1: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/05/17(木) 03:39:52.966 ID:jewl4faa0.net
不審者「うへへへ……」
少女「!」
不審者「お嬢ちゃん……おじちゃんと遊ばない?」
少女「いーよ!」
不審者「いやダメだって!」
少女「なんで?」
不審者「こんな怪しい人と遊んだら危ないよ! 知らない人にはついていくなって教わってるだろ!」
少女「えー? だけど、おじちゃんのこと知ってるし……」
不審者「いや、だから……」
ピピーッ!
2: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/05/17(木) 03:41:14.598 ID:jewl4faa0.net
警官「コラーッ! なにをやっている!」
不審者「ちっ、警官かよ。せっかくいいところだったのに」
警官「また子供に話しかけてたな? この不審者め! 今日こそ逮捕してやる!」
不審者「おっとそうはいかねえ! あばよ、お嬢ちゃん!」スタタタタッ
警官「待てーっ!」スタタタタッ
少女「じゃあねー!」
不審者「ふぅ……撒けた撒けた。あの警官もまだまだ甘いな」
主婦A「あら、あそこに不審者がいるわよぉ~」ヒソヒソ…
主婦B「やぁね~、ホント薄汚いんだから」ヒソヒソ…
主婦A「早いとこ逮捕して欲しいわよねぇ~」ヒソヒソ…
主婦B「この町のおまわりさん、若いからイマイチ頼りないし困ったものよ」ヒソヒソ…
不審者「……」
ガキ大将「おう、お前ら!」
手下「はいっ!」
子分「はいっす!」
ガキ大将「いつもいつも俺たちの小学校の近くに現れる、不審者のおっさんを俺たち三人でブッ倒すぞ!」
手下「やりましょう!」
子分「あのおっさんを倒せば、学校のヒーローになれるっすよ!」
ワーワー…
不審者「ん?」
ガキ大将「見つけたぜ!」
手下「今日こそやっつけてやる!」
子分「覚悟するっす!」
不審者「まーたお前らか。ほれ、かかってこいや」クイックイッ
ガキ大将「なめんじゃねえぞ、おっさん!」
ドドドドドッ
ガキ大将「おりゃあっ!」ブンッ
不審者「ほいっ」ヒョイッ
手下「でやっ!」ブンッ
不審者「ほいさっ」ヒョイッ
子分「だあっ!」ブンッ
不審者「あらよっ」ヒョイッ
ガキ大将「ち、ちくしょう……!」ゼェゼェ…
不審者「まだまだだなァ、ボウズども!」
眼鏡少年「あ、また不審者がいるよ」
地味娘「いつ見ても、知性を感じさせない顔つきね」
眼鏡少年「将来どんな大人になるにせよ、ああいう風にだけはなりたくないね」
地味娘「そのためにも勉強頑張りましょう」
スタスタ…
不審者「その意気だ! 頑張って東大にでも入れよーっ!」
不審者「……」スタスタ
「あっ! 不審者のおじちゃん!」
不審者(ん? 川の向こうから声が……)
少女「おじちゃーん!」
不審者「おお、こないだの……」
少女「今日も町を徘徊してるのー? ヒマだねー!」
不審者「まぁなー!」
少女「なんだったら、あたしが一緒に遊んであげよっか?」ヒョイッ
不審者「バカ! そんなに身を乗り出したら……」
ザバァンッ!
少女「きゃぁぁぁぁぁっ!」バシャバシャ
不審者「いわんこっちゃない!」バッ
ザブンッ!
