1: 名無しさん@おーぷん 2018/07/26(木)18:41:20 ID:7s6
この物語は本編のこのすばと少し違ったストーリーで進みます。また、省かれる部分もあります。
プロローグ『佐藤和真、その死』
カズマ「ハッ!?」
医者「おっ、気が付かれましたか」
カズマ「えっ、ここは!??」
医者「病院ですよ、佐藤和真さん」
カズマ「病院って俺は確か、女性を助けようとしてトラックに轢かれたはず…」
医者「いえ、トラックではなく、正確にはトラクターですよ」
カズマ「へっ!?」
医者「説明しますとトラックに轢かれると思った貴方は、咄嗟に女性を助けるため突き飛ばした」
医者「はずでしたが、実はそれはトラクターで、トラクターは女性の前で止まりましたよ」
カズマ「はぁっ!?」
医者「そして、貴方はそのままトラックに轢かれたと勘違いし、気絶してしまったという訳です」
カズマ「マジですかっ!?」
2: 名無しさん@おーぷん 2018/07/26(木)18:49:00 ID:7s6
医者「本当です。それと佐藤さんが勘違いで突き飛ばされた女性は、拍子に骨折し、現在うちの病院で入院されてます」
カズマ「ほ、ほんとか、それは!?」
医者「ただいま、貴方のご両親が病室にお詫びに行っているようですが、佐藤さんも行かれた方がよろしいかと」
カズマ「分かった。で、その人の病室は一体、どこに?」
医者「ここを出まして……」
カズマ「うおおぉぉぉーーーーっ!?」ガラッ
医者「あっ、廊下は掃除したばかりですよ!? スリッパも履かずに、裸足で病室を出られたら危n」
ツルッ
カズマ「うおおあああぁぁーーーーーー!!?」
ズザザアアアアァァーーーーーーーーーーーーーーーー
カズマ「うおおおおおおぉぉぉぉーーーーーーーーー!!?」
スザザアァァーーーーーーーーーーーーー
カズマ「と、とまれえぇぇぇーーーーーー!!!」
キッキッキィィーーー
カズマ「ふぅ、やっと止まt」グッ
ツルリ
カズマ「えっ!?」
スッテン
ゴン!!!
タッタッタ
医者「はぁはぁ、佐藤さん、随分と長く廊下を滑ってましたが、大丈夫ですか!?」
カズマ「」
医者「あれ、佐藤さん?」
カズマ「」
医者「佐藤さーん?」
カズマ「」
医者「佐藤さん? ハッ、も、もしかして!?」タッタッタ
医者「死んでるううぅぅぅーーーーっ!!?」
カズマ「」
プロローグ『佐藤和真、その死』終わり
第一章『異世界に降り立つヘタレと駄女神』
カズマ「…………………ハッ!!」パチッ
カズマ「ど、どこだ、ここは!? 俺はさっきまで病院にいたはずじゃ…」
???「佐藤和真さん。ようこそ、死後の世界へ」
カズマ「へっ?」
???「あなたはつい先程、不幸にも亡くなりました。短い人生でしたが、あなたは死んだのです」フッ
カズマ「………………はぁっ!?」
カズマ「いやいや、それはおかしい!!だって俺はある事情で病院送りになって、それからなぜだか廊下を滑って、そんで大きくコケただけだろ!!」
カズマ「なんで死ななきゃならねぇんだよ!!!」
アクア「そのコケた事が死因という事です」
カズマ「コケた事が?」
アクア「正確には「コケた際に頭を強く打った事による脳挫傷」になります」
カズマ「マジかよっ!?」
アクア「だけど、コケた原因が………もぅ……www」プルプル
カズマ「な、なんだよ?」
アクア「プッ、あははははは、あーはっはっはっは!!!」ゲラゲラ
カズマ「なんだよ、笑う暇があんならさっさと言えよ!?」
アクア「あははは、バナナの………皮……踏んだ……事、プークスクス!」ゲラゲラ
アクア「正直、この仕事長いけど、貴方のように情けない死に方した人、初めてよ、あーははははは!!!」ゲラゲラ
カズマ(くっ、なんだよ、こいつぅ~。)
カズマ(バナナの皮踏んだ拍子にコケて頭を打って死んだのは情けないかもしれんが、なぜ初対面のこいつにこんなにも馬鹿にされなきゃなんねぇんだよ!!)
アクア「まぁ、ストレス発散はここまでにしておいて、自己紹介がまだだったわね」
アクア「私の名はアクア。日本において、若くして死んだ人間を導く女神よ」
カズマ「女神………マジモンか?」
アクア「失礼ね!!? 水を司る正真正銘の女神よ!!!」
カズマ「水を司るって水が操れるのか?」
アクア「まぁ、あまり女神の事をべらべら喋りたくないけど、私の場合はそうね。他に回復等の癒しや除霊も出来るのよ」
カズマ「(喋りたくないって言っておいて随分と喋りまくってるよ)ほぉー。」
アクア「聞いておいて適当にあしらうのは止めて!?せめて、驚きや敬意の対応を見せて欲しかったわよ!!」
カズマ「んで、俺はこれからどうなるんだ?」
アクア「今後の事に関して二つの選択肢があります。一つは生まれ変わって0から新たな人生を歩むか、もう一つは天国的な所でおじいちゃんみたいな暮らしをするか」
カズマ「前者だな」
アクア「返事は早いわよ!! まだ言ってない事があるのよ」
カズマ「はぁ?二つの選択肢があるっt」
アクア「それもあるけど、もっと凄いのがあってね」
カズマ「一応、聞いてやるよ。」
アクア「貴方、ゲームは好きでしょ? 生前を調べたけど、ゲーム好きの引きこもりオタクニートだって事が分かったし」
カズマ「おい!確かにそうだけど、女神を人間をそこまでボロクソ言うかぁ!?」
アクア「女神だからこそ、言えるのよ」フフン
カズマ(この野郎~)ギリッ
アクア「でね、私が紹介したい世界は、平和だった街に突如魔王軍が現れ、支配と略奪に変わったの」
アクア「そこで死んだ人のほとんどがもう二度と同じ世界に生まれたくないって生まれ変わるのを拒んで人が減っていく有様なのよ」
カズマ「つまり、俺がそこに行って魔王軍と戦えって事か?」
アクア「その通り。死んだ人間をその世界に送ろうって事が決まってね、ほとんどは同じ世界に行ったわよ」
アクア「あっ、もちろん、体と記憶はそのまま引き継がれるし、異世界語だって神々の親切サポートによって直接あなたの脳に必要な情報を一気にダウンロードしてクリアできるから。」
カズマ「そうかい、そうかい!」
アクア「…………まぁ、異世界語に関しては運が悪いと副作用で頭がパーになるかもしれないけど」ボソッ
カズマ「何か言ったか?」
アクア「何も言ってないわよ」
カズマ「嘘つけ、今運悪く副作用で頭がパーって?」
アクア「しつこいわね。だから、言ってないわよ!?」
カズマ(嘘だな…。)
カズマ「ってか、俺が異世界に行ったって死んだらどうすんだよ?」
アクア「そういう時の為に才能とか武器とかそういう便利なものを一つだけ持って行ける権利を与えているのよ」
カズマ「それって普通のだろ?」
アクア「いいえ、才能はとてつもなく、武器はかなり強力な物よ。そういう即戦力を備えたまま異世界に行けば、ある程度はやっていけるようにする為にね」ウィンク
カズマ「そうか。(とてつもない才能や強力な武器を持ってRPGって、ゲームだったらチートだな)」
アクア「さぁ、選びなさい。たった一つだけ、あなたに何者にも負けない力を授けてあげましょう」バサッ
カズマ(とは言うものの、一つだけだろ?異世界に行くとしたら魔法が効果的か、というか一度魔法を使ってみてぇ!!)チラチラッ
パリッ
カズマ(んっ?)
アクア「」パリッ、モグモグ
カズマ(ポテチ食っとる!!?)
アクア「んっ、なによー、私の顔なんか見て?気持ち悪いんですけど…」
カズマ(き、気持ち悪っ!? くっ、この野郎~)
アクア「ってか、早くして~。どうせ何を選んで一緒よ、引きこもりのゲームオタクなんてたかが知れてるし」
カズマ「お、オタって俺はオタクじゃない。そもそも家以外で死んだから引きこもりでもない!!」
アクア「あっそ。ぶっちゃけ、そんなもんどうでもいいわー。」
アクア「それより、まだ他の死者の案内だってたくさんあるんだから」
カズマ(このぉ、さっきからボロクソボロクソ言いたい放題言いやがってぇ~、女神としての自覚はないのか!!)
カズマ(しかも仕事中にポテチ食うとはいい度胸じゃねぇか!)
アクア「なにその目、何か不満でもあるの?言いなさいよ?」
カズマ「じゃあ、言わせてもらおうか……女神の癖して人を馬鹿にするな、後ポテチ食いながら対応とか職務怠慢だろ」
アクア「はぁー。あのねぇ、私は女神なのよ。女神は崇高な存在…崇高な分だけ人を見下すのも当然でしょ?」
カズマ「なっ!?」
アクア「それにたかがポテトチップス食べてるだけで職務怠慢だと言うのもどうかと思うわ」
アクア「私はしっかりと女神としての役割をこなし、長年人を導いてるのよ…職務怠慢とは言えないわよ!」
アクア「むしろ、引きこもり、いやヒキニートに何が分かるって言うのよ。そもそも外に出たがらない奴が他の業務に口出しするんじゃないわよ!!」
カズマ「」ブチッ
カズマ(確かに引きこもりの俺が職務にあれこれ口出しする資格はないが、この女神もさすがに言い過ぎなんだよ。)ピクピク
カズマ(しかもちょっと可愛いからって調子に乗りやがってぇ~)ピクピク
アクア「で、持っていくもんは決まったの?」
カズマ(くっ…………そうだ!)フッ
カズマ「あぁ、決まったよ」
アクア「何持って行くのよ?」
カズマ「あんた」ビシッ
アクア「あっそ。それじゃあ、魔法陣から出ないようn………って今、なんて言ったの?」
カズマ「だーかーら、異世界に持って行くモノはあんた、いや女神アクア、お前だって言ったんだよ!!」
アクア「ぷっ」
アクア「あーはははは、あーはっはっはっは」ゲラゲラ
カズマ「なんだよ、また笑いやがって!何が可笑しいんだよ?!」
アクア「ははは。あのねぇ~、女神を連れて行くなんて反則なのよ。そんな事も分かったのぉ、流石はヒキニートねww」プークスクス
カズマ「この野郎、また馬鹿にしやがって!!」
アクア「あ、もう時間だわ。んじゃあ、あんたは時間切れって事で何も持たずに異世界に送るわね」
カズマ「あ、おい待ってぇ!?」
アクア「さあ勇者よー、願わくば数多の勇者候補達の中からあなたが魔王を打ち倒すことを祈っていますぅー。さすれば神々からの贈り物としてぇー、どんな願いでも叶えてさしあげましょ(棒)」
カズマ「面倒だからと適当なことすんなぁ~!!」
カズマ「というか、あんたが無理だったらせめて魔法の一つを持たs」
アクア「はいはい。時間が無いからさっさと旅立ちなさい。」
カズマ「うわああああぁぁーーーーーーーーーーーーー!!?」
アクア「ふぅ。死に方もだけど、あそこまで女神の私に噛み付いた奴は初めてよ」
アクア「おっと、じゃあ、次の死者w」
パアアァァーーー
アクア「んっ?」
???「アクア様、お久しぶりです」
アクア「あんた、天使じゃないの。何か用?」
天使「用と申されますと、上の者に代わってアクア様に対する処分を言い渡しに来ました」
アクア「………………へっ?」
天使「実は大変悲しいとは思いますが、これまで天界はアクア様が本当に仕事を上手くこなせているかや職務怠慢が無いかを懸念しておりまして」
天使「そこで私が時折陰から監視しておりました。そして、つい先ほど佐藤和真さんを導く様子を見ていた所…」
天使「最初に人を馬鹿にし、女神である事を鼻にかけて言いたい放題である事や勤務中にスナック菓子をつまんでいた事、」
天使「更には業務短縮の為に武器も才能も持たせずに佐藤和真さんを異世界に送ってしまった事など、女神としてあるまじき行為を行いましたね」
天使「この様子をすぐに上の者にご報告した所、アクア様にある処分を下すよう仰せつかりました」
アクア「えっ、ちょ、なにが言いたいのよ?!処分ってなによ?」
天使「では、お伝えします。アクア様は女神でありながら導く者に対しあるまじき行為を行ったとし……」
天使「よってアクア様を佐藤和真さんの指定されたモノとして異世界に送る、という処分に処します」ニコリ
アクア「…………………ええええええええええぇぇぇぇぇーーーーーーーーっ!!!?」
天使「では、アクア様、魔法陣から出ないようお願いします」
アクア「ちょっ、え、なにこれ!?」
天使「魔法陣でございます」
アクア「それは分かってるわよ。そうじゃなくて、冗談よね、処分って!?」
天使「………」ニコリ
アクア「え、え、嘘でしょ?いやいやいや、ちょっと…あの…」
アクア「おっかしいから!?なんで女神が異世界に送られなきゃならないのよ!?」
アクア「大体、処分があのヒキニートのモノとして連れて行かれるなんて反則だからぁ!!」
天使「規定及び処分通りです」
アクア「いやああーー、お願いよぉっ、今度はちゃんと女神らしくするから処分は無効にじでぇぇーーー!?」ポロポロ
天使「行ってらっしゃいませ、アクア様。無事魔王を倒されたあかつきには、迎えの者を送ります」ニッコリ
アクア「待ってええぇーーー、私に魔王討伐は無理なんですけどぉっ!?」
天使「………」ニコニコ
アクア「せ、せめて別の場所に!? あの男と同じ異世界生きなんて嫌ぁ~!!」
天使「アクア様、ご武運をお祈り申し上げます!」
アクア「ちょっ……………」
アクア「いやああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーっ!!!?」
カズマ「ちくしょー、あの駄女神め。何の装備も無しに俺を異世界n」
アクア「誰が、駄女神……ですてぇ………」
カズマ「だからお前、って、なんでここにいんだよ!?」
アクア「知らないわよ!!」フン
カズマ「知らないでここに居る訳ないだろ………ハハァン、さては俺が異世界に持っていくモノとして選んだお前が了承されたから、ここに来たんだな」
カズマ「もしくは駄女神である事が原因で処分でもされたかー?」ニヤニヤ
アクア「うるさぁーーい!!!」
カズマ「ふふふ、そうか、あーはっはっは」
アクア「何が可笑しいのよ!?」
カズマ「いやあ、流石は天界だなって思ってさ、まさか俺の言った事を了承してくれるとは、こりゃあお前より更に上にいる奴に感謝しないとな」ニヤニヤ
アクア「はぁぁぁぁぁぁぁーーーー、もう最悪よぉ~」ズーーーン
カズマ「そんなに落ち込むなよ。もう取り返しはつかないって事だ」
アクア「あのねぇ、あんたのおかげで私の女神生活はパーよ!? どうすんのよ、魔王討伐するまで天界に帰れないのよ!!」
カズマ「じゃあ、さっさとその魔王を討伐するしかねぇだろ」
アクア「あんたバカ? そう簡単に魔王を討伐出来たら苦労しないっての!」
カズマ「いいから、行くぞ。お前は異世界に持ってきたモノだ…せいぜい俺の役に立ってくれよな」
アクア「女神に向かって指図すんじゃないわよ!!?」
ここから省略
カズマ「で、ギルドで登録したら俺は最弱職の冒険者かよ…。」
アクア「ふふん、どうかしら? 私は上級職のアークプリーストよ♪」ドヤッ
カズマ「たかが上級職でドヤ顔すんなよ、駄女神」
アクア「たかが上級職って、あんた上級職をバカにしてない?!」
カズマ「上級職じゃなくて、お前自体をバカにしてんだよ」
アクア「なんですってぇ!?」
カズマ「だってお前、知性と幸運値が極端に少ねぇだろ! どう見ても足手まといのような」
アクア「そういうアンタこそ幸運の高さ以外は全く取り柄がないじゃない!」
カズマ「うるせぇ!人生のほとんどは運が必要だ、その点では役に立つはずだよ!!」
アクア「このヒキニート!」
カズマ「駄女神!」
アクア・カズマ「「うぅ~~」」ジイイイィーー
アクア・カズマ「「ふんっ!!」」プイッ
カズマ「……………………」スタスタ
アクア「……………………」スタスタ
カズマ「……………なんでついてくんだよ」
