゃん……ずっと…みんなで……)
144: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/24(金) 19:35:35.83 ID:kCnbqKqEo
唯「あず……にゃん……」
「ム……ギ…ちゃん…」
「澪…ちゃん…………」
「律………ちゃん……」
―――ずっと……みんなで……一緒にいたいよ!―――
145: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/24(金) 19:37:03.62 ID:kCnbqKqEo
(憂……もらって……ばかりで……
何もしてあげられなくて……ゴメンね…)
唯(…………………)
……どおおおおおおりゃあああああああああっ……
146: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/24(金) 19:39:57.67 ID:kCnbqKqEo
バゴーーーン!!!
律「律ちゃん参上ーーーーっ!!」
澪「唯!!!憂ちゃん!!!」
澪「!!……憂ちゃんに汚い手で触れるな……散れ」
澪とヴァルキリーの一撃により鎧の悪魔は一瞬で消し飛ぶ
紬「お待たせ唯ちゃん!!」
梓「唯先輩!!遅くなってゴメンなさいです!!」
唯「み……みんな……どう…して……」
全員「唯の声が聞こえたんだ!!!」
147: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/24(金) 19:41:10.15 ID:kCnbqKqEo
律「そしたらカロンのじいちゃんが出てきてさ!」
澪「あの世の法律に触れるけど……」
紬「私たちをお舟に乗せて……!」
梓「学校まで送ってくれたんです!」
澪「凄いスピードでな……おえっ」
律「来る途中速度超過で捕まって
免停じゃあああ!って叫んでたな」
148: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/24(金) 19:42:11.83 ID:kCnbqKqEo
律「そうだ!それよりこれ!!!」
澪「そうそう!」
唯「……楽器……?」
紬「私たちが堕とあれた魔界の最深部に
置いてあったの!!!」
梓「なんででしょうね?でもむったんが見つかって良かった!」
律「そしてほら!!!」
唯「……ぎ、ギー太…!?」
149: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/24(金) 19:43:24.09 ID:kCnbqKqEo
澪「あまりに学校の中が変わってたもんで迷ってな」
律「偶然入った教室が私達の教室で、和の机に立て掛けて
あったんだ!!」
唯「そっか……よかった…(でも…なんで……?)」
梓「大丈夫ですか!?唯先輩!!っしょっと!!」
唯「へへへ……やられちゃった……いたっ!」
150: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/24(金) 19:44:40.39 ID:kCnbqKqEo
―――まとめて殺されにきたか―――
―――物好きな奴らだ―――
唯(でも…なんで和ちゃんの席に…?)
唯(和ちゃん……ギー太……)
151: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/24(金) 19:46:03.51 ID:kCnbqKqEo
……あなた達の演奏が聴けなくなるのは少し残念ね……
唯(!!!!)
唯「歌だ……」
梓「唯……先輩?」
唯「みんな、歌だよ!歌を歌おう!!」
律「お前…頭を……」
唯「和ちゃんはきっと、私達の歌が聴きたかったはず!」
152: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/24(金) 19:46:52.89 ID:kCnbqKqEo
唯「君が…そばに…いるだ~けで…」
澪「!!みんな…楽器だ!!早く!!!」
唯「いつも…勇気…もら~ってた~」
―――気でも触れたか……ぐ!?---
……いつまででも……一緒にいたい……
………この気持ちを伝えたいよ!……
―――体が……動かん!?―――
153: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/24(金) 19:47:35.68 ID:kCnbqKqEo
律「なんか…苦しんでる!?」
澪「今がチャンスだ!!」
その時だった
気絶していたはずの憂が
音もなく唯達の前に出た…
154: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/24(金) 19:48:44.57 ID:kCnbqKqEo
唯「う……い!?」
憂「お姉ちゃん……ゴメン……」
憂「私…思い出したの……」
唯「え?」
憂「みんな…一回死んだとき…」
憂「私だけ…生き返らなかった」
155: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/24(金) 19:51:47.09 ID:kCnbqKqEo
澪「い・生きてるじゃないか!!」
憂「ううん、そう、[生き返り方]がみんなと違った」
律「な……」
憂「元は天使だったって魔王に…」
憂「私かお姉ちゃんの体を貸せって…」
憂「断れば貴様らの魂を永久に葬るって」
憂「それで…私……お姉ちゃんの体渡したくなかったから……」