不審者「うおおおおおおおおおおお!!!」ザブザブザブザブザブ…
少女「た、たずけ……」
不審者「キャッチ!」ガシッ
不審者「水を飲んでないか?」
少女「あ、ありがとう……」
不審者「いつもいつも、川には近づくなって教えてもらってるだろう!」
少女「ごめんなさい……」
不審者「分かればいいんだ」
少女「お礼に、あたしの宝物のメダルあげる!」サッ
不審者「……ありがとよ」ニコッ
ヒソヒソ…
主婦A「あら、不審者が子供を助けたわよ~! 雪でも降るのかしら? それとも雷?」
主婦B「自作自演じゃないの~? 自分で川に突き落として助けて……ってやつ」
ボソボソ…
警官「あの……」
不審者「おわっ! また俺を逮捕に来たのか!? いっとくけど、今のは――」
警官「いえ、僕は全て見ていました」
警官「川に落ちたあの女の子を、あなたは迷わず川に飛び込んで助けた……」
警官「警官である僕でも、あんな風にすぐ動けたかどうか……」
不審者「おだてるなよ。無鉄砲なだけさ」
警官「いや、思い当たるのは今回のことだけじゃないんです」
警官「たとえば、子供達に近づきつつ“怪しい奴には気をつけろ”と教えたり」
警官「ヒーロー気取りの子供たちを相手して運動させたり」
警官「反面教師として子供達が勉強するよう促したり……」
警官「あなたがやってきてから、この町の子供はよく運動や勉強するようになった、とも聞きます」
不審者「へえ、そうなのかい」
警官「これらのことを、あなたは狙ってやってるとしか思えない」
警官「あなたは誰です? 何者なんです?」
不審者「不審者だよ」
<交番>
警官(いくら問いただしても、はぐらかされてしまった……)
警官(こうなったら、署のコンピュータに問い合わせてみよう……)
警官(もしかしたら、なにか手がかりが……)カタカタ…
警官「――え!?」
その頃――
凶悪犯「……」
パシャッ パシャシャッ
記者「今、10人もの尊い命を奪った凶悪犯が、護送車に移される模様――」
凶悪犯「うおおおおおおおっ!!!」タタタタタッ
記者「あっ!?」
記者「逃げました! 凶悪犯が、一瞬のスキを突いて、逃げ出した模様です!」
ワーワーッ! キャーキャーッ!
警官「……あの」
不審者「お? また追いかけっこするか?」
警官「あれから、僕は――」ザザッ…
警官「ん? 無線だ……はい、なんでしょうか」
警官「えっ、10人殺しの凶悪犯がこの町に!?」
不審者「なんだと!?」
警官「ど、どうすれば……」アタフタ…
警官「とにかく、手当たり次第に走りまわって、凶悪犯を見つけないと……!」
不審者「落ち着け!」
警官「!」
不審者「慌てたってなんにもならん! この町を守りたければ、まずは落ち着くことだ!」
警官「は、はいっ!」
警官「やはり、あなたの正体は……」
不審者「……」
警官「失礼ですが、あなたの過去を調べさせてもらいました」
不審者「……」
警官「あなたはかつて、名刑事として凶悪な殺人鬼を追っていた」
警官「その途上、あなたはある町で不審者として有名になっている、ある男が犯人だとにらんだ」
警官「なぜなら、殺人現場の近くでその男はしょっちゅう目撃されているからだ」
警官「そしてある日、あなたはその男がエリート風の男と取っ組み合いになってるのを目撃した」
警官「あなたは当然、止めに入った」
刑事『何をやっている! 今日こそ逮捕してやるぞ、連続殺人鬼!』ガシッ
男『ぐえっ!』
エリート『ハァ、ハァ、ハァ……』
エリート『助かりましたよ、刑事さん』
刑事『うむ、こいつは現行犯で逮捕して、全て吐かせてやる』
エリート『こいつにつきまとわれてたおかげで、犯行がやりにくくなって困ってたんです』ニヤッ
刑事『え?』
男『刑事さん、あぶねえっ!』バッ
グサッ!