アクア「うるさい。水の女神アクア様を異世界に連れて来ておいて、放置されるのも癪だからよ」
カズマ「お前は一人でも生きていけるだろ?だって、女神だもんな!」
アクア「なに、この私を一人にする気!?」
カズマ「さっき顔合わせて喧嘩したんだ!!これ以上お前といるとまた喧嘩しそうで、面倒くさいんだよ!」
アクア「このぉ、女神の私を放置すればあんたには罰を当ててやるわ」
カズマ「やってみろ?どうせ、駄女神にはそういう力なんて無いんだろ?」ニヤニヤ
アクア「くぅぅ~」プルプル
カズマ「まぁ、異世界に連れて行くモノとして指定したけど、やっぱいらねぇわ。帰ってくれ」
アクア「だーかーら、処分でこんな所に来たんだから帰るのは無理に決まってんでしょ!?」
カズマ「ふぅ~ん。じゃあ、ここでお別れだな。後は、一人で頑張れるよ」スタスタ
アクア「あっ、ちょっとぉ!?」
カズマ「ふぅ。とりあえず、生活の為に寝る場所はどこかの馬小屋でいいとして、生活費と食費はどう稼ぐか?」
カズマ「アルバイト的な仕事もあるけど、早々貰えるはずはねぇし。最初は適当且つ簡単なクエストですぐに稼ぐとするか」
~ギルド~
カズマ「ジャイアン・トードの討伐。初歩的として、これにするか。」
カズマ「このクエスト受けます」
ルナ「サトウさん、さっそくクエストですね。人数はお二人ですね」
カズマ「はぁっ、二人? いや、討伐に向かうのは俺一人だけだけど??」
ルナ「サトウさんの後ろに控えている、アクアさんも一緒なんですよね?」
カズマ「はぁっ、後ろにアクア?」クルッ
アクア「………………」
カズマ「って、うわああぁぁーーーー!?」
カズマ「なんでお前、俺の後ろに居んだよ!!?一人で頑張れって言ったはずだろぉ!!」
アクア「うっさい。私にだってプライドってもんがあんのよ!!」
アクア「例え処分とはいえ異世界に持っていくモノとして私がここに来た以上は、最後まであんたに力を貸してやるのが筋ってもんでしょ!!」
カズマ「筋も何も、俺は俺一人で精一杯だし、一々他人まで気遣うのは難しいんだよ」
アクア「!」
カズマ「だから、お前は一人で頑張れ。もう、今から俺について来るなよなぁ?」
アクア「なによ、私だって好きでここに居る訳じゃないのよ!!」
アクア「本当は無理だと思っても帰りたいわよ。でも出来なくてどうしようもないから、異世界で暮らしながら魔王討伐をするしかなくなったじゃないの」
アクア「けど、その前に生活があって、それでもここでの生活だって………まま……なら…ない……し」ウルウル
カズマ(……………)
カズマ(まぁ、良く考えたら俺がアクアの態度にイラついて、持って行くモノとして指定したからアクアはここに来たようなもんだしなぁ…)
アクア「うぅ………ぐす………」ポロポロ
カズマ「はぁ~、しょうがねぇな。」
アクア「えっ?」
カズマ「ジャイアント・トードの討伐、ついてこいよ!」
アクア「………いいの?」ポロポロ
カズマ「何を言ってもついてくるんだろ? だったらもういっその事、来い!ただし、足は引っ張るな。後、報酬も平等に分けてやるから、勝手にくすねるなよ!」
アクア「ありがどぅ……ありがどう…………カズマァァァーー!!」ギュウゥゥゥ、ポロポロ
カズマ「って、おい、急に抱き着いてくるなぁっ!?」
~討伐後~
カズマ「ほら、報酬だ」
アクア「待ってましたぁ~、って、これだけぇ~!?」
カズマ「うるせぇ!!散々足引っ張っといて文句言うなぁ!?貰えるだけありがたく思え」
アクア「チェッ」
カズマ「お前なぁ~」
アクア「………ぷっ、あははは!」
カズマ「なんだよ?」
アクア「別にぃ、面白くて笑ってるだけよ、ははは」
カズマ「ふっ、ははは。そうか」
アクア「ねぇ、カズマ?」
カズマ「なんだよ?」
アクア「これからもこのアクア様があんたの為に力を貸してあげるわ。感謝しなさい!」
カズマ「上から目線は止めろ、駄女神の癖して…」
アクア「なんですってぇ~、ヒキニートの癖して生意気よ!?」
カズマ「うっせぇ、引きこもりは認めるが、ニートじゃねぇ!!」
カズマ「けど、まぁ、回復面は使えそうだし、もうしばらくだけ居ろよな」
アクア「つまり、このアクア様が必要って事なんでしょ?もぅ~、カズマったら素直じゃないわねぇ♪」プークスクス
カズマ「別に必要とは言ってないぞ!!」
カズマ(こうして俺が連れて来たとはいえ、厄介な仲間が一人出来たのであった。)
第一章『異世界に降り立つヘタレと駄女神』終わり
第二章『迷えるアークウィザード、我が名はめぐみん』
アクア「カズマ、カズマー」
カズマ「はい、カズマです。」
アクア「パーティメンバーを募集してみない?」
カズマ「パーティメンバーか…。いいが、募集内容はどうすんだ?」
アクア「『アットホームで和気あいあいとしたパーティです。
美しく気高きアークプリースト、アクア様と共に旅をしたい冒険者はこちらまで。
●幸せを掴めました、パーティに入って本当に良かったです!●アクア様のおかげで毎日が金運まみれです」
※採用条件、上級職の冒険者に限ります。』」
カズマ「おい、サラッと嘘を載せるなよ!!」
アクア「これのどこが嘘って言うのよ!?」
カズマ「パーティに入って幸せ掴めたとか、毎日が金運まみれって所だよ! お前、あからさまに自分出来ますアピールしてんじゃねぇよっ!!?」
カズマ「ってか、こんなもん貼り出した所で加入を希望する奴が現れるとも限らねぇしな」
アクア「何言ってんの、私が居ればメンバーなんてすぐに集まるわよ。そもそも私って立派で、ちゃんとしていて優秀な女神だもん」
カズマ「自惚れ、乙」
アクア「自惚れなんかじゃなくて、私は本当に優秀過ぎるくらいの女神であって、超便利なアークプリーストよ!!」
カズマ「だから、それが自惚れなんだよ!この駄女神の中の駄女神!!」
アクア「言ったわねぇ~、あんたなんか私直々に重い罰を与えt」ガタッ
ドンッ
アクア「きゃあっ!?」ドサッ
カズマ「あっ、アクア!!」
???「あ、すみません。大丈夫ですか?」
アクア「いたた、女神さまにぶつかるだ、なんていい度胸ね…と言いたいとこだけど、私は寛大だし、今回だけは許してあげるわ」
???「は、はぁ。(女神?)」
カズマ「んっ、なんだか随分と重たそうな荷物だな?」
???「あ、これはパーティメンバー全員の分の荷物ですよ」
カズマ「パーティメンバー全員分?」
???「はい。初対面に説明するのもアレですが、私今入ってるパーティでは荷物持ちや物の調達係をやってまして…」
アクア「へぇ~、つまり雑用って訳?」
???「なっ、雑用ではありません!?ちゃんとしたメンバーとしてクエストに参加し、攻撃面でも参戦してますよ」
カズマ「ふぅ~ん。パーティというのは、色々なのがあるのか…。」
???「パーティというのは素晴らしいですよ。特に他のメンバーに役に立てるという事h」
冒険者戦士「おーい、俺らの荷物はまだかよ?」
???「あ、は~い。今、行きます!!」
???「と、いうことで私はこれで。機会がありましたらまたお会いしましょう」
カズマ「あ、あぁ…。またな」
タッタッタ
アクア「初対面で、良く喋るわね、あの小さい女の子! 帽子を深く被ってて顔は分かんなかったけど、声ではっきり女と区別がついたわ」
カズマ「しっかし、パーティで荷物持ちに調達係ってメンバーってよりは雑用扱いだな。」
アクア「来ないわね……」
カズマ「採用条件が高すぎるんだよ!そもそも俺らのパーティに上級職は無理だろ、せめてもう少しハードルを下げた方がいい」
アクア「だって私が居ればきっと来るって思ったから!?」
カズマ「だから、自惚れは止めろぉ!!大体、そんなんで人が来たら苦労しねぇだろ!!?」
冒険者戦士「おい、あのふざけた募集出したのはお前らか?」
アクア「あ、来たわ!!」
冒険者戦士「来た?なんの事だ??」
アクア「なんの事って私たちのパーティメンバーに入りたくて来たんじゃないの?」
冒険者戦士「ぷっ、あははははは!!」
アクア「な、なによ、いきなり笑うなんて失礼過ぎるじゃないの!?」
冒険者戦士「はは、すまんすまん。だが、俺はお前たちのパーティに入るつもりで声を掛けた訳じゃない!」
冒険者戦士「ただ、お前らの募集に記してあった「パーティに入って幸せを掴めましたとか、毎日が金運まみれとか」そんなふざけた嘘は載せない方がいいと忠告しに来ただけだ」
アクア「ちょっとぉ、ふざけてなんかないわよ!?そもそも私が女神だから嘘なんt、うぐっ!?」ガバッ
カズマ「はははは、ご忠告ありがとうございましたー。気を付けますから」
冒険者戦士「頼むぜ。まったく、若い奴はよぉ……」スタスタ
アクア「うぅ……ぷはぁ!!ちょっとカズマ、どういうつもりよ、私が喋ってる途中で無理矢理遮るなんて!?」
カズマ「お前が女神って事は誰もハナっから信じてもねぇし、そもそもあんな事募集載せれば誰だってふざけた嘘だって認識するさ」
アクア「くぅ~、本物の女神なのに言ってくれるわねぇ~」ムカムカ
カズマ「とにかくハードルを下げて、もうあのいらんな文章も記すな!じゃなきゃ一生メンバーは来ないぞ!!」
アクア「うぅ……なんでこういう事に………」ズーン
冒険者戦士「おい、お前ら、行くぞぉーー!!」
その他のメンバーたち「「おーーーー!!」」
カズマ「あれ、さっき忠告してくれたあの人、パーティメンバーを組んでたんだな」
アクア「あ、カズマ、あのメンバーの中を見なさいよ!!」
カズマ「んっ?」
???「おー!!」
カズマ「あれ、少し前にアクアとぶつかった子じゃないか!そうか…あの子が入ってるパーティってあそこだったんだな」
アクア「う~ん。」
カズマ「どうした?」
アクア「いや、さっきぶつかった時も少し思ったけど、あの子の眼紅いでしょ?」
カズマ「おー、遠目だけど、良く見たら紅いな。」
アクア「あの子、紅魔族じゃないかしら?」
カズマ「紅魔族?」
アクア「紅魔の里って所に住む、紅い瞳をした一族の事よ。生まれつき魔力と知力が非常に高く、魔法使いとしての高い適性を持つって言われてるのよ」
カズマ「へぇ~、そんな凄い種族がパーティメンバーに居るというのはさぞかしクエストで優位に立てるだろうなぁ~?」チラッ
アクア「なに、私が足手まといって言いたいの?!」
カズマ「いやいや、そんな事言ってないさ。むしろ、人の指示も聞かず後先も考えずに突っ込んで返り討ちに遭う知力が物凄く低い誰かさんよりはマシだなって思っただけですよ」
アクア「それっぽく言ってるじゃないの!!? 私に喧嘩を売るだなんて良い度胸ね、カズマ!!」
カズマ「へいへい。今は喧嘩してる場合じゃねぇよ」
冒険者戦士「さぁ、クエストがあるんだ。体力を付ける為に食べろよ!!」ガツガツ
その他のメンバーたち「「へい!!」」モグモグ
カズマ「ってか、クエストの前の腹ごしらえか。美味しそうに食べるよな…」
アクア「カズマー、私も何か食べていいわよねー?」
カズマ「そういやぁ、朝飯まだだったな。食べてもいいけど、高いの頼むなよ。後、シュワシュワも注文すんな」
アクア「ちぇーー」
カズマ「って、頼む気だったのかよ!?」
アクア「朝から飲むシュワシュワもまた格別よ♪」
カズマ「昼間っから飲むな。せめて夜にしろ!!募集を待つだけじゃなくて、クエストも行っときたいからな!」
???「あ、あのぅ……」
冒険者戦士「なんだ?」
???「わ、私の量が異常に少ない気がしますが…」
その他のパーティメンバーA「何言ってるんだよ、お前?メンバーとはいえ、お前はあくまで雑用だ。雑用はそれぐらいで十分だろ」
???「で、ですが……」
その他のパーティメンバーB「文句があるんなら爆裂魔法しか使えない自分自分に言えよ……それしか使えないせいでパーティ全体の足を引っ張るお前にな!」
???「うぅ………」
カズマ「おいおい、見ろ。」
アクア「なんだか、あの子だけ扱いが不当ね」
冒険者戦士「まぁまぁ、それくらいにしとけ。それより今度討伐に行くのはなんとあの「初心者殺し」だ!」
その他のパーティメンバーA「ええええぇーーー、初心者殺し!?」
その他のパーティメンバーB「でも、そんなクエスト見なかったような…?」
冒険者戦士「あぁ、俺がギルドに無理言ってクエストにしてもらったもんだからよ」
冒険者戦士「ひとまずレベルアップを兼ねての討伐だけど、一応高めの報酬が出るようになってるから行こうぜ!」
???「ま、任せてください!!我が爆裂魔法で粉々に消滅してやりますよ!」
冒険者戦士「そうだ、その意気だ。紅魔族のお前なら出来る、期待してるぞ」
アクア「あの人たち、まさかの初心者殺しを討伐しに行くとはねぇ……。」
カズマ「なぁ?」
アクア「なによ?」
カズマ「初心者殺しってなんだ?」
アクア「知らないの? 駆け出し冒険者にとっては文字通り天敵となる恐ろしい存在とされるモンスターで、特に知能が高くて狡猾、警戒心が強い上に素早いのが特徴よ!」
カズマ「この世界に来たばかりで良く分からんが、そんなのが居るっていうのは本当に物騒だな」
アクア「だからこそ、討伐のし甲斐があるってもんよ。そうだ……初心者殺しの討伐報酬の高めなら私達も討伐すれば貰えるって事よね!!」
カズマ「はぁっ?」
アクア「だから、私たちも討伐に行こうっていう意味よ」
カズマ「おまっ、それ本気で!?」
アクア「さぁ、報酬の為に行くわよ!!」グイッ
カズマ「こらぁっ、引っ張るなぁ!?」ズルズル
~クエスト地~
アクア「さぁてと、初心者殺しは……と」キョロキョロ
カズマ「ま、マジで来ちゃったよ。ってか、この駄女神、簡単な剣術しか使えない俺もそうだが、お前みたいな無鉄砲な奴が討伐なんて夢のまた夢だろ、今は!?」
アクア「ふん!ここは、私の魔法でバンバンやっちゃうから、せいぜい足引っ張るヒキニートは黙って見てなさいよ!」
カズマ「ほんと、ムカつくな、お前ぇ!」
その他のパーティメンバーA「ひええええぇぇーーーーー、初心者殺しだぁーー!?」
その他のパーティメンバーB「やっぱ怖えええぇぇーーーー!!?」
アクア「あの声はさっきのパーティの奴ね! それに今、初心者殺しって言ってたわ!カズマ、行くわよ!!」グイッ
カズマ「おわぁっ!?」ズルズル
初心者殺し「ガルルルル」ノッシノッシ
???「ほぉー、これが初心者殺し…話は聞いていましたが、実際に見る初めてです」
冒険者戦士「見とれるな、俺の作戦で行くぞ」
アクア「いたいた。あれが初心者殺しよ」
カズマ「あれが、まるでサーベルタイガーじゃねぇか!?」
カキン、カキン、ドンッ
その他のパーティメンバーA「素早いし、いくら何でも無茶苦茶ですよ」
その他のパーティメンバーB「流石に俺達が挑戦するのは、早過ぎますって!?」
冒険者戦士「ガタガタいうな! とにかくこれでいいだろ、おい……止めの爆裂魔法放って!」
???「分かりました!」スッ
アクア「いよいよ、あの子が爆裂魔法ってヤツをお見舞いするのね」
カズマ「………」ゴクッ
???「黒より黒く闇より暗き漆黒に我が深紅の混淆を望みたもう。」
???「覚醒のとき来たれり。無謬の境界に落ちし理。無行の歪みとなりて現出せよ!」
???「踊れ踊れ踊れ、我が力の奔流に望むは崩壊なり。並ぶ者なき崩壊なり。」
???「万象等しく灰塵に帰し、深淵より来たれ!」
???「これが人類最大の威力の攻撃手段、これこそが究極の攻撃魔法」
???「エクスプロージョン!」
ドドッカアアアアアアアアンッ!!
アクア「こ、これは!?」
カズマ「お、大きな威力の爆発だとっ!?(ってか、呪文みたいな唱えてたが、滅茶苦茶なげええぇーー!!?)
