42: ◆6RLd267PvQ 22/07/22(金) 11:52:30 ID:b3h1

ヒロミ回更新します。

ヒロミ「偽物の笑顔」



43: ◆6RLd267PvQ 22/07/22(金) 11:52:46 ID:b3h1

~撮影の帰り道・廊下~

ヒロミ「怒ってない……怒ってないのに…」

カメラマン『ん~、顔がちょっと怖いね、もう少しニッコリできない?』

ヒロミ「……集中しようとするとつい睨んじゃう……はぁ」トボトボ

「おっと」ドンッ

ヒロミ「きゃ……あ、ごめんなさい、ぶつかっちゃって」

番組D「いや、別に…あれ、Pちゃんとこの」



44: ◆6RLd267PvQ 22/07/22(金) 11:53:17 ID:b3h1

ヒロミ「Pちゃん…あ、プロデューサーさんか。…プロデューサーさんの知り合いの人だっけ」

番組D「うん、ブーブーエスのディレクター。Dさんって呼んでよ。……っていうか、そんな下ばっか見て歩いてちゃボクでなくても誰かにぶつかるよ、ここ人通りあるんだから」

ヒロミ「そう、だよね……ごめんなさい」

番組D「……ははぁ、さては何か言われたでしょ、撮影か何かで」

ヒロミ「えっ、どうして…」



45: ◆6RLd267PvQ 22/07/22(金) 11:53:32 ID:b3h1

番組D「あはは、図星か。うん、顔に出てたからねぇ」

ヒロミ「そっか………楽しい気持ちも顔に出たらいいんだけどな」

機材スタッフ「あ、Dさんお疲れ様です」

番組D「おう、お疲れ様ー」

ヒロミ「あ、えと」ペコリ

番組D「ここじゃ人目引いちゃうか。……よし、えーと、何ちゃんだったっけ」

ヒロミ「え、あ、ヒロミ…だけど」

番組D「ヒロちゃんね。今から時間あるならお茶でも飲みに行こうよ、Pちゃんの許可はとっとくからさ」

~~~



46: ◆6RLd267PvQ 22/07/22(金) 11:53:50 ID:b3h1

~カフェ・オリジン~

泰葉「すみません、遅くなって」

番組D「いいよいいよ、気にしないで。ゴメンね、呼びつけて」

ヒロミ(あれ、この人…事務所で)

泰葉「こんにちは、ヒロミちゃん」

ヒロミ「こんにちは…えと、確か…泰葉さん」

泰葉「あ、名前覚えててくれたんだ、嬉しいな、ありがとう」ニコッ



47: ◆6RLd267PvQ 22/07/22(金) 11:54:05 ID:b3h1

ヒロミ「う、ううん、うろ覚えで、ごめんなさい」

ヒロミ(素敵な笑顔……この人みたいに笑えたらな…)

ぷちやす「コンパ」

泰葉「コンパじゃないコンパじゃない」

ぷちやす「パンコ?」

泰葉「もっと違う…かわいいけど…」

番組D「ははは、相変わらずみたいだね、ぷちやすちゃんは」



48: ◆6RLd267PvQ 22/07/22(金) 11:54:19 ID:b3h1

泰葉「なかなか思うようには喋りませんねぇ、加蓮ちゃんどれだけ熱心に言葉仕込んだんだろう、ぷちかれちゃんに」

ほたるの元先輩「注文お伺いします」

番組D「おっす元ちゃん、儲かってる?」

元先輩「Dさん達が売上に貢献してくれるなら儲かりますけど」

泰葉「…お久しぶりですね、元さん」

元先輩「そっちもね。あの子は……相変わらず?」

泰葉「ほたるちゃんですか。ええ、相変わらずめげずに頑張っていると思います」

元先輩「そっか」



49: ◆6RLd267PvQ 22/07/22(金) 11:54:33 ID:b3h1

ヒロミ「二人の知り合い……それでこのお店なんだ」

番組D「気心しれた店が一番気を遣わないで済むからね。ヒロちゃんも何かあったらここに来なよ」

泰葉「基本閑古鳥ですけどね」

元先輩「あんた達……まぁ、大事なお客さんか、こんなでも……」

ヒロミ「よ、よろしくお願いします」ペコリ

元先輩「はいはいよろしく。…で、ご注文は?」