エリート『ちいっ! 刑事を刺すつもりが……!』
刑事『き、貴様ァァァッ!』
警官「その男はあなたをかばって死に……あなたは殺人鬼を逮捕した」
警官「男は犯人ではなかった。不審者独自の視点と捜査で犯人に目星をつけていただけだったんだ」
警官「連続殺人鬼を逮捕したあなたは、英雄として祭り上げられた」
警官「男を死なせてしまったとはいえ、所詮はただの不審者、その責任は問われなかった」
警官「むしろ、殺人鬼と不審者がまとめて消えて一石二鳥、なんて人もいたそうですね」
警官「しかしあなたは……どうしても自分を許せなかった」
警官「そして、あなたは刑事を辞め……やがて町を守る“不審者”になった」
警官「まるで、その男の遺志を継ごうとするかのように……」
警官「違いますか?」
不審者「悪いが、覚えてないな」
警官「……」
キャーッ!
警官「女の子の声!?」
不審者「すぐ向かうぞ!」ダッ
警官「は、はいっ!」ダッ
少女「いやぁぁぁ……!」
凶悪犯「ヒャッハーッ! どいつもこいつもブッ殺してやる!」
凶悪犯「どうせ俺は死刑なんだ……こうなったらハイスコアに挑戦してやる!」
凶悪犯「20人でも30人でも、ブッ殺してやらァ!」
警官「待て! 僕が相手だ!」タタタッ
不審者「おい、うかつに近づくな!」
凶悪犯「てめえみたいな青臭い警官に捕まるかよォ!」
バキィッ!
警官「ぐはっ!」ドサッ…
凶悪犯「ヒヒヒ……11人目はお嬢ちゃん、てめぇだァ!」グオッ
少女「いやぁぁぁっ!」
不審者「やめろっ!」バッ
ザクッ!
不審者「ぐっ……!」
少女「おじちゃーん!」
凶悪犯「おっと、11人目は小汚ねえおっさんか! 安心しな! お嬢ちゃんもすぐに――」
不審者「うおおおっ!」ガシッ
凶悪犯「うわっ!?」
凶悪犯「な、なんで!? たしかに胸を刺したはずなのに……」
不審者「うおりゃっ!」ブオンッ
凶悪犯「ぐはぁぁぁ……っ!」ドサッ…
不審者「さ、あとはお前さんの仕事だ」
警官「は、はいっ!」
少女「おじちゃん、大丈夫!?」
警官「すぐ救急車を……!」
不審者「いや、ケガはねえさ」
不審者「お嬢ちゃんがくれたこのメダルのおかげで……な!」サッ
少女「おじちゃん……!」
ワイワイ…
主婦A「あのおまわりさんが凶悪犯を逮捕したんですって! やるわねぇ~!」
主婦B「凶悪犯ったら、近くにいた不審者をやっちゃってくれればよかったのに……」
警官「……」
不審者「さて、俺は町の嫌われ者、そろそろ消えるか」クルッ
警官「あの……もういいんじゃないですか? もう不審者でいなくとも……」
不審者「最初は罪滅ぼしのつもりだった……だが、今の俺はこの暮らしが好きになっちまってね」
不審者「町のヒーローより、嫌われ者のが気楽だしよ」
不審者「俺は不審者さ……これまでも、そしてこれからもな!」
警官「分かりました……もう何もいいません。これからも町の平和を守って下さい!」
不審者「おう。いつか俺を捕まえてみせろよ」
少女「バイバイ、おじちゃーん!」
不審者「うへへへ……また遊ぼうな、お嬢ちゃん!」
― 完 ―
元スレ
警官「コラーッ! なにをやっている!」
不審者「ちっ、警官かよ。せっかくいいところだったのに」
警官「また子供に話しかけてたな? この不審者め! 今日こそ逮捕してやる!」
不審者「おっとそうはいかねえ! あばよ、お嬢ちゃん!」スタタタタッ
警官「待てーっ!」スタタタタッ
少女「じゃあねー!」
5: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/05/17(木) 03:42:04.932 ID:jewl4faa0.net
不審者「ふぅ……撒けた撒けた。あの警官もまだまだ甘いな」
主婦A「あら、あそこに不審者がいるわよぉ~」ヒソヒソ…
主婦B「やぁね~、ホント薄汚いんだから」ヒソヒソ…
主婦A「早いとこ逮捕して欲しいわよねぇ~」ヒソヒソ…
主婦B「この町のおまわりさん、若いからイマイチ頼りないし困ったものよ」ヒソヒソ…
不審者「……」
7: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/05/17(木) 03:43:19.804 ID:jewl4faa0.net
ガキ大将「おう、お前ら!」
手下「はいっ!」
子分「はいっす!」
