1: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/03/12(土) 16:27:45.582 ID:yLtp3AxN0.net
<コンビニ>
男「いいかい新入り、コンビニ店員の挨拶ってのはこうやるのさ」ッシャアセェェェ
女後輩「しゃあせー……ですか?」
男「ちがうちがう、ッシャアセェェェだ」
女後輩「しゃあせぇぇぇ」
男「うん……まあさっきよりはマシになったな」
女後輩「ホントですか!」
3: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/03/12(土) 16:32:20.123 ID:yLtp3AxN0.net
女後輩「でも、私としては……やっぱりちゃんと“いらっしゃいませ”って言いたいです」
男「ふうん……じゃあやってみな」
女後輩「えっ?」
男「次、客が来たら、はっきりと“いらっしゃいませ”って言ってみるといい」
女後輩「いいんですか?」
男「ああ」
女後輩「分かりました! 私、やります!」
ウイーン……
客A「お茶とコーヒーでも買ってくか」
客B「んだな」
女後輩「いらっしゃいませー!」
客A「んだよ……なんか白けちゃったな」クルッ
客B「ああ、帰ろうぜ」クルッ
女後輩「あれえええええ!?」
男「な?」
男「札幌へ旅行する人間が時計台を期待するように――」
男「エジプトに行く人間がピラミッドを期待するように――」
男「日本に来る外国人がサムライゲイシャを期待するように――」
男「コンビニに来る客ってのも、ッシャアセェェェを期待してるってことなんだ」
男「ハキハキ挨拶しちまうと、お客の期待を裏切っちまうことになるんだな」
男「だからコンビニ店員はッシャアセェェェで挨拶しなきゃならねえのさ」
女後輩「な、なるほど……」
男「慣れれば、こうして普通に話しながらでもッシャアセェェェできるようになる」ッシャアセェェェ
男「ほれ」ッシャアセェェェ
男「こんな具合に」ッシャアセェェェ
男「よっと」ッシャアセェェェ
女後輩「すっごーい! さすがプロですね!」
男「店長なんか、寝ながらでもッシャアセェェェできるぞ」
男「ところでお前さんは、どうしてコンビニ店員に?」
女後輩「実は私……お父さんを捜してるんです」
男「ほう?」
女後輩「お父さんは刑事で、特にコンビニ強盗を捕まえるのが得意だったんです」
女後輩「だけど、行方が分からなくなってしまって……」
女後輩「それでこうしてコンビニで働いてれば、見つかるかな……って思って」
男「なるほど、雲をつかむような話だな」
女後輩「……ですよね」
男「だがいいじゃねえか……雲をつかむ! つかんだ雲で綿菓子を作ってやろうぜ!」
女後輩「……はい!」
……
中年「年齢確認!? 何故わざわざそんなものせねばならん!?」
女後輩「ですが決まりですので、ボタンを……」
中年「私のどこが未成年なんだね!? ええ!? 青春18きっぷで旅行するように見えるかね!?」
女後輩「す、すみません……」グスッ
男「お客さん」ッシャアセェェェ
中年「なんだね!?」
男「若い女の子にいちゃもんつけて泣かせる姿――なかなか青春してて嫌いじゃないぜ」
中年「そ、そうかね?」ドキッ…
男「だが、郷に入っては郷に従え、だ……。年齢確認ボタンをポチッと頼むぜ」
中年「はうぅっ!」ドキーン
中年「押します押します!」ポチポチポチポチポチ
男「フッ、いい子だ」
女後輩「ありがとうございました、先輩!」
男「気にすんな」
男「コンビニってのは一種のカオス空間だ。時にはああいうちょいとロックな客もいる」
男「もし困ったことがあったらすぐ俺を頼れ」
女後輩「は、はいっ!」
老人「ほっほっほ」
女後輩「いらっしゃ――しゃあせぇぇっ!」
老人「ほっほっほ、元気のいいお嬢さんじゃ。タバコ……マルボロをいただこうかの」
女後輩「分かりました! お手数ですが、年齢確認ボタンを押して下さい!」
老人「かまわんよ」スッ
男「――待ちな」ッシャアセェェェ
老人「なんじゃ?」
男「身分証出しな。でなきゃアンタにタバコは売れねえ」
老人「なにを言っとる? なんでそんなもんが必要なんじゃ?」
男「いいから出せよ。免許証でもいい保険証でもいい、今流行りのマイナンバーでもいい」
男「出せないなら、この話はここで終わりだ」
老人「なんじゃと!? 貴様、ワシを愚弄しておるのか!?」
女後輩「そ、そうですよ! この人どう見てもおじいさんじゃないですか!」
男「クッ、クククッ……おじいさん、おじいさん、ねえ」
女後輩「?」
男「大したメイクだが、俺の目はごまかせねえよ、若造」
男「いや――お嬢ちゃん」
老人「!」ピクッ
老人「フッ……フハハハハハッ……」グイッ
ベリベリィッ!