モクモク
その他のパーティメンバーA「いやはや、いつ見ても凄いよな、エクスプロージョンは…」
その他のパーティメンバーB「まったくだ。これだけの威力を持ちながら、これしか使えないってのももったいねぇなぁ…」
冒険者戦士「いいぞ、いいぞ。この威力だったらいくら初心者殺しでもひとたまりm」
初心者殺し「ウガアアアアア!」
その他のパーティメンバーA・B「「えええええぇぇぇーーーーっ!!?」」
アクア「あ~ぁ、怒ってる。これはヤバいわね…。」
カズマ「あの爆発でも生き延びるとは、どんだけタフなんだよ!!」
その他のパーティメンバーA「や、奴がまだ生きてるなんてやっぱ文字通りの化けモンだ!リーダー、どうします!?」
冒険者戦士「くっ、俺とした事が甘く見てたぜ…」
その他のパーティメンバーB「それよりどうします!?あいつ、完全怒ってますよ!!?」
冒険者戦士「クエスト失敗か…。チッ、仕方ねぇ、逃げるぞ!!」
その他のパーティメンバーA・B「「へいっ!!」」
アクア「情けないわね~。作戦なんか展開しておいて、結局駄目で、挙句に逃走……無駄足もいいところね」
???「だ、誰かぁ~、私をおんぶしてください……」
カズマ「あれ、あの爆裂魔法の子だけ、力が無くなったみたいにぐったりしてねぇか?」
その他のパーティメンバーA「あ、リーダー。あいつ、また魔力切れ起こして倒れてますよ」
その他のパーティメンバーB「ほんとだ。リーダー、また背負って逃げますか?」
冒険者戦士「…………いや、よく見ろ」
初心者殺し「ガルルルル」
???「う、動けません、たすけてください……。この黒き破壊獣が、我が体を狙って……」
その他のパーティメンバーA「お、初心者殺しの奴、あいつに目を付けてますねぇ」
冒険者戦士「あぁ、逃げるチャンスだ。気の毒だが、あいつには俺らパーティが生き延びる為の犠牲になってもらおう」
その他のパーティメンバーB「おぉー、最後の最後であいつが役に立ちましたね」
カズマ「なにぃっ!?あいつら、あの子を犠牲にして逃げるってどういう事だよ!?」
アクア「あー、パーティじゃ、たまに自己犠牲って言って自分から仲間を助ける為に犠牲になるって事があるのよ」
カズマ「いやいや、自己犠牲というか、事情は分からないけど、あの子動けないってだけみたいだし、自分から犠牲になるとか言ってねぇだろ!!」
カズマ「いくら何でも酷じゃねぇか!!」
アクア「わ、私に言葉をぶつけられても分からないわよ…。」
???「だ、だれでも、いいですから……早く……」
冒険者戦士「悪いな、俺達は逃げる。犠牲になってくれてありがとな!」ダッ
???「えっ!」
その他のパーティメンバーA「短い間だったけど、ありがとう。さらば、な!」ダッ
その他のパーティメンバーB「最後に役に立ってくれてほんとにありがとな。お前の事は忘れねぇからな」ダッ
???「あ、ま、待ってください………!?」
シーーーーーン
???「は、反応なし……。どうやら、私はパーティに見捨てられたようですね……」
初心者殺し「ガルルルル」
???「ふっ。私としたことが、まさかここまでとは……。」
初心者殺し「ウガアアアアア!」
???「組んでいたパーティに見捨てられた挙句、初心者殺しに食われて短き人生に終止符……。悲しき最期でs」
アクア「ゴッドブローーーーーーーーーッ!!!!!」ドゴン
初心者殺し「ウガアアッ!!」グラッ
???「っ!!?」
タッタッタ
カズマ「おい、大丈夫か?」スッ
???「あ、あなたがたは!?」
カズマ「話はこのモンスターから逃げ延びた後だ。動けないなら俺が背負ってやるから、この場を離れるぞ!!」ヨイショット
???「っ!」
初心者殺し「ウガアアアアア!」
アクア「起き上がるのが早いわね! こうなったら次は……」
カズマ「おい、アクアー、逃げるぞーーー!」
アクア「ちょっと待ってよ、こいつを討伐しないと!?」
カズマ「そんなもん、またいずれ討伐にし来ればいいだろ!!今は動けないこの子を街まで安全連れて行くのが最優先だ!!」
アクア「なによ、いいわよ。私一人d」
カズマ「あぁ、もう!!」グイッ
アクア「あ、ちょっと、カズマぁ!!?」
カズマ「さっさと逃げるぞ、駄女神!!」ダッ
アクア「ああああぁぁーーーー、私の討伐報酬があああぁぁーーーー!!!」ズルズル
~アクセルの街 ギルド~
カズマ「もう大丈夫か?」
???「はい。ずっと背負わされたままですが、ひとまず立てる所までは回復してます」
カズマ「そうか。なら安心だ」
アクア「私の報酬………報酬がぁ………」ズーン、ボソボソ
カズマ「いつまで落ち込んでるつもりだ!」
アクア「だってぇ~、初心者殺しの討伐報酬は今まで手にした報酬よりも一番高かったのに……それをカズマさんがぁ~」ウルウル
カズマ「どんだけがめついんだよ、お前。それに、今の俺らじゃどっちみっち初心者殺しの討伐なんて無理だろ!!」
アクア「うぅ……」ズーン
???「危うく食われそうな所を、なんて礼を申せば良いのか分かりません」
カズマ「お礼はいいよ。助けるのはまぁ、当然だしな」
アクア「かっこつけちゃってぇーー、助けると思わせて実は戦わずして逃げる為の口実にしてただけなんでしょww」プークスクス
カズマ「戦略的撤退って言うんだよ、駄女神」ゴンッ
アクア「いったぁ!?ちょっと、この高貴な女神を殴るなんてどういうつもりよ!」
???「女神?」
カズマ「あ、こいつ、そう思い込んでる痛い奴だから」
アクア「だから、本物の女神だってばぁーっ!?」
???「あのぅ、一つ聞いていいですか?」
カズマ「なんだ?」
???「ギルドで出会って少しだけ話をしただけなのに、なぜわざわざ私を助けてくれたんですか?」
???「あの初心者殺しです…。私を見捨てたパーティみたいに、私など放って置けばよいのに、なんで初心者殺しに立ち向かってでも私を助けに??」
カズマ「あぁ、そういう事か。簡単だよ………ただ、自分の目の前で危ない目に遭いそうな奴が居たから当たり前だと割り切って助けた、それだけだよ!」
???「目の前で危ない目に遭いそうだから助けた………ありきたりの答えですね…。」
カズマ「うっ……」
アクア「ぷっ!!」クスクス
カズマ「………」ゴンッ
アクア「イタッ!?また、やったわねぇ!!」
???「ふっ………」クスッ
カズマ・アクア「「んっ?」」
???「ありきたりの考えを持ってこそどんな状況でも見捨てずに助けられる……。まったく、人を犠牲にするようなどっかのパーティにも見習ってほしいものです」
カズマ「あぁ、それはお前が入ってt」
???「これ以上は言わないで下さい」
カズマ「あぁ、悪い」
???「それより、あなたがたはパーティメンバーの募集を張り出していましたよね?」
アクア「えぇ、もちろん!!」
???「では、決めました!!」
カズマ「なにがだ?」
???「あなたがたのパーティに入る事です。いえ、私をこのパーティに入れてはもらえませんか?」
カズマ「えええぇーーーっ!!?」
???「むろん、条件も満たしていますよ。上級職のアークウィザードですから」
カズマ「アークウィザードって言ったな? もしやとは思うけど、パーティの話を聞いたり、遠目で見ていたが、爆裂魔法しか使えないのか?」
???「はい。私は爆裂魔法をこよなく愛するアークウィザード。爆発系の魔法が好きなんじゃありません、爆裂魔法が好きなのです。」
カズマ「他の魔法も本当に一切使えないのか?」
???「野暮な事を聞きますねぇ…もちろん使えません。私は爆裂魔法しか愛せないのです!」
カズマ「で、もう一つ聞くが、エクスプロージョンってヤツを使用したら倒れたが、あれは?」
???「むろん、我が奥義である爆裂魔法はその絶大な威力ゆえ、消費魔力もまた絶大。要約すると身動きが取れなくなります」
カズマ「まさに一撃必殺ってヤツか…。爆裂魔法一択、それも一回しか使えないアークウィザード………あのパーティをお前を雑に扱う理由が分かったような気がしたよ」
???「おい、私の爆裂道及び私に対する文句があると言うのなら聞こうじゃないか!」
カズマ「う~ん、いくら上級職とはいえ、足手まとい確定だからな。心配という前に不安だらけだ」
???「我が望みは魔法を放つこと。報酬などおまけに過ぎず、なんなら山分けでなく、食事とお風呂とその他雑費を出してもらえるなら、我は無報酬でもいいと考えている。アークウィザードである我が力が今なら食事とちょっとだけでいい。」
???「あ、でも、食事の量はなるべく大目でお願いしますが…」
カズマ「う~ん……」
???「まだ不安でいっぱいなんですね。まぁ、もちろん他の魔法を習得すれば冒険が楽になるでしょう。火、水、土、風。この基本の四属性だけでも取っているだけでも違います。」
???「…ですが、ダメなんです。私は爆裂魔法しか愛せない。たとえ一日一回の魔法でも私は爆裂魔法しか愛せないのです!」
アクア「いいわよ」
カズマ「おい、アクア!?」
???「い、入れてもらえるのですか!?」
アクア「もちろんよ。上級職の条件を満たしていて、尚且つここまでロマンを語れる所、はっきり言って気に入ったわ」
???「あ、ありがとうございます」
カズマ「アクアーー」
アクア「あ、カズマさんも、もちろんOKよね?」
カズマ「うぅ…でもなぁ……」チラッ
???「………………」ドキドキ
カズマ「……………」
カズマ「はぁ、しょうがねぇな!」
???「で、では!?」
カズマ「あぁ、いいよ。助けたって事もあるし、何かの縁だ。もう俺達のパーティに入れ!」
???「!!!……………はい、ありがとうございます♪」ニコリ
カズマ(お、笑うともっと可愛いな!)
カズマ「いやいや、俺のほうこそよろしくな、えぇと………?」
???「あ、自己紹介がまだでしたね。」
めぐみん「我が名はめぐみん。紅魔族随一の魔法の使い手にして、爆裂魔法を操りし者。」
カズマ「……………めぐみん? 冷やかしか??」
めぐみん「ち、ちがわい!?」
アクア「カズマー」
カズマ「なんだ?」
アクア「紅魔族は皆、変わった名前をしているのよ。だから、そこのめぐみんも…」
カズマ「あぁ、そういう事か」
めぐみん「何をどう納得されているかは分かりませんが、私からすれば街に居る人達の方がよっぽど変な名前に聞こえますがねぇ…。」
カズマ「ちなみに両親の名前は?」
めぐみん「母はゆいゆいで、父がひょいざぶろー」
カズマ「うん。納得だ」
めぐみん「おい、両親の名前に関して言いたい事があるのなら聞こうじゃないか!」
カズマ「俺は佐藤和真、カズマでいいぞ。で、冒険者だ」
アクア「私はアクア、水を司る女神よ。上級職のアークプリーストよ」
めぐみん「カズマにアクア、ですね。よろしくお願いします」
めぐみん「それで、そのいきなりですが、アクアに伝えたい事があります」
アクア「何かしら?」
めぐみん「その、私とぶつかった時や先ほどの話の中でも自分を女神だと言ってましたが、流石に自分でも痛いとは思わないんですか?」
アクア「なっ!?」ガーン
カズマ「ぷっ!!」プルプル
めぐみん「私やカズマの前では良いのですが、流石に他者や初対面などに対してはあまりよくないかと…」
アクア「何言ってるの、私は正真正銘の女神d!?」
めぐみん「えぇ。痛い子だという事は十分伝わりましたので……」
カズマ「ぶふっ!」プルプル
アクア「なんでよおおおぉぉーーーーーー、なんで女神だと信じてくれないのよおおおぉぉーーーー!!!?」
カズマ「くっくっく……」プルプル
カズマ(なんだかんだあって、パーティに新しくアークウィザードのめぐみんが加わった、とさ…。)
第二章『迷えるアークウィザード、我が名はめぐみん』終わり
第三章『突如現るドMクルセイダー、名はダクネス』
カズマ「さぁて、今日はどうっすか?」
めぐみん「カズマ、クエスト行きましょう、クエスト!!今こそ我が爆裂魔法を思う存分、味わわせてやりたいのです」
アクア「私もクエストに行きたいわ。まだ返せていない借金もあるし」
カズマ「やる気があるのは結構だが、今の俺らに見合うクエストがあるのかどうか……ムッ!」
めぐみん「どうしましたか?」
カズマ「これ見ろ!」
クエスト募集の張り紙『最近、盗賊の被害に遭っていてとても困っております。
そこで撃退をお願いしたのですが、なるべく腕っ節に自信がある人でお願いします。
報酬 60万エリス』
アクア「たくさんのクエストの中で、討伐報酬が一番高額じゃない。これにするわ!!」バッ
めぐみん「盗賊ですか…。まぁ、たまにはモンスター以外の爆裂もいいですね」
カズマ「おい、待て、腕っ節に自信がある奴だろ? 俺らにそんな自信ある訳g」
めぐみん「カズマ、アクアがもう受付に行ってしまいましたよ」
カズマ「ええぇぇーーっ!!!」
カズマ「結局、無理矢理受ける事になるとは……」
アクア「クエストの詳細によると盗賊のアジトがこの周辺にあって、直接アジトに乗り込んでから退治してもらいたいそうよ」
めぐみん「そういえば、盗賊で思い出しましたが、最近相次いで周辺の村々が盗賊に襲われ、金品を強奪される事件が起きているそうです。」
カズマ「でも、盗賊ってそんなに強いのか?こんなに事件が起きれば、もっと腕っ節の強い連中が退治に行くと思ったけどよ」
めぐみん「聞いた話ですが、最近盗賊には護衛という者が存在するそうで、しかもその護衛自ら盾となってあらゆる攻撃を防ぐ事が出来る程の強い防御力を誇るとか…」
めぐみん「盗賊からしてみれば、『最強の壁』と言った所でしょう」
カズマ「なんだよそりゃあ!? 護衛が最強の壁って、どこからその護衛呼んできたって話になるな!」
アクア「まぁ、この高貴な最強女神の私が居るんだから、100%大丈夫よ。勝ち誇った気でいるといいわ」
カズマ「おーーい、その100%と思える確率はどこから来てるんだよ…」
ゾロゾロ
めぐみん「あ、カズマ、アクア…向こうから何か来ますよ」
カズマ「おい、あれって!!」
アクア「間違いないわ。服装からして盗賊たちね」
アクア「アジトを探す前に現れるなんて好都合よ。まぁ、アジトに乗り込んでから退治してもらいたいって話だけど、ひとまずこの場で退治しても一緒よね」
めぐみん「人数はまぁまぁいるようです。これは爆裂魔法のし甲斐がありますね」
カズマ「待ってよ!クエストを受けた後で言うのもアレだが、本当にやるつもりかよ!?」
アクア「なによ?ここで逃げ腰になったのかしら、プークスクス。カズマサン、情けな~い!」クスクス
めぐみん「ここでヘタレになってどうするんですか、と言いたいところですが、ヘタレになるのならどうぞご勝手に。私とアクアだけでもやってやりますから」シャキ
カズマ「いつも馬鹿にするアクアはおいといて、めぐみんがそう言うなら俺は本気で何もしない。二人で出来るなら頑張ってくれ、俺は近くで応援でもしてるからよ」
めぐみん「本気ですか!?今のは、カズマに発破をかける為に言ったつもりなのですが!!」
カズマ「どっちみち俺はこのクエスト、乗り気じゃねえしな」
アクア「まったく!めぐみん、もうほっといて私たちだけでやっちゃいましょう」
めぐみん「はぁ~、カズマはどうしてこう、どうしようもないヘタレなのでしょうか…」ジト目
アクア「あなた達!!」
盗賊の首領「あぁん、なんだてめぇら?」
めぐみん「数々の悪行、聞いてますよ。なので、私たちが退治します」
盗賊の首領「へっ、退治だぁ?いいだろう、おい……護衛出番だぜ」
???「任せろ!」ダッダッ
アクア「!………えっ!?」
???「ほぅ。我ら盗賊に牙を向けるのは誰かと思えば、私と同じ女性とはなぁ…」
めぐみん「なっ、なんですか!?護衛と聞いたから男かと思えば、私達と同じ女じゃないですか!」
???「別に珍しくはない。女だって盗賊はやってる」
カズマ(隠れて見てっけど、護衛がまさかの女性とは…。だけど、あの護衛良く見たら……)
???「」ボン、キュッ、ボン
カズマ(スタイルがマジでええぇぇーーーっ!!?//////)
???「」キラキラ
カズマ(しかも中々の美人だ!!///)ポォーーー
アクア「アンタが例の盗賊の護衛かしら?」
ダクネス「そうだ。名はダクネス、クルセイダーで、盗賊に雇われた護衛だ」
めぐみん「クルセイダー………私達と同じ上級職ですか」
ダクネス「ほぉ、お前達も上級職か?」
アクア「当然よ。私はアクア、アークプリーストよ」
めぐみん「我が名はめぐみん、アークウィザードです」
ダクネス「ふむ。アークプリーストにアークウィザードか。」
ダクネス「なら……………」
ダクネス「極上の痛みを味わわせてくれるのだなっ!!/////」ドキドキ
アクア・めぐみん「「っ!?」」
カズマ(っ!!!)
盗賊の首領「おい、ダクネス。」
ダクネス「アークプリーストはその杖を使って、そしてアークウィザードは魔法だ……きっとあんな事やこんな目に遭わされ、挙句にボロボロのズタボロに……くぅぅ、たまらん?」ビクビク
盗賊の首領「おーーい」
めぐみん「ヤバいです!?あれ、ヤバいですよ!!」
アクア「彼女、凄い性癖の持ち主みたいね…」
アクア「あんな奴、私のゴッドブローでおしまいにしましょう」
ダクネス「おっ、来るか!」
アクア「ゴッドブローーーーーーっ!!!」
ガキン
アクア「って、ええぇーーー、なにこれ!?」
めぐみん「出ましたか、例の護衛の高い防御力が……。」
カズマ(マジか。普通の人には大抵効くゴッドブローが無効化されるとは。どんだけ硬いんだよ…。)
ダクネス「あぁ………鎧を伝って体中に響くこの感じ………いいっ??」ゾゾッ
ダクネス「もっとだ、もっと打ってこい!!」ハァハァ
アクア「はぁっ!?」
盗賊の首領「見たか。護衛のダクネス、性格はアレだが、防御面は一流だ」
盗賊の首領「護衛ならぬ盾として扱えば、どんな攻撃に対抗できる。まぁ、武器の扱いはヘタで、攻撃が当たらないのが玉に瑕だけどな」
ダクネス「うぅ……盾としての考えと玉に瑕だという罵倒が心に沁みてくるぅ~///」ゾクゾク
めぐみん「防御のみ特化していて、攻撃が不器用とは一体?!」
ダクネス「奴の言った通りだ。私は不器用だから攻撃は当てられないが、防御だけは長けている。だからこそ、盾として好き勝手に扱ってもいい/////」
アクア「そんなにお望みなら、鎧ごと破壊されるまでやってあげるわよ!!」
ダクネス「おおおぉぉーーーーー、頼むぞ?」ハァハァ
盗賊の首領「お、おい、何だか主旨が変わってきてないか!?」
カズマ(確かに…)
~そして~
アクア「はぁはぁ…」
ダクネス「ハァハァッ/////」ビクビク
めぐみん「あ、あのぅ、アクア?」
アクア「なに?」
めぐみん「私はいつ爆裂魔法を放てばよいのでしょう?」
ダクネス「そうだ!!次は爆裂魔法を撃ってくれえぇーー!!」
めぐみん「なっ!?」
アクア「くっ、あんなにゴッドブローを連続食らわせたのに、まったく効果が無いなんて……」
盗賊の首領「おい、ダクネス!いつまで勝手な事をやってるつもりだ!!」
盗賊の首領「攻撃は俺達に任せて、お前はさっさと全員の守りに徹しろ!!」
ダクネス「断る!!」
盗賊の首領「なにぃっ!!?」
ダクネス「私はクルセイダーとなってからずっとたくさんの攻撃を受け続けた。だが、それなりに満足感が得られず、以降は自分なりに満足ある攻撃が出来る者を求め続けるようになった」
ダクネス「その目的の為だけに私は盗賊の護衛となり、様々な場所での人々の応戦を受ける事で探し続けた。そして、私は遂にピッタリな者を見つけた………そう、目の前に居るアクアを!!」
アクア「はあぁぁーーっ!?」
めぐみん「な、なんですか、それ!?」
カズマ(あの変態クルセイダー、素材は良いのに、中身は残念だ、本当…。)
ダクネス「お前のゴッドブロー、凄い威力だったぞ。あれを連続で受けたら、今までにない感覚を味わった気分だ///」
ダクネス「あ、後、そこのめぐみんという者の爆裂魔法にも興味が湧いている!!」
めぐみん「爆裂魔法が、変態の快楽というのに使われそうで、怖いです」
ダクネス「という訳で盗賊たちには攻撃させず、こいつらを生かして私がずっと攻撃を受け続けていられる状況のままにしたい。だから盗賊のサポートは断る!!」
盗賊の首領「てめぇ、まさか裏切るつもりか?」
ダクネス「裏切るも何も貴様らの護衛になったのは、私自身の思いを満たす者を探す為だ。」
ダクネス「そして、その者が見つかった今、貴様らの護衛として盾になる必要もなくなった…そういう事だ」
盗賊の首領「くっそぅ、ならてめぇはもう用済みだ。そいつら、ごと始末してやる!!」
アクア「いよいよ、来るって訳ね」
めぐみん「では、もう爆裂魔法の準備をしましょうか」
ダクネス「私の身の危険もそうだが、お前たちまで危険に晒されたらせっかく果たされた目的も無になってしまおう……。」
ダクネス「だから、ひとまず私はお前たちの盾となろう!!」
アクア・めぐみん「「えっ、さっきまで敵対関係だったのに(だったはずでは)!!」」
ダクネス「細かい事は気にするな。いいから、こいつらを撃退するぞ」
盗賊の首領「おい、お前らやっちまえぇーー!」
オオオォォォーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
カズマ(なんだか、急というか、変な展開になったぞ。大丈夫か!?)
