1: ◆REnfaVoma. (もんじゃ) [ここ壊れてます] .net

千砂都「ほら、今はメンバーが9人になったから奇数になって誰かと組んだ時一人余っちゃうでしょ?」

恋「それは私たちが5人でやっていたときからそうだったのでは?」

千砂都「まあまあ、だからここは部長としてちょっと考えておかないといけないかなあと思いまして」

恋「対案をですか?」

千砂都「うん」

恋「もっと早くに思い至ってくれれば誰かの気も多少は紛れたでしょうに」

千砂都「まあまあ、あのときは若かったってことで」

恋「成程、いい言葉ですね」

千砂都「でしょ?」

恋「あと一年若ければ反発していたところですが」

千砂都「……大人になったねえ、恋ちゃん」

恋「ええ、おかげさまで」



2: ◆REnfaVoma. (もんじゃ) [ここ壊れてます] .net

恋「それで、どうするつもりなんですか?」

千砂都「なにが?」

恋「余り物」

千砂都「ああ、そうそう、そうだった」

千砂都「色々考えてはみたんだけどね、私がその枠に入ろうかなと」

恋「理由は?」

千砂都「みんなの様子が見れるから、部長になったからにはそういう相性とかコンディションっていうのも把握しておかないとだし」

千砂都「ってなると、そのほうが効率よさそうじゃない?」

恋「まあ無駄はありませんよね、その理屈だと」

千砂都「よーしお墨付きもらい、じゃあ次から早速……」

恋「別に私が立候補してもいいんですよ」



3: ◆REnfaVoma. (もんじゃ) [ここ壊れてます] .net

千砂都「なにが?」

恋「余り物」

千砂都「…決まりかけたものに待ったをかけるのが結ヶ丘の伝統なのかな?」

恋「さて、聞いた覚えはありませんが」

千砂都「ちなみに理由は?」

恋「いつもはそうなってるから。簡単なことです」



4: ◆REnfaVoma. (もんじゃ) [ここ壊れてます] .net

千砂都「いつもねえ、それってどこ情報?」

恋「さあ、聞いた話によるところとしか」

千砂都「えらい信憑性に欠けるコメントだね」

恋「本人の名誉のためにあえてぼかしていますから」

千砂都「となると音楽科、匿名ってところですかね。発信元は」

恋「その辺りはご想像にお任せします」



5: ◆REnfaVoma. (もんじゃ) [ここ壊れてます] .net

恋「でも、悪くない話だと思いませんか?」

千砂都「というと?」

恋「私がその役目を引き受ける分、千砂都さんの負担は減りますからね」

恋「だいたい、部長だからといってなんでも背負い込めばいいってものでもないでしょう?」

千砂都「まあ、ね」

恋「効率的にいきましょう、これからはもっと忙しくなると思いますから」

千砂都「別に否定する気はないけど、ただ……」

千砂都「恋ちゃんは」

恋「はい」

千砂都「恋ちゃんにはさ、それでどんなメリットがあるわけ?」

恋「そうですねえ……まあ強いて言えば」



6: ◆REnfaVoma. (もんじゃ) [ここ壊れてます] .net

千砂都「言えば?」

恋「相談に乗れるってところですかね。ほら、千砂都さんに任せてしまうと全部一人で解決しようとするでしょうから」

恋「こういった機会も減ってしまいますし」

千砂都「ある意味信用ないよねそれ」

恋「まさか、ちゃんと信頼はしていますよ」

千砂都「で、つまるところは?」

恋「もっと私を頼りにしてもらいたい、ということですよ」

千砂都「ふーん、そういう意味ね。私はてっきり」