少女「よくぞ見破ったわね!」
男「だてに長年コンビニ店員やってねえよ」ッシャアセェェェ
女後輩「あれえええええっ!?」
少女「――で、どうすんの? タバコを買おうとした非行少女って親に突き出す?」
男「んなことしやしねえさ」
少女「え?」
男「ほれ、ココアシガレット」スッ…
少女「!」
男「ほのかなハッカな香りが……マルボロにも劣らないクールさをお前にプレゼントしてくれるぜ」
男「30円で味わえる、上質なひと時ってやつさ」
少女「!」キューン
少女「今日は……あたしの負けにしといたげる!」ポリポリ
少女「だけどこれであたしに勝ったなんて思わないことね!」ポリポリ
男「もちろんさ。またのご来店、待ってるぜ!」アリアシタァァァ
女後輩「あ、ありあしたぁっ!」
……
男「ッシャアセェェェ」
女後輩「っしゃあせー!」
大男「おうねえちゃん、トイレ借りるぜ」ズイッ
女後輩「はい、どうぞ」
大男「…………」ニヤッ
男「あっ、ダメだ!」
女後輩「えっ!?」
大男「もう遅いッ!」
メキメキィッ!
大男「フハハハッ! トイレの便器を“丸ごと”借りるぜぇ!」ヒョイッ
女後輩「あれえええっ……!?」
男「やられたか……」
女後輩「なんとか止められないんですか!? こんなの泥棒じゃないですか!」
男「いや……あいつの『トイレ借りるぜ』に対し、お前は『どうぞ』と答えてしまった」
男「この時点で、両者の間には契約が成立する」
男「あの大男、あの巨体で法の網を巧妙にかいくぐりやがった……!」
女後輩「そんなぁ……」
女後輩「すみません、先輩……!」
女後輩「私のせいで、このコンビニからトイレがなくなってしまいました!」
男「なくなっちまったもんはしょうがねえ。気にすんな」
女後輩「でも……」
男「なぁに……心配すんな。奴にあのトイレを使いこなすことはできねえさ」
<外>
大男「ふぅ……スッキリしたぜ」
大男「トイレをいただいちまえば、こうしていつでも用を足せるってもんよ!」グイッ
大男「あ、あれ……?」グイッグイッ
大男「いくらレバーをひいても水が出ねえ!」グイッグイッ
大男「流れてくれよぉ! ニオイがどんどんあふれてきちゃうぅ!」グイッグイッ
大男「なんでだぁっ!? なんで流れねえんだぁっ!?」グイッグイッ
男「当たり前だろ」
大男「! ――お前はさっきのコンビニの……!」
男「トイレってのも、ちゃんと生きてるんだ」
男「若い女だましてトイレをかっぱらおうとする野郎のいうことなんざ、聞いちゃくれねえよ」グイッ
ジャアァァァァァァ…
大男(水が流れた……っ!)
男「もう分かったろ? 腕力だけじゃトイレはついてきちゃくれねぇのさ。女と同じだな」
大男「うう……」
男「トイレ……返してくれるかい?」
大男「……はい」
男「トイレのご返却、アリアシタァァァ!」
……
<コンビニ>
男「うーん……」
女後輩「どうしました、先輩?」
男「いや、あそこの客……さっきからずっと立ち読みしてるからさ」
青年「ジャンプは面白いなぁ」ハハハッ
男「彼、いっつも買わずに出てっちゃうんだよな」
女後輩「まあいいじゃないですか、害があるわけでもないですし」
男「そうだけどさ、読み方もあんまりキレイじゃないし……」
青年「マガジンも面白いなぁ」ヒヒヒッ
青年「サンデーも面白いなぁ」フフフッ
青年「チャンピオンは……読まなくていいか」
女後輩「――おい、ちょっと待て」
男「へ?」
女後輩「お客様……」
青年「はい?」
女後輩「ちょっと事務所まで来ていただけますか」ガシッ
青年「え、どうして?」
女後輩「いいから来いッッッ!!!」
青年「たっ、助けっ! や、やめてっ! ぐぎゃぁぁぁぁぁ……!」
男(あの子、チャンピオン派だったのか……)
……
男「ご苦労さん、今日はもう上がっていいよ」
女後輩「はいっ! ありがとうございました!」
男「今日はお前のお父さん見つからなかったけど……いつか見つかる日がやってくるさ」
女後輩「そうですね――」
ウイーン……
コンビニエンスストアに一人の客が訪れた。
頭にはフルフェイスヘルメットを被り、服装は黒い上下のライダースーツ。
そして、右手に握られているおそらくは購入したてであろう出刃包丁――
この男が何者か、それは誰の目にも明らかであった。
女後輩「仮面ライダー板前!?」
男「惜しい、強盗だ」
女後輩「先輩……どうしましょう!?」ガタガタ…
男「下がってな」
男「ご用件は?」ッシャアセェェェ
強盗「金を出せ」ギラッ…
男「あいにくウチの店に、包丁を突きつけながら話をするような輩にやる金はねえよ」
強盗「なら、力ずくで出させてやるまでだ」
男「……来な」
強盗「はああっ!」ビュオッ
男「…………!」サッ
強盗「ぬうんっ!」ビュアッ
男「――くっ!」サッ
強盗「なかなかの動きだが、よけるだけでは私は倒せんぞ!」ビュオッ
女後輩(あの強盗、素早い! しかも首や腹といった急所を的確に狙ってる!)