ガキ大将「いつもいつも俺たちの小学校の近くに現れる、不審者のおっさんを俺たち三人でブッ倒すぞ!」
手下「やりましょう!」
子分「あのおっさんを倒せば、学校のヒーローになれるっすよ!」
8: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/05/17(木) 03:44:23.258 ID:jewl4faa0.net
ワーワー…
不審者「ん?」
ガキ大将「見つけたぜ!」
手下「今日こそやっつけてやる!」
子分「覚悟するっす!」
不審者「まーたお前らか。ほれ、かかってこいや」クイックイッ
ガキ大将「なめんじゃねえぞ、おっさん!」
ドドドドドッ
9: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/05/17(木) 03:45:24.177 ID:jewl4faa0.net
ガキ大将「おりゃあっ!」ブンッ
不審者「ほいっ」ヒョイッ
手下「でやっ!」ブンッ
不審者「ほいさっ」ヒョイッ
子分「だあっ!」ブンッ
不審者「あらよっ」ヒョイッ
ガキ大将「ち、ちくしょう……!」ゼェゼェ…
不審者「まだまだだなァ、ボウズども!」
11: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/05/17(木) 03:47:08.922 ID:jewl4faa0.net
眼鏡少年「あ、また不審者がいるよ」
地味娘「いつ見ても、知性を感じさせない顔つきね」
眼鏡少年「将来どんな大人になるにせよ、ああいう風にだけはなりたくないね」
地味娘「そのためにも勉強頑張りましょう」
スタスタ…
不審者「その意気だ! 頑張って東大にでも入れよーっ!」
14: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/05/17(木) 03:48:52.914 ID:jewl4faa0.net
不審者「……」スタスタ
「あっ! 不審者のおじちゃん!」
不審者(ん? 川の向こうから声が……)
15: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/05/17(木) 03:50:11.910 ID:jewl4faa0.net
少女「おじちゃーん!」
不審者「おお、こないだの……」
少女「今日も町を徘徊してるのー? ヒマだねー!」
不審者「まぁなー!」
少女「なんだったら、あたしが一緒に遊んであげよっか?」ヒョイッ
不審者「バカ! そんなに身を乗り出したら……」
16: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/05/17(木) 03:51:31.086 ID:jewl4faa0.net
ザバァンッ!
少女「きゃぁぁぁぁぁっ!」バシャバシャ
不審者「いわんこっちゃない!」バッ
ザブンッ!
不審者「うおおおおおおおおおおお!!!」ザブザブザブザブザブ…
少女「た、たずけ……」
不審者「キャッチ!」ガシッ
18: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/05/17(木) 03:52:52.497 ID:jewl4faa0.net
不審者「水を飲んでないか?」
少女「あ、ありがとう……」
不審者「いつもいつも、川には近づくなって教えてもらってるだろう!」
少女「ごめんなさい……」
不審者「分かればいいんだ」
少女「お礼に、あたしの宝物のメダルあげる!」サッ
不審者「……ありがとよ」ニコッ
ヒソヒソ…
主婦A「あら、不審者が子供を助けたわよ~! 雪でも降るのかしら? それとも雷?」
主婦B「自作自演じゃないの~? 自分で川に突き落として助けて……ってやつ」
ボソボソ…
20: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/05/17(木) 03:54:27.280 ID:jewl4faa0.net
警官「あの……」
不審者「おわっ! また俺を逮捕に来たのか!? いっとくけど、今のは――」
警官「いえ、僕は全て見ていました」
警官「川に落ちたあの女の子を、あなたは迷わず川に飛び込んで助けた……」
警官「警官である僕でも、あんな風にすぐ動けたかどうか……」