恋「てっきり、なんです?」

千砂都「……いや、なんでも」



7: ◆REnfaVoma. (もんじゃ) [ここ壊れてます] .net

恋「それに、よく言うじゃないですか」

千砂都「なんて?」

恋「余り物には福があるって」

千砂都「あー確かに聞きはするし、実際あるに越したことはないね」

恋「はい」

千砂都「で、福はあったの?」

恋「さあ、今の段階ではどうにも」

千砂都「はっきりしないなあ」

恋「なので、ここは一度余り物をどうするか決めてもらってもよろしいでしょうか?」



8: ◆REnfaVoma. (もんじゃ) [ここ壊れてます] .net

千砂都「決めるって、私が?」

恋「ええ、部長でしょう?」

千砂都「ああ、成程そういうわけね。じゃあ」

千砂都「葉月さんは千砂都先生と一緒にやろっか。っていうのはどう?」

恋「おや、早速ツキが回ってきたようです」

千砂都「これが嬉しいだなんて変わってるねえ恋ちゃんは」

恋「変わり者はお好みに合いませんか?」

千砂都「あえて答えるならその人次第かな」

恋「それはそうですね」



9: ◆REnfaVoma. (もんじゃ) [ここ壊れてます] .net

千砂都「さて、そろそろ帰りますか」

恋「ええ、丁度いい時間ですからね」

千砂都「どこか寄ってく?」

恋「いえ、今日はこのままで」

千砂都「ちぇー余りゼロか」

恋「なにか言いました?」

千砂都「割り切られたなあってさ」

恋「何か足しましょうか?」

千砂都「いいよ、また今度にするから」

恋「そうですか、では次に帰るときは何か考えておきますね」



10: ◆REnfaVoma. (もんじゃ) [ここ壊れてます] .net

千砂都「ん、よろしく」

恋「……もしかして結構気にされてます?」

千砂都「いやいや全く」

千砂都「別に私を気に掛ける割にはあっさりしてるんだなーとか、そういうのは全然、これっぽっちも思ってないから。いや本当に」

恋「……まあ、なんといいますか」

恋「明日の練習が楽しみですね、千砂都先生」ニコ

千砂都「いやあ、葉月さんは世渡り上手だねー。先生羨ましいや」



11: 2022/08/20(土) 06:41:33.77 ID:iCvLhFay.net



数日後……


生徒会室


恋「さて、仕事も終わったことですし」トントン

恋「今日はこの辺りで……」

恋「……」ガサゴソ

恋「ちょっと寄っていきましょうか」



12: 2022/08/20(土) 06:42:15.48 ID:iCvLhFay.net

恋「えーっと鍵は……開いてる?」

ガチャッ

恋「誰かいるんですか? あら」

千砂都「どうも余り物です」

恋「まだ残ってらしたんですね」

千砂都「まあちょっとやることが残ってるからね、私はそのついで。恋ちゃんは?」

恋「つい先ほど片付け終わりましたよ、ここへ来たのはそのついでです」

千砂都「へえー、流石しっかりしてるなあ」

恋「あなただって適当にやっているというわけでもないでしょう」

千砂都「まあね」

恋「何に取り組んでいるんですか?」



13: 2022/08/20(土) 06:42:48.92 ID:iCvLhFay.net

千砂都「いやー今部活動の書類を整理してるところなんだけど、これがなかなか円滑に進まなくってさあ」

千砂都「どうにか丸く収めようと頭をグルグル悩ませてはいるんだけど糸口はゼロ、どころか輪をかけて悪くなってるような気さえするよ。それこそまるで∞ループのような……」