アクア「ゴッドブローーーーーーー!!!」
ギャアアアアアアアーーーーーー
盗賊の首領「おい、あそこにいるアークウィザードから始末しろ」
めぐみん「くっ、まだ準備中ですので、隙が生まれてしまいます」
ダクネス「任せろ。お前は私が守ってやる」バッ
ガキン、ガキン、ガキン
めぐみん「た、助かりました。」
ダクネス「なに、これぐらいh……ハッ、危ない!?」
めぐみん「えっ?」クルッ
スキアリィィィーーーーー
めぐみん「うわぁ!?べ、別の方から盗賊がぁ!!」
アクア「めぐみーーーん!!?」
カズマ「スティール!!!」シュパァ
スカッ
ッテ、アレェ!?ブキガナイッ!!?
アクア「隙あり、ゴッドブローーー!」ドゴッ
ギャアアーーーーー
アクア「めぐみん、大丈夫?」
めぐみん「え、えぇ。ですが、今私に襲い掛かろうとした盗賊が持つ短刀が急に無くなったおかげで斬られずに済みました」
カズマ「ったく、世話をかけるなっての!」グッ
めぐみん「カズマっ!」
アクア「もしかして、今のカズマが?」
カズマ「あぁ。こうなる状況も考えて、スキルを覚えてたんだよ」
ダクネス「なんだ、もう一人居たのか! しかも今度は男か」
盗賊の首領「チッ、仲間が居たのは想定外だ。しかもあれは俺達、盗賊の特有スキル「スティール(窃盗)」じゃねぇか!!」
ダクネス「スティールが使えるという事は盗賊と言いたい所だが、その服装からしてお前は冒険者だな?」
カズマ「あぁ、その通りだ!」
盗賊の首領「最弱職だが、様々なスキルを覚える事が出来るアレか…。」
盗賊の首領「えぇい、面倒だ。まとめてやっちまえ!!」
アクア「まだ数は居るわね」
めぐみん「後もう少しで準備が終わります」
カズマ「乗りかかった船だ。途中だが、ここからは俺も手助けしてやる」
アクア「カズマ、あんた最初は逃げ腰だった癖に本当に大丈夫ー?」
カズマ「あ、あぁ。まぁ、スティールでめぐみんを助けたから、どっちみち俺も盗賊に目を付けられたし、このまま逃げても追われるだけだからな」
カズマ「だったら、逃げるよりもうやるしかねえだろ!」
めぐみん「カズマ…結局、最後は見捨てずに助けてくれる、私はそう信じていましたよ」ニコリ
カズマ「止めろ。褒められるのは、照れくさい//」カァーー
ダクネス「フッ。中々良いパーティではありそうだな」
……………………………………
めぐみん「準備は整いました」
アクア「ったく、ようやくね」
ダクネス「おぉ、いよいよ爆裂魔法が見られるのか。どうせならどのような威力かを直に楽しみたい所だが、今回は見てから判断しようじゃないか」
カズマ「よし、めぐみん、盗賊のボスもろともやれええぇーーー!」
めぐみん「任されました」
盗賊の首領「ちくしょー、食らってたまるか。一人だけでも逃げてやる」ダッ
アクア「あっ!」
ダクネス「このまま逃がせば、爆裂魔法の餌食に出来なくなるぞ!!」
カズマ「させるか、バインド!」シュパァ
盗賊の首領「なにぃ、急に動けなくなっただとっ!?」
アクア「バインドって、相手を拘束するスキルよね?いつの間に覚えたのよっ?!」
カズマ「それは後々説明するから、今は勘弁してくれ」
ダクネス「うむ。先ほどの剥ぎ取るといい、相手を拘束するといい、私をそそらせるようなスキルばかりではないか!?//////」ゾクゾク
カズマ「おい、そんな変な事するためのスキルじゃねぇぞ?」
ダクネス「とにかく、スキル自体は気に入った。それと、貴様はカズマとか言ったな?」
カズマ「あ、あぁ」
ダクネス「カズマ、お前もグッドだ。アクアと同様、私の思いを満たせる者の一人として認識しよう」
カズマ「いや、そんなものにグッドと褒められたり、認識されても嬉しくないぞ!?」
めぐみん「おい、私を忘れるな」
カズマ「悪い。めぐみん、ボスも含めて全員動けないようにしたから、さっさと例の爆裂魔法で止めを刺せ」
めぐみん「言われなくてもそうしますよ」
めぐみん「エクスプロージョン!!!!!!」
ドドッカアアアアアアアアンッ!!
ギャアアアアアアアアアアアーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
モクモク
ダクネス「おおぉーーーー、これがめぐみんの爆裂魔法だな!響く程の大爆発とクレーターが出来る程の威力、気に入った。」
ダクネス「めぐみんも私の思いを満たせる者の一人として認識しよう。そして、次はぜひ私にそのエクスプロージョンをっ///」ハァハァ
カズマ「こんな時でもド変態になるんじゃねえよ!!」
ダクネス「ひっぐぅ…………ド、ド変態……だとぉ!?/////」ビクビク
ダクネス「ば、罵倒するその鬼畜さも中々良いな、カズマは!!」
カズマ「どんだけ自分の性癖に持ち込む気なんだよ……」
アクア「カズマー、見て見て。盗賊たちが見事に全滅よ。これで報酬60万エリスは頂きね♪」
めぐみん「カズマぁ~、またいつものようにおぶってくださぁ~い」
カズマ「で、一方は浮かれ、もう一方は魔力を使い切って倒れてるし…。」
~ギルド~
カズマ「なぁ、ダクネス?」
ダクネス「なんだ?」
カズマ「なんでお前、ついてきてんの?」
ダクネス「? ついてきては駄目なのか?」
カズマ「いや、駄目とは言ってねえけど、ついてくる意味が分からないんだよ?」
ダクネス「そういう事か。」
ダクネス「単刀直入に申そう。私をパーティに入れてくれないか?」
カズマ「訳を聞こうか!」
ダクネス「先ほどアクアとめぐみんから聞いたが、酷い目に遭わされることが多いそうじゃないか」
カズマ「酷い目って、例えばジャイアント・トードに呑み込まれそうになったとか…?」
ダクネス「それだ。ジャイアント・トードに呑み込まれそうになった挙句、粘液まみれだと聞いた!!」
ダクネス「それを聞いて、私もぜひ味わってみたい、その粘液プレイというのものを……////」ハァハァ
カズマ「おい!!」
ダクネス「それに私の思いを満たしてくれる者が三人も居て、それがパーティ全員ならば、むしろ入る他ないだろぉっ!!」グイッ
カズマ「うぉっ、顔が近い!?」
ダクネス「それに先ほど募集を見たのだが、条件は上級職とあった。私はクルセイダー、上級職であって条件にもピッタリと当てはまるぞ!」
カズマ「た、確かにそうかもしれないが、俺のパーティには今、足手まといで役に立たない駄目なアークプリーストに爆裂魔法を一日一回しか放てないアークウィザードがいるんだ!」
カズマ「そこに武器を使用しても全く当たらない変態クルセイダーが加わったらチームパーティの勝率はグーンと下がる上、事実上リーダーである俺の負担が更にヤバい事になるんだぞ!?」
ダクネス「はうわぁっ!?/// へ、変態…クルセイダー……だとぉ!!」ビクッ
ダクネス「いい……///他者に対する罵倒に乗じて私まで巻き込むとはっ…………いい、ハァハァ。中々の鬼畜っぷりだな、カズマはっ/////」ビクビク
カズマ「おい、こんなとこでそれ、言ったら俺まで変態みたいに見られるから止めろ!?」
ダクネス「そうか。カズマも鬼畜な上にかなりの変態なのだなっ///」ゾクゾク
カズマ「そうは言ってねえだろがっ!?(まぁ、ダクネスが今放った言葉はある意味そうだが…)」
ダクネス「うん、ますます気に入った!是が非でもこのパーティに入れてほしい!!」
カズマ「うん、断る」ニコリ
ダクネス「笑顔で断れたっ!?…………だが、それもまたイイっ??」ゾクゾク
アクア「ちょっと先から何やってるのよ?」
めぐみん「先ほどから周囲の目があまりにもゴミを見るような雰囲気でしたので、見かけて来ちゃいましたよ」
カズマ「おう、アクアにめぐみん。ちょっといいか?」
アクア「なによ?セクハラしたいって言うのならお断りよ?」
カズマ「いやいや、何も言ってねえのに、勝手に決め付けるのはよくねぇぞ!!?」
めぐみん「カズマの日頃の行いと性格が悪いんですよ」
カズマ「俺、そこまでか?」
アクア・めぐみん「「うん」」コクリ
カズマ「マジで泣いていいか?」
ダクネス「おぉぉーーい、カズマだけじゃなく、私も罵ってくれええぇぇーーー/////」
…………………………………………
めぐみん「成る程。私たちのパーティに入りたいという訳ですか」
カズマ「あぁ。それでお前らの意見も聞きたいんだけど?」
アクア「私は構わないわ。上級職のクルセイダーなら大歓迎よ」
めぐみん「私もです。それに盗賊との戦いの時も、ダクネスを身を挺して私を守ってくれましたし、役に立つとは思いますよ」
ダクネス「そうか。だったら、私を入れてくれるだろう?」
カズマ「う~ん」
めぐみん「カズマ、理由はどうであれ、私たちのパーティに守りは必要です。ならば、ダクネスは適任ですよ」
アクア「そうよ。いくらリーダーでも、役に立つ人を入れないというのは酷じゃないかしら?」
カズマ(まぁ、確かにダクネスは性癖は酷いし、攻撃も当たらない程の不器用だけど、その分防御でカバーできるなら………いいかな?)
カズマ「分かったよ」
ダクネス「!………じゃあ!?」
カズマ「俺らのパーティに入れ!そんで、その自慢の防御力で俺達の役に立ってくれよ」
ダクネス「了解したぞ。今後、よろしく頼む」
アクア「ダクネスが私たちのパーティに入るのが決まったのなら、ダクネスの歓迎会を開かないとね!」
めぐみん「いいですね。」
アクア「シュワシュワ四つと料理はここからここまで全部持ってきなさい!!」
カズマ「おい待ってよ!いくら歓迎会でも頼み過ぎだろ!?」
アクア「今日はいっぱい飲んで、いっぱい食べたい気分なのよ!空気を読みなさいよ、ヒキニート!!」
カズマ「そんなんで空気読んでたら、あっという間に金が無くなりそうで、怖いんだよ!?」
ダクネス「まぁまぁ、せっかく私の為にアクアが歓迎会を提案してくれたんだ。今日だけはいいんじゃないか?」
カズマ「………はぁ、しょうがねえな。今日だけだ、今日だけ遠慮しなくていいぞ」
めぐみん「そうです、カズマ。そうこなくては!」
アクア「やったわ!!じゃあ、シュワシュワをじゃんじゃん持ってきなさーーい!」
カズマ「だけど、お前は少しは遠慮しろよなぁ!?」
ダクネス「まぁまぁ。」
カズマ(今回も色々あったが、パーティに新しくクルセイダーのダクネスが加わり、メンバー四人。俺以外は全員上級職に恵まれた、とさ…。)
第三章『突如現るドMクルセイダー、名はダクネス』終わり
エピローグ『カズマ達よ、永遠に』
カズマ「ふわぁ~、もう朝かぁ…」
アクア「むにゃむにゃ………ZZZ」
カズマ「おい、起きろ。いつまで寝てんだ」コツン
アクア「んっ………んんっ………あ、おはよう」
カズマ「おはよう。だが、めぐみんもダクネスももう起きて、先にギルドに行ってるぞ」
アクア「あ、ダクネスの歓迎会でお金使い過ぎて……」
カズマ「そうだよ。お前、頼み過ぎやがって…。お蔭でツケになっちまったじゃねえか」
アクア「あ、えぇと、カズマさん、そのツケも何とか支払っt」
カズマ「知るか。自分の蒔いた種だ、自分でクエストで稼いで払え!!」
アクア「わあああぁーーーん。一人じゃ到底難しいわよ!!!」
カズマ「まぁ、あの時許した俺も俺だから今回ばかりはツケの支払いに協力してやる」
アクア「もぅ~、最初から手伝ってくれるのなら素直に言えばいいのにwww」
カズマ「やっぱ、止めようk」
アクア「わああぁぁーーー、ごめんなさい!?だから、止めてないでええぇっ!!?」
~ギルド~
カズマ「おーい!」
アクア「………」
ダクネス「お、カズマ。それにアクアも起きたか」
めぐみん「お先にクエスト探していましたよ」
アクア「楽して稼げそうなクエストはあった?」
ダクネス「カズマみたいな事を言うな、アクアは」
カズマ「いや、俺も最初は楽して稼げそうなって考えたには考えたが、今は金も無いし、ピンチだからそこまで楽しようとは考えてないぞ!?」
めぐみん「今はという事は、いずれ安定した収入が入った場合は楽をしようとしますね」
カズマ「おい!?」
ダクネス「こらこら、無駄話は終わりにしてクエストを探そう。そうだな、なるべく一撃一撃が強いモンスターが出てくるクエストにしないかっ!///」ハァハァ
めぐみん「いえいえ、ここはモンスターの数が一番多いクエストにしましょう。私の爆裂魔法で綺麗さっぱり吹き飛ばして」キリッ
カズマ「それぞれ、欲望丸出しだな…」
アクア「だったら、私はこれにしようっと!」
カズマ「ちょっと見せろ!」
アクア「あっ、ちょっとぉ!?」
クエスト『マンティコアとグリフォンが縄張り争いをしている場所があります。2匹同時に討伐して下さい。報酬は50万エリス』
カズマ「却下」
アクア「なんでよおおおぉぉーーー!?」
カズマ「俺達にはまだレベルが高すぎるからだ」
アクア「なによ、じゃあ、カズマはどのクエストを受けるのよ?!」
カズマ「そうだな………俺は……」
~クエストの場所~
カズマ「じゃあ、軽く討伐して報酬を貰うとするか」
アクア「あ~ぁ、報酬は安いけど、まぁ早く終わりそうだし、いいかしらね」
めぐみん「カズマー、爆裂魔法の準備をしますから、足止めをお願いします」
カズマ「あぁ、またいつもの爆裂、頼んだぞ」
ダクネス「どんなクエストでも受ければ一緒だ。今日もどのような快感を味わえるかが楽しみ、さぁ、私を盾にしろおおぉぉーー!!///」
カズマ「お、おぉ。なるべく守りは任せたぞ」
アクア「さぁ、女神の一撃、見せてあげるわ。ほら、行くわよ、カズマ…モタモタしない!!」ダッ
カズマ「おい、待ってよ!?」
カズマ「はぁ、ったく。んじゃあ、今日もやるかああぁーーーっ!!!」ダッ
モンスター「ぐおおおおぉぉぉーーーーー!!!」
カズマ・アクア・めぐみん・ダクネス「「「「はあああああぁぁーーーーーっ!!!!」」」」
カズマ(俺達の冒険は魔王討伐を果たすまで、続く!!!!)
完
元スレ
医者「本当です。それと佐藤さんが勘違いで突き飛ばされた女性は、拍子に骨折し、現在うちの病院で入院されてます」
カズマ「ほ、ほんとか、それは!?」
医者「ただいま、貴方のご両親が病室にお詫びに行っているようですが、佐藤さんも行かれた方がよろしいかと」
カズマ「分かった。で、その人の病室は一体、どこに?」
医者「ここを出まして……」
カズマ「うおおぉぉぉーーーーっ!?」ガラッ
医者「あっ、廊下は掃除したばかりですよ!? スリッパも履かずに、裸足で病室を出られたら危n」
3: 名無しさん@おーぷん 2018/07/26(木)18:53:48 ID:7s6
ツルッ
カズマ「うおおあああぁぁーーーーーー!!?」
ズザザアアアアァァーーーーーーーーーーーーーーーー
カズマ「うおおおおおおぉぉぉぉーーーーーーーーー!!?」
スザザアァァーーーーーーーーーーーーー
カズマ「と、とまれえぇぇぇーーーーーー!!!」
キッキッキィィーーー
カズマ「ふぅ、やっと止まt」グッ
ツルリ
カズマ「えっ!?」
スッテン
ゴン!!!
4: 名無しさん@おーぷん 2018/07/26(木)20:57:17 ID:7s6
タッタッタ
医者「はぁはぁ、佐藤さん、随分と長く廊下を滑ってましたが、大丈夫ですか!?」
カズマ「」
医者「あれ、佐藤さん?」
カズマ「」
医者「佐藤さーん?」
カズマ「」
医者「佐藤さん? ハッ、も、もしかして!?」タッタッタ
医者「死んでるううぅぅぅーーーーっ!!?」
カズマ「」
プロローグ『佐藤和真、その死』終わり
5: 名無しさん@おーぷん 2018/07/26(木)21:45:14 ID:7s6
第一章『異世界に降り立つヘタレと駄女神』
カズマ「…………………ハッ!!」パチッ
カズマ「ど、どこだ、ここは!? 俺はさっきまで病院にいたはずじゃ…」
???「佐藤和真さん。ようこそ、死後の世界へ」
カズマ「へっ?」
???「あなたはつい先程、不幸にも亡くなりました。短い人生でしたが、あなたは死んだのです」フッ
カズマ「………………はぁっ!?」
6: 名無しさん@おーぷん 2018/07/26(木)21:56:52 ID:7s6
カズマ「いやいや、それはおかしい!!だって俺はある事情で病院送りになって、それからなぜだか廊下を滑って、そんで大きくコケただけだろ!!」
カズマ「なんで死ななきゃならねぇんだよ!!!」
アクア「そのコケた事が死因という事です」
カズマ「コケた事が?」
アクア「正確には「コケた際に頭を強く打った事による脳挫傷」になります」
カズマ「マジかよっ!?」
アクア「だけど、コケた原因が………もぅ……www」プルプル
カズマ「な、なんだよ?」
7: 名無しさん@おーぷん 2018/07/26(木)22:05:48 ID:7s6
アクア「プッ、あははははは、あーはっはっはっは!!!」ゲラゲラ
カズマ「なんだよ、笑う暇があんならさっさと言えよ!?」
アクア「あははは、バナナの………皮……踏んだ……事、プークスクス!」ゲラゲラ
アクア「正直、この仕事長いけど、貴方のように情けない死に方した人、初めてよ、あーははははは!!!」ゲラゲラ
カズマ(くっ、なんだよ、こいつぅ~。)
カズマ(バナナの皮踏んだ拍子にコケて頭を打って死んだのは情けないかもしれんが、なぜ初対面のこいつにこんなにも馬鹿にされなきゃなんねぇんだよ!!)