女後輩(どんなお客でも何とかしそうだった先輩が、手も足も出ないなんて!)
男「ぐっ……!」
女後輩「先輩、大丈夫ですか!? 警察呼びましょう! 119番!」
強盗「119は救急車だ」
女後輩「あれえええっ!?」
男「いや……119でいいぜ。なぜならこの強盗さんに必要だからな」
女後輩「か、かっこいい……!」ドキーン
強盗「面白い冗談だ」
女後輩「だけど先輩、勝つ見込みあるんですか!?」
男「もちろんさ」
男(店長、今こそ『コンビニ戦闘術』使わせてもらいます!)
コンビニ戦闘術とは――
文字通り、コンビニエンスストアにおける戦闘術のことである。
コンビニの店員は、いざという時に店にある物品で戦うことを公式に認められている。
2015年にセブンイレブンの店員が、おでんで猟銃を持った強盗を撃退した事件は記憶に新しい。
男「いくぜっ!」プッシャァァァァァ
強盗「ぐわっ!?」
女後輩(炭酸飲料を噴き出させて、強盗の視界をふさいだ!)
強盗「くっ……奴はどこだ!? どこへいった!?」キョロキョロ
スッ……
強盗「そこかっ!?」ブンッ
スパッ!
強盗「ち、違う! 紙だ! ――奴め、コピー機で自分の分身を作りやがった!」
???「お取引を選択して下さい」
強盗「そこかっ!」ザクッ
ATM「残念、今のはオレの声だ」ニヤッ
強盗「ATMだと!?」
女後輩(先輩、すごい! 強盗を完全に翻弄してる!)
男「強盗さんよ……俺はこっちだッ!」ブオンッ
バキィッ!!!
強盗「ぐはぁっ!」ドザァッ
女後輩(先輩のパンチで強盗のヘルメットが取れて、素顔が明らかに――)
女後輩「この顔は……あれええええ!? ――おっ、お父さん!?」
強盗「うう……っ!」
男「なんだと……!?」
女後輩「お父さん……どうして!? どうして強盗なんか……」
強盗「娘よ……私は……私は、あいつに操られて……」
女後輩「操られたって……誰に!?」
男「――危ない!」サッ
ドゴォッ!!!
男「ぐおっ!?」ミシッ…
フルフェイスヘルメット「オレだよ」
フルフェイスヘルメット「今の体当たり、結構効いただろ? クックック……」
男「お前が……黒幕か!」ッシャアセェェェ
フルフェイスヘルメット「そうだ」
フルフェイスヘルメット「オレがその人間の意識を乗っ取って、このコンビニで強盗させようとしたのさ」
女後輩「どうして……!? どうして、そんなひどいことを!?」
フルフェイスヘルメット「分かんねえのか!?」
女後輩「!」ビクッ
フルフェイスヘルメット「だってお前たちコンビニはオレを追い出したじゃねえか!」
フルフェイスヘルメット「オレを“悪”と認定したじゃねえかっ!」
フルフェイスヘルメット「オレはなんにも悪いことしてねえのに――」
フルフェイスヘルメット「“フルフェイスヘルメット着用ではご入店できません”だと!?」
フルフェイスヘルメット「お前らに分かるか!? 門前払いにされるオレの気持ちが!」
フルフェイスヘルメット「強盗七つ道具の一つ、みたいな立ち位置にされたオレの気持ちが!」
フルフェイスヘルメット「オレは悲しみと怒りのあまり、ついに呪いのヘルメットに生まれ変わった!」
フルフェイスヘルメット「そして、正義感の強そうなその人間がオレの悪の気をかぎつけてきたから」
フルフェイスヘルメット「逆に意識を乗っ取って、コンビニ強盗させることにしたのさ!」
男「そうだったのか……」
フルフェイスヘルメット「どうだ!? なにか弁明はあるか!?」
男「……何もねえよ」
男「お前たちフルフェイスヘルメットを顔を隠すための道具として悪用したのは、俺たち人間だ」
男「言い訳なんかしようがねえ」
フルフェイスヘルメット「ぐっ……急にしおらしくなりやがって」
男「だから俺には――」スッ…
男「こうしてお前を抱きしめることしかできねえ」ギュウッ…
フルフェイスヘルメット「!」
男「ごめんな……フルフェイスヘルメット」ギュゥ…
男「お前をそこまで追い詰めちまったのは……俺たち人間だ」ギュゥ…
フルフェイスヘルメット「ううう……」
フルフェイスヘルメット(ああ……ドス黒いオレの心が、浄化されていく……)
フルフェイスヘルメット(どんなに憎んでも満たされなかった心が、満たされていく……)
フルフェイスヘルメット(ありが、とう……)シュゥゥゥ…
……
女後輩「お父さん、大丈夫?」
強盗「ああ、大丈夫だ……。しかし、私は取り返しのつかないことをした」
強盗「私はあのヘルメットの悪の心こそ見抜いたものの、悲しみを見逃してしまった」
強盗「だから、こうして操られて強盗をしでかすことになってしまった」
強盗「店員さん……どうか私を警察に――」
男「警察? なにいってんだ、アンタ」
強盗「え?」
男「このコンビニに“強盗さん”なんて来なかった」
男「来たのは……娘想いの“お父さん”だけ、だぜ」
女後輩「先輩……!」
強盗「ありがとうございます……!」
……
男(――こうして俺の長すぎる一日は終わった)
男(結局俺は、強盗なんか来てないのに『コンビニ戦闘術』を使ったことになったから)