恋「千砂都さん」

千砂都「なに?」

恋「とりあえずそのサイクルから抜けてください」

千砂都「はーい」



14: 2022/08/20(土) 06:43:32.95 ID:iCvLhFay.net

恋「しかし見たところ、手を焼いているのは本当のようですね」

千砂都「タコを焼くのは得意なんだけどね」

恋「あれと違ってこちらは返しても白紙に戻るだけですよ」

千砂都「いやはや、かける言葉も見つかりませんなあ」

恋「……」

千砂都「あ、お持ち帰りとかどうです?」

恋「千砂都さん」

千砂都「冗談だってば」



15: 2022/08/20(土) 06:44:15.51 ID:iCvLhFay.net

千砂都「ねえ恋ちゃん、ちょっと手伝ってよ」

恋「ハナからそのつもりですけど、意外ですね」

千砂都「え?」

恋「もっと渋るかと思ってましたから」

千砂都「あれー私の聞き違いだったかな、前に頼りにされたいとかなんとか」

千砂都「言ってたような気がするんだけど、な」

恋「それはまた、律儀なことですね」

千砂都「お互い様でしょ」



16: 2022/08/20(土) 06:44:58.94 ID:iCvLhFay.net


千砂都「……よーし終わったー!」

恋「お疲れ様です」

千砂都「やっぱり二人いると早いねー」

恋「期待に添えられましたか、私は」

千砂都「どうだろう、一回だけじゃなんとも」

千砂都「次もまた手伝ってくれるようなことがあれば、評価も出来るやもしれないけど」ウーン

恋「全く、千砂都さんは強かですね」

千砂都「どうも」

恋「とはいえご心配なく、私もまだ手伝っていくつもりですから」

恋「次があれば、ね」

千砂都「……どうも」



17: 2022/08/20(土) 06:45:32.80 ID:iCvLhFay.net

千砂都「そういえばさ」トントン

恋「はい?」

千砂都「どうしてすぐに帰らなかったの?」

恋「不思議ですか?」

千砂都「ううん。ただ、なんとなく思っただけ」

恋「まだ帰っていないような気がしたので」

千砂都「誰が?」

恋「それでふらっと立ち寄ってみたら千砂都さんがいたわけです」

千砂都「おーい」

恋「まあ、なんとなく思っただけですけどね」

千砂都「だーかーらー」



18: 2022/08/20(土) 06:46:11.30 ID:iCvLhFay.net

恋「あ、そうだ。渡したいものがあったんです」ガサゴソ

千砂都「誰のことーって……ん?」

千砂都「なにこれ」

恋「差し入れです」

千砂都「中身は?」

恋「いちご大福です」

千砂都「へえ~、なるほどー、そっかそっか」

恋「なにか?」

千砂都「やっぱり残ってみるものだと思ってさ。ほら、おかげで私にも福が来た」ニコ

恋「……」

千砂都「あれ、どうしたのボーっとしちゃって」



19: 2022/08/20(土) 06:46:52.09 ID:iCvLhFay.net

恋「いえ、私も少しあやかれないかなと」

千砂都「自分から渡しておいて?」

恋「それを言われると弱りますが、あまりにも嬉しそうな顔をするものですから」

千砂都「私が?」

恋「はい、だから尚更そう思ってしまいました」

恋「ほら、これもよく言うじゃないですか、笑う門には福来るって」

千砂都「…丸好きな私としてはあまり角が立たない言葉のほうがいいんだけど」

恋「かどはかどでもお門違いだと思いますが」

千砂都「たまには言葉も遊ばせないと退屈だろうと思って」



20: 2022/08/20(土) 06:47:27.46 ID:iCvLhFay.net

千砂都「でもまあそういうことなら、そのあやかりに応えようではありませんか」

恋「と、言いますと?」

千砂都「今から私の家にお招き、っていうのはどう?」

恋「それはまた、寄っていくには十分すぎる場所ですね」

千砂都「でしょ?」

恋「もう行きますか?」

千砂都「だね、折角貰っておいてなんだけどこっちはお持ち帰りで」

恋「少し早く渡しすぎましたかね」

千砂都「いいや、それくらい慎ましいほうが丁度いいんじゃないかな」

千砂都「邪魔するために用意したとか、厚かましいでしょ?」

恋「それは言えてますね」



21: 2022/08/20(土) 06:47:58.08 ID:iCvLhFay.net

恋「しかし家に呼ぶとは、また唐突といいますか」

千砂都「たまたま思いついただけだってば、偶然なんだから唐突も当然」

恋「そうなんですか? 私はてっきり」

千砂都「てっきり、なに?」

恋「……いいえ、なんでも」クスッ

千砂都「引っかかる返し方するなあーもう」

恋「そうだったらいいなって思っただけですから、気にしないでください」

千砂都「あ、そう」



22: 2022/08/20(土) 06:48:56.45 ID:iCvLhFay.net


千砂都「ま、それは追々確かめていけばいっか」

千砂都「時間はまだまだあることだし」

恋「そうですね」


ガチャッ


千砂都「ただいまー」

「おかえり。あら、そちらの方は?」

千砂都「音楽科、匿名」

恋「どうも余り物です」

「はい?」




23: 2022/08/20(土) 06:49:30.89 ID:iCvLhFay.net

終わりです、ありがとうございました。


元スレ
恋「余り物ですか」 千砂都「うん」