8: 名無しさん@おーぷん 2018/07/26(木)22:21:40 ID:7s6
アクア「まぁ、ストレス発散はここまでにしておいて、自己紹介がまだだったわね」
アクア「私の名はアクア。日本において、若くして死んだ人間を導く女神よ」
カズマ「女神………マジモンか?」
アクア「失礼ね!!? 水を司る正真正銘の女神よ!!!」
カズマ「水を司るって水が操れるのか?」
アクア「まぁ、あまり女神の事をべらべら喋りたくないけど、私の場合はそうね。他に回復等の癒しや除霊も出来るのよ」
カズマ「(喋りたくないって言っておいて随分と喋りまくってるよ)ほぉー。」
アクア「聞いておいて適当にあしらうのは止めて!?せめて、驚きや敬意の対応を見せて欲しかったわよ!!」
9: 名無しさん@おーぷん 2018/07/26(木)22:38:22 ID:7s6
カズマ「んで、俺はこれからどうなるんだ?」
アクア「今後の事に関して二つの選択肢があります。一つは生まれ変わって0から新たな人生を歩むか、もう一つは天国的な所でおじいちゃんみたいな暮らしをするか」
カズマ「前者だな」
アクア「返事は早いわよ!! まだ言ってない事があるのよ」
カズマ「はぁ?二つの選択肢があるっt」
アクア「それもあるけど、もっと凄いのがあってね」
カズマ「一応、聞いてやるよ。」
アクア「貴方、ゲームは好きでしょ? 生前を調べたけど、ゲーム好きの引きこもりオタクニートだって事が分かったし」
カズマ「おい!確かにそうだけど、女神を人間をそこまでボロクソ言うかぁ!?」
アクア「女神だからこそ、言えるのよ」フフン
カズマ(この野郎~)ギリッ
10: 名無しさん@おーぷん 2018/07/27(金)00:30:12 ID:UvE
アクア「でね、私が紹介したい世界は、平和だった街に突如魔王軍が現れ、支配と略奪に変わったの」
アクア「そこで死んだ人のほとんどがもう二度と同じ世界に生まれたくないって生まれ変わるのを拒んで人が減っていく有様なのよ」
カズマ「つまり、俺がそこに行って魔王軍と戦えって事か?」
アクア「その通り。死んだ人間をその世界に送ろうって事が決まってね、ほとんどは同じ世界に行ったわよ」
アクア「あっ、もちろん、体と記憶はそのまま引き継がれるし、異世界語だって神々の親切サポートによって直接あなたの脳に必要な情報を一気にダウンロードしてクリアできるから。」
カズマ「そうかい、そうかい!」
アクア「…………まぁ、異世界語に関しては運が悪いと副作用で頭がパーになるかもしれないけど」ボソッ
カズマ「何か言ったか?」
アクア「何も言ってないわよ」
カズマ「嘘つけ、今運悪く副作用で頭がパーって?」
アクア「しつこいわね。だから、言ってないわよ!?」
カズマ(嘘だな…。)
11: 名無しさん@おーぷん 2018/07/27(金)01:10:12 ID:UvE
カズマ「ってか、俺が異世界に行ったって死んだらどうすんだよ?」
アクア「そういう時の為に才能とか武器とかそういう便利なものを一つだけ持って行ける権利を与えているのよ」
カズマ「それって普通のだろ?」
アクア「いいえ、才能はとてつもなく、武器はかなり強力な物よ。そういう即戦力を備えたまま異世界に行けば、ある程度はやっていけるようにする為にね」ウィンク
カズマ「そうか。(とてつもない才能や強力な武器を持ってRPGって、ゲームだったらチートだな)」
12: 名無しさん@おーぷん 2018/07/27(金)01:22:38 ID:UvE
アクア「さぁ、選びなさい。たった一つだけ、あなたに何者にも負けない力を授けてあげましょう」バサッ
カズマ(とは言うものの、一つだけだろ?異世界に行くとしたら魔法が効果的か、というか一度魔法を使ってみてぇ!!)チラチラッ
パリッ
カズマ(んっ?)
アクア「」パリッ、モグモグ
カズマ(ポテチ食っとる!!?)
アクア「んっ、なによー、私の顔なんか見て?気持ち悪いんですけど…」
カズマ(き、気持ち悪っ!? くっ、この野郎~)
アクア「ってか、早くして~。どうせ何を選んで一緒よ、引きこもりのゲームオタクなんてたかが知れてるし」
カズマ「お、オタって俺はオタクじゃない。そもそも家以外で死んだから引きこもりでもない!!」
13: 名無しさん@おーぷん 2018/07/27(金)01:38:29 ID:UvE
アクア「あっそ。ぶっちゃけ、そんなもんどうでもいいわー。」
アクア「それより、まだ他の死者の案内だってたくさんあるんだから」
カズマ(このぉ、さっきからボロクソボロクソ言いたい放題言いやがってぇ~、女神としての自覚はないのか!!)
カズマ(しかも仕事中にポテチ食うとはいい度胸じゃねぇか!)
アクア「なにその目、何か不満でもあるの?言いなさいよ?」
カズマ「じゃあ、言わせてもらおうか……女神の癖して人を馬鹿にするな、後ポテチ食いながら対応とか職務怠慢だろ」
アクア「はぁー。あのねぇ、私は女神なのよ。女神は崇高な存在…崇高な分だけ人を見下すのも当然でしょ?」
カズマ「なっ!?」
アクア「それにたかがポテトチップス食べてるだけで職務怠慢だと言うのもどうかと思うわ」
アクア「私はしっかりと女神としての役割をこなし、長年人を導いてるのよ…職務怠慢とは言えないわよ!」
アクア「むしろ、引きこもり、いやヒキニートに何が分かるって言うのよ。そもそも外に出たがらない奴が他の業務に口出しするんじゃないわよ!!」
カズマ「」ブチッ
カズマ(確かに引きこもりの俺が職務にあれこれ口出しする資格はないが、この女神もさすがに言い過ぎなんだよ。)ピクピク
カズマ(しかもちょっと可愛いからって調子に乗りやがってぇ~)ピクピク
14: 名無しさん@おーぷん 2018/07/27(金)01:43:24 ID:UvE
アクア「で、持っていくもんは決まったの?」
カズマ(くっ…………そうだ!)フッ
カズマ「あぁ、決まったよ」
アクア「何持って行くのよ?」
カズマ「あんた」ビシッ
アクア「あっそ。それじゃあ、魔法陣から出ないようn………って今、なんて言ったの?」
カズマ「だーかーら、異世界に持って行くモノはあんた、いや女神アクア、お前だって言ったんだよ!!」
アクア「ぷっ」
15: 名無しさん@おーぷん 2018/07/27(金)01:55:56 ID:UvE
アクア「あーはははは、あーはっはっはっは」ゲラゲラ
カズマ「なんだよ、また笑いやがって!何が可笑しいんだよ?!」
アクア「ははは。あのねぇ~、女神を連れて行くなんて反則なのよ。そんな事も分かったのぉ、流石はヒキニートねww」プークスクス
カズマ「この野郎、また馬鹿にしやがって!!」
アクア「あ、もう時間だわ。んじゃあ、あんたは時間切れって事で何も持たずに異世界に送るわね」
カズマ「あ、おい待ってぇ!?」
アクア「さあ勇者よー、願わくば数多の勇者候補達の中からあなたが魔王を打ち倒すことを祈っていますぅー。さすれば神々からの贈り物としてぇー、どんな願いでも叶えてさしあげましょ(棒)」
カズマ「面倒だからと適当なことすんなぁ~!!」
カズマ「というか、あんたが無理だったらせめて魔法の一つを持たs」
アクア「はいはい。時間が無いからさっさと旅立ちなさい。」
カズマ「うわああああぁぁーーーーーーーーーーーーー!!?」
16: 名無しさん@おーぷん 2018/07/27(金)02:20:12 ID:UvE
アクア「ふぅ。死に方もだけど、あそこまで女神の私に噛み付いた奴は初めてよ」
アクア「おっと、じゃあ、次の死者w」
パアアァァーーー
アクア「んっ?」
???「アクア様、お久しぶりです」
アクア「あんた、天使じゃないの。何か用?」
天使「用と申されますと、上の者に代わってアクア様に対する処分を言い渡しに来ました」
アクア「………………へっ?」
天使「実は大変悲しいとは思いますが、これまで天界はアクア様が本当に仕事を上手くこなせているかや職務怠慢が無いかを懸念しておりまして」
天使「そこで私が時折陰から監視しておりました。そして、つい先ほど佐藤和真さんを導く様子を見ていた所…」
天使「最初に人を馬鹿にし、女神である事を鼻にかけて言いたい放題である事や勤務中にスナック菓子をつまんでいた事、」
天使「更には業務短縮の為に武器も才能も持たせずに佐藤和真さんを異世界に送ってしまった事など、女神としてあるまじき行為を行いましたね」
天使「この様子をすぐに上の者にご報告した所、アクア様にある処分を下すよう仰せつかりました」
アクア「えっ、ちょ、なにが言いたいのよ?!処分ってなによ?」
天使「では、お伝えします。アクア様は女神でありながら導く者に対しあるまじき行為を行ったとし……」
天使「よってアクア様を佐藤和真さんの指定されたモノとして異世界に送る、という処分に処します」ニコリ
アクア「…………………ええええええええええぇぇぇぇぇーーーーーーーーっ!!!?」
17: 名無しさん@おーぷん 2018/07/27(金)02:29:02 ID:UvE
天使「では、アクア様、魔法陣から出ないようお願いします」
アクア「ちょっ、え、なにこれ!?」
天使「魔法陣でございます」
アクア「それは分かってるわよ。そうじゃなくて、冗談よね、処分って!?」
天使「………」ニコリ
アクア「え、え、嘘でしょ?いやいやいや、ちょっと…あの…」
アクア「おっかしいから!?なんで女神が異世界に送られなきゃならないのよ!?」
アクア「大体、処分があのヒキニートのモノとして連れて行かれるなんて反則だからぁ!!」
天使「規定及び処分通りです」
アクア「いやああーー、お願いよぉっ、今度はちゃんと女神らしくするから処分は無効にじでぇぇーーー!?」ポロポロ
天使「行ってらっしゃいませ、アクア様。無事魔王を倒されたあかつきには、迎えの者を送ります」ニッコリ
18: 名無しさん@おーぷん 2018/07/27(金)02:37:29 ID:UvE
アクア「待ってええぇーーー、私に魔王討伐は無理なんですけどぉっ!?」
天使「………」ニコニコ
アクア「せ、せめて別の場所に!? あの男と同じ異世界生きなんて嫌ぁ~!!」
天使「アクア様、ご武運をお祈り申し上げます!」
アクア「ちょっ……………」
アクア「いやああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーっ!!!?」
19: 名無しさん@おーぷん 2018/07/28(土)00:27:20 ID:hXB
カズマ「ちくしょー、あの駄女神め。何の装備も無しに俺を異世界n」
アクア「誰が、駄女神……ですてぇ………」
カズマ「だからお前、って、なんでここにいんだよ!?」
アクア「知らないわよ!!」フン
カズマ「知らないでここに居る訳ないだろ………ハハァン、さては俺が異世界に持っていくモノとして選んだお前が了承されたから、ここに来たんだな」
カズマ「もしくは駄女神である事が原因で処分でもされたかー?」ニヤニヤ
アクア「うるさぁーーい!!!」
カズマ「ふふふ、そうか、あーはっはっは」
アクア「何が可笑しいのよ!?」
カズマ「いやあ、流石は天界だなって思ってさ、まさか俺の言った事を了承してくれるとは、こりゃあお前より更に上にいる奴に感謝しないとな」ニヤニヤ
アクア「はぁぁぁぁぁぁぁーーーー、もう最悪よぉ~」ズーーーン
20: 名無しさん@おーぷん 2018/07/28(土)00:32:49 ID:hXB
カズマ「そんなに落ち込むなよ。もう取り返しはつかないって事だ」
アクア「あのねぇ、あんたのおかげで私の女神生活はパーよ!? どうすんのよ、魔王討伐するまで天界に帰れないのよ!!」
カズマ「じゃあ、さっさとその魔王を討伐するしかねぇだろ」
アクア「あんたバカ? そう簡単に魔王を討伐出来たら苦労しないっての!」
カズマ「いいから、行くぞ。お前は異世界に持ってきたモノだ…せいぜい俺の役に立ってくれよな」
アクア「女神に向かって指図すんじゃないわよ!!?」
21: 名無しさん@おーぷん 2018/07/28(土)00:41:56 ID:hXB
ここから省略
カズマ「で、ギルドで登録したら俺は最弱職の冒険者かよ…。」
アクア「ふふん、どうかしら? 私は上級職のアークプリーストよ♪」ドヤッ
カズマ「たかが上級職でドヤ顔すんなよ、駄女神」
アクア「たかが上級職って、あんた上級職をバカにしてない?!」
カズマ「上級職じゃなくて、お前自体をバカにしてんだよ」
アクア「なんですってぇ!?」
カズマ「だってお前、知性と幸運値が極端に少ねぇだろ! どう見ても足手まといのような」
アクア「そういうアンタこそ幸運の高さ以外は全く取り柄がないじゃない!」
カズマ「うるせぇ!人生のほとんどは運が必要だ、その点では役に立つはずだよ!!」
22: 名無しさん@おーぷん 2018/07/28(土)00:51:54 ID:hXB
アクア「このヒキニート!」
カズマ「駄女神!」
アクア・カズマ「「うぅ~~」」ジイイイィーー
アクア・カズマ「「ふんっ!!」」プイッ
カズマ「……………………」スタスタ
アクア「……………………」スタスタ
カズマ「……………なんでついてくんだよ」
アクア「うるさい。水の女神アクア様を異世界に連れて来ておいて、放置されるのも癪だからよ」
カズマ「お前は一人でも生きていけるだろ?だって、女神だもんな!」
アクア「なに、この私を一人にする気!?」
カズマ「さっき顔合わせて喧嘩したんだ!!これ以上お前といるとまた喧嘩しそうで、面倒くさいんだよ!」
アクア「このぉ、女神の私を放置すればあんたには罰を当ててやるわ」
カズマ「やってみろ?どうせ、駄女神にはそういう力なんて無いんだろ?」ニヤニヤ
アクア「くぅぅ~」プルプル
23: 名無しさん@おーぷん 2018/07/28(土)01:03:29 ID:hXB
カズマ「まぁ、異世界に連れて行くモノとして指定したけど、やっぱいらねぇわ。帰ってくれ」
アクア「だーかーら、処分でこんな所に来たんだから帰るのは無理に決まってんでしょ!?」
カズマ「ふぅ~ん。じゃあ、ここでお別れだな。後は、一人で頑張れるよ」スタスタ
アクア「あっ、ちょっとぉ!?」
カズマ「ふぅ。とりあえず、生活の為に寝る場所はどこかの馬小屋でいいとして、生活費と食費はどう稼ぐか?」
カズマ「アルバイト的な仕事もあるけど、早々貰えるはずはねぇし。最初は適当且つ簡単なクエストですぐに稼ぐとするか」
~ギルド~
カズマ「ジャイアン・トードの討伐。初歩的として、これにするか。」
カズマ「このクエスト受けます」
ルナ「サトウさん、さっそくクエストですね。人数はお二人ですね」
カズマ「はぁっ、二人? いや、討伐に向かうのは俺一人だけだけど??」
ルナ「サトウさんの後ろに控えている、アクアさんも一緒なんですよね?」
カズマ「はぁっ、後ろにアクア?」クルッ
アクア「………………」
24: 名無しさん@おーぷん 2018/07/28(土)01:39:21 ID:hXB
カズマ「って、うわああぁぁーーーー!?」
カズマ「なんでお前、俺の後ろに居んだよ!!?一人で頑張れって言ったはずだろぉ!!」
アクア「うっさい。私にだってプライドってもんがあんのよ!!」