男(店長からはこっぴどく怒られた。ま、当然だな)
男(だけど、店長のやつ――)
『“強盗さん”と“お父さん”はちょっとムリがあるんじゃないか?』ニヤッ
男(本当は全部分かってるんじゃなかろうか。食えないオヤジだ)チッ
男(そして、後輩はというと、すでに父を捜すという目的は果たしたんだ)
男(明日からはもうこのコンビニには来ないだろう)
男(一日だけの後輩だったが、なかなかいい娘だったぜ……)
……
翌日――
<コンビニ>
男「――って、なんでまた出勤してきたんだよ!?」
女後輩「ひどいですね、先輩。私、辞めるなんて一言もいってませんよ」
男「そういやそうだが……」
女後輩「それに私まだ、先輩みたいな“一流のコンビニ店員”になれてませんから」
女後輩「引き続き、ご指導のほどよろしくお願いしますっ!」ペコッ
男「……やれやれ、足手まといが増えちまったぜ」
女後輩「先輩ったら、素直じゃないんですから!」
フルフェイスヘルメット「ボクもいるよ!」ピョンピョン
男「おう、期待してるぜ」
女後輩「よろしくね、メット君!」
フルフェイスヘルメット「ボク悪いフルフェイスヘルメットじゃないよ!」ピョンピョン
ウイーン……
男「お、お客だ。準備はいいか?」
女後輩「はいっ!」
男「せーの……」
ッシャアセェェェ
<おわり>
元スレ
女後輩「でも、私としては……やっぱりちゃんと“いらっしゃいませ”って言いたいです」
男「ふうん……じゃあやってみな」
女後輩「えっ?」
男「次、客が来たら、はっきりと“いらっしゃいませ”って言ってみるといい」
女後輩「いいんですか?」
男「ああ」
女後輩「分かりました! 私、やります!」
4: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/03/12(土) 16:35:38.111 ID:yLtp3AxN0.net
ウイーン……
客A「お茶とコーヒーでも買ってくか」
客B「んだな」
女後輩「いらっしゃいませー!」
7: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/03/12(土) 16:37:34.138 ID:yLtp3AxN0.net
客A「んだよ……なんか白けちゃったな」クルッ
客B「ああ、帰ろうぜ」クルッ
女後輩「あれえええええ!?」
男「な?」
11: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/03/12(土) 16:41:31.770 ID:yLtp3AxN0.net
男「札幌へ旅行する人間が時計台を期待するように――」
男「エジプトに行く人間がピラミッドを期待するように――」
男「日本に来る外国人がサムライゲイシャを期待するように――」
男「コンビニに来る客ってのも、ッシャアセェェェを期待してるってことなんだ」
男「ハキハキ挨拶しちまうと、お客の期待を裏切っちまうことになるんだな」
男「だからコンビニ店員はッシャアセェェェで挨拶しなきゃならねえのさ」
女後輩「な、なるほど……」
14: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/03/12(土) 16:45:50.805 ID:yLtp3AxN0.net
男「慣れれば、こうして普通に話しながらでもッシャアセェェェできるようになる」ッシャアセェェェ
男「ほれ」ッシャアセェェェ
男「こんな具合に」ッシャアセェェェ
男「よっと」ッシャアセェェェ
女後輩「すっごーい! さすがプロですね!」
男「店長なんか、寝ながらでもッシャアセェェェできるぞ」
15: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/03/12(土) 16:49:16.364 ID:yLtp3AxN0.net
男「ところでお前さんは、どうしてコンビニ店員に?」
女後輩「実は私……お父さんを捜してるんです」
男「ほう?」
女後輩「お父さんは刑事で、特にコンビニ強盗を捕まえるのが得意だったんです」
女後輩「だけど、行方が分からなくなってしまって……」
女後輩「それでこうしてコンビニで働いてれば、見つかるかな……って思って」
男「なるほど、雲をつかむような話だな」
女後輩「……ですよね」
男「だがいいじゃねえか……雲をつかむ! つかんだ雲で綿菓子を作ってやろうぜ!」
女後輩「……はい!」
19: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/03/12(土) 16:53:27.045 ID:yLtp3AxN0.net
……
中年「年齢確認!? 何故わざわざそんなものせねばならん!?」
女後輩「ですが決まりですので、ボタンを……」
中年「私のどこが未成年なんだね!? ええ!? 青春18きっぷで旅行するように見えるかね!?」
女後輩「す、すみません……」グスッ