不審者「おだてるなよ。無鉄砲なだけさ」
警官「いや、思い当たるのは今回のことだけじゃないんです」
21: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/05/17(木) 03:56:09.886 ID:jewl4faa0.net
警官「たとえば、子供達に近づきつつ“怪しい奴には気をつけろ”と教えたり」
警官「ヒーロー気取りの子供たちを相手して運動させたり」
警官「反面教師として子供達が勉強するよう促したり……」
警官「あなたがやってきてから、この町の子供はよく運動や勉強するようになった、とも聞きます」
不審者「へえ、そうなのかい」
警官「これらのことを、あなたは狙ってやってるとしか思えない」
警官「あなたは誰です? 何者なんです?」
不審者「不審者だよ」
22: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/05/17(木) 03:58:04.776 ID:jewl4faa0.net
<交番>
警官(いくら問いただしても、はぐらかされてしまった……)
警官(こうなったら、署のコンピュータに問い合わせてみよう……)
警官(もしかしたら、なにか手がかりが……)カタカタ…
警官「――え!?」
25: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/05/17(木) 04:01:04.556 ID:jewl4faa0.net
その頃――
凶悪犯「……」
パシャッ パシャシャッ
記者「今、10人もの尊い命を奪った凶悪犯が、護送車に移される模様――」
凶悪犯「うおおおおおおおっ!!!」タタタタタッ
記者「あっ!?」
記者「逃げました! 凶悪犯が、一瞬のスキを突いて、逃げ出した模様です!」
ワーワーッ! キャーキャーッ!
27: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/05/17(木) 04:03:18.694 ID:jewl4faa0.net
警官「……あの」
不審者「お? また追いかけっこするか?」
警官「あれから、僕は――」ザザッ…
警官「ん? 無線だ……はい、なんでしょうか」
警官「えっ、10人殺しの凶悪犯がこの町に!?」
不審者「なんだと!?」
31: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/05/17(木) 04:05:16.704 ID:jewl4faa0.net
警官「ど、どうすれば……」アタフタ…
警官「とにかく、手当たり次第に走りまわって、凶悪犯を見つけないと……!」
不審者「落ち着け!」
警官「!」
不審者「慌てたってなんにもならん! この町を守りたければ、まずは落ち着くことだ!」
警官「は、はいっ!」
警官「やはり、あなたの正体は……」
不審者「……」
34: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/05/17(木) 04:09:06.304 ID:jewl4faa0.net
警官「失礼ですが、あなたの過去を調べさせてもらいました」
不審者「……」
警官「あなたはかつて、名刑事として凶悪な殺人鬼を追っていた」
警官「その途上、あなたはある町で不審者として有名になっている、ある男が犯人だとにらんだ」
警官「なぜなら、殺人現場の近くでその男はしょっちゅう目撃されているからだ」
警官「そしてある日、あなたはその男がエリート風の男と取っ組み合いになってるのを目撃した」
警官「あなたは当然、止めに入った」
刑事『何をやっている! 今日こそ逮捕してやるぞ、連続殺人鬼!』ガシッ
男『ぐえっ!』
エリート『ハァ、ハァ、ハァ……』
35: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/05/17(木) 04:10:25.744 ID:jewl4faa0.net
エリート『助かりましたよ、刑事さん』
刑事『うむ、こいつは現行犯で逮捕して、全て吐かせてやる』
エリート『こいつにつきまとわれてたおかげで、犯行がやりにくくなって困ってたんです』ニヤッ
刑事『え?』
男『刑事さん、あぶねえっ!』バッ
グサッ!