アクア「例え処分とはいえ異世界に持っていくモノとして私がここに来た以上は、最後まであんたに力を貸してやるのが筋ってもんでしょ!!」
カズマ「筋も何も、俺は俺一人で精一杯だし、一々他人まで気遣うのは難しいんだよ」
アクア「!」
カズマ「だから、お前は一人で頑張れ。もう、今から俺について来るなよなぁ?」
アクア「なによ、私だって好きでここに居る訳じゃないのよ!!」
アクア「本当は無理だと思っても帰りたいわよ。でも出来なくてどうしようもないから、異世界で暮らしながら魔王討伐をするしかなくなったじゃないの」
アクア「けど、その前に生活があって、それでもここでの生活だって………まま……なら…ない……し」ウルウル
カズマ(……………)
カズマ(まぁ、良く考えたら俺がアクアの態度にイラついて、持って行くモノとして指定したからアクアはここに来たようなもんだしなぁ…)
アクア「うぅ………ぐす………」ポロポロ
カズマ「はぁ~、しょうがねぇな。」
アクア「えっ?」
カズマ「ジャイアント・トードの討伐、ついてこいよ!」
アクア「………いいの?」ポロポロ
カズマ「何を言ってもついてくるんだろ? だったらもういっその事、来い!ただし、足は引っ張るな。後、報酬も平等に分けてやるから、勝手にくすねるなよ!」
アクア「ありがどぅ……ありがどう…………カズマァァァーー!!」ギュウゥゥゥ、ポロポロ
カズマ「って、おい、急に抱き着いてくるなぁっ!?」
25: 名無しさん@おーぷん 2018/07/28(土)21:42:50 ID:hXB
~討伐後~
カズマ「ほら、報酬だ」
アクア「待ってましたぁ~、って、これだけぇ~!?」
カズマ「うるせぇ!!散々足引っ張っといて文句言うなぁ!?貰えるだけありがたく思え」
アクア「チェッ」
カズマ「お前なぁ~」
アクア「………ぷっ、あははは!」
カズマ「なんだよ?」
アクア「別にぃ、面白くて笑ってるだけよ、ははは」
カズマ「ふっ、ははは。そうか」
26: 名無しさん@おーぷん 2018/07/29(日)01:32:38 ID:eGZ
アクア「ねぇ、カズマ?」
カズマ「なんだよ?」
アクア「これからもこのアクア様があんたの為に力を貸してあげるわ。感謝しなさい!」
カズマ「上から目線は止めろ、駄女神の癖して…」
アクア「なんですってぇ~、ヒキニートの癖して生意気よ!?」
カズマ「うっせぇ、引きこもりは認めるが、ニートじゃねぇ!!」
カズマ「けど、まぁ、回復面は使えそうだし、もうしばらくだけ居ろよな」
アクア「つまり、このアクア様が必要って事なんでしょ?もぅ~、カズマったら素直じゃないわねぇ♪」プークスクス
カズマ「別に必要とは言ってないぞ!!」
カズマ(こうして俺が連れて来たとはいえ、厄介な仲間が一人出来たのであった。)
第一章『異世界に降り立つヘタレと駄女神』終わり
27: 名無しさん@おーぷん 2018/07/29(日)01:50:16 ID:eGZ
第二章『迷えるアークウィザード、我が名はめぐみん』
アクア「カズマ、カズマー」
カズマ「はい、カズマです。」
アクア「パーティメンバーを募集してみない?」
カズマ「パーティメンバーか…。いいが、募集内容はどうすんだ?」
アクア「『アットホームで和気あいあいとしたパーティです。
美しく気高きアークプリースト、アクア様と共に旅をしたい冒険者はこちらまで。
●幸せを掴めました、パーティに入って本当に良かったです!●アクア様のおかげで毎日が金運まみれです」
※採用条件、上級職の冒険者に限ります。』」
カズマ「おい、サラッと嘘を載せるなよ!!」
アクア「これのどこが嘘って言うのよ!?」
カズマ「パーティに入って幸せ掴めたとか、毎日が金運まみれって所だよ! お前、あからさまに自分出来ますアピールしてんじゃねぇよっ!!?」
28: 名無しさん@おーぷん 2018/07/29(日)01:57:20 ID:eGZ
カズマ「ってか、こんなもん貼り出した所で加入を希望する奴が現れるとも限らねぇしな」
アクア「何言ってんの、私が居ればメンバーなんてすぐに集まるわよ。そもそも私って立派で、ちゃんとしていて優秀な女神だもん」
カズマ「自惚れ、乙」
アクア「自惚れなんかじゃなくて、私は本当に優秀過ぎるくらいの女神であって、超便利なアークプリーストよ!!」
カズマ「だから、それが自惚れなんだよ!この駄女神の中の駄女神!!」
アクア「言ったわねぇ~、あんたなんか私直々に重い罰を与えt」ガタッ
ドンッ
アクア「きゃあっ!?」ドサッ
カズマ「あっ、アクア!!」
29: 名無しさん@おーぷん 2018/07/29(日)02:17:24 ID:eGZ
???「あ、すみません。大丈夫ですか?」
アクア「いたた、女神さまにぶつかるだ、なんていい度胸ね…と言いたいとこだけど、私は寛大だし、今回だけは許してあげるわ」
???「は、はぁ。(女神?)」
カズマ「んっ、なんだか随分と重たそうな荷物だな?」
???「あ、これはパーティメンバー全員の分の荷物ですよ」
カズマ「パーティメンバー全員分?」
???「はい。初対面に説明するのもアレですが、私今入ってるパーティでは荷物持ちや物の調達係をやってまして…」
アクア「へぇ~、つまり雑用って訳?」
???「なっ、雑用ではありません!?ちゃんとしたメンバーとしてクエストに参加し、攻撃面でも参戦してますよ」
カズマ「ふぅ~ん。パーティというのは、色々なのがあるのか…。」
30: 名無しさん@おーぷん 2018/07/29(日)02:24:53 ID:eGZ
???「パーティというのは素晴らしいですよ。特に他のメンバーに役に立てるという事h」
冒険者戦士「おーい、俺らの荷物はまだかよ?」
???「あ、は~い。今、行きます!!」
???「と、いうことで私はこれで。機会がありましたらまたお会いしましょう」
カズマ「あ、あぁ…。またな」
タッタッタ
アクア「初対面で、良く喋るわね、あの小さい女の子! 帽子を深く被ってて顔は分かんなかったけど、声ではっきり女と区別がついたわ」
カズマ「しっかし、パーティで荷物持ちに調達係ってメンバーってよりは雑用扱いだな。」
31: 名無しさん@おーぷん 2018/07/29(日)21:08:48 ID:eGZ
アクア「来ないわね……」
カズマ「採用条件が高すぎるんだよ!そもそも俺らのパーティに上級職は無理だろ、せめてもう少しハードルを下げた方がいい」
アクア「だって私が居ればきっと来るって思ったから!?」
カズマ「だから、自惚れは止めろぉ!!大体、そんなんで人が来たら苦労しねぇだろ!!?」
冒険者戦士「おい、あのふざけた募集出したのはお前らか?」
アクア「あ、来たわ!!」
冒険者戦士「来た?なんの事だ??」
アクア「なんの事って私たちのパーティメンバーに入りたくて来たんじゃないの?」
冒険者戦士「ぷっ、あははははは!!」
アクア「な、なによ、いきなり笑うなんて失礼過ぎるじゃないの!?」
冒険者戦士「はは、すまんすまん。だが、俺はお前たちのパーティに入るつもりで声を掛けた訳じゃない!」
冒険者戦士「ただ、お前らの募集に記してあった「パーティに入って幸せを掴めましたとか、毎日が金運まみれとか」そんなふざけた嘘は載せない方がいいと忠告しに来ただけだ」
アクア「ちょっとぉ、ふざけてなんかないわよ!?そもそも私が女神だから嘘なんt、うぐっ!?」ガバッ
カズマ「はははは、ご忠告ありがとうございましたー。気を付けますから」
冒険者戦士「頼むぜ。まったく、若い奴はよぉ……」スタスタ
32: 名無しさん@おーぷん 2018/07/29(日)21:13:29 ID:eGZ
アクア「うぅ……ぷはぁ!!ちょっとカズマ、どういうつもりよ、私が喋ってる途中で無理矢理遮るなんて!?」
カズマ「お前が女神って事は誰もハナっから信じてもねぇし、そもそもあんな事募集載せれば誰だってふざけた嘘だって認識するさ」
アクア「くぅ~、本物の女神なのに言ってくれるわねぇ~」ムカムカ
カズマ「とにかくハードルを下げて、もうあのいらんな文章も記すな!じゃなきゃ一生メンバーは来ないぞ!!」
アクア「うぅ……なんでこういう事に………」ズーン
33: 名無しさん@おーぷん 2018/07/29(日)21:35:46 ID:eGZ
冒険者戦士「おい、お前ら、行くぞぉーー!!」
その他のメンバーたち「「おーーーー!!」」
カズマ「あれ、さっき忠告してくれたあの人、パーティメンバーを組んでたんだな」
アクア「あ、カズマ、あのメンバーの中を見なさいよ!!」
カズマ「んっ?」
???「おー!!」
カズマ「あれ、少し前にアクアとぶつかった子じゃないか!そうか…あの子が入ってるパーティってあそこだったんだな」
アクア「う~ん。」
カズマ「どうした?」
アクア「いや、さっきぶつかった時も少し思ったけど、あの子の眼紅いでしょ?」
カズマ「おー、遠目だけど、良く見たら紅いな。」
アクア「あの子、紅魔族じゃないかしら?」
カズマ「紅魔族?」
アクア「紅魔の里って所に住む、紅い瞳をした一族の事よ。生まれつき魔力と知力が非常に高く、魔法使いとしての高い適性を持つって言われてるのよ」
カズマ「へぇ~、そんな凄い種族がパーティメンバーに居るというのはさぞかしクエストで優位に立てるだろうなぁ~?」チラッ
アクア「なに、私が足手まといって言いたいの?!」
カズマ「いやいや、そんな事言ってないさ。むしろ、人の指示も聞かず後先も考えずに突っ込んで返り討ちに遭う知力が物凄く低い誰かさんよりはマシだなって思っただけですよ」
アクア「それっぽく言ってるじゃないの!!? 私に喧嘩を売るだなんて良い度胸ね、カズマ!!」
カズマ「へいへい。今は喧嘩してる場合じゃねぇよ」
34: 名無しさん@おーぷん 2018/07/29(日)21:46:17 ID:eGZ
冒険者戦士「さぁ、クエストがあるんだ。体力を付ける為に食べろよ!!」ガツガツ
その他のメンバーたち「「へい!!」」モグモグ
カズマ「ってか、クエストの前の腹ごしらえか。美味しそうに食べるよな…」
アクア「カズマー、私も何か食べていいわよねー?」
カズマ「そういやぁ、朝飯まだだったな。食べてもいいけど、高いの頼むなよ。後、シュワシュワも注文すんな」
アクア「ちぇーー」
カズマ「って、頼む気だったのかよ!?」
アクア「朝から飲むシュワシュワもまた格別よ♪」
カズマ「昼間っから飲むな。せめて夜にしろ!!募集を待つだけじゃなくて、クエストも行っときたいからな!」
???「あ、あのぅ……」
冒険者戦士「なんだ?」
???「わ、私の量が異常に少ない気がしますが…」
その他のパーティメンバーA「何言ってるんだよ、お前?メンバーとはいえ、お前はあくまで雑用だ。雑用はそれぐらいで十分だろ」
???「で、ですが……」
その他のパーティメンバーB「文句があるんなら爆裂魔法しか使えない自分自分に言えよ……それしか使えないせいでパーティ全体の足を引っ張るお前にな!」
35: 名無しさん@おーぷん 2018/07/30(月)02:42:24 ID:j7A
???「うぅ………」
カズマ「おいおい、見ろ。」
アクア「なんだか、あの子だけ扱いが不当ね」
冒険者戦士「まぁまぁ、それくらいにしとけ。それより今度討伐に行くのはなんとあの「初心者殺し」だ!」
その他のパーティメンバーA「ええええぇーーー、初心者殺し!?」
その他のパーティメンバーB「でも、そんなクエスト見なかったような…?」
冒険者戦士「あぁ、俺がギルドに無理言ってクエストにしてもらったもんだからよ」
冒険者戦士「ひとまずレベルアップを兼ねての討伐だけど、一応高めの報酬が出るようになってるから行こうぜ!」
???「ま、任せてください!!我が爆裂魔法で粉々に消滅してやりますよ!」
冒険者戦士「そうだ、その意気だ。紅魔族のお前なら出来る、期待してるぞ」
アクア「あの人たち、まさかの初心者殺しを討伐しに行くとはねぇ……。」
カズマ「なぁ?」
アクア「なによ?」
カズマ「初心者殺しってなんだ?」
アクア「知らないの? 駆け出し冒険者にとっては文字通り天敵となる恐ろしい存在とされるモンスターで、特に知能が高くて狡猾、警戒心が強い上に素早いのが特徴よ!」
36: 名無しさん@おーぷん 2018/07/30(月)22:05:33 ID:j7A
カズマ「この世界に来たばかりで良く分からんが、そんなのが居るっていうのは本当に物騒だな」
アクア「だからこそ、討伐のし甲斐があるってもんよ。そうだ……初心者殺しの討伐報酬の高めなら私達も討伐すれば貰えるって事よね!!」
カズマ「はぁっ?」
アクア「だから、私たちも討伐に行こうっていう意味よ」
カズマ「おまっ、それ本気で!?」
アクア「さぁ、報酬の為に行くわよ!!」グイッ
カズマ「こらぁっ、引っ張るなぁ!?」ズルズル
37: 名無しさん@おーぷん 2018/07/30(月)22:20:48 ID:j7A
~クエスト地~
アクア「さぁてと、初心者殺しは……と」キョロキョロ
カズマ「ま、マジで来ちゃったよ。ってか、この駄女神、簡単な剣術しか使えない俺もそうだが、お前みたいな無鉄砲な奴が討伐なんて夢のまた夢だろ、今は!?」
アクア「ふん!ここは、私の魔法でバンバンやっちゃうから、せいぜい足引っ張るヒキニートは黙って見てなさいよ!」
カズマ「ほんと、ムカつくな、お前ぇ!」
その他のパーティメンバーA「ひええええぇぇーーーーー、初心者殺しだぁーー!?」
その他のパーティメンバーB「やっぱ怖えええぇぇーーーー!!?」
アクア「あの声はさっきのパーティの奴ね! それに今、初心者殺しって言ってたわ!カズマ、行くわよ!!」グイッ
カズマ「おわぁっ!?」ズルズル
38: 名無しさん@おーぷん 2018/07/30(月)23:20:23 ID:j7A
初心者殺し「ガルルルル」ノッシノッシ
???「ほぉー、これが初心者殺し…話は聞いていましたが、実際に見る初めてです」
冒険者戦士「見とれるな、俺の作戦で行くぞ」
アクア「いたいた。あれが初心者殺しよ」
カズマ「あれが、まるでサーベルタイガーじゃねぇか!?」
カキン、カキン、ドンッ
その他のパーティメンバーA「素早いし、いくら何でも無茶苦茶ですよ」
その他のパーティメンバーB「流石に俺達が挑戦するのは、早過ぎますって!?」
冒険者戦士「ガタガタいうな! とにかくこれでいいだろ、おい……止めの爆裂魔法放って!」
???「分かりました!」スッ
アクア「いよいよ、あの子が爆裂魔法ってヤツをお見舞いするのね」
カズマ「………」ゴクッ
39: 名無しさん@おーぷん 2018/07/30(月)23:34:46 ID:j7A
???「黒より黒く闇より暗き漆黒に我が深紅の混淆を望みたもう。」
???「覚醒のとき来たれり。無謬の境界に落ちし理。無行の歪みとなりて現出せよ!」
???「踊れ踊れ踊れ、我が力の奔流に望むは崩壊なり。並ぶ者なき崩壊なり。」
???「万象等しく灰塵に帰し、深淵より来たれ!」
???「これが人類最大の威力の攻撃手段、これこそが究極の攻撃魔法」
???「エクスプロージョン!」
ドドッカアアアアアアアアンッ!!
アクア「こ、これは!?」
カズマ「お、大きな威力の爆発だとっ!?(ってか、呪文みたいな唱えてたが、滅茶苦茶なげええぇーー!!?)