男「お客さん」ッシャアセェェェ
20: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/03/12(土) 16:56:47.581 ID:yLtp3AxN0.net
中年「なんだね!?」
男「若い女の子にいちゃもんつけて泣かせる姿――なかなか青春してて嫌いじゃないぜ」
中年「そ、そうかね?」ドキッ…
男「だが、郷に入っては郷に従え、だ……。年齢確認ボタンをポチッと頼むぜ」
中年「はうぅっ!」ドキーン
中年「押します押します!」ポチポチポチポチポチ
男「フッ、いい子だ」
22: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/03/12(土) 16:59:36.037 ID:yLtp3AxN0.net
女後輩「ありがとうございました、先輩!」
男「気にすんな」
男「コンビニってのは一種のカオス空間だ。時にはああいうちょいとロックな客もいる」
男「もし困ったことがあったらすぐ俺を頼れ」
女後輩「は、はいっ!」
老人「ほっほっほ」
24: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/03/12(土) 17:03:00.821 ID:yLtp3AxN0.net
女後輩「いらっしゃ――しゃあせぇぇっ!」
老人「ほっほっほ、元気のいいお嬢さんじゃ。タバコ……マルボロをいただこうかの」
女後輩「分かりました! お手数ですが、年齢確認ボタンを押して下さい!」
老人「かまわんよ」スッ
男「――待ちな」ッシャアセェェェ
28: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/03/12(土) 17:06:49.889 ID:yLtp3AxN0.net
老人「なんじゃ?」
男「身分証出しな。でなきゃアンタにタバコは売れねえ」
老人「なにを言っとる? なんでそんなもんが必要なんじゃ?」
男「いいから出せよ。免許証でもいい保険証でもいい、今流行りのマイナンバーでもいい」
男「出せないなら、この話はここで終わりだ」
老人「なんじゃと!? 貴様、ワシを愚弄しておるのか!?」
女後輩「そ、そうですよ! この人どう見てもおじいさんじゃないですか!」
30: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/03/12(土) 17:09:31.028 ID:yLtp3AxN0.net
男「クッ、クククッ……おじいさん、おじいさん、ねえ」
女後輩「?」
男「大したメイクだが、俺の目はごまかせねえよ、若造」
男「いや――お嬢ちゃん」
老人「!」ピクッ
老人「フッ……フハハハハハッ……」グイッ
31: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/03/12(土) 17:12:30.226 ID:yLtp3AxN0.net
ベリベリィッ!
少女「よくぞ見破ったわね!」
男「だてに長年コンビニ店員やってねえよ」ッシャアセェェェ
女後輩「あれえええええっ!?」
36: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/03/12(土) 17:17:15.629 ID:yLtp3AxN0.net
少女「――で、どうすんの? タバコを買おうとした非行少女って親に突き出す?」
男「んなことしやしねえさ」
少女「え?」
男「ほれ、ココアシガレット」スッ…
少女「!」
男「ほのかなハッカな香りが……マルボロにも劣らないクールさをお前にプレゼントしてくれるぜ」
男「30円で味わえる、上質なひと時ってやつさ」
少女「!」キューン
37: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/03/12(土) 17:20:13.631 ID:yLtp3AxN0.net
少女「今日は……あたしの負けにしといたげる!」ポリポリ
少女「だけどこれであたしに勝ったなんて思わないことね!」ポリポリ
男「もちろんさ。またのご来店、待ってるぜ!」アリアシタァァァ
女後輩「あ、ありあしたぁっ!」
41: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/03/12(土) 17:24:31.076 ID:yLtp3AxN0.net
……
男「ッシャアセェェェ」
女後輩「っしゃあせー!」
大男「おうねえちゃん、トイレ借りるぜ」ズイッ
女後輩「はい、どうぞ」
大男「…………」ニヤッ
男「あっ、ダメだ!」
女後輩「えっ!?」
大男「もう遅いッ!」
44: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/03/12(土) 17:27:14.629 ID:yLtp3AxN0.net
メキメキィッ!