エリート『ちいっ! 刑事を刺すつもりが……!』
刑事『き、貴様ァァァッ!』
警官「その男はあなたをかばって死に……あなたは殺人鬼を逮捕した」
警官「男は犯人ではなかった。不審者独自の視点と捜査で犯人に目星をつけていただけだったんだ」
37: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/05/17(木) 04:13:01.368 ID:jewl4faa0.net
警官「連続殺人鬼を逮捕したあなたは、英雄として祭り上げられた」
警官「男を死なせてしまったとはいえ、所詮はただの不審者、その責任は問われなかった」
警官「むしろ、殺人鬼と不審者がまとめて消えて一石二鳥、なんて人もいたそうですね」
警官「しかしあなたは……どうしても自分を許せなかった」
警官「そして、あなたは刑事を辞め……やがて町を守る“不審者”になった」
警官「まるで、その男の遺志を継ごうとするかのように……」
警官「違いますか?」
不審者「悪いが、覚えてないな」
警官「……」
39: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/05/17(木) 04:15:04.678 ID:jewl4faa0.net
キャーッ!
警官「女の子の声!?」
不審者「すぐ向かうぞ!」ダッ
警官「は、はいっ!」ダッ
41: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/05/17(木) 04:18:17.202 ID:jewl4faa0.net
少女「いやぁぁぁ……!」
凶悪犯「ヒャッハーッ! どいつもこいつもブッ殺してやる!」
凶悪犯「どうせ俺は死刑なんだ……こうなったらハイスコアに挑戦してやる!」
凶悪犯「20人でも30人でも、ブッ殺してやらァ!」
警官「待て! 僕が相手だ!」タタタッ
不審者「おい、うかつに近づくな!」
42: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/05/17(木) 04:20:38.332 ID:jewl4faa0.net
凶悪犯「てめえみたいな青臭い警官に捕まるかよォ!」
バキィッ!
警官「ぐはっ!」ドサッ…
凶悪犯「ヒヒヒ……11人目はお嬢ちゃん、てめぇだァ!」グオッ
少女「いやぁぁぁっ!」
不審者「やめろっ!」バッ
ザクッ!
不審者「ぐっ……!」
少女「おじちゃーん!」
凶悪犯「おっと、11人目は小汚ねえおっさんか! 安心しな! お嬢ちゃんもすぐに――」
43: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/05/17(木) 04:23:10.145 ID:jewl4faa0.net
不審者「うおおおっ!」ガシッ
凶悪犯「うわっ!?」
凶悪犯「な、なんで!? たしかに胸を刺したはずなのに……」
不審者「うおりゃっ!」ブオンッ
凶悪犯「ぐはぁぁぁ……っ!」ドサッ…
不審者「さ、あとはお前さんの仕事だ」
警官「は、はいっ!」
45: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/05/17(木) 04:25:13.523 ID:jewl4faa0.net
少女「おじちゃん、大丈夫!?」
警官「すぐ救急車を……!」
不審者「いや、ケガはねえさ」
不審者「お嬢ちゃんがくれたこのメダルのおかげで……な!」サッ
少女「おじちゃん……!」
48: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/05/17(木) 04:28:21.983 ID:jewl4faa0.net
ワイワイ…
主婦A「あのおまわりさんが凶悪犯を逮捕したんですって! やるわねぇ~!」
主婦B「凶悪犯ったら、近くにいた不審者をやっちゃってくれればよかったのに……」
警官「……」
不審者「さて、俺は町の嫌われ者、そろそろ消えるか」クルッ
警官「あの……もういいんじゃないですか? もう不審者でいなくとも……」
不審者「最初は罪滅ぼしのつもりだった……だが、今の俺はこの暮らしが好きになっちまってね」
不審者「町のヒーローより、嫌われ者のが気楽だしよ」
49: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/05/17(木) 04:30:17.186 ID:jewl4faa0.net
不審者「俺は不審者さ……これまでも、そしてこれからもな!」
警官「分かりました……もう何もいいません。これからも町の平和を守って下さい!」
不審者「おう。いつか俺を捕まえてみせろよ」
少女「バイバイ、おじちゃーん!」
不審者「うへへへ……また遊ぼうな、お嬢ちゃん!」
― 完 ―
不審者「うへへへ……お嬢ちゃん、おじちゃんと遊ばない?」少女「いーよ!」不審者「いやダメだって!」
イメージすると意外と似合う気がする
若い警官が三番目の不審者になる
ラストかとおもったけどハッピーエンドで
良かった