モクモク
その他のパーティメンバーA「いやはや、いつ見ても凄いよな、エクスプロージョンは…」
その他のパーティメンバーB「まったくだ。これだけの威力を持ちながら、これしか使えないってのももったいねぇなぁ…」
冒険者戦士「いいぞ、いいぞ。この威力だったらいくら初心者殺しでもひとたまりm」
初心者殺し「ウガアアアアア!」
その他のパーティメンバーA・B「「えええええぇぇぇーーーーっ!!?」」
アクア「あ~ぁ、怒ってる。これはヤバいわね…。」
カズマ「あの爆発でも生き延びるとは、どんだけタフなんだよ!!」
40: 名無しさん@おーぷん 2018/07/30(月)23:41:21 ID:j7A
その他のパーティメンバーA「や、奴がまだ生きてるなんてやっぱ文字通りの化けモンだ!リーダー、どうします!?」
冒険者戦士「くっ、俺とした事が甘く見てたぜ…」
その他のパーティメンバーB「それよりどうします!?あいつ、完全怒ってますよ!!?」
冒険者戦士「クエスト失敗か…。チッ、仕方ねぇ、逃げるぞ!!」
その他のパーティメンバーA・B「「へいっ!!」」
アクア「情けないわね~。作戦なんか展開しておいて、結局駄目で、挙句に逃走……無駄足もいいところね」
???「だ、誰かぁ~、私をおんぶしてください……」
カズマ「あれ、あの爆裂魔法の子だけ、力が無くなったみたいにぐったりしてねぇか?」
41: 名無しさん@おーぷん 2018/07/30(月)23:56:33 ID:j7A
その他のパーティメンバーA「あ、リーダー。あいつ、また魔力切れ起こして倒れてますよ」
その他のパーティメンバーB「ほんとだ。リーダー、また背負って逃げますか?」
冒険者戦士「…………いや、よく見ろ」
初心者殺し「ガルルルル」
???「う、動けません、たすけてください……。この黒き破壊獣が、我が体を狙って……」
その他のパーティメンバーA「お、初心者殺しの奴、あいつに目を付けてますねぇ」
冒険者戦士「あぁ、逃げるチャンスだ。気の毒だが、あいつには俺らパーティが生き延びる為の犠牲になってもらおう」
その他のパーティメンバーB「おぉー、最後の最後であいつが役に立ちましたね」
カズマ「なにぃっ!?あいつら、あの子を犠牲にして逃げるってどういう事だよ!?」
アクア「あー、パーティじゃ、たまに自己犠牲って言って自分から仲間を助ける為に犠牲になるって事があるのよ」
カズマ「いやいや、自己犠牲というか、事情は分からないけど、あの子動けないってだけみたいだし、自分から犠牲になるとか言ってねぇだろ!!」
カズマ「いくら何でも酷じゃねぇか!!」
アクア「わ、私に言葉をぶつけられても分からないわよ…。」
42: 名無しさん@おーぷん 2018/07/31(火)00:09:55 ID:9wY
???「だ、だれでも、いいですから……早く……」
冒険者戦士「悪いな、俺達は逃げる。犠牲になってくれてありがとな!」ダッ
???「えっ!」
その他のパーティメンバーA「短い間だったけど、ありがとう。さらば、な!」ダッ
その他のパーティメンバーB「最後に役に立ってくれてほんとにありがとな。お前の事は忘れねぇからな」ダッ
???「あ、ま、待ってください………!?」
シーーーーーン
???「は、反応なし……。どうやら、私はパーティに見捨てられたようですね……」
初心者殺し「ガルルルル」
???「ふっ。私としたことが、まさかここまでとは……。」
初心者殺し「ウガアアアアア!」
???「組んでいたパーティに見捨てられた挙句、初心者殺しに食われて短き人生に終止符……。悲しき最期でs」
アクア「ゴッドブローーーーーーーーーッ!!!!!」ドゴン
初心者殺し「ウガアアッ!!」グラッ
???「っ!!?」
43: 名無しさん@おーぷん 2018/07/31(火)00:19:46 ID:9wY
タッタッタ
カズマ「おい、大丈夫か?」スッ
???「あ、あなたがたは!?」
カズマ「話はこのモンスターから逃げ延びた後だ。動けないなら俺が背負ってやるから、この場を離れるぞ!!」ヨイショット
???「っ!」
初心者殺し「ウガアアアアア!」
アクア「起き上がるのが早いわね! こうなったら次は……」
カズマ「おい、アクアー、逃げるぞーーー!」
アクア「ちょっと待ってよ、こいつを討伐しないと!?」
カズマ「そんなもん、またいずれ討伐にし来ればいいだろ!!今は動けないこの子を街まで安全連れて行くのが最優先だ!!」
アクア「なによ、いいわよ。私一人d」
カズマ「あぁ、もう!!」グイッ
アクア「あ、ちょっと、カズマぁ!!?」
カズマ「さっさと逃げるぞ、駄女神!!」ダッ
アクア「ああああぁぁーーーー、私の討伐報酬があああぁぁーーーー!!!」ズルズル
44: 名無しさん@おーぷん 2018/07/31(火)00:32:33 ID:9wY
~アクセルの街 ギルド~
カズマ「もう大丈夫か?」
???「はい。ずっと背負わされたままですが、ひとまず立てる所までは回復してます」
カズマ「そうか。なら安心だ」
アクア「私の報酬………報酬がぁ………」ズーン、ボソボソ
カズマ「いつまで落ち込んでるつもりだ!」
アクア「だってぇ~、初心者殺しの討伐報酬は今まで手にした報酬よりも一番高かったのに……それをカズマさんがぁ~」ウルウル
カズマ「どんだけがめついんだよ、お前。それに、今の俺らじゃどっちみっち初心者殺しの討伐なんて無理だろ!!」
アクア「うぅ……」ズーン
45: 名無しさん@おーぷん 2018/07/31(火)00:44:36 ID:9wY
???「危うく食われそうな所を、なんて礼を申せば良いのか分かりません」
カズマ「お礼はいいよ。助けるのはまぁ、当然だしな」
アクア「かっこつけちゃってぇーー、助けると思わせて実は戦わずして逃げる為の口実にしてただけなんでしょww」プークスクス
カズマ「戦略的撤退って言うんだよ、駄女神」ゴンッ
アクア「いったぁ!?ちょっと、この高貴な女神を殴るなんてどういうつもりよ!」
???「女神?」
カズマ「あ、こいつ、そう思い込んでる痛い奴だから」
アクア「だから、本物の女神だってばぁーっ!?」
46: 名無しさん@おーぷん 2018/07/31(火)00:54:10 ID:9wY
???「あのぅ、一つ聞いていいですか?」
カズマ「なんだ?」
???「ギルドで出会って少しだけ話をしただけなのに、なぜわざわざ私を助けてくれたんですか?」
???「あの初心者殺しです…。私を見捨てたパーティみたいに、私など放って置けばよいのに、なんで初心者殺しに立ち向かってでも私を助けに??」
カズマ「あぁ、そういう事か。簡単だよ………ただ、自分の目の前で危ない目に遭いそうな奴が居たから当たり前だと割り切って助けた、それだけだよ!」
???「目の前で危ない目に遭いそうだから助けた………ありきたりの答えですね…。」
カズマ「うっ……」
アクア「ぷっ!!」クスクス
カズマ「………」ゴンッ
アクア「イタッ!?また、やったわねぇ!!」
???「ふっ………」クスッ
カズマ・アクア「「んっ?」」
47: 名無しさん@おーぷん 2018/07/31(火)01:08:16 ID:9wY
???「ありきたりの考えを持ってこそどんな状況でも見捨てずに助けられる……。まったく、人を犠牲にするようなどっかのパーティにも見習ってほしいものです」
カズマ「あぁ、それはお前が入ってt」
???「これ以上は言わないで下さい」
カズマ「あぁ、悪い」
???「それより、あなたがたはパーティメンバーの募集を張り出していましたよね?」
アクア「えぇ、もちろん!!」
???「では、決めました!!」
カズマ「なにがだ?」
???「あなたがたのパーティに入る事です。いえ、私をこのパーティに入れてはもらえませんか?」
カズマ「えええぇーーーっ!!?」
48: 名無しさん@おーぷん 2018/07/31(火)01:28:48 ID:9wY
???「むろん、条件も満たしていますよ。上級職のアークウィザードですから」
カズマ「アークウィザードって言ったな? もしやとは思うけど、パーティの話を聞いたり、遠目で見ていたが、爆裂魔法しか使えないのか?」
???「はい。私は爆裂魔法をこよなく愛するアークウィザード。爆発系の魔法が好きなんじゃありません、爆裂魔法が好きなのです。」
カズマ「他の魔法も本当に一切使えないのか?」
???「野暮な事を聞きますねぇ…もちろん使えません。私は爆裂魔法しか愛せないのです!」
カズマ「で、もう一つ聞くが、エクスプロージョンってヤツを使用したら倒れたが、あれは?」
???「むろん、我が奥義である爆裂魔法はその絶大な威力ゆえ、消費魔力もまた絶大。要約すると身動きが取れなくなります」
カズマ「まさに一撃必殺ってヤツか…。爆裂魔法一択、それも一回しか使えないアークウィザード………あのパーティをお前を雑に扱う理由が分かったような気がしたよ」
???「おい、私の爆裂道及び私に対する文句があると言うのなら聞こうじゃないか!」
49: 名無しさん@おーぷん 2018/07/31(火)01:35:19 ID:9wY
カズマ「う~ん、いくら上級職とはいえ、足手まとい確定だからな。心配という前に不安だらけだ」
???「我が望みは魔法を放つこと。報酬などおまけに過ぎず、なんなら山分けでなく、食事とお風呂とその他雑費を出してもらえるなら、我は無報酬でもいいと考えている。アークウィザードである我が力が今なら食事とちょっとだけでいい。」
???「あ、でも、食事の量はなるべく大目でお願いしますが…」
カズマ「う~ん……」
???「まだ不安でいっぱいなんですね。まぁ、もちろん他の魔法を習得すれば冒険が楽になるでしょう。火、水、土、風。この基本の四属性だけでも取っているだけでも違います。」
???「…ですが、ダメなんです。私は爆裂魔法しか愛せない。たとえ一日一回の魔法でも私は爆裂魔法しか愛せないのです!」
アクア「いいわよ」
カズマ「おい、アクア!?」
50: 名無しさん@おーぷん 2018/07/31(火)01:38:30 ID:9wY
???「い、入れてもらえるのですか!?」
アクア「もちろんよ。上級職の条件を満たしていて、尚且つここまでロマンを語れる所、はっきり言って気に入ったわ」
???「あ、ありがとうございます」
カズマ「アクアーー」
アクア「あ、カズマさんも、もちろんOKよね?」
カズマ「うぅ…でもなぁ……」チラッ
???「………………」ドキドキ
カズマ「……………」
カズマ「はぁ、しょうがねぇな!」
51: 名無しさん@おーぷん 2018/07/31(火)01:43:39 ID:9wY
???「で、では!?」
カズマ「あぁ、いいよ。助けたって事もあるし、何かの縁だ。もう俺達のパーティに入れ!」
???「!!!……………はい、ありがとうございます♪」ニコリ
カズマ(お、笑うともっと可愛いな!)
カズマ「いやいや、俺のほうこそよろしくな、えぇと………?」
???「あ、自己紹介がまだでしたね。」
52: 名無しさん@おーぷん 2018/07/31(火)01:49:46 ID:9wY
めぐみん「我が名はめぐみん。紅魔族随一の魔法の使い手にして、爆裂魔法を操りし者。」
カズマ「……………めぐみん? 冷やかしか??」
めぐみん「ち、ちがわい!?」
アクア「カズマー」
カズマ「なんだ?」
アクア「紅魔族は皆、変わった名前をしているのよ。だから、そこのめぐみんも…」
カズマ「あぁ、そういう事か」
めぐみん「何をどう納得されているかは分かりませんが、私からすれば街に居る人達の方がよっぽど変な名前に聞こえますがねぇ…。」
カズマ「ちなみに両親の名前は?」
めぐみん「母はゆいゆいで、父がひょいざぶろー」
カズマ「うん。納得だ」
めぐみん「おい、両親の名前に関して言いたい事があるのなら聞こうじゃないか!」
53: 名無しさん@おーぷん 2018/07/31(火)01:55:49 ID:9wY
カズマ「俺は佐藤和真、カズマでいいぞ。で、冒険者だ」
アクア「私はアクア、水を司る女神よ。上級職のアークプリーストよ」
めぐみん「カズマにアクア、ですね。よろしくお願いします」
めぐみん「それで、そのいきなりですが、アクアに伝えたい事があります」
アクア「何かしら?」
めぐみん「その、私とぶつかった時や先ほどの話の中でも自分を女神だと言ってましたが、流石に自分でも痛いとは思わないんですか?」
アクア「なっ!?」ガーン
カズマ「ぷっ!!」プルプル
54: 名無しさん@おーぷん 2018/07/31(火)02:02:02 ID:9wY
めぐみん「私やカズマの前では良いのですが、流石に他者や初対面などに対してはあまりよくないかと…」
アクア「何言ってるの、私は正真正銘の女神d!?」
めぐみん「えぇ。痛い子だという事は十分伝わりましたので……」
カズマ「ぶふっ!」プルプル
アクア「なんでよおおおぉぉーーーーーー、なんで女神だと信じてくれないのよおおおぉぉーーーー!!!?」
カズマ「くっくっく……」プルプル
カズマ(なんだかんだあって、パーティに新しくアークウィザードのめぐみんが加わった、とさ…。)
第二章『迷えるアークウィザード、我が名はめぐみん』終わり
55: 名無しさん@おーぷん 2018/07/31(火)22:03:46 ID:9wY
第三章『突如現るドMクルセイダー、名はダクネス』
カズマ「さぁて、今日はどうっすか?」
めぐみん「カズマ、クエスト行きましょう、クエスト!!今こそ我が爆裂魔法を思う存分、味わわせてやりたいのです」
アクア「私もクエストに行きたいわ。まだ返せていない借金もあるし」
カズマ「やる気があるのは結構だが、今の俺らに見合うクエストがあるのかどうか……ムッ!」
めぐみん「どうしましたか?」
カズマ「これ見ろ!」
クエスト募集の張り紙『最近、盗賊の被害に遭っていてとても困っております。
そこで撃退をお願いしたのですが、なるべく腕っ節に自信がある人でお願いします。
報酬 60万エリス』
アクア「たくさんのクエストの中で、討伐報酬が一番高額じゃない。これにするわ!!」バッ
めぐみん「盗賊ですか…。まぁ、たまにはモンスター以外の爆裂もいいですね」
カズマ「おい、待て、腕っ節に自信がある奴だろ? 俺らにそんな自信ある訳g」
めぐみん「カズマ、アクアがもう受付に行ってしまいましたよ」
カズマ「ええぇぇーーっ!!!」
56: 名無しさん@おーぷん 2018/07/31(火)22:16:18 ID:9wY
カズマ「結局、無理矢理受ける事になるとは……」
アクア「クエストの詳細によると盗賊のアジトがこの周辺にあって、直接アジトに乗り込んでから退治してもらいたいそうよ」
めぐみん「そういえば、盗賊で思い出しましたが、最近相次いで周辺の村々が盗賊に襲われ、金品を強奪される事件が起きているそうです。」
カズマ「でも、盗賊ってそんなに強いのか?こんなに事件が起きれば、もっと腕っ節の強い連中が退治に行くと思ったけどよ」
めぐみん「聞いた話ですが、最近盗賊には護衛という者が存在するそうで、しかもその護衛自ら盾となってあらゆる攻撃を防ぐ事が出来る程の強い防御力を誇るとか…」
めぐみん「盗賊からしてみれば、『最強の壁』と言った所でしょう」
カズマ「なんだよそりゃあ!? 護衛が最強の壁って、どこからその護衛呼んできたって話になるな!」
アクア「まぁ、この高貴な最強女神の私が居るんだから、100%大丈夫よ。勝ち誇った気でいるといいわ」
カズマ「おーーい、その100%と思える確率はどこから来てるんだよ…」
57: 名無しさん@おーぷん 2018/08/01(水)00:12:31 ID:DUg
ゾロゾロ
めぐみん「あ、カズマ、アクア…向こうから何か来ますよ」
カズマ「おい、あれって!!」
アクア「間違いないわ。服装からして盗賊たちね」
アクア「アジトを探す前に現れるなんて好都合よ。まぁ、アジトに乗り込んでから退治してもらいたいって話だけど、ひとまずこの場で退治しても一緒よね」
めぐみん「人数はまぁまぁいるようです。これは爆裂魔法のし甲斐がありますね」
カズマ「待ってよ!クエストを受けた後で言うのもアレだが、本当にやるつもりかよ!?」
アクア「なによ?ここで逃げ腰になったのかしら、プークスクス。カズマサン、情けな~い!」クスクス
めぐみん「ここでヘタレになってどうするんですか、と言いたいところですが、ヘタレになるのならどうぞご勝手に。私とアクアだけでもやってやりますから」シャキ
カズマ「いつも馬鹿にするアクアはおいといて、めぐみんがそう言うなら俺は本気で何もしない。二人で出来るなら頑張ってくれ、俺は近くで応援でもしてるからよ」
めぐみん「本気ですか!?今のは、カズマに発破をかける為に言ったつもりなのですが!!」
カズマ「どっちみち俺はこのクエスト、乗り気じゃねえしな」
アクア「まったく!めぐみん、もうほっといて私たちだけでやっちゃいましょう」
めぐみん「はぁ~、カズマはどうしてこう、どうしようもないヘタレなのでしょうか…」ジト目
58: 名無しさん@おーぷん 2018/08/01(水)21:43:18 ID:DUg
アクア「あなた達!!」
盗賊の首領「あぁん、なんだてめぇら?」
めぐみん「数々の悪行、聞いてますよ。なので、私たちが退治します」
盗賊の首領「へっ、退治だぁ?いいだろう、おい……護衛出番だぜ」
???「任せろ!」ダッダッ
アクア「!………えっ!?」
???「ほぅ。我ら盗賊に牙を向けるのは誰かと思えば、私と同じ女性とはなぁ…」
めぐみん「なっ、なんですか!?護衛と聞いたから男かと思えば、私達と同じ女じゃないですか!」
???「別に珍しくはない。女だって盗賊はやってる」
カズマ(隠れて見てっけど、護衛がまさかの女性とは…。だけど、あの護衛良く見たら……)
???「」ボン、キュッ、ボン
カズマ(スタイルがマジでええぇぇーーーっ!!?//////)
???「」キラキラ
カズマ(しかも中々の美人だ!!///)ポォーーー
59: 名無しさん@おーぷん 2018/08/01(水)21:47:33 ID:DUg
アクア「アンタが例の盗賊の護衛かしら?」
ダクネス「そうだ。名はダクネス、クルセイダーで、盗賊に雇われた護衛だ」
めぐみん「クルセイダー………私達と同じ上級職ですか」
ダクネス「ほぉ、お前達も上級職か?」
アクア「当然よ。私はアクア、アークプリーストよ」
めぐみん「我が名はめぐみん、アークウィザードです」
ダクネス「ふむ。アークプリーストにアークウィザードか。」
ダクネス「なら……………」
ダクネス「極上の痛みを味わわせてくれるのだなっ!!/////」ドキドキ
アクア・めぐみん「「っ!?」」
カズマ(っ!!!)
60: 名無しさん@おーぷん 2018/08/01(水)21:56:10 ID:DUg
盗賊の首領「おい、ダクネス。」
ダクネス「アークプリーストはその杖を使って、そしてアークウィザードは魔法だ……きっとあんな事やこんな目に遭わされ、挙句にボロボロのズタボロに……くぅぅ、たまらん?」ビクビク
盗賊の首領「おーーい」
めぐみん「ヤバいです!?あれ、ヤバいですよ!!」
アクア「彼女、凄い性癖の持ち主みたいね…」
アクア「あんな奴、私のゴッドブローでおしまいにしましょう」
ダクネス「おっ、来るか!」
アクア「ゴッドブローーーーーーっ!!!」
ガキン
アクア「って、ええぇーーー、なにこれ!?」
めぐみん「出ましたか、例の護衛の高い防御力が……。」
カズマ(マジか。普通の人には大抵効くゴッドブローが無効化されるとは。どんだけ硬いんだよ…。)
61: 名無しさん@おーぷん 2018/08/01(水)22:00:15 ID:DUg
ダクネス「あぁ………鎧を伝って体中に響くこの感じ………いいっ??」ゾゾッ
ダクネス「もっとだ、もっと打ってこい!!」ハァハァ
アクア「はぁっ!?」
盗賊の首領「見たか。護衛のダクネス、性格はアレだが、防御面は一流だ」
盗賊の首領「護衛ならぬ盾として扱えば、どんな攻撃に対抗できる。まぁ、武器の扱いはヘタで、攻撃が当たらないのが玉に瑕だけどな」
ダクネス「うぅ……盾としての考えと玉に瑕だという罵倒が心に沁みてくるぅ~///」ゾクゾク
62: 名無しさん@おーぷん 2018/08/01(水)22:19:42 ID:DUg
めぐみん「防御のみ特化していて、攻撃が不器用とは一体?!」
ダクネス「奴の言った通りだ。私は不器用だから攻撃は当てられないが、防御だけは長けている。だからこそ、盾として好き勝手に扱ってもいい/////」
アクア「そんなにお望みなら、鎧ごと破壊されるまでやってあげるわよ!!」
ダクネス「おおおぉぉーーーーー、頼むぞ?」ハァハァ
盗賊の首領「お、おい、何だか主旨が変わってきてないか!?」
カズマ(確かに…)
63: 名無しさん@おーぷん 2018/08/02(木)00:09:53 ID:h6I
~そして~
アクア「はぁはぁ…」
ダクネス「ハァハァッ/////」ビクビク
めぐみん「あ、あのぅ、アクア?」
アクア「なに?」
めぐみん「私はいつ爆裂魔法を放てばよいのでしょう?」
ダクネス「そうだ!!次は爆裂魔法を撃ってくれえぇーー!!」
めぐみん「なっ!?」
アクア「くっ、あんなにゴッドブローを連続食らわせたのに、まったく効果が無いなんて……」
64: 名無しさん@おーぷん 2018/08/02(木)00:26:03 ID:h6I
盗賊の首領「おい、ダクネス!いつまで勝手な事をやってるつもりだ!!」
盗賊の首領「攻撃は俺達に任せて、お前はさっさと全員の守りに徹しろ!!」
ダクネス「断る!!」
盗賊の首領「なにぃっ!!?」
ダクネス「私はクルセイダーとなってからずっとたくさんの攻撃を受け続けた。だが、それなりに満足感が得られず、以降は自分なりに満足ある攻撃が出来る者を求め続けるようになった」
ダクネス「その目的の為だけに私は盗賊の護衛となり、様々な場所での人々の応戦を受ける事で探し続けた。そして、私は遂にピッタリな者を見つけた………そう、目の前に居るアクアを!!」
アクア「はあぁぁーーっ!?」
めぐみん「な、なんですか、それ!?」
カズマ(あの変態クルセイダー、素材は良いのに、中身は残念だ、本当…。)
65: 名無しさん@おーぷん 2018/08/02(木)00:34:42 ID:h6I
ダクネス「お前のゴッドブロー、凄い威力だったぞ。あれを連続で受けたら、今までにない感覚を味わった気分だ///」
ダクネス「あ、後、そこのめぐみんという者の爆裂魔法にも興味が湧いている!!」
めぐみん「爆裂魔法が、変態の快楽というのに使われそうで、怖いです」
ダクネス「という訳で盗賊たちには攻撃させず、こいつらを生かして私がずっと攻撃を受け続けていられる状況のままにしたい。だから盗賊のサポートは断る!!」
盗賊の首領「てめぇ、まさか裏切るつもりか?」
ダクネス「裏切るも何も貴様らの護衛になったのは、私自身の思いを満たす者を探す為だ。」
ダクネス「そして、その者が見つかった今、貴様らの護衛として盾になる必要もなくなった…そういう事だ」
66: 名無しさん@おーぷん 2018/08/02(木)00:44:36 ID:h6I
盗賊の首領「くっそぅ、ならてめぇはもう用済みだ。そいつら、ごと始末してやる!!」
アクア「いよいよ、来るって訳ね」
めぐみん「では、もう爆裂魔法の準備をしましょうか」
ダクネス「私の身の危険もそうだが、お前たちまで危険に晒されたらせっかく果たされた目的も無になってしまおう……。」
ダクネス「だから、ひとまず私はお前たちの盾となろう!!」
アクア・めぐみん「「えっ、さっきまで敵対関係だったのに(だったはずでは)!!」」
ダクネス「細かい事は気にするな。いいから、こいつらを撃退するぞ」
盗賊の首領「おい、お前らやっちまえぇーー!」
オオオォォォーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
カズマ(なんだか、急というか、変な展開になったぞ。大丈夫か!?)