大男「フハハハッ! トイレの便器を“丸ごと”借りるぜぇ!」ヒョイッ
女後輩「あれえええっ……!?」
男「やられたか……」
47: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/03/12(土) 17:30:31.954 ID:yLtp3AxN0.net
女後輩「なんとか止められないんですか!? こんなの泥棒じゃないですか!」
男「いや……あいつの『トイレ借りるぜ』に対し、お前は『どうぞ』と答えてしまった」
男「この時点で、両者の間には契約が成立する」
男「あの大男、あの巨体で法の網を巧妙にかいくぐりやがった……!」
女後輩「そんなぁ……」
49: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/03/12(土) 17:34:24.635 ID:yLtp3AxN0.net
女後輩「すみません、先輩……!」
女後輩「私のせいで、このコンビニからトイレがなくなってしまいました!」
男「なくなっちまったもんはしょうがねえ。気にすんな」
女後輩「でも……」
男「なぁに……心配すんな。奴にあのトイレを使いこなすことはできねえさ」
51: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/03/12(土) 17:37:28.769 ID:yLtp3AxN0.net
<外>
大男「ふぅ……スッキリしたぜ」
大男「トイレをいただいちまえば、こうしていつでも用を足せるってもんよ!」グイッ
大男「あ、あれ……?」グイッグイッ
大男「いくらレバーをひいても水が出ねえ!」グイッグイッ
大男「流れてくれよぉ! ニオイがどんどんあふれてきちゃうぅ!」グイッグイッ
大男「なんでだぁっ!? なんで流れねえんだぁっ!?」グイッグイッ
55: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/03/12(土) 17:41:14.238 ID:yLtp3AxN0.net
男「当たり前だろ」
大男「! ――お前はさっきのコンビニの……!」
男「トイレってのも、ちゃんと生きてるんだ」
男「若い女だましてトイレをかっぱらおうとする野郎のいうことなんざ、聞いちゃくれねえよ」グイッ
ジャアァァァァァァ…
大男(水が流れた……っ!)
56: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/03/12(土) 17:45:29.384 ID:yLtp3AxN0.net
男「もう分かったろ? 腕力だけじゃトイレはついてきちゃくれねぇのさ。女と同じだな」
大男「うう……」
男「トイレ……返してくれるかい?」
大男「……はい」
男「トイレのご返却、アリアシタァァァ!」
60: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/03/12(土) 17:50:05.874 ID:yLtp3AxN0.net
……
<コンビニ>
男「うーん……」
女後輩「どうしました、先輩?」
男「いや、あそこの客……さっきからずっと立ち読みしてるからさ」
青年「ジャンプは面白いなぁ」ハハハッ
61: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/03/12(土) 17:53:20.282 ID:yLtp3AxN0.net
男「彼、いっつも買わずに出てっちゃうんだよな」
女後輩「まあいいじゃないですか、害があるわけでもないですし」
男「そうだけどさ、読み方もあんまりキレイじゃないし……」
青年「マガジンも面白いなぁ」ヒヒヒッ
青年「サンデーも面白いなぁ」フフフッ
62: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/03/12(土) 17:56:08.930 ID:yLtp3AxN0.net
青年「チャンピオンは……読まなくていいか」
女後輩「――おい、ちょっと待て」
男「へ?」
70: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/03/12(土) 17:59:50.490 ID:yLtp3AxN0.net
女後輩「お客様……」
青年「はい?」
女後輩「ちょっと事務所まで来ていただけますか」ガシッ
青年「え、どうして?」
女後輩「いいから来いッッッ!!!」
72: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/03/12(土) 18:01:32.376 ID:yLtp3AxN0.net
青年「たっ、助けっ! や、やめてっ! ぐぎゃぁぁぁぁぁ……!」
男(あの子、チャンピオン派だったのか……)
73: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/03/12(土) 18:05:49.617 ID:yLtp3AxN0.net
……
男「ご苦労さん、今日はもう上がっていいよ」
女後輩「はいっ! ありがとうございました!」
男「今日はお前のお父さん見つからなかったけど……いつか見つかる日がやってくるさ」
女後輩「そうですね――」
ウイーン……
77: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/03/12(土) 18:09:39.632 ID:yLtp3AxN0.net
コンビニエンスストアに一人の客が訪れた。
頭にはフルフェイスヘルメットを被り、服装は黒い上下のライダースーツ。
そして、右手に握られているおそらくは購入したてであろう出刃包丁――
この男が何者か、それは誰の目にも明らかであった。
女後輩「仮面ライダー板前!?」
男「惜しい、強盗だ」
78: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/03/12(土) 18:13:16.761 ID:yLtp3AxN0.net
女後輩「先輩……どうしましょう!?」ガタガタ…
男「下がってな」
男「ご用件は?」ッシャアセェェェ
強盗「金を出せ」ギラッ…
男「あいにくウチの店に、包丁を突きつけながら話をするような輩にやる金はねえよ」
強盗「なら、力ずくで出させてやるまでだ」
男「……来な」
81: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/03/12(土) 18:16:49.789 ID:yLtp3AxN0.net
強盗「はああっ!」ビュオッ
男「…………!」サッ
強盗「ぬうんっ!」ビュアッ
男「――くっ!」サッ
強盗「なかなかの動きだが、よけるだけでは私は倒せんぞ!」ビュオッ
女後輩(あの強盗、素早い! しかも首や腹といった急所を的確に狙ってる!)