~~~



50: ◆6RLd267PvQ 22/07/22(金) 11:54:49 ID:b3h1

~注文した飲み物が届いて~

番組D「フゥ…たまにはアルコールの入らない会話もいいもんだね」

ぷちやす「ヨロパ」フー…フー

泰葉「ヨーロッパブレンドね、ふふ」ニコニコ

ヒロミ「……あ、美味しい」

泰葉「このお店はね、季節のフルーツのカップケーキもオススメだよ」

ヒロミ「そうなんだ…カップケーキ……」

ぷちやす「カッパケーキ」フー…

番組D「ぷっ、それだとキュウリ乗ってそうだねぇ」

泰葉「かっぱ……」フフフ…

ぷちやす「ロパ?」キョトン



51: ◆6RLd267PvQ 22/07/22(金) 11:55:06 ID:b3h1

ヒロミ「何か、ぷちかれちゃんを思い出しちゃうな、このやり取り」

番組D「お、ぷちかれちゃんと仲良しなんだ」

泰葉「そうですよ、迷子になったぷちかれちゃんを保護したのがヒロミちゃんで」

ヒロミ「懐かしいな……あれからアイドルに誘われて、しばらく経って……けど、まだ私は下のランクのままで」

泰葉「アイドルランクなんて、ただの目安だから、気にしすぎない方がいいと思うよ」

番組D「そうそう、レベルの高い子はどのランクにもいるんだから。アイドルアルティメイトやワンダーアイドルノヴァグランプリみたいな番付なんて、そこだけの指標でしかないからね。……ここだけの話、あそこらへんの審査員、辛口だし」

泰葉「そうですね、ちょっと言葉が過ぎると思いますし」



52: ◆6RLd267PvQ 22/07/22(金) 11:55:23 ID:b3h1

ヒロミ「そ、そうなんだ……でも、お仕事貰うには、そういうところでランクアップしなくちゃって…」

番組D「それ、Pちゃんが言ってた?」

ヒロミ「ううん、色々調べたの、私なりに」

泰葉「よくないよ、慣れないうちは特に、ネットの情報とかデマばっかりなんだから」

ぷちやす「カンパ」

泰葉「そ、まずは看破する眼を養わないと。それに心も…ね」

ヒロミ「目……」シュン

泰葉「…あ、あれ?」



53: ◆6RLd267PvQ 22/07/22(金) 11:55:46 ID:b3h1

番組D「落ち込んじゃったみたいだね…ふむ…」

泰葉「目……もしかして…」

ヒロミ「……あの…泰葉さんみたいな素敵な笑顔、どうしたら真似できるかな」

泰葉「笑顔…か」

番組D「やっぱり、泰葉ちゃんが適任だったっぽいね。何となくだけど、そんな気がして呼んだんだよね」カタッ

泰葉「あ、戻られます?」

番組D「アイドルの事はアイドルかプロデューサーが一番理解できるでしょ、お膳立て出来たみたいだし今日はお暇するよ、お会計はやっとくから、Pちゃんによろしく言っといて」フリフリ

泰葉「わかりました。お疲れ様です」

ヒロミ「あの、ありがと…」

番組D「あいよー。あ、幸子ちゃんの番組観てね、面白くて顔がニヤけちゃうよ、絶対」スタスタ



54: ◆6RLd267PvQ 22/07/22(金) 11:56:02 ID:b3h1

ヒロミ「……今更だけど、みんな私の格好とか、気にしないんだね」

泰葉「世界には色んな人がいるから、気にしてたらきりがないもん」

ヒロミ「その……ええと…」

泰葉「笑顔」ニッ

ヒロミ「!」

泰葉「……私ね、人に教えられるほど笑顔のことよく知ってるわけじゃないよ」

ヒロミ「そんな……すごくいい笑顔なのに」



55: ◆6RLd267PvQ 22/07/22(金) 11:56:17 ID:b3h1

泰葉「そうだね。それは……そう在る様に求められ続けてきたから。偽物の笑顔でいいなら、教えてあげられるかもしれないけど……それが今のヒロミちゃんに必要だとは、思わないな」

ヒロミ(偽物の笑顔……?)

ヒロミ「さっきまでの笑顔が偽物ってこと…?」

泰葉「う~ん……ちょっと違うけど……私は、嬉しくて楽しいから自然と笑顔になってたよ、さっきのは」

ヒロミ「じゃあ…」

泰葉「でもね、舞台の上で、カメラの前で見せる笑顔がおんなじ物とは限らないでしょう?……求められるまま、指示と期待に合わせて、ありもしない感情を作って、笑顔を見せる……それが、今のヒロミちゃんに必要なのかな」



56: ◆6RLd267PvQ 22/07/22(金) 11:56:34 ID:b3h1

ヒロミ「ううん、違う……違うけど……」

泰葉「ごめんね、相談にのるはずが、ちょっぴりナーバスになっちゃったかも。でも、カメラの前で笑顔になれることが、ヒロミちゃんには大事なんだよね」

ヒロミ(この人、いったい……)

泰葉「よし、私もたまには先輩らしいところを見せるか。今日は空いてるんだよね、こうしてお茶飲んでるわけだし」

ヒロミ「あ、う、うん」

泰葉「じゃあこの後の予定はレッスンって事で。ふふ、何か少し燃えてきちゃったな、何から教えようかなぁ…」

ヒロミ(不思議な人だな、泰葉さん……この人と一緒にいたら、アイドルの笑顔、何か掴めたりするのかな……)

つづく。



57: ◆6RLd267PvQ 22/07/22(金) 11:57:17 ID:b3h1

アイドルの笑顔って何なんだ~!
と、作者も叫びたいくらい悩んでます。
答えが見つかるといいのだが…。

お目汚し、失礼をば。



元スレ
ヒロミ「笑顔の練習、頑張らないと」モバP「おう、その意気だ!」
http://wktk.open2ch.net/test/read.cgi/aimasu/1657949582/