67: 名無しさん@おーぷん 2018/08/02(木)00:53:20 ID:h6I
アクア「ゴッドブローーーーーーー!!!」
ギャアアアアアアアーーーーーー
盗賊の首領「おい、あそこにいるアークウィザードから始末しろ」
めぐみん「くっ、まだ準備中ですので、隙が生まれてしまいます」
ダクネス「任せろ。お前は私が守ってやる」バッ
ガキン、ガキン、ガキン
めぐみん「た、助かりました。」
ダクネス「なに、これぐらいh……ハッ、危ない!?」
めぐみん「えっ?」クルッ
スキアリィィィーーーーー
めぐみん「うわぁ!?べ、別の方から盗賊がぁ!!」
アクア「めぐみーーーん!!?」
カズマ「スティール!!!」シュパァ
68: 名無しさん@おーぷん 2018/08/02(木)00:58:56 ID:h6I
スカッ
ッテ、アレェ!?ブキガナイッ!!?
アクア「隙あり、ゴッドブローーー!」ドゴッ
ギャアアーーーーー
アクア「めぐみん、大丈夫?」
めぐみん「え、えぇ。ですが、今私に襲い掛かろうとした盗賊が持つ短刀が急に無くなったおかげで斬られずに済みました」
カズマ「ったく、世話をかけるなっての!」グッ
めぐみん「カズマっ!」
アクア「もしかして、今のカズマが?」
カズマ「あぁ。こうなる状況も考えて、スキルを覚えてたんだよ」
69: 名無しさん@おーぷん 2018/08/02(木)01:04:48 ID:h6I
ダクネス「なんだ、もう一人居たのか! しかも今度は男か」
盗賊の首領「チッ、仲間が居たのは想定外だ。しかもあれは俺達、盗賊の特有スキル「スティール(窃盗)」じゃねぇか!!」
ダクネス「スティールが使えるという事は盗賊と言いたい所だが、その服装からしてお前は冒険者だな?」
カズマ「あぁ、その通りだ!」
盗賊の首領「最弱職だが、様々なスキルを覚える事が出来るアレか…。」
盗賊の首領「えぇい、面倒だ。まとめてやっちまえ!!」
70: 名無しさん@おーぷん 2018/08/02(木)01:12:22 ID:h6I
アクア「まだ数は居るわね」
めぐみん「後もう少しで準備が終わります」
カズマ「乗りかかった船だ。途中だが、ここからは俺も手助けしてやる」
アクア「カズマ、あんた最初は逃げ腰だった癖に本当に大丈夫ー?」
カズマ「あ、あぁ。まぁ、スティールでめぐみんを助けたから、どっちみち俺も盗賊に目を付けられたし、このまま逃げても追われるだけだからな」
カズマ「だったら、逃げるよりもうやるしかねえだろ!」
めぐみん「カズマ…結局、最後は見捨てずに助けてくれる、私はそう信じていましたよ」ニコリ
カズマ「止めろ。褒められるのは、照れくさい//」カァーー
ダクネス「フッ。中々良いパーティではありそうだな」
71: 名無しさん@おーぷん 2018/08/02(木)01:18:38 ID:h6I
……………………………………
めぐみん「準備は整いました」
アクア「ったく、ようやくね」
ダクネス「おぉ、いよいよ爆裂魔法が見られるのか。どうせならどのような威力かを直に楽しみたい所だが、今回は見てから判断しようじゃないか」
カズマ「よし、めぐみん、盗賊のボスもろともやれええぇーーー!」
めぐみん「任されました」
盗賊の首領「ちくしょー、食らってたまるか。一人だけでも逃げてやる」ダッ
アクア「あっ!」
ダクネス「このまま逃がせば、爆裂魔法の餌食に出来なくなるぞ!!」
カズマ「させるか、バインド!」シュパァ
72: 名無しさん@おーぷん 2018/08/02(木)01:37:03 ID:h6I
盗賊の首領「なにぃ、急に動けなくなっただとっ!?」
アクア「バインドって、相手を拘束するスキルよね?いつの間に覚えたのよっ?!」
カズマ「それは後々説明するから、今は勘弁してくれ」
ダクネス「うむ。先ほどの剥ぎ取るといい、相手を拘束するといい、私をそそらせるようなスキルばかりではないか!?//////」ゾクゾク
カズマ「おい、そんな変な事するためのスキルじゃねぇぞ?」
ダクネス「とにかく、スキル自体は気に入った。それと、貴様はカズマとか言ったな?」
カズマ「あ、あぁ」
ダクネス「カズマ、お前もグッドだ。アクアと同様、私の思いを満たせる者の一人として認識しよう」
カズマ「いや、そんなものにグッドと褒められたり、認識されても嬉しくないぞ!?」
73: 名無しさん@おーぷん 2018/08/02(木)01:42:10 ID:h6I
めぐみん「おい、私を忘れるな」
カズマ「悪い。めぐみん、ボスも含めて全員動けないようにしたから、さっさと例の爆裂魔法で止めを刺せ」
めぐみん「言われなくてもそうしますよ」
めぐみん「エクスプロージョン!!!!!!」
ドドッカアアアアアアアアンッ!!
ギャアアアアアアアアアアアーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
74: 名無しさん@おーぷん 2018/08/02(木)01:48:35 ID:h6I
モクモク
ダクネス「おおぉーーーー、これがめぐみんの爆裂魔法だな!響く程の大爆発とクレーターが出来る程の威力、気に入った。」
ダクネス「めぐみんも私の思いを満たせる者の一人として認識しよう。そして、次はぜひ私にそのエクスプロージョンをっ///」ハァハァ
カズマ「こんな時でもド変態になるんじゃねえよ!!」
ダクネス「ひっぐぅ…………ド、ド変態……だとぉ!?/////」ビクビク
ダクネス「ば、罵倒するその鬼畜さも中々良いな、カズマは!!」
カズマ「どんだけ自分の性癖に持ち込む気なんだよ……」
75: 名無しさん@おーぷん 2018/08/02(木)01:53:35 ID:h6I
アクア「カズマー、見て見て。盗賊たちが見事に全滅よ。これで報酬60万エリスは頂きね♪」
めぐみん「カズマぁ~、またいつものようにおぶってくださぁ~い」
カズマ「で、一方は浮かれ、もう一方は魔力を使い切って倒れてるし…。」
~ギルド~
カズマ「なぁ、ダクネス?」
ダクネス「なんだ?」
カズマ「なんでお前、ついてきてんの?」
ダクネス「? ついてきては駄目なのか?」
カズマ「いや、駄目とは言ってねえけど、ついてくる意味が分からないんだよ?」
ダクネス「そういう事か。」
76: 名無しさん@おーぷん 2018/08/02(木)02:05:36 ID:h6I
ダクネス「単刀直入に申そう。私をパーティに入れてくれないか?」
カズマ「訳を聞こうか!」
ダクネス「先ほどアクアとめぐみんから聞いたが、酷い目に遭わされることが多いそうじゃないか」
カズマ「酷い目って、例えばジャイアント・トードに呑み込まれそうになったとか…?」
ダクネス「それだ。ジャイアント・トードに呑み込まれそうになった挙句、粘液まみれだと聞いた!!」
ダクネス「それを聞いて、私もぜひ味わってみたい、その粘液プレイというのものを……////」ハァハァ
カズマ「おい!!」
ダクネス「それに私の思いを満たしてくれる者が三人も居て、それがパーティ全員ならば、むしろ入る他ないだろぉっ!!」グイッ
カズマ「うぉっ、顔が近い!?」
77: 名無しさん@おーぷん 2018/08/02(木)13:29:11 ID:h6I
ダクネス「それに先ほど募集を見たのだが、条件は上級職とあった。私はクルセイダー、上級職であって条件にもピッタリと当てはまるぞ!」
カズマ「た、確かにそうかもしれないが、俺のパーティには今、足手まといで役に立たない駄目なアークプリーストに爆裂魔法を一日一回しか放てないアークウィザードがいるんだ!」
カズマ「そこに武器を使用しても全く当たらない変態クルセイダーが加わったらチームパーティの勝率はグーンと下がる上、事実上リーダーである俺の負担が更にヤバい事になるんだぞ!?」
ダクネス「はうわぁっ!?/// へ、変態…クルセイダー……だとぉ!!」ビクッ
ダクネス「いい……///他者に対する罵倒に乗じて私まで巻き込むとはっ…………いい、ハァハァ。中々の鬼畜っぷりだな、カズマはっ/////」ビクビク
カズマ「おい、こんなとこでそれ、言ったら俺まで変態みたいに見られるから止めろ!?」
ダクネス「そうか。カズマも鬼畜な上にかなりの変態なのだなっ///」ゾクゾク
カズマ「そうは言ってねえだろがっ!?(まぁ、ダクネスが今放った言葉はある意味そうだが…)」
78: 名無しさん@おーぷん 2018/08/02(木)13:37:23 ID:h6I
ダクネス「うん、ますます気に入った!是が非でもこのパーティに入れてほしい!!」
カズマ「うん、断る」ニコリ
ダクネス「笑顔で断れたっ!?…………だが、それもまたイイっ??」ゾクゾク
アクア「ちょっと先から何やってるのよ?」
めぐみん「先ほどから周囲の目があまりにもゴミを見るような雰囲気でしたので、見かけて来ちゃいましたよ」
カズマ「おう、アクアにめぐみん。ちょっといいか?」
アクア「なによ?セクハラしたいって言うのならお断りよ?」
カズマ「いやいや、何も言ってねえのに、勝手に決め付けるのはよくねぇぞ!!?」
めぐみん「カズマの日頃の行いと性格が悪いんですよ」
カズマ「俺、そこまでか?」
アクア・めぐみん「「うん」」コクリ
カズマ「マジで泣いていいか?」
ダクネス「おぉぉーーい、カズマだけじゃなく、私も罵ってくれええぇぇーーー/////」
79: 名無しさん@おーぷん 2018/08/02(木)21:05:42 ID:h6I
…………………………………………
めぐみん「成る程。私たちのパーティに入りたいという訳ですか」
カズマ「あぁ。それでお前らの意見も聞きたいんだけど?」
アクア「私は構わないわ。上級職のクルセイダーなら大歓迎よ」
めぐみん「私もです。それに盗賊との戦いの時も、ダクネスを身を挺して私を守ってくれましたし、役に立つとは思いますよ」
ダクネス「そうか。だったら、私を入れてくれるだろう?」
カズマ「う~ん」
めぐみん「カズマ、理由はどうであれ、私たちのパーティに守りは必要です。ならば、ダクネスは適任ですよ」
アクア「そうよ。いくらリーダーでも、役に立つ人を入れないというのは酷じゃないかしら?」
カズマ(まぁ、確かにダクネスは性癖は酷いし、攻撃も当たらない程の不器用だけど、その分防御でカバーできるなら………いいかな?)
カズマ「分かったよ」
ダクネス「!………じゃあ!?」
カズマ「俺らのパーティに入れ!そんで、その自慢の防御力で俺達の役に立ってくれよ」
ダクネス「了解したぞ。今後、よろしく頼む」
80: 名無しさん@おーぷん 2018/08/02(木)21:45:43 ID:h6I
アクア「ダクネスが私たちのパーティに入るのが決まったのなら、ダクネスの歓迎会を開かないとね!」
めぐみん「いいですね。」
アクア「シュワシュワ四つと料理はここからここまで全部持ってきなさい!!」
カズマ「おい待ってよ!いくら歓迎会でも頼み過ぎだろ!?」
アクア「今日はいっぱい飲んで、いっぱい食べたい気分なのよ!空気を読みなさいよ、ヒキニート!!」
カズマ「そんなんで空気読んでたら、あっという間に金が無くなりそうで、怖いんだよ!?」
ダクネス「まぁまぁ、せっかく私の為にアクアが歓迎会を提案してくれたんだ。今日だけはいいんじゃないか?」
カズマ「………はぁ、しょうがねえな。今日だけだ、今日だけ遠慮しなくていいぞ」
めぐみん「そうです、カズマ。そうこなくては!」
アクア「やったわ!!じゃあ、シュワシュワをじゃんじゃん持ってきなさーーい!」
カズマ「だけど、お前は少しは遠慮しろよなぁ!?」
ダクネス「まぁまぁ。」
カズマ(今回も色々あったが、パーティに新しくクルセイダーのダクネスが加わり、メンバー四人。俺以外は全員上級職に恵まれた、とさ…。)
第三章『突如現るドMクルセイダー、名はダクネス』終わり
81: 名無しさん@おーぷん 2018/08/02(木)21:58:59 ID:h6I
エピローグ『カズマ達よ、永遠に』
カズマ「ふわぁ~、もう朝かぁ…」
アクア「むにゃむにゃ………ZZZ」
カズマ「おい、起きろ。いつまで寝てんだ」コツン
アクア「んっ………んんっ………あ、おはよう」
カズマ「おはよう。だが、めぐみんもダクネスももう起きて、先にギルドに行ってるぞ」
アクア「あ、ダクネスの歓迎会でお金使い過ぎて……」
カズマ「そうだよ。お前、頼み過ぎやがって…。お蔭でツケになっちまったじゃねえか」
アクア「あ、えぇと、カズマさん、そのツケも何とか支払っt」
カズマ「知るか。自分の蒔いた種だ、自分でクエストで稼いで払え!!」
アクア「わあああぁーーーん。一人じゃ到底難しいわよ!!!」
カズマ「まぁ、あの時許した俺も俺だから今回ばかりはツケの支払いに協力してやる」
アクア「もぅ~、最初から手伝ってくれるのなら素直に言えばいいのにwww」
カズマ「やっぱ、止めようk」
アクア「わああぁぁーーー、ごめんなさい!?だから、止めてないでええぇっ!!?」
82: 名無しさん@おーぷん 2018/08/02(木)22:17:20 ID:h6I
~ギルド~
カズマ「おーい!」
アクア「………」
ダクネス「お、カズマ。それにアクアも起きたか」
めぐみん「お先にクエスト探していましたよ」
アクア「楽して稼げそうなクエストはあった?」
ダクネス「カズマみたいな事を言うな、アクアは」
カズマ「いや、俺も最初は楽して稼げそうなって考えたには考えたが、今は金も無いし、ピンチだからそこまで楽しようとは考えてないぞ!?」
めぐみん「今はという事は、いずれ安定した収入が入った場合は楽をしようとしますね」
カズマ「おい!?」
83: 名無しさん@おーぷん 2018/08/03(金)00:43:12 ID:1kq
ダクネス「こらこら、無駄話は終わりにしてクエストを探そう。そうだな、なるべく一撃一撃が強いモンスターが出てくるクエストにしないかっ!///」ハァハァ
めぐみん「いえいえ、ここはモンスターの数が一番多いクエストにしましょう。私の爆裂魔法で綺麗さっぱり吹き飛ばして」キリッ
カズマ「それぞれ、欲望丸出しだな…」
アクア「だったら、私はこれにしようっと!」
カズマ「ちょっと見せろ!」
アクア「あっ、ちょっとぉ!?」
クエスト『マンティコアとグリフォンが縄張り争いをしている場所があります。2匹同時に討伐して下さい。報酬は50万エリス』
カズマ「却下」
アクア「なんでよおおおぉぉーーー!?」
カズマ「俺達にはまだレベルが高すぎるからだ」
アクア「なによ、じゃあ、カズマはどのクエストを受けるのよ?!」
カズマ「そうだな………俺は……」
84: 名無しさん@おーぷん 2018/08/03(金)00:58:35 ID:1kq
~クエストの場所~
カズマ「じゃあ、軽く討伐して報酬を貰うとするか」
アクア「あ~ぁ、報酬は安いけど、まぁ早く終わりそうだし、いいかしらね」
めぐみん「カズマー、爆裂魔法の準備をしますから、足止めをお願いします」
カズマ「あぁ、またいつもの爆裂、頼んだぞ」
ダクネス「どんなクエストでも受ければ一緒だ。今日もどのような快感を味わえるかが楽しみ、さぁ、私を盾にしろおおぉぉーー!!///」
カズマ「お、おぉ。なるべく守りは任せたぞ」
アクア「さぁ、女神の一撃、見せてあげるわ。ほら、行くわよ、カズマ…モタモタしない!!」ダッ
カズマ「おい、待ってよ!?」
カズマ「はぁ、ったく。んじゃあ、今日もやるかああぁーーーっ!!!」ダッ
モンスター「ぐおおおおぉぉぉーーーーー!!!」
カズマ・アクア・めぐみん・ダクネス「「「「はあああああぁぁーーーーーっ!!!!」」」」
カズマ(俺達の冒険は魔王討伐を果たすまで、続く!!!!)
完
もう一つの、この素晴らしい世界に祝福を!