女後輩(どんなお客でも何とかしそうだった先輩が、手も足も出ないなんて!)
83: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/03/12(土) 18:19:53.283 ID:yLtp3AxN0.net
男「ぐっ……!」
女後輩「先輩、大丈夫ですか!? 警察呼びましょう! 119番!」
強盗「119は救急車だ」
女後輩「あれえええっ!?」
男「いや……119でいいぜ。なぜならこの強盗さんに必要だからな」
女後輩「か、かっこいい……!」ドキーン
強盗「面白い冗談だ」
女後輩「だけど先輩、勝つ見込みあるんですか!?」
男「もちろんさ」
男(店長、今こそ『コンビニ戦闘術』使わせてもらいます!)
86: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/03/12(土) 18:24:09.267 ID:yLtp3AxN0.net
コンビニ戦闘術とは――
文字通り、コンビニエンスストアにおける戦闘術のことである。
コンビニの店員は、いざという時に店にある物品で戦うことを公式に認められている。
2015年にセブンイレブンの店員が、おでんで猟銃を持った強盗を撃退した事件は記憶に新しい。
男「いくぜっ!」プッシャァァァァァ
強盗「ぐわっ!?」
女後輩(炭酸飲料を噴き出させて、強盗の視界をふさいだ!)
87: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/03/12(土) 18:29:21.343 ID:yLtp3AxN0.net
強盗「くっ……奴はどこだ!? どこへいった!?」キョロキョロ
スッ……
強盗「そこかっ!?」ブンッ
スパッ!
強盗「ち、違う! 紙だ! ――奴め、コピー機で自分の分身を作りやがった!」
???「お取引を選択して下さい」
強盗「そこかっ!」ザクッ
ATM「残念、今のはオレの声だ」ニヤッ
強盗「ATMだと!?」
女後輩(先輩、すごい! 強盗を完全に翻弄してる!)
94: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/03/12(土) 18:35:02.587 ID:yLtp3AxN0.net
男「強盗さんよ……俺はこっちだッ!」ブオンッ
バキィッ!!!
強盗「ぐはぁっ!」ドザァッ
女後輩(先輩のパンチで強盗のヘルメットが取れて、素顔が明らかに――)
97: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/03/12(土) 18:38:58.953 ID:yLtp3AxN0.net
女後輩「この顔は……あれええええ!? ――おっ、お父さん!?」
強盗「うう……っ!」
男「なんだと……!?」
女後輩「お父さん……どうして!? どうして強盗なんか……」
強盗「娘よ……私は……私は、あいつに操られて……」
女後輩「操られたって……誰に!?」
男「――危ない!」サッ
ドゴォッ!!!