156: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/24(金) 19:53:44.57 ID:kCnbqKqEo
澪「何だって!?」
梓「だから……憂のガーディアンは……」
―――そう、私の僕だった者だ―――
ド……ク……ン
唯「!!!!」
157: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/24(金) 19:54:44.71 ID:kCnbqKqEo
―――ご苦労だった、人間よ―――
―――休息を許そう――――――
律「へ……」
澪「うわわわわわわ!」
憂の体から何かが抜け出てくる……
六枚の羽根を持った堕天使の王
―――我はルシファーなり―――
その瞬間憂の体は糸が切れた操り人形のように
その場に崩れた
158: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/24(金) 19:56:15.91 ID:kCnbqKqEo
―――感謝しよう…人間の子よ…―――
―――サタンと私はもともと表裏一体―――
―――サタンは私の中の悪で―――
―――私はサタンの中の善なのだ―――
―――私がサタンを下し取り込めば―――
―――秩序を保つ善なる神となり―――
―――もしその逆ならば―――
―――サタンは世を混沌に陥れる神となろう―――
159: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/24(金) 19:57:38.31 ID:kCnbqKqEo
唯「……ふざけるなあああああああ!!!」
澪「唯!?」
唯「神様だったら憂を助けて!!憂を返してえええええ!!」
唯「憂がいなきゃ……私何も……」
160: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/24(金) 19:58:20.76 ID:kCnbqKqEo
―――ぐっ…唯―――
ガバっ!!
―――サタン!!貴様……何を!!―――
身動きを封じられたサタン
……のはずが
その場にいた全員が目を疑った
サタンがルシファーを羽交い絞めにしているのだ
161: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/24(金) 19:58:50.85 ID:kCnbqKqEo
―――唯!…みんな!!―――
―――あそこにある剣を!!―――
―――サタンがルシファーにとどめを刺すはずだった物よ!!―――
―――あれで…ルシファーの心臓を!!―――
162: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/24(金) 19:59:36.78 ID:kCnbqKqEo
澪「それじゃ和も……」
唯「やだ!!!一緒に帰るんだよ!!和ちゃんも!!」
―――それじゃ何も変わらないわよ……唯―――
唯「和……ちゃん」
―――時に人は道を選ばなければいけないことがある―――
―――例えそれが正解でも……間違いでも…―――
―――道は続いてく…それが人間よ―――
―――唯、前を向いて!!!―――
―――私はもうこの姿じゃどのみち元の世界には帰れない―――
163: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/24(金) 20:00:40.37 ID:kCnbqKqEo
唯「う…う……和ちゃあああん」
―――さあ!早く!私が私でいれるうちに!!―――
唯「ぐすっ……わかった…」
唯「和ちゃん……じゃあ約束して?」
―――なに?―――
唯「生まれ変わっても……」
唯「何回生まれ変わってもずっとずーっと幼馴染でいよ~ね!」
164: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/24(金) 20:01:24.49 ID:kCnbqKqEo
―――……約束する―――
―――私はあなたが心配だから―――
―――来世でもきっと探しに行くわ―――
唯「うん!!……ありがとお!」
唯「みんな……」
律「ああ!」
澪「うん!」
紬「ええ!」
梓「はい!」
唯「和ちゃん!!!」
全員「ま た ね !!!」
唯「うわああああああああああああああ」
165: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/24(金) 20:03:43.90 ID:kCnbqKqEo
―――
――――
―――――
短いようで長い戦いを終えた唯達は
憂の遺体を囲むように座っていた…
唯「憂……終わったよ?」
唯「元の世界に……帰ろ?」
唯「お腹空いたよ憂!憂のハンバーグが食べたいよ!」
唯「お願いだから……目覚ましてっっっ」
166: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/24(金) 20:05:34.81 ID:kCnbqKqEo
律「ゆ……!」
澪「…………」
澪は無言で律に首を横に振る
唯「キミの~胸に~届く~かな~」
唯「今は~自信~ないけ~れど~」
律たちは胸がはち切れそうだった
唯の歌声は
今までで一番
透き通った
今までに聴いたことのない
悲しい…天使のような歌声だった……
167: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/24(金) 20:06:07.45 ID:kCnbqKqEo
笑わないで