男「ぐおっ!?」ミシッ…
フルフェイスヘルメット「オレだよ」
102: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/03/12(土) 18:43:58.536 ID:yLtp3AxN0.net
フルフェイスヘルメット「今の体当たり、結構効いただろ? クックック……」
男「お前が……黒幕か!」ッシャアセェェェ
フルフェイスヘルメット「そうだ」
フルフェイスヘルメット「オレがその人間の意識を乗っ取って、このコンビニで強盗させようとしたのさ」
女後輩「どうして……!? どうして、そんなひどいことを!?」
フルフェイスヘルメット「分かんねえのか!?」
女後輩「!」ビクッ
フルフェイスヘルメット「だってお前たちコンビニはオレを追い出したじゃねえか!」
フルフェイスヘルメット「オレを“悪”と認定したじゃねえかっ!」
107: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/03/12(土) 18:48:35.705 ID:yLtp3AxN0.net
フルフェイスヘルメット「オレはなんにも悪いことしてねえのに――」
フルフェイスヘルメット「“フルフェイスヘルメット着用ではご入店できません”だと!?」
フルフェイスヘルメット「お前らに分かるか!? 門前払いにされるオレの気持ちが!」
フルフェイスヘルメット「強盗七つ道具の一つ、みたいな立ち位置にされたオレの気持ちが!」
フルフェイスヘルメット「オレは悲しみと怒りのあまり、ついに呪いのヘルメットに生まれ変わった!」
フルフェイスヘルメット「そして、正義感の強そうなその人間がオレの悪の気をかぎつけてきたから」
フルフェイスヘルメット「逆に意識を乗っ取って、コンビニ強盗させることにしたのさ!」
男「そうだったのか……」
フルフェイスヘルメット「どうだ!? なにか弁明はあるか!?」
男「……何もねえよ」
109: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/03/12(土) 18:51:39.072 ID:yLtp3AxN0.net
男「お前たちフルフェイスヘルメットを顔を隠すための道具として悪用したのは、俺たち人間だ」
男「言い訳なんかしようがねえ」
フルフェイスヘルメット「ぐっ……急にしおらしくなりやがって」
男「だから俺には――」スッ…
男「こうしてお前を抱きしめることしかできねえ」ギュウッ…
フルフェイスヘルメット「!」
114: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/03/12(土) 18:55:10.232 ID:yLtp3AxN0.net
男「ごめんな……フルフェイスヘルメット」ギュゥ…
男「お前をそこまで追い詰めちまったのは……俺たち人間だ」ギュゥ…
フルフェイスヘルメット「ううう……」
フルフェイスヘルメット(ああ……ドス黒いオレの心が、浄化されていく……)
フルフェイスヘルメット(どんなに憎んでも満たされなかった心が、満たされていく……)
フルフェイスヘルメット(ありが、とう……)シュゥゥゥ…
115: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/03/12(土) 19:00:14.712 ID:yLtp3AxN0.net
……
女後輩「お父さん、大丈夫?」
強盗「ああ、大丈夫だ……。しかし、私は取り返しのつかないことをした」
強盗「私はあのヘルメットの悪の心こそ見抜いたものの、悲しみを見逃してしまった」
強盗「だから、こうして操られて強盗をしでかすことになってしまった」
強盗「店員さん……どうか私を警察に――」
男「警察? なにいってんだ、アンタ」
強盗「え?」
男「このコンビニに“強盗さん”なんて来なかった」
男「来たのは……娘想いの“お父さん”だけ、だぜ」
女後輩「先輩……!」
強盗「ありがとうございます……!」
119: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/03/12(土) 19:04:12.083 ID:yLtp3AxN0.net
……
男(――こうして俺の長すぎる一日は終わった)
男(結局俺は、強盗なんか来てないのに『コンビニ戦闘術』を使ったことになったから)
男(店長からはこっぴどく怒られた。ま、当然だな)
男(だけど、店長のやつ――)
『“強盗さん”と“お父さん”はちょっとムリがあるんじゃないか?』ニヤッ
男(本当は全部分かってるんじゃなかろうか。食えないオヤジだ)チッ
男(そして、後輩はというと、すでに父を捜すという目的は果たしたんだ)
男(明日からはもうこのコンビニには来ないだろう)
男(一日だけの後輩だったが、なかなかいい娘だったぜ……)
……
123: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/03/12(土) 19:08:52.531 ID:yLtp3AxN0.net
翌日――
<コンビニ>
男「――って、なんでまた出勤してきたんだよ!?」
女後輩「ひどいですね、先輩。私、辞めるなんて一言もいってませんよ」
男「そういやそうだが……」
女後輩「それに私まだ、先輩みたいな“一流のコンビニ店員”になれてませんから」
女後輩「引き続き、ご指導のほどよろしくお願いしますっ!」ペコッ
男「……やれやれ、足手まといが増えちまったぜ」
女後輩「先輩ったら、素直じゃないんですから!」
フルフェイスヘルメット「ボクもいるよ!」ピョンピョン
男「おう、期待してるぜ」
女後輩「よろしくね、メット君!」
フルフェイスヘルメット「ボク悪いフルフェイスヘルメットじゃないよ!」ピョンピョン
125: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/03/12(土) 19:12:21.383 ID:yLtp3AxN0.net
ウイーン……
男「お、お客だ。準備はいいか?」
女後輩「はいっ!」
男「せーの……」
ッシャアセェェェ
<おわり>
男「コンビニ店員の挨拶ってのはこうやるのさ」ッシャアセェェェ