どうか聴いて
思いを歌に込めたから
ありったけの「ありがとう」
歌に乗せて届けたい
この気持ちはずっとずっと忘れないよ
―――思いよ 届け!―――
168: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/24(金) 20:07:01.24 ID:kCnbqKqEo
ピク……
全員「!!!!!」
ピク……ピク……
澪「嘘……!」
梓「こんなことって!!」
憂「う………」
169: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/24(金) 20:07:31.48 ID:kCnbqKqEo
(いっつもいっつも私が言ってもらってばかりだから)
(今度は私の番なんだ)
憂「ん……お姉…ちゃん??私……?」
唯「うーーいっ!!」
唯「お か え り !」
170: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/24(金) 20:08:16.82 ID:kCnbqKqEo
…………
……………
あれから学校は元に戻った
何事もなかったかのように
ただ…和ちゃんの存在は
私達以外の人達から消えていた
最初から…存在していなかったように
でも……私達は、忘れない…
和ちゃんと…過ごした日々を
和ちゃんの…ぬくもりを
和ちゃんの…最後の優しさを
171: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/24(金) 20:09:29.28 ID:kCnbqKqEo
………
…………
カロン「なーんじゃ、またお前さんは人間界ばっかり覗いて……」
カロン「その池から人間界を覗くのは構わんが」
カロン「落ちても拾いに行ってやらんからな!!」
カロン「………あの娘じゃな?」
ヒーホー君「…………」
カロン「まさか人間なんぞに興味が湧いたんじゃなかろうな?」
ヒーホー君「ち・違うホー!!」
ヒーホー君「僕はもう立派な一人前の悪魔だホー!!」
カロン「じゃ、鬼ごっこするか!」
ヒーホー君「するホー!するホー!!わーい!!……あっ」
カロン「ほれ、まだ子供じゃないか」
172: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/24(金) 20:10:20.98 ID:kCnbqKqEo
ヒーホー君「………」
カロン「するのかしないのかどっちじゃ?」
ヒーホー君「するホー…でもじいちゃん仕事…」
カロン「わし免停中だから暇なんじゃよ……」
カロン「ほれ!行くぞ!!1・2・3・4」
ヒーホー君「あー!!ずるいホー!!」
ヒーホー君(唯ちゃん……さようなら……)
173: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/24(金) 20:11:13.64 ID:kCnbqKqEo
カロン「お前さん…泣い……」
ポチャっ!
カロン「あーーー!!人間界に涙落としたな!!」
カロン「今日の会議で天気は晴れって言ってたのに!」
カロン「わし知ーらない!!知ーーーらない!!」
ヒーホー君「ヒーホー!ヒーーーーホーーーー!!!」
174: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/24(金) 20:12:03.84 ID:kCnbqKqEo
………
…………・
唯「あわわ……憂マフラーどこだっけ!?ん~……あった!」」
憂「お姉ちゃんそれストッキング!もう、落ち着いて!」
唯「憂、行こっ!」
憂「お姉ちゃんそんな走ったら転b」
唯「うわぁ~いっぱい降ってるよ憂~!」
唯(雪…か……)
175: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/24(金) 20:13:00.77 ID:kCnbqKqEo
唯(和ちゃん……私ね……?)
唯(入学式の時、この道を走ったんだ
何かしなきゃって思いながら
何をすればいいんだろう?って思いながら。
このまま、大人になっちゃうのかなって思いながら。)
唯(ねぇ……和ちゃん……
心配しなくていいよ。
もう…迷わないで歩ける
例えその選択が間違っていたとしても
私に勇気を与えてくれる
信じる力を与えてくれる
大切な場所があるから!!
大切な、大切な、大切な場所が…!)
176: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/24(金) 20:13:35.18 ID:kCnbqKqEo
……ホー
ヒー……ホー………
唯「え?」
憂「え?どうしたの?お姉ちゃん?」
唯「……ううん、なんでもないよ~ほいっ」 ファサッ
憂「お姉ちゃん……?マフラー……」
唯「えへへ、あったかあったかだよ憂♪」
唯(………ありがとうね………)
177: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/24(金) 20:14:52.59 ID:kCnbqKqEo
平穏な日常… 平穏な毎日… 青春という名の時間は
無常にも流れていく…。
もしも…そんな平和な時間が壊されたとしたら…?
もしも…あなたの通っている学校が
別の世界に投げ込まれたとしたら…?
これは学校が突然魔界に迷い込み
現実の世界に戻るために戦った、とある少女達の物語…。
唯「けいおん転生!」憂「もしも?」 完
SS速報VIP:唯「けいおん転生!」 憂「もしも?」